研究開発活動(本文)
FY2025|2,859 文字
6 【研究開発活動】デンソーグループ2030年長期方針では、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける「新価値創造」を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献することを宣言しています。(1)環境分野ではカーボンニュートラル実現を目指して、モビリティーの電動化に貢献する従来の車載製品だけでなく電動車の普及に貢献するインフラシステムやカーボンニュートラル実現に不可欠なサーキュラーエコノミー(CE)まで開発領域を拡げています。インフラシステム領域では、電動車を保有する企業や商業施設、集合住宅にむけたEV充電制御システム「EVECOM(イブコム)」の販売を開始しました。EVECOMはEV充電器に接続するコントローラーやクラウドサーバー等から構成され、使用電力ピークを抑制する最適化制御やユーザー認証、電力計量等の機能を提供し、インフラ導入におけるコスト抑制、サービス提供のための環境サポートを行います。本システムを活用して、株式会社東急コミュニティーと、居住者へのEV充電サービスを含めたマンション管理に関するサービスを一元管理した体制を目指す実証を開始しています。また、充電の手間を省き、無限に走行できる未来を目指し、走行中給電技術の研究開発も進めています。この技術は、EVが走行中に地面に埋め込まれた送電装置から自動的に給電されるもので、これにより、EVの普及が進み、環境負荷の軽減にも貢献します。現在、愛知県国際展示場の駐車場にも埋設し、社会実証を開始しています。CE領域では、限られたクルマ資源を最大限活用するために、クルマのすべての構成部品を原材料に戻し次なるクルマの製造へと循環する「Car to Car」の事業化に挑戦しています。この取り組みの一環として、環境省の令和5年度自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業として、自動車リサイクルにおける再生材利用拡大を目指し、解体事業者、材料メーカー、部品メーカー等と連携した自動車部品解体プロセス等の技術実証を開始しています。これまでの開発・実証により、精緻解体により使用済自動車から重量ベースで80%以上を単一素材化可能であること、自動精緻解体の導入によりバリューチェーン全体で使用済自動車1台あたり630kgのCO2の削減ポテンシャルがあることを確認しています。また、欧州でのCE施策の一つである欧州電池規則により、2027年2月以降に欧州域内で販売されるEV/産業用電池には「バッテリーパスポート」の導入が義務付けられます。デンソーは、既存の自動車部品ビジネスに加え、サブスクリプション型デジタルサービスという新収益源も見据え、バッテリーパスポート用アプリケーションの開発を進めています。これにより、欧州の自動車業界におけるデータ連携の取組みであるCatena-Xに準拠した安全なデータ交換が出来るEcoPass認定を日本企業として初めて取得しました。(2)安心分野では交通事故ゼロを目指して、運転支援システムを支える基盤技術(材料や半導体)の開発を進めています。材料開発では、極めて高い導電性・熱伝導性を持つ、カーボンナノチューブを活用した透明ヒータや透明電極を開発しています。特に、自動車の窓ガラスや運転支援システムに関わるセンサー類において、透明性を損なうことなく均一かつ迅速な加熱を可能とすることから、エネルギー効率の高い除霜・曇り防止機能と、自動運転に関わるセンサーの検知精度の向上の実現に貢献します。この開発の一環として、フィンランドのCanatu社と、戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しました。Canatu社とは過去に出資を行い、長年にわたり、革新的なカーボンナノチューブ材料・製造技術の共同開発を進めています。また半導体開発では、将来のAI向け車載用半導体のIPコア (Intellectual Property Core)の開発にむけて、デンソーのプロセッサーと米国クアドリック社のChimera GPNPU (General Purpose Neural Processing Unit)を組合せた共同開発を開始しました。デンソーのプロセッサーIPは、ISOのASIL(Automotive Safety Integrity Level)Dに対応しており、安全性の確保が重要となる自動車に最適です。GPNPUは特有の設計構造により、複雑化するAIモデルが持つ多様な演算処理に対応可能なため、製品開発からリリース後まで長期間に渡るAI潮流の変化に柔軟に対応可能な車載SoC(System on a Chip)実現へ貢献します。またGPUよりも5倍以上の電力効率で、先端のAIモデルの処理下でも空冷を実現することで、環境に配慮した製品づくりで先端の安心安全技術を取り込むことが可能です。(3)新価値創造領域では、水素エネルギー関連や基盤となるソフトウェアの開発強化、食農領域まで開発しています。水素エネルギー関連では、国内最大の火力発電事業者であり、燃料水素・アンモニアサプライチェーン構築を推進するJERAと、SOEC(固体酸化物形水電解用セル、Solid Oxide Electrolysis Cell)と排熱活用を組合せた高効率水素生成技術の共同開発に関わる契約を締結しました。JERA火力発電所にて共同実証試験の実施を予定しています。水は高温になるほど少ない電力で電気分解される特性を有しており、SOECは600℃以上の水蒸気を電気分解することで、常温付近で作動させる類似の電解方法と比べて2~3割の消費電力の削減が可能です。また、株式会社NTTデータとソフトウェア領域での包括提携を結びました。デンソーの車載ソフトウェア技術とNTTデータのクラウド等の技術の融合を進め、2030年までに両社で3,000人規模の開発体制を整備し、大規模・高度化する車載ソフトウェアの効率的な開発を目指します。最後に、食農領域では、房取りミニトマトの全自動収穫ロボット「Artemy®(アーテミー)」の欧州地域での受注をセルトンと共同で開始しました。Artemy®はAIやロボットアーム等の技術を活用し、自動収穫、自動レーンチェンジ、収穫箱の自動交換と自動移載まで、収穫に関する一連の作業を昼夜問わず全て自動で行うことができ、施設園芸先進国でありながらも深刻な労働力不足に直面する欧州地域において人手不足の解消に貢献します。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は619,404百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント537,824百万円、北米セグメント31,636百万円、欧州セグメント16,498百万円、アジアセグメント32,375百万円、その他1,071百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約87%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2024|2,600 文字
6 【研究開発活動】デンソーグループ2030年長期方針では、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける「新価値創造」を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献することを宣言しています。(1)環境分野ではカーボンニュートラル実現を目指して、モビリティの基盤からアプリケーションまで開発領域を拡げています。モビリティの基盤に関わる領域では2023年5月、300mmウエハ―での絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor 以下IGBT)を出荷開始しました。電動車の航続距離延伸や電費向上では、モータを駆動・制御するパワー半導体における損失低減と小型化が求められます。当社は従来比で損失を最大20%削減すると同時に小型化した次世代IGBT(RC-IGBT)を開発し、ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社と共同で新設の製造ラインにおいて200mmウエハ―に比べ高い生産効率を実現しました。モビリティのアプリケーションに関わる領域では2023年12月、トラックの停車時用クーラー「Everycool(エブリクール)」を販売開始しました。「物流ドライバーの労働環境改善」と「環境負荷低減・効率的なエネルギー利用」を両立すべく、当社がこれまで培ってきた気流コントロール等の空調技術により当社従来比で消費電力を約57%低減、送風機の一体化や小型電動コンプレッサーにより同じく約30%の小型化と約63%の軽量化を達成しました。これらの特長により新車から既販車まで、また、大型トラックに限らず中型トラックやトラクタ等多様な車種に搭載可能となりました。(2)安心分野では、車両の交通安全を最大化するにあたり、車両システムによる運転支援だけでなく、安全運転意識の向上を継続できる仕組みを開発しています。一例として2023年5月17日 から「西表島yuriCargo(ゆりかご)プロジェクト」を行いました。スマートフォンで運転をスコアリングし安全運転意識を高めるアプリケーション「yuriCargo」を活用し、西表島で運転するドライバーの急ブレーキ・急加速や最高速度等を運転後に評価して優良ドライバー認定や特典付与を行います。得られたデータから島内の速度超過状況等を可視化し、情報発信も含めた対策を検討することで、希少なイリオモテヤマネコに優しく人にも優しい運転を定着させ、交通事故削減につなげていくことを狙った取り組みです。また、物流の「安心」を支えるべく、車載冷凍機の突発故障リスクを軽減するサービスを開発し、2023年5月より「D-FAMS」として提供開始しました。定温物流の安定的な運行を実現し、運行管理者の負荷低減や人手不足解消に貢献します。当社製冷凍機の稼働データをサーバーへ送信し、当社にて遠隔監視を行うことで、消耗部品の適切なタイミングでの交換をサポートすると共に、異常や故障の兆候を検知します。異常発生時には車両管理者へ速やかに通知し、サービス店と連携し修理調整も行います。(3)「新価値創造」領域では、水素エネルギー関連や、基盤となるソフトウェアの開発を強化しています。水素エネルギーは、利用する際にCO2を排出しない特長があり、水素を活用することで、発電部門や電化が困難な設備やBEV化が難しい大型商用車の脱炭素化が可能になると考えられます。水素の利活用を普及するには、「つくる」「ためる・はこぶ」「つかう」といった水素のサプライチェーンにおける技術課題を解決していくことが必要です。特に当社の保有技術を活かし、貴重な再生可能エネルギーを無駄なく使用し水素を「つくる」、そしてその水素を余すことなく「つかう」の実現を通じた水素利活用のコスト低減に取り組んでいます。その一例として、セラミック技術、各部温度を制御する熱マネジメント技術、循環を省動力化するエジェクター技術等、車載製品開発で得た知見を活用し、世界最高レベルの発電効率65%の実現を目指したSOFC(Solid Oxide Fuel Cell / 固体酸化物形燃料電池、水素をつかう)、及びその逆反応で作動するSOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell / 固体酸化物形水電解用セル、水素をつくる)の開発に取り組んでいます。SOFCに関しては、工場の電力需要に応じてSOFCの発電量や太陽光発電による電力を貯めた蓄電池の充放電を制御し、より効率的なエネルギーマネジメントを目指した実証実験を2023年5月から西尾製作所にて開始しています。また、SOECに関しては広瀬製作所にて、水素製造、及びパワーカード試作品製造ラインでの活用を目指す実証を2023年7月から開始しています。基盤となるソフトウェアでは、制御の分野で複数台のロボットが衝突せず、高速で同時に作業できるためのAIアルゴリズムを開発しました。専門技術者による長時間のティーチング作業が不要になり、設備の導入時間が短縮されます。複数台のロボットの動作経路を生産現場で実用可能なレベルにてAIで自動生成できる例は他になく、世界トップクラスの技術です。最適化の分野では、量子コンピュータの原理をGPGPU(画像処理プロセッサを用いた汎用計算)で模倣した新しい疑似量子技術「DENSO Mk-D」を開発し、同種技術では100万変数規模の実問題に対応するのが限界とされていた中で、世界で初めて500万変数規模の実問題を解くことに成功しました。擬似量子技術で用いる情報を最小限まで圧縮し、参照情報を小さくして大規模計算を効率化し、計算速度を大幅に向上させました。当社は物流データの最適化計算にこの技術を応用し、トラック配送スケジュールの効率化を実現し、大規模で複雑な問題を解決できる新たな可能性を示しました。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は550,921百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント485,438百万円、北米セグメント32,021百万円、欧州セグメント14,642百万円、アジアセグメント17,771百万円、その他1,049百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約88%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2023|2,249 文字
6 【研究開発活動】デンソーグループ2030年長期方針では、「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」をスローガンとし、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」していただける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献することを宣言しています。「環境」分野では、カーボンニュートラルの実現を目指し、「モビリティ製品」「エネルギー利用」「モノづくり」の3領域で技術開発を行っています。これまで当社は、高耐圧と低オン抵抗を両立し、発熱による電力損失を大幅に低減する為、独自のトレンチMOS構造のSiCパワー半導体を開発してきました。この度、そのSiC半導体を用いたインバータ(電気自動車のモータを駆動・制御する製品)を量産化し、2023年3月発売のLEXUS初の電気自動車(BEV)専用モデル「RZ」に採用されました。量産に際しては、車載品質で安定的な生産を行う為の素材品質の向上技術も開発しました。また、電動技術の自動車以外への展開も進めており、米Honeywell International Inc.と共同開発した電動航空機向けモータが、電動垂直離着陸機を開発中の独Lilium N.V.の機体に採用されることが2022年5月に決定しました。住宅用蓄電池システム向けの製品も開発し、2022年6月に受注開始されたトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)の「おうち給電システム」にて、車両と連携する給電アダプタ、蓄電池システム内に搭載されるコンピュータ、スマートフォン向けの専用アプリケーション、蓄電池システムの情報を収集する蓄電池システムサーバーが採用されました。水素エネルギー利用の一例では、2023年3月より株式会社デンソー福島にて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援のもと、トヨタ自動車と共同で、工場内でのグリーン水素の製造・活用の実証を始めました。カーボンニュートラル化促進と水素の地産地消モデル構築を目指しています。「安心」分野では、車と交錯する歩行者や自転車をより早く認識するため、安全運転支援における画像センサの検知角度を広角化しました。道路脇からの飛び出しは、特に12歳以下の子どもの交通事故の約7割を占めると言われます(公益財団法人 交通事故総合分析センター ”2019年版 交通統計”)。広角化ではより多くの対象物を検知できる一方、実際の危険に至らない検知も増加します。人工知能(AI)による動き推定等を用いた危険の見極めにより、広角化のメリットと実用性を両立させました。2022年4月発表のSUBARU「アウトバック」(北米仕様)の一部グレード、及び9月公開の同社「クロストレック」(日本仕様)にも新たに採用されました。他の事例として2022年10月より、高齢者の安全運転支援を目的とした実証実験を愛知県豊田市で開始しています(豊田市の交通死亡事故ゼロを目指した官民連携事業「ジコゼロ大作戦」の一環。一般財団法人トヨタ・モビリティ基金、東京海上日動火災保険株式会社、東京大学大学院新領域創成科学研究科と共同)。ドライブレコーダーから収集した車内外の映像等をAIで分析し、安全運転のためのアドバイスを行うAI運転診断システムを活用して、高齢者の事故リスク低減を効果的に実現する方法を検証します。社会から共感いただける新たな価値創造への取り組み事例としては、デンソーグループで培ってきたモビリティ関連の技術や製品等の資産を活用しながら、地域課題の解決や暮らしの利便性向上につながる新たなサービス開発を目指して、2022年5月より「DENSO OPEN INNOVATION PROJECT」を始動し、広くパートナー企業の募集を開始しました。募集テーマの1つは地域情報発信システムを活用した地域創生です。自治体や地域の情報をスマートフォンやタブレット等から地域住民へ届けるシステム「ライフビジョン」は「誰でも」「簡単」「確実」をコンセプトにこれまで65の自治体に導入されています。情報配信にとどまらず、防災・福祉・教育・コミュニケーション・移動等の多様な地域課題を解決するプラットフォーム機能として、暮らしを支えるサービス機能の拡充を目指しています。もう1つの募集テーマは、QRコードと組み合わせた本人認証の活用です。株式会社デンソーウェーブが保有する、顔特徴点をQRコード化する技術「顔認証SQRC」を用いて、新たなソリューションや市場の創出を目指します。顔情報をQRコードへ格納することで、なりすまし防止が求められるシーンにおいて、オフライン・低コスト・安心・安全な本人認証を行うことができます。今後当社はモビリティ企業・製造業・QRコード発明企業としての専門性をさらに発揮すべく、社会を「人流」「物流」「エネルギー流」「資源流」「データ流」という5つの流れとして分析し、不足するものを技術開発と社会連携により生み出していきます。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は521,615百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント461,264百万円、北米セグメント29,602百万円、欧州セグメント13,432百万円、アジアセグメント16,267百万円、その他1,050百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約88%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2022|2,008 文字
5 【研究開発活動】デンソーグループ2030年長期方針では、スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」を宣言し、「環境」「安心」「共感」の3つをキーワードに、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」頂ける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。2020年より「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行と、環境変化に左右されない「引き締まった強靭な企業体質への転換」を同時に推進する変革プラン「Reborn(リボーン)21」を起動し、2021年を達成の年として推進して参りました。更に「環境」と「安心」の軸はぶらさず、当社が貢献する領域を、「モビリティ」と「モノづくり」から、新たに「ソサエティ」まで広げ、より多くのお客さまのお役に立てるよう、新しい選択肢・新しい価値の創造に挑んでいます。「環境」分野では、2035年までに二酸化炭素(CO2)排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルを実現することを目指し、「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」を重要3領域と定め、「工場から排出されるCO2をゼロにする取り組み」「HEV・BEV・FCEVからe-VTOL(空モビ)に至る全方位の技術」「CO2を回収・再利用する技術」の技術開発を進めて参りました。「モビリティ製品」領域では、航続距離の延長や、充電時間の短縮、バッテリーの長寿命化等、電気自動車の実用性向上に貢献する製品を開発し、5月に発売されたTOYOTA「bZ4X」および2022年半ばに発売予定のSUBARU「ソルテラ」に採用される予定です。今回、新たに開発した電動化製品は、電流を検知する電流センサー、充電・電力変換・電力分配の各機能を集約したESU(Electricity Supply Unit)、大気中の熱をエアコンの熱源とする高効率エコヒートポンプシステム、乗員の膝元を温める輻射ヒーターです。その他にも、当該電池の温度・電圧を検知するセンサー、電池の状態をモニタリングする電池監視ECU、情報を集約しエネルギーを制御するBEV ECU等も採用されます。また、株式会社BluE Nexusの「新型eAxle」に当社製のインバーターが搭載されています。カーボンニュートラルを実現するためには、クルマの電動化に貢献し、CO2を可能な限り削減することが重要です。引き続き当社は、電気自動車が社会やユーザーにとって新たな価値や選択肢となるよう、これからも電動化技術の開発を推進していきます。「安心」分野では、社会に「安心」を提供するリーディングカンパニーを目指すべく、「交通事故ゼロ」「快適空間」「働く人の支援」を安心の3本柱として、技術開発を進めて参りました。例えば当社は、車両の周辺環境を認識し、安全性能向上に貢献する「Global Safety Package 3」を開発しました。2021年8月に発売された「日野レンジャー」、2021年10月に発売されたLEXUS「NX」、2022年1月に発売されたTOYOTA「ノア」「ヴォクシー」に搭載される予防安全システム向けの製品として採用されています。「Global Safety Package 3」は、車両や道路等の形状を検知する「ミリ波レーダー」と、カメラで自車の前方環境を検知する「画像センサー」を組み合わせることで、ドライバーの運転を支援するシステムで、今回の製品は第3世代に該当します。交通事故をなくし、自由な移動を実現するためには、安全製品をさらに進化させ最先端の技術を車両に搭載していくこと、また価格面でも魅力ある製品を開発し、より多くの車両に普及させることが重要です。引き続き当社は、高度運転支援に関する技術開発を推進し、ドライバー、歩行者をはじめとする、世界中のすべての人にとって安全で自由な移動の実現に取り組んでいきます。最後に「ソサエティ」に関する事例として、学校法人東海大学、国立大学法人豊橋技術科学大学、学校法人中部大学、当社は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の支援のもと、新型コロナウイルス検査機器の開発に取り組んでおり、新しい仕組みのバイオセンサーを開発し、新型コロナウイルスの検出に成功したことを2021年8月に発表いたしました。今後は、感染症の早期診断に貢献することを目指し、実用化に向けた開発を加速していきます。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は497,556百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント444,467百万円、北米セグメント26,179百万円、欧州セグメント11,270百万円、アジアセグメント14,804百万円、その他836百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約89%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2021|2,763 文字
5 【研究開発活動】デンソーグループ2030年長期方針では、スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」を宣言し、「環境」「安心」「共感」の3つをキーワードに、「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」頂ける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。昨年より「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行と、環境変化に左右されない「引き締まった強靭な企業体質への転換」を同時に推進する変革プラン「Reborn(リボーン)21」を推進しています。「環境」分野においては、既に公表のとおり、2035年までに二酸化炭素(CO2)排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルを実現することを目指しています。また、「安心」分野においては、交通事故のない安全な社会と快適で自由な移動の実現を目指し、信頼性の高い安全技術の開発に取り組んでいます。事業の柱としては、2030年長期方針で掲げた4つの注力分野「電動化」「先進安全・自動運転」「コネクティッド」「非車載事業(FA・農業)」に取り組んでいます。電動化の分野では、電動化領域の開発、生産体制を強化するため、安城製作所内に「電動開発センター」を開設しました。本センターでは、先行・量産開発、車両やシステムの試験などを行う開発棟、信頼性試験を行う耐久棟、開発した製品の走行試験を行う屋外試験路、量産ラインの立上げを行うための工場を機能的に配置しています。生産人員に加えて、開発・設計人員も集結し、先行開発から試作、実証、量産ラインの立ち上げ・安定化までを一貫して行うことで、電動化領域の製品開発を加速します。また、工場から排出されるCO2ゼロを目指し、CO2を回収して循環利用する実証施設「CO2循環プラント」を安城製作所 電動開発センター内に建設し、実証実験を開始しています。実証実験を開始した CO2循環プラントは、主に工場で発生するCO2を回収し、エネルギー源や他の材料に循環利用することを想定した設備です。ここでは、ガスを使用する機器の排気から回収したCO2と、再生可能エネルギー電力を用いて生成した水素から、メタンを合成してエネルギー源として再利用するプロセスを実証しています。先進安全・自動運転の分野では、乗員に安心感を与える高度運転支援技術の実現と車両の安全性能向上に貢献する製品を開発しました。これらの製品は、LEXUS新型「LS」および、TOYOTA新型「MIRAI」に搭載される高度運転支援技術「Advanced Drive」向けの製品として採用されました。開発した製品は、車両や道路の形状を検知するLiDAR、2種類のカメラで自車の前方環境を検知するロケーター望遠カメラ、高い精度で自車位置を特定するECU、それらの製品などから得られる情報を高速処理するECUです。各ECUは、無線通信によるソフトウェアアップデートに対応しており、ユーザーに車両が渡った後の機能の追加、性能向上に貢献します。また、既販車に対しても、後付け装着可能なペダル踏み間違い時の加速抑制装置を開発して、乗用車メーカーへの展開を促進し、交通事故の低減に貢献することで、安心・安全なクルマ社会の実現を目指しています。コネクティッドの分野では、当社とKDDI株式会社は、交通事故や交通渋滞のない安心・安全なモビリティ社会の実現に向け、自動運転への5G活用に向けた共同検証を開始しました。本検証で両社は、当社が自動運転などの研究開発を行う拠点「Global R&D Tokyo, Haneda」内のテスト路を5G通信環境で整備し、高精細車載カメラや路側センサーなどを用いた自動運転車両の走行支援に対する技術検証を共同で行います。また、トラックに搭載されている当社製冷凍機を遠隔監視し、異常を即時検知して通知するサービスとして、「D-FAMS(ディー・ファムス)」を開発しました。「D-FAMS」を利用することで、冷凍機の故障や異常のタイムリーな検知が可能になり、その後の迅速な修理によって、車両が使えない時間や配送商品の品質劣化を低減することができます。非車載事業(FA・農業)の分野では、世界130工場をIT、IoTの技術でつなぐ、Factory-IoTプラットフォームを開発しました。開発したプラットフォームにより、工場のさまざまな機器から収集したデータを一つのクラウドに蓄積し、自由に活用できるようになります。世界の工場がクラウドでつながることで、各地の需要に合わせた生産変動などにも即座に対応できるグローバルな生産体制の強化や、作業者の動きや生産設備の稼働状況などリアルタイムな分析が可能になります。また、当社とセルトングループは施設園芸ソリューションを提供する販売会社「株式会社デンソーアグリテックソリューションズ」を設立しました。新会社では、当社のプロファームTキューブをはじめとする施設園芸製品に加え、セルトンの持つ世界最先端の施設園芸製品、今後両社で共同開発する次世代施設園芸製品、お客様のご要望に合わせた栽培コンサルティング、およびアフターサービスをパッケージ化し販売していく予定です。当社は、世界のイノベーションの震源地にR&D機能を配置することで、大学や研究機関、スタートアップ企業等様々なパートナーとの連携、オープンイノベーションを強化しています。例えば、先端R&Dを行う新たな拠点として、米国に「ピッツバーグ・イノベーション・ラボ」を開設して、自動運転レベル4の実現に向けた研究開発や、AIなどの先端要素技術の開発を加速させます。昨今、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、車内空間において「換気」の重要性が改めて注目されるとともに、健康面に配慮した空気質へのニーズも高まっています。当社は、車載用空気清浄機と空気清浄度モニター、「Puremie(ピュアミエ)」を開発しました。高性能フィルターを搭載した空気清浄機によって車内の微粒子を除去し、浄化された空気の清浄度を空気清浄度モニターに表示することで、車内の空気質に対する安心感を高めることができます。 連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は492,012百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント440,580百万円、北米セグメント27,347百万円、欧州セグメント10,839百万円、アジアセグメント12,662百万円、その他584百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約90%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2020|2,610 文字
5 【研究開発活動】デンソーグループ2030年長期方針では、スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」を宣言し、「環境」「安心」「共感」の3つをキーワードに、従来から注力している「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」頂ける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。この経営思想を事業活動に結びつけ、社会の持続的発展を目指し、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の一翼を担い、経済的価値と社会的価値の両立を目指すサステナビリティ経営を実践していきます。2025年度の成長目標として、電動化、自動運転の実現に伴うモビリティの新領域で成長することで、売上収益7兆円、営業利益率10%を実現します。そのために、「経営改革5本の柱」を定め、経営改革を推進するとともに、「電動化」「先進安全・自動運転」「コネクティッド」「非車載事業(FA・農業)」の4分野を注力分野として取り組みます。電動化の分野では、近年の電動化製品の世界的な需要の高まりを受け、今後さらなる開発、生産体制を強化するため、当社グループ全体で2018年度から2020年度末までの3ヵ年で約1,800億円の投資を行います。その一環として、2020年6月にデンソー安城製作所内に「電動開発センター」を開設しました。また、トヨタ自動車株式会社と当社は、モビリティ視点(クルマ軸)並びに車載視点(部品軸)での知見を掛け合わせることで、電動車両や自動運転車両の技術革新のカギとなる次世代の車載半導体を早期に開発していく合弁会社「MIRISE Technologies(株式会社ミライズテクノロジーズ)」を2020年4月に設立しました。さらに、Honeywell International,Inc.(ハネウェル)と当社は、電動航空機用推進システムの共同開発を2019年6月に開始しました。世界各国では、大都市化・高密度化による交通量の増加を受け、タクシーや電車等に代わる高速移動手段として、空のモビリティ、特に電動航空機のニーズが高まっています。先進安全・自動運転の分野では、当社製「Global Safety Package」を搭載したトヨタ自動車株式会社のアルファード及びヴェルファイアが、日本における自動車の安全性評価プログラムであるJNCAPにおいて、2018年度の予防安全性能評価で最高得点となり、予防安全性能評価大賞を受賞しました。当社製「Global Safety Package」は、ミリ波レーダと画像センサを組み合わせることで、昼夜を問わず歩行者等を認識し、安全な運転をサポートするシステムです。コネクティッドの分野では、近年コネクティッドカーと呼ばれるネットワークとつながるクルマが急速に普及する等、ICTを活用した新しい自動車技術・サービスが次々と生まれています。その一方で、サイバー攻撃は日々高度化・巧妙化し続けているため、コネクティッドカーを見守り、早期に攻撃を検知・解析し、状況に応じた適切な対応をするためのセキュリティ技術が求められています。2017年から、NTTコミュニケーションズ株式会社と当社は、車両に搭載されたセキュリティ機能からの出力データを解析することで、サイバー攻撃を検知し、その影響範囲を特定する車両SOC(セキュリティオペレーションセンター)技術を開発していますが、これまで開発してきた車両SOC技術の実用化を目指し、実車環境での車両SOC技術の検証を2020年1月から開始しました。非車載事業(FA・農業)の分野では、当社はオランダの施設園芸事業者であるセルトングループ(Certhon Build B.V.)に出資しました。セルトンは、施設園芸分野での世界トップクラスの先進技術を有し、大規模施設園芸ソリューションを世界20ヵ国以上へ販売する企業です。当社は資本提携を通じて、植物工場の完全自動化等の次世代施設園芸の技術開発と、セルトンのグローバルな農業ビジネスの知見を活かし世界各国の多様なニーズに合わせた施設園芸パッケージの販売に取り組み、農業ソリューションの提供を目指します。また、2018年に株式会社浅井農園と設立した株式会社アグリッドでは、2020年3月、国内最大級の農業用ハウスを竣工し、人と機械の協働の実現に向けて、自働化による人の作業量の低減と農場の24時間稼働に取り組み、当社が開発した自動収穫ロボット「FARO(ファーロ)」の実証を開始しています。当社は、世界のイノベーションの震源地にR&D機能を配置することで、大学や研究機関、スタートアップ企業等様々なパートナーとの連携、オープンイノベーションを強化しています。2019年7月に、新たなサテライトR&D拠点として、IT系企業や大学が多く集結している米国シアトルに「シアトル・イノベーション・ラボ」を開設しました。本拠点において、当社が保有する多様な車両データを収集・解析するための車載コンピュータや、車両データをクラウドコンピュータと通信で連携させる技術と、先進的なIT技術の融合を進めて、次世代のモビリティ社会の実現に貢献します。また、当社はD-Wave Systems Inc.が量子コンピュータのクラウド利用サービス「Leap2」を新型コロナウイルス感染症対応で利用する企業・団体に無償提供するプロジェクトに参画します。当社は、これまで量子コンピュータを使った工場の効率化シミュレーションの実証実験をはじめとする研究を行ってきました。その中で培った知見を社会に役立てるべく、現実の問題を量子コンピュータが解くことができる形にする定式化や、問題を解くスピードを高速化する等の技術支援を行います。連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は507,827百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント450,096百万円、北米セグメント30,380百万円、欧州セグメント12,467百万円、アジアセグメント14,013百万円、その他871百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約89%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2019|2,456 文字
5 【研究開発活動】デンソーグループ2030年長期方針では、スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」を宣言し、「環境」「安心」「共感」の3つをキーワードに、従来から注力している「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」頂ける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。この経営思想を事業活動に結びつけ、社会の持続的発展と、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献を果たしていくために、2018年7月に当社優先取組課題(マテリアリティ)を明確化しました。2025年度の成長目標として、電動化、自動運転の実現に伴うモビリティの新領域で成長することで、売上収益7兆円、営業利益率10%を実現します。そのために、「経営改革5本の柱」を定め、経営改革を推進するとともに、「電動化」「先進安全・自動運転」「コネクティッド」「非車載事業(FA・農業)」の4分野を注力分野として取り組みます。近年、自動車の電動化は世界中で急速に進んでおり、電動化製品の世界的な需要の高まりを受け、今後さらなる開発、生産体制を強化するため、当社グループ全体で2018年度から2020年度末までの3ヵ年で約1,800億円の投資を行います。その一環として、2020年5月にデンソー安城製作所内に「電動開発センター」を開設します。また、アイシン精機株式会社と当社は、電動車両の駆動に不可欠な、トランスアクスル、モータージェネレーター、インバーターというキーコンポーネントが一つのパッケージになった、駆動モジュールの開発及び販売を行う合弁会社「株式会社BluE Nexus(ブルーイー ネクサス)」を2019年4月に設立しました。自動運転の実現には、クルマの「走る・曲がる・止まる」に関わるセンサーやステアリング、ブレーキを、より高度に連携させるための車両統合制御システムが必要になります。この度、アイシン精機株式会社、株式会社アドヴィックス、株式会社ジェイテクト、及び当社は、自動運転・車両運動制御等のための統合制御ソフトウエアを開発する合弁会社「株式会社J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)」を2019年4月に設立しました。また、ドライバーの視認性を向上させ、車両の安全性能向上に貢献するデジタルアウターミラー用のECU(Electronic Control Unit)を開発しました。レクサス新型「ES」に採用され、量産車として世界初となるデジタルアウターミラーの製品化を実現しました。従来の光学ミラーに比べ、視界の拡大や悪天候時の視認性向上等、車両の安全性向上に貢献できる技術として期待されています。コネクティッドカーの進化を支える自動車のソフトウエアを遠隔地から無線で更新するOTA(Over the Air)システムの開発を加速させるため、コネクティッドカー関連のソフトウエア開発で実績を持つAirbiquity社(本社:米シアトル)に、トヨタ自動車株式会社、豊田通商株式会社と共同で出資を行いました。また、営業車等社有車を保有する法人向けに、車両管理からドライバーの安全運転までをサポートするクラウド型社有車管理システム、「フリートオペレーションサービスmobi-Crews」を発売しました。本サービスは、新たに開発した車載通信端末を車両に取り付け、リアルタイムに車両の情報を収集、提供することで、運行管理や安全運転を支援するサービスです。産業用ロボットを導入する工場では、5Gを活用することで、工場内の有線回線をモバイル通信で代替可能にできます。高精度な三次元計測センサーを導入した場合においても、大容量のセンサー情報の伝送を可能にできます。当社は、工場における大容量通信の実現を目指すため、5Gによる産業用ロボット制御の実証試験を九州工業大学、株式会社デンソー九州の工場内で開始しました。また、株式会社浅井農園と当社は、大規模ハウスにおける次世代施設園芸モデルの構築と普及拡大を目指し、合弁会社「株式会社アグリッド」を2018年8月に設立しました。合弁会社では、三重県いなべ市に国内最大級の農業用ハウスを建設し、野菜生産を通じて、栽培の生産性向上を実現する技術の開発に取り組みます。当社は、2018年4月に品川に自動運転領域の研究開発オフィス、「Global R&D Tokyo」を開設し、車両メーカー、大学や研究機関、スタートアップ企業等様々なパートナーとの連携、オープンイノベーションを強化しています。今回、新たに羽田空港跡地エリアにおいて、自動運転技術の試作開発、実証を行う拠点を2020年6月に開設して、品川で企画、研究開発する自動運転技術を、羽田で試作開発、実証を行い、東京エリアで完結できる体制を構築します。また、自動運転ライドシェア車両の開発と実用化を加速するため、トヨタ自動車株式会社、ソフトバンク・ビジョン・ファンド及び当社は、UberのAdvanced Technologies Groupへ合計10億ドルの出資を合意しました。今回の合意を受け、自動運転ライドシェア車両の開発を継続するとともに、次世代自動運転キットの設計と開発を共同で行い、本格的な自動運転ライドシェアサービス車両の量産化とサービス実用化に目処をつけることを狙います。連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は497,417百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント438,879百万円、北米セグメント31,185百万円、欧州セグメント12,536百万円、アジアセグメント13,760百万円、その他1,057百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約88%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2018|2,223 文字
5 【研究開発活動】当社は、2017年10月に策定した「デンソーグループ2030年長期方針」で掲げる目指す姿を実現するための道筋として「デンソーグループ2025年長期構想」を策定しました。スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」を宣言し、「環境」「安心」「共感」の3つをキーワードに、従来から注力している「環境」「安心」の提供価値を最大化することに加え、社会から「共感」頂ける新たな価値の提供を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献します。2025年度の成長目標として、電動化、自動運転の実現に伴うモビリティの新領域で成長することで、売上収益7兆円、営業利益率10%を実現します。そのために、「経営改革 5本の柱」を定め、経営改革を推進するとともに、「電動化」「先進安全・自動運転」「コネクティッド」「非車載事業(FA/農業)」の4分野を注力分野として取り組みます。電動化に向けて、マツダ株式会社、トヨタ自動車株式会社及び当社は、市場動向に柔軟かつ迅速に対応するため、幅広いセグメント、車種をカバーできるEVの基本構想に関する技術を共同で開発することに合意しました。また、今後の高精度、高付加価値のモータの技術開発には、高いレベルの技術革新と機電一体製品を中心とした車両視点での製品開発が必要と考え、アスモ株式会社、当社それぞれが培ってきたモータ技術の強みを融合することでこれを実現することを目的に、2018年4月に事業統合しました。また、京都大学発ベンチャー株式会社FLOSFIAと資本提携し、電動化車両に搭載されるインバータの低損失、低コスト、小型軽量化が期待できるコランダム構造酸化ガリウムの車載応用に向けた共同開発を開始することを決定しました。レクサス新型LSに搭載された障害物検知や白線認識など安全性能の向上に貢献する製品として、新型のステレオ画像センサ及びミリ波レーダを開発しました。新型のステレオ画像センサは、デンスステレオマッチング技術と呼ばれる3Dによる画像処理技術を用いることで、歩行者や車両、ガードレールなど、形状が異なる様々な障害物の検出に加えて、車両が走行可能な路面(フリースペース)の検出が可能となりました。これにより緊急時の自動ブレーキに加えて、操舵制御による障害物回避の実現に貢献しています。またカメラの高性能化により、夜間の歩行者認識を可能にしました。また、ミリ波レーダは照射回数を増やす事で歩行者検知性能の向上と照射角度の拡大で小型化の両立を実現しています。コックピットの進化やコネクティッド技術の進展に伴い、車室内に搭載される製品同士の連携が複雑さを増しており、車載製品のより効率的な開発が必要となっています。当社とNECプラットフォームズ株式会社は車載用の情報通信機器を開発する合弁会社「株式会社デンソーネクスト」を設立し、当社が自動車市場で培った“高度な技術力とモノづくり力”と、NECグループがICT事業で培った先進技術と豊富な実績を生かし、高度な車載機器の迅速な開発を推進します。また当社とBlackBerry Limitedは自動車のコックピット内の情報マネジメントを行うHMI技術として、世界初となる統合HMIプラットフォームを共同開発しました。この統合HMIプラットフォームは特性の異なる複数のOSを独立化させ、1つのマイコンで統合制御することで、HMI製品同士の連携、協調を可能にし、必要な情報を、適切なタイミングで適切な機器に表示できます。非車載事業としては、自動車関連部品で培ってきた技術をベースに、HEMS(Home Energy Management System)や世界で初めて製品化したエコキュート、家庭用蓄電池などを通じて住宅におけるエネルギーの最適利用を促進し、低炭素社会の実現に取り組んでいます。また産業用UAV(ドローン)の技術開発を行い、測量や橋梁点検の実証実験を積み重ね、姿勢安定性・耐風性などの機体性能と、AIを活用した画像解析技術の向上に取り組んでいます。当社は高度運転支援及び自動運転、コネクティッド分野の研究開発を行う拠点として、東京に新たなオフィスを開設し、またイスラエルでも自動運転やサイバーセキュリティ、AIなどの先端技術に関する研究開発を新たに開始します。現地企業や大学と幅広くパートナーシップを開拓して共同研究を行うことで、より競争力のある技術開発を加速させます。また、新しいモビリティ社会を牽引する上で、クラウド、オープンソースソフトウェアの活用など情報通信技術(ICT)を強化し、電動化、先進安全・自動運転、コネクティッドなどの事業を推進する取り組みの1つとして、グローバルなソフトウェアプロダクト開発リーダーとして多くの実績を持つ及川卓也氏と技術顧問契約を締結しました。連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は447,378百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント395,053百万円、北米セグメント26,838百万円、欧州セグメント12,271百万円、アジアセグメント12,108百万円、その他1,108百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約88%となっており、研究開発活動の中心を担っています。
FY2017|2,073 文字
6 【研究開発活動】当社は、2013年4月に策定した「デンソーグループ2020年長期方針」で「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」をスローガンとして、「地球環境の維持」「安心・安全」にこだわり会社の使命として取り組んでいくことを宣言しました。この長期方針実現に向け、環境、安心・安全分野を中心に研究開発活動を強化し、社会に貢献する新しい製品、新しい価値を世界中のお客様にお届けすることを目指しています。環境分野の開発体制としては、電動化分野における一層の開発強化と事業伸展を狙い、システム開発機能を集約し、エレクトリフィケーションシステム事業グループを新設しています。排出ガス規制強化に対して、排出ガス浄化触媒の基材において、触媒の中心部と周辺部で断面積が異なるセルを一体成形した、世界初となる新設計「FLAD」(フラッド)基材をトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)と共同開発しました。「FLAD」基材は、トヨタ自動車の新型排出浄化触媒に採用され、2017年春頃発売される新型車に順次搭載される予定です。触媒内部の排出ガスの流れの均一度を向上させ、従来型排出ガス浄化触媒と同等の排出ガス浄化性能を維持しながら、貴金属使用量を約20%低減させるとともに、触媒容量の約20%小型化を可能にしました。また、設計・製造技術の革新により、世界初となる一体成形を実現したことにより、量産を可能としました。安心・安全分野では、小型のステレオ画像センサーを開発し、ダイハツ工業株式会社より2016年11月に発売された「ダイハツ タント」の衝突回避支援システム「スマートアシスト3」に採用されています。ステレオ画像センサーは、道路上の白線や前方の物体を識別するのに左右2つのカメラを搭載することで、対象物までの距離測定の正確性を向上します。製品の搭載スペースが限られる軽自動車においては、画像センサーにおいても車両への搭載性の向上が求められていました。新型のセンサーは、高精度なレンズ歪み補正とステレオマッチング技術の組み合わせにより、求められる測定距離を保ちつつカメラ幅を半減するとともに、センサーを制御するECUを一体化することで、更なる搭載性の向上を実現しました。高度運転支援・自動運転分野での技術開発を加速させるため、画像センサーや人工知能の技術開発において社外との連携を進めています。人工知能については、自動車における画像認識、機械学習分野への適用と技術開発を一段と加速すべく、カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授 金出 武雄氏と技術顧問契約を締結しました。当社は、高度運転支援技術の開発・実用化を通じて交通事故の防止に寄与し、安心・安全なクルマ社会の実現に貢献していきます。市販事業・新事業分野では、自動車のセンサーおよび制御技術やロボットシステム技術を活用して産業用UAV(ドローン)、農業支援、地域情報配信などに関する製品・システムの開発を行っています。例えば、社会問題となっている道路や橋などのインフラ点検の負荷急増に対して、産業用UAVを用いたインフラ点検の効率化に取り組んでいます。当社は、自動車で培ってきた技術を活用して、環境にやさしく、健康で安心・安全な生活に貢献していきます。開発体制としては、世界各地域の事情やニーズに合った最適な製品を開発するため、世界7地域にテクニカルセンターを整備し、グローバル開発体制を強化しています。特に日本においては、高度運転支援・自動運転分野を中心に協業を推進しています。例えば、株式会社NTTデータMSEに出資することで、予防安全分野におけるソフトウェア開発の効率的な取組みを実施しています。昨今、高度運転支援を補助するために、運転者に安全運転を促すための警告等を表示するHMIの重要性は一層増していますが、このHMIを制御するソフトウェアを共同で開発していきます。また、日本電気株式会社(以下、NEC)との協業も開始しました。この協業においては、当社が自動車市場で培った“高度な技術力とモノづくり力”と、NECがICTによる事業で培った“AI(人工知能)やIoT、セキュリティなどの先進技術とシステム構築・運用の豊富な実績”を生かし、高度運転支援・自動運転、セキュリティ、モノづくりに関する技術の共同開発を行っていきます。連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は409,223百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント344,459百万円、北米セグメント31,124百万円、欧州セグメント13,739百万円、アジアセグメント18,702百万円、その他1,199百万円となっています。日本セグメントが占める比率は約84%となっており、研究開発活動の中心を担っていますが、海外セグメントのリサーチ機能強化などを通じて、グローバルな先進モビリティ社会の実現を目指していきます。
FY2016|2,115 文字
6 【研究開発活動】当社は、2013年4月に策定した「デンソーグループ2020年長期方針」で「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」をスローガンとして、「地球環境の維持」「安心・安全」にこだわり会社の使命として取り組んでいくことを宣言しました。この長期方針実現に向け、環境、安心・安全分野を中心に研究開発活動を強化し、社会に貢献する新しい製品、新しい価値を世界中のお客様にお届けすることを目指しています。当連結会計年度の成果として、環境分野では特にトヨタ自動車株式会社と共同で、新型プリウス向けに、小型軽量化された新型パワーコントロールユニットとモータステータを開発しました。パワーコントロールユニットは、電池からモータジェネレータに流す電流を調整するインバータなどを備えた製品です。車両の高機能化、高性能化に伴い、小型化、高出力化が求められており、今回開発した新型パワーコントロールユニットは、冷却構造の改善や電子制御回路の集積化によって、従来のプリウス搭載品に比べて約33%の小型化を実現しています。ステータは、モータの基幹部品で、コイルに電流を流すことで磁力を発生させロータを回転させます。今回、当社は、独自の新しい巻線方式を用いた高回転モータ用のステータを開発し、従来のプリウス搭載品に比べ2割以上の軽量化を実現しました。安心・安全分野では、ミリ波レーダと画像センサ、及びITS Connect対応車載器を開発し、トヨタ自動車株式会社のプリウスに搭載されています。ミリ波レーダは電波により前方の走行車両や物体までの距離や方位を検知し、画像センサはカメラにより道路上の白線や前方の物体を識別するセンサです。これらのセンサ機能を組み合わせて、より早くより正確な検知を可能とすることにより、衝突回避支援(対車両、対歩行者)、全車速ACC、車線逸脱防止、夜間視界支援などの安全機能の実現に貢献しています。ITS ConnectとはITS専用周波数(760MHz)による路車間・車車間通信を活用した協調型運転支援システムであり、車載機により交通事故防止や交通の効率化を実現するための無線通信を行います。開発した車載機は、(1)数百メートル以内の車両・路側装置とリアルタイムに情報交換できる無線通信機能、(2)周囲に伝達するための自車位置の緯度・経度を決定する位置検出機能、(3)無線通信で得た情報から、周辺状況を判断し、実施すべき運転支援を決定する状況判断機能を備えており、これにより自動車とインフラ、自動車同士を通信でつなげるITS Connectの実現に貢献しています。高度運転支援・自動運転分野での技術開発を加速させるため、2016年1月に全社付組織として関係部署を統合した「ADAS推進部」を新設しました。当社は、ドライバーの意思を尊重しつつ運転をより安心・安全なものとするため、高度運転支援技術の開発・実用化を通じて交通事故の防止に寄与し、安心・安全なクルマ社会の実現に貢献していきます。市販事業・新事業分野では、自動車のセンシング&制御技術やロボットシステム技術を活用したヘルスケア、農業支援、セキュリティなどに関する製品・システムの開発を行っています。例えば、ヘルスケアでは、手術時に医師の腕を支え、手の震えや、疲れを軽減する手術支援ロボット「iArmS(アイアームス)」を販売しました。当社は、自動車で培ってきた技術を活用して、環境にやさしく、健康で安心・安全な生活に貢献していきます。開発体制としては、世界各地域の事情やニーズに合った最適な製品を開発するため、世界7地域にテクニカルセンターを整備し、グローバル開発体制を強化しています。日本におきましては、自動運転の技術開発が進む中、車載用電子システムを開発する当社と、車載分野で実績が豊富な組込みソフトウェアの開発を行うイーソル株式会社、ネットワークシステムや組込みシステムに関する大規模ソフトウェアを開発する日本電気通信システム株式会社の3社で合弁会社 株式会社オーバスを設立し、車載用電子システムの基本ソフトウェアを開発、販売する体制を整えております。特に、カメラやセンサ類とそれらを制御するECU間の情報量の飛躍的増大に伴う高速通信やマルチコアマイコンへの対応、サイバーセキュリティへの対応をしていきます。また、ユーザーにとって使いやすい基本ソフトウェアを提供することで、自動車メーカー及びECU開発メーカーの開発効率及び品質の向上に貢献していきます。連結会社は、世界各地域でその社会に貢献する製品とサービスを提供していくことを目指しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は399,238百万円(資産計上分含む)、その内、日本セグメント336,648百万円、北米セグメント27,015百万円、欧州セグメント13,407百万円、アジアセグメント20,813百万円、その他1,355百万円となっています。現在、研究開発費において海外セグメントが占める比率は約16%ですが、開発体制の整備により、今後、この比率を増やしていく予定です。