研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 628 |
| 2024-12 | - | 622 |
| 2023-12 | - | 629 |
| 2022-12 | - | 680 |
| 2021-12 | - | 495 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,184 文字
6【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、32,001百万円であります。セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国・中国のテクニカルセンターと連携して「地球環境と安全を守るために」をテーマに、「製品イノベーション」「カーボンニュートラル」「資源循環/持続可能な原材料」をチャレンジ目標に掲げ商品の開発に取り組んでおります。また、当社はCASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ開発及び周辺サービス展開において「スマートタイヤコンセプト」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗や経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」、水や温度などの外部環境にシンクロしてゴムの性質がスイッチする独自の技術である「アクティブトレッド」、そしてタイヤや車両、路面状態のデータを検知する独自のセンサーレスのセンシング技術「センシングコア」が挙げられます。さらにサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向けて、当社独自の循環型経済構想「TOWANOWA」の中で、使用済みタイヤをリサイクル原材料として活用することに取り組んでおり、2025年11月からは当社宮崎工場で初めて資源循環型カーボンブラックを一部乗用車向け量産タイヤに採用しております。 ①ゴム起点のイノベーション創出当社は2035年に向けた長期経営戦略「R.I.S.E.2035」において「ゴムから生み出す“新たな体験価値”をすべての人に提供し続ける」を目指す姿として掲げ、その実現に向けて「ゴム起点のイノベーション創出」を推進しております。当社の強みであり研究開発の根幹となるゴムの可視化技術力を強化し、ゴム素材の可能性を徹底追求するため、研究プロセスの高度化、研究施設の強化、研究人材育成、外部連携強化を図り、新たな価値を生み出す高機能ゴムの開発に取り組んでおります。研究主導によるイノベーション創出力の強化のため、国内に新たなイノベーションセンターを2028年までに設立予定です。外部連携強化においては日本電気株式会社と戦略的パートナーシップを締結し、世界で競争力のある研究開発基盤の構築およびビジネスの早期実現に向けて活動しています。先行的な取り組みとして、タイヤ材料分野に関する実証を実施し、タイヤ材料分野へのAI活用が開発プロセスの高度化・効率化を加速する可能性を確認しました。2030年までにAIで高度化された研究開発スタイルを構築するとともに、社会課題の解決につながる新たな事業やイノベーション創出を目指します。また、京都大学化学研究所との協働プロジェクトにより、破壊に繋がるゴム内部構造の分布の違いを三次元的に可視化することに成功しました。この研究成果を活かし、耐摩耗性能を高めたタイヤの開発を進めていきます。2025年4月には国立大学法人東北大学に「次世代シンクロサイエンス共創研究所」を設置、また2025年8月には国立大学法人北海道大学内に新たな共創型研究拠点として「住友ゴム イノベーションベース・札幌」を開設しました。当社の研究者と大学の研究者・学生が協働して最先端技術の研究と実用化に取り組み、ものづくりの未来を切り拓く技術革新を推進していきます。今後はさらに、企業・自治体・研究機関など多様なパートナーとのオープンイノベーションを推進し、新規事業の開拓や持続的な競争力強化・価値創出に努めてまいります。 ②アクティブトレッド技術2024年10月に発売の「SYNCHRO WEATHER」に搭載された「アクティブトレッド」は、ゴムの中に路面状態の変化に反応する「水スイッチ」及び「温度スイッチ」を組み込むことでポリマーの動きをコントロールし、ドライ、ウエット、雪上、氷上といったあらゆる路面で高い性能を発揮する、当社独自の技術です。このアクティブトレッド技術は2025年3月にドイツで開催された「Tire Technology Expo 2025」内で開かれた「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」において「R&D Breakthrough of the Year」を受賞しました。また、2025年5月には第37回日本ゴム協会賞を受賞しております。2027年には、進化したアクティブトレッド技術を搭載したオールシーズン・オールウェザータイヤを欧米へ展開予定であり、「水」や「温度」に続く第3のスイッチは超高性能スポーツおよびピックアップトラック、SUVカテゴリーへの投入に向けて着実に開発を進めております。今後は環境に応じた性能に変化する次世代スイッチの開発などアクティブトレッド技術の進化に加え、摩耗抑制技術や経年劣化抑制技術と融合させることにより、高性能で環境負荷の少ないタイヤの開発に取り組んでいきます。 ③センシングコアセンシングコアは、タイヤの回転により発生する車輪速データと車輪に流れるCANデータ(車輪制御情報)を解析することで、タイヤの空気圧、摩擦状態、荷重や路面状態、車輪脱落予兆などを検知する当社独自のソフトウェア技術です。今後、新車に装着するスタンドアローン型と、クラウド上で他の情報と合わせて活用するクラウドインストール型の2つのビジネスモデルを展開していきます。国内では2025年10月に国内自動車メーカーより発売する大型トラックに車輪脱落予兆検知機能が標準装備として初めて採用されております。また、AIを活用した車両故障予知ソリューションサービスを提供する米国のベンチャー企業であるViaduct社(2024年1月に出資)を2025年10月に買収し、Viaduct社が保有する高いAI技術と当社のタイヤの知見およびセンシングコアとの融合によりさらなる事業の拡大およびグローバル展開の加速に取り組んでおります。海外では2025年10月から北米でフリート車両向け故障予知サービスを展開しており、フリート事業者が抱えるダウンタイムの削減やメンテナンスコスト削減といった課題の解決に加えて、走行時の安全性向上や車両の稼働率向上に貢献しております。今後は自動運転や法人・団体が所有する車両を効率よく管理するフリートマネジメント向けのソリューションビジネスを拡大し、センシングコアを当社の主要事業の1つとして成長させていきます。当事業に係る研究開発費は26,853百万円であります。 (2)スポーツ事業当社スポーツ事業では、「お客様のスポーツライフをもっと豊かに。」を掲げ、高い技術力による高機能な製品の提供を通じて、お客様の心身の健康と豊かな暮らしに貢献すべく、ゴルフ・ラケットスポーツ用品を中心に開発を行っています。日本および米国に研究開発部門を設置し、科学的根拠に基づく開発体制を構築しているほか、兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」「テニス科学センター」において、プレーヤーの身体動作やフィーリングの領域まで踏み込んだ解析を行い、実打データと組み合わせることで、性能だけでなく打ちやすさや爽快な打球音といった感性価値にもこだわった製品開発を推進しています。研究開発活動の成果として、ゴルフクラブでは素材・構造・空力設計の適正化により反発性能とヘッド挙動の安定性を高め、爽快な打球音と従来以上の大きな飛びを実現したゼクシオシリーズの最新モデル「XXIO14」、ゴルフボールでは新開発のソフトアイオノマーカバーと新開発ディンプルにより飛びとスピンのトータルパフォーマンスを進化させた最新モデル「XXIO HYPER RD」、テニスラケットでは新たなフレーム形状と波型形状のグロメット搭載により飛びとスピードを追求したパワー系ラケットダンロップ「FX」シリーズなどの新モデルをそれぞれ発売しました。いずれも当社の開発力を反映した主力製品で、幅広いプレーヤーのニーズに応える商品であり、事業収益に貢献しています。また、環境配慮型製品の開発にも注力しており、サステナブル原材料を82%使用したサステナブルゴルフボール「スリクソン Z-STAR+e80」(非売品)の開発や、テニス用品ではストリングの紙パッケージ化など、環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。これらの活動を通じ、中長期的なブランド価値の向上と、市場における競争優位性の一層の強化を図ってまいります。当事業に係る研究開発費は3,349百万円であります。 (3)産業品他事業当社の産業品事業では、高減衰ゴムを用いた制振部材、医療用ゴム製品、防舷材をはじめとする産業用資材など、安心・安全・快適をテーマとする事業活動に積極的に取り組んでおります。2025年11月には、スポーツ施設用床材において、選手のニーズに応えるスポーツ用人工芝『ハイブリッドターフREX(レックス)』を発売いたしました。本製品は筑波大学との共同研究に基づき開発したもので、サッカー選手が評価するプレー性能への影響が大きい『ショートパスのしやすさ』に着目しており、今後もプレーヤーズファーストの視点での製品開発を進めてまいります。医療用ゴム製品を取り扱うメディカルラバー事業では、バイオ医薬品向け製品の拡充に向けた開発を進めております。また、高減衰ゴムを用いる制振ダンパー事業では、寺社仏閣やリフォーム向けの制振ダンパーの開発を行うなど、製品ラインアップの強化と新たな市場ニーズへの対応を図っていきます。今後も、より多くのお客様に共感いただける製品づくりを軸に、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現など社会課題の解決を目指し、安心・安全・快適な暮らしに貢献する商品の研究開発を進めていきます。当事業に係る研究開発費は1,799百万円であります。
FY2024|4,342 文字
6【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、27,707百万円であります。セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国・中国のテクニカルセンターと連携して「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「低燃費性」「原材料」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。また、当社はCASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗や経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」、水や温度などの外部環境にシンクロしてゴムの性質がスイッチする独自の技術である「アクティブトレッド」が挙げられます。さらにサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けて、当社独自の循環型ビジネス構想「TOWANOWA」の中で、使用済みタイヤをリサイクル原材料として活用することにも取り組んでいます。 ソリューションサービスの分野において、国内では、当社は2024年7月からロジスティード株式会社とトラックの稼働率向上に向けた実証実験を始めました。ロジスティードが保有する車両に、当社が開発したタイヤ空気圧や温度をモニタリングして異常を知らせる「タイヤ空気圧・温度管理サービス」を導入します。タイヤ空気圧・温度管理を通して、タイヤトラブルを未然に防ぐことで、走行時の安全性向上、点検業務の効率化、さらには燃費及びタイヤ寿命の向上レベルを検証します。これにより、当社が目指すタイヤを含む車両全体の故障予知ソリューションサービスの展開を加速させます。実証実験を通じて、ドライバー不足が懸念される物流の2024年問題の解決にも貢献していきます。一方海外では、自動車の車輪速解析技術をベースとする当社独自のセンサーレスのセンシング技術「センシングコア」の技術開発を着実に進めています。AIを活用した車両故障予知ソリューションサービスを提供する米国のベンチャー企業であるViaduct Inc.(以下「Viaduct(バイアダクト)社」)に2024年1月に出資、戦略的パートナーの関係にある中、現在約5社と技術PoCを開始しており、2025年4月よりサービスを開始すべく準備を行っています。Viaduct社の車両故障予知ソリューションサービスと、当社独自の「センシングコア」を組み合わせることで、タイヤに加え、エンジンやブレーキなどを含めた車両状況をリアルタイムで把握することを目指します。車両全体のモニタリングが可能になることで、走行時の安全性向上に繋がるとともに、車両の稼働率向上やメンテナンスコストの削減が期待できます。将来的には、トラック配送などの車両管理にメンテナンス・保険・リースなどを組み合わせたトータルフリートマネジメントサービスの実現を目指します。 材料開発の分野において、2024年10月に発売の「SYNCHRO WEATHER」に搭載された「アクティブトレッド」では、ゴムの中に路面状態の変化に反応する「水スイッチ」及び「温度スイッチ」を組み込むことでポリマーの動きをコントロールすることに成功しました。これら2つのスイッチを組み合わせることで、ドライ、ウエット、雪上、氷上といったあらゆる路面で高い性能を発揮する、これまでにないゴムを創り出しました。さらにアクティブトレッド技術の「水スイッチ」は3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu」の活用を通じて、「温度スイッチ」は北海道大学との共同研究を通じて、さらなる技術開発を進めます。2027年には、進化したアクティブトレッド技術を欧米へ展開します。さらには、「水」や「温度」に続く、第3・ 第4のスイッチの開発にも着手していきます。また、タイヤの耐摩耗性能向上に向けて、当社は、東北大学、理化学研究所、高輝度光科学研究センターと共同で、大型放射光施設「SPring-8」※1を活用し、1ナノ秒を含む幅広い時間領域で原子・分子・ナノ構造の運動を測定する事ができる新しい放射光技術を開発しました。今回開発した新しい放射光技術は、0.1ナノ秒から100ナノ秒の運動を測定することが可能であるため、従来の測定技術とあわせることで、幅広い時間領域において原子・分子運動を測定することが可能となりました。本研究を通して、高強度かつ耐摩耗性に優れたタイヤ開発を進めてまいります。 その他にもシミュレーション技術において、当社は、「タイヤ空力シミュレーション」及び「パターンノイズシミュレーション」の開発を行いました。「タイヤ空力シミュレーション」は、タイヤ周りの空気抵抗を予測するシミュレーション技術です。EVでは、エネルギーロスの約34~37%はタイヤが関係します。このシミュレーション技術を活用することで、タイヤ周りの空気抵抗のより少ないタイヤ開発につなげてまいります。「パターンノイズシミュレーション」は、路面でのタイヤ騒音をより精度よく、短時間で予測することができるシミュレーションです。当社が新開発したこのシミュレーション手法により、静粛性能の高いタイヤ開発に活用してまいります。当事業に係る研究開発費は22,507百万円であります。 ※1 世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設(兵庫県佐用郡佐用町) (2)スポーツ事業スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。これらの取り組みにより、ゴルフクラブでは「スリクソンZX MkⅡ(マークツ―)シリーズ」の後継モデルとなる「スリクソン ZXi(ゼットエックスアイ)シリーズ」を開発し、2024年11月に発売しました。フェースのセンター部分の肉厚を薄くし、トウとヒールに厚い部分を設ける新開発のフェース構造「i-FLEX(アイフレックス)」を搭載することで、インパクト時におけるヘッドの過剰な振動を防ぎ、最大限のエネルギーを効率よくボールに伝えることが可能となりました。フェースとボディを効果的にたわませる独自技術「REBOUND FRAME(リバウンドフレーム)」との相乗効果で、スイートエリアが拡大し、ボールスピードもアップしました。ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STAR(ゼットスター)シリーズ」3機種を開発し、商品化しました。新開発の「高スピン バイオ ウレタンカバー」により、アプローチスピン性能を向上させるとともに、独自のディンプル構造で風に強く伸びのある弾道を実現しました。また、カバーには環境に配慮したトウモロコシ由来のバイオポリオールを配合し、製造時CO2排出量を削減しています。3機種展開で、「スリクソン Z-STAR XV(エックスブイ)」ではドライバーでの飛距離を、「スリクソンZ-STAR」ではソフトなフィーリングとアプローチスピンを、「スリクソンZ-STAR ◆(ダイヤモンド)」は、ロング・ミドルアイアンでのスピン性能を重視するゴルファー向けに、それぞれの特性に合わせた技術を搭載しています。テニスラケットでは、スピン系テニスラケット「SX(エスエックス)」シリーズの新モデルを開発し、商品化しました。弾道を補正する新たなグロメットの採用で、ストリングの可動域が拡大し、パワー性能、スピン性能、弾道補正性能が向上しました。また、フレームの一部厚みを変えることで、フレームの慣性モーメントが向上し、打球時のブレが軽減しました。なお、同シリーズの開発については、2023年10月に開設した「テニス科学センター」での解析・評価なども活用しております。当事業に係る研究開発費は3,536百万円であります。 (3)産業品他事業ハイブリッド事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振ダンパー、医療用ゴム製品、ヘルスケア用品等、安全・安心・快適をテーマとする事業活動に積極的に取り組んでおります。制振事業では、2024年12月に京都大学防災研究所にて能登半島地震時の振動データを用いたMIRAIE Σ(ミライエ シグマ)、MAMORY(マモリ―)の実大振動台実験を行い、その模様が様々なメディアで紹介されるなど事業の認知度も高まっております。今後も、より大きな巨大地震に対しても全壊・半壊被害0を維持できるよう、地震波の分析と制振技術の研究を進め、持続可能なインフラと安全性の高い社会の実現に一層貢献してまいります。制振事業のみならず、カーボンニュートラル、プラスチック削減等、社会課題の解決を目指し、より安全・安心・快適な毎日の暮らしに貢献する商品の研究開発を行っていきます。また、新たな取り組みとして、当社は「リチウム硫黄電池正極活物質」の開発や「がん細胞吸着キット」の開発を行っております。電池の「+極」に存在し、電気の蓄積、放出を担う重要な物質であるリチウム硫黄電池正極活物質の開発では、「NanoTerasu」を活用して東北大学と共同で確立した世界最高の空間分解能(解像度)の材料可視化技術「テンダーX線タイコグラフィ」を用いて、リチウム硫黄電池正極活物質の詳細な観察を行いました。今後、高性能化へと繋げ、蓄電池をはじめEV、ドローン、無人飛行機、空飛ぶクルマ、人工衛星などエネルギーやモビリティなどの幅広い分野における、製品性能、持続可能性の向上と環境負荷低減への貢献を目指します。「がん細胞吸着キット」の開発については、独自の特殊ポリマーでがん細胞のみを吸着する性質を利用する、という画期的な取り組みです。当事業に係る研究開発費は1,664百万円であります。
FY2023|4,445 文字
6【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、27,340百万円であります。セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「低燃費性」「原材料」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。また、当社はCASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の考え方を採り入れた商品開発を推進するとともに、デジタルツールを用いて得られるさまざまなデータを利用した新たなソリューションサービスの展開を目指しております。 ソリューションサービスの分野では、当社はトラック配送などの車両管理にメンテナンス・保険・リースなどを組み合わせたトータルフリートマネジメントサービスの実現を加速すべく、AIを活用した車両故障予知ソリューションサービスを提供する米国のベンチャー企業であるViaduct Inc.(以下「Viaduct(バイアダクト)社」)と共同実証実験を開始しました。実証実験では、Viaduct社のAIを活用した車両故障予知ソリューションサービスと、当社の自動車の車輪速解析技術をベースとする独自のセンサーレスのセンシング技術「センシングコア」を組み合わせることで、タイヤに加え、エンジンやブレーキなどを含めた車両状況をリアルタイムで把握することを目指します。車両全体のモニタリングが可能になることで、走行時の安全性向上に繋がるとともに、車両の稼働率向上やメンテナンスコストの削減が期待できます。また、Viaduct社への出資を行ったことにより、戦略的パートナーシップをさらに強固なものとしました。両社の情報面・技術面での連携を通じて、より高度なトータル車両故障予知ソリューションサービスの展開を加速させます。 材料開発の分野では水や温度などの外部環境にシンクロしてゴムの性質がスイッチする独自の技術である「アクティブトレッド」を開発しました。当技術は、2023年10月に東京ビッグサイトで開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において初めてその詳細を公開しました。路面に接する唯一の部品であるタイヤが、ウエット路面や凍結路面など路面状況の変化に反応して、ゴムの性質がアクティブ(能動的)に変化することで、最適な性能を発揮し、安全・安心なドライブを続けることができます。2024年秋に「アクティブトレッド」技術を初めて搭載した次世代オールシーズンタイヤを発売することに加え、今後も「アクティブトレッド」の技術開発を進め、EVタイヤの性能向上や、自動運転での安全な走行を支えるタイヤの開発に活用していきます。さらに将来は、地域・季節に関わらず使い続けることができるタイヤを目指しています。タイヤの履き替えを減らすことで、地球環境負荷を低減してサステナブルな社会の実現にも貢献していきます。また、DUNLOPブランドでバイオマスとリサイクル原材料を使用したサステナブル原材料比率76%のレースタイヤを開発しました。開発したタイヤは天然ゴムや天然由来の原材料の活用、またリサイクル鉄から再生した材料を使用することで従来のレースタイヤからサステナブル原材料の比率を高めたレースタイヤで、2023年12月にモビリティリゾートもてぎにて行われた「Honda Racing THANKS DAY 2023」のNSX-GT Last Raceに投入しました。今後は、DUNLOPがタイヤ供給を行うトップクラスから入門クラスまでの幅広いカテゴリーへの投入も視野に、更なる改良・チューニングを行うことで、サステナブルなモータースポーツの実現に貢献してまいります。当社はサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けて、住友理工株式会社、住友電気工業株式会社と協業して、炭素回収・変換技術を有する米国のバイオ技術会社LanzaTech Global, Inc.(以下「ランザテック社」)とのリサイクル技術の開発に取り組みます。ランザテック社が有する「微生物による生合成技術」を活用し、タイヤなどの廃棄物をガス化・ガス精製した後、微生物による生合成反応を経て、新たにゴム原料となるイソプレンを生産することを目指し、最終的には、原料メーカーとの協業を進め、イソプレンを再び、ゴム・樹脂として利用するリサイクル技術の確立を見込んでいます。また、廃棄物をガス化する過程で回収した金属をリサイクルし、原材料として再利用することを検討していきます。当社独自の循環型ビジネス構想「TOWANOWA※1」で目指すカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。 サステナブルな社会の実現は個社の取り組みだけで達成することは困難であり、業界内にとどまらず産学官の多くのステークホルダーとの連携が必要になります。当社は、今後も循環型ビジネス構想「TOWANOWA」の各プロセスの取り組みを加速させ、データ活用で社内の開発を効率化するとともに、外部のさまざまなステークホルダーとつながることで新しい情報や技術を共有して、社会課題の解決やサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。当事業に係る研究開発費は22,503百万円であります。 ※1 「TOWANOWA」はタイヤ事業において効率的なモノの流れと資源の循環を目指す「企画・設計」、 「材料開発・調達」、「生産・物流」、「販売・使用」、「回収・リサイクル」の5つのプロセス で構成された「サステナブルリング」と、「データリング」で構成されています。「データリン グ」は、バリューチェーン上の各プロセスから収集したビッグデータ、例えば原材料のデータやタ イヤの使用データなどを連携させ、シミュレーション技術、AI技術をさらに進化させる取り組みを 指します。ビッグデータの収集には、当社独自のセンシング技術である「センシングコア」が活用 されています。 (2)スポーツ事業スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。これらの取り組みにより、ゴルフクラブでは13代目ゼクシオゴルフクラブ「ゼクシオ 13(サーティーン)」「ゼクシオ エックス」を開発し、2023年12月に発売しました。フェースの外周部の剛性をトウからヒールにかけて最適化することで高反発エリアを拡大、飛距離性能を向上させました。また、ダウンスイング時のヘッド挙動を安定させることで、ボールをより芯でとらえやすくなりました。ゴルフボールでは、「スリクソン Z-STAR(ゼットスター)シリーズ」3機種を開発し、2023年2月に発売しました。ボールコア中心付近の硬度変化をより大きくし、ドライバーショットでの高初速化、アイアンショットでのスピン量増加を実現する一方、コア表面付近の硬度変化を緩やかにすることで、優れたアプローチショットスピン性能も同時に実現しています。また、ボール表面のコーティングについても配合を一新し、インパクト時のボールの滑りを抑制し、フェースに食いつくような打感を実現しました。3機種展開で、「スリクソン Z-STAR XV(エックスブイ)」ではドライバーでの飛距離を、「スリクソンZ-STAR」ではソフトなフィーリングとアプローチスピンを、「スリクソンZ-STAR ◆(ダイヤモンド)」は、ロング・ミドルアイアンでのスピン性能を優先するゴルファー向けに、それぞれ専用の技術を搭載しています。テニスラケットでは、コントロール系テニスラケット「CX(シーエックス)」シリーズを開発し、商品化しました。従来よりも長方形に近いフレーム断面形状の採用とフェース部とフレーム部の剛性を調整することで、パワー・スピン性能を向上させながら、安定性とより柔らかな打球感を実現しました。なお、同シリーズの開発については、2023年10月に開設した「テニス科学センター」での解析・評価なども活用しております。これらのほか、地球環境に配慮したサステナブルな取り組みとして、ゴルフボールでは植物由来のバイオマス素材を一部に使用し、現行モデルと同性能を実現した「スリクソン Z-STAR+e(ゼットスタープラスイー)」(非売品)を開発、発表しました。また、テニスボールでは、容器のふたやプラスチックラベルを紙化し、容器をリサイクルPET配合材に変更するなど、地球環境に配慮した開発にも積極的に取り組みました。当事業に係る研究開発費は2,894百万円であります。 (3)産業品他事業ハイブリッド事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振部材、医療用ゴム製品、ヘルスケア用品等、安心・安全・快適をテーマとする事業活動に積極的に取り組んでおります。制振事業では、地震対策用の制振ダンパーの製造・販売を通じて社会の安心・安全に貢献できるよう取り組んでおります。1月に発生した令和6年能登半島地震におきましても、被災されたお客様から当社の制振ダンパーの安全性に対し感謝のお言葉をいただくことができました。近年では全国展開の住宅事業者様での導入など普及が進んでおり、被災経験を持つ企業として、安心・安全の提供に一層努めてまいります。制振事業のみならず、カーボンニュートラル、プラスチック削減等、社会課題の解決を目指し、より安心・安全・快適な毎日の暮らしに貢献する商品の研究開発を行っていきます。当事業に係る研究開発費は1,943百万円であります。
FY2022|3,846 文字
5【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、27,259百万円であります。セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。社会の持続的発展と企業の成長を同時に実現することを目指し、地球環境にやさしい商品開発を推進しています。また、当社はCASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の考え方を採り入れた商品開発を推進するとともに、デジタルツールを用いて得られるさまざまなデータを利用した新たなソリューションサービスの展開を目指しております。 ソリューションサービスの分野では、当社はオリックス自動車株式会社のレンタカー事業で、スローパンク※1検知機能を新たに備えたタイヤの空気圧や温度をリモート監視する「空気圧・温度管理サービス」の実証実験を開始しました。当社が開発したスローパンク検知のアルゴリズムに基づき、空気圧・温度の変化をTPMSが監視し、異常発生時に管理者にアラートを通知する仕組みになっています。目視点検や運転中の違和感では発見することが非常に難しいスローパンクを早期に見つけることでタイヤトラブルを未然に防ぐことを可能にします。この実証実験を通して、レンタカー事業の安全運行をサポートするサービスとして、タイヤトラブルの未然防止や点検作業の効率化・工数削減、燃費改善などの具体的な効果を検証し、更なる価値の提供及びサービスの向上に取り組みます。また、2022年3月には関西大学と共同でタイヤの回転によって電力を発生させ、タイヤ周辺に搭載されたセンサーにバッテリーレスで電源供給できる発電デバイス(エナジーハーベスト)を利用し「タイヤ摩耗状態及び接地面形状測定方法」を開発しました。この開発で新たに、タイヤ回転接地時にそれぞれの発電デバイスから得られる電圧波形からタイヤ接地長や回転周期、電圧値を算出することができ、これらを計算することでタイヤの摩耗量を推定できます。また、小型化した発電デバイスをタイヤ内に複数個装着することでタイヤ接地面の幅方向の情報を取得しタイヤ接地面形状を測定する方法を開発しました。これらの技術はタイヤソリューションサービスに活用できると同時に、今後のタイヤ開発にもつながる知見を得られることが期待されます。 材料開発の分野では東北大学、金沢大学、埼玉大学と共同で、夢の低燃費タイヤの開発につながるバイオポリマーの合成に成功しました。独自に開発した改変トマト由来酵素を触媒とすることで、ポリマー※2の先頭モノマー※3を選択できることを発見しました。今後研究を進めることで2040年代を目標に更なる低燃費タイヤを開発し、持続可能な社会の発展に貢献します。また、トヨタ自動車株式会社が事業化に向けて実証実験を進めているクラウド材料解析プラットフォームサービス「WAVEBASE (ウエイブベイス)」を活用し、データサイエンスを駆使することで、ゴム材料開発に重要な先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化し、解析時間を100分の1以下に短縮することに成功しました。今後当社では「WAVEBASE」を活用し、最先端実験施設での現場でリアルタイム解析を行うほか、さまざまな実験室系分析装置で得られるデータを統合し、ビッグデータとして解析することで、研究開発の効率化・高速化・省力化に繋げます。また従来は気づくことができなかった新たな着眼点を得ることで、独自の材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド フォーディー ナノ デザイン) 」を進化させ、さらに安全性能と環境性能を備えたタイヤの開発を目指します。 当社は設計や材料開発などのタイヤ開発の様々な業務でAI活用の取り組みを進めています。製造業では生産年齢人口の減少による人手不足や、熟練技術者・設計者の高齢化が進む中、技術・経験・ノウハウを次世代に伝承するとともにデジタル技術を活用し、これらを見える化することが急務となっています。当社と日本電気株式会社(以下NEC)は協業で、タイヤ開発における匠(熟練設計者)のノウハウのAI化に成功しました。官能評価の解釈に関するコミュニケーションをAIが学習できるデータに体系化することで、官能評価の解釈及び改良案考案のAI化を実現しました。また、これまではOJTによる属人的な伝承が中心だった匠の思考プロセスを見える化し、経験が浅い設計者への改良案考案過程やノウハウなどの技能伝承も可能にします。当社は今後、本AIの活用により若手設計者をより高度な技術開発に集中させてまいります。当事業に係る研究開発費は22,229百万円であります。 ※1 ごく小さい穴や亀裂、リムとタイヤビード間からのエア漏れ、エアバルブからの漏れなどにより徐々 に空気が抜けていく状態。 ※2・3 モノマーは単量体、ポリマーは重合体を指す。モノマーが重合反応することによりポリマーとなる。 (2)スポーツ事業スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。これらの技術により、ゴルフクラブでは「スリクソンZX(ゼットエックス)」の後継モデルとなる「スリクソンZX MkⅡ(マークツー)シリーズ」を開発し、2022年11月に発売しました。クラウン部分にフルチタン構造を採用し、大きなたわみを生み出す剛性の低いエリアと、パワーを逃がさずしっかりと受け止める剛性の高いエリアを交互に配置し、飛距離性能を向上させました。ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STAR(ゼットスター)シリーズ」3機種を開発し、商品化しました。ボールコア中心付近の硬度変化をより大きくし、ドライバーショットでの高初速化、アイアンショットでのスピン量増加を実現する一方、コア表面付近の硬度変化を緩やかにすることで、優れたアプローチショットスピン性能も同時に実現しています。また、コーティングについても配合を一新し、インパクト時のボールの滑りを抑制し、フェースに食いつくような打感を実現しました。3機種展開で、「スリクソン Z-STAR XV(エックスブイ)」ではドライバーでの飛距離を、「スリクソンZ-STAR」ではソフトなフィーリングとアプローチスピンを、「スリクソンZ-STAR ◆(ダイヤモンド)」は、ロング・ミドルアイアンでのスピン性能を優先するゴルファー向けに、それぞれ専用の技術を搭載しています。テニスラケットでは、しなやかな打球感と更なるパワーアップを実現したダンロップのパワー系テニスラケット「FX(エフエックス)」シリーズを開発し、商品化しました。グロメット下の中央に小溝を設け、フレームとストリングのたわみ量を増加させ、反発性の向上とスイートエリアの拡大を実現しました。また、フレーム形状は従来モデルのまま、フレームの硬さを部分的に調整することで、ユーザーの求める、よりしなやかな打球感を実現しています。当事業に係る研究開発費は2,974百万円であります。 (3)産業品他事業ハイブリッド事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振部材、医療用ゴム製品、ヘルスケア用品等、安全・安心・快適をテーマとする事業活動に積極的に取り組んでおります。手袋事業では、昨年12月に「樹から生まれた手袋 シンプルカラーズ」を発売いたしました。当商品は、蛋白質を通常の天然ゴムよりも少なくした素材を使用した手肌にやさしい家庭用ゴム手袋となります。内面には綿製の裏毛が使用され、スムースな脱着にも配慮されています。今後もお客様のニーズにお応えしながら、安心で快適な暮らしに貢献する商品をお届けしてまいります。手袋のみならず、カーボンニュートラル、プラスチック削減等、社会課題の解決を目指し、より安心・安全・快適な毎日に貢献できる研究開発を行っていきます。当事業に係る研究開発費は2,056百万円であります。
FY2021|4,226 文字
5【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、25,447百万円であります。セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して商品の開発に取り組んでおります。また当社は、総合的な機能を有する岡山タイヤテストコースと冬用タイヤの開発を行う名寄及び旭川タイヤテストコースを国内に有しています。冬用タイヤ開発拠点である名寄タイヤテストコース(北海道名寄市)では冬シーズンの凍結路や圧雪路におけるタイヤ性能の試験・解析を行っており、2021年1月に名寄タイヤテストコース内に、新たな試験施設「NICE(Nayoro indoor ICE field)」を開設しました。「NICE」は、国内最大級の屋内氷上試験施設として、天候に左右されない高精度な試験を可能とします。今後、「NICE」を活用することで冬用タイヤの更なる高性能化と開発のスピードアップを図ってまいります。 当社は「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。また、自動車産業を取り巻く環境が大きく変化するなか、「さらに高い環境性能」を実現する技術である「エナセーブ・テクノロジー」に基づいて環境配慮商品の開発を推進しております。また、当社はCASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の考え方を採り入れた商品開発を推進するとともに、デジタルツールを用いて得られるさまざまなデータを利用した新たなソリューションサービスの展開を目指しております。その中でもタイヤを「センサー」としたソリューションサービスの分野では、独自のタイヤセンシング技術「SENSING CORE(センシングコア)」を進化させ、タイヤの摩耗量を検知する技術を新たに確立しました。これにより、従来から検知可能であったタイヤの空気圧減圧・輪荷重・路面状態に加えて、タイヤ摩耗が検知できるようになりました。当社独自の「SENSING CORE」は、タイヤ開発で培ったタイヤの動的挙動に関する知見と、タイヤの回転により発生する車輪速信号を解析するデジタルフィルタリング技術を融合し、タイヤそのものをセンサーのように利用することで、タイヤへのセンサーの追加を必要とせず、車両にソフトウェアをインストールするだけで検知が可能となり、その機能はメンテナンスフリーであるというのが大きな特長です。さらに、車両より必要な情報をクラウドにアップすることで、クラウド上で検知することも可能です。クラウド上のデータは独自のアルゴリズムで解析を行い、モビリティサービスや運送事業者などの安全運行やメンテナンスコストの削減などへの活用を見込んでいます。一方、関西大学と共同で、タイヤの内側に静電気を利用した発電デバイス(エナジーハーベスト※1)を取り付け、タイヤの回転によって電力を発生させる技術開発を行っています。この開発では摩擦帯電に係る構造と材料の最適化で発電電力を向上させ、さらに充電機能の追加により、電池などのバッテリーを使用せず、タイヤ周辺に搭載するセンサーへの電源供給が可能となりました。このタイヤ内発電技術は、タイヤ内センサーデバイスの電池寿命を解決する手段でありますが、この実現により環境配慮型のセンサーデバイスの提供が可能となると考えています。 材料開発の分野では当社と東北大学多元物質科学研究所による、産学連携の共同研究で、当社が2015年に完成させた独自の新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」にて開発した4D-CT(4次元X線CT)法の約1,000倍速での高速撮影に成功しました。この技術により、実際にタイヤが摩耗する時に近い状態で、ゴムが破壊する様子を連続的かつ様々な速度で3D観察することが可能となりました。今後この技術を活用し、耐摩耗性能に優れた環境に優しいロングライフなタイヤの新材料開発を加速させてまいります。また、当社と東北大学が参画する、国立研究開発法人科学技術振興機構が独創的で国際的に高い水準の研究を推進する戦略的創造研究推進事業「CREST」にて、超高速撮影が可能なマルチビーム4D-CT法の開発を進めています。超高速マルチビーム4D-CT法から得られるビッグデータの解析に向けて、機械学習など高度情報処理との融合により、高性能な材料の開発を目指します。さらに、2021年3月から学術・産業分野へ共用が開始されたスーパーコンピュータ「富岳」(以下、「富岳」)の令和3年度HPCIシステム利用研究課題募集における「富岳」産業課利用枠に採択されました。「富岳」を利用することで「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を進化させ、分子運動に加えて化学変化まで表現できるゴム材料のシミュレーションを実現させる予定です。 デザイン技術の分野では、2021年8月にタイヤのサイドウォールの文字や模様の視認性を向上させる黒色デザイン技術「Nano Black(ナノブラック)」を確立しました。「Nano Black」で新たに採用された凹凸形状は、光が吸収面に衝突する回数が多いほど色が黒く見えることに着目し、吸収面の単位面積当たり表面積を最大化することで、どの角度から見ても黒さが損なわれずくっきり見えるように設計しています。この技術によって、サイドウォールのブランドロゴや商品名などの視認性を向上させるとともに、デザイン性を高めることで高級感を創出し、さらにお客様に選んでもらえるタイヤづくりを目指します。当事業に係る研究開発費は21,257百万円であります。 ※1 環境発電。身の回りの使われずに捨てられている、光、振動、熱などのわずかな環境エネルギーを拾い集めて活用する技術。 (2)スポーツ事業スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。これらの技術により、ゴルフクラブでは「ゼクシオ」12代目となる「ゼクシオ エックス」及び「ゼクシオ 12(トゥウェルブ)」を開発し、2021年12月に発売しました。ヘッドのクラウン部に搭載した凸型の「ActivWing(アクティブウイング)」が、ダウンスイング時の空力をコントロールし、ヘッドのブレを抑制し、インパクトの最適化が可能となりました。ヘッドの反発を高める「REBOUND FRAME(リバウンド フレーム)」構造との相乗効果で、ボール初速を向上させ、大きな飛距離を生み出します。テニスラケットでは、多様なプレースタイルに対応すべく、スピン性能だけでなく、飛びの安定性にも着目して開発したダンロップ「SX」シリーズを開発し、商品化しました。新グロメット構造「スピンブースト・プラス・テクノロジー」搭載で、オフセンターにおける打点のばらつきによる弾道のブレを自動的に補正します。これにより、飛びの安定性が向上し、ネットエラーやコースアウトが減少します。このほか、ゴルフクラブ、テニスラケットで培った技術を応用して開発を進めていたバドミントンラケット「Z-STAR(ゼットスター)」シリーズ、「AERO-STAR(エアロスター)」シリーズを、2021年7月から発売しました。当社の製造子会社ダンロップゴルフクラブ製ゴルフシャフト「MIYAZAKI」のキーテクノロジーとノウハウを生かし、通常のシャフトよりカーボン繊維を高密度化することにより高い剛性を実現しました。カーボン繊維層間に振動を抑制する粒子を付加することで、インパクト時の衝撃や不快な振動を抑え、安定性が向上しました。フレーム部分には、テニスラケットに搭載している高反発素材「ソニックコア」の技術を応用し、振動吸収性の向上や、反発力の増幅を実現しました。当事業に係る研究開発費は2,241百万円であります。 (3)産業品他事業ハイブリッド事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振部材、医療用ゴム製品、車いす用可搬形スロープ等、安全・安心・快適をテーマとする事業活動に積極的に取り組んでおります。スポーツ用人工芝事業においては、持続可能な社会の実現を念頭に、人工芝からのマイクロプラスチック流出を抑制するための実証実験を、施設の所有・管理者である兵庫県西宮市との協力の下で開始いたしました。公表例としては国内で初めての取り組みとなり、環境省が取りまとめた「マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集」にも紹介されています。今後、当社の調査や実証実験の結果を公開し、バリア資材やメンテナンスによる流出抑制効果の情報を施設管理者に提供することで、人工芝由来のマイクロプラスチック問題解決に向けた活動を推進してまいります。スポーツ用人工芝のみならず、カーボンニュートラル、プラスチックの削減等、社会問題を解決することを念頭に、人々のより安全・快適な暮らしに貢献する研究開発を行っていきます。当事業に係る研究開発費は1,949百万円であります。
FY2020|4,262 文字
5【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、24,215百万円であります。セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。自動車産業を取り巻く環境が大きく変化するなか、「さらに高い環境性能」を実現する技術である「エナセーブ・テクノロジー」に基づいて環境配慮商品の開発を推進しております。また、当社はタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の考え方を採り入れた商品開発を推進するとともに、デジタルツールを用いて得られるさまざまなデータを利用した新たなソリューションサービスの展開を目指しております。原材料の分野では、茨城大学との共同研究により、タイヤ用ゴムに含まれるさまざまな材料を選択的に観測できる手法を確立しました。これは茨城大学が新たに開発した量子線顕微装置を用いており、既に製品化されているタイヤ用ゴムそのものの評価が可能になる画期的な手法です。これにより、タイヤそのものの構造を評価することが可能となり、この画像データを活用することで、燃費性能や耐摩耗性能などに優れたタイヤの内部構造を導き出せることから、材料開発の加速化が期待されます。2020年3月には、天然ゴムの臭気発生原因を特定し、臭いを大幅に抑えた「臭気低減天然ゴム」を新たに開発したことを発表しました。「臭気低減天然ゴム」は、当社の天然ゴム加工工場(タイ)において原材料の加工工程に独自手法を取り入れ、臭気発生原因となる原材料中の非ゴム成分(タンパク質・脂質等)の分解を抑制することで、大幅な臭気低減を実現しました。本手法の確立により、天然ゴム加工工場のみならずタイヤ製造工場などの臭気問題解決への貢献が期待されます。当社では世界的な環境意識の高まりに対応すべく、天然ゴムの改質や高機能バイオマス材料を活用したタイヤ性能向上に取り組むなど研究開発を進めています。特に天然ゴムは、タイヤ原材料の重量構成比で約30%と大きな比率を占めており、天然ゴムを取り巻く課題解決に率先して取り組んでいます。また、2020年9月には、スーパーコンピュータ「京」を活用して取り組んだ研究「タイヤ用ゴム材料の大規模分子動力学シミュレーション(課題番号:hp170063)」が、HPCI(革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ)利用研究課題優秀成果賞を受賞しました。今回受賞した研究は、ゴム材料に添加するシリカとカップリング剤の結合の仕方がゴム材料の強度に及ぼす影響を明らかにしたもので、ゴムの耐摩耗性向上に繋がる成果を得たものです。今後は、このシミュレーションの成果を新たなゴム材料及び商品の開発に活かしていきます。また、さらに高い安全性と環境負荷低減を両立したタイヤ開発を進めるため、シミュレーションにおいては、2021年3月から学術・産業分野へ共用が開始されたスーパーコンピュータ「富岳」も活用し、取り組みを進めていきます。ソリューションサービスの分野においては、タイヤの空気圧や温度をリモート監視することができる空気圧管理ソリューションサービスの実証実験を開始しました。この実証実験は新出光グループとの共同で実施しております。タイヤの空気圧や温度をリモート監視できるサービスの効果を検証するものです。今回、500台の乗用車タイヤに装着したTPMS(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ空気圧監視システム)で得た情報はクラウドを通じて確認出来、メンテナンス作業の負荷を軽減するだけでなく適正な空気圧維持によって走行時の燃費向上につながるなど、安全・安心な走行に貢献します。また、2020年11月には、レベル4自動運転車を対象に、空気圧データ取得から異常時のタイヤメンテナンスまでのシステムを構築し実証実験を実施しました。これは昨年から行っている群馬大学の次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)との共同研究によるもので、車両が無人の場合でもタイヤ空気圧のリモート監視を可能とするものです。自動運転車におけるパンクなどを想定したタイヤトラブルの予知保全及びトラブル発生時の早期対応に貢献できます。当社では、CASE/MaaSといった自動車業界の変革に対応していくため、タイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を掲げ、当社技術センシングコアの進化と組み合わせたソリューションサービスの展開を進めています。タイヤの空気圧不足はパンクの原因の一つであるとともに、燃費や走行性能の低下にもつながることから、定期的なメンテナンスが重要です。また、自動運転の普及によるドライバーレス社会では、今まで以上にメンテナンスフリーが求められており、摩耗管理や路面状況の検知技術なども加えることで、自動運転車両の安全・安心にもつながるソリューションサービスの構築を目指していきます。そして、2020年8月には、新技術の『ナノ凹凸(オウトツ)ゴム』を採用し、「SMART TYRE CONCEPT」の性能持続技術にも寄与する『液状ファルネセンゴム※1』を組み合わせたスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 03(ウインター マックス ゼロスリー)」を発売しました。摩耗しても凹凸構造を維持し続ける『ナノ凹凸ゴム』と、ゴムのしなやかさを長期にわたって保つ『液状ファルネセンゴム』により、その高い氷上性能が長期間維持します。これらの技術の組み合せにより、圧雪アイスバーンやミラーアイスバーン、ブラックアイスバーンなどが発生する危険な冬道でも安全かつ安心して走行できる「WINTER MAXX 03」が誕生しました。当事業に係る研究開発費は20,589百万円であります。 ※1 株式会社クラレがWINTER MAXX向けに開発した素材。 (2)スポーツ事業スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。これらの技術により、ゴルフクラブではNEW「スリクソン ZXシリーズ」を開発し、2020年10月に発売しました。ドライバーには、剛性の高いエリアと低いエリアを交互に配置した4層構造の「REBOUND FRAME」を搭載。大きなたわみを生み出し、反発性能が大幅に向上しました。ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STARシリーズ」を開発し、商品化しました。「Z-STAR」は従来品より0.1mm厚くしたカバーと、新開発コーティングでスピン性能が向上。「Z-STAR XV」は新開発の2層コアによりボールスピードがアップしました。また、いずれのモデルにもディンプルの深さを最適化した新しい「強弾道338スピードディンプル」を搭載し、風に負けない力強い弾道を実現しました。テニスラケットでは、ダンロップ「FX」シリーズを開発し、2020年8月に発売しました。新形状のシャープなラウンド形状フレームや、グロメットの下に設けた「溝」の新構造、スロート部に搭載した高伸縮性・高反発性を併せ持つ新素材などで、パワーとコントロールの両立を実現しました。また、テニスボールでは練習球「セントジェームス・プレミアム」を開発し、2020年9月に発売しました。快適な打球感を持続させるため、ゴムの強度や耐久性を高める材料「扁平タルク」をボールのコアゴムに練りこみ、ボール内の気体を抜けにくくすることに成功。従来品と比べ1.5倍※2の長寿命化を実現しました。当事業に係る研究開発費は1,767百万円であります。 ※2 従来品の開缶後2か月後と本品の3か月後の物性変化と同等にすることで、快適な打球感が持続し約1.5倍の長寿命化を実現。 (3)産業品他事業産業品事業本部では、高減衰ゴムを用いた制振部材、医療用精密ゴム部品、車椅子用スロープ等、安心・安全・快適をテーマに消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。制振事業では、戸建て住宅用制震ユニット「MIRAIE」と同じ高減衰ゴムを用いたビル用制振ダンパーについて、国内及び海外での展開を進めておりますが、昨年は台湾において台北市の有数なランドマークとなる大規模な再開発事業(2棟の高層オフィスビルと6棟の高層住宅)向けに開発した新仕様が採用され、納入を開始しています。このように日本国内をはじめ海外でも実績がある制振ダンパーについて、当社従来品比より約42%エネルギー吸収性能を向上させることに成功しました。この技術を活用し地震や風揺れに対する振動低減・抑制効果を京都大学と共同で解析することとなりました。この開発中のゴムを用いて、住宅用、ビル用共に順次新製品に適用していく計画となっております。今後も制振部材のほか、カーボンニュートラル、プラスチックの削減等、社会問題を解決することを念頭に、人々のより安全・快適な暮らしに貢献する研究開発を行っていきます。当事業に係る研究開発費は1,859百万円であります。
FY2019|4,061 文字
5【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、26,198百万円であります。セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。また、自動車産業を取り巻く環境が大きく変化する中、当社はタイヤ開発及び周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げております。例えば、タイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の考え方を採り入れた商品開発を推進するとともに、デジタルツールを用いて得られる様々なデータを利用した新たなソリューションサービスの展開を目指しております。「SMART TYRE CONCEPT」の核となる技術の一つであるタイヤセンシング技術「センシングコア」が、2019年3月にドイツ・ハノーバーで開催された「Tire Technology Expo 2019」内で開かれた「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」において、優れた先進技術に贈られる「Tire Technology of the Year」を受賞しました。「センシングコア」は、タイヤの回転により発生する車輪速信号を解析し、路面の滑りやすさやタイヤにかかる荷重などの情報を検知する技術です。この技術を発展させることで、例えば検知した情報をクラウド経由で街・社会の情報に統合すれば、その情報を入手した車両は路面やタイヤに起因する危険をあらかじめ察知し、回避することが可能になります。データを利用した新たなソリューションサービスとしては、2019年5月に発表した群馬大学の次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)との協業によるレベル4(高度自動運転)に対応したタイヤ周辺サービスの共同研究について、自動運転車のタイヤ空気圧データとCRANTS内に設置されている自動運転管制所との連携が完了しました。これにより、車両が無人の場合でも遠隔でタイヤ空気圧のモニタリングが可能となり、自動運転車におけるパンクなどを想定したタイヤトラブルの予知保全に貢献します。今後、空気圧異常によるトラブル時を想定した、サービス体制の構築を進めてまいります。また、2019年7月には、関西大学と共同で行っている、タイヤの内側に静電気を利用した発電デバイス(エナジーハーベスト)を取り付け、回転によって電力を発生させる技術の開発を発表しました。タイヤ内側に取り付けるTPMS(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ空気圧監視システム)などのセンサー類の電源供給として応用が期待でき、将来的にバッテリー不要のデジタルツールを活用したサービス創出に貢献できるものです。なお、本テーマは2018年10月の国立研究開発法人科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)シーズ育成タイプFS(注1)採択に引き続き、2019年10月には同プログラムの「産学共同フェーズ(シーズ育成タイプ)」に採択され、同機構の支援を受けながら開発を進めております。原材料の分野においては、2019年10月にタイヤの原材料情報に加えてゴム内部の構造情報である高度分析データのリアルな情報から高精度なゴム物性推定や、使用前後の構造変化の検知によって使用後のゴム物性推定などに応用できるAI技術「Tyre Leap AI Analysis」の確立を発表しました。タイヤに用いられるゴムは天然ゴムや合成ゴムなどのポリマー、カーボンやシリカなどの補強剤、架橋剤や添加剤などで作られる複合体であり、各材料の配合量や構造といった様々な要因によって性能が決定されます。非常に複雑なゴムの内部構造に関し、今回確立したAI技術「Tyre Leap AI Analysis」により、人にはできない高精度な解析を実現し、画像(構造情報)から物性を導き出します。また、ゴムに配合されている原材料の情報と他の構造情報を組み合わせることで、さらに高精度な物性推定を可能にします。本技術の活用により、当社が「SMART TYRE CONCEPT」で掲げている「性能持続技術」の開発を加速させ、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献する安全・安心な高性能タイヤ開発につなげてまいります。そして、2019年12月には、「SMART TYRE CONCEPT」の主要技術を採用した第一弾商品として、「エナセーブ NEXTⅢ」を発売しました。AI技術「Tyre Leap AI Analysis」と新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」(注2)を駆使し、タイヤの摩耗や経年による性能低下のメカニズムを分子レベルで解明し、これまでと全く異なる新しいポリマー「水素添加ポリマー」をタイヤで初めて採用することで、ゴム内部の分子の強い結合力と切れても戻る結合を実現、ウエットグリップ性能の低下を従来品と比べて半減させる「性能持続技術」のコンセプトを取り入れました。さらに、「エナセーブ NEXTⅢ」は、高機能バイオマス材料であり国が重点産業として推進している素材であるセルロースナノファイバーを世界で初めてタイヤ用ゴムに採用するとともに、タイヤラベリング制度において最高グレード「AAA-a」も達成しており、「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の観点から環境負荷低減にも貢献できるものです。当事業に係る研究開発費は21,919百万円であります。 注1 大学等の研究成果に基づく技術シーズの可能性検証及び実用性検証を行い、中核技術の構築を目指す産学共同の研究開発を支援するプログラム 注2 「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド フォーディー ナノ デザイン)」ナノからミクロンレベルまでゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることを可能とする技術 (2)スポーツ事業スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。これらの技術により、ゴルフクラブでは11代目となる「ゼクシオ イレブン」及び「ゼクシオ エックス」を開発し、2019年12月に発売しました。ゴルフクラブの手元に重量を集中させ、テークバック時のヘッドを支える力を軽減させることで、理想のトップポジションを作り出す「WEIGHT PLUS(ウエイトプラス)」テクノロジーを開発。これによりコックがたまり深く安定した理想のトップ「飛びのパワーポジション」を実現。より速く、正確なインパクトを可能にし、高い飛距離性能を実現できるクラブとなりました。ゴルフボールでは、「スリクソン Z-STARシリーズ」を開発し、2019年2月に商品化しました。高分子材料SeRMセルム®を世界で初めてゴルフボールに使用し、飛距離性能とスピン性能を高次元で両立させました。テニスラケットでは、ダンロップ「SX」シリーズを開発し、2019年12月に発売しました。フェースのトップ部にストリングの可動域と可動方向が異なる2種類の楕円グロメットを配置する新技術「スピンブーストテクノロジー」を開発。これにより、弾道のブレを補正することが可能となり、近年のゲームの高速化で増加しているオフセンターショットに対応することが可能となりました。当事業に係る研究開発費は2,310百万円であります。 (3)産業品他事業高減衰ゴムを用いた制振事業、医療用精密ゴム部品、OA機器用精密ゴム部品等の商品において、消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。制振事業では、壁の少ない狭小住宅や3階建て向けの制震ユニット「ミライエ Σ(シグマ)」について、1階部分の高さに関する適用範囲を拡大することで住宅の設計性を向上させ、さらに多くの住宅へ高性能の安全・安心を提供できるようになりました。・アルファベットのAを象徴的に扱い、親しみやすく覚えやすい形状のフレームを採用した点・ゴムの性能を生かして耐震建材に使用し地震の揺れを最大95%まで低減(注3)させた点・設計者の設計性や施工業者の施工性の向上も図っている点これらが評価され「ミライエ Σ(シグマ)」が「2019年度グッドデザイン賞」を受賞しました。ミライエシリーズでの受賞は「2012年度グッドデザイン賞」(「ミライエ」が受賞)に続き、二度目の受賞となりました。当事業に係る研究開発費は1,969百万円であります。 注3 2017年1月京都大学防災研究所によるミライエ軸組の実大実験の結果によります。
FY2018|2,225 文字
5【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、25,780百万円であります。 セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業 当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。 2017年5月には路面の滑りやすさや4輪それぞれのタイヤにかかる荷重などをリアルタイムに検知するタイヤセンシング技術「SENSING CORE(センシングコア)」を発表しました。これはタイヤの回転により発生する車輪速信号を解析することで空気圧低下を検知する「タイヤ空気圧低下警報装置DWS」の技術を応用したものであり、追加のセンサーを必要とせずにソフトウエアによって推定することが可能となる技術です。 材料開発では、2015年に完成させた材料開発促進技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド・フォーディー・ナノ・デザイン)」を初めて採用した長持ちする低燃費タイヤ、DUNLOP「エナセーブ NEXT Ⅱ(ネクスト・ツー)」を2016年11月に発売しました。これをさらに発展させた内容として、ライプニッツ高分子研究所(ドイツ・ドレスデン)(※)との共同研究において、物性解析から予測していた、ゴム内部の「ボイド」と呼ばれるミクロな空隙(ゴム破壊の元)が、実際のゴムのき裂の先端に存在することを確認し、2019年1月に研究成果として発表しました。これにより、今までより破壊されにくいゴム、高い耐摩耗性能を持ったゴムの開発が期待されます。当社はこれからも材料開発のスピードを高めて「性能が持続する」ゴム技術を確立し、2017年10月に発表した「SMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)」の実現に努めてまいります。 当事業に係る研究開発費は21,666百万円であります。 ※1948年に紡績工場の繊維研究所として設立されたドイツ最大のポリマー研究施設のひとつ。 (2)スポーツ事業 スポーツ事業本部並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。 兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。 これらの技術により、ゴルフクラブではNEW「スリクソン Zシリーズ」を開発し、2018年9月に発売しました。従来のスリクソンドライバーの設計理念を一新する「ZERO SRIXON」というキャッチコピーで展開し、飛距離性能、やさしさ、外観、打球音など、あらゆる面において生まれ変わり、幅広いゴルファーに適したドライバーとなりました。 ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STARシリーズ」を開発し、商品化しました。高分子材料SeRMセルム®を世界で初めてゴルフボールに使用し、飛距離性能とスピン性能を高次元で両立させました。テニスラケットでは、ダンロップ「CX」シリーズを開発し、2018年12月に発売しました。スイートエリアをラケット先端方向に拡大することで、多様なショットが可能となるとともに、先端での打撃衝撃を低減させ、プレーヤーへの負担軽減も可能となりました。またフレーム内部の素材にドイツの大手総合化学メーカーBASF社製の高反発ウレタン素材「Infinergy®(インフィナジー)」を配置し、十分な飛びと軽快な弾き感を実現することによりクリアな打球感が可能となりました。2018年1月の経営統合を機に、住友ゴムグループの持つ研究・技術部門の力を十二分に活用し、従来にない魅力的な商品・サービスを開発してお客様の期待に応えるとともに、新規分野へも積極的に挑戦してまいります。 当事業に係る研究開発費は2,220百万円であります。 (3)産業品他事業 高減衰ゴムを用いた制振事業、医療用ゴム部品、プリンター・コピー機用精密ゴム部品等の商品において、消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。 制振事業では、戸建て住宅用制震ユニット「MIRAIE(ミライエ)」の制振性能を検証するため、2017年1月と2018年1月に実大振動台実験を行った結果、揺れ幅を最大95%(※)低減することが確認できました。MIRAIE(ミライエ)に使われている高減衰ゴムを用いた制震ダンパーは熊本城天守閣の耐震改修工事にも採用されました。 当事業に係る研究開発費は1,894百万円であります。 ※振動台実験の結果によるものであり、建物形状、配置プラン、地震波によって異なります。
FY2017|2,119 文字
6【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、25,720百万円であります。 セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業 当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、2017年に本格稼働した欧州・米国のテクニカルセンターと連携して、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。 材料開発では、2015年に完成させた材料開発促進技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド・フォーディー・ナノ・デザイン)」を初めて採用した長持ちする低燃費タイヤ、DUNLOP「エナセーブ NEXT Ⅱ(ネクスト・ツー)」を2016年11月に発売しました。この商品は、地球環境の持続可能性を確立するための技術開発などについて独自性、将来性や実現性を総合判断し表彰される「日経地球環境技術賞」を2017年10月に受賞しました。また「ADVANCED 4D NANO DESIGN」は、2017年2月に「Tire Technology of the Year」(※)を、同年4月には「平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」で科学技術省を受賞するなど、国内外で高く評価されました。 一方、2017年5月には路面の滑りやすさや4輪それぞれのタイヤにかかる荷重などをリアルタイムに検知するタイヤセンシング技術「SENSING CORE(センシングコア)」を発表しました。これはタイヤの回転により発生する車輪速信号を解析することで空気圧低下を検知する「タイヤ空気圧低下警報装置DWS」の技術を応用したものであり、追加のセンサーを必要とせずにソフトウエアによって推定することが可能です。この技術は車両のより安全な走行に寄与するものであり、今後、急速に進む自動運転車の高度化にも繋がる技術であると考えております。また2017年10月には、未来のモビリティ社会で求められる性能を持ったタイヤを開発するための技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)」を発表しました。この技術は、「SENSING CORE」などの安全を支える技術と、環境に寄与する技術、それらを支えるシミュレーション及び解析と言う3つの技術で構成されており、これらの技術を織り込んだ商品開発を進めてまいります。 当事業に係る研究開発費は22,372百万円であります。 ※毎年欧州で開催されている「Tire Technology Expo」にて優秀な技術に贈られる賞 (2)スポーツ事業 ダンロップスポーツ㈱(2018年1月1日付で当社が吸収合併)並びに米国のRoger Cleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。 兵庫県丹波市の「ゴルフ科学センター」では、スイングマシーンによるテストに加え、トッププロからアベレージゴルファーまでの様々な方のヒューマンテストを行い、クラブやボールの特性に加え、スイングとクラブの関係など、膨大なデータを集積し、総合的に測定・解析・評価を行っております。 これらの技術によりゴルフクラブでは、10代目となる「ゼクシオ テン」を開発し2017年12月に発売しました。このクラブは、独自のシャフト構造・剛性設計によりスイングを安定させ、打点を芯に集めるシャフトと芯の反発性能を最大限に高めたヘッドとの相乗効果である「TRUE-FOCUS IMPACT(トゥルー・フォーカス・インパクト)」により、ボールを芯で捉えて大きく飛ばすことができます。 ゴルフボールでは、NEW「スリクソン Z-STARシリーズ」を2017年2月に発売しました。このボールは新構造のコアによりドライバーショットでの最適な打ち出し条件を可能にし、「強弾道338スピードディンプル」を採用することで、飛距離アップを実現しております。 当事業に係る研究開発費は1,499百万円であります。 (3)産業品他事業 高減衰ゴムを用いた制振事業、医療用ゴム部品、プリンター・コピー機用精密ゴム部品等の商品において、消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。 制振事業では、戸建て住宅用制震ユニット「MIRAIE(ミライエ)」の制振性能を検証するため、2017年1月と2018年1月に実大振動台実験を行った結果、揺れ幅を最大95%(※)低減することが確認できました。 当事業に係る研究開発費は1,849百万円であります。 ※振動台実験の結果によるものであり、建物形状、配置プラン、地震波によって異なります。
FY2016|1,967 文字
6【研究開発活動】当社グループにおいては、当社の研究開発組織・施設を核として世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業、幅広い領域・分野で研究開発を推進しております。 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、24,257百万円であります。 セグメント別の主要な研究開発活動は、次のとおりであります。 (1)タイヤ事業 当社グループのタイヤ技術研究開発は、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、「タイヤが地球環境の為に貢献できること」をテーマに、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでおります。 材料開発では、2015年に完成させた材料開発促進技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド・フォーディー・ナノ・デザイン)」を採用して初めて製品化した長持ちする低燃費タイヤ、DUNLOP「エナセーブ NEXT Ⅱ(ネクスト・ツー)」を2016年11月に発売しました。「ADVANCED 4D NANO DESIGN」は、2016年5月に「第28回日本ゴム協会賞」を、2017年2月に「Tire Technology of the Year」(※)を受賞し、国内外で高く評価されました。 一方、バイオマス材料開発では、化石資源を一切使用しない100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」で使用している天然資源をさらに高機能化する取り組みを進め、軟化剤としてゴムの機能に寄与する高機能バイオマス材料「しなやか成分」を開発しました。その材料を採用して氷上性能の更なる向上と性能の長持ちを実現したDUNLOP「WINTER MAXX 02(ウインター・マックス・ゼロツー)」を2016年8月に発売しました。 加えて、天然ゴム自体の研究・改質にも力を注いでおり、パラゴムノキの中で天然ゴムがつくられる際のタンパク質の働きの解明と、天然ゴム分子の末端部分の構造の解析に成功しました。この研究成果によって、天然ゴム自体の良質化が進むことで、今後のタイヤの低燃費性能、耐摩耗性能の更なる向上が期待できます。 当事業に係る研究開発費は20,966百万円であります。 ※毎年欧州で開催されている「Tire Technology Expo」にて優秀な技術に贈られる賞 (2)スポーツ事業 ダンロップスポーツ㈱並びにRoger Cleveland Golf Company,Inc.に研究開発部門を設置しており、最新のコンピューターシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでおります。 独自のデジタルシミュレーション技術である「デジタルインパクトテクノロジー」は、ゴルフスイングにおけるインパクトの瞬間を1億分の1秒ごとに細分して分析することを可能にした高精度のシミュレーション技術である「デジタルインパクト」から、さらに対象をインパクトの前後にまで拡大し、人間の感性・フィーリングといった領域まで踏み込んだ「デジタルインパクトⅡ」へと発展させており、ゴルフボールやゴルフクラブ等の商品開発に大きな成果をあげております。 ゴルフクラブでは、「ゼクシオ」ブランドにおいて、NEW「ゼクシオ プライム」を開発し製品化しました。シャフトには「ストレッチフィル」素材を採用し、先端部と手元部の「しなり」と「強度」を両立させ、振りやすく、つかまりやすいシャフトを開発しました。これにより、楽に遠くまで飛ばせるゴルフクラブとなっております。 ゴルフボールでは、「スリクソン」ブランドにおいて、NEW「スリクソン Z-STARシリーズ」を開発し製品化しました。新構造のコアによりドライバーショットでの最適な打ち出し条件を可能にし、「強弾道338スピードディンプル」を採用することで、飛距離アップを実現しております。また、「高耐久0.5㎜極薄スーパーソフトウレタンカバー」と「NEW Spin Skinコーティング」により、優れたスピン性能を発揮し、ウエッジショットでの傷つきにも強いゴルフボールとなっております。 当事業に係る研究開発費は1,449百万円であります。 (3)産業品他事業 高減衰ゴムを用いた制振事業、医療用ゴム部品、プリンター・コピー機用精密ゴム部品等の商品において、消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでおります。 制振事業では、中日本高速技術マーケティング㈱、デンカ㈱との共同研究により耐オゾン性を大幅に向上させた長寿命の橋梁用ゴム支承(※)を製品化しました。 当事業に係る研究開発費は1,842百万円であります。 ※橋げたと橋脚の間に設置するたわみや伸縮を吸収するためのゴム部品