研究開発活動(本文)
FY2025|5,572 文字
6 【研究開発活動】(1) 目的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、2023年度よりスタートした2023中期経営計画の「品質経営を極める」をスローガンとして、カヤバグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化、電動化への対応及び軽量化や省エネルギー、CO2削減への貢献、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってカヤバグループの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2) 体制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品及び性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、欧州技術者駐在員事務所(欧州テクニカルセンターと同敷地内)を活用し、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集し、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。各部門でAIやIoTなどのデジタル技術の全社的活用・推進を行っています。一方で、従来からの研究開発及び製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも進めております。まず、持続的成長のための商品開発として、EV化や自動化に対応すべく当社のコア技術である振動制御・パワー制御と電子制御、センサ、電動機・インバータ等の技術を高度に融合させ、BEV、建機、産業用車両の安全・快適性能の追求、エネルギー消費低減、自動運転へ貢献する製品の開発を進めております。基盤技術研究所電動化ユニット先行開発室をはじめとした各技術部門で、建設機械の電動化対応製品の開発加速も図っております。また収益力強化としてShip’30活動としてデジタル技術を軸にしたカヤバ生産方式の追究と進化による次世代革新工場を目指し、生産工程・設備管理革新のためのデジタル技術やAI技術の研究開発も進めております。製品開発や新サービスの展開、生産工程・設備管理革新により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売及び製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。製品の高機能化やシステム化、電動化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。 (3) 成果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は7,839百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業四輪車用の油圧緩衝器では、電動化・自動運転化が進む将来において、比例ソレノイド(連結子会社である株式会社タカコとの共同開発による内製)を搭載した電子制御減衰力調整式ショックアブソーバの採用拡大が今後も引き続き見込まれております。上質で滑らかな走りと圧倒的な乗り心地の良さを実現する本製品は、更なる原価低減の取り組みの他、車両への搭載性に優れる減衰力可変機構を内部に配置したショックアブソーバの開発を自動車メーカーと進めており、製品ラインナップの拡充を図ることで今後のお客様の様々なご要求に対応してまいります。一方、アフターマーケット向けには早期の上市を目指し、減衰力調整式ショックアブソーバの技術を応用した電子制御サスペンションシステムActRide®の開発を進めております。センサを内蔵した独自のECUと組み合わせることで車両の挙動を検知し高度な制御を可能にする本製品は、お客様ご自身のスマートフォンに専用アプリをインストールすることで車内から簡単にその日の気分やシーンに応じた「走り」と「乗り心地」を自由に設定いただくことができ、”楽しい・快適”を両立した満足感を提供いたします。また、環境に配慮した業界初の生分解性を有する作動油SustainaLub®(サステナルブ®)については、量産化に向けた造り込みを継続する他、将来的な作動油のリサイクルの実現に向けた取り組みを計画しております。全日本ラリー(カヤバラリーチーム)におけるモータースポーツの過酷な使用環境から回収した作動油を独自の知見に基づき再精製し再び使用する試みを実行に移すことで新たな技術の確立を目指します。今後も魅力ある技術の提案及び新製品の展開を進め、持続可能なモビリティ社会への貢献を果たしてまいります。欧州テクニカルセンターでは、電子制御減衰力調整式ショックアブソーバを、制御ソフト含めシステムで開発しています。さらなる性能向上として、2つの減衰力可変機構を持つショックアブソーバの開発を行い、量産を開始し順次採用モデルを拡大しております。本製品は、伸び側と縮み側の減衰力を独立に、高速かつ精密な応答で調整可能となっており、お客様に対して、路面状況や好みに合わせて車両挙動を常に最適にコントロールすることで、安全でダイナミックな操縦性とかつてない乗り心地の実現に貢献します。これらの製品を中心とした高付加価値製品の開発を継続し、カヤバグループの一員として、各欧州顧客へのアプローチを推進し、今後さらに高まる電動化・自動運転化に対する要求への対応を進めていきます。二輪車用の油圧緩衝器では、電動モーターサイクル用に当社製倒立型フロントフォークおよびリアクッションユニットが採用されました。モトクロス用モデルでは倒立フロントフォークに衝撃吸収性を改善したデルタ型バルブ(圧側高速の過度な減衰力発生を抑制するバルブ)を開発し採用されました。またハイエンドスーパースポーツモデルにはSAからの応用であるスウィングバルブを搭載したリアクッションが採用されました。国内の二輪車レースシーンにおいては、全日本ロードレース選手権(JSB1000)及び全日本モトクロス選手権IA1クラスにおいて(いずれも最上級カテゴリー)、当社製のフロントフォークとリアクッションを装着した選手がいずれも総合優勝を収めました。今後も様々な製品開発を行い、多岐にわたって高い技術力をお届けします。四輪車用電動パワーステアリング機器では、連結子会社である長岡カヤバ株式会社で生産するコントローラ一体型モータ(PowerPack)をベースに、要求が高まる自動運転やステアバイワイヤに対応可能なステアリングアクチュエータを開発しております。機能失陥後も作動が継続可能な冗長機能を有した次世代PowerPackを採用し、2025年に市販される車両向けに2024年後半より製品供給を開始しました。また、将来のステアバイワイヤシステム提供を目指し、海外と日本に評価車両(デモカー)を配置し自動車メーカーとの先行開発や技術提案も進めています。四輪用オイルポンプ製品では、これまでのトランスミッション用製品で培った高圧領域で静粛性や効率に優れるベーン式に加え、低圧領域での商品性の高い内接ギヤ式をポンプ部分のラインナップに加え、モータと組合せた電動オイルポンプを開発し、2027年から車載機器向けに量産を開始する予定です。並行して、需要が増えているeAxleやバッテリーなどEV基幹部品を始め、幅広く熱マネジメントに貢献する製品供給を目指し、低粘度油(冷媒)への適合開発や展示会への出展などの活動も推進しております。鉄道車両用製品では、2024年4月にデビューした新型車両の273系特急「やくも」に、オイルダンパ、自動高さ調整弁、および差圧弁が採用されました。また、N700S系新幹線のフルアクティブ制振制御装置には当社のマルチモードアクチュエータが採用されております。2023年より全日本ラリー選手権に参戦を開始したカヤバ社員チームは、2024年には、社員ドライバーを起用した、オールカヤバ社員チームでの挑戦を開始し、好成績(最高位6位)を獲得しました。また、実践を通じたフィードバック開発により、各クラスにてカヤバサスペンション装着チームが、好成績を獲得しております。2025年は更なる成長を目指し、引き続き、全日本ラリー選手権の最高峰クラスに挑戦しております。実践で得た技術ノウハウをフィードバックし、新たな新商品開発を通じ、人材育成も推進してまいります。電動化・自動運転の拡大や様々な情報流通インフラ整備を踏まえ、自社製品の作動状況(情報)を活用する道路モニタリングシステムの開発も進めており、電子制御を始めとしたシステム製品を応用することでCASE/MaaSに向けた新用途・新商品開発を推進しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は5,807百万円であります。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業HC事業では、コア製品である油圧ポンプ、バルブ、シリンダ、モータのラインナップ拡充や省エネ性能向上、コスト低減といった競争力向上に向けた開発と併行し、自動化・遠隔操作・電動化・IoT化等の将来ニーズに対応する電子制御化、省エネシステム、センシング技術、電動ユニット等の新たな付加価値創造に向けた開発を進めています。ショベル向けでは、2022年度にミニ小型クラス用から量産適用を開始した、「電子制御コントロールバルブ(バルブの操作信号を油圧から電気信号へ変更)」について、中型クラス用への適用開発を順調に進めています。オペレータの操作要求に対して高い応答性・安定性を提供することで、母機の自動化対応、操作性・作業効率の向上に貢献します。ミニショベル向けでは、現行品(PSVL-42)に対し大幅な小型化、低コスト化、また最大押しのけ容積と最高使用圧力をUPした3~4tクラス向けロードセンシングシステム用ポンプ「PSVL-50」の量産を開始いたしました。性能向上と環境ニーズを両立した商品としてご採用頂いています。IoTを活用したシステム製品としては、「油状態診断システム」の開発を継続しています。建設機械や工場設備で使用される油圧機器の作動油状態をカヤバ独自の油状態センサでリアルタイムに検知、クラウド上で分析、作動油・機器の劣化異常を診断し、保守・交換の時期を適切なタイミングで提案します。現在、2026年のサービス開始に向け、市場での実証評価を積み重ねております。センサ単体の「モノ売り」に加え、サービスを提供する「コト売り」商品として、機械停止ロスの未然防止、廃油量削減、メンテナンス最適化への貢献を目指します。当セグメントにおける研究開発費の金額は1,947百万円であります。③ 航空機器事業航空機器事業は、事業ポートフォリオの全面的な再検討の結果、経営資源の選択と集中による企業競争力強化を図るべく、2022年2月9日に事業の撤退を公表いたしました。その後、航空機器に関わる製品開発ならびに修理を含めたすべての製販活動を段階的に終了させていきます。そのため当セグメントにおける研究開発費の計上はございません。④ 特装車両事業及びその他市場ニーズに応えた製品としてドラムの軽量化や機能・安全性向上を備えたコンクリートミキサ車の開発を進めており、今年度の量産化を目指し開発しています。また、環境的・社会的ニーズに応えるため、EVトラック対応コンクリートミキサ車の研究を開始し、小型EV車両のコンセプトモデルの製作を進めています。ミキサ車業界以外の新規分野へも進出するための製品開発に取り組んでおります。レジャー分野へ進出する第一弾として欧州車をベースにしたキャンピングカー「VILLATOR」を開発し、2025年1月より受注を開始しました。カヤバの架装技術・油圧技術・サスペンション技術などを取り入れ、快適な乗り心地と操縦安定性に加え、上質な居住空間を提案しています。「VILLATOR」を端緒とし、お客様からご高評いただける製品開発に努めてまいります。当セグメントにおける研究開発費の金額は84百万円であります。
FY2024|5,362 文字
6 【研究開発活動】(1) 目的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、2023年度よりスタートした2023中期経営計画の「品質経営を極める」をスローガンとして、カヤバグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応及び軽量化や省エネルギー、CO2削減への貢献、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってカヤバグループの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2) 体制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品及び性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、欧州技術者駐在員事務所(欧州テクニカルセンターと同敷地内)を活用し、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集し、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。各部門でAIやIoTなどのデジタル技術の全社的活用・推進を行っています。一方で、従来からの研究開発及び製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも進めております。まず、持続的成長のための商品開発として、EV化や自動化に対応すべく当社のコア技術である振動制御・パワー制御と電子制御、センサ、電動機・インバータ等の技術を高度に融合させ、EV、建機、産業用車両の安全・快適性能の追求、エネルギー消費低減、自動運転へ貢献する製品の開発を進めております。2023年には基盤技術研究所に電動化ユニット先行開発室を設置し、電動化対応製品の開発加速を図っております。また収益力強化としてShip’30活動としてデジタル技術を軸にしたカヤバ生産方式の追究と進化による次世代革新工場を目指し、生産工程・設備管理革新のためのデジタル技術やAI技術の研究開発も進めております。製品開発や新サービスの展開、生産工程・設備管理革新により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売及び製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。 (3) 成果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は7,589百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業四輪車用の油圧緩衝器では、比例ソレノイド(連結子会社である株式会社タカコと共同開発による内製)を搭載した電子制御減衰力調整式ショックアブソーバがトヨタ自動車株式会社様のクラウンスポーツ、クラウンセダン、クラウンエステート及びセンチュリー(SUV)に採用されました。オイルシールを低摩擦化することで、より上質で滑らかな走りと圧倒的な乗心地の良さを実現した本製品は、電動化・自動運転化が進む将来において益々の採用拡大が見込まれます。また、極微低速域における作動時の摩擦力をコントロールしたProsmooth®(プロスムース)を進化させた技術がトヨタ自動車株式会社様のカローラアクティブスポーツに採用されました。ピストン外周バンドに更に改良を加えることで、走りの楽しさと乗心地の良さを同時に追求した車両運動性能の実現に大きく寄与し、大変ご好評を頂いております。極微低速域における作動時の油圧力をコントロールしたSwing Valveを含め、今後多くの自動車メーカーへこれらの付加価値製品の採用拡大を図ってまいります。一方、環境に配慮した取り組みとして、業界初の生分解性を有する作動油SustainaLub®(サステナルブ®)を開発しました。スーパー耐久レース(トヨタ自動車株式会社様:水素カローラ)、全日本ラリー(カヤバラリーチーム)といった様々なモータースポーツでの試用を開始し、過酷な状況下で好成績に繋げるなど高い信頼性を実現しています。今後も更なる技術提案及び新製品展開を進め、持続可能なモビリティ社会への貢献を果たしてまいります。欧州テクニカルセンターでは、電子制御減衰力調整式ショックアブソーバを制御ソフト含め、システムで開発しています。さらなる性能向上として、2つの減衰力可変機構を持つショックアブソーバの開発を行い、量産を開始しました。本製品は、伸び側と縮み側の減衰力を独立に、高速かつ精密な応答で調整可能となっており、お客様に対して、路面状況や好みに合わせて車両挙動を常に最適にコントロールすることで、安全でダイナミックな操縦性とかつてない乗り心地実現に貢献します。これらの製品を中心とした高付加価値製品の開発を継続し、カヤバグループの一員として、各欧州顧客へのアプローチを推進し、今後さらに高まる電動化・自動運転化に対する要求への対応を進めていきます。二輪車用の油圧緩衝器では、電動モーターサイクル用に当社製リアクッションが採用されました。海外のお客様ではインドの現地顧客向けに当社製倒立型フロントフォークが初採用されました。小型倒立フロントフォークのネックである底付き性能を大幅改善した小径サイズのHCS(Hydraulic Compression Stop)を開発し、ヨーロッパメーカーのEV車両に初採用されました。またハイエンドアドベンチャーモデルに当社製気液分離型フロントフォーク及びリアクッションが採用されました。国内の二輪車レースシーンにおいては、全日本ロードレース選手権(JSB1000)及び全日本モトクロス選手権IA1クラスにおいて(いずれも最上級カテゴリー)、当社製のフロントフォークとリアクッションを装着した選手がいずれも総合優勝を収めました。今後も様々な製品開発を行い、多岐にわたって高い技術力をお届けします。四輪車用電動パワーステアリング機器では、連結子会社である長岡カヤバ株式会社で生産するコントローラ一体型モータ(PowerPack)をベースに、要求が高まる自動運転やステアバイワイヤに対応可能なステアリングアクチュエータを開発しております。機能失陥後も作動が継続可能な冗長機能を有した次世代PowerPackを採用し、2024年後半より量産開始の予定です。また、将来のステアバイワイヤシステム提供を目指した自動車メーカーとの先行開発も進めています。四輪用オイルポンプ製品では、これまでのトランスミッション用製品で培った高圧領域で静粛性や効率に優れるベーン式に加え、低圧領域での商品性の高い内接ギヤ式をポンプ部分のラインナップに加え、モータと組合せた電動オイルポンプを開発し、お客様へ試作品提供を始めました。需要が増えているeAxleやバッテリーなどEV基幹部品へ幅広く供給することを目指し、展示会への出展など幅広く開発・受注活動を推進して参ります。鉄道車両用製品では、2024年3月に金沢-敦賀間の延伸開業となった北陸新幹線にセミアクティブサスペンションシステムが採用されております。また、在来線車両への普及を狙った電子制御サスペンションDTeeS®を開発中で、鉄道車両の乗り心地向上に貢献できるよう取り組んでおります。また当事業ではモータースポーツへの取り組みを通し、常に新しい挑戦とチーム力育成(人財育成)を行っております。2023年には、全日本ラリー選手権へカヤバ社員チームでの参戦を開始し、好成績(最高位2位)を獲得。実践を通じたフィードバック開発により、カヤバサスペンション装着チームが、見事シリーズチャンピオンを獲得しております。2024年は更にステップアップ、社員ドライバーでの参戦とし、全日本ラリー選手権の最高峰クラスに挑戦しております。実践で得た技術ノウハウをフィードバックし、新たに新商品開発を推進してまいります。電動化・自動運転の拡大や様々な情報流通インフラ整備を踏まえ、自社製品の作動状況(情報)を活用する道路モニタリングシステムの開発も進めており、電子制御を始めとしたシステム製品を応用することでCASE/MaaSに向けた新用途・新商品開発を推進しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は5,541百万円であります。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業HC事業では、コア製品である油圧ポンプ、バルブ、シリンダ、モータのラインナップ拡充や省エネ性能向上、コスト低減といった競争力向上に向けた開発と併行し、自動化・遠隔操作・電動化・IoT化等の将来ニーズに対応する電子制御化、省エネシステム、センシング技術、電動ユニット等の新たな付加価値創造に向けた開発を進めています。中・大型建設機械用では、従来の性能・品質を維持しながらチューブ肉厚を20%薄肉化した油圧シリンダを開発、量産化しました。使用素材を低減することでSDGsなどの環境ニーズへの適応力を高めた商品として、すでに建機メーカー各社でご採用頂いています。ショベル向けでは、2022年度にミニショベル用で量産開始した、「電子制御コントロールバルブ(バルブの操作信号を油圧から電気信号へ変更)」のラインナップ拡大を順調に進めています。オペレータの操作要求に対して高い応答性・安定性を提供することで、母機の自動化対応、操作性・作業効率の向上に貢献します。ミニショベル向けでは、現行品(PSVL-42)に対し大幅な小型化、低コスト化、また最大押しのけ容積と最高使用圧力をUPした3~4tクラス向けロードセンシングシステム用ポンプ「PSVL-50」の開発を完了し、性能向上と環境ニーズを両立した商品として2024年に量産開始予定です。IoTを活用したシステム製品としては、「油状態診断システム」の開発を継続しています。建設機械や工場設備で使用される油圧機器の作動油状態をカヤバ独自の油状態センサでリアルタイムに検知しクラウド上で分析、作動油・機器の劣化異常を診断し、保守・交換の時期を適切なタイミングで提案します。2026年のサービス開始を目指し、市場での更なる評価を進め「モノ+コト売り」のシステム製品として、機械停止ロスの未然防止、廃油量削減、メンテナンス最適化への貢献を目指します。当セグメントにおける研究開発費の金額は1,918百万円であります。③ 航空機器事業航空機器事業は、事業ポートフォリオの全面的な再検討の結果、経営資源の選択と集中による企業競争力強化を図るべく、2022年2月9日に事業の撤退を公表いたしました。その後、航空機器に関わる製品開発ならびに修理を含めたすべての製販活動を段階的に終了させていきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は46百万円であります。④ 特装車両事業及びその他環境性能や安全性向上などの社会ニーズにこたえるコンクリートミキサ車の開発を進めております。また、ミキサ車業界以外の新規分野へも進出するための製品開発に取り組んでおります。レジャー分野へ進出する第一弾として欧州車両メーカーのバンをベースに、カヤバの架装技術・油圧技術・サスペンション技術などを取り入れ、これまでにない快適性と走行性を追求したキャンピングカーを開発しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は83百万円であります。
FY2023|4,629 文字
6 【研究開発活動】(1) 目的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、今年度よりスタートした2023中期経営計画の「品質経営を極める」をスローガンとして、カヤバグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、CO2削減への貢献、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってカヤバグループの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2) 体制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、欧州技術者駐在員事務所(欧州テクニカルセンターと同敷地内)を活用し、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集し、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。各部門でAIやIoTなどのデジタル技術の全社的活用・推進を行っています。一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも進めております。まず、持続的成長のための商品開発として、EV化や自動化に対応すべく当社のコア技術である振動制御・パワー制御と電子制御、センサ、電動機・インバータ等の技術を高度に融合させ、EV、建機、産業用車両の安全・快適性能の追求、エネルギー消費低減、自動運転へ貢献する製品の開発を進めております。また収益力強化としてShip’30活動としてデジタル技術を軸にしたカヤバ生産方式の追究と進化による次世代革新工場を目指し、生産工程・設備管理革新のためのデジタル技術やAI技術の研究開発も進めております。製品開発や新サービスの展開、生産工程・設備管理革新により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。 (3) 成果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は6,110百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業四輪車用の油圧緩衝器では、極微低速域における作動時の摩擦力をコントロールしたProsmooth™(プロスムース)が、トヨタ自動車株式会社様のプリウスに採用されたほか、米州拠点への技術展開を図ったことで、北米生産のカローラ/カローラクロスにも採用されました。また、同作動時の油圧力をコントロールしたSwing Valveが、トヨタ自動車株式会社様のLexus RXおよびGRカローラに採用されるなど、お客様が求める上質で滑らかな走りと乗心地を提供するこれらの製品は、引き続きご好評を頂きながら採用を拡大しております。また、緩衝器を構成する一部の樹脂部品に対して、製造時に排出される端材を再利用するリサイクル材の適用を実現し、環境に配慮した取り組みを開始しています。電動化・自動運転化に向けては、比例ソレノイド(連結子会社である株式会社タカコと共同開発による内製)を搭載した電子制御減衰力調整式ショックアブソーバを含む付加価値製品の採用拡大を図ると共に、更なる快適性と安全性の追求に向け技術提案および新製品展開を進め、持続可能なモビリティ社会への貢献を果たしてまいります。欧州テクニカルセンターでは、電子制御減衰力調整式ショックアブソーバを制御ソフト含め、システムで開発しています。更なる性能向上のためシステム最適化を行い、第13回ミュンヘンシャシーシンポジウム(Chassis. tech plus 2022)にて発表を行いました。自動車メーカ様だけでなくサプライヤー様にも高評価を頂き、多くの問合せを頂いております。また、欧州発信のアイテムとしてショックアブソーバのストロークエンドでの衝撃を油圧力で適切に吸収可能なDHS(Double Hydraulic Stop)は電動化に伴う重量増によるボデー強度や乗り心地への影響を緩和するアイテムとして高い評価を頂いており、Stellantis社様の新たな車両等採用車種が益々拡大しております。引き続き高付加価値製品の開発を通し、各欧州顧客様へのアプローチを推進していきます。二輪車用の油圧緩衝器では、2022年にヤマハ発動機株式会社様のオフロードレース用車両に開発した新構造手回し式圧側減衰力アジャスタが採用されました。また、海外のお客様であるDucati様の新規アドベンチャーモデルに当社製フロントフォークとリアクッションが採用されました。当社の強みであるオフロード車両向けの実績と技術を評価いただき、車両発表のワールドプレミアで、『当初からオフロードで実績のあるカヤバに依頼することを決めていた』とご紹介いただきました。国内の二輪車レースシーンにおいては、全日本ロードレース選手権(JSB 1000)及び、全日本モトクロス選手権において、当社製のフロントフォークとリアクッションを装着した選手がいずれも総合優勝を収めました。今後も高い技術力でお客様に喜ばれる製品開発を目指します。四輪車用電動パワーステアリング機器では、連結子会社であるKYBトロンデュール株式会社で生産するコントローラ一体型モータ(PowerPack)をベースに、要求が高まる自動運転やステアバイワイヤに対応可能なステアリングアクチュエータを開発しております。機能失陥後も作動が継続可能な冗長機能を有した次世代PowerPackを採用し、2024年量産開始に向け開発に力を入れています。四輪用オイルポンプ製品では、これまでのトランスミッション用製品で培った静粛性や効率に優れるベーン式などのポンプ部分とモータを組合せた電動オイルポンプを開発し、お客様へ試作品提供を始めました。需要が増えているe-AxleなどのEV基幹部品へ幅広く供給することを目指し、展示会への出展など幅広く開発・受注活動を推進して参ります。電動化・自動運転の拡大や様々な情報流通インフラ整備を踏まえ、自社製品の作動状況(情報)を活用する道路モニタリングシステムの開発も進めており、電子制御を始めとしたシステム製品を応用することでCASE/MaaSに向けた新用途・新商品開発を推進しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は4,093百万円であります。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械市場では、建設労働者不足やSDGsを背景に省人化、生産性向上、CO2削減を目的とした機体の自動化・電動化・遠隔操作・IoT化がトレンドとなっており、油圧機器に対する電子制御化ニーズが高まっています。HC事業では、これに対応する電子制御化油圧機器、センサ類、またシステムの開発を進めています。ミニショベル向けでは、ロードセンシングシステム用ポンプ・コントロールバルブや走行/旋回モータのシリーズ拡大・モデルチェンジ開発を引続き進めており、電子制御化ニーズにも対応したラインナップ拡大を順次図って参ります。今年度は、「3~6tonクラス油圧ショベル用電子制御コントロールバルブ」の開発を完了し量産を開始、操作性の更なる進化、作業効率の向上に貢献する電子制御技術を盛り込んだ製品としてお客様へ提供していきます。また「7~8tonクラス油圧ショベル用走行モータ」の改良モデル(低コスト版)の量産を開始しました。IoTを活用した状態監視製品としては、「シリンダ油漏れ検知システム」の開発を継続しています。油圧機器にセンサ・受信端末を加え、従来の機器単体の「モノ売り」から、「モノ+コト売り」へ向けたシステム製品として、経年劣化等での油漏れを適宜診断・事前予知することで機体の稼働停止ロス予防、ライフサイクルコスト低減、メンテナンス事業の効率化への貢献を目指します。舞台装置の製品に関しては、過去に納めた舞台装置の性能維持または性能向上を目的とした制御機器の後継機開発を実施しております。当セグメントにおける研究開発費の金額は1,895百万円であります。③ 航空機器事業航空機器事業は、防衛省および民間航空機向けの製品開発を実施しておりますが、事業ポートフォリオの全面的な再検討の結果、経営資源の選択と集中による企業競争力強化を図るべく、航空機器事業から撤退することを基本方針として決定し、2022年2月9日に公表いたしました。今後修理を含めたすべての事業を段階的に終了させる予定です。当セグメントにおける研究開発費の金額は49百万円であります。④ 特装車両事業及び電子機器等特装車両事業は、環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車をモデルチェンジしたeミキサⅢの開発を完了し販売を開始しました。機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載しています。また、新たな取り組みとして、キャンピングカーのコンセプトモデルを製作し展示会に出展しました。カヤバのサスペンション技術と油圧技術で、走行性(安全性)と快適性(居室の空間拡張・使いやすさ)を追求したモデルにしています。さらに、安心安全快適を届けられますよう活動を推進してまいります。当セグメントにおける研究開発費の金額は73百万円であります。
FY2022|4,632 文字
5 【研究開発活動】(1) 目的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、一昨年度よりスタートした2020中期経営計画の「取り戻そう信頼と誇り」をスローガンとして、KYBグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、CO2削減への貢献、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBグループの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2) 体制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、欧州技術者駐在員事務所(欧州テクニカルセンターと同敷地内)を活用し、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集し、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。DX推進部をはじめとした各部門でAIやIoTなどのデジタル技術の全社的推進を行っています。一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも進めております。まず、持続的成長のための商品開発として、EV化や自動化に対応すべく当社のコア技術である振動制御・パワー制御と電子制御、センサ、電動機・インバータ等の技術を高度に融合させ、EV、建機、産業用車両の安全・快適性能の追求、エネルギー消費低減、自動運転へ貢献する製品の開発を進めております。また収益力強化としてShip’30活動としてデジタル技術を軸にしたKYB生産方式の追究と進化による次世代革新工場を目指し、生産工程・設備管理革新のためのデジタル技術やAI技術の研究開発も進めております。製品開発や新サービスの展開、生産工程・設備管理革新により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。 (3) 成果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は5,767百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業四輪車用の油圧緩衝器では、極微低速域における作動時の摩擦力をコントロールするProsmooth™が、トヨタ自動車株式会社様のカローラクロスやノア・ヴォクシー、その他多くの車両に採用が拡大しており、お客様が求める乗り心地及び操縦安定性の向上に大きく貢献しております。また、比例ソレノイドを搭載した減衰力調整式ショックアブソーバが、Lexus LSへの採用に続いてLexus ESに採用されました。減衰力調整バルブの改良(連結子会社である株式会社タカコと共同開発による内製)により圧倒的な静粛性と乗り心地及び操縦安定性の高次元での両立を実現し、また体格でも競合比最小で車両への搭載性に優れます。本製品は、日刊工業新聞社主催の2021年 超モノづくり大賞のモビリティー関連部品賞を受賞いたしました。自動運転の普及や、GPS・VICS(道路交通情報通信システム)などの自動車が活用できる情報が増える中、静粛性と高い制御応答性を兼ね備えた減衰力調整式ショックアブソーバなどの製品が重宝されると考えております。欧州テクニカルセンターでは、減衰力調整式ショックアブソーバを制御ソフトウェアを含めたシステムで開発し、お客様に供給しており、電動化・自動化に則した制御性の高いシステムの開発活動を推進しております。また、ショックアブソーバのストロークエンドでの衝撃を油圧で吸収することができるDHS(Double Hydraulic Stop)につきましては、Stellantis様の新たな車両に採用され高い評価を頂いており、採用車種が益々拡大しております。同技術は、EV化による車重増の影響(乗り心地やボデー強度)を緩和できるアイテムとして今後更なる拡販が期待されます。欧州顧客のニーズを把握しながら新構造アイテムの開発にも着手し、日本と共有しながらグローバル一体で開発活動を行っております。二輪車用の油圧緩衝器でも、2021年にヤマハ発動機株式会社様のモデルに採用された電子制御式サスペンションが、ボンバルディアグループ社様のスノーモービルの2022年度モデルに採用されました。当社独自開発の制御システムと新開発サスペンションを組み合わせた新システムをお客様と一体で商品化し、2022 Revolutionary Advanced Design Awardを獲得しました。今後、電動パワーステアリングの技術を融合した新用途への製品展開を目指しています。四輪車用電動パワーステアリング機器では、連結子会社であるKYBトロンデュール株式会社で生産するコントローラ一体型モータ(MCU)を採用した製品が世界シェア№1のポラリス社様のオフロード車両(RZR Pro R, RZR Turbo R)向けに量産提供を開始しました。また、日立建機株式会社様の“EH5000AC-3”をベースとした自律走行ダンプトラックにも内製MCUを使用したステアリングアクチュエータが採用されており、高い性能、信頼性、制御性をご評価いただいております。今後、要求が高まる自動運転対応については、機能失陥後も作動が継続可能な冗長機能を有したEPS、アクチュエータへのお問合せや引き合いが増えており、更なる先進技術の要求に応えるべく開発に力を入れています。四輪用トランスミッション用オイルポンプ製品では、当社初であるAT用ベーンポンプをマツダ株式会社様の次世代車用に開発し量産化いたしました。AT専用に新規設計を行い、小型・大容量を実現し、お客様の目指す次世代車に求められる高いレベルの静粛性、燃費性能、レスポンスの向上に貢献しています。搭載車種はCX-60をはじめ、ラージ商品群に搭載されていきます。今後、同技術を冷却・潤滑に活用し、e-AxleなどEV基幹部品へ展開して参ります。※AT(自動変速機:Automatic Transmissionの略)自動車のEV化・自動化に際し、電子制御を始めとしたシステム対応を進めつつ、一方で自社製品の作動状況(情報)を活用する道路モニタリングシステムの開発も進めており、CASE/MaaSに向けて新用途・新商品開発を目指しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は3,755百万円であります。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械向け油圧機器では、機体の自動化・情報化施工のトレンドを背景に電子制御化ニーズが高まっており、これに対応する電子制御化油圧機器の開発、ラインアップ拡大を継続して進めています。マイニングダンプトラック向けではサスペンションシリンダ、ホイストシリンダの開発を完了、量産を開始、日立建機株式会社様にご採用頂いています。またIoTを活用した状態監視製品として開発中のシリンダ油漏れ検知システムは、原理開発を完了し製品化へ向けた最終評価段階へ移行しました。油漏れによる機体停止を事前に予知することでメンテナンス時期を最適化し、ライフサイクルコストを低減、機体メーカ様のメンテナンス事業に貢献します。ミニショベル向けでは、ロードセンシングシステム用ポンプ・バルブのシリーズ拡大とモデルチェンジ開発を引続き進めており、電子制御化ニーズにも対応したラインナップ拡大を順次図って参ります。農業機械用としては2017年にクローラキャリア用で量産を開始したタンデムポンプPSVH2-28の拡販量産を開始、更に電子制御化開発を進めており、現在無人走行車両での搭載テストを実施中、製品化に向け活動を継続中です。舞台装置の製品に関しては、過去に納めた舞台装置の性能維持または性能向上を目的とした制御機器の後継機開発を実施しております。鉄道用製品としては、新幹線向けに量産中のセミアクティブサスペンションシステムの在来線特急他への普及拡大に向けたモデルとして新たに次世代普及型サスペンション(DTS:デジタルチューンドサスペンション)の開発に着手、車両の乗り心地・安全・安心の更なる向上に向け、鉄道用サスペンション機器のラインナップ拡大を図っていきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は1,768百万円であります。③ 航空機器事業航空機器事業は、防衛省および民間航空機向けの製品開発を実施しておりますが、事業ポートフォリオの全面的な再検討の結果、経営資源の選択と集中による企業競争力強化を図るべく、航空機器事業から撤退することを基本方針として決定し、2022年2月9日に公表いたしました。今後修理を含めたすべての事業を段階的に終了させる予定です。当セグメントにおける研究開発費の金額は97百万円であります。④ 特装車両事業および電子機器等特装車両事業は、環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)を開発中で、機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載する予定です。更に、ユーザー様のニーズにお応えするために、軽量化ミキサ、安全設計ミキサの開発に注力していきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は147百万円であります。
FY2021|4,200 文字
5 【研究開発活動】(1) 目的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、昨年度よりスタートした新中期経営計画の「取り戻そう信頼と誇り」をスローガンとして、KYBグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2) 体制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも始めています。まず、欧州 の技術者駐在員事務所を活用し(欧州テクニカルセンターと同敷地内)、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集することで、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。更に、AIやIoTなどのデジタル技術の全社的推進ならびにこれらの醸成を目的とし、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進部を創設しています。当社グループのIoTプラットフォームの構築をはじめ、生産性や品質の向上、AIを活用したモノづくりをはじめ、製品開発や新サービスの展開により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。 (3) 成果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は5,368百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業四輪車用の油圧緩衝器では、極微低速減衰力のコントロールが可能なSwing Valveの採用拡大を図っており、同技術が自動車技術会賞を受賞しました。また、世界最小の減衰力調整部により車両搭載性に優れ、かつ世界トップレベルの性能を有する電子制御サスペンションにおいて更なる性能向上を果たしました。減衰力調整部に用いる比例ソレノイドは当社関係会社であるタカコと共同開発し、世界初となる機構の採用により減衰力の設定自由度を向上しました。また減衰力調整バルブにも改良を加え、圧倒的な静粛性と乗り心地・操縦安定性の高次元での両立を果たしました。この結果、トヨタ自動車様のLexus LSにご採用頂き高評価を頂いております。欧州テクニカルセンターでは、電子制御サスペンション(制御ソフト開発を含めたシステム提供)やProsmooth技術(摺動部品改良)、DHS(Double Hydraulic Stop)の採用拡大を推進しています。現在、多数のお客様より開発依頼をいただき、量産化に向けた各種評価に取り組んでいます。トヨタ自動車様のヤリスにご採用頂いたProsmooth技術は2020年2月から量産化をはじめ、高い評価を頂きました。また、並行してお客様のご要望のもと、性能向上や軽量化等の要素部品開発や新構造の電子制御サスペンションの開発にも着手しております。そして、第11回 国際ミュンヘン・シャシー・シンポジウムにおいて、当社が独自に開発しているショックアブソーバ用オイルの性能向上に関する技術を紹介し、大きな反響を呼びました。二輪車用の油圧緩衝器でも、四輪車用と同様に高性能・高機能化に加え、電子制御式サスペンションの開発を進めてまいりました。この度、ヤマハ発動機様の2021年度モデルに採用となり、高い評価を頂きました。更にボンバルディアグループ社様のスノーモービルの2022年度モデルにも採用予定となりました。当社独自開発による制御システムと新開発サスペンションを組み合わせた新システムを、お客様と一体となり、それぞれの車両の特徴にあった特性に進化させ、商品化に至りました。今後、システムに磨きを掛けることで、モデル展開のみならず、電動ステアリングの技術を融合した新用途への製品展開を目指しています。四輪車用電動パワーステアリング機器では、当社関係会社であるKYBトロンデュールで生産するコントローラ一体型モータ(MCU)による高出力、内製によるソフトウェア対応自由度の高さを活かして、新製品への採用拡大を推進しています。新規のお客様としてオフロード車両(ROV)世界シェア№1のポラリス社様への量産提供機種が増え、日系メーカー様も従来製品から新製品への切替も決定いただきました。また、MCUは変速機制御用にも採用が決まり、ステアリングに留まらない販路開拓にも力を入れています。四輪用トランスミッション用オイルポンプ製品では、CVT(無段変速機)で世界トップシェアを持つジヤトコ様向け新機種CVT用ベーンポンプ(6K3)を開発し量産化いたしました。従来製品と比較して、騒音の改良及び小容量化、アルミ製カバー採用による軽量化を実現し、車両の静粛性、燃費向上に貢献しています。このベーンポンプは日本生産を初め、海外でも生産され、世界中の同社様製のCVT搭載車両へ展開されていきます。一方では、将来の自動運転に向けて、電子制御サスペンションと電動ステアリングの技術を融合した統合システムの開発を進めています。また、イスラエルのスタートアップ企業であるREE社様と技術提携を行い、新しい車両プラットフォーム(スケードボードシャシー)のサスペンション開発(コーナーモジュール)を開始しました。加えて、当社の基盤技術研究所とタイアップして道路モニタリングシステムの開発も進めており、CASE/MaaSに向けて新用途・新商品開発を目指しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は3,648百万円であります。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械、農業機械の情報化施工や自動化が進む中で、これに対応するため油圧機器の電子制御化モデルの開発とラインアップ化を継続して進めています。また2021年3月より中国に技術者を駐在させ、現地で図面作成を含む技術対応を可能とすることで中国市場に対応した製品開発とスピードアップを図っています。また、電子制御化に対応した3トン~4トンミニショベル用ロードセンシングシステムPSVL-42(ポンプ)とKVSX12C(バルブ)をセット開発し、2020年6月から量産を開始しました。農業機械用としては一体型HST(Hydro-Static Transmission)HVFD23F-R35を開発、更に2020年度よりインド向けに量産化、小型車両用に対応したタンデムポンプPSVH2-30の電子制御化も開発を完了し、現在無人走行車両への搭載テストを実施、製品化に向け活動を展開中です。鉄道用製品として2019年より量産化したフルアクティブサスペンションに、センサーを搭載しサスペンションの動作、車両の動作をリアルタイムに監視するシステムを開発中で安全・安心を提供、お客様より高い評価を得ています。当セグメントにおける研究開発費の金額は1,506百万円であります。③ システム製品システム製品は、舞台装置の主幹製品である舞台機構操作卓の機能拡充として、エンドユーザー様が直接手に触れる操作系デバイスの開発に注力しております。当セグメントにおける研究開発費の金額は43百万円であります。④ 航空機器事業航空機器事業は、防衛省および民間航空機向けの製品開発を実施しております。Boeing社様で開発中のB777Xが2020年より飛行試験を継続して実施しており、当社はアクチュエータやブレーキアキュムレータを供試しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は60百万円であります。⑤ 特装車両事業および電子機器等特装車両事業は、環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)を開発中で、機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載し、2021年度にモニタ評価を行います。更に、ユーザー様のニーズにお応えするために、軽量化ミキサ、安全設計ミキサの開発に注力していきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は111百万円であります。
FY2020|4,215 文字
5 【研究開発活動】(1) 目的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、本年よりスタートした新中期経営計画の「取り戻そう信頼と誇り」をスローガンとして、KYBグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2) 体制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも始めています。まず、2018年に欧州に技術者駐在員事務所を設置いたしました(欧州テクニカルセンターと同敷地内)。自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集することで、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。更に、AIやIoTなどのデジタル技術の全社的推進ならびにこれらの醸成を目的とし、2019年にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進部を創設いたしました。当社グループのIoTプラットフォームの構築をはじめ、生産性や品質の向上、AIを活用したモノづくりをはじめ、製品開発や新サービスの展開により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。 (3) 成果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は6,312百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業自動車業界が100年に一度と言われる大変革期を迎える中、AC事業本部(サスペンション・ステアリング・モーターサイクルの各事業部で構成)は、欧州向け自動車用部品の開発機能の拡充を目的に、ドイツミュンヘン市内に欧州テクニカルセンターを設立し、欧州顧客ニーズ収集と併せたグローバル商品開発力強化及び欧州におけるOEMビジネスの拡充を図っています。また、次世代自動車技術開発に向け、欧州における先行技術情報の収集機能の強化により、世界的なトレンドの把握と具体的な製品開発への展開を行っています。また、当社はテストコースを保有し、これを活用することによって、サスペンションモジュールやシステム、ステアリングを含めた車両軸での評価技術を強化しています。四輪車用の油圧緩衝器では、摺動部やバルブ構造に革新的な改良を施すことで、乗り心地と操縦安定性の更なる向上を狙った製品の開発を継続しています。この結果、乗り心地質感やライントレース性を両立したProsmooth技術がトヨタ自動車様のカローラを始めとした派生車種への採用に加え、カムリWSグレードや、ダイハツ工業様のロッキーやコペンGRにも採用が広がっています。加えて、従来は実現困難であった極微低速での減衰力をコントロールできるSwingValveを新開発し、同じくトヨタ自動車様のレクサスESに続き、マークXGRMNでも採用いただき高評価をいただいております。現在、多数のお客様から開発依頼をいただき、採用に向けて信頼性評価を推進しています。また、世界最小の減衰力調整部により車両搭載性に優れ、かつ世界トップレベルの性能を有する電子制御サスペンションがトヨタ自動車様のクラウンに採用されました。なお、これらに適用した技術はお客様から高い評価を得ることができ、幾つかの表彰もいただいています。 欧州市場においても、高い車両安定レベルを実現した新開発のDHS(Double Hydraulic Stop)や新開発の電子制御サスペンション(システム提供)がPSA様に採用されるなど高い評価を得ています。二輪車用の緩衝器でも、四輪車用と同様に高性能・高機能化に加え、電子制御式サスペンションの開発を進めています。KYB独自開発による制御システムと新開発サスペンションを組み合わせ、従来に無い接地性と乗り心地を実現する新システムの開発が完了し、採用に向けた信頼性評価を推進しています。四輪車用電動パワーステアリング機器では、システムの一部に問題が生じたとしても機能停止することなく動作し続けられるよう(フォールトトレラント設計)、冗長性を備えた電装品開発を進めています。また、乗用車用以外のカテゴリーでも幅広くステアリング製品の拡販活動を継続しています。新規のお客様としてオフロード車両(ROV)世界シェアNo.1の米国ポラリス社様に乗用車向けに培ったピニオン式EPS技術をご評価いただき、前2輪の3輪車両・スリングショットへ量産を開始すると共に、その他車両の受注も決定いたしました。本製品は従来他社品に対し部品点数削減と軽量化を実現し、また、当社グループ会社のKYBトロンデュールで生産するコントローラ一体型モータの採用による高出力、内製によるソフトウェア対応自由度の高さ等がご高評いただいており、ご採用拡大に向け商談中です。更に将来の自動運転に向けては、電子制御サスペンションと電動ステアリングの技術を融合した統合システムの開発を進めています。四輪用トランスミッション用オイルポンプ製品では、効率、静粛性に優れたベーンポンプが、ジヤトコ様の無段変速機(CVT)に採用されています。2019年には軽自動車専用(日産自動車様、三菱自動車様の新型車両)の無段変速機へ搭載される油圧源用ベーンポンプを新開発し、現行品に対し性能は高レベルを維持したまま、低コスト・小型化を実現しました。開発初期段階から生産・技術・販売一体となり、コスト低減効果が大きいアイテムを多数採用することでお客様から高い評価を得ることができ、 その結果、お客様からの表彰もいただいています。当セグメントにおける研究開発費の金額は4,524百万円であります。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械、農業機械の情報化施工や自動化が進む中で、これに対応するため油圧機器の電子制御化モデルの開発とラインアップ化を継続して進めています。まず、電子制御化に対応した5トン~6トンミニショベル用ピストンポンプPSVL-64を2020年3月から量産を開始しました。更に、各セクションに電磁弁を搭載可能とした16~30トンショベル用コントロールバルブKVMG-270の開発を完了しています。また、汎用モデルとしては6~8トン用ミニショベルに対応したロードセンシングバルブKVSX-18を2020年1月から量産を開始しました。農業機械用としては一体型HST(Hydro-Static Transmission)に加え、小型車両用に対応したタンデムポンプPSVH2-30の電子制御化も開発を完了しており、KVMG-270同様にお客様からのご要望に即座にお応えできる体制を整えています。当セグメントにおける研究開発費の金額は1,524百万円であります。③ システム製品システム製品は、舞台装置の主幹製品である舞台機構操作卓の機能拡充に関する開発を行いました。今後もエンドユーザー様が直接手に触れる操作系デバイスの開発に注力していきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は29百万円であります。④ 航空機器事業航空機器事業は、防衛省及び民間航空機向けの製品開発を実施しております。Boeing様で開発中のB777-Xが2020年1月より飛行試験を開始しており、当社はアクチュエータを供試しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は122百万円であります。⑤ 特装車両事業および電子機器等特装車両事業は、ユーザー様の使い勝手を改善した環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)を開発中で、機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載し、2020年度にモニタ評価を開始します。更に、積載量向上という市場ニーズにお応えするために、高強度薄肉軽量型ミキサの開発中であり、同様にモニタ評価を開始します。当セグメントにおける研究開発費の金額は113百万円であります。
FY2019|3,242 文字
5 【研究開発活動】(1) 目的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、「A GLOBAL KYB - CHALLENGE & INNOVATION -」をスローガンとしてKYBグループ一丸となり研究開発活動を精力的に推進しています。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応、及び軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2) 体制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。 研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品、及び性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定める活動を進めています。更に、モノづくりにおいては、先進性に溢れた信頼性の高い設備や治工具の内製化を工機センターにて推進しており、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウが集約されています。一方、IoTの活用ならびにAI技術のグループ全体での醸成を通して、生産ラインや製品への展開を進めています。 なお、2018年に欧州に駐在員事務所を設置いたしました(欧州テクニカルセンターと同敷地内)。自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集することで、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。 当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売、及び製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術部門が支援する体制をとっています。 製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。 (3) 成果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は6,750百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業自動車業界が100年に一度と言われる大変革期を迎える中、AC事業本部(サスペンション・ステアリング・モーターサイクルの各事業部で構成)は、欧州向け自動車用部品の開発機能の拡充を目的に、ドイツミュンヘン市内に欧州テクニカルセンターを設立し、欧州顧客ニーズ収集と併せたグローバル商品開発力強化及び欧州におけるOEMビジネスの拡充を図っていきます。また、次世代自動車技術開発に向け、欧州における先行技術情報の収集機能の強化により、世界的なトレンドの把握と具体的な製品開発への展開を行っています。 また、当社はテストコースを保有し、これを活用することによって、サスペンションモジュールやシステム、ステアリングを含めた車両軸での評価技術を強化しています。 四輪車用の油圧緩衝器では、摺動部やバルブ構造に革新的な改良を施すことで、乗り心地と操縦安定性の更なる向上を狙った製品の開発を継続しています。この結果、乗り心地質感やライントレース性を両立したものがトヨタ自動車様のカローラに採用されました。また、世界最小の減衰力調整部により車両搭載性に優れ、かつ世界トップレベルの性能を有する電子制御サスペンションがトヨタ自動車様のクラウンに採用されました。加えて、従来は実現困難であった極微低速での減衰力をコントロールできるバルブを開発し、同じくトヨタ自動車様のレクサスESに採用されました。なお、これらに適用した技術はお客様から高い評価を得ることができ、幾つかの表彰も頂いています。 二輪車用の緩衝器でも、四輪車用と同様に高性能・高機能化を推進しています。倒立片持ちという他に類を見ない構造、外観を持つ、大型高性能「LMW※」用のフロントフォークを開発し、ヤマハ発動機様のNIKENに採用されました。 四輪車用電動パワーステアリング機器では、システムの一部に問題が生じたとしても機能停止することなく動作し続けられるよう(フォールトトレラント設計)、冗長性を備えた電装品開発を進めています。また、乗用車用以外のカテゴリーでも幅広くステアリング製品の拡販活動を継続しています。 更に将来の自動運転に向けては、電子制御サスペンションと電動ステアリングの技術を融合した統合システムの開発を進めています。当セグメントにおける研究開発費の金額は4,605百万円であります。※LMW:Learning Multi Wheel。「LMW」はヤマハ発動機㈱の登録商標です。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械用油圧機器の開発・量産に加えて、農業機械やその他新分野への供給にも力を入れており、コンパクトトラックローダー用バルブKVML-120を開発しました。本バルブは、アタッチメント制御を電子制御対応可能としたバルブで、2018年12月より量産を開始しました。 産業車両用にはフォークリフト用シリンダとしてKCFL1-5を開発し、2018年11月より量産を開始しました。本製品はドレン方式毎で異なっていた内部構成を統合化し、コスト改善をしたモデルとなります。 その他、油圧ポンプ、電動モータ、シリンダを一体化させたコンパクトな電動油圧アクチュエータであるMMP(ミニ・モーション・パッケージ)の低電流モデルを開発し、2018年10月より、一部のお客様で、量産を開始致しました。本製品は農業機械の作業機用シリンダ、産業機械用途と幅広い分野で採用が期待されます。低電流化により、機体の電気関連の設計自由度や設置性が向上し、省エネルギー化へも寄与するものとなっています。 今後も、建設機械用油圧機器をはじめとし、産業車両、農業機械その他分野にも積極的に進出するとともに、電子化や情報化など、社会やお客様からのあらゆるニーズにお応えできる製品を開発していきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は1,660百万円であります。③ システム製品システム製品は、舞台のモバイル操作卓やシミュレータの新型コントローラの開発等、お客様のご要求にお応えできる製品を開発していきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は120百万円であります。④ 航空機器事業航空機器事業は、官需及び民需向けの製品開発を実施しております。Boeing社で開発中のB777-Xは2019年より飛行試験が予定されており、装備品の供試をしています。当セグメントにおける研究開発費の金額は223百万円であります。⑤ 特装車両事業および電子機器等特装車両事業は、アフターサービスの充実も目指し、機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載した、電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)の開発をしています。2019年下期に市場評価としてモニタを実施する予定です。当セグメントにおける研究開発費の金額は142百万円であります。
FY2018|2,600 文字
5【研究開発活動】(1)目 的当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、「 A GLOBAL KYB – CHALLENGE & INNOVATION –」をスローガンとしてKYBグループ一丸となり研究開発活動を精力的に推進しています。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応、及び軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。 (2)体 制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品、及び性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定める活動を進めています。更にモノづくりにおいては、生産技術研究所ならびに各工場で培われたノウハウを工機センターに集約し、先進性に溢れ信頼性の高い設備や治工具の内製化、IoT(Internet of Things)の活用を強力に推進しています。当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売、及び製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の技術研究所や技術センター、各事業の技術部門が支援する体制をとっています。製品の高機能化やシステム化におきましては、当社の独自開発に加えて、顧客あるいは関連機器サプライヤとの共同研究開発を推進するとともに、産学交流やオープンイノベーションによる最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。 (3)成 果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は81億2百万円であります。 ① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業自動車業界が100年に一度と言われる大変革期を迎える中、AC事業本部(サスペンション・ステアリング・モーターサイクルの各事業部で構成)は、欧州向け自動車用部品の開発機能の拡充を目的に、ドイツミュンヘン市内に欧州テクニカルセンターを設立し、2018年4月3日より業務を開始しました。欧州顧客ニーズをいち早く取り入れた製品開発力を強化し、欧州におけるOEMビジネスの拡充を図るとともに、次世代自動車技術開発に向け、欧州における先行技術情報の収集機能の強化を図ります。四輪車、及び二輪車用の緩衝器については、乗り心地と車体安定性の更なる向上を目指した高機能化、及び電子制御サスペンションシステム、アルミニウムや樹脂化による軽量化の開発を推進するとともに、サスペンションモジュールやシステム、車両軸での評価技術を強化していきます。四輪車用電動パワーステアリング機器では、システムの一部に問題が生じたとしても機能停止することなく動作し続けられるよう(フォールトトレラント設計)、冗長性を備えた電装品開発を進めていきます。また、乗用車用以外のカテゴリーでも幅広くステアリング製品の拡販活動を継続していきます。更に将来の自動運転車に向けては、電子制御サスペンションと電動ステアリングの技術を融合した統合システムの開発を進めていきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は52億58百万円であります。 ② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械用油圧機器では、世界TOPレベルの建機メーカーからの受注により、お客様が内製する減速機と組合せ可能な20~36トン油圧ショベル向けの走行用油圧モータを開発しました。36トン系用MSF-170VP-CAは2017年11月より、20トン系用MSF-140VP-CAは2018年3月より量産を開始し、お客様のグローバル各拠点への供給を予定しています。省エネルギーに対応した製品としては、日立建機株式会社様向けに、機械効率を従来モデルより約9%の向上を実現した20トン系油圧ショベルの走行用油圧モータ(MAG-170VP-4000H)を開発しました。同じく20トン系のハイブリッド機向けには、各部の設計を見直し、圧力損失性能を従来モデルに対して約10%の低減を図ったコントロールバルブ(KVMG-270-HH)を、日立建機株式会社様と共同開発しました。また、ヤンマー建機株式会社様の8トン系油圧ショベルのモデルチェンジ機に合せて、このクラスとしては初となる2つのポンプを独立して制御する新油圧システムに対応したバルブ回路と圧力損失低減を実現し、実車燃費で20%もの向上(客先計測値)に貢献しました。一方で鉄道用機器としては、小田急電鉄株式会社様の新型特急ロマンスカーGSE(70000形)に、車体の横揺れを低減するための電動油圧式フルアクティブサスペンションが採用されました。今後も、油圧機器の様々な市場に対して製品展開を図っていくとともに、社会やお客様の更なるご要求にお応えできる製品を開発していきます。当セグメントにおける研究開発費の金額は21億63百万円であります。 ③ 特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等特装車両事業は、アフターサービスの充実も目指し、機器のメンテナンス時期の通知や車両の状況を分かりやすく表示するモニタを搭載した、電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)の開発をしています。航空機器事業は、Boeing社B787-10新型機への製品供給を開始しました。その量産機が2018年5月に日本へ初飛来しました。当セグメントにおける研究開発費の金額は6億81百万円であります。
FY2017|3,392 文字
6【研究開発活動】(1)目 的当社では、市場からの要求や将来を展望した戦略を実現させていくために、「KYBグループ機能一体活動により、世界のお客様の信頼と受注を獲得 A GLOBAL KYB – CHALLENGE & INNOVATION –」のスローガンの下、研究開発活動を精力的に推進しています。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応、及び軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至るところで地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するために製品開発を進めるとともに、これらを支える生産技術力の強化も図っています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成や標準化されたマネジメントシステムの構築を進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、業界No.1、企業価値の向上、持続的成長という次なるステージへの成長を目指します。 (2)体 制当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。製品開発においては、研究所が基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品、及び性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と技術部門が一体となったプロジェクト活動も実施しています。また電子機器については、設計・評価技術を電子技術センターに集約することで開発力を高め、製品開発から試作評価、そして量産までをスムーズかつスピーディに実施できるような体制を整えています。更にモノづくりにおいては、生産技術研究所ならびに各工場で培われたノウハウを工機センターに集約し、先進性にあふれ、信頼性の高い設備や治工具の内製化を強力に推進しています。当社グループを構成する関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売を行っています。関係会社では現行製品の改良開発を主軸にしていますが、課題の解決にあたっては当社の2つの研究所や2つのセンター、各技術部門が支援する体制をとっています。製品の高機能化・システム化に対しましては、独自開発に加えて、顧客あるいは関連機器メーカーとの共同研究開発を推進しています。また、産学交流による先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。 (3)成 果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は76億21百万円であります。 ① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業AC事業本部は、2017年4月1日付で各事業(製品群)の責任者及び利益責任を明確にするとともに、組織を細分化することで管理レベルの向上と意思決定、戦略実行のスピード向上を図ることを目的として、サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部に小事業化し、開発から製造、品質管理、販売に至るプロセスを全てカバーできる体制を整え、世界のお客様からの信頼と受注の獲得を目指します。また、モータースポーツ部を新設してモータースポーツ活動の一層の強化を図り、技術の向上、技術者の育成、KYBブランドの認知度向上に繋げて行きます。サスペンション事業部(四輪車用緩衝器)の製品開発においては、電子制御を用いてリアルタイムに減衰力(地面からタイヤを介して衝撃を吸収する力)を変化させて乗り心地と操縦安定性を両立させるセミアクティブサスペンション用緩衝器の量産を開始しています。また、欧州のお客様から緩衝器に加え制御ソフトウエアと電装系制御機器を含むシステムを受注し、KAMS(KYB Advanced Manufacturing Spain, S.A.U.)で生産準備を進めています。生産技術開発の分野では、軽量化のために主要構成部品であるピストンロッド(軸部品)を中空化したストラット式ショックアブソーバの量産を開始しています。この内製化ラインには製造品質のリアルタイム監視システムを組み込み、高い生産性と安定した品質を実現しています。ステアリング事業部の四輪車用パワーステアリング機器では、自動運転普及に向け、冗長性を備えた電装品開発を進めています。また、海外特殊車両用でシングルピニオンの電動パワーステアリングを受注し、今後も幅広くステアリング製品の拡販活動を継続してまいります。モーターサイクル事業部(二輪車用緩衝器)においては、前記の四輪車用と同様な電子制御によるセミアクティブサスペンション用フロントフォーク、及びリヤクッションユニットの開発を進めています。また、2016年はフランスのロードレースチームのTECH3と契約し、Moto2レース全18戦に参戦するとともに、レースのサポートも実施しました。ロードレースのノウハウを蓄え、最高峰のMoto-GPへの参戦復帰に向け活動を継続してまいります。当セグメントにおける研究開発費の金額は47億70百万円であります。② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械用油圧機器では、7~9トン油圧ショベル向けに開発したピストンポンプPSVL-84に続き、スプリットフローオープンポンプのPSVD2-42、スプリットフローロードセンシングポンプのPSVL2-42を開発し、株式会社クボタ殿、および中国メーカー(SUNWARD等)への納入を開始しました。これらは、PSVL-84の従来比約7%の効率向上、及び静粛性を維持しつつ、省エネモードと通常モードの設定が可能な2段階の出力特性と、エンジン過負荷防止としてポンプの消費馬力を一定にする馬力制御機能に電磁比例弁で設定を変更できる機能を追加するなど、高機能を付加したポンプです。また、7~9トン油圧ショベル向け油圧機器として、ポンプ、バルブ、シリンダ、旋回モータ、走行モータのシステムとしてセット供給を可能にするため、油圧式走行モータMAG-50VP-1100Fを開発しました。この走行モータは、従来品と同じ外形寸法ながら20%の出力アップを図るとともに、低コスト化を実現しています。一方、クローラキャリア向けに油圧ダイレクト制御方式を採用したポンプ・モータ分離型走行用油圧式変速機(HST)を開発しました。ポンプは油圧ダイレクト制御によりエンジン回転数と負荷圧力の両方に対応して走行速度を制御できるため、オペレーターの操作レバーとポンプ斜板を機械的に切り離すことができ様々な制御の設定が可能になりました。更に、スピードセンシングと組み合わせることで、エンジンのトルク性能を最大限に活用した馬力制御を行うことも可能です。モータは自動2速機構を内蔵しており、設定負荷圧力に上昇すると自動的に1速に切替わり、設定負荷圧力以下になると再び2速に切替わります。この機構により変速操作が不要になり、オペレーターの疲労低減や作業効率向上につながります。当セグメントにおける研究開発費の金額は21億51百万円であります。 ③ 特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等(特装車両事業)2016年12月から、新構造フレームの開発で80kgの軽量化を実現した軽量型コンクリートミキサ車MR5030Lの販売を開始しました。積載量増大により輸送効率が向上し、都市再開発や2020年東京オリンピック関連工事需要に対応して行きます。(航空機器事業)2017年3月に航空自衛隊殿向け次期輸送機C-2の開発が全て完了し、量産初号機が航空自衛隊美保基地に配備されました。当社では、2000年よりC-2に搭載される装備品の開発に着手し、厳しい軽量化等の要求にも対応して製品化を実現しました。脚揚降システムや内舷スポイラシステムといったシステム対応品を含め、多岐に亘る製品群計57アイテムを納入しています。(システム製品および電子機器等)電子機器製品では、特殊車両向けに各種入出力信号を制御する車載コントローラの量産を開始しました。また新技術では、低消費電力型の近距離無線規格仕様を採用した通信コントローラを開発しました。この無線規格は手軽に近距離ネットワークを実現できることから、様々な分野への応用が期待されます。当セグメントにおける研究開発費の金額は7億円であります。
FY2016|2,909 文字
6【研究開発活動】(1)目 的当社グループでは、市場からの要求や将来を展望した戦略を実現させていくために、「KYBグループ機能一体活動により、世界のお客様の信頼と受注を獲得 ~決め事遵守・スピード・挑戦~」のスローガンの下、研究開発活動を精力的に推進しております。個々の製品の性能向上はもとより、製品の高機能化・システム化への対応や軽量化・省エネ・環境負荷物質削減などエネルギーや環境に関わる諸条件についても十分に配慮した製品開発を進めるとともに、これらを支える生産技術力の強化も図っております。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成や、標準化されたマネジメントシステムの構築を含めた戦略的なグローバル生産・販売・技術体制の完成を目指しております。 (2)体 制当社では、基盤技術・生産技術の2つの技術研究所を中心に独創性に優れた先行技術等の研究開発を行っております。研究所は基礎研究を担当し、各事業の技術部門はモデル製品の開発、性能向上・低コスト化など商品力向上のための開発を担当しており、これらの技術力を結集して研究所・技術部門が一体となり全社を横断したプロジェクト活動も実施しております。また、工機センターに生産技術研究所ならびに各工場で培われた生産設備設計のノウハウを集約し、先進性および信頼性の向上を図った設備、治工具の内製化を強化・推進しております。同時に、電子技術センターに、電子機器の設計・評価技術の集約を行い、開発力を高め、製品開発から試作評価、そして量産までがスムーズかつスピーディに実施できるような体制を整えております。更に、航空機器事業をハイドロリックコンポーネンツ事業から新たに分離独立し、航空産業の市場トレンドとお客様のニーズに機動性を上げて対応し、将来の基幹事業の一つとして経営基盤の強化と拡大を図ってまいります。当社グループを構成する関係会社は、主に自動車機器・油圧製品・電子機器の製造販売を行っております。関係会社におきましては現行製品の改良開発を中心に実施しておりますが、技術課題の解決にあたっては当社の2つの研究所、2つのセンターおよび各技術部門が支援する体制をとっております。製品の高機能化・システム化に対しましては、独自開発のほかに、お客様あるいは関連機器メーカとの共同研究開発を推進しております。また、産学交流による先端技術開発にも積極的に取り組んでおります。 (3)成 果当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は77億60百万円であります。 ①AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業四輪車用緩衝器部門では、開発から製造に至るまでの製品ライフサイクルの主要プロセスにおける変更管理、品質管理をすべてカバーできる体制を目指し、製品開発業務を支援するソリューションツールを導入しました。また、新製品開発においては、電子制御を用いてリアルタイムに減衰力(地面からタイヤを介して衝撃を吸収する力)を変化させて乗り心地と操縦安定性を両立させるセミアクティブサスペンション用緩衝器の量産化に向けた開発を行っております。二輪車用緩衝器では、以前よりモータースポーツのモトクロスの分野で、世界選手権および全日本選手権などで活躍する主要チームに弊社製品を使っていただき、技術・製品開発のマイルストーンにしてきました。2015年よりロードレースの分野にも活動を拡大し、弊社サスペンションを装着したヤマハファクトリーチーム殿が、国内最大のイベントである鈴鹿8時間耐久レースにおいて優勝しました。今後は、このロードレースの活動を世界選手権にも照準を合わせ拡大してまいります。四輪車用パワーステアリング機器では、自動車向け機能安全規格ISO26262のプロセスに準拠した安全性に優れた高性能な2ピニオンタイプの電動パワーステアリングの量産を開始しました。また、四輪車変速機用油圧ポンプを世界各地域で生産しております。2015年は新規開発した軽量、高効率のポンプを中国の工場で生産を開始しました。生産技術開発の分野では、ストラット式ショックアブソーバの軽量化のため、主要構成部品であるピストンロッド(軸部品)を中空化し内製化いたしました。内製化した生産ラインの高い生産性と安定した品質は、リアルタイムに製造品質を監視できるシステムにより実現します。このピストンロッドを使用したショックアブソーバをトヨタ自動車株式会社殿の新型プラットホームに採用して頂きました。当セグメントにおける研究開発費の金額は51億21百万円であります。 ②HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業建設機械用油圧機器では5t油圧ショベル向けに、車両のエンジン回転数が低い省エネモード運転時でも掘削作業における負荷の大小にかかわらず、一定のレバー操作で作業できる機能により、作業性の低下を最小に抑えることが可能なロードセンシング制御用ポンプPSVL-54、PSVL2-27の2機種を開発いたしました。また、8t油圧ショベル向けには、従来品に比べ約7%の効率の向上および静粛性の改善に加え、省エネモードと通常モードの設定が可能な2段階の出力特性と、エンスト防止としてポンプの消費馬力を一定とする可変馬力制御機能等の高機能を付加したポンプPSVL-84を開発し、これらを株式会社クボタ殿およびVOLVO殿へ納入いたしました。当セグメントにおける研究開発費の金額は22億80百万円であります。 ③その他ビル用免制震製品では、ビルと土地の間に配置された免震ゴムと中規模地震用および巨大地震用のダンパを併設して小さな揺れでは中規模地震用ダンパだけが作用し、それだけではビルの揺れを吸収しきれない巨大地震が発生した場合には、その揺れの大きさを検知して自動的に巨大地震用ダンパへの接続を行なう「ダンパ接続装置」を開発いたしました。巨大地震発生時には、この装置が作動してビルの大きな揺れを二つのダンパ全体で吸収します。巨大地震だけを対象とすると中規模地震の場合にはダンパの力が強力すぎて地面と一緒にビルが大きく揺れてしまうため、これを防止する目的で開発いたしました。小さな揺れから巨大地震、長周期地震動などの大きな揺れにも対応するために、東海・東南海地震等の影響が懸念されている愛知県内の市庁舎に納入させていただきました。マイクロポンプでは、世界最小クラスの高圧アキシアルピストンポンプで、必要な時に必要な場所で油圧を発生させ、省エネ機器やアシスト機器として、環境問題の改善など社会に貢献しております。現在搭載いただいている、フォークリフトのハンドル操作ではフィーリングの向上や低騒音・省エネなど環境問題で効果を発揮しております。また、油圧機器と関わりの少なかったロボット市場、医療、介助機器など様々な分野で注目を浴び、2015年度は7件のテスト評価が開始されました。少子高齢化社会が進む今日、人々の助けになる商品化の早期実現を目指します。当セグメントにおける研究開発費の金額は3億60百万円であります。