研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 578 |
| 2024-03 | - | 629 |
| 2023-03 | - | 395 |
| 2022-03 | - | 250 |
| 2021-03 | - | 306 |
研究開発活動(本文)
FY2025|9,237 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発統轄部を中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果を上げております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は3,033百万円であり、セグメント別では建築事業において1,693百万円、土木事業において1,339百万円であります。また、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。 (建築及び土木)(1) 建築環境関連技術ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)を達成した上で、緑化や木材の利用などによるCO2の吸収・固定化などによりライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとすることを目指し運用を開始した技術研究所の「グリーンオフィス棟では、エネルギー消費量を計画値と比較して約25%低減し、実績としても『ZEB』を達成しました。また、緑化によるCO2の吸収量の算定に関しては千葉大学との共同研究で取組んでおります。さらに新たな創・蓄・省エネルギー技術を検討しており、ネットゼロ社会への加速に向け、さらなる技術開発にチャレンジしております。さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。当社ではZEBの普及を目指すことで、当社が引き渡した建物の運用中のエネルギー使用量及びCO2排出量の削減に取組んでおります。 (2) 生物多様性関連技術生産性向上の観点から、バイオフィリックデザインを取り入れた緑が豊かな環境をオフィス内に配置する設計手法に関して、印象評価の実証実験を実施し、研究に取組んでおります。技術研究所の緑地では、2015年に関東・水と緑のネットワーク百選に選出され、その後、2018年からは、全ての植物に地域性在来植物を採用するととともにトレーサビリティ認証を取得したビオトープ「つくば再生の里」を造成しました。これら敷地全体の緑化を対象に、SEGESそだてる緑(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)の認定を2022年8月に取得しました。これらの活動により、環境省が「30by30」目標達成に向け推進する「自然共生サイト」に、2023年10月に認定されました。また、グリーンオフィス棟の壁面緑化が、(公財)都市緑化機構が主催する「屋上・壁面緑化技術コンクール」で、日本経済新聞社賞に選出されました。今後も多様な緑地の整備や維持管理に取り組み、得られた知見を緑の価値向上、及び地域の生物多様性の向上に繋げてまいります。 (3) 放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、地下深部での地震動測定と耐震性評価、ベントナイトに関する技術の開発に取り組んでおります。また、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査実績があります。 (4) 超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ60棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。また、一部をプレキャスト化した高強度コンクリート連層耐震壁(コアウォール)を開発し、弊社保有の端部RC中央S梁工法と組み合わせて、広い執務空間を有する超高層事務所ビル構築技術を確立し、TODA BUILDINGに採用しております。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度のコンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて10棟以上の実績があります。また、充填コンクリート強度150N/mm2のCFT柱をTODA BUILDINGに採用しております。 (5) 木造架構関連技術共同開発により中高層木造建築架構技術を開発し、10階建ての木造共同住宅をモデルプランとして日本建築センターの個別プラン構造評定を取得(2022年10月14日)しました。本技術は、建物の柱・梁・耐震壁に木材を使用した環境配慮型木質架構を構築する技術で、10階程度の高層建物に適用できます。共同開発はさらに進み、中高層事務所ビルに適した2方向ラーメン架構の開発を2024年度で終了し、11階建て木造事務所ビルをモデルプランとして日本建築センターの個別プラン構造評定を取得しました(2024年10月11日)。また、CLT材を耐震壁として使用する技術を開発中であります。 (6) 免震・制振技術地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブダンパー」(2021年4月1日大臣認定取得)、電源を用いず減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」(2022年9月9日日本建築センター評定取得)を開発しました。また、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全対策、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策技術の開発も実施しており、水害対策技術については現在施工中の建物に採用しております。精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に採用しております。また、環境振動対策として、OAフロア・階段下に設置可能な小型AMDを開発、製品化し、TODA BUILDING内の階段に採用しております。 (7) BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、センシングにより地震後の建物の健全性を迅速に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件18棟、自社施工物件41棟、外販として53棟に採用しております。 (8) 天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、日本建築センターの評定を取得(2017年12月11日)し、現在2物件での採用実績があります。 (9) 基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化を図るための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2024年12月時点で共研他社も含めて857件を超える実績があります。山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し、ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後5物件で採用しております。 (10) 建築仕上げ材料関連技術脱炭素化に向けた取り組みとして、古紙を原料としたパルプモールド製の内装材(不燃材料の認定 取得済)をTODA BUILDINGで採用しました。今後、様々な物件で展開してまいります。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発し、医療施設等に展開しております。美術館・博物館における工期短縮に寄与する技術として、「アルカリ汚染対策工法」を開発し、実績を増やすととともに、有機酸類も含めた空気質管理のデータを蓄積し文化施設の品質向上に取組んでおります。 (11) 建築生産システム関連技術次世代の施工技術では、竣工したTODA BUILDINGで以下の技術の実証施工を行いました。BIMデータを活用した「鉄骨柱自動計測・調整システム」、BIMや衛星測位を利用した「タワークレーン3次元自動誘導システム」及び「タワークレーンの遠隔操作システム」、さらに「仮ボルト不要接合工法」や「吊荷旋回制御装置」と連動した「鉄骨自動化システム」。そのほかにも、本設エレベーターを工事期間中より使用可能とすることで、仮設エレベーターを早期撤去し、仕上げダメ工事の早期着手を目指した「本設エレベーター仮設利用システム」の実証施工。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボと工事用エレベーターが連動する「垂直・水平自動搬送システム」を採用しました。以上の技術については、今後着工が控えている高層ビル建設に採用すべく、さらに技術を改良してまいります。解体技術としては、鉄筋コンクリート造の鉄筋に直流電源を通電することで加熱し、鉄筋の熱膨張とコンクリートとの付着力低下を利用して構造物を脆弱化する「マスホット工法」を、道路橋の床板架け替え工事における道路封鎖期間の短縮に貢献する技術として、道央自動車道千歳川大橋(下り線)床板取替工事で実証試験を行いました。工期短縮技術として、引き続き技術に磨きをかけてまいります。その他の開発済み施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した現場造成杭の杭頭余盛り部の静的破砕処理工法「しずかちゃん」の社内実績が、2025年4月時点で881本となりました。社外での採用実績についても、5件100本となっております(社内実績との合計は981本)。社内外ともに、積極的に情報を発信するため「しずかちゃん ホームページ」を開設しております。今後も、建設現場における生産性の向上とともに、現場周辺環境への配慮やCO2排出量低減に寄与する技術開発を進めてまいります。 (12) ICT施工管理関連技術ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、様々なシステム開発を実施しております。まず、建設現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として㈱村田製作所と共同で開発した、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」に、「危険エリア検知」「ヒヤリハット検知」などの新たな機能を追加するとともに、更なる展開を図っております。また、「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」への対応として「AI画像解析技術を用いた切羽安全監視システム」を開発し、実現場で有効性を確認しました。品質向上、生産性向上については、鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム(AIカメラと専用アプリ)」を、PLT(Prime Life Technologies)とともに21社の建設会社と共同で進めており、2024年4月より導入を開始しました。AIスタートアップである燈㈱とは、現地点群データを基に、3次元ビューアで可視化した大型車の輸送経路シミュレーションシステムを開発し、確実な輸送計画を実用化しております。建物内通信環境の整備については、「ウエーブガイドLANシステム」を工事期間中の仮設通信環境として活用する他、これまで電波が届かなかったELVシャフト内に設置することで、引渡し後の建物への本設通信環境整備として、Wi-Fi環境を切れ目なく提供し、スマートフォン通信のほか、サービスロボットが階をまたいで動作できる通信技術として設置を始めております。その他、建設工事中のCO2排出量削減を目的とした、カーボンニュートラルに向けた技術開発、及びAR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発にも、引き続き取組んでおります。 (13) 音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件で採用しております。音響拡散の概念を取り入れたペンローズタイル型の音響パネルを開発し、TODA BUILDINGのホールで採用しました。また、防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも採用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対しては、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。技術研究所内では音に関する様々な事象を高精度に体験できる音場シミュレーターを拡張・更新しております。敷地境界における騒音予測システムの開発や、ダクト表面発生音の低減対策、雨水流水音の低減対策仕様の標準化、大スパン屋根透過音降雨騒音性能の定量化など関連技術の社内展開を図っております。 (14) シールド関連技術シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場採用実績があります。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を目的に開発した「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図っております。また、施工の自動化を図る目的で、技術シリーズTop-Shieldと称して、自動掘進技術「AI Transformシールド」の開発を進めるとともに、掘進以外のシールド工事の各工種(セグメント組立、裏込め注入、残土搬出、ビット交換等)の開発にも取組んでおります。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法(さくさくJAWS工法)」(2024エンジニアリング功労者賞受賞)等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取組んでおります。 (15) 山岳トンネル技術山岳トンネル工事に対応する技術としては、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などを目的として、積極的な技術開発及び現場採用に取組んでおります。覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」は、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始し、現場採用を進めるとともに適用分野の拡大に努めております。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取組んでおります。切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場採用を推進するとともに、新たな調査技術として近赤外線カメラを活用した岩盤評価手法の開発を進めております。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場採用に取組んでおります。また、施工の省力化、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、技術シリーズTop-NATMと称して、各工種の自動化システム(発破装薬、ずり出し、吹付け、鋼製支保工建て込み、ロックボルト打設、防水シート施工、インバート施工、覆工施工及び覆工プレキャスト化など)や、コンピュータジャンボの穿孔データとAI技術を活用した地山評価及び発破設計のシステム開発、ドローンを活用した施工管理及び安全監視システムの開発に取組んでおります。 (16) コンクリート技術設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図る低収縮コンクリート(フィットリート)を開発、現場で採用しております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場で採用しておりますが、2020年度にはBSL-4(バイオセーフティレベル4)を要求する高気密性実験施設の実験室躯体にも採用しました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国並びにグループ会社に展開しております。環境配慮型コンクリート(低炭素性)に関する技術を西松建設と共同開発し、2023年に建設審査証明(建築)を取得致しました。これにより全国の工事現場への展開が可能になりました。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (17) インフラ再生技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取組んでまいります。 (18) 社会基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。山岳トンネルにおける「発破装薬自動化技術(バルクエマルジョン爆薬)」、「鋼製支保工建て込み切羽無人化システム」、「吹付ナビゲーションシステム」などの自動化に向けた技術の開発と提案を積極的に展開しております。非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤改良技術「ハイブラストジェット工法」を現場展開している他、環境負荷の低減を可能とした地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術が採用されております。また、大深度、長距離の都市トンネルの構築に向けた「超高強度RCセグメント」と「ビット交換技術」、及び施工の自動化を可能とする「AI Transform Shield」などのシールド関連技術の他、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取組んでおります。 (19) 医療施設関連技術病院内の臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用いただいております。さらに、新型コロナウイルス感染症による感染拡大対策として、医療施設において、簡易にゾーニング(区画)変更を実現する「感染対策ユニット」を開発・実用化しました。今後も「安全・安心」な空間を提供してまいります。 (20) 農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。また、筑波技術研究所内に人工光栽培実験室を増設し、各種環境条件が植物の生育に与える影響等に関する技術開発を開始しました。 (21) 再生可能エネルギー関連技術環境省の浮体式洋上風力発電実証事業委託業務において、2013年に長崎県五島市沖に鋼とコンクリートを複合利用した2,000kW級のスパー型浮体式洋上風力発電設備の設置に成功し、2016年には「国内初の実用化」を実現しました。その後、2021年には五島市沖における再エネ海域利用法に基づく国内で初めての事業者に選定され、2022年には国内初の「浮体式洋上ウィンドファーム認証」を取得し、浮体設備の建造・施工を実施しております。また、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2022年からは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が助成するグリーンイノベーション基金事業、2024年からは浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発等を活用し、大型風車に適合かつ量産化に対応した浮体構造物及び施工技術の開発、Digital Twin・AI技術による生産予防保全技術の開発など、「設計、施工、O&Mを一貫した技術開発」に取組んでおります。さらに、2023年に6社で共同保有したSEP船を大型風車に適合させ、着床式洋上風力の建設工事に供用開始すべく、クレーン等の改造工事を実施しております。 (国内投資開発、国内グループ会社、海外グループ会社及び環境・エネルギー)研究開発活動は特段行われておりません。
FY2024|8,519 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発統轄部を中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果を上げております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は3,888百万円であり、セグメント別では建築事業において1,749百万円、土木事業において2,139百万円であります。また、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。 (建築及び土木)(1) 建築環境関連技術ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)を達成した上で、緑化や木材の利用などによるCO2の吸収・固定化などによりライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとすることを目指し運用を開始した技術研究所の「グリーンオフィス棟では、エネルギー消費量を計画値と比較して約25%低減し、実績としても『ZEB』を達成しました。また、緑化によるCO2の吸収量の算定に関しては千葉大学との共同研究で取組んでおります。さらに新たな創・畜・省エネルギー技術を検討しており、ネットゼロ社会への加速に向け、さらなる技術開発にチャレンジしております。さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。これらの活動により、環境省が「30by30」目標達成に向け推進する「自然共生サイト」に、2023年10月に認定されました。また、グリーンオフィス棟の壁面緑化が、(公財)都市緑化機構が主催する「屋上・壁面緑化技術コンクール」で、日本経済新聞社賞に選出されました。当社ではZEBの普及を目指すことで、当社が引き渡した建物の運用中のエネルギー使用量及びCO2排出量の削減に取組んでおります。 (2) 生物多様性関連技術生産性向上の観点から、バイオフィリックデザインを取り入れた緑が豊かな環境をオフィス内に配置する設計手法に関して、印象評価の実証実験を実施し、研究に取組んでおります。技術研究所の緑地では、2015年に関東・水と緑のネットワーク百選に選出され、その後、2018年からは、全ての植物に地域性在来植物を採用するととともにトレーサビリティ認証を取得したビオトープ「つくば再生の里」を造成しました。これら敷地全体の緑化を対象に、SEGESそだてる緑(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)の認定を2022年8月に取得しました。今後も多様な緑地の整備や維持管理に取り組み、得られた知見を緑の価値向上、及び地域の生物多様性の向上に繋げてまいります。 (3) 放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、地下深部での地震動測定と耐震性評価、ベントナイトに関する技術の開発に取組んでおります。また、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査実績があります。 (4) 超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ60棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。また、一部をプレキャスト化した高強度コンクリート連層耐震壁(コアウォール)を開発し、弊社保有の端部RC中央S梁工法と組み合わせて、広い執務空間を有する超高層事務所ビル構築技術を確立し、施工中の新TODAビルに採用しております。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度のコンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて100棟以上の実績があります。また、充填コンクリート強度150N/mm2のCFT柱を新TODAビルに採用しております。 (5) 木造架構関連技術共同開発により中高層木造建築架構技術を開発し、10階建ての木造共同住宅をモデルプランとして日本建築センターの個別プラン構造評定を取得(2022年10月14日)しました。本技術は、建物の柱・梁・耐震壁に木材を使用した環境配慮型木質架構を構築する技術で、10階程度の高層建物に適用できます。共同開発はさらに進み、現在は中高層事務所ビルに適した2方向ラーメン架構の開発を継続して実施しており、2024年度中に11階建事務所ビルの構造評定を取得する予定であります。また、CLT材を耐震壁として使用する技術を開発中であります。 (6) 免震・制振技術地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブダンパー」(2021年4月1日大臣認定取得)、電源を用いず減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」(2022年9月9日日本建築センター評定取得)を開発しました。また、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全対策、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策技術の開発も実施しており、水害対策作技術については現在施工中の建物に採用しております。精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に採用しております。また、環境振動対策として、OAフロア下に収納可能な小型AMDを開発し、製品化し、事務所ビルに採用しております。 (7) BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件26棟、自社施工物件25棟、外販として61棟に採用しております。 (8) 天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、日本建築センターの評定を取得(2017年12月11日)し、現在2物件での採用実績があります。 (9) 基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化を図るための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2024年3月時点で共研他社も含めて767件を超える実績があります。山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し、ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件で採用しております。 (10) 建築仕上げ材料関連技術脱炭素化に向けた取り組みとして、古紙を原料としたパルプモールド製の内装材を開発し、不燃認定を取得しました。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発し、医療施設等に展開しております。美術館・博物館における工期短縮に寄与する技術として、「アルカリ汚染対策工法」を開発し、実績を増やすととともに、有機酸類も含めた空気質管理のデータを蓄積し文化施設の品質向上に取組んでおります。 (11) 建築生産システム関連技術次世代の施工技術では、施工中の新TODAビルで以下の技術の実証施工を行いました。BIMデータを活用した「鉄骨柱自動計測・調整システム」、BIMや衛星測位を利用した「タワークレーン3次元自動誘導システム」及び「タワークレーンの遠隔操作システム」、さらに「仮ボルト不要接合工法」や「吊荷旋回制御装置」と連動した「鉄骨自動化システム」。そのほかにも、本設エレベーターを工事期間中より使用可能とすることで、仮設エレベーターを早期撤去し、仕上げダメ工事の早期着手を目指した、「本設エレベーター仮設利用システム」の実証施工。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボと工事用エレベータが連動する「垂直・水平自動搬送システム」を採用しました。以上の技術については、今後着工が控えている高層ビル建設に採用すべく、さらに技術を改良してまいります。解体技術としては、鉄筋コンクリート造の鉄筋に直流電源を通電することで加熱し、鉄筋の熱膨張とコンクリートとの付着力低下を利用して構造物を脆弱化する「マスホット工法」を、道路橋の床板架け替え工事における道路封鎖期間の短縮に貢献する技術として、実現場で実証試験を行う予定です。その他の開発済み施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した現場造成杭の杭頭余盛り部の静的破砕処理工法「しずかちゃん」の社内実績が、2024年4月時点で871本となりました。社外での採用実績についても、5件100本となっております(社内実績との合計は971本)。社内外ともに、積極的に情報を発信するため「しずかちゃん ホームページ」を開設しております。今後も、建設現場における生産性の向上とともに、現場周辺環境への配慮やCO2排出量低減に寄与する技術開発を進めてまいります。 (12) ICT施工管理関連技術ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、様々なシステム開発を実施しております。まず、建設現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として㈱村田製作所と共同で開発した、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」に、「危険エリア検知」「ヒヤリハット検知」などの新たな機能を追加するとともに、更なる展開を図っております。品質向上、生産性向上については、鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム(AIカメラと専用アプリ)」を、PLT(Prime Life Technologies)とともに21社の建設会社と共同で進めており、2024年4月より導入を開始しました。建物内通信環境の整備については、「ウエーブガイドLANシステム」を工事期間中の仮設通信環境として活用する他、これまで電波が届かなかったELVシャフト内に設置することで、引渡し後の建物への本設通信環境整備として、Wi-Fi環境を切れ目なく提供し、スマートフォン通信のほか、サービスロボットが階をまたいで動作できる通信技術として設置を始めております。その他、建設工事中のCO2排出量削減を目的とした、カーボンニュートラルに向けた技術開発、及びAR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発にも、引き続き取組んでおります。 (13) 音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件で採用しております。防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも採用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。技術研究所内では音に関する様々な事象を高精度に体験できる音場シミュレーターを拡張・更新しております。また、敷地境界における騒音予測システムの開発や、雨水流水音の低減対策仕様の標準化など関連技術の社内展開を図っております。 (14) シールド関連技術シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場採用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法(さくさくJAWS工法)」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取組んでおります。 (15) 山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場採用に積極的に取組んでおります。覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取組んでおります。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場採用を推進するとともに、新たな調査技術として近赤外線カメラを活用した岩盤評価の開発を進めております。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場採用に取組んでおります。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、各工種の自動化システム(発破装薬、ずり出し、吹付け、鋼製支保工建て込み、ロックボルト打設、覆工打設及び覆工プレキャスト化など)やコンピュータジャンボの穿孔データとAI技術を活用した地山評価及び発破設計のシステム開発に取組んでおります。 (16) コンクリート技術設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場で採用しております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場で採用しておりますが、2020年度にはBSL-4(バイオセーフティレベル4)を要求する高気密性実験施設の実験室躯体にも採用しました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国並びにグループ会社に展開しております。環境配慮型コンクリート(低炭素性)に関する技術を西松建設と共同開発し、2023年に建設審査証明(建築)を取得致しました。これにより全国の工事現場への展開が可能になりました。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。 既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (17) インフラ再生技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取組んでまいります。 (18) 社会基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。山岳トンネルにおける「発破装薬自動化技術(バルクエマルジョン爆薬)」、「鋼製支保工建て込み切羽無人化システム」、「吹付ナビゲーションシステム」などの自動化に向けた技術の開発と提案を積極的に展開しております。非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤改良技術「ハイブラストジェット工法」を現場展開している他、環境負荷の低減を可能とした地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術が採用されております。また、大深度、長距離の都市トンネルの構築及び施工の自動化を可能とするシールド関連技術、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取組んでおります。 (19) 医療施設関連技術病院内の臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用いただいております。さらに、新型コロナウイルス感染症による感染拡大対策として、医療施設において、簡易にゾーニング(区画)変更を実現する「感染対策ユニット」を開発・実用化しました。今後も「安全・安心」な空間を提供してまいります。 (20) 農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。また、筑波技術研究所内に人工光栽培実験室を増設し、各種環境条件が植物の生育に与える影響等に関する技術開発を開始しました。 (21) 再生可能エネルギー関連技術環境省の浮体式洋上風力発電実証事業委託業務において、2013年に長崎県五島市沖に鋼とコンクリートを複合利用した2,000kW級のスパー型浮体式洋上風力発電設備の設置に成功し、2016年には「国内初の実用化」を実現しました。また、2021年には五島市沖における再エネ海域利用法に基づく国内で初めての事業者に選定され、2022年には国内初の「浮体式洋上ウィンドファーム認証」を取得し、浮体設備の建造・施工を実施しております。さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2022年からは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が助成するグリーンイノベーション基金事業における洋上風力発電の低コスト化プロジェクトを活用し、大型風車に適合かつ量産化に対応した浮体構造物の開発、大水深に対応した係留システムの開発及びDigital Twin・AI技術による生産予防保全技術の開発など、「設計、施工、O&Mを一貫した技術開発」に取組んでおります。 (国内投資開発、国内グループ会社、海外グループ会社及び環境・エネルギー)研究開発活動は特段行われておりません。
FY2023|8,475 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発統轄部を中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果を上げております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は3,224百万円であり、セグメント別では建築事業において1,506百万円、土木事業において1,532百万円、環境・エネルギー事業において185百万円であります。また、セグメント毎の研究開発活動は以下のとおりであります。 (建築及び土木)(1) 建築環境関連技術環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」における成果を活かしつつ、省エネルギーに加えてCO2排出量の削減に向けた「グリーンオフィス棟」へのリニューアルが完了し運用を開始しました。同棟では、断熱・遮熱の工夫や自然エネルギー利用、高効率設備などの導入によりZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)を達成した上で、緑化や木材の利用などによるCO2の吸収・固定化などによりライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとすることを目指すとともに、ICT技術を活用した環境制御手法などの新しい技術開発にチャレンジしております。さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。当社ではZEBの普及を目指すことで、当社が引き渡した建物の運用中のエネルギー使用量及びCO2排出量の削減に取り組んでおります。 (2) 生物多様性関連技術生産性向上の観点から、バイオフィリックデザインを取り入れた緑が豊かな環境をオフィス内に配置する設計手法に関して、印象評価の実証実験を実施し、研究に取り組んでおります。技術研究所の緑地では、2015年に関東・水と緑のネットワーク百選に選出され、その後、2018年からは、全ての植物に地域性在来植物を採用するととともにトレーサビリティ認証を取得したビオトープ「つくば再生の里」を造成しました。これら敷地全体の緑化を対象に、SEGESそだてる緑(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)の認定を2022年8月に取得しました。今後も多様な緑地の整備や維持管理に取り組み、得られた知見を緑の価値向上、及び地域の生物多様性の向上に繋げてまいります。 (3) 放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、地下深部での地震動測定と耐震性評価、ベントナイトに関する技術の開発に取り組んでおります。また、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査実績があります。 (4) 超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ60棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。また、一部をプレキャスト化した高強度コンクリート連層耐震壁(コアウォール)を開発し、弊社保有の端部RC中央S梁工法と組み合わせて、広い執務空間を有する超高層事務所ビル構築技術を確立し、施工中の(仮称)新TODAビルに採用しております。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度のコンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて100棟以上の実績があります。また、充填コンクリート強度150N/mm2のCFT柱を(仮称)新TODAビルに採用しております。 (5) 木造架構関連技術共同開発により中高層木造建築架構技術を開発し、10階建ての木造共同住宅をモデルプランとして日本建築センターの個別プラン構造評定を取得(2022年10月14日)しました。本技術は、建物の柱・梁・耐震壁に木材を使用した環境配慮型木質架構を構築する技術で、10階程度の高層建物に適用できます。共同開発は更に進み、今後は中高層事務所ビルに適した架構の開発を継続して実施してまいります。 (6) 免震・制振技術地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブダンパー」(2021年4月1日大臣認定取得)、電源を用いず減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」(2022年9月9日日本建築センター評定取得)を開発しました。また、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全対策、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策についても研究開発を進めております。精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に採用しております。また、環境振動対策として、OAフロア下に収納可能な小型AMDを開発し、製品化しました。 (7) BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件27棟、自社施工物件23棟、外販として60棟に採用しております。 (8) 天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、日本建築センターの評定を取得(2017年12月11日)し、現在2物件での採用実績があります。 (9) 基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2022年3月時点で共研他社も含めて598件を超える実績があります。山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し、ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件で採用しております。 (10) 建築仕上げ材料関連技術脱炭素化に向けた取り組みとして、古紙を原料としたパルプモールド製の内装材を開発し、不燃認定を取得しました。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発し、医療施設等に展開しております。美術館・博物館における工期短縮に寄与する技術として、「アルカリ汚染対策工法」を開発し、実績を増やすととともに、有機酸類も含めた空気質管理のデータを蓄積し文化施設の品質向上に取り組んでおります。 (11) 建築生産システム関連技術次世代の施工技術では、BIMデータを活用した鉄骨柱自動計測・調整システムの新規開発、仮ボルト不要接合工法の改良を行い、社内展開を進めております。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボと工事用エレベータが連動する垂直・水平自動搬送システムを開発し、超高層オフィスビル作業所、病院、物流施設の仕上げ材搬送作業に適用しました。今後は搬送効率を向上させるべく、改良を進めてまいります。また、BIMや衛星測位を利用したタワークレーン3次元自動誘導システムの開発・現場検証を進めており、吊荷旋回制御装置については、小型化・大型化・バランサー・パネル搬送装置の追加開発など、適用範囲の拡大を進めております。以上の技術については、(仮称)新TODAビル建設作業所内で実証施工してまいります。その他の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した、現場造成杭の杭頭余盛り部の静的破砕処理工法「しずかちゃん」の社内実績が、2023年3月時点で634本となりました。この技術の特長である、低騒音、低振動、無粉塵に寄与する点が評価されNETIS(国土交通省:新技術情報提供システム)へ登録されたことにより、国土交通省が提示する「新技術の活用を図る新技術活用工事」で「場所打杭工の杭頭処理における環境対策向上に資する技術」として特記仕様書に採用され、初めて社外使用実績が誕生しました。現在、社外実績2件目となる他社様にも採用いただき、社外使用実績は14本となっております(社内実績との合計は、648本)。さらに、東京都建設局が実施している「新技術情報データベース NeTIDa」にも、2023年3月に登録されました。都心部はもとより、周辺環境への配慮が必要な工事や、生産性向上が期待される工事へ展開すべく「しずかちゃん ホームページ」を通して情報発信してまいります。 解体技術としては、コンクリート構造物等を水素ガスで切断する「マスカットH(エイチ)工法」を用いて、持ち味の極厚鋼板(80㎜×5枚重ね)なども一度に切断できる技術を生かし、放射線遮蔽施設の解体へ適用拡大し、振動と騒音が比較的大きいジャイアントブレーカー重機を用いなくても、マスカットH工法切断を併用することで圧砕重機にて解体することが可能となる工法を確立しました。また、鉄筋を直流電源で通電加熱し、熱膨張と発熱を利用して鉄筋コンクリート構造物を脆弱にする「マスホット工法」において、重機の作業時間を半減以下と大幅に低減できることが確認されました。これらの解体技術は、これまでに6物件に採用しております。今後も、建築現場における生産性の向上とともに、現場周辺環境への配慮やCO2排出量低減に寄与する技術開発を進めてまいります。 (12) ICT生産管理関連技術ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、様々なシステム開発に着手しました。2022年度、掘削時の埋設管損傷事故防止の為の開発技術については、システムが完成し運用を協力会社に委託して社内で運用しております。建設現場の安全性向上として、「建設機械と作業員の接触災害」を防止する人物検知システム「アイナイトTM」を開発し、社内のトンネル工事3現場に採用しました。「アイナイト」は2022年9月にNETIS登録し、四国地整建設DX技術活用モデル工事での導入技術候補となりました。建設現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」を㈱村田製作所と共同で開発し、展開を図っております。品質向上、施工向上については、品質向上に向けて「立体配置を認識する配筋検査システム開発」を、20社の建設会社と共同で進めており、(仮称)新TODAビル建設作業所内で検証しております。また、AR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、「ウエーブガイドLANシステム」を仮設での活用の他、建物への応用としてELVシャフト内に設置して、サービスロボットが階をまたいで動作できるWI-FI通信技術として開発を進めております。建設工事中のCO2排出量削減を目的とした、カーボンニュートラルに向けた技術開発にも取り組んでおります。 (13) 音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件で採用しております。防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも採用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。技術研究所内では音に関する様々な事象を高精度に体験できる音場シミュレーターを拡張・更新しております。また、敷地境界における騒音予測システムの開発や、雨水流水音の低減対策仕様の標準化など関連技術の社内展開を図っております。 (14) シールド関連技術シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場採用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法(さくさくJAWS工法)」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。 (15) 山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場採用に積極的に取り組んでおります。覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取り組んでおります。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、更なる現場採用を推進しております。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場採用に取り組んでおります。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、各工種の自動化システム(発破装薬、ずり出し、吹付け、鋼製支保工建て込み、ロックボルト打設、覆工打設及び覆工プレキャスト化など)やコンピュータジャンボの穿孔データとAI技術を活用した地山評価及び発破設計のシステム開発に取り組んでおります。 (16) コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場適用を行っているなか、2020年度にはBSL-4(バイオセーフティレベル4)を要求する高気密性実験施設の実験室躯体への適用も行いました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国並びにグループ会社に適用を開始しております。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (17) インフラ再生技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取り組んでまいります。 (18) 社会基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(実績2件)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤改良技術「ハイブラストジェット工法」を現場展開している他、環境負荷の低減を可能とした地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術が採用されております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。 (19) 医療施設関連技術病院内の臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用いただいております。さらに、新型コロナウイルス感染症による感染拡大対策として、医療施設において、簡易にゾーニング(区画)変更を実現する「感染対策ユニット」を開発・実用化するとともに、ウイルス対策としての空気清浄機の性能評価にも取り組んでおります。 (環境・エネルギー等)(1) 再生可能エネルギー関連技術鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、2015年度に予定どおり実証事業を終了しました。2016年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。 (2) 農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。また、筑波技術研究所内に人工光栽培実験室を増設し、各種環境条件が植物の生育に与える影響等に関する技術開発を開始しました。 (国内投資開発、国内グループ会社及び海外投資開発) 研究開発活動は特段行われておりません。
FY2022|7,674 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発統轄部を中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は2,801百万円であり、セグメント毎の研究開発活動は以下のとおりであります。 (建築及び土木)(1) 建築環境関連技術環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」における成果を活かしつつ、省エネルギーに加えてCO2排出量の削減に向けた「グリーンオフィス棟」へのリニューアルが完了し運用を開始しました。同棟では、断熱・遮熱の工夫や自然エネルギー利用、高効率設備などの導入によりZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)を達成した上で、緑化や木材の利用などによるCO2の吸収・固定化などによりライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとすることを目指すとともに、ICT技術を活用した環境制御手法などの新しい技術開発にチャレンジしております。さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。当社ではZEBの普及を目指すことで、当社が引き渡した建物の運用中のエネルギー使用量及びCO2排出量の削減に取り組んでおります。 (2) 生物多様性関連技術植生や生物の地域特性を考慮し、緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」、食品工場などの防 虫対策に関するノウハウまとめた「防虫学校」を開発し、社内展開を図っております。また、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されている研究所敷地では、地域性在来植物のみで構成されたビオトープ「つくば再生の里」を拡張し、希少種・自生種などの保護・保全手法の研究をさらに進めております。 (3) 放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、地下深部での地震動測定と耐震性評価、ベントナイトに関する技術の開発に取り組んでおります。また、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査実績があります。 (4) 超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ60棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。また、一部をプレキャスト化した高強度コンクリート連層耐震壁(コアウォール)を開発し、弊社保有の端部RC中央S梁工法と組み合わせて、広い執務空間を有する超高層事務所ビル構築技術を確立し、施工中の(仮称)新TODAビルに採用しております。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度のコンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて100棟以上の実績があります。また、充填コンクリート強度150N/mm2のCFT柱を(仮称)新TODAビルに採用しております。 (5) 免震・制振技術地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブダンパー」を開発しました(2021年4月1日大臣認定取得)。また、電源を用いず減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」や、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全対策、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策についても研究開発を進めております。精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に採用しております。また、環境振動対策として、OAフロア下に収納可能な小型AMDを開発し、製品化に向けて研究を進めております。 (6) BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件28棟,自社施工物件27棟,外販として54棟に採用しております。 (7) 天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、2017年12月に日本建築センターの評定を取得し、現在2物件での採用実績があります。 (8) 基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2022年3月時点で共研他社も含めて598件を超える実績があります。山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し、ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件で採用しております。 (9) 建築仕上げ材料関連技術高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化しております。また、臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開しております。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。 (10) 建築生産システム関連技術地上の施工技術では、BIMデータを活用した鉄骨柱自動計測・調整システムの新規開発、仮ボルト不要接合工法の改良を行い、社内展開を進めております。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボと工事用エレベータが連動する垂直・水平自動搬送システムを開発し、超高層オフィスビル作業所、病院、物流施設の仕上げ材搬送作業に適用しました。今後は搬送効率を向上させるべく、改良を進めてまいります。また、BIMや衛星測位を利用したタワークレーン3次元自動誘導システムの開発・現場検証を進めており、吊荷旋回制御装置については、小型化・大型化・バランサー・パネル搬送装置の追加開発など、適用範囲の拡大を進めております。 地下の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した、現場造成杭の杭頭余盛り部の静的破砕処理工法「しずかちゃん」の社内実績が、2022年5月時点で598本となりました。2021年10月には、低騒音、低振動、無粉塵の技術が評価されNETIS(国土交通省:新技術情報提供システム)へ登録されました。これにより、公共工事において積極的な活用が期待されると同時に、社外でも広く一般利用できる体制を構築しました。解体技術としては、コンクリート構造物等を水素ガスで切断する「マスカットH(エイチ)工法TM」を新たに開発し、ガス切断時にCO2を排出しない環境配慮型技術としました。また、鉄筋を直流電源で通電加熱し、熱膨張と発熱を利用して鉄筋コンクリート構造物を脆弱にする「マスホット工法」において、重機の作業時間を半減以下と大幅に低減できることが確認されました。これらの解体技術は、これまでに4物件に採用しております。今後も、建築現場における生産性の向上とともに、現場周辺環境への配慮やCO2排出量低減に寄与する技術開発を進めます。 (11) ICT生産管理関連技術 ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、様々なシステム開発に着手しました。建設現場の安全性向上として、「建設機械と作業員の接触災害」を防止する人物検知システム「アイナイトTM」を開発し、社内のトンネル工事2現場に採用しました。また、埋設管の損傷事故防止を目的とした技術開発を進めております。建設現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」を㈱村田製作所と共同で開発し、展開を図っております。品質向上、施工向上については、品質向上に向けて「立体配置を認識する配筋検査システム開発」を、21社の建設会社共同で進めております。また、AR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、「ウエーブガイドLANシステム」の開発を進め、建設中の超高層ビルに採用しました。さらに採用現場を増やしてまいります。建設工事中のCO2排出量削減を目的とした、カーボンニュートラルに向けた技術開発にも取り組んでおります。 (12) 音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件で採用しております。防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも採用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。技術研究所内では音に関する様々な事象を高精度に体験できる音場シミュレーターを拡張・更新しております。また、敷地境界における騒音予測システムの開発や、雨水流水音の低減対策仕様の標準化など関連技術の社内展開を図っております。 (13) シールド関連技術シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場採用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。 (14) 山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場採用に積極的に取り組んでおります。覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取り組んでおります。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場採用を推進しております。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場採用に取り組んでおります。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、自動吹付けシステム、鋼製支保工切羽無人化施工システム、覆工プレキャスト化、覆工セントルセット及び打設管理の自動化、防水シート台車及び覆工セントルの自動化、及び要素技術を集約した覆工自動化統合システム、コンピュータジャンボの穿孔データとAI技術を活用した地山評価及び発破設計のシステム開発に取り組んでおります。 (15) コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場適用を行っているなか、2020年度にはBSL-4(バイオセーフティレベル4)を要求する高気密性実験施設の実験室躯体への適用も行いました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国並びにグループ会社に適用を開始しております。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (16) インフラ再生技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取り組んでまいります。 (17) 基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤改良技術「ハイブラストジェット工法」を現場展開している他、環境負荷の低減を可能とした地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術が採用されております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。 (18) 医療施設関連技術病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用頂いております。さらに、新型コロナウイルス感染症による感染拡大対策として、医療施設において、簡易にゾーニング(区画)変更を実現する「感染対策ユニット」を開発・実用化するとともに、ウイルス対策としての空気清浄機の性能評価にも取り組んでおります。 (新領域)(1) 再生可能エネルギー関連技術鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、2015年度に予定通り実証事業を終了しました。2016年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。 (2) 農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。また、筑波技術研究所内に人工光栽培実験室を増設し、各種環境条件が植物の生育に与える影響等に関する技術開発を開始しました。 (3) 連結子会社における主な研究開発オフショアウィンドファームコンストラクション㈱において、環境省の「低炭素型浮体式洋上風力発電低コスト化・普及促進事業」の補助を受けて浜出船を建造し、2018年3月に完成しました。2020年度までに補助事業において、浜出船等を活用した実証施工を行い、浮体式洋上風力発電施設における建設費の低コスト化及び施工の低炭素化を検証しました。 (投資開発及び国内グループ会社) 研究開発活動は特段行われておりません。
FY2021|7,773 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は2,721百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。 (建築及び土木)(1)建築環境関連技術当社は「エコ・ファースト企業」として環境大臣と当社が施工中に排出するCO2総量を2030年に1990年比70%削減、2050年には80%削減することなどを約束しております。また、前述の約束に相当する当社のCO2排出量の削減目標は、SBTイニシアチブよりパリ協定に整合するものであるという認定も受けています。建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用しております。こうした活動は外部からも評価されており、全世界の企業の環境活動を評価するCDPイニシアチブからは、最高評価である「気候変動A List」に2018年、2019年、2020年と3年連続で選ばれました。また、2019年1月には、事業運営における電力を100%再生可能電力で調達する取り組みであるRE100に加盟し、同年5月には、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)に賛同しました。TCFDの推奨事項に基づき、2020年に当社では、今後世界の平均気温が最大4℃上昇した場合と1.5℃に抑制できた場合の2種類のシナリオを用いて当社の事業活動におけるリスクと機会を分析しました。その結果、1.5℃に抑制できた世界の実現を目指すことが当社の事業活動にとっても優位であることを確認しています。環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」における成果を生かしつつ、省エネルギーに加えてCO2排出量の削減に向けた「(仮称)カーボンマイナス棟」へのリニューアルを進めています。同棟では、断熱・遮熱の工夫や自然エネルギー利用、高効率設備などの導入によりZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)を達成した上で、緑化や木材の利用などによるCO2の吸収・固定化などによりライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとすることを目指すとともに、ICT技術を活用した環境制御手法などの新しい技術開発にチャレンジしています。さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。当社ではZEBの普及を目指すことで、当社が引き渡した建物の運用中のエネルギー使用量及びCO2排出量の削減に取り組んでいます。 (2)生物多様性関連技術植生や生物の地域特性を考慮し、緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」、食品工場などの防 虫対策に関するノウハウまとめた「防虫学校」を開発し、社内展開を図っております。また、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されている研究所敷地には、新たに地域性在来植物のみで構 成されたビオトープ「つくば再生の里」を整備し、希少種・自生種などの保護・保全手法の研究に取り組んでおります。 (3)放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、地下深部での地震動測定と耐震性評価、ベントナイトに関する技術の開発に取り組んでおります。また、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査実績があります。 (4)超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ60棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。また、一部をプレキャスト化した高強度コンクリート連層耐震壁(コアウォール)を開発し、弊社保有の端部RC中央S梁工法と組み合わせて、広い執務空間を有する超高層事務所ビル構築技術を確立し、(仮称)新TODAビルに適用します。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度のコンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて12棟の実績があります。また、充填コンクリート強度150N/mm2のCFT柱を(仮称)新TODAビルに適用します。 (5)免震・制振技術地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブダンパー」を開発しました(2021年4月1日大臣認定取得)。また、電源を用いず減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」や、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全対策、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策についても研究開発を進めております。精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に適用しております。 (6)BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件29棟、社外物件65棟に適用しております。 (7)天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し、技術審査証明(ベターリビング2013年3月取得、2018年3月更新)を取得しました。また、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、2017年12月に日本建築センターの評定を取得し、現在2物件での採用実績があります。 (8)基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2021年3月時点で共研他社も含めて470件を超える実績があります。山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し、ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件で適用しております。 (9)建築仕上げ材料関連技術高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化しております。また、臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開しております。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。 (10)建築生産システム関連技術地上の施工技術では、BIMデータを活用した鉄骨柱自動計測・調整システムの新規開発、仮ボルト不要接合工法の改良を行い、社内展開を進めております。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボと工事用エレベータが連動する垂直・水平自動搬送システムを開発し、超高層オフィスビル作業所の仕上げ材搬送作業に適用しました。今後は搬送効率を向上させるべく、改良を進めていきます。また、BIMや衛星測位を利用したタワークレーン3次元自動誘導システムの開発・現場検証を進めており、吊荷旋回制御装置については、小型化・大型化・バランサーの追加開発など、適用範囲の拡大を進めております。 地下の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「しずかちゃん」(凍結杭頭処理工法)を全支店展開しており、2021年3月時点で408本の実績があります。また、周辺への振動が問題となるコンクリート構造物を解体するための技術として、水素系混合ガスと特殊な金属粉を使用することで、無振動でガス切断することができる「マスカット工法」、及び鉄筋コンクリート構造物の鉄筋を直流電源で通電加熱し、鉄筋の熱膨張と発熱を利用して鉄筋周辺のコンクリートを脆弱にする「マスホット工法」の開発を進めており、2物件に適用しました。 (11)ICT生産管理関連技術ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、様々なシステム開発に着手しました。AR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、無線メッシュネットワークのシステム検証と、建設中の建築・土木工事で新しいネットワーク環境の研究を進めております。 また、建設現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」を㈱村田製作所と共同で開発し、展開を図っております。 (12)音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用しております。防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも適用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。また、敷地境界における騒音予測システムを開発し社内展開を図るとともに、音に関する様々な事象を高精度に体験できるよう、技術研究所内の音場シミュレーターを拡張・更新しております。 (13)シールド関連技術シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。 (14)山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場適用に積極的に取り組んでおります。覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取り組んでおります。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場適用を推進しております。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場適用に取り組んでおります。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、自動吹付けシステム、鋼製支保工切羽無人化施工システム、覆工セントルセット及び打設管理の自動化、防水シート台車及び覆工セントルの自動レールシステム、コンピュータジャンボの穿孔データとAI技術を活用した地山評価及び発破設計のシステム開発に取り組んでおります。 (15)コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場適用を行っているなか、2020年度にはBSL-4(バイオセーフティレベル4)を要求する高気密性実験施設の実験室躯体への適用も行いました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国に適用を開始しております。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法や小径のコア内で強度を推定する「孔内局部載荷試験」を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (16)インフラ再生技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取り組んでいきます。 (17)基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」(鉄道工事に採用)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤改良技術「ハイブラストジェット工法」、環境負荷の低減を可能とした地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指しております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。 (18)医療施設関連技術病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用頂いております。さらに、新型コロナウイルス感染症による感染拡大対策として、医療施設において、簡易にゾーニング(区画)変更を実現する「感染対策ユニット」を開発・実用化するとともに、ウイルス対策としての空気清浄機の性能評価にも取り組んでおります。 (新領域)(1)再生可能エネルギー関連技術鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、2015年度に予定通り実証事業を終了しました。2016年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。 (2)農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。また、筑波技術研究所内に人工光栽培実験室を増設し、各種環境条件が植物の生育に与える影響等に関する技術開発を開始しました。 (3)連結子会社における主な研究開発オフショアウィンドファームコンストラクション㈱において、環境省の「低炭素型浮体式洋上風力発電低コスト化・普及促進事業」の補助を受けて浜出船を建造し、2018年3月に完成しました。2020年度は補助事業を継続し、浜出船等を活用した実証施工を行い、浮体式洋上風力発電施設における建設費の低コスト化及び施工の低炭素化を検証しました。 (投資開発及び国内グループ会社) 研究開発活動は特段行われておりません。
FY2020|6,958 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は2,180百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。 (国内建築及び国内土木)(1)建築環境関連技術当社は「エコ・ファースト企業」として環境大臣と当社が施工中に排出するCO2総量を2030年に1990年比70%削減、2050年には80%削減することなどを約束しております。2019年度の作業所におけるCO2排出量は75,041t-CO2(基準年比61%減)、CO2排出量原単位は14.78t-CO2/億円(基準年比48.2%減)となりました。建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用しております。こうした活動は外部からも評価されており、全世界の企業の環境活動を評価するCDPイニシアチブからは、最高評価である「気候変動A List」に2018年、2019年と連続して選ばれました。また、2019年1月には、事業運営における電力を100%再生可能電力で調達する取り組みである、RE100にも加盟し、気候変動対策への取り組みをさらに強化しました。同年5月には、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、気候変動関連のリスクと機会について積極的に開示しています。ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の実現に向けて、環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」において、建物外装の断熱手法、自然換気や昼光などの自然エネルギー利用、潜顕分離空調など省エネに寄与できる設備システム、また快適性など環境の品質を向上に資する技術要素について技術開発に取り組んでおります。さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。 (2)生物多様性関連技術植生や生物の地域特性を考慮し、緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」、食品工場などの防 虫対策に関するノウハウまとめた「防虫学校」を開発し、社内展開を図っております。また、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されている研究所敷地には、新たに地域性在来植物のみで構 成されたビオトープ「つくば再生の里」を整備し、希少種・自生種などの保護・保全手法の研究に取り組んでおります。 (3)放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトに関する技術の開発、地下深部での地震動測定と耐震性評価、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査などを実施しました。 (4)超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ57棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度の超コンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて11棟の実績があります。 (5)免震・制振技術地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブ免振技術」、電源を用いないで減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」を開発しております。また、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全性や、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策についても研究開発を進めております。精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に適用しております。 (6)BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件23棟、社外物件57棟に適用しております。 (7)天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し、技術審査証明を取得しました。また、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、2017年12月に日本建築センターの技術審査証明を取得し、現在2物件での採用が決まっております。 (8)基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2020年3月時点で共研他社も含めて370件を超える実績があります。山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し,ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件での採用が決まっております。 (9)建築仕上げ材料関連技術高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化しております。また、臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開しております。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。 (10)建築生産システム関連技術地上の施工技術では、施工BIMデータを活用した鉄骨自動計測システムの開発、すでに開発した自動計測、建入 制御システム、仮ボルト不要接合工法の改良を行い、全支店に展開・活用を予定しております。ロボット技術で は、SLAM技術を用いた自律搬送ロボを開発し、現場に導入します。今後、エレベータと連動した水平垂直自動搬送システムの完成を目指します。BIMや衛星測位を利用した3次元タワークレーン自動誘導システムの開発、吊荷旋回制御装置の大型化を今後予定しております。 地下の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「凍結杭頭処理工法」を全支店展開し、公共工事における総合評価落札方式の技術提案に評価され、技術点の高得点を得て、落札(受注)に寄与しております。2020年3月時点で408本の実績があります。また、解体が困難なマスコンクリート構造物を効率よく解体する工法の開発に着手しました。 (11)ICT生産管理関連技術ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、人工知能を活用した様々なシステム開発に着手しました。また、AR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、無線メッシュネットワークのシステム検証と、建設中の建築・土木工事で新しいネットワーク環境の研究を進めております。 また、建築現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」を㈱村田製作所と共同で開発し、展開を図っています。 (12)音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用しております。防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも適用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。また、敷地境界における騒音予測システムを開発し社内展開を図るとともに、音に関する様々な事象を高精度に体験できるよう、技術研究所内の音場シミュレーターを拡張・更新しております。 (13)シールド関連技術シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。 (14)山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場適用に積極的に取り組んでおります。覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取り組んでいます。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場適用を推進しています。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場適用に取り組んでいます。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、自動吹付けシステム、覆工打設管理システム、防水シート台車及び覆工セントルの自動レール設置システム、コンピュータジャンボの穿孔データを活用した地山評価技術や発破設計技術などの開発に取り組んでいます。 (15)コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場適用を行いました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国に適用を開始しています。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法や小径のコア内で強度を推定する「孔内局部載荷試験」を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (16)インフラ再生技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取り組んでいきます。 (17)基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」(鉄道工事に採用)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指しております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。 (18)医療施設関連技術病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発しております。その他、手術室、病室のレイアウト検討のためにバーチャルリアリティ(VR)技術を使った「病院VRシステム」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用頂いております。 (新領域)(1)再生可能エネルギー関連技術鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、2015年度に予定通り実証事業を終了しました。2016年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。 (2)農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。 (3)連結子会社における研究開発の主なものオフショアウィンドファームコンストラクション㈱において、環境省の「低炭素型浮体式洋上風力発電低コスト化・普及促進事業」の補助を受けて浜出船を建造し、2018年3月に完成しました。2020年度は補助事業を継続し、浜出船等を活用した実証施工を行い、浮体式洋上風力発電施設における建設費の低コスト化及び施工の低炭素化を検証します。 (投資開発、国内グループ会社及び海外) 研究開発活動は特段行われておりません。
FY2019|6,989 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,679百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。 (国内建築及び国内土木)(1)建築環境関連技術当社は「エコ・ファースト企業」として環境大臣と当社が施工中に排出するCO2総量を2030年に1990年比70%削減、2050年には80%削減することなどを約束しております。2018年度の作業所におけるCO2排出量は72,703t-CO2(基準年比62.3%減)、CO2排出量原単位は14.2t-CO2/億円(基準年比50.2%減)となりました。 建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用しております。 こうした活動は外部からも評価されており、全世界の企業の環境活動を評価するCDPイニシアチブからは、最高評価である「気候変動A List」に選ばれました。また、2019年1月には、事業運営における電力を100%再生可能電力で調達する取り組みである、RE100にも加盟し、気候変動対策への取り組みをさらに強化しました。 さらに、この削減目標設定の取り組みが国際的イニシアチブであるSBTi(Science Based Targets Initiative)から、科学的根拠に基づくものであることが認められました。この認定は、日本の建設業界では初めてのことであります。 ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の実現に向けて、環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」において、建物外装の断熱手法、自然換気や昼光などの自然エネルギー利用、潜顕分離空調など省エネに寄与できる設備システム、また快適性など環境の品質を向上に資する技術要素について技術開発に取り組んでいます。また、結露に関する設計・施工ノウハウをまとめた「結露防止対策Navi」を開発し、社内展開を図っています。 さらに、技術研究所においては、太陽光パネルや燃料電池からの供給電力を直流のまま供給し、省エネルギー等を図る「直流給電システム」や、省エネを図りながら満足感を向上させることを目的に、居住者の暑い・寒いなどの温冷感に応じて制御を行う「申告型空調システム」を開発・試験導入し、さらなる研究開発に取り組んでおります。 (2)生物多様性関連技術植生や生物の地域特性を考慮し、緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」、食品工場などの防虫対策に関するノウハウまとめた「防虫学校」を開発し、社内展開を図っております。また、研究所敷地は、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されており、研究所内における施設整備に合わせて、希少種を中心とした移植等による保護・保全手法の研究に取り組んでおります。 (3)放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトに関する技術の開発、地下深部での地震動測定と耐震性評価、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査などを実施しました。 (4)超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ57棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、高強度のコンクリートを充填した鋼管に鉄筋を内蔵したSuper CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて11棟の実績があります。 (5)免震・制振技術精密生産施設の微振動対策技術では、弾性すべり支承と剛すべり支承を用いた微振動対応型の免震工法に加え、新たに高層住宅の風対策や生産施設の微振動対策用にオイルダンパー付き弾性すべり支承を開発し、2016年2月に生産施設に適用しております。また、より高性能な免震システムとして、地震の揺れに応じて減衰係数を切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブ免振技術」、電源を用いないで減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」を開発しております。 (6)BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、BCM対策の核となるソリューション技術として建物の損傷を迅速かつ適格に評価可能な「ユレかんち」を展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を実装したローコストなシステムであり、事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件20棟、社外物件48棟に適用しております。 (7)天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し、技術審査証明を取得しました。また、特に重要な施設のBCP対策として「制震天井システム」や特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発しました。ペアロッククリップは2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、2017年12月に日本建築センターの技術審査証明を取得しました。 (8)基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時および地震時の支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2019年4月時点で共研他社も含めて350件を超える実績があります。杭基礎の安全性向上および施工性向上のため,鋼管コンクリート杭の杭頭接合部に角型の鋼板プレートを設置して構造性能および配筋の納まりを向上させた「鋼板補強型杭頭接合工法(TO-SPCap工法)」を開発し,日本建築総合試験所の技術性能証明を取得しました。現在施工中を含めて6物件に採用しています。 (9)建築仕上げ材料関連技術高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化しております。また、臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開しております。また、木質材料の利用拡大を目指し、耐久性評価などの研究開発を進めております。 (10)建築生産システム関連技術地上の施工技術では、施工BIMデータを活用した鉄骨自動計測システムの開発、すでに開発した自動計測、建入制御システム、仮ボルト不要接合工法の改良を行い、全支店に展開・活用を予定しております。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボを開発し、現場に導入します。今後、エレベータと連動した水平垂直自動搬送システムの完成を目指します。BIMや衛星測位を利用した3次元タワークレーン自動誘導システムの開発、吊荷旋回制御装置の大型化を今後予定しております。 地下の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「凍結杭頭処理工法」を全支店展開し、公共工事における総合評価落札方式の技術提案に評価され、技術点の高得点を得て、落札(受注)に寄与しております。2019年3月時点で318本の実績があります。また、解体が困難なマスコンクリート構造物を効率よく解体する工法の開発に着手しました。 (11)ICT生産管理関連技術ICTおよびIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、人工知能を活用した様々なシステム開発に着手しました。また、AR・MR等の画像処理技術を活用をしたコンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、無線メッシュネットワークのシステム検証と、建設中の建築・土木工事で新しいネットワーク環境の研究を進めております。 また、作業者の安全対策として、ヘルメットに設けた生体センサからの信号をもとに熱ストレスの予測などを行う安全管理システムを開発し、現場への導入を進めております。 (12)音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用しております。 防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも適用しました。また、トンネル工事中の発破音の低減対策にも取り組んでおります。 集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞2018を受賞しました。 さらに、近隣への設備騒音などの対策として、敷地境界における騒音予測システムを開発し、社内展開を図っております。 (13)シールド関連技術狭隘な都市域においてシールド発進立坑用地の確保を容易にした「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持ちます。下水道管きょの劣化防止を目的とした「シールドトンネル内面被覆工法」は、民間6社で共同研究を実施し、(公財)日本下水道新技術機構の技術審査証明を取得済みであります。また、シールド工法の分野では工事で発生する自然由来の重金属汚染土を浄化するシステム、地盤変状の抑制やシールド掘進の効率化など目的に応じた種々の裏込め注入システムの開発や、シールドの発進到達の効率化を図った仮壁直接切削技術の実用化を図るとともに、シールドのAI化を視野に入れたシールドの自動掘進システムの開発に取り組んでいます。さらに、推進工法の分野では、φ3500mm以上の長大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。 (14)山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工技術の開発・現場適用に部門横断組織で積極的に取り組んでおります。覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドを低減できる「Me吹付けコンクリート」、削孔水による地山の脆弱化を防止する「フォアプレート工法」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取り組んでいます。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場適用を推進しています。環境負荷低減技術については、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発に取り組んでいます。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、自動吹付けシステムの開発や覆工打設管理システム、コンピュータジャンボの穿孔データを活用した地山評価技術や発破設計技術の開発に取り組んでいます。 (15)コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るフィットクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、現場適用を行いました。また、現場でコンクリート工事の生産性向上を図る新しい高機能性流動化剤を開発し、すでに7件の適用事例があります。 品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、(一社)日本非破壊検査協会の微破壊試験の規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。 既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法や小径のコア内で強度を推定する「孔内局部載荷試験」を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (16)インフラ再生技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取り組んでいきます。 (17)基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」(鉄道工事に採用)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。老朽インフラ更新技術、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」(エンジニアリング功労賞受賞)、地盤強化・液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指しております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。 (18)医療施設関連技術病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発しております。その他、手術室、病室のレイアウト検討のためにバーチャルリアリティ(VR)技術を使った「病院VRシステム」の開発や、洗面台やコンソールなど病室内設備のユニット化にも取り組んでおります。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を開発し、埼玉県立がんセンターをはじめ、複数の病院等に導入しております。 (新領域)(1)再生可能エネルギー関連技術鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、2013年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、2015年度に予定通り実証事業を終了しました。2016年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。 (2)農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。 (3)連結子会社における研究開発の主なものオフショアウィンドファームコンストラクション㈱において、環境省の「低炭素型浮体式洋上風力発電低コスト化・普及促進事業」の補助を受けて浜出船を建造し、2018年3月に完成しました。2019年度は浜出船等を活用して実証施工を行い、浮体式洋上風力発電施設の建設費の低コスト化及び施工の低炭素化を検証します。 (投資開発、国内グループ会社及び海外) 研究開発活動は特段行われておりません。
FY2018|6,595 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,421百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。 (国内建築及び国内土木)(1)建築環境関連技術建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用しております。この活動の展開により平成29年度の作業所におけるCO2排出量は71,402t-CO2(基準年比62.9%減)、CO2排出量原単位は16.7t-CO2/億円(基準年比41.4%減)となりました。平成29年10月には環境省が進める「エコ・ファースト制度」において、新たなエコ・ファーストの約束を環境大臣に提出し再認定を受けました。再認定では、当社が施工中に排出するCO2総量を2030年に1990年比70%削減、2050年には80%削減することなどを約束しております。2050年という長期に亘る地球環境保全の取り組みを推進しております。さらに、この削減目標設定の取り組みが国際的イニシアチブであるSBTi(Science Based Targets Initiative)から、科学的根拠に基づくものであることが認められました。この認定は、日本の建設業界では初めてのことであります。ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の実現に向けて、環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するために、技術研究所に建設した「環境技術実証棟」において、建物外装の断熱手法、自然換気や昼光などの自然エネルギー利用、潜顕分離空調など省エネに寄与できる設備システム、また快適性など環境の品質を向上に資する技術要素について技術開発に取り組んでおります。さらに、技術研究所においては、太陽光パネルや燃料電池からの供給電力を直流のまま供給し、省エネルギー等を図る「直流給電システム」や、省エネを図りながら満足感の向上させることを目的に、居住者の暑い・寒いなどの温冷感に応じて制御を行う「申告型空調システム」を開発・試験導入し、さらなる研究開発に取り組んでおります。 (2)生物多様性関連技術植生や生物の地域特性を考慮し、緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」、食品工場などの防虫対策に関するノウハウまとめた「防虫学校」を開発し、社内展開を図っております。また、研究所敷地は、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されており、研究所内における施設整備に合わせて、希少種を中心とした移植等による保護・保全手法の研究に取り組んでおります。 (3)放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトに関する技術の開発、地下深部での地震動測定と耐震性評価、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査などを実施しました。 (4)超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ57棟に適用しております。平成28年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、高強度のコンクリートを充填した鋼管に鉄筋を内蔵したSuper CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて11棟の実績があります。国土交通省の住宅・建築物技術高度化事業に参画し、構造設計・施工技術の向上を図っております。 (5)免震・制振技術精密生産施設の微振動対策技術では、弾性すべり支承と剛すべり支承を用いた微振動対応型の免震工法に加え、新たに高層住宅の風対策や生産施設の微振動対策用にオイルダンパー付き弾性すべり支承を開発し、平成28年2月に生産施設に適用しております。また、地震の揺れに応じて減衰係数を切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブ免振技術」、電源を用いないで減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」を開発しております。 (6)BCP関連技術東日本大震災の教訓を受け、BCM対策の核となるソリューション技術として建物の損傷を迅速かつ適格に評価可能な「ユレかんち」を展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を実装したローコストなシステムであり、事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件17棟、社外物件21棟に適用しております。 (7)天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し、技術審査証明を取得しました。また、特に重要な施設のBCM対策として「制震天井システム」や特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発しました。ペアロッククリップは平成28年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、平成29年12月に日本建築センターの技術審査証明を取得しました。 (8)基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、常時および地震時の支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。平成30年1月時点で共研他社も含めて250件を超える実績があります。杭基礎の安全性向上および施工性向上のため,鋼管コンクリート杭の杭頭接合部に角型の鋼板プレートを設置して構造性能および配筋の納まりを向上させた「鋼板補強型杭頭接合工法(TO-SPCap工法)」を開発し,日本建築総合試験所の技術性能証明を取得しました。現在3物件での採用が決まっております。 (9)建築仕上げ材料関連技術高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化しております。また、臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開しております。また、木質材料の利用拡大を目指し、耐久性評価などの研究開発を進めております。 (10)建築生産システム関連技術地上の施工技術では、施工BIMデータを活用した鉄骨自動計測システムの開発、すでに開発した自動計測、建入制御システム、仮ボルト不要接合工法を全支店に展開・活用を予定しております。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボを開発し、現場に導入します。今後垂直エレベータと連動した水平垂直自動搬送システムの完成を目指します。衛星測位を利用したタワークレーン自動誘導システムの機能向上と吊荷旋回制御装置の重量軽減を今期予定しております。また、鉄骨工事の完全自動化を目指し、鉄骨接合工法を既往の接合方法に囚われない新接合工法の研究に着手しました。地下の施工技術では、水の凍結膨張圧を利用し、現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「凍結杭頭処理工法」の全支店展開、公共工事における総合評価落札方式の技術提案に評価され、技術点の高得点を得て、落札(受注)に寄与しております。また、解体工事ではコンクリート構造物の切断に適用する新切断技術に着手しました。 (11)ICT生産管理関連技術ICT技術では、ICTおよびIoTを使い、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、人工知能を活用した様々なシステム開発に着手しました。また、VR・AR・MRや画像処理技術を活用をした、コンテンツやシステムの開発を行っております。場内通信については、メッシュネットワークのシステム検証と、建設中の建築・土木工事で新しいネットワーク環境の研究を進めております。 (12)音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用しております。防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも適用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。また、トンネル工事中の発破音の低減対策にも取り組んでおります。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発しました。さらに、近隣への設備騒音などの対策として、敷地境界における騒音予測システムを開発し社内展開を図っております。 (13)シールド関連技術狭隘な都市域においてシールド発進立坑用地の確保を容易にした「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持ちます。下水道管きょの劣化防止を目的とした「シールドトンネル内面被覆工法」は、民間6社で共同研究を実施し、(公財)日本下水道新技術機構の技術審査証明を取得済みであります。さらに、シールド工法の分野では工事で発生する自然由来の重金属汚染土を浄化するシステムや高性能裏込め材注入システムの開発をするとともに、推進工法の分野では推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでおります。国内で9件しかないφ3500mm以上の超大口径管推進工事においては、そのうち2件を当社が施工しております。 (14)山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減技術、自動化・高速施工技術の開発に部門横断組織で積極的に取り組んでおります。覆工品質の向上については、補強材や養生等によるひび割れ低減技術の開発、覆工コンクリート充填・締固めセンサの開発、支保技術の改良については、増粘剤を添加してリバウンドを抑制した吹付けコンクリートの開発、補助工法技術の改良については、土砂地山に適用可能なフォアプレート工法(鉄矢木打設装置)の開発、防水シート損傷の要因となるロックボルト頭部をなくした突起レスロックボルトの開発を行っております。調査計測については、切羽前方の地山を可視化するDRiスコープの開発、地山の3次元の変形に時間を考慮して変形予測を行う4DスーパーNATMの開発、環境負荷低減技術については、坑内環境自動制御システムの開発、発破低周波音低減技術の開発、および粉じん低減のためのミスト工法の開発に取り組んでおります。また、開発済みの拡底ロックボルトやNT-Support(脚部補強工)、TDEM探査法は現場適用に展開しております。さらに、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術として、自動吹付けシステムの開発や、マシン本体の拘束リスクを低減できる縮径TBMの開発に取り組んでおります。 (15)コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場適用を行っております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、現場適用を行いました。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、(一社)日本非破壊検査協会の微破壊試験の規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法や小径のコア内で強度を推定する「孔内局部載荷試験」を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。 (16)リニューアル技術既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。 (17)基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」(鉄道工事に採用)、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開しております。老朽インフラ更新技術、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指しております。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでおります。 (18)医療施設関連技術病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発しております。その他、手術室、病室のレイアウト検討のためにバーチャルリアリティ(VR)技術を使った「病院VRシステム」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を開発し、埼玉県立がんセンターをはじめ、複数の病院等に導入しております。 (その他)(1)再生可能エネルギー関連技術鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、平成25年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、平成27年度に予定通り実証事業を終了しました。平成28年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映しております。また、コスト削減のための量産化や施工合理化、係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続しております。 (2)農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。 (3)連結子会社における研究開発の主なものオフショアウィンドファームコンストラクション(同)において、環境省の「低炭素型浮体式洋上風力発電低コスト化・普及促進事業」の補助を受けて浜出船を建造し、平成30年3月に完成しました。平成30年度は浜出船等を活用して実証施工を行い、浮体式洋上風力発電施設の建設費の低コスト化及び施工の低炭素化を検証します。 (投資開発及び国内グループ会社)研究開発活動は特段行われておりません。
FY2017|6,009 文字
6 【研究開発活動】当社は、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っている。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげている。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っている。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,135百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりである。 (建築事業及び土木事業)(1)建築環境関連技術建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用している。2014年にTO-MINICAをWeb版へと改良を行った。この活動の展開により、2016年度の作業所におけるCO2排出量は68,719t-CO2(基準年比64.27%減)、 CO2排出量原単位は17.52t-CO2/億円(基準年比38.6%減)となった。2020年に1990年比CO2排出量、CO2排出量原単位共に40%削減する目標を掲げて活動中である。このような環境への取り組みを評価され、当社は環境評価を行う国際的な非営利団体CDP(本部:ロンドン)から、最高のランクである「The Climate A List 2016」企業として認定された。A Listに選ばれた企業は全世界で193社、日本では22社のみであり、当社が実施している環境への取り組みが、高く評価された証である。ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の実現に向けて、自然換気や昼光をはじめとする再生可能エネルギー利用や、潜顕分離空調など省エネに寄与できる設備の研究開発を進めている。技術研究所の「室内環境比較実験室」等を活用し、省エネルギーを図りながら快適性など環境の品質を向上に資する技術開発に取り組んでいる。室内環境に関する技術として、知的生産性や健康性を向上する「スマート・オフィス・ライティングシステム」を開発し、複数の実建物に採用された。また、国土技術政策総合研究所からの受託研究などにより、室内環境が健康や生産性など人に与える影響についての研究・開発を進めている。省エネルギー関連技術として、太陽電池による発電電力を直流のまま蓄電・供給し、省エネルギーやピークシフトの他、BCPにも対応できる「直流給電システム」を技術研究所に試験導入しているが、さらに燃料電池を追加導入し検証を行っている。また、環境配慮建築に対する各種要素技術を総合的に実験・検証するため環境技術実証棟を建設した。 (2) 再生可能エネルギー関連技術鋼とコンクリートを複合利用した浮体式洋上プラットフォームの技術を共同開発し、風力発電に応用、環境省による「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」を受託し、平成25年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、平成27年度に予定通り実証事業を終了した。平成28年度には日本初の実用化を実現し、発電事業として運転データを収集し、制御、設計技術に反映している。また、日本初の浮体式商用ウィンドファーム実現のため、コスト削減のための量産化や係留、調査、O&Mなど、普及拡大に向けた技術開発を継続している。 (3)生物多様性関連技術その地域における生物や植生の特性を踏まえて緑化設計の妥当性を評価できる「生物多様性評価システム」を開発し、活用している。また、研究所敷地は、関東・水と緑のネットワーク拠点百選にも選出されており、研究所内における施設整備に合わせて、希少種を中心とした移植等による保護・保全手法の研究に取り組んでいる。 (4)農業関連技術茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、主に施設園芸農業および園芸ハウス建設に関する技術開発への取り組みを開始した。 (5)放射性廃棄物処分の関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトに関する技術の開発、地下深部での地震動測定と耐震性評価、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査などを実施した。 (6)超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ57棟に適用している。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用した。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、高強度のコンクリートを充填した鋼管に鉄筋を内蔵したSuper CFT造を開発し、構造評定を取得した。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて10棟の実績がある。国土交通省の建築基準整備促進事業および総合技術開発プロジェクト等の共同研究にも参画し、構造設計・施工技術の向上を図っている。 (7)免震・制振・BCP関連技術精密生産施設の微振動対策技術では、弾性すべり支承と剛すべり支承を用いた微振動対応型の免震工法に加え、新たに高層住宅の風対策や生産施設の微振動対策用にオイルダンパー付き弾性すべり支承を開発し、2016年2月に生産施設に適用している。また、地震の揺れに応じて減衰係数を切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブ免振技術」、電源を用いないで減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」を開発している。さらに、東日本大震災の教訓を受け、BCM対策の核となるソリューション技術として建物の損傷を迅速かつ適格に評価可能な「ユレかんち」を展開している。「ユレかんち」はIoT技術を実装したローコストなシステムであり、事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしている。 (8) 天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し、技術審査証明を取得した。また、特に重要な施設のBCM対策として「制震天井システム」や特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発した。ペアロッククリップは2016年9月より戸田建設の施工現場で標準的に採用されている。さらに、特定天井内に多数設置される斜め材を集約して鉄骨フレームに置換できる「高耐震天井工法」を開発している。 (9) 基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、杭中間部に拡径部を設けることにより、常時および地震時の支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めている。杭基礎の安全性向上および施工性向上のため,鋼管コンクリート杭の杭頭接合部に角型の鋼板プレートを設置して構造性能および配筋の納まりを向上させた「鋼板補強型杭頭接合工法(TO-SPCap工法)」を開発し,日本建築総合試験所の技術性能証明を取得した。 (10) 建築仕上げ材料関連技術高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化している。また、臭気対策としてゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開している。また、木質材料の利用拡大を目指し、耐久性評価などの研究開発を進めている。 (11) 建築生産システム関連技術杭工事においては、施工精度をリアルタイムで管理する「杭芯位置誘導管理システム」、「ケーシング鉛直精度管理システム」を開発・活用している。水の凍結膨張圧を利用し、現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「凍結杭頭処理工法」を開発し、実物件に適用している。鉄骨工事においては、情報化施工技術の一つとして複数の鉄骨柱の位置計測と建入れ調整を自動で行う「鉄骨柱の自動計測・建入れ調整システム」を開発し、多数の現場で活用している。工事振動対策として、おもり(重量物)を地表面に置くことにより,工事振動の伝搬を抑制することができる「GMD工法(Ground Mass Damper)」を開発し、実物件に適用している。リニューアル・耐震補強工事においては、居付きの耐震補強を可能にする「鋼管コッター工法」を用いた耐震補強工法のメニューを拡充し、多くの実績を積んでいる。 (12)ICT生産管理関連技術情報化技術に関しては、「ICタグを利用した入退場管理システム」、「作業所内物流管理システム」のほか、品質向上のためのタブレット端末やウェアラブル端末の適用や、「加速度センサーを用いたコンクリート打重ね時間管理ツール」や「CFT打設管理システム」を展開し、作業所における施工管理業務の効率化を図っている。 (13)音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用している。防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも適用し、日本音響学会技術開発賞を受賞した。また、トンネル工事中の発破音の低減対策にも取り組んでいる。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対しては、特殊防振支持脚を採用することにより重量床衝撃音レベル遮断性能を従来の乾式二重床より1ランク向上させ、床面の振動も小さく抑えることができる乾式二重床「プレフロアー Quiet+(クワイエットプラス)」を開発した。また、天井内に敷設するだけで重量床衝撃音を低減できる粒状制振材を開発中である。さらに、近隣への設備騒音などの対策として、敷地境界における騒音予測システムを開発し社内展開を図っている。 (14)シールド関連技術狭隘な都市域においてシールド発進立坑用地の確保を容易にした「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持つ。下水道管渠の劣化防止を目的とした「シールドトンネル内面被覆工法」は、民間6社で共同研究を実施し、(公財)日本下水道新技術機構の技術審査証明を取得済みである。さらに、シールド工法の分野では工事で発生する自然由来の重金属汚染土を浄化するシステムや高性能裏込め材注入システムの開発をするとともに、推進工法の分野では推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでいる。国内で8件しかないφ3500mm以上の超大口径管推進工事においては、そのうち2件を当社が施工している。 (15)山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減技術の開発に部門横断組織で積極的に取り組んでいる。覆工品質の向上については、補強材や養生等によるひび割れ低減技術の開発、支保技術の改良については、増粘剤を添加してリバウンドを抑制した吹付けコンクリートの開発、補助工法技術の改良については、土砂地山に適用可能なフォアプレート工法(鉄矢木打設装置)の開発、防水シート損傷の要因となるロックボルト頭部をなくした突起レスロックボルトの開発を行っている。また、調査計測については、切羽前方の地山を可視化するDRiスコープの開発、地山の3次元の変形に時間を考慮して変形予測を行う4DスーパーNATMの開発、環境負荷低減技術については、坑内環境自動制御システムの開発に取り組んでいる。また、開発済みの拡底ロックボルトやNT-Support(脚部補強工)、TDEM探査法は現場適用に展開している。 (16)コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)を開発している。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築した。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、(一社)日本非破壊検査協会の微破壊試験の規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されている。劣化したコンクリートの点検技術として、小径のコア内で強度を推定する「孔内局部載荷試験」を開発し、実際の点検業務に展開している。 (17)リニューアル技術既設トンネル等の補修補強工法として「BFP修繕工法」を開発した。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開している。 (18)基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施している。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開している。老朽インフラ更新技術、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指している。また、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでいる。 (19)医療施設関連技術病院内の臭気対策として「ゼオライト消臭建材」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発している。その他、手術室、病室のレイアウト検討のためにバーチャルリアリティ(VR)技術を使った「病院VRシステム」を開発している。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を開発し、埼玉県立がんセンターをはじめ、複数の病院等に導入している。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われていない。 (不動産事業及びその他の事業)研究開発活動は特段行われていない。
FY2016|5,743 文字
6 【研究開発活動】当社は、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発センターを中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っている。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果をあげている。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っている。当連結会計年度における研究開発費の総額は1,049百万円であり、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりである。 (建築事業及び土木事業)(1)建築環境関連技術建設工事施工中に発生するCO2排出量を削減する活動を「低炭素施工システム(TO-MINICA)」と称し、全国の作業所で活用している。2014年にTO-MINICAをWeb版へと改良を行った。この活動の展開により、2014年度の作業所におけるCO2排出量は76,709t-CO2(基準年比60.1%減)、 CO2排出量原単位は20.3t-CO2/億円(基準年比28.9%減)となった。2020年に1990年比CO2排出量、CO2排出量原単位共に40%削減する目標を掲げて活動中である。ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)の実現に向けて、自然換気や昼光をはじめとする再生可能エネルギー利用や、潜顕分離空調など省エネに寄与できる設備の研究開発を進めている。技術研究所の「室内環境比較実験室」を活用し、タスク&アンビエント空調・照明システムを開発している。さらにここで知的生産性や睡眠に関する実験を行い、オフィス向け、病院向けの照明システムの開発を行っている。室内環境および精密環境技術に関連する技術では、天井の仕上げをなくした、従来よりもローコストな工業系クリーンルームである「スケルトンクリーンシステム」を開発している。建物内の電力供給に関しては、太陽電池による発電電力を直流のまま蓄電・供給し、省エネルギーやピークシフトの他、BCPにも対応できる「直流給電システム」を技術研究所に試験導入しているが、さらに燃料電池を追加導入した。 (2) 再生可能エネルギー関連技術豊富な海洋エネルギーを有効活用する浮体式洋上風力発電施設の構築技術を開発し、環境省からの委託業務として「浮体式洋上風力発電実証事業委託業務」に取り組んでいる。平成25年度には実証機(2MW)の実海域設置を成功させ、平成27年度に予定通り実証事業を終了した。平成28年度からは日本初の実用化を実現し、普及拡大に向け取り組みを継続している。 (3)生物多様性関連技術緑化設計時にその地域の生物、植生に合わせて評価できる「生物多様性評価システム」を開発し、活用している。また、研究所敷地内で生物多様性に配慮した草地管理手法について研究・応用し、第7回関東・水と緑のネットワーク拠点百選として選定された。 (4)土壌汚染・濁水処理・アスベスト対策技術揮発性有機化合物による土壌・地下水汚染を、微生物を活用して原位置で浄化する「デクロパワー工法」を開発し、実際の汚染現場に適用している。 (5)放射性物質の対策関連技術放射性廃棄物処分関連技術としては、ベントナイトに関する技術の開発、地下深部での地震動測定と耐震性評価、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査などを実施した。 (6)超高層建物構工法関連技術超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ50棟に適用している。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用した。コンクリート充填鋼管(CFT)造では、高強度のコンクリートを充填した鋼管に鉄筋を内蔵したSuper CFT造を開発し、構造評定を取得した。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて10棟の実績がある。国土交通省の建築基準整備促進事業および総合技術開発プロジェクト等の共同研究にも参画し、構造設計・施工技術の向上を図っている。 (7)免震・制振・BCP関連技術精密生産施設の微振動対策技術では、弾性すべり支承と剛すべり支承を用いた微振動対応型の免震工法に加え、新たに高層住宅の風対策や生産施設の微振動対策用にオイルダンパー付き弾性すべり支承を開発し、2016年2月に生産施設に適用している。また、地震の揺れに応じて減衰係数を切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブ免振技術」を開発している。さらに、東日本大震災の教訓を受け、BCM対策の核となるソリューション技術として建物の損傷を迅速かつ適格に評価可能な「ユレかんち」を展開している。「ユレかんち」はIoT技術を実装したローコストなシステムであり、事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしている。 (8) 天井脱落対策技術在来工法天井の落下・脱落防止対策として「天井耐震クリップ工法」を開発し技術審査証明を取得した。また、特に重要な施設のBCM対策として、「制震天井システム」を開発した。さらに、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発した。 (9) 基礎・地盤関連技術場所打ちコンクリート杭について、杭中間部に拡径部を設けることにより、常時および地震時の支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化をはかるための「Me-A工法」を開発し、(一財)ベターリビングの技術評定を取得した。杭基礎の安全性向上および施工性向上のため,鋼管コンクリート杭の杭頭接合部に角型の鋼板プレートを設置して構造性能および配筋の納まりを向上させた「鋼板補強型杭頭接合工法(TO-SPCap工法)」を開発している。 (10) 建築仕上げ材料関連技術高耐久性床、抗菌・防かび床、帯電防止床を開発し、実用化している。また、臭気対策としてゼオライト消臭塗料(オドキャッチャー)、抗菌対策として光触媒技術を利用した抗菌コーティング材を開発し、病院等に展開している。 (11) 建築生産システム関連技術杭工事においては、施工精度をリアルタイムで管理する「杭芯位置誘導管理システム」、「ケーシング鉛直精度管理システム」を開発・活用している。水の凍結膨張圧を利用し、現場造成杭の余盛りコンクリートを低騒音、低振動、無粉塵で杭頭処理を行うことができる「凍結杭頭処理工法」を開発し、実物件に適用している。鉄骨工事においては、情報化施工技術の一つとして複数の鉄骨柱の位置計測と建入れ調整を自動で行う「鉄骨柱の自動計測・建入れ調整システム」を開発し、多数の現場で活用している。工事振動対策として、おもり(重量物)を地表面に置くことにより,工事振動の伝搬を抑制することができる「GMD工法(Ground Mass Damper)」を開発し、実物件に適用している。リニューアル・耐震補強工事においては、居付きの耐震補強を可能にする「鋼管コッター工法」を用いた耐震補強工法のメニューを拡充し、多くの実績を積んでいる。 (12)ICT生産管理関連技術情報化技術に関しては、「ICタグを利用した入退場管理システム」、「作業所内物流管理システム」のほか、品質向上のためのタブレット端末やウェアラブル端末の適用や、「加速度センサーを用いたコンクリート打重ね時間管理ツール」や「CFT打設管理システム」を展開し、作業所における施工管理業務の効率化を図っている。 (13)音響・遮音関連技術ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件に適用している。工事中に問題となる建設機械騒音の低減対策として、逆位相の音を出して打ち消すアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC:Active Noise Control)を用いた戸田式アクティブ騒音制御システム「TANC(タンク)」を開発し、多くの作業所で活用している。また、防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、仮設だけでなく本設にも適用し、日本音響学会技術開発賞を受賞した。集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対しては、特殊防振支持脚を採用することにより重量床衝撃音レベル遮断性能を従来の乾式二重床より1ランク向上させ、床面の振動も小さく抑えることができる乾式二重床「プレフロアー Quiet+(クワイエットプラス)」を開発している。また、天井内に敷設するだけで重量床衝撃音を大幅に低減できる粒状制振材を開発中である。さらに、トンネル発破音の低減対策にも取り組んでいる。 (14)シールド関連技術狭隘な都市域においてシールド発進立坑用地の確保を容易にした「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場適用実績を持つ。下水道管渠の劣化防止を目的とした「シールドトンネル内面被覆工法」は、民間6社で共同研究を実施し、(公財)日本下水道新技術機構の技術審査証明を取得済みである。さらに、シールド工法の分野では工事で発生する自然由来の重金属汚染土を浄化するシステムを開発するとともに、推進工法の分野では推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取り組んでいる。国内で8件しかないφ3500mm以上の超大口径管推進工事においては、そのうち2件を当社が施工している。 (15)山岳トンネル技術増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減技術の開発に部門横断組織で積極的に取り組んでいる。覆工品質の向上については、補強材や養生等によるひび割れ低減技術の開発、支保技術の改良については、増粘剤を添加してリバウンドを抑制した吹付けコンクリートの開発、防水シート損傷の要因となるロックボルト頭部をなくした突起レスロックボルトの開発を行っている。また、調査計測については、切羽前方の地山を可視化するDRiスコープの開発、地山の3次元の変形に時間を考慮して変形予測を行う4DスーパーNATMの開発、環境負荷低減技術については、坑内環境自動制御システムの開発に取り組んでいる。また、開発済みの拡底ロックボルトやNT-Support(脚部補強工)、TDEM探査法は現場適用に展開している。 (16)コンクリート技術設計基準強度200N/mm2 の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)を開発している。品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築した。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、(一社)日本非破壊検査協会の微破壊試験の規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されている。劣化したコンクリートの点検技術として、小径のコア内で強度を推定する「坑内局部載荷試験」を開発し、実際の点検業務に展開している。 (17)リニューアル技術空洞等の充填材として「中性系可塑性充填材」を開発し、現場適用を図っている。本材料は従来のセメント系充填材のように強アルカリ性ではなく、硬化前後の水素イオン濃度を中性域(pH5.8~8.6)に保つものであり、周辺環境への影響を最小限にすることができる。河川内や農業水利施設などの工事に展開している。また、既設トンネル等の補修補強工法として「BFP修繕工法」を開発した。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開している。 (18)基盤整備関連技術わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施している。オーバーパスに対応した立体交差急速施工技術「すいすいMOP工法」(2現場竣工済)、アンダーパスに対応した非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、鉄道連続立体高架の工期短縮を実現するプレキャストアーチ式高架橋「すいすいSWAN工法」、開削地下構造物の急速構築技術「さくさくSLIT工法」を積極的に提案展開している。老朽インフラ更新技術、排泥量削減を目指した地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術の向上を目指すとともに、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取り組んでいる。 (19)医療施設関連技術院内感染対策として、トリオシンフィルターとイオン発生器S-Plasma ionと高効率電気集塵器K-elementを併用する「トータル除菌空調システム」を新たに開発している。また、臭気対策として「ゼオライト消臭建材」を開発し、さらに、光触媒技術の利用をはじめとした「院内感染対策トイレシステム」を開発している。その他、手術室、病室のレイアウト検討のためにバーチャルリアリティ(VR)技術を使った「病院VRシステム」を開発している。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を開発し、埼玉県立がんセンターをはじめ、複数の病院等に導入している。 なお、子会社においては、研究開発活動は行われていない。 (不動産事業及びその他の事業)研究開発活動は特段行われていない。