研究開発活動(本文)
FY2025|9,913 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。技術開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、エレクトロニクス、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、環境、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取り組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は4,946百万円であり、各セグメントの内訳は、日本で4,078百万円、米国で729百万円、欧州で105百万円、サーモスで32百万円となっております。主な技術開発活動の概要は次のとおりです。 〔日本〕日本セグメントにおいては、大陽日酸株式会社(以下、「大陽日酸」という。)つくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター、メディカル・テクニカル・サービスセンター及び京浜事業所の5拠点が連携して技術開発を実施しています。事業部門と開発部門の連携を強化し、工業ガスビジネス、エレクトロニクスガスビジネス、プラントビジネス、メディカルビジネス、新規事業開発に向けた基盤事業を支える技術開発を推進しています。カーボンニュートラルについてはグループ共通の重点課題として取り組んでいます。 カーボンニュートラルに向けた取組み当社グループが所有する酸素燃焼技術をベースに、カーボンフリー燃料を利用する新たな酸素燃焼技術を開発しカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。・カーボンフリー燃料である水素ガスに注目し、工業炉分野でのCO2排出削減への貢献に取り組んでいます。大陽日酸の酸素バーナのラインナップである高速酸素バーナランス「SCOPE-JETⓇ」、超低NOx酸素バーナ「Innova-JetⓇ」、自励振動型酸素バーナ「Innova-JetⓇSwing」について、水素を燃料として利用することを可能にしました。・新型ガラスカレット熔解炉に使用する水素混焼酸素富化バーナを光学ガラスメーカーと共同で開発しました。今回の開発により、GHG排出量は従来の空気バーナに比べて、最大62%削減が可能になります。・また欧州事業会社のNippon Gases Euro-Holding S.L.U.と、欧州の顧客の生産設備に導入したガラス製造プロセス向け酸素燃焼バーナ「Innova-JetⓇ Forehearth」で実証試験を実施し、CO2排出量が65%削減されることを実証しました。・半導体封止材料の充填剤(フィラー)の製造工程に用いられる、純酸素燃焼を用いた粉体溶融・球状化システム「CERAMELTⓇ」に水素燃焼技術を組み合わせる技術を開発しました。燃焼工程におけるCO2排出量の削減とともに、カーボン不純物を低減させた高品質な球状粒子の製造に貢献することができます。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニア利用・生産技術開発/工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」に参画し、アンモニア-酸素燃焼技術の開発を進めています。当連結会計年度も引き続きAGC株式会社横浜テクニカルセンターのガラス溶融炉で、アンモニア-酸素燃焼技術の実証試験を継続し、技術実装の可能性検証を実施しております。・石灰製造炉などの高濃度CO2排出源をターゲットとして、10t/日規模のCO2回収装置(回収CO2濃度98%)を開発・商品化しました。中小規模排出源(排ガス量1,000Nm3/hクラス)向けの装置であり、ユニット化して導入・設置が容易に行えます。また当連結会計年度において、適用可能な原料CO2濃度範囲を20~60%まで拡大し、幅広いCO2排出源からのCO2回収を可能にいたしました。原料CO2濃度が20%未満である排出源からの回収についても、現在、本回収装置の適用を可能にすべく技術開発に取り組んでいます。・アンモニアから燃料電池自動車(FCV)の水素燃料に求められる品質仕様(ISO14687:2019 Grade D)を満たす水素の製造実証に成功しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」に参画し、大型の水素精製装置の開発を進めています。 工業ガス分野産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しています。<溶接技術>・配管の自動溶接に関する市場ニーズに対応し、グループ会社の日酸TANAKA株式会社と溶接状態を可視化するカメラ「サンアークアイ」シリーズを共同で開発し、2019年4月より販売しています。更に溶接状態を可視化するカメラ「サンアークアイ」シリーズの新モデルとして、現行タイプに比べて性能を維持しながら約40%の小型化・軽量化を実現した「サンアークアイSMART」を開発し、商品化しました。 <低温利用技術>・液体冷媒を液化窒素で冷却・循環・供給するクールマイスターⓇシリーズ(低温反応制御システム)に、新たに「クールマイスターⓇAC」を商品化しました。窒素やヘリウムなどの不活性ガスを液化窒素で冷却し、-180~-60℃の任意温度の極低温不活性ガスを供給することで、材料試験や機器の環境試験における極低温環境形成に貢献します。・産業用、自動車部品ゴムのバリ取りの自動化に対応し、大陽日酸独自の振動篩機構を搭載するとともに、コンパクト化と低価格化を両立した高精度な液化窒素式バリ取り装置「ソフトブラスターⓇSCS-CB-BS20」を開発しました。2025年4月より同装置をラインナップに加えて販売を開始します。 エレクトロニクス分野社会のデジタル化の加速的な普及、カーボンニュートラルな社会を支えるエレクトロニクス産業の発展に貢献するために、電子材料ガスや関連機器の販売やサービスのグローバルな提供とともに、技術開発を強化しています。・大陽日酸とRasirc, Inc.は共同でALD成膜技術の開発に取り組んでいます。窒化膜ALDには無水ヒドラジンが、酸化膜ALDには過酸化水素ガスがそれぞれ既存の窒化材、酸化材よりも良好なプロセスを実現できることを実証しています。当連結会計年度は前年に開発した、有機溶媒と混合させることで安全性を高めた無水ヒドラジン供給ソース(Rasirc, Inc.製BRUTEⓇ-Hydrazine)を供給源とする高純度ヒドラジンガス供給システムの顧客での評価を継続しております。・当社グループが製造しているジボランガスは、ロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)など幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料です。日本、韓国、中国での製造能力を順次増強するため、製造システムを進化(深化)させています。・大陽日酸が開発したインテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)は、IoTやRPAを活用したデジタル革新技術と、長年蓄積した大陽日酸のガスハンドリング・ノウハウを融合した次世代ガス供給システムです。人とロボットが共に働く協働社会の実現、新たなサービスの付加提供によって、お客様の業務効率化、省力化に貢献するべく、改良改善を進めています。・導電性ペースト・インク用途向け表面改質銅ナノ粒子を開発しました。銅ナノ粒子が有機溶媒中に均一に分散するため、小型電子部品の電極薄膜やセラミック基板の微細配線を実現するための銅ペーストの製造に有効です。・半導体産業における、高反応性を有する種々のガスの不純物濃度をインラインで高精度かつ高感度で連続監視する、真空深紫外光によるガス濃度モニタの開発に取り組んでいます。 プラント分野深冷空気分離プラントについては当社グループのコア技術の深化(高性能・高品質・低コスト)に取り組むとともに、プラント製作、工場操業、ロジスティックスに革新を起こすため、DXを推進しています。・DX推進によって保安や品質管理、生産性の向上に努め、遠隔監視システムやプラント運転条件制御システムを深化させました。・半導体工場向けに超高純度酸素とアルゴンを効率的に安定して併産可能な窒素製造装置(NGU)を開発しています。 メディカル分野高品質の医療用ガスの安定供給を行うとともに、在宅酸素療法のためのさまざまな機器の開発・製造、機器の定期点検や遠隔監視システム、医療用ガスの24時間体制の緊急配送など、トータルサポートに貢献しています。さらに、当社グループの持つガステクノロジーを応用し、生体試料の凍結保存をはじめとするバイオ分野、SI(Stable Isotope 安定同位体)や混合ガス等を利用した高度診断・治療分野にも取り組んでいます。・医療ガス供給設備の容器(O2、N2、Air)内ガス残量などを遠隔地で監視するシステムの最新版となる次世代医療ガス監視システムTerm-3を開発し、展開しております。通信規格をLTE(4G)とし、サーバ機能をクラウド化することで、手持ちの端末による監視データの閲覧を可能にしました。信頼性の向上、ガス安定供給の強化、異常発生時の重大事故回避に貢献しています。 新規事業分野当社グループでは、自社開発技術やオープンイノベーションにより獲得した製品・技術の事業化を加速しています。アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業、化合物半導体製造装置やSI(Stable Isotope 安定同位体)をはじめ、今後市場の発展が見込まれる分野の事業拡大を推進しています。 ・アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業では、技術の開発と造形物品質安定化に寄与するソリューションの拡充に注力しています。当連結会計年度においては、高い品質が求められる日本市場に向けて、米国のPhase3D社が開発した金属AM用造形品質モニタリングシステム「Fringe Inspection」の国内販売に向けた契約を締結しました。また、大陽日酸の独自技術である回転TIG溶接技術による金属AM向けの専用トーチ(3DProⓇ RotoTIG)を開発いたしました。これにより無欠陥・酸化レスの高品位な溶接技術を金属AMで実現できます。・半導体関連事業では、大陽日酸ATI株式会社とともに、半導体関連装置の研究開発を推進するため、北九州学術研究都市内に、「TNSCイノベーションセンターひびきの」を開設しました。大陽日酸の取り扱う先端製品を設置し、半導体関連装置の使用最適化をはじめ、各研究機関との共同開発による装置の研究開発に取り組みます。また、ロジックやDRAM等の先端半導体分野向け特殊材料として、Rasirc, Inc.の過酸化水素供給ソース「BRUTEⓇ Peroxide」の販売を日本で開始しました。低温での成膜や膜質改善の効果が見込める過酸化水素(H2O2)ガスを研究開発用途又は少量生産工程に供給してまいります。・化合物半導体製造装置事業では、MOCVD装置及びHVPE装置の製造・販売するとともに、用途拡大、改良改善のための開発に取り組んでいます。当連結会計年度においては、深紫外線ライトを使った除菌装置の開発・販売を手掛けているLit Thinking社より、大陽日酸製MOCVD(SR2000HT-RR)を受注しました。本装置はUVオプトエレクトロニクスのデバイス及びパワーエレクトロニクスの開発促進に必須となる高品質なアルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)の安定的な製造に用いられます。また、大陽日酸当社製MOCVD装置(型式:SR4000HT)がサウスカロライナ大学に採用されました。本装置はパワーエレクトロニクスやその他のワイドバンドギャップ半導体製造に用いられ、窒化物半導体の開発に貢献することが期待されます。大陽日酸は同大学と協力し、先進的な窒化物半導体デバイスの研究開発を支援することで、大陽日酸製MOCVD装置のグローバル市場に対する優位性が促進されると期待しています。さらに、ワイドバンドギャップ半導体において世界的に著名なオハイオ州立大学に対し、高性能な化合物半導体デバイスの製造に不可欠な窒化物用MOCVD装置(SR4000HT-RR-LV)と酸化物用HVPE装置を納入いたします。・SI事業では、世界初の酸素蒸留による酸素安定同位体(17O、18O)濃縮技術を開発し、水や酸素ガス、それらを使用した同位体標識化合物を製造・販売しています。・新規事業として無細胞タンパク質合成技術を活かし、クロマトグラフィー技術に強みを有する株式会社ワイエムシィと共同で、バイオ医薬分野で需要が見込まれる難発現タンパク質の合成から精製までの一貫した開発に取り組んでいます。当連結会計年度においては、無細胞タンパク質合成技術のスケールアップ並びに応用研究開発を推進するため、公益財団法人 木原記念横浜生命科学振興財団の管理する木原横浜バイオ産業センター内に、開発拠点を開設しました。新しい開発拠点では、無細胞タンパク質合成技術を活用し、細胞成長因子や酵素などの機能性タンパク質の生産を目指した技術開発に取り組みます。・大陽日酸は無細胞タンパク質合成技術を活かし、クロマトグラフィー技術に強みを有する株式会社ワイエムシィと共同で、バイオ医薬分野で需要が見込まれる難発現タンパク質の合成から精製までの一貫した開発に取り組んでいます。 〔米国〕米国セグメントにおける研究開発活動は、コロラド州ロングモントに所在するMatheson Advanced Technology Centerにて行われています。ここでは、技術力の向上、顧客サービスの強化、及び既存市場やエレクトロニクス分野の拡大に向けてリソースを投入しています。R&Dセンターでは、既存製品の支援や、それに関連する技術課題の診断・トラブルシューティング、分析機能の強化などを通じて、事業支援に積極的に取り組んできました。また、新製品の開発にも注力しており、各種分子や混合ガスの高純度化、及び半導体チップ製造における微量汚染・不純物の制御と最小化に関する取組みを進めています。Matheson Tri-Gas, Inc.(以下、「Matheson Tri-Gas」という。)は、大陽日酸の研究開発部門との連携も積極的に進めており、当社グループ内でより効果的なR&Dを推進しています。Matheson Tri-Gasと大陽日酸は、ガスの分析・合成・精製に関してそれぞれの強みを持っており、相互の能力と経験を活かすことで技術や製品の開発を加速させています。この活動は開発活動における重複の削減にもつながり、研究開発リソースの有効活用にも貢献しています。新製品の開発においては、Matheson Tri-Gasは新しい精製器や材料の開発を進めています。最近では、半導体デバイス製造において、集積回路が製造された後に行われる各種試験や特性評価の段階で発生し得る汚染を防止・除去するための新型精製器を開発しました。これらの試験中に、不純物がウエハーへ拡散・移動し、汚染の原因となることが知られています。Matheson Tri-Gasの新精製器は、このような汚染源を除去又は最小化することを目的に開発され、現在は実際の生産環境における性能評価試験が開始されています。また、半導体業界においてより高純度なガスを求めるニーズが高まっていることから、従来型の精製器の改良も積極的に行っています。たとえば、Extreme Clean Dry Air(XCDA)の分野では、従来は1ppb以下の除去性能が標準とされていましたが、近年ではさらに低濃度までの除去が求められています。こうした要請を受けて、大陽日酸との協業を開始しました。Matheson Tri-Gasはまた、分子量の高低を問わず、有機物や炭化水素系不純物の除去に向けた精製材料の開発と特性評価も進めています。これらの除去性能を正確に評価するため、超微量レベルでの分析手法を開発し、精製性能の測定精度を確保しました。その結果、ppq(parts per quadrillion:1京分の1)レベルでの炭化水素除去が可能な精製材料の開発に成功しました。さらに、Matheson Tri-Gasは半導体ガスの除害装置分野においても、新しい材料、容器、装置の開発を進めており、特に水素化物系及びフッ素系ガスに対する動作効率、寿命、容器設計の改善に注力しています。新製品では、顧客の厳しい要求仕様を満たすために、物理的及び化学的条件が考慮されており、従来品と比べて5~10倍の寿命向上が実現されています。また、容器や装置設計の改良も施されており、これらのガスを使用する半導体顧客に対して、製品性能全体の向上に貢献しています。金属のサンプリングや分析の分野でも、Matheson Tri-Gasは活発な活動を展開しています。装置の検出限界を低下させ、分析データのばらつきを抑制して再現性・信頼性の高い結果を安定的に提供するため、環境由来の汚染を最小限に抑えることに取り組んでいます。さらに、装置の基本的な検出限界を向上させる改良も進行中です。最後に、サンプル間のばらつきと汚染を低減するため、オートメーション化も積極的に行っています。 〔欧州〕欧州セグメントにおける研究開発活動は、カーボンニュートラル及びガスアプリケーションに重点を置き、地域産業に対して高品質なガスソリューションを提供することを目的としています。研究開発の中核拠点は、スペイン・エルナニにあるHernani Centerに設置されており、同拠点では廃水処理技術、バイオガス(バイオメタン、バイオCO2)、及びデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する技術開発を進めています。また、北欧の研究開発センターでは、水産養殖に関連する技術開発が行われています。さらに、イタリアの持分法適用関連会社であるHysytech S.r.l.との連携のもと、カーボンニュートラルを中心とした技術開発プロジェクトを推進しています。その他の欧州各国においても、燃焼技術、食品冷凍、金属加工、水産養殖、金属の積層造形(3Dプリンティング)など、ガスアプリケーションに関わる顧客ニーズに対応した技術・製品開発に取り組んでいます。当連結会計年度においては、イタリアのプラントエンジニアリング企業Polaris S.r.l.への戦略的投資を実施しました。本パートナーシップにより、ガス分離及びカーボンニュートラル関連プロジェクトにおける技術開発力の強化が図られています。また、在宅呼吸療法サービスの強化を目的として、Esteve Teijin Healthcare, S.L.(ETH)の買収について合意しました。ETHが有する呼吸療法に関する豊富な知見と、当社グループのガス技術に関する専門性を融合させることで、当該分野での存在感を一層高めてまいります。さらに、都市廃棄物の再利用と価値化を専門とするIET Ecology, S.L.への戦略的投資を行いました。本パートナーシップを通じて、脱炭素化ソリューションを強化するとともに、e-フューエル(合成燃料)製造技術へのアクセスも得ることになります。なお、Hysytech S.r.l.では当連結会計年度に新本社を開設しており、エンジニアリング機能及び製造能力の拡充に加え、先進的な研究開発ラボも整備されました。これにより、バイオガス生成を含むグリーンケミストリー分野での技術開発がさらに加速しています。こうした活動を通じて、環境・社会・ガバナンス(ESG)への取組みが高く評価され、EcoVadis SASより2年連続でプラチナメダルを受賞しました。加えて、欧州地域におけるニーズに対応するため、ベルギーの一貫製鉄所を対象としたCO2からCOへの触媒転換リアクターに関する研究開発プロジェクトを、他の主要な化学メーカー及び鉄鋼メーカーと共同で進めています。Hysytech S.r.l.はこのプロジェクトにおけるEPC(設計・調達・建設)業務を担っており、日本及びベルギーでの地域助成金取得を目指しています。これらの取組みを通じて、欧州地域の産業ニーズに対応した技術開発を推進するとともに、前述の技術分野における当社グループの技術力強化を図っています。 〔サーモス〕サーモスセグメントにおいては「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という理念に従い、「利便性」と「環境保護」を両立させることを使命と考え、保有する断熱技術をはじめとした様々な技術と創造力で省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現する新しい価値を提供できるような商品開発を推進しております。当連結会計年度においては、サーモスブランド120周年に合わせてプロモーション活動を行うとともに、主力商品である携帯用まほうびんに新商品を投入しました。また、キッチンアイテムの商品拡充、アパレル分野への新商品投入を実現しました。携帯用まほうびんシリーズとして、累計出荷本数3,000万本を突破した真空断熱ケータイマグをリニューアルした、『JNL-Sシリーズ』を開発しました。『JNL-Sシリーズ』は中栓の構造と材料に加えて、本体の塗装を改良して耐熱性を向上させ、全パーツ食洗機対応の洗浄性を高めたモデルとなっております。飲み口は新分解構造で利便性も向上し、形状についてもより唇にフィットするように改良しました。『JOYシリーズ』において、飲み口に新構造となる「フルイドテック構造」を採用しました。大容量サイズの水筒でも、一度に多くの飲料が流れ出てこないようスムーズに飲める新しい飲み口の開発に着手し、「フルイドテック構造」を開発しました。水筒を傾けた際の流出量を抑えることで、温冷問わず滑らかな飲み心地を実現しました。フライパンシリーズや調理器具からなるキッチンプラスシリーズにおいて、『取っ手のとれるフライパンセット』をリニューアルしました。取っ手の取り外しは可動ボタンをスライド式にしたことで、取り外し時の誤操作を防ぐことができます。また、サーモス株式会社で初めてセラミックコーティングを採用したマルチポット『KNCシリーズ』を開発しました。高い硬度で傷がつきにくく耐久性が高い「セラプロテクトコート」を採用しております。同じくキッチンプラスシリーズにおいて、サーモス株式会社初となる包丁シリーズ『KKA/KKBシリーズ』を開発しました。これにより切るという調理の工程を提供することができるようになりました。使い勝手については、刃と柄の部分のつなぎ目も一体構造として洗浄性を向上させたうえで、最適な重心位置・重量を設計し、スリムな刃幅で小回りが利き、料理に苦手意識がある方にも使いやすい包丁としています。アパレル小物を展開する新サブブランド「&ONDO(アンドオンド)」から12アイテムを開発して発売しました。サーモス株式会社が提供してきた温度による心地よさの観点から、温度にまつわるストレスのひとつである「冷え」に着目し、「サーモス=保温、温かい」とイメージからくる期待に応えられるような商品開発により、温かさや心地よさをしっかり体感していただける仕様としています。『起毛であったかルームソックス』では独自の極起毛を採用、長い極起毛が空気層を作ることで、足先の体温をキャッチして保温します。『手首あったかビーズウォーマー』『あったかビーズクッション』にはチタンコートあったかビーズを採用し、ビーズ内側の空洞とビーズ同士の空洞が作る空気層が魔法びんのような保温効果をもたらします。このように引き続き積極的に新商品を投入し、お客様に快適なライフスタイルを提案しております。
FY2024|6,694 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。技術開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、エレクトロニクス、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、環境、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取り組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は4,466百万円であり、各セグメントの内訳は、日本で3,895百万円、米国で529百万円、サーモスで41百万円となっております。主な技術開発活動の概要は次のとおりです。 〔日本〕日本セグメントにおいては、大陽日酸株式会社つくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター、メディカル・テクニカル・サービスセンター及び京浜事業所の5拠点が連携して技術開発を実施しています。事業部門と開発部門の連携を強化し、工業ガスビジネス、エレクトロニクスガスビジネス、プラントビジネス、メディカルビジネス、新規事業開発に向けた基盤事業を支える技術開発を推進しています。カーボンニュートラルについてはグループ共通の重点課題として取り組んでいます。 カーボンニュートラルに向けた取組み当社グループが所有する酸素燃焼技術をベースに、カーボンフリー燃料を利用する新たな酸素燃焼技術を開発しカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。・カーボンフリー燃料である水素ガスに注目し、工業炉分野でのCO2排出削減への貢献に取り組んでいます。当社酸素バーナのラインナップである高速酸素バーナランス「SCOPE-JETⓇ」、超低NOx酸素バーナ「Innova-JetⓇ」、自励振動型酸素バーナ「Innova-JetⓇSwing」について、水素を燃料として利用することを可能にしました。・半導体封止材料の充填剤(フィラー)の製造工程に用いられる、純酸素燃焼を用いた粉体溶融・球状化システム「CERAMELTⓇ」に水素燃焼技術を組み合わせる技術を開発しました。燃焼工程におけるCO2排出量の削減とともに、カーボン不純物を低減させた高品質な球状粒子の製造に貢献することができます。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニア利用・生産技術開発/工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」に参画し、アンモニア-酸素燃焼技術の開発を進めています。2023年度は、AGC株式会社横浜テクニカルセンターのガラス溶融炉で、アンモニア-酸素燃焼技術の実証試験を世界で初めて成功させました。・石灰製造炉などの高濃度CO2排出源をターゲットとして、10t/日規模のCO2回収装置(回収CO2濃度98%)を開発・商品化しました。中小規模排出源(排ガス量1,000Nm3/hクラス)向けの装置であり、ユニット化して導入・設置が容易に行えます。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」に参画し、水素精製装置の開発を進めています。工業ガス分野産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しています。<溶接技術>・配管の自動溶接に関する市場ニーズに対応し、大陽日酸株式会社と日酸TANAKA株式会社は、溶接状態を可視化するカメラ「サンアークⓇアイ」シリーズを共同で開発し、2019年4月より販売しています。新たに商品化した「サンアークⓇパイプコントローラ」は、回転管自動溶接の高品位と自動化を両立する制御装置です。配管自動溶接の各段階の溶接条件を予め設定して自動制御させることができるため、溶け込み不足といった不具合を回避し、全周に渡り安定した高品位な配管自動溶接を実現します。<低温利用技術>・液体冷媒を液化窒素で冷却・循環・供給するクールマイスターⓇシリーズ(低温反応制御システム)に、新たに「クールマイスターⓇAC」を商品化しました。窒素やヘリウムなどの不活性ガスを液化窒素で冷却し、-60~-180℃の任意温度の極低温不活性ガスを供給することで、材料試験や機器の環境試験における極低温環境形成に貢献します。 エレクトロニクス分野社会のデジタル化の加速的な普及、カーボンニュートラルな社会を支えるエレクトロニクス産業の発展に貢献するために、電子材料ガスや関連機器の販売やサービスのグローバルな提供とともに、技術開発を強化しています。・大陽日酸株式会社とRasirc, Inc.社は共同でALD成膜技術の開発に取り組んでいます。窒化膜ALDには無水ヒドラジンが、酸化膜ALDには過酸化水素ガスがそれぞれ既存の窒化材、酸化材よりも良好なプロセスを実現できることを実証しています。2023年度には、有機溶媒と混合させることで安全性を高めた無水ヒドラジン供給ソース(Rasirc製BRUTEⓇ-Hydrazine)を供給源とする高純度ヒドラジンガス供給システムを開発しました。・当社グループが製造しているジボランガスは、ロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)など幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料です。日本、韓国、中国での製造能力を順次増強するため、製造システムを進化(深化)させています。・当社グループが開発したインテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)は、IoTやRPAを活用したデジタル革新技術と、長年蓄積した当社グループのガスハンドリング・ノウハウを融合した次世代ガス供給システムです。人とロボットが共に働く協働社会の実現、新たなサービスの付加提供によって、お客様の業務効率化、省力化に貢献するべく、改良改善を進めています。・導電性ペースト・インク用途向け表面改質銅ナノ粒子を開発しました。銅ナノ粒子が有機溶媒中に均一に分散するため、小型電子部品の電極薄膜やセラミック基板の微細配線を実現するための銅ペーストの製造に有効です。プラント分野深冷空気分離プラントについては当社グループのコア技術の深化(高性能・高品質・低コスト)に取り組むとともに、プラント製作、工場操業、ロジスティックスに革新を起こすため、DXを推進しています。・DX推進によって保安や品質管理、生産性の向上に努め、遠隔監視システムやプラント運転条件制御システムを深化させました。メディカル分野高品質の医療用ガスの安定供給を行うとともに、在宅酸素療法のためのさまざまな機器の開発・製造、機器の定期点検や遠隔監視システム、医療用ガスの24時間体制の緊急配送など、トータルサポートに貢献しています。さらに、当社グループの持つガステクノロジーを応用し、生体試料の凍結保存をはじめとするバイオ分野、SI(Stable Isotope 安定同位体)や混合ガス等を利用した高度診断・治療分野にも取り組んでいます。・医療ガス供給設備の容器(O2、N2、Air)内ガス残量などを遠隔地で監視するシステムの最新版となる次世代医療ガス監視システムTerm-3を開発しました。通信規格をLTE(4G)とし、サーバ機能をクラウド化することで、手持ちの端末による監視データの閲覧を可能にしました。信頼性の向上、ガス安定供給の強化、異常発生時の重大事故回避に貢献しています。新規事業分野当社グループでは、自社開発技術やオープンイノベーションにより獲得した製品・技術の事業化を加速しています。アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業、化合物半導体製造装置やSI(Stable Isotope 安定同位体)をはじめ、今後市場の発展が見込まれる分野の事業拡大を推進しています。・アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業では技術の開発と造形物品質安定化に寄与するソリューション「3DProⓇシリーズ製品」の拡充に注力しています。当連結会計年度においては、従来のパウダードライキャビネット、超高純度窒素発生装置に加え、アドオン型循環精製装置「3DProⓇPrintPure™」及び統合遠隔モニタリングシステム「MiruGas™ For AM」を開発・商品化しました。また、金属3Dプリンターメーカーとの業務提携を進めており、2023年度はAdditive Technologies, LLC(米国)、Rapidia Tech Inc.(カナダ)両社製品の日本における販売権を取得しました。・化合物半導体の製造に必要となるMOCVD装置及びHVPE装置の製造・販売するとともに、用途拡大、改良改善のための開発に取り組んでいます。2023年度は、GaN(窒化ガリウム)系量産型MOCVD装置UR26Kに新機構として「基板自動搬送システム」と「一体型ドライ洗浄システム」を追加することに成功しました。従来機に比べ、およそ50%の大幅な生産効率向上に貢献します。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム/生産性に優れたSi基板上GaN系パワー半導体向けMOCVD装置の開発」に採択され、GaN/Siエピ基板を安定的に供給可能なMOCVD装置の開発に取り組んでいます。・世界初の酸素蒸留による酸素安定同位体(17O、18O)濃縮技術を開発し、水や酸素ガス、それらを使用した同位体標識化合物を製造・販売しています。・重水素化アンモニアの製造プロセスを確立し、国内で初めて量産体制を構築しました。また、使用済み重水を再濃縮する装置を開発し、国内企業として初めて商業化しました。重水リサイクル体制の構築により、効率的でサステナブルな重水の利用を可能にするとともに、重水素化アンモニアをはじめとする重水素標識化合物のグローバルからの需要に対し、安定供給に貢献します。 ・大陽日酸株式会社は無細胞タンパク質合成技術を活かし、クロマトグラフィー技術に強みを有する株式会社ワイエムシィと共同で、バイオ医薬分野で需要が見込まれる難発現タンパク質の合成から精製までの一貫した開発に取り組んでいます。 〔米国〕米国セグメントは、技術対応力の強化、顧客へのより良いサービスの提供、及び既存ガス商権とエレクトロニクス向け事業の拡大を目指して、コロラド州ロングモントにあるAdvanced Technology Centerにて技術開発活動に取り組んでいます。半導体市場は長期的にも強靭な経済状態が維持されており、電子チップの需要増大が続いています。あらゆるデバイスの需要が増加していますが、特に、FinFET、GAA(Gate All Around)トランジスタ、3D-NANDメモリ、DRAMなどの最先端デバイスの需要増大が顕著です。これら3次元集積デバイスの製造には、より多くのプロセスステップが必要であることから、不活性ガス、エッチング、成膜、洗浄、ドーピングガスなどプロセス材料の消費量も増えています。このような中で、米国セグメントは、エレクトロニクス顧客との密接な関係を構築し、グローバル市場で日々変化する顧客の要望に応えております。研究開発においても、顧客の技術課題に協力して対応し、得られた知見を既存商品の改善や新商品の開発に活用しております。米国セグメントはこれらの活動を通して、製造からロジスティクスまでの最適化されたサプライチェーンに基づき、高品質・高付加価値商品の開発企業としての地位を確立しています。とりわけ、研究開発活動では、事業、技術、安全、環境に関するリスクを最小限に抑えつつ、最大限の財務貢献が見込めるプロジェクトに重点を置いています。当連結会計年度において、次世代デバイス製造企業からの要望に基づいた既存製品へのサポート、関連技術課題の診断とトラブルシューティングによる顧客支援、並びに新商品及び新技術の開発、その分析評価技術の開発を進めました。特に、半導体チップ製造に存在する微少汚染や不純物の制御と低減に注力し、最近では2つの半導体プロセスガス中不純物精製装置を新たに開発し、製造効率向上に貢献するとともに、米国での精製装置メーカーポジションを強化してきました。加えて、溶接や金属加工など産業用として使用されるカートリッジ型精製器であるWeld Knight™シリーズの設計変更に取り組み、交換時の効率・迅速化を達成しました。さらに半導体向けに、不活性ガス及びプロセスガス用カードリッジ型精製器3機種を新たに製品化しました。ppbレベルでの不純物の除去が可能で、また交換も容易に行うことができます。また大型の一般工業ガス向けの精製アプリケーションにも注力しており、近年では金属3Dプリンタ向けの精製装置である3DProⓇRecircを販売しています。これはプロセス中の水分と酸素を除去することにより生産効率及び造形品質向上に貢献するものです。 また前連結会計年度と同様に、各生産拠点において、ガス製造プロセスの品質向上に貢献するとともに、新規機器の技術開発により商品の安全性を向上してきました。 〔サーモス〕サーモスセグメントにおいては「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という理念に従い、断熱技術を利用することで省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現すべく、積極的な商品開発を推進しております。当連結会計年度においては、コロナ禍によって変化した消費者の暮らしに合わせたキッチンアイテム、コロナ後で需要の戻りつつある携帯用まほうびんやスポーツボトルといったカテゴリに重点を置いて新商品を投入しました。フライパンシリーズや調理器具からなるキッチンプラスシリーズを更に拡充して、補助取っ手付きの『サーモス デュラブルシリーズ マルチパン』2種8アイテムと、『サーモス ミトン』、『サーモス デュラブルシリーズ 取っ手のとれる玉子焼きフライパン』など、キッチンウェア17アイテムを開発しました。マルチパン『KFJ/KFKシリーズ』は煮込み等もできる超深型の炒め鍋で、持ち上げて傾ける際に安定して傾けられるように補助取っ手を付属させています。ミトン『KT-M001』はこの補助取っ手を掴む際に便利で、洗濯機対応としました。これによりマルチパンで重量のある料理があってもしっかり安全に支えて持ち上げることができるよう設計しています。取っ手のとれる玉子焼きフライパン『KEA-015』は取っ手の留め具をフライパン内面ではなく、外側につけてお手入れしやすい構造としています。専用のガラス蓋『KLI-001』も発売して調理の幅が拡げられるようにしました。携帯用まほうびんケータイマグシリーズとして、楽に持ち歩ける『ラク持ち』できるキャリーシリーズの新商品、『JOS シリーズ』と 『JOV シリーズ』を開発しました。JOSは初めてワンタッチオープン栓の上面にはまり込むキャリーループを搭載、JOVは広口タイプのスクリュー栓の上面に前後に折りたためるキャリーハンドルを搭載しており、各々持ち運び性の向上だけではなく、栓と一体化した形状となり、使用時や収納時の利便性を高めています。また、食洗機にも対応し洗浄性も高い商品となっております。スポーツボトルの新商品として、今までの商品と差別化を図るためアメリカのサーモス社にデザインを依頼し、従来と異なるユーザーに向けたスタイリッシュなデザインテイストの『FJUシリーズ』を開発しました。新機構の飲み口「クイックオープン構造」を採用し、素早い水分補給ができます。「持ち運びやすいキャリーループ」や「握りやすいボディリング」、「衝撃に強いソコカバー」の採用に加え食洗機にも対応し、使いやすさとお手入れのしやすさにもこだわった商品となっております。このように引き続き積極的に新商品を投入し、お客様に快適なライフスタイルを提案しております。
FY2023|6,134 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。技術開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、エレクトロニクス、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、環境、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取り組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取り込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は3,515百万円であり、各セグメントの内訳は、日本で3,054百万円、米国で429百万円、サーモスで31百万円となっております。主な技術開発活動の概要は次のとおりです。 〔日本〕日本セグメントにおいては、大陽日酸株式会社つくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター、メディカル・テクニカル・サービスセンター及び京浜事業所の5拠点が連携して技術開発を実施しています。事業部門と開発部門の連携を強化し、工業ガスビジネス、エレクトロニクスガスビジネス、プラントビジネス、メディカルビジネス、新規事業開発に向けた基盤事業を支える技術開発を推進しています。カーボンニュートラルについてはグループ共通の重点課題として取り組んでいます。 カーボンニュートラルに向けた取り組み当社グループが所有する酸素燃焼技術をベースに、カーボンフリー燃料を利用する新たな酸素燃焼技術を開発しカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。・カーボンフリー燃料である水素ガスに注目し、工業炉分野でのCO2排出削減への貢献に取り組んでいます。日本電気硝子株式会社と水素-酸素バーナを共同開発し、水素100%燃焼によるガラス溶融の実証試験に成功しました。大手自動車用鋳物メーカーと誘導炉向け水素-酸素バーナを共同開発しました。・カーボンフリー燃料であるアンモニア(NH3)を用いた溶融・球状化技術を、大陽日酸株式会社が球状シリカメーカーである株式会社アドマテックスと共同開発しました。アンモニア-酸素燃焼を用いることで、カーボンを含まない高品質な球状シリカの製造を可能にすると共に、製造プロセスにおけるCO2排出削減に貢献できることを示しました。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニア利用・生産技術開発/工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」に参画し、アンモニア-酸素燃焼技術の開発を進めています。・石灰製造炉などの高濃度CO2排出源をターゲットとして、10t/日規模のCO2回収装置(回収CO2濃度98%)を開発・商品化しました。中小規模排出源(排ガス量1,000Nm3/hクラス)向けの装置であり、ユニット化して導入・設置が容易に行えます。工業ガス分野産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しています。<溶接技術>・配管の自動溶接に関する市場ニーズに対応し、大陽日酸株式会社と日酸TANAKA株式会社は、溶接状態を可視化するカメラ「サンアークⓇアイ」シリーズを共同で開発し、2019年4月より販売しています。新たに商品化した「モノクロタイプ」は比較的長い奥行き範囲に渡ってピントを合わせられ、高精細な観察に有効です。<低温利用技術>液化窒素の冷熱を利用した機器について新機種を追加しました。・液化窒素式プログラムフリーザの新製品として、細胞凍結保存用バイアル(10cc)を最大1,575本処理できる、庫内容量300Lの「クライオセルマスターTM」CM-300を商品化しました。当社グループの従来装置3台分の容器を1台で処理できるため、装置設置スペースが60%に抑えられます。・金属熱処理に用いられるサブゼロ処理装置の新製品として、当社グループの従来装置と比較して温度適用範囲が広いワイドレンジ型液化窒素式サブゼロ装置(-150~+200℃)を商品化しました。超サブゼロから低温焼戻しまでの幅広い作業内容に適用でき、作業効率向上とランニングコスト低減に貢献します。 エレクトロニクス分野社会のデジタル化の加速的な普及、カーボンニュートラルな社会を支えるエレクトロニクス産業の発展に貢献するために、電子材料ガスや関連機器の販売やサービスのグローバルな提供とともに、技術開発を強化しています。・大陽日酸株式会社とRASIRC, Inc.社は共同でALD成膜技術の開発に取り組んでいます。窒化膜ALDには無水ヒドラジンが、酸化膜ALDには過酸化水素ガスがそれぞれ既存の窒化材、酸化材よりも良好なプロセスを実現できることを実証しています。反応メカニズム推定結果と合わせて学会で報告しました。また、無水ヒドラジン供給ソース(BRUTEⓇ-Hydrazine)の高純度化を実現し、気相中水分濃度仕様を<10ppbおよび<100ppbの2種としました。・当社グループが製造しているジボランガスは、ロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)など幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料です。2023年末までに日本、韓国、中国での製造能力を順次増強するため、製造システムを進化(深化)させています。・当社グループが開発したインテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)は、IoTやRPAを活用したデジタル革新技術と、長年蓄積した当社グループのガスハンドリング・ノウハウを融合した次世代ガス供給システムです。人とロボットが共に働く協働社会の実現、新たなサービスの付加提供によって、お客様の業務効率化、省力化に貢献するべく、改良改善を進めています。・導電性ペースト・インク用途向け表面改質銅ナノ粒子を開発しました。銅ナノ粒子が有機溶媒中に均一に分散するため、小型電子部品の電極薄膜やセラミック基板の微細配線を実現するための銅ペーストの製造に有効です。プラント分野深冷空気分離プラントについては当社グループのコア技術の深化(高性能・高品質・低コスト)に取り組むとともに、プラント製作、工場操業、ロジスティックスに革新を起こすため、DXを推進しています。・DX推進によって保安や品質管理、生産性の向上に努め、遠隔監視システムやプラント運転条件制御システムを深化させました。産業ガスを生産する大型空気分離装置の生産性向上と人的資源有効活用を実現する工場運営体制の目途が立ち、リモートオペレーションセンター(仮称)の2023年度開設を計画しています。メディカル分野高品質の医療用ガスの安定供給を行うとともに、在宅酸素療法のためのさまざまな機器の開発・製造、機器の定期点検や遠隔監視システム、医療用ガスの24時間体制の緊急配送など、トータルサポートに貢献しています。さらに、当社グループの持つガステクノロジーを応用し、生体試料の凍結保存をはじめとするバイオ分野、SI(Stable Isotope 安定同位体)や特殊ガスを利用した高度診断・治療分野にも取り組んでいます。・医療ガス供給設備の容器(O2、N2、Air)内ガス残量などを遠隔地で監視するシステムの最新版となる次世代医療ガス監視システムTerm-3を開発しました。通信規格をLTE(4G)とし、サーバ機能をクラウド化することで、手持ちの端末による監視データの閲覧を可能にしました。信頼性の向上、ガス安定供給の強化、異常発生時の重大事故回避に貢献しています。新規事業分野当社グループでは、自社開発技術やオープンイノベーションにより獲得した製品・技術の事業化を加速しています。アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業、化合物半導体製造装置やSI(Stable Isotope 安定同位体)をはじめ、今後市場の発展が見込まれる分野の事業拡大を推進しています。・アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業では技術の開発と造形物品質安定化に寄与するソリューション「3DProⓇシリーズ製品」の拡充に注力しています。当連結会計年度においては、従来のパウダードライキャビネット、超高純度窒素発生装置に加え、アドオン型循環精製装置「3DProⓇPrintPure™」及び統合遠隔モニタリングシステム「MiruGas™ For AM」を開発・商品化しました。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「次世代パワーデバイス向け酸化ガリウム用の大口径量産型エピ成膜装置の研究開発」において、原料となる三塩化ガリウム(GaCl3)を供給するGaCl3ジェネレータを開発しました。また、同GaCl3ジェネレータを採用した6インチ枚葉式HVPE装置を用いて、サファイア基板上へのβ-Ga2O3成膜に成功しました。6インチ基板上へのβ-Ga2O3成膜は世界初です。・世界初の酸素蒸留による酸素安定同位体(17O、18O)濃縮技術を開発し、水や酸素ガス、それらを使用した同位体標識化合物を製造・販売しています。品質保証、製造装置性能評価の改善を目的とした開発に取り組み、TOF-MS (time of flight mass spectrometer)を用いて酸素ガス同位体成分を正確に分析する技術を開発しました。・原子力エネルギー分野において窒化物燃料として注目されている窒素安定同位体(15N)について、窒素蒸留による分離シミュレーションを実施しました。プラント規模及びコストについて、実現可能なレベルであることを学会にて報告しました。 〔米国〕米国セグメントは、技術対応力の強化、顧客へのより良いサービスの提供、及び既存ガス商権とエレクトロニクス向け事業の拡大を目指して、コロラド州ロングモントにあるAdvanced Technology Centerにて技術開発活動に取り組んでいます。半導体市場は長期的にも強靭な経済状態が維持されており、電子チップの需要増大が続いています。あらゆるデバイスの需要が増加していますが、特に、FinFET、GAA(Gate All Around)トランジスタ、3D-NANDメモリ、DRAMなどの最先端デバイスの需要増大が顕著です。これら3次元集積デバイスの製造には、より多くのプロセスステップが必要であることから、不活性ガス、エッチング、成膜、洗浄、ドーピングガスなどプロセス材料の消費量も増えています。このような中で、米国セグメントは、エレクトロニクス顧客との密接な関係を構築し、グローバル市場で日々変化する顧客の要望に応えております。研究開発においても、顧客の技術課題に協力して対応し、得られた知見を既存商品の改善や新商品の開発に活用しております。米国セグメントはこれらの活動を通して、製造からロジスティクスまでの最適化されたサプライチェーンに基づき、高品質・高付加価値商品の開発企業としての地位を確立しています。とりわけ、研究開発活動では、事業、技術、安全、環境に関するリスクを最小限に抑えつつ、最大限の財務貢献が見込めるプロジェクトに重点を置いています。当連結会計年度において、次世代デバイス製造企業からの要望に基づいた新商品及び新技術の開発と、その分析評価技術の開発を進めました。例えば、高純度硫化水素ガス等の太陽電池製造プロセス向け新材料開発、産業廃棄物削減のための除害技術、ガス純度保証並びにポイントオブユース精製器評価のための新規分析技術を開発しました。シックス・シグマアプローチによる混合ガスの成分分析や最適な分析技術及び装置の探索・開発、超微量成分分析設備及び分析手法の導入にも継続的に取り組んでいます。成果として不活性ガス中の炭化水素をppqレベル(10-15)まで精製除去できていることを実証しました。また昨年度と同様に、各生産拠点において、ガス製造プロセスの品質向上に貢献するとともに、新規機器の技術開発により商品の安全性を向上してきました。 〔サーモス〕サーモスセグメントにおいては「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という理念に従い、断熱技術を利用することで省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現すべく、積極的な商品開発を推進しております。当連結会計年度においてはコロナ禍で見直されつつある家中需要をつかむため、キッチンシリーズを拡充するとともに、ティーポットやタンブラー、シャトルシェフといった家庭で使用できる新商品を数多く開発しました。一方、コロナ後の回復需要もつかむため、ケータイマグⓇやスポーツボトルでも新しいシリーズを開発しました。フライパンや調理器具からなるキッチンプラスシリーズでは、中の圧力が下がってフタが開かなくなった時に通気できる弁を一体化した角形保存容器と、パッキン付き丸形保存容器を開発しました。調理なべではデュラブルコートⓇを片手鍋にも施したクックパンKNA/KNCシリーズを開発しました。レードル等が取っ手に載る設計でこびりつきにくい内面処理と合わせて調理の利便性が向上した商品となっております。家庭でのティータイムをゆっくりと楽しめる新商品として、真空断熱ティーポットTTEシリーズを開発しました。TTEシリーズは茶葉を直接入れられるストレイナー付きで、お茶を作ってそのまま保温・保冷することができます。また、フタを片手で押さえて注げる構造にして利便性も高めています。真空断熱タンブラーシリーズとして、同容量帯の製品比で約35%軽量化したJDWシリーズを開発しました。携帯用まほうびんで培った軽量化技術をタンブラーにも応用することで、既存モデルであるJDEシリーズと比較して約35%軽量化しております。 電気代の高騰によりキッチン用品にも省エネ性能が求められています。そこで、デザインを一新、保温容器を丸洗いできる真空保温調理器シャトルシェフシリーズ“KBKシリーズ”を開発しました。 携帯用まほうびんケータイマグⓇシリーズとして、洗浄性を高めた食洗機対応モデルJOQシリーズを開発しました。本商品は『まる洗(あら)ユニットⓇ』を搭載、パッキン一体構造によりパッキンの着脱を不要とし、フタをスライドして分解することで細かい溝まで洗える新構造を採用し、洗浄性を向上させつつもできる限り部品点数を増やさないよう設計されています。 スポーツボトルシリーズとして、ハンドルの持ちやすさを改善した大容量スポーツジャグFJQシリーズを開発しました。本商品は『ラク持ちハンドル』を搭載、ハンドルや底を両手でしっかりと握って本体を支えられる構造により水分補給時の負担を軽減します。 このように、引き続き積極的に新商品を投入し、お客様に快適なライフスタイルを提案しております。
FY2022|5,832 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。The Gas Professionals」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。技術開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、エレクトロニクス、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、環境、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取り組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取り込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は3,569百万円であり、その内訳は「日本ガス事業」に2,872百万円、「米国ガス事業」に659百万円、「サーモス事業」に37百万円となっております。主な技術開発活動の概要は次のとおりです。※研究開発費には消費税等を含んでおりません。 〔日本ガス事業〕日本ガス事業においては、大陽日酸株式会社つくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター及び京浜事業所の4拠点が連携して技術開発を実施しています。事業部門と開発部門の連携を強化し、工業ガスビジネス、エレクトロニクスガスビジネス、プラントビジネス、メディカルビジネス、新規事業開発に向けた基盤事業を支える技術開発を推進しています。カーボンニュートラルについてはグループ共通の重点課題として取り組んでいます。 カーボンニュートラルに向けた取り組み当社グループが所有する酸素燃焼技術をベースに、カーボンフリー燃料を利用する新たな酸素燃焼技術を開発しカーボンニュートラル社会の実現に貢献します。・カーボンフリー燃料である水素ガスに注目し、工業炉分野でのCO2排出削減への貢献に取り組んでいます。数値シミュレーションと小型バーナでの実験に基づいて、天然ガス専焼から天然ガスと水素の混焼、水素専焼と燃料を変えても十分に安定した火炎を得られることを実証し、550kW規模の水素-酸素バーナを開発しました。・カーボンフリー燃料であるアンモニア(NH3)を用いた溶融・球状化技術を、大陽日酸株式会社が球状シリカメーカーである株式会社アドマテックスと共同開発しました。アンモニア-酸素燃焼を用いることで、カーボンを含まない高品質な球状シリカの製造を可能にすると共に、製造プロセスにおけるCO2排出削減に貢献できることを示しました。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「燃料アンモニア利用・生産技術開発/工業炉における燃料アンモニアの燃焼技術開発」に参画し、アンモニア-酸素燃焼技術の開発を進めています。工業ガス分野産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しています。<溶接技術>・配管の自動溶接に関する市場ニーズに対応し、配管溶接倣い装置「サンアーク XZ スライダー」を大陽日酸株式会社と日酸TANAKA株式会社が共同で開発し、販売を開始しました。TIG溶接でも板厚10mm程度かつ開先なしのワンパス溶接が可能な「サンアーク DS-TIG アドバンス溶接トーチ」のオプション機器として、配管自動溶接におけるX方向とZ方向のズレに同時に追従できる倣い機能によって、エルボ配管の施工を含めた多種多形状の回転管溶接施工を自動化し、工数や消耗材の削減、回転管溶接の効率化への貢献を目指します。<低温利用技術>液化窒素の冷熱を利用した機器について新機種を追加しました。・低温反応制御システムの新シリーズとして、従来機(-90℃)より低い-120℃で、かつ±2℃の高精度で制御できる新装置「クールマイスターⓇEX」を商品化しました。不活性な液体冷媒を安定的に循環供給可能なシステムであり、従来の化学合成分野のみならずエレクトロニクス分野など広い分野で利用いただけます。・金属熱処理に用いられるサブゼロ処理装置の新商品を上市しました。熱入れした鋼材を0℃以下に急速冷却することで金属組織を均一化することができ、経年劣化の抑制や硬度・耐摩耗性の向上の効果があります。液化窒素を冷媒とした当社グループのサブゼロ処理装置のラインアップに、自動搬送機器と組み合わせられる「ストレートスルー型サブゼロ装置」と、最大開口1.8mに対応できる「大型開口サブゼロ装置」を新たに加え、顧客の生産性向上に貢献します。 エレクトロニクス分野社会のデジタル化の加速的な普及、カーボンニュートラルな社会を支えるエレクトロニクス産業の発展に貢献するために、電子材料ガスや関連機器の販売やサービスのグローバルな提供とともに、技術開発を強化しています。・大陽日酸株式会社とMatheson Tri-Gas, Inc.の子会社であるRASIRC, Inc.社が共同で、ALD成膜技術の開発に取り組んでいます。窒化膜ALDには無水ヒドラジンが、酸化膜ALDには過酸化水素ガスがそれぞれ既存の窒化材、酸化材よりも良好なプロセスを実現できることを実証しています。反応メカニズム推定結果と合わせて学会で報告しました。・当社グループが製造しているジボランガスは、ロジック(演算素子)、メモリ(記憶素子)など幅広い半導体デバイスの製造において不可欠な材料です。2023年末までに日本、韓国、中国での製造能力を順次増強するため、製造システムを進化(深化)させています。・当社グループが開発したインテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)は、IoTやRPAを活用したデジタル革新技術と、長年蓄積した当社グループのガスハンドリング・ノウハウを融合した次世代ガス供給システムです。人とロボットが共に働く協働社会の実現、新たなサービスの付加提供によって、お客様の業務効率化、省力化に貢献するべく、改良改善を進めています。プラント分野深冷空気分離プラントについては当社グループのコア技術の深化(高性能・高品質・低コスト)に取り組むとともに、プラント製作、工場操業、ロジスティックスに革新を起こすため、DXを推進しています。・DX推進によって保安や品質管理、生産性の向上に努め、遠隔監視システムやプラント運転条件制御システムを深化させました。産業ガスを生産する大型空気分離装置の生産性向上と人的資源有効活用を実現する工場運営体制の目途が立ち、リモートオペレーションセンター(仮称)の2023年度開設を計画しています。メディカル分野高品質の医療用ガスの安定供給を行うとともに、在宅酸素療法のためのさまざまな機器の開発・製造、機器の定期点検や遠隔監視システム、医療用ガスの24時間体制の緊急配送など、トータルサポートに貢献しています。さらに、当社グループの持つガステクノロジーを応用し、生体試料の凍結保存をはじめとするバイオ分野、SI(Stable Isotope 安定同位体)や特殊ガスを利用した高度診断・治療分野にも取り組んでいます。・医療ガス供給設備の容器(O2、N2、Air)内ガス残量などを遠隔地で監視するシステムの最新版となる次世代医療ガス監視システムTerm-3を開発しました。通信規格をLTE(4G)とし、サーバ機能をクラウド化することで、手持ちの端末による監視データの閲覧を可能にしました。信頼性の向上、ガス安定供給の強化、異常発生時の重大事故回避に貢献しています。新規事業分野当社グループでは、自社開発技術やオープンイノベーションにより獲得した製品・技術の事業化を加速しています。アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業、化合物半導体製造装置やSI(Stable Isotope 安定同位体)をはじめ、今後市場の発展が見込まれる分野の事業拡大を推進しています。・アディティブ・マニュファクチャリング(AM)事業では技術の開発と造形物品質安定化に寄与するソリューション「3DProⓇシリーズ製品」の拡充に注力しています。当連結会計年度においては、従来のパウダードライキャビネット、超高純度窒素発生装置に加え、アドオン型循環精製装置「3DProⓇPrintPure™」及び統合遠隔モニタリングシステム「MiruGas™ For AM」を開発・商品化しました。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「次世代パワーデバイス向け酸化ガリウム用の大口径量産型エピ成膜装置の研究開発」において、原料となる三塩化ガリウム(GaCl3)を供給するGaCl3ジェネレータを開発しました。また、同GaCl3ジェネレータを採用した6インチ枚葉式HVPE装置を用いて、サファイア基板上へのβ-Ga2O3成膜に成功しました。6インチ基板上へのβ-Ga2O3成膜は世界初です。・世界初の酸素蒸留による酸素安定同位体(17O、18O)濃縮技術を開発し、水や酸素ガス、それらを使用した同位体標識化合物を製造・販売しています。品質保証、製造装置性能評価の改善を目的とした開発に取り組み、TOF-MS (time of flight mass spectrometer)を用いて酸素ガス同位体成分を正確に分析する技術を開発しました。・原子力エネルギー分野において窒化物燃料として注目されている窒素安定同位体(15N)について、窒素蒸留による分離シミュレーションを実施しました。プラント規模及びコストについて、実現可能なレベルであることを学会にて報告しました。 〔米国ガス事業〕米国ガス事業は、技術対応力の強化、顧客へのより良いサービスの提供、及び既存ガス商圏とエレクトロニクス向け事業の拡大を目指して、コロラド州ロングモントにあるAdvanced Technology Centerにて技術開発活動に取り組んでいます。半導体市場は長期的にも強靭な経済状態が維持されており、電子チップの需要増大が続いています。あらゆるデバイスの需要が増加していますが、特に、FinFET、ゲートオールアラウンドロジック、3D-NANDメモリ、DRAMなどの最先端デバイスの需要増大が顕著です。これら3次元集積デバイスの製造には、より多くのプロセスステップが必要であることから、不活性ガス、エッチング、成膜、洗浄、ドーピングガスなどプロセス材料の消費量も増えています。このような中で、米国ガス事業は、エレクトロニクス顧客との密接な関係を構築し、グローバル市場で日々変化する顧客の要望に応えております。研究開発においても、顧客の技術課題に協力して対応し、得られた知見を既存商品の改善や新商品の開発に活用しております。米国ガス事業はこれらの活動を通して、製造からロジスティクスまでの最適化されたサプライチェーンに基づき、高品質・高付加価値商品の開発企業としての地位を確立しています。とりわけ、研究開発活動では、事業、技術、安全、環境に関するリスクを最小限に抑えつつ、最大限の財務貢献が見込めるプロジェクトに重点を置いています。当連結会計年度において、次世代デバイス製造企業からの要望に基づいた新商品の開発と既存商品の高純度化を進めました。例えば、不純物除去のための新規精製技術、充填ガス安定化のためのシリンダ前処理技術、ガス純度保証のための新規分析技術を開発いたしました。これらの実現には高感度・高信頼性分析技術が不可欠であったことから、シックスシグマアプローチによる混合ガスの成分分析や最適な分析技術の探索にも注力してきました。その中で、超微量成分分析設備及び分析手法の導入にも研究開発資源を投入し、ppt-ppbレベルの不純物の同定・定量を可能にしました。加えて、米国及び韓国の生産拠点において、ガス製造プロセスの品質向上に貢献するとともに、新規機器の技術開発により商品の安全性を向上してきました。 〔サーモス事業〕サーモス事業においては、「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という理念に従い、断熱技術を利用することで省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現すべく、積極的な商品開発を推進しています。当連結会計年度においては、保冷炭酸飲料ボトル、真空断熱チタンボトル、ケータイマグ、フライパンを開発するとともに『alfi アルフィ 』のラインアップを一新しました。保冷炭酸飲料ボトルFJKシリーズでは、スープジャーで採用した“クリックオープン構造”を応用した新構造のフタを採用しました。ボトル内圧が上昇したときには圧力を逃すことができ、安全性にも十分配慮された商品となっています。真空断熱チタンボトルの新商品FJNシリーズでは、容量を増やしながらも軽量化を実現するとともに、用途に応じた2種類の注ぎ口を設けて使い勝手も向上しています。真空断熱ケータイマグでは、インクジェット印刷による加飾で消費者のデザインニーズに応えるJOMシリーズや、フタの開閉時に飲み物の飛散が少ない「なめらかオープン構造」を備えたJOHシリーズ、そして持ち運びに便利な、キャリーループと呼ばれる可動式持ち手を搭載したJOOシリーズを上市し、多様化する消費者の要望に応えています。フライパンにおいてはKSA及びKSCシリーズを開発しました。これらのシリーズには、サーモス株式会社が開発したシンプル構造で簡単確実に固定できる着脱式取っ手を採用しています。また、これまで無かったガス火専用モデルもラインアップに加えました。取っ手を外すことで複数のフライパンをコンパクトに収納できる5点セット又は9点セットとして商品化しました。1914年にドイツで設立された高級魔法びんブランド『alfi アルフィ 』のラインアップを一新し、真空断熱ポット(AFTH)、タンブラー(AFDD)、アルミ製フライパン(AFFB)、ステンレス製フライパン(AFFA)、オールステンレスの鍋(AFNA)を開発しました。フライパンについては底部をアルミニウムとステンレスの多層構造にすることで均熱性を向上させ、さらに内面にはプラズマ超硬質コートを施すことで耐久性に優れた商品となっております。
FY2021|4,611 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。研究開発において、独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、環境、ガス分離精製、エレクトロニクス、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取組むことで収益拡大に貢献しています。またオープンイノベーションによる海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じ、成長分野における先端技術の取り込みと、コア技術を最大限に利用した商材開発を促進しています。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は3,315百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に2,694百万円、「米国ガス事業」に589百万円、「サーモス事業」に32百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。※研究開発費には消費税等を含んでおりません。 〔国内ガス事業〕国内ガス事業においては、当連結会計年度末現在、大陽日酸株式会社のつくば事業所、山梨事業所、SIイノベーションセンター及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しています。(ファインマテリアル)アディティブ・マニュファクチャリング(AM)は、グローバル規模で進む第4次産業革命の中心分野であり、当社グループとして注力する事業の一つです。コア技術開発と世界最先端の造形技術を有するプリンター販売及びトータルソリューション提案を軸とした事業戦略を推進しています。・2020年10月に関連技術開発の中核拠点として、AMアドバンスドルームを山梨研究所内に開設しました。Velo3D社のSAPPHIREⓇプリンターを中心にOptomec社のLENSⓇや当社グループの独自技術を活用した3DProⓇ商材を設置し、お客様が直面する課題に対し、当社グループのトータルソリューションを具体的に提案する場として展開しております。・新素材分野では、プリンテッドエレクトロニクスに対応したラインアンドスペース(L/S)200μm以下の微細配線に適用可能な銅ナノ粒子を用いた導電性インクを開発しました。・エネルギー分野では、次世代の二次電池やリチウム金属電池、キャパシターに対する技術を獲得するため、液化ガス電解液ベンチャーのSouth8社と技術・事業提携しました。(ガスアプリケーション)燃焼分野、溶接・切断分野及び食品や医療分野をはじめとした低温技術を中心に、産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しております。<燃焼分野>・電気炉製鋼プロセスにおいて酸素アプリケーションとレーザー式ガス分析装置を連動させることにより酸素吹込みを最適化し、従来操業と比較して酸素原単位を約20%削減する「SCOPE-JetⓇ SCAN」を開発しました。・流体の自励振動現象を応用して酸素噴流をスイングさせることで、ガラス製造プロセスの溶解炉において高効率化及び低NOx化を達成できる酸素富化技術「Innova-JetⓇ OxLance」を開発しました。<溶接分野>・大陽日酸株式会社と日酸TANAKA株式会社が共同で、遠隔操作やモニタリングが可能な溶接可視化カメラ「サンアークⓇアイ」について、機能を追加した新型カメラを開発しました。溶接開始前、溶接中準備作業のいずれの露光条件でも自動調節機構により鮮明な映像が得られ、カメラ筐体の約12%の軽量化を実現しております。<低温分野>・0.1ケルビン(マイナス273℃)の超低温を、低振動・低電気ノイズで提供できる分離型無冷媒希釈冷凍機(e-DilutionⓇplus)を開発しました。(環境関連)・ガス生産工場等の液化ガスを製造する装置において、操業データの解析により装置毎に電力消費量が最小化となる技術を開発し、国内外の多くのガス生産工場へ展開しております。今期までに国内9工場及び海外2工場において、電力消費量削減を実証しました。・大陽日酸株式会社で開発したネオンガス冷凍機「NeoKelvinⓇ-Turbo」は、高温超電導電力機器をマイナス200℃以下まで冷却可能であり、モスクワ市電力公社の超電導限流器向けに納入され、2019年から運用を継続しています。 (ガス分離精製)・つくば事業所構内に大型低温実験装置が完成しました。当社グループの深冷空気分離装置の高性能化のため新しく開発した蒸留塔や熱交換器の性能検証を行っています。・2021年1月に、0.7MPa以下の原料空気でも効率良く窒素ガスを製造できる吸着剤を新たに採用した新型PSA式窒素ガス発生装置「RZシリーズ」を上市しました。従来利用が難しかった低圧の余剰空気の活用によるコスト削減と、新機能「ヒートドライブモード」により、高温の設置環境や猛暑日でも安定した窒素ガスの供給を実現しました。(エレクトロニクス)エレクトロニクス分野では、社会のデジタル化の加速的な普及により半導体需要は拡大し、プロセス材料の使用量増加や半導体製造装置の大型化が進んでおります。これらの動きに積極的に対応し、電子材料ガスの国内トップシェアを維持しております。・Matheson Tri-Gas, Inc.の子会社であるRasirc, Inc.社で製造・販売している無水ヒドラジンガスを安全・安定に供給できるBRUTE Hydrazine Vaporizerを用いて、既存窒化材の使用よりも良質な窒化チタン薄膜を高速、低温で形成できることを実証しました。・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より助成を受けて取り組んだ「次世代パワーデバイス向け酸化ガリウム用の大口径量産型エピ成膜装置の研究開発」が初期の開発目標を達成し、NEDOのインキュベーション研究開発から2020年7月より実用化開発のフェーズへ移行しました。・大陽日酸株式会社が開発した窒化アルミニウムや窒化ガリウムなどの紫外発光デバイス用及び先端デバイス用MOCVD(Metal organic chemical vapor deposition)が公益社団法人日本表面真空学会の「令和2年度産業賞」を受賞しました。(医療・ライフサイエンス)・全自動凍結保存システム「クライオライブラリーⓇ」は、多様化する運用に対応できるように商品拡充を進め、これまでにバイアルボックス収納対応型や凍結バッグ収納対応型を開発しています。・再生医療が研究段階から産業利用への移行期に入ることを鑑み、従来機よりも大量の細胞をまとめて予備凍結処理できる大型の液体窒素式プログラムフリーザー「CM-100」を製品化し販売を開始しました。・理化学研究所との共同研究により従来の無細胞タンパク質合成系に低温ショックタンパク質(CSP)を添加することで、難発現タンパク質を低温で効率良く発現する方法の開発に成功しました。 〔米国ガス事業〕米国ガス事業は、サービス提供の市場拡大とエレクトロニクス分野でのフットプリント拡大を目的とし、コロラド州ロングモントにあるAdvanced Technology Centerでの研究開発活動に投資しております。半導体市場については、電子チップの需要が加速しており、最先端のデバイスの製造需要が高まっているため、長期的な市場について有望視しています。これらの需要は主にFinFET、ゲートオールアラウンドロジックや3D-NANDメモリなどの3次元アーキテクチャであるため、これらのデバイスを製造するにはより多くのプロセス材料が必要であり、不活性ガス、エッチング、堆積、洗浄、ドーピングガスの需要の高まりがみられます。それらを半導体製造ツールに供給するための機器や、より小さくより強力なデバイスアーキテクチャも求められています。これらの主要なトレンドが続くと予想されるため(5G通信、人工知能、サーバーファーム、クラウド、フォトニクス、電気及び自動運転車、モバイルデバイスなど)、高純度ガスの製造、精製、分析、及び機器技術を開発しています。グローバル市場で急速に変化するお客様のニーズに迅速に対応するため、グループ会社間でマーケティング、R&Dアウトプット、エンジニアリングデザインなどの活動を共有し、製造及びロジスティクスを含む最適化されたサプライチェーンを備えた高品質で高付加価値の製品を開発しています。お客様との緊密な協力により、ガスの純度、パッケージング、ガス供給に関するお客様のニーズを把握しています。米国ガス事業のR&Dは、既存製品の改善と顧客により良いサービスを提供する新製品の開発の両方に適用できる取り組みを進めています。また、米国ガス事業の研究開発活動は、リスクを最小限に抑えながら経済的利益を最大化することが期待されるプロジェクトに焦点を当てています。当連結会計年度においては、米国及び韓国の生産工場におけるガス製造プロセスの品質向上に貢献してきました。また、モデリングとシックスシグマアプローチを使用して、プロセスのスループットを最適化し、ダウンタイムを最小限に抑えるための最適な方法を確立しました。ガス分析技術の範囲を拡大することにより、顧客向けの分析証明書に新しい成分ガス種を追加することができました。さらに、pptレベルで感度の高いトレース分析メソッドが開発され、メソッドの機能が実証されています。米国ガス事業の研究開発は、次世代デバイスを求める顧客から求められる高純度の新製品や既存製品の開発においても重要な役割を果たしてきました。これらは、ガス合成アプローチ、不純物を除去するための精製戦略、シリンダーパッケージと準備アプローチ、新しい機器デリバリーシステムソリューション、及び製品の純度を確認するための新しい分析方法の開発とテストを通じて行われました。 〔サーモス事業〕モーションカテゴリーでは真空断熱ポケットマグJOJ-120、180を開発しました。少ないパーツなのでお手入れカンタンで、取り外ししやすいパッキン付きです。また、小さめのカバンにもラクラク入る胴径4.5cmです。また、ポケットマグ用ポーチAPH-150/180を開発しました。ポケットマグにぴったりなポーチでフックを掛けられるループ付きです。手洗いもできます。スポーツカテゴリーでは真空断熱ボトルFJH-720を開発しました。バッグにすっぽり入るサイズで、室内スポーツにもお勧めでコンパクトサイズのスポーツボトルです。軽量コンパクトで衝撃に強いソコカバー付き商品です。スタイルカテゴリーでは、ストローボトルFHLシリーズのフルモデルチェンジであるFJM-350、450を開発しました。幅広いシーンで利用できるストローボトルです。スリムになって持ち歩きやすくなりました。日常の水分補給や、ウォーキング、スポーツ観戦に最適です。クールウェーブカテゴリーでは、保冷ショッピングバッグRFA-025を開発しました。毎日のお買い物に便利な大容量のボックス型です。また、サーモス独自のアイソテック4層断熱構造の保冷機能付きで、しかもコンパクトにたためるうえに、小物の収納に便利なフロントポケット付きです。
FY2020|4,292 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。」を企業理念として、産業ガス事業の拡大を進め持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。研究開発において、当社独自のガステクノロジーを基盤とした、ガスアプリケーション、環境、ガス分離精製、エレクトロニクス、医療・ライフサイエンス、ファインマテリアル、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に取組むことで収益拡大に貢献しています。また、知的財産の有効活用と特許出願についても推進しており、2019年12月末時点において当社保有特許件数は798件となっています。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は3,389百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に2,691百万円、「米国ガス事業」に658百万円、「サーモス事業」に39百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。 〔国内ガス事業〕国内ガス事業においては、当連結会計年度末現在、つくば研究所、山梨研究所、SIイノベーションセンター及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しています。近年の当社の開発体制として、2019年10月に新たにデジタルソリューションセンターを設立し、自社生産工場の操業最適化などAI・IoTを用いてデジタル革新に取り組むとともに、顧客の要求に対応しています。また、オープンイノベーションとして、海外を含めたベンチャー企業との事業提携を通じて最新の技術を取り込み、当社保有技術との相乗効果を発揮して開発商材の上市を加速します。(ファインマテリアル)・先端技術分野では、AM(アディティブ・マニュファクチャリング)事業を、グローバル規模で進む第4次産業革命の中心分野とみなして当社の注目する事業の一つとしており、コア技術開発とトータルソリューション提案を軸とした事業戦略を推進しております。先行する欧米マーケットとのシナジーも最大限活用し、現状では売上収益数億円の事業規模から、数年以内に数十億円規模への拡大を目指します。・新素材分野では、高配向カーボンナノチューブ「CNT-uni」、高機能フッ素樹脂、金属ナノ粒子等を開発しました。中でも、当社独自技術により合成した銅ナノ粒子を用いた光焼成用導電性ペーストやパワー半導体用のシート状接合材は、電子機器や自動車部品への展開が期待されています。(ガスアプリケーション)燃焼分野、溶接・切断分野及び低温・食品分野を中心に、産業ガスの使用に関する様々な工業製品を開発しております。・燃焼分野では、電炉の製鋼プロセス向けに省電力貢献をしている酸素燃焼用バーナ・ランスに酸素予熱機能を組込む事で超音速流を形成し、溶解時間を従来より最大50%短縮する「SCOPE-JetⓇ OxHeat」を開発しました。・炭素繊維市場向けに、製造プロセスからのNH3やHCNを含む排ガスを効率良く除害処理する「Innova-FLASH」を開発しました。・溶接分野では、日酸TANAKA株式会社と共同で、「サンアークⓇ DS-TIGアドバンストーチ」を開発しました。特殊な冷却方法とガスシールド方法を採用することで、従来のTIG溶接電源でもキーホール溶接が可能となりました。(環境関連)・2020年2月に太陽光発電電力を利用したオンサイト型CO2フリー水素の燃料電池フォークリフト充填システムが完成しました。・高温超電導電力機器を-200℃以下まで冷却可能なネオンガス冷凍機「NeoKelvinⓇ-Turbo」は、モスクワ市電力公社の超電導限流器向けに納入され、商用運用が開始されています。(ガス分離精製)・ガス発生装置分野では、2019年7月にファイバーレーザ加工機向けに鉄やアルミの切断の専用機とした新モデル(LT60F)を上市しました。本装置のアシストガスにより、レーザカット時に発生する金属溶融物を低減させることで切断品質の向上が可能となりました。また、当社のPSA式窒素ガス発生装置「NitrocubeⓇ」の遠隔サポートサービス加入件数も増加し、顧客より好評を得ています。(エレクトロニクス)エレクトロニクス分野では、社会のデジタル化により半導体需要は拡大し、プロセス材料の使用量増加や半導体製造装置の大型化が進んでおります。これらの動きに積極的に対応し、電子材料ガスの国内トップシェアを維持しております。・客先工場のスマートファクトリー化を実現する新たなガス供給システムであるインテリジェント・ガス・サプライングシステム「IGSS」を開発しました。各種監視機能を備え、容器の自動搬送、AIによる消費予測と容器位置情報把握、設備の運転データの記録とこれらをタブレットに集約できるガス監視システムで構成されております。・半導体製造プロセスで利用される窒素ガスの監視について、熊本大学との共同研究により、金属有機構造体(MOF)を感湿剤とした高応答性、高感度を満足する小型かつ安価な微量水分計を開発しました。・当社グループ会社のRASIRC社で製造・販売している高濃度H2O2ガス供給装置(PeroxidizerⓇ)について、既存酸化剤の使用よりも良質なAl2O3薄膜及びTiO2薄膜を高速成長できることを実証いたしました。・「THVPE法による高品質バルクGaN成長用装置」を科学技術振興機構(JST)のNexTEPプログラムに基づいて東京農工大学と共同で開発しました。従来法と比べ高温(1,200~1,400℃程度)で結晶成長させることで3倍以上の成長速度で高品質かつ厚みのある結晶成長を実現し、安価で高品質なバルクGaN結晶の大量生産に近づきました。 (医療・ライフサイエンス)医療・ライフサイエンス分野では、2015年に国内3基目の「酸素-18 安定同位体標識水(以下、Water-18O)」製造プラントを増設し2016年より「Water-18O」の製造を開始しています。この製造プラントには酸素安定同位体17Oを酸素蒸留法により分離する技術を適用しており、分離した17Oを用いた「酸素-17 安定同位体標識水(以下、Water-17O)」の製造に国内で初めて成功しました。この「Water-17O」は、革新的な17O-MRI脳疾患診断の造影剤として注目されています。また、当社では細胞自動凍結保存装置「クライオライブラリーⓇ」を始め、各種細胞保存関連商材を産学官に納入しています。・2019年2月よりGMPに準拠した厳格な品質管理の下、高品質な「Water-17O」を安定供給しています。 〔米国ガス事業〕米国ガス事業においては、コロラド州ロングモント研究所を拠点にエレクトロニクス分野における高純度材料ガスの製造、精製、分析技術の開発を行っております。グローバル市場において、めまぐるしく変化する顧客のニーズをいち早く捉えるため、グループ会社間でマーケティング活動の共有化や製造及び物流を含めたサプライチェーンの最適化に取り組み、高品質、高付加価値製品の開発に活かしております。当連結会計年度は、半導体製造プロセス用ガス分析技術の対象範囲拡大と併せて、アジア量産工場におけるガス製造プロセス改善及び高品質化に貢献してまいりました。ガスアプリケーション分野においては、ニュージャージー州を拠点として、食品産業分野の顧客を中心にガス利用提案を行っております。当連結会計年度は、これまで開発した液体窒素を大量に使用する食品冷凍装置に加え、食品包装ガス混合装置の受注に注力し、新規顧客を獲得しました。また、山梨研究所で開発されたガス精製装置を米国で受注するなど、当社技術を活用した米国市場の開拓が着実に進んでおります。外部リソースとの積極的な協業を推進するオープンイノベーション施策においては、米国ベンチャー企業のSulfaTrap LLC社と連携し、顧客へ超微量硫黄分を除去可能な精製剤を販売するとともに、AM関連の米国装置メーカーと連携しガス供給装置を販売するなど、ガス事業とのシナジー創造を推進しております。 〔サーモス事業〕サーモス株式会社は、「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という企業理念に従い、断熱技術を利用することで省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現すべく、積極的な商品開発を推進しております。当連結会計年度は、年々伸び続けているタンブラー市場において、広口で口当たりが良く飲みやすいように口元を丸くし、持ち運びできるようにシンプルでお手入れしやすいフタを設けた真空断熱ケータイタンブラーの新商品を開発しました。さらに、色付きの陶器風デザインをあしらった真空断熱タンブラーを開発しました。セラミックコーティングを施すことで陶器製タンブラーをイメージさせるとともに、食器洗浄機対応機能も備えてお手入れ性の向上も図りました。また、ステンレス製の持ち易いグリップをレーザー溶接により金属本体に取り付けた大容量の真空断熱ジョッキも開発し、タンブラー商品の拡充をおこないました。スポーツカテゴリーでは、山での厳しい条件に対応した山専用ボトルに750mlの容量の商品を追加するとともに、カラー、グラフィックの変更をおこなった真空断熱ボトルを開発しました。さらに、昨年開発した自転車のボトルケージに収まる専用設計の真空断熱ストローボトルに追加する形で、保温、保冷の両方が可能な真空断熱ケータイマグを開発しました。ホットランチカテゴリーでは、フタの開けやすさにこだわり、内部が減圧ないし加圧状態でもフタが開けやすいクリックオープン構造のフタを搭載した真空断熱スープジャーの新商品を開発しました。キッチンウェアカテゴリーでは2018年の年末に発売を開始したフライパンで新たにプラズマ超硬質コーティングを施し、圧倒的な耐久力を有したフライパンと炒め鍋を開発しました。また、軽量タイプで使いやすいガス火専用のフライパン、炒め鍋、玉子焼きフライパンの新商品開発もおこないました。これらを初めとして、当連結会計年度に投入した新商品は91機種となりました。このように積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「環境に配慮するとともに新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けております。 (注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
FY2019|4,398 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。」を企業理念として、The Gas Professionalsをスローガンに、グローバルでの産業ガス事業の拡大を進め、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。研究開発においては、当社独自のガステクノロジーを基盤として、エネルギー、環境、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、エレクトロニクス、ガスアプリケーション、ファインマテリアル等の新素材、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に重点的に取組むことで、収益拡大に貢献しております。さらに、オープンイノベーションを活用し、新規事業創出に向けた技術開発も積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2018年12月末時点において当社が保有する特許の件数は774件となっております。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は3,494百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に2,846百万円、「米国ガス事業」に614百万円、「サーモス事業」に34百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。 〔国内ガス事業〕国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス等、様々な産業で当社の技術を利用いただいています。当連結会計年度末現在、つくば研究所、山梨研究所、SIイノベーションセンター、及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しております。エネルギー分野では、低コストかつコンパクトな水素ステーションの開発を進め、移動式の「Hydro ShuttleⓇ」、定置式の「Hydro CityⓇ」を商品化しました。商用水素ステーションは当連結会計年度末現在で25箇所稼働しています。超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することができるネオンガス冷凍機「NeoKelvinⓇ-Turbo」を商品化し、2kW級に続き10kW級も販売を開始しています。韓国での商用高温超電導ケーブル向け、モスクワ市電力公社の超電導限流器向けに納入を完了し、世界での高温超電導電力機器の普及促進へ大きな役割を担っています。環境分野においては、排ガス処理装置を中心とした技術開発を行い、燃焼式、プラズマ式、吸着式など多様な排ガス処理装置技術により、多様化する半導体製造プロセスに対応しています。温暖化係数の高いガスの高効率処理等、新型排ガス処理装置も商品化し、多くの納入実績を上げています。また、電炉での製鋼プロセス向けに省電力貢献している酸素燃焼用バーナ・ランス「SCOPE-JetⓇ」に加え、酸素富化燃焼バーナシステム「Innova-JetⓇ」は振動火炎による排ガスの超低NOx化を提案しています。ガス深冷空気分離装置に関する技術では、装置のコンパクト化と低コスト化を実現しました。また、従来比で動力を10%削減した酸素製造装置の開発を完了しました。半導体産業向け等の窒素製造装置は、空気中に微量に含まれる一酸化二窒素の除去能力が高い高性能吸着剤を開発し、深冷式空気分離装置の高度化、差異化を図っています。また、当社PSA式窒素ガス発生装置「NitrocubeⓇ」の遠隔監視サービスは実運用を開始し、顧客に安心感を与え好評を得ています。今後、ブラッシュアップを進め、更にきめ細かなサービス機能を充実していきます。医療・ライフサイエンス分野では、理化学研究所より技術導入したタンパク質合成キット「無細胞くん」の販売展開に加えて、大学発ベンチャーであるSAILテクノロジーズ株式会社を買収し、同社の持つ独創的なタンパク質解析技術(SAIL法)と高度な有機合成化学を獲得し、NMR分野を牽引できる開発・製造体制を強化しました。全自動凍結保存システム「クライオライブラリーⓇ」は、多様化する運用に対応できるよう商品拡充を進めています。本年度は、これまでのバイアルに加えて凍結バッグの収納に対応できる装置を開発しました。新たな小型の試料搬送容器「CryoHandyⓇ」を製品化し、販売を開始しました。エレクトロニクス分野では、近年の半導体製造設備大型化、生産性の向上によって、特殊材料ガスの使用量が急激に増えております。当社では積極的に特殊材料ガスの大量供給技術開発に取り組んでおり、国内でトップシェアを維持しております。さらにアジア地区においては、新規開発した合成法による特殊材料ガス生産設備を導入するなど、電子材料ガス生産能力増強に取組んでいます。3D-NANDに代表される新しいデバイス構造やSiGe/Geなど金属元素の多様化による半導体製造工程からの要求に対応したプロセス材料の開発にも取り組んでいます。主に、低温SiN成膜材料を始めとするALDプロセス向けプリカーサー、酸化剤や窒化剤の供給技術、半導体材料ガスの精製技術、CVD装置などのチャンバ部材クリーニング技術について、商品化開発を進めています。化合物半導体製造装置の開発においては、GaN系素子は、パワーデバイス等の電子デバイス用途としても注目されてきており、国内トップシェアを誇る高性能MOCVD装置を核として、顧客への対応力を強化します。GaN-MOCVD装置は、深紫外LEDやGaN基板上のLEDの生産も本格化しつつあり、高温処理対応の中型MOCVD「SR4000HT」を商品化、国内外との共同研究を推進して当社装置の優位性をさらに高めていきます。新素材分野としては、当社の高配向カーボンナノチューブ「CNT-uni(シーエヌティーユニ)」を使用した高機能フッ素樹脂の販売が、半導体製造装置向けに堅調に推移しています。また、当社の独自技術により合成した銅ナノ粒子を用いた導電性ペーストの開発に成功し、プリンテッドエレクトロニクス向けに、サンプル販売を開始しました。ガスアプリケーションとしては、火炎をスイングさせることにより、広い範囲を効率良く均一加熱できる自励振動現象バーナのラインナップに電炉向けの「SCOPE-JetⓇ Swing」、ガラス溶融炉のフォアハース向けの「Innova-JetⓇ Swing.F.H」を追加し販売を開始しています。低温機器では、液体窒素の流れの中で原料液体を流下させ粒状に凍結させることで、液体凍結物のハンドリングを大きく向上させることが可能な粒状凍結機の開発を進めております。AM(アディティブ・マニュファクチャリング)事業向け高品質ガス供給やコントロール機器等で実績が上がってきておりAM事業開発は着実な進捗が見られます。AM技術に特化した開発プロジェクトを新規に立ち上げ、米国Sintavia LLC社との共同研究を中心にIndustry Revolution 4.0への対応に注力しています。 〔米国ガス事業〕米国ガス事業においては、コロラド州ロングモント研究所を拠点にエレクトロニクス分野における高純度材料ガスの製造、精製、分析技術の開発を行っております。グローバル市場において、めまぐるしく変化する顧客のニーズをいち早く捉えるため、グループ会社間でマーケティング活動の共有化、製造、物流を含めたサプライチェーンの最適化に取り組み、高品質、高付加価値製品の開発に活かしております。当連結会計年度は、アジア量産工場におけるフッ素系エッチングガス製造開始に貢献するとともに、半導体製造プロセス用ガス分析技術の対象範囲拡大に取り組んできました。ガスアプリケーション分野においては、ニュージャージー州を拠点として、食品産業分野の顧客を中心にガス利用提案を行っております。当連結会計年度は、これまで開発した液体窒素を大量に使用する食品冷凍装置に加え、食品包装ガス混合装置の受注に注力し、新規顧客を獲得いたしました。また、山梨研究所で開発されたガス精製装置を米国で受注するなど、当社技術を活用した米国市場の開拓が着実に進んでおります。外部リソースとの積極的な協業を推進するオープンイノベーション施策においては、米国ベンチャー企業のSulfaTrap LLCと連携し、天然ガス精製関連の顧客へ超微量硫黄分を除去可能な精製剤を販売するとともに、AM関連の米国装置メーカーと連携しガス供給装置を販売するなど、ガス事業とのシナジー創造を推進しております。 〔サーモス事業〕サーモス株式会社は、「人と社会に快適で環境にもやさしいライフスタイルを提案します」という企業理念に従い、断熱技術を利用することで省エネルギーに貢献するとともに、快適なライフスタイルを実現すべく、積極的な商品開発を推進しております。ケータイマグのモーションカテゴリーでは、これまでの軽量・コンパクトに加え、お客様がより簡単に洗いやすく、かつ快適にお使いいただけるようにシンプルなスクリュー栓と口当たりの良いシリコーンゴム製の飲み口を設けた新商品を開発いたしました。屋内用途のホームカテゴリーでは、ここ数年真空断熱タンブラーを積極的に市場投入し、ガラス製コップから真空断熱タンブラーへの置き換えを図って参りましたが、更に陶器製コップの置き換えを図った新商品を開発いたしました。真空保温調理器シャトルシェフ中心のキッチンウェアカテゴリーでは、新たな商品としてフライパンを開発いたしました。取っ手着脱式・固定式の2タイプを開発し、豊富な品揃えを図るとともに、取っ手着脱式タイプは保温カバーを用いることで温かさを1時間程度保持でき、おいしさを長持ちできるようにしました。また、フライパンのコーティングは硬質フィラーを配合した耐久性デュラブルコートにより耐摩耗性を向上させ、焦げ付きにくくしました。スポーツカテゴリーでは、商品レンジ拡大のためにアウトドアシリーズとして真空断熱を中心とした魔法瓶、タンブラー、缶クーラー、食器、保温調理器、ソフトクーラーを開発いたしました。新規市場の音響関連のVECLOSブランドでは、デジタルオーディオシステムとしてハイレゾ再生及びBluetooth対応のプレミアムデスクトップスピーカーを開発いたしました。また、真空断熱構造により優れた定位と音場感を再現するインナーイヤーヘッドホンとオーバーイヤーヘッドホンも開発いたしました。これら数多くの商品投入を図った結果、当連結会計年度に投入した新商品は88機種となりました。このように積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「環境に配慮するとともに新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。 (注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
FY2018|4,028 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く。」を企業理念として、The Gas Professionalsをスローガンに、世界の工業ガスメジャーへの仲間入りを目指しています。研究開発においては、当社独自のガステクノロジーを基盤として、エネルギー、環境、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、エレクトロニクス、ガスアプリケーション、ファインマテリアル等の新素材、先端技術分野に向けた新商品・新技術の開発に重点的に取組むことで、収益拡大に貢献しており、新規事業創出に向けた技術開発も積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2017年12月末時点において当社が保有する特許の件数は738件となっております。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は32億55百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に26億12百万円、「米国ガス事業」に5億93百万円、「サーモス他事業」に48百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。 〔国内ガス事業〕国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス等、様々な産業で当社の技術を利用いただいています。当連結会計年度末現在、つくば研究所、山梨研究所、SIイノベーションセンター、及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しております。エネルギー分野では、低コストかつコンパクトな水素ステーションの開発を進め、移動式の「Hydro ShuttleⓇ」、定置式の「Hydro CityⓇ」を商品化しました。商用水素ステーションは当連結会計年度末現在で25箇所稼働しています。超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することができるネオンガス冷凍機「NeoKelvinⓇ-Turbo」を商品化し、2kW級に続き10kW級も販売を開始しています。韓国での商用高温超電導ケーブル向け、モスクワ市電力公社の超電導限流器向けに受注し、世界での高温超電導電力機器の普及促進へ大きな役割を担っています。環境分野においては、排ガス処理装置を中心とした技術開発を行い、燃焼式、プラズマ式、吸着式など多様な排ガス処理装置技術により、多様化する半導体製造プロセスに対応しています。温暖化係数の高いガスの高効率処理等、新型排ガス処理装置も商品化し、多くの納入実績を上げています。また、アーク炉での製鋼プロセス向けに省電力貢献している酸素燃焼用バーナ・ランス「SCOPE-JetⓇ」に加え、加熱炉での酸素富化燃焼バーナシステム「Innova-JetⓇ」による排ガスの超低NOx化を提案しています。ガス深冷空気分離装置に関する技術では、装置のコンパクト化と低コスト化を実現しました。また、従来比で動力を10%削減した酸素製造装置の開発を完了しました。最近では、天然ガス液化装置の開発に取り組んでいます。半導体産業向け等の窒素製造装置は、空気中に微量に含まれる一酸化二窒素の除去能力が高い高性能吸着剤を開発し、深冷式空気分離装置の高度化、差異化を図っています。また、自社開発した高性能吸着剤を用いたレーザ加工機用窒素供給システムのリニューアルを実施し、省エネとともにシステムの小型化を達成しました。更に、アフターサービスにも強化を図り、遠隔監視サービスやメンテナンスパックの販売を開始しました。医療・ライフサイエンス分野では、理化学研究所より技術導入したタンパク質合成キット「無細胞くん」の販売展開に加えて、大学発ベンチャーであるSAILテクノロジーズ株式会社を買収し、同社の持つ独創的なタンパク質解析技術(SAIL法)と高度な有機合成化学を獲得し、NMR分野を牽引できる開発・製造体制を強化しました。全自動凍結保存システム「クライオライブラリーⓇ」は、多様化する運用に対応できるよう商品拡充を進めています。また、2015年度から、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助金事業へ参画しており、新たな小型の試料搬送容器「CryoHandy」を製品化し、販売を開始しました。エレクトロニクス分野では、近年の半導体製造設備大型化、生産性の向上によって、特殊材料ガスの使用量が急激に増えております。当社では積極的に特殊材料ガスの大量供給技術開発に取り組んでおり、国内でトップシェアを維持しております。さらにアジア地区においては、新規開発した合成法による特殊材料ガス生産設備を導入するなど、電子材料ガス生産能力増強に取組んでいます。3D-NANDに代表される新しいデバイス構造やSiGe/Geなど金属元素の多様化による半導体製造工程からの要求に対応したプロセス材料の開発にも取り組んでいます。低温SiN成膜材料などの開発とともに、SiO2-PECVD装置などのチャンバ部材を対象にクリーニング技術の開発を進めており、今後、ALDプロセス向けにプリカーサーや供給シーケンスの開発に注力します。化合物半導体製造装置の開発においては、GaN系素子は、パワーデバイス等の電子デバイス用途としても注目されてきており、国内トップシェアを誇る高性能MOCVD装置を核として、顧客への対応力を強化します。GaN-MOCVD装置は、深紫外LEDやGaN基板上のLEDの生産も本格化しつつあり、高温処理対応の中型MOCVD「SR4000HT」を商品化、国内外との共同研究を推進して当社装置の優位性をさらに高めていきます。新素材分野としては、当社の高配向カーボンナノチューブをCNT-uni(シーエヌティーユニ)としたブランド化を進めています。CNT-uniを用いて世界で初めて熱可塑性フッ素樹脂への導電性付与に成功し、半導体製造装置向けの販売を開始しています。併せて分散液の開発も完了しました。その他、ナノサイズのニッケルと銅の超微粒子の量産技術を確立し、商品化開発を進めています。ガスアプリケーションとしては、流体の自励振動現象を応用して火炎をスイングさせることにより、広い範囲を効率良く均一加熱できる革新的な酸素富化バーナ「Innova-JetⓇ Swing」を開発し、販売を開始しています。低温機器では、航空機エンジンメーカーの要求に対応可能なサブゼロ装置を商品化しました。米国のOptomec, Inc.の金属3Dプリンタを山梨研究所に導入し、金属粉末材料のサプライヤーであるLPW Technology Ltd.や金属3Dプリンタで部品設計・製造を行うSintavia LLCと提携して、ガス・装置・材料の供給体制を整え、同事業に本格的に参入しました。 〔米国ガス事業〕米国ガス事業においては、コロラド州ロングモント研究所を拠点にエレクトロニクス分野における高純度材料ガスの製造、精製、分析技術の開発を行っております。グローバル市場において、めまぐるしく変化する顧客のニーズをいち早く捉えるため、グループ関係会社間でマーケティング活動の共有化、製造、物流を含めたサプライチェーンの最適化を通じて高品質、高付加価値製品の開発を行っております。当連結会計年度はフッ素系のエッチングガス製造方法を確立し、アジア量産工場へ移管致しました。また新たに低温窒素膜材料の精製技術開発、安定供給システムの開発に従事し、大手半導体メーカーとの評価試験を実施しております。ガスアプリケーション分野においては、ニュージャージー州の本社を拠点として、食品産業分野の顧客を中心にガス利用提案を行っております。液体窒素を大量に使用する食品冷凍技術に加え、当連結会計年度は食品包装混合装置の開発に注力し、新規顧客を獲得致しました。また、炭酸事業強化の一環として、廃水中和処理システムという新たなアプリケーションを開発し上市致しました。外部リソースとの積極的な協業を推進するオープンイノベーション施策においては、米国ベンチャー企業のSulfaTrap LLCと連携し、天然ガス精製関連の顧客へ超微量硫黄分を除去可能な精製剤を販売し、ガス事業とのシナジー創造を推進しております。これらの研究開発施策により、米国市場で更なる当社グループのプレゼンスを向上させてまいります。 〔サーモス他事業〕サーモス株式会社は、独自の断熱技術とユニークな生活快適発想を柔軟に組合せた夢のあるライフスタイルの創造を目指し、積極的な商品開発を推進しております。ケータイマグのモーションカテゴリーでは、これまでの軽量・コンパクト、ワンタッチオープンせんに加えて、シールプレートを用いたオリジナルボトル化によりお客様が自分だけのマイボトルを楽しんでいただける商品を開発致しました。お弁当カテゴリーでは、新たなライフスタイルの提案として朝お出かけ前に炊飯器代わりに電子レンジ加熱するだけでお昼には温かいごはんが炊けている弁当箱を開発致しました。キッチンウェアカテゴリーでは、これまでの真空保温調理器シャトルシェフの調理鍋の内面を3層フッ素コーティングにすることで、こびりつきにくく使いやすいうえに、お手入れも楽にした商品を開発致しました。alfiブランドにおきましては、ガラス製真空瓶からステンレス製真空瓶への切り替えを進め、alfiの洗練されたデザインと、落としても割れない、氷が入れられるなど機能上の進化を併せ持つ商品を開発致しました。これら数多くの商品投入を図った結果、当連結会計年度に投入した新商品は71機種となります。このように積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。 (注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
FY2017|7,639 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)では、「進取と共創。ガスで未来を拓く」を企業理念として、The Gas Professionalsをスローガンに、従来の延長線上にないナンバーワン技術・オンリーワン技術を次々と生み出すことで、他社との差異化を明確にし、世界の工業ガスメジャーへの仲間入りを目指しています。エネルギー、環境、ガス分離精製、医療・ライフサイエンス、エレクトロニクス、ファインマテリアル等の新素材分野、ガスアプリケーションの開発にも積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2016年12月末時点において当社が保有する特許の件数は701件となっております。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は33億23百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」に26億60百万円、「米国ガス事業」に6億円、「サーモス他事業」に62百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。 〔国内ガス事業〕国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス分野等、様々な産業で当社製品・技術をご利用頂いております。当社では、つくば研究所、山梨研究所、SIイノベーションセンター、及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しております。エネルギー分野では、燃料電池自動車(FCV)に70MPa級の高圧水素ガスを供給できる水素ステーションの開発を継続しております。低コスト・コンパクトな移動式水素ステーション(商品名:「Hydro ShuttleⓇ」)は2013年度に商品化され、現在まで12基の販売実績があります。また、2017年3月より定置式パッケージ型水素ステーション「Hydro City」とFCフォークリフト用水素ステーションの販売を開始しました。今後も水素ステーションの早期普及に貢献してまいります。環境分野においては、排ガス処理装置を中心とした技術開発を継続して実施しています。当社は燃焼式、プラズマ式、吸着式といった多様な排ガス処理装置技術を有しており、多様化する半導体製造プロセスに伴う新規の毒性ガスや腐食性ガスへの対応、及び温暖化係数の高いPFCsガスの高効率処理等、常に最新のトレンドに沿った排ガス処理技術の開発に努めています。最近の新製品事例としては、GaN素子やSiC素子と言った化合物半導体のエピタキシャルプロセスの排ガス中に大量に含まれる水素を燃焼燃料として利用し、エネルギー効率を高めた排ガス処理装置(商品名:「ハーキュリーズバーナーⓇ」)や、製造装置から排出される排ガス量に応じて燃料を最適制御することによって環境負荷低減が可能な「燃焼式排ガス処理装置」などの特徴的な製品を商品化し、多くの納入実績を上げています。また、アーク炉での製鋼プロセス向けには、既に上市している酸素燃焼用バーナ・ランス(商品名:「SCOPE-JETⓇ」)による電力削減、超低NOX酸素富化燃焼バーナシステム(商品名:「Innova-JetⓇ」)による、加熱炉・取鍋における省エネ提案に加え、自励振動現象を利用した「Innova-JetⓇ Swing」を新たに商品化し、タンディッシュ予熱における省エネ提案を開始しました。酸素燃焼技術では、大阪大学と共同でNOx発生量を抑制する「アンモニア燃焼技術」を開発しました。本技術は、アンモニアを燃料としてNOxの発生量を環境基準以下まで抑制し、同時に火炎の伝熱強化を達成する燃焼技術であり、CO2の排出量を大幅に削減することが可能となります。今後は工業炉における実装可能なスケールアップに関する検証を行い、アンモニア燃焼技術の工業炉分野への社会実装を目指します。高温超電導分野では、ネオンガスを冷媒とし、超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することが可能な、2kW級ターボ冷凍機(商品名:「NeoKelvinⓇ-Turbo」)の世界初の商品化に引き続き、10kW級冷凍機の開発に成功し、販売を開始しました。高温超電導電力機器は省エネルギー電力技術の切り札として期待され、現在実証研究から商用設備での検討段階に入っております。韓国の商用超電導送電線プロジェクトでの高温超電導ケーブルの冷却用途に10kW級「NeoKelvinⓇ-Turbo」が採用されました。ガス分離精製分野においては、大型の酸素製造装置分野では、前処理吸着器、蒸留塔、熱交換器などの小型化及び最適化により、コールドボックスのコンパクト化による低コスト化を図っています。また、従来比で10%動力を削減した低原単位の酸素製造装置を開発完了させ、商品化に向けた取り組みを開始しています。最近では、エネルギー産業等での需要を対象にした新商材として天然ガス液化装置の開発と商品化に取り組んでいます。中・小型の酸素製造装置に関しては、高価な酸素圧縮機を使用しない内部圧縮型酸素製造プロセスの採用を推進してきました。特に少量の液体酸素、液体窒素を併産する酸素製造装置に内部圧縮プロセスを採用することにより、装置の大幅なコンパクト化と低コスト化を実現しました。当社では、自社開発した高性能吸着剤の採用により精製装置なしで高純度窒素(99.999%)の発生が可能なPSA式窒素発生装置を実用化しています。2014年度には同装置を用いたレーザ加工機用窒素供給システムのリニューアルを実施し、従来機に比べて10%の消費電力削減と20%の設置スペース低減を達成しました。2014年の販売開始以降、ファイバーレーザ加工機向けに好評を博しており、好調な売上を継続してきました。また、大型装置や船舶用装置等向けに安価な低純度(95%~99.9%)用吸着剤の開発を完了し、2015年度に同剤を搭載した新型PSA式窒素発生装置を上市しました。2016年にはケミカル船向けに1号機を納入し、実績を重ねております。近年では、バイオガスからメタンと二酸化炭素の両方を製品とする「二酸化炭素回収型バイオガスPSA装置」や、使用済みヘリウムガスを高純度、高回収率で回収する「ヘリウム回収精製装置」の開発を完了し、顧客に納入しました。また、将来に向けたエネルギー分野への対応から、水素精製装置や天然ガス分離の技術開発にも取り組んでいます。現在内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム エネルギーキャリア アンモニア水素ステーション基盤技術」に参画し水素精製装置開発を担当、参画機関と共同でアンモニアを原料とした燃料電池自動車向け高純度水素燃料を製造するための基本技術を世界で初めて開発しました。現在は実証に向けたプロセス検討を進めています。医療・ライフサイエンス分野としては、無細胞タンパク質合成キット(商品名:「無細胞くんⓇ」)のラインアップを充実し、医薬品の作用標的として注目される「膜タンパク質」の合成キットを商品化しました。また、SAILアミノ酸(立体整列同位体標識アミノ酸)などの高度安定同位体標識アミノ酸や、これらをタンパク質に組み込む技術を開発するとともに、創薬関連タンパク質などの受託合成を開始し、NMRによる高分子量タンパク質解析市場開拓を進めています。一方、生体中のタンパク質・アミン解析用試薬、安定同位体タグ試薬キット(商品名:「Py-TagⓇ for PROTEINS」)では、食品中の有害物質検出の用途開発が進んでおり、産業分野への拡大が期待されています。また、iPS細胞の最適な凍結保存が可能な全自動凍結保存システム(商品名:「CryoLibraryⓇCAPSi3000」)に続き、試料の収納数を従来比で約3倍にした(商品名:「CryoLibraryⓇ ADVANCE」)を商品化しました。「CryoLibraryⓇ」は創薬分野や再生医療分野といった先端医療分野の研究機関へ本装置の納入が進んでおり、さらに再生医療の現場に適用するため、多様化する凍結保存試料の収納形態に対応できるようラインアップ拡充を進めています。また、当社は、幹細胞基盤評価技術研究組合の中で、2015年度から、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のプロジェクト(「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」)へ参画して、移植用細胞を臨床レベルで実用化できる輸送技術の研究開発に取り組みました。本プロジェクトにおいて、細胞の保存、輸送における温度履歴を試料毎に連続して管理できる、温度履歴情報統合管理システム(商品名:「CryoLibrary iMasterⓇ」)の販売を開始しました。エレクトロニクス分野では高純度ガス精製装置が、国内、海外(主に中韓台)で高いシェアを維持しています。精製方式は常温式及びゲッター式を取り揃えており、各種不純物除去が可能となりました。また、低流量から大流量まで幅広いラインアップを取り揃えています。本年度はこれまでのラインアップ(窒素、酸素、水素、アルゴン、ヘリウム及びアンモニア)に加え、新たに高純度空気精製装置や高純度二酸化炭素精製装置、安全性を高めたハイブリッド型ゲッター式高純度水素精製装置を開発しました。現在は精製装置内部の熱源を再利用した省エネルギータイプの高純度精製装置の開発を進めており、来年度販売開始予定です。近年の半導体製造設備大型化、生産性の向上、及び3Dトランジスタ技術の進歩によって、特殊材料ガスの使用量が急激に増えている中、当社では積極的にBSGS(Bulk Specialty Gas System)を核とした特殊材料ガス大量供給技術開発に取り組んでおり、国内でトップシェアを維持しています。また、今般規制緩和により高圧ガス容器の電熱ヒーター直接加温が可能となり、当社ではいち早くシリコンラバーヒーターを採用したシリンダーキャビネット(NACS HEATⓇ)を開発・商品化しました。他にも大量のガス供給が可能、且つ低残量まで消費を可能とした「供給補完システム」や、液化ガス容器を複数本同時供給する際に生じる片流れを防止する「片べり防止システム」を開発し、多くの納入実績を上げています。一昨年のノーベル物理学賞によって一般用語となりつつあるGaN(窒化ガリウム)系素子は、バックライトや照明用LEDの光デバイス用途に加え、パワーデバイス等の電子デバイス用途としても注目されています。当社は、国内シェア第1位を誇る高性能MOCVD装置を核として、化合物半導体製造顧客への対応力を強化しています。GaN-MOCVD装置は、1995年度以来国内外の多くの顧客に納入しており、R&Dから量産工場向けまでの幅広いラインアップがあります。量産向けGaN-MOCVDのURシリーズ(商品名:「UR25K」、「UR26K」)は、4~8インチウエハ多数枚処理可能で光・電子デバイス用途として国内外の生産ラインで稼働しています。新たなアプリケーションとして、硬化・殺菌等の用途に期待される深紫外LEDや高級車向け照明用途として従来のサファイア基板やSi基板からGaN基板上のLEDの生産も本格化しつつあります。当社は高温処理対応の中型MOCVD(商品名:「SR4000HT」(2インチウエハ3枚))を商品化し、国内外の研究拠点との共同研究を推進して当社装置の優位性をさらに高めます。2016年3月には、名古屋大学にGaN基板上の電子デバイス開発の用途でMOCVD・HVPEを納入、窒化物半導体の新規アプリケーション分野への拡販を推進しています。半導体デバイスの性能向上に向けて、微細化だけでなく、Fin-FET及び3D-NANDに代表される新しい構造やSiGe/Geなど様々な金属元素の採用も行われており、それに伴ってプロセスガスに求められる特性も変わっています。これまでに、低温SiN成膜材料、Si深堀エッチング材料、低誘電率膜(Low-k)材料などの開発とともに、SiO2-PECVD装置、MOCVD装置、SiCエピタキシャル成長装置などのチャンバ部材クリーニング技術の開発を行ってきました。更には、これら新たに必要とされる材料の供給機器や精製装置、排ガス処理装置など関連機器類の最適化、並びにフローリアクターなどを活用した新たなプロセスガス製造技術の開発にも取り組んでいます。新素材分野としては、カーボンナノチューブについては、当社の製品は、高配向性の特徴があるため、商標をCNT-uni:シーエヌティーユニとし、他のカーボンナノチューブとの差異化を強調するブランド戦略を進め、材料販売の体制の整備を進めています。透明導電・帯電防止向け分散液は、当社の長尺CNTの利点を生かし、基材が伸びた場合でも機能が追随可能な特徴が得られることで、他の帯電防止材との差異化が期待できます。高配向CNTの配向構造を最大限利用したカーボンナノチューブヤーンについても生産技術の確立を目指して開発を実施しています。金属超微粒子に関する取り組みとしては、世界的に類をみない酸素バーナ火炎中において低コストで高品質なナノサイズの金属超微粒子を合成する技術を、主にニッケルと銅の超微粒子の量産化技術として確立しました。ニッケル微粒子は、スマートフォンやタブレットPC向け積層セラミック(MLCC)コンデンサーの電極材料をターゲットとして、最先端のMLCC搭載にむけてサンプルワークを実施しています。銅微粒子については、今年度、120℃で焼結できる低温焼結タイプを開発し、プリンテッドエレクトロニクス向け導電性ペースト、パワーデバイス向け接合用途に商品開発を実施しています。ガスアプリケーションとしては、低温機器に関する分野で-196℃の液体窒素冷媒を使用し、金属部品を-80℃以下まで低温熱処理を行う装置(サブゼロ処理装置)の温度制御技術を向上させることにより処理時間の短縮や庫内温度分布の均一化を実現し自動車部品メーカー等の要求に対応してきました。また、本技術を更に高性能化させることにより、市場の顕在化が見込まれる航空機エンジンメーカーの温度制御要求に対応可能な装置の商品化を実現しました。今後、本分野での需要獲得を進めていきます。真空凍結乾燥装置については製薬メーカーからの引き合いに加え、他分野のメーカーから差異化商品製造のための引き合いも増加しており、評価試験による技術提案を継続しています。溶接・溶断分野では、半自動TIG溶接システム(商品名:「サンアークⓇTIGマイスター」)の売上が引き続き順調に推移しています。本システムは、TIG溶接の利点である高品質なスパッタゼロの接合ができるとともに、MAG・MIG溶接並みの大きな溶け込みによる溶接速度が向上します。溶断分野では、2014年度に商品化した水素ガスとLPガスを混合した切断用燃料プレミックスガス(商品名:「サンカッターⓇHL-1」)に加え、水素ガスとプロピレンガスを現地にて混合する「サンカッターⓇHL-T」を商品化しました。「サンカッターⓇシリーズ」を用いた切断のメリットとしては、従来のLPガスを燃料とした切断に比べ、1.5倍という大幅な切断速度の向上と、切断面の品質向上、輻射熱の低減による作業環境の改善やCO2発生量の低減が挙げられますが、「サンカッターⓇHL-T」では更に燃費改善を実現することが可能となります。 〔米国ガス事業〕米国ガス事業では、コロラド州ロングモント研究所においてガス分析・精製技術の開発、半導体産業向け材料ガス・機器の開発に加え、当社山梨研究所からのガスアプリケーション製品の導入やベンチャー投資を含むオープンイノベーションの推進等により、新規事業創出・サプライチェーン最適化・既存ガス事業とのシナジー追求を目的として研究開発を進めております。ガス分析・精製技術の開発では、ジボラン、ホスフィン、ゲルマン等の水素化物混合ガス製品へ金属不純物の品質基準を導入することで、更なる高品質化を実現するとともに、大手半導体メーカーへの供給量拡大に貢献しております。また、現地企業との次世代半導体向け原料ガス・プロセスガスの共同開発プロジェクトにも取り組んでおります。ガスアプリケーション分野では、2009年に設立した米国ガスアプリケーションセンターを通じて、液体窒素を用いた食品冷凍・コンクリート冷却、またヘリウム回収等の技術分野で市場分析及び顧客への提案を行っております。2016年にAir Liquideから産業ガス事業関連の一部資産を買収して全米に事業拠点が広がったことを機に、当社技術による米国市場の深耕を更に進めていく計画です。オープンイノベーションの推進については、新規製品・技術の獲得に向けて、引き続き複数のベンチャー企業への資本参加を進め、新規事業の創出を進めてまいります。 〔サーモス他事業〕家庭用品分野においては、「サーモスマジック」をコンセプトに、独自の断熱技術とユニークな生活快適発想を柔軟に組合せた夢のあるライフスタイルの創造を目指し、積極的な商品開発を推進しております。キッズカテゴリーでは、さらなる軽量・コンパクト設計により、使いやすくした製品を3容量帯で製品化いたしました。お弁当カテゴリーでは新しいライフスタイル型商品として人気の高いスープジャーの分解機構の改良により、よりお手入れし易くなると共にデザインを一新した機種を追加いたしました。ベビーカテゴリーでは、中味が見え、漏れない機能が人気のストローマグに大容量タイプをご用意いたしました。以上のほかに新しい取組みとして、昨今市場拡大が続いている自転車市場において、スポーツバイク向けに専用設計されたストローボトルを当社ではじめて製品化し、投入いたしました。また、屋外で働く方をターゲットにハードユースに耐えるようデザイン設計された“ワーカーズシリーズ”を今回新規に投入いたしました。alfiブランドにおいては、卓上ポットのガラス製真空瓶を、落としても割れない、氷が入れられる、などのメリットを持つステンレス真空瓶に切替えるとともに、職人がひとつひとつ丁寧に磨き上げた、おしゃれで高級感の漂うタンブラーシリーズを新規で追加いたしました。これら数多くの商品投入を図った結果、当連結会計年度に投入した新商品は61機種となります。このように積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。 (注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。
FY2016|5,723 文字
6【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)は、従来技術の延長線上にないナンバーワン技術・オンリーワン技術に代表される「ワン」技術を次々と生み出し、他社との差異化を達成することで、世界の産業ガスメジャーと比肩しうる企業を目指しております。環境・エネルギー、エレクトロニクス、医療分野といった先端産業分野を中心に、ファインマテリアル等の新素材分野の開発にも積極的に取り組んでおります。また、知的財産の有効活用と特許出願についても鋭意推進しており、2015年の特許保有件数は689件となっております。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は33億48百万円であり、その内訳は「国内ガス事業」27億76百万円、「米国ガス事業」5億4百万円、「サーモス他事業」66百万円となっております。主な研究開発活動の概要は次のとおりです。 〔国内ガス事業〕国内ガス事業においては、鉄鋼、化学工業、自動車産業、半導体メーカー、医療・ライフサイエンス分野等、様々な産業で当社製品・技術をご利用頂いております。当社では、つくば研究所、山梨研究所、SIイノベーションセンター及び京浜事業所の4拠点が連携して研究開発を実施しております。 エネルギー分野では、燃料電池自動車に70MPaの高圧水素ガスを供給する水素ステーションの開発を継続実施しております。3年前に商品化した低コストでコンパクトな移動式パッケージ型水素ステーション「Hydro ShuttleⓇ」のコストダウンやブラッシュアップに取り組み、最新型にモデルチェンジいたしました。最新型移動式「Hydro ShuttleⓇ」の受注実績は11基となり、定置式水素ステーションのバリエーションを加えて、水素ステーションの早期普及に貢献してまいります。環境分野では、酸素燃焼技術を応用し、排ガス中に含まれるNH3やシアン化水素を分解・無害化する技術の開発を完了しました。この技術は、今後成長が期待される、炭素繊維製造工程で排出される排ガスの処理に適用が期待されます。既存の空気燃焼式除害設備と比較して、ランニングコストの低減を図る事が可能であり、同分野への拡販を図ってまいります。熱処理分野では、高性能サブゼロ処理技術の開発を完了しました。この技術は、液体窒素によるサブゼロ処理(低温雰囲気下で金属を冷却する処理)において、処理槽内温度分布の均一化と精密温度制御技術を実現しております。今後、管理温度が厳しくなると考えられる、航空機関連部品や自動車関連部品のサブゼロ処理への本技術の適用に取り組んでまいります。高温超電導分野では、参画していたNEDOプロジェクト「イットリウム系超電導電力機器技術開発」(期間:2008~2012年度)の成果を用いて、冷凍能力2kWを有するメンテナンスフリーネオン冷凍機の商品化(商品名:NeoKelvin turbo-2kW)を達成しました。本冷凍機は超電導電力機器を-200℃以下まで冷却することが可能な、世界初のネオンガスを冷媒とする冷凍機であり、これまでに5基を納入しました。また、海外においても、当社のネオン冷凍機を用いた超電導送電線のフィールド試験が行われております。超電導電力機器は、省エネルギー電力技術の切り札として期待されており、海外では商用の超電導送電線プロジェクトが進行中です。ジェネレータ分野では、昨年に引き続きPSA式窒素ガス発生装置「NitrocubeⓇ」の新型機のリリースを行いました。市場が拡大しておりますファイバーレーザ向けに特化した装置を大幅改良し、従来比10%の消費電力削減と20%の設置面積削減に成功しました。この改良により、生産性向上設備投資促進税制の適用を受けることができ、2015年度の販売実績は前年比2倍の17台と順調に販売台数を伸ばしました。一方、台湾のPSAメーカーでありますBenson社から調達した吸着剤中間体を利用した安価な高性能吸着剤の量産を開始、コンパクト化とコストダウンを図った新型機種1号機をケミカルタンカー向けに納入いたしました。今後は船舶分野ではLPG船などへ、一般工業ガス向けでは大型装置向けに高性能吸着剤を採用した新型機種を市場投入し、売上げの拡大を図ってまいります。また、大型の酸素製造装置では、前処理吸着器、蒸留塔、熱交換器など主要機器の最適化及び小型化により、コールドボックスのコンパクト化とコスト低減を図っています。従来比10%動力を削減した低原単位の酸素製造装置の開発を完了させ、実現に向けた取り組みを開始しています。最近ではエネルギー産業等での需要を対象にした新商材として天然ガス液化装置の開発と商品化に取り組んでおります。新素材分野では、フッ素樹脂に長尺で純度の高い自社製カーボンナノチューブ(CNT)を微量添加し高い電気伝導性を付加した「高機能フッ素樹脂」を商品化しました。PTFEの丸棒、シート等の一次成形品並びにフィルム状の加工品にて販売を開始しております。ガラス・フィルムの帯電防止コーティング向けに、長尺CNTを含んだ「分散液」を塗布プロセスと共に開発し、サンプル出荷を開始しております。帯電防止フィルムについてもサンプル出荷を開始しております。また、低温で焼成可能な高純度銅ナノ粒子は、電子機器の微細配線や電子部品の接合用途に向け開発に取り組みました。一般的な銅系ナノ粒子には、有機物で表面を保護した銅ナノ粒子や亜酸化銅のナノ粒子があります。これらは、高い導電性を得るために、300℃以上の加熱や長時間の還元処理が必要でした。開発した本ナノ粒子は、表層のみ酸化した高純度銅ナノ粒子で、150~200℃の還元雰囲気において、10分程度の短時間の加熱で焼結させることができます。本ナノ粒子は、独自開発した酸素燃焼によるナノ粒子合成技術によって、低コストで大量に製造することが可能です。現在まで、プリンテッドエレクトロニクス分野での導電性インクやパワー半導体の接合用ペースト向けに多くのユーザー様へサンプル提供を行っております。今後もサンプル提供を継続し、お客様のニーズに合わせた改良・改善を進めながら本格的な事業化を進めてまいります。「球状アルミナ」については、TIM(Thermal Interface Material)向けにサンプル提供を行っており、一部のユーザーにおいて量産試作中です。MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置関連では、種々のアプリケーション・ユーザーの要求にマッチした処理基板サイズ、処理枚数の装置開発を進めております。世界各国の顧客からの高度な顧客要求に効率的に応えていくため、国内外の国立研究機関との積極的なアライアンスによる開発を推進して参りました。窒化ガリウム(以下、GaN)パワーデバイスの分野では、名古屋工業大学「窒化物半導体マルチビジネス創生センター」に参画し、8インチ又は6インチSi基板に対応した大量処理能力を有するMOCVD装置「UR26K」の高性能化を推進、国内外の顧客からの引き合いに対応しております。光デバイスの分野では、台湾の研究機関であるITRI(工業技術研究院)にLED製造プロセスの技術開発を委託、殺菌・UVキュア等の分野で注目されている紫外光のLEDをアプリケーションとしたMOCVD装置「SR4000HT」の商品化に成功、国内外のメーカー・研究機関に複数の受注実績を上げております。当社では製造装置の高付加価値化の開発を継続して実施しており、反応炉内部の部品のドライクリーニング装置及び「その場クリーニング機能」を付備したMOCVD装置「SR8000」を開発、GaN基板上の電子デバイス等の新分野に向けた事業展開を目指しております。また半導体装置メーカーとのコラボレーションワークにて材料及びプロセスの一括提案を加速させ、数社の顧客より実証試験に向けた材料の引き合いを頂き納入致しました。当該提案における引合いが加速しており、今後材料の拡販が見込まれております。半導体、液晶、太陽電池の製造プロセスで使用される地球温暖化係数が高いパーフルオロ化合物(PFCs)に対しては、排ガス処理装置による排出削減の技術開発を継続して実施しております。当社は燃焼式、吸着式、プラズマ式の排ガス処理装置を有し、お客様の仕様に合わせた最適提案を行うことで多くの納入実績を上げております。医療・ライフサイエンス分野では、安定同位体の研究開発拠点として、2015年4月1日に「SIイノベーションセンター」を設立いたしました。安定同位体の産業展開に向け、先端研究機関や企業と連携し「素材としての新たな価値を創出する」研究開発を実施しております。前連結会計年度は、タンパク質の機能解明や医薬研究に資する「タンパク質の無細胞合成技術」と関連商品(商品名:無細胞くん)の高度化、並びに体内の代謝物を高精度に解析するための「質量分析向け安定同位体試薬」を中心に開発を進めて参りました。また「無細胞くん」は国内だけではなく、国際学会で商品展示や教育セミナーなどで営業展開し、米国の先端研究機関や製薬会社から受注頂いております。バイオメディカル分野では、AMED事業「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」において、生体試料の凍結保存から搬送、解凍に至る温度履歴を通信ネットワークを活用して連続記録可能な生体試料温度履歴統合管理システム「CryoLibrary iMasterⓇ」を開発しました。また、液体窒素式全自動凍結保存装置「クライオライブラリーⓇ ADVANCE」においては、収納形態等、お客様のニーズに応じた仕様の充実を図り、海外を含め活発化している創薬分野や再生医療分野への導入展開を進めております。 〔米国ガス事業〕米国ガス事業では、コロラド州ロングモント研究所においてガス分析・精製技術の開発、半導体産業向け材料ガス・機器の開発に加え、当社山梨研究所からのガスアプリケーション製品の導入やベンチャー投資を含むオープンイノベーションの推進等により、新規事業創出・サプライチェーン最適化・既存ガス事業とのシナジー追求を目的として研究開発を進めております。ガス分析・精製技術の開発では、ホスフィン、ゲルマン等の水素化物混合ガス製品へ金属不純物の品質基準を導入することで、更なる高品質化を実現するとともに、大手半導体メーカーへの供給量拡大に貢献致しました。半導体産業向けには、現地企業との次世代半導体向け原料ガス・プロセスガスの共同開発プロジェクト、並びにレーザー用混合ガス・機器の開発に取り組んでおります。ガスアプリケーション製品では、液体窒素を用いた食品冷凍分野において新規顧客が堅調に増加したことに加え、当社山梨研究所で開発されたバーナー技術及びガス精製装置を受注するなど、2009年に設立した米国ガスアプリケーションセンターの活用を通じた米国市場の開拓が着実に進んでおります。オープンイノベーションの推進については、2015年にガス精製・分離技術に関する商材を取り扱う戦略事業ユニットとしてMatheson Tri-Gas, Inc.社に設立したFrontier Purification Technology部門が中心となり、当社が出資した硫黄除去剤の開発・製造・販売を行うSulfaTrap社製品のオイル&ガス市場向けマーケティング、並びに三菱化学㈱が開発したZebrex(ゼオライト膜分離によるエタノールの精製)のバイオエタノール市場向けマーケティングを開始致しました。米国では新規製品・技術の獲得に向けて、引き続き複数のベンチャー企業への資本参加を進め、更なる新規事業の創出を進めてまいります。 〔サーモス他事業〕家庭用品分野においては、「サーモスマジック」をコンセプトに、独自の断熱技術とユニークな生活快適発想を柔軟に組合せた夢のあるライフスタイルの創造を目指し、積極的な商品開発を推進しております。直接飲めるスポーツ&キッズボトルのカテゴリーでは、ユーザートレンドに合わせ、デザイン、カラーの一新を図るとともに、ライセンスキャラクター製品の品数を拡充致しました。また、スポーツシーンに多い“氷を持ち運びたい”というニーズに応え、氷を解かさず長時間キープしたまま持ち運ぶための魔法瓶、“真空断熱アイスコンテナー”を商品化しております。お弁当カテゴリーでは、新しいライフスタイル型商品として急成長しているフードコンテナーのカラーを一新するとともに、これらに付属する小物として、専用スプーンや専用ポーチを取り揃えました。ベビーカテゴリーにおいては、軽量・コンパクトでさらにお手入れし易くなった調乳用ボトルの商品化に加え、中身が漏れない機能性が人気のストローマグに新シリーズを追加投入致しました。また、“家庭で手軽に本格アイスコーヒーを楽しみたい”という声にお応えするために、アイスコーヒーの抽出に最適な専用設計を行った、アイスコーヒー専用のコーヒーメーカーを商品化致しました。上記の商品群に加えて、ボトルの日々のお手入れに対するユーザーの声にお応えするため、ステンレスボトル内部の金属に電流を流すことでボトルに付着した汚れを根元から浮かせて剥がす、サーモス独自の発想によるステンレスボトル専用の洗浄器を開発、酸素系漂白剤と合わせて上市致しました。引続き市場拡大が続くケータイマグに加え、ドイツの高級魔法瓶ブランドであるalfi GmbH社製品の取り扱い開始などにより、当連結会計年度に投入した新商品は91機種となります。このように積極的な新商品投入を続けることにより、サーモスブランドは「新しいライフスタイルやそれを可能にする商品を提案するブランド」として、市場やエンドユーザーから高い評価を受けています。 (注) 上記の金額に、消費税等は含まれておりません。