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ニコン(7731)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

精密機器 電機・精密

事業の概要

  • 多角的な事業展開:ニコンは、カメラやレンズで知られる「映像事業」だけでなく、半導体やディスプレイ製造装置を手がける「精機事業」、医療機器の「ヘルスケア事業」、産業用部品の「コンポーネント事業」、そして新たな成長分野として「デジタルマニュファクチャリング事業」など、幅広い分野で事業を展開しています。これにより、特定の市場変動に左右されにくい安定した収益基盤を築いています。
  • グローバルな収益構造:ニコンの売上収益は、その多くが日本国外で発生しており、海外市場への依存度が高いグローバル企業です。世界各国の顧客に製品やサービスを提供することで、多様な地域の需要を取り込み、事業規模を拡大しています。この国際的な事業展開が、ニコンの収益を支える重要な柱となっています。
  • 技術を核としたビジネスモデル:ニコンは、長年にわたる光学技術や精密加工技術を核に、各事業を展開しています。例えば、映像事業では高品質なカメラやレンズ、精機事業では半導体露光装置など、高度な技術力を要する製品が主力です。これらの技術を応用し、新たな製品やソリューションを開発・提供することで、収益を上げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 映像事業:デジタルカメラや交換レンズ、関連アクセサリーなどを開発・製造・販売しています。特にミラーレスカメラ市場での競争が激しいですが、業務用動画市場の開拓に力を入れ、収益体質の強化を目指しています。ニコンのブランドイメージを支える主力事業の一つです。
  • 精機事業:半導体露光装置やFPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置などを提供しています。半導体市場は中長期的な成長が見込まれるものの、競合他社の開発状況や主要顧客の設備投資計画に収益が左右される可能性があります。高精度な光学技術が強みです。
  • ヘルスケア事業、コンポーネント事業、デジタルマニュファクチャリング事業:ヘルスケア事業では医療機器などを、コンポーネント事業では産業用部品などを扱っています。デジタルマニュファクチャリング事業は、材料加工やロボットビジョンを成長ドライバーとし、SLM社買収を通じて金属アディティブマニュファクチャリングの統合ソリューション提供を進めるなど、今後の成長が期待される戦略事業です。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|249 文字
3 【事業の内容】 当社グループは、株式会社ニコン(当社)及び連結子会社85社並びに持分法を適用した関連会社及び共同支配企業10社より構成されており、映像事業、精機事業、ヘルスケア事業、コンポーネント事業、デジタルマニュファクチャリング事業等を行っております。なお、当連結会計年度において、報告セグメントに変更がありました。詳細は、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記] 6.事業セグメント」をご参照ください。 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
デジタルカメラ市場での厳しい競争、部品の価格高騰や調達の遅れによる影響。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
光利用技術と精密技術をコア技術とし、多岐にわたる技術に展開している。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:デジタルマニュファクチャリング事業の成長鈍化 / 主要事業における市場環境悪化の可能性 / 研究開発投資の成果不足による企業価値低下
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ニコンは長年にわたり、カメラ、顕微鏡、半導体露光装置などの分野で高いブランド認知度と技術的評判を築いてきた。特に一眼レフカメラ市場におけるブランド力は根強く、特許ポートフォリオも強みである。しかし、デジタル化の波で一部事業は競争が激化している。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

産業用機器(顕微鏡、計測機器)においては、導入済みのシステムやオペレーターの習熟度から、他社製品への切り替えには一定のコストや学習時間が発生する可能性がある。一方で、コンシューマー向けカメラではスイッチングコストは低い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ニコンの主要事業において、ユーザー数の増加が製品・サービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果は限定的である。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

精密機器の製造は高度な技術と品質管理を要するため、構造的なコスト優位性を確立することは難しい。一部の量産部品やサプライチェーンの効率化努力は見られるものの、競合他社との決定的なコスト差を生み出すには至っていない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

半導体露光装置や顕微鏡などの特定分野では、ニコンは業界内で一定のシェアを確保しており、研究開発や生産における規模の経済が働く場面がある。しかし、市場全体で見ると、より巨大な競合も存在する。

  • 精密光学技術の優位性:ニコンは、長年にわたり培ってきた精密光学技術において高い競争優位性を持っています。これは、カメラのレンズだけでなく、半導体製造に不可欠な露光装置や医療機器など、幅広い事業分野の製品開発に応用されており、他社が容易に模倣できない技術的障壁となっています。この技術力が、高品質な製品提供の基盤です。
  • 多角的な事業ポートフォリオ:映像、精機、ヘルスケア、コンポーネント、デジタルマニュファクチャリングといった多岐にわたる事業を展開している点が強みです。特定の市場の変動リスクを分散させ、安定した経営を可能にしています。例えば、カメラ市場が厳しい状況でも、半導体製造装置や医療機器の需要が補完し、全体の収益を支える構造です。
  • グローバルな事業展開とブランド力:ニコンは世界中で事業を展開しており、特にカメラ分野では「Nikon」ブランドが広く認知されています。このグローバルなブランド力は、新規市場への参入や既存市場での顧客獲得において有利に働きます。また、世界中に広がる販売網やサービス体制も、競争優位性を高める要因となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻く事業環境は、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (業績等の概要) (1)業績」に記載のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、2022年4月7日に中期経営計画(2022~2025年度)を発表しました。中期経営計画の概要は以下のとおりです。 ・ありたい姿本中期経営計画策定にあたっては、まず2030年のありたい姿をイメージし、その実現に向けて2025年に到達するべき目標を定め、施策を積み上げています。2030年の社会は、人々の価値観や人生観が変化し、気候変動や資源不足など社会環境が変わり、Industry5.0到来などテクノロジーの革新も続くと予想しています。このようなメガシフトが起こるなか、人間が生活のための“労働”を機械に任せ、より創造的な「自己実現のための仕事」と「価値を追求する消費」に注力できるようになるための「人と機械の共創」が進むものと考えています。ニコンには、ものづくりを革新するテクノロジーや高度なソリューションをグローバルに広げる力・ブランド、そしてステークホルダーからの支持といった3つの強みがあります。これらを活かし、2030年の「人と機械が共創する社会」に新たな価値を提供し続けたいと考え、2030年のありたい姿を「人と機械が共創する社会の中心企業」としました。これに向けて、お客様としっかり伴走し、お客様の欲しいモノやコトの「本質」を理解した上で、お客様のイノベーションを支える存在になることを目指します。 ・進捗状況2022年度からの取り組みの結果、事業戦略の強化、経営基盤の整備は着実に進展しました。数値計画は、映像事業の業績が上振れる一方、半導体関連などインダストリー領域の下振れや成長ドライバーの遅れなどが重なりました。その結果、売上収益は前倒しで達成していますが、営業利益率、営業利益及びROEは計画未達となる見込みです。こうした成果と課題を踏まえ、2025年度は、2030年のありたい姿に向けた体制整備の年と位置付け、投資選別や体制の合理化に向けた自助努力を行い、短期業績の回復と長期成長のための投資の両立を目指します。 <中期経営計画進捗まとめ:中期経営計画最終年度から「2030年のありたい姿」へ> ・業績推移中期経営計画の前半2年間の業績は、堅調に推移しました。2023年度時点で中期経営計画最終年度の目標である売上収益7,000億円を2年前倒しで達成し、営業利益も計画を上回って推移しました。3年目となる2024年度は、映像事業が好調に推移したものの、投資負担が先行し、半導体市況悪化の影響も受けたインダストリー領域の各事業の収益が大きく落ち込みました。中期経営計画最終年度となる2025年度の全社営業利益は700億円を目指していましたが、最新見通しでは360億円にとどまります。なお米国関税影響については、適宜施策を展開し、影響最小化に努めます。 ・経営資源集中領域と収益ポートフォリオ2024年度の収益下振れを踏まえ、複数の構造改革や組織統合など体制の適正化を進めてきました。同時に、成長投資の選択と集中も強化しています。スケール化に時間を要するプロジェクトへのリソース投入は抑制し、業務用動画機、次世代露光装置、金属付加加工の3領域に成長投資を重点的に投下する方針です。中長期の収益ポートフォリオは、2030年に向けて精機事業は次世代露光装置と顧客の多様化で収益を伸ばし、映像事業は競争力のある業務用動画機の投入と若年層を含む新規顧客獲得で安定利益の確保を目指します。ヘルスケア、コンポーネント、デジタルマニュファクチャリングの戦略3事業については、比較的利益率の高いヘルスケア事業、コンポーネント事業で着実に収益を拡大しながら、デジタルマニュファクチャリング事業は金属付加加工において業界全体の伸びを上回る売上成長を継続し、早期黒字化を実現する方針です。 ・各事業の収益拡大に向けた具体的な取り組み映像事業では、堅調な中高級機市場のコアファンに加え、新規ユーザー、特に若年層顧客の拡大に注力するとともに、米国の子会社であるRED Digital Cinema,Inc.(以下「RED社」)との相乗効果を実現し、業務用動画市場での事業拡大を目指します。精機事業は、FPD装置事業が着実に事業全体を支える中、半導体装置事業は主要顧客向けサービス体制の適正化などを行いながら、半導体製造の後工程向けデジタル露光装置や新プラットフォームArF液浸露光装置の開発を進めます。ヘルスケア事業は、民間市場のさらなる開拓に向けて、システム顕微鏡やアプリケーションの拡充を図るとともに、細胞受託生産のスケール化を進めます。コンポーネント事業は、産業機器部門の統合効果を高め、海外を中心に収益の拡大を目指します。また、完成品・サービス・コンポーネント一体の「ソリューション提供」を推進します。デジタルマニュファクチャリング事業は、ドイツの子会社であるNikon SLM Solutions AG(以下「SLM社」)の大型金属3Dプリンターを中心に、主に防衛・航空宇宙市場でビジネスを拡大する方針です。 ・経営基盤の強化本計画に掲げた事業戦略を実行していく上で、経営基盤の一層の強化は極めて重要です。サステナビリティ戦略では、「創造(事業)を通じた社会への貢献」を掲げています。企業理念の「信頼と創造」に基づき、事業が環境・社会に与える影響を評価・改善し続けることで社会の期待に「信頼」で応えつつ、事業を通じて、再生可能エネルギーの利用拡大など、環境課題やSDGs達成に貢献する価値を今後も「創造」していきます。人的資本経営については、3期連続で600名超を採用し、これらの人材の早期定着及び活躍の支援強化を進めています。また、顧客に伴走しながら新たな価値を提案するソリューションエンジニアの育成にも力を入れていきます。デジタルトランスフォーメーション(DX)、ものづくりに関しては、要注力分野としてさらなる資本配分や強化施策を進めていくとともに、グループガバナンスの強化、グローバルコンプライアンス体制の整備に努めていきます。 <経営基盤強化>・資本配分当社グループは、研究開発型企業としての成長を多くのステークホルダーから期待されていると認識しており、配分可能原資の8割以上を成長投資に振り向け、持続的な企業価値向上を目指しています。戦略投資については、SLM社、RED社のM&Aで一区切りをつけるなど成長投資の選択と集中を進め、業務用動画機、次世代露光装置、金属付加加工の3領域に重点的に投下していきます。 <資本配分:持続的な成長に向けた投資と株主還元強化をともに推進> ・さらなる「信頼と創造」を目指してニコンは、さらなる「信頼と創造」に向けて、常に社会への貢献を念頭に置きながら、全てのステークホルダーの期待にお応えできるよう、持続的な企業価値向上の実現を目指します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループを取り巻く事業環境は、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (業績等の概要) (1)業績」に記載のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、2022年4月7日に中期経営計画(2022~2025年度)を発表しました。中期経営計画の概要は以下のとおりです。 ・ありたい姿本中期経営計画策定にあたっては、まず2030年のありたい姿をイメージし、その実現に向けて2025年に到達するべき目標を定め、施策を積み上げています。2030年の社会は、人々の価値観や人生観が変化し、気候変動や資源不足など社会環境が変わり、Industry5.0到来などテクノロジーの革新も続くと予想しています。このようなメガシフトが起こるなか、人間が生活のための“労働”を機械に任せ、より創造的な「自己実現のための仕事」と「価値を追求する消費」に注力できるようになるための「人と機械の共創」が進むものと考えています。ニコンには、ものづくりを革新するテクノロジーや高度なソリューションをグローバルに広げる力・ブランド、そしてステークホルダーからの支持といった3つの強みがあります。これらを活かし、2030年の「人と機械が共創する社会」に新たな価値を提供し続けたいと考え、2030年のありたい姿を「人と機械が共創する社会の中心企業」としました。これに向けて、お客様としっかり伴走し、お客様の欲しいモノやコトの「本質」を理解した上で、お客様のイノベーションを支える存在になることを目指します。 ・進捗状況2022年度からの取り組みの結果、事業戦略の強化、経営基盤の整備は着実に進展しました。数値計画は、映像事業の業績が上振れる一方、半導体関連などインダストリー領域の下振れや成長ドライバーの遅れなどが重なりました。その結果、売上収益は前倒しで達成していますが、営業利益率、営業利益及びROEは計画未達となる見込みです。こうした成果と課題を踏まえ、2025年度は、2030年のありたい姿に向けた体制整備の年と位置付け、投資選別や体制の合理化に向けた自助努力を行い、短期業績の回復と長期成長のための投資の両立を目指します。 <中期経営計画進捗まとめ:中期経営計画最終年度から「2030年のありたい姿」へ> ・業績推移中期経営計画の前半2年間の業績は、堅調に推移しました。2023年度時点で中期経営計画最終年度の目標である売上収益7,000億円を2年前倒しで達成し、営業利益も計画を上回って推移しました。3年目となる2024年度は、映像事業が好調に推移したものの、投資負担が先行し、半導体市況悪化の影響も受けたインダストリー領域の各事業の収益が大きく落ち込みました。中期経営計画最終年度となる2025年度の全社営業利益は700億円を目指していましたが、最新見通しでは360億円にとどまります。なお米国関税影響については、適宜施策を展開し、影響最小化に努めます。 ・経営資源集中領域と収益ポートフォリオ2024年度の収益下振れを踏まえ、複数の構造改革や組織統合など体制の適正化を進めてきました。同時に、成長投資の選択と集中も強化しています。スケール化に時間を要するプロジェクトへのリソース投入は抑制し、業務用動画機、次世代露光装置、金属付加加工の3領域に成長投資を重点的に投下する方針です。中長期の収益ポートフォリオは、2030年に向けて精機事業は次世代露光装置と顧客の多様化で収益を伸ばし、映像事業は競争力のある業務用動画機の投入と若年層を含む新規顧客獲得で安定利益の確保を目指します。ヘルスケア、コンポーネント、デジタルマニュファクチャリングの戦略3事業については、比較的利益率の高いヘルスケア事業、コンポーネント事業で着実に収益を拡大しながら、デジタルマニュファクチャリング事業は金属付加加工において業界全体の伸びを上回る売上成長を継続し、早期黒字化を実現する方針です。 ・各事業の収益拡大に向けた具体的な取り組み映像事業では、堅調な中高級機市場のコアファンに加え、新規ユーザー、特に若年層顧客の拡大に注力するとともに、米国の子会社であるRED Digital Cinema,Inc.(以下「RED社」)との相乗効果を実現し、業務用動画市場での事業拡大を目指します。精機事業は、FPD装置事業が着実に事業全体を支える中、半導体装置事業は主要顧客向けサービス体制の適正化などを行いながら、半導体製造の後工程向けデジタル露光装置や新プラットフォームArF液浸露光装置の開発を進めます。ヘルスケア事業は、民間市場のさらなる開拓に向けて、システム顕微鏡やアプリケーションの拡充を図るとともに、細胞受託生産のスケール化を進めます。コンポーネント事業は、産業機器部門の統合効果を高め、海外を中心に収益の拡大を目指します。また、完成品・サービス・コンポーネント一体の「ソリューション提供」を推進します。デジタルマニュファクチャリング事業は、ドイツの子会社であるNikon SLM Solutions AG(以下「SLM社」)の大型金属3Dプリンターを中心に、主に防衛・航空宇宙市場でビジネスを拡大する方針です。 ・経営基盤の強化本計画に掲げた事業戦略を実行していく上で、経営基盤の一層の強化は極めて重要です。サステナビリティ戦略では、「創造(事業)を通じた社会への貢献」を掲げています。企業理念の「信頼と創造」に基づき、事業が環境・社会に与える影響を評価・改善し続けることで社会の期待に「信頼」で応えつつ、事業を通じて、再生可能エネルギーの利用拡大など、環境課題やSDGs達成に貢献する価値を今後も「創造」していきます。人的資本経営については、3期連続で600名超を採用し、これらの人材の早期定着及び活躍の支援強化を進めています。また、顧客に伴走しながら新たな価値を提案するソリューションエンジニアの育成にも力を入れていきます。デジタルトランスフォーメーション(DX)、ものづくりに関しては、要注力分野としてさらなる資本配分や強化施策を進めていくとともに、グループガバナンスの強化、グローバルコンプライアンス体制の整備に努めていきます。 <経営基盤強化>・資本配分当社グループは、研究開発型企業としての成長を多くのステークホルダーから期待されていると認識しており、配分可能原資の8割以上を成長投資に振り向け、持続的な企業価値向上を目指しています。戦略投資については、SLM社、RED社のM&Aで一区切りをつけるなど成長投資の選択と集中を進め、業務用動画機、次世代露光装置、金属付加加工の3領域に重点的に投下していきます。 <資本配分:持続的な成長に向けた投資と株主還元強化をともに推進> ・さらなる「信頼と創造」を目指してニコンは、さらなる「信頼と創造」に向けて、常に社会への貢献を念頭に置きながら、全てのステークホルダーの期待にお応えできるよう、持続的な企業価値向上の実現を目指します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 業績当連結会計年度における市場・顧客動向について、映像事業においては、デジタルカメラ市場は中高級機の販売が好調で、市場全体の販売台数・金額とも堅調に推移しました。精機事業においては、FPD関連分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも設備投資は堅調に推移しました。一方、半導体関連分野は、AI関連半導体は好調に推移しましたが、全体としては回復に遅れが見られました。ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション及びアイケアソリューション分野で、政治・経済環境を背景に、一部地域において市況の停滞が見られました。コンポーネント事業においては、インダストリアルソリューションズ事業では、半導体や電子部品市場の回復遅れ、ならびに最終ユーザーによる在庫調整などの影響を受けました。航空宇宙、EV(電気自動車)市場の設備投資は堅調に推移しました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連市場減速の影響を受け、低調に推移しました。デジタルマニュファクチャリング事業においては、金属アディティブマニュファクチャリング分野は、中小型装置市場を中心に停滞するも、大型装置市場は防衛領域が市場を牽引し拡大しました。 当社グループは中期経営計画(2022~2025年度)のもと、事業を進展させるとともに、経営基盤の整備を進めています。2025年3月期は、映像事業では、将来の動画戦略展開の中核をなす、業務用シネマカメラのメーカーである米国RED社の完全子会社化を完了、精機事業では、ニコン初となる半導体製造の後工程向け露光装置の開発を発表しました。事業戦略の強化、経営基盤の整備は着実に進捗していますが、さらなる収益性改善に取り組む必要があります。 このような状況の下、当社グループの連結業績は、売上収益は7,152億85百万円、前期比19億60百万円(0.3%)の減収、営業利益は24億22百万円、前期比373億54百万円(93.9%)の減益、税引前利益は45億33百万円、前期比381億36百万円(89.4%)の減益、親会社の所有者に帰属する当期利益は61億23百万円、前期比264億47百万円(81.2%)の減益となりました。 セグメント情報は次のとおりです。なお、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6.事業セグメント (1)報告セグメントの概要」に記載のとおり、当連結会計年度より報告セグメントに変更があり、以下の前年比較においては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。 映像事業においては、APS-Cサイズミラーレスカメラ「Z50II」やフルサイズミラーレスカメラ「Z6III」等の新製品を中心にミラーレスカメラ及び交換レンズの販売数が増加したことに加え、円安効果もあり、増収となりました。一方、低調なシネマ業界の影響を受けたRED社の営業赤字に加え、Mark Roberts Motion Control Limitedの固定資産減損損失等の一時費用を計上したことにより減益となりました。この結果、当事業の売上収益は2,953億63百万円、前期比5.6%増、営業利益は413億6百万円、前期比11.3%減となりました。精機事業においては、FPD露光装置分野は、中小型パネル用、大型パネル用、いずれも装置の販売台数が増加し、増収増益となりました。一方、半導体露光装置分野は、新品装置の販売台数が減少したことに加え、固定資産の減損損失及び棚卸資産の評価損といった一時費用を計上したこともあり、減収減益となりました。この結果、当事業の売上収益は2,019億63百万円、前期比7.9%減、営業利益は15億44百万円、前期比89.8%減となりました。 ヘルスケア事業においては、ライフサイエンスソリューション分野で市況停滞の影響を受けましたが、アイケアソリューション分野及び細胞受託生産ソリューション分野での堅調な販売に加えて円安効果により、事業全体として増収増益となりました。この結果、当事業の売上収益は1,164億52百万円、前期比7.9%増、営業利益は67億35百万円、前期比25.0%増となりました。コンポーネント事業においては、インダストリアルソリューションズ事業では、大型のX線/CT検査装置の販売は堅調に推移したものの、光学部品、エンコーダの販売が減少し、減収減益となりました。カスタムプロダクツ事業では、EUV関連コンポーネントの販売がEUV関連市場減速の影響を受け、減収減益となりました。この結果、当事業の売上収益は741億36百万円、前期比13.7%減、営業利益は71億85百万円、前期比52.5%減となりました。デジタルマニュファクチャリング事業においては、中小型装置の販売が減少する一方で大型装置の販売は好調に推移し、増収となりました。一方で、中小型装置の生産数量減少による生産コストの上昇や米国拠点の整備、研究開発等の先行投資の増加により減益となりました。この結果、当事業の売上収益は、233億56百万円、前期比11.2%増、営業損失は152億25百万円(前年同期は140億93百万円の営業損失)となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益45億33百万円、減価償却費及び償却費441億89百万円、減損損失108億16百万円の計上があった一方、棚卸資産の増加があり、482億58百万円の収入(前年同期は307億67百万円の収入)となりました。当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の売却及び償還による収入が116億49百万円あった一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が696億60百万円、子会社又はその他の事業の取得による支出120億14百万円があり、699億88百万円の支出(前年同期は414億5百万円の支出)となりました。当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入れによる収入が694億89百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が340億11百万円、自己株式の取得による支出が300億3百万円、配当金の支払が173億21百万円あり、198億8百万円の支出(前年同期は89億38百万円の支出)となりました。上記に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額によって15億16百万円の減少した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ430億54百万円減少し、1,635億90百万円となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)(百万円)前期比(%)映像事業188,9778.9精機事業106,5717.9ヘルスケア事業43,10118.1コンポーネント事業59,660△20.9デジタルマニュファクチャリング事業14,415△45.6合計412,7240.5 (注) 金額は製造者販売価格によって算出し、付属品仕入額を含んでおります。 (2) 受注状況当連結会計年度における受注残高は、次のとおりであります。なお、精機事業を除いては見込生産を主としておりますので記載を省略しております。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)(百万円)前期比(%)精機事業108,650△28.3合計108,650△28.3 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)(百万円)前期比(%)映像事業295,3635.6精機事業201,963△7.9ヘルスケア事業116,4527.9コンポーネント事業74,136△13.7デジタルマニュファクチャリング事業23,35611.2その他4,01521.7合計715,285△0.3 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一による経営基盤の強化を目指し、2017年3月期有価証券報告書における連結財務諸表からIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記] 3.重要性がある会計方針、4.見積り及び判断の利用」をご参照ください。 (2) 財政状態の分析当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べて365億96百万円減少し、1兆1,105億14百万円となりました。これは主に、棚卸資産が222億93百万円増加した一方、現金及び現金同等物が430億54百万円、その他の金融資産が262億99百万円減少したためです。当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べて92億72百万円増加し、4,712億91百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が52億84百万円、その他の金融負債が50億94百万円、引当金が39億1百万円、前受金が37億18百万円減少した一方、社債及び借入金が268億64百万円増加したためです。当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べて458億68百万円減少し、6,392億23百万円となりました。これは主に、自己株式の消却により減少した資本剰余金への振替や剰余金の配当等により利益剰余金が357億28百万円減少したことに加え、保有する金融資産の公正価値の変動等によりその他の資本の構成要素が87億29百万円減少したためです。 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 (3) 経営成績の分析当連結会計年度における売上収益は、映像事業やヘルスケア事業における販売増加があった一方、精機事業における半導体露光装置の販売台数減少及びコンポーネント事業における販売減少により、19億60百万円減の7,152億85百万円(前連結会計年度は7,172億45百万円)となりました。売上原価は、減収に伴い、38億80百万円減の4,033億18百万円(前連結会計年度は4,071億98百万円)となりました。販売費及び一般管理費は、労務費や研究開発費の増加、RED社の連結子会社化による無形資産の償却に伴う減価償却費の増加等により、271億円増の2,951億55百万円(前連結会計年度は2,680億56百万円)となりました。その他営業収益は、前連結会計年度に計上した過年度に連結子会社において引当計上していた費用の戻入等の剥落により、13億35百万円減の22億41百万円となりました。その他営業費用は、固定資産の減損損失や構造改革関連費用などの計上により、108億40百万円増の166億31百万円となりました。これらの結果、営業利益は24億22百万円(前連結会計年度は397億76百万円の営業利益)となり、373億54百万円の減益となりました。税引前利益は373億54百万円の営業減益の影響により、45億33百万円(前連結会計年度は426億69百万円の税引前利益)となり、381億36百万円の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用マイナス15億90百万円の計上により61億23百万円(前連結会計年度は325億70百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。なお、当社グループの課題につきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」を、またセグメント別の分析は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (1)業績」をそれぞれご参照ください。 (4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、一定の財務健全性の確保を前提に置きながら、自己資本比率55%~60%を目安として、投資資本の運用効率を重視し、持続的な成長のために資本コストを上回る収益が見込める投資(戦略投資、R&D、設備投資)に資金を活用することで企業価値の最大化を実現すると同時に、安定的な株主還元を実施することで株主の要求にも応えることを資本管理の方針としております。運転資金や経常的に発生する設備投資資金については、現在保有する現金や預金で賄い、持続的成長に向けた投資については、配分可能な現金や預金、及び営業活動から創出されるキャッシュ・フローを源泉とした資金で賄うことを原則としております。また、機動的な資本配分を実現するため、国内外のグループ会社が保有する資金をグローバル・キャッシュ・マネージメント・システムにより効率的に管理することでグループ内の資金の流動性を高め、これを有効活用しております。なお、当社は市場の混乱や、当社が事業を遂行する上でのリスクに晒されているため、こうした要因が資金繰りを圧迫する事態への備えとして十分な手元流動性(現預金、コミットメントライン等)の確保に努めており、事業環境に急激な変化を与え得る様々な不確実性を前提としても当面安定的な経営が可能な状態にあります。 当社グループの資金状況は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますとおり、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは482億58百万円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは699億88百万円の支出であったため、217億30百万円のマイナスのフリー・キャッシュ・フローとなりました。また、有利子負債を控除したネットキャッシュ残高はマイナス500億58百万円になりました。なお、当連結会計年度後1年間の設備投資計画は600億円を予定しており、主に生産能力の最適化と設備の維持・更新を図るためのものであります。また、当連結会計年度後1年間の研究開発投資は780億円を予定しております。当該設備投資及び研究開発投資の資金は、主に営業キャッシュ・フローを源泉とした資金の範囲で賄うことを予定しております。設備投資計画の詳細につきましては、「第3[設備の状況]3[設備の新設、除却等の計画]」をご参照ください。 以上の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月26日)現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は百万円未満を四捨五入して記載しております。

事業リスク

  • 市場成長の鈍化と競争激化:デジタルマニュファクチャリング事業では、市場の成長が想定より遅れる可能性があり、目標とする規模に達しないリスクがあります。また、映像事業のデジタルカメラ市場では、ミラーレスカメラでの競争が激しく、部品価格の高騰や調達遅延も影響しています。精機事業の露光装置も、ディスプレイや半導体市場の設備投資動向や競合他社の技術開発状況によって需要が減少する可能性があります。
  • 研究開発投資の成果不確実性:ニコンの事業は、常に高度な研究開発が求められる分野であり、収益の変動にかかわらず継続的な投資が必要です。しかし、投資が十分な成果に結びつかず、新製品や次世代技術の開発・市場投入が遅れる、あるいは開発した技術が市場に受け入れられない場合、企業価値の低下や収益減少につながる可能性があります。また、技術の抜本的な変化により、既存技術が不要になるリスクも存在します。
  • グローバル事業に伴う規制・地政学リスク:ニコンは海外売上比率が高く、世界各国の輸出入規制、競争法、労働法、腐敗防止、移転価格税制など、多様な法規制の適用を受けます。これらの規制変更や、政治問題、貿易摩擦、紛争、テロなどの地政学的な要因は、事業活動の費用増加、事業の制約、レピュテーションリスク、あるいは事業活動そのものに大きな障害や損失をもたらす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,118 文字
3 【事業等のリスク】(1) リスク管理体制と運用状況 当社グループでは、会社の持続的発展を目的に、企業経営・事業継続に重大な影響を及ぼすあらゆるリスクに対し、識別・評価・管理が重要な課題であるという認識のもと「リスク管理委員会」を設置して、リスク管理を行っています。リスク管理委員会は、リスク管理担当役員であるCRO(Chief Risk Management Officer)を委員長とし、委員は経営委員会の構成員等として、年に2回定期的、また必要に応じて随時開催しています。全社的な見地でリスクを把握し、重点対象のリスクについて継続的なモニタリングや、機動的な支援ができる体制を構築する等、当社グループを取り巻くリスクを適切に管理する体制整備に努めています。リスク管理委員会がリスク全般を管轄し、専門的な対応が必要な事案は、傘下の品質委員会、輸出審査委員会、コンプライアンス委員会にて対応しています。また、サステナビリティ委員会とその傘下の環境部会、サプライチェーン部会にて、サステナビリティに関するリスクを把握するとともに対策を審議し、グループ全体で対応しています。なお、リスク管理委員会は、2025年4月に、傘下のコンプライアンス委員会と統合したリスク・コンプライアンス委員会に改称し、コンプライアンスリスクも全社リスク管理の一環として対応します。また、当社の委員会やコーポレート・ガバナンス体制の模式図は「第4[提出会社の状況] 4[コーポレート・ガバナンスの状況等]」に記載のとおりです。 (2) リスクの把握と対策当社グループでは、当社グループが抱えるリスクを把握するため、リスクアセスメントとして「リスク把握調査」を毎年実施しています。この調査は、当社の部長相当以上及び国内・海外グループ会社社長を対象に実施しているもので、全社的な重要リスクの洗い出しや分析・評価を行い、対応状況をモニタリングしています。調査結果をもとに、回答数や影響が大きいリスクを分析し、かつ社外のリスク認識も加味した「リスク相関図」を作成することで、重要リスクを特定し、取り組みを強化すべき課題の判断をリスク管理委員会にて行っています。当社グループの戦略・事業その他を遂行する上で、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なテーマは以下のとおりです。これらのリスクは、当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられるほかのリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ① 事業、経営に関するリスク・リスク中期経営計画において、材料加工・ロボットビジョンは、戦略事業「デジタルマニュファクチャリング」の中期成長ドライバーと位置づけています。戦略投資の一つとして、金属アディティブマニュファクチャリングにおける統合ソリューションをグローバルで提供するドイツのSLM社を買収する等、事業の拡大を進めていますが、関連する市場の成長が想定よりも鈍い場合等は、本計画期間である2025年度までに期待される規模への成長に届かない可能性があります。また、主要事業においては、映像事業の主要製品であるデジタルカメラは、ミラーレスカメラ市場での厳しい競争に加えて、部品の価格高騰や調達の遅れによる影響が生じており、将来的には市場環境悪化の可能性があります。精機事業が扱うFPD露光装置の需要は、ディスプレイ市場自体は安定的に需要が見込める市場ですが、設備投資の縮小継続により露光装置需要の回復が伸び悩む可能性があります。半導体露光装置の対象市場である半導体市場は、中長期的に大きく成長が見込まれるものの、競合他社の先端プロセス開発の状況によっては、液浸露光装置の需要が減少する可能性があります。また、当社グループの主要顧客が設備投資計画を変更した場合等、当社グループの収益に影響を及ぼす恐れがあります。 ・対応デジタルマニュファクチャリング事業では、デジタル化が進む製造業に対して独自の価値を提供し、競争力のある新製品を市場に導入すること等で、新たな市場の形成を進めていきます。また、取締役会等で定期的にモニタリングを行い、市場の動向を注視することで、タイムリーに戦略を検討・修正できる体制としています。映像事業は、今後拡大が見込まれる業務用動画市場の開拓を目指すため、米国のRED社を買収した他、生産販売面での最適化、サプライチェーンや物流の改革、徹底したコストダウン、デジタルマーケティングの強化、開発効率化等に取り組み、引き続き事業の収益体質強化を進めています。FPD装置事業は、露光装置の需要が落ち込む環境下でも一定の利益を確保するため、新規露光装置及びサービスビジネスによる収益拡大やトータルコスト低減を進めています。半導体装置事業は、収益性重視の事業戦略の下、既存顧客以外の開拓を積極的に進めるとともに、サービスビジネスを拡大していきます。 ② 研究開発に関するリスク・リスク当社グループの事業分野は厳しい競争下にあり、高度な研究開発の継続によって製品の開発が常に求められています。そのため、当社グループの収益の変動にかかわらず、製品開発のための適切な投資を常に継続する必要があります。しかし、投資の成果が十分に上がらず新製品、次世代技術の開発や市場投入がタイムリーに行えない場合や、当社グループが開発した技術が市場に受け入れられなかった場合、あるいはゲームチェンジ等抜本的な変化により当社グループの技術が不要となる場合、企業価値が低下し、収益が減少する可能性があります。・対応当社グループでは「技術戦略委員会」にて、注力すべき新領域の開拓や既存事業の競争力向上につながる技術戦略を明確にし、技術開発の方向性と重点投資分野を決定しています。幅広い社会的課題やニーズに積極的に応えながら、当社グループの長期的な成長を実現していきます。 ③ 各種規制・制度変更に関するリスク・リスク当社グループはグローバルに事業を展開しているため、生産及び販売活動の多くが日本国外であり、連結売上収益に占める海外売上収益比率は高くなっています。多くの国々において、輸出入規制、競争法、労働法、腐敗防止、移転価格税制等、各種法規制の適用や企業の社会的責任を求められています。これら法規制や社会的責任として求められる内容は大きく変わる可能性があり、その変化により事業活動費用増加や事業の制約、レピュテーションリスク等を受ける可能性があります。・対応当社グループでは、「リスク管理委員会」によるリスク整理・管理に加え、専門的な対応が必要なリスクに対しては、その傘下の品質委員会、輸出審査委員会、コンプライアンス委員会の3委員会で対応を図るとともに、サステナビリティの視点から、サステナビリティ委員会及び傘下部会でもマテリアリティを中心としたリスクのモニタリング及び対応をしています。またその中で、規制の変更に関してグループ全体で情報を収集後、当該情報に基づいた実務プロセスへのフィードバックや規制を踏まえた戦略を立案する等、さらなる体制強化に取り組んでいます。 ④ M&A、戦略的出資に関するリスク・リスク当社グループは、新規事業の創出や既存事業領域の拡大、事業シナジー実現のために、M&Aや戦略的出資を行っています。市場環境の著しい変化や対象企業の人材流出等により所期の成果を達成できない場合、のれんや有価証券等の減損損失により、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。 ・対応当事業戦略に基づき、M&A対象、戦略的出資先を探索し、対象企業の価値やリスク等のデュー・ディリジェンスを行っています。また、買収や出資後の検証については、CFOを委員長とする出資モニタリング委員会において、当初の目的に対する進捗確認を定期的に行い、必要に応じて戦略の軌道修正を図っています。 ⑤ 地政学のリスク・リスク前述のとおり、当社グループはグローバルに事業を展開しているため、連結売上収益に占める海外売上収益比率が高く、海外市場への依存が大きくなっています。海外での事業展開は、世界経済全体の動向に加え、政治問題、貿易摩擦や紛争等の影響、暴動・テロ・戦争等による社会の混乱により、事業活動に大きな障害や損失が生じる可能性があります。また、外国為替相場が急激又は大幅に変動した場合は、当社グループの収益や財政状況に多大な影響を及ぼす恐れがあります。近年はとりわけ米中貿易摩擦等の地政学リスクが、マクロ経済や当社グループの事業活動、半導体部品等のサプライチェーン等に影響を及ぼす恐れがあります。・対応当社グループでは、リスク管理委員会によるリスク整理・管理に加え傘下の委員会や、サステナビリティ委員会及び傘下の部会にて、リスクのモニタリング及び対応をしています。当該リスクが顕在化する可能性やその影響レベルについては、社会情勢等により左右されるため、具体的に予測することは困難でありますが、情報収集及び事業に与える影響の分析を行い、対策を検討、実施しています。また、当社グループは、売上規模と販売地域に応じた適切な為替ヘッジを行っています。 ⑥ 調達のリスク・リスク近年、グローバル規模の異常気象や自然災害、地政学的な影響等さまざまな要因により労務費、原材料価格、エネルギーコスト等が大きく変動しています。加えて、サプライチェーンにおける人権、労働環境、安全衛生や脱炭素といった環境等に関する社会課題へのステークホルダーの関心も高まっており、サプライチェーンの不安定要素・リスクが増加していると考えています。・対応部品調達や物流においても不確実性と変動性の高い状況が継続しています。そのため、当社グループは調達パートナーと共に品質及びESG(Environmental環境、Social社会、Governanceガバナンス)の観点を持ち、協働活動を進め、当社グループ全体でレジリエントなサプライチェーンの構築に取り組んでいます。そして、調達パートナーとの強固な関係を築き上げ、サプライチェーンの可視化、BCPの策定・強化、温室効果ガス排出量の把握、人権デュー・ディリジェンスの強化等を通じて、大きく変化する事業リスクや社会課題に対して柔軟に対応できる体制を構築しています。これによりリスクを低減し、持続可能な成長を目指しています。 ⑦ 環境のリスク・リスク気候変動に起因する異常気象や洪水、渇水等の自然災害や感染症の拡大により、開発・生産拠点及び調達先等に甚大な損害が生じた場合、操業に影響が生じたり、生産や出荷が遅延したりする恐れがあります。また、脱炭素社会に向けた動きが加速する中、各国において炭素税等の政策・法規制の導入又は導入検討が進んでおり、エネルギーや原材料のコストが増加するリスクがあります。環境政策・法規制等により、基準の遵守や情報開示等の対応が求められ、年々強化される傾向にあります。対応が十分ではないと、行政処分等による生産への影響や課徴金、社会的信用の失墜等会社経営に甚大な損害を与える可能性があります。特に化学物質等に関連する法規制が強化された場合、必要な材料・副資材の入手が困難になる可能性があります。 ・対応当社グループは、気候変動や天然資源の枯渇、廃棄物問題、有害化学物質による汚染などの環境問題を自社の存続にも関わる問題と捉えてマテリアリティとして位置づけ、サステナビリティ委員会や関連する委員会、部会でリスクのモニタリングを行い、さまざまな対策を講じるとともに、地球環境に配慮した経営を行っています。また、グループ全体で省エネルギー活動や再生可能エネルギーの活用、開発・生産プロセスの効率化等をはじめとしたバリューチェーン全体での温室効果ガス削減やBCPの策定に取り組んでいます。社内の規程類を整備し、担当者の教育等を実施することで、バリューチェーンを含めた管理体制を強化するほか、規制の変更等のタイムリーな把握等に努めています。また法規制よりも厳しい自主基準値を設けることで環境汚染の未然防止に努めています。 ⑧ 人的確保のリスク・リスク当社グループは、高度な技術や専門知識及び能力を有する社員等、多様な人材によって支えられており、市場での激しい競争に打ち克ち、事業成長を実現するためにはこうした人材の確保が重要です。有能な人材を採用・育成できず、あるいは主要な人材が退職した場合、事業活動への影響や、知識・ノウハウの社外流出、収益と財政状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に労働流動性が高い国や地域における人材流出の危険性は高いと考えられます。主要な人材が流出し、補充が困難な場合、当社グループの成長に影響を及ぼす可能性があります。また1990年前後の大量採用やこれまでに幾度かあった新規採用抑制の影響で、社内での高齢化が進み、中堅・若手の不足により、技術・技能の伝承や業務ノウハウの引き継ぎが適切に行われないリスクがあります。・対応当社グループは中期経営計画で事業を支える経営基盤の強化に取り組んでいます。その中で、人的資本経営の考え方に基づいて、人材の「獲得」「育成」「活躍」の3点を人材戦略の柱とする各施策を実行し、成長戦略実現を支える人材獲得に向けた採用戦略の実行にこれまで以上に力を入れています。また、人材の育成・活躍に向けては具体的なカリキュラムを組み、固有技術・技能の伝承と標準化・共有化を推進し、多様な人材がグローバルで活躍できる環境・機会の創出に取り組んでいます。 ⑨ 情報資産とサイバーセキュリティのリスク・リスク当社グループは、技術情報や取引先及び顧客情報等の多くの情報資産を保有しており、サイバー攻撃や故意、過失、災害等により、情報システムの重大な障害や個人情報の不正利用、情報セキュリティ事故を生じさせた場合、当社グループの企業価値の毀損や、損害賠償請求を受けるリスクがあります。個人情報保護や、製品のセキュリティ要件に関する世界各国の法令に違反した場合、厳罰に処される可能性があります。また、デジタル化が急速に進むなか、社内システムの老朽化や業務の複雑化・属人化、基幹システムのサポート終了等が、業務の非効率となる可能性があります。・対応当社グループでは、個人情報保護を含む情報管理において代表取締役 兼 社長執行役員を最高責任者と定めるとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に準拠した業務プロセスを構築しています。サイバー攻撃に対し高い防御力を維持し、インシデントの早期発見と対応のため、様々なセキュリティ対策を行い、グローバルで一括して監視・対応する運用体制の改善・強化を進めています。保管セキュリティレベルの向上を図るとともに、情報取り扱いに関する社内規程の整備や従業員教育等を実施しています。基幹システム更新プロジェクトを推進することで、デジタル化による業務の効率化、デジタルマーケティングの強化、サービスプラットフォームの整備等を強化していきます。 ⑩ 知的財産、訴訟のリスク・リスク当社グループは、製品開発に伴って多くの知的財産権を取得、保有し、他社にライセンス供与もしています。当社グループの知的財産権を他社が無断使用すること等に起因して提訴に至った場合、大きな訴訟費用が発生する可能性があります。一方で、他社、個人等より、知的財産権を侵害したとして、製造・販売の差し止めや損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの収益や財政状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。・対応既存事業の成長や新事業の創生につながる「知的財産戦略」を策定し、この戦略に従って知的財産活動を継続的に推進しています。研究開発活動によって生み出された技術や製品に関する特許、意匠、商標等、知的財産を保護しています。将来を見据えた知的財産の創生と権利化を各事業部門や研究開発部門と協働しながら行うことで、市場における競争優位の確立を図っています。また、法務・知的財産部門と関連部門で連携して、他社知的財産権の調査等を適宜実施し、他社知的財産権の侵害の未然防止に努めています。 ⑪ 災害、感染症等のリスク・リスク大地震・火災・洪水等の自然災害(異常気象、気象変動に起因するものを含む)による水・電力・通信網等のインフラストラクチャーや物流機能の障害や感染症の拡大等に伴い、事業活動に大きな障害や損失が生じる可能性があります。当社グループの開発・製造拠点や調達先等に壊滅的な損害が生じた場合、操業が中断し、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあります。これによって生産や販売が制約され、事業の復旧に多大な費用が生じた場合、当社グループの収益と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。・対応当社グループでは、大規模災害や感染症等の発生に備えてBCPを策定し、定期的に見直しています。当社では、「首都直下地震」等の大規模地震を想定し、主要事業部門のBCPの再点検・アップデートを行い、事業継続のための施策を実施しています。また、国内グループ会社を含めて、大規模地震発生時の行動についての教育や、災害時を想定した安否確認及び通信訓練等の各種訓練を実施しています。

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