事業等のリスク
主なリスクとして、鉄道事業における事故発生が挙げられます。これにより信頼失墜や事業中断による経営への影響が懸念されます。また、集中豪雨や地震などの自然災害による鉄道施設等の損壊や大規模停電も事業継続に大きな影響を与える可能性があります。さらに、感染症の流行は外出自粛や経済活動の制限を通じて、輸送量や商業施設の利用減少を招き、業績に多大な影響を与えるリスクがあります。他事業者との競合激化や人口減少、働き方の変化による輸送量減少も経営に影響を及ぼす可能性があります。
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FY2025|7,622 文字
3 【事業等のリスク】 当社グループでは、各事業に共通・特有のリスクの回避・低減に取り組んでおります。具体的には、毎年事業全体のリスクを外部の知見や社内の意見等をもとに洗い出し、発生頻度及び影響度を踏まえた分析・評価を行ったうえでその年度の重要リスクを定め、回避・低減策を検討・実施しております。このように、PDCAサイクルを回してリスクの見直し等を図り、取締役会でリスク回避・低減に向けた取組みの達成度・進捗をモニタリングするとともに今後の方針について検討を行い、リスクマネジメントの実効性を確保しております。 今後、当社グループが変革のスピードアップをめざして収益力の向上や経営体質の抜本的強化に取り組むためには、リスクを損失回避等のマイナス要素を減らす観点から捉えるだけでなく、リスクテイクも含め、当社グループの価値を積極的に向上させる観点を含めた「幅広いリスクマネジメント」が重要です。 これにより、安定的で適正な業務の運営の確保に加えて、当社グループ社員の成長に向けた果敢なチャレンジを支援・促進してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 鉄道事業における事故等の発生 鉄道事業において事故等が発生した場合、当社グループに対するお客さまの信頼や社会的評価が失墜するだけでなく、お客さまへの補償や事故等の影響による事業の中断等により経営に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面から安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、会社発足時から8回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2028~本質をふまえ、想定外も想像して安全を先取る~」に基づき施策を着実に実施しました。 具体的には、当社グループに起因する鉄道運転事故を防止するため、自動列車停止装置(ATS-P)整備などの列車脱線事故等の対策や、駅や車両基地等の屋根の落下対策などの基幹設備の強靭化を進めました。 踏切事故対策については、踏切の整理統廃合、踏切支障報知装置の増設や障害物検知装置の高機能化等を進めるとともに、警察や道路管理者等と連携し「踏切事故0(ゼロ)運動」として踏切通行者等への啓発活動を行いました。 また、ホームにおけるお客さまと列車の接触や線路への転落を防止する対策として、東京圏在来線の主要路線330駅758番線へのホームドアの整備を進めており、2024年度末現在、線区単位の140駅288番線に整備が完了しました。また、他の鉄道社局と合同で「プラットホーム事故0運動」等の啓発活動を実施しました。 当社グループを取り巻く環境は、自然災害の激甚化・頻発化、人口減少、DXの進展など、激しく変化しています。これらの変化に対応するために、築いてきた「安全文化」や安全の「しくみ」「設備」など、安全の基盤を強固にし「これまでは想定外であったリスク」を本質の理解により想像し、安全を先取る取組みを進め「究極の安全」を追求してまいります。 (2) 気候変動及び自然災害等 近年、集中豪雨や大型化した台風などの異常気象リスクが高まっております。これらの集中豪雨や台風だけでなく、大規模地震・津波、洪水、火山といった自然災害等によって、当社グループの鉄道及び関連施設等が損壊し、大きな被害を受ける可能性があります。また、自然災害等に起因する大規模停電により、鉄道の運行を継続できない可能性があります。さらに、大規模災害時においてサプライヤーの被災や配送網の寸断により事業継続に必要な物品の安定的な供給を受けることができなくなることも考えられます。 自然災害に対するリスクの低減として、当社グループは次の取組みを進めています。大規模地震対策として、高架橋柱や電柱等の耐震補強を進めるとともに、走行中の列車を早く止める早期地震検知システムを導入しています。また、新幹線は脱線後被害軽減を目的に車両の逸脱防止対策の整備と改良を進めています。局地的大雨に対しては、詳細に雨を把握し運転規制を行う「レーダ雨量規制」を従来の運転規制に追加して在来線全線区に導入し、浸水対策としては「車両疎開判断支援システム」を浸水の可能性のある車両留置箇所に導入しています。また、各種自然災害発生時の対応力を向上するための訓練を定期的に実施しています。今後も「グループ安全計画2028」に基づき、自然災害に対するリスク低減の取組みを進めてまいります。 一方、自然災害等による大規模停電に備えて、主要なターミナル駅などにおける非常用発電機の運転時間の長時間化を進めております。さらに、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取組みを進めております。 (3) 感染症の発生等 重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客さまの外出自粛、社員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。 新型コロナウイルス感染症が国内外で拡大した際には、政府から緊急事態宣言が発令され、経済活動の制限や外出の自粛等が要請されました。これに伴い、鉄道の輸送量の大幅な減少、当社グループの商業施設の休業や利用者の減少等が発生したほか、海外からの入国制限等によりインバウンド需要が減少し、当社グループの業績は大きな影響を受けました。当社グループでは、政府のガイドラインに基づき、駅への消毒液の設置や機器設備の消毒・清掃、列車内の換気、駅や列車内における混雑情報の提供を行うとともに、社員等のマスク着用等による感染拡大防止を再徹底してきました。今後も社会に影響を与えるような感染症の発生・拡大に際しては、政府・自治体等と連携しながら、お客さまの安全・安心の確保を最優先に、適切な輸送を確保するため必要な措置を講じてまいります。 (4) 他事業者等との競合及び外部環境の変化 当社グループは、鉄道事業において他の鉄道及び航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合関係にあるほか、生活ソリューションにつながる事業においても、既存及び新規の事業者と競合しております。これらに加え、外部環境の変化の加速や、当社グループではコントロールできない要因などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 鉄道事業においては、格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路の拡充、自動運転技術の実用化などによる交通市場の競争激化や人口減少、少子高齢化の進行、在宅勤務などの働き方改革の浸透等により、輸送量が減少し、同事業の収益等に影響を与える可能性があります。また、採用難による人材不足や資材の供給不安などにより、事業の正常な運営に影響を与える可能性があります。 このような中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」及び2020年9月に発表した「変革のスピードアップ」において、MaaSや「えきねっと」をはじめ、移動のシームレス化と多様なサービスのワンストップ化を推進し、お客さまのあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済等のサービスを提供するほか、テレワークやワーケーションに適した施設や商品の拡充、オフピーク定期券やオフピークポイント・リピートポイントサービス等で多様化する生活スタイルへの対応を加速させていくなど、経営環境の変化を先取りした新たな価値を社会に提供していくことをめざし取り組んでおります。また、ワンマン運転の拡大、将来の自動運転やドライバレス運転の実現、設備のスリム化の推進、メンテナンス業務の仕組みの見直しといった、技術革新・生産性向上に取り組むことにより、鉄道事業を質的に変革してまいります。そのほか、安定した人材確保に向けたグループ全体での採用活動や、安定調達を継続するための新たなサプライヤーの開拓などにも取り組んでおります。 (5) 犯罪・テロ行為及び情報システム障害等の発生 犯罪・テロ行為の発生により、当社の鉄道事業等における安全性が脅かされる可能性があります。 当社グループでは、鉄道のセキュリティ強化に向け、車内の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施しているほか、新幹線・在来線のすべての車両や主要駅等に防犯・護身用具を配備する等の対策を実施しております。 また、当社グループは、モビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、日常より情報システムの機能向上やセキュリティの常時監視、関係する社員の教育など、障害対策及びセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の厳正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 企業不祥事 当社グループは、モビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定し、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を実施しております。また、社員教育では、他企業や身近で発生した不適切事象を取り上げ未然防止に取り組むとともに、内部通報窓口の周知を行っています。2024年9月に車両の輪軸組立作業における不適切な取扱いが判明したことなどを踏まえ、当社及びグループ会社において、本事象を社員教育のグループ共通テーマに設定し、同種事象の再発防止を図るとともに、外部機関との連携によるJR東日本グループコンプライアンス意識調査を実施しております。本調査で得られた結果をもとに課題等の抽出や改善策の検討などに活用することで、コンプライアンス施策のさらなる推進をめざしてまいります。 (7) 国内外の経済情勢等の変化 国内外の経済情勢の変化や、金利・為替・物価等の動向などにより、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性がある他、サプライチェーン上の問題により社会的評価が失墜する可能性があります。 日本経済及び世界経済の情勢は、経済的要因だけではなく、戦争やテロ行為等の地政学的リスク、世界的な感染症の流行及び大規模な自然災害等により影響を受ける可能性があります。このような事象が発生した場合、経済の低迷が長期化し、当社グループのモビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる事業などの様々な業務分野において、需要が減少する可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストや資金調達コストが上昇し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。さらに、グローバル化したサプライチェーンは様々な要因により寸断される可能性がある他、人権課題の多様化・複雑化により調達活動に影響が生じる可能性があります。 当社グループは、経費全般にわたるコストダウンに努めていくとともに、生活ソリューション関連の事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」にしていくなど、経営体質を抜本的に強化してまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。資金調達コストの上昇については、債務償還額の平準化及び債務の長期化、債務の円建払いや支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動リスク・為替変動リスクを抑制しております。サプライチェーンを維持し、寸断を回避するため取引先とのコミュニケーションを強化するとともに、複数のサプライヤーから調達ができるように取組みを進めています。人権問題等については、当社グループ調達方針に基づき浸透を図る取組みに努めてまいります。 (8) 海外での事業展開 海外での事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの遵守に関する意識の違い及びそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。海外で政治リスクや遅延リスク等が顕在化すると債権回収に影響をおよぼすことがあるため、プロジェクトごとにきめ細やかな収支管理を行っています。現に、政変や紛争等によるリスクが顕在化していますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合に当社グループの財政状態及び経営成績、またグループ社員の身の安全に影響を与えることのないよう、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めております。 (9) 特有の法的規制① 鉄道事業に対する法的規制 当社は、「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めに基づき事業運営を行っており、鉄道事業者は営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とされております。また、旅客の運賃及び新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。さらに、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。 これらの手続きが変更される場合、又は何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。この考えに基づき、鉄道に求められる社会的な役割や多様化するお客さまのニーズにお応えし、今後も鉄道事業をサステナブルに運営していくため、2024年12月に鉄道旅客運賃の上限変更認可申請を実施しました。新幹線自由席料金の届出化やインフレにタイムリーに対応できるしくみの導入など、シンプルかつ柔軟な制度の実現や総括原価方式そのものの見直しも、引き続き国に要望していきます。 なお、当社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)」の平成13年改正により、同法の適用対象からは除外されているものの、同法の改正附則に基づき「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等が定められております。指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項 指針に定められているこれらの事項については、当社は、従来から十分留意した事業運営を行っております。しかしながら、鉄道を取り巻く環境は当時から大きく変化していることから、これらが経営に及ぼす影響を踏まえ、必要により柔軟な運用について関係者のご理解を求めていく考えです。 ② 整備新幹線 日本国有鉄道の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)及び東北新幹線(盛岡市~青森市)の2路線の整備新幹線の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。 「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、整備新幹線の貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税及び同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。このうち受益については、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなり、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は原則定額とされております。 貸付けから30年経過後の取扱いについては、協議により新たに定めることになっております。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりです。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 2027年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 2044年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 2032年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 2040年度
FY2024|7,335 文字
3 【事業等のリスク】 当社グループでは、各事業に共通・特有のリスクの回避・低減に取り組んでおります。具体的には、毎年事業全体のリスクを外部の知見や社内の意見等をもとに洗い出し、発生頻度および影響度を踏まえた分析・評価を行ったうえでその年度の重要リスクを定め、回避・低減策を検討・実施しております。このように、PDCAサイクルを回してリスクの見直し等を図り、取締役会でリスク回避・低減に向けた取組みの達成度・進捗をモニタリングするとともに今後の方針について検討を行い、リスクマネジメントの実効性を確保しております。 今後、グループが変革のスピードアップをめざして収益力の向上や経営体質の抜本的強化に取り組むためには、リスクを損失回避等のマイナス要素を減らす観点から捉えるだけでなく、リスクテイクも含め、グループの価値を積極的に向上させる観点を含めた「幅広いリスクマネジメント」が重要です。 これにより、安定的で適正な業務の運営の確保に加えて、グループ社員の成長に向けた果敢なチャレンジを支援・促進してまいります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 鉄道事業における事故等の発生 鉄道事業において事故等が発生した場合、当社グループに対するお客さまの信頼や社会的評価が失墜するだけでなく、お客さまへの補償や事故等の影響による事業の中断等により経営に重大な影響を与える可能性があります。 当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面から安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、会社発足時から7回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」に基づき施策を着実に実施しました。 具体的には、当社グループに起因する鉄道運転事故を防止するため、自動列車停止装置(ATS-P)整備などの列車脱線事故等の対策や、駅や車両基地等の屋根の落下対策などの基幹設備の強靭化を進めました。 踏切事故対策については、踏切の整理統廃合を進めるとともに、踏切支障報知装置の増設や障害物検知装置の高機能化等を行いました。ホームドアについては、2023年度末までに線区単位の117駅233番線に整備が完了しました。鉄道駅バリアフリー料金の活用等により、2031年度末頃までに東京圏在来線の主要路線330駅758番線の整備をめざしていきます。 2023年11月には、8回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2028~本質をふまえ、想定外も想像して安全を先取る~」を策定しました。当社グループを取り巻く環境は、人口減少、自然災害の激甚化・頻発化など、激しく変化しています。これらの変化に対応するために、築いてきた「安全文化」や安全の「しくみ」「設備」など、安全の基盤を強固にし「これまでは想定外であったリスク」を本質の理解により想像し、安全を先取る取組みを進め「究極の安全」をめざしてまいります。 (2) 気候変動および自然災害等 近年、集中豪雨や大型化した台風などの異常気象リスクが高まっております。これらの集中豪雨や台風だけでなく、大規模地震・津波、洪水、火山といった自然災害等によって、当社グループの鉄道および関連施設等が損壊し、大きな被害を受ける可能性があります。また、自然災害等に起因する大規模停電により、鉄道の運行を継続できない可能性があります。さらに、大規模災害時においてサプライヤーの被災や配送網の寸断により事業継続に必要な物品の安定的な供給を受けることができなくなることも考えられます。 自然災害に対するリスクの低減として、当社グループは次の取組みを進めています。大規模地震対策として、新幹線高架橋柱や新幹線電柱の耐震補強を進めています。さらに新幹線の線路からの逸脱防止対策の改良にも取組んでまいります。局地的大雨に対しては、詳細に雨を把握し運転規制を行う「レーダ雨量規制」を従来の運転規制に追加して在来線全線区に導入し、浸水対策としては「車両疎開判断支援システム」を浸水の可能性のある車両留置箇所に導入しています。また、津波・火山噴火については、発生時の対応力を向上するための訓練を実施しています。今後も「グループ安全計画2028」に基づき、自然災害に対するリスク低減の取組みを進めてまいります。 一方、自然災害等による大規模停電に備えて、主要なターミナル駅などにおける非常用発電機の運転時間の長時間化を進めております。さらに、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取組みを進めております。 (3) 感染症の発生等 重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客さまの外出自粛、社員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態および経営成績に多大な影響を与える可能性があります。 新型コロナウイルス感染症が国内外で拡大した際には、政府から緊急事態宣言が発令され、経済活動の制限や外出の自粛等が要請されました。これに伴い、鉄道の輸送量の大幅な減少、当社グループの商業施設の休業や利用者の減少等が発生したほか、海外からの入国制限等によりインバウンド需要が減少し、当社グループの業績は大きな影響を受けました。当社グループでは、政府のガイドラインに基づき、駅への消毒液の設置や機器設備の消毒・清掃、列車内の換気、駅や列車内における混雑情報の提供を行うとともに、社員等のマスク着用等による感染拡大防止を再徹底してきました。今後も社会に影響を与えるような感染症の発生・拡大に際しては、政府・自治体等と連携しながら、お客さまの安全・安心の確保を最優先に、適切な輸送を確保するため必要な措置を講じてまいります。 (4) 他事業者等との競合および外部環境の変化 当社グループは、鉄道事業において他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合関係にあるほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これらに加え、外部環境の変化の加速や、当社グループではコントロールできない要因などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。 鉄道事業においては、格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路の拡充、自動運転技術の実用化などによる交通市場の競争激化や人口減少、少子高齢化の進行、在宅勤務などの働き方改革の浸透等により、輸送量が減少し、同事業の収益等に影響を与える可能性があります。また、採用難による人材不足や資材の供給不安などにより、事業の正常な運営に影響を与える可能性があります。 このような中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」および2020年9月に発表した「変革のスピードアップ」において、MaaSや「えきねっと」をはじめ、移動のシームレス化と多様なサービスのワンストップ化を推進し、お客さまのあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済等のサービスを提供するほか、テレワークやワーケーションに適した施設や商品の拡充、オフピーク定期券やオフピークポイント・リピートポイントサービス等で多様化する生活スタイルへの対応を加速させていくなど、経営環境の変化を先取りした新たな価値を社会に提供していくことをめざし取り組んでおります。また、ワンマン運転の拡大、将来の自動運転やドライバレス運転の実現、設備のスリム化の推進、メンテナンス業務の仕組みの見直しといった、技術革新・生産性向上に取り組むことにより、鉄道事業を質的に変革してまいります。そのほか、安定した人材確保に向けたグループ全体での採用活動や、安定調達を継続するための新たなサプライヤーの開拓などにも取り組んでおります。 (5) 犯罪・テロ行為および情報システム障害等の発生 犯罪・テロ行為の発生により、当社の鉄道事業等における安全性が脅かされる可能性があります。 当社グループでは、鉄道のセキュリティ強化に向け、車両の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施しているほか、新幹線車両や主要駅等に防犯・護身用具を配備する等の対策を実施しております。 また、当社グループは、モビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、日常より情報システムの機能向上やセキュリティの常時監視、関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の厳正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 企業不祥事 当社グループは、モビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めております。さらに、全社員に対して内部通報窓口の周知等を行うなど、コンプライアンスの確保に努めるとともに、他企業で発生した事象に類似する不祥事の防止に取り組んでおります。 (7) 国内外の経済情勢等の変化 国内外の経済情勢の変化や、金利・為替・物価等の動向などにより、当社グループの財政状態および経営成績が影響を受ける可能性がある他、サプライチェーン上の問題により社会的評価が失墜する可能性があります。 日本経済および世界経済の情勢は、経済的要因だけではなく、戦争やテロ行為等の地政学的リスク、世界的な感染症の流行および大規模な自然災害等により影響を受ける可能性があります。このような事象が発生した場合、経済の低迷が長期化し、当社グループのモビリティに関する事業と生活ソリューションにつながる事業などの様々な業務分野において、需要が減少する可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストや資金調達コストが上昇し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。さらに、グローバル化したサプライチェーンは様々な要因により寸断される可能性がある他、人権課題の多様化・複雑化により調達活動に影響が生じる可能性があります。 当社グループは、経費全般にわたるコストダウンに努めていくとともに、生活ソリューション関連の事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」にしていくなど、経営体質を抜本的に強化してまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。資金調達コストの上昇については、債務償還額の平準化および債務の長期化、債務の円建払いや支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動リスク・為替変動リスクを抑制しております。サプライチェーンを維持し、寸断を回避するため取引先とのコミュニケーションを強化するとともに、複数のサプライヤーから調達ができるように取組みを進めています。人権問題等については、当社グループ調達方針に基づき浸透を図る取組みに努めてまいります。 (8) 海外での事業展開 当社グループは、社員が活躍・成長する場を海外においても提供しており、国際事業に従事することを通じてグローバル人材の育成に努めています。当社グループがこれまで培ってきた技術・ノウハウ等を生かした製品・サービス等を海外で展開して、新たな事業の柱を確立することをめざしています。 国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの遵守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。海外で政治リスクや遅延リスク等が顕在化すると債権回収に影響をおよぼすことがあるため、プロジェクトごとにきめ細やかな収支管理を行っています。現に、政変や紛争等によるリスクが顕在化していますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合に当社グループの財政状態および経営成績、またグループ社員の身の安全に影響を与えることのないよう、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めております。 (9) 特有の法的規制① 鉄道事業に対する法的規制 当社は、「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めに基づき事業運営を行っており、鉄道事業者は営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とされております。また、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。さらに、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。 これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。 なお、当社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)」の平成13年改正により、同法の適用対象からは除外されているものの、同法の改正附則に基づき「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等が定められております。指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項 指針に定められているこれらの事項については、当社は、従来から十分留意した事業運営を行っております。しかしながら、鉄道を取り巻く環境は当時から大きく変化していることから、これらが経営に及ぼす影響を踏まえ、必要により柔軟な運用について関係者のご理解を求めていく考えです。 ② 整備新幹線 日本国有鉄道の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の2路線の整備新幹線の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。 「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、整備新幹線の貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなり、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は原則定額とされております。 貸付けから30年経過後の取扱いについては、協議により新たに定めることになっております。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりです。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 2027年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 2044年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 2032年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 2040年度
FY2023|7,085 文字
3 【事業等のリスク】当社グループでは、各事業に共通・特有のリスクの回避・低減に取り組んでおります。具体的には、毎年事業全体のリスクを外部の知見や社内の意見等をもとに洗い出し、発生頻度および影響度を踏まえた分析・評価を行ったうえでその年度の重要リスクを定め、回避・低減策を検討・実施しております。このように、PDCAサイクルを回してリスクの見直し等を図り、取締役会でリスク回避・低減に向けた取組みの達成度・進捗をモニタリングするとともに今後の方針について検討を行い、リスクマネジメントの実効性を確保しております。今後、グループが変革のスピードアップをめざして収益力の向上や経営体質の抜本的強化に取り組むためには、リスクを損失回避等のマイナス要素を減らす観点から捉えるだけでなく、リスクテイクも含め、グループの価値を積極的に向上させる観点を含めた「幅広いリスクマネジメント」が重要です。これにより、安定的で適正な業務の運営の確保に加えて、グループ社員の成長に向けた果敢なチャレンジを支援・促進してまいります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 鉄道事業における事故等の発生鉄道事業において事故等が発生した場合、当社グループに対するお客さまの信頼や社会的評価が失墜するだけでなく、お客さまへの補償や事故等の影響による事業の中断等により経営に重大な影響を与える可能性があります。当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面から安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、会社発足時から7回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」に基づき施策を着実に実施しました。具体的には、当社グループに起因する鉄道運転事故を防止するため、自動列車停止装置(ATS-P)整備などの列車脱線事故等の対策や、駅や車両基地等の屋根の落下対策などの基幹設備の強靭化を進めました。 踏切事故対策については、踏切の整理統廃合を進めるとともに、踏切支障報知装置の増設や障害物検知装置の高機能化等を行いました。ホームドアについては、2022年度末までに線区単位の99駅197番線に整備が完了し、2023年度は線区単位の12駅24番線の整備を見込んでいます。また鉄道駅バリアフリー料金の活用等により、ホームドア整備の早期展開をめざします。当社グループでは「グループ安全計画2023」に基づき、内外の環境の変化を踏まえ、変化に的確に対応するとともに、新たな技術を積極的に活用するなどの取組みにより、引き続き「究極の安全」をめざしてまいります。 (2) 気候変動および自然災害等近年、集中豪雨や大型化した台風などの異常気象リスクが高まっております。これらの集中豪雨や台風だけでなく、大規模地震、洪水といった自然災害等によって、当社グループの鉄道および関連施設等が損壊し、大きな被害を受ける可能性があります。また、自然災害等に起因する大規模停電により、鉄道の運行を継続できない可能性があります。さらに、大規模災害時においてサプライヤーの被災や配送網の寸断により事業継続に必要な物品の安定的な供給を受けることができなくなることも考えられます。当社グループは、「グループ安全計画2023」に基づき、自然災害に対するリスクの着実な低減に努めております。具体的には、地震対策については、首都直下地震等を想定したさらなる耐震補強を進め、対象エリア・設備を拡げるなど、継続的なリスク低減に取り組んでおります。また、列車緊急停止対策や列車の線路からの逸脱防止対策も行っております。浸水対策については、「車両疎開判断支援システム」を浸水の可能性のある車両留置箇所全80箇所に導入し、車両避難の訓練を実施する等、リスク低減の取組みを推進しています。一方、自然災害等による大規模停電に備えて、主要なターミナル駅などにおける非常用発電機の運転時間の長時間化を進めております。さらに、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取組みを進めております。 (3) 感染症の発生等重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客さまの外出自粛、社員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態および経営成績に多大な影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症が国内外で拡大した際には、政府から緊急事態宣言が発令され、経済活動の制限や外出の自粛等が要請されました。これに伴い、鉄道の輸送量の大幅な減少、当社グループの商業施設の休業や利用者の減少等が発生したほか、海外からの入国制限等によりインバウンド需要が減少し、当社グループの業績は大きな影響を受けました。当社グループでは、政府のガイドラインに基づき、駅への消毒液の設置や機器設備の消毒・清掃、列車内の換気、駅や列車内における混雑情報の提供を行うとともに、社員等のマスク着用等による感染拡大防止を再徹底してきました。今後も社会に影響を与えるような感染症の発生・拡大に際しては、政府・自治体等と連携しながら、お客さまの安全・安心の確保を最優先に、適切な輸送を確保するため必要な措置を講じてまいります。 (4) 他事業者等との競合および外部環境の変化当社グループは、鉄道事業において他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合関係にあるほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これらに加え、外部環境の変化が加速することで、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路の拡充、自動運転技術の実用化などによる交通市場の競争激化や人口減少、少子高齢化の進行、在宅勤務などの働き方改革の浸透等により、輸送量が減少し、同事業の収益等に影響を与える可能性があります。また、採用難による人材不足や資材の供給不安などにより、事業の正常な運営に影響を与える可能性があります。このような中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」および2020年9月に発表した「変革のスピードアップ」において、MaaSや「えきねっと」をはじめ、移動のシームレス化と多様なサービスのワンストップ化を推進し、お客さまのあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済等のサービスを提供するほか、テレワークやワーケーションに適した施設や商品の拡充、オフピークポイント・リピートポイントサービス等で多様化する生活スタイルへの対応を加速させていくなど、経営環境の変化を先取りした新たな価値を社会に提供していくことをめざし取り組んでおります。また、ワンマン運転の拡大、将来の自動運転やドライバレス運転の実現、設備のスリム化の推進、メンテナンス業務の仕組みの見直しといった、技術革新・生産性向上に取り組むことにより、鉄道事業を質的に変革してまいります。そのほか、安定した人材確保に向けたグループ全体での採用活動や、安定調達を継続するための新たなサプライヤーの開拓などにも取り組んでおります。 (5) 犯罪・テロ行為および情報システム障害等の発生犯罪・テロ行為の発生により、当社の鉄道事業等における安全性が脅かされる可能性があります。当社グループでは、鉄道のセキュリティ強化に向け、車両の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施しているほか、新幹線車両や主要駅等に防犯・護身用具を配備する等の対策を実施しております。また、当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上やセキュリティの常時監視、関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の厳正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 企業不祥事当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めております。さらに、全社員に対して内部通報窓口の周知等を行うなど、コンプライアンスの確保に努めるとともに、他企業で発生した事象に類似する不祥事の防止に取り組んでおります。 (7) 国内外の経済情勢等の変化国内外の経済情勢の変化や、金利・為替・物価等の動向などにより、当社グループの財政状態および経営成績が影響を受ける可能性がある他、サプライチェーン上の問題により社会的評価が失墜する可能性があります。日本経済および世界経済の情勢は、経済的要因だけではなく、戦争やテロ行為等の地政学的リスク、世界的な感染症の流行および大規模な自然災害等により影響を受ける可能性があります。このような事象が発生した場合、経済の低迷が長期化し、当社グループの鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、需要が減少する可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストや資金調達コストが上昇し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。さらに、グローバル化したサプライチェーンは様々な要因により寸断される可能性がある他、人権課題の多様化・複雑化により調達活動に影響が生じる可能性があります。 当社グループは、経費全般にわたるコストダウンに努めていくとともに、生活サービス事業およびIT・Suica事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」にしていくなど、経営体質を抜本的に強化してまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。資金調達コストの上昇については、債務償還額の平準化および債務の長期化、債務の円建払いや支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動リスク・為替変動リスクを抑制しております。サプライチェーンを維持し、寸断を回避するため取引先とのコミュニケーションを強化するとともに、複数のサプライヤーから調達ができるように取組みを進めています。人権問題等については、当社グループ調達方針を定め浸透を図る取組みに努めてまいります。 (8) 国際事業当社グループは、社員が活躍・成長する場を海外においても提供しており、国際事業に従事することを通じてグローバル人材の育成に努めています。当社グループがこれまで培ってきた技術・ノウハウ等を生かした製品・サービス等を海外で展開して、新たな事業の柱を確立することを目指しています。国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制•税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの遵守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。海外で政治リスクや遅延リスク等が顕在化すると債権回収に影響をおよぼすことがあるため、プロジェクトごとにきめ細やかな収支管理を行っています。現に、政変や紛争、資源エネルギー価格の高騰、世界的なインフレーション等によるリスクが顕在化していますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合に当社グループの財政状態および経営成績、またグループ社員の身の安全に影響を与えることのないよう、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めております。 (9) 特有の法的規制① 鉄道事業に対する法的規制当社は、「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めに基づき事業運営を行っており、鉄道事業者は営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とされております。また、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。さらに、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。なお、当社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)」の平成13年改正により、同法の適用対象からは除外されているものの、同法の改正附則に基づき「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等が定められております。指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項指針に定められているこれらの事項については、当社は、従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。 ② 整備新幹線日本国有鉄道の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の2路線の整備新幹線の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、整備新幹線の貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなり、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は原則定額とされております。貸付けから30年間経過後の取扱いについては、協議により新たに定めることになっており、現在の貸付料から変動する可能性があります。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりです。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 2027年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 2044年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 2032年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 2040年度
FY2022|7,172 文字
2 【事業等のリスク】当社グループでは、各事業に共通・特有のリスクの回避・低減に取り組んでおります。具体的には、毎年事業全体のリスクを外部の知見や社内の意見等をもとに洗い出し、発生頻度および影響度を踏まえた分析・評価を行ったうえでその年度の重要リスクを定め、回避・低減策を検討・実施しております。このように、PDCAサイクルを回してリスクの見直し等を図り、取締役会でリスク回避・低減に向けた取組みの達成度・進捗をモニタリングするとともに今後の方針について検討を行い、リスクマネジメントの実効性を確保しております。今後、グループが変革のスピードアップをめざして収益力の向上や経営体質の抜本的強化に取り組むためには、リスクを損失回避等のマイナス要素を減らすものとして捉えるだけでなく、リスクテイクも含め、グループの価値を積極的に向上させる観点での「幅広いリスクマネジメント」が重要です。これにより、安定的で適正な業務の運営の確保に加えて、グループ社員の成長に向けた果敢なチャレンジを支援・促進してまいります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 鉄道事業における事故等の発生鉄道事業において事故等が発生した場合、当社グループに対するお客さまの信頼や社会的評価が失墜するだけでなく、お客さまへの補償や事故等の影響による事業の中断等により経営に重大な影響を与える可能性があります。当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面から安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、会社発足時から7回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」に基づき施策を着実に実施しました。 具体的には、当社グループに起因する鉄道運転事故を防止するため、自動列車停止装置(ATS-P)整備などの列車脱線事故等の対策や、旅客・電車庫等の上家落下対策などの基幹設備の強靭化を進めました。 踏切事故対策については、踏切の整理統廃合を進めるとともに、踏切支障報知装置の増設や障害物検知装置の高機能化等を行いました。ホームドアについては、2021年度末までに線区単位の92駅183番線に整備が完了し、2022年度は線区単位の7駅14番線の整備を見込んでいます。また、工期短縮やコストダウンを実現した「スマートホームドア®」については、2021年度末までに21駅42番線に整備を行い、引き続き積極的に「スマートホームドア®」を導入することによりホームドア整備の早期展開をめざします。 当社グループでは「グループ安全計画2023」に基づき、内外の環境の変化を踏まえ、変化に的確に対応するとともに、新たな技術を積極的に活用するなどの取組みにより、引き続き「究極の安全」をめざしてまいります。 (2) 気候変動および自然災害等近年、集中豪雨や大型化した台風などの異常気象リスクが高まっております。これらの集中豪雨や台風だけでなく、大規模地震、洪水といった自然災害等によって、当社グループの鉄道および関連施設等が損壊し、大きな被害を受ける可能性があります。また、自然災害等に起因する大規模停電により、鉄道の運行を継続できない可能性があります。さらに、大規模災害時においてサプライヤーの被災や配送網の寸断により事業継続に必要な物品の安定的な供給を受けることができなくなることも考えられます。当社グループは、「グループ安全計画2023」に基づき、自然災害に対するリスクの着実な低減に努めております。具体的には、地震対策については、首都直下地震等を想定したさらなる耐震補強を進め、対象エリア・設備を拡げるなど、継続的なリスク低減に取り組んでおります。浸水対策については、「車両疎開判断支援システム」を浸水の可能性のある車両留置箇所全78箇所に導入し、車両避難の訓練を実施する等、リスク低減の取組みを推進しています。一方、自然災害等による大規模停電に備えて、主要なターミナル駅などにおける非常用発電機の運転時間の長時間化を進めております。さらに、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取組みを進めております。 (3) 感染症の発生等重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客さまの外出自粛、社員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態および経営成績に多大な影響を与える可能性があります。2020年以降、新型コロナウイルス感染症が国内外で拡大し、日本国内でも4回にわたり政府から緊急事態宣言が発令され、経済活動の制限や外出の自粛等が要請されました。これに伴い、鉄道の輸送量の大幅な減少、当社グループの商業施設の休業、ホテルの利用者の減少等が発生しているほか、海外からの入国制限等によりインバウンド需要が減少しており、当社グループの業績にも大きな影響を与えております。当社グループでは、新型コロナウイルス感染予防に向けてガイドラインに基づき取り組んでおり、お客さまの安全・安心の確保を最優先に、駅への消毒液の設置や機器設備の消毒・清掃、列車内の換気、駅や列車内における混雑情報の提供を行うとともに、社員等のマスク着用等による感染拡大防止を再徹底し、政府・自治体等と連携しながら、適切な輸送を確保できるよう必要な措置を講じております。 (4) 他事業者等との競合および外部環境の変化当社グループは、鉄道事業において他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合関係にあるほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これらに加え、外部環境の変化が加速することで、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路の拡充、自動運転技術の実用化などによる交通市場の競争激化や人口減少、少子高齢化の進行、在宅勤務などの働き方改革の浸透等により、輸送量が減少し、同事業の収益等に影響を与える可能性があります。また、採用難による人材不足や資材の供給不安などにより、事業の正常な運営に影響を与える可能性があります。このような中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」および2020年9月に発表した「変革のスピードアップ」において、MaaSや「えきねっと」をはじめ、移動のシームレス化と多様なサービスのワンストップ化を推進し、お客さまのあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済等のサービスを提供するほか、テレワークやワーケーションに適した施設や商品の拡充、オフピークポイント・リピートポイントサービス等で多様化する生活スタイルへの対応を加速させていくなど、経営環境の変化を先取りした新たな価値を社会に提供していくことをめざし取り組んでおります。また、ワンマン運転の拡大、将来の自動運転やドライバレス運転の実現、設備のスリム化の推進、メンテナンス業務の仕組みの見直しといった、技術革新・生産性向上に取り組むことにより、輸送サービス事業を質的に変革してまいります。そのほか、安定した人材確保に向けたグループ全体での採用活動や、安定調達を継続するための新たなサプライヤーの開拓などにも取り組んでおります。 (5) 犯罪・テロ行為および情報システム障害等の発生犯罪・テロ行為の発生により、当社の鉄道事業等における安全性が脅かされる可能性があります。当社グループでは、鉄道のセキュリティ強化に向け、車両の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施しているほか、新幹線車両や主要駅等に防犯・護身用具を配備する等の対策を実施しております。また、当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上やセキュリティの常時監視、関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の厳正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 企業不祥事当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めております。さらに、全社員に対して内部通報窓口の周知等を行うなど、コンプライアンスの確保に努めるとともに、他企業で発生した事象に類似する不祥事の防止に取り組んでおります。 (7) 国内外の経済情勢等の変化国内外の経済情勢の変化や、金利・為替・物価等の動向などにより、当社グループの財政状態および経営成績が影響を受ける可能性がある他、サプライチェーン上の問題により社会的評価が失墜する可能性があります。日本経済および世界経済の情勢は、経済的要因だけではなく、戦争やテロ行為等の地政学的リスク、世界的な感染症の流行および大規模な自然災害等により影響を受ける可能性があります。このような事象が発生した場合、経済の低迷が長期化し、当社グループの鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、需要が減少する可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストや資金調達コストが上昇し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。さらに、グローバル化したサプライチェーンは様々な要因により寸断される可能性がある他、人権課題の多様化・複雑化により調達活動に影響が生じる可能性があります。 当社グループは、経費全般にわたるコストダウンに努めていくとともに、生活サービス事業およびIT・Suica事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」にしていくなど、経営体質を抜本的に強化してまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。資金調達コストの上昇については、債務償還額の平準化および債務の長期化、債務の円建払いや支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動リスク・為替変動リスクを抑制しております。サプライチェーンを維持し、寸断を回避するため取引先とのコミュニケーションを強化するとともに、複数のサプライヤーから調達ができるように取組みを進めています。人権問題等については、当社グループ調達方針を定め浸透を図る取組みに努めてまいります。 (8) 国際事業当社グループは、これまで蓄積した技術・ノウハウ等を海外で活用し、将来の成長に向けた新たな事業の柱とするとともに、日本国内では得ることのできない海外の知見・サービス等を吸収し、その過程で当社グループのグローバル人材を育成し企業風土を改革することを目的として、国際事業に挑戦しております。国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの遵守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。大型プロジェクトでは、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、徐々に改善してはいるものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う各国の対策や海外渡航禁止は、依然として海外プロジェクトの進捗に大きな影響を与えております。 予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性がありますが、当社グループでは、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めております。 (9) 特有の法的規制① 鉄道事業に対する法的規制当社は、「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めに基づき事業運営を行っており、鉄道事業者は営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とされております。また、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。さらに、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。なお、当社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)」の平成13年改正により、同法の適用対象からは除外されているものの、同法の改正附則に基づき「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等が定められております。指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項指針に定められているこれらの事項については、当社は、従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。 ② 整備新幹線日本国有鉄道の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の2路線の整備新幹線の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、整備新幹線の貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなり、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は原則定額とされております。貸付けから30年間経過後の取扱いについては、協議により新たに定めることになっており、現在の貸付料から変動する可能性があります。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりです。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 2027年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 2044年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 2032年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 2040年度
FY2021|6,998 文字
2 【事業等のリスク】当社グループでは、2019年度にグループ全体のリスクマネジメントを強化し、各事業に共通・特有のリスクの回避・低減に取り組んでおります。具体的には、毎年事業全体のリスクを外部の知見や社内の意見等をもとに洗い出し、発生頻度および影響度を踏まえた分析・評価を行ったうえでその年度の重要リスクを定め、回避・低減策を検討・実施しております。このように、PDCAサイクルを回してリスクの見直し等を図り、都度、取締役会でリスク回避・低減に向けた取組みの達成度・進捗をモニタリングするとともに今後の方針について検討を行い、リスクマネジメントの実効性を確保しております。今後、グループが変革のスピードアップをめざして収益力の向上や構造改革に取り組むためには、リスクを損失回避等のマイナス要素を減らすものとして捉えるだけでなく、リスクテイクも含め、グループの価値を積極的に向上させる観点での「幅広いリスクマネジメント」が重要です。これにより、安定的で適正な業務の運営の確保に加えて、グループ社員の成長に向けた果敢なチャレンジを支援・促進してまいります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 鉄道事業における事故等の発生鉄道事業において事故等が発生した場合、当社グループに対するお客さまの信頼や社会的評価が失墜するだけでなく、お客さまへの補償や事故等の影響による事業の中断等により経営に重大な影響を与える可能性があります。当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面から安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、会社発足時から7回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」に基づき施策を着実に実施しました。 具体的には、当社グループに起因する鉄道運転事故を防止するため、自動列車停止装置(ATS-P)整備などの列車脱線事故等の対策や、電化柱・信号機柱の倒壊防止のための増強工事や旅客・電車庫等の上家落下対策などの基幹設備の強靭化を進めました。 踏切事故対策については、踏切の整理統廃合を進めるとともに、踏切支障報知装置の増設や障害物検知装置の高機能化等を行いました。ホームドアについては、2020年度末までに山手線、京浜東北・根岸線を中心に線区単位では72駅142番線に整備が完了し、2021年度は線区単位で21駅42番線に整備を行います。また、工期短縮やコストダウンを実現した「スマートホームドア®」については、2020年度末までに10駅20番線に整備を行い、引き続き積極的に「スマートホームドア®」を導入することによりホームドア整備の早期展開をめざします。 当社グループでは「グループ安全計画2023」に基づき、内外の環境の変化を踏まえ、変化に的確に対応するとともに、新たな技術を積極的に活用するなどの取組みにより、引き続き「究極の安全」をめざしてまいります。 (2) 気候変動および自然災害等近年、集中豪雨や大型化した台風などの異常気象リスクが高まっております。これらの集中豪雨や台風だけでなく、大規模地震、洪水といった自然災害等によって、当社グループの鉄道および関連施設等が損壊し、大きな被害を受ける可能性があります。また、自然災害等に起因する大規模停電により、鉄道の運行を継続できない可能性があります。さらに、大規模災害時においてサプライヤーから安定的な供給を受けることができなくなることも考えられます。当社グループは、「グループ安全計画2023」に基づき、自然災害に対するリスクの着実な低減に努めております。具体的には、地震対策については、首都直下地震等を想定したさらなる耐震補強を進め、対象エリア・設備を拡げるなど、継続的なリスク低減に取り組んでおります。浸水対策については、2019年の台風第19号による河川氾濫等による被害を踏まえ、車両避難の判断を支援する「車両疎開判断支援システム」を浸水の可能性のある車両留置箇所全78箇所に導入し、車両避難の訓練を実施する等、リスク低減の取組みを推進しています。一方、自然災害等による大規模停電に備えて、主要なターミナル駅などにおける非常用発電機の運転時間の長時間化を進めております。さらに、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取組みを進めております。 (3) 感染症の発生等重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客さまの外出自粛、社員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態および経営成績に多大な影響を与える可能性があります。2020年以降、新型コロナウイルス感染症が国内外で拡大し、日本国内でも3回にわたり政府から緊急事態宣言が発令され、経済活動の制限や外出の自粛等が要請されました。これに伴い、鉄道の輸送量の大幅な減少、当社グループの商業施設の休業、ホテルの利用者の減少等が発生しているほか、海外からの入国制限等によりインバウンド需要が減少しており、当社グループの業績にも大きな影響を与えております。当社グループでは、新型コロナウイルス感染予防に向けてガイドラインに基づき取り組んでおり、お客さまの安全・安心の確保を最優先に、駅への消毒液の設置や機器設備の消毒・清掃、列車内の換気、駅や列車内における混雑情報の提供を行うとともに、社員等のマスク着用等による感染拡大防止を再徹底し、政府・自治体等と連携しながら、適切な輸送を確保できるよう必要な措置を講じております。 (4) 他事業者等との競合および外部環境の変化当社グループは、鉄道事業において他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合関係にあるほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これらに加え、外部環境の変化が加速することで、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路の拡充、自動運転技術の実用化などによる交通市場の競争激化や人口減少、少子高齢化の進行、在宅勤務などの働き方改革の浸透等により、輸送量が減少し、同事業の収益等に影響を与える可能性があります。また、採用難による人材不足や資材の調達困難などにより、事業の正常な運営に影響を与える可能性があります。このような中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」および2020年9月に発表した「変革のスピードアップ」において、MaaSをはじめ、移動のシームレス化と多様なサービスのワンストップ化を推進し、お客さまのあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済等のサービスを提供するほか、テレワークやワーケーションに適した施設や商品の拡充、オフピークポイント・リピートポイントサービス等で多様化する生活スタイルへの対応を加速させていくなど、経営環境の変化を先取りした新たな価値を社会に提供していくことをめざし取り組んでおります。また、ワンマン運転の拡大、将来の自動運転やドライバレス運転の実現、設備のスリム化の推進、メンテナンス業務の仕組みの見直しといった、技術革新・生産性向上に取り組むことにより、輸送サービス事業を質的に変革してまいります。そのほか、安定した人材確保に向けたグループ全体での採用活動や、安定調達を継続するための新たなサプライヤー開拓などにも取り組んでおります。 (5) 犯罪・テロ行為および情報システム障害等の発生犯罪・テロ行為の発生により、当社の鉄道事業等における安全性が脅かされる可能性があります。当社グループでは、鉄道のセキュリティ強化に向け、車両の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施しているほか、新幹線車両や主要駅等に防犯・護身用具を配備する等の対策を実施しております。また、当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上やセキュリティの常時監視、関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の厳正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 企業不祥事当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めております。さらに、全社員に対して内部通報窓口の周知等を行うなど、コンプライアンスの確保に努めるとともに、他企業で発生した事象に類似する不祥事の防止に取り組んでおります。 (7) 国内外の経済情勢等の変化国内外の経済情勢の変化や、金利・為替・物価等の動向などにより、当社グループの財政状態および経営成績が影響を受ける可能性があります。日本経済および世界経済の情勢は、経済的要因だけではなく、戦争やテロ行為等の地政学的リスク、世界的な感染症の流行および大規模な自然災害等により影響を受ける可能性があります。このような事象が発生した場合、経済の低迷が長期化し、当社グループの鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、需要が減少する可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストや資金調達コストが上昇し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。 当社グループは、経費全般にわたるコストダウンに努めていくとともに、生活サービス事業およびIT・Suica事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」にしていくなど、経営体質を抜本的に強化してまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。資金調達コストの上昇については、債務償還額の平準化および債務の長期化、債務の円建払いや支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動リスク・為替変動リスクを抑制しております。 (8) 国際事業当社グループは、これまで蓄積した技術・ノウハウ等を海外で活用し、将来の成長に向けた新たな事業の柱とするとともに、日本国内では得ることのできない海外の知見・サービス等を吸収し、その過程で当社グループのグローバル人材を育成し企業風土を改革することを目的として、国際事業に挑戦しております。国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの遵守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。大型プロジェクトでは、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う各国の対策や海外渡航禁止は、海外プロジェクトの進捗に大きな影響を与えております。 予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性がありますが、当社グループでは、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めております。 (9) 特有の法的規制① 鉄道事業に対する法的規制当社は、「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めに基づき事業運営を行っており、鉄道事業者は営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とされております。また、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。さらに、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。なお、当社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律 (昭和61年法律第88号)」の平成13年改正により、同法の適用対象からは除外されているものの、同法の改正附則に基づき「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等が定められております。指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項指針に定められているこれらの事項については、当社は、従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。 ② 整備新幹線日本国有鉄道の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の2路線の整備新幹線の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、整備新幹線の貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなり、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は原則定額とされております。貸付けから30年間経過後の取扱いについては、協議により新たに定めることになっており、現在の貸付料から変動する可能性があります。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりです。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 2027年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 2044年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 2032年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 2040年度
FY2020|6,643 文字
2 【事業等のリスク】当社グループでは、2019年度にグループ全体のリスク管理体制を強化し、各事業に共通・特有のリスクの低減に取り組んでおります。具体的には、毎年、事業全体のリスクを外部の知見や社内の意見等をもとに洗い出し、発生頻度および影響度を踏まえた分析・評価を行ったうえで重要リスクを定め、その低減策を検討・実施しております。このように、PDCAサイクルを回してリスクの見直し等を図り、年2回取締役会でリスク低減に向けた取組みの達成度・進捗をモニタリングするとともに今後の方針について検討を行い、リスク管理の実効性を確保しております。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 鉄道事業における事故等の発生鉄道事業において事故等が発生した場合、当社グループに対するお客さまの信頼や社会的評価が失墜するだけでなく、お客さまへの補償や事故等の影響による事業の中断等により経営に重大な影響を与える可能性があります。当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面から安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、会社発足時から7回目となる安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」に基づき施策を着実に実施しました。 具体的には、当社グループに起因する鉄道運転事故を防止するため、自動列車停止装置(ATS-P)整備などの列車脱線事故等の対策や、電力設備・駅設備等の基幹設備の強靭化を進めました。 踏切事故対策については、踏切の整理統廃合を進めるとともに、踏切支障報知装置の増設や障害物検知装置の高機能化等を行いました。ホームドアについては、2019年度末までに山手線、京浜東北・根岸線を中心に48駅(線区単位では57駅)に整備が完了し、2020年度には17駅(線区単位)に整備を行います。また、工期短縮やコストダウンを実現した「スマートホームドア」については、2020年2月に京浜東北線蕨駅に導入し、今後、京浜東北線や中央・総武線各駅停車、横浜線へ整備してまいります。 当社グループでは「グループ安全計画2023」に基づき、内外の環境の変化を踏まえ、変化に的確に対応するとともに、新たな技術を積極的に活用するなどの取組みにより、引き続き「究極の安全」をめざしてまいります。 (2) 気候変動および自然災害等近年、平均気温の上昇といった気候変動により、集中豪雨や大型化した台風などの異常気象リスクが高まっております。これらの集中豪雨や台風だけでなく、大規模地震、洪水といった自然災害等によって、当社グループの鉄道および関連施設等が損壊し、大きな被害を受ける可能性があります。2019年9月に上陸した台風第15号および同年10月に上陸した台風第19号の影響により、設備や車両等に甚大な被害を受けました。また、自然災害等に起因する大規模停電により、鉄道の運行を継続できない可能性があります。さらに、大規模災害時においてサプライヤーから安定的な供給を受けることができなくなることも考えられます。当社グループは、「グループ安全計画2023」に基づき、自然災害に対するリスクの着実な低減に努めております。具体的には、地震対策については、首都直下地震等を想定したさらなる耐震補強を進め、対象エリア・設備を拡げるとともに、新幹線用の「早期地震検知システム(海底地震計)」を在来線へ導入するための仕様検討を開始するなど、継続的なリスク低減に取り組んでおります。水害対策については、2019年10月の台風第19号による河川氾濫等で設備や車両等に甚大な被害を受けたことを踏まえ、重要設備の浸水対策や車両の避難について検討しております。また、大規模停電に備えて、主要なターミナル駅などにおける非常用発電機の運転時間の長時間化を進めております。さらに、安定した調達を継続するため、複数のサプライヤーから調達できるように取組みを進めております。 (3) 感染症の発生等重大な感染症が国内外において流行した場合、経済活動の制限やお客さまの外出自粛、社員の罹患等により、当社グループの事業が継続できなくなるおそれがあり、当社グループの財政状態および経営成績に多大な影響を与える可能性があります。2020年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症が国内外で拡大しており、日本国内においても4月に政府から緊急事態宣言が発令され、外出の自粛が要請されました。これに伴い、鉄道の輸送量の大幅な減少、当社グループの商業施設の休業、ホテルの利用者の減少等が発生しているほか、海外からの入国制限等によりインバウンド需要が減少しており、当社グループの業績にも大きな影響が発生しております。当社グループでは、お客さまの安全・安心の確保を最優先に、駅への消毒液の設置や機器設備の消毒・清掃、社員等のマスク着用等による感染拡大防止を徹底するとともに、政府・自治体等と連携しながら、適切な輸送を確保できるよう必要な措置を講じております。 (4) 他事業者等との競合および外部環境の変化当社グループは、鉄道事業において他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合関係にあるほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これらに加え、外部環境の変化が加速することで、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路の拡充、自動運転技術の実用化などによる交通市場の競争激化や人口減少、少子高齢化の進行、在宅勤務などの働き方改革の浸透等により、輸送量が減少し、同事業の収益等に影響を与える可能性があります。また、採用難による人材不足や資材の調達困難などにより、事業の正常な運営に影響を与える可能性があります。このような中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」において、「MaaS」をはじめ、移動のシームレス化と多様なサービスのワンストップ化を推進し、お客さまのあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済等のサービスを提供するなど、経営環境の変化を先取りした新たな価値を社会に提供していくことをめざし取り組んでおります。また、ドライバレス運転の実現や、設備のスリム化の推進、メンテナンス業務の仕組みの見直しといった、技術革新・生産性向上に取り組むことにより、輸送サービス事業を質的に変革してまいります。そのほか、安定した人材確保に向けたグループ全体での採用活動や、安定調達を継続するための新たなサプライヤー開拓などにも取り組んでおります。 (5) 犯罪・テロ行為および情報システム障害等の発生犯罪・テロ行為の発生により、当社の鉄道事業等における安全性が脅かされる可能性があります。当社グループでは、鉄道のセキュリティ強化に向け、車両の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施しているほか、新幹線車両や主要駅等に防犯・護身用具を配備する等の対策を実施しております。また、当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上やセキュリティの常時監視、関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 企業不祥事当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めております。さらに、全社員に対して内部通報窓口の周知等を行うなど、コンプライアンスの確保に努めるとともに、他企業で発生した事象に類似する不祥事の防止に取り組んでおります。 (7) 国内外の経済情勢等の変化国内外の経済情勢の変化や、金利・為替・物価等の動向などにより、当社グループの財政状態および経営成績が影響を受ける可能性があります。日本経済および世界経済の情勢は、経済的要因だけではなく、戦争やテロ行為等の地政学的リスク、世界的な感染症の流行および大規模な自然災害等により影響を受ける可能性があります。このような事象が発生した場合、経済の低迷が長期化し、当社グループの鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、需要が減少する可能性があります。また、国内外の経済情勢の変化や金利・為替・物価等の動向などにより、物品調達コストや資金調達コストが上昇し、当社グループの収益に影響を与える可能性があります。 当社グループは、経費全般にわたるコストダウンに努めていくとともに、生活サービス事業およびIT・Suica事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」にしていくなど、経営体質を抜本的に強化してまいります。また、物品調達コストの上昇については、国内外を問わない幅広い調達やスケールメリットを活用した価格交渉等を通じて、調達コスト上昇を抑制しております。資金調達コストの上昇については、債務償還額の平準化および債務の長期化、債務の円建払いや支払金利の長期固定化を行うことにより、将来の金利変動リスク・為替変動リスクを抑制しております。 (8) 国際事業当社グループは、これまで蓄積した技術・ノウハウ等を海外で活用し、将来の成長に向けた新たな事業の柱とするとともに、日本国内では得ることのできない海外の知見・サービス等を吸収し、その過程で当社グループのグローバル人材を育成し企業風土を改革することを目的として、国際事業に挑戦しております。国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの遵守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。大型プロジェクトでは、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う各国の対策や海外渡航禁止は、海外プロジェクトの進捗に大きな影響を与えております。 予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性がありますが、当社グループでは、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めております。 (9) 特有の法的規制① 鉄道事業に対する法的規制当社は、「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めに基づき事業運営を行っており、鉄道事業者は営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とされております。また、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。さらに、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。なお、当社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律 (昭和61年法律第88号)」の平成13年改正により、同法の適用対象からは除外されているものの、同法の改正附則に基づき「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等が定められております。指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項指針に定められているこれらの事項については、当社は、従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。 ② 整備新幹線日本国有鉄道の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の2路線の整備新幹線の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条において、整備新幹線の貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされております。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなり、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は原則定額とされております。整備新幹線の貸付料の額は、貸付けから30年間経過する時点で協議により新たに定めることになっており、現在の貸付料から変動する可能性があります。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりであります。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 2027年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 2044年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 2032年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 2040年度
FY2019|8,317 文字
2 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。② 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)a 制定趣旨・目的等改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。b JR会社法の改正等について(a) 2001年12月1日に施行された「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、2001年11月7日に告示され、2001年12月1日より適用となっております。(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。 (e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。 (2) 運賃および料金の設定または変更当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。なお、鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。① 当社の考え方a 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月および2014年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。 ② 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートd なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。 (3) 整備新幹線計画① 整備新幹線の開業区間 国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の営業主体とされ、1997年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、2002年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、2010年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、2015年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。② 整備新幹線の貸付料a 1997年10月の北陸新幹線高崎~長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条に規定されております。b 同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。(注) 2016年3月の北海道新幹線新青森~新函館北斗間の開業により、2010年12月より貸付けを受けている東北新幹線八戸~新青森間の貸付料に付加して支払う額については、2040年度までの25年間は定額とされております。 c 開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。③ 貸付期間終了時の取扱い北陸新幹線高崎~上越妙高間および東北新幹線盛岡~新青森間の鉄道施設の取扱いについては、貸付けから30年間経過する時点で協議により新たに定めることになっております。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりであります。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 2027年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 2044年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 2032年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 2040年度 (4) 安全対策鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、または原子力発電所の事故や感染症の大規模な流行等が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。当社グループは、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、「グループ安全計画2018」に基づき施策を着実に実施しました。具体的には、地震対策として、首都直下地震等を想定した更なる耐震補強を進め、対象エリア・設備を拡げるとともに、新幹線早期地震検知システムに海底地震計情報を追加導入・使用を開始しました。突風対策については、ドップラーレーダーを用いた突風探知システムのアルゴリズムの改良を実施するなど、継続的なリスク低減に取り組んでいます。踏切事故対策については、踏切の整理統廃合や警報機および遮断機の設置、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設等を行いました。ホームドアについては、2018年度末までに山手線・京浜東北根岸線を中心に36駅(線区単位では41駅)で整備を完了しました。2032年度末頃までに東京圏在来線の主要路線全駅(整備済みの駅を含む243駅(線区単位では330駅))に導入する方針のもと設置工事を進めます。また、工期短縮やコストダウンに向けて検証を進めてきた「スマートホームドア」を、今後、京浜東北線蕨駅に導入します。また、2018年11月に第7次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」を策定しました。同計画では、「『進化』と『変革』」をサブタイトルとして掲げています。当社グループの内外の環境の変化を踏まえ、変化に的確に対応するとともに、新たな技術を積極的に活用するなどの取組みにより、引き続き「究極の安全」をめざしてまいります。 (5) 情報システム・個人情報保護当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業の様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や自然災害、人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 生活サービス事業等の展開当社グループは、生活サービス事業を経営の柱の一つと位置づけ、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業を展開しております。 生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場 合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。 (7) 他事業者等との競合当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路料金の割引施策などに伴う交通市場の競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。また、生活サービス事業においては、他社の新規進出や既存商業施設のリニューアルなどに伴う競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。 (8) 有利子負債当連結会計年度末のネット有利子負債残高は2兆8,999億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であります。また、当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆1,637億円であります。当連結会計年度の支払利息は625億円であり、これは営業利益の12.9%に相当します。当社グループは、ネット有利子負債残高を注視するとともに、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。 (9) コンプライアンス当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進め、さらに、全社員に対して内部通報窓口の周知による利用促進等を行うなど、コンプライアンスの確保に努めるとともに、他企業で発生しているような不祥事の防止に取り組んでおります。 (10) 国際事業当社グループは、これまで蓄積した技術・ノウハウ等を海外で活用し、将来の成長に向けた新たな事業の柱とするとともに、日本国内では得ることのできない海外の知見・サービス等を吸収し、その過程で当社グループのグローバル人材を育成し企業風土を改革することを目的として、国際事業に挑戦しております。 国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの順守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。また、大型プロジェクトでは、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。 当社グループは、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めておりますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
FY2018|8,054 文字
2 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。② 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)a 制定趣旨・目的等改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。b JR会社法の改正等について(a) 平成13年12月1日に施行された「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、平成13年11月7日に告示され、平成13年12月1日より適用となっております。(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。(e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。 (2) 運賃および料金の設定または変更当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。なお、鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。① 当社の考え方a 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月、平成9年4月および平成26年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。② 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートd なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。 (3) 整備新幹線計画① 整備新幹線の開業区間 国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の営業主体とされ、平成9年10月1日に北陸新幹線高崎~長野間が、平成14年12月1日に東北新幹線盛岡~八戸間が、平成22年12月4日に東北新幹線八戸~新青森間が、平成27年3月14日に北陸新幹線長野~上越妙高間がそれぞれ開業しました。② 整備新幹線の貸付料a 平成9年10月の北陸新幹線高崎~長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条に規定されております。b 同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。(注) 平成28年3月の北海道新幹線新青森~新函館北斗間の開業により、平成22年12月より貸付けを受けている東北新幹線八戸~新青森間の貸付料に付加して支払う額については、平成52年度までの25年間は定額とされております。c 開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。③ 貸付期間終了時の取扱い北陸新幹線高崎~上越妙高間および東北新幹線盛岡~新青森間の鉄道施設の取扱いについては、貸付けから30年間経過する時点で協議により新たに定めることになっております。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりであります。a 北陸新幹線(高崎~長野間) 平成39年度b 北陸新幹線(長野~上越妙高間) 平成56年度c 東北新幹線(盛岡~八戸間) 平成44年度d 東北新幹線(八戸~新青森間) 平成52年度 (4) 安全対策鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、または原子力発電所の事故や感染症の大規模な流行等が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。当社グループは、安全を経営の最重要課題と位置づけ、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づく施策を着実に実施しております。具体的には、首都直下地震等を想定したさらなる耐震補強に向け、設備ごとの損傷リスクや線区における影響等を踏まえて対象エリア・設備を拡大し、対策に着手しました。また、ホームドアについては、平成44年度末頃までに東京圏の主要な在来線の全330駅に導入する方針のもと設置工事を進め、京浜東北線上野駅など5駅で使用開始しました。あわせて、工期短縮やコストダウンに向け、横浜線町田駅において「スマートホームドア」を設置し、実用化に向けた検証を進めました。さらに、踏切事故対策として、踏切の整理統廃合や警報機および遮断機の設置、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設のほか、踏切支障報知装置の押しボタンの視認性向上や警報機および遮断機が設置されていない踏切において気笛吹鳴標識の整備を行いました。加えて、保守作業員の安全性向上を目的として、GPSを活用した列車接近警報装置の導入線区を拡大しました。この他、羽越本線および陸羽西線の一部区間において、ドップラーレーダーを用いた突風に対する列車運転規制を平成29年12月から開始しました。 (5) 情報システム・個人情報保護当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業の様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。サイバー攻撃や自然災害、人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。さらに、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 生活サービス事業等の展開当社グループは、生活サービス事業を経営の柱の一つと位置づけ、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業を展開しております。 生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場 合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。 (7) 他事業者等との競合当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路料金の割引施策などに伴う交通市場の競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。また、生活サービス事業においては、他社の新規進出や既存商業施設のリニューアルなどに伴う競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。 (8) 有利子負債当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆1,796億円であります。また、当連結会計年度の支払利息は647億円であり、これは営業利益の13.4%に相当します。当社グループは、有利子負債残高を注視するとともに、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。 (9) コンプライアンス当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めるなど、コンプライアンスの確保に努めております。 (10) 国際事業当社グループは、これまで蓄積した技術・ノウハウ等を海外で活用し、将来の成長に向けた新たな事業の柱とするとともに、日本国内では得ることのできない海外の知見・サービス等を吸収し、その過程で当社グループのグローバル人材を育成し企業風土を改革することを目的として、国際事業に挑戦しております。 国際事業においては、政治体制や社会的要因の変動、投資規制・税制や環境規制等に関する現地の法令変更、商慣習の相違、契約の履行やルールの順守に関する意識の違いおよびそれらに起因する工期等の遅延、経済動向、為替レートの変動等様々なリスク要因があります。また、大型プロジェクトでは、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。 当社グループは、これら様々なリスクについて、弁護士やコンサルタント等、専門家の助言を踏まえたリスク分析を行ったうえで、場合によっては日本政府の協力を得ながら対応に努めておりますが、予期せぬ情勢変化等が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。
FY2017|7,448 文字
4 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。② 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)a 制定趣旨・目的等改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。b JR会社法の改正等について(a) 平成13年12月1日に施行された「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、平成13年11月7日に告示され、平成13年12月1日より適用となっております。(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。(e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。 (2) 運賃および料金の設定または変更当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。なお、鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。 2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。① 当社の考え方a 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月、平成9年4月および平成26年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。② 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートd なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。 (3) 整備新幹線計画① 整備新幹線の開業区間 国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の営業主体とされ、平成9年10月1日に北陸新幹線高崎・長野間が、平成14年12月1日に東北新幹線盛岡・八戸間が、平成22年12月4日に東北新幹線八戸・新青森間が、平成27年3月14日に北陸新幹線長野・上越妙高間がそれぞれ開業しました。② 整備新幹線の貸付料a 平成9年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条に規定されております。b 同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。(注) 平成28年3月の北海道新幹線新青森・新函館北斗間の開業により、平成22年12月より貸付けを受けている東北新幹線八戸・新青森間の貸付料に付加して支払う額については、平成52年度までの25年間は定額とされております。c 開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。③ 貸付期間終了時の取扱い北陸新幹線高崎・上越妙高間および東北新幹線盛岡・新青森間の鉄道施設の取扱いについては、貸付けから30年間経過する時点で協議により新たに定めることになっております。なお、貸付けを受けている整備新幹線区間と貸付終了年度は、次のとおりであります。a 北陸新幹線(高崎・長野間) 平成39年度b 北陸新幹線(長野・上越妙高間) 平成56年度c 東北新幹線(盛岡・八戸間) 平成44年度d 東北新幹線(八戸・新青森間) 平成52年度 (4) 安全対策鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、または原子力発電所の事故や感染症の大規模な流行等が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。当社グループは、安全を経営の最重要課題と位置づけ、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づく施策を着実に実施しております。具体的には、首都直下地震等を想定し、平成24年度から平成28年度を重点整備期間とする総額3,000億円の耐震補強対策等を着実に進め、全体計画数量の約8割が完了しました。また、ホームドアについては、山手線および京浜東北・根岸線大宮・桜木町間の全駅に導入する方針のもと設置工事を進め、山手線品川駅および京浜東北線赤羽駅で使用開始しました。あわせて、中央線の千駄ケ谷駅や信濃町駅、総武快速線新小岩駅などへの導入準備を進めました。さらに、踏切事故対策として、踏切の整理統廃合や警報機および遮断機の設置、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設などに引き続き取り組みました。加えて、保守作業員の安全性向上を目的として、GPSを活用した列車接近警報装置の導入線区を拡大しました。 (5) 情報システム・個人情報保護当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業の様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。自然災害や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 生活サービス事業等の展開当社グループは、生活サービス事業を経営の柱の一つと位置づけ、駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他の事業(ホテル業、広告代理業など)の展開を行っています。生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。 (7) 他事業者等との競合 当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路料金の割引施策などに伴う交通市場の競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。また、生活サービス事業においては、他社の新規進出や既存商業施設のリニューアルなどに伴う競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。 (8) 有利子負債の削減当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆2,110億円であります。また、当連結会計年度の支払利息は702億円であり、これは営業利益の15.1%に相当します。当社グループは、有利子負債の削減、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。 (9) コンプライアンス当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびIT・Suica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めるなど、コンプライアンスの確保に努めております。
FY2016|9,074 文字
4 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 事業に係る法律関連事項当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。② 「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)a 制定趣旨・目的等改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。b JR会社法の改正等について(a) 平成13年12月1日に施行された「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律」(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、平成13年11月7日に告示され、平成13年12月1日より適用となっております。(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。(e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。 (2) 運賃および料金の設定または変更当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。なお、手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃および料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者は、旅客の運賃および新幹線特急料金(以下「運賃等」という)の上限を定め、または変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更ならびに在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項および第4項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。 (注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。② 当社の考え方a 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月、平成9年4月および平成26年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。③ 国土交通省の考え方当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注4)(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レートd なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。 (3) 整備新幹線計画① 整備新幹線の建設計画 整備新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき整備計画が決定された新幹線鉄道であります。昭和48年に東北新幹線(盛岡市~青森市)、北陸新幹線(東京都~長野市~富山市~大阪市)、九州新幹線(福岡市~鹿児島市)などについて整備計画が定められました。国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市~上越市)および東北新幹線(盛岡市~青森市)の営業主体とされ、平成9年10月1日に北陸新幹線高崎・長野間が、平成14年12月1日に東北新幹線盛岡・八戸間が、平成22年12月4日に東北新幹線八戸・新青森間が、平成27年3月14日に北陸新幹線長野・上越妙高間がそれぞれ開業しました。当社管内以外では、現在、北海道新幹線新函館北斗・札幌間、北陸新幹線金沢・敦賀間、九州新幹線武雄温泉・長崎間の整備が進められております。② 整備新幹線建設の費用負担a 整備新幹線の建設は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行っており、その費用については国、地方公共団体およびJRが負担することとされておりますが、JRの負担については、次の(a)および(b)を充てることとされております。(a) 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等(b) 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部b 平成9年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令」第6条に規定されております。同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間および関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線および関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。また、租税および同機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に算入されているため、新幹線開業に伴う営業主体の負担は受益の範囲内であります。平成9年10月に開業した北陸新幹線高崎・長野間の貸付料の額については、当社は、日本鉄道建設公団(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)により算定された具体的な貸付料の額が当該新幹線開業に伴う当社の受益の範囲内にあると判断し、平成9年9月に同公団との合意に至りました。また、当該貸付料の額について、同公団は平成9年9月に運輸大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分175.0億円、租税および管理費相当額33.1億円の計208.1億円であります。平成14年12月に開業した東北新幹線盛岡・八戸間の貸付料の額については、同様に平成14年11月に当社と同公団とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同公団は平成14年11月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分79.3億円、租税および管理費相当額23.9億円の計103.2億円であります。平成22年12月に開業した東北新幹線八戸・新青森間の貸付料の額については、同様に平成22年12月に当社と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同機構は平成22年12月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分70.0億円、租税および管理費相当額11.3億円の計81.3億円であります。平成28年3月の北海道新幹線新青森・新函館北斗間の開業により東北新幹線八戸・新青森間の貸付料に付加して支払う額については、平成28年3月に当社と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とで合意に至っております。なお、当社が付加して支払う貸付料の額は、受益に基づいて算定された22.0億円となりますが、平成27年度分の貸付料の額については年度途中の開業のため日割計算となり、その額は0.3億円であります。 平成27年3月に開業した北陸新幹線長野・上越妙高間の貸付料の額については、同様に平成27年3月に当社と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同機構は平成27年3月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成27年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分165.0億円、租税および管理費相当額1.4億円の計166.4億円であります。c 開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。③ 貸付期間終了時の取扱い独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から貸付けを受けている北陸新幹線高崎・上越妙高間および東北新幹線盛岡・新青森間の鉄道施設の取扱いについては、貸付けから30年間経過する時点で協議により新たに定めることになっております。 (4) 安全対策鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、または原子力発電所の事故や感染症の大規模な流行等が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。当社グループは、安全を経営の最重要課題と位置づけ、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組み、第6次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2018」に基づく施策を着実に実施しました。具体的には、首都直下地震等を想定し、平成24年度から平成28年度を重点整備期間とする総額3,000億円の耐震補強対策等を着実に進め、全体計画数量の約7割が完了しました。また、ホームドアについては、山手線において、日暮里駅など5駅で新たに使用を開始し、累計設置駅数は23駅となりました。山手線以外についても、線区の状況や駅のご利用状況などを勘案し、総武快速線新小岩駅などへの導入に向けた準備を進めました。さらに、踏切事故対策として、踏切の1種化や整理統廃合、踏切支障報知装置や障害物検知装置の増設などに引き続き取り組みました。加えて、保守作業員の安全性向上を目的に、GPSを活用した列車接近警報装置を開発し、平成28年4月に八高線および飯山線で使用を開始しました。 (5) 情報システム・個人情報保護当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびSuica事業の様々な業務分野で、多くの情報システムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム株式会社等においても、情報システムが重要な役割を果たしております。自然災害や人為的ミス等によってこれらの情報システムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等により情報システム上の個人情報等が外部に流出した場合やデータが改ざんされた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、日常より情報システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害対策およびセキュリティ対策を講じるとともに、万一問題が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。 (6) 生活サービス事業等の展開当社グループは、生活サービス事業を経営の柱の一つと位置づけ、駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他の事業(ホテル業、広告代理業など)の展開を行っています。生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。 (7) 他事業者等との競合 当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や格安航空会社(LCC)の路線拡大、高速道路料金の割引施策などに伴う交通市場の競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。また、生活サービス事業においては、他社の新規進出や既存商業施設のリニューアルなどに伴う競争激化が、同事業の収益等に影響をおよぼす可能性があります。 (8) 有利子負債の削減当連結会計年度末の有利子負債残高は、3兆2,419億円であります。また、当連結会計年度の支払利息は763億円であり、これは営業利益の15.6%に相当します。当社グループは、有利子負債の削減、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。 (9) コンプライアンス当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびSuica事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。 当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めるなど、コンプライアンスの確保に努めております。