研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 1,359 |
| 2024-12 | - | 1,031 |
| 2023-12 | - | 908 |
| 2022-12 | - | 937 |
| 2021-12 | - | 883 |
研究開発活動(本文)
FY2025|11,749 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)のイノベーションを実現する組織能力の一つとして「確かな価値を生み出す技術力」を掲げてきました。従来から強みを持つ発酵・バイオテクノロジー、パッケージング、エンジニアリングの技術力をより発展させるとともに、知的財産の取り組みにも力を入れています。当社グループの研究開発活動は、酒類事業、飲料事業、ヘルスサイエンス事業においては、キリンホールディングス㈱の5研究所(キリン中央研究所、ヘルスサイエンス研究所、飲料未来研究所、パッケージイノベーション研究所、微生物科学技術研究所(旧バイオプロセス技術研究所))及び各事業会社の研究所で行っています。また、医薬事業においては、協和キリン㈱が中心となりLife-changingな価値の創出を目指して研究開発活動を行い、さらに医薬品にとどまらない価値提供も目指してキリンホールディングス㈱と協働しています。今後も、新たな長期経営構想Innovate2035!のもとで、イノベーションの源泉としての研究開発活動を、より一層推進していきます。当年度におけるグループ全体の研究開発費は1,181億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱の研究開発費は<全社(共通)>に含まれています。 <全社(共通)>キリンホールディングス㈱は、中長期的な企業価値向上を見据え、当社グループ全体に共通する研究開発活動を推進しています。環境・デジタルをはじめとする基盤技術の強化を通じ、将来の事業成長と社会課題の解決の両立を目指しています。環境領域では、資源循環の高度化という社会課題に対応するため、PET※1のケミカルリサイクル※2の原料を非食品用途のPET※3へと拡大する際の食品安全性に関する研究※4を進め、業界を超えた連携により工場での製造試験※5を実現しました。製造したケミカルリサイクル樹脂は、キリンビバレッジ㈱にて飲料用ペットボトルの一部に採用しました。本取り組みでは、従来十分に活用されてこなかったプラスチック資源の有効活用を検討しており、プラスチック資源循環の裾野拡大と環境負荷低減に貢献する新たな価値創出が期待されます。また、気候変動下における持続可能な原料供給を目指し、ホップ苗に高温・乾燥耐性を後天的に付与する技術を開発しました。香味品質を損なわずホップに耐性を付与できる本技術は、安定的な原料調達や農業分野の気候変動適応への貢献が期待されます。デジタル領域では、嗜好データとAIを活用し、消費者が感じる「おいしさ」に寄与する香味成分を科学的に特定する嗜好AI「FJWLA※6」を独自に開発しました。本技術により、官能評価データや成分分析データなどを統合的に解析することが可能となり、研究開発プロセスの高度化や価値創出の加速が期待されます。さらに、嗜好データとAIを活用した株式会社日立製作所との共同研究を開始し、飲料選択や飲酒行動の要因解明に取り組んでいます。本研究を通じて、酒類にとどまらず飲料事業全般や健康増進など社会課題解決に資する知見の創出と、CSV実現への貢献が期待されます。研究開発活動を企業価値および競争力の向上につなげる当社の知的財産活動は、事業×R&D×知的財産が三位一体となり、バリューチェーン全体を通じて経営と連携して推進する体制が評価され、令和7年度知財功労賞「特許庁長官表彰 知財活用企業(特許)」を受賞しました。知的財産活動との連動により、研究開発活動を社会的価値に繋げ、持続的な企業価値向上を目指しています。 全社(共通)に係る研究開発費は99億円です。 ※1 ポリエチレンテレフタラート※2 PETを化学的に分子レベルまで分解、精製したものを再びPETに合成する方法※3 具体的には、電子部品を製造する際に使用された工業用PETフィルムの端材、化粧品向けのPETボトルおよび自動販売機用商品サンプルを指す。※4 非食品用途PETを原料として食品容器へリサイクルする際の食品安全性の考え方や分析手法を整備したことで、従来は飲料用ペットボトルに限られていた食品容器向けリサイクル原料を、非食品用途PETまで拡大した。※5 ペットリファインテクノロジー株式会社のケミカルリサイクル工場にて実施※6 Flavor Judgment for Whole Liking Analysis <酒類事業>酒類事業は、キリンビール㈱、メルシャン㈱、LION Pty Ltdが、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。ビールカテゴリーからは、6月に「キリン一番搾り 糖質ゼロ」をリニューアルしました。「ダブルデコクション製法」※1により原料のコクを引き出し、新たなホップで華やかな香りを向上させました。飲みごたえと飲みやすさを両立した、飽きのこない味わいです。10月に「キリングッドエール」を発売しました。ホップの香り成分のみを抽出した希少Cryo Hop®をキリンビール㈱の工場で初めて採用し、独自の「ブライトアロマ製法」により雑味を抑え、フルーティな香味と後味の良さを両立した満足感のある味わいのビールです。12月には、株式会社日清製粉ウェルナと共同開発した「イタリアンレッド ~トマト&パスタ~」をスプリングバレーブルワリー東京にて数量限定で提供しました。ビールの主原料である大麦の一部を食品ロスとなるパスタに置き換えたアップサイクル※2ビールです。RTDカテゴリーにおいては、「麒麟特製」ブランドから「麒麟特製 みかんサイダーサワー(期間限定)」を10月に発売しました。本商品には、当社にて開発した、コーヒー生産過程で未利用となっていたコーヒーチェリー由来の発酵素材を採用しています。当素材は、飲みごたえや香味の向上に加え、コーヒー農園の持続性向上や環境負荷軽減、アルコール関連の社会課題解決への貢献が期待されます。ノンアルコールカテゴリーからは、9月に「キリン本格醸造ノンアルコール ラガーゼロ」を発売しました。キリンビール初※3の脱アルコールによって、麦の旨みとホップの香り・苦味をバランスさせ、飲みごたえがありながら後キレの良い、ビールに近いおいしさを実現しました。国産洋酒カテゴリーにおいては、5月に「キリン ジャパニーズウイスキー 富士」の通年3品(「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士」「キリン シングルブレンデッドジャパニーズウイスキー 富士」「キリン シングルモルトジャパニーズウイスキー 富士」)が「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2025」のジャパニーズウイスキー部門で3年連続のGOLD(金賞)を受賞しました。ワインカテゴリーでは、11月に開催された「日本ブドウ・ワイン学会2025年大会」において、「無菌培養植物によるブドウべと病菌の継代培養技術確立」で「技術賞」を受賞しました。薬剤耐性菌が課題の果樹栽培において、無菌ブドウを用いたべと病菌の生物検定法およびべと病菌の凍結保管・継代技術を開発し、圃場特性に応じた精密な農薬選定を可能にしました。オセアニアについては、LION Pty Ltdが、キリンホールディングス㈱の技術を活用し、オーストラリアおよびニュージーランド市場の嗜好に合わせた商品開発を推進しています。キリンブランド「氷結®」について、2025年にさらなるブランド強化を目的として、フレーバーラインアップを拡充しました。具体的には、定番フレーバーとして「KIRIN HYOKETSU GREEN APPLE」を新たに投入するとともに、従来の「LEMON 6%」の味わいを維持しつつアルコール度数を抑えた「KIRIN HYOKETSU LEMON 4%」を開発しました。今後も共同して、現地市場に適合した商品開発を通じてブランド価値の向上を目指します。7月に、キリンビールと国立大学法人筑波大学 健幸ライフスタイル開発研究センターは、健康に配慮した科学的根拠のある飲み方に関する総合的な共同研究を開始しました。健康志向が高まる中で「健康に配慮した飲み方」についての科学的根拠を明らかにし、節度ある飲酒文化の醸成と心豊かな社会の実現を目指します。 当事業に係る研究開発費は9億円です。 ※1 麦汁の一部を煮沸させる工程を2回繰り返す製法※2 廃材や規格外の食材等、これまでは捨てざるを得なかった物や不用品に手を加え、より付加価値のある製品へと生まれ変わらせること※3 キリンビールが発売したノンアルコール商品で初めて <飲料事業>飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を配合した飲料の開発を進めました。3月に「おいしい免疫ケア」「おいしい免疫ケア カロリーオフ」「おいしい免疫ケア 睡眠」をリニューアルし、「満足感」と「後味の良さ」を両立した味わいに加え、お客様の利便性向上と店頭での効率的な在庫管理のために、賞味期限を9カ月から12カ月に延長しました。午後の紅茶については、3月に「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」シリーズをリニューアルしました。「無糖のアイスティー」として日常的に飲用しやすくなるように、「紅茶のシャンパン」と称されるダージリン茶葉※1を一部使用し、香りのバランスを整えることで、全体のボリューム感は維持しつつ、よりすっきりとした味覚に変更しました。9月には、丸ごと搾った果汁の甘酸っぱさを爽やかな紅茶で仕立てた「キリン 午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」シリーズを発売しました。また、キリンビバレッジ㈱商品開発研究所が開発した「緑茶飲料の光劣化抑制技術」(特許出願中)を含む「緑茶飲料の光劣化機構の解明」に関する研究成果が、第34回日本清涼飲料研究会(事務局 一般社団法人 全国清涼飲料連合会)において、「全国清涼飲料連合会賞」を受賞しました。緑茶飲料における光劣化臭の生成機構を明らかにするだけでなく、PET緑茶飲料における光劣化臭の発生を抑える光劣化抑制技術も開発しました。 当事業に係る研究開発費は10億円です。 ※1 「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖/おいしい無糖 香るレモン」は全茶葉のうち20%、「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」は10%使用 <医薬事業>協和キリン㈱グループは、研究開発活動へ経営資源を継続的かつ積極的に投入しています。自社における研究開発が注力する疾患サイエンス領域を骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患に設定し、創薬技術については、先進的抗体技術や造血幹細胞遺伝子治療などの革新的なモダリティを強化することで、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指します。また、価値創造のプロセスの一環として、オープンイノベーション活動やパートナーとの連携推進、ベンチャーキャピタルファンドへの出資、コーポレートベンチャーキャピタルも活用します。研究開発においては、Life-changingな価値の創出に重点を置き、自社でグローバルに展開して価値最大化を目指すだけでなく、社外のパートナーとの戦略的な連携で価値最大化を目指すビジネスモデルも活用します。 (注)ロカチンリマブに関する臨床試験の中止について協和キリン㈱は、2026年1月30日、アトピー性皮膚炎等を対象として開発中のKHK4083(一般名:ロカチンリマブ、以下「ロカチンリマブ」という。)に関するAMGEN INC.(以下「Amgen社」という。)との既存の共同開発・販売契約について、Amgen社の戦略的ポートフォリオの見直しに伴い、当該契約を終了し、協和キリン㈱はロカチンリマブの開発・商業化に関する権利を再取得しました。その後、2026年3月3日に、最新の安全性情報及び総合的なリスク・ベネフィット評価を踏まえ、ロカチンリマブに関する現在実施中の全ての臨床試験を中止することを決定しました。なお、「<主要開発品の開発状況>」は、2025年12月31日時点の記載であることにご留意ください。 <主要開発品の開発状況>2025年12月31日時点開発番号,一般名対象疾患開発状況KHK4083/AMG 451, ロカチンリマブ中等症から重症のアトピー性皮膚炎第Ⅲ相試験 実施中結節性痒疹第Ⅲ相試験 実施中中等症から重症の喘息第Ⅱ相試験 実施中ziftomenib NPM1変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML)(単剤)承認取得第Ⅱ相試験 詳細データ発表急性リンパ性白血病(ALL)(単剤)第Ⅰ相試験 実施中急性骨髄性白血病(AML)(併用)第Ⅰ相試験 実施中第Ⅲ相試験 実施中OTL-203ムコ多糖症I型(Hurler症候群)ピボタル試験(第Ⅲ相試験相当) 実施中KK8398, infigratinib軟骨無形成症第Ⅲ相試験 実施中軟骨低形成症第Ⅲ相試験 準備中KHK4951,tivozanib滲出型加齢黄斑変性(nAMD)第Ⅱ相試験 実施中糖尿病黄斑浮腫(DME)第Ⅱ相試験 実施中OTL-201ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型)PoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当) 実施中KK4277全身性エリテマトーデス(SLE)皮膚エリテマトーデス(CLE)第Ⅰ相試験 実施中KK2260進行性又は転移性固形がん第Ⅰ相試験 実施中KK2269進行性又は転移性固形がん第Ⅰ相試験 実施中KK2845急性骨髄性白血病(AML)第Ⅰ相試験 実施中KK8123X染色体連鎖性低リン血症(XLH)第Ⅰ相試験 実施中KK3910本態性高血圧第Ⅰ相試験 実施中OTL-200, atidarsagene autotemcel早期発症型異染性白質ジストロフィー(MLD)臨床試験準備中 ・KHK4083/AMG 451(一般名:ロカチンリマブ)は、病原性T細胞(炎症性疾患において疾患の原因となるT細胞)に発現するOX40(受容体型分子)へ選択的に作用する、T細胞リバランスを実現し得るモノクローナル抗体です。アトピー性皮膚炎などの慢性炎症性疾患の根本的な原因の一つとして、OX40シグナル伝達を介したT細胞の活性化により、病原性T細胞の増加とエフェクター機能が誘導されることが挙げられます。選択的にOX40へ作用するロカチンリマブは、病原性T細胞の機能を抑制すること、さらにその数を減少させることにより、T細胞リバランスを促進します。特にメモリーT細胞に直接作用することにより、疾患の慢性化と再燃の抑制を期待する新規作用機序を有するプロダクトです。これにより、従来のサイトカインブロッカーやJAK阻害薬にはない、少ない投与頻度での症状コントロールを実現できる可能性があります。初期の抗体は協和キリン㈱の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見出されました。2021年6月1日、協和キリン㈱とAmgen社はロカチンリマブの共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、Amgen社は本剤の開発、製造、及び協和キリン㈱が単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリン㈱は米国以外(日本を除く欧州及びアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。現在成人及び青年期(12歳以上)の中等症から重症のアトピー性皮膚炎を対象に8つの試験からなる第Ⅲ相試験(ROCKETプログラム)が進行中です。これまでに3,300名以上の患者さんが試験に参加し、全ての試験で被験者登録を終了しました。2025年6月までにROCKETプログラムのうち、ROCKET-Horizon、ROCKET-Ignite、ROCKET-Shuttle、ROCKET-Voyagerの結果が得られ、全てにおいて主要評価項目と全ての主要な副次評価項目を達成しました。また、ROCKET-Ascendの中間結果のトップラインデータを発表しました。ROCKETプログラムに加え、中等症から重症の喘息を対象とする第Ⅱ相試験及び結節性痒疹を対象とする第Ⅲ相試験も実施中です。 ・ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)は、経口メニン阻害薬であり、アンメットニーズの高い特定の遺伝子変異や再構成を有する急性骨髄性白血病(AML)に対する治療薬としてKura Oncology社により開発が進められてきました。2024年11月、協和キリン㈱とKura Oncology社はziftomenibの販売と開発に関するグローバルにおける急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、両社は共同でziftomenibの開発と販売を実施し、米国ではKura Oncology社が、米国以外では協和キリン㈱が開発・薬事・販売戦略を主導します。現在AMLを対象に複数の臨床試験を実施中です。2025年3月にKura Oncology社が米国食品医薬品局(FDA)にNPM1変異を有する再発・難治性の成人AMLに対する治療薬としてziftomenibの新薬承認申請を提出し、5月に受理され、11月に正式承認を取得しました。初発AMLに関しては、9月に、NPM1変異又はKMT2A再構成を有する初発AML患者を対象としたziftomenibの併用療法の第Ⅲ相試験(KOMET-017試験)を開始しました。さらに10月には、NPM1及びFLT3変異を有する初発AML患者を対象としたziftomenibの併用療法の第Ⅰ相試験(KOMET-007試験の1コホート)を開始しました。2025年12月に米国血液学会(ASH)年次総会にて、初発及び再発・難治性のAMLにおけるziftomenibとベネトクラクス及びアザシチジンの併用レジメンの中間データを報告しました。 ・OTL-203は、ムコ多糖症I型(Hurler症候群)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてOrchard Therapeutics社が北米と欧州でピボタル試験(第Ⅲ相試験相当)を実施中です。 ・KK8398(一般名:infigratinib)は、経口FGFR3阻害薬で、骨系統疾患を対象としてBridgeBio Pharma社傘下のQED Therapeutics社により開発が進められてきました。2024年2月に協和キリン㈱とQED Therapeutics社は骨系統疾患を対象とした日本における開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。2025年11月に、日本で軟骨無形成症を対象に第Ⅲ相試験を開始しました。また、日本での軟骨低形成症の第Ⅲ相試験を準備中です。 ・KHK4951(一般名:tivozanib)は、協和キリン㈱が創製した血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1、-2、-3チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるtivozanibを点眼投与により後眼部組織に効率的に送達するように設計した新規のナノクリスタル化点眼剤であり、滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して非侵襲的な新しい治療選択肢となり得る薬剤です。現在第Ⅱ相試験を実施中です。 ・OTL-201は、ムコ多糖症ⅢA型(Sanfilippo症候群A型)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてPoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当)を実施中です。 ・KK4277は、SBIバイオテック株式会社より導入した抗体をもとに、協和キリン㈱のPOTELLIGENT技術を応用して抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を強化し、それを最適化した抗体です。現在全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデスを対象に第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK2260は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEGFR-TfR1バイスペシフィック抗体です。がん細胞選択的な鉄枯渇を実現する抗体として設計されており、非臨床試験において、強い薬効を示し、かつ忍容性も示すことを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK2269は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEpCAM-CD40バイスペシフィック抗体です。各種の腫瘍で高発現しているEpCAMと抗原提示細胞のCD40を架橋することで、腫瘍近傍の抗原提示細胞のみ活性化する抗体として設計されており、非臨床試験において、全身性副作用を抑制しながら抗腫瘍免疫による薬効を発揮できることを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK2845は、協和キリン㈱として初の抗体薬物複合体(ADC)です。標的分子はTIM-3で、現在急性骨髄性白血病(AML)を対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK8123は、ヒト型抗FGF23抗体です。現在XLHを対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK3910は、協和キリン㈱が創製した抗体であり、健康成人及び本態性高血圧を対象とした第Ⅰ相試験を実施中です。 ・OTL-200(一般名:atidarsagene autotemcel, 米国製品名:Lenmeldy, 欧州製品名:Libmeldy)は異染性白質ジストロフィー(MLD)の根本的な遺伝的原因を修正することを目的とした造血幹細胞遺伝子治療法です。2025年10月に早期発症型MLDに対する希少疾病用再生医療等製品指定を日本で取得しました。現在日本における臨床試験準備中です。 <主な提携・ライセンス情報>・2025年10月に自己免疫疾患に対する新規治療法の開発を目的とする新規化合物をドイツBoehringer Ingelheim社へ導出するライセンス契約を締結しました。 主な申請承認情報開発番号、一般名、製品名対象疾患申請状況2025年に承認取得した 国・地域ziftomenib(米国製品名:KOMZIFTI)NPM1 変異を有する再発・難治性の成人急性骨髄性白血病(AML)―米国 当事業に係る研究開発費は1,008億円です。 <ヘルスサイエンス事業>キリンホールディングス㈱は、独自素材「プラズマ乳酸菌」を中核に、科学的根拠に基づく研究開発と事業化を一体で推進し、国内外で健康価値の創出を加速しています。プラズマ乳酸菌を使用した製品シリーズの売上は、2024年通期では230億円を突破※1、2025年通期では280億円を超え※2、堅調に拡大しました。これにより、免疫ケア分野における当社の市場プレゼンスは一段と強化されました。研究面では、プラズマ乳酸菌の経鼻接種によって、自然免疫の中核であるpDC※3の誘引・活性化および抗ウイルス遺伝子の発現上昇を介する、新型コロナウイルスならびにインフルエンザウイルスの増殖抑制に関わる作用機序の一部を解明しました。また、アデノウイルスに対する抗ウイルス応答の迅速な誘導を示唆する成果を得ており、幅広い呼吸器ウイルスに対する応用可能性を探索しています。さらに、医療従事者を対象とした臨床試験において、発熱および倦怠感を感じた日数の減少傾向を確認し、免疫ケア習慣の有用性を裏付けました。加えて、pDCの活性を尿検査で非侵襲的に可視化できる因子を世界で初めて発見し、個別の免疫状態評価に資する新規検査サービスの開発へ着手しました。血液等による免疫指標の定量化と合わせて臨床研究を推進し、2026年以降の実用化を視野に入れています。協和発酵バイオ㈱が製造・販売を行う脳機能サポート素材「シチコリン」について、富士通㈱との共同研究における創薬DX技術※4(QSPモデル※5)と細胞試験の併用によって、世界で初めて腸脳相関※6に関する新規作用メカニズムを示唆する知見を得ました。電気刺激により減塩食品の塩味・うま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト」は、2025年度グッドデザイン賞 において金賞を受賞したほか、Well‑being & Age‑Tech 2025 Awardで農林水産大臣賞を受賞するなど、高い社会的評価をいただいています。加えて、「エレキソルトスプーン」は第17回日本マーケティング大賞において奨励賞を受賞しました。今後、食器形態の拡充や自治体・医療・栄養指導の現場との連携を通じ、減塩実践の普及と生活者の健康増進に寄与します。キリンホールディングス㈱と東京大学大学院農学生命科学研究科との共同研究により、ヒトiPS細胞由来小腸オルガノイド※7を用いて、細胞老化が小腸上皮細胞の糖・アミノ酸吸収を低下させることを世界で初めて確認しました。上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition)進行と吸収機能の消失メカニズムの理解を深めるとともに、老化抑制素材としてヒトミルクオリゴ糖(Human milk oligosaccharide)の有効性検証にも成功し、アンチエイジング領域における食品素材の研究開発を加速しています。㈱ファンケルグループは、総合研究所において、化粧品、栄養補助食品、発芽米および青汁に係る基盤技術研究ならびに製品開発研究活動を通じて、「安心・安全」を軸とした安全性・機能性研究を推進し、科学的根拠に基づいた製品開発を行っています。特に老化研究に注力し、独自の研究から「キンミズヒキ」及び「キンミズヒキ由来のアグリモール類」に老化した細胞を除去する作用を見出し、機能性表示食品「ウェルエイジプレミアム」を発売しました。また、「ヤギミルク由来エクソソーム」が皮膚細胞の老化を抑制し、コラーゲン及びエラスチンの産生促進作用があることを見出し、これを配合したエイジングケア美容液「アドバンスト ビューティ コンセントレート」を発売 しました。これらの独自素材を配合した製品は、計画を上回る販売数量で推移しており、売上拡大に寄与しています。グループ横断の商品開発力を活かした連携として、キリンホールディングス㈱とファンケルに加えアクシージアと三社での協業によってプラズマ乳酸菌を配合したサプリメントを共同開発して中国越境ECにおける販売を開始し、海外市場での免疫ケア事業の拡大を推進しました。また、海外グループのBlackmoresとは、アジア地域におけるプラズマ乳酸菌配合製品の販売を展開し、各国の消費者ニーズに沿った商品訴求とブランド浸透を進めています。協和発酵バイオ㈱については、一部事業の譲渡完了に伴い、研究開発・投資資源の重点化を図り、シチコリン等のスペシャリティ素材事業を中核とする体制へ再編しました。研究開発基盤の強化に向けては、Cowellnex㈱がSiolta Therapeuticsと乳児の壊死性腸炎の発症抑制を目的とする生菌製剤の共同研究に着手し、腸内細菌叢を活用した次世代の健康価値創出に取り組んでいます。これらの連携によってシナジーを最大化し、国内外の市場開拓、研究知の融合、供給・販売チャネルの拡張を通じて、ヘルスサイエンス事業全体の持続的成長を下支えしています。 当事業に係る研究開発費は39億円です。 ※1 2024年1月~12月 当社販売金額に基づく※2 2025年1月~12月 当社販売金額に基づく※3 プラズマサイトイド樹状細胞の略。自然免疫系に属し、ウイルス感染時に大量のⅠ型インターフェロンを産生して抗ウイルス防御を担う免疫細胞。樹状細胞として抗原提示機能も有する。※4 AIなどのデジタル技術を活用し、疾患に関連する生体システムと創薬シーズの相互作用や体内動態、副作用等を、数理モデルやコンピュータ解析を用いて網羅的に明らかにする手法。膨大な分子データを分析し、効率的に新薬候補物質を絞り込むことができる。※5 定量的システム薬理学(Quantitative Systems Pharmacology)の略。生理学的・病態学的ネットワークを計算モデルで統合し、薬物の生理活性や治療効果、及び栄養素の全身影響を予測する情報科学的アプローチ。※6 腸と脳がお互いに影響を及ぼし合う双方向のネットワーク。腸と脳は神経・内分泌・免疫・代謝などを通じて密接に連携している。※7 オルガノイドとは臓器・組織を模倣した3次元構造体であり「人工臓器」とも呼ばれている。
FY2024|13,229 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)のイノベーションを実現する組織能力の一つとして「確かな価値を生み出す技術力」を掲げています。従来から強みを持つ発酵・バイオテクノロジー、パッケージング、エンジニアリングの技術力をより発展させるとともに、知的財産の取り組みにも力を入れています。当社グループの研究開発活動は、酒類事業、飲料事業、ヘルスサイエンス事業においては、キリンホールディングス㈱の5研究所(キリン中央研究所、ヘルスサイエンス研究所、飲料未来研究所、パッケージイノベーション研究所、バイオプロセス技術研究所)及び各事業会社の研究所で行っています。また、医薬事業においては、協和キリン㈱が中心にLife-changingな価値の創出を目指して研究開発活動を行い、さらに医薬品にとどまらない価値提供も目指してキリンホールディングス㈱との協働取り組みを推進しています。当年度におけるグループ全体の研究開発費は1,161億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱の研究開発費は<全社(共通)>に含まれています。 <全社(共通)>キリンホールディングス㈱は、中長期の研究開発活動や、当社グループの全事業にまたがる研究開発を行っています。環境領域の研究において、高効率・環境負荷低減を実現する、PET ※1ケミカルリサイクル※2技術の開発に取り組みました。国立大学法人静岡大学農学部、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構分子科学研究所および国立大学法人大阪大学蛋白質研究所と共同で、ケミカルリサイクル技術の一つである「酵素分解法」で用いる「PET分解酵素」を改変※3し、PETを高効率で分解できる酵素の開発に成功しました。改変した酵素を用いた検証では、一般的に資源循環が困難とされている混紡繊維中のPETも分解でき、PETとコットンの混紡繊維におけるPETの分解率※4が90%と世界最高値※5となりました。また、ペットボトルにおける評価では改変前の酵素と比較し、PET分解量が28倍に向上※6したことを確認しました。また、アミノ酸の一種であるN-アセチルグルタミン酸(以下、NAG)が、ビールの原材料であるホップの熱ストレス耐性を高めること、およびそのメカニズムを明らかにしました。NAGはホップだけでなく他の植物でも熱ストレス耐性を強化できることから※7、気候変動に対応する農業資材として活用できる可能性があります。 全社(共通)に係る研究開発費は83億円です。 ※1 ポリエチレンテレフタラート※2 PETの中間原料まで分解、精製したものを再びPETに合成する方法※3 酵素の構造を変えることで、PETに対しての働き(分解効率)を良くすること。※4 PET分解酵素により、検証に使用したPET全量のうち、分解できたPET量の割合。※5 DialogおよびJdream3データベースを用いた、酵素によるポリエチレン含有繊維の分解に関する文献調査に基づく(Dialogデータベースでの調査対象は査読論文に限る)(2024年11月18日(月)調査実施 ナレッジワイヤ調べ)※6 改変前のPET分解酵素「PET2」と改変後の「PET2-21M」での比較。60℃の温度帯で、それぞれ同量の添加した酵素量と分解対象のPET量で検証した場合の分解量の比較。※7 Hirakawa et al, Plant Biotech. 2024; 41(1): 71-76Hirakawa et al, Front Plant Sci. 2023; 14: 1165646 <酒類事業>酒類事業は、麒麟麦酒㈱、メルシャン㈱、LION PTY LTDが、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。ビールカテゴリーからは、17年ぶりにスタンダードビールの新ブランド「キリンビール 晴れ風(以下、晴れ風)」を開発し、4月より全国で発売しました。麦芽100%で、副原料を使用せずに麦のうまみを丁寧に引き出すことで、雑味のないきれいな味わいに仕上げました。また、日本産の希少ホップ「IBUKI」を使用しており、爽やかな柑橘香が特長です。添加タイミングにも工夫を凝らし、ホップの香りが奥ゆかしく、穏やかに香る設計としています。さらに、ビールの飲みづらさにつながる過度な酸味を抑えるために、仕込工程と発酵工程において工夫を凝らし、まろやかな味わいとスムースな口当たりを実現しました。「キリン一番搾り生ビール」を中味・パッケージともに6月にリニューアルしました。ホップ配合の見直しと、仕込み時の温度変更を行い、バランスの良さはそのままに、より麦のうまみを感じられて、雑味がない味わいに進化しました。RTDカテゴリーからは、「キリン 氷結®(以下、氷結®)」ブランドから、新シリーズ「氷結®mottainai」の第1弾として「キリン 氷結®mottainai 浜なし(期間限定)」および第2弾として「キリン 氷結®mottainai ぽんかん(期間限定)」を開発し、それぞれ5月と10月から発売しました。「キリン 氷結®mottainai 浜なし(期間限定)」は、おいしいのに規格外という理由で廃棄される予定であった「浜なし」を使用しています。「浜なし」は、木の上で完熟させるのが特長です。「浜なし」のはじけるようなみずみずしい果実感が感じられ、軽やかな炭酸感とスッキリとした後味で、チューハイならではの爽やかさが楽しめる商品として開発しました。「キリン 氷結®mottainai ぽんかん(期間限定)」は、収穫前に温かい雨が降ることで、果実の表面が陥没・褐変してしまう柑橘特有の症状や、傷、大きさ等を理由に、青果として販売できず廃棄予定だった「高知県産ぽんかん」を使用しています。「高知県産ぽんかん」は、南国を思わせるようなオリエンタルな香りと、甘くてみずみずしい果実が特徴です。「ぽんかん」の皮を剥いた時に広がる爽やかな香りと甘くてジューシーな味わいを軽やかな炭酸感とスッキリとした後味で楽しめる商品として開発しました。国産洋酒カテゴリーからは、「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」を6月より数量限定で発売しました。操業当時の1970年代蒸留の原酒から、3つのタイプ(バーボンタイプ・カナディアンタイプ・スコッチタイプ)のグレーン原酒をすべて使用し、それ以降の1980・1990・2000年・2010年代の各年代の原酒をブレンドしています。長熟原酒由来の甘く複雑な熟成香と、未来を見据えて改良を続けてきた原酒の華やかな香りが見事に調和する美しい味わいをお楽しみいただけます。「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2024」においてジャパニーズウイスキーカテゴリーの最高賞となる「トロフィー」を受賞しました。ノンアルコールカテゴリーからは、「キリン グリーンズフリー」を中味・パッケージともに7月にリニューアルしました。原料の配合を見直すことで、水っぽさや雑味を抑えて爽快感と飲みごたえを向上させ、「ビールに近い爽やかなおいしさ」にさらに磨きをかけました。また、爽やかに香り高いニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィン」を含む3種類のホップをブレンドしており、麦とホップの香りの良さを引き出す製法を採用しています。ワインカテゴリーからは、世界の造り手とメルシャンの造り手が日本のお客様のために共に創るワインブランド「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」から、「メルシャン・ワインズ サニーサイド オーガニック スパークリング ロゼ 缶」を開発し、5月より発売しました。スペインのワイナリー「ペニンシュラ」と共創し、赤い果実や柑橘のような香りに加え、華やかなマスカットのニュアンスも感じられ、心地よい酸味のある果実味豊かでバランスのとれたやさしい味わいとなっています。キリンホールディングス㈱のパッケージイノベーション研究所が開発した、メルシャン史上最軽量となる1500mlワイン用ペットボトルを、7月より「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズなどで採用を開始しました。ワイン瓶の形状(ボルドー型)を維持しながら、従来のボトル重量58gから53.5gへと4.5g軽量化しました。これにより、「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズなどの当社ワイン用ペットボトル全商品※1において、年間約107トンのPET樹脂量と、約346トンのCO2排出量の削減を見込んでいます※2。2024年における受賞は、フランス・カンヌで開催された「ヴィナリ国際ワインコンクール 2024」において、「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2018」が金賞を受賞しました。また、フランス・ボルドーにて開催された「第48回 チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(Challenge International du Vin)2024」において、「メルシャン・ワインズ サニーサイド オーガニック ホワイト」、「シャトー・メルシャン 北信右岸シャルドネ リヴァリス 2021」、「シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 2022」の3品が金賞を受賞しました。オセアニアについては、LION PTY LTDが、キリンホールディングス㈱が長年培った技術を活用しながら、オーストラリアおよびニュージーランドの市場およびお客様の嗜好に合った商品開発に取り組んでいます。キリンブランドの「氷結®」に関して、2023年の「KIRIN HYOKETSU LEMON」の現地での発売を皮切りに、2024年は「KIRIN HYOKETSU PEACH」ならびに「KIRIN HYOKETSU PINEAPPLE」を新たに開発し、発売しました。今後も引き続きブランドの拡充に向けた開発を、共同して進めていきます。 当事業に係る研究開発費は8億円です。 ※1 2024年終売予定商品を除く※2 メルシャンが製造・販売する720ml・1500mlのワイン用ペットボトル商品の全てにこのペットボトル容器を採用した際の見込み(2023年販売実績に基づく) <飲料事業>飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を1,000億個配合した機能性表示食品「キリン おいしい免疫ケア 野菜 1日分」と「キリン おいしい免疫ケア 野菜と果物 1食分」を開発し、9月より全国で発売しました。「キリン おいしい免疫ケア 野菜 1日分」については、1日分の野菜を使用し※1、トマトとにんじんを中心に、31種類の野菜をブレンドすることで、野菜の甘味と酸味を濃く感じられる味わいです。「キリン おいしい免疫ケア 野菜と果物 1食分」については、1食分の野菜と果物を使用し※2、にんじんとりんごを中心に30種類の野菜と2種類の果物をブレンドした、飲みやすい味わいです。また、健康な人の免疫機能の維持に役立つ機能性表示食品「キリン iMUSE(イミューズ)グリーン」を11月より全国で発売しました。「プラズマ乳酸菌」を1,000億個と、1日分のビタミン(B1、B6、C)を配合し、グレープフルーツミックス味のすっきりとした甘さで日常の水分補給やリフレッシュにもぴったりな味わいに仕上げました。また、2月に発表した花王株式会社(以下、花王)の茶カテキン飲料「ヘルシア」に関する事業譲渡契約に則り、8月より花王のヘルシアブランドの茶カテキン飲料「ヘルシア 緑茶」「ヘルシア 緑茶 うまみ贅沢仕立て」「ヘルシア ウォーター」の3製品6品種を全国で販売開始しました。両社の研究所をはじめとする双方の技術部門が連携して取り組みました。「キリン 午後の紅茶」から「キリン 午後の紅茶 ストレートティー/ミルクティー/レモンティー」の味覚・パッケージデザイン・容器※3の開発により、2018年以来6年ぶりに大刷新し、6月より全国で発売しました。スリランカ産紅茶葉を15%以上使用し、上品な紅茶の香りと、程よい甘さを追求しました。また500ml手売り用ペットボトルを、ダイヤカットが特長的で、紅茶の液色がよりクリアにおいしそうに見える新容器にリニューアルしました。一部容器を「シュリンクラベル」から「ロールラベル」に変更し、ラベルを薄く面積を小さくしました。今回「ロールラベル」の採用により、年間約116トンのプラスチック樹脂使用量を削減※4でき、これによりCO2排出量を年間838トン削減※4できます。「キリン 生茶」「キリン 生茶 ほうじ煎茶」を容器、パッケージ※5、味覚の開発により、すべて大刷新し、4月より全国で発売しました。味覚については、生茶葉鮮度搾り製法※6に加え、抽出した茶液を凍結・凝縮することで新茶のようなあまみの成分が生成され、新茶のようなあまみを増幅させる「凍結あまみ製法」※7を新たに採用しました。また、微粉砕茶葉も現行品から約3倍※8に増やすことで、苦渋みを抑え、新茶のような“あまみ”際立つ、生茶史上最高レベル※9のおいしさに進化しました。物流の2024年問題への対応として、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)が開発し、三菱重工グループの三菱ロジスネクスト株式会社とともに提供する、ΣSynX(シグマシンクス)※10によって飲料倉庫のピッキング作業を自動化・知能化するソリューション「自動ピッキングソリューション」を、キリンビバレッジ㈱の東日本エリアの物流拠点である海老名物流センター(神奈川県海老名市)に導入完了しました。 当事業に係る研究開発費は8億円です。 ※1 厚生労働省 健康日本21、1日の野菜摂取目標量350gより。原料の野菜汁は、野菜の全成分を含むものではありませんが、食生活で不足しがちな野菜を補うためにお飲みください。※2 厚生労働省 健康日本21、1日の野菜摂取目標量の約1/3:120g、農林水産省 FACT BOOK 果物と健康、1日の果物摂取目標量の約1/3:67gより。原料の野菜汁や果汁は、野菜や果物の全成分を含むものではありませんが、食生活で不足しがちな野菜や果物を補うためにお飲みください。※3 500ml手売り用ペットボトルのみ※4 2024年6~12月の販売予定数量に基づく当社試算※5 アジア包装連盟主催の「アジアスター2024コンテスト」において、「アジアスター賞」を受賞しました。※6 生茶葉鮮度搾り製法は2016年より導入※7 原料の一部で使用※8 対象商品: 280ml/300ml/525ml/555ml/600mlペットボトル※9 キリン調べ(23年9月:嗜好調査 N=120)※10 さまざまな機械システムを同調・協調させる三菱重工の標準プラットフォームであり、機械システムの知能化により最適運用を実現するデジタル・テクノロジーを集約したもの <医薬事業>協和キリン㈱グループは、研究開発活動へ経営資源を継続的かつ積極的に投入しています。自社における研究開発が注力する疾患サイエンス領域を骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患に設定し、創薬技術については、先進的抗体技術や造血幹細胞遺伝子治療などの革新的なモダリティを強化することで、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指します。また、価値創造のプロセスの一環として、オープンイノベーション活動やパートナーとの連携推進、ベンチャーキャピタルファンドへの出資、コーポレートベンチャーキャピタルも活用します。研究開発においては、Life-changingな価値の創出に重点を置き、自社でグローバルに展開して価値最大化を目指すだけでなく、社外のパートナーとの戦略的な連携で価値最大化を目指すビジネスモデルも活用します。 <主要開発品の開発状況> 2024年12月31日時点開発番号,一般名対象疾患開発状況KHK4083/AMG 451, rocatinlimab中等度から重症のアトピー性皮膚炎第Ⅲ相試験 実施中結節性痒疹第Ⅲ相試験 実施中中等度から重症の喘息第Ⅱ相試験 実施中ziftomenib 急性骨髄性白血病(AML)(単剤)第Ⅱ相試験 実施中急性リンパ性白血病(ALL)(単剤)第Ⅰ相試験 実施中急性骨髄性白血病(AML)(併用)第Ⅰ相試験 実施中OTL-203ムコ多糖症I型(Hurler症候群)ピボタル試験(第Ⅲ相試験相当) 実施中KK8398, infigratinib軟骨無形成症第Ⅲ相試験 準備中KHK4951,tivozanib滲出型加齢黄斑変性(nAMD)第Ⅱ相試験 実施中糖尿病黄斑浮腫(DME)第Ⅱ相試験 実施中OTL-201ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型)PoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当) 実施中KK4277全身性エリテマトーデス(SLE)皮膚エリテマトーデス(CLE)第Ⅰ相試験 実施中KK2260進行性又は転移性固形がん第Ⅰ相試験 実施中KK2269進行性又は転移性固形がん第Ⅰ相試験 実施中KK2845急性骨髄性白血病(AML)第Ⅰ相試験 実施中KK8123X染色体連鎖性低リン血症(XLH)第Ⅰ相試験 実施中 ・KHK4083/AMG 451(一般名:rocatinlimab)は、病原性T細胞(炎症性疾患において疾患の原因となるT細胞)に発現するOX40受容体を標的とするモノクローナル抗体です。アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患の根本的な原因の一つとして、OX40シグナル伝達を介したT細胞の活性化により、病原性T細胞の増加とエフェクター機能が誘導され、T細胞のインバランスが生じていることが挙げられます。rocatinlimabは、病原性T細胞の機能を抑制し、またその数を減少させることにより、T細胞リバランスを可能とします。初期の抗体は協和キリン㈱の米国研究チームとラホヤ免疫研究所の共同研究により見出されました。2021年6月1日、協和キリン㈱と米国Amgen社はrocatinlimabの共同開発・販売に関する契約を締結しました。本契約に基づき、米国Amgen社は本剤の開発、製造、及び協和キリン㈱が単独で販売活動を担当する日本を除くグローバルでの販売活動を主導します。両社は米国において本剤のコ・プロモーションを行い、協和キリン㈱は米国以外(日本を除く欧州及びアジア)においてコ・プロモーションを行う権利を有しています。現在成人及び青年期(12歳以上)の中等度から重症のアトピー性皮膚炎を対象に8つの試験からなる第Ⅲ相試験(ROCKETプログラム)が進行中です。これまでに3,300名以上の患者さんが試験に参加し、そのうち7つの試験で被験者登録を終了しました。9月にROCKETプログラムの最初の試験ROCKET-Horizonの結果が主要評価項目と全ての主要な副次評価項目を達成したことを発表しました。ROCKETプログラムに加え、中等度から重症の喘息を対象とする第Ⅱ相試験及び結節性痒疹を対象とする第Ⅲ相試験も実施中です。 ・ziftomenibは、経口メニン阻害薬であり、アンメットニーズの高い特定の遺伝子変異や再構成を有するAMLに対する治療薬として米国Kura Oncology社(以下「Kura社」という。)により開発が進められてきました。2024年11月、協和キリン㈱とKura社はziftomenibの販売と開発に関するグローバルにおける急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、両社は共同でziftomenibの開発と販売を実施し、米国ではKura社が、米国以外では協和キリン㈱が開発・薬事・販売戦略を主導します。現在AMLを対象に複数の試験が進行中です。2024年12月に、両社はziftomenibについて、NPM1変異及び KMT2A再構成のAMLを対象とするシタラビン・ダウノルビシン(7+3療法)やベネトクラクス・アザシチジン(ven/aza)といった標準治療との併用療法に関する良好なデータを発表しました。 ・OTL-203は、ムコ多糖症I型(Hurler症候群)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。根本治療法となり得る治療法としてOrchard Therapeutics社が北米と欧州でピボタル試験(第Ⅲ相試験相当)を実施中です。 ・KK8398(一般名:infigratinib)は、経口FGFR3阻害薬で、骨系統疾患を対象として米国BridgeBio社傘下のQED Therapeutics社により開発が進められてきました。2024年2月に協和キリン㈱とQED Therapeutics社は骨系統疾患を対象とした日本における開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。現在日本での第Ⅲ相試験の準備中です。 ・KHK4951(一般名:tivozanib)は、協和キリン㈱が創製した血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)-1、-2、-3 チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるtivozanibを点眼投与により後眼部組織に効率的に送達するように設計した新規のナノクリスタル化点眼剤であり、滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)及び糖尿病黄斑浮腫(DME)に対して非侵襲的な新しい治療選択肢となり得る薬剤です。現在第Ⅱ相試験を実施中です。 ・OTL-201は、ムコ多糖症IIIA型(Sanfilippo症候群A型)を対象とする造血幹細胞遺伝子治療法です。OTL-203と同様に根本治療法となり得る治療法としてPoC試験(第Ⅰ/Ⅱ相試験相当)を実施中です。 ・KK4277は、SBIバイオテック株式会社より導入した抗体をもとに、協和キリン㈱のPOTELLIGENT技術を応用して抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を強化し、それを最適化した抗体です。現在全身性エリテマトーデス及び皮膚エリテマトーデスを対象に第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK2260は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEGFR-TfR1バイスペシフィック抗体です。がん細胞選択的な鉄枯渇を実現する抗体として設計されており、非臨床試験において、強い薬効を示し、かつ忍容性も示すことを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK2269は、協和キリン㈱独自のバイスペシフィック抗体技術であるREGULGENTを応用したEpCAM-CD40バイスペシフィック抗体です。各種の腫瘍で高発現しているEpCAMと抗原提示細胞のCD40を架橋することで、腫瘍近傍の抗原提示細胞のみ活性化する抗体として設計されており、非臨床試験において、全身性副作用を抑制しながら抗腫瘍免疫による薬効を発揮できることを見出しました。現在第Ⅰ相試験を実施中です。 ・KK2845は、協和キリン㈱初の抗体薬物複合体(ADC)の開発品です。標的分子はTIM-3で、2024年10月に急性骨髄性白血病(AML)を対象とする第Ⅰ相試験を開始しました。 ・KK8123は、ヒト型抗FGF23抗体であり、X染色体連鎖性低リン血症(XLH)の新しい治療選択肢となり得る薬剤です。2024年11月に、XLHを対象とした第Ⅰ相試験を開始しました。 <主な提携・ライセンス情報>・2024年1月に線維化を伴う炎症性疾患治療薬の開発を目的とする化合物の独占的開発権をドイツBoehringer Ingelheim社へ導出するライセンス契約を締結しました。 ・2024年2月に骨・ミネラル領域の強化を目的として、米国BridgeBio社傘下のQED Therapeutics社とinfigratinibの骨系統疾患を対象とした日本国内の開発・販売権の導入に関するライセンス契約を締結しました。 ・2024年11月に米国Kura Oncology社とziftomenibの販売と開発についてのグローバルな急性白血病を対象とした戦略的提携に関する契約を締結しました。 主な申請承認情報開発番号、一般名、製品名対象疾患申請状況2024年に承認取得した 国・地域KRN125(一般名:ペグフィルグラスチム、日本製品名:ジーラスタ)自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員―日本OTL-200(一般名:atidarsagene autotemcel、欧州製品名:Libmeldy、米国製品名:Lenmeldy)異染性白質ジストロフィー―米国KHK4827(一般名:ブロダルマブ、日本製品名:ルミセフ)掌蹠膿疱症台湾申請中―KHK7580(一般名:エボカルセト、日本製品名:オルケディア)二次性副甲状腺機能亢進症―台湾・中国AMG531(一般名:ロミプロスチム、日本製品名:ロミプレート)再生不良性貧血台湾申請中―重症の再生不良性貧血―韓国 KHK4827は全身性強皮症を予定適応症とする日本での承認事項一部変更承認申請を取り下げたため、該当する申請情報を本表から削除しました。 当事業に係る研究開発費は1,028億円です。 <ヘルスサイエンス事業>キリンホールディングス㈱は、独自素材である「プラズマ乳酸菌」を中心に、ヘルスサイエンス事業の拡大に繋がる研究開発に引き続き注力しています。プラズマ乳酸菌の発見・事業化について、科学技術に関する研究開発、理解増進において顕著な成果を収めた功績をたたえる「令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」で、「科学技術分野 科学技術賞 開発部門 文部科学大臣表彰」を受賞しました。当表彰の受賞はキリングループとしてははじめてです。プラズマ乳酸菌は、キリンビバレッジ㈱が販売する機能性表示食品である「キリン おいしい免疫ケア」シリーズが、2023年3月28日(火)の発売から約1年8か月で累計販売本数1億2千万本※1を突破するなど、好調に推移しています。プラズマ乳酸菌の研究については、5月に新型コロナウイルスをはじめとする呼吸器ウイルス感染を予防する手段となり得る点が評価され、AMED※2の先進的研究開発戦略センターが公募した「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」へ採択されました。また、キリンホールディングス㈱と国立感染症研究所は、プラズマ乳酸菌の経鼻接種による自然免疫誘導型のワクチン開発を目的とした共同研究により、新型コロナウイルスおよびインフルエンザウイルスへの増殖抑制効果を非臨床実験にて確認したことを11月に報告しました。協和発酵バイオ㈱が製造・販売を行うヒトミルクオリゴ糖について、2FL(2’-Fucosyllactose)及び3SL(3’-sialyllactose sodium salt)が、欧州連合の欧州委員会により新規食品(Novel Food)として承認されました。また、2FLは、インド食品安全基準局により食品原料として承認されました。尚、協和発酵バイオ㈱のアミノ酸及びヒトミルクオリゴ糖の事業譲渡合意のもと、当該品目の研究開発についても譲渡先へのスムーズな移管を進めるとともに、今後はシチコリンをはじめとしたスペシャリティ素材事業を主軸としていきます。βラクトリンの発見・事業化について、キリンホールディングス㈱と雪印メグミルク株式会社(以下、雪印メグミルク)は、「令和6年度 民間部門農林水産研究開発功績者表彰」にて「農林水産大臣賞」を受賞しました。当賞の受賞はキリングループおよび雪印メグミルクとしては共にはじめてです。「βラクトリン」は、キリンホールディングス㈱の脳科学の研究において、協和キリン㈱との連携の成果として発見された、加齢に伴って低下する記憶力の維持に役立つ乳由来の機能性食品素材です。これまで、サプリメント、乳飲料、ヨーグルトなどに配合し、機能性表示食品としてキリンホールディングス㈱と雪印メグミルクより商品を発売しています。キリンホールディングス㈱と明治大学 総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室による、電気の力で減塩食の塩味を約1.5倍※3に増強する技術およびその技術を使った「エレキソルト」の開発が、内閣府「日本オープンイノベーション大賞」で「日本学術会議会長賞」を受賞しました。本技術は、ヘルスサイエンス領域の新規事業として、電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト スプーン」として販売を開始しています。また、エレキソルトスプーンは、「CES Innovation Awards® 2025」において、「Digital Health部門」および「Accessibility & AgeTech部門」の2部門で受賞しました。「CES Innovation Awards®」における受賞はキリングループとしてははじめてです。CES®は例年1月に米国ラスベガスにおいて開催される電子機器を中心とした製品やサービスの展示イベントで、1967年の開催から50年以上続く世界最大のテクノロジー展示会であり、「CES Innovation Awards®」は、優れたデザイン・技術を有した製品・サービスを表彰するものになります。グループ会社との連携として、キリンホールディングス㈱は、㈱ファンケルおよび順天堂大学大学院医学研究科・環境医学研究所との共同研究講座「抗老化皮膚医学研究講座」に参画し、ヒトのiPS細胞※4から炎症応答を制御する免疫細胞「マクロファージ」に安定的に分化※5させる方法を確立しました。また、ヒトiPS細胞由来のマクロファージを組み込んだ3D培養ヒト皮膚モデル※6を世界で初めて作製し、炎症性刺激を与えたときに3D培養ヒト皮膚モデル内のマクロファージが応答することも確認しました。今後も免疫機能と皮膚症状の関係性に着目し、3D培養ヒト皮膚モデル作製をはじめとする、さまざまな皮膚研究を進め、ヘルスサイエンス事業の拡大を目指します。さらに、キリンホールディングス㈱と㈱ファンケルは、環境に配慮した取り組みとして、ビール類製造時の副産物である仕込前モルト粉(以下、モルト粉)を活用したパルプモールド※7製ボックス※8を共同で開発しました。今後もさらにプラスチックの資源循環をはじめとする環境課題の解決について取り組み、環境および地域社会におけるシナジーを創出してまいります。また、Blackmoresとは、アジア太平洋地域をはじめとした海外におけるプラズマ乳酸菌の事業拡大などで、幅広いシナジーを創出するための研究開発を共同して進めています。 当事業に係る研究開発費は27億円です。 ※1 当社出荷数量に基づく (2023年3月28日(火)~2024年11月15日(金) 「キリン おいしい免疫ケア/おいしい免疫ケア カロリーオフ/おいしい免疫ケア 睡眠」全容量)※2 国立研究開発法人日本医療研究開発機構※3 一般食品を模したサンプルと、食塩を30%低減させたサンプルでの塩味強度に関する評価の変化値。エレキソルトの技術(電流0.1~0.5mA)を搭載した箸を用いた試験。現在または過去に減塩をしている/していた経験のある40~65歳男女31名に対し、試験用食品を食した際に感じた塩味強度をアンケートしたところ、31名中29名が「塩味が増した」と回答。※4 ヒトの体細胞を初期化することで、さまざまな組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもった人工多能性幹細胞※5 iPS細胞などが、特定の性質や機能を持った細胞に変化する現象※6 ヒト皮膚線維芽細胞とヒト表皮ケラチノサイトを積層させて作った、3D構造を有する人工皮膚モデル※7 パルプモールドとは、木質繊維(古紙を含む)を水で溶かし絡み合わせ、乾燥させてできる紙成形品。※8 世界包装機構主催の「ワールドスター2025コンテスト」において、「ワールドスター賞」を受賞しました。
FY2023|9,487 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)のイノベーションを実現する組織能力の一つとして「確かな価値を生み出す技術力」を掲げています。従来から強みを持つ発酵・バイオテクノロジー、パッケージング、エンジニアリングをより発展させるとともに、知的財産の取り組みにも力を入れています。当社グループの研究開発活動は、食領域、ヘルスサイエンス領域においては、キリンホールディングス㈱の4研究所(キリン中央研究所、ヘルスサイエンス研究所、飲料未来研究所、パッケージイノベーション研究所)及び各事業会社の研究所で行っています。また、医領域においては、協和キリン㈱が中心に研究開発活動を行い、さらに医薬品にとどまらない価値提供も目指してキリンホールディングス㈱との協働取り組みを推進しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は849億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱の研究開発費は<全社(共通)>に含まれています。 <国内ビール・スピリッツ事業>国内ビール・スピリッツ事業は、麒麟麦酒㈱が、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。「キリン一番搾り生ビール」を中味・パッケージともに1月にリニューアルしました。麦汁の仕込み工程を見直し、麦本来の澄んだうまみを最大限引き出すことで、飲みごたえの向上と雑味・渋みを抑えた飲みやすい後口を実現しました。また、「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を中味・パッケージともに4月にリニューアルしました。フローラルな香りを持ちつつ穏やかな苦みが特長のザーツホップを新規で採用することにより、ビールの上品な苦みや味の厚みが生まれ、飲みごたえを向上させると共に、トラディションホップの増量によって、柑橘様のフルーティな香りの印象を高め、後味がより爽やかに感じるよう進化させました。クラフトビールブランドである「SPRING VALLEY (スプリングバレー)」の「SPRING VALLEY 豊潤<496>」を中味・パッケージともに1月にリニューアルしました。希少な「日本産ホップ」を含む5種類のホップの比率を調整し、ホップを7日間漬け込む当社の技術「ディップホップ製法」のホップを増量しました。それにより、ホップの華やかな香りを引き出し、苦味の質を穏やかにすることで、豊潤でありながらすっきりとしたバランスの良いおいしさはそのままに、より心地よい後味へ進化しました。「SPRING VALLEY シルクエール<白>」を中味・パッケージともに7月にリニューアルしました。ホップの配合比率を調整し、より「まろやかさ」と「華やかな香り」が引き立つ味わいへ進化しました。また、「SPRING VALLEY JAPAN ALE<香>」を10月に新発売しました。華やかな香りが感じられる海外ホップと、いちじくやみかん、マスカットのようなユニークで爽やかな香りの日本産ホップを組み合わせ、双方の良いところを引き出し調和させることで、お客様の味覚に合う爽やかな香りを実現しました。RTD※1カテゴリーでは、新ブランド「キリン 上々 焼酎ソーダ」を10月に発売しました。メルシャン八代不知火蔵の本格麦焼酎原酒を一部使用し、「米麹抽出物」や「食塩」といった焼酎の特長を引き立てる素材を使用することで、焼酎の本格感や満足感を感じられながら、クセがなくすっきり爽やかな味覚を実現しました。また、新ブランド「麒麟百年 極み檸檬サワー」を4月に発売しました。皮ごと搾ったレモン果汁を含む複数のレモン果汁に、ビール酵母で発酵させたレモン果汁を加え、さらにビールの泡にヒントを得た独特の泡立ちにより、なめらかな口当たりとギュッと詰まったレモン感を実現し、お酒としての満足感と飲みやすさを両立したおいしさに仕上げました。この味覚特長を実現する技術は、「発泡性アルコール飲料で、『炭酸による刺激感や爽快感が抑制されたまろやかな口当たり』と、『柑橘香の良好な香り立ち』を両立する技術」として特許出願中です。 当事業に係る研究開発費は8億円です。 ※1 Ready to Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料 <国内飲料事業>国内飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を配合した「健康な人の免疫機能の維持をサポート」する機能性表示食品「キリン おいしい免疫ケア」を3月に新発売しました。満足感のある飲みごたえがありながらも、ほどよい甘さと酸味でさわやかなおいしさに仕上げました。また、「プラズマ乳酸菌」に加え「GABA」も配合した、“免疫ケア”と“睡眠の質向上”をサポートするダブルヘルスクレームの機能性表示食品「キリン おいしい免疫ケア 睡眠」を10月に新発売しました。「キリン 午後の紅茶」から「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」を3月に新発売しました。茶葉にこだわり、ミルクティーでありながらも無糖でスッキリとしたおいしさを実現しました。「キリン 生茶」を味覚・パッケージデザインともに4月にリニューアルしました。原料の配合バランスを見直すことで、お茶感を担保しながら、よりすっきりとした味わいにブラッシュアップしました。環境に貢献する取り組みとして「キリン 生茶」「キリン 生茶 ほうじ煎茶」(525ml)に、再生PET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」を順次拡大しました。「キリン 生茶 リッチ」を9月に新発売しました。約8時間以上かけて10μm(=0.01mm)以下まで粉砕した「微粉砕かぶせ茶」をぜいたくに「キリン 生茶」の10倍使用し、さらに、じっくりうまみを引き出す45℃抽出を主に、複数の温度帯で淹れた抽出液をブレンドすることで、苦渋みを抑えた深いうまみを感じる味わいに仕上げるなど、手間と時間をかけた工程をあえて採用し、本当においしい緑茶を追求しました。キリンビバレッジ湘南工場で、リサイクルレジン※1を100%使ったペットボトルのプリフォーム※2の製造を3月より開始しました。(1)リサイクルレジンの製造工程では、バージンレジンと比べ、GHG※3排出量を50~60%削減※4、(2)「R100ペットボトル※5」の安定した調達量の確保、(3)容器包装の自社製造による品質管理の精度向上 の3点の効果を見込んでいます。人手不足や待機車両時間などの物流の2024年問題に向けた取り組みとして三菱重工業株式会社と三菱重工グループの三菱ロジスネクスト株式会社とともに行った、飲料出荷拠点への「自動ピッキングソリューション※6」導入に関する共同実証において、物流現場への実効性が検証されたことから、海老名物流センター(神奈川県海老名市)に本ソリューションを2024年12月に導入することを決定しました。 当事業に係る研究開発費は9億円です。 ※1 使用済みのペットボトルを粉砕・洗浄して造られたPET容器の原料となる樹脂※2 膨らませる前のペットボトルの原型。試験管のような形をしている※3 GreenHouse Gas:温室効果ガス※4 キリングループ環境報告書2022※5 再生PET樹脂を100%使用したペットボトル※6 三菱重工グループが開発した、ピッキング作業を自動化・知能化したソリューション <オセアニア酒類事業>近年、豪州では多様性のある消費の拡大や、技術力の向上による味覚評価の高まり、爽快感を感じられることなどを背景にRTD市場が拡大しています。オセアニア酒類事業を担うLION Pty Ltdは、キリンホールディングス㈱が長年培った技術を活用しながら、オーストラリアおよびニュージーランドの市場およびお客様の嗜好に合った商品中味や容器の開発に取り組んできました。2023年8月、「氷結®」の特長である「みずみずしく、スッキリとしたおいしさ」はそのままに、豪州での健康志向ニーズの高まりに合わせ、糖類0.3g未満・カロリー116kcal・アルコール度数6%の「KIRIN HYOKETSU LEMON」を新たに開発し、発売しました。 当事業に係る研究開発費は0億円です。 <医薬事業>協和キリン㈱グループは、研究開発活動へ資源を継続的かつ積極的に投入しています。多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に"only-one value drug"を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しています。主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりです。(◆は当第4四半期連結会計期間の進捗) 腎領域KHK7580(日本製品名:オルケディア)・中国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認申請中です(2022年7月申請)。◆11月に韓国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認を取得しました。 KW-3357(日本製品名:アコアラン)◆日本において妊娠高血圧腎症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施しましたが、臨床試験結果を踏まえ開発中止を決定しました。 KHK7791(日本製品名:フォゼベル)・9月に日本において透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症とする製造販売承認を取得しました。 がん領域KRN125(日本製品名:ジーラスタ)・7月に日本において自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を適応症とする承認事項一部変更承認申請を行いました。 免疫・アレルギー疾患領域KHK4827(日本製品名:ルミセフ)・日本において全身性強皮症を予定適応症とする承認事項一部変更承認申請中です(2021年12月申請)。・8月に日本において掌蹠膿疱症を適応症とする承認事項一部変更承認を取得しました。 その他AMG531(日本製品名:ロミプレート)・9月に日本において既承認効能の「既存治療で効果不十分な再生不良性貧血」を「再生不良性貧血」に変更する承認事項一部変更承認を取得しました。 当事業に係る研究開発費は718億円です。 <その他・全社(共通)>メルシャン㈱は、キリンホールディングス㈱の研究所と連携しながらワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズから、「おいしい酸化防止剤無添加赤ワイン 濃厚ストロング」を8月に全国で新発売しました。ワインに濃厚な味わいと飲みごたえを求めるお客様の声にお応えし、ブドウ本来の濃さを感じられる果汁や酵母を厳選しポリフェノールをたっぷり含有することで、濃厚な味わいと、飲みごたえを高めました。世界の造り手とメルシャンの造り手が日本のお客様のために共に創るワインブランド「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」から、ブランド初のボトル缶ワインとして「メルシャン・ワインズ サニーサイド オーガニック スパークリング 缶」(白・280ml)を8月に全国で新発売しました。「サニーサイド オーガニック」は、スペインのワイナリー「ペニンシュラ」と共創した、優しい味わいのスペインオーガニックワインで、「おいしく品質の良い、気軽に楽しめるオーガニックワイン」として好評をいただいている特長はそのままに、日本のお客様に向けた「スパークリングワイン」として開発しました。また、「メルシャン・ワインズ カンティアーモ スプマンテ」(ブリュット・ロゼ・750ml)を8月に全国で新発売しました。「飲みやすさ」「食事に合う味」に加え、華やかな香りや際立つフレッシュさにこだわり、どんな食事にも合う爽やかなおいしさと華やかな果実感が魅力です。7月に山梨県で開催された「Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2023」において、「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2018」「同 桔梗ヶ原メルロー 2018」「同 北信右岸シャルドネ リヴァリス 2020」の計3品が金賞を受賞しました。また、「同 山梨甲州 2022」など4品が銀賞を、「同 北信左岸シャルドネ リヴァリス 2020」など5品が銅賞を受賞しました。アジア最大級の国際ワインコンクール「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション 2023」の「ワインアワード部門」で、「シャトー・メルシャン 玉諸甲州きいろ香 2022」が金賞及び、出品された日本ワインの中で最高評価を得たワインに贈られる「ベスト日本ワイントロフィー」を受賞しました。同時に、「シャトー・メルシャン 山梨甲州 2022」など2品が金賞、4品が銅賞を受賞しました。 協和発酵バイオ㈱は、「シチコリン」や「ヒトミルクオリゴ糖」をはじめとする、高収益型のプロダクトパイプラインを多数持つグローバル・スペシャリティ発酵メーカーを目指し、長年培ってきた最先端の発酵技術の研究開発に引き続き注力しています。「シチコリン」については、協和発酵バイオ山口事業所での設備増設工事を竣工し、2023年11月に稼働開始しました。グローバルな安定供給体制を整えることにより、加齢に伴う脳機能低下予防、集中力やパフォーマンスの向上といったニーズに応えます。協和発酵バイオが世界で初めて※1工業レベルでの生産システムを構築した「ヒトミルクオリゴ糖」については、2022年11月にタイに新設した最先端の工場で3品目の商業生産を開始しました。「ヒトミルクオリゴ糖」は母乳に含まれるオリゴ糖の総称で、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養素となる物質、プレバイオティクス※2です。ヒトの消化酵素によって代謝されず大腸まで到達し、腸内細菌によって代謝され、様々な生理機能を発揮します。研究が進むにつれ、乳児の「栄養素」に加えて「機能性成分」としての働きが期待されています。3品目の「ヒトミルクオリゴ糖」については、製造に用いる菌株が、中国農業農村部(The Ministry of Agriculture and Rural Affairs of The People’s Republic of China, MARA )の安全性審査に合格しました。米国においては、米国食品医薬品庁(FDA:Food and Drug Administration)への GRAS※3通知手続きが完了しました。本通知によって、米国において一般の育児用ミルク※4や食品に協和発酵バイオの製品が使用可能になりました。また、3品目のうち6SL(6’-sialyllacotse sodium salt)が、欧州連合の欧州委員会により新規食品(Novel Food)として承認されました。本承認によって、2023年11月13日より、欧州連合加盟27カ国で製造・販売する乳児用ミルクや食品に、協和発酵バイオの6SL が使用可能になりました。今後、「ヒトミルクオリゴ糖」のニーズが高い世界各国への展開を通じて「健康」に関する社会課題の解決に貢献します。 ※1 Tetsuo Endo et. al.,Appl. Microbiol. Biotechnol. 53, 257-261 (2000)※2 人体に有益な微生物の選択的栄養源となり、それらの成長や増殖を促す物質※3 Generally Recognized As Safeの略。「一般に安全とみなされている」という意味で、一定の使用目的における条件下での安全性を証明するもの※4 医学的もしくは食事上の問題を有する乳児に使用する特殊なミルクを除く、乳児用ミルクおよびフォローアップミルク キリンホールディングス㈱は、独自素材である「プラズマ乳酸菌」を中心に、ヘルスサイエンス事業の拡大に繋がる研究開発に引き続き注力しています。2023年4月1日には、ヘルスサイエンス領域の研究開発を更に加速させるために、新たに「ヘルスサイエンス研究所」を設置しました。ヘルスサイエンス研究所の新設により、市場やお客様の健康課題をより正確に把握し、最先端のヘルスサイエンス研究成果を創出し、事業活用を加速させる体制へ移行します。また、新たな機能開発や機能性表示食品化の加速、研究とマーケティングの連動による素材の機能認知向上を目指します。プラズマ乳酸菌の発見・研究・事業化について、世の中を変革する優れたイノベーション事例を表彰する「第11回技術経営・イノベーション大賞」(主催:一般社団法人科学技術と経済の会)において文部科学大臣賞を受賞しました。更に、小岩井乳業㈱とともに、乳酸菌を含む免疫賦活用食品組成物の発明(特許第6598824号)が、「令和5年度全国発明表彰」(主催:公益社団法人 発明協会)において「恩賜発明賞」を受賞しました。恩賜発明賞の受賞は、両社が共同開発・事業展開を行うプラズマ乳酸菌の発見・商品化に関する発明、取り組みが評価されたもので、健康食品素材としては初、食品企業では59年ぶりの受賞です。プラズマ乳酸菌に関しては、国立大学法人長崎大学により、プラズマ乳酸菌を用いた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する特定臨床研究が行われました。今回の特定臨床研究では、主要評価項目である自覚症状総合スコアでは明らかな効果は示されませんでしたが、プラズマ乳酸菌の作用によって免疫系の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞(以下pDC※1)が維持された結果、新型コロナウイルスが早期から減少し、嗅覚・味覚障害の早期回復につながっている可能性が示唆されました。プラズマ乳酸菌が新型コロナウイルス感染症に対する新たな予防、治療法の一つになることを期待しています。免疫領域の研究において、和歌山県立医科大学が主宰し、NPO法人ヘルスプロモーション研究センターが取りまとめているコホート研究※2「わかやまヘルスプロモーションスタディ」に花王㈱とともに参画し、2022年11月から内臓脂肪と、pDCの活性※3について、その関連を調査する研究を共同で実施しました。本研究では、内臓脂肪と免疫活性の関連性を調査し、内臓脂肪が多いとpDC活性が低い(免疫機能が低い)こと、また、内臓脂肪が多く、かつpDC活性が低いと、新型コロナウイルス感染症・インフルエンザの罹患リスクが高いことを日本で初めて※4確認しました。この事実は世界でもまだ論文報告されていない※5発見です。独自に発見・開発した「熟成ホップ」に関して、「脳腸相関活性化により認知機能改善と体脂肪低減作用を有する熟成ホップの発見と事業応用」について、研究と事業応用が高く評価され、公益社団法人日本農芸化学会の2023年度「農芸化学技術賞」を受賞しました。また、民間が主体となって行う農林水産業その他関連産業に関する優れた研究開発を表彰する「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」(主催:農林水産省及び公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会)において、公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会会長賞を受賞しました。エビデンスに基づいた食品素材として、「熟成ホップ」を活用した社会実装を進めています。明治大学 宮下芳明研究室との共同研究で、減塩食品の塩味を約1.5倍※6に増強させる独自の電流波形を開発しました。減塩に関する悩みを抱えるお客様が、おいしく生活習慣の改善ができるサービスの実現を目指し、この電流波形を用いた技術を搭載したスプーン、お椀型の「エレキソルト」デバイスを開発しました。2024年中の日本国内での発売を目指して、小売店舗やECサイト、社員食堂など、さまざまなチャネルでの需要性を確認する実証実験を展開しています。なお、2023年のイグ・ノーベル賞にて、明治大学の宮下先生は「イグ・ノーベル賞(栄養学)」を受賞されています。環境領域の研究において、高効率・環境負荷低減を実現する、PET※7ケミカルリサイクル※8技術の開発に取り組みました。PETを分解する工程を、短時間・低エネルギーで実現する「アルカリ分解法」を開発しました。また、早稲田大学との共同研究で、PET分解後のモノマー※9を精製する工程において、環境負荷軽減とコスト削減を両立した「電気透析」による精製法を開発しました。この2つの技術は特許出願中であり、組み合わせて使用することで、分解・精製工程で使用する化学薬品のリサイクル利用も可能になります。グループ会社との連携について、㈱ファンケルとヘルスサイエンス領域でのAIを活用した研究開発などについて、引き続き協働を進めています。また、アジア・パシフィックにおいて、サプリメントなどの健康食品(ナチュラル・ヘルス)事業を展開している豪州企業Blackmores Limitedを子会社化しました。これにより、ヘルスサイエンス事業の商品ラインアップやケイパビリティが充実し、展開地域と共に成長機会と事業規模が拡大します。両社の展開する事業領域で幅広くシナジーを創出することで、より多くの健康に関する社会課題を解決していきます。 その他の事業及び全社(共通)に係る研究開発費は114億円です。 ※1 細菌やウイルスが体内に入ってきたときに重要な働きをする司令塔役の免疫細胞。pDCが活性化することによって、NK細胞やT細胞、B細胞などさまざまな免疫細胞が活発に働きウイルス感染から防御する。※2 疾病の要因と発症の関連を調べるための観察的研究の手法のひとつ。特定の疾病要因に関わっているグループと無関係のグループを作り、それぞれのグループの中での対象疾病発生率を算出することで、要因と疾患発症の関連性を調べることが可能。※3 ウイルス感染を模した刺激を与えた際の抗ウイルス因子をつくるpDCの割合※4 PubMed及び医中誌Webに掲載された論文情報・抄録情報に基づく(2023年11月22日現在 「pDC活性×内臓脂肪×感染症罹患」で検索 ナレッジワイヤ調べ)。※5 PubMed及び医中誌Webに掲載された論文情報に基づく(2023年11月22日現在 「pDC活性×内臓脂肪×感染症罹患」で検索 ナレッジワイヤ調べ)。※6 一般食品を模したサンプルと、食塩を30%低減させたサンプルでの塩味強度に関する評価の変化値。エレキソルトの技術(電流0.1~0.5 mA)を搭載した箸を用いた試験。現在または過去に減塩をしている/していた経験のある40~65歳男女31名に対し、試験用食品を食した際に感じた塩味強度をアンケートしたところ、31名中29名が「塩味が増した」と回答。※7 ポリエチレンテレフタラート※8 PETの中間原料まで分解、精製したものを再びPETに合成する方法※9 PET(ポリマー)を構成する最小の単位
FY2022|9,354 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、長期経営構想キリングループ・ビジョン2027(KV2027)のイノベーションを実現する組織能力の一つとして「確かな価値を生み出す技術力」を掲げています。従来から強みを持つ発酵・バイオテクノロジー、パッケージング、エンジニアリングをより発展させています。当社グループの研究開発活動は、食領域、ヘルスサイエンス領域においては、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所(キリン中央研究所、飲料未来研究所、パッケージイノベーション研究所)及び各事業会社の研究所で行っています。また、医領域においては、協和キリン㈱が中心に研究開発活動を行い、さらに医薬品にとどまらない価値提供も目指してキリンホールディングス㈱との協働取り組みを推進しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は743億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱R&D本部の研究開発費は<全社(共通)>に含まれています。 <国内ビール・スピリッツ事業>国内ビール・スピリッツ事業は、キリンビール㈱が、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。ビールカテゴリーでは、国内で初めて※1「糖質ゼロ※2」を実現した「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を中味・パッケージともに7月にリニューアルしました。「一番搾り製法※3」はそのままに、「糖質カット製法」に磨きをかけるとともに、麦芽を増量し、ホップ配合を見直すことで、一口目に感じるビールの飲みごたえを向上させ、後味はすっきりと澄んだ味わいを実現しました。クラフトビールブランドである「SPRING VALLEY (スプリングバレー)」から「SPRING VALLEY シルクエール<白>」の缶商品を9月に新発売しました。「SPRING VALLEY シルクエール<白>」は、まだ飲用経験者の少ない白ビールであり、「SPRING VALLEY 豊潤<496>」や一般的なピルスナータイプのビールとの味わいも大きく異なることから、お客様により多様で新しいビールの魅力を体験いただける商品です。無濾過で仕上げたにごりのある液色で、小麦麦芽を使用することで実現したきめ細かなふわとろの泡、まろやかな口当たりが特長です。ニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィンホップ」を一部使用することで、華やかで心地よい香りを実現しました。「キリン 氷結®」シリーズから、主力製品である「キリン 氷結® シチリア産レモン」「キリン 氷結® グレープフルーツ」「キリン 氷結® シャルドネスパークリング」の3品を中味・パッケージともに3月にリニューアルしました。また、「キリン 氷結® みかん」はより“爽快なおいしさ”を実現すべくブラッシュアップし、新たに「キリン 氷結® オレンジ」として4月に新発売しました。今回のリニューアルでは、果実のみずみずしくクリアな味わいを引き立てるとともに、雑味のないスッキリとした後口で、“爽快なおいしさ”をさらに進化させました。「氷結® シチリア産レモン」のリニューアルでは、レモンを凍結し、熱をかけずにエキス分を抽出する“凍結レモン製法”を新たに採用し、レモンのみずみずしくクリアな味わいを引き立てました。キリンのおいしいお酒づくりの原点である“発酵”技術を取り入れたRTD※4「麒麟 発酵レモンサワー」ブランドを、中味・パッケージともに1月にリニューアルしました。今回、好調な「発酵レモンサワー」をより多くのお客様に手に取っていただくため、レモン果汁を発酵させる酵母を一から見直し、レモンの味を豊かに引き出す“発酵”過程に磨きをかけました。製法を見直したことで、現行の発酵レモン果汁に比べ香気成分(おいしさ成分)の量が約15%増加し、さらに豊かなレモンのおいしさで、飲みやすく飲み飽きない味わいを実現しました。 当事業に係る研究開発費は8億円です。 ※1 ビールで糖質ゼロを実現した国内で初めての缶商品(Mintel GNPDを用いた当社調べ)※2 食品表示基準による。※3 麦汁ろ過工程において最初に流れ出る一番搾り麦汁を使う製法※4 Ready to Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料 <国内飲料事業>国内飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所と連携しながら研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」を配合した100mlペットボトル飲料の機能性表示食品「キリン iMUSE(イミューズ) 朝の免疫ケア」を、朝の“免疫ケア”という新しい習慣をより多くの方に広め、お客様の健康維持に貢献するため、3月より全国の量販、ドラッグストア、コンビニエンスストアチャネルで展開しました。「キリン 生茶」を中味・容器・パッケージデザイン全てを刷新し、4月にリニューアルしました。これまで以上に「生」ならではのお茶のおいしさで“お客様のココロとカラダ”をすっきりと満たすことを目指して、生茶葉の自然なあまみを感じながらも、後味がすっきりとした「摘みたて生茶葉のようなあまみ、香り」が楽しめるおいしさへと進化させました。また、2021年より「生茶」ブランドを環境のCSVフラッグシップブランドとして、再生PET樹脂を100%使用したリサイクルペットボトル(「R100ペットボトル」)の導入拡大やラベルレス商品の発売を行ってきました。今回のリニューアルでも新容器採用を機にラベルの短尺化を推進しました。「キリン 生茶 紙シール付ラベルレス」を6月に首都圏エリアの一部の量販店でテスト販売を開始しました。ペットボトル本体に巻くラベルを使用せず、必要表示内容が記載された小面積の紙製のタックシールを貼付した商品です。これにより、従来のラベル※1がなくても店頭で商品を1本ずつ販売することが可能となります。また、商品に貼付されるタックシールはこれまでプラスチック製が主流でしたが、今回、当社は株式会社フジシールとの取り組みにより紙製タックシールを新たに開発し、当商品に採用しました。使用済みペットボトルを回収してペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」の水平リサイクルを東武東上線で8月より開始しました。今回、当社と東武鉄道株式会社が協同し、回収した使用済みペットボトルを、確実にペットボトルへの再生に活用するリサイクルモデルを確立することで、「ボトルtoボトル」に向けた社会インフラの拡充を実現します。また、当スキームを適用することで、当社のリサイクルボックスの回収コストの低減と中間処理までのルートの効率化が可能となり、より低コストでの「ボトルtoボトル」が実現します。 当事業に係る研究開発費は8億円です。 ※1 ペットボトル本体に巻いているラベルのこと <オセアニア酒類事業>オセアニア酒類事業では、LION PTY LTDで、オーストラリアおよびニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品中味や容器開発を、キリンホールディングス㈱の持つ技術を活用しながら取り組みました。 当事業に係る研究開発費は0億円です。 <医薬事業>協和キリン㈱グループは、研究開発活動へ資源を継続的かつ積極的に投入しております。多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に"only-one value drug"を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Lifechangingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しております。主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりであります。(◆は当第4四半期連結会計期間の進捗) 腎領域KHK7580(日本製品名:オルケディア)・7月に中国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認申請を行いました。◆11月に韓国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認申請を行いました。 KHK7791(一般名:テナパノル塩酸塩)◆10月に日本において透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症とする製造販売承認申請を行いました。 がん領域KW-0761(日本製品名:ポテリジオ、欧米製品名:Poteligeo)◆10月に中国において菌状息肉腫およびセザリー症候群を適応症として承認されました。 KRN125(日本製品名:ジーラスタ)・2月に日本において同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を適応症として承認されました。・7月に日本においてがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とする自動投与デバイスが承認されました。◆12月に日本においてがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とする自動投与デバイス「ジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッド」を発売しました。 ME-401(一般名:ザンデリシブ)◆MEI Pharma社と共同で複数のグローバル試験を実施していましたが、米国食品医薬品局(FDA)から受領した最新のガイダンスを踏まえ、12月にB細胞悪性腫瘍を対象としたザンデリシブの日本を除くグローバル開発を中止することを決定しました。 免疫・アレルギー疾患領域KHK4827(日本製品名:ルミセフ)・9月に日本において掌蹠膿疱症を予定適応症とする承認事項一部変更承認申請を行いました。 KHK4083/AMG 451(一般名:rocatinlimab)・12月にアトピー性皮膚炎を対象とした第Ⅲ相国際共同治験の症例登録を再開しました。 その他AMG531(日本製品名:ロミプレート)・1月に中国においてコルチコステロイドや免疫グロブリン等の前治療で効果不十分な成人慢性免疫性血小板減少症を適応症として承認されました。◆11月に日本において再生不良性貧血を適応症とする承認事項一部変更承認申請を行いました。 KRN23(日本製品名:クリースビータ、欧米製品名:Crysvita)・8月に欧州において腫瘍性骨軟化症を適応症として承認されました。 当事業に係る研究開発費は624億円です。 <その他・全社(共通)>メルシャン㈱は、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所と連携しながらワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。世界の造り手とメルシャンの造り手が日本のお客様のために共創する輸入ワインの新ブランド「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」から、「メルシャン・ワインズ ブレンズ パーフェクト・ブレンド レッド/ホワイト」、「メルシャン・ワインズ ボルドー」を3月に全国で新発売しました。「Mercian Wines」は「もっと多くの日本のお客様に、気軽に・自由にワインを楽しんでいただくこと」を目指し、日本のお客様に合うワインを世界のワイナリーと共創して造った輸入ワインの新ブランドです。また当ブランドは、持続可能なワイン造りを目指し、「環境負荷軽減」、「産地との共存」、「人への負荷軽減」、「情報の見える化」の4つの項目に挑戦し、実行しているワイナリーとタッグを組んでおり、近年高まりを見せるエシカル消費ニーズにも応えます。「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」から、「メルシャン・ワインズ サニーサイド オーガニック レッド/ホワイト」を8月に全国で新発売しました。“お客様の日々のワイン生活水準を上げる”ことを目指し、手に取りやすい価格ながら高い品質で、日本のお客様の味覚に合うオーガニックワインとして発売しました。また、本商品は共創ワイナリーであるスペインの「ペニンシュラ」が設立した“エコエコプロジェクト”※1の取り組みに共感し、同プロジェクトとともに造りました。「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン 厳選素材 プレミアム ペットボトル」(赤・白)について、味わい・パッケージをリニューアルし、9月にリニューアルしました。今回のリニューアルでは、ワインに含まれる香りや味わいを安定化する特定の成分を高めるメルシャン独自の「贅沢芳醇製法」により、“コクや深みのある芳醇な香りや果実の味わい”をさらに進化させました。また、従来から5g軽量化した、メルシャン史上最軽量となるワイン用の720mlペットボトル※2を採用しました。お客様の持ち運びの利便性を高めながら年間で約83トン※3のPET樹脂削減と、約286トン※3のCO2排出量削減を見込んでいます。本ペットボトルの開発は、6月に公益社団法人 日本包装技術協会が主催する「第46回木下賞 包装技術賞」を受賞しました。4月にフランス・ボルドー地方にて開催された「第46回 チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(Challenge International du Vin)2022」において、「メルシャン・ワインズ ボルドー 2020」と「シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 2019」の2品が金賞を受賞しました。また、4月にイギリス・ロンドンで開催された「International Wine Challenge(IWC/インターナショナル・ワイン・チャレンジ) 2022」にて、「シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 2019」が日本ワイン最高得点を獲得し、「同 笛吹甲州グリ・ド・グリ 2020」「同 岩崎甲州 2020」と合わせた計3品が銀賞を受賞しました。同コンクールでは、「シャトー・メルシャン 玉諸甲州きいろ香 2020」をはじめとする3品が銅賞を受賞したほか、2022年3月に発売した新ブランド「Mercian Wines(メルシャン・ワインズ)」から「メルシャン・ワインズ ブレンズ パーフェクト・ブレンド レッド」「メルシャン・ワインズ ボルドー 2020」の2品のほか、「シャトー・メルシャン」ブランドから4品の計6品が奨励賞を受賞し、当社として計12商品が受賞しました。 ※1 エコエコ(eco eco)はEcology(エコロジー)とEconomy(エコノミー)をかけ合わせた造語※2 キリンホールディングス株式会社のパッケージイノベーション研究所が開発。特許出願中※3 本商品の他、同社が製造・販売する720mlペットボトル商品の全てにこのペットボトル容器を採用した際の見込み。2021年販売実績に基づく。 協和発酵バイオ㈱は、「シチコリン」や「ヒトミルクオリゴ糖」をはじめとする、高収益型のプロダクトパイプラインを多数持つグローバル・スペシャリティ発酵メーカーを目指し、長年培ってきた最先端の発酵技術の研究開発に引き続き注力しております。「シチコリン」については、協和発酵バイオ山口事業所での設備増設工事を竣工し、2023年末に稼働開始予定です。グローバルな安定供給体制を整えることにより、加齢に伴う脳機能低下予防、集中力やパフォーマンスの向上といったニーズに応えます。協和発酵バイオが世界で初めて※1工業レベルでの生産システムを構築した「ヒトミルクオリゴ糖」については、THAI KYOWA BIOTECHNOLOGIES CO., LTD.での製造設備が2022年11月に竣工し、3品目の新規導入製造を完了しました。「ヒトミルクオリゴ糖」は母乳に含まれるオリゴ糖の総称で、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養素となる物質、プレバイオティクス※2です。ヒトの消化酵素によって代謝されず大腸まで到達し、腸内細菌によって代謝され、様々な生理機能を発揮します。研究が進むにつれ、乳児の「栄養素」に加えて「機能性成分」としての働きが期待されています。2023年から粉ミルクメーカーなどへの販売を始めるとともに、キリングループ内での商品開発にも活用し、「ヒトミルクオリゴ糖」のニーズが高い世界各国への展開を通じて「健康」に関する社会課題の解決に貢献します。 ※1 Tetsuo Endo et. al.,Appl. Microbiol. Biotechnol. 53, 257-261 (2000)※2 人体に有益な微生物の選択的栄養源となり、それらの成長や増殖を促す物質 キリンホールディングス㈱は、ヘルスサイエンス事業の拡大に繋がる研究開発に引き続き注力しています。ヘルスサイエンス領域での研究開発活動をさらに加速するために、茨城県つくば市にある研究開発拠点を、湘南ヘルスイノベーションパーク(略称 湘南アイパーク、所在地 神奈川県藤沢市)に集約しました。湘南アイパークは、2018年4月に設立された製薬企業発のサイエンスパークであり、幅広い業種や規模の産官学が結集し、ヘルスイノベーションを加速する場となることを目指しています。免疫領域の乳酸菌L. lactis strain Plasma(以下、プラズマ乳酸菌)※1の研究では、その発見と実用化が高く評価され、公益財団法人安藤スポーツ・食文化振興財団の「食創会 ~新しい食品の創造・開発を奨める会~」※2 (会長 小泉純一郎、元内閣総理大臣)が主催する2021年度 食創会「第26回安藤百福賞」※3において「優秀賞」を受賞しました。また、プラズマ乳酸菌については、ベトナム国立栄養研究所と共同で、ベトナムの小学校1~3年生約1,000名を対象に、給食時に「プラズマ乳酸菌」を約1,000億個含む飲料、あるいは「プラズマ乳酸菌」を含まない飲料を8週間継続摂取する臨床試験を行いました。その結果、「プラズマ乳酸菌(約1,000億個)」を含む飲料を摂取したグループで、かぜ様症状※4(発熱・下痢など)の累積発生日数や、学校の累積欠席日数が有意に低下したことを確認しました。本臨床試験は、海外での児童に対するプラズマ乳酸菌を用いた初の臨床試験となります。小学校1~3年生のかぜ様症状である発熱・下痢などへの症状低減効果が見られたことは、プラズマ乳酸菌の継続摂取が児童に対して安全かつ簡便な感染症対策となりえることを示唆するものになりました。さらに、国立感染症研究所のエイズ研究センターとの共同研究で、プラズマ乳酸菌の作用による新型コロナウイルスの増殖抑制効果を確認※5し、その作用メカニズムを解析しました。これは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の令和4年度「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」に採択された研究です。その他の免疫領域の研究では、「Lactobacillus paracasei KW3110(以下、KW乳酸菌)」においても、開発と事業化が高く評価され、公益社団法人日本農芸化学会の2022年度「農芸化学技術賞」を受賞しました。脳領域の研究においては、脳や神経細胞にある細胞膜を維持する体内成分である「シチコリン」に関する研究成果について、キリン中央研究所の女性研究員が、公益社団法人日本農芸化学会2022年度「農芸化学女性企業研究者賞」を受賞しました。これは「シチコリン」が記憶力全般を改善し、特にエピソード記憶※6を改善する可能性があることを発表した研究成果が評価されたものです。なお、本研究は協和発酵バイオ㈱が製造した「シチコリン」を使用して行われ、成果を見いだしました※7。 また、㈱ファンケルと静岡県浜松市との三者で、2020年11月から浜松市民を対象とした「嗅覚機能・自律神経活動と気分・ストレスの関連性を探索する調査研究」を実施してきました。その結果、気分状態やストレス状態が悪い人ほど嗅覚感度が低下していること、ストレス抵抗性や自律神経活動が低い人ほど、特定の香りの同定能力※8が低下していることをヒト試験で確認しました。本研究は、キリン・ファンケル共同のヒト試験で初の成果となります。キリン・ファンケルは、嗅覚機能検査のサービス化や、気分・ストレス状態などをサポートする商品の開発を進めることで、お客様が健やかに過ごせる毎日を実現します。その他の脳領域の研究では、独自の認知機能改善素材βラクトペプチド※9と熟成ホップの一連の研究成果とエビデンスの確からしさが認められ、国内の老化研究の中核的な学会である日本抗加齢医学会より2021年度の研究奨励賞を受賞しました。また、βラクトペプチドの1つであるGTWYペプチド※10が、脳の老化に重要な役割を果たすミトコンドリア※11機能を改善するメカニズムによって、脳神経を保護することを世界で初めて明らかにしました。この研究成果を日本農芸化学会2022年度大会で発表し、トピックス賞を受賞しました。 その他の事業及び全社(共通)に係る研究開発費は102億円です。 ※1 国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンターが所有するLactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805のこと。※2 食科学の振興ならびに新しい食品の創造開発に貢献する独創的な研究者、開発者およびベンチャー起業家を表彰する「安藤百福賞」表彰事業(後援:文部科学省、農林水産省) を1996年から実施しており、今年で26回目を迎える。※3 新しい食品の開発と食科学の振興に貢献する独創的な基礎研究、食品開発およびベンチャー支援を目的に設けられた賞。食品や食文化の進歩に関して特に業績のあった個人に贈呈される。※4 「上気道感染症」ならびに「消化器感染症」の症状を指す。※5 ニュースリリース(2021年12月13日)キリンホールディングスと国立感染症研究所の共同研究により、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」の作用によって新型コロナウイルスの複製増殖を低下させることを確認(試験管内試験)。※6 年単位にわたり長期間保管される「長期記憶」の一つで、個人的な経験に基づく出来事とそれに付随する情報の両方が記憶されていることを特徴とする。※7 本臨床試験で使われたシチコリンは、米国で食品用途として許可を受けたものです。これらの記述は、米国食品医薬品局および日本の厚生労働省による評価を受けたものではありません。日本では、シチコリンは食品や飲料への使用が認められていません。※8 何の香りか分かる力。※9 乳タンパク質に由来し、トリプトファンーチロシン(WY)のアミノ酸配列を含み認知機能改善作用を有するペプチドの総称。※10 βラクトペプチドの主要な成分で、グリシン‐スレオニン‐トリプトファン‐チロシンの配列を持つペプチドの総称。※11 細胞内小器官の一つで、細胞の生命維持に必須なエネルギー物質「アデノシン三リン酸(ATP)」を生成する。
FY2021|7,048 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指しています。食から医にわたる領域での価値創造に向けては、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、2つの中間領域にあたる「ヘルスサイエンス事業」の立ち上げにつながるイノベーションの創造に取り組んでいます。当社グループの研究開発活動は、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所及び各事業会社の研究所で行っています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は696億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱R&D本部の研究開発費は<全社(共通)>に含まれています。 <国内ビール・スピリッツ事業>国内ビール・スピリッツ事業は、キリンビール㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。フラッグシップブランド「キリン一番搾り生ビール(以下、一番搾り)」をさらにおいしく進化させ、2月にリニューアルしました。今回のリニューアルでは、さらに“一番おいしいビール”を目指し、製造工程を見直しました。「麦のうまみ」をより感じやすくするために仕込条件を最適化したほか、「澄んだ味わい」を引き出すために発酵条件を最適化し、飲みやすく飲み飽きない、当社が目指す“理想のビールのおいしさ”を実現しました。クラフトビールの新商品である「SPRING VALLEY 豊潤<496>」の缶商品を3月に新発売しました。キリンビール㈱は、クラフトビールを通じて日本のビールのおいしさの選択幅を広げ、ビール市場の魅力化につなげることを目指しています。2014年以降、各ブルワリーや飲食店などにおけるクラフトビールの接点拡大を経て、クラフトビールニーズが大きく拡大しております。今回発売する「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、家庭でクラフトビールを楽しんでいただきたいという思いから、缶商品で展開しました。「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、数字の完全数を名前に冠した「496」をベースに誕生した商品です。コンセプトや味のバランスなどはそのままに、豊潤ながらも後味が綺麗で、飲み飽きない味わいを実現しました。 ノンアルコール・ビールテイスト飲料の機能性表示食品「キリン カラダFREE(キリン カラダフリー)」を3月にリニューアルしました。10年以上かけて開発したビールの原材料でもあるホップから生まれた「熟成ホップエキス」を使用しています。熟成させたホップの苦味成分である「熟成ホップ由来苦味酸」に体脂肪を低減させる効果があり、「お腹まわりの脂肪を減らす」という機能性と、毎日飲み続けられるような爽快な味わいでお客様から高く評価されてきました。今回のリニューアルでは、原材料の配合を見直し、さらにゴクゴク飲める爽快なおいしさと、すっきりとした後味を実現しました。 「つくりたてのおいしさをお客様にお届けしたい」という思いから生まれた会員制 生ビールサービス「キリン ホームタップ」を21年春より全国に本格展開しました。会員の自宅にビールを月2回定期配送して、専用のビールサーバーで楽しんでいただきます。定番ビールには「キリン一番搾り生ビール」最上位ブランドの「一番搾り プレミアム」を採用し、酸素の透過を防ぐ独自のコーティングを施したペットボトルに詰めてお届けしています。ビールサーバーは保冷機能を有しており、クリーミーな泡付けが簡易にできることなど、本格的な生ビール体験のために徹底的にこだわったサービス設計が特長です。「つくりたてのおいしさをお届けする」ことや「ビールサーバーから注ぐ楽しさ」など新たなビール飲用体験のご提供を通じて、ビールの魅力化・ビール市場の活性化に貢献していきます。 当事業に係る研究開発費は9億円です。 <国内飲料事業>国内飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。キリンの独自素材「Lactococcus lactis strain Plasma(以下、「プラズマ乳酸菌」)」を配合した「健康な人の免疫機能の維持をサポート」する機能性表示食品「キリン 午後の紅茶 ミルクティープラス」と「キリン 生茶 ライフプラス 免疫アシスト」を、10月に新発売しました。紅茶と緑茶で免疫機能をうたった機能性表示食品は、日本初となります。近年、免疫に対する関心が高まる一方、免疫への関心はあるものの、約70%※1の方が食品やサプリメントの摂取など積極的な行動ができておらず、免疫対策への意識も低いことが分かりました。今回、そういった方々の潜在需要を掘り起こすとともに、日本に“免疫ケア※2”の習慣を広く浸透させるため、お客様の認知が高く日常的にご愛飲いただいている「午後の紅茶」と「生茶」の2つの基盤ブランドから「プラズマ乳酸菌」を配合した新商品を発売しました。キリンホールディングス㈱の独自素材「βラクトリン(ベータラクトリン)」を配合した、加齢に伴って低下する“記憶力を維持する”ことをサポートする機能性表示食品「キリン βラクトリン」を5月に新発売しました。「βラクトリン」は、キリンホールディングスの脳科学の研究において、協和キリン㈱、小岩井乳業㈱との連携の成果として発見された、加齢に伴って低下する記憶力の維持に役立つ乳由来の機能性食品素材です。乳製品を習慣的に摂取することが記憶力などの認知機能の維持に役立つ疫学調査※3に注目し、乳由来「βラクトリン」の脳認知機能維持作用を世界で初めて※4発見しました。カマンベールチーズなどの乳製品に含まれる有効成分「βラクトリン」を発見し、キリンの発酵技術に関する知見により、少量で手軽に効率よく摂れる素材が見出しました。㈱ファンケル共同開発したフレーバーウォーター「キリン×ファンケル デイリーアミノウォーター」を4月に新発売しました。長年人々の健康や美容に向き合ってきた㈱ファンケルと、おいしくて安全・安心な飲料を提供するキリンビバレッジが、お互いの強みを生かし、新発想の商品を開発しました。昨今の情勢から、昨年の調査では「健康」や「リスクに備えること」の大切さを再認識した方が7割以上にのぼる※5など、お客様の意識や行動に変化が起こっています。ファンケルの「体内効率設計」※6に基づいて、活力のイメージがある2つのアミノ酸「アルギニン」と「シトルリン」に加え、「クエン酸」、「ビタミンC」を配合しています。さらに、キリンビバレッジ㈱の飲料開発技術により、すっきりと爽やかな味わいの飲料が誕生しました。お客様にとって体調管理がより重要になるなか、体内で常に使われていくアミノ酸や水分を毎日こまめに補給するという新しい健康習慣を提案しました。 当事業に係る研究開発費は9億円です。 ※1 2021年5月当社調べ(n=10,000)※2 生活習慣は規則正しく、バランスの良い食事、十分な睡眠と適度な運動が基本です。※3 Ozawa M, et al. Am J Clin Nutr. 2013, (5):1076-82※4 ホエイプロテイン由来のペプチドとしてヒトの記憶力(手がかりをもとに思い出す力)を維持することを世界で初めて発見/Pubmed及び 医学中央雑誌Webに掲載された論文情報に基づく(2021年2月28日現在 ナレッジワイヤ調べ)※5 出典 2020年 電通 「意識・行動変化」調査※6 個々の成分の持続性や吸収性はもちろん、互いの機能を高め合う配合バランスなどを研究した、ファンケル独自の成分設計の考え方 <オセアニア酒類事業>オセアニア酒類事業では、LION Pty Ltdで、オーストラリアおよびニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品中味や容器開発を、キリンホールディングス(株)の持つ技術を活用しながら取り組みました。 当事業に係る研究開発費は0億円です。 <医薬事業>協和発酵キリン㈱グループは、研究開発活動へ資源を継続的かつ積極的に投入しています。多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に"only-one value drug"を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しています。主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりです。 腎領域RTA402・1月に日本において常染色体優性多発性嚢胞腎を対象とした第Ⅲ相試験を開始しました。・7月に日本においてアルポート症候群を対象とした承認申請を行いました。KHK7791・4月に日本において血液透析および腹膜透析施行中の高リン血症を対象とした第Ⅲ相試験を開始しました。 がん領域KW-0761(日本製品名:ポテリジオ、欧米製品名:Poteligeo)・6月に中国において菌状息肉腫およびセザリー症候群を適応症とした承認申請を行いました。KRN125(日本製品名:ジーラスタ)・3月に日本において同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を適応症とした承認事項一部変更承認申請を行いました。・8月に日本においてがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした自動投与デバイスの承認申請を行いました。・9月に日本において自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を対象とした第Ⅱ相試験を開始しました。ME-401・6月に第Ⅱ相国際共同試験において、辺縁帯リンパ腫を対象とした追加群の試験を開始しました。・8月に再発または難治性の濾胞性リンパ腫および辺縁帯リンパ腫症例を対象としたリツキシマブとの併用療法の第Ⅲ相国際共同試験を開始しました。 免疫・アレルギー疾患領域KHK4083/AMG451・6月にアムジェン社とアトピー性皮膚炎等を対象とした共同開発・販売に関する契約を締結しました。KHK4827(日本製品名:ルミセフ)・12月に日本において全身性強皮症を予定適応症とした承認事項一部変更承認申請を行いました。 その他KRN23(日本製品名:クリースビータ、欧米製品名:Crysvita)・1月に欧州において腫瘍性骨軟化症を適応症とした生物学的製剤承認一部変更申請が受理されました(2020年12月申請)・1月に中国においてX染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症を適応症として承認されました。・3月に中国において腫瘍性骨軟化症を適応症として承認されました。AMG531(日本製品名:ロミプレート)・8月に韓国において免疫抑制療法に不応又は免疫抑制療法が適用とならない再生不良性貧血を適応症として承認されました。 当事業に係る研究開発費は574億円です。 <その他・全社(共通)>メルシャン㈱は、キリンホールディングス㈱飲料未来研究所と連携しながらワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。ワイン販売量世界No.1ブランド「フランジア」(赤、白、ダークレッド各種容器)の中味を6月にリニューアルしました。「フランジア」は、2008年よりメルシャン藤沢工場(神奈川県藤沢市)にて国内ボトリングを開始し、“フレッシュ&フルーティ”な味わいで、自由なスタイルで気取らずに楽しめるワインとしてお客様に好評いただいています。今回のリニューアルでは、現行のフランジアワインと当社が世界各国から選び抜いたブドウ果汁を国内で醸造したワインとブレンドすることで、「フランジア」の特長である「フレッシュ&フルーティ」な味わいをさらに向上させました。シャトー・メルシャンは「適地・適品種」の考えのもと、ワイン用ブドウ栽培に適した産地を確保・育成し、その地にふさわしい品種の栽培に取り組んできました。2021年4月にイギリス・ロンドンにて開催された「インターナショナル・ワイン・チャレンジ 2021」にて、「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2019」が日本ワインで唯一となる金賞を受賞しました。「オレンジワイン」カテゴリーにおいて、「オレンジワイン」の世界的な産地として有名なジョージア以外の産地で金賞を受賞するのは、同コンクール史上初の快挙となりました。「シャトー・メルシャン」として、同コンクールにて銀賞6品、銅賞5品とあわせ、計12商品が受賞しました。日本を代表するワイナリーとして、高品質な日本ワインを造り、国内外への情報発信をしていくことで、ブランドの認知拡大を図るとともに、日本ワイン産業の発展に貢献します。メルシャン㈱八代工場は、焼酎粕を家畜飼料として活用する取組みが評価され、10月に「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞しました。2015年より焼酎粕の一部を熊本県内の養豚業者に給餌飼料として提供を開始し、2015年~2020年の6年間で7,158トンの焼酎粕を家畜飼料として利用いただきました。本取り組みを通じ、八代工場からのCO2排出量は222トン低減され、養豚農家の飼料コストも低減されました。東京大学、キリンホールディングス㈱キリン中央研究所との共同研究により、世界で初めて焼酎粕が豚のストレスを低減し、肉質を向上させることも2019年に確認しました。焼酎粕の有効活用に新たな可能性を広げ、循環型社会の形成に貢献していることを評価いただきました。 協和発酵バイオ㈱は、「シチコリン」や「ヒトミルクオリゴ糖」をはじめとする、高収益型のプロダクトパイプラインを多数持つグローバル・スペシャリティ発酵メーカーを目指し、長年培ってきた最先端の発酵技術の研究開発に引き続き注力しています。「シチコリン」については、協和発酵バイオ山口事業所での設備増設工事を開始しました。グローバルな安定供給体制を整えることにより、加齢に伴う脳機能低下予防、集中力やパフォーマンスの向上といったニーズに応えます。協和発酵バイオ㈱が世界で初めて工業レベルでの生産システムを構築した「ヒトミルクオリゴ糖」については、THAI KYOWA BIOTECHNOLOGIES CO., LTD.での製造設備の新設工事を開始しました。「ヒトミルクオリゴ糖」には新生児の脳の発育を促し、免疫システムの発達に作用するほか、感染への抵抗力を高める働きや、抗炎症の機能があります。また、善玉ビフィズス菌を増やし、腸内環境を改善する効果が報告されています。製造体制構築後に、協和発酵バイオは「ヒトミルクオリゴ糖」の他社への外販を進めるとともに、自社及びグループでの商品開発でも活用していき、「健康」に関する社会課題の解決に貢献します。 キリンホールディングス㈱は、㈱ファンケルと2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同研究を進めています。キリンホールディングス㈱の独自素材である「14-デヒドロエルゴステロール」を含有する白麹菌抽出物を配合した美容液の連用試験を実施したところ、角層中の「アルギナーゼ1」※1量を増加するとともに、幅広い肌老化兆候が改善したことを確認しました。白麹菌抽出物がエイジング世代の肌悩みに対し有効であり、㈱ファンケルの化粧品に配合されました。また、「熟成ホップエキス」については、角質の主な成分であるケラチン膨潤効果、皮脂の酸化防止効果を確認し、角栓のできる要因である角質と皮脂の両方にアプローチすることが明らかになりました。「熟成ホップエキス」は毛穴の状態改善に有効であり、㈱ファンケルの化粧品に配合されました。 また、ヘルスサイエンス事業の重点領域である「脳機能」について、脳の健康サポートを日常で習慣化する食以外のソリューション提供に向けた研究開発も、異業種の企業・自治体・大学・研究機関などと連携しながら進めています。「笑う門には福来る」と言われるように、古くから、ユーモアや「笑い」は脳や心に良い影響があると考えられていますが、科学的な検証は十分に実施されていませんでした。そこで、吉本興業㈱、静岡県浜松市、学校法人近畿大学と連携し、「笑い」が脳や心の健康に及ぼす効果を検証したところ、「笑い」が脳血流の増加を促し、集中力を向上させることや、ストレス反応を改善することを、臨床研究で確認しました。本研究成果を活用し、「脳の健康」をサポートする毎日気軽に続けやすい新サービスの開発を目指していきます。 その他の事業及び全社(共通)に係る研究開発費は104億円です。 ※1 たんぱく質の一種で、シミの原因となる活性酸素の発生を抑え、メラニン産生が起こらないようにバランスを調整し、シミを防ぐ力がある酵素。肌表面に多く局在する。身体の炎症時に増加し、正常化させる機能を持つ。ファンケルでは、長年研究を行い、① 紫外線による皮膚の赤み増加を抑制、②メラニン刺激因子やコラーゲン分解酵素を抑制、③酸化によるバリア機能の低下や炎症の拡大を抑制、④糖化物によるダメージや老化抑制、の四つの働きについて解明している。
FY2020|7,253 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指しています。食から医にわたる領域での価値創造に向けては、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、2つの中間領域にあたる「ヘルスサイエンス領域」の立ち上げにつながるイノベーションの創造に取り組んでいます。当社グループの研究開発活動は、キリンホールディングス㈱R&D本部の3研究所及び各事業会社の研究所で行っています。ヘルスサイエンス領域におけるオープンイノベーションを加速するため、CVCファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」を設立し、腸内細菌由来のアレルギー予防薬・治療薬の開発を行うSiolta Therapeutics Inc.に出資するなど、有望な技術の開発・応用・実用化を可能にするためにグループ内外のオープンイノベーションを積極的に推進しています。当年度におけるグループ全体の研究開発費は645億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下のとおりで、キリンホールディングス㈱R&D本部の研究開発費は<全社(共通)>に含まれております。 <国内ビール・スピリッツ事業>キリンビール㈱は、「一番搾り」ブランドから「キリン一番搾り糖質ゼロ」を2020年10月に新発売しました。本商品は、国内で初めて※1、ビールカテゴリーで糖質ゼロ※2を実現した商品です。「一番搾り製法※3」による“雑味のない澄んだ麦のうまみ”と、約5年の歳月をかけて350回以上の試験醸造を重ね、キリンビール㈱の技術力を結集させることで、国内で初めてビールカテゴリーで「糖質ゼロ」を実現しました。お客様がビールカテゴリーに期待する「おいしさ」「糖質ゼロ」を実現することで、既存のビールユーザーに加え、健康志向の高いお客様への期待にも応え、ビールの新たな魅力を広げていきます。発泡酒カテゴリーでは、“ビールに近い飲みごたえを感じるおいしいゼロゼロ”がコンセプトの「淡麗」ブランド、「淡麗プラチナダブル」を2020年8月中旬からリニューアルしました。プリン体0×糖質0系のビール類市場は、お客様の継続した健康意識の高まりから堅調に推移※4しています。原材料配合の見直しと酵母から生成されるプリン体を抑制するキリン独自の発酵制御技術を新たに採用することで、原料・発酵由来の飲みごたえと爽快なキレをアップさせながら、「プリン体0」「糖質0」を実現しました。新ジャンルカテゴリーでは、「本麒麟」を2020年1月中旬からリニューアルし、大麦を増量し、仕込過程に新技術を採用することで、「本麒麟」の強みである「ビールに近い卓越したうまさと品質」を一層強化しました。ベルリンインターナショナルビアコンペティション 2020 年「インターナショナル スタイルラガー部門」、ジャパン・フード・セレクション第 34 回(2020 年)で、それぞれ金賞を受賞しました。「本麒麟」は、“ビールに近い卓越したうまさと品質”を国内外で高く評価され、昨年 11 月の “金賞三冠” ※5からさらに 2つの金賞を受賞し、国内外のビールコンペティションにおいて、 キリンビール㈱史上初となる“金賞五冠”受賞となりました。ノンアルコールカテゴリーでは、㈱ファンケルと両社として初めて共同開発した「キリン×ファンケル ノンアルコールチューハイ 氷零 カロリミット® レモン/グレープフルーツ」を2020年10月に新発売しました。女性を中心に高い支持を受けている㈱ファンケルの「カロリミット®」の強みと、キリンビール㈱の食事にぴったりな爽快な味わいを実現している「ノンアルコールチューハイ氷零」の強みという、両ブランドの特長を生かして共同開発しました。当商品は、難消化性デキストリンの働きにより「食事の糖や脂肪の吸収を抑える」機能性表示食品であり、「カロリミット®」ブランド史上初となるノンアルコールチューハイです。RTDカテゴリーでは、「キリン・ザ・ストロング」シリーズを“うまさにこだわった麒麟特製ストロング”をコンセプトとして、中味・パッケージともに※6リニューアルし、2020年4月より発売しました。複数の果実を12時間以上煮詰め、うまみを凝縮させた麒麟特製「うまみエキス」により、アルコール9%でありながらも嫌なアルコール感がなく、飲みごたえと飲みやすさが両立した調和のとれた味覚を実現しました。 当事業に係る研究開発費は10億円です。※1 ビールで糖質ゼロを実現した国内で初めての商品(Mintel GNPDを用いた当社調べ)※2 100ml当たり糖質0.5g未満のものに表示可能(食品表示基準による)※3 麦汁ろ過工程において最初に流れ出る一番搾り麦汁を使う製法※4 当社調べ※5 インターナショナル・ビアカップ 2018 年「フリースタイルライトラガー部門」金賞、モンドセレクション 2019 年「ビール、水&ノンアルコール飲料部門」金賞、メルボルンインターナショナルビアコンペティション 2019 年「インターナショナルスタイルラガー部門」金賞※6 「ホワイトサワー」「グレープサワー」は、パッケージのみリニューアル <国内飲料事業>国内飲料事業は、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。無糖茶市場では、近年の健康志向の高まりを背景に「キリン 生茶」を2020年3月にリニューアルしました。2000年3月に発売して以来、「生」が生み出すおいしさで緑茶の新たな可能性を広げ続けたことで、多くのお客様に好評を頂き、2020年に発売20周年を迎えました。「よりおいしい緑茶があるなら試したい」という緑茶ユーザーの期待に応えるため、従来の「まる搾り生茶葉抽出物※1」に加え、生茶葉のはたらきによる新製法を採用することで、まろやかでコクのある味わいはそのままに、新緑のような爽やかさと茶葉本来の甘みと香りが豊かな味わいへと進化しました。さらに、「生茶」ブランドから「キリン 生茶 ほうじ煎茶」を2020年9月に新発売しました。ほうじ茶は、昔から慣れ親しんだ和素材としての安心感に加えて、直近ではスイーツやラテで活用されるなど、和から洋まで楽しめる、嗜好性が高いトレンドの新素材としてもお客様の期待が集まっています。「生茶」ブランドらしい、生茶葉が生み出す “濃いのにすっきり”としたおいしさを追求するために試作を重ね、「まる搾り生茶葉抽出物」と茶葉の焙煎の工夫により、上品で香り高く、すっきりと軽やかな「生」ならではのおいしさを実現しました。ロングセラーブランド「キリンレモン」ブランドから、「キリンレモン スパークリング 無糖」を2020年6月に新発売しました。発売当時の余計なものは何も含まない健康感と品質へのこだわりはそのままに、切りたてのレモンのような爽やかな味わいを、瀬戸内レモンエキスと純水を使用して強炭酸で仕上げました。人工甘味料・着色料・保存料不使用で、カロリーゼロの無糖炭酸水です。「キリンレモン スパークリング 無糖」は「摂りすぎない健康」をテーマに「無糖・微糖」カテゴリーの商品を充実させることでお客様の健康な毎日に貢献することを目指す、キリンビバレッジ㈱のビジョン「CSVの実践を軸とした成長による利益創出」を体現した商品の一つです。㈱ファンケルと共同開発したフレーバーウォーター「キリン×ファンケル BASE ピーチ&ザクロ」を、2020年10月に新発売しました。長年人々の健康や美容に向き合ってきた㈱ファンケルと、おいしくて安全・安心な飲料を提供する当社グループが、お互いの強みを生かし、新発想の商品を創出しました。当商品は、㈱ファンケル独自の組み合わせである「HTCコラーゲン※2」、「バラつぼみエキス※3」に加え、1日不足分の「ビタミンC※4」を配合し、当社の飲料開発技術により誕生した新しいフレーバーウォーターです。両社は、忙しい女性が仕事や家事などの合間にうれしい成分を飲料で手軽に補給することができる、新しい美容習慣を提案しました。 当事業に係る研究開発費は9億円です。 ※1 摘みたての生茶葉を芯まで凍らせてまるごと搾って作った抽出物で、新緑のような爽やか香りと甘みが詰まっている。生茶ブランドの「生」の由来※2 コラーゲンの最小単位であるトリペプチドを多く含み、一般的なコラーゲンと比べ、吸収されやすい大きさのコラーゲン※3 美しい花を咲かせる前の、最も生命力豊かなバラのつぼみから抽出した希少なエキス※4 国が定める推奨量(日本人の食事摂取基準(2020年版))から、実際の平均摂取量(国民健康・栄養調査(平成30年)20~49歳女性)を引いた量 <オセアニア綜合飲料事業>オセアニア綜合飲料事業では、ライオン社で、オーストラリア及びニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品中味や容器開発を、キリンホールディングス㈱の持つ技術を活用しながら取り組みました。 当事業に係る研究開発費は1億円です。 <医薬事業>協和キリン㈱は、多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に"only-one value drug"を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しております。主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりです。 腎領域KRN321(日本製品名:ネスプ) ・2020年6月に中国において血液透析施行中の腎性貧血を適応症として承認されました。 がん領域 KRN125(日本製品名:ジーラスタ) ・2020年2月に日本においてがん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした自動投与デバ イス開発に関する第Ⅰ相臨床試験を開始しました。 ME-401(一般名:Zandelisib) ・北米、欧州、アジア、オセアニアにおいて濾胞性リンパ腫を適応症とした第Ⅱ相試験を実施中であります (2020年4月にグローバルライセンス契約をMEI Pharma社と締結)。 ・2020年10月に日本において再発/難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(小リンパ球性リンパ腫、リ ンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症を除く)を適応症とした第Ⅱ相臨床試 験を開始しました。 KW-0761(日本製品名:ポテリジオ、欧米製品名:Poteligeo) ・2020年12月に韓国において菌状息肉腫及びセザリー症候群を適応症とした承認申請を行いました。 免疫・アレルギー疾患領域 KHK4827(日本製品名:ルミセフ) ・2020年6月に中国において尋常性乾癬を適応症として承認されました。 ・同年11月に日本において強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎を対象とした効能・効果 に関する承認事項一部変更承認を取得しました。 中枢神経領域 KW-6002(日本製品名:ノウリアスト、米国製品名:Nourianz)・欧州においてウェアリングオフ現象を有する成人パーキンソン病患者におけるレボドパ含有製剤との併用療 法を適応症とした承認申請が審査中であります(2020年1月申請受理)。 その他 KRN23(日本製品名:クリースビータ、欧米製品名:Crysvita) ・2020年2月に米国において腫瘍切除不能または腫瘍の同定が困難な腫瘍性骨軟化症を適応症とした生物学的 製剤承認一部変更申請が受理され、6月に成人及び2歳以上の小児を対象とした腫瘍切除不能または腫瘍の 同定が困難な腫瘍性骨軟化症を適応症として承認されました。 ・同年9月に欧州において青少年・成人のX染色体連鎖性低リン血症を適応症として承認されました。 ・同月に韓国においてFGF23関連低リン血症性くる病及び骨軟化症を適応症として承認されました。 ・同月に中国において腫瘍性骨軟化症を適応症とした承認申請を行いました。 ・同年12月に欧州において腫瘍性骨軟化症を適応症とした生物学的製剤承認一部変更申請を行いました。 当事業に係る研究開発費は520億円です。 <その他・全社(共通)>メルシャン㈱は、キリンホールディングス㈱飲料未来研究所と連携しながらワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。発売25周年を迎える「ビストロ」シリーズを2020年3月中旬からリニューアルしました。「ビストロ」ブランドは「フードマッチ製法※1」を採用した、普段の食事に合わせやすいワインです。“気軽なレストラン”を意味するフランス語由来の商品名「ビストロ」のとおり、いつもの楽しい食卓を彩るデイリーワインとして、1995年の発売以来、多くのお客様に愛飲をいただいています。おいしさはそのままに、フレーバーごとにお客様の嗜好に合わせ、さらに飲みやすい味わいとなりました。“新感覚”のクラフトスパークリングワイン「メーカーズレシピ スパークリング ウィズ ホップ」を、2020年6月に新発売しました。メルシャン㈱のワイン醸造技術・梅酒の浸漬技術と、キリングループのホップ活用技術を組み合わせ、今までにない香り、味覚、後口を実現しました。フローラルで華やかなホップの香りと、ブドウの爽やかでフルーティな味わい、すっきりとした後切れが特長です。ノンアルコールのスパークリングワイン「メルシャンスパークリング アルコールゼロ」を2020年2月に新発売しました。ワインらしさを感じる柑橘香成分を多く含む特殊ブドウ果汁の開発に加え、果汁の持つ香り成分を強化し、味に膨らみや複雑さを与える製法を開発しました。鼻先から感じる香りだけではなく、口中で花開く香りが「戻り香」となり、ワインのような風味を実現しました。新しい酵母や発酵技術の開発により、甘みを付与することで、やわらかくまろやかな味わいに仕上げた本格焼酎「八代不知火蔵 こめ焼酎 白水」が熊本国税局の令和2年酒類鑑評会で優等賞を受賞しました。これからも豊かな自然に恵まれた八代の地から、みなさまの暮らしに生かす価値を発信し、地域の発展に貢献していきます。世界全体に存在するワイナリーは数十万ヵ所ともいわれていますが、秀逸な「日本ワイン」を生産する「シャトー・メルシャン」椀子ワイナリーが、「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2020」で世界第30位、ベスト・アジアに日本で初めて選出されました。 協和発酵バイオ㈱は、各種アミノ酸に加え、核酸やペプチドといった高付加価値製品の省資源・高効率な発酵生産プロセスの研究開発に引き続き注力しています。国内外の大学研究機関との共同研究を通して得られた機能性や安全性データに基づき、アミノ酸等、発酵生産物の栄養生理機能探索や用途開発を行い、製品の付加価値を高めています。キリングループ内での連携のもと、素材開発の知見を生かし、熟成ホップエキス等の新素材の開発に取り組んでいます。また、独自素材の中で事業化に近いものとして、ヒトミルクオリゴ糖の研究開発に取り組んでいます。 キリンホールディングス㈱の独自素材「Lactococcus lactis strain Plasma(以下、プラズマ乳酸菌)」を使用した商品が、機能性表示食品制度の「健康な人の免疫機能の維持をサポート」に関する表示で、免疫機能で初めて消費者庁に届出受理され、2020年8月に公表されました。「プラズマ乳酸菌」は、「免疫の司令塔」である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化し、活性化された司令塔の指示・命令により、免疫細胞全体が活性化され、外敵に対する防御システムが機能します。キリンホールディングス㈱からは、サプリメントの「キリン iMUSE professional プラズマ乳酸菌サプリメント」、「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント」(15日分)、「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント」(7日分)を同年11月に新発売しました。キリンビバレッジ㈱からは、飲料の「キリン iMUSE ヨーグルトテイスト」、「キリン iMUSE レモン」※2、「キリン iMUSE 水」を同年11月に新発売しました。 乳由来の独自素材「βラクトペプチド※3」に関する研究について、一般社団法人 日本認知症予防学会(理事長 浦上克哉)の認定で「グレードA」を同年9月に取得しました。日本認知症予防学会のエビデンス創出委員会による審査にて、「βラクトペプチドの1つであるGTWYペプチド※4」の認知機能改善作用に関する情報は、1次予防※5に対する効果があると認定され、特定の食品成分の研究情報としては初めての認定取得となりました。 その他の事業及び全社(共通)に係る研究開発費は104億円です。 ※1 魚介類と合わさることで生臭さを引き起こす物質を軽減する、メルシャン独自の製法※2 果汁1%※3 乳タンパク質に由来し、トリプトファン-チロシン(WY)のアミノ酸配列を含み認知機能改善作用を有するペプチドの総称 ※4 「βラクトペプチド」の主要な1成分で、グリシン-トレオニン(スレオニン)-トリプトファン-チロシン(GTWY)という4アミノ酸配列のテトラペプチド※5 一般社団法人 日本認知症予防学会が考える広義の予防の一つ。具体的には1次予防が認知症の発症予防、2次予防が認知症の早期発見、早期治療、早期対応、3次予防が認知症の進行予防
FY2019|8,514 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となることを目指しています。食から医にわたる領域での価値創造に向けては、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、2つの中間領域にあたる「ヘルスサイエンス事業」の立ち上げにつながるイノベーションの創造に取り組んでいます。当社グループの研究開発活動は、キリンホールディングス㈱R&D本部の6研究所及び各事業会社の研究所で行っています。また、㈱ファンケルとのシナジー創出に向けた取り組みや、慶應義塾大学と共同で、乳由来の認知機能改善ペプチドであるβラクトリンが健常中高年を対象としたランダム化比較試験で記憶力を改善することを世界で初めて確認するなど、有望な技術の開発・応用・実用化を可能にするためにグループ内外のオープンイノベーションを積極的に推進しています。 当年度におけるグループ全体の研究開発費は662億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下の通りで、キリンホールディングス㈱R&D本部の研究開発費は<全社(共通)>に含まれております。 <国内ビール・スピリッツ事業>キリンビール㈱は、2019年で発売30年目を迎え大きな支持をいただいているフラッグシップブランド「キリン一番搾り生ビール」を4月上旬からリニューアルしました。麦のおいしいところだけを搾る「一番搾り製法」※1をベースに、ホップの配合を工夫することで、澄んだ麦のうまみとホップの風味が調和し、さらに“飲み飽きないおいしさ”へと進化しました。当リニューアルをきっかけとして多くの方にビールの魅力を再認識いただくとともに、「キリン一番搾り生ビール」のお客様支持をさらに拡大し、中長期的なブランド成長を図っていきます。発泡酒カテゴリーでは、“糖質70%オフ”※2の発泡酒「淡麗グリーンラベル」を2月下旬からリニューアルしました。今回のリニューアルでは、キリン独自の“ホップアロマ”製法※3を新たに採用することで、爽やかなホップの香りを引き出しました。また、原材料配合の最適化により、ビールに近いおいしさと飲みやすさが調和した味わいを実現しました。新ジャンルカテゴリーでは、「本麒麟」を1月中旬からリニューアルし、「ビールに近い卓越したうまさと品質」を一層強化しました。長期低温熟成※4とアルコール分6%による力強いコクと飲みごたえはそのままに、当社伝統のドイツ産ヘルスブルッカーホップ(一部使用)を増量することで、ビールに近い力強いコクを向上させました。また、「本麒麟」はビールコンペティションでの金賞三冠受賞※5を達成しました。1つの商品がこれらのビールコンペティションにおいて金賞三冠を達成したのは当社史上初の快挙となります。プリン体0※6×糖質0※7の新ジャンル商品「キリン のどごし ZERO」を、8月下旬からリニューアルしました。今回のリニューアルでは、キリン独自の“ホップアロマ製法”を新たに採用することで、これまで以上に自然な飲み口とビールに近い飲みごたえを実現し、自社のプリン体0×糖質0商品で、初めて香料不使用に成功しました。人工感やクセを減少させ、ゴクゴクのどを流れるうまさを向上させました。ノンアルコールカテゴリーでは、史上初となる熟成ホップ由来苦味酸を使用した、お腹まわりの脂肪を減らすノンアルコール・ビールテイスト飲料の機能性表示食品「キリン カラダFREE(キリン カラダフリー)」を10月15日から全国で新発売しました。当商品には、10年以上かけてキリンが独自開発した、ビールの原材料でもあるホップから生まれた「熟成ホップエキス」を使用しています。健康技術研究所が発見したのは、熟成させたホップの苦味成分である「熟成ホップ由来苦味酸」の存在と機能性です。苦みが少ないため、食品での展開がしやすく、また体脂肪を低減させる効果があることを発見しました。さらに、「熟成ホップエキス」の量産化にあたり「加熱熟成技術」という効率的にホップを熟成させる新技術も開発し、機能性はそのままに、ホップの苦味を低減することに成功しました。この技術により、熟成期間は従来の約100分の1(数日間)に短縮されました。「キリン カラダFREE」は、お腹まわりの脂肪を減らすという機能性と、継続的に飲み続けられるようなすっきりとした味わいが評価され、大変好調に推移しております。今後も、当商品を通じてノンアルコール・ビールテイスト飲料市場へ新たな価値を提案するとともに、カテゴリー全体のさらなる活性化を図ります。新しいクラフトビールの楽しみ方を提案する「Tap Marché(タップ・マルシェ)」は、「Marché(市場)」のように、個性豊かで多様なクラフトビールと多くのお客様が出会い、気軽に楽しんでいただく「場」を実現することで、新たなビール文化の創造を目指す取り組みです。パッケージング技術研究所が開発した1台で4種類のビールの提供が可能な小型のディスペンサーを設置することで、多様なクラフトビールをお楽しみいただけます。前年実績の約2倍となる全国13,000店以上に拡大し、参画ブルワリーも12ブルワリー、26液種に拡大しました。「Tap Marché」によるクラフトビールの裾野拡大を高く評価いただき、2019年度の「外食アワード」を受賞しました。スプリングバレーブルワリー㈱では、希少な日本産ホップ「MURAKAMI SEVEN」を使用した「MURAKAMI SEVEN IPA」を、7月から新発売しました。「MURAKAMI SEVEN IPA」は、キリンの“ホップ博士”こと酒類技術研究所の村上敦司主幹研究員が育種した希少な日本産ホップ「MURAKAMI SEVEN」を使用したIPAタイプのビールです。「MURAKAMI SEVEN」由来のイチジクやみかんを感じさせる香りと質のよい苦みが、しっかりとした心地良い飲みごたえにつながり、上質感のある味わいを楽しめます。RTDカテゴリーでは、アルコール度数9%で“グッとくる飲みごたえと突き抜ける爽快感”が特長の「キリン・ザ・ストロング」シリーズを2月からリニューアルしました。酒類技術研究所で開発した「ハードエキス」で実現した“飲みごたえ”と“飲みやすさ”を両立させた「うまさ」をさらに強化し、飲みやすい後味に仕上げました。当事業に係る研究開発費は10億円です。 ※1 麦汁ろ過工程において最初に流れ出る一番搾り麦汁を使う製法※2 日本食品標準成分表2015年版(七訂)による※3 ホップを発酵中に漬け込む製法。ホップを冷却した麦汁に添加するため、香気成分の揮発が少なく、過度な苦み を抑えながらホップの香りを付与できる。※4 キリンビール㈱伝統である低温熟成の期間を1.5倍にした製法/同社主要新ジャンル比※5 インターナショナル・ビアカップ2018年「フリースタイルライトラガー部門」金賞、モンドセレクション2019年「ビール、水&ノンアルコール飲料部門」金賞、メルボルンインターナショナルビアコンベティション2019年「インターナショナルスタイルラガー部門」金賞 を受賞 (インターナショナル・ビアカップ2018年はリニューアル前の商品にて受賞)※6 100ml当たりプリン体0.5mg未満のものをプリン体0と表示※7 100ml当たり糖質0.5g未満のものに表示可能(栄養表示基準による) <国内飲料事業>国内飲料事業では、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。キリンビバレッジ㈱は、キリンホールディングス㈱が策定した「キリングループ プラスチックポリシー」のもと、プラスチックの持続可能な使用及び資源の循環を推進しています。その取り組みとなる「ペットボトル原料の持続性向上」に向けて、2Lペットボトルにおいて現在国内最軽量※1である28.9gを、口部軽量化によって28.3gへと削減し、国内最軽量を更新しました。このペットボトルは、2019年4月より「キリン アルカリイオンの水」で使用を開始しています。今回新たに導入する28.3gの国内最軽量2Lペットボトルは、口部のネジ山をより細くし、ネジの長さを削減するなど、ネジ部の改良により軽量化に成功しました。当ペットボトルを導入することで、年間約107トン※2のペット樹脂と約375トン※2のCO2削減が可能となります。今後も、お客様の利便性を考慮しながら、より一層の軽量化を目指していきます。「キリン 生茶」は、味覚・パッケージデザインをブラッシュアップし、3月5日(火)に全国でリニューアル発売しました。2018年の「生茶」ブランドは、年間販売数量2,940万ケース(前年比107%)を達成し、フルリニューアルをして緑茶市場を牽引した2016年以降、3年連続で販売数量が増加しています。今年はさらに「生茶」のうまみの訴求を強化し、「苦味を抑えた、うまみの緑茶」をより体感しやすい味覚にブラッシュアップしました。パッケージについては、現行商品のデザインが大変好評をいただいているため、基本的なデザインは踏襲し、「生茶」のロゴがより目立つようにバランスを改良しました。また2019年2月に策定した「環境」への取り組みの一つである「キリングループ プラスチックポリシー」にのっとり、再生ペット樹脂を100%使用した“R100ペットボトル”を6月中旬より順次「キリン 生茶デカフェ」に採用しました。「生茶デカフェ」に再生ペット樹脂を100%使用した“R100ペットボトル”を採用し、パッケージ正面に大きくわかりやすく「R100」の文字を配して訴求することで、目標達成に向けた具体策の第一歩としていきます。“しみこむサプリメントウォーター”「キリン サプリ」の機能性表示食品シリーズ「キリン サプリ ブラッドオレンジ」「同 レモン」「同 ヨーグルトテイスト」パッケージをリニューアルして、全国で4月2日(火)より発売しました。今回、好評な味覚はそのままに、「キリン サプリ」ならではのしみこむ「おいしさ」を体感的にお伝えするため、グラデーションカラーを用いてパッケージデザインを進化させました。また、疲労感を軽減するクエン酸を配合した「ブラッドオレンジ」、一時的なストレスを軽減するテアニンを配合した「レモン」、快眠をサポートするオルニチンを配合した「ヨーグルトテイスト」の各機能を分かりやすくシンプルに表記しています。近年の“働き方改革”により一層の生産性向上が求められる中、働く人の日常の健康課題に着目した当商品の機能とおいしさで、さらなる支持獲得を目指します。今年発売40周年を迎え、強炭酸が好評の「キリン メッツ」ブランドから、特保コーラのパイオニア「キリン メッツ コーラ」を、3月19日(火)に全国でリニューアル発売しました。「キリン メッツ コーラ」は、健康を気にする30~40代男性のコーラユーザーをターゲットに、2012年4月に史上初の特定保健用食品のコーラ系飲料として「食事から摂取した脂肪の吸収を抑え、血中中性脂肪の上昇を穏やかにする」という機能性で発売しました。以来、主に食事の際の脂肪の摂取を気にするなど、健康意識のあるユーザーに支持を得て、特保コーラ市場を開拓、リードしてきました。今回のリニューアルでは、“超刺激”をキーワードに掲げ、新たに刺激フレーバーを採用し、刺激、炭酸感、キレをさらにアップしています。パッケージについても、まるでグラスに入っているコーラのようなデザインをベースに、特保マークを正面に配し、特保商品であることを分かりやすく訴求しました。今回の「キリン メッツ コーラ」のリニューアルにより、圧倒的な飲みごたえとともに、リフレッシュし、満足できる味を提案することで、特保コーラ市場全体を活性化します。当事業に係る研究開発費は9億円です。 ※1 2019年3月20日(水)時点※2 2018年販売実績に基づく当社試算 <オセアニア綜合飲料事業>オセアニア綜合飲料事業では、LION PTY LTDで、オーストラリア及びニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品中味や容器開発を、キリンホールディングス㈱の持つ技術を活用しながら取り組みました。2019年2月には共同開発したライスビール(商品名Hahn Ultra Crisp)を当地にて発売し、好評いただきました。当事業に係る研究開発費は1億円です。 <医薬事業>協和キリン㈱では、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジーを駆使し、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の各カテゴリーを研究開発の中心に据え、資源を効率的に投入することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指しています。当年度における主な後期開発品の開発状況は次のとおりです。 腎カテゴリー・ 日本においてカルシウム受容体作動薬KHK7580(日本製品名:オルケディア)の副甲状腺癌及び副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症を対象とした効能効果及び用法用量に関する一部変更承認を12月に取得しました。また、中国及び韓国等において二次性副甲状腺機能亢進症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を5月に開始しました。・ 日本においてRTA402(一般名:バルドキソロンメチル)の糖尿病性腎臓病を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。・ 中国において持続型赤血球造血刺激因子製剤KRN321(日本製品名:ネスプ)の維持透析下の腎性貧血を効能・効果とする承認再申請を2月に実施しました。・ 日本においてNHE3阻害剤KHK7791(一般名:Tenapanor)の維持透析下の高リン血症を対象とした第Ⅱ相臨床試験を2月に開始しました。・ 日本においてKW-3357(一般名:アンチトロンビン ガンマ(遺伝子組換え)、日本製品名:アコアラン)の妊娠高血圧腎症を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験を11月に開始しました。がんカテゴリー・ 日本において持続型顆粒球コロニー形成刺激因子製剤KRN125(日本製品名:ジーラスタ)の造血幹細胞の末梢血中への動員を対象とした第Ⅱ相臨床試験を6月に開始しました。免疫・アレルギーカテゴリー・ 抗IL-17受容体A完全ヒト抗体KHK4827(日本製品名:ルミセフ)は、韓国において乾癬を適応症とした承認を申請中です(2018年7月申請)。また、中国において乾癬を適応症とした承認申請を4月に行いました。さらに、日本において全身性強皮症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を5月に、掌蹠膿疱症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を8月に開始し、体軸性脊椎関節炎を適応症とした一部変更承認申請を12月に行いました。・ 日本、北米及び欧州において抗OX40完全ヒト抗体KHK4083のアトピー性皮膚炎を対象とした第Ⅱ相臨床試験を実施中です。中枢神経カテゴリー・ 米国においてアデノシンA2A受容体拮抗剤KW-6002(米国製品名:Nourianz、日本製品名:ノウリアスト)のウェアリングオフ現象を有する成人パーキンソン病患者におけるレボドパ/カルビドパとの併用療法を適応症とした承認を8月に取得しました。また、欧州において、ウェアリングオフ現象を有する成人パーキンソン病患者におけるレボドパ/カルビドパとの併用療法を適応症とした承認申請を11月に行いました。・ 日本において、抗CCR4ヒト化抗体KW-0761(日本製品名:ポテリジオ)の、HTLV-1関連脊髄症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。・ 日本において、アデノシンA2A受容体拮抗剤KW-6356のパーキンソン病を対象とした第Ⅱ相臨床試験を実施中です。その他・ ヒト型抗線維芽細胞増殖因子23(FGF23)抗体KRN23(日本製品名:クリースビータ、欧米製品名:Crysvita)は、日本においてFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を適応症とした承認を9月に取得しました。また、欧州において成人X染色体連鎖性低リン血症を適応症とした追加の承認申請を11月に行いました。さらに、韓国においてFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を適応症とした承認申請を5月に、中国においてX染色体連鎖性低リン血症を適応症とした承認申請を6月に行いました。加えて、米国、日本及び韓国において腫瘍性骨軟化症又は表皮母斑症候群を対象とした第Ⅱ相臨床試験を実施中で、米国において、腫瘍性骨軟化症を適応症とした生物学的製剤承認一部変更申請を12月に行いました。・ トロンボポエチン受容体作動薬AMG531(日本製品名:ロミプレート)は、日本において既存治療で効果不十分な再生不良性貧血を適応症とする承認を6月に取得しました。また、中国において慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病を対象とした承認申請を12月に行いました。さらに、免疫抑制療法未治療の再生不良性貧血を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を、日本を含む国際共同治験として6月に開始しました。加えて、韓国において既存治療で効果不十分な再生不良性貧血を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を実施中です。 当事業に係る研究開発費は532億円です。 <その他・全社(共通)>メルシャン㈱は、キリンホールディングス㈱ワイン技術研究所と連携しながらワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。山梨県勝沼市に位置するワイナリー「シャトー・メルシャン」とワイン技術研究所が協働することでワインの品質向上に努めた結果、歴史と権威ある世界最大級のワインや日本酒のコンクールである「インターナショナル・ワイン・チャレンジ 2019」にて「シャトー・メルシャン 北信左岸シャルドネ リヴァリス 2017」が金賞及び日本ワインで唯一のトロフィーとなる「日本白ワイントロフィー」を受賞、「シャトー・メルシャン 城の平 オルトゥス 2013」が金賞を受賞しました。また、フランスのボルドーで開催された国際ワインコンクール「シタデル・デュ・ヴァン 2019」にて、「シャトー・メルシャン 北信左岸シャルドネ リヴァリス 2017」、「同 北信右岸シャルドネ リヴァリス 2017」、「同 北信シャルドネ 2017」、「同 新鶴シャルドネ 2017」の4品が金賞を受賞しました。同コンクールで、過去最多の4個、かつ5年連続の金賞受賞となります。「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」ブランドから、りんご果汁を100%使用し、酸化防止剤を添加せずに造るスパークリングワイン「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」を、3月より全国で発売しました。りんごそのままの自然な甘さと酸味、微発泡による心地良い爽快感が口中で広がるアルコール控えめ(5%)の飲みやすい味わいに仕上げました。20代~40代のお客様を中心に「飲みやすい味わい」「手に取りやすい気軽さ」「多様な飲用シーン」等の理由から好評いただき、発売から3カ月で年間販売目標を達成し、当初予定の2倍となる8万ケースに上方修正した目標も突破しました。「ビストロ」シリーズから、「ビストロ スパークリング(白・ロゼ)」を6月、「ビストロ スパークリング 赤」を8月より全国で発売しました。心地良い発泡感が楽しめる中味、2人でシェアして気軽に楽しめる500 mlの飲みきりサイズのパッケージに仕上げ、お求めやすく、手軽に楽しめる容量の“デイリースパークリングワイン”として好評いただきました。新しい酵母や発酵技術の開発により、甘みを付与することで、やわらかくまろやかな味わいに仕上げた「八代不知火蔵こめ焼酎白水」がアジア最大級の国際酒類コンクール「香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション 2019」の焼酎部門で、金賞及びベスト焼酎トロフィーを受賞、また、熊本国税局が開催している本格焼酎の鑑評会である平成31年酒類鑑評会で優等賞を受賞しました。協和発酵バイオ㈱は、各種アミノ酸に加え、核酸やペプチドといった高付加価値製品の省資源・高効率な発酵生産プロセスの研究開発に引き続き注力しています。国内外の大学研究機関との共同研究を通して得られた機能性や安全性データに基づき、アミノ酸等、発酵生産物の栄養生理機能探索や用途開発を行い、製品の付加価値を高めています。キリングループ内での連携のもと、素材開発の知見を生かし、熟成ホップエキス粉末等の新素材の開発に取り組んでいます。また、独自素材の中で事業化に近いものとして、ヒトミルクオリゴ糖の研究開発に取り組んでいます。その他の事業及び全社(共通)に係る研究開発費は109億円です。
FY2018|8,104 文字
5 【研究開発活動】当社グループでは、中核事業である酒類、飲料、医薬・バイオケミカルの各事業を通じて、「健康」をはじめとした社会課題に向き合い、新しい価値を創造しながら社会とともに持続的に成長することを目指しています。このようなCSVの考え方に基づき、お客様や社会にとっての新たな価値につながるイノベーションの創造に取り組んでいます。当社グループの研究開発活動は、キリン㈱R&D本部の6研究所及び各事業会社の研究所で行っています。また、有望な技術の開発・応用・実用化を可能にするためにグループ内外のオープンイノベーションを積極的に推進しています。 当年度におけるグループ全体の研究開発費は581億円です。セグメントごとの主な研究開発成果は以下のとおりであります。 <日本綜合飲料事業>(1) 国内酒類事業キリンビール㈱は、2017年9月にリニューアルした「キリン一番搾り生ビール」の販売が好調で、特に缶製品は多くのお客様からの高いトライアルとリピートが継続しています。リニューアルにより、麦のおいしいところだけを搾る「一番搾り製法」をベースに、雑味・渋味を低減し、「麦のうまみ」がアップしました。さらに酸味や甘い香りを抑制することでより調和のとれた味わいを実現しています。今後も、「一番搾り」の“おいしさ”を徹底的に追求し、更なる成長を図っていきます。“力強いコクと飲みごたえ”が特長の新ジャンル商品として、「本麒麟」を3月に発売しました。「本麒麟」は、“ビール職人”としてのこだわりが詰まった商品で、お客様から高い味覚評価をいただいています。「本麒麟」は、①キリンビール㈱伝統のドイツ産ヘルスブルッカーホップ(一部使用)による爽やかな香りと上質な苦み、②長期低温熟成※1により、雑味の低減と、よりコクが強く感じられる味わい、③アルコール分6%の強い飲みごたえと、スッときれる引き締まった後味、を実現しました。販売好調につき、年間販売目標も2度上方修正し、過去10年のキリンビール新商品で売上No.1※2となりました。アルコール度数7%の力強い飲みごたえと、高発酵技術ですっきりとした後味を両立させた新ジャンル商品「キリン のどごし STRONG」を1月より発売しました。「力強い飲みごたえ」に加え、「スッキリ感」「後キレ」が感じられる爽快な味わいが「アルコールが高いのに飲みやすい」「ビールに近いおいしさがある」などの高い評価につながっています。また、「キリン のどごし」を6月にリニューアルしました。今回のリニューアルでは、発売以来1,000回以上の試醸から得た知見を基に、「キリン のどごし」史上、最高のキレを実現し、爽快なうまさに磨きをかけました。2018年4月のビール定義拡大によって、ビールの製造に使用できる副原料の幅が広がりました。果実や香辛料、ハーブを用いて醸造したものは従来発泡酒に分類されていましたが、4月以降ビールとして認められるようになりました。4月に発売した「グランドキリン ひこうき雲と私 レモン篇」にはレモンピールを、6月に発売した「グランドキリン 雨のち太陽、ベルジャンの白」にはオレンジピールとコリアンダーシードを使用して、個性豊かな味わいに仕上げました。定義拡大によってさまざまな味覚や香りの商品をビールとして提案することで、お客様に、今まで以上にビールの多様性や楽しさをお届けしていきます。 新しいクラフトビールの楽しみ方を提案する「Tap Marché(タップ・マルシェ)」は、「Marché(市場)」のように、個性豊かで多様なクラフトビールと多くのお客様が出会い、気軽に楽しんでいただく「場」を実現することで、新たなビール文化の創造を目指す取り組みです。キリン㈱パッケージング技術研究所が開発した1台で4種類のビールの提供が可能な小型のディスペンサーを設置することで、多様なクラフトビールをお楽しみいただけます。また、4タップ・ディスペンサーの導入に課題を抱える飲食店などへの提案として、既存ディスペンサーより省スペースで設置できる2タップ・ディスペンサーを開発し、10月から全国で展開しました。AIを活用することで、お客様が自覚していない嗜好を予測し、好みに合ったクラフトビールをナビゲーションするサービス「ビアナビ」を、キリンシティ㈱でテスト展開しました。「ビアナビ」は、キリン㈱酒類技術研究所が蓄積してきたビールの嗜好データ・知見を用いて、国立研究開発法人 産業技術総合研究所に設置された人工知能技術コンソーシアムのAIリビングラボワーキンググループと共同で開発したサービスです。自分のライフスタイルや食の嗜好性など、10問程度の簡単な質問に答えることで、嗜好データから回答者が好むクラフトビールの傾向を予測し、おすすめのクラフトビールをナビゲーションしました。クラフトビールの経験が少ないお客様でも、商品を選択しやすく、好みのビールが見つけやすくなることで、クラフトビールへの接点や飲用体験を増やし、ビール市場自体の魅力化、活性化につなげていきます。RTD市場では、アルコール度数9%で、ハードな刺激と飲みごたえを実現した新商品「キリン・ザ・ストロング ハードドライ/ハードレモン/ハードコーラ」を4月に発売しました。キリンビール㈱RTDで最も強い※3「ハードな炭酸感」、グッとくる“うまみ”をもたらすキリン㈱酒類技術研究所で新たに開発した“ハードエキス”(特許出願中)を使用した「ハードな味わい」、クリアウオッカを使用しアルコール分9%に仕上げた「ハードなアルコール感」という「トリプルハード製法」により、“ハードな刺激と飲みごたえ”を実現しました。 メルシャン㈱はキリン㈱ワイン技術研究所と連携しながら、ワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。山梨県勝沼市に位置するワイナリー「シャトー・メルシャン」とワイン技術研究所が協働することでワインの品質向上に努めた結果、「シャトー・メルシャン 北信シャルドネ アンウッデッド 2016」が、レベルの高い国際ワインコンクールである「チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(フランス・ボルドー)」にて金賞を受賞、また、「シャトー・メルシャン 北信シャルドネ RGC 千曲川左岸収穫 2016」が、「レ・シタデル・デュ・ヴァン(フランス・ボルドー)」にて金賞及び日本ワイン特別賞を受賞しました。1996年の発売以来、多くのお客様から愛飲いただいている「メルシャン ボン・ルージュ」シリーズから、スーパーポリフェノール「レスベラトロール」※4を3倍(当社比)、そしてポリフェノールも2倍(当社比)含んだ「ボン・ルージュ プレミアム ペットボトル 赤」を、8月に数量限定で発売しました。この「レスベラトロール」を通常ワインの3倍(当社比)、ポリフェノールも2倍(当社比)含みながらも、渋みが強すぎない、芳醇な香りとコク深い豊かな味わいを実現したワインを開発しました。「メルシャン おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズから、「メルシャン おいしい酸化防止剤無添加ワイン 厳選素材 プレミアム ペットボトル」(赤・白)2種の味わい・パッケージをリニューアルし、7月より全国で発売しました。今回のリニューアルでは、ブドウの産地・品種と製造技術にこだわることで、芳醇な香りとコクのある味わいを実現しました。醸造から瓶詰までワインと酸素の接触を最小限にして、製造時の酸化を抑える同社独自の「フレッシュ製法」に加え、新たに開発した、ワインに含まれる香りや味わいを安定化する特定の成分を高める「芳醇製法」により、芳醇な香りや果実の味わいを実現しました。熊本国税局が開催している本格焼酎の鑑評会である2018年酒類鑑評会で、「八代不知火蔵 こめ焼酎 白水」、「八代不知火蔵 むぎ焼酎 白水」が優等賞を受賞しました。新しい酵母や発酵技術の開発により、甘みを付与することで、やわらかくまろやかな味わいに仕上げました。芋焼酎の技術開発に関して、「ワイン原料の栽培技術を活用した和酒芋焼酎の商品開発」が第6回洋酒技術研究会賞を受賞しました。この技術は既に「浅黄うさぎ」の商品開発に活かされた技術で、メルシャン社としては2回目の受賞となります。 「まっこい梅酒」と「完熟あらごし梅酒 梅まっこい」が、世界的な食品・酒類等のコンテストである「モンドセレクション2018」(本部:ベルギー)において金賞を受賞しました。「まっこい梅酒」は、国産梅を100%使用し、「豊潤たね熟製法※5」で生み出された原酒を用いることで、フルーティーな香味をそのままに、熟した梅の風味を強化しコクを高めました。「完熟あらごし梅酒 梅まっこい」は、和歌山県産の完熟した「南高梅(なんこううめ)」を100%使用し、収穫した完熟梅を凍結し、糖を段階添加する「凍結完熟浸漬製法(特許第5965571号)」により、フレッシュかつフルーティーな香味を引き出しました。今後も“素材の香味特徴を最大限に引き出す”という思想のもと、オリジナリティに溢れ、お客様にとって魅力のある研究・技術開発並びに商品開発を引き続き推進していきます。※1 キリンビール㈱伝統の低温熟成期間を1.5倍にした製法/同社主要新ジャンル比。※2 発売から7カ月間の累計出荷実績で比較。※3 「ハードドライ」と「ハードコーラ」は、キリンビール㈱RTD商品で最も強い炭酸ガス圧。「ハードレモン」は、同社果汁系RTD内で最も強い「キリン 氷結®ストロング シチリア産レモン」などと同等の炭酸ガス圧。※4 黒ブドウの果皮に含まれる希少な成分で、ポリフェノールの一種。※5 梅酒の美味しさの秘密である「梅のたね」だけを浸漬し、たね由来のうまみを引き出し、甘い香りと豊潤な味わいを産み出す製法のこと。 (2) 国内飲料事業国内飲料事業では、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。紅茶飲料No.1ブランド「キリン 午後の紅茶」は1986年に日本初のペットボトル入り紅茶として発売以来30年間以上、日本の紅茶飲料市場をけん引してきました。6月には基盤商品である「午後の紅茶 ストレートティー/ミルクティー/レモンティー」をリニューアル発売しました。中味については、「ストレートティー」で新製法である「マイクロ・ブリュー製法」を採用し、紅茶本来の華やかな香り、心地良い渋み、紅茶の厚みを強化し、甘さがすっきり感じられる味覚を実現しました。また感性工学※6の手法から生まれた新ボトルを採用し、洗練された佇まいに進化しました。8月にはディンブラ茶葉の華やかな香りが楽しめる、カフェインゼロ※7のストレートティーとして、「キリン 午後の紅茶 デカフェ ストレートティー」をリニューアル発売しました。キリン独自の技術である紅茶抽出液からカフェインを選択的に吸着除去するカフェインクリア製法(特許製法)により、紅茶の味わいと香りを維持したまま、カフェインゼロを実現しました。本商品の発売により、“紅茶は飲みたいけれど、カフェインを控えたい”と日常的に思っている方はもちろん、お客様が紅茶飲料を選ぶ際の選択肢を広げることで飲用シーンの拡大に貢献していきます。「天然吸着剤による飲料中のカフェイン除去技術の開発」については、4月に2018年度「飯島藤十郎食品技術賞」を受賞しました。スタイリッシュなパッケージと、コクと余韻がしっかりと味わえる味覚が高い評価をいただいている「キリン 生茶」について3月にリニューアル発売をしました。現行の味覚への高い評価と、旨みやにごりのある緑茶を好むトレンドも上昇傾向にあるため、今回はパッケージデザインの鮮度向上に特化したリニューアルを行いました。ガラスびんをイメージしたシンプルな佇まいをベースに、緑のコントラストを際立たせることで、従来よりもさらに現代的なイメージを打ち出しています。また日本で唯一のペットボトル入りカフェインゼロ緑茶飲料「キリン 生茶デカフェ」を5月リニューアル発売しました。独自技術「カフェインクリア製法」(特許製法)を活用し、カフェインゼロ市場の活性化とカフェインを忌避するお客様のニーズに応えました。昨年発売した「キリン サプリ」ブランドの機能性表示食品シリーズは、「毎日の生活に取り入れることでリズムを作り、日常の健康習慣に役立ててもらいたい」という想いから、働く現代人の「生活リズムマネジメント」をテーマに掲げており、機能への期待とおいしい味覚への評価で大変好評いただいています。「キリン サプリ ブラッドオレンジ」、「キリン サプリ レモン」、「キリン サプリ ヨーグルトテイスト」について好評いただいている味覚はそのままに、「生活リズムマネジメント」を新たにパッケージデザインに取り入れ、5月にリニューアル発売しました。また「キリン サプリ リンゴ」を8月より新発売しました。気温が変動しやすい季節の変わり目や、オフィス・電車・レストランなど周囲が冷える環境で役立ててもらいたい新商品です。 また、キリン独自素材“プラズマ乳酸菌”を配合した新ブランド「iMUSE(イミューズ)」から、「キリン iMUSE(イミューズ)レモンと乳酸菌」を1月より発売しました。「iMUSE レモンと乳酸菌」は、仕事中の水分補給の際にプラズマ乳酸菌が摂れる「乳酸菌ニアウォーター」です。「iMUSE」とは、「i(私)」の中にあるチカラを「MUSE(女神)」が呼び覚まし、いつまでも強く輝いた人生をサポートする、キリングループ共同で立ち上げた新ブランドです。キリングループ一体で推進しているCSVにおいて、重点課題の一つである「健康」への取り組みを強化します。これからも気軽にプラズマ乳酸菌が摂れる生活習慣を提供し、経年的に伸長※8を続ける乳酸菌飲料市場を盛り上げていきます。今後も、キリンの強みである“ていねいなものづくり”や“品質へのこだわり”を強化し、お客様にとって、うれしい驚きをもった魅力的な商品開発を行っていきます。※6 容器の形状からお客様が感じるイメージと好みを解析し、コンセプトに合致した容器を科学的にデザインする手法。※7 0.001g(100ml当たり)未満を0gと表記。※8 ㈱食品マーケティング研究所調べ。 当事業に係る研究開発費は93億円です。 <オセアニア綜合飲料事業>オセアニア綜合飲料事業では、LION PTY LTDで、オーストラリア及びニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品中味や容器開発を、キリン㈱の持つ技術を活用しながら取り組みました。 当事業に係る研究開発費は1億円です。 <医薬・バイオケミカル事業>(1) 医薬事業協和発酵キリン㈱では、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジーを駆使し、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の各カテゴリーを研究開発の中心に据え、資源を効率的に投入することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指しています。当連結会計年度における主な後期開発品の開発状況は次のとおりです。 腎カテゴリー・ 日本においてカルシウム受容体作動薬KHK7580(日本製品名「オルケディア」)の維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症を効能・効果とする承認を3月に取得しました。また、副甲状腺癌及び副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。・ 日本においてRTA 402(一般名:バルドキソロンメチル)の糖尿病性腎臓病を対象とした第Ⅲ相臨床試験を5月に開始しました。・ 中国において持続型赤血球造血刺激因子製剤KRN321(日本製品名「ネスプ」)の透析施行中の腎性貧血を効能・効果とする承認再申請の準備中です。がんカテゴリー・ 抗CCR4ヒト化抗体KW-0761(日本製品名「ポテリジオ」・欧米製品名「POTELIGEO」)は、米国において全身治療歴を有する成人の再発若しくは難治性の菌状息肉腫及びセザリー症候群を適応症とする承認を、日本において再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫を対象とした効能・効果及び用法・用量に関する承認事項一部変更承認を、8月にそれぞれ取得しました。また、欧州において全身治療歴を有する成人の菌状息肉腫及びセザリー症候群を適応症とする承認を11月に取得しました。 免疫・アレルギーカテゴリー・ 抗IL-5受容体ヒト化抗体KHK4563(一般名:ベンラリズマブ)は、日本において気管支喘息を効能・効果とする承認を、本剤の権利の導出先であるアストラゼネカ社が1月に取得しました。また、同社が実施している国際共同試験計画の一環として、慢性閉塞性肺疾患を対象とした第Ⅲ相臨床試験を日本において実施中です。・ 抗IL-17受容体A完全ヒト抗体KHK4827(日本製品名「ルミセフ」)は、体軸性脊椎関節炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験を日本、韓国等において実施中です。また、韓国において乾癬を適応症とする承認申請を7月に行いました。・ 日本、北米及びドイツにおいて、抗OX40完全ヒト抗体KHK4083は、アトピー性皮膚炎を対象とした第Ⅱ相臨床試験を10月に開始しました。中枢神経カテゴリー・ アデノシンA2A受容体拮抗剤KW-6002(日本製品名「ノウリアスト」)の米国におけるパーキンソン病を対象とした承認再申請の準備中です。・ 日本において、抗CCR4ヒト化抗体KW-0761(日本製品名「ポテリジオ」)の、HTLV-1関連脊髄症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。・ 日本において、アデノシンA2A受容体拮抗剤KW-6356のパーキンソン病を対象とした第Ⅱ相臨床試験を10月に開始しました。その他・ 抗線維芽細胞増殖因子23完全ヒト抗体KRN23(欧米製品名「Crysvita」)は、欧州において小児X染色体連鎖性低リン血症を適応症とした条件付き販売承認を2月に取得しました。また、成人・小児X染色体連鎖性低リン血症を適応症とした販売承認を米国において4月に、カナダにおいて12月にそれぞれ取得しました。さらに、成人X染色体連鎖性低リン血症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を北米、欧州、日本及び韓国において、小児X染色体連鎖性低リン血症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を北米、欧州、オーストラリア、日本及び韓国において、それぞれ実施中です。加えて、腫瘍性骨軟化症又は表皮母斑症候群を対象とした第Ⅱ相臨床試験を米国、日本及び韓国において実施中です。・ 中国においてトロンボポエチン受容体作動薬AMG531(日本製品名「ロミプレート」)の慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。また、韓国において再生不良性貧血を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を実施中です。さらに、日本において再生不良性貧血を適応症とする承認申請を7月に行いました。 (2) バイオケミカル事業・ 各種アミノ酸に加え、核酸やペプチドといった高付加価値製品の省資源・高効率な発酵生産プロセスの研究開発に引き続き注力しています。・ 国内外の大学研究機関との共同研究を通して得られた機能性や安全性データに基づき、アミノ酸等、発酵生産物の栄養生理機能探索や用途開発を行い、製品の付加価値を高めています。・ キリングループ内での連携のもと、素材開発の知見を活かし、プラズマ乳酸菌に続く新素材の開発に取り組んでいます。・ 独自素材の中で事業化に近いものとして、ヒトミルクオリゴ糖の研究開発に取り組んでいます。 当事業に係る研究開発費は484億円です。
FY2017|7,726 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、社会課題への取組みとお客様への期待に応える価値創造を実現するために、発酵・バイオをはじめとする多様な技術と、お客様のニーズを商品やサービスに反映させるリサーチ・マーケティング力を融合させ、技術力の強化を図っています。当社グループの研究開発活動は、キリン㈱R&D本部の6研究所及び各事業会社の研究所で行っています。これらが連携し、「食と健康」の領域で独自の価値と最上の品質を持つ商品やサービスの開発、及びそのベースとなる技術の研究・開発を推進しています。また、有望な技術の開発・応用・実用化を可能にするためにグループ内外のオープンイノベーションを積極的に推進しています。2017年度の主な研究開発成果は以下の通りです。飲料の開発に関しては、緑茶や紅茶の味や香りなどを維持しながら茶中のカフェインを選択的に吸着除去する当社独自の「カフェインクリア製法」について、8月28日の日本食品科学工学会第64回大会において「日本食品科学工学会技術賞」を受賞しました。また、環境に配慮したパッケージ開発の一環として、ユニバーサル製缶㈱と共同で国産最軽量※1となるアルミ缶を開発し、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「第41回木下賞」の改善合理化部門にて受賞しました。昨年の「国内最軽量ペットボトル」に続き、2年連続の同賞受賞となります。また、アジア包装連盟主催の「アジアスター2016コンテスト」において、「キリン生茶」525mlペットボトルと「キリンウイスキー富士山麓ブレンデッド18年」ボトルびんが「アジアスター賞」を受賞しました。「キリンウイスキー富士山麓ブレンデッド18年」ボトルびんについては、「ワールドスター2017コンテスト」において、「ワールドスター賞」も受賞しました。当年度におけるグループ全体の研究開発費は590億円です。セグメントごとの状況は、次のとおりです。※1 350ml缶では14.6gから13.8gへ約5%軽量化、500ml缶も18.1gから16.8gへ約7%軽量化した。 (日本綜合飲料事業)(1) 国内酒類事業キリンビール㈱は、2016年に引き続き、“地元の誇りを美味しさに変えて”をスローガンに、地域で暮らすお客様と一緒になって、地域の魅力を発掘しながらつくりだした特別な一番搾り『47都道府県の一番搾り』を発売しました。47都道府県別ごとの特性を生かした商品開発やお客様の郷土愛を効果的にマーケティングに活かし多くの支持を獲得した点や、開発・販売・プロモーションが一体となってダイナミックに地域活動を展開した点などを評価いただき、日本マーケティング協会が主催する「第9回日本マーケティング大賞」において、大賞を受賞しました。「ビールの魅力化」の取り組みの一環として「キリン一番搾り生ビール」の味覚とパッケージデザインを7月にリニューアルしました。「一番搾り製法」で引き出した麦本来のうまみをアップさせ、日本のお客様の繊細な味覚を満足させる、さらに“おいしいビール”に進化しました。当社は、2026年の酒税一本化を見据え、2020年を中期ゴール、2017年を再成長元年と位置づけ、「キリン一番搾り生ビール」の“おいしさ”を徹底的に追求し、中長期的な再成長を図っていきます。新しいクラフトビールの楽しみ方を提案する「Tap Marché (タップ・マルシェ)」を4月より地域限定で展開しました。「Tap Marché」は「Marché (市場)」のように、個性豊かで多様なクラフトビールと多くのお客様が出会い、気軽に楽しんでいただく「場」を実現することで、新たな文化の創造を目指します。複数のクラフトビールの提供に適したサイズの3L小型ペットボトルの容器と、取扱いが簡便で1台で4種類のクラフトビールの提供が可能な小型ディスペンサーを新たに開発しました。“ビール工場つくりたての鮮度とおいしさをそのままの状態でお届けする”をテーマに、工場から直接ご家庭に商品をお届けして専用のビールサーバーを楽しんでいただくサービスとして、「KIRIN Home Tap」を6月より展開しました。当社独自技術により、ビール工場でしか味わうことができなかったつくりたてのビールを、鮮度を保ったままペットボトルに詰めてご家庭までお届けします。食卓と食卓を囲む時間を特別なものにしていくとともに、ビールカテゴリーの魅力化を図っていきます。 ノンアルコール・ビールテイスト飲料カテゴリーにおいて、「一番搾り製法」を採用し、麦のうまみを丁寧に引き出した美味しさを実現した、当社初のノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン零ICHI (ゼロイチ)」を4月に発売しました。2009年に当社が世界で初めてアルコール0.00%のノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリンフリー」を発売以来、多くのお客様にノンアルコール飲料をご支持いただいています。一方で当社調査によると同飲料ユーザーの4人に1人は現状のノンアルコール飲料の商品に不満をもっており、特に味覚への不満が多いことが分かりました。また、「ビールに近い味」、「本格感」、「麦の味や香り」が感じられる商品への期待が高いこともうかがえます。当社は、そのような期待に着目し、麦汁ろ過工程において「キリン一番搾り生ビール」で採用している「一番搾り製法」を今回新たにノンアルコール飲料に持ち込むことで、よりビールに近い味わいを目指しました。RTD市場においては、世界で愛され、親しまれているお酒を「氷結®」流にアレンジした新商品として「キリン旅する氷結®」シリーズを3月に発売しました。世界各地の人々がその土地で飲んでいるお酒やスタイルを氷結®ストレート果汁でおいしく飲みやすくアレンジしたライト感覚で楽しめる「キリン旅する氷結® マンマレモチーノ/アップルオレンジサングリア/カリビアンモヒート」を同時発売しました。「キリン旅する氷結®」シリーズ投入に加え、「ストロング」シリーズの好調、「氷結®」ブランドのイメージ向上を受け、出荷数7年連続増加、年間販売数量過去最高を達成しました。洋酒市場では、「キリンウイスキー富士山麓 Signature Blend(シグニチャーブレンド)」を新発売しました。ウィスキー業界の国際的アワード「アイコンズ・オブ・ウィスキー2017」において、「マスターディスティラー/マスターブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、本年の“世界最優秀”のブレンダーに輝いた、当社マスターブレンダーの田中城太が手がけ、複層的で奥深く、円熟した味わいに仕上げました。 メルシャン㈱はキリン㈱ワイン技術研究所と連携しながら、ワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。山梨県勝沼市に位置するワイナリー「シャトー・メルシャン」とワイン技術研究所が協働することでワインの品質向上に努めた結果、「シャトー・メルシャン桔梗ヶ原メルロー2012」が、レベルの高い国際ワインコンクールである「チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(フランス・ボルドー)」にて金賞を受賞、また、「シャトー・メルシャン北信シャルドネ千曲川右岸収穫2015」が、「レ・シタデル・デュ・ヴァン(フランス・ボルドー)」にて金賞及び日本ワイン特別賞を受賞しました。お客様と一緒に日本のワインの魅力を発見し、魅力を広げていくことを目的に、「Tasting Nippon」プロジェクトを始動し、その最初の取り組みとして、「シャトー・メルシャン・クラブ」を9月に開設しました。「Tasting Nippon」プロジェクトは、日本ワインが、生産国である日本において、もっと愛され、もっと親しまれることを目指し、ワイン単体でなく、日本ならではの伝統や洗練された食と文化と共に楽しんでいただくことをテーマとして、「シャトー・メルシャン」を通じて、日本の素晴らしさを体験していただく取り組みです。これからの日本ワインの発展にむけて、お客様と一緒に、歩んでいきます。健康と美容を気遣うお客様にお楽しみいただく「ボン・ルージュベリーリッチ赤」を9月に発売しました。一般に年齢を重ねるにつれ、自分や家族の健康への関心が高まる傾向があります。また、当社調べによると、ワインは健康に関心がある方に興味が持たれやすい傾向にあり、「健康に良い」というイメージからワインを購入・飲用される方が一定数存在します。中でも、40代の女性は、健康だけでなく、美容に関する関心が高く、赤ワインに対して、「果実感のある味わい」、「まろやかな味わい」を好むことも分かりました。さらに、ベリー類は他の果汁に比べて健康や美容に良さそうなイメージがあることも分かりました。これら背景から、天然ポリフェノール1.5倍(当社比)を含み、ポリフェノールの一種であるエラグ酸※2を含む3つのベリー(ラズベリー、クランベリー、ブラックベリー)をブレンドした「ボン・ルージュベリーリッチ赤」を開発しました。国産梅を100%使用し、「豊潤たね熟製法※3」で生み出された原酒を用いた「まっこい梅酒」のパッケージと中身を刷新し、2月下旬より順次発売しました。フルーティーな香味をそのままに、熟した梅の風味を強化しコクを高めました。今後も“素材の香味特徴を最大限に引き出す”という思想のもと、オリジナリティに溢れ、お客様にとって魅力のある研究・技術開発並びに商品開発を引き続き推進していきます。※2 ザクロ、イチゴ、ラズベリーなどの果実やナッツ類など、植物中に広く存在するポリフェノールの一種。※3 梅酒の美味しさの秘密である「梅のたね」だけを浸漬し、たね由来のうまみを引き出し、甘い香りと豊潤な味わいを産み出す製法のこと。 (2) 国内飲料事業国内飲料事業では、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。紅茶飲料No.1ブランド「キリン午後の紅茶」の年間販売数量が昨年に続き、2年連続で5,000万ケースを突破し、過去最高を更新しました。「午後の紅茶」は1986年に日本初のペットボトル入り紅茶として発売以来30年間以上、日本の紅茶飲料市場をけん引しています。基盤商品である「午後の紅茶ストレートティー/ミルクティー/レモンティー」の好調に加え、「午後の紅茶おいしい無糖」が新たな基盤商品として定着し、大人層を中心とした新たな顧客を獲得しました。さらにホット専用商品も大幅に増加しています。8月にはディンブラ茶葉の華やかな香りが楽しめる、カフェインゼロ※4のストレートティーとして、「キリン午後の紅茶ストレートティーデカフェ」を発売しました。本商品の発売により、“紅茶は飲みたいけれど、カフェインを控えたい”と日常的に思っている方はもちろん、お客様が紅茶飲料を選ぶ際の選択肢を広げることで飲用シーンの拡大に貢献していきます。スタイリッシュなパッケージと、コクと余韻がしっかりと味わえる味覚が高い評価をいただいている「キリン生茶」について、3月に味覚をブラッシュアップし、微粉砕した“かぶせ茶”をより丁寧に仕上げることで、さらにまろやかでコクのある味わいを実現しました。3月には300mlペットボトルを新たにラインアップに加え、5月にはペットボトル入り緑茶飲料として唯一※5のカフェインゼロの「キリン生茶デカフェ」を発売しました。新たに「キリンサプリ」シリーズを発売し、日常の数値で表しにくい健康の様々な悩みにこたえる商品ラインナップを揃え、機能性表示食品だからこそ実現できる分かりやすい機能性訴求と毎日飲みたいおいしさで、手軽に取り入れやすい健康習慣を提案しました。ストレスを軽減する機能性表示食品「キリンサプリレモン」を2月、疲労を軽減する「キリンサプリブラッドオレンジ」を7月、快眠をサポートする「キリンサプリヨーグルトテイスト」を7月、プラズマ乳酸菌を配合した「キリンまもるチカラのサプリすっきりヨーグルトテイスト」を11月に発売しました。また、キリン独自素材“プラズマ乳酸菌”を配合した新ブランド「iMUSE(イミューズ)」をスタートすることを9月に発表しました。キリングループ一体で推進しているCSVにおいて、重点課題の一つである「健康」への取り組みを強化します。「iMUSE(イミューズ)」とは、「i(私)」の中にあるチカラを「MUSE(女神)」が呼び覚まし、いつまでも強く輝いた人生をサポートする、キリングループ共同で立ち上げた新ブランドです。2018年1月発売の「iMUSE レモンと乳酸菌」は、仕事中の水分補給の際にプラズマ乳酸菌を摂れる「乳酸菌ニアウォーター」です。今後も、キリンの強みである“ていねいなものづくり”や“品質へのこだわり”を強化し、お客様にとって、うれしい驚きをもった魅力的な商品開発を行っていきます。※4 0.001g(100ml当たり)未満を0gと表記。※5 100ml当たりカフェイン含有量0.001g未満のPET容器詰め緑茶飲料として唯一、2014年2月SVPジャパン調べ。 当事業に係る研究開発費は97億円です。 (オセアニア綜合飲料事業)オセアニア綜合飲料事業では、LION PTY LTDで、オーストラリア及びニュージーランドの市場環境の変化に応じた商品開発を、キリン㈱の持つ技術を活用しながら取り組みました。 当事業に係る研究開発費は3億円です。 (医薬・バイオケミカル事業)(1) 医薬事業協和発酵キリン㈱では、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジーを駆使し、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の各カテゴリーを研究開発の中心に据え、資源を効率的に投入することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指しています。当年度における主な後期開発品の開発状況は次のとおりです。 腎カテゴリー・ 日本においてカルシウム受容体作動薬KHK7580(一般名:エボカルセト)の維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症を効能・効果とする承認申請を4月に行いました。また、副甲状腺癌及び副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を10月に開始しました。・ 日本においてRTA402(一般名:バルドキソロンメチル)の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病を対象とした第Ⅱ相臨床試験を9月に終了しました。・ 中国において持続型赤血球造血刺激因子製剤KRN321(日本製品名「ネスプ」)の透析施行中の腎性貧血を効能・効果とする承認再申請の準備中です。がんカテゴリー・ 日本においてソラフェニブ治療歴を有するc-Met高発現の切除不能肝細胞癌を対象として開発を進めていたc-Met阻害剤ARQ197(一般名:チバンチニブ)の開発を中止しました。・ 抗CCR4ヒト化抗体KW-0761(日本製品名「ポテリジオ」)は、全身治療歴を有する成人の皮膚T細胞性リンパ腫を適応症とする承認申請が欧州において10月に、全身治療歴を有する皮膚T細胞性リンパ腫を適応症とする承認申請が米国において11月にそれぞれ受理されました。また、日本において、再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫を対象とした効能効果及び用法用量に関する承認事項一部変更承認申請を11月に行いました。免疫・アレルギーカテゴリー・ 抗IL-5受容体ヒト化抗体KHK4563(一般名:ベンラリズマブ)は、日本において気管支喘息を適応症とした承認申請を、本剤の権利の導出先であるアストラゼネカ社が2月に行いました。また、同社が実施している国際共同試験計画の一環として、気管支喘息を対象とした第Ⅲ相臨床試験を日本及び韓国において、慢性閉塞性肺疾患を対象とした第Ⅲ相臨床試験を日本において、それぞれ実施中です。・ 抗IL-17受容体A完全ヒト抗体KHK4827(日本製品名「ルミセフ」)は、体軸性脊椎関節炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験を日本、韓国等において4月に開始しました。また、乾癬を対象とした第Ⅲ相臨床試験を韓国において実施中です。さらに、日本において在宅自己注射の対象薬剤として9月に適用されました。・ 日本においてゼリア新薬工業㈱との共同開発である潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の用法・用量追加の承認を5月に取得しました。中枢神経カテゴリー・ アデノシンA2A受容体拮抗剤KW-6002(日本製品名「ノウリアスト」)の米国におけるパーキンソン病を対象とした再申請について、2018年中の実施に向けて準備中です。・ 日本において、抗CCR4ヒト化抗体KW-0761(日本製品名「ポテリジオ」)の、HTLV-1関連脊髄症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を6月に開始しました。その他・ 抗線維芽細胞増殖因子23完全ヒト抗体KRN23(一般名:ブロスマブ)は、欧州において小児X染色体遺伝性低リン血症を適応症とした承認を申請中です(2016年12月申請受理)。また、米国において成人・小児X染色体遺伝性低リン血症を適応症とした承認申請が10月に受理されました。さらに、成人X染色体遺伝性低リン血症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を北米、欧州、日本及び韓国において、小児X染色体遺伝性低リン血症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を北米、欧州、オーストラリア、日本及び韓国において、それぞれ実施中です。加えて、腫瘍性骨軟化症又は表皮母斑症候群を対象とした第Ⅱ相臨床試験を米国、日本及び韓国において実施中です。・ 中国においてトロンボポエチン受容体作動薬AMG531(日本製品名「ロミプレート」)の慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。また、日本及び韓国において再生不良性貧血を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を実施中です。・ 日本において遺伝子組換えアンチトロンビン製剤(日本製品名「アコアラン」)の新規含量規格である「アコアラン静注用1800」の製造販売承認を9月に取得しました。 (2) バイオケミカル事業・ 各種アミノ酸に加え、核酸やペプチドといった高付加価値製品の省資源・高効率な発酵生産プロセスの研究開発に引き続き注力しています。・ 国内外の大学研究機関との共同研究を通して得られた機能性や安全性データに基づき、アミノ酸等、発酵生産物の栄養生理機能探索や用途開発を行い、製品の付加価値を高めています。・ 素材開発に関する知見を活かし、キリングループ共同で立ち上げた新ブランド「iMUSE(イミューズ)」に使われているプラズマ乳酸菌の素材としての新たな開発研究を開始しました。・ 高品質アミノ酸と培養技術に関する知見を活かし、再生医療向けの細胞培養培地に関する研究を行っています。 当事業に係る研究開発費は489億円です。
FY2016|7,770 文字
6 【研究開発活動】当社グループでは、社会課題への取組みとお客様への期待に応える価値創造を実現するために、発酵・バイオをはじめとする多様な技術と、お客様のニーズを商品やサービスに反映させるリサーチ・マーケティング力を融合させ、技術力の強化を図っています。当社グループの研究開発活動は、キリン㈱R&D本部の6研究所および各事業会社の研究所で行っています。これらが連携し、「食と健康」の領域で独自の価値と最上の品質を持つ商品やサービスの開発、及びそのベースとなる技術の研究・開発を推進しています。また、有望な技術の開発・応用・実用化を可能にするためにグループ内外のオープンイノベーションを積極的に推進しています。2016年度の主な研究開発成果として、健康関連では、東京大学、学習院大学との共同研究で、ホップ由来のビール苦味成分であるイソα酸にアルツハイマー病の進行を抑制する可能性があることと、その作用機序を世界で初めて見出しました。また「日本ブドウ・ワイン学会」2016年大会において、シラーというブドウ品種の特徴香生成メカニズムの解明に関する研究で論文賞を受賞し、ワインの健康機能性成分に関する発表で大会発表賞を受賞しました。容器関連では、環境に配慮したやさしいパッケージ開発の一環として、ユニバーサル製缶㈱と共同で国産最軽量※1となるアルミ缶を開発し、ビール系飲料に順次展開しました。また、2015年春より「キリン アルカリイオンの水」に導入している国産最軽量の28.9gの2Lペットボトルについて、軽量化と強度を両立する技術が評価され、アジア包装連盟主催の「アジアスター2015コンテスト」において、「アジアスター賞」を、世界包装機構主催の「ワールドスター2016コンテスト」において、「ワールドスター賞」を受賞しました。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は629億円です。セグメントごとの状況は、次のとおりです。※1 350ml缶では14.6gから13.8gへ約5%軽量化、500ml缶も18.1gから16.8gへ約7%軽量化した。 (日本綜合飲料事業)(1) 国内酒類事業キリンビール㈱は、全国の47都道府県ごとに味の違いや個性を楽しめる「一番搾り“地元うまれシリーズ”『47都道府県の一番搾り』」を、5月から10月にかけて地域限定で発売しました。この「一番搾り」は、全国9工場それぞれの醸造長が、地域で暮らすお客様のために造った特別な「一番搾り」です。「地域の食事に合う」「地元愛を感じる」「地域ごとに味が違うのが面白い」など好評をいただきました。また、「キリン一番搾り生ビール」から、単一品種のオーガニック麦芽を100%使用し、麦本来のうまみをつきつめた「一番搾り シングルモルト<オーガニック麦芽100%>」を4月より発売しました。また、2012年の発売以降、好評いただいている「グランドキリン」の中味とパッケージを3月にリニューアルしました。「グランドキリン」ブランドは、キリンの醸造家たちの数々のチャレンジによって生まれました。今後も、革新的で個性的なラインアップにより、ビールのおいしさや楽しさを提案していきます。スプリングバレーブルワリー㈱は、「DAIKANYAMA Sparkling」、「ROCKING CHAIR」、「鮨祭」、「ほうじ茶エール」、「星に願いを EpisodeⅠ ~生ギャラクシー特急~」、「星に願いを EpisodeⅡ ~完熟梅星~」などの個性ある商品を、スプリングバレーブルワリー東京(代官山)にて提供しています。「DAIKANYAMA Sparkling」は、ワイン酵母を用いて仕込みと発酵の条件を制御することで柑橘香と甘味を付与する新たな醸造技術を採用しており、スパークリングワインのような爽やかな香味と軽やかな発泡感を実現しました。これからも、ビールの未来をお客様とともに創造し、ビールをより魅力的にしていくための様々な活動を展開していきます。発泡酒市場においては、2002年の発売以降“糖質70%オフ”で人気の「淡麗グリーンラベル」を3月からリニューアルしました。発売以来支持をいただいている“すがすがしいおいしさ”により磨きをかけるべく、華やかな香りが特長のアロマホップの配合を見直すことで、香りと飲みごたえのバランスを整えました。また、引き続き麦芽と大麦を使用して雑味のない麦本来のおいしさを引き出し、よりビールに近いおいしさを実現しました。また、2014年の発売以降好評いただいている「プリン体0.00×糖質0」の「淡麗プラチナダブル」を中味・パッケージともに9月よりリニューアルしました。原料を見直すことで後味を改善し、より爽快な後キレを実現しました。RTD市場においては、2016年に15年目を迎えた「キリン 氷結®」のスタンダードシリーズ「キリン 氷結® シチリア産レモン/グレープフルーツ」を3年ぶりに中味・パッケージともに、1月から大幅にリニューアルしました。なお、シチリア産レモンとリオレッドグレープフルーツの氷結“ヴァージンストレート”果汁を贅沢に使用した「キリン 氷結®プレミアム シチリア産プレミアムレモン/リオレッドグレープフルーツ」を4月より発売しました。また、「食事をおいしくする」というコンセプトに着目して開発した「キリン 氷結®ストロング グルメ」を9月より全国発売しました。レモンとライムの氷結®ストレート果汁※1をバランスよくブレンドし、新開発した成分“グルメエッセンス”により、食事を引き立てるすっきりドライな味わいを実現しました。また、RTS新商品として、「キリン 杏露酒 ひんやりあんず」を4月より全国発売しました。「凍結あんず浸漬製法」を採用し果汁感を高めるとともに、グループ会社である㈱永昌源の中味開発の知見や、メルシャン藤沢工場の設備を活用して開発し、あんず本来のみずみずしい味わいが感じられ、甘さ控えめですっきり飲みやすくなっています。洋酒市場では、「キリンウイスキー 富士山麓 樽熟原酒50°」を、中味・パッケージ・製法などを刷新し、3月にリニューアル発売しており、ウイスキーのうまみ成分を閉じ込める「ノンチルフィルタード製法」※2を新たに採用し、樽熟原酒のうまみを生かすことで、さらに香り豊かで深い味わいに仕上げました。お客様から「味わい深くなった」や「香りが華やか」などの声をいただいています。※1 「氷結®ストレート果汁」の中でも、最初に搾られた「一番搾り果汁」だけでつくられた、贅沢でみずみずしい果汁のこと。※2 冷却ろ過を行わずにびん詰めすることで、ウイスキーのうまみ成分を逃がさない製法。 メルシャン㈱はキリン㈱ワイン技術研究所と連携しながら、ワインの研究・技術開発並びに商品開発を実施しています。山梨県勝沼市に位置するワイナリー「シャトー・メルシャン」とワイン技術研究所が協働することでワインの品質向上に努めた結果、2016年には、「北信シャルドネ2014」が、レベルの高い国際ワインコンクールである「チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(フランス・ボルドー)」及び「リュブリアーナ国際ワインコンクール(スロベニア)」にて金賞を、「マリコヴィンヤード シャルドネ2014」が「チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(フランス・ボルドー)」にて金賞を受賞しました。また、世界的に有名なワイン雑誌「Wine Spectator」にて「城ノ平カベルネ・ソーヴィニヨン2012」が日本のワインとして唯一90ポイントの高評価を獲得し、「Asian Wine Review創刊号2016」にて「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞しました。国内でも、8月の日本ワインコンクールにて金賞3品を受賞し、5月に行われたG7伊勢志摩サミット2016では、「北信シャルドネ」「マリコ・ヴィンヤード オムニス」「アンサンブル ももいろ」の3品が日本ワインの代表として提供されるなど、シャトー・メルシャンの“日本ワイン”が国内外で高い評価を受けました。神奈川県にあるメルシャン藤沢工場は、お客様がお買い求めやすいリーズナブルなテーブル・ワインを提供し、昨年に引き続き2016年も神奈川県のワイン生産量(課税数量)日本一に貢献しました。基幹商品である「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズの全面リニューアルを実施すると同時に、ブドウ品種にこだわった「おいしい酸化防止剤無添加ワイン 厳選素材」を新たに発売しました。若年層向けに開発した果汁感たっぷりの「ギュギュッと搾ったサングリア」シリーズは引き続き好調に推移しており、発売からわずか1年余りで200万本を超えるヒット商品となりました。さらに、新たな価値提案として、「はじけるギュギュッと搾ったサングリア スパークリング」を発売しブランド強化を図りました。世界の様々なワインの飲み方が手軽に楽しめる「ワールドワインスタイル キール・スパークリング」と「同 カリモーチョ」や、国産100%の果実でつくった「日本果実のワイン」シリーズからは「日本果実のワイン すきっと和柑橘」を発売するなど、ワインの新たなスタイルや楽しみ方をお客様に対して積極的に提案しました。焼酎や梅酒に関しても、品質にこだわった研究開発を実施しており、2016年は、本格焼酎「八代不知火蔵 米焼酎 白水」が、熊本国税局の酒類鑑評会で優等賞を受賞しました。今後も“素材の香味特徴を最大限に引き出す”という思想のもと、オリジナリティに溢れ、お客様にとって魅力のある研究・技術開発並びに商品開発を引き続き推進していきます。 (2) 国内飲料事業国内飲料事業では、キリンビバレッジ㈱が中心となり原料の選定から最終商品まで開発を一貫して行っています。発売30周年を迎えた「キリン 午後の紅茶」は、“紅茶を日本の日常茶に”をブランドテーマに、紅茶の新たな魅力やおいしさ、飲用シーンを提案してきました。「午後の紅茶ストレートティー/ミルクティー/レモンティー」の基盤3アイテムは全てで売上高、販売数量共に前年を上回り、2月にリニューアルした「午後の紅茶 おいしい無糖」は“○○ティー”という飲用シーン訴求がSNS上で話題になり、間口の拡大を実現しました。その結果、「キリン 午後の紅茶」ブランドトータルで紅茶飲料初の5,000万ケースを突破し、過去最高の販売数量を更新しました。3月に大幅リニューアルした「キリン 生茶」は、“お茶のいいところをまるごと”をコンセプトに、茶葉を低温で丁寧に抽出した後に、最新テクノロジーで微粉砕した“かぶせ茶”の微粉末茶を加えることで、今までにない深いコクと、軽やかな余韻を実現しました。ガラスびんをイメージして作ったスタイリッシュな“パッケージ”や、お茶の香りが良く、まろやかで飲みやすいなど高い評価をいただき、年初目標の1.5倍以上となる2,620万ケースを販売しました。「キリン 生茶」の525mlグリーンボトルは、日本包装技術協会が主催する国内最大級のコンテストである「日本パッケージングコンテスト2016」で「パッケージデザイン賞」を受賞しました。10月にリニューアルした「キリン ファイア」は、火にこだわって開発し続けた17年間の集大成として、コーヒー豆の“焼き”の限界に挑戦して実現した「焦がし焼き豆」をブレンドすることで力強い“香り”と“コク”を実現しました。また発売前に実施したシークレットサンプリングはトライアル促進に大きく貢献し、発売後2ヵ月の前年比3%増と好調に推移しています。今後も、キリンの強みである“ていねいなものづくり”や“品質へのこだわり”を強化し、お客様にとって、うれしい驚きをもった魅力的な商品開発を行っていきます。 当事業に係る研究開発費は、91億円です。 (オセアニア綜合飲料事業)オセアニア綜合飲料事業では、LION PTY LTDで、オーストラリア市場の健康志向の高まりに向けた商品開発を、キリン㈱の持つ技術を活用しながら取り組みました。 当事業に係る研究開発費は、0億円です。 (海外その他綜合飲料事業)海外その他綜合飲料事業では、Brasil Kirin Holding S.A.で、開発における大胆な資源集中とコスト削減により、大幅な経費節減に貢献しました。 当事業に係る研究開発費は、2億円です。 (医薬・バイオケミカル事業)(1) 医薬事業協和発酵キリン㈱では、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジーを駆使し、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の各カテゴリーを研究開発の中心に据え、資源を効率的に投入することにより、新たな医療価値の創造と創薬の更なるスピードアップを目指しています。当連結会計年度における主な後期開発品の開発状況は次のとおりです。 腎カテゴリー・ 日本においてカルシウム受容体作動薬KHK7580の血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。・ 日本においてRTA 402の2型糖尿病を合併する慢性腎臓病を対象とした第Ⅱ相臨床試験を実施中です。・ 中国において持続型赤血球造血刺激因子製剤KRN321(日本製品名「ネスプ」)の透析施行中の腎性貧血を効能・効果とする承認申請を2月に取り下げました。なお、再申請の時期は未定です。がんカテゴリー・ 日本においてc-Met阻害剤ARQ 197のソラフェニブ治療歴を有するc-Met高発現の切除不能肝細胞癌を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。・ 抗CCR4ヒト化抗体KW-0761(日本製品名「ポテリジオ」)は、皮膚T細胞性リンパ腫を対象とした第Ⅲ相臨床試験を米国、欧州及び日本等において、成人T細胞白血病リンパ腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験を米国及び欧州等において、それぞれ実施中です。免疫・アレルギーカテゴリー・ 日本において抗IL-17受容体A完全ヒト抗体「ルミセフ」は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を効能・効果とする承認を7月に取得し、9月に発売しました。・ 抗IL-5受容体ヒト化抗体KHK4563の欧米等における権利の導出先であるアストラゼネカ社が実施している国際共同試験計画の一環として、KHK4563の気管支喘息を対象とした第Ⅲ相臨床試験を日本及び韓国において、慢性閉塞性肺疾患を対象とした第Ⅲ相臨床試験を日本において、それぞれ実施中です。・ 日本においてゼリア新薬工業㈱との共同開発である潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の用法・用量追加の承認申請を7月に行いました。中枢神経カテゴリー・ 北米及び欧州等においてKW-6002(日本製品名「ノウリアスト」)のパーキンソン病を対象とした第Ⅲ相臨床試験の速報結果を12月に得ました。本試験の主要評価項目を達成できませんでしたが、副次評価項目を含めた本試験結果の詳細解析及び米国食品医薬品局(FDA)との議論を通して米国における再申請の可能性について検討します。その他・ 抗線維芽細胞増殖因子23完全ヒト抗体KRN23は、成人X染色体遺伝性低リン血症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を北米、欧州、日本及び韓国において、腫瘍性骨軟化症又は表皮母斑症候群を対象とした第Ⅱ相臨床試験を米国において、それぞれ実施中です。また、日本及び韓国において腫瘍性骨軟化症又は表皮母斑症候群を対象とした第Ⅱ相臨床試験を6月に、北米、欧州、豪州、日本及び韓国において小児X染色体遺伝性低リン血症を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験を10月に開始しました。さらに欧州においてX染色体遺伝性低リン血症を適応症とした承認申請が12月に欧州医薬品庁(EMA)に受理されました。・ 中国においてトロンボポエチン受容体作動薬AMG531(日本製品名「ロミプレート」)の慢性特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施中です。 また、日本及び韓国において再生不良性貧血を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を6月に開始しました。・ 日本において遺伝子組換えアンチトロンビン製剤「アコアラン」の1800IU製剤の承認申請を9月に行いました。 (2) バイオケミカル事業・ 主力製品である各種アミノ酸・核酸関連物質などの省資源・高効率の発酵生産プロセスの開発に引き続き注力しています。・ 国内外の大学研究機関との共同研究を通して得られた機能性や安全性データに基づき、アミノ酸等発酵生産物の栄養生理機能探索や用途開発を行い、製品の付加価値を高めています。・ 当社の持つ培養技術に関する知見を活かし、ヒトiPS細胞の培養培地に関する研究を行っています。 当事業に係る研究開発費は535億円です。 (その他事業)小岩井乳業㈱技術開発センターでは、小岩井ブランドならではの大地の恵みを大切にしたおいしさに加え、会社ビジョンでもある「お客様の事を一番考える会社」として、お客様の「おいしい」「うれしい」の期待に応えるため、キリングループの最新技術も活用し、製品の開発及び包装容器の改善、乳製品の基礎研究に取り組んでいます。当期成果としては、乳製品カテゴリーにおいて、さわやかな酸味と香り、うま味、ナチュラルチーズのようなほろほろとした食感を楽しめる、「小岩井 旨みほろほろチーズ」を新発売しました。「小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」からつくったオリジナルチーズ『小岩井 熟成チーズ』を加え、長年培った乳化技術を応用し、新しい味と食感を実現しました。また「小岩井 オードブルチーズ」シリーズには「小岩井 熟成チーズ」を使用し、新たな商品として生まれ変わりました。「クリーミー」は旨みと香りを特長とすること、「サラミ・アーモンド・オニオン」は香料を使用せず素材のおいしさを活かすことにこだわりました。発酵乳においては、「生乳のみ」を原材料とし、生乳から脂肪を除去した後に膜濃縮した「小岩井 生乳(なまにゅう)ヨーグルトクリーミー脂肪0(ゼロ)」について、原料乳の受け入れから乳加工処理までを一貫して行える小岩井工場で製造を開始しました。全国に販売を拡大し、販売量も順調に伸びています。飲料カテゴリーにおいては、当社飲料の基幹商品である「小岩井 コーヒー」をリニューアルし、生乳ベースにこだわり、豊かなコーヒーの香りとミルクの味わいのバランスが楽しめる「小岩井 コーヒーミルク仕立て」として発売しました。上記商品以外にも、小岩井ならではの乳のおいしさにこだわった製品開発を進め、ヨーグルト、乳飲料、乳製品でも数多くの新商品を開発・発売してまいりました。今後も最新の研究・技術開発で得られた成果を新商品の開発及び既存商品の改良に活用し、より多くの「おいしい」「うれしい」を実現する乳製品を提供していきます。 当事業に係る研究開発費は1億円です。