有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|10,859 文字
3【事業等のリスク】(1)リスクマネジメント方針・体制 当社グループは国際的な事業展開を行っており、海運業を含む物流事業の経営には、様々なリスクが存在しています。リスクマネジメント強化のため、より体系立ててリスクを管理すべく、事業継続に及ぼす影響の大きいリスクとして主要リスクを定義し、内容を再編する形で従来の8項目から7項目に整理をしました。見直し後の主要リスク(図1)は、従来どおり、「船舶運航に伴うリスク」、「災害リスク」、「コンプライアンスに関わるリスク」、「その他の経営に関わるリスク」の4つのリスクに分類し、それぞれ対応する委員会を設けています。また、この4委員会を束ね、リスクマネジメント全般を統括する組織として、危機管理委員会を設置しています(図2)。代表執行役社長がこれら全ての委員会の委員長を務め、平時においても四半期ごとに委員会を開催し、リスクマネジメントの強化を図っています。 図1 見直し前後の主要リスク変更前後の主要リスク人材・労務環境リスク→人材・人権リスク法務・コンプライアンスリスク→法務・コンプライアンスリスク船舶運航リスク→船舶運航リスク経済活動変動リスク→経済活動変動リスク情報システム・情報セキュリティリスク→情報システム・情報セキュリティリスク災害リスク→災害リスク(リスクであり機会でもある気候変動リスクを独立)→気候変動リスク環境保全リスク→(事故/運航により環境汚染に関連するものとして、「船舶運航リスク」に再編)投資リスク→(経済活動変動リスクと同義のため「経済活動変動リスク」に再編) 図2 リスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントプロセス 当社グループにおけるリスクマネジメントを徹底すべく、グループ全体に関わるリスクを特定し、情報管理・モニタリングを行いながら、リスクマネジメントに取り組んでいます。各リスクの管理は、期末にリスクの再評価や網羅的なリスクの洗い出し・特定を行い、管理体制の有効性や主要リスクから重要課題を定めたうえで、各委員会において定期的にレビューを行い、再評価、対策の実施を行うPDCA体制としています。このPDCAでは、各委員会がボトムアップでリスクの再評価や洗い出し・特定を行う手法と、まだ顕在化していないものの重要性が高まっているエマージングリスクのようなメガトレンドの変化をトップダウンで評価をする手法を併用し、重層的に対応しています。メガトレンドの変化は、リスクのみならず機会となるため、次年度の事業戦略立案時に行うPEST分析を軸として、メガトレンド認識を的確に事業戦略に生かす側面と、最新のリスクトレンドの変化を評価し対応する側面とで、リスクと機会の双方を網羅するよう取り組んでいます。 具体的には、PESTの要素を各事業のバリューチェーンに掛け合わせることでリスクシナリオを想定し、経営陣により発生可能性/影響度/備えの状況を整理のうえ、ヒートマップを作成します。さらに、専門家による分析や調査レポート等の外部知見も得ながら、注視すべき課題を特定し、ボトムアップ式のリスク特定と合わせて重要課題を選定します。また、PDCAサイクルの過程でリスクマネジメントに対する情宣を行っています。リスク対策や期初に特定した重要課題への取組み状況を、取締役会や執行役員会を通じて社内に周知しています。 図3 リスクマネジメントプロセス (3)リスク情報 当社グループにて認識しているリスク項目の内容、対応策、組織への影響の可能性、潜在的なビジネスインパクトの大きさ、さらに、それらを基にした各項目のリスク重要度を、下表に纏めています。 NO主要リスク①人材・人権リスク②法務・コンプライアンスリスク③船舶運航リスク④経済活動変動リスク⑤情報システム・情報セキュリティリスク⑥災害リスク⑦気候変動リスク リスク名①人材・人権リスク影響度非常に大きいリスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、それを踏まえて事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。また、企業に対して、自社の事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重を求める国際社会からの要求が年々高まっています。この様な状況下で、当社グループ及びサプライチェーン上に存在する人権問題への対応が不適切であることにより事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社に必要な人材が不足することにより、業界内での競争力の低下や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。事業へのインパクト 人権問題が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 また、必要人材の不足は事業活動の制約となるため、当社グループの経営成績に重大な影響を与える可能性があります。対策 当社グループはグループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」において、当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を尊重することを掲げています。また、同憲章のより具体的な指針として掲げられた「川崎汽船グループ人権基本方針」では、人権尊重に関連した国際規範や法令を尊重・遵守するとともに、当社グループの事業活動との関わりにおいて生じる人権への顕在的又は潜在的な負の影響を把握して、これを未然に防止又は軽減していく、という一連のプロセスである「人権デューディリジェンス」を実施することを定めています。本方針のもと、当社グループの事業活動において優先的に取り組むべき人権課題を特定するため、国内外のグループ会社からヒアリングを実施し各社個別に取組みを強化すべき課題を抽出、その結果を受けて改善に向けたアクションプランを実行しています。また、サプライチェーンも含めた当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取組みを推進すべく、PDCAサイクルの確立を目指しています。 また、当社の業界内での競争力強化や安定的な事業継続を図るべく、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」という視点から人材の育成に取り組んでいます。 リスク名②法務・コンプライアンスリスク影響度非常に大きいリスク内容 当社グループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、事業活動が地域社会・国際社会に与える影響を自覚し、かつ、一層高いコンプライアンス意識をもって事業活動を進めていくことが社会的責任の重要な側面の一つと考えています。当社グループの役職員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させることにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、社会的な機運の高まりにより、自社のみならず持続可能な社会づくりに向けてサプライチェーン全体での協力が不可欠になっています。事業へのインパクト コンプライアンス上のリスクは、社会情勢、国民意識によっても変化するものであり、コンプライアンス上の問題が生じた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、またそれに伴う対応のため、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 対策 当社では、「グループ企業行動憲章」を制定し、法令及び企業倫理の遵守(コンプライアンス)を当社グループ企業の行動原則の一つとして掲げています。また、より具体的な指針として「川崎汽船グループ グローバルコンプライアンスポリシー(以下、「グローバルポリシー」という。)」を制定し、当社及びグループ会社役職員に遵守を義務付けています。当社及び当社グループ会社のコンプライアンスを担保するための方針及びコンプライアンス違反に対する対応措置を審議するための場として、年4回コンプライアンス委員会を開催し、毎年11月をコンプライアンス月間と位置付け、コンプライアンスの重要性を再認識させるため、社長メッセージを配信するとともに、必修のコンプライアンスeラーニング研修、外部講師を招いてのコンプライアンスセミナー、階層別人事研修の中でのコンプライアンス研修等、組織的にコンプライアンス文化を醸成する様々なプログラムを実施しています。 また、当社及び当社グループでは、お客さまから信頼されるサービスの提供に欠かせないパートナーとしてのお取引先さまとの、相互の信頼関係の確立と共生を図っています。これに加えて当社グループでは、サプライチェーン全体における企業としての社会的責任(CSR)の推進にお取引先さまとともに取り組むべく、「サプライチェーンにおけるCSRガイドライン」を策定しています。 リスク名③船舶運航リスク影響度非常に大きいリスク内容 当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。不測の事故による船体・積み荷・船員及び荷役関係者への損害や損傷、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大、サイバーリスクは、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。事業へのインパクト 不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染につながる重大事故等が起これば、当社グループの財政状態・経営成績に重大な影響を与え、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下により広範な営業活動に重大な影響を与える可能性があります。対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。安全運航については、代表執行役社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、事故防止や海賊やテロへの対応などを含む安全運航に関わる全ての案件について、ソフト面・ハード面においてあらゆる視点に基づいて検討し、教育・指導を含めた様々な対策を行っています。さらに、緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。なお、最善を尽くしたうえでも回避しきれなかった場合においても十分な対応を行うため適切に保険を付保し備えとしています。また当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にすべく、環境憲章を掲げ、環境への取組みを確実に推進するために、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。 リスク名④経済活動変動リスク影響度大きいリスク内容 当社グループの事業は、世界経済の動向と密接に結びついており、様々な経済的要因の変化による影響を受けます。特に、事業売上において米ドル建て収入の比率が大きく、円高が進むと円建ての収益が減少するリスクがあります。加えて、船舶投資や運転資金調達には借入金を活用しており、金利上昇も利益が減少する要因となります。また、燃料費は運航コストの大きな部分を占めるため、原油価格の変動は利益に影響します。これらの市場リスクは、世界的な経済動向や地政学的なリスクなど、様々な要因によって変動するため、当社グループにとって大きなリスク要因です。 将来の事業拡大に向けた船舶投資計画は、海運市況の悪化や想定外の公的規制導入などにより、計画通りに進まない可能性があります。計画の遅延や中止、あるいは新造船が完成した後に想定していた需要が得られない場合など、収益に悪影響が出る可能性があります。既存の船舶についても、市況の悪化や技術革新による陳腐化によって、売却や傭船契約の途中解約を迫られる可能性があり、損失につながるリスクがあります。また、保有する船舶等の資産は、市況の悪化や収益性の低下に伴い、減損損失が発生する可能性もあります。 海運事業は、国際条約や各国・地域の規制や通商政策の影響を受けやすい事業構造となっています。新たな規制の導入や既存規制の変更は、事業コストの増加や事業活動の制限につながる可能性があります。不確実性の増大により予見可能性が低下するリスクがあります。国際的な海運市場では競争も激化しており、モノの流れが変わったり、輸送価格が下落したり、市場シェアが減少したりすることで、収益に影響が出るリスクがあります。また、取引先の業績悪化などにより、契約が履行されない場合、損失が発生するリスクもあります。事業へのインパクト これらの経済活動の変動は、当社グループの財務状態と経営成績に大きな影響を与える可能性があります。急激な円高は米ドル建て事業売上の円貨換算後の価値を目減りさせ、利益を大きく減少させる可能性があります。金利上昇は資金調達コストを増加させ、投資計画の実行を困難にするだけでなく、既存事業の収益性も悪化させる可能性があります。また、燃料油価格の変動は、運航コストを直接的に増加させ、利益率を低下させる主要因となります。さらに、原油価格の急騰による燃料油価格の高騰で、短期的な収益悪化だけでなく、中長期的な事業計画の見直しが必要となる可能性もあります。 投資計画の遅延や中止は、大きな機会損失となるだけでなく、既に投資した資金を回収できなくなるリスクもあります。市況悪化による船舶の売却や傭船契約の途中解約は、損失につながるだけでなく、将来の輸送能力を低下させ、事業機会の喪失を招く可能性があります。また、保有資産の減損は財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。 規制変更への対応には、設備投資や運用変更など多額のコストが必要となる場合があり、収益を圧迫する可能性があります。また、予見可能性の低下により、規制変更への対応や事業計画への反映等が遅れると、事業活動の制限や罰金など、深刻な事態に陥る可能性もあります。国際的な海運市場では、競争の激化は輸送価格の下落を招き、収益性を低下させるだけでなく、モノの流れが変わること等による市場シェアの減少を通じて当社グループの業界での地位や経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。さらに、取引先が契約不履行となった場合、損失の発生だけでなく、取引関係の喪失による将来的な事業機会の喪失にもつながる可能性もあります。対策 当社グループでは、これらの経済活動の変動リスクに対し、様々な対策を講じています。為替変動の影響を和らげるため、為替予約や一部費用のドル化で影響の最小限化に努めています。金利変動リスクに対しては、固定金利での借入や金利固定化スワップを実施し、資金調達コストの安定化に取り組んでいます。燃料費の変動を抑えるため、燃料油の先物取引による価格ヘッジを行っています。 投資計画は、市場調査と需要予測に基づいて慎重に策定し、想定最大損失額を連結自己資本の範囲内に収めることで、「安定性」と「成長性」の両立に努めています。市況の悪化に備え、船舶の売却や傭船契約の解約についても、市況動向を常に注視し、適切なタイミングで判断できる体制を整えています。また、保有資産の価値を定期的に評価し、減損リスクの早期発見に努めています。 国際条約や各国・地域の規制変更、通商政策には、最新の情報収集と迅速な対応を可能にする体制を整えています。取引先の契約不履行リスクを軽減するため、取引先の信用状況を常時監視し与信管理を徹底しています。 リスク名⑤情報システム・情報セキュリティリスク影響度大きいリスク内容 当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生することにより事業活動に甚大な悪影響を及ぼす可能性があります。事業へのインパクト 不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に重大な影響を与える可能性があります。対策 当社グループでは、継続的にサイバーセキュリティの強化を進めています。これまでにPC、サーバーなどのエンドポイントや通信ネットワークのセキュリティ強化、最新技術を用いた監視体制を導入しました。さらに、グローバルでの認証基盤構成を見直し、多要素認証やアカウント管理認証レベルの高度化、迅速な脆弱性への対応を進めることで、グループ全体のITガバナンスの強化、認証レベルの向上、マルウェア・情報漏洩への対策強化を実現し、サイバーインシデントに迅速かつ的確に対応できる体制を築いています。近年、インターネット回線による船舶運航データの船陸共有化と安全品質の向上へのデータ活用が進んでおり、衛星通信容量の拡大に伴い、船内ICT機器及び船内ネットワークの整備が必須となっています。今後、船陸間でインターネット環境への接続が一層増えることによるサイバーリスクを見据え、当社グループの船舶管理会社では一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、船上のサイバーリスクへの対応力強化に努めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。また、技術的対策に加え、当社グループ全般におけるセキュリティ教育・啓発活動を通じ、セキュリティファーストの文化を醸成して、安全・安心・安定、強靭なIT基盤を構築していきます。 リスク名⑥災害リスク影響度大きいリスク内容 自然災害やパンデミック発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に関わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。事業へのインパクト 自然災害発生時、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、パンデミックとなった場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。対策 当社グループではこれらの災害等を想定した事業継続マネジメント(BCM)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続ができるよう備えています。新型コロナウイルス感染症(COVID19)に関する一連の対応を振り返り、パンデミックに備えた行動手引書を作成しました。なお、災害等を想定した本社・社外での訓練等を定期的に実施し、そこで明確になった課題に対処することで、継続的に見直しを行いかつ実効性を高めていきます。 リスク名⑦気候変動リスク影響度大きいリスク内容 地球温暖化をはじめとする気候変動は、気象・海象の変化をより激しくし、安全運航の妨げにつながる危険性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れは、大量の燃料油を必要とし、主要貨物として様々な化石エネルギー資源を輸送する当社グループにとって、公的規制等によるコスト増大や輸送需要の構造的変化などの形で事業環境を大きく変える可能性があるだけでなく、気候変動対策が十分でなかった場合、当社グループの競争力の低下につながる懸念もあります。事業へのインパクト 今後、気候変動の影響が顕在化し、輸送ルートの変更を余儀なくされることにより運航コストの増加につながることや、積載貨物や船舶の損傷や訴訟リスクが増加する可能性があります。また、気候変動対策としての脱炭素化の流れに対応できなかった場合、当社グループの営業活動、財政状態や経営成績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。対策 当社グループは安全運航の徹底を最優先課題として安全運航水準と危機管理体制の維持強化に努めています。自社システムによる気象・海象予測を踏まえた最適航路選定により、高波高域への入域や船体動揺・貨物損傷リスクの低減に努めています。また、事業へ及ぼす影響に対する対策として、荷崩れを引き起こす一因となる特定の横揺れの発生を予測するアプリ導入などにも取り組んでいます。 また「“K” LINE環境ビジョン2050」では、2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦を宣言しており、長期ビジョンとして、経済的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進することを掲げています。中期経営計画では、低炭素・脱炭素化を機会とした成長戦略に基づき、環境への投資により成長を実現していく計画です。さらに、TCFDが提言するシナリオ分析を見直すとともに、そこで特定された「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目における気候変動リスクと機会に関する財務インパクトの試算を実施し、開示内容も拡充しています。 (4)エマージングリスク 当社グループでは、事業戦略の実行を妨げる可能性があり、まだ顕在化していないものの従来に増して重要性が高まっているリスクをエマージングリスクと定義しており、当社グループで認識しているエマージングリスクを下表に纏めています。 エマージングリスク名①地政学情勢の変化による荷動きや船舶建造、保守に与える影響リスク内容 地政学的な要因、特に米中関係の不透明性が高まることで、当社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。世界的なサプライチェーンの変容や地産地消の動きは、顧客の事業モデル見直しを促進し、長期的には輸送需要と供給能力のバランスを崩し、マーケットコンディションやプライシングに影響を与える可能性があり、当社グループの事業に大きな影響を与える懸念があります。さらに、中国での船舶建造量や当社の保守、入渠に係る中国への依存度の高さを鑑みると、米中関係の悪化は船舶の建造・保守に支障をきたし、継続的な船舶運航を阻害する可能性があります。現在も中国での新造船発注残があり、当該リスクを注視していく必要があります。事業へのインパクト 当社グループの事業は海上輸送に大きく依存しており、荷動きの動向は経営成績に大きく影響を及ぼします。また、保有船舶は5年ごとの入渠が必要であり、各国の船舶の多くが利用している中国ドックへの入渠が阻害された場合、船舶運航ひいては当社グループの営業活動と経営成績に大きな影響を与えます。さらに、世界の半数近くを占める中国での船舶竣工量は近年増加傾向にある一方、中国での船舶建造が阻害された場合、世界的な船舶供給ひいては当社グループの営業活動や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 対策 主要顧客とのパートナーシップ深化を中核としながら、多様な顧客との関係強化を通じて成長機会を創出するなど、事業特性に応じた役割を明確化し、ポートフォリオの適切なマネジメントを実施しています。また、営業・運航要員の増員、環境営業の強化など、営業体制の進化・発展を通じて顧客の事業戦略の変化を機敏に捉え、サプライチェーンや事業モデルの見直しに柔軟に対応しています。新造船の発注においては、グループ全体での管理、リスクの定量化、分散発注の検討など、専門家との協議に基づいたリスク最小化策を講じています。船舶修繕についても、グループ全体での管理・分散化を図り、ベストプラクティス策定に向けた協議を進めています。 エマージングリスク名②海運業を脅かすエマージングな技術革新リスク内容 3DプリンタやAR/VR技術、自動化などの技術革新は、今後海運業の参入障壁を引き下げる技術となる可能性があると考えられます。3Dプリンタで扱うことのできる素材の広がりや造形方式の進化などを背景に、最終製品量産のための活用も広がる可能性が高まっています。またデジタル化や産業メタバースの活用による港湾作業や船舶運航の自動化・自律化の複合的な活用は、人手不足への対応や業務効率化に寄与します。これらの技術革新は、海運業の省コスト化につながる一方で、他業種からの参入障壁が低下する可能性にもつながり得ます。 また、消費財や完成品の輸送においては、技術革新による製造体制の変化により地産地消が進む可能性があり、特にコンテナ輸送需要や完成車輸送において、事業環境に構造的変化を与える可能性もあり、今後より一層幅広い分野の技術動向に注視していく必要があります。事業へのインパクト 3DプリンタやAR/VR技術、自動化などの技術革新は、参入障壁の低下により、新たな競合他社が市場に参入しやすくなり、価格競争が激化する可能性があります。これは、新しい競合他社の出現につながり、既存企業の市場シェアを奪う可能性があります。また、技術革新はサプライチェーンの効率化やコスト削減につながる可能性や、新技術の普及により、既存の設備やノウハウが陳腐化し、新たな投資が必要となる可能性もあります。事業環境の構造的変化により、当社グループの営業活動や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策 新技術に対応できる人材の育成や最新技術を持つ企業との戦略的な提携を検討し、海運ビジネスに捕らわれることなく、最新技術トレンドを常に把握し、自社事業への影響を評価する体制を構築する必要があります。そのために事業部門別に、課題の整理・洗い出しと優先課題の抽出など体系的に整理し、外部専門知見のサポートを得て継続的にリスク状況をモニターできる「リスクインテリジェンスサイクル」を構築し、モニタリングできる体制作りに取り組んでいます。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。
FY2024|10,554 文字
3【事業等のリスク】①リスクマネジメント方針・体制 当社グループは国際的な事業展開を行っており、海運業を含む物流事業の経営には、さまざまなリスクが存在しています。主要リスク(図1)のうち、船舶運航に伴うリスク、災害リスク、コンプライアンスに関わるリスク、その他の経営に関わるリスクの4つのリスクに分類し、それぞれ対応する委員会を設けています。また、この4委員会を束ね、リスクマネジメント全般を掌握・推進する組織として、危機管理委員会を設置しています(図2)。社長執行役員がこれら全ての委員会の委員長を務め、平時においても四半期ごとに委員会を開催し、リスクマネジメントの強化を図っています。 図1 主要リスク 図2 リスクマネジメント体制図 ②リスクマネジメントプロセス 当社グループにおけるリスク管理を徹底すべく、グループ全体に関わるリスクを特定し、情報管理・モニタリングを行いながら、リスク対応に取り組んでいます。各リスクの管理は、期末にリスクの再評価や網羅的なリスクの洗い出し・特定を行い、管理体制の有効性や主要リスクから重要課題を定めたうえで、各委員会において定期的にレビューを行い、再評価、対策の実施を行うPDCA体制としています。このPDCAでは、各委員会がボトムアップでリスクの再評価や洗い出し・特定を行う手法と、まだ顕在化していないが重要性が高まっているエマージングリスクのようなメガトレンドの変化をトップダウンで評価をする手法とで、重層的に対応しています。メガトレンドの変化は、リスクのみならず機会となるため、次年度の事業戦略立案時に行うPEST分析を軸として、メガトレンド認識を的確に事業戦略に生かす側面と、最新のリスクトレンドの変化を評価し対応する側面とで、リスクと機会の双方を漏らすことなく取り組んでいます。 具体的には、PESTの要素を各事業のバリューチェーンに掛け合わせることでリスクシナリオを想定し、経営陣により発生可能性/影響度/備えの状況を整理のうえ、ヒートマップを作成します。更に専門家による分析や調査レポート等の外部知見も得ながら、注視すべき課題を特定し、ボトムアップ式のリスク特定と合わせて重要課題を選定します。また、PDCAサイクルの過程でリスクマネジメントに対する情宣を行っています。リスク対策や期初に特定した重要課題への取り組み状況を、取締役会や執行役員会を通じて社内に周知しています。 図3 リスクマネジメントプロセス ③リスク情報当社グループにて認識しているリスク項目の内容、対応策、組織への影響の可能性、潜在的なビジネスインパクトの大きさ、更にそれらを元にした各項目のリスク重要度を、下表に纏めています。 リスクリスク内容対策事業へのインパクト 重大な事故・環境破壊・紛争等 当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。 不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 安全運航については、社長執行役員を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わる全ての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。 環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にすべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長執行役員を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。 不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が起これば、当社グループの財政状態・経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、安全運航水準と危機管理体制の維持強化に努めていますが、リスク重要度は非常に高いリスクです。 公的規制 海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全、労務に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。 各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めています。国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じています。 今後、国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制の新設、変更が起こり、その対応のため、当社グループの財政状態・経営成績に一定の影響を与える可能性があります。 海運事業は、多くの国際条約、多くの国の法・規制による影響を受けるため、リスク重要度が非常に高いリスクです。 コンプライアンス 当社グループの役職員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、当局より課される課徴金、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社は、当社及び当社グループ会社のコンプライアンスを担保するための方針及びコンプライアンス違反に対する対応措置を審議するための場として、年4回コンプライアンス委員会を開催しています。また、「川崎汽船グループ グローバルコンプライアンスポリシー」を制定し、当社及びグループ会社役職員に遵守を義務付け、毎年11月をコンプライアンス月間と位置付け、コンプライアンスの重要性を再認識させるため、社長メッセージを配信するとともに、必修のコンプライアンスeラーニング研修、外部講師を招いてのコンプライアンスセミナー、階層別人事研修の中でコンプライアンス研修等、組織的にコンプライアンス文化を醸成する様々なプログラムを実施しています。 コンプライアンス上のリスクは、社会情勢、国民意識によっても変化し、完全には回避出来ないものであり、コンプライアンス上の問題が生じた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、またそれに伴う対応のため、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 リスク重要度は非常に高いリスクです。 競争環境等 当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。リスク重要度が非常に高いリスクです。取引先の契約不履行 将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部又は全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査しています。 契約条項の一部又は全部が履行不可能となった場合、当社グループの財政状態・経営成績に一定の影響を与える可能性があります。 当社グループは世界中に多くの取引先が存在し、リスク重要度が非常に高いリスクです。 人権侵害リスク 企業に対して、自社の事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重を求める国際社会からの要求が年々高まっています。 この様な状況下で、当社グループ及びサプライチェーン上に存在する人権問題への対応が不適切な場合、社会的信用の低下、人材の流出等、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは2022年に国連の定める「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「川崎汽船グループ人権基本方針」を策定しました。本方針は、グループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」で掲げられた「人権の尊重」について、より具体的な指針として策定されたもので、人権尊重に関連した国際規範や法令を尊重・遵守するとともに、当社グループの事業活動との関わりにおいて生じる人権への顕在的又は潜在的な負の影響を把握して、これを未然に防止又は軽減していく、という一連のプロセスである「人権デューディリジェンス」を実施することを定めています。 本方針の下、当社グループの事業活動において優先的に取り組むべき人権課題を特定するため、国内外のグループ会社からヒアリングを実施し各社個別に取り組みを強化すべき課題を抽出、その結果を受けて改善に向けたアクションプランを実行しています。 また、当社グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取り組みを推進すべく、PDCAサイクルの確立を目指しています。 人権問題が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループでは、グループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」を制定しており、そこに掲げる「人権の尊重」のなかで、国内外にて人権を尊重していますが、リスク重要度は非常に高いリスクです。 情報セキュリティ 当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、局所的な対応や製品導入のみでは万全の防御が果たせず、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループでは、継続的にサイバーセキュリティの強化を進めています。これまでにPC、サーバーなどのエンドポイントや通信ネットワークのセキュリティ強化、最新技術を用いた監視体制を導入しました。 更に、グローバルでの認証基盤構成を見直し、多要素認証やアカウント管理認証レベルの高度化、迅速な脆弱性への対応を進めることで、グループ全体のITガバナンスの強化、認証レベルの向上、マルウェア・情報漏洩への対策強化を実現し、サイバーインシデントに迅速かつ的確に対応できる体制を築いています。 近年、インターネット回線による船舶運航データの船陸共有化と安全品質の向上へのデータ活用が進んでおり、衛星通信容量の拡大に伴い、船内ICT機器及び船内ネットワークの整備が必須となっています。 今後、船陸間でインターネット環境への接続が一層増えることによるサイバーリスクを見据え、当社グループの船舶管理会社では一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、船上のサイバーリスクへの対応力強化に努めています。 「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。 また、技術的対策に加え、当社グループ全般におけるセキュリティ教育・啓発活動を通じ、セキュリティファーストの文化を醸成して、安全・安心・安定、強靭なIT基盤を構築していきます。 不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じていますが、リスク重要度は非常に高いリスクです。 自然災害の発生 自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に関わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。 当社グループではこれらの災害等を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し悪影響を与える可能性があります。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する一連の対応を振り返り、感染症パンデミックに備えた行動手引書の作成を完了していますが、新たなコロナ変異株の発生、新たな感染症の発現など予期せぬ事態により当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 自然災害発生時、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に影響を与える可能性があり、リスク重要度は非常に高いリスクです。 為替レートの変動 当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしています。 当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きいため、為替レートの変動は、当社グループの財政状態・経営成績に一定の影響を与えます。対米ドル為替1円の変動により当社連結経常利益はおおよそ±15億円の影響を受けます。また当社グループの連結財務諸表の為替換算調整勘定の金額にも影響を与えます。 為替レートは様々な要因で常に変動しているため、リスク重要度が非常に高いリスクです。 金利の変動 当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。これらの設備投資には自己資金及び金融機関借入を充当しており、適切に有利子負債をコントロールしています。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、金利変動リスクをヘッジするため、一定の規模を固定金利で借り入れたり、また船舶・設備投資資金の借入の一部を対象とした金利固定化スワップを実施しています。 当社グループの設備投資について、資本効率を意識して適切なレバレッジを効かせる観点から、一定程度金融機関からの借入を行っていますが、金利の変動は、当社グループの財政状態・経営成績に一定の影響を与えます。 また、金利は様々な要因で常に変動しているため、リスク重要度が非常に高いリスクです。 燃料油価格の変動 燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っています。 燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めているため、燃料油価格の変動は、当社グループの財政状態・経営成績に一定の影響を与え、燃料油価格10ドル/MTの変動により、当社連結経常利益はおおよそ±0.1億円の影響を受けます。 また、燃料油価格については常に変動しており、昨今のロシア・ウクライナ情勢や中東情勢等を勘案すると、リスク重要度が非常に高いリスクです。 投資計画の未達成 当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 想定最大損失額を連結自己資本の範囲内にコントロールし、適正な投資規模による「安定性」と「成長性」を両立しています。事業リスク量(想定最大損失額)は、事業特性を踏まえながら、統計学的手法を用いて計測しています。 今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、若しくは、新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に一定の影響を与える可能性があります。 海運市況は不確実性が高いため、リスク重要度が非常に高いリスクです。 船舶の売却等による損失 当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、市場の動向を見極めた売船、自社保有や用船といった船舶の保有形態のバランスを適切に保つことにより本リスクの低減に努めています。 当社グループが保有する船舶等の固定資産について、売却や傭船契約の中途解約に至った場合、売却損や解約手数料が発生し、当社グループの財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、過去の構造改革や経営管理の高度化により、固定資産の保有規模とそれに対するリスク管理の適正化が進んでおり、更に継続的なモニタリングと必要に応じた対策を講じていますが、リスク重要度が高いリスクです。 固定資産等の減損損失 当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては決算期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 当社グループは、継続的な業績のモニタリングを行っており、投資に対する回収が困難となる前にリスクへの対策を講じるように努めています。 当社グループが保有する船舶等の固定資産について、減損損失を認識するに至った場合、若しくは、投資有価証券のうちの時価のあるものについて時価の下落が発生した場合、固定資産並びに時価のある投資有価証券の金額を上限として、当社グループの財政状態・経営成績に影響を与える可能性があります。海運市況や株式市況は不確実性が高いため、リスク重要度が高いリスクです。 ④エマージングリスク 当社グループでは、事業戦略の実行を妨げる可能性があり、まだ顕在化していないが従来に増して重要性が高まっているリスクをエマージングリスクと定義しており、当社グループで認識しているエマージングリスクを下表に纏めています。 リスクリスクと事業背景の説明ビジネスへの影響リスク低減アクション地政学情勢の変化による荷動きへの影響 地政学的要因による経済圏の分断やサプライチェーンの変容により、市場環境が変化しつつあります。これに起因する、顧客によるサプライチェーンや事業モデルの見直しは地産地消や拠点の変更を伴い、長期的には荷動きの変化として現れ、その結果、輸送需要と供給能力のインバランスが発生することでマーケットコンディションやPricingにも影響を及ぼし、当社グループの経営成績に影響を与える懸念があります。特に当社グループは「成長機会を共有できる顧客とのパートナーシップ」の構築・発展を通じて持続的成長と企業価値向上を図る、顧客密着型営業・投資で事業・収益基盤を拡充させる戦略をとっているため、特定顧客への依存度が高く、顧客によるサプライチェーンや事業モデルの見直しが与える影響度は大きいと言えます。また、当該リスクは主に外部的なもので、マクロ経済・地政学的環境、市場環境、競合他社の価格戦略に関連しています。 当社グループの事業モデルの80%以上は海上輸送であるため、荷動き動向は、当社グループの経営成績に大きな影響を与えます。 顧客の環境対応など事業戦略に沿った輸送需要に積極的に応えるため、営業・運航要員の増員、専任海技者の登用、環境営業の強化・育成を通じ、営業体制を進化・発展させることで顧客の事業戦略の変化を機敏にキャッチし、サプライチェーンや事業モデルの見直しに柔軟に適応していくことでリスクの低減を図っています。同時に、適切な船隊及びエクスポージャーコントロールで市況変化への対応力・耐性を強化しています。また、ポートフォリオ戦略として、主要顧客とのパートナーシップを深化させ成長を牽引する役割の事業を中心に、その他事業にも経営資源を配分し、多種多様な顧客との関係性を強化することで成長機会をともにする事業等、事業の特性に応じた役割を明確にし、ポートフォリオを適切にマネジメントしています。米中関係の不透明性による船舶建造、保守への影響 中国での船舶竣工量は世界の47%を占めており、近年増加しています。今後当社においてもコスト面から中国での船舶の建造、保守が増えることが見込まれますが、社会的要因による米中関係の不透明性により、長期的な船舶の建造、保守に影響を与えることがリスクの一つとして考えられます。特に、当社では8割以上の船舶が中国で入渠しており、当該リスクは継続的な船舶運航を阻害する要因ともなり得ます。また当社では中国での新造船発注残もあり、今後も中国発注は増える見込みです。なお、当該リスクは主に外部的なもので、地政学的環境に関連しています。 当社グループは411隻の船舶を運航しており、船舶は少なくとも5年ごとに入渠することが条約で定められています。中国の修繕ドックの供給能力は世界の50%であり、仮に中国ドックへの入渠の阻害要因が増大すると、船舶の運航に影響を与え、当社グループの営業活動と経営成績に影響を与えます。また、中国での船舶竣工量の比率は近年増加しており、最新の数字では世界の47%を占めています。そのため、仮に中国での船舶建造が阻害される事態となれば、世界及び当社グループの船舶供給に影響を与え、当社グループの営業活動と経営成績に大きな影響を与えます。 当社グループでは、新造船の発注残を当社グループ全体で管理し、またリスクの定量化も行い、万が一の際にリスクを吸収できる耐性を保持しています。更に、新造船発注に際しては、定量的かつ定性的な観点から検討を行い、かつ発注ヤードについても分散発注を検討するなど、リスクの最小化を図るべく専門家との協議を重ねたうえでの発注を行っています。また、船舶修繕地についても当社グループ全体で管理し、分散化を図っています。更に、ベストプラクティスの策定にむけて関係者間で協議を重ねており、グループ一丸となってガイドラインを策定しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。
FY2023|5,048 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。これらの設備投資には自己資金及び金融機関借入を充当しており、適切に有利子負債をコントロールしています。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する損害賠償請求訴訟が提起されています。⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。安全運航については、社長執行役員を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わる全ての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長執行役員を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。(詳細につきましては、「第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。) ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、「新型コロナウイルス感染症」という。)に関する一連の対応を振り返り、感染症パンデミックに備えた行動手引書の作成を完了していますが、新たなコロナ変異株の発生、新たな感染症の発現など予期せぬ事態により当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部又は全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては決算期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑬ 傭船契約損失引当金当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積ることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準」参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑭ 情報セキュリティ対策当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、局所的な対応や製品導入のみでは万全の防御が果たせず、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状況・経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ対策として、1つの施策に依らずセキュリティ対策を多層化することで、攻撃を未然に防ぎ、セキュリティ事案発生時には早急に異常発生を「検知」し、影響を最小限に止めるための「対応」「復旧」 の強化を図っています。また、情報の保護を目的とする「情報管理」、サイバー攻撃に対するシステム・ネットワークの防御を中心とする「サイバーセキュリティ」、そしてオフィス・ターミナル等のファシリティにおける不正アクセスを予防する「物理セキュリティ」の3つの視点より情報セキュリティ対策を講じています。特に、海事サイバーリスクマネジメントへの取組みとしては、当社グループの船舶管理会社と当社船舶に対して、一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティーマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、その他船舶での認証取得を進めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。更に、技術的な対策に加え、グループ役職員における情報セキュリティとセキュリティファーストの文化醸成への意識向上のために、セキュリティ教育や啓蒙活動を実施しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。
FY2022|5,344 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入れに依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長執行役員を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また2021年11月には気候変動対策に対する取組みを強化するため、2020年6月に改訂版を公表した環境に関わる長期指針「“K”LINE 環境ビジョン2050 ~青い海を明日へつなぐ~」の一部を見直し、新たな2050年目標として「GHG(温室効果ガス)排出ネットゼロに挑戦する」ことを定めました。世界の気候変動対策への強化は喫緊の課題となっており、各国政府や産業界において、2050年GHG排出実質ゼロを目指そうという動きが一段と加速しています。そのような中で、当社グループも「2050年GHG排出ネットゼロ」という、より高い目標に挑戦してまいります。なお、「“K”LINE 環境ビジョン2050」改訂版で定めた2030年に向けてのアクションプランについては、これまでどおり着実に進めていきます。安全運航については、社長執行役員を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わる全ての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する一連の対応を振り返り、将来の弱毒性ウイルスによるパンデミックに備えた行動手引書の整備等を進めていますが、変異株の発生、新型種の発現など予期せぬ事態により当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部又は全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑬ 傭船契約損失引当金当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積ることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準」参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑭ 情報セキュリティ対策当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、局所的な対応や製品導入のみでは万全の防御が果たせず、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状況・経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ対策として、1つの施策に依らずセキュリティ対策を多層化することで、攻撃を未然に防ぎ、セキュリティ事案発生時には早急に異常発生を「検知」し、影響を最小限に止めるための「対応」「復旧」 の強化を図っています。また、情報の保護を目的とする「情報管理」、サイバー攻撃に対するシステム・ネットワークの防御を中心とする「サイバーセキュリティ」、そしてオフィス・ターミナル等のファシリティにおける不正アクセスを予防する「物理セキュリティ」の3つの視点より情報セキュリティ対策を講じています。特に、海事サイバーリスクマネジメントへの取組みとしては、当社グループの船舶管理会社と当社船舶に対して、一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティーマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、その他船舶での認証取得を進めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。更に、技術的な対策に加え、グループ役職員における情報セキュリティとセキュリティファーストの文化醸成への意識向上のために、セキュリティ教育や啓蒙活動を実施しています。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。
FY2021|5,122 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入れに依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、2015年3月には“K”LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、創立100周年(2019年)に向かって定めたマイルストーンの多くを達成しました。2020年6月には激変する世界を見渡し、2050年のゴールの一部を見直すとともに、2030年に向けた新たなマイルストーンを設定した改訂版を策定しています。安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わる全ての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する一連の対応を振り返り、将来の弱毒性ウイルスによるパンデミックに備えた行動手引書の整備等を進めておりますが、変異株の発生、新型種の発現など予期せぬ事態により当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部又は全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑬ 傭船契約損失引当金当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積もることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準」参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑭ 情報セキュリティ対策当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、局所的な対応や製品導入のみでは万全の防御が果たせず、不正アクセスによる情報の漏洩、ウィルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状況・経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ対策として、1つの施策に依らずセキュリティ対策を多層化することで、攻撃を未然に防ぎ、セキュリティ事案発生時には早急に異常発生を「検知」し、影響を最小限に止める為の「対応」「復旧」 の強化を図っています。また、情報の保護を目的とする「情報管理」、サイバー攻撃に対するシステム・ネットワークの防御を中心とする「サイバーセキュリティ」、そしてオフィス・ターミナル等のファシリティにおける不正アクセスを予防する「物理セキュリティ」の3つの視点より情報セキュリティ対策を講じています。特に、海事サイバーリスクマネジメントへの取組みとしては、当社グループの船舶管理会社と当社船舶に対して、一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティーマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、その他船舶での認証取得を進めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。更に、グループ役職員における情報セキュリティへの意識向上のために、セキュリティ教育も実施しています。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。
FY2020|4,360 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入れに依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争法当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、2015年3月には“K”LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、全社一丸となっての長期取組み方針を定めました。安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わるすべての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害またはその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用または応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループの事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に際しては、この計画を応用する形で事業継続のための対策を実施しています。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に関する詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表(2 財務諸表等 (1) 財務諸表) 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部または全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑬ 傭船契約損失引当金当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積もることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループのすべてのリスクではありません。
FY2019|4,168 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは、国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入に依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入の一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争法当局による調査の対象になっております。また、北米において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。 ⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、2015年3月には“K” LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、全社一丸となっての長期取組み方針を定めました。安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わるすべての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また強毒性新型インフルエンザが発生し世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害またはその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用または応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部または全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑬ 傭船契約損失引当金当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積もることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月21日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループのすべてのリスクではありません。
FY2018|3,874 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは、国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入に依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入の一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車・車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、欧州その他海外の競争法当局による調査の対象になっており、平成30年2月には欧州委員会から制裁金3,910万ユーロを支払うことを内容とする決定を受けました。また、北米において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。 ⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、平成27年3月には“K” LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、全社一丸となっての長期取組み方針を定めました。安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わるすべての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また強毒性新型インフルエンザが発生し世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害またはその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用または応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部または全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化や船舶の技術革新による陳腐化に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月21日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループのすべてのリスクではありません。
FY2017|3,946 文字
4【事業等のリスク】 当社グループは、国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入に依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入の一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、欧州その他海外の競争法当局による調査の対象になっています。また、北米において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されており、今後更に当社グループに対する他の民事訴訟が提起される可能性もあります。これらの調査及び訴訟の結果の確定的な予測は現時点では困難ですが、それらの結果によっては、当社グループの事業または財政状態若しくは経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、平成27年3月には“K” LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、全社一丸となっての長期取組み方針を定めました。安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わるすべての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また強毒性新型インフルエンザが発生し世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されています。また、これらの自然災害またはその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用または応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部または全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化や船舶の技術革新による陳腐化に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループのすべてのリスクではありません。
FY2016|4,025 文字
4【事業等のリスク】 当社グループは、国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。 ① 為替レートの変動当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ② 燃料油価格の変動燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ③ 金利の変動当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入に依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入の一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ④ 公的規制海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、欧州その他海外の競争法当局による調査の対象になっています。また、北米において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されており、今後更に当社グループに対する他の民事訴訟が提起される可能性もあります。これらの調査及びこれに伴う一連の行政・刑事並びに民事上の手続がいつ完了するのか、また、その結果として当社グループが課徴金、制裁金、罰金、損害賠償その他の法的責任の対象になるか否かについての確定的な予測は現時点では困難ですが、その結果によっては、当社グループの事業または財政状態若しくは経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、平成27年3月には“K” LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、全社一丸となっての長期取組み方針を定めました。安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わるすべての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。 ⑥ 競争環境等当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑦ 自然災害の発生自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また強毒性新型インフルエンザが発生し世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されています。また、これらの自然災害またはその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用または応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。 ⑧ 取引先の契約不履行当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部または全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑨ 投資計画の未達成当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑩ 船舶の売却等による損失当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化や船舶の技術革新による陳腐化に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑪ 固定資産の減損損失当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 ⑫ 繰延税金資産の取崩し当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループのすべてのリスクではありません。