9502

中部電力(9502)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気・ガス業 電気・ガス

事業の概要

中部電力グループは、中部電力、子会社75社、関連会社87社で構成され、電気やガス供給を核とするエネルギー事業を中核に、海外エネルギー事業、建設業、製造業、不動産事業など多岐にわたる事業を展開しています。2019年と2020年に事業再編を行い、現在は「ミライズ」(電力・ガスの販売とサービス)、「パワーグリッド」(電力ネットワークサービス)、「JERA」(燃料調達から発電、電力・ガス販売)の3つの報告セグメントを主軸として収益を上げています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

中部電力グループの事業セグメントは、「ミライズ」、「パワーグリッド」、「JERA」の3つです。「ミライズ」は、電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行い、顧客との接点を担う事業です。2兆9111億2900万円の売上を上げています。「パワーグリッド」は、電力ネットワークサービスの提供を担い、安定した電力供給を支える基盤事業です。4100億700万円の売上を上げています。「JERA」は、燃料の調達から発電、電力・ガスの販売までを一貫して行い、グループ全体のエネルギー供給の中核を担っています。売上高は不明ですが、グループの収益構造において重要な役割を果たしています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
MiraizReportableSegment 事業 29,111
PowergridReportableSegment 事業 4,100
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,014 文字
3 【事業の内容】当社グループは,当社,子会社75社及び関連会社87社(2025年3月31日現在)で構成され,電気やガスなどを供給するエネルギー事業をコア領域として,海外エネルギー事業,エネルギー事業に関連する建設業・製造業,不動産事業など,さまざまな事業を展開している。当社は,2019年4月1日付で,燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により㈱JERAに承継させ,2020年4月1日付で,当社が営む小売電気事業等を中部電力ミライズ㈱に,一般送配電事業等を中部電力パワーグリッド㈱に,権利義務を承継させた。この体制の下,「ミライズ」,「パワーグリッド」,「JERA」の3つを報告セグメントとしている。 [ミライズ]電力・ガスの販売と各種サービスの提供[パワーグリッド]電力ネットワークサービスの提供[JERA]燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売 当社及び関係会社の事業を「事業系統図」として示すと以下のとおりである。 ※1 ミライズエネチェンジ㈱は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。これにより,ミライズエネチェンジ㈱の子会社を新たに連結の範囲に含めている。※2 中部精機㈱は,中部電力パワーグリッド㈱を承継会社とする吸収分割により,当社が保有する中部精機㈱株式を,中部電力パワーグリッド㈱に承継させたため,パワーグリッドセグメントへ変更している。※3 合同会社開発8号は,株式の追加取得により,持分法の適用範囲から除外し,新たに連結の範囲に含めている。※4 合同会社メガソーラーきそは,出資により,新たに連結の範囲に含めている。※5 Chubu HKW-A LP 1 B.V.及びChubu HKW-A LP 2 B.V.は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。これにより,Ecowende C.V.を新たに持分法の適用範囲に含めている。また,Ecowende Beheer B.V.は.出資により,持分法の適用範囲に含めている。※6 ESCON USA Ⅴ LLCは,出資により,新たに連結の範囲に含めている。※7 BLACKSAND ALIA CE INTERNATIONAL CO-INVEST,L.P.は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。※8 BLACKSAND KUILEI CE CO-INVEST,L.P.は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。※9 上越バイオマス発電合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※10 遠州フォレストエナジー合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※11 Japan NuScale Innovation,LLCは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※12 Tri-En TOENEC Co.,Ltdは,株式の追加取得により,新たに連結の範囲に含めている。※13 ㈱トーエネックは,株式を一部売却したことにより,同社を連結の範囲から除外し,新たに持分法の適用範囲に含めている。これにより,以下の関係会社を連結の範囲及び持分法の適用範囲から除外している。・連結子会社 :トーエネックサービス,統一能科建筑安装(上海)有限公司,TOENEC PHILIPPINES INCORPORATED,TOENEC(THAILAND)CO.,LTD,旭シンクロテック㈱,PT.ASAHI SYNCHROTECH INDONESIA,Tri-En TOENEC Co.,Ltd・持分法適用関連会社 :PFI豊川宝飯斎場㈱,Hawee Mechanical and Electrical Joint Stock Company,FUHBIC TOENEC Corporation※14 ㈱グリーンアースは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※15 BLACKSAND ALIA PE INTERNATIONAL CO-INVEST,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※16 Alia Venture,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※17 第一環境㈱は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※18 ㈱釧路ウッドプロダクツは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※19 BLACKSAND KUILEI PE CO-INVEST Ⅱ,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※20 Kuilei Venture,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。※21 ㈱ジェネストは,㈱ジェネックスを存続会社とする吸収合併に伴う消滅により,連結の範囲から除外している。※22 メディカルデータカード㈱は,株式を一部売却したことにより,連結の範囲から除外している。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
燃料費調整の仕組み導入やヘッジ取引により調達価格の安定化を図っているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
電気事業制度やエネルギー政策の見直し、原子力発電所の新規制基準適合性確認審査など。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:燃料・電力価格の変動 / 競争激化と事業環境の変化 / 新成長分野の事業化リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

中部電力は、長年にわたり培ってきた地域社会からの信頼と、電力供給というインフラ事業における規制上の優位性を持つ。しかし、明確な特許やブランドによる独占的IPは限定的であり、新規参入障壁は存在するものの、無形資産による強力な競争優位とは言えない。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

電力自由化後も、多くの家庭や企業は電力会社を乗り換える際の事務手続きの手間や、料金プランの比較検討の煩雑さから、既存の電力会社を継続利用する傾向がある。特に、長年の取引実績がある法人顧客にとっては、乗り換えによるリスクを避けたい心理が働く。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

電力供給事業は、ユーザーが増えることでサービス価値が直接的に向上するネットワーク効果は基本的に見られない。供給網の整備は必要だが、これは規模の経済やインフラ投資の範疇であり、ネットワーク効果とは異なる。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

中部電力は、大規模な発電設備や送配電網の効率的な運用により、一定のコスト競争力を持つ。しかし、燃料価格の変動や再生可能エネルギー導入コストなど、外部要因によるコスト変動リスクは大きく、構造的なコスト優位性は限定的である。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

中部電力は、東海地域における広範な電力供給網と大規模な発電設備を有しており、地域インフラとしての規模の経済が働く。この広範なインフラは、新規参入企業にとって莫大な初期投資が必要となり、容易な参入を阻害する要因となっている。

中部電力グループは、長年の電力・ガス供給で培った顧客基盤とネットワークが強みです。特に、電力ネットワークサービスを担う「パワーグリッド」は、安定供給を支えるインフラ事業であり、高い参入障壁を誇ります。また、燃料調達から発電、販売までを一貫して行う「JERA」の存在は、燃料価格変動リスクへの対応力と効率的なバリューチェーン運営を可能にし、安定したエネルギー供給体制を構築しています。さらに、再生可能エネルギーやGX/DXへの積極的な投資も、将来の競争優位性につながる可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

事業リスク

主なリスクとして、燃料価格や電力市場価格の変動、為替変動が挙げられます。地政学リスクの拡大や長期化、異常気象による需給悪化も懸念されます。また、小売事業の競争激化や電気事業制度の変更、物価・賃金・金利の上昇も経営成績に影響を与える可能性があります。さらに、GXやDXの進展に伴う産業構造の変化に適切に対応できない場合、財政状態やキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,753 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。 (1)事業環境の変化2024年度の期ずれを除いた連結経常損益は,2023年度に比べミライズにおける電源調達ポートフォリオの組み換えによる費用削減効果等の減少,パワーグリッドにおける需給調整取引にかかる費用の増加などはあったものの,2,640億円程度確保することができた。しかしながら,先行きを不透明にする事象として,世界の気候や景気等の動向に起因する燃料需要の大幅な増加,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスク,為替変動リスクも含めた燃料価格のボラティリティが高いことや,物価・賃金・金利の上昇,小売事業の競争激化,電気事業の制度変更などがある。また,出力が不安定な自然変動電源が大量導入される中,異常気象等による想定外の需要の増加や悪天候による太陽光発電量などの低下が重なり,さらに設備のトラブルが発生した場合や資源国において不測の事態が生じた場合などには,日本国内における需給状況が悪化することが懸念される。このような事業環境の変化に対して当社グループは,再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整や水力発電所の安定的な運用,㈱JERAによる最新鋭の火力発電設備へのリプレース,火力発電所における補修点検時期の調整や重要設備の巡視強化,㈱JERAの子会社であるJERA Global Markets Pte.Ltd.を通じた機動的な調達や,認定供給確保事業者としての戦略的余剰LNGの確保などによる安定的な燃料確保,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などにより,グループ一丸となってエネルギーの安定供給を継続する。安定的な事業成長に向けて,国内エネルギー事業においては,内外無差別な卸取引の進展も踏まえ,電源調達ポートフォリオの最適化,市場リスク管理の高度化などに引き続き取り組んでいく。加えて,新成長領域やグローバル事業の収益拡大などを通じて,持続的な成長を実現し,中期経営目標の達成を目指していく。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要の見通しは増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」や「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定された。また,電力システム改革の検証結果が取りまとめられ,安定供給確保や脱炭素化に必要な投資を確保していく仕組みを整備する方向性も示された。当社は,このような事業環境の変化に対応し,ステークホルダーのみなさまとともに持続的な成長を実現するため,2025年4月に企業理念を改定した。新たな企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでいく。また,「S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)」の実現に向けた設備形成などを加速するとともに,これに資するエネルギー政策や電気事業制度に関する提言を実施していく。ただし,産業構造の変化などに的確に対応できない場合や,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクに起因する影響の拡大,各種市場における想定と異なる制度見直しの実施など,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ①燃料・電力価格の変動等当社グループの電源調達費用は,LNG,石炭,原油,卸電力などの市場価格及び為替相場の変動により影響を受ける可能性がある。これに対して中部電力ミライズ㈱では,これら価格のボラティリティが高い中においても,お客さまに安定して電気をお届けするため,燃料価格に加え卸電力取引市場価格の変動を反映させる燃料費調整の仕組みの導入など一部料金メニューの見直しとともに,電力先物取引や通貨オプションなどを始めとしたヘッジ取引により,調達価格の安定化を実施している。これらにより財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は緩和される。これらの取り組みに加えて,足元の燃料価格が安定的に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいる経営努力などを踏まえ,2025年度においても電気料金等の負担を軽減する施策を実施している。㈱JERAによる燃料調達や中部電力ミライズ㈱による市場などを通じた電力調達において,調達先の分散化,契約の長期化・柔軟性の確保など,燃料・電力等の市場変動に影響されにくい事業構造への移行を行っている。加えて,市場変動性の高まりを踏まえリスク管理の高度化や市場価格変動に柔軟に対応した販売施策に取り組んでいく。ただし,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクに起因する影響の拡大,長期化などの政治・経済・社会情勢の悪化や天候の変動,調達先の設備・操業トラブルなどにより,需給状況や市場価格が大きく変動することがある。これらのリスクの顕在化に伴う,調達費用の増減,調達価格と販売価格の差異,電力の市場価格・卸価格の変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ②競争等への対応脱炭素化に伴うエネルギー需給構造の転換によりGXやDXが進展しており,中長期的な電力需要の見通しも増加傾向に変化している。厳しい競争環境が継続する中でも,中部地域及び中部電力グループを選んでいただくべく,グループ全体で的確に対応していく。中部電力ミライズ㈱では,これまでの電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとの「つながり」をもとに,お客さまの暮らしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスを提供し,新たな価値の提供を進めていく。㈱JERAは,最新鋭の火力発電設備へのリプレース,火力発電所における補修点検時期の調整や重要設備の巡視強化などを通じた追加供給力の確保などによる安定供給確保に取り組むとともに,燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めていく。ただし,産業構造の変化などに的確に対応できない場合や,欧州における紛争や中東・アジア情勢などの地政学リスクのさらなる高まりによる調達環境の悪化,競争激化や景気動向・気温変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ③新成長分野の事業化当社グループは,エネルギー事業とさまざまなサービスを掛け合わせた新たなサービスをお届けすることで,新たな価値の創出を目指していく。不動産事業においては,2025年4月に不動産事業本部を設置し,㈱日本エスコン及び中電不動産㈱とともに,グループの強みを活かしたまちづくりを推進している。資源循環・上下水道・地域交通・森林経営などの地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して,地域のみなさまの安全・安心・利便性向上につながる取り組みを推進し,これらの取り組みを通じて,地域課題の解決に貢献していく。また,当社は,株式会社東芝及びそのグループ会社の企業価値向上を目的とするTB投資事業有限責任組合に,有限責任組合員として1,000億円を出資することを2023年9月21日付で決定した。本出資は,東芝が安定した経営基盤を構築し,同社の企業価値を大きく向上させることに貢献するものであり有意義な投資機会であると考えている。グローバル事業においては,再生可能エネルギーなどの「グリーン領域」,水素・アンモニアなどの「ブルー領域」,マイクログリッド・アジア配電事業などの「小売・送配電・新サービス領域」及び地熱発電などの「フロンティア領域」の4領域を組み合わせて最適なポートフォリオを形成し,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。なお,当社は,2016年7月1日付で会社分割により海外発電・エネルギーインフラ事業を㈱JERAへ承継した取引について,2022年12月17日に,メキシコ税務当局から約759億円(2022年12月時点の為替レートに基づく)の納付を命じる更正決定通知を受領した。本通知の内容は,日墨租税条約及びメキシコ税法に反する不合理なものであることから,2023年2月10日に,当局に対し行政不服審査を申し立てた。加えて,日墨租税条約に基づく両国税務当局間の相互協議も実施中である。また,足元では資機材価格高騰などの継続が見込まれることから,グローバル事業をはじめとする新成長分野における事業への投資を厳選するとともに,適切なリスク評価と定期的なモニタリングを実施している。ただし,これらの事業が,他事業者との競争激化やカントリーリスクの顕在化,新技術の導入遅延や政策・制度等の変更などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ④地球環境保全国の2050年カーボンニュートラル宣言以降,エネルギー安定供給,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」及び「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定されるなど,地球環境保全に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。当社グループでは,「中部電力グループ環境基本方針」のもと,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。具体的には,2030年頃に向けた再生可能エネルギーの拡大目標(保有・施工・保守含む)に関し,320万kW以上を目指すとともに,安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の活用,水素・アンモニアサプライチェーンの構築,アンモニア転換技術の確立に向けた碧南火力4号機における20%転換実証試験,非効率石炭火力発電の停廃止,火力発電のさらなる高効率化,再生可能エネルギー接続可能量の拡大に向けた電力系統設備・運用の高度化,需給運用の広域化,「ミライズGreenでんき」をはじめとするCO2フリーメニューの多様化などのあらゆる施策を総動員し,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO2排出量を2013年度比で50%以上削減」を達成する。さらに,イノベーションによる革新的技術実用化・採用を通じ,「2050年までに,事業全体のCO2排出量ネット・ゼロに挑戦」していく。また,気候変動に伴う重要なリスクについても,社長が議長を務めるリスクマネジメント会議で審議,経営計画に反映し,取締役会で決議したうえで,適切に施策を実施している。 ただし,化石燃料賦課金や排出量取引制度などのカーボンプライシング制度をはじめとした脱炭素関連の制度や事業環境の変化に的確に対応できない場合,また,非化石価値の動向や技術革新などを踏まえたビジネスモデルの変革を的確に実施できない場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ⑤金利及び物価・賃金の上昇等金利の上昇については,当社グループの有利子負債残高のうち91.2%は,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は短期的には限定的である。ただし,今後新たに調達する資金等においては,金利の上昇の影響が見込まれる。市場金利の動向や資金需要の状況を引き続き見極めながら,適時適切に資金を調達していく。物価・賃金の上昇については,その影響を最小限に抑えられるよう効率化等に引き続き取り組んでいく。また,取引先の置かれた状況の把握に努め,適切な価格により取引先の皆さまと対等な立場で公平・公正な取引を実施している。ただし,金利・物価・賃金の上昇が継続する場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 ⑥米国の関税政策米国の関税政策により,今後,自動車等の輸出量が減少する場合,自動車関連の産業集積地である中部エリアの電力需要に一定の影響が生じる可能性がある。電力需要が減少する場合においても,市場価格や燃料価格の変動を捉えた電源調達費用の削減等により収支悪化の抑制に努めていく。ただし,電力需要の減少が継続する場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (2)原子力発電設備の非稼働 国の2050年カーボンニュートラル宣言以降,エネルギー安定供給,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」及び「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定され,そのなかで再生可能エネルギーと原子力発電を最大限活用する方針が示された。当社では,浜岡原子力発電所全号機の運転停止から10年以上が経過し,現在,3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けており,2023年9月の基準地震動に続き,2024年10月の審査会合において,基準津波も「おおむね妥当」と評価された。敷地内の断層(H断層)等の審査も継続して行われていることに加え,同年12月からはプラント関係の審査が行われており,着実に前進している。福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は完了している。今後も,審査対応などにより必要となった追加の設備対策については,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。また,現場対応力の強化に向けた教育・訓練の充実や防災体制の整備を図るなど,発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。加えて,更なる原子力安全性の向上にむけて,社外有識者の知見を活用している。当社グループは,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる電源調達費用の大幅な増加などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける見込みである。また,新規制基準への対応などに伴う浜岡原子力発電所の運転停止状況の継続や当社グループが受電している他社の原子力発電設備の状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (3)原子力バックエンド費用等原子力のバックエンド事業は,使用済燃料の再処理,放射性廃棄物の処分,原子力発電施設等の廃止措置など,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は,使用済燃料再処理・廃炉推進機構が,再処理や廃止措置等に係る資金を確保・管理する仕組みをはじめとした国による制度措置などに基づき,必要な費用を引当て・拠出していることにより低減されている。しかしながら,原子力バックエンド費用及び原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (4)大規模自然災害等当社グループの事業活動においては,南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などのリスクが存在する。当社グループでは,これらの事象が発生した場合に備えて,BCP(事業継続計画)などを策定のうえ,設備の形成,維持,運用などの事前対策に取り組むとともに,発生後における体制の整備や訓練などを実施している。2025年3月31日に国は「南海トラフ最大地震における被害想定見直し」及び「南海トラフ巨大地震対策」について報告書を取りまとめ, 2025年夏頃を目途に南海トラフ地震防災対策推進基本計画を改定する予定であることから,今後,国・自治体の動向を注視するとともに,当社グループにおいては,BCP(事業継続計画)などの見直しを行っていく。また,台風災害で得られた教訓などを踏まえ,アクションプランに基づき,各種復旧支援システムの整備による設備復旧体制の強化,ホームページやスマートフォンアプリによるお客さまへの情報発信の強化,自治体・他電力会社などとの連携強化に取り組んでいる。さらに,レジリエンス(強靭化・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生が予想される場合における治水協力などに取り組んでいく。ただし,大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などにより,供給支障や設備の損壊などが発生した場合には,その被害状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (5)セキュリティ(経済安全保障・情報管理等)当社グループでは,重要インフラであるエネルギーの安定供給を確保するため,サイバー攻撃などによる電力の供給支障や機微情報漏えいのリスクに対応すべく,ガバナンス体制の強化,電力ISACなどを通じた他事業者・関係機関などとの情報共有・分析,各種セキュリティ対策や訓練などを継続的に実施している。特に,基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度の対象となる重要設備については,経済安全保障推進法やサイバー対処能力強化法などの関係法令に基づき,妨害行為を防止するために必要な措置を講じていく。今後も,国際情勢などの変化を常に注視し,サイバー攻撃に対する最新の対策を実施していく。また,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめとした各種情報の管理の徹底に向け,専任部署を設置し,個人情報保護法などの関係法令に基づき,規程類を整備することに加え,教育や意識啓発活動の実施などの取り組みをこれまで以上に強化していく。加えて,リスクアセスメントの実施・分析を通じて,より高度なガバナンス体制の構築やITシステムの脆弱性の発見・解消,運用ルールの強化などに努め,さらなるセキュリティ確保に万全を期す。ただし,サイバー攻撃やITシステムの不備,情報の漏えいなどにより,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (6)人的資本・人権今後,社会構造の変容が見込まれる中,変化に適切に対応していくためにも,将来を見据えた人財の確保・高度スキルの獲得等が重要な課題となっている。当社グループでは,この課題に対し,「一人ひとりの成長・活躍が企業価値そのもの」との考えに基づき人財戦略を公表するとともに,経営層においても多様な専門性を確保している。また,企業の人権に関する影響力が拡大する中,人権尊重の取り組みに対する要請は一層高まっている。当社グループでは,「中部電力グループ人権基本方針」に基づき,人権デュー・ディリジェンスをはじめとする人権尊重の実践に取り組んでいる。ただし,今後の人的資本の十分な質と量の確保ができない場合や,人権リスクが顕在化し社会的な信用の低下等が発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。 (7)コンプライアンス当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,コンプライアンスの徹底,企業倫理の向上に努めている。また,当社及び中部電力ミライズ㈱は,2023年4月7日に公表した「コンプライアンス徹底策」に加え,2024年3月4日に公表した「コンプライアンス徹底策の強化策」に取り組んでいくことで,二度と独占禁止法違反事案を起こさず,またそのような疑いを持たれることがないよう努めている。当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすとともに,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

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