9064

ヤマトホールディングス(9064)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

ヤマトホールディングスは、ヤマト運輸を中心とした「エクスプレス事業」で個人・法人向けの国内輸配送サービス(宅急便など)を提供し、これが主な収益源です。その他に、法人顧客の物流課題を解決する「コントラクト・ロジスティクス事業」、国際輸送や海外での物流を手がける「グローバル事業」、車両整備やEV向け電力供給を行う「モビリティ事業」を展開しています。ITシステム開発や金融サービスなども手がけ、幅広い事業で収益を上げています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

ヤマトグループの事業セグメントは主に4つです。稼ぎ頭は「エクスプレス事業」で、国内の宅急便を中心とした輸配送サービスを提供していますが、最新年度は営業損失を計上しています。「コントラクト・ロジスティクス事業」は法人顧客向けの物流ソリューションや不動産事業、「グローバル事業」は国際輸送や海外での物流サービスを提供し、それぞれ営業利益を上げています。「モビリティ事業」は車両整備やEV向け電力供給を行い、こちらも営業利益を計上しています。エクスプレス事業の売上が圧倒的に大きく、グループ全体の収益構造に大きな影響を与えています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
EXPBusiness 地域 15,347 -129 -0.8%
ContractLogisticsBusiness 地域 971 56 5.8%
GlobalBusiness 地域 860 90 10.5%
MobilityBusiness 地域 205 38 18.4%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,735 文字
3【事業の内容】 ヤマトグループは、ヤマトホールディングス株式会社(当社)および、子会社45社、関連会社12社により構成されており、「エクスプレス事業」「コントラクト・ロジスティクス事業」「グローバル事業」「モビリティ事業」を主な事業としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでいます。 事業内容と各関係会社等の当該事業における位置づけおよび報告セグメントとの関連は、次のとおりです。 また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しています。これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。セグメントの名称事業内容主要な会社エクスプレス事業個人および法人のお客様に対し、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供する。ヤマト運輸㈱、沖縄ヤマト運輸㈱、ヤマトボックスチャーター㈱、ヤマトマルチチャーター㈱、ボックスチャーター㈱、Sustainable Shared Transport㈱、RH㈱※1、レッドホースコーポレーション㈱※1、Packcity Japan㈱、その他2社個人および法人顧客向け宅配事業、貨物自動車運送事業、ロールボックスパレット貸切輸送事業コントラクト・ロジスティクス事業法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションを提供する。ヤマト運輸㈱、㈱ナカノ商会、IS鳥栖開発2号特定目的会社、その他1社3PL事業、不動産事業グローバル事業国際フォワーディングや国際エクスプレス、海外現地におけるコントラクト・ロジスティクス等を組み合わせ、法人顧客のグローバルサプライチェーン全体を最適化するソリューションを提供する。ヤマト運輸㈱、神戸ヤマト㈱、湖南工業㈱、YAMATO TRANSPORT U.S.A., INC.、YAMATO TRANSPORT EUROPE B.V.、YAMATO ASIA PTE. LTD.※2、YAMATO TRANSPORT (S) PTE. LTD.、YAMATO TRANSPORT (M) SDN. BHD.、雅瑪多管理(中国)有限公司、雅瑪多国際物流有限公司、雅瑪多運輸(香港)有限公司、TAIWAN YAMATO INTERNATIONAL LOGISTICS INC.、その他16社法人顧客向け運送事業、物流センターの企画運営業、輸出入通関事業、航空運送代理店業モビリティ事業運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供する。EVに使用する再エネ電力などを提供する。ヤマトオートワークス㈱、ヤマトオートワークス岩手㈱、ヤマトオートワークス北信越㈱、ヤマトオートワークス四国㈱、ヤマトオートワークス沖縄㈱、ヤマトエナジーマネジメント㈱自動車整備事業、燃料販売事業、損害保険代理店業その他ヤマトグループが保有するITやコールセンター、金融サービスなどの機能により、お客様のサプライチェーン全体に対する価値提供拡大に向けた取組みを支える。ヤマトシステム開発㈱、ヤマトコンタクトサービス㈱、ヤマトクレジットファイナンス㈱※3、㈱MY MEDICA、YMT-GB投資事業有限責任組合、YMT-GB2号投資事業有限責任組合、ヤマト・スタッフ・サプライ㈱、ヤマトリース㈱、その他2社ITシステムの開発および運用管理事業、コールセンター事業、金融サービス業※1.2026年4月1日付でRH株式会社は、同社の子会社であるレッドホースコーポレーション株式会社を吸収合併し、同日付でレッドホースコーポレーション株式会社へ商号変更しました。※2.2023年2月17日開催の当社取締役会において、YAMATO ASIA PTE.LTD.を清算することが承認され、現在清算手続き中です。※3.2026年5月14日開催の当社取締役会において、2026年9月1日付で当社が保有するヤマトクレジットファイナンス株式会社のすべての株式を譲渡することが承認され、当該会社は子会社ではなくなる予定です。 以上の企業集団の状況について事業系統図によって示すと、次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大により安定的な利益確保を目指しているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ネットワーク
宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供する強靭なネットワーク。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:市場・競争環境の変化によるリスク / 労働力人口の減少によるリスク / テクノロジーの進化に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 14 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

「宅急便」ブランドは高い認知度と信頼性を誇るが、特許や独占的IPによる保護は限定的。長年の事業継続で培われたノウハウは無形資産と言えるが、模倣可能性も存在する。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

法人顧客は、荷物の量、頻度、サービス内容、料金体系などを総合的に評価し、最適な配送業者を選定する。一度契約すると、システム連携や業務フローの変更に手間がかかるため、安易な乗り換えは発生しにくい。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

荷物の集荷・配達網は規模が大きいほど効率的になる側面はあるが、直接的なネットワーク効果(ユーザーが増えるほどサービス価値が向上する)は限定的。競合も同様のインフラを構築可能。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の事業運営で培われた集荷・配達網の効率化、共同配送の推進、IT投資による最適化などで、一定のコスト優位性を確立している。しかし、人件費の上昇圧力は常に存在する。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

国内の宅配便市場において、ヤマト運輸は圧倒的なシェア(約4割)を誇り、広範な集荷・配達網を構築している。この規模は新規参入や競合他社にとって容易に模倣できない参入障壁となっている。

ヤマトグループの最大の強みは、全国を網羅する強靭な宅急便ネットワークと、長年培ってきた物流ノウハウ、そして「宅急便」という高いブランド認知度です。これにより、個人・法人顧客からの信頼を得ており、新規参入が難しい規模の経済とネットワーク効果を享受しています。また、グループ内の多様な経営資源(倉庫、航空輸送、ロジスティクス、通関、不動産など)を組み合わせ、付加価値の高いソリューションを提供できる点も競争優位性となっています。デジタル技術を活用したデータドリブン経営も推進し、効率化と新たな価値創造を目指しています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ヤマトグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものです。 (1)経営方針 ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便性の向上に役立つ商品・サービスを開発してきました。 今後も、社会の一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的に貢献していきます。また、テクノロジーを起点に次世代の営業・幹線輸送・ラストマイルオペレーションを構築し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指していきます。 (2)経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めました。この実現に向け、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を推進しつつ、取組みの進捗状況や事業環境の変化等を踏まえたアップデートをおこなっています。 当連結会計年度における経済環境は、物価上昇の見通しが強まる中での実質賃金減少の継続などにより、個人消費の停滞感が根強く残りました。また、深刻化する人手不足や、年度末にかけての中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー・原材料価格の高騰など、依然として厳しい事業環境が続いており、先行きは見通しづらい状況にあります。 このような状況の中、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、エクスプレス事業の顧客基盤や営業網を活用した事業間のシナジーによる法人向けビジネスの拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化およびグループ経営基盤の強化など、「経済価値」を生み出すとともに、持続可能な社会に向けた「環境価値」「社会価値」を創造する取組みを推進しています。 基盤領域では、宅急便ビジネスを安定的に利益確保できる事業構造に転換させるため、大口法人のお客様に対するプライシングの適正化や2025年10月に実施した「宅急便」届出運賃の改定により、コスト上昇分の適切な転嫁を進めています。セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービス提供に専念できる環境整備に注力するとともに、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発を進め、専用資材の事前購入により全国一律料金で荷物が送れる「こねこ便420」の全国での拡販や、宅急便のサービスラインアップの拡充として2025年11月には、午前中にお預かりした荷物を当日中にお届けする「宅急便当日配送サービス」の提供開始と、同一都道府県内運賃を新設しました。 法人ビジネス領域では、エクスプレス事業の顧客基盤や営業網を活用し、輸配送ネットワークに倉庫オペレーションや国際フォワーディングなどの付加価値を組み合わせ、お客様のビジネス拡大を支援することで、ヤマトグループの利益成長を目指しています。2025年10月には、ヤマトグループの輸送ターミナルと高付加価値機能を持つロジスティクスセンターを融合した統合型ビジネスソリューション拠点を、福島県郡山市に開設しました。同様の拠点を需要地に展開し、お客様や地域に新たな価値を提供していきます。また、グローバル事業では、インドで生産拡大を目指す製造業のグローバルサプライチェーン構築を支援するため、2026年1月にヤマトグループとして海外最大のロジスティクスセンターを開設しました。北米、中国、そして東南アジアを中心に営業力を強化し、国際フォワーディングの効率向上、越境EC事業者様への提案強化、内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを、M&Aや戦略的業務提携も検討しながら推進しています。 また、中長期的な輸送力不足の深刻化や気候変動への対応など、環境・社会課題に向き合い、ビジネスパートナーとともに課題解決に積極的に取り組むことで、温室効果ガス排出量の削減や、持続可能で効率的な物流システムの構築、社員の健康管理などの知見とノウハウを蓄積してきました。それらを「グリーン・モビリティ」のビジネスモデルとして磨き上げ、サプライチェーンの持続可能性を高めるソリューションとしてお客様に提供することで、ヤマトグループの新たな成長につなげていきます。 [目指す姿] 「SX2030 ~1st Stage~」主要施策①基盤領域:宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 付加価値に応じたプライシング適正化、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備する「営業所改革」、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置と荷物の発送・受取に留まらない新たなサービス拠点の展開などを迅速に進めていきます。輸送領域においては、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。 ②成長領域:法人ビジネス領域の拡大 既存の輸送ネットワークや国内外の倉庫に加え、輸送ターミナルと高付加価値機能を持つロジスティクスセンターを融合した統合型ビジネスソリューション拠点、貨物航空輸送、通関や不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することで、利益成長を加速させていきます。 ③新規領域:新たなビジネスモデルの事業化 既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて経済価値を生み出し、社会と物流業界全体の持続性を高めるとともに、新たな収益基盤として成長を加速させていきます。 ④グループ経営基盤の強化 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組みます。また、あらゆる事業領域においてAI技術を駆使したビジネスモデルの再構築を推進し、グループ全体のビジネス構造を変革していきます。 ⑤資本効率をより重視した経営の浸透 資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率およびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。  当該中期経営計画の最終年度となる2027年3月期においては、計画策定時に連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上を目標と設定しましたが、事業環境の変化や取組みの進捗状況等を踏まえ、2027年3月期の連結業績見通しを連結営業収益1兆9,200億円、連結営業利益420億円(連結営業利益率2.2%)、ROE4.2%、ROIC3.7%へ見直しました。 当計画では「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、引き続き「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオの変革」に注力します。当連結会計年度において着実に進捗しているプライシングの適正化や法人向けビジネスの拡大、オペレーティングコストの適正化、間接コストの削減といった利益成長ドライバーの強化を図るとともに、バランスシート・マネジメントの強化とキャピタル・アロケーションの最適化を通じて持続的な企業価値向上に取り組んでいきます。 [成長イメージ] (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ヤマトグループを取り巻く事業環境は、不安定な国際情勢や金融市場の変動などにより、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、物価上昇の影響や中長期的な輸送力不足の深刻化など、外部環境の変化に伴うコスト上昇が継続すると見込まれます。さらに、中長期的には、EC化のさらなる進展や地政学リスクの増大、少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動の深刻化などを想定しています。このような中、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めています。そして、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオを変革する3年間」と位置づけ、以下①~⑤の取組みを推進していきます。 ① 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 宅配便市場は、ECの成長とともに拡大傾向にあるものの、基盤領域である個人および小口法人の市場は、人口減少や個人消費の低迷に伴う影響を受けています。また、EC化の進展と人口動態の変化に伴い、ラストマイル領域における集荷と配達の業務量や輸送領域における都市部・地方部間の荷物の流動量が変化しており、宅急便ネットワークの収益性は低下傾向にあります。 これらの状況を踏まえ、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組み、付加価値に応じたプライシングの適正化を計画的に進めていきます。また、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備するとともに、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置、お客様のニーズを捉えた商品・サービスや、宅急便の発送・受け取りにとどまらないサービス開発を進めています。 輸送領域においては、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化し、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組みます。 ② 法人向けビジネスの拡大 世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業が対応を求められる中、ヤマトグループは変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付けています。 法人のお客様の物流全般や経営課題の解決に取り組むコントラクト・ロジスティクス事業では、企業間物流における在庫・配送拠点やEC事業者様の総合物流センターの運営など、提供価値を拡大していきます。また、事業成長の基盤として、全国の物流拠点への仕分け・輸配送機能とロジスティクス機能が一体となった統合型ビジネスソリューション拠点の活用および展開を進めます。全国を網羅する強靭な輸配送ネットワークと一体化したこれらの拠点を活用し、お客様のサプライチェーン全体の最適化と事業戦略に貢献することで、法人向けビジネスのさらなる拡大を推進します。 グローバル事業においては、国際輸送と海外コントラクト・ロジスティクスも組み合わせることで、お客様のサプライチェーン全体に対する価値提供を進めています。北米、中国、そして東南アジアを中心に営業力を強化し、国際フォワーディングの効率向上、越境EC事業者様への提案強化、内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを、M&Aや戦略的業務提携も検討しながら推進していきます。 ③ 新たなビジネスモデルの事業化 持続可能な未来の実現に向けて、中長期的な輸送力不足の深刻化や気候変動への対応など、環境・社会課題に向き合い、ビジネスパートナーとともに課題解決に積極的に取り組むことで、温室効果ガス(GHG)排出量の削減や、効率的な物流システムの構築、社員の健康管理などの知見とノウハウを蓄積してきました。それらを「グリーン・モビリティ」のビジネスモデルとして磨き上げ、ヤマトグループの新たな成長につなげていきます。 具体的には、EVの導入・運用を支援する「EVライフサイクルサービス」の拡販や、ヤマトエナジーマネジメント株式会社を中心とした再生可能エネルギーの供給などのエネルギー事業を推進します。あわせて、多様なステークホルダーが参画する共同輸配送のオープンプラットフォームの展開、自動車運送事業者向けの健康管理支援サービス等を通じ、物流業界全体の持続可能性向上と課題解決に貢献します。 ④ グループ経営基盤の強化 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組んでいきます。 人事戦略については、引き続きセールスドライバーをはじめとした社員の待遇のさらなる向上や、働く環境の整備に向けた投資を推進しています。また、お客様に向き合う第一線の組織と人材をこれまで以上に強化するため、間接部門の業務効率化と組織のスリム化を図りながら、宅急便の営業所や法人営業支店などへの人材配置を進めるとともに、リーダー人材の育成に注力しています。そして、社員の働きがい向上のため、営業職や企画職などを対象に、パフォーマンスに応じて報酬を決定する制度改正を進めます。 デジタル戦略については、「AI・データドリブン経営」を本格化させ、データ活用による最適な経営資源の配置やバックオフィス業務の効率化を通じ、オペレーション全体の生産性向上を図るとともに、新たな顧客体験価値を創出することで、収益力の強化を図ります。あわせて、各組織でAI活用推進の中心となる人材育成を進めます。 サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)に対して引き続き取組みを強化していきます。 環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EVの導入」「太陽光発電設備の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーンにおけるGHGの実質排出量(Scope3)の把握や削減目標の設定などに取り組んでいきます。 社会の領域については、引き続き、人命の尊重を最優先とし、社員やパートナーの安全・健康に対する取組みを強化するとともに、多様な社員が活躍できる職場環境に向けた整備を進めています。そして、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や、課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係に基づくサステナブル・サプライチェーンの構築を推進していきます。 コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、経営管理の高度化を推進し、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めていきます。 ⑤ 資本効率をより重視した経営の浸透 上記の①~④を推進することに加え、資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率およびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。 本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やAI・DX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。 上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ヤマトグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものです。 (1)経営方針 ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便性の向上に役立つ商品・サービスを開発してきました。 今後も、社会の一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的に貢献していきます。また、テクノロジーを起点に次世代の営業・幹線輸送・ラストマイルオペレーションを構築し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指していきます。 (2)経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めました。この実現に向け、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を推進しつつ、取組みの進捗状況や事業環境の変化等を踏まえたアップデートをおこなっています。 当連結会計年度における経済環境は、物価上昇の見通しが強まる中での実質賃金減少の継続などにより、個人消費の停滞感が根強く残りました。また、深刻化する人手不足や、年度末にかけての中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー・原材料価格の高騰など、依然として厳しい事業環境が続いており、先行きは見通しづらい状況にあります。 このような状況の中、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、エクスプレス事業の顧客基盤や営業網を活用した事業間のシナジーによる法人向けビジネスの拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化およびグループ経営基盤の強化など、「経済価値」を生み出すとともに、持続可能な社会に向けた「環境価値」「社会価値」を創造する取組みを推進しています。 基盤領域では、宅急便ビジネスを安定的に利益確保できる事業構造に転換させるため、大口法人のお客様に対するプライシングの適正化や2025年10月に実施した「宅急便」届出運賃の改定により、コスト上昇分の適切な転嫁を進めています。セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービス提供に専念できる環境整備に注力するとともに、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発を進め、専用資材の事前購入により全国一律料金で荷物が送れる「こねこ便420」の全国での拡販や、宅急便のサービスラインアップの拡充として2025年11月には、午前中にお預かりした荷物を当日中にお届けする「宅急便当日配送サービス」の提供開始と、同一都道府県内運賃を新設しました。 法人ビジネス領域では、エクスプレス事業の顧客基盤や営業網を活用し、輸配送ネットワークに倉庫オペレーションや国際フォワーディングなどの付加価値を組み合わせ、お客様のビジネス拡大を支援することで、ヤマトグループの利益成長を目指しています。2025年10月には、ヤマトグループの輸送ターミナルと高付加価値機能を持つロジスティクスセンターを融合した統合型ビジネスソリューション拠点を、福島県郡山市に開設しました。同様の拠点を需要地に展開し、お客様や地域に新たな価値を提供していきます。また、グローバル事業では、インドで生産拡大を目指す製造業のグローバルサプライチェーン構築を支援するため、2026年1月にヤマトグループとして海外最大のロジスティクスセンターを開設しました。北米、中国、そして東南アジアを中心に営業力を強化し、国際フォワーディングの効率向上、越境EC事業者様への提案強化、内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを、M&Aや戦略的業務提携も検討しながら推進しています。 また、中長期的な輸送力不足の深刻化や気候変動への対応など、環境・社会課題に向き合い、ビジネスパートナーとともに課題解決に積極的に取り組むことで、温室効果ガス排出量の削減や、持続可能で効率的な物流システムの構築、社員の健康管理などの知見とノウハウを蓄積してきました。それらを「グリーン・モビリティ」のビジネスモデルとして磨き上げ、サプライチェーンの持続可能性を高めるソリューションとしてお客様に提供することで、ヤマトグループの新たな成長につなげていきます。 [目指す姿] 「SX2030 ~1st Stage~」主要施策①基盤領域:宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 付加価値に応じたプライシング適正化、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備する「営業所改革」、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置と荷物の発送・受取に留まらない新たなサービス拠点の展開などを迅速に進めていきます。輸送領域においては、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。 ②成長領域:法人ビジネス領域の拡大 既存の輸送ネットワークや国内外の倉庫に加え、輸送ターミナルと高付加価値機能を持つロジスティクスセンターを融合した統合型ビジネスソリューション拠点、貨物航空輸送、通関や不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することで、利益成長を加速させていきます。 ③新規領域:新たなビジネスモデルの事業化 既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて経済価値を生み出し、社会と物流業界全体の持続性を高めるとともに、新たな収益基盤として成長を加速させていきます。 ④グループ経営基盤の強化 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組みます。また、あらゆる事業領域においてAI技術を駆使したビジネスモデルの再構築を推進し、グループ全体のビジネス構造を変革していきます。 ⑤資本効率をより重視した経営の浸透 資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率およびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。  当該中期経営計画の最終年度となる2027年3月期においては、計画策定時に連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上を目標と設定しましたが、事業環境の変化や取組みの進捗状況等を踏まえ、2027年3月期の連結業績見通しを連結営業収益1兆9,200億円、連結営業利益420億円(連結営業利益率2.2%)、ROE4.2%、ROIC3.7%へ見直しました。 当計画では「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、引き続き「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオの変革」に注力します。当連結会計年度において着実に進捗しているプライシングの適正化や法人向けビジネスの拡大、オペレーティングコストの適正化、間接コストの削減といった利益成長ドライバーの強化を図るとともに、バランスシート・マネジメントの強化とキャピタル・アロケーションの最適化を通じて持続的な企業価値向上に取り組んでいきます。 [成長イメージ] (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ヤマトグループを取り巻く事業環境は、不安定な国際情勢や金融市場の変動などにより、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、物価上昇の影響や中長期的な輸送力不足の深刻化など、外部環境の変化に伴うコスト上昇が継続すると見込まれます。さらに、中長期的には、EC化のさらなる進展や地政学リスクの増大、少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動の深刻化などを想定しています。このような中、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めています。そして、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオを変革する3年間」と位置づけ、以下①~⑤の取組みを推進していきます。 ① 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大 宅配便市場は、ECの成長とともに拡大傾向にあるものの、基盤領域である個人および小口法人の市場は、人口減少や個人消費の低迷に伴う影響を受けています。また、EC化の進展と人口動態の変化に伴い、ラストマイル領域における集荷と配達の業務量や輸送領域における都市部・地方部間の荷物の流動量が変化しており、宅急便ネットワークの収益性は低下傾向にあります。 これらの状況を踏まえ、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組み、付加価値に応じたプライシングの適正化を計画的に進めていきます。また、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備するとともに、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置、お客様のニーズを捉えた商品・サービスや、宅急便の発送・受け取りにとどまらないサービス開発を進めています。 輸送領域においては、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化し、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組みます。 ② 法人向けビジネスの拡大 世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業が対応を求められる中、ヤマトグループは変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付けています。 法人のお客様の物流全般や経営課題の解決に取り組むコントラクト・ロジスティクス事業では、企業間物流における在庫・配送拠点やEC事業者様の総合物流センターの運営など、提供価値を拡大していきます。また、事業成長の基盤として、全国の物流拠点への仕分け・輸配送機能とロジスティクス機能が一体となった統合型ビジネスソリューション拠点の活用および展開を進めます。全国を網羅する強靭な輸配送ネットワークと一体化したこれらの拠点を活用し、お客様のサプライチェーン全体の最適化と事業戦略に貢献することで、法人向けビジネスのさらなる拡大を推進します。 グローバル事業においては、国際輸送と海外コントラクト・ロジスティクスも組み合わせることで、お客様のサプライチェーン全体に対する価値提供を進めています。北米、中国、そして東南アジアを中心に営業力を強化し、国際フォワーディングの効率向上、越境EC事業者様への提案強化、内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを、M&Aや戦略的業務提携も検討しながら推進していきます。 ③ 新たなビジネスモデルの事業化 持続可能な未来の実現に向けて、中長期的な輸送力不足の深刻化や気候変動への対応など、環境・社会課題に向き合い、ビジネスパートナーとともに課題解決に積極的に取り組むことで、温室効果ガス(GHG)排出量の削減や、効率的な物流システムの構築、社員の健康管理などの知見とノウハウを蓄積してきました。それらを「グリーン・モビリティ」のビジネスモデルとして磨き上げ、ヤマトグループの新たな成長につなげていきます。 具体的には、EVの導入・運用を支援する「EVライフサイクルサービス」の拡販や、ヤマトエナジーマネジメント株式会社を中心とした再生可能エネルギーの供給などのエネルギー事業を推進します。あわせて、多様なステークホルダーが参画する共同輸配送のオープンプラットフォームの展開、自動車運送事業者向けの健康管理支援サービス等を通じ、物流業界全体の持続可能性向上と課題解決に貢献します。 ④ グループ経営基盤の強化 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組んでいきます。 人事戦略については、引き続きセールスドライバーをはじめとした社員の待遇のさらなる向上や、働く環境の整備に向けた投資を推進しています。また、お客様に向き合う第一線の組織と人材をこれまで以上に強化するため、間接部門の業務効率化と組織のスリム化を図りながら、宅急便の営業所や法人営業支店などへの人材配置を進めるとともに、リーダー人材の育成に注力しています。そして、社員の働きがい向上のため、営業職や企画職などを対象に、パフォーマンスに応じて報酬を決定する制度改正を進めます。 デジタル戦略については、「AI・データドリブン経営」を本格化させ、データ活用による最適な経営資源の配置やバックオフィス業務の効率化を通じ、オペレーション全体の生産性向上を図るとともに、新たな顧客体験価値を創出することで、収益力の強化を図ります。あわせて、各組織でAI活用推進の中心となる人材育成を進めます。 サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)に対して引き続き取組みを強化していきます。 環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EVの導入」「太陽光発電設備の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーンにおけるGHGの実質排出量(Scope3)の把握や削減目標の設定などに取り組んでいきます。 社会の領域については、引き続き、人命の尊重を最優先とし、社員やパートナーの安全・健康に対する取組みを強化するとともに、多様な社員が活躍できる職場環境に向けた整備を進めています。そして、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や、課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係に基づくサステナブル・サプライチェーンの構築を推進していきます。 コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、経営管理の高度化を推進し、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めていきます。 ⑤ 資本効率をより重視した経営の浸透 上記の①~④を推進することに加え、資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率およびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。 本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やAI・DX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。 上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものです。 (1)経営成績 当連結会計年度における経済環境は、物価上昇の見通しが強まる中での実質賃金減少の継続などにより、個人消費の停滞感が根強く残りました。また、深刻化する人手不足や、年度末にかけての中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー・原材料価格の高騰など、依然として厳しい事業環境が続いており、先行きは見通しづらい状況にあります。 このような状況の中、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、ビジネスソリューションの提供を通じた法人向けビジネスの拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化およびグループ経営基盤の強化など、「経済価値」を生み出すとともに、持続可能な社会に向けた「環境価値」「社会価値」を創造する取組みを推進しています。  当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。 区分前連結会計年度当連結会計年度増減伸率(%)営業収益(百万円)1,762,6961,865,675102,9795.8営業利益(百万円)14,20628,30414,09899.2経常利益(百万円)19,58726,2586,67034.1親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)37,93713,662△24,275△64.0  当連結会計年度の営業収益は1兆8,656億75百万円となり、前連結会計年度に比べ1,029億79百万円の増収となりました。これは、宅急便部門が向き合う小口法人・個人のお客様からの宅急便取扱数量の拡大、法人部門が向き合う大口法人のお客様に対するプライシングの適正化、および法人向けビジネスの拡大など、収益構成の変革に向けた取組みが進展したことによるものです。 営業費用は1兆8,373億70百万円となり、前連結会計年度に比べ888億80百万円増加しました。これは、宅急便ネットワークの強靭化に向けた社員やパートナーの待遇向上など人的資本への投資や集配拠点の再配置などネットワーク投資の実行、調達単価の上昇などによるものです。一方で、輸送領域のオペレーションの見直しに取り組み、コストコントロールに注力しました。 この結果、当連結会計年度の営業利益は283億4百万円となり、前連結会計年度に比べ140億98百万円の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度においても資本効率の向上に向けた資産の流動化や政策保有株式の売却を継続して進めたものの、前連結会計年度に本社ビル等の大型のセール・アンド・リースバックに伴う特別利益を計上した反動などにより136億62百万円となり、前連結会計年度に比べ242億75百万円の減益となりました。 <セグメント別の概況>○エクスプレス事業① エクスプレス事業は、個人および法人のお客様に対し、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供しており、宅急便部門が向き合う小口法人・個人のお客様からの宅急便取扱数量の拡大、法人部門が向き合う大口法人のお客様を中心とした付加価値に応じたプライシングの適正化を進めています。また、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービス提供に専念できる環境整備に注力するとともに、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置、宅急便の発送・受け取りにとどまらないサービスを提供する地域密着型のサービス拠点の展開を進めています。また、宅急便ネットワークの強靭化に資する輸送の効率化も進めています。 ② 当連結会計年度においては、引き続き、外部環境の変化によるコスト上昇を踏まえ、宅急便部門における小口法人・個人のお客様に対する営業強化および法人部門における大口法人のお客様の多様な輸送ニーズへの対応や、付加価値に応じたプライシング適正化の取組みを推進しました。具体的には、2025年10月より宅急便の届出運賃を改定するとともに、同年11月には、午前中にお預かりした荷物を当日中にお届けする「宅急便当日配送サービス」の提供開始と、同一都道府県内運賃を新設しました。また、EC事業者様との連携による「置き配」サービスの提供拡大など、より多くのお客様に快適な受け取り体験を提供し、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス排出量の削減にも資する取組みを推進しました。加えて、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律料金で荷物が送れる「こねこ便420」について、沖縄県を除く全国で拡販を推進しました。宅急便ネットワークの強靭化については、お客様のニーズや輸送パートナーの適切な働き方に対応しつつ、輸送・積載効率を高め、オペレーティングコストを適正化するため、長距離区間は、中継拠点を定め、リレー方式でつなぐ輸送方法への切り替えや、貨物専用機の活用を含めたモーダルシフトの推進など、これまでの運び方を見直すとともに、仕分け作業を担う人材の適正配置などの取組みを推進しました。③ 外部顧客への営業収益は、宅急便部門が向き合う小口法人・個人のお客様からの宅急便取扱数量の拡大、および法人部門が向き合う大口法人のお客様に対するプライシングの適正化が進展したことなどにより1兆5,579億78百万円となり、前連結会計年度に比べ1.5%増加しました。営業利益は22億99百万円となり、前連結会計年度に比べ151億98百万円増加しました。 ○コントラクト・ロジスティクス事業① コントラクト・ロジスティクス事業は、輸配送ネットワークに倉庫オペレーションなどの付加価値を組み合わせ、法人のお客様の課題解決や事業成長を支援するソリューションを提供しています。② 当連結会計年度においては、連結子会社化した株式会社ナカノ商会のノウハウも活用し、企業間の在庫・配送拠点やEC事業者様の総合物流センターの運営など、より付加価値の高いサプライチェーンソリューションの提案や、オペレーションの品質・生産性改善などに取り組みました。また、2025年10月には、ヤマトグループの輸送ターミナルと高付加価値機能を持つロジスティクスセンターを融合した統合型ビジネスソリューション拠点を、福島県郡山市に開設しました。③ 外部顧客への営業収益は、新規案件の獲得が進展したこと、および株式会社ナカノ商会の連結子会社化などにより1,646億2百万円となり、前連結会計年度に比べ69.6%増加しました。営業利益は62億17百万円となり、前連結会計年度に比べ6億34百万円増加しました。 ○グローバル事業① グローバル事業は、日本国内および海外事業会社が連携し、国際フォワーディングや国際エクスプレス、海外現地におけるコントラクト・ロジスティクス等を組み合わせ、法人のお客様のグローバルサプライチェーン全体を最適化するソリューションを提供しています。サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅急便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク、食品産業などヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、北米、中国、東南アジアを中心に営業力の強化を進めています。② 当連結会計年度においては、国内事業会社および各国に展開するグループ現地法人がこれまで以上に連携を強化し、一体的に事業推進する体制を整備するとともに、引き続き、国際フォワーディングの混載効率向上や、拡大する越境EC事業者様への提案強化、注力地域の内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを推進しました。③ 外部顧客への営業収益は、国際フォワーディングの拡販が進展したことなどにより975億52百万円となり、前連結会計年度に比べ13.5%増加しました。営業利益は81億50百万円となり、前連結会計年度に比べ8億77百万円減少しました。(参考)区分前連結会計年度当連結会計年度増減伸率(%)宅急便・宅急便コンパクト・EAZY(百万個)1,9611,941△20△1.0ネコポス・クロネコゆうパケット(百万個)3914516015.4クロネコゆうメール(百万冊)11095△14△13.6 ○モビリティ事業① モビリティ事業は、これまでヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用し、車両を使用する法人のお客様の環境対応ニーズに応えるため、車両整備サービスに加え、EVの調達や効率的な活用ノウハウ、再生可能エネルギー由来電力の供給、ヤマトグループで開発したエネルギーマネジメントシステムなどをパッケージ化した「EVライフサイクルサービス」の拡販を推進しています。また、運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供しています。② 当連結会計年度においては、「EVライフサイクルサービス」の営業体制を強化し、拡販を推進しました。また、業務プロセスの見直しにより自動車整備士が本業に注力できる環境作りを推進するとともに、車両整備サービスの拡販と適正料金の収受に取り組みました。③ 外部顧客への営業収益は、契約車両台数の増加に加え、適正料金の収受などにより220億33百万円となり、前連結会計年度に比べ7.5%増加しました。営業利益は、コストの適正化に注力したことなどにより52億21百万円となり、前連結会計年度に比べ14億40百万円増加しました。 ○その他① ヤマトグループが保有するITやコールセンター、金融サービスなどの機能は、お客様のサプライチェーン全体に対する提供価値拡大に向けた取組みを支えています。当連結会計年度においては、引き続き、お客様の業務効率化とエンドユーザーの利便性向上に資するITサービスの提供などを推進しました。② 外部顧客への営業収益は235億7百万円となり、前連結会計年度に比べ3.9%減少しました。営業利益は66億29百万円となり、前連結会計年度に比べ15億71百万円減少しました。 <その他の取組み>① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。ヤマト運輸株式会社では、2025年10月より集配車両約4.6万台のドライブレコーダーを順次リニューアルし、運転状況の可視化を通じた安全意識と運転技術のさらなる向上を図っています。また、引き続き「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで開催するとともに、グループ全体での「交通事故ゼロ運動」を実施するなど、安全意識の向上を図る取り組みを推進しました。② ヤマトグループは、豊かな地域づくりがヤマトグループの成長と発展の基盤であると考え、地域社会の健全で持続的な発展とそこに暮らす人々の質の高い生活の確保を目指し、企業市民活動に取り組んでいます。環境の領域では、全国にネットワークを有する企業グループとして、地域の豊かな自然を将来に繋げていくため、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を、2005年から全国で3,600回以上開催しており、累計参加人数は約27万人となりました。また、地域コミュニティの領域では、お客様や地域の皆様に対する感謝の気持ちを込めて、年齢や地域の枠を超えたすべての皆様へ本物の音楽をお届けすることを目的とした音楽宅急便「クロネコ ファミリーコンサート」を、1986年から全国で367回開催しており、累計参加人数は約60万人となりました。③ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。 (2)生産、受注及び販売の実績 セグメントごとの営業収益は次のとおりです。 なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しています。 セグメントの名称 前連結会計年度(自 2024年4月1日  至 2025年3月31日) 当連結会計年度(自 2025年4月1日  至 2026年3月31日) 比 較 増減率 (%) 収入金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)エクスプレス事業運送収入1,514,93185.91,544,12282.81.9物流支援収入47,6062.747,0652.5△1.1その他41,0092.339,6582.1△3.3内部売上消去△68,837△3.9△72,867△3.95.9計1,534,71087.11,557,97883.51.5コントラクト・ロジスティクス事業運送収入18,8251.154,6122.9190.1物流支援収入81,9164.6117,2316.343.1その他5,1210.316,8220.9228.5内部売上消去△8,789△0.5△24,063△1.3173.8計97,0745.5164,6028.869.6グローバル事業運送収入6,5100.46,2430.3△4.1物流支援収入116,4806.6134,7747.215.7その他3,7450.24,5600.221.8内部売上消去△40,786△2.3△48,025△2.617.7計85,9504.997,5525.213.5モビリティ事業その他57,6303.370,4473.822.2内部売上消去△37,125△2.1△48,413△2.630.4計20,5051.222,0331.27.5その他その他71,8724.167,4103.6△6.2内部売上消去△47,417△2.7△43,902△2.4△7.4計24,4551.423,5071.3△3.9合  計1,762,696100.01,865,675100.05.8 (3)財政状態 総資産は1兆2,801億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ127億42百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が301億58百万円増加した一方で、不動産戦略に基づく固定資産の流動化により土地が104億79百万円減少したこと、およびコントラクト・ロジスティクス事業においてのれんの評価に伴いのれんを134億34百万円償却したことによるものです。これに加え、エクスプレス事業を中心として車両の調達を一部リースに切り替えたことから、車両が75億25百万円減少した一方で、リース資産が132億98百万円増加しました。 負債は6,981億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ310億35百万円増加しました。これは主に、リース資産を取得したことによりリース債務が174億41百万円増加したこと、およびその他の事業における割賦販売の取扱高が増加したことに伴い運転資金としての借入が増加したことなどから短期借入金が70億96百万円増加したことによるものです。 純資産は5,820億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ182億93百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が136億62百万円となった一方で、剰余金の配当を148億7百万円実施したこと、ならびに自己株式を189億15百万円取得したことによるものです。 以上により、自己資本比率は前連結会計年度末の46.5%から44.6%となりました。 (4)キャッシュ・フロー○営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは722億18百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が244億85百万円増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べ249億36百万円減少した一方で、非資金損益項目である減価償却費およびのれん償却額が前連結会計年度に比べ191億45百万円増加したこと、投資活動によるキャッシュ・フローに含まれる損益項目である固定資産売却損益および投資有価証券売却損益が前連結会計年度に比べ185億33百万円増加したことによるものです。これに加え、未払消費税等の増加により未払消費税等の増減額が前連結会計年度に比べ147億29百万円増加した一方で、法人税等の支払額が前連結会計年度に比べ149億10百万円増加しました。○投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは72億70百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が370億86百万円減少しました。これは主に、車両の調達をリースに切り替えたことに伴い有形固定資産の取得による支出が前連結会計年度に比べ173億93百万円減少したこと、および前連結会計年度にコントラクト・ロジスティクス事業において連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が353億7百万円あった一方で、投資有価証券の売却による収入が前連結会計年度に比べ120億13百万円減少したことによるものです。○財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは370億73百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が464億94百万円増加しました。これは主に、借入れによる収入が前連結会計年度に比べ578億83百万円減少した一方で、自己株式の取得による支出が前連結会計年度に比べ121億78百万円減少したことによるものです。 以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,378億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ297億65百万円増加しました。 (5)資本の財源及び資金の流動性に関する情報 ヤマトグループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、経済価値のみならず環境価値、社会価値を同時に創出していくことで、中長期的な企業価値向上を実現していく取組みを推進しています。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やAI・DX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。 上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。 (6)目標とする指標の達成状況等 当該中期経営計画の最終年度となる2027年3月期においては、計画策定時に連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上と設定しましたが、事業環境の変化や取組みの進捗状況等を踏まえ、2027年3月期の連結業績見通しを連結営業収益1兆9,200億円、連結営業利益420億円(連結営業利益率2.2%)、ROE4.2%、ROIC3.7%へ見直しました。 当計画では「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、引き続き「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオの変革」に注力します。当連結会計年度において着実に進捗しているプライシングの適正化や法人向けビジネスの拡大、オペレーティングコストの適正化、間接コストの削減といった利益成長ドライバーの強化を図るとともに、バランスシート・マネジメントの強化とキャピタル・アロケーションの最適化を通じて持続的な企業価値向上に取り組んでいきます。 (7)重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定 ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っています。 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

事業リスク

ヤマトグループは、EC化の進展による競争激化や、労働力人口の減少による人材確保の困難さ、人件費増加のリスクに直面しています。また、AIやIoTなどのテクノロジー進化への対応遅れや、サイバー攻撃による情報漏洩・システム停止のリスクも重要です。さらに、国内の過疎化や高齢化の進行により、配送効率の低下や地域ネットワーク維持の困難化が、中長期的な経営成績に影響を与える可能性があります。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|8,706 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、ヤマトグループの経営成績等に重要な影響を与えると認識している主要なリスクについて、経営への影響と顕在化する可能性の観点から重要なものを、事業環境およびそれに対応した戦略に係るリスクと、事業運営に係るリスクに分類して、以下のように取り纏めています。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものです。 (1)事業環境およびそれに対応した戦略に係るリスク①市場・競争環境の変化によるリスク EC化の進展、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化、気候変動の深刻化や労働力人口の減少など、ヤマトグループを取り巻く市場環境は変化しています。また、EC化の進展に伴い、物流事業者との競争の激化のみならず、自社物流化を進めるEC事業者などとの戦略的な関係性がより重要となることに加え、デジタルで商慣習を変える可能性があるスタートアップ企業を意識する必要があるなど、競争環境も変化しています。このような状況の中で、変化、多様化する生活者のニーズや、既存の流通構造を再構築する法人顧客の物流ニーズに対応できない場合、営業収益の減少や成長機会の逸失によりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループにとってのサステナビリティ関連の重要課題に適切に対応できない場合、お客様の支持が低下することや地域社会との関係が悪化すること、優秀な人材確保が困難になること、資金調達コストが上昇することなどにより、中長期的に、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、企業価値の向上に向けた取組みを推進しています。 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大においては、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組んでいます。また、法人ビジネス領域の拡大においては、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、変化を機会と捉え、国内外の倉庫や貨物航空輸送を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することにより、利益成長に努めています。さらに、多様なパートナーとともに、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて、経済価値を生み出す取組みを推進しています。 そして、これらの取組みを支えるためのグループ経営基盤として、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに努めています。 ②労働力人口の減少によるリスク ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。国内の労働力人口の減少により労働需給がさらに逼迫した場合、輸配送パートナーを含め人材を十分に確保できない場合、人材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、パートナーを含む人的投資を適切に実行するとともに、人材マネジメント方針に基づき、人材の獲得・定着に資する魅力ある人事・評価制度により、社員が働きがいを持ちつつ活躍する環境の構築を推進しています。また、人権や多様性が尊重され、より安心して働くことができる職場環境の整備や、安全面や品質面も含めた輸配送パートナーとの連携強化に取り組んでいます。さらに、輸送領域において、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化し、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間における運び方の見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいます。③テクノロジーの進化に係るリスク ヤマトグループが事業を展開する物流業界において、AI・IoT・ビッグデータ等の活用によるリソースの最適化や、ロボティクスの活用による倉庫業務の自動化、ドローン・自動運転の活用による幹線輸送やラストワンマイルの変革、生成AIやAIエージェントによるホワイトカラー業務の圧倒的な効率化等、テクノロジーの進化に伴う様々な変化が生じています。短中期的に見込まれる新たなビジネスモデルの出現に対してヤマトグループが適切に対応できない場合や、技術トレンドの誤った理解および先端テクノロジーの導入手法に不備が発生した場合、期待通りの投資効果を得られず、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、デジタル戦略を持続的な企業価値向上を実現するためのグループ経営基盤の一つと位置づけ、宅急便ビジネスで蓄積したビッグデータを活用した商品開発、将来予測のモデル化・精緻化によるプライシング最適化やコスト抑制などを主軸としたデータドリブン経営を推進しています。また、DX推進体制を強化し、「オペレーション」や「働き方」の変革、生成AIを中心としたバックオフィスの業務プロセス改革を加速し、新たなビジネス創出も視野に入れた事業と一体となったDX推進に取り組んでいます。さらに、CVCファンドやVCファンドとの連携を通じて、ヤマトグループの脅威となりうるテクノロジーや事業モデルの早期察知、およびオープンイノベーションによる新たな成長モデルの創出に取り組んでいます。 ④情報セキュリティに係るリスク ヤマトグループは、営業上の機密情報に加え、物流業務や情報処理の受託等を通じて多くの個人情報・顧客情報を保有しています。サイバー攻撃や管理の不徹底等により情報が外部に漏えいした場合やデータ喪失が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求の発生、さらには推進しているデジタル戦略に疑念が生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、サイバー攻撃等によりシステムがダウンし、全国で宅急便の荷受けを停止した場合、収益機会の逸失等によりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を想定した上で、国内外で組織的・人的な対策と多層防御等による技術的な対策に取り組んでいます。その他のセキュリティ対策としては、ネットワークへの不正アクセスや施設への不正侵入に対する監視を24時間365日実施しています。また、広域災害によるシステム停止への対策として、重要なシステムのデータセンターを分散し、相互にバックアップする運用を行っています。加えて、システム故障への対策として、ハードウェアの経年劣化や製品の潜在的なバグに対応するため、メーカーとの保守契約を結び、常に不具合情報の連携を図っています。さらに、利用環境や利用ルールの整備等、データガバナンスを高めることで、内部からの情報漏洩防止に努めています。 ⑤地域の過疎化によるリスク ヤマトグループの主な市場である日本国内は、総人口が減少するとともに、地域生活、地域経済において様々な課題が発生しています。過疎化や高齢化が進む地域では、配送効率の低下や集配を担う人材不足が顕在化しており、今後、地域経済が縮小することにより地域社会インフラの衰退などの問題が深刻化する場合や、そのような地域における収益性が低下することで、中長期的な観点で全国をきめ細かくカバーする物流ネットワークの維持が困難になる場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、輸送領域において、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいます。また、地域社会の多様なニーズに応えるため、地域の市場性やオペレーションの効率化を踏まえた集配拠点の再配置と荷物の発送・受取サービスに留まらない新たなサービス提供を目指す地域密着型のサービス拠点の展開等、地域課題の解決に向けたソリューションの提供に取り組んでいます。 ⑥気候変動に係るリスク ヤマトグループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しています。気候変動をはじめとした地球規模の環境問題がさらに深刻化し、温室効果ガス(GHG)の排出規制や削減義務の強化、炭素税の引き上げ等がされる場合、低炭素車両の導入や設備改修などの費用が増加し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、生活者の環境に配慮した消費意識や、顧客企業のサプライチェーン全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた要請が高まる中、期待される低炭素輸送に対応できない場合、お客様の支持が低下することなどにより営業収益が減少し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。加えて、低炭素社会への移行が進まない場合、長期的な影響として、自然災害の激甚化や頻度上昇による社員や施設の被災、道路寸断、電力・燃料供給停止などにより頻繁に事業活動が停止し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、長期目標である「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」の実現に向け、中期目標として「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」を設定し、「EV23,500台の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)実質排出量の把握を行い、削減目標の設定に向けて取り組んでいます。「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」(宅配便3商品)を対象とした「カーボンニュートラリティ宣言」を実施しました。本宣言は、2023年3月期以降各年度のサービスについて、国際規格ISO 14068-1:2023に準拠したカーボンニュートラリティを達成したことを示すとともに、今後も事業活動に伴うGHG自社排出量の削減に向けて継続的に取り組むことで、2050年までの宅配便3商品のカーボンニュートラリティ実現をコミットメントしたものです。ヤマトグループは、このような気候変動に配慮した輸送サービスの提供を通じて、個人および法人顧客のさらなる利用促進につなげていきます。 また、自然災害による様々な緊急事態を想定し危機管理体制の強化を図るなど、グループ全体でレジリエンスの向上に取り組んでいます。具体的には、BCPに基づく訓練や施設の水害リスク評価、拠点の再配置、発災後の対応や予期せぬ災害に備えた集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどを進めています。 ⑦M&Aおよび戦略的業務提携に係るリスク ヤマトグループは、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業が対応を求められる中、変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付けています。そして、その拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携を推進しています。しかしながら、事業環境や競争状況の変化により期待する成果が得られない場合や、予期せぬ事業上の問題が発生する場合、経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、コントラクト・ロジスティクス事業やグローバル事業の成長戦略との適合性を重視するとともに、投資効果を測る定量基準の設定など規律を持って推進していくとともに、実行後は、事業性判定ルールに照らし合わせ、定期的なモニタリングを継続実施しています。 (2)事業運営に係るリスク①コンプライアンスに係るリスク ヤマトグループは、コンプライアンスを最優先とした経営を推進しています。しかしながら、商品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、各種法令に抵触する事態が発生した場合、ヤマトグループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した事象に対する追加的な費用の発生等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に、運行管理や輸送においての法令違反が発生した場合、行政処分や刑事処分を受ける可能性があるだけでなく、人命にも影響があり、主要事業の継続に影響を与える可能性があります。また、物流の停滞が懸念される「2024年問題」等を踏まえ改正法が施行された「貨物自動車運送事業法」および「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」などに適切な対応ができない場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。グループ経営の健全性を高める基盤として、商品管理規程に基づく商品管理プロセスの適切な運用や、システムを活用した運行管理、社員への理念教育の実施、不適切事案の早期発見と適切な対応を行うための社内通報制度および取引先向けの相談窓口の設置、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施と適切な体制・プロセス・仕組みの整備などに取り組むとともに、内部監査部門がリスクアプローチによる監査を計画的に実施しています。なお、物流業界における昨今の法改正に対して、改正から施行までの期間に十分な準備を行い、改正法で定められた内容に現行の業務オペレーションや社内規程を対応させるなど、グループ各社にて法改正対応を実施しています。 ②大規模自然災害等に係るリスク ヤマトグループは、車両による荷物の輸送が主要な業務であり、社員の安全と健康、車両や施設の保全、燃料や電気の安定供給等を前提に事業を運営しています。予期せぬ大規模自然災害や停電等が発生した場合、社員やパートナーの被災等による人材の不足、車両・施設・データセンターやパブリッククラウドサービス基盤等の損壊や水没、停電・断水、燃料や備品の供給不足等による事業停止、および車両や施設等の修理・買替費用等の発生、ならびに顧客の被災による出荷量の減少が発災直後から中長期にわたり生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラを担う企業グループとして、不測の事態においても安定したサービス提供が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しています。様々な緊急事態を想定し、グループ全体で危機管理体制の強化を図っており、BCP訓練や施設のリスク評価・再配置等を行うとともに、発災後の対応や予期せぬ災害に備えた集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどに取り組んでいます。緊急事態の発生時には、「人命を最優先する」「グループ各社の事業の早期復旧を目指す」「社会的インフラとして地域社会からの期待に応える」を柱とするヤマトグループBCP基本方針のもと、基準にもとづき当社内に対策本部を立ち上げ、グループ各社と連携して対応するとともに、被災した地域や顧客の課題に対する価値提供に取り組んでいきます。 ③重大交通事故・労働災害に係るリスク ヤマトグループは、主に公道を使用した車両による事業を行っており、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、行政処分による車両の使用停止や、「違反点数制度」による事業所の営業停止、事業許可の取り消し等が行われ、事業の中断や中止の可能性があります。また、社員等の安全・衛生を損なう重大な労働災害を発生させてしまった場合も、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、人命の尊重を最優先に、運輸安全マネジメントおよび労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に沿った取組みの推進や、安全確保のためのルールの策定・遵守と設備・システムの整備、社員への安全教育および安全意識の浸透、監査部などによる運行・整備管理の法令遵守状況の定期的な確認、労働安全衛生法に基づく安全・安心な職場環境の確保などに取り組んでいます。また、労働災害を防止する観点より暑熱対策の重要性が高まっており、社員の熱中症の罹患や重症化を防ぐために、暑さ指数(WBGT)に応じた行動基準の策定やファン付きベスト、冷却機材の導入など、職種や拠点に応じた対策を講じています。 ④労務関連法制に係るリスク ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。労働や社会保険等に係る法令や制度等が改正された場合、対応するための費用の大幅な増加などにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、自動車運転業務における時間外労働の上限規制適用等に伴い、運送業界における長距離輸送のキャパシティが減少し、輸送パートナーへの委託コストが引き続き上昇することなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、法制度に適切に対応した労働環境や人事制度の整備を推進するとともに、輸送領域において、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいます。また、長距離輸送の効率化に資するスーパーフルトレーラSF25をはじめとしたトレーラの活用拡大やモーダルシフトを推進するとともに、持続的な物流ネットワークの構築に向けた長距離輸送手段として、トラック、鉄道、フェリー、貨物航空輸送を活用しています。 ⑤国際情勢等の影響によるリスク ヤマトグループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国際紛争や貿易摩擦の影響を被った場合、国際貿易の縮小やサプライチェーンの混乱による物流の停滞等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループは、車両による荷物の輸送を主要な事業としており、軽油等燃料が常時安定的かつ適正に供給されることは事業を行う上で不可欠です。国際情勢等の影響により供給に制約が発生した場合や、燃料価格等が高騰した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グローバルに拡がる顧客のサプライチェーンに対して、陸海空の多様な輸送手段を組み合わせて顧客ニーズに応えるとともに、変化を好機と捉え、国内外の倉庫や貨物航空輸送を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウといったグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューション提供に取り組んでいます。また、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などによる輸配送の効率化、モーダルシフト、より燃費効率の良い車両の導入、エネルギーマネジメントシステムの導入等、エネルギー効率を向上する施策を推進するとともに、燃料価格等の高騰を踏まえた、顧客へのプライシングの適正化に取り組んでいます。 ⑥金融市場の影響によるリスク ヤマトグループは、事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、必要資金についてはグループ資金を有効活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行等を組み合わせ対応しています。今後の国内外の経済情勢により、金融市場が機能不全となった場合や、金融機関の貸出先選別により、資金調達が困難になる可能性や、金利上昇により支払利息が増大する可能性があります。 このようなリスクを踏まえ、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しつつ、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等による資金創出も適宜検討していきます。また、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施する場合には、資金調達先および時期の適切な分散を図っていきます。

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