研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 5,083 |
| 2024-03 | - | 6,976 |
| 2023-03 | - | 6,543 |
| 2022-03 | - | 4,799 |
| 2021-03 | - | 3,385 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,865 文字
6【研究開発活動】「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをPurpose(存在意義)とするソニーでは、経営の方向性として「クリエイションシフト」、10年後のありたい姿を示す長期ビジョンとして「Creative Entertainment Vision」を掲げ、クリエイターに向けた技術やソリューションを提供しています。 ソニーの研究開発(R&D)の役割は、クリエイターを支え、その創造性を解放する技術を生み出すことです。クリエイターとはアーティスト、エンジニア、科学者等、感動にあふれるより良い未来を創ろうとする人と広く捉えたうえで、R&Dの方向性を「We are here for creators」と定めました。 この方向性のもとで、現事業の技術基盤に加え、新たな事業展開を可能とする技術基盤を構築することで、ソニーの将来のため、特に「センシング」「AI」「仮想空間」の3つの技術領域を中核とし、「クリエイティビティ」、「IP価値」、そして「ファンエンゲージメント」を最大化させる、クリエイションテクノロジー群の研究開発の推進を図ります。こうしたクリエイションテクノロジーの開発には、多様なコンテンツ領域と、言語等の文化的な多様性、あらゆるデモグラフィの人々の視点という3つの多様性を尊重することが重要で、開発を担う側も専門性や経験等、多様性を包摂していることが不可欠です。ソニーは、技術革新に必要な、優秀で多様な研究者の支援に社会課題としても取り組み、2024年3月に、地球や社会にポジティブなインパクトをもたらす研究を進めている、次世代の女性研究者3名を毎年表彰する「Sony Women in Technology Award with Nature」を世界有数の科学ジャーナル『Nature』と共同で立ち上げ、2025年2月に第1回の受賞者を発表しました。 ソニーは、テクノロジーを通じて、様々なクリエイターがクリエイティビティを発揮するための力を提供し続けます。 ソニーの研究開発組織は、国内外の複数の拠点と連携し、それぞれの地域の特徴や強みを活かした研究開発活動を行っています。現地の優秀な研究開発人材の獲得をめざすとともに、ソニーの中だけに閉じず、外部のクリエイターやアカデミアとの連携も強化していきます。すでに世界各地の大学との共同開発等の様々な活動を推進しており、今後さらに拡大させていきます。 2024年度の研究開発費は、前年度に比べ82億円(1.1%)減少の7,346億円となりました。金融分野を除く連結ベースの売上高に対する比率は、前年度の6.6%から6.1%になりました。 各分野における研究開発費の金額は以下のとおりです。項目2023年度(億円)2024年度(億円)増減率(%)G&NS2,8162,792△0.9ET&S1,5481,389△10.3I&SS2,1922,2844.2(注)当社の研究開発組織(コーポレートR&D)における研究開発費については、2024年度における当社のテクノロジー関連組織の再編にともない、金額的重要性が乏しくなったため、2024年度より独立掲記していません。 2024年度の主な研究開発活動及び成果として、以下のものがあげられます。 (1)G&NS・PlayStation®5 Pro 2024年11月に発売したPlayStation 5 Proは、これまで以上に高精細なグラフィックを、より滑らかなフレームレートで実現する、PlayStation史上最も先進的かつ革新的なコンソールです。AIによって強化された超解像技術「PlayStation スペクトルスーパーレゾリューション(PSSR)」によって映像のディテールが大幅に向上し、極めて鮮明なビジュアルを実現します。また、従来からさらに進化したレイトレーシング機能を追加したことで、よりダイナミックな光の反射と屈折の表現が可能となりました。 ・PlayStation Portal リモートプレーヤー向けクラウドストリーミング機能(ベータ版) 2023年11月に発売したPlayStation Portal リモートプレーヤーは、PS5本体を遠隔で操作できるリモートプレイ専用デバイスです。発売後もアップデートによって機能を追加し、2024年11月にはクラウドストリーミング機能のベータ版をリリースしたことで、PlayStation Plusプレミアム会員はPS5本体を経由することなく、対応しているゲームタイトルをサーバーから直接ストリーミングしてプレイできるようになりました。 (2)ET&S・空間コンテンツ制作支援を行うソフト・ハードが統合されたソリューション XYN 手軽に高品質な3DCG制作を実現する新しいソリューションとしてXYN(ジン)を発表しました。XYNのソリューション群は 、映画、アニメ、ゲーム等の幅広いクリエイターの直感的かつ効率的な空間コンテンツ制作のニーズに対応します。XYN Motion Studioは、モバイルモーションキャプチャー mocopi™と組み合わせによる、キャプチャーからタイムライン編集やクラウド保管・活用機能を備えたモーション制作の統合アプリケーションです。アニメ制作やゲーム開発等に導入することで、モーションを使用したコンテンツ制作プロセスを効率化します。 開発中のXYN空間キャプチャーソリューションは、ミラーレス一眼カメラで撮影した画像と独自アルゴリズムを使用し、高品質な3DCGアセットを生成します。映画やゲームの小道具、メタバースやバーチャルプロダクション向けの空間背景制作等の3DCG制作ワークフローを効率化します。 また、空間コンテンツ制作のワークフローを効率化する高画質XRヘッドマウントディスプレイを開発中です。SPEの子会社であるSony Pictures Animation Inc.との実証実験を通じてエンタテインメント領域での利用が期待されています。 ・大幅な小型軽量化を実現したVENICEエクステンションシステムMini「CBK-3621XS」 デジタルシネマカメラの最上位ラインであるCineAltaラインアップとして、VENICEエクステンションシステムMiniを発表しました。この新しいシステムは、既存モデルに比べて約70%の小型化と、新開発の細くしなやかな脱着式ケーブルにより、手持ち撮影や小型ジンバルへの搭載、狭所設置の自由度を大幅に向上させています。大幅な小型化を実現するために、VENICEエクステンションシステムMiniには8.6KフルサイズCMOSセンサーを内蔵し、ドロップイン方式のNDフィルターを採用しています。また、VENICE 2 6Kユーザーもこのシステムを使用することで8K撮影が可能となります。 さらに、本システムとVENICE 2を複数台使用することで、レンズの中心間距離を人の瞳孔間距離とほぼ等しくした高品質で自然な立体映像に加え、VFX背景等の空間コンテンツ制作が可能です。 (3)I&SS・業界初※1 RAW画像※2とYUV画像※3を独立した2系統で処理・出力可能な車載カメラ用CMOSイメージセンサー「ISX038」先進運転支援システム(ADAS)や自動運転システム(AD)の高度化や、ドライバーが運転体験に求めるニーズの増加にともない、車載カメラが担う役割はますます多様化している一方で、設置スペースが限られていることから、無制限にカメラの数を増やすことは困難です。本製品は、独自開発のISP※4を搭載しており、ADASやADとして車外環境の検知・認識に必要なRAW画像と、ドライブレコーダーやARカメラ等車載インフォテインメント用に提供するYUV画像を、それぞれ個別の系統で処理し、出力することが可能です。 1台のカメラで対応可能な用途を拡大することで、車載カメラシステムを簡素にすることができ、省スペース化や低コスト化、低消費電力化に貢献します。※1: 車載カメラ用のCMOSイメージセンサーとして。SSS調べ(2024年10月4日広報発表時点)。※2: コンピュータによる認識のための画像。※3: 録画やモニター表示等ドライバーの視覚のための画像。※4: Image Signal Processor:画像処理のための回路。 ・高速処理と多画素を両立する産業機器用グローバルシャッター方式CMOSイメージセンサー「IMX925」工場の自動化が進展し、産業機器においても、様々な対象物をより高速かつ高画質で撮影できるマシンビジョンカメラへのニーズが高まっています。本製品は、独自の画素構造によるグローバルシャッター技術「Pregius S™」を搭載し、小型でありながら、低ノイズで高画質な撮像が可能です。さらに、画素の読み出しやA/Dコンバーターにおけるセンサー駆動を効率化した新たな回路構造を採用することで、従来比※約4倍の高速処理と2倍以上の電力効率を実現しています。時間あたりの撮影回数が増えることで、測定や検査工程の時間短縮や電力効率の向上に貢献することに加え、3次元検査等の複数の撮像データを活用したより高度な検査への応用も期待されます。※: 当社の産業機器向けグローバルシャッター方式CMOSイメージセンサー「IMX530」との比較。
FY2024|4,107 文字
6【研究開発活動】ソニーのPurpose(存在意義)は、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」です。そして、そのキーワードは「感動」です。世界が感動で満たされ続けるためには、人々のクリエイティビティを解き放つテクノロジーを生み出しつづけ、我々の文明を持続可能なものにする必要があります。これを明確にするために、「我々の文明を進歩させ、この惑星を持続可能にする」を、ソニーグループにおける研究開発のミッションとして掲げました。 ソニーのPurposeを実現するためには、多様なテクノロジーが必要となります。その中核となるのが「センシング」「AI」「仮想空間」の3つの領域とそれらの連動です。現実空間でのセンサーとAIの連動により、画像認識や音声認識の高度化が期待されます。そしてセンシングされたデータや、そのデータを学習することで強化されたAIを用いて、仮想空間上での精密なシミュレーションや魅力的なコンテンツの生成が可能となります。さらに、仮想空間で得られた結果をAIにフィードバックすることで、AIの能力を強化することができます。このように、センシング、AI、仮想空間を連動させ、ソニーをAI/Data-driven Companyへと変革していきます。そして、ソニーはこれまでクリエイターの創造的なひらめきを支えることで、社会に対してポジティブなインパクトを生み出してきました。“We are here for creators”というソニーのR&Dの方向性のもと、クリエイターのためのテクノロジーを作り、クリエイターとともに未来を創造していきます。 ソニーグループの研究開発組織は、国内外の複数の拠点と連携し、それぞれの地域の特徴や強みを活かした研究開発活動を行っています。現地の優秀な研究開発人材の獲得をめざすとともに、ソニーグループの中だけに閉じず、外部のクリエイターやアカデミアとの連携も強化していきます。すでに世界各地の大学との共同開発など様々な活動を推進しており、今後さらに拡大させていきます。 2023年度の研究開発費は、前年度に比べ71億円(1.0%)増加の7,428億円となりました。金融分野を除く連結売上高に対する比率は、前年度の7.3%から6.6%になりました。 各分野及び当社の研究開発組織(以下「コーポレートR&D」)における研究開発費の金額は以下のとおりです。項目2022年度(億円)2023年度(億円)増減率(%)G&NS2,7112,8163.8ET&S1,5571,548△0.6I&SS2,2372,192△2.0コーポレートR&D464454△2.2 2023年度の主な研究開発活動及び成果として、以下のものがあげられます。 (1)G&NS・PlayStation®5向けクラウドストリーミング 2023年10月、PlayStation Plusプレミアムの加入者向けに、PS5™のクラウドストリーミング機能の提供を開始しました。PlayStation Plusのカタログに含まれるゲームや、PlayStation Storeで購入したPS5用の対象タイトルなど数百本のゲームをPS5本体にダウンロードせずにプレイできるようになりました。 ・Access™コントローラー 2023年12月に発売を開始したAccessコントローラーは、ゲームのアクセシビリティをさらに一歩前進させるPS5用のアクセシビリティコントローラーキットです。アクセシビリティの専門家、コミュニティーメンバー、ゲーム開発者の協力により開発された本製品は、ハードウェア及びユーザーインターフェースの両面において様々なカスタマイズが可能で、あらゆる方がより簡単に、快適に、そして長い時間ゲームをお楽しみいただけるようサポートします。 (2)ET&S・空間コンテンツ制作システム 高画質の4K OLEDマイクロディスプレイやビデオシースルー機能を搭載したXRヘッドマウントディスプレイ(HMD)と、3Dオブジェクトの精密な操作に最適化したコントローラーを備え、空間コンテンツ制作における高度なクリエイティブ作業に対応する没入型空間コンテンツ制作システムを開発しました。このシステムでは、両眼8KのOLEDマイクロディスプレイがもたらす高精細表示に加えて、ビデオシースルー機能により、肉眼視に近い見え方で現実の空間に仮想の物体を表示します。また、手指で造形物を把持しながらキーボードで数値入力を行うことを可能とするリング型コントローラー、ポインティングのための独自のポインティングコントローラー、これらを用いて立体視による直感的かつ精密な制作を行うことを可能とするUIにより、クリエイターが現実と仮想空間をシームレスに行き来できる、没入感のある空間コンテンツ制作体験を提供します。 ・360 Virtual Mixing Environmentとそれを支えるヘッドホン「MDR-MV1」 長年にわたる立体音響技術開発の集大成として、映画サウンド制作用スタジオの音・音場環境を、精密な音響測定をもとにヘッドホンのみで再現する技術「360 Virtual Mixing Environment」(「360VME」)を開発しました。SPE及びソニー・インタラクティブエンタテインメントと連携し、プロの制作用に特化して開発を進め、SPEのサウンド制作用リファレンススタジオや、PlayStation Studiosが持つゲームサウンド専用スタジオの音場環境を高精度に再現しました。そして、新しい振動板形状を採用し専用開発したドライバーユニットを備えた、立体音響制作に最適な背面開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」を商品化しました。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、自宅での作業を余儀なくされたミキシングエンジニアのために、SPEと連携し、「360VME」を用いてミキシングステージの音場を再現しました。これにより、映画サウンド制作の最前線で活躍するクリエイターからも認められるサウンド制作のクオリティを、クリエイターの自宅でも実現できるようになりました。新型コロナウイルス禍の終息後においても場所の制約を取り払った新たなワークフローとしての活用が期待されており、音楽などの立体音響コンテンツ制作向け「360VME」の測定サービス事業を開始しています。 (3)I&SS・リアルな空間再現に貢献する大型で高精細な1.3型4K OLEDマイクロディスプレイ「ECX344A」 本製品は、カメラの電子ビューファインダー(EVF)の開発で培った微細化プロセスと独自の画素駆動回路の採用により、大型の1.3型ディスプレイにおいて4Kの高解像度を実現し、VR/AR向けヘッドマウントディスプレイによるリアルな空間再現に貢献します。さらに、新開発の高速駆動用ドライバー回路を搭載することで、4Kでも高フレームレートで滑らかな映像表現を実現します。また、従来の技術では色域と輝度の性能はトレードオフの関係にありましたが、色域を広げながら光の利用効率を改善する独自の画素構造を採用することで、広色域と高輝度性能の両立を実現し、高精細性と併せることで、リアルな映像による没入感の高い体験を可能にします。 ・業界最多※1有効1,742万画素※2の車載カメラ用CMOSイメージセンサー「IMX735」 システムが自律的に運転操作を行う自動運転を実現するためには、周囲360度の車外環境を高精度にとらえることができる高度な検知・認識性能が必要となります。本製品は、業界最多の有効1,742万画素を実現したことにより、遠くの対象物を高精細に検知することを可能にします。加えて、画素信号の水平方向出力を採用することで、メカニカルスキャン方式のLiDARと同期しやすく、自動運転システム全体として検知・認識性能を向上させることも可能です。さらに、独自の画素構造と露光方法により飽和照度を改善したことで、逆光などの条件下でも白飛びを抑制し、またトンネルの出入り口などの明暗差の大きい道路環境においても、対象物をより正確に検知・認識することができます。本製品により、高度な検知・認識性能を有する車載カメラシステムを実現し、安心・安全な自動運転に貢献します。※1 車載カメラ用のCMOSイメージセンサーとして(2023年9月12日広報発表時)※2 イメージセンサーの有効画素規定方法にもとづく (4)コーポレートR&D・SOTA※生成モデルとリアルタイムアプリへの応用 機械学習による画像生成の領域において、独自の新たなモデルを開発し、従来のSOTA生成モデルを上回る品質を達成すると同時に40倍の高速化を達成しました。本技術に関する論文「Consistency Trajectory Models:Learning Probability Flow ODE Trajectory of Diffusion」及び「SAN:Inducing Metrizability of GAN with Discriminative Normalized Linear Layer」は機械学習の領域で権威ある国際会議「International Conference on Learning Representations 2024」において採択されました。この高速かつ高品質な生成技術は、ゲームなどのエンタテインメント事業でのリアルタイム背景映像生成等の応用が期待されています。※SOTA: State-of-the-Art ・リップシンク技術によるアニメーションの制作支援 従来、アニメーション制作などにおいて、キャラクターの唇の動きと音声を同期させることに多くの時間を要していました。本技術は、AIを用いることで制作工程の短縮に貢献します。この技術を導入したリップシンクツールは、既にアニメ制作現場でも活用されています。
FY2023|6,050 文字
6【研究開発活動】ソニーのPurpose(存在意義)は、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」です。そして、そのキーワードは「感動」です。世界が感動で満たされ続けるためには、人々のクリエイティビティを解き放つテクノロジーを生み出しつづけ、我々の文明を持続可能なものにする必要があります。これを明確にするために、「我々の文明を進歩させ、この惑星を持続可能にする」を、ソニーグループにおける研究開発のミッションとして掲げました。 ソニーのPurposeを実現するためには、多様なテクノロジーが必要となります。その中核となるのが「センシング」「AI」「仮想空間」の3つの領域とそれらの連動です。現実空間でのセンサーとAIの連動により、画像認識や音声認識の高度化が期待されます。そしてセンシングされたデータや、そのデータを学習することで強化されたAIを用いて、仮想空間上での精密なシミュレーションや魅力的なコンテンツの生成が可能となります。さらに、仮想空間で得られた結果をAIにフィードバックすることで、AIの能力を強化することができます。このように、センシング、AI、仮想空間を連動させ、ソニーをAI/Data-driven Companyへと変革していきます。 ソニーグループの研究開発組織(以下「コーポレートR&D」)は、日本、欧米、インド、中国にある複数の拠点と連携し、それぞれの地域の特徴や強みを活かした研究開発活動を行っています。現地の優秀な研究開発人材の獲得をめざすとともに、ソニーグループの各事業とのさらなる連携を進めていきます。また、ソニーグループの中だけに閉じず、外部のクリエイターやアカデミアとの連携も強化していきます。すでに世界各地の大学との共同開発など様々な活動を推進しており、今後さらに拡大させていきます。 2022年度の研究開発費は、前年度に比べ1,173億円(19.0%)増加の7,357億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は、前年度の7.4%から7.3%になりました。 各分野及びコーポレートR&Dにおける研究開発費の金額は以下のとおりです。項目2021年度(億円)2022年度(億円)増減率(%)G&NS1,7572,71154.3ET&S1,4181,5579.8I&SS1,9802,23713.0コーポレートR&D487464△4.8 2022年度の主な研究開発活動及び成果として、以下のものがあげられます。 (1)G&NS・Access™コントローラー ゲームのアクセシビリティをさらに一歩前進させるPS5™用のアクセシビリティコントローラーキットであるAccessコントローラーを発表しました。アクセシビリティの専門家、コミュニティーメンバー、ゲーム開発者の多大なる協力により開発された本製品は、ハードウェア及びユーザーインターフェースの両面において様々なカスタマイズが可能で、あらゆる方がより簡単に、快適に、そして長い時間ゲームをお楽しみいただけるようにサポートします。 ・PlayStation®VR2 2023年2月に発売を開始したPlayStation VR2は、高精細な4K HDRビジュアルや、新しいセンサー機能、トラッキング性能の進化によって前世代機から飛躍的な進化を遂げ、圧倒的な没入感をお届けします。本製品では、プレイヤーの目の動きを検知してゲームキャラクターを操作できる視線トラッキングや、ヘッドセットの振動によりプレイヤーがゲームから受ける感覚を増幅させるヘッドセットフィードバック、そしてPS5のTempest 3Dオーディオ技術など、様々なテクノロジーを組み合わせることで、これまでにない感覚と没入感をお楽しみいただけます。また、付属のPS VR2 Sense™コントローラーは、トラッキング性能の向上に加えて、フィンガータッチ機能やハプティックフィードバック、アダプティブトリガーなどの機能を備え、次世代のバーチャルリアリティ体験を実現しました。 (2)ET&S・バーチャルプロダクション 大型LEDディスプレイCrystal LED™ 『Bシリーズ』、デジタルシネマカメラVENICE、カメラトラッキングシステムとリアルタイムエンジンを組み合わせたインカメラVFXの手法により、クリエイターの映像表現の自由度を高める新たな撮影ソリューションです。3DCGを中心としたバーチャル背景を、高精細・高輝度・広色域などの特長を持つCrystal LED 『Bシリーズ』に表示し、その手前に演者や被写体を配置してVENICEで撮影することで、合成などの後処理なくリアルタイムにCGと実写を組み合わせた映像制作を可能にします。2022年2月に開設したソニーピーシーエル㈱のクリエイティブ拠点「清澄白河BASE」に続き、10月には、米国カリフォルニア州カルバーシティのスタジオ敷地内のSony Innovation StudiosにCrystal LEDディスプレイを備えたものとして世界最大規模のバーチャルプロダクション用ステージを開設しました。また、南カリフォルニア大学と提携し、同大学の敷地内に、ソニーのCrystal LED 『Bシリーズ』を2022年夏に設置し、2022年秋よりバーチャルプロダクションの教育カリキュラムを学生に提供しています。次世代クリエイターの育成支援を通じてクリエイティブコミュニティへ貢献していきます。 ・プレーを可視化するホークアイの技術と空間再現ディスプレイ 高精度・リアルタイムのトラッキング技術SkeleTRACKと可視化技術HawkVISIONを組み合わせることにより、スポーツにおいてファンエンゲージメントを高めるためのコンテンツを提供しています。SkeleTRACKは選手の位置や骨格情報、ボールやバットなどの動きも高精度かつリアルタイムにトラッキングすることで、全てのプレーをデータ化します。また、HawkVISIONによって、カメラの位置に制限されず自由な視点からバーチャル空間上でプレーを可視化できます。これら2つの技術で再現したプレー映像を、高速ビジョンセンサーと視線認識技術によって、見る人の目の位置を検出し左右それぞれの目に最適な立体映像を生成するソニーの空間再現ディスプレイで再生すると、スポーツの試合がまるで目の前で行われているかのような臨場感や立体感のある新しい観戦体験が裸眼で可能になります。こうしたエンタテインメント性あふれるコンテンツ体験を通じて、メタバース空間上で新たなコミュニティを生み出すとともに、フィジカルとバーチャルを繋げ、それらを融合した新しい未来を創り出していきます。 ・次世代のクラウド制作プラットフォーム(Creators' Cloud) これまで培ってきたクラウド技術・サービスを更に発展させ、未来の映像制作ワークフローを見据えた次世代のクラウド制作プラットフォーム(Creators' Cloud)を法人顧客向けに導入しました。クラウド技術と多様なカメラ、通信技術、AI、メタデータなどを組み合わせて、新たな映像表現や迅速かつ効率的な制作を実現します。また法人顧客向けをベースに、最先端のカメラ技術とクラウド技術を掛け合わせて最適化し、個人向けサービスとしても幅広く提供を開始しました。カメラで撮影した動画・静止画を簡単にクラウドサービスへアップロードするスマートフォン向けアプリ(Creators’App)、カメラメタデータとクラウドAIを活用した動画編集クラウドサービス(Master Cut (Beta))、クリエイター同士が繋がり作品を発信するコミュニティ機能(Discover)などを新たに提供しました。また、従来法人顧客向けに提供してきたクラウドメディアストレージ(Ci Media Cloud)を個人向けにも提供を開始しました。クラウドを活用した編集サポートから、クリエイター間の出会いや共同作業を可能にする環境までCreators’Cloudを通じて提供し、多様なクリエイターの高次元のコンテンツ創作活動を総合的にサポートします。 ・嗅素を手軽に制御するTensor Valve™テクノロジー 嗅覚にアプローチする新たな価値の創出に向け、多数の嗅素(においの素)を手軽に制御し、混在させずに均一に提示することを可能にしたTensor Valve(テンソルバルブ)テクノロジーを開発し、この技術を搭載したにおい提示装置『NOS-DX1000』を発売しました。高気密カートリッジ技術により、強いにおいの嗅素でもにおい漏れを抑制します。また、本体に内蔵された脱臭機構の気流制御により、提示されたにおいを速やかに除去し汚染を抑制するため、脱臭装置や専用の部屋を必要としない手軽な運用が可能です。医療機関をはじめ、研究機関、自治体等において、嗅覚測定や嗅覚トレーニング、においサンプルの確認や検証など、においにまつわる研究や測定の用途に展開します。 (3)I&SS・エッジAIセンシングプラットフォームAITRIOS™の有償サービス提供開始 AIカメラなどのエッジデバイスを活用したセンシングソリューションの効率的な開発・導入を可能にするAITRIOSプラットフォームにおいて、2種類の有償サービスの提供を開始しました。主にアプリケーションデベロッパーやAIデベロッパーによるソリューション開発と運用を支援するConsole Developer Editionと、主に法人顧客のシステム構築を担うシステムインテグレーターを支援するConsole Enterprise Editionです。AITRIOSは、開発に必要なツールやSDK(ソフトウェア開発キット)、開発環境をパートナーや顧客に提供することにより、作業工数の増加や、エンジニアの人員数やスキルの不足など、パートナー企業が抱える課題解決に貢献します。 ・スマートフォン用SPAD距離センサー 業界最高の光子検出効率を実現する直接 Time of Flight(dToF)方式のSPAD距離センサー『IMX611』をスマートフォン用に商品化しました。一般的にSPAD画素は、光源から対象物に反射して戻ってくるまでの光の飛行時間を検出することで距離情報を取得する、dToF方式の受光素子の一つとして活用されています。本製品は、センサーに独自のSPAD画素構造を採用することで、業界最高の光子検出効率を実現しました。光源から対象物に反射して戻ってきた微弱な光子でも検出が可能になることで、対象物を高精度に測距することができます。低照度環境におけるスマートフォンのオートフォーカス性能の向上や、被写体の背景のボケ処理、広角カメラや望遠カメラのシームレスな切り替えなどに活用でき、撮影体験を広げます。また、3次元空間認識、ARオクルージョン、モーションキャプチャー・ジェスチャー認識などが可能になり、今後のメタバースの普及に伴って需要が見込まれるVRヘッドマウントディスプレイやARグラスの機能の進化にも貢献します。加えて、ToF技術により取得可能な深度情報を活用したSDK「ToF AR」の提供も開始しました。目の前の風景にバーチャルな視覚情報を重ねるARアプリケーション開発を加速するためのSDKとして、人の動きの認識に加え、空間認識技術にも応用することで、スマートフォン一つでバーチャルYouTuber体験を可能にし、ゲームなどのアプリケーションでの活用も期待されています。 (4)コーポレートR&D・Mapray™デジタルツインプラットフォーム Mapray(マップレイ)は、3次元データと様々な地理空間情報を集約してリアルな世界を再現する、デジタルツインの開発者向けプラットフォームです。大規模な3次元仮想空間をWebブラウザ上で高速・高画質にレンダリングするグラフィックスエンジンmaprayJSと、多様で複雑な3次元地理空間データをクラウド上で最適化して管理・配信するMapray Cloudで構成されています。これらの技術を組み合わせることで、大規模で美しいデジタルツインを誰もが自由かつ簡単に構築できるようにして、そこから様々な感動体験が生み出されることをめざしています。 ・デジタル空間でリアルな体験を再現するサージカルシミュレーター 仮想空間において本物のような映像だけでなく、リアルな臓器の変形やその感触までも再現可能な手術シミュレーター技術を開発しました。手術時に医師が見ている世界をより忠実に再現するために、光の屈折や反射などを計算するレイトレーシング技術を取り入れたリアリティのある手術描画と、リアルタイム物理演算による柔軟物操作インタラクションを組み合わせることで、従来のデジタルシミュレーションでは再現が難しかった臓器の特性の違いや処置の際の力加減などを確かめながらトレーニングができるようになりました。 ・深層生成モデル技術を活用したコンテンツ生成・修復 ソニーは、AIを活用してコンテンツの生成、修復を行うことのできる深層生成モデルと呼ばれる技術を開発しています。効率的なデータの圧縮法を学習する手法であるVector-Quantized Variational Auto Encoder (VQ-VAE)の学習を向上・安定化させ、一度で安定的に学習できる手法としてStochastically Quantized VAE (SQ-VAE)を開発するとともに、物理法則にもとづく方程式を利用し、より高品質な生成結果をもたらす拡散モデルの新しい学習方法の開発にも成功しました。これらの技術はクリエイターの創作活動を支えるためのものであり、音楽、映画、ゲーム業界において事業を展開し、世界をリードするクリエイターと研究開発者が協働できるソニーならではの機会を通じて、クリエイターのクリエイティビティを解き放つ技術の研究を行っていきます。 ・遠隔空間を目の前にリアルに再現する3次元高画質化と低遅延伝送技術 独自開発した3次元高画質化と低遅延伝送技術、大画面かつ高画質な3次元ディスプレイ(Light Field Display)を組み合わせることで、遠隔空間を立体的に再現し、実際に目の前に人がいる/物があるような映像をリアルタイムに専用の眼鏡などを装着せずに体験できるようになりました。これは、遠隔地において、より進化したコミュニケーションが求められる新たな生活様式を実現する技術です。今後は、医療や金融・コンサルティングなどのテレコミュニケーションに加え、建機や車などの遠隔操作や遠隔手術などのユースケースも想定されます。
FY2022|6,845 文字
5【研究開発活動】ソニーは、「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」として、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurposeにもとづいて研究開発を推進しています。経営の方向性としての「人に近づく」をテクノロジーの力で実現するために、ソニーは、クリエイター、ユーザーの「人の動機」に近づくことが必要不可欠だと考えています。「人」と「テクノロジー」によって進化したソニーグループの多様な製品、コンテンツ、サービスを通じて、「人」「社会」「地球」が抱える課題の解決へ貢献することをめざしています。当社の研究開発組織(コーポレートR&D)では、将来のグループ全体の事業ポートフォリオを想定しながら、一定の財務規律のもとで資源を投下しています。多様な事業で活用が期待できる技術を優先し、「リアリティ/Reality」「リアルタイム/Real-time」「リモート/Remote」の3Rテクノロジーをはじめ、AIやセンシング、セキュリティなどの技術テーマにも注力していきます。 コーポレートR&Dは、日本、中国、インド、欧米にある複数の拠点と連携し、それぞれの地域の特徴や強みを活かした研究開発活動を行っています。現地の優秀な研究人材の獲得をめざすとともに、ソニーグループの持つ各事業のさらなる連携を進めていきます。また、各研究開発拠点間のマネジメントや人材の流動性を高め、より多様な視点での研究開発の強化を継続していきます。エンタテインメントや金融などソニーグループを横断するプロジェクトでは、実組織の枠組みを超えたチームを編成し、フレキシブルかつスピーディーに英知を結集して活動を推進しています。なお、より広い視野でクリエイターやユーザーの動機を収集し、事業の可能性を広げる活動として、大学や研究機関との連携をはじめとするオープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。 2021年度の研究開発費は、前年度に比べ730億円(13.4%)増加の6,184億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は、前年度の7.4%と変わらず7.4%でした。 各分野及びコーポレートR&Dにおける研究開発費の金額は以下のとおりです。項目2020年度(億円)2021年度(億円)増減率(%)G&NS1,4461,75721.5EP&S1,4231,418△0.3I&SS1,6891,98017.2コーポレートR&D43348712.6(注)EP&S分野の研究開発費について、同分野の研究開発費に含まれる費用の集計範囲を2021年度に見直したことにともない、同分野の2020年度の研究開発費の実績を2021年度の集計範囲に合わせて組替再表示しています。この組替再表示により、組替再表示前の金額に比べ、2020年度の研究開発費が78億円増加しています。なお、この集計範囲の見直しによる2020年度のソニー連結の研究開発費及びEP&S分野の営業利益への影響はありません。 2021年度の主な研究開発活動及び成果として、以下のものがあげられます。 (1)G&NS・プレイステーションネットワーク(PSN) 2022年3月時点でPSNの月間アクティブユーザー数は1億アカウント以上となり、着実にサービスの基盤を拡大しています。充実したソフトウェアラインアップ及び革新的なネットワークサービスにより、プレイステーションの普及・拡大を推進し、これまで以上に充実したインタラクティブなエンタテインメント体験を提供していきます。 ・PS5™向け次世代VRシステムPlayStation VR2及びPlayStation VR2 Sense™コントローラー PlayStation VR2は、高精細な4K HDRビジュアルディスプレイ、新しいセンサー機能、視線トラッキング性能の進化などにより、ゲームの世界への没入感を高め、次世代のバーチャルリアリティシステムにふさわしい体験を提供します。さらにPlayStation VR2 Sense™コントローラーのハプティックフィードバックやアダプティブトリガーが相まって、プレイヤーはより直感的にゲームを感じ、ゲームとインタラクトすることが可能になります。 (2)EP&S・Crystal LEDとシネマカメラで実現するバーチャルプロダクション バーチャルプロダクションの手法の一つである「In-Camera VFX」は、カメラの動きと連動させた3DCG映像をスタジオに設置したLEDディスプレイに背景として映し出し、その前の演者を撮影することで、従来のグリーンバックでの撮影に必要なCG合成の手間と、天候や時間・場所などの制約からクリエイターを解放します。独自のLED制御技術とブラビア®で培った信号処理技術を融合した高精細、高コントラストかつ豊かな色再現性で背景映像を映し出すCrystal LEDと、新開発の8.6Kイメージセンサーを搭載し、高い解像力と繊細な描写を実現するデジタルシネマカメラ『VENICE 2』を組み合わせ、よりリアリティのある映像制作を実現します。また、ソニーグループ内外のクリエイターや実際の撮影に携わるエンジニアとの連携を深め、高品位なコンテンツを効率的に制作できるバーチャルプロダクションに関する取り組みを加速させるため、Sony Innovation Studio(米国)や「清澄白河BASE」に常設スタジオを開設しました。 ・ワイヤレスステレオヘッドセット LinkBuds™ 振動板の中心部を開放した新開発のリング型ドライバーユニットを搭載し、耳をふさがない構造の完全ワイヤレス型ヘッドホンLinkBuds™は、小型・軽量で常時装着しても疲れにくいデザインであり、周囲の音を自然に聞きながら、好きな時にヘッドホンを通じて音楽やゲームを楽しんだり、オンライン会議に参加したりするなど、ヘッドホンが日常生活に溶け込んだ使い勝手を可能にします。また、通話性能においては、5億サンプルを超えるAIの機械学習で構成した装着者の声とそれ以外の環境ノイズを分離するアルゴリズムにより、環境ノイズを抑えて装着者の声をクリアに抽出し、騒がしい場所でも快適な会話を実現します。 ・5G対応スマートフォン『Xperia 1 III』、『Xperia PRO-I』 第5世代移動通信システム(5G)のミリ波帯・Sub6(6GHz未満の周波数帯)に対応したフラッグシップスマートフォン『Xperia 1 III』、『Xperia PRO-I』を商品化しました。『Xperia 1 III』は、可変式望遠レンズとフルサイズミラーレス一眼カメラα™ (Alpha™)のエンジニアが開発した高いAF性能により、大切な一瞬を鮮明に切り取ります。また、4K 120Hz HDR対応有機ELディスプレイと迫力ある立体的な音場による視聴体験を実現します。『Xperia PRO-I』の「I」はイメージング(Imaging)の「I」を表しており、ソニーの最先端イメージング技術を結集したカメラの本格撮影体験を、5Gスマートフォンで実現します。本機に搭載するイメージセンサーには、クリエイターから高い評価を受けているソニーのプレミアムコンパクトカメラ『RX100 VII』に搭載の1.0型イメージセンサーを本機向けに最適化したExmor RS®を使用しています。 ・ホークアイのトラッキングシステムとバーチャルファンエンゲージメント ソニーの連結子会社であるホークアイでは、新たなトラッキング&データビジュアライゼーションシステムの導入を進めています。このシステムは、試合のライブ映像から選手やボールなどの物体の動きを迅速かつ正確に捉え、骨格情報やプレイデータを収集、プレイ内容のバーチャルリクリエーションを実現します。また、ソニーはマンチェスター・シティ・フットボール・クラブと、実世界と仮想空間を融合した次世代のオンラインファンコミュニティ実現に向けた実証実験を行います。この実証実験においても、ソニーの画像解析技術やセンシング技術に加えてホークアイのトラッキングシステムを活用し、世界中のスポーツファンを魅了する新たなエンタテインメントの創出をめざします。 (3)I&SS・積層型イベントベースビジョンセンサー『IMX636』『IMX637』 産業機器向けに、被写体の変化のみを検出することができる積層型イベントベースビジョンセンサー2タイプを商品化しました。イベントベースビジョンセンサーは、各画素の輝度変化を非同期で検出し、変化したデータのみを画素の位置(xy座標)及び時間の情報と組み合わせて出力するため、高速、低遅延なデータ出力が可能なセンサーです。また、本製品はソニーが保有する独自のCu-Cu(カッパー・カッパー)接続を用いた積層技術により、業界最小となる画素サイズ4.86μm角を実現しました。様々な環境下での素早い動体検出などを可能にすることで、産業機器の性能向上に貢献します。 ・車載LiDAR向け積層型SPAD距離センサー『IMX459』 車載LiDAR(ライダー)向け積層型直接 Time of Flight(dToF)方式のSPAD距離センサー『IMX459』を商品化しました。本製品は、10μm角の微細なSPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素と、測距処理回路を一チップ化し、1/2.9型と小型ながら高精度かつ高速な測距を実現します。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転(AD)の普及にともない求められる、車載LiDARの検知・認識性能の向上及び、それによる安心・安全なモビリティの未来に貢献します。 ・エッジAIセンシングプラットフォーム AITRIOS™(アイトリオス) 日本・米国・欧州を皮切りに、エッジAIセンシングプラットフォームAITRIOS™のサービスを開始しました。本プラットフォームは、AI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサー『IMX500』を活用したセンシングソリューションの効率的な開発・導入を可能にします。サービスの第一弾として、AIデベロッパー、アプリケーションデベロッパー、カメラメーカー/モジュールインテグレーター、システムインテグレーターなど、ソリューション実現の担い手となるパートナーに向けて、エッジからクラウドを含めたソリューションを容易に構築するための様々な機能をワンストップで提供します。本プラットフォームを通じて、エッジとクラウドが共働し、地球環境に配慮した最適なシステムや、パートナーによるエッジAIを用いたセンシングソリューションの普及・拡大を支援し、多様な産業に対する新たな価値提供や課題解決に貢献することをめざします。 (4)コーポレートR&D・繊細な人の手を再現する「マニピュレーター」 ソニーは、より繊細な力を検知して、柔らかくかつ滑らかに動作する、より人や環境と親和性のある力制御ロボットの開発に挑戦しています。指先で検出した圧力分布の変化から物体の滑りの前兆をリアルタイムに検知し、適切に物体を持つ力を調整できるため、滑り落とすことなく物体をつかむことを可能にしました。また、距離センサーにより、指から物体までの距離を把握できるため、適切な位置や姿勢で物体を持つことも可能です。AIと高度なセンシング技術をロボットに組み込むことでマニピュレーターの能力を強化し、人々の生活を豊かにするロボット技術の開発に取り組んでいます。 ・高効率な移動を可能にする「新移動機構」 接地部分に車輪アクチュエーターを搭載した6本の脚構造を持つ「6脚車輪構成」ロボットを新たに開発しました。平地では車輪移動を行い、階段などの段差の昇降では脚移動と車輪移動を併用します。これにより、整地・不整地が混在する環境においても、安定かつ高効率な移動を実現しています。また、ロボット関連技術の国際学会「IROS(International Conference on Intelligent Robots and Systems)2021」にて発表した4脚歩行ロボットの設計思想を継承しており、動作中・静止中ともに機体の脚部にかかる負荷を分散することが可能です。これにより、最大20kgの可搬重量と高いエネルギー効率を実現しています。 ・現実世界を超える没入感を実現するVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)システム 高精細なOLEDマイクロディスプレイの映像技術と低遅延HMDシステムを組合わせてVR HMDシステムを開発しました。片目で4K、両目で8Kの高解像度をOLEDマイクロディスプレイで実現しました。また、リモート環境でも違和感なく映像を届けるための低遅延システムは、視聴している人の頭の動きに合わせて素材のテクスチャや人の表情などを高精細にリアルタイムで表現するために、複数のセンサーの情報を組み合わせ、システム全体で遅延量の削減を行い、処理時間を短縮することで実現しました。本システムは、ゲームや映像コンテンツだけでなく、人物がそこにいるかのように感じられる仮想空間でのコミュニケーションやライブエンタテインメントなど幅広い領域での活用が期待できます。 ・地球みまもりプラットフォーム ソニーは、地球上のあらゆる場所をセンシング可能にする仕組みを実現することで、環境問題、災害などの異変の予兆を察知し、人々に異変を事前に知らせることで、サステナビリティにつながる行動を促すことをめざしています。地球みまもりプラットフォームは、土壌中の水分量を高精度に測定できる「土壌水分センサー」、LPWA(Low Power Wide Area)の無線通信規格ELTRES™(エルトレス)を使った衛星通信システム、AIを活用した予兆分析技術など、ソニーグループの技術を活用して構成されています。フィールドワークや実証実験を通じて、持続可能な未来の実現に向けて、さらなる技術の開発と統合に取り組んでいきます。 (5)その他 上記に加えて、各分野及びコーポレートR&Dに紐付かない2021年度の主な研究開発活動及び成果として、以下のものがあげられます。 ・VISION-S Prototypeの5G走行試験を開始 ソニーは、VISION-S Prototypeの5G走行試験をドイツのアルデンホーフェンにあるテストコースで開始しました。VISION-S Prototypeには5Gネットワークへの接続機能が搭載されており、車載システムとクラウドが常に繋がり、データや制御信号の同期、またOTA(Over The Air)でのシステムのアップデートが可能です。走行試験では、車両から取得する各種センサーデータのクラウドへの低遅延伝送や、クラウドから車両に対するリアルタイム制御の可能性を検証するために、高速走行中の車両でも通信環境を最適化するための検証と開発を進めていきます。 ・プロフェッショナル向けドローン 『Airpeak S1』 業務用ドローン『Airpeak S1』は、独自開発のモーターやプロペラ、制御システム、センシング技術などにより、高い敏捷性を有しダイナミックかつ緻密な飛行が可能で、フルサイズミラーレス一眼カメラα™ (Alpha™)搭載可能機種で世界最小クラスを実現していることから、映像制作クリエイターの創造力を余すことなく支援します。また機体を意のままに操れる送信機と、センシングによる障害物検知や自動飛行に加え、機体や飛行情報のクラウド管理による安全な飛行等により、高画質空撮映像制作をサポートします。 ・革新的なAI Gran Turismo Sophy™(グランツーリスモ・ソフィー™) 株式会社ソニーAIは、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下「SIE」)及びSIEの子会社である株式会社ポリフォニー・デジタルとともに、世界初の超人的なAIであるグランツーリスモ・ソフィー™による、人工知能(AI)の飛躍的進歩を発表しました。グランツーリスモ・ソフィー™は、プレイステーション®4用リアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモSPORT』で世界最高峰のドライバーをも凌ぐAIエージェントであり、AIを活用した新たなゲーム体験を世界中のプレイヤーに提供することを目的として開発されました。このAIは、既存のアルゴリズムとインフラストラクチャでは解決できない課題に対して、新たな深層強化学習アプローチとプラットフォームを構築することで実現したものです。
FY2021|5,583 文字
5【研究開発活動】ソニーは「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」として、「テクノロジーを通じて世界を感動で満たす」というPurposeにもとづいて研究開発を推進しています。経営の方向性としての「人に近づく」をテクノロジーの力で実現するために、ソニーは、クリエイター、ユーザーの「人の動機」に近づくことが必要不可欠だと考えています。また、2020年9月には「ESG/テクノロジー説明会」を実施し、長期視点の経営による持続的な価値創出の基盤となるテクノロジーの取り組みについて説明しました。ソニーは、「人の心を動かす」「人と人を繋ぐ」「人を支える」を目的とした幅広い事業ポートフォリオを有しています。これらの「人」を軸に構成された事業の社会的意義は高まっており、テクノロジーを通じて、「人」「社会」「地球」が抱える課題の解決へ貢献することをめざしています。人が集まることや移動の制限がある現在の環境の中、ソニーはこれまで顧客価値として提供してきたリアリティ(Reality)、リアルタイム(Real-time)に加えて、リモート(Remote)を追求する「3Rテクノロジー」で、人々に感動とそれを支える安心・安全を届けていきます。また、全ての事業に力を与える技術領域のさらなる強化を目指し、2020年12月1日付で副社長の勝本徹をCTO(最高技術責任者)に任命いたしました。ソニーの研究開発組織(コーポレートR&D)では「ソニーグループ全体への貢献」「中長期的な骨太の技術テーマ設定」「オープンイノベーションの強化」を実行しています。各事業の研究開発をサポートするのと同時に、ソニーグループの多様な事業によってテクノロジーの進化を加速させ、グループ内でシナジーを生み出しています。また、コーポレートR&Dは、主に3年から10年先の時間軸を意識した研究開発を実施していますが、当該費用のうち5%以内を、将来を見据えた技術のシーズ探索に配分し、中長期的な潮流の変化にも柔軟に対応できるようにしています。 コーポレートR&Dは、日本、中国、欧米にある複数の拠点と連携し、それぞれの地域の特徴や強みを活かした研究開発活動を行っています。さらなる海外拠点の強化を目的に、2020年7月にはインドのベンガルール・ムンバイの2拠点に、9月には中国の深圳に研究所を設立しました。現地の優秀な研究人材の獲得をめざすとともに、ソニーグループの持つ各事業のさらなる連携を進めていきます。また、各研究開発拠点間のマネジメントや人材の流動性を高め、より多様な視点での研究開発の強化を継続していきます。エンタテインメントや金融などソニーグループを横断するプロジェクトでは、実組織の枠組みを超えたチームを編成し、フレキシブルかつスピーディーに英知を結集して活動を推進しています。なお、より広い視野でクリエイターやユーザーの動機を収集し、事業の可能性を広げる活動として、大学や研究機関との連携をはじめとするオープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。 2020年度の研究開発費は、前年度に比べ259億円(5.2%)増加の5,252億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年度と変わらず7.2%になりました。 研究開発費の主な内訳は次のとおりです。項目2019年度(億円)2020年度(億円)増減率(%)G&NS1,2671,44614.1EP&S1,4591,344△7.9I&SS1,5061,68912.2コーポレートR&D441433△1.8(注)I&SS分野の研究開発費について、同分野の研究開発費に含まれる費用の集計範囲を2020年度に見直したことにともない、同分野の2019年度の研究開発費の実績を2020年度の集計範囲に合わせて組替再表示しています。この組替再表示により、組替再表示前の金額に比べ、2019年度の研究開発費が7,082百万円増加しています。なお、この集計範囲の見直しによる2019年度のソニー連結の研究開発費及びI&SS分野の営業利益への影響はありません。 なお、2020年度の主な研究開発活動及び成果には、以下のものがあげられます。 (1)G&NS・プレイステーション™ネットワーク(PSN) 2021年3月時点でPSNの月間アクティブユーザー数は1億900万アカウントを超え、着実にサービスの基盤を拡大しています。充実したソフトウェアラインアップ及び革新的なネットワークサービスにより、プレイステーションプラットフォームの普及・拡大を推進し、これまで以上に充実したインタラクティブなエンタテインメント体験を提供していきます。 ・プレイステーション®5(PS5™) 次世代コンソールゲーム機PS5™を2020年11月に日本、北米で発売開始し、欧州、アジアなどに順次展開しています。全世界の累計実売台数は2021年3月31日時点で780万台を超えました。PS5™は、CPUとGPUが統合されたカスタムプロセッサ、超高速アクセスが可能なSSDや統合されたカスタム入出力を搭載しています。加えて圧倒的な没入感を演出するワイヤレスコントローラーDualSense™には没入感をもたらす触覚フィードバック、抵抗力を変化させるアダプティブトリガー、内蔵マイクを搭載し、ユーザーの皆様に広大な世界観や新しいゲーム体験をお楽しみいただけます。 (2)EP&S・認知特性プロセッサー搭載テレビ BRAVIA XR™ 人間の認知特性を反映した知能を持つ画像処理エンジン認知特性プロセッサー「XR」を搭載したテレビシリーズBRAVIA XRを発表しました。この新型プロセッサーの働きにより、視聴者の皆様に、自分の記憶により近い自然な映像や臨場感のある音をお届けし、リアリティのある没入体験をお楽しみいただけます。 ・空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display) 高精細の3DCG映像を裸眼で見ることができる空間再現ディスプレイ『ELF-SR1』は、圧倒的な精細感で、あたかもそこに物が実在するかのように映像が見える空間映像体験を可能にします。ゲームやCGクリエイターなどあらゆる制作者のコンテンツ表現の幅を広げます。デザインの立体的な確認だけでなく、奥行き感、質感、佇まいなどをリアルに確認することができるため、ショールームや美術館でのディスプレイ展示、店舗等での立体サイネージなど、幅広い用途で活用できる表現力を持ったディスプレイです。 ・全方位からの音に包まれる新しい音楽体験 360 Reality Audio™ 没入感のある立体的な音場を実現する360 Reality Audio™の新たな取り組みとして、音場に映像を組み合わせた臨場感あるビデオコンテンツの配信や、対応機器の拡大、360 Reality Audio™に関連する独自技術の他社へのライセンス提供を進めています。ソニーは、この音楽体験をクリエイターやアーティスト、音楽ファンに向けて広く提案し、360 Reality Audio™のエコシステム形成を加速していきます。 ・フルサイズミラーレス一眼カメラ『α1』 有効約5010万画素の高解像で最高30枚/秒の高速連続撮影、8K30p動画撮影に対応するフルサイズミラーレス一眼カメラ『α1』を発売しました。解像力とスピード性能を高い次元で両立させ、瞳オートフォーカス対応ではこれまでフォーカス合わせが難しかった鳥の瞳にも高い追従性を実現しています。さらに、撮影から納品までのスピードが求められるスポーツや報道系のプロフェッショナルのワークフローを、第5世代移動通信システム(5G)対応端末『Xperia PRO』との連携などによってさらに効率化します。 ・5G対応フラッグシップスマートフォン『Xperia 5 Ⅱ』、『Xperia PRO』 第5世代移動通信システム(5G)のSub6(6GHz未満の周波数帯)に対応したフラッグシップスマートフォン『Xperia 5 Ⅱ』、5Gミリ波帯対応デバイス『Xperia PRO』を商品化しました。『Xperia 5 Ⅱ』は、本格的なカメラ性能やゲーム・オーディオ・ビジュアルのエンタテインメント体験をハンドフィットサイズに凝縮しています。『Xperia PRO』は、360度全方位で5Gミリ波を受信し安定した高速通信を実現、スマートフォンとして世界で初めてHDMI入力にも対応し、コンテンツ制作の新たなワークフローを実現します。 ・ホークアイのスポーツプレー分析サービス ソニーの連結子会社であるHawk-Eye Innovations(ホークアイ)のプレー分析サービスが、米国メジャーリーグベースボール(MLB)の全30球場に導入されました。画像解析技術とトラッキングシステムにより、球場全体のボールや選手の動きを正確に捉えてリアルタイムで解析します。また、このトラッキングデータに加えて、選手の三次元骨格データを計測して、選手の姿勢や動きをリアルタイムで解析することによって、フィールド上での全てのプレーをより精密に確認・評価することが可能になります。 ・ドローンプロジェクト Airpeak™ AIロボティクス領域における、ドローンの新たなプロジェクトを開始し、その機体をCES 2021で初公開しました。フルサイズミラーレス一眼カメラαを搭載可能な機体として業界最小クラスのドローンとなり、ダイナミックな撮影や緻密で安定した飛行が可能で、新たな表現の可能性を追求しながらエンタテインメント市場への貢献をめざします。2020年12月には『α7S III』を搭載し、欧州において走行テスト中のEV(電気自動車)試作車「VISION-S」を追いかける高速飛行により、ダイナミックな映像を撮影しました。 (3)I&SS・インテリジェントビジョンセンサー『IMX500』 イメージセンサーとして世界初となるAI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサー『IMX500』を商品化しました。本製品は、画素チップとロジックチップを重ね合わせた積層構造を用い、ロジックチップにAIによる画像解析処理の機能を搭載し、画素チップで取得した信号をセンサー内でAI処理を行うことで高速なエッジAI処理を可能にしました。必要なデータだけを抽出することで、クラウドサービス利用時におけるデータ転送遅延時間の低減、プライバシーへの配慮、消費電力や通信コストの削減などを実現しています。AI機能を実装したカメラの開発が可能となり、多様なアプリケーションの実現や、クラウドと協調した最適なシステムの構築に貢献します。 ・車載LiDAR向け積層型測距センサー 業界初となるSPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素を用いた車載LiDAR(ライダー)向け積層型直接Time of Flight(dToF)方式の測距センサーを開発しました。先進運転支援システムの普及や自動運転の実現に向けて、高精度で検知・認識が可能なLiDARの重要性が高まっています。ソニーがCMOSイメージセンサー開発で培ってきた裏面照射型、積層型、Cu-Cu(カッパー・カッパー)接続などの技術を活用することにより、SPAD画素と測距処理回路を1チップ化し、小型・高解像度を実現します。これにより最大300mの距離を、高精度・高速に測定することが可能となります。 (4)コーポレートR&D・ボリュメトリックキャプチャを活用したバーチャルプロダクション 実在の人物や場所を3次元デジタルデータに変換し、それを高画質に再現するボリュメトリックキャプチャ技術は、実世界空間をまるごと撮りこみ、後から自由に視点を動かして視聴することを可能にする自由視点映像技術の一つです。この技術を使った映画やテレビ制作、ライブコンテンツの配信も始まっています。新たな映像体験を提供できるだけでなく新しいコンテンツの生成手法としての側面も持っており、従来の映像制作における制限を解放し、エンタテインメント領域へのさまざまな応用が期待されています。 ・360 Virtual Mixing Environment スタジオのサウンド制作環境をミキシングエンジニアの自宅に再現する360 Virtual Mixing Environment技術は、ヘッドフォン用バーチャルサウンド技術や環境最適化・個人最適化などの立体音響技術を活用しています。映画館など対象となる音響空間での音作りを自宅からリモートで行うことが可能になりました。映画、テレビ番組、音楽などのエンタテインメント用音響の新たな制作方法としての活用が期待されています。 ・テレプレゼンスシステムを活用したソニー銀行リモートコンサルティング ソニー銀行では、コーポレートR&Dで開発されたテレプレゼンスシステムを活用したリモート相談のトライアルを実施しました。4K超解像技術やテレプレゼンス環境に最適化した視認性制御技術、4K映像の縦型配置に関するノウハウを活用することで、離れた場所にいる相手の存在感や空間の雰囲気を感じさせることを実現しています。ステレオエコーキャンセルを始めとする高音質化技術により、同じ場所にいるような自然な会話も可能です。その場の状況に応じて心地よいつながり感を提供するインタラクション及びAI技術を統合することによって、離れた場所同士であっても、同じ空間にいるような自然なコミュニケーションを実現します。
FY2019|4,786 文字
5【研究開発活動】ソニーは「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」として、テクノロジーを通じて世界を感動で満たすという使命に基づいて研究開発を推進していきます。経営の方向性としての「人に近づく」を実現するために、Real-time(時間価値)、Reality(空間価値)をお客様に対する顧客価値として提供していきます。ソニーの研究開発組織(コーポレートR&D)では「ソニーグループ全体への貢献」「中長期的な骨太の技術テーマ設定」「オープンイノベーションの強化」を実行していきます。中長期に向けた研究開発に注力し、重点領域として差異化につながる「入力/把握」「Agent処理」「出力/表現」の領域への取り組みを推進しています。また、エンタテインメント、金融などへも技術の展開を強化していきます。SDGs、ESGの観点から、安心安全の提供、資源・環境問題の解決への技術貢献についても検討を進めています。 ソニーは、個々の事業の競争力強化及び責任と権限の明確化を目的として事業の分社化を進めるとともに、各事業を支える本社機能及びプラットフォーム機能などの再編も実施してきました。コーポレートR&Dは、日本のほか、海外にある複数のR&D拠点と連携して推進しています。それぞれの地域の特徴や強みを活かした研究開発活動を行ない、大学や研究機関との連携も進めることで、開発のスピードアップや効果的な成果につなげていきます。また、顧客との共創をともなうプロジェクトについては、実組織の枠組みを超えた横断的なチームを編成し、フレキシブル且つスピーディーに英知を結集して活動を推進していきます。 2018年度の研究開発費は、前年度に比べ227億円(4.9%)増加の4,812億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年度の6.3%から6.5%になりました。 研究開発費の主な内訳は次のとおりです。項目2017年度(億円)2018年度(億円)増減率(%)G&NS1,0621,163+9.5HE&S580609+5.0IP&S586574△2.0MC554445△19.8半導体1,0721,242+15.9コーポレートR&D449459+2.3 なお、2018年度の主な研究開発活動及び成果には、以下のものがあげられます。 (1)G&NS・PlayStation™Network(PSN) 2019年3月末時点でPSNの月間アクティブユーザー数は9,400万を超え、着実にサービスの基盤を拡大しています。『Marvel's Spider-Man』など強力なソフトウェアラインアップ及び革新的なネットワークサービスにより、PlayStation®4プラットフォームの普及・拡大を推進し、これまで以上に充実したインタラクティブなエンタテインメント体験を提供していくことに取り組んでいきます。 ・PlayStation®4用ソフトウェア『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018 - "光" & "誓い" - VR』 宇多田ヒカルライブツアーから"光"と"誓い"の2曲を収録したPlayStation®VR用コンテンツは、単なる映像ではなく、VRの世界に没入することで新たな感動や映像体験を提供しています。撮影には、業務用4K小型カメラ、シネマ用カメラ『VENICE™』を組み合わせて開発した撮影システムを使っています。このプロジェクトには、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ、コーポレートR&D等が参加し、ソニーグループの技術を結集したPS VRならではの臨場感あふれるライブ体験を味わうことができるコンテンツを作り上げました。 (2)HE&S・ブラビア®MASTER Series『Z9G』 2019年1月に開催されたCES 2019において、ソニー初の8K液晶テレビ ブラビア® MASTER Series『Z9G(98/85V型)』を発表しました。次世代高画質プロセッサー「X1™ Ultimate」に、8K超解像アルゴリズム用の専用データベースを内蔵し、あらゆるコンテンツを8K解像度にアップコンバートする「8K X-Reality™ PRO」を実現しています。また、進化した独自のバックライト技術「Backlight Master Drive」において、8K用に最適化したバックライトLEDモジュールと制御アルゴリズムを新規に開発しました。これらの技術を組み合わせることで、映像を高精細・高コントラストでリアルに映し出します。 ・ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット『WH-1000XM3』 従来の4倍の信号処理能力を持つ新開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1」は、飛行機のエンジン音などの低域のノイズ及び人の声など中高域のノイズをより効果的に低減します。同プロセッサーに高品位なヘッドホンアンプを内蔵したことでさらなる高音質化も実現しています。これらにより、様々なシーンで快適に高音質な音楽に浸れる機会を提供します。 ・全方位からの音に包まれる新しい音楽体験「360 Reality Audio™」 オブジェクトベースの空間音響技術を活用し、全方位からの音に包まれる新しい音楽体験「360 Reality Audio」は、主要音楽レーベルや音楽配信サービスなどと連携し、対応コンテンツの制作から配信、再生に至るまでの技術提供を通じて、エコシステムの形成を進めます。また、クリエイターやアーティスト、音楽ファンに向けてこの音楽体験を広く提案し、新しいエンタテインメントの創出を目指してまいります。 (3)IP&S・APS-Cセンサー搭載ミラーレス一眼カメラ『α6400』 最新の画像処理エンジン BIONZ X™や動体予測アルゴリズムなどフルサイズミラーレスカメラ開発で培った最先端技術の搭載により、世界最速0.02秒のオートフォーカスや高精度・高追従のリアルタイム瞳AF、高い精度で被写体を認識し追従し続けるリアルタイムトラッキング、よりスムーズで安定した動画撮影時のファストハイブリッドAFなど、大幅なAF性能の向上を実現しています。 ・HDR映像制作ワークフロー『SR Live for HDR』 スポーツ中継や音楽ライブなどのライブ映像制作領域において、4K HDR/HD SDRの映像を同時かつ効率的に制作することが可能なソリューションとして『SR Live for HDR』を推進しています。このソリューションによって、映像制作対応オペレーターやシステム機材など従来のHDシステムと同様の操作性や運用で、効率的に4K HDR/HD SDRの同時ライブ映像制作が可能です。 (4)MC・スマートフォン『Xperia 1(エクスペリア ワン)』 2019年2月に開催されたMWC19 Barcelona(旧称:Mobile World Congress)」において、ソニーの技術を結集したフラグシップモデル『Xperia 1(エクスペリア ワン)』を発表しました。新しいコンテンツ体験を実現するアスペクト比21:9画面を採用し、4K有機ELディスプレイと瞳AFを搭載したトリプルレンズカメラを搭載。さらに、長年、放送局や映画製作の現場で広く採用されているソニーの業務用モニターや業務用カメラの技術を取り入れた機能を搭載し、クリエイターが意図した映像表現やクリエイティブな撮影体験を楽しむことが可能です。 (5)半導体・積層型CMOSイメージセンサー技術“Pregius S™(プレジウス エス)” 産業の高度化、工場のスマート化・自動化の流れを受け、より高精度で高速な処理が求められる製造・検査・物流などの産業機器向けに、歪みの無い高い撮像性能と小型化の両立を実現する独自の裏面照射型画素構造のグローバルシャッター機能を搭載した積層型CMOSイメージセンサー技術“Pregius S(プレジウス エス)”を開発しました。今回開発した独自の裏面照射型画素構造のグローバルシャッター機能を搭載した積層型 CMOSイメージセンサーを積層する信号処理回路の派生展開等も含めて、今後様々な産業機器や高度道路交通システムなどへの採用に向けて商品開発を進めてまいります。 ・スマートフォン向け積層型CMOSイメージセンサー 業界最多となる有効4800万画素のスマートフォン向け積層型CMOSイメージセンサー『IMX586』を商品化しました。世界で初めて0.8μmの微細な画素サイズを開発したことで、1/2型(対角8.0mm)でありながら、高性能なデジタル一眼カメラに匹敵する有効4800万画素を実現することで、スマートフォンのカメラでも高解像度な美しい画像を残すことができます。 ・大河内記念生産賞の受賞 高性能化と小型化が進むスマートフォン向け積層型CMOSイメージセンサーに対して、ソニー独自のCu-Cu(カッパー・カッパー)接続と呼ばれる新しい積層技術を導入し、その量産化を実現したことが評価され、公益財団法人大河内記念会から「第65回(2018年度)大河内記念生産賞」を受賞しました。Cu-Cu接続は、画素チップと論理回路チップをそれぞれの積層面に形成したCu端子で直接接続しているため、イメージセンサーのさらなる小型化と生産性向上を可能にしました。 (6)コーポレートR&D・イノベーションスタジオ 2018年6月、米国ロサンゼルスのソニー・ピクチャーズエンタテインメントの敷地内に、ソニーの先端映像技術を集めた「イノベーションスタジオ」をオープンしました。このスタジオでは、テクノロジーを駆使し、従来フォーマットに加えVR、ARやMRなどのコンテンツ制作ビジネスを手掛けます。たとえば、映画やテレビドラマの撮影セットを予めデジタル画像として保存しておくことで、実際にセットを組み立てることなく、バーチャルセットでの再撮影が可能になるというReality(空間価値)を提供しています。 ・ディープラーニング(深層学習)の開発用フレームワーク「Neural Network Libraries」 ソニーは、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)が構築・運用する世界最大規模のAI処理向け計算インフラストラクチャである「AI橋渡しクラウド(ABCI)」を活用し、「Neural Network Libraries」による学習・実行が世界最速クラスのスピードで実行できることを実証しました。このフレームワークを用いることで、人工知能(AI)開発の大幅な効率化を実現できるようになることを示しました。ソニーは今後も関連する技術開発を継続し、AI技術を利用した社会の発展へ貢献していくことを目指します。 ・米国カーネギーメロン大学(CMU)との研究開発契約締結 ソニーとCMUは、AIとロボット技術が、より人々の身近な存在になると共に、社会の基盤として人類の未来に貢献する存在となることを目指して研究開発契約を締結しました。その一つの題材は調理とデリバリーです。このテーマでは、多様な可能性から想定されるメニューの選択と食材の制約などから生じる修正や再提案、調理過程の計画、不定形で柔らかい素材の加工や組み合わせ、美的要素も加味した配膳、オフィスやテーブルへのデリバリーなど、今後、AIとロボットが我々の身近な存在となるために必要な技術要素の多くが包含されています。
FY2018|3,177 文字
5【研究開発活動】ソニーは、「感動」と「人に近づく」をキーワードとして、創業精神である「創造と挑戦の理念」に基づいて研究開発を推進していきます。HE&S、IP&S、MCの三つのエレクトロニクス事業セグメントで構成されるブランデッドハードウェアの商品力強化に向けた研究開発を継続します。G&NS分野では、ハードウェアとネットワークサービスが一体となったエコシステムの拡充をめざします。また、エンタテインメント、金融などのBtoB領域へも技術の活用を広げていきます。半導体分野ではセンシング技術強化に向けた研究開発にも取り組んでいきます。 ソニーは、個々の事業の競争力強化及び責任と権限の明確化を目的として事業の分社化を進めてきました。これら事業の分社化と並行して、より機動的なグループ体制の構築をめざし、各事業を支える本社機能及びプラットフォーム機能などの再編も実施してきました。ソニー本社では、技術革新によりソニーの差異化と創造を先導するための研究開発活動(コーポレートR&D)を推進していきます。 2017年度の研究開発費は、前年度に比べ110億円(2.5%)増加の4,585億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年度の6.9%から6.3%になりました。 研究開発費の主な内訳は次のとおりです。項目2016年度(億円)2017年度(億円)増減率(%)G&NS9561,062+11.2HE&S473580+22.8IP&S586586△0.1MC549554+1.1半導体1,1761,072△8.8コーポレートR&D444449+1.2 なお、2017年度の主な研究開発活動及び成果には、以下のものがあげられます。 (1)G&NS・プレイステーション™ネットワーク(PSN) 2018年3月末時点でPSNの月間アクティブユーザー数は8,000万以上を超え、着実にサービスの基盤を拡大しています。充実したソフトウェアラインアップ及び革新的なネットワークサービスにより、プレイステーション®4プラットフォームの普及・拡大を推進し、ユーザーエンゲージメントを高めていくことに取り組んでいきます。 ・PlayStation®VR『CUH-ZVR2』 プレイステーション®4の魅力を高め、ゲーム体験をより豊かにするバーチャルリアリティシステムPlayStation®VRの最新モデルを開発しました。プロセッサーユニットがHDR映像のパススルーに対応したことで、より圧倒的な臨場感と没入感を実現しています。 (2)HE&S・高画質プロセッサー「X1™ Ultimate」 2018年1月に開催された「CES 2018」において、次世代の高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載した8Kディスプレイを参考展示しました。同プロセッサーは、4K高画質プロセッサー「X1 Extreme」に対し約2倍のリアルタイム画像処理能力を実現し、ブラビア™として最高レベルの画質の実現をめざします。 ・ウェアラブルネックスピーカー『SRS-WS1』 肩にのせることで手軽に映画やライブ映像、ゲームを臨場感あふれるサウンドで楽しめる、ウェアラブルネックスピーカーを開発しました。スピーカー開口部から放射状に効果的に音が広がるソニー独自のボディー構造とデジタル音声処理により、今までにない音に包まれるような新しい視聴体験を実現します。 (3)IP&S・フルサイズミラーレス一眼カメラ『α7RⅢ』『α7Ⅲ』及び『α9』 新たに開発した有効約4240万画素の裏面照射型フルサイズイメージセンサーを搭載し、低感度時約15ストップの広いダイナミックレンジを備えた『α7RⅢ』、高感度ISO204800、693点の像面位相差検出AFを実現した『α7Ⅲ』を開発しました。また、裏面照射型フルサイズイメージセンサーを積層構造とし、メモリーと高速信号処理回路を内蔵した革新的なイメージセンサーを搭載した『α9』を開発しました。 ・フルフレームセンサー搭載CineAlta™カメラ VENICE™ デジタルシネマ用に新規開発した36×24mmフルフレームセンサーを搭載し、映像コンテンツ制作における表現の広がりや効率的な操作性を一層追求したCineAltaカメラ最上位機種を開発しました。ソニーは1980年代にHDの開発を開始して以来、高画質技術の開発を継続し、映像制作業界をリードしてきました。映像制作においては、デジタルの新たな映像表現の可能性を切り拓き、2000年よりデジタルシネマカメラCineAltaを展開しています。 ・8K 3板式カメラシステム『UHC-8300』 新たに開発した1.25型のイメージセンサーを3板式とし、新開発のプリズムと組み合わせることで、高精細な8K解像度(7680×4320)による最大120pの高速撮影や、広色域(ITU-R BT.2020対応)でのHDR制作に対応したカメラシステムです。これにより、被写界深度を深く、動体も鮮明に8K映像が撮影できる機会を提供します。 (4)MC 携帯通信関連・国際展示会「Mobile World Congress 2018」において、最高ISO感度51200(静止画撮影時)/ 12800(動画撮影時)の超高感度撮影をスマートフォンで実現する最新カメラ技術を紹介しました。新たに独自開発した二眼カメラと画像融合処理プロセッサーにより、高感度と低ノイズの両立を実現します。 (5)半導体・車載カメラ向け積層型CMOSイメージセンサー 先進運転支援システム(ADAS)用途の前方センシングカメラ向けに、1/1.7型で業界最高解像度となる有効742万画素RCCCフィルタ採用の積層型CMOSイメージセンサーを開発しました。本イメージセンサーは遠方撮影で約160m先にある交通標識の高精細な撮像を実現し、月明かりに相当する暗さでも歩行者や障害物を撮像することが可能です。 ・低消費電力広域(LPWA)ネットワーク技術 遠距離や高速移動中でも安定的な無線通信を実現できる新たな低消費電力広域(LPWA: Low Power Wide Area)ネットワーク技術を開発しました。本技術には、光ディスクに使われている誤り訂正などのデジタル信号処理技術のほか、テレビチューナーなどに搭載の高周波アナログ回路技術及び低消費電力のLSI回路技術など、ソニーが長年培ってきたノウハウを応用しています。 (6)コーポレートR&D・エンタテインメントロボット aibo™ 家庭における新たな楽しみを提案する進化した自律型エンタテインメントロボットを開発しました。超小型1軸・2軸アクチュエーターを自社開発し、コンパクトなボディーに計22軸の自由度を持たせることで、滑らかで柔らかな身体の駆動を可能にしました。また、状況に応じたふるまいの表出を可能にするために多彩なセンサーを搭載し、画像、音声の認識・解析にはソニーが培ったディープラーニング技術を活用しました。本体とクラウドが連携して実現するソニー独自のAI技術によってオーナーとのやり取りを学び、aiboを個性的に成長させます。 ・ディープラーニング統合型開発環境「Neural Network Console」 ディープラーニング(深層学習)のプログラムを生成できる統合開発環境のクラウドサービスを開発し、オープンベータ版として無償提供を開始しました。プログラムエンジニアやデザイナーは、ウェブブラウザーでアクセスするだけで本格的なGUIを持つコンソールソフトウェアを利用でき、ディープラーニングのプログラムを開発して各種製品やサービスに搭載できる環境を提供しました。
FY2017|3,404 文字
6【研究開発活動】 ソニーのミッションは「ユーザーの皆様に感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社であり続ける」ことです。その実現に向けて、創業精神である「創造と挑戦の理念」に基づき研究開発を行い、お客様との接点である「ラストワンインチ」での顧客価値を創造していきます。時代の変化によりハードウェアに求められる機能は変わっても、お客様との接点であるハードウェアの重要性は変わらず、ここにソニーとしての差異化と新しい成長の源泉があると考えています。ソニーらしいプロダクツやサービスを生み出し続けるための競争優位の源泉となる中核的な技術要素 (クリティカル・コア)は次のとおりです。•映像と音を極めるソニー独自の超解像エンジンX-Reality™ PRO、ハイレゾオーディオ技術S-Master HX™、DSEE HX™などの映像・音響技術•人の心をつなぐ人々のコミュニケーションを円滑化し、人の心をつなぐためのユーザーインターフェース技術や通信技術•人の知性を超えるDeep Learningや強化学習などの機械学習技術、音声認識や画像認識などの認識技術、ソニーのイメージセンサーと画像信号処理を組み合わせたコンピュータビジョン技術など ソニーは、個々の事業の競争力強化及び責任と権限の明確化を目的として事業の分社化を進めてきました。これら事業の分社化と並行して、より機動的なグループ体制の構築をめざし、各事業を支える本社機能及びプラットフォーム機能などの再編も実施してきました。ソニー本社では、技術革新によりソニーの差異化と創造を先導するための研究開発活動(コーポレートR&D)を推進していきます。 2016年度の研究開発費は、前年度に比べ207億円(4.4%)減少の4,475億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年度の6.7%から6.9%になりました。この減少は、主にMC分野において、一律には規模を追わず収益性を重視する経営方針への転換により、コスト削減への取り組みが加速したことによるものです。 研究開発費の主な内訳は次のとおりです。項目2015年度(億円)2016年度(億円)増減率(%)MC781549△29.7G&NS919956+4.0IP&S615586△4.7HE&S448473+5.4半導体1,2041,176△2.3コンポーネント157144△8.3コーポレートR&D313444+41.8 なお、2016年度の主な研究開発活動及び成果には、以下のものがあげられます。 (1)MC分野・スマートフォン「Xperia™ XZ Premium (エクスペリア エックスゼット プレミアム)」 スマートフォンの基本性能を強化する最先端技術を搭載した「Xperia XZ Premium」を開発しました。新開発のメモリー積層型CMOSイメージセンサーにより、最大960fpsのスーパースローモーション機能やPredictive Capture(先読み撮影)機能を実現しました。 (2)G&NS分野・PlayStation®VR (プレイステーション ヴィーアール) プレイステーション4 (PS4®)の魅力を高め、ゲーム体験をより豊かにするバーチャルリアリティ(VR)システム「PlayStation®VR」を開発しました。VRヘッドセットに内蔵された様々なセンサーにより検知された頭の動きに応じて、3D映像やオーディオをリアルタイムに変化させ、圧倒的な臨場感と没入感を実現しています。 (3)IP&S分野・レンズ交換式デジタル一眼カメラ『α99 II』 専用位相差AFセンサーと像面位相差AFセンサーを同時駆動させる「ハイブリッド位相差検出AFシステム」を新たに開発しました。動体予測アルゴリズムを進化させ、ハイブリッド位相差検出AFシステムと組み合わせることで、センサー画面上の広範囲において高精度で高速応答性・追従性に優れた総合力の高いAF性能を達成しました。 ・超短焦点ホームシアタープロジェクター『VPL-VZ1000』 壁際の至近距離から最大120インチの4K HDR(ハイダイナミックレンジ)映像を投影し、迫力ある大画面の高画質な映像を楽しめる『VPL-VZ1000』を開発しました。被写体の輪郭や微妙なディテールまでクリアに高精細の4K映像で映し出すことのできる4K SXRD™パネルや、ソニーが十数年培ってきたデータベース型超解像処理LSIを搭載し、きめ細やかで高品位な4K映像を再現しています。 ・デジタルシネマカメラ CineAlta™(シネアルタ)『F65』 CineAlta(シネアルタ)『F65』及び米国パナビジョン社と共同開発したデジタルシネマカメラ「ジェネシス」(パナビジョン社製)の開発が評価され、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences:AMPAS)より2017年の科学技術賞を受賞しました。 (4)HE&S分野・4K有機ELテレビ「A1Eシリーズ」 4K HDRプロセッサー「X1™ Extreme(エックスワン エクストリーム)」をはじめ、ソニーが培ってきた高画質技術を結集し有機ELパネルの特長を最大限に引き出すことで、現実世界により近い深い黒や明るさの表現が可能になりました。また、ディスプレイを振動させることでテレビの画面から音が直接出力されるアコースティックサーフェス™技術を独自開発し、リアリティあふれる映像体験を実現しました。 ・ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット『MDR-1000X』 CD音源やMP3などの圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする独自技術DSEE HX™をソニーのヘッドホンとして初めて搭載しました。また、ノイズキャンセリング機能では長年培った技術とノウハウをもとに数々の改善を図り、業界最高クラスの性能を実現しました。新開発の「パーソナルNCオプティマイザ―」により個人の状態に合わせて最適なノイズキャンセリング性能が発揮できます。 (5)半導体分野・DRAM搭載3層積層型CMOSイメージセンサー 業界で初めてDRAMを積層した3層構造の積層型CMOSイメージセンサーを開発しました。本開発では、3層にそれぞれ搭載された回路間のノイズ低減など、設計上の技術的な課題を克服し、ソニーが業界に先駆け長年培ってきた積層型の製造技術や知見を活用することで、高い品質と信頼性を実現しています。 ・スケーラブルディスプレイシステム「Crystal LED Display」 独自開発の高画質ディスプレイ技術を用いたディスプレイユニットで構築する、スケーラブルな新方式ディスプレイシステムを開発しました。本技術は、極めて微細なLED素子を配置した画素を、画素毎に駆動させる自発光のディスプレイ方式を用いています。光源サイズを微細化し、画面表面の黒色が占める割合を99%以上に高めることで、明暗両環境における高コントラスト、広視野角、広色域の豊かな映像表現を可能にしています。 (6)コーポレートR&D・Future Lab Program™(フューチャー・ラボ・プログラム) 研究開発の初期段階でコンセプトプロトタイプをユーザーの皆様に紹介し、フィードバックやインスピレーションを反映しながら技術・研究開発を進化させるプログラムです。現在、2つのプロトタイプを展開しています。"N"は、スマートフォンから目・耳・手を解放し、新しい方法で情報やコミュニケーションを取るユーザーインターフェースデバイス、"T"は、普通のテーブルをタッチスクリーンに変え、リアルとバーチャルを融合させる新しいプロジェクションシステムです。 ・米国Cogitai社に資本参加 ソニーは、米国子会社であるSony Corporation of Americaを通じ、人工知能(AI)に特化したスタートアップである米国Cogitai社に資本参加し、同社とディープ・リインフォースメント・ラーニング(深層強化学習)技術に予測・検知技術を応用して、次世代の人工知能に関するアプリケーションや製品群の基礎となる新たな人工知能技術を共同で開発しています。
FY2016|6,955 文字
6【研究開発活動】 ソニーは、2014年5月の経営方針説明会にて、デバイス技術及び情報処理技術のそれぞれの領域で、ソニーが強みをもっている技術を一層強化し、エレクトロニクスのコア事業の差異化を実現するとともに、ホーム及びモバイルの領域で、「ライフスタイルを変える」「人々の生活をより豊かにする」新規製品・サービスの創造を行っていくことを発表しました。 具体的には、デバイス技術については、イメージセンサー、バッテリー及び低消費電力技術に、情報処理技術については認識、ナチュラルUI及び信号処理技術に注力し、これらの技術をもとに家庭などの空間で自由に映像や音楽を楽しみ、必要な情報にアクセスできる「Life Space UX(ライフ スペース ユーエックス)」と、モバイル領域における「ウェアラブル」の開発を進めていきます。 デバイス技術及び情報処理技術の開発加速を目的に、2014年4月1日付の機構改革において、ソニー本社が直轄する研究開発組織である、R&D プラットフォーム及びソフトウェア設計本部を統合してRDS プラットフォームに再編し、デバイス&マテリアル研究開発本部、システム研究開発本部を新設しました。 RDS プラットフォームは、人々に感動をもたらすためにクリエイティビティを発揮して、イノベーションを引き起こすことをミッションとし、最先端技術を追求しそれらを統合することで、新しい顧客価値を創造します。 2015年度の研究開発費は、前年同期に比べ39億円(0.8%)増加の4,682億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年同期の6.5%から6.7%になりました。この増加は、主に、成長領域であるデバイス分野におけるイメージセンサー事業の拡大にともない、デバイス分野の研究開発費が増加したことによるものです。 一方、安定収益領域及び事業変動リスクコントロール領域に位置づけられる、MC分野、IP&S分野及びHE&S分野では、規模を追わず収益性を重視する経営方針への転換により、コスト削減への取り組みが加速し研究開発費は減少しました。 研究開発費の主な内訳は次のとおりです。項目2014年度(億円)2015年度(億円)増減率(%)MC910781△14.2G&NS891919+3.1IP&S673641△4.8HE&S493448△9.1デバイス1,0481,310+25.0コーポレートR&D381325△14.7 なお、2015年度の主な研究開発活動及び成果には、以下のものがあげられます。 ソニーは、解像・感度・フォーカス性能の三要素を高いレベルで実現したレンズ交換式デジタル一眼カメラα7シリーズ『α7R II』を発売しました。 『α7R II』は、世界初の35mmフルサイズ裏面照射型 Exmor R®(エクスモア アール)CMOSイメージセンサーを搭載し、ギャップレスオンチップレンズや反射を低減するARコーティング付きシールガラスと組み合わることで、集光率を大幅に向上しました。これにより、有効約4240万画素という高解像度ながら、高感度・低ノイズ性能と広いダイナミックレンジを実現し、常用ISO100~25600、拡張ISO50~102400 の広い感度域をカバーしつつ、ノイズの少ない高精細な撮影が可能です。また読み出し回路を大幅に強化し、伝送速度の速い銅配線を採用したことで、従来機比約3.5倍の高速読み出しを実現しました。 『α7R II』は世界最多399点像面位相差AFセンサーによるファストハイブリットAF、 最高4.5段分の補正効果を実現する光学式5軸ボディ内手ブレ補正機能、画素加算のない全画素読み出しによる高解像度4K動画の本体内記録機能などを搭載することで、あらゆるシーンで高解像性能を引き出すことができます。 ソニーは、最大960fpsのスーパースローモーション機能を搭載し、プロフェッショナルの映像体験を可能にするデジタルスチルカメラ サイバーショット®『RX100 IV』と『RX10 II』の2機種を発売しました。 両機に搭載されている、メモリー一体1.0型積層型CMOSイメージセンサー Exmor RS®は、高速信号処理回路部に画素部を重ね合わせた積層構造を1.0型で採用し、1.0型のサイズを生かして高速信号処理回路部の面積を大幅に増やしたことで信号処理のスピードが飛躍的に向上しました。さらにメモリー(DRAM)を搭載したことで従来の裏面照射型CMOSイメージセンサーと比べて約5倍以上のデータ読み出し速度を達成しています。 両機はこの新開発イメージセンサーの搭載により、コンパクトデジタルカメラでありながら、わずか2秒間(960fps)の動きを80秒(40倍)ものスローモーション映像で記録・再生できるため、肉眼では捉えきれない動きの激しいスポーツシーンや鳥が飛び立つ瞬間を、スーパースローモーション機能で捉えるといった、新しい映像体験を手軽に楽しむことができます。 ソニーは業務用ビデオカメラで培ったイメージング技術をコンパクトなボディに凝縮し、スーパースローモーションなどの映像体験を提供する次世代カメラで、高速・高画質撮影の楽しみをより多くのお客様に提供していきます。 ソニーは、スポーツ中継やスタジオ番組制作に最適な、4K/HD対応システムカメラ『HDC-4300』を発売しました。 『HDC-4300』は、世界初となる2/3型3板式4Kイメージセンサーを搭載し、1920×1080のフルHD映像を、最大479.52/400fpsのフレームレートで撮影可能で、マルチポートAVストレージユニットで記録することにより、8倍速のスーパースローモーション映像を再生できます。イメージセンサーブロックは、4K CMOSイメージセンサーと、新規開発のプリズムを含む光学システムに3枚の4Kイメージセンサーを正確に貼り合わせる超高精度な独自の固着技術をもって実現しました。 このプリズムを搭載した『HDC-4300』は、次世代放送の映像制作規格(ITU-R BT.2020)に対応し、高精細で幅の広い色域での色再現が可能です。被写界深度が求められるスポーツなどの映像を隅々までとらえることができ、奥行きのある競技場では、画面中央の選手だけでなく、その後方にいる選手達の動きも鮮明に映し出します。 ソニーは、スポーツ中継など4Kライブ制作に適した『HDC-4300』の導入を通じ、4K制作環境の拡大を推し進めながら、さらなる4K関連機器の市場での普及・拡大に取り組んでいきます。 ソニーは、透明感のある音色で空間を満たし、リラックス空間を創出するグラスサウンドスピーカー『LSPX-S1』を発売しました。 『LSPX-S1』は、ソニー独自のスピーカー駆動技術を進化させたアドバンスド バーティカル ドライブ テクノロジーを搭載し、より透明感のある音色と小型化を同時に実現しています。低歪み、高応答性を実現した新開発の加振器で有機ガラス管の端面を加振することにより、人の細かな息遣いや楽器の音色の質感描写に優れ、まるで誰かが目の前で歌い演奏しているような新しい体験を生み出します。また、有機ガラス全体が円筒状の音源となり、離れた場所でも音の減衰が少なく、部屋中どこからでも上質な音楽が楽しめる新しい音楽空間を作り出します。 『LSPX-S1』は、高音質なワイヤレス再生が可能なLDAC®(エルダック)に対応し、Bluetooth経由で従来の技術に比べ最大約3倍の情報量を伝送可能です。また、高音質デジタルアンプ技術のS-Master®、圧縮音源の高音域補完技術のDSEE®を搭載し、かつClearAudio+®によるソニー独自の様々なデジタル信号処理技術を用いて、アドバンスド バーティカル ドライブ テクノロジーの特長を最大限伸ばすように最適化しています。 『LSPX-S1』は空間そのものを活用して、新しい体験を創出するコンセプト「Life Space UX」の商品群のひとつで、リビングルームや書斎、寝室など住空間に溶け込むデザインで、包み込むような温かい光とともに、新しい音体験を提供します。 ソニーは、「2016 International CES」(国際家電ショー:2016年1月6日~1月9日、米国ネバダ州ラスベガス) において、4K/HDR(ハイダイナミックレンジ)コンテンツの魅力を引き出す新開発の独自の薄型バックライト技術Slim Backlight Drive™を搭載した4K液晶テレビ ブラビア®「X93Dシリーズ」を発表しました。 従来、直下型LEDバックライトでしか実現できなかった格子状の高精度部分駆動をソニー独自のバックライトシステム構造により可能としました。また、高コントラスト技術 X-tended Dynamic Range® PROと広色域技術TRILUMINOS® Displayを合わせることで、高輝度・高コントラスト性能と高い色再現性を実現します。 また、ブラビア「X93Dシリーズ」は4K/HDRコンテンツの高画質化とデザインの薄型化を高度に両立しており、壁掛け時には壁から映像だけが浮かび上がるような一体感を生み出します。さらに、見たいコンテンツに素早くアクセスできるソニー独自のUIや音声検索により、多様なコンテンツを直感的に楽しめる新たな視聴体験を提案します。 ソニーは、これまで培ってきた4Kテレビの高画質技術と、高輝度・高コントラストで色調豊かな映像を表現するHDR技術を融合することで、臨場感あふれるリアルな映像表現をさらに追求していきます。 ソニーは、携帯通信関連・国際展示会「Mobile World Congress 2016」(2016年2月27日~3月2日、スペイン、バルセロナ)において、リアルタイムでユーザーの行動を把握することで好みや行動を理解し、有益な情報を提供する「Xperia®スマートプロダクツ」の商品発表及び参考展示を行いました。 「Xperia Ear」は、耳に装着し、Bluetooth又はNFC(Near Field Communication)でスマートフォンと接続してハンズフリーで使用する、新しいコミュニケーションの形を提案する商品です。ソニーのボイステクノロジーと近接センサーを組み合わせ、音声で指示を出すことにより、通話、インターネット検索、メッセージの読み上げ、ナビゲーションなどをハンズフリーで行うことができます。 参考展示された「Xperia Eye」は、首から下げたり、衣服に装着したりすることで、ハンズフリーで撮影を楽しめるコンパクトカメラです。ソニーの持つカメラ技術及びセンシング技術を最小の形状にまとめ、360°球面レンズの搭載により日常の自然な雰囲気を撮影できます。また、顔や声で撮影タイミングを検知するインテリジェントシャッターで、撮影タイミングを意識せずに写真を撮ることができます。 「Xperia Projector」は、プロジェクターで映し出したスクリーンに直接触れたり、声やジェスチャーで操作したりすることで、家族全員が一緒に楽しみながらコミュニケーションをとれる空間を提供します。直観的に操作できるユーザーインターフェースを用いて、家族にフォーカスした新しいコミュニケーションスタイルを提案します。 「Xperia Agent」は、ユーザーの声に反応し、人々の日常を声としぐさでアシストします。ユーザーに合った情報を提供したり、通話やSNSなどのコミュニケーションをアシストしたり、家電をコントロールすることで、生活を便利にすることをめざします。 ソニーはこれらのコミュニケーションデバイスを、よりパーソナライズされ、より高い知能と機能を備えた、ユーザーの持つ能力を拡張させるツールへと進化させていきます。 ソニーは、「プレイステーション 4」(PS4®)の魅力を高め、ゲーム体験をさらに豊かにするバーチャルリアリティ(VR)システム「PlayStation®VR(プレイステーション ヴィーアール)」(以下、PS VR)を2016年10月より発売する予定です。 PS VRは、本体のVRヘッドセットを頭部に被ると、迫力のある3D空間がプレイヤーを取り囲み、頭部の動きや位置にあわせて映像が360度全方向にリアルタイムに変化しつつ、ソニー独自開発の3Dオーディオ技術により、仮想空間内の音響も連動して変化します。 さらに、ワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK®4)やPlayStation®Moveモーションコントローラーを用いることにより、仮想空間内を探検する、仮想キャラクターと交流を図るなど、自らアクションを起こしゲームの世界の中に自身が存在しているかのような感覚を楽しむことができます。 PS VRは仮想空間内の大迫力のスクリーンにて、PS4®用ソフトウエアタイトルはもちろん、映像コンテンツ、シェアプレイやLive from PlayStationといったソーシャル機能など、PS4®の様々なコンテンツや機能が楽しめるシネマティックモードも搭載しています。 さらに、PS VRでは全天球カメラなどで撮影された360度全方向を見渡せる写真や動画も楽しむ事ができます。VRヘッドセットを装着してこれらのコンテンツをPS4®のメディアプレーヤーで再生すると、あたかもその空間に自分が存在しているかのような体験が手軽に味わえます。 ソニーは、ソフトウエアラインアップの拡充を通してPS VRの魅力を高め、VR市場の創造に貢献していきます。 ソニー、オリンパス株式会社(以下「オリンパス」)、ソニーとオリンパスの医療事業合弁会社であるソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社(以下「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ」)の3社は、2013年より4K外科手術用内視鏡システムを連携して開発・商品化し、「VISERA 4K UHD」のブランド名で、オリンパスより発売しました。本製品は、光源部分、内視鏡からモニターまで、最先端の4K技術と各種ノウハウが組み込まれた、これまでにない外科手術用内視鏡システムです。 ソニーは、最先端のデジタルイメージング技術及び4K映像関連の各種技術・ノウハウなどの提供に加え、医療用4Kモニター及び4Kレコーダーの製品開発を担当しました。4Kカメラヘッドにはソニー製の4K Exmor R CMOSイメージセンサーや画像・信号処理技術、小型化技術などが組み込まれ、高精細な映像と高い機能性を実現しています。さらに、ソニーの4K映像伝送技術は、内視鏡とモニター間でほぼ遅延のない4K映像伝送を実現することにも寄与しています。 オリンパスは、内視鏡のトータルカンパニーとして、外科手術に対応した各種内視鏡製品を開発し、提供しました。本製品では、オリンパスの有する高度な光学技術が、主に高解像硬性腹腔・胸腔鏡や4K高輝度光源装置に活かされています。 ソニー・オリンパスメディカルソリューションズは、ソニーとオリンパスが有するコア技術やノウハウを融合し、内視鏡システムの目に相当する4Kカメラヘッドや、撮影した映像を制御する4Kカメラコントロールユニット等、本システムの主幹となる製品の基礎的な技術開発を担当しました。 ソニー、オリンパス及びソニー・オリンパスメディカルソリューションズは、次世代の外科手術用内視鏡分野において、今後も各社の有する技術やノウハウを融合し、シナジー効果を最大限に発揮させることで、世界の医療の発展に貢献していきます。 ソニーは技術・研究開発を起点に社会とコミュニケーションをとりながらオープンな環境で、技術にもとづく新たなコンセプトを核として未来のライフスタイルや価値をユーザーと共創していくプログラム、「Future Lab Program™(フューチャー・ラボ・プログラム)」を新たに開始しました。 このプログラムは従来の技術・研究開発を進展させたソニーとして初めて取り入れる新たな手法で、社内で開発中のコンセプトプロトタイプをユーザーの皆様に紹介し、フィードバックやインスピレーションを反映しながら進化させるものです。 世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル「SXSW(サウス バイ サウスウエスト)Interactive 2016」(2016年3月11日~3月15日、米国テキサス州オースティン)に特設会場 (Sony’s Future Lab Program at SXSW)を設け、Future Lab Programのコンセプトプロトタイプを紹介しました。 ソニーは新たな技術・研究開発の取り組みとなるFuture Lab Programを通じて、未来のライフスタイルの共創や変革をめざしていきます。