研究開発活動(本文)
FY2025|16,034 文字
6【研究開発活動】 当社グループは2030年に向け、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」企業になることを目指します。ここでアミノサイエンス®とは、創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービスを総称したものであり、また、それらを社会課題の解決やWell-beingの貢献につなげる、当社グループ独自の科学的アプローチであり、他企業が容易には真似できない当社グループの競争優位の源泉のひとつとなります。2030年に向け、フードシステムで繋がる健康栄養課題の解決と環境への貢献をセットで取り組み、「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカムを実現していきます。また、当社グループの成長戦略では、中長期の成長が期待される市場において、当社グループならではの強みであるアミノサイエンス®を活かし、持続的に社会価値を提供できる、4つの成長領域(ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーン)にフォーカスし、既存事業の確実な成長と、事業モデル変革(BMX)による成長ドライブにより、2030年に向けて飛躍的な成長を目指します。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は30,921百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,200件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1) 調味料・食品セグメント 当社食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。 また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。 <調味料(日本)> 2024年度の調味料事業商品は、本格中華を家庭で楽しめる中華合わせ調味料「Cook Do®」シリーズでは、大人が楽しめる食体験を提供する「Cook Do®」極(プレミアム)シリーズから、販売が好調に推移している<極 麻辣麻婆豆腐用>に続き、新品種<極 麻辣回鍋肉用><極 香辣麻婆茄子用>を発売しました。生活者が韓国メニュー用調味料に求める特長を当社グループ独自の心理的価値設計技術である「AJI-EMap®」を用い改めて分析し、本格的でありながら日本の食卓に合う韓国メニューを簡単に作ることができる、韓国合わせ調味料「Cook Do® KOREA!」を全面リニューアルし、発売中の2品種<豆腐チゲ用><プルコギ用>に加え、新たに2品種<ヤンニョム炒め用><タッカルビ用>を発売しました。「Cook Do® 香味ペースト®」シリーズでは<やみつきにんにく醤油味>を発売し、「Cook Do® きょうの大皿®」シリーズでは<豚バラ豆腐用>と<豚バラじゃが用>を発売しました。 イタリアの基本だし「ブロード」が主役の、2種の特製パウダーでつくる新感覚のパスタ用調味料「Mio Brodo™」(ミオ ブロード)<トマト><チーズ><魚介>を通販サイトで発売しました。当社グループ独自の「おいしさ設計技術®」や「クノール® カップスープ」などに使われるパウダー化の技術を活用することで本場イタリアの味を再現しています。「BistroDo®」では、<濃厚デミグラスチキンソテー用>を発売しました。 「鍋キューブ®」では、ほのかに甘い焼きあごだしの味を楽しめる醤油ベースの鍋つゆ<焼きあごだし>を発売し、<鶏だし・うま塩><濃厚白湯><鶏だしコク醤油><うま辛キムチ><鯛と帆立の極みだし鍋>をリニューアルしました。「パスタキューブ®」では、<まろやか豆乳クリーム>を発売しました。 <調味料(海外)> 事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。フィリピン味の素社では、栄養学や料理の専門家の協力を得て、うまみ調味料「味の素®」を使用し、現地の嗜好に合わせ、塩分を抑えた100種類以上のレシピの開発や料理のデモンストレーションを行い、おいしさを損なうことなく、毎日の食事で継続することが難しいとされる減塩を推奨する取組み「BawAsin®」を進めています。また、ブラジル味の素社で1988年に発売された「Sazon®」は、おいしさ・手軽さ・利便性が現地で広く受け入れられ、現在、約70%のシェアを有するブラジルのトップブランドとして広く各種家庭料理に利用されていますが、さらに、今後も増えていく在留外国人の食にまつわる課題を解決するため、日本国内においても日本居住のブラジル出身の方々向けに「Sazon®」(肉料理用、豆料理用、鶏肉料理用、野菜料理用)を発売しました。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <栄養・加工食品(日本)> 2024年度の栄養・加工食品事業商品として、「クノール® カップスープ」<ポタージュ>では、香味野菜を丁寧にソテーしたミルポアパウダーを使用しコク深い味わいにリニューアルしました。「スープDELI®」では、当社独自の湯戻りしやすく食べ応えのあるもちもちパスタにとろりとしたスープがしっかり絡んだ濃厚な味わいの<クリーミーカルボナーラ>を発売し、「クノール®」ポタージュで食べる豆と野菜<オニオングラタン風>も発売しました。また、本場タイの本格感を再現するおいしさが詰まったスープとモチモチとした食べ応えのある麺が特長で、ゆでるだけで、家庭で簡単手軽に楽しめる、本格トムヤムクンヌードル「Yum Yum®」<トムヤムクンヌードル><トムヤムクンクリーミーヌードル>を発売しました。 さらに、お湯を注ぐだけで手軽においしくたんぱく質が摂取できる「味の素KK プロテインみそ汁」を通販サイトで発売しました。味噌汁1杯分でたんぱく質が20g摂れる、食事と合わせて飲むことができるプロテインで、配合されたソイプロテインはホエイプロテインよりも体内でゆっくり吸収されるため腹持ちが良く、美容や健康面でコラーゲンも配合しています。当社独自の「おいしさ設計技術®」を活用し、味噌汁のおいしさをしっかり感じられる味わいで、かつ溶解性技術によりお湯に溶けやすく仕上げています。 <栄養・加工食品(海外)> 加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取組みを進めています。今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <コーヒー類> スティックコーヒー市場では、「ちょっと贅沢な珈琲店®」ブランドから、珈琲店のマスターが淹れたような、コーヒーの風味や香りが引き立つ、程よい甘さとミルク仕立てのスティックコーヒー《「ちょっと贅沢な珈琲店®」スティックコーヒー スペシャル・ブレンド》を発売しました。また、「気分に合わせて選びたい」「いろいろな種類を味わいたい」といった生活者のニーズに合わせ、<スペシャル・ブレンド><モカ・ブレンド><キリマンジャロ・ブレンド>の3種類のフレーバーを飲み比べして愉しめるアソートタイプのパーソナルレギュラーコーヒー《「ちょっと贅沢な珈琲店®」レギュラー・コーヒー プレミアムドリップ 3種飲み比べアソート》を通信販売で発売しました。 “まるでスイーツを食べた時のような満足感ある味わい”をテーマに外食カフェでトレンドになっているスイーツメニューをラテで再現した《「ブレンディ®カフェラトリー®」スティック》“スイーツシリーズ”は2023年より展開しており、スティック商品の購入が無い方や若年層にも好評で、新たに3品種<濃厚ピスタチオホワイトショコララテ><濃厚メルティショコララテ><芳醇マンゴー&オレンジティー>を発売し、販売が好調な<濃厚ストロベリーホワイトショコララテ>をリニューアルしました。 《「ブレンディ®」スティック》シリーズから、やさしいはちみつの甘みと紅茶の香り、しっかりとしたミルクのコクが楽しめる《「ブレンディ®」スティック とろけるはちみつ紅茶オレ》を発売しました。また、ポーション市場では、家庭内でのアイス飲用増加を背景に、個食化や、気分・シーンに合わせた使い分け拡大による個包装タイプのニーズの高まりから新規ユーザーが増加しており、《「ブレンディ®」ポーション》新フレーバー<フルーツティー 3種の果物ミックス><抹茶オレベース>と東北産りんご果汁を使用した<アップルティー>を新発売しました。 <ソリューション&イングリディエンツ> 当社が30年以上の酵素研究による知見を活用して開発した独自技術(特許申請中)により、お米と混ぜて炊くだけで、酵素の働きで白米のでんぷんをもち麦のような分解されにくい構造に変え、美味しさはそのままで糖が穏やかに吸収されるご飯が炊ける、日本初となる革新的な炊飯器専用調理料「白米どうぞ®」を全国発売しました。 業務用については、業務用「Cook Do®」シリーズで、食塩相当量が低く(1g/食)、またスチームコンベクション調理にも適した設計であり、高齢者施設給食や産業給食等の毎日の献立作りに役立つ「Cook Do®」<豆腐と豚肉の和風炒め用>と、500gの大容量でありながら片手で持ちやすく絞り出しやすいスパウトパウチに入った業務用「Cook Do®香味ペースト®」を発売しました。また、香味野菜をバターでじっくりとソテーして作った当社独自のミルポワパウダーを配合することで複雑で豊かな野菜の風味とコクを実現し、お湯に溶かすだけで素早くスープが出来上がる業務用「クノール®クイックサーブ®スープ」<ポタージュ>と業務用「クノール®ランチ用スープ」<ポタージュ>をリニューアルしました。 調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、8,032百万円です。 (2) 冷凍食品セグメント 味の素冷凍食品㈱研究開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、現地の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。さらに、当社食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上に取り組んでいます。 <冷凍食品(日本)> 生活者のライフスタイルの多様化や喫食シーンの変化に応じて、食卓カテゴリーを中心としたラインアップを展開するとともに、メニュー提案や店頭訴求、体験型イベントの開催等の取組みを通じて、冷凍食品の提供価値向上に取り組んできました。 2024年の製品として、冷凍「ギョーザ」シリーズでは、大容量パック「ギョーザ 標準30個入り」を新発売し、「しょうがギョーザ」「黒胡椒にんにく餃子」をリニューアルし、いずれも味の素冷凍食品㈱の独自技術により改良した羽根の素を使用し、「ギョーザ」(12個入り)と同様にフライパンへの張りつきを改善して剥離性を向上させました。「ギョーザ 標準30個入り」はトレイ不使用のため冷凍庫のスペースを取らずに収納することができます。「しょうがギョーザ」は従来品よりしょうがの辛みを抑えており、にんにくを使用しないため食後のにおいが気になるときでも好きなだけ食べることができます。「黒胡椒にんにく餃子」は粗びき黒胡椒の刺激とにんにくの風味が口いっぱいに広がり、隠し味にはちみつを加えることで後味のコクを更に感じるようにしています。<ギョーザ>のブランドイメージの根幹となる「AJINOMOTO」ブランドの視認性を高めるため、<ギョーザ><レンジでギョーザ>の2品種から「AJINOMOTOギョーザ」のブランドロゴを採用したパッケージへリニューアルします。2025年を『「ギョーザ」元年』とし、すべての生活者の食シーンとニーズに応える製品ラインアップと生活者とのコミュニケーションを更に強化していきます。 おうちで外食品質を楽しめる「ザ★®」シリーズとして、「ザ★®シュウマイ」「ザ★®チャーハン」「ザ★®から揚げ」「ザ★®ハンバーグ」4品同時にリニューアルしました。「ザ★®シュウマイ」は風味と食感がアップされています。 「おべんと PON™」はトレイのないスティック型パッケージに入ったお弁当のおかずで、冷凍庫のスキマに「シュッ!」と入れられ、自然解凍なので冷凍庫から出してそのまま「ポンッ!」と盛りつけができ、捨てるときは小さく丸めて「ポイッ!」と捨てられる、お弁当づくりの新しいカタチとして注目を集めています。全5種類(「おべんと PON™ つくね」「おべんと PON™ からあげ」「おべんと PON™ とんかつ」「おべんと PON™ メンチカツ」「おべんと PON™ とり天」「おべんと PON™ 肉だんご」)を発売しました。 冷凍ハンバーグとしては、ブランドロゴを「洋食亭®」から「洋食亭®ハンバーグ」へ統一し、従来品の濃厚なビターな味わいはそのままに、マッシュルームブイヨンを加え、うま味、コク、苦味のバランスを向上させ、<自家製デミグラスソース>をリニューアルしました。また、備長炭で醤油味をしみこませた若鶏のもも肉をこんがりと焼き上げた「若鶏もも焼き」を発売しました。冷凍から揚げとして、さっぱりレモン風味の<レモンの塩だれから揚げ>を発売しました。 冷凍米飯としては、<麻辣マーラー飯>と<パクチー飯>を発売しました。さらに、冷凍丼の具としては、家ではなかなか作れない本格中華として食欲を刺激する<麻辣麻婆豆腐丼の具>を発売しました。 <冷凍食品(海外)> 北米や欧州では、日本食人気の高まり等により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつおいしさを提供していくとともに、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。 また、中国冷凍食品事業の構造強化により採算性と資産効率を向上するため、味の素冷凍食品㈱、味の素(中国)社(上海市)及びライフフーズ㈱(東京都中央区)は、日本向けの鶏肉加工品や野菜加工品及び調理済み冷凍食品の生産を行う目的で、上記3社合弁で1995年に設立した連雲港味の素如意食品有限公司(江蘇省LAN社)での生産活動を建屋設備老朽化のため2024年4月末に停止し、主に欧米向け炒麺、日本・中国向けスイーツの生産が順調に推移している連雲港味の素冷凍食品有限公司(江蘇省、AFL社)に2024年6月に吸収合併し、AFL社に生産を集約すべく生産体制の再編を行いました。 さらに、味の素冷凍食品㈱及びライフフーズ㈱は、味の素冷凍食品㈱の連結子会社である厦門味之素来福如意食品有限公司(福建省アモイ市、ALI社)の株式全てを合弁パートナーである如意情集団股份有限公司(中国福建省アモイ市)へ2024年10月に譲渡を完了させ、ALI社との間で製造委託契約を締結し、これまで同様、日本国内向け冷凍野菜及び味の素冷凍食品グループ工場(日本・中国)にて使用する野菜原料の供給を継続することで、生産体制の再編を行いました。 冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,855百万円です。 (3) ヘルスケア等セグメント 当社バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス事業(ベルギー、米国、日本、インド)、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社(ロシア)、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。 <医薬用・食品用アミノ酸> 医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素CELLiST Korea社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。 <バイオファーマサービス(CDMO)> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。 低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス(CDMO)事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。 さらに、2023年度子会社化した米国の遺伝子治療薬CDMOのForge社は、遺伝子治療薬製造バリューチェーン上の2つの要所であるAAV製造とプラスミドDNAの製造能力を有する遺伝子治療薬CDMOであり、また、高純度・高収率のAAVベクター生産技術を有しています。これにより、多数のバイオテック企業の初期臨床向けにGMP生産を行い、製造実績を確実に積み上げることで、ここ数年で急成長・急拡大を遂げており、今後も継続的に成長する見込みです。 <ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。 <その他>-機能性栄養食品- 「アミノバイタル®」は、当社が100年以上にわたり培ってきたアミノサイエンス®の知見をスポーツ分野に展開し、1995年に発売したスポーツサプリメントブランドです。トップアスリートやハードに運動する人を中心に支持されていますが、より多くの生活者の、運動を通じたこころとからだの健康に貢献したいと考え、発売30周年にあたり朝食のプラス1品や間食など普段の生活の中で手軽に飲むことができるゼリードリンク「アミノバイタル®ami活」を発売しました。エネルギー源となるアラニン・プロリン、BCAAやアルギニンなどのアミノ酸(3,000mg)を配合し、ビタミンや食物繊維などの不足しがちな栄養素も摂ることができることに加え、開発にあたり当社グループ独自の目標品質設計技術である「AJI-PMap®」を活用し、ゼリーが最も飲用される朝に好ましい官能特性を選定、果物を食べているかのような独特な食感と味わいも実現しています。また、「アミノバイタル®CONNECT関節サポート」を発売しました。コラーゲンに多く含まれ、ひざ関節に違和感を持つ人においてひざ関節の違和感を改善する機能があることが報告されている、セリン、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン酸、グリシン、アラニン、プロリンの6種のアミノ酸(4,000mg)が主成分となるサプリメントです。 さらに、「アクアソリタ®」シリーズが消費者庁より特別用途食品 個別評価型病者用食品の表示許可を取得したことを受け、表示をリニューアルした「アクアソリタ®」、「アクアソリタ®」ゼリーの販売を開始しました。熱中症・過度の発汗による軽度の脱水時の水・電解質補給に適しており、当社独自の「おいしさ設計技術®」を活用した原材料の配合技術により、飲みやすい経口補水液となっています。 -健康基盤食品- 睡眠ケアに役立つグリシンとストレスケアに役立つGABAというWのアミノ酸を配合した機能性表示食品「グリナ®」睡眠ケア&ストレスケアを発売しました。飲料タイプの睡眠サポート食品市場も伸長しているため、飲料で手軽に睡眠ケアをしたいという生活者の声に応え、<ドリンクタイプ>も発売しました。開発にあたり、当社グループ独自の目標品質設計技術である「AJI-PMap®」を用い、寝る前に飲む睡眠ケア飲料として最適な味と風味を選定しました。 -パーソナルケア素材- 当社グループは1972年にグルタミン酸を原料としたアミノ酸系洗浄剤「アミソフト®」を発売し、以来、半世紀以上にわたり、世界55カ国、5,000社以上の化粧品メーカー等に、アミノ酸由来の化粧品やトイレタリー製品向け原料として多様な製品を提供しています。アミノサイエンス®を活かした当社グループのパーソナルケア素材製品は、肌にも環境にもやさしく保湿性等にも優れた素材として、スキンケアやヘアケア、メークアップ製品などに幅広く使用されています。素材メーカーとしての強みを活かし、自社のアミノ酸系化粧品素材に特化したスキンケアブランド「JINO(ジーノ)」も展開しています。 アミノ酸スキンケアブランド「ジーノ」のアミノモイストシリーズをリニューアルし、新たにジーノモイストアミノエンリッチドシリーズとして化粧水2品種、美容乳液2品種(計4品種)を通販サイト限定で販売しました。当社バイオ・ファイン研究所の長年の皮膚科学研究による独自の「アミノ美肌理論®」に基づいた徹底保湿アプローチとエイジングケアをサポートするアミノ酸独自処方を採用しています。また、スキンケア化粧品向け原料ELDEW®シリーズの新品種として「ELDEW®(エルデュウ®)FE-01」を発売しました。アミノ酸系エモリエント成分ELDEW®PSシリーズを独自配合(特許申請中)により実現したナノエマルション技術によりナノサイズの油滴として水中へ分散させることで、より一層肌になじみやすく設計しています。 -飼料用アミノ酸- 牛用アミノ酸リジン製剤「AjiPro®-L」は、牛の飼料に混ぜることで牛に不足しがちな必須アミノ酸「リジン」を補い、飼料中のアミノ酸バランスを整えることができる製剤であり、2011年に北米における製造・販売を開始し、2015年には日本でも販売を開始した本製品は、現在牛用アミノ酸リジン製剤のトップブランドであり、世界中で使用されています。牛の糞尿やげっぷに含まれるメタン・一酸化二窒素など、牛の生育に関わる温室効果ガス(以下GHG)排出量は全世界の排出量の約9.5%を占め、地球温暖化の原因の一つとして喫緊の課題になっています。当社は、Danone社(フランス)と、同社の生乳サプライチェーンから排出されるGHGを削減するためのグローバルでの戦略的パートナーシップを開始しました。この取組みは、当社「AjiPro®-L」を活用し、飼料中のアミノ酸を乳牛が効率的に吸収することで、飼料コストを大幅に削減しながら、乳牛の生育に関わる幅広いGHGの排出量削減を実現します。また、当社は鹿児島県及び県内の畜産関係団体等と、肉用牛・乳用牛飼養におけるGHG削減と産業振興を図るため連携協定を締結し、地方自治体のGX(グリーントランスフォーメーション)戦略を推進していきます。当社のソリューションの核となるアミノ酸を活用したGHGの削減は、J-クレジット制度の方法論として登録済で、GHG削減量をクレジットに転換可能であり、その中でも、アミノ酸を活用した肉用牛の生産性向上によるGHGの削減は、糞尿中のGHGに加えて、げっぷ中のメタンを削減できる唯一の方法論となります。消費者庁が主催する「令和6年度消費者志向経営 優良事例表彰」において鹿児島県とともに消費者庁長官表彰を受賞しています。 ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、11,212百万円です。 (4) その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、258百万円です。 (5) 全社 当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。全社研究では、当社の食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 無形資産への投資も増強していきます。まず技術資産には、「おいしさ設計技術®」や先端バイオ・ファイン技術に代表されるアミノサイエンス®が挙げられます。今後、より一層顧客に寄り添うためにはデジタルのケイパビリティが欠かせないと考えています。顧客と技術をマッチングさせイノベーションを生み出す人財資産、顧客資産、それらの基盤となる組織資産への投資も増強していきます。 <オープンイノベーション> 当社は、オープンイノベーションを積極的に推進しており、国内外の企業や研究機関等とリンクし、これまでにない新しい価値を創造することを重要と位置付けています。イノベーション戦略チームは、当社グループにおける成長領域のイノベーションをグローバルに加速するための一員として、社内の様々な組織(コーポレートベンチャーキャピタル、R&D、事業部門など)や世界中の外部パートナーと連携し、オーガニック、インオーガニックな成長戦略の立案・実行を担っています。本チームは、日本、北米、ラテンアメリカ、ASEANを拠点に活動を開始しており、北米ではイノベーション・エコシステムの中心地であるBostonエリアに拠点を構えています。さらに、スタートアップとのパートナリング戦略構築や先端イノベーション情報収集をグローバルに推進するため、2024年1月に米国・シリコンバレー(カリフォルニア州パロアルト市)に拠点を新設しました。米国拠点設立は、次世代事業創出を通じた成長戦略の実現に向け、世界の先端イノベーション情報・活動に直接アクセスし、出資・協業・M&Aなどをスピーディに検討・判断するインテリジェンス機能(Search, Access&Partnering)を集中化させたイノベーション戦略チームのグローバル展開の一環となります。 2024年度の主なオープンイノベーションは下記のとおりとなります。 -ヘルスケア領域- 2023年度に米国遺伝子治療薬CDMOのForge社を完全子会社化し、次世代の事業領域に進出することで付加価値の高い事業モデルへの転換を進め、ヘルスケア領域の成長加速と高収益化を推進します。また、カナダの外科栄養スタートアップ企業Enhanced Medical Nutrition社(オンタリオ州)への出資を完了し、当社は今回の出資を通じて、当社の連結子会社である、米国に拠点を持つ味の素キャンブルック社、及び、英国とアイルランドを拠点に展開するニュアルトラ社による既存のメディカルフード事業に加えて、患者の栄養課題のさらなる改善に向けた取組みを強化していきます。 -フード&ウェルネス領域- 当社は、東京大学大学院情報学環、暦本純一研究室・中村裕美特任准教授(現東京都市大学准教授)、お茶の水女子大学SDGs推進研究所・笠松千夏特任教授(現東京家政学院大学特任教授)との共同研究により、経皮電気刺激を活用して食品の味を調整する新しい概念の「電気調味料」の技術を世界で初めて開発しました。「電気調味料」とは下顎前部及び首後部への微弱な電気の刺激で味覚をコントロールする当社が開発した技術そのものを指します。今回、経皮電気刺激によって複数の食品の味がより強まることを実証した一連の研究成果がHypertension Research誌に掲載されました。当社は「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志(パーパス)の実現に向けて2030年までに10億人の健康寿命を延伸することを目指しています。今後は新概念の「電気調味料」を活用し、減塩を必要とする人をはじめとした生活者の食をより豊かにすることで健康で快適な生活の実現に貢献します。 また、当社が開発した日本の食文化に適した栄養素プロファイリングシステム「JANPS®:Japan Nutrient Profiling System」を活用し、好きなメニューを楽しみながら栄養バランスの整った献立を提案することが可能となるWEBでの献立提案サービス「未来献立®」を2024年3月にサービスを提供しており、8日分の栄養バランスの取れた「ゴールデン献立」や、バランスの崩れた食事をした翌日のための「ツジツマ献立」作成などが可能となっている中、「未来献立®」を一新し、さらに、ユーザーにとってよりわかりやすく使いやすい内容にリニューアルしました。また、当社をはじめ他食品メーカーやレシピ動画メディア運営会社など計11社が参画し、栄養バランスのよい食生活を実践する新しい手法「ツジツマシアワセ®」を提案するプロジェクトも全国展開を開始しました。本プロジェクトは、栄養バランスを考えて食べること自体の重荷を軽減し、「栄養バランスよく食べなければ」などの義務感や「今日は好きなものばかり食べたので栄養バランスが偏ってしまった」などの罪悪感を持つことなく、楽しくおいしい食生活を実現できる「ツジツマシアワセ®」という具体的な手法の提案と啓発を行い、真にこころとからだが満たされた健康的な人生の実現をサポートしていきます。 また、当社は、従業員の健康増進支援の一環として、栄養バランスのよい食事の提供や有識者からのアドバイス、及び当社独自の食事改善ツールによる食事・運動のセルフモニタリングを通じて、生活習慣の改善をサポートする「しっかり食べチェック®プログラム」を開発し、3カ月間にわたり同プログラムを社内で試験的に導入した結果、有意な結果が得られました。当社は社員食堂を利用できない様々な勤務形態の従業員への健康増進に向けた行動変容プログラムとして検討し、健康経営の取組みサポートを図ります。本研究成果の詳細は、2025年1月17日~19日に国立京都国際会館で行われる第28回日本病態栄養学会年次学術集会において発表されました。 さらに、当社はJOC・JPCオフィシャルスポンサー(契約カテゴリー:調味料、乾燥スープ、栄養補助食品、冷凍食品、コーヒー豆)として、パリ2024オリンピック・パラリンピック(以下パリ2024大会)日本代表選手団「TEAM JAPAN」に当社製品や当社開発メニューを提供し、アミノサイエンス®を通じてこころとからだを元気にすることで、選手のトータルコンディショニングをサポートしました。パリ2024大会期間中は、公益財団法人日本オリンピック委員会(以下JOC)、公益財団法人日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会(以下JPC)それぞれに協力し、「TEAM JAPAN」のベストコンディション維持に貢献しました。パリ2024パラリンピックでは、JPCと共同で日本代表選手団のための拠点「Café Du Dashi」(カフェ・ドゥ・ダシ)を開設しました。当社グループは今後もアスリートの“なりたい姿”や“多様な個性”を尊重し、アミノサイエンス®でこころとからだの健康を支え、Well-being実現に寄り添い、さらに、その取組みで得られた知見を活かし、生活者のWell-beingにも貢献します。 -グリーン領域- 地球環境に配慮した食材(プラント・細胞・微生物ベースなど)を積極的に採用しながら自然の恵みや美しさを日常の食シーンに取り入れた「新しい食のライフスタイル」を提案する新ブランド「Atlr.72™(アトリエ・セブンツー)」をローンチし、シンガポールを起点に事業展開をスタートしました。第1弾として、エアベースプロテイン「Solein®」を使用したスイーツをシンガポール高島屋などにて期間限定で販売開始しました。 また、日本政府とブラジル政府が推進する日伯グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ以下「日伯GPI」の取組みの一つである「ブラジル劣化農地回復モデルに向けた実証調査」プロジェクトにパートナーとして、バイオスティミュラントの開発・生産技術を活用した製品を提供し、ブラジル国内のモデル農場で土壌の劣化した農地を畑地に回復するための本プロジェクトに参画することを決定しました。 さらに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)が公募した「バイオものづくり革命推進事業」に対して、当社は「環境保護と食品供給の安定化を実現する精密発酵技術の開発」を提案、NEDOによって採択されました。当社はアミノ酸をはじめとする有用物質の発酵生産における知見と技術の優位性を活かし、目的のたんぱく質を効率的に発酵生産する技術の開発に取り組みます。具体的には目的のたんぱく質を生産する微生物の開発、AIやシミュレーションを活用した安定的な商業生産プロセスの迅速な開発、製品開発段階でのライフサイクルアセスメントの実施を含み、社会実装を見据えて取り組んでいきます。 <サステナビリティ> 世界のビジネスにおいて最も信頼されるサステナビリティ評価の提供をミッションとするEcoVadis社(フランス)による2024年のサステナビリティ調査において、当社グループ全体の取組みに対する評価を受け、世界中の評価対象企業のうち上位5%の企業が授与される「ゴールド」評価を獲得しました。前回の「ゴールド」評価獲得は2019年で5年ぶりとなります。EcoVadis社は、180カ国以上、220を超える業種の企業を対象に、「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な調達」の4つの側面から企業のサステナビリティを評価しており、評価対象となって以来過去最高となり、当社グループのサステナビリティに関する先駆的な取組みや開示の包括性が評価されたものと考えています。 また、当社は、世界的なESG株価指数である「Dow Jones Sustainability Indices」の「World Index」の構成銘柄に11年連続で選定されました。世界の主要企業をガバナンス・経済、環境、社会の3つの側面から分析・評価し、サステナビリティ(持続可能性)に優れた企業を選定するもので、2024年は、グローバル主要企業3,500社を対象に調査が実施され、321社(うち「Food Products」産業ではグローバル7社、日本3社)がDJSI Worldに選定されています。環境側面での「エネルギー」、「廃棄物と汚染物質」、「気候戦略」、社会側面での「人的資本マネジメント」、「労働安全衛生」、「健康と栄養」などの評価項目において高い評価を獲得しました。 当社は、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD:World Business Council for Sustainable Development、スイス)に加盟しました。持続可能な開発を目指して1995年に設立され、世界で225以上の企業が参画している国際経済団体です。本加盟を通じて、当社グループは「Agriculture&Food Pathway」及び「Climate Imperative」の活動に参画します。 さらに、当社は経済産業省と㈱東京証券取引所が共同で選定する「サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄(SX銘柄)2024」にも選定されました。SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを同期化させ、そのために必要な経営・事業変革を行い、長期的かつ持続的な企業価値向上を図っていくための取組みです。「SX銘柄」は、SXを通じて持続的に成長原資を生み出す力を高め、企業価値向上を実現する先進的企業群を選定・表彰するもので、今回が第1回目の選定となります。選定にあたり、アミノサイエンス®という独自の競争優位性を活かしたビジネスモデルを確立し、ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)実現に向け、2050年を見据えた長期視点・マルチステークホルダー視点でマテリアリティを特定していること、環境負荷の削減と健康寿命の延伸という2つのアウトカムを通して、志(パーパス)である「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」ことを実現するというストーリーを構築していること、等が高く評価されました。 また、当社は、環境省と消費者庁が主催し、食品ロスの削減に効果的かつ波及効果が期待できる優良な取組みを実施した企業などを表彰する令和6年度「食品ロス削減推進表彰」において「環境大臣賞」を受賞しました。2022年に立ち上げた当社のフードロス削減プロジェクト「TOO GOOD TO WASTE ~捨てたもんじゃない!~™」を通じた、生活者の行動変容の促進と社内外との協業によるエコシステム構築への貢献が評価されました。 さらに、当社は、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、キユーピー㈱と官民連携で取り組む、業種を越えたプラットフォーム「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」の活動として、マヨネーズボトルの資源循環に向けた協働を開始しました。国内のポリエチレン(PE)マヨネーズボトルの水平リサイクルにおける技術検証は、先行事例に乏しく、社会実装に向けては多くのデータを収集し、技術的な知見を集め、評価の仕組みを構築する必要性があります。マヨネーズを長く扱ってきた両社の知見を組み合わせることでこの難題を解決し、水平リサイクルを社会実装するために必要な技術を確立していきます。 全社に係わる研究開発費は、9,562百万円です。
FY2024|12,677 文字
6【研究開発活動】 当社グループは2030年に向け、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」企業になることを目指します。ここでアミノサイエンス®とは、創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービスを総称したものであり、また、それらを社会課題の解決やWell-beingの貢献につなげる、当社グループ独自の科学的アプローチであり、他企業が容易には真似できない当社グループの競争優位の源泉のひとつとなります。2030年に向け、フードシステムで繋がる健康栄養課題の解決と環境への貢献をセットで取り組み、「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカムを実現していきます。また、当社グループの成長戦略では、中長期の成長が期待される市場において、当社グループならではの強みであるアミノサイエンス®を活かし、持続的に社会価値を提供できる、4つの成長領域(ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーン)にフォーカスし、既存事業の確実な成長と、事業モデル変革(BMX)による成長ドライブにより、2030年に向けて飛躍的な成長を目指します。 当連結会計年度における当社グループの研究開発費は28,766百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,100件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1) 調味料・食品セグメント 味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。 また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。 <調味料(日本)> 2023年度の調味料事業商品は、本格中華のご飯ものメニューが手軽に楽しめるメニュー用調味料として、麻(マー)・辣(ラー)を極め、中華調味料・香辛料等にこだわり絶妙なバランスで配合した、本格麻辣麻婆豆腐の素である「Cook Do®」<極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用>を発売しました。また、肉と野菜の栄養バランスの良いメイン和風おかず用調味料「Cook Do® きょうの大皿®」<豚バラほうれん草用>や<白菜とひき肉の帆立だし塩あんかけ用>を発売し、独自技術(特許出願中)によりフライパンで調理したような「Cook Do®」シリーズ初のレンジ調理用品種「Cook Do®」<レンジでつくる四川式麻婆豆腐用>も発売しました。 フライパンひとつで簡単に具たっぷりのおいしい手作りパスタを楽しめる、日本初のキューブタイプのパスタ用調味料「パスタキューブTM」を発売しました。また、特別感のあるだし素材をたっぷり使った、いつものメニューがちょっと上質に仕上がり、料理が楽しくなるだし調味料「休日だし。TM」<えびだし><きのこだし><ほたて貝柱だし>を発売しました。さらに、「鍋キューブ®」では<鶏だしコク醤油>や<簡単おでん あごだし醤油>を、「スチーミー®」では<鶏ときのこのデミグラス煮込み用>や<鶏と玉ねぎのガーリックオニオン味>を、「Bistro Do®」では<鶏の濃厚チーズクリーム用>を開発し、それぞれラインアップを拡充・発売しました。 人や社会・環境に配慮したエシカル消費が注目される中、アニマルウェルフェア(動物福祉)に対する意識が高まっており、それに対応した製品を選びたいという生活者のニーズも拡大しており、このような背景と多様化する生活者ニーズに対応することを目的に、大自然に囲まれた農場でのびのび育ったにわとりのたまごを使用した「平飼いたまごのマヨネーズ」を発売しました。 <調味料(海外)> 事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。当社グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、メニュー用調味料製品(ペルー「Aji-no-mix®」)では、塩分値を従来製品より下げながらおいしさを向上させる製品を開発しています。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <栄養・加工食品(日本)> 2023年度の栄養・加工食品事業商品として、独自開発のコーンパウダーを新たに採用し、蒸したてのコーンの複雑味のあるコクと風味を強化し、さらに独自開発の乳原料によりミルクのコク・うま味の強化を実現した「クノール® カップスープ」<コーンクリーム><つぶたっぷりコーンクリーム>をリニューアルしました。また、「クノール® カップスープ」ブランドから14年ぶりとなる野菜素材の新品種として、味わいの異なる3種の豆(白いんげん豆・ひよこ豆・大豆)の豆本来の甘さと複雑味のあるコク・風味が楽しめる「クノール® カップスープ」<豆のポタージュ>を発売しました。また、袋のまま電子レンジで温めるだけで、豆と野菜を上質なスープでおいしく食べられ、カラダにとって重要なたんぱく質や食物繊維等の栄養が摂れる、具だくさんレトルトスープ「クノール® ポタージュで食べる豆と野菜」<クラムチャウダー>も発売しました。 Z世代向けカップお粥「粥粥好日®」を本格的に販売開始しました。本開発にあたっては、Z世代の食へのインサイト・不満に着目し、SNSのデータからAI予兆分析・コンセプト開発を行い製品化しており、公益社団法人日本マーケティング協会が開催する「第15回日本マーケティング大賞」の「準グランプリ」を受賞しています。また、女性にとって不足が気になる鉄などが含まれる、日本初の女性のための完全栄養食(1食で必要な栄養素がバランスよく摂れる食品)として「One ALL」を発売しました。 <栄養・加工食品(海外)> 加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取組みを進めています。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <コーヒー類> スティックコーヒー市場では、《「ブレンディ®カフェラトリー®」スティック》から、濃厚シリーズ<濃厚ミルクティラテ>、及び、スイーツシリーズ3品種を発売し、《「ブレンディ®」マイボトルスティック》シリーズで6品種を発売しました。また、「ちょっと贅沢な珈琲店®」ブランドから、4つの産地のコーヒーを使用した《「ちょっと贅沢な珈琲店®」EVERBLACK®》を発売しました。機能性表示食品《「ブレンディ®」毎日の腸活コーヒー》シリーズからは、一袋で腸活が実践できるサイズの《「ブレンディ®」毎日の腸活コーヒー》袋80gを販売しました。 <ソリューション&イングリディエンツ> 製品を水に溶かし肉や魚を10分つけ込むだけで、自然な食感とおいしさを保持したまま、しっとり食べやすいやわらかさにする調理料(食感改良剤)である業務用「やわらかしっとり調理料(速効タイプ)」を全国の高齢者施設給食・病院給食を中心としたユーザー向けに発売しました。 調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、7,674百万円です。 (2) 冷凍食品セグメント 味の素冷凍食品㈱研究開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、現地の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。さらに味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上に取り組んでいます。 <冷凍食品(日本)> 生活者のライフスタイルの多様化や喫食シーンの変化に応じて、食卓カテゴリーを中心としたラインアップを展開するとともに、メニュー提案や店頭訴求、体験型イベントの開催等の取組みを通じて、冷凍食品の提供価値向上に取り組んできました。2023年の製品として、「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトの成果として、フライパンへ張りつきにくく、簡単に羽根つきギョーザが焼けるようにした「ギョーザ」と、中具の増量でジューシーさと食べ応えがアップした「レンジでギョーザ」をリニューアルしました。この「冷凍餃子フライパンチャレンジ」はアジア最大級の広告祭「ADFEST 2024」にて最優秀賞を受賞しています。「米粉でつくったギョーザ」は一般社団法人日本子育て支援協会主催の「第4回日本子育て支援大賞2023」を受賞しました。また、Amazon社との共同企画で、Amazon社のプライベートブランドとして、高たんぱくと肉汁がジューシーなおいしさを兼ね備えた「SOLIMO PROTEIN ギョーザ 1kg袋」と、市販用商品「ギョーザ」の大容量(1kg)パック「SOLIMO ギョーザ 1kg袋」を、Amazon社で発売しました。 直火焼豚と卵、白葱といったシンプルな具材と塩・胡椒や醤油をベースとした正統派な味つけで、さらに、独自の減塩技術により塩分を40%カットした「白チャーハン」を発売しました。また、おいしさに妥協することなく、塩分を40%カットした「おいしく塩分配慮ギョーザ」と「おいしく塩分配慮エビピラフ」も発売しました。㈱モスフードサービスが展開するモスバーガー監修で生活協同組合(生協)宅配向け製品として「レンジでテリヤキハンバーグ」を発売しました。また、醤油味をしみこませた若鶏の一枚肉を、備長炭でこんがり焼き上げた「若鶏もも焼き」を発売しました。 味の素冷凍食品㈱は一般財団法人食品産業センター及び公益財団法人食品等流通合理化促進機構が共催する「第45回食品産業優良企業等表彰」のCSR部門及び食品産業部門<経営革新タイプ>の2部門で農林水産大臣賞を受賞しました。CSR部門では、停電、被災時の冷凍ギョーザの活用によるフードロス削減の取組みと、災害時の冷凍食品活用に関する情報発信の取組みが評価され、食品産業部門<経営革新タイプ>では、おいしさと減塩を実現した商品及び、高たんぱくの餃子の開発・発売の取組みが評価されました。また、九州工場でのヒートポンプ導入によるボイラー給水加温の実現やヒートポンプシステム内に熱交換器を入れたことによるメンテナンス簡素化の工夫が評価され、一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターが主催する「第20回ヒートポンプ・蓄熱シンポジウム」の令和5年度「ヒートポンプ・蓄熱システム運転管理等の改善事例」部門にて優秀賞を受賞しました。冷凍米飯専用工場である千葉工場では新しく導入された低炭素型炊飯ラインの本格稼働を開始しました。この低炭素型炊飯ラインはきめ細やかな炊飯管理が可能であるとともにエネルギー効率が従来比で約2倍となり、CO2排出量の削減に貢献します。 <冷凍食品(海外)> 北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ後の新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつおいしさを提供していくとともに、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。 冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,796百万円です。 (3) ヘルスケア等セグメント 味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス社(米国、ベルギー)、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社(ロシア)、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。 <医薬用・食品用アミノ酸> 医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社(以下AGX社、現:味の素CELLiST Korea社)をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。2023年6月、AGX社の株式25%をバイオ医薬品企業のGenexine社(韓国)より取得することに合意(当社グループのAGX社の保有株式は100%)、バイオ医薬用培地事業の中核となる開発・製造拠点として独資化することにより、当社グループの培地開発・製造のグローバル体制をさらに強化します。 <バイオファーマサービス(CDMO)> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。 低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX®」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス(CDMO)事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。 さらに、2023年度、米国の遺伝子治療薬CDMOのForge Biologics Holdings, LLC(以下「Forge社」という。)の全持分を約547百万米ドル(785億円)で取得し完全子会社化しました。遺伝子治療領域の中でも、安全性の高い、アデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Virus、以下「AAV」という。)を用いた治療方法は、米国を中心に100件以上の臨床試験が行われるとともに7つの新規医薬品が承認されており、今後の臨床試験数の増加とそれに伴う承認薬の増加によって、遺伝子治療薬CDMO市場の拡大が見込まれています。Forge社は、遺伝子治療薬製造バリューチェーン上の2つの要所であるAAV製造とプラスミドDNAの製造能力を有する遺伝子治療薬CDMOであり、また、高純度・高収率のAAVベクター生産技術を有しています。これにより、多数のバイオテック企業の初期臨床向けにGMP生産を行い、製造実績を確実に積み上げることで、ここ数年で急成長・急拡大を遂げており、今後も継続的に成長する見込みです。本買収により、次世代の事業領域に進出することで付加価値の高い事業モデルへの転換を進め、ヘルスケア領域の成長加速と高収益化を推進します。 <ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、国内外の主要ICT関連企業が設立したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)Global Forumに参画し、未来の高速大容量通信社会の実現を目指し研究開発に取り組んでいます。 <その他>-機能性栄養食品- スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。エネルギーの源となるクエン酸(現行品+1,200mg)と運動時に大切なアミノ酸(現行品+500mg)を増量し、当社独自のおいしさ設計技術®により飲みやすい味とした「アミノバイタル®クエン酸チャージ」<ウォーター>を発売しました。 -健康基盤食品- 腰、膝、筋力のケアを内側から行う機能性表示食品「STRETCH+」®(ストレッチプラス)<腰>、「STRETCH+」®(ストレッチプラス)<膝>、「STRETCH+」®(ストレッチプラス)<筋>の3品種を発売しました。「STRETCH+」®(ストレッチプラス)<腰>は、当社独自の特許配合でセリンとEPAによる腰の違和感を緩和する日本初の機能性表示食品です。「STRETCH+」®(ストレッチプラス)<膝>は、膝の違和感を軽減し、膝関節の動きをサポートするカツオ由来エラスチンペプチドを主成分とした製品です。「STRETCH+」®(ストレッチプラス)<筋>は、運動との併用で日常生活に必要な筋力の維持に役立つHMB(β‐ヒドロキシ‐β‐メチル酪酸)とカルシウムを主成分とした製品です。 -パーソナルケア素材- アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に研究開発を行っています。一般的なコラーゲンの約1,000分の1の分子量で消化・吸収されやすい超低分子コラーゲンを主成分とする、香粧品ブランド「ジーノ」で史上初となる美容ドリンク「ジーノ コラーゲンTM」を発売しました。 -飼料用アミノ酸- 乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。 ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、10,115百万円です。 (4) その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、355百万円です。 (5) 全社 当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。 全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 無形資産への投資も増強していきます。まず技術資産には、おいしさ設計技術®や先端バイオ・ファイン技術に代表されるアミノサイエンス®が挙げられます。今後、より一層顧客に寄り添うためにはデジタルのケイパビリティが欠かせないと考えています。顧客と技術をマッチングさせイノベーションを生み出す人財資産、顧客資産、それらの基盤となる組織資産への投資も増強していきます。 <オープンイノベーション> 当社は、オープンイノベーションを積極的に推進しており、国内外の企業や研究機関等とリンクし、これまでにない新しい価値を創造することを重要と位置付けています。スタートアップとのパートナリング戦略構築や先端イノベーション情報収集をグローバルに推進するため、2024年1月に米国・シリコンバレー(カリフォルニア州パロアルト市)に拠点を新設しました。米国拠点設立は、次世代事業創出を通じた成長戦略の実現に向け、世界の先端イノベーション情報・活動に直接アクセスし、出資・協業・M&Aなどをスピーディに検討・判断するインテリジェンス機能(Search, Access&Partnering)を集中化させたイノベーション戦略チームのグローバル展開の一環となります。 2023年度の主なオープンイノベーションは下記のとおりとなります。 -ヘルスケア領域- 上述のとおり、米国遺伝子治療薬CDMOのForge社を完全子会社化しました。本買収により、次世代の事業領域に進出することで付加価値の高い事業モデルへの転換を進め、ヘルスケア領域の成長加速と高収益化を推進します。 また、2018年から東京工業大学と共同研究を進めており、再生医療素材や抗体(バイオ医薬用)等に応用可能なたんぱく質を高分泌生産する微生物を短期間で取得するスクリーニング法の開発に成功しました。今後、東京工業大学が独自に開発したバイオセンサー技術「Quenchbody(Q-body)」と、当社の先端バイオ技術を組み合わせた手法の研究開発を推進することにより、有用なたんぱく質の高効率生産を図ります。 当社は、摂食に関する困りごとに対応したAI搭載の献立支援サイト「ReTabell」(リタベル)を開設し、「ReTabell」サイト展開の一環として、医療関係者や介助者向けの食と栄養に関するサービスを創出するべく、第一三共㈱と協業基本合意書を締結しました。両社は、当社の「ReTabell」サイトと第一三共㈱の「Healthcare as a Service」を連携させることで、食と栄養のDXを推進します。 -フード&ウェルネス領域- 当社は、まぜご飯の上におかずを詰めた一食完結型の宅配冷凍弁当「あえて、」を開発し、小売業特化型のDXソリューションプロバイダー企業である㈱イングリウッドとの協業により、サブスクリプションサービスによりおいしくて栄養バランスの良い宅配冷凍弁当の提供を開始しました。“食と健康のソリューションサービス”の実現を目指すことで、生活者のWell-being向上に貢献していきます。 また、パーソナライズされた食体験を通じたWell-beingの実現を目指してレシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」の運営やリテールDX支援サービスの提供を行う㈱エブリーに出資をしました。今後、当社グループが保有するおいしさ設計技術®やアミノ酸研究による健康と栄養の知見、生活者の洞察から得られた食のインサイトを生かして展開してきた当社のレシピや献立の提案サービスに、㈱エブリーが持つレシピ動画メディアを通じた生活者接点、食品スーパー向けのデジタルソリューションを組み合わせることで、食と健康・栄養を軸としてパーソナライズされた新たな食体験サービスの構築を進めます。 テクノロジーによる持続可能な食インフラの創造に取り組むスタートアップ企業のTechMagic㈱と資本業務提携に関する契約を締結しました。今回の資本業務提携に基づき、両社はフードテックにおける最先端技術や知見を活用し、フードサービス業界(外食・中食産業)における人手不足解消や生産性を改善する新しいソリューションを共創していきます。 また、デバイス開発やデジタルツインコンピューティング、行動変容などのIOWN関連技術を有する日本電信電話㈱と、当社の食と健康を科学するアミノサイエンス®等を組み合わせた、食習慣や身体の状況を示す種々のデータ活用による、生活者のWell-beingの向上と健康寿命の延伸を実現させる仕組み作りに向け協業すべく、日本電信電話㈱と基本合意書を締結しました。食行動と生活習慣病リスク低減との関連性をパーソナル要因から見える化するための実証を開始し、その後、その関連に基づくレコメンドによる個々人のWell-beingと健康効果を最大化するための実証を進め、本取組みで得られた知見をデジタルツインコンピューティングなどに組み込み、サービスプラットフォームとして社会実装していくことを目指していきます。 その他、東京大学と共同して、東京大学大学院医学系研究科に「人々の健康寿命の延伸とウェルビーイングの実現への貢献」に取り組む東京大学社会連携講座「栄養疫学・行動栄養学講座」を開設しました。今後、当社は東京大学とともに、栄養疫学、行動栄養学に基づく緻密な調査とデータ解析により、生活者が持つ健康への課題・理想を理解し、行動変化へのキーファクターを解明、これを当社の健康ソリューション開発に組み入れ、科学的根拠に基づく独自な課題解決方法を提供し、社会貢献を図っていきます。 -ICT領域- 当社は、世界初の低炭素プリント基板を開発・製造するエレファンテック㈱への出資を行いました。エレファンテック㈱は、プリント基板製造における水・資源・エネルギー・CO2排出を大幅に削減する革新的な技術を開発するスタートアップ企業です。同社への出資をICT領域におけるCVC投資の1号案件として、中長期的な協業機会の検討を進めていきます。また、IT関連のスタートアップ企業向けに投資を行うベンチャーキャピタルのTranslink Capital社(米国)が設立したファンドへ出資を行いました。同社は、米国やアジア諸国に拠点を持ち、スタートアップ企業とアジアの大手事業会社との業務提携支援にも力を入れており、モビリティ・AI・ロボティクス・ヘルスケア・サステナビリティ・半導体などの幅広い分野に対する、事業開発と一体化した独自の投資手法により、スタートアップ企業の発掘や成長支援で高い実績を上げています。 -グリーン領域- 独自のゲノム大規模構築技術を持つ東京工業大学発スタートアップ企業である㈱Logomixと、当社のアミノ酸生産に関する技術や知見との相互作用を通じて、カーボンニュートラルの実現に貢献するサステナブルなアミノ酸製法の共同開発を開始しました。 また、二酸化炭素を栄養源とした微生物たんぱく質「Solein®」を開発し、シンガポールでの販売許可を取得したフィンランドのフードテック企業であるSolar Foods社と、戦略的提携に関する基本合意書を締結しました。Solar Foods社は、同社初となる「Solein®」の生産工場をフィンランドに建設中であり、「Solein®」の商業生産を開始する2024年の工場完工以降、販売許可を取得しているシンガポールでの商品開発及び市場性検証を行います。 プラントベースフードの普及を推進するスタートアップ企業である㈱TWOより、当社ロイシン高配合必須アミノ酸全9種「Amino L40」をミックスした次世代型プラントベースプロテイン「2Protein」を発売しました。サステナブルなのにおいしくてヘルシーな新しい食のカタチ、”with Earth”フードを提唱し、プラントベース with ニュートリションの価値提供を強化していきます。 <DX関連> 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」に選定されました。経済産業省と東京証券取引所は、2015年より、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を「攻めのIT経営銘柄」として選定しており、2020年からは、デジタルでビジネスモデルを変革し新たな成長・競争力強化につなぐDXに取り組む企業を「DX銘柄」として選定しています。2023年度は32社が選ばれ、当社は2022年度に続き2年連続の選定となりました。 <サステナビリティ> フードロス削減に関して、当社は、”\日本全国ご当地対抗!フードロス削減/「捨てたもんじゃない!TM」グルメグランプリ”において、全国47都道府県の自治体と連携し、ご当地食材を無駄なく活用する47レシピを開発しました。「食べてみたい」「応援したい」などを基準にした一般投票を募集し、全体で252,634票のうち72,022票を獲得した岩手の「わかめナムルおにぎり」がグランプリ(1位)となりました。フードロス削減につながるレシピの認知を高め、家庭で実践いただくことを目指す活動となります。 また、当社は国際的な環境非営利団体であるCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)より、2023年度の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは、当社の気候変動に関する開示の包括性や先駆的な取組みなどが評価されたもので、当社のAリストへの選定は4年連続となります。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や大手購買企業の要請に基づき、企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取組みの促進と情報開示を求める活動を行う非営利団体です。同団体は、世界の主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価しており、2023年には、136兆米ドル以上の資産を持つ740社以上の署名金融機関がCDPのプラットフォームを通じて環境への影響、リスク、機会に関するデータの開示を要請し、過去最多の約23,000社の企業がこれに応じました。今年度、気候変動に関する取組みと情報開示において最も優れた企業を選定する「気候変動Aリスト」に、対象となった約21,000社の企業より346社(うち日本企業109社)が選定されています。 当社東海事業所では、2022年度のすべての購入電力の非化石証書を調達することで、同事業所における100%再生可能エネルギーへの切り替えが完了しました。今回の取組みにより、同事業所の年間購入電力量約25,000,000kWhがすべて再生可能エネルギーとなり、年間約10,000t相当の温室効果ガス削減効果を見込みます。また、当社九州事業所でも佐賀市の「グリーン電力証書」購入に合わせて、2023年度より当社九州事業所の購入電力量の全てを非化石化する取組みを開始しています。さらに佐賀市とは実質的な温室効果ガス排出量(スコープ1)削減にも取り組んでおり、当社九州事業所の廃水処理設備由来の液状バイオマスを、佐賀市下水浄化センターでのバイオマス発電資源として活用する事業を2023年度より開始しています。 当社は、2030年度に温室効果ガス排出量(スコープ1・2の合計)を2018年度比で50%削減することに取り組んでいます。さらに2050年度までに温室効果ガス排出量を正味ゼロ(ネットゼロ)とするカーボンニュートラルを目標として設定しています。 全社に係わる研究開発費は、8,823百万円です。
FY2023|10,514 文字
6【研究開発活動】 味の素グループは2030年に向け、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する企業になることを目指します。ここでアミノサイエンス®とは、創業以来、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービスを総称したものであり、また、それらを社会課題の解決やWell-beingの貢献につなげる、味の素グループ独自の科学的アプローチであり、他企業が容易には真似できない味の素グループの競争優位の源泉のひとつとなります。2030年に向け、フードシステムで繋がる健康栄養課題の解決と環境への貢献をセットで取り組み、「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカムを実現していきます。また、味の素グループの成長戦略では、中長期の成長が期待される市場において、味の素グループならではの強みであるアミノサイエンス®を活かし、持続的に社会価値を提供できる、4つの成長領域(ヘルスケア、フード&ウェルネス、ICT、グリーン)にフォーカスし、既存事業の確実な成長と、事業モデル変革(BMX)による成長ドライブにより、2030年に向けて飛躍的な成長を目指します。 当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は25,867百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1) 調味料・食品セグメント 味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。 また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。 <調味料(日本)> 2022年度の調味料事業商品は、本格中華のご飯ものメニューが手軽に楽しめるメニュー用調味料等、生活者の嗜好に合うおいしさや健康課題に応える新製品を開発・発売しました。肉や野菜などの素材と炒め合わせてソースを加え、ご飯にのせるだけで、ご家庭で簡単に本格中華のご飯ものメニューが楽しめる、これまでにない中華合わせ調味料「Cook Do®今夜は中華飯」を発売しました。また、子どもから大人まで一緒に楽しめる味わいの「Cook Do®」<甘口麻婆茄子用>を発売しました。「スチーミー®」では<鶏のうま煮用>や<鶏手羽バーベキュー味>を、「Bistro Do®」では<鶏のガーリックトマト用>を、「Cook Do® きょうの大皿®」では<鶏ももなす用>を開発し、ラインアップを拡充・発売しました。「丸鶏がらスープTM」では、当社独自技術を活用することで、じっくり煮出した丸鶏の香り・風味を強化し、更においしくなりました。「ほんだし®」、「味の素KKコンソメ」等で、内袋(小袋・スティック)は紙製容器包装になりました。個装(ピロー袋)はモノマテリアル化によりリサイクル可能なプラスチック包装になり、軽量化も実現しています。これらのリニューアルにより、プラスチック使用量を削減します(今回の改定により年間29tの削減見込)。 <調味料(海外)> 事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。味の素グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、メニュー用調味料製品(ペルー「Aji-no-mix®」)では、塩分値を従来製品より下げながらおいしさを向上させる製品を開発しています。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <栄養・加工食品(日本)> 2022年度の栄養・加工食品事業商品は、個食・即食・簡便ニーズに加え、ライフスタイルの変化に対応した新製品を開発・発売しました。スープ市場においては、スナックスープの中でも、“おいしさ”に加えて“カフェで食べるようなおしゃれなメニューが楽しめて、これ一品でおなかが満たされる”「クノール®スープDELI®」は、リニューアル及び<サーモンとほうれん草のクリームスープパスタ>(3食入袋)、<男爵いもの濃厚ポタージュ パン入り>(容器入)の新品種を発売しました。また、体調不良時のみならず、毎日の食事にも適した鶏むね肉入りでかつおだしの味わいが豊かな、「味の素KKおかゆ」<鶏がゆ>を発売しました。Z世代をターゲットとした、レンジであたためるだけで健康的で本格的な世界の味が楽しめる新感覚カップお粥「粥粥好日(カユカユコウジツ)」をECサイト及び渋谷スクランブルスクエアにて期間限定で販売しました。「本格的なおいしさ」と「食物繊維の充足」双方のニーズを満たす製品として、「クノール®」ブランパンポタージュを新たに開発し、新たなD2Cサイト「GOOOD GOOOD TABLE(グーグーテーブル)」において「クノール®」ブランパンポタージュ<海老のビスク><4種のチーズ>を発売しました。更に、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」を開発・発売しました。 <栄養・加工食品(海外)> 加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取り組みを進めています。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <コーヒー類> スティックコーヒー市場では、リモートワークの浸透をはじめとした在宅時間の増加を背景に、従来缶コーヒーやペットボトルコーヒーを購入していた男性の購入者比率が拡大しています。《「ブレンディ®」スティック》シリーズから初めてのノンカフェインティーオレ《「ブレンディ®」スティック ルイボスティーオレ》を発売しました。また、《「ブレンディ®カフェラトリー®」スティック》の“濃厚シリーズ”から<和栗カフェラテ><抹茶あずきラテ><ほうじ茶きなこラテ>の3品種及び“ザ・シリーズ”から<ザ・ロイヤルミルクティー><ザ・抹茶ラテ>の2品種を発売しました。また、「ちょっと贅沢な珈琲店®」ブランドから新たなシリーズとして《「ちょっと贅沢な珈琲店®」スティック カフェラテ》を発売しました。機能性表示食品《「ブレンディ®」毎日の腸活コーヒー》シリーズからスティックタイプの《「ブレンディ®」 スティックブラック 毎日の腸活コーヒー》を発売しました。 <ソリューション&イングリディエンツ> 十勝産きたあかりの甘味とホクホク感を活かした手作り品質のロングライフサラダ業務用「十勝ポテトサラダ」<きたあかり>を発売しました。 <甘味料> 植物由来原料に関心の高い生活者のウォンツにも応えるため、植物由来の原料のみを使用した、カロリー50%カットの甘味料「パルスイート®植物由来」を発売しました。「パルスイート®植物由来」の主な甘味原料には、南米原産のキク科の多年草から抽出したステビアを採用しました。また、パッケージ(個装)には、プラスチック廃棄物削減の観点から紙包材を採用しました。 調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、6,802百万円です。 (2) 冷凍食品セグメント 味の素冷凍食品㈱研究開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、現地の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。更に味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上や、シェフ/パティシエの技の工業化に取り組んでいます。 <冷凍食品(日本)> 生活者のライフスタイルの多様化や喫食シーンの変化に応じて、食卓カテゴリーを中心としたラインアップを展開するとともに、メニュー提案や店頭訴求、体験型イベントの開催等の取り組みを通じて、冷凍食品の提供価値向上に取り組んできました。2022年新製品として、食卓のメイン料理として楽しめる、素材と味わいにこだわった「黒豚大餃子」と「海老大餃子」を発売しました。また、食卓のプラス1品に最適な、豚肉と大ぶりの海老がゴロッと入った「海老肉焼売」を発売しました。家飲みを手軽に楽しめるおつまみの冷凍焼売「おつまみ焼売」、「しびれ麻辣焼売」、「濃厚チーズ焼売」を発売しました。「適正糖質」シリーズアイスケーキ3品種(チーズ風味・抹茶・チョコレート風味)を公式オンラインストアにて発売しました。また、フライパンで焼くだけで、ふっくらジューシーな手作りハンバーグが出来上がる「私が仕上げるハンバーグ デミグラスソース」を発売しました。 味の素冷凍食品㈱では2001年から20年の歳月をかけて実現した「国内全工場の大型フリーザーの脱フロン化・省エネ化」の取り組みにおいて日刊工業新聞社主催「第25回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」の環境大臣賞を受賞しました。また、一般財団法人食品産業センター及び公益財団法人食品等流通合理化促進機構が共催する「第44回食品産業優良企業等表彰」の環境部門<容器包装リサイクル推進タイプ>にて、農林水産大臣賞を受賞しました。「地鶏釜めし」の紙を一部使用した袋パッケージの技術開発をはじめとしたプラスチック削減など、環境負荷低減に取り組む企業として評価されました。 <冷凍食品(海外)> 北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ禍における新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。 今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつおいしさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。 冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,424百万円です。 (3) ヘルスケア等セグメント 味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。 <医薬用・食品用アミノ酸> 医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。 味の素ジェネクシン社を通じて、JSR社が開発した新しい高性能培地を当社の培地製品ラインアップに加え、バイオ医薬用培地事業のグローバル展開においてJSR社と協業することに合意し、販売を開始しました。 <バイオファーマサービス(CDMO)> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。 低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX®」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス(CDMO)事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。 <ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、国内外の主要ICT関連企業が設立したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network) Global Forumに参画し、未来の高速大容量通信社会の実現を目指し研究開発に取り組んでいます。 <その他>-機能性栄養食品- スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。運動時に大切なアミノ酸(BCAA、グルタミン、アルギニン)が入った、500mlの水に溶かして飲むことで、水分を体内に素早く吸収することができるハイポトニック飲料「アミノバイタル®BCAAチャージ」ウォーターを発売しました。 当社は、長時間の登山を安全に行うための栄養補給として、アミノ酸の摂取を推奨しており、2008年よりガイド協会と共同で、山岳遭難事故対策支援の一環として、全国の山岳ガイドを対象にしたアミノ酸摂取方法等の勉強会や、登山者への「アミノバイタル®」製品提供を実施しています。また2015年には、長野県山岳遭難防止対策協会と「アミノバイタル®」のサプライヤー契約を締結し、同協会への「アミノバイタル®」製品の供給や事故が多発する下山前の摂取を促し山岳パトロール・救助活動の支援を行ってきました。山梨県警察及び山梨県山岳連盟、公益社団法人日本山岳ガイド協会、ヤマレコ社と、同県の安全登山啓発活動に関する連携協定を2022年7月に締結し、当社は、同県を訪れた登山者に対し「アミノバイタル®」製品サンプルセットを提供しました。 -健康基盤食品- 主力製品の「グリナ®」は長らく自社通信販売で販売しておりましたが、よりお客様に手軽にお買い求めいただけるよう2021年度にドラッグストア・コンビニエンスストア向けに発売し、更に2022年度「グリナ®」<スティック3本入箱>を全国にエリアを拡大し販売をしました。また、大腸の善玉菌までアミノ酸を届けることができる「乳酸菌アミノゼリー」を通販サイト限定で発売しました。植物性乳酸菌が1本あたりヨーグルト1L分に相当する100億個含まれ、さらに小腸で吸収されにくく大腸の善玉菌まで届くアミノ酸「ポリグルタミン酸」と糖質「ガラクトオリゴ糖」のダブルの栄養の“届くチカラ”により、健康維持・増進に貢献します。 2023年1月より、日常の中で新しいおいしさに出会うことで、こだわりある充実した食卓を叶える新たなD2Cサイト「GOOOD GOOOD TABLE(グーグーテーブル)」を公開しました。「GOOOD GOOOD TABLE(グーグーテーブル)」にて展開する製品として、「Daily Plus™」<セサミン>及び「Daily Plus™」<大豆イソフラボン>の2品種を発売しました。生活者のデジタル上での情報取得や企業との双方向のコミュニケーションが容易となり、より嗜好に合った選択や体験価値を重視する傾向が強まっています。こうした状況を受け当社D2C事業においても、デジタル戦略を強化し、食に関する体験価値提供とユーザーとの価値共創の実現を目指します。 -アミノインデックス®- 2022年9月、医療従事者向けサイトを大幅リニューアルしました。また、血中の必須アミノ酸濃度と将来のアルツハイマー型認知症発症について、アミノインデックス技術関連の新しい論文がFrontiers in Nutrition誌に掲載されました。 -パーソナルケア素材- アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に研究開発を行っています。環境への負荷が低いマイクロプラスチックビーズ代替原料の工業化に成功し、2022年度に上市しました。顧客ニーズに応えた、サステナビリティに貢献するアミノ酸系香粧品素材の開発を引き続き進めていきます。 -飼料用アミノ酸- 乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。 ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、9,674百万円です。 (4) その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、364百万円です。 (5) 全社 当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。 全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 無形資産への投資も増強していきます。まず技術資産には、おいしさ設計技術®や先端バイオ・ファイン技術に代表されるアミノサイエンス®が挙げられます。今後、より一層顧客に寄り添うためにはデジタルのケイパビリティが欠かせないと考えています。顧客と技術をマッチングさせイノベーションを生み出す人財資産、顧客資産、それらの基盤となる組織資産への投資も増強していきます。 <DX関連> 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」に選定されました。経済産業省と東京証券取引所は、2015年より、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を、「攻めのIT経営銘柄」として選定しており、2020年からは、デジタルでビジネスモデルを変革し、新たな成長・競争力強化につなぐDXに取り組む企業を「DX銘柄」として選定しています。今年度は33社が選定され、当社はこの度初めて選定されました。 <栄養関連> 消費者庁では、消費者志向経営に関する優れた取り組みを行う事業者を表彰することで広く周知啓発し、消費者志向経営の推進を図ることを目的として、2018年度から「消費者志向経営優良事例表彰」を実施しています。当社は、日本の栄養課題改善に向けた「減塩」への取り組みが評価され、「令和4年度消費者志向 経営優良事例表彰」において消費者庁長官表彰を受賞しました。 また、当社は、うま味をきかせた減塩の推進に関する活動の一環として、2022年7月25日(うま味調味料の日)より、Z世代に向けてうま味調味料「味の素®」を活用した『うま味でおいしい減塩』を推進するプロジェクト「LOW SALT CLUB~うま味DE減塩部」を開始しました。お酒を飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指す「スマートドリンキング」を推進するスマドリ㈱は、Z世代に向けて適切なアルコールの楽しみ方と、適正な塩分の食事体験を推進するため、スマドリ㈱が運営する「スマドリバー渋谷(SUMADORI BAR SHIBUYA)」にて、うま味調味料「味の素®」を活用した「ローソルト(減塩)メニュー」の提供を期間限定で開始しました。 <アミノ酸関連> これまで当社では、日本国内でトップアスリートへの強化支援事業「ビクトリープロジェクト®」によって、「アミノバイタル®」製品や「勝ち飯®」(当社が提案する、アスリートの栄養環境を改善するために実施する栄養プログラム)の提供などの“アミノ酸のはたらき”を活用した栄養サポート活動を実施してきました。その知見を活かし、全日本大学ストリートダンス選手権、及び、ミスカレッジダンサー(主催・運営:一般社団法人全日本大学ストリートダンス連盟)に、プラチナスポンサーとして特別協賛することを決定し、若年層に絶大な人気を誇るストリートダンスの支援を通じて、これらZ世代ダンサーの食と健康の課題解決に貢献します。大会名称は「味の素株式会社 presents 全日本大学ストリートダンス選手権」及び「味の素株式会社 presents ミスカレッジダンサー」となります。また、公益社団法人日本ダンススポーツ連盟(Japan DanceSport Federation:略称JDSF)ブレイクダンス本部とパートナー契約を締結しました。パリ2024オリンピックに向けて、新競技となる「ブレイキン(ブレイクダンス)」の選手に対するサポートを開始することとなりました。当社は日本代表及び強化選手への栄養サポート活動を通じて、競技力向上に貢献していきます。また、2022年から、国民の祝日である「スポーツの日」(10月第2月曜日)の前日を、「スポーツアミノ酸の日」として制定し、一般社団法人日本記念日協会に認定されました。 国立長寿医療研究センターとの共同研究成果を活用した認知機能維持サポートアプリ「100年健脳手帳®」で実用化している認知機能キープスコアと将来の認知機能低下との関連性を明らかにしました。これにより、「100年健脳手帳®」による認知機能低下リスク低減の可能性が示されたことになります。なお、研究成果の詳細は2023年1月に行われた第26回日本病態栄養学会年次学術集会において発表されました。 <オープン&リンクイノベーション> 本社と北米に世界の先端イノベーション情報・活動に直接アクセスし、出資・協業・M&Aなどをスピーディに検討・判断するインテリジェンス機能(Search & Partnering)を集中化させたイノベーション戦略チームを組成します。 <サステナビリティ> 国際的な環境非営利団体であるCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)より、2022年度の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは、当社の気候変動に関する開示の包括性や先駆的な取り組みなどが評価されたもので、当社のAリストへの選定は3年連続となります。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や大手購買企業の要請に基づき、企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行う非営利団体です。同団体は、世界の主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価しており、2022年度は世界の時価総額の約半分に相当する18,700社以上の企業がCDPのデータ開示要請に応じました。今年度、気候変動に関する取り組みと情報開示において最も優れた企業を選定する「気候変動Aリスト」に、対象となった約1,700の国内企業より74社が選定されました。 うま味調味料「味の素®」や核酸などを生産するタイの基幹工場(タイ味の素社カンペンペット工場)において、再生可能エネルギーであるもみ殻を燃料とするバイオマスコジェネレーションシステムを導入すべく、2020年8月に着工、2022年9月のオープニングセレモニーより本格稼働を開始しました。工場で使用する全ての蒸気をバイオマス由来の蒸気に置き換え、同時に蒸気タービンで発電を行い、購入電力の一部を自家発電に切り替えることで、CO2排出量削減を推進するとともにエネルギーコストの低減を実現します。 フードロス削減の取り組みをさらに推進していくためのスローガン「TOO GOOD TO WASTE~ 捨てたもんじゃない!~」とロゴを新たに決定しました。味の素グループでは、直接の事業活動(工場での原料受け入れから卸店や小売店などへ商品を納品するまで)だけでなく、フード・サプライチェーン全体でのフードロス削減を目指しています。具体的には、味の素グループの直接の事業活動で発生するフードロスを2025年度に半減(対2018年度)、また味の素グループが関わるフード・サプライチェーン全体で発生するフードロスを2050年度に半減(対2018年度)することを目標として掲げています。 2030年度に温室効果ガス排出量(スコープ1・2の合計)を2018年度比で50%削減することに取り組んでいます。さらに、2050年度までに温室効果ガス排出量を正味ゼロ(ネットゼロ)とするカーボンニュートラルを目標として設定しています。 全社に係わる研究開発費は、7,601百万円です。
FY2022|14,642 文字
5【研究開発活動】 味の素グループは食と健康の課題解決企業となることを目指します。研究開発に関しては、”Agile R&D”への変革に向け、2019年からバイオ・ファイン研究所、食品研究所、情報企画部(現DX推進部)などへ役割・機能毎に再編して推進しています。また2021年4月に連結子会社である味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱と連携した、グループ3社の食品に関わる国内R&D拠点を集約しました。事業に紐づくR&D体制のもと、基礎研究から製品開発、工業化までを一気通貫とし、当社グループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と事業の構造強化に貢献し、持続的な成長を目指しています。特に2030年や2050年の未来に向けた地球環境のためのグリーンイノベーションにおいては、将来の天然資源の減少に対する研究開発を精力的に進めています。また、人の生活のためのフード&ウェルネスイノベーション、ヘルスケアイノベーション、社会システム改善のためのICTイノベーション、テクノロジーの基盤構築なども次世代のコアとして各事業の発展に取り組んでいます。 当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は24,842百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1) 調味料・食品セグメント 味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、味の素冷凍食品㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、製品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、「おいしさ」、「食へのアクセス(あらゆる人に栄養を届ける)」、「地域や個人の食生活」の3つを妥協しない基本姿勢とし、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。 調味料、栄養・加工食品<調味料(日本)> 2021年度の調味料事業商品は、家庭の味を支える風味調味料、スマートな調理をサポートするメニュー用調味料等、生活者の嗜好に合うおいしさや健康課題に応える新製品を開発・発売しました。 洋風合わせ調味料においては、お店で食べるようなメニューを、肉や野菜と炒めるだけで簡単につくれるソース「Bistro Do®」<鶏のポルチーニクリーム煮込み用>、<豚のバルサミコソース炒め煮用>を開発・発売しました。また、お肉をやわらかく仕上げる技術の入ったソースと圧力スチーム調理パウチで、簡単かつ短時間で肉メニューが楽しめる「スチーミー®」に<スペアリブ用>を、「鍋キューブ® おでん本舗®」では少量の食材と組み合わせるだけで、本格的な美味しいおでんが1人前から簡単に楽しめる<あごだし醤油>を、「Cook Do® きょうの大皿®」では<うま塩海老ブロッコリー用>を開発し、ラインアップを拡充・発売しました。 <調味料(海外)> 事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、統計解析技術を活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有する製品への需要も増加しています。味の素グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、メニュー用調味料製品(ペルー「Aji-no-mix®」)では、塩分値を従来製品より下げながらおいしさを向上させる製品を開発しました。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <栄養・加工食品(日本)> 2021年度の栄養・加工食品事業商品は、個食・即食・簡便ニーズに加え、ライフスタイルの変化に対応した新製品を開発・発売しました。スープ市場においては、牛乳を入れて混ぜるだけで簡単に作れる「クノール® カップスープ」<牛乳でつくるコーンポタージュ>、<牛乳でつくるじゃがいものポタージュ>、<牛乳でつくるえだ豆のポタージュ>、<牛乳でつくる栗かぼちゃのポタージュ>、野菜の栄養とおいしさが溶け込んだ濃厚スープにチーズを練りこんだサクサク食感の自家製パンが入った容器入りスープ「クノール® スープDELI®」<北海道とうもろこしの濃厚ポタージュ パン入り>、<完熟栗かぼちゃの濃厚ポタージュ パン入り>、<ほうれん草とえだ豆の濃厚ポタージュ パン入り>を発売しました。さらに、袋のまま電子レンジで温めるだけで、豆や野菜の栄養が摂れて身体に優しく、食べ応えのあるスープが楽しめるストレートタイプスープ「クノール®」ポタージュで食べる豆と野菜<北海道コーン 豆乳仕立て>を、また、「クノール® スープグランデ®」では、<海老のビスク>を開発し、ラインアップ拡充を行いました。更に、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」<ごぼうとお麩>を開発し、自社通販及びECチャネルを中心に販売しました。 <栄養・加工食品(海外)> 加工食品では、事業を展開する各ローカル市場の慣習や食の嗜好、資源、原料、ステークホルダーを尊重し、アミノ酸のはたらきを活かして、おいしく減塩したり、たんぱく質等の栄養素を摂取したりできる製品を提供し、子供から大人まで、食とライフスタイルに起因する健康課題の解決に向けた取り組みを進めています。 ブラジルでは「VONO®」Low sodium、トルコでは「Bizim Mutfak®」Salt reduced (25%) Classic Soup、ペルーでは「Aji-no-men®」Tallarin焼きそばタイプ減塩改訂といった減塩製品を発売しました。また、タイでは「Birdy®」Latte 微糖レシピへの改訂やBarista Espresso、Robustaのレシピ変更による”Healthier Choice Logo”付与、「Yum Yum®」Sood Ded Seafood Pad-char”Healthier Choice Logo”付与を発売しました。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化し、現地の生活者の嗜好に合うおいしさや栄養改善に貢献していきます。 <コーヒー類> コーヒーのありとあらゆる可能性を“挽き出す”コンセプトのもと、生活者に寄り添った製品開発を進めました。インスタントコーヒーでは、コーヒー豆由来の成分により、おいしさはそのままに、日々の健康を支える機能性表示食品として「ブレンディ® 毎日の腸活コーヒー」を発売しました。「ブレンディ®」スティックでは、栄養機能食品として健康価値を付加した<牛乳で飲むPlus>シリーズの導入とともに、「ブレンディ® カフェラトリー®」シリーズの泡立ちを強化し、“泡がうれしいご褒美カフェメニュー”としての価値向上に向けた製品改訂をおこないました。レギュラーコーヒーでは、豆の香りを引き出す焙煎技術を活かし、エリアごとの嗜好や特性に寄り添った開発を進め、北海道及び関西エリア向け商品を新たにラインアップしました。 「ブレンディ®」ザリットルや「ブレンディ®」<ナチューム>に使われているスティック包材については、昨年より一部紙素材を活用してきましたが、更に紙の割合を高めることに成功し、これによって容器包装リサイクルマークをプラマークから紙マークへ変更でき、さらにプラスチック量を40%減、年間2tの削減を達成しました。 <ソリューション&イングリディエンツ> 業務用については、「食と健康の課題解決企業」を目指して、減塩の取組みを加速させるべく、「お塩控えめの ほんだし®」、「丸鶏がらスープ」塩分ひかえめ、「味の素KKコンソメ」塩分ひかえめの3品をそれぞれ500gジッパー付き袋にて新発売いたしました。 また、外食や給食での献立メニュー拡大に貢献するべく、メニュー用調味料「Cook Do®」麻婆豆腐用500mLを1品追加いたしました。 工場系ユーザー向けでは、需要家が抱える畜肉や大豆たんぱくの異風味への対応として、「風味クリアアップ調味料(肉・豆用)」を新発売いたしました。 さらに、プラスチック廃棄削減取組の一環として、リサイクル率向上を目的に、業務用ドレッシングに分別可能キャップを導入したことに加え、「ほんだし®」類の包材のプラスチック使用量削減等を行いました。 2020年より海外拠点間に跨がる開発体制を構築し、環境負荷低減の取組みやプロセス改良による生産性の向上、更にはグローバルサプライチェーン適正化を継続しています。今後もグローバルな連携を加速し、味の素グループ一丸となって、うま味事業を通じた社会価値と経済価値の共創に貢献していきます。 <ベーカリー類> ベーカリーでは、生活者の健康志向に合わせた商品開発として、「味の素㈱独自開発酵素」と「難消化性デンプン」を配合した、適度な低糖質でありパンらしい食感を維持した冷凍生地を開発し、コンビニエンス市場に導入、また、ファストフード市場においては、棒状クッキー生地にフィリングを包餡したこれまでの市場には無かった商品を開発し好評を得ました。 更には、野菜ペーストを直接生地に練りこんだクロワッサン冷凍生地を開発し、ドラッグストア業態への販路拡大を果たしました。今後も独自技術の開発を通じて、新たな価値の創造と新規顧客獲得・拡大に向けて積極的に取り組んでいきます。 <甘味料> 新型コロナに由来する健康意識の高まりと、砂糖の過剰摂取による健康課題が引き続き多くの国で注目される中、高甘味度甘味料市場はグローバルで伸張を継続しています。 当社は、加工用事業において、20年度にアメリカで上市したステビア甘味料の顧客提案を継続すると共に、当社のおいしさ設計技術を組み合わせた付加価値型製品の早期発売に向けた準備も進めています。 日本国内のコンシューマー事業においては、伸張する液体品種の新製品として「パルスイート® 液体タイプ」を21年秋に発売。また22年春には「パルスイート® スリムアップシュガー®」スティック20本入りの外袋をプラスチックから紙に変更。今後も健康と環境への更なる貢献を推進します。 調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、6,385百万円です。 (2) 冷凍食品セグメント 味の素冷凍食品㈱研究・開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、各国の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。更に味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上に取り組んでいます。 <冷凍食品(日本)> リテール製品では、外食店品質を実現した、「ザ★®」シリーズ第四弾の「ザ★® ハンバーグ」、鹿児島産黒豚を使用し、もっちり厚皮でプレミアムな「黒豚大餃子」、ビールと相性抜群な「黒胡椒にんにく餃子」等を開発・発売しました。健康価値の分野では減塩タイプの「エビピラフ」を拡充し、また3大アレルゲン「小麦・卵・乳」不使用の「米粉でつくったギョーザ」は、焼き目がより綺麗につくように開発・リニューアルしました。また、「地鶏釜めし」は日本の冷凍食品業界では初となる、一部紙を使用した袋パッケージを開発・リニューアルしました。 フードサービス製品では、専用調理器具を使用して電子レンジ調理をするだけで、パリっとした焼き目に仕上がる「レンジで焼き目パリっと餃子」、電子レンジ調理でロスなく提供可能で、お店だけなくテイクアウトやデリバリーでも使用できる「レンジでロスなし濃厚ショコラテリーヌ」等を開発・発売しました。 <冷凍食品(海外)> 北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ禍における新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。 北米では需要の旺盛な餃子、米飯、高付加価値メキシカンの増産を行い、供給体制を整えた上で二桁成長を実現しました。また、付加価値の高い電子レンジ対応餃子を開発・発売し、麺カテゴリーでも減塩に取組みました。欧州では、テイクアウト向けの焼き済み餃子が浸透し、店内飲食需要も回復しました。また、リテール向けのアジアンラインアップを拡大しました。さらにアジアでは、タイで羽根つき餃子を開発・発売しました。 今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつ美味しさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。 冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,234百万円です。 (3) ヘルスケア等セグメント 味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。 バイオの分野では、先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸・培地・香粧品素材等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の研究により7種必須アミノ酸「Amino LP7」が認知機能の一部をサポートすることや、6種アミノ酸ミックスが関節の違和感や腱の状態を改善することなどの知見を得て、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。 さらに、世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、電子材料、動物栄養などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。 <医薬用・食品用アミノ酸> 医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。 再生医療用培地では、iPS/ES細胞の汎用培地として「StemFit® Basic04」を、米国・欧州・中国・韓国他、海外向け製品として2019年5月より発売し、順調に拡大しています。また2019年11月には、間葉系幹細胞用培地「StemFit® For Mesenchymal Stem Cell」、分化誘導用サプリメント「StemFit® For Differentiation」の販売を開始しました。今後、再生医療に求められる、高性能かつ動物・ヒト由来原料不含の安全性の高い培地の製造・開発を推進していきます。 <バイオファーマサービス> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。 低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。次世代ADC創出・製造技術(「AJICAP」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、製薬企業と新規ADCの創出・開発・製造を支援する事業「AJICAP®」を推進しています。 <ファンクショナルマテリアルズ> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、国内外の主要ICT関連企業が設立したIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) Global Forumに参画し、未来の高速大容量通信社会の実現を目指し研究開発に取り組んでいます。 <その他>-機能性栄養食品- スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。こうした活動を通じて、トップアスリートの栄養課題を解決するために開発した「アミノバイタル®」<東京2020日本代表選手団SPECIAL>2品種(非売品)をはじめとして、「アミノバイタル® GOLD」、「アミノバイタル® PRO」等のアミノ酸ベース顆粒製品を東京2020オリンピック・パラリンピック日本代表選手団に提供し、多くの選手のコンディショニングを支援しました。また、提供品の一つである「アミノバイタル® 東京2020日本代表選手団SPECIAL CONNECT(コネクト)」(非売品)については、「アミノバイタル® CONNECT(コネクト)」として、2021年10月8日より限定販売を開始しました。 さらに、スポーツに取り組む多くの人々に向けて、「アミノバイタル®」に配合するアミノ酸の有用性に関する科学情報を届けるために、『アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ』を2020年10月に開設し、本オウンドメディアを通じて、分かり易い科学情報の継続的な提供を実践してきています。今後も社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。 スポーツ実施層の悩み解決によるユーザー拡大に向け、2022年3月に①高度運動実施層の運動時の水分補給に「アミノバイタル® BCAAチャージ」ウォーター、②コロナ禍で急増する軽運動層の需要開拓に向け「アミノバイタル®」レギュラーゼリー全面改訂、③女性向けのプロテイン製品「アミノバイタル® アミノプロテイン」 の発売を行いました。 持続可能なサプライチェーン実現に向けて、トラックドライバーの人材不足にも対応するため、ゼリー全製品の外箱サイズを変更いたしました。この取り組みにより、パレットあたりの積載率が向上しただけでなく、従来のパレット1段から2段積みに変更することでトラック輸送効率が大幅に向上し、従来比で物流負荷が約40%削減できる見込みです。 -健康基盤食品- 2021年度は機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を5月に新発売しました。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円あり、今後の高齢化の進展によりさらに拡大していくことが見込まれております。 また、主力製品の「グリナ®」は長らく自社通信販売で販売しておりましたが、よりお客様に手軽にお買い求めいただけるよう3本入の店頭用品種をドラッグストア・コンビニエンスストア向けに発売しました。今後、全国に向けて販売エリアを拡大いたします。 今後も当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上に向けて取り組んでいきます。 -アミノインデックス®- 「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、三大疾病(がん、脳卒中、心疾患)や認知機能低下等のリスクを一度に評価する当社独自の技術です。2021年4月に、生活改善サポートアプリ「aminoステップ®」を上市し、AIRS®結果の登録や、ウォークラリーや簡単食事ログなど、日々の健康管理に役立つ機能やソリューションを提供しています。また、弘前大学COIに参画し、「岩木健康増進プロジェクト」のデータを活用して、血液中のアミノ酸濃度と栄養状態との関連について解析を進めています。今後もアカデミアと協働でAIRS®のエビデンスを強化するとともに、社内外のサービスや商品と連携し、新たなソリューション提案の実現を目指します。 -パーソナルケア素材- アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に研究開発を行っています。2021年度は、味の素グループのバイオ・ファイン技術を活用し、メークアップ化粧品用に開発したアミノ酸系湿潤剤の新製品を上市しました。また、環境への負荷が低いマイクロプラスチックビーズ代替原料の工業化に成功し、2022年度上期に上市します。顧客ニーズに応えた、サステナビリティに貢献するアミノ酸系香粧品素材の開発を引き続き進めていきます。 -飼料用アミノ酸- 乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。 ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、8,400百万円です。 (4) その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、331百万円です。 (5) 全社 当社が想定する2030~50年の未来図からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。 全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 <食品研究開発拠点> 食品・栄養領域では、味の素グループ、日本食品のR&D拠点集約の考えのもと、4月に味の素㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱の3社の研究拠点を川崎に集約しました。これによりグループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と食品事業の構造強化を図ります。 <栄養関連> 栄養関連においては、当社の取り組みについて東京栄養サミットへの参加を通じての発信や政府関連の賞の受賞等がありました。 日本政府が主催した東京栄養サミット2021を契機に、栄養改善の具体的な目標である「栄養コミットメント」を発表し、2021年10月26日にコミットメント登録サイト(Global Nutrition Report)に登録しました。当社は「食と健康の課題解決企業」を目指し、2020-2025中期経営計画において2030年のアウトカムとして掲げている「10億人の健康寿命延伸」に向けての道筋として、この「栄養コミットメント」を策定しました。具体的目標を、サミットを通じて国内外に発表することで、社会に向けてその実現を固くお約束しております。また、東京栄養サミット2021の公式サイドイベントとして、2021年11月30日にオンラインフォーラム「学校給食と子ども達の未来~官民連携で実現する、サステナブルで健康的な食習慣づくり」をRoyal DSM社と共同開催しました。 厚生労働省(スマート・ライフ・プロジェクト)・スポーツ庁主催の第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においては厚生労働大臣最優秀賞を受賞しました。スマート・ライフ・プロジェクトとは、厚生労働省が行っている、国民の健康づくりをサポートするプロジェクトです。「健康寿命をのばそう!アワード」は、スマート・ライフ・プロジェクトに参加している団体の中から、生活習慣病予防分野、介護予防・高齢者生活支援分野、母子保健分野において、特に優秀な取り組み事例を表彰するイベントで、当社の取り組みである、「ラブベジ®」プロジェクトが第10回「健康寿命をのばそう!アワード」《生活習慣病予防分野》においての表彰でした。 栄養価値を科学的に評価する手法として、世界初となる日本の食文化・健康課題をふまえたメニュー用栄養プロファイリングシステムANPS-M(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Menu)を開発し、第80回日本公衆衛生学会総会において、詳細を発表しました。栄養改善のための関心が世界的に高まる中、グローバル食品企業では、製品に含まれる栄養成分の量を科学的な根拠に基づいて評価し、その食品の栄養面での品質をわかりやすく表現する手法としてNutrient Profiling System(栄養プロファイリングシステム、以下NPS)の開発・導入が進んでおり、味の素グループにおいても、2020年にANPS-P(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System for Product)の運用を開始しています。これによって当社グループ製品の栄養価値を共通の基準で評価し、栄養面の課題を把握することが可能になり、製品の改訂や栄養価値の高い製品開発に活用することができます(2021年11月末時点での評価対象は7カ国9法人の製品約500品種)。 <アミノ酸関連> アミノ酸の利用についても新製品につながる研究開発を推進し、様々な場面に社外発表等を行いました。 最新のスポーツ栄養科学研究を通じて、当社独自の配合によるアミノ酸素材である「関節・腱コンディショニング向け6種アミノ酸ミックス」が、関節の違和感や運動機能及び腱の状態を改善することを明らかにしました。本研究の成果は、「第76回日本体力医学会大会」及び「第68回米国スポーツ医学会」において発表しました。当社は2003年よりオリンピック日本代表選手及びその候補選手を対象とした、国際競技力向上及びメダル獲得数増のための「食とアミノ酸」によるコンディショニングサポート活動を行ってきました。その活動の一環として、日本代表選手団専用に独自配合のアミノ酸素材開発に取り組む中で、関節・腱の状態改善をもたらす6種アミノ酸ミックスを見出し、関節に違和感を自覚している方を対象とした研究及び腱に違和感のある方を対象とした研究をそれぞれ実施し、6種アミノ酸ミックスの及ぼす影響を検証しました。 機能性表示食品「脳活セブンアミノ®」を2021年5月25日より新発売。本製品に含まれる7種必須アミノ酸の働きにより、加齢とともに低下する認知機能の一部である注意力と認知的柔軟性を維持し、前向きな気持ちをサポートします。日本では、超高齢社会を迎え、加齢に伴う認知機能の低下が大きな社会問題となっています。認知機能を維持・向上させることは生活の質の維持・向上に役立つとともに、医療や介護といった社会全体の負荷軽減の観点からも重要です。認知機能サポートサプリメントの国内市場規模は約170億円で、今後さらなる高齢化の進展により、市場規模がさらに拡大することが見込まれます。また、「脳活セブンアミノ®」をご購入いただいたお客様に、社内外の企業と協業して作成した製品と情報・サービスを含めた“脳活プログラム”を提供しています。 認知機能に関しての活動としては、国立長寿医療研究センターとの共同研究の成果に日本人の食事摂取基準、各種論文等の情報を応用し、認知機能の維持に役立つ情報を提供するスマートフォン用アプリ「100年健脳手帳®」を開発、公開しました。「100年健脳手帳®」は、ユーザーの食事、運動、睡眠データを分析し、その内容に応じてカスタマイズされた、認知機能を維持するために役立つ生活習慣のアドバイスやレシピ提案を行うアプリです。脳内の変化は認知機能の低下が臨床的に認められる数十年前から始まっていることが報告されているため、コアターゲットを45歳~64歳としています。当社は本アプリ「100年健脳手帳®」を通じて、手帳のように日々の生活に寄り添いながら、食事、運動、睡眠の生活習慣の改善につながるアドバイスを行い、ユーザーの認知機能維持を長期にわたってサポートしたいと考えています。 当社の「アミノインデックス® リスクスクリーニング(AIRS®)」については、2021年6月に太陽生命保険㈱から発売された「ガン・重大疾病予防保険」等の保険加入者が利用できる疾病予防サービスに採用されました。この発売を機に、当社は保険加入者へのAIRS®に関する情報提供の機会増大を生かした新規顧客層開拓による事業拡大、及び太陽生命社との共同研究を加速させ、AIRS®の精度や付加価値向上を図ります。太陽生命社の「ガン・重大疾病予防保険」は、一定条件下で加入後定期的に重大疾病予防をはじめとしたさまざまな用途に活用できる「予防給付金」を受け取ることができる商品です。今回、同商品を通じて保険者のがん・重大疾病予防のための行動を後押ししていきます。 <オープン&リンクイノベーション> 2020年12月に「食と健康の課題解決企業」実現に向けた新事業モデル創出を達成するために、イノベーション探索、エコシステムの構築・強化、企業文化変革の牽引を実行するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の活動を開始し、当社グループの新たな価値・事業の共創に取り組んでいます。 2022年1月には、CVCの案件として食と健康に関する事業領域でデジタルサービス事業を展開するスタートアップ企業、㈱おいしい健康に出資しました。同社が持つ食と健康のデジタル領域での知見と、当社グループの食やヘルスケア領域での資産の相互活用を通じて、食と健康・栄養を軸としてパーソナライズされた「食体験ジャーニー」の生活者への提供を進めていきます。さらに培養肉の開発・製造を手掛けるフードテック企業のSuperMeat the Essence of Meat Ltd.(CEO:Ido Savir、本社:イスラエル テルアビブ市、以下スーパーミート社)との業務提携に向けて、同社に出資しました。これにより、スーパーミート社が持つ培養肉の開発技術や知見と、当社独自のバイオ医療や発酵に関するR&D技術、呈味や食感などのおいしさ設計技術を組み合わせ、生産者から消費者までの持続可能なフードシステムの構築を目指します。 また、テクノロジーによる持続可能な食インフラの創造に取り組むTechMagic㈱と協業に関する契約を締結しました。外食産業において、人手不足、生産性改善は慢性的な経営課題であり、また食材余りによる廃棄ロスは環境負荷の観点から社会課題として顕在化しています。当社はこのような社会課題解決を共に目指すために、調理ロボット事業、業務自動化AIロボット事業を展開するTechMagic社と協業を開始します。TechMagic社が持つ、AIと自動調理を用いた効率的な調理インフラのテクノロジーと、当社の「おいしさ設計技術」を活用したソリューション、幅広いメニューに対応する調味料の提供を組み合わせることで、大量調理では難しい多様化する生活者のニーズに応えると同時に、食材を無駄なく効率的に活用することが可能になります。 <サステナビリティ> サステナビリティの観点では、国際的な環境非営利団体であるCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)より、2021年度の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは、当社の気候変動に関する開示の包括性や先駆的な取り組みなどが評価されたもので、当社のAリストへの選定は昨年に続き2年連続となります。CDPは、環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買組織の要請に基づき、企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行う非営利団体です。同団体は、世界の主要企業の環境活動に関する情報を収集・分析・評価しており、気候変動に関する取り組みと情報開示において最も優れた企業を「気候変動Aリスト」として毎年選定しています。2021年度は約12,000社の評価が行われ、200社(うち日本企業55社)がAリストに選定されました。 また、国際的な共同団体であるSBT(Science Based Targets)イニシアチブによるNet Zeroを含む新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループは2050年度までにGHG排出量を正味ゼロとするカーボンニュートラルを新たな目標として設定します。 関連して、環境省が主催する第3回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において金賞を受賞しました。環境省では、ESG金融又は環境・社会事業に積極的に取り組み、インパクトを与えた機関投資家、金融機関、仲介業者、企業等について、その先進的取り組み等を表彰し、広く社会で共有し、ESG金融の普及・拡大につなげることを目的として、環境大臣が表彰する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を2019年度から実施しています。その一部門である環境サステナブル企業部門は、「環境関連の重要な機会とリスク」を「企業価値」向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している環境サステナブル企業の具体的な実例を投資家、企業に示すために表彰するものです。当社は2019年度(第1回)、2020年度(第2回)ともに環境サステナブル企業部門において銅賞を受賞しており、この度初めて環境大臣賞である金賞を受賞しました。 サステナブルファイナンス領域では㈱みずほ銀行(頭取:藤原 弘治、以下みずほ銀行)との間で、2022年1月31日に「ポジティブ・インパクトファイナンス」によるコミットメントライン契約を締結する運びとなりました。本契約はシンジケーション方式となり、みずほ銀行がアレンジャーとなって、複数の金融機関による協調融資団(シンジケート団)を組成し、当社への融資を実施するもので、シンジケーション方式によるポジティブ・インパクトファイナンスは食品業界初となります。ポジティブ・インパクトファイナンスはサステナビリティファイナンスの1つで、ポジティブ・インパクト金融原則に基づく評価フレームワークを活用して企業活動の社会的インパクトを評価し、「ポジティブ・インパクトの創出が認められる」と確認された場合、その企業の継続的な支援を目的として融資が行われるものです。 全社に係わる研究開発費は、8,491百万円です。
FY2021|10,669 文字
5【研究開発活動】 味の素グループは、2030年に食と健康の課題解決企業に生まれ変わります。2020-2025中期経営計画ではその実現に向けて経営資源を集中します。研究開発に関しては、”Agile R&D”への変革に向け、これまで新規分野の研究開発や全社横断で技術支援をしてきた味の素㈱旧イノベーション研究所を、事業に沿ったR&D体制という観点から、2019年4月にバイオ・ファイン研究所、食品研究所、情報企画部などへ役割・機能毎に再編しました。また2021年4月に連結子会社である味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱と連携した、グループ3社の食品に関わる国内R&D拠点を集約しました。事業に紐づくR&D体制のもと、基礎研究から製品開発、工業化までを一気通貫とし、当社グループの技術融合を加速させ、製品のさらなる高付加価値化と事業の構造強化に貢献し、持続的な成長を目指していきます。 食品領域においてはおいしさと栄養、そして生活者価値に基づく技術と商品開発を通じて、また、アミノサイエンス領域においては先端バイオ・ファイン技術を追求し新たな価値を創造することで、世界の食と人々の「こころとからだ」の健康課題を解決し、未来のより良い生活に貢献します。 当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は25,900百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,100件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1)調味料・食品セグメント 味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素AGF㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。また、日本国内の少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった課題に対し、味の素グループの独自素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の製品開発に取り組み、課題解決先進国の日本で磨いたモデルをグローバルに展開しています。国内R&D拠点集約が完了し、グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品の開発に継続して取り組んでいます。 調味料、栄養・加工食品<調味料(日本)> 2020年度の調味料事業商品は、栄養バランスの取れた多様なメニューとスマート調理を実現するため、「スペシャリティ」を持った新製品を開発・発売しました。 人々の「健康なこころとからだ」に貢献すべく、マヨネーズでは初めてとなる、開封後も鮮度を維持する2重構造ボトルを使用した「ピュアセレクト®マヨネーズ」新鮮キープボトル200gを通販サイト限定で発売しました。洋風合わせ調味料においては、お店で食べるようなメニューを、肉や野菜と炒めるだけで簡単につくれるソース「Bistro Do®」<鶏のブラウンソース煮込み用>、<なすのボローニャ風炒め煮用>、<鶏のトマトクリーム炒め煮用>、<豚のアンチョビガーリック炒め用>を開発・発売しました。また、お肉をやわらかく仕上げる技術の入ったソースと圧力スチーム調理パウチで、簡単かつ短時間で肉メニューが楽しめる「スチーミー」に<鶏チャーシュー用>を、「鍋キューブ®」では生姜をしっかり効かせたやさしい味わいの<ぽかぽか生姜みそ鍋>を開発し、ラインアップを拡充・発売しました。 廃棄プラスチックによる地球環境課題に対して貢献すべく、うま味調味料「味の素®」の紙製容器包装入り新製品をEC限定発売しました。 <調味料(海外)> 事業展開している各国・地域の健康志向やライフスタイルの変化に対応した高付加価値製品のラインアップ拡充、デジタルを活用した生活者意識・行動解析による商品開発の高度化を推進しています。都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有す製品への需要も増加しています。味の素グループの減塩技術、新規独自素材の導入により、インドネシアの「Masako®」、タイの「Ros Dee®」、ブラジルの「Cardo Sazon®」は減塩を行うと同時においしさを向上させた製品を発売いたしました。 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化していきます。 <栄養・加工食品(日本)> 2020年度の栄養・加工食品事業商品は、すぐに食べられ、生活者のこころの安らぎ、健康な生活を支える新製品を開発・発売しました。スープ市場においては、「クノール®カップスープ」26品を新規スペシャリティ原料、独自素材を活用して、おいしさを向上させるべく全面改訂を行いました。さらに、袋のまま電子レンジで温めるだけで、豆や野菜の栄養が摂れて身体に優しく、食べ応えのあるスープが楽しめるストレートタイプスープ「クノール®」ポタージュで食べる豆と野菜<深いコクの完熟トマト>、<素材を味わう栗かぼちゃ>、<緑の彩りえんどう豆>を発売しました。また、「クノール®スープグランデ®」では、なめらかクリーミーな味わいに仕上げた<クラムチャウダー>を開発し、ラインアップ拡充を行いました。更に、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」<おかず味噌汁 生姜香る 茄子と鶏だんご>、<おかず味噌汁 おだし香る あさりとお揚げさん>を開発し、自社通販およびECチャネルで発売しました。 健康志向ニーズが高まり、超高齢化が進む日本において、国、地方自治体は健康寿命延伸施策を積極的に進めています。当社においても、高齢者のフレイル(虚弱)、低栄養の予防改善に向け、当社のスペシャリティである「たんぱく質・アミノ酸栄養」の研究開発知見を活かした製品の開発を進めています。2020年度は従来の医療機関、介護施設向けのみならず在宅で療養される高齢者・ご家族、また介護予備軍とされる方々をも対象とした新製品の開発を進めました。 健康志向向けの市場においては、生活習慣や食生活の乱れにより不足しがちな栄養素をサプリメントで手軽に補うことができる栄養機能食品「マルチビタミン&ミネラル」と、目の潤いと手元のピント調節機能をサポートし、目の疲労感を緩和する成分と、目のコントラスト感度を改善する成分を配合した機能性表示食品「ブルーベリー&ルテイン」を開発・発売いたしました。また、中高年を対象に、加齢によって衰える認知機能の一部である注意力と、認知的柔軟性を維持し前向きな気持ちをサポートするアミノ酸含有食品が機能性表示食品として消費者庁に申請受理されました。 <栄養・加工食品(海外)> 加工食品では、事業展開している国々の都市化やライフスタイルの変化に伴い需要が増大するおいしさと健康価値をターゲットに、味の素グループならではのコンセプトを持つプレミアムな製品を発売しています。拡大する個食・即食・健康ニーズへの対応を強化し、ブラジルでは「VONO®クッキングスープ」、トルコでは「Bizim Mutfak®スープ」と減塩製品を発売しました。また、タイでの「Birdy®缶入り(無糖タイプ)」、独自素材の活用により低コスト、低糖でおいしさを実現したペルーでの「MiskisimooTM」を発売しました。今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化していきます。 <コーヒー類> コロナ禍における家庭用飲料市場ではコモディティの大容量化とパーソナル&プレミアムの2極化が進んでいます。20年秋の「ブレンディ®」スティック全面改訂においては主力の<カフェオレ>と<カロリーハーフ>に新たな味の素グループの独自素材を活用することにより更なるおいしさアップを実現、また、これまで培ってきた粉体冷水可溶技術を活用し、1包で1Lのピッチャードリンクが手軽に作れるスティックタイプの「ブレンディ®」ザリットルを開発、簡便性だけではなく、廃棄物問題解決型のゴミ極小化(抽出滓、包装容器減など)製品の開発にも取り組みました。また、伸長著しいECビジネス向けには、ナチュラルヘルシー志向を捉えた働く女性の休憩をサポートする製品として、不足しがちな食物繊維を配合した「ブレンディ®」<ナチューム>スティックの開発や子供の成長をサポートするカルシウム、鉄、ビタミンDなどを配合した「ブレンディ®」ブランド初となる子供向けスティック「ブレンディ®とけた!」(ココア、いちご2品種)を導入。また、EC専用品としてスモールマス型の価値創造にもチャレンジし、多様化する働き方に合わせたこだわりのレギュラーコーヒー「AGF®ワークデザインコーヒー™」シリーズから<いきぬき><あいま><ながら>の3つのオケージョン型コーヒーを上質なアラビカコーヒー100%で実現しました。 <ソリューション&イングリディエンツ> 業務用では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛の影響を受けて、外食店ではランチメニューやテイクアウトメニューの拡充をすすめています。こうした活動をサポートし、また「オペレーションを簡略化したい」、「高単価メニューを採り入れたい」などのニーズにお応えするために、新製品5品、「Cook Do®」500mLで〈麻婆茄子用〉、〈干焼蝦仁用〉、〈黒酢酢豚用〉の3品種、「クノール®クイックサーブスープ」クラムチャウダー、ポテトサラダの「士幌ポテト」燻製チーズを発売しました。また、工場需要家に対しては、共通ニーズに合わせた天然系調味料の新製品2品、牛肉特有の呈味や甘い風味香を付与できる「牛肉テイスト調味料」や、減塩時に生じる先味の物足りなさを改善する「先味アップ調味料(塩味タイプ)」を発売しました。 世界複数拠点でうま味調味料「味の素®」や核酸系調味料を生産し、グローバルネットワークを活かして100か国以上でBtoB及びBtoCビジネスを展開しています。 2020年は海外拠点間に跨がる開発体制を構築し、環境負荷低減の取組みやプロセス改良による生産性の向上、更にはグローバルサプライチェーン適正化を進めました。今後もグローバルな連携を加速し、味の素グループ一丸となって、うま味事業を通じた社会価値と経済価値の共創に貢献していきます。 <甘味料> 高甘味度甘味料市場は、多くの国で砂糖の過剰摂取による健康課題が深刻化する中、引き続きグローバルで伸張しています。当社は加工用事業において、サステナブルなアスパルテームの安定供給の更なる強化と共に、コスト競争力の強化も進めています。加えて、20年度に北米で新たにステビア甘味料を上市し、当社のおいしさ設計技術を組み合わせた付加価値型の甘味料製品の開発も進めています。 また、日本国内のコンシューマー事業についても、多様化する生活者ニーズに対応するべく、当社独自技術を活用した既存の低カロリー甘味料製品の改訂や、新製品開発を進めています。 <ベーカリー類> ベーカリー製品では、ファストフード向けに焼き包餡パイ採用、量販店インストアベーカリー向けに冷凍生地を多品種採用頂きました。また、小麦粉同等比率で従来よりも多くの吸水量を含んだ多加水冷凍生地の開発、医療用向けの低たんぱくパンの開発等に着手し、新たな価値の創造・新規顧客獲得に向けた提案を積極的に取り組みました。 調味料・食品セグメントに係わる研究開発費は、6,472百万円です。 (2)冷凍食品セグメント 味の素冷凍食品㈱研究開発センターと海外グループ会社の開発部門を中心に、各国の嗜好とニーズに適応した商品開発に取り組んでいます。更に味の素㈱食品研究所との連携により、減塩等の健康価値の向上や、シェフ/パティシエの技の工業化に取り組んでいます。 <冷凍食品(日本)> リテール製品では、圧倒的においしい品質を実現した、「ザ★®」シリーズ第三弾の「ザ★®から揚げ」、厚みと弾力にこだわった皮(耳たぶ食感)の「水餃子」、専門店品質の大ぶりのエビがゴロっと入った「大海老焼売」を開発・発売しました。電子レンジで調理しても、まるで焼き立てのような香ばしい焼き目を実現した「レンジで焼き餃子」を首都圏・関東エリア限定で開発・発売しました。また、おいしさはそのままに、塩分40%カットを実現した「五目炒飯」を開発・発売しました。 フードサービス製品では、提供者のオペレーション課題解決への対応として、保形性高く経時変化に強い、お店だけなくデリバリー・テイクアウトでも使用できる「バスクチーズケーキ」、個包装プチカップケーキ等を、また、ベジタリアンメニューの拡充を継続し、「大豆ミートバーグ」等を開発・発売しました。 <冷凍食品(海外)> 北米や欧州では、日本食人気の高まりやコロナ禍における新しい生活様式により、特にリテール製品におけるアジアン冷凍食品市場が成長しています。 北米では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により新商品の開発・上市は見合わせましたが、包装ラインの自動化など生産技術の進化を進めました。欧州では、テイクアウト/デリバリー需要に対応して焼済み餃子の開発・発売を行うと共に、家庭用の餃子のラインナップ拡大を行いました。更にアジアでは、インドネシア向けにHalal餃子を開発・発売しました。 今後も日本で培われた生産技術で簡便な調理、かつ美味しさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。 冷凍食品セグメントに係わる研究開発費は、1,252百万円です。 (3)ヘルスケア等セグメント 味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界中の人々の健康や生活に貢献するための商品及びソリューションを提供しております。 バイオの分野では、先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の機能、有用性に関する知見、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。 さらに、世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、電子材料、動物栄養などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。 <医薬用・食品用アミノ酸> 医薬用・食品用アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットフォームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。 再生医療用培地では、iPS/ES細胞の汎用培地として「StemFit® Basic04」を、米国・欧州・中国・韓国他、海外向け製品として2019年5月より発売しました。また2019年11月には、間葉系幹細胞用培地「StemFit® For Mesenchymal Stem Cell」、分化誘導用サプリメント「StemFit® For Differentiation」の販売を開始しました。今後、再生医療に求められる、高性能かつ動物・ヒト由来原料不含の安全性の高い培地の製造・開発を推進していきます。 <バイオファーマサービス> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。 低分子医薬品原薬製造においては、バイオ技術との融合による効率的かつ環境配慮型のプロセスの研究を進めています。タンパク質発現技術(「CORYNEX」技術)においては、味の素アルテア社と連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、味の素アルテア社、味の素オムニケム社との連携も深めながら、味の素バイオファーマサービス事業全体としてオリゴ核酸製造受託事業を推進しています。 <アミノインデックス®> アミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、三大疾病(がん、脳卒中、心疾患)等のリスクを一度に評価する当社独自の技術です。2020年4月には弘前大学COIに参画し、新たなデジタルリスクスクリーニングの確立と既存方法の強化を目的として「岩木健康増進プロジェクト」のデータ解析を開始しました。10月にはAIRS®に認知機能低下を予防するリスク評価サービスが追加されました。今後はAIRS®に加え、生活改善のソリューション提案のプラットフォームとして、スマートフォンアプリの開発、上市などを行い、AIRS®のサービスを発展させていきます。 <化成品> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を推進しています。また、次世代機能性材料としてCPUの低消費電力化を実現する磁性材料の採用拡大に向け開発を加速しています。 <動物栄養> 乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」などスペシャリティ事業にフォーカスした研究開発を推進しています。 <スポーツニュートリション> スポーツ栄養科学研究に基づき、アミノ酸の独自配合の構築によるスポーツサプリメントの開発に取り組んでいます。こうした研究開発を通じて、トップアスリートの栄養課題に対応した「アミノバイタル®」<東京2020日本代表選手団SPECIAL>2品種を開発し、2020年7月より日本代表選手団へ無償提供し、東京2020オフィシャルパートナーとして、コンディションとパフォーマンスの維持に不安を抱える選手たちの支援活動を強化しました。また、スポーツに取り組む多くの人々に向けて、アミノバイタル®に配合するアミノ酸の有用性に関する科学情報を届けるために、『アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ』を2020年10月に開設しました。 今後も社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する顧客のQOL向上にむけて取り組んでいきます。 <ダイレクトマーケティング> 2020年度は基幹商品「グリナ®」「アミノエール®」のパッケージの薄箱化改訂に加え、新製品としては幅広い顧客ニーズへの対応にむけた品揃えの強化として「マルチビタミン&ミネラル」(5月)、「ブルーベリー&ルテイン」(7月)を発売しました。 また、ECの拡大により個人宅配が急増し、ドライバーをはじめとした人材不足や過剰な再配達などの「物流クライシス」が問題となっていますが、パッケージの薄箱化改訂は、配送しやすいパッケージ形状にすることで、この物流負荷を軽減する取組みです。その結果、宅配便からポスト投函の比率を向上させ、コストや持ち戻りの削減に加え、コロナ渦においても、直接商品を受け取らなくてもよいことから顧客サービスの改善につながりました。 今後も、当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上にむけて取り組んでいきます。 <香粧品素材> 香粧品素材につきましては、アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に、独自の研究開発を行っています。2020年度は、DXの活用により処方開発や顧客提案等の更なる効率化を推進しました。また、味の素グループのバイオ・ファイン技術を活用し、スキンケアやメークアップ化粧品等に使用されているマイクロプラスチックビーズ代替品の開発に成功しました。2022年度上期の上市を予定しています。また、市場要請である低環境負荷に貢献するアミノ酸系香粧品素材の開発を引き続き進めていきます。 ヘルスケア等セグメントに係わる研究開発費は、8,257百万円です。 (4)その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、87百万円です。 (5)全社 味の素グループが実現したい2030年の未来像「Picture of the Future」からバックキャストし、グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。 全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・独自素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 食品・栄養領域では、食品中の栄養素をスコアで可視化する栄養プロファイリングシステム(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System: ANPS)を開発し、製品を対象とするシステム(ANPS-P)については日本を含む7か国の当社グループ9法人に導入され、グローバルな栄養改善活動をスタートしました。栄養に関するグローバルトップ企業及びWHO(世界保健機関)等の独立機関の推奨値を参考に栄養素の選定やスケールを設定し、製品自体に加えて、製品を使用したメニューを対象としたシステムの開発にも着手し高度化を図っています。 また、「健康寿命の延伸」への貢献にむけ、2020年4月に弘前大学と「デジタルニュートリション学講座」を開設しました。味の素㈱は生活者の健康状態を把握して適切なソリューションを提供するため、パーソナル栄養を含む新たな領域においてビジネスモデルの構築を目指しており、弘前市で2005年から実施している「岩木健康増進プロジェクト」で得られた健康ビッグデータを基に、アミノ酸代謝の解析等のデジタル技術を駆使して、日本の高齢者の課題や生活習慣病の予防につながるソリューションを開発し、生活者の健康増進/栄養改善への貢献を図ります。 「おいしさ設計技術®」と栄養設計に関する知見の深化や、サイエンスとデジタルによる顧客適合力を強化することで、ソリューションの提供を通じた社会価値の更なる創造と共に、世界トップレベルの品質と生産性を確立し、おいしさと栄養改善に貢献する当社グループにしか提供できない商品の開発に活用していきます。 ヘルスケア領域では、成長戦略の1つである先端バイオ医療周辺領域で抗体薬物複合体(ADC)製造技術である「AJICAP」技術がWorld ADC DigitalでBest Pre-Clinical Publication賞を獲得しました。また、味の素㈱とブライトピークセラピューティクス社は、新規免疫サイトカインを作成するための共同研究およびライセンス契約を締結しました。バイオファーマサービス事業を支える「AJIPHASE」技術、「CORYNEX」技術と合わせ、お客様の課題を解決すると共に、バイオ医薬品の普及に貢献していきます。 メディカルフード事業に関して2020年12月にアイルランドのサプリメント会社ニュアルトラ社を子会社化しました。味の素キャンブルック社と合わせ、米国、欧州に事業拠点を持ち、食品・アミノサイエンス事業で培った「おいしさ設計技術®」やアプリケーション技術、アミノ酸の生理機能に関する知見を適用することで、疾患による食事制限や加齢による栄養欠損に対する改善などユーザーのQOL向上に貢献します。 低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出にも継続して取り組んでいます。オープン&リンクイノベーションの取り組みにて、東京工業大学細野教授らと新規触媒を用いたアンモニア合成の検討を進め、2017年4月につばめBHB㈱を設立し、世界で初めてとなるオンサイト型のアンモニア合成システムを2022年頃の実用化を目指しています。 オープン&リンクイノベーションの推進では、2018年に開設したクライアント・イノベーション・センターにおける社内外の技術の融合や交流、グローバル・ベンチャーキャピタル/アクセラレーターのPlug and PlayやSmart Kitchen Summit JAPAN 2020への参加、2020年より開始したアクセラレータープログラム「Ajinomoto Group Accelerator」にて社外ベンチャーと協業等、社内外の各種ツールを積極的に活用しビジネスパートナーとのイノベーションの創出に取り組んでいます。また、2020年12月に「食と健康の課題解決企業」実現に向けた新事業モデル創出を達成するために、イノベーション探索、エコシステムの構築・強化、企業文化変革の牽引を実行するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の活動を開始し、当社グループの新たな価値・事業の共創に取り組んでいます。 全社に係わる研究開発費は、9,831百万円です。
FY2020|9,890 文字
5【研究開発活動】 味の素グループは、2030年に食と健康の課題解決企業に生まれ変わります。2020-2025中期経営計画ではその実現に向けて経営資源を集中します。研究開発に関しては、これまで新規分野の研究開発や全社横断で技術支援をしてきた味の素㈱旧イノベーション研究所を、事業に沿ったR&D体制という観点から、2019年4月にバイオ・ファイン研究所、食品研究所、情報企画部などに役割・機能ごとに再編しました。新たにスタートした事業に紐づくR&D体制のもと、基礎研究から製品開発、工業化までを一気通貫とすることで、顧客課題解決への機動性とスピードの向上と、持続的な成長を目指していきます。 食品領域においてはおいしさと栄養、そして生活者価値に基づく技術と商品開発を通じて、また、アミノサイエンス領域においては先端バイオ・ファイン技術を追求し新価値を創造することで、世界の食と人々の「こころとからだ」の健康課題を解決し、未来のより良い生活に貢献します。 当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は27,596百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約3,900件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1)日本食品セグメント 味の素㈱食品研究所が中心となり、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。また、少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場におけるニーズを掘り起こし、当社独自の素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の製品開発に取り組んでいます。 <調味料・加工食品(日本)> 2019年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応し、おいしさと栄養そして生活者価値に基づく技術・商品を通じて、人々の「健康なこころとからだ」に貢献すべく「スペシャリティ」を持った新製品を開発・発売しました。 高品質・スマートな調理をお客様にご提供すべく、メニュー用調味料市場においては、当社独自技術を活用して、身近な食材1つで簡単に本格麺メニューが楽しめる「Cook Do®」<濃厚練りごま 四川担担麺用スープ>、「Cook Do®」<濃厚あんかけ ふかひれ麺用スープ>、「Cook Do®」<ジャージャー麺用ソース>を発売しました。また、コンビニエンスストアで購入できる豆腐やサラダチキン等、身近な食材と合わせるだけで、簡便に本格ディナーを作れる「今夜はてづくり気分®」<サラダチキンで作るグリーンカレー>、「今夜はてづくり気分®」<麻辣麻婆豆腐>を発売しました。スープ市場においては、野菜の甘みとしゃきしゃきの食感にこだわった、たっぷり野菜のスープごはんの素「スープごはん」<キムチクッパ>、野菜のおいしさをとことん引き出した「クノール®カップスープベジレシピ®」<キャロット&パンプキン>、「クノール®カップスープベジレシピ®」<グリーンポタージュ>、「クノール®スープDELI®」<クラムチャウダー パスタ入り>、贅沢に使用した素材をじっくり時間をかけてとろとろに煮込んだ、濃厚で軽い食事になるスープ「クノール®スープグランデ®」<ミネストローネ>、「クノール®スープグランデ®」<オニオングラタン風>を発売しました。また、たっぷりのフリーズドライ具材とサッと溶ける風味豊かな“だし味噌”が入った即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」シリーズにおいて、<小松菜とねぎ>を発売しました。当社独自技術を活用して、簡単に本格的な味付けができる肉用調味料「お肉やわらかの素®」シリーズにおいて、<タンドリーチキン>、<ガリバタ風チキン>を発売しました。洋風だし市場においては、独自のおいしく減塩する技術を更に深化させ、「味の素KKコンソメ」のおいしさそのままに40%減塩を実現した「味の素KKコンソメ」<塩分ひかえめ>を発売しました。また、電子レンジでやわらかジューシーなおかずが手軽にできる「スチーミー」<豚チャーシュー用>を首都圏エリア及びEコマースチャネル限定で発売しました。健康志向向けの市場においては、筋肉や血液などを構成する「たんぱく質」のもととなるアミノ酸を効率的に補える独自成分「Amino L40」を配合したまったく新しいダイエットサポート食品「Amino Line」をEコマースチャネルにて発売しました。 業務用では、外食市場の多くを占める個人外食店での「コストを抑え、人手や手間をかけずに他店とは異なったメニューを提供したい」、「客数や注文が少なくても使い切れる適度な容量の商品が欲しい」等の要望、及び、業務用スーパー等の利用が増え<買い場の変化>にも対応するために、従来の業務用品種の半分のサイズである中容量製品(「ほんだし®」かつおだし500g他・「GABAN®スパイスソース」黒胡椒&ガーリック500ml他)を発売しました。 また、加工領域ではユーザーの使用特性(性状・濃度等)に合わせた製品を開発・発売しました。 ベーカリー製品では、コンビニエンスストア(CVS)向けに既存の焼きたてパンに加え、チルド調理パン向け製品やデザート向け製品の開発を行い、CVS内での新領域への提案を進めました。また、外食産業の省人・省力化ニーズに対応し、解凍及び最終発酵工程の省略を可能とする時短型商品の開発を進め、ファストフードチェーンに製品導入を果たすなど事業拡大に取り組みました。 超高齢化が進む今日の日本において、国、地方自治体は健康寿命延伸施策を積極的に進めています。当社においても、高齢者のフレイル(虚弱)、低栄養の予防改善に向け、当社のスペシャリティである「たんぱく質・アミノ酸栄養」の研究開発知見を活かした製品の開発を進めています。2019年度は、当社では、従来の医療機関、介護施設向けのみならず在宅で療養される高齢者・ご家族、また介護予備軍とされる方々をも対象とした味の素KK「栄養ケア食品」の新製品の開発を進め(発売は2020年以降)、併せて、これまでの研究成果に基づく機能性情報の発信や高齢者の健康栄養課題解決に向けた啓発活動も推進しました。 <冷凍食品(日本)> 家庭用では、「やわらか若鶏から揚げ ボリュームパック」を、“香ばしい醤油風味で、食べごたえあるから揚げ”に製品改定を行いました。指定農場で大切に育てた安心の若鶏の一枚肉を大ぶりにカットし、さらに生姜醤油に漬け込むことでお肉をやわらかくし、揚げる前に丸大豆醤油に絡めて香ばしくする「二段仕込み製法」で仕上げました。「小麦・卵・乳」不使用でみんな一緒に同じものを“おいしく”“安心”して食べられる製品ラインナップを強化しました。 業務用では、提供者のオペレーション課題を解決しながら、生活者それぞれのニーズに合った製品を開発しました。手間のかかるベジタリアンメニューをおいしく、大量に調理できる「ベジタリアン向け」<餃子(焼調理済)>、<焼売>、<蓮根の挟み揚げ>、<枝豆と生姜の豆腐揚げ>の4品種を新しく発売しました。 <コーヒー類> スティック市場の牽引役である「ブレンディ®」スティック<カフェオレ>は、“クリーミー&スイートな味わい”を維持しつつ、味の素グループの素材活用により更にコーヒー感・濃度感を増強する品質改良を行い、お客様の嗜好性評価を高める改訂を実施しました。また、当社紅茶オレ比糖質50%オフの「ブレンディ®」スティック<紅茶オレ 糖質オフ>を発売するなど健康意識の高まりに呼応した製品開発も進めました。そして、茶筅無しで豊かに泡立ち、上質な抹茶ならではの旨みを手軽に味わえる「ブレンディ®」<抹茶一服>2種を市場導入するなど新たな市場開拓を図っています。 「ちょっと贅沢な珈琲店®」<レギュラー・コーヒーシリーズ>では、前年度九州エリア限定で発売した<九州まろやかブレンド(300g)>の好評を受け、<プレミアムドリップ・九州まろやかブレンド(14袋入り)>を追加するとともに、東北エリア限定商品として“豊かなコク”と“まろやかな口当たり”を特徴とする<東北コクゆたかブレンド(300g)>を発売し、エリア嗜好への対応によるファンの獲得に結び付く開発を行っています。 日本食品セグメントに係わる研究開発費は、3,572百万円です。 (2)海外食品セグメント 味の素㈱食品研究所を中心とし、国内外のグループ会社の研究開発部門と密接に連携を図ったグローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品、冷凍食品の開発に継続して取り組んでいます。 <調味料・加工食品(海外)> 主力となるアセアン地域では、都市化やライフスタイルの変化が進む中、簡便で加工度の高い製品や健康価値を有す製品への需要も増加しています。 その中で、うま味調味料「AJI-NO-MOTO®」とともに主力である風味調味料製品では先進的技術を駆使した継続的な品質向上を行いました。新興国の発展に伴い需要が拡大するメニュー用調味料製品では新製品を発売しました。また、加工食品では、当社グループならではのおいしさと健康価値をコンセプトに持つプレミアムな製品の発売を通じて、拡大する個食・即食・健康ニーズへの対応を強化しています。((例)即席麺 「Yum Yum®」<Sood Ded>(タイ)、子ども向けたんぱく質高含有粉末飲料「Prottie」(タイ、フィリピン)など) 今後も当社グループの独自素材の活用や独自技術に裏打ちされたおいしさの追求とともに健康価値領域での製品開発を継続強化していきます。 <冷凍食品(海外)> 北米や欧州では日本食人気の高まりや日式レストランの増加によりアジアン冷凍食品市場が引き続き成長しています。北米市場では販売好調な拉麵、炒麺に続き「うどん」を発売し、麺類の製品ラインナップが拡がりました。欧州市場では、外食から家庭用に販売を拡大し、電子レンジ調理の「焼き調理済ギョーザ」をタイで開発するなど、拠点間を跨るグローバル開発が進められています。 今後も日本で培われた生産技術で作り立ての食感・香り溢れる美味しさを提供していくと共に、健康機能を付与した製品を市場投入する等、製品の付加価値を常に向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。 <加工用うま味調味料> 世界複数拠点でうま味調味料「味の素®」や核酸系調味料を生産し、グローバルネットワークを活かして100か国以上でBtoB及びBtoCビジネスを展開しています。 2019年は環境負荷を低減する取組みやプロセス改良による生産性の向上を進め、事業を通じた社会価値と経済価値の共創に貢献しました。 <甘味料> アスパルテーム市場は、世界の多くの国で砂糖の過剰摂取による健康課題が深刻化する中、引き続き伸張しています。当社はサステナブルな製品供給を更に強化すべく、コスト競争力の強化及び環境負荷低減を目的とするアスパルテーム改良プロセスの開発を継続して進めています。また日本国内のコンシューマー市場に向けては、砂糖代替に加えて整腸効果が期待できる機能性表示食品の新製品「パルスイート®おなかすこやかオリゴ®」を開発し発売しました。 海外食品セグメントに係わる研究開発費は、3,858百万円です。 (3)ライフサポートセグメント 味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。 世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、動物栄養、電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。 <動物栄養> 動物栄養事業の構造改革の一環として、スペシャリティ事業拡大のため、乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」のグローバル展開を目的とした研究開発を推進しています。 <化成品> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC、データセンター向けサーバー、5G通信ネットワーク用途向けに「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発を継続しています。また、次世代機能性材料としてCPUの低消費電力化を実現する磁性材料の開発を進めています。 ライフサポートセグメントに係わる研究開発費は、4,696百万円です。 (4)ヘルスケアセグメント 味の素㈱バイオ・ファイン研究所、食品研究所、味の素バイオ・ファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界の健康に貢献するための商品や技術の開発を進めています。 先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の機能、有用性に関する知見、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。 <医薬用・食品用アミノ酸> 医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットホームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発を継続、拡大しています。 再生医療用培地では、iPS/ES細胞の汎用培地として「StemFit® Basic04」を、米国・欧州・中国・韓国他、海外向け製品として2019年5月より発売しました。また2019年11月には、間葉系幹細胞用培地「StemFit® For Mesenchymal Stem Cell」、分化誘導用サプリメント「StemFit® For Differentiation」の販売を開始しました。今後、再生医療に求められる、高性能かつ動物・ヒト由来原料不含の安全性の高い培地の製造・開発を推進していきます。 <製薬カスタムサービス> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。 タンパク質発現技術(「CORYNEX」技術)においては、味の素バイオ・ファーマサービスUSと連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築し、また営業面では味の素バイオ・ファーマサービスUSとの連携も深めながら、オリゴ核酸製造受託事業を推進しています。 <スポーツニュートリション> スポーツ栄養科学研究に関して、機能性エビデンスに基づいた独自のアミノ酸組成の構築にアミノサイエンス技術を、おいしさ、飲みやすさの追求に食品技術をそれぞれ駆使して、スポーツサプリメント製品の創出に取り組んでいます。 2019年8月には、アミノ酸含有食品「アミノバイタル®プロ」、「アミノバイタル®」のアミノ酸組成、口溶け性、味を全面的にリニューアルして、全国発売しました(「アミノバイタル®」については、名称を「アミノバイタル®アクティブファイン」と改称)。今回のリニューアルは、1995年の「アミノバイタル®プロ」、1998年の「アミノバイタル®」の発売以来初となります。 今後も「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」オフィシャルパートナーとして引き続き、社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する生活者に貢献できる製品開発を行っていきます。 <ダイレクトマーケティング> アミノ酸スキンケアブランド「ジーノ®」の旗艦製品である美容クリーム「アミノシューティカルクリーム®」を2019年10月にリニューアルし、アミノ酸成分(ベタインやカルノシン)を新配合することによるエイジングケア機能の強化と、バックレスチューブ(酸素の逆流を防ぐ機構)採用による品質保持性能の強化や軽量化を実現しました。当社は、長年のアミノ酸研究の知見を活かし、アミノ酸スキンケア製品「ジーノ®」を1997年に発売して以降、生活者の肌の悩みに合わせて、エイジングケア機能を持つ化粧水、美容液など製品ラインアップを拡大してきました。今後も、当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上にむけて取り組んでいきます。 <アミノインデックス®> アミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、三大疾病(がん、脳卒中、心疾患)等のリスクを一度に評価する当社独自の技術です。2019年8月には大阪府四條畷市と住民健診解析に関する共同研究契約を締結し、住民の健康意識向上や生活習慣の見直しに貢献する取り組みを始めました。9月には、多施設の前向き研究においてがん発見に関する検査性能を検証した論文(Science Report誌)が発表され、AIRS®におけるがんの評価に対するエビデンスレベルの向上、医師の納得度向上に繋がっています。10月には、太陽生命保険㈱等との三大疾病予防に関する業務提携に合意し、AIRS®のさらなる普及促進や、新サービスの開発につながる共同研究の検討も進めています。さらに、11月には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の公募に採択された神奈川県立がんセンターと、肺がん治療の「患者層別化マーカー」探索に関する研究開発契約を締結し、より適切な治療法選択の具現化を介した、がん患者の身体的負担の軽減や医療費の削減への貢献を目指す研究も開始しています。今後は認知機能低下を予防するサービスの開発や既存サービスの充実を進め、AIRS®を予防ソリューションサービスに発展させていきます。 <香粧品素材> 香粧品素材につきましては、アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に、独自の研究開発を行っています。2019年度は、新たにグローバルなテクニカルサポート体制を導入し、処方開発や顧客提案等の効率化を実現しました。また、当社素材の新領域として、メークアップ用途への展開を本格化し、顧客提案用のデータや処方を拡充しました。さらに、当社グループのバイオ・ファイン技術を活用し、市場要請である低環境負荷に貢献するアミノ酸系の洗浄剤、メークアップ素材の新プロセスの開発を進めていきます。 ヘルスケアセグメントに係わる研究開発費は、3,631百万円です。 (5)その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、263百万円です。 (6)全社 味の素グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。 全社研究では、味の素㈱食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 食品・栄養領域では、食品中の栄養素をスコアで可視化する栄養プロファイリングシステム(The Ajinomoto Group Nutrient Profiling System:ANPS)の構築を進めています。栄養に関するグローバルトップ企業及びWHO(世界保健機関)等の独立機関の推奨値を参考に栄養素の選定やスケールを設定し、製品自体に加えて、製品を使用したメニューも対象とし、健康的な製品・メニュー開発のツールとして活用しています。また、「健康なこころとからだ」に貢献できる次世代の栄養研究領域として「栄養×感覚」に注目し、種々の外部研究機関との協業、国内外のシンポジウムを通じた情報発信やネットワーク構築を進めています。また、生体内におけるアミノ酸の栄養・代謝研究を基盤として、健康長寿社会の実現や、栄養不良の二重負荷(不足栄養と過剰栄養)の解決に向けた研究にも取り組んでいます。 さらに「おいしさ設計技術®」として、食品の味・香り・食感などの感じ方とその食品の好ましさとの関係性を定量的に評価・解析し最適化を図り、商品や技術・素材の開発に応用しています。さらに、「人は味や香りをどのような仕組みで感じ、『おいしい』と思うのか?」について、外部の先端研究機関との協業を進め、お客様に新たな価値をもたらす独自の素材や配合の探索にも取り組んでいます。 このような技術や仕組みを世界各地の味の素グループ企業において、現地のお客様の様々な嗜好に合い、おいしさと栄養改善に貢献する味の素グループにしか提供できない商品の開発に活用していきます。 ヘルスケア領域では、成長戦略の1つである先端バイオ医療周辺領域で「AJIPHASE」技術、「CORYNEX」技術に加え、新たに「TALAMAX」技術を開発しました。抗体等の複雑なタンパク質医薬品を微生物で製造でき、動物細胞等を用いた従来法に比して、技術優位性、コスト優位性を有す、競争力の高い独自技術であり、この成果が認められ第71回日本生物工学会大会「トピックス賞」を受賞しました。抗体薬物複合体(ADC)製造技術である「AJICAP」技術と合わせ、お客様の課題を解決することにより製薬カスタムサービス事業に貢献するとともに、バイオ医薬品の普及に貢献していきます。 低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出にも継続して取り組んでいます。オープン&リンクイノベーションの取り組みにて、東京工業大学細野教授らと新規触媒を用いたアンモニア合成の検討を進め、2017年4月につばめBHB㈱を設立し、世界で初めてとなるオンサイト型のアンモニア合成システムを2021年頃の実用化を目指しています。 また、基盤技術として、高感度アミノ酸・タンパク質分析などの先端分析技術を開発し、様々な事業領域における研究開発、新事業開発につなげています。2019年10月にはD-アミノ酸の新規分析法の開発の成果が認められ「日本アミノ酸学会2019年度 科学・技術賞」を受賞しました。この技術はグループ内での成分/不純物解析など製品の配合技術開発や品質管理・安全性検証で活用されるほか、グループ外の分析メーカーへライセンスアウトされ受託分析という形で活用されています。 オープン&リンクイノベーションの推進では、2018年6月に開設したクライアント・イノベーション・センターやオープンイノベーションプラットフォームであるeiiconを通じた機会創出、インキュベーションプログラムPhoenixiやアクセラレーションプログラムPlug and Playへの参加等、社内外の各種ツールを積極的に活用しビジネスパートナーとの交流や技術の融合によるイノベーションの創出など、当社グループの新たな価値・事業の共創に取り組んでいます。 全社に係わる研究開発費は、11,574百万円です。
FY2019|9,111 文字
5【研究開発活動】 味の素グループは、「健康なこころとからだ」、「食資源」、「地球持続性」の社会課題解決に向けて、事業を通じて貢献していきます。「2017-2019(for 2020)中期経営計画」ではその解決に向けたアプローチとして、コアコンピタンスを元にした「ASVを通じた価値創造ストーリー」を定め、それに基づいた事業活動を展開し、グローバル食品企業トップ10クラスの事業を目指しています。 先端バイオ・ファイン技術力と顧客価値創造力の融合から生まれる「スペシャリティ」を土台に、「地域ポートフォリオの強化を通じた確実な成長」や「スペシャリティの確立による事業ポートフォリオ強化」に関する研究開発に経営資源を重点的に投資しています。また、社外の研究機関や企業とのオープン&リンクイノベーションを積極的に活用し、新たな価値・事業の共創に向けて取り組んでいます。 当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は27,823百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1)日本食品セグメント 味の素㈱の食品研究所が中心となり、クノール食品㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携し、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場におけるニーズを掘り起こし、当社独自の素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の製品開発に取り組んでいます。 <調味料・加工食品(日本)> 2018年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応し、おいしさと栄養そして生活者価値に基づく技術・商品を通じて、人々の「健康なこころとからだ」に貢献すべく「スペシャリティ」を持った新製品を開発・発売しました。 高品質・スマートな調理をお客様にご提供すべく、メニュー用調味料市場においては、当社独自技術を活用して、簡単・手軽においしい副菜を作ることができる電子レンジ専用調味料「かけてチン♪温菜おかず」〈バーニャカウダ味〉、「かけてチン♪温菜おかず」〈コクうま黒酢味〉や、短時間で味が染み込みおいしく仕上がる「Cook Do®きょうの大皿®」〈鶏手羽じゃが用〉を発売しました。また当社の独自素材を活用した「Cook Do®」〈よだれ鶏用〉、「Cook Do®」〈ふかひれ麺用〉、「Cook Do®」〈鶏だし白湯麺用〉を発売しました。スープ市場においては当社の独自技術を用いて野菜そのもののおいしさをとことん引き出した「クノール®カップスープベジレシピ®」〈太陽が香る真っ赤な完熟トマト〉、「クノール®カップスープベジレシピ®」〈森が香る濃厚マッシュルーム〉を発売しました。また、当社独自素材を活用しておいしく手軽に野菜をたっぷり摂ることができる「クノール®」たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用〈トマトリゾット風〉や、アミノ酸を用いた当社独自の新たな食感制御技術によりもっちり&しっとり食感の長期持続を実現した栄養バランスバー「まるごと野菜ベーカリー®」〈100%かぼちゃ〉、「まるごと野菜ベーカリー®」〈100%トマト〉を発売しました。また、新しいカテゴリーとして、香り・コクに優れた独自開発のかつお節を使用し、具材本来の味わいとだしの風味を引き立てる即席味噌汁「具たっぷり味噌汁」定番タイプ、減塩タイプを発売しました。減塩タイプは当社独自の減塩技術を活用する事で、定番タイプに比べ塩分を50%カットしたおいしい減塩味噌汁を実現しました。和風だし市場においては、「ほんだし®」ブランドで最も贅沢で豊かな味わいの“だし”を実現した「ほんだし®濃厚だし」を発売しました。キューブ状の鍋つゆの素「鍋キューブ®」シリーズにおいて、「鍋キューブ®」〈鯛と帆立の極みだし鍋〉を発売しました。 業務用では、当社独自素材を活用して、にんにくの風味・呈味を自然に増強する天然系調味料「アロマックス®」〈にんにくBooster〉や、味噌・醤油本来の華やかな風味・呈味を付与する調味料「アロマックス®」〈芳醇《醸造感》〉を発売しました。また、当社独自の食感改良技術により、ソーセージの食感改良や歩留まり向上・コストダウンが可能となる食肉加工向け酵素製剤「アクティバ®」〈ジューシーアップS〉を発売しました。 ベーカリー製品では、独自技術により、国内の人手不足に対応した店舗での製造に手間と時間のかからない冷凍デニッシュ用生地を開発し商品化しました。また、当社の保有する試作技術及び工業化技術が評価され、外部から多数のお客様が当社工場を訪れるようになってきました。引き続き、事業拡大に取り組んでいきます。 超高齢化が進む今日の日本において、国、地方自治体は健康寿命延伸施策を積極的に進めています。当社においても、高齢者のフレイル(虚弱)、低栄養の予防改善に向け、当社のスペシャリティである「たんぱく質・アミノ酸栄養」の研究開発知見を活かした製品の開発を進めています。2018年度は、「メディミル®」ロイシンプラス〈バナナミルク風味〉、〈コーヒー牛乳風味〉、〈いちごミルク風味〉、〈バニラ風味〉について、当社独自技術により後味を良く、とろみを低減させることでより飲みやすくリニューアルしました。併せて、これまでの研究成果に基づく機能性情報の発信や高齢者の健康栄養課題解決に向けた啓発活動も推進しました。<冷凍食品(日本)> 家庭用では、「ギョーザ」の更なるおいしさを追求し、お客様の選好因子と嗜好性分析から焼き面の羽根の大きさとパリパリ感をアップし、皮についてはバランスが良い薄皮を実現しました。また、お客様の声を丁寧に聞き取ることで特に女性に好評な「しょうがギョーザ」を絶妙な食感と風味で開発しました。 業務用では、お客様のオペレーション課題を技術により解決し、おいしさに加え現場ニーズにお応えする製品を開発しました。ジャー保温による食感や風味の劣化を解消した「オムライスベースライス」、冷蔵解凍の保存技術を付与することで短時間調理を実現した「三元豚の厚切り上ロースカツ」を開発しました。 <コーヒー類> 《「ブレンディ®カフェラトリー®」スティック》シリーズは“専門店品質の濃厚な味わい”というコンセプトの下、味の素グループ独自素材を活用し開発したクリーミングパウダーを適用し、ミルク感増強・コク味を付与し製品改訂を行いました。加えてミルクなし・甘さなしで美しい泡立ちと贅沢な味わいが特長の《濃厚抹茶》やフルーツの華やかな香りとフレッシュな味わいが特長の《芳醇グレープフルーツティー》を市場導入しラインナップを拡充しました。 《「ブレンディ®」スティック》シリーズのラインナップとしても、石臼微粉砕ほうじ茶葉使用でほうじ茶の香ばしさを特長とする《ほうじ茶オレ》を導入し、スティック市場の活性化を図りました。 日本食品セグメントに係わる研究開発費は、3,530百万円です。 (2)海外食品セグメント 味の素㈱の食品研究所が中心となり、国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図り、グローバルな製品開発体制のもと、マーケティング力、ブランド力を強みに、各国生活者の嗜好とニーズに適応した調味料、加工食品、冷凍食品の開発に継続して取り組んでいます。 <調味料・加工食品> 主力となるアセアン地域では、都市化やライフスタイルの変化に伴い、市場は伝統市場から量販店、コンビニエンスストアへと多様化しており、簡便で加工度の高い製品への需要も増加しています。その中で、「AJI-NO-MOTO®」とともに主力である風味調味料製品では継続的な品質改訂を行い、好調なメニュー用調味料製品では新製品の発売を行いました((例)現地の家庭料理に合う揚げ物用調味料の新品種発売(フィリピン「CRISPY FRY®」魚用))。 独自素材を活用し、独自技術に裏打ちされた「おいしさNo.1」の追求と栄養価値訴求を継続していきます。 <冷凍食品(海外)> 米国や欧州では日本食人気の高まりや日式レストランの増加によりアジアン冷凍食品市場が引き続き成長しており、北米では、主力ブランド「TAIPEI」「Ling Ling」で新品種の発売を行いました。 味の素グループの製品開発力・生産技術を活用し、おいしさを維持・向上した減塩製品を市場投入する等、製品の付加価値を向上させながら、更なる事業拡大に貢献していきます。 <加工用うま味調味料> 世界複数拠点でうま味調味料「味の素®」や核酸系調味料を生産し、グローバルネットワークを活かして100か国以上でBtoB及びBtoCビジネスを展開しています。 2018年は環境負荷を低減する取組みやプロセス改良による生産性の向上を進め、事業を通じた社会価値と経済価値の共創の実現に貢献しました。 <甘味料> 世界のアスパルテーム市場は、ユーザーの甘味コストダウンニーズや新興国も含めた摂取カロリーに対する意識の高まりにより、継続伸長しており、当社は甘味ソリューションのグローバルな提供を着実に推進しています。 コスト競争力の強化及び環境負荷低減を目的とするアスパルテーム改良プロセスの開発を継続して進めました。コンシューマー製品では、砂糖代替に加えてお客様が求める機能をもつ新製品の開発を進めました。 海外食品セグメントに係わる研究開発費は、3,604百万円です。 (3)ライフサポートセグメント 味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。 世界トップレベルのアミノ酸に関する知見、安全性の高い素材開発力や配合評価技術、グローバルネットワークを強みとし、動物栄養、電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。当社ならではのスペシャリティによる顧客価値を創出し、事業拡大を図っています。 <動物栄養> Fit推進のため、リジン、スレオニン自社生産を低減し、新たなOEMパートナーである梅花社で生産したリジン、スレオニンの販売を開始しました。これら生産設備は一部新たな飼料用アミノ酸生産に活用し、アミノ酸ミックス品としてスペシャリティ事業を開始しました。 乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」はグローバル展開のための研究開発を推進しています。 <化成品> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代PC向け「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の開発継続に加え、データセンター向サーバー用途・車載用途など半導体用途の広がりに対応すべく次世代製品の開発に注力しています。 ライフサポートセグメントに係わる研究開発費は、5,439百万円です。 (4)ヘルスケアセグメント 味の素㈱の研究所(イノベーション研究所、バイオ・ファイン研究所、食品研究所)、及び味の素バイオ・ファーマサービス、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社等の国内外の各グループ会社及びその技術開発部門とも連携し、世界の健康に貢献するための商品や技術の開発を進めています。 先端バイオ・ファイン技術を活かしたアミノ酸等の生産力、レギュレーション対応力、サービス提供力を強みに、世界中の医薬企業等への多様で特徴ある素材・原薬・技術の提供に取り組んでいます。また、アミノ酸の機能、有用性に関する知見、新規用途探索力をアミノ酸サプリメントの開発等に応用することで、生活者のQOL向上、快適な生活のサポートに貢献しています。 <製薬カスタムサービス> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、低分子医薬品原薬、高活性原薬(HAPI)、ペプチド/オリゴ核酸、タンパク医薬、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)などの幅広い開発・供給体制の充実を図り、継続的な案件の受注に繋げています。 タンパク質発現技術(「CORYNEX®関連技術」)においては、味の素バイオ・ファーマサービスUSと連携して、グローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。オリゴ核酸の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して、固相合成を活用した少量多品種製造から「AJIPHASE®」の液相合成技術による大量製造までの開発体制を構築、オリゴ核酸製造受託事業を推進しています。 <アミノ酸・培地> 医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めています。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社をプラットホームとし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発への取り組みを継続、拡大しています。 再生医療用培地では、臨床研究用培地「StemFit®」Basic03を、米国・欧州・中国・韓国にて2018年4月より発売しました。「StemFit®」Basic03は、iPS/ES細胞の汎用培地として世界最高水準の性能を備えており、高い増殖性能に加えて、動物・ヒト原料不含の安全性の高い培地です。また再生医療用成長因子として、組み換えヒトアクチビンAを2018年3月より試験研究用途として販売を開始しました。組み換えヒトアクチビンAは、2018年10月に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に再生医療等製品の材料適格性相談の申請を行い、国内で初めて、生物由来原料基準を適用する原料を含んでいないことを示す確認書を取得しました。これを受けて当社では、再生医療の研究施設に臨床研究用途の本成長因子の供給を開始しました。 <スポーツニュートリション> スポーツ栄養科学研究においては、機能性エビデンスに基づいた独自のアミノ酸組成の創出にアミノサイエンス技術を、おいしさ、飲みやすさの追求に食品技術を、それぞれ駆使して、スポーツサプリメント製品の創出に取り組んでいます。 2017年度における高濃度アミノ酸を含有した小容量ゼリータイプのサプリメント「アミノバイタル®アミノショット」の発売に続き、2018度においては「アミノバイタル®アミノショット」シリーズとして新たに、エネルギー源アミノ酸と糖質を含有した小容量エネルギー補給ゼリー「アミノバイタル®アミノショット」パーフェクトエネルギー®を2018年8月より発売しました。 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」オフィシャルパートナーとして引き続き、社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する生活者に貢献できる製品開発を行っています。 <ダイレクトマーケティング> アミノ酸スキンケアブランド「ジーノ」の主力製品である化粧水、美容乳液のエイジングケア機能を強化し、10月にリニューアルしました。当社は、長年のアミノ酸研究の知見を活かし、アミノ酸スキンケア製品「ジーノ」を1997年に発売して以降、生活者の肌の悩みに合わせて、エイジングケア機能を持つ化粧水、美容液など製品ラインアップを拡大してきました。今後も、当社独自の健康・美容価値を有する製品や情報の提供を通じて、顧客のQOL向上にむけて取り組んでいきます。 <アミノインデックス®> 「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)を、一度の採血で複数のがんの罹患の可能性や生活習慣病の発症リスクを評価できる総合健康サービスとして提供してきました。この技術についてこの度平成31年度科学技術分野の文部大臣表彰 科学技術賞 開発部門を受賞しました。 また2019年4月には、10年以内の脳卒中・心筋梗塞の発症リスクの評価を追加し、AIRS®は1回の採血で三大疾病の評価が可能になりました。この技術を活用し、さらに認知症などの疾患の予防や早期発見につながる検査の開発を進め、AIRS®を総合健康指標に発展させていきます。 <香粧品素材> 香粧品素材につきましては、アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、メークアップ素材を中心に、独自の研究開発を行っています。2018年度は、テクニカルサポート・処方改良などの顧客提案を促進するために、グローバルに体制を整備しました。また、当社素材の新領域として、メークアップ用途への展開を本格化し、グローバルな展示会等で発表・紹介を開始しました。さらに、当社グループのバイオ・ファイン技術を活用し、市場要請である環境負荷の低減を視野に入れたアミノ酸系の洗浄剤、メークアップ素材の新プロセスの開発を進めていきます。 ヘルスケアセグメントに係わる研究開発費は、2,967百万円です。 (5)その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、240百万円です。 (6)全社 味の素グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。 全社研究では、味の素㈱イノベーション研究所、食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 食品・栄養領域では、世界の人々の「健康なこころとからだ」の実現にむけて、自社製品や食事メニューにおける栄養の基準化や評価法に関する研究に取り組んでいます。栄養に関するグローバルトップ企業及び外部評価機関の動向を考慮し、継続的な栄養改善の取組の仕組みとして「味の素グループNutrient Profiling System(ANPS)」を設定し、国内外の部門にて製品/メニューの改定や新製品の開発の方向性を知るツールとして活用し始めています。「生活者のからだとこころの健康」に貢献できる次世代の栄養研究領域として「栄養×感覚」に注目し、種々の外部研究機関との協業、国内外のシンポジウムを通じた情報発信やネットワーク構築を進めています。また、生体内におけるアミノ酸の栄養・代謝研究を基盤として、健康長寿社会の実現や、栄養不良の二重負荷(不足栄養と過剰栄養)の解決に向けた研究にも取り組んでいます。 「おいしさ設計技術®」に関しては、食品の味・香り・食感などの感じ方とその食品の好ましさとの関係性を定量的に評価・解析し最適化を図り、商品や技術・素材の開発に応用しています。さらに、「人は味や香りをどのような仕組みで感じ、『おいしい』と思うのか?」について、外部の先端研究機関との協業を進め、お客様に新たな価値をもたらす独自の素材や配合の探索にも取り組んでいます。 このような技術や仕組みを世界各地の味の素グループ企業において、現地のお客様の様々な嗜好に合い、おいしさと栄養改善に貢献する味の素グループにしか提供できない商品の開発に活用していきます。 ヘルスケア領域では、成長戦略の1つである先端バイオ医療周辺領域におけるグローバルトップクラスの開発・生産体制の構築に関して、バイオ医薬品の受託製造サービス事業を支える次なる技術として、当社独自の抗体薬物複合体(ADC)製造技術である「AJICAP™」技術を開発し、事業に貢献しています。 低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出にも継続して取り組んでいます。オープン&リンクイノベーションの取り組みにて、東京工業大学細野教授らと新規触媒を用いたアンモニア合成の検討を進め、2017年4月につばめBHB㈱を設立し、世界で初めてとなるオンサイト型のアンモニア合成システムを2021年頃の実用化を目指して検討しています。 また、基盤技術として、高感度アミノ酸・タンパク質分析などの先端分析技術を開発し、様々な事業領域における研究開発、新事業開発につなげています。先端微量分析技術は、成分/不純物解析など製品の配合技術開発や品質管理・安全性検証への応用や、「アミノインデックス®」の高機能化へ応用されています。酵素改変技術は、アミノ酸誘導体、ペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に役立っています。 その他、ICT関連として、ビッグデータ活用技術、シミュレーション、人工知能、ロボティクスなど、様々な技術を活用し、デジタルマーケティングや製造プロセス制御の深化に取り組んでいます。ICTのバリューチェーン全体への活用によりデジタルトランスフォーメーションを推進加速していきます。 オープン&リンクイノベーションの推進では、各種ツールを積極的に活用し社外関係者とのコミュニケーションを強化しています。2018年6月に新たにクライアント・イノベーション・センターを開設し、ビジネスパートナーとの交流や技術の融合によるイノベーションの創出、当社グループの事業を通じた新たな価値・事業の共創により一層取り組んでいます。 2019年度より、①成長ポテンシャルの高い事業領域へのリソース重点化・シフト、②資産効率の向上、③生産性の向上及び製品開発のスピードアップを目的とし、R&D体制を再編します。クノール食品㈱開発技術センターを味の素㈱食品研究所へ統合し、味の素㈱においてはイノベーション研究所を、食品研究所、バイオ・ファイン研究所等に組み込み、成果創出を加速し、迅速に事業に貢献できる体制で研究開発に取り組みます。 全社に係わる研究開発費は、12,040百万円です。
FY2018|8,422 文字
5【研究開発活動】 味の素グループは、「健康なこころとからだ」、「食資源」、「地球持続性」の社会課題解決に向けて、事業を通じて貢献していきます。2017-2019中期経営計画では「FIT & GROW WITH Specialty」戦略によるスペシャリティ事業への構造改革を最重要戦略とし、グローバル食品企業トップ10クラスの事業を目指しています。 先端バイオ・ファイン技術力と顧客価値創造力の融合から生まれる「スペシャリティ」を土台に、「地域ポートフォリオの強化を通じた確実な成長」や「スペシャリティの確立による事業ポートフォリオ強化」に関する研究開発に経営資源を重点的に投資しています。また、新製品・新事業を効率的に生み出すため、社外の研究機関や企業とのオープン&リンクイノベーションを積極的に活用します。 当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は27,833百万円です。 また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約4,000件です。 当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりです。 (1)日本食品セグメント 味の素㈱の食品研究所が中心となり、味、香り・風味、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。少子化・高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場におけるニーズを掘り起こし、当社独自の素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の製品開発に取り組んでいます。 食品研究所は、クノール食品㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素AGF㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図っています。 <調味料・加工食品(日本)> 2017年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応し、おいしさと栄養そして生活者価値に基づく技術・商品を通じて、人々の「健康なこころとからだ」に貢献すべく「スペシャリティ」を持った新製品を開発・発売しました。 メニュー用調味料市場においては、当社独自素材を活用した「Cook Do®」〈四川担担麺用ソース〉、「Cook Do®」〈ジャージャー麺用ソース〉や、「Cook Do®きょうの大皿®」〈甘から豚バラピーマン用〉を発売しました。また当社の独自技術を活用して、短時間で大根に味が染み込みおいしく仕上がる「Cook Do®」〈豚バラ大根用〉を発売しました。スープ市場においては、当社の独自技術を用いた「クノール®カップスープ」〈冷たい牛乳でつくるトマトのポタージュ〉を発売しました。また、高品質・スマートな調理をお客様にご提供すべく、コンビニエンスストアで購入できる食材を使って簡便に本格ディナーがつくれる「今夜はてづくり気分®」〈サラダチキンで作る参鶏湯〉、「今夜はてづくり気分®」〈サラダチキンで作る濃厚ミネストローネ〉、「今夜はてづくり気分®」〈お豆腐で作るじんわり生姜スープ〉、「今夜はてづくり気分®」〈お豆腐と卵で作るスンドゥブチゲ〉や、野菜をたっぷり摂ることができる「クノール®たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用」〈しお鶏だし〉、「クノール®たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用」〈まろやかコンソメ〉を発売しました。和風だし市場においては、独自のおいしく減塩する技術を使うことで「ほんだし®」のおいしさそのままに60%減塩を実現した「お塩控えめの・ほんだし®」を発売しました。Eコマース向けには独自素材と匠の技を活用しただしパック「ほんだし®華だし」を発売しました。また、キューブ状の鍋つゆの素「鍋キューブ®」シリーズにおいて、「鍋キューブ®」〈10種の野菜だし鍋〉、「鍋キューブ®」〈トムヤム味〉を発売しました。 業務用では、新規コク味物質と当社配合技術を活用して、自然な素材の風味を引き上げ、コクを付与する「コクミドル®」〈スイーツ濃厚感〉を発売しました。また、独自素材を活用して、自然なやわらかさの肉メニューの提供を可能にする「味の素KKお肉やわらか調理料」と、風味豊かでコクのあるブイヨンを短時間でとることができるだしパックタイプのブイヨン「クノール®ブイヨンパック」を発売しました。 ベーカリー製品では、生地中の水和を高める独自技術により「しっとりかつずっしりした食感」を実現したパン生地を使った「メンチカツバーガー」が全国で高く評価され、「フィッシュバーガー」、「チキンカツバーガー」、「グラタンコロッケバーガー」とバーガー類4品種への拡大販売に至りました。また海外においては、上海の関連会社で、合弁先のブレッド・トーク社と協業で、味の素グループ技術活用による事業拡大に取り組んでいます。 超高齢化が進む今日の日本において、国、地方自治体は健康寿命延伸施策を積極的に進めています。当社においても、高齢者のフレイル(虚弱)、低栄養の予防改善に向け、当社のスペシャリティである「たんぱく質・アミノ酸栄養」の研究開発知見を活かした製品の開発を進めています。2017年度は、カラダづくりに大切な栄養素である「たんぱく質」を日々の食事から、おいしく、手軽に摂っていただくために「クノール®たんぱく質がしっかり摂れるスープ」を開発、発売しました。併せて、これまでの研究成果に基づく機能性情報の発信や高齢者の健康栄養課題解決に向けた啓発活動も推進しました。<冷凍食品(日本)> 家庭用では、大好きなおかずがおにぎりで、おいしく食べられる「おにぎり丸®」シリーズに新たに3品種を追加開発・発売しました。使いやすさとおいしさ設計にグループ素材を加えることにより、更に握りやすく、具材がしっかり感じられるおいしい食感を実現しました。 業務用では、お客様のオペレーション課題の着眼と技術により解決した製品でおいしさに加え、現場ニーズにお応えする新製品を開発・発売しました。グループ素材活用と味の素冷凍食品㈱の独自の配合と炒め製法技術により保温による食感や風味の劣化を解消した「ガツうま!チャーハン」を開発・発売しました。 <コーヒー類> インスタントコーヒーに粉末化された香気成分をブレンドして華やかな香りやコクを高めた「ブレンディ®」〈アロマブレンドコーヒー 優華なコク〉を発売しました。ペットボトルではストレート飲用ユーザーをターゲットに香りと後味に徹底的にこだわった「マキシム®」〈ボトル コーヒー 香りとキレのブラック900ml〉を発売しました。また、「ブレンディ®カフェラトリー®スティック」シリーズに専門店で楽しむラテメニューのようなミルクのコクや厚みにこだわった甘さなしタイプを導入しました。 日本食品セグメントに係わる研究開発費は、3,486百万円です。 (2)海外食品セグメント 「各国のおいしさNo.1」を目指し、当社独自の素材や技術を世界中に展開し、各国嗜好とニーズにきめ細かく適応した調味料、及び加工食品の開発に継続的に取り組みました。 各国の生活者の食生活をより豊かに、おいしさをお届けすべく、タイの「RosDee®」Cube、「Birdy®」〈Thai tea〉、フィリピンの「GINISA」、ベトナムの「Aji-ngon®」Porkなど、アセアン地域を中心に独自素材を活用した10品種の新製品、品質向上に貢献しています。 また、新興国においては、2017年8月にインドで粉末飲料「Blendy®」3in1(コーヒー、マサラチャイ)を発売し、ミャンマーでは2017年9月にうま味調味料「AJI-NO-MOTO®」を発売し、2018年4月には粉末飲料「Birdy®」3in1の発売を予定しています。 甘味料につきましては、アスパルテームのコスト競争力の強化を目的としてプロセス改善を継続して進めました。コンシューマー製品では、当社独自のおいしさ設計技術活用により、主力の「パルスイート®カロリーゼロ」(液体タイプ)の味質と保存性を改善し、飲み物だけでなく幅広い料理の甘味付けに更に使いやすくなるよう開発を進めました。 海外食品セグメントに係わる研究開発費は、3,734百万円です。 (3)ライフサポートセグメント 味の素㈱のバイオ・ファイン研究所が中心となり、動物栄養、電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。乳牛用飼料「AjiPro®-L」のさらなる飼料効果改善、ここで培われたユニークな徐放化技術の他利用展開など、当社ならではのスペシャリティによるお客様の価値創出を目指し、事業拡大を図っています。また、電子材料では絶縁材料で培われた技術をベースに様々な有望用途へと広げるための開発を続けています。 更なる顧客価値の創造のため、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発センターとも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。 <動物栄養> グローバルな研究開発推進体制により、競争力強化に向けて低資源利用発酵技術等の新技術開発を行い、海外の技術開発センターとともに工業化を加速させ、2017年度は北米においてトリプトファンの生産を開始しました。 スペシャリティ製品分野においては、乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro®-L」のグローバル展開のための研究開発を推進しました。 <化成品> 電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代CPU用絶縁材料の開発継続に加え、データセンター向サーバー・自動運転システムなど半導体用途の広がりに対応すべく次世代半導体パッケージ用の絶縁材料の開発に注力しています。 活性炭事業では、長年味の素グループの生産を支えてきた吸着技術を活用し、水や空気の浄化等の環境貢献も意識し、各種高機能な吸着材料の開発を進めています。<ライフサポートその他> ひと・生き物・地球の持続可能な未来づくりへの貢献につながる製品・事業の開発を目指し、アミノ酸・核酸の農作物に対する有効性についての研究開発を進めています。核酸系肥料の「アミハート®」、「早根早起®」、アミノ酸系肥料の「アジフォル® アミノガード®」、「グルハート®」を発売しました。海外でもこれらの核酸、アミノ酸系肥料を展開していきます。2016年度に上市した「グルハート®」の効果成分を増強した新製品「グルハート®プラス」に加え、2017年度に上市した粒状タイプの土壌改質剤「土壌再生炭」も、それぞれお客様のニーズを捉え、高い評価を得ています。 ライフサポートセグメントに係わる研究開発費は、5,279百万円です。 (4)ヘルスケアセグメント 味の素㈱の3研究所(イノベーション研究所、バイオ・ファイン研究所、食品研究所)、及び味の素オムニケム社、味の素アルテア社、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社等の国内外の各グループ会社及びその技術開発センターとも連携し、世界の健康に貢献するための商品や技術の開発を進めています。2015年から販売を開始した再生医療用培地事業では、更なる高品質増殖用培地の開発の他、各種分化用培地の開発、欧米主要研究機関への導入などを勢力的に進めています。また、アミノ酸事業展開としては、医薬用、食品用アミノ酸事業の他、当社の長年にわたるアミノ酸の機能研究に基づき、「アミノバイタル®」などのスポーツニュートリション領域や「グリナ®」や「アミノエール®」などの機能性食品領域において、総力を挙げて新商品の開発に取り組んでいます。さらには血液中のアミノ酸バランスから現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自技術アミノインデックス®は、がん診断事業の拡大を図るとともに、生活習慣病等の診断とそのソリューション提供事業へと拡大すべく、研究開発を進めています。また、先端医療分野では、医薬原薬の製造事業「AJIPHASE®」を推進し、当社独自のオリゴ核酸及びペプチドの新規合成技術の開発を進めています。 <製薬カスタムサービス> 製薬メーカーからの原薬受託製造について、高活性原薬の開発体制の一層の充実を図り、継続的なテーマの受注に繋げています。タンパク発現技術(「CORYNEX®関連技術」)の研究開発を進め、味の素アルテア社とも連携しグローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。 今後の成長市場であるオリゴ核酸医薬の受託製造においては、㈱ジーンデザインと連携して固相合成を活用した開発初期の少量多品種製造から開発後期・上市品の「AJIPHASE®」による大量製造までの供給体制を構築しました。当社独自のペプチド/オリゴ核酸の液相法大量製造技術である「AJIPHASE®」は製薬業界での認知度の高まりにより急速に事業を拡大しています。 <アミノ酸> 医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めました。また、動物細胞培養用の培地事業は味の素ジェネクシン社を拠点とし、国内外のバイオ医薬品メーカーとの開発への取り組みを継続、拡大致しました。 再生医療用培地では、基礎研究用培地「StemFit®」Basic02を、米国・韓国に続いて、欧州でも2017年7月より発売しました。「StemFit®」Basic02は、iPS/ES細胞の汎用培地として世界最高水準の性能を備えており、高い増殖性能に加えて、ゲノム編集時の高いクローニング効率など、他社製品に比し、高いコストパフォーマンスを実現しています。また再生医療培地に使用される成長因子・タンパク質素材に関しても、当社バイオ技術を用いて、開発を進めています。 <スポーツニュートリション> スポーツ栄養科学研究においては、機能性エビデンスに基づいた独自のアミノ酸組成の創出にアミノサイエンス技術を、おいしさ、飲みやすさの追求に食品技術をそれぞれ駆使して、スポーツサプリメント製品の創出に取り組んでいます。2017年度においては、持ち運びしやすい、高濃度のアミノ酸を含有した小容量ゼリータイプのサプリメント「アミノバイタル®アミノショット」を2017年8月より、必須アミノ酸とホエイプロテインを独自配合したシェイク不要なプロテインである「アミノバイタル®アミノプロテイン」から新たなフレーバーのカシス味を2018年3月よりそれぞれ発売しました。また、平昌オリンピック・パラリンピック大会におきましては、アミノ酸ベース顆粒製品を日本代表選手団に提供し、選手のトータルコンディショニングを支援しました。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」オフィシャルパートナーとして引き続き、社外の研究機関等とのオープン&リンクイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する生活者に貢献できる製品開発を行っています。<ダイレクトマーケティング> 「グリナ®」「アミノエール®」「毎朝ヒスチジン®」に続き、2017年11月に日本初の基礎代謝向上をサポートする機能性表示食品※「カプシEX®」を発売しました。「カプシEX®」は辛くない特殊なトウガラシから抽出した機能性成分“カプシノイド”が含まれており、加齢や活動量等の減少により基礎代謝の低下が気になる方の基礎代謝の向上をサポートする機能があります。今後も、当社独自の健康価値を有する製品や情報の提供を通じて、“健康社会”の実現に取り組んでいます。 ※事業者の責任で科学的根拠を基に、商品パッケージに健康の維持増進に資する機能性を表示するものとして消費者庁に届け出られた食品 <アミノインデックス®> 「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)を、一度の採血で複数のがんの罹患の可能性を評価できる検査として提供してきました。AICS®について、発売後もその有用性を訴求する研究活動を継続しており、その成果が第25回日本消化器関連学会週間(JDDW2017)並びに第58回人間ドック学会学術大会にて、優秀演題に選ばれました。また2017年11月には、AICS®に将来の生活習慣病発症リスクを評価するアミノインデックス®生活習慣病リスクスクリーニング(AILS(エーアイエルエス)®)を加えたアミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)を全国発売しました。この技術を活用し、さらに疾患の予防や早期発見につながる検査の開発を進め、AIRS®を総合健康指標に発展させていきます。 <ヘルスケアその他> 香粧品素材につきましては、アミノ酸由来の洗浄剤、湿潤剤、機能性素材を中心に、独自の研究開発を行っています。2017年度は、新製品の開発に加え、顧客へのテクニカルサポート、処方改良のサポートなどに力を入れ、さらには、洗浄剤の世界的な需要が高まる中、環境負荷の低減も視野に入れた工業化プロセスの開発にも取り組んでいます。用途としては、従来からのスキンケア用途、ヘアケア用途に続く重点ターゲットとして、アミノ酸系の機能性素材を中心に、メイクアップ用途の開発も、積極的に進めました。 ヘルスケアセグメントに係わる研究開発費は、2,574百万円です。 (5)その他 その他セグメントに係わる研究開発費は、813百万円です。 (6)全社 味の素グループの将来を担うと期待される領域での事業展開を見据え、関係する研究テーマを全社研究とし、資源を集中的に投資し、開発を進めています。 味の素㈱のイノベーション研究所、食品研究所、バイオ・ファイン研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端の研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。 食品の味・香り・食感などの感じ方とその食品の好ましさとの関係性を定量的に評価・解析し最適化を図る「おいしさ設計技術」を着実に進化させ、商品や技術・素材の開発に応用しています。このような技術はすでに世界の味の素グループ企業においても、現地のお客様のさまざまな嗜好に合わせた商品の開発にむけて活用されています。さらに、「人は味や香りをどのような仕組みで感じ、『おいしい』と思うのか?」について、外部の先端研究機関との協業を進め、お客様に新たな価値をもたらす独自の素材や配合の探索にも取り組んでいます。また、生体内におけるアミノ酸の栄養・代謝研究を基盤として、健康長寿社会の実現や、栄養不良の二重負荷(不足栄養と過栄養)の解決に向けた研究も進めています。世界の人々の「健康なこころとからだ」の実現にむけて、自社製品や食事メニューにおける栄養の基準化や評価法についても研究を続けています。 低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出に継続して取り組んでいます。バイオ・ファイン技術による高機能素材開発の一環として、長谷川香料㈱との業務提携によりナチュラルフレーバー市場に向けて、発酵法によるフレーバー素材の製法開発も継続して推進しています。また、オープン&リンクイノベーションの取り組みでは、東京工業大学の細野教授らと新規触媒を用いたアンモニア合成の検討を進め、2017年4月に世界で初めてとなるオンサイト型のアンモニア合成システムの実用化を目指した、つばめBHB㈱を設立しました。 ICT技術のバリューチェーン全体への活用を推進しています。デジタルマーケティングや製造プロセス制御の深化を目的としたビッグデータ活用技術や、シミュレーション、人工知能、ロボティクスを活用した安全・安心につながる製造技術を開発しています。 高感度アミノ酸・タンパク質分析などの先端分析技術を開発し、様々な事業領域における研究開発、新事業開発につなげています。最先端微量分析技術を用いた成分解析及び不純物解析技術は、製品の安全性検証や配合技術開発に応用され、酵素改変技術は、アミノ酸誘導体やペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に役立っています。 全社に係わる研究開発費は、11,944百万円です。
FY2017|8,481 文字
6【研究開発活動】味の素グループは「グローバル健康貢献企業グループ」を目指し、人類の課題である「地球持続性」「食資源の確保」「健康な生活」の実現に向けて、事業を通じて貢献していきます。2014-2016中期経営計画では、高い付加価値を生み出す「スペシャリティ化」の推進によって安定的利益成長を実現させ、「グローバル食品企業トップ10」レベルの事業を目指しています。他社や既存のものにはない「スペシャリティ」を技術力によって先導すべく、「R&Dのリーダーシップ」を成長ドライバーに位置づけ、高い成長が見込まれる「世界一の調味料技術」と「独自の先端バイオ」技術が活かせる領域に研究開発における経営資源を重点的に投資しています。また、新製品・新事業を効率的に生み出すため、社外の研究機関や企業とのオープンイノベーションを積極的に活用します。当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は27,134百万円であります。また、当社グループが保有している特許は国内外合わせて約3,900件であります。当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりであります。 (1) 日本食品セグメント味の素㈱の食品研究所が中心となり、味覚、嗅覚、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。少子高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場における潜在ニーズを掘り起し、当社独自の素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の新商品開発に取り組んでいます。食品研究所は、クノール食品㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素ゼネラルフーヅ㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図っています。 <調味料・加工食品(日本)>2016年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応した製品でおいしく食べて健康な生活をご提供すべく、「スペシャリティ」を持った新製品を開発・発売しました。メニュー用調味料市場においては、当社の独自素材「醸造香」を配合することにより全体の風味が増強された「Cook Do®豚肉の黒酢炒め用」と、甘酢の豊かな風味が増強された「Cook Do®きょうの大皿®」<鶏肉と玉ねぎの甘酢あん用>、「Cook Do®きょうの大皿®」<鶏肉となすの甘酢炒め用>を発売しました。また当社の独自技術「根菜柔らか成分」により、短時間で大根を軟らかく仕上げることができる「Cook Do®きょうの大皿®」<肉みそ大根用>を発売しました。スープ市場においては、独自素材の配合により乳のコクと素材の風味が更に豊かになった「クノール®カップスープ」を発売しました。またマヨネーズ市場においては、独自素材の配合によりマヨネーズ本来のコクが更に豊かになった「ピュアセレクト®コクうま®65%カロリーカット」を発売しました。和風だし市場においては、高付加価値領域のニーズの高まりにお応えした製品「ほんだし® 焼きあごだし」を発売しました。香ばしい香りや厚みなど「焼きあごだし」に求められるおいしさを当社の独自素材の配合によって実現しました。また独自の減塩技術により、おいしさそのままで減塩率50%を実現した「お塩控えめの・ほんだし®」を発売しました。さらに、オープン&リンクイノベーションにより、燃焼時に発生するCO2量が抑制された食品包材「CO2吸収包材」を世界で初めて開発し「鍋キューブ®」外袋パウチに導入しました。従来の包材と比べてCO2排出量を25%以上削減でき、この包材導入前後で比較すると年間CO2排出量で44トンを削減できる見込みです。業務用では、当社独自技術を活用し、炊き立てのご飯のおいしさが持続する「お米ふっくら調理料」と、から揚げ等の肉のジューシー感が持続する「お肉ジューシー調理料」の改定を行いました。加工需要家向けでは、長谷川香料㈱と協業して、加熱に負けない自然なかつお節の肉質香を付与する調味料「かつお節エキスN<肉質香>」、本格的な豚骨の炊き出し風味を付与する調味料「『アロマックス®』炊き出し豚骨香」を発売しました。ベーカリー製品につきましては、味の素グループの独自技術で生地中の水和性を高め、顧客の求める「しっとりかつずっしりした食感」を冷生地を用いたパン生地で具現化しました。その生地を用いて「メンチカツバーガー」を CVS向けに開発し関東圏で販売したところ、高く評価され全国展開に至りました。世界に類を見ない超高齢社会の日本において、国は地域包括ケア構想を掲げ、地域、在宅での医療・介護の推進を図っています。こうした動向を踏まえ、2016年度、当社では、従来の医療機関、介護施設向けのみならず、在宅で療養される高齢者・ご家族、また介護予備軍とされる方々をも対象とした味の素KK「栄養ケア食品」の新製品の開発(発売は2017年度以降)を進めました。また、製品開発のみならず、2016年度は在宅高齢者・ご家族の方々により身近に製品をお求めいただけるようにドラッグストア、スーパーマーケットなどへの販売を拡充し、併せてこれらの対象者へのこれまでの研究成果に基づく機能性情報の発信や対象領域の啓発活動も推進しました。「アミノケア®ゼリー ロイシン40」「抵抗活力®アミノ酸 シスチン&テアニン」を用いた臨床研究では、様々な疾患で生じる筋肉の減弱やがん治療の副作用に関連する研究成果が各学会で発表され、注目を集めています。「抵抗活力®アミノ酸 シスチン&テアニン」では、更に信頼性の高い成果を得るために、多施設共同での(ランダム化)比較試験が開始されています。 <冷凍食品(日本)>家庭用では、グループ技術素材と味の素冷凍食品㈱の焼売製法を駆使し、ひとくち噛むと肉汁が口にひろがり、椎茸と葱油の旨みと香り、コクが楽しめる「ザ★シュウマイ」、そして大好きなおかずがおにぎりで、おいしく食べられる独自製法の「おにぎり丸」5品種を開発しました。業務用では、従来にはないアミノ酸技術により洋食専門店の口溶けの良さと、時間が経ってもそのなめらかな食感が続くクリームソースの「時間が経ってもなめらか!専門店のかにクリームコロッケ」、そしてお客様の声にこたえる時短、簡便オペレーションで、更に焼き目と皮の食感がおいしくなった「袋のままスチコンで焼餃子」2品種を開発しました。 <コーヒー類>「ブレンディ®スティック」で使用しているミルクアロマ成分を駆使し、専門店で楽しむラテのようなミルクのコクや厚みのある「ブレンディ®カフェラトリースティック」シリーズを新スティック商品として発売しました。 また、ミルクのコク味成分を維持したまま冷水にも可溶なインスタントクリーミングパウダーを開発し、濃厚でクリーミーな味わいを冷水で楽しめる「ブレンディ®スティック」アイス製品を発売しました。 日本食品セグメントに係わる研究開発費は、3,425百万円であります。 (2) 海外食品セグメント「各国のおいしさNo.1」を目指し、当社独自の素材や技術を世界中に展開し、各国嗜好とニーズにきめ細かく適応した調味料、及び加工食品の開発に継続的に取り組みました。各国の生活者の食生活を豊かにすべく、インドネシアにおいては主力事業うま味調味料「味の素®」、風味調味料に加え、新領域であるベーカリー事業に参入しました。またベトナムにおいても新たにライトミール領域に参入し、パンケーキミックス製品「BanhRan」を発売しました。さらに、フィリピンでは当社保有のオイスターエキスを活用し、「Sarsaya®」ブランドで液体調味料事業に参入しました。味の素グループの技術を各国で活用し、資源代替や生産性改善を推進することで、収益構造強化に向け取り組んでいます。甘味料につきましては、アスパルテームのコスト競争力の強化を目的としてプロセス改善を継続して進めました。リテイル商品では、当社独自の甘味設計技術を活用した調理用途で更に使いやすい製品開発を進めました。 海外食品セグメントに係わる研究開発費は、3,588百万円であります。 (3) ライフサポートセグメント味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、動物栄養、香粧品、電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。乳牛用飼料「AjiPro®-L」のさらなる飼料効果改善、ここで培われたユニークな保護技術の他利用展開など、当社ならではのスペシャリティによるお客様の価値創出を目指し、事業拡大を図っています。一方素材事業では、抜本的な新製法開発に注力し、収益構造改革を推進しています。また、電子材料では絶縁材料で培われた技術を有機EL関連材料など様々な有望用途へと広げるための開発を続けています。更なる顧客価値の創造のため、味の素オムニケム社、味の素アルテア社、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発センターとも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。 <動物栄養>グローバルな研究開発推進体制により、競争力強化に向けて発酵技術に関する基盤研究の一層の推進、非可食原料利用を含めた低資源利用発酵技術等の新技術開発を行い、海外の技術開発センターとともに工業化を加速させ、各海外工場への導入を推進しました。乳牛用のアミノ酸として当社独自の技術を生かして開発された「AjiPro®-L」は、さらなる品質向上を実現し、北米を中心に市場から高い評価を得ています。また、飼料用アミノ酸の有効活用による温室効果ガスの削減や農地有効活用などの環境貢献が評価され、エコプロ2016 ~ 環境とエネルギーの未来展[第18回]で農林水産大臣賞を受賞しました。 <化成品>香粧品素材につきましては、製品ポートフォリオ拡充のため、アミノ酸誘導体を中心に継続的な研究に取り組んでいます。2016年度は、アミノ酸系保湿剤、油性基材、機能性粉体、効能素材の開発を進めました。新製品として、メーキャップ化粧品用のアミノ酸であるL‐リジンを用いた機能性粉体の品種を追加しました。またグローバルな需要拡大に対応するために、日本の洗浄剤生産能力を増強しました。電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代CPU用の絶縁材料の開発に加え、成長の著しいスマートフォン向けの半導体パッケージ材料や次世代型ディスプレイ用材料の開発を継続して注力しています。有力スマートフォンメーカーによるハイエンドモデルやミドルモデルへの採用も着実に進んでいます。活性炭事業では、長年味の素グループの生産を支えてきた吸着技術を活用し、水や空気の浄化等の環境貢献も意識し、各種高機能な吸着材料の開発を進めています。 <ライフサポートその他>ひと・生き物・地球の持続可能な未来づくりへの貢献につながる製品・事業の開発を目指し、アミノ酸・核酸の農作物に対する有効性についての研究開発を進めています。核酸系肥料の「アミハート®」「早根早起®」、アミノ酸系肥料の「アジフォル® アミノガード®」、「グルハート®」を発売しました。海外でもこれらの核酸、アミノ酸系肥料を展開していきます。2016年度は「グルハート®」の効果成分を増強した新製品「グルハート®プラス」を新たに上市しました。加えてお客様の撒き易さを考慮した土壌改質剤「土壌再生炭」粒状タイプを新たにラインナップに加えました。 ライフサポートセグメントに係わる研究開発費は、5,073百万円であります。 (4) ヘルスケアセグメント味の素㈱の3研究所(イノベーション研究所、バイオ・ファイン研究所、食品研究所)が密に連携を取りながら、世界の健康に貢献するための商品や技術の開発を進めています。2015年から販売を開始した再生医療用培地事業では、更なる高品質増殖用培地の開発の他、各種分化用培地の開発、欧米主要研究機関への導入などを勢力的に進めています。また、アミノ酸事業展開としては医薬用、食品用アミノ酸事業の他、当社の長年にわたるアミノ酸の機能研究に基づき、「アミノバイタル®」などのスポーツニュートリション領域や「グリナ®」や「アミノエール®」などの機能性食品領域において、総力を挙げて新商品の開発に取り組んでいます。さらには血液中のアミノ酸バランスから現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自技術アミノインデックス®は、がん診断事業の拡大を図るとともに、生活習慣病等の診断とそのソリューション提供事業へと拡大すべく、研究開発を進めています。また、当社独自のペプチド/オリゴ核酸の液相法大量製造技術である「AJIPHASE®」は製薬業界での認知度の高まりにより急速に事業を拡大しています。 <アミノ酸>医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めました。また、動物細胞培養用の培地の事業展開のため、韓国に設置した味の素ジェネクシン社での医薬、医療用培地の生産・販売を開始しました。再生医療用培地では、基礎研究用培地「StemFit®」Basic02を、米国にて2016年9月、韓国では2017年3月より販売を開始しました。「StemFit®」Basic02は、iPS/ES細胞の汎用培地として世界最高水準の性能を備えており、高い増殖性能に加えて、ゲノム編集時の高いクローニング効率など、他社製品に比し、高いコストパフォーマンスを実現しています。医薬中間体につきましては、製薬メーカーからの原薬受託製造について、高活性原薬の開発体制の一層の充実を図り、継続的なテーマの受注に繋げています。タンパク発現技術(「CORYNEX®関連技術」)の研究開発を進め、味の素アルテア社とも連携しグローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。 <スポーツニュートリション>スポーツ栄養科学研究の推進を通じて、アミノ酸の有用性を検証するとともに、エビデンスを有する製品の創出に取り組んでいます。2016年度においては、日々の栄養摂取とコンディショニングをサポートするために開発した「アミノバイタル® Rio2016日本代表選手団SPECIAL」(非売品)をはじめ、「アミノバイタル®GOLD」、「アミノバイタル®アミノプロテイン」等のアミノ酸ベース顆粒製品をリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック日本代表選手団に提供し、選手のトータルコンディショニングを支援しました。「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」オフィシャルパートナーとして引き続き、社外の研究機関等とのオープンイノベーションを積極的に推進しながら、アスリートやスポーツを愛する生活者に貢献できる製品開発を行っています。 <ダイレクトマーケティング>2015年より施行された機能性表示食品制度※1への届け出を進め、4月に筋肉対策領域で日本初の機能性表示食品となる「アミノエール®」、1月に疲労感の軽減と頭の冴えをサポートする「毎朝ヒスチジン®」を発売しました。「アミノエール®」は“ロイシン40%配合必須アミノ酸”を機能成分とする、65歳以上の方の筋合成力の維持向上と歩行能力の改善をサポートするサプリメントです。「毎朝ヒスチジン®」はアミノ酸“ヒスチジン”を機能性成分とする、頭の疲れのサポートというユニークな価値を持つ製品で、かつおだしに含まれる必須アミノ酸ヒスチジンが疲労感軽減に有効であることを見出した(特許出願中)ことにより生まれました。新たな取り組みとしては、ヒト用サプリメントで培ったアミノ酸の有用性と犬の嗜好性を客観的に評価できる特許技術を活用した、愛犬用サプリメント「ドッグパートナー®」3種※2を発売しました。今後も、アミノ酸を中心とした、当社独自の健康価値を有する製品や情報の提供を通じて、“健康社会”の実現に取り組んでいます。※1:事業者の責任で科学的根拠を基に、商品パッケージに健康の維持増進に資する機能性を表示するものとして消費者庁に届け出られた食品※2:「皮ふ・毛なみ健康サポート」、「足腰健康サポート」、「抵抗活力健康サポート」 <アミノインデックス®>「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)は、一度の採血で複数のがんの罹患の可能性を評価できる検査で、既に全国で約1,200の医療機関で受診が可能です。この技術を用いて、将来の糖尿病やメタボリックシンドロームの発症が予測可能であることや血液中のアミノ酸濃度の低値者が様々な健康リスクと関連することも確認され、論文に掲載されました。本年度も引き続き神奈川県、横浜市、川崎市が共同で推進する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」で、「個別化医療・予防医療」分野の取り組みの一つとして「アミノインデックス技術」を活用する検討を進めています。 <ヘルスケアその他>先端医療分野では、医薬原薬の製造事業「AJIPHASE®」を推進し、当社独自のオリゴ核酸及びペプチドの新規合成技術の開発を進めています。 ヘルスケアセグメントに係わる研究開発費は、2,555百万円であります。 (5) 全社味の素㈱イノベーション研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端の研究・技術を活用し、グループ内の各研究所とともに様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。健康な食生活のためにうま味物質グルタミン酸ナトリウムを有効に使いこなす技術について研究と情報発信を続けています。また、食品の好き、嫌いにかかわる様々な味や香りとその関係性を詳細に評価・解析する方法を確立し、実際の商品の開発に応用できるまでに改良しました。この結果を世界の様々な嗜好を持つお客様により好まれる商品の提供に活用していきます。さらに、「人は味や香りをどのように感じ、『おいしい』と思うのか?」について、より基礎的な研究を世界の研究機関と協力して進め、市場の求める新しい調味料素材を探し出す研究にも取り組んでいます。世界の人々のおいしさと健康に貢献できるサイエンスを目指しています。また、低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出に継続して取り組みました。まず発酵プロセスにおけるバイオマス利用技術開発を推進するとともに、発酵プロセス副産物の農業資材としての効果を微量成分の分析技術を駆使して解析する研究を進めています。一方、バイオによる高機能素材開発の一環として、長谷川香料㈱との業務提携により近年成長が著しいナチュラルフレーバー市場に向けて、発酵法によるフレーバー素材の製法開発に取り組んでいます。このような研究から蓄積される自社技術や、NEDOプロジェクト「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」への参画など種々のオープンイノベーションにより、さらなる高機能性素材の製法開発やその応用研究も進めています。さらに当社のバイオ、分子設計及び配合技術を融合し、次世代の情報通信やセンシング技術に貢献する新規素材の研究にも取り組んでいます。また、省エネルギーや節水など環境に配慮した生産技術の開発を進めるとともに、デジタルマーケティングや製造プロセス制御の深化を目的としたビッグデータ活用技術開発も精力的に実施しています。シミュレーション、人工知能、ロボティクスを活用した安全・安心につながる製造技術の開発を行うとともに、最先端微量分析技術を用いた成分解析及び不純物解析をもとに、製品の安全性を検証しています。特に、高感度アミノ酸・タンパク質分析などの最先端技術を開発し、様々な事業領域における研究開発、新事業開発に貢献しています。また、アミノ酸誘導体やペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に向け、高次構造に基づく酵素の改変技術の開発研究に精力的に取り組みました。さらに、生体内におけるアミノ酸の栄養・代謝研究を基盤とした、健康長寿社会の実現や、栄養不良の二重負荷(不足栄養と過栄養)の解決、効率的な食資源生産に向けた研究も進めています。 全社に係わる研究開発費は、12,236百万円であります。
FY2016|7,406 文字
6【研究開発活動】味の素グループは「グローバル健康貢献企業グループ」を目指し、人類の課題である「地球持続性」「食資源の確保」「健康な生活」の実現に向けて、事業を通じて貢献していきます。2014-2016中期経営計画では、高い付加価値を生み出す「スペシャリティ化」の推進によって安定的利益成長を実現させ、「グローバル食品企業トップ10」レベルの事業を目指しています。他社や既存のものにはない「スペシャリティ」を技術力によって先導すべく、「R&Dのリーダーシップ」を成長ドライバーに位置づけ、高い成長が見込まれる「世界一の調味料技術」と「独自の先端バイオ」技術が活かせる領域に研究開発における経営資源を重点的に投資しています。また、新製品・新事業を効率的に生み出すため、社外の研究機関や企業とのオープンイノベーションを積極的に活用します。当連結会計年度における味の素グループの研究開発費は32,594百万円であります。また、当社グループが保有している特許は国内外あわせて約4,280件であります。当連結会計年度の各事業区分における研究開発活動の概要とその成果は次のとおりであります。 (1)日本食品セグメント味の素㈱の食品研究所が中心となり、味覚、嗅覚、食感など、「おいしさを構成するすべての要素」を俯瞰した技術開発、商品開発、及びそのアプリケーション開発を行っています。少子高齢化、世帯人数の減少、健康志向といった国内市場における潜在ニーズを掘り起し、当社独自の素材と技術及び斬新な発想による価値提案型の新商品開発に取り組んでいます。食品研究所は、クノール食品㈱、味の素冷凍食品㈱、味の素ゼネラルフーヅ㈱、上海味の素食品研究開発センター社(中国)をはじめとする国内外のグループ会社の研究開発部門とも密接に連携を図っています。 <調味料・加工食品>2015年度の家庭用商品は、多様化するお客様のニーズと価値観に対応した製品で驚きと感動を日本の食卓にご提供すべく、「スペシャリティ」(独自価値)を持った新製品を開発・発売しました。メニュー用調味料市場においては、自然な鶏だしの風味を再現し、「肉のだし成分」を配合することにより鶏だし感・鶏の油脂感をUPさせた「Cook Do®おかずごはん」<アジアン鶏飯用>の他、「Cook Do®おかずごはん」の新商品<豚おこわ飯用>、<鶏カレー飯用>、<鶏パエリア用>、<香港風 鶏のまぜ飯用>を発売しました。また当社独自技術を用いた、肉のだし成分により風味が増強された「Cook Do®きょうの大皿®」<豚ひきもやし用>を新発売しました。また酵素の力でお肉をやわらかくする肉用調味料「お肉やわらかの素」も発売しました。さらに当社独自の素材・技術を活かし、「ほんだし®」も改訂しました。業務用では、独自のスジやわらか効果で、お肉をやわらかく仕上げることができる「味の素KKスジやわらか調理料」を発売しました。加工需要家向けでは、当社独自技術を活用し、かみ切りにくい肉のスジをやわらかくできる食肉加工用酵素製剤「アクティバ® スーパーテンダー」(日本)、香辛料の風味を増強する調味料「アロマックス® スパイスギア®」(日本)、和風惣菜向けにやわらかな煮込み風味を付与する調味料「タクミベース® 煮物用」(日本)、北米・欧州向け加工食品に呈味・風味を増強する「Ajinomoto Brand savorboost」 (酵母エキス)、風味調味料向けに鶏だしの呈味・風味を増強する調味料「AJIMATE®」Meaty Booster(中国)、ベトナムの伝統食品(魚醤)向け「FISH SAUCE PLUS」を発売しました。ベーカリー製品につきましては、特に、インドネシアでの事業立ち上げに向け、 現地での原料の探索、及び使いこなし、また、インドネシア市場向け商品開発など迅速に対応しました。 <冷凍食品>家庭用では味の素グループ開発の<コク味物質>と<脂のおいしさ成分>の活用、味の素冷凍食品の独自製法と技術を進化させた<パラパラ食感>製法により中華料理店で食べるような炒めた香り・味・風味・食感を食卓で楽しめる「ザ・チャーハン」、旬のフルーツとグラノラとセットにし、女性がうれしい「旬の果実のグラノラ」2品種を開発しました。業務用では<冷凍食品だから>の価値訴求から煮込む手間がかからず提供できる「大きな具材の野菜スープ」3品種と、短時間調理でもおいしさを提供できる技術開発より「〆メシ」3品種、デザート市場拡大を目指し、凍ったままおいしく食べられる「シチリア風アイスチーズケーキ」を開発しました。 <コーヒー類>日本の水や和菓子との相性を科学し、スペシャルティ技術である「T2ACMI焙煎®」を駆使し、「ジャパニーズコーヒー」を追求したレギュラー・コーヒー「煎」を開発・発売しました。また、スティックコーヒーでは、カフェオレのおいしさ成分を特定、制御することで、おいしさを維持したままパウダーの減容化を実現、原包材の省資源化を進めました。本取り組みが評価され、第37回「食品産業優良企業等表彰」農林水産省食料産業局長賞などの賞を受賞しました。 日本食品セグメントに係わる研究開発費は、3,556百万円であります。 (2)海外食品セグメント「各国のおいしさNo.1」を目指し、当社独自の素材や技術を世界中に展開し、各国嗜好とニーズにきめ細かく適応した調味料、及び加工食品の開発に継続的に取り組みました。タイにおいては主力事業「味の素®」、風味調味料に加え、メニュー用調味料、「Birdy®」のトップライン拡大を行いました。ブラジルにおいては新領域メニュー用調味料「Satis!」で新品種9品を追加発売し計12品種となりました。ベトナムにおいては健康素材を軸に新規参入し、濃縮梅エキス製品「うめちゃん」を発売しました。北米では味の素ウィンザー社を設立し、北米コンシューマー事業を統合しました。味の素グループ技術を活用し生産性改善を推進し、収益構造強化に向け取り組んでいます。甘味料につきましては、アスパルテームのコスト競争力の強化を目的としてプロセス改善を継続して進めました。甘味設計技術の高度化を図り、アプリケーションの拡充に繋げました。リテイル商品では、甘味設計技術を駆使した砂糖よりもおいしい甘味料の開発に着手しました。 海外食品セグメントに係わる研究開発費は、3,360百万円であります。 (3)ライフサポートセグメント味の素㈱バイオ・ファイン研究所が中心となり、動物栄養、香粧品、電子材料などの幅広い事業領域における研究開発に取り組んでいます。乳牛用飼料「AjiPro®-L」のさらなる飼料効果改善、ここで培われたユニークな保護技術の他利用展開など、当社ならではのスペシャリティによるお客様の価値創出を目指し、事業拡大を図っています。一方、主力となる素材事業では、継続的に抜本的な新製法を導入し、更に収益を上げるための構造改革を推進しています。更なる顧客価値の創造のため、味の素オムニケム社、味の素アルテア社、味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート社、味の素ファインテクノ㈱等の国内外の各グループ会社及びその技術開発センターとも密接に連携し、世界中の市場に向けたソリューションを提供しています。 <動物栄養>グローバルな研究開発推進体制により、競争力強化に向けて発酵技術に関する基盤研究の一層の推進、非可食原料利用を含めた低資源利用発酵技術等の新技術開発を行い、海外の技術開発センターと共に工業化を加速させ、各海外工場への導入を推進しました。2015年度は北米における飼料用トリプトファンの生産を決定しました。新しい生産技術により、競争優位性を有する飼料用トリプトファンの生産を小投資で実現します。これからも技術導入による競争力強化と最適な生産体制の実現を進めてまいります。 <化成品>香粧品につきましては、製品ポートフォリオ拡充のため、アミノ酸誘導体を中心に香粧品原料の継続的な研究に取り組んでいます。2015年度は、アミノ酸系洗浄剤、油性原料、機能性粉体、効果効能素材の開発を進めました。新製品として、アミノ酸であるL-グルタミン酸系の洗浄剤とL-グルタミン酸系の洗浄補助剤の品種を追加しました。またグローバルな需要拡大に対応するために、日本の洗浄剤能力を増強しました。電子材料につきましては、味の素ファインテクノ㈱と共同で、次世代CPU用の絶縁材料を開発するとともに、成長の著しいスマートフォン向けの半導体パッケージ材料の開発にも注力しています。有力スマートフォンメーカーによるハイエンドモデルへの採用に加え、ミドルモデルへの展開も進めています。また絶縁材料での知見を活かし、次世代型のディスプレイや照明等への利用に向けた有機EL関連材料の開発に取り組み、照明用途で実用化の目途が立ちました。活性炭事業では、長年味の素グループの生産を支えてきた吸着技術を活用し、プリン体を効率的に除去できる活性炭の飲料メーカーへの販売を始め、各種高機能な吸着材料の開発を進めています。 <ライフサポートその他>ひと・生き物・地球の持続可能な未来づくりへの貢献につながる製品・事業の開発を目指し、アミノ酸・核酸の農作物に対する有効性についての研究開発を進めています。核酸系肥料の「アミハート®」「早根早起®」、アミノ酸系肥料の「アジフォル® アミノガード®」、「グルハート®」を販売、また2015年度はゴルフ場向け液体肥料「ターフバイタル®プロ」を上市しました。海外でもこれらの核酸、アミノ酸系肥料を展開していきます。 ライフサポートセグメントに係わる研究開発費は、5,039百万円であります。 (4)ヘルスケアセグメント <アミノ酸>医薬用・食品用アミノ酸につきましては、アミノ酸市場の伸びに対応するために、生産性の向上とコスト競争力の強化を目的とした発酵・精製プロセス開発と導入を継続して進めました。また、動物細胞培養用の培地の事業展開のため、韓国に設置した味の素ジェネクシン社での医薬、医療用培地の生産・販売を開始しました。再生医療用培地では、基礎研究用培地「StemFit®」AK02Nを2015年10月より販売を開始しました。「StemFit®」AK02Nは、iPS/ES細胞の増殖用培地として世界最高水準の性能を備えており、培地交換の頻度や増殖率、安定性の面において他社製品に比し、高いコストパフォーマンスを実現しています。医薬中間体につきましては、製薬メーカーからの原薬受託製造について、高活性原薬の開発体制の一層の充実を図り、継続的なテーマの受注に繋げています。タンパク発現技術(「CORYNEX®関連技術」)の研究開発を進め、味の素アルテア社とも連携しグローバル大手製薬企業とバイオ医薬品の開発・製造支援事業「CORYNEX®」を推進しています。 <スポーツニュートリション>スポーツ栄養科学研究の推進を通じて、アミノ酸の有用性を検証するとともに、エビデンスを有する製品の創出に取り組んできています。2016年リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会では、日本代表選手団が最高のパフォーマンスを発揮するための支援活動を展開しますが、その一つとして、日々の栄養摂取とコンディショニングをサポートするべく、日本代表選手団向けに独占供給する「アミノバイタル® Rio2016日本代表選手団SPECIAL」(非売品)を創出しました。また、「アミノバイタル®ゴールド」(顆粒タイプ)の主成分であるロイシン高配合必須アミノ酸を配合したゼリータイプ製品として「アミノバイタル®ゴールド」ゼリードリンクを発売して、「アミノバイタル®ゴールド」シリーズを拡充しました。 <ダイレクトマーケティング>2015年4月、機能性表示食品制度が施行され、事業者の責任で科学的根拠を基に、商品パッケージに健康増進に資する機能性を表示することができるようになりました。自社素材とその科学的エビデンスを保有する当社にとっては事業拡大の大きな機会であると捉え、「グリナ®」は睡眠領域で、「アミノエール®」は高齢者の筋肉対策領域で、それぞれ日本初の機能性表示食品のサプリメントとして届出しました。「グリナ®」は、 “グリシン”(非必須アミノ酸)の徐波睡眠への移行誘発による睡眠の質の改善の機能(当該機能は当社が特許を保有しています。)、「アミノエール®」は“ロイシン40%配合必須アミノ酸”(「Amino L40」)による高齢者の筋合成力向上及び歩行能力の改善の機能について表示を行っております。当社は今後も、アミノ酸を中心とした、当社独自の健康価値を有する製品やサービスの提供を通じて、“健康社会”の実現に取り組んでまいります。 <ニュートリションケア>当社が独自に開発したロイシン高配合必須アミノ酸混合物「Amino L40」を活用した製品「アミノケア®ゼリー ロイシン40」では、2015年度から新たにはじまった国の「機能性表示食品」制度を活用、「Amino L40」のもつ健康の維持増進に役立つ科学的根拠を消費者庁に届け出、受理されたことで、「60代からの筋肉づくりと歩く力をサポート」という同製品の機能を表示することが可能になりました。この制度により、従来、一般食品では難しかった製品の機能性についてのお客様の理解が一層進み、製品の普及と利用が益々期待されています。さらに、各疾患領域で「アミノケア®ゼリー ロイシン40」「抵抗活力®アミノ酸 シスチン&テアニン」を用いた臨床研究を推進しており、様々な疾患で生じる筋肉の減弱やがんの治療の副作用に関連する領域での研究成果が各学会で発表され、注目を集めています。 <アミノインデックス®>「アミノインデックス技術」は、血液中のアミノ酸濃度のバランスから、現在の健康状態やがんなどの疾病リスクを明らかにする当社独自の技術です。この技術を用いたアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)は、一度の採血で複数のがんの罹患リスクを評価できる検査で、すでに全国1,100以上の医療機関で受診が可能です。2015年8月には、膵臓がんを追加したAICS®(5種/6種)を発売しました。またこの技術は、生活習慣病に関連するリスクの高い集団の抽出の可能性があることも確認され、将来の生活習慣病発症予測について論文に掲載されました。また、神奈川県、横浜市、川崎市が共同で推進する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」では、「個別化医療・予防医療」分野の取り組みの一つとして「アミノインデックス技術」を活用する検討を進めています。 <医薬>消化器疾患の開発パイプラインに関して、2012年4月にアルビレオ社から導入した慢性便秘症治療薬AJG533について、臨床第2相試験を完了し、2015年10月に第3相臨床試験及び長期投与試験を開始しました。 <ヘルスケアその他>先端医療分野では、医薬原薬の製造事業「AJIPHASE®」を推進し、当社独自のオリゴ核酸、並びにペプチドの新規合成技術の開発を進めています。 ヘルスケアセグメントに係わる研究開発費は、8,593百万円であります。 (5)全社味の素㈱イノベーション研究所が中心となり、国内外の研究機関と連携して進めている先端の研究・技術を活用し、グループ内の各研究所と共に様々な事業に向けた新技術・新素材の開発や、各事業分野に共通した基盤技術の強化に取り組んでいます。健康な食生活のためにうま味物質グルタミン酸ナトリウムを有効に使いこなす技術について研究と情報発信を続けています。また、食品の好き、嫌いにかかわる様々な味や香りとその関係性を詳細に評価・解析する方法を確立し、実際の商品の開発に応用できるまでに改良しました。この結果を世界の様々な嗜好を持つお客様により好まれる商品の提供に活用していきます。さらに「人は味や香りをどのように感じるのか?」について、より基礎的な研究を世界の研究機関と協力して進め、味と香りの仕組みに学んで新しい調味料素材を探し出す研究も進めています。世界の人々のおいしさと健康に貢献できるサイエンスを目指しています。また、低炭素社会及び持続可能な資源循環型社会を目指して、新たな技術開発や新事業の創出に継続して取り組みました。まず発酵プロセスにおけるバイオマス利用技術開発を推進するとともに、発酵プロセス副産物の農業資材として効果を微量成分の分析技術を駆使して解析する研究を進めています。一方、バイオによる高機能素材の開発の一環として、長谷川香料㈱との業務提携により近年成長が著しいナチュラルフレーバー市場に向けた発酵法による製法開発をスタートしました。このような研究から蓄積される自社技術や、経済産業省が所管する高機能遺伝子デザイン技術研究組合への参画など種々のオープンイノベーションにより、さらなる高機能性素材の製法開発やその応用研究も進めています。さらに、タンパク質等生体分子を用いたナノ粒子製造などのバイオナノプロセス技術の基盤開発も進展させ、広く情報通信技術に貢献する新規ナノ素材の研究開発にも取り組んでいます。さらに、基盤的生産技術開発を進めるとともに、デジタルマーケティングや製造プロセス制御の深化を目的としたビッグデータ活用技術開発も精力的に実施しています。安全・安心につながる製造技術の開発や、最先端微量分析技術を用いた成分解析及び不純物解析をもとに、製品の安全性を検証しています。また、アミノ酸誘導体やペプチド、食品素材の生産に重要な酵素の開発に向け、高次構造に基づく酵素の改変技術の開発研究に精力的に取り組みました。さらに、生体内におけるアミノ酸代謝・栄養研究を基盤とした、健康長寿社会の実現や、途上国の低栄養課題の解決、効率的な食資源生産に向けた研究も進めています。 全社に係わる研究開発費は、12,045百万円であります。