事業等のリスク
東洋紡グループは、国内外での事業活動において複数のリスクを認識しています。主なリスクとして、大規模な自然災害や火災、感染症の世界的流行などによる生産活動への影響が挙げられます。また、国際的な政治・経済情勢の悪化や地政学リスクの変動は、生産・販売の縮小や固定資産の減損、繰延税金資産の取り崩しにつながる可能性があります。さらに、主要原材料である石油化学製品の価格高騰や為替変動、サプライチェーンの混乱も、生産コスト増加や原材料調達に影響を及ぼす可能性があります。製品の欠陥による訴訟リスクも存在します。
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FY2025|9,443 文字
3【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、グループ全体のリスクを一元的に管理する「リスクマネジメント委員会」を2021年に設置しました。本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括する他、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定し、PDCAサイクルを回すことにより、実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用及び、リスク管理体制の強化に努めています。 サステナビリティ推進体制 当社グループでは、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、従業員が誇りとやりがいをもって働き続けられる会社、持続的に成長できるサステナブルな会社をめざし、2025中期経営計画を策定しています。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025中期経営計画では2025年度を最終年度とし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの影響については不確定要素が多く、原燃料価格の高止まり、急激な為替相場の変動など事業環境の不透明な状況が続くことが見込まれます。加えて、以下の(1)から(15)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているものの、それらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2025中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <既発生もしくは発生の蓋然性の高いリスク>(1)災害・事故・感染症の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動等の企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場や事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限り災害・事故の発生や感染症の拡大を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および感染症の世界的な流行、原子力発電所の事故等が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害等が発生した場合など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、2018年9月発生の敦賀事業所第2火災事故、2020年9月発生の犬山工場火災事故を踏まえ、安全文化の醸成と安全基盤の整備の二側面から再発防止に取り組んでいます。当社グループは、「安全衛生の確保は企業活動の大前提」とし、当社グループ従業員や協力会社も対象の「東洋紡グループ安全衛生基本方針」を定め、「自分を守る、仲間を守る、気付きを声に出す」をスローガンに掲げ、安全な職場環境づくりに努めています。経営の最重要課題である安全と保安防災の取組みを着実に進めるため、社長直轄の組織として安全防災本部を設置しています。同組織は、各分野の専門家を委員とする安全防災会議を主催し、安全・防災活動の有効性を評価するとともに全社の方針案を策定し、経営会議・サステナビリティ委員会で方針決定をします。進捗については、取締役会に適宜報告します。また、同組織が中心となって、当社の各事業所・工場およびグループ会社に赴いて安全環境アセスメントを実施し、現地の活動を点検しています。特に火災・爆発リスクについては、第三者の専門家により現地の管理状況を定期的に点検しています。当社グループは、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得を進めています。2025年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場の3拠点が取得しており、犬山工場についても2025年4月10日に取得しています。 「安全」「防災」「環境」に関する東洋紡グループ体制 (2)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。米国通商政策の変更および各国の金融政策の見直しや、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学的情勢の変動によって、当社グループおよび仕入先の生産拠点や主要市場等において深刻な政治的混乱や景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小する可能性があります。また、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。販売及び委託加工に際しては、当社グループは与信取引を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻などによる与信リスクを負っています。当社グループでは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、与信管理規定のもと、取引先別の信用度に見合う取引限度額を設定し管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握することに努めています。また、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上することにより、与信リスクの低減を図っています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)訴訟等当連結会計年度末において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼすことが明らかな訴訟等の事案はありません。当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。訴訟等において、当社グループの主張が最終的に認められない場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <中長期的なリスク>(4)原材料の購入当社グループの、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品は、石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などが主要な原材料です。「(1)災害・事故・感染症の発生」および「(2)政治・経済情勢の悪化」にて記載した、自然災害、事故、感染症や、経営破綻、事業撤退、縮小および深刻なサプライチェーンの混乱などが取引先において発生した場合、必要量の原材料が確保できなくなる可能性があります。また、原油価格や為替の変動、当該原材料等の急激な需給バランスの変動などにより、購入価格が高騰し、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、販売価格への転嫁や製造コストの低減に努めているほか、適正な取引方針を確立し、仕入先の分散による複数社購買等による原材料調達手段の多様化や、植物由来原料やリサイクル原料の使用を進めるグリーン化の取組みなど、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。また、法令順守、公正な取引、環境配慮、人権尊重などに対応する「CSR調達ガイドライン」および環境配慮のための「グリーン調達ガイドライン」を制定しています。CSR調達ガイドラインは、急速にグローバル化が進む社会情勢に対応するため、定期的に見直し、更新することで、特に人権尊重、環境配慮を強化しています。お取引先さまの選定にあたって人権に関する事項(児童労働・強制労働や、あらゆる属性の人々への差別を禁止するなど)を考慮することを明記し、本ガイドラインをご理解いただくことを取引可否の判断基準の一つとして設定し、本ガイドラインに定める事項の順守を主要なお取引先さまを含むビジネス・パートナーに周知しています。 (5)製品の欠陥等当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止するため、所定の品質管理規定に基づいて、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不具合が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などにおいて何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながるリスクがあります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しているものの、最終的に負担する損害額は保険によって十分カバーされないリスクがあります。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、PL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する品質保証本部会を設けています。品質保証本部会は品質を統括する役員、各事業本部および品質保証本部の品質を統括する部長で構成され毎月開催しています。また、各事業本部の部長クラスを推進委員としたPL/QA推進委員会を年6回開催しました。また、事業推進から独立した品質保証本部および他部門の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を客観的に確認し、改善の機会としています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前に対応することで、お客さま等に掛かるリスクの低減に努めています。なお、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下「UL」といいます)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等により、2020年10月以降、一部の品番についてUL認証登録を取り消されましたが、2025年3月末時点で2製品を残してUL認証を再取得しています。未取得の2製品についてもお客さまと引き続き相談させて頂きながら再取得を進めています。 (6)人材の確保当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。当社グループでは、成長戦略実現への寄与をめざし、次世代経営人材の育成や主体的に学び成長できる環境づくりに力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動、障がい者雇用、LGBTQ+に向けた施策にも積極的に取り組んでいます。なお、当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (7)気候変動気候変動の進行に伴う物理的リスクとして、台風や集中豪雨等の自然災害による、一時的な事業活動停止等の可能性があります。また、脱炭素社会への移行リスクとして、カーボンプライシングの導入によるGHG排出量や化石燃料の使用に伴うコスト増加等の可能性があります。当社グループはTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言にのっとって、パリ協定に基づく気候変動シナリオを前提とした将来リスクと事業機会を分析・整理しています。それらリスクと機会の影響と財務インパクトを特定した上で、対応策とそれに基づく指標・目標を設定し、経営戦略の強靭性(レジリエンス)向上を図ります。なお、当該リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (8)環境負荷当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品の生産等を通じて多くの化学物質を取り扱っており、水質汚濁、大気汚染、土壌汚染や化学物質管理に関する法令や規制の適用を受けています。これらの法令や規制がさらに強化されることで、対応コストの上昇や、収益機会の減退による当社グループの売上減少など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。このリスクを最小限にするため、有害物質の使用量・排出量は極小化できるよう製造工程の改善に努めるとともに、流出状況をモニタリングしています。また、管理体制を整備し、「東洋紡グループ化学物質管理区分」を定め、取り扱う化学物質を分類し、区分ごとに管理内容を定め、効率的な使用や代替化を進めています。 (9)情報セキュリティ当社グループは、DXとデータの利活用によるビジネスイノベーション加速・推進に取り組み、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要な情報資産を管理しています。さらに、世界各国で個人情報・データ保護のための法規制強化が行われており、これらへの対応も求められています。当社グループはこれらの情報資産について様々なセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスや想定を超えるサイバー攻撃、従業員の過誤などが発生した場合、システム障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などが発生する可能性があります。これらにより、社会的信用の低下や多額の費用負担が発生し、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティポリシー」を定め、情報セキュリティに関する各種規定を整備し、全情報資産の適切な運用・管理・活用に努めています。また、代表取締役社長が任命した最高情報セキュリティ責任者(CISO)をリーダーとした情報セキュリティ部会(TOYOBO-CSIRT)を設置し、海外法規制対策、技術的対策の継続的な改善、従業員教育による意識レベル向上、セキュリティ人材の育成、ならびに事故発生時の対応体制の強化に取り組んでいます。 (10)法規制およびコンプライアンス当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を順守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不順守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスを重視した経営を推進していますが、製品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、損害賠償責任が課されることなどにより、多額の損害が生じるおそれがあります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、内部通報制度やコンプライアンスアンケートを通じた不正事案の早期発見、早期是正や未然防止に加え、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。内部通報制度に関しては、海外グループ会社のナショナルスタッフや日本国内で働く外国人労働者や技能実習生などが当社コンプライアンス部門に使いやすい言語で内部通報ができるように、これまでの日本語・英語に加えて多言語で通報できる窓口を設けました。コンプライアンスの推進に関しては、「東洋紡グループ企業行動憲章」に対応した当社グループの全従業員が守るべきルール「東洋紡グループ社員行動基準」を定め、同基準を具体的に分かりやすく解説した「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を発行して全社員に配付しています。各職場でのコンプライアンスマニュアルを用いた研修(読み合わせ)などを通して、全従業員に社員行動基準を周知するとともに、海外拠点向けには、グローバル版(英語・中国語)を発行し配布しています。また、各国・地域の法令・慣習に合わせ編集を加えた現地版マニュアルが、海外グループ会社における研修にて活用されています。そのほか、国内グループ会社の管理者層を対象としたコンプライアンス勉強会の実施や、職場で問題となりそうなコンプライアンス違反事例等を元にケーススタディ形式で啓発する「コンプライアンスミニスタディ」を毎月発行するなど、コンプライアンス意識の向上を図っています。 (11)海外での事業活動当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、地球温暖化による気候変動や世界経済全体の動向に加え、各国の法令・規制や政策等の予期しない改定変更、またはテロ、戦争、政変、疫病やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらリスクに対し、グループ各社での情報収集や、公的機関だけにとどまらず外部コンサルタントからの情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前後で具体的かつ適切に対処できるよう、海外グループ会社ごとに「危機管理マニュアル」を策定しています。また、当社グループ全体でのリスクマネジメント活動の中、国内および海外のグループ会社ごとにリスクアセスメントのミーティングを開き、自然災害・安全防災から情報漏洩・法改正などの各種リスクについて、発生した場合の影響度を網羅的に把握し、改善策につなげています。さらに、当社グループは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行い、各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても適切に対処しています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。 <財務リスク>(12)為替レートの大幅変動当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的に著しい変動があった場合は、製造リードタイムが比較的長い製品などは業績に対して影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。(13)金利の大幅上昇当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」および「純有利子負債のEBITDA(営業利益と減価償却費の和)に対する倍率(Net Debt/EBITDA倍率)」を重視しています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは1.37倍、Net Debt/EBITDA倍率は6.1倍となりました。 (14)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。当連結会計年度において、当社および当社の子会社は、保有する投資有価証券の一部を売却し、1億円の売却益を計上しました。 (15)固定資産の減損当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において、当社および一部の子会社が保有する固定資産のうち、休止予定資産や事業用資産について合計19億円の減損損失を計上しました。
FY2024|10,097 文字
3【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、グループ全体のリスクを一元的に管理する「リスクマネジメント委員会」を2021年に設置しました。本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括する他、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定し、PDCAサイクルを回すことにより、実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用及び、リスク管理体制の強化に努めています。 サステナビリティ推進体制 当社グループでは、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、従業員が誇りとやりがいをもって働き続けられる会社、持続的に成長できるサステナブルな会社をめざし、2025中期経営計画を策定しています。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025中期経営計画では2025年度を最終年度とし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学リスクの影響については不確定要素が多く、原燃料価格の高止まり、急激な為替相場の変動など事業環境の不透明な状況が続くことが見込まれます。加えて、以下の(1)から(16)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているものの、それらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2025中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <既発生もしくは発生の蓋然性の高いリスク>(1)災害・事故・感染症の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動等の企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場や事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限り災害・事故の発生や感染症の拡大を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および感染症の世界的な流行、原子力発電所の事故等が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害等が発生した場合など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。2018年9月発生の敦賀事業所第2火災事故、2020年9月発生の犬山工場火災事故を踏まえ、当社グループは、「安全衛生の確保は企業活動の大前提」である事を再徹底し、大きな火災事故を二度と起こさないという強い決意のもと、全社をあげて安全・防災に取り組んでいます。2022年4月より「私たちは『安全最優先』を徹底します。―労働安全、環境安全、製品安全、設備安全―」を当社グループの安全宣言とし、スローガンは「自分を守る、仲間を守る、気付きを声に出す」としました。経営上最重要課題である安全と保安防災に関する各種の取組みを着実に進めるため、社長直轄の組織として「安全防災本部」を設置しています。同組織は、各分野の専門家を委員とする安全防災会議を主催し、安全・防災活動の有効性を評価するとともに全社の方針案を策定し、サステナビリティ委員会で方針決定をします。進捗については、適宜取締役会に報告します。また、同組織が中心となって、当社の各事業所・工場およびグループ会社に赴いて安全環境アセスメントを実施し、現地の活動を点検しています。特に火災・爆発リスクについては、第三者の専門家により現地の管理状況を定期的に点検しています。当社は、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の適合証明取得を進めています。2024年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場の3拠点が取得しています。 (2)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。インフレ圧力の後退に対する各国金融政策の見直しや、政治的・社会的情勢の不安定化に端を発する地政学的情勢の変動によって、当社グループおよび仕入先の生産拠点や主要市場等において深刻な政治的混乱や景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小する可能性があります。また、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。販売及び委託加工に際しては、当社グループは与信取引を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻などによる与信リスクを負っています。当社グループでは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、与信管理規程のもと、取引先別の信用度に見合う取引限度額を設定し管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握することに努めております。また、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上することにより、与信リスクの低減を図っています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)第三者認証登録内容における不適切行為等当社は、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下「UL」といいます)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等(以下「本件不適切行為」といいます)を確認しました。本件不適切行為についてULに報告等を行った結果、2020年10月28日付でUL認証を取り消された1製品に加えて、3製品について2021年2月3日付にてUL認証登録を取り消され、他の3製品の一部品番(以下、本件不適切行為のあった製品を「本件不適合製品」と総称します)について当社よりUL認証登録の取消しを申し入れた結果、2021年3月26日付にて認証を取り消されました。これまで本件不適合製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けていません。現在、UL認証はお客さまと相談させて頂きながら順次再取得を進めています。また、本件に関連し、ISO(国際標準化機構)の登録認証機関であるLRQAリミテッドによる特別審査を受けた結果、2021年1月28日付で、当社が取得しているISO9001認証のうち、本件不適合製品を担当する部門に関わる認証範囲について認証を取り消されましたが、2024年5月3日にISO9001の認証を再度取得しました。当社は、度重なる不適切な事案を重く受け止め、既に実施した第三者による調査等も踏まえて、実効性のある再発防止策を策定し、確実に実施してきました。再発防止策の一つとして、2022年3月17日付「品質に関する不適切な事案の類似案件調査に関するご報告」にて公表したとおり、2021年2月から同年3月にかけて無記名式で、2021年7月から2022年1月にかけては記名式で品質に関する不適切な事案の有無を調査する目的のアンケートを国内外の当社グループ役員、社員(契約社員や派遣社員を含む)を対象に実施し、品質に関する重大な不適切事案は確認されませんでした。さらに、2023年11月から2024年2月にかけて、再度、記名式で国内の当社グループ役員、社員(契約社員や派遣社員を含む)を対象に、品質に関する調査票を配布し、100%回収しました。当連結会計年度末において、品質に関する重大な不適切事案は確認されていません。引き続き、適切な品質管理体制の再構築やガバナンスの向上に取り組むことにより、信頼の回復に全力で努めます。 (4)訴訟等当連結会計年度末において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼすことが明らかな訴訟等の事案はありません。一部の製品において特許権の抵触の疑いがあるとして通知を受け、ライセンスの協議を進めていましたが、当社特許権とのクロスライセンスについて合意しています。その他にも、当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。訴訟等において、当社グループの主張が最終的に認められない場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <中長期的なリスク>(5)原材料の購入当社グループの、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品は、石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などが主要な原材料です。「(1)災害・事故・感染症の発生」および「(2)政治・経済情勢の悪化」にて記載した、自然災害、事故、感染症や、経営破綻、事業撤退、縮小および深刻なサプライチェーンの混乱などが取引先において発生した場合、必要量の原材料が確保できなくなる可能性があります。また、原油価格や為替の変動、当該原材料等の急激な需給バランスの変動などにより、購入価格が高騰し、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、販売価格への転嫁や製造コストの低減に努めているほか、適正な取引方針を確立し、仕入先の分散による複数社購買等による原材料調達手段の多様化や、植物由来原料やリサイクル原料の使用を進めるグリーン化の取組みなど、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。また、法令順守、公正な取引、環境配慮、人権尊重などに対応する「CSR調達ガイドライン」および環境配慮のための「グリーン調達ガイドライン」を制定しています。 (6)製品の欠陥等当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止するため、所定の品質管理規程に基づいて、フィルム、ライフサイエンス、環境・機能材、機能繊維などの各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不具合が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などにおいて何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながるリスクがあります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しているものの、最終的に負担する損害額は保険によって十分カバーされないリスクがあります。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、PL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する品質保証本部会を設けています。品質保証本部会は品質を統括する役員、各事業本部を担当する品質保証総括部長と品質保証統括部員で構成され、毎月開催しています。また、各事業本部の部長クラスを推進委員としたPL/QA推進委員会を年6回計画しており、2023年度も計6回開催しました。また、事業推進から独立した品質保証本部および他部門の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を客観的に確認し、改善の機会としています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前に対応することで、お客さま等に掛かるリスクの低減に努めています。 (7)人材の確保当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う労働力人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。当社グループでは、成長戦略実現への寄与を目指し、次世代経営人材の育成や主体的に学び成長できる環境づくりに力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動、障がい者雇用、LGBTQ+に向けた施策にも積極的に取り組んでいます。なお、当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (8)気候変動地球温暖化に伴う気候変動の影響が、台風や集中豪雨といった自然災害の増加や亜熱帯化による自然生態系の変化といった形で顕在化し、社会にも多大な影響を及ぼしつつあります(物理リスク)。一方、移行リスクとして、脱炭素社会への移行に伴う社会変化が、温室効果ガス排出に対する規制強化や炭素税導入などにより、原材料価格の上昇や化石燃料の使用が難しくなることなどが想定されます。当社グループは2020年1月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言に賛同し、同提言にのっとった取組みと開示を進めています。また、TCFD提言に沿い、パリ協定に基づく気候変動シナリオを前提とした将来リスクと事業機会を分析・整理しました。それらリスクと機会の影響と財務インパクトを特定した上で、対応策とそれに基づく指標・目標を設定し、経営戦略の強靭性(レジリエンス)向上を図ります。なお、当該リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (9)環境負荷当社グループは、水質汚濁、大気汚染、土壌汚染や化学物質管理に関する法令や規制の適用を受けており、これらの法令や規制がさらに強化されることで、対応コストの上昇や、収益機会の減退による当社グループの売上減少など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、持続可能な形で資源を利用する循環型社会の実現に向け、環境負荷を低減する製品・技術を積極的に展開しています。プラスチック製品においては、バイオマス(植物由来)原料やリサイクル原料の使用促進と減容化を進めるとともに、高い機能性を保持するバイオマスプラスチックの実用化に取り組んでいます。また、水資源保全の取組みとして、水資源の確保を事業継続上の重要課題と認識し、製造工程で使用する冷却水などは、一度使用した水を再利用するなどの使用量削減と循環利用を推進しています。生物多様性保全の取組みとして、事業所や工場からの排水や排ガス中の有害物質を適切に処理した上で排出しています。そして、これらが誤って流出することのないよう、監視装置を設置するとともに、当該化学物質の使用量・排出量を極小化できるよう製造工程の改善にも努めています。また、当社グループの販売するVOC回収装置などにより、お客さまの環境負荷低減にも貢献しています。化学物質管理の取組みとして、調達から使用、廃棄に至るまでをカバーする化学物質管理を行い、法規制対象物質の使用状況等の調査に活用しています。また、「東洋紡化学物質管理区分」を定め、取り扱う化学物質を3段階に分類した上で、ランクごとに管理内容を定め、効率的な使用や代替化を進めています。 (10)情報セキュリティ当社グループは、DXとデータの利活用によるビジネスイノベーション加速・推進に取り組み、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要情報を管理しています。また、世界各国で個人情報・データ保護のための法規制の強化が行われています。当社グループはこれらの情報資産について様々なセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスや想定を超えるサイバー攻撃を受けた場合、従業員の過誤など、システムの障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などにより、社会的信用の低下や多額の費用負担が発生し、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「情報セキュリティポリシー」を定め、情報セキュリティに関する各種規程を整備し、全情報資産の適切な運用・管理・活用に努めています。また、代表取締役社長が任命した最高情報セキュリティ責任者(CISO)をリーダーとした情報セキュリティ部会(TOYOBO-CSIRT)を設置し、海外法規制対策、技術的対策の継続的な改善のほか、従業員教育による意識レベル向上、セキュリティ人材の育成を進めるとともに、事故対応体制の強化に取り組んでいます。 (11)法規制およびコンプライアンス当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を順守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不順守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスを重視した経営を推進していますが、製品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、損害賠償責任が課されることなどにより、多額の損害が生じるおそれがあります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、社内通報制度やコンプライアンスアンケートを通じた不適正事案の早期発見、是正や未然防止に加え、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。例えば、「東洋紡グループ企業行動憲章」および行動規範である「東洋紡グループ社員行動基準」の解説や違反事例等をまとめたコンプライアンスマニュアルを、当社を含むグループ従業員に配付するとともに、職場にて読合わせを実施しルールの徹底に努めています。また、国内外グループ会社の管理者層を対象としたコンプライアンス勉強会を実施するとともに、コンプライアンス違反等のケーススタディを掲載した「コンプライアンスミニスタディ」を毎月発行するなどコンプライアンス意識の向上を図っています。 (12)海外での事業活動当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、世界経済全体の動向に加え、各国の法令・規制や政策等の予期しない改定変更、またはテロ、戦争、政変、疫病やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらリスクに対し、グループ各社での情報収集や、公的機関だけにとどまらず外部コンサルタントからの情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切に対処できるよう、国ごとに「危機管理マニュアル」を策定し、海外有事に対する退避マニュアルを充実させるなど、海外リスクマネジメント体制の整備強化に努めています。また、当社グループは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行い、各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても適切に対処しています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。 <財務リスク>(13)為替レートの大幅変動当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的に著しい変動があった場合は、製造リードタイムが比較的長い製品などは業績に対して影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14)金利の大幅上昇当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」および「純有利子負債のEBITDA(営業利益と減価償却費の和)に対する倍率(Net Debt/EBITDA倍率)」を重視しています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは1.26倍、Net Debt/EBITDA倍率は7.5倍となりました。 (15)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。当連結会計年度において、当社および当社の子会社は、保有する投資有価証券の一部を売却し、33億円の売却益を計上しました。 (16)固定資産の減損当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において、当社および一部の子会社が保有する固定資産のうち、休止予定資産や事業用資産について合計8億円の減損損失を計上しました。
FY2023|10,242 文字
3【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、グループ全体のリスクを一元的に管理する「リスクマネジメント委員会」を2021年に設置しました。本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括する他、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定し、PDCAサイクルを回すことにより、実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用及び、リスク管理体制の強化に努めています。当社グループでは、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、従業員が誇りとやりがいをもって働き続けられる会社、持続的に成長できるサステナブルな会社をめざし、2025中期経営計画を策定しています。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025中期経営計画では2025年度を最終年度とし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、ロシア・ウクライナ情勢を始めとする地政学リスクの影響については不確定要素が多く、原燃料価格の高騰、急激な為替相場の変動など事業環境の不透明な状況が続くことが見込まれます。加えて、以下の(1)から(16)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているものの、それらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2025中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <既発生もしくは発生の蓋然性の高いリスク>(1)災害・事故・感染症の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場ほか各事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、新型コロナウイルス感染症予防措置を継続し、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限り災害・事故・感染症の発生を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および新型コロナウイルスをはじめとする新たな感染症の世界的な流行、原子力発電所の事故等が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害等が発生した場合など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。2020年9月の当社犬山工場における火災事故を踏まえ、2022年4月より「私たちは『安全最優先』を徹底します。―労働安全、環境安全、製品安全、設備安全―」を当社グループの安全宣言としました。安全と保安防災に関する取組みを着実に進めるため、社長直轄の組織として「安全防災本部」を設置し、同組織が中心となって安全・保安防災のPDCAサイクルにより継続的な取組みを実施しています。また、第三者の視点を入れた防災管理プロジェクトとして、東洋紡7拠点、国内グループ会社22拠点の計29製造拠点に対して火災・爆発リスクの見える化を実施し、リスク低減をはかりました。この活動を定期的に実施することにより、リスク管理を強化していきます。「事業部門」「管理部門」「監査部門」が、それぞれの責任を踏まえたリスク低減活動を行う「スリーラインディフェンス」の考え方に基づいた体制を構築し、安全・保安防災リスクの低減に努めています。事業部門では、SMSやEMSに基づく防災総点検、現場総点検を実施、管理部門では、工場、管理プロジェクトでリスクを抽出し、「リスクマップ」に反映します。リスクマネジメント委員会では、リスクマップに基づき、安全防災本部とともに全社レベルでリスク低減を推進し、取締役会などにリスク低減のための各種施策を提言します。 また、当社グループは、2024年11月の稼働開始を目指して、遺伝子検査に用いられるPCR検査試薬および酵素や抗体などの遺伝子診断薬原料を製造する設備の建設を行っています。これにより、新型コロナウイルスをはじめとする感染症に向け需要が高まるPCR検査試薬や遺伝子診断薬用原料の生産能力を増強し、将来、発生する可能性のある感染症向け検査薬や原料の開発・生産体制の一層の強化を図ります。 (2)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンスなどの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。インフレ圧力に対する各国金融政策の見通しやロシア・ウクライナ情勢は依然として先行きが不透明であり、当社グループおよび仕入先の生産拠点や主要市場等において、深刻な政治的混乱や景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小する可能性があります。また、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度におけるロシア、ウクライナにおける取引金額は僅少で、直接的な影響は軽微です。販売及び委託加工に際しては、当社グループは与信取引を行っており、取引先の信用悪化や経営破綻などによる与信リスクを負っています。当社グループでは、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、与信管理規程のもと、取引先別の信用度に見合う取引限度額を設定し管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握することに努めております。また、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上することにより、与信リスクの低減を図っています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)第三者認証登録内容における不適切行為等当社は、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories(以下「UL」といいます)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等(以下「本件不適切行為」といいます)を確認しました。本件不適切行為についてULに報告等を行った結果、2020年10月28日付でUL認証を取り消された1製品に加えて、3製品について2021年2月3日付にてUL認証登録を取り消され、他の3製品の一部品番(以下、本件不適切行為のあった製品を「本件不適合製品」と総称します)について当社よりUL認証登録の取消しを申し入れた結果、2021年3月26日付にて取り消されました。これまで本件不適合製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けていません。現在、UL再認証はお客さまと相談させて頂きながら順次再取得を進めています。また、本件に関連し、ISO(国際標準化機構)の登録認証機関であるロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッドによる特別審査を受けた結果、2021年1月28日付で、当社が取得しているISO9001認証のうち、本件不適合製品を担当する部門に関わる認証範囲について認証を取り消されました。現在、ISO9001再認証に向けて取組みを進めています。当社は、度重なる不適切な事案を重く受け止め、既に実施した第三者による調査等も踏まえて、実効性のある再発防止策を策定し、確実に実施してきました。再発防止策の一つとして、2022年3月17日付「品質に関する不適切な事案の類似案件調査に関するご報告」にて公表したとおり、2021年2月から同年3月にかけて無記名式で、2021年7月から2022年1月にかけては記名式で品質に関する不適切な事案の有無を調査する目的のアンケートを国内外の当社グループ役員、社員(契約社員や派遣社員を含む)を対象に実施し、品質に関する重大な不適切事案は確認されませんでした。引き続き、適切な品質管理体制の再構築やガバナンスの向上に取り組むことにより、信頼の回復に全力で努めます。 (4)訴訟等当社グループは、当連結会計年度において重要な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、一部の製品において特許権の抵触の疑いがあるとして通知を受け、当社特許権とのクロスライセンスを含めたライセンスについての協議を進めています。その他にも、当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。重要な訴訟を提起された場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <中長期的なリスク>(5)原材料の購入当社グループの、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンスなどの各種製品は、石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などが主要な原材料です。「(1)災害・事故・感染症の発生」および「(2)政治・経済情勢の悪化」にて記載した、自然災害、事故、感染症や、経営破綻、事業撤退、縮小および深刻なサプライチェーンの混乱などが取引先において発生した場合、必要量の原材料が確保できなくなる可能性があります。また、原油価格や当該原材料等の急激な需給バランスの変動などにより、購入価格が高騰し、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。これらに対し、当社グループでは、販売価格への転嫁や製造コストの低減に努めているほか、適正な取引方針を確立し、仕入先の分散による複数社購買や持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。法令遵守、公正な取引、人権尊重、環境配慮など、サプライチェーンの中でSDGsを達成していくために、「CSR調達ガイドライン」に基づく調達・物流の実現を目指しています。また、植物由来原料やリサイクル原料の使用を進めるグリーン化の取組みを行っています。 (6)製品の欠陥等当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止するため、所定の品質管理規程に基づいて、フィルム、環境・機能材、ライフサイエンス、機能繊維などの各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不具合が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などにおいて何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながるリスクがあります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しているものの、最終的に負担する損害額は保険によって十分カバーされないリスクがあります。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、PL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する品質保証本部会を設けています。品質保証本部会は品質を統括する役員、各事業本部を担当する品質保証総括部長と品質保証統括部員で構成され、毎月開催しています。また、各事業本部の部長クラスを推進委員としたPL/QA推進委員会を年6回計画しており、2022年度も計6回開催しました。また、事業推進から独立した品質保証本部および他部門の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を客観的に確認し、改善の機会としています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前に対応することで、お客さま等に掛かるリスクの低減に努めています。 (7)人材の確保当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う労働力人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。当社グループでは、成長戦略実現への寄与を目指し、次世代経営人材の育成に力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動にも積極的に取り組んでいます。なお、当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (8)気候変動地球温暖化に伴う気候変動の影響が、台風や集中豪雨といった自然災害の増加や亜熱帯化による自然生態系の変化といった形で顕在化し、社会にも多大な影響を及ぼしつつあります(物理リスク)。一方、移行リスクとして、脱炭素社会への移行に伴う社会変化が、温室効果ガス排出に対する規制強化や炭素税導入などにより、原材料価格の上昇や化石燃料の使用が難しくなることなどが想定されます。当社グループは2020年1月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言に賛同し、同提言にのっとった取組みと開示を進めています。また、TCFD提言に沿い、パリ協定に基づく気候変動シナリオを前提とした将来リスクと事業機会を分析・整理しました。それらリスクと機会の影響と財務インパクトを特定した上で、対応策とそれに基づく指標・目標を設定し、経営戦略の強靭性(レジリエンス)向上を図ります。なお、当該リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。 (9)環境負荷近年、水質汚濁、大気汚染、土壌汚染や化学物質管理に関する法令や規制が強化されつつあり、国内では2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が制定されました。プラスチックは現代社会に不可欠な素材である一方、廃棄物の問題や天然資源の枯渇などの観点から課題があり、プラスチック資源循環を促進する重要性が高まっています。ポリマー(プラスチック)を基幹素材として幅広く事業展開する当社グループにとって、プラスチックに係る問題は重要な課題と認識しています。今後、プラスチックに関する規制がさらに強化されることで、対応コストの上昇や、プラスチック製品の需要減退による当社グループの売上減少など、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、持続可能な形で資源を利用する循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向け、環境負荷を低減する製品・技術を積極的に展開してきました。プラスチック製品においては、当社グループが提供する素材を「持続可能」なものにするため、バイオマス(植物由来)原料やリサイクル原料の使用比率を高めるとともに、高い機能性を保持するバイオマスプラスチックの実用化に取り組んでいます。また、当社グループはさまざまな企業や団体と協力し、循環型経済の時代にふさわしいプラスチックバリューチェーンの構築に貢献するため、各種イニシアチブに積極的に参画しています。2021年12月にサントリーグループとAnellotech社の共同開発で発表された「植物由来原料を100%使用したペットボトルの試作品」の開発に、当社のコア技術の一つである重合技術が大きく貢献しました。また、㈱アールプラスジャパンに参画し、使用済みプラスチックを粗原料に戻し、高品質な再生プラスチックを生産するためのケミカルリサイクル技術開発を積極的に推進しています。その他、日本バイオプラスチック協会や、海洋プラスチックごみの削減に向けて日本で2019年に設立されたCLOMA(Clean Ocean Material Alliance)などにも参画しています。 (10)情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要情報を管理しています。これらの情報資産について様々なセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合、従業員の過誤など、システムの障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などにより、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「情報セキュリティポリシー」を定め、情報セキュリティに関する各種規程を整備し、全情報資産の適切な運用・管理・活用に努めています。また、代表取締役社長が任命した最高情報セキュリティ責任者(CISO)をリーダーとした情報セキュリティ部会(TOYOBO-CSIRT)を設置し、技術的対策の継続的な改善のほか、従業員教育による意識レベル向上、セキュリティ人材の育成を進めるとともに、事故対応体制の強化に取り組んでいます。 (11)法規制およびコンプライアンス当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不遵守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスマニュアルの推進に取り組んでいますが、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、損害賠償責任が課されることなどにより、多額の損害が生じるおそれがあります。当社グループでは、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。例えば、「東洋紡グループ企業行動憲章」および行動規範である「東洋紡グループ社員行動基準」の解説や違反事例等をまとめたコンプライアンスマニュアルを、当社を含むグループ従業員に配付するとともに、職場にて読合わせを実施しルールの徹底に努めています。また、国内外グループ会社の管理者層を対象としたコンプライアンス勉強会を実施するとともに、法令違反等のトピックを掲載したケーススタディを毎月発行するなどコンプライアンス意識の向上を図っています。コンプライアンス徹底月間には、コンプライアンスアンケートを実施し、遵守状況や推進活動に関する課題の把握に努めるとともに、改善に向けた対応に取り組んでいます。 (12)海外での事業活動当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、世界経済全体の動向に加え、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変、疫病やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらリスクに対し、グループ各社での情報収集や外部コンサルタントからの情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処ができるよう、国ごとに「危機管理マニュアル」を策定し、当期には海外での有事に対しての退避マニュアルを充実させるなど、海外リスクマネジメント体制の整備に努めています。また、当社グループでは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行っており、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても細心の注意を払っています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。 <財務リスク>(13)為替レートの大幅変動当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的に著しい変動があった場合は、製造リードタイムが比較的長い製品などは業績に対して影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14)金利の大幅上昇当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」および「純有利子負債のEBITDA(営業利益と減価償却費の和)に対する倍率(Net Debt/EBITDA倍率)」を重視しています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは1.21倍、Net Debt/EBITDA倍率は5.80倍となりました。 (15)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。当連結会計年度において、当社および当社の子会社は、保有する投資有価証券の一部を売却し、29億円の売却益を計上しました。 (16)固定資産の減損当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において、不織布マテリアル事業およびエンジニアリングプラスチック事業について82億円の減損損失を計上しました。また、当社および一部の子会社が保有する固定資産のうち、休止予定資産や事業用資産について減損損失16億円を計上したことから、当連結会計年度において合計98億円の減損損失を計上しました。
FY2022|11,977 文字
2【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループは、2021年4月1日に、グループ全体のリスクを一元的に管理することを目的として、社長執行役員を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しました。本委員会は、統括執行役員会議メンバーおよび委員長が指名したメンバーで構成され、設置初年度である2021年度は4回開催しました。本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括する他、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定し、実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用を目指すことにより、リスク管理体制の強化に努めています。当社グループでは、事業を通じて社会課題の解決に貢献し、従業員が誇りとやりがいをもって働き続けられる会社、持続的に成長できるサステナブルな会社をめざし、2025中期経営計画を策定しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025中期経営計画では2022年度をスタートとし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、新型コロナウイルス感染症の流行が繰り返され、さらにウクライナ情勢が見通せないなか、原燃料価格の高騰、為替の動向など事業環境の不透明感は強まっています。加えて、以下の(1)から(16)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているもののそれらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2025中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <既発生もしくは発生の蓋然性の高いリスク>(1)災害・事故・感染症の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場ほか各事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限りその発生を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害等が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。2020年9月の当社犬山工場における火災事故を踏まえ、当社グループでは、安全・ 防災に関する体制・教育などの見直しを実施しました。2020年12月には、傘下に「保安防災部」と「労働安全部」を持つ社長直轄の「安全・保安防災推進本部」を新設しました。その後、環境関連リスクの重要性が増したことにより2022年4月に「安全防災部」と「環境管理部」を傘下にもつ「安全防災本部」に改編しました。同組織が中心となって安全・保安防災のPDCAを回しています。2021年1月より第3者の視点を入れた防災管理プロジェクトを始動し、火災・爆発リスク低減活動を強化しました。また、「事業部門」「管理部門」「監査部門」が、それぞれの責任を踏まえたリスク低減活動を行う「スリーラインディフェンス」の考え方に基づいた体制を構築し、安全・保安防災リスクの低減に努めています。事業部門では、SMSやEMSに基づく防災総点検、現場総点検を実施、管理部門では、工場、管理プロジェクトでリスクを抽出し、「リスクマップ」に反映します。リスクマネジメント委員会では、リスクマップに基づき、安全防災本部とともに全社レベルでリスク低減を推進します。また取締役会などに、リスク低減のための各種施策を提言します。 新型コロナウイルス感染症再拡大の波が繰り返されるなか、当社グループにおいては、特に衣料繊維事業などが影響を受けています。一方、新型コロナウイルスによる感染が沈静化した後もPCR検査需要に応じて、引き続き、PCR検査用試薬、遺伝子検査装置などの提供に尽力していきます。 (2)政治・経済情勢のさらなる悪化当社グループは、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンスなどの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小するとともに、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、販売に際し、与信取引を行っています。そのため、取引先の信用悪化や経営破綻などによる損失が発生する与信リスクを負っています。当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定し、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握するなど、与信リスクをミニマイズするための対応策をとっています。当社グループでは、中国において、新型コロナウイルスの流行を受けた移動制限の広がりにより中国経済の景気が減速することを懸念しています。当社グループは、中国向け輸出および中国国内での売上高は連結売上高の約10%を占めています。そのため、中国国内の景気が悪化した場合には、アクリル繊維事業やエンジニアリングプラスチック事業などの販売への影響が懸念されることから、サプライチェーンの見直しや他用途展開などの対策を図っています。また、当社は、ウクライナを取り巻く状況を深く憂慮しています。当社グループにおいて、当連結会計年度におけるロシア、ウクライナとの取引金額は僅少で、直接的な影響は軽微です。しかし、ロシア・ウクライナ情勢に起因して、原燃料価格の高騰が生じており、最適な調達方法を探索するなど、必要な対策を進めていきます。 (3)第三者認証登録内容における不適切行為等当社は、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories(以下「UL」といいます)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等(以下「本件不適切行為」といいます)を確認しました。本件不適切行為についてULに報告等を行った結果、2020年10月28日付でUL認証を取り消された1製品に加えて、3製品について2021年2月3日付にてUL認証登録を取り消され、他の3製品の一部品番(以下、本件不適切行為のあった製品を「本件不適合製品」と総称します)について当社よりUL認証登録の取消しを申し入れた結果、2021年3月26日付にて取り消されました。これまで本件不適合製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けていません。また、本件に関連し、ISO(国際標準化機構)の登録認証機関であるロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッドによる特別審査を受けた結果、2021年1月28日付で、当社が取得しているISO9001認証のうち、本件不適合製品を担当する部門に関わる認証範囲について認証を取り消されるとともに、当該ISO9001認証範囲に含まれる形でマルチサイト認証(統一認証)を取得している部門の認証範囲について認証を一時停止されましたが、一時停止されていた認証範囲については、2021年6月9日付にて一時停止は解除されました。当社は、度重なる不適切な事案を重く受け止め、既に実施した第三者による調査等も踏まえて、実効性のある再発防止策を策定し、確実に実施してまいります。再発防止策の一つとして、2021年4月1日付で新たに品質保証本部を設置しました。これまで各事業部門(ソリューション本部)にあった品質保証統括部および品質保証部を、品質保証本部に統合することで品質保証部門の独立性を担保し、事業部門に対する牽制機能の強化を図りました。また、当社は、2022年3月17日付「品質に関する不適切な事案の類似案件調査に関するご報告」にて公表したとおり、2021年2月から同年3月にかけて無記名式で、2021年7月から2022年1月にかけては記名式で品質に関する不適切な事案の有無を調査する目的のアンケートを国内外の当社グループ役員、社員(契約社員や派遣社員を含む)を対象に実施しました。有価証券報告書提出日現在において、品質に関する重大な不適切事案は確認されていません。引き続き、適切な品質管理体制の再構築やガバナンスの向上に取り組むことにより、信頼の回復に全力で努めます。今後、本件不適切行為に係る信用低下による受注の減少やお客様等への補償費用を始めとする損失の発生等が生じた場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <中長期的なリスク>(4)原材料の購入当社グループは、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンス分野における各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しています。主要な原材料として、主に石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などがあります。これらの原材料はリスク管理の観点からも可能なかぎり複数の取引先からの購入を行っていますが、自然災害、疾病、ストライキ、輸送上の問題、取引先の破たんや事業撤退、縮小や事故などが発生した場合、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、新型コロナウイルス変異株の感染拡大の影響やロシア・ウクライナ情勢に起因して、サプライチェーンの混乱や原材料の確保が難しくなり、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。また、都市封鎖や外出制限が実施された際には、物流網も混乱し、必要な原材料調達に支障をきたす可能性もあります。さらに、原材料の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じる可能性があります。当社グループでは、適正な取引方針を確立し、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。法令遵守、公正な取引、人権尊重、環境配慮など、サプライチェーンの中でSDGsを達成していくために、「CSR調達ガイドライン」に基づく調達・物流の実現を目指しています。 (5)製品の欠陥等当社グループは、所定の品質保証を行いながら製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止し、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンスなどに関する各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などで何らかの原因で製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながる可能性があります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入していますが、最終的に負担する損害額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、常設委員会としてPL(Product Liability:製造物責任)およびQA(Quality Assurance:品質保証)を統括する「PL/QA委員会」を設けています。本委員会は、品質保証本部の統括役員を委員長とし、各事業の責任者、スタッフ部門責任者(役員)で構成され、定例委員会を原則として年2回、部長クラスを推進委員とした推進委員会を年6回開催しています。2021年度は計8回開催しました。また、事業推進から独立した品質保証本部および他部門の品質保証担当者によるPL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を確認、改善しています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前に対応することで、お客さま等に掛かるリスクの低減に努めています。 (6)人材の確保当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う労働力人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。当社グループでは、成長戦略実現への寄与を目指し、次世代経営人材の育成に力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動にも積極的に取り組んでいます。また、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響で開催出来ていませんが、例年はグローバル対応として、海外事業所の選抜人材を対象とした「ナショナルスタッフ研修」や日本から海外事業所で研修を行う「短期海外業務研修」を企画し、働き方・キャリア・性別・国籍・人種・信条の異なる人たちが互いに認め合い、価値創造を実現するための組織力の向上を目指しています。 (7)気候変動地球温暖化に伴う気候変動の影響が、台風や集中豪雨といった自然災害の増加や亜熱帯化による自然生態系の変化といった形で顕在化し、社会にも多大な影響を及ぼしつつあります(物理リスク)。一方、移行リスクとして、温室効果ガス排出に対する規制強化や炭素税導入などにより、原材料価格の上昇や化石燃料の使用が難しくなることなどが想定されます。当社グループは2020年1月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)提言に賛同し、気候変動が当社グループ事業に及ぼすリスクと機会に関する分析を開始しました。今回は主力事業であり、気候変動影響が比較的大きいことが想定される「フィルム事業」を対象として、2つのシナリオに基づき、気候変動が事業に及ぼす影響を分析し、その対応策を検討しました。産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるシナリオ(主として移行リスク)においては、脱炭素社会への移行に伴う社会変化(例えば、炭素税の導入とそれに伴う原材料価格上昇、再生可能エネルギーの拡大など)が、事業に影響を及ぼす可能性があります。その対応として、製造プロセスの合理化検討や再生エネルギーへの切り替え、CO2フリー燃料(水素やアンモニア等)の導入検討に着手します。産業革命前からの気温上昇が+4℃となるシナリオ(主として物理リスク)においては、風水害の激甚化による生産設備の損壊や原材料の供給停止などが事業に影響を及ぼす可能性があります。その対応として、BCP訓練強化や在庫水準の見直しや複数購買の検討などを進めます。一方、顧客の低炭素貢献製品への要求の高まりに、当社の技術・製品が対応することなどにより、新たな事業成長機会を獲得できる可能性があると分析しています。当社グループでは、地球温暖化・気候変動が当社事業に及ぼす影響をリスク・機会の両面から認識し、2030年度は温室効果ガスの排出量を46%削減(Scope1,2、2013年度比)、2050年度までにネットゼロ(実質ゼロ)とする「カーボンニュートラルの実現」を目標に掲げています。事業活動における温室効果ガス排出について、当社の岩国事業所では自家火力発電所を2023年10月の運転開始を目指して更新し、燃料転換(脱石炭)と高効率設備の導入による省エネ化を進めるなど、大幅な排出量削減を進めていきます。また、カーボンニュートラルの実現に向けては、再生可能エネルギーの導入、生産プロセスの電化推進、カーボンフリー燃料(水素やアンモニアなど)への転換等を進め、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)や森林吸収により、2050年度までにネットゼロを目指します。また、製品の軽量化や原材料の見直し、グリーン物流の推進などによりバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に取り組むとともに、当社グループ独自の製品・技術によるソリューションを通じた温室効果ガスの削減貢献量拡大を進めています。具体的には、海水淡水化プラントの省エネ化に貢献するRO中空糸膜の開発や、自動車の燃費向上に貢献するエンジニアリングプラスチックの軽量化、風力発電や浸透圧発電に用いられるフィルムやFO膜などの提供、室内光で世界最高クラスの高発電効率を誇る有機薄膜太陽電池セルの開発、二酸化炭素を分離・回収するカーボンリサイクルの技術開発などを進めていきます。2021年4月には、カーボンニュートラルの実現に向けた戦略の策定と推進を目的として、「カーボンニュートラル戦略検討会議」および「カーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチーム」を設置しました。統括執行役員をメンバーとするカーボンニュートラル戦略検討会議は、全社一丸となってカーボンニュートラルの実現に着実に取り組んでいくための戦略とマイルストーンを策定します。全社横断的なメンバーで構成されるカーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチームは、2021年度の活動として、温室効果ガスの排出削減シナリオを策定しました。今後、このシナリオに則り、対応を進めていきます。また、製品毎の温室効果ガス排出量の算定にも着手しています。加えて、長期的な視点でイノベーションの促進、アライアンスの推進、研究開発の加速、新たなソリューションビジネスの創出など、実質的な施策にも取り組んでいきます。当社は、2022年4月1日から二酸化炭素の排出量を自社の基準で仮想的に費用換算し、設備投資判断の参考とする「インターナルカーボンプライシング制度」を導入しました。今後、同制度を投資判断の基準の一つとして活用していくことで、低炭素・脱炭素設備・省エネ投資はもとより削減貢献量の拡大等を目的とした開発設備への投資など、二酸化炭素の排出量削減に貢献する投資を加速していきます。 (8)環境負荷近年、海洋プラスチックごみによる海洋汚染問題は、グローバルな共通課題となっており、ポリマー(プラスチック)を基幹素材として幅広く事業展開する当社グループにとって、プラスチックごみ問題は重要な課題と認識しています。今後、グローバルに廃棄プラスチックに関する規制が強化されることで、プラスチック製品の需要が減退し、当社グループの売上が減少するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、環境負荷を低減する製品・技術を積極的に展開してきました。主力のプラスチック製品では、リサイクル樹脂やバイオマス(植物由来)原料の使用比率の向上、高い機能性を保持するバイオマスプラスチックの実用化に取り組んでいます。また、当社グループはさまざまな企業や団体と協力し、循環型経済の時代にふさわしいプラスチックバリューチェーンの構築に貢献するため、各種イニシアチブに積極的に参画しています。2019年8月に欧州のコンソーシアムCEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)に参加しました。回収システムやレギュレーションなどに関する情報・動向を把握しながら技術や製品の開発・提供に注力していきます。また、海洋プラスチックごみの削減に向けて日本で2019年に設立されたCLOMA(Clean Ocean Material Alliance)にも当初から参加しています。同団体に参加する容器包装などの素材製造事業者や加工事業者、利用事業者と連携しながら、代替素材の開発・普及などに取り組んでいきます。その他、日本バイオプラスチック協会、Petcore Europeなどにも参画しています。 (9)情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要情報を管理しています。これらの情報についてセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合、従業員の過誤など、システムの障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などにより、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「情報セキュリティポリシー」を策定するとともに各種規程を整備し、全情報資産の適切な管理・活用に努めています。また、「サイバーセキュリティ委員会」を設置し、技術的・専門的な対策のみならず、従業員の意識レベル向上や社内専門家の育成などを進めています。今後、事故時の対応力強化などを推進していきます。 (10)法規制およびコンプライアンス当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不遵守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスマニュアルの推進に取り組んでいますが、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、損害賠償責任が課されることなどにより、多額の損害が生じるおそれがあります。当社グループでは、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。例えば、「東洋紡グループ企業行動憲章」および行動規範である「東洋紡グループ社員行動基準」の解説や違反事例等をまとめたコンプライアンスマニュアルを、当社を含むグループ従業員に配付するとともに、職場にて読合わせを実施しルールの徹底に努めています。また、国内外グループ会社を含めた38社の管理者層を対象としたコンプライアンス勉強会を実施するとともに、法令違反等のトピックを掲載したケーススタディを毎月発行するなどコンプライアンス意識の向上を図っています。コンプライアンス徹底月間には、コンプライアンスアンケートを実施し、遵守状況や推進活動に関する課題の把握に努めるとともに、改善に向けた対応に取り組んでいます。 (11)海外での事業活動当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、世界経済全体の動向に加え、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらリスクに対しては、グループ各社での情報収集や外部コンサルタント情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処ができるよう、国ごとに「危機管理マニュアル」を策定し、海外リスクマネジメント体制の整備に努めています。また、当社グループでは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行っており、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても細心の注意を払っています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。 (12)訴訟当社グループは、当連結会計年度において重要な影響を及ぼす訴訟は提起されていません。当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。重要な訴訟を提起された場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <財務リスク>(13)為替レートの大幅変動当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的に著しい変動があった場合は、製造リードタイムが比較的長い製品などは業績に対して影響を与える可能性があります。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14)金利の大幅上昇当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」を重視しています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは0.98倍となりました。 (15)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。当連結会計年度において、当社および当社の子会社は、保有する投資有価証券の一部を売却し、65億円の売却益を計上しました。 (16)固定資産の減損当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において、医薬品製造受託事業の事業用資産など94億円の減損損失を計上しました。
FY2021|9,461 文字
2【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループでは、当社グループの企業理念『順理則裕』を事業活動の基盤として、社会に役立つ製品やサービスを提供し、「企業価値」と「社会価値」をともに高めることに取り組んでいます。リスクマネジメントの体制としては、当社は、2021年4月1日付で、グループ全体のリスクを一元的に管理することを目的として、社長執行役員を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しました。本委員会では、リスクマネジメント活動(特定・分析・評価・対応)を統括するほか、グループ全体のリスク管理に関する方針を策定することでリスクの未然防止・早期発見・再発防止を図るとともに、個別リスク発現時の適切な対応を可能とする実効的かつ持続的な組織・仕組みの構築と運用を目指すことにより、リスク管理体制の強化に努めてまいります。 当社グループでは、中長期的な成長の実現をめざし、2018年中期経営計画を策定しています。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2018年中期経営計画では2021年度を最終年度とし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、2018年および2020年の火災事故、品質不適切事案および新型コロナウイルス感染症などにより一部の事業環境は大きく変化しています。さらに、以下の(1)から(16)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているもののそれらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2018年中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <既発生もしくは発生の蓋然性の高いリスク>(1)災害・事故・感染症の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場ほか各事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限りその発生を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害等が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。2018年9月の敦賀事業所の火災後、外部専門家の診断・指導等を踏まえ、防災対策を進めてまいりましたが、2020年9月27日に当社犬山工場において火災が発生し、大切な従業員の命を失う大事故を起こしてしまいました。「安全」「防災」を当社グループの最優先課題として、2020年12月より安全および保安防災活動の推進体制を見直し、より強力に対策の実行を開始しました。社会からの信頼を回復できるよう、全社一丸となって安全管理の徹底を図り、再発防止に努めてまいります。また、自然災害に対しては、建物の耐震補強をはじめ事業所および工場のインフラの整備と緊急時の対応訓練などにより減災対応を継続的に実施しています。新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により、国内を含む世界経済の正常化には時間がかかることが予想されます。当社グループにおいては、人の動きの制約解消の時期により特に衣料繊維事業などが影響を受けることが見込まれます。一方、世の中のPCR検査需要に応えるため、PCR検査用試薬、遺伝子検査装置などの提供に尽力していきます。 (2)政治・経済情勢のさらなる悪化当社グループは、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンスなどの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小するとともに、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、販売に際し、与信取引を行っています。そのため、取引先の信用悪化や経営破綻などによる損失が発生する与信リスクを負っています。当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定し、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握するなど、与信リスクをミニマイズするための対応策をとっています。当社グループでは、米中摩擦による環境変化により中国経済の勢いが鈍化することを懸念しています。当社グループは、中国向け輸出および中国国内での売上高は連結売上高の約10%を占めています。そのため、中国国内の景気が悪化した場合には、アクリル繊維事業やエンジニアリングプラスチック事業などの販売への影響が懸念されることから、サプライチェーンの見直しや他用途展開などの対策を図っています。 (3)第三者認証登録内容における不適切行為等当社は、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories(以下「UL」といいます)によって認証を受けているエンジニアリングプラスチック製品の一部の品番について、認証に関する確認試験時に、顧客に販売している製品と異なる組成のサンプルを提出していたことや、UL認証を取得している製品を製造する登録を受けていない工場で製造を行っていること等(以下「本件不適切行為」といいます)を確認しました。本件不適切行為についてULに報告等を行った結果、2020年10月28日付でUL認証を取り消された1製品に加えて、3製品について本年2月3日付にてUL認証登録を取り消され、他の3製品の一部品番(以下、本件不適切行為のあった製品を「本件不適合製品」と総称します)について当社よりUL認証登録の取消しを申し入れた結果、3月26日付にて取り消されました。これまで本件不適合製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けていません。安全性や製品の性能について、今後もお客様のご協力を得て調査を継続してまいります。また、本件に関連し、ISO(国際標準化機構)の登録認証機関であるロイドレジスタークオリティアシュアランスリミテッドによる特別審査を受けた結果、本年1月28日付で、当社が取得しているISO9001認証のうち、本件不適合製品を担当する部門に関わる認証範囲について認証を取り消されるとともに、当該ISO9001認証範囲に含まれる形でマルチサイト認証(統一認証)を取得している部門の認証範囲について認証を一時停止されましたが、一時停止されていた認証範囲については、本年6月9日付にて一時停止は解除されました。当社は、度重なる不適切な事案を重く受け止め、引き続き実態把握と原因究明に向け、執行機関からの独立性を確保した対応委員会を主体として調査を進めています。今後の調査と、既に実施した第三者による調査等も踏まえて、実効性のある再発防止策を策定し、確実に実施してまいります。再発防止策の一つとして、本年4月1日付で新たに品質保証本部を設置しました。これまで各事業部門(ソリューション本部)にあった品質保証統括部および品質保証部を、品質保証部門の独立性を担保し、事業部門に対する牽制機能の強化を図ります。引き続き、適切な品質管理体制の再構築やガバナンスの向上に取り組むことにより、信頼の回復に全力で努めます。今後、本件不適切行為に係る信用低下による受注の減少やお客様等への補償費用を始めとする損失の発生等が生じた場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <中長期的なリスク>(4)原材料の購入当社グループは、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンス分野における各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しています。主要な原材料として、主に石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などがあります。これらの原材料はリスク管理の観点からも可能なかぎり複数の取引先からの購入を行っていますが、自然災害、疾病、ストライキ、輸送上の問題、取引先の破たんや事業撤退、縮小や事故などが発生した場合、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、新型コロナウイルス変異株の感染拡大の影響により、サプライチェーンの混乱や原材料の確保が難しくなり、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。また、都市封鎖や外出制限が実施された際には、物流網も混乱し、必要な原材料調達に支障をきたす可能性もあります。さらに、原材料の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じる可能性があります。当社グループでは、適正な取引方針を確立し、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。法令遵守、公正な取引、人権尊重、環境配慮など、サプライチェーンの中でSDGsを達成していくために、「CSR調達ガイドライン」に基づく調達・物流の実現を目指しています。 (5)製品の欠陥等当社グループは、所定の品質保証活動を行いながら製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止し、フィルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンスなどに関する各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などで何らかの原因で製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながる可能性があります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入していますが、最終的に負担する損害額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、PL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社の品質保証活動を確認、改善しています。さらに、製品開発から販売までの各段階でPSR(Product Safety Review)を行い、リスクに事前対応することで、お客様等に掛かるリスクの低減に努めています。 (6)人材の確保当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う労働人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。当社グループでは、成長戦略実現への寄与を目指し、次世代経営人材の育成に力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動にも積極的に取り組んでいます。また、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響で開催出来ていませんが、例年は海外事業所の選抜人材を対象とした「ナショナルスタッフ研修」も企画し、働き方・キャリア・性別・国籍・人種・信条の異なる人たちが互いに認め合い、価値創造を実現するための組織力の向上を目指しています。 (7)気候変動地球温暖化に伴う気候変動の影響が、台風や集中豪雨といった自然災害の増加や亜熱帯化による自然生態系の変化といった形で顕在化し、社会にも多大な影響を及ぼしつつあります。当社グループでは、気候変動は事業活動の継続に対するリスクが大きいと認識し、その対応として、カーボンニュートラルの実現を目指しています。具体的には、2050年度までに温室効果ガスの排出量をネットゼロ(実質ゼロ)を目指すことを目標として設定し、事業活動における温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。また、生産や物流における温室効果ガスの排出削減だけでなくバリューチェーン全体を視野に入れて戦略とマイルストーンを策定し、カーボンニュートラルの実現に着実に取り組むために、「カーボンニュートラル戦略検討会議」を新設しました。さらに、「カーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチーム」を全社横断的に組織し、イノベーションの促進、アライアンスの推進、研究開発の加速、新たなソリューションビジネスの創出などによりカーボンニュートラル実現に向けた削減貢献を進めます。 (8)環境負荷近年、海洋プラスチックごみによる海洋汚染問題は、グローバルな共通課題となっており、ポリマー(プラスチック)を基幹素材として幅広く事業展開する当社グループにとって、プラスチックごみ問題は重要な課題と認識しています。今後、グローバルに廃棄プラスチックに関する規制が強化されることで、プラスチック製品の需要が減退し、当社グループの売上が減少するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、環境への取組みとして、環境負荷低減に貢献する製品・技術の開発を進めるとともに、資源の有効活用にも取り組んでいます。例えば、銘柄によっては製造現場で発生したフィルム屑を溶融して再度原料として使用するなどの取組みを進めています。また、プラスチック廃棄問題はサプライチェーン全体で考えていくことが重要なため、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進することを目的としたCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するコンソーシアムCEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)、そして、欧州のポリエステル関連企業のバリューチェーン全体を網羅するコンソーシアムPetcore Europeに参加しています。 (9)情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要情報を管理しています。これらの情報についてセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合、従業員の過誤など、システムの障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などにより、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「情報セキュリティポリシー」を策定するとともに各種規程を整備し、全情報資産の適切な管理・活用に努めています。また、「サイバーセキュリティ委員会」を設置し、技術的・専門的な対策のみならず、従業員の意識レベル向上や社内専門家の育成などを進めています。今後、事故時の対応力強化などを推進していきます。 (10)法規制およびコンプライアンス当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不遵守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。また、当社グループでは、コンプライアンス活動の核として企業理念である「順理則裕」を掲げ、コンプライアンスマニュアルの推進に取り組んでいますが、国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの信用低下や行政処分、損害賠償責任が課されることなどにより、多額の損害が生じるおそれがあります。当社グループでは、コンプライアンスを推進するため、具体的に様々な取組みを実施しています。例えば、「東洋紡グループ企業行動憲章」および行動規範である「東洋紡グループ社員行動基準」を、当社を含むグループ従業員に配付するとともに、職場にて読合わせを実施しルールの徹底に努めています。また、国内外グループ会社を含めた38社の管理者層を対象としたコンプライアンス勉強会を実施するとともに、法令違反等のトピックを掲載したケーススタディを毎月発行するなどコンプライアンス意識の向上を図っています。コンプライアンス徹底月間には、コンプライアンスアンケートを実施し、遵守状況や推進活動に関する課題の把握に努めるとともに、改善に向けた対応に取り組んでいます。 (11)海外での事業活動当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、世界経済全体の動向に加え、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらリスクに対しては、グループ各社での情報収集や外部コンサルタント情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処ができるよう、国ごとに「危機管理マニュアル」を策定し、海外リスクマネジメント体制の整備に努めています。また、当社グループでは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行っており、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても細心の注意を払っています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。 (12)訴訟当社グループは、当連結会計年度において重要な影響を及ぼす訴訟は提起されていません。当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。重要な訴訟を提起された場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <財務リスク>(13)為替レートの大幅変動当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的には、外国通貨に対して円高が進行した場合、製造リードタイムが比較的長い製品は業績に対してマイナスの影響を与えます。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14)金利の大幅上昇当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」を重視しており、D/Eレシオ1.0倍未満を目標としています。当連結会計年度末は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い手元資金を厚めに保有して流動性を確保したため、D/Eレシオは1.01倍となりました。 (15)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を相当量保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。 (16)固定資産の減損当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度において、アクリル繊維事業の事業用資産など89億円の減損損失を計上しました。
FY2020|8,501 文字
2【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは以下のとおりです。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社グループでは、当社グループのCSR活動の原点である企業理念『順理則裕』を事業活動の基盤として、社会に役立つ製品やサービスを提供し、「企業価値」と「社会価値」をともに高めることに取り組んでいます。リスクマネジメントの体制としては、取締役社長を委員長とする「CSR委員会」を設置し、当社グループ全体にわたって各種のリスクに対応しています。なお、「CSR委員会」は、2020年4月1日付で「サステナビリティ委員会」に名称変更し、グローバルな社会・環境問題を解決する取組みも加え、あらゆるステークホルダーに対する取組みを一元的に把握、監督しています。 当社グループでは、中長期的な成長の実現をめざし、2018年中期経営計画を策定しています。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2018年中期経営計画では2021年度を最終年度とし、当社グループが特に重視する経営指標の目標を示しています。これらの目標については、策定時に当社グループが入手可能な情報に基づいて策定したものですが、2018年9月に発生した当社敦賀事業所の火災事故により、エアバッグ用基布事業など一部の事業環境は大きく変化しています。さらに、以下の(1)から(15)のリスクもしくは以下に記載したリスク以外のリスクが顕在化し直接的または間接的に影響を受けるなど外部環境が変化した場合、種々の対策を講じているもののそれらの対策が有効に機能しない場合や想定以上の事態が生じた場合などには、2018年中期経営計画で定めた目標が達成できない可能性があるとともに、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <既発生もしくは発生の蓋然性の高いリスク>(1)災害・事故・感染症の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、事故防止のため、それぞれの工場ほか各事業所で老朽設備の更新や設備管理の充実をはかるとともに、事故を想定した訓練やオペレータ教育を推進するなど、可能な限りその発生を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災等の事故および新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害等が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。2018年9月の敦賀事業所の火災後、保安防災活動の見直しを行い、社会からの信頼を再び回復できるよう、全グループ一丸となって取り組んでいます。第三者の専門家によるアドバイスに基づいて構築した「火災リスクの点検要領」を用いて当社グループの主要な生産現場を総点検し、生産現場の消防火設備の機能向上を計画的に推進しています。また、自然災害に対しては、建物の耐震補強をはじめ事業所および工場のインフラの整備と緊急時の対応訓練などにより減災対応を継続的に実施しています。2019年12月以降に中華人民共和国湖北省武漢市において、新型コロナウイルス感染症が報告されて以降、世界各地に拡大しています。このため、日本を含む世界経済は大幅に停滞し、経済活動の正常化には時間がかかることが予想されます。今後は、世界的な自動車の生産の減少、スマートフォンなどの電子機器の需要減少、個人消費の縮小、サプライチェーンの混乱などが、当社グループのさまざまな事業に影響を及ぼすことが懸念されます。事業への影響については、特に、自動車生産の減少により、エンジニアリングプラスチック事業やエアバッグ用基布事業などに大きな影響を及ぼし、個人消費の低迷は衣料繊維事業などに影響を及ぼしますが、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せないため、適正かつ合理的に算定することが困難な状況です。今後の対策として、エアバッグ用基布製造設備などにおいて機動的に在庫・生産調整などに取り組み、影響を最小限に抑えるよう努めます。原材料の調達については、有価証券報告書提出日現在において、調達に支障をきたし生産が滞るような状況にはなっていません。また、従業員の安全と健康を最優先に本支社は在宅勤務の徹底、工場は感染予防策、感染者発生時対策、BCP対応手順を策定した上で操業を行っています。財務面では、OC100(Overcome Corona 100)活動として、不急のキャッシュアウト時期の見直しや在庫の削減に取り組み、100億円規模のキャッシュアウトを一時的に減らし、不測の事態に備えます。 (2)政治・経済情勢のさらなる悪化当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、衣料繊維などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売が縮小するとともに、それらの事象による影響が長期にわたって続くことが予想される場合には、固定資産の減損損失の計上や繰延税金資産の取崩が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、販売に際し、与信取引を行っています。そのため、取引先の信用悪化や経営破綻などによる損失が発生する与信リスクを負っています。当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定し、主な取引先の信用状況を決算期ごとに把握するなど、与信リスクをミニマイズするための対応策をとっています。当社グループでは、米国を中心とした保護主義政策が広がりをみせる中、特に、米中貿易摩擦による影響や中国経済の減速について懸念しています。当社グループは、中国向け輸出および中国国内での売上高は連結売上高の10%弱を占めています。そのため、中国国内の景気の悪化や設備投資の先送りなどにより、アクリル繊維事業やエンジニアリングプラスチック事業などの販売への影響が懸念されます。また、自動車の減産による影響も懸念されます。当該影響が長期化する可能性もあることから、サプライチェーンの見直しや他用途展開などの対策を検討してまいります。 <中長期的なリスク>(3)原材料の購入当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、衣料繊維分野における各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しています。主要な原材料として、主に石油化学製品であるポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン樹脂などがあります。これらの原材料はリスク管理の観点からも可能なかぎり複数の取引先からの購入を行っていますが、自然災害、疾病、ストライキ、輸送上の問題、取引先の破たんや事業撤退、縮小や事故などが発生した場合、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化した場合、サプライチェーンの混乱や原材料の確保が難しくなり、当社グループの生産、販売へ影響を及ぼす可能性があります。また、都市封鎖や外出制限が実施された際には、物流網も混乱し、必要な原材料調達に支障をきたす可能性もあります。さらに、原材料の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じる可能性があります。当社グループでは、適正な取引方針を確立し、持続可能な社会の発展を支える責任ある調達・物流を行っています。法令遵守、公正な取引、人権尊重、環境配慮など、サプライチェーンの中でSDGsを達成していくために、「CSR調達ガイドライン」に基づく調達・物流の実現を目指しています。 (4)製品の欠陥等当社グループは、「地球環境・安全」「PL/QA」各委員会の活動などにより、製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、衣料繊維などの各種製品を生産しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はありません。特に、エアバッグ用基布などの自動車の安全に係わる製品や医薬品製造受託事業などで何らかの原因で製品の安全性や品質に懸念が生じた場合には、お客様の生命にかかわるとともに、製品回収等により、お客様ならびに関係先に対する補償につながる可能性があります。当社グループは、製造物責任賠償保険に加入していますが、最終的に負担する損害額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償の支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、PL/QAアセスメントを実施し、各部門、グループ会社のPS(Product Safety:製品安全)活動を確認、改善しています。さらに、PSとPLのリスク度合いを判定する基準を設け、この基準に基づき、製品開発から販売までの各段階で審査を行い、リスクに事前対応することで、お客様等に掛かるリスクの低減に努めています。 (5)人材の確保当社グループでは、人材を最も重要な経営の源と考えています。多様な個性や意見を持つ従業員一人ひとりの成長をサポートし、社内で活躍・キャリアアップできる環境を整えることで、グループ全体の存続・発展が可能になると考えています。一方、少子高齢化に伴う労働人口の減少や雇用情勢の変化などで、高度な専門性を有した人材や将来の幹部になりうるリーダーシップを兼ね備えた人材を確保、育成できない場合は、組織の競争力が低下し、事業活動が停滞するなどの可能性があります。当社グループでは、成長戦略実現への寄与を目指し、次世代経営人材の育成に力を入れています。併せて、人材の多様性を活かすことを主眼に、キャリア採用者の教育や女性活躍推進活動にも積極的に取り組んでいます。また、海外事業所の選抜人材を対象とした「ナショナルスタッフ研修」も開催し、働き方・キャリア・性別・国籍・人種・信条の異なる人たちが互いに認め合い、価値創造を実現するための組織力の向上を目指しています。 (6)気候変動地球温暖化に伴う気候変動の影響が、台風や集中豪雨といった自然災害の増加や亜熱帯化による自然生態系の変化といった形で顕在化し、社会にも多大な影響を及ぼしつつあります。当社グループでは、気候変動は事業活動の継続に対するリスクが大きいと認識し、生産および物流における温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。当連結会計年度において、当社グループは温室効果ガス排出のさらなる削減に向けて、長期ビジョンを定めました。その中で、新たに2050年度までに排出量を「80%削減(2013年度比)」することを目標として設定しました。また、当社は、2020年1月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」に参画しました。この賛同表明およびコンソーシアムへの参画を機に、気候変動に関するシナリオ分析を進め、事業へのリスクと機会を明らかにした上で中長期の戦略を策定していきます。 (7)環境負荷近年、海洋プラスチックごみによる海洋汚染問題は、グローバルな共通課題となっており、ポリマー(プラスチック)を基幹素材として幅広く事業展開する当社グループにとって、プラスチックごみ問題は重要な課題と認識しています。今後、グローバルに廃棄プラスチックに関する規制が強化されることで、プラスチック製品の需要が減退し、当社グループの売上が減少するなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、環境への取組みとして、環境負荷低減に貢献する製品・技術の開発を進めるとともに、資源の有効活用にも取り組んでいます。例えば、銘柄によっては製造現場で発生したフィルム屑を溶融して再度原料として使用するなどの取組みを進めています。また、プラスチック廃棄問題はサプライチェーン全体で考えていくことが重要なため、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進することを目的としたCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するコンソーシアムCEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)、そして、欧州のポリエステル関連企業のバリューチェーン全体を網羅するコンソーシアムPetcore Europeに参加しています。 (8)情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要情報を管理しています。これらの情報についてセキュリティ対策を講じていますが、自然災害等による通信障害、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合など、システムの障害に伴う事業活動の停止、顧客情報や機密情報等の漏洩、詐欺被害などにより、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「情報セキュリティポリシー」を策定し、全情報資産の適切な管理・活用に努めています。また、「サイバーセキュリティ委員会」を設置し、技術的・専門的な対策のみならず、従業員の意識レベル向上や社内専門家の育成などを進めています。今後、事故時の対応力強化などを推進していきます。 (9)法規制およびコンプライアンス当社グループは、事業を展開する各国において、製品の製造、品質、安全、環境、競争、輸出入、情報、労働、会計などに関する様々な法令等による規制を受けています。たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの事業活動が大幅に制限され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされる可能性があります。海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの規制に対し、当社グループおよび取引先において、不遵守や違法行為が発生した場合には、当社グループの信用失墜や行政処分など多額の損害が生じる可能性があります。当社では、企業理念である「順理則裕」のもと、「合理的・論理的に考え、行動すること、道理、倫理、人間としての基本姿勢を尊重すること」をコンプライアンスの核として取組みを進めています。「東洋紡グループコンプライアンスマニュアル」をグループ従業員に配付し、読み合わせを行うなどルールの周知徹底、コンプライアンス意識の向上に努めています。当連結会計年度においては、贈収賄、贈答接待に関する規程の整備や周知・教育を行い、腐敗防止に向けた取組みの強化を行いました。コンプライアンスを推進する体制として、統括執行役員会議のメンバーが委員となり、経営の観点からグループ全体のコンプライアンスを推進するコンプライアンス委員会およびその下に具体的な取組みを検討、推進するコンプライアンス推進委員会を設けて、方針・基準の明確化や教育、研修、予防措置の実行性向上に取り組んでいます。 (10)海外での事業活動当社グループは、米国をはじめ、欧州、中国、東南アジア、中南米などグローバルに事業を展開しています。そのため、世界経済全体の動向に加え、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらリスクに対しては、グループ各社での情報収集や外部コンサルタント情報等を通じて早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処ができるよう、国ごとに「危機管理マニュアル」を策定し、海外リスクマネジメント体制の整備に努めています。また、当社グループでは、各国の税法に準拠し、適正に納税を行っており、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについても細心の注意を払っています。しかしながら、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。 (11)訴訟当社グループは、当連結会計年度において重要な影響を及ぼす訴訟は提起されていません。当社グループは国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。重要な訴訟を提起された場合には、当社グループの事業等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 <財務リスク>(12)為替レートの大幅変動当社は、海外から原材料の一部を輸入し、国内で生産した製品の一部を海外へ輸出しています。製品輸出高と原材料輸入高の差は大きくないため、中期的に見ると為替変動による業績に与える影響額は大きくないものと考えています。しかし、短期的には、外国通貨に対して円高が進行した場合、製造リードタイムが比較的長い製品は業績に対してマイナスの影響を与えます。このようなリスクに対して、先物為替予約などによりリスクを最小限にするよう努めていますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより連結財務諸表に影響を及ぼします。加えて、円高が進行した場合、在外子会社等の換算差額を通じて自己資本が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (13)金利の大幅上昇当社グループは、事業資金を主に金融機関からの借入や社債の発行などにより調達しています。これらの有利子負債のうち、金利変動リスクに晒されている借入金の一部は、支払金利の変動リスクを回避するために、金利スワップを主としたデリバティブ取引を利用しています。また、当社グループは「有利子負債と純資産(非支配株主持分を除く)の比率(D/Eレシオ)」を重視しており、D/Eレシオ1.0倍未満を目標としています。当連結会計年度末ではD/Eレシオは0.98倍であり、目標の1.0倍未満を維持しています。 (14)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を相当量保有しており、株価変動リスクを負っています。株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生する可能性があります。また、当社の企業年金においては、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しており、株価の下落は年金資産を減少させるリスクがあります。当社は、純投資目的以外の目的である投資株式について、将来の事業戦略や事業上の関係などを踏まえ、当社の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に資するかどうかを毎年、取締役会で個別に検証を行い、株式保有継続の可否判断を行っています。 (15)固定資産の減損当社グループは、工場用土地、建物、製造設備など事業用固定資産を保有し、生産・販売活動を行っています。これらの製造設備で生産される製品は市場や技術開発等の環境変化の影響を受け、収益状況が大きく低下する可能性があります。また、土地の時価下落等により保有資産の評価額が著しく低下するリスクもあります。収益性が低下した場合や保有資産価値が大幅に低下した場合、当該資産について減損損失の計上が求められるなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
FY2019|5,028 文字
2【事業等のリスク】当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。 (1)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売の縮小が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)販売価格の下落等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売していますが、その製品の多くは、他社製品と競合しています。このため、競合他社製品の値下げなどにより、当社グループ製品の販売価格下落や販売量の減少が生じる場合があります。また、メディカル分野などにおいては、公定価格水準の下落に伴い、当社グループ製品の販売価格が下落する場合があります。これらの場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)重要な取引先の業績悪化、事業撤退等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な取引先に販売していますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しています。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関連する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求などが生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (4)海外の主要市場における関税引き上げ、輸入規制等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しています。将来、海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (5)与信状況の変化当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しています。また、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の欠陥等当社グループは、「地球環境・安全」「PL/QA」各委員会の活動などにより、製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産しています。また、製造物責任賠償については保険に加入しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はなく、また、最終的に負担する賠償額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料の購入当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しています。主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能なかぎり複数の取引先からの購入を行っていきますが、取引先の破綻や事業撤退、縮小や事故などが発生した場合など、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、量の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域で事業規模の積極拡大を図っています。このため、当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、その保護に努めていますが、特定の技術や地域ではそれらの保護が十分ではなく、他社による類似製品の生産販売を阻止できない可能性があり、また、他社による当社グループ製品の模倣を知的財産権で十分排除できない可能性もあります。さらに、当社グループでは、他社の知的財産権に最大限配慮しながら、製品や技術の開発を行っていますが、これらの開発成果が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。このように、当社グループの知的財産権が侵害され、あるいは当社グループが他社の知的財産権を侵害しているとされた場合には、当社グループで売上減少や損害賠償支払いが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9)新製品や新用途の開発当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダーを目指して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域に研究開発投資を集中させ、新製品や新用途の開発に注力しています。しかしながら、研究開発活動はその性格から、成果の発生が不確実なものであるため、競争力のある新製品や新用途を十分に開発できない可能性もあります。そのような場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (10)公的規制当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、それぞれの事業所が、事業の許認可、租税、環境関連など様々な公的規制を受けています。そのようななか、たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの企業活動が大幅に制約され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (11)事業運営当社グループは、公正かつ自由な競争や適正な取引を行うなど、関係法令に十分留意した事業活動を行っています。しかしながら、従業員や取引先の違法行為に起因して問題が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (12)訴訟当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。重要な訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (13)為替レートの大幅変動当社グループの事業には、海外諸地域における各種製品の販売および生産が相当量含まれています。このため、為替レートの大幅な変動が生じた場合、円換算後の売上減少やコストの上昇、あるいは価格競争力の低下が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより円換算後の価値が大幅に変動し、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。(14)金利の大幅上昇当社グループは、有利子負債の圧縮や支払利率の固定化に努めています。しかしながら、現在の金利水準が大きく上昇した場合には、支払利息の相当な増加が見込まれるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (15)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を相当量保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (16)地価の大幅下落当社グループは、休止工場跡地などの土地を保有しており、その多くは土地の再評価に関する法律に基づき再評価を行っていますが、地価が大幅に下落した場合には、減損損失や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (17)退職給付債務・退職給付費用当社グループの退職給付債務および退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき算出されており、年金数理計算上の前提条件の変更、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更などにより、退職給付債務の増加および退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理額)の増加が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (18)格付の低下当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行などにより資金調達を行っています。格付機関が、当社の既発行債券などの格付を引き下げた場合、資金調達への大きな影響が考えられるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (19)繰延税金資産当社グループは、税務上の繰越欠損金および将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき、回収可能性を検討し計上していますが、将来の課税所得が予測等と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率変更を含む税制の改正などがあった場合には、繰延税金資産の取崩しが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (20)災害等の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、災害などについて、それぞれの工場ほか各事業所での設備管理を徹底するなど、可能なかぎりその発生を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災および新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、2018年9月6日に当社の敦賀事業所第二において火災が発生し、製造設備等が被災しました。当社は早期の復旧に努めています。 (21)海外での事業活動当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しています。また、海外事業活動に伴うリスクに備え、海外リスクマネジメント体制の整備に努めています。しかしながら、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (22)情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要情報を管理しています。これらの情報については、情報システム構築・運用時の物理的な対策や情報管理に関する従業員教育など、十分なセキュリティ対策を講じています。しかしながら、予期せぬ事態により情報が漏洩したり、不正使用された場合など、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|5,093 文字
2【事業等のリスク】当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。 (1)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しています。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売の縮小が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)販売価格の下落等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売していますが、その製品の多くは、他社製品と競合しています。このため、競合他社製品の値下げなどにより、当社グループ製品の販売価格下落や販売量の減少が生じる場合があります。また、メディカル分野などにおいては、公定価格水準の下落に伴い、当社グループ製品の販売価格が下落する場合があります。これらの場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)重要な取引先の業績悪化、事業撤退等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な取引先に販売していますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しています。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関連する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求などが生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (4)海外の主要市場における関税引き上げ、輸入規制等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しています。将来、海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (5)与信状況の変化当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しています。また、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっています。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の欠陥等当社グループは、「地球環境・安全」「PL/QA」各委員会の活動などにより、製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産しています。また、製造物責任賠償については保険に加入しています。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はなく、また、最終的に負担する賠償額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料の購入当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しています。主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能なかぎり複数の取引先からの購入を行っていきますが、取引先の破綻や事業撤退、縮小や事故などが発生した場合など、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、量の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域で事業規模の積極拡大を図っています。このため、当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、その保護に努めておりますが、特定の技術や地域ではそれらの保護が十分ではなく、他社による類似製品の生産販売を阻止できない可能性があり、また、他社による当社グループ製品の模倣を知的財産権で十分排除できない可能性もあります。さらに、当社グループでは、他社の知的財産権に最大限配慮しながら、製品や技術の開発を行っていますが、これらの開発成果が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。このように、当社グループの知的財産権が侵害され、あるいは当社グループが他社の知的財産権を侵害しているとされた場合には、当社グループで売上減少や損害賠償支払いが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9)新製品や新用途の開発当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダーを目指して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域に研究開発投資を集中させ、新製品や新用途の開発に注力しています。しかしながら、研究開発活動はその性格から、成果の発生が不確実なものであるため、競争力のある新製品や新用途を十分に開発できない可能性もあります。そのような場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (10)公的規制当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、それぞれの事業所が、事業の許認可、租税、環境関連など様々な公的規制を受けています。そのようななか、たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの企業活動が大幅に制約され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (11)事業運営当社グループは、公正かつ自由な競争や適正な取引を行うなど、関係法令に十分留意した事業活動を行っています。しかしながら、従業員や取引先の違法行為に起因して問題が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (12)訴訟当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。重要な訴訟を提起された場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、前連結会計年度中において係争中であった重要な訴訟については、当連結会計年度で和解に至りました。詳細は「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (3)米国政府(司法省)(以下「原告」)による損害賠償請求訴訟における和解契約」に記載のとおりです。 (13)為替レートの大幅変動当社グループの事業には、海外諸地域における各種製品の販売および生産が相当量含まれています。このため、為替レートの大幅な変動が生じた場合、円換算後の売上減少やコストの上昇、あるいは価格競争力の低下が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより円換算後の価値が大幅に変動し、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14)金利の大幅上昇当社グループは、有利子負債の圧縮や支払利率の固定化に努めています。しかしながら、現在の金利水準が大きく上昇した場合には、支払利息の相当な増加が見込まれるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (15)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を相当量保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (16)地価の大幅下落当社グループは、休止工場跡地などの土地を保有しており、その多くは土地の再評価に関する法律に基づき再評価を行っていますが、地価が大幅に下落した場合には、減損損失や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (17)退職給付債務・退職給付費用当社グループの退職給付債務および退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき算出されており、年金数理計算上の前提条件の変更、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更などにより、退職給付債務の増加および退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理額)の増加が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (18)格付の低下当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行などにより資金調達を行っています。格付機関が、当社の既発行債券などの格付を引き下げた場合、資金調達への大きな影響が考えられるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (19)繰延税金資産当社グループは、税務上の繰越欠損金および将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき、回収可能性を検討し計上していますが、将来の課税所得が予測等と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率変更を含む税制の改正などがあった場合には、繰延税金資産の取崩しが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (20)災害等の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、災害などについて、それぞれの工場ほか各事業所での設備管理を徹底するなど、可能なかぎりその発生を未然に防ぐように努めています。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災および新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (21)海外での事業活動当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しています。また、海外事業活動に伴うリスクに備え、海外リスクマネジメント体制の整備に努めています。しかしながら、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (22)情報セキュリティ当社グループは、事業の遂行に関連して顧客情報や機密情報など多くの重要情報を管理しています。これらの情報については、情報システム構築・運用時の物理的な対策や情報管理に関する従業員教育など、十分なセキュリティ対策を講じています。しかしながら、予期せぬ事態により情報が漏洩したり、不正使用された場合など、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|4,834 文字
4【事業等のリスク】当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しております。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売の縮小が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)販売価格の下落等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しておりますが、その製品の多くは、他社製品と競合しております。このため、競合他社製品の値下げなどにより、当社グループ製品の販売価格下落や販売量の減少が生じる場合があります。また、メディカル分野などにおいては、公定価格水準の下落に伴い、当社グループ製品の販売価格が下落する場合があります。これらの場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)重要な取引先の業績悪化、事業撤退等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な取引先に販売しておりますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しております。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関連する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求などが生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (4)海外の主要市場における関税引き上げ、輸入規制等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しております。将来、海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (5)与信状況の変化当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しております。また、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっております。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の欠陥等当社グループは、「地球環境・安全」「PL/QA」各委員会の活動などにより、製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産しております。また、製造物責任賠償については保険に加入しております。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はなく、また、最終的に負担する賠償額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料の購入当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しております。主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能なかぎり複数の取引先からの購入を行っていきますが、取引先の破綻や事業撤退、縮小や事故などが発生した場合など、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、量の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域で事業規模の積極拡大を図っております。このため、当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、その保護に努めておりますが、特定の技術や地域ではそれらの保護が十分ではなく、第三者による類似製品の生産販売を阻止できない可能性があり、また、他社が当社グループの知的財産権の模倣に対し十分排除できない可能性もあります。さらに、当社グループでは、他社の知的財産権に最大限配慮しながら、製品や技術の開発を行っておりますが、これらの開発成果が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。このように、当社グループの知的財産権が侵害され、あるいは当社グループが他社の知的財産権を侵害しているとされた場合には、当社グループで売上減少や損害賠償支払いが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9)新製品や新用途の開発当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、社会に貢献する価値を創出し続ける高機能製品メーカーを目指して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域に研究開発投資を集中させ、新製品や新用途の開発に注力しております。しかしながら、研究開発活動はその性格から、成果の発生が不確実なものであるため、競争力のある新製品や新用途を十分に開発できない可能性もあります。そのような場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (10)公的規制当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、それぞれの事業所が、事業の許認可、租税、環境関連など様々な公的規制を受けております。そのようななか、たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの企業活動が大幅に制約され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (11)訴訟当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。なお、当連結会計年度中において係争中である重要な訴訟は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他」に記載のとおりであります。当社としては、訴訟の中で相手方の主張が誤りであることを立証し、適切な防御を行ってまいりますが、当社あるいはグループ会社が敗訴した場合、損害賠償金の支払いが命じられるおそれがあるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (12)為替レートの大幅変動当社グループの事業には、海外諸地域における各種製品の販売および生産が相当量含まれております。このため、為替レートの大幅な変動が生じた場合、円換算後の売上減少やコストの上昇、あるいは価格競争力の低下が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより円換算後の価値が大幅に変動し、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。(13)金利の大幅上昇当社グループは、有利子負債の圧縮や支払利率の固定化に努めております。しかしながら、現在の金利水準が大きく上昇した場合には、支払利息の相当な増加が見込まれるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を相当量保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (15)地価の大幅下落当社グループは、休止工場跡地などの土地を保有しており、その多くは土地の再評価に関する法律に基づき再評価を行っておりますが、地価が大幅に下落した場合には、減損損失や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (16)退職給付債務・退職給付費用当社グループの退職給付債務および退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき算出されており、年金数理計算上の前提条件の変更、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更などにより、退職給付債務の増加および退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理額)の増加が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (17)格付の低下当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行などにより資金調達を行っております。格付機関が、当社の既発行債券などの格付を引き下げた場合、資金調達への大きな影響が考えられるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (18)繰延税金資産当社グループは、税務上の繰越欠損金および将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき、回収可能性を検討し計上しておりますが、将来の課税所得が予測等と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率変更を含む税制の改正などがあった場合には、繰延税金資産の取崩しが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (19)災害等の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、災害などについて、それぞれの工場ほか各事業所での設備管理を徹底するなど、可能なかぎりその発生を未然に防ぐように努めております。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災および新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (20)海外での事業活動当社グループは、アクションプランのひとつとして「海外展開の加速」を掲げ、グローバルな事業展開を積極的に推進しています。また、海外事業活動に伴うリスクに備え、海外リスクマネジメント体制の整備に努めております。しかしながら、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|4,835 文字
4【事業等のリスク】当社グループの経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)政治・経済情勢の悪化当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の各地で生産し、国内外の様々な市場で販売しております。このため、当社グループの当該生産拠点や主要市場において、政治的混乱や深刻な景気後退などが生じた場合には、当社グループの生産や販売の縮小が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)販売価格の下落等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しておりますが、その製品の多くは、他社製品と競合しております。このため、競合他社製品の値下げなどにより、当社グループ製品の販売価格下落や販売量の減少が生じる場合があります。また、メディカル分野などにおいては、公定価格水準の下落に伴い、当社グループ製品の販売価格が下落する場合があります。これらの場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (3)重要な取引先の業績悪化、事業撤退等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な取引先に販売しておりますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しております。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関連する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求などが生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (4)海外の主要市場における関税引き上げ、輸入規制等当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を、国内外の様々な市場で販売しております。将来、海外の主要市場国において、アンチダンピング法などの規制により、関税引き上げ、数量制限などの輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受け、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (5)与信状況の変化当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しております。また、与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっております。しかしながら、景気後退などにより重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の欠陥等当社グループは、「地球環境・安全」「PL/QA」各委員会の活動などにより、製品の欠陥などの発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産しております。また、製造物責任賠償については保険に加入しております。しかしながら、全ての製品に欠陥がなく、将来的に不良品が発生しないという保証はなく、また、最終的に負担する賠償額を保険でカバーできるとも限りません。このため、重大な製品の欠陥などが発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料の購入当社グループは、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケア、繊維・商事などの各種製品を生産するため、様々な取引先から原材料を購入しております。主要な原材料については、リスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先からの購入を行っていきますが、取引先の破綻や事業撤退、縮小や事故などが発生した場合など、必要量の原材料を確保できない可能性があります。また、量の確保ができた場合でも、原油価格の上昇や当該原材料の需給バランスなどにより、購入価格が高騰する可能性もあります。そのような場合には、当社グループで生産縮小やコスト上昇が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (8)知的財産当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域で事業規模の積極拡大を図っております。このため、当社グループでは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、その保護に努めておりますが、特定の技術や地域ではそれらの保護が十分ではなく、第三者による類似製品の生産販売を阻止できない可能性があり、また、他社が当社グループの知的財産権の模倣に対し十分排除できない可能性もあります。さらに、当社グループでは、他社の知的財産権に最大限配慮しながら、製品や技術の開発を行っておりますが、これらの開発成果が他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性もあります。このように、当社グループの知的財産権が侵害され、あるいは当社グループが他社の知的財産権を侵害しているとされた場合には、当社グループで売上減少や損害賠償支払いが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (9)新製品や新用途の開発当社グループは、重合・変性・加工・バイオのコアテクノロジーを駆使して、社会に貢献する価値を創出し続ける高機能製品メーカーを目指して、フィルム・機能樹脂、産業マテリアル、ヘルスケアなど強い競争力を持つ高機能製品の事業領域に研究開発投資を集中させ、新製品や新用途の開発に注力しております。しかしながら、研究開発活動はその性格から、成果の発生が不確実なものであるため、競争力のある新製品や新用途を十分に開発できない可能性もあります。そのような場合には、当社グループの将来の成長と収益性を低下させるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (10)公的規制当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、それぞれの事業所が、事業の許認可、租税、環境関連など様々な公的規制を受けております。そのようななか、たとえば、主要な事業所で、環境関連の法規制強化や取水制限などが行われる場合、あるいは、現在使用している化学物質が使用禁止になる場合や使用濃度規制が行われる場合には、生産活動ほかの企業活動が大幅に制約され、あるいは、同規制を遵守するために、多額の設備投資や租税ほかの費用負担を余儀なくされるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (11)訴訟当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、その過程において、製造物責任、環境、労務、知的財産等に関し、当社グループに対し訴訟を提起される可能性があります。なお、当連結会計年度中において係争中である重要な訴訟は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他」に記載のとおりであります。当社としては、訴訟の中で相手方の主張が誤りであることを立証し、適切な防御を行ってまいりますが、当社あるいはグループ会社が敗訴した場合、損害賠償金の支払いが命じられるおそれがあるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (12)為替レートの大幅変動当社グループの事業には、海外諸地域における各種製品の販売および生産が相当量含まれております。このため、為替レートの大幅な変動が生じた場合、円換算後の売上高の減少やコストの上昇、あるいは価格競争力の低下が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより円換算後の価値が大幅に変動し、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。(13)金利の大幅上昇当社グループは、有利子負債の圧縮や支払利率の固定化に努めております。しかしながら、現在の金利水準が大きく上昇した場合には、支払利息の相当な増加が見込まれるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (14)株価の大幅下落当社グループは、市場性のある株式を相当量保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (15)地価の大幅下落当社グループは、休止工場跡地などの土地を保有しており、その多くは土地の再評価に関する法律に基づき再評価を行っておりますが、地価が大幅に下落した場合には、減損損失や売却時に損失が発生するなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (16)退職給付債務・退職給付費用当社グループの退職給付債務および退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき算出されており、年金数理計算上の前提条件の変更、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更などにより、退職給付債務の増加および退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理額)の増加が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (17)格付の低下当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行などにより資金調達を行っております。格付機関が、当社の既発行債券などの格付を引き下げた場合、資金調達への大きな影響が考えられるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (18)繰延税金資産当社グループは、税務上の繰越欠損金および将来減算一時差異に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき、回収可能性を検討し計上しておりますが、将来の課税所得が予測等と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率変更を含む税制の改正などがあった場合には、繰延税金資産の取崩しが生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (19)災害等の発生当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行っており、災害などについて、それぞれの工場ほか各事業所での設備管理を徹底するなど、可能なかぎりその発生を未然に防ぐように努めております。しかしながら、それらの工場ほかで大規模な地震、風水害、雪害などの自然災害や火災および新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、あるいは取引先において同様の災害被害が発生した場合には、当社グループの生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績および財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (20)海外での事業活動当社グループは、アクションプランのひとつとして「海外展開の加速」を掲げ、グローバルな事業展開を積極的に推進しています。また、海外事業活動に伴うリスクに備え、海外リスクマネジメント体制の整備に努めております。しかしながら、各国での予期しない法令、規制や政策等の変更、またはテロ、戦争、政変やその他の要因による社会的混乱などが生じた場合は、経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。