有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|11,793 文字
3 【事業等のリスク】(1)基本的な考え方・方針 当社グループのリスクマネジメントは、事業活動とともに企業経営のクルマの両輪であると考えています。様々な経営戦略を実行していく中で、外部環境の急激な変化により、経営に影響を与えるリスクが増加しています。そのような成長を阻害する可能性のあるリスクを把握し、コントロールすることと事業継続力強化の両面で取り組んでいきます。 企業がその目的を達成しようとする活動に対して、重大な影響を及ぼす様々なリスクを未然防止・抑制していきます。万が一発生した場合は、経営への影響を最小化し、企業の持続性を保証することで、ステークホルダーの皆様からの期待に応えていきます。 (2)推進体制 リスクマネジメント推進体制として、社長をはじめCxO、監査役及びグループ12社の社長などが参加するリスクマネジメント委員会を設置しています。委員会においてアイシンにおけるリスク発生状況及び当社グループ内外の環境・動向を踏まえ、取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行うことでリスク対策を推進しています。決定した重点リスクについて、グループ本社では、リスク別に機能主管部署を設定、国内外のグループ会社それぞれに対策責任者、推進者を任命し、グループ全体で取り組むことでリスクに対する対応力を強化しています。 さらに、定期的な取締役会への報告を通して、リスクマネジメントに関する監督を受けるとともに、経営戦略の高度化に役立てています。 (3)戦略~リスクマネジメントの高度化~ 当社は、1997年の刈谷工場火災において、皆様にご迷惑とご心配をおかけしました。これを機に、同じ失敗を繰り返さないようERM※を導入し、全社的なリスクマネジメントに取り組んできました。近年、大規模地震や線状降水帯の頻発など自然災害や部品供給問題、地政学・経済安全保障リスクなど経営を取り巻くリスクは複雑化・多様化しています。 このような中、「リスクマネジメントの高度化=あらゆるリスクを最小化できている状態」を目指し、経営戦略に関するリスクを含め統合的に管理するリスクマネジメントプロセスを導入しています。経営戦略の遂行を阻害する「経営戦略リスク」と、事業の円滑な運営を阻害する「オペレーショナルリスク」の両面から、市民生活や企業活動に脅威を与える複雑化・多様化するリスクに対して、その予兆を捉え、影響度を適切に分析・評価し「先手を打つ」リスクマネジメントを実践していきます。 ※ERM: Enterprise Risk Management (4)主な取り組み 当社グループでは「リスクマネジメントプロセス」に基づき、平時における被害の未然防止・抑制対応・早期復旧・被害最小化に取り組んでいます。さらに、これらの対策の有効性評価、改善及び標準化を行い、リスクマネジメントサイクルを回すことでリスクに対する実効性を高めています。 (5)重点リスクの決定 当社では年2回のサイクルで、リスクアセスメントを実施し、リスク機能主管部署の専門的な視点、グループ会社の業務特性に基づく視点、及び海外拠点の地理的な視点から、想定されるリスクを洗い出しています。それらのリスクの影響度や発生頻度を軸とした分析結果に、これまでのリスク対策による抑制・軽減度を加味しリスクの評価を行っています。また、これら内部でのリスク評価に加えて、外部の視点として、得意先や投資家などのステークホルダーが重要視しているリスクや、グローバルリスクレポートなどの専門機関によるリスクの評価を参考に、リスクマネジメント委員会で最重点リスクと重点リスクを決定しています。最重点リスクやその発生確率・影響度、対応組織は以下のとおりです。 (6)事業等のリスク 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、前提リスクを含め投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 ① 経済状況 当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、外部環境の変化に強い収益体質に向けて商品競争力強化・グループ経営強化を加速させるとともに、一層の構造改革を推進しています。 ② 為替レートの変動 当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生じる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、デリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。 ③ 金融市況の変動 株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、株式保有が企業価値向上に必要不可欠と認められる場合を除き、原則保有しない方針であり、株式保有を通じた共同技術開発や事業提携を推進する必要性がある場合に政策保有株式を保有しています。保有している政策保有株式については、保有意義又は今後の縮減方針等について、取締役会で検証しています。そのうえで、保有が企業価値向上に必要不可欠ではないと判断した場合には、取引先各社との対話を通じて縮減を進めています。 また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。 当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、年金運用の目的やプロセスについて十分に理解している人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。 ④ 原材料や部品の調達 当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内外複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っています。しかし、昨今の各国通商施策の動向や特定鉱物資源に対する規制、地政学影響及び需要の急激な変化、供給元の災害による被災等の供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、資源やエネルギー費・労務費等の高騰により当社グループが調達している原材料や部品の価格が上昇し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。 また、価格転嫁に関しては、供給元への能動的な声掛けにより、相談しやすい環境づくりを行い、1社1社、協議のうえ適切な取引を行うと共に、得意先とも共有・協議し、収益逼迫要因とならないよう、回収交渉を推進しています。併せて、供給元と一体になった新材料・新工法開発や工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。 ⑤ 得意先への依存 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において68.3%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、強みである「幅広い商品群」と「ものづくり力」をベースとして、電動化製品を中心に新規顧客の開拓や市場多角化を積極的に推進することでリスクを最小限に抑えます。また、既存の顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させることで、長期かつ継続的なパートナーシップを築き、顧客のニーズや問題を早期に把握しています。 ⑥ 価格競争 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や自動車メーカーによる部品の内製化、エレクトロニクス製品メーカーなど新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「幅広い商品群」と「ものづくり力」を強みに、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やIoTやAIを活かした生産性向上をはかりながら、製品開発センターにて競争力のある製品戦略立案と設計・品質・原価企画により、商品競争力・コスト競争力の強化をはかっています。 ⑦ 新商品開発 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。(ⅰ)新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。(ⅱ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。(ⅲ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。(ⅳ)新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。(ⅴ)技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。(ⅵ)現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、電動化・知能化技術を中心に社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の拡充に取り組んでいます。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスを制御・ソフト領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。 魅力ある新商品開発に向けては、既存商品の強みであるアクチュエータや駆動ユニットの電動化といったハードウェアに、センシング技術とソフトウェアを組合せて統合的に制御することで知能化をはかり、付加価値の高い商品に作り上げていきます。製品開発センターの再編として、2025年4月には製品を支える要素部品開発を集約した要素製品本部を新設し、全製品本部との連携を加速させるとともに、開発リソーセスの柔軟・効果的な運用をはかっています。また、エネルギー関連分野にも注力し、カーボンニュートラルにつながるエネルギー領域の技術開発を積極的に進めます。 これらの開発は、当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、アイシンらしい魅力ある商品の開発を強力に進めていきます。 ⑧ 海外事業展開 当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的又は経済的な混乱 当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、アセアン、インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。また、当社グループ経営戦略本部に事業戦略部を設置し、地域毎の事業課題認識と上記リスクを踏まえた事業戦略・地域戦略策定を一元的に行い、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。 近年の国家間の政治的、経済的、軍事的な緊張の高まりや急激な貿易政策変更に伴う関税や輸出入規制の変化を含む地政学・経済安全保障リスクの高まりに対しては、政策、法規制の変化等の動向などの情報をタイムリーに収集するとともに、全社横断的な会議体である「経済安全保障委員会」にて、安全保障貿易管理・機微技術管理を含めた経済安全保障上の必要な対応を検討・実施する体制を構築しています。 ⑨ 事業投資 当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断などに影響を及ぼす可能性があり、当社及び当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、変化の激しい事業環境の中、事業ポートフォリオの変革を一層加速させています。具体的には、電動化・知能化を成長領域と位置づけ、ヒト・モノ・カネのリソーセスシフトを行いつつ、様々なお客様のニーズに柔軟に対応できるよう取り組みを強化しています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 ⑩ 製品の欠陥 当社グループは、お客様に高い品質を確保した商品を提供するため、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、グローバルで各種製品を製造しています。しかしながら、すべての製品について欠陥がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、グローバルで開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制のもと、企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各階段の節目管理を行い、お客様の信頼に応えるものづくりを実践し、お客様目線で、業務の品質にこだわる風土を醸成しています。また、以下の事項を強化し品質の更なる向上をはかっています。・お客様の要求及び法規認証遵守状況の確認・リスクの高い製品、工法の要素技術に対する審議・海外を含めた仕入先の評価と体質改善・重点領域の電動化に対応したDX活用による開発精度向上・グループ・仕入先の製造現場における困り事の確認、及び解決による品質不適切事案の未然防止 ⑪ 災害等による影響 当社グループは、大規模地震や竜巻・豪雨等の自然災害、火災・爆発事故、労災や感染症等の人的災害の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらのリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・物流活動が停止、遅延する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループすべてを対象としたリスクマネジメント委員会において、特にリソーセスを投入し取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行い、リスクへの対応力強化に取り組んでいます。甚大な被害が想定される自然災害に対しては、平時から緊急時の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」や、過去の被災経験を標準化したガイド「学び・気づき」に基づき、グループ一体となってリスクの未然防止及び被害最小化を推進しています。 特に、昨年発生した大規模地震における新たな課題として深刻な被害を被った液状化に対して、地盤改良や地盤支持層までの杭を打設した構造とするなど適切な対策を定めアイシングループ共通のマニュアルに落とし込み、対策を実施しています。 併せて、課題である昨今の線状降水帯による想定を超えた降雨被害においても、引き続きグループを挙げて対策に取り組んでいます。 今後も従業員とその家族、顧客を始めとするすべてのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、様々なリスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めていきます。 ⑫ 気候変動と環境問題 当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識し、「気候変動への対応」をマテリアリティの1つとして選定しました。また、TCFD提言に沿ってシナリオを分析し、その対応策を事業戦略に組み込み推進しています。主な脱炭素社会への移行リスクとして、(ⅰ)低炭素原材料の需要が高まり必要な原材料の価格高騰による調達コストの増加(ⅱ)炭素税や再生可能エネルギー導入などの政策によるコストの増加(ⅲ)電動化の推進で電動車向け製品需要が拡大する一方、ガソリン車向け製品需要が減少につながる可能性があります。 こうしたリスクに対し当社グループは「生産」と「製品」の両軸で対応しています。 生産面では、徹底した省エネ活動や革新生産技術開発によるエネルギー使用量削減、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの導入・切替を実施しています。 製品面では、電動車向け製品の更なる進化、エネルギーと資源の循環・普及を進め、モビリティ・エネルギー技術融合による新価値創出を目指します。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)」をご参照ください。 また、環境問題に対しては、環境取組基盤を強化し環境異常件数ゼロを継続するため、「排水基準の常時監視」「事故想定の緊急訓練」「『環境の鉄則』周知による未然防止意識の醸成」に取り組んでいます。 ⑬ 知的財産権 当社グループは、新価値を創造して提供する将来事業の優位性・安全性を確保するため、独自の技術やノウハウ等を創出し知的財産権を獲得するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。 知的財産権の獲得について、特定の国及び地域においては、法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない、あるいは保有する知的財産権が無効となるおそれがあり、結果として第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、関係部門と連携して、特許をはじめとする各種知的財産権により技術等の知的資本を戦略的に領域を定めて保護するとともに特許調査等を行い第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。また、訴訟提起された場合には、侵害性や、対象権利の有効性、使用権有無等を迅速に判断して適切に対応しています。 ⑭ 情報セキュリティ 当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守ることは、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、当社グループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、セキュリティ専門組織「情報セキュリティ推進部」を設置し、当社グループ全体でのセキュリティ対策の実施とセキュリティ脆弱性情報の収集・展開・対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。 特に、昨今のサイバー攻撃の手口や内部不正による事案事例に対応するために、アイシングループ横並びの技術対策の展開や情報セキュリティ推進部でのアイシングループ集中の監視体制整備、全従業員に向けた教育・訓練を実施し、対策の強化に努めています。 ⑮ コンプライアンス 当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント、独占禁止法、輸出取引規制違反等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、アイシングループの指針となる「アイシングループサステナビリティ憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、アイシングループ13社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認すると共に、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、活動を推進するのはあくまで人であると考え、ハラスメント、独占禁止法、輸出取引規制違反等に関する個別のコンプライアンス違反防止のための各種教育・啓蒙活動を継続的に行い、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識向上に努めています。また、コンプライアンスリスクの高いグループ会社に対して、重点支援を行い、グループとしてのリスク低減をはかっています。一方で、問題の早期発見・是正に対しては、内部通報窓口を社内外に設置し、早期解決に努めています。 ⑯ 人権 当社グループは、グローバルでの事業遂行における基本として人権の尊重を捉えていますが、サプライチェーンを含む事業活動が人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクは顕在化や取組み不足により社会的信用の失墜につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、「アイシングループサステナビリティ憲章」や、国連指導原則に基づき「アイシングループ人権方針」を策定するとともに、サプライチェーンへは「仕入先サステナビリティガイドライン」を通じ人権方針への理解・支持を求めています。また、アイシングループ人権専門委員会において活動計画を承認しています。人権デュー・ディリジェンスでは外国人労働者に重点を置き、グループ・主要仕入先へのセルフチェックや勉強会、対話・現地確認を通じて必要な指導を行っています。さらに社内外相談窓口の設置、「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム」の企業協働プログラムへの参画等、継続した取組みを推進しています。
FY2024|11,414 文字
3 【事業等のリスク】(1)基本的な考え方 当社グループのリスクマネジメントは、事業活動とともに企業経営のクルマの両輪であると考えています。様々な経営戦略を実行していく中で、外部環境の急激な変化により、経営に影響を与えるリスクが増加しています。そのような成長を阻害する可能性のあるリスクを把握し、コントロールすることと事業継続力強化の両面で取り組んでいきます。 ① 方針 企業がその目的を達成しようとする活動に対して、重大な影響を及ぼす様々なリスクを未然防止・抑制対応し、万が一発生した場合は、経営への影響を最小化し、企業の持続性を保証することで、ステークホルダーの皆様からの期待に応えていきます。 ② 目指す姿~リスクマネジメントの高度化~ 当社は、1997年の刈谷工場火災において、皆様にご迷惑とご心配をおかけしました。これを機に、同じ失敗を繰り返さないようERMを導入し、全社的なリスクマネジメントに取り組んできました。近年、能登半島地震や線状降水帯の頻発など自然災害や部品供給問題、地政学・経済安全保障リスクなど経営を取り巻くリスクは複雑化・多様化しています。 このような中、「リスクマネジメントの高度化=あらゆるリスクを最小化できている状態」を目指し、2022年度からは、経営戦略に関するリスクを含め統合的に管理する新たなリスクマネジメントプロセスを導入し、経営戦略の遂行を阻害する「経営戦略リスク」と、事業の円滑な運営を阻害する「オペレーショナルリスク」の両面から、リスクの予兆を捉え、影響度を適切に分析・評価し「先手を打つ」リスクマネジメントを実践していきます。 (2)リスクマネジメントの体制と取り組み リスクマネジメント推進体制として、社長をはじめCxO、監査役及びグループ11社の社長などが参加するリスクマネジメント委員会を設置しています。当社グループ内のリスク発生状況及び当社グループ内外の環境・動向を踏まえ、グループで取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行い、リスクへの対応力を強化しています。選定した各リスクについてはそれぞれに機能主管部署を定め、グループのリスク対策責任者、推進者を任命し、平時における被害の未然防止・抑制対応、有事の際の早期復旧・被害最小化に取り組んでいます。さらに、これらの対策の有効性評価、改善及び標準化を行い、リスクマネジメントサイクルを回すことでリスクに対する実効性を高めています。 また、定期的な取締役会への報告を通して、事業や戦略に関する議論に資する情報を提供するとともに、リスクマネジメントに関する監督を受けています。 リスクマネジメント体制 リスクマネジメントプロセス (3)重点リスクの選定 当社では年2回のサイクルで、リスクアセスメントを実施し、社内機能部署の専門的な視点、グループ会社の業務特性に基づく視点、及び海外拠点の地理的な視点から、想定されるリスクを洗い出しています。それらのリスクの影響度や発生頻度を軸とした分析結果に、これまでのリスク対策による抑制・軽減度を加味しリスクの評価を行っています。また、これら内部でのリスク評価に加えて、2021年からは外部の視点を追加し、得意先や投資家などのステークホルダーが重要視しているリスクや、グローバルリスクレポートなどの専門機関によるリスクの評価を参考に、リスクマネジメント委員会で最重点リスクと重点リスクを決定しています。 重点リスク選定フロー (4)事業等のリスク 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 ① 経済状況 当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、外部環境の変化に強い収益体質に向けて、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進や既存領域の収益改善活動・構造改革を加速させています。 ② 為替レートの変動 当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生じる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、デリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。 ③ 金融市況の変動 株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、株式保有が企業価値向上に必要不可欠と認められる場合を除き、原則保有しない方針であり、株式保有を通じた共同技術開発や事業提携を推進する必要性がある場合に政策保有株式を保有しています。保有している政策保有株式については、保有意義又は今後の縮減方針等について、取締役会で検証しています。そのうえで、保有が企業価値向上に必要不可欠ではないと判断した場合には、取引先各社との対話を通じて縮減を進めています。 また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。 当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、年金運用の目的やプロセスについて十分に理解している人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。 ④ 原材料や部品の調達 当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内・海外の複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っていますが、昨今の半導体部品に代表されるように需給バランスの急激な変化や、地政学の影響や需要の急激な変化、供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、資源やエネルギー費・労務費等の高騰により当社グループが調達している原材料や部品の価格が上昇し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。 また、価格転嫁に関しては、供給元への能動的な声掛けにより、相談しやすい環境づくりを行い、1社1社、協議のうえ適切な取引を行うと共に、得意先とも共有・協議し、収益逼迫要因とならないよう、回収交渉を推進しております。併せて、供給元と一体になった新材料・新工法開発や工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。 ⑤ 得意先への依存 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において65.5%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、強みである「幅広い商品群」と「ものづくり力」をベースとして、電動化製品を中心に新規顧客の開拓や市場多角化を積極的に推進し、収益の多様化をはかっています。また、既存の顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させることで、長期かつ継続的なパートナーシップを築いています。 ⑥ 価格競争 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や自動車メーカーによる部品の内製化、エレクトロニクス製品メーカーなど新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「幅広い商品群」と「ものづくり力」を強みに、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やIoTやAIを活かした生産性向上をはかるとともに、体制面では「製品開発センター」を新設し、魅力ある製品戦略立案と設計・品質・原価企画により、商品競争力・コスト競争力の強化をはかっています。 ⑦ 新商品開発 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。(ⅰ)新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。(ⅱ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。(ⅲ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。(ⅳ)新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。(ⅴ)技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。(ⅵ)現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、電動化・知能化技術を中心に社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の拡充に取り組んでいます。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスを制御・ソフト領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。 さらに、当社グループが保有する製品群間の連携を促進し、製品横断での技術・商品開発を強化するため、2024年4月に「製品開発センター」を新設しました。既存商品の強みであるアクチュエータや駆動ユニットの電動化といったハードウェアに、センシング技術とソフトウェアを組合せて統合的に制御することで知能化をはかり、付加価値の高い商品に作り上げていきます。また、エネルギー関連分野にも注力し、カーボンニュートラルにつながるエネルギー領域の技術開発を積極的に進めます。 これらの開発は、当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、アイシンらしい魅力ある商品の開発を強力に進めていきます。 ⑧ 海外事業展開 当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱 当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、アセアン・インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。2022年4月には地政学リスクの高まりや複雑化を踏まえ、全社横断的な会議体として「経済安全保障委員会」を設置し、経営トップを中心にレピュテーションを踏まえた高度な判断を必要とする経済安全保障リスクに対応していく体制を構築しています。また、2024年4月、当社グループ経営戦略本部に事業戦略部と地域統括部を設置し、地域毎の事業課題認識と上記リスクを踏まえた事業戦略・地域戦略策定を一元的に行い、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。 ⑨ 事業投資 当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断などに影響を及ぼす可能性があり、当社及び当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、変化の激しい事業環境の中、競争力と成長性を見極めた事業ポートフォリオ変革に努めています。具体的には、電動化・知能化に対応する製品を成長領域と位置づけ、ヒト・モノ・カネのリソーセスシフトを行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 ⑩ 製品の欠陥 当社グループは、お客様に高い品質を確保した商品を提供するため、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、グローバルで各種製品を製造しています。しかしながら、すべての製品について欠陥がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、グローバルで開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制のもと、企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各階段の節目管理を行い、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、以下事項を強化し品質の更なる向上をはかっています。・お客様の要求及び法規認証遵守状況の確認・リスクの高い製品、工法の要素技術に対する審議・海外を含めた仕入先の評価と体質改善・重点領域の電動化に対応したDX活用による開発精度向上 ⑪ 災害等による影響 当社グループは、大規模地震や台風・豪雨等の自然災害、火災・爆発事故や感染症等の人的災害の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらのリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・物流活動が停止、遅延する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループすべてを対象としたリスクマネジメント委員会において、特にリソーセスを投入し取り組むべき重点リスクの審議・方向付けを行い、リスクへの対応力強化に取り組んでいます。甚大な被害が想定される自然災害に対しては、平時から緊急時の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」や、過去の被災経験を標準化したガイド「学び・気づき」に基づき、グループ一体となってリスクの未然防止及び被害最小化を推進しています。その成果として、当期に発生した能登半島地震においてグループ会社が被災しましたが、2016年の熊本地震以降の震災の教訓を活かした吊りものの落下対策や、停電時に備えた自家発電の配備などのグループ全体での取り組みにより、被害を少なくするとともに、生産・納入への影響を限定することができました。一方、新たな課題として今回の地震で深刻な被害を受けた液状化に加え、昨今の線状降水帯により想定を超えた降雨被害が発生しており、引き続きグループを上げて対策に取り組んでいます。 今後も従業員とその家族、顧客を始めとするすべてのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、様々なリスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めています。 ⑫ 気候変動 当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識し、「気候変動への対応」を優先課題(マテリアリティ)の1つとして選定しました。また、TCFD提言に沿ってシナリオを分析し、その対応策を事業戦略に組み込み推進しています。主な脱炭素社会への移行リスクとして、(ⅰ)低炭素原材料の需要が高まり必要な原材料の価格高騰による調達コストの増加(ⅱ)炭素税や再生可能エネルギー導入などの政策によるコストの増加(ⅲ)電動化の推進で電動車向け製品需要が拡大する一方、ガソリン車向け製品需要が減少につながる可能性があります。 こうしたリスクに対し当社グループは「生産」と「製品」の両軸で対応しています。 生産面では、徹底した省エネ活動や革新生産技術開発によるエネルギー使用量削減、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーの導入・切替を実施しています。 製品面では、電動車向け製品の更なる進化、エネルギーと資源の循環・普及を進め、モビリティ・エネルギー技術融合による新価値創出を目指します。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)」をご参照ください。 ⑬ 知的財産権 当社グループは、新価値を創造して提供する将来事業の優位性・安全性を確保するため、独自の技術とノウハウ等を蓄積し知的財産を戦略的に獲得するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。なお、特定の国及び地域においては、法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない可能性があります。また、保有する知的財産権が無効となる可能性があります。そのため、第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、関係部門と連携して、特許をはじめとする各種知的財産権により技術等の知的資本を戦略的に領域を定めて保護するとともに特許調査等を行い第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。また、訴訟提起された場合には、侵害性や、対象権利の有効性、使用権有無等を迅速に判断して適切に対応しています。 ⑭ 情報セキュリティ 当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守ることは、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、当社グループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、セキュリティ専門組織「情報セキュリティ推進部」を設置し、当社グループ全体でのセキュリティ対策の実施とセキュリティ脆弱性情報の収集・展開・対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。 ⑮ コンプライアンス 当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、グループ全役職員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、グループ主要11社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認すると共に、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、活動を推進するのはあくまで人であると考え、各種教育活動を継続的に行い、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識向上に努めています。また、コンプライアンスリスクの高いグループ会社に対して、重点支援を行い、グループとしてのリスク低減をはかっています。一方で、問題の早期発見・是正に対しては、内部通報窓口を社内外に設置し、早期解決に努めています。 ⑯ 人権 当社グループは、国内・海外で事業活動を遂行するうえでの基本として人権の尊重を捉えていますが、サプライチェーンを含めた事業活動が各国・各地域で人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクは顕在化や取組み不足によって、社会的信用の失墜につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、グループ全社員の行動規範である「アイシングループ企業行動憲章」及び「社会的責任を踏まえた行動指針」の中で、人権の尊重を明確に宣言しています。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「アイシングループ人権方針」を策定し、人権尊重へのコミットメントを行うとともに、サプライチェーンに対しても「仕入先サステナビリティガイドライン」を通じて人権方針への理解・支持を求めています。また、「人権専門委員会」を設置し、今後の重点分野・活動計画を承認しています。人権デュー・ディリジェンスの取組みでは、グループ・サプライチェーンに対する主要人権分野に関するセルフチェックや、勉強会、現地での対話・実態確認を通じて、必要な指導・コンテンツ提供等を行い、連携・支援を進めています。さらに、相談窓口の設置・運用、外部専門家との対話、「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム」の活動への参画等、総合的・継続的に人権への取組みを推進しています。
FY2023|11,855 文字
3 【事業等のリスク】(1) 基本的な考え方 当社グループは、持続的成長と安定を目指す上で、リスクマネジメントを重要な経営課題と認識しています。大規模地震や気象変動に伴う河川氾濫などの自然災害、半導体や材料などの逼迫、工業用水や電力、通信ネットワークなどインフラ停止やサイバー攻撃、さらには米中対立などの地政学に起因するリスクといった外部環境に起因するリスクは非常に多様化しており、自社への影響はより甚大になってきています。そのような成長を阻害する可能性のある「リスク」を常に把握し、被害の最小化と事業継続の両面から、リスクマネジメントに取り組んでいます。 (2) リスクマネジメントの体制と取り組み 当社グループは、当社の社長をはじめCxO、監査役、本部長及びグループ各社の社長が参加するリスクマネジメント委員会のもと、リスク対策における平時及び有事の対応に取り組んでいます。平時対応では、各機能部門がリスクの洗い出し、分析・評価、優先付けを行い、リスクマネジメント委員会で重点リスクとして決定しています。重点リスクは各種委員会・リスク機能主管部署がリスク対策(抑止・軽減)、教育訓練・標準化を行っています。これらリスク対策の実施状況は、リスクマネジメント委員会が進捗を管理しています。有事対応では、危機レベルに応じた対策本部を立ち上げ、初動対応から復旧対応等の手順を計画し、早期復旧への対応力を強化しています。 リスクマネジメントプロセス リスクマネジメント体制図 (3)重点リスクの選定 リスクレポート件数、リスクアセスメントインタビュー結果などの内部環境変化、またESG投資家や専門機関のリスク評価などの外部のリスク評価を加味し「重点リスク」を選定しています。また、影響度、発生確率をマッピングし、その上で経営層及び実務責任者の認識をもとに当社グループ経営において極めて重要度が高いリスクを「最重点リスク」と設定しています。リスクは取り巻く環境変化と対応策の進捗について随時モニタリングし、年2回定期的に実施されるリスクマネジメント委員会で見直されます。 重点リスク選定フロー (4) 事業等のリスク 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を 及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリ スクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 ①社会的課題への対応 当社グループは、自動車部品関連、エナジーソリューション関連などの事業領域で多様な製品・サービスを提供していますが、国際社会で持続可能な社会を目指す動きが加速する中で、気候変動、資源枯渇、環境汚染、事故・災害、人権保護など将来予想される社会課題に対する意識の高まりは、市場動向や顧客ニーズに変化をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に適切に対応できない場合、競争力や企業価値の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは2021年4月の経営統合を機に策定したグループ経営理念「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」に基づき、私たちの商品・サービスによって、環境・社会課題に具体解を示し、人々の笑顔あふれる持続可能な社会をつくっていきたいと考えています。このような価値観・取り組みを軸に社会の一員として社会課題の解決に寄与するため、経営課題や重要性からマテリアリティ(優先課題)を絞り込み、解決に向けた具体解としてSDGs2030年目標・KPIを設定した活動へと落とし込んでいます。目標値・KPIに関してはサステナビリティ会議を通じ、取締役社長を議長としてフォローを行っています。また、変化の激しいサステナビリティを巡る課題についても共有を行い、適切な対応に向けた議論を行っています。これらの目標値・KPIは2021年4月の経営統合を機に策定したアイシングループビジョン2030とも連動しています。このような長期ビジョンの実現に向けては、人的資本、知的財産、研究開発費をはじめとする経営資源の適正な配分や事業ポートフォリオに関する戦略策定を中期計画検討会にて議論し、中期経営計画に落とし込んでいます。各年度では、中期経営計画を踏まえた経営方針及び利益計画の達成状況を、取締役会・執行会議等で監督・進捗確認しています。 このような取り組みを通じて、より大きく進化した価値を社会に提供し、事業を通じたサステナビリティ課題に対して適切な対応を行って貢献していきます。 ②経済状況 当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進や、材料・エネルギーの使用量削減など、中長期目線で外部環境の変化に強い収益体質とするべく、構造改革・原価低減活動を加速させています。 また、アイシングループの中核2社の経営統合によるグループ共同活動、効率化の成果をさらに拡大するとともに、恒久的に効果の発生する仕組みにしていきます。 ③為替レートの変動 当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、資金事務手続規定におけるデリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。 ④金融市況の変動 株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは純投資目的での株式は保有しておらず、また、当社グループの企業価値向上に必要不可欠と認められる場合を除き、原則として政策保有株式を保有しない方針です。政策保有株式については、毎年の取締役会で保有の適否を判断しており、中長期的な企業価値の維持・向上に不可欠と認められない株式がある場合は、対象企業との対話を通じて継続的に縮減を進めています。 また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。 当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、運用にあたる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。 ⑤原材料や部品の調達 当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内・海外の複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っていますが、昨今の半導体部品に代表されるように需給バランスの急激な変化や、地政学の影響や需要の急激な変化、供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、資源やエネルギー費などの高騰により当社グループが調達している原材料や部品の価格が上昇し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。また、供給元と一体になった新材料・新工法開発や徹底的なムダ排除を観点とした工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。 ⑥得意先への依存 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において64.6%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これまで培ってきた専門性の高い技術をベースとして、電動化や自動運転をはじめとする次世代・新規領域を中心とした社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の開発や世界のどの地域でも高品質な製品を生産できるグローバル生産体制の整備を推進し、新興国での新たな需要の発掘や世界中の自動車メーカーへの拡販活動を強化しています。 ⑦価格競争 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や自動車メーカーによる部品の内製化、新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、高い技術開発力、圧倒的なものづくり力、グループの総合力により、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やIoTやAIを活かした生産性向上・原単位改革による商品競争力・低コスト競争力の強化など既存事業の更なる競争力向上に取り組んでいます。 ⑧新商品開発 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。(ⅰ)新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。(ⅱ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。(ⅲ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれら の商品の販売が成功する保証はありません。(ⅳ)新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。(ⅴ)技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。(ⅵ)現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の拡充に取り組んでいます。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスを次世代・新規領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。 さらに、カンパニー・グループ会社横断での電気自動車(BEV)向け商品の開発強化に向け2022年4月に設置した「EV推進センター」を中心に、車両全体目線で新たな製品の開発を強化しており、当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、圧倒的に高効率・小型なeAxleなど、アイシンらしい魅力あるBEV向け商品の開発を強力に進めていきます。 ⑨海外事業展開当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、アセアン・インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。2022年4月には地政学リスクの高まりや複雑化を踏まえ、全社横断的な会議体として「経済安全保障委員会」を設置し、経営トップを中心にレピュテーションを踏まえた高度な判断を必要とする経済安全保障リスクに対応していく体制を構築しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。 ⑩事業投資当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への設備投資等の事業投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、設備投資により計上した有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断などに影響を及ぼす可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、変化の激しい事業環境の中、成長領域へ戦略的に資源配分を行い、既存領域事業では集中と選択によって競争力を高め、持続的な成長に向けた事業ポートフォリオ構築に努めています。具体的には、事業軸での6つのカンパニーが、グループ全体視点から将来を見据えた開発のさらなる加速や持続的な事業価値の最大化、重点事業課題への対応等を担っており、中長期目線で事業の方向性を示すプレジデント及び統括役員が意思決定を行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 ⑪製品の欠陥 当社グループは、お客様に高い品質を確保した商品を提供するため、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、グローバルで各種製品を製造しています。しかしながら、すべての製品について欠陥がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制を構築しています。企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各階段の節目管理にて、お客様の要求や法規動向及び、未然防止事項の盛り込みを審議・評価するとともに、サイマルテニアス・エンジニアリング(SE)活動により製品設計段階から、技術、生産技術、工場、仕入先企業が一体となって品質の向上につなげています。量産にあたっては、「ジャストインタイム」と「自働化」によるトヨタ生産方式に基づいた生産を行うとともに、各種品質管理手法を用いて工程を維持・管理し、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、仕入先企業に対するリスク評価及びモニタリング、仕入先企業の能力向上に向けた様々な取り組みにより、仕入先企業の品質レベル向上をはかっています。 ⑫災害等による影響 当社グループは、大規模地震、自然災害、火災・爆発等の事故、感染症、災害等の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループ全てを対象としたリスクマネジメント委員会においてリスクの顕 在化と未然防止をはかり、危機に強い企業づくりに取り組んでいます。当社グループでは、平時(リスク発生前)か ら緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員が リスク発生時に的確な行動をとれるよう教育・訓練を実施するなど啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって推進しています。また、地震など大規模災害に備えて、1.「人命・安全」、2.「地域貢献」、3.「生産復旧」を 基本方針として、災害発生時の対応力を強化しています。 働く人々とその家族、顧客を始めとする全てのステークホルダーの皆さまの健康と安全確保を最優先に考え、様々なリスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めています。 ⑬気候変動 当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識し、「気候変動への対応」をマテリアリティ(優先課題)の1つとして選定しました。また、TCFD提言に沿ってシナリオを分析し、その対応策を事業戦略に組み込み推進しています。主な脱炭素社会への移行リスクとして、 (ⅰ)自動車業界でのガソリン車から電動車へのシフトといった市場・顧客ニーズに適切に対応できない ことによる競争力の低下 (ⅱ)燃費・CO₂規制を導入する国や地域の増加に伴う、カーボンプライシング政策の導入による コストの増加 (ⅲ)政策や顧客ニーズ等により、CO₂排出削減や再生可能エネルギーへの代替などに伴う設備投資や エネルギーコストの増加につながる可能性があります。 こうしたリスクへの対策として、「カーボンニュートラル推進センター」にて、 (ⅰ)グループ全体のカーボンニュートラル戦略の立案と再生エネルギーの導入や調達 (ⅱ)生産CO₂削減に向けたテーマの積み上げと実行 (ⅲ)社外との連携を通じた技術開発や事業化などのCN関連活動をすべて集約し、強力に推進しています。 また、電気自動車(BEV)への移行が加速する中、当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、圧倒的に高効率・小型なeAxleなど、アイシンらしい魅力あるBEV向け商品の開発を強力に進めていくため、2022年4月に「EV推進センター」を設置しました。 高効率な電動ユニット、回生協調ブレーキ、熱マネジメントや空力など、幅広い製品によるモビリティの電動化とエネルギーソリューションでカーボンニュートラルへ貢献する取り組みを強化しています。 ⑭知的財産権 当社グループは、新価値を創造して提供する将来事業の優位性・安全性を確保するため、独自の技術とノウハウ等を蓄積し知的財産を戦略的に獲得するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。なお、特定の国及び地域においては、法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない可能性があります。また、保有する知的財産権が無効となる可能性があります。そのため、第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、関係部門と連携して、特許をはじめとする各種知的財産権により技術と知的財産を戦略的に領域を定めて保護するとともに特許調査等を行い第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。 ⑮情報セキュリティ 当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守る事は、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、アイシングループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、2020年4月よりアイシングループ全体のコーポレートセキュリティガバナンスを強化しました。CSDO(Chief Software Digital Officer)の任命とセキュリティ専門組織情報セキュリティ推進室を設置し、情報セキュリティ推進室ではアイシングループ全体からセキュリティ関連情報の収集・展開とインシデント対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。 ⑯コンプライアンス 当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、グループ全役職員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、グループ主要12社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認すると共に、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、コンプライアンス活動を推進するのはあくまで人であると考え、各種教育活動を継続的に行い、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識向上に努めています。また、問題の早期発見・是正のため、コンプライアンスに関する内部通報窓口を社内外に設置しています。 ⑰人権 当社グループは、国内・海外に多くの拠点を保有し、グローバルな事業活動を実施しています。事業活動を遂行するうえで、人権の尊重を基本として活動していますが、サプライチェーンを含めた事業活動が各国・各地域において潜在的又は実際に、人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクの顕在化や取組み不足によっては、社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、グループ全社員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」の中で、人権の尊重を明確に宣言しています。加えて、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき「アイシングループ人権方針」を策定し、アイシングループの事業活動における人権尊重へのコミットメントを行うとともに、サプライチェーンに対しても「仕入先サステナビリティガイドライン」を通じて「アイシングループ人権方針」への理解・支持を求め、人権侵害の未然防止に努めています。また、「人権専門委員会」を設置し、グループ主要12社の取締役社長と担当役員が、主要人権リスク分野のセルフチェック結果等の人権デュー・ディリジェンスの進捗を確認すると共に、今後の活動計画、重点分野(強制労働、海外・サプライチェーンへの展開強化など)を承認しています。さらに、相談窓口の設置・運用、各階層への教育・定着活動や外部専門家との対話、「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム」の活動への参画等、総合的・継続的に人権への取組みを推進しています。
FY2022|11,645 文字
2 【事業等のリスク】(1) 当社のリスクマネジメント体制 当社グループでは、グループの取締役社長が参画する「リスクマネジメント委員会」において、企業経営に重大な影響を及ぼす様々なリスクを洗い出し、グループ各社が連携してリスクマネジメント体制の強化やリスク対応力の向上に努めています。また、経営会議においては、事業・投資リスクの多面的な検討を行っています。 リスクマネジメント体制 アイシングループ重点リスク設定の考え方 (2) 当社のリスクマネジメントの取り組み 気候変動や資源の枯渇、大規模災害や感染症の流行、半導体などの材料不足などによる事業活動への影響、格差拡大による社会の不安定化など、社会・環境問題が企業の価値創造やビジネスモデルに大きな影響を与える時代になっています。このように経営環境が大きく変化する中、企業の長期的視点での持続的な成長を阻害する可能性のある「リスク」を把握し、適切に対処していくことが求められています。 持続的成長と安定を目指すうえで、リスクマネジメントを重要な経営課題であると位置付けております。1997年に発生した刈谷工場火災の経験を踏まえて発足したリスクマネジメント委員会で企業が直面するリスクを総合的にマネジメントしています。また、平時(リスク発生前)から緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理(リスクマネジメント)ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員がリスク発生時に的確な行動を取れるよう教育・啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって推進しています。 リスクマネジメントプロセス (3) 事業等のリスク 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を 及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリ スクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 ①社会的課題への対応 当社グループは、自動車部品関連、エナジーソリューション関連などの事業領域で多様な製品・サービスを提供していますが、国際社会で持続可能な社会を目指す動きが加速する中で、気候変動、資源枯渇、環境汚染、事故・災害、人権保護など将来予想される社会課題に対する意識の高まりは、市場動向や顧客ニーズに変化をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に適切に対応できない場合、競争力や企業価値の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは2021年4月の経営統合を機に策定したグループ経営理念「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」に基づき、私たちの商品・サービスによって、環境・社会課題に具体解を示し、人々の笑顔あふれる持続可能な社会をつくっていきたいと考えています。このような価値観・取り組みを軸に社会の一員として社会課題の解決に寄与するため、経営課題や重要性から7つのマテリアリティ(優先課題)を絞り込み、解決に向けた具体解としてSDGs2030年目標・KPIを設定した活動へと落とし込んでいます。目標値・KPIに関しては年に1度のサステナビリティ会議を通じ、取締役社長を議長としてフォローを行っています。また、変化の激しいサステナビリティを巡る課題についても共有を行い、適切な対応に向けた議論を行っています。これらの目標値・KPIは2021年4月の経営統合を機に策定したアイシングループビジョン2030とも連動しています。このような長期ビジョンの実現に向けては、人的資本、知的財産、研究開発費をはじめとする経営資源の適正な配分や事業ポートフォリオに関する戦略策定を中期計画検討会にて議論し、中期経営計画に落とし込んでいます。各年度では、中期経営計画を踏まえた経営方針及び利益計画の達成状況を、取締役会・執行会議等で監督しています。 このような取り組みを通じて、より大きく進化した価値を社会に提供し、事業を通じたサステナビリティ課題に対して適切な対応を行って貢献していきます。 ②経済状況 当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進や高い収益力を持つ企業体質へ変革するべく、構造改革・原価低減活動を加速させています。 具体的には、アイシングループの中核2社が経営統合を果たしたことにより、グループ共同活動は一層拡大し、また2社の重複機能や子会社の管理部門集約、事業再編、会社統廃合などの効率化が成果を上げています。今後はこれらの活動をさらに拡大するとともに、恒久的に効果の発生する仕組みにしていきます。 ③為替レートの変動 当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、資金事務手続規定におけるデリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。④金融市況の変動 株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは純投資目的での株式は保有していませんが、当社グループの企業価値を中長期的に維持・向上させることを目的とする政策保有株式を保有しています。政策保有株式については、毎年の取締役会で保有の適否を判断しており、中長期的な企業価値の維持・向上に資すると認められない株式がある場合は、対象企業との対話を通じて継続的に縮減を進めています。 また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。 当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、運用にあたる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。 ⑤原材料や部品の調達 当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を国内・海外の複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っていますが、地政学の影響や需要の急激な変化、供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが調達している原材料や部品の価格が高騰し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化し、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築に努めています。安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。また、供給元と一体になった新材料・新工法開発や徹底的なムダ排除を観点とした工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、最適な価格の維持に努めています。 ⑥得意先への依存 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において62.3%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これまで培ってきた専門性の高い技術をベースとして、電動化や自動運転をはじめとするCASE領域を中心とした社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の開発や世界のどの地域でも高品質な製品を生産できるグローバル生産体制の整備を推進し、新興国での新たな需要の発掘や世界中の自動車メーカーへの拡販活動を強化しています。 ⑦価格競争 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、高い技術開発力、圧倒的なものづくり力、グループの総合力により、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やグローバルベストを活かした生産性向上・原単位改革による商品競争力・低コスト競争力の強化など既存事業の更なる競争力向上に取り組んでいます。 ⑧新商品開発 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。(ⅰ)新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。(ⅱ)長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。(ⅲ)当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれら の商品の販売が成功する保証はありません。(ⅳ)新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。(ⅴ)技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。(ⅵ)現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、CASE領域を中心とした社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の拡充に取り組んでいます。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスをCASE領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。 さらに、当社グループは、CASEに対応する企業構造への変革を進めており、電気自動車(EV)への移行が加速する中、カンパニー・グループ会社横断でのEV向け商品の開発強化に向け、2022年4月、「EV推進センター」を設置しました。当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、圧倒的に高効率・小型なeAxleなど、アイシンらしい魅力あるEV向け商品の開発を強力に進めていきます。 ⑨海外事業展開当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。(ⅰ)予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更(ⅱ)社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響(ⅲ)不利な政治的又は経済的要因の発生(ⅳ)人材の採用と確保の難しさ(ⅴ)テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、中国、豪亜・インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進し、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。2022年4月には地政学リスクの高まりや複雑化を踏まえ、全社横断的な会議体として「経済安全保障委員会」を設置し、経営トップを中心にレピュテーションを踏まえた高度な判断を必要とする経済安全保障リスクに対応していく体制を構築しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。 ⑩事業投資当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への設備投資等の事業投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、設備投資により計上した有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断、当社が保有する関係会社株式や当社連結子会社への貸付金の評価などに影響を及ぼす可能性があり、当社、当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、事業軸での6つのカンパニーが、グループ全体視点から将来を見据えた開発のさらなる加速や持続的な事業価値の最大化、重点事業課題への対応等を担っており、中長期目線で事業の方向性を示すプレジデント及び統括役員が意思決定を行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 ⑪製品の品質不具合 当社グループは、お客様に高い品質を確保した商品を提供するため、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、グローバルで各種製品を製造しています。しかしながら、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制を構築しています。企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各段階において節目管理を実施するとともに、サイマルテニアス・エンジニアリング(SE)活動により製品設計段階から、技術、生産技術、工場、仕入先企業が一体となって品質の向上につなげています。量産にあたっては、「ジャストインタイム」と「自働化」によるトヨタ生産方式に基づいた生産を行うとともに、各種品質管理手法を用いて工程を維持・管理し、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、仕入先企業に対するリスク評価及びモニタリング、仕入先企業の能力向上に向けた様々な取り組みにより、仕入先企業の品質レベル向上をはかっています。 ⑫災害等による影響 当社グループは、大規模地震、自然災害、火災・爆発等の事故、新型ウィルス等の感染症、災害等の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、これらリスクの発生による操業停止で、顧客への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの工場や取引先は、国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループ全てを対象としたリスクマネジメント委員会においてリスクの顕 在化と未然防止をはかり、危機に強い企業づくりに取り組んでいます。当社グループでは、平時(リスク発生前)か ら緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員が リスク発生時に的確な行動をとれるよう教育・啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって 推進しています。また、地震など大規模災害に備えて、1.「人命・安全」、2.「地域貢献」、3.「生産復旧」を 基本方針として、災害発生時の対応力を強化しています。 新型ウイルス等の感染症への対応では、引き続き当社グループが事業を展開している各国・地域の政府及び自治体等の指導に従い、働く人々とその家族、顧客を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え感染拡大の防止に努めるとともに、海外でのロックダウン等の外的要因リスクに対し代替生産やバックアップなどあらゆる手段で顧客への製品・サービスの供給継続に努めています。 ⑬気候変動 当社グループは全世界で事業を展開しているため、中長期にわたり様々な気候変動に関する影響を受けると認識し、「気候変動への対応」をマテリアリティ(優先課題)の1つとして選定しました。また、TCFD提言に沿ってシナリオを分析し、その対応策を事業戦略に組み込み推進しています。 主な脱炭素社会への移行リスクとして、燃費・CO₂規制を導入する国や地域の増加に伴う自動車業界でのガソリン車から電動車へのシフトによって、再生可能エネルギーへの代替などに伴う製造コストの増加や、市場・顧客ニーズに適切に対応できず競争力や企業価値の低下につながる可能性があります。 こうしたリスクへの対策として、2021年8月に「カーボンニュートラル推進センター」を新設し、①グループ全体のカーボンニュートラル(CN)戦略の立案と再生エネルギーの導入や調達②生産CO₂削減に向けたテーマの積み上げと実行③社外との連携を通じた技術開発や事業化などのCN関連活動をすべて集約し、強力に推進しています。 また、電気自動車(EV)への移行が加速する中、当社グループの持つ様々な技術を結集し、さらに機動的な社外連携も実施しながら、圧倒的に高効率・小型なeAxleなど、アイシンらしい魅力あるEV向け商品の開発を強力に進めていくため、2022年4月に「EV推進センター」を設置しました。 現在アイシングループのパワートレイン事業に関する電動化商品売上高比率は約12%(2021年度)ですが、更に加速する電動化に対応するため、2030年までに電動化商品売上高比率を50%に引き上げる目標を設定しました。また、高効率な電動ユニット、回生協調ブレーキ、熱マネジメントや空力など、幅広い製品によるモビリティの電動化とエネルギーソリューションでカーボンニュートラルへ貢献する取り組みを強化しています。 ⑭知的財産権 当社グループは、他社製品と差別化をはかるため、独自の技術とノウハウ等を蓄積し知的財産を適切に保護するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。しかし、特定の国及び地域においては、法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない可能性があります。また、保有する知的財産権が無効となる可能性があります。そのため、第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、関係部門と連携して、特許をはじめとする各種知的財産権により技術と知的財産の保護を行うとともに特許調査等を行い第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。 ⑮情報セキュリティ 当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守る事は、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、アイシングループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、2020年4月よりアイシングループ全体のコーポレートセキュリティガバナンスを強化しました。CSDO(Chief Software Digital Officer)の任命とセキュリティ専門組織情報セキュリティ推進室を設置し、情報セキュリティ推進室ではアイシングループ全体からセキュリティ関連情報の収集・展開とインシデント対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。 ⑯コンプライアンス 当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、グループ全役職員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置し、グループ主要12社の取締役社長、担当役員、常勤監査役が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況及び当社グループの課題を確認すると共に、次年度の活動方針、実施事項を承認しています。さらに、コンプライアンス活動を推進するのはあくまで人であると考え、各種教育活動を継続的に行い、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識向上に努めています。 ⑰人権 当社グループは、国内・海外に多くの拠点を保有し、グローバルな事業活動を実施しています。事業活動を遂行するうえで、人権の尊重を基本として活動していますが、サプライチェーンを含めた事業活動が各国・各地域において潜在的又は実際に、人権へ影響を及ぼすリスクがあると認識しています。これらのリスクの顕在化や取組み不足によっては、社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、グループ全社員の行動規範となる「アイシングループ企業行動憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」の中で、人権の尊重を明確に宣言しています。加えて、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき「アイシングループ人権方針」を策定しておりアイシングループすべての事業活動における人権尊重へのコミットメントを行うとともに、仕入先に対しても「仕入先サステナビリティガイドライン」を通じて「アイシングループ人権方針」への理解・支持を求め、サプライチェーンも含めた人権侵害の未然防止に努めています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決定する「企業行動倫理委員会」の下部組織として「人権専門委員会」を設置し、グループ主要12社の取締役社長と担当役員が、人権デュー・ディリジェンスの進捗や人権リスクへの対応を確認すると共に、次年度の活動計画、重点分野(強制労働、サプライチェーンへの展開など)を承認しています。さらに、相談窓口の設置・運用、教育活動や外部専門家との対話、外部人権団体への参画等、総合的・継続的に人権への取組みを推進しています。
FY2021|10,446 文字
2 【事業等のリスク】 当社グループでは、グループ主要4社の取締役社長が参画する「リスクマネジメント委員会」において、企業経営に重大な影響を及ぼす様々なリスクを洗い出し、グループ各社が連携してリスクマネジメント体制の強化やリスク対応力の向上に努めています。また、経営会議においては、事業・投資リスクの多面的な検討を行っています。 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 社会的課題への対応 当社グループは、自動車部品関連、住生活・エネルギー関連などの事業領域で多様な製品・サービスを提供していますが、国際社会で持続可能な社会を目指す動きが加速する中で、気候変動、資源枯渇、環境汚染、事故・災害など将来予想される社会課題に対する意識の高まりは、市場動向や顧客ニーズに変化をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に適切に対応できない場合、競争力や企業価値の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、“移動”に感動を、未来に笑顔を届けるため、社会課題を解決するソリューションを提供し、安心・快適な“移動”を実現することで、ステークホルダーの皆さまからパートナーと呼ばれる企業グループをめざし、持続可能な社会の実現に貢献する企業行動の実践を推進しています。このような価値観・取り組みは、2016年1月に発効した国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」と親和性が高く、今後も、事業活動を通じ、SDGsの達成に貢献できると考えています。これらの活動を加速していくため、当社グループとして注力していく7つのマテリアリティ(優先課題)に対し、KPI(重要業績評価指標)と2030年度目標を設定し、社長を議長としたサステナビリティ会議にて当社グループの取り組みを議論しています。今後もステークホルダーの皆さまに積極的に情報発信するよう努めていきます。 (2) 経済状況 当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進やリーンな企業体質への変革を進めています。リーンな企業体質に向けては、市場の激しい変化に耐えうるよう、固定費の削減を徹底して進め、「スクラップ&ビルド」「分社経営からグループ経営」をキーワードに、事業、組織、業務のそれぞれにおいて改革を進めています。また、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みを加速し、あらゆる業務プロセスの革新を実現するデジタル経営基盤を確立するとともに、グループ全体視点で保有資産・経営資源の有効活用を進め、さらなる企業価値の向上をはかっていきます。 (3) 為替レートの変動 当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、資金事務手続規定におけるデリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。 (4) 金融市況の変動 株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは純投資目的での株式は保有していませんが、当社グループの企業価値を中長期的に維持・向上させることを目的とする政策保有株式を保有しています。政策保有株式については、毎年の取締役会で保有の適否を判断しており、中長期的な企業価値の維持・向上に資すると認められない株式がある場合は、縮減を検討します。 また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。 当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、運用にあたる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。 (5) 原材料や部品の調達 当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、取引基本契約を結び、安定的な取引を行っていますが、需要の急激な変化や供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが調達している原材料や部品の価格が高騰し、内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給と急激な需給変動の要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化するとともに、供給元と一体になった新材料・新工法開発や徹底的なムダ排除を観点とした工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築、最適な価格の維持に努めています。また、安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。 (6) 得意先への依存 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において60.7%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これまで培ってきた専門性の高い技術をベースとして、電動化や自動運転をはじめとするCASE領域を中心とした社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の開発や世界のどの地域でも高品質な製品を生産できるグローバル生産体制の整備を推進し、新興国での新たな需要の発掘や世界中の自動車メーカーへの拡販活動を強化しています。 (7) 価格競争 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、高い技術開発力、圧倒的なものづくり力、グループの総合力により、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やグローバルベストを活かした生産性向上・原単位改革による商品競争力・低コスト競争力の強化など既存事業の更なる競争力向上に取り組んでいます。 (8) 新商品開発当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。③当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。④新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、CASE領域を中心とした社会課題の解決に貢献するソリューション型商品の拡充に取り組んでいます。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスをCASE領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。 さらに、当社グループは、CASEに対応する企業構造への変革を進めており、電動駆動モジュールの開発・拡販強化に向け、株式会社デンソーと合弁で株式会社BluE Nexus(ブルーイーネクサス)を2019年4月に設立するとともに、自動運転や車両運動制御等に必要な統合制御ソフトウェアの開発を行うJ-QuAD DYNAMICSを当社、株式会社アドヴィックス、株式会社ジェイテクト、株式会社デンソーの4社で2019年4月に設立するなど、CASE領域での開発、販売、生産体制の強化にも積極的に取り組んでいます。 (9) 海外事業展開 当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響③不利な政治的又は経済的要因の発生④人材の採用と確保の難しさ⑤テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、豪亜、中国、インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進しており、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。 (10) 事業投資当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への設備投資等の事業投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、設備投資により計上した有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断、当社が保有する関係会社株式や当社連結子会社への貸付金の評価などに影響を及ぼす可能性があり、当社、当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、事業軸での6つのカンパニーが、グループ全体視点から将来を見据えた開発のさらなる加速や持続的な事業価値の最大化、重点事業課題への対応等を担っており、中長期目線で事業の方向性を示すプレジデント及び統括役員が意思決定を行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに経営会議、執行会議、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 (11) 製品の品質不具合当社グループは、お客様に高い品質を確保した商品を提供するため、厳格な品質管理体制や品質管理基準に従い、グローバルで各種製品を製造しています。しかしながら、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制を構築しています。企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各段階において節目管理を実施するとともに、サイマルテニアス・エンジニアリング(SE)活動により製品設計段階から、技術、生産技術、工場、仕入先企業が一体となって品質の向上につなげています。量産にあたっては、「ジャストインタイム」と「自働化」によるトヨタ生産方式に基づいた生産を行なうとともに、各種品質管理手法を用いて工程を維持・管理し、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、仕入先企業に対するリスク評価及びモニタリング、仕入先企業の能力向上に向けた様々な取り組みにより、仕入先企業の品質レベル向上をはかっています。 (12) 災害等による影響当社グループは、大規模地震、自然災害、火災・爆発等の事故、感染症など災害等の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、当社グループの工場、又はその周辺地域での大きな事故の発生や、大規模地震、自然災害、感染症の蔓延等による操業停止で、得意先への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの国内工場や取引先は、中部地区をはじめ国内外に所在しており、これらの地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。また、新型ウイルス等の感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、個人消費の低迷、国内外のサプライチェーンの停滞、当社グループの事業活動の停滞など、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対処するために、当社グループ全てを対象としたリスクマネジメント委員会においてリスクの顕在化と未然防止をはかり、危機に強い企業づくりに取り組んでいます。当社グループでは、平時(リスク発生前)から緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員がリスク発生時に的確な行動をとれるよう教育・啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって推進しています。また、地震など大規模災害に備えて、1.「人命・安全」、2.「地域貢献」、3.「生産復旧」を基本方針として、災害発生時の対応力を強化しています。新型ウイルス等の感染症への対応では、当社グループが事業を展開している国・地域において、現地の政府及び自治体等の指導に沿った対応をしています。また、新型ウイルス等の発生及び感染拡大に対して、当社グループの従業員及びその家族の健康に配慮し、国内外の出張や渡航の制限など管理強化をするとともに、在宅勤務の推奨や、テレビ会議の活用等の感染防止策に取り組むなど、事業への影響を最小限に抑えるよう日々努めています。 (13) 気候変動当社グループは、「"移動"に感動を、未来に笑顔を。」をアイシングループ経営理念の基本とし、自然と調和し、誰もが安心して暮らせる社会の構築をめざして、2050年カーボンニュートラルの実現など、環境貢献の取り組みを全方位で加速しています。当社グループは、気候変動への対応を注力していくマテリアリティ(優先課題)の1つとして選定し、グループの総力を結集して中長期の削減シナリオづくりや生産技術の確立を進め、排出量低減に努めています。また、2019年11月にTCFDに賛同し、TCFD提言に沿ったシナリオ分析の実施により、リスクと機会を明確にし、企業の強靭性を開示しています。脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税導入や再生可能エネルギーへの代替などに伴う製造コストの増加や、市場・顧客ニーズに適切に対応できず競争力や企業価値の低下につながる可能性があります。また、物理的リスクとして、局地的な暴風雨や干ばつなど異常気象の深刻化により、当社グループの生産オペレーションやサプライチェーンに悪影響を及ぼし、生産能力の低下や製品供給の遅延といった事態を引き起こす可能性があります。当社グループは、気候変動をリスクとしてだけではなく、機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決してくことをめざしています。当社グループは、脱炭素社会への移行リスクに対処するため、CO₂削減に寄与する電動化商品の売上高比率を2030年には50%以上とする目標を掲げ、電動化商品の商品ラインアップの拡充に向けた開発の加速や電動化商品の拡販に向けた世界各地域での生産体制の強化に取り組んでいます。また、エネルギー関連商品の需要拡大に向けて、事業の柱であるエネファームの新モデルを2020年4月から市場投入するなど、CO₂削減に貢献するクリーンエネルギー関連商品の開発・販売に取り組んでいます。物理的リスクへの対応としては、上記、「(5)原材料や部品の調達」、「(12)災害等による影響」に記載のとおり、サプライチェーンに対するリスクマネジメントの強化などに取り組んでいます。 (14) 知的財産権当社グループは、他社製品と差別化をはかるため、独自の技術とノウハウ等を蓄積し知的財産を適切に保護するとともに、第三者の知的財産権侵害のリスク軽減に努めています。しかし、特定の国及び地域においては、法的要件により、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない可能性があります。また、保有する知的財産権が無効となる可能性があります。そのため、第三者による当社グループの知的財産権の不正使用あるいは権利侵害を防ぐための手段が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起されることにより訴訟費用が発生する可能性があります。こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、関係部門と連携して、特許をはじめとする各種知的財産権により技術と知的財産の保護を行うとともに特許調査等を行い第三者の知的財産権の侵害予防に努めています。 (15) 情報セキュリティ当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守る事は、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、アイシングループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、2020年4月よりアイシングループ全体のコーポレートセキュリティガバナンスを強化しました。CDO(Chief Digital Officer)やセキュリティ専門組織であるGA-CSC(Global AISIN-Corporate Security Center)を任命・設置し、GA-CSCではアイシングループ全体からセキュリティ関連情報の収集・展開とインシデント対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。 (16) コンプライアンス当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、グループ全役職員の行動規範となる「アイシングループ企業行動倫理憲章」及びその具体的な行動基準となる「社会的責任を踏まえた行動指針」を策定しています。また、コンプライアンスに関わる方針・体制を決める会議体として、「企業行動倫理委員会」を設置しています。グループ主要4社の取締役社長と担当役員が、法令遵守を含むコンプライアンスの活動状況を確認すると共に、次年度の活動方針、重点活動分野(独占禁止法、腐敗防止、ハラスメントなど)を承認しています。さらに、コンプライアンス活動を推進するのはあくまで人であると考え、各種教育活動を継続的に行い、従業員一人ひとりのコンプライアンス意識向上に努めています。
FY2020|10,126 文字
2 【事業等のリスク】 当社グループでは、グループ主要5社の取締役社長が参画する「(連結)危機管理委員会」において、企業経営に重大な影響を及ぼす様々なリスクを洗い出し、グループ各社が連携してリスクマネジメント体制の強化やリスク対応力の向上に努めています。また、グループ経営委員会においては、事業・投資リスクの多面的な検討を行っています。 当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を以下に記載しています。なお、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した以外にも投資家の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 社会的課題への対応 当社グループは、自動車部品関連、住生活・エネルギー関連などの事業領域で多様な製品・サービスを提供していますが、国際社会で持続可能な社会を目指す動きが加速する中で、気候変動、資源枯渇、環境汚染、事故・災害など将来予想される社会的課題に対する意識の高まりは、市場動向や顧客ニーズに変化をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に適切に対応できない場合、競争力や企業価値の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、創業以来、「品質至上」を経営理念の基本とし、お客様に喜ばれる魅力ある商品づくりに取り組むとともに、「豊かな社会づくりへの貢献」「社会・自然との調和」を経営理念に掲げ、持続可能な社会の実現に貢献する企業行動の実践を推進しています。このような価値観・取り組みは、2016年1月に発効した国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」と親和性が高く、今後も、事業活動を通じ、SDGsの達成に貢献できると考えています。これらの活動を加速していくため、サステナビリティ会議において、当社グループとして注力していく7つのマテリアリティ(優先課題)に対し、KPI(重要業績評価指標)と2030年度目標を設定するとともに、当社グループの取り組みをステークホルダーに積極的に情報発信するよう努めています。 (2) 経済状況 当社グループの連結売上収益のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。したがって、日本、北米、欧州、中国、タイ、インドネシア、インドなど当社グループの主要市場における経済や景気及びそれに伴う自動車需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化や自動車需要の動向を常に注視するとともに、需要変動に対応した柔軟な生産体制づくりの推進やリーンな企業体質への変革を進めています。リーンな企業体質に向けては、市場の激しい変化に耐えうるよう、固定費の削減を徹底して進め、「スクラップ&ビルド」「分社経営からグループ経営」をキーワードに、事業、組織、業務のそれぞれにおいて改革を進めています。(3) 為替レートの変動 当社グループは、海外連結子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しており、現地通貨建ての項目は、現地通貨における価値に変動がない場合も、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替レートの変動の影響を受ける場合があり、当社グループが日本で生産し、輸出する取引における他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、通貨別に為替リスクを測定したうえでヘッジ効果とヘッジコストを勘案し、許容可能な為替リスク量まで為替リスクを軽減するため、資金事務手続規定におけるデリバティブ取扱要領に従い、為替予約、通貨スワップ、通貨オプションを利用してヘッジをしています。 (4) 金融市況の変動 株式市況の低迷等により当社グループの保有する株式等の価値変動が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは純投資目的での株式は保有していませんが、当社グループの企業価値を中長期的に維持・向上させることを目的とする政策保有株式を保有しています。政策保有株式については、毎年の締役会で保有の適否を判断しており、中長期的な企業価値の維持・向上に資すると認められない株式がある場合は、縮減を検討します。 また、市場の金利状況により、資金運用・資金調達の受取・支払利息が増減し、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、資産と負債の統合管理をはかるとともに、金利スワップ等により金利変動によるリスクを軽減するための対策を講じています。 当社グループの確定給付制度債務の算出において前提条件とした割引率・制度資産などについて、金融市況の悪化により、実際の結果が前提条件よりも低下・減少することで当社グループの確定給付制度債務が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、運用にあたる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取り組みにより、企業年金が運用の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう努めています。また、政府の規制や人材戦略・人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討、実施しています。 (5) 原材料や部品の調達 当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を複数のグループ外供給元から調達しています。これらのグループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、需要の急激な変化や供給元が災害等により被災するなど供給能力の制約や物流機能の低下等により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが調達している原材料や部品の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や販売価格への転嫁などにより影響を吸収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、得意先への製品の継続的な供給と急激な需給変動の要請に応えられるよう、供給元とのコミュニケーションを強化するとともに、供給元と一体になった新材料・新工法開発や徹底的なムダ排除を観点とした工程改善による原価低減活動を積極的に推進することなどにより、確実な納期の確保、安定的かつ柔軟な供給体制の構築、最適な価格の維持に努めています。また、安定的な生産や調達活動に影響を及ぼす自然災害や火災などへの対応として、平時から災害に備えるとともに、サプライチェーン情報管理システムを整備するなど有事の際の迅速な初動・復旧を確実に実行できるよう取り組んでいます。(6) 得意先への依存 当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業は、世界の主要自動車メーカーを得意先としています。当社グループの業績は、各自動車メーカーの業績や販売・生産動向の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受ける可能性があります。また、当社グループの連結売上収益に占めるトヨタグループに対する連結売上収益の割合は、当連結会計年度において61.0%を占めており、トヨタグループの事業戦略や購買政策等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これまで培ってきた専門性の高い技術をベースとして、電動化、自動運転をはじめとするCASEに対応する製品・技術の開発や世界のどの地域でも高品質な製品を生産できるグローバル生産体制の整備を推進し、新興国での新たな需要の発掘や世界中の自動車メーカーへの拡販活動を強化しています。 (7) 価格競争当社グループの連結売上収益の大部分を占める自動車部品事業におけるグローバルでの価格競争は、大変厳しいものとなっています。得意先からの価格引き下げ要請や、新しい競合先の台頭や既存の競合先間の提携などにより、価格競争力や製品の優位性が維持できない場合には、当社グループ製品に対する需要の低下及び製品価格の低下を通じて、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、高い技術開発力、圧倒的なものづくり力、グループの総合力により、高品質で高い付加価値を有する自動車関連製品をグローバルで供給し続けることで優位性を確保するとともに、事業環境を見極めたグローバルでの効率的な事業体制の構築やグローバルベストを活かした生産性向上・原単位改革による商品競争力・低コスト競争力の強化など既存事業の更なる競争力向上に取り組んでいます。 (8) 新商品開発当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、環境・燃費、安全・安心、快適・利便を追求した独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。③当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。④新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、CASE領域に対応する技術・商品・サービスの開発を強化しています。電動駆動ユニットや駐車支援システムなど、商品ラインアップの拡充に向けて、競争力が弱く、成長が望めない商品への開発リソーセスをCASE領域へシフトするとともに、デジタル開発による効率化をはかり、商品開発を加速していきます。また、あらゆる領域で自前主義にこだわらずパートナーとの技術連携を積極的に取り入れ、新規事業の開拓も加速していきます。 さらに、当社グループは、CASEに対応する企業構造への変革を進めており、電動駆動モジュールの開発・拡販強化に向け、株式会社デンソーと合弁で株式会社BluE Nexus(ブルーイーネクサス)を2019年4月に設立するとともに、自動運転や車両運動制御等に必要な統合制御ソフトウェアの開発を行うJ-QuAD DYNAMICSを当社、株式会社アドヴィックス、株式会社ジェイテクト、株式会社デンソーの4社で2019年4月に設立するなど、CASE領域での開発、販売、生産体制の強化にも積極的に取り組んでいます。 (9) 海外事業展開 当社グループは、世界の主要自動車メーカーの近くで多様なニーズに対応し、高い付加価値を有する製品を開発、提供できるよう、グローバルな供給体制を構築しています。当社グループが事業を展開している国又は地域における事業運営には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響③不利な政治的又は経済的要因の発生④人材の採用と確保の難しさ⑤テロ、戦争、疾病その他の要因による社会的混乱当社グループは、国内グループ会社に加え、北中南米、欧州、豪亜、中国、インドを統括する各地域統括本部長が、グループに共通する経営上のリスクと国や地域によって異なるリスクの情報を共有することによって効果的な対策を推進しており、グローバルな視点でリスクマネジメントを強化しています。また、当社グループが事業展開する国又は地域の経済・政治・社会的状況に加えて、事業に関連する各国の環境関連規制、製品の安全性・品質関連規制、輸出入関連規制の情報をタイムリーに収集し、適時適切な対応をとっています。 (10) 事業投資当社グループは、グローバルでの事業拡大に向け、成長領域や需要の拡大が見込まれる事業への設備投資等の事業投資を行い、更なる企業価値の向上に努めています。しかしながら、投資判断時に想定していなかった水準で、市場環境や経営環境が悪化し、事業計画との乖離等により期待されるキャッシュ・フローが創出できない場合、設備投資により計上した有形固定資産の減損処理などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社連結子会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、繰延税金資産の回収可能性の判断、当社が保有する関係会社株式や当社連結子会社への貸付金の評価などに影響を及ぼす可能性があり、当社、当社連結子会社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、事業軸での6つのカンパニーが、グループ全体視点から将来を見据えた開発のさらなる加速や持続的な事業価値の最大化、重点事業課題への対応等を担っており、中長期目線で事業の方向性を示すプレジデント及び統括役員が意思決定を行っています。また、当社グループの中長期の方向性及びグループを含めた意思決定については、取締役会運用基準に則り、取締役会にて審議・決議するとともに、グループ経営委員会、執行委員会、各種機能会議等で、当社グループ各社の業績や重要な投資に対してのモニタリングを実施し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。 (11) 製品の品質不具合当社グループは、「品質至上」を経営理念の基本に据え、お客様に喜ばれる魅力あるものづくりに取り組んでいます。しかしながら、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、徹底したTQM(Total Quality Management 総合的品質管理)活動を続け、開発から生産にいたるまで、厳格な品質保証体制を構築しています。企画、製品設計、生産準備から量産にいたる各段階において節目管理を実施するとともに、サイマルテニアス・エンジニアリング(SE)活動により製品設計段階から、技術、生産技術、工場、仕入先企業が一体となって品質の向上につなげています。量産にあたっては、「ジャストインタイム」と「自働化」によるトヨタ生産方式に基づいた生産を行なうとともに、各種品質管理手法を用いて工程を維持・管理し、お客様の信頼に応えるものづくりを実践しています。また、仕入先企業に対するリスク評価及びモニタリング、仕入先企業の能力向上に向けた様々な取り組みにより、仕入先企業の品質レベル向上をはかっています。 (12) 災害等による影響当社グループは、大規模地震、自然災害、火災・爆発等の事故、感染症など災害等の発生により、グループ会社に人的・物的被害が生じるリスクを想定しており、当社グループの工場、又はその周辺地域での大きな事故の発生や、大規模地震、自然災害、感染症の蔓延等による操業停止で、得意先への製品供給に支障をきたした場合、財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社グループの国内工場や取引先の多くは、中部地区に所在しており、この地域で大規模な災害等が発生した場合、生産・納入活動が遅延・停止する可能性があります。また、新型ウイルス等の感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、個人消費の低迷、国内外のサプライチェーンの停滞、当社グループの事業活動の停滞など、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、CRO(Chief Risk Officer)のもとリスクの顕在化と未然防止をはかり、危機に強い企業づくりに取り組んでいます。当社グループでは、平時(リスク発生前)から緊急時(リスク発生時)の対応に関する実践要領をまとめた「危機管理ガイド」に基づき、一人ひとりの従業員がリスク発生時に的確な行動をとれるよう教育・啓発活動に取り組み、災害に強い企業づくりをグループ一体となって推進しています。また、地震など大規模災害に備えて、1.「人命・安全」、2.「地域貢献」、3.「生産復旧」を基本方針として、災害発生時の対応力を強化しています。 新型ウイルス等の感染症への対応では、当社グループが事業を展開している国・地域において、現地の政府及び自治体等の指導に沿った対応をしています。また、新型ウイルス等の発生及び感染拡大に対して、当社グループの従業員及びその家族の健康に配慮し、国内外の出張や渡航を原則禁止するとともに、在宅勤務の推奨や、テレビ会議の活用等の感染防止策に取り組むとともに、事業への影響を最小限に抑えるよう日々努めています。 (13) 気候変動当社グループは、「地球環境と人類が調和した持続可能な社会を実現すること」を目指し、注力すべきマテリアリティ(優先課題)の1つとして選定しました。2030年にライフサイクル(資源の採取、原材料の加工、商品の生産、消費、廃棄などの各過程)でのCO₂排出量25%削減に向け、グループの総力を結集して中長期の削減シナリオづくりや生産技術の確立を進め、排出量低減に努めています。しかしながら、脱炭素社会への移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)や気候変動に関連する物理的リスクは、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。脱炭素社会への移行リスクとして、再生可能エネルギーへの代替などに伴う製造コストの増加や、市場・顧客ニーズに適切に対応できず競争力や企業価値の低下につながる可能性があります。また、物理的リスクとして、局地的な暴風雨や干ばつなど異常気象の深刻化により、当社グループの生産オペレーションやサプライチェーンに悪影響を及ぼし、生産能力の低下や製品供給の遅延といった事態を引き起こす可能性があります。一方で、当社グループは気候変動を機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決してくことをめざしています。当社グループは、脱炭素社会への移行に対処するため、生産活動でのCO₂排出削減の加速に加え、最適なエネルギー調達方法の中長期・短期事業戦略への反映や、CO₂削減に寄与する電動化商品の売上高比率を2030年には50%以上とする目標を掲げ、電動化商品の商品ラインアップの拡充に向けた開発の加速や電動化商品の拡販に向けた世界各地域での生産体制の強化に取り組んでいます。また、物理的リスクへの対応として、上記、「(5)原材料や部品の調達」、「(12)災害等による影響」に記載のとおり、サプライチェーンに対するリスクマネジメントの強化などに取り組んでいます。 (14) 知的財産権当社グループは、他社製品と差別化をはかるため、独自の技術とノウハウ等の蓄積及び知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めています。しかし、特定の国及び地域においては、法的制限のため、知的財産の完全な保護が不可能又は限定的にしか保護されない状況にあります。そのため、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない可能性や、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、将来的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起される可能性があります。こうしたリスクに対処するために、当社グループでは、知的財産管理の専門部署を設け、知的財産権の確実な取得と保全に努めています。具体的には、当社グループの競争力強化に貢献するため商品企画の段階から知的財産部が関わり、特許情報に基づき他社の特許ポートフォリオや開発動向を把握し、開発の方向性をガイドするほか、次世代成長領域への知財支援をしています。 (15) 情報セキュリティ当社グループでは、日々巧妙化するサイバー攻撃等の脅威や「会社情報」「得意先・お客様情報」等の情報漏洩から守る事は、リスク管理上の重要課題と捉え、情報セキュリティの強化に取り組んでいます。しかしながら、サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、情報システム等に障害が生じる場合や、機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。また、サプライチェーン等の事業活動が一時的に中断する可能性があります。このような事象が発生した場合、当社グループの事業活動の停滞や社会的信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「アイシングループ情報セキュリティ基本方針」を基本に、お客様や取引先からお預かりした、又は当社グループが保有する事業活動に関わる情報資産は、当社グループの重要な資産であるとの認識に立ち、組織的かつ継続的に情報セキュリティ対策に取り組んでいます。また、アイシングループ全体のサイバー攻撃や内部不正等のリスクから企業を守るため、2020年4月よりアイシングループ全体のコーポレートセキュリティガバナンスを強化しました。新たにCDO(Chief Digital Officer)を任命し、セキュリティ専門組織であるAG-CSC(AISIN Group Corporate Security Center)を設置しました。AG-CSCではアイシングループ全体からセキュリティ関連情報の収集・展開とインシデント対応を行い、早期検知と迅速な対応に努めています。 (16) コンプライアンス当社グループは、事業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があります。また、社会情勢の変化、価値観や働き方などの多様化に伴い、ハラスメント等のリスクが増加する可能性があります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的信用の失墜による事業への悪影響などにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、法令順守を含む企業倫理に関する重要事項について審議し、その方針を決定する会議体として、「(連結)企業行動倫理委員会」を設置し、グループ主要13社の取締役社長と担当役員が、活動方針や独占禁止法、贈収賄・腐敗防止等の法令の順守状況を確認しています。また、コンプライアンス活動を推進するのはあくまで人であると考え、従業員に対する階層別研修、職場管理者や役員向けの研修を行い、継続的なコンプライアンス意識の浸透に努めています。
FY2019|3,203 文字
2 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経済状況 当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 原材料・部品の供給 当社グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。この場合、当社グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 特定の得意先への販売依存度 当社グループは、自動車部品及び住生活・エネルギー関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主として国内外の主要自動車メーカーを得意先としています。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱及びトヨタグループ(関連会社を含む)への販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高 2兆3,168億円、総販売実績に対する割合は、57.3%となっています。従って、同社及び同グループの販売数量の変動は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 為替レート変動の影響 当社グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上に占める海外売上比率は、当連結会計年度においては53.7%となっています。 海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル、ユーロ、タイバーツ及び人民元に対する円高)は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、為替ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、為替レートの変動は当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 海外市場への事業進出 当社グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有していますが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響③不利な政治的又は経済的要因の発生④人材の採用と確保の難しさ⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱 (6) 新商品開発 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、継続して独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。③当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。④新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 製品の品質不具合 当社グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいます。しかし、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 災害や停電等による影響 当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、当社グループの国内工場の多くは、中部地区に所在しています。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係る影響 当社グループは、企業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きは、当社グループの事業、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|3,188 文字
2 【事業等のリスク】 当社グループの経営成績及び財務状況等(株価などを含む。)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経済状況 当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 原材料・部品の供給 当社グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。この場合、当社グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 特定の得意先への販売依存度 当社グループは、自動車部品及び住生活・エネルギー関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主として国内外の主要自動車メーカーを得意先としています。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱及びトヨタグループ(関連会社を含む)への販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高 2兆2,671億円、総販売実績に対する割合は、58.0%となっています。従って、同社及び同グループの販売数量の変動は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 為替レート変動の影響 当社グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上に占める海外売上比率は、当連結会計年度においては53.6%となっています。 海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル、ユーロ、タイバーツ及び人民元に対する円高)は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、為替ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、為替レートの変動は当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 海外市場への事業進出 当社グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有していますが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響③不利な政治的又は経済的要因の発生④人材の採用と確保の難しさ⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱 (6) 新商品開発 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、継続して独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。③当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。④新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 製品の品質不具合 当社グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいます。しかし、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 災害や停電等による影響 当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、当社グループの国内工場の多くは、中部地区に所在しています。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係る影響 当社グループは、企業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きは、当社グループの事業、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|3,202 文字
4 【事業等のリスク】 当社グループの経営成績及び財務状況等(株価などを含む。)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2017年6月19日)現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経済状況 当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当社グループが製品を販売している国又は地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 原材料・部品の供給 当社グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。この場合、当社グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 特定の得意先への販売依存度 当社グループは、自動車部品及び住生活・エネルギー関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主として国内外の主要自動車メーカーを得意先としています。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱及びトヨタグループ(関連会社を含む)への販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高 2兆1,412億円、総販売実績に対する割合は、60.1%となっています。従って、同社及び同グループの販売数量の変動は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 為替レート変動の影響 当社グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上に占める海外売上比率は、当連結会計年度においては52.3%となっています。 海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上の重要部分を占める米ドル、ユーロ、タイバーツ及び人民元に対する円高)は、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当社グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、為替ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、為替レートの変動は当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 海外市場への事業進出 当社グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有していますが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの活動への悪影響③不利な政治的又は経済的要因の発生④人材の採用と確保の難しさ⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱 (6) 新商品開発 当社グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、継続して独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品又は新技術の創造へつながる保証はありません。③当社グループが市場からの支持を獲得できる新商品又は新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。④新たに開発した商品又は技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当社グループの商品が時代遅れになる可能性があります。⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 製品の品質不具合 当社グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいます。しかし、すべての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 災害や停電等による影響 当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。例えば、当社グループの国内工場の多くは、中部地区に所在しています。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係る影響 当社グループは、企業活動を遂行するうえで、コンプライアンスを基本においていますが、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きは、当社グループの事業、経営成績及び財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|3,328 文字
4 【事業等のリスク】 当企業グループの経営成績および財務状況等(株価などを含む。)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月20日)現在において当企業グループが判断したものです。(1) 経済状況 当企業グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車関連製品の需要は、当企業グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジア等を含む当企業グループの主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当企業グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。例えば、競合他社が現地でより低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当企業グループと同種の製品をより低価格で提供できることになり、その結果、当企業グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。さらに、部品や原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当企業グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。(2) 原材料・部品の供給 当企業グループの製品は、原材料・部品を複数のグループ外供給元から調達しています。グループ外供給元とは、基本取引契約を結び、安定的な取引を前提としていますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。この場合、当企業グループ製品の原価上昇、さらには生産停止などが起こり、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。(3) 特定の得意先への販売依存度 当企業グループは、自動車部品および住生活関連機器の製造・販売を主な事業としており、主力である自動車部品事業においては、主として国内外の主要自動車メーカーを得意先としています。これらの得意先の中でトヨタ自動車㈱およびトヨタグループへの販売依存度が最も高く、当連結会計年度においては販売高 2兆201億円、総販売実績に対する割合は、62.3%となっています。従って、同社および同グループの販売数量の変動は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、平成28年3月31日現在の同社による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合23.2%、間接所有割合0.1%です。この情報は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 関連当事者情報 1 関連当事者との取引」に記載しています。(4) 為替レート変動の影響 当企業グループは、国内市場の販売力の強化をはかるとともに、北米、欧州、アジア等の海外市場の開拓を積極的に進めており、売上高に占める海外売上高比率は、当連結会計年度においては53.2%となっています。 海外各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高(特に当企業グループの売上の重要部分を占める米ドル、ユーロ、タイバーツおよび人民元に対する円高)は、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当企業グループが日本で生産し、輸出する製品においては、他の通貨に対する円高は、当企業グループ製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。当企業グループは、為替ヘッジ取引を行い、主要通貨間の為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、為替レートの変動は当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。(5) 海外市場への事業進出 当企業グループは北米、欧州、アジア等の諸地域に子会社・関連会社を有していますが、これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。①予期しえない法律・規制、不利な影響を及ぼす租税制度の変更②社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響③不利な政治的または経済的要因の発生④人材の採用と確保の難しさ⑤テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱 (6) 新商品開発 当企業グループは、新しい価値を提供し豊かな社会づくりに貢献できるよう、未来を見据えた新商品開発に努めています。今後も、継続して独創的な魅力ある新商品を開発できると考えていますが、最先端の新商品開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。①新商品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新商品または新技術の創造へつながる保証はありません。③当企業グループが市場からの支持を獲得できる新商品または新技術を正確に予想できるとは限らず、またこれらの商品の販売が成功する保証はありません。④新たに開発した商品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。⑤技術の急速な進歩と市場ニーズの変化により、当企業グループの商品が時代遅れになる可能性があります。⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要についていけなくなる可能性があります。 上記のリスクをはじめとして、当企業グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場への投入ができない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。(7) 製品の品質不具合 当企業グループは、品質至上を基本に、顧客のニーズにそった高品質で魅力あふれる製品づくりに全力で取り組んでいます。しかし、全ての製品について品質不具合がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償については保険に加入していますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の品質不具合は、多額のコストや当企業グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当企業グループの経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。(8) 災害や停電等による影響 当企業グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。例えば、当企業グループの国内工場の多くは、中部地区に所在しています。従って、中部地区で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、当企業グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。(9) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きにかかる影響 当企業グループは、企業活動を遂行する上で、コンプライアンスを基本においていますが、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに関するリスクを有しています。これらのリスクにより、当企業グループに対して損害賠償請求や規制当局による金銭的な賦課を課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きは、当企業グループの事業、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。