6506

安川電機(6506)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

安川電機グループは、当社を中核に子会社66社、関連会社13社で構成され、「モーションコントロール」「ロボット」「システムエンジニアリング」「その他」の4つの事業セグメントを展開しています。主な事業内容は、製造、販売、据付、保守、エンジニアリングで、ACサーボドライブやインバータ、産業用ロボット、鉄鋼プラント向け電気システムなどを手掛けています。特にモーションコントロールとロボット事業が主力で、これらを通じて様々な産業分野の自動化・効率化を支え、収益を上げています。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

安川電機グループの事業セグメントは主に3つあります。一つ目の「モーションコントロール」は、ACサーボドライブやインバータなどを製造・販売し、工場の自動化などに貢献しています。二つ目の「ロボット」は、溶接ロボットやハンドリングロボット、半導体製造装置用ロボットなどを手掛け、幅広い産業の自動化を支援しています。三つ目の「システムエンジニアリング」は、鉄鋼プラントや上下水道向けの電気システムなどを提供しています。売上と営業利益を見ると、モーションコントロールとロボット事業が稼ぎ頭であり、特にモーションコントロールが最も高い収益を上げています。システムエンジニアリングは赤字となっています。

FY2018 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
MotionControl 事業 2,325 417 17.9%
Robotics 事業 1,677 178 10.6%
SystemEngineering 事業 530 -38 -7.2%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,077 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社を中核として子会社66社および関連会社13社(2026年2月28日現在)により構成され、「モーションコントロール」、「ロボット」、「システムエンジニアリング」および「その他」の各セグメントにおいて様々な分野で製造、販売、据付、保守およびエンジニアリング等の事業展開を行っております。各セグメントにおける主な製品ならびに当社および主要な関係会社の当該セグメントにおける位置付けは概ね以下のとおりです。なお、当社を除く以下の会社はすべて連結子会社です。セグメントおよび主要製品当社および主要な関係会社の位置付け〔モーションコントロール〕ACサーボドライブ、リニアモータ、コントローラ、工作機械用AC主軸モータ、PMモータ、デジタルガルバノスキャナ、汎用インバータ、電源回生コンバータ、マトリクスコンバータ、太陽光発電用パワーコンディショナ当社〔製造・販売・サービス〕安川オートメーション・ドライブ㈱〔販売・サービス〕安川メカトレック末松九機㈱〔販売〕米国安川㈱〔製造・販売・サービス〕欧州安川㈲〔製造・販売・サービス〕安川電機(中国)有限公司〔販売・サービス〕安川アジアパシフィック㈲〔販売・サービス〕韓国安川電機㈱〔販売・サービス〕〔ロボット〕アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット、ハンドリングロボット、シーリング・切断ロボット、バリ取り・研磨ロボット、半導体・液晶製造装置用クリーン・真空搬送ロボット、AIロボット、人協働ロボット、バイオメディカル用途対応ロボット、ロボット周辺機器、ロボット応用FAシステム、セルシミュレータ当社〔製造・販売・サービス〕安川メカトレック末松九機㈱〔販売〕米国安川㈱〔製造・販売・サービス〕欧州安川㈲〔製造・販売・サービス〕安川電機(中国)有限公司〔販売・サービス〕安川アジアパシフィック㈲〔販売・サービス〕韓国安川電機㈱〔販売・サービス〕〔システムエンジニアリング〕鉄鋼プラント用電気システム、上下水道用電気システム、各種産業用電気システム、港湾荷役用電気システム、高圧インバータ、高圧マトリクスコンバータ、産業用モータ・発電機、小水力発電用発電機当社〔製造・販売・サービス〕安川オートメーション・ドライブ㈱〔製造・販売・サービス〕安川メカトレック末松九機㈱〔販売・サービス〕米国安川㈱〔製造・販売・サービス〕安川アジアパシフィック㈲〔販売・サービス〕〔その他〕物流サービス ほか当社〔販売〕安川メカトレック末松九機㈱〔販売・サービス〕㈱安川ロジステック〔サービス〕

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
i3-Mechatronicsを通じたソリューション提供と高付加価値化、技術開発の強化。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
ACサーボドライブ、リニアモータ、各種ロボット、電気システムなどの高度なメカトロニクス技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:地政学リスク / 原材料・部品調達リスク / 為替相場の変動リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

安川電機は産業用ロボット分野で長年の実績と高い技術力を有するが、特許やブランド力が決定的な参入障壁となるほどの無形資産とは言えない。特定の顧客との関係性や技術ノウハウは存在するものの、数値化しにくい。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

産業用ロボットは導入に多額の設備投資と、生産ラインへの組み込み、オペレーターの習熟が必要。一度導入すると、他社製品への切り替えは生産停止リスクや再教育コストが発生するため、顧客のスイッチングコストは高い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

産業用ロボットの利用において、ユーザーが増えることでサービスの価値が向上するようなネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の生産ノウハウやサプライチェーンの最適化により、一定のコスト競争力はあると考えられるが、他社と比較して構造的に圧倒的なコスト優位性を持つとは断定できない。特に中国メーカーなどの台頭による価格競争圧力はある。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

産業用ロボット、サーボモーター、コントローラーなどの分野で世界トップクラスのシェアを持ち、生産規模の経済を活かした効率的な生産体制を構築している。特にFA機器分野では、業界内で寡占的な地位を築いている。

安川電機グループは、i3-Mechatronicsを通じた最適なソリューション提供により、製品・サービスの差別化と高付加価値化に注力しています。安川テクノロジーセンタを中心とした部門横断的な研究開発を強化し、「世界初・世界一」を目指した画期的な製品開発を進めています。また、徹底した効率化による開発期間短縮とコスト競争力の高い製品のタイムリーな市場投入に努めることで、技術力と製品開発力において競争優位性を確立し、市場での地位を維持しています。グローバルな生産・販売・サービスネットワークも強みです。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を存在意義とし、私たちの価値観である「1.品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「2.経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「3.市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを安川グループ経営理念としております。 また、経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1.最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2.世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3.世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。 このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、2026年3月より長期経営計画「2035年ビジョン」(2026年度~2035年度)および同期間内の最初の中期経営計画「Dash 35」を開始いたしました。 「2035年ビジョン」では、技術革新を通じて産業界が抱える多様な課題を発見・解決し、Mechatronics領域の拡大を図ることで、社会の持続的発展への貢献を目指しております。 この「2035年ビジョン」に向けた最初のフェーズとして位置づける「Dash 35」では、AIロボティクス技術の活用を進めることで、将来の成長を見据えた新たな市場機会の創出を進めてまいります。あわせて、“i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)”(※1)の実践拡大を通じた付加価値向上に取り組みます。 「2035年ビジョン」および「Dash 35」の詳細については、以下のURLからご覧いただけます。 2035年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Vision2035.pdfDash 35:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Dash35.pdf (※1)i³-Mechatronics:当社が1969年に提唱した「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスを融合した造語 )」に3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの経営課題の解決に寄与するソリューションコンセプト (3) 長期経営計画「2035年ビジョン」の概要① 財務目標(※2)当社グループは、長期経営計画「2035年ビジョン」において、営業利益率を最も重要な経営指標と位置づけ、ステークホルダーへの還元の充実を重視しています。具体的には、2035年度の目標として営業利益率20.0%以上、配当性向40.0%以上を掲げています。 [参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン (※2)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2035年度想定為替レートは設定しておりません。 ② 事業戦略当社グループは創業以来110年の間、モータとその応用を事業領域として貫き、モーションコントロール、パワー変換、そしてロボット技術を高めてきました。これからも世界一、世界初にこだわり私たちのDNAであるメカトロニクスの領域のさらなる拡大に向けて力強く前進していきます。「2035年ビジョン」では当社グループのソリューションコンセプトであるi³-Mechatronicsを軸に、自動化ソリューションの価値をより高めながら、AIやデータを活用したフィジカルAIの社会実装を進めることで、コア領域の競争力強化に取り組みます。また新メカトロニクスの応用領域拡大とフィジカルAIにおける市場開拓と需要獲得に挑戦していきます。さらには、安川グループ経営理念の理解深化を加速させながら、ソリューションコンセプト“i³-Mechatronics”をAIによってさらに進化させるとともに、データによる経営の最適化、ものづくりの革新、現場(社会)への実装を実現する新たな世界“i³-Singularity(アイキューブ・シンギュラリティ)”(※3)を広げていきます。 当社グループが取り組む主な事業戦略の概要は以下のとおりです。(a) コア領域の競争力強化AI×データ活用によりモノ・モノづくりを進化させ、未来のスマートファクトリを実現します。・モータ・ロボット技術の徹底追求およびエネルギー変換効率の最大化 (b) 新メカトロニクス応用領域の拡大多様なパートナーとのエコシステム構築を通じて新メカトロニクス応用領域を拡大するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。・医療・製薬品分野における共創加速・食・農業分野自動化の飛躍的拡大 (c) フィジカルAI市場の拡大基幹コンポーネントのポートフォリオ拡大でフィジカルAIの社会実装を実現します。・基幹技術×現場データ×AIによるシナジー発揮・基幹コンポーネントのラインナップ拡大 (d) 経営基盤の強化AI利活用によるYDXの深化と経営基盤の強化を通じて安川グループの戦略実行力の最大化を図ります。・人材の多様化と育成強化・働きがいと組織力の向上・ESGの推進による持続可能な発展・外部連携によるイノベーション創出 (※3)i3-Singularity:これまで取り組んできたi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで、その実行力を拡張・飛躍させていく考え方 (4) 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況および中期経営計画「Dash 35」の概要① 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況財務実績 2025年度実績売上収益: 5,421億円営業利益: 473億円営業利益率:8.7%ROE:    7.7%ROIC:   6.9%配当性向: 50.0% 2025年度の主な取り組み中期経営計画「Realize 25」における2025年度の主な取組みは以下のとおりです。 方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化i3-Mechatronics実現に向けた、「iCube Control」の強化(YRM1030、iC9200)およびACサーボドライブ「Σ-Xシリーズ」におけるセンシング・自律制御機能拡充により、省エネルギー化、稼働率向上、設備 長寿命化へ貢献しました。(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化米国にて本社・技術開発拠点・産業用ロボットの生産工場等を集約した新キャンパス設立を発表しました。国内では、モータとロボットの一貫生産を行うロボット第5工場が竣工しました。(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化i3-Mechatronics CLUBを通じて各分野のパートナーとの協業を推進するとともに、i3-Mechatronicsに基づく営業活動の成功事例の蓄積を進めました。(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新当社製品の稼働データを戦略的に活用し、設備更新・メンテナンスを適切なタイミングでお客さまへ提案するプロアクティブなサービス活動を強化しました。 方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築主要部品の内製化、事業部共通の重点部品の集中調達、欧米での事業拡大に向けた投資を確実に実行するなど、生産/調達体制および需要地生産体制の強化を進めました。また、グローバルにおけるレアアース関連規制に対しては、国内サプライヤーとの長期的な関係性構築を通じ、調達リスクの低減に取り組みました。 方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献(a) Energy Savingデータセンタの冷却システム向けに、CDU(Coolant Distribution Unit:冷水分配装置)の小型化・高効率化に寄与するインバータの拡販を進めました。(b) Clean Power更新需要に対応した太陽光発電用パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3H」の販売を開始しました。(c) Food & Agri全国農業協同組合連合会(JA全農)と協業開発を進める「きゅうり収穫作業ロボット」について、農業現場での稼働を開始しました。(d) Biomedical Scienceアステラス製薬株式会社との合弁により、再生医療等製品の製造プラットフォームの開発・提供を行うセラファ・バイオサイエンス株式会社を設立しました。 方針4 YDX(※4)とサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供経営・生産データを中心に安川データレイクへの統合を進め、海外拠点含むデータ連携を加速しました。(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (※4)YDX:YASKAWA digital transformationの略。YDX-Ⅰでは、経営資源の可視化・一元化とその最適配置を目指した活動を実施。第二フェーズとなるYDX-Ⅱでは、お客さまへの価値創出に製品・サービス視点の取り組みを実施。 ② 中期経営計画「Dash 35」の概要当社グループは「Dash 35」において、売上収益、営業利益および営業利益率を主要な経営指標とし、過去最高となる1,000億円の営業利益を目指しております。「Dash 35」では、コア領域の徹底した高収益化とフィジカルAI技術による新市場を創出し、「2035年ビジョン」の達成に向けて推進します。財務目標(※5)[参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン2029年度想定為替レート 145.00円/米ドル、170.00円/ユーロ、20.50円/元、0.105円/ウォン (※5)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2029年度想定為替レートは2026年5月発表時点 〔基本方針〕基本方針1 フィジカルAI市場の開拓 フィジカルAI市場を開拓し、自動化領域を拡大するとともに、ロボットソリューションを軸とした基幹部品ラインナップの強化を通じて、フィジカルAI市場における競争優位の確立を目指します。具体的には、AI活用による自律型AIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用領域拡大を進めるとともに、進化型アクチュエータをはじめとする基幹部品を通じて、ヒューマノイドロボットを含む多様なフィジカルAI市場の開拓に取り組みます。またAI技術およびパートナーとの連携を通じてこれまで自動化が困難であった領域への展開を推進します。 基本方針2 i3-Mechatronicsの実践拡大 蓄積してきたソリューション活用とスケールメリットを通じてお客さまの競争力向上に貢献するとともに、地域別に特長を生かした展開を加速します。あわせて、i3-Mechatronicsをお客さまと共に実践拡大することで、当社グループの競争力強化を図ります。 基本方針3 世界一にこだわる新製品開発 コア技術、現場データとAI活用のシナジーを通じて世界一の技術創出を目指します。 基本方針4 新メカトロニクス応用領域の事業拡大 メカトロニクス技術の応用およびパートナー連携を通じて自動化領域の拡大を図ります。具体的には国内の農業分野における課題を自動化ソリューションにより解決するとともに、医療現場における各種実験の自動化・デジタル化を推進します。 基本方針5 YDXの進化とi3-Singularity YDXを通じて経営全体の最適化を進め、世界で選ばれる製品・サービスを持続的に生み出す事業構造への変革を図ります。さらにi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで新たな世界(i3-Singularity)を広げていきます。 (5) 経営環境および優先的に対処すべき課題 2026年度は、AI・半導体関連分野を中心とした旺盛な需要を背景に、足元において受注が好調に推移していることなどを踏まえ、増収増益を計画します。  2026年度の重点実施項目は以下のとおりです。 ① “コト”を実現するi3-Mechatronicsの実践および戦略製品の展開 安川グループのソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」によるお客さまの“コト”に呼応したソリューションの展開と、コア製品の強みを生かした販売スケールの拡大を着実に実行します。また、新たな生産基盤の徹底活用による製造付加価値の向上を図るとともに、グローバル品質データの活用を高度化し、製品・サービスの品質を格段に向上させます。 ② AIロボティクスを軸としたフィジカルAIのユースケース具現化と実行 自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用市場の拡大に向けて、フィジカルAI(※6)の領域を拡大させるとともに、新たな場面・状況へのロボット展開に向け、パートナーとの連携によるユースケース(社会実装)の創出を目指します。また、進化したアクチュエータの技術・製品の実証によるヒューマノイドロボットの領域を深耕します。(※6)当社では、「AIロボティクス」を「モーションとAIによる認識・判断」と定義しております。これは、i3-Mechatronicsの“integrated(統合的)”領域を更に広げるものであり、MOTOMAN NEXTはそれを具現化した製品となります。「フィジカルAI」は、「当社製品とAIを融合させることで、これまで自動化が困難であった領域でのユースケースを具現化するもの」と位置付けております。 ③ 市場×地域戦略の深化による重点市場における収益モデルの強化 ACサーボモータ・コントローラ事業の主力市場である半導体においては、国内中核販社の連携による営業体制の再強化を推し進め、エンドユーザを基軸とした事業ポテンシャルの拡大を進めます。ロボット事業の主力市場である自動車においては、自動車OEMおよびそれに連動するTier(※7)の投資実行を確実に捕捉します。インバータ事業においては、大型空調(HVAC)市場の新たな成長領域であるデータセンタや半導体の領域を徹底的に攻略していきます。なお、米国においては、2025年度に発表したキャンパス構想を確実に実行し、インドでは成長領域へのアプローチ強化と生産能力の拡大を進めます。(※7)自動車業界などにおけるサプライチェーンの階層 ④ 新メカトロニクス応用領域の実展開およびエコシステム構築の加速 農業分野においては現場への実導入を加速させ、中食・冷食を含む加工食品領域においては、ソリューションの拡充と水平展開を着実に進めます。また、医療/医薬品市場においては、パートナーとの連携強化およびプラットフォーマーとしてのバイオ向け双腕ロボット「まほろ」の導入を拡大します。安川グループのDNAの一つであるメカトロニクスの応用領域において、様々なパートナーと協力しながらエコシステムを構築していきます。 ⑤ 投資価値の最大化と事業コストのスリム化による高収益基盤の確立 徹底した業務の適正化と効率化を通じた経費削減による事業運営コストの低減を行います。また、基幹システムであるS/4HANAを確実に立ち上げ、安定運用につなげるとともに、事業力の更なる向上に向け、YDXの徹底した活用による最適配置を含めた人材マネジメントの強化を行います。中国および欧州においては、2025年度から推進している利益体質改善の継続により強い収益基盤を確立させます。また、安川グループ経営理念の浸透による実行力のある「One YASKAWA」の文化醸成とエンゲージメント強化をグローバルで推し進めるとともに、サステナビリティ経営の進化に向けたグローバル展開と実態を踏まえた情報の可視化・発信を進めます。  各セグメントにおける具体策は以下のとおりです。 〔モーションコントロール〕 ACサーボモータ・コントローラ事業においては、i3-Mechatronicsを実現させるiCube Controlを中心にグローバルでのトータルソリューション提案を強化するとともに、需要変動に即応できる柔軟な生産体制のもと、半導体や電子部品等の成長市場における更なる収益の拡大を図ります。 インバータ事業においては、データセンタや半導体等の成長市場に加え、インドで拡大するインフラ需要に対する販売活動の強化を図ります。生産については、自動化・省人化を通じて生産体制の更なる強化を図り、生産性および収益性の向上に取り組みます。太陽光発電市場においては、パートナー連携を通じて国内の自家消費市場におけるパワーコンディショナの売上拡大を図ります。 〔ロボット〕 i3-Mechatronicsを軸としたソリューションの深化・横展開を進めるとともに、本年度稼働予定の八幡西事業所のモータ・ロボット一貫生産工場(第5工場)を起点として、事業基盤の強化および収益力の向上に取り組みます。自動車や半導体を中心に自動化ニーズが拡大する中、工程や用途の多様化に対応した提案力の強化を通じて、提供価値の最大化を図ります。また、食品・医療など、これまでロボットの導入が限定的であった分野においても、自動化ニーズの高まりを捉えた取組みを進めます。 生産面では、第5工場を中心にモータからロボットまでの一貫生産体制を有する生産基盤を活用し、データ活用や変種変量生産への対応を進めることで、生産効率および収益性の向上に取り組みます。併せて、このような生産活動を通じて得られる知見を製品改良やソリューションの高度化に生かし、事業全体の競争力強化につなげてまいります。 製品面では、自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の展開を軸に、食品・医療等の発展領域を含む幅広い用途に向けた自動化提案を強化するとともに、適用領域の拡大を図り、将来の成長領域の育成に取り組みます。 〔システムエンジニアリング〕 鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、脱炭素・自動化需要に対応し、AI・IoT技術により付加価値を高めたシステムソリューションの提供に努めます。また、アジアを中心とする港湾クレーン等の成長市場への取組みを更に強化します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を存在意義とし、私たちの価値観である「1.品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「2.経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「3.市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを安川グループ経営理念としております。 また、経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1.最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2.世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3.世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。 このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、2026年3月より長期経営計画「2035年ビジョン」(2026年度~2035年度)および同期間内の最初の中期経営計画「Dash 35」を開始いたしました。 「2035年ビジョン」では、技術革新を通じて産業界が抱える多様な課題を発見・解決し、Mechatronics領域の拡大を図ることで、社会の持続的発展への貢献を目指しております。 この「2035年ビジョン」に向けた最初のフェーズとして位置づける「Dash 35」では、AIロボティクス技術の活用を進めることで、将来の成長を見据えた新たな市場機会の創出を進めてまいります。あわせて、“i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)”(※1)の実践拡大を通じた付加価値向上に取り組みます。 「2035年ビジョン」および「Dash 35」の詳細については、以下のURLからご覧いただけます。 2035年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Vision2035.pdfDash 35:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Dash35.pdf (※1)i³-Mechatronics:当社が1969年に提唱した「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスを融合した造語 )」に3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの経営課題の解決に寄与するソリューションコンセプト (3) 長期経営計画「2035年ビジョン」の概要① 財務目標(※2)当社グループは、長期経営計画「2035年ビジョン」において、営業利益率を最も重要な経営指標と位置づけ、ステークホルダーへの還元の充実を重視しています。具体的には、2035年度の目標として営業利益率20.0%以上、配当性向40.0%以上を掲げています。 [参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン (※2)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2035年度想定為替レートは設定しておりません。 ② 事業戦略当社グループは創業以来110年の間、モータとその応用を事業領域として貫き、モーションコントロール、パワー変換、そしてロボット技術を高めてきました。これからも世界一、世界初にこだわり私たちのDNAであるメカトロニクスの領域のさらなる拡大に向けて力強く前進していきます。「2035年ビジョン」では当社グループのソリューションコンセプトであるi³-Mechatronicsを軸に、自動化ソリューションの価値をより高めながら、AIやデータを活用したフィジカルAIの社会実装を進めることで、コア領域の競争力強化に取り組みます。また新メカトロニクスの応用領域拡大とフィジカルAIにおける市場開拓と需要獲得に挑戦していきます。さらには、安川グループ経営理念の理解深化を加速させながら、ソリューションコンセプト“i³-Mechatronics”をAIによってさらに進化させるとともに、データによる経営の最適化、ものづくりの革新、現場(社会)への実装を実現する新たな世界“i³-Singularity(アイキューブ・シンギュラリティ)”(※3)を広げていきます。 当社グループが取り組む主な事業戦略の概要は以下のとおりです。(a) コア領域の競争力強化AI×データ活用によりモノ・モノづくりを進化させ、未来のスマートファクトリを実現します。・モータ・ロボット技術の徹底追求およびエネルギー変換効率の最大化 (b) 新メカトロニクス応用領域の拡大多様なパートナーとのエコシステム構築を通じて新メカトロニクス応用領域を拡大するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。・医療・製薬品分野における共創加速・食・農業分野自動化の飛躍的拡大 (c) フィジカルAI市場の拡大基幹コンポーネントのポートフォリオ拡大でフィジカルAIの社会実装を実現します。・基幹技術×現場データ×AIによるシナジー発揮・基幹コンポーネントのラインナップ拡大 (d) 経営基盤の強化AI利活用によるYDXの深化と経営基盤の強化を通じて安川グループの戦略実行力の最大化を図ります。・人材の多様化と育成強化・働きがいと組織力の向上・ESGの推進による持続可能な発展・外部連携によるイノベーション創出 (※3)i3-Singularity:これまで取り組んできたi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで、その実行力を拡張・飛躍させていく考え方 (4) 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況および中期経営計画「Dash 35」の概要① 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況財務実績 2025年度実績売上収益: 5,421億円営業利益: 473億円営業利益率:8.7%ROE:    7.7%ROIC:   6.9%配当性向: 50.0% 2025年度の主な取り組み中期経営計画「Realize 25」における2025年度の主な取組みは以下のとおりです。 方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化i3-Mechatronics実現に向けた、「iCube Control」の強化(YRM1030、iC9200)およびACサーボドライブ「Σ-Xシリーズ」におけるセンシング・自律制御機能拡充により、省エネルギー化、稼働率向上、設備 長寿命化へ貢献しました。(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化米国にて本社・技術開発拠点・産業用ロボットの生産工場等を集約した新キャンパス設立を発表しました。国内では、モータとロボットの一貫生産を行うロボット第5工場が竣工しました。(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化i3-Mechatronics CLUBを通じて各分野のパートナーとの協業を推進するとともに、i3-Mechatronicsに基づく営業活動の成功事例の蓄積を進めました。(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新当社製品の稼働データを戦略的に活用し、設備更新・メンテナンスを適切なタイミングでお客さまへ提案するプロアクティブなサービス活動を強化しました。 方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築主要部品の内製化、事業部共通の重点部品の集中調達、欧米での事業拡大に向けた投資を確実に実行するなど、生産/調達体制および需要地生産体制の強化を進めました。また、グローバルにおけるレアアース関連規制に対しては、国内サプライヤーとの長期的な関係性構築を通じ、調達リスクの低減に取り組みました。 方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献(a) Energy Savingデータセンタの冷却システム向けに、CDU(Coolant Distribution Unit:冷水分配装置)の小型化・高効率化に寄与するインバータの拡販を進めました。(b) Clean Power更新需要に対応した太陽光発電用パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3H」の販売を開始しました。(c) Food & Agri全国農業協同組合連合会(JA全農)と協業開発を進める「きゅうり収穫作業ロボット」について、農業現場での稼働を開始しました。(d) Biomedical Scienceアステラス製薬株式会社との合弁により、再生医療等製品の製造プラットフォームの開発・提供を行うセラファ・バイオサイエンス株式会社を設立しました。 方針4 YDX(※4)とサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供経営・生産データを中心に安川データレイクへの統合を進め、海外拠点含むデータ連携を加速しました。(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (※4)YDX:YASKAWA digital transformationの略。YDX-Ⅰでは、経営資源の可視化・一元化とその最適配置を目指した活動を実施。第二フェーズとなるYDX-Ⅱでは、お客さまへの価値創出に製品・サービス視点の取り組みを実施。 ② 中期経営計画「Dash 35」の概要当社グループは「Dash 35」において、売上収益、営業利益および営業利益率を主要な経営指標とし、過去最高となる1,000億円の営業利益を目指しております。「Dash 35」では、コア領域の徹底した高収益化とフィジカルAI技術による新市場を創出し、「2035年ビジョン」の達成に向けて推進します。財務目標(※5)[参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン2029年度想定為替レート 145.00円/米ドル、170.00円/ユーロ、20.50円/元、0.105円/ウォン (※5)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2029年度想定為替レートは2026年5月発表時点 〔基本方針〕基本方針1 フィジカルAI市場の開拓 フィジカルAI市場を開拓し、自動化領域を拡大するとともに、ロボットソリューションを軸とした基幹部品ラインナップの強化を通じて、フィジカルAI市場における競争優位の確立を目指します。具体的には、AI活用による自律型AIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用領域拡大を進めるとともに、進化型アクチュエータをはじめとする基幹部品を通じて、ヒューマノイドロボットを含む多様なフィジカルAI市場の開拓に取り組みます。またAI技術およびパートナーとの連携を通じてこれまで自動化が困難であった領域への展開を推進します。 基本方針2 i3-Mechatronicsの実践拡大 蓄積してきたソリューション活用とスケールメリットを通じてお客さまの競争力向上に貢献するとともに、地域別に特長を生かした展開を加速します。あわせて、i3-Mechatronicsをお客さまと共に実践拡大することで、当社グループの競争力強化を図ります。 基本方針3 世界一にこだわる新製品開発 コア技術、現場データとAI活用のシナジーを通じて世界一の技術創出を目指します。 基本方針4 新メカトロニクス応用領域の事業拡大 メカトロニクス技術の応用およびパートナー連携を通じて自動化領域の拡大を図ります。具体的には国内の農業分野における課題を自動化ソリューションにより解決するとともに、医療現場における各種実験の自動化・デジタル化を推進します。 基本方針5 YDXの進化とi3-Singularity YDXを通じて経営全体の最適化を進め、世界で選ばれる製品・サービスを持続的に生み出す事業構造への変革を図ります。さらにi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで新たな世界(i3-Singularity)を広げていきます。 (5) 経営環境および優先的に対処すべき課題 2026年度は、AI・半導体関連分野を中心とした旺盛な需要を背景に、足元において受注が好調に推移していることなどを踏まえ、増収増益を計画します。  2026年度の重点実施項目は以下のとおりです。 ① “コト”を実現するi3-Mechatronicsの実践および戦略製品の展開 安川グループのソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」によるお客さまの“コト”に呼応したソリューションの展開と、コア製品の強みを生かした販売スケールの拡大を着実に実行します。また、新たな生産基盤の徹底活用による製造付加価値の向上を図るとともに、グローバル品質データの活用を高度化し、製品・サービスの品質を格段に向上させます。 ② AIロボティクスを軸としたフィジカルAIのユースケース具現化と実行 自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用市場の拡大に向けて、フィジカルAI(※6)の領域を拡大させるとともに、新たな場面・状況へのロボット展開に向け、パートナーとの連携によるユースケース(社会実装)の創出を目指します。また、進化したアクチュエータの技術・製品の実証によるヒューマノイドロボットの領域を深耕します。(※6)当社では、「AIロボティクス」を「モーションとAIによる認識・判断」と定義しております。これは、i3-Mechatronicsの“integrated(統合的)”領域を更に広げるものであり、MOTOMAN NEXTはそれを具現化した製品となります。「フィジカルAI」は、「当社製品とAIを融合させることで、これまで自動化が困難であった領域でのユースケースを具現化するもの」と位置付けております。 ③ 市場×地域戦略の深化による重点市場における収益モデルの強化 ACサーボモータ・コントローラ事業の主力市場である半導体においては、国内中核販社の連携による営業体制の再強化を推し進め、エンドユーザを基軸とした事業ポテンシャルの拡大を進めます。ロボット事業の主力市場である自動車においては、自動車OEMおよびそれに連動するTier(※7)の投資実行を確実に捕捉します。インバータ事業においては、大型空調(HVAC)市場の新たな成長領域であるデータセンタや半導体の領域を徹底的に攻略していきます。なお、米国においては、2025年度に発表したキャンパス構想を確実に実行し、インドでは成長領域へのアプローチ強化と生産能力の拡大を進めます。(※7)自動車業界などにおけるサプライチェーンの階層 ④ 新メカトロニクス応用領域の実展開およびエコシステム構築の加速 農業分野においては現場への実導入を加速させ、中食・冷食を含む加工食品領域においては、ソリューションの拡充と水平展開を着実に進めます。また、医療/医薬品市場においては、パートナーとの連携強化およびプラットフォーマーとしてのバイオ向け双腕ロボット「まほろ」の導入を拡大します。安川グループのDNAの一つであるメカトロニクスの応用領域において、様々なパートナーと協力しながらエコシステムを構築していきます。 ⑤ 投資価値の最大化と事業コストのスリム化による高収益基盤の確立 徹底した業務の適正化と効率化を通じた経費削減による事業運営コストの低減を行います。また、基幹システムであるS/4HANAを確実に立ち上げ、安定運用につなげるとともに、事業力の更なる向上に向け、YDXの徹底した活用による最適配置を含めた人材マネジメントの強化を行います。中国および欧州においては、2025年度から推進している利益体質改善の継続により強い収益基盤を確立させます。また、安川グループ経営理念の浸透による実行力のある「One YASKAWA」の文化醸成とエンゲージメント強化をグローバルで推し進めるとともに、サステナビリティ経営の進化に向けたグローバル展開と実態を踏まえた情報の可視化・発信を進めます。  各セグメントにおける具体策は以下のとおりです。 〔モーションコントロール〕 ACサーボモータ・コントローラ事業においては、i3-Mechatronicsを実現させるiCube Controlを中心にグローバルでのトータルソリューション提案を強化するとともに、需要変動に即応できる柔軟な生産体制のもと、半導体や電子部品等の成長市場における更なる収益の拡大を図ります。 インバータ事業においては、データセンタや半導体等の成長市場に加え、インドで拡大するインフラ需要に対する販売活動の強化を図ります。生産については、自動化・省人化を通じて生産体制の更なる強化を図り、生産性および収益性の向上に取り組みます。太陽光発電市場においては、パートナー連携を通じて国内の自家消費市場におけるパワーコンディショナの売上拡大を図ります。 〔ロボット〕 i3-Mechatronicsを軸としたソリューションの深化・横展開を進めるとともに、本年度稼働予定の八幡西事業所のモータ・ロボット一貫生産工場(第5工場)を起点として、事業基盤の強化および収益力の向上に取り組みます。自動車や半導体を中心に自動化ニーズが拡大する中、工程や用途の多様化に対応した提案力の強化を通じて、提供価値の最大化を図ります。また、食品・医療など、これまでロボットの導入が限定的であった分野においても、自動化ニーズの高まりを捉えた取組みを進めます。 生産面では、第5工場を中心にモータからロボットまでの一貫生産体制を有する生産基盤を活用し、データ活用や変種変量生産への対応を進めることで、生産効率および収益性の向上に取り組みます。併せて、このような生産活動を通じて得られる知見を製品改良やソリューションの高度化に生かし、事業全体の競争力強化につなげてまいります。 製品面では、自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の展開を軸に、食品・医療等の発展領域を含む幅広い用途に向けた自動化提案を強化するとともに、適用領域の拡大を図り、将来の成長領域の育成に取り組みます。 〔システムエンジニアリング〕 鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、脱炭素・自動化需要に対応し、AI・IoT技術により付加価値を高めたシステムソリューションの提供に努めます。また、アジアを中心とする港湾クレーン等の成長市場への取組みを更に強化します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 2026年度~2029年度中期経営計画「Dash 35」に関する認識および分析・検討内容経営指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況および中期経営計画「Dash 35」の概要」に記載しております。 (2) 経営者による経営成績(P/L)の分析① 概況当期における当社グループの経営環境は、地政学的リスクや米国の関税政策などにより総じて不透明な状況が継続している中で、自動車市場などにおいては投資案件の延期や見直しが起こる状況となったものの、半導体を中心とした市場では回復の動きが見られました。モーションコントロールでは、電子部品市場や工作機械市場、空調用途向けを中心に堅調な需要が見られ、半導体市場においてもAI関連の投資がけん引する形で、期の後半にかけて回復の動きがグローバルに強まりました。ロボットでは、日本・米州・欧州の自動車関連の設備投資が引き続き軟調に推移する一方で、グローバルにおける一般産業向けの需要は堅調に推移しました。このような環境において当社グループの売上収益は、新規の受注を確実に売上につなげたことにより、受注残の正常化を進めた前期に比べ増加しました。営業利益については、売上増により付加価値が増加したものの、為替影響および間接費の増加をカバーできず、前期に比べ減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、煙台東星磁性材料股份有限公司の株式の一部譲渡に伴う株式譲渡益および残存株式の再評価益を計上した前期に比べ減益となりました。 この結果、当期の経営成績は以下のとおりです。 2025年2月期2026年2月期前期比売上収益5,376億82百万円5,421億22百万円+0.8%営業利益501億56百万円473億 7百万円△5.7%親会社の所有者に帰属する当期利益569億87百万円352億40百万円△38.2%米ドル平均レート152.65円149.87円△2.78円ユーロ平均レート164.01円172.76円+8.75円中国人民元平均レート21.12円21.01円△0.11円韓国ウォン平均レート0.111円0.105円△0.006円 なお、当期における当社グループの地域別の経営環境は以下のとおりです。日 本:電子部品市場は期を通じて好調に推移し、半導体市場も期の後半に需要の回復が見られました。また、一般産業分野における自動化需要や鉄鋼プラント・社会システム向けの需要が堅調に推移しました。一方、自動車市場における設備投資の需要は軟調に推移しました。米 州:一般産業分野に加え、データセンタ向けを含む空調関連、オイル・ガス関連、太陽光発電用パワーコンディショナなどを中心に需要は拡大基調となりました。一方、自動車市場や工作機械市場における需要は伸び悩みました。欧 州:半導体、工作機械、一般産業の分野では需要の回復が見られましたが、自動車市場の設備投資は低調に推移しました。中 国:半導体、工作機械、一般産業の分野に加え、自動車市場においても堅調な投資が継続し、需要は底堅く推移しました。中国除くアジア:韓国・台湾における半導体関連需要が期の後半に拡大基調となり、韓国の自動車市場においても設備投資が堅調に推移しました。 ② セグメント別の状況当社グループでは、事業内容を4つのセグメントに分けています。当期の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。モーションコントロール売上収益 2,360億53百万円 (前期比 △1.1% )営業損益 243億84百万円 (前期比 +6.0% )モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されています。売上収益は、受注残の正常化を進めた前期に対し減収となったものの、期の後半から需要環境が改善に向かい、ACサーボモータ・コントローラ事業を中心に、第4四半期の売上は想定を上回る着地となりました。利益面については、付加価値の改善などにより前期比で増益となりました。〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕上期に需要が低調に推移した半導体市場向けの販売が主に米国・アジアで減少した一方で、電子部品および工作機械市場向けの販売がAI関連投資などにけん引され好調に推移したことから売上収益は前期比で増加しました。〔インバータ事業〕米国においてデータセンタ向けを含む空調用途や太陽光発電用パワーコンディショナの販売が増加した一方で、中国・アジアのインフラ関連向けの販売は減少しました。これらの結果に加え、前期に受注残の正常化を進めた影響もあり、減収となりました。ロボット売上収益 2,470億12百万円 (前期比 +4.0% )営業損益 204億18百万円 (前期比 △14.0% )自動車市場向けは日本・米州・欧州で販売が減少した一方で、中国およびアジアでは大口案件の売上により販売が増加しました。また、一般産業分野における設備投資需要をグローバルで捉えた結果、セグメント全体の売上収益は前期比で増加しました。営業利益については大口案件の付加価値の影響により減益となりました。システムエンジニアリング売上収益 387億44百万円 (前期比 +1.0% )営業損益 49億89百万円 (前期比 +8.3% )鉄鋼プラントおよび社会システム向けの販売が底堅く推移し、売上収益は前期比で増加しました。営業利益についても、売上増に伴う利益増や付加価値改善が寄与し増益となりました。その他売上収益 203億11百万円 (前期比 △12.3% )営業損益 19億88百万円 (前期比 +24.9% )その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されています。売上収益は減少しましたが、営業利益はその他の収益の増加などにより前期比で増加しました。 (3) 経営者による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析① 資本の財源および資金の流動性にかかる情報(a) 資産、負債および資本(B/S)構造に関する基本的な考え方(ア) 流動資産(手元現預金)キャッシュがグローバルで分散し余剰にならないようにコントロールしながら、手元現預金は月商1ヵ月程度の水準を維持する方針です。(イ) 非流動資産将来の利益源になる投資を積極的に行う方針です。(ウ) 資本構成親会社所有者帰属持分比率50%以上を安定的な経営が実現できる水準とみております。今後は将来の設備投資のための内部留保が増えてきますが、現金・資本が過剰になることがないよう、一定のネットD/Eレシオを目安に置きながら効率性を重視する方針です。 (b) キャッシュアロケーションに関する基本的な考え方当社は、営業活動により生み出したキャッシュを①投資、②株主還元、③従業員配分の3方向に効果的に投入することで、持続的な成長を実現することを基本方針としております。(ア) 投資中期経営計画「Dash 35」では、2026年度~2029年度の累計で2,500億円の投資計画を立てております。キャッシュを有効活用し、工場や事業所の再編、内製化や自動化および需要地生産の拡大など、効率化・付加価値向上のための先行投資を厚くしていく方針です。(イ) 株主還元当期利益に対し40%以上の配当性向を想定した経営を実践しております。キャッシュが想定以上に創出された場合は、追加の還元策も検討します。(ウ) 従業員配分中期経営計画の目標達成度合いに応じた中長期報酬制度を2022年度から従業員に拡大しております。従業員には、生産性の高い仕事のやり方により付加価値向上・利益率改善に取り組むインセンティブとなっております。また、従業員持株会への加入を促す制度としており、企業価値向上がインセンティブとなり従業員の経営参画意識を高める効果も期待しております。 ② 資産、負債および資本(B/S)の状況(a) 資産  8,123億65百万円(前期末比 685億90百万円増加)契約資産が減少したものの、営業債権や棚卸資産の増加等により、流動資産が前期末に比べ86億80百万円増加しました。また、有形固定資産、その他の金融資産および無形資産の増加等により、非流動資産が前期末に比べ599億10百万円増加しました。 (b) 負債  3,187億49百万円(前期末比 145億85百万円増加)契約負債等が減少したものの、社債及び借入金の非流動負債からの振替えや短期借入金、その他の金融負債の増加等により、流動負債が前期末に比べ116億53百万円増加しました。また、社債及び借入金の流動負債への振替え等があったものの、繰延税金負債やその他の非流動負債の増加等により、非流動負債が前期末に比べ29億31百万円増加しました。 (c) 資本  4,936億15百万円(前期末比 540億 5百万円増加)利益剰余金やその他の資本の構成要素等が増加しました。 ③ キャッシュ・フロー(C/F)の状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は612億23百万円(前期末比 21億95百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。 (a) 営業活動によるキャッシュ・フロー税引前当期利益に減価償却費を加えた収入等から、法人所得税の支払等を差し引き、521億70百万円の収入(前期比 43億35百万円の収入減)となりました。 (b) 投資活動によるキャッシュ・フロー投資有価証券の売却による収入等があったものの、有形固定資産及び無形資産の取得による支出等により、442億16百万円の支出(前期比 229億29百万円の支出増)となりました。 (c) 財務活動によるキャッシュ・フロー長期借入れによる収入や短期借入金の増加があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払い等により、86億26百万円の支出(前期比 70億47百万円の支出減)となりました。 ※営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは79億53百万円の収入となりました。 (4) 生産、受注および販売の実績当社グループの生産・販売品目は広範囲にわたりかつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産および受注の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて、連結の数字を示しております。 (5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針の要約 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。

事業リスク

安川電機グループは、グローバルな事業展開により地政学リスクに直面しており、国際関係の変化や保護主義的措置が事業活動や業績に影響を与える可能性があります。また、原材料・部品調達リスクとして、価格高騰や国際情勢の変化、取引先の状況悪化により、安定的な調達が困難になるリスクがあります。さらに、グローバルな事業展開に伴う為替相場の変動は、製品の競争力や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、各事業分野における強力な競合相手との価格競争や、技術・品質面での競争力維持ができない場合も、業績に影響を与えるリスクがあります。

出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|9,449 文字
3【事業等のリスク】(1) 方針・基本的な考え方リスクマネジメントに関する当社の基本的な考え方は次のとおりです。・当社グループの経営に重大な影響を及ぼす多様なリスクに対し、その重要度に応じて経営資源を効率的に配分し、全社的かつ統合的に管理する。・リスクが顕在化し危機となった場合は、当社グループ役職員の生命および身体の安全確保を最優先とし、当社グループの財産保護ならびに事業の継続に努める。(2) リスクマネジメント体制当社は、経済環境や市場動向を含む経営の遂行に関するリスクについて、経営会議等の執行会議および取締役会においてモニタリングを実施しております。さらに、当社グループの経営または事業運営に直接的または間接的に影響を及ぼす可能性のあるリスクに迅速かつ的確に対応することを目的として、取締役会の下に「リスクマネジメント委員会」を設置しております。同委員会は、リスクマネジメントおよび危機管理を担当する役員を委員長とし、全社的なリスク管理体制および仕組みの整備、推進、監督を担っております。また、同委員会の傘下には、環境推進委員会、情報セキュリティ委員会、コンプライアンス委員会等の専門委員会を設置し、日常的な活動の強化を図っております。当社は、当社および関係会社におけるリスクを包括的かつ統合的に管理するため、リスクマネジメント委員会のもとで全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management=ERM)を構築・運用しております。ERMのフレームワークに基づくリスク管理状況は、経営会議等の執行会議、取締役会およびサステナビリティ委員会に定期的に報告し、リスク管理体制および仕組みの有効性についてモニタリングを受けております。また、リスクが顕在化し危機に発展した場合には、危機管理担当役員を中心に、迅速に対応できる体制を整備しております。危機のレベルに応じた対策本部の設置等の具体的な手続については、危機管理基本規程に定め、適切に運用しております。 (3) リスク管理活動ERMにおいては、当社グループにおけるリスクを洗い出し、可視化したうえで、共通の指標を用いて各リスクの固有リスクおよびそれに対する統制を評価し、残存リスクの程度を把握しております。リスクは「極大」「大」「中」「小」の4段階に分類し、優先順位を付けたうえで、対応方針およびアクションプランを策定・実行し、残存リスクの低減を図っております。これらの結果は半期ごとにリスクマネジメント委員会に報告し、モニタリングを実施しております。さらに、リスク管理のPDCAサイクルを継続的に運用することで、リスク管理活動の改善と強化に取り組んでおります。 (4) 重要なリスクと対策当社グループの業績、財務状況などに影響を及ぼす可能性のある重要なリスクおよびそれらの対策については下表のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 地政学リスクの説明 当社グループは日本国内および中国をはじめとする海外にも生産拠点を持ち、グローバル約30カ国に展開している営業拠点を通じ、日々お客さまに製品・サービスを提供しています。このことから、米中関係の緊張の継続やロシア・ウクライナ情勢に加え、中東・アジア地域における武力紛争や地政学的緊張の拡大などの国際関係の変化や、それに起因する社会・環境の変化、法規制の変更などは事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 特に、各国・地域での輸出規制の拡大、技術移転制限の強化および関税の引き上げなどの保護主義的措置の増加により、開発、生産、物流や営業活動が制限を受け、お客さまへの製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策 このようなリスクに対して、各地域の政治・経済情勢や法規制の動向などについて、各拠点を通じて定期的にモニタリングし、事業への影響を迅速に把握できる体制を整えています。 地政学リスクに起因する多岐に渡る事業活動リスクが顕在化した際には、危機管理担当役員を中心に迅速な初動対応を講じるとともに、リスクマネジメント委員会、各専門委員会および経営会議等の執行会議との連携を図りながら、グローバルにおける効果的なインシデント対応体制を構築することで被害や損害を最小限とすることに努めています。 特に、近年では変化による事業への影響が大きいグローバルにおける法制変化などのモニタリングを強化するため、国内における各事業・本社部門に加え、海外子会社を始めとしたグローバル拠点にコンプライアンス担当者を設置することで、本社の法務部門を中心としたグローバルでの統制体制を整備しています。 原材料・部品調達リスクの説明 当社グループは鋼材等の原材料や各種部品を多数の取引先からグローバルに調達し、世界各国・地域に製品を供給しています。このため、価格の高騰や業界の需要増に加え、米中関係の緊張の継続、ロシア・ウクライナ情勢、中東・アジア地域における武力紛争や地政学的緊張の拡大などの国際関係変化によっては継続的な必要量の確保および供給が困難となる可能性があります。また、取引先において、自然災害、感染症の拡大、事故、経営状況の悪化などにより、当社グループに対する部品や原材料等の安定的な提供が困難となる可能性があります。リスクへの対策 このようなリスクに対して、当社グループは取引先との対話を通じた信頼関係の構築、グローバルでの調達先の分散を図るとともに、適正な在庫水準の確保と現地生産・現地調達の推進を通じた需要変動への対応、輸送手段や経路の拡充、国内および主要海外拠点における事業継続計画(BCP)策定による災害リスク等への対応によりサプライチェーンの強化に努めています。 また、リスク部品の早期発見と全社対策の強化を図るとともに、入荷困難な状況が継続する部品に関しては入手可能な部品への設計変更を行うなど、対応を強化しています。 為替相場の変動リスクの説明 当社グループはグローバルで事業展開し、その取引先は世界各地にわたるため、為替相場の変動リスクにさらされています。当社グループは、米ドル、ユーロ、中国人民元等の現地通貨建てで製品・サービスの販売・提供および原材料・部品の購入を行っていることに加え、現地通貨建ての製品輸出を行っており、想定以上の為替相場の変動は製品の競争力を弱めるなど、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは現地通貨で表示された資産および負債を保有していることから、為替相場の変動は円建てで報告される当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策 このようなリスクに対して、当社グループでは、先物為替予約契約や為替ヘッジを実行することに加え、現地生産や現地調達の推進などを通じ、為替変動に強い収益構造の構築に取り組んでいます。 競争の激化リスクの説明 当社グループの事業分野においては、それぞれの分野で強力な競合相手が存在します。当社グループ製品のシェアの高い分野においても、将来にわたり競争優位性を保てるという保証はありません。このため競合企業との価格面における激しい競争が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの製品等に対しては、技術および品質等における競争力を確保するため、適時・適切な製品投入を行う必要があります。当社グループが提供する製品等の競争力が相対的に脆弱である場合や、製品投入時期が適切でない場合等に、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。リスクへの対策 このようなリスクに対して、当社グループはi3-Mechatronicsを通じて、最適なソリューションをお客さまに提供することにより、製品・サービスの差別化および高付加価値化に努めています。安川テクノロジーセンタを中心として部門横断的な研究開発の継続的な強化を図り、世界初・世界一にこだわった画期的な製品開発を進めるとともに、徹底した効率化を図ることで開発期間の短縮を図り、コスト競争力の高い製品のタイムリーな市場投入に努めています。 気候変動リスクの説明 気候変動について、政策や規制など気候変動対策や社会的要求の変化等によって生じる“移行”リスクが考えられます。例えば、炭素価格・各国政府による炭素税の導入による燃料調達コストや材料調達コストの増加、各国の炭素排出政策・排出権取引の導入や排出規制の強化に伴うグリーン電力購入等のコスト増加が挙げられます。リスクへの対策 このようなリスクに対して、当社グループは気候変動についてTCFD提言への賛同を表明し、環境省のTCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業へ参加をするなど様々な活動を進め、TCFD提言に基づく気候変動関連の情報を開示しました。今後も引き続き気候変動関連の情報開示を充実させ、より一層環境に配慮した事業活動を継続していくことにより、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値のさらなる向上を図ります。 また、推進体制として、社長を委員長とするサステナビリティ委員会にてモニタリングを図るとともに、リスク評価とマテリアリティ分析の整合性を確認し、それ以外の施策を含む全体遂行については、社長が任命した環境推進統括者が運営する環境推進体制においてPDCAを回しながら活動の質の向上を図っています。 人権リスクの説明 強制労働、児童労働などの問題に対し、自社だけではなく取引先も含めた対応が社会的な要請として求められています。また、各国・地域で人権の取組みを求める法令等の規制導入が進んでおり、これらに適切に対応しないことによる法令違反のリスクがあります。人権問題への対応が適切でない場合は、当社グループの社会的信頼の失墜による競争力低下のリスクがあります。リスクへの対策 「世界人権宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などに基づき、人権の尊重を安川グループ企業行動規準および安川グループ人権方針に定め、すべての人々の人権を尊重する対応を推進しています。 推進体制として、サステナビリティ担当部門、リスクマネジメント担当部門および調達担当部門が中心となり、当社グループおよびサプライチェーンにおける人権の尊重に取り組んでいます。これらの取組みについて、サステナビリティ委員会において施策の審議やモニタリングを定期的に行っています。 また、当社グループの従業員や主要な取引先を対象に人権への負の影響とリスクを特定・評価し、適切な対策を実施し、追跡調査・モニタリングを行ったうえで情報を開示します。 これらの取組みを通じて、常に変化する人権に関する社会的要請や課題に継続的に対応していきます。 情報セキュリティリスクの説明 当社グループは事業活動においてお客さまや取引先の個人情報および機密情報を適切に管理していますが、サイバー攻撃や不正アクセス、ランサムウェア被害やウイルス感染などにより、情報漏洩やサーバ・システムの停止、ネットワーク障害が発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合、事業継続への支障や生産力の低下に加え、お客さまや投資家を含む市場からの信頼低下につながるおそれがあります。 さらに、生成AIの不適切な利用によるプライバシー侵害や著作権侵害、機密情報の漏洩などの新たなリスクも想定されます。 また、取引先で発生したセキュリティインシデントに起因し、当社が二次的な影響を受ける可能性があります。リスクへの対策 当社は、情報セキュリティリスクを重要な経営課題と位置付け、経営トップ主導のもと体制整備および運用強化に取り組んでいます。平時においては、情報セキュリティ基盤の強化活動を継続的に進めるとともに、高度化・巧妙化するサイバー攻撃や脆弱性情報、ブランド毀損リスクについて、グローバルでの監視および情報収集を実施し計画的に対策しています。 情報セキュリティ上のリスクが予見または発見された場合には、リスク管理体制のもと速やかに対応方針を定め、CSIRT体制(Computer Security Incident Response Team)と連携したインシデント対応を行い、被害の最小化と早期復旧を図っています。 加えて、生成AIサービスの業務利用に関しては、社内ルール整備やeラーニングによる教育を通じて適切な活用を推進しています。 さらに、取引先に対してもセキュリティ対策状況の確認や改善要請を行い、サプライチェーン全体でのリスク低減に努めています。 人材確保リスクの説明 労働力不足がグローバルで進行する中で、高度な専門性を持った人材を含め、その獲得の競争が激化しています。 また、従業員一人ひとりが主体性を持って能力を発揮し続けるためには、文化・慣習・言葉等の壁を越えてグローバルにビジネスの拡大に寄与できる人材の育成と心身ともに健康に過ごせる労働環境の整備がより重要となっています。 このような状況の中、人材の採用・育成が遅れたり、優秀な人材が流出したりする場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。リスクへの対策 「2025年ビジョン」の実現に向けた人的資本経営の取組みにおいて、従業員との対話を重視しつつ、併せて事業戦略遂行に必要な人材要件の策定と人材データの可視化に基づいた人的投資や多様な人材の活躍を促す人材マネジメントを強化することで、経営戦略に連動した人事戦略を立て実行しています。なお、持続的な経営戦略を策定し、高い成果を創出していくために、安川グループの将来を担う次世代の経営幹部候補者を早期に選抜し、研修プログラムなどを通じて育成・登用しています。 また、「経営理念の理解深化」、「ダイバーシティとインクルージョンの進化」、「働きがいのある職場環境の実現」等も重点項目として掲げて取り組んでいます。これらの取組みを従業員への意識調査(ESアンケート)や経営層との直接対話といった従業員との積極的なコミュニケーションを通じて、常にモニタリングすることにより素早く人事施策の改善に反映しながら、生産性と働きがいの向上を加速させます。 人的資本である「人材(従業員)」一人ひとりの求心力をグローバルに向上させ、ブランド力(選ばれる・信頼される)を強化することで、持続的な人材の獲得・確保につなげていきます。 コンプライアンスリスクの説明 当社グループは事業運営において、各国・地域の競争法、贈収賄防止規制、個人情報保護法をはじめとする各種法規制を遵守することを重要な責務と考えています。しかし、国際的な法規制は複雑化・高度化しており、取引慣行や営業活動が意図せず法令に抵触すると見なされた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性があります。リスクへの対策 当社グループは、「グループ・コンプライアンス基本規程」に基づき、コンプライアンスの実践を確実にするため、当社の各社長直属部および当社グループの対象会社にコンプライアンス責任者およびコンプライアンス推進リーダーを設置しています。 また、主管業務に関するコンプライアンス事項を適切に管理する目的で、当社の本社部門に各種法令を所管する法令担当を設置しています。 さらに、当社の法務・コンプライアンス部門が中心となって、国内外グループ会社のコンプライアンス責任者およびコンプライアンス推進リーダーとの連携を図るとともに、法令担当による活動を支援しています。このような取組みを推進することにより、当社グループはコンプライアンスリスクの軽減に努めています。 品質リスクの説明 当社グループは、製品品質と安全性の確保に最優先で取り組んでいます。しかし、万が一当社製品に欠陥が発生した場合、製造物責任法(PL法)に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。 また、欧州サイバーレジリエンス法をはじめ、国内外で製品セキュリティに関する法規制が強化されており、これらへの対応が不十分な場合には行政処分等の対象となるおそれがあります。 さらに、品質データの不適切な取扱い等による品質不祥事が生じた場合、各種認証の取消しや企業評価の低下につながるリスクがあります。リスクへの対策 当社グループは、製造物責任(PL)リスクに備え、PL保険への加入や海外訴訟へ迅速に対応できる法務体制の整備、グループ内での情報共有による事故予防体制の強化を進めています。 また、製品セキュリティ関連法へ適切に対応するため、セキュリティ体制と報告プロセスの整備、全社横断の責任者配置による法令遵守の強化、運用テストを通じた仕組みの検証・改善に取り組んでいます。 さらに、品質データの不適切な取扱い等を防止するために、製品情報や規格適合、取扱説明、契約内容などの整合性を体系的に確認し、品質マネジメントシステム(QMS)の健全性を点検しています。 知的財産リスクの説明 当社グループは、競争優位性の確保に向けて知的財産の適切な保護を重要視していますが、第三者により当社グループの知的財産権が無断で実施・使用されることで、収益機会が損なわれる可能性があります。 一方で、当社グループが第三者の知的財産権を意図せず侵害した場合、損害賠償請求や使用差止めなどの法的措置を受けるリスクがあります。リスクへの対策 当社グループでは、第三者による知的財産権の無断使用に対処するため、当社グループの製品・サービスについて、主要国における特許権や商標権の権利化を積極的に進めています。 また、第三者による侵害行為により当社グループの収益機会を損なうおそれがあるときは、当社が保有する権利の行使を検討し、必要な措置を講じることで、損害の回復および収益機会が損なわれるリスクを低減しています。 さらに、当社グループは、第三者の知的財産を侵害することがないよう、新製品やサービスを市場へ提供する前に、関連する知的財産調査を徹底し、侵害リスクの未然防止に努めています。 災害リスクの説明 当社グループでは、事業活動に伴う物理的事故や有害物質への曝露等により労働災害が発生した場合、行政処分、安全配慮義務に基づく民事責任、社会的信用の毀損が生じ、事業運営へ影響を及ぼす可能性があります。 また、広域感染症(パンデミック)や、南海トラフ地震を含む大規模地震・津波、豪雨・台風などの自然災害への対応が不十分であった場合、従業員の被害、設備損壊、事業中断などを通じて財務状況および事業継続に重大な影響を及ぼすリスクがあります。リスクへの対策 当社は、労働災害リスクに対して、未然防止に向けた安全衛生パトロールの強化、リスクアセスメントおよび安全教育の徹底、有害物質の適正管理などを継続的に実施しています。 また、災害対策委員会を中心として、大規模災害等に備え、重要設備の耐震化、自然災害発生時の初動対応ガイドラインの整備や実効性のある訓練の実施等に取り組んでいます。 技術・イノベーションリスクの説明 当社グループは、持続的な成長のため新技術の獲得と研究開発の強化に取り組んでいますが、AI技術など急速に進展する技術潮流への対応が遅れた場合、市場における製品・技術に関して、競合他社に対する技術的優位性を失うリスクがあります。 また、研究開発投資の重点領域の判断を誤り、特定分野へ過度に集中したり、逆に投資が分散したりしすぎた場合、成長性の高い技術領域への十分な資源配分が行えず、将来的な競争力の確保や市場拡大の機会を逸する可能性があります。リスクへの対策 当社グループは、技術ロードマップおよび製品ロードマップによる中長期の技術戦略を軸に市場の要求の変化に対応した持続的な技術開発を実施しています。AI技術に関しては専門の組織を有し、社外の知見も得ながら当社製品への適用に注力できる体制で取り組んでいます。 研究開発投資は幾つかの開発分野に分類し、研究開発、新製品開発、派生製品開発などが方針に沿った投資比率となっていることを定期的に確認しながら開発を進めています。 安全保障・経済安全保障リスクの説明 当社グループは各国・地域の安全保障関連法規制を遵守していますが、違反した場合には、法人・個人が逮捕・罰金・輸出禁止などの制裁を受けるリスクがあります。また、国内外の販売パートナーなどの取引先が規制に抵触した際には、当社グループの事業運営や取引に影響が及ぶ可能性があります。 また、安全保障の観点からは、法規制違反ではない場合でも、紛争当事国へ当社製品が迂回輸出され、それがSNSなどで公になった場合には、風評被害を受ける可能性があります。 経済安全保障においては、制裁・関税・輸出規制・資源停止などが国家間の交渉材料となる傾向が強まっており、また、経済安全保障の対象が技術分野にまで拡大していることから、サプライチェーン途絶や重要技術流出もリスクとして捉えています。リスクへの対策 当社は、安全保障・経済安全保障に関連するリスクへの対策はグローバルに取り組む重要課題であるという認識のもと、海外グループ会社と常に連携を取り、法規制遵守や風評被害回避のために内部監査や海外現地法人における教育を行っています。 また、取引先に対しても適切な説明を行い、リスク回避に向けた協力を得ることで、サプライチェーン全体としてのコンプライアンス強化に取り組んでいます。 生産リスクの説明 受注が急増した場合に必要な直接要員を確保できず、生産能力が不足することで、製品供給に支障が生じるリスクがあります。 また、OT(Operational Technology:生産設備やシステムを制御・運用するため技術)環境がサイバー攻撃の対象となった場合には、操業停止、品質異常、設備破損など事業活動に直接的な影響が生じるリスクが高まり、生産の遅延・停止や安全性への重大な影響を招く可能性があります。リスクへの対策 受注急増による直接要員確保の課題に対しては、生産量が直接要員数に依存しない体制を目指し、自動化領域を拡大することにより、需要変動に迅速に対応できる生産体制へと進化しています。 また、当社グループは工場におけるOT環境を重要な経営資産と位置付け、サイバー攻撃や設備の不正操作、供給網や物理的要因による停止リスクに備えた対策を進めています。具体的にはリモート接続や保守端末の管理強化、設備コントローラや製造データへのアクセス制御、ネットワークの監視体制を整備しています。また、機器ベンダや取引先を含むサプライチェーン全体のリスク把握と対策状況の確認を行い、侵入リスクの低減に努めています。 さらに、工場への物理的な侵入防止や災害対策を含めた事業継続計画を整備し、異常発生時には迅速な対応と早期復旧が可能な体制を構築することで生産活動への影響最小化を図っています。

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