6 【研究開発活動】ニコンは、光利用技術と精密技術をコア技術として、「光学技術」「材料技術」「精密加工技術」「精密計測技術」「ソフトウェア・システム技術」「画像処理技術」など、多岐にわたる技術に展開しています。これらの技術を組み合わせて生みだされた製品やサービスは、多様な価値を社会に提供し、ニコンが目指す未来の可能性を切り拓いていきます。全社の技術戦略を統括する役員(CTO:Chief Technology Officer)を委員長とする技術戦略委員会にて、中長期の計画に基づき重点投資分野と技術開発の方向性を決定しています。基盤技術や将来技術の開発を担うコーポレート系研究開発部門と製品開発を担う事業部門、そしてグループ会社とが連携して技術開発を進めています。大学、研究機関やスタートアップを含む企業との共同開発も積極的に行っています。また科学技術の発展のために、大学の寄付研究部門を通してこれまでの研究開発から得た知見を社会に還元しています。研究開発の成果は、学会での発表や学術論文投稿を通じて社外にも積極的に発信しています。また、社外での評価が特に高い成果に関しては「Nikon Research Report」としてまとめ、発行しています。詳細は、当社ウェブサイト(https://www.jp.nikon.com/company/technology/nrr/)をご参照ください。当連結会計年度の研究開発投資は80,141百万円でした。なお、当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、資産開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでいます。当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりです。 ① 映像事業レンズ交換式デジタルカメラでは、「ニコン Z マウント」を採用したフルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ「ニコン Z6III」を開発しました。本製品は、世界初*の部分積層型CMOSセンサーを搭載したミラーレスカメラです。フラッグシップモデル「ニコン Z9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」を採用し、動く被写体の捕捉性能の向上や、多様な映像制作のニーズに応える動画撮影機能を実現しました。さらに、「Z9」をしのぐ明るさ、解像度、広色域を実現した電子ビューファインダー(EVF)を実現し、明るい環境下でも被写体を確実に確認できます。交換レンズでは「ニコン Z マウント」を採用したフルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ対応の製品を開発し、4機種を発売しました。幅広い焦点距離域をカバーする小型・軽量設計の高倍率ズームレンズ「NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR」、明るい開放F値1.4の広角単焦点レンズ「NIKKOR Z 35mm f/1.4」及び標準単焦点レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.4」、そして高い光学性能と滑らかで美しいボケを実現する大口径広角単焦点レンズ「NIKKOR Z 35mm f/1.2 S」をラインアップに加えました。映像事業に係る研究開発投資の金額は25,026百万円です。* 2024年6月17日現在、発売済みのフルサイズのミラーレスカメラにおいて。当社調べ。 ② 精機事業FPD露光装置分野では、お客様の将来のニーズに応える露光装置やサービスの提供を実現するために、さらなる生産性向上、高精度・高精細化のための様々な技術開発、ソリューション開発を継続すると共に、次世代パネルに対応する技術開発などを進めました。半導体露光装置分野では、CPU・メモリなどの三次元デバイスからパワー半導体、通信用半導体、MEMSなど様々なデバイスに対応し、さらなる生産性向上を達成するためのソリューション開発を進めました。さらに、お客様のリソグラフィ工程における利便性を考慮し、他社ArF液浸露光装置との互換性を追求した新プラットフォームArF液浸露光装置の開発を主要半導体メーカーと共同で開始しました。また、半導体アドバンストパッケージ向けに、長年培ってきた半導体露光装置の「高解像技術」とFPD露光装置のマルチレンズテクノロジー*による「高生産性」を融合させた、デジタル露光装置の開発を進めています。精機事業に係る研究開発投資の金額は20,296百万円です。* 複数の投影レンズを並べて精密に制御することで1本の巨大レンズを用いたかのように露光するニコンの独自技術。1回の露光でより広い範囲へのパターニングが可能となる。 ③ ヘルスケア事業バイオサイエンス分野では、顕微授精に特化したICSI*1/IMSI*2用電動倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti2-I」を開発、発売しました。本製品は、顕微授精に必要な設定を手元のボタンおよびディスプレイに集約することで、顕微鏡操作の工程数を約75%削減*3し、効率化を実現するとともに、アラート機能や明るく鮮明な視野により、正確な操作を支援します。少子化は国内外を問わず大きな社会課題の一つとなっています。女性の社会進出や晩産化などを背景に、不妊治療のニーズが増加傾向にあります。不妊治療の件数増加に伴い胚培養士*4への負荷が高まる一方で、作業の効率性・正確性がますます求められます。こうした課題に対し、ニコンは顕微授精に特化した「ECLIPSE Ti2-I」を市場投入することで、胚培養士の負荷軽減をサポートし、不妊治療技術および受精率の向上に貢献していきます。ヘルスケア事業に係る研究開発投資の金額は8,806百万円です。*1 卵細胞質内精子注入法(Intracytoplasmic Sperm Injection):顕微鏡で確認しながら卵子の中に精子を直接注入する方法。*2 卵細胞質内形態選別精子注入法(Intracytoplasmic Morphologically selected Sperm Injection):高倍率の顕微鏡を使用し、精子の形態や構造をより詳細に評価・観察しながら、ICSIに用いる精子を選定する方法。*3 ワークフローの一例における工程数を基に従来機種と比較し算出。当社調べ。*4 受精卵や胚の培養・管理を行う医療専門職。 ④ コンポーネント事業インダストリアルソリューションズ事業では、半導体デバイスをはじめとした、電子部品などの寸法を自動で測定できる画像測定システム「NEXIV VMF-K」シリーズを開発、発売しました。本シリーズは、コンフォーカル光学系を搭載したモデルで、対象の二次元寸法に加え、高さ寸法の視野内一括測定が可能なことが特長です。光学系のメカ設計見直しにより、高さ寸法を測定するスキャンスピードが向上し、従来機種と比較して約1.5倍のスループット向上を実現しました。半導体デバイスをはじめとする電子機器の生産における品質管理工程の効率化に貢献します。カスタムプロダクツ事業ではビジネスが多様化する中、様々なニーズに対応するために、多分野に渡る技術開発を実施しています。「固体レーザー分野」では、既存193nm固体レーザーシステムで増幅のために必要な光源となる「ラマンレーザー」の内製化開発を行いました。省電力化及び出力ファイバが長くなったことによるライフサイクルの長期化が期待できます。「特注分野」では、異物検査装置向け技術について、食品業界から他の業界への水平展開を図り、画像演算などの画像処理技術を発展させ、様々な異物検出に対応する画像認識技術の構築を行いました。コンポーネント事業に係る研究開発投資の金額は5,479百万円です。 ⑤ デジタルマニュファクチャリング事業航空宇宙産業を中心に金属アディティブマニュファクチャリング装置の強い需要が増加しています。特に近年は大型化への要求拡大が顕著です。PBF(Powder Bed Fusion)タイプの金属アディティブマニュファクチャリング装置では、高さ1.5mまでの大型部品を造形可能な「NXG XII 600E」の販売が拡大し、造形品の量産化に向けた生産性向上に貢献する中、さらなる高品質と高生産性を目指した装置の開発を進めています。また、DED(Directed Energy Deposition)タイプについては、高精度な金属アディティブマニュファクチャリング装置「Lasermeister LM300A」及び3Dスキャナー「Lasermeister SB100」を発売しました。これらは、主にエネルギー分野、航空分野でタービン部品の補修や摩耗した金型の補修に用いられ、補修部品が廃棄されずに再利用可能になることでCO2削減に貢献していきます。デジタルマニュファクチャリング事業に係る研究開発投資の金額は6,100百万円です。 (注) 事業別に記載している研究開発投資の金額には、内部消去額を含んでいます。
FY2024|3,215 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、全社の技術戦略を統括する役員を選任し、中長期計画と連動した技術戦略を立案して、研究開発の全体最適化を図るとともに、各事業部門の開発担当部門が次世代プロジェクト本部、光学本部、先進技術開発本部、生産本部と連携しながら研究開発を推進しています。これまで培った「光利用技術」と「精密技術」の2つの中核技術に加え、他社との共同研究開発等を通じて新たな技術を取り入れることで、成長戦略の実現を目指していきます。当連結会計年度の研究開発投資は76,519百万円でした。なお、当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでいます。当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりです。 ① 映像事業レンズ交換式デジタルカメラでは、「ニコン Z マウント」を採用したフルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ「ニコン Z f」を開発しました。「Z f」は、ニコンの歴史的なカメラにインスパイアされたヘリテージデザインと最新性能を両立したミラーレスカメラです。フラッグシップモデルの「ニコン Z 9」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 7」を採用し、本格的な静止画・動画の撮影が可能です。洗練されたデザインと優れた操作感に加え、高いAF性能や手ブレ補正性能をはじめとした最先端技術を搭載することで、自分の表現を追求するクリエイターのニーズに応えるミラーレスカメラです。交換レンズでは、「ニコン Z マウント」を採用したフルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ対応のレンズ、APS-Cサイズ/DXフォーマットミラーレスカメラ対応のレンズをあわせて6機種を開発しました。「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」は、Zマウントの大口径、ショートフランジバックの特性を最大限に活用することで、開放F値1.8から円形度の高いボケを実現しています。光学系にSRレンズ1枚とEDレンズ4枚を採用することで、色付きを最小限に抑えて自然で滑らかな描写が得られます。また、ニコン独自のメソアモルファスコートとアルネオコートを採用することでゴースト、フレアを効果的に抑制。画角内に太陽などの強い光源が入るシーンでもクリアーな画像が得られます。これらにより、これまでにない光に満ち溢れた新しい映像体験を提供しています。 当事業に係る研究開発投資の金額は21,004百万円です。 ② 精機事業FPD露光装置分野では、お客様の将来のニーズに応える露光装置やサービスの提供を実現するために、さらなる生産性向上、高精度・高精細化のための様々な技術開発、アプリケーション開発を継続すると共に、次世代パネルに対応する技術開発などを進めました。半導体露光装置分野では、多点アライメントによる計測と高次補正によって、半導体デバイス構造の三次元化に必要な高い重ね合わせ精度と高生産性を実現するArF液浸スキャナー「NSR-S636E」及びミドルクリティカルレイヤー向け「NSR-S622D」の後継機種として生産性を大幅に向上させた「NSR-S625E」を開発し、販売を開始しました。また、パワー半導体、通信用半導体、MEMSなど様々なデバイスに対応し、ニコンの既存のi線露光装置との互換性が高い縮小投影倍率5倍 i線ステッパー「NSR-2205iL1」を開発し、販売を開始しました。当事業に係る研究開発投資の金額は20,710百万円です。 ③ ヘルスケア事業バイオサイエンス分野では、医療用のデジタルイメージングマイクロスコープ「ECLIPSE Ui」及びデジタル倒立顕微鏡のスマートイメージングシステム「ECLIPSE Ji」を開発しました。「ECLIPSE Ui」は、接眼レンズをなくしてディスプレイで観察画面を共有することにより、病理医の身体的負担の軽減に貢献し、病理診断のワークフローを改善します。さらに、遠隔地にいる医師と観察画像をリアルタイムで閲覧する機能により、複数の医師による意見交換をサポートします。「ECLIPSE Ji」は、観察のために必要な画像取得や解析など、従来ヒトが行う必要があった操作をAIにより自動化します。顕微鏡でありながら接眼レンズをなくしたデザインが特長で、画像統合ソフトウエア「NIS-Elements SE」と合わせて使用することで、画像の取得から解析、データ表示までを定型化した、細胞を用いた研究開発や実験が可能になります。がんや神経疾患、感染症などの病気のメカニズム解明や創薬の研究開発を加速させます。当事業に係る研究開発投資の金額は7,880百万円です。 ④ コンポーネント事業デジタルソリューションズ事業においては、世界で初めて*全固体電池を搭載した多回転バッテリレスアブソリュートエンコーダ「MAR-M700MFA」を開発し、発売を開始しました。全固体電池の搭載により、ニコンの従来のバッテリレスアブソリュートエンコーダよりも保証温度が向上し、メンテナンスフリー化を実現しました。新たに予知保全機能や角度精度の自己補正機能を搭載し、産業用ロボット等の利用環境拡大、稼働安定性向上、モーション制御の高精度化に貢献します。カスタムプロダクツ事業においては、ビジネスが多様化する中、様々なニーズに対応するために、多分野に渡る技術開発を実施しています。「固体レーザー分野」では、新型の193nm固体レーザーシステムを開発中です。従来の193nm固体レーザーシステムに対して「可搬型」・「小型」・「高出力」の特徴を有する光源となります。「特注分野」では、各種食品関連の異物検査装置向け技術開発として、紫外照明による蛍光撮影の実用性検証、画像演算などの画像処理技術を用いた異物検出率向上を図った画像認識の検討を実施しました。 コンポーネント事業に係る研究開発投資の金額は3,795百万円です。* 2023年11月20日現在、発売済みの多回転バッテリレスアブソリュートエンコーダにおいて。当社調べ。 ⑤ デジタルマニュファクチャリング事業産業機器事業においては、幅広い業界の研究及び生産での非破壊検査が可能なX線/CT検査装置のVOXLS 30シリーズを開発し、発売を開始しました。このシリーズは、自動ロボットやインダストリー4.0との統合機能を活用でき、研究室や生産現場における非破壊検査・測定の自動化を可能とし、自動車、航空宇宙、金属、医療機器などの製造業の技術革新と品質基準の維持を支援します。アドバンストマニュファクチャリング事業においては、アディティブマニュファクチャリング装置については航空宇宙産業を中心に、各分野で強いニーズが継続的に拡大しています。特に大型化への要求が近年顕著です。PBF(Powder Bed Fusion)タイプの金属アディティブマニュファクチャリング装置については、高品質と高生産を目指した継続的な開発を進めると共に、高さ1.5mの大型部品まで造形可能な「NXG XII 600E」を開発し、販売を開始しました。また、DED(Direct Energy Deposition)タイプの高精度な金属アディティブマニュファクチャリング装置「Lasermeister LM300A」及び3Dスキャナー「Lasermeister SB100」を開発しました。これらは主にエネルギー分野、航空分野で用いられるタービン部品の補修に用いられ、廃棄されずに再利用が可能になることでCO2削減に貢献していきます。なお、2024年春に発売しました。デジタルマニュファクチャリング事業に係る研究開発投資の金額は7,716百万円です。 (注) 事業別に記載している研究開発投資の金額には、内部消去額を含んでいます。
FY2021|2,101 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、全社の技術戦略を統括する役員を選任し、中長期計画と連動した技術戦略を立案し、研究開発の全体最適化を図るとともに、各事業部門の開発担当部門が次世代プロジェクト本部、光学本部、研究開発本部、生産本部と連携しながら研究開発を推進しております。既存事業領域だけでなく、2019年5月公表の中期経営計画において定めた長期成長領域、「デジタルマニュファクチャリング」、「ビジョンシステム/ロボット」、「ヘルスケア」に対しても、これまで培った「光利用技術」と「精密技術」の2つの中核技術に加え、他社との共同研究開発等を通じて新たな技術を取り入れることで、成長戦略の実現を目指していきます。当連結会計年度の研究開発投資は59,955百万円でありました。なお、当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでおります。当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりであります。 ① 映像事業レンズ交換式デジタルカメラでは、ニコンFXフォーマットミラーレスカメラの「Z 5」を開発しました。有効画素数2432万画素のCMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED 6」により最高常用感度 ISO 51200を実現しました。さらに、シャッタースピード5.0段分の補正効果が得られるボディー内手ブレ補正(VR)や、画面の広範囲をカバーするフォーカスポイント273点のハイブリッドAFシステム、人物や犬と猫の撮影に便利な「瞳AF」「動物AF」など、高い性能に加えて様々な機能を搭載しました。また、高精細な4K UHD動画撮影や、インターバルタイマー撮影時のタイムラプス動画同時記録などの動画撮影機能を搭載しました。交換レンズでは、ニコンFXフォーマットミラーレスカメラ対応の大口径超広角ズームレンズ「NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S」を開発しました。焦点距離全域を開放F値2.8一定でカバーしながら、絞り開放から画像周辺部まで解像感の高い描写力を発揮する大口径超広角ズームレンズで、全長約124.5mmかつ約650gの小型軽量化、さらに、最前面のレンズに両面非球面レンズを採用し、平坦に近いレンズ最前面の形状を実現しました。また、静止画だけでなく、動画撮影での使いやすさも追求し、「STM(ステッピングモーター)」や「コントロールリング」を採用し高い静音性となめらかな操作性を実現しました。なお、当事業に係る研究開発投資の金額は16,944百万円であります。 ② 精機事業FPD露光装置分野においては、お客様の将来のニーズに応える露光装置やサービスの提供を実現するために、さらなる高精度・高精細化、生産性向上などのための技術開発、アプリケーション開発などを進めました。また、半導体露光装置分野においては、液浸露光装置「NSR-S635E」で、お客様プロセス条件での重ね合わせ性能と生産性をさらに向上するための改良開発を推し進めました。また、新たな要素開発にも着手しました。一方、「Litho Booster」では、お客様プロセスでの歩留まりと重ね合わせ精度の向上を目的とした開発と評価を強化し、お客様の実用面における成果に至っております。 なお、当事業に係る研究開発投資の金額は25,817百万円であります。 ③ ヘルスケア事業バイオサイエンス分野においては、共焦点レーザー顕微鏡システム「A1HD25」「A1R HD25」の後継機種として、「AX」「AX R」を開発しました。細胞や胚に加え、生体組織など大きな標本を生きたまま顕微鏡観察するニーズに対応し、高解像な8K×8K画像、世界最大の視野数25mmの広視野画像を直感的な操作で取得できる共焦点レーザー顕微鏡システムで、「AX」は速度を制御しながら高解像画像を取得するガルバノスキャナーを搭載、「AX R」はガルバノスキャナーと高速に画像を取得するレゾナントスキャナーを搭載しました。さらに顕微鏡画像の取得・解析・データ管理を一元化するニコンの画像統合ソフトウエア「NIS-Elements C」において直感的な操作ができるGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を開発しました。 なお、当事業に係る研究開発投資の金額は5,814百万円であります。 ④ 産業機器・その他産業機器事業においては、生産ライン向けの大規模空間非接触測定機「APDIS」シリーズを開発、販売しました。この装置は、ニコン独自の光学技術により、反射板を使わずに数十マイクロメートルオーダーの精度で三次元座標を取得できます。従来製品よりも25%小型化し、質量を40%軽量化、さらに測定速度を2倍に速め、生産ラインでの検査効率を大幅に向上させます。また、防水、防塵性能も保護等級IP54に向上し、厳しい環境下での使用も可能です。なお、これらの事業に係る研究開発投資の金額は11,529百万円であります。 (注) 事業別に記載している研究開発投資の金額には、内部消去額を含んでおります。
FY2019|2,363 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、全社の技術戦略を統括する役員を選任し、中長期計画と連動した技術戦略を立案し、研究開発の全体最適化を図るとともに、各事業部門の開発担当部門が光学本部、研究開発本部、生産本部と連携しながら研究開発を推進しております。なお、2019年5月に策定公表した中期経営計画においては、産業・経済のマクロトレンドや、当社グループの技術基盤や開発・生産能力、事業エリア等を踏まえ、「デジタルマニュファクチャリング」、「ビジョンシステム/ロボット」、「ヘルスケア」を長期成長領域として設定し、中長期的に「精密・光学のリーディングカンパニー」を目指していきます。当連結会計年度の研究開発投資は63,963百万円でありました。なお、当社グループは開発投資の一部について資産化を行っており、研究開発投資には無形資産に計上された開発費を含んでおります。当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりであります。 ① 映像事業レンズ交換式デジタルカメラでは、大口径の新マウントを採用したニコンFXフォーマットミラーレスカメラ 「Z 7」及び「Z 6」とNIKKOR Z レンズを開発しました。「Z 7」、「Z 6」は、位相差AF画素搭載の新開発裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーと、新画像処理エンジンEXPEED 6を搭載しています。「Z 7」は、有効画素数4575万画素と、常用感度ISO 64~25600を達成し、NIKKOR Z レンズとの組み合わせで、画像の周辺部まで圧倒的な高解像感を実現しています。「Z 6」は、有効画素数2450万画素、ISO 100~51200の幅広い常用感度域を実現し、優れた高感度性能や全画素読み出しのフルフレーム4K UHD動画対応により、暗所での撮影や動画撮影などさまざまなニーズに応えています。交換レンズでは、「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」、「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」、「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」のNIKKOR Z レンズを開発しました。「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」は、無限遠から近距離にかけての収差変動を抑制した光学設計により、ズーム全域で、画面の中心から周辺までシャープで均質な描写が得られます。ED非球面レンズ1枚、EDレンズ1枚、非球面レンズ3枚を採用し、使い勝手のよい標準域の焦点距離範囲、f/4で一定の開放F値、ズーム全域で実現した0.3mと短い最短撮影距離で、幅広い撮影フィールドや被写体に対応しています。なお、当事業に係る研究開発投資の金額は24,066百万円であります。 ② 精機事業FPD露光装置分野においては、お客様の将来のニーズに応える露光装置やサービスを早期に市場投入するため、さらなる高精細化や高精度化、生産性向上などの技術開発、アプリケーション開発などを進めました。また、半導体露光装置分野においては、液浸露光装置「NSR-S635E」で、お客様プロセス条件での重ね合わせ性能を向上する開発を実施しました。新製品「Litho Booster」では、全ウェハの多点アライメント計測結果を高速で露光装置にフィードフォワードする要素技術開発に加え、歩留まり向上を目的としたプロセスコントロールのアプリケーション開発を行っています。また、露光装置の技術を新しい領域に応用した「光加工機」の製品開発に着手しました。最初の製品「Lasermeister 100A」では、使い勝手に優れ、金属造形・付加加工が可能な新たな金属加工機を実現します。なお、当事業に係る研究開発投資の金額は17,178百万円であります。 ③ ヘルスケア事業バイオサイエンス分野においては、共焦点レーザー顕微鏡システム「A1+」「A1R+」の後継機種として、「A1 HD25」「A1R HD25」を開発しました。倒立顕微鏡との組み合わせにおいて、世界最大視野数25mm(従来当社18mm、面積比約2倍)の広視野観察が可能となり、視野周辺部の生物現象を捉える事でお客様の研究実験の可能性を広げます。更にレゾナントスキャナーによる1K(1024x1024)撮影と組み合わせる事で高速なタイリング撮影が可能となり、複数条件で解析を行うスクリーニング作業や大型サンプルの撮影も効率よく行えます。眼科診断分野においては、超広角走査型レーザー検眼鏡「Monaco」を開発しました。超広角眼底撮影(Ultra-widefield)と光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography)の機能を1つの機器に統合し、眼底合成カラー画像、眼底自発蛍光画像、眼底光干渉断層画像の取得時間を短縮しました。なお、当事業に係る研究開発投資の金額は7,650百万円であります。 ④ 産業機器・その他産業機器事業においては、CNC画像測定システムの最高精度モデル「NEXIV VMZ-H3030」を開発しました。「NEXIV VMZ-H3030」は、高精度リニアエンコーダと精密動作ステージにより、高い測定精度を発揮します。また、画像転送速度(フレームレート:30fps)が速く、光量調整時間も短いため、短時間での測定を可能にします。さらに、リング照明の角度調整機構により、複雑な形状をしたエッジ検出などの技術も向上しました。これにより機械部品、モールド部品から高密度プリント基板、及び半導体の300mmウェハまで、多種多様な測定ニーズに応えます。なお、これらの事業に係る研究開発投資の金額は15,113百万円であります。 (注) 事業別に記載している研究開発投資の金額には、内部消去額を含んでおります。
FY2016|2,502 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、各事業部門の開発担当部門がコアテクノロジー本部と連携しながら研究開発を推進しております。「光利用技術」と「精密技術」の2つの中核技術を基軸に、デジタル技術や制御技術、情報通信技術など、多彩な技術をクロスオーバーすることで、要素技術開発から商品開発、生産技術開発に至るまで上記体制の下に積極的な研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度の研究開発費は667億80百万円でありました。当連結会計年度における主な開発状況は次のとおりであります。 ① 精機事業半導体露光装置事業においては、お客様の安定的量産のニーズに応えるべく、マルチプルパターニングプロセスにおいて最も重要となる重ね合わせ精度を向上させた最新型 ArF液浸スキャナー「NSR-S631E」を開発し、販売を開始しました。NSR-S631Eは、新型投影レンズ、アライメントシステムのマーク検出・計測能力の強化により、装置間重ね合わせ精度(MMO:Mix and Match Overlay) 2.3ナノメートル以下、スループット毎時270枚以上(96 shots)の生産性を実現します。また、ウエハサイズ大型化対応の450mm露光装置「NSR-S650D」を予定通り開発し、出荷・販売しました。FPD露光装置事業においては、最先端高精細中小型パネルの生産に最適な露光装置「FX-68S」を開発しました。本装置においては、高解像度化のために投影レンズを新規開発すると共に、プレート面の微小傾斜変化に対して焦点面を最適に追従させる画期的な補正システムを開発しました。これらにより、第6世代プレートで1.5マイクロメートルの高解像度での量産を実現します。なお、当事業に係る研究開発費の金額は176億91百万円であります。 ② 映像事業レンズ交換式デジタルカメラでは、プロフェッショナルの撮影領域を拡大する次世代フラッグシップモデルFXフォーマットデジタル一眼レフカメラ「ニコンD5」を開発しました。新世代の153点AFシステムと、約12コマ/秒(AF・AE追従)の高速連続撮影性能によって、さまざまな状況で被写体をより確実に捉えることができます。また、新開発のニコンFXフォーマットCMOSセンサーと新画像処理エンジン「EXPEED 5」により、ニコン史上最高の常用感度ISO 102400を実現し、静止画撮影時はもちろん、新たに対応した4K UHD(3840×2160)動画撮影時にも優れた高感度性能を発揮します。さらに、タッチパネル採用の高精細画像モニター、前機種「D4S」から通信速度を大幅に向上させた有線LAN(内蔵)・無線LAN通信により、ワークフローの高速化を可能にしています。このほか、180KピクセルRGBセンサーを新採用したアドバンストシーン認識システムがAF、AE、AWBの高性能化に寄与し、低消費電力化、高精度・高耐久性シャッターなどとともに、制御精度と耐久性の両面から信頼性を高めています。交換レンズでは、ニコンFXフォーマットデジタル一眼レフカメラ対応の標準ズームレンズ「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」を開発しました。「NIKKOR」レンズとして初搭載のED非球面レンズをはじめ、非球面レンズ、EDレンズ、高屈折率レンズ、ナノクリスタルコートなどを採用することで、色収差、球面収差やディストーション(歪曲収差)、コマ収差などの諸収差やゴーストを抑え、画像周辺部までシャープな描写が可能となっています。ED非球面レンズは、EDガラスと非球面レンズの収差補正効果が1枚で得られることで、レンズの小型化と優れた描写性能の両立に寄与しています。なお、当事業に係る研究開発費は253億54百万円でありました。 ③ インストルメンツ事業マイクロスコープ・ソリューション事業においては、より効率的な顕微鏡観察を追求した培養倒立顕微鏡「ECLIPSE Ts2」と、研究用倒立顕微鏡の新しいスタンダード機として、コンパクトな筐体と多彩な観察方法に対応した「ECLIPSE Ts2R」を開発・発売しました。新たに開発した「エンボスコントラスト観察法」により、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やがん細胞、受精卵/未受精卵など厚みのある標本でも、自然なコントラストで立体感のある観察像の取得を可能としています。産業機器事業においては、優れた性能を持つ製品をお客様により有効的に利用して頂くため、ソリューションの提供・開発を行っています。複雑な形状を高速に高精度で測定できる「HN-C3030」では、様々な種類の歯車評価を行えるアプリケーションソフトを開発しました。従来の評価に加え非接触ならではの三次元形状評価により、お客様へ新たな価値を提供します。コーナーキューブなどのターゲットを使用せずに非接触でダイレクトに三次元座標を測定できる「Laser Radar」では、ロボットとの組合せにより自動車の車体を高速に高精度で測定するアプリケーションソフトを開発しました。従来の三次元測定機による評価に比べて、設備の投入費用を抑え、柔軟性を持った測定機の配置が可能となります。お客様へのソリューション提供・開発は、全ての製品群において進めていきます。なお、当事業に係る研究開発費の金額は57億53百万円であります。 ④ メディカル事業メディカル事業においては、2015年5月に完全子会社化した英国Optos Plcとの間で、眼底カメラの共同開発体制を整えました。Optos Plc独自のUWF (Ultra Wide Field)の技術とOCT (Optical Coherence Tomography)の融合を含めた将来製品に関しての研究開発を行いました。なお、当事業に係る研究開発費の金額は36億16百万円であります。 ⑤ その他の事業その他の事業に係る研究開発費の金額は143億64百万円であります。 (注) 事業別に記載している研究開発費には、内部消去額を含んでおります。