3【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、2020年10月の純粋持株会社体制への移行を機に、よりグローバルな視点に基づく、全社的なリスクマネジメント体制を構築いたしました。「グローバルリスクマネジメント会議」を中心に、グループにおける役割と責任を明確化し、経営上のリスクを中長期視点から評価し、リスクマネジメント活動の最適化を図っています。代表取締役社長 CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントを推進しています。「グローバルリスクマネジメント会議」は同時期に開催される「グローバル戦略検討会議」と連携し、グループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることに努めています。また、「グローバルITセキュリティ評議会」、「グローバルコンプライアンスコミッティ」ともリスク情報を共有しながら、全社的なリスクマネジメント活動を推進しています。当社グループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。 (図表1)当社グループのリスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントのプロセス当社グループでは、事業を取り巻く外部環境・内部環境の変化をリスクと機会の両面から特定・評価します。リスク評価にあたっては、様々な国・地域・領域で事業を展開する事業会社のリスクと、持株会社としての当社のリスクをグループ共通の枠組み(リスクカテゴリ、リスク定義、リスク評価基準)で評価します。グループ全体のリスク評価結果に基づき、「グローバルリスクマネジメント会議」にて、リスク認識、リスク対応を共有し、当社グループの重要リスクを選定します。経営トップの判断のもと、リスクの優先順位、対応方針を定め、重要リスク低減に向けた活動をグループ全体で推進してまいります。リスクマネジメントプロセスは、「当社及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、当社グループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれもリスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。 また、事業環境の変化が著しい昨今は、変化に応じたリスク対応の強化・見直しが必要となります。当社グループでは、各事業会社とグローバルリスクマネジメント推進事務局が「リスクマネジメント連絡会」を定期的に開催し、事業環境の変化や、それに応じたリスク対応の強化・見直し等のモニタリングを実施し、リスク情報とベストプラクティスの共有を図っています。 (3)グローバルリスクマネジメント会議当社グループは「グローバルリスクマネジメント会議」を原則年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、当社代表取締役社長 CEOを議長とし、執行役員、室長、監査役、グループCCO、地域リスクマネジメント統括責任者及び議長が指名する者で構成し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程、及び計画に関する事項等について審議を行います。当社グループの重要リスクの選定にあたっては、グループ共通のリスク評価基準である「発生頻度」(5段階)「影響度」(5段階)とともに、以下図表2の考え方を踏まえて検討します。 (図表2)当社グループの重要リスク選定の考え方 2024年度のグローバルリスクマネジメント会議では、昨年度の重要リスクテーマ、そしてこの1年間の環境変化を踏まえ、以下を当社グループの重要リスクテーマとして選定しました。 1.外部環境・内部環境の変化地政学リスク、サプライチェーン、経済情勢の変化、カーボンニュートラル2.基盤事業の維持・強化設備老朽化、技術開発の連携強化、コンプライアンス・腐敗防止、ITセキュリティ3.上記を支える人材の確保・育成人材不足、後継者計画、DEI 上記の重要リスクテーマごとに各事業会社、NSHD各室におけるリスク認識、リスク対応策を比較し共有しました。地政学リスクのみならず経済情勢が大きく変化する中、2024年度は「米国による関税政策と当社グループの主要拠点への影響」等についてディスカッションを行いました。それぞれの事業環境により、リスク認識、リスク対応策は異なりますが、その背景と違いを理解し、リスクを多面的に捉えることにより、当社グループにおけるリスクマネジメント活動の更なる向上を図ります。 今後も当社と各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取組みを進めてまいります。上記を踏まえた当社グループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。 (4)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 経営戦略・事業に関するもの① グローバル事業展開について当社グループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各国における事業運営は、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は各地域を統括する事業会社との意思疎通と情報共有を進め、迅速な意思決定に努めております。 ② 設備投資について当社グループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。また、新たな分野を含め、今後ともビジネスチャンスの獲得に向けた投資を進めてまいりますが、産業構造、及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、石油精製、半導体、自動車等、主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、当社グループの製造設備の稼働率が低下し、或いは設備の全部又は一部が不要になり、また建設中のプロジェクトにおいて、顧客の事業環境、経営状況の変化によりプロジェクトの継続が困難となり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損、減損損失等の発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力製品である酸素、窒素、アルゴンの製造コストは、電力コストが大きな割合を占めており、近年の原油価格やLNG価格の大幅な変動の影響を受けております。また、人件費や輸送費等も上昇しており、製造コストは高止まりが継続しております。それに対し、販売価格への転嫁を実施しておりますが、製造コストの上昇が継続し、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ サプライチェーンについて当社グループが取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりにより、輸出入の規制対象品となることや、海上輸送状況の変動により、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあり、支障が生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報セキュリティについて近年、AIの著しい進展もあり情報セキュリティリスクは増大しております。特にサイバー攻撃はますます高度化しており、当社及び当社グループ会社において業務の中断やデータの不正流出など、予期せぬ状況や損害が発生する恐れがあります。当社はこうした情報セキュリティリスクに対処するため、「グローバルITセキュリティ評議会」が中心となり、アプリケーションの脆弱性を特定するためのリスク評価や、セキュリティ基盤の強化に向けた取組みを実施しています。また当社グループ全体で情報セキュリティポリシーを展開し、情報セキュリティ要件の標準化を図るとともに、従業員向けの情報セキュリティ教育、研修を実施し、情報セキュリティリスク低減に向けた取組みを進めています。 ⑥ 気候変動について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まる中、当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づいた情報開示を進めています。これにより、ステークホルダーとの対話を強化し、グループ全体で企業価値の向上を目指しています。温暖化シナリオ分析を通じて特定した主要なリスクは、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは特定したリスクを〔影響を受ける可能性〕と〔影響の大きさ〕に基づき評価し、主要なリスクについては、財務的な影響を定量的に試算しています。気候変動に関する当社の取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」にて、詳細に記載しております。 ⑦ 法規制等について当社グループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、当社グループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが製品を輸出している国において、当該製品に対する関税の引き上げが行われた場合には、当該製品の競争力が失われることによりその国への輸出が減少し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、腐敗防止法、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人財について当社グループは現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各地域の事業運営には安定的に労働力を確保することが不可欠であり、目標達成には、生産、エンジニアリング、マーケティング、販売、物流、管理等の各機能や経営全般を担う人財や関連法規で要求される資格やIT等の高度専門知識と技能を有した人財、さらにグループ総合力の強化の取組みを促進するため、グローバルな視点をもった人財が必要です。そのため、多様な人財を受け入れる職場環境を醸成する施策や従業員のエンゲージメントを向上させる施策をグループ全体で促進し、人財の定着、人財の多様化、グローバル人財の育成、及び採用の競争力向上に努めています。 ⑨ 技術開発について当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。当社グループでは、各開発プロジェクトの進捗と市場環境の変化に合わせて、適時プロジェクトの見直しを図っています。また、グループ内で情報共有を行い、技術開発活動に反映することで、当社技術の競争力向上に努めています。 (2) 技術・保安に関するもの当社グループは、保安、環境、品質・製品安全、知的財産に係るリスクを技術リスクとして定義し、原則年1回開催する「グローバル戦略検討会議」の中で、各事業会社の取組み状況を確認し、持株会社としての取組み方針を決定しています。また、当社と各事業会社の保安、環境、品質保証、知的財産の責任者を委員とする「技術リスク連絡会議」を年2回開催し、会議の決定事項に取り組み、技術リスクの低減に努めています。 ① 保安について当社グループは、高圧ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性のほか、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員に対して階層別や応募型の教育を行っています。特に、体験型技能研修施設であるテクニカルアカデミーにおいて、ガスの物性や危険性及びその取扱いについて講習することで、設備事故はもとより労働災害事故の撲滅を目指します。また、アジア・オセアニア地域の海外現地法人向けにも講習を拡充し、安全文化の醸成による保安の確保に万全を期しています。 ② 環境について当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など、事業展開する各国の環境規制に従って、業務を遂行しております。当社グループが現在及び将来の環境規制を遵守できなかった場合や当社グループが責任を負う汚染が発見された場合、罰金、汚染物質の除去費用又は損害賠償を含む費用や、施設及び設備を改良する投資が必要となる可能性があります。また、将来的に環境に対する法規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。当社グループでは、環境マネジメントシステム、保安・環境監査などにより、環境法令遵守に努めています。 ③ 品質・製品安全について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。 ④ 知的財産について当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための経営資源と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。そのため、必要に応じて弁護士、弁理士、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品、模倣品の監視及び排除に努めています。一方、第三者の有効な知的財産権に対しては、代替技術の開発又は技術的な回避策を事業部門及び開発部門と連携して講じるなど、第三者の知的財産の侵害を回避する体制を構築しております。これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にありますが、訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、第三者の知的財産権を尊重することをポリシーとして掲げ、定期的な知的財産教育を行うことで、当該リスクの低減と最小化に努めております。 (3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、ヘリウム、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。当社グループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 三菱ケミカルグループ㈱との資本関係について三菱ケミカルグループ㈱は当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他大規模自然災害、感染症等について大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。大規模な各種自然災害によって大型の製造拠点が被災した場合、労働力や生産機能の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症などが発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、当社グループでは、平時において事業継続計画(BCP)に必要となる発災直後の迅速な情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取組みを進めております。
FY2024|8,319 文字
3【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、2020年10月の純粋持株会社体制への移行を機に、よりグローバルな視点に基づく、全社的なリスクマネジメント体制を構築いたしました。「グローバルリスクマネジメント会議」を中心に、グループにおける役割と責任を明確化し、経営上のリスクを中長期視点から評価し、リスクマネジメント活動の最適化を図っています。代表取締役社長 CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントを推進しています。「グローバルリスクマネジメント会議」は同時期に開催される「グローバル戦略検討会議」と連携し、グループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることに努めています。また、「グローバルITセキュリティ評議会」、「グローバルコンプライアンスコミッティ」ともリスク情報を共有しながら、全社的なリスクマネジメント活動を推進しています。当社グループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。 (図表1)当社グループのリスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントのプロセス当社グループでは、事業を取り巻く外部環境・内部環境の変化をリスクと機会の両面から特定・評価します。リスク評価にあたっては、様々な国・地域・領域で事業を展開する事業会社のリスクと、持株会社としての当社のリスクをグループ共通の枠組み(リスクカテゴリ、リスク定義、リスク評価基準)で評価します。グループ全体のリスク評価結果に基づき、「グローバルリスクマネジメント会議」にて、リスク認識、リスク対応を共有し、当社グループの重要リスクを選定します。経営トップの判断のもと、リスクの優先順位、対応方針を定め、重要リスク低減に向けた活動をグループ全体で推進してまいります。リスクマネジメントプロセスは、「当社及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、当社グループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれもリスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。 また、事業環境の変化が著しい昨今は、変化に応じたリスク対応の強化・見直しが必要となります。当社グループでは、各事業会社とグローバルリスクマネジメント推進事務局が「リスクマネジメント連絡会」を定期的に開催し、事業環境の変化や、それに応じたリスク対応の強化・見直し等のモニタリングを実施し、リスク情報とベストプラクティスの共有を図っています。 (3)グローバルリスクマネジメント会議当社グループは「グローバルリスクマネジメント会議」を原則年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、当社代表取締役社長 CEOを議長とし、執行役員、室長、監査役、グループCCO、地域リスクマネジメント統括責任者及び議長が指名する者で構成し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程、及び計画に関する事項等について審議を行います。当社グループの重要リスクの選定にあたっては、グループ共通のリスク評価基準である「発生頻度」(5段階)「影響度」(5段階)とともに、以下図表2の考え方を踏まえて検討します。 (図表2)当社グループの重要リスク選定の考え方 2023年度のグローバルリスクマネジメント会議では、昨年度の重要リスクテーマ、そしてこの1年間の環境変化を踏まえ、以下を当社グループの重要リスクテーマとして選定しました。 1.外部環境・内部環境の変化地政学リスク・サプライチェーン、法規制、カーボンニュートラル2.基盤事業の維持・強化合弁事業におけるコーポレートガバナンス、技術開発の連携強化3.上記を支える人材の確保・育成人材不足、後継者計画 上記の重要リスクテーマごとに各事業会社、NSHD各室におけるリスク認識、リスク対応策を比較し共有しました。特に深刻さを増している地政学リスク、サプライチェーンリスクの他、技術開発の連携強化等について議論し、当社グループ全体でリスク対応を推進していくことを確認しました。それぞれの事業環境により、リスク認識、リスク対応策は異なりますが、その背景と違いを理解し、リスクを多面的に捉えることにより、当社グループにおけるリスクマネジメント活動の更なる向上を図ります。 今後も当社と各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取組みを進めてまいります。上記を踏まえた当社グループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。 (4)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 経営戦略・事業に関するもの① グローバル事業展開について当社グループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各国における事業運営は、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は各地域を統括する事業会社との意思疎通と情報共有を進め、迅速な意思決定に努めております。 ② 設備投資について当社グループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。また、新たな分野を含め、今後ともビジネスチャンスの獲得に向けた投資を進めてまいりますが、産業構造、及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、石油精製、半導体、自動車等、主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、当社グループの製造設備の稼働率が低下し、或いは設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストは、原油やLNG価格の世界的な高騰を受けて大幅に上昇しており、主力製品の製造コストは高止まりが継続しております。それに対し、販売価格への転嫁を実施しておりますが、製造コストの上昇が継続し、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の電力エネルギー市場は、電源構成の大幅な変動による大きな影響を受け、製造コストへの影響は予測が困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ サプライチェーンについて当社グループが取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりによって、また近年の世界的なコンテナ不足や海上輸送状況の変動によって、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあり、支障が生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報セキュリティについて当社はグループ全体でグローバル化とデジタル化への取組みを進めておりますが、一方でサイバー攻撃はますます巧妙化しており、当社及び当社グループ会社において業務の中断やデータの不正流出など、予期せぬ状況や損害が発生する恐れがあります。当社はこうした情報セキュリティリスクに対処するため、「グローバルITセキュリティ評議会」を設置し、サイバーセキュリティ等に関するコントロールを組織全体に導入しています。またシステムやネットワーク内の脆弱性や潜在的な侵入箇所を特定する目的で、包括的なリスク評価を実施しています。 ⑥ 気候変動について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まっています。当社グループは、全社的に環境マネジメントを推進し、2019年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」賛同を表明しました。TCFD推奨事項に沿った開示を拡充していくことで、気候変動等に関するリスク及び機会の分析を進めております。例えば、炭素税や排出権取引に代表される温室効果ガス排出にかかわる規制及び制度が導入された場合、間接的な温室効果ガス排出量が多い事業における税負担により利益が減少する可能性があります。そのため、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用促進と電力のグリーン化、CO2回収とカーボンオフセット等の対応を進めてまいります。また、環境負荷低減にかかわる商材への切り替えや、鉄鋼・化学セクターにおける低環境負荷な製造プロセスへの変更を踏まえ、カーボンフリー(水素:H2/アンモニア:NH3)燃焼技術の導入及び拡大を図っております。気候変動に関する当社の取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」にて、詳細に記載しております。 ⑦ 法規制等について当社グループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、当社グループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人財について当社グループは現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各地域の事業運営には安定的に労働力を確保することが不可欠であり、目標達成には、生産、エンジニアリング、マーケティング、販売、物流、管理等の各機能や経営全般を担う人財や関連法規で要求される資格や技能を有した人財、さらにグループ総合力の強化の取組みを促進するため、グローバルな視点をもった人財が必要です。そのため、多様な人財を受け入れる職場環境を醸成する施策や従業員のエンゲージメントを向上させる施策をグループ全体で促進し、人財の定着、及び採用の競争力向上に努めています。 ⑨ 技術開発について当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。当社グループでは、各開発プロジェクトの進捗と市場環境の変化に合わせて、適時プロジェクトの見直しを図っています。また、グループ内で情報共有を行い、技術開発活動に反映することで、当社技術の競争力向上に努めています。 (2) 技術・保安に関するもの当社グループは、保安、環境、品質・製品安全、知的財産に係るリスクを技術リスクとして定義し、原則年1回開催する「グローバル戦略検討会議」の中で、各事業会社の取組み状況を確認し、持株会社としての取組み方針を決定しています。また、当社と各事業会社の保安、環境、品質保証、知的財産の責任者を委員とする「技術リスク連絡会議」を年2回開催し、会議の決定事項に取り組み、技術リスクの低減に努めています。 ① 保安について当社グループは、高圧ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性のほか、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員に対して階層別や応募型の教育を行っています。特に、体験型技能研修施設であるテクニカルアカデミーにおいて、ガスの物性や危険性及びその取扱いについて講習することで、設備事故はもとより労働災害事故の撲滅を目指します。また、アジア・オセアニア地域の海外現地法人向けにも講習を拡充し、安全文化の醸成による保安の確保に万全を期しています。 ② 環境について当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など、事業展開する各国の環境規制に従って、業務を遂行しております。当社グループが現在及び将来の環境規制を遵守できなかった場合や当社グループが責任を負う汚染が発見された場合、罰金、汚染物質の除去費用又は損害賠償を含む費用や、施設及び設備を改良する投資が必要となる可能性があります。また、将来的に環境に対する法規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。当社グループでは、環境マネジメントシステム、保安・環境監査などにより、環境法令遵守に努めています。 ③ 品質・製品安全について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。 ④ 知的財産について当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための経営資源と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。そのため、必要に応じて弁護士、弁理士、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品、模倣品の監視及び排除に努めています。一方、第三者の有効な知的財産権に対しては、代替技術の開発又は技術的な回避策を事業部門及び開発部門と連携して講じるなど、第三者の知的財産の侵害を回避する体制を構築しております。これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にありますが、訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、第三者の知的財産権を尊重することをポリシーとして掲げ、定期的な知的財産教育を行うことで、当該リスクの低減と最小化に努めております。 (3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。当社グループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 三菱ケミカルグループ㈱との資本関係について三菱ケミカルグループ㈱は当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により処分コスト控除後の公正価値及び使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他大規模自然災害、感染症等について大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。大規模な各種自然災害によって大型の製造拠点が被災した場合、労働力や生産機能の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症などが発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、当社グループでは、平時において事業継続計画(BCP)に必要となる発災直後の迅速な情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取組みを進めております。
FY2023|8,249 文字
3【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、2020年10月の純粋持株会社体制への移行を機に、よりグローバルな視点に基づく、全社的なリスクマネジメント体制を構築いたしました。当社グループでは、リスクを経営的、中長期的な視点で評価し、グループにおける役割と責任を明確化し、リスクマネジメント活動の最適化を図ってまいります。代表取締役社長 CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントを推進いたします。全社的なリスクマネジメント体制のもと、リスクに対するマネジメントの実効性を高め、リスク低減に向けた活動を推進してまいります。当社グループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。 (図表1)当社グループのリスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントのプロセス当社グループでは、事業を取り巻く外部環境・内部環境の変化をリスクと機会の両面から特定・評価します。リスク評価にあたっては、様々な国・地域・領域で事業を展開する事業会社のリスクと、持株会社としての当社のリスクをグループ共通の枠組み(リスクカテゴリ、リスク定義、リスク評価基準)で評価します。グループ全体のリスク評価結果に基づき、「グローバルリスクマネジメント会議」にて、リスク認識、リスク対応を共有し、当社グループの重要リスクを選定します。経営トップの判断のもと、リスクの優先順位、対応方針を定め、重要リスク低減に向けた活動をグループ全体で推進してまいります。リスクマネジメントプロセスは、「当社及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、当社グループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれもリスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。また、事業環境の変化が著しい昨今は、変化に応じたリスク対応の強化・見直しが必要となります。当社グループでは、各事業会社とグローバルリスクマネジメント推進事務局が「リスクマネジメント連絡会」を定期的に開催し、事業環境の変化や、それに応じたリスク対応の強化・見直し等のモニタリングを実施し、リスク情報とベストプラクティスの共有を図っております。 (3)グローバルリスクマネジメント会議当社グループは「グローバルリスクマネジメント会議」を年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、当社代表取締役社長 CEOを議長とし、取締役、監査役、グループCCO、執行役員、室長、各事業会社社長、及び地域リスクマネジメント推進担当者が出席し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程、及び計画に関する事項等について審議を行います。また、同時期に開催される「グローバル戦略検討会議」とも連携し、経営陣がグループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることを目指します。当社グループの重要リスクの選定にあたっては、グループ共通のリスク評価基準である「発生頻度」(5段階)「影響度」(5段階)とともに、以下図表2の考え方を踏まえて検討します。 (図表2)当社グループの重要リスク選定の考え方 2022年度のグローバルリスクマネジメント会議では、昨年度の重要リスクテーマ、そしてこの1年間の環境変化を踏まえ、以下を当社グループの重要リスクテーマとして選定し、活発な議論がなされました。 1.外部環境・内部環境の変化 地政学リスク、サプライチェーン、エネルギー・電力、カーボンニュートラル2.基盤事業の維持・強化 設備老朽化、ガバナンス・コンプライアンス・腐敗防止3.上記を支える人材の確保・育成 人材不足、ダイバーシティ、後継者計画 また、重要リスクテーマごとに、各事業会社、NSHD各室におけるリスク認識、リスク対応策を比較し、共有しました。それぞれの事業環境により、リスク認識、リスク対応策は異なりますが、その背景と違いを理解し、リスクを多面的に捉えることにより、当社グループにおけるリスクマネジメント活動の更なる向上に繋げてまいります。また、この1年間で急速に顕在化し、深刻さを増している「地政学リスク」等についても、会議出席者で議論し、経営トップの方針のもと、当社グループ全体としてリスク対応を推進していくことを確認いたしました。 今後も当社と各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取組みを進めてまいります。上記を踏まえた当社グループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。 (4)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 経営戦略・事業に関するもの① グローバル事業展開について当社グループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各国における事業運営は、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は各地域を統括する事業会社との意思疎通と情報共有を進め、迅速な意思決定に努めております。 ② 設備投資について当社グループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。また、新たな分野を含め、今後ともビジネスチャンスの獲得に向けた投資を進めてまいりますが、産業構造、及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、石油精製、半導体、自動車等、主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、当社グループの製造設備の稼働率が低下し、或いは設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストは、原油やLNG価格の世界的な高騰を受けて大幅に上昇しており、主力製品の製造コストは大幅な上昇を余儀なくされております。それに対し、販売価格への転嫁を実施しておりますが、製造コストの上昇が継続し、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の電力エネルギー市場は、電源構成の大幅な変動による大きな影響を受け、製造コストへの影響は予測が困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ サプライチェーンについて当社グループが取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりによって、また近年の世界的なコンテナ不足や海上輸送状況の変動によって、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあり、支障が生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報セキュリティについて当社グループは、営業・技術に関する重要情報、顧客情報その他関係者の個人情報等を保有しております。これら重要情報・個人情報を含む業務上の情報は、サイバーセキュリティ対策や、事業拠点の防犯・盗難対策の推進を通じて、情報漏洩のリスク低減に努めております。また、情報セキュリティに関する規程・基準類の整備、情報管理に関する責任者・担当者の配置、社員への継続的な教育等を通じて管理体制の強化を図っております。さらに、サイバー攻撃対策への重要性の高まりに鑑み、サイバーセキュリティリスクの管理を目的として、2021年10月に「グローバル情報セキュリティ評議会」を設置しております。しかしながら、不測の事態により情報漏洩が起きた場合や、サイバー攻撃により被害を受けた場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償、市場競争力の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 気候変動について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まっています。当社グループは、全社的に環境マネジメントを推進し、2019年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」賛同を表明しました。TCFD推奨事項に沿った開示を拡充していくことで、気候変動等に関するリスク及び機会の分析を進めております。例えば、炭素税や排出権取引に代表される温室効果ガス排出にかかわる規制及び制度が導入された場合、間接的な温室効果ガス排出量が多い事業における税負担により利益が減少する可能性があります。また、環境負荷低減にかかわる商材への切り替えや、鉄鋼・化学セクターによる低環境負荷な製造プロセスへの変更は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。気候変動に関する当社の取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」にて、詳細に記載しております。 ⑦ 法規制等について当社グループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、当社グループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人財確保について当社グループは現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各地域の事業運営には安定的に労働力を確保することが不可欠であり、目標達成には、生産、エンジニアリング、マーケティング、販売、物流、管理等の各機能や経営全般を担う有能な人財が必要です。また、事業運営を行う上で、関連法規で要求される資格や技能を有した人財の確保が必要となります。さらに、グループ全体の経営や戦略的施策の推進、並びにグループ総合力の強化の取組みを促進するためにはグローバルで活躍できる人財が必要です。雇用情勢や労働需給の変化により、こうした人財の確保が計画どおりに進まない場合は、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑨ 技術開発について当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。また、産学官協同や企業間による共同開発では、連携がうまく進展しない場合には、期待していた成果が得られない可能性があります。 (2) 技術・保安に関するもの当社グループは、保安、環境、品質・製品安全、知的財産に係るリスクを技術リスクとして定義し、年1回開催する「グローバル戦略検討会議」の中で、各事業会社の取組み状況を確認し、持株会社としての取組み方針を決定しています。また、当社と各事業会社の保安、環境、品質保証、知的財産の責任者を委員とする「技術リスク連絡会議」を年2回開催し、会議の決定事項に取り組み、技術リスクの低減に努めています。 ① 保安について当社グループは、高圧ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性のほか、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員に対して階層別の教育や、応募型の教育を行っています。特に、安全文化の醸成への取組みとして、テクニカルアカデミーでの危険体感講習により、設備事故だけではなく労働災害事故の撲滅を目指した教育を徹底しています。特に、休業労災につながりやすいベテラン向けや、アジア・オセアニア地域の海外現地法人向けにも拡充し、保安の確保に万全を期しています。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 環境について当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など、事業展開する各国の環境規制に従って、業務を遂行しております。当社グループが現在及び将来の環境規制を遵守できなかった場合や当社グループが責任を負う汚染が発見された場合、罰金、汚染物質の除去費用又は損害賠償を含む費用や、施設及び設備を改良する投資が必要となる可能性があります。また、将来的に環境に対する法規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。 ③ 品質・製品安全について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品については、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 知的財産について当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための経営資源と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しておりますが、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。また、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の知的財産権に対する侵害予防に努めております。第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発又は技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとることで、これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にあります。しかしながら、訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。当社グループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 三菱ケミカルグループ㈱との資本関係について三菱ケミカルグループ㈱は当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により処分コスト控除後の公正価値及び使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他大規模自然災害、感染症等について大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。大規模な各種自然災害によって大型の製造拠点が被災した場合、労働力や生産機能の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症などが発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、当社グループでは、平時において事業継続計画(BCP)に必要となる発災直後の迅速な情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取組みを進めております。
FY2022|8,126 文字
2【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、2020年10月の純粋持株会社体制への移行を機に、よりグローバルな視点でのリスクマネジメント体制の構築に取り組んでいます。当社グループのリスクを経営的、中長期的な視点で検討し、グループ全体のリスクマネジメント活動における役割と責任を明確化し、リスクマネジメント活動の全社的な最適化を図るため、2021年度より新たなリスクマネジメント体制を構築しました。代表取締役社長CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、当社グループの全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントの推進とともに、グループ内におけるリスク情報や、ベストプラクティスの共有を図っていきます。新たなリスクマネジメント体制のもと、リスクに対するマネジメントの実効性を高め、グループ全体としてリスク低減に向けた活動を推進してまいります。当社グループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。 (図表1)当社グループのリスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントのプロセス当社グループは、事業環境の変化の認識と企業価値の向上と棄損の両面からのリスクの特定・評価を行うとともに、評価結果に基づき重要リスクを特定し、経営者のリスク許容度に基づくリスク対応方針に則り、リスク対応とモニタリングを実施し、リスク対応の全社的な最適化を図ります。リスクマネジメントプロセスは、「当社及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、当社グループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれも、リスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。 当社グループは「グローバルリスクマネジメント会議」を年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、当社代表取締役社長CEOを議長とし、取締役、監査役、CCO、執行役員、室長、各事業会社社長、及び地域リスクマネジメント推進担当者が出席し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程及び計画に関する事項等について審議を行います。また、「グローバル戦略検討会議」とも連携し、経営陣がグループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることを目指します。当社グループの重要リスクの主な選定基準は次のとおりです。「グループ経営・事業全体の視点及び中長期的視点で管理すべきリスク」、「グループの事業基盤に影響を与えるリスクや、重要な特定事業に影響を与えるリスク」。これらと共に、当社の「重要課題」(マテリアリティ)、「中期経営計画をはじめとする事業戦略」などを踏まえて検討します。2021年度グローバルリスクマネジメント会議では、当社グループの重要リスクテーマとして、以下3つのリスクが選定され、活発な議論がなされました。 1.気候変動・脱炭素化の潮流、世界経済・社会の変化2.基盤事業の維持・強化3.上記を支える人材の確保・育成 今後、当社と各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取り組みを進めてまいります。上記を踏まえた当社グループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。 (3)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 経営戦略・事業に関するもの① グローバル事業展開について当社グループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。設備投資やM&Aの実行に際しては、市場動向や顧客ニーズ、契約等について事前に精査しておりますが、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 設備投資について当社グループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。産業構造及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、半導体、自動車等、当社グループの主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、当社グループの製造設備は稼働率が低下し、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。オンサイトプラント方式は、顧客への安定供給と強固な収益基盤の確保というメリットがありますが、設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストは、原油やLNG価格の世界的な高騰を受けて大幅に上昇しており、主力製品の製造コストは大幅な上昇を余儀なくされております。それに対し、販売価格への転嫁に鋭意努めておりますが、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また欧州を中心として、電力エネルギー市場は電源構成の大幅な変動による大きな影響を受け、製造コストへの影響は予測が困難であり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ サプライチェーンについて当社が取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりによって、また近年の世界的なコンテナ不足や海上輸送状況の変動によって、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあり、支障が生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。⑤ 情報管理について当社グループは、営業・技術に関する重要情報、顧客情報その他関係者の個人情報等を保有しております。これら重要情報・個人情報を含む業務上の情報は、サイバーセキュリティ対策や、事業拠点の防犯・盗難対策の推進を通じて、情報漏洩のリスク低減に努めております。また、情報セキュリティに関する規程・基準類の整備、情報管理に関する責任者・担当者の配置、社員への継続的な教育等を通じて管理体制の強化を図っております。しかしながら、不測の事態により情報漏洩が起きた場合、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償、市場競争力の低下等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 気候変動について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まっています。当社グループは、全社的に環境マネジメントを推進し、2019年11月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」賛同を表明しました。TCFD推奨事項への対応の一つとして、シナリオによるリスク及び機会の分析をしております。例えば、炭素税や排出権取引に代表される温室効果ガス排出にかかわる規制及び制度が導入された場合、間接的な温室効果ガス排出量が多い事業税負担により利益が減少する可能性があります。また、環境負荷低減にかかわる商材への切り替えや、鉄鋼・化学セクターによる低環境負荷な製造プロセスへの変更は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。シナリオ分析の詳細については、図表2をご参照ください。 (図表2)TCFDシナリオ分析 2022年3月24日タイプ気候変動リスク項目評価事業リスク事業機会当社の対応移行政策規制カーボンプライシング制導入大〈中長期〉・税負担の増加による収益減少〈中長期〉・早期対応の差別化による事業機会獲得・PPAやグリーン電力証書による再生可能エネルギーの導入拡大技術低炭素な代替製品への置換・省エネの進展中〈中長期〉・低炭素製品選別による既存商材の売上減少〈短中期〉・省エネによる収益幅増大・低炭素化に資する既存製品の需要拡大〈中長期〉・低炭素化に寄与する環境貢献商材の事業機会拡大・環境貢献商材の開発促進・DX技術の導入などの生産性改善による省エネルギー化促進(SAITEKI導入, 配送最適化)市場市場ニーズの変化顧客の事業活動の変化大〈長期〉・既存顧客である鉄鋼・化学セクターのプロセス変更に伴う売上減少・水電解プロセスの需要拡大に伴う副生O2ガスを活用した新規参入による売上減少〈中長期〉・ブルー/グリーンH2需要の拡大・グリーン燃料の需要拡大・CCUSに向けたCO2回収需要の拡大・カーボンフリー(H2, NH3)燃焼技術の導入推進/拡大・酸素燃焼の利用拡大・CCUSに対応した中規模CO2回収需要の獲得・HyCO事業によるH2供給事業の拡大・環境貢献商材の拡販評判業界批判大〈中長期〉・GHG排出企業への投資家評価低下〈中長期〉・GHG削減貢献を示すことで安定した資金調達の継続・統合報告書などによるGHG削減貢献の定量データの開示・非財務情報の開示促進物理急性災害の激甚化台風頻発豪雨・干ばつ中〈中長期〉・異常気象に伴う災害による工場の操業停止・支払保険料の増加-・災害対策の推進・保険の活用慢性海面上昇平均気温の上昇小〈長期〉・気温上昇に伴う空気分離装置のランニングコスト増による収益幅縮小〈中長期〉・疾病治療に対する医療製品の需要拡大・老朽化の進んだ空気分離装置のリプレースによるランニングコスト低減・医療用酸素などの提供 ⑦ 法規制等について当社グループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、当社グループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人材確保について当社グループの目標達成には、生産、研究開発、マーケティング、販売、物流、管理等の各事業分野において有能な人材が不可欠であり、また、事業運営を行う上で、関連法規で要求される資格や技能を有した人材の確保が必要となります。また、海外進出におきましては、現地法人の経営や事業運営を担うグローバル人材並びに有能なローカルスタッフの確保が不可欠ですが、雇用情勢や労働需給の変化により、こうした人材の確保が計画どおりに進まない場合は、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 技術・保安に関するもの① 技術開発について当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。また、産学官協同や企業間による共同開発では、連携がうまく進展しない場合には、期待していた成果が得られない可能性があります。 ② 保安について当社グループは、高圧ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性の他、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員について階層別の教育の他、応募型の教育を行っています。特に、安全文化の醸成への取り組みとして、テクニカルアカデミーでは危険体感学習を取り入れ、設備事故だけではなく労働災害事故の撲滅を目指した教育を徹底し、保安の確保に万全を期しています。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 品質・製品安全について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品については、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 知的財産について当社グループは、知的財産を重要な会社の資産と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しておりますが、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。また、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の知的財産権に対する侵害予防に努めております。第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発又は技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとることで、これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にあります。しかしながら、訴訟を提起された場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。また、サーモス製品等で海外からの製品の輸入を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。当社グループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ ㈱三菱ケミカルホールディングスとの資本関係について㈱三菱ケミカルホールディングスは当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により処分コスト控除後の公正価値及び使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他① 大規模自然災害等について大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。特に、地震発生の可能性が高い国内製造拠点は、全国に分散しているものの、大規模製造拠点が被害を受けた場合、労働力や生産能力の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人為的要因を含むその他不測の事態(重大事故の発生、大規模な感染症拡大など)が発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え当社グループでは、事業継続計画(BCP)に基づく情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取り組みを進めております。 ② 新型コロナウイルス感染症の影響について当社グループの主力製商品である産業ガスは、生活必需品の製造プロセスや各種工場の保安向けなどのほかに医療現場でも利用されていることから、各国当局による事業活動の制限対象には指定されておらず、製造・物流業務従事者をはじめとした関係者の感染防止に取り組みながら事業活動を継続してきました。各国でのワクチン接種や治療薬の開発が進んでいることで事業環境の更なる改善が期待されますが、ワクチンや治療薬が有効でない変異種の蔓延等により世界経済が再度減速し、産業ガスの出荷が減少する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
FY2021|5,450 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 経営戦略・事業に関するもの① 海外進出について当社グループは、2021年3月期までの中期経営計画Ortus Stage 2における重点戦略として「グローバリゼーション」、「M&A」を掲げ、海外におけるオンサイト事業の拡大やM&Aを積極的に実施し、現在、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しております。設備投資やM&Aの実行に際しては、市場動向や顧客ニーズ、契約等について事前に精査しておりますが、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 設備投資について当社グループは、国内外に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。産業構造及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、半導体、自動車等、当社グループの主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合、海外移転などにより、当社グループの製造設備は稼働率が低下し、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。オンサイトプラント方式は、顧客への安定供給と強固な収益基盤の確保というメリットがありますが、設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストが原油やLNG価格の高騰、為替変動などの要因により大幅に上昇し、それを販売価格に転嫁できない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また欧州を中心として、電力エネルギー市場は再生可能エネルギーへの変革による大きな影響を受け、製造コストへの影響は予測が困難であり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法規制等について当社グループは、米国、欧州、アジア・オセアニアにおいて事業を展開しておりますが、進出国において予想外の法規制の変更、新規法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 人材確保について当社グループの目標達成には、生産、研究開発、マーケティング、販売、物流、管理等の各事業分野において有能な人材が不可欠であり、また、事業運営を行う上で、関連法規で要求される資格や技能を有した人材の確保が必要となります。また、海外進出におきましては、現地法人の経営や事業運営を担うグローバル人材並びに有能なローカルスタッフの確保が不可欠ですが、雇用情勢や労働需給の変化により、こうした人材の確保が計画通りに進まない場合は、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 技術・保安に関するもの① 技術開発について当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。たとえば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。また、産学官協同や企業間による共同開発では、連携がうまく進展しない場合には、期待していた成果が得られない可能性があります。 ② 知的財産について当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しておりますが、当社グループの技術や商品を保護するために十分であるという保証はありません。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発又は技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、侵害の防止に努めており、これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にあります。しかしながら、当社グループが将来的に他社の知的財産権を侵害しないという保証はなく、訴訟を提起された場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製品安全及び保安について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品については、品質管理とその記録の徹底、及び販売前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しておりますが、すべての製品に欠陥や品質不良、故障が生じないという保証はありません。製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、顧客からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、製造・販売等を行う高圧ガスには、高圧力や極低温による危険性の他、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員について階層別の教育の他、応募型の教育を行っています。特に、安全文化の醸成への取り組みとして、テクニカルアカデミーでは危険体感学習を取り入れ、設備事故だけではなく労働災害事故の撲滅を目指した教育を徹底し、保安の確保に万全を期していますが、ガスそのものの危険性を解消することは不可能です。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。また、サーモス製品等で海外からの製品の輸入を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、中期経営計画に掲げる重点戦略に基づき、積極的な設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ ㈱三菱ケミカルホールディングスとの資本関係について㈱三菱ケミカルホールディングスは当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下したり、市場利率等の上昇により処分コスト控除後の公正価値及び使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他① 大規模自然災害等について地震等の大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。特に地震発生の可能性が高い国内製造拠点は、全国に分散しているものの、大規模製造拠点が被害を受けた場合、労働力や生産能力の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人為的要因を含むその他の不測の事態(重大事故の発生、大規模な感染症拡大など)が発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え当社グループでは、事業継続計画(BCP)に基づく情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る行動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取り組みを進めております。 ② 情報管理について当社グループは、営業・技術に関する重要情報、顧客情報その他関係者の個人情報等を保有しております。これら重要情報・個人情報を含む業務上の情報は、クラウド及びサーバでの管理や、事業拠点の防犯・盗難対策の推進を通じて、情報漏洩のリスク低減に努めております。また、情報セキュリティに関する規程・基準類の整備、情報管理に関する責任者・担当者の配置、社員への継続的な教育等を通じて管理体制の強化を図っております。しかしながら、不測の事態により情報漏洩が起きた場合、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償、市場競争力の低下等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 気候変動等環境課題について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを企業の財務情報として開示する要請が高まっています。当社グループは、全社的に環境マネジメントを推進し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しております。当社グループが事業展開する各国において、炭素税の賦課や排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制が導入された場合、間接的な温室効果ガス排出量が多い産業ガス事業の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動による自然災害の増加や渇水による水資源の不足等は当社グループの製造拠点に影響を与える可能性があります。なお、世界の平均気温が上昇した場合、空気分離装置における原料空気圧縮機の動力が増加し、電力使用量が増加するリスクがあります。 ④ 新型コロナウイルス感染症の影響について当社グループの主力製商品である産業ガスは、生活必需品の製造プロセスや各種工場の保安向けなどのほかに医療現場でも利用されていることから、各国当局による事業活動の制限対象には指定されておらず、製造・物流業務従事者をはじめとした関係者の感染防止に取り組みながら事業活動を継続してきました。今後、各国でのワクチン接種が進むことで事業環境の改善が期待されますが、ワクチンが有効でない変異種の蔓延等により世界経済が再度減速し、産業ガスの出荷が減少する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
FY2020|5,491 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 経営方針・事業に関するもの① 設備投資について当社グループは、国内外に工業ガスの製造拠点を有しておりますが、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置しパイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。オンサイトプラント方式は、顧客への安定供給と強固な収益基盤の確保というメリットがありますが、供給先である顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合、海外移転などにより設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ② 製造コストについて主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストが原油やLNG価格の高騰、為替変動などの要因により大幅に上昇し、それを販売価格に転嫁できない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 海外進出について当社グループは、重点戦略として「グローバリゼーション」、「M&A」を掲げ、海外におけるオンサイト事業の拡大やM&Aを積極的に実施し、現在、米国、欧州、アジア・オセアニアを中心に海外で事業を展開しております。設備投資やM&Aの実行に際しては、市場動向や顧客ニーズ、契約等について事前に審査しておりますが、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法規制等について当社グループは、米国、欧州、アジア・オセアニアを中心に事業を展開しておりますが、進出国において予想外の法規制の変更、新規法令の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連の製品を海外への輸出をおこなっており、「外国為替及び外国貿易法」を遵守する必要があります。そのため、法令違反を未然に防止すべく、当社グループでは安全保障輸出管理プログラムを定め、また、eラーニングや研修等による社員教育など対策を行っております。それにもかかわらず、なお当社グループの役員又は職員が法令等に違反し、罰金、行政処分(輸出の禁止や包括許可の取り消し)を受ける場合や規制強化が図られた場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、訴訟や規制当局による調査及び処分に関するリスクを有しており、当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 人材確保について当社グループの目標達成には、生産、研究開発、マーケティング、販売、物流、管理等の各事業分野において有能な人材が不可欠であり、また、事業運営を行う上で、関連法規で要求される資格や技能を有した人材の確保が必要となります。雇用情勢や労働需給の変化により、こうした人材の確保が計画通りに進まない場合は、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 技術・保安に関するもの① 技術開発について当社グループは、オンリーワン・ナンバーワン技術で世界メジャーへの仲間入りを目指すため積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。たとえば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。また、産学官協同や企業間による共同開発では、連携がうまく進展しない場合や関連市場の状況に大きな変化があった場合などには、期待していた成果が得られない可能性があります② 知的財産について当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しておりますが、当社グループの技術や商品を保護するために十分であるという保証はありません。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発又は技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、侵害の防止に努めており、これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にあります。しかしながら、当社グループが将来的に他社の知的財産権を侵害しないという保証はなく、訴訟を提起された場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製品安全及び保安について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品については、品質管理とその記録の徹底、及びすべての製品について販売前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しておりますが、すべての製品に欠陥や品質不良、故障が生じないという保証はありません。製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、顧客からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、製造・販売等を行う高圧ガスには、高圧力や極低温による危険性の他、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員について階層別の教育の他、応募型の教育を行っています。特にテクニカルアカデミーでは危険体感学習を取り入れ、設備事故だけでなく労働災害事故の撲滅を目指した教育を徹底し、保安の確保に万全を期していますが、ガスそのものの危険性を解消することは不可能です。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 財務に関するもの・その他① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。また、家庭用品等で海外からの製品の輸入を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、中期経営計画に掲げる重点戦略に基づき、積極的な設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 自然災害、不測の事故、感染症等について地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が重大な損害を受ける可能性があります。特に地震発生の可能性が高い国内では、全国に分散して製造拠点を有しているものの、大規模製造拠点に被害があった場合、生産能力の大幅な低下は避けられず、売上収益の減少や巨額の修復コストの発生により、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人為的要因を含むその他の不測の事態により重大な事故が発生した場合や大規模な感染症が発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え当社グループでは、事業継続計画(BCP)に基づく情報収集体制を整え、中核となる事業の継続や事業の早期復旧への取り組みを進めております。 ④ 中期経営計画について中期経営計画の目標は、事業環境の変化やその他様々な要因により目標を達成できない可能性があります。 ⑤ ㈱三菱ケミカルホールディングスとの資本関係について㈱三菱ケミカルホールディングスは当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付で締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下したり、市場利率等の上昇により処分コスト控除後の公正価値及び使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 情報管理について当社グループは、営業・技術に関する重要情報、顧客情報その他関係者の個人情報を保有しております。これら重要情報・個人情報を含む業務上の情報は、クラウド及びサーバでの管理や、事業拠点の防犯・盗難対策の推進を通じて、情報漏洩のリスク低減に努めております。また、情報セキュリティに関する規程・基準類の整備、情報管理に関する責任者・担当者の配置、社員への継続的な教育等を通じて管理体制の強化を図っております。しかしながら、不測の事態により情報漏洩が起きた場合、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償、市場競争力の低下等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 気候変動等環境課題について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを企業の財務情報として開示する要請が高まっています。当社グループは、全社的に環境マネジメントを推進し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しております。当社グループが事業展開する各国において、炭素税の賦課や排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出規制が導入された場合、間接的な温室効果ガス排出量が多い産業ガス事業の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動による自然災害の増加や渇水による水資源の不足等は当社グループの製造拠点に影響を与える可能性があります。なお、世界の平均気温が上昇した場合、空気分離装置における原料空気圧縮機の動力が増加し、電力使用量が増加するリスクがあります。 ⑨ 新型コロナウイルス感染症の影響について当社グループの主力製商品である産業ガスは、生活必需品の製造プロセスや各種工場の保安向けに利用されるとともに、医療現場でも利用されるため、各国当局による事業活動の制限対象には指定されることなく、関係者の感染防止に取り組みながら、各地域における事業活動を継続しております。しかしながら、顧客工場の稼働率低下により産業ガスの出荷は減少することが見込まれるため、2021年3月期の当社グループの経営成績について、前連結会計年度に比べ売上収益は2.4%の減収、営業利益は12.7%の減益を予想しております。ただし、この予想は、2021年3月期第1四半期連結会計期間における出荷への影響が最も大きく、第2四半期連結会計期間からは徐々に回復し、第3四半期連結会計期間以降はほぼ正常化することを前提としています。したがって、新型コロナウイルス感染症の再拡大などにより、産業ガスの出荷が想定以上に減少するなどした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態により重大な影響を及ぼす可能性があります。
FY2019|3,100 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 経営方針・事業に関するもの① 設備投資について当社グループは、国内外に工業ガスの製造拠点を有しておりますが、主に国内大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置しパイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。当該方式を全国で展開・維持していくには多額の設備資金が必要であり、低金利の資金調達が重要な課題となっております。従いまして、金利の動向は、こうした資本集約型であるガス事業の業績に大きな影響を与える可能性があります。また、オンサイトプラント方式は、顧客への安定供給と強固な収益基盤の確保というメリットがありますが、供給先である顧客生産拠点の統廃合などにより設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 製造コストについて主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストが原油価格の高騰などにより大幅に上昇し、それを販売価格に転嫁できない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 海外進出について当社グループは、米国、欧州、アジア・オセアニアを中心に海外で事業を展開しており、これら地域における政治的情勢や経済状況の変化によっては、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法規制等について当社グループは、米国、欧州、アジア・オセアニア、中国に製造拠点をもっておりますが、進出国において予想外の法規制の変更、新規法令の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化がはかられた場合には、対応コストの増大により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、訴訟や規制当局による調査及び処分に関するリスクを有しており、当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、業績、財政状態及び信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 技術・保安に関するもの① 技術開発について当社グループは、オンリーワン・ナンバーワン技術で世界メジャーへの仲間入りを目指すため積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。たとえば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性があります。また、産学官協同や企業間による共同開発では、連携がうまく進展しない場合や関連市場の状況に大きな変化があった場合などには、成果が得られない可能性があります。 ② 知的財産について当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しておりますが、当社グループの技術や商品を保護するために十分であるという保証はありません。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発又は技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、侵害の防止に努めており、これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にあります。しかしながら、当社グループが将来的に他社の知的財産権を侵害しないという保証はなく、訴訟を提起された場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製品安全及び保安について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらのリスクマネジメントを推進しておりますが、すべての製品に欠陥が生じないという保証はありません。製品に万が一欠陥が生じた場合には、損害賠償の負担などにより業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製造・販売等を行う高圧ガスには、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。これら製品の製造・供給については、保安の確保に万全を期していますが、ガスそのものの危険性を解消することは不可能です。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 財務に関するもの・その他① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。また、家庭用品等で海外からの製品の輸入を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 退職給付費用について年金資産の運用利回りが悪化した場合、退職給付費用が増加し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 自然災害、不測の事故等について地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの製造拠点が重大な損害を受ける可能性があります。特に地震発生の可能性が高い国内では、全国に分散して製造拠点を有しているものの、大規模製造拠点に被害があった場合、生産能力の大幅な低下は避けられず、売上げの減少や巨額の修復コストの発生により、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、人為的要因を含むその他の不測の事態により重大な事故が発生した場合、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 中期経営計画について中期経営計画の目標は、事業環境の変化やその他様々な要因により目標を達成できない可能性があります。 ⑤ ㈱三菱ケミカルホールディングスとの資本関係について㈱三菱ケミカルホールディングスは当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付で締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を計上しております。また、当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、かかるのれん等について、毎期減損テストを実施し評価しております。当該のれん等について減損損失を計上した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|2,867 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2018年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。(1) 経営方針・事業に関するもの① 設備投資について当社グループは、国内外に工業ガスの製造拠点を有しておりますが、主に国内大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置しパイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。当該方式を全国で展開・維持していくには多額の設備資金が必要であり、低金利の資金調達が重要な課題となっております。従いまして、金利の動向は、こうした資本集約型であるガス事業の業績に大きな影響を与える可能性があります。また、オンサイトプラント方式は、顧客への安定供給と強固な収益基盤の確保というメリットがありますが、供給先である顧客生産拠点の統廃合などにより設備の全部又は一部が不要になり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損等の発生により、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 製造コストについて主力の酸素、窒素、アルゴンの製造コストのうち大きな割合を占める電力コストが原油価格の高騰などにより大幅に上昇し、それを販売価格に転嫁できない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 海外進出について当社グループは、米国、アジアを中心に海外で事業を展開しており、これら地域における政治的情勢や経済状況の変化によっては、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法規制等について当社グループは、米国、アジア、中国に製造拠点をもっておりますが、進出国において予想外の法規制の変更、新規法令の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化がはかられた場合には、対応コストの増大により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、訴訟や規制当局による調査及び処分に関するリスクを有しており、当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、業績、財政状態及び信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) 技術・保安に関するもの① 技術開発について当社グループは、オンリーワン・ナンバーワン技術で世界メジャーへの仲間入りを目指すため積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。たとえば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性があります。また、産学官協同や企業間による共同開発では、連携がうまく進展しない場合や関連市場の状況に大きな変化があった場合などには、成果が得られない可能性があります。 ② 知的財産について当社グループは、独自開発した技術による事業展開を基本として、必要な知的財産権の取得を推進しておりますが、当社グループの技術や商品を保護するために十分であるという保証はありません。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。一方、当社グループが事業展開している分野については、第三者の知的財産権を常に調査監視して、第三者の有効な知的財産権は、代替技術の開発又は技術的な回避策を講じることにより使用しない、当該第三者から使用する権利を得るなどの対策をとり、侵害の防止に努めており、これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にあります。しかしながら、当社グループが将来的に他社の知的財産権を侵害しないという保証はなく、訴訟を提起された場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製品安全及び保安について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらのリスクマネジメントを推進しておりますが、すべての製品に欠陥が生じないという保証はありません。製品に万が一欠陥が生じた場合には、損害賠償の負担などにより業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製造・販売等を行う高圧ガスには、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。これら製品の製造・供給については、保安の確保に万全を期していますが、ガスそのものの危険性を解消することは不可能です。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) 財務に関するもの・その他① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。また、家庭用品等で海外からの製品の輸入を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 退職給付費用について年金資産の運用利回りが悪化した場合、退職給付費用が増加し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 自然災害、不測の事故等について地震等の自然災害が発生した場合、当社グループの製造拠点が重大な損害を受ける可能性があります。特に地震発生の可能性が高い国内では、全国に分散して製造拠点を有しているものの、大規模製造拠点に被害があった場合、生産能力の大幅な低下は避けられず、売上げの減少や巨額の修復コストの発生により、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、人為的要因を含むその他の不測の事態により重大な事故が発生した場合、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 中期経営計画について中期経営計画の目標は、事業環境の変化その他様々な要因により目標を達成できない可能性があります。 ⑤ ㈱三菱ケミカルホールディングスとの資本関係について㈱三菱ケミカルホールディングスは当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付で締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しており、現状において持株比率を増減させる方針はないと認識しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。