2768

双日(2768)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

  • 総合商社としての多角化事業: 双日グループは、物品の売買や貿易業を基盤としつつ、国内外での製品製造・販売、サービス提供、プロジェクトの企画・調整、各種事業分野への投資、金融活動など、非常に幅広い事業をグローバルに展開しています。これにより、特定の事業や地域に依存しない安定的な収益構造を目指しています。
  • グローバルな事業展開と子会社網: 世界中に542社(連結子会社413社、持分法適用会社129社)もの連結対象会社を持ち、多様な地域と分野で事業を推進しています。この広範なネットワークを通じて、各地域のニーズに合わせたビジネスを展開し、収益機会を最大化しています。
  • 事業再編による最適化: 2025年4月1日付で「航空・社会インフラ」と「エネルギー・ヘルスケア」の一部事業領域の再編を行い、報告セグメントの区分方法を変更しています。これは、変化する市場環境や事業戦略に合わせて、より効率的かつ効果的な事業運営を目指すための取り組みです。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 自動車事業: 完成車のトレーディング、組立製造・卸売、小売、品質検査、販売金融、デジタル技術を活用した販売・サービスなど、自動車に関する幅広い事業を展開しています。双日オートグループジャパンやAlbert Automotive Holdings Pty Ltdなどが主要な関係会社で、連結子会社59社、持分法適用会社8社で構成されています。
  • エネルギー・ヘルスケア事業: 再生可能エネルギー(IPP投資、電力小売)、ガス火力発電、省エネルギーサービス、石油・ガス・LNG事業、原子力関連事業、ICTインフラ、ヘルスケア(病院PPP、民間医療、周辺サービス)、産業機械、軸受、自動車部品、製造設備、舶用機械、電力エネルギー・プラントなど、多岐にわたる分野を手掛けています。双日マシナリーや双日ミライパワーなどが主要な関係会社で、連結子会社141社、持分法適用会社34社と、最も多くの会社を抱えるセグメントです。
  • リテール・コンシューマーサービス事業: 食品・消費財流通、コンビニエンスストア、外食、商業施設運営、不動産開発・分譲・賃貸・管理運営、砂糖・穀物・油脂・乳製品・畜肉・水産加工品などの食品原料、輸入煙草、綿・化合繊織物、衣料製品、寝具、衛生材料など、消費者に身近な幅広い商品やサービスを提供しています。双日食料やマリンフーズ、ロイヤルホールディングスなどが主要な関係会社で、連結子会社37社、持分法適用会社27社で構成されています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,326 文字
3 【事業の内容】当社グループは、総合商社として、物品の売買及び貿易業をはじめ、国内及び海外における各種製品の製造・販売やサービスの提供、各種プロジェクトの企画・調整、各種事業分野への投資、並びに金融活動などグローバルに多角的な事業を行っております。当企業集団にてかかる事業を推進する連結対象会社は、連結子会社413社、持分法適用会社129社の計542社(うち、当社が直接連結経理処理を実施している連結対象会社は、連結子会社184社、持分法適用会社69社の計253社)から構成されております。なお、当社グループは、2025年4月1日付にて「航空・社会インフラ」、「エネルギー・ヘルスケア」の一部事業領域の再編により報告セグメントの区分方法を変更しております。 当社グループの事業区分ごとの主な取扱商品又はサービス・事業の内容及び主な関係会社は以下のとおりとなります。 2026年3月31日現在事業の種類主要取扱商品又はサービス・事業の内容主要関係会社 (連結区分)自動車完成車トレーディング、組立製造・卸売事業、小売事業、品質検査事業、販売金融、デジタル技術を取り入れた販売及びサービス事業・双日オートグループジャパン㈱(子) ・Albert Automotive Holdings Pty Ltd(子)連結子会社 59社持分法適用会社 8社・Sojitz de Puerto Rico Corporation(子)・SILABA MOTORS, S.A.(子)・Petroautos S.A.(子)航空・社会インフラ航空事業(民間機・防衛関連機器代理店及び販売、ビジネスジェット)、交通インフラ事業(鉄道関連事業、空港事業)、産業・都市インフラ事業(工業団地、住宅、オフィス、スマートシティ、データセンター)、船舶事業(新造船・中古船・傭船仲介事業等)・双日エアロスペース㈱(子)・㈱ジャプコン(子)・Phenix Jet International, LLC(子) ・Long Duc Investment Co., Ltd.(子) ・ソメック㈱(持) ・PT. Puradelta Lestari Tbk(持)連結子会社 49社持分法適用会社 15社・UGL Transport Holdings Pty Ltd.(持)エネルギー・ヘルスケア再生可能エネルギー事業(IPPインフラ投資、電力小売事業、関連サービス事業)、ガス火力発電事業(IPP・IWPPインフラ投資)、省エネルギーサービス事業、エネルギー事業(石油・ガス、LNG事業)、原子力関連事業(原子燃料、関連機器)、ICTインフラ事業(通信タワー)、ヘルスケア事業(病院PPP、民間医療事業、医療周辺サービス、ヘルスケア新興技術)、産業機械事業、軸受事業、四輪・二輪部品事業、自動車製造設備事業、舶用機械事業、電力エネルギー・プラント事業・双日マシナリー㈱(子)・双日ミライパワー㈱(子)・Starwind Offshore GmbH(子) ・Sojitz Global Investment B.V.(子) ・Ellis Air Group Pty Ltd(子) ・CLIMATECH GROUP HOLDINGS PTY LTD(子) ・Sojitz Hospital PPP Investment B.V.(子) ・SOJITZ HEALTHCARE AUSTRALIA PTY LTD(子) ・NEXT GREEN GROUP PTY LTD(子) ・Royal Healthcare Pte. Ltd.(子) 連結子会社 141社持分法適用会社 34社・McClure Company(子)・Freestate Electric, LLC(子)・Capella Capital Pty Ltd(子)・エルエヌジージャパン㈱(持)・Qualitas Medical Limited(持)金属・資源・リサイクル石炭、鉄鉱石、合金鉄(ニッケル、クロム、ニオブ等)及び鉱石、アルミナ、アルミ、銅、貴金属、窯業・鉱産物、コークス、炭素製品、鉄鋼関連事業、資源リサイクル事業・双日ジェクト㈱(子)・Sojitz Development Pty Ltd(子)・Sojitz Resources (Australia) Pty. Ltd.(子) ・㈱メタルワン(持)連結子会社 19社持分法適用会社 12社・Japan Alumina Associates (Australia) Pty. Ltd.(持) 事業の種類主要取扱商品又はサービス・事業の内容主要関係会社 (連結区分)化学有機化学品、無機化学品、機能化学品、精密化学品、工業塩、ヘルスケア・天産品、レアアース、汎用樹脂、高機能樹脂、環境対応樹脂、工業用・食品用包装資材、高機能フィルム・シート、プラスチック成形機、その他合成樹脂製品、液晶・光学部品・プリント基板等電子材料、産業資材用繊維原料及び製品・双日プラネット㈱(子)・プラマテルズ㈱(子)・日本エイアンドエル㈱(子) ・PT. Kaltim Methanol Industri(子) ・Sojitz SOLVADIS GmbH(子) 連結子会社 30社持分法適用会社 11社 生活産業・アグリビジネス穀物、小麦粉、飼料原料、菓子、菓子原料、その他各種食品原料、化成肥料、建設資材、輸入原木、製材・合板・集成材等木材製品、住宅建材、チップ植林、製紙、脱炭素(バイオマス・カーボンクレジット)、農業・地域創生・双日建材㈱(子)・Thai Central Chemical Public Co., Ltd.(子)・Saigon Paper Corporation(子) ・Atlas Fertilizer Corporation(子)連結子会社 24社持分法適用会社 16社・Japan Vietnam Fertilizer Company(子) リテール・コンシューマーサービス食品・消費財流通事業、コンビニエンスストア事業、外食事業、商業施設運営事業、不動産開発・分譲・賃貸・管理運営事業(住宅、オフィス等)、砂糖及び糖化原料、小麦粉、穀類、油脂、澱粉、乳製品、農産加工品及び農産原料、畜肉原料及び畜肉加工品、家禽肉加工品、水産加工品及び水産原料、その他各種食品及び原料、輸入煙草、綿・化合繊織物、各種ニット生地・製品、衣料製品、寝具及び寝装品、物資製品、衛生材料・双日食料㈱(子)・マリンフーズ㈱(子)・トライ産業㈱(子)・双日ファッション㈱(子)・双日インフィニティ㈱(子) ・双日ライフワン㈱(子) ・双日ロイヤルインフライトケイタリング㈱(子) ・DaiTanViet Joint Stock Company(子) ・ロイヤルホールディングス㈱ (持)(注) ・㈱JALUX(持)連結子会社 37社持分法適用会社 27社・フジ日本㈱(持)(注)その他職能サービス、国内地域法人、物流サービス事業、保険サービス事業、ネットワークサービス事業、森林ファンド管理事業・双日九州㈱(子)・双日テックイノベーション㈱(子)・双日ロジスティクス㈱(子) ・双日インシュアランス㈱(子) ・双日ツーリスト㈱(子)連結子会社 24社持分法適用会社 6社・双日シェアードサービス㈱(子)・㈱双日総合研究所(子)・EFM Sojitz Management, LLC(持) 海外現地法人複数の商品を取扱う総合商社であり、世界の主要拠点において当社と同様に多種多様な活動を行っております。 セグメント情報では、取扱商品の類似性に基づいてそれぞれの事業区分に含めております。・双日米国会社(子)・双日欧州会社(BV)(子)・双日アジア会社(子) ・双日中国会社(子)連結子会社 30社持分法適用会社 0社 (注)関係会社のうち、2026年3月31日現在、国内証券市場に公開している会社は以下のとおりです。・ロイヤルホールディングス㈱(東証プライム、福証本則)・フジ日本㈱(東証スタンダード)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ネットワーク
総合商社としてグローバルに多角的な事業を展開し、多数の連結子会社・持分法適用会社を持つ広範な事業ネットワーク。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:マクロ経済環境の変化によるリスク / カントリーリスク / 地政学リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

双日(2768)は総合商社であり、特定の強力なブランド、特許、規制ライセンス、または独占的IPに依存する事業モデルではない。事業は多岐にわたるが、個別の無形資産による競争優位性は限定的。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

総合商社としてのビジネスモデルは、長年の取引関係や信頼関係に基づいている。しかし、顧客やサプライヤーが競合他社へ乗り換えることによる直接的な経済的損失は、特定の業界に特化した企業ほど大きくない場合が多い。関係性の維持が重要だが、スイッチング・コストは中程度。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

双日の事業は、特定のプラットフォームやサービスにおけるネットワーク効果を直接的に生み出すものではない。個々の取引やプロジェクトは存在するが、ユーザー数の増加がサービスの価値を指数関数的に高めるような構造は見られない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

総合商社として、規模の経済を活かした調達力や、多様な事業ポートフォリオからのシナジーによるコスト効率化の可能性はある。しかし、他社との明確なコスト構造上の優位性を確立しているかは不明瞭。為替や商品市況の影響も大きい。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

総合商社は、その巨大な事業規模とグローバルネットワークを活かし、多岐にわたる分野で事業を展開している。この規模は、新規参入障壁となり、事業の安定性と収益機会の確保に寄与する。業界内でも限られた数のプレイヤーしか存在しない寡占市場を形成している。

  • 広範なグローバルネットワーク: 双日は世界中に多数の連結子会社と持分法適用会社を持ち、多岐にわたる事業をグローバルに展開しています。この広範なネットワークは、多様な地域でのビジネス機会を捉え、リスクを分散しながら安定的な収益を確保する上で大きな強みとなります。
  • 多角的な事業ポートフォリオ: 自動車、航空・社会インフラ、エネルギー・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスなど、非常に多様な事業分野を手掛けています。これにより、特定の市場や商品に依存することなく、経済変動や市場の変化に対応できる柔軟性を持っています。
  • リスク管理体制の強化: 全社的なリスク管理体制を構築し、CFOを委員長とする内部統制委員会がリスク管理を統括しています。リスクアセットを自己資本の1倍以内に抑える目標を設定し、2026年3月末時点で0.6倍に管理するなど、財務の健全性を維持しながら事業投資を行うことで、企業価値の向上に努めています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針当社は、双日グループ企業理念、双日グループスローガンを掲げ、企業理念にある「豊かな未来」の創造に向け、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国・地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでいます。 (双日グループ企業理念) 双日グループは、誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します。 (双日グループスローガン)New way, New value (双日の価値創造モデル) 「豊かな未来」の創造、「2つの価値」の実現に向けて、当社では人材を最も重要な経営資源と考え、「人財」と表記し、価値創造モデルの中心に据えています。世界中のニーズを把握し、価値を生み出す人財力を高めていくことが、双日の価値創造の源泉です。実効性の高い戦略と充実したコーポレート・ガバナンスのもと、常に新しい発想を持ち、トレーディング・権益投資・事業投資を通じた機能を発揮して、将来を見据え、外部環境の目まぐるしい変化やニーズの多様化に先駆けたスピード感あるビジネスを展開しています。また、世界各国に広がる事業拠点やパートナーシップ、それぞれの地域で長年にわたり育んできたお客様との信頼関係やブランド力など、築き上げてきた確固たる事業基盤が、当社の持続的な成長を支えています。当社が創造した価値は、「社会が得る価値」として還元され、ステークホルダーからの信頼獲得につながります。創造した価値は、「双日が得る価値」として、当社の人材基盤やビジネスノウハウといった各事業基盤を拡充するものとして還元され、当社の競争力強化や新たなビジネスチャンスの増加につながります。このような企業理念のもと、2030年における「目指す姿」として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げており、総合商社としての使命である、必要なモノ・サービスを必要なところに届けつつ、マーケットニーズや社会課題に応える事業や人といった価値を創造し続けることにより、持続的な企業価値向上を実現しています。 (2) 「中期経営計画2026」の進捗状況① 「中期経営計画2026 - Set for Next Stage -」について当社は2030年の目指す姿として、「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げており、Next Stageとして当期利益2,000億円と時価総額2兆円に成長させることをターゲットとしております。本中計は、このNext Stageを見据えて、成長基盤と人的資本の強化に取り組む中期経営計画と位置づけています。Next Stageに到達するためのキーメッセージとなる「双日らしい成長ストーリー」の実現に向け、成長基盤と人材への積極投資を行っていきます。 本中計の具体的な定量目標として3点を掲げています。一つ目は、将来の成長に向けて、財務規律を堅持した上で6,000億円の投資を実行します。二つ目に、3ヶ年平均でROE12%超・当期利益1,200億円超をそれぞれ確保し、企業価値と株主価値の向上を図ります。三つ目に、基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元に充当します。(注) 1 基礎的営業キャッシュ・フロー:会計上の営業キャッシュ・フローから運転資金増減等を控除したもの 2 株主資本DOE:支払配当÷株主資本 3 株主資本:その他の資本の構成要素を除外した前期末自己資本 双日らしい成長ストーリーの実現並びに定量目標の達成のためには、当社の独自性や強みをさらに磨き上げ、競争優位を生み出すことが不可欠です。既存領域を核としてさらに磨き上げるとともに、多数の事業である「点」をつなぎ合わせ、掛け合わせることによって事業と収益の「カタマリ」構築を進めてまいります。また、全ての事業領域に必要不可欠な要素として「DX(デジタルトランスフォーメーション)」領域を全社横断的に強化しています。加えて、収益力の強化・競争優位の源泉として、継続して人的資本・ヒトの魅力(ちから)を強化してまいります。多様なスキル・経験を持つ自立した個の確立や、個の力を最大化する組織・カルチャーの組成に向けてヒトへの投資を積極的に進めています。 ② 成長基盤の強化「中期経営計画2026」では競争優位性や独自性を追求し、高度な成長戦略を実行するための共通の考え方として「KATI(カチ)モデル」を設定し、事業の「カタマリ」を複数構築することに重点を置いております。これは、当社が知見や実績を有する事業を起点に、機能の拡張・応用や新領域への挑戦を通じて、個別の取り組みを持続的な収益基盤となる事業の「カタマリ」へ発展させていく考え方です。当社はこのモデルに基づき、勝ち筋のある事業領域において、新規投資の拡大、既存事業の磨き込み、外部パートナーとの共創を通じた事業再編を進める一方、事業の改善や勝ち筋の確立が見込めない事業については、撤退を含めた見直しを行うことで、構造改革を推進、収益成長と資本効率を両立し、Next Stageに向けた事業ポートフォリオへの変革を推進しております。 ―エネルギーソリューション事業―米国において従来の電力・インフラ事業で培った知見・人材を活用し、McClure社の買収によりエネルギーソリューション事業へ参入しました。さらに、McClure社とは顧客基盤および提供サービスが異なるFreestate社へのボルトオン投資を通じて、提供地域、顧客接点および事業領域の拡大を進めております。また、豪州においてもEllis Air社、Climatech社などの買収により、省エネやデータセンター関連サービスを含むエネルギーソリューション事業を展開し、米国・豪州におけるカタマリ化を図っております。 ―豪州インフラ開発事業―従来の共同デベロッパーに留まらず、主体的な収益機会の確保および収益構造の多層化を狙い、豪州PPP事業のリードデベロッパーであるCapella社を買収しました。同社が有する豪州PPP領域での開発実績、豊富なノウハウおよび高度専門人材を取り込むことで、インフラ事業の開発・投資・運営を一体で手がける体制を強化しております。今後は、同社のリードデベロッパー機能と当社の資金力・運営力・グローバルネットワークを組み合わせることで、エネルギーインフラなどの新事業領域や豪州外の地域への展開も進めてまいります。 ―化学事業―5,000社を超える顧客基盤および長年培ったトレード実績をもとに、業界再編、地政学リスク、サプライチェーンの変化を先読みし、トレード機能の強靭化と収益機会の拡大を図っております。日本エイアンドエルの買収はリチウムイオン電池部材などの長年にわたるトレードを通じて蓄積した知見をもとに製造領域へ展開したものであり、既存の販売網および顧客基盤との相乗効果を追求することで、事業の競争力強化と収益基盤の拡充に取り組みます。また、レアアースなどのクリティカルミネラルについても、経済安全保障の重要性を踏まえ、サプライチェーンの多角化を進めております。 既存事業についても、勝ち筋のある事業では、機能の拡張や外部パートナーとの共創を通じて収益力および資本効率の向上を図っております。船舶事業、北米貨車リース事業、国内商業開発運営事業などでは、ベストオーナーとなり得る外部パートナーへ事業の一部をシェアアウトしつつ、当社の強みである機能を提供することで、パートナーとともに事業を成長させ、持続的な成長を図る体制を構築しております。一方、豪州中古車事業、国内ディーラー事業、豪州原料炭事業など、事業の改善や勝ち筋の確立が見込めない事業については、撤退を含めた見直しを行い、構造改革を推進します。 ③ 本部別の成長戦略<自動車>自動車販売を中核とした既存事業の強みを活かし、持続的な成長を目指す戦略を展開しています。すでに知見や実績のある領域の拡大を基盤に、「グローバル・ニッチトップ」「ドミナント」「バリューチェーン」の3つを成長戦略のキーワードとして、独自性による競争優位のあるビジネスモデルを追求します。これにより持続的な成長を実現するとともに、社会課題やニーズに対してソリューションや価値を提供し、豊かなモビリティ社会の実現へ寄与していきます。 <航空・社会インフラ>航空・船舶・鉄道の三大輸送手段における長年の経験と豊富な知見を梯子に、変化する顧客やマーケットニーズを的確に捉え、オペレーションの最適化、ライフサイクル全般を見据えた周辺サービス事業といった新たな価値を提供してまいります。当社機能の先鋭化・多角化を推し進め、各事業を面として紡ぎ、社内外との共創を通じて、社会的な共感力と訴求力が高い事業を創出していきます。 <エネルギー・ヘルスケア>エネルギーおよびヘルスケア領域において、世界の脱炭素、人口増加、高齢化などの社会課題解決に対応し、従来の「アセット型」インフラビジネスに加え、顧客へのサービス・ソリューション提供を行う「事業型ビジネス」を構築し、規律ある事業投資・事業経営による力強い成長を目指します。エネルギーソリューション分野(発電、小売サービス、省エネなど)における機能強化、地域拡大、事業間のシナジー追求およびPPP事業分野における旺盛な豪州市場の取り込みと事業領域の拡大を軸に、当社の有形・無形の資産を活用することで双日ならではの競争優位を構築し、規模感あるビジネスおよび新たな価値を創造していきます。 <金属・資源・リサイクル>国内需要家向け石炭・鉄鉱石・レアメタルなどの原料供給事業(上流権益投資を含む)および国内の鉄鋼製品販売事業という既存の事業ポートフォリオの変革を推進していきます。具体的には、「グリーン製鉄」の領域における当社ならではの冷鉄源戦略の構築や、電池および半導体需要の増加に伴う「重要鉱物」のサプライチェーン構築を通じて、事業創出の取り組みを強化します。 <化学>国内外の化学業界における生産構造の変化や地政学リスクの高まりに対し、サプライチェーンの分断を回避し安定的な供給体制を構築することを重要課題として、市場ニーズの変化を先読みし、調達先の多様化や物流機能の強化を通じてトレードの強靭化を推進していきます。併せて、知見ある領域での事業投融資を着実に実行し収益基盤の強化を図るとともに、脱炭素社会実現への貢献に資する環境対応型ビジネスの構築を進め、持続的な成長を目指してまいります。 <生活産業・アグリビジネス>継続成長が期待できるアジアの新興国を中心に、肥料・アグリビジネス事業、食料・飼料畜産事業、林産・バイオマス事業などの既存事業をさらに強化していきます。東南アジアでトップクラスの市場シェアを保有する肥料事業においては、デジタルを組み合わせることで新たなビジネスを構築、収益の拡大を進めています。また、ベトナムで取り組む畜産・食肉加工事業では、肥育から食肉加工、販売までの一貫体制を構築しており、同国の食文化の発展に寄与するとともに収益化を図ってまいります。 <リテール・コンシューマーサービス>消費者市場における持続可能性への社会的要請、ニーズの多様化や地域に応じた様々な構造的変化をチャンスと捉え、国内外で構築してきた事業基盤の強靭化、高付加価値化とともにポートフォリオの最適化を進めます。成長が見込まれる領域や、強みを発揮できる領域で、M&A、事業投資、パートナーとの共創を通じて事業を拡大、グローバルに展開する食・健康・日用品や水産に関連するビジネスを有機的に結び付けてビジネスを創造し、世界の人々の生活価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献、持続的な成長を実現していきます。 ④ DX1) デジタルで創る双日らしい成長ストーリー当社は、全ての事業とデジタルの一体化を目指した“Digital-in-All”を掲げ、デジタル技術の徹底的な活用を経営戦略の中心に据えています。中期経営計画2026では、以下のサイクルを通じて双日らしい成長ストーリーを実現し、企業価値の創造を図ります。 (a) データに基づく正しい現状認識国内外の事業会社を含む全7営業本部においてデータを整備し、客観的な現状把握を推進しています。 (b) 価値向上のための打ち手の先読みと実行蓄積データを基に分析し、改善策の実行・検証・修正を繰り返すことで既存事業の価値向上を図ります。 (c) デジタルによる競争優位性の確立AIやデータを活用し、ビジネスモデルそのものを変革する「デジタルリードプロジェクト」を推進しています。また、グループ会社である双日テックイノベーション等との共創により、内製開発力を高め、独自の競争優位性を確立します。 2) “Digital-in-All”による成長ストーリーを実現する要素(a) AI活用グループ会社を含めた個人レベルでのAIツール活用が広範に普及し、RAGやデータ構造化など、各業務プロセスでAI活用が進んでいます。各事業領域においては、AIを活用したデジタルリードプロジェクトを推進しており、具体的には以下の取り組みを進めています。 ・国内水産DX: AI画像解析等による養殖管理の高度化 ・タイアグリDX: AIによる土壌分析等を通じた営農支援 ・国内中古車DX: 画像データ化とAI解析による透明性の高い査定の自動化 ・商社トレードDX: Graph-RAG活用による高精度な情報分析 これらに加え、全営業本部および職能組織において、デジタルリードプロジェクトと業務改善を推進しています。 (b) AIガバナンスAIの利用拡大と事業単位でのAI活用が普及する中、当社はハルシネーション等の懸念事項を含む様々なAIリスクに的確に対応できる統治体制の整備が不可欠であると認識しています。その対応として「組織」「原則」「審査」「ユーザーの適切な利用」「リスクの一元管理」「インシデント予防・対策」の6要素からなる包括的なAIガバナンスの全体構想を策定しました。特に審査プロセスにおいては、既存の社内手続きやIT審議プロセスに対し、審査・決裁・リスク管理・セキュリティ等に関する規定への「AI審査の埋め込み」を進めています。外部へAIを活用したサービスを提供する際などのユースケースに対しても、リスクと対応策の具体化、および優先度整理を行う厳格なチェックプロセスを整備しています。これにより、投資対効果を可視化し、ステークホルダーへの透明性とアカウンタビリティを高めながら、安全かつ迅速なAIの利活用を全社的に進めています。 (c) デジタル人材育成全総合職の50%(約1,000人)を応用人材、そのうち10%(約200人)をエキスパート人材とする目標に対し、2026年3月末時点で応用825人、エキスパート136人と順調に進捗しています。また「デジタル人材2.0」としてAI・データ活用中心へ再定義し、実践型育成へ転換させ、経営層も含めた全社的なAI活用推進体制を構築しています。(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (8)人材戦略に関する基本方針 ②戦略 1)人材戦略基本方針①「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個 (d) ビジネスへのデジタル実装に向けたデジタル人材育成」をご参照ください。) (d) セキュリティ対策の強化経営者がサイバーセキュリティリスクを重大な経営リスクとして認識し、CISO(最高情報セキュリティ責任者)等の責任者を任命する管理体制を構築しています。DX推進を担うCDO(最高デジタル責任者)兼CIO(最高情報責任者)と、情報・ITシステムセキュリティ委員会委員長であるCISOが連携し、ビジネス変革を推進する攻めの視点と、法務・リスクマネジメント等の守りの視点を統合した高度なガバナンス体制を敷いています。商社特有の広範なサプライチェーンにおけるサイバー攻撃等のリスクに対応するため、法令やガイドライン等で求められる事項に基づき、サプライチェーン内の取引先や多様な関係企業とのデータ連携に関する全社方針を策定し適用しています。ITシステムの改善に際しては、事業部単位での個別最適によるブラックボックス化を回避するためのシステム構築時の計画確認などの仕組みを整備し、全社データの整合性を確保しています。 これらの取り組みにより、当社は「DX銘柄2026」に選定されました(2年連続、通算3回目)。今後も“Digital-in-All”による価値創造を推進します。 ⑤ 人的資本の強化「中期経営計画2026」では、当社グループの人材戦略基本方針として、双日らしい成長ストーリーの実現に向けた「事業創出力」と「事業経営力」の強化に取り組んでおります。(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (8)人材戦略に関する基本方針」をご参照ください。) (3) キャッシュ・フロー・マネジメント基礎的営業キャッシュ・フローと資産入替を原資に、さらなる成長に向けた成長・ヒト投資と株主還元を実行します。基礎的営業キャッシュ・フローの7割程度を成長・ヒト投資に、3割程度を株主還元に充当します。これを踏まえ、2025年度の実績は以下のとおりとなりました。 (4) 剰余金の配当等の決定に関する方針「中期経営計画2026」期間累計の基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元する方針です。① 配当・安定的かつ継続的な配当を行うため株主資本DOE4.5%を配当方針とし、業績変動や株価・為替による影響を最小限に抑える・当期純利益による株主資本の積み上げが、株主還元による株主資本の減少幅を上回る限りにおいて、累進的に増配となる配当方針② 自己株式取得・キャッシュ・フロー・マネジメント方針に基づき、「中期経営計画2026」期間を通じて機動的に自己株式取得を実施 この方針に基づき、当期の期末配当金につきましては、1株当たり82.5円とします。1株当たり82.5円の中間配当を実施していますので、当期の年間配当金は1株当たり165円となります。また、当期においては、2025年5月2日~2025年7月31日の期間中に自己株式2,800,000株を9,956,291,082円にて取得しました。2025年8月29日には、15,000,000株(消却前の発行済株式総数に対する割合約6.7%)の消却を行っております。なお、当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当を取締役会決議により行うことができるよう定款に定めております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針当社は、双日グループ企業理念、双日グループスローガンを掲げ、企業理念にある「豊かな未来」の創造に向け、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国・地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでいます。 (双日グループ企業理念) 双日グループは、誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します。 (双日グループスローガン)New way, New value (双日の価値創造モデル) 「豊かな未来」の創造、「2つの価値」の実現に向けて、当社では人材を最も重要な経営資源と考え、「人財」と表記し、価値創造モデルの中心に据えています。世界中のニーズを把握し、価値を生み出す人財力を高めていくことが、双日の価値創造の源泉です。実効性の高い戦略と充実したコーポレート・ガバナンスのもと、常に新しい発想を持ち、トレーディング・権益投資・事業投資を通じた機能を発揮して、将来を見据え、外部環境の目まぐるしい変化やニーズの多様化に先駆けたスピード感あるビジネスを展開しています。また、世界各国に広がる事業拠点やパートナーシップ、それぞれの地域で長年にわたり育んできたお客様との信頼関係やブランド力など、築き上げてきた確固たる事業基盤が、当社の持続的な成長を支えています。当社が創造した価値は、「社会が得る価値」として還元され、ステークホルダーからの信頼獲得につながります。創造した価値は、「双日が得る価値」として、当社の人材基盤やビジネスノウハウといった各事業基盤を拡充するものとして還元され、当社の競争力強化や新たなビジネスチャンスの増加につながります。このような企業理念のもと、2030年における「目指す姿」として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げており、総合商社としての使命である、必要なモノ・サービスを必要なところに届けつつ、マーケットニーズや社会課題に応える事業や人といった価値を創造し続けることにより、持続的な企業価値向上を実現しています。 (2) 「中期経営計画2026」の進捗状況① 「中期経営計画2026 - Set for Next Stage -」について当社は2030年の目指す姿として、「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げており、Next Stageとして当期利益2,000億円と時価総額2兆円に成長させることをターゲットとしております。本中計は、このNext Stageを見据えて、成長基盤と人的資本の強化に取り組む中期経営計画と位置づけています。Next Stageに到達するためのキーメッセージとなる「双日らしい成長ストーリー」の実現に向け、成長基盤と人材への積極投資を行っていきます。 本中計の具体的な定量目標として3点を掲げています。一つ目は、将来の成長に向けて、財務規律を堅持した上で6,000億円の投資を実行します。二つ目に、3ヶ年平均でROE12%超・当期利益1,200億円超をそれぞれ確保し、企業価値と株主価値の向上を図ります。三つ目に、基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元に充当します。(注) 1 基礎的営業キャッシュ・フロー:会計上の営業キャッシュ・フローから運転資金増減等を控除したもの 2 株主資本DOE:支払配当÷株主資本 3 株主資本:その他の資本の構成要素を除外した前期末自己資本 双日らしい成長ストーリーの実現並びに定量目標の達成のためには、当社の独自性や強みをさらに磨き上げ、競争優位を生み出すことが不可欠です。既存領域を核としてさらに磨き上げるとともに、多数の事業である「点」をつなぎ合わせ、掛け合わせることによって事業と収益の「カタマリ」構築を進めてまいります。また、全ての事業領域に必要不可欠な要素として「DX(デジタルトランスフォーメーション)」領域を全社横断的に強化しています。加えて、収益力の強化・競争優位の源泉として、継続して人的資本・ヒトの魅力(ちから)を強化してまいります。多様なスキル・経験を持つ自立した個の確立や、個の力を最大化する組織・カルチャーの組成に向けてヒトへの投資を積極的に進めています。 ② 成長基盤の強化「中期経営計画2026」では競争優位性や独自性を追求し、高度な成長戦略を実行するための共通の考え方として「KATI(カチ)モデル」を設定し、事業の「カタマリ」を複数構築することに重点を置いております。これは、当社が知見や実績を有する事業を起点に、機能の拡張・応用や新領域への挑戦を通じて、個別の取り組みを持続的な収益基盤となる事業の「カタマリ」へ発展させていく考え方です。当社はこのモデルに基づき、勝ち筋のある事業領域において、新規投資の拡大、既存事業の磨き込み、外部パートナーとの共創を通じた事業再編を進める一方、事業の改善や勝ち筋の確立が見込めない事業については、撤退を含めた見直しを行うことで、構造改革を推進、収益成長と資本効率を両立し、Next Stageに向けた事業ポートフォリオへの変革を推進しております。 ―エネルギーソリューション事業―米国において従来の電力・インフラ事業で培った知見・人材を活用し、McClure社の買収によりエネルギーソリューション事業へ参入しました。さらに、McClure社とは顧客基盤および提供サービスが異なるFreestate社へのボルトオン投資を通じて、提供地域、顧客接点および事業領域の拡大を進めております。また、豪州においてもEllis Air社、Climatech社などの買収により、省エネやデータセンター関連サービスを含むエネルギーソリューション事業を展開し、米国・豪州におけるカタマリ化を図っております。 ―豪州インフラ開発事業―従来の共同デベロッパーに留まらず、主体的な収益機会の確保および収益構造の多層化を狙い、豪州PPP事業のリードデベロッパーであるCapella社を買収しました。同社が有する豪州PPP領域での開発実績、豊富なノウハウおよび高度専門人材を取り込むことで、インフラ事業の開発・投資・運営を一体で手がける体制を強化しております。今後は、同社のリードデベロッパー機能と当社の資金力・運営力・グローバルネットワークを組み合わせることで、エネルギーインフラなどの新事業領域や豪州外の地域への展開も進めてまいります。 ―化学事業―5,000社を超える顧客基盤および長年培ったトレード実績をもとに、業界再編、地政学リスク、サプライチェーンの変化を先読みし、トレード機能の強靭化と収益機会の拡大を図っております。日本エイアンドエルの買収はリチウムイオン電池部材などの長年にわたるトレードを通じて蓄積した知見をもとに製造領域へ展開したものであり、既存の販売網および顧客基盤との相乗効果を追求することで、事業の競争力強化と収益基盤の拡充に取り組みます。また、レアアースなどのクリティカルミネラルについても、経済安全保障の重要性を踏まえ、サプライチェーンの多角化を進めております。 既存事業についても、勝ち筋のある事業では、機能の拡張や外部パートナーとの共創を通じて収益力および資本効率の向上を図っております。船舶事業、北米貨車リース事業、国内商業開発運営事業などでは、ベストオーナーとなり得る外部パートナーへ事業の一部をシェアアウトしつつ、当社の強みである機能を提供することで、パートナーとともに事業を成長させ、持続的な成長を図る体制を構築しております。一方、豪州中古車事業、国内ディーラー事業、豪州原料炭事業など、事業の改善や勝ち筋の確立が見込めない事業については、撤退を含めた見直しを行い、構造改革を推進します。 ③ 本部別の成長戦略<自動車>自動車販売を中核とした既存事業の強みを活かし、持続的な成長を目指す戦略を展開しています。すでに知見や実績のある領域の拡大を基盤に、「グローバル・ニッチトップ」「ドミナント」「バリューチェーン」の3つを成長戦略のキーワードとして、独自性による競争優位のあるビジネスモデルを追求します。これにより持続的な成長を実現するとともに、社会課題やニーズに対してソリューションや価値を提供し、豊かなモビリティ社会の実現へ寄与していきます。 <航空・社会インフラ>航空・船舶・鉄道の三大輸送手段における長年の経験と豊富な知見を梯子に、変化する顧客やマーケットニーズを的確に捉え、オペレーションの最適化、ライフサイクル全般を見据えた周辺サービス事業といった新たな価値を提供してまいります。当社機能の先鋭化・多角化を推し進め、各事業を面として紡ぎ、社内外との共創を通じて、社会的な共感力と訴求力が高い事業を創出していきます。 <エネルギー・ヘルスケア>エネルギーおよびヘルスケア領域において、世界の脱炭素、人口増加、高齢化などの社会課題解決に対応し、従来の「アセット型」インフラビジネスに加え、顧客へのサービス・ソリューション提供を行う「事業型ビジネス」を構築し、規律ある事業投資・事業経営による力強い成長を目指します。エネルギーソリューション分野(発電、小売サービス、省エネなど)における機能強化、地域拡大、事業間のシナジー追求およびPPP事業分野における旺盛な豪州市場の取り込みと事業領域の拡大を軸に、当社の有形・無形の資産を活用することで双日ならではの競争優位を構築し、規模感あるビジネスおよび新たな価値を創造していきます。 <金属・資源・リサイクル>国内需要家向け石炭・鉄鉱石・レアメタルなどの原料供給事業(上流権益投資を含む)および国内の鉄鋼製品販売事業という既存の事業ポートフォリオの変革を推進していきます。具体的には、「グリーン製鉄」の領域における当社ならではの冷鉄源戦略の構築や、電池および半導体需要の増加に伴う「重要鉱物」のサプライチェーン構築を通じて、事業創出の取り組みを強化します。 <化学>国内外の化学業界における生産構造の変化や地政学リスクの高まりに対し、サプライチェーンの分断を回避し安定的な供給体制を構築することを重要課題として、市場ニーズの変化を先読みし、調達先の多様化や物流機能の強化を通じてトレードの強靭化を推進していきます。併せて、知見ある領域での事業投融資を着実に実行し収益基盤の強化を図るとともに、脱炭素社会実現への貢献に資する環境対応型ビジネスの構築を進め、持続的な成長を目指してまいります。 <生活産業・アグリビジネス>継続成長が期待できるアジアの新興国を中心に、肥料・アグリビジネス事業、食料・飼料畜産事業、林産・バイオマス事業などの既存事業をさらに強化していきます。東南アジアでトップクラスの市場シェアを保有する肥料事業においては、デジタルを組み合わせることで新たなビジネスを構築、収益の拡大を進めています。また、ベトナムで取り組む畜産・食肉加工事業では、肥育から食肉加工、販売までの一貫体制を構築しており、同国の食文化の発展に寄与するとともに収益化を図ってまいります。 <リテール・コンシューマーサービス>消費者市場における持続可能性への社会的要請、ニーズの多様化や地域に応じた様々な構造的変化をチャンスと捉え、国内外で構築してきた事業基盤の強靭化、高付加価値化とともにポートフォリオの最適化を進めます。成長が見込まれる領域や、強みを発揮できる領域で、M&A、事業投資、パートナーとの共創を通じて事業を拡大、グローバルに展開する食・健康・日用品や水産に関連するビジネスを有機的に結び付けてビジネスを創造し、世界の人々の生活価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献、持続的な成長を実現していきます。 ④ DX1) デジタルで創る双日らしい成長ストーリー当社は、全ての事業とデジタルの一体化を目指した“Digital-in-All”を掲げ、デジタル技術の徹底的な活用を経営戦略の中心に据えています。中期経営計画2026では、以下のサイクルを通じて双日らしい成長ストーリーを実現し、企業価値の創造を図ります。 (a) データに基づく正しい現状認識国内外の事業会社を含む全7営業本部においてデータを整備し、客観的な現状把握を推進しています。 (b) 価値向上のための打ち手の先読みと実行蓄積データを基に分析し、改善策の実行・検証・修正を繰り返すことで既存事業の価値向上を図ります。 (c) デジタルによる競争優位性の確立AIやデータを活用し、ビジネスモデルそのものを変革する「デジタルリードプロジェクト」を推進しています。また、グループ会社である双日テックイノベーション等との共創により、内製開発力を高め、独自の競争優位性を確立します。 2) “Digital-in-All”による成長ストーリーを実現する要素(a) AI活用グループ会社を含めた個人レベルでのAIツール活用が広範に普及し、RAGやデータ構造化など、各業務プロセスでAI活用が進んでいます。各事業領域においては、AIを活用したデジタルリードプロジェクトを推進しており、具体的には以下の取り組みを進めています。 ・国内水産DX: AI画像解析等による養殖管理の高度化 ・タイアグリDX: AIによる土壌分析等を通じた営農支援 ・国内中古車DX: 画像データ化とAI解析による透明性の高い査定の自動化 ・商社トレードDX: Graph-RAG活用による高精度な情報分析 これらに加え、全営業本部および職能組織において、デジタルリードプロジェクトと業務改善を推進しています。 (b) AIガバナンスAIの利用拡大と事業単位でのAI活用が普及する中、当社はハルシネーション等の懸念事項を含む様々なAIリスクに的確に対応できる統治体制の整備が不可欠であると認識しています。その対応として「組織」「原則」「審査」「ユーザーの適切な利用」「リスクの一元管理」「インシデント予防・対策」の6要素からなる包括的なAIガバナンスの全体構想を策定しました。特に審査プロセスにおいては、既存の社内手続きやIT審議プロセスに対し、審査・決裁・リスク管理・セキュリティ等に関する規定への「AI審査の埋め込み」を進めています。外部へAIを活用したサービスを提供する際などのユースケースに対しても、リスクと対応策の具体化、および優先度整理を行う厳格なチェックプロセスを整備しています。これにより、投資対効果を可視化し、ステークホルダーへの透明性とアカウンタビリティを高めながら、安全かつ迅速なAIの利活用を全社的に進めています。 (c) デジタル人材育成全総合職の50%(約1,000人)を応用人材、そのうち10%(約200人)をエキスパート人材とする目標に対し、2026年3月末時点で応用825人、エキスパート136人と順調に進捗しています。また「デジタル人材2.0」としてAI・データ活用中心へ再定義し、実践型育成へ転換させ、経営層も含めた全社的なAI活用推進体制を構築しています。(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (8)人材戦略に関する基本方針 ②戦略 1)人材戦略基本方針①「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個 (d) ビジネスへのデジタル実装に向けたデジタル人材育成」をご参照ください。) (d) セキュリティ対策の強化経営者がサイバーセキュリティリスクを重大な経営リスクとして認識し、CISO(最高情報セキュリティ責任者)等の責任者を任命する管理体制を構築しています。DX推進を担うCDO(最高デジタル責任者)兼CIO(最高情報責任者)と、情報・ITシステムセキュリティ委員会委員長であるCISOが連携し、ビジネス変革を推進する攻めの視点と、法務・リスクマネジメント等の守りの視点を統合した高度なガバナンス体制を敷いています。商社特有の広範なサプライチェーンにおけるサイバー攻撃等のリスクに対応するため、法令やガイドライン等で求められる事項に基づき、サプライチェーン内の取引先や多様な関係企業とのデータ連携に関する全社方針を策定し適用しています。ITシステムの改善に際しては、事業部単位での個別最適によるブラックボックス化を回避するためのシステム構築時の計画確認などの仕組みを整備し、全社データの整合性を確保しています。 これらの取り組みにより、当社は「DX銘柄2026」に選定されました(2年連続、通算3回目)。今後も“Digital-in-All”による価値創造を推進します。 ⑤ 人的資本の強化「中期経営計画2026」では、当社グループの人材戦略基本方針として、双日らしい成長ストーリーの実現に向けた「事業創出力」と「事業経営力」の強化に取り組んでおります。(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (8)人材戦略に関する基本方針」をご参照ください。) (3) キャッシュ・フロー・マネジメント基礎的営業キャッシュ・フローと資産入替を原資に、さらなる成長に向けた成長・ヒト投資と株主還元を実行します。基礎的営業キャッシュ・フローの7割程度を成長・ヒト投資に、3割程度を株主還元に充当します。これを踏まえ、2025年度の実績は以下のとおりとなりました。 (4) 剰余金の配当等の決定に関する方針「中期経営計画2026」期間累計の基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元する方針です。① 配当・安定的かつ継続的な配当を行うため株主資本DOE4.5%を配当方針とし、業績変動や株価・為替による影響を最小限に抑える・当期純利益による株主資本の積み上げが、株主還元による株主資本の減少幅を上回る限りにおいて、累進的に増配となる配当方針② 自己株式取得・キャッシュ・フロー・マネジメント方針に基づき、「中期経営計画2026」期間を通じて機動的に自己株式取得を実施 この方針に基づき、当期の期末配当金につきましては、1株当たり82.5円とします。1株当たり82.5円の中間配当を実施していますので、当期の年間配当金は1株当たり165円となります。また、当期においては、2025年5月2日~2025年7月31日の期間中に自己株式2,800,000株を9,956,291,082円にて取得しました。2025年8月29日には、15,000,000株(消却前の発行済株式総数に対する割合約6.7%)の消却を行っております。なお、当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当を取締役会決議により行うことができるよう定款に定めております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)(1) 当連結会計年度の経営成績の分析当連結会計年度は、米国の関税政策の変更や、中東情勢が世界経済やビジネス環境などに与える影響について予断を許さない状況が続きました。特に中東情勢によってエネルギーをはじめ物価が高騰しており、世界的にインフレが加速するリスクや、消費活動および生産活動が低下するおそれには引き続き警戒が必要です。当社グループがビジネスを展開する地域を概観すると、米国では根強いAI需要が関連する設備投資を引き続き押し上げると見込まれますが、燃料価格高騰を受けた消費者マインドの悪化や雇用・所得環境の悪化を踏まえて個人消費の伸びが緩やかになっています。EU経済圏では、堅調な個人消費を含め内需主導で景気持ち直しの動きが続いています。防衛投資をはじめとした公共投資、インフラ投資の拡大も経済を支えています。中国では、緩やかな景気の減速が続いています。不動産市場の過剰在庫問題や若年層の高失業率といった構造的な問題の解決が長引き、景気の本格回復には時間がかかると見込まれています。ベトナムでは、これまで経済は高成長を維持しており、輸出や観光業、対外直接投資が経済成長をけん引してきました。他方で、中東情勢の緊迫化で、足元では貿易収支の悪化や物価上昇がみられます。豪州では、雇用環境の改善や個人消費、設備投資などが堅調で内需を中心に経済は底堅さを維持しています。2025年後半以降、インフレ率は中央銀行の目標レンジを上回って推移しており、今後も金融引き締めが続くと見込まれています。日本では、内需が支える形で景気は緩やかな回復が続いていますが、エネルギー価格高騰によるインフレ加速が個人消費に及ぼす影響や、企業収益圧迫による設備投資の下押しなど、景気の下振れリスクには警戒が必要です。 当期の当社グループの業績につきましては、次のとおりであります。収益は、省エネ関連事業の新規連結および取引増加によるエネルギー・ヘルスケアでの増収や、防衛関連取引増加による航空・社会インフラでの増収などにより、2兆7,573億50百万円と前期比9.9%の増収となりました。売上総利益は、収益の増加などにより、前期比206億96百万円増益の3,674億89百万円となりました。税引前利益は、売上総利益が増益したものの、販売費及び一般管理費の増加などにより、前期比196億70百万円減益の1,156億30百万円となりました。当期純利益は、税引前利益1,156億30百万円から、法人所得税費用79億83百万円を控除した結果、当期純利益は前期比65億52百万円減益の1,076億47百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期純利益は前期比70億25百万円減益の、1,036億11百万円となりました。当期包括利益は、当期純利益にFVTOCIの金融資産や在外営業活動体の換算差額などを計上した結果、当期包括利益は前期比867億96百万円増加し、1,932億39百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は前期比846億20百万円増加し、1,878億59百万円となりました。 連結純損益計算書(単位:億円) 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減内容等 収益25,09727,5742,477エネルギー・ヘルスケア +1,537、航空・社会インフラ +395、リテール・コンシューマーサービス +235、化学 +213売上総利益3,4683,675207エネルギー・ヘルスケア +257、化学 +73、リテール・コンシューマーサービス +57、金属・資源・リサイクル △189 販売費及び 一般管理費(注1)△2,699△3,051△352連結子会社の新規取得による増加 その他の収益・費用123101△22当期:さくらインターネット持分一部売却に伴う利益、ガス小売事業売却 等前期:さくらインターネット公募増資による持分変動益、海外工業団地売却益 等 金融収益・費用△35△926  持分法による 投資損益496440△56 税引前利益1,3531,156△197 当期純利益1,1061,036△70 基礎的収益力(注2)1,2271,024△203 主な一過性損益4511267  非資源31238207当期:ガス小売事業売却益 等 資源14△126△140当期:豪州石炭事業減損 等 (注)1 販売費及び一般管理費のうち貸倒引当金繰入・貸倒償却金額は、前期比 △3億円(△4→△7) 2 基礎的収益力=売上総利益+販売費及び一般管理費(貸倒引当金繰入・貸倒償却を除く)+金利収支          +受取配当金+持分法による投資損益 (2) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況について① 財政状態当期末の資産合計は、連結子会社の新規取得などにより、前期末比5,607億71百万円増加の3兆6,480億23百万円となりました。負債合計は、新規調達による有利子負債の増加などにより、前期末比4,145億87百万円増加の2兆4,942億23百万円となりました。資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、配当金の支払いや、自己株式の取得があったものの、当期純利益の積み上がりや為替の変動によるその他の資本の構成要素の増加などにより、前期末比1,214億13百万円増加の1兆903億69百万円となりました。この結果、当期末の自己資本比率は29.9%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比1,522億76百万円増加の1兆395億66百万円となり、ネット有利子負債倍率は0.95倍となりました。 (注) 自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、親会社の所有者に帰属する持分を使用しております。また、有利子負債総額にはリース負債を含めておりません。 連結財政状態計算書(単位:億円) 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減内容等 資産(流動/非流動)30,87336,4805,607営業債権及びその他の債権(流動)・煙草取引、防衛関連取引および連結子会社の新規取得による増加 棚卸資産・連結子会社の新規取得および水産関連事業での増加 有形/無形/投資不動産・連結子会社の新規取得による増加 持分法投資及びその他の投資・新規投資および持分法による投資損益による増加 その他・航空機関連取引による増加 現金及び現金同等物1,9232,451528 営業債権及びその他の債権(流動)8,99810,9241,926 棚卸資産2,7593,405646 のれん1,5131,797284 有形/無形資産/ 投資不動産3,8184,206388 持分法投資及び その他の投資7,7688,9741,206 その他4,0944,723629 負債(流動/非流動)20,79724,9424,145営業債務及びその他の債務(流動)・煙草取引および連結子会社の新規取得による増加 社債及び借入金・新規調達による増加 その他・連結子会社の取得による増加 自己資本・当期純利益(1,036)・配当支払(△332)・自己株式の取得(△100)・為替 / FVTOCI(757) 営業債務及びその他の債務(流動)5,9657,4991,534 社債及び借入金10,86412,9562,092 その他3,9684,487519資本10,07611,5381,462 自己資本(注)9,69010,9041,214 (注) 自己資本は、資本のうち「当社株主に帰属する持分」とする ② キャッシュ・フロー当期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは167億59百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは866億8百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは1,102億17百万円の収入となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は2,451億45百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当期の営業活動による資金は、営業収入や配当収入により167億59百万円の収入となりました。前期比では334億47百万円の収入増加となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当期の投資活動による資金は、豪州インフラ開発企業、豪州公共交通事業への出資などにより、866億8百万円の支出となりました。前期比では74億98百万円の支出減少となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当期の財務活動による資金は、配当金の支払い及びリース負債の返済などによる支出があったものの、借入金による調達などにより1,102億17百万円の収入となりました。前期比では38億29百万円の収入増加となりました。 ③ 資金の流動性と資金調達について当社グループは、資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針とし、一定水準の長期調達比率の維持や、経済・金融環境の変化に備えた十分な手元流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努め、当期末の流動比率は155.4%、長期調達比率は76.9%となりました。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円(未使用)及び24.75億米ドル(16.48億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を有しております。 (3) セグメント情報セグメント別の成長戦略、及び経営成績に係る変動要因の分析については以下のとおりです。 当社グループは、2025年4月1日付にて「航空・社会インフラ」、「エネルギー・ヘルスケア」の一部事業領域の再編により報告セグメントの区分方法を変更しております。 (単位:億円)自動車 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減要因売上総利益6556605中南米自動車販売事業が好調に推移するも、豪州中古車事業における減損の計上等により減益販売費及び一般管理費△584△633△49持分法による投資損益71811当期純利益16△53△69 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減要因セグメント資産2,8973,485588パナマ自動車販売会社、ブラジル自動車販売会社の新規取得等により増加 航空・社会インフラ 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減要因売上総利益2692756防衛関連や航空機関連取引の増加に加え、貨車リース事業の一部売却に伴う利益等により増益販売費及び一般管理費△186△196△10持分法による投資損益4542△3当期純利益12215533 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減要因セグメント資産3,7884,539751豪州公共交通事業の新規連結、ベトナム工業団地での土地取得、航空機関連取引等により増加 エネルギー・ヘルスケア 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減要因売上総利益402659257省エネ関連事業の新規連結および取引増加や、太陽光発電関連の収益貢献に加え、ナイジェリアでのガス小売事業の売却に伴う利益等により増益販売費及び一般管理費△391△569△178持分法による投資損益226152△74当期純利益22631993 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減要因セグメント資産6,0617,5861,525豪州インフラ開発企業、豪州電力小売企業、欧州電力小売企業の新規取得等により増加 (単位:億円)金属・資源・リサイクル 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減要因売上総利益359170△189豪州原料炭事業における市況下落、生産効率の低迷に加え、減損の計上等により減益販売費及び一般管理費△169△1618持分法による投資損益1761804当期純利益29248△244 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減要因セグメント資産4,8714,998127概ね横ばい 化学 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減要因売上総利益65272573メタノール価格の低迷による影響はあるものの、新規連結した日本エイアンドエル社からの利益貢献もあり、横ばい 販売費及び一般管理費△348△424△76持分法による投資損益△5△14当期純利益2002000 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減要因セグメント資産3,0973,827730日本エイアンドエル社の新規取得等により増加 生活産業・アグリビジネス 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減要因売上総利益351335△16海外肥料事業での取扱数量の減少等により減益販売費及び一般管理費△259△2518持分法による投資損益12153当期純利益6459△5 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減要因セグメント資産2,4412,4432概ね横ばい リテール・コンシューマーサービス 2025/3期実績2026/3期実績前期比増減主な増減要因売上総利益65270957水産事業や国内リテール事業の堅調な推移に加え、国内商業開発運営事業の一部売却に伴う利益等により増益販売費及び一般管理費△512△556△44持分法による投資損益26348当期純利益11414228 2025/3末実績2026/3末実績前期末比増減主な増減要因セグメント資産5,8687,1781,310煙草取引での営業債権の増加等により増加 (注) 「当期純利益」は「当期純利益(親会社の所有者に帰属)」の金額を記載しております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を用いております。実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しております。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及び将来の会計期間において認識しております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重大なものは以下のとおりであります。 ① 金融商品の公正価値当社グループは、資産又は負債の公正価値を測定する際に、入手可能な限り、市場の観察可能なデータを用いております。公正価値の具体的な算定方法は次のとおりであります。 (a) 資本性金融商品上場株式については、取引所の価格によっております。非上場株式については、割引将来キャッシュ・フローに基づく評価技法、類似会社の市場価格に基づく評価技法、純資産価値に基づく評価技法、その他の評価技法を用いて算定しております。非上場株式の公正価値測定に当たっては、割引率、評価倍率等の観察可能でないインプットを利用しており、必要に応じて一定の非流動性ディスカウント、非支配持分ディスカウントを加味しております。非上場株式の公正価値の評価方針及び手続の決定はコーポレートにおいて行っており、評価モデルを含む公正価値測定については、個々の株式の事業内容、事業計画の入手可否及び類似上場企業等を定期的に確認し、その妥当性を検証しております。 (b) デリバティブ金融資産及びデリバティブ金融負債通貨関連デリバティブ為替予約取引、直物為替先渡取引、通貨オプション取引及び通貨スワップ取引については、期末日の先物為替相場に基づき算出しております。金利関連デリバティブ金利スワップについては、将来キャッシュ・フローを満期日までの期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しております。商品関連デリバティブ商品先物取引については、期末日現在の取引所の最終価格により算定しております。商品先渡取引、商品オプション取引及び商品スワップ取引については、一般に公表されている期末指標価格に基づいて算定しております。また、電力関連デリバティブについては発電量や価格見通しを踏まえた将来キャッシュ・フローの割引現在価値により算定しております。 ② 非金融資産の減損当社グループは期末日において、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数の確定できない無形資産については毎期、さらに減損の兆候がある場合には都度、減損テストを実施しております。個別資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。回収可能価額は、個別資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としております。公正価値は市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積もって算定しております。使用価値は、貨幣の時間価値及び個別資産又は資金生成単位に固有のリスクに関する現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて、見積将来キャッシュ・フローを割引いて算定しております。将来キャッシュ・フロー見積りにあたって利用する事業計画は原則として5年を限度としております。なお、当社グループは、使用価値及び公正価値の算定上の複雑さに応じて外部専門家を適宜利用しております。過年度にのれん以外の資産について認識した減損損失については、期末日において、認識した減損損失がもはや存在しない又は減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合には、回収可能価額の見積りを行い、当該回収可能価額が資産の帳簿価額を上回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで増額し、減損損失の戻入れを認識しております。のれんについて認識した減損損失は、以後の期間において戻入れておりません。なお、持分法適用会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは区分して認識しないため、個別に減損テストを実施しておりません。持分法適用会社に対する投資が減損している可能性が示唆されている場合には、投資全体の帳簿価額について回収可能価額を帳簿価額と比較することにより単一の資産として減損テストを行っております。当社グループでは、固定資産の減損会計等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。 ③ 引当金引当金は、過去の事象の結果として現在の債務(法的債務又は推定的債務)を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に認識しております。貨幣の時間的価値の影響に重要性がある場合、当該負債に特有のリスクを反映させた現在の税引前の割引率を用いて割引いた金額で引当金を計上しております。 ④ 確定給付制度債務の測定確定給付制度は、確定拠出制度以外の退職給付制度であります。確定給付制度債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割り引くことによって算定しております。制度資産の公正価値は当該算定結果から差し引いております。割引率は、当社グループの確定給付制度債務と概ね同じ満期日を有するもので、かつ支払見込給付と同じ通貨建ての、主として報告日における信用格付けAAの債券の利回りであります。過去勤務費用は、即時に純損益で認識しております。当社グループは、確定給付制度から生じるすべての確定給付負債(資産)の純額の再測定を即時にその他の包括利益で認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。 ⑤ 繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産及び繰延税金負債は、資産及び負債の帳簿価額と税務基準額との差額である一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除について認識しており、期末日における法定税率又は実質的法定税率、及び税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率又は税法で算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産の帳簿価額は期末日において再検討しており、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった範囲で繰延税金資産の帳簿価額を減額しております。 (目標とする経営指標の達成状況等)「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 「中期経営計画2026」の進捗状況」をご参照ください。 (販売、仕入及び成約の状況)① 販売の状況「(1) 当連結会計年度の経営成績の分析」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記5 セグメント情報」をご参照ください。 ② 仕入の状況仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 ③ 成約の状況成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。 (注) 将来情報に関するご注意本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済状況や為替相場の変動など様々な要因により大きく異なる可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。

事業リスク

  • マクロ経済環境の変化: 双日はグローバルに事業を展開しているため、日本を含む世界各国の政治経済状況や世界経済全体の動向が業績に大きな影響を与えます。景気後退や金融市場の混乱、消費の低迷などが生じた場合、売上減少や利益圧迫につながる可能性があります。
  • カントリーリスクと地政学リスク: 特定の国や地域における政治・経済・法制度・社会情勢の変化、または地政学的な緊張の高まりは、事業活動の計画通り実施を困難にしたり、損失発生のリスクを高めます。貿易保険やエクスポージャー上限設定で管理していますが、完全に回避することは困難です。
  • 市場リスク(為替・金利・商品価格): 外貨建て取引に伴う為替変動リスク、資金調達・運用に伴う金利変動リスク、商品売買や在庫に伴う商品価格変動リスクなど、多様な市場リスクに晒されています。ヘッジ取引でリスクを極小化する方針ですが、予期せぬ市場変動が業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|11,278 文字
3 【事業等のリスク】(1) 当社グループのリスク管理① リスク管理の考え方当社グループは、総合商社としてグローバルかつ多角的に事業を行っており、展開する事業の性質上、様々なリスクに晒されております。このため、リスクを「事業戦略およびビジネス目標の達成に影響を与える不確実性」と定義し、経営環境の多面的な分析とリスクの把握、戦略的対応を通じて企業価値向上に資するよう、全社的リスク管理の高度化に取り組んでおります。また、リスクの重要性を評価のうえ、適切かつ合理的な方法でリスク管理を推進しています。 ② 全社的リスク管理体制当社グループが取り組む全社的リスク管理においては、CFOを委員長とする「内部統制委員会」(事務局:内部統制統括部)が、各種社内委員会(4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④業務執行機関 4)社内委員会)とも連携しながら、方針の協議と策定、業務執行組織(第1線および第2線)が実行するリスク管理の状況の全体俯瞰とモニタリング、ならびに関係先への指示など、その枠組みを有効に機能させる主体となります。また、監査部は第3線として独立した立場で、第1線・第2線が運用しているリスク管理についての客観的な検証を行います。これらを踏まえ、内部統制委員会は、経営会議・取締役会・監査等委員会に対して、全社的リスク管理の状況について定期的に報告を行います。全社的リスク管理体制の概要は下図のとおりです。 全社的リスク管理のプロセス当社グループにおける全社的リスク管理のプロセスは以下となっております。 当社グループでは、第1線(営業本部など)・第2線(コーポレート)の各部署において、外部環境、経営戦略、業務プロセスなど、将来予想されるものも含めて網羅的にリスクを検討、識別しています。識別されたリスクについては、影響度と発生可能性による2軸評価によって重要度を測定し、内部統制委員会における協議と取締役会への報告を経て、リスク対応方針を決定しています。このリスク対応方針に沿って、第1線(営業本部など)では、業務執行におけるリスクについての自律的コントロールを行う一方、第2線(コーポレート)では、担当するリスクに関連して経常的に実施する管理業務のほか、第1線への支援やモニタリング、PDCA管理も含めた継続的レビューを行います。第1線および第2線が行うリスク管理活動については、内部統制委員会がモニタリングし有効性を評価したうえで、経営会議・取締役会・監査等委員会に報告を行います。昨今の世界情勢の変化や地政学リスクの高まりを踏まえ、突発的なリスク発現時の影響度合いを把握できる体制の整備を進めております。また、営業本部・コーポレートとの継続的な対話・連携を通じ、リスク発現時の機動的対応力の向上と、事業継続性の確保およびレジリエンス(回復力)の一層の強化にも取り組んでおります。さらに、リスク・リターンを踏まえた事業投資マネジメントを行うことで、当社グループのバランスシートの劣化を防ぎ、企業価値の維持・向上につなげております。 (2) 個別のリスクについて当社グループの事業に関しては、以下①から⑱のリスクがあります。これらのリスクのほか、当社グループ資産が晒されるリスクを「リスクアセット」として計測管理し、この結果をリスクに対する収益性や、財務の健全性を維持するための指標として活用し、リスクをコントロールしています。リスクアセットは自己資本の1倍以内に収めることを目標としており、2026年3月末のリスクアセットは自己資本の0.6倍であります。なお、以下①から⑱の各リスクにおける将来事項に関する記述につきましては、当期末現在において入手可能な情報に基づく当社の判断、一定の前提または仮定のもとでの予測などが含まれます。 ① マクロ経済環境の変化によるリスク当社グループは、グローバルにビジネスを展開し、事業活動は多岐にわたっており、当社グループの業績は、日本および関係各国の政治経済状況や世界経済全体の影響を受けます。そのため、世界的あるいは特定地域における経済動向は、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② カントリーリスク当社グループは、カントリーリスク発現時の損失の発生を最小化するためには、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避ける必要があると考えております。また、カントリーリスクが大きい国との取り組みでは、貿易保険などを活用し案件ごとにカントリーリスクヘッジ策を講じることを原則としております。カントリーリスクの管理にあたっては、各国・地域ごとにカントリーリスクの大きさに応じて客観的な手法に基づく9段階の国格付けを付与すると共に、国格付けと国の経済規模に応じてネットエクスポージャー(エクスポージャーの総額から貿易保険などのカントリーリスクヘッジを差し引いたもの)の上限枠を設定し、各々の国のネットエクスポージャーを上限枠内に抑制しております。しかしながら、これらのリスク管理やヘッジを行っていても、当社グループの取引先所在国や当社グループが事業活動を行う国の政治・経済・法制度・社会情勢の変化によって計画どおりの事業活動を行えない可能性や損失発生の可能性を完全に排除することはできません。このような場合には、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 地政学リスク当社グループは、グローバルにビジネスを展開しており、特定国・地域における社会的、政治的、軍事的な緊張の高まりにより、従業員、物資、資本、情報などの経営資源が危険に晒されたり、貿易・投資、その他の自由な経済活動が阻害される可能性があります。こうした地政学リスクの高まりによる不確実な情勢に対応するため、特定国・地域における取引内容やビジネスへの影響を確認するとともに、調査・分析および研修を通じて、有事の際に適切な対応がとれるよう努めております。また、安全保障貿易管理委員会を中心に各国の外交政策、制裁措置、武力紛争などの外部環境変化へ柔軟に対応しております。しかしながら、全ての地政学リスクを回避することは困難であり、当社の事業に影響を与える事象が発生した場合には当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 市場リスク当社グループは、貿易業や事業投資を通じた外貨建の取引などに伴う為替変動リスク、資金の調達や運用などに伴う金利変動リスク、営業活動における売買契約・在庫商品などに伴う商品価格変動リスク、ならびに、上場有価証券の保有などに伴う価格変動リスクなどの市場リスクに晒されております。当社グループは、これらの市場リスクを商品の売買残高などの資産・負債のマッチングや先物為替予約取引、商品先物・先渡取引、金利スワップ取引などのヘッジ取引によって極小化することを基本方針としております。 1) 為替リスク当社グループは、外貨建の輸出入取引・外国間取引を主要な事業活動として行っており、海外の事業会社からの受取配当金等も含め、外国通貨に対する為替変動リスクに晒されております。この為替変動リスクに伴う損失の発生または拡大を未然に防ぐために、先物為替予約などのヘッジ策を講じておりますが、これらの対応を行っても為替変動リスクを完全に回避できる保証はありません。また、海外連結子会社・持分法適用関連会社の損益の多くが外貨建であり、当社グループの連結決算上の報告通貨が日本円であることから、損益および財務諸表を日本円に換算する際の為替変動リスクを負っています。これらは予期せぬ市場の変動により当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、為替の収益感応度(米ドルのみ)は、1円/米ドル変動すると、売上総利益で年間8億円程度、当期純利益(当社株主帰属)で年間3億円程度、自己資本で20億円程度の影響があります。 2) 金利リスク当社グループは、営業債権などによる信用供与・有価証券投資・固定資産取得などのため金融機関からの借入または社債発行などを通じて資金調達を行っております。資産・負債を金利感応度の有無により分類し、金利感応度のある資産と負債との差額を金利ミスマッチ金額と捉え、固定・変動調達比率を調整することで金利変動リスクを管理しておりますが、金利変動リスクを完全に回避できるものではなく、金利水準の急上昇による調達コスト増大が当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2026年3月末の当社グループの有利子負債残高は1兆2,956億17百万円であり、平均利率につきましては、短期借入金は3.72%、1年内返済予定の長期借入金は1.69%、長期借入金(1年内返済予定のものを除く)は2.05%となっております。 3) 商品価格リスク当社グループは、総合商社として様々な事業分野において多岐にわたる商品を取り扱っており、相場変動などによる商品価格変動リスクに晒されております。取扱い商品については、社内組織単位ごとにポジション(ロング・ショート)限度額と最大損失額を設定の上、ポジション・損失管理を行うと共に、損切りルール(評価額を含む損失額が最大損失額の90%に抵触した場合、最大損失額の範囲内に収めるべく速やかにポジションを解消するルール)を設定し運用しておりますが、これらの対応を行ってもリスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動などにより当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、各商品ポジションに関しては、モニタリングの上、本部別に増減内容の分析を行うなど、適正水準にコントロールするための施策を行っております。 4) 上場有価証券の価格リスク当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。保有する上場株式については、受取配当金や関連する収益が資本コスト(WACC)を上回っているかを定量的に検証するとともに、当社企業価値の向上に寄与しているかといった定性面についても精査し、個別銘柄ごとの保有意義見直しを継続していく方針です。保有上場株式の株価が大幅に下落した場合、有価証券の公正価値の変動によって、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 信用リスク当社グループは、多様な商取引を行う中で国内外の取引先に対し信用供与を行っております。これらの商取引においては、販売先の業績不振や経営破綻などにより、当社の債権が回収できないリスクが存在します。これらのリスクについて、取引先に対し11段階の信用格付けを付与し、当該格付や当社が負うリスクの類型により取引先ごとに取引限度を設定し、債権残ならびに契約残を設定された限度の範囲内でコントロールしております。また、定期的に取引先信用状況やサプライチェーン全体を俯瞰し取引条件を見直し、かつ取引先の信用状況やその変化に応じ、担保・保証の取得や保険の付保など保全措置を講じ、信用リスクが顕在化した場合に、予想される損失の軽減にも努めております。さらに、債権査定制度を導入し、回収に懸念のある債権については、当該取引先の信用状況、債権回収実績、保全内容などを基に回収可能性について査定を行い、回収が難しいと判断する債権額を算定し適時に貸倒引当金を計上しております。また仕入先において、経営不振などにより仕入契約どおりに当社商品供給がなされない場合、当社グループが主契約者として販売先に販売契約の義務を果たせず、契約履行責任を問われるなどのリスクも存在します。しかしながら、こうした信用リスクの管理を行った場合でもリスクを完全に回避できる保証はなく、取引先の破綻などにより債権の回収不能などの事象が発生した場合には当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 事業投資リスク当社グループは、様々な事業領域において事業投資を行っております。事業投資は、事業計画どおりに収益獲得ができないリスク、投下資本回収リスク、事業撤退時に損失が発生するリスクが存在します。事業投資から発生する損失の予防と抑制を目的として、当社グループは事業投資案件の実行の判断時、また投資実行後の管理や撤退に関して事業投資基準を設けて、管理しております。新規事業投資案件の実行時においては、取り組み意義やキャッシュ・フロー計画を含めた事業計画を厳格に評価しております。特に収益性の評価に関しては内部収益率(IRR)を指標とし、これに対しハードルレートを設定した上で、これを上回る案件を取り上げることとしており、事業投資実行の判断において、当社グループの株主価値を向上させ、かつリスクに見合う収益が得られる案件を選別する仕組みを構築しております。実行済の事業投資案件については、毎年、モニタリング・撤退該否判定として、ROIC(Return on Invested Capital)や、キャッシュリターンベースでのROICであるCROIC(Cash-Return on Invested Capital)が資本コストを超えているかを測定し、定期的に事業性を評価しながらそれぞれの事業の問題点を早期に把握し、適時適切に改善策の実行、あるいは撤退を進めることで当社グループのバランスシートの劣化を防ぎ、企業価値の維持・向上につなげております。モニタリング・撤退該否判定に関する概要は下図のとおりです。 このように、事業投資の実行時、実行後の仕組みを整備しておりますが、期待どおりの収益が上がらないリスクや事業計画を達成できないリスクを完全に回避することは困難であり、想定どおりに事業が進まない場合、当社グループが保有するのれんや固定資産などの価値が毀損し、減損損失が発生する、または当該事業からの撤退などに伴い損失が発生する可能性があります。こうした場合において、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 資金調達リスク当社グループは、事業資金を金融機関からの借入金または社債発行などにより調達しております。金融機関との取引関係の維持、一定の長期調達比率の確保などによる安定的な資金調達を行っておりますが、金融市場の混乱や格付会社による当社グループの信用格付けの大幅な引下げなどの事態が生じた場合には、資金調達が制約されると共に、調達コストが増加するなどにより、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 環境・気候変動リスク当社グループの事業活動およびサプライチェーンにおいて、環境・気候変動などにかかわる問題が発生した場合などに、当社グループの社会的評価の低下、事業活動の停止・中止、訴訟や損害賠償などの負担、サプライチェーンからの除外などが生じるリスクがあります。また、気候変動を抑制できずに温暖化が進行した場合に、当社事業の収益や資産価値に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、気候変動抑止のために法規制が強化されるなどの移行リスクと、気温上昇により洪水などの災害が発生し、被害が生じる物理的リスクがあります。当社グループは、6つのマテリアリティのうち環境・人権を優先的に取り組むテーマとして長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」を策定し、環境・気候変動への対応の一環として脱炭素社会実現に貢献できるように取り組んでおります。 (詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)サステナビリティに関するリスク管理」をご参照ください。) ⑨ 人権リスク当社グループは、グローバルに事業を展開しており、事業活動とそのサプライチェーンは多岐・広範にわたっております。当社グループの事業活動およびサプライチェーンにおいて、労働安全衛生や人権(強制労働、児童労働、差別、ハラスメントなど)にかかわる問題が発生した場合などに、事業活動の停止・中止、被害・損害の補償、訴訟や損害賠償などの負担が発生するリスクに加え、当社グループがサプライチェーンから外される、または当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼすリスクがあります。当社グループは、6つのマテリアリティのうち環境・人権を優先的に取り組むテーマとして長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」を策定し、人権方針や人権にかかわる個別方針を策定・実行するなどサプライチェーンを含む人権尊重に取り組んでおります。 (詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)サステナビリティに関するリスク管理」をご参照ください。) ⑩ コンプライアンスリスク当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職など腐敗行為防止のための諸法令、ハラスメント防止のための諸法令、独占禁止法、関税法、外為法を含む貿易関連諸法令や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲にわたっております。これらの国内外の法令・規制を遵守するため、当社グループではコンプライアンスプログラムを制定し、コンプライアンス委員会を設け、グループ全役職員にコンプライアンスマインドを浸透・定着させるための取り組みを行っております。また、安全保障貿易管理委員会を中心とした安全保障貿易に関する実行体制の整備・運用にも取り組んでおります。しかしながら、このような取り組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 法務リスク事業活動に関連して、当社グループが国内または海外において訴訟、仲裁などの法的手続きの被告または当事者となることがあります。訴訟などには不確実性が伴い、その可能性の程度や時期、結果を現時点で予測することはできませんが、手続きの結果によっては、損害賠償金、和解金等の負担が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ システムリスクコンピュータシステムの品質不良や運用トラブルによるビジネス遂行の支障や損失、ならびにITリソースやシステムの統合管理の不十分さなどによるシステムリスクが存在します。当社グループは、システムを適切に保守・運用するため、CIOを中心とした管理体制を構築しております。重要な情報システムやネットワーク設備について、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施すと共に、グループ全体のIT資産・脆弱性の一元的な管理を行い、システムの安定運用を図っております。このように総合的なシステムの強化と事故防止に努めておりますが、予期できない自然災害や障害を原因として情報通信システムが不稼働の状態に陥る可能性は排除できません。なお、本社含めグループ連結会社でシステムリスクが顕在化した際には、予想される損失については、保険の付保による軽減に努めております。しかしながら、被害の規模によっては当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑬ 情報セキュリティリスク不正なアクセスやサイバー攻撃、情報資産(紙媒体を含む)の管理ミスなどによる情報の漏洩、改ざん、破壊、紛失などにより、損失を被り、社会的評価が悪影響を受ける情報セキュリティリスクが存在します。当社グループは、情報資産を適切に保護・管理するため、各種規程を整備し、CISOを議長とする情報・ITシステムセキュリティ委員会を中心とした管理体制を構築し、情報セキュリティに係る体制を強化しております。ファイアウォールによる外部からの不正アクセスの防止、システムの脆弱性を悪用するウイルス対策、暗号化技術の採用などによる情報漏洩対策の強化にも努めております。その他、グループ全体のセキュリティガバナンス強化に重点的に取り組んでおり、サイバー攻撃を早期に検知し影響を抑え込むソフトウエアの導入、不審メールに対する訓練など、セキュリティ対策をグループ全体に展開しております。また、定期的なセキュリティ遵守状況評価を通じて当社グループが抱えるセキュリティ上の課題・リスクを可視化し、優先度をつけた中長期的なセキュリティ対策を実施しております。このように総合的な情報セキュリティの強化と事故防止に努めておりますが、近年急増しているサイバー攻撃やコンピュータへの不正アクセスなどにより、個人情報を含めた重要な情報資産が漏洩または毀損する可能性は排除できません。なお、本社含めグループ連結会社でセキュリティリスクが顕在化した際には、対応にかかる費用や取引先・顧客への補償費用といった予想される損失については、保険の付保による軽減に努めております。しかしながら、被害の規模によっては当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑭ イノベーションリスクAIの高度活用を含むDX、その他の技術革新およびビジネスモデルの変革が進展する環境下で、当社グループがこれらに適切に対応できず、取引先に提供する機能や付加価値が低下し、成長機会を逸失するリスクおよびAIガバナンスの不備に起因する情報漏洩、権利侵害等が発生するリスクがあります。これらのリスクに対して、当社グループでは、デジタル人材の育成・拡充、データ・AI活用のためのデジタル基盤の整備・構築等の推進と社会ニーズに合わせたビジネス変革の取組みを連動させる “Digital-in-All” を推進しています。さらに、社内委員会としてDX推進委員会および同委員会下にAIガバナンス分科会を設置し、DXに関する全社方針や目標に向けた体制の整備や各種施策・取組みの推進、AI特有のリスクポイントに対する統制、これらの状況のモニタリング等を行っています。しかしながら、このような取組みによっても急速なAIの進化・ビジネス構造の変革や法規制等への対応の遅延や不十分さにより、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑮ 災害等リスク地震、風水害などの自然災害や感染症の大規模な流行により事務所・設備・従業員とその家族などに被害が発生し、当社グループに直接的または間接的な影響を与える可能性があります。災害対策マニュアルならびに感染症マニュアルの作成、防災訓練、従業員の安否確認システムの整備、事業継続計画(BCP)の策定などの対策を講じております。大規模な災害時における取引上のサプライチェーン維持の取り組みとして、代替取引先・代替商品の検討を行い取引継続の強靭化に取り組むと共に、保険の付保を行うなどして被災した場合の損害の低減を講じております。しかしながら、被害を完全に回避できるものではなく、サプライチェーン寸断により当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑯ 人的資本リスク当社グループは、人材を会社の資本、価値の源泉と捉え、価値創造できる人材を輩出し続ける人的資本経営を推進しており、経営戦略・事業戦略の実現に向けた人材の確保・育成に努めております。人材確保に関しては、多様性の推進、イノベーションの創出、機能強化を目指し、M&A・デジタル・法務など専門性の高い人材の獲得に注力するなど、人材ポートフォリオを意識した採用を推進しています。また、キャリア採用を通じて、当社社員の年齢構成の適正化を図るほか、新卒採用では女性比率の目標を設定し、ジェンダーにかかわらず活躍できる環境の整備に取り組んでいます。人材育成に関しては、「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個」、「多様な個の力を最大化するミドルマネジメントの強化」、「環境変化を先読みした機動的な人材配置・抜擢」を重点テーマとし、事業戦略の実現に必要となる人材の育成を強化しています。重要テーマについては人材KPIを設定し、進捗や効果を定量的にモニタリングする体制を整備しています。このように人材戦略に基づいた様々な取り組みを行っていても、高齢化に伴う労働人口の減少や、人材の流動化により必要な資質・能力を有した人材の確保・育成が十分にできない場合、事業計画の進捗に遅れが生じる可能性があります。 人的資本リスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (8) 人材戦略に関する基本方針 ③リスク管理」をご参照ください。 ⑰ 品質に関するリスク当社グループは、総合商社として様々な事業を展開しています。近時、事業領域が拡大・多様化するなか、製造業やサービス業への進出も増加しています。それに伴い、品質管理体制強化の目的で、全社共通の品質管理基本方針である「双日グループ・品質管理ポリシー」を制定し、現場での自律的、主体的な品質管理を推進しております。また、全社横断組織として品質管理委員会を設置し、事業現場で提供するモノ・サービスの品質管理状況を網羅的にモニタリングする体制を整えております。体制の概要は下図のとおりです。 また、個々の事業においては、品質に起因したリスク発現に対して、事業特性も考慮しながら、顧客対応を実践しており、品質管理委員会では、その実践状況を議論・研究し、成果や気付きを全社に共有の上、他事業への応用・品質改善につなげる取り組みを進めております。とりわけトレード事業においては、個々の商流のサプライチェーン全体を見据えた品質起因のリスクの洗い出しとリスク対応の点検を行っております。しかしながら、品質問題の発生を完全に抑制することは困難であり、当該問題により生じた損害について、当社グループが責任を負う可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑱ レピュテーションリスク当社グループにおいて、製品やサービスの品質問題、コンプライアンス違反、情報漏洩、不正なアクセスやサイバー攻撃などの事象が発生した場合に、対象の事実はもとより、情報開示の適時性や開示内容の客観性などの不備・不足により、ステークホルダーからの当社グループへの信用やブランド価値が毀損する可能性があります。対外発信においては、開示における透明性・適時性・公平性などを確認し、一貫性のある適切な発信が行われるよう努めていますが、報道やSNSなどの情報により、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのウェブサイト・SNSは、システムの脆弱性に起因する掲載情報の改ざんリスクや収集した個人情報の流出リスクにも晒されております。システムの脆弱性に関しては、上記⑬の「情報セキュリティリスク」に記載のとおり、可能な限りの安全対策に努め、運用に関しては、グループ共通のSNS運用ポリシーや運用規程を定めて、当社グループからの適切な情報発信を行う体制を整えております。しかしながら、このような対策を講じても、運用に起因する批判・非難が集中するリスク、意図しない著作権・商標権・肖像権の侵害、取引先や顧客に限らない第三者による外部サイトやSNSに当社グループを特定しての投稿が為されるリスクがあります。情報の真偽にかかわらず、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 双日 の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →