9007

小田急電鉄(9007)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

小田急電鉄グループは、鉄道、バス、タクシー、航路、索道などの「交通業」を基盤としています。これに加え、マンション分譲や賃貸、ビル管理などの「不動産業」、百貨店、スーパー、ホテル、レストラン、旅行、ゴルフ場、広告代理業などの「生活サービス業」も展開しています。交通事業で顧客を呼び込み、その顧客に対して不動産や生活サービスを提供することで収益を上げています。特に交通事業と不動産事業が収益の柱となっています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

小田急電鉄グループの事業セグメントは大きく3つです。「交通事業」は鉄道、バス、タクシー、航路などを運営し、グループの基盤となる事業です。次に「不動産事業」はマンション分譲、不動産賃貸、ビル管理などを手掛け、安定した収益源となっています。最後に「生活サービス事業」は百貨店、スーパー、ホテル、レストラン、旅行、ゴルフ場など多岐にわたるサービスを提供しています。売上高と営業利益を見ると、交通事業が最も大きく、次いで不動産事業、生活サービス事業が続きます。国内事業が中心で、特定の地域に集中しています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Transportation 事業 1,725 265 15.4%
RealEstate 事業 849 159 18.7%
LivingServices 事業 1,654 91 5.5%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|836 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社、子会社51社および関連会社17社で構成され、その営んでいる主要な事業内容をセグメントに関連付けて示すと、次のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(セグメント情報等)」に記載のとおりです。(1) 交通業(21社)事業の内容会社名鉄道業当社、㈱小田急箱根①、江ノ島電鉄㈱①バス業神奈川中央交通㈱③、小田急バス㈱①、立川バス㈱①、東海自動車㈱①、小田急ハイウェイバス㈱①、箱根登山バス㈱①、㈱江ノ電バス①、㈱東海バス①タクシー業小田急交通㈱①航路業㈱小田急箱根①索道業㈱小田急箱根①鋼索業㈱小田急箱根①、大山観光電鉄㈱②鉄道メンテナンス業㈱小田急エンジニアリング① その他 7社 (2) 不動産業(24社)事業の内容会社名不動産分譲業当社、小田急不動産㈱①、㈱小田急ハウジング①不動産賃貸業当社、小田急不動産㈱①、㈱小田急SCディベロップメント①ビル管理・メンテナンス業㈱小田急ビルサービス① その他 19社 (3) 生活サービス業(26社)事業の内容会社名百貨店業㈱小田急百貨店①ストア・小売業小田急商事㈱①ホテル業㈱小田急リゾーツ①、㈱ホテル小田急サザンタワー①レストラン飲食業㈱小田急レストランシステム①、ジローレストランシステム㈱①旅行業㈱小田急トラベル①ゴルフ場業㈱小田急スポーツサービス①広告代理業㈱小田急エージェンシー①人材派遣業㈱ヒューマニック①経理代行業㈱小田急フィナンシャルセンター①保険代理業㈱小田急保険サービス①物販飲食業箱根プレザントサービス㈱①食品製造業小田急食品㈱① その他 12社(注) 1 ①は連結子会社2 ②は非連結子会社3 ③は持分法適用関連会社4 各事業の会社数には当社が重複しています。 < 企 業 集 団 の 概 要 図 > (注)上図は当社、連結子会社29社、持分法適用会社1社の概要図です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
鉄道運賃は国土交通大臣の認可が必要であり、価格設定の自由度が限定されるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
鉄道事業法、道路運送法、大規模小売店舗立地法など各種法令や公的規制が存在。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:大規模な地震・津波の発生 / 自然災害の発生 / 感染症の流行
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

小田急グループは、沿線に広がる住宅地や商業施設、観光資源(箱根など)との一体的なブランド力を有する。特に「箱根」ブランドは長年にわたり確立されており、沿線住民以外の認知度も高い。不動産開発やホテル事業とのシナジーも無形資産と言える。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

沿線住民にとって、小田急線は生活インフラであり、他の鉄道会社への乗り換えは困難。しかし、都心部への通勤・通学においては、他の鉄道路線やバス路線との選択肢が存在する。定期券購入などの利便性はスイッチングコストとなりうる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄道事業自体に直接的なネットワーク効果は限定的。沿線開発や商業施設など、グループ全体で顧客接点を増やす取り組みはあるが、直接的なネットワーク効果とは言えない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

鉄道事業における大規模な設備投資や保守費用は固定費として重くのしかかる。規模の経済によるコスト優位性は限定的であり、他社との差別化要因とはなりにくい。ただし、沿線開発による不動産賃料収入などは、鉄道事業の収益を補完する側面がある。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

首都圏の鉄道事業者として一定の規模を持つ。特に小田急線沿線という特定の地域においては、主要なプレイヤーであり、その規模は競争優位性につながる。しかし、JR東日本などの巨大インフラと比較すると、規模の優位性は限定的。

小田急電鉄グループの優位性は、主に鉄道を中心とした広範な交通ネットワークと、それに付随する不動産および生活サービス事業の連携にあります。小田急線沿線という特定の地域に根差した事業展開により、交通インフラが顧客を呼び込み、その顧客に対して不動産の賃貸・分譲や商業施設、ホテル、レストランなどの多様なサービスを提供することで、顧客の生活全般をカバーするエコシステムを構築しています。これにより、顧客の囲い込みと安定的な収益基盤を確立していると考えられます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー新たな連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッドの拡大に向けたROE向上と株主資本コストのコントロールを課題とし、なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度計画2030年度目標資本コストや株価を意識した経営ROE※18.0%前回目標※26.2%(+1.8P)10%以上前回目標※27%以上(+3P)利益の成長営業利益540億円前回目標※2500億円(+40億円)800億円前回目標※2700億円(+100億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※1 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く)※2 2024年5月公表目標 イ 株主還元 2025~2030年度累計で2,000億円の株主還元を実施し、2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮してまいります。基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40%配当2024年度:1株当たり年間40円を予定(年間30円から配当予想を修正)2025年度:1株当たり年間50円を予定自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討金融機関等の当社株式売却による株式需給バランス悪化への対応も考慮(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド需要の拡大等を事業機会と捉え、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、プロモーション強化やデジタル施策連携の実施等を通じて、宿泊・買い物等の需要の取り込み、および箱根・湘南での閑散期における収益の底上げに努めてまいります。加えて、特急の魅力向上等による当社線利用者・顧客単価の増加や、新たな目的地およびコンテンツの育成・増加による当社線への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等を進め、旺盛なインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、2030年度までに、「旧箱根レイクホテル※」、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。※ 旧箱根レイクホテルは、「RETONA HAKONE」としてリニューアル開業予定(2025年12月)です。 ウ 不動産業の強化従来から取り組む長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策のみならず、短期回収型の投資手法(国内SPC・海外不動産・回転型投資・住宅分譲)を強化し、不動産業の2030年度における営業利益300億円の達成およびROA向上を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、新たな体験を実現する商業機能や最新かつハイグレードなオフィス機能、顧客起点のビジネス創発機能の提供等により、新宿エリアの価値向上・収益最大化に取り組むとともに、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線での不動産開発に努めてまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取り組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得とROA向上を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上や持続可能な運営体制の構築に取り組むほか、観光体験の付加価値向上を図ることで、収益拡大を目指してまいります。具体的には、当社鉄道事業において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドア整備や耐震補強工事、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模設備更新を実施するほか、労働人口の減少を見据え、ワンマン運転の導入や駅業務の省力化等により、2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図ってまいります。加えて、これらの取り組みを着実に推進するため、適切な時期での運賃改定を目指してまいります。また、大涌谷駅における新展望エリア「ちきゅうの谷」のオープン等を通じた箱根の各施設の魅力向上を図るとともに、新型特急ロマンスカーの導入に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化/デジタルによる事業創造積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDX施策の実施等を通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度におけるストア業の営業利益率3%超を目指してまいります。また、ソリューション開発・提供を強みとしたデジタルによる新規事業の創造に努めてまいります。具体的には、ストア・小売業において、既存店舗の改装による少人数運営体制の構築および売場面積の最大化、ならびにセルフレジやAIを活用した提案発注システムによる運営効率化等に努めるとともに、MD戦略やオペレーション改革等を実行してまいります。また、デジタル領域では、沿線起点で新規事業を検討するほか、「WOOMS」をはじめとした新規事業の早期黒字化を図ってまいります。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●エンゲージメントサーベイを活用した福利厚生施策等の実施●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用環境再エネ活用、バスのEV化等による脱炭素化およびTNFD提言に基づく情報開示を推進してまいります。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます。●不動産(新規・既存物件)の環境性能評価の取得推進DX情報システム環境の最適化、情報セキュリティの確保および人財育成に向けた各種施策を推進してまいります。●クラウド環境の活用推進による最新技術への対応力強化●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成(2026年度末までに約520名育成)ガバナンス人権尊重への取り組み、リスクマネジメント方針に基づくコンプライアンス意識の醸成および取締役会の監督機能強化を通じてガバナンスの向上を目指してまいります。●サステナビリティアンケートの実施を通じた取引先との連携拡充●外部機関による取締役会の評価を活用した実効性向上
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営の基本方針当社は、グループ経営の方向性を明確にするために、当社グループが事業を通じて果たすべき役割・責任や社会に存在する意義を示した「グループ経営理念」を掲げ、この理念を実現しグループ価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。「グループ経営理念」の内容は以下のとおりです。<グループ経営理念>1 経営理念小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します。2 行動指針私たちは、経営理念の実現のため、3つの精神を忘れることなく、お客さまに「上質と感動」を提供します。(真摯)私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します。(進取)私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追求に挑戦します。(融和)私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との共生に取り組みます。 当社グループでは、「グループ経営理念」を実現するため、経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」を策定し、企業価値・地域価値の向上に努めています。 経営ビジョン「UPDATE 小田急~地域価値創造型企業に向けて~」① 全体方針「地域価値創造型企業に向けて」私たちは、小田急沿線や事業を展開する地域とともに成長するために、既成概念に捉われず常に挑戦を続けることで、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業に進化します。 グループ経営理念のもと、サステナビリティ経営を根幹に、地域経済圏発想での事業展開および事業ポートフォリオの最適化を図ることで、地域価値創造型企業としての持続的成長と企業価値向上を両立し、経営ビジョンの実現を目指してまいります。 (参考)経営計画体系 ② 2030年度に向けた成長ストーリー新たな連結財務目標を達成するため、成長領域への積極投資、株主還元の強化、人的資本の拡充の3つの柱に特に重点的に取り組むことで、資本コストや株価を意識した経営の実践を加速させてまいります。 ③ 企業価値向上に向けた財務方針 エクイティ・スプレッドの拡大に向けたROE向上と株主資本コストのコントロールを課題とし、なかでもROE向上のため、「セグメント別営業利益ROAによる目標管理」「継続的な資産入替え」「株主還元の強化」に注力してまいります。 ア 連結財務目標重要指標2026年度計画2030年度目標資本コストや株価を意識した経営ROE※18.0%前回目標※26.2%(+1.8P)10%以上前回目標※27%以上(+3P)利益の成長営業利益540億円前回目標※2500億円(+40億円)800億円前回目標※2700億円(+100億円)財務健全性の確保有利子負債/EBITDA倍率7倍台でコントロール※1 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く)※2 2024年5月公表目標 イ 株主還元 2025~2030年度累計で2,000億円の株主還元を実施し、2030年度までに自己資本比率を30%に圧縮してまいります。基本方針(2023~2026年度)自己資本比率30%の確保を前提に、2023~2026年度の平均で、連結総還元性向40%以上※を目標とした安定的な配当および機動的な自己株式取得を実施※ 4ヵ年合計総還元額/4ヵ年合計親会社株主に帰属する当期純利益額≧40%配当2024年度:1株当たり年間40円を予定(年間30円から配当予想を修正)2025年度:1株当たり年間50円を予定自己株式取得経営環境の変化や業績等を総合的に勘案したうえで実施時期を検討金融機関等の当社株式売却による株式需給バランス悪化への対応も考慮(取得実績)2023年度・2024年度合計:327億円 (2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題インバウンド需要の拡大等を事業機会と捉え、重点施策として定めた事業や経営基盤の強化を推進してまいります。各施策の概要は、以下のとおりです。 ① 事業強化ア 観光需要の取り込み日本一のインバウンド観光ハブ化を目指す新宿と観光地の箱根・湘南を拠点に、沿線全体で国内外の観光客を誘引し、観光拠点での収益拡大や拠点間の移動需要最大化に努めるほか、沿線観光の多拠点化を図ることで、2030年度における観光収益1,200億円、営業利益150億円の達成を目指してまいります。具体的には、プロモーション強化やデジタル施策連携の実施等を通じて、宿泊・買い物等の需要の取り込み、および箱根・湘南での閑散期における収益の底上げに努めてまいります。加えて、特急の魅力向上等による当社線利用者・顧客単価の増加や、新たな目的地およびコンテンツの育成・増加による当社線への観光客誘引を図ってまいります。 イ ホテル業の拡大新宿や箱根周辺地域を中心に、既存ホテルのリニューアルや新規ホテルの開発等を進め、旺盛なインバウンド需要を取り込むことで、2030年度における営業利益50億円の達成を目指してまいります。具体的には、2030年度までに、「旧箱根レイクホテル※」、「箱根ハイランドホテル」、「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」のリニューアルをはじめ、高付加価値ホテルの新規開発やホテルの運営受託を推進するとともに、M&Aの活用を図ってまいります。※ 旧箱根レイクホテルは、「RETONA HAKONE」としてリニューアル開業予定(2025年12月)です。 ウ 不動産業の強化従来から取り組む長期保有型の開発・リニューアルや既存物件の収益性向上施策のみならず、短期回収型の投資手法(国内SPC・海外不動産・回転型投資・住宅分譲)を強化し、不動産業の2030年度における営業利益300億円の達成およびROA向上を目指してまいります。具体的には、新宿駅西口地区開発計画において、新たな体験を実現する商業機能や最新かつハイグレードなオフィス機能、顧客起点のビジネス創発機能の提供等により、新宿エリアの価値向上・収益最大化に取り組むとともに、引き続き海老名駅間地区の開発計画を推進するなど、沿線での不動産開発に努めてまいります。加えて、短期回収型の手法については、外部環境や取り組み実績のほか、リスク分散等を考慮しながら投資を配分し、短期収益の獲得とROA向上を図ってまいります。 エ 交通業の進化安全・防災対策の強化とサービスの向上や持続可能な運営体制の構築に取り組むほか、観光体験の付加価値向上を図ることで、収益拡大を目指してまいります。具体的には、当社鉄道事業において、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドア整備や耐震補強工事、大野総合車両所の移転をはじめとした大規模設備更新を実施するほか、労働人口の減少を見据え、ワンマン運転の導入や駅業務の省力化等により、2035年度における要員30%削減(2020年度比)を図ってまいります。加えて、これらの取り組みを着実に推進するため、適切な時期での運賃改定を目指してまいります。また、大涌谷駅における新展望エリア「ちきゅうの谷」のオープン等を通じた箱根の各施設の魅力向上を図るとともに、新型特急ロマンスカーの導入に向けた検討を進めてまいります。 オ ストア・小売業の強化/デジタルによる事業創造積極的な新規出店による事業規模の拡大を図るとともに、店舗運営力の強化やDX施策の実施等を通じた生産性向上に取り組むことで、2030年度におけるストア業の営業利益率3%超を目指してまいります。また、ソリューション開発・提供を強みとしたデジタルによる新規事業の創造に努めてまいります。具体的には、ストア・小売業において、既存店舗の改装による少人数運営体制の構築および売場面積の最大化、ならびにセルフレジやAIを活用した提案発注システムによる運営効率化等に努めるとともに、MD戦略やオペレーション改革等を実行してまいります。また、デジタル領域では、沿線起点で新規事業を検討するほか、「WOOMS」をはじめとした新規事業の早期黒字化を図ってまいります。 ② 経営基盤の強化 概要と取り組みの例人的資本の拡充構造改革の推進や人財確保をはじめとした重点課題を踏まえた人的資本の投下により、従業員エンゲージメントと労働生産性の向上を図ることで、事業成長を目指してまいります。●私鉄業界トップを目指した労働生産性の向上および人財投資の推進●エンゲージメントサーベイを活用した福利厚生施策等の実施●不動産業等の成長領域における有資格者の育成や専門人財・即戦力の採用●経営管理能力や専門スキルの獲得を可能とするモデルキャリアパスの策定・運用環境再エネ活用、バスのEV化等による脱炭素化およびTNFD提言に基づく情報開示を推進してまいります。●EVバス(電動バス)を2030年度までに約500台導入※ ※ 神奈川中央交通㈱での導入台数を含みます。●不動産(新規・既存物件)の環境性能評価の取得推進DX情報システム環境の最適化、情報セキュリティの確保および人財育成に向けた各種施策を推進してまいります。●クラウド環境の活用推進による最新技術への対応力強化●DX施策が企画・実行可能な高度スキルを有する人財の育成(2026年度末までに約520名育成)ガバナンス人権尊重への取り組み、リスクマネジメント方針に基づくコンプライアンス意識の醸成および取締役会の監督機能強化を通じてガバナンスの向上を目指してまいります。●サステナビリティアンケートの実施を通じた取引先との連携拡充●外部機関による取締役会の評価を活用した実効性向上
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績当期のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が緩やかに改善する中、個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、全体として緩やかな景気の回復が続きました。このような状況のもと、生活サービス業を中心に増収となったことから、営業収益は422,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益は51,431百万円(同1.3%増)となりました。また、経常利益は50,474百万円(同0.4%減)となったほか、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に小田急センチュリービルの売却に伴う固定資産売却益を計上した反動等により、51,958百万円(同36.3%減)となりました。セグメントごとの業績は、次のとおりです。なお、当社は、2030年度営業利益目標の達成に向けた事業ポートフォリオの最適化のため、業績管理区分を変更しました。これに伴い、従来「運輸業」「流通業」「不動産業」および「その他の事業」としていたセグメント区分を、当連結会計年度から、「交通業」「不動産業」および「生活サービス業」に変更しました。そのため、前連結会計年度の実績を変更後のセグメント区分に組み替えたうえで比較しています。 ア 交通業鉄道業では、輸送面において、本年3月、ご利用ニーズの高い平日夜間の特急ロマンスカー増発や、列車種別ごとの停車駅の見直し等、利便性の向上を目的としたダイヤ改正を実施しました。また、通勤車両5000形2編成を増備したほか、通勤車両3000形について、多様なお客さまのニーズに対応すべく、全車両へ「車いす・ベビーカースペース」を設けるとともに、環境面に配慮したリニューアルを実施し、3編成が営業運転を開始するなど、輸送サービスの向上を図りました。営業面では、昨年4月、特急ロマンスカーをお得にご利用いただけるサブスクリプション電子チケット「EMot(エモット)ロマンスカーパスポート」の販売を開始しました。さらに、昨年9月、インバウンド旅行者向けに、月間6,500万人が訪問する旅行・レジャー予約サイト「Klook(クルック)」で購入した交通・体験等のチケットを「EMotオンラインチケット」で発券できるデジタルチケットサービスを開始するなど、MaaSアプリケーション「EMot」を活用した諸施策を引き続き実施しました。また、多摩線開業50周年を記念した各種イベントを開催するなど、積極的な旅客誘致による収益の向上に努めました。施設面では、列車運行の安全性を一層高めるため、相模大野駅、海老名駅、中央林間駅および大和駅にホームドアを設置したほか、大規模地震による被害を抑制すべく、相模大野駅~東林間駅間の橋梁等の耐震補強工事を実施しました。また、犯罪の抑止や事件の早期解決等を目的として、特急車両2編成および通勤車両32編成に車内防犯カメラを設置しました。バス業では、小田急バス㈱において、昨年10月、乗車ポイントサービス「小田急おでかけポイント」を導入し、乗車時にPASMOを利用したお客さまに対して小田急ポイントの付与を開始するなど、利便性の向上を図りました。また、各社において、運転士不足が生じている状況を踏まえ、安定した輸送サービスを今後も持続的に提供していくため、適正な労働環境の確保を目的としたダイヤ改正や待遇改善等に向けた運賃改定を実施しました。以上の結果、鉄道業において定期・定期外ともに輸送人員が増加したことに加え、バス業において運賃改定を実施したことなどにより、営業収益は174,927百万円(前期比1.9%増)、営業利益は26,495百万円(同2.2%増)となりました。 (提出会社の鉄道事業運輸成績表)種別単位当連結会計年度(2024.4.1~2025.3.31) 対前期増減率(%)営業日数 日365△0.3営業キロ キロ120.50.0客車走行キロ 千キロ172,355△1.0 定期千人404,5562.0輸送人員定期外〃294,3152.5 計〃698,8712.2 定期百万円42,4542.3旅客運輸収入定期外〃72,8542.0 計〃115,3092.1運輸雑収 〃3,1993.7運輸収入合計 〃118,5082.2乗車効率 %43.8-(注) 乗車効率の算出方法乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)/(客車走行キロ×平均定員)×100 イ 不動産業不動産分譲業では、小田急不動産㈱において、「リーフィア狛江 蒼翠の街」等の戸建住宅や、「リーフィアレジデンス調布小島町」をはじめとしたマンションを分譲するなど、収益の確保に努めました。不動産賃貸業では、当社、東京地下鉄㈱および東急不動産㈱を事業主体とする新宿駅西口地区開発計画において、新築工事や、旧小田急百貨店新宿店本館跡地の地下部分等の解体工事を引き続き実施しました。加えて、当社は、㈱小田急SCディベロップメント等と協働のうえ、昨年6月、「藤沢市立鵠沼海浜公園」について、スケートパークのスケールアップおよび商業機能の新設等を行い、「鵠沼海浜公園HUG-RIDE PARK(ハグ-ライド パーク)」としてリニューアルオープンするなど、各エリアの開発計画を鋭意推進しました。また、㈱小田急SCディベロップメントにおいて、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴う「新宿ミロード」の閉館に先立ち、「新宿ミロード フィナーレキャンペーン」を開催し、各種イベントの実施を通じた集客に努めたほか、商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」や「本厚木ミロード」のリニューアルを実施するなど、施設の充実および活性化を図りました。このほか、小田急不動産㈱において、昨年9月、物流施設「小田急不動産ロジスティクスセンター蟹江」が竣工するなど、事業規模拡大に努めました。以上の結果、不動産分譲業においてマンション販売価格が上昇したことに加え、不動産賃貸業において商業施設やオフィスの賃料収入が増加したことなどにより、営業収益は95,897百万円(前期比4.2%増)となりました。一方、不動産分譲業において前期に利益率の高い自社用地開発物件を売却した反動や販促費の増加等により、営業利益は15,852百万円(同10.7%減)となりました。 ウ 生活サービス業百貨店業では、㈱小田急百貨店の全店において、昨年9月、㈱NTTドコモが提供するポイントサービス「dポイント」を導入したことに加え、催事をはじめとする各種営業施策を積極的に展開するなど、収益の確保に努めました。ストア・小売業では、小田急商事㈱が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」において、愛甲石田店が新規オープンするとともに、狛江店の専門店フロアがリニューアルオープンしました。加えて、各店で買い回りしやすい売り場づくりに努めるなど、お客さまの利便性向上を図りました。ホテル業では、UDS㈱を外部譲渡したものの、㈱ホテル小田急サザンタワーが運営する「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」において、昨年6月、「サザンタワーダイニング」のメニューを充実させるとともに、眺望を楽しめる食事スペースを増席するなど、より使いやすく、居心地の良い食体験の提供に努めました。レストラン飲食業では、ジローレストランシステム㈱において新規業態を開発したほか、㈱小田急レストランシステムにおいて新規出店を実施するなど、集客力の強化を図りました。また、グループ通算制度の適用に伴い、百貨店業およびストア・小売業において決算期を変更し13ヵ月間を連結したことなどにより、増収となりました。以上の結果、営業収益は168,695百万円(前期比4.5%増)、営業利益は9,062百万円(同28.4%増)となりました。② キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益72,054百万円に減価償却費や法人税等の支払額等を加減した結果、55,877百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ、15,748百万円の資金収入の減少となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、74,495百万円の資金支出となりました。この結果、これらを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは18,618百万円の資金支出となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、7,040百万円の資金支出と、前連結会計年度に比べ、95,038百万円の資金支出の減少となりました。これは、借入れや社債の発行による収入が増加したことなどによるものです。なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ25,580百万円減少し、34,952百万円となりました。③ 生産、受注および販売の実績当社グループは、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産および受注の実績を金額あるいは数量で示すことはしていません。そのため生産、受注および販売の実績については、「① 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しています。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成に際し、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収入・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものです。また、連結財務諸表の作成における会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しています。ア 棚卸資産の評価当社グループは、多くの棚卸資産を保有しており、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2008年9月26日)を適用しています。これらのうち、分譲土地建物については原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切り下げの方法により算定)を採用しており、市場価格が下落した場合には、簿価の切り下げにより費用が発生する可能性があります。イ 有価証券の減損当社グループは、金融機関や取引先の有価証券を保有しています。これらのうち、市場価格のない株式等以外の有価証券については、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っています。これらの有価証券は価格変動リスクを負っているため、損失が発生する可能性があります。ウ 固定資産の減損当社グループは、多くの固定資産を保有しています。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等多くの前提条件に基づき算出しているため、前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。エ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少または増加した場合には、評価性引当額の追加計上または取崩しが必要となる場合があります。オ 退職給付債務および費用従業員の退職給付債務および費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、予想昇給率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付債務および費用に影響する可能性があります。② 財政状態および経営成績(財政状態)総資産は、新宿駅西口地区開発計画の進捗に伴い建設仮勘定が増加したものの、現金及び預金が減少したことなどから、1,299,991百万円(前連結会計年度末比1,586百万円減)となりました。負債は、有利子負債が増加したものの、新宿駅西口地区開発計画に係る未払金が減少したことなどから、820,728百万円(同20,673百万円減)となりました。純資産は、自己株式を取得したものの、利益剰余金が増加したことなどから、479,263百万円(同19,086百万円増)となりました。(経営成績)ア 営業収益および営業利益当連結会計年度における営業収益は422,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益は51,431百万円(同1.3%増)となりました。なお、各セグメントの営業収益および営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しています。イ 営業外損益および経常利益経常利益は50,474百万円(同0.4%減)となりました。ウ 特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益前期に小田急センチュリービルの売却に伴う固定資産売却益を計上した反動等により、税金等調整前当期純利益は72,054百万円(同29.1%減)となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は51,958百万円(同36.3%減)となりました。③ 資本の財源および資金の流動性についての分析ア 設備投資による資本の投下当社グループは、鉄道事業において、安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に努めているほか、他の事業においても、沿線価値の向上を目指して継続的な設備投資を行っています。当連結会計年度は総額65,388百万円の設備投資を実施しました。なお、各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」の「1 設備投資等の概要」に記載しています。イ 資金需要の主な内容と動向当社グループの主要な資金需要は、鉄道事業における安全・防災対策の強化やサービスの向上、持続可能な運営体制の構築に不可欠な設備投資や、沿線価値の向上に資する開発投資等ですが、そのほかに人件費等の事業運営のための運転資金の支出があります。また、今後の動向としては、設備投資が資金需要の中で最も高い割合を占める状況が続くと考えています。ウ 資金調達当社グループの資金調達は、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しています。なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、資金繰りの波動により、短期的な資金需要が発生する場合には、極力グループ内資金を活用するほか、適宜、コマーシャル・ペーパー(CP)の発行等により緊急時の流動性を確保しています。エ 資金の流動性当社グループは、鉄道事業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。 ④ 経営指標当社グループでは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ③ 企業価値向上に向けた財務方針」に記載のとおり、ROE、営業利益、有利子負債/EBITDA倍率を重要指標としています。なお、当連結会計年度については、以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)ROE(注)20.3%11.7%営業利益50,76651,431有利子負債/EBITDA倍率6.5倍6.8倍(注) 親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(有価証券評価差額除く) (参考) 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)借入金・社債等576,974609,051鉄道・運輸機構長期未払金49,97643,737有利子負債計(注)626,950652,789EBITDA96,55295,386(注) リース債務および社内預金は除いています。

事業リスク

小田急電鉄グループは、大規模な地震や津波、集中豪雨、暴風などの自然災害、新型インフルエンザ等の感染症の流行により、人的被害、設備損傷、営業制約、消費マインドの冷え込みによる収益減少のリスクがあります。また、人為的ミスや機器の誤作動、テロ等による事故発生、保有資産や商品の瑕疵・欠陥、システム障害も事業中断や損害賠償、信用低下につながる可能性があります。さらに、コンプライアンス違反、機密情報漏洩、不適切な情報開示、質の高い人材確保の困難、法的規制の変更も業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,136 文字
3【事業等のリスク】当社グループでは、「小田急グループリスクマネジメント方針」に基づきグループ全体のリスクマネジメント体制を構築し、企業経営に重大な影響を与えるリスクの対策を検討・推進する取り組みを行っています。これらを通じて把握したリスクのうち、投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき当社グループが判断したものです。また、以下のリスクは当社グループのすべてのリスクを網羅したものではありませんのでご留意ください。その他、気候変動がもたらすリスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」にも記載しています。 (1)災害等① 大規模な地震・津波の発生大規模な地震等が発生した場合、当社グループの各事業において、人的被害、建物・設備が損傷するなどの直接的被害のほか、電力不足等による営業への制約、消費マインドの冷え込みによる収益の減少といった間接的被害により、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの事業エリアの一部は南海トラフ地震防災対策推進地域、南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域に含まれています。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)の制定、建物・設備の耐震補強工事を推進するとともに、一部の駅において災害発生時の避難場所を示した案内や外国語案内の掲出、行政機関と連携した異常時対応訓練を行い、さらに、全ての駅・関係施設において災害備蓄品を整備するなどの諸施策を実施しています。② 自然災害の発生当社グループでは、集中豪雨および暴風等、大規模な自然災害が発生した場合、当社グループの各事業において、人的被害、建物・設備の損傷、被害箇所の復旧等に伴う費用の増大等のほか、列車運休等の営業上の制約、消費マインドの冷え込み等による収益の減少により、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、防災計画に基づいた警戒体制、運行規制の徹底、各種構造物に対する防護工事や雨量計、風速計の設置、危険箇所への定点観測カメラによる監視等を実施しています。③ 感染症の流行当社グループは、鉄道・バス・商業施設等多数のお客さまが利用されるサービスを展開しています。当社グループの事業エリアにおいて、新型インフルエンザ等の感染症が大規模に流行した場合、施設を利用されるお客さまの減少や、従業員の感染が多発することで、鉄道の列車運行等の事業運営に支障をきたし、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)を制定し、マスクやアルコール消毒液等の備蓄、情報収集体制の構築等の諸施策を実施しています。 (2)事故等① 事故等の発生当社グループの各事業において、人為的なミスや機器の誤作動、テロ等の不法行為等によって大きな事故や火災等が発生した場合、人的被害や事業の中断等が生じるとともに、被害者に対する損害賠償責任や施設の復旧等に伴う費用が発生する可能性があります。また、顧客の信頼および社会的評価の低下により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)の制定、リスク事案の共有、計画的な設備更新・点検、各種訓練・教育の充実等により類似事案の発生防止・対応力強化を図っています。② 保有資産および商品の瑕疵・欠陥当社グループが保有する資産に、瑕疵や欠陥が見つかった場合または健康や周辺環境に影響を与える可能性等が指摘された場合、改善・原状復帰、補償等にかかる費用が発生する可能性があります。また、当社グループにおいて販売した商品等について瑕疵や欠陥が見つかった場合についても、改善および補償等に伴う費用の発生や信用低下等に伴い当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、構造物への法令に基づく各種検査、商品への衛生検査・表示検査・細菌検査、外部機関による監査等の諸施策を実施しています。③ システム障害の発生当社グループの事業は、コンピューターシステムや通信ネットワークといった情報システムに大きく依存しています。そのため、事業活動に不可欠なシステムやネットワークの安定稼働に必要な対策を実施していますが、コンピューターウイルス等の第三者による妨害行為、自然災害および人為的ミス等により重大な障害が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、「小田急グループの情報システムにおける情報セキュリティ基本方針」を制定し、グループ全体で情報セキュリティに取り組んでいます。また、ネットワーク障害への耐性向上施策のほか、増加するサイバー攻撃に対して、情報セキュリティ体制の構築や、ファイアウォール等の設置、最新の脅威情報等を共有する取り組みを実施しています。(3)コンプライアンス等① コンプライアンス当社グループでは、コンプライアンスを「法令、社内規則、社会通念等のルールを守るとともに、誠実に事業活動を実践していくための考え方およびその取り組み」と定め、推進していますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、法令等に基づく制裁や社会的制裁等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、コンプライアンスアンケートの実施とその結果に基づく活動計画の策定・運用の推進、問題の早期発見・対応のためのコンプライアンス・ホットライン整備、各種研修やセミナーの充実等の諸施策を実施しています。また、ステークホルダーとの健全な関係性構築に向けて、人権尊重およびそれに配慮したサプライチェーン構築へのコミットメントである「小田急グループ 人権方針」「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」を策定しており、リスク対応、教育・浸透、取引先コミュニケーション等、方針に基づく具体的な運用を推進しています。② 機密情報管理当社グループはクレジットカード事業を行っているほか、各種事業において顧客情報等の個人情報を含む機密情報を保有しています。機密情報については厳正に管理していますが、何らかの理由で情報の漏洩等の事態が生じた場合、損害賠償や信用の低下等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)を制定し、情報にかかる規程類やマニュアルの整備、セキュリティ対策、定期的な研修・資格取得支援等の諸施策を実施しています。③ 情報開示人為的ミス等により不適切な情報開示等があった場合、顧客の信頼および社会的評価の低下等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、それぞれの事業特性に応じた内部統制の整備、運用に努めることで、適時適切な情報開示に取り組んでいます。(4)経営環境等① 人財の確保当社グループの事業は労働集約型の事業が多く、労働力として質の高い人財の確保が重要となります。そのため、優秀な人財を確保、育成し、働きやすい職場環境の確保と健全な労働環境の維持に努めていますが、これを達成できない場合、当社グループの事業展開が制約され、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、採用WEBサイトの整備、中途採用や多様な採用手法の推進、36協定の順守や処遇改善、福利厚生の充実、業務のシステム化や見直しによる業務効率化等の諸施策を実施しています。② 法的規制当社グループは、鉄道事業法、道路運送法、大規模小売店舗立地法、建築基準法等の各種法令や排ガス規制をはじめとした公的規制のもとさまざまな事業を展開していますが、これらの法令・規制、特に東京都・神奈川県における諸制度の変更は当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、鉄道事業における運賃制度については以下のとおりです。鉄道運送事業者は、旅客の運賃の上限を定め、または変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されています(鉄道事業法第16条)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更ならびに特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっています(鉄道事業法第16条)。当社グループでは、法改正等に適切かつ迅速に対応するため、定期的な法令改正情報の共有や法令改正に対応した各種研修・セミナーの充実等の諸施策を実施しています。③ 金利の変動当社グループは鉄道事業を中心に継続的な設備投資を行っており、借入金や社債等により資金を調達しています。よって、金利の変動および当社の格付の変更が、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、有利子負債に占める長期・固定金利の割合を高く保つことで、金利が大きく変動した場合でも支払利息が急激に増えることのないよう努めています。④ 重要な訴訟当社が当事者となる重要な訴訟はありませんが、通常の業務の過程において第三者から訴訟その他の法的手段を提起されたり、行政等から調査を受けたりする可能性があります。これらの対応の負担に加え、仮に当社に不利な判決、決定等が下された場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクを回避するために、訴訟リスクの低減や法務対応力強化に向けて、契約書様式の制定・活用や顧問弁護士との連携強化、法務教育の充実等の諸施策を実施しています。

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