事業等のリスク
協和キリンは、事業活動における不確実性をリスクと捉え、企業価値の毀損だけでなく、成長機会にもなり得ると定義しています。主要なリスクとして、サイバー攻撃によるシステム停止や情報漏えいがあり、これにより経済的損失や社会的信用の低下が生じる可能性があります。また、医薬品の製造・品質トラブル、原材料調達の不安定さ、急激な需要変動、自然災害などは、製品の安定供給に重大な影響を及ぼし、患者さんへの治療継続を困難にし、社会的信用や売上減少につながる恐れがあります。これらのリスクに対し、グローバルなリスクマネジメント体制とデジタル活用、クライシスマネジメント体制の強化で対応しています。
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FY2025|9,339 文字
3【事業等のリスク】1.リスクマネジメント(RM)体制と重要リスク特定のプロセス協和キリングループにおけるリスクとは、経営目標及び戦略目標の達成に影響を与える不確実性を指し、事業活動の遂行において企業価値の毀損につながる脅威(ネガティブな影響)に加え、適切に対応することで企業価値の創出や成長につながる機会(ポジティブな影響)の双方を含むものと定義しています。当社グループは、Enterprise Risk Management(ERM)の枠組みのもと、リスクを単なる回避対象としてではなく、機会の最大化及び企業価値の創出・保全につなげるべき経営上の重要事項として位置付けています。 当社グループは、日本を含むJAPAC、北米、EMEAを中心とした地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しています。3つの地域にそれぞれリージョナルリスクマネジメント委員会を設置し、各地域の重要リスクを議論しています。また、CxOが中心として参加するグローバルな位置付けのグループリスクマネジメント委員会を年2回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針を審議していきます。重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が実務担当者会議において社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。グループリスクマネジメント委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理し、重要リスクを特定します。グループリスクマネジメント委員会では重要リスクの特定が適切かを確認するとともに、その低減策について全社的な観点で議論しています。重要リスクの低減に向けた進捗確認は、アクションプランのモニタリングと合わせて行い、グローバル経営戦略会議にて進捗確認と環境変化を踏まえたリスクの重要度の変化をモニタリングしていきます。グループリスクマネジメント委員会では、その評価結果を基にリスクマップを策定しており、これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されています。 当社グループのリスクマネジメント(RM)体制(2025年10月より) 2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めています。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めています。3.クライシスマネジメント体制とBCP演習の強化について当社グループでは、クライシス発生時に、平時業務の延長から早期にクライシス対応を開始できるFunction対策本部と、クライシスの地理的影響範囲に応じて設置されるGlobal・Regional・Local対策本部が連携し、2025年11月11日改訂版グループクライシスマネジメント規程に基づき、迅速かつ組織的なクライシスマネジメントを遂行しています。今回の改訂では、各階層(Global・Regional・Local・Function)の役割と権限、設置基準、指揮命令系統、エスカレーション原則(Bad News Fast)が明確化され、平時・有事双方における情報報告・共有方法、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の発動・解除手順、対策本部の設置判断基準が具体的に定められました。これにより、クライシスの予防、発生への準備、予兆の早期発見、緊急時対応までを一貫して運用するレジリエントな体制が整備されました。また、重要リスクを中心にクロスリージョン・クロスファンクションにクライシス・BCP演習の実施を通じて、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っています。改訂規程では、各対策本部単位で原則年1回の教育訓練実施が義務付けられ、演習後には振り返りと再発防止策の策定、改善アクションプラン化、平時における継続的改善が求められています。演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングにつなげるなど、急激な環境変化の中、全社的な課題に対して、平時のリスクマネジメントと有事のクライシスマネジメントを一貫して取組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しています。 当社グループのクライシスマネジメント体制(2025年11月より) 4.事業等のリスク当連結会計年度末(2025年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載していますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 サイバーセキュリティ(Cybersecurity)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、研究開発、製造、販売等に関わる重要情報システムやネットワークを、グローバルに多拠点で運用しています。これらは患者さん情報、研究開発データ、製造ノウハウ、契約や経営情報など、極めて機密性の高いデータを含みます。近年、ランサムウェアや標的型攻撃などのサイバー攻撃は高度化・巧妙化し、ライフサイエンス分野は高い攻撃対象となっています。セキュリティ対策(アクセス制御、暗号化、脆弱性管理、監視、バックアップ等)が不十分な場合、システム停止や障害発生、情報漏えいなどが起き、事業継続が不可能になる事態が生じ得ます。これにより、法令違反や制裁金、訴訟、重大な経済的損失、社会的信用の低下、競争力の喪失などの影響を受けます。また、地域ごとのセキュリティ標準や対応方針の差異、統一的なガバナンス不在、保険補償の限界なども被害拡大の要因となります。主な対策現在、全地域で常勤スタッフによる監視体制を整えており、サポートを提供しています。北米・EMEA・日本ではランサムウェア防御技術を導入し、また内部脆弱性管理を継続的に実施に加え、年1回の外部ペネトレーションテストも実施しています。さらに、各地域でMSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)による監視を行い、資産管理ツールを用いた資産発見・管理、TPRM(サードパーティリスクマネジメント)評価、年次のグローバル・地域別サイバー演習、フィッシング対策訓練も実施しています。今後はMSSPサービスの統合化と単一テナント運用による迅速な対応、グローバルセキュリティオペレーションモデルの構築、TPRM標準化、製造部門のオペレーションテクノロジー(OT)セキュリティ強化を予定しています。また、ERMプログラムを導入し、全地域のリスクをモニタリングしていきます。 安定供給及び品質(Supply & Quality)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、バイオ医薬品を含む多様なモダリティの製品・治験薬を製造し、国内外に供給しています。製造・品質に関するトラブルや原材料調達不安、急激な需要変動、委託先の不具合、自然災害、地政学リスク、システム障害などは、供給に重大な影響を及ぼす恐れがあります。特に重要品目で供給不足や出荷制限が発生すると、患者さんへの治療継続が困難となり、社会的信用失墜、受注減、売上減少、罰則、訴訟など経済的損失が生じます。さらに、新しいモダリティやデバイスへの対応力不足、生産拠点の一極集中や老朽化、設備投資の戦略整合性欠如も中長期的な供給安定性を損なう恐れがあります。主な対策適正在庫の確保、自社生産体制の整備・拡充(高崎工場HB7棟・サンフォード工場)、重要製品のデュアルソーシング体制構築、CDMO管理強化、災害時における影響の早期把握、原材料・資材の安定確保やサプライヤーマネジメント改善、逸脱・変更管理プロセス改善、新技術の開発・活用促進などに取組んでいます。今後はサプライチェーン全体のリスク特定と対応シナリオ策定、長期的な戦略に基づく供給体制構築、製造・品質リスクの早期把握のためのモニタリング強化、DX活用によるオペレーション改革などを計画しています。今後、インシデント数、査察時の重大指摘数、計画達成度などをモニタリングしていきます。 ビジネスパートナー(Business partner)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは原材料・委託製造・流通等、重要な事業プロセスを多数のビジネスパートナーに依存しています。これらのビジネスパートナーに起因する人権・環境問題(強制労働・児童労働、温室効果ガス排出等)、贈収賄や腐敗行為、情報セキュリティ侵害、規制違反などのリスクは、管理体制が不十分であると顕在化しやすくなります。特に責任部署やモニタリングプロセスが曖昧な場合、デュー・デリジェンス(DD)の実施漏れや契約・監査未整備が生じ、高リスクパートナーに対して適切な評価・対応ができないまま取引を継続する事態が発生します。インシデントが発生すれば、事業の継続困難、罰金・制裁金の賦課、社会的信用の失墜、金銭的損失等の影響に加え、膨大な人的・物的リソースを突発対応に投入せざるを得なくなります。主な対策既存の各リージョンでのDD、人権DDにおけるインタビューとテーマ検討等の活動に加え、現状では、グループ全体のビジネスパートナーに係る基本方針・規程の策定による管理概要の明文化、安定供給に関わるパートナーの優先的なDD対象選定、グローバルでの運用プロセスの明文化に向けた各リージョンの管理体制現状確認を行っています。また、PSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)への加盟等を通じ、他社のDD状況・業界トレンドを踏まえた組織改善も進めています。今後はDD対象選定基準や優先リスク評価基準の策定、SAQ(自己評価質問表)実施、リスク評価指針・対応手引き作成、高リスクパートナーへのモニタリング徹底、外部開示にも対応可能な監査体制の設計・実施を進めます。契約時・契約後のモニタリング網羅性向上、サプライヤー情報のグローバル一元管理も計画し、優先パートナーに対するアセスメント完了率や低減対策実施率などをモニタリングしていきます。 プロダクトポートフォリオ(Product Portfolio)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響研究開発から上市までの開発品・製品ポートフォリオは当社の持続的成長の基盤です。疾患領域別の投資方針(自社単独での価値創造・提供と他社との戦略的パートナリングによる価値最大化)を設定していますが、後期開発品への投資拡大、初期パイプライン偏在、パートナリング交渉難航等により、将来の売上・利益の均衡が崩れる恐れがあります。短・中・長期視点での不十分な議論や財務観点との整合性欠如は、投資判断誤りや開発停滞を招き、株価下落、中長期的収益性悪化、機会損失につながります。主な対策現状、グローバル経営戦略会議等においてポートフォリオ分析(売上・利益予測、感度分析、シナリオ別成長予測、重大な影響要因=スイングファクター分析)を定期的に実施し、CxOレベルで現状と将来シナリオを共有しています。今後は四半期ごとのプロダクトポートフォリオマネジメント会議を設置し、財務視点を含むシナリオ分析に基づく戦略方向性の認識一致を図ります。また、議論内容を開発実務に迅速反映し、スイングファクターに関連したワーストケースシナリオへの事前対応策などをモニタリングしていきます。 企業文化及び人材ポートフォリオ(Corporate Culture and Talent Portfolio)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、急速に環境変化する製薬業界において、持続的な成長と競争優位性を実現するため、高度な専門性、多様性、機動性を備えた組織と人材の確保が必須です。しかし、必要なケイパビリティが現状と乖離しているにもかかわらず、そのギャップを正しく認識し、計画的に是正する取組みが遅れると、イノベーションの創出が停滞し競争力が低下する恐れがあります。加えて、企業文化(KABEGOE Culture)の醸成が不十分である場合、優秀な人材の採用・定着が困難になり、エンゲージメントや生産性低下を招き、グローバル戦略遂行やビジョン達成の障害となります。具体的には、グローバル×ローカルの一貫した人材戦略の欠如、People Leader(管理者層)の役割定義・期待値の不明確さ、Total Reward(報酬政策)やキャリア機会の競争力不足などが長期的な人材流出につながるほか、人材育成が場当たり的になり戦略人材のパイプライン構築が進まないという影響も顕著です。主な対策当社は、こうしたケイパビリティギャップの是正に向けて、人材マネジメント基盤の強化に着手しています。人事組織内にVirtual Global Sub-functionを設け、機能横断・地域横断の戦略推進体制を整備するとともに、グローバルな後継者計画(Global Succession Planning)を導入し、各ファンクションにおける次世代リーダー候補とその育成方針を明確化しています。さらに、研究開発領域には、価値創造型人材像の定義と人材育成施策を導入しました。企業文化面では、Vision 2030の達成に向けてKABEGOE Principlesを継続的に社内へ浸透させ、Global HR Operation Model等の整備を通じた、国や部門を越えたタレントマネジメントの基盤構築を進めています。今後は、People Leaderへの期待役割を明確化し、その実現を支援する育成施策や、Total Reward Policyの明確化・報酬制度の再設計、加えて認証プログラムの強化に注力していきます。また、オペレーティングモデル変革を支えるため、社内表彰制度の刷新や部門横断の価値創出活動を拡充し、社員一人ひとりが変化を実感できる企業文化の発展を図っていきます。 バリューベース・ヘルスケアの進化と市場アクセス(The Advancement of Value-Based Healthcare and Market Access)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医療費の高騰、薬価抑制圧力、費用対効果評価(HTA)の重視などにより、医薬品の保険償還や価格設定は厳格化しています。患者、Payer(保険者)、当局のニーズを十分に反映しない開発戦略や、経済的価値の検証プロセス不足により、製品へのアクセスが遅延・制限されるリスクがあります。開発初期から市場アクセスや経済価値戦略を組み込む仕組み、具体的には、欧州HTA基準を満たす試験設計、費用対効果評価に対応しうる体制・人材、国ごとの価格ルール・交渉文化の違いへの柔軟対応力が必要です。これらが不足すると、上市後の価格・アクセス条件が不利となり、収益性や成長性が著しく低下します。主な対策当社は、開発初期段階からアクセス及び価値最大化戦略を製品戦略書やTarget Product Profile(TPP)に組み込み、研究開発委員会で戦略の整合性を確認しています。先行開発品や類似領域で得た知見を疾患領域チームのCross-functionalレビューにより共有し、欧州HTA基準を満たすPhaseⅢ試験設計の推進、費用対効果評価に対応可能な価格設定システムの改訂を行っています。さらに、主要製品では欧州共同臨床評価(JCA)への計画的対応を進め、米国及び欧州市場での交渉力強化に取組んでいます。併せて、国内の費用対効果評価への継続対応を可能とする体制・人材育成を行い、政府渉外部門、医療経済、Pharmacy Benefit Management(PBM)、ペイヤー対応部門等と連携しながら、各国事情に適合した価値最大化施策の標準化を目指しています。 日本市場における持続的成長(Sustainable growth of Japan Market)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響日本事業の中核を担う長期収載品に関する製品ライフサイクル戦略の実効が遅延した場合、ポートフォリオの改善が困難となり、高コスト構造が固定化する可能性があります。さらに、新製品の自社開発や国内導入が計画どおり進まない場合、日本市場における競争力が低下し、グループ全体の収益に影響を及ぼす恐れがあります。また、新薬の上市計画が遅延した場合、目標利益を大きく下回る可能性があり、持続的成長モデルへの転換が急務となります。主な対策当社は、製品ライフサイクル戦略の実行に向け、早期段階からパートナー企業やCDMOとの情報共有を進め、承継活動における透明性の向上と意思決定の迅速化を図っています。承継契約に関しては、法務デュー・デリジェンス及び関連契約の精査を実施し、組織間の連携を強化することで、円滑なプロジェクト遂行を支援しています。新薬の上市準備においては、日本市場向けのプレローンチチーム(JP Pre-launch Team)を設置し、これを支援する機能横断型タスクフォースを編成することで、各機能間の連携を強化し、円滑な上市準備を推進しています。今後は、プロジェクト管理機能のさらなる強化、デュー・デリジェンス情報の事前整理、タスクフォースによる支援体制の明確化、並びにマイルストン進捗のモニタリング精度向上を図ります。さらに、経営レベルでの議論を継続し、医療制度や市場環境の変化に対応した持続的成長モデルへの転換を目指します。 デジタル戦略の推進及びオペレーショナルエクセレンスの実現(The Advancement of Digital Strategy and Operational Excellence)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループでは2021年に「デジタルビジョン2030」を作成しDXを推進しています。各部門・リージョンで様々な取組みを行ってきていますが、全体最適化の視点ではさらなる強化の余地があり、本来期待されている全社レベルでのOperational Transformation効果(生産性向上、迅速意思決定、パイプライン加速等)、Life-changingな価値創出に向けた取組みが十分に発揮されない恐れがあります。主な対策当社は2025年4月にChief Digital Transformation Officer(CDXO)を設置するとともに、全社軸でのDXを推進するODX(Operational and Digital Transformation)を新設し、DXを軸とした業務改革を加速するとともに、DXやAI等に関する専門人材や変革型リーダーの強化・育成、併せてIT/デジタル投資のガバナンス体制の整備を進めています。今後も会社戦略に沿った投資優先順位の設定や戦略テーマの定期見直しを通じて、全社的なDX効果の最大化を目指します。 遺伝子細胞治療ビジネスの持続的成長(Sustainable Growth of Gene & Cell Therapy Business)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社は、2024年に造血幹細胞遺伝子治療プラットフォームを有するOrchard Therapeutics社を買収し、本プラットフォームを活用した有望な治療法の開発、並びに当社が培ってきた創薬技術との融合による新規治療法の研究開発を、“Vision 2030 and Beyond:中長期構想”の中核に位置付けています。しかし、事業統合後の事業戦略の策定や組織ガバナンス体制の構築が計画どおりに進まない場合、期待していたグループシナジーを十分に発揮できない可能性があります。また、遺伝子細胞治療(Gene & Cell Therapy)領域において、事業環境の変化や各国の規制変更等への対応が不十分となる場合、上市済み製品の販売促進による成長や革新的開発品の創出が停滞し、“Vision 2030 and Beyond:中長期構想”の達成に影響を及ぼすおそれがあります。主な対策当社は、Orchard Therapeutics社の造血幹細胞遺伝子治療プラットフォームを活用し、OTL-200(欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)の地域拡大、及びOTL-203、OTL-201などの開発推進に取組んでいます。これにより、Gene & Cell Therapy領域における事業基盤を強化し、収益の安定化を図ります。さらに、両社共同による研究開発戦略策定、投資判断等を行うガバナンス会議を整備し、Gene & Cell Therapy領域固有の課題や事業環境の変化に対して、迅速かつ的確な意思決定を可能とする体制を構築します。加えて、グループ全拠点の特性やケイパビリティを最大限活用した研究開発体制の整備、並びに専門人材の育成を推進します。 米国政策(US Politics)リスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響米国政権の政策変更(関税、薬価規制等)は当社グループに直接的影響を及ぼします。薬価最恵国待遇(MFN Drug Pricing)政策が法制化されれば、米国での価格引下げや戦略変更が避けられず、他国薬価設定にも波及します。医薬品への高関税導入は、米国向け製造戦略に大きな損害を与えるほか、価格転嫁は政治的リスクを伴います。主な対策当社は、関税影響に備えて米国関税タスクフォースを設置し、生産・SCM、財務経理、法務、渉外、市場アクセス、薬事等の機能横断連携を強化し、また製造拠点移転を含む供給体制再構築を計画しています。さらに、米国及び日本での活動を通じて政策関与を強化するとともに、米国の子会社がPhRMAに加盟し、政治的影響力の向上を図っています。今後も米国議会の動向監視を継続し、供給キャパシティの確保と契約再構築を進めることで政治的リスクの低減を目指します。
FY2024|15,638 文字
3【事業等のリスク】1.リスクマネジメント体制と重要リスク特定のプロセス当社グループは、日本、北米、EMEAを中心とした地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しています。3つの地域にそれぞれリージョナルCSR委員会を設置し、各地域の重要リスクを議論しています。また、CxOが中心として参加するグローバルな位置づけのグループCSR委員会を年2回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針の審議、半年間の活動状況のモニタリングを行っています。これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されています。重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。CSR委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理し、重要リスクを特定します。CSR委員会では重要リスクの特定が適切かを確認するとともに、その低減策と進捗のモニタリングを行い、業務執行部門のリスクマネジメントを支援しています。また、サステナブルな社会の実現に貢献すると同時に、企業の持続的な成長を実現するために、社会と事業の両方の視点から重要な経営課題(マテリアリティ)を中長期的に解決すべきリスク・機会として特定し、中期経営計画に反映させて取組み、CSR委員会においてリスク・機会についての認識の変化や、取組みの進捗を議論しています。 当社グループのリスクマネジメント体制(2024年10月より) 2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めています。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めています。 3.クライシスマネジメント体制と演習の強化について当社グループでは、グローバル、リージョン、ローカルの三層構造からなるエリア対策本部や、専門性を活かして対応するファンクション対策本部が、グループクライシスマネジメント規程のもと自律的にクライシスマネジメントを実行し、グローバルな対応が必要な場合は、各対策本部が連携して、迅速に影響低減を図るための仕組みを構築しています。また、重要リスクを中心にクロスリージョン・クロスファンクションにクライシス・BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)演習の実施を通じて、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っています。演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングにつなげるなど、急激な環境変化の中、全社的な課題に対して、平時のリスクマネジメントと有事のクライシスマネジメントを一貫して取組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しています。 当社グループのクライシスマネジメント体制(2024年10月より) 4.事業等のリスク当連結会計年度末(2024年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載していますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 グローバル戦略品の価値最大化に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)及び抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)等をグローバル戦略品と位置づけ、これらの価値最大化を進めています。Crysvitaは、2023年4月に北米における自社販売を開始しており、順調に市場拡大をしていますが、最大規模の市場として今後の動向を引き続き注視していく必要があります。またグローバル戦略品全般のリスクとして、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起しの難航等で市場への浸透が進まない、新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測から大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により安定供給に支障が生じた場合は、経営目標の達成が困難になる可能性があります。主な対策グローバル戦略品の価値最大化に向けては、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めています。また、グローバルレベルで各機能(部門)や各地域(関係会社)間のシームレスな連携を可能にするグローバルマネジメント体制に加えて、各グローバル戦略品の責任者を任命し、同責任者を中心とした機能・地域横断のチームが一体となって各製品の価値最大化の戦略策定と遂行に取組んでいます。Crysvitaの北米における自社販売を開始していますが、引き続き、治療を必要とする患者さんの特定とコミュニケーション体制の充実、フィールド活動のモニタリング、並びに、それらの活動に携わるフィールドチームのさらなるレベルアップといった施策に対して万全の態勢で臨んでいきます。なお、品質や製造トラブル等については、「製品品質に関するリスク」及び「生産・安定供給に関するリスク」において主な対策を記載しています。 医療費抑制策に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響国内外において医療費抑制のトレンドが高まっており、医薬品の保険償還価格引下げや、後発医薬品の使用促進等の各国における医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を与えています。また、このような状況下においては革新的で、アンメットメディカルニーズに応える医薬品であることがステークホルダーからの高い評価を得るうえで重要になりますが、一方で追加的有用性・革新性を有する新薬等の開発は、その規制要求レベルの高まりも踏まえ多大な投資と時間を要するため、製品の戦略の時宜を捉えた柔軟な見直しができなければ、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品等を確実にお届けするために、その製品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、価格設定については、各国制度に準拠し、ステークホルダーからの理解も得ながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益の確保に繋がるよう、事業への影響の評価も踏まえて検討しています。 生産・安定供給に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地域における詳細で精度の高い需要予測ができない場合、特に他社の類似薬の供給トラブル等により市場の需給状況が著しく変動した場合、さらには自社工場や委託先、原材料資材等の調達先を含むサプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や災害被害によって供給能力が維持できない場合には、当社グループの製品の安定供給に支障が生じ、上市スケジュールの遅延、製品の限定出荷等により、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少等が生じる可能性があります。主な対策製品の売上情報や外部環境変化に伴うニーズの動向を速やかに把握して需要予測の精度を高めるとともに、需要と供給をバランスさせ、事業計画に沿った調整を迅速かつ柔軟に行うためのS&OP(Sales and Operations Planning)と呼ばれるプロセスを展開しています。またBCPの策定、リスクに応じた安全在庫保有方針の見直しのほか、業界に求められている自己点検の実施、客観的な安定供給指標の設定とモニタリング、需給計画のシステムによる可視化、さらには委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造並びに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めています。 人的資源に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制の定着を進めていますが、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続や持続的な成長の阻害要因になる可能性があります。主な対策当社グループでは経営理念とビジョンの実現、新しい価値を創造し続ける人・組織づくりの強化に向けて「協和キリングループ人材マネジメント基本方針」を定め、その中で「人材はイノベーションの源泉」と位置づけています。また、価値創造ストーリーにおいては、「協和キリンのビジョン・価値観に共感する従業員」「多様性の輝くチーム力」「ビジョン達成のため壁を乗り越える企業文化(KABEGOE)」を重要視していることを明確に謳っています。従業員一人ひとりの能力と挑戦を結集し、2024年に発表したビジョン実現のための戦略ストーリー「Story for Vision 2030」に沿って、Life-changingな価値に繋がる「価値創造活動」を推進することが、ビジョンの実現につながると考え、個々の人材の能力を最大限引き出し、挑戦できる機会を提供することに注力しています。研究、開発、製造、販売の各バリューチェーンにおいて、「患者さんの笑顔のため」という使命感と責任感、高い専門性を持って変革に挑み続け、やりきる人材の輩出を目指し、健康で多様な人材が活躍できる職場環境整備や組織風土、企業文化の醸成など社内環境を整備しています。One Kyowa Kirin体制をサステナブルに発展させていくため、各地域や機能部門の将来を担う次世代リーダー候補を発掘し、育成、抜擢する仕組みを推進しています。2021年から始まった現在の中期経営計画では、グローバルタレントマネジメントを戦略的に進めるべくグローバル共通の人事基盤整備としてグローバルキーポジションとその人材要件の特定、グローバル共通のグレーディングの整備、リーダーシッププリンシプルの策定、グローバル人事システム(HRIS)の導入等に取組んできました。これらは、採用、育成、評価、異動配置・登用などのタレントマネジメントにおいて重要な役割を果たします。グローバルでリアルタイムに人事データを共有し、データに基づいたタレントマネジメントを推進し、適所適材の人材配置を実現することで、持続的にグローバルリーダーを育成していくことを目指しています。また、具体的な人材パイプラインの強化策として、サクセッサーごとの個別の育成計画(グローバルサクセッションプラン)の策定、次世代リーダー候補の可視化や個別育成計画、グローバルでの短期派遣による人材育成プログラム(グローバルエクスチェンジプログラム)などに取組んでいます。各ファンクションやリージョン人材戦略との連携を図りながら、グローバルHRビジネスパートナー体制を構築しており、これにより人材戦略を統合し効果的に活用することができるようにしています。これらの取組みの浸透度や定着度については、従業員意識調査(Global Engagement And Motivation Survey)や企業文化改革に関する簡易調査等によりモニタリングしています。 研究開発に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響研究開発では、技術、疾患及びオープンイノベーションを軸とした以下の戦略を立てて、画期的な医薬品の継続創出を進めています。①抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティを駆使して、画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く、②グローバル戦略品であるCrysvita・Poteligeoを生み出した、これまでの疾患サイエンスを活かしつつ、有効な治療法のない疾患に、“Only-one value drug”を提供し続ける、③アカデミア・スタートアップ等との共同研究活動(サンディエゴ地区を活用した情報収集など)の継続と、ベンチャーキャピタルファンド出資などを介した情報への早期アクセスを融合することによる、進化したオープンイノベーション活動により外部イノベーションを積極的に取り込んでいます。しかしながら、長期間にわたる新薬の研究開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、パイプラインの充実ができず、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策当社グループは、グローバル候補品等の次世代を担う新薬パイプラインを強化するために、研究開発への積極的な投資(研究開発費率18~20%を目処)を進めています。ビジネスバリューチェーンによる競合優位性の獲得を期待できる「骨・ミネラル」「血液がん・難治性血液疾患」「希少疾患」の領域に研究資源をフォーカスさせ、さらに、低分子モダリティを縮小し、将来性の高い遺伝子細胞モダリティや複合モダリティとしての先進抗体へと大きく舵を切ることで、戦略的かつ効率的な研究によるイノベーションの創出を行います。自社での研究に加え、基盤技術やパイプラインの獲得に向けた戦略的パートナリング(導入、提携等)など、産官学全てを視野に入れたオープンイノベーション活動にも力を入れています。海外のKyowa Kirin North America研究所を通じた世界有数の研究機関であるラホヤ免疫研究所(La Jolla Institute for Immunology)との連携強化、コーポレートベンチャーキャピタル活動の推進を引き続き実施しています。また、2024年1月に買収した英国に拠点をおく造血幹細胞遺伝子治療を専門とするOrchard Therapeutics社との共同研究プロジェクトがスタートし、前述の遺伝子細胞モダリティ研究が本格的に始動しました。こうした自社研究やオープンイノベーション活動をグローバルで迅速かつ効果的に進めるために、2025年1月より研究本部の組織改編を行い、グローバルに適切なマネジメントとガバナンスを実現する研究組織体制を整備していきます。疾患領域とモダリティをフォーカスし、組織体制を刷新する一連のトランスフォーメーションにより、当社のビジョンであるLife-changingな価値を継続して創出するための研究開発力を大幅に強化していきます。 自社及びグループ会社管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして経営目標の実現を図るために、当社グループは、「内部統制システム構築の基本方針」に従い、当社グループのコンプライアンス、リスクマネジメント、財務報告の適正性確保等について適切な体制を構築するとともに、その運用状況を取締役会で報告し、グループのガバナンス強化に取組んでいます。これらの取組みが十分に機能しない場合、リスクの顕在化による生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策「リスクマネジメント」では、未来を予測し先手を打った全社的リスクマネジメントを目指し、グループ全体のリスクを一元管理するITツールを導入し、各地域と本社をつないだグローバル及び国内外各地域におけるクライシス・BCP演習の継続的な実施、中長期的に解決すべきリスク・機会であるマテリアリティの議論を通じて、新たなリスクや潜在化するリスクへの対応力向上を図っています。特にグループ及びリージョンの重要リスクについては、それぞれグループCSR委員会及び各リージョンのCSR委員会で報告・モニタリングされ、その内容はそれぞれの取締役会に報告しています。また、The Institute of Internal Auditorsが提唱する3ラインモデルに準拠し、リスクに対する適切な対応を行う体制を確保しています。なお、コンプライアンスは「コンプライアンスに関するリスク」に、財務報告の適正性確保は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」にそれぞれ記載しています。 製品品質に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した設備(ハード)と手順や人材(ソフト)が求められます。各国当局のGMP査察や社内監査において、GMP上の重大な問題が見つかった場合には、規制当局より製造停止や出荷停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合、出荷停止や製品回収が発生する可能性があります。さらに、試験方法の不備や試験室管理の問題により不適切な試験が行われた場合、製品の品質が保証できないリスクも存在します。このような状況が発生した場合、患者さんの健康被害が生じるリスクがあるほか、出荷停止や製品回収に伴う企業の信頼性低下や、経済的損失が企業運営やビジネス展開に大きな影響を及ぼす可能性があります。主な対策品質保証の機能はグローバルQAヘッドが、グローバル品質保証委員会、定期及び臨時のグローバル製品協議会等にて、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、各地域の品質保証活動に関する情報を収集・共有し、迅速に意思決定を行う体制を構築しています。また、グローバルでの独立した専門の監査チームによる自社及び委託先への品質監査の強化を図っています。さらに、膨大な品質保証業務に関する情報をグローバルレベルで適切に管理、活用し、プロセスと信頼性を継続的に改善するために、品質マネジメントシステムの電子化が完了しており、主要な品質マネジメントプロセス(教育訓練、文書管理、逸脱、苦情、是正及び予防措置、変更管理、監査、製造所管理、リスク管理等)の電子的管理を行っています。社内では、品質文化の醸成に努め、全社員の意識向上を図っています。なお、品質保証部門と安全性管理部門は常に密に連携しており、品質に懸念が生じた場合は患者さんへの影響を速やかに評価し、また製品の安全性モニタリングの際には常に品質による影響を考慮し、患者さんへの健康被害を未然に防ぐ体制を構築しています。 取引先・委託先管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しています。しかしながら、サプライヤーにて人権、法令遵守、環境及び情報セキュリティ等の問題が発生し、提携や業務委託による成果物が得られなかった場合や提携解消等が発生した場合、成果物の品質に問題が発生した場合には、当社製品の安定供給、物流や販売等に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。主な対策高品質な製品を安定して供給するために、サプライヤーとともにサステナブル調達を推進していくことを表明した「協和キリングループ調達基本方針」に沿って、サステナブル調達の推進に取組んでおり,協和キリンのサステナブル調達の取組みをご理解頂くために、サプライヤーの皆様が参加してのオンライン説明会を定期開催しています。また、社会との関係、従業員との関係、ルールの遵守、人権尊重、環境保全、情報管理、リスクマネジメントの7つの項目について、サプライヤーに理解・協力を求める事項を「協和キリングループサプライヤー行動指針」としてまとめ、サプライヤーとの取引に際しては「協和キリングループサプライヤー行動指針」に遵守することを取引契約書の条項に加えるとともに、「協和キリングループサプライヤー行動指針」への取組み状況を確認するためにアンケートを実施し、結果を公表しています。また、外部機関からリスク情報や信用調査情報を入手し、客観的な情報に基づく評価も行っています。取引中も同様の情報を随時取得するとともに、懸念情報があった場合にはサプライヤーに状況を確認します。また、リスク情報を入手した場合には、関係部署と速やかに共有し、必要に応じてサプライヤーに是正を求めたり、サプライヤーの変更を検討したりするなど関係部署と協働してリスク低減を図っています。各地域で整備された調達機能・体制にて、リスク低減の取組みを実施しており、状況をモニタリングしています。2022年12月に制定した「協和キリングループ人権基本方針」に基づき、人権デュー・デリジェンスの取組みも進めています。 情報セキュリティに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、各種ネットワークや情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。取引先がサイバー攻撃を受けた場合にも、当社グループの秘密情報や個人データの漏洩、事業活動の停止、ブランド棄損等の被害につながる可能性があります。ハイブリッドワークの定着により生産性が向上する一方で、自宅の通信環境の利用や一人業務が増加しているため、ネットワーク通信の盗聴、サイバー攻撃、メール誤送信、PC端末の紛失などのリスクが高まり、情報漏洩が発生する可能性があります。またクラウドサービスの利用増加により、外部サービス側でのセキュリティ事故(サービス自体が利用できなくなることを含む)が当社の事業継続に直接影響する可能性があります。主な対策当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威に対する技術的な対策に加え、サイバーインシデント発生時の初動対応の処理フローや手順書をプレイブックとしてまとめる等、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進め、インシデント発生時における対応体制を整備しています。また、セキュリティ業界の標準的なフレームワークを利用した外部評価を定期的に実施することで、客観的なリスク評価に基づく対応計画を策定し継続的な改善を図っています。さらに取引先に対してもモニタリングを実施し、セキュリティ対策の対応状況を確認する等、各種リスク低減のための取組みを進めています。また、インシデントが発生した場合に迅速に対処して被害を最小化するための取組みとして、各地域における、ランサムウェア等のサイバー攻撃に対応するクライシス演習などを継続的に実施しているほか、経営陣を対象としたグローバル演習にも取組んでいます。さらに、従業員の情報セキュリティレベルを向上させるための、教育研修の定期的実施や、標的型攻撃メール訓練の実施、最新の攻撃手法の特徴に合わせて、コンピュータウイルスに感染しないための情報や注意点などを従業員向けセミナーやサイバーセキュリティに関する特設サイト等を通じて周知、啓発をしています。加えて、クラウドサービス利用の制限があることを想定したBCP整備や演習を進めています。 コンプライアンスに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品の研究開発、製造販売、及び輸出入などの製薬会社の事業活動には、遵守すべき各種の法令等の規制があります。また、患者さんを中心においた活動のための患者団体等との交流や、医薬品のプロモーションには各国の法規制に加えて業界の自主規範があり、製薬会社にはその遵守が強く要請されています。これらの法令等の規制や自主規範を遵守できなかったことにより、制裁を受け、新製品開発の遅延や中止、生産活動や販売活動等の制限や停止、さらには製薬会社としての信頼の失墜や訴訟等につながる可能性があります。主な対策当社グループでは、コンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知かつ正しく理解し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めており、健全な倫理・コンプライアンス文化の醸成に努めています。また、各種法令等の規制や自主規範を遵守するための体制を構築するとともに、教育研修を継続的に実施し、理解浸透や意識啓発に取組んでいます。コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況については、定期的に開催される各リージョナルCSR委員会やグループCSR委員会にて議論し、継続的な改善を進めています。加えて、行動規範に反する行為や当社グループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防、早期発見、是正するために、内部通報窓口も設けています。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図っています。調査結果は、グループCSR委員会や取締役会にも報告しています。また、グループコンプライアンス強化プロジェクトでは、「協和キリングループ行動規範」を補完する各グループ基本方針やグローバル製薬企業として遵守すべき各種法令等の領域をベースとした各主管部署における取組みの状況をモニタリングする仕組みや、グローバル本社を含む各リージョンのコンプライアンスプログラムに対する全社的なモニタリングの仕組みを整備しています。モニタリング結果に応じて、改善に向けた対策の実行を行うことで、グループのコンプライアンスレベルをより高めていきます。 自然災害に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地で起こりうる地震や台風等の自然災害により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停滞し、創薬研究や臨床開発の進展、製品の安定供給、安全性情報の収集、製品の情報提供等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策当社グループでは、災害発生時の従業員とその家族の安全を確保するため各拠点と連携して防災計画を立て、安否確認訓練や備品の補充と点検を定期的に進めています。また、通常の事業活動が継続困難な状況に陥った場合においても、医薬品の供給、安全性の監視及び情報提供を継続するために、BCPを策定しています。超大型台風の発生、首都直下型大地震などを想定したBCP演習を実施し、演習を通して課題を抽出し、BCPの継続的な改善を進めています。2021年に制定したオールハザード型のグローバルBCPガイドラインに基づき、様々な事象に対応できるよう、各地域での事業継続体制の強化も進めています。例として、高崎工場内に免震構造を有する新たな倉庫棟の建設を予定しています(2023年10月着工、2026年1月稼働開始予定)。 気候変動に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響気候変動に伴う異常気象による水害の発生が、当社の製品の安定供給や研究活動など全ての事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、将来、炭素税の導入や環境規制強化への対応等による新たなコストの発生や、温室効果ガス削減目標を達成できない場合には当社グループのブランド価値が低下する可能性があります。主な対策事業活動への影響に加え、持続可能な社会の実現に向け、気候変動(温暖化の防止)への対応は重要と捉えており、中長期的な温室効果ガス削減のためのロードマップを作成して全社で様々な取組みを進めています。中期的には、省エネの取組みと再生可能エネルギーの導入や拡大を中心に温室効果ガス削減を加速させています。2020年以降、現時点までに高崎工場、富士事業場、宇部工場、及び本社の購入電力を100%、温室効果ガスを排出しないRE100適合の再生可能エネルギーに切り替えています。また、東京リサーチパークについても2024年度よりFIT非化石証書による購入電力の再エネ化を進めています。なお、2023年には宇部工場でオンサイトPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルによる大規模太陽光発電設備(1.47MW)が稼働するとともに、ZEB(net Zero Energy Building)認証を取得した新事務所棟が竣工しています。当社グループのバリューチェーンにおけるGHG排出量(Scope3)については、GHGプロトコルに整合した環境省のガイドラインに従い15のカテゴリーに分け算定しています。本年、Scope3削減に向けた中長期目標(2030年:2019年比30%削減)を設定するとともに、削減に向けたロードマップも策定しました。また、ロードマップに従い委託製造からの排出量を削減するため、サプライヤーからの一次データ取得に向けた調査を実施し、対応を開始しました。引き続き、委託製造・サプライヤーと連携・協働し、削減に向けた施策を展開していきます。なお、環境パフォーマンスデータの内、特に気候変動並びに取水量については重要指標と捉えており、データの信頼性を担保するため第三者保証を取得しています。TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言については賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会、及びその影響を見極め、TCFDの提言に沿って、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク・機会の管理」及び「指標と目標」の4項目について、以下のとおり情報開示しています。 気候変動関連の情報開示(TCFD提言に基づく情報開示) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>気候変動課題を含めた環境管理全般の最高責任者として、Chief Compliance Officer (CCO)が任命されています。気候変動におけるリスクや機会に関する課題、環境活動方針・結果などについては、定期的に開催されるCCOを委員長としたCSR委員会のグループの環境管理における重要事項として報告・審議・決定し、その内容は、取締役会に報告しています。なお、2020年度より環境管理統括機能を担うCSR推進部内にTCFD検討担当を設置し、気候変動におけるリスクと機会の特定、評価、対応について検討しています。特定したリスクと機会の担当部署は、これらを定期的に見直し、CSR委員会へ付議するとともに対応の進捗を報告し、経営戦略の一環として気候関連課題に取組んでいます。 <戦略>パリ協定における「平均気温上昇を1.5℃以下に抑えた世界」を目指すとともに、気候変動に関するリスクと機会に対するシナリオ分析結果及びキリングループ環境ビジョン2050を踏まえ、当社の気候変動への対応について見直し、事業戦略に落とし込み対応を進めています。緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量ネットゼロ実現に向けてSBT1.5℃目標*1に対応したCO2削減目標へと上方修正するとともに、目標達成に向けたロードマップを作成し、再生可能エネルギーの早期導入・拡大、省エネルギー、エネルギー転換などの施策を推進し、脱炭素社会への移行リスクに対応します。適応策としては、工場・研究所の敷地内への浸水等による長期間の操業停止など、グローバルな生産活動への影響に対し、大規模自然災害に対するBCPを策定し、水害に対しては浸水防止措置や設備投資対応(生産に関する重要資産の地理的分散保管、建物の防水化、重要設備の高層・高所配置化、浸水防止壁設置など)を実施し、物理的リスクに対応します。今後、サプライチェーン全体における影響評価・対応も実施し、継続的にリスクの最小化を図っていきます。一方、気温上昇により花粉症患者数が増加し、結果としてアレルギー薬市場に対する機会が見込まれましたが、実質的な売上収益への影響は限定的と考えています。*1 パリ協定の水準に整合する、科学的根拠に基づいた企業における温室効果ガス排出削減目標 <気候変動に関するリスク・機会と財務影響の分析> (分析条件)対象期間2020-2050年(短中期:2020-2030年、長期:2031-2050年)対象範囲国内及び海外の生産・研究事業場、製造委託先及びサプライヤー等を含む算定要件気候変動シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)(IEA*2・IPCC*3等)に基づき分析*2 IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)*3 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change(国連気候変動に関する政府間パネル)項目ごとに対象期間終了時点における損益額を算定 <リスク・機会の管理>リスクと機会の特定については、リスクと機会ごとにシナリオ分析に基づき、発生時期や発生確率、影響範囲とその大きさ、対策内容などを総合的に評価し優先度合を決定しています。事業への影響が大きいものや社会的責任の高いもの、発生確率の高いもの等を特定し管理します。なお、特定したリスクについては、その対応も含めてCSR委員会にて報告、審議・承認を得るとともに、四半期ごとに対応状況をモニタリングし、総合的にリスクを管理しています。 <指標と目標>2021年にSBT1.5℃目標に基づく新たな2030年CO2排出量削減目標:2019年比55%削減を策定しました。また、本目標の達成に向けロードマップを作成するとともに、2021-2025年中期経営計画に組み込み、単年度ごとに目標の設定・管理を行い、施策の検討・展開を行っています。なお、本年、CO2排出量削減に向けた短期目標(2025年度CO2排出量削減目標:2019年比63%削減)を更新しました。指標目標2023年実績活動計画1.CO2(Scope1*5+2)排出量63%削減(2025年/2019年比)55%削減(参考)排出量:23,507t-CO2国内主要事業場へ使用電力の再生可能エネルギー(RE100適合)への転換を順次進めることにより、大幅なCO2排出量削減を達成する。2.CO2(Scope1+2)排出量55%削減(2030年/2019年比)同上海外サイトや国内の支店営業所等も含めた当社グループ全事業場への再生可能エネルギー(RE100適合)の導入・拡大をする。3.使用電力の再生可能エネルギー比率100%(2040年)83.8%使用電力の再生可能エネルギー(RE100適合)100%化を目指す。4.バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量温室効果ガスネットゼロ(2050年)指標1~3の取組みを通じて削減工場設備等のエネルギー転換を進めるとともに、サプライチェーンにも温室効果ガス削減を働きかけ、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す。 なお、当社グループが所属するキリングループでは、キリングループ環境ビジョン2050に基づき、「2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ」の目標*4を掲げています。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1*5+Scope2で50%削減、Scope3で30%削減(SBT1.5℃目標承認取得済み)、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)とすることも設定(いずれも2020年に実施)しています。当社グループにおいても、キリングループと同様に2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ、及び2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化の達成を掲げ、キリングループと連携し取り進めるとともにScope3排出量削減についても、継続して取組んでいきます。なお、新たに当社グループScope3排出量削減目標(2030年:2019年比30%削減)も設定しました。 なお、詳細は、当社ホームページ(https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/trust/environment/tcfd/index.html)をご参照ください。 *4 パリ協定が求めるGHG排出削減の水準と整合した科学的根拠に基づいた目標であるとして「SBTネットゼロ」の認定を取得。*5 Scope1、Scope2、Scope3:組織活動に伴って発生するサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量のこと。Scope1(直接排出量)、Scope2:(エネルギー起源の間接排出量)、Scope3(その他の間接排出量)から構成される。 その他、国内外製薬業界の事業活動に潜在するリスクとして、知的財産権に関するリスク、副作用に関するリスク、訴訟に関するリスク、製品競合・特許権満了に関するリスク、原燃料価格の変動リスク、為替・金融市場の変動リスク、地政学リスク、カントリーリスク、感染症リスク等、様々なリスクがあります。なお、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクは、ここに記載されたものに限定されるものではありません。
FY2023|15,288 文字
3【事業等のリスク】1.リスクマネジメント体制と重要リスク特定のプロセス当社グループは、日本、北米、EMEA、アジア/オセアニアという4つの地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しています。4つの地域にそれぞれリージョナルCSR委員会を設置し、各地域の重要リスクを議論しています。各地域の重要リスクへの対応については、日本リージョナルCSR委員会事務局が取りまとめて同委員会に報告しています。また、4つの地域の関係者が参加するグローバルな位置づけのグループCSR委員会を年2回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針の審議、半年間の活動状況のモニタリングを行っています。これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されています。重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。CSR委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理し、重要リスクを特定します。CSR委員会では重要リスクの特定が適切かを確認するとともに、その低減策と進捗のモニタリングを行い、業務執行部門のリスクマネジメントを支援しています。また、サステナブルな社会の実現に貢献すると同時に、企業の持続的な成長を実現するために、社会と事業の両方の視点から重要な経営課題(マテリアリティ)を中長期的に解決すべきリスク・機会として特定し、中期経営計画に反映させて取組み、CSR委員会においてリスク・機会についての認識の変化や、取組みの進捗を議論しています。 当社グループのリスクマネジメント体制(2022年4月より) 2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めています。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めています。 3.クライシスマネジメント体制と演習の強化について当社グループでは、グローバル、リージョン、ローカルの三層構造からなるエリア対策本部や、専門性を活かして対応するファンクション対策本部が、グループクライシスマネジメント規程のもと自律的にクライシスマネジメントを実行し、グローバルな対応が必要な場合は、各対策本部が連携して、迅速に影響低減を図るための仕組みを構築しています。また、重要リスクを中心に日本をはじめ、各地域とグローバル本社をつないだクライシス・BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)演習(生成AI不正利用によるなりすまし、政情不安、人材流出など)、また組織ごとのクライシス・BCP演習(サイバー攻撃、生成AI利用による情報漏洩、自然災害、出荷停止など)の実施を通じて、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っています。演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングに繋げるなど、急激な環境変化の中、全社的な課題に対して、平時のリスクマネジメントと有事のクライシスマネジメントを一貫して取組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しています。 当社グループのクライシスマネジメント体制(2021年4月より) 4.事業等のリスク当連結会計年度末(2023年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載していますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 グローバル戦略品の価値最大化に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)及び抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)等をグローバル戦略品と位置づけ、これらの価値最大化を進めています。Crysvitaは、2023年4月に北米における自社販売を開始していますが、市場の拡大による売り上げ及び利益の増加が達成されるかについては引き続き注視していく必要があります。またグローバル戦略品全般のリスクとして、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起しの難航等で市場への浸透が進まない、新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測から大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により安定供給に支障が生じた場合は、経営目標の達成が困難になる可能性があります。主な対策グローバル戦略品の価値最大化に向けては、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めています。また、グローバルレベルで各機能(部門)や各地域(関係会社)間のシームレスな連携を可能にするグローバルマネジメント体制に加えて、各グローバル戦略品の責任者を任命し、同責任者を中心とした機能・地域横断のチームが一体となって各製品の価値最大化の戦略策定と遂行に取組んでいます。Crysvitaの北米における自社販売を開始していますが、引き続き、治療を必要とする患者さんの特定とコミュニケーション体制の充実、フィールド活動のモニタリング、並びに、それらの活動に携わるフィールドチームのさらなるレベルアップといった施策に対して万全の態勢で臨んでいきます。なお、品質や製造トラブル等については、「製品品質に関するリスク」及び「生産・安定供給に関するリスク」において主な対策を記載しています。 医療費抑制策に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響国内外において医療費抑制のトレンドが高まっており、医薬品の保険償還価格引下げや、後発医薬品の使用促進等の各国における医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等にネガティブな影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況下においては革新的で、アンメットメディカルニーズに応える医薬品であることがステークホルダーからの高い評価を得るうえで重要になりますが、追加的有用性・革新性を有する新薬等の開発が停滞する場合は、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品を確実にお届けするために、その医薬品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、価格設定については、各国制度に準拠しながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益の確保に繋がるよう、事業への影響の評価も踏まえて検討しています。 生産・安定供給に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地域における詳細で精度の高い需要予測ができない場合、特に他社の供給トラブル等により市場の需給状況が著しく変動した場合、さらには自社工場や委託先、原材料資材等の調達先を含むサプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や災害被害によって供給能力が維持できない場合には、当社グループの製品の安定供給に支障が生じ、上市スケジュールの遅延、製品の限定出荷等により、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少等が生じる可能性があります。主な対策製品の売上情報や外部環境変化に伴うニーズの動向を速やかに把握して需要予測の精度を高めるとともに、需要と供給をバランスさせ、事業計画に沿った調整を迅速かつ柔軟に行うためのS&OP(Sales and Operations Planning)と呼ばれるプロセスを展開しています。またBCPの策定、リスクに応じた安全在庫保有方針の見直しのほか、業界に求められている自己点検の実施、客観的な安定供給指標の設定とモニタリング、需給計画のシステムによる可視化、さらには委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造並びに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めています。 人的資源に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制の定着を進めていますが、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続や持続的な成長の阻害要因になる可能性があります。主な対策当社グループは、人材をイノベーションの源泉と捉え、多様な背景を持つ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人と組織を作るべく、人事部門の2025年のありたい姿として描いた「Global Talent Management Basics for 2021-2025」の達成に向けた取組みを推進しています。これまでOne Kyowa Kirin体制を推進するグローバル共通の人事基盤整備として、具体的にはグローバルキーポジションとその人材要件の特定、グローバル共通のグレーディングの整備、リーダーシッププリンシパルの策定、グローバル人事システム(HRIS)の導入と機能拡充などを推し進めてきました。また、並行してグローバル全体のマネジメント体制強化のため、グローバルキーポジションのサクセッションプランを作成、人種、国籍、性別、年齢等に関係なく次世代リーダー候補をノミネートしており、さらに人材パイプラインの強化のために、サクセッサーごとの個別の育成計画(グローバルサクセッションプラン)を策定し、グローバルでの短期派遣による人材育成プログラム(グローバルエクスチェンジプログラム)などを通じて、計画的に人材育成を実施しています。また、グローバルHRビジネスパートナーが中心となり地域の枠を超えてタレントレビューを行い、グローバルレベルでの適所適材を実現していきます。上記取組みの浸透度や定着度は、従業員意識調査(Global Engagement And Motivation Survey)や企業文化改革に関する簡易調査等によりモニタリングしています。これら人事部門での各取組みについては、人事担当役員だけでなく他の機能を担当する役員も複数名委員として参画する人材育成委員会にて、より実効性ある取組みとなるように議論を行っています。 研究開発に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響研究開発では、技術、疾患及びオープンイノベーションを軸とした以下の戦略を立てて、画期的な医薬品の継続創出を進めています。①抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティを駆使して、画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く、②グローバル戦略品であるCrysvita・Poteligeoを生み出した、これまでの疾患サイエンスを活かしつつ、有効な治療法のない疾患に、“Only-one value drug”を提供し続ける、③アカデミア・スタートアップ等との共同研究活動(サンディエゴ地区を活用した情報収集など)の継続と、ベンチャーキャピタルファンド出資などを介した情報への早期アクセスを融合することによる、進化したオープンイノベーション活動により外部イノベーションを積極的に取り込んでいます。しかしながら、長期間にわたる新薬の研究開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、パイプラインの充実ができず、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策当社グループは、グローバル候補品等の次世代を担う新薬パイプラインを強化するために、研究開発への積極的な投資(研究開発費率18~20%を目処)を進めています。自社での研究に加え、基盤技術やパイプラインの獲得に向けた戦略的パートナリング(導入、提携等)など、産官学すべてを視野に入れたオープンイノベーション活動にも力を入れています。具体的事例として、2018年より開始した人工知能(AI)や機械学習のアプリケーションを有する米国のInveniAI社との共同研究を拡大しており、当社グループが独自に開発した次世代抗体技術に適合する新規標的探索、評価、最適化を実施中であることに加え、同社が有するAI技術プラットフォームへのアクセスも行うことで、研究開発のデジタルトランスフォーメーションを進めています。さらにベンチャーキャピタルファンド活動への出資を通じ、高機能ミトコンドリアを単離する独自技術を有するルカ・サイエンス(株)との協業を2022年から開始し、ミトコンドリア創薬技術開発を通じた、革新的な治療法の創成にも取組んでいます。また、アカデミアが有する最先端の創薬技術へのアクセスを一層強化することを目的に、東京工業大学生命理工学院との創薬技術開発を目的とした組織的連携を本年より開始しました。加えて、日本以外のグローバルでのイノベーションも取り込むため、海外のKyowa Kirin North America研究所を通じた世界有数の研究機関であるラホヤ免疫研究所(La Jolla Institute for Immunology)との連携強化、CVC(Corporate Venture Capital)活動の推進を引き続き実施しています。なお、2023年10月には英国に拠点をおく造血幹細胞遺伝子治療を専門とするOrchard Therapeutics社を買収する契約を締結しました。この買収を通じ、当社が有する創薬技術や経験と同社の造血幹細胞遺伝子治療技術を組み合わせることで、当社のビジョンであるLife-changingな価値を継続して創出するための研究開発力を大幅に強化していきます。 自社及びグループ会社管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして経営目標の実現を図るために、当社グループは、「内部統制システム構築の基本方針」に従い、当社グループのコンプライアンス、リスクマネジメント、財務報告の適正性確保等について適切な体制を構築するとともに、その運用状況を取締役会で報告し、グループのガバナンス強化に取組んでいます。これらの取組みが十分に機能しない場合、リスクの顕在化による生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策「リスクマネジメント」では、未来を予測し先手を打った全社的リスクマネジメントを目指し、グループ全体のリスクを一元管理するITツールを導入し、各地域と本社をつないだグローバル及び国内外各地域におけるクライシス・BCP演習の継続的な実施、中長期的に解決すべきリスク・機会であるマテリアリティの議論を通じて、新たなリスクや潜在化するリスクへの対応力向上を図っています。特にグループ及びリージョンの重要リスクについては、それぞれグループCSR委員会及び各リージョンのCSR委員会で報告・モニタリングされ、その内容はそれぞれの取締役会に報告しています。また、The Institute of Internal Auditorsが提唱する3ラインモデルに準拠し、リスクに対する適切な対応を行う体制を確保しています。なお、コンプライアンスは「コンプライアンスに関するリスク」に、財務報告の適正性確保は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」にそれぞれ記載しています。 製品品質に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した設備(ハード)と手順や人材(ソフト)が求められます。各国当局のGMP査察や社内監査において、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止や出荷停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、出荷停止や製品回収が発生する可能性があります。主な対策品質保証の機能は社長直属のグローバルQAヘッドが、グローバル品質保証委員会、定期及び臨時のグローバル製品協議会等にて、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、各地域の品質保証活動に関する情報を収集・共有し、迅速に意思決定を行う体制を構築しています。また、グローバルでの独立した専門の監査チームによる自社及び委託先への品質監査の強化を図っています。さらに、膨大な品質保証業務に関する情報をグローバルレベルで適切に管理、活用し、プロセスと信頼性を継続的に改善するために、品質マネジメントシステムの電子化が完了しており、主要な品質マネジメントプロセス(教育訓練、文書管理、逸脱、苦情、是正及び予防措置、変更管理、監査、製造所管理等)の電子的管理を行っています。なお、品質保証部門と安全性管理部門は常に密に連携しており、品質に懸念が生じた場合は患者さんへの影響を速やかに評価し、また製品の安全性モニタリングの際には常に品質による影響を考慮し、患者さんへの健康被害を未然に防ぐ体制を構築しています。 取引先・委託先管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しています。しかしながら、サプライヤーにて人権、法令遵守、環境及び情報セキュリティ等の問題が発生し、提携や業務委託による成果物が得られなかった場合や提携解消等が発生した場合、成果物の品質に問題が発生した場合には、当社製品の安定供給、物流や販売等に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。主な対策高品質な製品を安定して供給するために、サプライヤーとともにサステナブル調達を推進していくことを表明した「協和キリングループ調達基本方針」に沿って、サステナブル調達の推進に取組んでおり,協和キリンのサステナブル調達の取組みをご理解頂くために、サプライヤーの皆様が参加してのオンライン説明会を定期開催しています。また、社会との関係、従業員との関係、ルールの遵守、人権尊重、環境保全、情報管理、リスクマネジメントの7つの項目について、サプライヤーに理解・協力を求める事項を「サプライヤー行動指針」としてまとめ、サプライヤーとの取引に際しては「サプライヤー行動指針」に遵守することを取引契約書の条項に加えるとともに、「サプライヤー行動指針」の遵守状況を確認するためにアンケートを実施し、結果を公表しています。また、外部機関からリスク情報や信用調査情報を入手し、客観的な情報に基づく評価も行っています。取引中も同様の情報を随時取得するとともに、懸念情報があった場合にはサプライヤーに状況を確認します。また、リスク情報を入手した場合には、必要に応じてサプライヤーに是正を求めたり、サプライヤーの変更を検討したりするなど関係部署と速やかに共有し協働してリスク低減を図っています。各地域で整備された調達機能・体制にて、リスク低減の取組みを実施しており、状況をモニタリングしています。2022年12月に制定した協和キリングループ人権基本方針に基づき、今後、人権デュー・デリジェンスの取組みも進めています。 情報セキュリティに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、各種ネットワークや情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。取引先がサイバー攻撃を受けた場合にも、当社グループの秘密情報や個人データの漏洩、事業活動の停止、ブランド棄損等の被害につながる可能性があります。在宅勤務の促進により生産性が向上する一方で、自宅の通信環境の利用や一人業務が増加するため、ネットワーク通信の盗聴、サイバー攻撃、メール誤送信、PC端末の紛失などのリスクが高まり、情報漏洩が発生する可能性があります。またクラウドサービスの利用増加により、外部サービス側でのセキュリティ事故(サービス自体が利用できなくなることを含む)が当社の事業継続に直接影響する可能性があります。主な対策当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威に対する技術的な対策に加え、サイバーインシデント発生時の初動対応の処理フローや手順書をプレイブックとしてまとめる等、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進め、インシデント発生時における対応体制を整備しています。また、セキュリティ業界の標準的なフレームワークを利用した外部評価を定期的に実施することで、客観的なリスク評価に基づく対応計画を策定し継続的な改善を図っています。さらに取引先に対してもモニタリングを実施し、セキュリティ対策の対応状況を確認する等、各種リスク低減のための取組みを進めています。また、インシデントが発生した場合に迅速に対処して被害を最小化するための取組みとして、各地域における、ランサムウェア等のサイバー攻撃に対応するクライシス演習などを継続的に実施しているほか、従業員の情報セキュリティレベルを向上させるための、教育研修の定期的実施や、標的型攻撃メール訓練の実施、最新の攻撃手法の特徴に合わせて、コンピュータウイルスに感染しないための情報や注意点などを従業員向けセミナーやサイバーセキュリティに関する特設サイト等を通じて周知、啓発をしています。また、クラウドサービス利用の制限があることを想定したBCP整備や演習を進めています。 コンプライアンスに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品の研究開発及びその製造販売や輸出入には遵守すべき各種の法令等の規制があります。また、患者さんを中心においた活動のための患者団体等との交流や、医薬品のプロモーションには各国の法規制に加えて業界の自主規範があり、製薬会社にはその遵守が強く要請されています。これらの法令等の規制や自主規範を遵守できなかったことにより、これらに基づく制裁を受け、新製品開発の遅延や中止、生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知かつ正しく理解し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めています。各種法令等の規制や自主規範を遵守するための体制を構築するとともに、教育研修を継続的に実施しています。コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況については、定期的に開催される各リージョナルCSR委員会やグループCSR委員会にて議論し、継続的な改善を進めています。加えて、行動規範に反する行為や当社グループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防、早期発見、是正するために、内部通報窓口も設けています。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図っています。調査結果は、CSR委員会や取締役会にも報告しています。また、2021年より開始したグループコンプライアンス強化プロジェクトでは、「協和キリングループ行動規範」を補完する各グループ基本方針やグローバル製薬企業として遵守すべき各種法令等の領域をベースとした各主管部署における取組みの状況をモニタリングする仕組みや、グローバル本社を含む各リージョンのコンプライアンスプログラムに対する全社的なモニタリングの仕組みを整備しています。モニタリング結果に応じて、改善に向けた対策の実行を行うことで、グループのコンプライアンスレベルをより高めていきます。 自然災害に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地で起こりうる地震や台風等の自然災害により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停滞し、創薬研究や臨床開発の進展、製品の安定供給、安全性情報の収集、製品の情報提供等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策当社グループでは、災害発生時の従業員とその家族の安全を確保するため各拠点と連携して防災計画を立て、安否確認訓練や備品の補充と点検を定期的に進めています。また、通常の事業活動が継続困難な状況に陥った場合においても、医薬品の供給、安全性の監視及び情報提供を継続するために、BCPを策定しています。超大型台風の発生、首都直下型大地震などを想定したBCP演習を実施し、演習を通して課題を抽出し、BCPの継続的な改善を進めています。2021年に制定したオールハザード型のグローバルBCPガイドラインに基づき、様々な事象に対応できるよう、各地域での事業継続体制の強化も進めています。例として、高崎工場内に免震構造を有する新たな倉庫棟の建設を予定しています(2023年10月着工、2026年1月稼働開始予定)。 気候変動に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響気候変動に伴う異常気象による水害の発生が、当社の製品の安定供給や研究活動など全ての事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、将来、炭素税の導入や環境規制強化への対応等による新たなコストの発生や、温室効果ガス削減目標を達成できない場合には当社グループのブランド価値が低下する可能性があります。主な対策事業活動への影響に加え、持続可能な社会の実現に向け、気候変動(温暖化の防止)への対応は重要と捉えており、中長期的な温室効果ガス削減のためのロードマップを作成して全社で様々な取組みを進めています。中期的には、省エネの取組みと再生可能エネルギーの導入や拡大を中心に温室効果ガス削減を加速させています。2020年以降、現時点までに高崎工場、富士事業場、宇部工場、及び本社の購入電力を100%、温室効果ガスを排出しないRE100適合の再生可能エネルギーに切り替えています。なお、宇部工場では2023年3月にオンサイトPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルによる大規模太陽光発電設備(1.47MW)が稼働すると共に、同年4月に竣工した新事務所棟は、省エネルギー対策により一次エネルギー消費量を削減した上で再生可能エネルギー等を導入し、エネルギー収支を正味ゼロにすることを目標とした建築物に与えられるZEB(net Zero Energy Building)認証を、当社グループ及びキリングループで初めて取得しています。また、高崎工場では2022年12月に、新たな品質保証関連複合施設「Q-TOWER」が竣工しましたが、Q-TOWER建設では、工場であらかじめコンクリート部材を製作し現場で組み立てるPCaPC(Precast-Prestressed Concrete)工法を採用することにより建設時の環境負荷も低減しています。一方、海外の事業場(協和麒麟(中国)製薬有限公司)でも、新倉庫棟建設にあたり太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーの導入を促進しています。当社グループのバリューチェーンにおけるGHG排出量(Scope3)については、GHGプロトコルに整合した環境省のガイドラインに従い15のカテゴリーに分け算定し、削減施策の初期仮説、並びにロードマップの初期案を策定しています。今後、Scope3削減に向けた中長期目標を設定すると共に、委託製造・サプライヤーと連携・協働し、削減に向けた施策を展開していきます。なお、環境パフォーマンスデータの内、特に気候変動並びに取水量については重要指標と捉えており、データの信頼性を担保するため第三者保証を取得しています。TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言については賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会、及びその影響を見極め、TCFDの提言に沿って、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク・機会の管理」及び「指標と目標」の4項目について、以下のとおり情報開示しています。 気候変動関連の情報開示(TCFD提言に基づく情報開示) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>気候変動課題を含めた環境管理全般の最高責任者として、代表取締役副社長が任命されています。気候変動におけるリスクや機会に関する課題や、環境活動方針・結果などについては、定期的に開催される代表取締役副社長を委員長としたCSR委員会のグループの環境管理における重要事項として報告・審議・決定し、その内容は、取締役会に報告しています。なお、2020年度より環境管理統括機能を担うCSR推進部内にTCFD検討担当を設置し、気候変動におけるリスクと機会の特定、評価、対応について検討しています。特定したリスクと機会の担当部署は、これらを定期的に見直し、CSR委員会へ付議するとともに対応の進捗を報告し、経営戦略の一環として気候関連課題に取組んでいます。 <戦略>パリ協定における「平均気温上昇を1.5℃以下に抑えた世界」を目指すとともに、気候変動に関するリスクと機会に対するシナリオ分析結果及びキリングループ環境ビジョン2050を踏まえ、当社の気候変動への対応について見直し、事業戦略に落とし込み対応を進めています。緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量ネットゼロ実現に向けてSBT1.5℃目標*1に対応したCO2削減目標へと上方修正するとともに、目標達成に向けたロードマップを作成し、再生可能エネルギーの早期導入・拡大、省エネルギー、エネルギー転換などの施策を推進し、脱炭素社会への移行リスクに対応します。適応策としては、工場・研究所の敷地内への浸水等による長期間の操業停止など、グローバルな生産活動への影響に対し、大規模自然災害に対するBCPを策定し、水害に対しては浸水防止措置や設備投資対応(生産に関する重要資産の地理的分散保管、建物の防水化、重要設備の高層・高所配置化、浸水防止壁設置など)を実施し、物理的リスクに対応します。今後、サプライチェーン全体における影響評価・対応も実施し、継続的にリスクの最小化を図っていきます。一方、気温上昇により花粉症患者数が増加し、結果としてアレルギー薬市場に対する機会が見込まれましたが、実質的な売上収益への影響は限定的と考えています。当分野の新規開発については、経営理念に基づき医療ニーズに応えていくため、継続して検討していきます。*1 パリ協定の水準に整合する、科学的根拠に基づいた企業における温室効果ガス排出削減目標 <気候変動に関するリスク・機会と財務影響の分析> (分析条件)対象期間2020-2050年(短中期:2020-2030年、長期:2031-2050年)対象範囲国内及び海外の生産・研究事業場、製造委託先及びサプライヤー等を含む算定要件気候変動シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)(IEA*2・IPCC*3等)に基づき分析*2 IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)*3 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change(国連気候変動に関する政府間パネル)項目ごとに対象期間終了時点における損益額を算定 <リスク・機会の管理>リスクと機会の特定については、リスクと機会ごとにシナリオ分析に基づき、発生時期や発生確率、影響範囲とその大きさ、対策内容などを総合的に評価し優先度合を決定しています。事業への影響が大きいものや社会的責任の高いもの、発生確率の高いもの等を特定し管理します。なお、特定したリスクについては、その対応も含めてCSR委員会にて報告、審議・承認を得るとともに、四半期ごとに対応状況をモニタリングし、総合的にリスクを管理しています。 <指標と目標>2021年にSBT1.5℃目標に基づく新たな2030年CO2排出量削減目標:2019年比55%削減を策定しました。また、本目標の達成に向けロードマップを作成するとともに、2021-2025年中期経営計画に組み込み、単年度ごとに目標の設定・管理を行い、施策の検討・展開を行っています。なお、2022年にはCO2排出量削減に向けた短期目標(2024年度CO2排出量削減目標:2019年比51%削減)も新たに策定しました。指標目標2022年実績活動計画1.CO2(Scope1*5+2)排出量51%削減(2024年/2019年比)42%削減(参考)排出量:30,162t-CO2国内主要事業場へ使用電力の再生可能エネルギー(RE100適合)への転換を順次進めることにより、大幅なCO2排出量削減を達成する。2.CO2(Scope1+2)排出量55%削減(2030年/2019年比)同上海外サイトや国内の支店営業所等も含めた当社グループ全事業場への再生可能エネルギー(RE100適合)の導入・拡大をする。3.使用電力の再生可能エネルギー比率100%(2040年)61.6%使用電力の再生可能エネルギー(RE100適合)100%化を目指す。4.バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量温室効果ガスネットゼロ(2050年)指標1~3の取り組みを通じて削減工場設備等のエネルギー転換を進めるとともに、サプライチェーンにも温室効果ガス削減を働きかけ、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す。 なお、当社グループが所属するキリングループでは、キリングループ環境ビジョン2050に基づき、「2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ」の目標*4を掲げています。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1*5+Scope2で50%削減、Scope3で30%削減(SBT1.5℃目標承認取得済み)、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)とすることも設定(いずれも2020年に実施)しています。当社グループにおいても、キリングループと同様に2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ、及び2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化の達成を掲げ、キリングループと連携し取り進めると共にScope3排出量削減についても、継続して取組んでいきます。 なお、詳細は、当社ホームページ(https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/trust/environment/tcfd/index.html)をご参照ください。 *4 パリ協定が求めるGHG排出削減の水準と整合した科学的根拠に基づいた目標であるとして「SBTネットゼロ」の認定を取得。*5 Scope1、Scope2、Scope3:組織活動に伴って発生するサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量のこと。Scope1(直接排出量)、Scope2:(エネルギー起源の間接排出量)、Scope3(その他の間接排出量)から構成される。 その他、国内外製薬業界の事業活動に潜在するリスクとして、知的財産権に関するリスク、副作用に関するリスク、訴訟に関するリスク、製品競合・特許権満了に関するリスク、原燃料価格の変動リスク、為替・金融市場の変動リスク、地政学リスク、カントリーリスク、感染症リスク等、様々なリスクがあります。なお、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクは、ここに記載されたものに限定されるものではありません。
FY2022|15,666 文字
2【事業等のリスク】1.リスクマネジメント体制と重要リスク特定のプロセス当社グループは、日本、北米、EMEA、アジア/オセアニアという4つの地域(リージョン)軸、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」で事業活動を推進しております。4つの地域にそれぞれリージョナルCSR委員会を設置し、グローバルな重要リスクに加え、各地域特有の重要リスクも議論しております。各地域の重要リスクへの対応については、日本リージョナルCSR委員会事務局が取りまとめて同委員会に報告しております。また、2022年4月より、4つの地域の関係者が参加するグローバルな位置づけのグループCSR委員会を年1回から年2回に開催数を増やし、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針の審議、半年間の活動状況のモニタリングを行っております。これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されております。重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。CSR委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理、評価し、重要リスクを特定します。CSR委員会では重要リスクの特定が適切かを議論するとともに、その低減策と進捗のモニタリングを行い、業務執行部門のリスクマネジメントを支援しております。また、サステナブルな社会の実現に貢献すると同時に、企業の持続的な成長を実現するために、社会と事業の両方の視点から重要な経営課題(マテリアリティ)を中長期的に解決すべきリスク・機会として特定し、中期経営計画に反映させて取組み、CSR委員会においてリスク・機会についての認識の変化や、取組みの進捗を議論しております。 当社グループのリスクマネジメント体制(2022年4月より) 2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めております。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めております。 3.クライシスマネジメント体制と演習の強化について当社グループでは、グローバル、リージョン、ローカルの三層構造からなるエリア対策本部や、専門性を活かして対応するファンクション対策本部が、グループクライシスマネジメント規程のもと自律的にクライシスマネジメントを実行し、グローバルな対応が必要な場合は、各対策本部が連携して、迅速に影響低減を図るための仕組みを構築しております。また、日本をはじめ、各地域とグローバル本社をつないだクライシス・BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)演習(サイバー攻撃、人権侵害、パンデミック、自然災害、出荷停止など)、組織ごとのクライシス・BCP演習などの実施を通じて、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っております。演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングに繋げるなど、リスクマネジメントとクライシスマネジメントを一体的に取組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しております。 当社グループのクライシスマネジメント体制(2021年4月より) 4.事業等のリスク当連結会計年度末(2022年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載しておりますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 グローバル戦略品の価値最大化に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)及びパーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)をグローバル戦略品と位置づけ、これらの価値最大化を進めております。Crysvitaの北米事業は、2023年の4月にパートナーであるUltragenyx社から業務移管予定でありますが、移管が順調に進まない場合、事業に悪影響を与えるリスクがあります。またグローバル戦略品全般のリスクとして、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起しの難航等で市場への浸透が進まない、新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測から大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により安定供給に支障が生じた場合は、経営目標の達成が困難になる可能性があります。主な対策グローバル戦略品の価値最大化に向けては、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めております。また、グローバルレベルで各機能(部門)や各地域(関係会社)間のシームレスな連携を可能にするグローバルマネジメント体制に加えて、各グローバル戦略品の責任者を任命し、同責任者を中心とした機能・地域横断のチームが一体となって各製品の価値最大化の戦略策定と遂行に取組んでおります。北米事業の移管については、スムーズな移管を達成するために、北米フランチャイズを立ち上げ10月から北米での活動を一部開始しました。詳細な移管計画に基づき、順調に移管準備を進めております。なお、移管後一年間はUltragenyx社からのサポートを受ける体制としており、万全の体制でリスク対応を実施しております。なお、品質や製造トラブル等については、「製品品質に関するリスク」及び「生産・安定供給に関するリスク」において主な対策を記載しております。 研究開発に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響研究開発では、技術、疾患及びオープンイノベーションを軸とした以下の戦略を立てて、画期的な医薬品の継続創出を進めております。①抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティを駆使して、画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く、②これまで培った疾患サイエンス(腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経)を活かしつつ、有効な治療法のない疾患に、“Only-one value drug”を提供し続ける、③アカデミア・スタートアップ等との共同研究活動(サンディエゴ地区を活用した情報収集など)の継続と、ベンチャーキャピタルファンド出資などを介した情報への早期アクセスを融合し、進化したオープンイノベーション活動により外部イノベーションを取り込んでおります。しかしながら、長期間にわたる新薬の研究開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、パイプラインの充実ができず、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策当社グループは、グローバル候補品等次世代を担う新薬パイプラインを強化するために、研究開発への積極的な投資(研究開発費率18~20%を目処)を進めてまいります。また、自社での研究に加え、基盤技術やパイプラインの獲得に向けた戦略的パートナリング(導入、提携等)など、産官学すべてを視野に入れたオープンイノベーション活動にも力を入れております。具体的事例として、2020年より武田薬品工業(株)の創薬プラットフォーム事業をスピンアウトして設立された創薬ソリューションプロバイダーであるAxcelead Drug Discovery Partners(株)と協業を行っております。同社が長年培ってきた低分子創薬の幅広い技術や経験と当社の持つ革新的な創薬技術を融合させることで、画期的な研究開発パイプラインの拡張を目指しております。また、人工知能や機械学習のアプリケーションを提供する米国のInveniAI社との共同研究提携を拡大しており、当社グループが独自に開発した次世代抗体技術に適合する新規標的探索、評価、最適化を実施しております。さらにベンチャーキャピタルファンド活動への出資を通じ、高機能ミトコンドリアを単離する独自技術を有するルカ・サイエンス(株)との協業を2022年から開始し、ミトコンドリア創薬という革新的なモダリティ技術開発に基づく、新たな治療法の研究にも取組むとともに、CVC(Corporate Venture Capital)活動も開始することで、最先端の創薬技術に関する情報へのアクセスを強化しております。 医療費抑制策に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響国内外において医療費抑制のトレンドが高まっており、医薬品の価格引下げや、後発医薬品の使用促進等の各国における医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況下においては革新的であり、アンメットメディカルニーズに応える医薬品であることが社外のステークホルダーからの高い評価を得るうえで重要になりますが、追加的有用性・革新性を有する新薬等の開発が停滞する場合は、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品を確実にお届けするために、その医薬品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しております。また、上市後の価格設定については、各国制度に準拠しながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益を確保できるよう、事業への影響を評価しております。 自社及びグループ会社管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして事業成長をするために、自社及びグループ会社のリスクマネジメント強化を経営の最優先事項として、当社グループは、2020年より強固な品質保証体制の構築、リスクマネジメントの改善、企業文化改革の3点を柱とする改革イニシアチブを発足し、グループのガバナンス強化に取組んでおります。これらの取組みが十分に機能しない場合、リスクの顕在化による生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策「リスクマネジメントの改善」では、未来を予測し先手を打った全社的リスクマネジメントを目指し、本社において役員や経営職を対象としたワークショップ、国内外各地域におけるクライシス・BCP演習の継続的な実施、中長期的に解決すべきリスク・機会であるマテリアリティの議論を通じて、新たなリスクや潜在化するリスクへの対応力向上を図っております。また、The Institute of Internal Auditorsが提唱する3ラインモデルに準拠し、リスクに対する適切な対応を行う体制を確保しております。なお、強固な品質保証体制の構築は「製品品質に関するリスク」に、企業文化の改革は「人的資源に関するリスク」にそれぞれ記載しております。 製品品質に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した設備(ハード)と手順や人材(ソフト)が求められます。各国当局のGMP査察や社内監査において、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止や出荷停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、出荷停止や製品回収が発生する可能性があります。主な対策品質保証の機能は社長直属のグローバルQAヘッドが、グローバル品質保証委員会、定期及び臨時のグローバル製品協議会等にて、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、各地域の品質保証活動に関する情報を収集・共有し、迅速に意思決定を行う体制を構築しております。また、グローバルでの独立した専門の監査チームによる自社及び委託先への品質監査の強化を図っております。さらに、膨大な品質保証業務に関する情報をグローバルレベルで適切に管理、活用し、プロセスと信頼性を継続的に改善するために、品質マネジメントシステムの電子化が完了しており、主要な品質マネジメントプロセス(教育訓練、文書管理、逸脱、苦情、是正及び予防措置、変更管理、監査、製造所管理等)の電子的管理を行っております。なお、品質保証部門と安全性部門は常に密に連携しており、品質に懸念が生じた場合は患者さんへの影響を速やかに評価し、また製品の安全性モニタリングの際には常に品質による影響を考慮し、患者さんへの健康被害を未然に防ぐ体制を構築しております。 生産・安定供給に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地域における詳細で精度の高い需要予測ができない場合、自社工場や委託先を含むサプライヤーなどとの連携により供給能力が維持できない場合、他社の供給トラブル等により市場の需給状況が著しく変動し影響が生じた場合には、当社グループの製品の安定供給に支障が生じ、上市スケジュールの遅延、製品の限定出荷等により、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少等が生じる可能性があります。主な対策製品の売上情報やニーズの変化を速やかに把握して需要予測の精度を高めるとともに、需要と供給をバランスさせ事業計画に沿った調整を迅速に行うためのS&OP(Sales and Operations Planning)と呼ばれるプロセスを展開しております。客観的な安定供給指標の設定、リスクに応じた在庫保有方針の見直し、需給計画のシステムによる可視化のほか、急激な需要増や需給逼迫にも対応できるように、委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造並びに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めております。 取引先・委託先管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しております。しかしながら、サプライヤーにて人権、法令遵守、環境及び情報セキュリティ等の問題が発生し、提携や業務委託による成果物が得られなかった場合や提携解消等が発生した場合、成果物の品質に問題が発生した場合には、当社製品の安定供給、物流や販売等に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。主な対策高品質な製品を安定して供給するために、サプライヤーとともにCSR調達を推進していくことを表明した「協和キリングループ調達基本方針」に沿って、オープンでフェアなCSR調達に取組んでおり,協和キリンのCSR調達の取組みをご理解頂くために、サプライヤーの皆様が参加してのオンライン説明会を定期開催しております。また、社会との関係、従業員との関係、ルールの遵守、人権尊重、環境保全、情報管理、リスクマネジメントの7つの項目について、サプライヤーに理解・協力を求める事項を「サプライヤー行動指針」としてまとめ、サプライヤーとの取引に際しては「サプライヤー行動指針」の遵守を含むCSR条項を契約に加えるとともに、「サプライヤー行動指針」の遵守状況を確認するためにCSRアンケートを実施し、結果を公表しております。また、外部機関からリスク情報や信用調査情報を入手し、客観的な情報に基づく評価も行っております。取引中も同様の情報を随時取得するとともに、懸念情報があった場合にはサプライヤーに状況を確認します。また、リスク情報を入手した場合には、必要に応じてサプライヤーに是正を求めたり、サプライヤーの変更を検討したりするなど関係部署と速やかに共有し協働してリスク低減を図っております。各地域で整備された調達機能・体制にて、リスク低減の取組みを実施しており、状況をモニタリングしております。2022年12月に制定した協和キリングループ人権基本方針に基づき、今後、人権デュー・デリジェンスの取組みも進める予定であります。(以前はキリングループ人権方針を利用) 情報セキュリティに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、各種ネットワークや情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。取引先がサイバー攻撃を受けた場合にも、当社グループの秘密情報や個人データの漏洩、事業活動の停止、ブランド棄損等の被害につながる可能性があります。「感染症に関するリスク」の主な対策でも記載しておりますが、在宅勤務の促進により生産性が向上する一方で、自宅の通信環境の利用や一人業務が増加するため、ネットワーク通信の盗聴、サイバー攻撃、メール誤送信、PC端末の紛失などのリスクが高まり、情報漏洩が発生する可能性があります。またクラウドサービスの利用増加により、外部サービス側でのセキュリティ事故(サービス自体が利用できなくなることを含む)が当社の事業継続に直接影響する可能性があります。主な対策当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威に対する技術的な対策に加え、サイバーインシデント発生時の初動対応の処理フローや手順書をプレイブックとしてまとめる等、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進め、インシデント発生時における対応体制を整備しております。また、セキュリティ業界の標準的なフレームワークを利用した外部評価を定期的に実施することで、客観的なリスク評価に基づく対応計画を策定し継続的な改善を図っております。さらに取引先に対してもモニタリングを実施し、セキュリティ対策の対応状況を確認する等、各種リスク低減のための取組みを進めております。また、インシデントが発生した場合に迅速に対処して被害を最小化するための取組みとして、各地域における、ランサムウェア等のサイバー攻撃に対応するクライシス演習などを継続的に実施しているほか、従業員の情報セキュリティレベルを向上させるための、教育研修の定期的実施や、標的型攻撃メール訓練の実施、最新の攻撃手法の特徴に合わせて、コンピュータウイルスに感染しないための情報や注意点、リモートワークなどの留意点などを従業員向け文書やサイバーセキュリティに関する特設サイト等を通じて周知、啓発をしております。また、クラウドサービス利用の制限があることを想定したBCP整備や演習を進めてまいります。 コンプライアンスに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品の研究開発及びその製造販売や輸出入には遵守すべき各種の法令等の規制があります。また、医薬品のプロモーションには各国の法規制に加えて業界の自主規範があり、製薬会社にはその遵守が強く要請されております。これらの法令等の規制や自主規範を遵守できなかったことにより、これらに基づく制裁を受け、新製品開発の遅延や中止、生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知かつ正しく理解し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めております。各種法令等の規制や自主規範を遵守するための体制を構築するとともに、教育研修を継続的に実施しております。コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況については、半期又は四半期ごとに開催される各リージョナルCSR委員会や年2回開催されるグループCSR委員会にて議論し、継続的な改善を進めております。加えて、行動規範に反する行為や当社グループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防、早期発見、是正するために、内部通報窓口を設けております。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図っております。調査結果は、CSR委員会や取締役会にも報告しております。また、2021年より開始したグループコンプライアンス強化プロジェクトでは、協和キリングループ行動規範を補完する各グループ基本方針をベースとした各主管部署における取組みの状況を評価する仕組みや、グローバル本社を含む各リージョンのコンプライアンスプログラムに対する全社的なモニタリングの仕組みを整備しております。モニタリングや評価結果に応じて、改善に向けた対策の実行を行うことで、グループのコンプライアンスレベルをより高めてまいります。 人的資源に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制の定着を進めておりますが、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続や持続的な成長の阻害要因になる可能性があります。主な対策当社グループは、人材をイノベーションの源泉と捉え、多様な背景を持つ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人と組織を作るべく、人事部門の2025年のありたい姿として描いた「Global Talent Management Basics for 2021-2025」の達成に向けた取組みを推進しております。これまでOne Kyowa Kirin体制を推進するグローバル共通の人事基盤整備として、具体的にはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)宣言、グローバル共通のグレーディングやリーダーシッププリンシパルの導入、タレントマネジメントシステム構築、企業文化改革の推進に注力してまいりました。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進に関する活動については「多様な個性が輝くチームの力」実現のため、地域や機能横断的に取組む施策、並びに地域毎の課題に対する取組みを進めております。グローバル全体のマネジメント体制強化のため、グローバルキーポジションのサクセッションプランニングを作成、人種、国籍、性別、年齢等に関係なく次世代リーダー候補をノミネートしております。今後は人材パイプラインの拡充のために、サクセッサーごとの個別の育成計画を策定し、グローバルでの人材交流プログラム(グローバルエクスチェンジプログラム)などを通じて、戦略的に人材育成を実施してまいります。これまで各地域で実施していたタレントレビュー会議についてもグローバルHRビジネスパートナーが中心となり地域の枠を超えて実施、グローバルレベルでの適所適材に繋げていく予定であります。企業文化改革の取組みについては、Key Behavior「壁を乗り越える」を策定し、社員一人ひとりが自他を隔てるあらゆる困難や新しいチャレンジの壁を乗り越えられるよう、社長・役員との対話やワークショップ等の活動をグローバルで展開しております。上記取組みの浸透度や定着度は、従業員意識調査やCorporate Culture Surveyによりモニタリングしております。これら人事部門での各取組みについては、人事管掌以外の役員も委員として参画する人材育成委員会にて、より実効性ある取組みとなるように徹底的に議論を行っております。また、当社グループの従業員がその能力を最大限発揮し価値創造するにあたっては、心身の健康が不可欠であり、従業員の「健康で質の高い豊かな人生の実現」を目指して健康経営の推進にも取組んでおります。 感染症に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめ、新興・再興の感染症の地域的な流行や、世界的なパンデミックにより、当社グループの本社、工場、研究所、事業所内でクラスターの発生による閉鎖又は事業活動の停止、原材料調達先であるサプライヤーの操業の停止や物流への影響が発生する可能性が考えられます。医療機関に混乱が生じた場合等には製品の安定供給や安全性情報の収集に支障が発生、医療従事者への製品の情報提供や臨床試験の進行が遅延する可能性があります。また、各国にて行政機関に影響が生じた場合には、承認申請や薬価交渉の遅れにより新薬の上市が遅延する可能性もあります。このような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策COVID-19に対しては、感染拡大時には、感染リスクの低減を第一に、在宅でも可能な業務は在宅勤務を基本とし、ウェブミーティングツールを積極的に活用して社内外とのコミュニケーションを取りながら業務を進めると同時に、製造・研究開発・営業部門等をはじめ出社対応が必要な場合は、日々の抗原検査の実施、検温やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、居室の分離、換気の徹底等、細心の注意を払って業務にあたりました。また、イノベーション創出や従業員のwell-beingを促進するためのハイブリッドワーキングモデルのグローバルポリシーに基づき、各地域において感染状況に留意しながら、新しい働き方を浸透させ、かつ営業活動におけるリアルとデジタルを組み合わせた最適な顧客接点の創出をはじめ、業務のデジタル化やオペレーショナルエクセレンスを加速させることで、生産性向上につなげております。 自然災害に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地で起こりうる地震や台風等の自然災害により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停滞し、創薬研究や臨床開発の進展、製品の安定供給、安全性情報の収集、製品の情報提供等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策当社グループでは、災害発生時の従業員とその家族の安全を確保するため各拠点と連携して防災計画を立て、安否確認訓練や備品の補充と点検を定期的に進めております。また、通常の事業活動が継続困難な状況に陥った場合においても、医薬品の供給、安全性の監視及び情報提供を継続するために、BCPを策定しております。超大型台風の発生、首都直下型大地震などを想定したBCP演習を実施し、演習を通して課題を抽出し、BCPの継続的な改善を進めております。2021年に制定したオールハザード型のグローバルBCPガイドラインに基づき、様々な事象に対応できるよう、各地域での事業継続体制の強化も進めております。例として、高崎工場内に免震構造を有する新たな倉庫棟の建設を予定しております(2023年10月着工、2026年1月稼働開始予定)。 地政学に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響ロシア・ウクライナ情勢を巡る多国間関係や、その他の二国間関係などの地政学的な不確実性により、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。リスクが顕在化しているロシアやウクライナに関しては、当社が現地で直接展開している事業はなく、また直接取引している原材料調達先もないことから、当面の製品供給を含む当社事業に大きな影響はありません。ただし、ロシアの侵攻が長期化した場合や欧州等周辺国に拡大した場合には、エネルギー価格の大幅な変動に起因した世界経済・為替相場の混乱やサイバー攻撃によるネットインフラの途絶等が生じ、また原材料・資材・原薬の調達、輸出入、治験業務、販売活動が滞るなどの可能性があります。さらに患者さん、医療機関及び当社従業員の安全に影響が生じる可能性もあります。主な対策情勢については情報収集に努め、必要に応じて原材料・資材・原薬を前倒しで確保するなど、安定供給に向け適切に対応してまいります。さらに、事態が悪化した場合には対策本部を設置し、治験・調達・供給・販売・従業員の安全等への影響低減を図ります。 気候変動に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響気候変動に伴う異常気象による水害の発生が、当社の製品の安定供給や研究活動など全ての事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、将来、炭素税の導入や環境規制強化への対応等による新たなコストの発生や、温室効果ガス削減目標を達成できない場合には当社グループのブランド価値が低下する可能性があります。主な対策事業活動への影響に加え、持続可能な社会の実現に向け、気候変動(温暖化の防止)への対応は重要と捉えており、中長期的な温室効果ガス削減のためのロードマップを作成して全社で様々な取組みを進めております。中期的には、省エネの取組みと再生可能エネルギーの導入や拡大を中心に温室効果ガス削減を相乗的に加速させる予定であります。2020年以降、現時点までにRE100適合の再生可能エネルギーを高崎工場、富士事業場に導入し、各事業場の電力を100%、温室効果ガスを排出しない電力に切り替えました。また、2021年には、本社の電力(100%)も再生可能エネルギーに切り替わっております。なお、2023年には宇部工場へのオンサイトPPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルによる大規模太陽光発電設備(想定発電量1,976千kWh/年)の導入・稼働を予定しております。また、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会、及びその影響を見極め、TCFDの提言に沿って、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク・機会の管理」及び「指標と目標」の4項目について、以下のとおり情報開示しております。 気候変動関連の情報開示(TCFD提言に基づく情報開示) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>気候変動課題を含めた環境管理全般の最高責任者として、代表取締役副社長が任命されております。気候変動におけるリスクや機会に関する課題や、環境活動方針・結果などについては、定期的に開催される代表取締役副社長を委員長としたCSR委員会のグループの環境管理における重要事項として報告・審議・決定し、その内容は、取締役会に報告しております。なお、2020年度より環境管理統括機能を担うCSR推進部内にTCFD検討担当を設置し、気候変動におけるリスクと機会の特定、評価、対応について検討しております。特定したリスクと機会の担当部署は、これらを定期的に見直し、CSR委員会へ付議するとともに対応の進捗を報告し、経営戦略の一環として気候関連課題に取組んでおります。 <戦略>パリ協定における「平均気温上昇を1.5℃以下に抑えた世界」を目指すとともに、気候変動に関するリスクと機会に対するシナリオ分析結果及びキリングループ環境ビジョン2050を踏まえ、当社の気候変動への対応について見直し、事業戦略に落とし込み対応を進めております。緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量ネットゼロ実現に向けてSBT1.5℃目標*1に対応したCO2削減目標へと上方修正するとともに、目標達成に向けたロードマップを作成し、再生可能エネルギーの早期導入・拡大、省エネルギー、エネルギー転換などの施策を推進し、脱炭素社会への移行リスクに対応します。適応策としては、工場・研究所の敷地内への浸水等による長期間の操業停止など、グローバルな生産活動への影響に対し、大規模自然災害に対するBCPを策定し、水害に対しては浸水防止措置や設備投資対応(生産に関する重要資産の地理的分散保管、建物の防水化、重要設備の高層・高所配置化、浸水防止壁設置など)を実施し、物理的リスクに対応します。今後、サプライチェーン全体における影響評価・対応も実施し、継続的にリスクの最小化を図ってまいります。一方、気温上昇により花粉症患者数が増加し、結果としてアレルギー薬市場に対する機会が見込まれましたが、実質的な売上収益への影響は限定的と考えております。当分野の新規開発については、経営理念に基づき医療ニーズに応えていくため、継続して検討してまいります。*1パリ協定の水準に整合する、科学的根拠に基づいた企業における温室効果ガス排出削減目標 <気候変動に関するリスク・機会と財務影響の分析> (分析条件)対象期間2020-2050年(短中期:2020-2030年、長期:2031-2050年)対象範囲国内及び海外の生産・研究事業場、製造委託先及びサプライヤー等を含む算定要件気候変動シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)(IEA*2・IPCC*3等)に基づき分析*2IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)*3IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change(国連気候変動に関する政府間パネル)項目ごとに対象期間終了時点における損益額を算定 <リスク・機会の管理>リスクと機会の特定については、リスクと機会ごとにシナリオ分析に基づき、発生時期や発生確率、影響範囲とその大きさ、対策内容などを総合的に評価し優先度合を決定しております。事業への影響が大きいものや社会的責任の高いもの、発生確率の高いもの等を特定し管理します。なお、特定したリスクについては、その対応も含めてCSR委員会にて報告、審議・承認を得るとともに、四半期ごとに対応状況をモニタリングし、総合的にリスクを管理しております。 <指標と目標>2021年にSBT1.5℃目標に基づく新たな2030年CO2排出量削減目標:2019年比55%削減を策定しました。また、新目標の達成に向け、ロードマップを作成するとともに、2021-2025年中期経営計画に組み込み、単年度ごとに目標の設定・管理を行い、施策の検討・展開を行っております。なお、2022年にはCO2排出量削減に向けた短期目標(2024年度CO2排出量削減目標:2019年比51%削減)も新たに策定しました。2025年まで国内主要事業場へ使用電力の再生可能エネルギーへの転換を順次進めることにより、大幅なCO2排出量削減を達成する。2030年まで海外サイトや国内の支店営業所等も含めた当社グループ全事業場への再生可能エネルギーの導入・拡大をする。2040年まで使用電力の再生可能エネルギー100%化を目指す。2050年まで工場設備等のエネルギー転換を進めるとともに、サプライチェーンにも温室効果ガス削減を働きかけ、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す。 また、国内及び海外の生産・研究事業場への太陽光発電設備の導入・稼働も予定しており、これら施策を展開することにより相乗的にCO2排出量削減を加速させる予定であります。なお、当社グループが所属するキリングループでは、キリングループ環境ビジョン2050に基づき、「2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ」の目標*4を掲げております。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1*5+Scope2で50%削減、Scope3で30%削減に上方修正(「SBT1.5℃」目標承認取得済み)し、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)として設定(いずれも2020年に実施)しました。当社グループの2030年目標や施策の展開についてもこれらキリングループの中長期目標と連携しております。なお、詳細は、当社ホームページ(https://www.kyowakirin.co.jp/csr/environment/tcfd/index.html)をご参照ください。 *4パリ協定が求めるGHG排出削減の水準と整合した科学的根拠に基づいた目標であるとして「SBTネットゼロ」の認定を取得。*5Scope1、Scope2、Scope3:組織活動に伴って発生するサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量のこと。Scope1:(直接排出量)、Scope2:(エネルギー起源の間接排出量)、Scope3:(その他の間接排出量)から構成される。 その他、国内外製薬業界の事業活動に潜在するリスクとして、知的財産権に関するリスク、副作用に関するリスク、訴訟に関するリスク、製品競合・特許権満了に関するリスク、原燃料価格の変動リスク、為替・金融市場の変動リスク、カントリーリスク等、様々なリスクがあります。なお、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクは、ここに記載されたものに限定されるものではありません。
FY2021|13,612 文字
2【事業等のリスク】1.リスクマネジメント体制と重要リスク特定のプロセス当社グループは、2019年4月より日本、北米、EMEA、アジア/オセアニアという4つの地域(リージョン)軸と、地域を跨いだ機能(ファンクション)軸のマトリックスにより、事業活動を推進するグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」を開始しております。グローバルマネジメント体制の始動に伴い、2020年4月には4つの地域にそれぞれリージョナルCSR委員会を設置し、グローバルな重要リスクに加え、各地域特有の重要リスクも議論しております。各地域の重要リスクへの対応については、日本リージョナルCSR委員会事務局が取りまとめて同委員会に報告しております。また、4つの地域の関係者が参加するグローバルな位置づけのグループCSR委員会を年1回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針の審議、1年間の活動状況の報告等がされております。これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されております。重要リスク特定のプロセスについては、四半期に1回、業務執行部門が社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。CSR委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理、評価し、重要リスクを特定します。CSR委員会では重要リスクの特定が適切かを議論するとともに、その低減策と進捗のモニタリングを行い、業務執行部門のリスクマネジメントを支援しております。また、サステナブルな社会の実現に貢献すると同時に、企業の持続的な成長を実現するために、社会と事業の両方の視点から重要な経営課題(マテリアリティ)を中長期的に解決すべきリスク・機会として特定し、中期経営計画に反映させて取り組み、CSR委員会においてリスク・機会についての認識の変化や、取組みの進捗を議論しております。 当社グループのリスクマネジメント体制(2020年4月より) 2.デジタル活用によるリスクマネジメントのグローバル一元管理当社グループでは、グループ全体のリスクをデータベースで一元管理するためのシステムを導入し、デジタル化を進めております。業務執行部門がリスク台帳やインシデント情報をデータベースに登録した後、ワークフローを通してリスクを専門的かつ全社的な立場で支援・助言・モニタリングする部門に情報を共有したり、リスクマップにて重要リスクの見える化を実施したりするなど、リスクの状況を効果的かつ効率的にモニタリングする体制の整備を進めております。 3.クライシスマネジメント体制と演習の強化について当社グループでは、グローバル、リージョン、ローカルの三層構造からなるエリア対策本部や、専門性を活かして対応するファンクション対策本部が、グループクライシスマネジメント規程のもと自律的にクライシスマネジメントを実行し、グローバルな対応が必要な場合は、各対策本部が連携して、迅速に影響低減を図るための仕組みを構築しております。また、日本をはじめ、各地域とグローバル本社をつないだクライシス演習(サイバー攻撃、パンデミック、自然災害、出荷停止など)を繰り返し実施し、最悪の事態を想定したクライシス対応や事業継続体制の強化を図っております。演習を通じて対応力向上を図るとともに、リスク評価や低減策を見直し、リスクの予兆発見のためのモニタリングに繋げるなど、リスクマネジメントとクライシスマネジメントを一体的に取り組むことで、困難な状況にもしなやかに適応するレジリエントな組織を目指しております。 当社グループのクライシスマネジメント体制(2021年4月より) 4.事業等のリスク当連結会計年度末(2021年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載しておりますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 グローバル戦略品の価値最大化に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)及びパーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)をグローバル戦略品と位置づけ、これらの価値最大化を進めております。しかしながら、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起しの難航等で市場への浸透が進まない、新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測から大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により安定供給に支障が生じた場合は、経営目標の達成が困難になる可能性があります。主な対策グローバル戦略品の価値最大化に向けては、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めております。また、グローバルレベルで各機能(部門)や各地域(関係会社)間のシームレスな連携を可能にするグローバルマネジメント体制に加えて、各グローバル戦略品の責任者を任命し、同責任者を中心とした機能・地域横断のチームが一体となって各製品の価値最大化の戦略策定と遂行に取り組んでおります。なお、品質や製造トラブル等については、「製品品質に関するリスク」及び「生産・安定供給に関するリスク」において主な対策を記載しております。 研究開発に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響研究開発では、技術、疾患及びオープンイノベーションを軸とした以下の戦略を立てて、画期的な医薬品の継続創出を進めております。①抗体技術の進化へ挑戦を続けることに加え、多様なモダリティを駆使して、画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く、②これまで培った疾患サイエンス(腎、がん、免疫、アレルギー、中枢神経)を活かしつつ、有効な治療法のない疾患に、“Only-one value drug”を提供し続ける、③アカデミア・スタートアップ等との共同研究活動(サンディエゴ地区を活用した情報収集など)の継続と、ベンチャーキャピタルファンド出資などを介した情報への早期アクセスを融合し、進化したオープンイノベーション活動により外部イノベーションを取り込んでおります。しかしながら、長期間にわたる新薬の研究開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、パイプラインの充実ができず、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策当社グループは、グローバル候補品等次世代を担う新薬パイプラインを強化するために、研究開発への積極的な投資(研究開発費率18~20%を目処)を進めてまいります。また、自社での研究に加え、基盤技術やパイプラインの獲得に向けた戦略的パートナリング(導入、提携等)など、産官学すべてを視野に入れたオープンイノベーション活動にも力を入れております。具体的事例として、2020年より武田薬品工業(株)の創薬プラットフォーム事業をスピンアウトして設立された創薬ソリューションプロバイダーであるAxcelead Drug Discovery Partners(株)と協業を行っております。協業により、同社が長年培ってきた低分子創薬の幅広い技術や経験と当社の持つ革新的な創薬技術を融合させることで、新たな低分子創薬技術基盤の構築と、本技術を活用した画期的な研究開発パイプラインの拡張を目指しております。また、人工知能や機械学習のアプリケーションを提供する米国のInveniAI社との共同研究提携を拡大しており、当社グループが独自に開発した次世代抗体技術に適合する新規標的探索、評価、最適化を実施しています。 医療費抑制策に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響国内外において医療費抑制のトレンドが高まっており、先発医薬品の価格引下げや、後発医薬品の使用促進等の各国における医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況下においては革新的医薬品であることが評価を得るうえで重要になりますが、有用性・革新性を有する新薬の開発が停滞する場合は、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策各国の政策動向を注視するとともに、開発品目の上市後の価格を予測し、売上収益への影響を評価しております。また、患者さんのニーズを満たすLife-changingな医薬品をお届けするために、その価値を科学的に訴求できる戦略的なデータパッケージ策定を検討しております。 自社及びグループ会社管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響グローバル・スペシャリティファーマとして事業成長をするために、自社及びグループ会社のリスクマネジメント強化を経営の最優先事項として、当社グループは2020年より強固な品質保証体制の構築、リスクマネジメントの改善、企業文化改革の3点を柱とする改革イニシアチブを発足し、グループのガバナンス強化に取組んでおります。これらの取組みが十分に機能しない場合、リスクの顕在化による生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策「リスクマネジメントの改善」では、未来を予測し先手を打った全社的リスクマネジメントを目指し、本社において役員や経営職を対象としたワークショップ、海外地域統括会社とのワークショップ、国内外各地域におけるクライシス・BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)演習の継続的な実施、中長期的に解決すべきリスク・機会であるマテリアリティの議論を通じて、新たなリスクや潜在化するリスクへの対応力向上を図っております。なお、強固な品質保証体制の構築は「製品品質に関するリスク」に、企業文化の改革は「人的資源に関するリスク」にそれぞれ記載しております。 製品品質に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した設備(ハード)と手順や人材(ソフト)が求められます。各国当局のGMP査察や社内監査において、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止や出荷停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、出荷停止や製品回収が発生する可能性があります。主な対策品質保証の機能は社長直属のグローバルQAヘッドが、グローバル品質保証委員会、定期及び臨時のグローバル製品協議会等にて、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、各地域の品質保証活動を直接指導する体制を構築しております。また、グローバルでの独立した専門の監査チームによる自社及び委託先への品質監査の強化を図っております。さらに、膨大な品質保証業務に関する情報をグローバルレベルで適切に管理、活用し、プロセスと信頼性を継続的に改善するために、電子品質マネジメントシステム(eQMS)の導入を進めており、主要な品質マネジメントプロセス(教育訓練、文書管理、逸脱、苦情、是正及び予防措置、変更管理、監査等)の電子的管理を行ってまいります。 生産・安定供給に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地域における詳細で精度の高い需要予測ができない場合、自社工場や委託先を含むサプライヤーなどとの連携により供給能力が維持できない場合、他社の供給トラブル等により市場の需給状況が著しく変動し影響が生じた場合には、当社グループの製品の安定供給に支障が生じ、上市スケジュールの遅延、製品の出荷調整等により、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少等が生じる可能性があります。主な対策製品の売上情報やニーズの変化を速やかに把握して需要予測の精度を高めるとともに、需要と供給をバランスさせ事業計画に沿った調整を迅速に行うためのS&OP(Sales and Operations Planning)と呼ばれるプロセスを展開しております。グローバル戦略品については需給計画のシステムによる可視化を進めました。また、急激な需要増や需給逼迫にも対応できるように、委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造ならびに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めております。 取引先・委託先管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しております。しかしながら、サプライヤーにて人権、法令遵守、環境及び情報セキュリティ等の問題が発生し、提携や業務委託による成果物が得られなかった場合や提携解消等が発生した場合、成果物の品質に問題が発生した場合には、当社製品の安定供給、物流や販売等に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の減少又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。主な対策高品質な製品を安定して供給するために、サプライヤーとともにCSR調達を推進していくことを表明した「協和キリングループ調達基本方針」に沿って、オープンでフェアなCSR調達に取り組んでおります。また、社会との関係、従業員との関係、ルールの遵守、人権尊重、環境保全、情報管理、リスクマネジメントの7つの項目について、サプライヤーに理解・協力を求める事項を「サプライヤー行動指針」としてまとめ、サプライヤーとの取引に際しては「サプライヤー行動指針」の遵守を含むCSR条項を契約に加えるとともに、「サプライヤー行動指針」の遵守状況を確認するためにCSRアンケートを実施し、結果を公表しております。また、外部機関からリスク情報や信用調査情報を入手し、客観的な情報に基づく評価も行っております。取引中も同様の情報を随時取得するとともに、懸念情報があった場合にはサプライヤーに状況を確認します。また、リスク情報を入手した場合には、必要に応じてサプライヤーに是正を求めたり、サプライヤーの変更を検討したりするなど関係部署と速やかに共有し協働してリスク低減を図っております。 情報セキュリティに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。また、取引先がサイバー攻撃を受けた場合にも、当社グループの秘密情報や個人データの漏洩、事業活動の停止、ブランド棄損等の被害につながる可能性があります。「感染症に関するリスク」の主な対策でも記載しておりますが、在宅勤務の促進により生産性が向上する一方で、自宅の通信環境の利用や一人業務が増加するため、盗聴、サイバー攻撃、メール誤送信のリスクが高まり、情報漏洩が発生する可能性があります。主な対策当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威に対する技術的な対策に加え、サイバーインシデント発生時の初動対応の処理フローや手順書をプレイブックとしてまとめる等、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進めております。さらに取引先に対しても、セキュリティ対策の対応状況を確認する等、リスク低減のための取組みを進めております。また、インシデントが発生した場合に迅速に対処して被害を最小化するための取組みとして、各地域における、ランサムウェア等のサイバー攻撃に対応するクライシス演習などを実施しております。従業員に対する情報セキュリティ教育として、標的型攻撃メール訓練の継続実施、最新の攻撃手法の特徴に合わせて、コンピュータウイルスに感染しないための情報や注意点を従業員向け文書やサイバーセキュリティに関する特設サイト等を通じて周知、啓発をしております。 コンプライアンスに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品の研究開発及びその製造販売や輸出入には遵守すべき各種の法令等の規制があります。また、医薬品のプロモーションには各国の法規制に加えて業界の自主規範があり、製薬会社にはその遵守が強く要請されております。これらの法令等の規制や自主規範を遵守できなかったことにより、これらに基づく制裁を受け、新製品開発の遅延や中止、生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知かつ正しく理解し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めております。各種法令等の規制や自主規範を遵守するための体制を構築するとともに、教育研修を継続的に実施しております。コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況については、四半期ごとに開催される各リージョナルCSR委員会や年1回開催されるグループCSR委員会にて議論し、継続的な改善を進めております。加えて、行動規範に反する行為や当社グループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防、早期発見、是正するために、内部通報窓口を設けております。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図っております。調査結果は、CSR委員会や取締役会にも報告しております。また、2021年より、グループコンプライアンス強化プロジェクトをスタートさせました。このプロジェクトでは、協和キリングループ行動規範を補完する各グループ基本方針をベースに、関連する規程類の整備、教育研修、モニタリングなどの取組み状況を評価しております。評価結果に応じて改善に向けたロードマップの作成と対策の実行を行うことで、グループのコンプライアンスレベルをより高めてまいります。 人的資源に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制の定着を進めておりますが、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続や持続的な成長の阻害要因になる可能性があります。主な対策当社グループは、人材をイノベーションの源泉と捉え、多様な背景を持つ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人材育成を計画し、実行しております。また新たに以下の「DE&I宣言」をグローバル共通のものとして策定し「多様な個性が輝くチームの力」実現のため取組みを進めております。人材充足においては、グローバル全体ではマネジメント体制強化のため、グローバルキーポジションごとにサクセッションプランニングを作成、人種、国籍、性別、年齢に関係なく次世代候補をノミネートしています。今後はノミネートされる人材パイプラインの拡充のために、リーダーポジションに求められる人材要件を明確にし、サクセッサーごとに個別の育成計画を策定し、戦略的に人材育成を実施していきます。 日本国内においては将来のあるべき事業規模や組織体制を想定し、現在の人員との需給ギャップを把握するとともに、一人ひとりの能力を最大限引き出すための挑戦機会を提供、人材のローテーション、採用計画などを議論するために、タレントレビュー会議をすべての部門で設置し、適切な計画を策定し、実行しております。また、次世代を担う経営人材育成のために、候補人材を選抜して、アセスメント、選抜研修の受講、早期抜擢や海外派遣を含むタフアサインメント等を組み合わせた育成施策を推進しております。これら人事部門での各種取り組みについては、改革イニシアチブの活動として設置された人材育成委員会にて、人事管掌以外の役員も委員として参画して、より実効性ある取り組みとなるように徹底的に議論を行っております。その他、ありたい企業文化として、Key Behavior「壁を乗り越える」を制定し、社員一人ひとりが自他を隔てるあらゆる困難や新しいチャレンジの壁を乗り越えられるよう、社長・役員との対話やグループワーク等の活動を展開しております。企業文化の変革に向けた取組みの浸透度や定着度は、従業員意識調査やCorporate Culture Surveyによりモニタリングしております。 感染症に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめ、新興・再興の感染症の地域的な流行や、世界的なパンデミックにより、当社グループの本社、工場、研究所、事業所内でクラスターの発生による閉鎖又は事業活動の停止、原材料調達先であるサプライヤーの操業の停止や物流への影響が発生する可能性が考えられます。医療機関に混乱が生じた場合等には製品の安定供給や安全性情報の収集に支障が発生、医療従事者への製品の情報提供や臨床試験の進行が遅延する可能性があります。また、各国にて行政機関に影響が生じた場合には、承認申請や薬価交渉の遅れにより新薬の上市が遅延する可能性もあります。このような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策COVID-19の世界的なパンデミックに対して、感染リスクの低減を第一に、在宅でも可能な業務は在宅勤務を基本とし、ウェブミーティングツールを積極的に活用して社内外とのコミュニケーションを取りながら業務を進めると同時に、製造・研究開発・営業部門等をはじめ出社対応が必要な場合は、検温やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、居室の分離、換気の徹底等、細心の注意を払って業務にあたっております。また、感染者発生時の対応等、感染拡大防止に向けての対策も慎重に行っております。海外事業所においても在宅勤務を基本として活動しておりますが、通常業務の再開に向けてオンライントレーニングを適宜実施しております。また、営業活動においてはリアルとデジタルを組み合わせた最適な顧客接点の創出を進めております。このような在宅勤務を有効活用する取組みを働き方改革と位置づけ、イノベーション創出や従業員のwell-beingを促進するためにハイブリッドワーキングモデルのグローバルポリシーを制定しました。各地域において感染状況に十分に留意しながら、新しい働き方を浸透させ、かつ業務のデジタル化やオペレーショナルエクセレンスを加速させることで、生産性向上につなげてまいります。 自然災害に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地で起こりうる地震や台風等の自然災害により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停滞し、創薬研究や臨床開発の進展、製品の安定供給、安全性情報の収集、製品の情報提供等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策当社グループでは、災害発生時の従業員とその家族の安全を確保するため各拠点と連携して防災計画を立て、安否確認訓練や備品の補充と点検を定期的に進めております。また、通常の事業活動が継続困難な状況に陥った場合においても、医薬品の供給、安全性の監視及び情報提供を継続するために、BCPを策定しております。超大型台風の発生、首都直下型大地震、工場での火災などを想定したBCP演習を実施し、演習を通して課題を抽出し、BCPの継続的な改善を進めております。2021年には、オールハザード型のグローバルBCPガイドラインを制定し、各地域での事業継続体制の強化も進めております。 気候変動に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響気候変動に伴う異常気象による水害の発生が、当社の製品の安定供給や研究活動など全ての事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、将来、炭素税の導入や環境規制強化への対応等による新たなコストの発生や、温室効果ガス削減目標を達成できない場合には当社グループのブランド価値が低下する可能性があります。主な対策事業活動への影響に加え、持続可能な社会の実現に向け、気候変動(温暖化の防止)への対応は重要と捉えており、中長期的な温室効果ガス削減のためのロードマップを作成して全社で様々な取り組みを進めております。中期的には、省エネの取り組みと再生可能エネルギーの導入や拡大を中心に温室効果ガス削減を推進する予定であります。2020年には、温室効果ガスを排出しない100%水力発電由来の電力「アクアプレミアム」*を高崎工場に導入し、高崎工場の電力の75%を切り替えました。また、2021年には、本社の電力(100%)も再生可能エネルギーに切り替わりました。また、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会、及びその影響を見極め、TCFDの提言に沿って、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク・機会の管理」及び「指標と目標」の4項目について、以下のとおり情報開示しております。*:東京電力エナジーパートナー(株)が提供する料金プラン 気候変動関連の情報開示(TCFD提言に基づく情報開示) <ガバナンス(環境課題に対するガバナンス)>気候変動課題を含めた環境管理全般の最高責任者として、代表取締役副社長が任命されております。気候変動におけるリスクや機会に関する課題や、環境活動方針・結果などについては、定期的に開催される代表取締役副社長を委員長としたCSR委員会の、グループの環境管理における重要事項として報告・審議・決定し、その内容は、取締役会に報告しております。なお、2020年度より環境管理統括機能を担うCSR推進部内にTCFD検討担当を設置し、気候変動におけるリスクと機会の特定、評価、対応について検討しております。特定したリスクと機会の担当部署は、これらを定期的に見直し、CSR委員会へ付議するとともに対応の進捗を報告し、経営戦略の一環として気候関連課題に取り組んでおります。 <戦略>パリ協定における「平均気温上昇を1.5℃以下に抑えた世界」を目指すとともに、気候変動に関するリスクと機会に対するシナリオ分析結果及びキリングループ環境ビジョン2050を踏まえ、当社の気候変動への対応について見直し、事業戦略に落とし込み対応を進めております。緩和策としては、2050年までのバリューチェーン全体のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス) 排出量ネットゼロ実現に向けてSBT1.5℃目標*1に対応したCO2削減目標へと上方修正するとともに、目標達成に向けたロードマップを作成し、再生可能エネルギーの早期導入・拡大、省エネルギー、エネルギー転換などの施策を推進し、脱炭素社会への移行リスクに対応します。適応策としては、工場・研究所の敷地内への浸水等による長期間の操業停止など、グローバルな生産活動への影響に対し、大規模自然災害に対するBCPを策定し、水害に対しては浸水防止措置や設備投資対応(生産に関する重要資産の地理的分散保管、建物の防水化、重要設備の高層・高所配置化、浸水防止壁設置など)を実施し、物理的リスクに対応します。今後、サプライチェーン全体における影響評価・対応も実施し、継続的にリスクの最小化を図っていきます。一方、気温上昇により花粉症患者数が増加し、結果としてアレルギー薬市場に対する機会が見込まれましたが、実質的な売上収益への影響は限定的と考えております。当分野の新規開発については、経営理念に基づき医療ニーズに応えていくため、継続して検討していきます。*1パリ協定の水準に整合する、科学的根拠に基づいた企業における温室効果ガス排出削減目標 <気候変動に関するリスク・機会と財務影響の分析> (分析条件)対象期間2020-2050年(短中期:2020-2030年、長期:2031-2050年)対象範囲国内及び海外の生産・研究事業場、製造委託先及びサプライヤー等を含む算定要件気候変動シナリオ(1.5℃、2℃、4℃)(IEA*2・IPCC*3等)に基づき分析*2IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)*3IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change(国連気候変動に関する政府間パネル)項目ごとに対象期間終了時点における損益額を算定 <リスク・機会の管理>リスクと機会の特定については、リスクと機会ごとにシナリオ分析に基づき、発生時期や発生確率、影響範囲とその大きさ、対策内容などを総合的に評価し優先度合を決定しております。事業への影響が大きいものや社会的責任の高いもの、発生確率の高いもの等を特定し管理します。なお、特定したリスクについては、その対応も含めてCSR委員会にて報告、審議・承認を得るとともに、四半期ごとに対応状況をモニタリングし、総合的にリスクを管理しております。 <指標と目標>2021年にSBT1.5℃目標に基づく新たな2030年CO2排出量削減目標:2019年比55%削減を策定しました。また、新目標の達成に向け、ロードマップを作成するとともに、2021-2025年中期経営計画に組み込み、単年度ごとに目標の設定・管理を行い、施策の検討・展開を行っております。2025年まで国内主要事業場へ使用電力の再生可能エネルギーへの転換を順次進めることにより、大幅なCO2排出量削減を達成する。2030年まで海外サイトや国内の支店営業所等も含めた当社グループ全事業場への再生可能エネルギーの導入・拡大をする。2040年まで使用電力の再生可能エネルギー100%化を目指す。2050年まで工場設備等のエネルギー転換を進めるとともに、サプライチェーンにも温室効果ガス削減を働きかけ、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロを目指す。 また、国内生産・研究事業場へのオンサイトPPAモデル(Power Purchase Agreement:電力販売契約)による太陽光発電設備の導入も計画しており、これら施策を展開することにより相乗的にCO2排出量削減を加速させる予定であります。なお、当社グループが所属するキリングループでは、キリングループ環境ビジョン2050に基づき、「2050年にバリューチェーン全体のGHG排出量ネットゼロ」の目標を掲げております。中期目標としては、GHG削減目標を2030年までに2019年比でScope1*4+ Scope2で50%削減、Scope3で30%削減に上方修正(「SBT1.5℃」目標承認取得済み)し、使用電力の再生可能エネルギーを2040年に100%(RE100加盟)として設定(いずれも2020年に実施)しました。当社グループの2030年目標や施策の展開についてもこれらキリングループの中長期目標と連携しております。なお、詳細は、当社ホームページ(https://www.kyowakirin.co.jp/csr/environment/tcfd/index.html)をご参照ください。 *4 Scope1、Scope2、Scope3:組織活動に伴って発生するサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量のこと。Scope1(直接排出量、)Scope2:(ネルギー起源の間接排出量)、Scope3(その他の間接排出量)から構成される。 その他、国内外製薬業界の事業活動に潜在するリスクとして、知的財産権に関するリスク、副作用に関するリスク、訴訟に関するリスク、製品競合・特許権満了に関するリスク、原燃料価格の変動リスク、為替・金融市場の変動リスク、カントリーリスク等、様々なリスクがあります。なお、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクは、ここに記載されたものに限定されるものではありません。
FY2020|8,959 文字
2【事業等のリスク】1.リスクマネジメント体制と重要リスク特定のプロセス当社グループは、2019年4月より日本、北米、EMEA、アジア/オセアニアという4つの地域軸と、地域を越えた機能軸のマトリックスにより、事業活動を推進するグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」を開始しております。グローバルマネジメント体制の始動に伴い、2020年4月には4つの地域にそれぞれリージョナルCSR委員会を設置し、グローバルな重要リスクに加え、各地域特有の重要リスクも議論しております。各地域の重要リスクへの対応については、JPリージョナルCSR委員会事務局が取りまとめて同委員会に報告しております。また、4つの地域の関係者が参加するグローバルな位置づけのグループCSR委員会を年1回開催し、グループ全体のリスクマネジメントに関する戦略や活動方針の審議、1年間の活動状況の報告等がされております。これらの委員会で議論された重要リスクの低減策やモニタリングの結果は取締役会に報告されております。重要リスク特定のプロセスについては、業務執行部門が社内外の環境変化を踏まえてリスクを洗い出し、経営に与える影響度と発生頻度(発生する可能性)を分析します。CSR委員会事務局は社内外の環境変化やリスクトレンドについて業務執行部門と対話しながら分析結果を調整した後、リスクをカテゴリー毎に整理、評価し、重要リスクを特定します。CSR委員会では重要リスクの特定が適切かを議論するとともに、その低減策と進捗のモニタリングを行い、業務執行部門のリスクマネジメントを支援しております。 当社グループのリスクマネジメント体制(2020年4月より) 2.事業等のリスク当連結会計年度末(2020年12月31日現在)において当社グループが特定した重要リスクを以下に記載しておりますが、社内外の環境変化により想定していないリスクが発生する可能性や、ここで記載していないリスクが当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループにおける「リスク」とは、「経営目標に与える不確かさの影響」をいい、脅威と機会を含みます。 グローバル戦略品の価値最大化に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)及びパーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)をグローバル戦略品と位置づけ、これらの価値最大化を進めております。しかしながら、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起しの難航等で市場への浸透が進まない、新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測から大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により安定供給に支障が生じた場合は、経営目標の達成が困難になる可能性があります。主な対策グローバル戦略品の価値最大化に向けては、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めております。また、グローバルレベルで各部門や関係会社間のシームレスな連携を可能にするグローバルマネジメント体制の強化を図っております。これらを確実に実現するための基盤として、強固な生産体制を確立すると共に、品質保証体制の強化が重要になりますが、「製品品質に関するリスク」及び「生産・安定供給に関するリスク」の主な対策に記載のとおり、重要リスクとして取組んでおります。 研究開発に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響研究開発では、今まで培った技術に関する蓄積と疾患に関する知見を融合させることにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指しております。技術戦略としては次世代の抗体技術等の様々なモダリティを活用したプラットフォームの構築を、疾患戦略としては疾患バイオロジーの知見と技術を融合させてアンメットニーズを満たす新薬開発を続けてまいります。しかしながら、長期間にわたる新薬の研究開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、パイプラインの充実ができず、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策当社グループは、次期グローバル候補品等次世代を担う新薬パイプラインを強化するために、研究開発への積極的な投資(研究開発費率18~20%を目処)を進めてまいります。また、自社での研究に加え、産官学すべてを視野に入れたオープンイノベーション創薬、基盤技術やパイプラインの獲得に向けた戦略的パートナリング活動(導入、提携等)にも力を入れております。2020年には武田薬品工業(株)の創薬プラットフォーム事業をスピンアウトして設立された創薬ソリューションプロバイダーであるAxcelead Drug Discovery Partners(株)と協業を開始しました。協業により、同社が長年培ってきた低分子創薬の幅広い技術や経験と当社の持つ革新的な創薬技術を融合させることで、画期的な研究開発パイプラインの拡張を目指しております。また、人工知能や機械学習のアプリケーションを提供する米国のInveniAI社との共同研究提携を拡大し、当社グループが別途独自に開発した次世代抗体技術に適合する創薬標的分子及び適応疾患探索を行ってまいります。 医療費抑制策に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響国内外において医療費抑制の圧力が強まっており、先発医薬品の価格引下げに加え、後発医薬品の使用促進等医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このような状況下においても革新的新薬は高く評価されますが、有用性・革新性を有する新薬の開発が停滞する場合は、将来の成長性と収益性が低下する可能性があります。主な対策各国の政策動向を把握しながら、開発品目の上市後の価格を予測し、売上収益への影響を評価しております。また、有用性や革新性を訴求できる戦略的な承認申請パッケージ策定を検討しております。 自社及びグループ会社管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響2019年に発生した抗悪性腫瘍剤(マイトマイシンC)の自主回収について、2020年1月に第三者主導のグループ調査委員会による調査報告書を受領し、再発防止策を策定いたしました。経営の最優先事項として、強固な品質保証体制の構築、リスクマネジメントの改善、企業文化の改革の3点を柱とする改革イニシアチブを発足し、再発防止に向けグループ全体のガバナンスの強化に取組んでおります。これらの取組みが十分に機能しない場合、リスクの顕在化による生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策リスクマネジメントの改善では全社的リスクマネジメント強化のための役員や経営職を対象としたワークショップ、社会と事業の持続性の視点から中長期的に解決すべきリスクの洗い出しのためのマテリアリティの特定等を通じて、新たなリスクや潜在化するリスクへの対応力向上を図っております。また、国内外各地域においてクライシス演習を実施し、危機管理能力向上を目指しております。なお、強固な品質保証体制の構築は「製品品質に関するリスク」に、企業文化の改革は「コンプライアンスに関するリスク」にそれぞれ記載しております。 製品品質に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に適合した設備(ハード)と手順や人材(ソフト)が求められます。各国当局のGMP査察や社内監査において、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、製品回収が発生する可能性があります。主な対策品質保証の機能は社長直属のグローバルQAヘッドが、グローバル品質保証委員会、定期及び臨時のグローバル製品協議会等にて、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、各地域の品質保証活動を直接指導する体制を構築しております。また、グローバルGxP監査&規制コンプライアンス部門を発足させ、独立した専門の監査チームによる自社及び委託先への品質監査の強化を図っております。さらに、膨大な品質保証業務に関する情報をグローバルレベルで適切に管理、活用し、プロセスと信頼性を継続的に改善するために、電子品質マネジメントシステム(eQMS)の導入を進めており、主要な品質マネジメントプロセス(教育訓練、文書管理、逸脱、苦情、是正及び予防措置、変更、監査等)の電子的管理を行ってまいります。 生産・安定供給に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループでは、グローバル戦略品が売上に大きく貢献し、2020年度には当社の海外売上収益比率は48%にまで達しました。今後さらに海外売上収益比率が高まることが予想されますが、地域別のより詳細で精度の高い需要予測ができない場合、自社工場のみならず委託先を含むサプライヤーとの連携によっても供給能力が向上できない場合、当社製品の安定供給に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の低下又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。主な対策製品の売上情報やニーズの変化を速やかに把握して需要予測の精度を高めるとともに、需要と供給を利益性の観点でバランスさせ事業計画に沿った調整を迅速に行うためのS&OP(Sales and Operations Planning)と呼ばれるプロセスをスタートさせて、サプライチェーン全体の最適化を行っております。また、急激な需要増や需給逼迫にも対応できるように、委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造部門の増員と教育システムの充実を進めております。 取引先・委託先管理に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しております。しかしながら、サプライヤーにて人権、法令遵守、環境及び情報セキュリティ等の問題が発生し、提携や業務委託による成果物が得られなかった場合や提携解消等が発生した場合、成果物の品質に問題が発生した場合には、当社製品の安定供給、物流や販売等に支障が生じ、製薬会社としての信頼の失墜や売上収益の低下又は承認申請遅延等が生じる可能性があります。主な対策当社グループでは、取引契約書等にコンプライアンス条項を明記し、サプライヤーに対してコンプライアンスの徹底を求めております。また、サプライチェーンを構成するサプライヤーの心構えや行動を「サプライヤー行動指針」として定め、サプライヤーへの理解を進めております。さらに、サプライヤー行動指針に記載された項目についてアンケートを実施し、結果をサプライヤーにフィードバックするとともに、コンプライアンス活動の実態把握や、その取組状況の改善を促す活動にも取組んでおります。なお、アンケート結果やサプライヤーの改善活動に基づき、社外のサプライヤーデータベースから得られたリスク情報と合わせて、サプライヤーのリスクの客観的評価を実施しております。 情報セキュリティに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。また、取引先がサイバー攻撃を受けた場合にも、当社グループの秘密情報や個人データの漏洩、事業活動の停止、ブランド棄損等の被害につながる可能性があります。「感染症に関するリスク」の主な対策でも記載しておりますが、在宅勤務の促進により生産性が向上する一方で、自宅の通信環境の利用や一人業務が増加するため、盗聴、サイバー攻撃、メール誤送信のリスクが高まり、情報漏洩が発生する可能性があります。主な対策当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威に対する技術的な対策に加え、インシデント発生時の初動対応の処理フローや手順書をプレイブックとしてまとめる等、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進めております。さらに取引先に対しても、セキュリティの対応状況を確認する等リスク低減のための取組みを進めております。2020年には、万一の場合に迅速に対処して被害を最小化するための取組みとして、GDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)の対象となる個人データ漏洩時の対応訓練やグローバルサイバーインシデント対応訓練を実施しました。在宅勤務における情報セキュリティ対策としては、セキュリティ注意喚起の通知を発信したり、情報セキュリティ事故を他山の石として共有して職場の点検につなげたり、リモート通信により複数の目を通すプロセスを職場単位で進めております。 コンプライアンスに関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医薬品の研究開発及びその製造販売や輸出入には遵守すべき各種の法令等の規制があります。また、医薬品のプロモーションには各国の法規制に加えて業界の自主規範があり、製薬会社にはその遵守が強く要請されております。これらの法令等の規制や自主規範を遵守できなかったことにより、これらに基づく制裁を受け、新製品開発の遅延や中止、生産活動や販売活動等の制限や停止、製薬会社としての信頼の失墜等につながる可能性があります。主な対策当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めております。また、各種法令等の規制や自主規範を遵守するための体制を構築するとともに、教育研修を継続的に実施しております。コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況については、四半期ごとに開催される各リージョナルCSR委員会や年1回開催されるグループCSR委員会にて議論し、取締役会に報告することで継続的な改善を進めております。また、行動規範に反する行為や当社グループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防、早期発見、是正するために、内部通報窓口を設けております。社員一人ひとりが当社グループの価値観及び行動規範に基づき高い倫理観をもって行動することを徹底するために、2020年には従業員アンケートや役員討議を通じて集約した改めるべき企業文化の背景を整理し、行動を変容するための取組みを展開しております。 人的資源に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制の定着を進めておりますが、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策当社グループは、人材をイノベーションの源泉と捉え、多様な背景を持つ社員一人ひとりの能力を最大限引き出し、変革に挑み新しい価値を創造し続ける人材育成を計画し、実行しております。将来のあるべき組織体制を想定し、現在の人員との需給ギャップを把握するとともに、一人ひとりの能力を最大限引き出すための挑戦機会の提供をすべての部門で議論するため、タレントレビュー会議を設置しております。また、次世代を担う経営人材育成のために、候補人材プールに対して、アセスメント、選抜研修の受講、早期抜擢や海外派遣を含むタフアサインメント等を組み合わせた育成施策を推進しております。 環境に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響当社グループでは気候変動は事業活動に影響を与える課題と認識しており、気候変動に伴う異常気象による原材料価格の高騰や風水害の多発が、当社の製品の安定供給に影響を及ぼす可能性があります。さらに、将来、炭素税の導入や環境規制強化への対応等による新たなコストの発生や、温室効果ガス削減目標を達成できない場合には当社グループのブランド価値が低下する可能性があります。主な対策現在、中長期的な温室効果ガス削減のためのロードマップを作成しております。中期的には、省エネの取組みと再生可能エネルギーの導入や拡大を中心に温室効果ガス削減を推進する予定であります。2020年には、温室効果ガスを排出しない100%水力発電由来の電力「アクアプレミアム」*を高崎工場に導入し、高崎工場の電力の75%を切り替えました。今後、他の事業場にも再生可能エネルギーの導入を検討していき、2040年までに使用電力の再生可能エネルギー100%化を目指してまいります。さらに、2050年に向けて長期的には、工場設備等における化石燃料から水素等へのエネルギー転換を進めるとともに、サプライチェーンにも温室効果ガス削減を働きかけ、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量ネットゼロを目指してまいります。また、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同も表明しており、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会、それらが及ぼす影響を見極め、TCFDの提言に沿った情報開示の拡充を進めてまいります。*:東京電力エナジーパートナー(株)が提供する料金プラン 自然災害に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響各地で起こりうる地震や台風等の自然災害により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停滞し、創薬研究や臨床開発の進展、製品の安定供給、安全性情報の収集、製品の情報提供等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策当社グループでは、災害発生時の従業員とその家族の安全を確保するため各拠点と連携して防災計画を立て、安否確認訓練や備品の補充と点検を定期的に進めております。また、通常の事業活動が継続困難な状況に陥った場合においても、医薬品の供給、安全性の監視及び情報提供を継続するために、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定しております。2020年には日本を横断する超大型台風の発生を想定したBCP演習を実施しました。演習を通して課題を抽出し、BCPの継続的な改善を進めております。 感染症に関するリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響2020年年初から新型コロナ感染症(COVID-19)は世界各地に広がりパンデミックとなりました。パンデミックの規模によっては、当社グループの本社、工場、研究所、事業所内でクラスターの発生による閉鎖又は事業活動の停止、原材料調達先であるサプライヤーの操業の停止や物流への影響が発生する可能性が考えられます。医療機関に混乱が生じた場合等には製品の安定供給や安全性情報の収集に支障が発生、医療従事者への製品の情報提供や臨床試験の進行が遅延する可能性があります。また、各国にて行政機関に影響が生じた場合には、承認申請や薬価交渉の遅れにより新薬の上市が遅延する可能性もあります。今後、このような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主な対策COVID-19に対し、当社グループでは2020年1月に対策本部を立ち上げて事業継続に向けた対応を実施してきました。感染リスクの低減を第一に、在宅でも可能な業務は在宅勤務を基本とし、ウェブミーティングツールを積極的に活用して社内外とのコミュニケーションを取りながら業務を進めると同時に、製造部門をはじめ出社対応が必要な場合は、検温やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、居室の分離、空気清浄機の利用等、細心の注意を払って業務にあたっております。また、感染者発生時の対応シナリオ等、感染拡大防止に向けての対策も慎重に準備しております。海外事業所においても在宅勤務を基本として活動しておりますが、通常業務再開に向けてオンライントレーニングを適宜実施し、また、デジタルプロモーション活動への移行を進めております。このような在宅勤務での取組みを働き方改革と位置づけ、デジタル化促進とともに、生産性向上につなげてまいります。 その他、国内外製薬業界の事業活動に潜在するリスクとして、知的財産権に関するリスク、副作用に関するリスク、訴訟に関するリスク、製品競合・特許権満了に関するリスク、原燃料価格の変動リスク、為替・金融市場の変動リスク、カントリーリスク等当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のある様々なリスクがあり、これらに限定されるものではありません。
FY2019|5,799 文字
2【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等につき投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがあります。当社グループでは、リスクマネジメント基本方針の下、リスクマネジメント推進体制を構築しております。当社グループが保有するリスクをグループCSR委員会に提示して、経営に与える影響が大きいリスクをグループ重要リスクとして認識、対応策を協議、実行し、取締役会に報告しております。また、リスクの顕在化を早期に発見し対処するとともに業務改善へと進めておりますが、リスクが万一クライシスに転化したときには、クライシス対策本部を立ち上げ、影響を最小限に留め、正常な事業運営に復帰するための行動を迅速に行ってまいります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年12月31日現在)において当社グループが判断したものであります。 (1) 研究開発に関するリスク当社グループは、4大モダリティ(次世代抗体医薬、核酸医薬、新たな低分子医薬、再生医療)を機軸とした新薬創出型の製薬企業として魅力ある開発パイプラインの構築を目指しております。また、当社グループは、創薬研究のプロセスに社外の情報・知見を活用するオープンイノベーションを意欲的に組み込んでおり、大学や医療機関、ベンチャー企業と一体となり、早い段階から共同で新薬の研究開発を進めております。しかしながら、長期間にわたる新薬の開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性などの理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、将来の成長性と収益性を低下させることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 知的財産権に関するリスク当社グループは、知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害に注意を払っておりますが、当社グループの知的財産権が侵害された場合、製品の売上収益又は技術収入が予定より早く減少することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、他者の知的財産権を侵害することのないよう常に注意を払っておりますが、第三者から侵害しているとして訴訟を提起された場合、差止め、損害賠償金や和解金の支払い等の発生により、当社グループの事業活動や経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 副作用に関するリスク医薬品は、開発段階において厳しい安全性の評価を行い各国の規制当局の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) 薬事行政等の影響に関するリスク当社グループが従事する医薬事業は、事業を行っている各国の薬事行政によりさまざまな規制を受けております。日本においては公定薬価制度による薬価の引下げに加え、ジェネリック医薬品の使用促進など医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。海外においても、医療費抑制への圧力は高まっており、販売価格の下落を販売数量の伸長等でカバーできない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 各種の法的規制リスク当社グループの事業の遂行にあたっては、事業展開する各国において、遵守すべき各種の法令等の規制があります。これら法令等の規制を遵守できなかったことにより、新製品開発の遅延や中止、製造活動や販売活動ほかの制限、企業グループとしての信頼性の失墜等につながる可能性があります。当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知し、倫理的に行動することと捉え、役員及び従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めております。コンプライアンスを強化するために、四半期ごとに開催されるグループCSR委員会において、コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況を議論し、取締役会に報告することで継続的な改善を進めております。また、行動規範に反する行為やグループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防し早期発見・是正するために、内部通報窓口を設けております。 (6) 為替レートの変動によるリスク当社グループは、海外への製品販売・技術導出や海外からの原料購入等の外貨建取引を行っており、急激な為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。加えて、為替レートの変動は、当社グループと外国企業が同一市場において販売する製品の価格競争力にも影響を及ぼす場合があります。また、海外の連結子会社の現地通貨建ての損益及び資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されるため、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。 (7) 災害・事故等の影響を受けるリスク各地で起こりうる地震・台風などの自然災害、インフルエンザ等のパンデミック、大規模停電、その他の災害・事故等により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停止する可能性があります。また、当社グループは、さまざまな法的(ガイドライン)規制を受ける物質を取扱っており、自然災害など何らかの原因で社外へ漏出した場合には、周辺地域に被害が及ぶ可能性があります。甚大な事故・災害等が発生した場合には、多大な損害の発生のみならず、内容によっては企業グループとしての社会的な信頼性の低下を招く可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、通常の事業活動が継続困難に陥った場合においても、医薬品の安定供給を継続するために、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)を策定し、訓練やワークショップを通してBCPの継続的な改善を進めております。 (8) 訴訟に関するリスク事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等の問題で訴訟を提起される場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) ITセキュリティと情報管理に関するリスク当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏洩する可能性があります。当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威への対策として、グループ情報セキュリティ管理体制の下、情報セキュリティレベルを向上するための取組みを進めております。また、サイバーセキュリティの脅威に対する技術的な対策に加え、従業員の情報セキュリティに対する意識レベル向上のための教育・研修を実施し、情報の適切な管理を徹底するため継続的な改善を進めております。 (10) 環境に関するリスク当社グループは、大気、水質、騒音、振動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下、廃棄物等の環境諸法令遵守を徹底しております。しかしながら、環境汚染等の環境保全上の問題が発生した場合や関係法令の改正等により、周辺地域への補償責任や環境改善に要する費用発生、又は新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 他社との提携等に関するリスク当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は他医薬品の原料供給、製造、物流、販売等に関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しております。しかしながら、何らかの原因により提携・業務委託による成果物に問題が発生又は成果物が得られなかった場合や、契約変更や提携解消等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、契約書にコンプライアンス条項の明記を進め、サプライヤーに対して、コンプライアンスの徹底を求めております。また、サプライチェーンを構成するサプライヤーの心構えや行動を「サプライヤー行動指針」として定め、サプライヤーに理解いただいております。さらに、サプライヤー行動指針に記載された項目についてアンケートを実施し、結果をサプライヤーにフィードバックするとともに、コンプライアンス活動の実態把握や、その取組み状況の改善を促す活動にも取組んでおります。 (12) 人材確保・育成に関するリスク当社グループは、日本、EMEA、北米、アジア/オセアニアという4つの地域軸と、地域を越えた機能軸のマトリックスにより、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」の定着を進めております。しかしながら、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「協和キリングループ 人材マネジメント基本方針」を定め、社員と会社の関係及び社員の能力開発に対するグローバル共通の考え方を明示しております。 (13) 安定供給に関するリスク当社グループは、事業のグローバル展開にあたり、強固な生産体制の構築を進めております。しかしながら、製造施設・物流施設において技術上又は法規制上の問題、原材料及び燃料の供給停止により、製品の供給が停止又は遅延した場合や、予想を上回る製品の需要増により製品の供給が不足した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14) 他社競合・特許権満了に関するリスク当社グループ製品と他社製品との競合や、当社グループ製品の特許権満了後の後発品参入により売上収益が減少する場合があります。当社グループの主力製品の一つである腎性貧血治療剤ネスプの物質特許満了に伴う売上減少が、新製品の売上でカバーされない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (15) 海外事業展開に関するリスク当社グループは、グローバルマネジメント体制の下、事業のグローバル展開を進めており、2018年には二つのグローバル戦略品Crysvita(日本製品名:クリースビータ)及びPoteligeo(日本製品名:ポテリジオ)を、2019年にはパーキンソン病治療薬であるNourianz(日本製品名:ノウリアスト)の米国承認を取得しました。成長のキードライバーであるこれらグローバル戦略品の価値最大化を図ることで、経営目標の達成を目指しております。しかしながら、海外事業展開を担うグローバルマネジメント体制構築が計画どおり進まない、新規上市国での薬価が想定より大幅に下回る、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、予定どおり市場に浸透しない、売上が予測を大きく下振れする又は品質や製造トラブルの発生等により売上が想定と異なる場合は、目標の達成が困難になる可能性があります。また、海外への事業展開に当たっては、テロ又は紛争による政情不安、経済情勢の不確実性、文化や慣習の違いに起因するトラブルなどのリスクが存在します。このようなリスクを回避できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16) 製品品質に関するリスク医薬品製造には、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)に適合した設備とシステムが求められます。さらに、製造した医薬品に関わる記録や分析データが取得された状態で完全に保管されることを保証するデータインテグリティが世界標準となっております。従って、各国当局のGMP査察や社内監査においてデータインテグリティ違反等、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、製品回収が発生する可能性があります。当社グループでは、高品質な医薬品の安定供給のために、グローバル会議体の下で、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品の品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題及びその対応状況のモニタリング等を通じて、グローバル品質保証体制の継続的な改善を進めております。2019年には抗悪性腫瘍剤原薬(マイトマイシンC)の製造委託先である協和発酵バイオ(株)の製造過程において、無菌性の確保に影響しうる事実が判明したことから、マイトマイシン注用の無菌性が保証できないと判断し、同製品の自主回収を実施しました。本件につきましては、協和発酵バイオ(株)と共に本製品における原因究明にとどまらず、品質管理全般における問題点及び再発防止策について継続して取組んでおります。さらに、事実の調査と根本原因の究明をグループとして徹底的に行った結果、再発防止に向けては単に製造・品質保証体制の強化にとどまらず、企業グループガバナンス強化に取組むべきと考えております。特に①経営の最優先事項として強固な品質保証体制の構築 ②リスクマネジメントの改善 ③企業文化の改革を重要課題として医薬品製造販売業者としての責務を十分に果たすために必要な改善策を徹底して実行することで、製品の品質管理に一層万全を期し、かかる事態の再発防止に努めてまいります。 (17) その他のリスク上記のほか、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、株価や金利の変動、固定資産の減損などが考えられます。
FY2018|3,629 文字
2【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等につき投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、当社グループとしてコントロールが可能なものについては、リスク管理体制のもと発生の回避に努めるとともに、発生した場合には対応に最善の努力を尽くす所存です。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2018年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 (1) 研究開発に関するリスク一般的に新薬の開発には、長い年月と多額の研究開発費を必要とします。長期間にわたる新薬の開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性などの理由により、研究開発の継続を断念しなければならない可能性があります。また、バイオケミカル事業においても、競合他社との差別化を図る新製品の開発や新技術の開発などに研究開発資源を投入しておりますが、医薬事業における新薬の研究開発と同様に、これらが全て成果として実を結ぶという保証はありません。以上のように研究開発の成果を享受できない場合には、将来の成長性と収益性を低下させることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 知的財産権に関するリスク当社グループは知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害に注意を払っておりますが、当社グループの知的財産権が侵害された場合、製品の売上収益又は技術収入が予定より早く減少することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは他者の知的財産権を侵害することのないよう常に注意を払っておりますが、第三者から侵害しているとして訴訟を提起された場合、差止め、損害賠償金や和解金の支払い等の発生により、当社グループの事業活動や経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 副作用に関するリスク医薬品は、開発段階において厳しい安全性の評価を行い各国の規制当局の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) 薬事行政等の影響に関するリスク当社グループの主要な事業である医薬事業は、事業を行っている各国の薬事行政によりさまざまな規制を受けています。日本においては公定薬価制度による薬価の引下げに加え、ジェネリック医薬品の使用促進など医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。海外においても、医療費抑制への圧力は高まっており、販売価格の下落を販売数量の伸長等でカバーできない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 各種の法的規制リスク事業の遂行にあたっては、事業展開する各国において、遵守すべき各種の法令等の規制があります。当社グループは、事業遂行にあたってこれら法令等に違反しないよう、コンプライアンスを重視し、業務監査等による内部統制機能の充実にも努めておりますが、結果として法令等の規制に適合しない可能性を完全に排除できる保証はありません。これら法令等の規制を遵守できなかったことにより、新製品開発の遅延や中止、製造活動や販売活動ほかの制限、企業グループとしての信頼性の失墜等につながる可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来において、国内外におけるこれら遵守すべき法令等の規制が変更となり、それによって発生する事態が、当社グループの事業の遂行や経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) 為替レートの変動によるリスク当社グループは、海外への製品販売・技術導出や海外からの原料購入等の外貨建取引を行っており、急激な為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。加えて、為替レートの変動は、当社グループと外国企業が同一市場において販売する製品の価格競争力にも影響を及ぼす場合があります。また、海外の連結子会社の現地通貨建ての損益及び資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されるため、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。 (7) 災害・事故等の影響を受けるリスク各地で起こりうる地震、火災、インフルエンザ等のパンデミック、大規模停電、その他の災害・事故等により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停止する可能性があります。また、当社グループはさまざまな法的(ガイドライン)規制を受ける物質を取り扱っており、自然災害など何らかの原因で社外へ漏出した場合には、周辺地域に被害が及ぶ可能性があります。当社グループでは、防災管理体制を整備し、事業継続計画(BCP)の策定と整備を進めておりますが、甚大な事故・災害等が発生した場合には、多大な損害の発生のみならず、内容によっては企業グループとしての社会的な信頼性の低下を招く可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 訴訟に関するリスク事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等の問題で訴訟を提起される場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) ITセキュリティと情報管理に関するリスク当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムの不具合やコンピューターウィルス等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの情報を保有していますが、これらが社外に漏洩した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 環境に関するリスク当社グループは、大気、水質、騒音、振動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下、廃棄物等の環境諸法令遵守を徹底しています。しかしながら、環境汚染等の環境保全上の問題が発生した場合や関係法令の改正等により、周辺地域への補償責任や環境改善に要する費用発生、又は新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 他社との提携等に関するリスク当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は他社への製造、物流及び販売委託等の業務委託を行っております。しかしながら、何らかの原因により提携・業務委託による成果物に問題が発生又は成果物が得られなかった場合や、契約変更や提携解消等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) 人材確保・育成に関するリスク当社グループでは、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進しています。しかしながら、各国において高度な専門性を有した人材が確保できない場合や、各職務を担う人材を十分育成できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13) 安定供給に関するリスク当社グループは事業のグローバル展開を進めており、確実な供給体制の構築を進めています。しかしながら、製造施設・物流施設において技術上又は法規制上の問題、原材料及び燃料の供給停止により、製品の供給が停止又は遅延した場合や、予想を上回る製品の需要増により製品の供給が不足した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14) 他社競合・特許権満了に関するリスク当社グループ製品と他社製品との競合や、当社グループ製品の特許権満了後の後発品参入により売上収益が減少した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (15) 海外事業展開に関するリスク当社グループは、グローバルな事業展開を行っていますが、テロ又は紛争による政情不安、経済情勢の不確実性、文化や慣習の違いに起因するトラブルなどのリスクが存在します。このようなリスクを回避できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16) その他のリスク上記のほか、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、製品の市場浸透低迷、株価や金利の変動、固定資産の減損などが考えられます。
FY2017|3,024 文字
4【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等につき投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、当社グループとしてコントロールが可能なものについては、リスク管理体制のもと発生の回避に努めるとともに、発生した場合には対応に最善の努力を尽くす所存です。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2017年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 (1) 研究開発に関するリスク一般的に新薬の開発には、長い年月と多額の研究開発費を必要とします。長期間にわたる新薬の開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性などの理由により、研究開発の継続を断念しなければならない可能性があります。また、バイオケミカル事業においても、競合他社との差別化を図る新製品の開発や新技術の開発などに研究開発資源を投入しておりますが、医薬事業における新薬の研究開発と同様に、これらが全て成果として実を結ぶという保証はありません。以上のように研究開発の成果を享受できない場合には、将来の成長性と収益性を低下させることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 知的財産権に関するリスク当社グループは知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害に注意を払っておりますが、当社グループの知的財産権が侵害された場合、製品の売上収益又は技術収入が予定より早く減少することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは他者の知的財産権を侵害することのないよう常に注意を払っておりますが、第三者から侵害しているとして訴訟を提起された場合、差止め、損害賠償金や和解金の支払い等の発生により、当社グループの事業活動や経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 副作用に関するリスク医薬品は、開発段階において厳しい安全性の評価を行い各国の規制当局の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) 薬事行政等の影響に関するリスク当社グループの主要な事業である医薬事業は、事業を行っている各国の薬事行政によりさまざまな規制を受けています。日本においては公定薬価制度による薬価の引下げに加え、ジェネリック医薬品の使用促進など医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。海外においても、医療費抑制への圧力は高まっており、販売価格の下落を販売数量の伸長等でカバーできない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 各種の法的規制リスク事業の遂行にあたっては、事業展開する各国において、遵守すべき各種の法令等の規制があります。当社グループは、事業遂行にあたってこれら法令等に違反しないよう、コンプライアンスを重視し、業務監査等による内部統制機能の充実にも努めておりますが、結果として法令等の規制に適合しない可能性を完全に排除できる保証はありません。これら法令等の規制を遵守できなかったことにより、新製品開発の遅延や中止、製造活動や販売活動ほかの制限、企業グループとしての信頼性の失墜等につながる可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来において、国内外におけるこれら遵守すべき法令等の規制が変更となり、それによって発生する事態が、当社グループの事業の遂行や経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) 為替レートの変動によるリスク当社グループは、海外への製品販売・技術導出や海外からの原料購入等の外貨建取引を行っており、急激な為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。加えて、為替レートの変動は、当社グループと外国企業が同一市場において販売する製品の価格競争力にも影響を及ぼす場合があります。また、海外の連結子会社の現地通貨建ての損益及び資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されるため、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。 (7) 災害・事故等の影響を受けるリスク各地で起こりうる地震、火災、インフルエンザ等のパンデミック、テロ、紛争、大規模停電、その他の災害・事故等により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖又は事業活動が停止する可能性があります。また、当社グループはさまざまな法的(ガイドライン)規制を受ける物質を取り扱っており、自然災害など何らかの原因で社外へ漏出した場合には、周辺地域に被害が及ぶ可能性があります。当社グループでは、防災管理体制を整備し、事業継続計画(BCP)の策定と整備を進めておりますが、甚大な事故・災害等が発生した場合には、多大な損害の発生のみならず、内容によっては企業グループとしての社会的な信頼性の低下を招く可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 訴訟に関するリスク事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等の問題で訴訟を提起される場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) ITセキュリティと情報管理に関するリスク当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムの不具合やコンピューターウィルス等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの情報を保有していますが、これらが社外に漏洩した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 環境に関するリスク当社グループは、大気、水質、騒音、振動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下、廃棄物等の環境諸法令遵守を徹底しています。しかしながら、環境汚染等の環境保全上の問題が発生した場合や関係法令の改正等により、周辺地域への補償責任や環境改善に要する費用発生、又は新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) 他社との提携等に関するリスク当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携及び合弁会社設立等の提携、又は他社への製造、物流及び販売委託等の業務委託を行っております。しかしながら、事業環境の変化等により提携・業務委託による成果が得られなかった場合や、契約変更や提携解消等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) その他のリスク上記のほか、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、原材料及び燃料価格の変動、株価や金利の変動、固定資産の減損、商品及び使用する原材料の供給停止などが考えられます。
FY2016|2,824 文字
4【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等につき投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、当社グループとしてコントロールが可能なものについては、リスク管理体制のもと発生の回避に努めるとともに、発生した場合には対応に最善の努力を尽くす所存です。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成28年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。 (1) 研究開発に関するリスク一般的に新薬の開発には、長い年月と多額の研究開発費を必要とします。長期間にわたる新薬の開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性などの理由により、研究開発の継続を断念しなければならない可能性があります。また、医薬事業以外の事業においても、競合他社との差別化を図る新製品の開発や新技術の開発などに研究開発資源を投入しておりますが、医薬事業における新薬の研究開発と同様に、これらが全て成果として実を結ぶという保証はありません。以上のように研究開発の成果を享受できない場合には、将来の成長性と収益性を低下させることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 知的財産権に関するリスク当社グループは知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害に注意を払っておりますが、当社グループの知的財産権が侵害された場合、製品の売上高又は技術収入が予定より早く減少することとなり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは他者の知的財産権を侵害することのないよう常に注意を払っておりますが、第三者から侵害しているとして訴訟を提起された場合、差止め、損害賠償金や和解金の支払い等の発生により、当社グループの事業活動や経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 副作用に関するリスク医薬品は、開発段階において厳しい安全性の評価を行い各国の所轄官庁の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4) 薬事行政等の影響に関するリスク当社グループの主要な事業である医薬事業は、事業を行っている各国の薬事行政によりさまざまな規制を受けています。国内では公定薬価制度による薬価の引下げに加え、ジェネリック医薬品の使用促進など医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。海外においても、医療費抑制への圧力は高まっており、販売価格の下落を販売数量の伸長等でカバーできない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 各種の法的規制リスク事業の遂行にあたっては、事業展開する各国において、遵守すべき各種の法令等の規制があります。当社グループは、事業遂行にあたってこれら法令等に違反しないよう、コンプライアンスを重視し、業務監査等による内部統制機能の充実にも努めておりますが、結果として法令等の規制に適合しない可能性を完全に排除できる保証はありません。これら法令等の規制を遵守できなかったことにより、新製品開発の遅延や中止、製造活動や販売活動ほかの制限、企業グループとしての信頼性の失墜等につながる可能性があり、その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来において、国内外におけるこれら遵守すべき法令等の規制が変更となり、それによって発生する事態が、当社グループの事業の遂行や経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) 為替レートの変動によるリスク当社グループは、海外への製品販売・技術導出や海外からの原料購入等の外貨建取引を行っており、急激な為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。加えて、為替レートの変動は、当社グループと外国企業が同一市場において販売する製品の価格競争力にも影響を及ぼす場合があります。また、海外の連結子会社の現地通貨建ての損益及び資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されるため、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。 (7) 災害・事故等の影響を受けるリスク地震、火災、インフルエンザ等のパンデミック、テロ、大規模停電、その他の災害・事故等により、当社グループの本社、工場、研究所、事業所等が閉鎖または事業活動が停止する可能性があります。また、当社グループはさまざまな法的(ガイドライン)規制を受ける物質を取り扱っており、自然災害など何らかの原因で社外へ漏出した場合には、周辺地域に被害が及ぶ可能性があります。当社グループでは、防災管理体制を整備し、事業継続計画(BCP)の策定と整備を進めておりますが、甚大な事故・災害等が発生した場合には、多大な損害の発生のみならず、内容によっては企業グループとしての社会的な信頼性の低下を招く可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 訴訟に関するリスク事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等の問題で訴訟を提起される場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9) ITセキュリティと情報管理に関するリスク当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムの不具合やコンピューターウィルス等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの情報を保有していますが、これらが社外に漏洩した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 環境に関するリスク当社グループは、大気、水質、騒音、振動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下、廃棄物等の環境諸法令遵守を徹底しています。しかしながら、環境汚染等の環境保全上の問題が発生した場合や関係法令の改正等により、周辺地域への補償責任や環境改善に要する費用発生、又は新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11) その他のリスク上記のほか、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、原材料及び燃料価格の変動、株価や金利の変動、固定資産の減損、商品及び使用する原材料の供給停止などが考えられます。