事業の概要
- 多角的な食品・ヘルスケア事業味の素グループは、調味料、加工食品、冷凍食品といった一般消費者向けの食品事業を核に、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)、電子材料などのヘルスケア・先端材料分野まで多角的に事業を展開しています。これにより、幅広い顧客層と市場ニーズに対応し、安定的な収益基盤を構築しています。
- グローバルな事業展開日本国内だけでなく、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ブラジル、米国、欧州など世界各地に連結子会社や持分法適用会社を持ち、地域に根ざした事業活動を行っています。これにより、特定の地域経済や市場変動のリスクを分散し、成長市場での機会を捉えることで収益を上げています。
- アミノサイエンス®を基盤とした事業味の素グループの事業は、「アミノサイエンス®」という独自の技術と知見を基盤としています。これは、アミノ酸の研究開発から応用までを一貫して行うことで、食品の美味しさや栄養、健康、さらには先端医療や電子材料といった幅広い分野で価値を創出し、事業の柱としています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 調味料・食品事業このセグメントは、味の素グループの中核をなす事業で、調味料、栄養・加工食品、ソリューション&イングリディエンツ(食品素材など)を含みます。味の素食品や味の素AGF、タイ味の素社などが主要な会社であり、世界中の食卓に製品を届けています。消費者の健康志向や多様な食文化に対応した製品開発を通じて、安定的な収益を上げています。
- 冷凍食品事業味の素冷凍食品や味の素フーズ・ノースアメリカ社などが担うこのセグメントは、家庭用および業務用冷凍食品の製造・販売を行っています。共働き世帯の増加や簡便調理ニーズの高まりを背景に、国内外で需要が拡大しており、グループ全体の売上を支える重要な柱の一つです。
- ヘルスケア等事業このセグメントは、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)など、高付加価値な製品・サービスを提供しています。味の素ヘルシーサプライや味の素オムニケム、味の素ファインテクノなどが主要な会社で、アミノサイエンス®技術を活かし、医療や先端産業の発展に貢献しています。この分野は、今後の成長ドライバーとして期待されています。
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3【事業の内容】 当社グループは、当社、連結子会社105社及び持分法適用会社15社より構成され、調味料、栄養・加工食品、ソリューション&イングリディエンツ、冷凍食品、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)、ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)、更にその他の事業活動を行っております。 当社グループの当該事業における位置づけは次のとおりです(☆印は持分法適用会社)。報告セグメント製品区分主要な会社調味料・食品調味料 味の素食品㈱ 味の素AGF㈱ タイ味の素社 タイ味の素販売社 ワンタイフーヅ社 インドネシア味の素社 インドネシア味の素販売社 アジネックス・インターナショナル社 ベトナム味の素社 フィリピン味の素社 マレーシア味の素社 ナイジェリア味の素食品社 ブラジル味の素社 ペルー味の素社☆プロマシドール・ホールディングス社栄養・加工食品ソリューション&イングリディエンツ 欧州味の素食品社 味の素ベーカリー㈱ デリカエース㈱☆ヤマキ㈱冷凍食品冷凍食品 味の素冷凍食品㈱ 味の素フーズ・ノースアメリカ社ヘルスケア等医薬用・食品用アミノ酸 味の素ヘルシーサプライ㈱ 味の素ヘルス・アンド・ニュートリション・ノースアメリカ社 上海味の素アミノ酸社バイオファーマサービス(CDMO) 味の素オムニケム社 フォージ・バイオロジクス社ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等) 味の素ファインテクノ㈱その他 味の素ダイレクト㈱その他製造受託☆EAファーマ㈱油脂☆㈱J-オイルミルズ (注)1物流☆F-LINE㈱サービス他 味の素エンジニアリング㈱ ㈱味の素コミュニケーションズ☆NRIシステムテクノ㈱(注)1.当社グループの中で、国内の証券市場に上場している会社は次のとおりです。 東証プライム市場(提出日現在):㈱J-オイルミルズ なお、事業系統図は次のとおりです(☆印は持分法適用会社)。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 独自の科学的アプローチ「アミノサイエンス®」と特許保有による競争優位性。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 アミノ酸のはたらきにこだわった研究プロセスと実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービス。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:気候変動による原材料調達価格・物流費上昇リスク / 脱炭素制度進展による調達価格上昇リスク / 淡水資源制約による調達コスト上昇・売上低下リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★☆
味の素は「アミノサイエンス®」を核とした独自のうま味・アミノ酸技術を長年培ってきた。これは食品分野だけでなく、医薬・健康分野にも応用され、高いブランド力と特許網を形成している。特にうま味調味料「味の素」は世界的な認知度を誇る。
スイッチングコスト★★★☆☆
家庭用調味料においては、長年の使用習慣や味の好みから、他社製品への切り替えには一定の心理的・味覚的ハードルが存在する。業務用においては、味の素の持つ独自の配合技術や品質安定性が、顧客のレシピや製造プロセスに組み込まれている場合、切り替えコストは高くなる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
味の素の主要事業である食品やアミノ酸事業には、直接的なネットワーク効果はほとんど見られない。製品の利用者が増えることで、その製品自体の価値が向上するような構造ではない。
コスト優位★★☆☆☆
アミノ酸製造における発酵技術やスケールメリットによるコスト競争力はある程度有している。しかし、原料価格の変動や、競合他社も一定の技術力を持つため、圧倒的なコスト優位とまでは言えない。
規模の経済★★★☆☆
グローバルな食品・調味料市場において、味の素は主要プレイヤーの一つであり、生産・販売網の規模は大きい。特にアミノ酸関連事業では、世界有数の生産能力を持つ。
- アミノサイエンス®技術力長年にわたるアミノ酸研究で培われた独自の「アミノサイエンス®」技術が、味の素グループの最大の強みです。この技術は、調味料や加工食品の味の向上だけでなく、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス、電子材料など多岐にわたる製品開発に応用されており、他社には容易に模倣できない競争優位性を確立しています。
- グローバルなブランド力と販売網味の素は、世界中で認知されている強力なブランド力と広範な販売ネットワークを持っています。特にアジアや南米などの新興国市場において、現地の食文化に合わせた製品開発と販売戦略を展開することで、高い市場シェアを獲得し、安定的な収益源となっています。
- 多角的な事業ポートフォリオ食品事業だけでなく、ヘルスケアや先端材料といった高付加価値分野にも事業を展開している点が強みです。これにより、特定の市場変動に左右されにくい安定した収益構造を持ち、各事業分野でのシナジー効果も期待できます。例えば、アミノ酸の知見を食品と医薬品の両方に活かすことで、事業間の連携を強化しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 <Our Philosophy(*1)の実行力を磨き続ける> 味の素グループは、「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志(パーパス)のもと、ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)(*2)と味の素グループWay(AGW)(*3)に基づき、2025年度は、全社戦略から事業戦略・機能戦略の磨き込みを進めてきました。「パーパスからちゃんと考え、健全な危機感を持って構想し、ちゃんと実行すること」、そしてパーパスを具現化する人と組織づくりに真正面から向き合った期間でした。My Purposeワークショップ(*4)のグループ全社展開などを通じ、一人ひとりのパーパスを具体的な目標と挑戦につなげ、エンゲージメント(*5)を高めています。中期ASV経営 2030ロードマップも中盤に差し掛かり、価値創造の源泉である4つの無形資産(人財・技術・顧客・組織)と企業文化を進化させ、構想力・実行力を一層高めることで、継続的成長に向けた日々の挑戦を積み重ねてまいります。 *1 味の素グループの企業活動におけるもっとも重要な理念を体系化したもの:志・ASV・AGW *2 創業以来一貫した、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取組み *3 従業員が働く上での価値観・基本的考え方・姿勢:「新しい価値の創造」、「開拓者精神」、「社会への貢献」、「人を大切にする」 *4 従業員が自身の志「My Purpose」を言語化し、味の素グループの志(パーパス)との重なりを見出すためのプログラム *5 従業員が会社や仕事に対しての愛着や貢献の意志をより深めること。 また、2030年までに、「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカム実現に向けて、事業活動を通じて、ネガティブインパクトを着実に削減するだけでなく、強みであるアミノサイエンス®を活かし、社会へポジティブなインパクトを創出する技術やノウハウ、製品やサービスを展開します。 <味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)> 味の素グループは、長期にわたり持続的に社会価値と経済価値を共創し続けるための重要な事項(マテリアリティ)を設定しています。 価値創造のフレームワーク(考え方)に基づいて多様な関係者の皆様とも対話を重ね、味の素グループがマルチステークホルダーから期待されていること、そして社会に対して提供していく価値の視点から、味の素グループが現在取り組む「重要テーマ」を6項目に整理しています。 <「中期ASV経営 2030ロードマップ」3年目を終えて> 2030年のありたい姿とその実現への道筋をバックキャスト(*6)して示した「中期ASV経営 2030ロードマップ」を2023年2月に発表してから3年が経過しました。味の素グループは、従来型の3ヵ年中期経営計画を廃止し、長期視点のありたい姿から導かれる「経営が示す挑戦的目標」(ASV指標(*7))を起点に、既存事業からのフォーキャスト(*8)とバックキャストの双方の視点を組み合わせながら、事業モデル変革による新事業創出とオーガニック成長の確実な推進に取り組んでいます。 *6 将来実現したい状態を起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法。 *7 味の素グループが事業を通じて得る財務パフォーマンスを示す経済価値指標と、提供・共創したい価値に基づく社会価値指標から成る、更なる成長やチャレンジを後押しする指標。 *8 現在の延長線上で未来を予測する発想法。<7つの全社戦略を中核としたASV経営の進化と実行体制の強化> 2025年2月からの中村新体制のもと、味の素グループは、中期ASV経営 2030ロードマップの進捗を踏まえ、全社戦略を中核とするASV経営の進化に取り組んでいます。具体的には、取締役会が示した「7つの重要な経営事項」と連動した、中長期成長戦略、ポートフォリオ戦略、財務・資本戦略、組織の実行力のスピードアップ×スケールアップ、サステナビリティ戦略、ステークホルダー・エンゲージメントおよびコーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの強化の7つの全社戦略を一体的に設計・運用し、事業・機能・地域を横断した資源配分および意思決定の高度化を進めています。そして、全社戦略の実行を支える基盤が人財、組織、企業文化であると考えます。そのため本年4月からの新執行体制では、全社戦略と人財・組織を統合する責任者としてChief Human Resources Officer(CHRO)を設置するとともに、経営機能の専門性と執行力を強化することで、更なるASV経営の進化を目指す体制を整備しました。引き続き、事業環境の変化を的確に捉えながら、2026年度は特に、ポートフォリオの最適化、人財・組織を含む無形資産の強化、ならびに組織運営の進化を通じて、より多くの人・社会・地球のWell-beingに貢献する企業として安定的かつ持続的な企業価値の向上を目指してまいります。 企業価値の向上に向けて、味の素グループの企業価値算定式における分子の「着実なキャッシュ・フロー創出」では、オーガニック成長、EBITDAマージン向上、ROICを重視する経営の推進、原料・製造コスト等各種コストの効率化、適正在庫管理、サプライチェーンマネージメント(SCM)の強化等、成長力と稼ぐ力の両方に磨きこみをかけていきます。分母の「資本コスト低減」では、サステナビリティ推進を通じたサステナブルファイナンスの活用、リスクマネジメント強化、借入コスト低減、適切な財務レバレッジの活用を行い、「成長率向上」では短中長期の事業戦略の構想力と実行力を高めます。そして、さらなるスピードアップ×スケールアップを実現します。企業価値算定式を意識し、それぞれの組織で工夫・努力・挑戦を重ね、組織の枠を超えた価値創造への挑戦をグループ一丸となって継続していきます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 <Our Philosophy(*1)の実行力を磨き続ける> 味の素グループは、「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志(パーパス)のもと、ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)(*2)と味の素グループWay(AGW)(*3)に基づき、2025年度は、全社戦略から事業戦略・機能戦略の磨き込みを進めてきました。「パーパスからちゃんと考え、健全な危機感を持って構想し、ちゃんと実行すること」、そしてパーパスを具現化する人と組織づくりに真正面から向き合った期間でした。My Purposeワークショップ(*4)のグループ全社展開などを通じ、一人ひとりのパーパスを具体的な目標と挑戦につなげ、エンゲージメント(*5)を高めています。中期ASV経営 2030ロードマップも中盤に差し掛かり、価値創造の源泉である4つの無形資産(人財・技術・顧客・組織)と企業文化を進化させ、構想力・実行力を一層高めることで、継続的成長に向けた日々の挑戦を積み重ねてまいります。 *1 味の素グループの企業活動におけるもっとも重要な理念を体系化したもの:志・ASV・AGW *2 創業以来一貫した、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取組み *3 従業員が働く上での価値観・基本的考え方・姿勢:「新しい価値の創造」、「開拓者精神」、「社会への貢献」、「人を大切にする」 *4 従業員が自身の志「My Purpose」を言語化し、味の素グループの志(パーパス)との重なりを見出すためのプログラム *5 従業員が会社や仕事に対しての愛着や貢献の意志をより深めること。 また、2030年までに、「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカム実現に向けて、事業活動を通じて、ネガティブインパクトを着実に削減するだけでなく、強みであるアミノサイエンス®を活かし、社会へポジティブなインパクトを創出する技術やノウハウ、製品やサービスを展開します。 <味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)> 味の素グループは、長期にわたり持続的に社会価値と経済価値を共創し続けるための重要な事項(マテリアリティ)を設定しています。 価値創造のフレームワーク(考え方)に基づいて多様な関係者の皆様とも対話を重ね、味の素グループがマルチステークホルダーから期待されていること、そして社会に対して提供していく価値の視点から、味の素グループが現在取り組む「重要テーマ」を6項目に整理しています。 <「中期ASV経営 2030ロードマップ」3年目を終えて> 2030年のありたい姿とその実現への道筋をバックキャスト(*6)して示した「中期ASV経営 2030ロードマップ」を2023年2月に発表してから3年が経過しました。味の素グループは、従来型の3ヵ年中期経営計画を廃止し、長期視点のありたい姿から導かれる「経営が示す挑戦的目標」(ASV指標(*7))を起点に、既存事業からのフォーキャスト(*8)とバックキャストの双方の視点を組み合わせながら、事業モデル変革による新事業創出とオーガニック成長の確実な推進に取り組んでいます。 *6 将来実現したい状態を起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法。 *7 味の素グループが事業を通じて得る財務パフォーマンスを示す経済価値指標と、提供・共創したい価値に基づく社会価値指標から成る、更なる成長やチャレンジを後押しする指標。 *8 現在の延長線上で未来を予測する発想法。<7つの全社戦略を中核としたASV経営の進化と実行体制の強化> 2025年2月からの中村新体制のもと、味の素グループは、中期ASV経営 2030ロードマップの進捗を踏まえ、全社戦略を中核とするASV経営の進化に取り組んでいます。具体的には、取締役会が示した「7つの重要な経営事項」と連動した、中長期成長戦略、ポートフォリオ戦略、財務・資本戦略、組織の実行力のスピードアップ×スケールアップ、サステナビリティ戦略、ステークホルダー・エンゲージメントおよびコーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの強化の7つの全社戦略を一体的に設計・運用し、事業・機能・地域を横断した資源配分および意思決定の高度化を進めています。そして、全社戦略の実行を支える基盤が人財、組織、企業文化であると考えます。そのため本年4月からの新執行体制では、全社戦略と人財・組織を統合する責任者としてChief Human Resources Officer(CHRO)を設置するとともに、経営機能の専門性と執行力を強化することで、更なるASV経営の進化を目指す体制を整備しました。引き続き、事業環境の変化を的確に捉えながら、2026年度は特に、ポートフォリオの最適化、人財・組織を含む無形資産の強化、ならびに組織運営の進化を通じて、より多くの人・社会・地球のWell-beingに貢献する企業として安定的かつ持続的な企業価値の向上を目指してまいります。 企業価値の向上に向けて、味の素グループの企業価値算定式における分子の「着実なキャッシュ・フロー創出」では、オーガニック成長、EBITDAマージン向上、ROICを重視する経営の推進、原料・製造コスト等各種コストの効率化、適正在庫管理、サプライチェーンマネージメント(SCM)の強化等、成長力と稼ぐ力の両方に磨きこみをかけていきます。分母の「資本コスト低減」では、サステナビリティ推進を通じたサステナブルファイナンスの活用、リスクマネジメント強化、借入コスト低減、適切な財務レバレッジの活用を行い、「成長率向上」では短中長期の事業戦略の構想力と実行力を高めます。そして、さらなるスピードアップ×スケールアップを実現します。企業価値算定式を意識し、それぞれの組織で工夫・努力・挑戦を重ね、組織の枠を超えた価値創造への挑戦をグループ一丸となって継続していきます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】業績等の概要 当社グループは、IFRS会計基準の適用に当たり、投資家、取締役会及び経営会議が各事業の恒常的な業績や将来の見通しを把握すること、取締役会及び経営会議が継続的に事業ポートフォリオを評価することを目的として、「事業利益」という段階利益を導入しております。当該「事業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費」、「研究開発費」及び「一般管理費」を控除し、「持分法による損益」を加えたものであり、「その他の営業収益」及び「その他の営業費用」を含まない段階利益です。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 (1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 事業ポートフォリオの変化を支える財務・資本戦略 味の素グループは、2030年ありたい姿の実現に向けて、食品事業を基盤とした安定的な成長に加え、バイオ&ファインケミカル領域での飛躍、さらに融合領域における新たな価値創出を推進しています。この成長戦略を支える根幹は、キャッシュ・フロー創出力の強化と、それを長期的な価値創造へ確実に繋ぐ投資規律の徹底にあります。 キャッシュ・フロー創出力強化に向けては、より成長が見込める分野への投資、飛躍的な成長分野に向けてのM&A、そして競争優位が見込めなくなった分野の売却(D)を実行していく必要があります。そして、EBITDAの増加に伴い、デット・キャパシティ(借入余力)も大きく増やすことができ、この余力を使って、更なる成長投資の原資とすることができます。また、長期的な価値創造へ確実に繋ぐ投資規律を徹底するためには、人財やガバナンスをしっかりと強化していく必要があります。これら成長を支える実行のために様々な戦略がありますが、その中で、特に4つの戦略にふれたいと思います。 まずは、戦略を支えるFP&A人財投資です。戦略1の事業の成長を支えるFP&A(Financial Planning & Analysis)チームのグローバルでのノウハウの獲得と展開は、人財投資そのものです。FP&Aチームは、DXやAIも活用したローリング・フォーキャストを進化させて、将来のリスクと機会をタイムリーに経営メンバーに助言することで企業価値の向上に貢献します。 次に、ありたい姿を実現する成長には、戦略2のファイナンス視点に裏打ちされたM&A、売却の確実な実行が欠かせません。ファイナンス視点に基づいたM&A、売却によって株式価値の向上を図ります。 そして、財務戦略の重要な要素であるグローバル・タックス・マネジメントでは、タックス・マネジメントに秀でた戦略・実行チームが大型設備投資や大型M&Aプロジェクトなどに初期段階で参加し、最適な納税ストラクチャーを組成し、実効税率の低減などを行っていきます。 最後に、適切な成長には、成長を支える責任あるガバナンスが不可欠です。グループ・グローバルな経営を支えるために、財務・資本に関わる30のポリシー、プロシージャー、およびガイドラインの徹底と進化をはかり、成長の妨げを抑制すると同時に、創造する価値の最大化を実現していきます。 <2030年ありたい姿、その実現を支える戦略> ①2030ロードマップに向けた各指標の状況 当社は、企業価値の算定式の考え方の元、企業価値向上の基本を「将来キャッシュ・フローの最大化」と「資本コストの最適化」と考えています。そして、中長期的な企業価値向上に向けて、収益性、成長性、資本効率および財務健全性のバランスを重視した経営を推進しております。 <企業価値の算定式> 2025年度、味の素グループは、売上高・事業利益ともに前年度に続き過去最高を更新し、事業利益は2桁%成長を継続し、7期連続の増益でした。特に、ファンクショナルマテリアルズやバイオファーマサービス(CDMO)を中心とするヘルスケア領域が成長を牽引するとともに、調味料・食品および冷凍食品を含む食品事業においても増益を確保し、ポートフォリオ全体で着実な収益拡大を実現しました。 また、営業キャッシュ・フローは2,393億円と前年を上回り過去最高を更新するなど、収益成長に裏付けられた高いキャッシュ創出力を維持しており、持続的な成長投資と株主還元を支える財務基盤は一層強化されています。 2030年に向けて掲げるASV指標については、2025年度実績としてROE 17.7%、ROIC 11.8%、オーガニック成長率3.7%、EBITDAマージン率17.1%となりました。これらはすべて中長期目標に対して順調な進捗を示しており、とりわけ資本効率および収益性に関しては前倒しでの目標達成も視野に入る水準に到達しています。 資本コストの最適化に向けては、資本効率の向上と財務健全性の維持の両立を基本方針とし、ネット有利子負債/EBITDA倍率を主要な財務規律指標として運用しています。2025年度はEBITDAの着実な拡大に加え、余剰資金の圧縮等により、同倍率は1.6倍と目標レンジ(2.0倍以内)を維持し、適切なレバレッジコントロールを実現しました。 資本配分においては、事業成長を前提としたキャッシュ創出力の強化を軸に、無形資産を含む成長投資を積極的に実行しています。2026年度は約1,300億円規模の設備投資を計画し、次世代成長領域への投資を加速するとともに、運転資本の改善を通じて更なるキャッシュ創出力の向上を図ってまいります。 株主還元については、株主配当を累進配当方針のもと、ノーマライズドEPSを基準とした安定的な配当を継続しております。また、自己株式取得を含めて3か年の総還元性向を50%以上(対親会社の所有者に帰属する当期利益)としております。来期においても増配を継続する計画とし、資本効率の改善と株主価値の最大化を意識した還元を推進していきます。 (注)ノーマライズドEPSに基づく配当=(事業利益×(1-味の素グループ標準税率27%))÷発行済株式総数×還元係数35% <2030ロードマップで定めた目標と進捗> ②キャピタル・アロケーションの方針 当社のキャピタル・アロケーション方針は、加重平均資本コスト(WACC)を上回るリターンの創出を基本として実行しています。 まず、持続的なオーガニック成長の実現に向けた投資、そして飛躍的な成長に向けたM&A等に重点的に資本を配分します。そして自己株式取得等による株主還元への配分を残ったキャッシュから行うことを基本としております。 持続的なオーガニック成長の実現に向けて、事業基盤の強化と、よりリターンを高めていくための設備投資を重要な投資と位置付けとしており、2026年度には約1,300億円の設備投資を見込んでおります。また、融合領域に向けた既存事業のシナジー創出や新たな飛躍的成長機会の獲得を目的としたM&Aも検討しており、2023年度にForge社の買収を行ったように、今後も当社の飛躍的成長につながるM&A案件には積極的に投資を実施していく方針です。 一方で競争優位の見込みが薄れた分野では、売却を含む戦略的な資源再配分を行います。顧客・競合・環境の変化を前提に継続的に見直しを行い、成長性・収益性・リスクのバランスを踏まえ、新たに設置した全社成長戦略会議での検討を通してキャピタル・アロケーションを一段と高度化します。 <キャピタル・アロケーションの考え方> ③キャッシュ・フロー創出に向けた施策 キャッシュ・フロー創出は、設備投資だけでなく、人的資本を含む無形資産への投資も欠かせません。様々なキャッシュ・フロー創出に繋がる施策をグループ・グローバルの人財で常に共有化することは、結果として人財投資に繋がることとなり、経営の良いサイクルとなると考えています。そのためにも、グローバルな事業運営の経験のあるFP&A人財を活用し、更なる価値向上を図りたいと考えています。以下に施策事例を少しご紹介したいと思います。 まずは、「EBITDAマージン改善のための棚卸方法見直し」についてです。生産工場において、監査を実施するために実地棚卸を行うことで、ある一定期間の出荷が制限されることがあります。この実地棚卸にかえて、生産を止めない循環棚卸(Cycle Count)を行うことで出荷の制限をなくし、売上を増大させて、EBITDAマージンの向上に繋げております。 次に、北米コンシューマー事業におけるFP&Aの取組です。工場別、カテゴリー別、チャネル別、限界利益別などの多面的な視点でシミュレーションを行い、会社のキャッシュ・フローが最大化される分析を経営陣に提供しています。 最後に「やへか」の活動です。これは日本におけるオペレーション改善の基本フレームワークです。削減可能なコスト・ムダをなくし、削減できたリソースを成長に振り向けるために、既存業務を「やめる」、「へらす」、「かえる」の3つの視点で、AIも活用しながら、主体的に業務改善を行っています。この取組によりオペレーション時間を削減し、削減できたリソースをより高い企業価値を生む業務にシフトしています。2025年度は年間600件を超える「やへか」を行いました。 <キャッシュ・フロー創出に向けた施策事例> 株主・投資家の皆さまへのメッセージ キャピタル・アロケーションの厳格な管理のもと、収益性とともに効率性の高い成長投資を推進し、更なる効率性改善と経営リスク管理の高度化・進化を継続、2030年度に2022年度比でEPS3倍を念頭にした持続的な企業価値の向上と長期的リターンの実現に、CEOの中村とその経営メンバーにて邁進してまいります。 (2) 生産、受注及び販売の実績 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また製品のグループ内使用(製品を他のセグメントの原材料として使用)や、受注生産形態をとる製品が少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。 このため生産、受注及び販売の実績は、「(4) 当連結会計年度の経営成績の分析」における各セグメント業績に関連付けて示しております。 (3) 重要性がある会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たって必要な見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び同「5.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。 (4) 当連結会計年度の経営成績の分析 当連結会計年度の売上高は、調味料・食品セグメント及びヘルスケア等セグメントの増収等により、前期を531億円上回る1兆5,837億円(前期比103.5%)となりました。 事業利益は、ヘルスケア等セグメント及び調味料・食品セグメントの増益等により、前期を218億円上回る1,811億円(前期比113.7%)となりました。 営業利益は、事業利益の増益に加え、当期に当社の保有する固定資産の一部(本社ビル土地及び建物)を譲渡し、固定資産売却益を計上したこと等により、前期を854億円上回る1,994億円(前期比175.0%)となりました。 親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増益等により、前期を644億円上回る1,346億円(前期比191.6%)となりました。 当連結会計年度のセグメント別の概況 セグメントごとの業績は、次のとおりです。 対前期実績売上高(億円)事業利益(億円)第148期前期増減前期比第148期前期増減前期比調味料・食品9,369409104.6%1,43089106.6%冷凍食品2,9039100.3%84△4565.0%ヘルスケア等3,415131104.0%662205145.1%その他149△1789.4%60△395.1%全社共通費(注)2--- △425△27106.9%合計15,837531103.5%1,811218113.7%(注)1.各セグメントの主要製品につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」をご参照ください。(注)2.各報告セグメントに帰属しない全社共通費は、従来、マネジメント・アプローチに基づき一定の基準で各報告セグメントに配分しておりましたが、各報告セグメントの業績をより適切に評価するため、当連結会計年度より各報告セグメントに配分しない方法に変更しており、前連結会計年度に当該変更を遡及適用しております。この変更に伴い、前連結会計年度における各報告セグメントのセグメント損益は調味料・食品セグメントで201億円、冷凍食品セグメントで49億円、ヘルスケア等セグメントで138億円、その他で9億円増加する一方、各報告セグメントに帰属しない全社共通費で398億円減少しております。なお、各報告セグメントに帰属しない全社共通費は、主に親会社の管理部門にかかる費用です。 ① 調味料・食品セグメント 調味料・食品セグメントの売上高は、販売増により、前期を409億円上回る9,369億円(前期比104.6%)となりました。事業利益は、増収効果等により、前期を89億円上回る1,430億円(前期比106.6%)となりました。 <主要な変動要因>・調味料は、日本、海外とも販売増により、増収。・栄養・加工食品は、全体で増収。日本は、主に単価上昇効果により大幅増収。海外は、為替影響や単価上昇効果により増収。・ソリューション&イングリディエンツは、主に加工用うま味調味料の販売減により減収。<主要な変動要因>・調味料は、日本、海外とも増収効果等により、増益。・栄養・加工食品は、全体で大幅増益。日本は、増収効果等により大幅増益。海外は、増収も、原材料コスト増加等により減益。・ソリューション&イングリディエンツは、減収に伴い、全体で大幅減益。 ② 冷凍食品セグメント 冷凍食品セグメントの売上高は、全体で前年並みとなり、前期を9億円上回る2,903億円(前期比100.3%)となりました。事業利益は、主に北米の減益により、前期を45億円下回る84億円(前期比65.0%)となりました。 <主要な変動要因>・全体で前年並み。<主要な変動要因>・主に北米の減益により、全体で大幅減益。 ③ ヘルスケア等セグメント ヘルスケア等セグメントの売上高は、味の素アルテア社売却の影響があるも、電子材料の販売好調の影響等により、前期を131億円上回る3,415億円(前期比104.0%)となりました。事業利益は、電子材料の増収効果やバイオファーマサービス&イングリディエンツの増益等により、前期を205億円上回る662億円(前期比145.1%)となりました。 <主要な変動要因>・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、味の素アルテア社売却の影響を除き、全体で大幅増収。 医薬品・食品用アミノ酸は、販売増により増収。 バイオファーマサービス(CDMO)は、味の素アルテア社売却の影響を除き、増収。・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、電子材料の販売好調により大幅増収。・その他は、全体で減収。<主要な変動要因>・バイオファーマサービス&イングリディエンツは、医薬用・食品用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)ともに増益となり、全体で大幅増益。・ファンクショナルマテリアルズ(電子材料等)は、大幅増収に伴い大幅増益。・その他は、戦略的費用の投入等により全体で大幅減益。 ④ その他 その他の事業の売上高は、前期を17億円下回る149億円(前期比89.4%)となり、事業利益は、前期を3億円下回る60億円(前期比95.1%)となりました。 当連結会計年度の連結損益計算書の段階ごとの概況① 売上高 売上高は前期を531億円上回る1兆5,837億円(前期比103.5%)となりました。地域別に見ますと、日本では、前期を461億円上回る5,717億円(前期比108.8%)となりました。海外では、前期を69億円上回る1兆119億円(前期比100.7%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ4,646億円(前期比105.2%)、3,824億円(前期比92.1%)及び1,649億円(前期比111.4%)となりました。売上高海外比率は63.9%(前期は65.7%)となりました。なお、売上高は販売元の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。 ② 売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費、持分法による損益 売上原価は、売上高の増加に伴い、前期から67億円増加し、9,865億円(前期比100.7%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、1.7ポイント改善し、62.3%となりました。販売費は、主として広告費の増加や為替影響等により、前期から133億円増加し、2,253億円(前期比106.3%)となりました。研究開発費は、前期から11億円増加し、321億円(前期比103.8%)となりました。一般管理費は、従業員給付費用の増加や為替影響等により、前期から117億円増加し、1,666億円(前期比107.6%)となりました。持分法による損益は、81億円の利益(前期は63億円の利益)となりました。 ③ 事業利益 事業利益は、前期を218億円上回る1,811億円(前期比113.7%)となりました。地域別に見ますと、日本では932億円(前期比126.5%)、海外では1,336億円(前期比106.2%)となりました。海外の地域別では、アジア、米州及び欧州でそれぞれ919億円(前期比104.7%)、269億円(前期比105.8%)及び146億円(前期比116.8%)となりました。事業利益海外比率は73.7%(前期は79.0%)となりました。なお、事業利益は販売元の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。 セグメント別の事業利益の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記7.セグメント情報」をご参照ください。 ④ その他の営業収益(費用) その他の営業収益は、当社の保有する固定資産の一部(本社ビル土地及び建物)を譲渡し、固定資産売却益を計上したこと等により、前期から436億円増加し、485億円(前期比984.3%)となりました。その他の営業費用は、前期にアルテア社におけるのれん及び固定資産の減損損失の計上があったこと等により、前期から199億円減少し、303億円(前期比60.4%)となりました。 ⑤ 営業利益 営業利益は、前期を854億円上回る1,994億円(前期比175.0%)となりました。 ⑥ 金融収益(費用) 金融収益は、前期から2億円増加し、90億円(前期比102.6%)となりました。金融費用は、前期から21億円減少し、123億円(前期比85.4%)となりました。 ⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益 親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を644億円上回る1,346億円(前期比191.6%)となり、基本的1株当たり当期利益は138円36銭(前期は69円77銭)となりました。 (5) 当連結会計年度の連結財政状態の分析 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の1兆7,211億円に対して912億円増加し、1兆8,123億円となりました。これは主として、換算為替の影響による各資産残高の増加に加え、有形固定資産の増加があったことによるものです。 負債合計は、前連結会計年度末の9,078億円に対して602億円増加し、9,680億円となりました。これは主として、仕入債務及びその他の債務の増加があったことによるものです。 資本合計は、前連結会計年度末の8,132億円に対して310億円増加し、8,442億円となりました。自己株式の取得があったことにより減少した一方で、円安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額による増加があったこと等によるものです。資本合計から非支配持分を引いた親会社の所有者に帰属する持分は、7,708億円となり、親会社所有者帰属持分比率は42.5%となりました。 セグメントごとの概況は、次のとおりです。① 調味料・食品セグメント 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の6,537億円に対して714億円増加し、7,252億円となりました。② 冷凍食品セグメント 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の2,065億円に対して105億円増加し、2,170億円となりました。③ ヘルスケア等セグメント 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の4,524億円に対して282億円増加し、4,807億円となりました。 (6) キャッシュ・フローの分析当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況 (億円) 2025年3月期2026年3月期差額営業活動によるキャッシュ・フロー2,0982,393294投資活動によるキャッシュ・フロー△773△842△68財務活動によるキャッシュ・フロー△1,376△2,256△879現金及び現金同等物に係る換算差額△15123139現金及び現金同等物の増減額△67△580△513現金及び現金同等物の期末残高1,6471,066△580 営業活動によるキャッシュ・フローは、2,393億円の収入(前期は2,098億円の収入)となりました。税引前当期利益が1,961億円であり、減価償却費及び償却費889億円があったものの、法人所得税の支払額393億円があったこと等によるものです。 投資活動によるキャッシュ・フローは、842億円の支出(前期は773億円の支出)となりました。有形固定資産の売却による収入459億円があったものの、有形固定資産の取得による支出964億円があったこと等によるものです。 財務活動によるキャッシュ・フローは、2,256億円の支出(前期は1,376億円の支出)となりました。自己株式の取得による支出1,300億円、配当金の支払額431億円及び社債の償還による支出250億円があったこと等によるものです。 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,066億円となりました。 (7) 当連結会計年度の資金の流動性及び資金の調達、使途① 資金の流動性について 当連結会計年度は短期流動性に関し、コミットメントライン、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパー発行枠等の調達手段によって十分な手元流動性を確保しております。 また、十分な手元流動性比率の維持に加え、主要取引銀行と締結しているコミットメントラインにより資金の安全性を確保しており、当連結会計年度末のコミットメントラインの未使用額は円貨で2,000億円、外貨で100百万米ドルです。さらに、資金流動性リスク等が発生する可能性のある海外連結子会社に対して、当社が貸付枠を設定し、一時的な資金繰りの支援体制を整備しております。② 資金の調達 当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による直接金融と間接金融のバランス及び長期と短期の資金調達のバランスを勘案し、事業資金に関し、コマーシャル・ペーパー発行等による資金調達活動を行いました。③ 資金の使途 当連結会計年度の資金の使途は、主として事業資金であります。 (8) 経営上の目標の達成状況について 経営上の目標の達成状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
事業リスク
- 気候変動と原材料調達リスク気候変動の深刻化による異常気象や災害の頻発は、農畜産物への被害を増加させ、原材料の調達価格や物流費の上昇につながる可能性があります。また、脱炭素制度の進展に伴う農業・畜産事業者のコスト増も、原材料価格に転嫁され、味の素グループの原価を押し上げるリスクがあります。
- 地政学的リスクとサプライチェーン寸断地政学的対立やグローバルな貿易戦争の激化は、従業員の安全を脅かすだけでなく、サプライチェーンの寸断を引き起こす可能性があります。特定の地域からの原材料調達が困難になったり、輸出入における高関税が課されたりすることで、製品の価格競争力が低下し、売上が減少するリスクがあります。
- サイバー攻撃と情報漏洩リスク外部からのサイバー攻撃により基幹システムが停止した場合、業務が滞り、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、情報詐取や漏洩が発生すれば、顧客や取引先の信頼を大きく損ない、多大な損失や法的責任を負うリスクがあります。AI技術の活用に伴う情報流出リスクも考慮されます。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】(1)味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に関わるリスクと機会 味の素グループは、「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」ことを志(パーパス)として掲げ、サステナビリティをASV経営の根幹に位置づけています。この考え方を踏まえ、6つの重要テーマ(マテリアリティ)に対し、16のトピックを特定し、組織横断的な管理が必要なグループ全体のリスク及び機会を下表のとおり整理しました。 トピック、リスク及び機会の特定においては、影響と発生可能性、志(パーパス)及び事業戦略との関連性、経営リスク委員会における影響評価の結果を考慮しています。具体的には、SASBスタンダードにおける開示トピック(「加工食品」「バイオテクノロジー・医薬品」「半導体」)を参照の上、開示トピックでは捕捉しきれないマクロ環境の変化も補完するため、世界経済、地政学、規制動向、技術動向及び業界動向等に関する外部レポートも参照しました。その上で、味の素グループの事業特性及び事業環境の不確実性を加味してトピックを定め、リスク及び機会となり得る事象の調査及び分析を行いました。なお、これらの特定及び判断は、本有価証券報告書作成時点で入手可能な情報及び合理的と考える前提に基づくものです。今後、当社グループを取り巻く事業環境や事業内容等の変化に応じて、定期的な見直しを行います。サステナビリティ委員会と経営リスク委員会の役割に関しては、サステナビリティに関する考え方及び取組の(1)ガバナンスを参照下さい。 6つの重要テーマトピックリスク機会持続可能な地球環境の実現気候変動の深刻化による食糧不足気候変動の進行に伴う異常気象や災害の頻発に伴い、農畜産物への被害が増加し、原材料の調達価格・物流費が上昇するリスク-脱炭素制度の進展農業・畜産事業者の脱炭素規制対応コストの増加により、価格転嫁や生産縮小に伴う供給減を通じて、原材料の調達価格が上昇するリスク脱炭素制度の進展に伴い、農業・畜産事業者の排出削減ニーズが高まり、温室効果ガス削減に資するAjiPro®-L等の製品・サービスの売上の増加につながる機会-脱炭素制度の進展に伴い、炭素税が導入されることで、低炭素製法で製造するMSG*1等の競争優位性が高まり、売上増につながる機会*1 Monosodium Glutamate淡水資源制約・使用規制の強化淡水資源の枯渇進行を背景とする水コスト上昇に伴い、調達コストの上昇や取引先の生産停滞に連動した売上が低下するリスク- 食を通じたウェルビーイングの実現政府の農業支援(スマート農業等)や食糧安全保障政策-政府支援により、生産性向上と供給の安定化・効率化が進むことで、主要原材料の調達単価や緊急調達・輸送等の付随コストが低減し、原価改善につながる機会人口増加によるたんぱく質クライシス世界的な人口増加に伴う動物性たんぱく質需要の急拡大により供給が逼迫し、食肉調達価格や食肉使用製品の原価が上昇するリスク世界的な代替たんぱく質の需要拡大により、代替たんぱく質の製造に必要な培地・アミノ酸等の関連事業の拡大及び売上増加につながる機会ウェルビーイング志向の高まり・需要動向の変化(※本トピックは、「食を通じたウェルビーイングの実現」「先端医療・予防への貢献」の両重要テーマに関連)心身両面の健康・ウェルビーイング志向の高まりに伴い、食品の栄養成分表示等への対応コストが上昇するリスク心身両面の健康・ウェルビーイング志向の高まりに伴い、基準や規制等に沿った製品・サービスの売上増加につながる機会先端医療・予防への貢献-心身両面の健康・ウェルビーイング志向の高まりに伴い、先端医療分野(肥満症治療薬等)における売上の増加につながる機会創薬エコシステム体制を含む医薬品業界の事業構造の変化-医療費の抑制を目的とした規制変化に伴う、CDMOの生産・供給体制の変化により、CDMO事業の受注・収益の増加につながる機会スマートソサエティの進化への貢献半導体を巡る安全保障政策の動向や競合技術の進化各国における調達先多元化や国産化要件、競合の技術革新に伴い、当社素材の代替技術が普及し、製品の顧客採用率低下及び市場シェア低下により売上が減少するリスク-世界的な半導体需要拡大-デジタル化・AI普及を背景とした半導体の需要拡大に伴い、ABF®*2の販売数量が増加し、売上の拡大につながる機会*2 Ajinomoto Build-up Film多様な価値観・人権の尊重人的資本市場の変化労働市場の変化に伴い、AGWを体現する人財の採用・育成が計画どおりに進まない場合、イノベーション推進の停滞を通じて競争力が低下するリスク労働市場が変化する中、AGWを体現する人財の採用や育成戦略の実現によって、イノベーションや新規テーマの創出が進み、競争力が向上する機会工場運営の人財確保の困難により、現場の実行力が低下し、操業体制の維持・技能継承にかかる人件費が上昇するリスク-価値観や思想、嗜好の多様化ハラール・ビーガン等の多様な社会的ニーズに対応するための認証取得、原材料管理・製造要件・表示対応等のコストが増加するリスクハラールやビーガン等、多様な価値観を持つ新たな顧客層の獲得により、関連製品の売上の増加につながる機会 経営基盤の強化外部からのサイバー攻撃基幹システム停止により業務が滞るリスク情報詐取・漏洩により多大な損失が生じるリスク結果として企業の信頼を毀損するリスク、訴訟などの法的責任を負うリスク-地政学的対立とグローバル規模の貿易戦争地政学リスクの顕在化による従業員の安全が脅かされるリスクと、サプライチェーンが寸断されるリスク輸出入における高関税による価格競争力低下、売上減少リスク競合企業に対して当社製品の競争力が相対的に高まり、販売が拡大する機会台湾海峡問題のエスカレーション従業員の安全及び事業継続に対するリスク特定地域からの原料調達が困難となるリスクシーレーンの安全確保のため原材料コストが上がるリスク-甚大な自然災害の発生災害発生地域の従業員の安全及び事業継続に対するリスクサプライチェーン寸断のリスク-AI技術の高度化AIの高度活用をする他社と比べ競争劣位に陥るリスクAIの活用に伴い生じる、機密秘密の不正流出、フェイク情報の拡散、AIガバナンスの不十分さによる法規制違反、倫理上の問題、誤った経営判断等の発生リスクAIの高度活用を深化させることで、業務効率化や生産性向上に加え、研究開発や事業戦略、リスクマネジメントにおける分析及び意思決定の高度化が進み、さらに、イノベーションの創出を促進することにより、中長期的な競争優位の強化につながる機会 (2) 味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)に関わる対象領域、取組みと目標・KPI 「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「味の素グループにとっての重要な事項(マテリアリティ)」に記載のとおり、現在の味の素グループが取り組む6つの「重要テーマ」①「持続可能な地球環境の実現」②「食を通じたウェルビーイングの実現」③「先端医療・予防への貢献」④「スマートソサエティの進化への貢献」⑤「多様な価値観・人権の尊重」⑥「経営基盤の強化」に対して、対象領域、取組み及び目標・KPIは以下になります。 6つの重要テーマ対象領域取組み目標・KPI持続可能な地球環境の実現気候変動緩和と適応・温室効果ガス排出削減 -2030年度:スコープ1+2 50.4%削減(対2018年度) スコープ3 30%削減(対2018年度) スコープ3 FLAG 36.4%削減(対2018年度) -2050年度:ネットゼロ、電力再生可能エネルギー化100%(対2018年度) -飼料用アミノ酸を活用したソリューションの提供による、牛由来の温室効果ガス排出削減(政府、地方自治体、乳業・畜肉メーカーとの連携によるエコシステムの構築)・持続可能な農業への貢献 -バイオスティミュラント製品の展開拡大(肥料削減による温室効果ガス削減(緩和)、環境ストレス耐性の向上(適応)、収穫物の品質向上、劣化土壌の改善) -バイオサイクル(循環型アミノ酸発酵サイクル)の拡大・環境負荷の低い食品素材や製法で作られた食品・素材の提供と生活者の行動変容促進(細胞性食品や精密発酵などの技術開発、バイオマス発酵やプラントベースを用いた食品開発)自然資本生物多様性保全・TNFDの情報開示フレームワークに基づいた情報開示 -SBTi for Natureに沿った評価・優先順位の検討森林破壊防止・森林破壊ゼロ -対象原材料:パーム油、大豆、牛肉、紙、コーヒー水資源の保全・水使用量削減 -2040年度:15%削減(対2018年度)持続可能な調達・重要原料の持続可能な調達比率100% -2030年度:対象原材料:紙、パーム油、大豆、コーヒー豆、牛肉、サトウキビ・アニマルウェルフェア向上の推進サーキュラーエコノミー(循環経済)廃棄物ゼロエミッション・資源化率 -99%以上維持プラスチック廃棄物削減・プラスチック廃棄物削減 -2030年度:ゼロ化・当社マイクロプラスチック代替素材を活用したパーソナルケア製品の提供による生活者の行動変容促進フードロス削減・フードロス削減 -原料受け入れからお客様納品まで50%削減継続(対2018年度) -2050年度:製品ライフサイクル全体で50%削減(対2018年度) -レシピ等情報発信や地域(行政、流通等)との連携による家庭内フードロス削減への貢献 -当社業務用(BtoB)製品を活用した、顧客におけるロス削減 食を通じたウェルビーイングの実現健康・栄養食を通じた健康・栄養課題の解決・栄養バランスのとれた食生活への貢献(2030年度) -栄養バランスの良い*3 製品を年間21億食提供 *3 Health Star Rating(HSR)ランク3.5以上 -減塩した調味料により年間11億食分の減塩に貢献 -甘味料により年間7億人の減糖に貢献 -栄養バランスの良いメニューの提供 -栄養に役立つ情報の発信・こころの豊かさへの貢献 -調理、共食のWell-beingへの貢献を可視化し指標化を目指す。その知見をブランド価値向上につなげる先端医療・予防への貢献治療・予防の進化・アミノ酸の生理機能や栄養機能を活用した製品の利用機会拡大 -2030年度:2倍(対2020年度)・メディカルフード領域の強化 -2030年度:提供数2倍(対2024年度)・輸液等医薬品向けの高品質な医薬用アミノ酸の安定供給・培地や先端医療素材のサービスソリューション提供型ビジネスへの進化・バイオ医薬品開発製造受託サービスの強化及び領域拡大スマートソサエティの進化への貢献先端半導体パッケージ材料提供・エコシステム創出を通じた先端半導体進化・半導体の進化に貢献するイノベーション創造のスピードアップと先端材料の提供拡大、半導体バリューチェーンにおける共創エコシステムの強化・光電融合分野などの先端半導体分野における技術及び材料の開発の実現多様な価値観・人権の尊重人権責任ある雇用・国際基準に則った人権・環境デュー・ディリジェンスの着実な推進 -サプライチェーン上の取組み 深掘性:国別人権リスク評価結果に基づく人権影響評価の実施、及び予防・是正措置、モニタリング 網羅性:「サプライヤー取引に関するグループポリシーガイドライン」に基づくサプライヤーの実態把握及び改善に向けた伴走、モニタリング -グループ従業員の取組み -グループ法人(製造サイト)における人権リスク抽出と実態把握 グローバルグループ法人における実施率:2026年70%以上、2030年100% -上記に基づき適切な予防・是正措置の実施経営基盤の強化人的資本人財の活用・ASV実現プロセスESスコア -2030年度:88%・リーダーシップ層の多様化ダイバーシティ -2030年度:30%・女性管理職比率 -2030年度:40%・挑戦する人財の促進 -「ASVアワード」の推進・従業員のリテラシー向上 -環境、健康・栄養、人権、DX などのリテラシー向上施策の展開事業環境変化レジリエンス強化・経営インテリジェンス機能の強化による、将来からバックキャストした経営リスク・機会の検討と戦略への活用・グローバルな品質保証システム、戦略的知財ポートフォリオ構築・コンプライアンス意識向上のための継続的な施策・安全衛生に関するアセスメント・監査・点検の継続実施・減損や為替・金利変動リスクの極小化、柔軟な資金調達によるリスク軽減