事業等のリスク
IHIグループは、コンプライアンス違反が業績や社会的評価に悪影響を及ぼすリスクを認識しており、過去には子会社での不適切行為も発生しました。環境保全に関しても、製造過程での汚染物質漏洩が損害賠償や評価低下につながる可能性があります。人権侵害やダイバーシティの欠如も、社会的信用の喪失や取引停止のリスクとなります。また、グループ会社間の統制が不十分な場合、個社の問題がグループ全体の業績や信用に影響を及ぼす可能性があり、事業所や建設現場での事故・災害も生産活動に支障をきたし、業績に悪影響を与えるリスクがあります。
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FY2025|9,206 文字
3【事業等のリスク】(1)リスク管理に関する当社グループの基本方針当社グループでは、リスク管理を経営の最重要課題の一つと捉え、グループ全体で強化に取り組んでいます。リスク管理の基本目的は、事業の継続、役員並びに従業員とその家族の安全確保、経営資源の保全、社会的信用の確保です。そして、次のとおり行動指針を定め、これに沿ったリスク管理を行なっています。①IHIグループの事業継続を図ること②IHIグループの社会的評価を高めること③IHIグループの経営資源保全を図ること④ステークホルダーの利益を損なわないこと⑤被害が生じた場合には、速やかに回復を図ること⑥事態が発生した場合には、責任ある行動をとること⑦リスクに関する社会的要請を反映すること (2)当社グループのリスク管理体制当社グループは、リスク管理全般にかかわる重要事項を検討する機関として、CEOを議長とするリスク管理会議を設置し、取り組み方針や年次計画の策定とその進捗状況の確認、課題の抽出及び是正措置などの重要事項を検討しています。リスク管理会議の内容は取締役会に報告され、取締役会は、リスク管理の目標を達成するための体制の整備、及びその運用に関して監視・監督・評価を行なっています。また当社グループでは、実効性の高いリスク管理を行なうため、第1線(事業領域・SBU・関係会社)・第2線(本社部門)・第3線(内部監査部)の役割と責任を明確化したリスク管理体制を構築しています。このような体制のもと、当社グループは事業年度ごとに「IHIグループリスク管理活動重点方針」を定めています。第1線(事業領域・SBU・関係会社)は、この方針に沿って主体的・自立的にリスク管理活動を進め、第2線(本社部門)は、専門性を生かした情報提供や教育を実施し、第1線を支援するとともに、リスク管理活動の実施状況のモニタリングを行なっています。また、第3線(内部監査部)は、当社グループのリスク管理体制の整備状況及び運用状況について監査を行なっています。 (3)2025年度のリスク管理活動2025年度の「IHIグループリスク管理活動重点方針」では、重点テーマとして次の事項について注力することとしています。また、不安定さが常態化する社会環境のもと、当社グループ全体として対処すべき新たなリスクを適時に捉え、リスク管理会議で対応方針を検討し、能動的かつ組織的なリスク管理を行なってまいります。 ・コンプライアンス ・品質保証 ・経済安全保障 ・情報セキュリティ ・人権の尊重 ・人財リスク ・エマージングリスク(巨大地震など) (4)事業等のリスク事業の状況、設備の状況、経理の状況に記載した事項のうち、当社グループの業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。当社グループは、以下のリスクを認識した上で、必要なリスク管理体制を整え、リスク顕在化の回避及びリスク顕在化時の影響の極小化に最大限努めています。 ① 社会的責任 a. コンプライアンス当社グループは、社会とお客さまと共に持続的な成長を遂げるためには、ステークホルダーからの期待に応え、信頼を得ることが重要と考えており、この考え方に基づいて、私たちが実践すべきことを「IHIグループ基本行動指針」にまとめ、役員・従業員の遵守を求めています。また、コンプライアンスの重要性を浸透させるため、毎年5月10日の「コンプライアンスの日」や社長年頭挨拶などで、社長をはじめとする経営幹部から繰り返し、コンプライアンスの徹底を求めるメッセージを発信しています。 体制面では、リスク管理会議の下部機関となる全社委員会組織としてコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスに関わる重要な方針を審議・立案し、活動を推進しています。さらに、すべての役員・従業員などによる、法令、社内規定や社内外のルールに対する違反やそのおそれのある行為などを未然にあるいは早期に把握し、適切な是正を図るための内部通報制度として、「IHIグループ コンプライアンス・ホットライン」を運用しています。しかしながら、一部の役員・従業員による法令・規制違反等が生じた場合、過料や課徴金、追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分による機会逸失を被る、あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社子会社である株式会社IHI原動機においては、船舶用エンジン及び陸上用エンジンの試運転記録に不適切な修正が行なわれていたことが判明しました。弁護士をはじめとする外部有識者を中心とした特別調査委員会の調査結果及び提言を踏まえ、2024年10月30日に当社及び株式会社IHI原動機としての再発防止策を策定し、公表しました。当社子会社である新潟トランシス株式会社においては、同社が製造及び販売した除雪車の一部が、お客さまに提示した仕様と異なっていたことが判明しました。事実関係及び原因究明の調査結果を踏まえ、対象機種の除雪性能試験を網羅的に実施した上で、お客さまへの対応並びに再発防止策の策定を行ないました。また、2023年9月に公正取引委員会の立入検査を受けた、当社子会社であるIHI運搬機械株式会社の機械式駐車装置事業については、本年3月24日に、同委員会により、独占禁止法に違反する行為があったことが認定されました。同社は、公正取引委員会に対し、課徴金減免制度の適用申請を通じて自主的に違反行為を申告するとともに、その後一貫して同委員会の調査に協力してきたため、課徴金の免除が認められ、排除措置命令も受けていません。 当社グループは、上記の不適切行為に対し、当社社長をはじめとする経営幹部からのメッセージ発信、社内規程の見直し、コンプライアンス教育の強化、人事ローテーションの推進、職場対話活動の実施等、再発防止の徹底に取り組み、不適切行為を起こさせない仕組み作りや組織風土の見直しなどの取り組みを進めてきました。今後とも、コンプライアンスが真の企業文化として定着するよう真摯に努め、ステークホルダーの皆さまからの信頼回復に一丸となって取り組んでまいります。 b. 環境保全当社グループには、製造工程で、大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い、万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら、想定外の事態が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 c. 人権・ダイバーシティ当社グループの事業基盤を維持し、将来の成長につなげていくために、バリューチェーン上のステークホルダーを対象とするグリーバンス(救済)メカニズムとして通報窓口を設置するなど、事業活動全般にわたり人権を尊重した上で、多様な個性や価値観を有する人財が活躍できる組織風土の醸成を図っています。しかしながら、当社グループの事業活動において、人権の侵害や人権を軽視した事象が発生した場合、社会的信用の喪失、あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任が発生する可能性があります。また、経営における意思決定の場に多様性が欠如した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 d. 関係会社の統制当社グループは、グループ経営を通じて、お客さまに対し、高い価値を提供することに取り組んでいます。そのためには、当社グループの各社が、各国、各地域の各種法令、社会的規範に従って事業を行なうだけでなく、適切なグループ経営を推進する必要があります。しかしながら、個社が、他のリスクに示す事項に対する不適切な対応や独自の経営判断により、お客さまに対して損害又は評価の低下を生じさせ、結果として当社グループの業績や社会的信用に対して悪影響を及ぼす可能性があります。 e. 安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理に万全の対策を講じていますが、万一不測の事故・災害等が発生した場合には、生産活動に支障をきたし、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが、大規模な事故や災害が生じた場合、損害のすべてを保険求償できない可能性があります。 ② 外部環境変化への備え a. 競争環境と事業戦略当社グループは、中期経営計画「グループ経営方針2023」の下、不安定さが常態化する社会環境においても、成長・育成事業への大胆な経営資源のシフトを通じ、持続的な高成長を実現する取組みを推進しています。育成事業の柱として事業開発を進めているアンモニアバリューチェーン事業においては、想定される燃料アンモニア需要量、普及タイミング等の前提条件に大幅な変化が生じた場合、将来的な当社グループの事業ポートフォリオに影響を及ぼす可能性があります。 b. 他社との連携・M&A当社グループは営業協力、技術協力、生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また、成長市場への事業展開の加速、要素技術の補完、シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし、経済環境の変化、法的規制、予期せぬ費用増加等の影響により、当初期待された効果を出せない可能性があります。また、当初期待した効果を享受できないと判断された場合は、他社との連携による共同事業の中断、解消を決断する可能性があり、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 c. カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動はグローバルに展開されています。各国・各地域の政治・経済の混乱に起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収、想定していなかったテロ・労働争議の発生、政情不安、デフォルト等により、事業の継続や拠点経営が困難になった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し、貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙、情報共有の体制の見直し、事業継続計画(BCP)の作成・見直し等の体制強化に努めています。本項目については、緊迫化する中東、ウクライナ、米中の政治上の確執、経済安全保障問題による影響の拡がり等、不確実性が高まっていると認識しています。 d. 経済安全保障中東・ウクライナ情勢の緊迫化や米中の政治上の確執に加え、米国トランプ政権発足後の各種政策の影響で同志国間の関係にも変化の兆しがみられるなど、国際関係が複雑化するなか、防衛装備品・社会インフラを提供する当社グループをとりまく事業環境は大きく変化しています。このような環境の下、当社グループでは社内の取引審査や取引先スクリーニングにより経済安全保障に関するリスクの軽減に努めていますが、日本を含む各国の政策や法規制に反する取引を行なってしまった場合や、経済安全保障に関する課題への対応が不十分だった場合、当社グループの評価や社会的信用が損なわれ、販売機会の逸失や事業の停止につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また国際関係の複雑化に伴い情報保全の重要性が高まっていることを受けて、当社グループは、従来のサイバーセキュリティ対策にとどまらない人的情報漏洩対策や、物理的セキュリティ対策の強化にも取り組んでいきます。 e. 自然災害・疾病・紛争・テロ当社グループは、新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大、地震・洪水等の激甚災害、テロ等の犯罪行為等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても、その影響を最小限に抑えるべく、規定や事業継続計画(BCP)を見直すとともに、必要に応じて非常時を想定した訓練等を実施するほか、適切な保険を付保しています。しかし、想定規模を超える災害が発生した際には事業を適切に遂行できず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 経営リソース a. 人財リスク当社グループの事業基盤を維持し、将来の成長につなげていくためには、事業活動に必要な人財の獲得、定着、育成、適正配置が必要になります。外部人財の獲得や変革人財等のキーパーソンとなりうる人財の確保・育成ができなかった場合、適正な配置を実行できなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 財務活動(a)為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし、下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼします。そのため、外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して、一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが、想定以上の為替変動が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (b)金利動向金利が上昇した場合、当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また、財務活動において借入、又は社債発行の条件が悪化する可能性があり、資金調達に悪影響を与え、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (c)資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており、自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合、同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合、当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない、あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり、資金調達に悪影響を与え、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (d)保証債務等当社グループは、事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて、債務の保証等を行なっていますが、経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財政状態が悪化した場合、保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は、第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「41.偶発債務」に記載しています。 (e)税務繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、当社グループの繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては、適用される移転価格税制の遵守に努めていますが、税務当局と見解の相違が生じた場合、追徴課税や二重課税が生じることにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (f)与信管理当社グループは、世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており、その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し、グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの、重要なお客さまが破綻し、その債権が回収できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。2023年5月に航空会社が破産申請したことにより、当社が民間航空機エンジンの国際共同事業会社を通じて参画しているエンジンプログラムにおいて、当社が間接的に保有する営業債権の一部が回収不能となる可能性が生じました。本件を受けて、当社グループでは、債権回収リスクを低減するため債権管理の高度化に向けた取り組みを進めています。 c. 情報セキュリティ当社グループは、技術情報及び事務管理情報並びにそれらを処理するための情報システムを事業に活用する上で、相応の情報セキュリティ対策を講じるとともに、サイバー攻撃の巧妙化やテレワークの増加等を考慮した対策の強化、従業員への情報セキュリティ教育の徹底に努めています。しかし、サイバー攻撃、情報機器や文書の紛失・盗難、ネットワーク停止やハードウェア及びソフトウェアの不備により、情報漏洩や業務停止の事態が発生する可能性があり、それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 企業活動・エンジニアリング a. 研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は、第2「事業の状況」6研究開発活動に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上、多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため、実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 知的財産管理当社グループは保有する知的財産の適切な保全に努めています。しかし、第三者による当社グループ製品・サービスの模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また、当社グループが将来に向けて開発している製品・サービスが、意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や、従業員の発明に対して適切な対応を取らなかったとみなされた場合に損害賠償等を求められ、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 c. プロジェクト管理当社グループは、大型プロジェクト、大型投資のいずれも、初期計画がその後の成否に大きな影響を与えると考えています。特に新規性の高い事業やしばらく実施していなかった事業の場合、初期計画による影響は顕著です。それらのことを踏まえ、受注・投資前の審査プロセス体制を整備してプロジェクトクトリスク管理を行なっています。大型プロジェクトでは、個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く、受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし、契約締結後に当初想定できなかった資機材価格や輸送コストの急激な変動、サプライチェーンの途絶、為替相場の変動などの経済環境の変化や検討不足、予期しないトラブル、JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生、お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い、追加費用の発生等の可能性があり、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは、受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの、必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があり、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。大型投資では、投資前に採算性やリスクの観点から投資実行計画の社内審査を行なっています。しかし、投資の意思決定時に想定できなかった経済環境や市場の変化、自社やパートナーに起因するトラブル等による目標投資効率の未達や損失計上の可能性があり、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。大型プロジェクト、大型投資とも、受注・投資前の審査においては、社内・外の有識者と本社の審査部門との連携による多面的・複合的なリスクレビューの実施、受注後・投資開始後においては、各事業領域のリスク管理部門とも連携しながら、当初計画どおりに進んでいるか、新たな事象やリスクへの対応がなされているかなどのモニタリングの継続・強化に取り組むなど、引き続き徹底したプロジェクトリスクマネジメントを実施していきます。 d. 調達・物流当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で、複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集や調達先との対話を通じて安定調達に努めるとともに、調達先の品質・納期等の管理を徹底し、特定の調達先への過度の集中・依存を避けるべく調達先の分散化等を進め、リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら、資機材価格の急激な変動、需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え、激甚災害や大規模な感染症の拡大に伴う当社グループのサプライチェーン途絶等の問題が生じた場合、コストアップ、納期遅延等の問題が生じたり、人権尊重への取り組みや、サステナブルな社会を実現するためにCSR調達を推進していく過程で、調達コストが上昇したりする可能性があり、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 e. 設計・製造当社グループは、各地に生産拠点を有しています。それらの拠点が所在する地域において、激甚災害、新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大、国際情勢の急激な変化に伴う生産遅延・停止・サプライチェーンの途絶、あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難・電力制限などが生じ、かつその影響がBCPの想定範囲を超えた場合、それらの拠点における生産能力が損なわれ、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 f. 品質保証当社グループは、お客さまの満足、安全、安心を実現する製品・サービスを提供するために、お客さま要求を含む要求事項の反映や計画段階で想定されるリスクへの対応も含んだ品質マネジメントシステムを構築し品質を保証する仕組み・体制を整備しています。しかし、品質保証に関わる想定外の事態が発生した場合には、お客さまの評価や社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2024|9,804 文字
3【事業等のリスク】(1)リスク管理に関する当社グループの基本方針当社グループでは,リスク管理を経営の最重要課題の一つととらえ,グループ全体で強化に取り組んでいます。リスク管理の基本目的は,事業の継続,役員並びに従業員とその家族の安全確保,経営資源の保全,社会的信用の確保です。そして,次のとおり行動指針を定め,これに沿ったリスク管理を行なっています。①IHIグループの事業継続を図ること②IHIグループの社会的評価を高めること③IHIグループの経営資源保全を図ること④ステークホルダーの利益を損なわないこと⑤被害が生じた場合には,速やかに回復を図ること⑥事態が発生した場合には,責任ある行動をとること⑦リスクに関する社会的要請を反映すること (2)当社グループのリスク管理体制当社グループでは,リスク管理全般にかかわる重要事項を検討する機関として,CEOを議長とするリスク管理会議を設置し,取り組み方針や年次計画,是正措置などの重要事項を検討しています。重点的に対処すべきリスクを「IHIグループリスク管理活動重点方針」として定め,当社の各部門及び海外を含む関係会社は,この方針に沿って主体的・自立的にリスク管理活動を進めています。グループ全体に共通するリスクについては,主に当社のコーポレート部門から構成されるグループリスク統括部門が専門性を活かした情報提供や教育を実施し,各部門のリスク管理活動を支援しています。また,内部監査部門は,グループのリスク管理体制の整備状況及び運用状況について監査を実施し,適正性確保に努めています。また,強固なリスク管理を行なうため,内部監査部門・コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化したリスク管理体制を構築しています。関係会社を含む事業部門は,リスクの特定と直接対応にあたり,事業領域は,事業部門のリスク管理活動に対する監視及び指示と,新しいリスクの予兆検知を担当します。当社のコーポレート部門は,事業部門,事業領域によるリスク管理活動に対する評価及び助言,未認識リスクへの注意喚起,新しいリスクの予兆検知,顕在化したリスク事象の水平展開を担当し,内部監査部門はそれらリスク管理機能の保証を担当します。 (3)2024年度のリスク管理活動2024年度の「IHIグループリスク管理活動重点方針」では,重点テーマとして,次の事項について注力することとしています。①強固な事業運営基盤の確保を妨げるリスクへの対応 ・コンプライアンス ・品質保証 ・経済安全保障 ・情報セキュリティ ・人権の尊重 ・人財リスク②事業シナリオの実行を妨げるリスクへの対応 「強固な事業運営基盤の確保」を妨げるリスクへの対応として,コンプライアンス及び品質保証体制については,2019年度に制定した「IHIグループ行動規範」,「IHIグループ品質宣言」の下,IHIグループ全員がコンプライアンス徹底を誓う「コンプライアンスの日」(毎年5月10日)に関する活動や,声の出る職場づくりの推進等,過去の教訓を風化させない職場環境づくりを進めています。なお,2023年9月12日に,公正取引委員会より,当社子会社の機械式駐車装置事業について,独占禁止法違反の疑いがあるとして立ち入り検査を受けました。また,当社の子会社において,船舶用エンジン及び陸上用エンジンの試運転記録に不適切な修正が行なわれていたことが判明し,2024年4月24日に公表しました。このような状況に至ったことを厳粛に受け止め,さらなるコンプライアンスの向上に努めてまいります。経済安全保障,情報セキュリティ,人権の尊重,人財確保に関する取り組みについては,(4)事業等のリスクに記載しています。「事業シナリオの実行」を妨げるリスクについては,資機材価格の急激な変動による影響や国際情勢の急激な変化への対応を含め,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを鋭敏に捉えた上で,4つの事業領域がそれぞれの戦略を遂行するにあたって阻害要因となるリスクに迅速・的確に対応するべく,重点的な管理を進めています。また,事業計画に潜むリスクを網羅的に確認するため,多岐にわたる事業関連リスクについて,対応計画と実施状況を継続的に評価・確認し,必要に応じてリスク評価を含めた対応計画の見直しを進めています。 (4)事業等のリスク事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの業績,財政状態に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク顕在化の回避及びリスク顕在化時の影響の極小化に最大限努めています。 当社グループは,地政学リスクの拡大,インフレの進行や人財不足,激甚災害の多発など,不安定さが常態化する社会環境を踏まえ,万が一に備える体制の構築を通じて,劇的な環境変化に対応可能な企業体質への変革を加速していきます。また,当社グループは,経営環境の変化による「リスク」と「機会」の適切な把握をグループ全体の課題として捉え,環境変化の中で従来事業の枠を超えた事業変革を進める際に潜むリスクの識別と,重要なリスクの特定・分析,及び機動的なリスク管理の推進に取り組んでいます。 ① 社会的責任 a. コンプライアンス当社グループは,社会とお客さまと共に持続的な成長を遂げるためには,ステークホルダーからの期待に応え,信頼を得ることが重要と考えており,この考え方に基づいて,私たちが実践すべきことを「IHIグループ基本行動指針」にまとめ,役員・従業員の遵守を求めています。また,当社グループは,リスク管理会議の下部機関となる全社委員会組織としてコンプライアンス委員会を設置し,コンプライアンスに関わる重要な方針を審議・立案し,活動を推進しています。さらに,当社グループは,すべての役員・従業員などによる,法令,社内規定や社内外のルールに対する違反やそのおそれのある行為などを未然にあるいは早期に把握し,適切な是正を図るための内部通報制度として,「IHIグループ コンプライアンス・ホットライン」を運用しています。しかしながら,一部の役員・従業員による法令・規制違反等が生じた場合,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分による機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社子会社の機械式駐車装置事業について,独占禁止法違反の疑いがあるとして,2023年9月12日に公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。当社は,立ち入り検査を受けた事実を厳粛に受け止め,公正取引委員会の調査に全面的に協力しています。なお,今回の検査結果として何らかの行政処分を命じられる場合には,当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 また,当社の子会社において,船舶用エンジン及び陸上用エンジンの試運転記録に不適切な修正が行なわれていたことが判明し,2024年4月24日に公表しました。当社は,このような事態が発生したことを重く受け止め,弁護士をはじめとする外部有識者を中心とした特別調査委員会を設置しました。今後は,特別調査委員会による調査結果及び提言を踏まえ,グループ全体として厳正に対応してまいります。 b. 環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 c. 人権・ダイバーシティ当社グループの事業基盤を維持し,将来の成長につなげていくために,バリューチェーン上のステークホルダーを対象とするグリーバンス(救済)メカニズムとして通報窓口を設置するなど,事業活動全般にわたり人権を尊重した上で,多様な個性や価値観を有する人財が活躍できる組織風土の醸成を図っています。しかしながら,当社グループの事業活動において,人権の侵害や人権を軽視した事象が発生した場合,社会的信用の喪失,あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任が発生する可能性があります。また,経営における意思決定の場に多様性が欠如した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 d. 関係会社の統制当社グループは,グループ経営を通じて,お客さまに対し,高い価値を提供することに取り組んでいます。そのためには,当社グループの各社が,各国,各地域の各種法令,社会的規範に従って事業を行なうだけでなく,適切なグループ経営を推進する必要があります。しかしながら,個社が,他のリスクに示す事項に対する不適切な対応や独自の経営判断により,お客さまに対して損害又は評価の低下を生じさせ,結果として当社グループの業績,社会的信頼性に対して悪影響を及ぼす可能性があります。 e.安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害のすべてを保険求償できない可能性があります。 ② 外部環境変化への備え a. 競争環境と事業戦略当社グループは,中期経営計画「グループ経営方針2023」の下,不安定さが常態化する社会環境においても,成長・育成事業への大胆な経営資源のシフトを通じ,持続的な高成長を実現する取組みを推進しています。育成事業の柱として事業開発を進めているアンモニアバリューチェーン事業においては,想定される燃料アンモニア需要量,普及タイミング等の前提条件に大幅な変化が生じた場合,将来的な当社グループの事業ポートフォリオに影響を及ぼす可能性があります。 b. 他社との連携・M&A当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による共同事業の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 現在進行している出荷済みのPW1100G-JMエンジンに関する追加検査プログラムにおいて,同エンジンプログラムに約15%のシェアで参画している当社においても補償費用や追加整備費用等の発生が見込まれ,その影響額については第2四半期連結会計期間において財務諸表へ計上を行ないました。当社としては引き続きお客さまであるエアラインへの負担軽減及び信頼回復に取り組んでまいります。 c. カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動はグローバルに展開されています。各国・各地域の政治・経済の混乱に起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生,政情不安,デフォルト等により,事業の継続や拠点経営が困難になった場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し,貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙,事業継続計画(BCP)の作成・見直し等の体制強化に努めています。本項目については,緊迫化する中東,ウクライナ,台湾の情勢,米中の政治上の確執,経済安全保障問題による影響の拡がり等,不確実性が高まっていると認識しています。 d. 経済安全保障昨今のグローバル化の進展の中,国家間の経済依存関係は深化し,経済活動と安全保障は不可分な関係にあります。ロシアによるウクライナ侵攻や米中の政治上の確執等,国際情勢の急激な変化に伴い,日本を含め各国の政策や法規制が変更され,サプライチェーンの強靭化や先端的な重要技術の開発等,経済安全保障に係る課題が生じています。これらの政策や法規制に反する取引を行なったり,課題への対応が不十分だったりした場合,当社の評価や社会的信用が損なわれ,販売機会の逸失や事業の停止につながる可能性があるだけでなく,当社グループの生産,調達,輸出その他の事業活動が制約を受ければ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 e.自然災害・疾病・紛争・テロ当社グループは,新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大,地震・洪水等の激甚災害,テロ等の犯罪行為等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,規定や事業継続計画(BCP)を見直すとともに,必要に応じて非常時を想定した訓練等を実施するほか,適切な保険を付保しています。しかし,想定規模を超える災害が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 経営リソース a. 人財リスク当社グループの事業基盤を維持し,将来の成長につなげていくためには,事業活動に必要な人財の獲得,定着,育成が必要になります。外部人財の獲得やキーパーソンとなりうる人財の確保をできなかった場合,適正な配置を実行できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 財務活動(a)為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (b)金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (c)資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じる可能性があり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (d)保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財政状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。 (e)税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (f)与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。2023年5月に航空会社が破産申請したことにより,当社が民間航空機エンジンの国際共同事業会社を通じて参画しているエンジンプログラムにおいて,当社が間接的に保有する営業債権の一部が回収不能となる可能性が生じました。本件を受けて,当社グループでは,債権回収リスクを低減するため債権管理の高度化に向けた取り組みを進めています。 c. 情報セキュリティ当社グループは,技術情報及び事務管理情報並びにそれらを処理するための情報システムを事業に活用する上で,相応の情報セキュリティ対策を講じるとともに,サイバー攻撃の巧妙化やテレワークの増加等を考慮した対策の強化,従業員への情報セキュリティ教育の徹底に努めています。しかし,サイバー攻撃,情報機器や文書の紛失・盗難,ネットワーク停止やハードウェア及びソフトウェアの不備により,情報漏洩や業務停止の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 企業活動・エンジニアリング a. 研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は,第2「事業の状況」6研究開発活動に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 知的財産管理当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,第三者による当社グループ製品・サービスの模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・サービスが,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を取らなかったとみなされた場合に損害賠償等を求められ,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 c. プロジェクト管理当社グループは,大型プロジェクト,大型投資のいずれも,初期計画がその後の成否に大きな影響を与えると考えています。特に新規性の高い事業やしばらく実施していなかった事業の場合,初期計画による影響は顕著です。それらのことを踏まえ,受注・投資前の審査プロセス体制を整備してプロジェクトクトリスク管理を行っています。大型プロジェクトでは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。大型投資では,投資前に採算性やリスクの観点から投資実行計画の社内審査を行っています。しかし,投資の意思決定時に想定できなかった経済環境や市場の変化,自社やパートナーに起因するトラブル等による目標投資効率の未達や損失計上の可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。大型プロジェクト,大型投資とも,受注・投資前の審査においては,社内・外の有識者とコーポレートの審査部門との連携による多面的・複合的なリスクレビューの実施,受注後・投資開始後においては,各事業領域のリスク管理部門とも連携しながら,当初計画どおりに進んでいるか,新たな事象やリスクへの対応がなされているかなどのモニタリングの継続・強化に取り組むなど,引き続き徹底したプロジェクトリスクマネジメントを実施していきます。 d.調達・物流当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存を避けるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,資機材価格の急激な変動,需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え,激甚災害や大規模な感染症の拡大に伴う当社グループのサプライチェーン途絶等の問題が生じた場合,コストアップ,納期遅延等の問題が生じたり,人権尊重への取り組みや,サステナブルな社会を実現するためにCSR調達を推進していく過程で,調達コストが上昇したりする可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 e.設計・製造当社グループは,第3「設備の状況」2主要な設備の状況にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす激甚災害,新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大,ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢の急激な変化に伴う生産遅延・停止・サプライチェーンの途絶,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,BCPの想定範囲を超えた場合,あるいは生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 f.品質保証当社グループは,お客さまの満足,安全,安心を実現する製品・サービスを提供するために,お客さま要求を含む要求事項の反映や計画段階で想定されるリスクへの対応も含んだ品質マネジメントシステムを構築し品質を保証する仕組み・体制を整備しています。しかし,品質保証に関わる想定外の事態が発生した場合には,お客さまの評価や社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2023|8,777 文字
3【事業等のリスク】(1)リスク管理に関する当社グループの基本方針 当社グループでは,リスク管理を経営の最重要課題の一つととらえ,グループ全体で強化に取り組んでいます。 リスク管理の基本目的は,事業の継続,役員並びに従業員とその家族の安全確保,経営資源の保全,社会的信用の確保です。そして,次のとおり行動指針を定め,これに沿ったリスク管理を行なっています。①IHIグループの事業継続を図ること②IHIグループの社会的評価を高めること③IHIグループの経営資源保全を図ること④ステークホルダーの利益を損なわないこと⑤被害が生じた場合には,速やかに回復を図ること⑥事態が発生した場合には,責任ある行動をとること⑦リスクに関する社会的要請を反映すること (2)当社グループのリスク管理体制 当社グループでは,リスク管理全般にかかわる重要事項を検討する機関として,CEOを議長とするリスク管理会議を設置し,取り組み方針や年次計画,是正措置などの重要事項を検討しています。 重点的に対処すべきリスクを「IHIグループリスク管理活動重点方針」として定め,当社の各部門及び海外を含む関係会社は,この方針に沿って主体的・自律的にリスク管理活動を進めています。 グループ全体に共通するリスクについては,主に当社のコーポレート部門から構成されるグループリスク統括部門が専門性を活かした情報提供や教育を実施し,各部門のリスク管理活動を支援しています。また,内部監査部門は,グループのリスク管理体制の整備状況及び運用状況について監査を実施し,適正性確保に努めています。 また,強固なリスク管理を行なうため,内部監査部門・コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化したリスク管理体制を構築しています。関係会社を含む事業部門は,リスクの特定と直接対応にあたり,事業領域は,事業部門のリスク管理活動に対する監視及び指示と,新しいリスクの予兆検知を担当します。当社のコーポレート部門は,事業部門,事業領域によるリスク管理活動に対する評価及び助言,未認識リスクへの注意喚起,新しいリスクの予兆検知,顕在化したリスク事象の水平展開を担当し,内部監査部門はそれらリスク管理機能の保証を担当します。 (3)2023年度のリスク管理活動 2023年度の「IHIグループリスク管理活動重点方針」では,重点テーマとして,次の事項について注力することとしています。①強固な事業運営基盤の確保を妨げるリスクへの対応 ・コンプライアンス ・品質保証 ・経済安全保障 ・情報セキュリティ ・人権の尊重 ・人財リスク②事業シナリオの実行を妨げるリスクへの対応 「強固な事業運営基盤の確保」を妨げるリスクへの対応として,コンプライアンス及び品質保証体制については,2019年度に制定した「IHIグループ行動規範」,「IHIグループ品質宣言」の下,IHIグループ全員がコンプライアンス徹底を誓う「コンプライアンスの日」(毎年5月10日)に関する活動や,声の出る職場づくりの推進等,過去の教訓を風化させない職場環境づくりを進めています。経済安全保障,情報セキュリティ,人権の尊重,人財確保に関する取り組みについては,(4)事業等のリスクに記載しています。また,「事業シナリオの実行」を妨げるリスクについては,資機材価格の急激な変動による影響や国際情勢の急激な変化への対応を含め,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを鋭敏に捉えた上で,4つの事業領域がそれぞれの戦略を遂行するにあたって阻害要因となるリスクに迅速・的確に対応するべく,重点的な管理を進めています。 また,事業計画に潜むリスクを網羅的に確認するため,多岐にわたる事業関連リスクについて,対応計画と実施状況を継続的に評価・確認し,必要に応じてリスク評価を含めた対応計画の見直しを進めています。 (4)事業等のリスク事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの業績,財政状態に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク顕在化の回避及びリスク顕在化時の影響の極小化に最大限努めています。 当社グループは,ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や米中の政治上の確執をはじめとする国際情勢の悪化,世界的なインフレの進行やエネルギー不足,人財不足,そして激甚災害の多発など,不安定さが常態化する社会環境を踏まえ,万が一に備える体制の構築を通じて,劇的な環境変化に対応可能な企業体質への変革を加速していきます。また,当社グループは,経営環境の変化による「リスク」と「機会」の適切な把握をグループ全体の課題として捉え,環境変化の中で従来事業の枠を超えた事業変革を進める際に潜むリスクの識別と,重要なリスクの特定・分析,及び機動的なリスク管理の推進に取り組んでいます。 ① 社会的責任a. 法令・規制当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。こうした法令等に強化や改正が生じた場合,それらへの対応コストが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方,各種法令等に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。他のリスクに記載した項目を除いて,係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 品質保証当社グループは,お客さまの満足,安全,安心を実現する製品・サービスを提供するために品質マネジメントシステムを構築し品質を保証する仕組み・体制を整備しています。このシステムの中には,お客さま要求を含む必要な要求事項の反映や計画段階で想定されるリスクへの対応も含まれます。しかし,想定外の事態が発生した場合には,お客さまの評価や社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 c. 環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 d. 人権当社グループは,国際規範とIHIグループ人権方針に基づき,サプライチェーンも含めた事業活動全般にわたる人権尊重の取組みを推進しています。具体的には,人権に関わるリスクを把握・評価し,人権に対する取組みの効果を検証・改善する,人権デュー・ディリジェンスの実施,サプライチェーンにおいても,人権・労働・安全衛生・環境・情報管理などに十分配慮しながら,お取引先と協働して社会的責任を果たしていくCSR調達等に取り組んでいます。しかしながら,当社グループの事業活動において,人権の侵害や人権を軽視した事象が発生した場合,社会的信用の喪失,あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任の発生などにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 e. 安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害のすべてを保険求償できない可能性があります。 ② 外部環境変化への備えa. 競争環境と事業戦略当社グループは,中期経営計画「グループ経営方針2023」の下,不安定さが常態化する社会環境においても,持続的な高成長を実現する取組みを推進しています。ただし,航空旅客需要,自動車生産台数,その他消費・設備投資動向,資源・エネルギー価格,サプライチェーンにおける資機材価格・輸送費,人件費などの動向により市場環境が変動する中で,当社グループの製品・サービスの市場における競合企業に対する優位性が急激に変化する場合があり,その場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 他社との連携・M&A当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による共同事業の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 c. カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動はグローバルに展開されています。各国・各地域の政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生や,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になった場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらリスクに対し,貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙,事業継続計画(BCP)の作成・見直し等の体制強化に努めています。本項目については,ロシアによるウクライナ侵攻やミャンマーの政変,米中の政治上の確執,経済安全保障問題による影響の拡がり等,不確実性が高まっていることから,重要度が上昇していると認識しています。 d. 経済安全保障昨今のグローバル化の進展の中,国家間の経済依存関係は深化し,経済活動と安全保障は不可分な関係にあります。ロシアによるウクライナ侵攻や米中の政治上の確執等,国際情勢の急激な変化に伴い,日本を含め各国の政策や法規制が変更され,サプライチェーンの強靭化や先端的な重要技術の開発等,経済安全保障に係る課題が生じています。これらの課題を解決できないまま,各国の政策変更等により当社グループの生産,調達,輸出その他の事業活動が制約を受けた場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 e. 自然災害・疾病・紛争テロ当社グループは,新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大,地震・洪水等の激甚災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,規定や事業継続計画(BCP)を見直すとともに,必要に応じて非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 経営リソース・企業活動a. 人財確保当社グループの事業基盤を維持し,将来の成長につなげていくためには,事業活動に必要な人財の獲得,定着,育成が必要になります。キーパーソンとなりうる人財を確保できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。c. 金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 d. 資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じる可能性があり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 e. 保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財政状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。 f. 税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 g. 与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。2023年5月に航空会社が破産申請したことにより,当社が民間航空機エンジンの国際共同事業会社を通じて参画しているエンジンプログラムにおいて,当社が間接的に保有する営業債権の一部が回収不能となる可能性が生じました。本件を受けて,当社グループでは,債権回収リスクを低減するため債権管理の高度化に向けた検討を進めています。 h. 情報セキュリティ当社グループは,技術情報及び事務管理情報並びにそれらを処理するための情報システムを事業に活用する上で,相応の情報セキュリティ対策を講じるとともに,サイバー攻撃の巧妙化やテレワークの増加等を考慮した対策の強化,従業員への情報セキュリティ教育の徹底に努めています。しかし,サイバー攻撃,情報機器や文書の紛失・盗難,ハードウェアの故障やソフトウェアの不備により,情報流出やシステム障害に伴う業務停止の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 i. 研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は,第2「事業の状況」6研究開発活動に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 j. 知的財産管理当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,第三者による当社グループ製品・サービスの模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・サービスが,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を取らなかったとみなされた場合に損害賠償等を求められ,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 k. 技術契約当社グループは,国内外において多岐にわたる製品・サービスを取り扱うため,他社との間に技術供与・導入に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なうよう努めています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により計画を超える保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 l. プロジェクト管理当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。プロジェクトのモニタリングについては,全社レベルのモニタリングの継続・強化,有識者によるリスクレビューの徹底に取り組んでいます。引き続き徹底したプロジェクト管理を強化していきます。なお,当社グループが北米で遂行したプロセスプラント案件について,納期の未達によるペナルティーの請求書受領に関する情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。 m. 調達・物流当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存を避けるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,資機材価格の急激な変動,特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え,激甚災害や新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大に伴う当社グループのサプライチェーン途絶等の問題が生じた場合,コストアップ,納期遅延等の問題が生じたり,人権尊重への取り組みや,サステナブルな社会を実現するためにCSR調達を推進していく過程で,調達コストが上昇したりする可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 n. 生産・製造当社グループは,第3「設備の状況」2主要な設備の状況にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす激甚災害,新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大,ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢の急激な変化に伴う生産遅延・停止・サプライチェーンの途絶,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,BCPの想定範囲を超えた場合,あるいは生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性があり,その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2022|9,041 文字
2【事業等のリスク】(1)リスク管理に関する当社グループの基本方針 当社グループでは,リスク管理を経営の最重要課題の一つととらえ,グループ全体で強化に取り組んでいます。 リスク管理の基本目的は,事業の継続,役員並びに従業員とその家族の安全確保,経営資源の保全,社会的信用の確保です。そして,次のとおり行動指針を定め,これに沿ったリスク管理を行なっています。①IHIグループの事業継続を図ること②IHIグループの社会的評価を高めること③IHIグループの経営資源保全を図ること④ステークホルダーの利益を損なわないこと⑤被害が生じた場合には,速やかに回復を図ること⑥事態が発生した場合には,責任ある行動をとること⑦リスクに関する社会的要請を反映すること (2)当社グループのリスク管理体制 当社グループでは,リスク管理全般にかかわる重要事項を検討する機関として,CEOを議長とするリスク管理会議を設置し,取り組み方針や年次計画,是正措置などの重要事項を検討しています。 重点的に対処すべきリスクを「IHIグループリスク管理活動重点方針」として定め,当社の各部門及び海外を含む関係会社は,この方針に沿って主体的・自律的にリスク管理活動を進めています。 グループ全体に共通するリスクについては,主に当社のコーポレート部門から構成されるグループリスク統括部門が専門性を活かした情報提供や教育を実施し,各部門のリスク管理活動を支援しています。また,内部監査部門は,グループのリスク管理体制の整備状況及び運用状況について監査を実施し,適正性確保に努めています。 また,強固なリスク管理を行なうため,内部監査部門・コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化したリスク管理体制を構築しています。関係会社を含む事業部門は,リスクの特定と直接対応にあたり,事業領域は,事業部門のリスク管理活動に対する監視及び指示と,新しいリスクの予兆検知を担当します。当社のコーポレート部門は,事業部門,事業領域によるリスク管理活動に対する評価及び助言,未認識リスクへの注意喚起,新しいリスクの予兆検知,顕在化したリスク事象の水平展開を担当し,内部監査部門はそれらリスク管理機能の保証を担当します。 (3)2022年度のリスク管理活動 2022年度の「IHIグループリスク管理活動重点方針」では,重点テーマとして,次の事項について注力することとしています。①強固な事業運営基盤の確保を妨げるリスクへの対応 ・コンプライアンス ・品質保証 ・経済安全保障 ・人権の尊重 ・情報セキュリティ②事業シナリオの実行を妨げるリスクへの対応 「強固な事業運営基盤の確保を妨げるリスクへの対応」として,コンプライアンス及び品質保証体制については,2019年度に制定した「IHIグループ行動規範」,「IHIグループ品質宣言」の下,IHIグループ全員がコンプライアンス徹底を誓う「コンプライアンスの日」(毎年5月10日)に関する活動や声の出る職場づくりの推進等,過去の教訓を風化させない職場環境づくりを進めています。経済安全保障,人権の尊重,情報セキュリティに関する取り組みについては,(4)事業等のリスクに記載しています。また,「事業シナリオの実行を妨げるリスク」については,新型コロナウイルス感染拡大による影響や地政学リスクへの対応を含め,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを鋭敏に捉えた上で,4つの事業領域がそれぞれの戦略を遂行するにあたって阻害要因となるリスクに迅速・的確に対応するべく,重点的な管理を進めています。 また,事業計画に潜むリスクを網羅的に確認するため,100項目を超える事業関連リスクについて,対応計画と実施状況を継続的に評価・確認し,必要に応じてリスク評価を含めた対応計画の見直しを進めています。 (4)事業等のリスク事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。当社グループを取り巻く経営環境は,新型コロナウイルス感染拡大による社会・経済の変貌や価値観の変容,デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進によるビジネスモデルや働き方の変化,地球規模の気候変動問題に対する国際的な関心の高まり,企業のサステナビリティを重視するESG投資の拡大,さらにはロシア・ウクライナ情勢に代表される地政学リスクの顕在化など,急激な変化が生じています。こうした環境変化に対応すべく「プロジェクトChange」の下で,収益基盤の強化とライフサイクルビジネスの拡大,成長事業の創出に向けた取り組みを推進しています。当社グループは,経営環境の変化による「リスク」と「機会」の適切な把握をグループ全体の課題として捉え,環境変化の中で従来事業の枠を超えた事業変革を進める際に潜むリスクの識別と,重要なリスクの特定・分析,及び機動的なリスク管理の推進に取り組んでいます。 1.競争環境と事業戦略当連結会計年度におけるわが国経済は,長引く新型コロナウイルス感染症の影響により力強さを欠いてきましたが,年度後半にかけては感染状況の落ち着きとともに持ち直しの動きが見られました。また,世界経済については,中国経済の回復の動きは見られたものの,オミクロン株蔓延による経済活動の制限や,予想以上の広範囲にわたる激しいインフレなどにより,回復は限定的となりました。このような事業環境下において,当社グループは,「プロジェクトChange」の下,収益基盤の強化とライフサイクルビジネスの拡大を着実に推し進め,成長軌道への回帰を早期に実現しつつ,また,持続可能な社会の実現に資する成長事業の創出に向けた取り組みを加速し,事業ポートフォリオの変革を推進していきます。しかし,世界経済の成長鈍化,業界再編に伴う競争環境の急激な変化,さらには事業環境の大きな変化が発生し,競合企業と比較して当社グループの製品・サービスが性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られなかった場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。本項目については,航空需要の減少とそこからの回復遅れや,脱炭素・電動化の流れの加速等,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることから,重要度が上昇していると認識しています。 2.他社との連携・M&A,事業統合当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 3.経済安全保障昨今のグローバル化の進展の中,国家間の経済依存関係は深化し,経済活動と安全保障は不可分な関係にあります。ロシア・ウクライナ情勢や米中の覇権争い等,国際社会の急激な変化に伴い,日本を含め各国の政策や法規制が変更され,サプライチェーンの強靭化や先端的な重要技術の開発等,経済安全保障に係る課題が生じています。当社グループは国内外に生産拠点を持ち,原材料や部品の多くを海外から調達し,多岐にわたる製品を世界各国に供給していることから,この課題を解決できないまま,各国の政策変更等により事業活動に制約を受けた場合,当社グループの業績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの課題に対応すべく,専門組織を立上げ,また各事業領域及び本社部門に経済安全保障担当の管理職を配置し,グループ一体となって変化に対して迅速かつ的確に対応できる体制を構築しています。 4.カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動はグローバルに展開されています。各国・各地域の政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生や,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になった場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらリスクに対し,貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙,事業継続計画(BCP)の作成・見直し等の体制強化に努めています。本項目については,ロシア・ウクライナ情勢やミャンマーの政変,経済安全保障問題による影響の拡がり等,不確実性が高まっていることから,重要度が上昇していると認識しています。 5.人権当社グループは,国際規範とIHIグループ人権方針に基づき,サプライチェーンも含めた事業活動全般にわたる人権尊重の取組みを推進しています。具体的には,人権に関わるリスクを把握・評価し,人権に対する取組みの効果を検証・改善する,人権デュー・ディリジェンスの実施,サプライチェーンにおいても,人権・労働・安全衛生・環境・情報管理などに十分配慮しながら,お取引先と協働して社会的責任を果たしていくCSR調達等に取り組んでいます。しかしながら,当社グループの事業活動において,人権の侵害や人権を軽視した事象が発生した場合,社会的信用の喪失,あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任の発生などにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 6.資材調達当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・資機材価格等の急激な変動,特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え,自然災害や新型コロナウイルス感染拡大に伴う当社グループのサプライチェーン途絶等の問題が生じた場合,コストアップ,納期遅延等の問題が生じたり,人権尊重への取り組みや,サステナブルな社会を実現するためにCSR調達を推進していく過程で,調達コストが上昇したりする可能性があり,それらの結果として業績の悪化を招く可能性があります。 7.保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。 8.受注契約当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があります。プロジェクトのモニタリングについては,全社レベルのモニタリングの継続・強化,有識者によるリスクレビューの徹底に取り組んでいます。引き続き徹底したプロジェクト管理を強化していきます。なお,当社グループが北米で遂行したプロセスプラント案件について,納期の未達によるペナルティーの請求書受領に関する情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。 9.技術契約当社グループは,国内外において多岐にわたる製品・サービスを取り扱うため,他社との間に技術供与・導入に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なうよう努めています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により計画を超える保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。 10.生産・製造当社グループは,第3「設備の状況」2主要な設備の状況にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,新型コロナウイルス感染症などの感染症の拡大,ロシア・ウクライナ情勢など地政学的変化に伴う生産遅延・停止・サプライチェーンの途絶,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,BCPの想定範囲を超えた場合,あるいは生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。 11.品質保証当社グループは,お客さまの満足,安全,安心を実現する製品・サービスを提供するために品質マネジメントシステムを構築し品質を保証する仕組み・体制を整備しています。このシステムの中には,お客さま要求を含む必要な要求事項の反映や計画段階で想定されるリスクへの対応も含まれます。しかし,想定外の事態が発生した場合には,お客さまの評価や社会的評価の低下を招くとともに損害賠償等が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 12.知的財産当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,製品・サービスは多岐にわたるため,第三者による当社グループ製品・サービスの模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・サービスが,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を行なわない場合に損害賠償等を求められ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 13.研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は,第2「事業の状況」5研究開発活動に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 14.法令・規制当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。こうした法令等に強化や改正が生じた場合,それらへの対応コストが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方,各種法令等に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。他のリスクに記載した項目を除いて,係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 15.情報セキュリティ当社グループは,技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステムの運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じるとともに,サイバー攻撃の巧妙化やテレワーク等の増加を考慮した情報セキュリティ強化,従業員への情報セキュリティ教育の徹底を行っています。しかし,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報流出等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 16.安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害のすべてを保険求償できない可能性があります。 17.環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 18.災害・システム不全当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,規定やBCPの見直し,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 19.為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 20.金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 21.資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じる可能性があり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 22.税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 23.与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 24.人材育成当社グループの将来の成長,技能の伝承は従業員の能力による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は,当社グループの経営課題の一つです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2021|8,248 文字
2【事業等のリスク】(1)リスク管理に関する当社グループの基本方針 当社グループでは,リスク管理を経営の最重要課題の一つととらえ,グループ全体で強化に取り組んでいます。 リスク管理の基本目的は,事業の継続,役員並びに従業員とその家族の安全確保,経営資源の保全,社会的信用の確保です。そして,次のとおり行動指針を定め,これに沿ったリスク管理を行なっています。①IHIグループの事業継続を図ること②IHIグループの社会的評価を高めること③IHIグループの経営資源保全を図ること④ステークホルダーの利益を損なわないこと⑤被害が生じた場合には,速やかに回復を図ること⑥事態が発生した場合には,責任ある行動をとること⑦リスクに関する社会的要請を反映すること (2)当社グループのリスク管理体制 当社グループでは,リスク管理全般にかかわる重要事項を検討する機関として,CEOを議長とするリスク管理会議を設置し,取り組み方針や年次計画,是正措置などの重要事項を検討しています。 重点的に対処すべきリスクを「IHIグループリスク管理活動重点方針」として定め,当社の各部門及び海外を含む関係会社は,この方針に沿って主体的・自律的にリスク管理活動を進めています。 グループ全体に共通するリスクについては,主に当社のコーポレート部門から構成されるグループリスク統括部門が専門性を活かした情報提供や教育を実施し,各部門のリスク管理活動を支援しています。また,内部監査部門は,グループのリスク管理体制の整備状況及び運用状況について監査を実施し,適正性確保に努めています。 また,複数のディフェンスラインによる強固なリスク管理を行なうため,コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化し,3段階のリスク管理体制を構築しました。関係会社を含む事業部門は,第1段階としてリスクの特定と直接対応にあたります。事業領域は,第2段階として,第1段階のリスク管理活動に対する監視及び指示と,新しいリスクの予兆検知を担当します。当社のコーポレート部門は,第3段階として,第1・第2段階によるリスク管理活動に対する評価及び助言,未認識リスクへの注意喚起,新しいリスクの予兆検知,発生したリスク事象の水平展開を担当します。 (3)2021年度のリスク管理活動 2021年度の「IHIグループリスク管理活動重点方針」では,重点テーマとして,次の事項について注力することとしています。①コンプライアンスへの取り組みの深化②品質保証体制の定着③事業面の重要リスクへの対応力強化 コンプライアンス及び品質保証体制については,2019年度に制定した「IHIグループ行動規範」,「IHIグループ品質宣言」の下,IHIグループ全員がコンプライアンス徹底を誓う「コンプライアンスの日」(毎年5月10日)の制定や声の出る職場づくりの推進等,過去の教訓を風化させない職場環境づくりを進めています。また,事業面の重要リスクについては,新型コロナウイルス感染拡大による影響への対応を含め,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを鋭敏に捉えた上で,4つの事業領域がそれぞれの戦略を遂行するにあたって阻害要因となるリスクに迅速・的確に対応するべく,重点的な管理を進めています。 また,事業計画に潜むリスクを網羅的に確認するため,100項目を超える事業関連リスクについて,対応計画と実施状況を継続的に評価・確認し,必要に応じてリスク評価を含めた対応計画の見直しを進めています。 (4)事業等のリスク事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。 1.競争環境と事業戦略当連結会計年度におけるわが国経済は,新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が制限され,景気が急速に悪化しました。年度後半にかけては感染防止策と経済活動の両立により一部持ち直しの動きが見られましたが,全体としては依然として厳しい状況にあります。また,世界経済については,中国経済の回復の動きは見られたものの,全体としては低迷する状況が続きました。このような事業環境下において,当社グループは,「プロジェクトChange」の下,収益基盤の強化とライフサイクルビジネスの拡大を着実に推し進め,成長軌道への回帰を早期に実現しつつ,また,持続可能な社会の実現に資する成長事業の創出に向けた取り組みを加速し,事業ポートフォリオの変革を推進していきます。しかし,新型コロナウイルス感染の収束遅れなどによる世界経済の成長鈍化,業界再編に伴うポジショニングの急激な変化,さらには事業環境の大きな変化などのリスクが顕在化した場合は,当社グループの製品・サービスの需要の減少や,競合企業と比較して性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られなくなることで,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,当社グループを取り巻く環境の急速な変化の中で,成長軌道への回帰と成長事業創出の取り組みにおいて,これまで認識し対応してきたリスクとは異質のリスクが潜んでいることが想定されます。このリスクへの対応をグループ全体の課題として捉え,攻めのリスク管理活動として取り組んでいきます。具体的には,リスクを適切に把握し,重要なリスクを特定・分析し,機動的に管理・対応していくだけでなく,リスクを機会へ転換し,さらなる成長へつなげていけるよう,取り組んでいきます。さらに,守りのリスク管理活動として,コンプライアンスと品質に加え,事業領域ごとに事業運営上対応すべき重要なリスク項目を,2021年度においてもリスク管理活動重点テーマとして設定し,重点的かつ継続的に取り組んでいきます。本項目については,航空需要の回復遅れや,脱炭素・電動化の流れの加速等,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していること,また「プロジェクトChange」の取り組みに密接に関連することから,重要度が上昇していると認識しています。 2.他社との連携・M&A,事業統合当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 3.カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動はグローバルに展開されていますが,それぞれの地域・国において政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生等のカントリーリスクが存在します。また,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になる可能性があります。これらリスクに対し,貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙,事業継続計画(BCP)の作成・見直し等の体制強化に努めてはいますが,リスクが顕在化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。本項目については,ミャンマーの政変や経済安全保障問題による影響の拡がり等,不確実性が高まっていることから,重要度が上昇していると認識しています。 4.資材調達当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・資機材価格等の急激な変動,特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え,新型コロナウイルス感染拡大に伴う当社グループのサプライチェーン途絶等の問題が生じた場合,コストアップ,品質管理上の問題,納期遅延等の問題が生じる可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。 5.保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。 6.受注契約当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があります。プロジェクトのモニタリングについては,全社レベルのモニタリングの継続・強化,有識者によるリスクレビューの徹底に取り組んでいます。引き続き徹底したプロジェクト管理を強化していきます。なお,当社グループが北米で遂行したプロセスプラント案件について,納期の未達によるペナルティーの請求書受領に関する情報は,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「40.偶発債務」に記載しています。 7.技術契約当社グループは,国内外において多岐にわたる機種・技術分野を取り扱うため,他社との間に技術供与・導入に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なうよう努めています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により計画を超える保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。 8.生産・製造当社グループは,第3「設備の状況」2主要な設備の状況にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,新型コロナウイルス感染症などの感染症の拡大に伴う生産遅延・停止・サプライチェーンの途絶,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,BCPの想定範囲を超える可能性があります。また,生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性もあります。これらの結果,業績の悪化を招く可能性があります 9.品質保証当社グループは,調達品等の品質不良・不具合の発生防止を含め,製品の品質確保に努めるとともに,お客さまに安全に使っていただくため,製品安全・機械安全を確保するよう設計時のリスクアセスメントの徹底及びお客さまへの注意喚起と情報提供に努めています。また,当社グループの製品は,品質や安全に関するさまざまな法的規制による制約を受けているため,これらの規制の遵守に努めるとともに,製造物責任賠償保険(P/L保険)に加入する等の対策を講じています。しかし,大規模な事故やクレームの発生及び製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は,多額のコストに加えて当社グループの社会的評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ,これによって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 10.知的財産当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,機種や技術分野は多岐にわたるため,第三者による当社グループ製品・技術の模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を行なわない場合に損害賠償等を求められ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 11.研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は,第2「事業の状況」5研究開発活動に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 12.法令・規制当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。こうした法令等に強化や改正が生じた場合,それらへの対応コストが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方,各種法令等に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 13.情報システム当社グループは,技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステムの運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じるとともに,サイバー攻撃の巧妙化やテレワーク等の増加を考慮した情報セキュリティ強化,従業員への情報セキュリティ教育の徹底を行っています。しかし,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報流出等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 14.安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害の全てを保険求償できない可能性があります。 15.環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 16.災害・システム不全当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,規定やBCPの見直し,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 17.為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 18.金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 19.資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じる可能性があり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 20.税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 21.与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 22.人材育成当社グループの将来の成長,技能の伝承は従業員の能力による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は,当社グループの経営課題の一つです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2020|10,034 文字
2【事業等のリスク】(1)リスク管理に関する当社グループの基本方針 当社グループでは,リスク管理を経営の最重要課題の一つととらえ,グループ全体で強化に取り組んでいます。 リスク管理の基本目的は,事業の継続,役員並びに従業員とその家族の安全確保,経営資源の保全,社会的信用の確保です。そして,次のとおり行動指針を定め,これに沿ったリスク管理を行なっています。①IHIグループの事業継続を図ること②IHIグループの社会的評価を高めること③IHIグループの経営資源保全を図ること④ステークホルダーの利益を損なわないこと⑤被害が生じた場合には,速やかに回復を図ること⑥事態が発生した場合には,責任ある行動をとること⑦リスクに関する社会的要請を反映すること (2)当社グループのリスク管理体制 当社グループでは,リスク管理全般にかかわる重要事項を検討する機関として,CEOを議長とするリスク管理会議を設置し,取り組み方針や年次計画,是正措置などの重要事項を検討しています。 重点的に対処すべきリスクを「IHIグループリスク管理活動重点方針」として定め,当社の各部門及び海外を含む関係会社は,この方針に沿って主体的・自立的にリスク管理活動を進めています。 グループ全体に共通するリスクについては,主に当社のコーポレート部門から構成されるグループリスク統括部門が専門性を活かした情報提供や教育を実施し,各部門のリスク管理活動を支援しています。また,内部監査部門は,グループのリスク管理体制の整備状況及び運用状況について監査を実施し,適正性確保に努めています。 民間航空機エンジン整備事業にかかわる不適切な品質検査問題を受け,2019年度より,コンプライアンス体制の強化,品質保証体制の強化,事業運営そのもののリスク管理の強化,及び再発防止に向けた取り組みを進めています。また,複数のディフェンスラインによる強固なリスク管理を行なうため,コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化し,3段階のリスク管理体制を構築しました。関係会社を含む事業部門は,第1段階としてリスクの特定と直接対応にあたります。事業領域は,第2段階として,第1段階のリスク管理活動に対する監視及び指示と,新しいリスクの予兆検知を担当します。当社のコーポレート部門は,第3段階として,第1・第2段階によるリスク管理活動に対する評価及び助言,未認識リスクへの注意喚起,新しいリスクの予兆検知,発生したリスク事象の水平展開を担当します。 (3)2020年度のリスク管理活動 2020年度の「IHIグループリスク管理活動重点方針」では,重点テーマとして,次の事項について注力することとしています。①コンプライアンスへの取り組みの深化②品質保証体制の定着③事業面の重要リスクへの対応力向上 コンプライアンス及び品質保証体制については,2019年度に制定した「IHIグループ行動規範」,「IHIグループ品質宣言」を定着・浸透させる活動により,過去の教訓を風化させない職場環境づくりを進めるとともに,内部通報制度の運営強化などの取り組みを進めています。また,事業面の重要リスクについては,新型コロナウイルス感染拡大による影響への対応を含め,当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを鋭敏に捉えた上で,4つの事業領域がそれぞれの戦略を遂行するにあたって阻害要因となるリスクに迅速・的確に対応するべく,重点的な管理を進めています。 また,事業計画に潜むリスクを網羅的に確認するため,100項目を超える事業関連リスクについて,対応計画と実施状況を継続的に評価・確認し,必要に応じてリスク評価を含めた対応計画の見直しを進めています。 (4)事業等のリスク 事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。 文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。 なお,2020年1月以降は,世界的な新型コロナウイルス感染拡大により,製造業の一時的な操業停止や,人の往来制限による消費の落ち込みが生じ,国内及び世界各国の経済は急速に悪化し,極めて厳しい状況にあります。特に,世界の旅客需要については,2020年は前年比で約5割減少するとの予測を国際航空運送協会(IATA)が出しており,急激な減少が航空業界に深刻な影響を与えています。また,自動車需要に関しても,2020年の世界自動車販売台数は前年比で約1~2割減少するとの民間調査会社の予測も出るなど,当社グループの主力事業である民間航空機エンジン事業,車両過給機事業において大きな影響を受ける可能性があります。また,その他の事業においても,お客さまの設備投資判断や計画の見直し,需要の落ち込みなどによって影響を受ける可能性があります。 影響が長期に及ぶことが想定される中,その対策として,設備投資・研究開発費等の一時凍結・抑制や,総費用・固定経費,棚卸資産の圧縮,成長分野・ライフサイクル事業への機動的な人材リソースシフトなどに取り組んでいきます。 1.競争環境と事業戦略 当連結会計年度におけるわが国経済は,年度後半までは,設備投資の緩やかな増加や雇用・所得環境の改善に支えられ,総じて安定的に推移しました。世界経済については,全体としては緩やかな成長が続いたものの,中国や欧州の景気に減速傾向がみられたことに加え,米中貿易摩擦,英国のEU離脱問題,地政学的リスクの高まりなど,政治面においても不安定な状況が続きました。 このような事業環境下において,当社グループは,事業の集中と選択,経営資源の集中投入を進めるとともに,グローバルな事業運営を加速しています。しかし,世界経済の成長鈍化,業界再編に伴う競争環境の急激な変化,さらには事業環境の大きな変化などのリスクが顕在化し,競合企業と比較して当社グループの製品・サービスが性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られなくなり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 本項目については,当社グループを取り巻く事業環境の大きな変化として,気候変動への対策の動きや脱炭素への世の中の流れが想定以上に加速していること,また新型コロナウイルス感染症による世界経済の先行きに関する不透明感が増していることから,重要度が上昇していると認識しています。 なお,技術トラブルによる建造工程の混乱などにより多額の損失を計上することとなった当社の持分法適用関連会社であるジャパン マリンユナイテッド株式会社については,建造工程の混乱が生じている事業所へリソースを集中投下することで,工程混乱の早期収束と,品質・納期などの正常化を図っております。同社は,厳しい造船市況が続く中,今治造船株式会社との資本業務提携効果を最大限発揮できるよう,技術優位性を活かした環境規制対応,生産効率向上のための抜本的改革,リソースの集約へ向け取り組んでおり,これを加速できるよう当社からも支援を行なってまいります。 2.他社との連携・M&A,事業統合 当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 3.カントリーリスク 当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動は,米州やヨーロッパ,アジア・オセアニア地域等グローバルに展開されていますが,それぞれの地域・国において政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生等のカントリーリスクが存在します。また,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になる可能性があります。これらリスクに対し,貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙に努めてはいますが,リスクが顕在化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また,当社グループの業績等への影響を現時点では見通せないものの,世界的な新型コロナウイルス感染拡大によって各国で様々な影響が生じており,本項目については重要度が上昇していると認識しています。 4.資材調達 当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・資機材価格等の急激な変動,特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変に加え,新型コロナウイルス感染拡大に伴う当社グループのサプライチェーン途絶等の問題が生じた場合,コストアップ,品質管理上の問題,納期遅延等の問題が生じる可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。 本項目については,適切なサプライチェーンの維持・再構築の必要性がこれまで以上に高まっているため,重要度が上昇していると認識しています。 5.保証債務等 当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「注記事項」(連結貸借対照表関係)に記載しています。 6.受注契約 当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があります。 プロジェクトのモニタリングについては,全社レベルのモニタリングの継続・強化,有識者によるリスクレビューの徹底に取り組んでいます。その結果,中小規模案件においては下振れ事案が発生しましたが,大型案件の下振れについては歯止めがかかっています。引き続き徹底したプロジェクト管理を中小規模案件においても強化していきます。 なお,当社グループが北米で遂行中のプロセスプラント案件について,納期の未達によるペナルティーの支払いに関する情報は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「注記事項」(連結貸借対照表関係)に記載しています。 7.技術契約 当社グループは,国内外において多岐にわたる機種・技術分野を取り扱うため,他社との間に技術供与・導入に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なうよう努めています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により計画を超える保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招く可能性があります。 8.生産・製造 当社グループは第3「設備の状況」の2「主要な設備の状況」にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,新型コロナウイルス感染症などの感染症の拡大に伴う生産遅延・停止・サプライチェーンの途絶,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,事業継続計画(BCP)の想定範囲を超える可能性があります。また,生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性もあります。これらの結果,業績の悪化を招く可能性があります。 本項目については,サプライチェーンの維持を含めた適切なBCP再構築の必要性がこれまで以上に高まっているため,重要度が上昇していると認識しています。 9.品質保証 当社グループは,調達品等の品質不良・不具合の発生防止を含め,製品の品質確保に努めるとともに,お客さまに安全に使っていただくため,製品安全・機械安全を確保するよう設計時のリスクアセスメントの徹底及びお客さまへの注意喚起と情報提供に努めています。また,当社グループの製品は,品質や安全に関するさまざまな法的規制による制約を受けているため,これらの規制の遵守に努めるとともに,製造物責任賠償保険(P/L保険)に加入する等の対策を講じています。しかし,大規模な事故やクレームの発生及び製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は,多額のコストに加えて当社グループの社会的評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ,これによって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 10.知的財産 当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,機種や技術分野は多岐にわたるため,第三者による当社グループ製品・技術の模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。 また,当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を行なわない場合に損害賠償等を求められ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 11.研究開発 当社グループの研究開発活動に係る情報は第2「事業の状況」の5「研究開発活動」に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 12.法令・規制 当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。こうした法令等に強化や改正が生じた場合,それらへの対応コストが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方,各種法令等に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 13.情報システム 当社グループは,技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステムの運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じていますが,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報流出等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 本項目については,近年サイバー攻撃が巧妙化している中で,新型コロナウイルスの感染拡大を契機にテレワークが急拡大したこともあり,情報流出などの脅威が増大していることから,重要度が上昇していると認識しています。 14.安全衛生 当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害の全てを保険求償できない可能性があります。 また,新型コロナウイルス感染拡大の第2波以降への備えも必要であることから,本項目については重要度が上昇していると認識しています。 15.環境保全 当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 16.災害・システム不全 当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,事業継続計画(BCP)の整備,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 本項目については,台風等の自然災害が多発しており,当社グループの拠点においても被害が発生していること,及び新型コロナウイルス感染症による業務遂行への影響が拡大していることから,重要度が上昇していると認識しています。 17.為替動向 外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 18.金利動向 金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 19.資金調達・格付 当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じる可能性があり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお,新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界的な経済活動の停滞を背景に,当社グループにおいても資金調達の厳しさが増す可能性があり,本項目については重要度が上昇していると認識しています。これに対しては,社債等の発行や追加借り入れの実施により,十分な手元流動性の確保に努めるとともに,足元の設備投資・研究開発費等の一時凍結・抑制も行なっています。 20.税務 繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 21.与信管理 当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 22.人材育成 当社グループの将来の成長,技能の伝承は従業員の能力による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は,当社グループの経営課題の一つです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,改正労働施策総合推進法が施行されたことなどを踏まえ,当社グループでは,教育研修・モニタリングの継続・強化と,ハラスメント問題を発生させない従業員意識の醸成と職場の構築に取り組んでいます。さらに,新型コロナウイルス感染拡大を契機に,テレワークなどを中心にこれまでの就業スタイルを大きく変える取り組みを加速しておりますが,そのような状況下での人材育成方法についても合わせて検討してまいります。 第2「事業の状況」の1「経営方針,経営環境及び対処すべき課題等」に示す「グループ経営方針2019」における経営戦略の推進にあたり,関連するリスク項目は以下表のとおりです。(関連性がある項目に“○”を表示しています。)また,上記22項目のリスクの中で前連結会計年度から,新型コロナウイルス感染拡大の影響含め,重要度が上昇しているリスク項目についても以下の表に示しています。 リスク項目経営戦略の推進にあたり関連する項目重要度が上昇している項目お客さまと共にライフサイクル視点でアフターマーケット事業展開を加速リーン&フレキシブルな経営体質への変革価値創造に向けたビジネスモデル変革の推進1.競争環境と事業戦略○〇○○2.他社との連携・M&A,事業統合〇〇○ 3.カントリーリスク○ ○○4.資材調達〇○ ○5.保証債務等 ○ 6.受注契約○ ○ 7.技術契約 ○ 8.生産・製造 ○ 〇9.品質保証 ○ 10.知的財産 ○〇 11.研究開発〇〇○ 12.法令・規制 ○ 13.情報システム〇○ ○14.安全衛生 ○ 〇15.環境保全〇○〇 16.災害・システム不全 ○ ○17.為替動向 ○ 18.金利動向 ○ 19.資金調達・格付 ○ ○20.税務 ○ 21.与信管理 ○ 22.人材育成〇○○
FY2019|7,162 文字
2【事業等のリスク】事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお,文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。当社は,2019年3月から4月にかけて,当社の民間航空機エンジン整備事業において不適切な検査が行なわれていたことを公表し,経済産業省及び国土交通省より所管法令に基づく行政処分を受けました。国土交通省より受けた業務改善命令に対しては,2019年5月に改善措置を提出しております。本事象に関し,長期的継続使用の観点から一部出荷品の自主回収を行なうとともに,再発防止策として,外部専門家からの提言も踏まえた上で,①安全意識の再徹底及びコンプライアンス教育,②安全管理体制の抜本的見直し,③業務実施体制の見直しを徹底し,信頼回復に努めてまいります。 (1)競争環境と事業戦略今後の世界経済は,中国での景気の減速が続くことが見込まれるものの,米国の着実な景気回復を中心に,緩やかな回復が続くことが期待されます。一方で,貿易摩擦の激化により,中国をはじめとして世界的な景気下振れリスクが高まっており,先行きについて十分な注意が必要です。また,世界的な地政学リスクの高まりなどについても引き続き留意が必要と思われます。このような事業環境下において,当社グループは,事業の集中と選択,経営資源の集中投入を進めるとともに,グローバルな事業運営を加速しています。しかし,国内市場における厳しい競争環境の継続や世界経済の成長鈍化,さらには業界再編に伴う競争環境の急激な変化などのリスクが顕在化し,競合企業と比較して当社グループの製品・サービスが性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られなくなり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社の持分法適用関連会社であるジャパン マリンユナイテッド株式会社については,厳しい造船市況が続く中,設計の効率化・生産の標準化・仕様の統一化等のコスト削減による収益改善や為替リスク低減による下振れ防止,事業所運営体制の見直し等の具体的施策に引き続き取り組んでおります。当面の間,造船市況の回復が望めない状況にあるため,同社が構造改革へ向けた取り組みを加速できるよう,当社からも支援を行なってまいります。 (2)他社との連携・M&A,事業統合当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3)カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動は,米州やヨーロッパ,アジア・オセアニア地域等グローバルに展開されていますが,それぞれの地域・国において政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生等のカントリーリスクが存在します。また,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になる可能性があります。貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙に努めてはいますが,リスクが顕在化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)資材調達当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・資機材価格等の急激な変動,あるいは特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変による供給不足等の問題が生じた場合,コストアップ,品質管理上の問題,納期遅延等の問題が生じる可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。 (5)保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「注記事項」(連結貸借対照表関係)に記載しています。 (6)受注契約当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があります。当社グループが北米で遂行中のプロセスプラント案件については,建設・据付工事における不具合などによって工程遅延が発生したことや,それに伴い試運転要員を増加したことなどにより,追加費用を計上いたしました。更なる追加費用の発生を未然に防ぐべく,引き続きプロジェクト遂行体制の強化を通じて,きめ細かな進捗管理を実施していきます。納期の未達によるペナルティーの支払いに関する情報は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「注記事項」(連結貸借対照表関係)に記載しています。 (7)技術契約当社グループは,国内外において多岐にわたる機種・技術分野を取り扱うため,他社との間に技術供与・導入に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なうよう努めています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により計画を超える保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。 (8)生産・製造当社グループは第3「設備の状況」の2「主要な設備の状況」にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,事業継続計画(BCP)の想定範囲を超える可能性があります。また,生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性もあります。これらの結果,業績の悪化を招くおそれがあります。不適切な検査が発生したことを受けて自主的に操業を停止しておりました民間航空機エンジン整備事業については,各種再発防止策を徹底するとともに,検査員の増員などを通じて工程上のボトルネックを解消し,整備能力の早期正常化を目指しております。 (9)品質保証当社グループは,調達品等の品質不良・不具合の発生防止を含め,製品の品質確保に努めるとともに,お客さまに安全に使っていただくため,製品安全・機械安全を確保するよう設計時のリスクアセスメントの徹底及びお客さまへの注意喚起と情報提供に努めています。また,当社グループの製品は,品質や安全に関するさまざまな法的規制による制約を受けているため,これらの規制の遵守に努めるとともに,製造物責任賠償保険(P/L保険)に加入する等の対策を講じています。しかし,大規模な事故やクレームの発生及び製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は,多額のコストに加えて当社グループの社会的評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ,これによって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。民間航空機エンジン整備事業で発生した不適切検査については,事象が判明した後,すべての検査作業を自主的に停止した上で,外部専門家の協力も得ながら原因究明と再発防止策の検討を進めてまいりました。足元では再発防止策の一つとして当該事業の現場を始めとする航空・宇宙・防衛事業領域において安全意識の再徹底,安全管理体制や業務実施体制の見直しを実施中です。また,「IHIグループ品質宣言」を発行・展開し,品質第一を再徹底するとともに,当社グループの品質保証体制強化に関する戦略立案・展開を行なう品質統括部門を新設するなど,当社グループ全体においても品質保証体制の強化に向けた取り組みを進めてまいります。 (10)知的財産当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,機種や技術分野は多岐にわたるため,第三者による当社グループ製品・技術の模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を行なわない場合に損害賠償等を求められ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (11)研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は第2「事業の状況」の5「研究開発活動」に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (12)法令・規制当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。こうした法令等に強化や改正が生じた場合,それらへの対応コストが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方,各種法令等に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。民間航空機エンジン整備事業で発生した不適切検査については,再発防止策の一つとして当該事業の現場を始めとする航空・宇宙・防衛事業領域においてコンプライアンス教育を実施中です。また当社グループの全ての役職員が業務遂行にあたって遵守すべき「IHIグループ行動規範」を制定・展開するとともに,内部通報制度の運用ルールの見直しと対応体制の強化など,当社グループ全体においてもコンプライアンス体制の強化に向けた取り組みを進めてまいります。 (13)情報システム当社グループは,技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステムの運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じていますが,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報の外部漏洩等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害の全てを保険求償できない可能性があります。 (15)環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)災害・システム不全当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,事業継続計画(BCP)の整備,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (19)資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じるおそれがあり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (20)税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (22)人材育成当社グループの将来の成長,技能の伝承は従業員の能力による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は,当社グループの経営課題のひとつです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|6,284 文字
2【事業等のリスク】事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお,文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。 (1)競争環境と事業戦略今後の日本経済は,輸出の持ち直しや所得環境の改善が続くなかで,安定的に推移すると思われます。世界経済も,米国の着実な景気拡大を中心に,緩やかな拡大基調が続くと考えられます。一方で,米国の貿易政策の動向やその影響を受けたアジア新興国等の経済の先行き,世界的な地政学的リスクの高まりなど,多くの景気下押しリスクが存在しており,十分な留意が必要と思われます。このような事業環境下において,当社グループは,事業の集中と選択,経営資源の集中投入を進めるとともに,グローバルな事業運営を加速しています。しかし,国内市場における厳しい競争環境の継続や世界経済の成長鈍化,さらには業界再編に伴う競争環境の急激な変化などのリスクが顕在化し,競合企業と比較して当社グループの製品・サービスが性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られなくなり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,LNG船案件の悪化や為替相場変動の影響等により多額の損失を計上することとなった当社の持分法適用会社であるJMUについては,強固な収益基盤の再構築が必要な状況となっています。JMUは,固定費削減,良質な受注の選別に加えて,体質改善のための事業所運営体制見直しや,更なるコスト競争力強化等の具体的施策の検討を進めますが,当社からもそれらに対する支援を行なってまいります。 (2)他社との連携・M&A,事業統合当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3)カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動は,米州やヨーロッパ,アジア・オセアニア地域等グローバルに展開されていますが,それぞれの地域・国において政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生等のカントリーリスクが存在します。また,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になる可能性があります。貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙に努めてはいますが,リスクが顕在化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)資材調達当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・資機材価格等の急激な変動,あるいは特殊鋼などの需給バランスの変化や国際情勢の急変による供給不足等の問題が生じた場合,コストアップ,品質管理上の問題,納期遅延等の問題が生じる可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。(5)保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合理的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「注記事項」(連結貸借対照表関係)に記載しています。 (6)受注契約当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があります。当社グループが北米で遂行中のプロセスプラント案件については,当初見積時に比べ物量が増加したため,調達費や建設費が増加するとともに工程遅れが生じました。現地での建設・据付工事が本格化する中で,建設計画全体を見直すとともに,有識者で構成したチームを派遣してモニタリングを実施し,工程と見積コストの精緻な確認を行ないました。引き続きプロジェクト遂行体制の強化を通じて,きめ細かな進捗管理を実施していきます。 (7)技術契約当社グループは,国内外において多岐にわたる機種・技術分野を取り扱うため,他社との間に技術供与・導入に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なうよう努めています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により計画を超える保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。 (8)生産・製造当社グループは第3「設備の状況」の2「主要な設備の状況」にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,事業継続計画(BCP)の想定範囲を超える可能性があります。また,生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性もあります。これらの結果,業績の悪化を招くおそれがあります。 (9)品質保証当社グループは,調達品等の品質不良・不具合の発生防止を含め,製品の品質確保に努めるとともに,お客さまに安全に使っていただくため,製品安全・機械安全を確保するよう設計時のリスクアセスメントの徹底及びお客さまへの注意喚起と情報提供に努めています。また,当社グループの製品は,品質や安全に関するさまざまな法的規制による制約を受けているため,これらの規制の遵守に努めるとともに,製造物責任賠償保険(P/L保険)に加入する等の対策を講じています。しかし,大規模な事故やクレームの発生及び製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は,多額のコストに加えて当社グループの社会的評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ,これによって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。(10)知的財産当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,機種や技術分野は多岐にわたるため,第三者による当社グループ製品・技術の模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を行なわない場合に損害賠償等を求められ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (11)研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は第2「事業の状況」の5「研究開発活動」に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (12)法令・規制当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。こうした法令等に強化や改正が生じた場合,それらへの対応コストが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方,各種法令等に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金,追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)情報システム当社グループは,技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステムの運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じていますが,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報の外部漏洩等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害の全てを保険求償できない可能性があります。 (15)環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)災害・システム不全当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,事業継続計画(BCP)の整備,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に影響を及ぼします。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入,又は社債発行の条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (19)資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じるおそれがあり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (20)税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,国境をまたぐ当社グループ会社間の取引価格の設定においては,適用される移転価格税制の遵守に努めていますが,税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受けた場合,追徴課税や二重課税が生じることにより,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。移転価格税制に係る情報は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「注記事項」(連結貸借対照表関係)に記載しています。 (21)与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (22)人材育成当社グループの将来の成長,技能の伝承は従業員の能力による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は,当社グループの経営課題のひとつです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|6,652 文字
4【事業等のリスク】事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお,文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。 (1)競争環境と事業戦略今後の日本経済については,全体として回復傾向が継続するとみられるものの,急激な為替変動もあり依然として不透明な状況が続くと予想しています。また,世界経済については,全体として緩やかに回復していくと予想されるものの,米国における新大統領の政策動向や金融政策正常化の影響,中国を始めアジア新興国等の経済の先行きや政策に関する不確実性による影響,世界的な地政学的リスクの動向など,世界経済を下押しするリスクが懸念されます。当社グループは,事業の集中と選択,経営資源の集中投入を進めるとともに,グローバルな事業運営を加速しています。しかし,国内市場における厳しい競争環境の継続や世界経済の成長鈍化,さらには業界再編に伴う競争環境の急激な変化などのリスクが顕在化し,競合企業との間で当社グループの製品・サービスが性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られなくなり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)他社との連携・M&A,事業統合当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的としたM&Aなども有効に活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は,株式会社UMNファーマ(以下,「UMNファーマ」という。)と平成22年1月に締結したインフルエンザワクチン原薬の製造事業に関する基本協定に基づき,バイオ医薬品原薬製造会社である株式会社UNIGEN(UMNファーマ連結子会社,以下,「UNIGEN」という。)を設立し,アステラス製薬株式会社(以下,「アステラス製薬」という。)とUMNファーマが共同で開発を進める昆虫細胞培養による季節性インフルエンザワクチンの原薬製造に向け,準備を進めてまいりました。しかしながら,アステラス製薬及びUMNファーマから同ワクチンの製造販売承認申請を取り下げるとの発表を受け,UMNファーマと今後のインフルエンザワクチン原薬製造事業のあり方について検討を重ねた結果,当社及びUMNファーマは,UNIGENのスポンサーとなることを希望するアピ株式会社に対して,両社が保有するUNIGENの全株式を,平成29年1月31日付で譲渡しました。 (3)カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動は,米州やヨーロッパ,アジア・オセアニア地域等グローバルに展開されていますが,それぞれの地域・国において政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生等のカントリーリスクが存在します。また,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になる可能性があります。貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙に努めてはいますが,リスクが顕在化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)資材調達当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日常から情報収集して安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・鋼材価格等の急激な変化,あるいは国際情勢の急激な変化による供給不足等の問題が生じた場合,コストアップ,品質管理上の問題,納期遅延等の問題が生じる可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。(5)保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合法的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態が悪化した場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「注記事項」(連結貸借対照表関係)に記載しています。 (6)受注契約当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブル,JV等のパートナー企業の経営悪化等により見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。また,お客さま都合による受注契約の取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額を回収できない可能性があります。 (7)技術契約当社グループは,国内外において多岐にわたる機種・技術分野を取り扱うため,他社との間に技術供与・受領に関する契約を締結する場合があります。締結前には,当社グループに不利若しくは履行不能な条件が無いか,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なっています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により過大な保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。 (8)生産・製造当社グループは第3「設備の状況」の2「主要な設備の状況」にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,停電,あるいは生産活動に影響を与える資機材の入手困難,電力制限が,事業継続計画(BCP)の想定範囲を超える可能性があります。また,生産量が当社グループの想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が十分にできない可能性もあります。これらの結果,業績の悪化を招くおそれがあります。当社は,F-LNG・海洋構造物事業について,平成26年度以降の大幅な採算悪化を踏まえ,アルミSPBタンクを軸とした事業構造への変革の検討及びオフショア市場の見通しを踏まえた抜本的な対策の必要性の検討を重ねてまいりました。足元のオフショア市場は,原油価格の下落などにより,低迷が継続しており,需要回復の見通しが立たない状況にあります。このような環境のもと,主力工場である愛知工場においては,平成30年度以降の操業の目途が立たず,当社グループにおける他事業での活用も含め,継続的かつ安定的な工事投入による採算性の確保が困難との結論に至りました。したがいまして,愛知工場については,受注済案件の完工後,生産拠点としての機能を終了することとしました。今後の方針としましては,① 現在建造中のSPBカーゴタンク及びFPSO(浮体式原油生産・貯蔵・積出設備)船体建造工事は,当社グループの総力を挙げて完工する。② 納入後のアフターサービスについては,早期に専門組織を設置し,経験と高度な専門性を有する人材を配置することにより,責任をもって対応するとともに,これまで培った製造技術・技能もノウハウとして保持・活用していく。③ 愛知工場の従業員は,グループ内での最適配置により雇用を維持するとともに,愛知地区の新しい活用については今後検討を進める。なお,今後の当社グループにおける海洋開発分野への取り組みについては,社会的要請も踏まえて,検討を継続していきます。 (9)品質保証当社グループは,製品の品質確保に努めるとともに,お客さまに安全に使っていただくため,製品安全・機械安全を確保するための設計時のリスクアセスメントの徹底及びお客さまへの注意喚起と情報提供に努めています。また,当社グループの製品は,品質や安全に関するさまざまな法的規制による制約を受けているため,これらの規制の遵守に努めるとともに,製造物責任賠償保険(P/L保険)に加入する等の対策を講じています。しかし,大規模な事故やクレームの発生及び製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は,多額のコストに加えて当社グループの社会的評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ,これによって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。(10)知的財産当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,機種や技術分野は多岐にわたるため,第三者による当社グループ製品・技術の模倣や解析調査等技術的に当社グループに影響を与えるような動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が,意図せず他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切な対応を行なわない場合に損害賠償等を求められ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (11)研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は第2「事業の状況」の6「研究開発活動」に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発期間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (12)法令・規制当社グループは,グローバルに事業の展開を進める上で,日本のみならず各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。しかし,法律・規制に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等に各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金による損失や営業停止等の行政処分によって機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。係争中の訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しないものと認識しています。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)情報システム当社グループは,技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステムの運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じていますが,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報の外部漏洩等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害の全てを保険求償できない可能性があります。 (15)環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)災害・システム不全当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全等によって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,事業継続計画(BCP)の整備,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際には事業を適切に遂行できず,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に及ぼす影響が大きくなります。そのため,外貨建資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入金,又は社債の発行条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (19)資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じるおそれがあり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (20)税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (22)人材育成当社グループの将来の成長,技能の伝承は有能な従業員による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は,当社グループの経営課題のひとつです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|6,787 文字
4【事業等のリスク】事業の状況,設備の状況,経理の状況に記載した事項のうち,当社グループの経営成績,株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお,文中における将来に関する事項は,当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは,以下のリスクを認識した上で,必要なリスク管理体制を整え,リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に最大限努めています。 (1)競争環境と事業戦略わが国の経済は,国内需要が各種経済対策の効果もあって底堅く推移し,世界経済の成長率が次第に高まることなどを背景に,緩やかに回復していくことが期待されます。しかし,当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国内民間設備投資を取り巻く環境については,輸出競争力の低下や生産拠点の海外移転により,当面は厳しい競争環境が続くと考えられます。また,世界経済については,米国を牽引役として引き続き回復傾向にあり,全体としては次第に加速していくと考えられますが,米国の政策金利引上げに向けた動きの影響,欧州,中国やその他新興国経済の先行き,原油価格下落の影響,地政学的リスク等の懸念があり,先行きの不確実性は引き続き大きい状況です。当社グループは,事業の集中と選択,経営資源の集中投入を進めるとともに,グローバルな事業運営を加速していくこととしています。しかし,国内市場における厳しい競争環境の継続や世界経済の成長鈍化,さらには業界再編に伴う競争環境の急激な変化などのリスクが顕在化し,競合企業との間で当社グループの製品・サービスが性能・品質・価格面で十分な競争優位性を得られない場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)他社との連携・M&A,事業統合当社グループは営業協力,技術協力,生産協力や事業合弁の形で多くの他社との共同事業活動を行なっています。また,成長市場への事業展開の加速,要素技術の補完,シナジーの創出などを目的とした有効なM&Aを活用しています。しかし,経済環境の変化,法的規制,予期せぬ費用増加等の影響により,当初期待された効果を出せない可能性があります。また,当初期待した効果を享受できないと判断された場合は,他社との連携による事業統合の中断,解消を決断する可能性があり,その結果として業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3)カントリーリスク当社グループの調達・生産・輸出・販売・建設等の諸活動は,米州やヨーロッパ,アジア・オセアニア地域等グローバルに展開されていますが,それぞれの地域・国において政治・経済の混乱並びにそれに起因する為替取引の凍結・債務不履行・投資資産の接収,想定していなかったテロ・労働争議の発生等のカントリーリスクが存在します。また,政情不安やデフォルト等により事業の継続や拠点経営が困難になる可能性があります。貿易保険の付保徹底やカントリーリスクに関する情報の収集とグループ内の啓蒙に努めてはいますが,リスクが顕在化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社が海洋資源開発関連事業を推進するため資本参加したものの,ブラジル経済の減速等により経営状態が悪化していたブラジル造船会社EASへの出資については,当社の連結子会社であるJEIが保有するEAS出資持分の全てを,EASの株主であるCamargo Corrêa グループ及びQueiroz Galvão グループへ譲渡することで合意し,平成28年4月に譲渡を実行しました。 (4)資材調達当社グループはキーとなる主要部品を自社グループ内で製造するよう努めている一方で,複数のグループ外調達先より原材料・部品・サービスの供給を受けています。主要な原材料・部品の市況動向については日常から情報収集に努め安定調達に努めるとともに,調達先の品質・納期等の管理を徹底し,特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進め,リスクの低減に取り組んでいます。しかしながら,原油・鋼材価格等の急激な変化,あるいは国際情勢の急激な変化による供給不足等の問題が生じた場合,コストアップ,品質管理上の問題,納期遅延等の問題が生じる可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。 (5)保証債務等当社グループは,事業活動を営む上で必要かつ合法的と確認したものについて,債務の保証等を行なっていますが,経済環境の悪化の長期化や事業の失敗等により債務者の財務状態の悪化が生じた場合,保証の履行を債権者より求められる可能性があります。保証債務等に係る情報は第5「経理の状況」の「注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しています。 (6)受注契約当社グループは,個別にお客さまと受注契約を締結した後に製品を生産する場合が多く,請負金の大きい工事については受注契約締結前に多面的な社内審査を行なっています。しかし,契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や検討不足,予期しないトラブルの発生,JV等のパートナー企業の経営悪化等により,見積コストを上回る工事の発生,お客さまから要求された性能・納期の未達によるペナルティーの支払い,追加の費用の発生等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。また,受注契約のお客さま都合による取り消しのケースでは,受注契約条件の中で違約金条項を設定する等そのリスク回避に最大限努力しているものの,必ずしも支出したコストの全額が回収できない可能性があります。平成27年3月,当社の連結子会社である㈱IHIインフラシステムが施工を手掛けているトルコ・イズミット湾横断橋建設工事では,主塔間に架設していた主ケーブル架設用の足場(キャットウォーク)の一部が破断し,海面上に落下する事故が発生しました。この事故によって生じた工程遅延に伴い,当連結会計年度においては,工程キャッチアップ費用や,契約上定められている納期遅延に係る費用を請求される可能性を考慮しその損失見込み額を計上しました。工程は終盤となっており,平成28年6~7月の交通開放に向けて取り組んでいます。また,当連結会計年度において多額の損失を計上したF-LNG・海洋構造物事業については,シンガポール向けドリルシップ船体建造工事は,工程終盤となっており,大型機器の試運転を順次実施中です。また,ノルウェー向けFPSO船体建造工事については,お客さまと納期変更の合意を行なったほか,平成28年6月初旬から,愛知工場等で建造した大型ブロックについて,シンガポールYardへの移送を開始しており,7月から,スーパーバイザーを派遣して管理の徹底を図りつつ,船体一体化及び艤装・電装工事を進めていきます。LNG船用SPBタンク建造工事については,1~4番船のうち,1番船は平成28年6月下旬から船体へのタンク搭載を開始する予定としており,その後2~4番船の搭載作業を4~5か月ごとに進めていく予定です。 (7)技術契約当社グループは,国内外において多岐にわたる機種・技術分野を取り扱うため,他社との間に技術供与・受領に関する契約を締結する場合が多くなっています。締結前には,不利若しくは履行不能な条件の有無や,必要条件の欠落が無いか等,十分な社内審査を行なっています。しかし,事前の検討不足や契約条件の理解不足等により過大な保証・補填・ペナルティーが発生する,あるいは事業上の制約を受ける等の可能性があり,その結果として業績の悪化を招くおそれがあります。 (8)生産・製造当社グループは第3「設備の状況」の「主要な設備の状況」にあるとおり,各地に生産拠点を有しますが,生産施設に影響を及ぼす自然災害,停電,あるいは生産活動をスローダウンさせざるを得ない資機材の入手困難,電力の制限が,事業継続計画(BCP)の想定範囲を超えることがありえます。また,生産量が想定以上に急激に変動した場合,生産能力調整が即応できない場合もありえます。これらの結果,業績の悪化を招くおそれがあります。 (9)品質保証当社グループは,製品の品質確保に努めるとともに,お客さまに安全に使っていただくために,製品安全・機械安全を確保するための設計時のリスクアセスメントの徹底及びお客さまへの注意喚起と情報提供の拡大を図っています。また,当社グループの製品は,品質や安全に関するさまざまな法的規制による制約を受けているため,これらの規制の遵守に努めるとともに,製造物責任賠償保険(P/L保険)に加入する等の対策を講じています。しかしながら,大規模な事故やクレームの発生及び製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は,多額のコストに加えて当社グループの社会的評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ,これによって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。当連結会計年度においては,一部のボイラ工事において,当社の在インドネシア子会社であるPT Cilegon Fabricators(以下,「チレゴン工場」という。)が製作した溶接部位の一部に溶接不適合が判明し,補修費用の計上とともに,納期遅延のリスクが高まりました。補修作業は順調に進捗しており,現地搬入済みであった4工事のうち,2工事については補修作業を完了し,残2工事については,平成29年度下期までに完了の見込みとなっています。チレゴン工場については,溶接士及び溶材管理者の資格管理制度・教育制度を改善したほか,独立した品質保証部の設置等を実施するなど,品質管理体制及びガバナンス強化に向けた取り組みを進めています。 (10)知的財産当社グループは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・先使用権の取得)に努めています。しかし,機種や技術分野は多岐にわたるため,第三者による当社グループの製品・技術の模倣や解析調査等技術的に凌駕しようとする動きを完全に防止することが困難な場合があります。また,当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が,潜在的に他社等の知的所有権を侵害してしまう場合や,従業員の発明に対して適切に対応しない場合は,損害賠償等を求められ当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (11)研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は第2「事業の状況」の「研究開発活動」に記載されています。これら研究開発活動は事業の性格上,多額の投資とともに長期の開発時間が必要とされるという特性があります。そのため,実用化の機会の逸失や事業戦略・市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかず,当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。 (12)法令・規制当社グループは,グローバルに事業の展開をすすめる上で,日本のみならず,各国・各地域の各種法令,行政による許認可や規制の制約を受けており,その遵守に努めています。しかし,法律・規制に対する理解が不十分,又は予期せぬ変更への対応が適切でない場合等には,各種法令等に違反したと判定され,過料や課徴金による損失や営業停止等の行政処分による機会逸失を被る,あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。係争中の重要な訴訟案件のうち,当社グループの経営に重大な悪影響を及ぼす可能性のある訴訟は存在しません。しかしながら,現時点で認識していない想定外の訴訟が発生した場合,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)情報システム当社グループは技術情報及び事務管理情報のデータ処理のために多額の投資を行なっています。これらシステム運用並びに導入・更新に際しては,システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じていますが,外部からのコンピュータウィルスの感染やハッキングの被害,ホストコンピュータ・サーバ・ネットワーク機器の障害や紛失・盗難,ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生と業務停止,情報の外部漏洩等の事態が発生する可能性があり,それに伴い当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)安全衛生当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理には万全の対策を講じていますが,万一不測の事故・災害等が発生した場合には,生産活動に支障をきたし,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは,各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが,大規模な事故や災害が生じた場合,損害の全てを保険求償できない可能性があります。 (15)環境保全当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においても,その拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに,損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)災害・システム不全当社グループは,伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック),地震・洪水等の大規模災害,テロ等の犯罪行為,情報システムの機能不全によって,業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても,その影響を最小限に抑えるべく,事業継続計画(BCP)の整備,非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし,想定規模を超える災害やシステム不全が発生した際は,事業を適切に遂行することができず当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (17)為替動向外貨に対して円が上昇した場合は外貨建輸出工事における円換算後の入金額は目減りし,下落した場合は現地通貨建の海外調達において円換算支出額の増加を招く等,業績に及ぼす影響も大きくなります。そのため,外貨建の資産と負債のポジションの不均衡に対して,一定の方針に基づき為替予約やマリーの徹底によるリスクヘッジに努めていますが,想定以上の為替変動が発生した場合には,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)金利動向金利が上昇した場合,当社グループの支払利息が増加し金融収支が悪化します。また,財務活動において借入金又は社債の発行条件が悪化する可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (19)資金調達・格付当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており,自己資本と利益に関する財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同条項に抵触した場合,同ローンの借入れ条件の見直しや期限前弁済義務が生じるおそれがあり,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また,格付機関が当社グループの格付を引き下げた場合,当社グループの財務活動において不利な取引条件で取引をせざるを得ない,あるいは一定の取引ができなくなる可能性があり,資金調達に悪影響を与え,ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (20)税務繰延税金資産の計算は,将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて個別に資産計上・取崩を行なっていますが,将来の課税所得の予測・仮定が変更され,繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合,当社グループの繰延税金資産は減額され,その結果,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)与信管理当社グループは,世界中のお客さまに製品・サービスを提供しており,その多くが掛売り又は手形取引となっています。当社はこれに対し,グループ全体で与信管理体制の強化と債権保全の徹底に努めているものの,重要なお客さまが破綻し,その債権が回収できない場合には,当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (22)人材育成当社グループの将来の成長,技能の伝承は有能な従業員による部分が大きく,高い技術力と技量を有する従業員の確保及び技能の伝承は当社グループの経営課題のひとつです。このようなキーパーソンとなりうる人員を確保あるいは育成できなかった場合には,当社グループの将来の成長,業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。