研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 432 |
| 2024-03 | - | 616 |
| 2023-03 | - | 427 |
| 2022-03 | - | 336 |
| 2021-03 | - | 233 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,983 文字
6【研究開発活動】当社グループは2022年の「サステナブル・ビジョン2030」の中で、「私たちは、素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」というビジョンを掲げています。「素材+サイエンス」として、自社保有のコア技術のさらなる進化と、オープンイノベーションの考え方のもと、新製品の開発、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究開発部門と、中長期的視点から次代を担う新事業・新製品・新技術の創出を図る全社共通のコーポレート研究部門が担っています。これらの研究開発のマネジメントはイノベーション推進会議の方針のもとイノベーション戦略部が担当し、各部門の活動をサポートし、相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しています。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は143億円となっており、セグメントごとの活動概要は以下のとおりです。 (フィルム)包装用フィルム分野においても、環境配慮商品に対するニーズが高まっており、バイオマス原料を使用した“バイオプラーナ”として、ポリエステル、ナイロン、シーラントの各該当フィルム製品の採用も拡大しています。プラ減容化として薄肉化に取り組んでいる、高耐熱・高剛性のポリプロピレンフィルム“パイレン EXTOP”のうち、F&Gタイプと超高耐熱タイプについて試験販売を開始し、拡販中です。更に、包装材のモノマテリアル化にも取組み、循環型経済の実現に貢献すべく積極的に推進していきます。工業用フィルムでは環境に配慮したリサイクル原料を使用したフィルム製品“クリスパー”、“カミシャイン”、“リシャイン”の開発・改良、販売促進に加え、環境負荷の少ないリサイクルシステムの開発も積極的に進めています。また、バイオマス原料を用いたポリエステルフィルムの開発を推進しています。さらに電子情報通信分野、自動車分野で拡大しているセラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”においても、薄層化による減量化、リサイクルによる環境対応に注力しています。また、液晶ディスプレイに最適な超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”は、既存設備改造による増産検討の取組みを開始し、更に、次世代を担うバイオマス原料による新製品の開発にも着手しています。加えて、力学的・熱的特性に優れたポリエチレンナフタレートフィルム“テオネックス”の開発を進め、自動車分野やエネルギー分野に貢献する商品としていきます。以上、当事業に係る研究開発費は44億円です。 (ライフサイエンス)感染症診断領域では、罹患者の入院治療や感染管理に迅速検査が必要な結核菌群について、従来よりも検出感度を向上させた検査キットの開発に成功し、近日販売開始予定です。また、診断薬メーカーのニーズが高い、凍結乾燥が可能なPCR検査原料についても開発に成功し、販売を開始しました。医療機器分野では、メディカル研究所が竣工し2024年4月より運用開始しました。カテーテルや血液回路チューブに生体適合性を付与するコーティングポリマーなどの開発を加速しています。医用膜分野の“VolSep”腹水濾過フィルタ・濃縮フィルタは厚生労働省より製造販売承認を取得、保険適用されました。血液浄化商品群の拡充に加え、医薬品製造工程で使用されるウイルス除去膜など、プロセス膜の開発も推進しています。以上、当事業に係る研究開発費は21億円です。 (環境・機能材)樹脂・ケミカル分野では、高分子量でありながら、有機溶剤可溶であるポリフェニレンエーテル(PPE)を開発しました。PPEは、耐熱性、絶縁性、低誘電特性などを活かし、耐熱性を備えたコーティング剤や電子材料用の接着剤などへの展開が期待されています。しかしながら、従来品は、分子量を高めるために乾燥工程の後に熱処理工程を加える必要がありました。開発品は、乾燥工程でのみ高分子量体塗膜を得ることができ、工程簡略化と塗膜強度の向上が期待されます。引き続き、さらなる高性能化を図るとともに、用途探索を進めます。ゴム弾性を持つポリエステル系樹脂材料である“ペルプレン”は、加熱すると流動性を示す成形加工可能でリサイクル性も併せ持ちます。より環境適合性の高い素材として原料の一部に植物由来のバイオマス素材を使用しながら化石由来の従来品と同等の物性を有する“ペルプレン”エコシリーズを開発しました。初回サンプルは25%、55%の2グレードを用意し、自動車部品のほか、スポーツ用品、アパレル関連製品、ウレタン代替を目的とした日用品への展開を想定しています。環境・ファイバー分野では、使用済みリチウムイオンバッテリーからのリチウム回収工程への中空糸型膜モジュール“ホロセップ”BC膜の展開を進めています。溶液を濃縮することにより、次工程の蒸発工程を大幅に短縮できるため、“ホロセップ”BC膜による濃縮を行わない場合に比べて大幅な消費エネルギーの削減が可能になります。超高強力ポリエチレン繊維は、軽量かつ高強度・高弾性率・高耐候性を持つものの、継続して力が加わり続けると変形が進んでしまうクリープと呼ばれる欠点がありました。海に浮かべた基礎に風車を設置する洋上浮体式風力発電の係留に使うには、クリープ性を大幅に改善する必要がありましたが、その改善を実現した“イザナス”ULCを開発、国内で初めて一般財団法人日本海事協会の承認を取得しています。現在、漁業への影響は小さいが、設置は難しいTLP型という国内で施行実績のない方式での実証実験に入っています。“ブレスエアー”では、三層構造型が「繊維学会技術賞」を、水平マテリアルリサイクル型“ブレスエアーメビウス”が「エコマークアワード2024」ベストプロダクトを受賞しました。また、介護用マットレス“ツインウェーブ”をフランスベッド株式会社と共同開発し、販売・レンタルを開始、“ブレスエアーメビウス”リサイクルプログラムを株式会社DINOS CORPORATIONと共同実施するなど、話題の多い年となりました。今後も機能性や快適性に磨きをかけると共に、環境適合性も合わせ持つ“ブレスエアー”の開発を進めていきます。以上、当事業に係る研究開発費は38億円です。 (機能繊維・商事)衣料繊維分野では、中東トーブの新風合い加工開発が進み採用が増えているため、庄川工場の設備増強を進めています。またリサイクルナイロンの“looplon”も新たに仮撚り加工商材のラインナップを増やしアウター、ニット用途での採用が拡大しています。「新の創出」で取り組んでいる炭素繊維、ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維を複合したハイブリッドヤーンである“CfC yarn”、“GfC yarn”は各種展示会出展後、10社以上の開発提案を受け、取組みを進めています。また先日「繊研合繊賞」のテクニカル部門賞を受賞しました。これら新の創出に関する開発を加速させるためには、工場における生産技術開発の推進と人材育成が重要であり、25年度より庄川工場内に新規事業開発部を設けました。機能資材分野では、国内大手ユーザーと協業し商品開発を行い「人工透析用キット」を上市しました。工業材料分野では、難燃性でかつ柔らかく放射熱軽減+断熱効果のある素材を縫製技術と組み合わせ、高炉など高温作業環境下の作業環境を改善する製品の提供を拡大しています。エアバッグ用基布事業では、カーボンニュートラルの取組みとして、リサイクル原料を使ったポリエチレンテレフタレート(PET)繊維や製造工程で排出される二酸化炭素を削減した加工剤を用いた織物の開発に取組みます。以上、当事業に係る研究開発費は4億円です。 (全社共通)イノベーション部門においては、全社成長戦略(ソリューション志向)に基づいた価値提供領域及び大型テーマの設定とテーマ推進の加速を図りました。全社共通の研究開発を担当するコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションなどデジタル技術を用いた解析業務を通じて、研究開発全般および当社の製造、販売活動をも支援する全社インフラとしての機能も有しています。上記のコンピューターシミュレーションを担当する部署については2024年8月に科学研究費助成事業(科研費)指定の認証を受けました。新規事業企画・開発においては事業部研究開発部門と連携し、オープンイノベーションの考え方のもと、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との協業を積極的に進めました。具体的な研究開発例として、医薬品製造プロセス用新規分離膜デバイス、異種材料接着向け環境配慮型高耐熱接着フィルム、生体細胞間の情報伝達や細胞の修復に重要な役割を果たすことが明らかになっているエクソソームを簡便に分離精製する“CATAROSEV”等の開発が挙げられます。今後、社会的な課題の解決に向け、早期の市場投入を目指して、研究開発をより一層加速していきます。一方、民間企業が運営する助成制度の仕組みを利用し、当社が注力する研究開発分野における大学等の研究者を支援する公募型研究制度(東洋紡高分子科学賞)を2021年度に立上げ、2024年度は2名の大学若手研究者への支援を決定しました。当社は今後も、若手研究者の積極的な支援や大学・研究機関との連携を通じて、オープンイノベーションの推進を図るとともに、当社のコア技術に関わる学術分野の発展にも貢献できるよう努めます。以上、当事業に係る研究開発費は36億円です。
FY2024|4,555 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「私たちは、素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」というビジョンを掲げています。「素材+サイエンス」として、自社保有のコア技術のさらなる進化に加え、積極的なオープンイノベーションの考え方の下、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究開発部門と、中長期的視点から次代を担う新事業・新製品・新技術の創出を図る全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントはイノベーション推進会議の方針のもとイノベーション戦略部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム)包装用フィルム分野においても、環境配慮商品に対するニーズが高まっており、バイオマス原料を使用した“バイオプラーナ”として、ポリエステル、ナイロン、シーラントの各該当フィルム製品の採用も拡大しています。薄肉化(プラ減量化)では、新機台立ち上げに伴い開発を進めている、高耐熱・高剛性のポリプロピレンフィルム“パイレンEXTOP”のうち、F&Gタイプと超高耐熱タイプについて試験販売を開始しました。その他、ナイロンやシーラントフィルムでも薄肉化の開発に取り組んでおり、包装材の減容化・モノマテリアル化を促進し、循環型経済の実現に貢献できるよう努めていきます。工業フィルムでは環境に配慮したリサイクル原料を使用したフィルム製品“クリスパー”、“カミシャイン”、“リシャイン”の開発・改良、販売促進に加え、環境負荷の少ないリサイクルシステムの開発も積極的に進めています。また、バイオマス原料を用いたポリエステルフィルムの開発を推進しています。さらに電子情報通信分野、自動車分野で拡大しているセラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”においても、薄層化による減量化、リサイクルによる環境対応に注力しています。また、液晶ディスプレイに最適な超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”は、既存設備改造による増産検討およびバイオマス原料による新製品の開発を積極的に進めています。加えて、力学的・熱的特性に優れたポリエチレンナフタレートフィルム“テオネックス”の開発を進め、自動車分野やエネルギー分野に貢献する商品としていきます。以上、当事業に係る研究開発費は41億円です。 (ライフサイエンス)感染症診断領域では、SARS-CoV-2、インフルエンザ、RSVをひとつのデバイスで同時に判定できる簡易抗原検査キットの開発に成功し、販売を開始しました。また、研究試薬領域では、次世代シークエンサーでより詳細な遺伝子発現解析が可能になるキットの開発に成功し、販売を開始しました。医療機器分野では、2024年2月に医療機器開発推進のためのメディカル研究所が竣工し4月より運用開始しました。骨再生誘導材“ボナーク”は、歯科領域での展開に加え、新たに口腔外科領域の先天性疾患である口唇口蓋裂に対する保険適用申請を行いました。血液浄化領域の製品“リムサイト”は厚生労働省より製造販売承認を取得しました。さらに血液浄化商品群の拡充のための製品開発を進めています。以上、当事業に係る研究開発費は16億円です。 (環境・機能材)モビリティ分野において、東洋紡エムシー株式会社は、OEM(完成車メーカー)へ直接アプローチして共同開発を進める新組織「モビリティ事業推進ユニット」を立ち上げました。先行開発段階からそのニーズをつかみ、一体となって開発に取り組むことで、より付加価値の高い製品をグローバル市場へ投入していきます。この新組織は、東洋紡エムシー社長直轄の営業・開発一元組織で、営業メンバーによるプリセールスグループと開発技術者による先行開発グループで構成されています。重点テーマを①質量低減金属代替(軽量化)②次世代内外装(樹脂化・機能性)③次世代環境対応(リサイクル)④新素材・新技術(加工技術の深化)⑤フッ素代替(規制対応)とし、量産開発段階における素材提供ではなく、次世代自動車の企画構想段階からOEMと一体となって共同開発を進めます。樹脂・ケミカル分野では、電子材料の接着剤用途向けに、“ビトリマー(Vitrimer(※))”と呼ばれる新しい架橋樹脂を応用することで、溶剤フリーで常温流通(輸送・保管)を可能にした環境配慮型のポリエステル系高耐熱接着シートを新たに開発しました。電子材料向けの接着剤用途などで展開する共重合ポリエステル樹脂“バイロン”に、ポリマー間の架橋状態を維持しながら熱可塑性樹脂のように圧力や熱などに応答可能な“ビトリマー”の特徴を応用することで、本接着シートの製品化を実現し、電子材料メーカー向けにサンプル提供を開始しました。“ビトリマー”の特徴を生かすことで再成形性・自己接着性・自己修復性などを有する高機能なポリマーが実現できると考えており、接着シートに留まらず、積極的に研究開発を進めていきます。(※)“Vitrimer”はFONDS ESPCI PARISの登録商標です。環境・ファイバー分野では、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向けて経済産業省が立ち上げた産官学の協議体「サーキュラーパートナーズ(Circular Partners)、略称:CPs」に参画しました。工場のVOCガスを回収・再利用する装置の性能向上に取り組むと共に、環境に配慮した三次元網状繊維構造体“ブレスエアー”の新製品(2製品)の開発を行っています。1つは、水平リサイクル型三次元網状構造体“ブレスエアーメビウス”、もう一つは生分解性樹脂を用いた“テルスエコー”です。従来品である“ブレスエアー”は軽量・高反発で、耐久性に優れることから、1996年の上市以来、一般用・業務用寝具、新幹線などの鉄道車両や船舶の座席シート、オートバイやベビーカーなどの幅広い用途で採用されてきました。新製品(2製品)もその特性を引き継ぎます。今後、サーキュラーパートナーズへの参画を通じて、リサイクル原料の一層の活用やリサイクル技術の高度化といった取り組みを推進するとともに、他の会員との連携を強化し、資源循環に向けたエコシステムの形成・参画を加速することで循環型経済の早期の実現に貢献できるよう努めていきます。スーパー繊維“イザナス”は、洋上風力発電設備の係留索用途として、高耐クリープ性を有する原糸の開発を進めており、採用に向けた実証実験も控えています。中空糸型正浸透膜(Forward Osmosis=FO膜)は、デンマークのベンチャー企業SaltPower社が世界で初めて実用化に成功した浸透圧発電プラントに採用され、稼働を開始しました。また、海水淡水化においても浸透圧差を駆動力として利用するFO膜法は、従来の蒸発法やRO膜法に比べて、少ない電力で海水から真水を取り出すことができます。当社グループのFO膜を採用したトレビ社(Trevi Systems Inc.)の海水淡水化実証実験(米・ハワイ州)が終了し、海水から1日当たり500㎥の真水を造り出すことに成功、海水からの真水回収率は65%を超えました。当社グループはトレビ社への出資を通して、世界の水不足をはじめとする環境課題の解決に貢献していきます。以上、当事業に係る研究開発費は49億円です。 (機能繊維・商事)衣料繊維分野では、持続可能な商品開発としてナイロン工場で発生する屑を再利用するマテリアルリサイクルのほか、産業廃棄物をケミカルリサイクルによりバージン原料に近づけた“looplon”シリーズの商品拡大中です。また、ポリエステル分野でも製造工程中にでる廃材や廃棄製品を脱色させてからポリエステル原料に戻し再度ファイバー化する“T2T”を開発しており、廃棄焼却によるCO2削減や化石原料使用低減に貢献しています。工業材料分野では、安全・防災・環境対応資材として、断熱シート製品の拡販、寒冷紗の改良、FRP型保護材開発、新エネルギー要素技術開発、塗膜防水および路面緑化の検討を行っています。機能資材分野では、第2種医療機器製造販売業、化粧品製造販売業、医薬部外品製造販売業の各許可証を得て、今後商品の拡大を積極的に行います。機能樹脂分野では、リサイクルPET安全コーン“ECONEO”の上市を行いました。エアバッグ用基布事業では、カーボンニュートラルの取り組みとして、植物由来のバイオ原料やリサイクル原料によるポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を使った新規織物の開発に取り組みます。又、製造工程におけるCO2削減を目指してタイの織物工場に太陽光発電システムを導入します。尚、現在主流のナイロン織物に関しましては、昨年稼働したタイのナイロン原糸工場で生産された原糸を使用してグローバルに安定した織物供給体制構築に取り組んでいきます。以上、当事業に係る研究開発費は4億円です。 (全社共通)イノベーション部門においては、全社成長戦略(ソリューション志向)に基づいた価値提供領域及び大型テーマの設定とテーマ推進の加速をはかりました。全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションなどデジタル技術を用いた解析業務を通じて、研究開発全般および当社の製造、販売活動をも支援する全社インフラとしての機能も有しています。また、総合研究所に設置したデジタル戦略室の活動においては、MI(Materials Informatics)技術の展開を所内全域に広めており、各研究員のMI技術能力の向上とともに、開発実務への応用を進めました。一方、研究開発の中心拠点である総合研究所では所内インフラのリニューアルを進めており、第一期工事として2023年1月に竣工した「パイロットプラント棟」の運用を開始しました。具体的な研究開発例として、東洋紡エムシー株式会社と共同開発した電子材料の接着剤用途向け環境配慮型ポリエステル系高耐熱接着シートや、細胞が分泌し細胞間の情報伝達や細胞の修復に重要な役割を果たすことが明らかになっているエクソソームを精製する精密ろ過膜の開発が挙げられます。今後、社会課題の解決に向け、早期の市場投入を目指した研究開発を加速していきます。新規事業企画・開発においては、引き続き、オープンイノベーションの考え方の下、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を積極的に進めました。また、2022年4月に神戸大学と、同年6月には大阪公立大学と包括連携協定を締結し、それぞれの大学と「環境、ライフサイエンス分野における共同研究の成果を社会に実装する」こと 、「大阪を起点とした地域社会の発展、社会課題の解決に向けた貢献を目指す」ことを狙いとした取り組みを進めています。以上、当事業に係る研究開発費は43億円です。
FY2023|4,583 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「私たちは、素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」というビジョンを掲げています。「素材+サイエンス」として、自社保有のコア技術のさらなる進化に加え、積極的なオープンイノベーションの考え方の下、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究開発部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは研究開発委員会方針のもとイノベーション戦略部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能マテリアル)包装用フィルム分野において、環境対応商品の拡販が進んでいます。バイオマス原料を使用した“バイオプラーナ”として、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、シーラントの各該当製品の採用も拡大しました。薄肉化(プラ減量化)では高強度な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”及び高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムの拡販に加え、ナイロンやシーラントフィルムでの開発も進めています。またポリプロピレンフィルムの新機台立ち上げに伴い、より高耐熱・高剛性のポリプロピレンフィルム“パイレンEXTOP”の開発にも注力しており、包装材の減容化・モノマテリアル化を促進し、循環型経済の実現に貢献できるよう努めていきます。工業フィルムでは環境に配慮したリサイクル原料を使用したフィルム製品“クリスパー”、“カミシャイン”、“リシャイン”の開発・改良、販売促進に加え、環境負荷の少ないリサイクルシステムの開発も積極的に進めています。また、バイオマス原料を用いたポリエステルフィルムの開発を開始しました。さらに電子情報通信分野、自動車分野で拡大しているセラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”においても、薄層化による減量化、リサイクルによる環境対応に注力しています。また、液晶ディスプレイに最適な超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”は、減量化のための薄層対応およびバイオマス原料による新製品の開発を積極的に進めています。加えて、力学的・熱的特性に優れたポリエチレンナフタレートフィルム“テオネックス”の開発を進め、自動車分野やエネルギー分野に貢献する商品としていきます。重金属を含まず環境に優しいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst(GS触媒)”を用いたPETは、溶融時の劣化が少ないため、リサイクル性に優れます。その特徴を生かし、用途展開を進め循環型経済の実現に貢献しています。GS触媒ライセンス事業についても海外大手PETメーカーにおける商業生産を拡大させていきます。また、環境に配慮したバイオ由来の優れたバリア性樹脂の用途展開や植物由来原料を100%使用したバイオPETの開発を進め、プラスチックとの共生社会を目指します。今後もバイオマス原料の使用拡大・転換を推進していきます。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、電気電子、自動車内外装の塗料、リチウムイオンバッテリー用包材接着用途等で開発を進めています。“バイロン”では通信、電子製品分野の接着用途で次世代高速通信に対応する高周波でも伝送損失が少ない低誘電性接着剤を新たにラインナップし、“バイロマックス”は、高耐熱と高耐久性が評価され、スマートフォン周辺デバイスでさらに拡大を続けています。“ハードレン”は接着が難しいポリオレフィン用の接着付与剤として、国内外の自動車外装プラスチック塗料用途での展開を強化し、リチウムイオンバッテリー用の包材接着剤としても拡大を続けています。“バイロン”、“ハードレン”共に、北米、欧州、中国での環境問題、カーボンニュートラル対応の観点から、自己架橋型、水性化、ホットメルト化、低温養生、次世代塗装をキーワードに取組みを強化しています。以上、当事業に係る研究開発費は55億円です。 (モビリティ)エンジニアリングプラスチック分野では、自動車産業における100年に一度の変革期の流れで、CASE、MaaSのキーワードに乗った、自動車の電動化、電気電子部品の増加に向け、特長を有する材料の開発を進めています。具体的には、5G通信、ミリ波レーダーなどの高度センシング・高速通信機器のギガヘルツ帯の周波数ノイズ対策として、様々な形状の筐体として適用可能な射出成形用樹脂を、展示会等で新規に展開し始めました。従来の、お客様の煩わしい部品組み立て作業が、一気に簡素化でき、コストダウンを図ることのできる製品提案です。また、これらの材料開発だけでなく、コンピューターによる解析技術(CAE解析(Computer Aided Engineering)、DX(Digital transformation)、MI(Materials Informatics))の導入によるメリットも享受し、お客様へのトータルソリューションの提案も継続しています。エアバッグ事業では、カーボンニュートラルの取組みとして、CO2の排出が少ないポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のエアバッグ織物の拡大を進めています。将来的には、植物由来のバイオ原料やリサイクル原料によるPET繊維を使った織物の開発も進めていきます。尚、現在主流のナイロン織物に関しましては、昨年立ち上げたタイのナイロン原糸工場の早期本格稼働を目指しグローバルに安定した織物供給体制の構築に取り組んでいきます。以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。(生活・環境)スーパー繊維“イザナス”は、浮体式洋上風力発電設備などの長期係留索用途を目指した高耐クリープ性を有する原糸の開発を進め、生産技術のスケールアップ化検討と長期係留索の実証試験の準備を行っています。“ツヌーガ”は、用途拡大を目指して多色糸を開発し、生産販売を開始します。エステル短繊維や三次元スプリング構造体“ブレスエアー”及びスパンボンドは、環境負荷低減に貢献できる商品開発を進め、順次提案を開始しています。フィルター材料においては、主力製品である静電フィルター“エリトロン”の基本性能である高集塵性能化はもとより、高寿命化、抗菌・抗ウィルス等の機能付与を図っており、上市に向けた開発検討を加速しています。更に、環境対応の製品開発も上市に向けて進めています。水処理膜では、中空糸RO、FO膜の開発とモジュールの高性能化、ならびに省エネ海水淡水化や浸透圧発電、BC膜濃縮技術を用いた有価物回収、ZLD(Zero Liquid Discharge)などの応用研究を進め、実用化に進んでいます。また、VOC処理装置では世界的なリチウムイオン電池セパレータ(LIBS)市場の拡大に対応した溶剤回収装置用Kフィルターの高性能化、並びにSDGs・カーボンニュートラルを背景とした省エネ化の技術開発を進めています。衣料繊維分野では、綿でありながら速乾性に優れた“IC―DRY”を開発中です。原綿段階で特殊加工を施し、紡績/編成技術を駆使し清涼感も実現しています。サステナブル分野で開発中の“UPTO CYCLE”は製造工程中に出る繊維端材や廃棄生地をプラスチック原料にアップサイクルする商品で、廃材焼却減によるCO2削減や石油資源使用量減に貢献します。工業材料分野では、防災・安全資材として止水材および配管保護材開発および断熱シートの拡販を行いました。また、塗膜防水および路面緑化の検討を行っています。機能資材分野では、第2種医療機器製造販売業、化粧品製造販売業、医薬部外品製造販売業の各許可証を得て今後、商品の拡大を積極的に行います。機能樹脂分野では、リサイクルPET安全コーン“ECONEO”の上市に向けて支援を行っています。以上、当事業に係る研究開発費は15億円です。 (ライフサイエンス)感染症診断領域では、PCR法によりSARS-CoV-2とインフルエンザを同時に判定できる体外診断用医薬品の開発に成功し販売を開始しました。また、衛生検査向けのPCR法を用いた1液型ノロウイルス検出キットについても開発に成功し、販売を開始しました。医療機器分野では、新製品である骨再生誘導材“ボナーク”を2022年6月に歯科領域で販売を開始しました。また、生体材料を原料とする新たな製品の開発に着手しました。人工腎臓用中空糸膜では、透析患者の老廃物を効率良く除去できる性能を有し、更なる生体適合性の向上を目指した製品の開発を進めました。また、医療用製品の拡大に向け、新たに研究拠点の建設に着工しました。以上、当事業に係る研究開発費は17億円です。 (全社共通)イノベーション部門においては、全社成長戦略(ソリューション志向)に基づいた価値提供領域及び大型テーマの設定とテーマ推進の加速をはかりました。全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションなどデジタル技術を用いた解析業務を通じて、研究開発全般および当社の製造、販売活動をも支援する全社インフラとしての機能も有しています。また、総合研究所長直下に設置したDX推進室の活動においては、MI(Materials Informatics)技術の展開を所内全域に広めており、研究所や技術センターの研究員が自らMI技術を活用できる体制構築を進めました。一方、研究開発の中心拠点である総合研究所では所内インフラのリニューアルを進めており、2023年1月には第一期工事として「パイロットプラント棟」が竣工しました。具体的な研究開発例として、サステナブル社会への貢献を目指し、コーポレート研究所と事業部研究開発部門の連携による、バイオマス原料を用いたポリエステル樹脂の開発及び同樹脂の応用製品開発や、大学発の新技術を取り入れた高接着力・易解体性を有する異種材料接着シートの開発等が挙げられます。新規事業企画・開発においては、引き続き、オープンイノベーションの考え方の下、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を積極的に進めました。2022年4月に神戸大学と、同年6月には大阪公立大学と包括連携協定を締結し、それぞれの大学と「環境、ライフサイエンス分野における共同研究の成果を社会に実装する」ことと、「大阪を起点とした地域社会の発展、社会課題の解決に向けた貢献を目指す」ことを狙いとした取組みの検討を開始しました。さらに、バイオものづくりを推進するため、遺伝子の設計から生産プロセス・施策品の開発まで一括したサービス提供を目指す神戸大学発ベンチャーへ間接出資するなど、スタートアップ企業への投資活動拡大を積極的に進めました。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は42億円です。
FY2022|4,635 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「私たちは、素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」というビジョンを掲げています。「素材+サイエンス」として、自社保有のコア技術のさらなる進化に加え、積極的なオープンイノベーションの考え方の下、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは研究開発委員会方針のもとイノベーション戦略部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能マテリアル)包装用フィルム分野において、環境対応商品の拡販が進みました。薄肉化(プラ減量化)では高強度な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”及び高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムの用途が拡大しました。またバイオマス原料を使用した“バイオプラーナ”として、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、シーラントの各該当製品の採用が進みました。更にリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も順調に採用が増えました。新規開発の一つとして、食品や化粧品などの外装ラベル向けに、レーザー印字対応フィルム“レザイア”を開発し、サンプル提供を開始しました。顧客要望に応じた用途開発にも取り組んでいきます。工業フィルムでは環境に配慮したリサイクル原料を使用したフィルム製品“クリスパー”、“カミシャイン”、“リシャイン”の開発・改良、販売促進に加え、環境負荷の少ないリサイクルシステムの開発も積極的に進めています。さらに電子情報通信分野、自動車分野で拡大しているセラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”においても、薄層化、リサイクルによる環境対応に注力しています。また、液晶ディスプレイに最適な超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”も、薄層化対応の新製品の開発を積極的に進めています。また、力学的・熱的特性に優れたポリエチレンナフタレートフィルム“テオネックス”の開発を進め、エネルギー分野に貢献する商品としていきます。重金属を含まず環境に優しいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れたリサイクル性を活かし、用途展開が進み循環型経済に貢献しています。GS触媒ライセンス事業についても海外大手PETメーカーにおける商業生産が拡大しています。また、環境に配慮したバイオ由来の優れたバリア性の樹脂開発や植物由来原料を100%使用したバイオPET樹脂の重合にも成功し、プラスチックとの共生社会を目指し、再生可能な素材へのシフトを加速しています。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、電気電子、自動車内外装の塗料、リチウムイオンバッテリー用包材接着用途等で開発を進めています。“バイロン”では通信、電子製品分野の接着用途で次世代高速通信に対応する高周波でも伝送損失が少ない低誘電性接着剤を新たにラインナップし、“バイロマックス”は、高耐熱と高耐久性が評価され、スマートフォン周辺デバイスでさらに拡大を続けています。“ハードレン”は接着が難しいポリオレフィン用の接着付与剤として、国内外の自動車外装プラスチック塗料用途での展開を強化し、リチウムイオンバッテリー用の包材接着剤としても拡大を続けています。“バイロン”、“ハードレン”共に、北米、欧州、中国での環境問題から、自己架橋型、水性化、ホットメルト化、低温養生をキーワードに取り組みを強化しています。以上、当事業に係る研究開発費は55億円です。 (モビリティ)エンジニアリングプラスチック分野では、自動車産業における100年に一度の変革期の流れで、CASE、MaaSのキーワードに乗った、自動車の電動化、電気電子部品の増加に向け、特長を有する材料の開発を進めています。具体的なニーズとして、熱伝導、電磁波シールド、低誘電率、高熱伝導、高CTI、防音機能が、実現するシーズとして、カウンタープレッシャー発泡、有機無機複合材料の組合せ、新規ポリマー重合等により新商品提案を実現しています。さらに、環境負荷低減としてカーボンニュートラルを進める材料が、新たな切り口での採用も検討されています。これらの材料開発だけでなく、コンピューターによる解析技術(CAE解析(Computer Aided Engineering)、DX(Digital transformation)、MI(Materials Informatics))の導入によるメリットも享受し、お客様へのトータルソリューションの提案を続けています。エアバッグ事業分野ではグローバルでの生産販売体制の拡大を継続的に進めています。特にタイでの原糸新工場の建設をインドラマ・ベンチャーズと実施中で来年から本格生産の予定です。原糸から基布に至る体制強化と新商品を含めた品揃えをグローバルで展開しています。以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。 (生活・環境)スーパー繊維“イザナス”は、浮体式洋上風力発電設備などの長期係留索用途を目指した高耐クリープ性を有する原糸の開発を進め、スケールアップに向けた生産技術開発を検討しています。“ツヌーガ”は、用途拡大を目指して多色糸の研究開発を進めています。エステル短繊維や三次元スプリング構造体“ブレスエアー”及びスパンボンドは、環境に配慮した製品づくりへの取り組みを行い、環境負荷低減に貢献できる商品開発を進めています。フィルター材料においては、主力製品である静電フィルター“エリトロン”をベースに高機能、高耐久化を図っています。更に、環境対応の製品開発も進めています。水処理膜では、中空糸RO、FO膜の開発とモジュールの高性能化、ならびに省エネ海水淡水化や浸透圧発電、BC濃縮技術を用いた排水処理などの応用研究を進め、実用化に進んでいます。また、VOC排気ガス処理分野では市場ニーズに対応した溶剤回収装置の処理量増大や省エネ化によるCO2削減技術の開発を進めました。繊維では、高密度ニット生地“スクラムテック”を開発。独自の特殊高捲縮糸と高弾性糸を組み合わせて高密度に編み上げることで高いストレッチ性を獲得し、優れた保形性も備えました。従来の布帛やニットとは一線を画す緻密な素材感の生地で、スポーツウェア用途のみならず、シャツ・ジャケット・セットアップなど幅広い用途で好評を得ました。フィルム状導電素材“COCOMI”では、心拍計測用サイクリングシャツの販売を一般消費者向けに開始しました。また畜産用心拍計測ベルトなどのアニマル関連分野への検討、スマートテキスタイルのヘルスケア関連分野への検討に加え、高精度心拍計測により導きだされる自律神経活動指標マップ“ANAIM”、心拍と呼吸の同時計測技術の利用による理想呼吸誘導システム“BREASsist”など、生体情報を利用したサービスの提案、検討を始めました。工業材料分野では、省エネ・安全資材として遮熱シートおよび防炎シートの用途開発および拡販を行いました。またマスク分野では医療グレード不織布マスクを厚生労働省向けに納品しました。機能資材分野では、海外拠点と連携したアルコール消毒綿・特殊防護服など、環境衛生や生活分野の製品を上市し拡販しました。以上、当事業に係る研究開発費は18億円です。 (ライフサイエンス)診断原料分野では、富山大学との共同研究でSARS-CoV-2に対する抗体の開発に成功し販売を開始しました。診断システムでは、全社共通部門であるコーポレート研究所の協力を得て、SARS-CoV-2抗原検査の診断薬の開発に成功し、販売を開始しました。研究試薬では、理化学研究所との共同研究で1細胞からのmRNAで遺伝子発現解析が可能な逆転写システムの開発に成功し、販売を開始しました。医療機器分野では、米国の薬事承認である510(k)を取得していた神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”が2021年10月に米国市場へ本格展開を開始しました。また、骨再生誘導材である“ボナーク”は2022年度上市に向け、販売準備を進めています。人工腎臓用中空糸膜では、透析患者の負担を低減しつつ老廃物を効率よく除去できる製品の開発を進めました。また、製薬の精製工程で用いられるプロセス用中空糸膜の開発に取り組みました。以上、当事業に係る研究開発費は16億円です。 (全社共通)イノベーション部門においては、全社成長戦略(ソリューション志向)に基づいた価値提供領域及び大型テーマの設定と加速を進めました。全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションなどデジタル技術を用いた解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、昨年度、総合研究所長直下に設置したDX推進室の活動においては、MI(Materials Informatics)技術の展開を所内全域に広め、一部の研究所、技術センターにおいては研究員が自走できるような体制を整えるに至っています。具体的な研究開発内容として、コーポレート研究所、リニューアブル・リソース事業開発部、フイルム・機能マテリアルソリューション本部は、サントリーグループと米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社が共同開発した、植物由来原料を100%使用したペットボトルの試作にあたり、原料となる100%バイオPET樹脂の重合に成功するなど、当社使用原料のサステナブル化に向けて検討を続けています。加えて、ライフサイエンスソリューション本部と共同で、コーポレート研究所が基礎検討を行っていたイムノクロマト技術をSARS-CoV-2抗原検査に適用展開し、診断薬の早期開発に寄与しました。新規事業企画・開発においては、引き続き、オープンイノベーションの考え方の下、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を積極的に進めています。例えば、有機光ダイオードにおいては、フランス政府系研究機関のCommissariat à l'énergie atomique et aux énergies alternativesとの共同研究により、世界トップクラスの高感度モジュールの試作に成功しました。また、スタートアップ企業への投資活動拡大のために、材料メーカー4社とともにJMTC ケミカル&マテリアルズファンドを立ち上げて、事業化への道のりが長い、材料系スタートアップ企業の支援を行う一方、バイオベンチャー企業のDMC Biotechnologies Inc.(米国)に出資を行いました。そのほかにも数社のベンチャー企業への出資、共同研究なども順次立ち上がっています。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は37億円です。
FY2021|4,068 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「私たちは、素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになります」というビジョンを掲げています。「素材+サイエンス」として、自社保有のコア技術のさらなる進化に加え、積極的なオープンイノベーションの考え方の下、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントはイノベーション戦略部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能マテリアル)包装用フィルム分野では、環境対応商品(薄肉化)として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”及び高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムの用途が拡大し、環境を意識し、バイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も採用が拡大しました。さらに、ナイロンフィルムやシーラントでもバイオ原料を使用した製品を上市し、環境意識が高い大手ユーザーでの採用が進みました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等でショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”に加え、モノマテリアルを意識したポリエステルシーラントとしての採用が進みました。工業フィルム分野では、電子情報通信分野、自動車分野での要求が一層増しているセラミックコンデンサの生産に寄与する離型フィルム“コスモピール”の開発を精力的に進めています。液晶ディスプレイに最適な超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”は、新製品の開発に努めるとともに、新生産機での生産を開始し販売を伸ばしています。また電子部品の高機能化要望にお応えする力学的・熱的特性に優れたポリエチレンフタレートフィルム“テオネックス”の開発、さらに環境に配慮したフィルム製品“クリスパー”、“カミシャイン”、“リシャイン”の開発、販売促進に加え、環境負荷の少ないリサイクルシステムの開発も積極的に進めています。重金属を含まず環境に優しいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れたリサイクル性を活かし、用途展開が進み循環型経済に貢献しています。GS触媒ライセンス事業についても海外大手PETメーカーにおける商業生産が拡大しています。また、環境に配慮したバイオ由来の優れたバリア性の樹脂開発にも取り組み、プラスチックとの共生社会を目指し、再生可能な素材へのシフトを加速しています。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、電気電子、自動車内外装の塗料、接着用途でさらに検討を進めています。“バイロン”では5Gに対応する高周波でも伝送損失が少ない低誘電性接着剤を新たにラインナップし、通信、電子製品分野の接着用途でさらに拡大を続けています。“バイロマックス”は、高耐熱と高耐久性が評価され、スマートフォン周辺デバイスでの引き合いが増加しています。“ハードレン”は接着が難しいポリオレフィン用の接着付与剤として、例えば国内外の自動車外装プラスチック塗料用途に展開し、市場拡大を続けています。“バイロン”、“ハードレン”共に、北米、欧州、中国での環境問題から、水性化、ホットメルト化をキーワードに開発を進めています。以上、当事業に係る研究開発費は52億円です。 (モビリティ)エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途での軽量化の要求に応えるための開発を進めました。特に超高剛性材料の開発、発泡成形用材料の新規素材を開発し、日系の自動車において採用されました。これらの材料開発技術は保有する他材料(硬質ポリエステル、硬質ポリアミド、軟質ポリエステル)のすべてに適応でき、さらなる拡大が期待出来ます。また、軟質ポリエステル樹脂における発泡成形では、独立発泡、連続発泡など発泡状態をコントロールする技術にも取組んでおり、新たな用途が期待出来ます。自動車市場では電動化が拡大していますが、必要な素材技術として熱伝導性、シールド性などの開発も進めています。これらの材料開発に合わせて、コンピューターによる解析技術(CAE解析(Computer Aided Engineering)、DX、MI(Materials Informatics))も進めて、お客様への形状提案に繋げる予定です。エアバッグ事業分野ではグローバルでの生産販売体制の拡大を継続的に進めています。特にタイでの原糸新工場の建設をインドラマ・ベンチャーズと開始しました。原糸から基布に至る体制強化と、新商品を含めた品揃えをグローバルで図っています。以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。 (生活・環境)スーパー繊維“イザナス”は、紡糸技術の深化により高強度グレードを開発しました。高強度グレードの開発で確立した微細結晶構造制御技術は、繊維学会の技術賞を受賞しました。また、クリープに対する耐久性を飛躍的に高める基本技術を確立し洋上風力発電の係留索などへの応用を目指して研究開発を進めています。エステル短繊維や三次元スプリング構造体“ブレスエアー”およびスパンボンドは、持続的に発展できる社会の実現に向けて環境配慮型の製品開発を進めています。フィルター材料においては、静電フィルター“エリトロン”を軸に高性能・高機能化を進め、空気清浄機、自動車内用フィルター等を拡販しました。水処理膜では、各種中空糸膜の開発とモジュールの高性能化、ならびに省エネ海水淡水化や発電、排水処理など応用研究を進めました。VOC排気ガス処理分野では、活性炭素繊維“Kフィルター”を用いた濃縮用吸着材、ならびに溶剤回収システムの高性能化の開発を進めました。繊維の微細構造をコントロールする技術を活用した商品開発を進め、緻密な組織を有し仕立て映えのするスポーツ用“アクセンシャルゼブラ”を学生服に拡販しました。抗ウイルス性を持った“ヴァイアブロック”不織布マスクの販売、ポリエステル生地に“ナノバリアー”加工をした洗えるマスク素材など清潔関連商品を上市し拡販しました。フィルム状導電素材“COCOMI”では、心拍計測用サイクリングシャツを発表し、2021年度から一般消費者向け販売を開始します。また、畜産用心拍計測ベルト、心拍計測用ドッグウェアなどによるアニマル、関連分野への検討、伸張センサを応用した心拍数・呼吸状態同時計測によるヘルスケア関連分野への検討など、他分野への応用検討を進めていきます。工業材料・機能資材分野では、海外拠点と連携したアルコール消毒綿・特殊防護服など、環境衛生や生活分野の製品を上市し拡販しました。以上、当事業に係る研究開発費は19億円です。 (ライフサイエンス)バイオケミカル分野では、富山大学との共同研究でSARS-CoV-2に対する抗体の開発に取組みました。診断システムでは、全自動遺伝子解析装置をバージョンアップ(モデルC)すると共に、同装置の専用試薬としてSARS-CoV-2診断薬の開発に成功し、販売を開始しました。バイオ研究試薬では、核酸精製不要PCRの自社技術を生かし、唾液からSARS-CoV-2を直接測定可能な試薬の開発に成功し、販売を開始しました。医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”が指尖部で神経再建の標準治療となり、患者様の治癒に貢献しました。さらに、新たな再生誘導材ある骨再生誘導材“ボナーク”の2021年度上市に向け、保険適用申請や量産準備等を進めています。人工腎臓用中空糸膜では、透析患者に優しい製品のラインアップの充実に向けて開発を進めました。また、生産効率を引き上げるプロセスの開発に取り組みました。以上、当事業に係る研究開発費は12億円です。 (全社共通)全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションやAI(Artificial Intelligence)を用いた解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。加えて、総合研究所長直下の組織として、DX推進室を設置し、MI技術を導入、展開しました。当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルム“ゼノマックス”については、生産・販売会社「ゼノマックスジャパン株式会社」を事業部門に移管する一方、引き続き、コーポレート研究所において次世代品の開発を継続しています。オープンイノベーション活動に関しては、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を積極的に進めています。さらに、世界トップレベルのベンチャーアクセラレーター「Plug and Play」とのパートナーシップ契約を、スマートシティープログラムに拡大し、よりソリューション志向を強めることとしました。また、当社として第3のベンチャーファンド投資として、「リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合」へ参加し、当社のコア技術が応用できるスタートアップ企業とのオープンイノベーションをさらに推進し、これからの社会に役立つ製品開発を進めています。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は31億円です。
FY2020|4,009 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざしています。長年培ってきた「重合」、「変性」、「加工」、「バイオ」のコア技術群をさらに発展・深化させるとともに、それらを組み合わせ、融合させることで、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは研究開発企画管理部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能樹脂事業)包装用フィルム分野では、環境対応商品(薄肉化)として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”及び高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムの用途が拡大し、環境を意識し、バイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も採用が拡大しました。さらに、ナイロンフィルムでもバイオ原料を使用した製品を上市し、環境意識が高い大手ユーザーでの採用が進みました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等でショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”に加え、モノマテリアルを意識したポリエステルシーラントとしての採用が進みました。工業用フィルム分野では、情報通信技術の進展により拡大するセラミックコンデンサの小型大容量化や高信頼性に対応する離型フィルム“コスモピール”の開発を継続的に進めています。また新生産機は、2020年に稼働し、より高機能でクリーンな製品を提供します。超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”は、ディスプレイの高画質対応やパネル加工性の優れた製品を開発し、採用が進んでいます。拡大している要望量に応える新生産機は、2020年生産開始します。さらに環境に配慮した製品の開発も積極的に行い、リサイクル樹脂を使用したフィルム“リシャイン”、“クリスパー”、“カミシャイン”の採用も増えています。重金属を含まず環境に優しいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、機能性フィルムや特殊繊維用途、成形用途への拡大が進むなど、循環型経済に貢献しています。また、GS触媒ライセンス事業については、海外大手PETメーカーにおける商業生産が拡大しており、さらなるグローバル展開を図っていきます。また、環境を意識したバイオ由来の樹脂開発にも取り組んでいます。エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進めました。その結果、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に日系の自動車主要車において計画通りの採用となりました。また、環境対応ニーズの高まりに合わせて超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を加味したグレードを軸に自動車の軽量化などに提案する一方で、未来のMaaSに先行すべき緻細化対応できる素材の開発も強化しています。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”については超耐熱を活かした電子部品用途を増やしています。また、着実な海外拠点拡大を進める中で、強みの自動車内装用途中心に欧米自動車メーカーへの採用も増えつつあります。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”、“トーヨータック”は、電気電子、自動車内外装の塗料、接着用途でさらに拡大を続けています。“バイロン”では5Gに対応する高周波でも伝送損失が少ない低誘電性接着剤を新たにラインナップし、電子製品分野の接着用途でさらに拡大を続けています。“バイロマックス”は高耐熱と高耐久性が評価され、スマートフォン周辺デバイスでの採用が拡大しています。“ハードレン”は接着が難しいポリオレフィン用の接着付与材として、国内外の自動車外装プラスチック塗料用途に展開し、市場拡大を続けています。“バイロン”、“ハードレン”共に昨今の環境問題から水性化、ホットメルト化をキーワードに開発を続けています。以上、当事業に係る研究開発費は57億円です。 (産業マテリアル事業)高強力繊維“ツヌーガ”は、優れた耐切創性能を生かした手袋向けの販売が好調ですが、アプリケーション開発にも力を入れ、さらに用途の拡大を目指しています。超高強力ポリエチレン繊維“イザナス”では、紡糸技術を深化させることにより、これまでよりも強度と耐久性を高めたグレードを開発しました。主に釣糸向けの販売拡大に寄与しています。エステル短繊維事業では、新興国のニーズにマッチした原綿の開発が加速しました。今後もローカルニーズを的確に捉えた素材開発を行うと共に、持続可能な社会づくりを目指して、環境配慮型の短繊維の研究開発も進めます。三次元スプリング構造体“ブレスエアー”は、2019年9月に新工場が稼働し、自社生産を再開しました。鉄道分野、自動車分野では、“ブレスエアー”の快適性や安全性が認められ、新型車両のシートに採用されました。また、繊研新聞社が企画する第50回繊研合繊賞ヒット賞を受賞しました。以上、当事業に係る研究開発費は9億円です。 (ヘルスケア事業)バイオケミカル分野では、糖尿病検査に使用される抗体の開発に成功し、販売を開始しました。診断システムでは尿沈渣検査装置をバージョンアップし、さらに精度の高い診断を実現しました。バイオ研究試薬では、核酸精製不要PCRの自社技術を生かした新型コロナウイルス検出試薬キットを開発し、検査時間短縮に貢献しました(販売開始は2020年4月)。医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”が手指部などで標準治療となりつつあり、患者様の治癒に貢献しています。骨再生誘導材“ボナーク”は保険適用も含めた上市準備を進めています。人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の製品ラインアップの充実に向けて開発を進めました。また、引き続き商品の生産効率の向上に向けたプロセスの開発に取り組みました。水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。VOC排気ガス処理分野では、吸着濃縮装置“ハニロータ―”の新型装置の開発、ならびに新型“Kフィルター”窒素脱着式回収装置の開発を進めました。フィルター分野では、“静電フィルターエリトロン”の高性能化により、新型空気清浄フィルターユニットならびに素材の開発を進めました。電池分野では、各種電池関連素材の開発に取り組みました。以上、当事業に係る研究開発費は17億円です。 (繊維・商事事業)繊維・糸構造の制御技術を活用した商品開発を進め、スポーツ分野ではポリウレタン繊維不使用で今までにない伸縮性を実現した新素材“ニュートロン”、インナー分野では快適性を追求した超速乾素材“速衣-mix”、ユニフォーム分野ではSDGs対応でオールシーズン展開が可能な多機能エコ素材“オールフレックス”を開発し、当社総合展にて好評を得ました。フィルム状導電素材“COCOMI”では、心拍計測用標準ウェアを4タイプ発表し、2020年度から販売を開始します。また、サイクリング用心拍計測ウェア、畜産用心拍計測ベルト、心拍数・呼吸状態同時計測システムなど、他分野への応用検討を進めていきます。機能材分野では、活性汚泥法に適した水処理用精密ろ過(MF)膜“FILPLATE”を開発、販売を開始しました。膜性能の耐久性が高く、従来法に比べシステムの大幅な省スペースが可能で、今後環境対策商品として拡販に努めます。以上、当事業に係る研究開発費は5億円です。 (全社共通)全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションやAI(Artificial Intelligence)を用いた解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を通したオープンイノベーション活動を積極的に進めています。当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルム“ゼノマックス”については、生産・販売会社「ゼノマックスジャパン株式会社」にて操業を開始しました。今後、電子ペーパーや各種センサー、次世代ディスプレー用途などでのさらなる展開を図るとともに、5Gや6G時代を見据えた開発も進めていきます。また、当社は世界トップレベルのベンチャーアクセラレーター「Plug and Play」とパートナーシップ契約を締結、直近でも欧州を拠点にサステナブルな技術の社会実装を目指す企業に特化したベンチャーファンド「Capricorn Sustainable Chemistry Fund」への投資を実施するなど、当社のコア技術が応用できるスタートアップ企業とのオープンイノベーションをさらに推進し、これからの社会に役立つ製品開発を進めています。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は29億円です。
FY2019|3,927 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざしています。長年培ってきた高分子の「重合」、「変性」、「加工」、および、「バイオ」のコア技術群をさらに発展・深化させるとともに、それらを組み合わせ、融合させることで、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは研究開発企画管理部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能樹脂事業)包装用フィルム分野では、環境対応商品(薄肉化)として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”や高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムの用途が拡大し、環境を意識し、バイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も環境意識が高い大手ユーザーでの採用が拡大しました。加えて、タフネス性を有した高強度ポリエステルフィルム“タフスター”、無機二元蒸着バリアフィルム“エコシアール”等の新商品は認証・採用が継続して拡大しました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等でショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”に加え、モノマテリアルを意識したポリエステルシーラントとしての採用が進みました。工業用フィルム分野では、液晶ディスプレイの大画面化が進む中で、超複屈折フィルム“コスモシャインSRF”が、さらに高画質対応やパネル加工性の優れた製品を開発し、採用が進んでいます。拡大している要望量に応える新設備は、2020年稼働に向け、順調に進捗しています。また、情報通信技術の進展により、拡大するセラミックコンデンサは大容量化や高信頼性がもとめられ、それに対応する離型フィルムの開発を進めると同時に、旺盛な需要量に対して、2019年の稼働に向けた新設備の建設を進めています。さらには、折りたたみディスプレイに対応するPETフィルムを開発、発表しました。重金属を含まず環境に優しいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、機能性フィルムや特殊繊維用途、成形用途への拡大が進んでいます。また、GS触媒ライセンス事業については、海外大手PETメーカーにおける商業生産が拡大しており、さらなるグローバル展開を図っていきます。エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進めました。その結果、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に日系の自動車主要車において計画通りの採用となりました。同時にさらなる自動車の環境対応ニーズに合わせて超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を加味したグレードを高機能ポリアミド樹脂“グラマイド”と高機能性ポリエステルエラストマー“ペルプレン”を中心にラインアップさせ用途開発を促進させました。また、強みの自動車用途で高まる自動運転関連用途、5G関連用途の開発も強化しており、高機能性ポリエステル樹脂“バイロペット”では高放熱グレードをラインアップし、市場からは高く期待されています。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”については超耐熱と高強度を活かした各種産業用機構部品への採用も始まりました。また、着実な海外拠点拡大を進める中で、強みの自動車内装用途中心に欧米自動車メーカーへの採用も増えつつあります。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”、“トーヨータック”は、電気電子、自動車内外装の塗料、接着用途を中心に開発を進めました。“バイロン”では新規変性樹脂の高耐久性が評価され、電子製品分野の接着用途でさらに拡大を続けています。“バイロマックス”はスマートフォン周辺デバイスで採用製品が拡大しています。“ハードレン”は国内海外の自動車外装プラスチック塗料用途に展開し、市場拡大を続けています。“バイロン”と“ハードレン”は共に昨今の環境問題から水性化、ホットメルト化(溶媒フリー)をキーワードに開発を続けています。さらに被着体が異種材料であっても、バイロンとハードレンを組み合わせることで相互に接着性能を補完できるため、他社に出来ない新たな市場を拡大できると期待されています。以上、当事業に係る研究開発費は53億円です。 (産業マテリアル事業)環境関連分野では、重金属イオン吸着シート“コスモフレッシュNANO”が新技術情報提供システムに登録され、北海道新幹線のトンネル工事で試験施工されるなど実績が出始めました。超高強力ポリエチレン繊維“イザナス”は、昨年に導入した新技術設備にて生産した新製品が順調に推移しました。エステル短繊維事業では、ASEAN地域における堅調な衛生材料需要により、紙おむつ、ナプキン向け不織布用ビジネスが拡大しました。三次元スプリング構造体“ブレスエアー”は、快適な寝心地感を活かし、旅館向けにビジネスが拡大しました。以上、当事業に係る研究開発費は8億円です。 (ヘルスケア事業)バイオケミカル分野では、様々な診断薬で汎用されている植物由来酵素を微生物を用いて量産する技術を確立しました。診断システムでは感染症遺伝子検査試薬において肺炎マイコプラズマを30分で検出する簡便な方法を開発し、販売を開始しました。バイオ研究試薬では、次世代シークエンサー周辺試薬の開発に取り組み、画期的な新製品を開発して販売を開始しました。医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”の国内使用例が広がり、手指部から頭頸部などへの適応が加わっています。今後も治療施設、関連学会と連携を取りながら、知覚神経を中心とした機能回復に貢献するよう進めます。骨再生誘導材“ボナーク”は2019年度の上市を見込んでおり、準備を進めています。人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の非対称膜の開発を進めました。また、これらの商品の生産性の効率を上げるプロセス開発に取り組みました。水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。フィルター分野では、新型高帯電エレクトレットフィルターの開発・改良を進め、空気清浄機向けの販売は好調に推移しました。以上、当事業に係る研究開発費は16億円です。 (繊維・商事事業)独自の特化紡績技術、原綿改質加工技術による商品開発を進め、スポーツ分野では即効消臭機能を持つ“CLOUD”、インナー分野では吸水速乾性の優れた“爽快コット”、ユニフォーム分野では洗濯耐久性のある天然系改質素材“ラフィード”を開発し、当社総合展にて好評を得ました。フィルム状導電素材“COCOMI”を活用し、東海大学とスポーツ向け生体情報計測ウェアの開発を開始しました。また心拍計測に加え、筋電計測ウェア、呼吸計測用ひずみセンサーの開発、快適で測定精度に優れたスマート衣料の開発などを進めていきます。機能材分野では、ヒートアイランド現象に対する環境対策として開発した保水パネルの“アースキーパー”をエアコンの室外機に取り込む空気の冷却装置としてユニット化し、新聞発表、試験販売を開始しました。今後も自然エネルギーを利用した環境対策商品として拡販に努めます。以上、当事業に係る研究開発費は6億円です。 (全社共通)全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションやAI(Artificial Intelligence)を用いた解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を通したオープンイノベーション活動を積極的に進めています。当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルム“ゼノマックス”については、長瀬産業株式会社との合弁により、生産・販売会社「ゼノマックスジャパン株式会社」を設立し、それに伴い、生産設備を新設し、操業開始に向けて順調に準備を進めています。今後、電子ペーパーディスプレー向け薄膜トランジスタ(TFT)基盤材の需要増に対応するとともに、ハイエンド製品を中心にさらなる用途の拡大をめざします。また、当社は「持続可能な化学」という考えに基づいて、機能材、食品、飼料、繊維、燃料などの分野における成長企業に投資を行うベンチャーファンド「Capricorn Sustainable Chemistry Fund」に参加しました。今後、ファンドを通じて得られる新技術、新事業の情報を活用し、持続可能な化学分野での事業拡大に注力していきます。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は27億円です。
FY2018|4,007 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざしています。長年培ってきた「重合・変性」、「加工」、「バイオ」のコア技術群をさらに発展・深化させるとともに、それらを組み合わせ、融合させることで、新製品の拡大、新事業の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは研究開発管理部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能樹脂事業)包装用フィルム分野では、薄肉化可能な環境対応商品として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”や高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムが用途拡大し、また、環境負荷が少ないバイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も環境意識が高い大手ユーザーでの採用が拡大しました。加えて、タフネス性を有した高強度ポリエステルフィルム“タフスター”、無機二元蒸着バリアフィルム“エコシアール”等の新商品は認証・採用が継続して拡大しました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等で折り紙やひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”など更なる採用が進みました。工業用フィルム分野では、超複屈折フィルム“コスモシャイン SRF”は、液晶ディスプレイの大型化や薄型化とともに、高度な画像再現性やパネル加工特性に対応する新製品に採用されています。その要望量も急拡大しており、専用の製造設備の新設を決定しました。また、情報通信技術の進展によるデータ通信量の増加により、拡大するセラミックコンデンサーの製造に対応できる平滑性に優れた離型フィルムの採用が進んでいます。それに伴い、高度なクリーン環境で加工する離型フィルム製造設備の新設を決定しました。他にも多くの工業分野で、当社の持つ高透明、易接着および平滑性の特性を活かしたフィルムの展開を図っています。重金属を含まず環境にやさしいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、太陽電池用高耐久性フィルム用途や特殊繊維用途に加え、機能性フィルムや成形用途での拡大が進んでいます。また、GS触媒ライセンス事業については、海外大手PETメーカーにおける商業生産が開始し、事業の拡大を図っています。エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進めました。その結果、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に日系の自動車主要車において計画通りの採用となりました。特に大型案件として注力化してきました軽量化に伴うダウンサイズエンジン用ダクトに耐熱樹脂として採用されました。同時にさらなる自動車の環境対応ニーズにあわせて超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を加味したグレードを高機能性ポリアミド樹脂“グラマイド”と高機能性ポリエステルエラストマー“ペルプレン”を中心にラインナップさせ用途開発を促進させました。高機能性ポリエステル樹脂“バイロペット”ではランプエクステンション材や自動車内装部品において海外での採用が順調に進んでいます。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”については超耐熱と高強度を活かした各種産業用機構部品への採用も始まりました。また、着実な海外拠点拡大を進める中で、強みの自動車内装用途中心に欧米自動車メーカーへの採用も増えつつあります。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”、高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、電気電子、自動車周辺部材の塗料、接着用途を中心として開発を進めました。“バイロン”では新規変性樹脂の高密着、高耐久性が評価され、新たな電子製品部材となる接着用途に採用されました。“バイロマックス”はスマートフォン周辺デバイスでの採用製品が拡大しました。“ハードレン”は、引き続き海外向けの技術サービスを強化しており、自動車バンパープライマー用途で成長を続けています。また、“バイロン”と“ハードレン”の素材、変性・配合技術を融合した開発品が高耐久、異種接着性を必要とする積層製品の接着剤に採用され、拡大が期待されています。以上、当事業に係る研究開発費は51億円です。 (産業マテリアル事業)自動車関連分野では、エアバッグ用基布事業では、海外拠点での生産を本格的に開始し、海外ユーザー向けの販売を拡大しました。超高強力ポリエチレン繊維“イザナス”は、独自開発した新技術を導入すべく生産設備の改造を行い、新製品の生産を開始しました。三次元スプリング構造体“ブレスエアー”は、ロゴマークを刷新しました。また、大手高級ベッドメーカーとの共同開発によるマットレスがJR東日本のクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」に採用されるなど、“ブレスエアー”のブランドが広がりました。環境関連分野では、重金属イオン吸着シート“コスモフレッシュ NANO”を開発し、土木分野を中心に拡販活動を開始しました。以上、当事業に係る研究開発費は8億円です。 (ヘルスケア事業)バイオケミカル分野では、社外共同研究で血液中に存在するうつ病関連バイオマーカーの測定に用いる酵素の量産技術を確立しました。診断システムでは、国内クリニック向け糖尿病の小型検査装置の販売を開始し、また中国においては遺伝子検査装置のCFDA認証を取得しました。バイオ研究試薬では、ノロウイルス検便検査用試薬で画期的な新製品を開発しシェアを拡大しました。医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”の国内での臨床使用が拡大し、当該製品の有用性が広く認知されました。更に、米国など海外展開を視野に活動を進めています。また、臨床試験を実施し、開発を進めてきた次世代の骨再生誘導材“ボナーク”は歯科・口腔外科領域において2018年度で製造販売承認の取得を見込み、上市準備を進めています。人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の非対称膜の開発を進めました。また、これらの商品の生産性の効率を上げるプロセス開発に取り組みました。水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。フィルター分野では、新型高帯電エレクトレットフィルターを開発し、空気清浄機への販売を開始しました。以上、当事業に係る研究開発費は15億円です。 (繊維・商事事業)スポーツ分野で培った機能ニット技術を応用し、介護、スクール、ユニフォーム、ビジネス分野の商品開発を進め、採用が進みました。中東民族衣装向け生地“Royal Mix”は、糸・織・加工の複合技術で新風合い生地の開発が進み、トップブランドとしての評価を高めました。高強力ナイロン・フィラメント繊維“シルファイン”を用いた薄地織物は、機能と感性を融合させた織物開発を行い、アウトドア用途の他、高級カジュアル用途、レインウェア用途への採用が広がりました。また、当該糸を用いたインナーニット素材の開発も進めていきます。ウェアラブル向けフィルム状導電素材“COCOMI”を活用した用途開発としては、眠気検知システム用電極ウェアとしてバス会社と協力した実証試験や、東北大学東北メディカル・メガバンク機構が取り組んでいる「産後うつ」研究向け妊婦用インナーウェア、アスリート競技への活用なども進めています。機能材分野では、ヒートアイランド現象に対する環境対策として開発した保水パネルの“アースキーパー”については建物の屋上や動物園床面での実証実験を重ね、その効果の確認を行いました。こうしたデータを今後の拡販に活かしていきます。以上、当事業に係る研究開発費は6億円です。 (全社共通)全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務、コンピューターシミュレーションやAI(Artificial Intelligence)を用いた解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を通したオープンイノベーション活動を積極的に進めています。当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性・絶縁性に優れる新規ポリイミドフィルム“ゼノマックス”については、400~500℃の高温下での加工が必要な薄膜トランジスタ(TFT)の基板材など、従来のポリイミドフィルムでは難しかった超ハイエンド製品を中心に着実に用途を拡大させました。今後、高性能・高耐熱フィルムの市場ニーズに応えるため、より一層の研究開発およびマーケティング活動を進め、お客さまおよび用途のさらなる拡大をめざします。また、当社はこれまでバイオ由来の原料から重合したバイオ樹脂の製造・販売を実施してきましたが、ガスバリヤ性に優れたポリエチレンフラノエートの製造、フィルム化について国内外の企業と連携しその開発を進めています。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は24億円です。
FY2017|4,054 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざしています。長年培ってきたコア技術である「重合・変性」、「加工」、「バイオ」をさらに発展・深化させるとともに、それらを組み合わせ、融合させることで、新製品、新技術、新機能の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは事業開発管理部が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能樹脂事業)包装用フィルム分野では、薄肉化可能な環境対応商品として高強度で縦・横・両方向に収縮可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”、高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムが用途拡大し、環境を意識したバイオマス原料を使用したポリエステルフィルム“バイオプラーナ”やリサイクル原料を使用したポリエステルフィルム“サイクルクリーン”も採用・用途が拡大しました。また、タフネス性を有した高強度ポリエステルフィルム“タフスター”、無機二元蒸着バリアフィルム“エコシアール”等の新商品は認証・採用が拡大しました。食品用途以外の業界についても“オリエステル”等でショッピングバッグや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”などさらに採用が進みました。工業用フィルム分野では、液晶ディスプレイ用のバックライト光源のLED化が進むなか、LED光源の特徴との組み合わせにより、虹むらを解消し、画像の再現性を高める超複屈折フィルム“コスモシャイン SRF”が液晶テレビ向けおよびカーナビ用のタッチパネル用途に販売を拡大しました。さらなる供給量拡大のためにつるがフイルム工場でも増産体制を確立し、今春より販売開始の予定であります。また、市場の要望に応えるために薄膜化製品の開発に注力しています。電子部品用ハイクリーン離型フィルムについては販売が拡大しました。また、工業用メカニカルリサイクルポリエステルフィルム“リシャイン”、コンシュマーラベル用合成紙“カミシャイン”、タッチペンの耐久性を向上した電子辞書用透明導電性フィルム等を開発上市しました。重金属を含まず環境にやさしいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、太陽電池用高耐久性フィルム用途や特殊繊維用途の拡大が進み、機能性フィルムや成型用途での検討が進みました。また、GS触媒ライセンス事業については海外大手PETメーカーにおける商業生産の目処が立ちました。エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進めました。その結果、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に日系自動車への採用が拡大しました。また、着実な海外拠点拡大を進める中で、強みの自動車内装用途を中心に欧米自動車メーカーへの採用も増えつつあります。特に、さらなる自動車の環境対応ニーズにあわせて超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を加味したグレードを開発し、高機能性ポリアミド樹脂“グラマイド”と高機能性ポリエステルエラストマー“ペルプレン”を中心にラインナップさせ用途開発を促進させました。高機能性ポリエステル樹脂“バイロペット”ではランプエクステンション材や自動車内装部品において海外での採用の拡大が順調に進みました。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”については超耐熱と高強度を活かした各種産業用機構部品への採用も始まりました。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”は、従来に比べ高密着、高耐久化できる樹脂変性方法を開発しました。これにより電気電子、自動車周辺用途の塗料、接着用途に評価、採用が進みました。高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”は応用開発による耐久性、耐熱性の改良を進めた結果、電気電子用途での採用が拡大しました。変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”は、海外向けの新規樹脂開発、技術サービスを強化することで、自動車バンパープライマー用途や電子部品用接着剤などで新市場を獲得しました。“バイロン”と“ハードレン”の素材、技術を融合した高機能樹脂変性技術は、引き続き開発を進めています。以上、当事業に係る研究開発費は51億円であります。 (産業マテリアル事業)自動車関連分野では、長繊維不織布を使用したトノカバー“モデナ”を展開していますが、中国国内での現地調達の要望が高まり、OEMによる現地生産体制を整え、販売を開始しました。エアバッグ用基布は、グローバル供給体制の整備や共通仕様化を進め、海外ユーザーへの展開を進めました。超高強力ポリエチレン繊維は、世界戦略製品と位置付けし、平成28年4月より新商標“イザナス”に変更しました。また、より高強度化の製品を生産するための新技術を開発しました。フィルター分野では、新型高帯電エレクトレットフィルターを開発し、マスクやOA機器用途への販売を開始しました。三次元スプリング構造体“ブレスエアー”は、柔らかさと底付き感の抑制の両立および従来品と比較し、体圧分散性もさらに向上させた三層構造タイプを開発し、大型寝装企画や大手ペットケア関連メーカーと共同開発した介護用ペットベッドに採用されました。雑貨分野では、吸放湿する機能皮革“ブレスレザー”の快適性をレベルアップさせ、ランドセルの背裏や肩ベルトの部位に採用されました。以上、当事業に係る研究開発費は11億円であります。 (ヘルスケア事業)バイオケミカル分野では、主力の血糖測定用酵素の新製品の採用が着実に進みました。診断システムでは、遺伝子検査システム用の試薬の新銘柄を追加しました。バイオ研究試薬では、エピジェネティクス研究用の画期的な新製品を開発し、販売を開始しました。また、食品検査用試薬の採用も進みました。医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”が整形外科医等の標準治療として認められ、大学病院だけでなく、一般病院においても臨床使用数が増加し、平成28年に保険請求が承認された歯科・口腔外科領域での適用も拡大しています。また、材料表面の生体適合性を向上させる医療用コーティング“セックワン”関連では、昨年、製造販売の承認を取得した末梢静脈挿入用カテーテルに続き、バスキュラーアクセスカテーテルを上市し、商品のラインナップ拡充を図りました。さらに、次世代の骨再生誘導材については、歯科・口腔外科領域の治験も順調に進んでいることから、厚生労働省の承認申請に向けた準備を開始しました。人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の非対称膜の開発を進めました。また、これらの商品の生産性の効率を上げるプロセス開発に取り組みました。水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。以上、当事業に係る研究開発費は9億円であります。 (繊維・商事事業)中東民族衣装向け生地については、長短複合紡績糸使用織物“Royal Mix”の新風合い加工開発を進め、トップブランドとしての評価を高めました。ビジネスウェア分野では、スポーツ分野で培った技術を駆使し、ストレッチ性、イージーケア性に優れたニットスーツ、シャツのテキスタイルバリエーションの拡充、機能加工との組み合わせを行い、採用が進みました。スポーツ分野ではアウトドア用途向けに耐摩耗性に優れた織物“シルファイン”シリーズや“マナードウール”、インナー分野では大手SPAとの取組で機能ワタ“デオドランC”や特化紡績糸の採用が進みました。フィルム状導電素材“COCOMI”を用いた生体情報計測ウェアの開発については、ナショナルプロジェクトに参画するとともに積極的な研究開発およびマーケティング活動を進め、競走馬の心拍計測用腹帯カバーや眠気検知システムへの展開に道を拓きつつあります。機能材分野では、ヒートアイランド現象に対する環境対策として保水パネル“アースキーパー”を開発しました。多孔質骨材と吸水性繊維をセメントで固めたパネルが水分を保持し、効率的かつ持続的に蒸発することによる打ち水効果で建物、道路等を冷却します。今後、販売を促進していきます。以上、当事業に係る研究開発費は6億円であります。 (全社共通)全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの将来を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務やコンピューターシミュレーションによる解析業務を通じて、研究開発全般を支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、新技術の調査および研究開発のスピードアップを図るため、ナショナルプロジェクトへの参画や国内外の企業、大学、研究機関との連携を通したオープンイノベーション活動を積極的に進めています。当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルムについては、ハイエンド製品を中心に着実に用途を拡大させつつあります。より一層の研究開発およびマーケティング活動を進め、ユーザーおよび用途のさらなる拡大をめざします。当社はこれまでバイオ由来の原料から重合したバイオ樹脂の製造・販売を実施してきましたが、この度、ガスバリヤ性に優れたポリエチレンフラノエートの製造、フィルム化について国内外の企業と連携しその開発を進めています。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は34億円です。
FY2016|3,725 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「順理則裕」の企業理念のもと、「環境、ヘルスケア、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざしています。長年培ってきたコア技術である「重合・変性」、「加工」、「バイオ」をより発展・深化させるとともに、各技術を組み合わせ、融合させることで、新製品や新技術の創出に注力しました。当社グループの研究開発は、セグメントごとに担当事業部が直接運営する事業部研究部門と、中長期的視点から次代を担う新製品・新技術を開発する全社共通のコーポレート研究部門とに大別されます。これらの研究開発のマネジメントは事業開発企画室が担当し、各部門相互の連携を図りながら、当社グループの総合力を発揮した研究開発活動を推進しました。 (フィルム・機能樹脂事業)包装用フィルム分野では、高強度で薄肉化が可能な熱収縮性ポリエステルフィルム“スペースクリーン”、飲料向けでは日本で初めてのポリエステル系縦収縮ラベル、高耐熱高剛性ポリプロピレンフィルムにおいて、それぞれ採用・用途が拡大しました。また、タフネス性を有した高強度ポリエステルフィルム“タフスター”、無機二元蒸着バリアフィルム“エコシアール”などの新商品、新技術の開発を進めました。さらに、環境を意識したバイオポリエステルフィルムやリサイクルポリエステルフィルムについても採用が拡大しました。食品用途以外では折れるポリエステルフィルム“オリエステル”はショッピングバックや折り紙、ブックカバー、ひねるだけで臭いが気にならないおむつ処理袋“ひねってポイ”などへの採用が進みました。工業用フィルム分野では、液晶ディスプレイ用のバックライト光源のLED化が進むなか、LED光源の特徴との組み合わせにより、虹むらを解消し、画像の再現性を高める超複屈折フィルム“コスモシャイン SRF”が液晶テレビ向けやカーナビ用のタッチパネル用途に販売を拡大し、市場ニーズに応えて薄膜化の開発を進めました。また、工業用メカニカルリサイクルポリエステルフィルム“リシャイン”、食品や日用品の外装ラベルに適したポリエステル系合成紙“カミシャイン”などを開発し、販売を開始しました。重金属を含まず環境にやさしいポリエステル重合触媒“TOYOBO GS Catalyst”については、その優れた特徴を活かし、太陽電池用高耐久性フィルム、熱収縮フィルムなどのフィルム用途や、成型および繊維用途などで拡大しました。また、触媒ライセンス事業については、ライセンス先の海外大手PETメーカーにおいて生産化の目処が立ちました。エンジニアリングプラスチック分野では、自動車用途で年々高まる軽量化要求に応えるべく種々の素材で開発を進め、金属代替樹脂、ゴム代替樹脂などの用途を中心に採用が拡大しました。また、自動車用途でのさらなる環境対応ニーズにあわせて、超微細発泡技術、超耐熱技術、異種素材接着技術を応用したグレードを開発し、高機能性ポリアミド樹脂“グラマイド”と高機能性ポリエステルエラストマー“ペルプレン”を中心に用途開発を促進させました。さらに、高機能性ポリエステル樹脂“バイロペット”ではランプエクステンション材や自動車内装部品において海外での採用が順調に進みました。バイオマス原料を用いた高融点ポリアミド樹脂“バイロアミド”についてはLED、SMTコネクタでの採用が拡大したほか、自動車用途以外の工業用途での採用が始まりました。また、グローバル展開に向けたさらなる開発の促進のため、エンプラR&Dセンター棟を新設し、研究拠点の整備を図りました。高機能共重合ポリエステル樹脂“バイロン”は包装材料用接着剤、太陽電池バックシート用接着剤の開発を進め、主に海外で採用が進みました。電気電子製品用途では高耐熱共重合ポリアミドイミド樹脂“バイロマックス”、高機能ウレタン樹脂、樹脂型導電銀ペーストなどの開発を進め、フレキシブル印刷回路やディスプレイの保護フィルム用粘着材・接着剤、タッチパネルモジュールの導電ペーストインキで採用されました。変性ポリオレフィン樹脂“ハードレン”では自動車用途で水系塗料製品を開発し、販売が拡大しました。また、“バイロン”と“ハードレン”の技術連携により新規接着・塗装剤の製品化を検討し、電気電子製品用途や自動車用途などで評価を進めました。以上、当事業に係る研究開発費は49億円であります。 (産業マテリアル事業)自動車関連分野では、高強力細繊度の原糸を開発し、コンパクト化可能なエアバッグ用ノンコート基布の販売を開始しました。また、ポリエステル系皮革調のトノカバーが、海外で採用され、供給を開始しました。超高強力ポリエチレン繊維“ダイニーマ”では高強度化の新技術を開発しました。フィルター分野では、高効率でミストに対して極めて高い耐久性を持つエレクトレットフィルター、土木資材分野では、高吸水性繊維“ランシール”を用いたコンクリート用湿潤養生マット“キュアエス”と保温も同時に行う“キュアダブル”の販売を開始しました。以上、当事業に係る研究開発費は11億円であります。(ヘルスケア事業)バイオケミカル分野では、主力の血糖測定用酵素の新製品の採用が着実に進みました。診断システムでは、遺伝子検査システム用の試薬の新銘柄を追加しました。バイオ研究試薬では、エピジェネティクス研究用の画期的な新製品を開発し、販売を開始しました。また、食品検査用試薬の採用も進みました。医療機器分野では、神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”がこれまでの四肢末梢神経以外にも顔面神経などでの使用例が増加し、頭頸部や耳鼻咽喉部での適用例が拡大しました。平成28年4月以降は医科領域だけでなく歯科領域での保険請求も可能となりました。また、合成系生体適合性材料“セックワン”関連では、新たに末梢静脈挿入用カテーテル(PICC)について製造販売の承認を取得し、販売を開始しました。さらに、骨欠損部に埋入して、新生骨の形成を誘導させる次世代の骨再生誘導材の製品化に向けて、歯科・口腔外科領域において治験を開始しました。人工腎臓用中空糸膜では、血液濾過用ならびに血液透析用の非対称膜の開発を進めました。また、これらの商品の生産性の効率を上げるプロセス開発に取り組みました。水処理膜では、海水淡水化用正浸透膜の開発と、モジュールの高性能化、およびその実用研究を進めました。以上、当事業に係る研究開発費は10億円であります。 (繊維・商事事業)スポーツ分野では、ストレッチ性、イージーケア性に優れたビジネス向けニットシャツのテキスタイルバリエーションを拡充し、採用が進みました。また、ダウンウエア用途向けに、さらに軽量・薄地に特化した織物“シルファイン8T”、中東民族衣装向け生地として長短複合紡績糸使用織物“Royal Mix”の新バージョンを開発しました。機能加工としては、抗ウイルス加工の開発を進め、繊維評価技術協議会の認証を受けました。新素材としては吸湿性に優れたポリエステル生地“グレファージュ”、ウエアラブル向けフィルム状導電素材“COCOMI”を開発し、インナー、スポーツ、ユニフォーム分野などへの展開を開始しました。羽毛に替わる粒状詰め綿素材“グレンゲラン”では、縫製での取扱いを容易にし、かつ洗濯での偏りを防止するシート状タイプを開発しました。以上、当事業に係る研究開発費は6億円であります。 (全社共通)全社共通の研究開発組織であるコーポレート研究所は、当社グループの次代を担う新製品・新技術の開発を行うだけでなく、各種分析・評価業務やコンピューターシミュレーションによる解析業務を通じて、研究開発を側面より支援する全社研究インフラとしての機能も有しています。また、当社の研究開発力の向上、研究開発のスピードアップを図るため、国内外の企業、大学、研究機関と積極的に連携を図るとともに、ナショナルプロジェクトへ参画するなど、オープンイノベーション活動を進めております。当社の高分子重合技術や成形加工技術を駆使した耐熱性・寸法安定性に優れる新規ポリイミドフィルムについては、ハイエンド製品へ採用され、順調にその用途を拡大させつつあります。ユーザーおよび用途をさらに拡大させるため、一層の研究開発およびマーケティング活動を進めています。ナショナルプロジェクト「革新的新構造材料等研究開発」を通じて炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)の開発を進めており、また当社で開発した生体情報計測ウエアに適した機能性素材“COCOMI”の技術の一部を、センター・オブ・イノベーションプログラム「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」へ提供しています。いずれも次世代を担う新製品として期待しています。衣料繊維の開発の中で培ってきた「快適性評価技術」については、フィルムやシート材料などの製品開発に活用されています。以上、全社共通のコーポレート研究に係る研究開発費は36億円です。