9509

北海道電力(9509)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気・ガス業 電気・ガス

事業の概要

北海道電力グループは、北海道電力株式会社を中核とし、子会社15社、関連会社10社で構成されています。主な事業は、北海道電力が発電・小売電気事業を、子会社の北海道電力ネットワーク株式会社が一般送配電事業や離島での発電事業を担っています。その他関係会社は、発電、送配電、小売、情報通信など多岐にわたる事業を展開しており、電力供給を基盤とした総合的なエネルギーサービスを提供することで収益を上げています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

北海道電力グループの事業セグメントは主に二つあります。「北海道電力事業」は、発電と電気の小売を担い、売上高7302.09億円を計上しています。もう一つの「北海道電力ネットワーク事業」は、電気を送るための送配電網の運営や離島での発電事業を行い、売上高1311.26億円です。北海道電力事業がグループの主要な収益源となっており、両セグメントともに北海道地域に特化した事業展開を行っています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
HokkaidoElectricPowerReportableSegment 事業 7,302
HokkaidoElectricPowerNetworkReportableSegment 事業 1,311
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|728 文字
3 【事業の内容】当社及び当社の関係会社は、当社、子会社15社及び関連会社10社により構成されている。 当社は、発電・小売電気事業等を営んでおり、また、子会社である北海道電力ネットワーク㈱は、一般送配電事業、離島における発電事業等を営んでいる。その他の関係会社は、発電、一般送配電、小売に関する事業、及び情報通信等の事業を営んでいる。以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりである。 [事業系統図] (注)1 北海道再エネアグリゲーション㈱は、2025年3月5日に設立したことに伴い、新たに持分法適用関連会社とした。2 ㈱北海電工は、2024年10月1日に、北海電気工事㈱から商号変更した。3 ㈱スリービーは、2024年10月15日に出資したことに伴い、新たに関連会社とした。4 関連会社であったAlten RE Developments America B.V.は、2025年3月14日に清算を結了したことに伴い、関連会社より除外した。5 関連会社であった北海道バイオマスエネルギー㈱は、2025年2月19日に清算を結了したことに伴い、関連会社より除外した。上記の関係会社のうち、ほくでんグループは出資、人事及び取引等の関係から、グループ本社である北海道電力株式会社と特に密接な関係にある会社で、本社がグループ会社として指定する以下の会社(13社)で構成される。 北海道電力ネットワーク㈱、㈱北海電工、北電興業㈱、北電総合設計㈱、北海道パワーエンジニアリング㈱、苫東コールセンター㈱、ほくでんエコエナジー㈱、ほくでんサービス㈱、北海道総合通信網㈱、ほくでん情報テクノロジー㈱、㈱ほくでんアソシエ、石狩LNG桟橋㈱、北海道レコードマネジメント㈱

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
燃料費調整制度や燃料費等調整制度により、価格変動を顧客に転嫁できるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
電気事業は国の制度変更や新規制基準への適合性審査など、規制の影響を強く受ける。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:原子力発電所の停止長期化による燃料費増大 / 設備障害・供給支障による費用増加 / 電気事業を取り巻く制度変更
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

北海道電力は、地域独占的な電力供給事業を営んでおり、国や自治体からの許認可に依存している。しかし、ブランド力や特許による明確な競争優位性は限定的であり、規制緩和や新規参入のリスクも存在する。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

電力自由化が進んでいるものの、家庭や中小企業が電力会社を切り替える際の心理的・手続き的ハードルは依然として存在する。特に、インフラへのアクセスや信頼性から、既存の電力会社からの乗り換えは限定的であると考えられる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

電力供給事業には、ユーザーが増えることでサービスの価値が向上するようなネットワーク効果は基本的に存在しない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

北海道電力は、地域特性(広大な土地、冬季の厳しい寒さ)に対応した発電・送電インフラを保有している。しかし、燃料価格の変動や再生可能エネルギー導入コストなど、コスト構造の優位性は限定的であり、他社とのコスト競争力は高くない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

北海道電力は、北海道という広大な地域における電力供給のインフラを独占的に保有・運営しており、その規模は地域内で最適化されている。しかし、全国的な電力市場においては、より大規模な電力会社と比較して効率規模の優位性は限定的である。

北海道電力グループの優位性は、北海道という特定の地域における電力供給の許認可事業を基盤としている点にあります。これにより、安定した事業運営が可能となっています。また、原子力発電所の再稼働に向けた取り組みや、再生可能エネルギーの導入拡大、火力発電所の脱炭素化など、多角的な電源構成を目指すことで、燃料価格変動リスクの分散や安定供給体制の強化を図っています。長年にわたる電力供給で培われたインフラと技術力、地域に根差した事業展開が強みと言えます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社は、きめ細やかな販売活動や多様なサービスの提供により収益拡大を図るとともに、カイゼン活動やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの取り組みを通じ効率化・コスト低減を一層強力に推進してきた。2024年度の連結経常利益は、前年度の燃料費等調整制度の大幅な期ずれ差益が解消したことによる収支の悪化などにより、前連結会計年度に比べ232億64百万円減の640億51百万円となった。 [ほくでんグループが中長期で目指す姿](1) ほくでんグループの新たな経営理念ほくでんグループは、経営環境が絶えず変化するなかにおいても、さらなる事業成長と持続可能な社会の実現に向けて変革を続け、北海道を基盤とした経営を進めていく。このような思いを改めて整理し、さらに具体的な行動につながるよう新たな経営理念として位置づけた。 (2) ほくでんグループ経営ビジョン2035北海道では、次世代半導体工場や大型データセンターといったデジタル産業の立地が計画されるなど、北海道の発展に向けた強力な追い風が吹いている。一方、高齢化や人口減少が進んでいくことに変わりはなく、将来的には働き手不足などにより公共サービスや社会インフラの維持が難しくなる可能性もあることから、これらの課題解決に向けた取り組みも必要となる。このようななか、北海道とともにほくでんグループが力強く成長していくため、2025年3月、2035年において目指す姿として、「ほくでんグループ経営ビジョン2035」を策定した。本ビジョンにおいて定めた経営テーマや持続的な企業価値向上方策を踏まえた取り組みを展開し、経営目標の達成を目指していく。 <2035年に向けたほくでんグループの経営テーマ>ほくでんグループが北海道の発展に貢献できるとの認識のもと、「北海道の発展に向けたGX※実現への挑戦」と「新たな価値創造に向けた挑戦」、これらを下支えする「持続的な成長に向けた経営基盤の強化」の3点を2035年に向けたほくでんグループの経営テーマとして位置づけた。経営テーマに掲げた取り組みを進め、ほくでんグループの事業成長と北海道の発展の両立を目指す。※ GX(グリーントランスフォーメーション):カーボンニュートラルの実現に向けた対応を成長の機会と捉え国際 的な産業競争力を高めていくために、経済社会システム全体を変革させることを目指すもの <持続的な企業価値向上方策(経営モデル)>経営テーマに掲げた取り組みを進めるにあたり、「①事業ポートフォリオの最適化」「②事業ごとのROICスプレッド※1の拡大」「③キャッシュの最適配分と資本構成の最適化」「④成長投資」の各方策を展開し、持続的な企業価値向上を実現していく。 ※1 ROICスプレッド:ROIC(投下資本利益率)-WACC(加重平均資本コスト)※2 次世代エネルギー投資:水素、アンモニア、CCUS※3などへの投資 (次世代エネルギーは収益化が見込まれる段階で事業ポートフォリオに組み込み)※3 CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage(CO2の回収・有効活用・貯留)の略 <2035年に向けたほくでんグループの事業領域>事業ポートフォリオの最適化を進めるうえで、ほくでんグループの事業を「エネルギー(発電・送配電・小売)/非エネルギー」と「実装済(基幹エネルギー等)/本格実装前(次世代エネルギー)」という2つの切り口により区分した。※1 北海道の脱炭素エネルギーを活用するための積極的な投資により、北海道にとどまらず、全国への脱炭素エネルギーの供給に結びつけていくビジネスモデル(将来的には電力のみならず、次世代エネルギーについても全国へ供給することを想定)※2 O&M:Operation(運用)& Maintenance(保守)の略 ※3 インタラクションサービス:エネルギー分野にとどまらない様々な商品やサービスを一体的に提供する事業 <「ほくでんグループ経営ビジョン2035」における経営目標>経営テーマや持続的な企業価値向上方策を踏まえた取り組みを展開し、以下の経営目標を達成していく。 ※ 泊発電所再稼働に伴う料金値下げを考慮 <2050年カーボンニュートラルの実現に向けた挑戦>ほくでんグループは、2050年の北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラルの実現に最大限挑戦している。ほくでんグループのサプライチェーン排出量(スコープ1+2+3)※1について、2013年度比で2030年度に46%削減、2035年度に60%削減の目標を掲げており、この達成に向けて、再生可能エネルギー電源の導入拡大や泊発電所の全基再稼働、火力発電所の脱炭素化などに取り組んでいく。また、再生可能エネルギー電源の開発や、脱炭素に向けたお客さまサポート、省エネのご提案、空気熱を活用したヒートポンプ機器などでの電化推進を通じて、2030年度に150万トン、2035年度に250万トンの排出削減に貢献していく。 ※1 スコープ1:当社事業所からの直接排出(主に火力発電所)スコープ2:当社が需要家として供給を受けた電気、熱等の使用に伴う間接排出スコープ3:上記以外の間接排出(主に他社購入電力に伴う間接排出)※2 従来の製品・サービス(ベースライン)と新たな製品・サービスの温室効果ガス排出量の差分であり、製品・サービスを通じて社会全体の気候変動の緩和(インパクト)への貢献を定量化したもの [2025年度の取り組み事項]中長期的な電力需要増加への着実な対応や社会課題解決に貢献する事業共創などにより新たな成長機会を掴み取り、ほくでんグループが北海道とともに力強く成長していくため、2025年度は以下の取り組みを進めていく。(1)北海道の発展に向けたGX実現への挑戦①泊発電所の再稼働とさらなる安全性向上に向けた取り組み原子力発電は、燃料供給の安定性や長期的な価格安定性、発電時にCO2を排出しないなどの特長があり、カーボンニュートラルの実現と安定供給の確保を支える重要な電源である。2024年12月、泊発電所3号機の新規制基準適合性審査において、審査上の論点に関する一通りの説明を終了し、2025年3月には、これまでの審査内容を踏まえた泊発電所3号機の原子炉設置変更許可申請に係る補正書を原子力規制委員会に提出した。引き続き、2027年のできるだけ早期の泊発電所3号機再稼働に向け、設計及び工事計画認可審査への対応や、新たな防潮堤設置を含む安全対策工事などに総力を挙げて取り組んでいく。また、泊発電所の再稼働後には適正な水準で電気料金の値下げを行う。福島第一原子力発電所のような事故を決して起こさないとの強い決意のもと、これまでの安全対策にとどまることなく、重大事故リスクを一層低減するようこれからも取り組んでいく。「世界最高水準の安全性」を目指し継続的に技術力の維持・向上を図るとともに、様々な機会を活用して安全性向上の取り組みをお伝えするなど、みなさまから信頼いただけるよう努めていく。 ②再生可能エネルギー電源のさらなる拡大に向けた取り組み再生可能エネルギー電源について、「2035年度までに300万kW以上増(開発規模ベース)」の達成に向けて、新規地点の開発や出資参画の検討を進めている。2024年、風力発電事業において、檜山沖における洋上風力発電事業及び上ノ国町における陸上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書の縦覧を実施しており、事業化に向けた検討を進めていく。また、当社は、苫東バイオマス発電合同会社が進める苫小牧市の木質バイオマス発電事業に出資参画している。引き続き、再生可能エネルギー電源のさらなる導入拡大に向けた取り組みを進めていく。 ③将来に向けた供給力の確保と火力発電の脱炭素化に向けた取り組み中長期的な北海道エリアの電力需要増加を見据えた供給力の確保のため、LNG火力発電所である石狩湾新港発電所2号機(56.94万kW)の2030年度の運転開始及び同発電所3号機(56.94万kW)の2033年度の運転開始に向けて着実に取り組んでいく。また、天候の変化により急な出力変動などが生じる可能性のある再生可能エネルギー電源の大量導入を進めていくなかにおいても、電力の安定供給を果たしていくためには、火力発電の持つ調整力等が重要となる。このため、燃焼時にCO2を排出しない水素やアンモニアといった脱炭素燃料への転換やCCUS導入などに向けた検討を進めている。具体的には、苫東厚真発電所4号機で石炭にアンモニアを熱量比で20%混焼するための各種検討を進めるとともに、石狩湾新港発電所2号機においても水素への燃料転換に向けた検討を進めていく。また、CCUSに係る取り組みとして、2024年10月には、苫小牧エリアにおけるCCS※事業に係る設計作業等を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構から受託している。さらに、水素やアンモニアについては、火力発電における活用のほか、産業部門や運輸部門をはじめとした様々な分野での社会実装に向けて、国や自治体、他企業とも連携しながら利活用の検討を進めている。 ※ CCS:Carbon dioxide Capture and Storage(CO2の回収・貯留)の略 ④需要増加や再生可能エネルギー電源の導入拡大を見据えた系統整備などの取り組み北海道電力ネットワーク株式会社では、再生可能エネルギー電源のさらなる導入拡大、大規模・長時間停電を回避するためのレジリエンス(災害などに対する回復力・復元力)強化、大規模需要の進出への適切な対応など、中長期を見据えた次世代型電力ネットワークの構築に向けた取り組みを進めている。再生可能エネルギー電源のさらなる導入拡大などに向けた系統整備として、現在の新北海道本州間連系設備と同一ルートにおいて30万kWの連系線増強工事を進めている。また、日本海ルートにおける北海道本州間の海底直流送電の整備計画に関して、2025年2月に北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、電源開発送変電ネットワーク株式会社の4社が実施案を検討する事業者として決定され、関係者の協力・支援のもと、共同で検討を進めている。レジリエンス強化の取り組みの一つとして、北海道胆振東部地震で発生したブラックアウトの再発防止対策である統合型系統安定化システムを運用しており、需給バランスを維持するための最適な制御を高速で行うことにより一層の系統安定化を図っている。 (2)新たな価値創造に向けた挑戦①お客さまへの提供価値の拡大・創造 エネルギーサービスプロバイダ事業によるエネルギー利用の最適化や再生可能エネルギーの価値を活用したソリューションサービスの提供などにより、お客さまのご要望にお応えすることで電力契約を獲得していく。また、スマート電化の推進やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)コンサルティングなどの取り組みにより、お客さまの省エネやCO2排出量削減に貢献していく。加えて、これまでに培ってきたつながりを活かし、お客さまや地域とのコミュニケーションを通じて、お困りごとや社会課題の解決などにつながるサービスラインアップの拡充を進めている。光回線インターネットサービス「ほくでん光」のほか、ヘルスケアアプリ「ほくでんヘルスケア」、がんリスク検査キット「サリバチェッカー」などを提供している。 ②事業共創による価値創造北海道の持続的な発展に貢献するため、北海道が有する強みや地域社会が抱える課題から事業機会を見出し、新たな価値を創出していく。北海道の基幹産業である農林水産業のほか、今後は福祉、観光などの分野でも、幅広く地域との共創に関する事業を展開していく。農業の担い手不足への対応に加えて、フードマイレージ(食料輸送にかかる環境負荷)の削減に資する省エネ型小型植物工場事業の展開や、磯焼け課題解決を目指したウニ畜養事業の実施に向けた検討などに取り組んでいる。また、北海道電力ネットワーク株式会社では、電気の検針を行うスマートメーターの通信ネットワークを活用して、水道やLPガスメーターの指針値などの情報を提供するⅠoT通信サービスを提供しており、自治体や事業者に導入されている。 (3)持続的な成長に向けた経営基盤の強化①カイゼン活動・DXの活用による事業変革ほくでんグループでは、あらゆる業務について、不断の見直しにより抜本的な効率化・費用低減を実現する。高い効果が期待できる大型カイゼンプロジェクトの確実な推進やグループ会社へのさらなる展開など、カイゼン活動を強力に進め、生産性4倍増を目標に着実に成果を積み上げていく。また、DXを「『デジタル技術を活用した業務変革』と『変化に挑戦し続けるための意識変革』による企業改革」と定義し、ロボットなどの活用による火力発電所の運用高度化などを実施している。さらに、AIを含むデジタル技術の活用などにより、高付加価値化や新たな事業価値の創出を進めていく。 ②人的資本経営の推進ほくでんグループ人材戦略に基づき人材育成や環境整備に取り組んでいる。従業員一人ひとりの成長・活躍を後押しし、今ある価値を高めながら、新たな価値を生み出していく企業風土を創造していく。「心身ともに健康であること」が従業員のウェルビーイングにつながるとの考えのもと、一人ひとりの健康づくりや働きやすい職場づくりに向けた活動を積極的に展開しており、経済産業省と日本健康会議から「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を6年連続で取得している。また、女性管理職の増加に向けた取り組みなど、多様な人材が活躍できる環境を整備することで、ダイバーシティ&インクルージョンを推進している。 ③地域・社会に関する取り組みほくでんグループは、地域社会に根差した取り組みを通じて地域との結びつきを強めており、2021年から実施している道民の森での植樹活動・勉強会などの取り組みを通じて、生物多様性の保全や教育活動に貢献している。2024年7月、当社は、一般社団法人北海道プロ野球独立リーグと地方創生に関する連携協定を締結し、同年9月には、プロサッカークラブ「北海道コンサドーレ札幌」とクラブパートナー契約を締結した。人々のつながりの創出など、スポーツが持つ力を活用しながら、地域活性化に寄与していく。グループ会社においても、北電総合設計株式会社が自治体などから重要文化財建築物等の保存活用計画の策定や耐震診断、各種設計や工事監理等の業務を受託しており、地域社会の文化の保存・活用に寄与している。 ④コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンス・リスク管理の徹底ステークホルダーのみなさまとの協働や、適切な情報開示・透明性の確保などに積極的に取り組むことで、透明・公正かつ迅速果断な意思決定を支えるコーポレートガバナンスを充実させていく。コンプライアンスを徹底する組織風土を醸成するとともに、事業に関わるリスクを適切に認識し、リスク管理の徹底に努めていく。また、ほくでんグループは、グループの事業活動に関わるすべての方々の人権を尊重しており、「ほくでんグループ人権方針」を定めている。人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施や救済メカニズムの構築などにより、人権尊重の取り組みを推進している。 2025年4月、当社従業員が、北海道電力ネットワーク株式会社が作成した非公開情報に該当し得る情報を含む資料を所持していた事案が判明したことに対し、当社及び北海道電力ネットワーク株式会社は、電力・ガス取引監視等委員会より電気事業法の規定に基づく報告徴収を受領し、事案に関する事実関係、発生原因及び再発防止策などについて取りまとめ、同年5月30日、同委員会へ報告した。当社及び北海道電力ネットワーク株式会社は、電気事業法及び電気事業法施行規則等で定められる行為規制に抵触し得る不適切な取り扱いを行っていたことについて大変重く受け止め、従業員の意識変革や情報管理体制の強化、行為規制遵守に係る体制整備など再発防止策を講じていく。   なお、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであるが、将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2025年6月24日)現在において判断したものである。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社は、きめ細やかな販売活動や多様なサービスの提供により収益拡大を図るとともに、カイゼン活動やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの取り組みを通じ効率化・コスト低減を一層強力に推進してきた。2024年度の連結経常利益は、前年度の燃料費等調整制度の大幅な期ずれ差益が解消したことによる収支の悪化などにより、前連結会計年度に比べ232億64百万円減の640億51百万円となった。 [ほくでんグループが中長期で目指す姿](1) ほくでんグループの新たな経営理念ほくでんグループは、経営環境が絶えず変化するなかにおいても、さらなる事業成長と持続可能な社会の実現に向けて変革を続け、北海道を基盤とした経営を進めていく。このような思いを改めて整理し、さらに具体的な行動につながるよう新たな経営理念として位置づけた。 (2) ほくでんグループ経営ビジョン2035北海道では、次世代半導体工場や大型データセンターといったデジタル産業の立地が計画されるなど、北海道の発展に向けた強力な追い風が吹いている。一方、高齢化や人口減少が進んでいくことに変わりはなく、将来的には働き手不足などにより公共サービスや社会インフラの維持が難しくなる可能性もあることから、これらの課題解決に向けた取り組みも必要となる。このようななか、北海道とともにほくでんグループが力強く成長していくため、2025年3月、2035年において目指す姿として、「ほくでんグループ経営ビジョン2035」を策定した。本ビジョンにおいて定めた経営テーマや持続的な企業価値向上方策を踏まえた取り組みを展開し、経営目標の達成を目指していく。 <2035年に向けたほくでんグループの経営テーマ>ほくでんグループが北海道の発展に貢献できるとの認識のもと、「北海道の発展に向けたGX※実現への挑戦」と「新たな価値創造に向けた挑戦」、これらを下支えする「持続的な成長に向けた経営基盤の強化」の3点を2035年に向けたほくでんグループの経営テーマとして位置づけた。経営テーマに掲げた取り組みを進め、ほくでんグループの事業成長と北海道の発展の両立を目指す。※ GX(グリーントランスフォーメーション):カーボンニュートラルの実現に向けた対応を成長の機会と捉え国際 的な産業競争力を高めていくために、経済社会システム全体を変革させることを目指すもの <持続的な企業価値向上方策(経営モデル)>経営テーマに掲げた取り組みを進めるにあたり、「①事業ポートフォリオの最適化」「②事業ごとのROICスプレッド※1の拡大」「③キャッシュの最適配分と資本構成の最適化」「④成長投資」の各方策を展開し、持続的な企業価値向上を実現していく。 ※1 ROICスプレッド:ROIC(投下資本利益率)-WACC(加重平均資本コスト)※2 次世代エネルギー投資:水素、アンモニア、CCUS※3などへの投資 (次世代エネルギーは収益化が見込まれる段階で事業ポートフォリオに組み込み)※3 CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage(CO2の回収・有効活用・貯留)の略 <2035年に向けたほくでんグループの事業領域>事業ポートフォリオの最適化を進めるうえで、ほくでんグループの事業を「エネルギー(発電・送配電・小売)/非エネルギー」と「実装済(基幹エネルギー等)/本格実装前(次世代エネルギー)」という2つの切り口により区分した。※1 北海道の脱炭素エネルギーを活用するための積極的な投資により、北海道にとどまらず、全国への脱炭素エネルギーの供給に結びつけていくビジネスモデル(将来的には電力のみならず、次世代エネルギーについても全国へ供給することを想定)※2 O&M:Operation(運用)& Maintenance(保守)の略 ※3 インタラクションサービス:エネルギー分野にとどまらない様々な商品やサービスを一体的に提供する事業 <「ほくでんグループ経営ビジョン2035」における経営目標>経営テーマや持続的な企業価値向上方策を踏まえた取り組みを展開し、以下の経営目標を達成していく。 ※ 泊発電所再稼働に伴う料金値下げを考慮 <2050年カーボンニュートラルの実現に向けた挑戦>ほくでんグループは、2050年の北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラルの実現に最大限挑戦している。ほくでんグループのサプライチェーン排出量(スコープ1+2+3)※1について、2013年度比で2030年度に46%削減、2035年度に60%削減の目標を掲げており、この達成に向けて、再生可能エネルギー電源の導入拡大や泊発電所の全基再稼働、火力発電所の脱炭素化などに取り組んでいく。また、再生可能エネルギー電源の開発や、脱炭素に向けたお客さまサポート、省エネのご提案、空気熱を活用したヒートポンプ機器などでの電化推進を通じて、2030年度に150万トン、2035年度に250万トンの排出削減に貢献していく。 ※1 スコープ1:当社事業所からの直接排出(主に火力発電所)スコープ2:当社が需要家として供給を受けた電気、熱等の使用に伴う間接排出スコープ3:上記以外の間接排出(主に他社購入電力に伴う間接排出)※2 従来の製品・サービス(ベースライン)と新たな製品・サービスの温室効果ガス排出量の差分であり、製品・サービスを通じて社会全体の気候変動の緩和(インパクト)への貢献を定量化したもの [2025年度の取り組み事項]中長期的な電力需要増加への着実な対応や社会課題解決に貢献する事業共創などにより新たな成長機会を掴み取り、ほくでんグループが北海道とともに力強く成長していくため、2025年度は以下の取り組みを進めていく。(1)北海道の発展に向けたGX実現への挑戦①泊発電所の再稼働とさらなる安全性向上に向けた取り組み原子力発電は、燃料供給の安定性や長期的な価格安定性、発電時にCO2を排出しないなどの特長があり、カーボンニュートラルの実現と安定供給の確保を支える重要な電源である。2024年12月、泊発電所3号機の新規制基準適合性審査において、審査上の論点に関する一通りの説明を終了し、2025年3月には、これまでの審査内容を踏まえた泊発電所3号機の原子炉設置変更許可申請に係る補正書を原子力規制委員会に提出した。引き続き、2027年のできるだけ早期の泊発電所3号機再稼働に向け、設計及び工事計画認可審査への対応や、新たな防潮堤設置を含む安全対策工事などに総力を挙げて取り組んでいく。また、泊発電所の再稼働後には適正な水準で電気料金の値下げを行う。福島第一原子力発電所のような事故を決して起こさないとの強い決意のもと、これまでの安全対策にとどまることなく、重大事故リスクを一層低減するようこれからも取り組んでいく。「世界最高水準の安全性」を目指し継続的に技術力の維持・向上を図るとともに、様々な機会を活用して安全性向上の取り組みをお伝えするなど、みなさまから信頼いただけるよう努めていく。 ②再生可能エネルギー電源のさらなる拡大に向けた取り組み再生可能エネルギー電源について、「2035年度までに300万kW以上増(開発規模ベース)」の達成に向けて、新規地点の開発や出資参画の検討を進めている。2024年、風力発電事業において、檜山沖における洋上風力発電事業及び上ノ国町における陸上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書の縦覧を実施しており、事業化に向けた検討を進めていく。また、当社は、苫東バイオマス発電合同会社が進める苫小牧市の木質バイオマス発電事業に出資参画している。引き続き、再生可能エネルギー電源のさらなる導入拡大に向けた取り組みを進めていく。 ③将来に向けた供給力の確保と火力発電の脱炭素化に向けた取り組み中長期的な北海道エリアの電力需要増加を見据えた供給力の確保のため、LNG火力発電所である石狩湾新港発電所2号機(56.94万kW)の2030年度の運転開始及び同発電所3号機(56.94万kW)の2033年度の運転開始に向けて着実に取り組んでいく。また、天候の変化により急な出力変動などが生じる可能性のある再生可能エネルギー電源の大量導入を進めていくなかにおいても、電力の安定供給を果たしていくためには、火力発電の持つ調整力等が重要となる。このため、燃焼時にCO2を排出しない水素やアンモニアといった脱炭素燃料への転換やCCUS導入などに向けた検討を進めている。具体的には、苫東厚真発電所4号機で石炭にアンモニアを熱量比で20%混焼するための各種検討を進めるとともに、石狩湾新港発電所2号機においても水素への燃料転換に向けた検討を進めていく。また、CCUSに係る取り組みとして、2024年10月には、苫小牧エリアにおけるCCS※事業に係る設計作業等を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構から受託している。さらに、水素やアンモニアについては、火力発電における活用のほか、産業部門や運輸部門をはじめとした様々な分野での社会実装に向けて、国や自治体、他企業とも連携しながら利活用の検討を進めている。 ※ CCS:Carbon dioxide Capture and Storage(CO2の回収・貯留)の略 ④需要増加や再生可能エネルギー電源の導入拡大を見据えた系統整備などの取り組み北海道電力ネットワーク株式会社では、再生可能エネルギー電源のさらなる導入拡大、大規模・長時間停電を回避するためのレジリエンス(災害などに対する回復力・復元力)強化、大規模需要の進出への適切な対応など、中長期を見据えた次世代型電力ネットワークの構築に向けた取り組みを進めている。再生可能エネルギー電源のさらなる導入拡大などに向けた系統整備として、現在の新北海道本州間連系設備と同一ルートにおいて30万kWの連系線増強工事を進めている。また、日本海ルートにおける北海道本州間の海底直流送電の整備計画に関して、2025年2月に北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、電源開発送変電ネットワーク株式会社の4社が実施案を検討する事業者として決定され、関係者の協力・支援のもと、共同で検討を進めている。レジリエンス強化の取り組みの一つとして、北海道胆振東部地震で発生したブラックアウトの再発防止対策である統合型系統安定化システムを運用しており、需給バランスを維持するための最適な制御を高速で行うことにより一層の系統安定化を図っている。 (2)新たな価値創造に向けた挑戦①お客さまへの提供価値の拡大・創造 エネルギーサービスプロバイダ事業によるエネルギー利用の最適化や再生可能エネルギーの価値を活用したソリューションサービスの提供などにより、お客さまのご要望にお応えすることで電力契約を獲得していく。また、スマート電化の推進やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)コンサルティングなどの取り組みにより、お客さまの省エネやCO2排出量削減に貢献していく。加えて、これまでに培ってきたつながりを活かし、お客さまや地域とのコミュニケーションを通じて、お困りごとや社会課題の解決などにつながるサービスラインアップの拡充を進めている。光回線インターネットサービス「ほくでん光」のほか、ヘルスケアアプリ「ほくでんヘルスケア」、がんリスク検査キット「サリバチェッカー」などを提供している。 ②事業共創による価値創造北海道の持続的な発展に貢献するため、北海道が有する強みや地域社会が抱える課題から事業機会を見出し、新たな価値を創出していく。北海道の基幹産業である農林水産業のほか、今後は福祉、観光などの分野でも、幅広く地域との共創に関する事業を展開していく。農業の担い手不足への対応に加えて、フードマイレージ(食料輸送にかかる環境負荷)の削減に資する省エネ型小型植物工場事業の展開や、磯焼け課題解決を目指したウニ畜養事業の実施に向けた検討などに取り組んでいる。また、北海道電力ネットワーク株式会社では、電気の検針を行うスマートメーターの通信ネットワークを活用して、水道やLPガスメーターの指針値などの情報を提供するⅠoT通信サービスを提供しており、自治体や事業者に導入されている。 (3)持続的な成長に向けた経営基盤の強化①カイゼン活動・DXの活用による事業変革ほくでんグループでは、あらゆる業務について、不断の見直しにより抜本的な効率化・費用低減を実現する。高い効果が期待できる大型カイゼンプロジェクトの確実な推進やグループ会社へのさらなる展開など、カイゼン活動を強力に進め、生産性4倍増を目標に着実に成果を積み上げていく。また、DXを「『デジタル技術を活用した業務変革』と『変化に挑戦し続けるための意識変革』による企業改革」と定義し、ロボットなどの活用による火力発電所の運用高度化などを実施している。さらに、AIを含むデジタル技術の活用などにより、高付加価値化や新たな事業価値の創出を進めていく。 ②人的資本経営の推進ほくでんグループ人材戦略に基づき人材育成や環境整備に取り組んでいる。従業員一人ひとりの成長・活躍を後押しし、今ある価値を高めながら、新たな価値を生み出していく企業風土を創造していく。「心身ともに健康であること」が従業員のウェルビーイングにつながるとの考えのもと、一人ひとりの健康づくりや働きやすい職場づくりに向けた活動を積極的に展開しており、経済産業省と日本健康会議から「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を6年連続で取得している。また、女性管理職の増加に向けた取り組みなど、多様な人材が活躍できる環境を整備することで、ダイバーシティ&インクルージョンを推進している。 ③地域・社会に関する取り組みほくでんグループは、地域社会に根差した取り組みを通じて地域との結びつきを強めており、2021年から実施している道民の森での植樹活動・勉強会などの取り組みを通じて、生物多様性の保全や教育活動に貢献している。2024年7月、当社は、一般社団法人北海道プロ野球独立リーグと地方創生に関する連携協定を締結し、同年9月には、プロサッカークラブ「北海道コンサドーレ札幌」とクラブパートナー契約を締結した。人々のつながりの創出など、スポーツが持つ力を活用しながら、地域活性化に寄与していく。グループ会社においても、北電総合設計株式会社が自治体などから重要文化財建築物等の保存活用計画の策定や耐震診断、各種設計や工事監理等の業務を受託しており、地域社会の文化の保存・活用に寄与している。 ④コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンス・リスク管理の徹底ステークホルダーのみなさまとの協働や、適切な情報開示・透明性の確保などに積極的に取り組むことで、透明・公正かつ迅速果断な意思決定を支えるコーポレートガバナンスを充実させていく。コンプライアンスを徹底する組織風土を醸成するとともに、事業に関わるリスクを適切に認識し、リスク管理の徹底に努めていく。また、ほくでんグループは、グループの事業活動に関わるすべての方々の人権を尊重しており、「ほくでんグループ人権方針」を定めている。人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施や救済メカニズムの構築などにより、人権尊重の取り組みを推進している。 2025年4月、当社従業員が、北海道電力ネットワーク株式会社が作成した非公開情報に該当し得る情報を含む資料を所持していた事案が判明したことに対し、当社及び北海道電力ネットワーク株式会社は、電力・ガス取引監視等委員会より電気事業法の規定に基づく報告徴収を受領し、事案に関する事実関係、発生原因及び再発防止策などについて取りまとめ、同年5月30日、同委員会へ報告した。当社及び北海道電力ネットワーク株式会社は、電気事業法及び電気事業法施行規則等で定められる行為規制に抵触し得る不適切な取り扱いを行っていたことについて大変重く受け止め、従業員の意識変革や情報管理体制の強化、行為規制遵守に係る体制整備など再発防止策を講じていく。   なお、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであるが、将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2025年6月24日)現在において判断したものである。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績の分析① 経営成績当連結会計年度の小売販売電力量は、夏季の気温が前年度に比べ低かったことによる冷房需要の減少や冬季の高気温による暖房需要の減少などにより、対前年度増減率△4.1%となった。他社販売電力量は、再生可能エネルギーの買取増加に伴う販売量の増加などにより、対前年度増減率6.0%となった。売上高は、燃料価格の低下に伴う燃料費等調整額の減少などにより、前連結会計年度に比べ517億31百万円(△5.4%)減の9,020億53百万円となり、営業外収益を加えた経常収益は、511億68百万円(△5.3%)減の9,056億27百万円となった。経常利益は、前連結会計年度の燃料費等調整制度の大幅な期ずれ差益が解消したことによる収支の悪化などにより、前連結会計年度に比べ232億64百万円(△26.6%)減の640億51百万円となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益に加え、核燃料売却益を特別利益に計上したことなどにより、642億18百万円となった。  セグメント別の経営成績(セグメント間取引消去前)は、次のとおりである。  [北海道電力]当連結会計年度の売上高は、燃料価格の低下に伴う燃料費等調整額の減少などにより、前連結会計年度に比べ735億89百万円(△8.5%)減の7,880億51百万円となった。経常利益は、前連結会計年度の燃料費等調整制度の大幅な期ずれ差益が解消したことによる収支の悪化などにより、前連結会計年度に比べ152億71百万円(△22.1%)減の536億89百万円となった。 [北海道電力ネットワーク]当連結会計年度の売上高は、最終保障供給による電力料の減少はあったが、再生可能エネルギーの買取増加に伴う卸販売収入が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ73億93百万円(2.4%)増の3,211億89百万円となった。経常利益は、需給調整市場における調整力確保費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ95億51百万円(△89.5%)減の11億15百万円となった。 [その他]当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ10億25百万円(△0.7%)減の1,539億54百万円となり、経常利益は、電気通信事業の携帯電話事業者への回線提供収入が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ5億80百万円(5.0%)増の121億72百万円となった。 ② 生産、受注及び販売の実績当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、「北海道電力」が担う発電・小売事業や「北海道電力ネットワーク」が担う一般送配電事業、離島における発電事業が事業の大半を占めることから、当該事業の発受電実績、販売実績及び資材の状況についてのみ記載している。 a.発受電実績種別当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)対前年度増減率(%)発受電電力量(百万kWh)水力発電電力量2,992△16.8火力発電電力量16,1675.1原子力発電電力量--新エネルギー等発電等電力量11712.1計19,2761.0他社受電電力量17,427△2.8揚水発電所の揚水用電力量等△45140.7合計36,252△1.2出水率(自流)(%)89.8- (注) 1 他社受電電力量には、連結子会社や持分法適用会社からの受電電力量が含まれている。 2 揚水発電所の揚水用電力量等とは貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び蓄電池の充電電力量である。 3 出水率は、自社の1993年度から2022年度までの当該累計期間の30ヶ年平均に対する比である。   b.販売実績[販売電力量]種別当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)対前年度増減率(%)小売(百万kWh)低圧電灯7,805△2.7電力1,764△3.5 計9,569△2.9高圧・特別高圧13,160△3.4   小計22,729△3.2その他71△77.7   合計22,800△4.1他社販売(百万kWh)10,7706.0 (注) 1 小計欄は、北海道電力㈱の販売電力量を示す。2 その他欄は、北海道電力ネットワーク㈱の販売電力量を示す。なお、対前年度増減率の算定上は、2023年10月1日に当社が吸収合併した北海道電力コクリエーション㈱の販売電力量が含まれている。[料金収入]種別当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)対前年度増減率(%)電灯・電力料(百万円)599,222△2.2地帯間・他社販売電力料(百万円)176,9251.8託送収益(百万円)43,2852.7 (注) 1 北海道電力㈱、北海道電力ネットワーク㈱の合計(内部取引消去後)の実績を示す。なお、対前年度増減率の算定上は、2023年10月1日に当社が吸収合併した北海道電力コクリエーション㈱の料金収入が含まれている。 2 「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及び「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対策事業」、「酷暑乗り切り緊急支援」及び「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として受領する補助金26,055百万円については、「電気事業雑収益」に計上している。   c.資材の状況  石炭、重油及びLNGの状況 品名当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)期首残高受入量  対前年度 増減率(%)払出量 対前年度 増減率(%)期末残高石炭(t)544,6594,150,57014.9%4,071,5544.9%623,675重油(kℓ)128,527321,786△31.2%280,990△44.6%169,323LNG(t)134,119454,42113.5%461,56940.5%126,971 (注) 本表には、当社及び北海道電力ネットワーク㈱の主な使用燃料を記載している。   (2)財政状態の分析 [資産] 当連結会計年度末の総資産は、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」等が施行されたことにより、「原子力発電施設解体引当金に関する省令」が廃止され、電気事業会計規則が改正されたことに伴い資産除去債務相当資産を取崩したことや、減価償却の進行などはあったが、設備投資による固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,023億11百万円増の2兆2,440億3百万円となった。 [負債] 当連結会計年度末の負債合計は、資産と同様の法令等の改廃に伴う資産除去債務の取崩しはあったが、未払廃炉拠出金を計上したことや有利子負債の増加に加え、工事代金の計上による未払債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べ285億3百万円増の1兆8,366億67百万円となった。 [純資産] 当連結会計年度末の純資産合計は、配当金の支払いはあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ738億7百万円増の4,073億36百万円となった。 以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.6ポイント増の17.5%となった。  (3)キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ456億12百万円増の1,563億22百万円となった。 [営業活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少などにより、前連結会計年度に比べ505億47百万円減の1,255億88百万円の収入となった。 [投資活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、核燃料の売却による収入の増加などはあったが、固定資産の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ98億60百万円増の907億2百万円の支出となった。 [財務活動によるキャッシュ・フロー] 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度(746億54百万円の支出)に比べ853億80百万円増の107億26百万円の収入となった。 (4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報ほくでんグループの資金需要は、主に電気事業に係る設備投資や債務償還に必要な資金であり、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入により調達を行っており、短期的な資金需要にはコマーシャル・ペーパーを活用している。また、「北海道電力グリーンボンド」や「北海道電力トランジションボンド」、「トランジション・リンク・ローン」などのグリーン・ファイナンス及びトランジション・ファイナンスの枠組みも活用しながら、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めていく上での資金調達手段の多様化・安定化に努めている。資金調達にあたっては、月次での資金繰計画に基づく適切な資金管理を行っており、緊急の資金需要に対しては、現金及び現金同等物の保有に加え、当座貸越契約やコミットメントライン契約により充分な流動性を確保している。また、ほくでんグループキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)により、参加会社の資金管理・資金調達・外部支払を一元化しており、グループ内における資金の効率化を図っている。 (5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定ほくでんグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載している。ほくでんグループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載している。 (6)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2024年度の連結経常利益は、640億51百万円となり、「ほくでんグループ経営ビジョン2030」で示した第Ⅰフェーズの経営目標「連結経常利益230億円以上/年」を達成している。ほくでんグループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025年3月に公表した「ほくでんグループ経営ビジョン2035」において、泊発電所3号機再稼働前の目標として「連結経常利益400億円以上」などを設定しており、経営目標の達成を目指し、きめ細やかな販売活動や多様なサービスの提供により収益拡大を図るとともに、カイゼン活動やDXなどの取り組みを通じた効率化・コスト低減を一層強力に推進していく。

事業リスク

ほくでんグループの主なリスクは、原子力発電所の再稼働の遅延による燃料費の増加、自然災害や設備故障による供給支障と復旧費用の増大が挙げられます。また、電気事業を取り巻く国の制度変更や、気候変動対策としての環境規制強化、脱炭素化への対応遅れによる競争力低下も業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、燃料価格や卸電力市場価格の変動、電力需要の減少、金利変動などもリスク要因となります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|3,102 文字
3 【事業等のリスク】ほくでんグループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがある。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月24日)現在において判断したものである。ほくでんグループでは、これらのリスクを認識した上で、発現の回避や発現した場合の対応に努めていく。 (1) 原子力発電の状況泊発電所の安全確保を経営の最重要課題と位置づけ、社長のトップマネジメントのもと、「安全性向上計画」に基づき、安全性のより一層の向上に取り組んでいる。具体的には、原子力発電所の新規制基準への適合はもとよりさらなる安全性・信頼性向上に向けた安全対策工事や、重大事故などを想定した原子力防災訓練の実施など、安全対策の多様化や重大事故等対応体制の強化・充実に取り組んでいる。また、2024年3月には泊発電所の津波対策として新たな防潮堤の設置工事を開始した。工事の完了時期は未定だが、着工から3年程度での完成を目標とし、さらに少しでも早い完成を目指して取り組んでいる。泊発電所の再稼働に向けて、新規制基準の適合性審査への対応に取り組んでおり、2025年3月には、これまでの審査内容を踏まえた3号機の原子炉設置変更許可申請に係る補正書を提出した。その後、2025年4月の原子力規制委員会において3号機の原子炉設置変更許可申請に関する審査の結果の案が取りまとめられた。引き続き、原子炉設置変更許可の取得に向けて対応を進めるとともに、早期の再稼働に向けて、設計及び工事の計画認可(設工認)や使用前事業者検査等に対応していく。しかしながら、今後の審査の状況や防潮堤設置工事の進捗などによって泊発電所の停止がさらに長期化し燃料費の増大が続く場合などには、業績に影響が及ぶ可能性がある。 (2) 設備障害・供給支障発電設備や流通設備については、点検・保守の着実な実施などによる設備の信頼性維持や、安定的な燃料調達、資機材サプライチェーンの維持管理に努めているが、自然災害や故障等により設備に障害が生じた場合、燃料供給や資機材サプライチェーンの途絶により設備の運転・維持管理が困難になる場合には、その復旧工事や発電所の停止に伴う他の発電所の焚き増しなどのために費用が増加するなど、業績に影響が及ぶ可能性がある。 (3) 電気事業を取り巻く制度の変更等電気事業のさらなる競争活性化等を目的とした市場やルールの整備・見直しなど、国の制度変更により、業績に影響が及ぶ可能性がある。原子力発電に伴う原子力バックエンド事業は、超長期にわたる事業であり不確実性を伴うが、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分のために必要となる費用については、法令等に基づき定められた単価を用いて算定した金額を拠出する制度が措置されており、廃炉の実施に必要となる費用については、法令等に基づき定められた金額を拠出する制度が措置されている。これらの制度措置により、事業者のリスクは軽減されているが、当該制度が見直される場合は、業績に影響が及ぶ可能性がある。 (4) 気候変動に関する影響気候変動への関心が高まる中、ほくでんグループのサプライチェーン排出量(スコープ1+2+3)について、2013年度比で2030年度に46%削減、2035年度に60%削減の目標を掲げており、この達成に向けて、再生可能エネルギー電源の導入拡大や泊発電所の全基再稼働、火力発電所の脱炭素化などに取り組んでいく。また、再生可能エネルギー電源の開発や、脱炭素に向けたお客さまサポート、省エネのご提案、空気熱を活用したヒートポンプ機器などでの電化推進を通じて、2030年度に150万トン、2035年度に250万トンの排出削減に貢献していく。これらの取り組みにより、2050年の北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラルの実現に向けて最大限挑戦していく。しかしながら、カーボンプライシングなどの地球温暖化対策に関する環境規制の強化、脱炭素化に的確に対応できない場合における競争力の低下などにより、業績に影響が及ぶ可能性がある。 (5) 燃料・卸電力市場価格の変動燃料調達費用については、燃料価格や為替レートの変動による影響を、電力購入費用については、卸電力市場価格の変動による影響を受ける。そのため、バランスのとれた電源構成を目指すとともに、長期契約・スポット調達の組み合わせや調達先など契約方法の多様化、デリバティブ取引の活用などにより価格変動リスクの分散・回避に努めている。また、自社による発電と電力市場取引による電気の調達を経済合理性の観点から最適に組み合わせることで費用低減を図っている。低圧のお客さまには燃料価格の変動を一定の範囲内で反映する燃料費調整制度、高圧・特別高圧のお客さまには卸電力市場価格の変動についても反映する燃料費等調整制度を適用することにより、燃料・卸電力市場価格の変動による業績への影響は緩和される。 (6) 電力需要・販売電力量の変動景気の悪化などによる経済活動・生産活動の低下、省エネルギーの進展、人口の減少、気温の影響などにより電力需要が減少した場合や、他事業者との競争激化により販売電力量が減少した場合には、業績に影響が及ぶ可能性がある。 (7) 降雨降雪量の変動年間の降雨降雪量により、豊水の場合は燃料費の低減要因、渇水の場合は燃料費の増加要因となることから、業績に影響が及ぶ可能性がある。なお、「渇水準備引当金制度」により一定の調整が図られるため、業績への影響は軽減される。 (8) 金利の変動今後の市場金利の動向によっては新たな資金調達に係るコストが増加し、業績に影響が及ぶ可能性がある。なお、2024年度末におけるほくでんグループの有利子負債は、全て固定金利で調達している。 (9) 電気事業以外の事業電気事業以外の事業については、事業内容の事前評価、事業運営の適切な管理に努めているが、事業環境の悪化などにより、当初の見込みどおりの事業遂行が困難になる可能性がある。 (10) 感染症の拡大電力の安定供給確保に向け、感染症の拡大を防止する対策を実施しているが、感染拡大により業務遂行への支障が生じた場合は、業績に影響が及ぶ可能性がある。 (11) コンプライアンスの遵守「ほくでんグループCSR行動憲章」や「コンプライアンス行動指針」を定め、法令やコンプライアンスの遵守を徹底するとともに、コンプライアンスに関わる取り組みを円滑かつ効果的に推進するため、社長を委員長とする「企業倫理委員会」を四半期毎に開催し、外部有識者が取り組みの有効性を確認している。また、北海道電力ネットワーク株式会社においては「行為規制等遵守委員会」を設置し、外部有識者による評価・提言を基に行為規制等の遵守に向けた取り組みの実効性を高めるとともに、一般送配電事業の中立性・信頼性確保のための全社的な活動を推進している。しかしながら、法令違反や企業倫理等に反する行為が発生した場合、社会的信用が低下し、業績に影響が及ぶ可能性がある。 (12) 情報の管理ほくでんグループが保有するお客さま等に関する業務情報については、情報セキュリティの確保や社内ルールの整備、従業員教育の実施により厳正な管理に努めているが、情報流出により問題が発生した場合、社会的信用が低下し、業績に影響が及ぶ可能性がある。 なお、上記のリスクのうち、合理的に予見することが困難であるものについては、可能性の程度や時期、影響額を記載していない。

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