事業等のリスク
三井物産は、事業投資リスクとして、投下資金の回収不能や計画未達、合弁事業パートナーの業績不振、ノンオペレーター事業での運営方針の影響などを抱えています。地政学的リスクでは、ロシア・ウクライナ情勢や米中関係などの国際情勢の緊迫化が事業悪化や継続困難につながる可能性があります。カントリーリスクとしては、特定の国・地域(ブラジル、チリ、ロシア、マレーシア、モザンビーク、台湾など)への事業集中による政治・経済・社会状況の変化が、債権回収不能や資産価値毀損のリスクとなります。また、気候変動に関するリスクとして、移行リスクと物理的リスクの両面で事業への影響が懸念されています。
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FY2025|13,751 文字
3【事業等のリスク】 当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、相互連携して対応しています。関係会社経営においては、リスクと統制の有効性を評価・改善し、適切なリスクマネジメントを図るCSA(Control Self-Assessment)に取り組んでいます。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定、対策を講じています。 当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。 (1)事業投資リスク 当社及び連結子会社は、さまざまな事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金が回収不能となるリスク、撤退の場合に損失が発生するリスク、及び計画した利益があがらないなどのリスクを負っています。 また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、あるいは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御し得ない事象が決定的な要因となる場合があります。・持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、あるいはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の一部において、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営はオペレーターの定める方針に影響を受けます。オペレーターによる事業運営が適切に行われない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 そのため、新規投資の実行については収益率等の定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業やアラート基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせながら資産の入替えを行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務等のオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット*として定期的にモニタリングしています。また、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施しリスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。* 営業債権や投資、固定資産等の連結財政状態計算書上の残高及び保証債務等のオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額。 (2)地政学的リスク ロシア・ウクライナ情勢や米中関係・中東情勢等、国・地域間の政治的・社会的緊張の高まりにより、当社及び連結子会社が当該国・地域に展開する事業の業績が悪化、または継続が困難となるリスクを負っています。 地政学的な不確実性により、当社及び連結子会社の事業を取り巻く環境が大きく変わる中、難易度の高い組織運営と責任のある主体的な行動が一層求められており、各事業に関わるステークホルダーとの緊密なコミュニケーションも必須となっています。こうした地政学的リスクの高まりによる不確実な情勢の中で機動的に対応するために、当社では以下のようなリスクヘッジ策を講じていますが、全ての地政学的リスクを回避することは困難であり、当社業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ・事業を展開する国・地域の政治・経済情勢等の動向を定期的にモニタリングし、その国や地域に存在するリスクや事業環境について動向を注視しています。・地政学的リスクが高いとされる地域へ事業を展開する際は、保険・各国輸出信用機関によるファイナンス等の金融的手段によりリスクを低減しています。・有事の際の対応についてのノウハウを蓄積し、国・地域をまたぎ複数の現地法人が連携、従業員の安全を図り、日本国内または海外で事業を継続する体制を構築しています。 ロシア・ウクライナ情勢に関して、当社は国際社会が協調し制裁措置を取る中で、それらを遵守しつつ各事業に取り組んでいます。ロシア向けの投融資保証残高は2025年3月末時点で2,385億円となり、当社及び連結子会社の投融資保証残高の約2%となりますが、将来の不確実なロシア・ウクライナ情勢によって影響を受ける可能性があります。また、ウクライナ向けの投融資保証残高は僅少です。なお、2025年3月期決算における影響については、連結財務諸表注記事項29.「ロシア・ウクライナ情勢のロシアLNG事業への影響」をご参照ください。 (3)カントリーリスク 当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。 さらに、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、 ・ブラジル、チリ、ロシアにおいて金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘・液化に係る投融資残高があります。・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投融資残高があります。・モザンビークにおいて、エネルギーの開発・生産・液化に係る投融資残高があります。・台湾において、再生可能エネルギー発電事業に係る投融資残高があります。 そのため、カントリーリスクについては、保険・各国輸出信用機関によるファイナンス等、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。 また、当社が有するすべての債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスクの定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかについても検証しています。 (4)気候変動に関するリスク 気候変動による将来影響を把握し、また成長機会として取り込むことで、事業ポートフォリオをより良質化すべく、2050年の「あり姿」としてネットゼロエミッションを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、単体+連結子会社(含むUn-inco JV*1)のScope1+2及びScope3カテゴリー15(投資)について2020年比GHGインパクト半減及びGHG排出量30%削減*2、単体+連結子会社のScope1+2(除くUn-inco JV*1)についてはGHG排出量半減を目指しています。 グローバルな経営環境の変化に対して柔軟に対応し、戦略のレジリエンスを高めるため、中長期的なシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析に際しては国際エネルギー機関(IEA)等の複数のシナリオを活用して移行リスクの分析を行い、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)にて採用される代表的濃度経路(RCP)も参考に物理的リスクの分析を行いました。*1 Un-incorporated joint venture(共同支配事業)*2 GHG排出量30%削減の基準年排出量は、2020年3月期のGHG排出量36百万トンに、2020年3月期時点でFID(最終投資決断)済みの火力発電事業で稼働開始後通常操業時に見込まれる排出増加分8百万トンを加味した合計44百万トン 中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しており、既存ポートフォリオを維持する前提では、長期的には保有権益・資産の価値毀損により当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課等の排出規制は、当社及び連結子会社が出資するGHG排出量が多い事業の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。・技術リスク:気候変動に適応した新技術の導入による既存商材・サービスの需給の変化や既存製造設備の陳腐化が生じる可能性があります。・市場リスク:化石燃料関連製品・サービス需給の変化や保有権益の価値毀損の可能性、金融機関・保険会社の低・脱炭素方針により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。 現在から2050年までの4℃シナリオ下において、猛暑、山火事、水ストレス(渇水)・干ばつ、熱帯低気圧の四つが当社への影響が大きい物理的リスクと認識しています。分析対象企業65社のうち、2050年にリスクが高い企業数は、猛暑に関しては約8割、山火事、水ストレス・干ばつ、熱帯低気圧に関しては、半数近くになります。中でも、山火事のリスクが高い企業は現在から約2倍に増加します。また、熱帯低気圧は、現在もリスクが高い企業が多く、新たにリスクが高まる企業は少ないものの、その発生頻度や巨大化により、被害の深刻化が懸念されます。当社及び連結子会社各社において、保険付保、複数サプライヤーの確保、危機管理方針策定、設備増強等の対策は取っていますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社では、レジリエンスの向上とGHG排出削減効果のある取組みの促進を目的に社内カーボンプライシング制度を導入し、案件審査の一要素としています。 各事業セグメントにおける気候変動に関するリスクと機会については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境 ②事業セグメント」を、リスクの対応策を含めた気候変動に関する当社及び連結子会社の取組みについては「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)気候変動対応」をご参照ください。 (5)商品価格リスク 鉄鉱石、原料炭、銅、原油、天然ガス・LNG等をはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動等の当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下あるいは周期的に変動します。 価格変動は、連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2026年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により24億円、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により31億円と推定しています。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2026年3月期連結業績予想」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。 そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、さまざまな階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。 また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップ等のデリバティブを用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。 また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー生産事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、あるいは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社及び連結子会社の包括利益に影響を及ぼす可能性があります。 (6)為替リスク 当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 2026年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、米ドル/円で1円の変動により41億円、豪ドル/円で1円の変動により21億円と推定しています。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2026年3月期連結業績予想」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。 当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、さまざまな階層において管理体制を構築しています。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。 当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務等のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引を用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジを行うとともにヘッジ会計を適用しています。 詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。 (7)保有上場株式の株価リスク 当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しています。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を9,851億円保有しており、総資産の5.9%に相当します。当社及び連結子会社は、全銘柄を対象に株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っていますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、さまざまな階層において管理体制を構築しています。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示(6)リスク関連」をご参照ください。 (8)与信リスク 当社及び連結子会社は商取引や融資取引のあるさまざまな顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。 当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、あるいは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は2兆2,250億円であり、総資産の13.2%を占めています。控除した損失評価引当金残高(流動)は171億円となっています。 さまざまなプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保等の提供を要求しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。 しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式等の市場価格急落による取引先の支払不能、あるいは企業倒産の増加等によって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9)資金調達に関するリスク 金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、あるいは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。資金調達及び格付けについては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(5)流動性と資金調達の源泉」をご参照ください。 (10)オペレーショナルリスク 当社及び連結子会社は、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、次世代・機能推進の各セグメントにおいて、グローバルなネットワークを活用し、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンス等の各種事業を多角的に行っており、さらには資源・インフラ開発プロジェクトの構築、環境・新技術・次世代燃料やウェルネスに関連する事業投資やデジタルを活用した価値創出等の幅広い取組みを展開しています。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等のさまざまな操業上のリスクを伴っており、事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、またノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、当該事故への寄与度や過失の有無にかかわらず、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 (11)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク 当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範にわたっていることから、役職員による法令及び社内ルールの遵守も含め、グループ全体で共有すべきインテグリティやコンプライアンスに関する考え方を示す「三井物産グループ行動指針-With Integrity」を2024年6月に改定し、継続的に経営幹部がメッセージを発信し、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成し、コンプライアンス違反に対して厳正に対処する等、さまざまな取組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4. コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要「③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制」をご参照ください。 しかしながら、このような取組みをもってしても、全ての違法行為を完全に排除することはできず、日本又は外国における貿易・投資規制、独占禁止法、汚職防止法、税法等の法令違反や社内ルールを逸脱した取引が発生した場合には、予測不能な損失や管理不能なリスクにつながり、その内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク 通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展、またサイバー攻撃が全世界的に増加する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化のため、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏洩等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。 しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害、あるいは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続あるいはビジネスの伸長に困難をきたすことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、可能かつ妥当な範囲において、外部からの攻撃に伴う被害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 なお、サイバーセキュリティ、生成AIの活用等に関する議論を踏まえたガバナンス、戦略については、「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (7)情報セキュリティ」をご参照ください。 (13)人的資本の制約に関するリスク 当社及び連結子会社は、「人」こそが持続的な価値創造の源泉であるとの考えのもと、人材の確保と育成、評価、報酬等の人材マネジメントに取り組み、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督等にあたる人的資本を投入しています。しかしながら、事業分野や国・地域によっては求められる人材が不足し、事業価値創出機会の逸失や、安定的なオペレーションに支障をきたす可能性があります。事業に対するこうした人的資本の制約は、当社及び連結子会社の事業展開と経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、リスクの対応策を含めた人材戦略に関する当社の状況については「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (8) 人材戦略」をご参照ください。 (14)人権に関するリスク 当社及び連結子会社は、川上から川下まであらゆる機能・サービスを提供しており、世界中で多岐にわたる事業を展開する中で、さまざまなステークホルダーに影響をもたらします。当社及び連結子会社の事業活動が人権への負の影響を引き起こしている、あるいはサプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長していることが明らかになった場合は、レピュテーションリスクに加え、その影響の解消・緩和による追加的費用の発生等によって、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性や、信用毀損等の影響を受ける可能性があります。 そのため、自社のみならずサプライチェーンも含めた人権の尊重への取組みが求められていることを認識し、「三井物産グループ行動指針 -With Integrity」においてもあらためてこれを明確化し、グループ各社の経営理念や役職員行動規範にも反映すべく推進していきます。当社及び連結子会社の事業活動に関わる人権への負の影響を特定、評価、防止、軽減するために人権デューデリジェンスを実施するとともに、課題発生時には適切な手続きを通じてその是正・救済に向けた取組みを進めます。また、サプライヤー等の取引先との協働による人権尊重の取組みや、既存の社内プロセスへの人権に関するリスク管理手法の組込み等を通じ、事業活動における人権尊重の一層の強化に取り組んでいます。なお、リスクの対応策を含めた人権に関する当社の状況については「2. サステナビリティに関する考え方及び取組(6) サプライチェーンと人権」をご参照ください。 (15)自然災害、テロ・暴動遭遇、感染症等によるリスク 当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルをあらかじめ策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練等の対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。ただし、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。 ・当社固有のリスクではない、一般的なリスク - 世界マクロ経済環境の変化によるリスク 世界的な、あるいは特定の地域における急速な技術革新や産業構造の変化、これらに対応した経済安全保障や関税等に関する政策変更がもたらす経済情勢の変動は製品・素材の市況、個人消費や設備投資に影響を与える可能性があります。その結果、当社及び連結子会社の商品・サービスに対する需要が変動し、当社及び連結子会社の事業、将来の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 - 法的規制に関するリスク 当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、投資規制、制裁関連法令、各種税法、独占禁止法等の制約の下にあります。また、これらの規制に関しては、法令や規制当局による運用が予告や事業者が受ける不利益に対する補償なしに変更される場合があります。例えば当社及び連結子会社による新興国でのインフラ開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更等に対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品あるいはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、特定の国・地域における所得税及び関税の税率変更、投資元本及び配当の還流に関する為替規制等の諸法令等について、予想外の変更が行われることがあります。 当社及び連結子会社は、米国、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東、モザンビーク等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更等を課すことがあります。 当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証は必ずしもありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入あるいは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、あるいは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制等の変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。 - 競合リスク 当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 - 金利リスク 当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社の資金調達の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」をご参照ください。 - 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク 国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落あるいは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 確定給付費用については、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」をご参照ください。 - 訴訟及び紛争に関するリスク世界各地で展開する事業活動において当社及び連結子会社は、訴訟や紛争のリスクにさらされています。また、通常の事業活動において、当社及び連結子会社に対する訴訟その他の紛争が発生し、また訴訟には至らないものの、何らかの請求を受ける可能性があります。訴訟その他の紛争には不確実性が伴うため、当社及び連結子会社が関与する訴訟その他の紛争の最終的な結果を予測することは不可能です。当社及び連結子会社が、いかなる訴訟その他の紛争にも勝訴し、又は排斥できる保証はなく、また、これらの訴訟その他の紛争が、将来、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。重要な係争事件については、連結財務諸表注記事項26.「偶発債務 (2)係争事件」をご参照ください。 ・IFRS会計基準に基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合があります。この前提条件の置き方等により、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」をご参照ください。
FY2024|13,495 文字
3【事業等のリスク】 当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、相互連携して対応しています。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定、対策を講じています。当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。 なお、サステナビリティ取組みへの関心の高まりに伴い、中長期的な企業価値向上と持続的成長の観点から当社及び連結子会社が責任を果たす重要性がますます高まっています。こうした事業環境の変化に適切に対応できない場合、事業継続に支障をきたし、今後の事業への影響が多岐にわたる可能性が想定されるため、当連結会計年度より新たに「(13)人的資本の制約に関するリスク」及び「(14)人権に関するリスク」を追加しています。 (1)事業投資リスク 当社及び連結子会社は、持分・株式取得を通じ、さまざまな事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金が回収不能となるリスク、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。 また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、あるいは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、あるいはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の一部において、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営はオペレーターの定める方針に影響を受けます。オペレーターによる事業運営が適切に行われない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 そのため、新規投資の実行については必要収益率などの定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業や撤退アラート基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせ、効率的な資産の入替えを行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務などのオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット*として定期的にモニタリングしています。また、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施し、ストレステスト下におけるリスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。* 営業債権や投資、固定資産などの連結財政状態計算書上の残高及び保証債務などのオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額。 (2)地政学的リスク ロシア・ウクライナ情勢や米中関係等、国・地域間の政治的・社会的緊張の高まりにより、当社及び連結子会社が当該国・地域に展開する事業の業績が悪化、または継続が困難となるリスクを負っています。 地政学的な不確実性により、当社及び連結子会社の事業を取り巻く環境が大きく変わる中、難易度の高い組織運営と責任のある主体的な行動が一層求められており、各事業に関わるステークホルダーとの緊密なコミュニケーションも必須となっています。こうした地政学的リスクの高まりによる不確実な情勢の中で機動的に対応するために、当社では以下のようなリスクヘッジ策を講じていますが、全ての地政学的リスクを回避することは困難であり、当社業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ・事業を展開する国・地域の政治・経済情勢等の動向を定期的にモニタリングし、その国や地域に存在するリスクや事業環境の変化について慎重に判断を行っています。・地政学的リスクが高いとされる地域へ事業を展開する際は、保険・各国輸出信用機関によるファイナンス等の金融的手段によりリスクを低減しています。・有事の際の対応についてのノウハウを蓄積し、国・地域をまたぎ複数の現地法人が連携、従業員の安全を図り、日本国内または海外で事業を継続する体制を構築しています。 ウクライナ情勢に関して、当社は国際社会が協調し制裁措置を取る中で、それらを遵守しつつ各事業に取り組んでいます。ロシア向けの投融資保証残高は2024年3月末時点で3,030億円となり、当社及び連結子会社の投融資保証残高の約4%となりますが、将来の不確実なロシア・ウクライナ情勢によって影響を受ける可能性があります。また、ウクライナ向けの投融資保証残高は僅少です。なお、2024年3月期決算における影響については、連結財務諸表注記事項31.「ロシア・ウクライナ情勢のロシアLNG事業への影響」をご参照ください。 (3)カントリーリスク 当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。 さらに、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、 ・ブラジル、チリ、ロシアにおいて金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘・液化に係る投融資残高があります。・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投融資残高があります。・モザンビークにおいて、エネルギーの開発・生産・液化に係る投融資残高があります。・インドネシアにおいて、消費者関連事業等に係る投融資残高があります。 そのため、カントリーリスクについては、保険・各国輸出信用機関によるファイナンス等、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。 また、ポジションを有するすべての国について債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスク状況の定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかも検証しています。 (4)気候変動に関するリスク 気候変動による将来影響を把握し、また成長機会として取り込むことで、より事業ポートフォリオを良質化すべく、2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指しています。 グローバルな経営環境の変化に対して柔軟に対応し、戦略のレジリエンスを高めるため、中長期なシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析に際しては国際エネルギー機関(IEA)のシナリオ等を参照して移行リスクの分析を行い、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)にて採用される代表的濃度経路(RCP)も参考に物理的リスクの分析を行いました。 中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しており、既存ポートフォリオを維持する前提では、長期的には保有権益・資産の価値毀損により当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課などの排出規制は、当社及び連結子会社が出資するGHG排出量が多い事業の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。・技術リスク:気候変動に適応した新技術の導入による既存商材・サービスの需給の変化や既存製造設備の陳腐化が生じる可能性があります。・資金調達リスク:金融機関・保険会社の低・脱炭素方針により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。 現在から2050年までの4℃シナリオ下において、猛暑、山火事、水ストレス・干ばつ、熱帯低気圧の四つが当社への影響が大きい物理的リスクと認識しています。分析対象企業65社のうち、2050年にリスクが高い企業数は、猛暑に関しては約8割、山火事、水ストレス・干ばつ、熱帯低気圧に関しては、半数近くになります。中でも、山火事のリスクが高い企業は現在から約2倍に増加します。また、熱帯低気圧は、現在もリスクが高い企業が多く、新たにリスクが高まる企業は少ないものの、その発生頻度や巨大化により、被害の深刻化が懸念されます。当社及び連結子会社各社において、保険付保、複数サプライヤーの確保、危機管理方針策定、設備増強等の対策は取っていますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社では、レジリエンスの向上とGHG排出削減効果のある取組みの促進を目的に社内カーボンプライシング制度を導入し、案件審査の一要素としています。 リスクの対応策を含めた気候変動に関する当社及び連結子会社の取組みについては「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)気候変動対応」をご参照ください。 (5)商品価格リスク 鉄鉱石、原料炭、銅、原油、天然ガス・LNGなどをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下あるいは周期的に変動します。 価格変動は、連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2025年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により24億円、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により27億円と推定しています。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2025年3月期連結業績予想」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。 そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、さまざまな階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。 また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップなどのデリバティブを用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。詳細は、連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。 また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー生産事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、あるいは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社及び連結子会社の包括利益に影響を及ぼす可能性があります。 (6)為替リスク 当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 2025年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、米ドル/円で1円の変動により34億円、豪ドル/円で1円の変動により25億円と推定しています。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2025年3月期連結業績予想」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。 当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、さまざまな階層において管理体制を構築しています。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。 当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務などのキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジを行うとともにヘッジ会計を適用しています。 詳細は、連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。 (7)保有上場株式の株価リスク 当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しています。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆1,582億円保有しており、総資産の6.9%に相当します。当社及び連結子会社は、全銘柄を対象に株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っていますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、さまざまな階層において管理体制を構築しています。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。詳細は、連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示(6)リスク関連」をご参照ください。 (8)与信リスク 当社及び連結子会社は商取引や融資取引のあるさまざまな顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。 当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、あるいは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は2兆2,167億円であり、総資産の13.1%を占めています。控除した損失評価引当金残高(流動)は173億円となっています。 さまざまなプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保などの提供を要求しています。詳細は、連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。 しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による取引先の支払不能、あるいは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9)資金調達に関するリスク 金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、あるいは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。資金調達及び格付けについては、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」をご参照ください。 (10)オペレーショナルリスク 当社及び連結子会社は、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、次世代・機能推進の各セグメントにおいて、全世界に広がる事業拠点とその情報力を活用し、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンスなど各種事業を多角的に行っており、さらには資源・インフラ開発プロジェクトの構築、環境・新技術・次世代燃料やウェルネスに関連する事業投資やデジタルを活用した価値創出などの幅広い取組みを展開しています。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等のさまざまな操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、またノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 (11)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク 当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範にわたっていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、投融資案件において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもあり得、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本あるいは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともあり得ます。 当社及び連結子会社では、グローバル・グループベースでのコンプライアンス体制を強化、経営幹部が継続的にメッセージを発信し、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成し、コンプライアンス違反に対して厳正に対処する等、さまざまな取組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4. コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要「③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制」をご参照ください。 しかしながら、このような取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に排除することはできず、従業員の不正行為はその内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク 通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展、またサイバー攻撃が全世界的に増加する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化のため、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏洩等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。 しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害、あるいは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続あるいはビジネスの伸長に困難をきたすことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、可能かつ妥当な範囲において、外部からの攻撃に伴う被害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 なお、情報セキュリティに関する当社の取組みについては、「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (6)情報セキュリティ」をご参照ください。 (13)人的資本の制約に関するリスク 当社及び連結子会社は、「人」こそが持続的な価値創造の源泉であるとの考えのもと、人材の確保と育成、評価、報酬等の人材マネジメントに取り組み、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資本を投入しています。しかしながら、事業分野や国・地域によっては求められる人材が不足し、事業価値創出機会の逸失や、安定的なオペレーションに支障をきたす可能性があります。事業に対するこうした人的資本の制約は、当社及び連結子会社の事業展開と経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、リスクの対応策を含めた人材戦略に関する当社の状況については「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (7) 人材戦略」をご参照ください。 (14)人権に関するリスク 当社及び連結子会社は、川上から川下まであらゆる機能・サービスを提供しており、世界中で多岐にわたる事業を展開する中で、さまざまなステークホルダーに影響をもたらします。当社及び連結子会社の事業活動が人権への負の影響を引き起こしている、あるいはサプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長していることが明らかになった場合は、レピュテーションリスクに加え、その影響の解消・緩和による追加的費用の発生等によって、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性や、信用毀損等の影響を受ける可能性があります。 そのため、自社のみならずサプライチェーンも含めた人権の尊重への取組みが求められていることを認識し、「三井物産グループ行動指針 -With Integrity」においても改めてこれを明確化し、グループ各社の経営理念や役職員行動規範にも反映すべく推進していきます。当社及び連結子会社の事業活動に関わる人権への負の影響を特定、評価、防止、軽減するために人権デューデリジェンスを実施すると共に、課題発生時には適切な手続きを通じてその是正・救済に取り組みます。また、サプライヤー等の取引先との協働による人権尊重の取組みや、社内プロセスへの人権リスク管理の組み込み等を通じた、事業活動における人権尊重取組みの一層の強化に取り組んでいます。なお、リスクの対応策を含めた人権に関する当社の状況については「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (5) サプライチェーンと人権」をご参照ください。(15)自然災害、テロ・暴動遭遇、感染症等によるリスク 当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルをあらかじめ策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。ただし、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。 ・当社固有のリスクではない、一般的なリスク - 世界マクロ経済環境の変化によるリスク 世界的なあるいは特定の地域における経済情勢、景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 - 法的規制に関するリスク 当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、投資規制、制裁関連法令、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による新興国でのインフラ開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品あるいはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。 当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。 当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入あるいは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、あるいは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。 - 競合リスク 当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 - 金利リスク 当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社の資金調達の状況については、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示」をご参照ください。 - 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク 国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落あるいは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 確定給付費用については、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」及び連結財務諸表注記事項19.「従業員給付」をご参照ください。 - 訴訟及び紛争に関するリスク世界各地で展開する事業活動において当社及び連結子会社は、訴訟や紛争のリスクにさらされています。また、通常の事業活動において、当社及び連結子会社に対する訴訟その他紛争が偶発的に発生し、また訴訟にはいたらないものの、クレームが提起される可能性があります。訴訟その他の紛争には不確実性が伴うため、当社及び連結子会社が関与する訴訟その他の紛争の最終的な結果を予測することは不可能です。当社及び連結子会社が、いかなる訴訟その他の紛争にも勝つ保証はなく、また、これらの訴訟その他の紛争が、将来、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。重要な係争事件については、連結財務諸表注記事項27.「偶発債務 (2)係争事件」をご参照ください。 ・IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合があります。この前提条件の置き方などにより、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」をご参照ください。
FY2023|12,244 文字
3【事業等のリスク】 当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、相互連携して対応しています。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定、対策を講じています。当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。 なお、地政学的リスクの相対的な高まりにより、世界各国・各地域で事業展開している当社及び連結子会社の事業環境が大きく変化し、今後の事業への影響が多岐にわたる可能性があると想定されるため、当連結会計年度より、新たに「(2)地政学的リスク」を追加しています。 (1)事業投資リスク 当社及び連結子会社は、持分・株式取得を通じ、様々な事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金が回収不能となるリスク、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。 また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の多くにおいて、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営はオペレーターの定める方針に影響を受けます。オペレーターによる事業運営が適切に行われない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 そのため、新規投資の実行については必要収益率などの定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業や撤退アラート基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせ、効率的な資産の入替を行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務などのオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット(注)として定期的にモニタリングするとともに、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施し、リスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。(注)リスクアセットは、営業債権や投資、固定資産などの連結財政状態計算書上の残高及び保証債務などのオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額です。 (2)地政学的リスク ロシア・ウクライナ情勢や米中関係等、国・地域間の政治的・社会的緊張の高まりにより、当社および連結子会社が当該地域・国に展開する事業の業績が悪化、または継続が困難となるリスクを負っています。 地政学的な不確実性により、当社及び連結子会社の事業を取り巻く環境が大きく変わる中、難易度の高い組織運営と責任のある主体的な行動が一層求められており、各事業に関わるステークホルダーとの緊密なコミュニケーションも必須となっています。こうした地政学的リスクの高まりによる不確実な情勢の中で機動的に対応するために、当社では以下のようなリスクヘッジ策を講じていますが、全ての地政学的リスクを回避することは困難であり、当社業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ・事業を展開する国・地域の政治・経済情勢等の動向を定期的にモニタリングし、その国や地域に存在するリスクや事業環境の変化について慎重に判断を行っています。・地政学的リスクが高いとされる地域へ事業を展開する際は、保険・各国輸出信用機関によるファイナンス等の金融的手段によりリスクを低減しています。・有事の際の対応についてのノウハウを蓄積し、国・地域をまたぎ複数の現地法人が連携、従業員の安全を図り、日本国内または海外で事業を継続する体制を構築しています。 ウクライナ情勢に関して、当社は国際社会が協調し制裁措置を取る中で、それらを遵守しつつ各事業に取り組んでいます。ロシア向けの投融資保証残高は2023年3月末時点で3,625億円となり、当社及び連結子会社の投融資保証残高の約4%となりますが、将来の不確実なロシア・ウクライナ情勢によって影響を受ける可能性があります。また、ウクライナ向けの投融資保証残高は僅少です。なお、2023年3月期決算における影響については、連結財務諸表注記事項29.「ロシア・ウクライナ情勢のロシアLNG事業への影響」をご参照ください。 (3)カントリーリスク 当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。 さらに、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、 ・ブラジル、チリ、ロシアにおいて金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘・液化に係る投融資残高があります。・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投融資残高があります。・モザンビークにおいて、エネルギーの開発・生産・液化に係る投融資残高があります。・インドネシアにおいて、消費者関連事業や二輪車販売金融事業、インフラ関連プロジェクトに係る投融資残高があります。 そのため、カントリーリスクについては、保険・各国輸出信用機関によるファイナンス等、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。 また、ポジションを有するすべての国について債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスク状況の定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかも検証しています。 (4)気候変動に関するリスク 当社では気候変動による将来影響を把握し、また成長機会として取り込むことで、より強靭な事業ポートフォリオを確立すべく、2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指しています。 中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しています。・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課などの排出規制は、当社及び連結子会社が出資するGHG排出量が多い事業の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・技術リスク:気候変動に適応した新技術の導入による既存商材・サービスの需給の変化や既存製造設備の陳腐化が生じる可能性があります。・資金調達リスク:金融機関・保険会社の低・脱炭素方針により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。 当社では、国際エネルギー機関(IEA)などの複数の気候変動シナリオを参考に、事業への影響を分析していますが、既存ポートフォリオを維持する前提では、長期的には保有権益の価値毀損により当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。主な物理的リスクとしては、局地的な暴風雨、特に大西洋および南太平洋で発生する強い熱帯低気圧であるハリケーンやサイクロン等が、当社が行う金属資源やエネルギー等の事業の操業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、生産現場や生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港等のインフラが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間にわたり停止する可能性があります。また、当社出資先のみならず、当社取引先が甚大な被害を受けた場合、原料供給を受けられない等サプライチェーン全体での不稼働リスクの可能性があります。当社及び連結子会社各社において、保険付保、危機管理方針策定、設備増強等の対策は取っていますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社では、レジリエンスの向上とGHG排出削減効果のある取組みの促進を目的に社内カーボンプライシング制度を導入し、案件審査の一要素としています。気候変動に関する当社及び連結子会社の取組みについては2 サステナビリティに関する考え方及び取組をご参照ください。 (5)商品価格リスク 鉄鉱石、原料炭、銅、原油、天然ガス・LNGなどをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。 価格変動は、当社連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2024年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により26億円、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により27億円と推定しています。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2024年3月期連結業績予想」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。 そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。 また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップなどのデリバティブを用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。 また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社及び連結子会社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)為替リスク 当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 2024年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、米ドル/円で1円の変動により39億円、豪ドル/円で1円の変動により27億円と推定しています。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2024年3月期連結業績予想」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。 当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。 当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務などのキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジを行うとともにヘッジ会計を適用しています。 詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。 (7)保有上場株式の株価リスク 当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しています。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆1,407億円保有しており、総資産の7.4%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っていますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。 (8)与信リスク 当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。 当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は2兆1,912億円であり、総資産の14.2%を占めています。控除した損失評価引当金残高(流動)は226億円となっています。 様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保などの提供を要求しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。 しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)資金調達に関するリスク 金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。資金調達及び格付けについては、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」をご参照ください。 (10)オペレーショナルリスク 当社及び連結子会社は、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、次世代・機能推進の各セグメントにおいて、当社を中心として全世界に広がる事業拠点とその情報力を活用し、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンスなど各種事業を多角的に行っており、更には資源・インフラ開発プロジェクトの構築、環境・新技術・次世代燃料やウェルネスに関連する事業投資やデジタルを活用した価値創出などの幅広い取組みを展開しています。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 (11)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク 当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、投融資案件において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもあり得、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともあり得ます。 当社及び連結子会社では、グローバル・グループベースでのコンプライアンス体制を強化、経営幹部が継続的にメッセージを発信し、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成し、コンプライアンス違反に対して厳正に対処する等、さまざまな取組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4. コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要「③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制」をご参照ください。 しかしながら、このような取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に排除することはできず、従業員の不正行為はその内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク 通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展、またサイバー攻撃が全世界的に増加する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。 しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害、或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。また、可能かつ妥当な範囲において、外部からの攻撃に伴う被害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 なお、情報セキュリティに関する当社の取組みについては、「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)情報セキュリティ」をご参照ください。 (13)自然災害、テロ・暴動遭遇、感染症等によるリスク 当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルを予め策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。 ・当社固有のリスクではない、一般的なリスク - 世界マクロ経済環境の変化によるリスク 世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 法的規制に関するリスク 当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による新興国でのインフラ開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。 当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。 当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。 - 競合リスク 当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 人的資源の制約に関するリスク 事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、事業価値創出の機会の逸失につながる可能性があります。事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、人材戦略に関する当社の状況については「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (6) 人材戦略」をご参照ください。 - 金利リスク 当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社及び連結子会社の資金調達の状況については、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」をご参照ください。 - 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク 国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 確定給付費用については、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」をご参照ください。 ・IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合があります。この前提条件の置き方などにより、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」をご参照ください。
FY2022|11,717 文字
2【事業等のリスク】 当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、相互連携して対応しています。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定、対策を講じています。当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。 (1)事業投資リスク当社及び連結子会社は、持分・株式取得を通じ、様々な事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金が回収不能となるリスク、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の多くにおいて、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営はオペレーターの定める方針に影響を受けます。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、新規投資の実行については必要収益率などの定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業や撤退基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせ、効率的な資産の入替を行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務などのオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット(注)として定期的にモニタリングするとともに、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施し、リスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。(注)リスクアセットは、営業債権や投資、固定資産などの連結財政状態計算書上の残高及び保証債務などのオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額です。 (2)カントリーリスク当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、 ・ブラジル、チリ、ロシアにおいて金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘・液化に係る投融資残高があります。・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投融資残高があります。・モザンビークにおいて、エネルギーの開発・生産・液化に係る投融資残高があります。・インドネシアにおいて、消費者関連事業や二輪車販売金融事業、インフラ関連プロジェクトに係る投融資残高があります。そのため、カントリーリスクについては、各国輸出信用機関によるファイナンスなど、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。また、ポジションを有するすべての国について債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスク状況の定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかも検証しています。なお、ウクライナ情勢に関して、当社は国際社会が協調し制裁措置を取る中で、それらを遵守しつつ各事業に取り組んでいます。ロシア向けの投融資保証残高は2022年3月末時点で4,260億円となり、当社及び連結子会社の投融資保証残高の約4%となりますが、将来の不確実なウクライナやロシアの情勢によって影響を受ける可能性があります。また、2022年3月期決算における影響については、連結財務諸表注記事項29.「ウクライナ情勢のロシアLNG事業への影響」をご参照ください。 (3)気候変動に関するリスク国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。短期的に発現する可能性が高い物理的リスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、渇水ないしは局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生するハリケーンやサイクロンは、当社及び連結子会社が行う操業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、生産現場、出荷のための鉄道、港などのインフラが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止する可能性があります。また、当社出資先のみならず、当社取引先が甚大な被害を受けた場合、原料供給を受けられない等サプライチェーン全体での不稼働リスクがあります。当社及び連結子会社各社において、保険付保、危機管理方針策定、設備増強等の対策は取っていますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しています。・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課などの排出権取引制度に代表されるGHG(温室効果ガス)排出規制は、当社及び連結子会社が出資するGHG排出量が多い事業の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・技術リスク:気候変動に適応した新技術の導入による既存商材・サービスの需給の変化や既存製造設備の陳腐化が生じる可能性があります。・資金調達リスク:金融機関・保険会社の低・脱炭素方針により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。国際エネルギー機関(IEA)などの複数の気候変動シナリオを参考に、事業への影響を分析していますが、既存ポートフォリオを維持する前提では、長期的には保有権益の価値毀損により当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、気候変動による将来影響を把握し、また成長機会として取り込むことで、より強靭な事業基盤を確立すべく、2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指します。更に当社では、レジリエンスの向上とGHG排出削減効果のある取組みの促進を目的に社内カーボンプライシング制度を導入しました。新規事業案件につき、2℃シナリオでの影響の分析、ならびに対策の妥当性等が、案件審査の一要素に追加されました。同制度は既存事業のリスク評価にも活用されています。なお、気候変動に関する当社及び連結子会社の取組みについては第2 事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(5) サステナビリティ経営」をご参照ください。 (4)商品価格リスク原油、天然ガス、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。価格変動は、当社連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2023年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により22億円、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により22億円と推定しています。詳細は、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(6)2023年3月期連結業績予想」及び3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。 また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップなどのデリバティブを用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社及び連結子会社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)為替リスク当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。2023年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、米ドル/円で1円の変動により46億円、豪ドル/円で1円の変動により25億円と推定しています。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2023年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」をご参照ください。当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務などのキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を用いてヘッジを行っており、その一部についてはヘッジ会計を適用しています。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジを行うとともにヘッジ会計を適用しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」をご参照ください。 (6)保有上場株式の株価リスク当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しています。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆3,355億円保有しており、総資産の8.9%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っていますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。 (7)与信リスク当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は2兆3,031億円であり、総資産の15.4%を占めています。控除した損失評価引当金残高(流動)は219億円となっています。様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保などの提供を要求しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」をご参照ください。 しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)資金調達に関するリスク金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。資金調達及び格付けについては、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」をご参照ください。 (9)オペレーショナルリスク当社及び連結子会社は、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、次世代・機能推進の各セグメントにおいて、当社を中心として全世界に広がる事業拠点とその情報力を活用し、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンスなど各種事業を多角的に行っており、更には資源・インフラ開発プロジェクトの構築、環境・新技術・次世代燃料やウェルネスに関連する事業投資やデジタルを活用した価値創出などの幅広い取組みを展開しています。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 (10)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、投融資案件において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもあり得、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともあり得ます。当社及び連結子会社では、グローバル・グループベースでのコンプライアンス体制を強化、経営幹部が継続的にメッセージを発信し、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成し、コンプライアンス違反に対して厳正に対処する等、さまざまな取り組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4. コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要「③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制」をご参照ください。しかしながら、このような取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に排除することはできず、従業員の不正行為はその内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展、またサイバー攻撃が全世界的に増加する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)自然災害、テロ・暴動遭遇、感染症等によるリスク当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症に関しては、中国におけるゼロコロナ政策の継続による景気回復への鈍化や、新興国におけるコロナ禍からの回復の遅れによる成長鈍化などが将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルを予め策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。 ・当社固有のリスクではない、一般的なリスク - 世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 法的規制に関するリスク当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による新興国でのインフラ開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。 - 競合リスク当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 人的資源の制約に関するリスク新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、人材戦略に関する当社の状況については第2 事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等「(4) 人材戦略(ダイバーシティ&インクルージョン)」をご参照ください。 ・リスクとして認識はしているが、影響に重要性がないもの- 金利リスク当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の資金調達の状況については、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」をご参照ください。 - 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。確定給付費用については、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析「(6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」をご参照ください。 ・IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合があります。この前提条件の置き方などにより、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」をご参照ください。
FY2021|11,804 文字
2【事業等のリスク】 当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、また相互連携して対応しています。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定、対策を講じています。当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。 (1)事業投資リスク当社及び連結子会社は、持分・株式取得を通じ、様々な事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の多くにおいて、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営は実質的にオペレーターに支配的権限があります。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、新規投資の実行については必要収益率などの定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業や撤退基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせ、効率的な資産の入替を行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務などのオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット(注)として定期的にモニタリングするとともに、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施し、リスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。(注)リスクアセットは、営業債権や投資、固定資産などの連結財政状態計算書上の残高及び保証債務などのオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額です。 (2)カントリーリスク当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、・ブラジル、チリ、ロシアにおいて金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘・液化に係る投資を推進しています。・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投資を推進しています。・モザンビークにおいて、エネルギーの開発・生産・液化に係る投資を推進しています。そのため、カントリーリスクについては、各国輸出信用機関によるファイナンスなど、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。また、ポジションを有するすべての国について債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスク状況の定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかも検証しています。 (3)気候変動に関するリスク国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。短期的に発現する可能性が高い物理的リスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生するハリケーンやサイクロンは、当社及び連結子会社が行う操業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、生産現場、出荷のための鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止する可能性があります。また、当社出資先のみならず、当社取引先が甚大な被害を受けた場合、原料供給を受けられない等サプライチェーン全体での不稼働リスクがあります。当社及び連結子会社各社において、保険付保、危機管理方針策定、設備を増強等の対策は取っていますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しています。・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課などの排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制は、当社及び連結子会社が出資する温室効果ガス排出量が多い事業の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・技術リスク:気候変動に適応した新技術の導入による既存商材・サービスの需給に変化が生じる可能性があるほか、保有権益の価値毀損など、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・資金調達リスク:金融機関・保険会社の脱炭素方針により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。国際エネルギー機関(IEA)などの複数の気候変動シナリオを参考に、事業への影響を分析していますが、既存ポートフォリオを維持する前提では、長期的には当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、2℃シナリオ下でも継続的に収益の維持・向上が可能な資産ポートフォリオを2030年までに構築すべく、2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指します。更に当社では、レジリエンスの向上とGHG排出削減効果のある取組の促進を目的に社内カーボンプライシング制度を導入しました。新規事業案件につき、2℃シナリオでの影響の分析、ならびに対策の妥当性等が、案件審査の一要素に追加されました。同制度は既存事業のリスク評価にも活用されています。 (4)商品価格リスク原油、天然ガス、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。価格変動は、当社連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2022年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により25億円、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により22億円と推定しています。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2022年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。2021年3月期は新型コロナウイルスの拡大を含む諸影響により、商品市況に変動が生じましたが、策定されたリスク管理方針に沿って取り組んだ結果、トレーディング事業における短期的な価格変動による重要な損失はありませんでした。また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップなどのデリバティブを用いてヘッジ会計を行っています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」を参照願います。また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。(5)為替リスク当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。2022年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、米ドル/円で1円の変動により26億円、豪ドル/円で1円の変動により24億円と推定しています。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2022年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しております。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っております。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しております。当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務などのキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を用いてヘッジ会計を行っております。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジ会計を行っております。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」を参照願います。 (6)保有上場株式の株価リスク当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しております。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆801億円保有しており、総資産の8.6%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っておりますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しております。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」を参照願います。 (7)与信リスク当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は1兆8,120億円であり、総資産の14.5%を占めています。控除した損失評価引当金残高(流動)は222億円となっています。様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保などの提供を要求しております。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示(6)リスク関連」を参照願います。2021年3月期は新型コロナウイルスの拡大の影響により、複数の取引先より支払い条件や期日の見直しの要請がありましたが、上記方針に沿って取り組んだ結果、経営成績への重要な影響はありませんでした。当社及び連結子会社の財政状況への影響は限定的です。しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (8)資金調達に関するリスク金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。資金調達及び格付けについては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 (9)オペレーショナルリスク当社及び連結子会社は、鉄鋼製品、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、生活産業、次世代・機能推進の各セグメントにおいて、当社を中心として全世界に広がる事業拠点とその情報力を活用し、多種多様な商品の売買、製造、輸送、ファイナンスなど各種事業を多角的に行っており、更には資源・インフラ開発プロジェクトの構築、環境・新技術・次世代電力やウェルネスに関連する事業投資やデジタルを活用した価値創出などの幅広い取組みを展開しております。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 (10)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、商品取引において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもありえ、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともありえます。当社及び連結子会社では、グローバル・グループベースでのコンプライアンス体制を強化、経営幹部による継続的且つ繰り返しメッセージを発信、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成、コンプライアンス違反に対する厳正な対処等、さまざまな取り組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4.「コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制を参照願います。しかしながら、このような取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に排除することはできず、従業員の不正行為はその内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展、またサイバー攻撃が全世界的に増加する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。2021年3月期は新型コロナウイルスの拡大の影響により、全世界的な在宅勤務を余儀なくされましたが、数年前から取り組んできたデジタル環境整備が功を奏し、円滑なテレワークの導入が可能となり、当社及び連結子会社における事業継続の安定性を担保いたしました。しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)自然災害、テロ・暴動遭遇、感染症等によるリスク当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な移動制限等は、当社および連結子会社が営む様々な分野における需要と供給、商品市況に大きく影響を与え、2021年3月期当社業績は前年対比で減益となりました。当社では、ワクチンの世界的な普及に伴い感染症が徐々に縮小傾向に向かう前提の下、2022年3月期業績予想を公表しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症からの経済回復のテンポには地域格差・業種間格差があり、また、ワクチン普及の遅れや、想定外の変異種の拡大等により感染が再拡大した場合には、業績の回復スピードが遅れる可能性があります。また、需要の減少が中長期的に継続する場合は、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルを予め策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。・当社固有のリスクではない、一般的なリスク - 世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 法的規制に関するリスク当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による発展途上国でのインフラストラクチャー開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。 - 競合リスク当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 人的資源の制約に関するリスク新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・リスクとして認識はしているが、影響に重要性がないもの- 金利リスク当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の資金調達の状況については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。 - 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。確定給付費用については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」 及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」を参照願います。 ・IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積りが必要となる場合があります。この前提条件の置き方などにより、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。
FY2020|11,483 文字
2【事業等のリスク】当社及び連結子会社を取り巻く多種多様な定量・定性リスクに対し、関係のコーポレートスタッフ部門各部がそれぞれの職掌に定めるリスク管理分野において各種社内規程等の制定を行うと共に、事前審査もしくは事後モニタリングを通じ、また相互連携して対応しています。また、経営会議及び経営会議の諮問機関であるポートフォリオ管理委員会を核として、全社一元的に管理する統合リスク管理体制を構築し、全社リスクを横断的に見て、発生頻度と想定損害規模及び全社リスク許容度に鑑み、重要なリスクを特定しています。当連結会計年度末における重要なリスクは以下のとおりです。 (1)新型コロナウイルス感染拡大によるリスク2020年初めからの新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、世界的な移動制限や都市部のロックダウン等により様々な分野で需要は減退し、商品市況は大きく下落しています。今後、感染拡大がどのように収束していくのか、その後の経済及び社会に与える影響等、事業環境の不透明さは増しています。当社では、新型コロナウイルス感染拡大による影響が2021年3月期後半より回復する前提で、2021年3月期業績予想を策定しています。製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下等によりもたらされる当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要の減少が前提と大きく異なる場合や、世界的に需給バランスが崩れることにより商品市況が大きく継続的に下落する場合には、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、2021年3月期アクションプランとして、社員とステークホルダーの安全確保や既存事業の維持・継続、リスク管理の徹底、コスト削減を通じた更なる下方耐性の強化に努めます。更には、顧客、パートナーとのネットワーク維持のみならず、デジタルを駆使した新たな事業創出にも挑戦していきます。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)新中期経営計画 ④2021年3月期アクションプラン、(5)2021年3月期連結業績予想」を参照願います。 (2)事業投資リスク当社及び連結子会社は、持分・株式取得を通じ、様々な事業に対する投資活動を行っていますが、この事業投資に関連して投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っています。また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業の多くにおいて、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営は実質的にオペレーターに支配的権限があります。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、新規投資の実行については必要収益率などの定量基準や定性評価に基づき意思決定するとともに、全事業の保有意義を定期的にモニタリングし、不振事業や撤退基準に抵触する事業の改善計画や撤退方針を擦り合わせ、効率的な資産の入替を行っています。また、連結財政状態計算書上の資産に内在するリスクに加えて、マーケットリスクや保証債務などのオフバランスのリスクを一定の基準で評価し、リスクアセット(注)として定期的にモニタリングするとともに、一定の前提の下にストレステストを定期的に実施し、リスクアセットと株主資本の比率への影響も検証しています。(注)リスクアセットは、営業債権や投資、固定資産などの連結財政状態計算書上の残高及び保証債務などのオフバランスシート・ポジションに、その潜在的な損失リスクに応じ当社が独自に設定したリスクウェイトを乗じることにより算出している想定損失の最大額です。 (3)カントリーリスク当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、各国の政治・経済・社会状況の変化により、当該国に所在する取引先等に対する債権や、出資先もしくは進行中のプロジェクトに関する投融資等の回収が不能になる、もしくは在庫・固定資産等の価値が毀損するリスクを負っています。更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に一定程度集中しています。例えば、当社及び連結子会社は、・ブラジル、チリ、ロシアにおいて、金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投資を推進しています。・モザンビークにおいて、鉄道・港湾インフラ事業及び金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。そのため、カントリーリスクについては、各国輸出信用機関によるファイナンスなど、案件の内容に応じて適切なリスクヘッジ策を講じています。また、ポジションを有するすべての国について債権、投融資、保証等のエクスポージャーを国別に定期的に把握するとともに、原則として先進国を除く国を対象に、カントリーリスク状況の定性・定量的なモニタリングを行い、年1回及び必要と判断する都度、カントリーリスク管理上の対応方針を策定しています。全社ポートフォリオの定期的なモニタリングにおいては、事業分野別だけでなく国別のアセットサイズが適切なレベルかどうかも検証しています。 (4)気候変動に関するリスク国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。短期的に発現する可能性が高い物理的リスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生する強い熱帯低気圧であるハリケーンやサイクロンは、当社及び連結子会社が行う金属資源などの操業に悪影響を及ぼす可能性があるほか、生産現場や生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止する可能性があります。また、当社出資先のみならず、当社取引先において甚大な被害を受けた場合、原料供給を受けられない等サプライチェーン全体での不稼働リスクがあります。当社及び連結子会社各社において、保険を付保する、危機管理方針を定める、必要に応じて設備を強化する等の対策は取っておりますが、物理的リスクを完全に回避できるものではなく、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。中長期的に発現する可能性がある移行リスクとしては、主に以下を認識しています。・政策・法規制リスク:各国・地域の政策によるエネルギー・電源構成の変更や、炭素税の賦課やキャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制は、当社及び連結子会社が出資する海外発電事業など化石燃料を使用し温室効果ガス排出量が多い事業、及び石炭・石油・ガスの生産・液化事業の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・技術リスク:気候変動に適応した新技術の参入により、既存商材・サービスの需給に変化が生じる可能性があるほか、製造設備が陳腐化する、保有権益の価値が毀損するなど、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・市場リスク:金融機関・保険会社の脱炭素方針による事業推進により資金調達上のリスクが発生する可能性があります。国際エネルギー機関(IEA)など国際的に認知されている組織の複数の気候変動シナリオを念頭に、事業への影響を分析していますが、既存ポートフォリオを維持した場合、長期的には当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、新中期経営計画において、2℃シナリオ下においても継続的に収益の維持・向上が可能な資産ポートフォリオを2030年までに構築すべく、2050年の「あり姿」としてNet-zero emissionsを掲げ、2030年はその「あり姿」に向けた道筋として、2020年比GHGインパクト半減を目指します。 (5)商品価格リスク原油、天然ガス、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。価格変動は、当社連結子会社及び持分法適用会社が保有する権益持分相当の生産量からの販売収入に直接的な影響を及ぼします。2021年3月期において、連結損益計算書における当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は、鉄鉱石でUS$1/トンあたりの価格変動により22億円、原油価格でUS$1/バレルあたりの価格変動により32億円と推定しています。詳細は、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2021年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。そのため、当社及び連結子会社は、商品価格リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しています。特に商品価格リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っています。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、市場リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しています。また、当社及び連結子会社は、市況商品に係る営業活動を行うにあたり、約定残高のキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に商品スワップなどのデリバティブを用いてヘッジ会計を行っています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」を参照願います。また、予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)為替リスク当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、為替リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しております。特に為替リスクに関しては、各事業本部長及び海外地域本部長は、各本部におけるポジション限度及び損失限度の設定、管理体制等を定めたリスク管理方針を策定し、担当役員の承認を受け、その承認内容に従って管理・報告を行う一義的な責任を負っております。また、取引部署から独立したリスク管理部署において、為替リスクの状況を管理、評価及び分析し、その結果を定期的に担当役員に報告しております。当社及び連結子会社は、世界各国で多種多様な営業活動を行っており、所在国通貨以外での売買取引より生じる外貨建金銭債権債務及びファイナンス取引より生じる外貨建長期金銭債権債務などのキャッシュ・フローを固定化することを目的として、主に為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を用いてヘッジ会計を行っております。さらに、当社及び連結子会社は、主に在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクを回避することを目的として、主に外貨建借入金を用いてヘッジ会計を行っております。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連、(7)デリバティブ取引及びヘッジ会計」を参照願います。 (7)保有上場株式の株価リスク当社及び連結子会社は、事業機会の創出や取引・協業関係の構築・維持・強化を図るため、市場性ある資本性金融資産への投資を行っており、株価リスクを有しております。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を6,455億円保有しており、総資産の5.5%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っておりますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、株価リスクを含む市場リスク管理方針を策定し、様々な階層において管理体制を構築しております。特に株価リスクに関しては、時価総額の増減要因の把握を行うことにより管理しています。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示 (6)リスク関連」を参照願います。 (8)与信リスク当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は1兆6,225億円であり、総資産の13.7%を占めています。控除した当連結会計年度の損失評価引当金残高(流動)は157億円となっています。様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。そのため、定期的に取引先の状況を確認し、適切な決裁者により承認されたクレジットライン管理を行うと共に、債権等の回収期日経過状況をモニタリングしています。また、必要に応じて取引先に担保などの提供を要求しております。詳細は、連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示(6)リスク関連」を参照願います。しかしながら、こうした管理を行ったとしても、当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があり、将来の当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)資金調達に関するリスク金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、10年程度の長期資金を中心とした資金調達を行うと同時に、長期資金の年度別償還額の集中を避けることで借り換えリスクの低減を図っています。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応と、当社の有利子負債返済における金融情勢悪化の影響を最小限に抑えるためにも、十分な現金及び現金同等物を保有しています。資金調達及び格付けについては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 (10)オペレーショナルリスク当社及び連結子会社は、鉄鋼製品、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、生活産業、次世代・機能推進などの分野で商品の販売、輸出入・外国間貿易及び製造を行うほか、リテール、情報通信、技術、輸送、ファイナンスなどの総合的なサービスの提供、更にはエネルギー・鉄鋼原料などの資源開発事業などの幅広い取組を展開しています。これらの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、リスク軽減策・損害防止策を検討するほか、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それらによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 (11)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、商品取引において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもありえ、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともありえます。当社及び連結子会社では、グローバル・グループベースでのコンプライアンス体制を強化、経営幹部による継続的且つ繰り返しメッセージを発信、コンプライアンスに関する職制ライン及び職制外の報告・相談ルートを設置すると共に、スピークアップ文化を醸成、コンプライアンス違反に対する厳正な対処等、さまざまな取り組みを行っています。詳細は、第4 提出会社の状況 4.「コーポレートガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③内部統制システムの整備状況 (d)コンプライアンス体制を参照願います。しかしながら、このような取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に排除することはできず、従業員の不正行為はその内容次第で当社及び連結子会社の事業、社会的信用、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)自然災害、テロ・暴動遭遇等によるリスク当社及び連結子会社が事業活動を展開する国や地域において、地震や水害、テロ、感染症、電力不足等が発生した場合には、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社では、災害時事業継続計画(BCP)や災害対策マニュアルを予め策定するとともに、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練、テレワークのためのインフラ強化などの対策を講じていますが、全ての被害や影響を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当連結会計年度末に重要なリスクとして特定したもの以外で、当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。但し、これらは全てのリスクを網羅したものではありません。・当社固有のリスクではない、一般的なリスク- 世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 法的規制に関するリスク当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による発展途上国でのインフラストラクチャー開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの変更により、当初の想定より工期が遅延する可能性があります。 - 競合リスク当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 人的資源の制約に関するリスク新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ・リスクとして認識はしているが、影響に重要性がないもの- 金利リスク当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の資金調達の状況については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。 - 確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。確定給付費用については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」 及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」を参照願います。 ・IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断の下、一定の前提条件に基づく見積もりが必要となる場合があります。この前提条件の置き方などにより、当社及び連結子会社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすことがあります。詳細は、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。
FY2019|9,026 文字
2【事業等のリスク】(1)世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)市場リスク①商品価格リスク原油、天然ガス、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。・相場商品の現物或いは派生商品のトレーディングで、予想外の相場変動により損失が発生することがあります。・商品市況の下落により当社及び連結子会社が関わる仲介取引が減少することがあります。商品市況の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2020年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。 ②為替リスク当社及び連結子会社は外国為替相場の変動に係るリスクを有しており、外国為替相場の変動は当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社の連結決算上の報告通貨は日本円ですが、事業活動、連結上の収益と営業費用の相当部分は日本円以外の通貨により受払いされています。このため、日本円に対するその他の通貨の価値の上昇或いは下落は、取引に伴う多額の利益または損失をもたらします。海外の関係会社の収入・支出は米ドル、豪ドル、伯レアルなどにより構成されていますので、当社及び連結子会社の当期利益はこうした通貨の為替変動の影響を受けます。更に当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。外国為替相場の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)2020年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 ③金利リスク当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。なお、当連結会計年度末における当社及び連結子会社の短期債務及び長期債務はそれぞれ3,370億円及び4兆2,885億円となります。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の資金調達の状況については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。 ④株価リスク当社及び連結子会社の投資ポートフォリオには、市場性のある資本性金融資産が含まれます。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆87億円保有しており、総資産の8.4%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っておりますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。確定給付費用については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」 及び連結財務諸表注記事項19.「従業員給付」 を参照願います。 (3)与信リスク当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。・当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の損失評価引当金控除後の流動売上債権等は1兆8,042億円であり、総資産の15.1%を占めています。控除した当連結会計年度の損失評価引当金残高(流動)は125億円となっています。・様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。・ヘッジ取引のために行ったデリバティブ取引の相手方による支払不能リスクを有しています。当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があります。 (4)固定資産に関する減損リスク当社及び連結子会社が自ら使用、または第三者に貸与する機械及び装置、土地及び建物などは、資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされています。当連結会計年度末において、有形固定資産、投資不動産、及び無形資産の帳簿価額の合計は2兆3,226億円です。固定資産の価値は、世界的或いは地域的な需要と供給に基づく価格、生産・販売数量、及びコストの変動等の当社が制御しえない要因の影響を受けます。固定資産について減損損失が発生した場合、減損処理は当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。非金融資産の減損に係る会計方針及び見積りについては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。 (5)資金調達に関するリスク金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。資金調達及び格付けについては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 (6)繰延税金資産に関するリスク当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積りの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)リスク・エクスポージャーの集中リスク当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、商品市況及び需給、為替・金利相場などのグローバルな経済環境に加えて、地域の政治的及び経済的不安定性に起因するリスクを有しております。更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に関する集中化リスクを有しています。例えば、当社及び連結子会社は、・ブラジル、チリ、ロシアにおいて、金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。・インドネシアにおいて発電事業をはじめとする各種インフラ関連プロジェクトや二輪車販売金融事業を推進しています。・モザンビークにおいて、鉄道・港湾インフラ事業及び金属資源の探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。・マレーシアにおいて、アジア広域のヘルスケア事業に係る投資を推進しています。こうした事業集中地域や分野において当社及び連結子会社の事業活動が低迷する、或いは予想外の政治的或いは経済的混乱が生じる場合には、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (8)事業投資リスク当連結会計年度末現在、当社は278社の連結子会社及び213社の持分法適用会社を有しています。当社は、連結子会社及び持分法適用会社の事業性を評価するためのモニタリング・プロセスを導入し、収益性の低い事業の再編に継続的に取組んでいます。こうした事業再編を計画に沿って達成できない場合は、非効率な事業運営を進めることとなり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)金属資源、石油・ガスの探鉱・開発・生産に係るリスク当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業は、以下のリスクを伴います。・開発事業においては、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの問題により、当初の想定より工期が遅延する或いは開発費用負担が増加する可能性があります。・埋蔵量の計算は、利用可能な地質情報・技術・契約条件・経済的条件に基づく推定であり、現実の開発・生産は想定と異なる可能性があります。・探鉱作業は不確定要素を伴うため、想定したコストやスケジュールでの持分埋蔵量の補充ができない可能性があります。これらの多くの事業において、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営は実質的にオペレーターに支配的権限があります。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10)競合リスク当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)経営資源の制約に関するリスク新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)環境に関するリスク当社及び連結子会社が内外各地で展開する事業は、広範な環境関連法令の規制を受けます。とりわけ金属資源セグメントやエネルギーセグメントの経営成績は、現在或いは将来における探鉱・開発事業に対する環境規制の影響を被る可能性があります。例えば当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。環境法令の変更や新設、NPO・NGO等ステークホルダーの批判、議決権行使助言機関からの助言やESG/SRI調査会社による格付は、これらのプロジェクトの進捗に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、ひとたび環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)法的規制に係るリスク当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による発展途上国でのインフラストラクチャー開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は法令に適合するため、相当の追加費用を負担することが起こりえます。 (14)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、商品取引において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもありえ、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともありえます。法令及び社内規定の遵守のための様々な取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に防止できる確証はありません。従業員の不正行為はその内容次第で当社の経営成績や社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (15)内部統制に関するリスク当社及び連結子会社の事業は世界中の様々な商品やサービスに亘っているため、財務報告に係る内部統制についても様々な取引パターンに応じて構築する必要があります。当社及び連結子会社は適正な財務報告に係る内部統制を維持できず、財務報告に係る内部統制が有効であると主張できない場合があります。こうした場合には、当社及び連結子会社に対する市場の評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)気候変動・自然災害に関するリスク国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。当社は気候変動の重要性を認識しており、気候変動の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)と物理的リスクは当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらリスクのうち、政策・法規制リスクとして、炭素税の賦課やキャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制は、当社及び連結子会社が出資する海外発電事業など化石燃料を使用し温室効果ガス排出量が多い事業、及び石炭・石油・ガスの生産事業の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、物理的リスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生する強い熱帯低気圧であるハリケーンやサイクロンは当社及び連結子会社が行う金属資源、石油・ガス及び塩田事業の生産活動及び出荷に悪影響を及ぼし、費用の増加や収益の減少をまねく可能性があります。こうした異常気象により生産現場や生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止することがありえます。また、干ばつなどの異常気象は当社及び連結子会社が行う食料生産事業の生産活動に対しても悪影響を与える可能性があります。また、地震、大雨、洪水などの自然災害により、社員や事務所・設備などに対する被害が発生し、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、自然災害等による被害を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じた外部からの攻撃への対応や非常時を想定した定期的な訓練に努めています。しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)テロ・暴動遭遇リスク当社及び連結子会社は、グローバルに営業活動を展開しており、海外各国のテロ・暴動等の予期せぬ事態並びにその他の政治的・社会的要因の動向等のリスクにさらされております。こうした様々なリスクは、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|8,959 文字
2【事業等のリスク】(1)世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)市場リスク①商品価格リスク原油、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。・相場商品の現物或いは派生商品のトレーディングで、予想外の相場変動により損失が発生することがあります。・商品市況の下落により当社及び連結子会社が関わる仲介取引が減少することがあります。商品市況の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2019年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。 ②為替リスク当社及び連結子会社は外国為替相場の変動に係るリスクを有しており、外国為替相場の変動は当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社の連結決算上の報告通貨は日本円ですが、事業活動、連結上の収益と営業費用の相当部分は日本円以外の通貨により受払いされています。このため、日本円に対するその他の通貨の価値の上昇或いは下落は、取引に伴う多額の利益または損失をもたらします。海外の関係会社の収入・支出は米ドル、豪ドル、伯レアルなどにより構成されていますので、当社及び連結子会社の当期利益はこうした通貨の為替変動の影響を受けます。更に当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。外国為替相場の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2019年3月期連結業績予想」及び3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 ③金利リスク当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。なお、当連結会計年度末における当社及び連結子会社の短期債務及び長期債務はそれぞれ2,016億円及び4兆254億円となります。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の資金調達の状況については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。 ④株価リスク当社及び連結子会社の投資ポートフォリオには、市場性のある資本性金融資産が含まれます。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融資産を1兆466億円保有しており、総資産の9.3%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っておりますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。確定給付費用については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」 及び連結財務諸表注記事項19.「従業員給付」 を参照願います。 (3)与信リスク当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。・当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の貸倒引当金控除後の流動売上債権等は1兆7,660億円であり、総資産の15.6%を占めています。控除した当連結会計年度の貸倒引当金残高(流動)は86億円となっています。・様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。・ヘッジ取引のために行ったデリバティブ取引の相手方による支払不能リスクを有しています。当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があります。 (4)固定資産に関する減損リスク当社及び連結子会社が自ら使用、または第三者に貸与する機械及び装置、土地及び建物などは、資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされています。当連結会計年度末において、有形固定資産、投資不動産、及び無形資産の帳簿価額の合計は2兆921億円です。固定資産の価値は、世界的或いは地域的な需要と供給に基づく価格、生産・販売数量、及びコストの変動等の当社が制御しえない要因の影響を受けます。固定資産について減損損失が発生した場合、減損処理は当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。非金融資産の減損に係る会計方針及び見積りについては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。 (5)資金調達に関するリスク金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。資金調達及び格付けについては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 (6)繰延税金資産に関するリスク当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積りの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)リスク・エクスポージャーの集中リスク当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、商品市況及び需給、為替・金利相場などのグローバルな経済環境に加えて、地域の政治的及び経済的不安定性に起因するリスクを有しております。更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に関する集中化リスクを有しています。例えば、当社及び連結子会社は、・ブラジル、チリ、ロシアにおいて、金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。・インドネシアにおいて発電事業をはじめとする各種インフラ関連プロジェクトや二輪車販売金融事業を推進しています。・モザンビークにおいて、鉄道・港湾インフラ事業及び金属資源の探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。こうした事業集中地域や分野において当社及び連結子会社の事業活動が低迷する、或いは予想外の政治的或いは経済的混乱が生じる場合には、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (8)事業投資リスク当連結会計年度末現在、当社は265社の連結子会社及び207社の持分法適用会社を有しています。当社は、連結子会社及び持分法適用会社の事業性を評価するためのモニタリング・プロセスを導入し、収益性の低い事業の再編に継続的に取組んでいます。こうした事業再編を計画に沿って達成できない場合は、非効率な事業運営を進めることとなり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)金属資源、石油・ガスの探鉱・開発・生産に係るリスク当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業は、以下のリスクを伴います。・開発事業においては、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの問題により、当初の想定より工期が遅延する或いは開発費用負担が増加する可能性があります。・埋蔵量の計算は、利用可能な地質情報・技術・契約条件・経済的条件に基づく推定であり、現実の開発・生産は想定と異なる可能性があります。・探鉱作業は不確定要素を伴うため、想定したコストやスケジュールでの持分埋蔵量の補充ができない可能性があります。これらの多くの事業において、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営は実質的にオペレーターに支配的権限があります。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10)競合リスク当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)経営資源の制約に関するリスク新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)環境に関するリスク当社及び連結子会社が内外各地で展開する事業は、広範な環境関連法令の規制を受けます。とりわけ金属資源セグメントやエネルギーセグメントの経営成績は、現在或いは将来における探鉱・開発事業に対する環境規制の影響を被る可能性があります。例えば当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。環境法令の変更や新設、NPO・NGO等ステークホルダーの批判、議決権行使助言機関からの助言やESG/SRI調査会社による格付は、これらのプロジェクトの進捗に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、ひとたび環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)法的規制に係るリスク当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による発展途上国でのインフラストラクチャー開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は法令に適合するため、相当の追加費用を負担することが起こりえます。 (14)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、商品取引において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもありえ、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともありえます。法令及び社内規定の遵守のための様々な取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に防止できる確証はありません。従業員の不正行為はその内容次第で当社の経営成績や社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (15)内部統制に関するリスク当社及び連結子会社の事業は世界中の様々な商品やサービスに亘っているため、財務報告に係る内部統制についても様々な取引パターンに応じて構築する必要があります。当社及び連結子会社は適正な財務報告に係る内部統制を維持できず、財務報告に係る内部統制が有効であると主張できない場合があります。こうした場合には、当社及び連結子会社に対する市場の評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)気候変動・自然災害に関するリスク国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。当社は気候変動の重要性を認識しており、気候変動の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク)と物理的リスクは当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらリスクのうち、政策・法規制リスクとして、炭素税の賦課やキャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制は、当社及び連結子会社が出資する海外発電事業など化石燃料を使用し温室効果ガス排出量が多い事業、及び石炭・石油・ガスの生産事業の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、物理的リスクとしては、気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生する強い熱帯低気圧であるハリケーンやサイクロンは当社及び連結子会社が行う金属資源、石油・ガス及び塩田事業の生産活動及び出荷に悪影響を及ぼし、費用の増加や収益の減少をまねく可能性があります。こうした異常気象により生産現場や生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止することがありえます。また、干ばつなどの異常気象は当社及び連結子会社が行う食料生産事業の生産活動に対しても悪影響を与える可能性があります。また、地震、大雨、洪水などの自然災害により、社員や事務所・設備などに対する被害が発生し、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、自然災害等による被害を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク通信ネットワークのグローバル規模での運用が進展する中、ITシステムの適切な運用と情報価値の把握並びに適切な取扱いが重要です。当社は、情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、関連規程を整備し、当社及び連結子会社が保有する情報及び情報システムにおける機密性、完全性及び可用性を適切に確保し、またリスク管理水準を改善するための指針を継続的に示して情報漏えい等のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じて外部からの攻撃への対応に努めています。しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)テロ・暴動遭遇リスク当社及び連結子会社は、グローバルに営業活動を展開しており、海外各国のテロ・暴動等の予期せぬ事態並びにその他の政治的・社会的要因の動向等のリスクにさらされております。こうした様々なリスクは、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|9,730 文字
4【事業等のリスク】(1)世界マクロ経済環境の変化によるリスク世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)市場リスク①商品価格リスク原油、鉄鉱石、石炭、銅などをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。・相場商品の現物或いは派生商品のトレーディングで、予想外の相場変動により損失が発生することがあります。・商品市況の下落により当社及び連結子会社が関わる仲介取引が減少することがあります。商品市況の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、3「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2018年3月期連結業績予想」及び7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。 ②為替リスク当社及び連結子会社は外国為替相場の変動に係るリスクを有しており、外国為替相場の変動は当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社の連結決算上の報告通貨は日本円ですが、事業活動、連結上の収益と営業費用の相当部分は日本円以外の通貨により受払いされています。このため、日本円に対するその他の通貨の価値の上昇或いは下落は、取引に伴う多額の利益または損失をもたらします。海外の関係会社の収入・支出は米ドル、豪ドル、伯レアルなどにより構成されていますので、当社及び連結子会社の当期利益はこうした通貨の為替変動の影響を受けます。更に当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。外国為替相場の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、3「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)2018年3月期連結業績予想」及び7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 ③金利リスク当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。なお、当連結会計年度末における当社及び連結子会社の短期債務及び長期債務はそれぞれ3,046億円及び4兆4,970億円となります。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の資金調達の状況については、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項8.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。 ④株価リスク当社及び連結子会社の投資ポートフォリオには、市場性のある資本性金融資産が含まれます。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融性資産を5,791億円保有しており、総資産の5.0%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っておりますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤確定給付費用及び確定給付債務に関するリスク国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。確定給付費用については、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)重要な判断を要する会計方針及び見積り」 及び連結財務諸表注記事項18.「従業員給付」 を参照願います。 (3)与信リスク当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。・当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の貸倒引当金控除後の流動売上債権等は1兆7,394億円であり、総資産の15.1%を占めています。控除した当連結会計年度の貸倒引当金残高(流動)は103億円となっています。・様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。・ヘッジ取引のために行ったデリバティブ取引の相手方による支払不能リスクを有しています。当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があります。 (4)固定資産に関する減損リスク当社及び連結子会社が自ら使用、または第三者に貸与する機械及び装置、土地及び建物などは、資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされています。当連結会計年度末において、有形固定資産、投資不動産、及び無形資産の帳簿価額の合計は2兆1,720億円です。固定資産の価値は、世界的或いは地域的な需要と供給に基づく価格、生産・販売数量、及びコストの変動等の当社が制御しえない要因の影響を受けます。固定資産について減損損失が発生した場合、減損処理は当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。非金融資産の減損に係る会計方針及び見積りについては、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。 (5)資金調達に関するリスク金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。資金調達及び格付けについては、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 (6)繰延税金資産に関するリスク当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積りの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。繰延税金資産の回収可能性に係る会計方針及び見積りについては、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。 (7)リスク・エクスポージャーの集中リスク当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、商品市況及び需給、為替・金利相場などのグローバルな経済環境に加えて、地域の政治的及び経済的不安定性に起因するリスクを有しております。更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に関する集中化リスクを有しています。例えば、当社及び連結子会社は、・ブラジル、チリ、ロシアにおいて、金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。・インドネシアにおいて発電事業をはじめとする各種インフラ関連プロジェクトや二輪車販売金融事業を推進しています。・モザンビークにおいて、鉄道・港湾インフラ事業及び金属資源の探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。こうした事業集中地域や分野において当社及び連結子会社の事業活動が低迷する、或いは予想外の政治的或いは経済的混乱が生じる場合には、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (8)事業投資リスク当連結会計年度末現在、当社は268社の連結子会社及び201社の持分法適用会社を有しています。当社は、連結子会社及び持分法適用会社の事業性を評価するためのモニタリング・プロセスを導入し、収益性の低い事業の再編に継続的に取組んでいます。こうした事業再編を計画に沿って達成できない場合は、非効率な事業運営を進めることとなり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)金属資源、石油・ガスの探鉱・開発・生産に係るリスク当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業は、以下のリスクを伴います。・開発事業においては、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの問題により、当初の想定より工期が遅延する或いは開発費用負担が増加する可能性があります。・埋蔵量の計算は、利用可能な地質情報・技術・契約条件・経済的条件に基づく推定であり、現実の開発・生産は想定と異なる可能性があります。・探鉱作業は不確定要素を伴うため、想定したコストやスケジュールでの持分埋蔵量の補充ができない可能性があります。これらの多くの事業において、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営は実質的にオペレーターに支配的権限があります。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10)競合リスク当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)経営資源の制約に関するリスク新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)環境に関するリスク当社及び連結子会社が内外各地で展開する事業は、広範な環境関連法令の規制を受けます。とりわけ金属資源セグメントやエネルギーセグメントの経営成績は、現在或いは将来における探鉱・開発事業に対する環境規制の影響を被る可能性があります。例えば当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。環境法令の変更や新設、NPO・NGO等ステークホルダーの批判、議決権行使助言機関からの助言やESG/SRI調査会社による格付は、これらのプロジェクトの進捗に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、ひとたび環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社連結子会社は、BP Exploration & Production Inc.(以下、BPという)をオペレーターとするメキシコ湾探鉱事業において発生した原油流出事故に関連して、経済的損失、財産被害及び健康被害に基づく損害賠償、事故後の清掃費用ならびに制裁金を請求する訴訟を提起されました。本件に起因する私人や行政機関の当社及び当社連結子会社に対する請求は、懲罰的損害賠償請求のうち当社連結子会社の行為に起因する部分及び制裁金請求を除き、当社連結子会社がBP及びその親会社との間で合意した和解(以下、本和解という)に基づく補償の対象となっています。但し、本和解に基づく支払いが合意どおりになされない可能性があります。本和解に基づく補償対象外の請求については裁判所命令によって否定されていますが、これらの裁判所命令の多くは確定しておらず、異議申立てがなされる可能性があります。また、当社及び米国三井物産は、飼料添加物の製造販売を行っていた米国の関連会社Coronet Industries Inc.にそれぞれ18.0%及び12.0%を出資しています。同社は、同社フロリダ工場の操業に関連する環境問題についての連邦・州当局の調査を受け、適切な環境対策・具体的な清掃方法の合意とその実施に向け協議を継続中です。 (13)法的規制に係るリスク当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による発展途上国でのインフラストラクチャー開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は法令に適合するため、相当の追加費用を負担することが起こりえます。 (14)役職員による法令及び社内規定の遵守違反に関するリスク当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、商品取引において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもありえ、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともありえます。法令及び社内規定の遵守のための様々な取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に防止できる確証はありません。従業員の不正行為はその内容次第で当社の経営成績や社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (15)内部統制に関するリスク当社及び連結子会社の事業は世界中の様々な商品やサービスに亘っているため、財務報告に係る内部統制についても様々な取引パターンに応じて構築する必要があります。当社及び連結子会社は適正な財務報告に係る内部統制を維持できず、財務報告に係る内部統制が有効であると主張できない場合があります。こうした場合には、当社及び連結子会社に対する市場の評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)気候変動・自然災害に関するリスク気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生する強い熱帯低気圧であるハリケーンやサイクロンは当社及び連結子会社が行う金属資源、石油・ガス及び塩田事業の生産活動及び出荷に悪影響を及ぼし、費用の増加や収益の減少をまねく可能性があります。こうした異常気象により生産現場や生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止することがありえます。また、干ばつなどの異常気象は当社及び連結子会社が行う食料生産事業の生産活動に対しても悪影響を与える可能性があります。国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択されるなど、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。こうした取組みのうち、環境税やキャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制は当社及び連結子会社が出資する海外発電事業など化石燃料を使用し温室効果ガス排出量が多い事業、及び石炭・石油・ガスの生産事業の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、地震、大雨、洪水などの自然災害により、社員や事務所・設備などに対する被害が発生し、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、自然災害等による被害を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)情報システム及び情報セキュリティに関するリスク当社及び連結子会社の情報システムの安全性及び情報セキュリティ強化の為、当社は、関連規程や対応体制を整備して内部のリスクを管理し、通信ネットワーク監視等を通じて外部からの攻撃への対応に努めています。しかしながら、予期できない水準の情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下が避けられず、事業継続或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)テロ・暴動遭遇リスク当社及び連結子会社は、グローバルに営業活動を展開しており、海外各国のテロ・暴動等の予期せぬ事態並びにその他の政治的・社会的要因の動向等のリスクにさらされております。こうした様々なリスクは、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (19)Valepar S.A.の組織再編に伴うリスクVale S.A.(以下「Vale社」)によるValepar S.A.(以下「Valepar社」)の吸収合併は当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はVale社の持株会社Valepar社の株式15%を保有し、Vale社の経営に参画しています。今後、Vale社の臨時株主総会の承認及び優先株主54.09%の同意を条件に、①Vale社優先株の普通株への転換、②Vale社定款変更、③Vale社によるValepar社の吸収合併を実行します。Vale社によるValepar社の吸収合併が行われる場合、当社は、Valepar社株式の簿価と今回直接取得するVale社株式の公正価値との差額に加えて、Valepar社一般社外化による繰延税金負債の取崩益を認識しますが、当該損益は株価、為替等の変動により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|10,403 文字
4【事業等のリスク】(1)世界的な或いは特定の地域の景気減速は、貿易額や物流の減少を通じて、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。世界的な或いは特定の地域における経済情勢、とりわけ欧州や日本、中国、米国や新興国の景気減速は、製品・素材の流通量の減少、個人消費や設備投資の低下をもたらしえます。その結果、当社及び連結子会社の商品及びサービスに対する需要が減少し、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)原油、鉄鉱石、石炭、銅などの商品市況の予想外の変動は当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。金属資源、エネルギーをはじめとする各種市況商品の生産及び売買は、当社及び連結子会社の重要な事業分野です。とりわけ金属資源及びエネルギー生産事業は経営成績の重要な割合を占めています。これらの商品価格は、需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動などの当社及び連結子会社にとって制御不能な要因により、短期的に乱高下或いは周期的に変動します。予想外の相場変動は、以下に示すように当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・多額の投資を行ってきた金属資源・エネルギー開発事業等で、販売価格の下落により、生産した商品の販売を通じた投下資金の回収が困難になる、或いは許容しうる価額での当社出資持分の売却が困難になることがあります。・評価差額をその他の包括利益に認識する資本性金融資産(以下、FVTOCI)に区分するLNGプロジェクト等に対する投資の価値の下落により、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。・相場商品の現物或いは派生商品のトレーディングで、予想外の相場変動により損失が発生することがあります。・商品市況の下落により当社及び連結子会社が関わる仲介取引が減少することがあります。商品市況の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、3「対処すべき課題 (4)2017年3月期連結業績予想」及び7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)経営成績に係る検討と分析」を参照願います。 (3)為替変動は当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は外国為替相場の変動に係るリスクを有しており、外国為替相場の変動は当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社の連結決算上の報告通貨は日本円ですが、事業活動、連結上の収益と営業費用の相当部分は日本円以外の通貨により受払いされています。このため、日本円に対するその他の通貨の価値の上昇或いは下落は、取引に伴う多額の利益または損失をもたらします。海外の関係会社の収入・支出は米ドル、豪ドル、伯レアルなどにより構成されていますので、当社及び連結子会社の当期利益はこうした通貨の為替変動の影響を受けます。更に当社及び連結子会社は外国通貨で表示された資産及び負債の換算リスクを負います。また、海外の関係会社に対する投資やFVTOCIに区分する投資は、為替変動によりその価値を減じ、当社の包括利益に悪影響を及ぼす可能性があります。外国為替相場の変動が当連結会計年度の経営成績に及ぼした影響及び将来及ぼしうる影響については、3「対処すべき課題 (4)2017年3月期連結業績予想」及び7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 (4)当社及び連結子会社は商取引や融資取引のある様々な顧客や事業に係る多額の与信リスクにさらされています。・当社及び連結子会社は、多数の取引先に後払い条件で商品・サービスを販売し、或いは販売契約に付随する融資プログラムや顧客の借入に係る支払保証を供与することがあります。当連結会計年度末において当社及び連結子会社の貸倒引当金控除後の流動売上債権等は1兆6,079億円であり、総資産の14.7%を占めています。控除した当連結会計年度の貸倒引当金残高(流動)は125億円となっています。・様々なプロジェクトにおけるファイナンスのため、回収リスクを伴う多額の貸付や保証を行っています。・ヘッジ取引のために行ったデリバティブ取引の相手方による支払不能リスクを有しています。当社及び連結子会社における与信管理政策は、与信先の財政状態悪化により発生しうるリスクを完全に排除することはできません。加えて、流動性危機の発生、不動産や株式などの市場価格急落による顧客の支払不能、或いは企業倒産の増加などによって、当社及び連結子会社の債権回収が困難となる可能性があります。 (5)金利の変動は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は金利変動に係るリスクを有しており、金利変動は営業費用全般、並びに金融資産・負債の価額、とりわけ資本市場及び金融機関借入により調達される負債の価額に影響を及ぼします。なお、当連結会計年度末における当社及び連結子会社の短期債務及び長期債務はそれぞれ3,532億円及び4兆3,573億円となります。金利水準の上昇、特に日本及び米国における上昇は、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の資金調達の状況については、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)流動性と資金調達の源泉」及び連結財務諸表注記事項9.「金融商品及び関連する開示」を参照願います。 (6)当社及び連結子会社が自ら使用、または第三者に貸与する機械及び装置、土地及び建物などの固定資産の資産価値が下落する場合、当社及び連結子会社はこれらの資産価値の減損処理を余儀なくされる可能性があります。当社及び連結子会社が自ら使用、または第三者に貸与する機械及び装置、土地及び建物などは、資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされています。当連結会計年度末において、有形固定資産、投資不動産、及び無形資産の帳簿価額の合計は2兆2,437億円です。固定資産の価値は、世界的或いは地域的な需要と供給に基づく価格、生産・販売数量、及びコストの変動等の当社が制御しえない要因の影響を受けます。固定資産について減損損失が発生した場合、減損処理は当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。非金融資産の減損に係る会計方針及び見積りについては、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。 (7)国内外の株式及び債券相場の下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させ、当社及び連結子会社の確定給付費用を増加させる可能性があります。国内外の国債等の債券や上場株式の価格下落は、当社及び連結子会社の制度資産の価値を減少させます。制度資産の価値の下落或いは確定給付制度債務の増加は、その他の包括利益及び利益剰余金の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。確定給付費用については、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)重要な判断を要する会計方針及び見積り」 及び連結財務諸表注記事項19.「従業員給付」 を参照願います。 (8)当社及び連結子会社の流動性は、金融市場の混乱や当社格付け引下げ、金融機関及び機関投資家の投融資方針変更により悪影響を受ける可能性があります。金融市場の混乱や当社格付けの引下げ、或いは金融機関及び機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社及び連結子会社の資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、当社及び連結子会社の財政状態や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。資金調達及び格付けについては、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4)流動性と資金調達の源泉」を参照願います。 (9)当社及び連結子会社は多額の市場性のある資本性金融資産を保有しており、株式市況の大幅な下落によって将来の当社及び連結子会社の投資ポートフォリオを毀損する可能性があります。当社及び連結子会社の投資ポートフォリオには、市場性のある資本性金融資産が含まれます。当連結会計年度末において、当社及び連結子会社はFVTOCIに区分する市場性のある資本性金融性資産を5,334億円保有しており、総資産の4.9%に相当します。当社及び連結子会社は、株式ポートフォリオの見直しを定期的に行っておりますが、株式市場の価格変動や相場の下落は投資ポートフォリオを毀損し、その他の包括利益の悪化により、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10)繰延税金資産の回収可能性の判断の変更に伴う繰延税金資産の減額は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能と見込めないと判断した部分を除いて繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積りの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。繰延税金資産の回収可能性に係る会計方針及び見積りについては、7「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)重要な判断を要する会計方針及び見積り」を参照願います。 (11)当社及び連結子会社の事業活動及び資産は特定地域に集中することがあり、こうした地域での事業の低迷が当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社が世界各地で展開する事業は、商品市況及び需給、為替・金利相場などのグローバルな経済環境に加えて、地域の政治的及び経済的不安定性に起因するリスクを有しております。更に、当社及び連結子会社の事業活動は、特定の国または地域の特定の分野に関する集中化リスクを有しています。例えば、当社及び連結子会社は、・ブラジル、チリ、ロシアにおいて、金属資源・エネルギーの探鉱・開発・採掘に係る投資を推進しています。・インドネシアにおいて発電事業をはじめとする各種インフラ関連プロジェクトや二輪車販売金融事業を推進しています。こうした事業集中地域や分野において当社及び連結子会社の事業活動が低迷する、或いは予想外の政治的或いは経済的混乱が生じる場合には、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (12)当社は収益性の低い関係会社の再編或いは撤退を計画通りの時期に遂行できない可能性があります。当連結会計年度末現在、当社は275社の連結子会社及び187社の持分法適用会社を有しています。当社は、連結子会社及び持分法適用会社の事業性を評価するためのモニタリング・プロセスを導入し、収益性の低い事業の再編に継続的に取組んでいます。こうした事業再編を計画に沿って達成できない場合は、非効率な事業運営を進めることとなり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)第三者との合弁事業或いは第三者に対する戦略的投資の結果が、全て業績に有益な貢献をもたらすとは限りません。当社及び連結子会社は第三者との合弁事業、或いは、第三者に対する戦略的投資を通じて多様な事業分野に参入しています。しかしながら、その結果の予測は困難なことがあります。すなわち、・これらの事業の成否は、合弁事業のパートナーや戦略的投資先企業の業績や財政状態といった当社及び連結子会社が制御しえない事象が決定的な要因となる場合があります。・更に、持分法適用会社での事業において、経営、業務運営、資産処分に関する適切な統制ができない、或いはパートナーと事業目的及び戦略的課題を共有できないために重要な決定ができなくなる可能性があります。こうした事態の発生は、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)当社及び連結子会社が参画している金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業は、コストやスケジュール等が想定と異なるリスクや埋蔵量の不確実性リスク、オペレーターによる事業運営リスクがあります。当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態において重要な割合を占める金属資源や石油・ガスの探鉱・開発・生産事業は、以下のリスクを伴います。・開発事業においては、技術・資材調達・資金調達・環境面を含む当局による規制などの問題により、当初の想定より工期が遅延する或いは開発費用負担が増加する可能性があります。・埋蔵量の計算は、利用可能な地質情報・技術・契約条件・経済的条件に基づく推定であり、現実の開発・生産は想定と異なる可能性があります。・探鉱作業は不確定要素を伴うため、想定したコストやスケジュールでの持分埋蔵量の補充ができない可能性があります。これらの多くの事業において、当社及び連結子会社はノンオペレーターの立場で参画しています。この場合、当社及び連結子会社はオペレーターである事業参加者が作成した情報に基づき事業性を検討しますが、開発及び生産に係る意思決定を含めた事業の運営は実質的にオペレーターに支配的権限があります。オペレーターによる事業運営が適切に行なわれない場合、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (15)総合商社をはじめとする競合他社との厳しい競争は当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすことがあります。当社及び連結子会社が提供する商品及びサービスの市場は、概して競争的な環境にあります。他の総合商社をはじめ、各種分野において同様の事業活動を展開する競合他社は、商品によって当社及び連結子会社の内外の顧客に対してより堅固な取引関係を有している場合や、より充実した世界的ネットワーク、特定地域に係る専門知識、広範な海外顧客基盤、金融サービス機能、市場分析能力を有することがありえます。当社及び連結子会社が、顧客の求める革新的かつ総合的なサービスを競争力あるコストにより提供できない場合、市場におけるシェアや顧客との取引関係の喪失につながり、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)新規事業に対して投入すべき人的資源をはじめとする経営資源の制約は、市場参入の機会喪失に繋がる可能性があります。新規事業において、当社及び連結子会社は、事業の立案・評価及び実行や人員の指揮・監督などにあたる人的資源を投入しています。しかしながら、事業分野によっては求められる人材が不足し、新事業創出の機会の逸失につながる可能性があります。新規事業に対するこうした人的資源の制約は、当社及び連結子会社の将来の事業展開と経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)環境関連の法令・規制は当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社が内外各地で展開する事業は、広範な環境関連法令の規制を受けます。とりわけ金属資源セグメントやエネルギーセグメントの経営成績は、現在或いは将来における探鉱・開発事業に対する環境規制の影響を被る可能性があります。例えば当社及び連結子会社は、豪州、ブラジル、チリ、ロシア、中東等において一連の環境規制の制約を受けていますが、これらの地域における法令は、事業区域の浄化、操業停止あるいは事業終了、重大な環境破壊に対する罰金及び補償金、高額な汚染防止設備の設置、操業方法の変更などを課すことがあります。環境法令の変更や新設、NPO・NGO等ステークホルダーの批判、議決権行使助言機関からの助言やESG/SRI調査会社による格付は、これらのプロジェクトの進捗に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、ひとたび環境事故が生じると、当社及び連結子会社は資源・エネルギー権益の所有者として、当該事故への寄与度や過失の有無に拘らず、また、ノンオペレーターとして操業に全く関与していない場合であっても、清掃費用、環境破壊への賠償、事故被害者への健康・財産被害や休業補償・逸失利益補填等のための損害賠償費用、環境当局からの罰金や補償金等の負担を強いられることで、当社及び連結子会社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社連結子会社は、BP Exploration & Production Inc.(以下、BPという)をオペレーターとするメキシコ湾探鉱事業において発生した原油流出事故に関連して、私人及び米国連邦政府、州政府その他地方自治体等の行政機関から、経済的損失、財産被害及び健康被害に基づく損害賠償、事故後の清掃費用ならびに制裁金を請求する訴訟を提起されています。本件に起因する私人や行政機関の当社及び当社連結子会社に対する請求は、懲罰的損害賠償請求のうち当社連結子会社の行為に起因する部分及び制裁金請求を除き、当社連結子会社がBP及びその親会社との間で合意した和解(以下、本和解という)に基づく補償の対象となっています。但し、本和解に基づく支払いが合意どおりになされない可能性があります。また、米国連邦政府及び州政府による民事制裁金請求権のうち、米国連邦政府が提起した訴訟に係る民事制裁金請求及びメキシコ湾沿岸に位置する一部の州政府による民事制裁金請求権については、米国連邦政府との間の合意(以下、本合意という)により解消しています。本和解に基づく補償の対象とされず、かつ本合意による解消の対象に含まれていない請求については、人身損害に基づく懲罰的損害賠償請求を除き、裁判所命令によって否定されていますが、これらの裁判所命令の多くは確定しておらず、異議申立てがなされる可能性があります。 また、当社及び米国三井物産は、飼料添加物の製造販売を行っていた米国の関連会社Coronet Industries Inc.にそれぞれ18.0%及び12.0%を出資しています。同社は、同社フロリダ工場の操業に関連する環境問題についての連邦・州当局の調査を受け、適切な環境対策・具体的な清掃方法の合意とその実施に向け協議を継続中です。 (18)当社及び連結子会社は内外の広範な法令や事業権に関わる諸契約を遵守する必要があります。こうした法令の変更や政府による契約条件の一方的変更は、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は内外の広範な法令に従い事業活動を展開しています。当社及び連結子会社の事業は、具体的には、各種の商品規制、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法などの制約の下にあります。例えば当社及び連結子会社による発展途上国でのインフラストラクチャー開発プロジェクトは、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。 当社及び連結子会社が行う探鉱・開発・採掘事業について、必ずしも事業権に係る契約の相手方による義務の履行がなされる保証や契約期限到来時に事業権の存続期間が延長される保証はありません。また、これら事業に係る規制当局が、金属資源や石油・ガス生産事業における生産量、価格体系、ロイヤリティ、環境保護費用及び借地権等に関する契約条件に関し、一方的な介入或いは変更を行わない保証はありません。規制当局が一方的に契約条件を変更した場合、或いは、変更・新設された法令について遵守に対応する費用が増大する場合、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は法令に適合するため、相当の追加費用を負担することが起こりえます。 (19)従業員による不正行為は当社及び連結子会社の経営成績や社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社は、その規模、業務範囲及び活動領域が広範に亘っていることから、日常業務は自ずと分権的に運営されており、従業員が全ての法令や社内規定を遵守しているとの確証を得ることはできません。例えば、従業員が必要な社内許可を取得しないまま社外との取引を行うこと、商品取引において許可されたリスク・エクスポージャー限度額を超過することや、与信限度枠を超えて取引を拡大することもありえ、それらはどのケースにおいても予測不能な損失や管理不能なリスクに繋がります。また、従業員が日本或いは外国における輸出貿易規制、汚職防止法、独占禁止法、税法などの法令を犯すこともありえます。法令及び社内規定の遵守のための様々な取組みをもってしても、従業員の全ての不正行為を完全に防止できる確証はありません。従業員の不正行為はその内容次第で当社の経営成績や社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (20)適正な財務報告に係る内部統制が維持できず当社及び連結子会社の信用に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の事業は世界中の様々な商品やサービスに亘っているため、財務報告に係る内部統制についても様々な取引パターンに応じて構築する必要があります。当社及び連結子会社は適正な財務報告に係る内部統制を維持できず、財務報告に係る内部統制が有効であると主張できない場合があります。こうした場合には、当社及び連結子会社に対する市場の評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)気候変動や自然災害は当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動により近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、局地的な暴風雨、とりわけ大西洋及び南太平洋で発生する強い熱帯低気圧であるハリケーンやサイクロンは当社及び連結子会社が行う金属資源、石油・ガス及び塩田事業の生産活動及び出荷に悪影響を及ぼし、費用の増加や収益の減少をまねく可能性があります。こうした異常気象により生産現場や生産設備、出荷に使用される道路、鉄道、港などのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間に亘り停止することがありえます。また、干ばつなどの異常気象は当社及び連結子会社が行う食料生産事業の生産活動に対しても悪影響を与える可能性があります。国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択されるなど、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取組みが世界的に進められています。こうした取組みのうち、環境税やキャップ・アンド・トレード型の排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制は当社及び連結子会社が出資する海外発電事業など化石燃料を使用し、温室効果ガス排出量が多い事業の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、地震、大雨、洪水などの自然災害により、社員や事務所・設備などに対する被害が発生し、当社及び連結子会社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、自然災害等による被害を完全に排除できるものではなく、当社及び連結子会社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (22)予期せぬ情報システム障害や内外からの不正なアクセス・攻撃による情報セキュリティ事故は、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社及び連結子会社の情報システムの安全性強化の為、当社は、関連規程や対応体制を整備し、当社グループの通信ネットワーク監視等を通じて外部からの攻撃への対応に努めています。しかしながら、予期できない水準の情報システム障害や情報セキュリティ事故により、情報システム基盤や通信回線の重大な障害或いは経営に関わる機密情報の破壊・窃取が発生する可能性を完全に排除することはできず、この様な場合、業務効率の著しい低下や事業継続、或いはビジネスの伸長に困難を来すことから、当社及び連結子会社の事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。