経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を存在意義とし、私たちの価値観である「1.品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「2.経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「3.市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを安川グループ経営理念としております。 また、経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1.最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2.世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3.世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。 このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、2026年3月より長期経営計画「2035年ビジョン」(2026年度~2035年度)および同期間内の最初の中期経営計画「Dash 35」を開始いたしました。 「2035年ビジョン」では、技術革新を通じて産業界が抱える多様な課題を発見・解決し、Mechatronics領域の拡大を図ることで、社会の持続的発展への貢献を目指しております。 この「2035年ビジョン」に向けた最初のフェーズとして位置づける「Dash 35」では、AIロボティクス技術の活用を進めることで、将来の成長を見据えた新たな市場機会の創出を進めてまいります。あわせて、“i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)”(※1)の実践拡大を通じた付加価値向上に取り組みます。 「2035年ビジョン」および「Dash 35」の詳細については、以下のURLからご覧いただけます。 2035年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Vision2035.pdfDash 35:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Dash35.pdf (※1)i³-Mechatronics:当社が1969年に提唱した「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスを融合した造語 )」に3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの経営課題の解決に寄与するソリューションコンセプト (3) 長期経営計画「2035年ビジョン」の概要① 財務目標(※2)当社グループは、長期経営計画「2035年ビジョン」において、営業利益率を最も重要な経営指標と位置づけ、ステークホルダーへの還元の充実を重視しています。具体的には、2035年度の目標として営業利益率20.0%以上、配当性向40.0%以上を掲げています。 [参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン (※2)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2035年度想定為替レートは設定しておりません。 ② 事業戦略当社グループは創業以来110年の間、モータとその応用を事業領域として貫き、モーションコントロール、パワー変換、そしてロボット技術を高めてきました。これからも世界一、世界初にこだわり私たちのDNAであるメカトロニクスの領域のさらなる拡大に向けて力強く前進していきます。「2035年ビジョン」では当社グループのソリューションコンセプトであるi³-Mechatronicsを軸に、自動化ソリューションの価値をより高めながら、AIやデータを活用したフィジカルAIの社会実装を進めることで、コア領域の競争力強化に取り組みます。また新メカトロニクスの応用領域拡大とフィジカルAIにおける市場開拓と需要獲得に挑戦していきます。さらには、安川グループ経営理念の理解深化を加速させながら、ソリューションコンセプト“i³-Mechatronics”をAIによってさらに進化させるとともに、データによる経営の最適化、ものづくりの革新、現場(社会)への実装を実現する新たな世界“i³-Singularity(アイキューブ・シンギュラリティ)”(※3)を広げていきます。 当社グループが取り組む主な事業戦略の概要は以下のとおりです。(a) コア領域の競争力強化AI×データ活用によりモノ・モノづくりを進化させ、未来のスマートファクトリを実現します。・モータ・ロボット技術の徹底追求およびエネルギー変換効率の最大化 (b) 新メカトロニクス応用領域の拡大多様なパートナーとのエコシステム構築を通じて新メカトロニクス応用領域を拡大するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。・医療・製薬品分野における共創加速・食・農業分野自動化の飛躍的拡大 (c) フィジカルAI市場の拡大基幹コンポーネントのポートフォリオ拡大でフィジカルAIの社会実装を実現します。・基幹技術×現場データ×AIによるシナジー発揮・基幹コンポーネントのラインナップ拡大 (d) 経営基盤の強化AI利活用によるYDXの深化と経営基盤の強化を通じて安川グループの戦略実行力の最大化を図ります。・人材の多様化と育成強化・働きがいと組織力の向上・ESGの推進による持続可能な発展・外部連携によるイノベーション創出 (※3)i3-Singularity:これまで取り組んできたi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで、その実行力を拡張・飛躍させていく考え方 (4) 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況および中期経営計画「Dash 35」の概要① 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況財務実績 2025年度実績売上収益: 5,421億円営業利益: 473億円営業利益率:8.7%ROE: 7.7%ROIC: 6.9%配当性向: 50.0% 2025年度の主な取り組み中期経営計画「Realize 25」における2025年度の主な取組みは以下のとおりです。 方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化i3-Mechatronics実現に向けた、「iCube Control」の強化(YRM1030、iC9200)およびACサーボドライブ「Σ-Xシリーズ」におけるセンシング・自律制御機能拡充により、省エネルギー化、稼働率向上、設備 長寿命化へ貢献しました。(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化米国にて本社・技術開発拠点・産業用ロボットの生産工場等を集約した新キャンパス設立を発表しました。国内では、モータとロボットの一貫生産を行うロボット第5工場が竣工しました。(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化i3-Mechatronics CLUBを通じて各分野のパートナーとの協業を推進するとともに、i3-Mechatronicsに基づく営業活動の成功事例の蓄積を進めました。(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新当社製品の稼働データを戦略的に活用し、設備更新・メンテナンスを適切なタイミングでお客さまへ提案するプロアクティブなサービス活動を強化しました。 方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築主要部品の内製化、事業部共通の重点部品の集中調達、欧米での事業拡大に向けた投資を確実に実行するなど、生産/調達体制および需要地生産体制の強化を進めました。また、グローバルにおけるレアアース関連規制に対しては、国内サプライヤーとの長期的な関係性構築を通じ、調達リスクの低減に取り組みました。 方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献(a) Energy Savingデータセンタの冷却システム向けに、CDU(Coolant Distribution Unit:冷水分配装置)の小型化・高効率化に寄与するインバータの拡販を進めました。(b) Clean Power更新需要に対応した太陽光発電用パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3H」の販売を開始しました。(c) Food & Agri全国農業協同組合連合会(JA全農)と協業開発を進める「きゅうり収穫作業ロボット」について、農業現場での稼働を開始しました。(d) Biomedical Scienceアステラス製薬株式会社との合弁により、再生医療等製品の製造プラットフォームの開発・提供を行うセラファ・バイオサイエンス株式会社を設立しました。 方針4 YDX(※4)とサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供経営・生産データを中心に安川データレイクへの統合を進め、海外拠点含むデータ連携を加速しました。(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (※4)YDX:YASKAWA digital transformationの略。YDX-Ⅰでは、経営資源の可視化・一元化とその最適配置を目指した活動を実施。第二フェーズとなるYDX-Ⅱでは、お客さまへの価値創出に製品・サービス視点の取り組みを実施。 ② 中期経営計画「Dash 35」の概要当社グループは「Dash 35」において、売上収益、営業利益および営業利益率を主要な経営指標とし、過去最高となる1,000億円の営業利益を目指しております。「Dash 35」では、コア領域の徹底した高収益化とフィジカルAI技術による新市場を創出し、「2035年ビジョン」の達成に向けて推進します。財務目標(※5)[参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン2029年度想定為替レート 145.00円/米ドル、170.00円/ユーロ、20.50円/元、0.105円/ウォン (※5)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2029年度想定為替レートは2026年5月発表時点 〔基本方針〕基本方針1 フィジカルAI市場の開拓 フィジカルAI市場を開拓し、自動化領域を拡大するとともに、ロボットソリューションを軸とした基幹部品ラインナップの強化を通じて、フィジカルAI市場における競争優位の確立を目指します。具体的には、AI活用による自律型AIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用領域拡大を進めるとともに、進化型アクチュエータをはじめとする基幹部品を通じて、ヒューマノイドロボットを含む多様なフィジカルAI市場の開拓に取り組みます。またAI技術およびパートナーとの連携を通じてこれまで自動化が困難であった領域への展開を推進します。 基本方針2 i3-Mechatronicsの実践拡大 蓄積してきたソリューション活用とスケールメリットを通じてお客さまの競争力向上に貢献するとともに、地域別に特長を生かした展開を加速します。あわせて、i3-Mechatronicsをお客さまと共に実践拡大することで、当社グループの競争力強化を図ります。 基本方針3 世界一にこだわる新製品開発 コア技術、現場データとAI活用のシナジーを通じて世界一の技術創出を目指します。 基本方針4 新メカトロニクス応用領域の事業拡大 メカトロニクス技術の応用およびパートナー連携を通じて自動化領域の拡大を図ります。具体的には国内の農業分野における課題を自動化ソリューションにより解決するとともに、医療現場における各種実験の自動化・デジタル化を推進します。 基本方針5 YDXの進化とi3-Singularity YDXを通じて経営全体の最適化を進め、世界で選ばれる製品・サービスを持続的に生み出す事業構造への変革を図ります。さらにi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで新たな世界(i3-Singularity)を広げていきます。 (5) 経営環境および優先的に対処すべき課題 2026年度は、AI・半導体関連分野を中心とした旺盛な需要を背景に、足元において受注が好調に推移していることなどを踏まえ、増収増益を計画します。 2026年度の重点実施項目は以下のとおりです。 ① “コト”を実現するi3-Mechatronicsの実践および戦略製品の展開 安川グループのソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」によるお客さまの“コト”に呼応したソリューションの展開と、コア製品の強みを生かした販売スケールの拡大を着実に実行します。また、新たな生産基盤の徹底活用による製造付加価値の向上を図るとともに、グローバル品質データの活用を高度化し、製品・サービスの品質を格段に向上させます。 ② AIロボティクスを軸としたフィジカルAIのユースケース具現化と実行 自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用市場の拡大に向けて、フィジカルAI(※6)の領域を拡大させるとともに、新たな場面・状況へのロボット展開に向け、パートナーとの連携によるユースケース(社会実装)の創出を目指します。また、進化したアクチュエータの技術・製品の実証によるヒューマノイドロボットの領域を深耕します。(※6)当社では、「AIロボティクス」を「モーションとAIによる認識・判断」と定義しております。これは、i3-Mechatronicsの“integrated(統合的)”領域を更に広げるものであり、MOTOMAN NEXTはそれを具現化した製品となります。「フィジカルAI」は、「当社製品とAIを融合させることで、これまで自動化が困難であった領域でのユースケースを具現化するもの」と位置付けております。 ③ 市場×地域戦略の深化による重点市場における収益モデルの強化 ACサーボモータ・コントローラ事業の主力市場である半導体においては、国内中核販社の連携による営業体制の再強化を推し進め、エンドユーザを基軸とした事業ポテンシャルの拡大を進めます。ロボット事業の主力市場である自動車においては、自動車OEMおよびそれに連動するTier(※7)の投資実行を確実に捕捉します。インバータ事業においては、大型空調(HVAC)市場の新たな成長領域であるデータセンタや半導体の領域を徹底的に攻略していきます。なお、米国においては、2025年度に発表したキャンパス構想を確実に実行し、インドでは成長領域へのアプローチ強化と生産能力の拡大を進めます。(※7)自動車業界などにおけるサプライチェーンの階層 ④ 新メカトロニクス応用領域の実展開およびエコシステム構築の加速 農業分野においては現場への実導入を加速させ、中食・冷食を含む加工食品領域においては、ソリューションの拡充と水平展開を着実に進めます。また、医療/医薬品市場においては、パートナーとの連携強化およびプラットフォーマーとしてのバイオ向け双腕ロボット「まほろ」の導入を拡大します。安川グループのDNAの一つであるメカトロニクスの応用領域において、様々なパートナーと協力しながらエコシステムを構築していきます。 ⑤ 投資価値の最大化と事業コストのスリム化による高収益基盤の確立 徹底した業務の適正化と効率化を通じた経費削減による事業運営コストの低減を行います。また、基幹システムであるS/4HANAを確実に立ち上げ、安定運用につなげるとともに、事業力の更なる向上に向け、YDXの徹底した活用による最適配置を含めた人材マネジメントの強化を行います。中国および欧州においては、2025年度から推進している利益体質改善の継続により強い収益基盤を確立させます。また、安川グループ経営理念の浸透による実行力のある「One YASKAWA」の文化醸成とエンゲージメント強化をグローバルで推し進めるとともに、サステナビリティ経営の進化に向けたグローバル展開と実態を踏まえた情報の可視化・発信を進めます。 各セグメントにおける具体策は以下のとおりです。 〔モーションコントロール〕 ACサーボモータ・コントローラ事業においては、i3-Mechatronicsを実現させるiCube Controlを中心にグローバルでのトータルソリューション提案を強化するとともに、需要変動に即応できる柔軟な生産体制のもと、半導体や電子部品等の成長市場における更なる収益の拡大を図ります。 インバータ事業においては、データセンタや半導体等の成長市場に加え、インドで拡大するインフラ需要に対する販売活動の強化を図ります。生産については、自動化・省人化を通じて生産体制の更なる強化を図り、生産性および収益性の向上に取り組みます。太陽光発電市場においては、パートナー連携を通じて国内の自家消費市場におけるパワーコンディショナの売上拡大を図ります。 〔ロボット〕 i3-Mechatronicsを軸としたソリューションの深化・横展開を進めるとともに、本年度稼働予定の八幡西事業所のモータ・ロボット一貫生産工場(第5工場)を起点として、事業基盤の強化および収益力の向上に取り組みます。自動車や半導体を中心に自動化ニーズが拡大する中、工程や用途の多様化に対応した提案力の強化を通じて、提供価値の最大化を図ります。また、食品・医療など、これまでロボットの導入が限定的であった分野においても、自動化ニーズの高まりを捉えた取組みを進めます。 生産面では、第5工場を中心にモータからロボットまでの一貫生産体制を有する生産基盤を活用し、データ活用や変種変量生産への対応を進めることで、生産効率および収益性の向上に取り組みます。併せて、このような生産活動を通じて得られる知見を製品改良やソリューションの高度化に生かし、事業全体の競争力強化につなげてまいります。 製品面では、自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の展開を軸に、食品・医療等の発展領域を含む幅広い用途に向けた自動化提案を強化するとともに、適用領域の拡大を図り、将来の成長領域の育成に取り組みます。 〔システムエンジニアリング〕 鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、脱炭素・自動化需要に対応し、AI・IoT技術により付加価値を高めたシステムソリューションの提供に努めます。また、アジアを中心とする港湾クレーン等の成長市場への取組みを更に強化します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、創業以来「事業の遂行を通じて広く社会の発展、人類の福祉に貢献すること」を存在意義とし、私たちの価値観である「1.品質重視の考えに立ち、常に世界に誇る技術を開発、向上させる」「2.経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保する」「3.市場志向の精神に従い、そのニーズにこたえるとともに、需要家への奉仕に徹する」の3項目を掲げ、その実現に努めることを安川グループ経営理念としております。 また、経営理念の実践に加え、環境問題や格差拡大など深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を当社グループの経営方針として明確化するため、「サステナビリティ方針」を策定しております。このサステナビリティ方針では、「1.最先端のメカトロニクス技術によるイノベーション創出で、お客さまをはじめ社会への価値創造に貢献」「2.世界中のステークホルダーとの対話と連携を通じ、公正かつ透明性の高い信頼ある経営の実現」「3.世界共通の目標であるSDGsの達成を目指し、グローバルでの社会的課題の解決」の3つを方針として掲げています。 このような方針のもと、社会および顧客ニーズに高い次元でこたえる製品・サービスの提供や、従業員にとって働きがいのある会社づくりに取り組んでいます。これらにより、継続的な利益の創出を実現し、ステークホルダーのみなさまへの一層の還元を図るとともに、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略 当社グループは、2026年3月より長期経営計画「2035年ビジョン」(2026年度~2035年度)および同期間内の最初の中期経営計画「Dash 35」を開始いたしました。 「2035年ビジョン」では、技術革新を通じて産業界が抱える多様な課題を発見・解決し、Mechatronics領域の拡大を図ることで、社会の持続的発展への貢献を目指しております。 この「2035年ビジョン」に向けた最初のフェーズとして位置づける「Dash 35」では、AIロボティクス技術の活用を進めることで、将来の成長を見据えた新たな市場機会の創出を進めてまいります。あわせて、“i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)”(※1)の実践拡大を通じた付加価値向上に取り組みます。 「2035年ビジョン」および「Dash 35」の詳細については、以下のURLからご覧いただけます。 2035年ビジョン:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Vision2035.pdfDash 35:https://www.yaskawa.co.jp/wp-content/uploads/2026/05/Dash35.pdf (※1)i³-Mechatronics:当社が1969年に提唱した「メカトロニクス(メカニズムとエレクトロニクスを融合した造語 )」に3つの“i”(integrated:統合的、intelligent:知能的、innovative:革新的)を重ね合わせ、お客さまの経営課題の解決に寄与するソリューションコンセプト (3) 長期経営計画「2035年ビジョン」の概要① 財務目標(※2)当社グループは、長期経営計画「2035年ビジョン」において、営業利益率を最も重要な経営指標と位置づけ、ステークホルダーへの還元の充実を重視しています。具体的には、2035年度の目標として営業利益率20.0%以上、配当性向40.0%以上を掲げています。 [参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン (※2)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2035年度想定為替レートは設定しておりません。 ② 事業戦略当社グループは創業以来110年の間、モータとその応用を事業領域として貫き、モーションコントロール、パワー変換、そしてロボット技術を高めてきました。これからも世界一、世界初にこだわり私たちのDNAであるメカトロニクスの領域のさらなる拡大に向けて力強く前進していきます。「2035年ビジョン」では当社グループのソリューションコンセプトであるi³-Mechatronicsを軸に、自動化ソリューションの価値をより高めながら、AIやデータを活用したフィジカルAIの社会実装を進めることで、コア領域の競争力強化に取り組みます。また新メカトロニクスの応用領域拡大とフィジカルAIにおける市場開拓と需要獲得に挑戦していきます。さらには、安川グループ経営理念の理解深化を加速させながら、ソリューションコンセプト“i³-Mechatronics”をAIによってさらに進化させるとともに、データによる経営の最適化、ものづくりの革新、現場(社会)への実装を実現する新たな世界“i³-Singularity(アイキューブ・シンギュラリティ)”(※3)を広げていきます。 当社グループが取り組む主な事業戦略の概要は以下のとおりです。(a) コア領域の競争力強化AI×データ活用によりモノ・モノづくりを進化させ、未来のスマートファクトリを実現します。・モータ・ロボット技術の徹底追求およびエネルギー変換効率の最大化 (b) 新メカトロニクス応用領域の拡大多様なパートナーとのエコシステム構築を通じて新メカトロニクス応用領域を拡大するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。・医療・製薬品分野における共創加速・食・農業分野自動化の飛躍的拡大 (c) フィジカルAI市場の拡大基幹コンポーネントのポートフォリオ拡大でフィジカルAIの社会実装を実現します。・基幹技術×現場データ×AIによるシナジー発揮・基幹コンポーネントのラインナップ拡大 (d) 経営基盤の強化AI利活用によるYDXの深化と経営基盤の強化を通じて安川グループの戦略実行力の最大化を図ります。・人材の多様化と育成強化・働きがいと組織力の向上・ESGの推進による持続可能な発展・外部連携によるイノベーション創出 (※3)i3-Singularity:これまで取り組んできたi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで、その実行力を拡張・飛躍させていく考え方 (4) 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況および中期経営計画「Dash 35」の概要① 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況財務実績 2025年度実績売上収益: 5,421億円営業利益: 473億円営業利益率:8.7%ROE: 7.7%ROIC: 6.9%配当性向: 50.0% 2025年度の主な取り組み中期経営計画「Realize 25」における2025年度の主な取組みは以下のとおりです。 方針1 i3-Mechatronicsソリューションによる価値創出(a) お客さまの価値創出につながる技術開発力の強化i3-Mechatronics実現に向けた、「iCube Control」の強化(YRM1030、iC9200)およびACサーボドライブ「Σ-Xシリーズ」におけるセンシング・自律制御機能拡充により、省エネルギー化、稼働率向上、設備 長寿命化へ貢献しました。(b) i3-Mechatronicsによる自社の「ものづくり」進化米国にて本社・技術開発拠点・産業用ロボットの生産工場等を集約した新キャンパス設立を発表しました。国内では、モータとロボットの一貫生産を行うロボット第5工場が竣工しました。(c) お客さまのサプライチェーンへの戦略的なアプローチの強化i3-Mechatronics CLUBを通じて各分野のパートナーとの協業を推進するとともに、i3-Mechatronicsに基づく営業活動の成功事例の蓄積を進めました。(d) 製品ライフサイクルにおける製品・サービス品質の革新当社製品の稼働データを戦略的に活用し、設備更新・メンテナンスを適切なタイミングでお客さまへ提案するプロアクティブなサービス活動を強化しました。 方針2 世界一/世界初の自動化コンポーネントを軸としたグローバル成長市場攻略(a) グローバル最適生産体制の構築とレジリエントなサプライチェーン構築主要部品の内製化、事業部共通の重点部品の集中調達、欧米での事業拡大に向けた投資を確実に実行するなど、生産/調達体制および需要地生産体制の強化を進めました。また、グローバルにおけるレアアース関連規制に対しては、国内サプライヤーとの長期的な関係性構築を通じ、調達リスクの低減に取り組みました。 方針3 メカトロニクス応用領域の事業拡大によるサステナブルな社会の実現に貢献(a) Energy Savingデータセンタの冷却システム向けに、CDU(Coolant Distribution Unit:冷水分配装置)の小型化・高効率化に寄与するインバータの拡販を進めました。(b) Clean Power更新需要に対応した太陽光発電用パワーコンディショナ「Enewell-SOL P3H」の販売を開始しました。(c) Food & Agri全国農業協同組合連合会(JA全農)と協業開発を進める「きゅうり収穫作業ロボット」について、農業現場での稼働を開始しました。(d) Biomedical Scienceアステラス製薬株式会社との合弁により、再生医療等製品の製造プラットフォームの開発・提供を行うセラファ・バイオサイエンス株式会社を設立しました。 方針4 YDX(※4)とサステナビリティ経営の深化による経営基盤の強化(a) PLM(Product Lifecycle Management)の再構築をベースとしたYDXチェーンによる新たな価値提供経営・生産データを中心に安川データレイクへの統合を進め、海外拠点含むデータ連携を加速しました。(b) マテリアリティへの取り組み強化を軸としたサステナビリティ経営の推進「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 (※4)YDX:YASKAWA digital transformationの略。YDX-Ⅰでは、経営資源の可視化・一元化とその最適配置を目指した活動を実施。第二フェーズとなるYDX-Ⅱでは、お客さまへの価値創出に製品・サービス視点の取り組みを実施。 ② 中期経営計画「Dash 35」の概要当社グループは「Dash 35」において、売上収益、営業利益および営業利益率を主要な経営指標とし、過去最高となる1,000億円の営業利益を目指しております。「Dash 35」では、コア領域の徹底した高収益化とフィジカルAI技術による新市場を創出し、「2035年ビジョン」の達成に向けて推進します。財務目標(※5)[参考]2025年度実績為替レート 149.87円/米ドル、172.76円/ユーロ、21.01円/元、0.105円/ウォン2029年度想定為替レート 145.00円/米ドル、170.00円/ユーロ、20.50円/元、0.105円/ウォン (※5)2025年度実績為替レートは2026年4月発表時点、2029年度想定為替レートは2026年5月発表時点 〔基本方針〕基本方針1 フィジカルAI市場の開拓 フィジカルAI市場を開拓し、自動化領域を拡大するとともに、ロボットソリューションを軸とした基幹部品ラインナップの強化を通じて、フィジカルAI市場における競争優位の確立を目指します。具体的には、AI活用による自律型AIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用領域拡大を進めるとともに、進化型アクチュエータをはじめとする基幹部品を通じて、ヒューマノイドロボットを含む多様なフィジカルAI市場の開拓に取り組みます。またAI技術およびパートナーとの連携を通じてこれまで自動化が困難であった領域への展開を推進します。 基本方針2 i3-Mechatronicsの実践拡大 蓄積してきたソリューション活用とスケールメリットを通じてお客さまの競争力向上に貢献するとともに、地域別に特長を生かした展開を加速します。あわせて、i3-Mechatronicsをお客さまと共に実践拡大することで、当社グループの競争力強化を図ります。 基本方針3 世界一にこだわる新製品開発 コア技術、現場データとAI活用のシナジーを通じて世界一の技術創出を目指します。 基本方針4 新メカトロニクス応用領域の事業拡大 メカトロニクス技術の応用およびパートナー連携を通じて自動化領域の拡大を図ります。具体的には国内の農業分野における課題を自動化ソリューションにより解決するとともに、医療現場における各種実験の自動化・デジタル化を推進します。 基本方針5 YDXの進化とi3-Singularity YDXを通じて経営全体の最適化を進め、世界で選ばれる製品・サービスを持続的に生み出す事業構造への変革を図ります。さらにi3-MechatronicsにAIを組み合わせることで新たな世界(i3-Singularity)を広げていきます。 (5) 経営環境および優先的に対処すべき課題 2026年度は、AI・半導体関連分野を中心とした旺盛な需要を背景に、足元において受注が好調に推移していることなどを踏まえ、増収増益を計画します。 2026年度の重点実施項目は以下のとおりです。 ① “コト”を実現するi3-Mechatronicsの実践および戦略製品の展開 安川グループのソリューションコンセプト「i3-Mechatronics」によるお客さまの“コト”に呼応したソリューションの展開と、コア製品の強みを生かした販売スケールの拡大を着実に実行します。また、新たな生産基盤の徹底活用による製造付加価値の向上を図るとともに、グローバル品質データの活用を高度化し、製品・サービスの品質を格段に向上させます。 ② AIロボティクスを軸としたフィジカルAIのユースケース具現化と実行 自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の適用市場の拡大に向けて、フィジカルAI(※6)の領域を拡大させるとともに、新たな場面・状況へのロボット展開に向け、パートナーとの連携によるユースケース(社会実装)の創出を目指します。また、進化したアクチュエータの技術・製品の実証によるヒューマノイドロボットの領域を深耕します。(※6)当社では、「AIロボティクス」を「モーションとAIによる認識・判断」と定義しております。これは、i3-Mechatronicsの“integrated(統合的)”領域を更に広げるものであり、MOTOMAN NEXTはそれを具現化した製品となります。「フィジカルAI」は、「当社製品とAIを融合させることで、これまで自動化が困難であった領域でのユースケースを具現化するもの」と位置付けております。 ③ 市場×地域戦略の深化による重点市場における収益モデルの強化 ACサーボモータ・コントローラ事業の主力市場である半導体においては、国内中核販社の連携による営業体制の再強化を推し進め、エンドユーザを基軸とした事業ポテンシャルの拡大を進めます。ロボット事業の主力市場である自動車においては、自動車OEMおよびそれに連動するTier(※7)の投資実行を確実に捕捉します。インバータ事業においては、大型空調(HVAC)市場の新たな成長領域であるデータセンタや半導体の領域を徹底的に攻略していきます。なお、米国においては、2025年度に発表したキャンパス構想を確実に実行し、インドでは成長領域へのアプローチ強化と生産能力の拡大を進めます。(※7)自動車業界などにおけるサプライチェーンの階層 ④ 新メカトロニクス応用領域の実展開およびエコシステム構築の加速 農業分野においては現場への実導入を加速させ、中食・冷食を含む加工食品領域においては、ソリューションの拡充と水平展開を着実に進めます。また、医療/医薬品市場においては、パートナーとの連携強化およびプラットフォーマーとしてのバイオ向け双腕ロボット「まほろ」の導入を拡大します。安川グループのDNAの一つであるメカトロニクスの応用領域において、様々なパートナーと協力しながらエコシステムを構築していきます。 ⑤ 投資価値の最大化と事業コストのスリム化による高収益基盤の確立 徹底した業務の適正化と効率化を通じた経費削減による事業運営コストの低減を行います。また、基幹システムであるS/4HANAを確実に立ち上げ、安定運用につなげるとともに、事業力の更なる向上に向け、YDXの徹底した活用による最適配置を含めた人材マネジメントの強化を行います。中国および欧州においては、2025年度から推進している利益体質改善の継続により強い収益基盤を確立させます。また、安川グループ経営理念の浸透による実行力のある「One YASKAWA」の文化醸成とエンゲージメント強化をグローバルで推し進めるとともに、サステナビリティ経営の進化に向けたグローバル展開と実態を踏まえた情報の可視化・発信を進めます。 各セグメントにおける具体策は以下のとおりです。 〔モーションコントロール〕 ACサーボモータ・コントローラ事業においては、i3-Mechatronicsを実現させるiCube Controlを中心にグローバルでのトータルソリューション提案を強化するとともに、需要変動に即応できる柔軟な生産体制のもと、半導体や電子部品等の成長市場における更なる収益の拡大を図ります。 インバータ事業においては、データセンタや半導体等の成長市場に加え、インドで拡大するインフラ需要に対する販売活動の強化を図ります。生産については、自動化・省人化を通じて生産体制の更なる強化を図り、生産性および収益性の向上に取り組みます。太陽光発電市場においては、パートナー連携を通じて国内の自家消費市場におけるパワーコンディショナの売上拡大を図ります。 〔ロボット〕 i3-Mechatronicsを軸としたソリューションの深化・横展開を進めるとともに、本年度稼働予定の八幡西事業所のモータ・ロボット一貫生産工場(第5工場)を起点として、事業基盤の強化および収益力の向上に取り組みます。自動車や半導体を中心に自動化ニーズが拡大する中、工程や用途の多様化に対応した提案力の強化を通じて、提供価値の最大化を図ります。また、食品・医療など、これまでロボットの導入が限定的であった分野においても、自動化ニーズの高まりを捉えた取組みを進めます。 生産面では、第5工場を中心にモータからロボットまでの一貫生産体制を有する生産基盤を活用し、データ活用や変種変量生産への対応を進めることで、生産効率および収益性の向上に取り組みます。併せて、このような生産活動を通じて得られる知見を製品改良やソリューションの高度化に生かし、事業全体の競争力強化につなげてまいります。 製品面では、自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の展開を軸に、食品・医療等の発展領域を含む幅広い用途に向けた自動化提案を強化するとともに、適用領域の拡大を図り、将来の成長領域の育成に取り組みます。 〔システムエンジニアリング〕 鉄鋼プラントシステム・社会システム分野では、脱炭素・自動化需要に対応し、AI・IoT技術により付加価値を高めたシステムソリューションの提供に努めます。また、アジアを中心とする港湾クレーン等の成長市場への取組みを更に強化します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 2026年度~2029年度中期経営計画「Dash 35」に関する認識および分析・検討内容経営指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 中期経営計画「Realize 25」の遂行状況および中期経営計画「Dash 35」の概要」に記載しております。 (2) 経営者による経営成績(P/L)の分析① 概況当期における当社グループの経営環境は、地政学的リスクや米国の関税政策などにより総じて不透明な状況が継続している中で、自動車市場などにおいては投資案件の延期や見直しが起こる状況となったものの、半導体を中心とした市場では回復の動きが見られました。モーションコントロールでは、電子部品市場や工作機械市場、空調用途向けを中心に堅調な需要が見られ、半導体市場においてもAI関連の投資がけん引する形で、期の後半にかけて回復の動きがグローバルに強まりました。ロボットでは、日本・米州・欧州の自動車関連の設備投資が引き続き軟調に推移する一方で、グローバルにおける一般産業向けの需要は堅調に推移しました。このような環境において当社グループの売上収益は、新規の受注を確実に売上につなげたことにより、受注残の正常化を進めた前期に比べ増加しました。営業利益については、売上増により付加価値が増加したものの、為替影響および間接費の増加をカバーできず、前期に比べ減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、煙台東星磁性材料股份有限公司の株式の一部譲渡に伴う株式譲渡益および残存株式の再評価益を計上した前期に比べ減益となりました。 この結果、当期の経営成績は以下のとおりです。 2025年2月期2026年2月期前期比売上収益5,376億82百万円5,421億22百万円+0.8%営業利益501億56百万円473億 7百万円△5.7%親会社の所有者に帰属する当期利益569億87百万円352億40百万円△38.2%米ドル平均レート152.65円149.87円△2.78円ユーロ平均レート164.01円172.76円+8.75円中国人民元平均レート21.12円21.01円△0.11円韓国ウォン平均レート0.111円0.105円△0.006円 なお、当期における当社グループの地域別の経営環境は以下のとおりです。日 本:電子部品市場は期を通じて好調に推移し、半導体市場も期の後半に需要の回復が見られました。また、一般産業分野における自動化需要や鉄鋼プラント・社会システム向けの需要が堅調に推移しました。一方、自動車市場における設備投資の需要は軟調に推移しました。米 州:一般産業分野に加え、データセンタ向けを含む空調関連、オイル・ガス関連、太陽光発電用パワーコンディショナなどを中心に需要は拡大基調となりました。一方、自動車市場や工作機械市場における需要は伸び悩みました。欧 州:半導体、工作機械、一般産業の分野では需要の回復が見られましたが、自動車市場の設備投資は低調に推移しました。中 国:半導体、工作機械、一般産業の分野に加え、自動車市場においても堅調な投資が継続し、需要は底堅く推移しました。中国除くアジア:韓国・台湾における半導体関連需要が期の後半に拡大基調となり、韓国の自動車市場においても設備投資が堅調に推移しました。 ② セグメント別の状況当社グループでは、事業内容を4つのセグメントに分けています。当期の各セグメントの経営成績は以下のとおりです。モーションコントロール売上収益 2,360億53百万円 (前期比 △1.1% )営業損益 243億84百万円 (前期比 +6.0% )モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されています。売上収益は、受注残の正常化を進めた前期に対し減収となったものの、期の後半から需要環境が改善に向かい、ACサーボモータ・コントローラ事業を中心に、第4四半期の売上は想定を上回る着地となりました。利益面については、付加価値の改善などにより前期比で増益となりました。〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕上期に需要が低調に推移した半導体市場向けの販売が主に米国・アジアで減少した一方で、電子部品および工作機械市場向けの販売がAI関連投資などにけん引され好調に推移したことから売上収益は前期比で増加しました。〔インバータ事業〕米国においてデータセンタ向けを含む空調用途や太陽光発電用パワーコンディショナの販売が増加した一方で、中国・アジアのインフラ関連向けの販売は減少しました。これらの結果に加え、前期に受注残の正常化を進めた影響もあり、減収となりました。ロボット売上収益 2,470億12百万円 (前期比 +4.0% )営業損益 204億18百万円 (前期比 △14.0% )自動車市場向けは日本・米州・欧州で販売が減少した一方で、中国およびアジアでは大口案件の売上により販売が増加しました。また、一般産業分野における設備投資需要をグローバルで捉えた結果、セグメント全体の売上収益は前期比で増加しました。営業利益については大口案件の付加価値の影響により減益となりました。システムエンジニアリング売上収益 387億44百万円 (前期比 +1.0% )営業損益 49億89百万円 (前期比 +8.3% )鉄鋼プラントおよび社会システム向けの販売が底堅く推移し、売上収益は前期比で増加しました。営業利益についても、売上増に伴う利益増や付加価値改善が寄与し増益となりました。その他売上収益 203億11百万円 (前期比 △12.3% )営業損益 19億88百万円 (前期比 +24.9% )その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されています。売上収益は減少しましたが、営業利益はその他の収益の増加などにより前期比で増加しました。 (3) 経営者による財政状態およびキャッシュ・フローの状況の分析① 資本の財源および資金の流動性にかかる情報(a) 資産、負債および資本(B/S)構造に関する基本的な考え方(ア) 流動資産(手元現預金)キャッシュがグローバルで分散し余剰にならないようにコントロールしながら、手元現預金は月商1ヵ月程度の水準を維持する方針です。(イ) 非流動資産将来の利益源になる投資を積極的に行う方針です。(ウ) 資本構成親会社所有者帰属持分比率50%以上を安定的な経営が実現できる水準とみております。今後は将来の設備投資のための内部留保が増えてきますが、現金・資本が過剰になることがないよう、一定のネットD/Eレシオを目安に置きながら効率性を重視する方針です。 (b) キャッシュアロケーションに関する基本的な考え方当社は、営業活動により生み出したキャッシュを①投資、②株主還元、③従業員配分の3方向に効果的に投入することで、持続的な成長を実現することを基本方針としております。(ア) 投資中期経営計画「Dash 35」では、2026年度~2029年度の累計で2,500億円の投資計画を立てております。キャッシュを有効活用し、工場や事業所の再編、内製化や自動化および需要地生産の拡大など、効率化・付加価値向上のための先行投資を厚くしていく方針です。(イ) 株主還元当期利益に対し40%以上の配当性向を想定した経営を実践しております。キャッシュが想定以上に創出された場合は、追加の還元策も検討します。(ウ) 従業員配分中期経営計画の目標達成度合いに応じた中長期報酬制度を2022年度から従業員に拡大しております。従業員には、生産性の高い仕事のやり方により付加価値向上・利益率改善に取り組むインセンティブとなっております。また、従業員持株会への加入を促す制度としており、企業価値向上がインセンティブとなり従業員の経営参画意識を高める効果も期待しております。 ② 資産、負債および資本(B/S)の状況(a) 資産 8,123億65百万円(前期末比 685億90百万円増加)契約資産が減少したものの、営業債権や棚卸資産の増加等により、流動資産が前期末に比べ86億80百万円増加しました。また、有形固定資産、その他の金融資産および無形資産の増加等により、非流動資産が前期末に比べ599億10百万円増加しました。 (b) 負債 3,187億49百万円(前期末比 145億85百万円増加)契約負債等が減少したものの、社債及び借入金の非流動負債からの振替えや短期借入金、その他の金融負債の増加等により、流動負債が前期末に比べ116億53百万円増加しました。また、社債及び借入金の流動負債への振替え等があったものの、繰延税金負債やその他の非流動負債の増加等により、非流動負債が前期末に比べ29億31百万円増加しました。 (c) 資本 4,936億15百万円(前期末比 540億 5百万円増加)利益剰余金やその他の資本の構成要素等が増加しました。 ③ キャッシュ・フロー(C/F)の状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は612億23百万円(前期末比 21億95百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。 (a) 営業活動によるキャッシュ・フロー税引前当期利益に減価償却費を加えた収入等から、法人所得税の支払等を差し引き、521億70百万円の収入(前期比 43億35百万円の収入減)となりました。 (b) 投資活動によるキャッシュ・フロー投資有価証券の売却による収入等があったものの、有形固定資産及び無形資産の取得による支出等により、442億16百万円の支出(前期比 229億29百万円の支出増)となりました。 (c) 財務活動によるキャッシュ・フロー長期借入れによる収入や短期借入金の増加があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払い等により、86億26百万円の支出(前期比 70億47百万円の支出減)となりました。 ※営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは79億53百万円の収入となりました。 (4) 生産、受注および販売の実績当社グループの生産・販売品目は広範囲にわたりかつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産および受注の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて記載しております。また、販売の実績については、「(2) 経営者による経営成績(P/L)の分析」におけるセグメントの経営成績に関連づけて、連結の数字を示しております。 (5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示および報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針の要約 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しております。