経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等 海運業は、さまざまな物資や人の輸送を通じて世界中の国々と地域を結び、人々の暮らしを豊かにするという使命を担っており、経済のグローバル化に伴い、その役割はますます重要なものとなりました。こうした認識のもと、当社グループは、以下のグループ企業理念を掲げ、誠実で良質な海上輸送サービスをお客様に提供できるよう、創意工夫を重ねています。 〔基本理念〕 NSユナイテッド海運グループは、誠実で良質な海上輸送サービスの提供を通じて社会の発展に貢献します。 〔経営理念〕 1(信用・信頼) 信用・信頼される堅実な経営を実践し、グループ全体の企業価値を高めます。 2(安全運航・環境保全) 常に船舶の安全運航に努めるとともに、船舶運航技術の向上に向け日々研鑽を積むことにより、海洋をはじめ とする地球環境保全の一翼を担います。 3(お客様への即応・自己変革) お客様の要請に即応しつつ自らも変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。 4(人を育て活かす) 人を育て活かし、働く喜びを実感できる活力溢れるグループを築きます。 当社はこの理念の具現化を目指し、鉄鋼原料をはじめとする資源・エネルギー・製品などの海上輸送分野における創立以来の長年の伝統と、2010年の合併後の構造改革や船隊整備による経営基盤の強化により、内外航に亘る専門性と総合力を兼ね備えた海運会社としてさらに大きな安心と信頼を獲得してまいりました。 2024年度よりスタートした中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、2030年に向けたビジョンを「クリーンでサステナブルな海上輸送における必要不可欠な存在を目指し、ステークホルダーと協働して変革を続け、企業価値の更なる向上を図ります」と定義しています。カーボンニュートラルへの取り組みを通じた持続的な成長と企業価値最大化に向けた経営戦略を実行してまいります。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、目標とする経営指標 次期の事業環境は、米国政府による関税などの経済政策やそれに対する各国の対応が、貨物輸送需要やトレードパターンにどのような影響を与えるか現状で見通しにくい中、海上荷動きに関して、主に石炭輸送需要の鈍化が懸念されるものの、鉄鉱石やボーキサイトなどドライバルク貨物全体の輸送需要は堅調な推移が見込まれると想定しています。また、船腹供給については、船主が環境規制や主力となる次世代燃料を慎重に見極めていることもあり、当面の新造船竣工は大型船を中心に歴史的に見ると比較的低水準となる見通しです。当社では今後起こり得る事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行ってまいります。 また、2024年度~2027年度を対象期間とする中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、事業戦略として「新規成長事業領域の拡大」「既存中核事業領域の深化」を掲げ、これらの事業戦略を支える取り組みとして人的資本戦略やDX戦略などサステナビリティへの取り組みを一層強化してまいります。 《中期経営計画の取組状況》1) 事業戦略・成長戦略 『FORWARD 2030Ⅱ』では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた環境ロードマップに沿ったGHG削減目標を設定しており、メタノール二元燃料船(メタノールと重油の両方を燃料として使用可能なエンジンを搭載した船舶。重油と比較してGHG排出量の大幅な削減が見込まれる。)やバイオ燃料、アンモニア燃料船の導入などにより、2030年にGHG年間排出量を2019年比25%削減します。 上記2030年GHG削減目標達成に向けて、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金事業」に採択されているアンモニア燃料船の共同プロジェクトについては2024年4月に6社によるアンモニア燃料船の共同開発に関する覚書を締結しました。本プロジェクトにおいて当社は、アンモニア燃料船の共同保有・運航を予定しております。また、当社は、2027年度竣工を目指してメタノール二元燃料船の建造契約を締結しました。 既存船についても省エネデバイスの活用によるGHG排出削減に取り組んでいます。当社が運航している40万トン型鉱石船へ風力補助推進装置ローターセイルを搭載することを決定しております。ローターセイルの搭載は2025年9月頃を予定しており、本船はローターセイルを搭載することで約6~12%の燃料消費 および CO2排出の削減が見込まれます。その他、当社既存船の入渠時に高効率プロペラへの換装を行うなど、燃料削減に寄与する設備の導入を進めています。 上記のような取り組みを通じて環境対応で顧客と協働し、顧客の脱炭素化に貢献することで、長期契約による安定収益確保に加え、海外顧客に対しても長期の契約獲得を目指します。2) 事業戦略を支える取り組み 上記事業戦略を支える基盤となる取り組みとして、人的資本戦略・サステナブルシッピング戦略・ガバナンス強化・DX戦略の4つの戦略を掲げています。 当社事業における最重要課題である安全運航の達成に向けて、船上のインターネット環境拡充やホールド(船倉)クリーニングロボットの配備を開始するなど、乗組員の安全・作業効率・Well-being向上に資する技術や設備の検証・導入を進めています。また、船舶機器の状態・運転監視システム導入や気象や海象などの実海域データの収集など、事故の予防や運航の効率化といった価値を創出するための船舶DXに関わる取り組みも行っています。 3) 財務目標 中期経営計画の財務目標として、以下のとおり設定しております。 2027年度2030年度営業利益200億円ネットD/Eレシオ1.0倍以下と財務規律を維持しつつ、継続的な利益成長により株主資本コスト7%を十分に上回るROE10%以上を目指します。ROE10%ネットD/Eレシオ1.0倍以下 2024年度の連結営業利益は202億24百万円、ROEは11.9%、Net DERは0.18倍となり、2027年度目標を前倒しで達成することができました。2027年度に向けては引き続き安定した収益基盤を整備しながら、上記目標を達成することを目指しています。 4) 投資計画 安定収益事業に加え、成長戦略から着実に利益を上げて営業キャッシュ・フローを積み上げ、2030年までNet DERを1.0倍以下に抑えつつ、財務レバレッジを効かせて3,000億円に迫る規模の投資を実行し、収益の安定性強化と中長期的な利益の成長を目指します。中期経営計画では既存船のリプレースなど中核事業への投資は2,150億円、メタノール二元燃料化やバイオ燃料の確保といった環境投資に450億円、船員訓練センター設立など人材育成とDX関連に100億円の投資を掲げており、このうち、メタノール二元燃料船など新燃料船への投資は1,650億円を予定しています。 次世代燃料船投資に関しましては、2024年度の実績としてメタノール二元燃料船の建造契約を複数隻締結いたしました。グリーンメタノールを舶用燃料として用いることにより、従来の重油比80%超のGHG排出削減効果が見込まれ、2027年度竣工以降に当社収益に貢献できるものと期待しております。また、顧客の環境対応と脱炭素化プロセスに貢献すべく、アンモニア積載可能なLPG二元燃料VLGC(大型LPG運搬船)の建造契約を締結しました。 今後、顧客のニーズを注視しつつ、上記の新造船における中長期貨物輸送契約や燃料サプライチェーンの確保に注力してまいります。 《株主還元策》 当社は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元として、連結業績に対する配当性向は30%を基準とし、更なる株主還元の強化を検討します。新燃料船の建造など将来の成長に必要な内部留保金を確保しつつ、安定配当の継続的な実施により、株主をはじめステークホルダーの皆様にとって魅力的な事業会社になることを目指してまいります。当事業年度(2025年3月期)については「第4提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等 海運業は、さまざまな物資や人の輸送を通じて世界中の国々と地域を結び、人々の暮らしを豊かにするという使命を担っており、経済のグローバル化に伴い、その役割はますます重要なものとなりました。こうした認識のもと、当社グループは、以下のグループ企業理念を掲げ、誠実で良質な海上輸送サービスをお客様に提供できるよう、創意工夫を重ねています。 〔基本理念〕 NSユナイテッド海運グループは、誠実で良質な海上輸送サービスの提供を通じて社会の発展に貢献します。 〔経営理念〕 1(信用・信頼) 信用・信頼される堅実な経営を実践し、グループ全体の企業価値を高めます。 2(安全運航・環境保全) 常に船舶の安全運航に努めるとともに、船舶運航技術の向上に向け日々研鑽を積むことにより、海洋をはじめ とする地球環境保全の一翼を担います。 3(お客様への即応・自己変革) お客様の要請に即応しつつ自らも変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。 4(人を育て活かす) 人を育て活かし、働く喜びを実感できる活力溢れるグループを築きます。 当社はこの理念の具現化を目指し、鉄鋼原料をはじめとする資源・エネルギー・製品などの海上輸送分野における創立以来の長年の伝統と、2010年の合併後の構造改革や船隊整備による経営基盤の強化により、内外航に亘る専門性と総合力を兼ね備えた海運会社としてさらに大きな安心と信頼を獲得してまいりました。 2024年度よりスタートした中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、2030年に向けたビジョンを「クリーンでサステナブルな海上輸送における必要不可欠な存在を目指し、ステークホルダーと協働して変革を続け、企業価値の更なる向上を図ります」と定義しています。カーボンニュートラルへの取り組みを通じた持続的な成長と企業価値最大化に向けた経営戦略を実行してまいります。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、目標とする経営指標 次期の事業環境は、米国政府による関税などの経済政策やそれに対する各国の対応が、貨物輸送需要やトレードパターンにどのような影響を与えるか現状で見通しにくい中、海上荷動きに関して、主に石炭輸送需要の鈍化が懸念されるものの、鉄鉱石やボーキサイトなどドライバルク貨物全体の輸送需要は堅調な推移が見込まれると想定しています。また、船腹供給については、船主が環境規制や主力となる次世代燃料を慎重に見極めていることもあり、当面の新造船竣工は大型船を中心に歴史的に見ると比較的低水準となる見通しです。当社では今後起こり得る事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行ってまいります。 また、2024年度~2027年度を対象期間とする中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、事業戦略として「新規成長事業領域の拡大」「既存中核事業領域の深化」を掲げ、これらの事業戦略を支える取り組みとして人的資本戦略やDX戦略などサステナビリティへの取り組みを一層強化してまいります。 《中期経営計画の取組状況》1) 事業戦略・成長戦略 『FORWARD 2030Ⅱ』では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた環境ロードマップに沿ったGHG削減目標を設定しており、メタノール二元燃料船(メタノールと重油の両方を燃料として使用可能なエンジンを搭載した船舶。重油と比較してGHG排出量の大幅な削減が見込まれる。)やバイオ燃料、アンモニア燃料船の導入などにより、2030年にGHG年間排出量を2019年比25%削減します。 上記2030年GHG削減目標達成に向けて、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金事業」に採択されているアンモニア燃料船の共同プロジェクトについては2024年4月に6社によるアンモニア燃料船の共同開発に関する覚書を締結しました。本プロジェクトにおいて当社は、アンモニア燃料船の共同保有・運航を予定しております。また、当社は、2027年度竣工を目指してメタノール二元燃料船の建造契約を締結しました。 既存船についても省エネデバイスの活用によるGHG排出削減に取り組んでいます。当社が運航している40万トン型鉱石船へ風力補助推進装置ローターセイルを搭載することを決定しております。ローターセイルの搭載は2025年9月頃を予定しており、本船はローターセイルを搭載することで約6~12%の燃料消費 および CO2排出の削減が見込まれます。その他、当社既存船の入渠時に高効率プロペラへの換装を行うなど、燃料削減に寄与する設備の導入を進めています。 上記のような取り組みを通じて環境対応で顧客と協働し、顧客の脱炭素化に貢献することで、長期契約による安定収益確保に加え、海外顧客に対しても長期の契約獲得を目指します。2) 事業戦略を支える取り組み 上記事業戦略を支える基盤となる取り組みとして、人的資本戦略・サステナブルシッピング戦略・ガバナンス強化・DX戦略の4つの戦略を掲げています。 当社事業における最重要課題である安全運航の達成に向けて、船上のインターネット環境拡充やホールド(船倉)クリーニングロボットの配備を開始するなど、乗組員の安全・作業効率・Well-being向上に資する技術や設備の検証・導入を進めています。また、船舶機器の状態・運転監視システム導入や気象や海象などの実海域データの収集など、事故の予防や運航の効率化といった価値を創出するための船舶DXに関わる取り組みも行っています。 3) 財務目標 中期経営計画の財務目標として、以下のとおり設定しております。 2027年度2030年度営業利益200億円ネットD/Eレシオ1.0倍以下と財務規律を維持しつつ、継続的な利益成長により株主資本コスト7%を十分に上回るROE10%以上を目指します。ROE10%ネットD/Eレシオ1.0倍以下 2024年度の連結営業利益は202億24百万円、ROEは11.9%、Net DERは0.18倍となり、2027年度目標を前倒しで達成することができました。2027年度に向けては引き続き安定した収益基盤を整備しながら、上記目標を達成することを目指しています。 4) 投資計画 安定収益事業に加え、成長戦略から着実に利益を上げて営業キャッシュ・フローを積み上げ、2030年までNet DERを1.0倍以下に抑えつつ、財務レバレッジを効かせて3,000億円に迫る規模の投資を実行し、収益の安定性強化と中長期的な利益の成長を目指します。中期経営計画では既存船のリプレースなど中核事業への投資は2,150億円、メタノール二元燃料化やバイオ燃料の確保といった環境投資に450億円、船員訓練センター設立など人材育成とDX関連に100億円の投資を掲げており、このうち、メタノール二元燃料船など新燃料船への投資は1,650億円を予定しています。 次世代燃料船投資に関しましては、2024年度の実績としてメタノール二元燃料船の建造契約を複数隻締結いたしました。グリーンメタノールを舶用燃料として用いることにより、従来の重油比80%超のGHG排出削減効果が見込まれ、2027年度竣工以降に当社収益に貢献できるものと期待しております。また、顧客の環境対応と脱炭素化プロセスに貢献すべく、アンモニア積載可能なLPG二元燃料VLGC(大型LPG運搬船)の建造契約を締結しました。 今後、顧客のニーズを注視しつつ、上記の新造船における中長期貨物輸送契約や燃料サプライチェーンの確保に注力してまいります。 《株主還元策》 当社は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元として、連結業績に対する配当性向は30%を基準とし、更なる株主還元の強化を検討します。新燃料船の建造など将来の成長に必要な内部留保金を確保しつつ、安定配当の継続的な実施により、株主をはじめステークホルダーの皆様にとって魅力的な事業会社になることを目指してまいります。当事業年度(2025年3月期)については「第4提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当期における世界経済は、米国経済を中心に比較的堅調な推移となった一方、中国経済については先行き不透明感が見られました。当社におきましては、長期契約による安定収益に加え、円安による収益の押し上げにも支えられ、2024年度よりスタートした新中期経営計画「FORWARD 2030Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U」で掲げた財務目標である営業利益200億円以上、ROE10%以上、Net DER1.0倍以下を達成することができました。 外航海運市況につきましては、当期前半は鉄鉱石や穀物を中心に堅調な荷動きが市況を下支えしましたが、当期後半は鉄鉱石の主要積地における天候不順に加え、パナマ運河の通航制限緩和により船腹需給が緩和した影響も受け、市況は低迷しました。 内航海運につきましては、自動車産業における鋼材需要低下や、火力発電所の稼働率低下が貨物輸送量の下押し要因となりました。 燃料油価格につきましては、当期の平均消費価格(全油種)は、トン当たり上期約587ドル、下期約541ドル、期中平均で約564ドルと、前期比で約8ドル上昇となりました。また対米ドル円相場は日米金利差を背景に円安が加速し、上期平均153円50銭、下期平均152円17銭、期中平均で152円83銭と前期比9円16銭の円安となりました。 a.財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ16億5百万円増加し2,879億48百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ115億50百万円減少し1,252億10百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ131億54百万円増加し1,627億38百万円となりました。 b.経営成績当連結会計年度の経営成績は、売上高2,474億8百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益202億24百万円(前年同期比6.4%減)、経常利益190億15百万円(前年同期比14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益186億21百万円(前年同期比3.5%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 <外航海運事業> ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、期初からブラジルをはじめとした鉄鉱石の主要積出港から堅調な出荷が継続し、西アフリカ積みのボーキサイトもケープ型船での輸送が増加したことから船腹需給が引き締まり、当期前半の主要5航路用船料は平均2万4千ドル台近くと非常に高い水準の市況となりました。一方で当期後半は、中国の不動産不況による経済停滞が長引くとの観測が広がり、鉄鉱石の港頭在庫も積み上がったこと、また主要積地の天候不順も影響し、冬場にかけ市況は一時1万ドルを下回る水準まで低迷しました。このような状況下、当社では主要荷主の日本製鉄株式会社をはじめとする国内外顧客向け中長期輸送契約獲得により安定収益を確保するとともに、スポット市場での輸送契約獲得による利益確保に努めた結果、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。 パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、南米穀物の輸送需要が堅調に推移し、主要5航路平均用船料は5月に日建て1万8千ドル台を記録しました。しかし、その後パナマ運河の渇水に起因した通航制限が緩和されたことにより、船腹供給が増加し、夏場以降の市況は下落しました。さらに、中国の穀物需要も減少し、船腹供給過剰が継続したため、1月には市況が日建て6千ドル台まで下落しました。このような状況下、当期前半は堅調な市況に支えられた時期もあった一方で当期後半は市況低迷による収益減少の影響が大きく、効率運航に努めたものの当初の計画を達成することはできませんでした。 ハンディ型撒積船(2~6万重量トン型)市況は、高値と安値の変動幅が狭いなか総じて堅調に推移しましたが、下期には穀物輸送における季節的な盛り上がりが不調だったことなどから先行きへの不透明感・懸念が広がり一時的な市況低迷が見られました。低市況下においても既存貨物を活用した効率的な配船により収益の確保に努めましたが、往航の主力貨物である鋼材輸送の一部の港において予期せぬ港湾稼働率の低下・長期滞船が発生し、運航効率が悪化したことで採算性が低下し、当初の計画を達成することはできませんでした。 近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、中国国内の不動産を中心とする鉄鋼需要の低迷、また同国自動車産業における急速なEV化による現地日系自動車メーカーの不振から、中国向け日本出し鋼材輸出量は漸減傾向のまま推移したものの、記録的水準の中国余剰鋼材の輸出が、アジア全体の荷動きを下支えし、市況は堅調に推移しました。このような状況下、東南アジア向け鋼材輸送に積極的に取り組み、同地域からの日本向けバイオマス燃料輸送を含むバルク貨物の取り扱い拡大にも努めたことで、往復航効率配船を推進し、ほぼ当初計画並みの収益を達成することができました。 VLGC(大型LPG運搬船)は、全ての船舶が定期貸船契約に従事することにより安定収益を確保しています。市況連動契約となっている一部船舶については、第4四半期の後半に市況低迷の影響を受けましたが、2024年度の市況は総じて堅調だったため、当初の計画を上回る収益を達成することができました。以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は2,161億52百万円(前年同期比5.8%増)、セグメント利益(営業利益)162億77百万円(前年同期比12.8%減)と、前連結会計年度に比べ増収減益となりました。 <内航海運事業> ドライバルクにつきまして、鉄鋼関連貨物につきましては、建設業、自動車産業の低迷による鋼材需要の低下、安値の中国製鋼材流入の影響もあり輸送量は当初の計画を下回りました。セメント関連貨物、電力関連貨物については内需の低迷や荒天の影響を受けて輸送量は当初の計画を下回った一方、バイオマス関連貨物は市況の変化により当初の計画を上回りました。 タンカーにつきましては、LNG輸送・LPG輸送ともに、国内需要の減退の影響を受けました。このような状況下、効率運航・配船に努めた結果、LNG輸送量は減少したもののLPG輸送量は増加し、営業利益は当初計画を上回りました。以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は312億56百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益(営業利益)は39億60百万円(前年同期比34.9%増)と、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。 <その他>特記すべき事項はありません。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、348億51百万円の収入(前年同期比38億35百万円の収入増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上等によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、82億46百万円の支出(前年同期は130億59百万円の支出)となりました。これは主として船舶の取得による支出184億64百万円によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、178億11百万円の支出(前年同期は120億67百万円の支出)となりました。これは主として長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引113億41百万円の支出によるものです。 以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して87億16百万円増加し、557億84百万円となりました。 (参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率(%)43.049.852.256.5時価ベースの自己資本比率(%)36.135.237.932.8キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)3.82.33.12.4インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)24.436.719.620.5自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期増減率(%)外航海運事業(百万円)216,1525.8内航海運事業(百万円)31,2568.7 報告セグメント計(百万円)247,4086.1その他(百万円)--計247,4086.1 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。 2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す る割合は次のとおりです。 相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)日本製鉄㈱119,02748.9115,80144.8 (注)上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 経営成績等a. 財政状態 当連結会計年度末における総資産は2,879億48百万円となり、前連結会計年度末比16億5百万円増加しました。このうち流動資産は主として現金及び預金、及び有価証券の増加により92億42百万円増加しました。固定資産は主として船舶の減少により、76億37百万円減少しました。 負債合計は前連結会計年度末に比べ115億50百万円減少し、1,252億10百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の減少により、76億10百万円減少しました。固定負債は主として長期借入金の減少により、39億40百万円減少しました。 純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ131億54百万円増加し、1,627億38百万円となりました。 これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の52.2%から当連結会計年度末は56.5%に増加しました。 b. 経営成績 当連結会計年度の経営成績は、売上高2,474億8百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益202億24百万円(前年同期比6.4%減)、経常利益190億15百万円(前年同期比14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益186億21百万円(前年同期比3.5%増)と、前連結会計年度に比べ増収、営業利益及び経常利益は減益となりましたが、特別利益の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。 なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は約9割、内航海運事業の割合は約1割となっております。 セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。 c. キャッシュ・フロー 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 d. 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。外航海運市況は、当期前半は鉄鉱石やボーキサイトの輸送需要が船腹需給を引き締めたことを受け、各船型において堅調な推移となりましたが、当期後半はパナマ運河の通航制限緩和による実質船腹供給の増加や主要積地における天候不順などの影響を受け、市況は下落しました。当社におきましては、円安による外貨建て費用負担増加の影響を受けたものの、当初より計画していた老齢船の売却益を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で増益となりました。 次期の事業環境につきましては、鉄鉱石やボーキサイトなどドライバルク貨物全体の輸送需要は堅調な推移が見込まれると想定している一方、今後、地政学上のリスクや、米国の関税政策などを背景とする世界経済の減速といった事業環境の変化が、海上荷動きに影響を与える可能性があります。 当社では今後起こり得る事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行ってまいります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性a. 資金需要 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。 当連結会計年度に実施した設備投資の総額は185億41百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は737億84百万円(既支払額125億57百万円を含む)であります。 b. 財務政策 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。 当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船隊の整備を行っております。当連結会計年度末の有利子負債残高は853億16百万円となりました。 また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額90億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。 c. キャッシュ・フロー 「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 ④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、営業利益・ROE(自己資本利益率)・ネットD/Eレシオ(実質負債資本倍率)の3つに着目しています。営業利益は事業収益の規模感の、ROEは自己資本に対しての収益効率性の、ネットD/Eレシオは財務健全性の目安としています。2024年度は通期営業利益202億円、ROEは11.9%となりました。また2024年度末時点でのネットD/Eレシオは0.18倍となり、2024年度から開始した中期経営計画の目標である、2027年度通期営業利益200億円、ROE10%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下を前倒しで達成することができました。2027年度に向けては引き続き安定した収益基盤を整備しながら、上記目標を達成することを目指しており、グループ一丸で不断の取り組みを重ねてまいります。