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FY2025|6,149 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。これらのリスクは、経営会議等での審議等を経て抽出しており、取締役会において連結財務諸表での重要性、影響度、網羅性を確認した上で選定しています。また、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「その他の重要なリスク」に分類しています。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。なお、リスクを把握し、管理する体制・枠組みについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照下さい。 (特に重要なリスク) リスクの内容リスクに対する対応策①コンプライアンス 当社グループの役員・従業員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させた場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜、当社グループ製品の不買運動等に至り、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 「川崎重工グループ行動規範」を制定し、コンプライアンス違反を容認しない企業風土の醸成及び維持に努めています。また、社長を委員長とする全社コンプライアンス委員会において、企業としての社会的責任を果たすために各種施策の審議・決定、遵守状況のモニタリング等を行っています。 また、2024年に判明した潜水艦修繕事業、舶用エンジン事業に関する不正事案を受けて外部の弁護士で構成する特別調査委員会を設置し、原因等の調査や類似する不正事案がないか洗い出し等を進めています。加えて、新たに設けたコンプライアンス特別推進委員会において、特別調査委員会からの提言を踏まえ、「不正ができない仕組みの構築」「不正発見の強化」「組織風土・意識改革」の3つを柱に掲げ、再発防止策を強力に推進しています。②品質管理 当社グループは、顧客ニーズや社会課題解決のため、多岐にわたる製品・サービスを提供しています。それらの製造・サービス提供過程においては、社内外の基準に則り厳格な品質管理を実施していますが、予期せぬ製品の欠陥や品質面での不備が発生した場合、発生した損害について賠償を求められ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 2019年度に全社的なTQM(Total Quality Management)を推進する専門組織を立上げ、TQMに則った業務遂行体制の構築、品質管理教育、全員参加での品質向上に努めてきました。TQM活動においては、業務プロセスの整流化に加え、人の恣意性を排除しデジタル技術を用いた品質管理を進めています。 リスクの内容リスクに対する対応策③プロジェクトの契約・履行 プロジェクトに関しては、特に見積、契約条件、技術仕様、プロジェクト履行能力、債権管理等による損失リスクがあります。 プロジェクトの契約に際し、受注前のリスク検知と適正なリスク評価、適切なリスク回避策の実行に努めています。過去に多額の損失を計上した案件には、プロジェクト履行中のトラブルに関して、契約条件・条項の不備や契約相手方との解釈の相違等に起因するものが多く、法務部門による事前チェックを強化しています。 更に、受注後のプロジェクトについては、市場環境やその進捗状況に関して、経営成績等に大きな影響を与える可能性がある兆候を経営会議及び取締役会へタイムリーに報告しています。 現在履行中の大型プロジェクトのうち、当社グループが取り組んでいる大規模水素サプライチェーン構築プロジェクトについては、NEDOグリーンイノベーション基金事業で採択された各種事業を商用化に向けて進捗しており、各フェーズで発生する問題を早期に認識し、リスクを最小限に抑えながら円滑にプロジェクトを進めています。④脱炭素トランジション 2025年1月に米国がパリ協定からの離脱を宣言するなど、脱炭素に向けた取組のスローダウンや揺り戻しにより、当社グループが推進する水素関連製品、電動化などへの移行が進まない、または想定よりも時間が掛かることが懸念されます。 当社グループにおいては、各国・各地域の脱炭素政策の動向を注視しつつ、カーボンニュートラル社会の到来に備えて水素関連製品、CCUSなどの開発を継続していきます。その一方で、移行期の市場ニーズに応える製品の充実化等にも取り組んでいきます。⑤経済安全保障 近年、地政学リスクが高まる中、世界各国の政府が地政学的な課題解決のために、経済的手段を行使する場面が増加する等、経済活動と安全保障の関係が深くなっており、日本においても2022年に経済安全保障推進法が制定されるなど経済安全保障についての取組が進められています。 当社グループでは、連結売上収益の約半分が海外向けであり、米国・中国をはじめとする多くの国に生産・販売拠点を構えています。また、原材料や部品についても海外から多く調達し、多くの製品を海外へ輸出しています。そのため、重要な部品や原材料の安定的な確保、他国への技術流出防止等の対応が、従来以上に必要となっています。 国際情勢の動向や各国の法規制の改正等を注視しつつ、経済安全保障に関する変化に対応すべく、2022年に経済安全保障推進に関する専門組織を設置しました。また、国際情勢や各国の政策・法制度の動向等の調査・分析、各種リスクの評価等、状況の変化に迅速に対応できる社内体制を構築し、情報の共有及び対応策を実施していくとともに、2025年5月に施行された重要経済安保情報保護活用法についても、行政機関から重要経済安保情報の提供を打診されることを想定した適切な準備を進めています。 リスクの内容リスクに対する対応策⑥インフレによる調達品等の価格高騰 国内外のインフレ進行、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等に伴い、原材料価格、人件費、エネルギー価格、物流費等の上昇が続いています。事業計画策定に当たっては一定のコスト上昇を織り込んでいますが、想定を超える価格の上昇や部品供給の不足が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 コストダウン活動を継続しつつ、販売契約へのエスカレーション条項の織込みや調達品価格の高騰を適切に販売価格へ反映するなどの対策を行っています。⑦情報セキュリティ 当社グループは、社会インフラから消費者向け製品に至るまで、多様な製品を国内外に提供しており、重要な情報資産として多岐にわたる技術・営業情報や顧客情報を蓄積・保有しています。業務プロセスのデジタル化が進むなか、社外からのサイバー攻撃は増加傾向にあり、重要情報の漏洩やシステム停止、その復旧を条件とした身代金要求といった事象に加え、工場の生産システムが攻撃を受けることで損失が発生するリスクも高まっています。 情報セキュリティリスクに適切に対処するため、サイバーセキュリティ総括部門を中心に、管理ルールの整備、最新技術の導入、オペレーションの高度化によるサイバーディフェンス態勢の強化を推進しています。 更に、eラーニング等による役員・従業員への情報セキュリティ教育や訓練を実施し、情報セキュリティ意識の向上を通じたリスク低減にも継続して取り組んでいます。⑧訴訟 当社グループは、事業を展開するに当たり、契約条件の明確化、知的財産権の適正な取得・使用、各種法規制の遵守等により、トラブルを未然に防止するよう努めています。 しかし、予期せぬ事象が生じた場合、損害賠償の請求や訴訟を提起されることがあり、当社グループの経営成績、社会的信用等に影響を及ぼす可能性があります。 一方で、取引相手先による契約不履行や当社グループが保有する知的財産権の侵害等が生じた時には、当社グループの権利保護を求めて訴訟を提起する場合があります。 弁護士等の外部専門家と連携する等、最善策を講じるための体制を整備しています。また、法務機能を担う人財の育成及び獲得を行い、より一層の法務対応力の強化にも取り組んでいます。 なお、当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(2)その他」をご参照下さい。⑨人財の獲得・維持 人財の獲得・維持は、事業活動の継続及び成長のための重要な経営課題と考えています。 しかし、少子高齢化による労働人口の減少、人財の獲得競争の激化やキャリア意識の多様化に伴う労働市場の流動化により人財の獲得・維持が困難となり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、人的資本に関する基本方針「川崎重工グループ人財マネジメント方針」を掲げ、より多くの人財が働きがいと働きやすさを実感できる環境づくりに取り組んでおり、これからも職場として選んでいただける会社であり続けたいと考えています。施策の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照下さい。 また、ロボットやAIの活用、DXによる業務プロセスの見える化・効率化を図ることにより、事業の成長ステージにおいても従業員の増加を抑えます。更に、従業員が付加価値の高い仕事に集中することにより、”やりがい”や”成長”を実感できる働き方を実現することでキャリア意識の多様化にも対応していきます。 (その他の重要なリスク) リスクの内容リスクに対する対応策⑩景気変動 新たな関税政策による各国の景気減速や経済成長の鈍化への警戒感の高まりなどが当社グループの事業活動に影響を及ぼし、売上収益等に影響する可能性があります。 官公庁向けと民間向け、先進国向けと新興国向け、受注生産型と見込み生産型、B to BやB to Cなど、景気サイクルの異なる多様な事業でポートフォリオを構成しており、景気変動リスクを分散させています。また、社会情勢や国際動向を注視し、社会課題、市場ニーズ等に対応した開発・受注活動を継続することで売上収益を確保するほか、見込み生産型事業においては、販売や在庫の状況をモニタリングして生産調整をタイムリーに行うなど、景気が減速する局面においても経営成績等に及ぼす影響が最小限になるように努めています。⑪資金調達・金利変動 当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達を行っていますが、金融危機が発生する等、金融市場が正常に機能しない場合には、一時的に資金調達を想定どおり行うことが難しくなる可能性があります。 また、市場金利の急激な上昇によって資金調達コストが増大した場合、支払利息等の金利負担増加により金融収支が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 なお、金融機関からの借入金には、コベナンツ(財務制限条項)が付されていることがあり、コベナンツに抵触する事象が発生した場合、当該借入金についての期限の利益を喪失する可能性があるほか、その他の債務についても一括返済が求められる可能性があります。その結果、当社グループの信用力や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 資金調達の実行リスクに対しては、資金調達手段の多様化やコミットメントラインを含む十分な融資枠を確保する等の対策を講じています。資金調達コストの増大リスクに対しては、固定金利での長期資金調達を行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めています。 なお、財務制限条項への抵触リスクに関して、現在の財務状況に鑑みるとその可能性は低いと考えています。 当社グループは引き続き財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持・向上を図るほか、サステナブルファイナンスを積極的に活用することで、資金調達の面からも「グループビジョン2030」の実現に向けて取り組んでいきます。⑫為替変動 当社グループの業績見通しにおいては、一定量の為替変動リスクが含まれています。 現在、米国関税等の通商政策の不確実性の高まりに端を発した金融マーケットの急激なボラティリティの高まりは、為替相場にも波及しています。今後も相場の変動が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 為替変動リスクに対しては、実需の外貨建債権・債務に対し、投機的な要素を排除した形で日本円のディスカウントコストを考慮しながら為替予約等のリスクヘッジを行っています。また、パワースポーツ&エンジン事業を中心として、為替影響分の価格転嫁、海外調達及び海外生産比率の見直し等を通じて為替リスクの低減に取り組んでいます。 リスクの内容リスクに対する対応策⑬開発投資 当社グループは、社会課題の解決と持続的な企業価値向上のため、将来の収益が期待できる分野への研究開発投資や設備投資を行っています。開発の項目や内容の選定判断を誤ることで競合に対する競争力を失い、事業・製品のシェアを低下させるリスクがあります。 また、水素利活用分野など基礎研究から実証、製品化へは長期にわたる投資が必要なものが多く、市場変化や顧客、競合動向、各国規制の変化等によっては開発戦略の見直しや撤退を迫られる分野もあり、過去には投入した開発費が回収できなかった事業も存在しています。 開発投資に関しては、対象分野の選定やその内容、人財投入計画等について、経営戦略や事業ポートフォリオ上の位置づけなども踏まえて決定し、進捗管理についても適宜フォローしています。 ⑭固定資産の減損 当社グループは、継続的に設備投資を行いながら事業活動を進めており、多くの固定資産を有しています。現時点において、多額の減損を計上するような懸念事項はないと考えていますが、今後外部環境の変化等により減損処理を行う必要性が生じた場合、損失が発生するリスクがあります。 大規模事業投資(設備投資を含む)案件について、大型プロジェクトの受注前プロセスと同様、投資決定前のリスク審査を強化する取組を行っています。⑮繰延税金資産の回収可能性 当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、事業計画を基礎として将来の課税所得の発生やタックスプランニングに基づき、回収可能性を検討しています。 なお、将来の見通しに変化が生じた際は回収可能性の見直しが必要となり、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなったと判断された場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 将来の見通しの変化等により事業計画にダウンサイドリスクが判明した場合には、繰延税金資産に関しての見直しの要否を適時に判断できるような体制を構築しています。
FY2024|6,352 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。これらのリスクは、経営会議等での審議等を経て抽出しており、取締役会において連結財務諸表での重要性、影響度、網羅性を確認した上で選定しています。また、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「その他の重要なリスク」に分類しています。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。なお、リスクを把握し、管理する体制・枠組みについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照下さい。 (特に重要なリスク) リスクの内容リスクに対する対応策①プロジェクトの契 約・履行 プロジェクトに関しては、特に見積、契約条件、技術仕様、プロジェクト履行能力、債権管理等による損失リスクがあります。 プロジェクトの契約に際し、受注前のリスク検知と適正なリスク評価、適切なリスク回避策の実行に努めています。過去に多額の損失を計上した案件には、プロジェクト履行中のトラブルに関して、契約条件・条項の不備や契約相手方との解釈の相違等に起因するものが多く、法務部門による事前チェックを強化しています。 更に、受注後のプロジェクトについては、市場環境やその進捗状況に関して、経営成績等に大きな影響を与える可能性がある兆候を経営会議及び取締役会へタイムリーに報告しています。 現在履行中の大型プロジェクトのうち、当社グループが取り組んでいる大規模水素サプライチェーン構築プロジェクトについては、NEDOグリーンイノベーション基金事業で採択された各種事業が、商用化に向けて始動しています。事業推進に際して、各フェーズで発生する問題を早期に認識し、リスクを最小限に抑えながら円滑にプロジェクトを進めています。②品質管理 当社グループは、顧客ニーズや社会課題解決のため、多岐にわたる製品・サービスを提供しています。それらの製造・サービス提供過程においては、社内外の基準に則り厳格な品質管理を実施していますが、予期せぬ製品の欠陥や品質面での不備が発生した場合、発生した損害について賠償を求められ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 2017年にN700系新幹線台車枠に亀裂が発生するという極めて重大なインシデントを引き起こしたことを重く受け止め、社内に品質管理委員会を立上げ、原因究明と再発防止に努めてきました。また、2019年度に全社的なTQM(Total Quality Management)を推進する専門組織を立上げ、TQMに則った業務遂行体制の構築、品質管理教育、全員参加での品質向上に努めてきました。 TQM活動においては、業務プロセスの整流化に加え、人の恣意性を排除しデジタル技術を用いた品質管理を進めています。 リスクの内容リスクに対する対応策③コンプライアンス 当社グループの役員・従業員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させた場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜、当社グループ製品の不買運動等に至り、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 「川崎重工グループ行動規範」を制定し、コンプライアンス違反を容認しない企業風土の醸成及び維持に努めています。また、社長を委員長とする全社コンプライアンス委員会を設置し、企業としての社会的責任を果たすために各種施策の審議・決定、遵守状況のモニタリング等を行っています。 2022年6月に川重冷熱工業㈱が製造・販売した一部の製品の検査などに関する不適切行為が判明しました。今後このような不適切行為を起こすことがないよう、外部の弁護士で構成する特別調査委員会での徹底した原因究明を踏まえた是正措置を講じるとともに、コンプライアンスの一層の強化を図り、再発防止に取り組んでいます。④訴訟 当社グループは、事業を展開するに当たり、契約条件の明確化、知的財産権の適正な取得・使用、各種法規制の遵守等により、トラブルを未然に防止するよう努めています。 しかし、予期せぬ事象が生じた場合、損害賠償の請求や訴訟を提起されることがあり、当社グループの経営成績、社会的信用等に影響を及ぼす可能性があります。 一方で、取引相手先による契約不履行や当社グループが保有する知的財産権の侵害等が生じたときには、当社グループの権利保護を求めて訴訟を提起する場合があります。 弁護士等の外部専門家と連携する等、最善策を講じるための体制を整備しています。また、法務機能を担う人財の育成及び獲得を行い、より一層の法務対応力の強化にも取り組んでいます。 なお、当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(2)その他」をご参照下さい。⑤情報セキュリティ 当社グループは、社会インフラから消費者向け製品に至るまで、多様な製品を国内外に提供しており、重要な情報資産として多岐にわたる技術・営業情報や顧客情報を蓄積・保有しています。業務プロセスのデジタル化が進むなか、社外からのサイバー攻撃は増加傾向にあり、重要情報の漏洩やシステム停止、その復旧を条件とした身代金要求といった事象に加え、工場の生産システムが攻撃を受けることで損失が発生するリスクも高まっています。 情報セキュリティリスクに適切に対処するため、サイバーセキュリティ総括部門を中心に、管理ルールの整備、最新技術の導入、オペレーションの高度化によるサイバーディフェンス態勢の強化を推進しています。 更に、eラーニング等による役員・従業員への情報セキュリティ教育や訓練を実施し、情報セキュリティ意識の向上を通じたリスク低減にも継続して取り組んでいます。 リスクの内容リスクに対する対応策⑥人財の獲得・維持 人財の獲得・維持は、事業活動の継続及び成長のための重要な経営課題と考えています。 しかし、少子高齢化による労働人口の減少、人財の獲得競争の激化やキャリア意識の多様化に伴う労働市場の流動化により人財の獲得・維持が困難となり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、人的資本に関する基本方針「川崎重工グループ人財マネジメント方針」を掲げ、より多くの人財が働きがいと働きやすさを実感できる環境づくりに取り組んでおり、これからも職場として選んでいただける会社であり続けたいと考えています。施策の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照下さい。 また、ロボットやAIの活用、DXによる業務プロセスの見える化・効率化により、事業の成長ステージにおいても従業員の増加を抑えます。更に、従業員が付加価値の高い仕事に集中することにより、“やりがい”や“成長”を実感できる働き方を実現することでキャリア意識の多様化にも対応していきます。⑦経済安全保障 近年、地政学リスクが高まるなか、世界各国の政府が地政学的な課題解決のために、経済的手段を行使する場面が増加する等、経済活動と安全保障の関係が深くなっており、日本においても2022年に経済安全保障推進法が制定されるなど経済安全保障についての取組が進められています。 当社グループでは、連結売上収益の約半分が海外向けであり、米国・中国をはじめとする多くの国に生産・販売拠点を構えています。また、原材料や部品についても海外から多く調達し、多くの製品を海外へ輸出しています。そのため、重要な部品や原材料の安定的な確保、他国への技術流出防止等の対応が、従来以上に必要となっています。 国際情勢の動向や各国の法規制の改正等を注視しつつ、経済安全保障に関する変化に対応すべく、2022年に経済安全保障推進に関する専門組織を設置しました。また、国際情勢や各国の政策・法制度の動向等の調査・分析、各種リスクの評価等、状況の変化に迅速に対応できる社内体制を構築し、情報の共有及び対応策を実施しています。⑧調達品価格の高騰 国内外のインフレ進行、円安、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等に伴い、原材料価格、人件費、エネルギー価格、物流費等の上昇が続いています。 事業計画策定にあたっては一定のコスト上昇を織り込んでいますが、想定を超える価格の上昇や部品供給の不足が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 コストダウン活動を継続しつつ、販売契約へのエスカレーション条項の織込みや調達品価格の高騰を適切に販売価格へ反映するなどの対策を行っています。⑨脱炭素社会・ゼロエミッション 当社グループが提供する輸送機器やエネルギーシステムの多くは、化石燃料をベースにしています。また、生産をはじめとする事業活動においてCO2を排出しています。脱炭素社会やゼロエミッションの到来によって、現在の製品・技術が各種規制によって使用できなくなることや、顧客をはじめとする様々なステークホルダーへの価値を創出できなくなることで、事業そのものが淘汰される可能性があります。 また、事業活動におけるCO2排出を削減するための莫大な追加コストが発生するリスクも存在しています。 水素サプライチェーン商用化に向けた活動や、水素を燃料とする輸送機器・エネルギーシステム、電動機器など脱炭素社会に対応した事業に向けた研究開発を行うとともに、水素エネルギーを活用して2030年までに当社グループの国内事業所のCO2排出量を実質ゼロにする等、様々な対策を進めています。 更に、当社グループの脱炭素ソリューションを社会や各ステークホルダーへと広げ、2040年にZero-Carbon Ready、2050年にはグループ全体でのCO2排出量の実質ゼロを目指します。 (その他の重要なリスク) リスクの内容リスクに対する対応策⑩開発投資 当社グループは、社会課題の解決と持続的な企業価値向上のため、将来の収益が期待できる分野への研究開発投資や設備投資を行っています。開発の項目や内容の選定判断を誤ることで競合に対する競争力を失い、事業・製品のシェアを低下させるリスクがあります。 また、水素利活用分野など基礎研究から実証、製品化へは長期にわたる投資が必要なものが多く、市場変化や顧客、競合動向、各国規制の変化等によっては開発戦略の見直しや撤退を迫られる分野もあり、過去には投入した開発費が回収できなかった事業も存在しています。 開発投資に関しては、対象分野の選定やその内容、人財投入計画等については、経営戦略や事業ポートフォリオ上の位置付けなども踏まえて決定し、進捗管理についても適宜フォローしています。⑪景気変動 景気変動が当社グループの事業活動に影響を及ぼし、売上収益等に影響する可能性があります。 官公庁向けと民間向け、先進国向けと新興国向け、受注生産型と見込み生産型、B to BやB to Cなど、景気サイクルの異なる多様な事業でポートフォリオを構成しており、景気変動リスクを分散させています。また、社会情勢や国際動向を注視し、社会課題、市場ニーズ等に対応した開発・受注活動を継続することで売上収益を確保するほか、見込み生産型事業においては、販売や在庫の状況をモニタリングして生産調整をタイムリーに行うなど、景気が減速する局面においても経営成績等に及ぼす影響が最小限になるように努めています。⑫為替変動 当社グループの業績見通しにおいては、一定量の為替変動リスクが含まれています。 現在、日米金利差拡大、日本の貿易赤字の影響等を背景とした円安は、売上収益には好影響を及ぼす一方で、調達価格やエネルギー価格上昇などのコスト増をもたらしており、今後も為替相場の変動が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 為替変動リスクに対しては、実需の外貨建債権・債務に対し、投機的な要素を排除した形で日本円のディスカウントコストを考慮しながら為替予約等のリスクヘッジを行っています。また、パワースポーツ&エンジン事業を中心として、為替影響分の価格転嫁、海外調達の拡大及び海外生産比率の増加等を通じて為替リスクの低減に取り組んでいます。 リスクの内容リスクに対する対応策⑬資金調達・金利変動 当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達を行っていますが、金融危機が発生する等、金融市場が正常に機能しない場合には、一時的に資金調達を想定どおり行うことが難しくなる可能性があります。 また、市場金利の急激な上昇によって資金調達コストが増大した場合、支払利息等の金利負担増加により金融収支が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 なお、金融機関からの借入金には、コベナンツ(財務制限条項)が付されていることがあり、コベナンツに抵触する事象が発生した場合、当該借入金についての期限の利益を喪失する可能性があるほか、その他の債務についても一括返済が求められる可能性があります。その結果、当社グループの信用力や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 資金調達の実行リスクに対しては、資金調達手段の多様化やコミットメントラインを含む十分な融資枠を確保する等の対策を講じています。資金調達コストの増大リスクに対しては、固定金利での長期資金調達を行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めています。 なお、財務制限条項への抵触リスクに関して、現在の財務状況に鑑みるとその可能性は低いと考えています。 当社グループは引き続き財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持・向上を図るほか、サステナブルファイナンスを積極的に活用することで、資金調達の面からも「グループビジョン2030」の実現に向けて取り組んでいきます。⑭固定資産の減損 当社グループは、継続的に設備投資を行いながら事業活動を進めており、多くの固定資産を有しています。現時点において、多額の減損を計上するような懸念事項はないと考えていますが、今後外部環境の変化等により減損処理を行う必要性が生じた場合、損失が発生するリスクがあります。 大規模事業投資(設備投資を含む)案件について、大型プロジェクトの受注前プロセスと同様、投資決定前のリスク審査を強化する取組を行っています。⑮繰延税金資産の回収可能性 当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、事業計画を基礎として将来の課税所得の発生やタックスプランニングに基づき、回収可能性を検討しています。 なお、将来の見通しに変化が生じた際は回収可能性の見直しが必要となり、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなったと判断された場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 将来の見通しの変化等により事業計画にダウンサイドリスクが判明した場合には、繰延税金資産に関しての見直しの要否を適時に判断できるような体制を構築しています。
FY2023|7,053 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。これらのリスクは、経営会議等での審議等を経て抽出しており、取締役会において連結財務諸表での重要性、影響度、網羅性を確認した上で選定しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 (1) 経営成績の見通しに重要な影響を与える可能性があると認識しているリスク① 地政学リスク米中貿易摩擦問題、台湾有事懸念、ロシア・ウクライナ情勢、世界各国における経済安全保障法制の強化など地政学リスクが高まっており、原材料価格及び物流費の高騰、エネルギー価格上昇、サプライチェーン問題などをもたらしています。当社グループの連結売上収益の約半分が海外向けであり、米国・中国をはじめとする多くの国に生産・販売拠点を構えています。また、原材料や部品についても、海外から多く調達しています。そのため、事業に関連する国・地域の政治、経済、社会、法規制、自然災害等の影響を受ける可能性がありますが、当社グループは、国際情勢の動向や各国の法規制の改正等を注視しつつ、状況の変化に迅速に対応できる社内体制を構築し、情報の共有及び対応策を実施しています。 ② 調達品価格の高騰リスクコロナ禍からの本格的な経済回復、国内外のインフレ進行、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等に伴い、原材料価格、人件費、エネルギー価格、物流費等の上昇が続いています。事業計画策定にあたっては一定のコスト上昇を織り込んでいますが、想定を超える価格の上昇が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、コストダウン活動を継続しつつ、販売契約へのエスカレーション条項の織込みや調達品価格の高騰を適切に販売価格へ反映するなどの対策を行っています。 ③ 部品入手困難による生産遅延リスク米中貿易摩擦やコロナ禍の影響で半導体などの調達部品が不足しており、一部の製品において生産遅延が生じています。今後の部品調達の状況によっては、パワースポーツ&エンジン事業やロボット事業を中心に販売が減少する可能性がありますが、代替品の活用や生産調整等の対策を実行し、利益の確保に努めています。 ④ 景気変動リスク景気変動は企業の事業活動に影響を及ぼし、売上収益等に影響する可能性があります。当社グループは、官公庁向けと民間向け、先進国向けと新興国向け、受注生産型と見込み生産型、B to BやB to Cなど、景気サイクルの異なる多様な事業でポートフォリオを構成しており、景気変動リスクを分散させています。また、社会情勢や国際動向を注視し、社会課題、市場ニーズ等に対応した開発・受注活動を継続することで売上収益を確保するほか、見込み生産型事業においては、販売や在庫の状況をモニタリングして生産調整をタイムリーに行うなど、景気が減速する局面においても経営成績及びキャッシュ・フローに及ぼす影響が最小限になるように努めています。 ⑤ プロジェクトの契約・履行に関するリスク当社グループは、過去に鉄道車両、エネルギー関連設備、海洋資源開発支援船など大型プロジェクトにおいて多額の損失を計上した反省を踏まえ、見積、契約条件、技術仕様等に対するリスク検知と適正な評価、実効性のあるリスク回避策の立案が重要と考え、受注前のリスクチェック機能を強化してきました。2020年度からは、過去の損失案件等から得た教訓を規律として社則化するとともに、過去の案件から統計的に導いた損失リスクの総量を自己資本に見合った範囲に抑えるリスク統制アプローチを導入しています。特に、契約条件・条項に起因して損失に繋がったケースが過去にあり、契約に関するリスクを低減するために、法務部門が契約書の最終確認を行っています。また、法務機能を担う人財の育成及び獲得、社外弁護士の活用等を通じて、より一層の法務対応力の強化にも取り組んでいます。 更に、受注後のプロジェクトについては、市場環境やその進捗状況において、経営成績等に大きな影響を与える可能性がある兆候を経営会議及び取締役会へタイムリーに報告し、モニタリング機能の強化にも努めてきました。現在履行中の大型プロジェクトのうち、北米向け地下鉄車両案件は、量産車の製造が本格化しており、社長直轄のタスクフォース組織において、プロジェクト遂行に伴うリスクを低減させるとともに、生産効率や製品品質を更に改善させ、事業採算性の向上、利益の拡大に努めています。また、当社グループが取り組んでいる大規模水素サプライチェーン構築プロジェクトについては、NEDOグリーンイノベーション基金事業で採択された各種事業が、商用化に向けて始動しています。事業推進に際して、各フェーズで発生する問題を早期段階で認識し、リスクを最小限に抑えながら円滑にプロジェクトを進めるべく取り組んでいます。 ⑥ 訴訟に関するリスク当社グループは事業を展開するにあたり、契約条件の明確化、知的財産権の適正な取得・使用、各種法規制の遵守等により、トラブルを未然に防止するよう努めています。しかし、予期せぬ事象が生じた場合、損害賠償の請求や訴訟を提起されることがあり、当社グループの業績や財務状況、社会的信用等に影響を及ぼす可能性があります。一方で、取引相手先による契約不履行や当社グループが保有する知的財産権の侵害等が生じたときには、当社グループの権利保護を求めて訴訟を提起する場合があります。それらの対応にあたっては、弁護士等の外部専門家と連携する等、最善策を講じるための体制を整備しています。なお、当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす重要な訴訟に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(2)その他」をご参照下さい。 ⑦ 為替変動に関するリスク当社グループの業績見通しにおいては、一定量の為替変動リスクが含まれています。そのため、実需の外貨建債権・債務に対し、投機的な要素を排除した形で日本円のディスカウントコストを考慮しながら為替予約等のリスクヘッジを行っています。また、パワースポーツ&エンジン事業を中心として、為替影響分の価格転嫁、海外調達の拡大及び海外生産比率の増加等を通じて為替リスクの低減に取り組んでいます。現在、日米金利差拡大、日本の貿易赤字の影響等を背景とした円安は、売上収益には好影響を及ぼす一方で、調達価格やエネルギー価格上昇などのコスト増をもたらしています。日米の金融政策の動向、金融システム不安や地政学リスク顕在化等の影響により、為替相場の変動幅は大きくなっており、為替リスクに関する不確実性は高まっています。そのため、引き続き相場を注視するとともに、必要に応じて対策を講じていきます。 ⑧ 資金調達リスク・金利変動リスク当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達を行っていますが、金融危機が発生する等、金融市場が正常に機能しない場合には、一時的に資金調達を想定どおり行うことが難しくなる可能性があります。そのため、資金調達手段の多様化やコミットメントラインを含む十分な融資枠を確保する等の対策を講じています。また、市場金利の急激な上昇によって資金調達コストが増大した場合、支払利息等の金利負担増加により金融収支が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、固定金利での長期資金調達を行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めています。なお、金融機関からの借入金には、コベナンツ(財務制限条項)が付されていることがあり、コベナンツに抵触する事象が発生した場合、当該借入金についての期限の利益を喪失する可能性があるほか、その他の債務についても一括返済が求められる可能性があります。その結果、当社グループの信用力や財政状態に大きな影響を及ぼすこととなりますが、現在の財務状況に鑑みるとその可能性は低いと見ています。当社グループは引き続き財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持・向上を図るほか、サステナブルファイナンスを積極的に活用することで、資金調達の面からも「グループビジョン2030」の実現に向けて取り組んでいます。 ⑨ 品質管理リスク当社グループは、顧客ニーズや社会課題解決のため、多岐にわたる製品・サービスを提供しています。それらの製造・サービス提供過程においては、社内外の基準に則り厳格な品質管理を実施していますが、予期せぬ製品の欠陥や品質面での不備が発生した場合、発生した損害について賠償を求められ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、2017年にN700系新幹線台車枠に亀裂が発生するという極めて重大なインシデントを引き起こしたことを重く受け止め、社内に品質管理委員会を立上げ、原因究明と再発防止に努めてきました。また、2019年度に全社的なTQM(Total Quality Management)を推進する専門組織を立上げ、TQMに則った業務遂行体制の構築、品質管理教育、全員参加での品質向上に努めてきました。今後のTQM活動においては、業務プロセスの整流化に加え、人の恣意性を排除したデジタル技術を用いた品質管理の導入を、当社グループ全体で推進していく予定です。 ⑩ コンプライアンスに関するリスク当社グループの役員・従業員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させた場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜、当社グループ製品の不買運動等に至り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「川崎重工グループ行動規範」を制定し、コンプライアンス違反を容認しない企業風土の醸成及び維持に努めています。また、社長を委員長とする全社コンプライアンス委員会を設置し、企業としての社会的責任を果たすために各種施策の審議・決定、遵守状況のモニタリング等を行っています。2022年6月に川重冷熱工業㈱が製造・販売した一部の製品の検査などに関する不適切行為が判明しました。今後このような不適切行為を起こすことがないよう、外部の弁護士で構成する特別調査委員会での徹底した原因究明を踏まえた是正措置を講じるとともに、コンプライアンスの一層の強化を図り、再発防止に取り組んでいます。 ⑪ 情報セキュリティリスク当社グループは、社会インフラから消費者向け製品に至るまで、多様な製品を国内外に提供しており、重要な情報資産として多岐にわたる技術・営業情報や顧客情報を蓄積・保有しています。業務プロセスのデジタル化が進むなか、社外からのサイバー攻撃は増加傾向にあり、重要情報の漏洩やシステム停止、その復旧を条件とした身代金要求といった事象に加え、工場の生産システムが攻撃を受けることで事業損失が発生するリスクも高まっています。このような事態に適切に対処するため、サイバーセキュリティ統括部門を中心に、管理ルールの整備、最新技術の導入、オペレーションの高度化によるサイバーディフェンス態勢の強化を推進しています。更にeラーニングによる役員・従業員への情報セキュリティ教育や訓練等、ITリテラシー向上を通したリスク低減にも継続して取り組んでいます。 ⑫ 貸倒リスク当社グループは、国内外の顧客に対して代金債権を有しています。顧客の信用不安や契約不履行等により、債権回収に問題が生じた場合は、担保の充当や債権債務の相殺等により回収しますが、回収不能な場合は貸倒れによる損失が発生する可能性があります。当社グループは、取引開始前の与信管理を徹底するとともに、取引期間中は顧客の財務状況を定期的にモニタリングする等、貸倒リスクの低減に取り組んでいます。 〔経理処理に関するリスク〕⑬ 固定資産の減損リスク当社グループは、継続的に設備投資を行いながら事業活動を進めており、多くの有形固定資産及び無形資産を有しています。現時点において、多額の減損を計上するような懸念事項はないと考えていますが、今後何らかの外部環境の変化により減損処理を行う必要性が生じた場合、損益が悪化するリスクがあります。なお、大規模事業投資(設備投資を含む)案件について、大型プロジェクトの受注前プロセスと同様、投資決定前のリスク審査を強化する取組を行っています。 ⑭ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、事業計画を基礎として将来の課税所得の発生やタックスプランニングに基づき、回収可能性を検討しています。なお、将来の見通しに変化が生じた際は、回収可能性の見直しが必要となり、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなったと判断された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 そのため、将来の見通しの変化等により事業計画にダウンサイドリスクが判明した場合には、繰延税金資産に関しての見直しの要否を適時に判断できるような体制を構築しています。 (2) 経済動向・社会・制度等の変化により事業活動の継続が困難となる重要事象① 人財の獲得・維持人財の獲得・維持は事業活動の継続及び成長のための重要な経営課題と考えています。しかし、少子高齢化等に伴う労働力人口の不足、近年の人件費上昇や労働市場を取り巻く環境変化等によって人財の獲得・維持が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、人的資本に関する基本方針「川崎重工グループ人財マネジメント方針」を掲げ、各種施策に取り組んでいます。施策の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照下さい。また、労働力人口不足という問題に対し、当社グループはそのソリューションとして、離れた場所からでも社会参画を可能とするリモートロボティクス、輸送ニーズに対応した配送ロボット、無人輸送ヘリコプタなどの市場投入を迅速に行うことで社会課題解決に貢献していきます。 ② 脱炭素化社会・ゼロエミッション当社グループが提供する輸送機器やエネルギーシステムの多くは、化石燃料をベースにしています。また、生産をはじめとする事業活動においてCO2を排出しています。脱炭素社会やゼロエミッションの到来によって、現在の製品・技術が各種規制によって使用不可となることや、顧客をはじめとする様々なステークホルダーへの価値を創出できなくなることで、事業そのものが淘汰される可能性があります。また、事業活動におけるCO2排出を削減するための莫大な追加コストが発生するリスクも存在しています。そのため、水素サプライチェーン商用化に向けた活動や、水素を燃料とする輸送機器・エネルギーシステム、電動機器など脱炭素社会に対応した事業に向けた研究開発を行うとともに、水素エネルギーを活用して2030年までに当社グループの国内事業所のCO2排出量を2030年までに実質ゼロにする等、様々な対策を進めています。更に、当社グループの脱炭素ソリューションを社会や各ステークホルダーへと広げ、2040年にZero-Carbon Ready、2050年にはグループ全体でのCO2排出量の実質ゼロを目指します。 ③ 経済安全保障近年、地政学リスクが高まるなか、世界各国の政府が地政学的な課題解決のために、経済的手段を行使する場面が増加する等、経済活動と安全保障の関係が深くなっており、日本においても経済安全保障推進法が成立しました。当社グループにおいても、重要な部品や原材料の安定的な確保、他国への技術流出の防止等の対応が、従来以上に必要となっています。そのため、経済安全保障に関する変化に対応すべく、2022年に経済安全保障推進に関する専門組織を設置し、国際情勢や各国の政策・法制度の動向等の調査・分析、各種リスクの評価を行う等、適切な措置を講じています。 ④ 開発投資当社グループは、社会課題の解決と持続的な企業価値向上のため、将来の収益が期待できる分野への研究開発投資や設備投資を行っています。開発の項目や内容の選定判断を誤ることで競合に対する競争力を失い、事業・製品のシェアを低下させるリスクがあります。また、水素利活用分野など基礎研究から実証、製品化へは長期にわたる投資が必要なものが多く、市場変化や顧客、競合動向、各国規制の変化等によっては開発戦略の見直しや撤退を迫られる分野もあり、過去には投入した開発費が回収できなかった事業も存在しています。開発投資が当社グループの経営に大きな影響を及ぼすことがないよう、対象分野の選定やその内容、人財投入計画等については、経営戦略や事業ポートフォリオ上の位置付けなども踏まえて決定し、進捗管理についても適宜フォローしています。
FY2022|7,664 文字
2 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは下記のとおりです。これらのリスクは、経営会議等での審議等を経て抽出しており、取締役会において連結財務諸表での重要性、影響度、網羅性を確認した上で選定しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 (1) 経営成績の見通しに重要な影響を与える可能性があると認識しているリスク[景気・社会情勢に関するリスク]① 調達品価格の高騰リスクコロナ禍からの急速な経済回復やインフレに伴い、原材料価格や人件費、物流価格が上昇傾向にあるなか、ウクライナ情勢の深刻化によって価格が更に上昇する懸念があります。事業計画策定にあたっては一定のコスト上昇を織り込んでいますが、想定を超える価格の上昇が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、コストダウン活動を継続しつつ、販売契約へのエスカレーション条項の織込みや調達価格の高騰を適切に販売価格に反映するなどの対策を行っています。 ② 物流混乱による製品供給リスクや部品供給不足による生産遅延リスク当社グループの事業全般において、米中貿易摩擦やコロナ禍の影響で半導体や樹脂材料等が不足しているなか、中国ゼロコロナ政策による都市封鎖の影響も加わり、生産用部品の一部に納入遅れの状況が続いています。また、モーターサイクル事業においては、コロナ禍における北米を中心としたアウトドアレジャーの拡大によって、モーターサイクルやオフロード製品(二輪車・四輪車)の販売が増加していますが、世界的な輸送能力の逼迫により計画通りに出荷出来ない状況が続いています。今後の物流や部品調達の状況によっては、モーターサイクル事業やロボット事業を中心に販売が減少する可能性がありますが、代替品の活用や生産調整等の対策を実行し、利益の確保に努めています。また、中国ゼロコロナ政策による都市封鎖は概ね解除されていますが、新型コロナウイルスの感染状況や中国政府の方針等を、引き続き注視しています。 ③ ウクライナ情勢の影響現在、ロシアに対する経済制裁や各国規制により、ロシア国内での営業活動への影響は避けられず、ウクライナでは交通・物流等の機能を十分に果たせない状況にあります。当社グループにおける両国向け売上高は、モーターサイクル事業を中心に、ロシア向けが年間約10億円程度、ウクライナ向けは年間40百万円程度であり、収入面での経営成績及び財政状態に与える影響は大きくありません。一方、ウクライナ情勢を起因とした、金融市場への影響、エネルギー価格の上昇、サプライチェーンへの影響が顕在化しつつあり、当社グループにおいても原材料価格・物流価格の高騰の影響が懸念されます。引き続き状況を注視し、想定される事象に対して必要な対策を講じ、事業活動に及ぼす影響の最小化に努めます。 ④ 米中貿易摩擦の激化リスク当社グループの連結売上高の約半分が海外向けの売上であり、なかでも米国向け及び中国向けの比率が高く、双方に多くの生産・販売拠点を有しています。2018年以降、両国間は貿易摩擦が激化した状態にあるため、安全保障輸出管理に係る規制の強化等により、当社グループの両国関連事業にも影響を及ぼすことが懸念されます。当社グループでは、厳格な輸出管理体制を構築し法令遵守を実践してきましたが、引き続き両国の規制強化の動向を注視しつつ、輸出管理法令遵守に必要な措置を講じ、状況の変化に迅速に対応できる社内体制を構築して情報を共有し、対応策を実施しています。 ⑤ 景気減速リスク中国の建設機械市場は、中国政府が大型景気刺激策を実施した2020年度をピークに減少傾向にあり、今後の見通しも不透明な状況にあります。市況の変動は、当社グループの中国向け油圧機器の販売に影響を与える可能性がありますが、他地域での拡販や新製品への置換え等の施策を通じて販売量を確保していきます。一方、モーターサイクル事業では先進国を中心に需要は引き続き堅調であり、当面はこの傾向が継続すると見ていますが、インフレや金融引き締め政策等によって需要が減少する可能性もあります。当社グループは、末端販売や販売店在庫の状況を注視し、販売状況に変化の兆候が表れた場合は生産調整をタイムリーに実施する等の施策により在庫の適正管理を実施しています。 ⑥ 民間航空機事業及び民間航空機向けエンジン事業の本格的回復が遅延するリスク新型コロナウイルス感染症の影響が特に大きかった民間航空機事業については、旅客需要の見通しに基づく経営計画を策定した上で、余剰人員を他の成長事業等に再配置するなど固定費の圧縮に努めています。また、同様の影響のある民間航空機向けエンジン事業においても、エンジンプログラムごとの運航見通しに基づく経営計画を策定した上で、固定費削減等の収益改善の実現に向けて注力しています。なお、航空旅客輸送が新型コロナ流行以前の水準に回復する時期を2024年とする見方が一般的ですが、重症化リスクが低下しつつあることやワクチンの普及に加え、経済活動再開を優先する諸国が増加してきていることから、エアライン運航の回復が早期化される可能性も出ています。また、当社グループでは、自社のロボット技術を活用し高精度かつ大量に短時間の検査が可能となる自動PCR検査サービス事業を提供しています。安全・安心な公共交通機関による人々の往来の活発化を促し、民間航空機事業及び民間航空機向けエンジン事業の早期回復にも貢献しています。 [重点的に取り組んでいるリスク]⑦ 契約リスク当社グループは、事業活動を展開するにあたり、各ステークホルダーとの間で、国際法規や当事国の法規に則り契約を締結しています。しかしながら、仕様変更や製品保証、不可抗力等の問題が生じた場合、契約当事者間において契約解釈に関して争いが生じ、当社グループに損失が発生するリスクがあります。契約に際しては、事業部門と本社各部門が事前にリスクを抽出したうえで、法務部門がプロジェクトの特性や抽出されたリスク等を踏まえて契約条件・条項の事前チェックを行っています。また、契約リスクの更なる低減を図るため、法務機能を担う人財の育成及び確保、社外弁護士の活用等を通じて、より一層の法務対応力の強化に取り組んでいます。 ⑧ 大型プロジェクトの損失リスク当社グループは、過去に鉄道車両、エネルギー関連機器、海洋資源開発支援船など大型プロジェクトにおいて多額の損失を発生させた反省を踏まえ、見積、契約条件、技術仕様等に対するリスク検知と適正な評価、実効性のあるリスク回避策の立案が重要と考え、受注前のリスクチェック機能を強化してきました。2020年度からは、この取組みに加え、過去の損失案件等から得た教訓を規律として社則化するとともに、過去の案件から統計的に導いた損失リスクの総量を自己資本に見合った範囲に抑えるリスク統制アプローチを導入しています。更に、受注後のプロジェクトについては、市場環境やその進捗状況において、経営成績等に大きな影響を与える可能性がある兆候を、経営会議及び取締役会へタイムリーに報告し、モニタリング機能の強化にも努めてきました。現在履行中の大型プロジェクトのうち、北米向け地下鉄車両案件は、量産車の製造が本格化しており、社長直轄のタスクフォース組織において、プロジェクト遂行に伴うリスクを未然に防止するとともに、生産効率や製品品質を更に改善させ、事業採算性の向上、利益の拡大に努めています。また、当社グループが取り組んでいる大規模水素サプライチェーン構築プロジェクトについては、NEDOグリーンイノベーション基金事業で採択された各種事業が、商用化に向けて始動しています。事業推進に際して、各フェーズで発生する問題を早期段階で認識し、リスクを最小限に抑えながら円滑にプロジェクトを進めるべく取り組んでいます。 ⑨ 情報セキュリティリスク当社グループは、事業活動を通じて顧客や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、設計・技術・営業等に係る機密情報を多数保有しています。また、当社グループが提供する製品・サービスでのインターネット利用も増加しています。そのため、サイバー攻撃などによるコンピュータウイルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により個人情報や機密情報が消失、もしくは社外に漏洩する可能性があります。また、漏洩防止措置として当社グループ工場が生産を停止した場合の損失や、コンピュータウイルスによって顧客への納入製品又は提供サービスが機能停止に陥る事象等に対して補償が求められるリスクもあります。当社グループでは、これらの事象の発生を防ぐため、2020年度に設立したサイバーセキュリティの専門部署を中心に、厳格な情報管理体制の構築、インフラシステムの整備、従業員への教育等を通じた情報セキュリティの強化、情報漏洩及び消失等の防止に継続して努めています。 ⑩ 為替変動に関するリスク当社グループの業績見通しにおいては、毎期初時点で一定量の為替変動リスクが存在しています。そのため、実需の外貨建債権・債務に対し、投機的な要素を排除した形で日本円のディスカウントコストを考慮しながら為替予約等のリスクヘッジを行っています。また、モーターサイクル事業を中心として、為替影響分の価格転嫁、海外調達の拡大及び海外生産比率の増加等を通じて為替リスクの低減に取り組んでいます。現在、日米金利差拡大の影響による急激な円安により、売上面においては円安メリットを享受している一方で、コスト面においては調達価格やエネルギー価格等の上昇の影響を受けています。引き続き為替の動向を注視するとともに、必要に応じて対策を講じていきます。 ⑪ 品質管理リスク当社グループは、顧客ニーズや社会課題解決のため、多岐に亘る製品・サービスを提供しています。それらの製造・サービス提供過程においては、社内外の基準に則り厳格な品質管理を実施していますが、予期せぬ製品の欠陥や品質面での不備が発生した場合、発生した損害について賠償を求められ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、2017年にN700系新幹線台車枠に亀裂が発生するという極めて重大なインシデントを引き起こしてしまったことを重く受け止め、社内に品質管理委員会を立上げ、原因究明と再発防止に努めてきました。また、2019年度に全社的なTQM(Total Quality Management)を推進する専門組織を立上げ、TQMに則った業務遂行体制の構築、品質管理教育、全員参加での品質向上に努めています。なお、全社のTQM活動の到達レベルは、客観的な指標に基づいた評価を毎年行い、経営会議及び取締役会へ報告し、その評価結果をもとにした対策立案、その後の活動への反映を行っています。 ⑫ コンプライアンスに関するリスク当社グループの役職員が法令違反行為や企業倫理違反行為等を発生させた場合、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜、当社グループ製品の不買運動等に至り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「川崎重工グループ行動規範」を制定し、コンプライアンス違反を容認しない企業風土の醸成及び維持に努めています。また、社長を委員長とする全社コンプライアンス委員会を設置し、企業としての社会的責任を果たすための各種施策を審議・決定、遵守状況のモニタリング等を行っています。 [財務・経理に関するリスク]⑬ 資金調達リスク・金利変動リスク当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達を行っていますが、金融危機が発生する等、金融市場が正常に機能しない場合には、一時的に資金調達を想定通り行うことが難しくなる可能性があります。そのため、資金調達手段の多様化やコミットメントラインを含む十分な融資枠を確保する等の対策を講じています。また、市場金利の上昇によって資金調達コストが増大した場合、支払利息等の金利負担増加により金融収支が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、固定金利での長期資金調達を行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めています。なお、金融機関からの借入金には、コベナンツ(財務制限条項)が付されていることがあり、コベナンツに抵触する事象が発生した場合、当該借入金についての期限の利益を喪失する可能性があるほか、その他の債務についても一括返済が求められる可能性があります。その結果、当社グループの信用力や財政状態に大きな影響を及ぼすこととなりますが、現在の財務状況に鑑みるとその可能性は低いと見ています。当社グループは引き続き財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持・向上を図るほか、サステナブルファイナンスを積極的に活用することで、資金調達の面からも当社グループビジョン2030の実現に向けて取り組んでいます。 ⑭ 固定資産の減損リスク当社グループは、継続的に設備投資を行いながら事業活動を進めており、多くの有形及び無形の固定資産を有しています。現時点において、多額の減損を計上するような懸念事項はないと考えていますが、今後何らかの外部環境の変化により減損処理を行う必要性が生じた場合、損益が悪化するリスクがあります。なお、大規模事業投資(設備投資を含む)案件について、大型プロジェクトの受注前プロセスと同様、投資決定前のリスク審査を強化する取組みを行っています。 ⑮ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク当社グループは、税効果会計を適用し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、事業計画を基礎として将来の一定期間における課税所得の発生やタックスプランニングに基づき、回収可能性を検討しています。なお、将来の見通しに変化が生じた際は、回収可能性の見直しが必要となり、繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、将来の見通しの変化等により事業計画にダウンサイドリスクが判明した場合には、繰延税金資産の回収可能性に関しての見直しの要否を適時に判断できるような体制を構築しています。 ⑯ 貸倒リスク当社グループは、国内外の顧客に対して代金債権を有しています。顧客の信用不安や契約不履行等により、債権回収に問題が生じた場合は、担保の充当や債権債務の相殺等により回収しますが、回収不能な場合は貸倒れによる損失が発生する可能性があります。当社グループは、取引開始前の与信管理を徹底するとともに、取引期間中は顧客の財務状況を定期的にモニタリングする等、貸倒リスクの低減に取り組んでいます。 (2) 経済動向・社会・制度等の変化により活動の継続が困難となる重要事象① 脱炭素化社会・ゼロエミッション当社グループが提供する輸送機器やエネルギーシステムの多くは、化石燃料をベースにしています。また、生産をはじめとする事業活動においてCO2を排出しています。脱炭素社会やゼロエミッションの到来によって、現在の製品・技術が各種規制によって使用不可となることや、顧客をはじめとする様々なステークホルダーへの価値を創出できなくなることで、事業そのものが淘汰される可能性があります。また、事業活動におけるCO2排出を削減するための莫大な追加コストが発生するリスクも存在しています。そのため、水素サプライチェーン商用化に向けた活動や、水素を燃料とする輸送機器・エネルギーシステム、電動機器など脱炭素社会に対応した事業に向けた研究開発を行うとともに、水素エネルギーを活用して2030年までに国内自社工場をカーボンニュートラルにする等、様々な対策を進めています。 ② 経済安全保障に関するリスク近年、地政学リスクが高まるなか、世界各国の政府が地政学的な課題解決のために、経済をその手段として行使する場面が増加する等、経済活動と安全保障の関係が深くなっており、日本において経済安全保障推進法が成立しました。当社グループにおいても、重要な部品や原材料の安定的な確保、他国への技術流出の防止等の対応が、従来以上に必要となっています。そのため、経済安全保障に関する変化に対応すべく、2022年5月に経済安全保障推進室を新たに設置し、国際情勢や各国の政策・法制度の動向等の調査・分析、各種リスクの評価を行う等、適切な措置を講じています。 ③ 開発投資当社グループは、社会課題の解決と持続的な企業価値向上のため、将来の収益が期待できる分野への研究開発投資や設備投資を行っています。開発の項目や内容の選定判断を誤ることで競合に対する競争力を失い、事業・製品のシェアを低下させるリスクがあります。また、水素利活用分野など基礎研究から実証、製品化へは長期にわたる投資が必要なものが多く、市場変化や顧客、競合動向、各国規制の変化等によっては開発戦略の見直しや撤退を迫られる分野もあり、過去には投入した開発費が回収できなかった事業も存在しています。開発投資が当社グループの経営に大きな影響を及ぼすことがないよう、対象分野の選定やその内容、人財投入計画等については、経営戦略や事業ポートフォリオ上の位置付けなども踏まえて決定し、進捗管理についても適宜フォローしています。 ④ ライフスタイル・ワークスタイルの変化当社グループは、輸送機器システム、エネルギー・環境機器、産業インフラ機械など人々の生活に密着した事業を展開していますが、コロナ禍を契機にこれら人々の働き方や暮らし方が急激に大きく変わりつつあります。リモートワークやイーコマースの増加等によって人とモノの移動の仕方に変化が起こっており、また、パーソナル志向の高まり等によって顧客価値も変化していることから、当社グループが提供する製品・サービスについてもそれらの変化に対応する必要があります。離れた場所からでも遠隔操作で動作するリモートロボット、貨物輸送ニーズに対応した配送ロボット、無人輸送ヘリコプター、オフロード四輪などパーソナルユース向け製品の積極的な市場投入など、時代が求める様々なソリューションをスピーディに提供することで、様々な社会課題を解決していきます。
FY2020|1,494 文字
2 【事業等のリスク】当社グループでは、事業活動に与えるリスクを、中長期に亘り経営戦略に影響を及ぼすリスク、短期的な業績に影響を与えるリスク、大規模な受注・投資案件に関するリスクに分類し、リスクマネジメント体制の整備・拡充を図っています。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある重要な事項は下記のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。 (1) 新型コロナウイルス感染症拡大に係るもの現在感染が拡大している新型コロナウイルスは、未だその収束時期を見通すことはおろか、現時点ではその影響も正確に把握することが困難です。このような状況の下、事業活動を継続するため、情報収集やサプライチェーンの維持等様々な施策を講じているところです。しかしながら、想定以上に新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、世界経済の更なる悪化を招く場合や、コロナ後の社会構造が一変し事業環境が大きく変化する場合等、当社グループの業績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。かかる状況下ではありますが、市場回復局面における事業挽回の機会にも備えつつ、感染拡大防止等の社会課題の解決にも取り組んでいきます。なお、新型コロナウイルスの事業に与えるセグメント別の影響は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況 ② セグメント別業績の概要」を、具体的な対応策に関しては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の[経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題]をご参照下さい。 (2) 為替レートの変動に係るもの当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は、航空宇宙システム事業やモーターサイクル&エンジン事業を中心に約60%あり、米ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。為替変動による影響は費用より収益が大きくなっているため、急激な円高外貨安は当社グループの業績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。海外調達・海外生産拡大により外貨建コストの比率を高める、顧客先との契約代価に占める円建契約の比率を高める等、為替変動リスクの軽減に努めるとともに、為替動向を考慮しながら、各事業の特性に応じて計画的に為替予約等のヘッジを行っています。 (3) 個別プロジェクトリスクに係るもの当社グループの連結売上高の約60%は、アフターサービスを含む個別受注生産品が占めています。これまでも個別プロジェクトリスク管理を徹底してきましたが、政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工程の混乱による費用増等、当初見積り以上にコストが膨らみ、当社グループの業績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。大規模プロジェクトにおいては、受注前のリスク検知が重要課題であると認識し、リスクの洗い出しを目的とした見識者による受注前審査の充実、初品要素の多い案件に係る技術リスクの重点確認等、事前のリスクチェック機能を強化してきました。 また、プロジェクトリスク管理委員会において、主要プロジェクトの進捗状況を定期的にモニタリングする等、履行中における変化点の管理強化等も進めてきました。今後は、従来の事前のリスクチェックに加え、これまでのプロジェクトの失敗事例などから得た教訓を活かし受注や投資における規律を整備するとともに、リスク総量の統制を図る等、プロジェクトリスク管理を強化していきます。
FY2019|3,784 文字
2 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、設備の状況、経理の状況のうち、当社グループの経営成績、株価及び財務状況等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、記載事項のうち将来に関する事項は当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、グローバルかつ持続的な事業運営を可能とする全社的リスク管理の取組みに必要な体制を整え、当社グループにおける重要リスクを以下のとおり認識した上で、リスク発生の回避及びリスクが顕在化した時の影響の極小化に努めています。 (1) 政治・経済情勢当社グループは、日本国内はもとより米州・アジア・欧州をはじめ世界各地で事業展開をしています。このため、それぞれの地域における政治・経済の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 為替レートの変動当連結会計年度における当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は57%であり、米ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。外貨建取引については、総原価に占める外貨建コストの比率を高める等の為替変動リスクの軽減を図るとともに、為替動向を考慮しながら計画的に為替予約等のヘッジを行っていますが、製造拠点の多くが日本国内に立地しているため、海外取引に関わるリスクを負っています。 (3) カントリーリスク当社グループは、海外市場における事業の拡大を図っており、製品・サービスの輸出に加えて、海外での現地生産やプラント等の建設工事、販売・調達等の活動をグローバルに展開しています。製品仕向地や生産・工事・販売・調達等を行う国や地域での紛争・政情不安・デフォルト、貿易制裁、宗教・文化の相違、特殊な労使関係等により、円滑な業務遂行が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 個別プロジェクト管理当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、応札時や受注契約時をはじめ、プロジェクト開始後も本社と事業部門でリスク分析やリスクへの対応等の十分な検討を行っています。しかし、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工程の混乱等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の損益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 大規模災害当社グループは、台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。しかし、このような災害による人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等が、当社グループの事業活動(特に工場での生産活動)に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、災害による損害が損害保険等で十分にカバーされる保証はありません。 (6) 情報セキュリティ当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しています。これらの情報を保護するため、ITシステムを含む情報管理の体制を構築し保全システムの整備・更新、従業員への教育等を行い、情報漏えい防止に努めています。しかし、サイバー攻撃などによるコンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏えいした場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 人財の確保・育成当社グループの各職場で長年培ってきた技術・技能を有する優秀な人財の多くが退職時期を迎え、我が国の少子化の進行とも相まって当社グループの事業活動や競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。その中で、積極的な採用活動を行い優秀な人財の確保に努めるとともに、技術・技能の伝承や人財の育成を進めていますが、労働市場の動向などによっては計画どおり人財の確保ができない場合や、変化速度の速い必要スキルと育成達成のアンバランスなどが当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 資金調達当社グループは、将来見通しを含めた金利動向等を勘案して資金調達を実施し、低金利・安定資金の確保に努めていますが、金利の変動をはじめとする金融市場の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9) アライアンス当社グループは、国内外の幅広い事業分野において、他社と業務提携、合弁事業等のアライアンス関係を築いています。これらの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分に検討を行っていますが、市場環境の変化、事業競争力の低下、相互の経営戦略の見直し等を理由として、アライアンス等が解消又は変更された場合、あるいは目論見どおりの効果を実現できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 法令・規制当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内外各地で関連する法令・規制の適用を受けます。このため、その遵守はもちろんのこと、川崎重工グループ行動規範を制定し適時内容の整備・見直しを行うとともに、その研修・啓蒙などによりコンプライアンスの強化を図っています。しかし、万一個人的な不正行為を含む重大な法令違反等のコンプライアンスリスクが発生した場合には、多額の過料・課徴金による損失や業務停止命令による受注機会損失の可能性があるほか、これに伴う社会的評価の低下が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 環境規制当社グループは、国内外に製造設備を多数保有しており、各種環境規制の対象となる有害物質を使用している事業所やグループ会社があります。これらの有害物質は、法令を順守し適正に管理(排出基準・保管基準・取扱作業基準等)しています。また、万一、規制を超える排出等を行った場合の緊急事態を想定し、健康被害や、環境影響を最小限に抑制するための各種対策を講じています。ただし、天変地異などの想定外の事態により環境への悪影響が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに工場の操業停止や損害賠償責任等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 品質管理当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や製品安全、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めています。しかし、外注先のグローバル化や複数化による品質リスクの高まり、人的リソース不足や外注依存による技術・技能の空洞化等から、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールにより、損害賠償や訴訟費用等の多額のコストが発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが支払う損害賠償額が製造物責任賠償保険でカバーされる保証はありません。 (13) 労働安全衛生当社グループは、各事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理には様々な対策を講じていますが、不測の事故、職場環境の不備・欠陥等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動等に支障をきたすとともに社会的評価の低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 資材調達当社グループは、原材料・部品・機器等を国内外の多くの取引先から調達しており、安定した調達を行うため原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の品質管理を徹底しながら特定の取引先への過度の集中を避け複数化を図っています。しかし、取引先が限定される特殊性のある原材料や部品の調達が滞ることで当社グループの生産活動に支障をきたしたり、原材料・部品等の価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (15) 研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は、「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載しています。これらの研究開発は、多額の費用と研究期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず実用化の機会を喪失した場合や、市場ニーズとの不整合が生じ実用化に至らなかった場合、実用化しても十分な成果が得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 知的財産当社グループは、保有する特許権や実用新案権等の知的財産の適切な管理・保全に努めています。しかし、保有する知的財産が多岐にわたるため、第三者による侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品や技術が他社等の知的財産を侵害し、損害賠償等を請求され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (17) 関係会社当社グループは、多数の関係会社を有しています。これらの関係会社は当社と相互に密接な協力体制を築く一方、独立会社として自主的な経営を行っているため、その事業の動向や結果が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|3,682 文字
2 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、設備の状況、経理の状況のうち、当社グループの経営成績、株価及び財務状況等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、記載事項のうち将来に関する事項は当連結会計年度末(2018年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、グローバルかつ持続的な事業運営を可能とする全社的リスク管理の取組みに必要な体制を整え、当社グループにおける重要リスクを以下のとおり認識した上で、リスク発生の回避及びリスクが顕在化した時の影響の極小化に努めています。 (1) 政治・経済情勢当社グループは、日本国内はもとより米州・アジア・欧州をはじめ世界各地で事業展開をしています。このため、それぞれの地域における政治・経済の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 為替レートの変動当連結会計年度における当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は57%であり、米ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。外貨建取引については、総原価に占める外貨建コストの比率を高める等の為替変動リスクの軽減を図るとともに、為替動向を考慮しながら計画的に為替予約等のヘッジを行っていますが、製造拠点の多くが日本国内に立地しているため、海外取引に関わるリスクを負っています。 (3) カントリーリスク当社グループは、海外市場における事業の拡大を図っており、製品・サービスの輸出に加えて、海外での現地生産やプラント等の建設工事、販売・調達等の活動をグローバルに展開しています。製品仕向地や生産・工事・販売・調達等を行う国や地域での紛争・政情不安・デフォルト、貿易制裁、宗教・文化の相違、特殊な労使関係等により、円滑な業務遂行が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 個別プロジェクト管理当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、応札時や受注契約時をはじめ、プロジェクト開始後も本社と事業部門でリスク分析やリスクへの対応等の十分な検討を行っています。しかし、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工程の混乱等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の損益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 大規模災害当社グループは、台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。しかし、このような災害による人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等が、当社グループの事業活動(特に工場での生産活動)に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、災害による損害が損害保険等で十分にカバーされる保証はありません。 (6) 情報セキュリティ当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しています。これらの情報を保護するため、ITシステムを含む情報管理の体制を構築し保全システムの整備・更新、従業員への教育等を行い、情報漏えい防止に努めています。しかし、サイバー攻撃などによるコンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏えいした場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 人財の確保・育成当社グループの各職場で長年培ってきた技術・技能を有する優秀な人財の多くが退職時期を迎え、我が国の少子化の進行とも相まって当社グループの事業活動や競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。その中で、積極的な採用活動を行い優秀な人財の確保に努めるとともに、技術・技能の伝承や人財の育成を進めていますが、労働市場の動向などによっては計画どおり人財の確保ができず、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 資金調達当社グループは、将来見通しを含めた金利動向等を勘案して資金調達を実施し、低金利・安定資金の確保に努めていますが、金利の変動をはじめとする金融市場の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9) アライアンス当社グループは、国内外の幅広い事業分野において、他社と業務提携、合弁事業等のアライアンス関係を築いています。これらの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分に検討を行っていますが、市場環境の変化、事業競争力の低下、相互の経営戦略の見直し等を理由として、アライアンス等が解消又は変更された場合、あるいは目論見どおりの効果を実現できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 法令・規制当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内外各地で関連する法令・規制の適用を受けます。このため、その遵守はもちろんのこと、川崎重工グループ行動規範を制定し、コンプライアンスの強化を図っています。しかし、万一個人的な不正行為を含む重大な法令違反等のコンプライアンスリスクが発生した場合には、多額の過料・課徴金による損失や業務停止命令による受注機会損失の可能性があるほか、これに伴う社会的評価の低下が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 環境規制当社グループは、国内外に製造設備を多数保有しており、各種環境規制の対象となる有害物質を使用している事業所やグループ会社があります。これらの有害物質の管理については十分な注意を払い外部流出防止策を講じています。万一外部に流出した場合でもその影響を最小限に抑制するための各種対策を講じていますが、想定外の事態により環境への悪影響が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに工場の操業停止や損害賠償責任等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 品質管理当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や製品安全、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めています。しかし、外注先のグローバル化や複数化による品質リスクの高まり、人的リソース不足や外注依存による技術・技能の空洞化等から、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールにより、損害賠償や訴訟費用等の多額のコストが発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが支払う損害賠償額が製造物責任賠償保険でカバーされる保証はありません。 (13) 労働安全衛生当社グループは、各事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理には様々な対策を講じていますが、不測の事故、職場環境の不備・欠陥等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動等に支障をきたすとともに社会的評価の低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 資材調達当社グループは、原材料・部品・機器等を国内外の多くの取引先から調達しており、安定した調達を行うため原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の品質管理を徹底しながら特定の取引先への過度の集中を避け複数化を図っています。しかし、取引先が限定される特殊性のある原材料や部品の調達が滞ることで当社グループの生産活動に支障をきたしたり、原材料・部品等の価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (15) 研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は、「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載しています。これらの研究開発は、多額の費用と研究期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず実用化の機会を喪失した場合や、市場ニーズとの不整合が生じ実用化に至らなかった場合、実用化しても十分な成果が得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 知的財産当社グループは、保有する特許権や実用新案権等の知的財産の適切な管理・保全に努めています。しかし、保有する知的財産が多岐にわたるため、第三者による侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品や技術が他社等の知的財産を侵害し、損害賠償等を請求され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (17) 関係会社当社グループは、多数の関係会社を有しています。これらの関係会社は当社と相互に密接な協力体制を築く一方、独立会社として自主的な経営を行っているため、その事業の動向や結果が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|3,707 文字
4 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、設備の状況、経理の状況のうち、当社グループの経営成績、株価及び財務状況等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、記載事項のうち将来に関する事項は当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、グローバルかつ持続的な事業運営を可能とする全社的リスク管理の取組みに必要な体制を整え、当社グループにおける重要リスクを以下のとおり認識した上で、リスク発生の回避及びリスクが顕在化した時の影響の極小化に努めています。(1) 政治・経済情勢当社グループは、日本国内はもとより米州・アジア・欧州をはじめ世界各地で事業展開をしており、それぞれの地域における政治・経済情勢の影響を受けます。先進国の政治・経済の動向に加えて、原油をはじめとする資源価格の変動に伴う新興国の政治・経済の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 為替レートの変動当連結会計年度における当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は57%であり、米ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。外貨建取引については、総原価に占める外貨建コストの比率を高める等の為替変動リスクの軽減を図るとともに、為替動向を考慮しながら計画的に為替予約等のヘッジを行っていますが、製造拠点の多くが日本国内に立地しているため、海外取引に関わるリスクを負っています。 (3) カントリーリスク当社グループは、海外市場における事業の拡大を図っており、製品・サービスの輸出に加えて、海外での現地生産やプラント等の建設工事、販売・調達等の活動をグローバルに展開しています。製品仕向地や生産・工事・販売・調達等を行う国や地域での紛争・政情不安・デフォルト、貿易制裁、宗教・文化の相違、特殊な労使関係等により、円滑な業務遂行が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 個別プロジェクト管理当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、応札時や受注契約時をはじめ、プロジェクト開始後も本社と事業部門でリスク分析やリスクへの対応等の十分な検討を行っています。しかし、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工程の混乱等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の損益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 大規模災害当社グループは、台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。しかし、このような災害による人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等が、当社グループの事業活動(特に工場での生産活動)に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、災害による損害が損害保険等で十分にカバーされる保証はありません。 (6) 情報セキュリティ当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しています。これらの情報を保護するため、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等を行い、情報漏えい防止に努めています。しかし、コンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏えいした場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 人財の確保・育成当社グループの各職場で長年培ってきた技術・技能を有する優秀な人財の多くが退職時期を迎え、我が国の少子化の進行とも相まって当社グループの事業活動や競争力の維持が阻害される可能性があります。その中で、積極的な採用活動を行い優秀な人財の確保に努めるとともに、技術・技能の伝承や人財の育成に努めていますが、計画どおり人財の確保・育成ができない場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 資金調達当社グループは、将来見通しを含めた金利動向等を勘案して資金調達を実施し、低金利・安定資金の確保に努めていますが、金利の変動をはじめとする金融市場の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9) アライアンス当社グループは、国内外の幅広い事業分野において、他社と業務提携、合弁事業等のアライアンス関係を築いています。これらの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分に検討を行っていますが、市場環境の変化、事業競争力の低下、相互の経営戦略の見直し等を理由として、アライアンス等が解消又は変更された場合、あるいは目論見どおりの効果を実現できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 法令・規制当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内外各地で関連する法令・規制の適用を受けます。このため、その遵守の徹底はもちろんのこと、グローバル企業倫理指針を制定し、コンプライアンス体制の強化を図っています。しかし、これらの対策を講じても、個人的な不正行為を含むコンプライアンスリスクの発生を完全に予防することは困難であり、重大な法令違反等が発生した場合には多額の過料・課徴金による損失や業務停止命令による受注機会損失の可能性があるほか、これに伴う社会的評価の低下が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 環境規制当社グループは、国内外に製造設備を多数保有しており、各種環境規制の対象となる有害物質を使用している事業所やグループ会社があります。これらの有害物質の管理については十分な注意を払い、万一外部に流出した場合でもその影響を最小限に抑制するための各種対策を講じていますが、想定外の事態により環境への悪影響が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに工場の操業停止や損害賠償責任等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 品質管理当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や製品安全、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めています。しかし、外注先のグローバル化や複数化による品質リスクの高まり、人的リソース不足や外注依存による技術・技能の空洞化等から、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールにより、損害賠償や訴訟費用等の多額のコストが発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが支払う損害賠償額が製造物責任賠償保険でカバーされる保証はありません。 (13) 労働安全衛生当社グループは、各事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理には様々な対策を講じていますが、不測の事故、職場環境の不備・欠陥等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動等に支障をきたすとともに社会的評価の低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 資材調達当社グループは、原材料・部品・機器等を国内外の多くの取引先から調達しており、安定した調達を行うため原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の品質管理を徹底しながら特定の取引先への過度の集中を避け複数化を図っています。しかし、取引先が限定される特殊性のある原材料や部品の調達が滞ることで当社グループの生産活動に支障をきたしたり、原材料・部品等の価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (15) 研究開発当社グループの研究開発活動に係る情報は、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載しています。これらの研究開発は、多額の費用と研究期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず実用化の機会を喪失したり、市場ニーズとの不整合が生じ実用化に至らなかったり、実用化しても十分な成果が得られず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (16) 知的財産当社グループは、保有する特許権や実用新案権等の知的財産の適切な管理・保全に努めています。しかし、保有する知的財産が多岐にわたるため、第三者による侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品や技術が他社等の知的財産を侵害し、損害賠償等を請求され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (17) 関係会社当社グループは、多数の関係会社を有しています。これらの関係会社は当社と相互に密接な協力体制を築く一方、独立会社として自主的な経営を行っているため、その事業の動向や結果が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|3,693 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、設備の状況、経理の状況のうち、当社グループの経営成績、株価及び財務状況等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには下記のようなものがあります。なお、記載事項のうち将来に関する事項は当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、グローバルかつ持続的な事業運営を可能とする全社的リスク管理の取組みに必要な体制を整え、当社グループにおける重要リスクを以下のとおり認識した上で、リスク発生の回避及びリスク顕在化時の影響の極小化に努めています。 (1)政治・経済情勢 当社グループは、日本国内はもとより米州・アジア・欧州をはじめ世界各地で事業展開をしており、それぞれの地域における政治・経済情勢の影響を受けます。 先進国の政治・経済の動向に加えて、原油をはじめとする資源価格の変動に伴う新興国の政治・経済の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)為替レートの変動 当連結会計年度における当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は58%であり、米国ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。外貨建取引については、総原価に占める外貨建コストの比率を高める等の為替変動リスクの軽減を図るとともに、為替動向を考慮しながら計画的に為替予約等のヘッジを行っていますが、製造拠点の多くが日本国内に立地しているため、海外取引に関わるリスクを負っています。 (3)カントリーリスク 当社グループは、海外市場における事業の拡大を図っており、製品・サービスの輸出に加えて、海外での現地生産やプラント等の建設工事、販売・調達等の活動をグローバルに展開しています。製品仕向地や生産・工事・販売・調達等を行う国や地域での紛争・政情不安・デフォルト、貿易制裁、宗教・文化の相違、特殊な労使関係等により、円滑な業務遂行が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)個別受注プロジェクト管理 当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、受注契約前に本社においてリスク分析やリスクへの対応等の十分な検討を行っています。しかし、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工程の混乱等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の損益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)大規模災害 当社グループは、台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。しかし、このような災害による人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等が、当社グループの事業活動(特に工場における生産活動)に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、災害による損害が損害保険等で十分にカバーされる保証はありません。 (6)情報セキュリティ 当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しています。これらの情報を保護するため、管理体制の整備や教育、情報セキュリティシステムの構築等を行い、情報漏えい防止に努めています。しかし、コンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏えいした場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性があります。 (7)人財の確保 当社グループの各職場で長年培ってきた技術・技能を有する優秀な人財の多くが退職時期を迎え、我が国の少子化の進行とも相まって当社グループの事業活動や競争力の維持が阻害される可能性があります。その中で、積極的な採用活動を行い優秀な人財の確保に努めるとともに、技術・技能の伝承や人財の育成に努めていますが、計画どおり人財の確保・育成ができない場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (8)資金調達 当社グループは、将来見通しを含めた金利動向等を勘案して資金調達を実施し、低金利・安定資金の確保に努めていますが、金利の変動をはじめとする金融市場の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9)アライアンス 当社グループは、国内外の幅広い事業分野において、他社と業務提携、合弁事業等のアライアンス関係を築いています。これらの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分に検討を行っていますが、市場環境の変化、事業競争力の低下、相互の経営戦略の見直し等を理由として、アライアンス等が解消又は変更された場合、あるいは目論見どおりの効果を実現できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)法令・規制 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内外各地で関連する法令・規制の適用を受けます。このため、その遵守の徹底はもちろんのこと、グローバル企業倫理指針を制定し、コンプライアンス体制の強化を図っています。しかし、これらの対策を講じても、個人的な不正行為を含むコンプライアンスリスクの発生を完全に予防することは困難であり、重大な法令違反等が発生した場合には多額の過料・課徴金による損失や業務停止命令による受注機会損失の可能性があるほか、これに伴う社会的評価の低下が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)環境規制 当社グループは、国内外に製造設備を多数保有しており、各種環境規制の対象となる有害物質を使用している事業所やグループ会社があります。これらの有害物質の管理については万全の注意を払い、万一外部に流出した場合でもその影響を最小限に抑制するための各種対策を講じていますが、想定外の事態により環境への悪影響が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに工場の操業停止や損害賠償責任等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (12)品質管理 当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や製品安全、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めています。しかし、外注先のグローバル化や複数化による品質リスクの高まり、人的リソース不足や外注依存による技術・技能の空洞化等から、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールにより、損害賠償や訴訟費用等の多額のコストが発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが支払う損害賠償額が製造物責任賠償保険(PL保険)でカバーされる保証はありません。 (13)労働安全衛生 当社グループは、各事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理には万全の対策を講じていますが、不測の事故、職場環境の不備・欠陥等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動等に支障をきたすとともに社会的評価の低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (14)資材調達 当社グループは、原材料・部品・機器等を国内外の多くの取引先から調達しており、安定した調達を行うため原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の品質管理を徹底しながら特定の取引先への過度の集中を避け複数化を図っています。しかし、取引先が限定される特殊性のある原材料や部品の調達が滞ることで当社グループの生産活動に支障を来たしたり、原材料・部品等の価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (15)研究開発 当社グループの研究開発活動に係る情報は、「第2 事業の状況 6研究開発活動」に記載しています。これらの研究開発は、多額の費用と研究期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず実用化の機会を喪失したり、市場ニーズとの不整合が生じ実用化に至らなかったり、実用化しても十分な成果が得られず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (16)知的財産 当社グループは、保有する特許権や実用新案権等の知的財産の適切な管理・保全に努めています。しかし、保有する知的財産が多岐にわたるため、第三者による侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品や技術が他社等の知的財産を侵害し、損害賠償等を請求され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (17)関係会社 当社グループは、多数の関係会社を有しています。これら関係会社は当社と相互に密接な協力体制を築く一方、独立会社として自主的な経営を行っているため、その事業の動向や結果が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。