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FY2025|7,814 文字
3【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスク管理 ① リスク管理基本方針当社グループは、持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造することを経営ビジョンに掲げており、その実現を阻害するあらゆる不確実性を「リスク」と捉え、リスク管理態勢を整備し、経営の最重要課題としてリスク管理に取り組んでおります。当社グループでは、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。 ② リスク管理体制当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえて、グループ経営会議及び取締役会に報告を行う体制としております。また、当社及びグループ国内保険会社の役員が出席するグループリスク対策会議を2024年度に設置し、当社グループに内在するリスク及び外部環境の変化に伴うリスクに関する論議を通じ、当社グループ全体のリスクの検知力と管理体制の強化を図っております。グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスク及び各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。 ③ ERMをベースにしたグループ経営ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要なリスク・収益(リターン)・資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。当社グループでは、現中期経営計画の基本戦略を支える基盤の1つとして、ERMを位置づけ、リスク・リターン・資本のバランスを取った経営資源配分により、企業価値向上に取り組んでおります。a.ERMの機能と役割ERMでは、資本の健全性(ESR※1)を維持しつつ、リスク対比の収益性(ROR※2やVA※3)が高い事業領域におけるリスクテイクを高めることで、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※4)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。 ※1 ESR(Economic Solvency Ratio):経済価値ベースのソルベンシー・レシオ:後述b.(a)参照※2 ROR(Return on Risk):後述b.(b)参照※3 VA(Value Added):後述b.(c)参照※4 修正ROE(Return on Equity):後述b.(d)参照 b.ERMで注視する指標※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他負債性資本等) (a) ESR(Economic Solvency Ratio)とはリスク量に対する資本の充実度を示す指標(=「時価純資産」÷「統合リスク量」)です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。(b) ROR (Return on Risk)とはリスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。(c) VA (Value Added)とはリスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。資本コストは、資本資産価格モデル(CAPM)により推計しています。(d)修正ROE(Return on Equity)とは資本に対する利益の割合で、資本の効率性を示す指標です。 ④ ERMとリスク管理当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。a.ERMサイクルERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。b.ROR向上に向けた取組み引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。c.ストレステストの実施当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗い出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。 (2) 当社グループの主要なリスク当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。① グループ重要リスクグループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、下表のように発生可能性と影響度を目安として、総合的な判断により、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として選定し、グループ重要リスク管理取組計画を策定したうえで、リスク対策の実行や各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。 ※7 発生可能性:当面(5年以内)の発生可能性。統計的な発生頻度(確率)に加え、統計的手法で捉えきれない切迫度、予兆等を勘案し、総合的に判断。※8 影響度:「経済的損失」「ブランド力・信用力への影響」等を勘案し、総合的に判断。 2025年度も引き続き、コンダクトリスクや地政学的なリスク(インフレへの懸念を含みます)、気候変動、サイバーリスク、保険市場・人財市場の変化、生成AI活用に係るリスクを適切にコントロールし、当社グループの持続的な成長を図ることが必要であることから、グループ重要リスクは2024年度と同様のものとしております。一方で、各リスクの状況は変化しているため、各リスクの「主な想定シナリオ」に以下a~dの環境変化を明示・反映し、管理・取組みを強化しております。a.コンダクトリスクへの対応2024年度に新設したグループリスク対策会議で論議したコンダクトリスクの発生構造の理解や、2024年度のリスク発現状況を踏まえ、「主な想定シナリオ」等の内容を見直し、同リスクの管理・取組みの強化に繋げてまいります。下表No.4「グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生」に、経営理念等の不浸透、不適切な業界慣行や行動インセンティブによる社会的信用の失墜、商品・サービスにおけるお客さま視点の欠如、不正競争、受入出向者・社外出向者・代理店による情報漏えい、事業活動の過程で生じる権利侵害、財務報告に係る内部統制の重大な不備を明示しております。b.業界慣行の見直し・ビジネススタイル等の変革の必要性金融庁や金融審議会の報告書、一般社団法人日本損害保険協会の取組等を踏まえて、下表No.8「保険市場の変化」には、業界慣行の見直しやビジネススタイルの変革の必要性に対して当社グループが適切に対応できないリスク(リスクソリューションの提案力の不足等による保険市場での競争力の低下)を明示し、同No.9「人財を取り巻く環境の変化」には、魅力ある職場環境(労働条件を含みます)が実現できない場合に採用力低下のリスクがあることを明示しております。c.米国政権交代下表No.10「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」に、金融市場全般の変動に関するリスクや課税強化に関するリスクを明示しております。d.その他下表No.3「信用リスクの大幅な増加」では国内の「金利のある世界」や金融機関の与信基準の厳格化に関して明示し、同NO.8「保険市場の変化」では公共インフラの老朽化、同No.9「人財を取り巻く環境の変化」では海外人財強化の必要性、同No.10「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」ではサイバーセキュリティに関する規制強化などの環境変化を明示しております。 2025年度グループ重要リスクは下表のとおりであります。これらのリスクが発現することにより、多額の保険金・給付金の支払い、保有資産の価値の低下、競争環境や評判の変化等が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。当社グループでは、これらのリスクに対して、グループ重要リスク管理取組計画を策定(取締役会で決議)したうえで、リスク対策の実行を通じて、リスクの軽減やコントロールを実施しております。 No.グループ重要リスク(点線枠内は「主な想定シナリオ」/「留意事項」は主な想定シナリオの策定において留意する事項)1 大規模自然災害の発生 (留意事項:気候変動) ・気候変動の影響も受けた国内及び海外の大規模な風水災・森林火災・雪雹災・干ばつや地震・噴火等の発生による保険金支払の増加・大規模自然災害の発生等に伴う出再保険料の高騰や再保険会社の引受キャパシティの減少等により、方針どおりのリスクコントロールが困難になる事態の発生・大規模自然災害の発生により当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生2金融マーケットの大幅な変動 (留意事項:インフレーション) ・世界的な景気・経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落・物価動向等を踏まえた各国の金融政策の変更や財政規律の欠如に伴う各国の国債の格下げ等に伴う金利・為替の変動による資本余力の低下3信用リスクの大幅な増加 (留意事項:気候変動) ・実体経済の悪化や金利上昇、金融機関による与信の厳格化、脱炭素社会への移行に向けた規制の強化・対応の遅延等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト・世界経済の減速懸念等に伴う投資家のリスク回避姿勢の強まり等による保有債券等の価値の下落4グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生(留意事項:コンダクトリスク、デジタライゼーション、気候変動、人権)※企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為とは、法令等に違反する行為、お客さま等のステークホルダーの視点が欠如した行為、社会規範等から逸脱した行為、当社グループの行動指針等に反する行為等(いずれも不作為によるものや業界等の慣行に基づくものを含む)をいう。 ・当社グループの経営理念等(ミッション・ビジョン・バリュー、お客さま第一の業務運営等)が当社グループの業務運営における役職員等の行動にまで浸透せず、お客さま本位や健全な競争環境等の実現ができないことによる当社グループの社会的信用の失墜・業界慣行や当社グループ内の行動目標(経営目標や営業・損害サービスに関する目標等)、社員等の評価制度(人事制度・代理店評価制度等)等に基づく行動がお客さま等の視点を欠くことによる当社グループの社会的信用の失墜・商品・サービス(事務・システムを含む)の設計がお客さま等の視点(ニーズ・適合性・利便性・わかりやすさ等)を欠くことによるお客さまの不利益の発生・グループ戦略遂行上の組織改編・業務変革・システム開発に伴う業務混乱やそれに起因する苦情の増加・国内関係法令等及び事業を営む海外現地の法令等への違反(不正競争や不当な取引制限、優越的地位の濫用を含む)、長時間労働・ハラスメント等の重大な労務問題等の発生・当社グループ(受入出向者を含む)又は外部委託先(代理店や社外出向者を含む)等における情報漏えい等の発生・生成AIの活用推進・規制変更・社会的な認識の変化等に伴う権利侵害・不適切な情報開示・関係当局等が策定するガイドライン等への抵触・評判の低下等の発生・当社グループにおける気候変動対応等のサステナビリティに関わる開示や課題への対応不備、事業活動の過程(取引先等を含む)で生じる人権等の権利侵害、それらに伴う訴訟等による評判の低下や財務的な負担・財務報告に係る内部統制の重大な不備、国際財務報告基準(IFRS)ベースの連結財務諸表の開示や経済価値ベースの資本規制の導入に向けた態勢整備の遅延・不備等による開示情報の重大な誤りの発生5サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい (留意事項:デジタライゼーション) ・デジタライゼーションの進展等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大、サイバー攻撃の巧妙化・多様化(技術進展が著しい生成AI等を利用したものを含む)、クラウドの活用やサプライチェーンの拡大に伴うサイバー攻撃による影響範囲の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生 6システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現 (留意事項:デジタライゼーション) ・デジタライゼーションの進展に伴うお客さま・代理店向けシステムにおける障害の複数同時発生、大規模自然災害の発生等に伴うシステム関連施設の罹災、資金決済インフラの停止、宇宙天気現象の影響も懸念される通信衛星・通信回線の不具合・事故等に伴う通信障害によるビジネス・サービスの停滞・休日や営業時間外に稼働するお客さま・代理店向けシステムの大規模な障害発生によるお客さま等への対応の遅れ・大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現による経営計画の未達成7新型インフルエンザ等の感染症の大流行 (留意事項:気候変動) ・地球温暖化の影響も受けた新種の感染症の大流行・影響長期化等に伴い当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生・世界的な感染拡大による保険金・給付金支払の増加や感染症の影響長期化に伴う経済活動の長期停滞等による収益の低下8保険市場の変化 (留意事項:デジタライゼーション、気候変動、少子高齢化、インフレーション) ・業界慣行の見直しや環境変化(お客さまの意識や社会的要請の変化を含む)に応じたビジネスモデル(販売チャネルを含む)・ビジネススタイルの変革が想定どおりに実行できないことによる保険市場での競争劣位・運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少等による収益構造への影響・補償・保障前後のサービス拡大に伴うアプリ・システム・IoT機器等の不具合、業務委託先・事業提携先の不正・事務ミスによる風評被害、機器等の供給制約等による販売戦略への影響・低炭素・脱炭素技術等の気候変動への対応に係る新たな保険引受、循環型社会の進展や化学物質等の健康被害・環境被害等による保険金支払の増加・少子高齢化の進展・人口減少等に伴う市場規模・構造の変化による事業ポートフォリオへの影響・外部環境変化(社会的要請の変化、企業等の建物・設備や公共インフラの老朽化、気候変動リスクやサイバーリスクといった国・地域をまたがるリスクの出現を含む)に伴うリスクの高まり・集積やインフレ(ソーシャル・インフレーションを含む)等による保険金・事業費の増加9人財を取り巻く環境の変化 (留意事項:少子高齢化、デジタライゼーション) ・人財市場・労働需給等の外的な変化やDX推進・海外事業等の戦略実行に必要なスキル・専門性の変化等による、経営戦略と人財ポートフォリオのギャップ及びその解消に向けた人財の確保・育成の不足・自律的なキャリア形成機会・柔軟で多様な働き方・人権や多様性の尊重等に対する社員の意識の変化を的確に捉えた環境整備(労働条件を含む)やハラスメント(カスタマーハラスメントを含む)に対する組織的対応の不足による社員のエンゲージメントの低下や人財の流出、採用力の低下10国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機 ・国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化(各国大統領等のグローバルリーダーの交替やグローバルサウスの台頭等に伴うものを含む)等に伴う金融市場の変動による保有資産価値の下落・各国の経済安全保障関連規制の強化等によるサプライチェーンの分断等に伴う実体経済の悪化等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト・当社グループ又は外部委託先等における経済安全保障上の問題等による当社グループの評判の低下・大国間の対立激化等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいや、サイバーセキュリティ関連法規制の強化による財務的な負担等の発生・大国間の対立激化や保護主義の台頭等に伴う規制変更や軍事的行動等による特定の国や地域での事業の制限・中断・撤退(人的被害を含む)、戦争危険等を担保する特約等の保険金支払の発生、課税強化による財務的な負担 ② グループエマージングリスク中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。 No.グループエマージングリスク1経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭2自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)3当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度・規制等の新設・改廃4社会資本(橋梁・トンネル・河川施設・港湾施設・上下水道等)の維持管理・更新の大幅な停滞・遅延、エネルギー等の大幅かつ恒常的な供給不足 ③ グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理の概要は下図のとおりです。
FY2024|7,971 文字
3【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスク管理 ① リスク管理基本方針当社グループは、持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造することを経営ビジョンに掲げ、その実現を阻害するあらゆる不確実性を「リスク」と捉え、リスク管理態勢を整備し、リスク管理を経営の最重要課題として取り組んでおります。当社グループでは、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。 ② リスク管理体制当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえて、グループ経営会議及び取締役会に報告を行う体制としております。グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスク及び各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。 さらに、2024年度より、連結子会社である三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の企業保険分野における独占禁止法に抵触すると考えられる行為及び同法の趣旨に照らして不適切な行為の発生等を踏まえ、当社グループに内在するリスクをフォワードルッキングに検知して、グループ内に展開し、自律的にリスクに対応していくため、当社及びグループ国内保険会社の役員が出席する「グループリスク対策会議」を新設しております。グループリスク対策会議には幅広い視点から助言・指導を受けるため、社外の有識者も出席します。また、グループリスク対策会議での論議事項について、必要と判断した事項は、当社の取締役会及びグループ経営会議に直接報告します。これらを通じ、リスクの検知力の強化及びリスク管理体制の強化を図ってまいります。 ③ ERMをベースにしたグループ経営ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要なリスク・収益(リターン)・資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。当社グループでは、現中期経営計画の基本戦略を支える基盤の1つとして、ERMを位置づけ、リスク・収益(リターン)・資本のバランスを取った経営資源配分により、企業価値向上に取り組んでおります。a.ERMの機能と役割ERMでは、リスクを取って収益を求める際、リスク対比の収益性(ROR※1やVA※2)の高いものや高まる取り方を考え、資本の健全性(ESR※3)を維持しつつ、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※4)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。※1 ROR(Return on Risk):後述b.(a)参照※2 VA(Value Added):後述b.(b)参照※3 ESR(Economic Solvency Ratio):経済価値ベースのソルベンシー・レシオ:後述b.(c)参照※4 修正ROE(Return on Equity):後述b.(d)参照 b.ERMで注視する指標 ※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他負債性資本等) (a) ROR (Return on Risk)とはリスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。(b) VA (Value Added)とはリスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。資本コストは、資本資産価格モデル(CAPM)により推計しています。(c) ESR(Economic Solvency Ratio)とはリスク量に対する資本の充実度を示す指標(=「時価純資産」÷「統合リスク量」)です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。(d)修正ROE(Return on Equity)とは資本に対する利益の割合で、資本の効率性を示す指標です。 ④ ERMとリスク管理当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。a.ERMサイクルERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。b.ROR向上に向けた取組み引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。c.ストレステストの実施当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗い出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。 (2) 当社グループの主要なリスク当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。① グループ重要リスクグループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、下表のように発生可能性と影響度を目安として、総合的な判断により、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として選定し、グループ重要リスク管理取組計画を策定した上で、リスク対策の実行や各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。※7 発生可能性:当面(5年以内)の発生可能性。統計的な発生頻度(確率)に加え、統計的手法で捉えきれない切迫度、予兆等を勘案し、総合的に判断。※8 影響度:「経済的損失」「ブランド力・信用力への影響」等を勘案し、総合的に判断。 2024年度は、ロシアのウクライナへの侵攻、イスラエルとハマスの衝突、台湾への関与を含む米国と中国の緊張状態、世界各地での暴動の発生等の地政学的な緊張の高まりが継続しており、保護主義の台頭等によりサプライチェーンや経済面での不安定、安全保障に関するリスクに波及する可能性があります。また、米国大統領選挙をはじめとして各国で選挙が実施されますが、上記の状況と相まって、政治的・社会的な分断が加速する懸念(生成AI等の技術進展に伴った誤報・デマの流布によって助長される可能性を含みます)、さらにはグローバルサウスの台頭に伴って国際的な分極化が進む懸念があります。これらを踏まえ、これまで各グループ重要リスクに包含していたこれらのリスク要素を括り出し、「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」としてグループ重要リスクに追加しております。また、連結子会社である三井住友海上火災保険株式会社及びあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の企業保険分野における独占禁止法に抵触すると考えられる行為及び同法の趣旨に照らして不適切な行為の発生等を踏まえ、法令違反リスクや、不作為を含むコンダクトリスク等、リスクへの感度をより一層高め、リスクを早期に検知して対応を図るためのリスク管理態勢を強化してまいります(前述(1)②参照)。この一環として、グループ重要リスク「グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生」を「グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題、人権侵害・多様性の排除、データガバナンスの不備等」及び「お客さま等のステークホルダーの視点の欠如・不徹底や社会規範等からの逸脱、当社グループの行動指針・行動基準に反する行為等(コンダクトリスク等)」の2つに分類し、それぞれについて「主な想定シナリオ」を明示することでグループ内の管理強化に繋げてまいります。さらに、下表のリスクの高まりや変化については、「主な想定シナリオ」に明示することで管理を強化しております。 なお、主な想定シナリオの策定においては「気候変動」「インフレーション」「デジタライゼーション」「少子高齢化」に留意しております。 主な領域「主な想定シナリオ」に明示する環境変化外的変化社会・資金決済インフラ(全国銀行データ通信システム等)の停止経済・インフレーションへの継続的な注視の必要性環境・循環型社会における新たな健康被害や環境被害の発生、グリーンウォッシングに関するリスク認識の高まり技術・生成AI等の技術の進展・グローバルな規制環境の変化・社会実装段階でのトラブルの発生、サイバー攻撃の巧妙化や影響範囲の拡大外的・内的変化―・保険料調整行為等の発生を踏まえた保険市場や販売チャネルの変化の可能性内的変化―・お客さま・代理店向けシステムにおける障害の複数同時発生・カスタマーハラスメントに対する組織的対応の必要性・経済価値ベースの資本規制の導入 2024年度グループ重要リスクは下表のとおりであります。これらのリスクが発現することにより、多額の保険金・給付金の支払、保有資産の価値の低下、競争環境や評判の変化等が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。当社グループでは、これらのリスクに対して、グループ重要リスク管理取組計画を策定(取締役会で決議)した上で、リスク対策の実行を通じて、リスクの軽減やコントロールを実施しております。No.グループ重要リスク(点線枠内は「主な想定シナリオ」/「留意事項」は主な想定シナリオの策定において留意する事項)1 大規模自然災害の発生 (留意事項:気候変動) ・気候変動の影響も受けた国内及び海外の大規模な風水災・森林火災・雪雹災・干ばつや地震・噴火等の発生による保険金支払の増加・大規模自然災害の発生等に伴う出再保険料の高騰や再保険会社の引受キャパシティの減少等により、方針どおりのリスクコントロールが困難になる事態の発生・大規模自然災害の発生により当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生2金融マーケットの大幅な変動 (留意事項:インフレーション) ・世界的な景気・経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落・物価動向を踏まえた各国の金融政策の変更や財政規律の欠如に伴う各国の国債の格下げ等に伴う 金利・為替の変動による資本余力の低下3信用リスクの大幅な増加 (留意事項:気候変動) ・実体経済の悪化や脱炭素社会への移行に向けた規制の強化・対応の遅延等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト・世界経済の減速懸念等に伴う投資家のリスク回避姿勢の強まり等による保有債券等の価値の下落4グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生(留意事項:デジタライゼーション、気候変動) ①グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題、人権侵害・多様性の排除、データガバナンスの不備等 ・国内関係法令等及び事業を営む海外現地の法令等への違反(不当な取引制限や優越的地位の濫用を含む)、長時間労働・ハラスメント等の重大な労務問題等の発生・当社グループ又は外部委託先等における人権・知的財産権等の侵害や情報漏えい等の発生・生成AIの活用推進・規制変更・社会的な認識の変化等に伴う権利侵害・不適切な情報開示・関係当局等が策定するガイドライン等への抵触・評判の低下等の発生・国際財務報告基準(IFRS)ベースの連結財務諸表の開示や経済価値ベースの資本規制の導入に向けた態勢整備の遅延・不備等による開示情報の重大な誤りの発生②お客さま等のステークホルダーの視点の欠如・不徹底や社会規範等からの逸脱、当社グループの行動指針・行動基準に反する行為等(コンダクトリスク等) ※不作為によるものを含む ・業界慣行等に基づく行動がお客さま等の視点を欠くこと等による当社グループの社会的信用の失墜・グループ戦略遂行上の組織改編・業務変革・システム開発に伴う業務混乱やそれに起因する苦情の増加・リモートワーク等に伴う社内コミュニケーション不足等による業務品質や効率の低下・当社グループにおける気候変動対応等のサステナビリティに関わる開示や課題への対応不備やそれに伴う訴訟等による評判の低下や財務的な負担5サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい (留意事項:デジタライゼーション) ・デジタライゼーションの進展等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大、サイバー攻撃の巧妙化・多様化(技術進展が著しい生成AI等を利用したものを含む)、クラウドの活用やサプライチェーンの拡大に伴うサイバー攻撃による影響範囲の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生 6システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現 (留意事項:デジタライゼーション) ・デジタライゼーションの進展に伴うお客さま・代理店向けシステムにおける障害の複数同時発生、大規模自然災害の発生等に伴うシステム関連施設の罹災、資金決済インフラの停止、宇宙天気現象の影響も懸念される通信衛星・通信回線の不具合・事故等に伴う通信障害によるビジネス・サービスの停滞・休日や営業時間外に稼働するお客さま・代理店向けシステムの大規模な障害発生によるお客さま等への対応の遅れ・大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現による経営計画の未達成7新型インフルエンザ等の感染症の大流行 (留意事項:気候変動) ・地球温暖化の影響も受けた新種の感染症の大流行・影響長期化等に伴い当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生・世界的な感染拡大による保険金・給付金支払の増加や感染症の影響長期化に伴う経済活動の長期停滞等による収益の低下8保険市場の変化 (留意事項:デジタライゼーション、気候変動、少子高齢化、インフレーション) ・デジタルプラットフォーマーの台頭、消費者意識の変化、社会的要請への対応等によるビジネスモデル・販売チャネルの大きな変革、運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少等による収益構造への影響・補償・保障前後のサービス拡大に伴うアプリ・システム・IoT機器等の不具合、業務委託先・事業提携先の不正・事務ミスによる風評被害、機器等の供給制約等による販売戦略への影響・低炭素・脱炭素技術等の気候変動への対応に係る新たな保険引受、循環型社会の進展や化学物質等の健康被害・環境被害等による保険金支払の増加・少子高齢化の進展・人口減少等に伴う市場規模・構造の変化による事業ポートフォリオへの影響・外部環境変化(社会的要請の変化、企業等の建物・設備の老朽化、気候変動リスクやサイバーリスクといった国・地域をまたがるリスクの出現を含む)に伴うリスクの高まり・集積やインフレ(ソーシャル・インフレーションを含む)等による保険金・事業費の増加9人財を取り巻く環境の変化 (留意事項:少子高齢化、デジタライゼーション) ・人財市場・労働需給等の外的な変化やDX推進等の戦略実行に必要なスキル・専門性の変化等による、経営戦略と人財ポートフォリオのギャップ及びその解消に向けた人財の確保・育成の不足・自律的なキャリア形成機会・柔軟で多様な働き方・多様性の尊重等に対する社員の意識の変化を的確に捉えた環境整備やハラスメント(カスタマーハラスメントを含む)に対する組織的対応の不足による社員のエンゲージメントの低下や人財の流出10国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機 ・国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化(各国大統領等のグローバルリーダーの交替やグローバルサウスの台頭等に伴うものを含む)等に伴う経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落・各国の経済安全保障関連規制の強化等によるサプライチェーンの分断等に伴う実体経済の悪化等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト・当社グループ又は外部委託先等における経済安全保障上の問題等による当社グループの評判の低下・大国間の対立激化等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大等による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生・大国間の対立激化や保護主義の台頭等に伴う規制変更や軍事的行動等による特定の国や地域での事業の制限・中断・撤退、戦争危険等を担保する特約等の保険金支払の発生 ② グループエマージングリスク中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。2024年度は国家内の政治的・経済的・社会的な緊張の高まりを想定していたエマージングリスク「国家統治・政治の大きな混乱・機能不全、安全保障の崩壊」について、大統領選挙を巡る米国内の状況等のリスクの高まりを踏まえ、新設するグループ重要リスク「国家間・他国内等での対立激化や政治・経済・社会的な分断・分極化、安全保障の危機」に包含(グループ重要リスクに移行)しております。 No.グループエマージングリスク1経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭2自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)3当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度・規制等の新設・改廃4社会資本(橋梁・トンネル・河川施設・港湾施設・下水道等)の維持管理・更新の大幅な停滞・遅延、エネルギー等の大幅かつ恒常的な供給不足 ③ グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理概要は下図のとおりです。
FY2023|6,634 文字
3【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスク管理① リスク管理基本方針当社グループは、持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造することを経営ビジョンに掲げ、その実現を阻害するあらゆる不確実性を「リスク」と捉え、リスク管理態勢を整備し、リスク管理を経営の最重要課題として取り組んでおります。当社グループでは、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。② リスク管理体制当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえて、グループ経営会議および取締役会に報告を行う体制としております。グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスクおよび各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。 ③ ERMをベースにしたグループ経営ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要なリスク・収益(リターン)・資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。当社グループでは、現中期経営計画の基本戦略を支える基盤の1つとして、ERMを位置づけ、リスク・収益(リターン)・資本のバランスを取った経営資源配分により、企業価値向上に取り組んでおります。a.ERMの機能と役割ERMでは、リスクを取って収益を求める際、リスク対比の収益性(ROR※1やVA※2)の高いものや高まる取り方を考え、資本の健全性(ESR※3)を維持しつつ、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※4)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。※1 ROR(Return on Risk):後述b.(a)参照※2 VA(Value Added):後述b.(b)参照※3 ESR(Economic Solvency Ratio:経済価値ベースのソルベンシー・レシオ:後述b.(c)参照※4 修正ROE(Return on Equity):後述b.(d)参照 b.ERMで注視する指標 ※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他負債性資本等) (a) ROR (Return on Risk)とはリスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。(b) VA (Value Added)とはリスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。資本コストは、資本資産価格モデル(CAPM)により推計しています。(c) ESR(Economic Solvency Ratio)とはリスク量に対する資本の充実度を示す指標(=「時価純資産」÷「統合リスク量」)です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。(d)修正ROE(Return on Equity)とは資本に対する利益の割合で、資本の効率性を示す指標です。 ④ ERMとリスク管理当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。a.ERMサイクルERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。b.ROR向上に向けた取組み引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。c.ストレステストの実施当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗い出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。 (2) 当社グループの主要なリスク当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。① グループ重要リスクグループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、下表のように発生可能性と影響度を目安として、総合的な判断により、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として選定し、グループ重要リスク管理取組計画を策定した上で、リスク対策の実行や各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。※7 発生可能性:当面(5年以内)の発生可能性。統計的な発生頻度(確率)に加え、統計的手法で捉えきれない切迫度、予兆等を勘案し、総合的に判断。※8 影響度:「経済的損失」「ブランド力・信用力への影響」等を勘案し、総合的に判断。 2023年度は人的資本・多様性に関する開示の義務化等の競争優位の源泉としての人財に対する認識の高まりや、労働需給の変化(人手不足)、DX推進等のグループ戦略の実行に求められる専門性やスキルの変化、社員の意識や価値観の多様化等を踏まえ、「人財を取り巻く環境の変化」をグループ重要リスクに追加しております。また、下表のリスクの高まりや変化については、すでにグループ重要リスクに包含して管理しておりますが、「主な想定シナリオ」に明示することで管理を強化しております。なお、主な想定シナリオの策定においては「デジタライゼーションの急速な進展」「気候変動」「少子高齢化の進展」「新型コロナウイルスの影響長期化」「国家間等対立の激化・経済安全保障の強化」に留意しております。 主な領域「主な想定シナリオ」に明示する環境変化外的変化環境(a)セカンダリーペリル(国内における雹災など従来影響が小さかった事象)を含む大規模災害の発生(b)大規模自然災害の発生等に伴う再保険市場のハード化・キャパシティ減少経済(c)世界的な景気減速への懸念、グローバルな経済圏の分断への懸念(d)物価変動やそれに伴う各国の金融政策の変更、財政規律への懸念社会(e)デジタライゼーション・衛星通信技術の進展や極端な宇宙天気現象(太陽フレア爆発等)の発生等に伴う大規模通信障害への懸念(f)脱炭素社会への移行や社会的要請の変化等による保険引受リスクの変化内的変化―(g)グループ戦略(1プラットフォーム戦略や大規模システム開発等)の進捗(h)IFRS導入に向けた準備の進捗(i)リモートワークの常態化 2023年度グループ重要リスクは下表のとおりであります。これらのリスクが発現することにより、多額の保険金・給付金の支払、保有資産の価値の低下、競争環境や評判の変化等が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。当社グループでは、これらのリスクに対して、グループ重要リスク管理取組計画を策定(取締役会で決議)した上で、リスク対策の実行を通じて、リスクの軽減やコントロールを実施しております。 No.グループ重要リスク(点線枠内は「主な想定シナリオ」)1 大規模自然災害の発生 (留意事項:気候変動) ・気候変動の影響も受けた国内及び海外の大規模な風水災・森林火災・雪雹災・干ばつや地震・噴火等の発生による保険金支払の増加・大規模自然災害の発生等に伴う出再保険料の高騰や再保険会社の引受キャパシティの減少等により、方針どおりのリスクコントロールが困難になる事態の発生・大規模自然災害の発生により当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生2金融マーケットの大幅な変動 (留意事項:国家間等対立) ・大国間対立激化やグローバルな経済圏の分断等に伴う経済活動の停滞懸念による株式等の保有資産価値の下落・物価動向を踏まえた各国の金融政策の変更等に伴う金利・為替の変動による資本余力の低下3信用リスクの大幅な増加 (留意事項:国家間等対立、気候変動) ・各国の経済安全保障関連規制の強化等によるサプライチェーンの分断等に伴う実体経済の悪化や脱炭素社会への移行に向けた規制の強化・対応の遅延等による投融資先企業の業績悪化やデフォルト・財政規律の欠如に伴う各国の国債の格下げや信用力の低下、世界経済の減速懸念等に伴う投資家のリスク回避姿勢の強まり等による保有債券等の価値の下落4グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為※9の発生(留意事項:デジタライゼーション、気候変動、国家間等対立) ・グループ戦略遂行上の組織改編・業務変革・システム開発に伴う業務混乱や苦情の増加・国際財務報告基準(IFRS)に基づく連結財務諸表の開示に向けた態勢整備の不足・遅延等による開示情報の重大な誤りの発生、若しくは、従来の経営管理指標からの移行・併用にあたっての投資家の否定的な反応・リモートワークの進展に伴う社内コミュニ―ケーション不足等による業務品質や効率の低下・当社グループにおける気候変動対応等のサステナビリティに関わる課題への対応不備やそれに伴う訴訟等による評判の低下や財務的な負担・当社グループ又は外部委託先等における人権や知的財産権の侵害・経済安全保障上の問題等による当社グループの評判の低下5サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生(留意事項:デジタライゼーション、国家間等対立) ・巧妙化・多様化したサイバー攻撃による当社グループ及び外部委託先等における業務の停滞・情報漏えいの発生・デジタライゼーションの進展や大国間の対立激化等に伴う世界的なサイバー攻撃被害の拡大等による保険金支払の増加6システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システム開発の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現 (留意事項:デジタライゼーション、国家間等対立) ・デジタライゼーションの進展に伴い影響が増大したシステム障害の発生、大規模自然災害の発生等に伴うシステム関連施設の罹災、宇宙天気現象の影響も懸念される通信衛星・通信回線の不具合・事故等に伴う通信障害によるビジネス・サービスの停滞・休日や営業時間外に稼働するお客さま・代理店向けシステムの大規模な障害発生によるお客さま等への対応の遅れ・各国の経済安全保障関連規制の強化等から外部委託先等を変更することによるシステム開発の遅延やサービスの劣化 No.グループ重要リスク(点線枠内は「主な想定シナリオ」)7新型インフルエンザ等の感染症の大流行 (留意事項:気候変動、新型コロナウイルス) ・地球温暖化の影響も受けた新種の感染症の大流行・影響長期化、新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大等に伴い当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生・世界的な感染拡大による保険金・給付金支払の増加や感染症の影響長期化に伴う経済活動の長期停滞等による収益の低下8保険市場の変化 (留意事項:デジタライゼーション、気候変動、少子高齢化、国家間等対立) ・デジタルプラットフォーマーの台頭や消費者意識の変化等によるビジネスモデルの大きな変革、運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少等による収益構造への影響・補償・保障前後のサービス拡大に伴うアプリ・システム・IoT機器等の不具合、業務委託先・事業提携先の不正・事務ミスによる風評被害、機器等の供給制約等による販売戦略への影響・低炭素・脱炭素技術等の気候変動への対応に係る新たな保険引受による保険金支払の増加・少子高齢化の進展・人口減少等に伴う市場規模・構造の変化による事業ポートフォリオへの影響・大国間の対立激化に伴う規制変更や軍事的行動等による特定の国や地域での事業の制限・中断・撤退・外部環境変化(社会的要請の変化、企業等の建物・設備の老朽化、気候変動リスクやサイバーリスクといった国・地域をまたがるリスクの出現を含む)に伴うリスクの高まり・集積やインフレ等による保険金・事業費の増加9人財を取り巻く環境の変化 (留意事項:少子高齢化、デジタライゼーション) ・人財市場・労働需給等の外的な変化やDX推進等の戦略実行に必要なスキル・専門性の変化等による、経営戦略と人財ポートフォリオのギャップ及びその解消に向けた人財の確保・育成の不足・自律的なキャリア形成機会・柔軟で多様な働き方・多様性の尊重等に対する社員の意識の変化を的確に捉えた環境整備の不足による社員のエンゲージメントの低下や人財の流出 ※9 企業価値の著しい毀損・社会的信用の失墜につながる行為とは、グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題(長時間労働・ハラスメント等)、人権侵害・多様性の排除、データガバナンスの不備等に加え、社会規範等からの逸脱(不作為によるものを含む)や顧客本位の視点の欠如・不徹底等(コンダクトリスク)に起因するものをいいます。 ② グループエマージングリスク中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。2023年度は「労働需給の大きな変化」を「人財を取り巻く環境の変化」としてグループ重要リスクへ移行するとともに、今後20年で建設後50年以上を経過する社会インフラの割合が加速度的に高まること、および脱炭素対応や地政学的リスクによる供給制約等を踏まえたエネルギー供給の不確実性の高まり等を踏まえ、「社会資本(橋梁・トンネル・河川施設・港湾施設・下水道等)の維持管理・更新の大幅な停滞・遅延、エネルギー等の大幅かつ恒常的な供給不足」を追加しております。 グループエマージングリスク1経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭2自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)3当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度・規制等の新設・改廃4社会資本(橋梁・トンネル・河川施設・港湾施設・下水道等)の維持管理・更新の大幅な停滞・遅延、エネルギー等の大幅かつ恒常的な供給不足5国家統治・政治の大きな混乱・機能不全、安全保障の崩壊 ③ グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理の概要は下図のとおりです。
FY2022|8,863 文字
2【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスク管理① リスク管理基本方針当社グループは、持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループを創造することを経営ビジョンに掲げ、その実現を阻害するあらゆる不確実性を「リスク」と捉え、リスク管理態勢を整備し、リスク管理を経営の最重要課題として取り組んでおります。当社グループでは、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。② リスク管理体制当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえて、グループ経営会議及び取締役会に報告を行う体制としております。グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスク及び各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。 ③ ERMをベースにしたグループ経営ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要なリスク・収益(リターン)・資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。当社グループでは、中期経営計画の基本戦略を支える基盤の1つとして、ERMを位置づけ、リスク・収益(リターン)・資本のバランスを取った経営資源配分により、企業価値向上に取り組んでおります。a.ERMの機能と役割ERMでは、リスクを取って収益を求める際、リスク対比の収益性(ROR※1やVA※2)の高いものや高まる取り方を考え、資本の健全性(ESR※3)を維持しつつ、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※4)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。 ※1 ROR(Return on Risk):後述b.(a)参照※2 VA(Value Added):後述b.(b)参照※3 ESR(Economic Solvency Retio):経済価値ベースのソルベンシー・レシオ:後述b.(c)参照※4 グループ修正ROE(Return on Equity):後述b.(d)参照 b.ERMで注視する指標※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)。※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他資本性負債等)(a)ROR(Return on Risk)とはリスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。(b)VA(Value Added)とはリスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。資本コストは、資本資産価格モデル(CAPM)により推計しております。(c)ESR(Economic Solvency Ratio)とはリスク量に対する資本の充実度を示す指標(=「時価純資産」÷「統合リスク量」)です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。(d)グループ修正ROE(Return on Equity)とは資本に対する利益の割合で、資本の効率性を示す指標です。 ④ ERMとリスク管理当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。a.ERMサイクルERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。b.ROR向上に向けた取組み引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。c.ストレステストの実施当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗い出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。(2) 当社グループの主要なリスク当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。① グループ重要リスクグループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、下表のように発生可能性と影響度を目安として、総合的な判断により、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として選定し、グループ重要リスク管理取組計画を策定した上で、リスク対策の実行や各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。※7 発生可能性:当面(5年以内)の発生可能性。統計的な発生頻度(確率)に加え、統計的手法で捉えきれない切迫度、予兆等を勘案し、総合的に判断。※8 影響度:「経済的損失」「ブランド力・信用力への影響」等を勘案し、総合的に判断。 2022年度は地政学リスクの高まり等の状況を踏まえて、グループエマージングリスクから、「国家間等対立の激化・経済安全保障の強化」をグループ重要リスクに移行し、追加しております。また、下表の環境変化については、すでにグループ重要リスクに包含して管理しておりますが、「主な想定シナリオ」に明示することで管理を強化しております。 主な領域「主な想定シナリオ」に明示する環境変化外的変化社会①サステナビリティ課題などの社会的要請の変化②人権や多様性に対する意識の高まり③上記及びデジタライゼーションの進展等による消費者意識の変化経済④供給制約等によるインフレの懸念⑤各国の金融政策の変更環境⑥世界の複数の地域・ペリルでの海外自然災害の発生⑦気候変動に伴う訴訟リスクの高まり内的変化―⑧補償・保障前後のサービス提供の増加とそれに伴うリスクの発現⑨デジタルトランスフォーメーション推進に伴うお客さま・代理店向けシステムの増加⑩IFRS導入が想定されている時期の到来 2022年度グループ重要リスクは下表のNo.1~8及びA~Eのとおりであります。A~EはいずれもNo.1~8のグループ重要リスクの多くにまたがり影響を与えるリスク事象であります。そのため、A~Eについては下表のとおり、No.1~8との対応関係を明確にしております。また、この対応関係を踏まえて、具体的なリスク事象を示すため、「主な想定シナリオ」を明示しております。これらのリスクが発現することにより、多額の保険金・給付金の支払・保有資産の価値の低下、競争環境や評判の変化等が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。当社グループでは、これらのリスクに対して、グループ重要リスク管理取組計画を策定(取締役会で決議)した上で、リスク対策の実行を通じて、リスクの軽減やリスクコントロールを実施しております。 No.グループ重要リスク(点線枠内は「主な想定シナリオ」)対応関係(◎:大~△:小)ABCDEデジタライゼーションの急速な進展※17気候変動※18少子高齢化の進展※19新型コロナウイルスの影響長期化※20国家間等対立の激化・経済安全保障の強化※211大規模自然災害の発生※9 ◎ ・国内及び海外の大規模な風水災・地震等の発生・気候変動の影響も受けた大規模自然災害の発生確率・規模等の変化・大規模自然災害の発生によりグループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生2金融マーケットの大幅な変動※10 △ ◎○ ・新型コロナウイルスの影響長期化や大国間対立激化等に伴う経済活動の停滞の懸念による株式等の保有資産価値の下落・インフレ懸念に伴う金融市場の変動、各国の金融政策の変更等に伴う金利上昇3信用リスクの大幅な増加※11 ○ ◎○ ・信用市場の混乱による資産価値の急落・新型コロナウイルスの影響長期化・実体経済の悪化によるデフォルトの多発・企業の気候変動への対応に伴う「移行リスク」の顕在化(環境関連の政策・規制の強化、脱炭素技術の進展、商品・サービスの需要の変化、訴訟の増加、社会・消費者による評価の低下等)による当社グループの保有資産の価値下落・大国間の制裁強化や各国の経済安全保障関連規制の強化等により、サプライチェーンが分断されることなどによる投融資先企業の業績悪化4グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生※12○○△○○ ・当社グループにおける気候変動対応等のサステナビリティに関わる課題への対応不備やそれに伴う訴訟等による評判の低下や財務的な負担・リモートワークの進展に伴う不祥事の増加・国際財務報告基準(IFRS)に基づく連結財務諸表の開示に向けた準備遅延・対応不備等による開示情報の重大な誤謬の発生、若しくは、IFRSベースの新たな経営管理・指標に対する投資家の否定的な反応・当社グループ又は外部委託先等における人権や知的財産権の侵害・経済安全保障上の問題等による当社グループの評判の低下5サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生※13◎ ○○ ・当社グループ及び外部委託先等に対するサイバー攻撃による業務の停滞・情報漏えいの発生・サイバー攻撃の巧妙化・多様化等による保険金支払の増加・在宅勤務・デジタライゼーション等の進展や大国間の対立激化等に伴うサイバー攻撃による世界的な被害の拡大6システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システムの開発計画の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現※14◎○ ○○ ・在宅勤務・デジタライゼーションの進展により影響が増大したシステム障害の発生・大規模自然災害の発生等によりシステム関連施設が罹災することによるビジネス・サービスの停滞・休日や営業時間外に稼働するお客さま・代理店向けシステムの大規模な障害発生によるお客さま等への対応の遅れ・各国の経済安全保障関連規制の強化等から外部委託先等を変更することによるシステム開発の遅延やサービスの劣化 No.グループ重要リスク(点線枠内は「主な想定シナリオ」)対応関係(◎:大~△:小)ABCDEデジタライゼーションの急速な進展※17気候変動※18少子高齢化の進展※19新型コロナウイルスの影響長期化※20国家間等対立の激化・経済安全保障の強化※217新型インフルエンザ等の感染症の大流行※15 ○△○ ・世界的な感染拡大・長期化に伴う経済活動の縮小・保険金・給付金支払の増加・地球温暖化や気候の変化に起因する感染地域の拡大、新種の感染症の発生・大流行・感染症の大流行によりグループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態の発生8保険市場の変化※16○△○○○ ・デジタルプラットフォーマーの台頭等によるビジネスモデルの大きな変革(ビルトイン型保険、AI技術を活用した保険料率計算の効率化など)や消費者意識の変化・運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少に伴う自動車保険市場の変化・補償・保障前後のサービス拡大に伴うアプリ・システム・IoT機器等の不具合、業務委託先・事業提携先の不正・事務ミスによる風評被害、機器等のサプライチェーンにおける供給制約や知的財産権侵害等による販売戦略への影響・気候変動への対応、新型コロナウイルスの影響長期化、少子高齢化の進展・人口減少等による市場規模・構造の変化、物価変動(主にインフレ)に伴う保険金・事業費への影響・大国間の対立激化に伴う輸出制限・サプライチェーンの分断・規制変更・暴動・軍事的行動等による事業の中断・制限、渡航や資金移動の制限 ※9 台風や地震等の自然災害による損害は時に巨額になることがあり、保険金の支払いが多額に及ぶ可能性があります。また、自然災害による支払保険金の増加等により、当社グループの資金繰りが悪化し、資金の確保に通常よりも著しく不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があります。さらに、大規模自然災害の発生により当社グループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態が発生する可能性があります。これらにより、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。※10 当社グループは、有価証券や貸付金、不動産等の様々な運用資産(オフバランス資産を含む)を保有しておりますが、経済環境や金融市場の悪化等により資産又は負債の価値が変化することで当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスク(主に株価下落リスク、金利変動リスク、為替変動リスク)があります。※11 保有している株式や社債、貸付金等の資産や、販売している信用・保証保険契約等については、株式・社債の発行者若しくは貸付先等の信用力の低下・破綻又は信用市場の混乱によって、資産価値の減少や元本・利息の回収不能等が生じる可能性があります。また、再保険会社の破綻等により再保険金の回収ができなくなる可能性があります。これらにより、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。※12 企業価値の著しい毀損・社会的信用の失墜につながる行為とは、グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題(長時間労働・ハラスメント等)、人権侵害・多様性の排除、データガバナンスの不備等に加え、社会規範等からの逸脱(不作為によるものを含む)や顧客本位の視点の欠如・不徹底等(コンダクトリスク)に起因するものをいいます。このような行為の発生により、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。※13 サイバー攻撃による不正アクセス等により、大規模な情報システムの停止・誤作動・不正使用、情報漏えいが発生する可能性があります。また、サイバーリスクを補償する保険契約の引受により、保険金支払が発生する可能性があります。これらにより、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。※14 大規模システム開発等において、予期せぬ事故等により開発作業の進捗遅延や開発予算の超過等が発生する可能性があります。また、大規模自然災害の発生等によりシステム関連施設が罹災することにより当社グループのビジネス・サービスが停滞する可能性があります。これらにより、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。 ※15 新型インフルエンザ等の感染症の大流行により、当社グループの事業継続が阻害されたり、想定を超える影響を受ける可能性があります。また、新規契約の提案のためのお客さま提案活動が抑制されること、企業の事業活動・物流量が減少することなどから保険料収入が減少する可能性があります。さらに、新型インフルエンザ等の感染症に関わるリスクを補償する保険契約の引受により保険金支払が発生する可能性があります。これらにより、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。※16 デジタルプラットフォーマーの台頭や自動車運転支援・自動運転技術の進展、消費者意識の変化等のビジネス環境の変化により、当社グループを取り巻く事業環境・競争環境が変化する、又は、市場規模・構造が変化する可能性があります。これらにより、当社グループの業績や財務状況に影響が生じるリスクがあります。※17 デジタライゼーションの急速な進展により、「保険市場の変化(上表No.8)」が生じる可能性があります。また、サイバー攻撃が巧妙化・多様化し、「サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生(上表No.5)」が生じる可能性があります。さらに、デジタライゼーションの進展に伴い、「システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システムの開発計画の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現(上表No.6)」が生じるリスクが高まる可能性があります。その他のグループ重要リスクとの関係は上表を参照してください。※18 気候変動により、「大規模自然災害の発生(上表No.1)」の確率・規模等の変化が生じる可能性があります。また、脱炭素社会への移行の過程で、環境関連の政策・規制の強化等により、投融資先企業の業績等が悪化し、「信用リスクの大幅な増加(上表No.3)」等が生じる可能性や当社グループにおける気候変動対応に関わる課題への対応不備やそれに伴う訴訟等が、「グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生(上表No.4)」の原因となる可能性があります。さらに、地球温暖化や気候の変化等が、「新型インフルエンザ等の感染症の大流行(上表No.7)」につながる可能性があります。その他のグループ重要リスクとの関係は上表を参照してください。※19 少子高齢化の進展により、市場規模・構造の変化といった「保険市場の変化(上表No.8)」が生じる可能性があります。その他のグループ重要リスクとの関係は上表を参照してください。※20 新型コロナウイルスの影響長期化により、経済活動の停滞や市場規模・構造の変化等が生じ、「金融マーケットの大幅な変動(上表No.2)」「信用リスクの大幅な増加(上表No.3)」「保険市場の変化(上表No.8)」が生じる可能性があります。また、リモートワークの進展が、「サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生(上表No.5)」や「システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システムの開発計画の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現(上表No.6)」の誘因となる可能性があります。その他のグループ重要リスクとの関係は上表を参照してください。※21 国家間等対立の激化・経済安全保障の強化により、制裁・規制の強化、経済活動の停滞、サプライチェーンの分断、暴動・軍事的行為等が生じ、「金融マーケットの大幅な変動(上表No.2)」「信用リスクの大幅な増加(上表No.3)」「保険市場の変化(上表No.8)」が生じる可能性があります。また、サイバー攻撃が活発化し、「サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生(上表No.5)」が生じる可能性があります。さらに、経済安全保障に関する当社グループの対応が遅れる場合等には、「システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システムの開発計画の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現(上表No.6)」「グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生(上表No.4)」につながる可能性があります。 ② グループエマージングリスク中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。2022年度は「国家間等対立の激化・経済安全保障の強化」をグループ重要リスクへ移行したことに伴う見直しを行うとともに、自然資本の保全に対する意識の高まりを踏まえ、2021年度までの「資源の枯渇」や「環境災害」に「生態系の劣化・危機」を加え、「自然資本の毀損」として統合・拡張しております。 グループエマージングリスク1経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭2自然資本の毀損(資源の枯渇、生態系の劣化・危機、環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)3当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度・規制等の新設・改廃4労働需給の大きな変化5国家統治・政治の大きな混乱・機能不全・崩壊、安全保障の危機 ③ グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理の概要は下図のとおりです。2022年度はモニタリング結果等を踏まえ、「国家間等対立の激化・経済安全保障の強化」を経営が管理すべきリスク事象として認識し、グループエマージングリスクから、グループ重要リスクに移行しております。
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2【事業等のリスク】 (1)当社グループのリスク管理① リスク管理基本方針当社では、リスク管理を経営の最重要課題と位置づけ、「MS&ADインシュアランスグループリスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。「MS&ADインシュアランスグループリスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。② リスク管理体制当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえてグループ経営会議、及び取締役会に報告を行う体制としております。グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスク及び各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。 ③ ERMをベースにしたグループ経営ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要な収益(リターン)、リスク、資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。当社グループでは、中期経営計画「Vision 2021」において、ERMサイクルをグループ経営のベースにおき、健全性の確保を前提に、収益力と資本効率の向上のための取組みを強化しております。 a.ERMの機能と役割ERMでは、リスクを取って収益を求める際、ROR(後述b.(b))やVA※1の高いものや高まる取り方を考え、資本の健全性(ESR※2)を維持しつつ、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※3)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。 ※1 VA(Value Added):リスクを引き受けることによって、どれだけの価値が得られるか示す指標。※2 ESR(Economic Solvency Ratio):(経済価値ベースのソルベンシー・レシオ)=「時価純資産」÷「統合リスク量」※3 グループ修正ROE:グループ修正利益÷[修正純資産(連結純資産+異常危険準備金等-のれん・その他無形固定資産)の期初・期末平均]※4 資本コスト:資本資産価格モデル(CAPM)により推計。b.ERMで注視する指標※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)。※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他資本性負債等)(a)ESR(Economic Solvency Ratio)とはリスク量に対する資本の充実度を示す指標です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。(b)ROR(Return on Risk)とはリスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。(c)VA(Value Added)とはリスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。 ④ ERMとリスク管理当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。 a.ERMサイクルERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。b.ROR向上に向けた取組み引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。c.ストレステストの実施当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。(2)当社グループの主要なリスク当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。① グループ重要リスクグループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として捉え、管理取組計画の策定を行い、各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。なお、2021年度は、現在の状況を精査した結果、以下のリスク事象については、グループ重要リスクに追加して、経営による管理と関連部門による取組みを強化しております。・デジタライゼーションの急速な進展※7・気候変動※7・少子高齢化の進展※7・新型コロナウイルスの影響長期化これらのリスク事象はいずれもグループ重要リスクの多くにまたがり影響を与えるものであるため、下表のとおり、グループ重要リスクのそれぞれの「主な想定シナリオ」に具体的なリスク事象として含めております。※7 前事業年度の有価証券報告書にはグループエマージングリスクとして記載しておりました。 グループ重要リスク 主な想定シナリオ1大規模自然災害の発生 ・国内風水災・地震、米国風水災の発生・気候変動の影響も受けた大規模自然災害の発生確率・規模等の変化・大規模自然災害の発生によりグループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態2金融マーケットの大幅な変動 ・新型コロナウイルスの影響長期化・経済活動の停滞の懸念による株価の急落・各国の大規模な金融緩和により上昇した資産価値の剥落3信用リスクの大幅な増加 ・信用市場の混乱による資産価値の急落・新型コロナウイルスの影響長期化・実体経済の悪化によるデフォルトの多発・企業の気候変動への対応に伴う「移行リスク」の顕在化(環境関連の政策・規制の強化、脱炭素技術の進展、商品・サービスの需要の変化、訴訟の増加、社会・消費者による評価の低下等)による当社グループの保有資産の価値下落4グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生(注)企業価値の著しい毀損・社会的信用の失墜につながる行為とは、グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題(長時間労働・ハラスメント等)、データガバナンスの不備等に加え、顧客本位の視点の欠如・不徹底等(コンダクトリスク)に起因するものをいいます。 ・上記の(注)に記載する行為の発生・当社グループにおける気候変動対応への遅れ、公表内容と活動の隔たり等による評判の低下・リモートワークの進展に伴う不祥事の増加5サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生 ・当社グループに対するサイバー攻撃による業務の停滞・情報漏えいの発生・サイバー攻撃に起因する保険金支払の増加・サイバー攻撃の巧妙化や在宅勤務・デジタライゼーション等の進展に伴う被害の拡大6システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システムの開発計画の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現 ・在宅勤務・デジタライゼーションの進展による影響が増大したシステム障害の発生・システム開発の遅延や開発予算の超過・大規模自然災害の発生等によりシステム関連施設が罹災することによる業務の停滞 グループ重要リスク 主な想定シナリオ7新型インフルエンザ等の感染症の大流行 ・世界的な感染拡大に伴う経済活動の縮小・保険金・給付金支払の増加・地球温暖化や気候の変化に起因する感染地域の拡大、新種の感染症の発生・大流行・感染症の大流行によりグループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態8保険市場の変化 ・デジタルプラットフォーマーの台頭等によるビジネスモデルの大きな変革、運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少に伴う自動車保険市場の変化・気候変動対応の技術革新・新型コロナウイルスの影響長期化による特定業種の市場規模の大幅な変化・少子高齢化の進展・人口減少による保険市場の変化 ② グループエマージングリスク中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。 グループエマージングリスク1経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭2資源の枯渇3環境災害(環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故)4当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度の新設・改廃5国内労働需給の大きな変化6国家統治・政治の大きな混乱、機能不全、崩壊、国家間紛争、日本の安全保障の危機 <グループ重要リスクとグループエマージングリスクの管理 概要図>
FY2020|4,995 文字
2【事業等のリスク】 (1) 当社グループのリスク管理① リスク管理基本方針 当社では、リスク管理を経営の最重要課題と位置づけ、「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。「MS&ADインシュアランス グループ リスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。 ② リスク管理体制 当社では、取締役会の課題別委員会として、リスク管理に係るモニタリングと協議・調整を行うリスク管理委員会を設置し、重要事項についてはリスク管理委員会の協議を踏まえてグループ経営会議、および取締役会に報告を行う体制としております。 グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスクおよび各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、リスク管理委員会へその結果を報告しております。③ ERMをベースにしたグループ経営 ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要な収益(リターン)、リスク、資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。MS&ADインシュアランス グループでは、ERMを前中期経営計画「Next Challenge 2017」の推進ドライバーに捉えて、グループ経営の基盤として確立させております。現中期経営計画「Vision 2021」においても、ERMサイクルをグループ経営のベースにおき、健全性の確保を前提に、収益力と資本効率の向上のための取組みを強化しております。a. ERMの機能と役割ERMでは、リスクを取って収益を求める際、ROR(後述b.(b))の高いものや高まる取り方を考え、資本の健全性(ESR※1)を維持しつつ、目標とする資本効率性(ROE)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。※1 ESR:エコノミック・ソルベンシー・レシオ(経済価値ベースのソルベンシー・レシオ)=「時価純資産」÷「統合リスク量」 b. ERMで注視する指標※2 グループ修正ROE=グループ修正利益÷[修正純資産(連結純資産÷異常危険準備金等-のれん・その他無形固定資産)の期初・期末平均]※3 グループ修正ROEを算出する修正純資産とは、連結純資産に、異常危険準備金等を加え、のれん・その他無形固定資産を除いたものの期初・期末平均。※4 統合リスク量は、200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額。時価で評価している。※5 時価純資産とは、経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標で、修正純資産に保険負債の含み損益、その他資本性負債等を加えたもの。 (a) ESR(Economic Solvency Ratio)とは リスク量に対する資本の充実度を示す指標です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。また、当社グループでは、予想最大損失の再現期間として200年を用いております(つまり、200年のうち199年はその額を超えないという意味です)。(b) ROR (Return on Risk)とは リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業ということが言えます。(c) VA (Value Added)とは リスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。RORがリスクに対するリターンを割合で示すのに対し、VAは得られる付加価値を実額で評価します。④ ERMとリスク管理 当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)※のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。※ROR=グループ修正利益÷統合リスク量 a.ERMサイクルERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。b.ROR向上に向けた取組み 引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。c.ストレステストの実施 当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗い出しを行い、リスク耐性向上に有効な対策の検討にも活用しております。 (2) 当社グループの主要なリスク 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。 なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。① グループ重要リスク 経営が管理すべきリスクとして捉え、管理取組計画の策定を行い、各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。a.国内外における大規模自然災害の発生 台風や地震等の自然災害による損害は時に巨額になることがあり、また、気候変動等の影響により世界的に自然災害が増加・大型化し、予測を超える巨大な自然災害による損害が発生する可能性があります。また、自然災害による支払保険金の増加等により、当社グループの資金繰りが悪化し、資金の確保に通常よりも著しく不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があります。当社グループは、再保険の利用や異常危険準備金の積立によって自然災害による損害に対する保険金の支払いに備えておりますが、これらの保険金の支払いが多額に及ぶことにより当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 b.国内外における金融マーケットの大幅な変動 当社グループは、有価証券や貸付金、不動産等の様々な運用資産(オフバランス資産を含む)を保有しておりますが、経済環境や金融市場の悪化等により資産又は負債の価値が変化することで当社グループの業績に影響が生じるリスクを内包しており、主に以下のようなリスクがあります。(a)株価下落リスク取引先との中長期的な関係維持の観点等から大量の株式を保有しておりますが、株式相場が下落した場合に、資産価値の減少や評価損、売却損が発生する可能性があります。(b)金利変動リスク保有している債券や貸付金等の資産及び積立保険や長期の第三分野商品、生命保険等の契約者に対して将来お支払いする保険負債については、金利変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。(c)為替変動リスク米ドル等の外貨建て資産及び負債を保有しておりますが、為替変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。 c.信用リスクの大幅な増加 保有している株式や社債、貸付金等の資産や、販売している信用・保証保険契約等については、株式・社債の発行者もしくは貸付先等の信用力の低下もしくは破綻又は信用市場の混乱によって、資産価値の減少や元本・利息の回収不能等が生じる可能性があります。当社グループは、保険契約によって引き受けた保険責任を分散し、収益を安定させる目的で再保険を利用しておりますが、再保険会社の破綻等により再保険金の回収ができなくなる可能性があります。これらにより、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 d.グループの企業価値の著しい毀損につながる行為の発生・社会的信用の失墜 社会的信用の失墜につながる行為とは、グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題(長時間労働・ハラスメント等)、データガバナンスの不備(個人情報や機密情報の大量漏えい・不正利用の多発等)などに加え、顧客本位の視点の欠如・不徹底等(コンダクトリスク)に起因するものをいいます。 このような行為の発生により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 e.サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生 当社グループには、サイバー攻撃による不正アクセス又は情報システムの不備等により、情報システムの停止、誤作動若しくは不正使用又は情報漏えい等が発生するシステムリスクが存在します。当社グループは、システムリスク管理態勢の整備に努めておりますが、大規模な情報システムの停止、誤作動若しくは不正使用、情報漏えいが発生する可能性があります。また、サイバーリスクを補償する保険契約の引受により、保険金支払が発生する可能性があります。これらにより、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 f.システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システムの開発計画の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現 事業収益性の更なる向上を実現するための大規模システム開発においては、予期せぬ事故等により開発作業の進捗遅延や開発予算の超過等が発生するリスクが存在します。当社グループは、システムリスク管理態勢の整備に努めておりますが、大規模システム開発の進捗遅延・開発予算超過等が発生した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 g.新型インフルエンザ等(新型コロナウイルスを含む)の感染症の大流行主に以下のような事象により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。(a)当社グループは、新型インフルエンザ等の感染症の大流行等の不測の事故や事態に備え、事業継続計画の策定や危機管理態勢の整備により、事業中断期間を一定程度に抑え、事業を継続的に運営できる体制を整えておりますが、こうした危機管理にもかかわらず、当社グループの事業継続が阻害されたり、想定を超える影響を受ける可能性があります。(b)新型インフルエンザ等の感染症の大流行による経済の減速、または、その懸念の高まりにより、国内外における金融マーケットの大幅な変動(前述b.)、信用リスクの大幅な増加(前述c.)が発生する可能性があります。(c)新規契約の提案のためのお客さま提案活動が抑制されること、企業の事業活動・物流量が減少することなどから保険料が減少となる可能性があります。また、新型インフルエンザ等の感染症に関わるリスクを補償する保険契約の引受により保険金支払が発生する可能性があります。② グループエマージングリスク 中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。a. 少子高齢化の進展・医療技術の進歩b. 資源の枯渇c. 気候変動・環境災害d. 経済や消費者行動に大きな変化を及ぼす新たな技術、仕組み(IoT、シェアリングエコノミーの普及等)の動向、デジタルプラットフォーマーの台頭等によるビジネスモデルの大きな変革e. 国内外の法令・制度の新設・改廃f. 国内労働需給の大きな変化g. 国家統治・政治の大きな混乱、機能不全、崩壊、国家間紛争(経済紛争を含む)、日本の安全保障の危機
FY2019|4,249 文字
2【事業等のリスク】 当社グループの経営成績及び財政状態に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。 なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 資産運用に関するリスク 当社グループは、有価証券や貸付金、不動産等の様々な運用資産(オフバランス資産を含む)を保有しておりますが、経済環境や金融市場の悪化等により資産又は負債の価値が変化することで当社グループの業績に影響が生じるリスクを内包しており、主に以下のようなリスクがあります。① 株価下落リスク 取引先との中長期的な関係維持の観点等から大量の株式を保有しておりますが、株式相場が下落した場合に、資産価値の減少や評価損、売却損が発生する可能性があります。② 金利変動リスク 保有している債券や貸付金等の資産及び積立保険や長期の第三分野商品、生命保険等の契約者に対して将来お支払いする保険負債については、金利変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。③ 為替変動リスク 米ドル等の外貨建て資産及び負債を保有しておりますが、為替変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。④ 信用リスク 保有している株式や社債、貸付金等の資産や、販売している信用・保証保険契約等については、株式・社債の発行者もしくは貸付先等の信用力の低下もしくは破綻又は信用市場の混乱によって、資産価値の減少や元本・利息の回収不能等が生じる可能性があります。 (2) 国内外の自然災害による多額の保険金支払のリスク 台風や地震等の自然災害による損害は時に巨額になることがあり、また、気候変動等の影響により世界的に自然災害が増加・大型化し、予測を超える巨大な自然災害による損害が発生する可能性があります。当社グループは、再保険の利用や異常危険準備金の積立によって自然災害による損害に対する保険金の支払いに備えておりますが、これらの保険金の支払いが多額に及ぶことにより当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (3) 流動性リスク 自然災害による支払保険金の増加等により、当社グループの資金繰りが悪化し、資金の確保に通常よりも著しく不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があります。また、市場の混乱等により、通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされる可能性があります。これらの取引により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (4) 再保険取引に関するリスク 当社グループは、保険契約によって引き受けた保険責任を分散し、収益を安定させる目的で再保険を利用しておりますが、再保険市場の状況変化により、十分な再保険手配ができずにリスクの分散が図られず保険引受能力が低下するリスクがあります。また、再保険料が高騰したり、再保険会社の破綻等により再保険金の回収ができなくなることにより、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (5) 経済環境・社会環境等の予期せぬ変化により損失が発生するリスク 保険会社は、予め将来発生するであろう損害を予測して保険料の水準を設定しますが、実際に発生する損害額が予測を上回る可能性があります。特に保険期間が長期にわたる場合には、当初想定した環境・条件等が大きく変動し、予期せぬ損害が発生する可能性があり、その結果、保険契約準備金の積増が必要になる等、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (6) 保険業界の競争に関するリスク 規制緩和の進展に伴う新規事業者の保険業への参入や料率水準の低下等の影響により、当社グループを取り巻く環境は厳しくなっておりますが、更なる規制緩和や新規参入者の増加、新たな技術の出現、保険市場の縮小等により競争が一層激化し、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (7) 国内生命保険事業に関するリスク 当社グループは、成長事業領域の一つとして、国内生命保険事業の拡大に取り組んでおります。しかしながら、国内生命保険事業は、競争激化による市場基盤の変動、保険期間が長期にわたる中での保険金等支払事由の発生や解約の動向の不確実性等の生命保険事業固有のリスクを有しており、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (8) 海外事業に関するリスク 当社グループは、M&A戦略に基づく事業領域の拡大を含めて、アジア・欧州・米州等において支店や子会社等を通じて積極的に海外事業を展開しておりますが、これらの国々における予期せぬ政治・経済・社会環境の変化や諸規制の変更、為替の変動、政治的・社会的混乱、自然災害、伝染病の発生等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (9) 関連事業に関するリスク 当社グループは、アセットマネジメント事業、金融保証事業、401k事業、ART事業(注)、個人融資関連事業及びベンチャー・キャピタル事業等の金融サービス事業並びにリスクマネジメント事業及び介護事業等のリスク関連サービス事業といった保険事業以外の事業伸展も図っております。これらの事業を展開している各市場において、想定を超えた環境変化等により競争が一層激化し、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。(注)ART(Alternative Risk Transfer)とは伝統的な保険取引に代替するリスク移転手法の総称 (10)情報漏洩等に関するリスク 当社グループは、個人情報を含む大量のお客さま情報及び当社を含む当社グループ会社各社の経営情報等の機密情報を保有しております。当社グループにおいては、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、万一、重大な漏洩等が発生した場合にはお客さまの信頼や社会的信用の低下、賠償金の支払い等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (11)システムリスク 当社グループには、自然災害、事故、サイバー攻撃による不正アクセス又は情報システムの不備等により、情報システムの停止、誤作動もしくは不正使用又は情報漏洩等が発生するシステムリスクが存在します。また、事業収益性の更なる向上を実現するための大規模システム開発においては、予期せぬ事故等により開発作業の進捗遅延や開発予算の超過等が発生するリスクが存在します。当社グループは、システムリスク管理態勢の整備に努めておりますが、大規模な情報システムの停止、誤作動もしくは不正使用、情報漏洩又は大規模システム開発の進捗遅延・開発予算超過等が発生した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (12)人事労務に関するリスク 当社グループは、優秀な人財の確保・育成に取り組んでおりますが、重大な人事・労務問題が発生し、社会的信用が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (13)事業運営に関するリスク 当社グループは、事務ミス、法令違反、従業員による不正、外部の者による犯罪行為又は災害の発生等に関して、その発生の防止及び発生時の損害の軽減に向け適切な管理に努めております。しかしながら、この取組みにもかかわらず、それらの事象に起因して、お客さまの信頼もしくは社会的信用を失った、業務の遂行を阻害された、又は監督当局から行政処分を受けた結果、事業運営に支障をきたし、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (14)事業中断に関するリスク 当社グループは、首都直下地震等の自然災害又は新型インフルエンザ等の疾病の大流行等の不測の事故や事態に備え、事業継続計画の策定や危機管理態勢の整備により、事業中断期間を一定程度に抑え、事業を継続的に運営できる体制を整えておりますが、こうした危機管理にもかかわらず、当社グループの事業継続が阻害されたり、想定を超える影響を受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (15)統合のシナジーが十分に発揮されないリスク 当社グループは、経営統合によるシナジーを踏まえた経営数値目標を策定しており、お客さまへのサービスの品質向上を通じた顧客基盤の拡大及び事務・システム等の共有化・標準化等の各種施策を実行しております。また、2013年9月27日、当社、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社及び三井住友海上あいおい生命保険株式会社は、MS&ADインシュアランス グループの持続的な成長と企業価値の向上等を目的として「機能別再編に関する合意書」を締結いたしました。機能別再編の実行においては、事務・システムトラブルやお客さま対応の不足等が生じないように万全の準備を整えるべくリスク管理態勢を整備しておりますが、このような態勢整備にもかかわらず不測の混乱が生じることにより、期待される統合のシナジーが十分に発揮されない場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (16)法令や諸制度の変更によるリスク 当社グループは、保険業法等法令による規制のもとで営業しており、また、会計・税務に係る関連諸法令及び諸基準に従って財務報告を行っております。今後これらの法令等が改正された場合、改正に伴う保険商品の販売方法もしくは商品内容の変更、又は保険契約準備金もしくは繰延税金資産等の見積方法もしくは会計処理の変更によって、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (17)風評リスク 保険業界又は当社グループに対する風評が、マスコミ報道やインターネット上の書込等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があります。当社グループは、風評の早期発見に努めるとともに、風評が発生した場合に適時適切に対応する態勢を整備することで、影響の極小化に努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (18)その他のリスク 国内外でのテロ、紛争もしくは暴動、国家間の軍事衝突又は過去に例を見ない大規模な事故・事件等、事前の予測が困難な偶発的な外的要因により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。
FY2018|4,173 文字
2【事業等のリスク】 当社グループの経営成績及び財政状態に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。 なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 資産運用に関するリスク 当社グループは、有価証券や貸付金、不動産等の様々な運用資産(オフバランス資産を含む)を保有しておりますが、経済環境や金融市場の悪化等により資産又は負債の価値が変化することで当社グループの業績に影響が生じるリスクを内包しており、主に以下のようなリスクがあります。① 株価下落リスク 取引先との中長期的な関係維持の観点等から大量の株式を保有しておりますが、株式相場が下落した場合に、資産価値の減少や評価損、売却損が発生する可能性があります。② 金利変動リスク 保有している債券や貸付金等の資産及び積立保険や長期の第三分野商品、生命保険等の契約者に対して将来お支払いする保険負債については、金利変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。③ 為替変動リスク 米ドル等の外貨建て資産及び負債を保有しておりますが、為替変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。④ 信用リスク 保有している株式や社債、貸付金、信用・保証保険契約等の資産については、株式・社債の発行者もしくは貸付先等の信用力の低下もしくは破綻又は信用市場の混乱によって、資産価値の減少や元本・利息の回収不能等が生じる可能性があります。 (2) 国内外の自然災害による多額の保険金支払のリスク 台風や地震等の自然災害による損害は時に巨額になることがあり、また、気候変動等の影響により世界的に自然災害が増加・大型化し、予測を超える巨大な自然災害による損害が発生する可能性があります。当社グループは、再保険の利用や異常危険準備金の積立によって自然災害による損害に対する保険金の支出に備えておりますが、これらの保険金の支払が多額に及ぶことにより当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (3) 流動性リスク 自然災害による支払保険金の増加等により、当社グループの資金繰りが悪化し、資金の確保に通常よりも著しく不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があります。また、市場の混乱等により、通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされる可能性があります。これらの取引により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (4) 再保険取引に関するリスク 当社グループは、保険契約によって引き受けた保険責任を分散し、収益を安定させる目的で再保険を利用しておりますが、再保険市場の状況変化により、十分な再保険手配ができずにリスクの分散が図られず保険引受能力が低下するリスクがあります。また、再保険料が高騰したり、再保険会社の破綻等により再保険金の回収ができなくなることにより、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (5) 経済環境・社会環境等の予期せぬ変化により損失が発生するリスク 保険会社は、予め将来発生するであろう損害を予測して保険料の水準を設定しますが、実際に発生する損害額が予測を上回る可能性があります。特に保険期間が長期にわたる場合には、当初想定した環境・条件等が大きく変動し、予期せぬ損害が発生する可能性があり、その結果、保険契約準備金の積増が必要になる等、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (6) 保険業界の競争に関するリスク 規制緩和の進展に伴う新規事業者の保険業への参入や料率水準の低下等の影響により、当社グループを取り巻く環境は厳しくなっておりますが、更なる規制緩和や新規参入者の増加、新たな技術の出現、保険市場の縮小等により競争が一層激化し、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (7) 国内生命保険事業に関するリスク 当社グループは、成長事業領域の一つとして、国内生命保険事業の拡大に取り組んでおります。しかしながら、国内生命保険事業は、競争激化による市場基盤の変動、保険期間が長期にわたる中での保険金等支払事由の発生や解約の動向の不確実性等の生命保険事業固有のリスクを有しており、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (8) 海外事業に関するリスク 当社グループは、M&A戦略に基づく事業領域の拡大を含めて、アジア・欧州・米州等において支店や子会社等を通じて積極的に海外事業を展開しておりますが、これらの国々における予期せぬ政治・経済・社会環境の変化や諸規制の変更、為替の変動、政治的・社会的混乱、自然災害、伝染病の発生等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (9) 関連事業に関するリスク 当社グループは、アセットマネジメント事業、金融保証事業、401k事業、ART事業、個人融資関連事業及びベンチャー・キャピタル事業等の金融サービス事業並びにリスクマネジメント事業及び介護事業等のリスク関連サービス事業といった保険事業以外の事業進展も図っております。これらの事業を展開している各市場において、想定を超えた環境変化等により競争が一層激化し、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。(10)情報漏洩等に関するリスク 当社グループは、個人情報を含む大量のお客さま情報及び当社を含む当社グループ会社各社の経営情報等の機密情報を保有しております。当社グループにおいては、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、万一、重大な漏洩等が発生した場合にはお客さまの信頼や社会的信用の低下、賠償金の支払等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (11)システムリスク 当社グループには、自然災害、事故、サイバー攻撃による不正アクセス又は情報システムの不備等により、情報システムの停止、誤作動もしくは不正使用又は情報漏洩等が発生するシステムリスクが存在します。また、事業収益性の更なる向上を実現するための大規模システム開発においては、予期せぬ事故等により開発作業の進捗遅延や開発予算の超過等が発生するリスクが存在します。当社グループは、システムリスク管理態勢の整備に努めておりますが、大規模な情報システムの停止、誤作動もしくは不正使用、情報漏洩又は大規模システム開発の進捗遅延・開発予算超過等が発生した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (12)人事労務に関するリスク 当社グループは、優秀な人財の確保・育成に取り組んでおりますが、重大な人事・労務問題が発生し、社会的信用が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (13)事業運営に関するリスク 当社グループは、事務ミス、法令違反、従業員による不正、外部の者による犯罪行為又は災害の発生等に関して、その発生の防止及び発生時の損害の軽減に向け適切な管理に努めております。しかしながら、この取組にもかかわらず、それらの事象に起因して、お客さまの信頼もしくは社会的信用を失った、業務の遂行を阻害された、又は監督当局から行政処分を受けた結果、事業運営に支障をきたし、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (14)事業中断に関するリスク 当社グループは、首都直下地震等の自然災害又は新型インフルエンザ等の疾病の大流行等の不測の事故や事態に備え、事業継続計画の策定や危機管理態勢の整備により、事業中断期間を一定程度に抑え、事業を継続的に運営できる体制を整えておりますが、こうした危機管理にもかかわらず、当社グループの事業継続が阻害されたり、想定を超える影響を受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (15)統合のシナジーが十分に発揮されないリスク 当社グループは、経営統合によるシナジーを踏まえた経営数値目標を策定しており、お客さまへのサービスの品質向上を通じた顧客基盤の拡大及び事務・システム等の共有化・標準化等の各種施策を実行してまいります。また、2013年9月27日、当社、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社及び三井住友海上あいおい生命保険株式会社は、MS&ADインシュアランス グループの持続的な成長と企業価値の向上等を目的として「機能別再編に関する合意書」を締結しました。機能別再編の実行においては、事務・システムトラブルやお客さま対応の不足等が生じないように万全の準備を整えるべくリスク管理態勢を整備しておりますが、このような態勢整備にもかかわらず不測の混乱が生じることにより、期待される統合のシナジーが十分に発揮されない場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (16)法令や諸制度の変更によるリスク 当社グループは、保険業法等法令による規制のもとで営業しており、また、会計・税務に係る関連諸法令及び諸基準に従って財務報告を行っております。今後これらの法令等が改正された場合、改正に伴う保険商品の販売方法もしくは商品内容の変更、又は保険契約準備金もしくは繰延税金資産等の見積方法もしくは会計処理の変更によって、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (17)風評リスク 保険業界又は当社グループに対する風評が、マスコミ報道やインターネット上の書込等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があります。当社グループは、風評の早期発見に努めるとともに、風評が発生した場合に適時適切に対応する態勢を整備することで、影響の極小化に努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。(18)その他のリスク 国内外でのテロ、紛争もしくは暴動、国家間の軍事衝突又は過去に例を見ない大規模な事故・事件等、事前の予測が困難な偶発的な外的要因により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。
FY2017|4,284 文字
4【事業等のリスク】 当社グループの経営成績及び財政状態に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。 なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 資産運用に関するリスク 当社グループは、有価証券や貸付金、不動産等の様々な運用資産(オフバランス資産を含む)を保有しておりますが、経済環境や金融市場の悪化等により資産又は負債の価値が変化することで当社グループの業績に影響が生じるリスクを内包しており、主に以下のようなリスクがあります。① 株価下落リスク 取引先との中長期的な関係維持の観点等から大量の株式を保有しておりますが、株式相場が下落した場合に、資産価値の減少や評価損、売却損が発生する可能性があります。② 金利変動リスク 保有している債券や貸付金等の資産について、金利が上昇した場合に、価値が減少する可能性があります。一方、当社グループは、積立保険や長期の第三分野商品、生命保険等の契約者に対して将来支払が発生する保険負債を保有しており、これらは金利が上昇した場合に価値が減少します。また、金利低下の場合はこの逆になります。③ 為替変動リスク 米ドル等の外貨建て資産及び負債を保有しておりますが、為替変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。④ 信用リスク 保有している株式や社債、貸付金、信用・保証保険契約等の資産については、株式・社債の発行者もしくは貸付先等の信用力の低下もしくは破綻又は信用市場の混乱によって、資産価値の減少や元本・利息の回収不能等が生じる可能性があります。 (2) 国内外の自然災害による多額の保険金支払のリスク 台風や地震等の自然災害による損害は時に巨額になることがあり、また、気候変動等の影響により世界的に自然災害が増加・大型化し、予測を超える巨大な自然災害による損害が発生する可能性があります。当社グループでは、再保険の利用や異常危険準備金の積立によって自然災害による損害に対する保険金の支出に備えておりますが、これらの保険金の支払が多額に及ぶことにより当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (3) 流動性リスク 自然災害による支払保険金の増加等により、当社グループの資金繰りが悪化し、資金の確保に通常よりも著しく不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があります。また、市場の混乱等により、通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされる可能性があります。これらの取引により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (4) 再保険取引に関するリスク 当社グループでは、保険契約によって引き受けた保険責任を分散し、収益を安定させる目的で再保険を利用しておりますが、再保険市場の状況変化により、十分な再保険手配ができずにリスクの分散が図られず保険引受能力が低下するリスクがあります。また、再保険料が高騰したり、再保険会社の破綻等により再保険金の回収ができなくなることにより、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (5) 経済環境・社会環境等の予期せぬ変化により損失が発生するリスク 保険会社は、予め将来発生するであろう損害を予測して保険料の水準を設定しますが、実際に発生する損害額が予測を上回る可能性があります。特に保険期間が長期にわたる場合には、当初想定した環境・条件等が大きく変動し、予期せぬ損害が発生する可能性があり、その結果、保険契約準備金の積増が必要になる等、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (6) 保険業界の競争に関するリスク 規制緩和の進展に伴う新規事業者の保険業への参入や料率水準の低下等の影響により、当社グループを取り巻く環境は厳しくなっておりますが、更なる規制緩和や新規参入者の増加、保険市場の縮小等により競争が一層激化し、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (7) 国内生命保険事業に関するリスク 当社グループでは、成長事業領域の一つとして、国内生命保険事業の拡大に取り組んでおります。しかしながら、国内生命保険事業は、大手生保や外資系生保を中心とする他の生命保険会社との競争激化による市場基盤の変動、及び保険期間が長期にわたることによる死亡率・解約の動向の不確実性により事前の想定と大きく異なる事象が生じる可能性等の生命保険事業固有のリスクを有しており、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (8) 海外事業に関するリスク 当社グループは、M&A戦略に基づく事業領域の拡大を含めて、アジア・欧州・米州等において支店や子会社等を通じて積極的に海外事業を展開しておりますが、これらの国々における予期せぬ政治・経済・社会環境の変化や諸規制の変更、為替の変動、政治的・社会的混乱、自然災害、伝染病の発生等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (9) 関連事業に関するリスク 当社グループは、アセットマネジメント事業、金融保証事業、401k事業、ART事業、個人融資関連事業及びベンチャー・キャピタル事業等の金融サービス事業並びにリスクマネジメント事業及び介護事業等のリスク関連サービス事業といった保険事業以外の事業進展も図っております。これらの事業を展開している各市場において、想定を超えた環境変化等により競争が一層激化し、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (10)情報漏洩等に関するリスク 当社グループは、個人情報を含む大量のお客さま情報及び当社を含む当社グループ会社各社の経営情報等の機密情報を保有しております。当社グループにおいては、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、万一、重大な漏洩等が発生した場合にはお客さまの信頼や社会的信用の低下、賠償金の支払等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (11)システムリスク 当社グループには、自然災害、事故、サイバー攻撃による不正アクセス又は情報システムの不備等により、情報システムの停止、誤作動もしくは不正使用又は情報漏洩等が発生するシステムリスクが存在します。また、事業収益性の更なる向上を実現するための大規模システム開発においては、予期せぬ事故等により開発作業の進捗遅延や開発予算の超過等が発生するリスクが存在します。当社グループは、システムリスク管理態勢の整備に努めておりますが、大規模な情報システムの停止、誤作動もしくは不正使用、情報漏洩又は大規模システム開発の進捗遅延・開発予算超過等が発生した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (12)人事労務に関するリスク 当社グループでは、優秀な人財の確保・育成に取り組んでおりますが、重大な人事・労務問題が発生し、社会的信用が著しく低下した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (13)事業運営に関するリスク 事業運営リスクは、当社グループの事業活動にかかるものであり、事務ミス、法令違反、従業員による不正、外部の者による犯罪行為又は災害の発生等によって、お客さまの信頼もしくは社会的信用を失うリスク又は業務運営が阻害されるリスクがあります。こうした事業運営リスクに対しては、その発生の防止及び発生時の損害の軽減に向け適切な管理に努めておりますが、これらを原因として監督当局から行政処分を受ける可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (14)事業中断に関するリスク 当社グループでは、首都直下地震等の自然災害又は新型インフルエンザ等の疾病の大流行等の不測の事故や事態に備え、事業継続計画の策定や危機管理態勢の整備により、事業中断期間を一定程度に抑え、事業を継続的に運営できる体制を整えておりますが、こうした危機管理にもかかわらず、当社グループの事業継続が阻害されたり、想定を超える影響を受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (15)統合のシナジーが十分に発揮されないリスク 当社グループは、経営統合によるシナジーを踏まえた経営数値目標を策定しており、お客さまへのサービスの品質向上を通じた顧客基盤の拡大及び事務・システム等の共有化・標準化等の各種施策を実行してまいります。また、平成25年9月27日、当社、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社及び三井住友海上あいおい生命保険株式会社は、MS&ADインシュアランス グループの持続的な成長と企業価値の向上等を目的として「機能別再編に関する合意書」を締結しました。機能別再編の実行においては、事務・システムトラブルやお客さま対応の不足等が生じないように万全の準備を整えるべくリスク管理態勢を整備しておりますが、このような態勢整備にもかかわらず不測の混乱が生じることにより、期待される統合のシナジーが十分に発揮されない場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (16)法令や諸制度の変更によるリスク 当社グループは、保険業法等法令による規制のもとで営業しており、また、会計・税務に係る関連諸法令及び諸基準に従って財務報告を行っております。今後これらの法令等が改正され、保険商品の販売方法や商品内容を変更したり、保険契約準備金又は繰延税金資産等の見積方法又は会計処理の変更によって、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (17)風評リスク 保険業界又は当社グループに対する風評が、マスコミ報道やインターネット上の書込等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があります。当社グループでは、風評の早期発見に努めるとともに、風評が発生した場合に適時適切に対応する態勢を整備することで、影響の極小化に努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (18)その他のリスク 国内外でのテロ、紛争もしくは暴動、国家間の軍事衝突又は過去に例を見ない大規模な事故・事件等、事前の予測が困難な偶発的な外的要因により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。
FY2016|3,704 文字
4【事業等のリスク】 当社グループの経営成績及び財政状態に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。 なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。 (1) 資産運用に関するリスク 当社グループは、有価証券・貸付金・不動産等様々な運用資産(オフバランス資産を含む)を保有しておりますが、経済環境や金融市場の悪化等により資産及び負債の価値が変化することで当社グループの業績に影響が生じるリスクを内包しており、主に以下のようなリスクがあります。① 株価下落リスク 取引先との中長期的な関係維持の観点等から大量の株式を保有しておりますが、株式相場が下落した場合に、資産価値の減少や評価損、売却損が発生する可能性があります。② 金利変動リスク 保有している債券、貸付金等の資産について、金利が上昇した場合に、価値が減少する可能性があります。一方、当社グループは積立保険や長期の第三分野商品・生命保険等の契約者に対して将来支払いが発生する保険負債を保有しており、これらは金利が上昇した場合に価値が減少します。また、金利低下の場合はこの逆になります。③ 為替変動リスク 米ドル等の外貨建て資産及び負債を保有しておりますが、為替変動の影響によりこれらの価値が変化する可能性があります。④ 信用リスク 保有している株式や社債、貸付金、信用・保証保険契約等の資産については、株式や社債の発行者または貸付先等の信用力の低下や破綻、信用市場の混乱によって、資産価値の減少や元本・利息の回収ができなくなること等の可能性があります。 (2) 自然災害の発生による多額の保険金支払のリスク 台風や地震等の自然災害による損害はときに巨額になることがあり、また、気候変動・地球温暖化等の影響により世界的に自然災害が増加・大型化し、予想を超える巨大な自然災害が発生する可能性があります。当社グループでは、再保険の利用や異常危険準備金の積み立てによってこれらの損害に対する保険金の支出に備えておりますが、これらに係る多額の保険金の支払いにより当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (3) 流動性リスク 自然災害の発生による支払保険金の増加等により、当社グループの資金繰りが悪化し、資金の確保に通常よりも著しく不利な条件での取引を余儀なくされることがあります。また、市場の混乱等により、通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされることがあります。これらにより、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (4) 再保険取引に関するリスク 当社グループでは、保険契約によって引き受けた保険責任を分散し、収益を安定させる目的で再保険を利用しておりますが、再保険市場の状況変化により、十分な再保険手配ができずにリスクの分散が図られず保険引受能力が低下するリスクがあります。また、再保険料が高騰したり、再保険会社の破綻等により再保険金の回収ができなくなることにより、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (5) 経済環境・社会環境等の予期せぬ変化により損失が発生するリスク 保険会社は、予め将来発生するであろう損害を予測して保険料の水準を設定しますが、実際に発生する損害額は予測を上回る可能性があります。特に保険期間が長期にわたる場合には、当初想定した環境・条件等が大きく変動し、予期せぬ損害が発生する可能性があり、このため、保険契約準備金の積み増しが必要になる等、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (6) 保険業界の競争に関するリスク 規制緩和の進展に伴う新規事業者の保険業への参入、料率水準の低下等の影響により、当社グループを取り巻く環境は厳しくなっておりますが、更なる規制緩和や新規参入者の増加により競争が一層激化し、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (7) 国内生命保険事業に関するリスク 当社グループでは、成長事業領域の一つとして、国内生命保険事業の拡大に取り組んでおります。しかしながら、国内生命保険事業は、大手生保や外資系生保を中心とする他の生命保険会社との競争が激化しており、安定的な市場基盤を構築できない、あるいは、保険期間が長期にわたることによる死亡率・解約の動向の不確実性により事前の想定と大きく異なる事象が生じる可能性等、生命保険事業固有のリスクを有しており、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (8) 海外事業に関するリスク 当社グループは、アジア・欧州・米州等において支店や子会社等を通じて積極的に海外事業を展開しておりますが、これらの国々における予期せぬ政治・経済・社会環境の変化や諸規制の変更、為替の変動及び自然災害や伝染病の発生等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (9) 情報漏洩等に関するリスク 当社グループは、個人情報を含む大量のお客さま情報及び当社を含む当社グループ会社各社の経営情報等機密情報を保有しております。当社グループにおいては、情報管理態勢を整備し、厳重な管理を行っておりますが、万一、重大な漏洩等が発生した場合にはお客さまの信頼や社会的信用の低下、賠償金の支払い等により、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (10)システムリスク 当社グループには、自然災害、事故、サイバー攻撃による不正アクセス、情報システムの不備等により、情報システムの停止・誤作動・不正使用、情報漏洩等が発生するシステムリスクが存在します。当社グループは、システムリスク管理態勢の整備に努めておりますが、大規模な情報システムの停止・誤作動・不正使用、情報漏洩等が発生した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (11)事業運営に関するリスク 事業運営リスクは、当社グループの事業活動にかかるものであり、事務ミス、法令違反、従業員による不正、外部の者による犯罪行為、災害の発生等によって、お客さまの信頼や社会的信用を失うリスクや業務運営が阻害されるリスクがあります。こうした事業運営リスクに対しては、その発生の防止及び発生時の損害の軽減に向け適切な管理に努めておりますが、これらを原因として監督当局から行政処分を受ける可能性があり、このため当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (12)事業中断に関するリスク 当社グループでは、首都直下地震の発生や、新型インフルエンザ等の疾病の大流行等自然災害や不測の事故、事態に備えた事業継続計画の策定や危機管理態勢を整備し、事業中断期間を一定程度に抑え、事業を継続的に運営できる体制を整備しておりますが、こうした危機管理にもかかわらず、当社グループの事業継続が阻害されたり、想定を超える影響を受けた場合、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (13)統合のシナジーが十分に発揮されないリスク 当社グループは、経営統合によるシナジーを踏まえた経営数値目標を策定しており、お客さまへのサービスの品質向上を通じた顧客基盤の拡大、事務、システム等の共有化、標準化等の各種施策を実行してまいります。また、平成25年9月27日、当社、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社及び三井住友海上あいおい生命保険株式会社は、MS&ADインシュアランス グループの持続的な成長と企業価値の向上等を目的として「機能別再編に関する合意書」を締結しました。機能別再編の実行においては、事務・システムトラブルやお客さま対応の不足等が生じないように万全の準備を整えるべくリスク管理態勢を整備しておりますが、このような態勢整備にもかかわらず不測の混乱が生じることにより、期待される統合のシナジーが十分に発揮されない場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (14)法令や諸制度の変更によるリスク 当社グループは、保険業法等法令による規制のもとで営業しており、また、会計・税務に係る関連諸法令、諸基準に従って財務報告を行っております。今後これらの法令等が改定され、保険商品の販売方法や商品内容を変更したり、保険契約準備金や繰延税金資産等の見積方法や会計処理の変更によって、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。 (15)風評リスク 保険業界及び当社グループに対する風評が、マスコミ報道やインターネット上の書込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があります。当社グループでは、風評の早期発見に努めるとともに、風評が発生した場合に適時適切に対応する態勢を整備することで、影響の極小化に努めておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。