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FY2025|8,753 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。 (1)事業環境の変化2024年度の期ずれを除いた連結経常損益は,2023年度に比べミライズにおける電源調達ポートフォリオの組み換えによる費用削減効果等の減少,パワーグリッドにおける需給調整取引にかかる費用の増加などはあったものの,2,640億円程度確保することができた。しかしながら,先行きを不透明にする事象として,世界の気候や景気等の動向に起因する燃料需要の大幅な増加,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスク,為替変動リスクも含めた燃料価格のボラティリティが高いことや,物価・賃金・金利の上昇,小売事業の競争激化,電気事業の制度変更などがある。また,出力が不安定な自然変動電源が大量導入される中,異常気象等による想定外の需要の増加や悪天候による太陽光発電量などの低下が重なり,さらに設備のトラブルが発生した場合や資源国において不測の事態が生じた場合などには,日本国内における需給状況が悪化することが懸念される。このような事業環境の変化に対して当社グループは,再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整や水力発電所の安定的な運用,㈱JERAによる最新鋭の火力発電設備へのリプレース,火力発電所における補修点検時期の調整や重要設備の巡視強化,㈱JERAの子会社であるJERA Global Markets Pte.Ltd.を通じた機動的な調達や,認定供給確保事業者としての戦略的余剰LNGの確保などによる安定的な燃料確保,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などにより,グループ一丸となってエネルギーの安定供給を継続する。安定的な事業成長に向けて,国内エネルギー事業においては,内外無差別な卸取引の進展も踏まえ,電源調達ポートフォリオの最適化,市場リスク管理の高度化などに引き続き取り組んでいく。加えて,新成長領域やグローバル事業の収益拡大などを通じて,持続的な成長を実現し,中期経営目標の達成を目指していく。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要の見通しは増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」や「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定された。また,電力システム改革の検証結果が取りまとめられ,安定供給確保や脱炭素化に必要な投資を確保していく仕組みを整備する方向性も示された。当社は,このような事業環境の変化に対応し,ステークホルダーのみなさまとともに持続的な成長を実現するため,2025年4月に企業理念を改定した。新たな企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでいく。また,「S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)」の実現に向けた設備形成などを加速するとともに,これに資するエネルギー政策や電気事業制度に関する提言を実施していく。ただし,産業構造の変化などに的確に対応できない場合や,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクに起因する影響の拡大,各種市場における想定と異なる制度見直しの実施など,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ①燃料・電力価格の変動等当社グループの電源調達費用は,LNG,石炭,原油,卸電力などの市場価格及び為替相場の変動により影響を受ける可能性がある。これに対して中部電力ミライズ㈱では,これら価格のボラティリティが高い中においても,お客さまに安定して電気をお届けするため,燃料価格に加え卸電力取引市場価格の変動を反映させる燃料費調整の仕組みの導入など一部料金メニューの見直しとともに,電力先物取引や通貨オプションなどを始めとしたヘッジ取引により,調達価格の安定化を実施している。これらにより財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は緩和される。これらの取り組みに加えて,足元の燃料価格が安定的に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいる経営努力などを踏まえ,2025年度においても電気料金等の負担を軽減する施策を実施している。㈱JERAによる燃料調達や中部電力ミライズ㈱による市場などを通じた電力調達において,調達先の分散化,契約の長期化・柔軟性の確保など,燃料・電力等の市場変動に影響されにくい事業構造への移行を行っている。加えて,市場変動性の高まりを踏まえリスク管理の高度化や市場価格変動に柔軟に対応した販売施策に取り組んでいく。ただし,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクに起因する影響の拡大,長期化などの政治・経済・社会情勢の悪化や天候の変動,調達先の設備・操業トラブルなどにより,需給状況や市場価格が大きく変動することがある。これらのリスクの顕在化に伴う,調達費用の増減,調達価格と販売価格の差異,電力の市場価格・卸価格の変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ②競争等への対応脱炭素化に伴うエネルギー需給構造の転換によりGXやDXが進展しており,中長期的な電力需要の見通しも増加傾向に変化している。厳しい競争環境が継続する中でも,中部地域及び中部電力グループを選んでいただくべく,グループ全体で的確に対応していく。中部電力ミライズ㈱では,これまでの電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとの「つながり」をもとに,お客さまの暮らしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスを提供し,新たな価値の提供を進めていく。㈱JERAは,最新鋭の火力発電設備へのリプレース,火力発電所における補修点検時期の調整や重要設備の巡視強化などを通じた追加供給力の確保などによる安定供給確保に取り組むとともに,燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めていく。ただし,産業構造の変化などに的確に対応できない場合や,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクのさらなる高まりによる調達環境の悪化,競争激化や景気動向・気温変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ③新成長分野の事業化当社グループは,エネルギー事業とさまざまなサービスを掛け合わせた新たなサービスをお届けすることで,新たな価値の創出を目指していく。不動産事業においては,2025年4月に不動産事業本部を設置し,㈱日本エスコン及び中電不動産㈱とともに,グループの強みを活かしたまちづくりを推進している。資源循環・上下水道・地域交通・森林経営などの地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して,地域のみなさまの安全・安心・利便性向上につながる取り組みを推進し,これらの取り組みを通じて,地域課題の解決に貢献していく。また,当社は,株式会社東芝及びそのグループ会社の企業価値向上を目的とするTB投資事業有限責任組合に,有限責任組合員として1,000億円を出資することを2023年9月21日付で決定した。本出資は,東芝が安定した経営基盤を構築し,同社の企業価値を大きく向上させることに貢献するものであり有意義な投資機会であると考えている。グローバル事業においては,再生可能エネルギーなどの「グリーン領域」,水素・アンモニアなどの「ブルー領域」,マイクログリッド・アジア配電事業などの「小売・送配電・新サービス領域」及び地熱発電などの「フロンティア領域」の4領域を組み合わせて最適なポートフォリオを形成し,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。なお,当社は,2016年7月1日付で会社分割により海外発電・エネルギーインフラ事業を㈱JERAへ承継した取引について,2022年12月17日に,メキシコ税務当局から約759億円(2022年12月時点の為替レートに基づく)の納付を命じる更正決定通知を受領した。本通知の内容は,日墨租税条約及びメキシコ税法に反する不合理なものであることから,2023年2月10日に,当局に対し行政不服審査を申し立てた。加えて,日墨租税条約に基づく両国税務当局間の相互協議も実施中である。また,足元では資機材価格高騰などの継続が見込まれることから,グローバル事業をはじめとする新成長分野における事業への投資を厳選するとともに,適切なリスク評価と定期的なモニタリングを実施している。ただし,これらの事業が,他事業者との競争激化やカントリーリスクの顕在化,新技術の導入遅延や政策・制度等の変更などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ④地球環境保全国の2050年カーボンニュートラル宣言以降,エネルギー安定供給,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」及び「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定されるなど,地球環境保全に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。当社グループでは,「中部電力グループ環境基本方針」のもと,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。具体的には,2030年頃に向けた再生可能エネルギーの拡大目標(保有・施工・保守含む)に関し,320万kW以上を目指すとともに,安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の活用,水素・アンモニアサプライチェーンの構築,アンモニア転換技術の確立に向けた碧南火力4号機における20%転換実証試験,非効率石炭火力発電の停廃止,火力発電のさらなる高効率化,再生可能エネルギー接続可能量の拡大に向けた電力系統設備・運用の高度化,需給運用の広域化,「ミライズGreenでんき」をはじめとするCO2フリーメニューの多様化などのあらゆる施策を総動員し,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO2排出量を2013年度比で50%以上削減」を達成する。さらに,イノベーションによる革新的技術実用化・採用を通じ,「2050年までに,事業全体のCO2排出量ネット・ゼロに挑戦」していく。また,気候変動に伴う重要なリスクについても,社長が議長を務めるリスクマネジメント会議で審議,経営計画に反映し,取締役会で決議したうえで,適切に施策を実施している。 ただし,化石燃料賦課金や排出量取引制度などのカーボンプライシング制度をはじめとした脱炭素関連の制度や事業環境の変化に的確に対応できない場合,また,非化石価値の動向や技術革新などを踏まえたビジネスモデルの変革を的確に実施できない場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ⑤金利及び物価・賃金の上昇等金利の上昇については,当社グループの有利子負債残高のうち91.2%は,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は短期的には限定的である。ただし,今後新たに調達する資金等においては,金利の上昇の影響が見込まれる。市場金利の動向や資金需要の状況を引き続き見極めながら,適時適切に資金を調達していく。物価・賃金の上昇については,その影響を最小限に抑えられるよう効率化等に引き続き取り組んでいく。また,取引先の置かれた状況の把握に努め,適切な価格により取引先の皆さまと対等な立場で公平・公正な取引を実施している。ただし,金利・物価・賃金の上昇が継続する場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ⑥米国の関税政策米国の関税政策により,今後,自動車等の輸出量が減少する場合,自動車関連の産業集積地である中部エリアの電力需要に一定の影響が生じる可能性がある。電力需要が減少する場合においても,市場価格や燃料価格の変動を捉えた電源調達費用の削減等により収支悪化の抑制に努めていく。ただし,電力需要の減少が継続する場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (2)原子力発電設備の非稼働 国の2050年カーボンニュートラル宣言以降,エネルギー安定供給,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」及び「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定され,そのなかで再生可能エネルギーと原子力発電を最大限活用する方針が示された。当社では,浜岡原子力発電所全号機の運転停止から10年以上が経過し,現在,3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けており,2023年9月の基準地震動に続き,2024年10月の審査会合において,基準津波も「おおむね妥当」と評価された。敷地内の断層(H断層)等の審査も継続して行われていることに加え,同年12月からはプラント関係の審査が行われており,着実に前進している。福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は完了している。今後も,審査対応などにより必要となった追加の設備対策については,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。また,現場対応力の強化に向けた教育・訓練の充実や防災体制の整備を図るなど,発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。加えて,更なる原子力安全性の向上にむけて,社外有識者の知見を活用している。当社グループは,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる電源調達費用の大幅な増加などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける見込みである。また,新規制基準への対応などに伴う浜岡原子力発電所の運転停止状況の継続や当社グループが受電している他社の原子力発電設備の状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (3)原子力バックエンド費用等原子力のバックエンド事業は,使用済燃料の再処理,放射性廃棄物の処分,原子力発電施設等の廃止措置など,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は,使用済燃料再処理・廃炉推進機構が,再処理や廃止措置等に係る資金を確保・管理する仕組みをはじめとした国による制度措置などに基づき,必要な費用を引当て・拠出していることにより低減されている。しかしながら,原子力バックエンド費用及び原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (4)大規模自然災害等当社グループの事業活動においては,南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などのリスクが存在する。当社グループでは,これらの事象が発生した場合に備えて,BCP(事業継続計画)などを策定のうえ,設備の形成,維持,運用などの事前対策に取り組むとともに,発生後における体制の整備や訓練などを実施している。2025年3月31日に国は「南海トラフ最大地震における被害想定見直し」及び「南海トラフ巨大地震対策」について報告書を取りまとめ, 2025年夏頃を目途に南海トラフ地震防災対策推進基本計画を改定する予定であることから,今後,国・自治体の動向を注視するとともに,当社グループにおいては,BCP(事業継続計画)などの見直しを行っていく。また,台風災害で得られた教訓などを踏まえ,アクションプランに基づき,各種復旧支援システムの整備による設備復旧体制の強化,ホームページやスマートフォンアプリによるお客さまへの情報発信の強化,自治体・他電力会社などとの連携強化に取り組んでいる。さらに,レジリエンス(強靭化・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生が予想される場合における治水協力などに取り組んでいく。ただし,大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などにより,供給支障や設備の損壊などが発生した場合には,その被害状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (5)セキュリティ(経済安全保障・情報管理等)当社グループでは,重要インフラであるエネルギーの安定供給を確保するため,サイバー攻撃などによる電力の供給支障や機微情報漏えいのリスクに対応すべく,ガバナンス体制の強化,電力ISACなどを通じた他事業者・関係機関などとの情報共有・分析,各種セキュリティ対策や訓練などを継続的に実施している。特に,基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度の対象となる重要設備については,経済安全保障推進法やサイバー対処能力強化法などの関係法令に基づき,妨害行為を防止するために必要な措置を講じていく。今後も,国際情勢などの変化を常に注視し,サイバー攻撃に対する最新の対策を実施していく。また,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめとした各種情報の管理の徹底に向け,専任部署を設置し,個人情報保護法などの関係法令に基づき,規程類を整備することに加え,教育や意識啓発活動の実施などの取り組みをこれまで以上に強化していく。加えて,リスクアセスメントの実施・分析を通じて,より高度なガバナンス体制の構築やITシステムの脆弱性の発見・解消,運用ルールの強化などに努め,さらなるセキュリティ確保に万全を期す。ただし,サイバー攻撃やITシステムの不備,情報の漏えいなどにより,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (6)人的資本・人権今後,社会構造の変容が見込まれる中,変化に適切に対応していくためにも,将来を見据えた人財の確保・高度スキルの獲得等が重要な課題となっている。当社グループでは,この課題に対し,「一人ひとりの成長・活躍が企業価値そのもの」との考えに基づき人財戦略を公表するとともに,経営層においても多様な専門性を確保している。また,企業の人権に関する影響力が拡大する中,人権尊重の取り組みに対する要請は一層高まっている。当社グループでは,「中部電力グループ人権基本方針」に基づき,人権デュー・ディリジェンスをはじめとする人権尊重の実践に取り組んでいる。ただし,今後の人的資本の十分な質と量の確保ができない場合や,人権リスクが顕在化し社会的な信用の低下等が発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (7)コンプライアンス当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,コンプライアンスの徹底,企業倫理の向上に努めている。また,当社及び中部電力ミライズ㈱は,2023年4月7日に公表した「コンプライアンス徹底策」に加え,2024年3月4日に公表した「コンプライアンス徹底策の強化策」に取り組んでいくことで,二度と独占禁止法違反事案を起こさず,またそのような疑いを持たれることがないよう努めている。当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすとともに,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
FY2021|5,928 文字
2 【事業等のリスク】当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2021年6月28日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。 (1)事業環境の変化当社グループを取り巻く事業環境は,送配電事業の法的分離や競争活性化に向けた市場・ルールの段階的な整備,再生可能エネルギーをはじめとする分散型電源の導入拡大,さらにはエネルギー政策における脱炭素の加速,デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展などにより,大きく変化している。当社グループは,このような事業環境の変化に対し,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド,販売部門を中部電力ミライズにそれぞれ分社し,これらにJERAを加えた3つの事業会社を核とする体制とした。この体制のもと,良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命の完遂」に加え,お客さまのニーズに寄り添った新しいサービスをあわせてご提供するという「新たな価値の創出」に取り組み,期待を超えるサービスを,先駆けてお客さまへお届けする「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」の実現を目指している。再生可能エネルギーの導入拡大などにより電気の流れが大きく変化する中,電源,蓄電池,EV・太陽光発電などの分散型電源を活用したアグリゲートサービスの展開や,電源の広域的な活用と地産地消の進展を両立する次世代送電網の整備により,レジリエントで最適なエネルギーサービスの提供を推進していく。ただし,市場・ルールの整備の遅れや想定と異なる制度変更が行われるなど,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (2)競争への対応等電気をはじめエネルギー事業においては,JEPX(日本卸電力取引所)を通じた可変費相当での電力取引拡大や再生可能エネルギーの大量導入に伴う価格低下などを背景に,競争が激しさを増している。この競争を勝ち抜くべく,中部電力ミライズでは,安定・安価な電力・ガスの調達に努めるとともに,「とどける」「よりそう」「つなげる」をキーワードに,お客さまの暮らしを豊かにし,ビジネスを支えるサービスを展開している。具体的には,今後,電気・ガスに加えて,エネルギーマネジメントやヘルスケアなどのサービスを,デジタル技術を活用しながらお客さま一人ひとりに合わせてパーソナライズ化したうえで提供していく。JERAでは,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に至る一連のバリューチェーンを最適に運用するとともに,JERAのスケールメリットを活かすことにより,火力発電事業の効率的な運営に努めていく。ただし,さらなる競争激化や景気動向・気温変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。なお,年間の降雨降雪量によって水力発電電力量が増減するため,発電費用も影響を受ける可能性があるが,「渇水準備引当金制度」により,一定の範囲で調整が図られるため,経営成績への影響は緩和される。 (3)新成長分野の事業化当社グループは,レジリエントで最適なエネルギーサービスと暮らしを便利で豊かにするデータサービスを融合して,コミュニティサポートインフラとしてお届けしていく。具体的には,「お客さま起点」「脱炭素化」「デジタル化」をキーワードに,エネルギー事業に加え,新成長分野の事業化を加速し,省エネや快適な住環境から,医療・介護・見守り,さらには防災や防犯など人や地域の安全に至るまでさまざまな領域で「つながることで広がる価値」を提供し,社会・経済を支えていく。海外事業においては,安定・安価なインフラサービスの提供により地域社会を支えるビジネスと,脱炭素社会の実現に資するビジネスを軸に,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。ただし,これらの事業が,他事業者との競合の進展などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (4)地球環境保全国の2050年カーボンニュートラル宣言のもと,次期エネルギー基本計画の見直しが進められるとともに,各種政策目標が検討されるなど,地球環境保全に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。当社グループでは,「中部電力グループ環境基本方針」に基づき,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。具体的には,再生可能エネルギーの新規開発(2030年頃に200万kW以上),安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の活用,非効率石炭火力発電のフェードアウト,火力発電のさらなる高効率化,アンモニアなど非化石燃料の混焼,需給運用の高度化・広域化,CO2フリーメニューの多様化などのあらゆる施策を総動員し,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO2排出量を2013年度比で50%以上削減」を達成する。さらに,イノベーションによる革新的技術実用化・採用を通じ,「2050年までに,事業全体のCO2排出量ネット・ゼロに挑戦」していく。ただし,今後の規制措置への対応に加え,非化石価値の動向や技術革新などを踏まえたビジネスモデルの変革を当社グループが的確に実施できない場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (5)燃料・電力価格の変動等当社グループの電源調達費用は, LNG(液化天然ガス),石炭,原油などの市場価格及び為替相場の変動により影響を受ける可能性があるが,燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により,一定の範囲で調整が図られるため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は緩和される。また,JERAなどによる当社グループの燃料調達や中部電力ミライズなどによる市場等を通じた電力調達において,調達先の分散化,柔軟性の確保などを行っているものの,調達先の設備・操業トラブルや政治・経済・社会情勢・天候の変動などにより,需給状況や市場価格が大きく変動することがある。その場合などには,調達費用の増減,調達価格と販売価格の差異,電力の市場価格・卸価格の変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (6)金利の変動等当社グループの有利子負債残高は,2021年3月末時点で2兆3,336億円と,総資産の41.0%に相当し,市場金利の変動により支払利息が増減するが,有利子負債残高のうち87.6%は,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は限定的である。ただし,今後調達する社債・借入金にかかる支払利息や当社グループが保有する企業年金資産などの一部は,金利などの変動によって増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (7)原子力発電設備の非稼働 当社では,浜岡原子力発電所全号機の運転停止が10年を経過しており,現在,新規制基準を踏まえた対策を着実に実施するとともに,3・4号機について,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けている。同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めていく。福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は概ね完了している。今後も,審査対応などにより必要となった追加の設備対策については,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。また,防災体制の整備や教育・訓練を通じた現場対応力の強化など発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。当社グループは,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる電源調達費用の大幅な増加などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける見込みである。 また,新規制基準への対応などに伴う浜岡原子力発電所の運転停止状況の継続や当社グループが受電している他社の原子力発電設備の運転停止状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (8)原子力バックエンド費用等原子力のバックエンド事業は,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は国による制度措置等により低減されているが,原子力バックエンド費用及び原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (9)大規模自然災害等当社グループの事業活動においては,南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などのリスクが存在する。当社グループでは,これらの事象が発生した場合に備えて,BCP(事業継続計画)などを策定のうえ,設備の形成,維持,運用などの事前対策に取り組むとともに,発生後における体制の整備や訓練などを実施している。また,台風災害で得られた教訓などを踏まえ,アクションプランに基づき,各種復旧支援システムの整備による設備復旧体制の強化や,情報発信アプリの機能拡大,ホームページ改修によるお客さまへの情報発信の強化,自治体・他電力会社などとの連携強化に取り組んでいる。さらに,レジリエンス(強靭化・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生が予想される場合における治水協力などに取り組んでいく。ただし,大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などにより,供給支障や設備の損壊などが発生した場合には,その被害状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (10)新型コロナウイルス感染症当社グループでは,新型コロナウイルス感染症の流行拡大に対し,従業員・家族・パートナー・お客さまの安全と健康を最優先に,安定供給とサービスレベルを維持していくという考えのもと,在宅勤務の最大限の活用や,フレックスタイム勤務を活用した時差通勤の徹底,無人施設のサテライトオフィス化などの対策を通じて,感染予防や有事の際のバックアップ要員確保に取り組んでいる。また,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う暮らしや働き方などの新しい生活様式の浸透など,大きく変容する社会構造や個人の価値観・行動様式を見据えつつ,社会課題の解決に向けて,コミュニティサポートインフラなどによる新たなサービスの開発・提供を一層加速していく。ただし,新型コロナウイルス感染症の影響がさらに拡大・長期化した場合や,当社グループが社会構造の変容を十分に先取りできなかった場合などには,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (11)セキュリティ(経済安全保障・情報管理等)当社グループでは,重要インフラであるエネルギーの安定供給を確保するため,サイバー攻撃などによる電力の供給支障や機微情報漏えいのリスクに対応すべく,ガバナンス体制の強化,電力ISACなどを通じた他事業者・関係機関などとの情報共有・分析,各種セキュリティ対策や訓練などを継続的に実施している。また,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめとした各種情報の管理を徹底するため,個人情報保護法など,関係法令に基づき,専任部署の設置,規程類の整備,教育や意識啓発活動の実施などの取り組みを行っている。加えて,リスクアセスメントの実施・分析を通じて,より高度なガバナンス体制の構築やITシステムの脆弱性の発見・解消,運用ルールの強化などに努め,さらなるセキュリティ確保に万全を期す。ただし,サイバー攻撃やITシステムの不備,情報の漏えいなどにより,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (12)コンプライアンス当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,設備の保安を含む業務運営全般における法令・社内ルール・企業倫理の遵守など,コンプライアンスの徹底に努めている。また,2019年には「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,取り組みを強化している。このような中,2021年4月13日,中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給並びに中部地区における低圧電力及び都市ガス供給等に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして,当社及び中部電力ミライズ株式会社などの事業所に公正取引委員会の立入検査を受けた。この事実を真摯に受け止め,同委員会の調査に対し全面的に協力しているところである。当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすことにより,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。
FY2017|3,260 文字
4 【事業等のリスク】当社グループの経営成績,財務状況などに関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。 (1)経済環境に関するリスク①経済状況および天候状況当社グループの中核事業である電気事業において,販売電力量は景気動向や気温の変動などによって増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。また,年間の降雨降雪量によって水力発電電力量が増減するため,発電費用も影響を受ける可能性があるが,「渇水準備引当金制度」により,一定の範囲で調整が図られるため,業績への影響は緩和される。 ②燃料価格の変動等LNG(液化天然ガス),石炭,原油などの燃料費は,市場価格および為替相場の変動により影響を受ける可能性があるが,燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により,一定の範囲で調整が図られるため,業績への影響は緩和される。ただし,燃料の需給状況,燃料調達先の設備・操業トラブルや政治情勢の変動などにより燃料が円滑に調達できない場合などには,燃料費の増減により,業績は影響を受ける可能性がある。 ③金利の変動等当社グループの有利子負債残高は,平成29年3月末時点で2兆6,747億円と,総資産の49.4%に相当し,支払利息が市場金利の変動によって増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。 ただし,有利子負債残高の86.4%が,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,業績への影響は限定的である。また,当社グループが保有する企業年金資産などの一部は,時価が株価・金利などの変動によって増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。 (2)当社グループの事業活動に関するリスク①供給設備の非稼働当社は,浜岡原子力発電所全号機の運転を停止しており,現在,新規制基準を踏まえた対策を着実に実施するとともに,3・4号機について,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けている。同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めていく。 福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は概ね完了している。今後も,審査の進展や新たな知見を踏まえた工事の見直しや追加が必要となった場合には,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。 また,防災体制の整備や教育・訓練を通じた現場対応力の強化など発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。当社は,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる燃料費の大幅な増加などにより,業績は影響を受ける見込みである。当社グループでは,良質な電気を経済的かつ安定的にお届けするために,最適な設備の形成・保全に努めるとともに,災害に強い設備形成を実現するために,大規模地震対策なども実施している。ただし,大規模な自然災害の発生,事故やテロ行為,燃料調達支障のほか,新規制基準への対応などに伴う,当社および当社が受電している他社の供給設備の稼働状況によっては,業績は影響を受ける可能性がある。 ②原子力バックエンド費用等原子力のバックエンド事業は,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は国による制度措置等により低減されているが,原子力バックエンド費用および原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。 ③競争環境の変化エネルギー事業を取り巻く環境は,電力・ガスの小売全面自由化に続き,平成32年の送配電事業の法的分離など急激に変化しつつある。また,さらなる競争活性化等に向けた市場・ルールが段階的に整備されるなど,需給構造が大きく変化する可能性がある。このような中,当社グループは,経営効率化を最大限に進めるとともに,競争力のある料金メニューや新たなサービスの創出など,お客さまの期待を超えるサービスの提供や,首都圏を中心とした電力・ガス販売の展開などの事業領域の拡大に取り組んでいくが,競争の激化や需給構造の変化などにより,業績は影響を受ける可能性がある。当社は,JERAを通じて柔軟性・経済性・安定性に優れた燃料調達を実現することなどにより競争力を強化していくとともに,海外発電・エネルギーインフラ事業などにおいても事業規模を拡大していく。また,中部電力グループの企業価値向上を目指し,平成31年度上期の既存火力発電事業のJERAへの統合に向けて,詳細な協議と必要な手続きを進めていく。 本アライアンスは,当社が従来掲げてきた成長戦略を加速して進めるために実施するものであり,これにより成長の可能性が大きく広がるものと考えているが,具体的な展開により,業績は影響を受ける可能性がある。 ④地球環境保全に向けた規制強化等平成32年以降の気候変動に関する国際的枠組みが合意され,世界的に地球温暖化問題への関心が高まる中,当社は,電気事業者有志が温室効果ガス排出抑制活動に取り組む自主的枠組みである「電気事業低炭素社会協議会」の参加会社として,協議会の定める目標の達成に向けて取り組むとともに,平成28年4月に改正された省エネ法,エネルギー供給構造高度化法に基づく火力発電効率や非化石エネルギー源利用比率の向上を目指していく必要がある。このような中,当社グループでは「中部電力グループ環境基本方針」を制定し,具体的な行動計画である「アクションプラン」に従い,最適なエネルギーミックスの追求と省エネを推進し,環境経営の徹底を通じて地球規模での低炭素社会の実現に貢献することを目指している。しかしながら,今後の環境規制強化などの状況変化により,業績は影響を受ける可能性がある。 ⑤電気事業以外の事業当社グループは,電気事業およびガスやオンサイトエネルギーなどを供給するエネルギー事業をコア領域として,国内事業で培ったノウハウを活かした海外エネルギー事業,電気事業に関連する設備の拡充や保全のための建設,資機材供給のための製造など,さまざまな事業を展開している。これらの事業は,他事業者との競合の進展など事業環境の変化により,当社グループが期待するような結果をもたらさない場合には,業績は影響を受ける可能性がある。 (3)その他のリスク①コンプライアンス当社グループでは,法令および社会規範の遵守に関する「中部電力グループコンプライアンス基本方針」を制定し,コンプライアンスの徹底などに努めている。ただし,コンプライアンスに反する事象の発生により,社会的信用の低下などが発生した場合には,業績は影響を受ける可能性がある。 ②情報の漏えい当社グループでは,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめ重要な情報を適切に管理するため,法令などに則り,社内体制および情報の取り扱いのルールを定めるとともに,情報システムのセキュリティ強化や従業員教育などを実施している。ただし,情報の漏えい等により,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,業績は影響を受ける可能性がある。
FY2016|3,505 文字
4 【事業等のリスク】当社グループの経営成績,財務状況などに関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(平成28年6月29日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。 (1)経済環境に関するリスク①経済状況および天候状況当社グループの中核事業である電気事業において,販売電力量は景気動向や気温の変動などによって増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。また,年間の降雨降雪量によって水力発電電力量が増減するため,発電費用も影響を受ける可能性があるが,「渇水準備引当金制度」により,一定の範囲で調整が図られるため,業績への影響は緩和される。 ②燃料価格の変動等LNG(液化天然ガス),石炭,原油などの燃料費は,市場価格および為替相場の変動により影響を受ける可能性があるが,燃料価格の変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により,一定の範囲で調整が図られるため,業績への影響は緩和される。ただし,燃料の需給状況,燃料調達先の設備・操業トラブルや政治情勢の変動などにより燃料が円滑に調達できない場合などには,燃料費の増減により,業績は影響を受ける可能性がある。 ③金利の変動等当社グループの有利子負債残高は,平成28年3月末時点で2兆6,254億円と,総資産の47.4%に相当し,支払利息が市場金利の変動によって増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。 ただし,有利子負債残高の86.4%が,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,業績への影響は限定的である。また,当社グループが保有する企業年金資産などの一部は,時価が株価・金利などの変動によって増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。 (2)当社グループの事業活動に関するリスク①供給設備の非稼働当社は,浜岡原子力発電所全号機の運転を停止しており,現在,新規制基準を踏まえた対策を着実に実施するとともに,3・4号機について,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けている。同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めていく。 設備対策については,4号機は平成28年9月頃,3号機は平成29年9月頃に完了する見通しである。審査対応などにより追加の設備対策が必要となった場合には,可能な限り早期に実施していく。5号機については,海水流入事象に対する復旧計画を取りまとめるとともに,新規制基準を踏まえた対策について,引き続き具体的な検討を進めている。 また,防災体制の整備や教育・訓練の充実を図るとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携を強化している。当社は,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下における電力の安定供給の確保に向けて,お客さまに節電のご協力をいただきながら,老朽火力発電機の運転継続などの需給対策を実施しているが,火力で代替することに伴う燃料費の大幅な増加などにより,業績は影響を受ける見込みである。当社グループでは,良質な電気を経済的かつ安定的にお届けするために,最適な設備の形成・保全に努めるとともに,災害に強い設備形成を実現するために,大規模地震対策なども実施している。ただし,大規模な自然災害の発生,事故やテロ行為,燃料調達支障のほか,新規制基準への対応などに伴う,当社および当社が受電している他社の供給設備の稼働状況によっては,業績は影響を受ける可能性がある。 ②原子力バックエンド費用等原子力のバックエンド事業は,超長期の事業で不確実性を有するが,国による制度措置等に基づき,同事業に係る費用は「使用済燃料再処理等引当金」,「使用済燃料再処理等準備引当金」などに引当している。また,使用済燃料の再処理等の着実な実施を目的とした「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」が,平成28年5月に成立した。ただし,原子力バックエンド費用および原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,業績は影響を受ける可能性がある。 ③競争環境の変化エネルギー事業を取り巻く環境は,平成28年4月からの電力の小売全面自由化に続き,平成29年のガスの小売全面自由化や,平成32年の送配電事業の法的分離など急激に変化しつつある。また,平成27年7月に経済産業省「長期エネルギー需給見通し」により示されたエネルギーミックスの実現に向け,再生可能エネルギーの利用拡大や天然ガスの普及促進ならびに省エネルギーの抜本的強化など,需給構造が大きく変化する可能性がある。このような中,当社グループは,経営効率化を最大限に進めるとともに,新たな料金メニューやサービスの創出など,お客さまの期待を超えるサービスの提供や,首都圏を中心とした電力・ガス販売の展開などの事業領域の拡大に取り組んでいくが,競争の激化や需給構造の変化などにより,業績は影響を受ける可能性がある。当社は,東京電力と共同で設立した「JERA」を通じて柔軟性・経済性・安定性に優れた燃料調達を実現することなどにより競争力を強化していく。平成28年7月には当社と東京電力の既存燃料事業(上流・調達)および既存海外発電・エネルギーインフラ事業をJERAに統合することを予定しており,両社がこれまで培ってきた資産・技術・知見を結集して,国際エネルギー市場での成長を加速していく。なお,両社の既存火力発電事業のJERAへの統合については,平成29年春頃に判断することを目標に,検討を継続していく。本アライアンスは,当社が従来掲げてきた成長戦略を加速して進めるために実施するものであり,これにより成長の可能性が大きく広がるものと考えているが,具体的な展開により,業績は影響を受ける可能性がある。 ④地球環境保全に向けた規制強化等平成32年以降の気候変動に関する国際的枠組みが合意され,世界的に地球温暖化問題への関心が高まる中,電気事業においても,低炭素社会の実現に貢献することが重要な責務となっている。平成28年2月,当社を含む電気事業者有志36社により,温室効果ガス排出抑制活動に取り組む自主的枠組みである「電気事業低炭素社会協議会」が設立された。また,平成28年4月には,省エネ法,エネルギー供給構造高度化法が改正され,火力発電効率や非化石エネルギー源利用比率に関する基準が定められた。このような中,当社グループでは「中部電力グループ環境基本方針」を制定し,具体的な行動計画である「アクションプラン」に従い,最適なエネルギーミックスの追求と省エネを推進し,環境経営の徹底を通じて地球規模での低炭素社会の実現に貢献することを目指している。しかしながら,今後の環境規制強化などの状況変化により,業績は影響を受ける可能性がある。 ⑤電気事業以外の事業当社グループは,電気事業およびガスやオンサイトエネルギーなどを供給するエネルギー事業をコア領域として,国内事業で培ったノウハウを活かした海外エネルギー事業,電気事業に関連する設備の拡充や保全のための建設,資機材供給のための製造など,さまざまな事業を展開している。これらの事業は,他事業者との競合の進展など事業環境の変化により,当社グループが期待するような結果をもたらさない場合には,業績は影響を受ける可能性がある。 (3)その他のリスク①コンプライアンス当社グループでは,法令および社会規範の遵守に関する「中部電力グループコンプライアンス基本方針」を制定し,コンプライアンスの徹底などに努めている。ただし,コンプライアンスに反する事象の発生により,社会的信用の低下などが発生した場合には,業績は影響を受ける可能性がある。 ②情報の漏えい当社グループでは,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめ重要な情報を適切に管理するため,法令などに則り,社内体制および情報の取り扱いのルールを定めるとともに,情報システムのセキュリティ強化や従業員教育などを実施している。ただし,情報の漏えい等により,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,業績は影響を受ける可能性がある。