9110

NSユナイテッド海運(9110)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

海運業 運輸・物流

事業の概要

NSユナイテッド海運グループは、主に海運業とその関連事業を展開しています。中核となるのは、船を貸したり運賃を受け取ったりする「外航海運事業」で、世界中の物流を支えています。子会社や関連会社が多数あり、外航船の貸し出しや管理、国内での海運事業、情報サービスなども手掛けています。日本製鉄株式会社とは事業上重要な関係にあり、安定した事業基盤を築いています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

NSユナイテッド海運グループの事業は、主に「外航海運事業」と「内航海運事業」で構成されています。外航海運事業は、海外への輸送を担い、売上2161.52億円、営業利益162.77億円とグループの収益の大部分を占める稼ぎ頭です。内航海運事業は、国内での輸送を行い、売上312.56億円、営業利益39.6億円を上げています。この実績から、同社は特に国際的な海上輸送に強みを持つことが分かります。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
OverseasShipping 事業 2,162 163 7.5%
CoastalShipping 事業 313 40 12.7%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|652 文字
3【事業の内容】(1)当社グループは、提出会社(NSユナイテッド海運株式会社、以下当社という。)のほか子会社63社、関連会社5社及びその他の関係会社2社により構成されており、海運業及び海運附帯事業を主たる業務としております。   当該事業に係る当社並びに子会社及び関連会社の位置付けは次のとおりです。なお、事業区分は連結財務諸表に関するセグメントの区分と同一です。 当社:運賃、貸船料、運航手数料等を収受する外航海運事業を営んでおります。 子会社及び関連会社:① 外航海運事業・当社への外航船舶貸渡業を主とする会社(会社数47社) NEW HARVEST S.A.、HIGHLAND MARITIME S.A.、HOSEI SHIPPING S.A. 他・船舶管理業、海運仲立業等の海運附帯事業を行う会社(会社数7社) NSユナイテッドマリンサービス㈱ 他・運賃、貸船料、運航手数料等を収受する外航海運事業を主とする会社(会社数2社) NS UNITED BULK PTE.LTD. 他 ② 内航海運事業・運賃、貸船料、運航手数料等を収受する内航海運事業を主とする会社(会社数10社) NSユナイテッド内航海運㈱、NSユナイテッドタンカー㈱ 他 ③ その他・情報サービス業等を行う会社(会社数2社) NSユナイテッドシステム㈱、NSユナイテッドビジネス㈱ (2)日本製鉄株式会社は当社のその他の関係会社であり、当社の事業上重要で、継続的な緊密関係にあります。 (3)以上について図示すると次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
運賃・用船料市況が世界経済の動向や船腹需給バランスに影響され常に変動するため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
船舶の取得を中心とした大規模な設備投資が必要であり、資金調達も借入に依存しているため。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:海運市況変動リスク / 公的規制および環境保全に関するリスク / 気候変動リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

ブランド力や特許、規制ライセンスなどの無形資産による競争優位性は、海運業においては一般的に限定的である。NSユナイテッド海運も、特定の強力なブランドや独占的IPを有しているという情報は確認できない。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

海運業では、特定の貨物や航路において、既存のサプライヤーとの長期契約や、積み荷の特性(危険物など)から、顧客が他の海運会社へ乗り換える際のコストや手間が生じる可能性がある。しかし、汎用的な貨物においては乗り換え障壁は低い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果は、プラットフォーム型ビジネスやSNSなどで顕著に見られるものであり、海運業においては直接的なネットワーク効果は期待できない。ユーザー(荷主)が増えることでサービス価値が増すといった構造ではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

同社は、ばら積み船事業において、大型船の導入や効率的な運航管理により、一定のコスト競争力を有していると考えられる。特に、鉄鉱石輸送など特定の分野でのスケールメリットやノウハウがコスト優位に寄与する可能性がある。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

NSユナイテッド海運は、日本郵船、商船三井に次ぐ国内大手海運会社の一つであり、特にばら積み船分野においては一定の規模を持つ。この規模は、調達力や運航効率において、中小規模の競合他社に対する優位性をもたらす。

NSユナイテッド海運グループは、多数の子会社や関連会社を通じて、外航海運から内航海運、船舶管理まで幅広い海運関連事業をグループ内で完結できる体制を構築しています。これにより、効率的な運航と安定した収益確保を目指しています。また、日本製鉄株式会社との緊密な関係は、主要顧客との安定的な取引基盤となり、事業の安定性に寄与していると考えられます。グローバルな事業展開と多様なサービス提供能力が、同社の競争優位性となっています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等 海運業は、さまざまな物資や人の輸送を通じて世界中の国々と地域を結び、人々の暮らしを豊かにするという使命を担っており、経済のグローバル化に伴い、その役割はますます重要なものとなりました。こうした認識のもと、当社グループは、以下のグループ企業理念を掲げ、誠実で良質な海上輸送サービスをお客様に提供できるよう、創意工夫を重ねています。 〔基本理念〕 NSユナイテッド海運グループは、誠実で良質な海上輸送サービスの提供を通じて社会の発展に貢献します。 〔経営理念〕 1(信用・信頼)   信用・信頼される堅実な経営を実践し、グループ全体の企業価値を高めます。 2(安全運航・環境保全)   常に船舶の安全運航に努めるとともに、船舶運航技術の向上に向け日々研鑽を積むことにより、海洋をはじめ  とする地球環境保全の一翼を担います。 3(お客様への即応・自己変革)   お客様の要請に即応しつつ自らも変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。 4(人を育て活かす)   人を育て活かし、働く喜びを実感できる活力溢れるグループを築きます。  当社はこの理念の具現化を目指し、鉄鋼原料をはじめとする資源・エネルギー・製品などの海上輸送分野における創立以来の長年の伝統と、2010年の合併後の構造改革や船隊整備による経営基盤の強化により、内外航に亘る専門性と総合力を兼ね備えた海運会社としてさらに大きな安心と信頼を獲得してまいりました。 2024年度よりスタートした中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、2030年に向けたビジョンを「クリーンでサステナブルな海上輸送における必要不可欠な存在を目指し、ステークホルダーと協働して変革を続け、企業価値の更なる向上を図ります」と定義しています。カーボンニュートラルへの取り組みを通じた持続的な成長と企業価値最大化に向けた経営戦略を実行してまいります。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、目標とする経営指標 次期の事業環境は、米国政府による関税などの経済政策やそれに対する各国の対応が、貨物輸送需要やトレードパターンにどのような影響を与えるか現状で見通しにくい中、海上荷動きに関して、主に石炭輸送需要の鈍化が懸念されるものの、鉄鉱石やボーキサイトなどドライバルク貨物全体の輸送需要は堅調な推移が見込まれると想定しています。また、船腹供給については、船主が環境規制や主力となる次世代燃料を慎重に見極めていることもあり、当面の新造船竣工は大型船を中心に歴史的に見ると比較的低水準となる見通しです。当社では今後起こり得る事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行ってまいります。 また、2024年度~2027年度を対象期間とする中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、事業戦略として「新規成長事業領域の拡大」「既存中核事業領域の深化」を掲げ、これらの事業戦略を支える取り組みとして人的資本戦略やDX戦略などサステナビリティへの取り組みを一層強化してまいります。 《中期経営計画の取組状況》1) 事業戦略・成長戦略 『FORWARD 2030Ⅱ』では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた環境ロードマップに沿ったGHG削減目標を設定しており、メタノール二元燃料船(メタノールと重油の両方を燃料として使用可能なエンジンを搭載した船舶。重油と比較してGHG排出量の大幅な削減が見込まれる。)やバイオ燃料、アンモニア燃料船の導入などにより、2030年にGHG年間排出量を2019年比25%削減します。 上記2030年GHG削減目標達成に向けて、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金事業」に採択されているアンモニア燃料船の共同プロジェクトについては2024年4月に6社によるアンモニア燃料船の共同開発に関する覚書を締結しました。本プロジェクトにおいて当社は、アンモニア燃料船の共同保有・運航を予定しております。また、当社は、2027年度竣工を目指してメタノール二元燃料船の建造契約を締結しました。  既存船についても省エネデバイスの活用によるGHG排出削減に取り組んでいます。当社が運航している40万トン型鉱石船へ風力補助推進装置ローターセイルを搭載することを決定しております。ローターセイルの搭載は2025年9月頃を予定しており、本船はローターセイルを搭載することで約6~12%の燃料消費 および CO2排出の削減が見込まれます。その他、当社既存船の入渠時に高効率プロペラへの換装を行うなど、燃料削減に寄与する設備の導入を進めています。  上記のような取り組みを通じて環境対応で顧客と協働し、顧客の脱炭素化に貢献することで、長期契約による安定収益確保に加え、海外顧客に対しても長期の契約獲得を目指します。2) 事業戦略を支える取り組み 上記事業戦略を支える基盤となる取り組みとして、人的資本戦略・サステナブルシッピング戦略・ガバナンス強化・DX戦略の4つの戦略を掲げています。 当社事業における最重要課題である安全運航の達成に向けて、船上のインターネット環境拡充やホールド(船倉)クリーニングロボットの配備を開始するなど、乗組員の安全・作業効率・Well-being向上に資する技術や設備の検証・導入を進めています。また、船舶機器の状態・運転監視システム導入や気象や海象などの実海域データの収集など、事故の予防や運航の効率化といった価値を創出するための船舶DXに関わる取り組みも行っています。 3) 財務目標 中期経営計画の財務目標として、以下のとおり設定しております。 2027年度2030年度営業利益200億円ネットD/Eレシオ1.0倍以下と財務規律を維持しつつ、継続的な利益成長により株主資本コスト7%を十分に上回るROE10%以上を目指します。ROE10%ネットD/Eレシオ1.0倍以下 2024年度の連結営業利益は202億24百万円、ROEは11.9%、Net DERは0.18倍となり、2027年度目標を前倒しで達成することができました。2027年度に向けては引き続き安定した収益基盤を整備しながら、上記目標を達成することを目指しています。 4) 投資計画 安定収益事業に加え、成長戦略から着実に利益を上げて営業キャッシュ・フローを積み上げ、2030年までNet DERを1.0倍以下に抑えつつ、財務レバレッジを効かせて3,000億円に迫る規模の投資を実行し、収益の安定性強化と中長期的な利益の成長を目指します。中期経営計画では既存船のリプレースなど中核事業への投資は2,150億円、メタノール二元燃料化やバイオ燃料の確保といった環境投資に450億円、船員訓練センター設立など人材育成とDX関連に100億円の投資を掲げており、このうち、メタノール二元燃料船など新燃料船への投資は1,650億円を予定しています。 次世代燃料船投資に関しましては、2024年度の実績としてメタノール二元燃料船の建造契約を複数隻締結いたしました。グリーンメタノールを舶用燃料として用いることにより、従来の重油比80%超のGHG排出削減効果が見込まれ、2027年度竣工以降に当社収益に貢献できるものと期待しております。また、顧客の環境対応と脱炭素化プロセスに貢献すべく、アンモニア積載可能なLPG二元燃料VLGC(大型LPG運搬船)の建造契約を締結しました。 今後、顧客のニーズを注視しつつ、上記の新造船における中長期貨物輸送契約や燃料サプライチェーンの確保に注力してまいります。 《株主還元策》 当社は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元として、連結業績に対する配当性向は30%を基準とし、更なる株主還元の強化を検討します。新燃料船の建造など将来の成長に必要な内部留保金を確保しつつ、安定配当の継続的な実施により、株主をはじめステークホルダーの皆様にとって魅力的な事業会社になることを目指してまいります。当事業年度(2025年3月期)については「第4提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等 海運業は、さまざまな物資や人の輸送を通じて世界中の国々と地域を結び、人々の暮らしを豊かにするという使命を担っており、経済のグローバル化に伴い、その役割はますます重要なものとなりました。こうした認識のもと、当社グループは、以下のグループ企業理念を掲げ、誠実で良質な海上輸送サービスをお客様に提供できるよう、創意工夫を重ねています。 〔基本理念〕 NSユナイテッド海運グループは、誠実で良質な海上輸送サービスの提供を通じて社会の発展に貢献します。 〔経営理念〕 1(信用・信頼)   信用・信頼される堅実な経営を実践し、グループ全体の企業価値を高めます。 2(安全運航・環境保全)   常に船舶の安全運航に努めるとともに、船舶運航技術の向上に向け日々研鑽を積むことにより、海洋をはじめ  とする地球環境保全の一翼を担います。 3(お客様への即応・自己変革)   お客様の要請に即応しつつ自らも変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。 4(人を育て活かす)   人を育て活かし、働く喜びを実感できる活力溢れるグループを築きます。  当社はこの理念の具現化を目指し、鉄鋼原料をはじめとする資源・エネルギー・製品などの海上輸送分野における創立以来の長年の伝統と、2010年の合併後の構造改革や船隊整備による経営基盤の強化により、内外航に亘る専門性と総合力を兼ね備えた海運会社としてさらに大きな安心と信頼を獲得してまいりました。 2024年度よりスタートした中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、2030年に向けたビジョンを「クリーンでサステナブルな海上輸送における必要不可欠な存在を目指し、ステークホルダーと協働して変革を続け、企業価値の更なる向上を図ります」と定義しています。カーボンニュートラルへの取り組みを通じた持続的な成長と企業価値最大化に向けた経営戦略を実行してまいります。 (2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、目標とする経営指標 次期の事業環境は、米国政府による関税などの経済政策やそれに対する各国の対応が、貨物輸送需要やトレードパターンにどのような影響を与えるか現状で見通しにくい中、海上荷動きに関して、主に石炭輸送需要の鈍化が懸念されるものの、鉄鉱石やボーキサイトなどドライバルク貨物全体の輸送需要は堅調な推移が見込まれると想定しています。また、船腹供給については、船主が環境規制や主力となる次世代燃料を慎重に見極めていることもあり、当面の新造船竣工は大型船を中心に歴史的に見ると比較的低水準となる見通しです。当社では今後起こり得る事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行ってまいります。 また、2024年度~2027年度を対象期間とする中期経営計画『FORWARD 2030 Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U』では、事業戦略として「新規成長事業領域の拡大」「既存中核事業領域の深化」を掲げ、これらの事業戦略を支える取り組みとして人的資本戦略やDX戦略などサステナビリティへの取り組みを一層強化してまいります。 《中期経営計画の取組状況》1) 事業戦略・成長戦略 『FORWARD 2030Ⅱ』では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた環境ロードマップに沿ったGHG削減目標を設定しており、メタノール二元燃料船(メタノールと重油の両方を燃料として使用可能なエンジンを搭載した船舶。重油と比較してGHG排出量の大幅な削減が見込まれる。)やバイオ燃料、アンモニア燃料船の導入などにより、2030年にGHG年間排出量を2019年比25%削減します。 上記2030年GHG削減目標達成に向けて、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金事業」に採択されているアンモニア燃料船の共同プロジェクトについては2024年4月に6社によるアンモニア燃料船の共同開発に関する覚書を締結しました。本プロジェクトにおいて当社は、アンモニア燃料船の共同保有・運航を予定しております。また、当社は、2027年度竣工を目指してメタノール二元燃料船の建造契約を締結しました。  既存船についても省エネデバイスの活用によるGHG排出削減に取り組んでいます。当社が運航している40万トン型鉱石船へ風力補助推進装置ローターセイルを搭載することを決定しております。ローターセイルの搭載は2025年9月頃を予定しており、本船はローターセイルを搭載することで約6~12%の燃料消費 および CO2排出の削減が見込まれます。その他、当社既存船の入渠時に高効率プロペラへの換装を行うなど、燃料削減に寄与する設備の導入を進めています。  上記のような取り組みを通じて環境対応で顧客と協働し、顧客の脱炭素化に貢献することで、長期契約による安定収益確保に加え、海外顧客に対しても長期の契約獲得を目指します。2) 事業戦略を支える取り組み 上記事業戦略を支える基盤となる取り組みとして、人的資本戦略・サステナブルシッピング戦略・ガバナンス強化・DX戦略の4つの戦略を掲げています。 当社事業における最重要課題である安全運航の達成に向けて、船上のインターネット環境拡充やホールド(船倉)クリーニングロボットの配備を開始するなど、乗組員の安全・作業効率・Well-being向上に資する技術や設備の検証・導入を進めています。また、船舶機器の状態・運転監視システム導入や気象や海象などの実海域データの収集など、事故の予防や運航の効率化といった価値を創出するための船舶DXに関わる取り組みも行っています。 3) 財務目標 中期経営計画の財務目標として、以下のとおり設定しております。 2027年度2030年度営業利益200億円ネットD/Eレシオ1.0倍以下と財務規律を維持しつつ、継続的な利益成長により株主資本コスト7%を十分に上回るROE10%以上を目指します。ROE10%ネットD/Eレシオ1.0倍以下 2024年度の連結営業利益は202億24百万円、ROEは11.9%、Net DERは0.18倍となり、2027年度目標を前倒しで達成することができました。2027年度に向けては引き続き安定した収益基盤を整備しながら、上記目標を達成することを目指しています。 4) 投資計画 安定収益事業に加え、成長戦略から着実に利益を上げて営業キャッシュ・フローを積み上げ、2030年までNet DERを1.0倍以下に抑えつつ、財務レバレッジを効かせて3,000億円に迫る規模の投資を実行し、収益の安定性強化と中長期的な利益の成長を目指します。中期経営計画では既存船のリプレースなど中核事業への投資は2,150億円、メタノール二元燃料化やバイオ燃料の確保といった環境投資に450億円、船員訓練センター設立など人材育成とDX関連に100億円の投資を掲げており、このうち、メタノール二元燃料船など新燃料船への投資は1,650億円を予定しています。 次世代燃料船投資に関しましては、2024年度の実績としてメタノール二元燃料船の建造契約を複数隻締結いたしました。グリーンメタノールを舶用燃料として用いることにより、従来の重油比80%超のGHG排出削減効果が見込まれ、2027年度竣工以降に当社収益に貢献できるものと期待しております。また、顧客の環境対応と脱炭素化プロセスに貢献すべく、アンモニア積載可能なLPG二元燃料VLGC(大型LPG運搬船)の建造契約を締結しました。 今後、顧客のニーズを注視しつつ、上記の新造船における中長期貨物輸送契約や燃料サプライチェーンの確保に注力してまいります。 《株主還元策》 当社は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元として、連結業績に対する配当性向は30%を基準とし、更なる株主還元の強化を検討します。新燃料船の建造など将来の成長に必要な内部留保金を確保しつつ、安定配当の継続的な実施により、株主をはじめステークホルダーの皆様にとって魅力的な事業会社になることを目指してまいります。当事業年度(2025年3月期)については「第4提出会社の状況 3配当政策」をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当期における世界経済は、米国経済を中心に比較的堅調な推移となった一方、中国経済については先行き不透明感が見られました。当社におきましては、長期契約による安定収益に加え、円安による収益の押し上げにも支えられ、2024年度よりスタートした新中期経営計画「FORWARD 2030Ⅱ Challenge for innovation and further growth with U」で掲げた財務目標である営業利益200億円以上、ROE10%以上、Net DER1.0倍以下を達成することができました。 外航海運市況につきましては、当期前半は鉄鉱石や穀物を中心に堅調な荷動きが市況を下支えしましたが、当期後半は鉄鉱石の主要積地における天候不順に加え、パナマ運河の通航制限緩和により船腹需給が緩和した影響も受け、市況は低迷しました。 内航海運につきましては、自動車産業における鋼材需要低下や、火力発電所の稼働率低下が貨物輸送量の下押し要因となりました。 燃料油価格につきましては、当期の平均消費価格(全油種)は、トン当たり上期約587ドル、下期約541ドル、期中平均で約564ドルと、前期比で約8ドル上昇となりました。また対米ドル円相場は日米金利差を背景に円安が加速し、上期平均153円50銭、下期平均152円17銭、期中平均で152円83銭と前期比9円16銭の円安となりました。 a.財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ16億5百万円増加し2,879億48百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ115億50百万円減少し1,252億10百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ131億54百万円増加し1,627億38百万円となりました。 b.経営成績当連結会計年度の経営成績は、売上高2,474億8百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益202億24百万円(前年同期比6.4%減)、経常利益190億15百万円(前年同期比14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益186億21百万円(前年同期比3.5%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 <外航海運事業> ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、期初からブラジルをはじめとした鉄鉱石の主要積出港から堅調な出荷が継続し、西アフリカ積みのボーキサイトもケープ型船での輸送が増加したことから船腹需給が引き締まり、当期前半の主要5航路用船料は平均2万4千ドル台近くと非常に高い水準の市況となりました。一方で当期後半は、中国の不動産不況による経済停滞が長引くとの観測が広がり、鉄鉱石の港頭在庫も積み上がったこと、また主要積地の天候不順も影響し、冬場にかけ市況は一時1万ドルを下回る水準まで低迷しました。このような状況下、当社では主要荷主の日本製鉄株式会社をはじめとする国内外顧客向け中長期輸送契約獲得により安定収益を確保するとともに、スポット市場での輸送契約獲得による利益確保に努めた結果、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。  パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、南米穀物の輸送需要が堅調に推移し、主要5航路平均用船料は5月に日建て1万8千ドル台を記録しました。しかし、その後パナマ運河の渇水に起因した通航制限が緩和されたことにより、船腹供給が増加し、夏場以降の市況は下落しました。さらに、中国の穀物需要も減少し、船腹供給過剰が継続したため、1月には市況が日建て6千ドル台まで下落しました。このような状況下、当期前半は堅調な市況に支えられた時期もあった一方で当期後半は市況低迷による収益減少の影響が大きく、効率運航に努めたものの当初の計画を達成することはできませんでした。 ハンディ型撒積船(2~6万重量トン型)市況は、高値と安値の変動幅が狭いなか総じて堅調に推移しましたが、下期には穀物輸送における季節的な盛り上がりが不調だったことなどから先行きへの不透明感・懸念が広がり一時的な市況低迷が見られました。低市況下においても既存貨物を活用した効率的な配船により収益の確保に努めましたが、往航の主力貨物である鋼材輸送の一部の港において予期せぬ港湾稼働率の低下・長期滞船が発生し、運航効率が悪化したことで採算性が低下し、当初の計画を達成することはできませんでした。 近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、中国国内の不動産を中心とする鉄鋼需要の低迷、また同国自動車産業における急速なEV化による現地日系自動車メーカーの不振から、中国向け日本出し鋼材輸出量は漸減傾向のまま推移したものの、記録的水準の中国余剰鋼材の輸出が、アジア全体の荷動きを下支えし、市況は堅調に推移しました。このような状況下、東南アジア向け鋼材輸送に積極的に取り組み、同地域からの日本向けバイオマス燃料輸送を含むバルク貨物の取り扱い拡大にも努めたことで、往復航効率配船を推進し、ほぼ当初計画並みの収益を達成することができました。 VLGC(大型LPG運搬船)は、全ての船舶が定期貸船契約に従事することにより安定収益を確保しています。市況連動契約となっている一部船舶については、第4四半期の後半に市況低迷の影響を受けましたが、2024年度の市況は総じて堅調だったため、当初の計画を上回る収益を達成することができました。以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は2,161億52百万円(前年同期比5.8%増)、セグメント利益(営業利益)162億77百万円(前年同期比12.8%減)と、前連結会計年度に比べ増収減益となりました。 <内航海運事業> ドライバルクにつきまして、鉄鋼関連貨物につきましては、建設業、自動車産業の低迷による鋼材需要の低下、安値の中国製鋼材流入の影響もあり輸送量は当初の計画を下回りました。セメント関連貨物、電力関連貨物については内需の低迷や荒天の影響を受けて輸送量は当初の計画を下回った一方、バイオマス関連貨物は市況の変化により当初の計画を上回りました。 タンカーにつきましては、LNG輸送・LPG輸送ともに、国内需要の減退の影響を受けました。このような状況下、効率運航・配船に努めた結果、LNG輸送量は減少したもののLPG輸送量は増加し、営業利益は当初計画を上回りました。以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は312億56百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益(営業利益)は39億60百万円(前年同期比34.9%増)と、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。 <その他>特記すべき事項はありません。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、348億51百万円の収入(前年同期比38億35百万円の収入増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上等によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、82億46百万円の支出(前年同期は130億59百万円の支出)となりました。これは主として船舶の取得による支出184億64百万円によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、178億11百万円の支出(前年同期は120億67百万円の支出)となりました。これは主として長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引113億41百万円の支出によるものです。  以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して87億16百万円増加し、557億84百万円となりました。 (参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率(%)43.049.852.256.5時価ベースの自己資本比率(%)36.135.237.932.8キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)3.82.33.12.4インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)24.436.719.620.5自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期増減率(%)外航海運事業(百万円)216,1525.8内航海運事業(百万円)31,2568.7 報告セグメント計(百万円)247,4086.1その他(百万円)--計247,4086.1 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。    2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す      る割合は次のとおりです。 相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)日本製鉄㈱119,02748.9115,80144.8 (注)上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 経営成績等a. 財政状態 当連結会計年度末における総資産は2,879億48百万円となり、前連結会計年度末比16億5百万円増加しました。このうち流動資産は主として現金及び預金、及び有価証券の増加により92億42百万円増加しました。固定資産は主として船舶の減少により、76億37百万円減少しました。  負債合計は前連結会計年度末に比べ115億50百万円減少し、1,252億10百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の減少により、76億10百万円減少しました。固定負債は主として長期借入金の減少により、39億40百万円減少しました。 純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ131億54百万円増加し、1,627億38百万円となりました。 これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の52.2%から当連結会計年度末は56.5%に増加しました。 b. 経営成績 当連結会計年度の経営成績は、売上高2,474億8百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益202億24百万円(前年同期比6.4%減)、経常利益190億15百万円(前年同期比14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益186億21百万円(前年同期比3.5%増)と、前連結会計年度に比べ増収、営業利益及び経常利益は減益となりましたが、特別利益の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。 なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は約9割、内航海運事業の割合は約1割となっております。 セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。 c. キャッシュ・フロー 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 d. 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。外航海運市況は、当期前半は鉄鉱石やボーキサイトの輸送需要が船腹需給を引き締めたことを受け、各船型において堅調な推移となりましたが、当期後半はパナマ運河の通航制限緩和による実質船腹供給の増加や主要積地における天候不順などの影響を受け、市況は下落しました。当社におきましては、円安による外貨建て費用負担増加の影響を受けたものの、当初より計画していた老齢船の売却益を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で増益となりました。 次期の事業環境につきましては、鉄鉱石やボーキサイトなどドライバルク貨物全体の輸送需要は堅調な推移が見込まれると想定している一方、今後、地政学上のリスクや、米国の関税政策などを背景とする世界経済の減速といった事業環境の変化が、海上荷動きに影響を与える可能性があります。 当社では今後起こり得る事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行ってまいります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性a. 資金需要 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。 当連結会計年度に実施した設備投資の総額は185億41百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は737億84百万円(既支払額125億57百万円を含む)であります。 b. 財務政策 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。  当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船隊の整備を行っております。当連結会計年度末の有利子負債残高は853億16百万円となりました。 また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額90億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。 c. キャッシュ・フロー 「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 ④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、営業利益・ROE(自己資本利益率)・ネットD/Eレシオ(実質負債資本倍率)の3つに着目しています。営業利益は事業収益の規模感の、ROEは自己資本に対しての収益効率性の、ネットD/Eレシオは財務健全性の目安としています。2024年度は通期営業利益202億円、ROEは11.9%となりました。また2024年度末時点でのネットD/Eレシオは0.18倍となり、2024年度から開始した中期経営計画の目標である、2027年度通期営業利益200億円、ROE10%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下を前倒しで達成することができました。2027年度に向けては引き続き安定した収益基盤を整備しながら、上記目標を達成することを目指しており、グループ一丸で不断の取り組みを重ねてまいります。

事業リスク

主要なリスクとして、ハラスメントや贈賄、インサイダー取引などのコンプライアンス違反が挙げられ、企業の信用低下や事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、差別や強制労働といった人権侵害は、取引停止や企業の信用低下、賠償問題につながるリスクがあります。サイバー攻撃や自然災害によるシステム障害、情報漏洩などのサイバーリスクも、信用や業績に影響を与える可能性があります。さらに、海難事故は人命や貨物、船舶の損失、海洋汚染のリスクを伴い、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,525 文字
3【事業等のリスク】<リスク管理に関する基本的な考え方>当社グループの主要な事業活動である外航事業は、グローバルに展開しており、本有価証券報告書「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載の通り、世界各国の経済情勢、政治的または社会的な要因等の様々なリスクに晒されており、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、「リスク管理規程」に基づき、事業活動全般にわたり生じ得る諸々のリスクについて、関連部門または各委員会において協議・決定を行っております。年度末には、社長を委員長とする内部統制・コンプライアンス委員会において、「リスク項目表」に基づき、各リスク項目の見直しや管理執行状況の報告と評価を行い、その結果を、取締役会へ報告しております。また、一定金額以上の大型投資や、不確実性の高い投資判断を行う場合に執行役員会・取締役会に上程する前に当社に及ぼす影響・リスク等を明らかにすることを目的として、投融資委員会において社内横断的に協議しております。当社グループの事業継続に重大な影響を与えうる主要なリスクは以下の通りとなります。 <主要なリスクの概要と対応策>① コンプライアンスリスクハラスメントや贈賄、不正、インサイダー取引等の法令違反のリスクは、発生した場合、損害賠償だけでなく企業の信用低下や事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは「企業行動規範」において、法令・規則を遵守し、高い倫理観をもって行動することを定めています。さらにコンプライアンス強化を図るため、社長を委員長とする内部統制・コンプライアンス委員会を定期的に開催し、取り組み状況を確認するほか、毎年10月を内部統制・コンプライアンス周知月間と定め、毎回異なったテーマにて法令遵守の啓蒙活動を行っており、全役員・社員、グループ一体でコンプライアンス意識のさらなる徹底とコンプライアンス実践に必要な知識・情報を周知し、コンプライアンスの重要性を再認識する機会としております。 ② 人権に関するリスク人権侵害により国内外の取引先から取引停止や企業の信用低下、賠償、訴訟等が起こるリスクがあり、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、グローバルに事業を展開する企業として、差別・強制労働・児童労働・長時間労働・ハラスメント等の人権課題解決に取り組むことが、企業活動において一層重要であるとの認識の下、「NSユナイテッド海運グループ人権方針」を策定しております。当社は、本方針を開示し、当社の取引先やその他のビジネスパートナーにおいて人権侵害が起きないよう当社の人権方針を理解いただくよう努めております。また、サプライチェーンにおける調達先の皆様とともに、人権・労働基準・環境などの社会的責任にも配慮した責任ある調達活動を推進するため、「サステナブル調達基本方針」、「NSユナイテッド海運グループ調達先向けガイドライン」を策定しています。当社では、関連する取締役および執行役員をメンバーとする人権デューデリジェンス推進チームを設置し、その指揮監督のもと、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」に忠実に、人権尊重の取り組みを進めております。取り組みにあたっては専門的知見を有する外部コンサルタント会社からの助言を定期的に受け、人権デューデリジェンスの取り組みの各フェーズにおいての客観性と正当性の担保に努めています。これらの取り組みは、適時に開示を行うことにより、ステークホルダーの皆様にご理解、ご協力が得られるよう努めています。 ③ サイバーリスク当社グループは業務全般においてコンピュータシステムおよびITネットワークを活用しております。サイバー攻撃、自然災害、オペレーションミス等に起因する重大なサイバーインシデント(情報システムやネットワーク障害、データ改ざんや情報漏洩等)が発生した場合には、当社の信用や営業活動、業績ならびに財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ管理の重要性を十分認識し、ハード面・ソフト面のサイバー攻撃への対応強化やバックアップ体制の構築、「情報セキュリティ基本方針」等社内規程の整備、従業員に向けた教育の実施等の対策を継続的に行っております。また当社はサイバーインシデントを想定した事業継続計画(BCP)を策定しております。 ④ 海難事故リスク当社グループの主要事業である海運業においては、海難事故が発生した場合、人命・貨物・船舶等の損失・損傷リスクや、燃料油・積荷等流失による海洋汚染のリスクがあります。当社グループは海難事故を防止するために「安全管理マニュアル」や「品質管理マニュアル」を、また環境を保全するために「環境マネジメントマニュアル」を策定するとともに、乗組員の教育・研修を実施し、安全運航に努めております。また「海難およびその他の緊急事態対応に関する規程」、「緊急事態対応マニュアル」を策定し、海難事故を想定した緊急対応演習を行うなど万全な体制をとっております。さらに、万一、海難事故が起きた場合でも保険による損失対策を図っていますが、当社負担となる損失が一部発生することがあります。安全運航に向けた当社船舶管理の具体的な取り組みとして、以下の施策を実施しております。 a.ニアミスレポートの活用b.安全キャンペーンc.管理船への訪船・検船による確認d.用船検船および船主安全会議e.安全運航管理体制当社の船舶管理は、主として海務技術、船員配乗、教育・訓練等を担当する部門と、主として船体・機関その他の搭載機器の保守管理を担当する部門が協働して、各船の安全運航管理、危機管理を確実に実施しており、これらの取り組みの実施状況は、社長を委員長とする「安全運航・環境保全推進委員会」を定期的に開催してレビューされております。 また、船員研修チームを中心に、船舶の安全管理および船員教育の強化のため、海外マンニング会社とも連携のうえ業務の効率性と専門性の更なる向上に取り組んでおります。f.DX推進による事故予防 引き続き運航データの有効活用を目指して、船舶管理ソフトの刷新を進めており、2024年度はその準備作業として各種管理記録のデータベース化などを進めました。安全管理の改善に向けた取り組みとともに、海陸労務負担低減の取り組みを継続しています。 ⑤ 公的規制および環境保全に関するリスク当社グループの主要事業である海運業では、設備の安全性や船舶の安全運航のために、国際機関および各国政府の法令、船級協会の規則等の公的規制を受けております。当社グループでは、これらの規制が変更された場合に遵守するための費用が増加する可能性があり、遵守できなかった場合には事業活動が制限され、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。当社グループはこれら安全運航に関する規制に適切に対処しております。また、環境保全に関する規制の強化および社会における重要性の高まりなどにより、その対策費用が増加した場合や当該法令または規制を遵守することが困難となった場合には、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。当社グループは主に以下のような環境規制に対する対応を進めております。これらはいずれも国際連合の海事分野の専門機関である国際海事機関(IMO)が採択し国際条約として制定されているものです。 a.GHG(温室効果ガス:Greenhouse Gas)の排出削減戦略について IMOは2023年にGHG削減戦略を改定し、2050年ごろまでのGHG排出ネットゼロ目標などを盛り込んだ戦略を策定しました。当社グループもIMOの改定戦略に沿う形で、中期、長期の目標を策定しGHGの排出削減を進めます。 2024年3月に公表した中期経営計画「FORWARD 2030 Ⅱ」において、2030年までにGHG年間排出量を2019年比マイナス25%の150万㌧に削減する中期目標を設定しました。目標の達成に向けて投資計画を進めます。 運航船舶の減速運転の徹底や配船の工夫等によるGHG排出削減努力を継続し、加えてバイオディーゼル燃料活用によるGHG削減を目的に、試験的な利用を2022年から開始しています。 また、メタノール二元燃料船の複数隻建造および40万トン型鉱石船への風力補助推進装置の搭載を決定いたしました。引き続きアンモニア等次世代燃料との二元燃料新造船の実現に向けた検討も積極的に行っているほか、燃費改善機器等の搭載やプロペラ換装も運航船舶に順次実施しています。 b.船舶の排出ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)の排出規制についてNOx排出規制は2000年以降に建造された船舶について、その建造年および航行海域により規制が設定されており、当社グループでは規制対象となる船舶については全て認証された低NOx対応のディーゼルエンジンを搭載しております。 c.船舶の排出ガスに含まれるSOx(硫黄酸化物)の排出規制について2020年以降は燃料中の硫黄分が0.5%以下の燃料を使用するよう規制されております。当社グループは、SOx排出を抑制するため、規制に適合した硫黄分0.5%以下の燃料油を船舶に使用するほか、当社グループが所有する大型船舶を中心として、エンジンの排気ガスに含まれるSOxを除去する装置(SOxスクラバー)を搭載しております。 d.バラスト水管理条約への対応について国際航海をする船舶のバラスト水中の海洋生物が船舶の運航に乗じて異国に移動し生態系を乱すことが問題となり、バラスト水処理に関する管理方法が定められ、2017年に施行されております。当社グループは条約の要求に従い運航船へのバラスト水処理装置を搭載しております。 当社グループは、上記の対応による費用増に関しては顧客の理解を得ながら運賃等への反映に努めております。 ⑥ 気候変動リスク深刻化する気候変動回避のため、パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)をはじめとして、世界的にその原因物質とされるGHG排出量削減への取り組みが推進され、企業にも積極的な対応が求められております。当社グループも気候変動を含む環境保全をマテリアリティ(重要課題)に設定しています。持続的な企業価値の向上を目的としてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明、2022年からTCFD提言に基づく情報開示をウェブサイト上で行っています。気候変動に関する将来に向けたシナリオ分析を行う中で、GHG削減のために導入されるであろう政策や規制、燃料転換、新技術導入等による事業コストの増加、化石燃料輸送需要の減少、既存船舶の陳腐化、あるいは対応の遅れによる事業機会の喪失といったリスクがあるものと認識しております。2024年3月に公表した中期経営計画「FORWARD 2030 Ⅱ」において、2030年までの投資計画と共にGHG年間排出量を2019年比マイナス25%の150万㌧に削減する中期目標を設定、環境ロードマップを公表しました。当社グループは「2050年までにカーボンニュートラル実現を目指す」を目標に、今後もGHG排出削減をはじめとする気候変動リスクへの対応能力の向上に努めてまいります。 ⑦ 海運市況変動リスク当社グループの主要事業である海運業の運賃・用船料市況は、世界経済の動向、船腹の需給バランス等の影響を受け、常に変動しております。当社グループは、鉄鋼原料輸送を中心とした長期契約を志向して事業基盤の安定・強化を図っておりますが、市場ニーズに対応するため中短期契約で運航する船舶の比率が一定程度存在するため大幅な市況変動が大きな損失につながる恐れがあり、そのような状況の長期化は当社の事業基盤を損なう可能性があります。 当社グループは、今後も長期契約による事業基盤の安定・強化を図りつつ、適切な船隊ポートフォリオの構築、海外顧客向けビジネスの拡大、内航海運事業との総合力強化等により、市況変動に耐えられるよう不断の体質改善に努めます。 ⑧ 為替変動リスク当社グループの外航海運事業における商取引は、大部分が米ドルその他の外国通貨建てで行われております。従って、当社グループの業績および財務状況は外国為替レートの変動により影響を受けることがあります。当社グループは、為替予約等のヘッジ取引により常に変動する外国為替レートにかかるリスクの影響を一定程度まで低減する方針ですが、必ずしもこれを完全に回避できるものではなく、大幅な外国為替市場の変動により、影響を被ることがあります。 ⑨ 金利変動リスク当社グループは、船舶取得を中心とした設備投資のため、内部資金を充当する他、借入による資金調達を行っております。この借入による資金には変動金利で調達する部分もあり、当社グループでは金利情勢勘案の上、金利固定化等により、金利変動の影響を軽減するよう努めておりますが、将来の金利変動により資金調達コストが変動し、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。また、金利固定化により金利変動の影響を軽減することは、一方で市場金利下落の場合に、それにより生じ得た利益を逸失する可能性があります。また、金利固定化の期間中に条件の変更や対象設備の処分等により途中解約を余儀なくされた場合には、解約料を負担することがあります。 ⑩ 燃料油価格変動リスク当社グループで運航する船舶の燃料油価格は、原油市場の動向を反映して変動するため、当社グループの損益は燃料油価格の変動により影響を受けることがあります。当社グループでは燃料油価格調整条項がある輸送契約の締結や、購入価格が割安となる数量契約を推進することに加えて、購入燃料油の一部に対し、燃料油スワップ等による価格の固定化を行い、価格変動の影響を抑えるための対策をとっております。しかしながら、燃料油価格が急騰する局面では価格固定化を行わない部分につき、損失を被ることがあります。その一方、燃料油価格の下落局面においては、価格固定化を行った部分について、精算損が発生することがあります。 ⑪ 資金調達に関するリスク当社グループは、借入による資金調達を行っておりますが、金利等の市場環境や資金需給の影響を強く受けるため、これらの環境の変化および当社グループの業績の悪化等により、資金調達に影響を受ける可能性があります。当社グループは事業活動継続のため、一定程度の資金を確保するとともに金融機関とのコミットメントライン契約により資金調達の柔軟性を確保しております。 ⑫ 投資計画の進捗に関するリスク当社グループは、船隊整備のための投資計画を有しておりますが、今後の海運市況や金融情勢等によって、これらが計画どおりに進捗しない場合、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。また、技術革新への対応が遅れることによる事業機会の喪失および、新技術の台頭による既存船腹の陳腐化のリスクがあります。当社グループは先進技術導入によりデータやデジタル技術を活用し、輸送の最適化と競争力強化ならびに輸送サービスの環境性能を向上させるよう努めております。 ⑬ 船舶の売却等にかかる損失に関するリスク当社グループは、海運市況により、または船舶の技術革新による陳腐化や公的規制の変更等による使用制限等により、当社グループ保有の船舶を売却する場合があります。また、当社グループが用船する船舶の用船契約を中途解約する場合があります。その結果として、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。 ⑭ 固定資産の減損損失計上に関するリスク当社グループは、事業環境や市場環境の変動によって保有する船舶等の固定資産について減損損失を計上する場合があり、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。 ⑮ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し将来において繰延税金資産の一部または全部が実現できないと判断した場合、或いは税制の変更等によって実効税率が変動した場合、繰延税金資産の一部または全額を取崩し、税金費用を計上することとなり、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。 ⑯ 世界各地の政治・経済情勢・自然災害等によるリスク当社グループの事業活動は、日本を含むアジア、欧米その他の地域に及んでおり、各地域における政治・経済状況や、各地で発生する自然災害等により影響を受ける可能性があります。具体的には以下のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況が影響を受ける可能性があります。 a.不利な政治的または経済的要因b.事業・投資許可、租税、為替管理、独占禁止、通商制限などの公的規制の影響c.他社との合弁事業・提携事業の動向d.戦争、暴動、テロ、海賊、ストライキ、その他の要因による社会的混乱ロシア・ウクライナ情勢や、中東情勢の悪化に伴う紅海・スエズ運河の通航リスク等の今後の動向によって、サプライチェーンの変動や、景気後退により海上荷動きが鈍化し市況軟化等の影響を及ぼす可能性があり、当社としては今後の海上輸送需要の推移を注視し、支配船腹との需給バランスを適切に保つよう注力することで、市況変動への耐性を高めることに努めております。 e.地震、風水害および感染症大規模な災害や感染症の流行等は、当社グループの従業員の生活だけでなく、地域社会や取引先の活動を制限するため、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これら危機的事象に伴う事業中断による事業への影響の極小化ならびに迅速かつ効率的な事業復旧を図るためのオールハザード型事業継続計画(BCP)を策定しております。 当社グループはこれらのリスクに対して内外からの情報収集等を通じてその予防・回避に努めています。 上記のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループのリスク要因は記載事項に限定されるものではありません。

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