事業等のリスク
住友金属鉱山グループは、いくつかの重要なリスクに直面しています。まず、優良な鉱山資源の減少や開発コストの増加により、鉱山投資の不確実性が高まり、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。次に、材料事業では新商品開発の長期化や他社の新技術による競争優位性の喪失がリスクです。また、国内の生産年齢人口減少や採用競争激化により、必要な人材の確保・育成が課題となっています。さらに、気候変動対策としてのGHG排出量削減目標達成に向けた設備投資や炭素税負担、製造物責任による大規模な賠償請求、そして海外での政情不安や資源ナショナリズムの高まり、経済情勢の変化による非鉄金属価格の変動も事業に影響を与える可能性があります。
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FY2025|5,967 文字
3【事業等のリスク】(1)リスクマネジメント① リスクの考え方 当社グループでは、リスクには目的に対して「好ましいもの」と「好ましくないもの」の両方があると捉え、事業及び組織における目的の達成に影響を及ぼし、価値の保護及び創造を不確かにする事象をリスクと定義しています。リスクマネジメントによって「好ましいもの」を最大化するよう目標及び施策などを見直し、「好ましくないもの」を最小化するようプロセスを点検し改善して「中期経営計画」の達成、さらに「2030年のありたい姿」や「長期ビジョン」の実現をより確実にしています。 ② リスクマネジメント(RM)の体制・枠組 1999年に子会社である株式会社ジェー・シー・オーが起こした臨界事故を厳粛に受けとめ、リスクマネジメント方針及び重点施策の全社的取組など、リスクマネジメントの推進及び監視を行う機関として「リスクマネジメント分科会」を設置、社長を最高責任者として、当社グループを取り巻くリスク及びその変化に対応する体制(図1参照)を整えています。この体制によって運用される当社のリスクマネジメントは3つの枠組で構成され(図2参照)、経営RMにおいては、社長をはじめとする執行役員により議論され、成長戦略・事業戦略の遂行に伴う経営・事業リスクの中で特に重要なリスクを特定、対応方針及び責任部門を定め機関決定し、リスクマネジメント分科会が取組状況をモニタリングします。また拠点RMでは、主に産業事故、コンプライアンス違反、品質問題及び環境事故など、当社の経営基盤の安定を損なう個々の拠点に潜在する固有のリスクには拠点長が責任者となって取り組むことにしています。なお、社会的に影響が大きい産業事故や震災、感染症、海外有事などの緊急事態に対しては、全社危機管理体制で対処する枠組を整えています。 (2)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 ① 優良鉱山の減少及び鉱山投資の不確実性増大 原料の安定確保に向けた鉱山開発・投資を行っていく中、新たに発見される鉱床の高地化・奥地化・低品位化などによって優良案件の権益獲得競争が激化するとともに、開発・参入コストは増大しています。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資や採鉱コスト上昇の負担あるいは投資実行の断念が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながるリスクがあります。 このような状況に対し当社グループは、将来の鉱山権益獲得のために各地の探鉱活動を継続するとともに、候補案件の情報収集と評価を進め、あわせて海外等のビジネスパートナーとの連携を強化し、業界内のプレゼンス向上を図ることで、開発・投資案件候補のパイプライン拡充に努めています。また、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により、厳選した投資を実行することで、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めています。 ② 開発の長期化 材料事業が対象とする市場では、顧客要求が多様化し商品寿命が短くなる一方で、新商品の開発や既存商品の改良が長期化し、資金や人材など、多くの経営資源の投入を要することがあります。また、他社が開発した新技術・商品により当社技術・商品がコスト面等で競争優位性を喪失する可能性もあり、それが当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすリスクが考えられます。 当社グループでは、顧客との関係を深め、顧客及び市場ニーズを的確に把握し、それに基づく新商品開発を進めるために必要な営業及び開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また、国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させていきます。 ③ 人的資本経営の取組遅れ 当社グループは安定操業の継続と新規プロジェクトへの参入などの事業拡大を進めていくために必要な人材の確保・育成・活用に取り組んでいます。一方で国内における生産年齢人口の減少、若年層の就労観の変化に伴う採用競争の激化、定年退職の増加による労働力の不足への対応が急務です。 このような状況に対し当社グループでは、DXなどの導入によって合理化・省力化を進め労働時間の低減を進めるとともに、多様な人材が活躍できる組織であるために、経営戦略と連動した人材戦略の策定と実行、従業員一人ひとりの自律的な成長やキャリア形成を促進する人材育成体系・制度の構築、女性活躍、社員のライフスタイルに合った働き方推進やDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の理解・浸透、健康経営の推進などの社内環境の整備を進め、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。また、広報・ブランディング活動等による新卒・キャリアの採用競争力強化にも積極的に取り組んでいます。 ④ 気候変動への社会的責任 気候変動や地球温暖化の原因とされるGHG排出量の削減を目的とした取組が世界的に進められ、環境対策に必要な設備投資の実施やカーボンフットプリントの削減、炭素税などの負担を排出責任者として果たしていくことが求められています。これにより、企業としての社会的責任が今まで以上に高まることが考えられます。 当社グループは2050年のGHG排出量ネットゼロに向けて、2030年度に向けた削減目標と、2050年に向けた取り組みのロードマップを策定しています。当社はこのロードマップに沿って工場の省エネ・高効率化、LNG・木質バイオマス燃料への転換、再エネ電力の利用拡大などによりGHG排出量の削減を進めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に資する低炭素貢献製品・技術の研究開発にも取り組んでいます。 ⑤ 製造物責任及び請求訴訟 製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理の下、顧客からの要求事項を満足する品質の確保に努めています。しかしながら、例えば車載製品においては、その欠陥によって搭載されている最終商品のリコールや、それに基づく当社への損害賠償の発生、また製造物賠償責任保険でカバーできない賠償額の負担を求められることで、当社の信頼失墜及び巨額の財務負担が生じるリスクがあります。 当社グループでは顧客満足を得られる製品・サービスを提供するため、国際標準であるISO9001に基づき、当社グループが求める品質マネジメントシステムのあるべき姿として「SMM品質標準」を制定・運用し、品質の改善・向上やトレーサビリティの強化に取り組んでいます。また、品質分科会を運営し、品質方針・全社品質目標を定めて、施策の審議と実施状況の確認を行うとともに、当社製品が使われている最終製品のリコールが起きた場合への体制も構築し、リスク軽減を図っています。 ⑥ 政治・社会情勢の変化 当社グループは、鉱山開発や投資を始め、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しています。また、銅精鉱やニッケルマットなどの主要原材料や資機材の一部については海外からの調達を行っており、これらの国々における、政情不安、紛争、法令及び規制の変化あるいは資源ナショナリズムの高まりといった政治的、社会的情勢の変化が当社のサプライチェーン、ひいては事業継続に影響を与えるリスクがあります。 なお、米国トランプ政権による追加関税を含む保護主義政策の強化は、各国による対抗措置と相まって販売価格の上昇、消費者の購買意欲の低下、世界的なサプライチェーンの混乱を招き、当社顧客の米国向け販売の減速や当社への値下げ要求などを引き起こすことによって、当社事業に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、これらのリスクに対応するために、事業部門及び海外拠点あるいは海外ビジネスパートナーの協力も得ながら、政治的・社会的情勢の変化をモニタリングし当社事業への影響分析のうえ、対策を講じています。 ⑦ 経済情勢の変化a. 非鉄金属価格の変動 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、為替の状況、政治の状況、投機的取引などの影響を受けて変動し、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼすリスクがあります。 当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格の変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざし、また必要に応じて、非鉄金属価格のリスクヘッジを目的とした商品先物取引、商品オプション取引を利用しています。b. 為替レートの変動 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格も米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てになります。したがって、為替レートの変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性がありま す。 当社グループは、為替レートの変動に対し、必要に応じて為替予約取引、通貨オプション取引、外国通貨建て口座の活用などにより対応しています。 2025年度の業績予想において、非鉄金属価格及び為替レートの変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。変動要素変動幅連結税引前利益に与える影響銅±100$/t34億円ニッケル±10¢/lb16億円金±10$/TOZ3億円為替レート(米ドル)±1円/$13億円(注)上記の為替レート変動の影響額は国内の製錬収入及び海外換算為替差の合計となります。 ⑧ 拠点における事故・災害 当社グループが展開する国内外の製造拠点において、設備・計器の故障や誤操作、事故による破損などで有害物質の漏洩や火災・爆発のリスクがあります。また、国内各地に保有する休廃止鉱山では集中豪雨や地震などによる鉱害リスクがあります。 このようなリスクに対し当社グループでは、設備・計器の定期点検と予備品の確保、管理手順書の整備・更新と定期教育、堆積場の保全及び耐震補強工事や抗排水の水質管理を徹底しています。さらに、それらの取組状況をチェックするための日常的なパトロールに加え、本社の専門部門による定期的な巡視と是正指導も実施しています。 なお、各拠点においては、日常的なリスクマネジメント活動として、これらのリスクの前提となる環境や条件、例えば事業環境、操業環境、人、装置、作業手順、管理基準などに変化や変更があったとき、または毎年9 月に全社一斉に実施するリスク認識強化月間で対策内容を見直し、リスクの低減、事故・災害の未然防止に取り組んでいます。 ⑨ 大規模自然災害や新型強毒性感染症、海外緊急事態 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それらの地域で大規模な地震や風水害等により生産設備等が損壊する事態、海外においては政情不安による治安悪化、誘拐やテロ等により社員の身体生命の安全にかかわる事態、そしてそのような事態によって操業停止や生産性が大幅に低下するリスクがあります。また、今後新たな感染症の発生・流行により、従業員の感染、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績に影響が及ぶリスクもあります。 このようなリスクに対し当社グループでは、激甚化した自然災害対策として建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事、排水処理能力の増強、貯水タンク増設等を進め、二次的な影響を抑えるための体制の整備として、可能かつ妥当な範囲で保険を付し、また、感染症の発生や拡大など緊急事態も含めた操業やサプライチェーンへの影響を軽減するために原料などの代替調達先の確保などにも取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させるBCP(Business Continuity Plan)を整えています。海外緊急事態へは、外務省からの情報を始め、コンサルティング会社やセキュリティ会社も活用して海外危機情報を駐在員や出張者へ提供し、ケガや病気の際は医療サービス会社から支援を受けられる体制を整えて海外での安全確保を図り、新たな海外進出にあたってはカントリーリスクを総合的に考慮した上で経営判断を行っています。 また、拠点単独で対応できないような事態に備えるために常設機関として危機管理担当役員を委員長とする危機管理委員会を設け、危機に関する情報共有、事前対策の策定と改善、例えば事業継続については、2022年5月に東京都が見直した首都直下型地震の被害想定に基づき、他所支援を含めた全社震災対策本部体制や当社グループの事業継続のため本社機能の継続体制の構築、海外におけるテロ・暴動・誘拐等を想定した訓練を実施し、危機管理機能の維持及び強化に取り組んでいます。 ⑩ サイバーセキュリティ 経営基盤の一部であるITにおいて、内部者の故意、過失による機密情報の流失のほか、テレワーク・クラウド利用等の増加といった環境変化により、第3者による意図的又は無差別な情報システムへの侵入・攻撃などが増加・増大しており、それらの弊害により、工場の操業や製品品質への影響、さらには社会的な影響が大きい産業事故の発生、ステークホルダーの当社に対する信用が失われるリスクがあります。 これらに対し当社グループでは、従業員に対する情報セキュリティ教育のほか、外部からの攻撃・侵入を防止する事前対策として、利用環境を問わず社内外のシステムを安全に利用できる仕組(ゼロトラストネットワーク)や高度なセキュリティ機能を持つクラウドサービスへの移行に取り組んでいます。また各拠点においても、第3者の侵入により被害を受けたシステムの復旧対策や、システムの一定期間停止を想定した業務・操業継続のためのBCP整備を進めており、さらに、大規模な首都直下型地震が発生した場合に想定し得るシステムと本社機能の一時停止への対策の想定も加え、サプライチェーンの強化を図っています。
FY2024|5,402 文字
3【事業等のリスク】(1)リスクマネジメント① リスクの考え方 当社グループでは、リスクには目的に対して「好ましいもの」と「好ましくないもの」の両方があると捉え、事業及び組織における目的の達成に影響を及ぼし、価値の保護及び創造を不確かにする事象をリスクと定義しています。リスクマネジメントによって「好ましいもの」を最大化するよう目標及び施策などを見直し、「好ましくないもの」を最小化するようプロセスを点検し改善して「中期経営計画」の達成、さらに「2030年のありたい姿」や「長期ビジョン」の実現をより確実にしています。 ② リスクマネジメント(RM)の体制・枠組 1999年に子会社である株式会社ジェー・シー・オーが起こした臨界事故を厳粛に受けとめ、リスクマネジメント方針及び重点施策の全社的取組など、リスクマネジメントの推進及び監視を行う機関として「リスクマネジメント分科会」を設置、社長を最高責任者として、当社グループを取り巻くリスク及びその変化に対応する体制(図1参照)を整えています。この体制によって運用される当社のリスクマネジメントは3つの枠組で構成され(図2参照)、経営RMにおいては、社長をはじめとする執行役員により議論され、成長戦略・事業戦略の遂行に伴う経営・事業リスクの中で特に重要なリスクを特定、対応方針及び責任部門を定め機関決定し、リスクマネジメント分科会が取組状況をモニタリングします。また拠点RMでは、主に産業事故、コンプライアンス違反、品質問題及び環境事故など、当社の経営基盤の安定を損なう個々の拠点に潜在する固有のリスクに拠点長が責任者となって取り組むことにしています。なお、社会的に影響が大きい産業事故や震災、感染症、海外有事などの緊急事態に対しては、全社危機管理体制で対処する枠組を整えています。 (2)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 ① 資源開発・投資の難易度上昇 原料の安定確保に向けた鉱山開発・投資を行っていく中、新たに発見される鉱床の高地化・奥地化・低品位化などによって優良案件の権益獲得競争が激化するとともに、開発・参入コストは増大しています。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資や採鉱コスト上昇の負担あるいは投資実行の断念が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる可能性があります。 これらに対し当社グループは、将来の鉱山権益獲得のために各地の探鉱活動を継続するとともに、候補案件の情報収集と評価を進め、あわせて海外等のビジネスパートナーとの連携強化、業界内のプレゼンス向上を図ることで、開発・投資案件候補のパイプライン拡充に努めています。また長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行することで、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めています。 ② 開発の長期化 材料事業が対象とする市場では、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発や既存商品の改良が長期化し、資金や人材など、多くの経営資源の投入を要することがあります。また、他社が開発した新技術・商品により当社技術・商品がコスト等の面で競争優位性を喪失する可能性もあり、それが当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループでは、顧客との関係を深め、顧客及び市場ニーズを的確に把握し、それに基づく新商品開発を進めるために必要な営業及び開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させていきます。 ③ 人的資本経営の取組遅れ 当社グループは安定操業の継続と新規プロジェクトへの参入などの事業拡大を進めていくために必要な人材の確保・育成・活用に取り組んでいます。一方で国内における生産年齢人口の減少、若年層の就労感の変化に伴う採用競争の激化、定年退職の増加による労働力の不足への対応が急務です。 このような状況に対し当社グループでは、DXなどの導入によって合理化・省力化を進め労働時間の低減を進めるとともに、多様な人材が活躍できる組織であるために、経営戦略と連動した人事戦略の展開、従業員一人ひとりの自律的な成長やキャリア形成を促進する人材育成体系・制度の構築、多様な人材が働きやすい社内環境の整備に取り組んでいます。また広報・ブランディング活動等による新卒・キャリアの採用競争力強化、社員のライフスタイルに合った働き方推進やDE&Iの理解・浸透や健康経営の推進にも積極的に取り組んでいます。 ④ 気候変動への社会的責任 気候変動や地球温暖化の原因とされるGHG排出量の削減を目的とした取組が世界的に進められ、環境対策に必要な設備投資の実施やカーボンフットプリントの削減、炭素税などの負担を排出責任者として果たしていくことが求められています。これにより、企業としての社会的責任が今まで以上に高まることが考えられます。 当社グループは2050年のGHG排出量ネットゼロに向けて、2030年度に向けた削減目標と、2050年に向けた取り組みのロードマップを策定しています。当社はこのロードマップに沿って工場の省エネ・高効率化、LNG・木質バイオマス燃料への転換、再エネ電力の利用拡大などによりGHG排出量の削減を進めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に資する製品の研究開発にも取り組んでいます。 ⑤ 製造物責任及び請求訴訟 製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理の下、顧客からの要求事項を満足する品質の確保に努めています。しかしながら、例えば車載製品においては、その欠陥によって搭載されている最終商品のリコールや、それに基づく当社への損害賠償の発生、また製造物賠償責任保険でカバーできない賠償額の負担を求められることで、当社の信頼失墜及び巨額の財務負担が生じる可能性があります。 当社グループでは顧客満足を得られる製品・サービスを提供するため、国際標準であるISO9001に基づく品質マネジメントシステム(QMS)の運用において、当社グループが求めるQMSのあるべき姿「SMM品質標準」に則り、品質の改善に取り組んでいます。また、当社グループの品質保証の推進及び品質管理の改善を図るため、品質分科会を運営し、品質方針・全社品質目標を定めて、施策の審議と実施状況の確認を行っています。このような組織・仕組のもとで、当社グループのQMSを有効に機能させ、更なる品質の向上やトレーサビリティの強化に努めています。 ⑥ 政治・社会情勢の変化 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しています。また、銅精鉱やニッケルマットなどの主要原材料や資機材の一部については海外からの調達を行っており、これらの国々における、政情不安、紛争、法令及び規制の変化あるいは資源ナショナリズムの高まりといった政治的、社会的情勢の変化が当社のサプライチェーン、ひいては事業継続に影響を与える可能性があります。 当社グループは、これらのリスクに対応するために、事業部門及び海外拠点あるいは海外ビジネスパートナーの協力も得ながら、政治的・社会的情勢の変化を常にモニタリングして、変化に応じて適宜対策を講じています。 ⑦ 経済情勢の変化a. 非鉄金属価格の変動 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、為替の状況、政治の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動し、それらの影響による変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格の変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざし、また必要に応じて、非鉄金属価格のリスクヘッジを目的とした商品先物取引、商品オプション取引を利用しています。b. 為替レートの変動 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格も米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てになります。したがって、為替レートの変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、為替レートの変動に対し、必要に応じて為替予約取引、通貨オプション取引、外国通貨建て口座の活用などにより対応しています。 2024年度の業績予想において、非鉄金属価格及び為替レートの変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。変動要素変動幅連結税引前利益に与える影響銅±100$/t34億円ニッケル±10¢/lb15億円金±10$/TOZ3億円為替レート(米ドル)±1円/$11億円(注)上記の為替レート変動の影響額は国内の製錬収入及び海外換算為替差の合計となります。 ⑧ 拠点における事故・災害 当社グループが展開する国内外の製造拠点において、設備・計器の故障や誤操作、事故による破損などで有害物質の漏洩や火災・爆発のリスクがあります。また、国内各地に保有する休廃止鉱山では集中豪雨や地震などによる鉱害リスクの可能性があります。 このようなリスクに対し当社グループでは、設備・計器の定期点検と予備品の確保、管理手順書の整備・更新と定期教育、堆積場の保全及び耐震補強工事や抗排水の水質管理を徹底しています。さらに、それらの取組状況をチェックするための日常的なパトロールに加え、本社の専門部門による定期的な巡視と是正指導も実施しています。 なお、各拠点においては、日常的なリスクマネジメント活動として、これらのリスクの前提となる環境や条件、例えば事業環境、操業環境、人、装置、作業手順、管理基準などに変化や変更があったとき、または毎年9月に全社一斉に実施するリスク認識強化月間で対策内容を見直し、リスクの低減、事故・災害の未然防止に取り組んでいます。 ⑨ 大規模自然災害や新型強毒性感染症、海外緊急事態 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それらの地域で大規模な地震や風水害等により生産設備等が損壊する事態、海外においては政情不安による治安悪化、誘拐やテロ等により社員の身体生命の安全にかかわる事態、そしてそのような事態によって操業停止や生産性が大幅に低下する可能性があります。また今後新たな感染症の発生・流行により、従業員の感染、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 これら激甚化した自然災害に対し当社グループでは、建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事、排水処理能力の増強、貯水タンク増設等を進め、二次的な影響を抑えるための体制の整備として可能かつ妥当な範囲で保険を付し、また、感染症、緊急事態も含めた操業やサプライチェーンへの影響を軽減するため原料などの代替調達先の確保などにも取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させるBCP(Business Continuity Plan)を整えています。 また、拠点単独で対応できないような事態に備えるために、常設機関として危機管理担当役員を委員長とする危機管理委員会を設け、危機に関する情報共有、事前対策の策定と改善、例えば海外におけるテロ・暴動・誘拐等を想定した訓練を実施し、危機管理機能の維持及び強化に取り組んでいます。 ⑩ サイバーセキュリティ 経営基盤の一部であるITにおいて、内部者の故意、過失による機密情報の流失のほか、テレワーク・クラウド利用等の増加といった環境変化により、第3者による意図的又は無差別な情報システムへの侵入・攻撃などのサイバーセキュリティリスクが増加・増大しており、それらの弊害により、工場の操業や製品品質への影響、さらには社会的な影響が大きい産業事故の発生、またステークホルダーの当社に対する信用が失われる可能性があります。 これらに対し、当社グループでは、従業員に対する情報セキュリティ教育のほか、利用環境を問わず社内外のシステムを安全に利用できる仕組み(ゼロトラストネットワーク)や高度なセキュリティ機能を持つクラウドサービスへの移行に取り組んでいます。
FY2023|5,876 文字
3【事業等のリスク】(1) リスクマネジメント①リスクの考え方 当社グループでは、リスクには目的に対して「好ましいもの」と「好ましくないもの」の両方が有ると捉え、事業及び組織における目的の達成に影響を及ぼし、価値の保護及び創造を不確かにする事象をリスクと定義しています。リスクマネジメントによって「好ましいもの」を最大化するよう目標及び施策などを見直し、「好ましくないもの」を最小化するようプロセスを点検し改善して、「中期経営計画」の達成、さらに「2030年のありたい姿」や「長期ビジョン」の実現をより確実にしています。 ②リスクマネジメント(RM)の体制・枠組 1999年に株式会社ジェー・シー・オーが起こした臨界事故を厳粛に受けとめ、社長を最高責任者とするリスクマネジメントシステム(下図参照)によって各種リスクを管理しています。成長戦略・事業戦略の遂行に伴う経営・事業リスクについては、社長をはじめとする執行役員により経営諸会議で議論し、そこで抽出された特に重要なリスクについては取締役会で審議した上で対応方針及び責任部門を定め取り組み、主に産業事故、コンプライアンス違反、品質問題及び環境事故など、当社の経営基盤の安定を損なう個々の拠点に潜在する固有のリスクには拠点長が責任者となって取り組むことにしています。リスクマネジメント方針及び重点施策の全社的取組などリスクマネジメントの推進及び監視を行う機関として「リスクマネジメント分科会」を設置し、当社グループを取り巻くリスク及びその変化に対応する体制を整えています。なお、震災や感染症、社会的に影響が大きい産業事故などの緊急事態に対しては、全社危機管理体制で対処する枠組を整えています。 (2) 事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。 ①事業環境の変動a. 非鉄金属価格の変動 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、為替の状況、政治の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動し、それらの影響による変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格の変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざし、また必要に応じて、非鉄金属価格のリスクヘッジを目的とした商品先物取引、商品オプション取引を利用しています。 b. 為替レートの変動 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格も米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てになります。したがって、為替レートの変動の状況及び期間しだいで、当社グループの経営成績にプラスもしくはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、為替レートの変動に対し、必要に応じて為替予約取引、通貨オプション取引、外国通貨建て口座の活用などにより対応しています。 2023年度の業績予想において、非鉄金属価格及び為替レートの変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。変動要素変動幅連結税引前利益に与える影響銅±100$/t27億円ニッケル±10¢/lb17億円金±10$/TOZ2億円為替レート(米ドル)±1円/$14億円(注)上記の為替レート変動の影響額は国内の製錬収入及び海外換算為替差の合計となります。 c. 法規制の変化 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しています。海外における事業活動については、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易・防諜対策等の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、あるいは資源ナショナリズムを背景とした国有化や当社権益の制約など、個々の国ごとに政治的リスクが存在しており、それらのリスクの顕在化により鉱石の輸出禁止による原料供給障害の発生や工場の操業停止などによる当社の事業運営や収益への影響のみならず、ひいては当該投下資金の回収も達成しえなくなる可能性が考えられます。 当社グループは、事業のグローバル展開に伴い、カントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っています。また進出後も海外現地パートナーと協力し、進出状況をモニタリングし、変化に応じて適宜対策を講じています。 d. 非鉄金属原料及び資機材調達の不安定化 銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料には、当社が権益を保有する鉱山からの調達のみならず、当社が権益を保有しない鉱山会社との長期買鉱契約によるものもあります。この長期買鉱契約に基づく毎年の原料購入条件の改定交渉においては、さまざまな市場や操業鉱山の要因により想定した購入条件を確保できるとは限らず、さらには製品価格がLME相場等で決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模災害、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が停止する可能性があります。これらにより当社グループの工場で操業が停止するなどして、財政状態及び経営成績の悪化につながる可能性もあります。 これらに対し当社グループは、優良な海外鉱山等への投資を進め、その経営に関与することを通して安定した原料ソース(自山鉱)とコンフリクトフリーの原料の確保を進めています。 また、資機材の調達においても国際紛争など地政学的リスクの発現や異常気象、大規模災害、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により製造元の稼働停止やサプライチェーンの途絶など、調達困難及びそれら価格の高騰が生じる可能性があります。 当社グループは、これら資機材の供給困難や価格高騰に対し、原単位の向上を図りつつ、資材調達部門において複数購買や代替材の検討など行い、変化に応じて適宜対策を講じています。 ②優良鉱山の減少及び鉱山投資の不確実性増大 原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針を進めていく中、資源ナショナリズムの高揚や資源メジャーによる寡占化、鉱山開発の難度上昇に伴い優良案件の権益獲得競争が激化するとともに参入コストは増大しています。また、環境行政上の手続き及び地域住民の反対運動、感染症のまん延など様々な事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性もあります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる可能性があります。 これらに対し当社グループは、地域社会との共存を中心としたソーシャルライセンスの獲得を重視するとともに地道に探査活動を続け、また新規のプロジェクトにおいては海外各地のビジネスパートナーと連携し、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めています。 ③市場要求の急速な変化及び新商品開発の長期化 材料事業が対象とする市場では、顧客要求、利用技術、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発が長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の開発中あるいは市場投入準備段階で、技術進歩や顧客ニーズの変化により当該商品が陳腐化し、開発資金の回収が計画通りに進まないこともあり、その場合当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループでは、顧客との関係を深め、顧客及び市場ニーズを的確に把握し、それに基づく新商品開発を進めるために十分な営業及び開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させていきます。 ④製造物責任及び請求訴訟 製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理のもと、顧客からの要求事項をクリアした品質の確保に努めていますが、車載製品においては、その欠陥によって搭載されている最終商品のリコールや、それに基づく当社への損害賠償の発生、また製造物賠償責任保険でカバーできない賠償額の負担を求められることで、当社の信頼失墜のみならず巨額の財務負担が生じる可能性があります。 当社グループでは、顧客の満足を得られる製品・サービスを提供するため、国際標準であるISO9001に基づいた品質マネジメントシステム(QMS)を確立し、品質方針・全社品質目標を定めて、当社グループが求めるQMSのあるべき姿をまとめたSMM品質標準を基準にして改善に取り組んでいます。また、当社グループの品質保証の推進及び品質管理の改善を図るため、品質分科会を運営し、施策の審議と実施状況の確認を行っています。このような組織・仕組みのもとで、当社グループのQMSを有効に機能させ、更なる品質の向上やトレーサビリティの強化に努めています。 ⑤人材の確保と働き方の多様化 当社グループは安定操業の継続と新規プロジェクト参入などの事業拡大を進めていくために必要な人材の確保・育成・活用を適宜行っていますが、国内においては少子高齢化により労働人口が減少、また働き方改革の流れの中、それぞれの社員のライフスタイルに見合った働き方の推進、各種ハラスメント防止、従業員のメンタル不調に対する丁寧な対応など、多様な選択肢の用意が十分ではないと、人材不足が顕在化する可能性があります。 このような社会的な変化に対応するため、当社グループではDXなどの導入により合理化・省力化を進めることで必要とされる労働時間の低減を進めてまいります。また働き方改革や自由闊達な組織風土の再構築などに取り組み、従業員に安全かつ健全な労働機会を設け、人材育成、長期的課題への取り組みを奨励・評価し 、継続的に「挑戦」・「変革」・「成長」ができる企業風土を築き、多様かつ優れた人材の確保・育成と活用を進めていきます。 ⑥気候変動への社会的責任 気候変動や地球温暖化の原因とされるGHGの削減を目的とした取組が世界的に進められ、環境対策に必要な設備投資の実施やカーボンフットプリントへの対応、炭素税などの負担を排出責任者として果たしていくことになりますが、脱炭素社会の対応に基づく企業としての社会的責任が今まで以上に高まることが考えられます。 当社グループは2050年までのGHG排出量ネットゼロの実現に向けて、GXリーグへの参画や生産拠点においてクリーンエネルギーの活用や省エネ設備を導入することでGHG排出量の削減を進めるとともに、カーボンニュートラル社会の実現に資する製品の研究開発などの取組を進めていきます。 ⑦激甚化する自然災害 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域での大規模な地震、風水害等不測の災害や派生事故による操業停止や生産性の大幅な低下、生産設備等への多大な損害が発生する可能性があります。 これら激甚化した自然災害や派生事故に対し当社グループでは、建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事等を進めると同時に可能かつ妥当な範囲で保険を付し、二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っています。 ⑧感染症の流行 ここ数年、世界的に流行した新型コロナウイルス感染症では操業の停止となるなどの大きな影響はなかったものの、今後新たな感染症の発生・流行により、従業員の感染、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 従業員の感染防止を優先し、当社グループとしては業績への影響を最小化するため、原料などの代替調達先の確保などに取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させる体制を整えていきます。また取引先や従業員の安全を最優先に、テレワークによる接触機会の低減、フレックスタイムや時差出勤等の通勤手段の柔軟な対応、BCP(Business Continuity Plan)の見直しや訓練実施等の対策を引き続き展開していきます。 ⑨サイバーセキュリティ 経営基盤の一部であるITにおいて、内部者の故意、過失による機密情報の流失のほか、テレワーク・クラウド利用等の増加といった環境変化により、第3者による意図的又は無差別な情報システムへの侵入・攻撃などのサイバーセキュリティリスクが増加・増大しており、それらの弊害により、工場の操業や製品品質への影響、さらには社会的な影響が大きい産業事故の発生、またステークホルダーの当社に対する信用が失われる可能性があります。 これらに対し、当社グループでは、従業員に対する情報セキュリティ教育のほか、利用環境を問わず社内外のシステムを安全に利用できる仕組み(ゼロトラストネットワーク)や高度なセキュリティ機能を持つクラウドサービスへの移行に取り組んでいます。 ⑩知的財産保護の遅れ又は他社への侵害 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令に従って取得保全手続きを行っていますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる可能性が考えられます。 当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全に努めています。
FY2022|6,578 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)非鉄金属価格及び為替レートの変動① 非鉄金属価格の低下 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響により銅、ニッケル、金などのLME相場等が著しく低下し、その状態が長期間続いた場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 為替レート(円高) 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 2022年度の業績予想において、非鉄金属価格変動及び為替レート変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。変動要素変動幅連結税引前利益に与える影響銅±100$/t26億円ニッケル±10¢/lb17億円金±10$/TOZ2億円為替レート(米ドル)±1円/$22億円 (注)上記の為替レート変動の影響額は国内の金属加工収入及び海外換算為替差の合計となります。 これらに対し当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格や為替レートの変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざしてまいります。また、必要に応じて、非鉄金属価格及び為替レート変動のリスクヘッジを目的とした為替予約取引、商品先物取引、通貨・商品オプション取引を利用してまいります。 (2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害 銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、投資に裏打ちされていない長期買鉱契約によるものもあります。長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が事態の解決まで停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは優良な海外鉱山等への投資を進め、その経営に関与することを通して安定した原料ソース(自山鉱)とコンフリクトフリーの原料の確保を進めております。 (3)鉱山投資の不確実性 当社グループは、上述のとおり原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針ですが、鉱山開発の難度上昇に伴い優良案件の権益獲得競争が激化するとともに参入コストは増大しております。さらにそのような中、鉱山開発の着手後には探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。また、環境行政上の手続き及び地域住民の反対運動を含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し当社グループは、地域社会との共存を中心としたソーシャルライセンスの獲得を重視するとともに、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。また新規のプロジェクトにおいては、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めております。 (4)HPAL技術の優位性低下 当社グループは世界に先駆けてHPALの商業生産に成功し、現在フィリピン国内の2拠点で操業を継続しております。このHPAL技術は今まで資源化されてこなかった低品位のニッケル酸化鉱からニッケル・コバルトの回収を可能とした、当社グループにとって重要な技術の一つです。しかしながらHPALの商業生産開始後15年以上が経過し、他社でもHPALプロジェクトの計画・稼働が始まるなど、優位性の低下に繋がる動きが活発化しております。また、HPALに代わる画期的な新ニッケル製錬方法の出現の可能性などが優位性を脅かす要因として考えられます。 これらに対し当社グループでは既存のHPAL技術に磨きをかけ、安定操業・コスト低減に向けた活動を継続することで優位性を維持するとともに、未利用資源となっているニッケル低品位鉱石のさらなる活用に向けた新プロセスの研究開発も実施していきます。 (5)環境保全と法令遵守 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償や休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあり、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。また、鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。さらに環境保全については法令順守にとどまらず、より積極的かつ先んじた取組みが求められております。 関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合、さらには環境に関する社会の要請が今後より高度な水準でなされ、当社グループが迅速かつ適切に対応できないあるいはその対応に遅れが生じる場合には、コスト負担に加え当社グループの企業ブランド価値の毀損や事業活動の縮小あるいは停止などの可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 このため、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを整備し運用することで、環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。また、「2030年のありたい姿」の実現に向けた進捗管理を行い、適宜対応することでリスクの低減を図ってまいります。 (6)市場変化と新商品開発 材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合や、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手による同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。加えて、材料事業の主要製品の販売量は、車載用二次電池、情報通信端末などを製造する顧客の生産水準の影響を強く受け、顧客が製造するこれら製品需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向、国際関係の変動によるサプライチェーンの再編等の要因によって変化します。これらにより材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループでは、成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させてまいります。 (7)知的財産 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。 当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全に努めております。 (8)品質問題 当社グループは、製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理のもと、顧客からの要求事項をクリアした品質の確保に努めています。しかしながら、顧客の要求事項を満たさない製品・サービスが流出し、それが顧客の製品にまで影響が及び法令違反やユーザーの生命や健康を損ねる場合には、大規模リコールなどによる当社グループに対する社会的信頼の失墜等が生じ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、顧客の満足を得られる製品・サービスを提供するため、ISO9001に基づいた品質マネジメントシステム(QMS)を確立し、品質方針・全社品質目標を定めて、当社グループが求めるQMSのあるべき姿をまとめたSMM品質標準を基準にして改善に取り組んでいます。 また、当社グループの品質保証の推進及びその改善を図るため、品質分科会を運営し、施策の審議と実施状況の確認を行っております。このような組織・仕組みのもとで、当社グループのQMSを有効に機能させ、更なる品質の向上と管理強化に努めてまいります。 (9)海外進出 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国ごとに政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。 事業のグローバル展開に伴い、当社グループではカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。また進出後も現地の状況のモニタリングを継続し、変化に応じて適宜対策を講じております。 (10)自然災害等 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。 これら自然災害や重大事故に対し当社グループでは、建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事等を進めると同時に可能かつ妥当な範囲で保険を付し、二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っております。 (11)気候変動対応 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択され各国で批准されたことを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされるGHGの削減を目的とした枠組みが世界的に進められており、環境規制も強化されています。今後、環境規制のさらなる強化により環境負荷物質の排出責任者として応分の負担(炭素税等)による業績への悪影響だけでなく、さらなる排出量規制に対応できない場合には事業活動の縮小あるいは停止などの可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループは気候変動の重大性を認識しており、2020年3月に「TCFD」(気候変動関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への賛同を表明しております。また、「2030年のありたい姿」で重要課題として掲げている気候変動への対策を積極的に進め、当社グループのGHG排出量の削減・カーボンニュートラル社会の実現に資する製品の研究開発など、目標の達成に向けた取り組みを継続してまいります。 (12)労働者不足 当社グループは事業継続に必要な労働力の維持・拡充を適宜行っておりますが、国内においては今後少子高齢化による労働人口の減少により労働力の確保が今まで以上に難しくなることが想定されます。必要人員の確保ができなくなった場合には、製造現場での生産体制が維持できず減産につながるなど、事業継続の基本に関わる問題となります。またそこまでに至らなくとも、人的資本の不足により新規プロジェクトへの参入機会を逸失することで、企業として成長機会を失う事態も十分に考えられます。 このような事態を回避するため、働き方改革や自由闊達な組織風土の再構築などに取り組み魅力ある企業としての体制を整え、人材の確保と育成を図ってまいります。また、デジタルテクノロジーの導入により合理化・省力化を進めることで必要とされる労働力の低減を進めてまいります。 (13)情報管理 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これら情報の外部流出や破壊、改ざん等が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、在宅勤務等によるテレワークの増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した通信・勤務環境を整備する必要が生じています。 これらに対し、当社グループでは、多層的なセキュリティ対策システムの導入及び更新、見直しを行うとともに、従業員に対する情報セキュリティ教育を実施しております。 (14)DXへの対応 情報通信技術分野におけるテクノロジーの進化や、ビッグデータの解析、AI、シミュレーション等の著しい進展、ロボティクス技術の進歩等を受け、ビジネスの分野においてDXは業務やビジネスモデルに抜本的な変革をもたらしており、一部の海外鉱山では操業の遠隔監視や鉱石の自動搬送等の形で実用化されています。この変化への対応は競争力の維持、向上というチャンスに繋がる一方で、DX分野への経営資源の投入が過小であったり遅れた場合には必要な対応が取れず、競争力の喪失や収益力の毀損につながる可能性があると考えています。 当社グループとしてもこの変化へ積極的に対応すべく、DX導入を推進する組織を整備し具体的な検討・対応に努めてまいります。 (15)感染症の流行 現在、全世界で蔓延している新型コロナウイルス感染症だけでなく、今後も新たな感染症の流行により、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績は大きな影響を受けることが十分に考えられます。 当社グループとしては業績への影響を最小化するため、原料などの代替調達先の確保などに取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させる体制を整えてまいります。また、取引先や従業員の安全を最優先に、テレワークによる接触機会の低減、フレックスタイムや時差出勤等の通勤手段の柔軟な対応、BCP(Business Continuity Plan)の見直しや訓練実施等の対策を引き続き展開してまいります。
FY2021|6,131 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)非鉄金属価格及び為替レートの変動① 非鉄金属価格の低下 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響により銅、ニッケル、金などのLME相場等が著しく低下し、その状態が長期間続いた場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ② 為替レート(円高) 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 2021年度の業績予想において、非鉄金属価格変動および為替レート変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。変動要素変動幅連結税引前利益に与える影響銅±100$/t25億円ニッケル±10¢/lb15億円金±10$/TOZ2億円為替レート(米ドル)±1円/$18億円 (注)上記の為替レート変動の影響額は国内の金属加工収入および海外換算為替差の合計となります。 これらに対し当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格や為替レートの変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざしてまいります。また、必要に応じて、非鉄金属価格及び為替レート変動のリスクヘッジを目的とした為替予約取引、商品先物取引、通貨・商品オプション取引を利用してまいります。 (2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害 銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、投資に裏打ちされていない長期買鉱契約によるものもあります。長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が事態の解決まで停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは優良な海外鉱山等への投資を進め、その経営に関与することを通して安定した原料ソース(自山鉱)とコンフリクトフリーの原料の確保を進めております。 (3)鉱山投資の不確実性 当社グループは、上述のとおり原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針ですが、鉱山開発の難度上昇に伴い優良案件の権益獲得競争が激化すると共に参入コストは増大しております。さらにそのような中、鉱山開発の着手後には探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。また、環境行政上の手続き及び地域住民の反対運動を含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し当社グループは、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。また新規のプロジェクトにおいては、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めております。 (4)HPAL技術の優位性低下 当社グループは世界に先駆けてHPALの商業生産に成功し、現在フィリピン国内の2拠点で操業を継続しております。このHPAL技術は今まで資源化されてこなかった低品位のニッケル酸化鉱からニッケル・コバルトの回収を可能とした、当社グループにとって重要な技術の一つです。しかしながらHPALの商業生産開始後15年以上が経過し、他社でもHPALプロジェクトの計画・稼働が始まるなど、優位性の低下に繋がる動きが活発化しております。また、HPALに代わる画期的な新ニッケル製錬方法の出現の可能性などが優位性を脅かす要因として考えられます。 これらに対し当社グループでは既存のHPAL技術に磨きをかけ、安定操業・コスト低減に向けた活動を継続することで優位性を維持するとともに、未利用資源となっているニッケル低品位鉱石のさらなる活用に向けた新プロセスの研究開発も実施していきます。 (5)環境保全と法令遵守 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償や休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあり、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。また、鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。さらに環境保全については法令順守にとどまらず、より積極的かつ先んじた取組みが求められております。 関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合、さらには環境に関する社会の要請が今後より高度な水準でなされ、当社グループが迅速かつ適切に対応できないあるいはその対応に遅れが生じる場合には、コスト負担に加え当社グループの企業ブランド価値の毀損や事業活動の縮小あるいは停止などの可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 このため、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを整備し運用することで、環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。また、「2030年のありたい姿」の実現に向けた進捗管理を行い、適宜対応することでリスクの低減を図ってまいります。 (6)市場変化と新商品開発 材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合や、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手による同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。加えて、材料事業の主要製品の販売量は、車載用二次電池、情報通信端末などを製造する顧客の生産水準の影響を強く受け、顧客が製造するこれら製品需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向等の要因によって変化します。これらにより材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループでは、成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また、次世代電池材料の開発強化のため電池研究所の拡張・設備拡充を決定し、粉体材料では社会課題の解決に向けて社外のサイト利用者と共に当社素材との掛け合わせにより新たな技術・製品開発につなげるための製品情報発信サイト「X-MINING(クロスマイニング)」を立ち上げました。 (7)知的財産 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。 当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全に努めております。 (8)海外進出 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国ごとに政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。 事業のグローバル展開に伴い、当社グループではカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。また進出後も現地の状況のモニタリングを継続し、変化に応じて適宜対策を講じております。 (9)自然災害等 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。 これら自然災害や重大事故に対し当社グループでは、建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事等を進めると同時に可能かつ妥当な範囲で保険を付し、二次的な影響を押さえるための体制の整備及び対応を図っております。 (10)気候変動対応 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択され各国で批准されたことを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした枠組みが世界的に進められており、環境規制も強化されています。今後、環境規制のさらなる強化により環境負荷物質の排出責任者として応分の負担(炭素税)による業績への悪影響だけでなく、さらなる排出量規制に対応できない場合には事業活動の縮小あるいは停止などの可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループは気候変動の重大性を認識しており、2020年3月に「TCFD」(気候変動関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への賛同を表明しております。また、「2030年のありたい姿」で重要課題として掲げている気候変動への対策を積極的に進め、目標の達成に向けた取り組みを継続してまいります。 (11)労働者不足 当社グループは事業継続に必要な労働力の維持・拡充を適宜行っておりますが、国内においては今後少子高齢化による労働人口の減少により労働力の確保が今まで以上に難しくなることが想定されます。必要人員の確保ができなくなった場合には、製造現場での生産体制が維持できず減産につながるなど、事業継続の基本に関わる問題となります。またそこまでに至らなくとも、人的資本の不足により新規プロジェクトへの参入機会を逸失することで、企業として成長機会を失う事態も十分に考えられます。 このような事態を回避するため、働き方改革や自由闊達な組織風土の再構築などに取り組み魅力ある企業としての体制を整え、人材の確保と育成を図ってまいります。また、デジタルテクノロジーの導入により合理化・省力化を進めることで必要とされる労働力の低減を進めてまいります。 (12)情報管理 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これら情報の外部流出や破壊、改ざん等が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークの増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した通信・勤務環境を整備する必要が生じています。 これらに対し、当社グループでは、多層的なセキュリティ対策システムの導入及び更新、見直しを行うとともに、従業員に対する情報セキュリティ教育を実施しております。 (13)感染症の流行 現在、全世界で蔓延している新型コロナウイルス感染症だけでなく、今後も新たな感染症の流行により、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績は大きな影響を受けることが十分に考えられます。 当社グループとしては業績への影響を最小化するため、原料などの代替調達先の確保などに取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させる体制を整えてまいります。また、取引先や従業員の安全を最優先に、テレワークによる接触機会の低減、フレックスタイムや時差出勤等の通勤手段の柔軟な対応、BCP(Business Continuity Plan)の見直しや訓練実施等の対策を引き続き展開してまいります。 (14)デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応 ICT分野におけるテクノロジーの進化や、ビッグデータの解析、AI、シミュレーション等の著しい進展、ロボティクス技術の進歩等を受け、ビジネスの分野においてDXは業務やビジネスモデルに抜本的な変革をもたらしており、一部の海外鉱山では操業の遠隔監視や鉱石の自動搬送等の形で実用化されています。この変化への対応は競争力の維持、向上というチャンスに繋がる一方で、DX分野への経営資源の投入が過小であったり遅れた場合には必要な対応が取れず、競争力の喪失や収益力の毀損につながる可能性があると考えています。 当社グループとしてもこの変化へ積極的に対応すべく、DX導入を推進する組織を整備し具体的な検討・対応に努めてまいります。
FY2020|5,414 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)非鉄金属価格及び為替レートの変動① 非鉄金属価格の低下 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響により銅、ニッケル、金などのLME相場等が著しく低下し、その状態が長期間続いた場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 「18中計」の最終年度(2021年度)において、非鉄金属価格変動が連結税引前利益に与える影響は、銅1トンあたりの価格が100米ドル変動した場合は年間28億円、ニッケル1ポンドあたりの価格が0.1米ドル変動した場合は年間17億円、金1オンスあたりの価格が10米ドル変動した場合は年間2億円と試算しております。 ② 為替レート(円高) 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 「18中計」の最終年度(2021年度)において、為替レート変動が連結税引前利益に与える影響は、米ドルに対して円が1円変動した場合は年間15億円と試算しております。 これらに対し当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格や為替レートの変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざしてまいります。また、必要に応じて、非鉄金属価格及び為替レート変動のリスクヘッジを目的とした為替予約取引、商品先物取引、通貨・商品オプション取引を利用してまいります。 (2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害 銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、投資に裏打ちされていない長期買鉱契約によるものもあります。長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が遅延又は停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは優良な海外鉱山等への投資を進め、その経営に関与することを通して安定した原料ソース(自山鉱)とコンフリクトフリーの原料の確保を進めております。 (3)鉱山投資の不確実性 当社グループは、上述のとおり原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針ですが、探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。また、環境行政上の手続き及び地域住民の反対運動を含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。さらに近年では鉱山開発の難度上昇により優良案件の権益獲得競争が激化し、参入コストが増大していることもリスクの上昇に拍車をかけています。 これらに対し当社グループは、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。また新規のプロジェクトにおいては、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めております。 (4)HPAL技術の優位性低下 当社グループは世界に先駆けてHPALの商業生産に成功し、現在フィリピン国内の2拠点で操業を継続しております。このHPAL技術は今まで資源化されてこなかった低品位のニッケル酸化鉱からニッケル・コバルトの回収を可能とした、当社グループにとって重要な技術の一つです。しかしながらHPALの商業生産開始後15年以上が経過し、他社でもHPALプロジェクトの計画・稼働が始まるなど、優位性の低下に繋がる動きが活発化しております。また、HPALに代わる画期的な新ニッケル製錬方法の出現の可能性などが優位性を脅かす要因として考えられます。 これらに対し当社グループでは既存のHPAL技術に磨きをかけ、安定操業・コスト低減に向けた活動を継続することで優位性を維持するとともに、未利用資源となっているニッケル低品位鉱石のさらなる活用に向けた新プロセスの研究開発も実施していきます。 (5)環境保全と法令遵守 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償を課せられること、休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあります。また、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。さらに、鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合が考えられ、それらのコスト負担が当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 このため、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを整備し運用することで、環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。 (6)市場変化と新商品開発 材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合や、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手による同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。加えて、材料事業の主要製品の販売量は、車載用二次電池、携帯端末などを製造する顧客の生産水準の影響を強く受け、顧客が製造するこれら製品需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向等の要因によって変化します。これらにより材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループでは、成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また、2019年4月に材料事業本部を電池材料事業本部と機能性材料事業本部に分割する組織再編を行い、より機動性を高めた事業運営を行ってまいります。 (7)知的財産 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。 当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全に努めております。 (8)海外進出 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国ごとに政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。 事業のグローバル展開に伴い、当社グループではカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。 (9)自然災害等 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。 これら自然災害や重大事故に対し当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っております。 (10)気候変動対応 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択され各国で批准されたことを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした枠組みが世界的に進められており、環境規制も強化されています。今後、環境規制のさらなる強化により環境負荷物質の排出責任者としての応分の負担(炭素税など)が求められるようになると、排出量の大きい製錬業を含む当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは気候変動の重大性を認識しており、2020年3月にTCFDへの賛同を表明しております。また、「2030年のありたい姿」で重要課題として掲げている気候変動への対策を積極的に進め、目標の達成に向けた取り組みを継続してまいります。 (11)労働者不足 当社グループは事業継続に必要な労働力の維持・拡充を適宜行っておりますが、今後少子高齢化による労働人口の減少により労働力の確保が今まで以上に難しくなることが想定されます。必要人員の確保ができなくなった場合には、製造現場での生産体制が維持できず減産につながるなど、事業継続の基本に関わる問題となります。またそこまでに至らなくとも、人的資本の不足により新規プロジェクトへの参入機会を逸失することで、企業として成長機会を失う事態も十分に考えられます。 このような事態を回避するため、働き方改革や自由闊達な組織風土の再構築などに取り組み魅力ある企業としての体制を整え、人材の確保と育成を図ってまいります。また、デジタルテクノロジーの導入により合理化・省力化を進めることで必要とされる労働力の低減を進めてまいります。 (12)情報管理 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これら情報の外部流出や破壊、改ざん等が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 これらに対し、当社グループでは、多層的なセキュリティ対策システムの導入及び更新、見直しを行うとともに、従業員に対する情報セキュリティ教育を実施しております。 (13)感染症の流行 現在、全世界で蔓延している新型コロナウイルス感染症の影響により急激な需要収縮が発生しており、販売環境は非常に厳しい局面に差し掛かっております。また、鉱山での操業停止や物流システムの障害により原料や操業資材の入荷が途絶し、操業停止を招く事態も考えられます。この感染拡大の終息時期が見通せない中では当社グループへの影響を把握することも困難な状況となっていますが、今後も新たな感染症の流行により業績に影響を及ぼすことも十分に考えられます。 当社グループとしては業績への影響をできるだけ小さくするため、原料などの代替調達先の確保などに取り組み、生産縮小・停止による供給障害を発生させない体制を整えてまいります。また、取引先や従業員の安全を最優先に、テレワークや在宅勤務による接触機会の低減、フレックスタイムや時差出勤等の通勤手段の柔軟な対応、BCPの見直しや訓練実施等の対策により、引き続き感染拡大防止に努めてまいります。
FY2019|3,677 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)非鉄金属価格及び為替レートの変動① 非鉄金属価格の低下 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響により銅、ニッケル、金などのLME相場等が著しく低下し、その状態が長期間続いた場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 2019年度の業績予想において、非鉄金属価格変動が連結税引前利益に与える影響は、銅1トンあたりの価格が100米ドル変動した場合は年間25億円、ニッケル1ポンドあたりの価格が0.1米ドル変動した場合は年間18億円、金1オンスあたりの価格が10米ドル変動した場合は年間2億円と試算しております。 ② 為替レート(円高) 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 2019年度の業績予想において、為替レート変動が連結税引前利益に与える影響は、米ドルに対して円が1円変動した場合は年間10億円と試算しております。 これらに対し当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格や為替レートの変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざしてまいります。また、必要に応じて、非鉄金属価格及び為替レート変動のリスクヘッジを目的とした為替予約取引、商品先物取引、通貨・商品オプション取引を利用してまいります。 (2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害 銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、投資に裏打ちされていない長期買鉱契約によるものもあります。長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故及び労働争議など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が遅延又は停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは優良な海外鉱山等への投資を進め、安定した原料ソース(自山鉱)の確保を進めております。 (3)鉱山投資の不確実性 当社グループは、上述のとおり原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針ですが、探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。また、環境行政上の手続きを含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し当社グループは、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。また新規のプロジェクトにおいては、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めております。 (4)環境保全と法令遵守 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償を課せられること、休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあります。また、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。さらに、鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合が考えられ、それらのコスト負担が当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 このため、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを整備し運用することで、環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。 (5)市場変化と新商品開発 材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合や、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手による同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。加えて、材料事業の主要製品の販売量は、車載用二次電池、携帯端末などを製造する顧客の生産水準の影響を強く受け、顧客が製造するこれら製品需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向等の要因によって変化します。これらにより材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループでは、成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また、2019年4月に材料事業本部を電池材料事業本部と機能性材料事業本部に分割する組織再編を行い、より機動性を高めた事業運営を行ってまいります。 (6)知的財産 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。 当社グループでは、知的財産権管理の専門部所を設け、確実な取得及び保全に努めております。 (7)海外進出 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国ごとに政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。 事業のグローバル展開に伴い、当社グループではカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。 (8)自然災害等 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。 これら自然災害や重大事故に対し当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っております。 (9)情報管理 顧客情報や個人情報の流出が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 これらに対し、当社グループでは、セキュリティ対策システムの導入及び更新を行い、従業員に対し情報セキュリティ教育を実施しております。
FY2018|3,267 文字
2【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)非鉄金属価格及び為替レートの変動① 非鉄金属価格の低下 銅、金、ニッケルなどの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます。(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という。)LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響により銅、金、ニッケルなどのLME相場等が著しく低下し、その状態が長期間続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。 ② 為替レート(円高) 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米国ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米国ドル建てであります。また、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。 これらに対し、当社グループは環境悪化を克服するために、原料調達、製造等の様々な面から競争力の強化を図ってまいります。 (2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害 銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、投資に裏打ちされていない長期買鉱契約によるものもあります。 長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故及び労働争議など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が遅延又は停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは優良な海外鉱山等への投資を進め、安定した原料ソース(自山鉱)の確保を進めております。 (3)鉱山投資の不確実性 当社グループは、上述のとおり原料の安定確保を目的として、原料調達における自山鉱の比率を高めていくため鉱山投資を行っていく方針ですが、探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。また、環境行政上の手続きを含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは長年の探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。 (4)環境保全と法令遵守に係るリスク 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償を課せられること、休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあります。また、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。さらに、鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合が考えられ、それらのコスト負担が当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを整備し運用することで、環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。 (5)市場変化と新商品開発及び知的財産に係るリスク 材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手の同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。 また、材料事業の主要製品の販売量は、車載用二次電池、携帯端末などを製造する顧客の生産水準の影響を強く受け、顧客が製造するこれら製品の需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向一般その他の要因によって変化いたします。 これらにより、材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な実施などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。 これらに対し、当社グループは、成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また、知的財産権の管理につきましては専門部所を設け、確実な取得及び保全に努めております。 (6)海外進出 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国毎に政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。 これらに対し、当社グループはカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。 (7)災害等 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。 これらに対し、当社グループは、可能かつ妥当な範囲で保険を付すとともに二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っております。 (8)情報管理 顧客情報や個人情報の流出が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 これらに対し、当社グループでは、セキュリティ対策システムの導入及び更新を行い、従業員に対し情報セキュリティ教育を実施しております。
FY2017|3,290 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)非鉄金属価格及び為替レートの変動① 非鉄金属価格の低下 ニッケル、銅、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます。(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という。)LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響によりニッケル、銅、金などのLME相場等が著しく低下しその状態が長期間続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。 ② 為替レート(円高) 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米国ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米国ドル建てであります。また、海外への鉱山投資、材料事業への投資並びに同事業の製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。 これらに対し、当社グループは原料調達、製造それぞれにおいて競争力の強化を図り、環境悪化を克服するために諸施策を推進しております。 (2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害 当社グループは、銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、一部は投資に裏打ちされていない長期買鉱契約により調達しております。 長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を妥当な価格により購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。 また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故及び労働争議など当社の管理の及ばない事態により原料の供給が遅延又は停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは海外鉱山開発及び優良な海外鉱山等への投資により、安定した原料ソースの確保を進めております。 (3)鉱山投資の不確実性 当社グループは、上述のとおり安定した原料ソースの確保のために鉱山投資を行っていく方針でありますが、探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。鉱山開発においては、環境行政上の手続きを含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは長年の探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。 (4)環境保全と法令遵守に係るリスク 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償を課せられること、休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあります。また、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。さらに鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。以上、関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合が考えられ、それらのコスト負担が当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを厳格に運用し環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、負担コストの適正化を図ることとしております。 (5)市場変化と新商品開発及び知的財産に係るリスク 当社グループの材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手の同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。 また、当社グループの材料事業の主要製品の販売量は、携帯端末、パソコン、家電製品などを製造する顧客の生産水準に依存しており、顧客が製造するこれら製品の需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向一般その他の要因によって変化いたします。 これらにより、材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な実施などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。 これらに対し、当社グループは研究開発成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っております。また、知的財産権の管理につきましては専門部所を設け、確実な取得及び保全に努めております。 (6)海外進出 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国毎に政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。 これらに対し、当社グループはカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。 (7)災害等 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点より立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。 これらに対し、当社グループは、可能かつ妥当な範囲で保険を付するとともに二次的な影響を抑えるための対応の整備を図っております。 (8)情報管理 顧客情報や個人情報の流出が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 これらに対し、当社グループでは、セキュリティ対策システムの導入や情報セキュリティ教育の実施を進めております。
FY2016|3,328 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。 (1)非鉄金属価格及び為替レートの変動① 非鉄金属価格の低下 ニッケル、銅、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます。(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という。)LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響によりニッケル、銅、金などのLME相場等が著しく低下しその状態が長期間続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。 ② 為替レート(円高) 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米国ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米国ドル建てであります。また、海外への鉱山投資、材料事業への投資並びに同事業の製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。 これらに対し、当社グループは原料調達、製造それぞれにおいて競争力の強化を図り、環境悪化を克服するために諸施策を推進しております。 (2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害 当社グループは、銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、自山鉱比率を高めていく方針でありますが、現在は過半を投資に裏打ちされていない長期買鉱契約により調達しております。 長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を妥当な価格により購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。 また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故及び労働争議など当社の管理の及ばない事態により原料の供給が遅延又は停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは海外鉱山開発及び優良な海外鉱山等への投資により自山鉱比率を高め、安定した原料ソースの確保を進めております。 (3)鉱山投資の不確実性 当社グループは、上述のとおり原料調達における自山鉱の比率を高めていくために鉱山投資を行っていく方針でありますが、探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。鉱山開発においては、環境行政上の手続きを含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは長年の探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。 (4)環境保全と法令遵守に係るリスク 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償を課せられること、休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあります。また、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。さらに鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。以上、関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合が考えられ、それらのコスト負担が当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。 これらに対し、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを厳格に運用し環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、負担コストの適正化を図ることとしております。 (5)市場変化と新商品開発及び知的財産に係るリスク 当社グループの材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手の同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。 また、当社グループの材料事業の主要製品の販売量は、携帯端末、パソコン、家電製品などを製造する顧客の生産水準に依存しており、顧客が製造するこれら製品の需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向一般その他の要因によって変化いたします。 これらにより、材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な実施などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。 これらに対し、当社グループは研究開発成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っております。また、知的財産権の管理につきましては専門部所を設け、確実な取得及び保全に努めております。 (6)海外進出 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国毎に政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。 これらに対し、当社グループはカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。 (7)災害等 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点より立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。 これらに対し、当社グループは、可能かつ妥当な範囲で保険を付するとともに二次的な影響を抑えるための対応の整備を図っております。 (8)情報管理 顧客情報や個人情報の流出が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 これらに対し、当社グループでは、セキュリティ対策システムの導入や情報セキュリティ教育の実施を進めております。