経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ社員全員が共有し、すべての活動の基本となる理念体系として「KPPグループウェイ」を定めています。「KPPグループウェイ」は「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3層から形成されています。 KPPグループホールディングスの理念体系のうち、ビジョンである「GIFT」に基づき、2030年に向けて策定した長期経営ビジョンが「GIFT 2030」です。このビジョンの下、当社ではグループ全体で環境負荷低減に資する商品やサービスの開発・流通、さらには循環型ビジネスの構築・提案に取り組み、株主や顧客、取引先などの様々なステークホルダーへ貢献するとともに、経営情報の適時・適切な開示を進め、社会に開かれた企業としてグローバルに成長していきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題 紙パルプ産業の国内市場においては、デジタル化の進展により、情報媒体としての紙(いわゆるグラフィック用紙)の需要の減少が続いています。また、パッケージング用紙についても飲料向け等で一部堅調な分野があるものの、全体として需要は伸び悩んでいます。海外市場でもグラフィック用紙の需要低下のトレンドは変わらず、また欧州の一部や中国における景気の低迷が紙の需要を下振れさせています。一方で、海洋プラスチック汚染に対する世界的な問題意識から、代替素材としての「紙化」需要の高まりが引き続き見られます。バイオマス素材由来の紙資源や、石油由来のプラスチック使用量を削減した製品へのシフトが見られるようになってきています。このような状況下、当社グループは、「グローバル展開」「DXへの対応」「グリーンビジネスの展開」「気候変動対策」「人的資本経営の推進」「ガバナンスの強化」「資本コストを意識した経営」を課題として取り組んでおります。 ① グローバル展開情報媒体は先進国を中心に、「紙」から「電子」への移行が進み、特に新聞、雑誌、カタログ、帳票類などの需要減は業界の構造改革を促しています。一方で、世界の紙・板紙市場は2040年にかけて年率1.7%の成長が見込まれるとも言われています。今後の紙パルプ市場を牽引するのは段ボール原紙、紙器用板紙などパッケージ系の紙と衛生用紙であり、地域的には中国、インド、アセアンを含むアジア市場及びアフリカ諸国になります。当社グループはこのような紙パルプ産業の転換期に、地域戦略と事業ポートフォリオ戦略を着実に進めるとともに、事業会社間の事業シナジーを追求することでグループの総合力の強化を図っていきます。 ② DXへの対応デジタル技術の活用による生産性向上やサービスの改善はグループの各事業会社に共通する課題であり、各社の状況に合わせ、内部管理システムの高度化・共通化やeコマース事業の基盤強化・利用推進等を進めています。また、グループ社員のコミュニケーションツールの導入やグループ会計システムの共通化検討等、グループ横断での施策も進展しています。 ③ グリーンビジネスの展開当社グループは、ミッションである「循環型社会の実現に貢献する」を具体化するべく、環境対応商品・ソリューションの展開を強化しています。具体的には、日本における紙を代替素材とする衣料品・人工芝の販売や、企業の製品から発生する古紙の再利用ソリューションを提供する「クローズドリサイクル」等が挙げられます。また、新規事業として、最新のテクノロジーを活用したデータ分析によって発電プラントの稼働率を向上させるソリューション提供や、バイオマス発電所への燃料供給、バイオエタノール原料のソルガムの生産・販売等、新しい分野にも積極的に展開を図っています。 ④ 気候変動対策気候変動は、事業の継続性や財務状況に影響を及ぼす重要な経営課題であると認識しています。当社は2022年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、気候関連リスクおよび機会の分析結果を経営戦略に反映しています。今後は、グループ全体でGHG排出量の削減を実効的に進めるべく、本年度中にスコープ1およびスコープ2の排出量を連結ベースで可視化する予定です。併せて、第4次中期経営計画において設定した排出原単位の削減目標に基づき、物流効率の向上や再生可能エネルギーの導入など、具体的施策を推進していきます。 ⑤ 人的資本経営の推進当社は、「人」を最も重要な経営資源と捉え、これを人的資本として位置づけています。トップマネジメントで構成される人事委員会の主導のもと、人的資本戦略の策定を進めるとともに、採用・育成・評価に関する制度整備を推進しています。また、グループ全体での人的資本の可視化を目的として、リスキリング分野では「教育にかける時間」、労働安全分野では「休業災害強度率」といったKPIの策定に取り組んでいます。エンゲージメントについては、各拠点で調査を実施し、その結果を加重平均することで、グループ全体の指標として反映していく方針です。 ⑥ ガバナンスの強化2022年のホールディングス化以降、当社は取締役への多様な人材登用を含め、コーポレートガバナンスの強化を進めてきました。グループガバナンスに関しては、リスク管理やコンプライアンスに関する共通基盤や投資基準などの整備は完了しており、今後は本社と各拠点の役割分担をさらに明確化し、自律性と統制の両立を図ることが重要な課題です。このため、本社によるガイドライン策定と現地判断の尊重を両立させる体制の構築を進めており、具体的には、各拠点の権限明確化やモニタリングKPIの整備などに取り組んでいます。今後も、地域起点での価値創出とグループ全体の持続的成長を両立するガバナンス体制の強化に取り組んでいきます。 ⑦ 資本コストを意識した経営当社グループは、各事業会社の事業活動を通じて、「ROE8%以上」及び「資本コスト(WACC)<ROIC」を継続的に達成することで、持続的な株主価値創造の実現を図っていきます。具体的には、利益率の高い事業の拡大、資本コストを上回る事業や将来を見据えた成長事業への投資を推進していく他、株主資本と有利子負債の最適資本構成の構築による資本コストの低減及び資本コスト経営の情報開示の充実を今後も図っていきます。 (3) 中期的な経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、長期経営計画である「長期経営ビジョン GIFT 2030」の期間における中期的な経営戦略として、第4次中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を策定しています。 「第4次中期経営計画の基本方針」(テーマ)業界トップクラスのグローバル企業へ(基本戦略)「事業戦略」・事業領域の拡大・事業ポートフォリオの転換・グローバルシナジーの追求・Eビジネスの拡大・DXの推進「サステナビリティ戦略」・グリーンビジネスの展開・気候変動対策・人的資本経営の推進・ガバナンスの強化「財務戦略」・成長投資資金の確保・資本効率と財務健全性の両立・株主還元の充実 目標とする経営指標と数値は、以下のとおりです。 第4次中期経営計画 最終年度(2028.3期)数値目標営業利益EBITDA(※)ROEROIC(※)自己資本比率連結配当性向200億320億円8.0%以上ROIC>WACC20~25%30%を目処(但しDOE3.0%を下限※) ※EBITDA:経常利益+減価償却費+のれん償却費+支払利息等ROIC:投下資本利益率WACC:加重平均資本コストDOE:連結株主資本配当率
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ社員全員が共有し、すべての活動の基本となる理念体系として「KPPグループウェイ」を定めています。「KPPグループウェイ」は「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3層から形成されています。 KPPグループホールディングスの理念体系のうち、ビジョンである「GIFT」に基づき、2030年に向けて策定した長期経営ビジョンが「GIFT 2030」です。このビジョンの下、当社ではグループ全体で環境負荷低減に資する商品やサービスの開発・流通、さらには循環型ビジネスの構築・提案に取り組み、株主や顧客、取引先などの様々なステークホルダーへ貢献するとともに、経営情報の適時・適切な開示を進め、社会に開かれた企業としてグローバルに成長していきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題 紙パルプ産業の国内市場においては、デジタル化の進展により、情報媒体としての紙(いわゆるグラフィック用紙)の需要の減少が続いています。また、パッケージング用紙についても飲料向け等で一部堅調な分野があるものの、全体として需要は伸び悩んでいます。海外市場でもグラフィック用紙の需要低下のトレンドは変わらず、また欧州の一部や中国における景気の低迷が紙の需要を下振れさせています。一方で、海洋プラスチック汚染に対する世界的な問題意識から、代替素材としての「紙化」需要の高まりが引き続き見られます。バイオマス素材由来の紙資源や、石油由来のプラスチック使用量を削減した製品へのシフトが見られるようになってきています。このような状況下、当社グループは、「グローバル展開」「DXへの対応」「グリーンビジネスの展開」「気候変動対策」「人的資本経営の推進」「ガバナンスの強化」「資本コストを意識した経営」を課題として取り組んでおります。 ① グローバル展開情報媒体は先進国を中心に、「紙」から「電子」への移行が進み、特に新聞、雑誌、カタログ、帳票類などの需要減は業界の構造改革を促しています。一方で、世界の紙・板紙市場は2040年にかけて年率1.7%の成長が見込まれるとも言われています。今後の紙パルプ市場を牽引するのは段ボール原紙、紙器用板紙などパッケージ系の紙と衛生用紙であり、地域的には中国、インド、アセアンを含むアジア市場及びアフリカ諸国になります。当社グループはこのような紙パルプ産業の転換期に、地域戦略と事業ポートフォリオ戦略を着実に進めるとともに、事業会社間の事業シナジーを追求することでグループの総合力の強化を図っていきます。 ② DXへの対応デジタル技術の活用による生産性向上やサービスの改善はグループの各事業会社に共通する課題であり、各社の状況に合わせ、内部管理システムの高度化・共通化やeコマース事業の基盤強化・利用推進等を進めています。また、グループ社員のコミュニケーションツールの導入やグループ会計システムの共通化検討等、グループ横断での施策も進展しています。 ③ グリーンビジネスの展開当社グループは、ミッションである「循環型社会の実現に貢献する」を具体化するべく、環境対応商品・ソリューションの展開を強化しています。具体的には、日本における紙を代替素材とする衣料品・人工芝の販売や、企業の製品から発生する古紙の再利用ソリューションを提供する「クローズドリサイクル」等が挙げられます。また、新規事業として、最新のテクノロジーを活用したデータ分析によって発電プラントの稼働率を向上させるソリューション提供や、バイオマス発電所への燃料供給、バイオエタノール原料のソルガムの生産・販売等、新しい分野にも積極的に展開を図っています。 ④ 気候変動対策気候変動は、事業の継続性や財務状況に影響を及ぼす重要な経営課題であると認識しています。当社は2022年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、気候関連リスクおよび機会の分析結果を経営戦略に反映しています。今後は、グループ全体でGHG排出量の削減を実効的に進めるべく、本年度中にスコープ1およびスコープ2の排出量を連結ベースで可視化する予定です。併せて、第4次中期経営計画において設定した排出原単位の削減目標に基づき、物流効率の向上や再生可能エネルギーの導入など、具体的施策を推進していきます。 ⑤ 人的資本経営の推進当社は、「人」を最も重要な経営資源と捉え、これを人的資本として位置づけています。トップマネジメントで構成される人事委員会の主導のもと、人的資本戦略の策定を進めるとともに、採用・育成・評価に関する制度整備を推進しています。また、グループ全体での人的資本の可視化を目的として、リスキリング分野では「教育にかける時間」、労働安全分野では「休業災害強度率」といったKPIの策定に取り組んでいます。エンゲージメントについては、各拠点で調査を実施し、その結果を加重平均することで、グループ全体の指標として反映していく方針です。 ⑥ ガバナンスの強化2022年のホールディングス化以降、当社は取締役への多様な人材登用を含め、コーポレートガバナンスの強化を進めてきました。グループガバナンスに関しては、リスク管理やコンプライアンスに関する共通基盤や投資基準などの整備は完了しており、今後は本社と各拠点の役割分担をさらに明確化し、自律性と統制の両立を図ることが重要な課題です。このため、本社によるガイドライン策定と現地判断の尊重を両立させる体制の構築を進めており、具体的には、各拠点の権限明確化やモニタリングKPIの整備などに取り組んでいます。今後も、地域起点での価値創出とグループ全体の持続的成長を両立するガバナンス体制の強化に取り組んでいきます。 ⑦ 資本コストを意識した経営当社グループは、各事業会社の事業活動を通じて、「ROE8%以上」及び「資本コスト(WACC)<ROIC」を継続的に達成することで、持続的な株主価値創造の実現を図っていきます。具体的には、利益率の高い事業の拡大、資本コストを上回る事業や将来を見据えた成長事業への投資を推進していく他、株主資本と有利子負債の最適資本構成の構築による資本コストの低減及び資本コスト経営の情報開示の充実を今後も図っていきます。 (3) 中期的な経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、長期経営計画である「長期経営ビジョン GIFT 2030」の期間における中期的な経営戦略として、第4次中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を策定しています。 「第4次中期経営計画の基本方針」(テーマ)業界トップクラスのグローバル企業へ(基本戦略)「事業戦略」・事業領域の拡大・事業ポートフォリオの転換・グローバルシナジーの追求・Eビジネスの拡大・DXの推進「サステナビリティ戦略」・グリーンビジネスの展開・気候変動対策・人的資本経営の推進・ガバナンスの強化「財務戦略」・成長投資資金の確保・資本効率と財務健全性の両立・株主還元の充実 目標とする経営指標と数値は、以下のとおりです。 第4次中期経営計画 最終年度(2028.3期)数値目標営業利益EBITDA(※)ROEROIC(※)自己資本比率連結配当性向200億320億円8.0%以上ROIC>WACC20~25%30%を目処(但しDOE3.0%を下限※) ※EBITDA:経常利益+減価償却費+のれん償却費+支払利息等ROIC:投下資本利益率WACC:加重平均資本コストDOE:連結株主資本配当率
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高6,700億42百万円(前年同期比4.0%増)、営業利益は135億44百万円(前年同期比14.4%減)、経常利益は97億12百万円(前年同期比22.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、79億86百万円(前年同期比24.8%減)となりました。 当連結会計年度の業績については、以下のとおりです。 (単位:百万円)2024年3月期2025年3月期 売上比(%) 売上比(%)前年同期比増減率(%)売 上 高644,435100.0670,042100.025,6064.0売 上 総 利 益119,89918.6129,11619.39,2177.7販 売 費 及 び一 般 管 理 費104,07916.2115,57217.211,49211.0営 業 利 益15,8192.513,5442.0△2,275△14.4経 常 利 益12,4751.99,7121.4△2,762△22.1親会社株主帰属当 期 純 利 益10,6131.67,9861.2△2,627△24.8 売上高の主な増減要因営業利益の主な増減要因 北東アジアは、国際紙パルプ商事において紙分野はグラフィック用紙の需要減少により販売数量が前年を下回る。板紙分野では、飲料向け段ボール原紙が堅調な一方、紙器用板紙は訪日外国人のインバウンド需要に勢いが無く、販売数量減。中国は紙の需要の低下が回復せず、紙の需給バランスの崩れも改善せず。 欧州/米州は、欧州経済の不振の中、ペーパー事業は需要の低迷と価格競争の激化により紙の価格が下落。 アジアパシフィックのペーパー事業では、オフィス分野やデジタル分野は好調も、オセアニア地域の商業印刷および板紙市場が低迷。 北東アジアは国際紙パルプ商事においてグラフィック用紙は需要減少により減益。板紙分野では紙器用板紙は売上減も、市況維持により利益は前年比で増加。中国は紙の需要減少と需給バランスが要因となり減益。 Antalisを中心とした欧州/米州、Spicersを中心としたアジアパシフィックの各地域においては、ペーパー事業は需要低下により減益。 国際紙パルプ商事において、古紙は販売数量が前年並みを維持、また市況価格も安定。一方、市販パルプは市況が大幅下落。 国際紙パルプ商事において、古紙は市況価格の安定により増益も、市販パルプは、市況下落と為替の影響により損失計上となる。 パッケージング事業は、欧州の景気後退の影響を受けるも、 欧州・豪州での買収が業績を押し上げ。 パッケージング事業は、欧州・豪州での買収により増益。 ビジュアルコミュニケーション事業は、需要が堅調に推移していることに加え、前期・当期の買収が業績に貢献。 ビジュアルコミュニケーション事業は、需要が堅調に推移していることに加え、前期・当期の買収が貢献し増益。 報告セグメントごとの業績は次のとおりです。 <北東アジア>国内の紙分野においては、グラフィック用紙の需要減少により販売数量が前年を下回り、減収減益となりました。板紙分野では、飲料向け段ボール原紙の需要は堅調に推移し、販売数量・売上高・利益ともに前年を上回りました。紙器用板紙は、期待された訪日外国人によるインバウンド需要に勢いが無く、全体で販売数量・売上高ともに前年を下回りましたが、市況維持により利益は前年を上回りました。高級板紙ではトレーディングカードゲーム関連で減収減益となりました。製紙原料分野では、古紙は販売数量が前年並みを維持しました。また、市況価格の安定により、売上高・利益ともに前年を上回りました。一方、市販パルプは、市況の大幅下落と為替の影響により損失計上となりました。中国では、紙の需要の低下が年内に回復を見せず、また紙の需給バランスにも大きな改善が見られない中、本格的な業績回復には至りませんでした。この結果、北東アジア事業の売上高は3,036億49百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益は28億95百万円(前年同期比15.4%減)となりました。 <欧州/米州>欧州経済は依然、冴えない状況にあり政治面での不安も加わり消費マインドは冷え込みました。こうした環境の中、ペーパー事業は需要の低迷と価格競争の激化により紙の値上げも浸透せず、むしろ価格は下落となり、売上高・利益共に前年を下回りました。パッケージング事業では、ドイツを中心とした景気後退の影響から製造業や小売業の業績低迷がありましたが、当期新たに買収した3社が業績を押し上げたことから、売上高・利益ともに前年を上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業では、需要が堅調に推移していることに加え、前期および当期に買収した2社の貢献もあり、売上高・利益ともに前年を上回りました。一方、南米を含む米州では景気も底堅く推移し、パッケージングの販売が好調となり売上高・利益ともに前年を上回りました。この結果、欧州/米州事業の売上高は2,984億60百万円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益は77億57百万円(前年同期比25.9%減)となりました。 <アジアパシフィック>ペーパー事業では、オフィス分野やデジタル分野は好調だったものの、オセアニア地域における商業印刷および板紙市場の低迷により、売上高・利益ともに前年を下回りました。パッケージング事業では、4月に買収したSignet社の業績が堅調に推移し、売上高・利益ともに前年を大きく上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業では、引き続きハードウェア及びロールメディアの販売が寄与し、売上高・利益ともに前年を上回りました。トレーディング事業は、東南アジア地域や南アジア地域などで好調に推移し、売上高・利益ともに前年を上回りました。この結果、アジアパシフィック事業の売上高は664億28百万円(前年同期比26.3%増)、セグメント利益は30億円(前年同期比39.5%増)となりました。 <不動産賃貸事業>好調な企業業績と過熱する人材獲得競争を背景にオフィス需要は増加傾向にあります。新規供給についても迅速に吸収されており、今後も同様の傾向が続くと予想されています。かかる状況下において、賃料の改定が寄与し、増収となった物件があるものの、一部に空室が発生したため、賃料収入は微減となりましたが、修繕費等の減少により利益面では増益となりました。この結果、不動産賃貸事業の売上高は15億4百万円(前年同月比1.1%減)、セグメント利益は6億2百万円(前年同期比4.0%増)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に税金等調整前当期純利益の計上、売上債権の減少及び短期借入金の増加により獲得した資金を、子会社株式の取得及び長期借入金の返済に充当したことにより、前連結会計年度末比149億28百万円減少し、113億16百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果獲得した資金は111億69百万円(前期は198億17百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上及び売上債権の減少によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は166億44百万円(前期は55億8百万円の使用)となりました。これは主に、子会社株式の取得及び固定資産の取得によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は111億90百万円(前期は223億75百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金及びリース債務の返済によるものであります。 ③ 仕入及び販売の実績 当社グループは卸売事業が主な事業のため、生産実績の重要性が乏しいことから仕入実績を記載し、受注実績については受注から納品まで短期であるため、受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。(1) 仕入実績当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)北東アジア(百万円)284,311101.3欧州/米州(百万円)210,407105.2アジアパシフィック(百万円)51,101139.0合計(百万円)545,819105.5 (注) 当連結会計年度における仕入実績の著しい変動の要因は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (2) 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)北東アジア(百万円)303,64999.7欧州/米州(百万円)298,460104.5アジアパシフィック(百万円)66,428126.3不動産賃貸事業(百万円)1,50498.9合計(百万円)670,042104.0 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。 2.当連結会計年度における販売実績の著しい変動の要因は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (参考情報) 当社グループの品種別販売実績は以下のとおりであります。 品種別前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)紙数量(トン)1,677,1131,593,332金額(百万円)331,267327,120板紙数量(トン)725,265786,772金額(百万円)77,22785,253紙二次加工品数量(トン)16,07916,964金額(百万円)23,76724,062パルプ・古紙数量(トン)1,336,3081,373,453金額(百万円)45,85951,380その他金額(百万円)166,314182,225合計数量(トン)3,754,7653,770,521金額(百万円)644,435670,042 (注) 1.「その他」の数量は各単位が相違するのでその記載を省略し、「合計」の数量からも除いております。2.賃貸収入は「その他」に含まれております。 (2) 経営者の視点による認識及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度における当社グループの経営成績につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。当社グループは長期経営ビジョン『GIFT 2030』に則り、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載のとおり、対処すべき課題に対応してまいります。 (a) 報告セグメントの実績(単位:百万円)2024年3月期2025年3月期 前年同期比増減率(%)北東アジア売 上 高304,594303,649△944△0.3セグメント利益3,4212,895△526△15.4利 益 率 (%)1.11.0△0.1―欧州/米州売 上 高285,726298,46012,7334.5セグメント利益10,4747,757△2,716△25.9利 益 率 (%)3.72.6△1.1―アジアパシフィック売 上 高52,59366,42813,83426.3セグメント利益2,1513,00084939.5利 益 率 (%)4.14.50.4―不 動 産 賃 貸 売 上 高1,5211,504△17△1.1セグメント利益579602234.0利 益 率 (%)38.140.12.0―合 計売 上 高644,435670,04225,6064.0セグメント利益16,62614,255△2,370△14.3調 整 額△807△71195△11.8営 業 利 益15,81913,544△2,275△14.4利 益 率 (%)2.42.1△0.3― (b) 北東アジアセグメントについて当連結会計年度における、北東アジアセグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。<日本>2025年3月期の日本市場については、紙分野では、グラフィック用紙の構造的な需要減少により、数量・売上高・利益のいずれも前年を下回りました。紙板分野では、段ボール原紙が飲料向けの需要が堅調に推移したことから増収・増益となりましたが、高級板紙の減収により、板紙分野全体としては減収・増益となりました。製紙原料分野では、古紙は市況価格が安定したことから売上高・利益とも前年を上回った一方、パルプは市況の大幅下落と為替の影響により損失となりました。このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、日本での事業拡大を目指す所存です。 [国内基本戦略]1.営業力強化やクロスセル推進等により、基幹ビジネスにおけるシェア向上を図る。2.古紙・化成品分野において既存事業を拡大するとともに、インオーガニック戦略を通じてパッケージング・ビジュアルコミュニケーションを新たな事業の柱とすることを目指し、事業ポートフォリオ構造改革を進める。3.DXによる業務改革を強力に推進し、バックオフィスの効率化を図る。 <中国>2025年3月期の中国市場については、前年から継続する紙の需要低下が年内に回復せず、また需給バランスにも大きな改善が見られなかったことから、本格的な業績回復には至りませんでした。このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、中国での事業拡大を目指す所存です。 [中国基本戦略]1.大手メーカーのシェア拡大と商材強化、新規顧客開拓により国内紙卸売事業を推進する。2.サプライソース開拓、商材強化およびKPPグループ各拠点とのコミュニケーション強化を通じて輸出事業を推進する。 (c) 欧州/米州セグメントについて当連結会計年度における、欧州/米州セグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。2025年3月期の欧州経済は依然として低迷が続いており、また、政治的不安も重なったことで、消費マインドは一段と冷え込みました。ペーパー事業では、需要の低迷と価格競争の激化により紙の値上げが浸透せず、むしろ販売価格は下落し、売上高・利益ともに前年を下回りました。パッケージング事業では、ドイツを中心とした景気後退の影響により製造業や小売業の業績が低迷しましたが、当期に新たに買収した会社(3社)が業績を押し上げたことにより、売上高・利益ともに前年を上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業では、需要が堅調に推移したことに加え、前期および当期に買収した会社(2社)の業績貢献もあり、売上高・利益ともに前年を上回りました。一方、南米を含む米州では、景気が底堅く推移し、パッケージングの販売が好調となったことから、売上高・利益ともに 前年を上回りました。このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、欧州/米州での事業拡大を目指す所存です。 [欧州/米州基本戦略]1.ペーパー&ボード事業は注力分野における市場シェアの拡大を図るとともに、適正な価格設定とコスト削減により売上と利益率を確保する。パッケージング分野およびビジュアルコミュニケーション分野は売上の回復のため、M&Aによるシナジーを最大限に活用する。2.Eビジネスにおいて、ペーパー&ボード分野の既存顧客の利用推進を図るとともに、パッケージング分野とビジュアルコミュニケーション分野の新規顧客の獲得を進め、利益率のさらなる向上と業務効率の改善を図る。3.人材の維持・育成、新しいスキルを持った人材の採用強化により、社内のモチベーションを高く維持する。 (d) アジアパシフィックセグメントについて当連結会計年度における、アジアパシフィックセグメントの業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。2025年3月期のアジアパシフィック市場については、ペーパー&ペーパーボード事業では、オフィス分野やデジタル分野は好調だったものの、オセアニア地域における商業印刷および板紙 市場の低迷により、売上高・利益ともに前年を下回りました。パッケージング事業では、2024年4月に買収したSignet社の業績が堅調に推移し、売上高・利益ともに前年を大きく上回りました。ビジュアルコミュニケーション事業では、引き続きハードウェア及びロールメディアの販売が寄与し、売上高・利益ともに前年を上回りました。トレーディング事業では、東南アジア地域や南アジア地域などで好調に推移し、売上高・利益ともに前年を上回りました。このような状況下、当社は以下の基本戦略に基づき、アジアパシフィックでの事業拡大を目指す所存です。 [アジアパシフィック基本戦略]1.ペーパー&ボード事業においては、豪州等で市場規模の縮小が見込まれる中、アジアでの取扱量増により売上の維持を目指す。2.パッケージ事業やビジュアルコミュニケーション事業はペーパー&ボードに比し利益率が高く、M&Aとオーガニック成長により利益全体に占める両事業の割合を増加させていく。3.豪州にeコマース・プラットフォームを展開し、Eビジネスの強化を図る。 (e) 不動産賃貸事業について当連結会計年度における、不動産賃貸事業の業績については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。当該事業セグメントにつきましては、所有不動産の有効活用による安定的な収益獲得を基本方針としております。引き続き、物件ごとの将来性を勘案した上で再開発や修繕等の投資判断を行い、安定的な収益獲得に努めてまいります。 ② 財政状態の分析当連結会計年度末の総資産は、3,520億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ74億73百万円増加しました。これは主に、商品及び製品、使用権資産等の増加によるものであります。負債は、2,658億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億56百万円増加しました。これは主に、リース債務、コマーシャル・ペーパー等の増加によるものであります。純資産は、862億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億16百万円増加し、自己資本比率は24.5%となり、前連結会計年度末に比べ0.8ポイント増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益、為替換算調整勘定の増加によるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものです。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。当社グループは、長期経営ビジョン『GIFT 2030』に基づく第4次中期経営計画(2025年度~2027年度)を推進中ですが、事業で創出される営業活動によるキャッシュ・フローや政策保有株式の売却、有利子負債を活用し、M&Aを中心とした成長投資や株主還元を実施していく方針です。株主還元への支出については、安定的かつ継続的な配当に加え業績に応じた利益還元を図ることを目的として、2025年3月期より連結配当性向30%を目安にするとともに、 DOE(連結株主資本配当率)3.0%を下限とする配当方針を採用しています。また、自己株式の取得については、政策保有株式の売却によって得た資金の一部に加え、成長投資に充てる資金に余剰が生じた際には、その相当額を自己株式取得の原資として充当する方針としています。なお、現在当社グループにおいて重要な資金繰りの懸念はございません。当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は、国内で8億93百万円、海外で104億23百万円となっており、当社が考える適正な残高水準を上回る資金を確保しております。また、予定されている資金支出につきましても、資金調達の目途は立っております。 ④ 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しているとおりです。