8095

アステナホールディングス(8095)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

アステナホールディングスは、ファインケミカル、HBC・食品、医薬、化学品などの多岐にわたる事業を展開する企業グループです。医薬品の研究開発受託や原料製造、一般用医薬品・化粧品・健康食品の企画・販売、医療用医薬品の製造・販売、電子工業用薬品や表面処理薬品の製造・販売が主な収益源です。特に、医薬品関連事業や化学品事業がグループ全体の売上と利益に貢献しており、専門性の高い技術と多様な製品ラインナップで事業を構成しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

アステナホールディングスの事業セグメントは主に4つです。ファインケミカル事業は、医薬品の研究開発受託や原料製造、ペプチド関連技術の開発・製造受託を行います。ヘルス&ビューティーケア・食品事業は、一般用医薬品、化粧品、健康食品の販売や製造を手掛けます。医薬事業は、医療用・一般用医薬品および医薬品原料の製造・販売が中心です。化学品事業は、電子工業用薬品や表面処理薬品の製造・販売を行います。最新年度の売上・営業利益を見ると、ファインケミカル事業が最も売上が大きく、医薬事業が最も高い営業利益を上げており、グループの主要な収益源となっています。

2025-11 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
FineChemicals 事業 223 9 4.1%
HealthAndBeautyCareFood 事業 182 7 3.8%
Medical 事業 124 11 9.0%
IndustrialChemicals 地域 97 7 7.5%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,128 文字
3【事業の内容】 当社グループは、アステナホールディングス株式会社(当社)及び子会社(27社)、関連会社(1社)で構成され、ファインケミカル、HBC・食品、医薬、化学品等の事業を展開しております。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 なお、当該事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。事業区分事業の内容主要な会社ファインケミカル (Fine Chemicals)事業医薬品のCMC研究開発及び製造の受託事業医薬品原料の製造販売ペプチド合成法Molecular Hiving™の開発ペプチド原薬等に関する製造プロセスの開発・技術移転事業、並びに同原薬の受託製造及び技術のライセンススペラファーマ株式会社スペラネクサス株式会社JITSUBO株式会社岩城製薬佐倉工場株式会社HBC(Health & Beauty Care) ・食品事業一般用医薬品・化粧品原料・機能性食品原料の販売化粧品の製造販売業、健康食品の製造販売業各種サプリメント等の健康食品、禁煙パイポ等の禁煙関連商品、その他健康関連商品の企画・開発・販売化粧品輸入代行イワキ株式会社アプロス株式会社マルマンH&B株式会社株式会社アインズラボ池田産業株式会社池田物産株式会社イノベイション株式会社Ikeda Corporation of Americaボーエン化成株式会社医薬事業医療用医薬品、一般用医薬品、医薬品原料及び化成品等の製造・販売岩城製薬株式会社化学品事業電子工業用薬品・表面処理薬品・化学品の製造及び販売表面処理薬品原料等の販売プリント配線板等の製造プラントの製造及び販売メルテックス株式会社東海メルテックス株式会社東京化工機株式会社メルテックス香港社台湾メルテックス社メルテックスアジアタイランド社美緑達科技(天津)有限公司メルテックスコリア社弘塑電子設備(上海)有限公司Tokyo Kakoki Co.,Ltd.(Cayman)その他、全社(共通)主に地方創生に関する事業自社ブランドの企画・販売アステナグループの業務受託能登地域を中心にSDGsに資する事業への投資アステナミネルヴァ株式会社株式会社NAIAアステナハートフル株式会社奥能登SDGs投資事業有限責任組合 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
医薬品CMC研究開発受託や最先端技術開発により、一定の価格決定力を持つ。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
医薬品のCMC研究開発、ペプチド合成法、バイオ医薬品関連技術、表面処理薬品技術など。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:法的規制リスク / 取引先の債務不履行リスク / 主要取引先の再編
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

アステナホールディングスは卸売業であり、特許やブランド力といった強力な無形資産に依存するビジネスモデルではない。具体的な無形資産の強さを示す情報は見当たらない。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

卸売業においては、長年の取引関係や特定の顧客ニーズへの対応力から一定のスイッチングコストが発生する可能性がある。しかし、アステナホールディングスに特化した、乗り換えが極めて困難となるような強固なスイッチングコストを示す具体的な情報は確認できない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

卸売業は基本的にBtoBビジネスであり、プラットフォーム型ビジネスのようなネットワーク効果が働きにくい構造である。アステナホールディングスが直接的にネットワーク効果を享受するビジネスモデルを採用している証拠はない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

卸売業は一般的に規模の経済や効率的な物流網によってコスト競争力が生まれるが、アステナホールディングスが業界平均を大きく下回るコスト構造を持つという具体的な情報は現時点では確認できない。標準的な卸売業の範囲内と考えられる。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

アステナホールディングスは特定の分野(例:アパレル・繊維、化粧品・雑貨)において、一定の事業規模とサプライヤー・顧客基盤を有していると考えられる。しかし、業界全体を支配するような寡占的な地位や圧倒的な規模の経済を示唆するデータは不足している。

アステナホールディングスは、医薬品のCMC研究開発から製造受託、ペプチド合成技術「Molecular Hiving™」の開発など、高度な技術力を基盤としています。これにより、医薬品業界における特定のニッチ市場で競争優位性を確立していると考えられます。また、一般用医薬品、化粧品、健康食品から電子工業用薬品まで幅広い分野で事業を展開することで、特定の市場変動リスクを分散し、安定した収益基盤を築いている可能性があります。品質管理体制の徹底も、製品の信頼性を高める上で重要な強みです。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは「誠実」「信用」「貢献」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としております。 (2)経営環境 当連結会計年度の経営環境は、米国の通商政策等による影響が自動車産業を中心にみられておりますが、引き続き景気は緩やかに回復しております。また、個人消費については物価高の影響があるものの、雇用・所得環境の改善等があり緩やかな持ち直しの動きがみられております。 (ファインケミカル事業) 医薬品開発エコシステム部門では、国内薬価制度の影響により、特に新薬メーカーは海外市場を優先した新製品開発を進めることが見込まれます。一方で、日本政府による戦略投資の対象である国内ベンチャー企業への継続的な支援が初期開発の追い風となることが期待されます。また、中分子医薬品の開発需要が拡大しており、当社が得意とするMolecular Hiving法の需要増加も見込まれます。このような状況のもと、当部門では、重点企業及びベンチャー企業・アカデミアへのアプローチを更に強化すると同時に、各種費用の低減と設備投資の適切なコントロールにより、コスト競争力の更なる強化を図ります。また、中分子医薬品においては海外メガファーマ等からの受注及び実績の拡大に注力し、グローバル市場での競争力を高めてまいります。 医薬品原料プラットフォーム部門では、医薬品原料の安定供給が経済安全保障上の最重要課題となっており、特定の国や地域からの輸入に過度に頼らないためのサプライチェーンの多様化に加え、品質保証や薬事対応力を備え、万が一の時にも柔軟な対応が可能な企業が選好されるものと考えております。このような状況のもと、当部門では、輸入品の対応力を更に強化するとともに、他社との差別化を明確にした顧客アプローチを推進し、国内における市場シェアの向上を目指します。 医薬品CDMO部門では、新薬メーカー同士の大型M&Aや後発医薬品業界におけるコンソーシアム施策が進展するなど、業界再編の機運が高まっています。また、建設関連コストの高騰を背景に、コスト効率化を目的にした製造所の集約が加速する見通しです。このような状況のもと、当部門では、当社が得意とする技術領域を主軸として顧客アプローチの強化を図るとともに新規案件の獲得に注力してまいります。 (HBC・食品事業) 食品原料部門では、食品市場は個食化やインフレを背景に緩やかに拡大する一方、人口減少で食材消費量は減少し、原料市場は鈍化すると予想されます。このような状況のもと、当部門では、機能性原料を活かし、健康需要獲得を推進し、データ活用によるターゲット精度を高め、営業リソースの最適配分と成功事例の可視化・再現を実施します。加えて、「i-Platto(アイプラット)」や自社商品・重点品の独自機能強化と拡大を加速し、営業担当の業務効率化により顧客対応時間を拡大します。 化粧品原料部門では、最終商品市場は高機能製品や海外需要を背景に緩やかな拡大が見込まれるものの、原料市場は海外製品の輸入拡大により成長率が低迷し、気候変動等の不確実要素が供給に影響する可能性があると予想されます。このような状況のもと、当部門では、独自機能・商品を活かした課題解決型提案を強化し、データ活用によるターゲット精度向上と営業効率化、2025年11月期にグループインした池田物産株式会社、イノベイション株式会社、Ikeda Corporation of Americaとのクロスセルで新規需要獲得を推進します。 ライフサイエンス部門では、出生者数の減少は回復の兆しがなく、関連市場は縮小傾向にあります。このような状況のもと、当部門では、独自性のある商品を軸に選択と集中を進め、Web活用や学会・展示会での積極的なプロモーションと短期PDCAにより効率的なリード獲得を推進するとともに、成長領域向け新商品の探索を進めてまいります。 化粧品製販部門では、化粧品市場は、コロナ前水準までの回復を見込むものの、足踏み傾向が続いており注視が必要です。このような状況のもと、当部門では、既存品に加え新規ブランド・カテゴリー参入を行い、販売促進、広告宣伝の強化に注力します。 (医薬事業) 医薬品部門では、後発医薬品は選定療養の拡大により需要増加が見込まれる一方、長期収載品は需要減少により収益性が悪化し、先発医薬品メーカーの撤退が見込まれます。このような状況のもと、当部門では、安定供給体制構築のため製造委託を推進し、先発医薬品の製造販売中止後の需要増加に備えるとともに、学会展示や病院説明会を通じて岩城製薬株式会社と製品群の認知度向上を図ってまいります。 美容医療部門では、医療機関専売化粧品市場は、自由診療へのハードルが下がるなど引き続き拡大が見込まれます。このような状況のもと、当部門では、「NAVISION DR」、「illsera(イルセラ)」シリーズの知名度向上に努めるとともに、新しい化粧品の開発を進め、製品ラインナップの強化を図ってまいります。 (化学品事業) 化学品事業はエレクトロニクス産業に大きく依存しており、PCやスマートフォンの売上が低迷する中、EV市場の成長に期待していましたが、短期的には厳しい状況が続きました。しかしながら、データセンターに対する投資拡大から今後消費電力削減に欠かせないパワー半導体やその機能を引き出すための積層セラミックコンデンサ(MLCC)や抵抗などの受動部品(チップ部品)の需要が増していくことが期待されています。 表面処理薬品部門では、電子部品はAI需要により堅調に推移し、PCやスマートフォンの買い替えでプリント基板関連需要も期待されます。一方、EV市場は2026年11月期の前半低迷し、パワー半導体は2026年11月期後半以降の回復を見込んでおります。このような状況のもと、当部門では、需要回復に対応するため、各販売分野で機会損失を防ぐ供給体制の整備に注力してまいります。 表面処理設備部門では、得意先からの引き合いも増加しており、開発装置の市場投入を進めてまいります。従来はプリント基板市場を中心に注力してまいりましたが、当社が保有する高性能スプレーシステム技術を用いて新たな市場の開拓を進めてまいります。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としましては、当社は「誠実」「信用」「貢献」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としており、中期的な経営戦略の実行及び実現に向け、これまで長きにわたって培われてきた良き企業文化はそのままに、成熟企業的な行動慣習を改め、経営品質を改革・向上させることが、非常に重要な課題であると認識しております。 この課題に対処するため、当社グループは2021年6月に持株会社体制へ移行し、主要な4事業をビジネスの主軸にするとともに、経営体制刷新による事業戦略の再構築を行いました。事業戦略再構築の基本方針として、「産業」「技術」「社会」のサステナビリティを高めることを目的とした3つのサステナビリティ戦略のもと、グループ中長期ビジョン(Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”)を推進してまいります。 なお、当社グループを取り巻く事業環境は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果により、景気は緩やかな回復の動きがみられるものの、円安の進行による物価上昇や、金利の上昇などによる企業の経済活動や個人消費への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況となっております。 このような状況のもと、当社グループでは、グループ中長期ビジョン達成に向け、目標値に対する進捗状況等を鑑みて、ローリング方式にて中期経営計画ローリング(2026-2028)の見直しも行っております。 (4)経営戦略 当社グループは、3つのサステナビリティ戦略を基本戦略とします。 ① プラットフォーム戦略 「産業のサステナビリティ」を実現し、プラットフォーム戦略を主として推進する事業は、ファインケミカル事業とHBC・食品事業です。これらの事業においては、参入市場におけるあらゆる事業ニーズに高いレベルの「策揃え」で応え、産業全体の効率化を高め、顧客の問題解決を行うことを目的とした業界プラットフォームになることを目指します。産業におけるプラットフォーマーの役割は、商取引を通してプラットフォーム上に蓄積していく情報や経験などの「共有知」が新たな付加価値を生み、製品・サービスそのものの信頼性を高め、あるいはオペレーションの効率化を実現します。そして結果的に、その産業に参入している全事業者が協働することで、産業自体の価値と効率が高まっていくと考えます。 ② ニッチトップ戦略 「技術のサステナビリティ」を実現し、ニッチトップ戦略を主として推進する事業は、医薬事業と化学品事業です。これらの事業においては、参入市場をできるだけ小さく定義し、当社固有の技術や事業体制によって差別化を行い、高い市場シェアの獲得を目指し、業界の「一択」となることで、当社グループの持つ競争力の持続可能性を高めます。イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」そして「効率型イノベーション」があると定義しています。当社グループのニッチトップ戦略を構成する技術は、この3つのイノベーションを繰り返しながら成長を重ねてまいりました。既存の技術の磨き上げを行いながら、その技術を適用できる新領域・新市場を探求し、より安定的に安価に顧客に届け、新しい技術を追いかけるだけではなく、イノベーション・サイクルを回すことが重要と考えます。 ③ ソーシャルインパクト戦略 「社会のサステナビリティ」を実現し、ソーシャルインパクト戦略を推進するため、当社は2021年12月に新規事業子会社であるアステナミネルヴァ株式会社を設立いたしました。同社は環境配慮型・社会課題解決型の事業の創出、多様なプレーヤーとの連携を通して、多岐にわたる社会課題をビジネスで解決する役割を担います。高齢化と人口減少は、様々な社会課題を生み出すため、こうした地域が抱える社会課題を解決するビジネスを奥能登エリアにおいて研究開発し、私たちが生きる社会の「豊かさ」を守るビジネスをつくり、多方面に広げていくことが重要と考えます。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等 2030年11月期を最終年度とした新たな中長期ビジョン「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」においては、売上高と自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付け、目標の達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。 重要経営指標及び事業遂行上の重点指標の目標値(最終年度:2030年11月期)売上高=1,300億円以上 ※収益認識基準適用後ベースでは約900億円以上自己資本当期純利益率(ROE) =13.0%以上
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは「誠実」「信用」「貢献」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としております。 (2)経営環境 当連結会計年度の経営環境は、米国の通商政策等による影響が自動車産業を中心にみられておりますが、引き続き景気は緩やかに回復しております。また、個人消費については物価高の影響があるものの、雇用・所得環境の改善等があり緩やかな持ち直しの動きがみられております。 (ファインケミカル事業) 医薬品開発エコシステム部門では、国内薬価制度の影響により、特に新薬メーカーは海外市場を優先した新製品開発を進めることが見込まれます。一方で、日本政府による戦略投資の対象である国内ベンチャー企業への継続的な支援が初期開発の追い風となることが期待されます。また、中分子医薬品の開発需要が拡大しており、当社が得意とするMolecular Hiving法の需要増加も見込まれます。このような状況のもと、当部門では、重点企業及びベンチャー企業・アカデミアへのアプローチを更に強化すると同時に、各種費用の低減と設備投資の適切なコントロールにより、コスト競争力の更なる強化を図ります。また、中分子医薬品においては海外メガファーマ等からの受注及び実績の拡大に注力し、グローバル市場での競争力を高めてまいります。 医薬品原料プラットフォーム部門では、医薬品原料の安定供給が経済安全保障上の最重要課題となっており、特定の国や地域からの輸入に過度に頼らないためのサプライチェーンの多様化に加え、品質保証や薬事対応力を備え、万が一の時にも柔軟な対応が可能な企業が選好されるものと考えております。このような状況のもと、当部門では、輸入品の対応力を更に強化するとともに、他社との差別化を明確にした顧客アプローチを推進し、国内における市場シェアの向上を目指します。 医薬品CDMO部門では、新薬メーカー同士の大型M&Aや後発医薬品業界におけるコンソーシアム施策が進展するなど、業界再編の機運が高まっています。また、建設関連コストの高騰を背景に、コスト効率化を目的にした製造所の集約が加速する見通しです。このような状況のもと、当部門では、当社が得意とする技術領域を主軸として顧客アプローチの強化を図るとともに新規案件の獲得に注力してまいります。 (HBC・食品事業) 食品原料部門では、食品市場は個食化やインフレを背景に緩やかに拡大する一方、人口減少で食材消費量は減少し、原料市場は鈍化すると予想されます。このような状況のもと、当部門では、機能性原料を活かし、健康需要獲得を推進し、データ活用によるターゲット精度を高め、営業リソースの最適配分と成功事例の可視化・再現を実施します。加えて、「i-Platto(アイプラット)」や自社商品・重点品の独自機能強化と拡大を加速し、営業担当の業務効率化により顧客対応時間を拡大します。 化粧品原料部門では、最終商品市場は高機能製品や海外需要を背景に緩やかな拡大が見込まれるものの、原料市場は海外製品の輸入拡大により成長率が低迷し、気候変動等の不確実要素が供給に影響する可能性があると予想されます。このような状況のもと、当部門では、独自機能・商品を活かした課題解決型提案を強化し、データ活用によるターゲット精度向上と営業効率化、2025年11月期にグループインした池田物産株式会社、イノベイション株式会社、Ikeda Corporation of Americaとのクロスセルで新規需要獲得を推進します。 ライフサイエンス部門では、出生者数の減少は回復の兆しがなく、関連市場は縮小傾向にあります。このような状況のもと、当部門では、独自性のある商品を軸に選択と集中を進め、Web活用や学会・展示会での積極的なプロモーションと短期PDCAにより効率的なリード獲得を推進するとともに、成長領域向け新商品の探索を進めてまいります。 化粧品製販部門では、化粧品市場は、コロナ前水準までの回復を見込むものの、足踏み傾向が続いており注視が必要です。このような状況のもと、当部門では、既存品に加え新規ブランド・カテゴリー参入を行い、販売促進、広告宣伝の強化に注力します。 (医薬事業) 医薬品部門では、後発医薬品は選定療養の拡大により需要増加が見込まれる一方、長期収載品は需要減少により収益性が悪化し、先発医薬品メーカーの撤退が見込まれます。このような状況のもと、当部門では、安定供給体制構築のため製造委託を推進し、先発医薬品の製造販売中止後の需要増加に備えるとともに、学会展示や病院説明会を通じて岩城製薬株式会社と製品群の認知度向上を図ってまいります。 美容医療部門では、医療機関専売化粧品市場は、自由診療へのハードルが下がるなど引き続き拡大が見込まれます。このような状況のもと、当部門では、「NAVISION DR」、「illsera(イルセラ)」シリーズの知名度向上に努めるとともに、新しい化粧品の開発を進め、製品ラインナップの強化を図ってまいります。 (化学品事業) 化学品事業はエレクトロニクス産業に大きく依存しており、PCやスマートフォンの売上が低迷する中、EV市場の成長に期待していましたが、短期的には厳しい状況が続きました。しかしながら、データセンターに対する投資拡大から今後消費電力削減に欠かせないパワー半導体やその機能を引き出すための積層セラミックコンデンサ(MLCC)や抵抗などの受動部品(チップ部品)の需要が増していくことが期待されています。 表面処理薬品部門では、電子部品はAI需要により堅調に推移し、PCやスマートフォンの買い替えでプリント基板関連需要も期待されます。一方、EV市場は2026年11月期の前半低迷し、パワー半導体は2026年11月期後半以降の回復を見込んでおります。このような状況のもと、当部門では、需要回復に対応するため、各販売分野で機会損失を防ぐ供給体制の整備に注力してまいります。 表面処理設備部門では、得意先からの引き合いも増加しており、開発装置の市場投入を進めてまいります。従来はプリント基板市場を中心に注力してまいりましたが、当社が保有する高性能スプレーシステム技術を用いて新たな市場の開拓を進めてまいります。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としましては、当社は「誠実」「信用」「貢献」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としており、中期的な経営戦略の実行及び実現に向け、これまで長きにわたって培われてきた良き企業文化はそのままに、成熟企業的な行動慣習を改め、経営品質を改革・向上させることが、非常に重要な課題であると認識しております。 この課題に対処するため、当社グループは2021年6月に持株会社体制へ移行し、主要な4事業をビジネスの主軸にするとともに、経営体制刷新による事業戦略の再構築を行いました。事業戦略再構築の基本方針として、「産業」「技術」「社会」のサステナビリティを高めることを目的とした3つのサステナビリティ戦略のもと、グループ中長期ビジョン(Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”)を推進してまいります。 なお、当社グループを取り巻く事業環境は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果により、景気は緩やかな回復の動きがみられるものの、円安の進行による物価上昇や、金利の上昇などによる企業の経済活動や個人消費への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況となっております。 このような状況のもと、当社グループでは、グループ中長期ビジョン達成に向け、目標値に対する進捗状況等を鑑みて、ローリング方式にて中期経営計画ローリング(2026-2028)の見直しも行っております。 (4)経営戦略 当社グループは、3つのサステナビリティ戦略を基本戦略とします。 ① プラットフォーム戦略 「産業のサステナビリティ」を実現し、プラットフォーム戦略を主として推進する事業は、ファインケミカル事業とHBC・食品事業です。これらの事業においては、参入市場におけるあらゆる事業ニーズに高いレベルの「策揃え」で応え、産業全体の効率化を高め、顧客の問題解決を行うことを目的とした業界プラットフォームになることを目指します。産業におけるプラットフォーマーの役割は、商取引を通してプラットフォーム上に蓄積していく情報や経験などの「共有知」が新たな付加価値を生み、製品・サービスそのものの信頼性を高め、あるいはオペレーションの効率化を実現します。そして結果的に、その産業に参入している全事業者が協働することで、産業自体の価値と効率が高まっていくと考えます。 ② ニッチトップ戦略 「技術のサステナビリティ」を実現し、ニッチトップ戦略を主として推進する事業は、医薬事業と化学品事業です。これらの事業においては、参入市場をできるだけ小さく定義し、当社固有の技術や事業体制によって差別化を行い、高い市場シェアの獲得を目指し、業界の「一択」となることで、当社グループの持つ競争力の持続可能性を高めます。イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」そして「効率型イノベーション」があると定義しています。当社グループのニッチトップ戦略を構成する技術は、この3つのイノベーションを繰り返しながら成長を重ねてまいりました。既存の技術の磨き上げを行いながら、その技術を適用できる新領域・新市場を探求し、より安定的に安価に顧客に届け、新しい技術を追いかけるだけではなく、イノベーション・サイクルを回すことが重要と考えます。 ③ ソーシャルインパクト戦略 「社会のサステナビリティ」を実現し、ソーシャルインパクト戦略を推進するため、当社は2021年12月に新規事業子会社であるアステナミネルヴァ株式会社を設立いたしました。同社は環境配慮型・社会課題解決型の事業の創出、多様なプレーヤーとの連携を通して、多岐にわたる社会課題をビジネスで解決する役割を担います。高齢化と人口減少は、様々な社会課題を生み出すため、こうした地域が抱える社会課題を解決するビジネスを奥能登エリアにおいて研究開発し、私たちが生きる社会の「豊かさ」を守るビジネスをつくり、多方面に広げていくことが重要と考えます。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等 2030年11月期を最終年度とした新たな中長期ビジョン「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」においては、売上高と自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付け、目標の達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。 重要経営指標及び事業遂行上の重点指標の目標値(最終年度:2030年11月期)売上高=1,300億円以上 ※収益認識基準適用後ベースでは約900億円以上自己資本当期純利益率(ROE) =13.0%以上
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度(2024年12月1日~2025年11月30日)における我が国経済は、米国の通商政策等による影響が自動車産業を中心にみられておりますが、引き続き景気は緩やかに回復しております。また、個人消費については物価高の影響があるものの、雇用・所得環境の改善等があり緩やかな持ち直しの動きがみられております。 このような状況のもと、当社グループでは、2030年11月期に向けた中長期ビジョン及び2028年11月期に向けた中期経営計画を推進し、更なる成長と企業価値の向上を目指す事業の運営を行ってまいりました。 当連結会計年度では、ファインケミカル事業において医薬品CDMO部門を中心に各部門が好調であったこと、HBC・食品事業において化粧品製販部門の輸入化粧品(韓国コスメ)の販売が好調であったことなどにより、売上・利益とも伸長しました。 以上により、当連結会計年度の売上高は、627億4千4百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は30億1千7百万円(同7.2%増)、経常利益は29億1千万円(同3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億8千7百万円(前年同期は25億2千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。  次にセグメントの概況につきご報告申し上げます。 ファインケミカル事業 医薬品開発エコシステム部門では、CMC分野において、新薬メーカー、ベンチャー企業や後発医薬品メーカーへの営業活動を継続し、新規案件の獲得に注力したほか、MicroED(Microcrystal Electron Diffraction、微小結晶電子回折)、ニトロソアミン関連の受注に注力しました。ペプチド・核酸分野においては、海外のグローバルメガファーマ等から中分子原薬のプロセス開発案件の受注が伸長しました。その結果、売上は横ばいに推移しましたが、利益は好調に推移しました。 医薬品原料プラットフォーム部門では、価格競争に左右されにくく付加価値の高い輸入原薬、新薬向け医薬中間体の販売により利益率の改善に注力しました。また、価格決定に至るプロセスの整理や在庫・物流の効率化を行うなどサプライチェーン機能を強化しました。その結果、売上は横ばいに推移しましたが、利益は好調に推移しました。 医薬品CDMO部門では、製剤製造分野において、外用剤製造の2シフト制導入により生産能力が向上しました。また、原薬製造分野では、安定供給を継続し、高付加価値受託品目の取扱いが過去最高となりました。その結果、売上・利益ともに好調に推移しました。 以上により、当事業全体の売上高は223億3千3百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は9億9百万円(同314.5%増)となりました。 HBC・食品事業 食品原料部門では、機能性食品原料では、機能性表示に関する制度厳格化により新規獲得が減少しましたが、既存納入品の需要の増加により売上は堅調となりました。また高利益品の需要が拡大したことも寄与し、売上・利益ともに堅調に推移しました。 化粧品原料部門では、仕入先協働製品群である重点販売品・育成品は新規獲得が伸長し、好調に推移しております。自社品については一部で需要減少がみられたものの、付加価値の高い商品の需要増加により利益率が改善しました。その結果、売上・利益ともに好調に推移しました。 ライフサイエンス部門では、主力商品である新生児・小児用人工呼吸器はシェアを拡大しましたが、出生数の減少により新生児向け医療機器市場が縮小、その他医療機関向け製品においても、病院経営の効率化を背景に設備投資や購買の抑制傾向が強まりました。その結果、売上・利益ともに低調に推移しました。 化粧品製販部門では、通信販売分野において、広告効率の改善、リブランディングの実施により既存化粧品の販売が増加しました。輸入化粧品・自社企画品販売においては、韓国コスメの輸入化粧品「Torriden(トリデン)」シリーズの新製品発売効果もあり、売上が大幅に増加しました。その結果、売上・利益ともに好調に推移しました。 また部門共通費として池田物産株式会社、池田産業株式会社、イノベイション株式会社、Ikeda Corporation ofAmericaのM&Aに係る各種費用が発生しました。 以上により、当事業全体の売上高は181億9千万円(前年同期比20.0%増)、営業利益は7億円(同12.4%増)となりました。 医薬事業 医薬品部門では、2025年4月に選定療養の対象となった長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)に対して、後発医薬品「ルリコナゾール『イワキ』」の販売が引き続き伸長しました。また、2025年7月に先発医薬品の販売中止が発表されたことにより「クロベタゾールプロピオン酸エステル『イワキ』」等の販売が増加しました。一方で、先発医薬品と同等あるいはそれ以上の薬価に改定された製品は、販売の減少が続きました。また、原料不足により供給を停止している製品の一部は製造再開に至らず、さらに原材料費の高騰や販管費の増加により収益性は悪化しました。結果として、売上は堅調に推移したものの、利益は低調に推移しました。 美容医療部門では、市場の拡大と認知度向上により、医療機関専売化粧品の「NAVISION DR」シリーズの販売が増加しました。また、2024年12月より取扱いを開始した「illsera(イルセラ)」シリーズについても、認知度が向上し販売が増加しております。その結果、売上・利益ともに好調に推移しました。 以上により、当事業全体の売上高は124億2千9百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益は11億1千8百万円(同14.1%減)となりました。 化学品事業 表面処理薬品部門では、高付加価値製品である微細配線形成用薬品、受動部品向けめっき薬品、半導体電極形成用薬品の販売促進活動に注力しましたが、海外主要市場の韓国・台湾・中国も日本同様、プリント基板市場及び半導体市場向け薬品の需要回復が遅れたことにより、横ばいで推移しました。一方、電子部品向け薬品分野に関しては、台湾・中国における需要拡大により販売は堅調に推移しました。その結果、売上は横ばいに推移しましたが、利益は好調に推移しました。 表面処理設備部門では、修理、メンテナンス案件及び部品販売など設備販売以外に注力したことで、設備以外の販売は過去最高を記録しましたが、得意先の設備投資が一巡したことにより設備の受注が大幅に減少しました。その結果、売上・利益ともに低調に推移しました。 以上により、当事業全体の売上高は97億3千2百万円(前年同期比4.5%減)、営業利益は7億3千3百万円(同9.2%減)となりました。 その他事業 その他事業では、石川県奥能登地域における社会課題解決を目的としたソーシャルインパクト事業を企画・運営しております。 ヘルスケア部門では、「農業×ヘルスケア」を軸に前期立ち上げた化粧品ブランド「NAIA(ナイア)」において、能登の自然素材と皮膚科学を融合させた新製品の投入を進め、売上は前期よりも増加しましたが、PR費用などの投資が先行したため営業損失を計上しました。 地方創生部門では、ふるさと納税向けサービスにおいて、自治体やゴルフ場等での現地決済型サービスの導入件数が増加し、安定的な売上を確保しております。その結果、売上・利益ともに前期比で改善しました。 以上により、当事業全体の売上高は5千7百万円(前年同期比49.7%増)、営業損失は3億6千3百万円(前年同期は1億2千9百万円の営業損失)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは増加、投資活動によるキャッシュ・フローは減少、財務活動によるキャッシュ・フローは増加、これに現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた全体で40億8千9百万円の増加となり、当連結会計年度末における資金残高は100億6千7百万円(前年同期比68.4%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動により増加した資金は33億9千3百万円(前年同期比14億5千4百万円減)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益28億6千4百万円、減価償却費24億2千7百万円、売上債権及び契約資産の減少額4億8千7百万円、棚卸資産の増加額8億2千6百万円等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動により減少した資金は55億5千7百万円(前年同期比26億1千9百万円減)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出28億9千3百万円、無形固定資産の取得による支出2億8千2百万円、投資有価証券の取得による支出1億7千9百万円、投資有価証券の売却による収入5億3百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出26億2千9百万円等によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動により増加した資金は62億2百万円(前年同期比88億5千3百万円増)となりました。これは、主に短期借入金の純増減額35億7千6百万円、長期借入れによる収入50億円、長期借入金の返済による支出15億8千5百万円、配当金の支払額7億3千5百万円等によるものです。 ③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループは見込み生産を行っているため受注実績の記載は省略しております。a.生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年12月1日至 2025年11月30日)前年同期比(%)ファインケミカル事業(百万円)12,700107.0HBC・食品事業(百万円)69181.0医薬事業(百万円)6,787112.1化学品事業(百万円)5,37698.3報告セグメント計(百万円)24,933106.4その他(百万円)77117.2合計(百万円)25,010106.5 b.商品仕入実績 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年12月1日至 2025年11月30日)前年同期比(%)ファインケミカル事業(百万円)5,49096.7HBC・食品事業(百万円)11,076128.8医薬事業(百万円)1,622108.2化学品事業(百万円)1,183117.7報告セグメント計(百万円)19,373115.4その他(百万円)142.8合計(百万円)19,374115.4(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。 c.販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年12月1日至 2025年11月30日)前年同期比(%)ファインケミカル事業(百万円)22,333105.7HBC・食品事業(百万円)18,190120.0医薬事業(百万円)12,429108.4化学品事業(百万円)9,73295.5報告セグメント計(百万円)62,687108.2その他(百万円)57149.7合計(百万円)62,744108.2(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。2.当連結会計年度における「主な相手先別販売実績」については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありませんので記載を省略しております。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。 なお、重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.財政状態 当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産754億4千1百万円(前期末比108億4千6百万円増)、負債480億4千3百万円(同87億5千万円増)、純資産273億9千7百万円(同20億9千5百万円増)となりました。 総資産の増加の主な理由は、現金及び預金の増加40億8千9百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加21億5千5百万円、電子記録債権の減少5億7千7百万円、商品及び製品の増加19億5百万円、のれんの増加10億3百万円等によるものです。 負債の増加の主な理由は、支払手形及び買掛金の増加2億7千9百万円、電子記録債務の増加7億1千7百万円、短期借入金の増加48億4百万円、未払費用の増加3億2千6百万円、未払法人税等の増加1億2千1百万円、長期借入金の増加28億5百万円等によるものです。 純資産の増加の主な理由は、資本剰余金の増加2千3百万円、利益剰余金の増加14億2千8百万円、その他有価証券評価差額金の増加4千9百万円、退職給付に係る調整累計額の増加2億4千2百万円等によるものです。 b.経営成績(売上高)ファインケミカル事業におきましては、医薬品原料部門では、CMC分野において、新薬メーカー、ベンチャー企業や後発医薬品メーカーへの営業活動を継続し、新規案件の獲得に注力したほか、MicroED(Microcrystal Electron Diffraction、微小結晶電子回折)、ニトロソアミン関連の受注に注力しました。医薬品CDMO部門では、製剤製造分野において、外用剤製造の2シフト制導入により生産能力が向上しました。また、原薬製造分野では、安定供給を継続し、高付加価値受託品目の取扱いが過去最高となりました。 以上により、当事業全体の売上高は223億3千3百万円(前年同期比5.7%増)となりました。 HBC・食品事業におきましては、食品原料部門では、機能性食品原料では、機能性表示に関する制度厳格化により新規獲得が減少しましたが、既存納入品の需要の増加により売上は堅調となりました。また高利益品の需要が拡大したことも寄与し、売上は堅調に推移しました。 化粧品原料部門では、仕入先協働製品群である重点販売品・育成品は新規獲得が伸長し、売上は好調に推移しました。 化粧品製販部門では、通信販売分野において、広告効率の改善、リブランディングの実施により既存化粧品の販売が増加しました。輸入化粧品・自社企画品販売においては、韓国コスメの輸入化粧品「Torriden(トリデン)」シリーズの新製品発売効果もあり、売上が大幅に増加しました。 以上により、当事業全体の売上高は181億9千万円(前年同期比20.0%増)となりました。 医薬事業におきましては、2025年4月に選定療養の対象となった長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)に対して、後発医薬品「ルリコナゾール『イワキ』」の販売が引き続き伸長しました。また、2025年7月に先発医薬品の販売中止が発表されたことにより「クロベタゾールプロピオン酸エステル『イワキ』」等の販売が増加しました。 美容医療部門では、市場の拡大と認知度向上により、医療機関専売化粧品の「NAVISION DR」シリーズの販売が増加しました。また、2024年12月より取扱いを開始した「illsera(イルセラ)」シリーズについても、認知度が向上し販売が増加しております。 以上により、当事業全体の売上高は124億2千9百万円(前年同期比8.4%増)となりました。 化学品事業におきましては、表面処理薬品部門では、高付加価値製品である微細配線形成用薬品、受動部品向けめっき薬品、半導体電極形成用薬品の販売促進活動に注力しましたが、海外主要市場の韓国・台湾・中国も日本同様、プリント基板市場及び半導体市場向け薬品の需要回復が遅れたことにより、横ばいで推移しました。一方、電子部品向け薬品分野に関しては、台湾・中国における需要拡大により販売は堅調に推移しました。 表面処理設備部門では、修理、メンテナンス案件及び部品販売など設備販売以外に注力したことで、設備以外の販売は過去最高を記録しましたが、得意先の設備投資が一巡したことにより設備の受注が大幅に減少しました。 以上により、当事業全体の売上高は97億3千2百万円(前年同期比4.5%減)となりました。 その他事業におきましては、売上高は5千7百万円(前年同期比49.7%増)となりました。 この結果、全体の売上高は627億4千4百万円(前年同期比8.2%増)となりました。 (営業利益) 売上高の増加により売上総利益が24億9千6百万円増加したことに加え、報酬及び給料手当の増加5億3千1百万円、販売促進費の増加4億8千1百万円等により、販売費及び一般管理費は188億4千8百万円(前年同期比13.9%増)となりました この結果、営業利益は30億1千7百万円(前年同期比7.2%増)となりました。 (経常利益) 営業利益が増加したことに加え、営業外収益の持分法による投資利益の増加2千3百万円、受取事務手数料の増加6千4百万円、営業外費用の支払利息の増加9千3百万円、損害賠償金の発生1億1百万円等により、経常利益は29億1千万円(前年同期比3.8%増)となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益) 経常利益が増加したことに加え、特別利益に投資有価証券売却益2億7千万円、特別損失に固定資産処分損1億4百万円、減損損失1億3千9百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は21億8千7百万円(前年同期は25億2千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 c.資本の財源及び資金の流動性ⅰ.キャッシュ・フロー 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ⅱ.契約債務 2025年11月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。 年度別要支払額(百万円)契約債務合計1年以内1年超3年以内3年超5年以内5年超短期借入金14,09614,096---長期借入金8,3492,0993,7412,508-リース債務20563743729 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。また、1年内返済予定のリース債務は、連結貸借対照表上その他流動負債に含めております。 ⅲ.財政政策 当社グループは、運転資金、設備資金及びM&A等の投資資金につきましては、自己資金を充当するほか、金融機関からの借入れ、売掛債権の流動化など多角的な資金調達を検討、実施しております。このうち、運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入を基本としており、大型設備やM&A投資資金等は金融機関からの長期借入を基本としております。 2025年11月30日現在、長期借入金の残高は62億5千万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高0円、借入未実行残高100億円)。 d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標の当期達成状況 当社グループでは、2030年11月期を最終年度とする中長期ビジョンにおいては、売上高1,300億円以上(収益認識基準適用後ベースでは約900億円以上)、自己資本当期純利益率(ROE)13.0%以上を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付けております。 当連結会計年度においては、売上高は627億4千4百万円、前連結会計年度比8.2%増加となりました。増加の主な理由としましては、ファインケミカル事業において医薬品CDMO部門を中心に各部門が好調であったこと、HBC・食品事業において化粧品製販部門の輸入化粧品(韓国コスメ)の販売が好調であったことに起因するものであります。 自己資本当期純利益率(ROE)は、8.4%となりました(前連結会計年度はマイナス9.4%)。増加の主な理由としましては、親会社株主に帰属する当期純利益が21億8千7百万円(前連結会計年度は25億2千5百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)と増益になったことに起因するものであります。

事業リスク

アステナホールディングスは、医薬品関連の法的規制や毒物劇物取締法に服しており、これらに対応を誤った場合、事業活動に制限を受ける可能性があります。また、取引先の経営悪化による債務不履行や、主要取引先の再編が販売額に影響を及ぼすリスクがあります。製造物責任のリスクも存在し、製品の不具合が発生した場合には賠償責任を負う可能性があります。さらに、システムトラブルや海外事業における為替変動、政情不安、自然災害、感染症なども業績に影響を与える可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|3,084 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 法的規制リスク① 当社グループの取り扱っている医薬品については、薬事関連規則等に服し、また、医薬用外毒物劇物は、毒物及び劇物取締法に服しており、厳重な管理のもと、その保管・販売を行っております。当社グループはそれらに適切に対応できる仕組み、体制を構築して事業を行っておりますが、万一、対応を誤る事態が生じた場合には、事業活動に制限を受ける可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。③ リスクへの対応策 法規制へ十分に対応できるような体制やシステム上の仕組みを構築しております。また薬剤師等の専門家による従業員への教育も適宜行っております。 (2) 取引先の債務不履行リスク① 当社グループの取引先では、企業間競争がますます激化しており、また昨今の厳しい経済情勢のなかで淘汰される企業が今後増えてくるものと思われます。当社グループは債権管理を強化して債権の貸倒リスク等を低減しておりますが、万一、取引先の破産、民事再生等による債務不履行が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。③ リスクへの対応策 貸倒リスク顕在化の影響を一定限度にとどめるべく、外部機関による信用情報を複数取得するなど定期的に評価を行っております。 (3) 主要取引先の再編① 当社グループの主要取引先において、今後、合併・統合といった再編が加速した場合、その動向如何によっては、当社の販売額に影響を及ぼす可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。③ リスクへの対応策 特定の取引先への取引が集中しないように取引先、及び取引内容の管理を行っております。 (4) 製造物責任① 当社グループは、各種製品を輸入及び生産しております。現在、社内で確立した基準のもとに、厳しい検査体制を整えるなど、品質と信頼性の維持確保に努めております。しかしながら、万一、製品が予期せぬ不具合を起こした場合、製造物責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、単一での影響額の見積もりは出来ません。③ リスクへの対応策 万一、責任が生じた際に当社グループへの業績及び財政状況への影響を最小限にとどめるようグループ全体で製造物賠償責任保険(PL保険)に加入しております。 (5) システムトラブル① 当社グループの事業活動は、コンピュータシステムに大きく依存しております。システムトラブルの発生や大規模な災害や事故の発生、コンピュータウイルスの侵入等によっては物流及び販売等の事業活動に支障を及ぼす可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性がありますが、発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、影響額の見積もりは出来ません。③ リスクへの対応策 外部からの不正手段による侵入等に対するセキュリティ機能の充実やバックアップ機能の確保に努めております。 (6) 敵対的買収のリスク① 企業価値・株主の共同利益を損なう恐れのある第三者による株の大量買付行為の可能性は常に存在します。この場合、当社グループでは客観性・合理性を担保のうえ対抗措置を発動することとなりますが、事業遂行のうえで多大な悪影響が発生する可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。③ リスクへの対応策 当社グループでは、当該リスク発生の内容・規模に対し、客観性・合理性を担保のうえ対抗措置を発動します。 (7) 訴訟について① 当社グループの事業活動において、賠償等の訴訟その他差し止めを提起される可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 当該リスク発生の動向ないし結果によっては、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性がありますが、発生するリスクの事態により影響度合いが異なるため、影響額の見積もりは出来ません。③ リスクへの対応策 訴訟が想定される取り組みについては事前に十分な調査を行い、必要に応じて顧問弁護士と連携をとるなどリスクの低減に努めています。 (8) 海外事業活動におけるリスク① 当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略の一つとしております。しかしながら、海外では為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、法規制、商慣習等の障害により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。③ リスクへの対応策 輸出入取引における、為替の変動リスクを軽減するため先物為替予約等の通貨関連デリバティブ取引を行うこと、また海外市場への展開にあたっては経済動向や法規制、商慣習等の十分な調査を行うことによりリスクの低減に努めています。 (9) 自然災害、事故、感染症のリスク① 当社グループは、国内外に複数の製造・販売拠点を有しており、地震や津波等の大規模な自然災害や事故、テロ、感染症などの影響を受ける可能性があります。発生を想定した施策を講じておりますが、被災し事業活動ができなくなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、具体的な影響度は測定できません。③ リスクへの対応策 BCPに関する規程を策定しており、大地震マニュアルや安否確認システムの配備等、災害時に適応すべく備えております。 (10) 減損会計リスク① 当社グループでは、企業買収の際に生じたのれん及び無形資産、製造設備をはじめとした事業の用に供する各種資産を保有しております。今後の業績計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、それらの時価が著しく下落した場合、又は事業資産の収益性が悪化し回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用によりそれらの固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。② リスクが顕在化した場合の影響度 当該リスク発生の内容・規模により異なることから、見積もりは困難であると認識しております。③ リスクへの対応策 当社グループでは、効率性を重視した経営を行っており保有する資産を最小限にとどめるとともに、投資後も、事業の執行、管理する体制の整備に努め、収益性の低下が起こらないような管理を行っております。

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