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日本酸素ホールディングス(4091)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 工業ガス事業
    酸素、窒素、アルゴンなどの工業ガスやLPガス、医療用ガス、特殊ガスの製造・販売が主力事業です。これらのガスは、鉄鋼、化学、半導体、医療など幅広い産業で不可欠な素材として利用されており、安定的な需要が見込まれます。また、ガス供給に必要な溶断機器や溶接材料、各種ガス関連機器、空気分離装置の製造・販売も手掛けています。
  • 設備・メンテナンス事業
    顧客の工場敷地内や隣接地に空気分離装置などを設置し、パイプラインでガスを供給する「オンサイトプラント方式」を展開しています。これにより、顧客は安定的にガスを調達でき、当社グループは長期的な収益を確保しています。設備の設置だけでなく、その後のメンテナンスも行うことで、顧客との関係を強化し、継続的な収益源としています。
  • 魔法瓶等の製造・販売
    ステンレス製魔法瓶などの家庭用品の製造・販売も行っています。これは、工業ガス事業とは異なる一般消費者向けの事業であり、ブランド力を持つ製品を通じて収益の多角化を図っています。特に「サーモス」ブランドは、世界中で認知されており、安定した収益に貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

同社グループの事業セグメントは、主に「日本」「米国」「欧州」「アジア・オセアニア」「サーモス」の5つに分かれています。「日本」セグメントでは、各種工業ガス、医療用ガス、特殊ガス、ガス関連機器の製造・販売などを手掛けています。「米国」「欧州」「アジア・オセアニア」セグメントは、それぞれの地域で工業ガスの製造・販売を中核事業としています。特に米国と欧州は、現地の主要子会社を通じて広範なガス事業を展開しています。「サーモス」セグメントは、ステンレス製魔法瓶などの家庭用品の製造・販売を担っています。これにより、ガス事業をグローバルに展開しつつ、家庭用品事業も持つ多角的な構成となっています。

有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,683 文字
3【事業の内容】当社グループは、主として酸素・窒素・アルゴン等各種工業ガス、LPガス、医療用ガス、特殊ガスの製造・販売及び溶断機器・溶接材料、各種ガス関連機器、空気分離装置の製造・販売、設備メンテナンス並びにステンレス製魔法瓶等の製造・販売を営んでおります。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当するため、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結財務諸表の数値に基づいて判断することとなります。主な事業内容と主要な関係会社の位置づけは、次のとおりで、事業内容の区分はセグメント情報における区分と同一であります。主要な関係会社主な事業内容日本 大陽日酸㈱酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、ガス関連機器、特殊ガス、電子関連機器・工事、化合物半導体製造装置、機械装置、LPガス、医療用ガス、医療機器、安定同位体の製造・販売日酸TANAKA㈱ガス溶断機器、レーザー加工機の製造・販売、各種圧縮・液化ガス、溶断機材の販売大陽日酸ガス&ウェルディング㈱溶断機材の販売並びに各種圧縮ガスの製造・販売日本液炭㈱液化炭酸ガス、ドライアイスの製造・販売並びに各種圧縮・液化ガスの販売函館酸素㈱酸素、窒素の製造・販売、溶断機材の販売第一開明㈱各種圧縮・液化ガスの販売、溶断機材の販売大陽日酸東関東㈱酸素、窒素の製造・販売並びに各種圧縮ガス、特殊ガスの販売四国大陽日酸㈱各種圧縮・液化ガスの販売並びに溶断機材の販売大陽日酸系統科技股份有限公司ガス供給機器、精製装置の製造・販売、配管工事大陽日酸JFP㈱特殊ガスの製造日本メガケア㈱各種圧縮・液化ガスの販売、医療ガスの製造・販売、医療機器の販売・レンタルアイ・エム・アイ㈱医療機器の輸入・開発・販売・レンタル・メンテナンス㈱ティーエムエアー酸素、窒素、アルゴンの製造 米国 Matheson Tri-Gas, Inc.酸素、窒素、アルゴン、特殊ガス、水素、ドライアイス、機器の製造・販売、溶断機材の販売 欧州 Nippon Gases Euro-Holding S.L.U.ヨーロッパにおける関係会社の株式保有等Nippon Gases Belgium NV酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Gases Italia S.r.l.イタリアにおける関係会社の株式保有等Nippon Gases Industrial S.r.l.酸素、窒素、アルゴンの製造・販売 主要な関係会社主な事業内容アジア・オセアニア Nippon Sanso Holdings Singapore Pte. Ltd.シンガポールにおける関係会社の株式保有等Leeden National Oxygen Ltd.溶接関連器具、安全具、高圧ガスの製造並びに仕入販売、酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Sanso Ingasco Philippines, Inc.酸素、窒素、アルゴンの製造・販売Nippon Sanso Vietnam Joint Stock Company     〃Nippon Sanso (Thailand) Co., Ltd.     〃NSC (Australia) Pty Ltdオーストラリアにおける関係会社の株式保有等大陽日酸(中国)投資有限公司中国における関係会社の株式保有等大連大陽日酸気体有限公司酸素、窒素、アルゴンの製造・販売上海大陽日酸気体有限公司     〃揚州大陽日酸半導体気体有限公司特殊ガスの製造・販売大陽日酸特殊気体(上海)有限公司特殊ガスの販売美气神甩子材料(西安)有限公司     〃台湾日酸股份有限公司窒素の製造・販売、特殊ガス並びに機器の販売Matheson Gas Products Korea Co., Ltd.特殊ガスの製造・販売 サーモス サーモス㈱家庭用品等の製造・販売膳魔師(中国)家庭制品有限公司     〃 (注)以上の概略図は次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
製造コスト上昇に対し販売価格への転嫁を実施しているが、充分でない場合があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
各国に工業ガスの製造拠点を有し、大口顧客向けにはオンサイトプラント方式でガス供給。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:グローバル事業展開における各国・地域の市場動向、政治、経済、慣習、テロ、紛争、大規模災害等の影響 / 主力顧客の操業率低下や生産拠点統廃合による製造設備の稼働率低下、減損損失等の発生 / 電力コスト、人件費、輸送費等の製造コスト上昇と販売価格への転嫁不足
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 13 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

日本酸素ホールディングスは、産業ガス分野で長年の実績と技術力を有しており、一部の特殊ガスや関連技術において独自のノウハウを持つ。しかし、特許の有効期限や競合他社の技術開発により、絶対的な無形資産としての優位性は限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

産業ガスは、顧客の生産プロセスに不可欠であり、供給元の変更には設備投資や安全性の検証が必要となる。特に大手顧客との長期契約や、特定のガス供給システムを導入している場合、乗り換えコストは高くなる傾向がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

産業ガス供給は、個々の顧客との個別契約に基づくものであり、プラットフォーム型のようなネットワーク効果は発生しない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

産業ガスは、製造・輸送コストが製品価格に大きく影響する。同社は、大規模な生産設備と効率的な物流網を構築することで、一定のコスト競争力を確保している。しかし、原料価格の変動やエネルギーコストの上昇はリスクとなる。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

産業ガス業界は、設備投資が巨額になるため、新規参入が困難であり、上位数社による寡占状態が形成されている。日本酸素ホールディングスは、グローバルでトップクラスのシェアを有しており、規模の経済を活かした効率的な事業運営が可能。

  • グローバルな事業展開と供給網
    日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で事業を展開しており、世界中に製造拠点と供給ネットワークを持っています。これにより、特定の地域のリスクを分散し、多様な市場の需要に対応できる強みがあります。特に半導体特殊材料ガスやヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品の安定供給能力は競争優位性となります。
  • オンサイトプラント方式による顧客との強固な関係
    大口顧客向けに、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給を行う「オンサイトプラント方式」を採用しています。この方式は、一度導入されると顧客のスイッチングコストが高くなるため、長期的な契約と安定した収益に繋がり、顧客との強固な関係を構築できる点が強みです。
  • 多岐にわたる製品と技術力
    酸素、窒素、アルゴンといった汎用ガスから、医療用ガス、特殊ガス、さらには化合物半導体製造装置まで、幅広い製品と関連技術を有しています。これにより、多様な産業ニーズに対応できるだけでなく、技術開発を通じて新たな市場を開拓する潜在力も持ち合わせています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営方針当社グループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 (2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題当社では、グループビジョンの実現に向けた中期経営計画として2023年3月期から2026年3月期までの4ヶ年を対象期間とした「NS Vision 2026 - Enabling the Future」(以下、「NS Vision 2026」という。)を策定し、現在この中期経営計画に基づいた事業運営を行っております。当社グループを取り巻く事業環境においては、世界的な物価上昇圧力や地政学リスクの長期化、さらには主要国における選挙に伴う政策変動の不確実性といった、多様で複雑なマクロ経済環境の変化に直面いたしました。こうした外部要因によるコストの増加に対して、当社はグループ全体での製品の価格マネジメントの推進と生産性向上活動などの施策を積極的に行い対応してまいりました。今後は、長期化する地政学リスクやサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の変動に加えて、主要国における政策転換による通商政策の再構築や関税措置の強化といった構造的な変化に加え、それを起因とした全世界的な景気後退懸念による当社事業への影響について注視しながら、適切に対処してまいります。また、生成AIの活用促進などによるデジタル化のさらなる進展や、カーボンニュートラルへの取組みが地域によってその推進速度に変動がでる可能性なども想定され、中長期的視点に立った新たな事業機会の獲得や食品・飲料、医療、環境関連などのレジリエンス市場への取組みの強化、ガバナンス体制整備にも対処していく必要があります。NS Vision 2026では、以下5点を重点戦略として設定しておりますが、以上のような環境認識を踏まえ、個別の施策については、各々適宜見直しを行いながら中期経営計画の達成に向けて計画を遂行してまいります。 ① サステナビリティ経営の推進:2024年8月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムへ参画及び、TNFD提言の採用者として登録しました。環境分野では、引き続き当社グループの事業活動で排出される温室効果ガス削減に努めるほか、顧客への環境貢献製商品、サービス拡充に注力してまいります。また、保安・安全の確保、製品・サービスの品質向上、さらに社会から信頼される企業であり続けるための人権尊重の取組みや人財の多様性確保、コンプライアンス推進活動の充実と浸透に努め、持続可能な事業運営を推進しております。 ② カーボンニュートラル社会に向けた新事業の探求:当社グループは、環境貢献製商品やソリューションの提供により、顧客の温室効果ガス排出削減に貢献いたします。当期も引き続き、工業炉プロセスへの酸素燃焼技術適用に向けた技術開発を継続することに加え、新たに“CO2分離回収/貯蔵・貯留”(CCS)のバリューチェーン構築に欠かせないCCS用出荷タンク設備を新たに開発するなど、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する技術開発の促進を行っております。さらに、当社グループの取組みをまとめた専用のウェブサイトの拡充を継続しており、カーボンニュートラル社会に向けた当社グループの取組みのさらなる対外発信の強化に努めてまいります。 ③ エレクトロニクス事業の拡大:需要の回復とさらなる需要の拡大が期待される中、半導体材料ガス及び関連機器などの生産能力の拡充を図っております。また、日本での最先端半導体製造の量産化を目指す顧客のパイロットラインへのガス関連工事施工及びバルクガス供給を進めており、これらの旺盛な大規模半導体工場の新設に必要となる超高純度空気分離装置の製品化に向けた取組みも進めております。 ④ オペレーショナル・エクセレンスの追求:各事業会社では業務の生産性向上活動を強く推進し、利益の最大化を図ることに取り組んでおります。また当社のグローバル化を前進させ、グループ全体で生産性向上プログラムやベストプラクティスを共有させるため、推進プロジェクトのプロジェクトリーダーを指名し活動を推進しています。具体的には、各事業会社のベストプラクティスをオペレーショナル・エクセレンス・デイというイベントで紹介し、各社の生産性向上の意識を高めており、併せてプロジェクトの水平展開をより活性化するために個別のワーキンググループを設けてグループ一丸で活動を推進しております。ワーキンググループは今後拡張を図ってまいります。 ⑤ 新しい価値創出へとつながるDX戦略:各事業会社では、各生産性向上活動や、製品価格マネジメントを推進するためにデジタルデータを活用した事業モデルの高度化に取り組んでおります。今後さらにグループ全体としても各事業会社の取組みを統括して強化してまいります。 4極の産業ガス事業では上記5つの重点戦略に共通して取り組む一方、地域固有の経営課題にも取り組んでおります。 ・日本:収益性向上を重要施策として推進すべく、事業ポートフォリオの見直しや各種収益率向上プログラムを実施するとともに、国内エレクトロニクス産業の拡大を受けた各種需要の獲得と安定供給に向けた設備拡張を進め、トータルソリューションの提供で力強い成長の実現を図ってまいります。また、顧客のGHG排出量削減や生産性向上に資するガスアプリケーションを基点としたイノベーションを実現し、新たな事業領域の探索・拡大を目指してまいります。・米国:新政権による相互関税発動などの政策が米国内産業に及ぼす影響など不確実性が増す中ではありますが、引き続き新規オンサイト事業の探索、物価の上昇に伴うプライシング活動の継続、コールドチェーンにおけるドライアイス需要獲得に向けた生産拠点の拡充などによる事業密度向上を目指します。また既に立ち上げている大型プロジェクトについては円滑な遂行を図ってまいります。・欧州:食品・飲料、医療、環境関連などのレジリエンス市場に注力するとともに、欧州エレクトロニクス市場の拡大を受け、関連製品の需要獲得に向けた対応を進めます。当期においては、エンジニアリング会社への戦略的投資を実行し、スペインにおける在宅医療事業の拡充を発表しました。今後もグループのエンジニアリング能力の強化を図るとともに、引き続き環境関連でのビジネス機会の獲得や酸素燃焼技術領域の拡大とバイオメタン市場の拡大に向けた案件獲得活動を促進してまいります。・アジア・オセアニア:当期は豪州において産業ガス、LPガスの販売を拡大するため、2件の買収について合意いたしました。豪州における当社のプレセンスの向上に加えて、アジア各国における大型オンサイト案件の獲得や空気分離装置の能力増強、成長拡大余地の大きいエレクトロニクス市場に対する製品の拡充に取り組んでおります。同地域の今後の経済成長を前提に、引き続き新商材や事業エリアの拡大に注力するとともに、各事業会社の収益力強化に向けた生産性向上活動の浸透を図ってまいります。 また、当社グループ唯一のB to Cビジネスであるサーモス事業では、新商品を積極的に投入するとともに、機動的な広告宣伝並びに店頭プロモーションを実施することにより需要の拡大を目指します。また、販売チャネルの多角化を図るため、直営店拡大と電子商取引を拡大しており、メンバーズサイトの拡充やお客様サポートにおけるAI活用など、顧客満足度、従業員満足度を向上する取組みにおいてDXを推進しております。 財務目標 実績(2025年3月期)NS Vision 2026最終年度目標(2026年3月期)売上収益1兆3,080億円9,750億~1兆円コア営業利益1,891億円1,250~1,350億円EBITDAマージン(注1)グループ:23.3%各セグメント:15.1~31.3%グループ:≧24%各セグメント:≧17~33%調整後ネットD/Eレシオ(注2)0.71倍≦0.7倍ROCE after Tax(注3)7.2%≧6%(注)1.EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)コア営業利益に減価償却費及び償却費を加えて算出される利益です。国・地域により、金利水準、税率、減価償却費などに差異がありますが、この指標ではその差異を最小限に抑え、利益額を表示します。2.調整後ネットD/Eレシオ財務の安全性を示す指標であり、(純有利子負債-資本性負債)÷(親会社の所有者に帰属する持分+資本性負債)で算出する比率です。なお、格付機関により、ハイブリッドファイナンスで調達した金額(調達時2,500億円)のうち各連結会計年度末における残高の50%を「資本」として認められており、当社内ではこれを資本性負債と呼称しております。 3.ROCE after Tax(Return on Capital Employed after Tax:使用資本税引き後利益率)[NOPAT:税引き後コア営業利益(+受取配当金)]((コア営業利益-コア営業利益に含まれる持分法による投資損益)×(1-実効税率)+コア営業利益に含まれる持分法による投資損益+受取配当金)÷[使用資本](有利子負債+親会社の所有者に帰属する持分)で算出する資本効率性指標です。 非財務目標 実績(2024年3月期)NS Vision 2026最終年度目標(2026年3月期)ご参考:長期目標(2031年3月期)GHG総排出量削減(注4)15.3%18%32%GHG排出量に関する考え方7,454>5,667千t-CO2e当社グループが販売する環境貢献製商品によるGHG削減量>当社グループGHG総排出量-休業度数率(連結)(注5)2.09≦1.6-女性従業員比率20.2%≧22%25%女性管理職比率15.4%≧18%22%コンプライアンス研修受講率99.4%100%-(注)4.欧州事業買収が完了した2019年3月期の実績を補正し基準年度として、該当年度の削減目標を設定します。5.休業度数率労働災害の発生頻度を表す指標であり、休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間で算出します。6.詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 ④ 指標及び目標」をご参照ください。2025年3月期実績は、2025年9月以降に当社ウェブサイト上で公表する「統合報告書2025」をご参照ください。 当社はグループ理念に「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げており、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現に貢献することを目標にしています。その実現の第一歩として、上記に掲げた課題に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営方針当社グループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 (2) 中長期的な経営戦略及び対処すべき課題当社では、グループビジョンの実現に向けた中期経営計画として2023年3月期から2026年3月期までの4ヶ年を対象期間とした「NS Vision 2026 - Enabling the Future」(以下、「NS Vision 2026」という。)を策定し、現在この中期経営計画に基づいた事業運営を行っております。当社グループを取り巻く事業環境においては、世界的な物価上昇圧力や地政学リスクの長期化、さらには主要国における選挙に伴う政策変動の不確実性といった、多様で複雑なマクロ経済環境の変化に直面いたしました。こうした外部要因によるコストの増加に対して、当社はグループ全体での製品の価格マネジメントの推進と生産性向上活動などの施策を積極的に行い対応してまいりました。今後は、長期化する地政学リスクやサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の変動に加えて、主要国における政策転換による通商政策の再構築や関税措置の強化といった構造的な変化に加え、それを起因とした全世界的な景気後退懸念による当社事業への影響について注視しながら、適切に対処してまいります。また、生成AIの活用促進などによるデジタル化のさらなる進展や、カーボンニュートラルへの取組みが地域によってその推進速度に変動がでる可能性なども想定され、中長期的視点に立った新たな事業機会の獲得や食品・飲料、医療、環境関連などのレジリエンス市場への取組みの強化、ガバナンス体制整備にも対処していく必要があります。NS Vision 2026では、以下5点を重点戦略として設定しておりますが、以上のような環境認識を踏まえ、個別の施策については、各々適宜見直しを行いながら中期経営計画の達成に向けて計画を遂行してまいります。 ① サステナビリティ経営の推進:2024年8月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムへ参画及び、TNFD提言の採用者として登録しました。環境分野では、引き続き当社グループの事業活動で排出される温室効果ガス削減に努めるほか、顧客への環境貢献製商品、サービス拡充に注力してまいります。また、保安・安全の確保、製品・サービスの品質向上、さらに社会から信頼される企業であり続けるための人権尊重の取組みや人財の多様性確保、コンプライアンス推進活動の充実と浸透に努め、持続可能な事業運営を推進しております。 ② カーボンニュートラル社会に向けた新事業の探求:当社グループは、環境貢献製商品やソリューションの提供により、顧客の温室効果ガス排出削減に貢献いたします。当期も引き続き、工業炉プロセスへの酸素燃焼技術適用に向けた技術開発を継続することに加え、新たに“CO2分離回収/貯蔵・貯留”(CCS)のバリューチェーン構築に欠かせないCCS用出荷タンク設備を新たに開発するなど、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する技術開発の促進を行っております。さらに、当社グループの取組みをまとめた専用のウェブサイトの拡充を継続しており、カーボンニュートラル社会に向けた当社グループの取組みのさらなる対外発信の強化に努めてまいります。 ③ エレクトロニクス事業の拡大:需要の回復とさらなる需要の拡大が期待される中、半導体材料ガス及び関連機器などの生産能力の拡充を図っております。また、日本での最先端半導体製造の量産化を目指す顧客のパイロットラインへのガス関連工事施工及びバルクガス供給を進めており、これらの旺盛な大規模半導体工場の新設に必要となる超高純度空気分離装置の製品化に向けた取組みも進めております。 ④ オペレーショナル・エクセレンスの追求:各事業会社では業務の生産性向上活動を強く推進し、利益の最大化を図ることに取り組んでおります。また当社のグローバル化を前進させ、グループ全体で生産性向上プログラムやベストプラクティスを共有させるため、推進プロジェクトのプロジェクトリーダーを指名し活動を推進しています。具体的には、各事業会社のベストプラクティスをオペレーショナル・エクセレンス・デイというイベントで紹介し、各社の生産性向上の意識を高めており、併せてプロジェクトの水平展開をより活性化するために個別のワーキンググループを設けてグループ一丸で活動を推進しております。ワーキンググループは今後拡張を図ってまいります。 ⑤ 新しい価値創出へとつながるDX戦略:各事業会社では、各生産性向上活動や、製品価格マネジメントを推進するためにデジタルデータを活用した事業モデルの高度化に取り組んでおります。今後さらにグループ全体としても各事業会社の取組みを統括して強化してまいります。 4極の産業ガス事業では上記5つの重点戦略に共通して取り組む一方、地域固有の経営課題にも取り組んでおります。 ・日本:収益性向上を重要施策として推進すべく、事業ポートフォリオの見直しや各種収益率向上プログラムを実施するとともに、国内エレクトロニクス産業の拡大を受けた各種需要の獲得と安定供給に向けた設備拡張を進め、トータルソリューションの提供で力強い成長の実現を図ってまいります。また、顧客のGHG排出量削減や生産性向上に資するガスアプリケーションを基点としたイノベーションを実現し、新たな事業領域の探索・拡大を目指してまいります。・米国:新政権による相互関税発動などの政策が米国内産業に及ぼす影響など不確実性が増す中ではありますが、引き続き新規オンサイト事業の探索、物価の上昇に伴うプライシング活動の継続、コールドチェーンにおけるドライアイス需要獲得に向けた生産拠点の拡充などによる事業密度向上を目指します。また既に立ち上げている大型プロジェクトについては円滑な遂行を図ってまいります。・欧州:食品・飲料、医療、環境関連などのレジリエンス市場に注力するとともに、欧州エレクトロニクス市場の拡大を受け、関連製品の需要獲得に向けた対応を進めます。当期においては、エンジニアリング会社への戦略的投資を実行し、スペインにおける在宅医療事業の拡充を発表しました。今後もグループのエンジニアリング能力の強化を図るとともに、引き続き環境関連でのビジネス機会の獲得や酸素燃焼技術領域の拡大とバイオメタン市場の拡大に向けた案件獲得活動を促進してまいります。・アジア・オセアニア:当期は豪州において産業ガス、LPガスの販売を拡大するため、2件の買収について合意いたしました。豪州における当社のプレセンスの向上に加えて、アジア各国における大型オンサイト案件の獲得や空気分離装置の能力増強、成長拡大余地の大きいエレクトロニクス市場に対する製品の拡充に取り組んでおります。同地域の今後の経済成長を前提に、引き続き新商材や事業エリアの拡大に注力するとともに、各事業会社の収益力強化に向けた生産性向上活動の浸透を図ってまいります。 また、当社グループ唯一のB to Cビジネスであるサーモス事業では、新商品を積極的に投入するとともに、機動的な広告宣伝並びに店頭プロモーションを実施することにより需要の拡大を目指します。また、販売チャネルの多角化を図るため、直営店拡大と電子商取引を拡大しており、メンバーズサイトの拡充やお客様サポートにおけるAI活用など、顧客満足度、従業員満足度を向上する取組みにおいてDXを推進しております。 財務目標 実績(2025年3月期)NS Vision 2026最終年度目標(2026年3月期)売上収益1兆3,080億円9,750億~1兆円コア営業利益1,891億円1,250~1,350億円EBITDAマージン(注1)グループ:23.3%各セグメント:15.1~31.3%グループ:≧24%各セグメント:≧17~33%調整後ネットD/Eレシオ(注2)0.71倍≦0.7倍ROCE after Tax(注3)7.2%≧6%(注)1.EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)コア営業利益に減価償却費及び償却費を加えて算出される利益です。国・地域により、金利水準、税率、減価償却費などに差異がありますが、この指標ではその差異を最小限に抑え、利益額を表示します。2.調整後ネットD/Eレシオ財務の安全性を示す指標であり、(純有利子負債-資本性負債)÷(親会社の所有者に帰属する持分+資本性負債)で算出する比率です。なお、格付機関により、ハイブリッドファイナンスで調達した金額(調達時2,500億円)のうち各連結会計年度末における残高の50%を「資本」として認められており、当社内ではこれを資本性負債と呼称しております。 3.ROCE after Tax(Return on Capital Employed after Tax:使用資本税引き後利益率)[NOPAT:税引き後コア営業利益(+受取配当金)]((コア営業利益-コア営業利益に含まれる持分法による投資損益)×(1-実効税率)+コア営業利益に含まれる持分法による投資損益+受取配当金)÷[使用資本](有利子負債+親会社の所有者に帰属する持分)で算出する資本効率性指標です。 非財務目標 実績(2024年3月期)NS Vision 2026最終年度目標(2026年3月期)ご参考:長期目標(2031年3月期)GHG総排出量削減(注4)15.3%18%32%GHG排出量に関する考え方7,454>5,667千t-CO2e当社グループが販売する環境貢献製商品によるGHG削減量>当社グループGHG総排出量-休業度数率(連結)(注5)2.09≦1.6-女性従業員比率20.2%≧22%25%女性管理職比率15.4%≧18%22%コンプライアンス研修受講率99.4%100%-(注)4.欧州事業買収が完了した2019年3月期の実績を補正し基準年度として、該当年度の削減目標を設定します。5.休業度数率労働災害の発生頻度を表す指標であり、休業災害被災者数÷延べ労働時間×100万時間で算出します。6.詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 ④ 指標及び目標」をご参照ください。2025年3月期実績は、2025年9月以降に当社ウェブサイト上で公表する「統合報告書2025」をご参照ください。 当社はグループ理念に「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を掲げており、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現に貢献することを目標にしています。その実現の第一歩として、上記に掲げた課題に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1) 経営成績① 業績全般 当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における当社グループの事業環境は、引き続き、先行きを見通すことが困難な状況でした。 このような状況の下、グループ全体における製商品の出荷数量は微減でしたが、主力製品であるセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は前期並みでした。グループ全体としては、コスト上昇による販売価格への転嫁等の価格マネジメント、そして地域ごとに生産性向上プログラムに取り組みました。一方、米国で建設を進めていた水素生産設備の建設計画中止に伴い、258億42百万円の減損損失が発生しました。これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上収益1兆3,080億24百万円(前連結会計年度比 4.2%増加)、コア営業利益1,891億49百万円(同 13.9%増加)、営業利益1,659億6百万円(同 3.6%減少)、親会社の所有者に帰属する当期利益987億79百万円(同 6.7%減少)となりました。 為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べ、米ドルで145円31銭から152円57銭へと7円26銭(同 5.0%増加)の円安、ユーロで157円72銭から163円66銭へと5円94銭(同 3.8%増加)の円安となるなど、売上収益は全体で約353億円、コア営業利益は全体で約55億円多く表示されています。 なお、コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率(%)売上収益1,255,0811,308,02452,9434.2コア営業利益165,996189,14923,15313.9  非経常項目6,044△23,243△29,287-営業利益172,041165,906△6,134△3.6  金融収益4,3913,886△504-  金融費用△25,711△24,5201,191-税引前利益150,720145,272△5,448△3.6  法人所得税△41,356△43,326△1,970-当期利益109,364101,945△7,419△6.8 親会社の所有者に帰属する当期利益105,90198,779△7,121△6.7 非支配持分に帰属する当期利益3,4633,166△297- ② セグメント業績 セグメント業績は、次のとおりです。 なお、セグメント利益はコア営業利益で表示しております。 〔日本〕 産業ガス関連では、セパレートガス及び炭酸ガスの出荷数量は減少しました。また、電子材料ガスは減収でした。一方、機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の工事の進捗に伴う売上等により、増収となりました。なお、前期の特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化及び民生用LPガス事業を担う子会社の非連結化による減収影響がありました。セグメント利益は、電力代の落ち着きや、機器・工事における売上収益の増加が寄与し、増益となりました。  以上の結果、日本セグメントの売上収益は、4,100億9百万円(前連結会計年度比 1.1%減少)、セグメント利益は、470億90百万円(同 9.5%増加)となりました。 〔米国〕 産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は微増であったことや価格マネジメントの効果により、増収となりました。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に販売が軟調でした。セグメント利益は価格マネジメントの効果に加え、生産性向上に取り組んだ結果、増益となりました。 以上の結果、米国セグメントの売上収益は、3,602億0百万円(前連結会計年度比 3.8%増加)、セグメント利益は、597億61百万円(同 19.5%増加)となりました。 〔欧州〕 産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は前期並み、炭酸ガスは軟調でしたが、価格マネジメントの効果もあり、増収となりました。機器・工事では、ガス関連機器及び医療関連機器の販売が好調で増収となりました。セグメント利益は、売上収益の増加に加え、生産性向上活動が寄与し、増益となりました。 以上の結果、欧州セグメントの売上収益は、3,286億1百万円(前連結会計年度比 8.6%増加)、セグメント利益は、624億19百万円(同 17.2%増加)となりました。 〔アジア・オセアニア〕 産業ガス関連では、セパレートガスの出荷数量は堅調に推移しました。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、販売数量が堅調に推移し、増収となりました。エレクトロニクス関連では、ガス・機器共に増収となりました。一方、セグメント利益は、豪州における人件費及び物流費の上昇、ヘリウムの供給過多による一部地域での販売価格の軟化もあり、減益となりました。また、公表した豪州における買収事業の取得関連費用を第4四半期に計上したことも減益の要因となりました。 以上の結果、アジア・オセアニアセグメントの売上収益は、1,765億38百万円(前連結会計年度比 10.1%増加)、セグメント利益は、150億47百万円(同 5.6%減少)となりました。 〔サーモス〕 日本では、機能的でスタイリッシュなデザインの新製品の上市もあり、ケータイマグの販売は堅調で、また、韓国の販売は前期並みで増収となりました。セグメント利益は、引き続き円安に伴う製造コストの増加の影響を受けましたが、コスト低減に努め、増益となりました。 以上の結果、サーモスセグメントの売上収益は、325億93百万円(前連結会計年度比 5.9%増加)、セグメント利益は、62億86百万円(同 12.9%増加)となりました。  各セグメントの売上収益及びセグメント利益の状況は以下のとおりです。(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減売上収益セグメント利益売上収益セグメント利益売上収益増減率(%)セグメント利益増減率(%)日本414,36542,998410,00947,090△4,355△1.14,0919.5米国347,05450,004360,20059,76113,1463.89,75619.5欧州302,47753,259328,60162,41926,1238.69,16017.2アジア・オセアニア160,32715,948176,53815,04716,21110.1△900△5.6サーモス30,7655,56632,5936,2861,8285.972012.9調整額90△1,78080△1,455△10-325-合計1,255,081165,9961,308,024189,14952,9434.223,15313.9(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③ 経営成績 当連結会計年度における売上収益は1兆3,080億24百万円となり、前連結会計年度に比べ529億43百万円の増収となっております。為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べ米ドルで7円26銭の円安、ユーロで5円94銭の円安、豪ドルで3円95銭の円安となるなど、売上収益は全体で約353億円多く表示されております。 売上原価は7,625億81百万円(前連結会計年度比 184億78百万円増加)、販売費及び一般管理費は3,593億18百万円(同 129億13百万円増加)、その他の営業収益は114億39百万円(同 24億24百万円減少)、その他の営業費用は366億71百万円(同 262億69百万円増加)、持分法による投資利益は50億14百万円(同 10億7百万円増加)となっております。以上の結果、営業利益は1,659億6百万円となり、前連結会計年度比で61億34百万円の減益となりました。また、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いたコア営業利益は1,891億49百万円となっており、前連結会計年度比で231億53百万円の増益となりました。非経常的な要因により発生した損益の主な内容は、減損損失271億40百万円、固定資産売却益53億40百万円などとなっております。 金融収益は38億86百万円(同 5億4百万円減少)、金融費用は245億20百万円(同 11億91百万円減少)、これにより税引前利益は1,452億72百万円となり、前連結会計年度に比べて54億48百万円の減益となりました。主な内容は、受取利息が27億32百万円(同 54百万円増加)、受取配当金が10億15百万円(同 1億37百万円増加)、支払利息が243億89百万円(同 12億41百万円減少)などとなっております。 これらの結果、法人所得税と非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は987億79百万円となり、前連結会計年度比で71億21百万円の減益となりました。 (2) 財政状態 当連結会計年度末の資産合計は2兆4,181億97百万円で、前連結会計年度末比で91億14百万円の増加となりました。為替の影響については、前連結会計年度末に比べて米ドルで1円89銭の円高、ユーロで1円16銭の円高となるなど、約207億円少なく表示されております。 当連結会計年度では、設備投資の進行により、有形固定資産が増加したほか、財務健全性を意識した有利子負債の計画的な返済を進めました。不透明な事業環境下においても、債券市場や金融機関との適切なコミュニケーションを続け、資金流動性と調達力を向上してまいります。 また、2019年1月及び同年3月に調達したハイブリッドファイナンスは合計2,500億円であり、格付機関(㈱日本格付研究所及び㈱格付投資情報センター)から、この調達額の50%を「資本」として認められており、当社では資本性負債と呼称しています。2019年1月に調達した公募ハイブリッド社債のうち1,000億円を2024年1月に期限前償還し、2019年3月に調達したハイブリッドローンについても750億円を2024年12月に期限前弁済しましたため、当連結会計年度末時点でハイブリッドファイナンスは合計750億円となっております。このハイブリッドファイナンスを考慮した財務安全性指標として、当社では調整後ネットD/Eレシオ(※)を重要業績指標の1つとして定めており、負債及び資本の最適な構成を意識しています。なお、調整後ネットD/Eレシオは0.71倍で前連結会計年度末に比べ0.03ポイント改善しております。(※)調整後ネットD/Eレシオ=(純有利子負債-資本性負債)÷(親会社の所有者に帰属する持分+資本性負債) 〔資産〕 流動資産は、前連結会計年度末比で24億25百万円減少し、5,657億76百万円となりました。これは主に為替の影響によるものです。為替影響除外後の実質的な金額で比較すると、主に現金及び現金同等物が増加、また営業債権が減少しております。 非流動資産は、前連結会計年度末比で115億39百万円増加し、1兆8,524億21百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加や、無形資産の減少によるものです。〔負債〕 流動負債は、前連結会計年度末比で1,027億34百万円減少し、3,952億85百万円となりました。これは主に社債及び借入金やその他の金融負債の減少によるものです。 非流動負債は、前連結会計年度末比で370億30百万円増加し、1兆19億82百万円となりました。これは主に社債及び借入金やその他の金融負債の増加によるものです。〔資本〕 資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加や、利益剰余金の配当による減少、在外営業活動体の換算差額の減少等により、前連結会計年度末比で748億17百万円増加し、1兆209億30百万円となりました。 なお、親会社所有者帰属持分比率は40.5%で前連結会計年度末に比べ2.5ポイント高くなっております。 (3) キャッシュ・フロー〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕 税引前利益、減価償却費及び償却費、法人所得税の支払額又は還付額等により、営業活動によるキャッシュ・フローは2,351億47百万円の収入(前連結会計年度比 8.9%増加)となりました。〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕 有形固定資産の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは1,429億26百万円の支出(前連結会計年度比 14.7%増加)となりました。〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕 長期借入金の返済による支出、長期借入れによる収入、配当金の支払額等により、財務活動によるキャッシュ・フローは732億87百万円の支出(前連結会計年度比 33.4%減少)となりました。 これらの結果に、為替換算差額等を加えた当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、1,445億28百万円(前連結会計年度比 14.6%増加)となりました。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期 親会社所有者帰属持分比率(%)27.931.833.538.040.5 時価ベースの親会社所有者 帰属持分比率(%)49.651.147.885.480.8 債務償還年数(年)6.46.25.04.33.8 インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍)12.913.714.79.39.4(注)各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により、以下の定義で算出しております。親会社所有者帰属持分比率 = 親会社の所有者に帰属する持分 ÷ 資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率 = [株式時価総額] ÷ 資産合計債務償還年数 = [有利子負債] ÷ [キャッシュ・フロー]インタレスト・カバレッジ・レシオ = [キャッシュ・フロー] ÷ [利払い]・[株式時価総額]は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。・[キャッシュ・フロー]は、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。・[有利子負債]は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。・[利払い]は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 (4) 生産、受注及び販売の実績 セグメントごとの販売実績については、「(1) 経営成績 ② セグメント業績」に記載のとおりであります。 なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 及び 3.重要性がある会計方針」に記載しております。 (6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金又は金融機関からの借入金、社債等により調達しております。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。 資金の流動性については、安定的な営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関とのコミットメント・ライン契約の締結やコマーシャル・ペーパー発行枠の設定等により十分な手元流動性を確保しております。

事業リスク

  • 地政学リスクと経済情勢の変化
    世界各地で事業を展開しているため、各国・地域の政治情勢、経済状況、貿易政策、テロ、紛争、大規模災害などが事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、米国による関税政策の変更は、主要拠点への影響を通じて、当社グループの収益に悪影響を与える可能性があります。
  • 製造コストの変動と価格転嫁の難しさ
    主力製品である工業ガスの製造には多量の電力を消費するため、原油価格やLNG価格の変動による電力コストの上昇が大きなリスクです。また、人件費や輸送費の上昇も製造コストを押し上げています。これらのコスト上昇を販売価格に十分に転嫁できない場合、利益率が低下し、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 設備投資と稼働率の低下
    大口顧客向けのオンサイトプラント方式では、多額の設備投資が必要です。主要顧客である鉄鋼、化学、半導体、自動車産業などの操業率低下や生産拠点の統廃合・移転が発生した場合、製造設備の稼働率が低下したり、設備が不要になったりするリスクがあります。これにより、設備の除却損や減損損失が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,329 文字
3【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、2020年10月の純粋持株会社体制への移行を機に、よりグローバルな視点に基づく、全社的なリスクマネジメント体制を構築いたしました。「グローバルリスクマネジメント会議」を中心に、グループにおける役割と責任を明確化し、経営上のリスクを中長期視点から評価し、リスクマネジメント活動の最適化を図っています。代表取締役社長 CEOは、「グローバルリスクマネジメント統括責任者」として、全社的なリスクマネジメント体制の整備・運用に関する最終的な責任を担います。また、各事業会社社長等は「地域リスクマネジメント統括責任者」として、所管する地域のリスクマネジメント体制の整備・運用に関する責任を担います。地域リスクマネジメント統括責任者のもとには、「地域リスクマネジメント推進担当者」をおき、各地域のリスクマネジメントを推進しています。「グローバルリスクマネジメント会議」は同時期に開催される「グローバル戦略検討会議」と連携し、グループ全体の事業戦略をリスクと機会の両面から捉えることに努めています。また、「グローバルITセキュリティ評議会」、「グローバルコンプライアンスコミッティ」ともリスク情報を共有しながら、全社的なリスクマネジメント活動を推進しています。当社グループのリスクマネジメントの体制図は、図表1をご参照ください。 (図表1)当社グループのリスクマネジメント体制図 (2)リスクマネジメントのプロセス当社グループでは、事業を取り巻く外部環境・内部環境の変化をリスクと機会の両面から特定・評価します。リスク評価にあたっては、様々な国・地域・領域で事業を展開する事業会社のリスクと、持株会社としての当社のリスクをグループ共通の枠組み(リスクカテゴリ、リスク定義、リスク評価基準)で評価します。グループ全体のリスク評価結果に基づき、「グローバルリスクマネジメント会議」にて、リスク認識、リスク対応を共有し、当社グループの重要リスクを選定します。経営トップの判断のもと、リスクの優先順位、対応方針を定め、重要リスク低減に向けた活動をグループ全体で推進してまいります。リスクマネジメントプロセスは、「当社及び事業会社におけるリスクマネジメントプロセス」と、当社グループとして特に優先して組織的な対応が必要である「重要リスクに関するリスクマネジメントプロセス」があり、いずれもリスクの特定、リスクの評価、リスク対応方針の決定、リスク対応策の決定、リスクへの対応、モニタリング・見直しで構成されます。 また、事業環境の変化が著しい昨今は、変化に応じたリスク対応の強化・見直しが必要となります。当社グループでは、各事業会社とグローバルリスクマネジメント推進事務局が「リスクマネジメント連絡会」を定期的に開催し、事業環境の変化や、それに応じたリスク対応の強化・見直し等のモニタリングを実施し、リスク情報とベストプラクティスの共有を図っています。 (3)グローバルリスクマネジメント会議当社グループは「グローバルリスクマネジメント会議」を原則年1回開催します。グローバルリスクマネジメント会議は、当社代表取締役社長 CEOを議長とし、執行役員、室長、監査役、グループCCO、地域リスクマネジメント統括責任者及び議長が指名する者で構成し、当社グループの重要リスクの選定、対応に関する事項、全社的なリスクマネジメントの基本方針、規程、及び計画に関する事項等について審議を行います。当社グループの重要リスクの選定にあたっては、グループ共通のリスク評価基準である「発生頻度」(5段階)「影響度」(5段階)とともに、以下図表2の考え方を踏まえて検討します。 (図表2)当社グループの重要リスク選定の考え方 2024年度のグローバルリスクマネジメント会議では、昨年度の重要リスクテーマ、そしてこの1年間の環境変化を踏まえ、以下を当社グループの重要リスクテーマとして選定しました。 1.外部環境・内部環境の変化地政学リスク、サプライチェーン、経済情勢の変化、カーボンニュートラル2.基盤事業の維持・強化設備老朽化、技術開発の連携強化、コンプライアンス・腐敗防止、ITセキュリティ3.上記を支える人材の確保・育成人材不足、後継者計画、DEI 上記の重要リスクテーマごとに各事業会社、NSHD各室におけるリスク認識、リスク対応策を比較し共有しました。地政学リスクのみならず経済情勢が大きく変化する中、2024年度は「米国による関税政策と当社グループの主要拠点への影響」等についてディスカッションを行いました。それぞれの事業環境により、リスク認識、リスク対応策は異なりますが、その背景と違いを理解し、リスクを多面的に捉えることにより、当社グループにおけるリスクマネジメント活動の更なる向上を図ります。 今後も当社と各事業会社が連携しながら、重要リスクテーマの対応状況の確認や、リスク低減に向けた取組みを進めてまいります。上記を踏まえた当社グループの「事業等のリスク」は以下のとおりです。 (4)事業等のリスク 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。  (1) 経営戦略・事業に関するもの① グローバル事業展開について当社グループは、現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各国における事業運営は、これらの国・地域における市場動向、政治、経済、慣習、宗教、テロ、紛争、大規模災害その他の要因によって、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は各地域を統括する事業会社との意思疎通と情報共有を進め、迅速な意思決定に努めております。 ② 設備投資について当社グループは、各国に工業ガスの製造拠点を有しており、大口顧客向けには、顧客の敷地・隣接地に空気分離装置等を設置し、パイピングによるガス供給(オンサイトプラント方式)を行っております。また、新たな分野を含め、今後ともビジネスチャンスの獲得に向けた投資を進めてまいりますが、産業構造、及び需要動向の変化による鉄鋼、化学、石油精製、半導体、自動車等、主力顧客の操業率の低下や、生産拠点の統廃合や移転などにより、当社グループの製造設備の稼働率が低下し、或いは設備の全部又は一部が不要になり、また建設中のプロジェクトにおいて、顧客の事業環境、経営状況の変化によりプロジェクトの継続が困難となり、かつ、契約による補償でカバーできない場合には、設備の除却損、減損損失等の発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製造コストについて主力製品である酸素、窒素、アルゴンの製造コストは、電力コストが大きな割合を占めており、近年の原油価格やLNG価格の大幅な変動の影響を受けております。また、人件費や輸送費等も上昇しており、製造コストは高止まりが継続しております。それに対し、販売価格への転嫁を実施しておりますが、製造コストの上昇が継続し、転嫁が充分に行えない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ サプライチェーンについて当社グループが取り扱う産業ガス製品には、各種成分を混合させて製造する半導体特殊材料ガスや、産出される天然ガス田の大半を北米や中東が占めるヘリウムガスなど、グローバルなサプライチェーンが不可欠な製品があります。これらの製品は、生産状況の変動や生産国における地政学リスクの高まりにより、輸出入の規制対象品となることや、海上輸送状況の変動により、お客様への安定供給に支障が生じるリスクがあり、支障が生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報セキュリティについて近年、AIの著しい進展もあり情報セキュリティリスクは増大しております。特にサイバー攻撃はますます高度化しており、当社及び当社グループ会社において業務の中断やデータの不正流出など、予期せぬ状況や損害が発生する恐れがあります。当社はこうした情報セキュリティリスクに対処するため、「グローバルITセキュリティ評議会」が中心となり、アプリケーションの脆弱性を特定するためのリスク評価や、セキュリティ基盤の強化に向けた取組みを実施しています。また当社グループ全体で情報セキュリティポリシーを展開し、情報セキュリティ要件の標準化を図るとともに、従業員向けの情報セキュリティ教育、研修を実施し、情報セキュリティリスク低減に向けた取組みを進めています。 ⑥ 気候変動について地球温暖化等環境課題に関する取組みや気候変動等のリスクを開示する要請が高まる中、当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づいた情報開示を進めています。これにより、ステークホルダーとの対話を強化し、グループ全体で企業価値の向上を目指しています。温暖化シナリオ分析を通じて特定した主要なリスクは、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは特定したリスクを〔影響を受ける可能性〕と〔影響の大きさ〕に基づき評価し、主要なリスクについては、財務的な影響を定量的に試算しています。気候変動に関する当社の取組みについては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」にて、詳細に記載しております。 ⑦ 法規制等について当社グループは、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しておりますが、各国において予想外の法規制の変更、法律・規則の制定や行政指導があった場合、対応コストの発生により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において環境に配慮した事業活動を行っておりますが、環境関連法規の改定によって規制強化が図られた場合には、対応コストの増大により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは各国において輸出を規制する法律・規則の対象となる製品・サービスの輸出を行っております。国際情勢の変化により各国の輸出規制が強化された場合には、特定の国もしくは企業への製品・サービスの輸出が減少する可能性があります。この場合には輸出の減少により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国際情勢の変化により、当社グループが製品を輸入している特定の国もしくは企業が各国の法律により制裁対象となることがあります。その場合には当該製品の輸入を行うことができず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが製品を輸出している国において、当該製品に対する関税の引き上げが行われた場合には、当該製品の競争力が失われることによりその国への輸出が減少し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、国内外において事業を遂行する上で、産業ガス事業を規制する法律・規則だけでなく、腐敗防止法、競争法や環境保護又は輸出規制等に関する法規を担当する規制当局による調査を受けるリスクを有しており、調査の結果、罰金の支払命令、事業の停止命令、許認可の取消等の当社グループに不利益な決定がなされた場合、当社グループの事業展開、経営成績、財政状態及び信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 人財について当社グループは現在、日本、米国、欧州、アジア・オセアニアの4極で、グローバルに事業を展開しております。各地域の事業運営には安定的に労働力を確保することが不可欠であり、目標達成には、生産、エンジニアリング、マーケティング、販売、物流、管理等の各機能や経営全般を担う人財や関連法規で要求される資格やIT等の高度専門知識と技能を有した人財、さらにグループ総合力の強化の取組みを促進するため、グローバルな視点をもった人財が必要です。そのため、多様な人財を受け入れる職場環境を醸成する施策や従業員のエンゲージメントを向上させる施策をグループ全体で促進し、人財の定着、人財の多様化、グローバル人財の育成、及び採用の競争力向上に努めています。 ⑨ 技術開発について当社グループは、積極的な技術開発活動を行い、今後の事業拡大を目指しておりますが、新製品・新技術の開発にはリスクが伴います。例えば、商品化や事業化までに長い期間を要するような場合、関連市場の状況の大きな変化により、市場投入のタイミングを逸してしまう可能性や、他社の新技術・新製品、代替製品により当社グループ製品の競争力が低下する可能性があります。当社グループでは、各開発プロジェクトの進捗と市場環境の変化に合わせて、適時プロジェクトの見直しを図っています。また、グループ内で情報共有を行い、技術開発活動に反映することで、当社技術の競争力向上に努めています。  (2) 技術・保安に関するもの当社グループは、保安、環境、品質・製品安全、知的財産に係るリスクを技術リスクとして定義し、原則年1回開催する「グローバル戦略検討会議」の中で、各事業会社の取組み状況を確認し、持株会社としての取組み方針を決定しています。また、当社と各事業会社の保安、環境、品質保証、知的財産の責任者を委員とする「技術リスク連絡会議」を年2回開催し、会議の決定事項に取り組み、技術リスクの低減に努めています。 ① 保安について当社グループは、高圧ガスの製造・販売等を行っており、これらの製品については、高圧力や極低温による危険性のほか、液晶や半導体関連向け製品等の毒性・可燃性を有するガスも含まれております。万が一、漏洩・発火・爆発等で人身や設備に多大な損害が生じた場合には、操業停止などにより当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、これら製品の製造・供給については、取り扱う従業員に対して階層別や応募型の教育を行っています。特に、体験型技能研修施設であるテクニカルアカデミーにおいて、ガスの物性や危険性及びその取扱いについて講習することで、設備事故はもとより労働災害事故の撲滅を目指します。また、アジア・オセアニア地域の海外現地法人向けにも講習を拡充し、安全文化の醸成による保安の確保に万全を期しています。 ② 環境について当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理など、事業展開する各国の環境規制に従って、業務を遂行しております。当社グループが現在及び将来の環境規制を遵守できなかった場合や当社グループが責任を負う汚染が発見された場合、罰金、汚染物質の除去費用又は損害賠償を含む費用や、施設及び設備を改良する投資が必要となる可能性があります。また、将来的に環境に対する法規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。当社グループでは、環境マネジメントシステム、保安・環境監査などにより、環境法令遵守に努めています。 ③ 品質・製品安全について当社グループは、高圧ガス及び関連する機器類の製造・販売等の事業を行っており、これらの製品に万が一欠陥や品質不良、故障が生じた場合には、お客様からの信頼の低下や損害賠償の負担などにより当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、法令やお客様の要求事項を確実に満たすために品質管理を実施し、また、販売開始前に安全審査を行い、製品に起因するリスクを適切に管理しております。 ④ 知的財産について当社グループは、知的財産を企業の競争力を高めるための経営資源と位置づけており、必要な知的財産権の取得及び保護を推進しております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用する可能性があります。そのため、必要に応じて弁護士、弁理士、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品、模倣品の監視及び排除に努めています。一方、第三者の有効な知的財産権に対しては、代替技術の開発又は技術的な回避策を事業部門及び開発部門と連携して講じるなど、第三者の知的財産の侵害を回避する体制を構築しております。これまで当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された例は非常に少ない状況にありますが、訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、第三者の知的財産権を尊重することをポリシーとして掲げ、定期的な知的財産教育を行うことで、当該リスクの低減と最小化に努めております。 (3) 財務に関するもの① 為替レートの変動について当社グループは、特殊ガス、ヘリウム、機器・装置関連で原材料等の海外からの調達や製品の輸出を行っております。当該取引に関連しては、外貨建てで行っている取引があることから、為替予約などにより為替レートの変動リスク回避に努めておりますが、急激な為替の変動に対処できない場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、在外連結子会社の外貨建財務諸表金額は、連結財務諸表作成過程において円換算されるため、為替レートが予想を超えて大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 金利の変動について当社グループは、事業戦略に基づき設備投資、M&Aを実施し、その資金を主に金融機関からの借入や社債によって調達しております。当社グループは主に固定金利による借入を行っておりますが、2019年3月期に実施した米国Praxair, Inc.の欧州事業の買収のための調達は、大部分を変動金利による借入もしくは一定年数後に固定金利から変動金利に変更されるハイブリッドファイナンスで行っており、今後の金利変動によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 三菱ケミカルグループ㈱との資本関係について三菱ケミカルグループ㈱は当社発行済株式数の50.59%の株式を所有しております。また、同社は、2014年5月13日付けで締結いたしました資本業務提携関係のさらなる強化及び企業価値の向上を目的とした基本合意書の中で、当社に対する持株比率の維持について合意しております。しかしながら、今後、同社グループとの資本関係に変更が生じた場合、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ④ のれん及び無形資産について当社グループは、企業買収等に伴い、のれん及び無形資産(以下、「のれん等」という。)を連結財政状態計算書に計上しております。当社グループが将来新たに企業買収等を行うことにより、新たなのれん等を計上する可能性があります。当社グループは、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産について毎期減損テストを実施し評価しております。経済の著しい悪化等により対象事業の成長率が大幅に低下した場合や、市場利率等の上昇により使用価値の計算に用いられている割引率が大きく上昇した場合などには、回収可能価額が著しく減少して減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) その他大規模自然災害、感染症等について大規模自然災害が発生した場合、当社グループの事業拠点が甚大な被害を受ける可能性があります。大規模な各種自然災害によって大型の製造拠点が被災した場合、労働力や生産機能の大幅な低下、巨額の復旧費用等の発生は避けられず、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ事態や複合的災害、感染症などが発生した場合は、当社グループの事業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの緊急事態発生に備え、当社グループでは、平時において事業継続計画(BCP)に必要となる発災直後の迅速な情報収集体制を整え、役職員の人命と安全を守る活動と、中核となる事業の継続や早期復旧に必要な取組みを進めております。

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