経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、創業の精神である、常にお客さまに誠心誠意尽くすという「飛脚の精神(こころ)」のもと、一.お客さまと社会の信頼に応え 共に成長します一.新しい価値を創造し 社会の発展に貢献します一.常に挑戦を続け あらゆる可能性を追求しますを企業理念とし、お客さまから「安心」「満足」「信頼」をいただけるサービス・品質向上を図っております。今後も社会の変化・顧客のニーズに迅速に対応し、「トータルロジスティクス」を提供し続けることで、一層社会に必要とされる企業体を目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標現在の事業環境は目まぐるしく変化を続けており、中長期的にも、企業を取り巻く環境は複雑さを増していくものと想定しております。特に、国内全体で労働力不足が深刻化しており、賃金上昇やインフレを前提に、業務効率化の加速が必要になっております。また、持続的な成長に向けて、成長市場である海外のビジネス拡大に向けたアプローチも求められると考えております。このような環境認識のもと、当社グループは、2022年3月に2031年3月期までの長期ビジョン「SGHビジョン2030」として「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を策定しました。さらに、2025年3月にはこの長期ビジョンを具体化し、ありたい姿として「お客さまおよび社会において、必要不可欠な存在(=インフラ)であり続ける」、と定義するとともに、長期ビジョン実現に向けて、事業ポートフォリオ戦略や中長期的なキャッシュアロケーション方針、定量目標の具体化を行いました。当社グループは、顧客のサプライチェーン全体をコーディネートする「トータルロジスティクス」を高度化していくことで、新しい価値を創造し、顧客及び社会において必要不可欠な存在であり続けます。 (2031年3月期の経営目標)営業収益2兆2,000億円営業利益1,400億円親会社株主に帰属する当期純利益980億円ROE15%ROIC10% また、長期ビジョン実現に向け、2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2027」を策定しております。中期経営計画の初年度である当連結会計年度においては、米国の通商政策や地政学リスク等の影響もあり、グローバル物流事業の一部で計画から遅れが出ておりますが、デリバリー事業においては成長領域の一つと定めた越境ECの伸長により、個数目標を計画前倒しで達成するなど一定の成果が出ております。引き続き、トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大を基本方針とし、当社グループの企業価値向上と持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。 (中期経営計画の経営戦略)① 国内サービス領域とグローバル物流基盤の拡大② 成長を支える経営資源の拡充③ 持続可能な経営に向けた取組み (中期経営計画策定時の2028年3月期の経営目標)営業収益1兆8,300億円営業利益1,100億円親会社株主に帰属する当期純利益700億円ROE12%ROIC8% (2027年3月期の経営目標)営業収益1兆7,400億円営業利益970億円親会社株主に帰属する当期純利益600億円ROE11%ROIC6.8% 中期経営計画「SGH Story 2027」では、「トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大」を基本方針に掲げ、①国内サービス領域とグローバル物流基盤の拡大、②成長を支える経営資源の拡充、③持続可能な経営に向けた取組みを推進してまいります。 ① 国内サービス領域とグローバル物流基盤の拡大・宅配便のサービス競争力の拡大と効率化による収益基盤の強化 物流業界の中長期的な見通しとして、人口減少等の影響が見込まれているものの、エンドユーザーへの配送等ECに関連する物流の需要は緩やかに増加すると想定されております。一方で、物価・人件費等のコスト上昇や、2024年4月から適用された自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制(以下、「2024年問題」という。)の対応の本格化等を契機に、同業・異業種間の協業の増加及び大手EC事業者による自社配送網拡大等、業界構造に変化の兆しも見られます。一方、国際物流市場において、短期的には世界経済の減速懸念や米国の通商政策の影響、中東情勢の不安定化等により不確実性が高い状況が続くものの、世界貿易量は主要国際機関の見通しにおいてもプラス成長が維持されており、中長期的には拡大基調で推移することが見込まれております。 このような事業環境のもと、当社においては中期経営計画で宅配便の成長領域と定めるリアルコマース、低温物流領域の拡大に取り組んでまいります。同様に、中期経営計画の成長領域の一つと定めていた越境ECについては、既存顧客の個数増加、新規顧客の獲得といった営業活動の成果と旺盛な需要もあり、2026年3月期に前倒しで中期経営計画の個数目標を達成している状況であり、引き続きオペレーションの効率化や適正運賃収受を通じた収益性の向上を中心に取り組んでまいります。また、2026年6月1日公表の「当社子会社に対する行政処分に関するお知らせ」でご案内のとおり、当社の連結子会社であるSGHグローバル・ジャパン株式会社が通関業の許可取消及び保税蔵置場の許可取消の行政処分を受けました。今後の日本発着の国際輸送業務の円滑なサービス提供体制の継続に向け、パートナーとの連携強化を含めた対応に注力してまいります。併せて、コンプライアンス教育やリスク管理体制の強化について、グループ全体で一体となり取り組んでまいります。なお、本件に係る経営成績への影響については、2027年3月期の経営目標に織り込んでおり、重要な影響はないものと考えております。 ・低温物流ソリューションの拡大による国内屈指のコールドチェーンの構築 低温物流市場は昨今の食品市場のグローバル化や、食の多様性、少子高齢化等により拡大傾向にある中、当社グループは名糖/ヒューテックをグループ化することで低温物流領域の基盤を獲得いたしました。中期経営計画では、国内屈指のコールドチェーンの構築を目指し、国内の低温ECのほか、共同配送やTMSの提供さらには海外の低温物流を拡充するなど、グループのシナジーを最大化してまいります。 ・国内ロジスティクスの付加価値向上とTMS事業領域の拡大 低温物流以外の国内ロジスティクスにおいては、顧客の業種や商材に応じたオーダーメイドの物流ソリューションに継続して取り組むほか、効率化につながるマテハン投資により、事業規模拡大・収益性向上を図ってまいります。 ・グローバル物流の顧客基盤拡大と収益性向上 持続的な成長に向けて成長市場である海外でのビジネス拡大を実現するため、エクスポランカ社のフォワーディングビジネスを起点に、インダストリと物流領域の拡張を進めてまいります。その一環として、当社は2025年5月に台湾に拠点を置くグローバル・フレイトフォワーダーであるMorrison社をグループ化いたしました。当連結会計年度において、同社は当初計画どおりに進捗をした一方、エクスポランカ社は米国の通商政策等の影響を受け、中期経営計画に対して遅れが生じております。 今後は、エクスポランカ社・Morrison社・国内の国際部門が一体となったコマーシャル活動の推進により、顧客パイプラインの共有やトップ顧客への共同営業、クロスセルの拡大を通じた顧客当たり売上の向上を図るとともに、顧客インダストリの拡大や取扱領域の多様化を進め、市場環境の変動に左右されにくい収益構造の構築に取り組んでまいります。 併せて、両社協働によるプロキュアメントの強化や共同輸送の対象レーン拡大、拠点・倉庫の集約、ITリソースの相互活用などを通じたオペレーション効率の向上に加え、エクスポランカ社における固定費削減やオペレーション体制・役員報酬制度の見直しを実行し、原価低減及び費用構造の適正化を進めてまいります。さらに、リソース配分の最適化などによる事業再編・構造改革にも取り組むことで、グローバル物流事業全体の収益性向上及び中期経営計画の達成に向けた施策を着実に推進してまいります。 ② 成長を支える経営資源の拡充・パートナー企業との連携強化を含むサービスインフラの維持・強化持続可能な輸配送インフラの維持・強化に向けて、適正運賃収受の取組みを継続するとともに、輸配送拠点の集約による効率化、パートナー企業に対する支援拡充等に取り組んでまいります。輸配送拠点に関しては、当中期経営計画期間中に東京・関西エリアの大型中継センターの稼働を予定しており、さらに、次期中期経営計画期間においては九州エリアでの稼働を予定しております。これにより、年間取扱個数の受容量の増加や拠点集約による効率化効果を見込んでおります。また、パートナー企業に対しては、委託単価の見直しも含めた対話の場としての「適正取引促進会」の定期開催や、SAGAWAパートナープログラムの展開、事業承継窓口の設置等に取り組んでおります。 ・人的資本への投資による企業価値の最大化人材不足及びインフレの状況が継続する中、持続的に成長していくため、人材を重要な経営資源と位置付け、積極的な人的資本投資を実施いたします。人材の定着・確保の観点においては、継続的なベースアップや報酬改定を実施するほか、採用活動の強化や多様な人材が活躍できる環境・制度を構築し、エンゲージメント向上に努めてまいります。また、人材育成の観点においては、グローバル人材育成研修やDX研修を実施することで高い専門性を持った人材の育成に繋げてまいります。人的資本、人材戦略の詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本」をご参照ください。 ・DX、R&D、最新テクノロジーへの投資による事業競争力向上R&Dやオープンイノベーション活動など、DX、最新テクノロジーへの投資に引き続き取り組み、サービス品質の向上や業務効率化を実現してまいります。これにより、顧客に選ばれるサービス競争力を拡大するとともに、当社グループの収益性も向上させてまいります。 ③ 持続可能な経営に向けた取組み・脱炭素をはじめとする社会・環境課題への対応当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、物流企業グループとして、2050年のカーボンニュートラルを目標としたグループ脱炭素ビジョンに基づき自社のGHG排出削減に取り組むとともに、顧客の環境負荷低減に資するサービスを提供し、顧客への最適な物流ソリューションの提案を通じて社会全体のGHG削減に貢献してまいります。なお、グループ脱炭素ビジョンについては、M&Aによるグループ連結範囲の拡張や、日本政府による「第7次エネルギー基本計画」の公表を踏まえ見直しを行い、従来以上に環境と経済のバランスを図った施策の策定を進めております(2026年発行の統合報告書で公表予定)。 ・企業価値の向上に向けたガバナンスの高度化企業価値向上に向けては、取締役をはじめとした経営陣やマネジメント層のコミットメントを強化し、ガバナンス体制を高度化することが重要となります。そのため、指名・報酬諮問委員会の委員長を代表取締役から独立社外取締役へ変更したほか、役員持株会の設立や従業員株式報酬制度の導入を実施いたしました。また、グローバル物流戦略を踏まえたガバナンス体制の整備・強化を進めるとともに、経営管理の観点においては、事業ポートフォリオ戦略を通じて資本収益性を意識した経営管理を推進いたします。さらに、ステークホルダーとの対話機会を一層拡充し、その内容を経営戦略へ適切に反映させることにより、企業価値向上に向けた好循環の創出を目指してまいります。 (3) 経営環境と対応方針① 全般我が国経済は、米国の通商政策等の影響を受けつつも、政府の経済対策や緩和的な金融環境などに支えられ、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資も回復傾向にあります。一方、中東情勢の混乱など地政学リスクの長期化が懸念され、先行きは依然として不透明な状況が続いております。物流業界におきましては、賃金の上昇を受け、消費者マインドに改善に向けた動きが見られるものの、一部大手EC事業者による自社配送網拡大の動き等も見られることから、競争環境は引き続き厳しい状況にあります。また、「2024年問題」への継続的な対応や、物価・人件費等のコスト上昇等、不安定な事業環境が継続しております。国際物流市場では、米国の通商政策によるサプライチェーンの混乱や、中東地域における輸送リスクの上昇等による影響も見られる中、海上・航空貨物の需要及び運賃の動向については不確実性の高い状況が継続しております。このような事業環境認識のもと、当社グループにおきましては、2022年3月に2031年3月期までの長期ビジョン「SGHビジョン2030」として「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を策定しました。さらに、2025年3月にはこの長期ビジョンを具体化し、ありたい姿として「お客さまおよび社会において、必要不可欠な存在(=インフラ)であり続ける」、と定義するとともに、長期ビジョン実現に向けて、事業ポートフォリオ戦略や中長期的なキャッシュアロケーション方針、定量目標の具体化を行いました。当社グループは、顧客のサプライチェーン全体をコーディネートする「トータルロジスティクス」を高度化していくことで、新しい価値を創造し、顧客及び社会において必要不可欠な存在であり続けます。また、長期ビジョン実現に向け、2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2027」を策定しております。中期経営計画の初年度である当連結会計年度においては、米国の通商政策や地政学リスク等の影響もあり、グローバル物流事業の一部で計画から遅れが出ておりますが、デリバリー事業においては成長領域の一つと定めた越境ECの伸長により、中期経営計画の個数目標を前倒しで達成するなど一定の成果が出ております。引き続き、トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大を基本方針とし、当社グループの企業価値向上と持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。 ② デリバリー事業足元では、消費者マインドに改善の動きが見られるものの、一部大手EC事業者による自社配送網拡大の動き等により、競争環境は引き続き厳しい状況にあります。中長期的には、国内人口減少等の影響が見込まれているものの、エンドユーザーへの配送等ECに関連する物流の需要も緩やかに増加すると想定しております。当社グループでは、労働力不足やインフレの進行等リソースの制約の厳しさが増す中で、関東・関西・九州エリアに、自動設備を導入した大型中継センターの新設を進める等、物流施設の最適化やデジタライゼーションによる業務効率化に加え、多様な働き方への対応等、生産性の向上や労働環境の改善に積極的に取り組み、経営基盤の強化を進めてまいりました。特に、エネルギーや車両等様々なコスト上昇の影響や、このようなインフレ環境下における給与水準や委託費といった人に関わる費用の見直しの必要性等を踏まえ、一層の効率化に取り組んでまいります。また、成長市場と捉えている越境ECや、低温物流領域、リアルコマースなどについては、グループのシナジーを活用し取扱個数の拡大に努めており、当連結会計年度においては中期経営計画「SGH Story 2027」の取扱個数目標を前倒しで達成するなど一定の成果を上げております。一方で、サイズミックスの影響等により平均単価の進捗については足踏みが見られることなどから、翌連結会計年度以降においてはより一層適正運賃収受の取組みを推進し、宅配便の持続的な成長を実現してまいります。 ③ ロジスティクス事業国内におきましては、インフレや各種コストの上昇が続き、デリバリー事業と同様に厳しい経営環境が続いております。一方で、企業による物流業務の効率化・最適化を目的としたアウトソーシング需要は、今後も堅調に推移することが見込まれます。特に、低温物流領域におきましては、一時消費者マインドの改善に足踏みが見られたものの、中長期的には食品EC化率の高まりによる需要増加や、法人向けの低温物流市場等の成長が見込まれております。このような事業環境の中、当社グループは、2024年7月に、成長市場である低温物流領域に強みを持つ名糖/ヒューテックをグループ化したことで、サプライチェーンの上流からラストワンマイルまでの低温物流を可能とする、国内屈指のコールドチェーンの構築を推進しております。また、低温物流以外の既存の国内ロジスティクスにおいては、顧客の業種や商材に応じたオーダーメイドの物流ソリューションや、Morrison社とのシナジーによるハイテク領域のサービス拡大等、付加価値の高いサービスを提供いたします。また、拠点の再配置や省人化・効率化につながるマテハン導入を行い、事業規模の拡大と並行して収益性の向上を図ってまいります。 ④ グローバル物流事業航空・海上フォワーディング事業領域におきましては、米国の金融・通商政策による日本経済への影響や、中東情勢の混乱等による地政学リスクの拡大等、先行きは不透明な状況が継続しております。このような事業環境の中、当社グループは、持続的な成長に向けて成長市場である海外でのビジネス拡大を実現するため、エクスポランカ社のフォワーディングビジネスを起点に、取扱商材の拡大による新規顧客の獲得を図るとともに、川上から川下まで当社グループが一気通貫で対応し、顧客のサプライチェーン全体をコーディネートする「トータルロジスティクス」の高度化を図ってまいります。こうした成長戦略の一環で、当社は、2025年5月に、台湾に拠点を置くグローバル・フレイトフォワーダーである、Morrison社をグループ化いたしました。当連結会計年度において、Morrison社は当初計画どおりに進捗をした一方、エクスポランカ社は米国の通商政策等の影響を受け、中期経営計画に対して遅れが生じております。今後は、両社の協働による顧客獲得や、共同調達等による原価低減、また、エクスポランカ社の費用構造の適正化により市場の動向に左右されにくい事業体質への改善を図ってまいります。さらに、事業再編や構造改革にも取り組むことで、グローバル物流事業全体の顧客基盤拡大と収益性向上を実現してまいります。 ⑤ 不動産事業日本のEC化率は、中国や欧米に対し未だ低い水準にあることから上昇が継続すると考えられ、宅配便の取扱個数は今後も緩やかに増加することが見込まれます。また、サプライチェーンの複雑化やテクノロジーの進化に伴い、企業物流も高度化していくことが予想されます。このような宅配便の需要増や、高度化する物流ニーズに対応するため、当社グループの輸送ネットワークにおける適切なキャパシティの確保や安定的な稼働・効率化を実現する物流施設の開発・改修に努めるとともに、不動産を含めた総合物流ソリューションの提供を進めてまいります。 ⑥ その他その他の事業は、効率的な物流ソリューションを提供するための基盤となる様々な機能で構成されております。高度化する物流ニーズや生産年齢人口の減少が続く中、効率的で安定的な物流を実現するために、デジタル化による生産性の向上や顧客の利便性の向上に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、創業の精神である、常にお客さまに誠心誠意尽くすという「飛脚の精神(こころ)」のもと、一.お客さまと社会の信頼に応え 共に成長します一.新しい価値を創造し 社会の発展に貢献します一.常に挑戦を続け あらゆる可能性を追求しますを企業理念とし、お客さまから「安心」「満足」「信頼」をいただけるサービス・品質向上を図っております。今後も社会の変化・顧客のニーズに迅速に対応し、「トータルロジスティクス」を提供し続けることで、一層社会に必要とされる企業体を目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標現在の事業環境は目まぐるしく変化を続けており、中長期的にも、企業を取り巻く環境は複雑さを増していくものと想定しております。特に、国内全体で労働力不足が深刻化しており、賃金上昇やインフレを前提に、業務効率化の加速が必要になっております。また、持続的な成長に向けて、成長市場である海外のビジネス拡大に向けたアプローチも求められると考えております。このような環境認識のもと、当社グループは、2022年3月に2031年3月期までの長期ビジョン「SGHビジョン2030」として「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を策定しました。さらに、2025年3月にはこの長期ビジョンを具体化し、ありたい姿として「お客さまおよび社会において、必要不可欠な存在(=インフラ)であり続ける」、と定義するとともに、長期ビジョン実現に向けて、事業ポートフォリオ戦略や中長期的なキャッシュアロケーション方針、定量目標の具体化を行いました。当社グループは、顧客のサプライチェーン全体をコーディネートする「トータルロジスティクス」を高度化していくことで、新しい価値を創造し、顧客及び社会において必要不可欠な存在であり続けます。 (2031年3月期の経営目標)営業収益2兆2,000億円営業利益1,400億円親会社株主に帰属する当期純利益980億円ROE15%ROIC10% また、長期ビジョン実現に向け、2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2027」を策定しております。中期経営計画の初年度である当連結会計年度においては、米国の通商政策や地政学リスク等の影響もあり、グローバル物流事業の一部で計画から遅れが出ておりますが、デリバリー事業においては成長領域の一つと定めた越境ECの伸長により、個数目標を計画前倒しで達成するなど一定の成果が出ております。引き続き、トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大を基本方針とし、当社グループの企業価値向上と持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。 (中期経営計画の経営戦略)① 国内サービス領域とグローバル物流基盤の拡大② 成長を支える経営資源の拡充③ 持続可能な経営に向けた取組み (中期経営計画策定時の2028年3月期の経営目標)営業収益1兆8,300億円営業利益1,100億円親会社株主に帰属する当期純利益700億円ROE12%ROIC8% (2027年3月期の経営目標)営業収益1兆7,400億円営業利益970億円親会社株主に帰属する当期純利益600億円ROE11%ROIC6.8% 中期経営計画「SGH Story 2027」では、「トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大」を基本方針に掲げ、①国内サービス領域とグローバル物流基盤の拡大、②成長を支える経営資源の拡充、③持続可能な経営に向けた取組みを推進してまいります。 ① 国内サービス領域とグローバル物流基盤の拡大・宅配便のサービス競争力の拡大と効率化による収益基盤の強化 物流業界の中長期的な見通しとして、人口減少等の影響が見込まれているものの、エンドユーザーへの配送等ECに関連する物流の需要は緩やかに増加すると想定されております。一方で、物価・人件費等のコスト上昇や、2024年4月から適用された自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制(以下、「2024年問題」という。)の対応の本格化等を契機に、同業・異業種間の協業の増加及び大手EC事業者による自社配送網拡大等、業界構造に変化の兆しも見られます。一方、国際物流市場において、短期的には世界経済の減速懸念や米国の通商政策の影響、中東情勢の不安定化等により不確実性が高い状況が続くものの、世界貿易量は主要国際機関の見通しにおいてもプラス成長が維持されており、中長期的には拡大基調で推移することが見込まれております。 このような事業環境のもと、当社においては中期経営計画で宅配便の成長領域と定めるリアルコマース、低温物流領域の拡大に取り組んでまいります。同様に、中期経営計画の成長領域の一つと定めていた越境ECについては、既存顧客の個数増加、新規顧客の獲得といった営業活動の成果と旺盛な需要もあり、2026年3月期に前倒しで中期経営計画の個数目標を達成している状況であり、引き続きオペレーションの効率化や適正運賃収受を通じた収益性の向上を中心に取り組んでまいります。また、2026年6月1日公表の「当社子会社に対する行政処分に関するお知らせ」でご案内のとおり、当社の連結子会社であるSGHグローバル・ジャパン株式会社が通関業の許可取消及び保税蔵置場の許可取消の行政処分を受けました。今後の日本発着の国際輸送業務の円滑なサービス提供体制の継続に向け、パートナーとの連携強化を含めた対応に注力してまいります。併せて、コンプライアンス教育やリスク管理体制の強化について、グループ全体で一体となり取り組んでまいります。なお、本件に係る経営成績への影響については、2027年3月期の経営目標に織り込んでおり、重要な影響はないものと考えております。 ・低温物流ソリューションの拡大による国内屈指のコールドチェーンの構築 低温物流市場は昨今の食品市場のグローバル化や、食の多様性、少子高齢化等により拡大傾向にある中、当社グループは名糖/ヒューテックをグループ化することで低温物流領域の基盤を獲得いたしました。中期経営計画では、国内屈指のコールドチェーンの構築を目指し、国内の低温ECのほか、共同配送やTMSの提供さらには海外の低温物流を拡充するなど、グループのシナジーを最大化してまいります。 ・国内ロジスティクスの付加価値向上とTMS事業領域の拡大 低温物流以外の国内ロジスティクスにおいては、顧客の業種や商材に応じたオーダーメイドの物流ソリューションに継続して取り組むほか、効率化につながるマテハン投資により、事業規模拡大・収益性向上を図ってまいります。 ・グローバル物流の顧客基盤拡大と収益性向上 持続的な成長に向けて成長市場である海外でのビジネス拡大を実現するため、エクスポランカ社のフォワーディングビジネスを起点に、インダストリと物流領域の拡張を進めてまいります。その一環として、当社は2025年5月に台湾に拠点を置くグローバル・フレイトフォワーダーであるMorrison社をグループ化いたしました。当連結会計年度において、同社は当初計画どおりに進捗をした一方、エクスポランカ社は米国の通商政策等の影響を受け、中期経営計画に対して遅れが生じております。 今後は、エクスポランカ社・Morrison社・国内の国際部門が一体となったコマーシャル活動の推進により、顧客パイプラインの共有やトップ顧客への共同営業、クロスセルの拡大を通じた顧客当たり売上の向上を図るとともに、顧客インダストリの拡大や取扱領域の多様化を進め、市場環境の変動に左右されにくい収益構造の構築に取り組んでまいります。 併せて、両社協働によるプロキュアメントの強化や共同輸送の対象レーン拡大、拠点・倉庫の集約、ITリソースの相互活用などを通じたオペレーション効率の向上に加え、エクスポランカ社における固定費削減やオペレーション体制・役員報酬制度の見直しを実行し、原価低減及び費用構造の適正化を進めてまいります。さらに、リソース配分の最適化などによる事業再編・構造改革にも取り組むことで、グローバル物流事業全体の収益性向上及び中期経営計画の達成に向けた施策を着実に推進してまいります。 ② 成長を支える経営資源の拡充・パートナー企業との連携強化を含むサービスインフラの維持・強化持続可能な輸配送インフラの維持・強化に向けて、適正運賃収受の取組みを継続するとともに、輸配送拠点の集約による効率化、パートナー企業に対する支援拡充等に取り組んでまいります。輸配送拠点に関しては、当中期経営計画期間中に東京・関西エリアの大型中継センターの稼働を予定しており、さらに、次期中期経営計画期間においては九州エリアでの稼働を予定しております。これにより、年間取扱個数の受容量の増加や拠点集約による効率化効果を見込んでおります。また、パートナー企業に対しては、委託単価の見直しも含めた対話の場としての「適正取引促進会」の定期開催や、SAGAWAパートナープログラムの展開、事業承継窓口の設置等に取り組んでおります。 ・人的資本への投資による企業価値の最大化人材不足及びインフレの状況が継続する中、持続的に成長していくため、人材を重要な経営資源と位置付け、積極的な人的資本投資を実施いたします。人材の定着・確保の観点においては、継続的なベースアップや報酬改定を実施するほか、採用活動の強化や多様な人材が活躍できる環境・制度を構築し、エンゲージメント向上に努めてまいります。また、人材育成の観点においては、グローバル人材育成研修やDX研修を実施することで高い専門性を持った人材の育成に繋げてまいります。人的資本、人材戦略の詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本」をご参照ください。 ・DX、R&D、最新テクノロジーへの投資による事業競争力向上R&Dやオープンイノベーション活動など、DX、最新テクノロジーへの投資に引き続き取り組み、サービス品質の向上や業務効率化を実現してまいります。これにより、顧客に選ばれるサービス競争力を拡大するとともに、当社グループの収益性も向上させてまいります。 ③ 持続可能な経営に向けた取組み・脱炭素をはじめとする社会・環境課題への対応当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、物流企業グループとして、2050年のカーボンニュートラルを目標としたグループ脱炭素ビジョンに基づき自社のGHG排出削減に取り組むとともに、顧客の環境負荷低減に資するサービスを提供し、顧客への最適な物流ソリューションの提案を通じて社会全体のGHG削減に貢献してまいります。なお、グループ脱炭素ビジョンについては、M&Aによるグループ連結範囲の拡張や、日本政府による「第7次エネルギー基本計画」の公表を踏まえ見直しを行い、従来以上に環境と経済のバランスを図った施策の策定を進めております(2026年発行の統合報告書で公表予定)。 ・企業価値の向上に向けたガバナンスの高度化企業価値向上に向けては、取締役をはじめとした経営陣やマネジメント層のコミットメントを強化し、ガバナンス体制を高度化することが重要となります。そのため、指名・報酬諮問委員会の委員長を代表取締役から独立社外取締役へ変更したほか、役員持株会の設立や従業員株式報酬制度の導入を実施いたしました。また、グローバル物流戦略を踏まえたガバナンス体制の整備・強化を進めるとともに、経営管理の観点においては、事業ポートフォリオ戦略を通じて資本収益性を意識した経営管理を推進いたします。さらに、ステークホルダーとの対話機会を一層拡充し、その内容を経営戦略へ適切に反映させることにより、企業価値向上に向けた好循環の創出を目指してまいります。 (3) 経営環境と対応方針① 全般我が国経済は、米国の通商政策等の影響を受けつつも、政府の経済対策や緩和的な金融環境などに支えられ、雇用・所得環境の改善や企業の設備投資も回復傾向にあります。一方、中東情勢の混乱など地政学リスクの長期化が懸念され、先行きは依然として不透明な状況が続いております。物流業界におきましては、賃金の上昇を受け、消費者マインドに改善に向けた動きが見られるものの、一部大手EC事業者による自社配送網拡大の動き等も見られることから、競争環境は引き続き厳しい状況にあります。また、「2024年問題」への継続的な対応や、物価・人件費等のコスト上昇等、不安定な事業環境が継続しております。国際物流市場では、米国の通商政策によるサプライチェーンの混乱や、中東地域における輸送リスクの上昇等による影響も見られる中、海上・航空貨物の需要及び運賃の動向については不確実性の高い状況が継続しております。このような事業環境認識のもと、当社グループにおきましては、2022年3月に2031年3月期までの長期ビジョン「SGHビジョン2030」として「Grow the new Story. 新しい物流で、新しい社会を、共に育む。」を策定しました。さらに、2025年3月にはこの長期ビジョンを具体化し、ありたい姿として「お客さまおよび社会において、必要不可欠な存在(=インフラ)であり続ける」、と定義するとともに、長期ビジョン実現に向けて、事業ポートフォリオ戦略や中長期的なキャッシュアロケーション方針、定量目標の具体化を行いました。当社グループは、顧客のサプライチェーン全体をコーディネートする「トータルロジスティクス」を高度化していくことで、新しい価値を創造し、顧客及び社会において必要不可欠な存在であり続けます。また、長期ビジョン実現に向け、2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2027」を策定しております。中期経営計画の初年度である当連結会計年度においては、米国の通商政策や地政学リスク等の影響もあり、グローバル物流事業の一部で計画から遅れが出ておりますが、デリバリー事業においては成長領域の一つと定めた越境ECの伸長により、中期経営計画の個数目標を前倒しで達成するなど一定の成果が出ております。引き続き、トータルロジスティクスの高度化とグローバル物流の基盤拡大を基本方針とし、当社グループの企業価値向上と持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。 ② デリバリー事業足元では、消費者マインドに改善の動きが見られるものの、一部大手EC事業者による自社配送網拡大の動き等により、競争環境は引き続き厳しい状況にあります。中長期的には、国内人口減少等の影響が見込まれているものの、エンドユーザーへの配送等ECに関連する物流の需要も緩やかに増加すると想定しております。当社グループでは、労働力不足やインフレの進行等リソースの制約の厳しさが増す中で、関東・関西・九州エリアに、自動設備を導入した大型中継センターの新設を進める等、物流施設の最適化やデジタライゼーションによる業務効率化に加え、多様な働き方への対応等、生産性の向上や労働環境の改善に積極的に取り組み、経営基盤の強化を進めてまいりました。特に、エネルギーや車両等様々なコスト上昇の影響や、このようなインフレ環境下における給与水準や委託費といった人に関わる費用の見直しの必要性等を踏まえ、一層の効率化に取り組んでまいります。また、成長市場と捉えている越境ECや、低温物流領域、リアルコマースなどについては、グループのシナジーを活用し取扱個数の拡大に努めており、当連結会計年度においては中期経営計画「SGH Story 2027」の取扱個数目標を前倒しで達成するなど一定の成果を上げております。一方で、サイズミックスの影響等により平均単価の進捗については足踏みが見られることなどから、翌連結会計年度以降においてはより一層適正運賃収受の取組みを推進し、宅配便の持続的な成長を実現してまいります。 ③ ロジスティクス事業国内におきましては、インフレや各種コストの上昇が続き、デリバリー事業と同様に厳しい経営環境が続いております。一方で、企業による物流業務の効率化・最適化を目的としたアウトソーシング需要は、今後も堅調に推移することが見込まれます。特に、低温物流領域におきましては、一時消費者マインドの改善に足踏みが見られたものの、中長期的には食品EC化率の高まりによる需要増加や、法人向けの低温物流市場等の成長が見込まれております。このような事業環境の中、当社グループは、2024年7月に、成長市場である低温物流領域に強みを持つ名糖/ヒューテックをグループ化したことで、サプライチェーンの上流からラストワンマイルまでの低温物流を可能とする、国内屈指のコールドチェーンの構築を推進しております。また、低温物流以外の既存の国内ロジスティクスにおいては、顧客の業種や商材に応じたオーダーメイドの物流ソリューションや、Morrison社とのシナジーによるハイテク領域のサービス拡大等、付加価値の高いサービスを提供いたします。また、拠点の再配置や省人化・効率化につながるマテハン導入を行い、事業規模の拡大と並行して収益性の向上を図ってまいります。 ④ グローバル物流事業航空・海上フォワーディング事業領域におきましては、米国の金融・通商政策による日本経済への影響や、中東情勢の混乱等による地政学リスクの拡大等、先行きは不透明な状況が継続しております。このような事業環境の中、当社グループは、持続的な成長に向けて成長市場である海外でのビジネス拡大を実現するため、エクスポランカ社のフォワーディングビジネスを起点に、取扱商材の拡大による新規顧客の獲得を図るとともに、川上から川下まで当社グループが一気通貫で対応し、顧客のサプライチェーン全体をコーディネートする「トータルロジスティクス」の高度化を図ってまいります。こうした成長戦略の一環で、当社は、2025年5月に、台湾に拠点を置くグローバル・フレイトフォワーダーである、Morrison社をグループ化いたしました。当連結会計年度において、Morrison社は当初計画どおりに進捗をした一方、エクスポランカ社は米国の通商政策等の影響を受け、中期経営計画に対して遅れが生じております。今後は、両社の協働による顧客獲得や、共同調達等による原価低減、また、エクスポランカ社の費用構造の適正化により市場の動向に左右されにくい事業体質への改善を図ってまいります。さらに、事業再編や構造改革にも取り組むことで、グローバル物流事業全体の顧客基盤拡大と収益性向上を実現してまいります。 ⑤ 不動産事業日本のEC化率は、中国や欧米に対し未だ低い水準にあることから上昇が継続すると考えられ、宅配便の取扱個数は今後も緩やかに増加することが見込まれます。また、サプライチェーンの複雑化やテクノロジーの進化に伴い、企業物流も高度化していくことが予想されます。このような宅配便の需要増や、高度化する物流ニーズに対応するため、当社グループの輸送ネットワークにおける適切なキャパシティの確保や安定的な稼働・効率化を実現する物流施設の開発・改修に努めるとともに、不動産を含めた総合物流ソリューションの提供を進めてまいります。 ⑥ その他その他の事業は、効率的な物流ソリューションを提供するための基盤となる様々な機能で構成されております。高度化する物流ニーズや生産年齢人口の減少が続く中、効率的で安定的な物流を実現するために、デジタル化による生産性の向上や顧客の利便性の向上に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、一部では弱さも見られるものの、企業収益の改善や設備投資に持ち直しの動きが見られる等、緩やかな回復基調にあります。しかしながら、米国の金融・通商政策や中国の不動産市場の停滞による影響のほか、地政学リスクの拡大等、先行きは依然として不透明な状況が続いております。物流業界におきましては、賃金の上昇を受け、消費者マインドに改善に向けた動きが見られるものの、一部大手EC事業者による自社配送網拡大の動き等も見られることから、競争環境は引き続き厳しい状況にあります。また、「2024年問題」への対応、継続的な物価・人件費等のコスト上昇等、不安定な事業環境が継続しております。一方、国際物流市場において、短期的には世界経済の減速懸念や米国の通商政策の影響、中東情勢の不安定化等により不確実性が高い状況が続くものの、世界貿易量は主要国際機関の見通しにおいてもプラス成長が維持されており、中長期的には拡大基調で推移することが見込まれております。このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、EC市場の拡大等も受け、宅配便、特に越境ECに係る取扱個数が大きく増加いたしました。一方で、小型荷物の比率が高まるなどサイズミックスの変化が想定を上回った結果、平均単価は低下し、前連結会計年度と比較して下振れいたしました。グローバル物流事業におきましては、米国の通商政策の影響を受けた市場全体の需要の落ち込み等により、アジア発北米向けのトレードレーンを主軸とするエクスポランカ社においては、海上・航空運賃が下落し、取扱量も軟調に推移いたしました。一方、Morrison社においては、第2四半期連結会計期間より業績を取り込んでおり、計画どおりに進捗いたしました。この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。 イ.財政状態資産及び負債は、第1四半期連結会計期間においてMorrison社を新たに連結子会社としたことによる影響でそれぞれ大幅に増加しております。 (資産)当連結会計年度末における流動資産は3,834億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ129億21百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が201億55百万円減少した一方で、受取手形、営業未収金及び契約資産が293億46百万円、未収消費税の増加等によりその他流動資産が40億63百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は8,455億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,754億80百万円増加いたしました。主な要因は、のれんが808億70百万円、建物及び構築物が414億41百万円、顧客関連資産の増加等によりその他無形固定資産が331億33百万円、土地が97億37百万円それぞれ増加したことによるものであります。この結果、総資産は1兆2,290億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,884億2百万円増加いたしました。 (負債)当連結会計年度末における流動負債は4,452億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,226億76百万円増加いたしました。主な要因は、短期借入金が1,998億82百万円増加したことによるものであります。固定負債は2,350億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億42百万円増加いたしました。この結果、負債合計は6,803億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,243億18百万円増加いたしました。 (純資産)当連結会計年度末における純資産合計は5,486億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ359億16百万円減少いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を590億66百万円計上した一方で、自己株式の取得により純資産が減少したこと(取得額749億99百万円)に加え、剰余金の配当320億89百万円を実施したことによるものであります。この結果、自己資本比率は44.4%となり、前連結会計年度末に比べ11.3ポイント低下いたしました。 ロ.経営成績(営業収益)当連結会計年度における営業収益は、主に、2025年3月期第3四半期連結会計期間からグループ化した名糖/ヒューテックと、2026年3月期第2四半期連結会計期間からグループ化したMorrison社の連結効果により増加いたしました。既存の事業では、デリバリー事業において取扱個数が前期に対して4%増加したことが増収に寄与しました。一方、グローバル物流事業においては、エクスポランカ社において、航空数量が前年同期を下回る水準となったほか、航空・海上運賃が米国の通商政策の影響等により下落傾向したことで減収となりました。この結果、営業収益は1兆6,447億62百万円となり、前連結会計年度に比べ11.2%の増加となりました。 (営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)デリバリー事業におきましては、持続的・安定的なサービス提供のためのリソース確保を背景に、パートナー企業への委託単価の引き上げや、従業員に対するベースアップを実施しており、人件費・外注費を中心に引き続き増加傾向にあります。また、当連結会計年度は前期に対して取扱個数が増加したことで、営業費用が増加いたしました。営業利益については、適正運賃収受の方針のもと、取引ごとの取扱量やコスト等を勘案した価格設定により、費用増加局面においても増益となり、営業利益率も維持しております。ロジスティクス事業におきましては、名糖/ヒューテックの株式取得に伴うのれん償却費等が主な費用増加要因となっておりますが、のれん償却費を加味しても適正料金収受や生産性向上の取組みにより、増益となりました。グローバル物流事業におきましては、前連結会計年度に実施した拠点整理等による効率化が寄与した一方で、エクスポランカ社の減収の影響を吸収することができず、営業利益は減少いたしました。Morrison社の株式取得に伴うのれん償却費等は費用増加要因となっておりますが、Morrison社の営業利益はのれん償却費等を上回り、連結利益に貢献しています。この結果、営業原価は1兆4,548億71百万円(前期比10.3%増)、販売費及び一般管理費は996億43百万円(同37.3%増)となりました。営業利益は902億47百万円(同2.7%増)となり、営業利益率は5.5%と前連結会計年度に比べ0.4ポイント低下いたしました。 (営業外損益、経常利益)営業外収益は、受取保険配当金や受取利息の計上等により72億30百万円(前期比52.0%増)となりました。営業外費用は、支払利息の計上等により56億95百万円(同52.4%増)となりました。この結果、経常利益は917億82百万円となり、前連結会計年度に比べ3.3%の増加となりました。 (特別損益、税金等調整前当期純利益)特別利益は、政策保有株式の売却益や株式会社ワールドサプライの事業所立ち退きに係る補償金等の計上により55億72百万円(前期比876.3%増)となりました。特別損失は、上海虹迪物流科技有限公司の出資持分の譲渡損や減損損失の計上等により55億45百万円(同449.0%増)となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は918億9百万円となり、前連結会計年度に比べ3.8%の増加となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)法人税等322億73百万円(前期比7.2%増)、非支配株主に帰属する当期純利益は4億69百万円(前期比143.2%増)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は590億66百万円となり、前連結会計年度に比べ1.6%の増加となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。 ・デリバリー事業デリバリー事業におきましては、消費者マインドに改善の動きが見られるものの、一部大手EC事業者による自社配送網拡大の動き等により、競争環境は引き続き厳しい状況にあります。このような事業環境のもと、当社グループでは、成長領域と捉えている越境ECや低温物流、リアルコマースでの宅配便収益拡大に取り組んでまいりました。その結果、取扱個数は6月以降、前年同月を上回る水準で推移し、当連結会計期間では、BtoB・BtoCともに前期比で増加いたしました。特にBtoCの荷物のうち、越境ECの取扱個数増加が、全体の取扱個数の増加に貢献しています。平均単価は、越境ECの増加に伴う小型荷物の取扱い拡大等の影響により、前期比で低下いたしましたが、適正運賃収受の方針のもと、取引ごとの取扱量やコスト等を勘案した価格設定により、費用増加局面においてもセグメント全体としての営業利益率を維持しています。宅配便以外の付加価値を提供するソリューション「TMS」については、グループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL」による提案営業の活動等により、前年同期を上回って推移いたしました。費用面に関しては、持続的・安定的なサービス提供のためのリソース確保を背景に、パートナー企業への委託単価の引き上げや、従業員に対するベースアップを実施しており、人件費・外注費を中心に引き続き増加傾向にあります。また、当連結会計年度は前期に対して取扱個数が増加したことで、営業費用が増加いたしました。加えて、11月後半に生じた想定以上の取扱個数増加による物流混乱を解消するため、追加的な車両・人員手配にかかるコストが発生したこともあり、当連結会計年度の営業費用は前期比で増加いたしました。また、2025年6月から、国内外のお客さまのニーズに応えるため、観光客向け物流サービス「SAGAWA手ぶらサービス」の拠点を順次拡大しております。今後も、多言語対応や多様な決済手段の導入等、顧客の利便性向上に向けた運用体制の強化に取り組んでまいります。この結果、当セグメントの営業収益は1兆485億10百万円(前期比4.5%増)、営業利益は701億40百万円(同2.6%増)となりました。 ・ロジスティクス事業ロジスティクス事業におきましては、2025年3月期第3四半期連結会計期間から当社グループの連結業績に含めております、名糖/ヒューテックの影響により営業収益が増加いたしました。また、適正料金の収受や生産性向上により、名糖/ヒューテックや既存の国内3PLともに業績が好調に推移し、増収増益となりました。この結果、当セグメントの営業収益は2,027億98百万円(前期比41.7%増)、営業利益は62億78百万円(同48.5%増)となりました。 ・グローバル物流事業グローバル物流事業におきましては、2026年3月期第2四半期連結会計期間より、Morrison社を当社グループの連結業績に含めております。既存のエクスポランカ社においては、2025年8月以降の米国の通商政策等の影響により、市況全体での需要の落ち込みを受け、数量・運賃ともに軟調に推移しました。通常であればピークシーズンとなる第2四半期連結会計期間以降も、活発な荷動きとはならず、特に運賃の伸び悩みが収益下振れの主因となりました。こうした事業環境のもと、営業収益はMorrison社の連結効果が寄与し、増加いたしました。営業利益につきましては、前連結会計年度に実施した拠点整理等による効率化が寄与した一方で、エクスポランカ社の減収の影響を吸収することができず、減少いたしました。この結果、当セグメントの営業収益は3,215億96百万円(前期比25.4%増)、営業利益は1億37百万円(同96.1%減)となりました。 ・不動産事業不動産事業におきましては、第4四半期連結会計期間に保有不動産を売却いたしました。不動産賃貸・管理等のビジネスにつきましては、計画どおり進捗いたしました。この結果、当セグメントの営業収益は154億34百万円(前期比35.6%減)、営業利益は103億74百万円(同1.4%減)となりました。 ・その他その他の事業におきましては、大型トラック等の新車販売が増加したほか、システム関連の受託案件増加や費用の減少等により増収増益となりました。この結果、当セグメントの営業収益は564億21百万円(前期比6.9%増)、営業利益は26億37百万円(同39.3%増)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ239億65百万円減少し928億96百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得た資金は1,248億24百万円(前期比5.2%収入増)となりました。主な要因は、収入要因として税金等調整前当期純利益918億9百万円、減価償却費475億63百万円をそれぞれ計上した一方で、支出要因として法人税等の支払額328億円を計上したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用した資金は2,167億58百万円(前期比31.6%支出増)となりました。主な要因は、支出要因としてMorrison社株式等の取得に係る連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,338億64百万円、有形固定資産の取得による支出792億20百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により得た資金は657億65百万円(前期比369.9%収入増)となりました。主な要因は、収入要因として短期借入金の純減額2,018億99百万円を計上した一方で、支出要因として自己株式の取得による支出749億99百万円、配当金の支払額320億85百万円、長期借入金の返済による支出235億45百万円、リース債務の返済による支出101億81百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績セグメント別の営業収益及び当社グループの中核事業であるデリバリー事業の商品別取扱個数は次のとおりであります。なお、当社グループは、デリバリー事業、ロジスティクス事業、グローバル物流事業、不動産事業を中心とするサービス提供を主たる業務としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。 イ.セグメント別の営業収益当連結会計年度のセグメント別の営業収益は、次のとおりであります。(単位:百万円)セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)デリバリー事業1,003,0051,048,510104.5ロジスティクス事業143,089202,798141.7グローバル物流事業256,382321,596125.4不動産事業23,97615,43464.4その他52,78656,421106.9合計1,479,2391,644,762111.2 (注) 1.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。このため、前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分に組替えた数値で記載しております。報告セグメントの変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) 1.報告セグメントの概要 (報告セグメントの変更に関する事項)」に記載のとおりです。2.営業収益は外部顧客に対する売上高を示しております。 ロ.デリバリー事業の商品別取扱個数当連結会計年度のデリバリー事業の商品別取扱個数は、次のとおりであります。 商品の名称前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)取扱個数(百万個)1,3081,360 飛脚宅配便(百万個)1,2711,324その他(百万個)3636 (注) 1.報告セグメントの変更に伴い、2026年3月期よりデリバリー事業の取扱個数の集計範囲を変更いたしました。上表、前連結会計年度の取扱個数についても、集計範囲変更後の数値を反映しております。2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便の取扱個数であります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、宅配便を中心とするデリバリー事業を安定的な収益基盤としつつ、育成事業領域と位置付けているロジスティクス事業及びグローバル物流事業の成長拡大により、事業ポートフォリオの高度化を進めております。中期経営計画「SGH Story 2027」においては、デリバリー事業は安定的な事業拡大と利益率の改善を推進するとともに、ロジスティクス事業及びグローバル物流事業の収益力を段階的に引き上げることで、グループ全体としての事業成長と企業価値向上を目指しております。 当連結会計年度において 、デリバリー事業では、EC市場の拡大を背景とした需要の取り込みや営業活動の強化により取扱個数が堅調に増加したことで、収益基盤の維持・拡大に寄与し、概ね計画どおりの業績となりました。一方で、2025年11月後半に生じた想定を上回る急激な荷物量の増加により配送遅延が発生したことや、輸送インフラ維持に向けた社内外リソース確保のための費用が引き続き増加傾向にあること等を踏まえると、成長領域の荷物の取り扱いの拡大に加え、取扱量や荷物の形態に合わせた輸送ネットワークの最適化や生産性向上に向けた投資、適正運賃収受の取組みを継続的に進めていく必要があります。翌連結会計年度はこれらの課題への対処も進めながら、取扱個数、平均単価、コストのバランスを意識しながら、事業拡大と収益性の改善を進めてまいります。ロジスティクス事業におきましては、低温物流領域を中心に、既存顧客の取扱拡大や新規案件の獲得が進展するとともに、名糖/ヒューテックとの連携強化を通じた事業基盤の拡充が着実に進み、営業利益は期初計画を上回る着地となりました。名糖/ヒューテックの営業利益率も着実に改善しており、グループ化後のシナジー創出を含む利益成長計画に対して順調に進捗しています。翌連結会計年度は新規拠点立ち上げコストが先行し、利益成長は緩やかになりますが、シナジー効果創出と基盤強化に注力し、2028年3月期以降の事業成長につなげてまいります。グローバル物流事業におきましては、米国の通商政策に起因する国際輸送の需給バランスの変化の影響を受けた航空・海上運賃市況の下落を受け、特にエクスポランカ社において収益が大きく下振れし、セグメントの業績は当初計画を下回る結果となりました。Morrison社については、不安定な環境の中でも堅調な半導体・ハイテク関連の輸送需要をとらえたことで業績貢献が見られたものの、グローバル物流事業全体としては市況変動の影響を受けやすい収益構造が改めて顕在化したものと認識しております。翌連結会計年度においては、フォワーディング事業の構造改革、シナジー創出の推進とこれらを主導するセグメント統括体制の強化を通じ、グローバル物流事業の構造の抜本的な改善を図り、中期経営計画最終年度における計画目標へのキャッチアップに向けて、取組みを進めてまいります。 当連結会計年度の連結業績につきましては、営業収益は1兆6,447億62百万円(前期比11.2%増)、営業利益は902億47百万円(同2.7%増)と、グローバル物流事業における下振れはあったものの、概ね中期経営計画の初年度として期初に計画していた水準に近い着地となりました。事業の収益力及び投下資本効率の観点では、当連結会計年度においては、前連結会計年度から継続する成長投資の拡大を受けた金融機関からの借入金の増加によりROICは低下を見込んでおりましたが、デリバリー事業及びロジスティクス事業を中心とした収益基盤の強化や生産性向上施策が一定程度寄与したこともあり、期初の計画からはやや改善し7.0%(同1.2ポイント減)で着地いたしました。今後、投資効果の創出とともに、中期経営計画に対して進捗に遅れがあるグローバル物流事業の収益性の改善を進めることで、ROICの改善を図ってまいります。また、最終的な資本収益性の観点では、当連結会計年度における経常利益は917億82百万円(同3.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は590億66百万円(同1.6%増)と増益を確保し、ROEは10.5%と前期から0.5ポイント向上いたしました。これには、営業利益の積み上げに加え、財務レバレッジの活用、中期経営計画の方針に沿った自己株式の取得、非中核子会社の出資持分譲渡・不稼働資産や政策保有株式の売却・現預金水準の見直しなど資産の選択と集中を進めたことも寄与しております。 今後も、事業における利益率の改善に加え、引き続き資産最適化及び資本政策の高度化を通じてBSコントロールを強化し、経常利益及び当期純利益の向上とROEの更なる改善を図ってまいります。当社では、長期ビジョンにおける目標として、2031年3月期のROEの目標として15%を掲げておりますが、まずは進行中の中期経営計画の着実な遂行により2028年3月期までに12%に引き上げ、さらに次期中期経営計画において一層の取組みを推進することで長期目標を達成し、企業価値向上を実現してまいります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報・財務戦略の基本的な考え方当社グループは、資本コストを意識した投資判断と資本配分を基本とし、各事業における成長性と資本収益性のバランスを意識しながら資本効率の改善・向上を通じて、ROE及びROICの向上を図る財務戦略を採用しております。 ・資本効率の向上当社グループは、資本コストを上回る資本収益性の実現を重要な経営課題と位置付け、ROE及びROICを主要な経営指標として資本効率の向上に取り組んでおります。各事業の管理においては、足元の金利環境などを踏まえて設定した全社ハードルレート5.5%を意識した投資判断及び採算管理を行い、資本効率の観点から事業ポートフォリオの最適化と経営管理を進めております。当連結会計年度においては、こうした経営管理や自己資本の適正化等を通じてROEは10.5%(前期比0.5ポイント増)に向上しております。中期経営計画及び長期ビジョンの達成に向け、引き続き各事業の収益力向上と資本効率の改善を通じて、ROE水準の着実な向上を目指し、企業価値の最大化に努めてまいります。 ・資金流動性の確保方針当社グループは、営業活動から創出されるキャッシュ・フローを主たる資金の源泉としつつ、必要に応じて金融機関からの借入等を活用することで、事業運営及び投資資金を確保しております。資金調達にあたっては、財務健全性と資本効率のバランスを考慮し、自己資本比率については概ね40%程度の水準でコントロールする方針としております。当連結会計年度においては、レバレッジを活用した成長投資の実行等により、自己資本比率は44.4%(前期比11.3ポイント減)となりました。今後も自己資本とレバレッジのバランスを意識し、安定的な資金流動性の確保に努めてまいります。 ・フリーキャッシュ・フローの状況及び流動性の状況当社グループは、フリーキャッシュ・フローを営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計と定義し、成長投資、内部留保や株主還元などを検討する際の指標の一つとして重視しております。前連結会計年度及び当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは増加傾向であるものの、M&A等の実施に伴い投資活動によるキャッシュ・フローの支出がこれを上回ったことから、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなりました。(単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー118,600124,8246,223投資活動によるキャッシュ・フロー△164,727△216,758△52,030フリーキャッシュ・フロー△46,126△91,933△45,806 この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、928億96百万円となりました。同時点における短期借入金2,047億87百万円及び1年内返済予定の長期借入金191億40百万円の合計額は手許資金を上回っておりますが、M&Aに伴うブリッジローンの長期借入金への転換やコミットメントライン等の調達余力を踏まえ、必要な流動性は確保されていると認識しております。 ・資金調達手段当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスを勘案し、必要に応じて外部から長期借入金で調達しております。また、M&Aに伴う資金需要については、その内容及び規模に応じて、手持資金に加え、ブリッジローン等により一時的に資金を確保した上で、長期借入金への転換を行うなど、資金調達手段を組み合わせて対応しております。当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。なお、当社の連結子会社である名糖/ヒューテックにおいては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。海外子会社においては、当社が、投資計画・資金計画に基づいて貸付又は増資引受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。また、外貨資金需要への機動的な対応と調達手段の多様化を目的として、金融機関との間に外貨建貸越極度枠を設定しております。なお、当社の連結子会社であるエクスポランカ社及びMorrison社においては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。翌連結会計年度につきましても、上記の方針に基づき資金調達を行う予定であります。なお、重要な設備の新設計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設」に記載のとおりであります。 ・株主還元当社グループは、株主へ配当金による利益還元を実施しております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。また、中期経営計画期間中においては、自己株式取得について総額600億円程度を想定しており、当連結会計年度に450億円を実行しております。中期経営計画期間中においては、財務状況やフリーキャッシュ・フローの状況等を踏まえつつ、機動的に実施していく方針であります。 ・その他当連結会計年度に取得した自己株式のうち、300億円については、防災に関する社会課題の解決に資する取組みとして、公益財団法人SGH防災サポート財団に対する自己株式の第三者割当を実施しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社グループが採用している重要な会計方針や重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するに当たり、のれんの評価、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積りを行い、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるためこれらの見積りとは異なる場合があります。