6503

三菱電機(6503)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

三菱電機グループは、IFRSに基づいて連結財務諸表を作成しており、連結子会社224社、持分法適用会社40社を中心に構成されています。インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネス・プラットフォーム、セミコンダクター・デバイス、その他という6つのセグメントで多岐にわたる製品・サービスを提供しています。社会インフラから家庭電器まで幅広い領域で事業を展開し、海外売上高が全体の5割以上を占めるグローバル企業です。顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も多く、国内外の幅広い需要に応えています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

三菱電機グループは、主に6つの事業セグメントで構成されています。インフラ事業は社会を支える基盤を提供し、インダストリー・モビリティ事業は産業や交通分野の製品・サービスを展開します。ライフ事業は人々の生活に関わる製品を提供し、ビジネス・プラットフォーム事業は企業活動を支えるソリューションを提供します。セミコンダクター・デバイス事業は半導体関連製品を手掛け、その他事業には上記以外の多様な事業が含まれます。海外売上高が全体の5割以上を占めており、グローバルに展開する多角的な事業ポートフォリオが特徴です。

有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|472 文字
3 【事業の内容】 当社はIFRSに基づいて連結財務諸表を作成しています。三菱電機グループ(当社を中核として連結子会社224社、持分法適用会社40社を中心に構成)においては、インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネス・プラットフォーム、セミコンダクター・デバイス、その他の6セグメントに関係する事業を行っており、その製品はあらゆる種類にわたります。 2024年度の三菱電機グループの主な事業内容と、主な関係会社の事業の種類別セグメントにおける関連は以下のとおりです。 (注) 1 総合販社欄の会社は複数事業の製品販売を担当している会社が多いため、事業別に区分せず一括して表示しています。2 連結子会社は 、持分法適用会社は で括っています。3 三菱電機インフォメーションネットワーク㈱は、2025年4月1日付で三菱電機インフォメーションシステムズ㈱及び三菱電機ITソリューションズ㈱を吸収合併し、また、当社よりDX・IT・セキュリティに関する企画・推進機能に係る事業譲渡を受け、三菱電機デジタルイノベーション㈱に商号変更しています。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
コンポーネント技術とデジタル技術の開発、デジタル基盤「Serendie」の活用
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:経済安全保障に関わるリスクの高まり / サプライチェーンを取り巻く環境変化への対応 / サイバー攻撃等の増大
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

三菱電機は、長年にわたり培ってきた「MITSUBISHI ELECTRIC」ブランド力と、FA(ファクトリーオートメーション)分野における高度な制御技術やIoTプラットフォーム「e-F@ctory」などのIP(知的財産)を有している。これらの無形資産は、高品質・高信頼性製品の提供を支え、顧客からの信頼獲得に貢献している。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

FAシステムやビルシステムなど、一度導入されるとシステム全体の連携や運用ノウハウが蓄積されるため、顧客が競合他社へ乗り換える際の初期投資や再教育コスト、ダウンタイムリスクが大きい。特に、生産ラインやインフラに関わるシステムでは、スイッチングコストは顕著である。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

IoTプラットフォーム「e-F@ctory」は、接続機器が増えるほどデータ活用が進み、顧客にとっての価値が増す可能性があるが、現時点ではそのネットワーク効果は限定的であり、競合プラットフォームとの差別化が課題となっている。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

グローバルな生産体制と長年の効率化努力により、一定のコスト競争力はある。特に、規模の経済を活かした部品調達や生産プロセス最適化は強みだが、他社も同様の努力をしており、圧倒的なコスト優位性とは言えない。

三菱電機グループは、社会インフラから家庭電器まで広範な領域で事業を展開しており、多岐にわたる製品ラインナップとグローバルな事業展開が強みです。長年にわたる技術開発と実績により、各セグメントで培われた技術力とブランド力は、高い参入障壁となっています。また、予防重視のリスクマネジメント体制を構築し、経済安全保障、AI等の技術革新、サステナビリティといった新たなリスクにも戦略的に対応することで、事業の安定性と持続的な成長を目指しています。サプライチェーンの強靭化やデータガバナンスの強化も競争優位性を支える要素です。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 「私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します。」という企業理念は、社会における私たちの存在意義そのものです。この企業理念の下、三菱電機グループは「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点によるバランス経営に加えて、「事業を通じた社会課題の解決」という原点に立ち、サステナビリティの実現を経営の根幹に位置づけています。これにより、企業価値の持続的向上を図り、社会・顧客・株主・従業員を始めとしたステークホルダーへの責任を果たしていきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題①経営環境 世界経済の先行きは、これまでの金融引き締めの累積的な影響や中国不動産不況の継続、米国の関税政策による下押しなどにより、緩やかな成長に留まることが見込まれます。また、関税政策を含む米国の各種政策が世界経済をさらに下押しする懸念など、見通しの不確実性は高まっています。 ②対処すべき課題経営体質の強化 三菱電機グループは、ROIC*1を活用した事業運営を進めます。資産効率とキャッシュ創出力を重視した経営を推進し、ROICツリー展開によるKPIと責任部門の明確化を通じ、あらゆる階層でのROIC経営の定着を図ります。これにより、重点成長事業については生産体制強化やM&A等の積極的な投資をスピーディーに実行する一方、収益性・資産効率の改善が見込まれない課題事業は撤退や売却の検討を進めるなど、事業ポートフォリオ戦略に基づくリソースシフトを強力に推進していきます。 さらに、グローバルでのエンジニアリングチェーン・サプライチェーンの最適化及びグループ経営の効率化にも取り組みます。また、足元の経済動向を踏まえ、経営環境の変化に柔軟に対応したオペレーションを徹底していきます。 あらゆる事業運営のベースとなる人財については、「成長に繋がる適正評価の実現」と「自律的キャリア開発支援」をコンセプトに、等級・評価・報酬制度を構築・運用しています。これにより、従業員のキャリアオーナーシップに基づく自律的な成長を促すとともに、マネジメント層にはグローバル基準でのジョブグレード制度を適用し、ジョブ型人財マネジメントへの転換を図ることで、人的資本価値の最大化を目指します。 Serendieによるビジネスモデルの変革 三菱電機グループは、お客様から得られたデータをデジタル空間に集約・分析するとともに、グループ内が強くつながり、知恵を出し合うことで新たな価値を生み出し、社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革を進めています。当社の強みであるコンポーネントやシステムを起点に、既存の顧客に留まらず、その先の利用者や管理者等を含む新たな顧客に対しても、デジタル基盤「Serendie」の活用や顧客との共創を通じて、多様なデジタルサービスを創出・提供し、社会に対する提供価値を最大化することを目指し、ビジネスモデルを変革していきます。 また、2025年4月にITソリューションビジネス・業務改革推進本部を分社化し、当社情報システム・サービス事業の子会社と統合した、DX・IT戦略推進に向けた新会社「三菱電機デジタルイノベーション株式会社」を設立しました。Serendie関連事業への対応力強化と情報システム・サービス事業の持続的成長を図ると共に、AI活用や業務プロセスにおけるDXを強力に推進していきます。 本質的なサステナビリティ経営の推進 三菱電機グループは、サステナビリティの実現に向けて注力する5つの課題領域*2を明確化し、これらの課題領域における社会課題を、事業を通じ解決していきます。これにより、社会の持続可能性と三菱電機グループの事業発展をトレード・オフの関係にするのではなく、この2つが両立する「トレード・オン」に挑戦していきます。 当社は、2024年度に設置した「サステナビリティ・イノベーション本部」が中心となり、グローバルかつサステナビリティの視点で社会課題を解決する新たな事業創出に取り組むとともに、持続的成長を支える経営基盤の強化を包括的、戦略的に推進し会社を変革していきます。  カーボンニュートラルについては、当社の長期環境経営ビジョンである「環境ビジョン2050」において、2050年度までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すこととしています。また、その中間目標として、2030年度までに自社工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指していきます。これらの目標の達成に向け、社会全体の脱炭素化に貢献する事業を育成するとともに、自社の技術も活用して自社排出の削減を進めていきます。加えて、TCFD*3の提言に基づいた気候変動に係るリスクと機会の開示に向けた取組みを継続していきます。 持続的な事業発展や企業価値向上のため、多様な人財が活躍し、協働することで、従業員の働き方や多様性を認め合えるような職場環境・風土の実現に向けた各種取組みを推進します。また、国際的に合意されている人権の保護を支持・尊重することを企業活動の前提とし、従業員やサプライチェーンの人権尊重に取り組みます。 サステナビリティに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 リスクマネジメントの高度化と倫理・遵法の徹底 三菱電機グループは、リスクマネジメント・経済安全保障担当執行役(CRO)を委員長とする「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置し、大規模災害などの従来型リスクへの対応にとどまらず、経済安全保障、AI等の技術革新、サステナビリティなどの分野における新たなリスクに対する探索と備えも含めて経営判断する体制を構築しています。この体制の下、リスクベースアプローチの考え方に基づき重点的に取り組むべきリスクの抽出に加えて、機動的かつ戦略的なリスク管理を行っていきます。 事業等のリスクに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照ください。 また、三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act with Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、これまで発生した品質、労務、サイバーセキュリティの問題の風化防止を含む、再発防止に向けた各種取組みを進めていきます。さらに、品質不適切行為を踏まえて開始した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)については、これまで展開してきた施策の定着・浸透に加えて、組織自らが変革を進めていく“自走する組織”づくりへの取組みを加速していきます。 *1 ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・運転資本等)に基づいて算出する三菱電機版ROIC*2 5つの課題領域:「カーボンニュートラル」、「サーキュラーエコノミー」、「安心・安全」、「インクルージョン」、「ウェルビーイング」*3 TCFD(Task force on Climate-related Financial Disclosures):G20の財務大臣・中央銀行総裁からの要請により設置された、民間主導による気候関連財務情報の開示に関するタスクフォース 中期経営計画 2025年度見通し 三菱電機グループは、中期経営計画における2025年度目標として、売上高5兆円+、営業利益率8%+、ROE9%、キャッシュ・ジェネレーション3.3兆円/5年を掲げておりました。これに対し、2025年度の業績は売上高5.4兆円、営業利益率8.0%、ROE8.6%、キャッシュ・ジェネレーション3.1兆円/5年となる見通しです。ROE、キャッシュ・ジェネレーション目標は、未達の見込みですが、キャピタル・アロケーションについては、株主還元を更に強化し、計画通り3.4兆円/5年を見込んでいます。引き続き、資本効率改善、キャッシュ創出に努めていきます。 なお、セグメント別の事業戦略及び営業利益率は次のとおりです。2025年度より、従来の「ビジネス・プラットフォーム」を「デジタルイノベーション」に名称変更しています。セグメント事業戦略インフラ広範な社会インフラ事業におけるグローバルレベルの顧客基盤・ストックを活かし、「世界の重要インフラの安定稼働とカーボンニュートラルの実現」と「日本・アジアの安全保障への貢献」に取り組みます。そのために脱炭素コンポーネントや防衛・宇宙事業への重点的なリソース投入と、事業間シナジーを生む統合ソリューションであるE&F(Energy&Facility)ソリューションの推進に注力します。インダストリー・モビリティコアコンポーネントとデジタル技術の統合で、未来の“ものづくり”と“快適な移動”を支えます。インダストリー領域では重点成長事業におけるコンポーネントの提供価値拡大と、FAデジタルソリューションの事業モデル構築を推進します。モビリティ領域では、環境変化に対応した事業ポートフォリオの再構築や事業運営の効率化に加え、ソフトウエア領域での価値創造の追求等による事業成長を目指します。ライフ人々の生活を支える空調や昇降機などの設備事業に加え、お客さまとつながり続けることができる保守や運用管理などの循環型事業を通じて、あらゆる生活空間における快適で安全・安心な生活環境を創造するソリューションプロバイダとなることを目指します。顧客価値の創出を推進し、「グリーンエナジーソリューション」「安全・安心&快適ソリューション」「ビルマネジメントソリューション」を提供します。デジタルイノベーション「事業DX」と「業務DX」の両輪の取組みを通じて循環型 デジタル・エンジニアリングを推進するための経営基盤を構築します。構築した経営基盤と「グローバルオペレーション&メンテナンス(O&M)」を中心に各種サービスを各ビジネスエリア・事業本部に提供し、統合ソリューションの創出を支え続けると共に、情報システム・サービス事業の強化を図ります。これらにおいては、新会社 三菱電機デジタルイノベーション㈱を中心に取組みを加速します。セミコンダクター・デバイス社会のGX・DX実現に必要不可欠なキーデバイスの提供を通じて、三菱電機グループの統合ソリューションをコンポーネントから強化していくことに加え、社内関連事業の知見を幅広く取り込み、顧客目線で付加価値の高いデバイスの開発に取り組みます。特にパワーデバイス事業では、三菱電機が強い技術と豊富な市場実績を保有するSiC(Silicon Carbideの略:炭化ケイ素)を中核とした成長基盤の強化に取り組み、事業の成長をさらに加速していきます。 <営業利益率のセグメント別内訳>セグメント2024年度実績2025年度見通しインフラ7.3%8.2%インダストリー・モビリティ5.0%6.3%ライフ7.2%8.5%デジタルイノベーション7.4%*48.0%セミコンダクター・デバイス14.2%10.7%*4 2024年度実績の「デジタルイノベーション」の営業利益率は、2024年度までのセグメント「ビジネス・プラットフォーム」の営業利益率です。  三菱電機グループは、上記戦略・施策を着実に実行することにより、更なる企業価値の向上を目指します。  なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において当社が判断したものです。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 「私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します。」という企業理念は、社会における私たちの存在意義そのものです。この企業理念の下、三菱電機グループは「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点によるバランス経営に加えて、「事業を通じた社会課題の解決」という原点に立ち、サステナビリティの実現を経営の根幹に位置づけています。これにより、企業価値の持続的向上を図り、社会・顧客・株主・従業員を始めとしたステークホルダーへの責任を果たしていきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題①経営環境 世界経済の先行きは、これまでの金融引き締めの累積的な影響や中国不動産不況の継続、米国の関税政策による下押しなどにより、緩やかな成長に留まることが見込まれます。また、関税政策を含む米国の各種政策が世界経済をさらに下押しする懸念など、見通しの不確実性は高まっています。 ②対処すべき課題経営体質の強化 三菱電機グループは、ROIC*1を活用した事業運営を進めます。資産効率とキャッシュ創出力を重視した経営を推進し、ROICツリー展開によるKPIと責任部門の明確化を通じ、あらゆる階層でのROIC経営の定着を図ります。これにより、重点成長事業については生産体制強化やM&A等の積極的な投資をスピーディーに実行する一方、収益性・資産効率の改善が見込まれない課題事業は撤退や売却の検討を進めるなど、事業ポートフォリオ戦略に基づくリソースシフトを強力に推進していきます。 さらに、グローバルでのエンジニアリングチェーン・サプライチェーンの最適化及びグループ経営の効率化にも取り組みます。また、足元の経済動向を踏まえ、経営環境の変化に柔軟に対応したオペレーションを徹底していきます。 あらゆる事業運営のベースとなる人財については、「成長に繋がる適正評価の実現」と「自律的キャリア開発支援」をコンセプトに、等級・評価・報酬制度を構築・運用しています。これにより、従業員のキャリアオーナーシップに基づく自律的な成長を促すとともに、マネジメント層にはグローバル基準でのジョブグレード制度を適用し、ジョブ型人財マネジメントへの転換を図ることで、人的資本価値の最大化を目指します。 Serendieによるビジネスモデルの変革 三菱電機グループは、お客様から得られたデータをデジタル空間に集約・分析するとともに、グループ内が強くつながり、知恵を出し合うことで新たな価値を生み出し、社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革を進めています。当社の強みであるコンポーネントやシステムを起点に、既存の顧客に留まらず、その先の利用者や管理者等を含む新たな顧客に対しても、デジタル基盤「Serendie」の活用や顧客との共創を通じて、多様なデジタルサービスを創出・提供し、社会に対する提供価値を最大化することを目指し、ビジネスモデルを変革していきます。 また、2025年4月にITソリューションビジネス・業務改革推進本部を分社化し、当社情報システム・サービス事業の子会社と統合した、DX・IT戦略推進に向けた新会社「三菱電機デジタルイノベーション株式会社」を設立しました。Serendie関連事業への対応力強化と情報システム・サービス事業の持続的成長を図ると共に、AI活用や業務プロセスにおけるDXを強力に推進していきます。 本質的なサステナビリティ経営の推進 三菱電機グループは、サステナビリティの実現に向けて注力する5つの課題領域*2を明確化し、これらの課題領域における社会課題を、事業を通じ解決していきます。これにより、社会の持続可能性と三菱電機グループの事業発展をトレード・オフの関係にするのではなく、この2つが両立する「トレード・オン」に挑戦していきます。 当社は、2024年度に設置した「サステナビリティ・イノベーション本部」が中心となり、グローバルかつサステナビリティの視点で社会課題を解決する新たな事業創出に取り組むとともに、持続的成長を支える経営基盤の強化を包括的、戦略的に推進し会社を変革していきます。  カーボンニュートラルについては、当社の長期環境経営ビジョンである「環境ビジョン2050」において、2050年度までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すこととしています。また、その中間目標として、2030年度までに自社工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指していきます。これらの目標の達成に向け、社会全体の脱炭素化に貢献する事業を育成するとともに、自社の技術も活用して自社排出の削減を進めていきます。加えて、TCFD*3の提言に基づいた気候変動に係るリスクと機会の開示に向けた取組みを継続していきます。 持続的な事業発展や企業価値向上のため、多様な人財が活躍し、協働することで、従業員の働き方や多様性を認め合えるような職場環境・風土の実現に向けた各種取組みを推進します。また、国際的に合意されている人権の保護を支持・尊重することを企業活動の前提とし、従業員やサプライチェーンの人権尊重に取り組みます。 サステナビリティに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 リスクマネジメントの高度化と倫理・遵法の徹底 三菱電機グループは、リスクマネジメント・経済安全保障担当執行役(CRO)を委員長とする「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を設置し、大規模災害などの従来型リスクへの対応にとどまらず、経済安全保障、AI等の技術革新、サステナビリティなどの分野における新たなリスクに対する探索と備えも含めて経営判断する体制を構築しています。この体制の下、リスクベースアプローチの考え方に基づき重点的に取り組むべきリスクの抽出に加えて、機動的かつ戦略的なリスク管理を行っていきます。 事業等のリスクに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照ください。 また、三菱電機グループのコンプライアンス・モットーである“Always Act with Integrity”(いかなるときも「誠実さ」を貫く)に基づき、これまで発生した品質、労務、サイバーセキュリティの問題の風化防止を含む、再発防止に向けた各種取組みを進めていきます。さらに、品質不適切行為を踏まえて開始した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)については、これまで展開してきた施策の定着・浸透に加えて、組織自らが変革を進めていく“自走する組織”づくりへの取組みを加速していきます。 *1 ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・運転資本等)に基づいて算出する三菱電機版ROIC*2 5つの課題領域:「カーボンニュートラル」、「サーキュラーエコノミー」、「安心・安全」、「インクルージョン」、「ウェルビーイング」*3 TCFD(Task force on Climate-related Financial Disclosures):G20の財務大臣・中央銀行総裁からの要請により設置された、民間主導による気候関連財務情報の開示に関するタスクフォース 中期経営計画 2025年度見通し 三菱電機グループは、中期経営計画における2025年度目標として、売上高5兆円+、営業利益率8%+、ROE9%、キャッシュ・ジェネレーション3.3兆円/5年を掲げておりました。これに対し、2025年度の業績は売上高5.4兆円、営業利益率8.0%、ROE8.6%、キャッシュ・ジェネレーション3.1兆円/5年となる見通しです。ROE、キャッシュ・ジェネレーション目標は、未達の見込みですが、キャピタル・アロケーションについては、株主還元を更に強化し、計画通り3.4兆円/5年を見込んでいます。引き続き、資本効率改善、キャッシュ創出に努めていきます。 なお、セグメント別の事業戦略及び営業利益率は次のとおりです。2025年度より、従来の「ビジネス・プラットフォーム」を「デジタルイノベーション」に名称変更しています。セグメント事業戦略インフラ広範な社会インフラ事業におけるグローバルレベルの顧客基盤・ストックを活かし、「世界の重要インフラの安定稼働とカーボンニュートラルの実現」と「日本・アジアの安全保障への貢献」に取り組みます。そのために脱炭素コンポーネントや防衛・宇宙事業への重点的なリソース投入と、事業間シナジーを生む統合ソリューションであるE&F(Energy&Facility)ソリューションの推進に注力します。インダストリー・モビリティコアコンポーネントとデジタル技術の統合で、未来の“ものづくり”と“快適な移動”を支えます。インダストリー領域では重点成長事業におけるコンポーネントの提供価値拡大と、FAデジタルソリューションの事業モデル構築を推進します。モビリティ領域では、環境変化に対応した事業ポートフォリオの再構築や事業運営の効率化に加え、ソフトウエア領域での価値創造の追求等による事業成長を目指します。ライフ人々の生活を支える空調や昇降機などの設備事業に加え、お客さまとつながり続けることができる保守や運用管理などの循環型事業を通じて、あらゆる生活空間における快適で安全・安心な生活環境を創造するソリューションプロバイダとなることを目指します。顧客価値の創出を推進し、「グリーンエナジーソリューション」「安全・安心&快適ソリューション」「ビルマネジメントソリューション」を提供します。デジタルイノベーション「事業DX」と「業務DX」の両輪の取組みを通じて循環型 デジタル・エンジニアリングを推進するための経営基盤を構築します。構築した経営基盤と「グローバルオペレーション&メンテナンス(O&M)」を中心に各種サービスを各ビジネスエリア・事業本部に提供し、統合ソリューションの創出を支え続けると共に、情報システム・サービス事業の強化を図ります。これらにおいては、新会社 三菱電機デジタルイノベーション㈱を中心に取組みを加速します。セミコンダクター・デバイス社会のGX・DX実現に必要不可欠なキーデバイスの提供を通じて、三菱電機グループの統合ソリューションをコンポーネントから強化していくことに加え、社内関連事業の知見を幅広く取り込み、顧客目線で付加価値の高いデバイスの開発に取り組みます。特にパワーデバイス事業では、三菱電機が強い技術と豊富な市場実績を保有するSiC(Silicon Carbideの略:炭化ケイ素)を中核とした成長基盤の強化に取り組み、事業の成長をさらに加速していきます。 <営業利益率のセグメント別内訳>セグメント2024年度実績2025年度見通しインフラ7.3%8.2%インダストリー・モビリティ5.0%6.3%ライフ7.2%8.5%デジタルイノベーション7.4%*48.0%セミコンダクター・デバイス14.2%10.7%*4 2024年度実績の「デジタルイノベーション」の営業利益率は、2024年度までのセグメント「ビジネス・プラットフォーム」の営業利益率です。  三菱電機グループは、上記戦略・施策を着実に実行することにより、更なる企業価値の向上を目指します。  なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において当社が判断したものです。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」などに記載のとおりですが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は以下のとおりです。 (1) 業績概要 当連結会計年度の景気は、日本では緩やかな回復が続いてきましたが、第3四半期連結会計期間以降、個人消費の回復に足踏みがみられました。米国では、金融引き締めなどの影響を受けつつも個人消費を中心に堅調となりましたが、当連結会計年度末では減速感もみられました。欧州では、金融緩和などを受け緩やかに持ち直しましたが、製造業は引き続き低調となりました。中国では、輸出の増加や政府施策による下支えがありつつも、不動産不況や内需の弱さが継続し、低調となりました。 このような状況の中、三菱電機グループは、ビジネスエリア経営体制のもと、事業変革・ポートフォリオ戦略の加速と事業競争力強化・経営体質強化に取り組んできました。 この結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。<連結決算概要> 前連結会計年度当連結会計年度前連結会計年度比売上高52,579億円55,217億円2,637億円増営業利益3,285億円3,918億円633億円増税引前当期純利益3,658億円4,372億円714億円増親会社株主に帰属する当期純利益2,849億円3,240億円391億円増 ①売上高 売上高は、為替円安の影響や価格改善の効果などにより、前連結会計年度比2,637億円増加の5兆5,217億円となりました。インフラ部門では、社会システム事業は海外向けUPS*事業、国内外の交通事業、国内の公共事業の増加、電力システム事業は国内外の電力流通事業で増加し、防衛・宇宙システム事業は防衛システム事業・宇宙システム事業の大口案件により増加しました。ライフ部門では、ビルシステム事業は国内・アジア(除く中国)向けで増加し、空調・家電事業は北米・アジア(除く中国)・国内向け空調機器で増加しました。ビジネス・プラットフォーム部門では、ITインフラサービス事業、システムインテグレーション事業が増加し、セミコンダクター・デバイス部門は、産業向けパワー半導体の減少はありましたが、電鉄・電力向けパワー半導体、通信用光デバイスの増加により前連結会計年度並みとなりました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業はリチウムイオンバッテリーにおける需要の落ち込みなどにより減少し、自動車機器事業は中国における日系自動車メーカーの販売の落ち込みにより減少しました。* UPS:Uninterruptible Power Supply / 無停電電源装置 <売上高における為替影響額> 前連結会計年度期中平均レート当連結会計年度期中平均レート当連結会計年度売上高への影響額連結合計--約1,090億円増内、米ドル145円153円約440億円増内、ユーロ158円164円約170億円増内、人民元20.2円21.1円約160億円増 ②営業利益 営業利益は、インダストリー・モビリティ部門での減益はありましたが、インフラ部門、ライフ部門、セミコンダクター・デバイス部門、ビジネス・プラットフォーム部門での増益により、前連結会計年度比633億円増加の3,918億円となりました。営業利益率は、売上原価率の改善などにより、前連結会計年度比0.9ポイント改善の7.1%となりました。 売上原価率は、為替円安影響に加え、価格改善、ライフ部門、インフラ部門の改善などにより、前連結会計年度比1.2ポイント改善しました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比785億円増加し、売上高比率は前連結会計年度比0.3ポイント悪化しました。その他の損益は、前連結会計年度比44億円減少し、売上高比率は前連結会計年度並みとなりました。 ③税引前当期純利益 税引前当期純利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度比714億円増加の4,372億円、売上高比率は7.9%となりました。 ④親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は、税引前当期純利益の増加などにより、前連結会計年度比391億円増加の3,240億円、売上高比率は5.9%となりました。 なお、ROEは前連結会計年度比0.2ポイント改善の8.4%となりました。 事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。① インフラ社会システム事業の事業環境は、国内の公共分野における設備投資が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内外の交通事業や国内の公共事業の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は海外向けUPS事業、国内外の交通事業、国内の公共事業の増加などにより、前連結会計年度を上回りました。電力システム事業の事業環境は、再生可能エネルギーの拡大やデータセンターの増設などを背景に需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業の減少などにより前連結会計年度を下回りましたが、売上高は国内外の電力流通事業の増加などにより前連結会計年度を上回りました。防衛・宇宙システム事業の事業環境は、政府関連予算の増加などにより防衛・宇宙分野における需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、防衛システム事業及び宇宙システム事業の大口案件の増加により、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比118%の1兆2,249億円となりました。営業利益は、売上高の増加や売上案件の変動などにより、前連結会計年度比582億円増加の894億円となりました。 ② インダストリー・モビリティFAシステム事業の事業環境は、リチウムイオンバッテリーの需要停滞が継続しましたが、中国におけるスマートフォン、工作機械関連の需要や、日本・中国・台湾におけるAI関連の半導体などの設備投資需要が増加しました。このような状況の中、同事業は、受注高はスマートフォン、AI関連の設備投資や工作機械関連需要の増加などにより前連結会計年度を上回りましたが、売上高はリチウムイオンバッテリーの需要の減少などにより前連結会計年度を下回りました。自動車機器事業の事業環境は、ほぼ全ての地域で新車販売台数が前連結会計年度並みとなりました。このような状況の中、同事業は、中国における日系自動車メーカーの販売減少に伴う自動車用電装品の減少などにより、売上高は前連結会計年度を下回りました。この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比96%の1兆6,448億円となりました。営業利益は、FAシステム事業は売上構成の変動影響などにより減少し、自動車機器事業は価格・コスト改善の効果などにより増加しました。部門全体では、前連結会計年度比362億円減少の826億円となりました。 ③ ライフビルシステム事業の事業環境は、需要回復の動きが国内外で継続しました。このような状況の中、同事業は、受注高はアジア(除く中国)向けや国内のリニューアル事業の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は円安の影響や、国内・アジア(除く中国)向けの増加などにより前連結会計年度を上回りました。空調・家電事業の事業環境は、欧州では家庭用空調機器の需要停滞が継続しましたが、アジア(除く中国)や冷媒規制の変更の影響があった北米を中心に空調機器の需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響や価格改善の効果に加え、北米・アジア(除く中国)・国内向け空調機器の増加などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比106%の2兆1,851億円となりました。営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比415億円増加の1,572億円となりました。 ④ ビジネス・プラットフォーム情報システム・サービス事業の事業環境は、レガシーシステムの更新やデジタルトランスフォーメーション導入関連の需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高はITインフラサービス事業の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高はITインフラサービス事業、システムインテグレーション事業の増加などにより前連結会計年度比103%の1,468億円となりました。営業利益は、売上高の増加や売上案件の変動などにより、前連結会計年度比31億円増加の108億円となりました。 ⑤ セミコンダクター・デバイス半導体・デバイス事業の事業環境は、パワー半導体の需要が停滞しましたが、通信用光デバイスの需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は電鉄・電力向けパワー半導体の大口案件の減少などにより前連結会計年度を下回り、売上高は通信用光デバイス、電鉄・電力向けパワー半導体の増加はありましたが、産業向けパワー半導体の減少により前連結会計年度比99%の2,863億円となりました。営業利益は、売上構成の変動影響などにより、前連結会計年度比107億円増加の406億円となりました。 ⑥ その他売上高は、物流の関係会社の持分法適用会社化に伴う減少はありましたが、ソフトウエアの関係会社での増加などにより、前連結会計年度比101%の8,521億円となりました。営業利益は、物流の関係会社の一部株式譲渡影響などにより、前連結会計年度比216億円増加の515億円となりました。 顧客の所在地別の売上高の状況は、次のとおりです。① 日本防衛・宇宙システム事業や社会システム事業などの増加により、前連結会計年度比106%の2兆7,235億円となりました。 ② 北米自動車機器事業などの減少はありましたが、空調・家電事業や電力システム事業などの増加により、前連結会計年度比115%の7,990億円となりました。北米のうち米国については、自動車機器事業などの減少はありましたが、空調・家電事業や電力システム事業などの増加により、前連結会計年度比115%の6,671億円となりました。 ③ アジア空調・家電事業やビルシステム事業などの増加はありましたが、自動車機器事業などの減少により前連結会計年度並みの1兆1,712億円となりました。アジアのうち中国については、FAシステム事業や半導体・デバイス事業などの増加はありましたが、自動車機器事業などの減少により、前連結会計年度並みの5,298億円となりました。 ④ 欧州電力システム事業やFAシステム事業などの減少により、前連結会計年度比98%の7,185億円となりました。 ⑤ その他その他の地域にはオセアニアなどが含まれており、前連結会計年度比120%の1,092億円となりました。 (2) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績 三菱電機グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、ソフトウエアやサービスなどの無形財も多く含まれることから、セグメントごとの生産規模を金額あるいは数量で示していません。 ② 受注実績 当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。事業の種類別セグメントの名称受注高(百万円)前連結会計年度比(%)インフラ1,922,771120インダストリー・モビリティ(自動車機器を除く)710,877121ライフ(空調・家電を除く)689,855107ビジネス・プラットフォーム149,550102セミコンダクター・デバイス270,22188(注) 「インダストリー・モビリティ」セグメントのうち自動車機器事業及び「ライフ」セグメントのうち空調・家電事業については、受注生産形態をとらない製品が多く、受注規模を金額で示していません。 ③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。事業の種類別セグメントの名称販売高(百万円)前連結会計年度比(%)インフラ1,224,948118インダストリー・モビリティ1,644,80696ライフ2,185,168106ビジネス・プラットフォーム146,850103セミコンダクター・デバイス286,36699その他852,126101消去△818,553-計5,521,711105(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しています。 (3) 資産及び負債・資本の状況分析総資産残高は、前連結会計年度末比2,083億円増加の6兆3,756億円となりました。持分法で会計処理されている投資が590億円、売上債権が571億円増加したことがその主な要因です。持分法で会計処理されている投資の増加は、MDロジス株式会社の持分法適用会社化などによるものです。負債の部は、契約負債が245億円増加した一方、社債、借入金及びリース負債が339億円減少したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比16億円減少の2兆2,993億円となりました。なお、リース負債を除く社債・借入金残高は前連結会計年度末比271億円減少の2,141億円、借入金比率は3.4%(前連結会計年度末比△0.5ポイント)となりました。資本の部は、配当金の支払い1,043億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益3,240億円の計上等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比2,103億円増加の3兆9,496億円、親会社株主帰属持分比率は61.9%(前連結会計年度末比+1.3ポイント)となりました。 前連結会計年度末当連結会計年度末前連結会計年度末比売掛債権回転率3.73回転3.71回転0.02回転減棚卸資産回転率4.19回転4.44回転0.25回転増借入金比率3.9%3.4%0.5ポイント減親会社株主帰属持分比率60.6%61.9%1.3ポイント増(注) 1 売掛債権回転率は、売上債権と契約資産の合計より算出しています。   2 借入金比率は、リース負債を除く借入金・社債残高より算出しています。 (4) 資本の財源及び資金の流動性①財務戦略に関する基本的な考え方三菱電機グループは、健全な財務体質を維持するため、業績向上による資金収支の改善に加え、棚卸資産の縮減活動、売掛債権の回収促進といった資産の効率化、グループ内資金の更なる有効活用による資金の効率化に引き続き取り組んでいきます。また、2025年度を最終年度とする中期経営計画におけるキャピタル・アロケーション方針のもと、成長投資を最優先としつつ、利益成長を通じた株主還元強化を踏まえた資本政策の実行により、更なる資本効率の向上を図っています。なお、成長戦略を進めていく中で、必要となります設備投資、研究開発、M&A等の資金につきましては、重点成長事業を中心とした営業活動において創出されたキャッシュ・フローを源泉に、自己資金の活用を図りつつ、必要に応じて金融機関等から機動的に資金調達を行っています。金融機関等からの資金調達にあたっては、一定の財務規律をもって実施し、レバレッジ活用の目安はD/Eレシオ*10.3倍程度として取り組んでいきます。*1 D/Eレシオ(負債資本倍率):社債、借入金及びリース負債残高÷株主資本*2*2 株主資本:親会社株主に帰属する持分 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが4,559億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが1,917億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは2,641億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは2,653億円の支出となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比80億円減少の7,573億円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加等により、前連結会計年度比404億円の収入増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の売却収入の減少等により、前連結会計年度比976億円の支出増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の調達の減少等により、前連結会計年度比252億円の支出増加となりました。 ③財源及び流動性運転資金需要のうち主なものは、生産に必要な材料購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものです。短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入等により、設備投資や長期運転資金は、自己資金の活用を図りつつ金融機関からの長期借入及び社債により調達を行っています。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,573億円、社債、借入金及びリース負債残高は3,606億円です。社債、借入金及びリース負債の内訳は、短期借入金472億円、社債498億円、長期借入金1,170億円、リース負債1,464億円です。三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。 (5) 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。これらの連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を使用する必要があります。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の連結財務諸表の金額に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。 ①一定の期間にわたり履行義務を充足する契約における見積総費用 インフラ部門、ライフ部門及びビジネス・プラットフォーム部門における一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、当該工事請負契約の当期末時点の進捗度に応じて収益を計上しています。進捗度は、当連結会計年度までの発生費用を工事完了までの見積総費用と比較することにより測定しています。 見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。 工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。 経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した工事請負契約の見積総費用を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループが認識する収益の金額に影響を与える可能性があります。 ②引当金の認識及び測定 受注工事損失引当金は、インフラ部門、ライフ部門及びビジネス・プラットフォーム部門における工事請負契約において、当該工事の見積総費用が請負受注金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額を合理的に見積もることができる場合に、将来の損失見込額を引当金として計上しています。当連結会計年度末における受注工事損失引当金の残高は、42,477百万円です。 見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。 工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。 経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した将来工事損失見込額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。 製造上やその他の不具合に対し、製品の種類や販売地域及びその他の要因ごとに定められた期間又は一定の使用条件に応じて製品保証を行っており、期末日現在において将来の費用発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる場合に、製品保証引当金を計上しています。将来の発生費用は、主に過去の無償工事実績及び補修費用に関する現状に基づいて見積っています。当連結会計年度末における製品保証引当金の残高は、73,926百万円です。 経営者は、発生費用の見積り額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。 ③有形固定資産の回収可能価額 有形固定資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。 資産又は資金生成単位の見積回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。資産又は資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合には、当期の純損益において減損損失を認識しています。 経営者は、使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フロー及び処分コスト控除後の公正価値の見積りはいずれも妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によって見積りが変更となることにより資産又は資金生成単位の見積回収可能価額が変動し、結果として、将来において有形固定資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。 これらの前提条件を用いた見積りは、合理的であると判断していますが、翌連結会計年度において、経済環境の変化等により、見直しが必要となった場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 ④のれん及び無形資産の回収可能価額 耐用年数を確定できる無形資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については少なくとも1年に一度、同時期に減損テストを実施しています。 重要なのれんはライフ部門に含まれる空調・家電事業及びビルシステム事業に配分されたのれんであり、減損テストの回収可能価額は、主として経営者が承認した今後5年度分の事業計画及び成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いた使用価値で算定しています。割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しており、当連結会計年度における割引率は、10.4%~12.9%です。成長率は、のれんが配分されている資金生成単位グループが属する市場の長期期待成長率を参考に算定しており、当連結会計年度における成長率は0.8%~2.0%です。 経営者は、事業計画や成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額や割引率は妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によってキャッシュ・フローの見積り額や割引率が変更となることにより使用価値が変動し、結果として、将来においてのれん及び無形資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。 ⑤繰延税金資産の回収可能性 繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産は期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しています。 三菱電機グループは繰延税金資産の実現可能性の評価にあたり、繰延税金資産の一部又は全部が実現する可能性が実現しない可能性より高いかどうかを考慮しています。繰延税金資産の実現は、最終的には将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除が減算可能な期間における将来課税所得によって決定されます。その評価にあたり、予定される繰延税金負債の戻入、予測される将来課税所得及び税務戦略を考慮しています。 経営者は、当連結会計年度末の認識可能と判断された繰延税金資産が実現する蓋然性は高いと考えていますが、繰延期間における将来の見積課税所得が減少した場合には、実現する可能性が高いと考えられる繰延税金資産は減少することとなります。 ⑥確定給付制度債務の測定 三菱電機グループは、従業員を対象とする従業員非拠出制及び拠出制の確定給付型退職給付制度を採用しています。従業員の確定給付制度債務は、割引率、退職率、一時金選択率や死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき算定しています。確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の再測定による変動は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。 割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しており、当連結会計年度末の割引率は2.2%です。 経営者は、年金数理計算上の基礎率の算定は妥当なものと考えていますが、実績との差異又は基礎率自体の変更により、確定給付制度債務の金額に影響を与える可能性があります。 ⑦金融商品の公正価値 三菱電機グループは、主に取引関係維持・強化を目的として保有している資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。このうち非上場株式及び出資金の公正価値については、投資先の純資産等に関する定量的な情報及び投資先の将来キャッシュ・フローに関する予想等を総合的に勘案して算定しています。 経営者は、公正価値の見積りは妥当なものと考えていますが、投資先の業績や将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提条件が変動した場合は、三菱電機グループのその他の包括利益の金額に影響を与える可能性があります。

事業リスク

三菱電機グループは、経済安全保障に関わるリスクとして、各国の輸出規制強化や国際情勢の緊張による需要変動や販売動向の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。サプライチェーンを取り巻く環境変化もリスクであり、感染症や自然災害による供給混乱、経済安全保障規制の拡大、人権課題への対応などが事業活動に影響を与える可能性があります。また、サイバー攻撃の増大も重要なリスクであり、情報漏洩や生産システムへの影響、製品の脆弱性が事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、サステナビリティ関連の社会要請、特に人権や環境規制への対応が不十分な場合、法令違反やレピュテーション低下、業績への影響が懸念されます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,532 文字
3 【事業等のリスク】(1) 三菱電機グループのリスクマネジメント体制 三菱電機グループは、予防重視の内部統制システムの強化を図るため、リスク管理を事業遂行に組み込み、事業の規模・特性等に応じて管理するとともに、グループ全体に共通する重要なリスクについてはグループ経営に与える影響度に応じた重点付けを行いながら管理しています。 大規模災害や社会的リスクなどの従来型リスクへの対応にとどまらず、経済安全保障、AI等の技術革新、サステナビリティなどの分野における新たなリスクに対する探索と備えも戦略的に推進します。 三菱電機グループでは、各部門及び国内外の関係会社が主体的にリスクマネジメントを遂行することに加えて、三菱電機の各コーポレート部門(リスク所管部門)がそれぞれの専門領域において各部門及び国内外の関係会社を統括/評価します。更にCRO(Chief Risk Management Officer)及び法務・リスクマネジメント統括部がグループ全体を統括し、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会で経営判断のうえ、必要に応じて組織横断的で柔軟なチーム行動により効果的かつ戦略的なリスクマネジメントが可能な体制を構築しています。特に経営の監督と執行にかかわる重要事項については、取締役会、執行役会議において審議・決定します。 (2) 事業等のリスク 事業の遂行に当たっては、様々な要素が三菱電機グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。具体的に三菱電機グループの財政状態及び経営成績や、投資家の判断に影響を及ぼす可能性がある要因のうち、主なものについて「新領域リスク(新規制・関税変動・社会要請)」「BCP上のリスク」「内部リスク(オペレーショナルリスク)」に分類し、新たに三菱電機グループのリスクマップを策定しました。リスクマップの各象限に応じた対応を進めることで、インパクトの縮小化、リスクへの備えの実効性・効率向上を図る一方で、必要に応じたリスク制御強化に柔軟に取り組みます。 ①経済安全保障に関わるリスクの高まり 米国政権による関税強化、各国の輸出規制、ウクライナ・中東等をめぐる国際情勢の緊張の高まりは、経済安全保障に関するリスクのレベルを引き上げ、社会情勢を不安定化させるとともに、世界経済に対しても大きく影響を与えています。 三菱電機グループは、社会インフラから家庭電器まで広範な領域で事業を展開し、海外向けが売上高の5割超を占めています。また、日本国内向けの売上には国内で利用される製品だけでなく、顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も含まれています。経済安全保障リスクの高まりによる社会・経済・政治的混乱により、当社製品の需要や、当社製品を組み込んだ顧客の製品の販売動向が変化した場合には、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 こうした各国の経済安全保障政策の急激な変化に対応すべく、政策動向や法制度の調査・分析、全社における機微技術管理、情報セキュリティ、投資、開発、サプライチェーン等に関わる経済安全保障の観点から見た統合的なリスク制御を行っています。 ②サプライチェーンを取り巻く環境変化への対応 感染症・自然災害等による供給混乱、各種経済安全保障規制の拡大、人権課題への対応など、サプライチェーンを取り巻く環境の変化により、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の輸出管理強化が続く中、特定地域への依存を減らす取組みが急務となっています。 これらの状況を踏まえ、サプライチェーンの強靭化に向けて、調達複線化、在庫確保、代替品探索、技術開発、新ルート開拓などの具体的な取組みの検討を進めています。 三菱電機グループは、これらの取組みを通じて、調達リスクに迅速かつ適切に対応し、競争力ある製品・サービスを継続的に市場に供給していきます。 ③サイバー攻撃等の増大 三菱電機グループの顧客・ステークホルダーの皆様からお預かりした情報、営業情報や技術情報、知的財産などの企業機密が、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、滅失もしくは社外に漏洩した場合、又は工場の生産に影響を与えるようなサイバー攻撃事案が発生した場合は、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客に納入した製品に未知の脆弱性があった場合、顧客の提供するサービス及び社会に大きな影響を与える可能性があります。 高度なサイバー攻撃が増加し、これらの攻撃がIT環境のみならずOT(Operational Technology:製造現場やプラントで用いられる設備やシステムを制御・運用する技術)環境にも侵入することで、通信、電力などの重要インフラ制御システムや、工場管理システム等の混乱を引き起こすリスクが急速に拡大しています。一方、制度面では、IoT製品のセキュリティ適合性評価制度などサイバー対策が順次具体化されています。三菱電機グループは関係機関との情報交換を密に実施しながら、高度な攻撃に対応する体制の構築と、対応能力の強化を進めていきます。 また、人的情報漏洩防止策の強化も重要な取組みの一環として位置づけ、機密情報の保全を推進し、事業活動及び業績への影響を最小限に抑えることを目指します。 ④防護と活用の両面を念頭においたデータガバナンスの強化 上記で述べたような三菱電機グループの保有する情報や企業機密が、滅失もしくは社外に漏洩した場合、それらの情報や企業機密を有効に活用できない場合は、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 昨今の安全保障環境の変化に伴い、情報の適正な管理と保護の強化が一層求められる中、三菱電機グループでは、漏洩した場合にステークホルダーに重大な影響を及ぼす重要情報、及び当社が市場で将来にわたり競争力を維持するための技術情報等について、これまで以上に強固な管理体制の整備が必要と考え、その構築を加速しています。 一方、AIなどの技術革新によりデータが価値を創出する機会が飛躍的に高まっていることから、その活用を促進すべく、「データ活用宣言」を制定するとともに、全社横断でのデータ活用の体制・仕組みづくりにより「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革を加速します。 三菱電機グループは、これらの取組みを通じて、徹底して守るべき情報と活用すべき情報をこれまで以上に明確に整理し、情報・データに対するガバナンス・マネジメントの仕組みを新たに設計・実行することで、企業価値の向上を目指します。 ⑤サステナビリティ関連の社会要請への対応 企業に対する人権や環境(カーボンニュートラル、サーキュラ―エコノミーなど)といったサステナビリティ上の社会的要請が近年増加しており、人権侵害の有無等を基準とする取引先の選別、自社及びサプライチェーンを含む人権や環境に関わるデューデリジェンスの実施、ESG情報の開示、環境に配慮した製品設計や再生材料の使用などを要請する法令の制定が、日本や欧米を始め多極的に進められています。 これらの社会的要請のうち人権に関わるリスクとして、三菱電機グループは、人権に関する取組みを求める法令に違反するリスクの他、人権侵害に加担した企業とみなされた場合の経済制裁やレピュテーション低下のリスクを認識しています。これらのリスクに対して、三菱電機グループとして国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際規範に基づく取組みを強化するとともに、グローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進する企業同盟であるRBA(Responsible Business Alliance)に即して、三菱電機グループのバリューチェーンにおける人権デューデリジェンスの取組みを加速・強化します。 また、環境に関わるリスクの中でも、カーボンニュートラル、サーキュラ―エコノミーに関しては、欧州を中心に関連する規制が急速に拡大しており、特に炭素価格制度、排出権取引、再生材利用や環境配慮設計に関する規制などは、企業の意思決定プロセスやビジネスモデルの転換を促すものであり、これらに適時適切な経営判断を行わない場合には、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。三菱電機グループとして、これらの規制や社会的要請を先取りすると共に、取組みが先行している企業等との連携を深めることを通じて、カーボンニュートラル、サーキュラ―エコノミーなどの非財務的な価値基準を企業行動(調達や製品サービス開発、設備投資、開発投資)に取り込むべく、早急に基本方針を明確化していきます。 更に、人権や環境に関わるリスクへの取組みを加速する手段やツールとして、自社及び取引先の炭素排出量などの非財務情報を可視化するシステム構築を検討し、各種取組みを推進します。 三菱電機グループは、これらの取組みを通じて、サステナビリティに関する社会的要請に迅速かつ適切に対応し、企業評価の向上を目指します。 ⑥ゲームチェンジ/技術革新 上記で述べたような国際的な法規制や社会的な価値観、社会構造の変化とともに、技術革新の加速と競争の激化が進んでおり、ゲームチェンジ・リスクが高まっています。そのような不確実性が高まる事業環境の変化をタイムリーに捉え、国際的な法規制を遵守しリスクを抑えつつ、ビジネスチャンスに変えていく柔軟な対応が求められています。 三菱電機グループは、これらの変化に耐えうる強固な経営基盤を構築します。研究開発においては、大学など社外研究機関・他企業・顧客との連携・共創を通じて、グループ内外の知見を融合することにより未来社会をデザインし、新しい価値のタイムリーな創出を図ります。 ⑦BCP上のリスクへの対応 三菱電機グループは、製造・販売拠点、研究開発拠点、及び本社を含む主要施設を日本国内外に多数有しており、感染症や大規模災害(地震、津波、台風、水害、火山噴火、火災)等により三菱電機グループの拠点が被害を受けることで、事業活動が中断する可能性があります。また、サプライチェーンの混乱に伴い調達、生産、物流等に影響が生じ、多額の損失が発生する可能性があります。 これらに対し、三菱電機グループはリスクマネジメント・コンプライアンス委員会において経営課題として対処すべきBCP上のリスクについて検討を行い、経営上のBCP対策を確実に実行していくプロセスを構築し、実践しています。 また、感染症や大規模災害等の緊急事態の際は、全社緊急対策室を設置し、全社の情報を一元管理するとともに、各事業拠点単位での安全確保と事業活動の復旧・継続(BCP)に取り組みます。 ⑧重点化・デジタル技術活用・風化防止の観点での予防対処強化 製品やサービスの欠陥や瑕疵等による損失計上やコンプライアンス違反の発生による社会的評価の低下等の内部リスクは、経営全般に影響を及ぼす可能性があります。 かかるリスクに対してはこれまでどおり内部監査や各種点検活動の刷新等、実効性のある内部統制システムの構築を通じて早期発見・対処に努めています。 加えて、内部リスクの顕在化は、人財等のリソース不足に起因する面もあることから、ビジネスとリソースのギャップや事業環境から無理やひずみが生じる等、リスクが発生しやすい拠点(国内外関係会社を含む)について、予防対処に取り組むと共に、DXとAIを活用した業務改革、デジタル技術活用による生産性向上の徹底を通じたリスク制御に取り組んでいます。 また、三菱電機グループにおいては過去に複数のコンプライアンス違反を起こしてきた事実を真摯に受け止め、それらに通底する背景や課題を振り返りつつ、風化防止に努めます。 ⑨金融市場(為替相場、株式相場)リスクの影響について 上記①~⑧項で示した複雑化する各個別リスク、あるいはそれらの複合リスクにより、為替相場、株式相場が影響を受ける場合、三菱電機グループは、以下の影響を受ける可能性があります。  三菱電機グループの売上は北米、欧州、中国がおよそ10%ずつを占めていることに加え、当社における米ドル建てやユーロ建てでの輸入部材購入、アジア地域の製造拠点における当該地国以外の通貨建て輸出売上や輸入部材購入があります。 為替予約等により為替の変動の影響を回避するようにしていますが、為替レートの急変により、当社の想定している為替レートから大きく変動すると、三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。  三菱電機グループは、「政策保有株式は原則保有しない」という考え方を基本方針としていますが、一方で、事業運営上、必要性が認められると判断した株式については保有することがあります。株式相場の下落は、三菱電機グループが保有する市場性のある株式の価値の減少や、年金資産の減少をもたらす可能性があります。 かかるリスクへの対応として、保有株式については、採算性、事業性、保有リスク等の観点から総合的に保有意義の有無を判断し、毎年、執行役会議及び取締役会にて検証・確認を行っています。保有意義が希薄と判断した株式は、当該企業の状況等を勘案した上で売却を進めるなど縮減を図ることとしています。  なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において当社が判断したものです。

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