4062

イビデン(4062)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    イビデンは、電子部品、セラミック製品、建設、建材、樹脂、食品など、非常に幅広い分野で事業を展開しています。これは、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した収益基盤を築くことを目指しているためです。
  • グローバルな製造・販売網
    子会社29社、関連会社1社からなる企業集団を形成し、米国、シンガポール、オランダ、台湾、中国、韓国、マレーシアなど世界各地に生産・販売拠点を有しています。これにより、各地域の顧客ニーズに迅速に対応し、効率的な製品供給体制を構築しています。
  • 多様な収益源
    電子パッケージ基板や環境関連セラミック製品といった主要製品の製造・販売に加え、設備工事、住宅設備機器、合成樹脂加工、農畜水産物加工、情報サービス、運送業務など、多岐にわたる事業から収益を得ています。これにより、特定の事業に依存しない安定的な経営を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 電子事業
    半導体メーカーやエレクトロニクス製品メーカー向けに電子パッケージ基板などを製造・販売しています。売上高は1,972.23億円、営業利益は268.47億円と、イビデングループの稼ぎ頭であり、最も規模の大きい事業セグメントです。主にサーバーやパソコン市場の技術革新が事業に影響を与えます。
  • セラミック事業
    自動車メーカー向けに環境関連セラミック製品、特殊炭素製品、ファインセラミックス製品などを製造・販売しています。売上高は840.68億円、営業利益は122.18億円であり、電子事業に次ぐ主要な収益源です。EV・ハイブリッド車の普及など、自動車業界の動向が事業に大きな影響を与えます。
  • その他事業
    設備の設計・施工、住宅設備機器、メラミン化粧板、法面工事・造園工事、合成樹脂加工、農畜水産物加工、情報サービス、自動車運送業など、多岐にわたる事業が含まれます。これらの事業は、イビデン全体の事業ポートフォリオを多様化し、リスク分散に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Electronics 事業 1,972 268 13.6%
Ceramics 事業 841 122 14.5%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|933 文字
3 【事業の内容】イビデン株式会社(当社)の企業集団は、子会社29社及び関連会社1社であり、事業内容は、電子、セラミック、建設、建材、樹脂、食品等の製造・販売を主に、設備工事関係、保守、サービス等を行っているほか、グループ製品・原材料等の運送業務を営んでおります。当社グループの事業内容と当該事業における位置付けは、次のとおりであります。区分主要製品及び事業内容主要な会社電子パッケージ基板当社、イビデン樹脂㈱イビデン産業㈱イビデンU.S.A.㈱(米国)イビデンシンガポール㈱(シンガポール)イビデンヨーロッパ㈱(オランダ)台湾揖斐電股分有限公司(台湾)イビデンフィリピン㈱(フィリピン)揖斐電電子(上海)有限公司(中国) イビデンコリア㈱(韓国)イビデンエレクトロニクスマレーシア㈱(マレーシア)セラミック環境関連セラミック製品、特殊炭素製品、ファインセラミックス製品、セラミックファイバー当社、イビデンケミカル㈱、イビデンU.S.A.㈱(米国)マイクロメック㈱(米国)イビデンメキシコ㈱(メキシコ)イビデンヨーロッパ㈱(オランダ)イビデンハンガリー㈱(ハンガリー)エルジーグラファイト㈱(イタリア) イビデンコリア㈱(韓国)揖斐電電子(上海)有限公司(中国)イビデングラファイトコリア㈱(韓国)揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司(中国)その他設備の設計・施工住宅設備機器、メラミン化粧板法面工事・造園工事等の土木工事の設計・施工合成樹脂の加工業農畜水産物の加工業情報サービス業自動車運送業、石油製品の販売事務代行業、請負業欧州域内の投資・金融米国内の投資・金融アジア域内の投資・金融土地所有・管理イビデンエンジニアリング㈱イビケン㈱イビデングリーンテック㈱イビデン樹脂㈱イビデン物産㈱、南寧大南食品有限公司(中国)タック㈱イビデン産業㈱㈱イビデンキャリア・テクノ、イビデンオアシス㈱イビデンヒューマンネットワーク㈱ イビデンヨーロッパ㈱(オランダ)イビデンU.S.A.㈱(米国)イビデンアジアホールディングス㈱(シンガポール)イビデンフィリピンランドホールディングス㈱(フィリピン)他1社   上記の企業集団等の状況について、事業系統図を示すと次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
当社グループの製品は厳しい競争下にあるため、常に研究開発の継続による新製品の開発が求められている
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
高水準の新製品開発投資を継続して行う必要があり、顧客のニーズを満足させる新技術を的確に予想することは容易ではない
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:テクノロジーの変革・移行 / 品質管理 / 地政学上のリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

イビデンは、半導体パッケージ基板分野において、独自の高密度実装技術や材料開発力を持つ。特に、CPUやGPU向けの先端パッケージ基板では、主要顧客である半導体メーカーとの共同開発を通じて、高い技術的信頼とブランドを確立している。これは他社が容易に模倣できない無形資産と言える。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

半導体パッケージ基板は、顧客である半導体メーカーの設計・製造プロセスに深く組み込まれている。基板メーカーを変更することは、設計変更、歩留まりの再検証、サプライチェーンの再構築など、多大なコストと時間を要するため、顧客にとってスイッチング・コストは高い。特に先端プロセスでは、この傾向が顕著である。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

イビデンの主要事業である半導体パッケージ基板やセラミックコンデンサは、直接的なネットワーク効果を生むビジネスモデルではない。製品の価値は、個々の性能や品質に依存する。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

イビデンは、長年の生産ノウハウや自動化投資により、一定のコスト競争力を有している。しかし、半導体パッケージ基板分野では、技術開発競争が激しく、常に巨額の設備投資が必要となるため、絶対的なコスト優位を築くことは難しい。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

イビデンは、半導体パッケージ基板において、世界でもトップクラスのシェアを持つ。特に、CPUやGPU向けの高付加価値製品においては、限られたプレイヤーしか存在しない寡占市場を形成しており、規模の経済を活かした効率的な生産体制を構築している。この規模は、新規参入障壁となっている。

  • 高度な技術力と研究開発
    イビデンの主要事業である電子部門とセラミック部門は、半導体メーカーや自動車メーカーといった高い技術力を要求される顧客に製品を供給しています。これは、常に研究開発を継続し、新製品を開発し続けることで、厳しい競争環境下での優位性を保っていることを示唆しています。
  • グローバルな生産・供給体制
    世界各国に生産拠点と販売拠点を展開しているため、顧客ニーズへの迅速な対応と安定した製品供給が可能です。これにより、特定の地域でのリスクを分散しつつ、効率的なグローバルサプライチェーンを構築していると考えられます。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    電子、セラミックを主軸としつつも、建設、建材、樹脂、食品など幅広い事業を展開することで、市場変動リスクを分散し、安定した経営基盤を築いています。これにより、特定の市場の景気変動に左右されにくい強みを持っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針① 経営の基本方針当社は、「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」という企業理念の実現のために、「共有すべき行動精神」として「誠実」「和」「積極性」及び「イビテクノの進化」を掲げ、全役職員の行動の柱としております。この方針に基づき、社会に有用な技術・製品の開発・提供を行うとともに、全てのステークホルダーから信頼・評価される企業経営に努めております。② 中期経営計画と活動の柱当社グループでは、次の飛躍に向け、2023年度より始動する5か年の新たな中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」(略称:MNS115Plan)を策定いたしました。新中期経営計画におきましては、5本の活動の柱(強化していく力)を軸に、事業環境変化に対応し、持続可能な成長の実現に向けて全社グループ一丸となって取り組んでまいります。活動の柱及び重点実施項目は以下のとおりであります。 活動の柱1. 事業の競争力強化 “稼ぐ力”〔重点実施項目〕1) 既存の価値・ビジネスモデルを常態とせず、革新に挑戦するマインドの継続2) 競争力を維持する高い商品力と契約で担保された確かなビジネスモデルの実践3) 全社一体型システムの展開によるグローバル経営の強化  活動の柱2. 新規製品の事業化 “伸ばす力”〔重点実施項目〕1) 市場変化・顧客ニーズ・利便性に基づく新製品を、独創性あるビジネスモデルで事業化2) 関連会社も参画した新製品・新事業開発によるグループ連結での成長を実現  活動の柱3. モノづくりの改革 “継続する力”〔重点実施項目〕1) 「改善と維持」の継続的な実践によるナレッジワーカーの育成で、現場力を強化2) 国内・海外工場の一体運営を可能にするOne Factory構想の実現3) データ(DX)とメカニズム(基礎技術)解析による技能の継承と外部の知見の効率的活用 活動の柱4. 企業文化の改革 “変える力”〔重点実施項目〕1) 人的資本経営を、「経営」の視点と「従業員(ウェルビーイング)」の視点で実践2) 目的意識を持った自立型人財と柔軟な組織編成による変化への対応  活動の柱5. ESG経営の推進 “永続する力”〔重点実施項目〕1) エネルギーマネジメント・環境経営によるGX推進でCO2排出削減目標を達成2) SDGsの事業への紐づけによる活動の活性化と定着3) 高度化する外部要求への対応を通じた業界トップ水準のガバナンス体制の構築 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題 今後の世界経済の見通しにつきましては、中国における経済成長鈍化の長期化や、米国の関税政策変化を含む地政学リスクの影響など、不安定かつ不透明な状況が継続すると見込んでおります。当社グループにおきましては、事業環境変化に強いビジネスモデルの構築と最新のデジタル技術の導入・展開による歩留り・生産性改善を進め、競争力強化を図るとともに、市場の変化に対し、グローバルで生産体制を機動的かつ柔軟に運営することで、事業への影響を最小限に留めてまいります。 電子事業の市場におきましては、足下は、生成AI用サーバー向けの需要は引続き堅調に推移しておりますが、パソコン及び汎用サーバー向けの需要の回復は緩やかなペースが継続しています。しかしながら、2025年度の下期以降は、AI分野の更なる成長に加えてデータ量の増加に伴う処理能力の向上と省電力ニーズの両立が求められることにより、汎用サーバー向けを含む高機能ICパッケージ基板全体の需要回復が見込まれます。当社におきましては、既存工場の生産能力の有効活用に加えて、大野事業場の量産を計画通り2025年度の下期より立ち上げることで高付加価値製品の受注を最大限に取り込んでまいります。また、デジタル技術の活用による高効率・高品質なモノづくりを目指したOne Factory構想に基づくグローバルでの品質力強化と匠(たくみ)人材の育成による現場力の強化を進めてまいります。 セラミック事業におきましては、DPF・AFP事業の主力である自動車排気系部品市場については、中国経済の停滞リスクは依然としてあるものの、米国をはじめとするEV関連の政策変更に伴い、内燃機関向け製品の需要は継続するとみております。当社におきましては、成長市場としての中国・インドを中心とした新興国市場の産業用車両(トラック・建機など)向けの需要を確実に取込むとともに、将来のEV化再加速に備え、NEV向け安全部材の量産体制を整備してまいります。また、FGM事業においては、各種半導体製造装置向け需要の動向を見極めつつ、自社の競争力が最大限に発揮できる市場に集中的かつ計画的な投資を行うことで、事業を拡大してまいります。 その他事業におきましては、国内グループ各社独自の競争力を持つコア事業の拡大と併せて選択と集中を実施することで、安定した電力事業とともに、当社グループの電子事業・セラミック事業に次ぐ「第3の収益の柱」としての位置づけを確かなものにしてまいります。 当社グループでは、2023年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」で掲げている5本の活動の柱(強化していく5つの力)に基づき、事業環境変化に確実に対応するとともに、安定した成長の実現に向け、全社グループ一丸となって取り組んでまいります。また、経営と従業員の視点による人的資本経営を実践し、自立型人財の育成とフレキシブルな組織体への変革を推進することで、社員一人ひとりが働きがいを感じ、能力を最大限に発揮できる環境を整備してまいります。さらに、経営の基盤としてのESG経営を引続き推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、中期経営計画の目標達成とともに、その先の永続的・安定的な成長を実現するための取組みを継続してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針① 経営の基本方針当社は、「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」という企業理念の実現のために、「共有すべき行動精神」として「誠実」「和」「積極性」及び「イビテクノの進化」を掲げ、全役職員の行動の柱としております。この方針に基づき、社会に有用な技術・製品の開発・提供を行うとともに、全てのステークホルダーから信頼・評価される企業経営に努めております。② 中期経営計画と活動の柱当社グループでは、次の飛躍に向け、2023年度より始動する5か年の新たな中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」(略称:MNS115Plan)を策定いたしました。新中期経営計画におきましては、5本の活動の柱(強化していく力)を軸に、事業環境変化に対応し、持続可能な成長の実現に向けて全社グループ一丸となって取り組んでまいります。活動の柱及び重点実施項目は以下のとおりであります。 活動の柱1. 事業の競争力強化 “稼ぐ力”〔重点実施項目〕1) 既存の価値・ビジネスモデルを常態とせず、革新に挑戦するマインドの継続2) 競争力を維持する高い商品力と契約で担保された確かなビジネスモデルの実践3) 全社一体型システムの展開によるグローバル経営の強化  活動の柱2. 新規製品の事業化 “伸ばす力”〔重点実施項目〕1) 市場変化・顧客ニーズ・利便性に基づく新製品を、独創性あるビジネスモデルで事業化2) 関連会社も参画した新製品・新事業開発によるグループ連結での成長を実現  活動の柱3. モノづくりの改革 “継続する力”〔重点実施項目〕1) 「改善と維持」の継続的な実践によるナレッジワーカーの育成で、現場力を強化2) 国内・海外工場の一体運営を可能にするOne Factory構想の実現3) データ(DX)とメカニズム(基礎技術)解析による技能の継承と外部の知見の効率的活用 活動の柱4. 企業文化の改革 “変える力”〔重点実施項目〕1) 人的資本経営を、「経営」の視点と「従業員(ウェルビーイング)」の視点で実践2) 目的意識を持った自立型人財と柔軟な組織編成による変化への対応  活動の柱5. ESG経営の推進 “永続する力”〔重点実施項目〕1) エネルギーマネジメント・環境経営によるGX推進でCO2排出削減目標を達成2) SDGsの事業への紐づけによる活動の活性化と定着3) 高度化する外部要求への対応を通じた業界トップ水準のガバナンス体制の構築 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題 今後の世界経済の見通しにつきましては、中国における経済成長鈍化の長期化や、米国の関税政策変化を含む地政学リスクの影響など、不安定かつ不透明な状況が継続すると見込んでおります。当社グループにおきましては、事業環境変化に強いビジネスモデルの構築と最新のデジタル技術の導入・展開による歩留り・生産性改善を進め、競争力強化を図るとともに、市場の変化に対し、グローバルで生産体制を機動的かつ柔軟に運営することで、事業への影響を最小限に留めてまいります。 電子事業の市場におきましては、足下は、生成AI用サーバー向けの需要は引続き堅調に推移しておりますが、パソコン及び汎用サーバー向けの需要の回復は緩やかなペースが継続しています。しかしながら、2025年度の下期以降は、AI分野の更なる成長に加えてデータ量の増加に伴う処理能力の向上と省電力ニーズの両立が求められることにより、汎用サーバー向けを含む高機能ICパッケージ基板全体の需要回復が見込まれます。当社におきましては、既存工場の生産能力の有効活用に加えて、大野事業場の量産を計画通り2025年度の下期より立ち上げることで高付加価値製品の受注を最大限に取り込んでまいります。また、デジタル技術の活用による高効率・高品質なモノづくりを目指したOne Factory構想に基づくグローバルでの品質力強化と匠(たくみ)人材の育成による現場力の強化を進めてまいります。 セラミック事業におきましては、DPF・AFP事業の主力である自動車排気系部品市場については、中国経済の停滞リスクは依然としてあるものの、米国をはじめとするEV関連の政策変更に伴い、内燃機関向け製品の需要は継続するとみております。当社におきましては、成長市場としての中国・インドを中心とした新興国市場の産業用車両(トラック・建機など)向けの需要を確実に取込むとともに、将来のEV化再加速に備え、NEV向け安全部材の量産体制を整備してまいります。また、FGM事業においては、各種半導体製造装置向け需要の動向を見極めつつ、自社の競争力が最大限に発揮できる市場に集中的かつ計画的な投資を行うことで、事業を拡大してまいります。 その他事業におきましては、国内グループ各社独自の競争力を持つコア事業の拡大と併せて選択と集中を実施することで、安定した電力事業とともに、当社グループの電子事業・セラミック事業に次ぐ「第3の収益の柱」としての位置づけを確かなものにしてまいります。 当社グループでは、2023年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」で掲げている5本の活動の柱(強化していく5つの力)に基づき、事業環境変化に確実に対応するとともに、安定した成長の実現に向け、全社グループ一丸となって取り組んでまいります。また、経営と従業員の視点による人的資本経営を実践し、自立型人財の育成とフレキシブルな組織体への変革を推進することで、社員一人ひとりが働きがいを感じ、能力を最大限に発揮できる環境を整備してまいります。さらに、経営の基盤としてのESG経営を引続き推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、中期経営計画の目標達成とともに、その先の永続的・安定的な成長を実現するための取組みを継続してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における世界経済は、総じて回復基調にはありましたが、欧米における政策金利動向や為替及び株式市場の大きな変動、中国における経済成長の停滞、さらには米国の政策変更に伴う影響が一部で顕在化するなど、不安定な状況が継続しました。国内経済においても、物価上昇の継続や世界経済の情勢変化を起因とした下押し圧力による影響を受けるなど、楽観視できない状況が継続しました。半導体・電子部品業界の市場は、パソコン市場においては、新型コロナウィルス感染症の拡大によって発生した特需の反動減を主要因とした在庫調整は一巡したものの、全体として回復は力強さに欠ける水準で推移し、サプライヤー間の価格競争が激化しました。サーバー市場においては、生成AI関連を中心とした成長領域は好調に推移した一方で、既存のデータセンター向けサーバー市場は、大口ユーザーの投資水準に底打ち感は見られたものの、半導体メーカー間の競争環境の変化が続いております。自動車業界の排気系部品市場は、中国国内の景気減速及び世界的な景気停滞に加え、国内自動車メーカーのエンジン認証問題に伴い、グローバルでの自動車生産台数の伸びは鈍化しております。このような情勢のもと、当社におきましては、2023年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」に基づき、強靭かつしなやかなビジネスモデルの構築を中心とした事業競争力強化や、DXを活用したモノづくり改革など、5本の活動の柱(強化していく5つの力)と製造業としての基盤活動を軸に、事業環境変化への対応と、持続可能な成長の両立に向けた取り組みを進めております。 これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 ①財政状態及び経営成績の状況(ア)財政状態当連結会計年度末における総資産は1兆816億84百万円(前年同期比4.3%減)となりました。流動資産は5,495億80百万円(同8.5%減)、固定資産は5,321億3百万円(同0.6%増)となりました。当連結会計年度末の負債合計は、5,843億85百万円(同7.0%減)となりました。流動負債は3,277億17百万円(同8.6%減)、固定負債は2,566億68百万円(同4.9%減)となりました。当連結会計年度末の純資産合計は4,972億98百万円(同0.9%減)となりました。 (イ)経営成績当連結会計年度の売上高は3,694億36百万円と前連結会計年度に比べ10億74百万円(0.3%)減少しました。営業利益は476億21百万円と前連結会計年度に比べ52百万円(0.1%)増加しました。経常利益は478億90百万円と前連結会計年度に比べ32億50百万円(6.4%)減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は337億4百万円と前連結会計年度に比べ22億14百万円 (7.0%)増加しました。セグメントの経営成績は、次のとおりであります。 (電子事業)電子事業の売上高は1,972億23百万円となり、前連結会計年度に比べ3.4%増加しました。同事業の営業利益は、268億47百万円となり、前連結会計年度に比べ1.6%減少しました。(セラミック事業)セラミック事業の売上高は840億68百万円となり、前連結会計年度に比べ12.9%減少しました。同事業の営業利益は122億18百万円となり、前連結会計年度に比べ8.5%減少しました。(その他事業)その他事業の売上高は881億44百万円となり、前連結会計年度に比べ5.8%増加しました。同事業の営業利益は87億6百万円となり、前連結会計年度に比べ23.4%増加しました。  ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,906億56百万円となり、前連結会計年度末より529億27百万円減少しました。各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、1,188億95百万円となり、前期に比べ、263億35百万円の資金の減少となりました。これは主に前受金の増加額が減少したこと、棚卸資産の増減額が減少から増加に転じたことによって資金が減少したことによります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用された資金は、1,641億82百万円となり、前期に比べ、869億7百万円の資金の減少となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出額が増加したことによります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によって使用された資金は、71億13百万円となり、前期に比べ、746億40百万円の資金の減少となりました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の発行による収入が減少したことによります。 ③生産、受注及び販売の実績 (ア)生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)電子175,30821.2セラミック78,174△11.2その他12,8610.3合計266,3438.5 (注) 金額は、販売価格によっております。  (イ)受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)電子184,78110.230,572108.7合計184,78110.230,572108.7 (注) セラミック及びその他部門は主として見込生産であります。  (ウ)販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)電子197,2233.4セラミック84,068△12.9その他88,1445.8合計369,436△0.3 (注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)Intel Corp.114,63930.976,70920.8NVIDIA Corp. --75,07720.3Advanced Micro Devices Inc.--40,70711.0 ※前連結会計年度のNVIDIA Corp.及びAdvanced Micro Devices Inc.の販売実績は、総販売実績の10%未満であるため記載を省略しております。(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、これらの記載には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。 ① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(ア)経営成績等 a.財政状態 (資産合計)当連結会計年度末における総資産は1兆816億84百万円(前年同期比4.3%減)となりました。流動資産は5,495億80百万円(同8.5%減)、固定資産は5,321億3百万円(同0.6%増)となりました。流動資産の減少の主な要因は、現金及び預金が529億27百万円減少したことによります。固定資産の増加の主な要因は、建物及び構築物が876億97百万円増加したことと、投資有価証券が513億69百万円、建設仮勘定が328億89百万円減少したことによります。 (負債合計)当連結会計年度末の負債合計は、5,843億85百万円(同7.0%減)となりました。流動負債は3,277億17百万円(同8.6%減)、固定負債は2,566億68百万円(同4.9%減)となりました。流動負債の減少の主な要因は、前受金が119億86百万円増加したことと、設備関係電子記録債務が467億23百万円減少したことによります。固定負債の減少の主な要因は、繰延税金負債が124億18百万円減少したことによります。 (純資産合計)当連結会計年度末の純資産合計は4,972億98百万円(同0.9%減)となりました。純資産合計の減少の主な要因は、利益剰余金が281億8百万円増加したことと、その他有価証券評価差額金が292億41百万円減少したことによります。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.80%から45.35%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の3,543円06銭から3,513円31銭となりました。 b.経営成績 (売上高及び営業利益)売上高は、3,694億36百万円(前年同期比0.3%減)となりました。売上原価は、2,561億8百万円(前年同期比4.5%減)となりました。売上原価率は3.0ポイント改善し、69.3%となりました。この結果、営業利益は、476億21百万円(前年同期比0.1%増)となりました。 (営業外損益及び経常利益)営業外損益は、前連結会計年度の35億71百万円の利益(純額)から当連結会計年度は2億68百万円の利益(純額)となり、利益(純額)が減少しました。主な変動要因は、為替差損益が24億15百万円減少したことによります。この結果、経常利益は、478億90百万円(前年同期比6.4%減)となりました。  (特別損益)特別損益は、前連結会計年度の37億5百万円の損失(純額)から当連結会計年度は35億60百万円の利益(純額)となり、利益(純額)が増加しました。主な変動要因は、投資有価証券売却益が244億11百万円増加したことと、減損損失が180億14百万円増加したことによります。この結果、税金等調整前当期純利益は、514億51百万円(前年同期比8.5%増)となりました。 (法人税等(法人税等調整額を含む。))法人税等は、前連結会計年度の156億85百万円から当連結会計年度は174億円となり、増加しました。この結果、当期純利益は、340億50百万円(前年同期比7.2%増)となりました。 (非支配株主に帰属する当期純利益)非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の2億59百万円から当連結会計年度は3億46百万円となり、増加しました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)親会社株主に帰属する当期純利益は、337億4百万円(前年同期比7.0%増)となりました。1株当たり当期純利益は、241円32銭となりました。ROE(自己資本当期純利益率)は、6.84%となりました。  (イ)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、第2「事業の状況」 3「事業等のリスク」に記載のとおりであります。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、特に定めておりませんが、連結中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」の2年目にあたる2025年3月期の期初に掲げました売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は、以下のとおりであります。 2025年3月期(計画)2025年3月期(実績)増減(計画比)売上高390,000百万円369,436百万円20,563百万円減(5.3%減)営業利益42,000百万円47,621百万円 5,621百万円増(13.4%増)経常利益42,000百万円47,890百万円 5,890百万円増(14.0%増)親会社株主に帰属する当期純利益26,000百万円33,704百万円 7,704百万円増(29.6%増) セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項は、次のとおりであります。(電子事業)電子事業におきましては、生成AI用サーバー向けの受注が堅調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加したものの、パソコン及び汎用サーバー向けの高機能ICパッケージ基板の需要が減少したことに加えて、価格競争が激化する中、採算性を重視する受注方針によって一時的に生産稼働が低下したことなどにより、営業利益は前連結会計年度に比べ減少しました。以上の結果、電子事業の売上高は1,972億23百万円となり、前連結会計年度に比べ3.4%増加しました。同事業の営業利益は268億47百万円となり、前連結会計年度に比べ1.6%減少しました。(セラミック事業)自動車排気系部品であるディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、中国経済の減速に伴う影響を受け、売上高は前連結会計年度に比べ減少したものの、エネルギー費用を中心としたコスト上昇分を顧客との合意に基づいて販売価格に転嫁したことや、受注に合わせた柔軟な生産体制の構築が寄与したことなどにより、営業利益は前連結会計年度に比べ増加しました。触媒担体保持・シール材(AFP)は、中国経済の減速及び国内自動車メーカーにおけるエンジン認証問題による販売数量減の影響が続いたことなどにより、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ減少しました。 特殊炭素製品(FGM)は、総じて受注が堅調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ増加したものの、市況変化による一部顧客の在庫調整及び能増投資に伴う償却費増加などの理由により、営業利益は前連結会計年度に比べ減少しました。以上の結果、セラミック事業の売上高は840億68百万円となり、前連結会計年度に比べ12.9%減少しました。同事業の営業利益は122億18百万円となり、前連結会計年度に比べ8.5%減少しました。(その他事業)建材部門におきましては、住宅着工件数の落ち込みによる販売棟数の減少影響を受けたものの、2023年度に実施した買収の効果もあり、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。建設部門におきましては、発電設備・排水処理設備の建設工事の受注が堅調に推移したことに加え、大型工事が順調に進捗したことにより、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。その他部門におきましては、ヘルスケア事業において特定健診制度改正に伴う受注が好調に推移したことに加え、その他事業全体を通じて各種費用改善が寄与したことなどにより、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。以上の結果、その他事業の売上高は881億44百万円となり、前連結会計年度に比べ5.8%増加しました。同事業の営業利益は、87億6百万円となり、前連結会計年度に比べ23.4%増加しました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、設備投資に必要な資金及びその他の所要資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、グループ内ファイナンスの活用による効率的な資金運用を行っております。また、資金運用の柔軟性を保つため、必要な都度、借入等による資金調達を行うこととしております。当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、マイナス452億86百万円となりました。また、財務活動によって使用された資金は、配当金の支払額等により71億13百万円となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高(資金)は3,906億56百万円となりました。この資金の運用については、当社グループは、資金の流動性を考慮して、短期的な預金などとして運用する方針です。さらに、当社グループでは、旺盛な顧客需要に対応するために、ICパッケージ基板の生産能力増強を図る目的で設備投資を継続しており、これらの資金需要に対して資金を充当してまいります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 技術変革と競争激化
    電子部門ではサーバーやパソコン市場の技術革新、セラミック部門ではEV化の進展による内燃機関向け製品需要の変化がリスクです。新技術の開発投資を継続しても、顧客ニーズを的確に予測し、タイムリーに新製品を供給できない場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 品質問題と信用失墜
    高い信頼性が求められる製品を製造しており、品質管理には細心の注意を払っていますが、大規模な製品欠陥や品質不良が発生するリスクがあります。これにより、製造物責任賠償や信用の失墜による売上低下を招き、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
  • 地政学リスクとサプライチェーン
    世界各地に生産・販売拠点を展開しているため、特定の地域の政治的・社会的な緊張による法規制の変更や操業停止のリスクがあります。これにより、調達・出荷に支障が生じ、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、代替出荷や複数購買などで対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,472 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) テクノロジーの変革・移行当社グループの事業は、複数の事業セグメントから構成されており、その中でも主たる事業である電子部門は、主に半導体メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに、またセラミック部門は、主に自動車メーカーに製品を供給しております。当社グループの製品は厳しい競争下にあるため、常に研究開発の継続による新製品の開発が求められております。 ①電子部門の製品に関しては、当社グループ製品が採用されているサーバー及びパソコン市場において、技術革新や製品ニーズが大きく変化する可能性があります。こうした市場の変化による影響を最小限にとどめるため、技術革新に向けた情報収集と技術構築、受注製品構成の変化に柔軟に対応できるリソース配分と生産体制の構築を図っております。 ②セラミック部門の自動車関連製品に関しては、排気ガス関連規制の延期、EV・ハイブリッド車の普及加速などによる内燃機関向け製品需要の変化に備え、顧客ニーズの変化や競合を含む市場動向を確認しながら、成長市場へ注力した生産・供給体制への移行とEV化対応の製品開発と販売拡大を図っております。 競争環境下で、高水準の新製品開発投資を継続して行う必要がありますが、技術革新の目覚しい市場において、顧客のニーズを満足させる新技術を的確に予想することは容易ではなく、当社グループが常に技術の変化に対応し、新製品をタイムリーに開発・供給できるとは限りません。また、想定外の世界の経済情勢の悪化や製品市場の急激な変化により、当社グループの製品の需要が大幅に落ち込んだ場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 品質管理について当社グループは、事業展開している各国の生産拠点で所定の品質基準に基づき、各種製品を生産しております。当社グループが提供する製品は、高い信頼性が求められるものが多いため、更なる信頼性の向上のため品質データの自動検証システムの整備を進めるなど、製品の品質には細心の注意を払っておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来にわたっても重大な品質問題を引き起こさないという保証はありません。万一、大規模な製造物責任賠償につながるような製品の欠陥及び品質不良が発生した場合には、製造物責任保険で賄いきれない賠償責任を負担する可能性があると同時に、信用の失墜による売上高の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 地政学上のリスクについて 当社グループは、顧客ニーズへの迅速な対応及び製品供給を行うために、販売・生産拠点の現地化を重要な企業戦略の一つとして、積極的に生産拠点の拡充を進めてきました。当社グループの生産拠点及び販売先がある特定地域の持つ政治的、社会的な緊張から来る、突然の制度、法規則の変更等による突発的な調達・出荷・操業等の停止が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対応して当社グループは、グローバルな生産体制、ネットワークを活用した代替出荷や生産、原材料の複数購買化、代替材料の採用検討など、特定地域での突発事象の影響を緩和する柔軟な運用を図っております。 しかしながら、特定地域での突然の制度、法律又は規則の変更等の政治的要因、市場環境の急激かつ大幅な変化(悪化)等の経済的要因等に起因する予期し得ない事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) インフレーション/原材料・エネルギーの高騰について当社グループは、多数の外部の取引先から原材料及び部品、エネルギー等を調達しておりますが、当社グループ製品の製造に必要とされる主要原材料・部品、エネルギーには、限られた供給元に依存しているものがあります。当社グループは、継続して市場に製品を供給し続けるため、使用効率の改善を行うとともに、原材料・部品を長期安定供給及び低価格での供給を受けるための努力を行っております。しかしながら、当社グループが制御できないものを含め、需要の急増に伴う供給不足、供給先からの供給遅延及び供給停止等、継続的に安定供給に影響を与える多くの要因があります。このような事態が発生した場合や原材料等の市場における需給バランスの変化等によりその価格が高騰した場合には、当社グループの生産活動に影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質確保に支障をきたす可能性があります。また、製造原価の上昇に伴い、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (5) サイバーリスク①システム障害の発生について当社グループは、製造・研究開発・経営情報管理・会計・人財マネジメントを含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・支援するために、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。これらの情報システムの利用に当たっては、安全対策が施され、加えてシステムのバックアップ体制の構築や障害発生時の早期復旧策の構築をはじめとする対策を講じておりますが、外部からのサイバー攻撃やインフラの障害などにより、操業が一時的に停止する可能性があります。 ②技術情報等の流出について当社グループは、事業運営に関連する技術、営業、個人及び経営全般に関する情報等を多数保有しております。これらの情報管理には、社内規程の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、予見し難い状況の発生、又は故意、過失の如何に関係ない人為的な行為に起因する理由等によって、外部に情報が流出し、第三者が不正取得・使用する可能性があり、このような事態が生じた場合には、この対応のために生じる多額の費用負担や顧客等からの信頼の失墜が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 大規模自然災害について当社グループは、国内外に多数の事業拠点を有しており、地震、洪水等大規模な自然災害が発生した場合には、自社工場の操業の停止、又はサプライチェーンの寸断等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小限にするため、自然災害による局所的な災害時の事業継続・復旧計画の策定、サプライチェーンにおける複数拠点調達化を図ってまいります。 (7) 気候変動・脱炭素化について気候変動の加速を受けた気候変動関連の規制強化がエネルギー調達コストの上昇を招くリスクと捉え、発電効率の高い発電設備の増強などエネルギー効率の高い生産プロセスの実現・自社再生可能エネルギーの効率的な活用を図っております。 (8) 労働人口の減少について当社グループでは技術を支えるのも事業を支えるのも人が根幹であり、多様な人財こそが当社グループの持続的成長の生命線と捉えております。しかしながら、日本国内で進む少子高齢化から来る労働人口の減少による人財の不足により人財の確保・育成が計画通りに遂行できなかった場合、技術者不足による事業の停滞から、当社グループの事業戦略及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、当社ではデジタル技術(AI及びDX)を活用した業務の効率化、自動化の促進と多様性のある人財の活躍支援に取り組むと共に、社員エンゲージメントの向上とブランディング強化を進めることで、人財の確保を図っております。 (9) その他財務上のリスク①為替変動について当社グループは、海外での販売比率が高く、また世界各国に事業を展開していることから、当社グループの外貨建ての輸出入取引や子会社の現地通貨建ての収益、費用、資産、負債は連結財務諸表作成のために円換算されるため、為替相場の変動の影響を大きく受けることになります。当社グループにおいては、為替相場の変動リスクを縮小あるいはヘッジするための対策を講じておりますが、為替相場の変動による影響を完全に排除することは不可能であり、米ドル、ユーロ等の主要通貨及び現地通貨に対して、円高が急激かつ長期に進行した場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ②保有有価証券の価格変動について当社グループは、主に銀行や取引先等との関係構築・維持のための政策上の投資として株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、又は株式保有先の財政状態の悪化や倒産等により、保有する株式の価額が著しく下落し、しかも回復可能性が認められない場合は、保有する株式の減損処理により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③繰延税金資産の回収可能性の評価について当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性に疑義が生じた場合、もしくは税率の変更等を含む各国の税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果として、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④設備投資について設備投資に関して、当社グループは、電子部門及びセラミック部門の国内外での生産体制整備のため、今後も設備投資を行う予定でおります。設備投資について、当該設備を事業の用に供した時期に機械装置などの本勘定に振り替え、減価償却を開始しております。固定資産の取得に関して適切な会計処理が行われるように、資産計上予定表に基づき事業の用に供した時期の承認を行うなどの内部統制を構築しております。投資にあたっては、将来の需要予測と当社グループの競争力を基に、投資効率を勘案して決定しておりますが、競合他社の開発・市場参入動向、最終製品の需要動向の変化により、当初予想した受注量を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ⑤減損会計について当社グループは、事業用の設備、不動産など様々な有形・無形の固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

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