有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,468 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下の(3)に挙げるようなものがある。当社グループでは、事業運営に重要な影響を及ぼしうるリスクを網羅的に抽出・可視化し、経営管理サイクルに生かすことのできるよう毎年取りまとめ、抽出・可視化したリスクに対しては考えうる対応策をあらかじめ講じている。しかし、これらのリスクの顕在化を完全に回避することは困難であり、リスクに留意しながら事業計画に従い事業活動を進めている。また、仮にリスクが顕在化した場合は、その影響を最小化するよう努めている。抽出・可視化したリスクには中長期的に事業環境や社会構造の更なる変化をもたらす可能性があるものも含まれている。当社グループは、将来を見据えて、それらの変化に対応できるよう、先んじて対策を取っていかなければならないと認識している。また、抽出・可視化したリスクについては、事業機会の創出を考える契機としても活用している。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 (1)主要なリスクを検討するプロセス当社グループは、事業遂行上のリスクを抽出・討議する経営管理プロセスを策定し、これに基づきリスクの一覧化に取り組んでいる。リスク抽出は、おおむね10年以内に顕在化する可能性が懸念される具体的なリスクの洗い出しを実施している。その上で、講じている対応策の効果も踏まえて当該リスクが顕在化した場合に、当社グループの事業に重要な影響を与える可能性があり、かつ定量化可能なリスクを特定し、そのリスクの影響額と発生確率を軸に、以下のようなリスクマップに整理している。これに加え、定量化の難しい定性的なリスクもまとめて可視化している。 ※リスクマップ(イメージ) (2)当社グループにおけるリスクへの対応策当社グループでは、各種リスクを適切に管理するため、リスクの類型に応じた体制を整備し、責任の明確化を図っている。また、リスクを定期的に評価・分析し、必要な回避策又は低減策を講じるとともに、内部監査によりその実効性と妥当性を監査し、定期的に取締役会及び監査等委員会に報告することとしている。加えて、重大リスクが顕在化した場合に備え、緊急時に迅速かつ的確な対応ができるよう速やかにトップへ情報を伝達する手段を確保し、各事業部門に危機管理責任者を配置している。また、当社グループでは、「事業リスクマネジメント憲章」により、リスクマネジメントの対象・要領等を明確化し、これを遵守・実践している。「事業リスクマネジメント委員会」においては、トップマネジメントレベルでの重要リスク情報の共有や対応方針を協議することにより、経営幹部・事業部門・コーポレート部門の三者の役割分担と連携を明確化している。また、第1線(事業部門・事業会社による自律的な事業リスクマネジメントの実践)、第2線(コーポレート部門による個別案件のリスク審議等を通じた支援・監督)、第3線(監査部門による事業リスクマネジメント・プロセスの有効性確認)がそれぞれの役割を十分発揮できるよう体制を整備し、グループ全体として事業リスクマネジメントに取り組んでいる。なお、以下「(3)主要なリスク」の①から⑥までの各項目のア.において、各項目に関して当社グループがあらかじめ講じている具体的な対応策を例示しているが、当社グループは、これらに限らず、主要リスク以外のものも含め、各種リスクの類型や性質に応じて、リスクを回避・低減するための取組みを進めるとともに、①から⑥までの各項目の「イ.経営成績等の状況に与えうる影響」等のリスクが顕在化した場合の影響の最小化に努めている。 (3)主要なリスク①事業環境の変化ア.当社グループを取り巻く事業環境の変化当社グループを取り巻く事業環境は、非常に速いスピードで変化するとともに複雑化している。国際情勢に関しては、米中対立、既存政策の急激な転換、ウクライナや中東での軍事行動の激化やポピュリズムの台頭等が、世界的な軍事予算の増額、安全保障・治安維持関連の法制強化、経済安全保障を目的とした各種輸出規制及び知的財産やデータなどの移転制限等の施策につながり、国際秩序の分断が一層進んでいる。また、これに伴う市場環境の悪化、資材や輸送費の高騰による生産コストの増加といった経済環境の変化も生じている。こうした環境変化の中、全世界的な中長期での脱炭素化の流れに変わりはないものの、脱炭素化関連プロジェクトへの投資が低迷し、再生可能エネルギー、水素、アンモニア等の普及に停滞傾向が見られる一方で、当社が従来取り組んでいる現実的なエナジートランジションが評価され、天然ガスの役割が増加し、GTCC等で当社にとっての事業機会が生じている。我が国においては、人口減少・少子高齢化の一層の進展による人材不足の深刻化、人材流動化もあいまった人材獲得競争の激化が進んでいることに加え、若年層の製造業離れや工学系学科の技術者の確保難による技術・技能の断絶等が懸念されている。また、高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化や脆弱化の進行によるインフラ遮断で、一時的に事業活動が停滞する可能性も否定できない状況にある。加えて、近年では、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの普及等により、誰もが情報を受発信できる環境となっており、当社に対する批判的な評価や評判が拡散された場合には、当社の信用やブランド価値が毀損されるおそれもある。当社グループは、これらの事業環境変化の中で、エナジートランジションを成長戦略としており、これを推進する「GX(Green Transformation)セグメント」では、プロジェクトマネジメント機能及びエンジニアリング機能を強化した体制を構築し、市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションの提案に注力している。これに加え、各種製品分野で企図するM&A・アライアンスに関しては、入口での審議やモニタリングといった活動により、円滑なPMI※1の推進に向けた取組みを実践している。このほか、熟練技能をデジタル技術で可視化して技能伝承に活用するなど、技術・人的基盤の強化も図っている。※1 Post Merger Integrationイ.経営成績等の状況に与えうる影響上記のような世界的な事業環境の急激な変化と複雑化に伴って、商談への参加、サプライヤ選定等の場面での当社グループの事業活動への制約の発生や、為替レートの急激な変動、原材料価格・輸送費の高騰のほか、我が国における人材不足や製造現場の空洞化、社会的評価及び信用の失墜等によって当社グループの競争力の維持が困難又は低下することとなった場合には、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。また、脱炭素化に関しては、全体としては脱炭素を目指しながらも現実的な着地点を模索する動きによって当社事業計画策定時の想定よりも停滞していることに伴い、CCS※2や水素等の当社製品・サービスの実装が著しく遅延するなど、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。加えて、火力発電システムや自動車向けターボチャージャ、化学プラント関連のエンジニアリングなどの事業においては、環境規制が強化された場合、製品・サービスの需要が減少し、事業規模が縮小する可能性や投下資本の回収が困難となる可能性があるほか、顧客が自らの判断で火力発電プラントなどの営業運転を停止することとしたときには、これに伴うサービス事業の停滞等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。このほか、当社グループは、各種製品事業において、他社とのM&A・アライアンスを行っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象を理由として、これらのM&A・アライアンス対象事業が目論見どおり進捗しない場合、資産の評価見直しによって減損損失等を計上するなど、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。※2 Carbon dioxide Capture and Storage ②各種の災害ア.自然災害や戦争・テロ等の発生地震、津波、豪雨、洪水、暴風、噴火、火災、落雷、感染症の世界的流行等の自然災害の発生、その発生頻度の上昇や被害の甚大化、戦争・テロ、政情不安、反日運動、人質・誘拐等の犯罪、不当拘束、社会インフラの麻痺、労働争議、停電、設備の老朽化・不具合、重大事故や労働災害等により、様々な物的・人的被害が生じ、円滑な経済活動が阻害され、さらには社会基盤が破壊されるといった事態が考えられる。なお、自然災害については、気候変動等に伴いその影響の甚大化が想定される。当社グループでは、これらの影響を低減するため、災害対策支援ツールの活用や報告体制・事業継続計画の策定・整備等の事業継続マネジメントの実施、工場の点検や設備の耐震化、各種訓練の定期的な実施に加え、適切な保険を付保するとともに、各国の情勢や安全に関する情報収集やこれを踏まえた各種対応、関連省庁との連携等を進めている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループは、製品・サービスを提供するための拠点を世界各地に有しているが、特に日本やタイなどに生産拠点が集中しているため、これらの国・地域において、地震・津波・洪水等の大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの生産能力に重要な影響を及ぼす可能性がある。具体的には、生産設備の滅失・毀損、サプライチェーンの停滞・混乱、生産に必要な材料・部品等の不足やサービスの提供停止、生産拠点の操業低下・稼働停止等のほか、代替となる生産設備や取引先の喪失、損害保険等で補填されない損害の発生等の可能性がある。これらの影響に伴う受注や売上の減少等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ③製品・サービス関連の問題ア.製品・サービスに関連する品質・安全上の問題、コスト悪化等当社グループは、ものづくりとエンジニアリングのグローバルリーダーとして、エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙の幅広い分野で高度な技術力を活かしてソリューションを提供している。当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を重ねているが、製品の性能・納期の問題や製品に起因する安全上の問題が生じる可能性がある。また、仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化、材料・部品等の調達や工事に伴う問題の発生、納期遅延や性能未達等による顧客からの損害賠償請求や契約解除、顧客の財務状況の悪化等の問題が生じる可能性がある。サプライヤ、協業パートナー等との間でも、製品・サービス・品質等に起因して、同様の問題が発生する可能性がある。また、重要かつ代替性の限られる特定の材料・部品のサプライヤ等が倒産・廃業等により取引不能となった場合に代替調達先の手配ができないことや、サプライヤ等の労働力不足、品質問題、工程混乱等が発生することにより、生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。これらに加え、近年のAIの進展により、製品価値が物理性能よりもソフトウェア制御やデータ活用にシフトすることで、当社グループは高い製造技術を強みとしているものの、この優位性が相対的に低下する可能性がある。当社グループでは、これらのリスクに対して、各種規則の制定・運用、事業リスクマネジメント体制の整備・強化、個別案件の事前審議や受注後のモニタリング、プロジェクト遂行責任者や事業部長クラスへの教育の実施、製品安全に関する講座の継続的な開催等を行うとともに、過去に生じた大口赤字案件については、その原因や対策を総括し社内教育に反映するなど、再発防止に努めているほか、サプライチェーンの強化も図っている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響このような製品・サービス関連の問題発生等を理由として、追加費用の発生、顧客やサプライヤ等への損害賠償、社会的評価及び信用の失墜等につながる可能性がある。また、顧客・サプライヤ等やその他第三者から国内外で訴訟・仲裁を提起されることがあり、当社グループは、これらに対応している。訴訟・仲裁においては、当社グループの主張が認められるように最大限の対応を行っているものの、当社グループにとって不利な判断が下される可能性は否定できない。また、当社グループが最終的に支払うべき賠償額等の負担が、各種の保険で必ずしも補填されるとは限らない。このような製品・サービス関連の問題だけでなく、重要かつ代替性の限られる顧客、サプライヤ、協業パートナー等の経営状況の悪化や事業方針の転換等も、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ④知的財産関連の紛争ア.当社グループの知的財産に対する侵害、当社グループによる第三者の知的財産に対する侵害等当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、グローバルに活用している。しかしながら、当社グループに対して、第三者から知的財産を侵害していると主張されるような事態が生じる可能性がある。また、従業員又は元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起される可能性も否定はできない。当社グループでは、知的財産を特許権等により適切に保護し、また、第三者の知的財産を尊重し、当社グループによる侵害回避に努め、必要に応じて当該第三者から技術導入を行うなど適切な対応を取っている。具体的には、製品の基本計画・設計・製造の各段階で他者が保有する知的財産を十分に調査することによる知的財産関連の紛争の未然防止、教育・人材育成を通じた知的財産部門の専門性向上等の対策を進めている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループの知的財産の利用に関して競合他社、従業員等から訴訟等を提起されて敗訴した場合、損害賠償責任を負うほか、特定の技術を利用することができなくなり、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。また、当社グループが事業遂行のために必要とする技術の権利を第三者が保有している場合に、当該第三者からの技術導入を受けられず、当社グループの事業遂行に支障を来たすおそれがある。 ⑤サイバーセキュリティ上の問題等ア.サイバーセキュリティインシデントの発生等当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報及び当社グループの技術・営業その他事業に関する機密情報を保有しており、業務上も情報技術への依存度は高まっている。これに対して日々高度化・巧妙化しているサイバー攻撃等が現在の想定を上回るなどして、マルウェア感染や不正アクセスその他の不測の事態が生じた場合には、機密情報が滅失又は社外に漏洩する可能性がある。また、サイバー攻撃等の結果、工場での生産活動など事業運営に影響が出る可能性がある。当社グループでは、これらのリスクに対して、CTO※3直轄のサイバーセキュリティ推進体制を構築し、サイバーセキュリティに関する統制(標準整備、自己点検/検査、啓発/教育/訓練、防御対策、検知体制整備等)を強化し続けている。※3 Chief Technology Officerイ.経営成績等の状況に与えうる影響情報漏洩が生じると、競争力の大幅な低下、社会的評価及び信用の失墜等によって当社グループの事業遂行に重大な影響が生じうる。また、当局等による調査の対象となるほか、顧客等から損害賠償請求等を受ける可能性がある。加えて、サイバー攻撃等の結果、サーバなどの使用に障害が出た場合には、業務の遂行に大きな影響が生じ、その結果生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。 ⑥法令等の違反等ア.重大な法令等の違反等当社グループは、国内外の様々な法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程、個人情報保護法等をいい、これらを総称して以下「法令等」という。)を遵守するとともに、サプライチェーン上も含めて人権尊重に関する責任を果たさねばならない。これらを役員及び従業員にも遵守させるとともに、決してリスクとリターンをトレードしてはならない厳守事項として周知と対策を徹底している。具体的な対策としては、当社グループの全ての役員・従業員を対象とした「三菱重工グループ グローバル行動基準」や各種規則の制定・運用を行うとともに、コンプライアンス委員会の定期的な開催、内部通報体制の整備、法令遵守の徹底に関する経営層からのメッセージの発信、コンプライアンス・情報管理・ブランド戦略等の各種社内教育の充実と継続的な実施、各部門の課題を踏まえた内部監査、人権を尊重した事業活動を遂行するための人権デューデリジェンスを行っている。しかし、一部の役員・従業員が、法令等の違反や人権侵害を生じさせる可能性は完全には排除できない。イ.経営成績等の状況に与えうる影響万一法令等の違反が生じた場合、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止、輸出禁止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、又は当局やその他の利害関係者から損害賠償等を請求されるおそれがある。さらに、法令等の違反や人権侵害が生じた場合には、当社グループの事業遂行が困難となるなどの影響を受ける可能性があり、また、社会的評価及び信用の失墜等につながるおそれがある。特に当社グループの事業の性質に鑑み、国内外の独占禁止法、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法、下請代金支払遅延等防止法等の違反に関しては、当社グループへの影響は一層重大なものとなる可能性がある。
FY2024|7,531 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下の(3)に挙げるようなものがある。当社グループでは、これら主要なリスクを含めた各種リスクに対して考えうる対応策をあらかじめ講じているが、これらを完全に回避することは困難である。当社グループは、これらのリスクに留意しながら事業計画に従い事業活動を進めるとともに、これらが顕在化した場合の影響の最小化に努めている。主要なリスクには中長期的に事業環境や社会構造の更なる変化をもたらす可能性があるものも含まれており、当社グループは、将来を見据え、そのような動きに対応できるよう、先んじて対策を取っていかなければならないと認識している。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 (1)主要なリスクを検討するプロセス当社グループでは、事業遂行上のリスクを抽出・討議する経営管理プロセスを策定し、これに基づきリスクの一覧化に取り組んでいる。リスク抽出に当たっては、社外の知見も取り入れて当社グループに関連するリスクの網羅的なリストを作成し、これに基づき概ね10年以内に顕在化する可能性が懸念される具体的なリスクの洗出しを実施している。その上で、講じている対応策の効果も踏まえて当該リスクが顕在化した場合の影響度と蓋然性の検討を行い、当社グループの事業に重要な影響を与える可能性があり、かつ定量化可能なリスクを特定し、以下のようなリスクマップに整理している。これに加えて、定量化の難しい定性的なリスクについても上述のリスクの網羅的なリストに基づき特定している。 (2)当社グループにおけるリスクへの対応策当社グループでは、各種リスクを適切に管理するため、リスクの類型に応じた管理体制を整備し、管理責任の明確化を図っている。また、リスクを定期的に評価・分析し、必要な回避策又は低減策を講じるとともに、内部監査によりその実効性と妥当性を監査し、定期的に取締役会及び監査等委員会に報告することとしている。加えて、重大リスクが顕在化した場合に備え、緊急時に迅速かつ的確な対応ができるよう速やかにトップへ情報を伝達する手段を確保し、各事業部門に危機管理責任者を配置している。また、当社グループでは、「事業リスクマネジメント憲章」により、リスクマネジメントの対象・要領等を明確化し、これを遵守・実践している。「事業リスクマネジメント委員会」においては、トップマネジメントレベルでの重要リスク情報の共有や対応方針を協議することにより、体制の明確化と経営幹部・事業部門・コーポレート部門の役割の明確化を図っており、事業リスク管理部を責任部門として、経営幹部・事業部門・コーポレート部門の三者が一体となって事業リスクマネジメントに取り組んでいる。なお、以下「(3)主要なリスク」の①から⑥までの各項目のア.において、各項目に関して当社グループがあらかじめ講じている具体的な対応策を例示しているが、当社グループは、これらに限らず、主要リスク以外のものも含め、各種リスクの類型や性質に応じて、リスクを回避・低減するための取組みを進めるとともに、①から⑥までの各項目の「イ.経営成績等の状況に与えうる影響」等のリスクが顕在化した場合の影響の最小化に努めている。 (3)主要なリスク①事業環境の変化ア.当社グループを取り巻く事業環境の変化当社グループを取り巻く事業環境は、非常に速いスピードで変化するとともに複雑化している。例えば国際情勢としては、米中対立に加え、ウクライナや中東での軍事行動の激化や、グローバルサウスの台頭等も含めた国際秩序の不安定化・分断が進行している。これに伴い、世界的な軍事予算の増額、安全保障・治安維持関連の法制強化、経済安全保障を目的としたレアメタル等の各種輸出規制及び知的財産やデータなどの移転に係る制限等の施策が相次いで打ち出されている。また、資源価格をはじめとする諸物価の高騰や物流の停滞・混乱、半導体等の電子部品の需要逼迫が発生しているほか、為替レートの急激な変動といった経済環境の変化も生じている。我が国においては、社会構造の変化として、人口減少・少子高齢化の一層の進展による人材不足の深刻化と人材獲得競争の激化、人材流動化、廃業の増加、技術・技能の断絶等が懸念されている。さらに、全世界的に経済発展と環境負荷低減の両立が社会的な課題となっており、様々な分野で環境規制が強化されている。特にエネルギー分野では、新興国経済の発展や電気自動車の普及等の電化の進展により、今後、世界の電力需要が伸びていく一方で、燃料価格の高騰とともに地球温暖化を契機とした脱炭素化の一層の浸透も求められている。加えて、昨今、米国のインフレ抑制法(IRA)に代表されるように、エネルギー安全保障・気候変動対策のために税額控除及び補助金を制度化する世界各国の脱炭素政策の後押しによって、水素・アンモニアの製造・利用やCO2回収・利活用の技術に対するニーズが高まるなど、当社グループの置かれている環境は、大きく変化している。これらの事業環境の変化に対応すべく、2024年4月には、当社グループが成長戦略として取り組むエナジートランジション事業を推進する事業部門として、「GX(Green Transformation)セグメント」を新設し、複数の部門にまたがっていたエナジートランジション関連部門を再編し、プロジェクトマネジメント機能及びエンジニアリング機能を強化した体制とすることで、顧客ニーズへのワンストップ対応を可能とし、共通するリソースを有効活用して対応能力の向上を図っている。また、研究開発や設備投資を通じて、性能・信頼性・価格・環境対応等に関する製品競争力の維持・強化を図ることを前提としつつ、社外の知見も取り入れて市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションの提案に注力している。このほか、事業環境を踏まえて各種製品分野で企図するM&A・アライアンスに関しては、入口での審議やモニタリングといった活動により、円滑なPMI*1の推進に向けた取組みを実践している。*1 Post Merger Integration イ.経営成績等の状況に与えうる影響世界経済のデカップリングの進行、新たな外交・安全保障政策の導入又は既存方針の転換等に伴い、商談への参加、サプライヤー選定等の場面で当社グループの事業活動に制約が生じた場合や、為替レートの急激な変動、原材料価格の高騰、物流の停滞・混乱が発生した場合、我が国における人材不足の深刻化や製造現場の空洞化等により当社グループの競争力の維持が困難又は低下することとなった場合には、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。環境規制に関しては、火力発電システムや自動車向けターボチャージャ、化学プラント関連のエンジニアリングなどの事業において、環境意識の高まりによって、製品・サービスの需要が減少し、事業規模が縮小する可能性や投下資本の回収が困難となる可能性がある。また、火力発電システム事業は、化石燃料由来の電力需要の激減、競合他社との競争激化やこれに伴う競合他社によるサービス商談獲得の影響も考えられ、これらにより受注が減少するおそれがある。環境規制の強化や燃料価格高騰といった事業環境の変化を踏まえ、顧客が自らの判断で火力発電プラントなどの営業運転を停止することとした場合には、これに伴うサービス事業の停滞等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。さらに、事業計画策定時の想定を超えて更に各種環境規制が厳格化され、これへの対応に課題が生じた場合には、市場競争力の低下や受注機会の逸失等により、当社グループの事業計画の推進に影響を与えるおそれがある。このほか、全体として脱炭素を目指しながらも現実的な着地点を模索する動きによってエナジートラジションが当社事業計画策定時の想定よりも停滞した場合には、CCS*2などの当社製品・サービスの実装が著しく遅延するなど、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。加えて、当社グループは、各種製品事業において、他社とのM&A・アライアンスを行っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象を理由として、これらのM&A・アライアンス対象事業が目論見どおり進捗しない場合、資産の評価見直しによって減損損失等を計上するなど、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。*2 Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素回収・貯蓄) ②各種の災害ア.自然災害や戦争・テロ等の発生地震、津波、豪雨、洪水、暴風、噴火、火災、落雷、感染症の世界的流行等の自然災害の発生、その発生頻度の上昇や被害の甚大化、戦争・テロ、政情不安、反日運動、人質・誘拐等の犯罪、不当拘束、社会インフラの麻痺、労働争議、停電、設備の老朽化・不具合等の人為的な要因によるものや労働災害等により、様々な物的・人的被害が生じ、円滑な経済活動が阻害され、さらには社会基盤が破壊されるといった事態が考えられる。なお、自然災害については、気候変動等に伴いその影響が甚大化することが想定される。当社グループでは、これらの影響を低減するため、災害対策支援ツールの活用、連絡体制・事業継続計画(BCP)の策定・整備、工場の点検や設備の耐震化、各種訓練の定期的な実施に加え、適切な保険を付保するとともに、各国の情勢や安全に関する情報収集やこれを踏まえた各種対応、関連省庁との連携等を進めている。 イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループは、製品・サービスを提供するための拠点を世界各地に有しているが、特に日本やタイなどに生産拠点が集中しているため、これらの国・地域において、大規模な地震・津波・洪水といった災害が発生した場合、当社グループの生産能力に重要な影響を及ぼす可能性がある。具体的には、生産設備の滅失・毀損、サプライチェーンの停滞・混乱、生産に必要な材料・部品等の不足やサービスの提供停止、生産拠点の操業低下・稼働停止等のほか、代替となる生産設備や取引先の喪失、損害保険等で補填されない損害の発生等の可能性がある。これらの影響に伴う受注や売上の減少等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ③製品・サービス関連の問題ア.製品・サービスに関連する品質・安全上の問題、コスト悪化等当社グループは、ものづくりとエンジニアリングのグローバルリーダーとして、エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙の幅広い分野で高度な技術力を活かしてソリューションを提供している。当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を重ねているが、製品の性能・納期の問題や製品に起因する安全上の問題が生じる可能性がある。また、仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化、材料・部品等の調達や工事に伴う予期しない問題の発生、納期遅延や性能未達等による顧客からの損害賠償請求や契約解除、顧客の財務状況の悪化等の問題が生じる可能性がある。サプライヤーとの間でも、製品・サービスなどに起因して、同様の問題が発生する可能性がある。また、重要かつ代替性の限られる特定の材料・部品のサプライヤーと取引不能となった場合に代替調達先の手配ができないことや、労働関係法令の規制強化によってパートナー側での労働力不足が発生することなどにより、生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。当社グループでは、これらのリスクに対して、各種規則の制定・運用、事業リスクマネジメント体制の整備・強化、個別案件の事前審議や受注後のモニタリング、プロジェクト遂行責任者や事業部長クラスへの教育の実施、製品安全に関する講座の継続的な開催等を行うとともに、過去に生じた大口赤字案件については、その原因や対策を総括するとともに、社内教育に反映するなど、再発防止に努めている。 イ.経営成績等の状況に与えうる影響このような製品・サービス関連の問題発生等を理由として、追加費用の発生、顧客への損害賠償、社会的評価及び信用の失墜等に繋がる可能性がある。また、顧客・サプライヤーやその他第三者から国内外で訴訟・仲裁を提起されることがあり、当社グループは、これらに対応している。訴訟・仲裁においては、当社グループの主張が認められるように最大限の対応を取っているものの、当社グループにとって不利な判断が下される可能性は否定できない。また、当社グループが最終的に支払うべき賠償額等の負担が、各種の保険で必ずしも補填されるとは限らない。このような製品・サービス関連の問題だけでなく、重要かつ代替性の限られる顧客、サプライヤー、協業パートナーの経営状況の悪化や事業方針の転換等も、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ④知的財産関連の紛争ア.当社グループの知的財産に対する侵害、当社グループによる第三者の知的財産に対する侵害等当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、グローバルに活用している。しかしながら、当社グループに対して、第三者から知的財産を侵害していると主張されるような事態が生じる可能性がある。当社グループでは、知的財産を特許権等により適切に保護し、また、第三者の知的財産を尊重し、当社グループによる侵害回避に努め、必要に応じて当該第三者から技術導入を行うなど適切な対応を取っている。具体的には、製品の基本計画・設計・製造の各段階で他者が保有する知的財産を十分に調査することによる知的財産関連の紛争の未然防止、教育・人材育成を通じた知的財産部門の専門性向上等の対策を進めている。 イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループの知的財産の利用に関して競合他社等から訴訟等を提起されて敗訴した場合、損害賠償責任を負うほか、特定の技術を利用することができなくなり、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。また、当社グループが事業遂行のために必要とする技術の権利を第三者が保有している場合に、当該第三者からの技術導入を受けられず、当社グループの事業遂行に支障を来たすおそれがある。 ⑤サイバーセキュリティ上の問題ア.情報セキュリティ問題の発生等当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報及び当社グループの技術・営業その他事業に関する機密情報を保有しており、業務上も情報技術への依存度は高まっている。これに対して日々高度化・悪質化しているサイバー攻撃等が現在の想定を上回るなどして、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセスその他の不測の事態が生じた場合には、機密情報が滅失又は社外に漏洩する可能性がある。また、サイバー攻撃等の結果、端末やサーバなどの使用に障害が出る可能性がある。当社グループでは、これらのリスクに対して、CTO*3直轄のサイバーセキュリティ推進体制を構築し、当社グループのサイバーセキュリティ統制(基準整備・対策実装・自己点検・内部監査)やインシデント対応等の対策を進めている。*3 Chief Technology Officer イ.経営成績等の状況に与えうる影響情報漏洩が生じると、当社グループの競争力の大幅な低下、社会的評価及び信用の失墜等によって当社グループの事業遂行に重大な影響が生じうる。また、当局等による調査の対象となるほか、顧客等から損害賠償請求等を受ける可能性がある。加えて、サイバー攻撃等の結果、サーバなどの使用に障害が出た場合には、業務の遂行に大きな影響が生じ、その結果生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。このようにサイバーセキュリティ上の問題は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ⑥法令等の違反ア.重大な法令等の違反当社グループは、国内外の様々な法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程、個人情報保護法等をいい、これらを総称して以下「法令等」という。)を遵守し、役員及び従業員にも遵守させなければならず、決してリスクとリターンをトレードしてはならない厳守事項として周知と対策を徹底している。具体的な対策としては、当社グループの全ての役員・従業員を対象とした「三菱重工グループ グローバル行動基準」や各種規則の制定・運用を行うとともに、コンプライアンス委員会の定期的な開催、内部通報体制の整備、法令遵守の徹底に関する経営層からのメッセージの発信、コンプライアンス・情報管理・ブランド戦略等の各種社内教育の充実と継続的な実施、各部門の課題を踏まえた内部監査等を行っている。しかし、一部の役員・従業員が法令等の違反を生じさせる可能性は完全には排除できない。 イ.経営成績等の状況に与えうる影響万一法令等の違反が生じた場合、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止、輸出禁止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、又は当局やその他の利害関係者から損害賠償を請求されるおそれがある。さらに、法令等の違反が生じた場合には、当社グループの事業遂行が困難となるなどの影響を受ける可能性があり、また、社会的評価及び信用の失墜等に繋がるおそれがある。特に当社グループの事業の性質に鑑み、国内外の独占禁止法、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法、下請代金支払遅延等防止法等の違反に関しては、当社グループへの影響は一層重大なものとなる可能性がある。このように法令等の違反は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。
FY2023|7,097 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下の(3)に挙げるようなものがある。当社グループでは、これら主要なリスクを含めた各種リスクに対して考えうる対応策をあらかじめ講じているが、これらを完全に回避することは困難である。当社グループは、これらのリスクに留意しながら事業計画に従い事業活動を進めるとともに、これらが顕在化した場合の影響の最小化に努めている。主要なリスクには中長期的に事業環境や社会構造の更なる変化をもたらす可能性があるものも含まれており、当社グループは、将来を見据え、そのような動きに対応できるよう、先んじて対策を取っていかなければならないと認識している。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 (1)主要なリスクを検討するプロセス当社グループでは、事業遂行上のリスクを抽出・討議する経営管理プロセスを策定し、これに基づきリスクの一覧化に取り組んでいる。リスク抽出に当たっては、社外の知見も取り入れて当社グループに関連するリスクの網羅的なリストを作成し、これに基づき概ね10年以内に顕在化する可能性が懸念される具体的なリスクの洗出しを実施している。その上で、講じている対応策の効果も踏まえて当該リスクが顕在化した場合の影響度と蓋然性の検討を行い、当社グループの事業に重要な影響を与える可能性があり、かつ定量化可能なリスクを特定し、以下のようなリスクマップに整理している。これに加えて、定量化の難しい定性的なリスクについても上述のリスクの網羅的なリストに基づき特定している。 (2)当社グループにおけるリスクへの対応策当社グループでは、各種リスクを適切に管理するため、リスクの類型に応じた管理体制を整備し、管理責任の明確化を図っている。また、リスクを定期的に評価・分析し、必要な回避策又は低減策を講じるとともに、内部監査によりその実効性と妥当性を監査し、定期的に取締役会及び監査等委員会に報告することとしている。加えて、重大リスクが顕在化した場合に備え、緊急時に迅速かつ的確な対応ができるよう速やかにトップへ情報を伝達する手段を確保し、また各事業部門に危機管理責任者を配置している。また、当社グループでは、「事業リスクマネジメント憲章」により、リスクマネジメントの対象・要領等を明確化し、これを遵守・実践している。また、「事業リスクマネジメント委員会」において、トップマネジメントレベルでの重要リスク情報の共有や対応方針を協議することにより、体制の明確化と経営幹部・事業部門・コーポレート部門の役割の明確化を図っており、事業リスク総括部を責任部門として、経営幹部・事業部門・コーポレート部門の三者が一体となって事業リスクマネジメントに取り組んでいる。なお、以下「(3)主要なリスク」の①から⑥までの各項目のア.において、各項目に関して当社グループがあらかじめ講じている具体的な対応策を例示しているが、当社グループは、これらに限らず、主要リスク以外のものも含め、各種リスクの類型や性質に応じて、リスクを回避・低減するための取組みを進めるとともに、①から⑥までの各項目の「イ.経営成績等の状況に与えうる影響」等のリスクが顕在化した場合の影響の最小化に努めている。 (3)主要なリスク①事業環境の変化ア.当社グループを取り巻く事業環境の悪化当社グループを取り巻く事業環境は、非常に速いスピードで変化している。例えば世界経済に関しては、米中対立に加え、ロシアのウクライナへの侵略に伴う世界経済の分断の進展、国家安全保障強化の機運の高まり、デジタルデバイスやデータなどの分野における越境規制による覇権争いの先鋭化、資源価格をはじめとする諸物価の高騰、為替レートの急激な変動といった経済環境の変化が生じている。また、我が国においては、社会構造の変化として、人口減少・少子高齢化の一層の進展による人材不足の深刻化、廃業の増加、技術・技能の断絶、製造現場の空洞化等が懸念されている。さらには、全世界的に経済発展と環境負荷低減の両立が社会的な課題となっており、様々な分野で環境規制が強化されている。特にエネルギー分野では、新興国経済の発展や電気自動車の普及等をはじめとした電化の進展により、今後、世界の電力需要はますます伸びていく一方、燃料価格の高騰とともに地球温暖化を契機とした脱炭素化の一層の浸透など、当社グループの置かれている環境は、大きく変化している。当社グループでは、これらの事業環境の変化に対応すべく、研究開発や設備投資を通じて、性能・信頼性・価格・環境対応等に関する製品競争力の維持・強化を図ることを前提としつつ、社外の知見も取り入れて市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションの提案に注力している。また、2020年4月には成長推進室を設置し、既存の事業部門では対処しにくい新しい領域の事業開拓や既存事業の組合せを通じた製品・サービスの開発を進めている。また、事業環境を踏まえて各種製品分野で企図するM&A・アライアンスに関しては、入口での審議やモニタリングといった活動により、円滑なPMI*1の推進に向けた取組みを実践している。*1 Post Merger Integrationイ.経営成績等の状況に与えうる影響世界経済のデカップリングの進行に伴い、商談への参加、サプライヤー選定等の場面で当社グループの事業活動に制約が生じた場合や、為替レートの急激な変動、原材料価格の高騰、あるいは我が国における人材不足の深刻化や製造現場の空洞化等により当社グループの競争力の維持が困難又は低下することとなった場合には、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。環境規制に関しては、火力発電システムや自動車向けターボチャージャ、化学プラント関連のエンジニアリングなどの事業において、環境意識の高まりによって、製品・サービスの需要が減少し、事業規模が縮小する可能性や投下資本の回収が困難となる可能性がある。また、火力発電システム事業は、化石燃料由来の電力需要の激減、競合他社との競争激化やこれに伴う競合他社によるサービス商談獲得の影響も考えられ、これらにより受注が減少するおそれがある。環境規制の強化や燃料価格高騰といった事業環境の変化を踏まえ、顧客が自らの判断で火力発電プラントなどの営業運転を停止することとした場合には、これに伴うサービス事業の停滞等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。事業計画策定時の想定を超えて更に各種環境規制が厳格化され、これへの対応に課題が生じた場合には、市場競争力の低下や受注機会の逸失等により、当社グループの事業計画の推進に影響を与えるおそれがある。加えて、当社グループは、各種製品事業において、他社とのM&A・アライアンスを行っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象を理由として、これらのM&A・アライアンス対象事業が目論見どおり進捗しない場合、資産の評価見直しによって減損損失等を計上する可能性があるなど、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ②各種の災害ア.自然災害や戦争・テロ等の発生地震、津波、豪雨、洪水、暴風、噴火、火災、落雷、新型コロナウイルス感染症を含む感染症の世界的流行等の自然災害の発生、その発生頻度の上昇や被害の甚大化、戦争・テロ、政情不安、反日運動、人質・誘拐等の犯罪、社会インフラの麻痺、労働争議、停電、設備の老朽化・不具合等の人為的な要因によるものや労働災害等により、様々な物的・人的被害が生じ、円滑な経済活動が阻害され、さらには社会基盤が破壊されるといった事態が考えられる。なお、自然災害については、気候変動等に伴いその影響が甚大化することが想定される。当社グループでは、これらの影響を低減するため、災害対策支援ツールの活用、連絡体制・事業継続計画(BCP)の策定・整備、勤務環境・制度の整備、工場の点検や設備の耐震化、各種訓練の定期的な実施に加え、適切な保険を付保するとともに、各国の情勢や安全に関する情報収集やこれを踏まえた各種対応、関連省庁との連携等を進めている。 イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループは、製品・サービスを提供するための拠点を世界各地に有しているが、特に日本やタイなどに生産拠点が集中しているため、これらの国・地域において、大規模な地震・津波・洪水といった災害が発生した場合、当社グループの生産能力に重要な影響を及ぼす可能性がある。具体的には、生産設備の滅失・毀損、サプライチェーンの停滞・混乱、生産に必要な材料・部品等の不足やサービスの提供停止、生産拠点の操業低下・稼働停止等のほか、代替となる生産設備や取引先の喪失、損害保険等で補填されない損害の発生等の可能性がある。また、感染症の世界的流行等が発生した場合には、既に受注した案件の進捗遅延・売上計上時期の遅れ、渡航制限やサプライチェーンの停滞、契約交渉や受注プロセスの遅延等が長期間にわたり発生し、その回復に一定の時間を要する可能性がある。これらの影響に伴う受注や売上の減少等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。なお、ウクライナ情勢に起因するロシアへの経済制裁を受け、当社グループが遂行するロシア向け工事で中断等の影響が生じているものの、当連結会計年度において資産の評価等財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であるが、今後の原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱等によって当社グループの経営成績等の状況に影響が生じる可能性は否定できない。 ③製品・サービス関連の問題ア.製品・サービスに関連する問題、コスト悪化等当社グループは、ものづくりとエンジニアリングのグローバルリーダーとして、エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙の幅広い分野で高度な技術力を活かしてソリューションを提供している。当社グループは、製品の信頼性の向上に常に努力を重ねているが、製品自体又は製品に起因して各種の問題が生じる可能性がある。また、仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化、材料・部品等の調達や工事に伴う予期しない問題の発生、納期遅延や性能未達等による顧客からの損害賠償請求や契約解除、顧客の財務状況の悪化等の問題が生じる可能性がある。サプライヤーとの間でも、製品・サービスなどに起因して、同様の問題が発生する可能性がある。また、特定の材料・部品のサプライヤーと取引不能となった場合に代替調達先の手配ができないことにより、生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。当社グループでは、これらのリスクに対して、各種規則の制定・運用、事業リスクマネジメント体制の整備・強化、個別案件の事前審議や受注後のモニタリング、プロジェクト遂行責任者や事業部長クラスへの教育の実施、製品安全に関する講座の継続的な開催等を行うとともに、過去に生じた大口赤字案件については、その原因や対策を総括するとともに、社内教育に反映するなど、再発防止に努めている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響このような製品・サービス関連の問題発生等を理由として、追加費用の発生、顧客への損害賠償、社会的評価及び信用の失墜等に繋がる可能性がある。また、顧客・サプライヤーやその他第三者から国内外で訴訟・仲裁を提起されることがあり、当社グループは、これらに対応している。訴訟・仲裁においては、当社グループの主張が認められるように最大限の対応を取っているものの、当社グループにとって不利な判断が下される可能性は否定できない。また、当社グループが最終的に支払うべき賠償額等の負担が、各種の保険で必ずしも補填されるとは限らない。このように製品・サービス関連の問題は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ④知的財産関連の紛争ア.当社グループの知的財産に対する侵害、当社グループによる第三者の知的財産に対する侵害等当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置付け、グローバルに活用している。しかしながら、当社グループに対して、第三者から知的財産を侵害していると主張されるような事態が生じる可能性がある。当社グループでは、知的財産を特許権等により適切に保護し、また、第三者の知的財産を尊重し、当社グループによる侵害回避に努め、必要に応じて当該第三者から技術導入を行うなど適切な対応を取っている。具体的には、製品の基本計画・設計・製造の各段階で他者が保有する知的財産を十分に調査することによる知的財産関連の紛争の未然防止、教育・人材育成を通じた知的財産部門の専門性向上等の対策を進めている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループの知的財産の利用に関して競合他社等から訴訟等を提起されて敗訴した場合、損害賠償責任を負うほか、特定の技術を利用することができなくなり、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。また、当社グループが事業遂行のために必要とする技術の権利を第三者が保有している場合に、当該第三者からの技術導入を受けられず、当社グループの事業遂行に支障をきたすおそれがある。 ⑤サイバーセキュリティ上の問題ア.情報セキュリティ問題の発生等当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報及び当社グループの技術・営業その他事業に関する機密情報を保有しており、業務上も情報技術への依存度は高まっている。これに対して日々高度化・悪質化しているサイバー攻撃等が現在の想定を上回るなどして、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセスその他の不測の事態が生じた場合には、機密情報が滅失又は社外に漏洩する可能性がある。また、サイバー攻撃等の結果、端末やサーバなどの使用に障害が出る可能性がある。当社グループでは、これらのリスクに対して、CTO*2直轄のサイバーセキュリティ推進体制を構築し、当社グループのサイバーセキュリティ統制(基準整備・対策実装・自己点検・内部監査)やインシデント対応等の対策を進めている。*2 Chief Technology Officerイ.経営成績等の状況に与えうる影響情報漏洩が生じると、当社グループの競争力の大幅な低下、社会的評価及び信用の失墜等によって当社グループの事業遂行に重大な影響が生じうる。また、当局等による調査の対象となるほか、顧客等から損害賠償請求等を受ける可能性がある。加えて、サイバー攻撃等の結果、サーバなどの使用に障害が出た場合には、業務の遂行に大きな影響が生じ、その結果生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。このようにサイバーセキュリティ上の問題は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ⑥法令等の違反ア.重大な法令等の違反当社グループは、国内外の様々な法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等をいい、これらを総称して以下「法令等」という。)を遵守し、役員及び従業員にも遵守させなければならず、決してリスクとリターンをトレードしてはならない厳守事項として周知と対策を徹底している。具体的には、当社グループの全ての役員・従業員を対象とした「三菱重工グループ グローバル行動基準」や各種規則の制定・運用を行うとともに、コンプライアンス委員会の定期的な開催、内部通報体制の整備、法令遵守の徹底に関する経営層からのメッセージの発信、コンプライアンス・情報管理・ブランド戦略等の各種社内教育の充実と継続的な実施、各部門の課題を踏まえた内部監査等を行っている。しかし、一部の役員・従業員が法令等の違反を生じさせる可能性は完全には排除できない。イ.経営成績等の状況に与えうる影響万一法令等の違反が生じた場合、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止、輸出禁止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、又は当局やその他の利害関係者から損害賠償を請求されるおそれがある。さらに、法令等の違反が生じた場合には、当社グループの事業遂行が困難となるなどの影響を受ける可能性があり、また、社会的評価及び信用の失墜等に繋がるおそれがある。特に当社グループの事業の性質に鑑み、国内外の独占禁止法、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法、下請代金支払遅延等防止法等の違反に関しては、当社グループへの影響は一層重大なものとなる可能性がある。このように法令等の違反は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。
FY2022|7,809 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下の(3)に挙げるようなものがある。当社グループでは、これら主要なリスクを含めた各種リスクに対して考えうる対応策をあらかじめ講じているが、これらを完全に回避することは困難である。当社グループは、これらのリスクに留意しながら事業計画に従い事業活動を進めるとともに、これらが顕在化した場合の影響の最小化に努めている。主要なリスクには中長期的に事業環境や社会構造の更なる変化をもたらす可能性があるものも含まれており、当社グループは、将来を見据え、そのような動きに対応できるよう、先んじて対策を取っていかなければならないと認識している。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 (1)主要なリスクを検討するプロセス当社グループでは、事業遂行上のリスクを抽出・討議する経営管理プロセスを策定し、これに基づきリスクの一覧化に取り組んでいる。リスク抽出にあたっては、社外の知見も取り入れて当社グループに関連するリスクの網羅的なリストを作成し、これに基づき概ね10年以内に顕在化する可能性が懸念される具体的なリスクの洗出しを実施している。その上で、講じている対応策の効果も踏まえて当該リスクが顕在化した場合の影響度と蓋然性の検討を行い、当社グループの事業に重要な影響を与える可能性があり、かつ定量化可能なリスクを特定し、以下のようなリスクマップに整理している。これに加えて、定量化の難しい定性的なリスクについても上述のリスクの網羅的なリストに基づき特定している。 (2)当社グループにおけるリスクへの対応策当社グループでは、各種リスクを適切に管理するため、リスクの類型に応じた管理体制を整備し、管理責任の明確化を図っている。また、リスクを定期的に評価・分析し、必要な回避策又は低減策を講じるとともに、内部監査によりその実効性と妥当性を監査し、定期的に取締役会及び監査等委員会に報告することとしている。加えて、重大リスクが顕在化した場合に備え、緊急時に迅速かつ的確な対応ができるよう速やかにトップへ情報を伝達する手段を確保し、また各事業部門に危機管理責任者を配置している。また、当社グループでは、「事業リスクマネジメント憲章」により、リスクマネジメントの対象・要領等を明確化し、これを遵守・実践している。また、「事業リスクマネジメント委員会」において、トップマネジメントレベルでの重要リスク情報の共有や対応方針を協議することにより、体制の明確化と経営幹部・事業部門・コーポレート部門の役割の明確化を図っており、事業リスク総括部を責任部門として、経営幹部・事業部門・コーポレート部門の三者が一体となって事業リスクマネジメントに取り組んでいる。なお、以下「(3)主要なリスク」の①から⑦までの各項目のア.において、各項目に関して当社グループがあらかじめ講じている具体的な対応策を例示しているが、当社グループは、これらに限らず、主要リスク以外のものも含め、各種リスクの類型や性質に応じて、リスクを回避・低減するための取組みを進めるとともに、①から⑦までの各項目の「イ.経営成績等の状況に与えうる影響」等のリスクが顕在化した場合の影響の最小化に努めている。 (3)主要なリスク①新型コロナウイルス感染症の感染拡大ア.世界的な感染拡大と経済活動への影響新型コロナウイルス感染症は、2019年末以降、世界的な感染拡大(パンデミック)に発展した。変異株の流行による影響は残るものの、現在、経済活動は徐々に再開され、世界経済及び日本経済ともに回復の兆しを見せつつある。しかしながら、感染拡大の終息が見通せていないこと、需要が従前の水準まで回復する見通しが立たない産業分野もあるなど、新型コロナウイルス感染症の影響はなお予断を許さない状況にある。当社グループでは、この状況を踏まえた具体的な対策として、収益力を強化すべく、市場拡大が見込まれる分野への投資、販売網・サービス網の強化、サービス事業へのシフトなどに取り組むとともに、人員対策を含めた固定費の圧縮、従業員の一時帰休、工場稼働率の見直しや生産調整、外部流出費用の削減、投資計画の見直し、余剰リソースの有効活用、各国の助成制度の活用等の対策を進めている。また、経営・業務を幅広くリモートで行えるように、在宅勤務環境の整備、ツールの拡充、制度の見直しなどに取り組んでいる。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループは、日本のみならず世界各地で事業を展開しており、各国における新型コロナウイルス感染症の流行による影響を受けている。当社グループの売上の約3分の2を占めるインフラ関連企業及び官公庁向けの受注品事業では、海外案件を中心に既に受注した案件の進捗遅延による売上計上時期の遅れ、渡航制限やサプライチェーンの停滞、契約交渉や受注プロセスの遅延等が経営成績等の状況に影響を与えうる。また、民間航空機関連事業では、旅客便需要の大幅減少に伴う航空会社の設備投資削減等により、当社グループの生産やサービス事業が影響を受けており、今後の回復の見通しが立ちにくい状況が続いている。これらの影響等を確実に予想することは難しく、また、今後、悪化又は更に長期化するおそれがあり、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ②事業環境の変化ア.当社グループを取り巻く事業環境の悪化当社グループを取り巻く事業環境は、非常に速いスピードで変化している。例えば世界経済に関しては、米中対立に加え、ロシアのウクライナへの侵攻に伴う世界経済の分断の進展、デジタルデバイスやデータなどの分野における越境規制による覇権争いの先鋭化、資源価格をはじめとする諸物価の高騰、為替レートの急激な変動といった経済環境の変化が生じている。また、我が国においては、社会構造の変化として、人口減少・少子高齢化の一層の進展による人材不足の深刻化、廃業の増加、技術・技能の断絶、製造現場の空洞化等が懸念されている。さらには、全世界的に経済発展と環境負荷低減の両立が社会的な課題となっており、様々な分野で環境規制が強化されている。特にエネルギー分野では、新興国経済の発展や電気自動車の普及等をはじめとした電化の進展により、今後、世界の電力需要はますます伸びていく一方、燃料価格の高騰とともに地球温暖化を契機とした脱炭素化の一層の浸透など、当社グループの置かれている環境は、大きく変化している。当社グループでは、これらの事業環境の変化に対応すべく、研究開発や設備投資を通じて、性能・信頼性・価格・環境対応等に関する製品競争力の維持・強化を図ることを前提としつつ、社外の知見も取り入れて市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションの提案に注力している。また、2020年4月には成長推進室を設置し、既存の事業部門では対処しにくい新しい領域の事業開拓や既存事業の組合せを通じた製品・サービスの開発を進めている。また、事業環境を踏まえて各種製品分野で企図するM&A・アライアンスに関しては、入口での審議やモニタリングといった活動により、円滑なPMI*1の推進に向けた取組みを実践している。*1 Post Merger Integrationイ.経営成績等の状況に与えうる影響世界経済のデカップリングの進行に伴い、商談への参加、サプライヤー選定等の場面で当社グループの事業活動に制約が生じた場合や、為替レートの急激な変動、原材料価格の高騰、あるいは我が国における人材不足の深刻化や製造現場の空洞化等により当社グループの競争力が低下することとなった場合には、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。環境規制に関しては、火力発電システムや自動車向けターボチャージャ、化学プラント関連のエンジニアリングなどの事業において、環境意識の高まりによって、製品・サービスの需要が減少し、事業規模が縮小する可能性や投下資本の回収が困難となる可能性がある。また、火力発電システム事業は、化石燃料由来の電力需要の激減、競合他社との競争激化やこれに伴う競合他社によるサービス商談獲得の影響も考えられ、これらにより受注が減少するおそれがある。環境規制の強化や燃料価格高騰といった事業環境の変化を踏まえ、顧客が自らの判断で火力発電プラントなどの営業運転を停止することとした場合には、これに伴うサービス事業の停滞等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。事業計画策定時の想定を超えて更に各種環境規制が厳格化され、これへの対応に課題が生じた場合には、市場競争力の低下や受注機会の逸失等により、当社グループの事業計画の推進に影響を与えるおそれがある。加えて、当社グループは、各種製品事業において、他社とのM&A・アライアンスを行っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象を理由として、これらのM&A・アライアンス対象事業が目論見どおり進捗しない場合、資産の評価見直しによって減損損失等を計上する可能性があるなど、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ③各種の災害ア.自然災害や戦争・テロ等の発生地震、津波、豪雨、洪水、暴風、噴火、火災、落雷、新型コロナウイルス感染症以外の感染症の世界的流行等の自然災害の発生、その発生頻度の上昇や被害の甚大化、戦争・テロ、政情不安、反日運動、人質・誘拐等の犯罪、社会インフラの麻痺、労働争議、停電、設備の老朽化・不具合等の人為的な要因により、様々な物的・人的被害が生じ、円滑な経済活動が阻害され、さらには社会基盤が破壊されるといった事態が考えられる。なお、自然災害については、気候変動等に伴いその影響が甚大化することが想定される。当社グループでは、これらの影響を低減するため、災害対策支援ツールの活用、連絡体制・事業継続計画(BCP)の策定・整備、工場の点検や設備の耐震化、各種訓練の定期的な実施に加え、適切な保険を付保するとともに、各国の情勢や安全に関する情報収集やこれを踏まえた各種対応、関連省庁との連携等を進めている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループは、製品・サービスを提供するための拠点を世界各地に有しているが、特に日本やタイなどに生産拠点が集中しているため、これらの国・地域において、大規模な地震・津波・洪水といった災害が発生した場合、当社グループの生産能力に重要な影響を及ぼす可能性がある。具体的には、生産設備の滅失・毀損、サプライチェーンの停滞・混乱、生産に必要な材料・部品等の不足やサービスの提供停止、生産拠点の操業低下・稼働停止等のほか、代替となる生産設備や取引先の喪失、損害保険等で補填されない損害の発生等の可能性がある。これらの影響に伴う受注や売上の減少等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。なお、ウクライナ情勢に起因するロシアへの経済制裁を受け、当社グループが遂行するロシア向け工事で中断等の影響が生じているものの、当連結会計年度において資産の評価等財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であるが、今後の原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱等によって当社グループの経営成績等の状況に影響が生じる可能性は否定できない。 ④製品・サービス関連の問題ア.製品・サービスに関連する品質・安全上の問題、コスト悪化等当社グループは、ものづくりとエンジニアリングのグローバルリーダーとして、エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙の幅広い分野で高度な技術力を活かしてソリューションを提供している。当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を重ねているが、製品の性能・納期の問題や製品に起因する安全上の問題が生じる可能性がある。また、仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化、材料・部品等の調達や工事に伴う予期しない問題の発生、納期遅延や性能未達等による顧客からの損害賠償請求や契約解除、顧客の財務状況の悪化等の問題が生じる可能性がある。サプライヤーとの間でも、製品・サービスなどに起因して、同様の問題が発生する可能性がある。また、特定の材料・部品のサプライヤーと取引不能となった場合に代替調達先の手配ができないことにより、生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。当社グループでは、これらのリスクに対して、各種規則の制定・運用、事業リスクマネジメント体制の整備・強化、個別案件の事前審議や受注後のモニタリング、プロジェクト遂行責任者や事業部長クラスへの教育の実施、製品安全に関する講座の継続的な開催等を行うとともに、過去に生じた大口赤字案件については、その原因や対策を総括するとともに、社内教育に反映するなど、再発防止に努めている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響このような製品・サービス関連の問題発生等を理由として、追加費用の発生、顧客への損害賠償、社会的評価及び信用の失墜等に繋がる可能性がある。また、顧客・サプライヤーやその他第三者から国内外で訴訟・仲裁を提起されることがあり、当社グループは、これらに対応している。訴訟・仲裁においては、当社グループの主張が認められるように最大限の対応を取っているものの、当社グループにとって不利な判断が下される可能性は否定できない。また、当社グループが最終的に支払うべき賠償額等の負担が、各種の保険で必ずしも補填されるとは限らない。このように製品・サービス関連の問題は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ⑤知的財産関連の紛争ア.当社グループの知的財産に対する侵害、当社グループによる第三者の知的財産に対する侵害等当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、グローバルに活用している。しかしながら、当社グループに対して、第三者から知的財産を侵害していると主張されるような事態が生じる可能性がある。当社グループでは、知的財産を特許権等により適切に保護し、また、第三者の知的財産を尊重し、当社グループによる侵害回避に努め、必要に応じて当該第三者から技術導入を行うなど適切な対応を取っている。具体的には、製品の基本計画・設計・製造の各段階で他者が保有する知的財産を十分に調査することによる知的財産関連の紛争の未然防止、教育・人材育成を通じた知的財産部門の専門性向上等の対策を進めている。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループの知的財産の利用に関して競合他社等から訴訟等を提起されて敗訴した場合、損害賠償責任を負うほか、特定の技術を利用することができなくなり、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。また、当社グループが事業遂行のために必要とする技術の権利を第三者が保有している場合に、当該第三者からの技術導入を受けられず、当社グループの事業遂行に支障をきたすおそれがある。 ⑥サイバーセキュリティ上の問題ア.情報セキュリティ問題の発生等当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報及び当社グループの技術・営業他の事業に関する機密情報を保有しており、業務上も情報技術への依存度は高まっている。これに対して日々高度化・悪質化しているサイバー攻撃等が現在の想定を上回るなどして、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセスその他の不測の事態が生じた場合には、機密情報が滅失又は社外に漏洩する可能性がある。また、サイバー攻撃等の結果、端末やサーバなどの使用に障害が出る可能性がある。当社グループでは、これらのリスクに対して、CTO*2直轄のサイバーセキュリティ推進体制を構築し、当社グループのサイバーセキュリティ統制(基準整備・対策実装・自己点検・内部監査)やインシデント対応等の対策を進めている。*2 CTO:Chief Technology Officerイ.経営成績等の状況に与えうる影響情報漏洩が生じると、当社グループの競争力の大幅な低下、社会的評価及び信用の失墜等によって当社グループの事業遂行に重大な影響が生じうる。また、当局等による調査の対象となるほか、顧客等から損害賠償請求等を受ける可能性がある。加えて、サイバー攻撃等の結果、サーバなどの使用に障害が出た場合には、業務の遂行に大きな影響が生じ、その結果生産活動や顧客への製品・サービスの提供等に影響が生じるおそれがある。このようにサイバーセキュリティ上の問題は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。 ⑦法令等の違反ア.重大な法令等の違反当社グループは、国内外の様々な法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等をいい、これらを総称して以下「法令等」という。)を遵守し、役員及び従業員にも遵守させなければならず、決してリスクとリターンをトレードしてはならない厳守事項として周知と対策を徹底している。具体的には、当社グループの全ての役員・従業員を対象とした「三菱重工グループ グローバル行動基準」や各種規則の制定・運用を行うとともに、コンプライアンス委員会の定期的な開催、内部通報体制の整備、法令遵守の徹底に関する経営層からのメッセージの発信、コンプライアンス・情報管理・ブランド戦略等の各種社内教育の充実と継続的な実施、各部門の課題を踏まえた内部監査等を行っている。しかし、一部の役員・従業員が法令等の違反を生じさせる可能性は完全には排除できない。イ.経営成績等の状況に与えうる影響万一法令等の違反が生じた場合、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止、輸出禁止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、又は当局やその他の利害関係者から損害賠償を請求されるおそれがある。さらに、法令等の違反が生じた場合には、当社グループの事業遂行が困難となるなどの影響を受ける可能性があり、また、社会的評価及び信用の失墜等に繋がるおそれがある。特に当社グループの事業の性質に鑑み、国内外の独占禁止法、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法、下請代金支払遅延等防止法等の違反に関しては、当社グループへの影響は一層重大なものとなる可能性がある。このように法令等の違反は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。
FY2020|6,141 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがある。これらの主要なリスクは、10年以内に顕在化する可能性があり、特に「(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大」及び「(2)三菱スペースジェットの開発遅延」は、既に顕在化し、当社グループへの影響が大きいリスクである。また、これらの主要なリスクの中には、より中長期的な観点で、当社グループを取り巻く事業環境や社会構造の更なる変化をもたらす可能性があるものも含まれており、当社グループは、先々を見据え、そのような動きに対応できるよう、先んじて対策を取っていかなければならないと認識している。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 (1) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大ア.世界的な感染拡大と経済の失速新型コロナウイルス感染症は、2019年末以降、中国国内での感染を発端として、イタリア、イラン、韓国等での感染者の爆発的増加が報じられた上に、欧州や米国でも急拡大するなど、世界的な感染拡大(パンデミック)に発展している。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、地域封鎖や移動制限といった厳しい公衆衛生上の措置が実施されるなど、各国で経済活動が大きく制限されたことから、世界経済は急激に失速し、また、日本経済も、世界経済と同様に大幅に下押しされる状況となり、いずれの先行きも非常に見通しが悪い状況にある。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループは、日本のみならず世界各地で事業を展開しており、このような新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受けている。当社グループの売上の約3分の2を占めるインフラ関連企業及び官公庁向けの受注品事業では、海外案件を中心に既に受注した案件の進捗遅延による売上計上時期の遅れ、渡航制限やサプライチェーンの停滞、契約交渉や受注プロセスの遅延等の影響が出始めている。また、民間航空機関連事業では、旅客便需要の大幅減少に伴う航空会社の設備投資削減等を受け、当社グループの生産やサービス事業に関して影響を受けている。さらに、自動車関連の中量産品事業では、複数の国・地域で操業停止や生産調整を行っている。その他の中量産品事業でも、サプライチェーンの停滞や操業度の低下といった影響が顕在化してきている。これらの影響を確実に予想することは難しく、かつ、悪化又は長期化するおそれがあり、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。ウ.リスクへの対応策当社グループは、これらの影響を低減するため、人員対策を含めた固定費の圧縮、従業員の一時帰休、工場稼働率の見直しや生産調整、外部流出費用の削減、投資計画の見直し、余剰リソースの有効活用、各国の助成制度の活用等の対策を進めている。 (2) 三菱スペースジェットの開発遅延ア.開発遅延と市場の不透明性三菱スペースジェットの開発は、型式証明取得の遅れにより、全体スケジュールを精査する必要性が生じていたところ、その後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、最新かつ型式証明可能な機体である飛行試験機10号機の米国へのフェリーフライトの遅れや、米国での飛行試験の実施にも影響が生じたほか、顧客である航空業界各社も深刻な打撃を受けて危機的な経営状況にある。イ.経営成績等の状況に与えうる影響三菱スペースジェットの開発については、上記のような事業環境の激変等により、更なるスケジュールの遅延、費用の増加や、事業計画の見直しなどの可能性も否定はできない。これらにより、既に受注した機体の販売契約に関する売上計上時期の遅れや顧客からの契約解除、顧客やパートナー企業その他の関係者からの損害賠償の請求等、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。ウ.リスクへの対応策当社グループは、これらの影響を低減するため、今後の市場動向を注視しながら関係者との情報共有・関係維持に努めつつ、引き続き開発スケジュールの精査を行うとともに、予算についても適正な規模で推進するなどの対策を進めている。(3) 各種の災害ア.自然災害や戦争・テロ等の発生地震、津波、豪雨、洪水、暴風、噴火、火災、落雷、感染症の世界的流行(パンデミック)等の自然災害の発生や、戦争・テロ、政情不安、反日運動、人質・誘拐等の犯罪、社会インフラの麻痺、労働争議、停電、設備の老朽化・不具合等の人為的な要因により、様々な物的・人的被害が生じ、円滑な経済活動が阻害され、さらには社会基盤が破壊されるといった事態が考えられる。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループは、製品・サービスを提供するための拠点を世界各地に有しているが、特に日本やタイなどに生産拠点が集中しているため、これらの国・地域において、大規模な地震・津波・洪水といった災害が発生した場合、当社グループの生産能力に重要な影響を及ぼす可能性がある。具体的には、生産設備の毀損・滅失、サプライチェーンの停滞・混乱、生産に必要な材料・部品等の不足やサービスの提供停止、生産拠点の操業低下・稼働停止等のほか、代替となる生産設備や取引先の喪失、損害保険等で補填されない損害の発生等の可能性がある。また、テロや感染症の世界的流行等の突発的な事象の発生は、旅客数の減少といった製品・サービスの需要縮減を招き、民間航空機事業やその他関連事業の損益を大幅に悪化させる可能性がある。これらの影響に伴う受注や売上の減少、生産能力の低下等により、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。ウ.リスクへの対応策当社グループは、これらの影響を低減するため、災害対策支援ツールの活用、連絡体制・事業継続計画(BCP)の策定・整備、工場の点検や各種訓練の定期的な実施に加え、各国の情勢や安全に関する情報収集等の対策を進めている。 (4) 事業環境の変化ア.当社グループを取り巻く事業環境の悪化当社グループを取り巻く事業環境は、非常に速いスピードで変化している。例えば世界経済に関しては、米中貿易摩擦の激化や保護主義的な貿易政策の推進といった経済環境の変化が生じている。また、我が国においては、社会構造の変化として、人口減少・少子高齢化の一層の進展による人材不足の深刻化、廃業の増加、技術・技能の断絶、製造現場の空洞化等が懸念されている。当社グループに密接に関連するものとしては、全世界的に経済発展と環境負荷低減の両立が社会的な課題となっており、様々な分野で環境規制が強化されている。特にエネルギー分野では、新興国経済の発展や電気自動車の普及等をはじめとした電化の進展により、今後、世界の電力需要はますます伸びていく一方、地球温暖化を契機とした低炭素化・脱炭素化の動きが加速していくことが予想されているなど、当社グループの置かれている環境は、大きく変化している。イ.経営成績等の状況に与えうる影響火力発電システム、化学プラント、製鉄機械、コンプレッサなどの事業において、環境意識の高まりによって、製品・サービスの需要が減少し、事業規模が縮小する可能性や投下資本の回収が困難となる可能性がある。特に火力発電システム事業は、化石燃料由来の電力需要の低下や競合他社との競争激化の影響も考えられ、これらにより建設工事やアフターサービスなどの受注が減少するおそれがある。さらに、当社グループは、各種製品事業において、他社とのM&A・アライアンスを行っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象を理由として、これらのM&A・アライアンスが目論見どおり実現できない場合、資産の評価見直しなどによって、減損損失等を計上する可能性がある。このような事業環境の変化は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。ウ.リスクへの対応策当社グループは、これらの影響を低減するため、性能・信頼性・価格面の競争力を向上させるべく、研究開発や設備投資を通じた製品競争力の維持・強化を図っている。また、社外の知見も取り入れて市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションの提案に注力している。さらに、2020年4月に成長推進室を設置し、既存の事業部門では対処しにくい新しい領域の事業開拓や既存事業の組合せを通じた事業開発等の対策を進めている。 (5) 製品関連の問題ア.製品・サービスに関連する品質・安全上の問題、コスト悪化等当社グループは、ものづくりとエンジニアリングのグローバルリーダーとして、造船をはじめ、交通・輸送システム、民間航空機、発電システムなどのインフラ、宇宙システムなど、幅広い分野で高度な技術力を活かしてソリューションを提供している。当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能・納期の問題や製品に起因する安全上の問題が生じる可能性がある。また、製品の仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化、材料・部品等の調達や工事に伴う予期しない問題の発生、納期遅延や性能未達による契約相手方からの損害賠償請求等、契約相手方の財務状況の悪化等の問題が生じる可能性がある。また、サプライヤーとの間でも、製品・サービスなどに起因して、これらと同様の問題が発生する可能性がある。イ.経営成績等の状況に与えうる影響このような製品関連の問題発生等を理由として、韓国における蒸気タービン発電設備の事故に関する顧客との仲裁のように、契約相手方やその他第三者からの国内外での損害賠償請求等を契機に訴訟等を提起されることがあり、当社グループは、これらの訴訟等に対応している。訴訟等においては、当社グループの主張が認められるように最大限の対応を取っているものの、当社グループにとって不利な判断が下される可能性は否定できない。また、当社グループが最終的に支払うべき賠償額等の負担が、各種の保険で必ずしも補填されるとは限らない。このように製品関連の問題は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。ウ.リスクへの対応策当社グループは、これらの影響を低減するため、適切な品質の管理及び安全性の確保に取り組むとともに、事業リスクグローバルポリシーや各種規則の制定・運用、事業リスクマネジメント体制の整備・強化、個別案件の事前審議や受注後のモニタリング、事業部長クラスへの教育の実施、製品安全に関する講座の継続的な開催等の対策を進めている。 (6) 知的財産関連の紛争ア.当社グループの知的財産に対する侵害、当社グループによる第三者の知的財産に対する侵害等当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保護し、グローバルに活用している。また、第三者の知的財産は、これを尊重し、当社グループによる侵害回避に努め、当該第三者から技術導入を行うなどの適切な対応を取っている。しかしながら、当社グループの取組みに反して、第三者から知的財産を侵害していると主張されるような事態が生じる可能性がある。また、第三者が権利を有する技術を必ず当社グループが利用できるという保証はない。イ.経営成績等の状況に与えうる影響当社グループの知的財産の利用に関して競合他社等から訴訟等を提起されて敗訴した場合、損害賠償責任を負うほか、特定の技術を利用することができなくなり、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。また、当社グループが事業遂行のために必要とする技術の権利を第三者が保有している場合に、当該第三者からの技術導入を受けられず、当社グループの事業遂行に支障をきたすおそれがある。ウ.リスクへの対応策当社グループは、これらの影響を低減するため、製品の基本計画・設計・製造の各段階で他者が保有する知的財産を十分に調査することによる知的財産関連の紛争の未然防止、教育・人材育成を通じた知的財産部門の専門性向上等の対策を進めている。 (7) 法令等の違反や情報漏洩ア.重大な法令等の違反、情報セキュリティ問題の発生等当社グループは、国内外の様々な法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・下請代金支払遅延等防止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等をいい、これらを総称して以下「法令等」という。)を遵守し、役員及び従業員にも遵守させなければならず、決してリスクとリターンをトレードしてはならない厳守事項として周知と対策を徹底している。しかし、一部の役員あるいは従業員が法令等の違反を生じさせる可能性は完全には排除できない。また、当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報及び当社グループの技術・営業・その他の事業に関する機密情報を保有しており、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセスその他の不測の事態により、機密情報が滅失又は社外に漏洩する可能性がある。イ.経営成績等の状況に与えうる影響法令等の違反が生じた場合、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止、輸出禁止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、又は当局やその他の利害関係者から損害賠償を請求されるおそれがある。さらに、当社グループの事業遂行が困難となるなどの影響を受ける可能性がある。特に当社グループの事業の性質に鑑み、国内外の独占禁止法、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法、下請代金支払遅延等防止法等の違反に関しては、当社グループへの影響にとどまらず、一層重大なものとなる可能性がある。また、情報漏洩が生じると、当社グループの競争力の大幅な低下、社会的評価及び信用の失墜等によって当社グループの事業遂行に重大な影響が生じうる。また、顧客等から損害賠償請求等を受ける可能性がある。このように法令等の違反や情報漏洩は、当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある。ウ.リスクへの対応策当社グループは、法令等の違反によるリスクを減らすため、コンプライアンス・情報管理・ブランド戦略等の各種社内教育の充実と継続的な実施、グローバルポリシーや各種規則の制定・運用を行っている。また、サイバー攻撃によるリスクを最小化するため、CTO*直轄のサイバーセキュリティ推進体制を構築し、当社グループのサイバーセキュリティ統制(基準整備・対策実装・自己点検・内部監査)やインシデント対応等の対策を進めている。* CTO:Chief Technology Officer
FY2019|4,132 文字
2【事業等のリスク】当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻くリスク要因には、為替変動・金利等の経済リスク、貿易制限・カントリーリスク等の政治リスク、製造物責任等の法務リスク、自然災害・事故等の災害リスク、株価変動・投資等の市場リスクをはじめ様々なものがあるが、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の変動に係る事項 ア.経済情勢当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)は、日本及び世界各国・地域の経済情勢変動の影響を受ける可能性がある。日本では民間設備投資等の推移、海外では米国・欧州や新興国の経済情勢の変動が挙げられるが、複雑化する今日の世界経済の下では、必ずしも当社グループが事業を展開している当該国又は地域経済の情勢のみの影響を受けるとは限らない。 イ.輸出・海外事業当社グループは、世界各国・地域における輸出・海外事業の拡大を図っているが、部品の現地調達や現地工事に伴う予期しないトラブル、納期遅延や性能未達による契約相手方からの請求、契約相手方のデフォルト等の要因が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。さらに、当社グループは、新興国での総合的なインフラ整備等に積極的に参画するなど、新たなビジネスモデルの構築・拡大に取り組んでいるが、各国政府が民間企業を主導して新興国を中心とした大規模インフラ開発案件の受注活動に力を入れており、激しい競争に必ず勝ち残るという保証はない。 ウ.為替レートの変動当社グループの輸出・海外事業の取引は、主に米ドルやユーロ等の外貨建てで行われており、為替レートの変動が当社グループの競争力に影響を与える可能性がある。また、国内事業においても為替レートの変動による海外競合企業のコスト競争力の変化により、当社グループの競争力に影響が生じる可能性がある。さらに、国内競合企業と当社グループの為替レート変動に対する影響度合いが異なる場合は、国内外における当該企業との競争力にも影響が生じる可能性がある。当社グループは外貨建て取引にあたり、資材の海外調達拡大による外貨建て債務の増加及び為替予約等によりリスクヘッジに努めているが、為替レートの変動は当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 エ.資金調達当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めているが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 オ.退職給付費用及び債務当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した前提条件に基づいて算出している。その主要な前提条件は退職給付債務の割引率であり、期末日における優良社債の利回りに基づき決定している。これらの前提条件は妥当なものと判断しているが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。(2) 特定取引先への依存等に係る事項 ア.M&A・アライアンス当社グループは、多くの製品事業について、他社とのM&A・アライアンスを通じて、その強化・拡大を図っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象等を理由として、これらのM&A・アライアンスが目論見どおり実現できない場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。なお、当社は、2017年7月に、株式会社日立製作所(以下「日立」)との火力発電システムを主体とする事業統合に関して、Mitsubishi Hitachi Power Systems Africa Proprietary Limitedが譲渡を受けた南アフリカ共和国でのボイラ建設プロジェクトに係る譲渡価格調整金等の支払を求め、日立を被申立人とする仲裁を申し立てた。 イ.資材調達当社グループの事業活動には、原材料、部品、機器及びサービスが第三者から適時・適切に、かつ十分な品質及び量をもって供給されることが必要である。このうち一部の原材料・部品等については、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の変更が困難なものがあり、これら原材料・部品等の品質上の問題、供給不足、納入遅延及び災害に伴う生産停止等の発生は、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。また、需給環境の変化等による原材料・部品等の供給価格の高騰は、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 (3) 特定製品・技術に係る事項 ア.製品競争力当社グループは、性能・信頼性・価格面で常に顧客から高い評価を得るよう、更には市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションを提案できるよう、研究開発や設備投資を中心にした製品競争力の強化を進めているが、国内外の競合企業において当社グループのそれを上回る製品競争力の強化が行われるなどした場合には、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。 イ.製品の品質等当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能、納期上の問題や製品に起因する安全上の問題について契約相手方やその他の第三者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起される可能性がある。これらについて、当社グループが最終的に支払うべき賠償額が製造物責任賠償保険等で補填されるという保証はない。また、製品の仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 ウ.知的財産当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保全するとともに、第三者への技術供与や第三者からの技術導入を行っている。しかしながら、必要な技術導入を第三者から必ず受けられる(又は有利な条件で受けられる)という保証はない。また、知的財産の利用に関して競合企業等から訴訟等を提起され敗訴した場合、特定の技術を利用できなくなり、また損害賠償責任を負い、事業活動に支障をきたすおそれがある。従業員又は元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起されないという保証はない。 (4) 法的規制に係る事項 ア.法令・規制当社グループは、国内外で各種の法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等)に服しており、当社グループでは法令遵守の徹底を図っている(「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に当社の状況を記載)。法令・規制に関しては、当社グループは、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、また当局やその他の利害関係者から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がある。なお、2013年9月に、当社が米国司法省との間で、特定の顧客向けのカーエアコン用コンプレッサ及びコンデンサに係る販売に関して米国独占禁止法に違反した事実があったことを認め、司法取引に合意したことに関連して、当社及び当社の子会社を含む複数の事業者に対し民事賠償を求める訴訟が北米において提起され、これに対応している。 イ.環境規制当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、有害物質の使用、省エネルギー及び地球温暖化対策等に関し、国内外において各種の環境規制に服している。これらの規制が将来厳格化された場合や、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関係し、法的責任に基づき賠償責任を負うこととなった場合、また社会的責任の観点から任意に有害物質の除去等の対策費用を負担するなどした場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 (5) 従業員、関係会社等に係る事項 ア.人材の確保当社グループの競争力は、研究開発、設計、調達、製造、建設等の各職種における優れた専門的知識や技能を持った従業員により支えられている。当社グループは、グローバルな事業活動を一層進める中で優秀な人材を多数確保するため、国内に加え海外でも積極的な採用活動を行っているが、必ずしも十分に確保できる保証はない。また、技術・技能伝承の強化等、人材の育成にも努めているが、十分な効果が出るという保証はない。 イ.関係会社当社の連結子会社、関連会社及び共同支配企業は、当社と相互協力体制を確立している一方、自主的な経営を行っているため、これら関係会社の事業や業績の動向が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 (6) その他の事項 ア.災害当社グループは、暴風、地震、落雷、洪水、火災、感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めているが、このような災害による物的・人的被害及び社会インフラの重大な障害・機能低下により当社グループの活動(特に工場等における生産活動)が影響を受ける可能性がある。また、これによる損害が損害保険等で補填されるという保証はない。 イ.情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有している。コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
FY2018|4,204 文字
2【事業等のリスク】当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻くリスク要因には、為替変動・金利等の経済リスク、貿易制限・カントリーリスク等の政治リスク、製造物責任等の法務リスク、自然災害・事故等の災害リスク、株価変動・投資等の市場リスクをはじめ様々なものがあるが、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の変動に係る事項 ア.経済情勢当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)は、日本及び世界各国・地域の経済情勢変動の影響を受ける可能性がある。日本では民間設備投資等の推移、海外では米国・欧州や新興国の経済情勢の変動が挙げられるが、複雑化する今日の世界経済の下では、必ずしも当社グループが事業を展開している当該国又は地域経済の情勢のみの影響を受けるとは限らない。 イ.輸出・海外事業当社グループは、世界各国・地域における輸出・海外事業の拡大を図っているが、部品の現地調達や現地工事に伴う予期しないトラブル、納期遅延や性能未達による契約相手方からの請求、契約相手方のデフォルト等の要因が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。さらに、当社グループは、新興国での総合的なインフラ整備等に積極的に参画するなど、新たなビジネスモデルの構築・拡大に取り組んでいるが、各国政府が民間企業を主導して新興国を中心とした大規模インフラ開発案件の受注活動に力を入れており、激しい競争に必ず勝ち残るという保証はない。 ウ.為替レートの変動当社グループの輸出・海外事業の取引は、主に米ドルやユーロ等の外貨建てで行われており、為替レートの変動が当社グループの競争力に影響を与える可能性がある。また、国内事業においても為替レートの変動による海外競合企業のコスト競争力の変化により、当社グループの競争力に影響が生じる可能性がある。さらに、国内競合企業と当社グループの為替レート変動に対する影響度合いが異なる場合は、国内外における当該企業との競争力にも影響が生じる可能性がある。当社グループは外貨建て取引にあたり、資材の海外調達拡大による外貨建て債務の増加及び為替予約等によりリスクヘッジに努めているが、為替レートの変動は当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 エ.資金調達当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めているが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 オ.退職給付費用及び債務当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率である。これらの前提条件は妥当なものと判断しているが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合は、将来にわたって当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。また、年金資産の運用利回りの変動や割引率決定の基礎となる優良社債利回りの変動は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。(2) 特定取引先への依存等に係る事項 ア.M&A・アライアンス当社グループは、多くの製品事業について、他社とのM&A・アライアンスを通じて、その強化・拡大を図っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象等を理由として、これらのM&A・アライアンスが目論見どおり実現できない場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。なお、当社は、平成29年7月に、株式会社日立製作所(以下「日立」)との火力発電システムを主体とする事業統合に関して、Mitsubishi Hitachi Power Systems Africa Proprietary Limitedが譲渡を受けた南アフリカ共和国でのボイラ建設プロジェクトに係る譲渡価格調整金等の支払を求め、日立を被申立人とする仲裁を申し立てた。 イ.資材調達当社グループの事業活動には、原材料、部品、機器及びサービスが第三者から適時・適切に、かつ十分な品質及び量をもって供給されることが必要である。このうち一部の原材料・部品等については、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の変更が困難なものがあり、これら原材料・部品等の品質上の問題、供給不足、納入遅延及び災害に伴う生産停止等の発生は、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。また、需給環境の変化等による原材料・部品等の供給価格の高騰は、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 (3) 特定製品・技術に係る事項 ア.製品競争力当社グループは、性能・信頼性・価格面で常に顧客から高い評価を得るよう、更には市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションを提案できるよう、研究開発や設備投資を中心にした製品競争力の強化を進めているが、国内外の競合企業において当社グループのそれを上回る製品競争力の強化が行われるなどした場合には、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。 イ.製品の品質等当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能、納期上の問題や製品に起因する安全上の問題について契約相手方やその他の第三者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起される可能性がある。これらについて、当社グループが最終的に支払うべき賠償額が製造物責任賠償保険等で補填されるという保証はない。また、製品の仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 ウ.知的財産当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保全するとともに、第三者への技術供与や第三者からの技術導入を行っている。しかしながら、必要な技術導入を第三者から必ず受けられる(又は有利な条件で受けられる)という保証はない。また、知的財産の利用に関して競合企業等から訴訟等を提起され敗訴した場合、特定の技術を利用できなくなり、また損害賠償責任を負い、事業活動に支障をきたすおそれがある。従業員又は元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起されないという保証はない。 (4) 法的規制に係る事項 ア.法令・規制当社グループは、国内外で各種の法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等)に服しており、当社グループでは法令遵守の徹底を図っている(「第4 提出会社の状況」の「6 コーポレート・ガバナンスの状況等」に当社の状況を記載)。法令・規制に関しては、当社グループは、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、また当局やその他の利害関係者から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がある。なお、平成25年9月に、当社が米国司法省との間で、特定の顧客向けのカーエアコン用コンプレッサ及びコンデンサに係る販売に関して米国独占禁止法に違反した事実があったことを認め、司法取引に合意したことに関連して、当社及び当社の子会社を含む複数の事業者に対し民事賠償を求める訴訟が北米において提起され、これに対応している。 イ.環境規制当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、有害物質の使用、省エネルギー及び地球温暖化対策等に関し、国内外において各種の環境規制に服している。これらの規制が将来厳格化された場合や、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関係し、法的責任に基づき賠償責任を負うこととなった場合、また社会的責任の観点から任意に有害物質の除去等の対策費用を負担するなどした場合は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 (5) 従業員、関係会社等に係る事項 ア.人材の確保当社グループの競争力は、研究開発、設計、調達、製造、建設等の各職種における優れた専門的知識や技能を持った従業員により支えられている。当社グループは、グローバルな事業活動を一層進める中で優秀な人材を多数確保するため、国内に加え海外でも積極的な採用活動を行っているが、必ずしも十分に確保できる保証はない。また、技術・技能伝承の強化等、人材の育成にも努めているが、十分な効果が出るという保証はない。 イ.関係会社当社の連結子会社、持分法適用非連結子会社、持分法適用関連会社は、当社と相互協力体制を確立している一方、自主的な経営を行っているため、これら関係会社の事業や業績の動向が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性がある。 (6) その他の事項 ア.災害当社グループは、暴風、地震、落雷、洪水、火災、感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めているが、このような災害による物的・人的被害及び社会インフラの重大な障害・機能低下により当社グループの活動(特に工場等における生産活動)が影響を受ける可能性がある。また、これによる損害が損害保険等で補填されるという保証はない。 イ.情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有している。コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
FY2017|3,997 文字
4【事業等のリスク】当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻くリスク要因には、為替変動・金利等の経済リスク、貿易制限・カントリーリスク等の政治リスク、製造物責任等の法務リスク、自然災害・事故等の災害リスク、株価変動・投資等の市場リスクをはじめ様々なものがあるが、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。(1) 財政状態、経営成績の変動にかかる事項 ア.経済情勢当社グループの経営成績は、日本及び世界各国・地域の経済情勢変動の影響を受ける可能性がある。日本では民間設備投資等の推移、海外では米国・欧州や新興国の経済情勢の変動が挙げられるが、複雑化する今日の世界経済の下では、必ずしも当社グループが事業を展開している当該国又は地域経済の情勢のみの影響を受けるとは限らない。 イ.輸出・海外事業当社グループは、世界各国・地域における輸出・海外事業の拡大を図っているが、部品の現地調達や現地工事に伴う予期しないトラブル、納期遅延や性能未達による契約相手方からの請求、契約相手方のデフォルト等の要因が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。さらに、当社グループは、新興国での総合的なインフラ整備等に積極的に参画するなど、新たなビジネスモデルの構築・拡大に取り組んでいるが、各国政府が民間企業を主導して新興国を中心とした大規模インフラ開発案件の受注活動に力を入れており、激しい競争に必ず勝ち残るという保証はない。 ウ.為替レートの変動当社グループの輸出・海外事業の取引は、主に米ドルやユーロ等の外貨建てで行われており、為替レートの変動が当社グループの競争力に影響を与える可能性がある。また、国内事業においても為替レートの変動による海外競合企業のコスト競争力の変化により、当社グループの競争力に影響が生じる可能性がある。さらに、国内競合企業と当社グループの為替レート変動に対する影響度合いが異なる場合は、国内外における当該企業との競争力にも影響が生じる可能性がある。当社グループは外貨建て取引にあたり、資材の海外調達拡大による外貨建て債務の増加及び為替予約等によりリスクヘッジに努めているが、為替レートの変動は当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。 エ.資金調達当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めているが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。 オ.退職給付費用及び債務当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率である。これらの前提条件は妥当なものと判断しているが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、将来にわたって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。また、年金資産の運用利回りの変動や割引率決定の基礎となる優良社債利回りの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。(2) 特定取引先への依存等にかかる事項 ア.M&A・アライアンス当社グループは、多くの製品事業について、他社とのM&A・アライアンスを通じて、その強化・拡大を図っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象等を理由として、これらのM&A・アライアンスが目論見どおり実現できない場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。 イ.資材調達当社グループの事業活動には、原材料、部品、機器及びサービスが第三者から適時・適切に、かつ十分な品質及び量をもって供給されることが必要である。このうち一部の原材料・部品等については、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の変更が困難なものがあり、これら原材料・部品等の品質上の問題、供給不足、納入遅延及び災害に伴う生産停止等の発生は、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。また、需給環境の変化等による原材料・部品等の供給価格の高騰は、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 (3) 特定製品・技術にかかる事項 ア.製品競争力当社グループは、性能・信頼性・価格面で常に顧客から高い評価を得るよう、更には市場の動きを先取りした新たな機能やソリューションを提案できるよう、研究開発や設備投資を中心にした製品競争力の強化を進めているが、国内外の競合企業において当社グループのそれを上回る製品競争力の強化が行われるなどした場合には、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。 イ.製品の品質等当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能、納期上の問題や製品に起因する安全上の問題について契約相手方やその他の第三者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起される可能性がある。これらについて、当社グループが最終的に支払うべき賠償額が製造物責任賠償保険等で補填されるという保証はない。また、製品の仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。 ウ.知的財産当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源の一つと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保全するとともに、第三者への技術供与や第三者からの技術導入を行っている。しかしながら、必要な技術導入を第三者から必ず受けられる(又は有利な条件で受けられる)という保証はない。また、知的財産の利用に関して競合企業等から訴訟等を提起され敗訴した場合、特定の技術を利用できなくなり、また損害賠償責任を負い、事業活動に支障をきたすおそれがある。従業員又は元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起されないという保証はない。 (4) 法的規制にかかる事項 ア.法令・規制当社グループは、国内外で各種の法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等)に服しており、当社グループでは法令遵守の徹底を図っている(「第4 提出会社の状況」の「6 コーポレート・ガバナンスの状況等」に当社の状況を記載)。法令・規制に関しては、当社グループは、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、また当局やその他の利害関係者から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がある。なお、平成25年9月に、当社が米国司法省との間で、特定の顧客向けのカーエアコン用コンプレッサ及びコンデンサに係る販売に関して米国独占禁止法に違反した事実があったことを認め、司法取引に合意したことに関連して、当社及び当社の子会社を含む複数の事業者に対し民事賠償を求める訴訟が北米において提起され、これに対応している。 イ.環境規制当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、有害物質の使用、省エネルギー及び地球温暖化対策等に関し、国内外において各種の環境規制に服している。これらの規制が将来厳格化された場合や、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関係し、法的責任に基づき賠償責任を負うこととなった場合、また社会的責任の観点から任意に有害物質の除去等の対策費用を負担するなどした場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。 (5) 従業員、関係会社等にかかる事項 ア.人材の確保当社グループの競争力は、研究開発、設計、調達、製造、建設等の各職種における優れた専門的知識や技能を持った従業員により支えられている。当社グループは、グローバルな事業活動を一層進める中で優秀な人材を多数確保するため、国内に加え海外でも積極的な採用活動を行っているが、必ずしも十分に確保できる保証はない。また、技術・技能伝承の強化等、人材の育成にも努めているが、十分な効果が出るという保証はない。 イ.関係会社当社の連結子会社、持分法適用非連結子会社、持分法適用関連会社は、当社と相互協力体制を確立している一方、自主的な経営を行っているため、これら関係会社の事業や業績の動向が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。 (6) その他の事項 ア.災害当社グループは、暴風、地震、落雷、洪水、火災、感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めているが、このような災害による物的・人的被害及び社会インフラの重大な障害・機能低下により当社グループの活動(特に工場等における生産活動)が影響を受ける可能性がある。また、これによる損害が損害保険等でカバーされるという保証はない。 イ.情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有している。コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。
FY2016|4,155 文字
4【事業等のリスク】当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻くリスク要因には、為替変動・金利等の経済リスク、貿易制限・カントリーリスク等の政治リスク、製造物責任等の法務リスク、自然災害・事故等の災害リスク、株価変動・投資等の市場リスクをはじめ様々なものがあるが、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。(1) 財政状態、経営成績の変動にかかる事項 ア.経済情勢当社グループの経営成績は、日本及び世界各国・地域の経済情勢変動の影響を受ける可能性がある。日本では民間設備投資等の推移、海外では米国・欧州や中国・インド等新興国の経済情勢の変動が挙げられるが、複雑化する今日の世界経済の下では、必ずしも当社グループが事業を展開している当該国又は地域経済の情勢のみの影響を受けるとは限らない。 イ.輸出・海外事業当社グループは、世界各国・地域における輸出・海外事業の拡大を図っているが、部品の現地調達や現地工事に伴う予期しないトラブル、納期遅延や性能未達による契約相手方からの請求、契約相手方のデフォルト等の要因が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。さらに、当社グループは、新興国での総合的なインフラ整備等に積極的に参画するなど、新たなビジネスモデルの構築・拡大に取り組んでいるが、各国政府が民間企業を主導して大規模インフラ開発案件の受注活動に力を入れるなど、激しい競争に必ず勝ち残るという保証はない。 ウ.為替レートの変動当社グループの輸出・海外事業の取引は、主に米ドルやユーロ等の外貨建てで行われており、為替レートの変動が当社グループの競争力に影響を与える可能性がある。また、国内事業においても為替レートの変動による海外競合企業のコスト競争力の変化により、当社グループの競争力に影響が生じる可能性がある。さらに、国内競合企業と当社グループの為替レート変動に対する影響度合いが異なる場合は、国内外における当該企業との競争力にも影響が生じる可能性がある。当社グループは外貨建て取引にあたり、資材の海外調達拡大による外貨建て債務の増加及び為替予約等によりリスクヘッジに努めているが、為替レートの変動は当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。 エ.資金調達当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めているが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。 オ.退職給付費用及び債務当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の長期期待運用収益率である。これらの前提条件は妥当なものと判断しているが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、将来にわたって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。また、年金資産の運用利回りの変動や割引率決定の基礎となる日本の国債利回りの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。(2) 特定取引先への依存等にかかる事項 ア.M&A・アライアンス当社グループは、多くの製品事業について、他社とのM&A・アライアンスを通じて、その強化・拡大を図っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し、その他予期せぬ事象等を理由として、これらのM&A・アライアンスが目論見どおり実現できない場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。 イ.資材調達当社グループの事業活動には、原材料、部品、機器及びサービスが第三者から適時・適切に、かつ十分な品質及び量をもって供給されることが必要である。このうち一部の原材料・部品等については、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の変更が困難なものがあり、これら原材料・部品等の品質上の問題、供給不足、納入遅延及び災害に伴う生産停止等の発生は、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。また、需給環境の変化による原材料・部品等の供給価格の高騰は、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。 (3) 特定製品・技術にかかる事項 ア.製品競争力当社グループは、性能・信頼性・価格面で常に顧客から高い評価を得るよう、更には市場の動きを先取りした新たな機能を提案できるよう、研究開発や設備投資を中心にした製品競争力の強化を進めているが、国内外の競合企業において当社グループのそれを上回る製品競争力の強化が行われるなどした場合には、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。 イ.製品の品質等当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能、納期上の問題や製品に起因する安全上の問題について契約相手方やその他の第三者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起される可能性がある。これらについて、当社グループが最終的に支払うべき賠償額が製造物責任賠償保険等でカバーされるという保証はない。また、製品の仕様変更や工程遅延等に起因するコスト悪化が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。なお、平成25年10月に、当社及びMitsubishi Nuclear Energy Systems, Inc.は、米国Southern California Edison Companyらから、米国サンオノフレ原子力発電所向け取替用蒸気発生器供給契約に関連して、当社らに契約上の義務違反があったなどとして、損害賠償を求める仲裁を申し立てられた。 ウ.知的財産当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源のひとつと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保全するとともに、第三者への技術供与や第三者からの技術導入を行っている。しかしながら、必要な技術導入を第三者から必ず受けられる(又は有利な条件で受けられる)という保証はない。また、知的財産の利用に関して競合企業等から訴訟等を提起され敗訴した場合、特定の技術を利用できなくなり、また損害賠償責任を負い、事業活動に支障をきたすおそれがある。従業員若しくは元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起されないという保証はない。 (4) 法的規制にかかる事項 ア.法令・規制当社グループは、国内外で各種の法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・反ダンピング法等の経済法規、贈賄関連法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、金融商品取引所の上場規程等)に服しており、当社グループでは法令遵守の徹底を図っている(「第4 提出会社の状況」の「6 コーポレート・ガバナンスの状況等」に当社の状況を記載)。法令・規制に関しては、当社グループは、当局等による捜査・調査の対象となるほか、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、また当局やその他の利害関係者から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がある。なお、平成25年9月に、当社が米国司法省との間で、特定の顧客向けのカーエアコン用コンプレッサ及びコンデンサに係る販売に関して米国独占禁止法に違反した事実があったことを認め、司法取引に合意したことに関連して、当社及び当社の子会社を含む複数の事業者に対し民事賠償を求める訴訟が北米において提起された。 イ.環境規制当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、有害物質の使用、省エネルギー及び地球温暖化対策等に関し、国内外において各種の環境規制に服している。これらの規制が将来厳格化された場合や、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関係し、法的責任に基づき賠償責任を負うこととなった場合、また社会的責任の観点から任意に有害物質の除去等の対策費用を負担するなどした場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。 (5) 従業員、関係会社等にかかる事項 ア.人材の確保当社グループの競争力は、研究開発、設計、調達、製造、建設等の各職種における優れた専門的知識や技能を持った従業員により支えられている。当社グループは、グローバルな事業活動を一層進める中で優秀な人材を多数確保するため、国内に加え海外でも積極的な採用活動を行っているが、必ずしも十分に確保できる保証はない。また、技術・技能伝承の強化等、人材の育成にも努めているが、十分な効果が出るという保証はない。 イ.関係会社当社の連結子会社、持分法適用非連結子会社、持分法適用関連会社は、当社と相互協力体制を確立している一方、自主的な経営を行っているため、これら関係会社の事業や業績の動向が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。 (6) その他の事項 ア.災害当社グループは、暴風、地震、落雷、洪水、火災、感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めているが、このような災害による物的・人的被害及び社会インフラの重大な障害・機能低下により当社グループの活動(特に工場等における生産活動)が影響を受ける可能性がある。また、これによる損害が損害保険等でカバーされるという保証はない。 イ.情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有している。コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。