有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
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3 【事業等のリスク】(1) リスクマネジメントの考え方キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える機会・脅威それぞれの不確実性を「リスク」、ある時点を境に脅威のリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しており、お客様、従業員、株主および社会から長期的な信頼を獲得できるよう、以下の考え方のもとリスクマネジメントシステムを構築・運用することで、事業活動上で発生するさまざまなリスクを特定し、適切にコントロールしていくことを基本方針としています。なお、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。 (基本方針)① 経営理念および価値観のもと、経営目標の達成や企業の継続性を確保し、企業の社会的責任を果たし、中長期的な企業価値の向上を目的として、リスクマネジメントを実行する。② 戦略とリスクを一体で検討を行い、適切なリスクテイクを実現する。③ リスクマネジメントの推進のため、組織や仕組みを整え、環境変化に柔軟に対応できる組織能力の向上を図る。④ 平時からリスクの洗い出しを行い、企業活動に伴うさまざまなリスクを把握の上、リスクの特定・分析・評価・対策+モニタリングを行い、リスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行っていく。⑤ リスクマネジメントは全社員が参画して取り組む活動であるとの認識を持ち、教育や訓練等の啓発活動を通じて、リスクへの感度の醸成を図る。⑥ クライシスに対しては、未然防止を徹底するとともに、早期発見、迅速な報告・情報共有・対応を通じ、影響を最小化する。クライシスの対応後には、その発生要因・対処法などを分析し、再発防止に努める。⑦ 会社におけるリスクの内容や対策等のリスク情報について、適時、ステークホルダーに対し適切な情報開示を行う。 また上記方針に加え、リスクに対する基本姿勢を作成し「リスクコントロールしつつ取りに行くリスク」と「取らないリスク」を明確にすると共に、リスクの許容度を設定することで、リスクマネジメントを通じた事業の継続的な成長を後押ししています。(図1) (図1) (2) リスクマネジメント体制及び、グループ重要リスクの確定プロセスとモニタリングキリングループでは、当社の常務執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やグループリスクマネジメント方針・重点課題の立案、リスク低減だけでなくリスクテイクも含めた戦略とリスク一体検討の推進、クライシス発生時の情報共有や対策の検討など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会ではグループ重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図2)グループ重要リスクは、グループ全体の目標や戦略・事業遂行に関するリスクだけでなく、それぞれの事業固有のリスクの両面からリスクを集約して作成しています。各リスクについては、定量・定性の両面からグループに与える影響度を評価すると共に、発生確率を考慮し、影響度と発生確率の両軸でリスクの重要度を設定します。さらに重要リスクはリスクマップ上で一元化して管理を行っています。グループリスク・コンプライアンス委員会では、作成したグループ重要リスクについて議論し、それぞれのリスクへの対応、許容度などについて議論を行います。またこれらのグループ重要リスクは取締役会で審議され、状況変化の確認や対策の見直しを行っています。(図3)当社およびグループ会社はリスクに応じた対策を立案・実行し、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。また、事業と機能の両軸で実施するモニタリングを通じて、戦略リスクを管理・統制するとともに、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止や発生時にはその影響を最小限に留めるなど、リスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。(図4) (図2) (図3) (図4) (3) キリングループの主要なリスクキリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要な事項について、「各事業領域におけるリスク」と「各事業領域共通のリスク」に分類して記載しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。 ① 各事業領域におけるリスク事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響食領域・事業環境の変化への対応に関するリスク・原材料価格・燃料価格の高騰に関するリスク・新規事業の成否に関するリスク・市場環境や嗜好の変化、販売価格の変動、競合他社の動向等により、販売計画を達成できない・原材料価格・燃料価格の高騰により調達コストが上昇し、製造原価に影響を及ぼす・新規事業が市場に浸透せず、売上・利益が下振れし、事業計画が遅滞する主な対策、その他リスクの状況認識等食領域はキリングループの主力事業分野であり、脅威のリスクが発現した場合には甚大な影響が想定されます。既存事業では事業環境の変化に対してこれまでに培った知見を基にリスクへの対応策を実施するとともに、新規事業についても従来とは異なる機会・脅威含めた新たなリスクを想定し、対策することでリスクの低減だけでなく機会の最大化に努めています。地政学リスクに起因する原材料や燃料価格の高騰が直接的に収益に影響を与える可能性や、高付加価値商品の展開拡大の成否による中長期的な事業計画への影響はそれぞれグループ重要リスクの一つとして位置づけており、引き続き情勢を注視し適切なリスクコントロール策を講じてまいります。(具体的な対策につきましては、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響医領域・グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク・製品品質・安定供給に関するリスク・研究開発に関するリスク・医療費抑制策に関するリスク・上市準備の遅延等により事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起こしの難航などで市場に浸透しない・製品の安全性や品質に懸念が生じる、急激な需要増/需給逼迫により安定供給に支障が発生する・パイプラインの拡充が進まず、将来の成長性と収益性が低下する・国内外において医療費抑制の圧力による製品の価格引き下げ、後発医薬品への移行が進む主な対策、その他リスクの状況認識等医領域においては、グローバル戦略品の価値最大化に向けて、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めており、製品の品質保証体制と安定供給体制といった基盤の強化も重要と考えています。グローバル品質保証委員会等によるモニタリングや、独立した専門の監査チームによる自社や委託先の品質監査を実施するとともに、委託先の拡充、自社工場への設備投資、需給計画の可視化や製造作業効率化のためのデジタル化推進等に取り組んでいます。また、国内外において医薬費抑制の圧力が高まっていますが、各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品等を確実にお届けするために、その製品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、上市後の価格設定については、各国制度に準拠し、ステークホルダーからの理解も得ながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益の確保につながるよう、事業への影響を評価しています。(詳細につきましては、協和キリン㈱の有価証券報告書に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響ヘルスサイエンス領域・既存展開国の法規制変更、及び新規展開国の法規制対応が遅れるリスク・品質保証、製品の安全性、欠品に関するリスク・事業を担う人財や組織能力が不足するリスク・欠品、品質トラブル、エビデンス不足、不適切な情報発信等により、ブランド、レピュテーションを毀損する・グループ内のシナジー創出が進まず、新たな価値創造を伴う高収益モデルが構築できない主な対策、その他リスクの状況認識等ヘルスサイエンス領域では中長期的な社会環境の変化に伴って発生する健康課題に対して土台の健康づくりを推進し、人間が元来持つ力を高めることで、お客様の健康課題をより効果的・効率的に解決することに貢献します。新たに取得したBlackmores Limited、㈱ファンケルの成長とグループ内のシナジー創出を最優先課題とし、持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。主力事業の食とは異なる領域での事業推進にあたり、迅速果断な意思決定を実行するため、また、適時適切なリスクコントロールができるよう、リスクマネジメントの観点でも組織能力の拡充とガバナンスの強化を図ってまいります。(具体的な対策につきましては、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しています) ② 各事業領域共通のリスク項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人財獲得・育成・グループ経営を推進する人財や事業活動に必要な高い専門性を持った人財を十分に確保できないリスク・人財マネジメントの仕組みが計画通りに進まないリスク・競争優位性のある組織能力が実現せず、経営戦略が推進できない・想定した体制への移行が進まず、組織能力が低下し、経営戦略の実現に支障が出る主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループは、人財を価値創造、競争優位の源泉と捉えています。経営戦略の実行に求められる人財の獲得・育成に向けて、機能を軸とした専門性をより重視する人財マネジメントの仕組みを導入・運用しています。キャリア採用も着実に増えており、多様な経験・価値観・専門性を持った人財が集い、グループ全体でイノベーションを生み出す組織文化の醸成を目指した取組みや環境整備を進めています。中長期視点で経営戦略と人財戦略の連動性を高め、持続的な事業成長と企業価値向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響デジタル活用の加速・AIを含むデジタル技術の活用が進まず、競合劣後となるリスク・DX専門人財の獲得・育成が計画通りに進まないリスク・事業課題の解決が進まず、競争力の低下やコスト増を招き、売上・利益が減少する・DXの推進に必要な要員が不足し、組織能力を高められず、効率化や価値創造の成果創出が遅延する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、デジタル技術やデータを活用した業務プロセスの変革を進め、既存業務の効率化を実現するとともに、顧客理解やプロダクト/サービスの開発工程においてもAIを含むテクノロジー活用を進めるなど、新たな価値創出に取り組んでいます。各グループ会社・各部門での自律的なDX推進の実現に向けて、独自のプログラムによる社内人財育成を進めるとともに、DXの推進に必要な専門人財を外部から確保することで、体制の充実と組織能力の強化を図っています。今後もグループ全体のあらゆる領域でデジタル技術の活用・推進に取り組み、イノベーション創出に繋げてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響品質・商品・サービスの品質問題が発生するリスク・品質関連法令への対応不備により、関係官庁から改善命令や指導を受けるリスク・商品・サービスの販売・提供中止や回収または損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる・お客様からの信頼を失い、企業ブランド価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、グループ共通の価値観である「先駆」「お客様本位/患者さん本位」「品質本位」に基づきお客様/患者さんへの安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先することを「キリングループ品質方針」に定め、実現するための行動や考え方を「行動宣言」で示しています。「品質方針」「行動宣言」を具現化した「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則」を定め、グループ各社が保有する品質マネジメントシステムに反映し、品質保証の仕組みと運用を継続的に改善することで確かな品質の商品・サービスへとつなげています。法令遵守への対応として各領域の品質に関する法令改正動向の把握と対応、食品製造工場における国際認証の取得、国内主要事業会社における原材料情報の一元管理・トレーサビリティシステムの導入などの品質保証の仕組みを構築しています。グループ全体で品質を大切にする風土の醸成に取り組み、お客様/患者さんに安全・安心な商品・サービスを提供してまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人権・従業員及びビジネスパートナーをはじめ、キリングループに関わる全ての人々に対して、直接または間接的に人権に負の影響を及ぼすリスク・企業価値の低下を招く、あるいは事業縮小や撤退を余儀なくされる・法令に違反する場合は、罰金や訴訟リスクまたは経済的な制裁措置を受ける主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識のもと、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定、2023年には国際的な人権に関する規範に沿って同方針を改定しました。従来通り、人種、肌の色、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、宗教、思想・信条、性的指向・性自認及び職種・雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別を禁止するとともに、事業活動上の全てのバリューチェーンにおいて、人身取引、奴隷労働や強制労働及び児童労働を容認しません。改定版は、ステークホルダー毎に想定される重要な人権課題を明確にするなど、より具体的な内容としています。国内外グループ会社の全ての従業員だけでなく、バリューチェーンに関わる様々なビジネスパートナーに対しても同方針への理解と遵守を求めることで、人権を尊重し、社会に対してポジティブインパクトを生み出すことに取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響環境・気候変動による物理的リスク・脱炭素社会への移行リスク・技術開発等が遅れ、環境問題の解決が困難になる・遅延するリスク・温暖化や渇水・洪水による原材料農産物の収量減による調達コスト増、渇水・洪水による操業停止・炭素税などによる燃料費・農産物コストの上昇・企業に対する社会の期待に十分に応えられず、企業価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、様々な環境問題の統合的な解決に向けた「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。気候変動に伴う原材料農産物の収量減といった物理的リスクやカーボンプライシング等の移行リスクについては、事業継続や収益性に影響を及ぼす重要なリスクとして認識しています。これらのリスクに対しては、TCFD提言に基づくシナリオ分析により財務影響や戦略のレジリエンスを評価し、リスクの低減及び機会の獲得につながる施策を選択的に実行しています。環境負荷低減と中長期的な企業価値向上の両立が見込まれる分野については、将来の競争優位性確立に向けて積極的に取り組むべきリスクとして位置づけ、取り組みを進めます。プラスチック容器の問題では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量におけるリサイクル樹脂使用率50%(「キリングループプラスチックポリシー」)を目指して着実に進捗しています。相互に関連する環境問題である生物資源、水資源、容器包装、気候変動を統合的に解決し、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。企業価値の棄損やグループ方針である環境ビジョン2050と一致しないリスクについては、事業機会が見込まれる場合であっても取らないリスクとして明確に区分しています。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響アルコールの負の影響(脅威)・世界的な規模で酒類の販売、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク・世界的に酒類の販売、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク(機会)・ノンアルコール・低アルコール商品の市場や売上の拡大(脅威)・酒類の消費が減少する・企業価値が低下する(機会)・ノンアルコール・低アルコール商品の市場や売上が拡大する主な対策、その他リスクの状況認識等アルコールの有害摂取による負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売・マーケティングに関する規制強化に向けた議論をしています。また日本国内でも飲酒と健康に関する関心が高まっています。キリングループは酒類事業を営む企業グループの責任としてアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを推進しています。酒類事業の展開にあたっては法令を遵守し、責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針や厳しい自主基準を遵守する他、IARDをはじめ国内外の業界団体と連携した取り組みを進めるとともに、適正な飲酒に関する正しい知識の普及や意識の啓発を行っています。また、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みの一環としてノンアルコール・低アルコール飲料の拡充に取り組んでいます。社会情勢の変化に対応しながらアルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響サプライチェーン・地震・台風などの大規模自然災害や感染症、地政学リスクの影響、サイバー攻撃、委託先の被災等によりサプライチェーンが分断するリスク・災害により事業所等を閉鎖する、あるいは事業活動を縮小・停止する・異常気象に伴う販売量の急増やドライバー不足等の外部環境要因により、調達・製造・物流能力が供給に追いつかず遅配や欠品が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内では労働力不足の進行や物流を取り巻く制度・環境変化による輸送能力への影響、海外ではテロや政治的な不安が顕在化することによるサプライチェーンの分断が懸念され、各事業では、需給予測精度の向上や物流能力の強化、代替戦略の検討等によるリスクの低減を進めています。キリングループでは災害・事故等への対応として、経営資源を起点に対策を考えるオールハザード型BCP(事業継続計画)を策定し、複数のグループ会社を対象として、物流面の機能発揮状況を確認する訓練を実施していますが、引き続き、危機事象への対応力強化、レジリエンスの向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響調達・市況・為替変動リスク・地政学や災害発生、サプライヤーの事業撤退・業界再編リスク・取適法(改正下請法)など法令違反リスク・サプライチェーン上の人権・環境リスク・調達コストが計画を上回り、事業利益を圧迫する・原材料について必要量を確保できない、または納品に遅れが生じ、製造計画に影響を及ぼすことで需給調整が発生、長期化する・企業イメージの低下や不買運動の発生など、レピュテーションリスクが顕在化する主な対策、その他リスクの状況認識等市況・為替変動リスクに対しては、長期契約や為替ヘッジによるコスト低減・安定化の取り組みを行い、地政学・災害発生リスクに対しては調達先の分散、原材料在庫率の引き上げ、また取適法(改正下請法)などの調達業務に関連する法令違反リスクについても、施行・改正動向を確認し、関連部門と協力して適切な対応を行っています。更にサプライチェーン上の人権や環境に関するリスクへの対応を重要な経営課題の1つと認識しており、人権デューデリジェンスの実施など、高まる企業への要請に十分に応えられる体制の整備と組織能力の強化に取り組んでいます。サプライヤーに対しては、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の説明を行うとともに、遵守に向けて承諾書の提出を求め、定期的にその遵守状況を確認しています。さらに、サプライヤーが通報できる窓口(ホットライン)や苦情処理メカニズムも整備しており、サプライヤーとの連携を密にすることで持続可能な調達の推進に取り組んでいます。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報セキュリティ・外部等からのサイバー攻撃による事業活動の停止および当社グループ保有の顧客情報・企業秘密など重要データの漏えい・改ざん・消失に係るリスク・従業員や業務委託先等の内部不正・過失、事故等による当社グループ保有の顧客情報・企業秘密など重要データの漏えい・改ざん・消失および業務プロセスの中断・遅延に係るリスク・顧客等のステークホルダーへの賠償責任が発生する・社会的信用が低下、ブランドイメージが毀損、風評が悪化する・顧客からの取引が縮小・停止、営業機会が喪失する・事後対応に伴う業務への支障により、従業員の業務効率、モラルが低下する主な対策、その他リスクの状況認識等当社グループでは情報セキュリティについての基本的な考え方を示した「グループ情報セキュリティ規程」を制定し、グループ各社に向けて情報セキュリティの重要性に関して浸透させるとともに、役員や従業員へ教育研修等を通じて周知徹底を図っています。また、各種サイバー攻撃等への対策として、「統治」「特定」「防御」「検知」「対応」「復旧」のためのセキュリティ基盤の強化およびプロセスの整備をグループ全体で図るとともに、「KIRIN‑CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」により、セキュリティインシデント等に対応できる体制を構築しています。さらに国内外のグループ各社のセキュリティリスクの評価・モニタリングにより管理状況を可視化、改善することで、継続的なセキュリティ強化・高度化に努めています。これらの取り組みにより、一定レベル以下にリスクは低減できているものと認識しておりますが、未知のサイバー脅威への備えとして、脅威インテリジェンスの活用、外部専門機関との連携強化、クラウド・AI環境への対応など、多面的な情報収集と改善を継続し、今後も更なる有事の発生防止と早期復旧、グループ全体のセキュリティ水準の維持・向上に努めてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響コンプライアンス・法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク・法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、コンプライアンスについて、「法令、社内外の諸規則・ルールの遵守はもちろんのこと、社会からの要請に応え、法的責任と社会が求める倫理的責任を果たすこと」と定義しています。人権やハラスメント、腐敗行為(贈賄を含む)防止や適正飲酒などに関する研修を定期的に実施し、ルールの理解浸透や意識啓発に取り組んでいます。また、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクの洗い出しにつなげるとともに、回答によっては事実確認や調査を行い、対策を講じることでリスク低減に取り組んでいます。リスク事案の早期発見につなげるべく内部通報の体制も整備しており、グループ各社で通報窓口が設置されているほか、コンプライアンス担当役員や監査役直通の通報窓口、海外のグループ会社従業員が利用できるグローバルホットラインも設置しています。法令を遵守することはもとより、社会の要請を踏まえた高い倫理観を醸成できるよう、引き続き従業員のコンプライアンス意識の向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響財務・税務・為替レートにより円換算後の価値が変動するリスク・金融市場の変化や格付の変更等により必要資金が調達できないリスク / 資金調達コストが変動するリスク・各国税制の変化や税務申告における税務当局との見解の相違により、予想以上の税負担が生じるリスク・現地通貨建て財務諸表の円換算値や、外国通貨建て取引による原材料の調達コストが変動する・資金調達が制約され運転資金不足が生じる / 高金利での資金調達により金融収支が悪化する・追加税負担により業績が悪化する、社会的信用が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等市場環境や為替レート変動による影響は完全に排除できませんが、キリングループではデリバティブを使ったヘッジ等により、業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減しています。調達手段の多様化やグループキャッシュの一元管理を通した効率化により、資金関連リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。税務コンプライアンスを遵守した適正な納税の徹底により、税務リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。 上記以外にも、レピュテーションに関するリスク、地政学上のリスク、事業投資に関わるリスク、法改正に伴うリスクなど様々なリスクがあります。これらのリスクを認識した上で、発生の未然防止・速やかな対応に努めてまいります。
FY2024|9,870 文字
3 【事業等のリスク】(1) リスクマネジメントの考え方 キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える不確実性を「リスク」、ある時点を境にリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しており、お客様、従業員、株主および社会から長期的な信頼を獲得できるよう、以下の考え方のもとリスクマネジメントシステムを構築・運用することで、事業活動上で発生するさまざまなリスクを特定し、適切にコントロールしていくことを基本方針としています。なお、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。 (基本方針)① 経営理念および価値観のもと、経営目標の達成や企業の継続性を確保し、企業の社会的責任を果たし、中長期的な企業価値の向上を目的として、リスクマネジメントを実行する。② 戦略とリスクを一体で検討を行い、適切なリスクテイクを実現する。③ リスクマネジメントの推進のため、組織や仕組みを整え、環境変化に柔軟に対応できる組織能力の向上を図る。④ 平時からリスクの洗い出しを行い、企業活動に伴うさまざまなリスクを把握の上、リスクの特定・分析・評価・対策+モニタリングを行い、リスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行っていく。⑤ リスクマネジメントは全社員が参画して取り組む活動であるとの認識を持ち、教育や訓練等の啓発活動を通じて、リスクへの感度の醸成を図る。⑥ クライシスに対しては、未然防止を徹底するとともに、早期発見、迅速な報告・情報共有・対応を通じ、影響を最小化する。クライシスの対応後には、その発生要因・対処法などを分析し、再発防止に努める。⑦ 会社におけるリスクの内容や対策等のリスク情報について、適時、ステークホルダーに対し適切な情報開示を行う。 (2) リスクマネジメント体制及び、グループ重要リスクの確定プロセスとモニタリング キリングループでは、当社の常務執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やグループリスクマネジメント方針の立案、リスク低減に向けた取り組み、クライシス発生時の情報共有や対策の検討など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会ではグループ重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図1) グループ重要リスクを確定するプロセスについては、毎年度設定されるキリングループのリスクマネジメント方針に基づいて進められます。グループ会社では、戦略や事業遂行上のリスク、重大な危機に発展する可能性のあるリスクを検討、抽出され、当社ではこれらの事業固有のリスクを集約し、グループ全体に共通するリスクも含めた精査を行います。グループリスク・コンプライアンス委員会では、各リスクについて経済的損失、事業継続性、レピュテーションの毀損など、定量・定性の両面から全社的な経営の視点で評価を行います。そして、発生確率を考慮し、対応の優先順位が高いリスクを選定します。これらのリスクは取締役会で審議され、グループの重要リスクとして確定されます。(図2) グループ重要リスクについては、影響度と発生確率を踏まえてリスクマップ上で一元化して管理し、最重要リスクについては取締役会でも状況変化の確認や対策の見直しを行っています。(図3)当社およびグループ会社はリスクに応じた対策を立案・実行し、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。また、事業と機能の両軸で実施するモニタリングを通じて、戦略リスクを管理・統制するとともに、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止や発生時にはその影響を最小限に留めるなど、リスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。(図4) (図1)(図2)(図3) (図4) (3) キリングループの主要なリスク キリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要な事項について、「各事業領域におけるリスク」と「各事業領域共通のリスク」に分類して記載しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。 ① 各事業領域におけるリスク事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響食領域・事業環境の変化への対応に関するリスク・原材料価格・燃料価格の高騰に関するリスク・新規事業の成否に関するリスク・市場環境や嗜好の変化、販売価格の変動、競合他社の動向等により、販売計画を達成できない・原材料価格・燃料価格の高騰により調達コストが上昇し、製造原価に影響を及ぼす・新規事業が市場に浸透せず、売上・利益が下振れし、事業計画が遅滞する主な対策、その他リスクの状況認識等食領域はキリングループの主力事業分野であり、リスクが発現した場合には甚大な影響が想定されます。既存事業では事業環境の変化に対してこれまでに培った知見を基にリスクへの対応策を実施するとともに、新規事業についても従来とは異なる新たなリスクに直面する可能性を想定し、対策することでリスクの低減に努めています。地政学リスクに起因する原材料や燃料価格の高騰が直接的に収益に影響を与える可能性や、高付加価値商品の展開拡大の成否による中長期的な事業計画への影響はそれぞれグループ重要リスクの一つとして位置づけており、引き続き情勢を注視し適切なリスクコントロール策を講じてまいります。(具体的な対策につきましては、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響医領域・グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク・製品品質・安定供給に関するリスク・研究開発に関するリスク・医療費抑制策に関するリスク・上市準備の遅延等により事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起こしの難航などで市場に浸透しない・製品の安全性や品質に懸念が生じる、急激な需要増/需給逼迫により安定供給に支障が発生する・パイプラインの拡充が進まず、将来の成長性と収益性が低下する・国内外において医療費抑制の圧力による製品の価格引き下げ、後発医薬品への移行が進む主な対策、その他リスクの状況認識等医領域においては、グローバル戦略品の価値最大化に向けて、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めており、製品の品質保証体制と安定供給体制といった基盤の強化も重要と考えています。グローバル品質保証委員会等によるモニタリングや、独立した専門の監査チームによる自社や委託先の品質監査を実施するとともに、委託先の拡充、自社工場への設備投資、需給計画の可視化や製造作業効率化のためのデジタル化推進等に取り組んでいます。また、国内外において医薬費抑制の圧力が高まっていますが、各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品等を確実にお届けするために、その製品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、上市後の価格設定については、各国制度に準拠し、ステークホルダーからの理解も得ながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益の確保につながるよう、事業への影響を評価しています。(詳細につきましては、協和キリン㈱の有価証券報告書に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響ヘルスサイエンス領域・社会課題に対し独自の商品やサービスを提供できないリスク・海外事業展開国における法規制への対応が遅れるリスク・事業を担う人財や組織能力が不足するリスク・品質保証、製品の安全性、欠品に関するリスク・有効なビジネスモデルが構築できずに、販売計画が未達となる・グローバル展開に制約が生じ、新たな展開国への進出、事業拡大が遅延する・欠品、品質トラブル、エビデンス不足、不適切な情報発信等により、ブランド、レピュテーションを毀損する・グループ内でのシナジーが進まず、新たな価値創造を伴う高収益モデルが構築できない主な対策、その他リスクの状況認識等ヘルスサイエンス領域では中長期的な社会環境の変化に伴って発生する健康課題に対して土台の健康づくりを推進し、人間が元来持つ力を高めることで、お客様の健康課題をより効果的・効率的に解決することに貢献します。新たに取得したBlackmores Limited、㈱ファンケルの成長とグループ内のシナジー創出を最優先課題とし、持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。主力事業の食とは異なる領域での事業推進にあたり、迅速果断な意思決定を実行するため、また、適時適切なリスクコントロールができるよう、リスクマネジメントの観点でも組織能力の拡充とガバナンスの強化を図ってまいります。(具体的な対策につきましては、1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しています) ② 各事業領域共通のリスク項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人財獲得・育成・グループ経営を推進する人財や事業活動に必要な高い専門性を持った人財を十分に確保できないリスク・人財マネジメントの仕組みが計画通りに進まないリスク・競争優位性のある組織能力が実現せず、経営戦略が推進できない・想定した体制への移行が進まず、組織能力が低下し、経営戦略の実現に支障が出る主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループは、人財を価値創造、競争優位の源泉と捉えています。経営戦略の実行に求められる人財の獲得・育成に向けて、機能を軸とした専門性をより重視する人財マネジメントの仕組みを導入し、多様な価値観・専門性を持った人財が集い何事にも興味を持って行動し、失敗も学びに変えて、主体的に創意工夫・価値創造を実践する組織文化の醸成を目指しています。中長期視点で経営戦略と人財戦略の連動性を高め、持続的な事業成長と企業価値向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響デジタル活用の加速・AIを含むデジタル技術の活用が進まず、競合劣後となるリスク・DX専門人財の獲得・育成が計画通りに進まないリスク・事業課題の解決が進まず、競争力の低下やコスト増を招き、売上・利益が減少する・DXの推進に必要な要員が不足し、組織能力を高められず、効率化や価値創造の成果創出が遅延する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、デジタル技術やデータを活用した業務プロセスの変革を進め、既存業務の効率化を実現するとともに、顧客理解やプロダクト/サービスの開発工程においてもAIを含むテクノロジー活用を進めるなど、新たな価値創出に取り組んでいます。各グループ会社・各部門での自律的なDX推進の実現に向けて、独自のプログラムによる社内人財育成を進めるとともに、DXの推進に必要な専門人財を外部から確保することで、体制の充実と組織能力の強化を図っています。今後もグループ全体のあらゆる領域でデジタル技術の活用・推進に取り組み、イノベーション創出に繋げてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響品質・品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題が発生するリスク・各種品質関連法令への対応不備を検出できず、関係官庁からの改善命令や指導を受けるリスク・製品の製造中止や回収または損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる・お客様からの信頼を失い、企業ブランド価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、経営の原点である「お客様本位」「品質本位」に基づきお客様への安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先することを「キリングループ品質方針」に定め、実現するための行動や考え方を「行動指針」で宣言しています。24年1月には環境変化を踏まえて「行動指針」を改訂し、「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則」を通じて、食・ヘルスサイエンス・医の領域のグループ各社が保有する品質マネジメントシステムに反映させ、品質保証の仕組みと運用を継続的に改善し、確かな品質の商品・サービスの提供につなげています。法令遵守への対応として、各領域の品質に関する法令改正動向を把握し必要な対応を講じることや、国内主要事業会社における原材料情報の一元管理・トレーサビリティシステムの導入などにより、品質保証の仕組みを構築しています。グループ全体で「お客様本位」「品質本位」を大切にする組織風土の醸成に引き続き取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人権・従業員・ビジネスパートナーをはじめ、キリングループに関わる全ての人々に対して、直接または間接的に人権に負の影響を及ぼすリスク・企業価値の低下を招く、あるいは事業縮小・撤退を余儀なくされる・法令に違反する場合は罰金や訴訟、または経済的な制裁措置を受ける主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識のもと、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定、2023年には国際的な人権に関する規範に沿って同方針を改定しました。従来通り、人種、肌の色、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、宗教、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別を禁止するとともに、事業活動上のすべてのバリューチェーンにおいて、人身取引、奴隷労働や強制労働、児童労働を容認しません。改定版にはステークホルダー毎に想定される重要な人権課題を明記するなど、より具体的な内容としています。国内外グループ会社の全ての従業員だけでなく、バリューチェーンに関わる様々なビジネスパートナーに対しても同方針への理解と遵守を求めることで、人権を尊重し、社会に対してポジティブインパクトを生み出すことに取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響環境・気候変動による物理的リスク・脱炭素社会への移行リスク・技術開発等が遅れ、環境問題の解決が困難になる・遅延するリスク・温暖化や渇水・洪水による原材料農産物の収量減による調達コスト増、渇水・洪水による操業停止・炭素税などによる燃料費・農産物コストの上昇・企業に対する社会の期待に十分に応えられず、企業価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、様々な環境問題の統合的な解決に向けた「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。気候変動に伴う原材料農産物の収量減といった物理的リスクやカーボンプライシング等の移行リスク、アセットへの影響に対しては、TCFD提言に基づくシナリオ分析により財務影響や戦略のレジリエンスを評価し、必要な方針・戦略の修正や取り組みの深化を進めています。プラスチック容器の問題では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量のリサイクル樹脂50%(「キリングループプラスチックポリシー」)を目指して着実に積み上げているほか、将来に向け、ケミカルリサイクルによる各種PET素材の再資源化に向けた他企業との共同プロジェクトを進めています。相互に関連する環境問題である生物資源、水資源、容器包装、気候変動を統合的に解決し、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。(具体的な対策につきましては、2[サステナビリティに関する考え方及び取組]に記載しています) 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響アルコールの負の影響・世界的な規模で酒類の販売、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク・酒類の消費が減少する・企業価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等アルコールの有害摂取による負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売・マーケティングに関する規制強化に向けた議論をしています。また24年2月に厚生労働省が健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを発出し、日本国内でも飲酒と健康に関する関心が高まっています。キリングループは酒類事業を営む企業グループの責任としてアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを推進しています。酒類事業の展開にあたっては法令を遵守し、責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針や厳しい自主基準を遵守する他、IARDをはじめ国内外の業界団体と連携した取り組みを進めるとともに、ノンアルコール・低アルコール飲料の拡充や適正な飲酒に関する正しい知識の普及や意識の啓発を行っています。社会情勢の変化に対応しながらアルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響サプライチェーン・地震・台風などの大規模自然災害や感染症、地政学リスクの影響、委託先の被災等によりサプライチェーンが分断するリスク・災害により事業所等を閉鎖する、あるいは事業活動を縮小・停止する・異常気象に伴う販売量の急増やドライバー不足等の外部環境要因により、調達・製造・物流能力が供給に追いつかず遅配や欠品が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内では物流の2024年問題の顕在化や将来的なドライバー不足、海外ではテロや政治的な不安が顕在化することによるサプライチェーンの分断が懸念され、各事業では、需給予測精度の向上や物流能力の強化、代替戦略の検討等によるリスクの低減を進めています。キリングループでは災害・事故等への対応として、経営資源を起点に対策を考えるオールハザード型BCP(事業継続計画)を策定し、複数のグループ会社を対象として、物流面の機能発揮状況を確認する訓練を実施していますが、引き続き、危機事象への対応力強化、レジリエンスの向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響調達・市況・為替変動リスク・地政学や災害発生リスク・下請法など法令違反リスク・サプライチェーン上の人権・環境リスク・調達コストが計画を上回り、事業利益を圧迫する・原材料について必要量を確保できない、または納品に遅れが生じ、製造計画に影響を及ぼすことで需給調整が発生、長期化する・調達が困難となり、加えて企業イメージの低下や不買運動が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等市況・為替変動リスクに対しては、長期契約や為替ヘッジによるコスト低減・安定化の取り組みを行い、地政学・災害発生リスクに対しては調達先の分散、原材料在庫率の引き上げ、また下請法などの調達業務に関連する法令違反リスクについても、施行・改正動向を確認し、関連部門と協力して適切な対応を行っています。更にサプライチェーン上の人権や環境に関するリスクへの対応を重要な経営課題の1つと認識しており、人権デューデリジェンスの実施、苦情処理メカニズムの活用等、高まる企業への要請に十分に応えられる体制の整備と組織能力の強化に取り組んでいます。サプライヤーに対しては、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の説明を行うとともに、遵守に向けて承諾書の提出を求め、定期的にその遵守状況を確認しています。さらに、サプライヤーが通報できる窓口(ホットライン)や苦情処理メカニズムも整備しており、サプライヤーとの連携を密にすることで持続可能な調達の推進に取り組んでいます。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報セキュリティ・サイバー攻撃、情報セキュリティ事故、情報漏洩等に関するリスク・個人情報や重要な営業秘密の情報漏洩により、お客様の信頼の失墜や損害賠償などが発生する・サイバー攻撃などにより、業務が停止する、または復旧に時間を要することで事業活動が遅延する 主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、深刻化しているサイバー攻撃の脅威に対応するため「KIRIN-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」を構築し、グループ重要リスクの一つとして情報セキュリティ対策に取り組んでいます。グループ内のセキュリティ対応体制を整え、人的・物理的・技術的対策を実施することで、ウィルス感染や外部からの不正アクセスといったサイバー攻撃の脅威への対策強化に努めています。また、サイバー攻撃などでの経済的な影響を低減するためグローバルでサイバー保険の付保を行うなどリスクの移転も含めて対応を行っています。これらにより、一定レベル以下にリスクは低減できていると考えていますが、未知のサイバー脅威などには幅広く情報収集などを行いながら対策を講じてまいります。(詳細につきましては、「情報セキュリティ報告書」にキリングループの取り組みを記載しています) 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響コンプライアンス・法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク・法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、コンプライアンスについて、「法令、社内外の諸規則・ルールの遵守はもちろんのこと、社会からの要請に応え、法的責任と社会が求める倫理的責任を果たすこと」と定義しています。人権やハラスメント、腐敗行為(贈賄を含む)防止や適正飲酒などに関する研修を定期的に実施し、ルールの理解浸透や意識啓発に取り組んでいます。また、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクの洗い出しにつなげるとともに、回答によっては事実確認や調査を行い、対策を講じることでリスク低減に取り組んでいます。リスク事案の早期発見につなげるべく内部通報の体制も整備しており、グループ各社で通報窓口が設置されているほか、コンプライアンス担当役員や監査役直通の通報窓口、海外のグループ会社従業員が利用できるグローバルホットラインも設置しています。法令を遵守することはもとより、社会の要請を踏まえた高い倫理観を醸成できるよう、引き続き従業員のコンプライアンス意識の向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響財務・税務・為替レートにより円換算後の価値が変動するリスク・金融市場の変化や格付の変更等により必要資金が調達できないリスク / 資金調達コストが変動するリスク・各国税制の変化や税務申告における税務当局との見解の相違により、予想以上の税負担が生じるリスク ・現地通貨建て財務諸表の円換算値や、外国通貨建て取引による原材料の調達コストが変動する・資金調達が制約され運転資金不足が生じる / 高金利での資金調達により金融収支が悪化する・追加税負担により業績が悪化する、社会的信用が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等市場環境や為替レート変動による影響は完全に排除できませんが、キリングループではデリバティブを使ったヘッジ等により、業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減しています。調達手段の多様化やグループキャッシュの一元管理を通した効率化により、資金関連リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。税務コンプライアンスを遵守した適正な納税の徹底により、税務リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。 上記以外にも、レピュテーションに関するリスク、地政学上のリスク、事業投資に関わるリスク、法改正に伴うリスクなど様々なリスクがあります。これらのリスクを認識した上で、発生の未然防止・速やかな対応に努めてまいります。
FY2023|9,811 文字
3 【事業等のリスク】(1) リスクマネジメントの考え方 キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える不確実性を「リスク」、ある時点を境にリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しており、お客様、従業員、株主および社会から長期的な信頼を獲得できるよう、以下の考え方のもとリスクマネジメントシステムを構築・運用することで、事業活動上で発生するさまざまなリスクを特定し、適切にコントロールしていくことを基本方針としています。なお、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。 (基本方針)① 経営理念および価値観のもと、経営目標の達成や企業の継続性を確保し、企業の社会的責任を果たし、中長期的な企業価値の向上を目的として、リスクマネジメントを実行する。② 戦略とリスクを一体で検討を行い、適切なリスクテイクを実現する。③ リスクマネジメントの推進のため、組織や仕組みを整え、環境変化に柔軟に対応できる組織能力の向上を図る。④ 平時からリスクの洗い出しを行い、企業活動に伴うさまざまなリスクを把握の上、リスクの特定・分析・評価・対策+モニタリングを行い、リスクへの適切な対応(保有、低減、回避、移転)を行っていく。⑤ リスクマネジメントは全社員が参画して取り組む活動であるとの認識を持ち、教育や訓練等の啓発活動を通じて、リスクへの感度の醸成を図る。⑥ クライシスに対しては、未然防止を徹底するとともに、早期発見、迅速な報告・情報共有・対応を通じ、影響を最小化する。クライシスの対応後には、その発生要因・対処法などを分析し、再発防止に努める。⑦ 会社におけるリスクの内容や対策等のリスク情報について、適時、ステークホルダーに対し適切な情報開示を行う。 (2)リスクマネジメント体制及び、グループ重要リスクの確定プロセスとモニタリング キリングループでは、キリンホールディングスの常務執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やグループリスク方針の立案、リスク低減に向けた取り組み、クライシス発生時の情報共有や対策の検討、グループ会社への必要な指示や支援など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会ではグループ重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図1) グループ重要リスクの確定プロセスについては、各年度で設定するキリングループのリスクマネジメント方針に基づき、グループ会社で戦略・事業遂行上のリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを検討し抽出しています。キリンホールディングスではこれら事業固有のリスクを集約し、またグループ全体に共通するリスクについて精査します。それぞれのリスクについて全社的な経営の観点からグループリスク・コンプライアンス委員会において経済的損失や事業継続性、レピュテーション棄損などグループとして影響度が大きなリスクを定量・定性の両面で総合的に評価し、発生確率を踏まえて優先順位の高いリスクを選定しています。これを取締役会にて審議し、グループ重要リスクとして確定させています。(図2) グループ重要リスクについては、影響度と発生確率を踏まえてリスクマップ上で一元化して管理し、最重要リスクについては取締役会でも状況変化の確認や対策の見直しを行っています。(図3)キリンホールディングスおよび当該グループ会社ではリスク内容に応じた対策を立案し実行していますが、キリンホールディングスはグループ会社に対して必要な支援や指示を行い、グループ会社はキリンホールディングスに報告や相談を行うなど、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。また、各グループ会社およびキリンホールディングスは戦略・リスクの両面から事業と機能の両軸でモニタリングを実施し、戦略リスクを管理・統制すると共に、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止や発生時にはその影響を最小限に留めるなど、リスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。(図4) (図1)(図2)(図3) (図4) (3) キリングループの主要なリスクキリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要な事項について、「各事業領域におけるリスク」と「各事業領域共通のリスク」に分類して記載しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。 ① 各事業領域におけるリスク事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響食領域・事業環境の変化への対応に関するリスク・原材料価格・燃料価格の高騰に関するリスク・新規事業の成否に関するリスク・市場環境や嗜好の変化、販売価格の変動、競合他社の動向等により、販売計画を達成できない・原材料価格・燃料価格の高騰により調達コストが上昇し、製造原価に影響を及ぼす・新規事業が市場に浸透せず、売上・利益が下振れし、事業計画が遅滞する主な対策、その他リスクの状況認識等食領域はキリングループの主力事業分野であり、リスクが発現した場合には甚大な影響が想定されます。既存事業では事業環境の変化に対してこれまでに培った知見を基にリスクへの対応策を実施するとともに、新規事業についても従来とは異なる新たなリスクに直面する可能性を想定し、対策することでリスクの低減に努めています。地政学リスクに起因する原材料や燃料価格の高騰が直接的に収益に影響を与える可能性や、高付加価値商品の展開拡大の成否による中長期的な事業計画への影響はそれぞれグループ重要リスクの一つとして位置づけており、引き続き情勢を注視し適切なリスクコントロール策を講じてまいります。(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響医領域・グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク・製品品質・安定供給に関するリスク・研究開発に関するリスク・医療費抑制策に関するリスク・上市準備の遅延等により事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起こしの難航などで市場に浸透しない・製品の安全性や品質に懸念が生じる、急激な需要増/需給逼迫により安定供給に支障が発生する・パイプラインの拡充が進まず、将来の成長性と収益性が低下する・国内外において医療費抑制の圧力による製品の価格引き下げ、後発医薬品への移行が進む主な対策、その他リスクの状況認識等医領域においては、グローバル戦略品の価値最大化に向けて、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めており、製品の品質保証体制と安定供給体制といった基盤の強化も重要と考えています。グローバル品質保証委員会等によるモニタリングや、独立した専門の監査チームによる自社や委託先の品質監査を実施するとともに、委託先の拡充、自社工場への設備投資、需給計画の可視化や製造作業効率化のためのデジタル化推進等に取り組んでいます。また、国内外において医薬費抑制の圧力が高まっていますが、各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品を確実にお届けするために、その医薬品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、上市後の価格設定については、各国制度に準拠しながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益の確保につながるよう、事業への影響を評価しています。(詳細につきましては、協和キリン社の有価証券報告書に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響ヘルスサイエンス領域・社会課題に対し独自の商品やサービスを提供できないリスク・競合等の外部環境変化への対応が遅れるリスク・事業を担う人財や組織能力が不足するリスク・品質保証、製品の安全性、欠品に関するリスク・有効なビジネスモデルが構築できずに、販売計画が未達となる・グループ内でのシナジーが進まず、新たな価値創造を伴う高収益モデルが構築できない・生産計画通りに製造が進まず商品の欠品が発生する・品質トラブル、エビデンス不足、不適切な情報発信等により、ブランド、レピュテーションを毀損する主な対策、その他リスクの状況認識等ヘルスサイエンス領域では新たに取得したBlackmores社の成長とグループ内のシナジー創出を最優先課題として取り組み、将来に向けたビジネス基盤の構築を目指しています。特に機能性表示食品を有する免疫領域では、お客様の日常への免疫ケア習慣の定着、プラズマ乳酸菌についての認知拡大、機能啓発とともに、外部導出も含めた市場活性化により、早期の成果創出とビジネスモデルの確立に取り組んでいます。既存事業とは異なる領域での事業推進にあたり、迅速果断な意思決定を実行するため、また、適時適切なリスクコントロールができるよう、リスクマネジメントの観点でも組織能力の拡充とガバナンスの強化を図ってまいります。(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています) ② 各事業領域共通のリスク項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人財確保・育成・グループ経営を推進する人財や事業活動に必要な高い専門性を持った人財を十分に確保できないリスク・人財マネジメントの仕組みが従業員の理解を得られないリスク・競争優位性のある組織能力が実現せず、経営戦略が推進できない・想定した体制への移行が進まず、組織能力が低下し、経営戦略の実現に支障が出る主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループは、人財を価値創造の源泉と捉えています。経営戦略の実行に求められる人財の獲得・育成に向けて、機能を軸とした専門性をより重視する人財マネジメントの仕組み化に取り組むとともに、多様な価値観・専門性を持った人財が集い、多様性を受容して違いを力に変える組織風土の醸成を目指しています。多様な人財と挑戦する風土は企業の根幹であるとの認識のもと、中長期視点で経営戦略と人財戦略の連動性を高め、持続的な事業成長と企業価値向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報技術・DXの取り組みが進まず、競合劣後となるリスク・DX専門人財の獲得・育成が計画通りに進まないリスク・コストが増大し、顧客ニーズに応える商品の開発・提供ができず、売上・利益が限定的となる・DXの推進に必要な要員が不足し、組織能力を高められず、効率化や価値創造の成果創出が遅延する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、デジタル技術やデータを活用した業務プロセスの変革を進め、既存業務の効率化を実現するとともに、顧客理解やプロダクト/サービスの開発工程においてもテクノロジー活用を進めるなど、新たな価値創出に取り組んでいます。各グループ会社・各部門での自律的なDX推進の実現に向けて、独自のプログラムによる社内人財育成を進めるとともに、DXの推進に必要な専門人財を外部から確保することで、体制の充実と組織能力の強化を図っています。今後もグループ全体のあらゆる領域でデジタル技術の活用・推進に取り組み、イノベーション創出に繋げてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響品質・品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題が発生するリスク・不適切な表現により、関係官庁からの改善命令や指導を受けるリスク・製品の製造中止や回収または損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる・お客様からの信頼を失い、企業ブランド価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、経営の原点である「お客様本位」「品質本位」に基づきお客様への安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先することを「キリングループ品質方針」および「行動指針」で宣言しています。23年12月にはグループの事業領域の拡大に合わせ「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則」を改訂しており、食・ヘルスサイエンス・医の領域のグループ各社が保有する品質マネジメントシステムに反映させることで品質保証の仕組みと運用を継続的に改善し、確かな品質の商品・サービスの提供につなげています。表示・広告等についても、22年に策定した「マーケティングコミュニケーションポリシー」をより具体化した「商品表示に関する指針」を定め、社会情勢の変化も捉えながら高い倫理観をもって制作に取り組むことを啓発しています。グループ全体で「お客様本位」「品質本位」を大切にする組織風土の醸成に引き続き取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人権・キリングループの行うビジネスが、バリューチェーンの各プロセスやビジネスパートナーを含めて、直接または間接的に人権に負の影響を及ぼすリスク・企業ブランドイメージの低下を招く、あるいは事業縮小・撤退を余儀なくされる・法令に違反する場合は罰金や訴訟、または経済的な制裁措置を受ける 主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識の下、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定、2023年には国際的な人権に関する規範に沿って同方針を改定しました。従来通り、人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働を認めない他、人種、肌の色、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、宗教、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別を禁止するとともに、改定版にはステークホルダー毎に想定される重要な人権課題を明記するなど、より具体的な内容としています。国内外グループ会社の全ての従業員および、バリューチェーンに関わる様々なビジネスパートナーに対しても同方針への理解を求めることで、人権を尊重し、社会に対してポジティブインパクトを生み出すことに取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響環境・気候変動による物理的リスク・脱炭素社会への移行リスク・技術開発等が遅れ、環境問題の解決が困難になる・遅延するリスク・温暖化や渇水・洪水による原材料農産物の収量減による調達コスト増、渇水・洪水による操業停止・炭素税などによる燃料費・農産物コストの上昇・企業に対する社会の期待に十分に応えられず、企業価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、様々な環境問題を統合的に解決するために長期戦略「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。気候変動に伴う原材料農産物の収量減といった物理的リスクやカーボンプライシング等の移行リスク、アセットへの影響に対しては、TCFD提言に基づくシナリオ分析により財務影響や戦略のレジリエンスを評価し、必要な方針・戦略の修正や取り組みの深化を進めています。プラスチック容器の問題では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量のリサイクル樹脂50%(「キリングループプラスチックポリシー」)を目指して、ケミカルリサイクルによるPET再資源化に向けた技術検討と実用化を目指す他企業との共同プロジェクトを開始しています。相互に関連する環境問題である生物資源、水資源、容器包装、気候変動を統合的に解決し、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。(具体的な対策につきましては、「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています) 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響アルコールの負の影響・世界的な規模で酒類の販売、広告・宣伝に対する規制が強化されるリスク・酒類の消費が減少する・企業ブランドの価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等アルコールの有害摂取による負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売・マーケティングに関する将来的な規制に向けた議論をしています。キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループの社会的責任を果たすために、全ての酒類事業展開国においてアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを推進しています。酒類事業の展開あたっては法令を遵守し、責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針や厳しい自主基準を遵守する他、IARDをはじめ国内外の業界団体と連携した取り組みを進めるとともに、ノンアルコール、低アルコール飲料の開発や適正な飲酒に関する正しい知識の普及や意識の啓発を行っています。社会情勢の変化に対応しながらアルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響サプライチェーン・地震・台風などの大規模自然災害や感染症、地政学リスクの影響等によりサプライチェーンが分断するリスク・事業所等の閉鎖や事業活動を縮小・停止する・地域紛争やテロ、または最盛期の販売量の急増等により、調達・製造・物流能力が供給に追いつかず遅配や欠品が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内では物流の2024年問題の顕在化や将来的なドライバー不足、海外ではテロや政治的な不安が顕在化することによるサプライチェーンの分断が懸念され、各事業では、需給予測精度の向上や物流能力の強化、代替戦略の検討等によるリスクの低減を進めています。キリングループでは災害・事故等への対応として、経営資源を起点に対策を考えるオールハザード型BCP(事業継続計画)を策定し、複数のグループ会社を対象として、物流面の機能発揮状況を確認する訓練を実施していますが、これらの取り組みを継続し、危機事象への対応力強化、レジリエンスの向上に引き続き取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響調達・市況・為替変動リスク・地政学や災害発生リスク・サプライチェーン上の人権・環境リスク・調達コストが計画を上回り、事業利益を圧迫する・原材料について必要量を確保できない、または納品に遅れが生じ、製造計画に影響を及ぼすことで需給調整が発生、長期化する・調達が困難となり、加えて企業イメージの低下や不買運動が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等市況・為替変動リスクに対しては、長期契約や為替ヘッジによるコスト低減・安定化を行い、地政学・災害発生リスクに対しては調達先の分散、原材料在庫率の引き上げを行っています。またサプライチェーン上の人権や環境に関するリスクへの対応を重要な経営課題の1つと認識しており、2023年にはサプライヤー規範の改定やデューデリジェンスの実施等、高まる企業への要請に十分に応えられる体制の整備と組織能力の強化に取り組んでいます。サプライヤーに対しては、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の説明を行うとともに、遵守に向けて承諾書の提出を求め、定期的にその遵守状況を確認しています。さらに、サプライヤーが通報できる窓口(ホットライン)や苦情処理メカニズムも整備しており、サプライヤーとの連携を密にすることで持続可能な調達の推進に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報セキュリティ・サイバー攻撃、情報セキュリティ事故、情報漏洩等に関するリスク・個人情報や重要な営業秘密の情報漏洩により、お客様の信頼の失墜や損害賠償などが発生する・サイバー攻撃などにより、業務が停止する、または復旧に時間を要することで事業活動が遅延する 主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、深刻化しているサイバー攻撃の脅威に対応するため「KIRIN-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」を構築し、グループ重要リスクの一つとして情報セキュリティ対策に取り組んでいます。グループ内のセキュリティ対応体制を整え、人的・物理的・技術的対策を実施することで、ウィルス感染や外部からの不正アクセスといったサイバー攻撃の脅威への対策強化に努めています。また、サイバー攻撃などでの経済的な影響を低減するためグローバルでサイバー保険の付保を行うなどリスクの移転も含めて対応を行っています。これらにより、一定レベル以下にリスクは低減できていると考えていますが、未知のサイバー脅威などには幅広く情報収集などを行いながら対策を講じてまいります。(詳細につきましては、「情報セキュリティ報告書」にキリングループの取り組みを記載しています) 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響コンプライアンス・法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク・法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、コンプライアンスについて、「法令、社内外の諸規則・ルールの遵守はもちろんのこと、社会からの要請に応え、法的責任と社会が求める倫理的責任を果たすこと」と定義しています。人権やハラスメント、腐敗行為(贈賄を含む)防止や適正飲酒などに関する研修を定期的に実施し、ルールの理解浸透や意識啓発に取り組んでいます。また、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクの洗い出しにつなげるとともに、回答によっては事実確認や対策を講じることでリスク低減に取り組んでいます。リスク事案の早期発見につなげるべく内部通報の体制も整備しており、グループ各社で通報窓口が設置されているほか、コンプライアンス担当役員や監査役直通の通報窓口、海外のグループ会社従業員が利用できるグローバルホットラインも設置しています。法令を遵守することはもとより、社会の要請を踏まえた高い倫理観を醸成できるよう、引き続き従業員のコンプライアンス意識の向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響財務・税務・為替レートにより円換算後の価値が変動するリスク・金融市場の変化や格付の変更等により必要資金が調達できないリスク / 資金調達コストが変動するリスク・各国税制の変化や税務申告における税務当局との見解の相違により、予想以上の税負担が生じるリスク ・現地通貨建て財務諸表の円換算値や、外国通貨建て取引による原材料の調達コストが変動する・資金調達が制約され運転資金不足が生じる / 高金利での資金調達により金融収支が悪化する・追加税負担により業績が悪化する、社会的信用が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等市場環境や為替レート変動による影響は完全に排除できませんが、キリングループではデリバティブを使ったヘッジ等により、業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減しています。調達手段の多様化やグループキャッシュの一元管理を通した効率化により、資金関連リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。税務コンプライアンスを遵守した適正な納税の徹底により、税務リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。 上記以外にも、レピュテーションに関するリスク、地政学上のリスク、事業投資に関わるリスク、法改正に伴うリスクなど様々なリスクがあります。これらのリスクを認識した上で、発生の未然防止・速やかな対応に努めてまいります。
FY2022|9,739 文字
2 【事業等のリスク】(1) リスクマネジメントの考え方 キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える不確実性を「リスク」、ある時点を境にリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しており、ステークホルダーからの信頼を持続的に獲得できるよう、リスクの低減や未然防止を図り、リスクを許容範囲内に収めることをリスクマネジメントの基本方針としています。戦略とリスクは表裏一体であると捉え、戦略選択の局面や戦略実行フェーズにおけるリスク、また、クライシスに転ずるリスクについても様々な観点から分析を行い、適切なリスクコントロール策を検討、実行しています。なお、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。 (2)リスクマネジメント体制及び、グループ重要リスクの確定プロセスとモニタリング キリングループでは、キリンホールディングスの常務執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やリスクコントロール、中計や年度におけるグループリスク方針やコンプライアンスの重要項目の立案、リスク低減に向けた取り組み、リスク顕在化時の情報共有や対策の実施、グループ会社への必要な指示や支援など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会ではグループ重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図1) グループ重要リスクの確定プロセスについては、各年度で設定するキリングループのリスクマネジメント方針に基づき、グループ会社で戦略・事業遂行上のリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを検討し抽出しています。キリンホールディングスではこれら事業固有のリスクを集約し、またグループ全体に共通するリスクについて精査します。それぞれのリスクについて全社的な経営の観点からグループリスク・コンプライアンス委員会において経済的損失や事業継続性、レピュテーション棄損などグループとして影響度が大きなリスクを定量・定性の両面で総合的に評価し、発生確率を踏まえて優先順位の高いリスクを選定しています。これを取締役会にて審議し、グループ重要リスクとして確定させています。(図2) グループ重要リスクについては、影響度と発生確率を踏まえてリスクマップ上で一元化して管理し、最重要リスクについては取締役会でも状況変化の確認や対策の見直しを行っています。キリンホールディングスおよび当該グループ会社ではリスク内容に応じた各種の対策を立案し実行していますが、キリンホールディングスはグループ会社に対して必要な支援や指示を行い、グループ会社はキリンホールディングスに報告や相談を行うなど、相互に連携することでリスクマネジメントを推進・運用しています。(図3、4)また、各グループ会社およびキリンホールディングスは四半期ごとに戦略・リスクの両面からモニタリングを実施し、戦略リスクを適切に管理・統制すると共に、クライシスに転ずるリスクの顕在化の未然防止を図り、転化した場合はその影響を最小限に留めるなど、各種のリスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。 (図1) (図2) (図3)(図4) (3) キリングループの主なリスクキリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。以下に記載したリスクは、キリングループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。主なリスクは、「各事業領域におけるリスク」と「各事業領域共通のリスク」に分類しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。 ① 各事業領域におけるリスク事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響食領域・事業環境の変化への対応に関するリスク・原材料価格・燃料価格の高騰に関するリスク・新規事業の成否に関するリスク・市場環境や嗜好の変化、販売価格の変動、競合他社の動向等により、販売計画を達成できない・原材料価格・燃料価格の高騰により調達コストが上昇し、製造原価に影響を及ぼす・新規事業が市場に浸透せず、売上・利益が下振れし、事業計画が遅滞する主な対策、その他リスクの状況認識等食領域につきましては、キリングループの主力事業分野であり、リスクが発現した場合には甚大な影響があると考えています。食領域における既存事業については事業環境の変化に対してこれまでに培った知見を基にリスクへの対応策を実施しています。また、新規事業については将来への種まきとして持続的な成長につなげるべく高付加価値商品の拡大に取り組んでいますが、新たなリスクに直面する可能性も想定し、適切に備え、対処することでリスクの低減に努めています。加えて、地政学リスクに起因する原材料や燃料価格の高騰が直接的に収益に影響を与える可能性や、国内ホームタップ・グローバルなクラフトビール展開の成否による中長期的な事業計画への影響を考慮し、それぞれグループ重要リスクの一つとして位置づけています。 (具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響医領域・グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク・製品品質・安定供給に関するリスク・研究開発に関するリスク・医療費抑制策に関するリスク・上市準備の遅延等により事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起こしの難航などで市場に浸透しない・製品の安全性や品質に懸念が生じ、急激な需要増/需給逼迫により安定供給に支障が発生する・パイプラインの拡充が進まず、将来の成長性と収益性が低下する・国内外において医療費抑制の圧力による製品の価格引き下げ、後発医薬品への移行が進む主な対策、その他リスクの状況認識等医領域においては、グローバル戦略品の価値最大化に向けて、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めており、製品の品質保証体制と安定供給体制といった基盤の強化も重要と考えています。グローバル品質保証委員会等によるモニタリングや、独立した専門の監査チームによる自社や委託先の品質監査を実施するとともに、委託先の拡充、自社工場への設備投資、需給計画の可視化や製造作業効率化のためのデジタル化推進等に取り組んでいます。また、国内外において医薬費抑制の圧力が高まっていますが、各国の医療政策動向を注視するとともに、患者さんにLife-changingな医薬品を確実にお届けするために、その医薬品のもつ価値を多様な側面から評価する方策を戦略的に検討しています。また、上市後の価格設定については、各国制度に準拠しながら、革新的な医薬品を継続的に創出していくために適正な売上収益を確保できるよう、事業への影響を評価しています。 (詳細につきましては、協和キリン社の有価証券報告書に記載しています) 事業分野想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響ヘルスサイエンス領域・社会課題に対し独自の商品やサービスを提供できないリスク・競合等の外部環境変化への対応が遅れるリスク・組織能力が不足し付加価値を高められないリスク・品質保証、製品の安全性、欠品に関するリスク・有効なビジネスモデルが構築できずに、販売計画が未達となる・組織体制の構築と事業を担う人財の育成・獲得・強化が遅れ、グループ間の連携やシナジー効果が発揮できず、新たな価値創造を伴う高収益モデルが構築できない・生産計画通りに製造が進まず商品の欠品が発生する・機能性表示食品において、品質トラブル、エビデンス不足、有害事象、不適切な情報を発信する主な対策、その他リスクの状況認識等ヘルスサイエンス領域は新規事業を多く抱え、戦略的にリスクを取って事業の拡大を目指しており、次世代の成長機会の探索、また、その実現に向けて、ステージゲート制度やCVCの運用を実施するなど、グループ内の協業の加速、シナジー発揮に取り組んでいます。機能性表示食品を有する免疫領域では、お客様の日常への免疫ケア習慣の定着を目指し、プラズマ乳酸菌についての認知拡大、機能啓発とともに、外部導出も含めた市場活性化により、早期の成果創出とビジネスモデルの確立を目指しています。既存事業とは異なる領域での事業推進にあたり、迅速果断な意思決定を実行するため、また、適時適切なリスクコントロールができるよう、リスクマネジメントの観点でも組織能力の拡充とガバナンスの強化を図ってまいります。 (具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています) ② 各事業領域共通のリスク項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人財確保・育成・グループ経営を推進する人財や事業活動に必要な高い専門性を持った人財を十分に確保・育成できないリスク・人財マネジメントの仕組みが従業員の理解を得られないリスク・競争優位性のある組織能力が実現しない・想定した体制への移行が進まず、組織能力が低下し、経営戦略の実現に支障が出る主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループは、人財は価値創造の源泉と捉えています。経営戦略の実行に求められる人財の確保・育成に向けて、機能を軸とした専門性をより重視する人財マネジメントの仕組み化に取り組むとともに、多様な価値観・専門性を持った人財が集い、多様性を受容して違いを力に変える組織風土の醸成を目指しています。多様な人財と挑戦する風土は企業の根幹であるとの認識のもと、中長期視点で経営戦略と人財戦略の連動性を高め、持続的な事業成長と企業価値向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報技術・DXの取り組みが進まず、競合劣後となるリスク・DX専門人財の確保・育成が計画通りに進まないリスク・サプライチェーンの効率化が進まず、高コストとなり利益の拡大が限定的になる・消費者の動向把握などが不十分で顧客ニーズに応える商品が提供できず、売上・利益が限定的となる・DXの推進に必要な要員が不足し、取り組みが遅延する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、テクノロジーやデータを活用した業務プロセスの変革が進み、既存業務の効率化を実現するとともに、顧客理解やプロダクト/サービスの開発工程のプロセス変革を進めるなど、新たな価値創出に取り組んでいます。各グループ会社・各部門での自律的なDX推進の実現に向けて、DXを推進できる人財を確保するとともに独自のプログラムによる人財育成を進め、体制の充実と組織能力の強化を図ってまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響品質・品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題が発生するリスク・不適切な表現により、関係官庁からの改善命令や指導を受けるリスク・製品の製造中止や回収または損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる・お客様からの信頼を失い、企業ブランド価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、経営の原点である「お客様本位」「品質本位」に基づきお客様への安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先することを「キリングループ品質方針」および「行動指針」で宣言しています。グループの自社工場で製造する製品や製造委託工場・輸入品等の他社製造品について、「キリングループ グローバル品質マネジメントの原則」の考え方に基づいて品質保証システムを整備し、グループ全体で製品の品質モニタリングや品質保証の仕組みの監査を実施する等、品質保証に最大限努めています。また、表示・広告等における表現についても、22年7月に「マーケティングコミュニケーションポリシー」を定め、社会情勢の変化も捉えながら高い倫理観をもって制作に取り組むこととし、さらには品質マニュアルを改訂して表示・広告に関する品質総括責任者の役割と権限を明確にすることで、チェック機能の強化を図っています。全部門にわたって「お客様本位」「品質本位」を大切にする組織風土の醸成に引き続き取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響人権・キリングループの行うビジネスが、バリューチェーンの各プロセスやビジネスパートナーを含めて、直接または間接的に人権に影響を及ぼすリスク・企業ブランドイメージの低下を招く、あるいは事業縮小・撤退を余儀なくされる・法令に違反する場合は罰金や訴訟、または経済的な制裁措置を受ける主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識の下、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定し、2022年にはサステナビリティ全体を統括するグループCSV委員会傘下の会議体として「グループ人権会議」を位置づけ、人権尊重を推進する取り組みを強化しています。人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働を認めない他、人種、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別を禁止しています。また、全てのビジネスパートナーに対して「キリングループ人権方針」の支持を期待するとともに、人権デューデリジェンスの取り組みを進めています。その結果、人権への負の影響やそれを助長したことが明らかになった場合には、適切かつ効果的な救済措置を講じてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響環境・気候変動による物理的リスク・脱炭素社会への移行リスク・技術開発等が遅れ、環境問題の解決が困難になる・遅延するリスク・温暖化や渇水・洪水による原材料農産物の収量減による調達コスト増、渇水・洪水による操業停止・炭素税などによる燃料費・農産物コストの上昇・企業に対する社会の期待に十分に応えられず、企業価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、様々な環境問題を統合的に解決するために長期戦略「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。気候変動に伴う原材料農産物の収量減といった物理的リスクやカーボンプライシング等の移行リスク、アセットへの影響に対しては、TCFD提言に基づくシナリオ分析により財務影響や戦略のレジリエンスを評価し、必要な方針・戦略の修正や取り組みの深化を進めています。プラスチック容器の問題では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量のリサイクル樹脂50%(「キリングループプラスチックポリシー」)を目指して、ケミカルリサイクルによるPET再資源化に向けた技術検討と実用化を目指す他企業との共同プロジェクトを開始しています。相互に関連する環境問題である生物資源、水資源、容器包装、気候変動を統合的に解決し、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています) 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響アルコールの負の影響・世界的な規模で酒類販売・マーケティングに関して将来的に規制が強化されるリスク・酒類の消費が減少する・企業ブランドの価値が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等アルコールの有害摂取による負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売・マーケティングに関する将来的な規制に向けた議論をしています。キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループの社会的責任を果たすために、全ての酒類事業展開国においてアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを推進しています。広告・宣伝活動にあたっては責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針や厳しい自主基準を遵守する他、IARDをはじめ国内外の業界団体と連携した取り組みを進めるとともに、ノンアルコール、低アルコール飲料の開発や適正な飲酒に関する正しい知識の普及や意識の啓発を行っています。社会情勢の変化に対応しながらアルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させてまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響サプライチェーン・地震・台風などの大規模自然災害や感染症、地政学リスクの影響等によりサプライチェーンが分断するリスク・事業所等の閉鎖や事業活動を縮小・停止する・地域紛争やテロ、または最盛期の販売量の急増等により、調達・製造・物流能力が供給に追いつかず遅配や欠品が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは災害・事故等への対応としてBCP(事業継続計画)を策定しています。経営資源を起点に対策を考えるオールハザード型のBCPを基に、複数のグループ会社を対象として、22年7月に物流面の機能発揮状況を確認する訓練を合同で実施しました。サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内ではトラックのドライバー不足等、人財確保が深刻な課題となっており、また、海外ではテロや政治的な不安が顕在化することによるサプライチェーンの分断が懸念され、各事業では、需給予測精度の向上や物流能力の強化、代替戦略の検討等によるリスクの低減を進めています。これらの継続的な取り組みにより災害や感染症への対応力強化を図っておりますが、不測の事態に備え、引き続きレジリエンスの向上に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響調達・原材料価格・燃料価格の高騰に関するリスク・地政学リスク等の影響により、原材料が調達できなくなる、または遅延するリスク・サプライチェーン上流企業で起こる人権・環境など法令違反のリスク・調達コストが計画を上回り、事業利益を圧迫する・原材料について必要量を確保できない、または納品に遅れが生じ、製造計画に影響を及ぼすことで需給調整が発生、長期化する・調達が困難となり、加えて企業イメージの低下や不買運動が発生する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは価格の高騰に対しては長期契約やデリバティブ、為替ヘッジによるリスクの低減を行い、地政学リスク等への対応として調達先の分散の検討、原材料在庫率の引き上げなど安定調達体制の強化に取り組んでいます。またサプライチェーン上の人権や環境に関するリスクへの対応を重要な経営課題の1つと認識しており、2022年にはSedexへの加入、ステークホルダーダイアログ、人権デューデリジェンスを実施する等、高まる企業への要請に十分に応えられる体制の整備と組織能力の強化に取り組んでいます。サプライヤーに対しては、「キリングループ持続可能なサプライヤー規範」の説明を行うとともに、遵守に向けて承諾書の提出を求め、定期的にその遵守状況を確認しています。さらに、サプライヤーが取引の懸念事項を通報できる通報窓口(ホットライン)も整備しており、サプライヤーとの連携を密にすることで持続可能な調達の推進に取り組んでまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響情報セキュリティ・サイバー攻撃、情報セキュリティ事故、情報漏洩等に関するリスク・個人情報や重要な営業秘密の情報漏洩により、お客様の信頼の失墜や損害賠償などが発生する・サイバー攻撃などにより、業務が停止する、または復旧に時間を要することで事業活動が遅延する主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、深刻化しているサイバー攻撃の脅威に対応するため「KIRIN-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」を構築し、グループ重要リスクの一つとして情報セキュリティ対策に取り組んでいます。グループ内のセキュリティ対応体制を整え、人的・物理的・技術的対策を実施することで、ウィルス感染や外部からの不正アクセスといったサイバー攻撃の脅威への対策強化に努めています。また、サイバー攻撃などでの経済的な影響を低減するためグローバルでサイバー保険の付保を行うなどリスクの移転も含めて対応を行っています。これらにより、一定レベル以下にリスクは低減できていると考えていますが、未知のサイバー脅威などには幅広く情報収集などを行いながら対策を講じてまいります。(詳細につきましては、「情報セキュリティ報告書」にキリングループの取り組みを記載しています。) 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響コンプライアンス・法令違反や社会の要請に反した行動が行われるリスク・法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う主な対策、その他リスクの状況認識等キリングループでは、コンプライアンスについて、「法令、社内外の諸規則・ルールの遵守はもちろんのこと、社会からの要請に応え、法的責任と社会が求める倫理的責任を果たすこと」と定義しています。人権やハラスメント、腐敗行為(贈賄を含む)防止や適正飲酒などに関する研修を定期的に実施し、ルールの理解浸透や意識啓発を図り、リスク事案の発生可能性の低減に努めています。また、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクの洗い出しにつなげるとともに、回答によっては事実確認や対策を講じることで初期段階でのリスク低減に取り組んでいます。リスク事案の早期発見につなげるべく、内部通報の体制も整備しており、各グループ会社で窓口が設置されているほか、コンプライアンス担当役員直通・監査役直通やグローバルホットラインも設置しています。法令を遵守することはもとより、社会の要請を踏まえた高い倫理観を醸成できるよう、引き続き従業員のコンプライアンス意識の向上を目指してまいります。 項目想定するリスクリスクが顕在化した場合の主な影響財務・税務・為替レートにより円換算後の価値が変動するリスク・金融市場の変化や格付の変更等により必要資金が調達できないリスク / 資金調達コストが変動するリスク・各国税制の変化や税務申告における税務当局との見解の相違により、予想以上の税負担が生じるリスク・現地通貨建て財務諸表の円換算値や、外国通貨建て取引による原材料の調達コストが変動する・資金調達が制約され運転資金不足が生じる / 高金利での資金調達により金融収支が悪化する・追加税負担により業績が悪化する、社会的信用が低下する主な対策、その他リスクの状況認識等市場環境や為替レート変動による影響は完全に排除できませんが、キリングループではデリバティブを使ったヘッジ等により、業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減しています。調達手段の多様化やグループキャッシュの一元管理を通した効率化により、資金関連リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。税務コンプライアンスを遵守した適正な納税の徹底により、税務リスクに大きな影響を与える可能性を低減しています。 上記以外にも、レピュテーションに関するリスク、地政学上のリスク、事業投資に関わるリスク、法改正に伴うリスクなど様々なリスクがあります。これらのリスクの存在を認識した上で、発生の防止・速やかな対応に努めてまいります。
FY2021|10,039 文字
2 【事業等のリスク】(1)リスクマネジメントの考え方キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える不確実性を「リスク」、ある時点を境にリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しています。キリングループにおいて「食領域」や「医領域」など既存事業領域の経営環境の不確実性、将来の成長基盤となる「ヘルスサイエンス領域」の育成、大規模自然災害の増加、新型コロナウイルスの感染拡大など、事業の推進にあたりリスクマネジメントの役割や重要性が増していると考えています。お客様、従業員、株主、社会から長期的に信頼を獲得できるよう、リスクの低減や未然防止を図り、リスクを許容範囲内に収めることをリスクマネジメントにおける基本方針とし、企業価値の最大化を目指すための多くの意思決定に際しては、戦略面・財務面等の様々な観点からリスクシナリオを分析し、適切なリスクコントロール案の検討を行います。なお、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示してまいります。 (2)リスクマネジメント体制・重要リスクの確定プロセスとモニタリング キリングループでは、キリンホールディングスの執行役員以上で構成され、リスク担当執行役員が委員長を務める「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会は、リスク情報の収集やリスクコントロール、中計や年度におけるグループリスク方針やコンプライアンスの重要項目の立案、リスク低減に向けた取り組み、リスク顕在化時の情報共有や対策の実施、グループ会社への必要な指示や支援など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、取締役会では重要リスクの審議や報告を通じ、リスクマネジメントの有効性を監督しています。(図1)重要リスクの確定プロセスについては、各年度で設定するキリングループのリスクマネジメント方針に基づき、グループ各社で戦略・事業遂行上のリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを検討し抽出しています。キリンホールディングスではこれら事業固有のリスクを集約し、またグループ全体に共通するリスクについて精査し、グループとしての重要リスクを取りまとめています。この案に基づき全社的な経営の観点からグループリスク・コンプライアンス委員会において経済的損失や事業継続性、レピュテーション棄損などグループとして影響度が大きなリスクを定量・定性の両面で総合的に評価し、発生頻度を踏まえて優先順位の高いリスクを選定しています。これを取締役会にて審議しグループの重要リスクとして確定させています。(図2)重要リスクについては、キリンホールディングスおよび当該グループ会社にてリスク内容に応じた各種の対策を立案し実行しています。キリンホールディングスはグループ会社に対して必要な支援や指示を行い、グループ会社はキリンホールディングスに報告や相談を行うなど相互に連携を行いながらリスクマネジメントを推進・運用しています。また、各グループ会社およびキリンホールディングスは四半期ごとにリスクのモニタリングを実施し、キリンホールディングスでは取締役会においてグループ重要リスクの状況や見直しを審議し必要な指示を行うことなどにより(図3)、戦略リスクを適切に管理・統制すると共に、クライシスに転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、クライシスに転化した場合はその影響を最小限に留めるなど、各種のリスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めています。 (図1)(図2) (図3) (3)キリングループ重要リスクキリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。以下に記載したリスクは、キリングループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。重要リスクは、「各事業領域における重要リスク」と「各事業領域共通の重要リスク」に分類しています。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。 ①各事業領域における重要リスク事業分野主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響食領域・事業環境の変化への対応に関するリスク・原材料価格の高騰に関するリスク・新規事業の成否に関するリスク・市場環境や嗜好の変化、販売価格の変動、競合他社の動向等により、販売計画を達成できない可能性・原材料価格の高騰により調達コストが上昇し、製造原価に影響を及ぼす可能性・新規事業が市場に浸透せず、収益が下振れし、事業計画が遅滞する可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について食領域につきましては、キリングループの主力事業分野であり、リスクが発現した場合には甚大な影響があると考えていますが、食領域の収益力強化に向け高付加価値商品拡大など事業収益構造変革に取り組んでいることや事業環境変化に対してはこれまでに培った知見やリスク対応レベルは上がってきていると考えており、適切に対処することでリスクの顕在化を低減しています。しかしながら新型コロナウイルス関連では変異株の出現や事業展開国での流行度合いに応じた規制によって、飲食店などの業務用市場や自動販売機事業でその影響を引き続き受けるものと想定しています。また、原材料価格の高騰が直接的に収益に影響を与える可能性や、国内ホームタップ・グローバルなクラフトビール展開の成否による中長期的な事業計画への影響を考慮し、それぞれ重要リスクの一つとして位置づけています。(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています) 事業分野主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響ミャンマーからの事業撤退・合弁解消ができず、ミャンマー事業から撤退できないリスク・撤退に伴う当該事業の資金が回収できないリスク・当社の取り組みが各ステークホルダーに適切に伝わらない可能性・連結業績への影響が発生する可能性や現地通貨の資金が回収できない可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてミャンマーからの事業撤退については2022年6月末までに決着させるべく取り組んでいます。ただし、依然として不確実性が高いこと、グループ連結決算における金額的な重要性が低いことを勘案し、2022年通期業績予想の売上収益・事業利益はともに0億円としています。(2022年2月末現在の情報に基づきます。当件につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」にも記載しています。また、事業撤退に向けた進捗につきましては、ホームページ等にて適宜公表してまいります) 事業分野主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響医領域・グローバル戦略品の価値最大化に関するリスク・製品品質・安定供給に関するリスク・医療費抑制策に関するリスク・新規上市国での価格が想定と乖離して売上が予測より大きく下振れする、上市準備の遅延等により事業エリア拡大が遅れる、潜在患者の掘り起こしの難航などで市場に浸透しない可能性・製品の安全性や品質に懸念が生じ回収が発生、急激な需要増又は需給逼迫により安定供給に支障が発生する可能性・国内外において医療費抑制の圧力による製品の価格引き下げ、後発医薬品への移行が進む可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてグローバル戦略品の価値最大化に向けては、グローバルマネジメント体制の下、市場浸透施策や欧米を中心とした事業地域の拡大を進めています。グローバルに事業を拡大するためには、製品の品質保証体制と安定供給体制といった基盤の強化も重要と考えています。品質保証体制に関しては、グローバル品質保証委員会等によるモニタリングや、独立した専門の監査チームによる自社や委託先の品質監査を通して、グローバルレベルでの強化を図っています。安定供給体制に関しては、委託先の拡充、自社工場への設備投資、製造作業効率化のためのデジタル化推進、製造ならびに品質管理部門の増員と教育システムの充実を進めています。また国内外において医薬費抑制の圧力が高まっていますが、各国の政策動向を注視するとともに、開発品目の上市後の価格を予測し、影響を評価しています。また患者さんのニーズを満たすLife-changingな医薬品をお届けするために、その価値を科学的に訴求できる戦略的な承認申請パッケージ策定を検討しています。(詳細につきましては、協和キリン㈱の有価証券報告書に記載しています) 事業分野主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響ヘルスサイエンス領域・社会課題に対し独自の商品やサービスを提供できないリスク・変化の激しいヘルスサイエンス領域で競合等の外部環境変化への対応が遅れるリスク・新しい領域での組織能力が不足し付加価値を高められないリスク・品質保証、製品の安全性、欠品に関するリスク・キリンのヘルスサイエンス事業の重点領域である免疫、脳機能、腸内環境で有効なビジネスモデルが構築できずに、販売計画が未達となる可能性・組織体制の構築と事業を担う人材の育成・獲得・強化が遅れ、グループ間の連携やシナジー効果が発揮できず、新たな価値創造を伴う高収益モデルが構築できない可能性・生産計画通りに製造が進まず商品の欠品が発生する可能性・機能性表示食品において、健康被害・品質トラブル、エビデンス不足、有害事象、不適切な情報を発信する可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてヘルスサイエンス領域は新規事業を多く抱え、戦略的にリスクを取って事業の拡大を目指しており、次世代の成長機会獲得の探索、また、その実現に向けて、ステージゲート制度やCVCの運用を開始し、グループ内の協業の加速、シナジー発揮に取り組んでいます。機能性表示食品を有する免疫領域では、お客様の日常への免疫ケア習慣の定着を目指し、プラズマ乳酸菌についての認知拡大、機能啓発による成果創出と、早期のビジネスモデルの確立を目指しています。事業を推進していく一方で、適切なリスクコントロールができるよう、組織能力の整備とガバナンスの強化を図ってまいります。(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています) ②各事業領域共通の重要リスク項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響新型コロナウイルス・新型コロナウイルス(感染症)により事業活動が制限されるリスク・従業員が罹患し、影響が拡大するリスク・感染拡大により、緊急事態宣言やロックダウン等の規制が強化され、事業活動が制限される可能性・適切な感染対策を取りながらも、社内でクラスターや感染拡大が発生し、罹患、濃厚接触を理由とした自宅待機者数の増加等により事業活動に必要な要員を確保できない可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について2020年1月以来、新型コロナウイルス対策本部を設置し、情報収集、状況判断、対策の検討・決定、グループ会社への情報共有や指示などを行っています。新型コロナウイルスは国・地域によって差はあるものの、変異株が出現するなど依然として感染拡大の懸念を残しており、コロナ前の事業環境には戻らないことを想定しています。コロナ禍における健康意識の高まりを追い風に、社会課題の解決やお客様によりそった活動を推進し、事業の成長を目指してまいります。従業員の罹患リスクに対しては、各種の感染予防策を実施・徹底しており、また罹患が疑われる場合の報告体制や対応フローなども取り決めています。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響人材確保・育成・グループ経営を推進する人材や事業活動に必要な高い専門性を持った人材などを十分に確保・育成できないリスク・競争優位性のある組織能力が実現しない可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてキリングループは、事業の遂行やイノベーションを実現するには人材が重要であるとして、グループ経営を推進する人材の確保・育成に向けて、組織風土の変革や人材マネジメントの仕組み化に取り組んでいます。また、多様な価値観・専門性を持った人材が集い、多様性を受容し価値創造を実現するための組織能力向上を目指しています。また、ウィズコロナにおける新たな働き方として「働きがい」改革 KIRIN Work Style 3.0を推進し、仕事の意義、目的を見直すことで、「グループの持続的な成長」につながる「生産性向上」、「創造性向上」、「個の充実」の実現を目指しています。多様な人材と挑戦する風土は企業の根幹であるとの認識のもと中長期視点での取り組みを継続して実施してまいります。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響情報技術・DXの取り組みが進まず、市場においてキリンのICT活用が競合劣後となるリスク・DX専門人材の確保、育成が不十分となるリスク・サプライチェーンの効率化が進まず、高コストとなり利益の拡大が限定的になる可能性・消費者の動向把握などが不十分でお客様の期待に応える商品が提供できず、売上・利益が限定的となる可能性・DXで取り組むべき課題に対して要員が不足し、適時速やかに実行されない可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、テクノロジーやデータを活用した業務プロセスの変革が進み、既存業務の効率化を実現するとともに、顧客理解やプロダクト/サービスの開発工程のプロセス変革を進めるなど、新たな価値創出に取り組んでいます。各社各部門での自律的なDX推進の実現に向けて組織体制の充実を図り、DXを推進できる人材の確保や独自のプログラムによる人材育成を進めています。なお、標準化された情報システム(ERP)について、2022年1月から国内事業会社を中心に経理、物流、生産の3領域でシステムが稼働しており、今後も3領域以外での再配置を進め、各事業に適した基盤システムの構築を目指しています。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響製品の安全・品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題が発生するリスク・製品の製造中止や市場からの回収または損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてキリングループでは、品質方針に基づきお客様への安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先することを宣言しています。グループの自社工場で製造する製品や製造委託工場・輸入品等の他社製造品について、品質保証システムを整備しグループ全体で製品の品質モニタリングや品質保証の仕組みの監査を実施する等、品質保証に最大限努めています。経営トップが品質の重要性をグループ全体にメッセージとして発信することに加えて、教育研修や経営資源配分など率先して行動を起こし、製造部門に限らず全部門にわたって品質を大切にする組織風土の醸成に引き続き取り組んでまいります。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響人権・キリングループおよびそのパートナーが人権問題を起こしたり、人権上の問題のある調達を行うリスク・当該国又はグローバルな事業活動に重大な悪影響を及ぼす可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてキリングループでは、人権の尊重は全ての事業活動の土台であるとの認識の下、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定し、2022年にはサステナビリティ全体を統括するグループCSV委員会傘下の会議体として「グループ人権会議」を位置づけ、人権尊重を推進する取り組みを強化しています。人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働を認めない他、人種、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別の禁止をしています。キリングループの事業と関係する人権に対する負の影響を特定し、予防、軽減する取り組みを、人権デューデリジェンスの実施とともに進めてまいります。キリングループは、全てのビジネスパートナーに対して「キリングループ人権方針」の支持を期待し、サプライヤーに対してはこの方針を遵守いただけるよう努めてまいります。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響環境課題・気候変動による物理的リスク及び脱炭素社会への移行リスク・プラスチック容器の資源循環に関するリスク・気候変動による物理的リスクとして温暖化や渇水・洪水による原材料農産物の収量減による調達コスト増、渇水・洪水による操業停止、移行リスクとして炭素税などによるエネルギー費増の可能性・気候変動やプラスチック容器などの環境問題において、社会からの懸念や企業に対する期待の高まりに十分に応えられない可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてキリングループでは、様々な環境問題に対して長期戦略「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、その達成に向けて取り組んでいます。気候変動に伴う原材料農産物の収量減といった物理的リスクやカーボンプライシング等の移行リスクに対しては、TCFD提言に基づくシナリオ分析により財務影響や戦略のレジリエンスを評価し、必要な方針・戦略の修正や取り組みの深化を進めています。プラスチック容器の問題では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量のリサイクル樹脂50%(「キリングループプラスチックポリシー」)を目指して、ケミカルリサイクルによるPET再資源化に向けた技術検討と実用化を目指す共同プロジェクトを開始しています。キリングループは、これら気候変動、生物資源、水資源、容器包装が相互に関連する環境問題を統合的に捉え、持続可能な地球環境を次世代につなぎます。(具体的な対策につきましては、「経営方針、経営環境および対処すべき課題」に記載しています) 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響アルコールの負の影響・世界的な規模での酒類販売に関する将来的な規制が行われるリスク・酒類の消費が減少する可能性や企業ブランドの価値が低下する可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてアルコールの負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売に関する将来的な規制に向けた議論をしています。キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループとして社会的責任を果たすために、全ての酒類事業展開国においてアルコールの負の影響の根絶に向けた取り組みを進展させています。広告・宣伝活動にあたっては責任ある飲酒に関するグローバルマーケティング指針や厳しい自主基準を遵守する他、IARDなど国内外の業界団体と連携した取り組みを進めるとともに、日本においてはWEBなども活用しながら20歳未満の飲酒防止啓発や適正飲酒啓発活動を行っています。ウィズコロナにおける社会情勢の変化へ対応しながらアルコールの有害摂取根絶に向けた取り組みを着実に進展させてまいります。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響サプライチェーン・地震・天候不順・冷夏・干ばつ・台風・集中豪雨・森林火災などの大規模自然災害、感染症、その他の災害・事故等によりサプライチェーンが分断するリスク・事業所等の閉鎖や事業活動の縮小・停止する可能性・最盛期の販売量の急増により、調達・製造・物流能力が供給に追いつかず遅配や欠品が生じる可能性・自然災害や感染症の影響により、道路や港湾の交通網に支障をきたし、配送の停止や納品遅れが発生する可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について災害・事故等への対応としてBCP(事業継続計画)を策定していますが、その内容を震災や感染症といった事例別の対策から、経営資源を起点に考えるオールハザード型への移行を進めています。サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内ではトラックのドライバー不足等、人材確保が深刻な課題となっており、また、海外では船舶輸送の遅延が生じており、サプライチェーンの分断が起きる可能性があります。各事業では、需給予測精度の向上や物流能力を強化しリスクの低減を進めています。これら継続的な取り組みにより災害や感染症への対応力は向上していると認識しています。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響情報セキュリティ・サイバー攻撃、情報セキュリティ事故、情報漏洩等に関するリスク・個人情報や重要な営業秘密の情報漏洩により、お客様の信頼の失墜や損害賠償などが発生する可能性・サイバー攻撃などにより、業務が停止したり復旧に時間を要す可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてキリングループでは、深刻化しているサイバー攻撃の脅威に対応するため「KIRIN-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)」を構築し、キリングループにおける重要リスクの一つとして情報セキュリティ対策に取り組んでいます。グループ内のセキュリティ対応体制を整え、人的・物理的・技術的対策を実施することで、ウィルス感染や外部からの不正アクセスといったサイバー攻撃の脅威への対策強化に努めています。詳細につきましては、「情報セキュリティ報告書」にキリングループの取り組みを記載しています。また、サイバー攻撃などでの経済的な影響を低減するためグローバルで付保を行うなどリスクの移転も含めて対応を行っています。これらにより、一定レベル以下にリスクは低減できていると考えていますが、未知のサイバー脅威などには幅広く情報収集などを行いながら対策を講じてまいります。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響コンプライアンス・従業員の不適正飲酒や贈収賄など、法令等に違反したり社会の要請に反した行動が行われるリスク・法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識についてキリングループでは、リスクのマネジメントサイクルや従業員啓発の研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、贈収賄防止を図り、不当な金銭・贈答・接待及びその他の利益の提供又は受領を禁じています。グループ各社のホットラインを整備しているほか、コンプライアンス担当役員直通・監査役直通のホットラインを設置しています。さらに、毎年、従業員コンプライアンス意識調査を実施し、潜在的なリスクを洗い出すとともに、回答内容の事実関係の確認や対処など初期段階でのリスクの低減を図り、同調査結果はグループリスク・コンプライアンス委員会に報告しています。これらの施策により重大コンプライアンス違反の発生による影響の低減に取り組んでおり、引き続き従業員のコンプライアンス意識の向上を目指してまいります。 項目主なリスクリスクの内容、リスクが顕在化した場合の主な影響財務・税務・資金調達リスク、為替変動リスク、税務リスク・資金調達コストが増加する可能性、為替レートにより円換算後の価値が変動する可能性・各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、追加で税負担が生じたり、社会的信用が低下する可能性主な対策、関連ページおよびリスクの状況認識について財務リスクの対応として「キリングループトレジャリーポリシー」を制定し、グループの資金の適切な管理と財務リスクの低減を行っています。税務の観点では、税務コンプライアンスを遵守するとともに、様々なステークホルダーに対して税の透明性を確保する目的で「キリングループ税務方針」を策定しました。市場環境や為替レート変動による影響や税務リスクは完全に排除できませんが、これらの対策により業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減しています。
FY2020|1,918 文字
2 【事業等のリスク】(1)リスクマネジメントの考え方 キリングループにおいて、「食領域」や「医領域」など既存事業領域の経営環境の不確実性、将来の成長基盤となる「ヘルスサイエンス領域」の育成、大規模自然災害の増加、新型コロナウイルスの感染拡大など、事業の推進にあたりリスクマネジメントの役割や重要性が増していると考えています。キリングループでは、経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与える不確実性を「リスク」と定義しています。また、ある時点を境にリスクが顕在化し対応に緊急性を要するものを「クライシス」と定義しています。キリングループは、お客様、従業員、株主、社会から長期的に信頼を獲得できるよう、収益性や資本効率の向上などにより企業価値の最大化を目指し適切な戦略リスクを取る一方、リスクマネジメントの体制を構築・整備しリスクコントロールやコンプライアンスを強化・徹底することで、リスクの低減や未然防止を図り、リスクを許容範囲内に収めることをリスクマネジメントにおける基本方針としています。また、リスク情報は、当社ホームページなどを通じて適時適切に開示をしてまいります。 (2)リスクマネジメント体制・重要リスクの確定プロセスとモニタリング キリングループでは、取締役会にて重要リスクの審議や報告を行う他、「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会はキリンホールディングス㈱の社内取締役と執行役員で構成され、リスク担当の執行役員が委員長を務めています。同委員会は、リスク情報の収集やリスクコントロール、中計や年度におけるグループリスク方針やコンプライアンスの重要項目の立案、リスク低減に向けた取り組み、リスク顕在化時の情報共有や対策の実施、グループ会社への必要な指示や支援など、リスクマネジメント活動の全般を統括しています。(図1)重要リスクの確定プロセスについては、各年度で設定するキリングループのリスクマネジメント方針に基づき、グループ各社で戦略・事業遂行上のリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを検討し抽出しています。キリンホールディングスではこれら事業固有のリスクを集約し、またグループ全体に共通するリスクについて精査し、グループとしての重要リスクを取りまとめています。この案に基づき全社的な経営の観点からグループリスク・コンプライアンス委員会において発生頻度が高く、経済的損失や事業継続性、レピュテーション棄損などグループとして影響度が大きなリスクを定量・定性の両面で総合的に評価し、優先順位の高いリスクを選定しています。これを取締役会にて審議を行いグループの重要リスクとして確定しています。(図2)重要リスクについては、キリンホールディングス及び当該グループ会社にてリスク内容に応じた各種の対策を立案し実行しています。キリンホールディングスはグループ会社に対して必要な支援や指示を行い、グループ会社はキリンホールディングスに報告や相談を行うなど相互に連携を行いながらリスクマネジメントを推進・運用しています。また、各グループ会社及びキリンホールディングスは四半期ごとにリスクのモニタリングを実施し、キリンホールディングスでは取締役会においてグループ重要リスクの状況や見直しを審議し必要な指示などを行うことなどにより(図3)、戦略リスクを適切に管理・統制すると共に、クライシスに転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、クライシスに転化した場合はその影響を最小限に留めるなど、各種のリスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めております。 (図1) (図2) (図3) (3)キリングループ重要リスクキリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。以下に記載したリスクは、キリングループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。重要リスクは、「各事業領域における重要リスク」と「各事業領域共通の重要リスク」に分類しております。なお、本文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り当年度末において当社が判断した内容に基づきます。なお、2021年2月に発生しましたミャンマーの政情激変によるリスクの記載は2021年3月15日現在の情報に基づきますが不確実性が高い状況にあります。引き続きホームページなどで情報を適宜開示してまいります。 ①各事業領域における重要リスク ②各事業領域共通の重要リスク
FY2019|8,267 文字
2 【事業等のリスク】キリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしも重要な影響を及ぼすリスク要因に該当しない事項についても投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお、以下に記載したリスクはキリングループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。キリングループでは、戦略・事業遂行上でのリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを「グループリスク・コンプライアンス委員会」にて把握・検討し、グループ重要リスクとして整理しています。さらに、戦略リスクを適切に管理・統制すると共に、クライシスに転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、クライシスに転化した場合はその影響を最小限に留めるなど、各種のリスクマネジメント体制を整備し、リスクの低減や適切な管理に努めております。しかしながら、リスクが顕在化した場合には、キリングループの経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、本文中における将来に関する事項は2019年12月31日現在において当社が判断した内容に基づきます。 (1) 各事業領域におけるリスク ① 食領域に関するリスク食領域では、主に、人口動態・市場・嗜好の変化など事業環境変化への対応のリスク、競争環境激化のリスク、法令等の改正による影響などのリスクがあります。今後の酒類事業・飲料事業は、国内では人口減少により長期的に総需要の縮小が見込まれる中、嗜好の多様化や価格の二極化が進んでおり、RTDを含む低価格帯カテゴリーが伸長する一方、クラフトビール等の高価格帯カテゴリーや無糖飲料・機能性飲料等の健康志向の商品の需要が拡大していくことが予測されます。海外では、国や地域によって事業環境は異なり、人口増加による総需要拡大や新たな飲用人口の拡大に伴う低価格帯カテゴリーの成長が今後も見込まれる新興国市場がある一方、先進国市場や発展段階の進んだ新興国市場においては、日本と同様に、高価格帯カテゴリーの伸長や健康志向の商品への需要が見込まれます。こうした市場環境やお客様の嗜好の変化への対応が遅れ、競争優位な商品やサービスの提供ができずに売上や利益が減少する可能性があります。国内の酒類事業(キリンビール㈱)においては、2020年の酒税改定に伴い、販売価格の変動や競合他社の動向等により、予想を超えて酒類市場のカテゴリーの構成の変化が起きたり、RTDの競争激化により、販売計画を達成できない可能性があります。海外の酒類事業(ライオン社)は、当該地域におけるビール需要の継続的な減少や競合との競争激化による利益の減少、またライオン社が戦略的に展開する海外クラフトビールにおいて、グローバル大手酒類メーカーを中心に、高価格帯市場での競争力を高めようとする動きが加速しており、戦略に沿った展開が進まない可能性があります。国内の飲料事業(キリンビバレッジ㈱)においては、競争環境における基盤ブランド商品の販売量の減少により、売上や損益への影響が発生する可能性があります。 ② 医領域に関するリスク医薬事業(協和キリン㈱)では、主に研究開発に関するリスク、副作用に関するリスク、知的財産権に関するリスク、特許権満了に関するリスク、海外事業展開に関するリスク、安定供給に関するリスク、製品品質に関するリスク等があります。研究開発では、大学や医療機関、ベンチャー企業と一体となったオープンイノベーションによる新薬の研究開発を行うなど、新薬創出型の製薬企業として魅力ある開発パイプラインの構築を目指していますが、長期間にわたる新薬の開発過程において、期待通りの有効性が認められない場合や安全性等の理由により研究開発を断念する場合があります。開発段階においては厳しい安全性の評価を行っておりますが、市販後に新たに予期していない副作用が見つかった場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。知的財産権については厳しく管理しておりますが、知的財産権が侵害された場合や第三者の知的財産権を侵害し訴訟を提起された場合には、製品の売上収益又は技術収入の減少、製品の製造・販売等の差し止めや損害賠償金や和解金の支払い等が発生する可能性があります。新薬の発明は特許権で一定期間保護されますが、特許権が満了し他社の後発品が参入した場合、自社製品の売上収益が減少する可能性があります。医薬事業における主力製品の一つである腎性貧血治療剤ネスプの物質特許が満了し、新製品の売り上げでカバーできない場合には、売上収益が減少する可能性があります。グローバルマネジメント体制による事業のグローバル展開を進めていますが、グローバル体制の構築が計画通りに進まない場合、新規上市国での薬価が想定より大幅に下回る場合、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる場合、予定通り市場に浸透しない場合には、経営目標の達成が困難になる可能性があります。グローバル展開のために、強固な生産体制の構築を進めていますが、製造施設・物流施設において技術上又は法規制上の問題、原材料及び燃料の供給停止、予想を上回る製品の需要増等により、製品の安定供給に影響を及ぼす可能性があります。また、医薬品製造には厳格な製造・品質管理基準(GMP基準)が求められており、GMP上の重大な問題や製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は製造停止や製品回収が発生する可能性があります。 ③ 「ヘルスサイエンス領域」に関するリスクヘルスサイエンス事業では、社会課題の解決に独自の商品やサービスを提供できないリスク、新しい領域での組織能力が不足し付加価値を高められないリスク、新規投資先とのシナジーが創出できないリスク等があります。この領域では、疾患の発病予防や進行抑制による健康の維持や生活の質の向上、社会保障費抑制などの課題に対し、医と食の両面で強みを持ち、発酵・バイオの基盤技術を活用したキリンならではの取り組みを行ってまいりますが、新規性のある素材等の研究開発の遅れや効果的な商品・サービスが提供できない場合には、期待される社会課題解決への貢献が充分に行えない可能性があります。「ヘルスサイエンス事業」は新規の事業領域であり、優位性のあるビジネスモデルや適切な組織・ガバナンス体制を構築できない場合、技術開発が想定通りに進まない場合、想定を超えて法令・規制等の影響を受ける場合などには、事業推進が計画通りに進まない可能性があります。また、「ヘルスサイエンス事業」の立ち上げと育成に向けては事業・資本提携、オープンイノベーションを意識したベンチャー企業への投資なども想定していますが、事前調査や評価プロセスにおいて潜在的なリスクを発見できない場合、キリングループが提携先の経営・事業・資産等に対して十分なコントロールが行えない場合には、想定したシナジーを創出できない可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、ヘルスサイエンス事業が計画通り成長しない可能性があります。 (2) 各事業領域共通のリスク ① 「事業領域の維持・拡大」に関するリスクキリングループでは、マネジメントシステムでの定期的な事業モニタリングなど市場や事業環境の変化への対応を行っておりますが、適切な経営資源の投入や配分が行われなかったり遅れたりした場合、最適なサプライチェーンを維持できない場合などには、ビジネスモデルの陳腐化や事業の競争優位性が低下し、キリングループの事業領域の維持又は拡大が困難になる可能性があります。商品やサービスの需要の変化、情報技術の発達やサプライチェーンの変化等を背景に、異分野・異業種の事業者がキリングループの事業領域に参入し、新たな競争事業者となる可能性があります。競争事業者が画期的なビジネスモデルや商品・サービスに基づき事業を展開した場合やサプライヤーや取引先等も含めサプライチェーン全体で適切な対応ができない場合などには、事業遂行上の影響を受けたり競争優位性が低下する可能性があり、また、当該事業領域のグループ会社や出資先企業の収益性の悪化等により、資産やのれん等の減損損失が生じる可能性があります。 ② 「情報技術」に関するリスクキリングループでは、経営基盤の再構築と高度化、グループ会社間での業務の効率化による生産性向上を目指し、標準化された情報システム(ERP)の導入を進めていますが、想定通りに進まない場合は、運用開始時期の遅延や開発費用の増加などが発生する可能性があります。また、デジタルトランスフォーメーションを推進し、これまで以上に深いお客様理解から得られるインサイトを具現化した商品・サービスの提供、業務プロセス課題の改善・解決や業務品質向上を目指していますが、計画通りに進捗しない場合には競争力のある価値創造を実現できない可能性があります。情報システムについては、コンピュータウィルスの感染や不正アクセスによる情報の消失、データの改ざん、個人情報や会社の重要機密情報の漏洩、さらには地震等自然災害の発生により、情報システムの停止又は一時的な混乱、事業への影響が発生する可能性があります。 ③ 「人材確保・育成」に関するリスクキリングループは、事業の遂行やイノベーションを実現するには人材が重要であるとして、グループ経営を推進する人材の確保・育成に向けて、組織風土の変革や人材マネジメントの仕組み化に取り組んでおります。また、多様な価値観・専門性を持った人材が集い、多様性を尊重し価値創造を実現するための組織能力向上を目指しています。しかしながら、雇用情勢の変化などによりグループ経営を推進する人材や事業活動に必要な高い専門性を持った人材、環境変化に対応し業務を遂行できる人材などを十分に確保・育成できない場合は、競争優位性のある組織能力が実現しない可能性があります。 ④ 「製品の安全性」に関するリスクキリングループでは、品質方針に基づきお客様への安全・安心な商品・サービスの提供を何よりも優先し、グループの自社工場で製造する製品や製造委託工場・輸入品等について品質保証システムを整備し、品質保証システムの有効性の監査を実施する等、品質保証に最大限の努力を払っています。しかしながら、品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題等が発生した場合には、製品の製造中止や市場からの回収又は損害賠償請求などにより、多額の費用の発生や事業活動の制限がなされる可能性があります。 ⑤ 「コンプライアンス」に関するリスクキリングループは事業の遂行にあたって、国内においては、酒税法、食品衛生法、薬機法、独占禁止法、労働安全衛生法、環境諸法令等の法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。これらに対し、キリングループでは、コンプライアンスを「法令、社内外の諸規則・ルール及び社会規範を遵守し、法的責任と社会が求める倫理的な責任を果たすことにより、予期せぬ損失や信用の失墜を防止し、ステークホルダーのキリングループに対する信頼を維持向上させること」と定義し、リスクのマネジメントサイクルや従業員啓発の研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、贈収賄防止をはかり、不当な金銭・贈答・接待及びその他の利益の提供又は受領を禁じています。しかしながら、これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受けたりお客様からの信頼を失ったりする可能性があります。なお、医薬品は法令等により医薬品製造業者は厳格な製造・品質保証が課されておりますが、昨年、当社子会社において医薬品製造方法等に関する法令違反が発生し、当局から業務停止命令・業務改善命令を受ける事案が発生いたしました。その概要は「対処すべき課題」に記載いたしました。現在、業務改善命令に沿って法令や手順を遵守する取り組みを進めておりますが、製造・出荷体制が遅れる場合には、製品の供給に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 「災害・事故・サプライチェーン・イベント」に関するリスク地震・天候不順・冷夏・干ばつ・台風・集中豪雨・森林火災などの大規模自然災害、新型インフルエンザなどの感染症によるパンデミック、大規模停電やその他の災害・事故等の影響により、事業所等の閉鎖や事業活動を停止する可能性があります。サプライチェーンにおいては、災害・事故等による影響の他、国内ではトラックのドライバーが不足する等、サプライチェーン全般を通じて人材確保が困難になっており、サプライチェーンの分断が起きる可能性があります。キリングループでは、需給予測精度の向上や物流能力を強化しリスクの低減を進めていますが、想定よりも大きな影響を受ける場合には、調達・製造・輸送コスト等の上昇や販売の機会損失等が発生する可能性があります。また、今年度は東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、期間中のサプライチェーンや業務に混乱が生じないよう対策を行ってまいります。 ⑦ 「環境課題」に関するリスク環境課題については、今年「長期環境ビジョン」を改定し、気候変動に起因する災害や海洋プラスチック問題など、自然環境に対する社会からの懸念や企業に対する期待の高まりに応えるべく、より高い目標を設定し取り組みを進めています。海洋プラスチックによる海洋汚染に関する国際的な関心の高まりや廃プラスチックの流通構造変化等により、PETボトルをはじめとするプラスチック容器の問題がクローズアップされています。キリングループでこれらの問題に適切な対応をすべく取り進めておりますが、対処が遅れたり解決できない場合には、飲料事業を中心にグループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。また、地球温暖化に対する世界の関心や気候変動のリスク情報を企業の財務情報として開示する要請が高まっています。キリングループは、温室効果ガス排出量を2030年までに2015年比で30%削減する中期削減目標を掲げ、「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」の承認の取得や「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同の表明を行うと共に、削減に向けた様々な活動を行っています。今後、キリングループが事業展開する各国において大型炭素税などのカーボンプライシングが導入された場合、温室効果ガス削減の進捗度合いによっては事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、キリングループが事業を行う国内外における活動拠点の各種汚染等、渇水などによる水資源の不足、森林破壊等の環境破壊を伴う調達の影響などにより、商品の製造の停止や企業ブランド価値が棄損する可能性があります。 ⑧ 「人権」に関するリスクキリングループでは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を2018年に策定し、人権尊重を推進する取り組みを強化しています。人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働を認めない他、人種、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別の禁止等を求めています。一方、ミャンマーをはじめとする新興国市場での事業運営は非常に複雑な課題であるため、キリングループ自身の理解を深めつつ、透明性やガバナンスの向上といった仕組みの改善に向けた不断の努力が必要であると認識しており、それこそが新興国でキリングループが事業を行う上での重要な役割だと考えています。また同時に、ミャンマーでの人権影響評価実施等、事業を行う上でのリスク管理強化も進めています。しかしながら万一、キリングループが人権問題を発生させた場合や人権上の問題のある調達を行った場合には、当該国又はグローバルでの事業活動に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。キリングループは、全てのビジネスパートナーに対して「キリングループ人権方針」の支持を期待し、サプライヤーに対してはこの方針を遵守いただけるよう努めてまいります。 ⑨ 「各国の政策」又は「業界固有の状況」に関するリスクキリングループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制等の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や慣習の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、キリングループの事業活動が制限されたり一時的な業務停止などの悪影響を及ぼす可能性があります。アルコールの負の影響に関して、WHOは世界的な規模での酒類販売に関する将来的な規制に向けた議論をしています。キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループとして、社会的責任を果たすために、広告・宣伝活動にあたっては厳しい自主基準に基づき自ら規制を行っている他、全ての酒類事業展開国においてアルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを進展させています。しかしながら、キリングループの予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、アルコールへの社会的受容が急激に縮小し酒類の消費が減少する可能性や企業ブランドの価値が低下するおそれがあります。また、酒類事業では、海外での法規制の緩和に伴い、キリングループの事業活動を展開する国や地域で嗜好用大麻が解禁され、アルコール飲料の代替となる場合には、酒類事業の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。飲料事業では、肥満や生活習慣病の低減のため、WHOは各国に糖類の利用低減と加糖飲料への課税を要請しており、砂糖税の導入又は導入を検討している国があります。各国での糖類規制や税制による影響、また消費者の意識の変化などにより、加糖飲料の社会的受容が急激に縮小し消費が減少する可能性があります。医薬事業では、国内では、超高齢社会を迎え公定薬価制度による薬価の引き下げに加え、ジェネリック医薬品の使用促進等による医療制度改革が進められています。海外においても、医療費抑制への圧力は高まっています。このような各国の薬事行政の規制により様々な影響を受ける可能性があります。また、各国での医療財政の大幅な悪化に伴い、想定外の薬価改定や社会保障制度の変更等が発生する場合には、医薬品市場の縮小や医薬品開発の進捗の遅延、製品の上市が困難になる場合などがあります。 ⑩ 「財務」や「税務」に関するリスクキリングループの事業資金は、主に金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行等により調達しています。このため、金融市場の不安定化・金利上昇、また格付機関によるキリングループの信用格付けの引き下げの事態が生じた場合等には、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。キリングループの原材料及び商品の一部は、海外から調達していることから、予測の範囲を超える急激な市況変動や為替変動があった場合、また海外の子会社及び持分法適用会社の経営成績は外貨ベースで作成されており、円換算時の為替レートにより円換算後の価値が変動するため、キリングループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。税務においては、キリングループは、世界各国で適用される税法を遵守する方針に沿って事業活動を行っていますが、各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、追加での税負担が生じたり、社会的信用が低下する可能性があります。 上記以外にも、キリングループや商品・サービスに関するレピュテーションに関するリスク、退職給付債務等に関するリスクなど様々なリスクがあります。これらのリスクの存在を認識した上で、発生の回避・速やかな対応に努めてまいります。
FY2018|7,664 文字
2 【事業等のリスク】 キリングループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしも重要な影響を及ぼすリスク要因に該当しない事項についても投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。 キリングループでは、戦略・事業遂行上でのリスクや重大なクライシスに転ずる可能性のあるリスクを「グループリスク・コンプライアンス委員会」にて把握・検討し、グループ重要リスクとして整理しています。さらに、戦略リスクを適切に管理・統制すると共に、クライシスに転ずるリスクの顕在化を可能な限り防止し、クライシスに転化した場合はその影響を最小限に留めるなど、各種のリスクマネジメント体制を整備しています。 ※ 当社は、「キリングループ2019年-2021年中期経営計画」をもとに、2019年度以降の事業セグメントを用いて本文を記載していますが、本文中における将来に関する事項は2018年12月31日現在において当社が判断した内容に基づきます。 [A.戦略及びコンプライアンス上のリスク] (1) 各事業領域におけるリスク ① 食領域(酒類事業・飲料事業)に関するリスク今後の酒類事業・飲料事業は、国内では人口減少により長期的に総需要の縮小が見込まれる中、価格の二極化や嗜好の多様化が進んでおり、RTDを含む低価格帯カテゴリーが伸長する一方、クラフトビール等の高価格帯カテゴリーや無糖飲料・機能性飲料等の健康志向の商品の需要が拡大していくことが予測されます。海外では、国や地域によって事業環境は異なり、人口増加による総需要拡大や新たな飲用人口の拡大に伴う低価格帯カテゴリーの成長が今後も見込まれる新興国市場がある一方、先進国市場や発展段階の進んだ新興国市場においては、日本と同様に、高価格帯カテゴリーの伸長や健康志向の商品への需要が見込まれます。こうした市場環境の変化に対応するため、キリングループでは、お客様とブランドのつながりを強めてモノだけに留まらない体験価値を提供し、強いブランドを維持・育成する「お客様主語のマーケティング力」を強化することにより、競争優位なブランドポートフォリオ構築を目指しています。しかしながら、国内の酒類事業(キリンビール㈱)においては、今秋に予定されている消費税増税、2026年のビール類酒税一本化に向けた段階的な酒税改定に伴う販売価格の変動や競合他社の動向等により、予想を超えて酒類市場のカテゴリーの構成が変化し、販売計画を達成できない可能性があります。海外の酒類事業(ライオン社)は、ライオン社が戦略的に展開する海外クラフトビールにおいて、グローバル大手酒類メーカーを中心に、高価格帯市場での競争力を高めようとする動きが加速しており、戦略に沿った展開が進まない可能性があります。国内の飲料事業(キリンビバレッジ㈱)においては、基盤ブランド商品の販売数量が計画以上に減少又は容器構成差異が悪化することにより、成長を伴う利益の創出が計画通りに進まない可能性があります。米国の飲料事業(CCNNE社)では、米国での事業エリア拡大に伴う抜本的な構造改革を進めていますが、適切な事業体制の構築に遅れが発生する場合、目標とする利益率の改善が進まない可能性があります。サプライチェーンの観点からは、地震等の大規模自然災害・天候不順・冷夏・干ばつ・集中豪雨等の影響によりサプライチェーンが分断する可能性があります。さらに、国内ではトラックのドライバーが不足する等、サプライチェーン全般を通じて人材確保が困難になってきており、取り巻く環境の厳しさが増しています。キリングループでは、需給予測精度の向上や物流能力を強化し、リスクの低減を進めていますが、外部環境変化や労働力不足等の影響が想定よりも大きい場合、調達・製造・輸送コスト等の上昇や販売の機会損失等が発生し、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その他のリスクとして、オセアニア綜合飲料事業では、2018年10月から飲料事業の株式を第三者に譲渡する検討を開始しましたが、株式譲渡プロセスの大幅な遅滞や株式譲渡の履行不能が発生する場合、新たな事業体制の構築が計画通りに進まない可能性があります。また、ミャンマー(ミャンマー・ブルワリー社)では、新規参入や競合他社の攻勢によって、事業への影響を受ける可能性があります。 ② 医領域(医薬・バイオケミカル事業)に関するリスク医薬事業(協和発酵キリン㈱)では、「グローバル・スペシャリティファーマ」に向けた取り組みが順調に進展し、グローバル戦略品の開発・上市と共に、海外での事業展開を加速させています。一方で、グローバル戦略品について市場浸透の低迷や安定供給の問題が発生する場合には、「グローバル戦略品の価値最大化」が計画通りに進まない可能性があります。また、医薬事業では事業のグローバル展開を進めるにあたり、確実な供給体制の構築を進めています。しかしながら、製造施設・物流施設において技術上又は法規制上の問題、原材料及び燃料の供給停止により、製品の供給が停止又は遅延した場合や予想を上回る製品の需要増により製品の供給が不足した場合は、医薬事業の業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、新薬の開発には、長い年月と多額の研究開発費を必要としますが、開発の過程において、期待通りの有効性が認められない場合や安全性等の理由により、研究開発の継続を断念しなければならない可能性があります。知的財産権が侵害された場合には、製品の売上収益又は技術収入が予定より早く減少する可能性があり、第三者の知的財産権を侵害しているとして第三者から訴訟を提起された場合には、製品の製造・販売等の差し止め、損害賠償金や和解金の支払い等が発生する可能性があります。他社製品との競合や協和発酵キリングループ製品の特許権満了後の後発品参入がある場合には、売上収益が減少する可能性があります。 ③ 「医と食をつなぐ事業」に関するリスクキリングループは酒類、飲料、医薬・バイオケミカルといった既存の事業領域で培ってきた組織能力・資産を活用し、「医と食をつなぐ事業」の立ち上げと育成に取り組んでいます。この領域では、疾患の発病予防や進行抑制による健康の維持や生活の質の向上、社会保障費抑制などの課題に対し、医と食の両面で強みを持つキリンならではの取り組みを行い、エビデンスに基づく商品・サービスを訴求力の高いチャネルを通じて提供する事業を立ち上げ、グループの次世代の柱として育成していきます。「医と食をつなぐ事業」は新規事業分野であり、優位性のあるビジネスモデルや適切な組織・ガバナンス体制を構築できない場合や技術開発が想定通りに進まない場合は、新規事業の立ち上げ・育成が計画通りに進まない可能性があります。さらに、「医と食をつなぐ事業」における市場開拓や販売促進、新規性のある素材等の研究開発にあたっては、ICTの活用や豊富な知見を持つ社外の事業者や専門家との連携が不可欠ですが、これらの活用が不十分なレベルに留まった場合にも新規事業の立ち上げ・育成が計画通りに進まない可能性があります。 (2) 各事業領域共通のリスク ① 「事業領域の維持・拡大」に関するリスクキリングループでは、既存・新規を問わず自らの事業領域において、消費者の生活や価値観の変化に適応したビジネスモデルのあり方を常に考えています。自社及び他社との提携等により開発・製造・輸送・販売等のサプライチェーンの構築を行っていますが、事業環境変化によってこれらの機能が低下したり、変化への対応が遅れたりした場合には、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。情報技術の発達・サプライチェーンの変化・商品やサービスの変化等を背景に、既存の競争事業者に限らず、異分野・異業種の事業者がキリングループの事業領域に参入し、新たな競争事業者となる可能性もあります。特に、競争事業者がキリングループの事業領域において、ICT等を活用した画期的なビジネスモデルに基づき事業拡大をした場合、キリンのビジネスモデルや従来から有する強みが急速に陳腐化し、キリングループの事業領域の維持又は拡大が困難になる可能性があります。キリングループの新たな成長に向けた事業領域の拡大等においては事業・資本提携も想定していますが、事業・資本提携にあたりキリングループが提携先の経営・事業・資産に対して十分なコントロールができない可能性があります。また、既存事業についても事業環境の変化等により事業遂行上の影響を受ける可能性があります。それらの結果、出資先企業や既存事業の業績不振等により、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そうした場合に、新規の出資に伴い発生する、又は既存事業において有するのれん等の減損損失が生じる可能性があり、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 「情報技術」に関するリスクICTソリューションやプラットフォームを構築し、これまで以上に深いお客様理解から得られるインサイトを具現化した商品・サービスの提供、業務プロセス課題の改善・解決や業務品質向上を目指していますが、ICTの構築・運用が遅れることにより競争力のある価値創造が実現できない可能性があります。また、経営基盤の再構築と高度化、グループ会社間での業務の効率化による生産性向上を目指し、標準化された情報システムの導入を進めていますが、想定通りに進まない場合は、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。情報システムについては、コンピュータウィルスの感染や不正アクセスによる情報の消失、データの改ざん、個人情報や会社の重要機密情報の漏洩、さらには地震等自然災害の発生により、情報システムの停止又は一時的な混乱が起こる可能性があります。 ③ 「人材確保・育成」に関するリスク事業の遂行やイノベーションを実現するには、多様な価値観・専門性を持った人材が集い、それを受容することが必要であり、キリングループでは、多様性を尊重し価値創造を実現するための組織能力向上を目指しています。キリングループは国内外で事業活動を行っており、様々な人種・国籍や文化を持つ従業員が働いています。また、グループ経営を推進する人材の育成に向けて、組織風土の変革や価値創造を推進するトップ及びミドルマネジメント層のリーダーシップ強化に取り組んでいます。しかしながら、グループ経営を推進する人材や事業活動に必要な高い専門性を持った人材を十分に確保・育成できない場合は、競争優位性のある組織能力が実現しない可能性があります。 ④ 「製品の安全性」に関するリスクキリングループでは、グループの自社工場で製造する製品や製造委託工場・輸入品等の他社製造品について、品質保証システムによりグループ全体での品質監査を実施する等、品質保証に最大限の努力を払っていますが、品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題等が発生した場合には、キリングループの事業活動が制限され、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、医薬品は開発段階において厳しい安全性の評価を行い、所轄官庁の審査を経て承認されますが、市販後に予期していない副作用が発生した場合には、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 「コンプライアンス」に関するリスクキリングループは事業の遂行にあたって、国内においては、酒税法、食品衛生法、薬機法、独占禁止法、環境諸法令等の法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受けたりお客様からの信頼を失ったりする可能性があります。キリングループでは、コンプライアンスを「法令、社内外の諸規則・ルール及び社会規範を遵守し、法的責任と社会が求める倫理的な責任を果たすことにより、予期せぬ損失や信用の失墜を防止し、ステークホルダーのキリングループに対する信頼を維持向上させること」と定義し、リスクのマネジメントサイクルや従業員啓発の研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。また、贈収賄防止をはかり、不当な金銭・贈答・接待及びその他の利益の提供又は受領を禁じています。 [B. 中長期の視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク] ① 「アルコール関連問題」に関するリスクキリングループは、酒類を製造・販売する企業グループとして、社会的責任を果たすために、広告・宣伝活動にあたっては厳しい自主基準に基づき自ら規制を行っています。また全ての酒類事業展開国で、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを進展させています。一方で、WHO においては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されており、キリングループの予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、アルコールへの社会的受容が急激に縮小することにより酒類の消費が減少し、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性や企業ブランド価値が低下するおそれがあります。 ② 「環境課題」に関するリスクマイクロプラスチックによる海洋汚染に関する国際的な関心の高まりや廃プラスチックの流通構造変化等により、PETボトルをはじめとするプラスチック容器の問題がクローズアップされています。キリングループでこれらの問題に適切な対応ができない場合、飲料事業を中心にグループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。また、地球温暖化に対する世界の関心や気候変動のリスク情報を企業の財務情報として開示する要請が高まっています。キリングループは、2018年12月に金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を、日本の食品会社として初めて表明しました。さらに、温室効果ガス排出量を2030年までに2015年比で30%削減する中期削減目標を掲げ、2017年3月に「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」の承認を日本の食品会社で初めて取得し、削減に向けた活動を始めています。しかしながら、これらの目標を達成できなかった場合や環境事故を発生させた場合に、事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、キリングループが事業活動を行う国内外の生産拠点において、渇水や汚染等により水資源が確保できず、商品の製造が停止するおそれや森林破壊等の環境破壊を伴う調達を行うことで企業ブランド価値を毀損するおそれがあります。 ③ 「人権」に関するリスクキリングループでは、2018年に国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「キリングループ人権方針」を策定するなど、人権尊重を推進する取り組みを強化しています。人身取引を含む奴隷労働や強制労働、児童労働を認めない他、人種、民族、国籍、社会的身分、門地、性別、障害の有無、健康状態、思想・信条、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づくあらゆる差別の禁止等を求めています。また人権に対する負の影響を特定し、予防、軽減する取り組みとして人権デューデリジェンスの実施を進めています。万一、キリングループが人権問題を発生させた場合や人権上の問題のある調達を行った場合には、当該国又はグローバルでの事業活動に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 「各国の政策」又は「業界固有の状況」に関するリスクキリングループが事業活動を行う国・地域は広範であり、特に新興国における法令・規制の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や慣習の違いに起因するトラブル発生等が予想されますが、こうしたカントリーリスクが顕在化する場合、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。医薬事業では、事業を行っている各国の薬事行政の下で様々な規制を受けています。国内では、公定薬価制度による薬価の引き下げに加え、ジェネリック医薬品の使用促進等による医療制度改革が進められています。海外においても、医療費抑制への圧力は高まっています。これら薬事行政の規制により医薬品の販売価格が下落し、販売数量の伸長等で影響をカバーできない場合には、医薬事業の業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、各国での医療財政の大幅な悪化に伴い、想定外の薬価改定や社会保障制度の変更等が発生する場合には、医薬品市場が縮小し収益性が低下するおそれや医薬品開発の進捗に遅延を招いたり製品の上市が困難になったりするおそれがあります。なお、海外での法規制の緩和に伴い、キリングループの事業活動を展開する国や地域で嗜好用大麻が解禁され、アルコール飲料の代替となる場合には、酒類事業の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 「財務」や「税務」に関するリスクキリングループの事業資金は、主に金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行等により調達されています。このため、金融市場の不安定化・金利上昇、また格付機関によるキリングループの信用格付けの引き下げの事態が生じた場合等には、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。これらの事態が発生した場合、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、キリングループの原材料及び商品の一部は、海外から調達していることから、予測の範囲を超える急激な市況変動や為替変動があった場合等には、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、海外の子会社及び持分法適用会社の経営成績は外貨ベースで作成されており、連結財務諸表作成のために円換算していますが、円換算時の為替レートにより円換算後の価値が変動することから、キリングループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。税務においては、キリングループは、世界各国で適用される税法を遵守する方針に沿って事業活動を行っていますが、各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等により、追加での税負担が生じたり、社会的信用が低下する可能性があります。
FY2017|3,716 文字
4 【事業等のリスク】 当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしも重要な影響を及ぼすリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお、文中における将来に関する事項は、2017年12月31日現在において当社が判断したものです。 [A. 事業環境に関するリスク] ① 法令や規制・税制についてキリングループは事業の遂行にあたって、国内においては、酒税法、食品衛生法、薬機法、独占禁止法、環境諸法令等の法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。例えば、酒税や消費税の増税が実施された場合、価格の上昇により酒類、飲料等の消費が減少する可能性があります。薬機法及び関連政省令等の法令の改定が、医薬品開発の進捗に遅延を招くなど、医薬事業に影響を及ぼすことや、公定薬価制度による薬価引下げが、医薬事業の業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その他、予測できない法令の改正が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループとして、社会的責任を果たすために、広告・宣伝活動にあたっても厳しい自主基準に基づき自ら規制を行っています。一方で、WHOにおいては、世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されており、当社グループの予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、酒類の消費が減少し、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 為替・金利の変動についてキリングループは、原材料及び商品の一部を海外から調達しており、また、海外への事業展開も行っています。予測の範囲を超える急激な為替変動や、国内外の資金調達等における金利の変動があった場合、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 原材料・エネルギー価格、物流費等の高騰についてキリングループの使用する主要な原材料(PETボトル、段ボール、麦芽、コーン、果汁等)や原油、電気といったエネルギー等には、その価格が市場の状況により変動するものがある他、配送ドライバー不足など物流を取り巻く環境が厳しさを増しており、調達、製造、輸送コスト等が上昇し、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 天候・気候変動・災害・感染症等についてキリングループは事業遂行にあたって、天候不順や冷夏、干ばつ、集中豪雨等の異常気象、その他の地球温暖化等の影響を受ける可能性があります。さらに地震等の大規模な自然災害や新型インフルエンザ等の感染症の流行や事故が発生した場合、当社グループの事業活動が制限され、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 資金調達についてキリングループは、事業資金を主に金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行等により調達しています。このため、金融市場の不安定化・金利上昇、また格付機関による当社グループの信用格付けの引下げの事態が生じた場合等には、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 保有資産の価格変動についてキリングループの保有する株式等の資産価値が急激な株価変動等によって下落することにより、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 経済・市場環境の動向及び人口動態の変化についてキリングループは事業の遂行にあたって、景気等の経済状態による消費動向や人口動態の変化に大きく影響を受ける可能性があります。世界同時不況による消費不振や需要減退等が起きた場合、また、日本国内の少子・高齢化等により、市場全体の縮小等の変化が起こる場合、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 海外事業についてキリングループは、国内外で事業を展開していますが、主に海外において、以下のような事象が発生し、予測を超える影響を受けた場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。(ア) テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱(イ) 文化や慣習の違いに起因するトラブル [B. 事業遂行に関するリスク] ⑨ 事業・資本提携についてキリングループは中長期の経営計画に沿い、成長に向けた競争力強化の一環として国内外他社との事業・資本提携を進めています。しかしながら、事業・資本提携においては、当社グループが提携先の経営、事業、資産に対して十分なコントロールができない可能性があり、また、提携先企業の事情等によっても事業遂行上の影響を受ける可能性があります。また、出資先企業の業績不振等により出資に伴うのれん等の減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 人材についてキリングループでは、国内外で事業活動を行っており、様々な人種・国籍や文化を持つ従業員が働いています。その多様性を尊重し、価値創造を実現するための組織能力向上を目指しておりますが、事業活動に必要な高い専門性を持った人材を十分に確保・育成できないリスクがあります。また、労働安全衛生面において、関連法令の遵守はもとより、労働災害や事故等の未然防止を図っています。しかしながら、万が一これらの事態が発生した場合、事業活動に重大な影響を与え、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 製品の安全性についてキリングループでは、グループの自社工場で製造する製品や、製造委託工場・輸入品等の他社製造品について、品質保証マネジメントシステムにより、グループ全体での品質監査を実施する等、「食の安全」をお客様に提供するための品質保証に最大限の努力を払っています。しかしながら、品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題等が発生した場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、医薬事業においては、グループの自社工場で製造する製品や他社から購入して販売する商品についても、厳しい品質管理基準や規格に適合するよう最大限の努力を払い、品質保証に取り組んでおります。しかしながら、品質保証の取り組みの範囲を超えて、大規模な製商品の回収や製造物責任賠償につながるような予期し得ない製品の欠陥等が生じた場合は、当社グループとしての社会的な信頼性に重大な影響を与え、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、医薬品は開発段階において厳しい安全性の評価を行い、所轄官庁の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ 情報の漏洩・情報システムについてキリングループは、グループ経営に関する重要情報を有しているほか、多数の法人・個人に関する機密情報を保持しています。これらの情報管理については、規定等を整備し、従業員に対する教育・研修等を通じた情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行う体制を整えています。また、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築しており、システムの安定的な運営確保のための対策を講じています。しかしながら、コンピュータウィルスによる感染や不正アクセス、自然災害の発生等により、情報の消失、漏洩、改ざん、情報システムの停止又は一時的な混乱が起こる可能性があります。また、これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑬ 訴訟や罰金等の発生についてキリングループは、リスクマネジメントサイクルの定着や従業員啓発のための研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反等の低減努力を実施しています。しかしながら、国内外の事業活動の遂行にあたって、当社グループ各社及びその従業員の法令等に対する違反の有無に関わらず、製造物責任・知的財産権・税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性があります。訴訟が提起されること自体、あるいは訴訟の結果によっては、当社グループがお客様からの信頼を失い、業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 上記の他、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、設備投資・システム投資・研究開発投資に関するリスク、市場での競合に関するリスク等が考えられます。
FY2016|3,712 文字
4 【事業等のリスク】当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしも重要な影響を及ぼすリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお、文中における将来に関する事項は、平成28年12月31日現在において当社が判断したものです。 [A. 事業環境に関するリスク] ① 法令や規制・税制についてキリングループは事業の遂行にあたって、国内においては、酒税法、食品衛生法、薬機法、独占禁止法、環境諸法令等の法的規制の適用を受けています。また、事業を展開する各国においては、当該国の法的規制の適用を受けています。例えば、酒税や消費税の増税が実施された場合、価格の上昇により酒類、飲料等の消費が減少する可能性があります。薬機法及び関連政省令等の法律の改定が、商品開発の進捗に遅延を招くなど、医薬事業に影響を及ぼすことや、公定薬価制度による薬価引下げが、医薬事業の業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。その他、予測できない法律の改正が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、キリングループは、酒類を製造・販売する企業グループとして、社会的責任を果たすために、広告・宣伝活動にあたっても厳しい自主基準に基づき自ら規制を行っています。一方で、WHOにおいては世界的な規模での酒類販売に関する規制が検討されており、当社グループの予想を大きく上回る規制強化が行われた場合、酒類の消費が減少し、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② 為替・金利の変動についてキリングループは、原材料及び商品の一部を海外から調達しており、また、海外への事業展開も行っています。予測の範囲を超える急激な為替変動や、国内外の資金調達等における金利の変動があった場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 原材料・エネルギー価格等の高騰についてキリングループの使用する主要な原材料(アルミニウム缶、麦芽、コーン、豪州での原乳等)や原油、電気といったエネルギー等には、その価格が市場の状況により変動するものがあります。それらの価格が高騰することによって、調達、製造、輸送コスト等が上昇し、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④ 天候・気候変動・災害・感染症等についてキリングループは事業遂行にあたって、天候不順や冷夏、干ばつ、台風等の異常気象、地球温暖化等の影響を受ける可能性があります。さらに地震等の大規模な自然災害や新型インフルエンザ等の感染症の流行や事故が発生した場合、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 資金調達についてキリングループは、事業資金を主に金融機関からの借入、コマーシャルペーパーや社債の発行等により調達しています。このため、金融市場の不安定化・金利上昇、また格付機関による当社グループの信用格付けの引下げの事態が生じた場合等には、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 保有資産の価格変動についてキリングループの保有する有価証券等の資産価値が急激な株価変動等によって下落することにより、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦ 経済・市場環境の動向及び人口動態の変化についてキリングループは事業の遂行にあたって、景気等の経済状態による消費動向や人口動態の変化に大きく影響を受ける可能性があります。世界同時不況による消費不振や需要減退等が起きた場合、また、日本国内の少子・高齢化現象等により、市場全体の縮小等の変化が起こる場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑧ 海外事業についてキリングループは、国内外で事業を展開していますが、主に海外において、以下のような事象が発生し、予測を超える影響を受けた場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。(ア) テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱(イ) 文化や慣習の違いに起因するトラブル [B. 事業遂行に関するリスク] ⑨ 事業・資本提携についてキリングループは中長期の経営計画に沿い、成長に向けた競争力強化の一環として国内外他社との事業・資本提携を進めています。しかしながら、事業・資本提携においては、当社グループが提携先の経営、事業、資産に対して十分なコントロールができない可能性があり、また、提携先企業の事情等によっても事業遂行上の影響を受ける可能性があります。また、出資先企業の業績不振等により出資に伴うのれん等の減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑩ 人材についてキリングループでは、国内外他社との事業・資本提携に伴い、様々な人種・国籍、伝統や文化、企業風土を持つ従業員が働いています。その多様性を尊重し、多様性からイノベーションを生み出す組織を目指していますが、高い専門性を持った人材を十分に確保・育成できないリスクがあります。また、労働安全衛生面において、従業員に重大な影響を与える労働災害や事故などの未然防止を徹底していますが、万が一発生した場合、グループの設備の損害だけでなく貴重な人材に重大な影響を与えます。これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑪ 製品の安全性についてキリングループでは、グループの自社工場で製造する製品や、製造委託工場・輸入品等の他社製造品について、一層強化した品質保証マネジメントシステムにより、グループ全体での品質監査を実施する等、「食の安全」をお客様に提供するための品質保証に最大限の努力を払っています。しかしながら、品質保証の取り組みの範囲を超えて、予期し得ない品質問題等が発生した場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、医薬事業においては、グループの自社工場で製造する製品や他社から購入して販売する製品についても、厳しい品質管理基準や規格に適合するよう最大限の努力を払い、品質保証に取組んでおります。しかしながら、品質保証の取り組みの範囲を超えて、大規模な製商品の回収や製造物責任賠償につながるような予期し得ない製品の欠陥等が生じた場合は、当社グループとしての社会的な信頼性に重大な影響を与え、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、医薬品は開発段階において厳しい安全性の評価を行い、所轄官庁の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ 情報の漏洩・情報システムについてキリングループは、グループ経営に関する重要情報を有しているほか、多数の法人・個人に関する機密情報を保持しています。これらの情報管理については、規定等を整備し、従業員に対する教育・研修等を通じた情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行う体制を整えています。また、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築しており、システムの安定的な運営確保のための対策を講じています。しかしながら、コンピュータウィルスによる感染や不正アクセス、自然災害の発生等により、情報の消失、漏えい、改ざん、情報システムの停止又は一時的な混乱が起こる可能性があります。また、これらの事態が発生した場合、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑬ 訴訟や罰金等の発生についてキリングループは、リスクマネジメントサイクルの定着や従業員啓発のための研修を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反等の低減努力を実施しています。しかしながら、国内外の事業活動の遂行にあたって、当社グループ各社及びその従業員の法令等に対する違反の有無に関わらず、製造物責任・知的財産権・税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性があります。訴訟が提起されること自体、あるいは訴訟の結果によっては、当社グループがお客様からの信頼を失い、業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 上記の他、当社グループの業績・財務状態に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、研究開発投資に関するリスク、市場での競合に関するリスク等が考えられます。