研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
| 2025-03 |
- |
1,679 |
| 2024-03 |
- |
1,134 |
| 2023-03 |
- |
921 |
| 2022-03 |
- |
582 |
| 2021-03 |
- |
608 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,399 文字
6 【研究開発活動】当社グループ共通の価値観である「TOPPAN's Purpose & Values」で示している「人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」を実現するべく、独自の「印刷テクノロジー」をベースに総合研究所を中心に、事業会社の技術関連部門、知的財産部門及びグループ会社が連携して研究開発を進めております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は26,934百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりであります。なお、研究開発費につきましては、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究に係る費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載しております。 (1) 情報コミュニケーション事業分野当社グループでは、価値共創パートナーとして顧客のデジタル変革を支援し、高い成長を実現するErhoeht-X®(※1)を推進しております。インターネットを活用したオンライン診療や電子商取引などのサービスは、現在、暗号技術によって安全性が保たれておりますが、将来的には量子コンピュータによる脅威が懸念されております。そのため、特に医療・金融・行政分野など重要情報を扱うシステムでは、量子コンピュータでも解読が困難なPQC(耐量子計算機暗号)への早期移行が求められております。2024年8月には米国NISTによるPQCアルゴリズムが発表されており、移行に向けた動きが本格化しつつあります。しかし、情報システムの複雑化により、PQCへの完全移行には時間がかかることが想定され、移行済みと未移行のシステムが混在する期間には認証や暗号通信の課題が発生します。そこで2024年10月、TOPPANデジタル株式会社、NICT、ISARAは、PQCと従来暗号の両方に対応したICカードシステム「SecureBridge™(セキュアブリッジ)」を開発し、H-LINCOS(※2)との連携による動作検証を実施いたしました。これにより、安全な社会インフラの実現に向けた円滑なPQC移行を目指してまいります。また、オフィスの入退室管理においては、顔認証技術の普及が進んでおりますが、なりすましや誤認証のリスクを完全に排除することは難しく、入館カードを廃止するには課題が残っております。そこでTOPPANエッジ株式会社とSinumy株式会社は、顔認証とBluetooth所持認証を組み合わせた新たな多要素認証ソリューションを開発いたしました。これにより、ハンズフリーで認証ができる利便性を維持しつつ、なりすましや端末の貸し借りによるリスクを低減し、従来の認証方式よりも高速な認証を実現しております。三菱HCキャピタル株式会社とも協業(※3)し、2025年度中の商用化を目指して実証実験を進めております。さらに、TOPPAN株式会社は、H2L株式会社、株式会社NTTドコモ、トヨタ自動車株式会社、ミズノ株式会社、株式会社三菱総合研究所とともに、人間の感覚や動作をネットワークで拡張する「人間拡張コンソーシアム」(※4 ※5)に2024年12月から参画いたしました。このコンソーシアムでは、デバイスやプラットフォームの実証や国際標準化の推進を通じて、人間拡張技術の社会実装とエコシステムの形成を目指しております。教育格差や労働人口減少などの社会課題解決に向けて、今後も業界横断で取り組みを進めてまいります。 (2) 生活・産業事業分野当社グループは、脱炭素社会や循環型社会の実現に向け、環境配慮型のSX商材やサービスを積極的に展開しております。中でも、サステナブルブランド「SMARTS™(スマーツ)(※6)」を中心に、社会課題に対応したパッケージの開発を推進しております。世界的に持続可能な社会の実現に向けた動きが加速する中、日本では2022年にプラスチック資源循環促進法が施行され、製品の3R+Renewable(※7)の取り組みが重視されております。EUでも、2030年までに全ての包装材を再利用・リサイクル可能とする目標が掲げられるなど、各国で資源循環への取り組みが進んでおります。パウチや袋などの軟包装は複合素材が主流ですが、リサイクル性向上のため単一素材化が有効とされ、ポリオレフィンやポリエチレン、ポリプロピレンなどによる単一素材化の動きが広がっております。当社では、ポリオレフィン単一素材でありながら従来と同等の耐衝撃性やカット性を持つ液体用スタンディングパウチを開発し、ユニリーバ・ジャパン株式会社の「ダヴ(DOVE)」詰め替え用商品に2024年4月から採用されております。これにより、従来は難しかった液体用途への単一素材化を実現し、リサイクル適性の向上が期待されております。さらに、日本政府のプラスチック資源循環戦略では、2025年までにリユース・リサイクル可能な材質への置き換えや、2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクルするなどの目標が設定されております。官民連携のCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)(※8)でも、2030年までに容器包装プラスチックへの再生材使用率30%という目標「Circular 30 by 30」が掲げられております。当社は、シーラント用リサイクルポリエチレンフィルムとリサイクルPETフィルムを組み合わせ、パウチ全体の再生材使用比率約30%を実現(※9)した製品を開発いたしました。本製品は株式会社ヴィークレアの新製品「&Cream セラムシャンプー モイスト/スムース 詰め替え」に2025年4月から採用され、従来比でCO2排出量を約7%(※10)削減できる見込みです。気候変動の影響が拡大する中、当社グループは脱炭素社会の実現を経営の重要課題と位置づけ、地球環境宣言に基づき持続可能な社会への貢献を進めております。パッケージ製品の環境負荷はLCA(ライフサイクルアセスメント)(※11)によるCO2排出量で定量的に評価し、根拠に基づいた環境配慮型の提案を行うことで、顧客のCO2削減にも貢献しております。加えて、「水性フレキソ印刷」と「ノンソルベントラミネーション」を組み合わせたレトルト対応かつ電子レンジで加熱できるパウチを2024年10月より提供開始し、このパッケージの開発により、VOCやCO2排出量の大幅削減を実現いたしました。これはパッケージの材質変更が難しい場合でも生産方式の工夫で環境負荷を低減できることを示しております。また、当社グループのデジタルトランスフォーメーションと建装材技術によって提供されるソリューションとして、近年普及が進むLEDサイネージや大型ディスプレイが、インテリア空間に違和感を与えるという課題に対し、TOPPAN株式会社は特殊印刷技術による「ダブルビュー®フィルム」を開発し、2024年4月に販売を開始いたしました。これにより、そこにディスプレイが存在しないかのような佇まいの壁面から、直接鮮明な映像が浮かび上がる演出が可能となり、かつてない「体験」を提供いたします。今後この技術をモビリティなど新市場へも展開していく予定です。 (3) エレクトロニクス事業分野当社グループでは、これまで独自に培ってきた技術力を基盤として、多様化するニーズに対応した独創的なキーデバイスを供給することで事業価値の最大化を図っております。急速に需要が拡大している生成AIや自動運転向けなどの次世代半導体では、2.5D、3D(※12)パッケージなど、半導体パッケージの構造の複雑化に伴い、使用される材料の種類も増加しております。近年では、米国を中心に、大手ファブレス半導体メーカーや大手テック企業が、自社で半導体の設計・開発を進める動きが活発化しており、顧客のすぐ近くで、スピーディーかつ緊密な共創・すり合わせができる体制が求められております。TOPPAN株式会社は、株式会社レゾナックが主導、米国シリコンバレーを拠点とし、日米の有力な材料・装置等のメーカー10社(2024年11月時点)からなる、半導体パッケージング技術開発の共創プラットフォーム「US-JOINT」に2024年11月よりパッケージ基板メーカーとして参画いたしました。この「US-JOINT」に参画することで、当社グループの強みであるハイエンドのパッケージ基板の技術開発力を活かし、顧客の関心の高い先端半導体パッケージング技術の課題解決に貢献し、新たなビジネスの機会創出に繋げるとともに、半導体パッケージ基板事業の強化を目指してまいります。 (4) その他(新事業)当社グループは、ヘルスケアやライフサイエンス、エネルギー分野を新たな成長領域と位置づけ、研究・事業開発に注力しております。がん治療では遺伝子検査やがん患者の腫瘍組織を移植したマウスを用いた抗がん剤評価が行われてきましたが、コストや技術的課題が存在します。近年、動物実験から非動物実験への移行が国際的にも求められる中、大阪大学と共同で独自のバイオマテリアルを活用した3D細胞培養技術「invivoid®(インビボイド)」を開発いたしました。この技術により、患者のがん微小環境を体外で再現できました。また、複数の抗がん剤の効果を評価する臨床研究を実施し、体外での抗がん剤評価結果と実際の患者への投薬結果が高い精度で一致しました。本結果は2024年7月22日国際学術誌「Acta Biomaterialia」に掲載され、個別化医療や医薬品開発への応用可能性が示されました。また、当社は匿名加工された電子カルテデータをもとにした医療情報分析・提供サービス「DATuM IDEA®(デイタムイデア)」に2025年3月31日から、新たに医科レセプトデータを連結いたしました。これにより、より正確な患者の診療実態把握や費用対効果分析を行えるようになり、エビデンスに基づく個別化医療の実現に貢献してまいります。加えて、ロボティクスやスマートグラス分野において、障害物検知や自己位置把握に用いられる3D ToFセンサ(※13)の技術開発も推進いたしました。2023年には「ハイブリッドToF®(※14)」による4つの性能(長距離測定、屋外測定、高速撮像、複数台同時駆動)を実現した第一世代センサを開発し、2024年11月にはさらに小型化や省電力化を進めるとともに、新たに「HDR機能(※15)」「画素ビニング機能(※16)」を搭載した第二世代「TPHT4040」を開発いたしました。これにより、配膳ロボットやロボット掃除機、スマートグラスなど多様なデバイスへの搭載が可能となり、3Dセンシングの用途拡大に貢献しております。流通小売業界においては、需給予測の精度向上や製品ライフサイクル全体の可視化が課題となっております。当社は東京大学と2024年10月に社会連携講座「サプライチェーンの全体最適の科学と実践」(講座長:松尾豊教授)を開設いたしました。本社会連携講座を通じて、高精度な需給予測を実現するAI技術の開発と社会実装を目指すなど、様々な分野で社会課題の解決に取り組んでおります。 (※1)Erhoeht-X®当社グループ全体で、社会や企業のデジタル革新を支援するとともに、当社自体のデジタル変革を推進するコンセプト。DX事業においてイノベーションを創出し、社会やお客さまのデジタル変革を推進し、それを通してSDGsの実現、脱炭素社会の実現など「SX」にも貢献していく。(※2)H-LINCOSHealthcare long-term integrity and confidentiality protection systemの略称。秘密分散と量子暗号など秘匿通信及び公開鍵認証基盤の技術により、電子カルテデータのセキュアかつ可用性の高いバックアップや、医療機関間での相互利用などを行う保健医療用の長期セキュアデータ保管・交換システム。参考:2019年12月12日NICTプレスリリース https://www.nict.go.jp/press/2019/12/12-1.html(※3)2023年11月16日リリース-三菱HCキャピタルとTOPPANエッジが顔写真収集・認証サービス「CloakOne®」をサブスクリプションモデルにて提供開始https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2023/11/newsrelease231116_1.html(※4)プレスリリース-「人間拡張コンソーシアム」設立、活動を開始https://human-aug.com/news/detail/article_01.html(※5)人間拡張コンソーシアムホームページ http://human-aug.com(※6)SMARTS™パッケージを起点とした当社グループのサステナブルブランド。パッケージで培った技術・ノウハウに、マーケティング・DX・BPOなどのリソースを掛け合わせ、バリューチェーンに沿った最適な選択肢を提供する。 (※7)3R+RenewableReduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の頭文字を取った3つのアクションの総称3Rに、Renewable(リニューアブル、再生可能な資源に替える取り組み)を加えた、プラスチックの資源循環を促進するための考え方。(※8)CLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)海洋プラスチックごみの問題解決に向けて、プラスチック製品のより持続可能な使用並びにプラスチック廃棄物の削減に繋がる革新的な代替品の開発及び導入普及を図るなど、業界の垣根を越えて経済界全体としての活動を官民連携で企画・推進する団体、プラットフォーム。(※9)パウチに使用するフィルム全体の再生材使用比率当社算定。フィルムの重量から算定した設計値。(※10)CO2排出量当社算定。PEやPETなどのバージン樹脂100%のフィルムを使用したスタンディングパウチの従来品との比較。算定範囲はスタンディングパウチに関わるCradle to Grave(①原料の調達・製造、②製造、③輸送、④リサイクル・廃棄)。(※11)LCA(ライフサイクルアセスメント)原材料(資源採取から原材料製造)から製品の製造・使用・リサイクル・廃棄など、製品のライフサイクルにおける投入資源や排出する環境負荷を定量的に評価する手法。(※12)2.5D、3D2.5Dは複数のチップをインターポーザーと呼ばれるシリコン基板上に実装する技術。3Dは複数のチップを積層する技術。(※13)3D ToFセンサ赤外線を用いてカメラから物体までの3次元距離を測定する距離画像センサ。(※14)ハイブリッドToF®ショートパルス型ToF方式とマルチタイムウインドウ技術によるセンサ制御を融合した技術及びその技術を搭載した3D ToF センサ・カメラ。強力な外光耐性と被写体ブレに強い特長を持ち、屋外環境で太陽光の影響を受けずに使用でき、動きの速い物体を逃さず捉えられるメリットがある。https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2022/06/newsrelease220616_2.html(※15)HDR機能ハイダイナミックレンジの略称。露光時間が異なる複数の距離データを1枚の距離画像として撮像する技術。(※16)画素ビニング機能複数の画素を組み合わせて見かけ上大きな1つの画素として扱う機能。
FY2021|4,739 文字
5 【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進しております。当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っております。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めております。また、次世代商品系分野についても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は22,348百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりであります。なお、研究開発費につきましては、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究に係る費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載しております。 (1) 情報コミュニケーション事業分野セキュア関連では、各領域で高まる環境衛生へのニーズに対応するべく、抗ウイルス性能を有した抗ウイルスカードを開発し、SIAA(抗菌製品技術協議会)認証を国内で初めて取得しました。抗ウイルスカードの普及により、衛生的なキャッシュレス決済や従業員の安全確保を支援し、厚生労働省が公表する「新しい生活様式」の実現と経済活動に貢献します。自動認識技術関連では、非接触決済が可能な金属質感のカードとしては難しかったカードおもて面の磁気ストライプの隠蔽や、接触型と非接触型の両方の通信が可能なデュアルインターフェースICカードに対応した「METAL SURFACE CARD™(メタルサーフェスカード)」を開発しました。従来製品に使用されている物よりも薄い金属蒸着フィルムを新たに開発し、その金属蒸着フィルムをカード表面に熱転写することにより、プラスチックカードでありながら金属と同様の輝きと質感を表現するとともに、カードおもて面の磁気ストライプの隠蔽や非接触決済も可能です。AI関連では、AIカメラを活用し、店頭顧客の属性や店内行動に合わせて、最適なデジタルコンテンツを店頭サイネージから配信するシステム「AI販促」をAIカメラで高い技術を保有するAWL株式会社と共同開発しました。「AI販促」を活用することで、店頭販促における一律の情報発信から脱却し、顧客それぞれに最適な情報を配信することで、認知・購買など販促効果の向上に期待できます。その他として、コロナ禍によりさらに必要性が増している人の生産性向上の課題に対して、日常使いで集中・リラックス等の心理状態を可視化できる世界最小・最軽量クラス(※1)のイヤホン型脳波デバイス「b-tone™(ビートーン)」をSOSO H&C社と共に開発しました。映像や香りなどの環境ソリューションと心拍や脳波などのセンシングによる効果測定を連携し、人の生産性や学習効率の向上に寄与する当社パフォーマンス向上ソリューションのラインアップの一つとして提供します。 (2) 生活・産業事業分野軟包材関連では、よりリサイクルしやすいPET(ポリエチレンテレフタレート)単一素材からなる個包装向けモノマテリアル軟包材を開発しており、ユニリーバ・ジャパン株式会社(以下、ユニリーバ・ジャパン)の協力のもと、内容物との適性試験や品質検証を実施することで、ユニリーバ・ジャパンのヘアケアブランドの新製品「ラックス ルミニーク サシェセット 限定デザイン」のモノマテリアル化を実現しました。本製品は当社の透明バリアフィルムブランド「GL BARRIER(※2)」の1つである世界トップシェアの透明蒸着バリアフィルムのうち、PET基材の「GL FILM」と、PETシーラントにより構成されております。高い酸素バリア性と水蒸気バリア性を確保し、内容物の香りや品質を損なわない低吸着性を付加すると同時に、長期保管の重量減少も抑えることが可能となり、単一素材化(モノマテリアル化)によるリサイクル適性の向上を実現します。また、ネスレ日本株式会社(以下、ネスレ日本)と当社は、ネスレ日本が販売する「キットカット」大袋タイプ製品の外袋を紙パッケージ化する取り組みにより、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「第44回木下賞 包装技術賞」を受賞しました。SDGs(持続可能な開発目標)など、世界規模での環境配慮や省資源化推進の機運の高まりに加え、世界的な社会課題となっている「廃棄プラスチックによる海洋汚染問題」を受け、当社は再生プラスチックを用いた包装材や単一素材でリサイクル可能な包装材など、包装材料の調達から廃棄・リサイクルまでの課題解決に貢献する「サステナブルパッケージソリューション」を提供しています。紙器関連では、内装に「GL FILM」を使用した環境配慮型紙容器「EP-PAK・GL」に「メカニカルリサイクルPET(※3)」を使用した製品をラインアップしました。再生樹脂配合率について世界最高レベルの80%を実現した、「メカニカルリサイクルPET」を使用したフィルムを採用することで、「EP-PAK・GL」の包材製造時に排出するCO2を24%削減します。また、当社が独自に開発した印刷・塗工技術を活用し、紙製パッケージ表面に付着したウイルスの数を、著しく減少させることが可能な抗ウイルス対応紙製パッケージを国内で初めて開発しました。本パッケージは、ISO21702に定められた試験方法に準拠したウイルスを減少する性能を実現するとともに、食品衛生法第18条に基づく「食品、添加物等の規格基準(厚生省告示第370号 1959年)」による規格にも適合しました。建装材関連では、商業施設やオフィスなどの壁面や家具に使用される、表面に付着した特定のウイルスや菌の増殖を抑え著しく減少させることが可能な、抗ウイルス・抗菌加工のSIAA認証を取得した「オレフィン製化粧シート」と「塩ビ製化粧シート」を開発しました。さらに「コート紙化粧シート」においても、SIAA認証を取得し、建装材のラインアップに追加しました。この3つの認証を取得したことで、新築、リフォームなどさまざまな用途で抗ウイルス・抗菌機能を付与した内装材の提供が可能となり、安心で安全な生活環境をサポートいたします。また、当社は「価値あるパッケージ」で、よりよい社会と心豊かで快適な生活に貢献する「TOPPAN S-VALUE™ Packaging」を掲げ、「ひと」に価値ある「スマートライフ バリュー パッケージ™」を提供していますが、ラインアップの1つとして、火災発生時の熱に反応して、消火効果のあるエアロゾルを放出する「消火フィルム」を開発しました。ヤマトプロテック株式会社が開発した消火効果の高いエアロゾルを放出する消火剤を使用し、凸版印刷が持つ塗工技術と「GL BARRIER」の高いバリア性能を活用し、耐久力を高めた粘着性のあるフィルムとして新たに開発しました。リチウムイオン二次電池のケース内や、配電盤・分電盤設備の内部に本製品を貼ることで、電池内の不具合や配電盤の配線ショートにより発火した時の初期消火や、延焼抑制に高い効果を発揮します。 (3) エレクトロニクス事業分野昨今高まりを見せる非接触で操作可能なタッチパネルのニーズに応えるべく、従来品と比べ筐体の50%薄型化を実現した空中タッチディスプレイを開発しました。本製品は、濡れた手や手袋のままでも操作が可能なため、医療現場やクリーンルームなどでの使用が可能です。これまで産業機器向け高精細液晶ディスプレイ分野で培ってきた独自の光学設計技術と構造設計技術を駆使し、視認性が高く、壁に埋め込みも可能です。さらに、左右15度に固定された視野角を活用し、暗証番号などの覗き見を防止します。また、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格ZETA(ゼタ)(※4)を活用した、さまざまなサービスの開発を推進していますが、ZETA通信に必要なサーバーと、ZETAで収集したデータを見える化できるアプリを兼ね備えたプラットフォームサービス「ZETADRIVE™(ゼタドライブ)」を提供開始しました。同時に「ZETADRIVE™」の利用権と、ZETA通信に必要なアクセスポイント、中継器、センサ類などのハードウェアの一式を、サブスクリプションモデルで提供するサービスを日本で初めて開始しました。 (4) その他当社の持つ成膜技術/印刷技術/フィルムハンドリング技術を基に、シャープペンシルの芯に巻き付けられるような高可撓性(※5)、フレキシブルプリント回路基板並みの高耐久性、そしてテレビなどで広く使用されるアモルファスシリコンTFTの10倍以上の高キャリア移動度(※6)を兼ね備える新規構造フレキシブルTFTの開発に世界で初めて成功しました。本開発品は曲率半径1mmで100万回折り曲げ可能な高可撓性と高耐久性だけでなく、キャリア移動度10cm2/Vs以上で電源On/Off比107以上など実用的な特性を示しました。これらの特性を活用したフレキシブルセンサの実現を目指します。また、個人の人体情報を活用したサービスとして米FIGUR8,Inc.と当社は、筋骨格センサーを活用した上半身の歪み評価サービスを新たに開発しました。短時間で場所の制約なく、微細な上半身の軸のズレや肩の上昇具合などを高精度に定量化することにより、姿勢の傾向や安定保持力を可視化できます。またリアルな場所だけでなくオンラインでも実施可能なため、状況にあわせてリアルとオンラインのハイブリッドでの評価が可能です。また、南カリフォルニア大学より、高精度の顔計測が可能な装置「ライトステージ」を導入し、同時に顔計測データを始めとした、さまざまな人体情報データ活用に関する研究/用途開発を推進する「トッパンバーチャルヒューマンラボ」を設立しました。「トッパンバーチャルヒューマンラボ」では「ライトステージ」による顔計測以外にも、身体(筋骨格系)動作計測や、手/足の形状計測を始めとした、人体に関する計測を行い、高いセキュリティのもと適切な形に情報加工を実施します。企業が人体情報を用いた多岐にわたる事業開発を行うことができる「人体情報プラットフォーム」の構築を目指します。 (※1)2021年2月時点 当社調べ(※2)GL BARRIER:当社が開発した世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルムの総称。独自のコーティング層と高品質な蒸着層を組み合わせた多層構造でバリア性能を発揮。(※3)メカニカルリサイクルPET:使用済みPETボトルを粉砕・洗浄した後に高温で溶融・減圧・ろ過などを行い、再びPET樹脂に戻したもの。(※4)ZETA:超狭帯域(UNB:Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、IoTに適した最新のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格。(※5)可撓性:物質の弾性変形のしやすさを示し、曲げたり、たわませたりすることができる性質を表す。(※6)キャリア移動度:キャリア移動度はトランジスタ性能を計る一つの目安。半導体では、電子や正孔などのキャリアの移動のしやすさを表す。
FY2020|4,239 文字
5 【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進しております。 当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っております。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めております。また、次世代商品系分野についても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は19,268百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりであります。なお、研究開発費につきましては、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究にかかる費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載しております。 (1) 情報コミュニケーション事業分野セキュア関連では、さまざまな角度から見ても視認性を損なわないムービングホログラムと、高精細な凹版印刷技術を開発しました。ムービングホログラムは、券面を上下左右に傾けるだけでさまざまな角度から立体イメージの動きを目視でき、視覚での真贋判定を容易に行うことができます。また、今回開発した凹版印刷技術は、従来よりも高精細な凹凸パターンを印刷することができるため偽造が難しく、また凹版印刷部が手触りではっきりわかるため、触覚による真贋判定も容易に行うことができます。自動認識技術関連では、モバイルPOS・決済サービス「TOPPOS®」にICタグの読み取り機能を追加した「TOPPOS®-UHF」を開発しました。ICタグ付き商品の決済に対応可能なほか、LTE、Wi-Fiなど様々な通信方法を選択できる特徴により場所を選ばない設置、運用を実現します。移動が可能なため、店舗のオペレーションや顧客動線に合わせたレジのレイアウト変更、マルチ決済に対応したい屋外イベントの物販などにおける導入が容易となります。また、航空手荷物の紛失削減や業務効率化を目的に、長距離で安定した読み取りを実現するアンテナに、ICチップを実装した航空手荷物用ICタグインレット(※1)を開発しました。これは、電波の受信感度を高くしたことによる長距離通信と、各国の異なる帯域での通信を可能にした独自設計のアンテナに低消費電力が特長の最新ICチップを搭載することにより、長距離で安定した読取りが可能なインレットを実現したものです。これにより、近年ICタグの導入が進む航空業界における航空手荷物用ICタグの普及を推進します。AI関連では、印刷物・デジタル媒体に関する業界・企業特有の表記や専門用語を学習し、企業ごとの基準に合わせて文章の校閲・校正を行う「AI校閲・校正支援システム」を開発しました。金融業界のパンフレット・メルマガなど、多種多様な印刷物やデジタル媒体に対応したAIによる校閲・校正業務の自動化で、制作業務負荷の大幅な削減を実現します。 その他として、「IoA(※2)仮想テレポーテーション®」技術を活用し、遠隔観光体験、スポーツ観戦、リモート・ワークなどの用途を想定した、遠隔地にいる人と体験を共有できるウェアラブルデバイス「IoAネック™」を開発しました。この「IoAネック™」は、身につけた人が見たり聞いたりしたものを、遠隔地にある画面を通じて同時に体験ができるデバイスです。ウェアラブルタイプのIoAデバイスであるため、従来と比べてより簡単・気軽に遠隔体験をすることが可能です。また、装着部分を遠隔地から振動させることが可能で、進行方向や向きなどをハプティクス(※3)により指示できます。これにより、言語の違いや、身体的な制約により会話が難しい場合でもコミュニケーションを図ることを可能にします。 (2) 生活・産業事業分野軟包材関連では、世界トップシェアの透明蒸着バリアフィルムブランド「GL BARRIER(※4)」シリーズの新しいラインアップとして、共に世界初となる、ボイル殺菌・ホット充填が可能なPP(ポリプロピレン)基材の透明バリアフィルム「GL-X-BP」と、PE(ポリエチレン)基材の透明バリアフィルム「GL-X-LE」を開発しました。この両製品により凸版印刷は、「GL BARRIER」の基材として一般的なPET(ポリエチレンテレフタレート)基材に加え、PP・PE基材の透明バリアフィルムをフルラインアップで提供可能となり、PET・PP・PEすべての素材でのモノマテリアル(単一素材)高機能包材を実現させました。また、食器への移し替えが不要の新型レトルトパウチ「いただきパウチ」を開発しました。本商品は「消費者の利便性向上」と「省資源化による環境配慮」に対応するため、レンジ調理したレトルトパウチの開封状態を維持し、食器などに移し替える手間が無く、そのまま食器がわりに食べることができる新型パウチです。また、プラスチックトレイから「いただきパウチ」に置換えることにより、プラスチックの使用量を約50%削減できます。プラスチック成型品では、株式会社ロッテ(以下、ロッテ)と、当社は、ロッテが販売する金属調の加飾を施したパッケージのミント菓子「EATMINT」で、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「第43回木下賞 包装技術賞」を受賞しました。近年、ミント菓子市場で増加する金属缶入り商品との差別化をするために、当社は金属調の加飾を施したプラスチック容器を提案しました。従来、携帯電話の部品や自動車の内装部品などに用いられている、「フィルムインサート成形(※5)」技術を転用することで、容器全面に凹凸表現や光沢感のある美粧性の高い印刷表現を可能としました。また蒸着フィルムを使用することでメタリック調の再現を限界まで追求し、本物の金属と見間違うようなプラスチック容器を開発しました。その意匠性の高さが評価され、今回の受賞につながりました。紙器関連では、CNF(※6)を用いた飲料向け紙カップで、高いバリア性と密閉性を持つ「CNFエコフラットカップ™」を開発しました。当社が日本製紙グループとともに性能改善に取り組み開発したCNFをコーティングした原紙を使用することにより、本製品に高いバリア性を付与しました。さらに、当社の高度な成型技術を活かし特殊加工を施した完全密閉構造により、商品の長期保存化を実現しました。これにより、今まで固形食品用途にしか使用できなかったCNFを飲料向け紙カップなどの液体用途としても使用することができます。また、従来の飲料向けプラスチックカップと比較して、プラスチック使用量を約50%削減することが可能となりました。 (3) エレクトロニクス事業分野低電力広域ネットワーク規格ZETA(※7)の基幹部品である、通信モジュール「TZM901」シリーズを開発し、量産を開始しました。当社はエレクトロニクス事業で培ったモジュール設計技術により、日本製ZETA通信モジュール「TZM901」を設計しました。十和田エレクトロニクス株式会社と連携し、試作、製造及び量産に向けた信頼性評価を行ってきましたが、従来製品と比較して約40%の小型化及び周波数誤差や受信感度などの性能向上を実現しました。さらに、2017年10月1日の電波法施行規則等の一部を改正する省令で追加された「狭帯域の周波数利用における周波数利用効率の向上を図るための指定周波数帯による規定」に適合した工事設計認証を取得しており、920.6∼928.0MHz(200kHz間隔38波)を2kHzの狭帯域で利用が可能です。これにより、電波干渉に強く信頼性の高い通信が可能となりました。 (4) その他当社の持つ微細印刷技術を基に、高精度な位置合わせ技術を用いて基材表裏に微細線を印刷し、見る角度によって印刷物の色や絵柄が変化するチェンジング印刷技術を確立しました。本技術によって印刷だけで極薄透明フィルム上に形成できるレンズ不要のチェンジング印刷が可能となります。今後、本技術を活用し、偽造防止や真贋判定などのセキュリティ分野や導電性インキを使った高精度・高精細な印刷が求められるエレクトロニクス分野などへ製品開発を行います。また、当社が培ってきた印刷物のモアレ(※8)を軽減させる技術を活用し、任意の画像をモアレで表現できるようにするシステムを世界で初めて開発しました。本システムは、モアレの表れ方を狙ったデザインとなるよう、画像を2枚のパターンに分解するシステムで、これを活用することで画像の立体感や動き、色の濃淡をモアレで表現することが可能になります。通常の印刷物と異なり、奥行きを感じさせたり絵柄に動きを感じさせたりすることができるため、街中の警告表示や看板、POPなどの店舗装飾への活用が期待できます。 (※1)ICタグインレット:フィルムなどの上にICチップとアンテナを搭載したもの。(※2)IoA:Internet of Abilities。能力のネットワーク。インターネットを介して人類の意識や能力を共有・拡張する未来社会基盤。(※3)ハプティクス:利用者に力、振動、動きなどを与えることで触覚を主とした皮膚感覚フィードバックを得るユーザーインターフェース技術。(※4)GL BARRIER:当社が開発した世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルムの総称。(※5)フィルムインサート成形:金型に加飾フィルムを挿入した状態で樹脂を充填して容器を成形する技法。(※6)CNF:セルロースナノファイバー。紙の原料となる木の繊維をナノオーダーにまで微細化したバイオマス素材。(※7)ZETA:超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、IoTに適した最新のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格。(※8)モアレ:規則正しく並んだ点や線を複数重ねた時に、視覚的に発生する縞模様。
FY2019|3,683 文字
5 【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進しております。当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っております。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めております。また、次世代商品系分野につきましても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は17,837百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりであります。なお、研究開発費については、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究にかかる費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載しております。 (1) 情報コミュニケーション事業分野セキュア関連では、一度はがすとアンテナ回路が断線し読み取りができなくなる脆性加工を施したNFC対応のICタグ「Cachet-Tag(カシェタグ)」がフランス・ブルゴーニュ地方の高級ワインメーカーであるドメーヌ・ポンソのグラン・クリュクラスのすべての製品において採用されました。NFC対応スマートフォンを「Cachet-Tag」にかざし、専用アプリでICチップ内部のデータを認証することで商品の真贋判定が可能となり、ラベルの不正な貼り替えや再利用の防止に加え、偽造品・模倣品対策としても有効です。また、国内で初めて、カード基材のプラスチックをカラー化することで、カード側面までカラフルな高意匠クレジットカード「カラーコアカード™」を開発しました。基本カラーとして赤、青、ピンク、緑、金、銀の6色をラインアップし、(キャッシュカードを除く)磁気カード及び接触型ICカードに対応、JIS規格に準拠しております。従来のクレジットカードと同様、券面を印刷した後工程でのエンボスや箔押しなどの加工も可能です。VR(バーチャルリアリティ)については、VRを活用したヘッドマウントディスプレイによる長時間のロボットの遠隔操作の課題であった、特有の酔いや疲労の軽減が期待できる、ライトフィールド技術(※1)を用いた新しいヘッドマウントディスプレイモジュール「TransRay™(トランスレイ)」と、描画エンジンを開発しました。これにより、長時間使用が想定される工場や医療現場での活用の可能性が広がります。またこの「TransRay」は大阪大学大学院医学部 感覚機能形成学教室 不二門尚教授との共同研究において医学的な効果が証明され、2018年9月に開催された第54回「日本眼光学学会」で発表しました。デジタルサイネージ関連では、高品質な画像データやデジタル高精細映像の技術を活用し4Kデジタルポスター・システム(以下、本システム)を開発しました。第117回日本皮膚科学会総会(会頭:広島大学大学院医歯薬保健学研究科皮膚科学 秀道広教授)のポスターセッションへ本システムを提供しました。 (2) 生活・産業事業分野包装関連では、これまでのプラスチックボトルからの代替が可能な新しい紙パック「キューブパック™」を開発しました。独自構造により、従来の紙パックでは不可能だった、洗面所やバスルームなど濡れた場所での常時使用が可能な新しい容器として、まずはトイレタリー業界などに向けサンプル出荷を開始します。バリア関連では、「GL BARRIER」シリーズの1つである「GL FILM(※2)」において、優れた酸素バリア性と水蒸気バリア性を持ち、更に高湿度下でもバリア性能を保持できるOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム「GL-LP(ジーエルエルピー)」を日本で初めて開発しました。軟包装関連では、株式会社ロッテ・凸版印刷株式会社・株式会社日本HPの3社は、ロッテが2017年5月に販売した20周年記念デザインパッケージの「キシリトールガム<Xミント>(以下 本商品)」で、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「第42回木下賞 新規創出部門」を受賞しました。日本HPと凸版印刷のデジタル印刷技術を活用した本商品は、軟包装における新たなマーケティング手法の確立と技術革新性が評価され、今回の受賞につながりました。 建装材関連では、土足歩行でも傷つきにくい重歩行対応の床用オレフィン系化粧シート「101 REPREA Smart NANO AREZA™(アレーザ)」を開発しました。本製品は、化粧シートを高性能化する独自の「Smart NANO®(※3)」技術と、凸版印刷が長年培ってきた高い材料設計技術を組み合わせることにより、オレフィン素材での重歩行対応を、業界で初めて実現しました。本製品を、ホテル・オフィス・商業施設など非住宅施設のシートフローリング向け床用シートとして、展開していきます。また、建装材とIoTを組み合わせ、居住者の見守りや家族の健康管理など社会課題解決に貢献する「トッパンIoT建材」事業の取り組みを開始しました。空間に溶け込むデザインでさりげなく家族の健康管理を実現できる体組成計を組み込んだ床材及びディスプレイ機能を持つ壁材の開発を行いました。 (3) エレクトロニクス事業分野半導体用フォトマスク関連では、最先端の半導体リソグラフィー技術であるEUVL(※4)に使用するマスクの欠陥保証技術を、米国GLOBALFOUNDRIES Inc.社と共同で開発しました。これは、従来の手法による欠陥検出感度と検査性を大きく向上させる技術で、その成果の一部を半導体用フォトマスクと次世代リソグラフィ技術に関する国際シンポジウム「Photomask Japan 2018」で発表し、最も優秀な論文に贈られる「Best Paper Award」を受賞するとともに、同年に米国で開催されたフォトマスクとEUVLの国際学会「PHOTOMASK TECHNOLOGY + EUV LITHOGRAPHY」で招待講演を行いました。 (4) その他凸版印刷が提供する位置情報と映像データによる労務管理に加え、ホシデン株式会社が提供する生体センサー「MEDiTAG」を連携させ、作業員の健康状態を把握できる「ID-Watchy Bio(アイディーウォッチーバイオ)」を開発しました。労務状況の分析と連携してデータを活用し、企業の健康経営につなげることができることから、建設業や製造業、企業人事・総務部門などでの活用展開を期待しています。また、LEDの光を利用してデータ通信を行う「光子無線通信」技術を確立、閉鎖空間や水中など通信環境を整備しにくい場所でも大容量データの無線通信を実現しました。本ソリューションは、株式会社クオンタムドライブが保有する「光子無線通信」技術と、電気興業株式会社が開発・製造する無線通信機器を活用し、凸版印刷が用途開発を行いました。河川や道路間など通信ケーブル敷設が難しい場所での監視カメラ設置や、電波が届かない水中やトンネル内での映像伝送、また電磁ノイズなどにより安定した通信が難しい工場内のデータ伝送、建設機械やロボットなどの遠隔操作などにも応用できます。さらに、光や温度、振動などの微弱なエネルギーを集めて電気エネルギーに変換する、環境発電(エネルギーハーベスティング)技術で駆動する電子ペーパーを開発、無線通信規格「EnOcean(エンオーシャン)(※5)」に対応した電池レスのIoT機器への「表示」を実現することに成功しました。IoT機器メーカーなどとの協業を視野に、サンプル出荷を開始します。 (※1)ライトフィールド技術:ライトフィールドは光線空間とも呼ばれ、3次元空間における視覚情報を、空間中を伝わる光線の情報として再現したもの。(※2)GL FILM:凸版印刷が独自に開発した透明バリアフィルム。独自の蒸着加工技術による世界最高水準のバリア性能と用途に応じた豊富なバリエーションによって、国内外で高い評価を得ている。(※3)Smart NANO®:東京理科大学 阿部正彦教授を中心とするベンチャー企業、アクテイブ株式会社(代表取締役社長:長濱正光)と共同で開発した、化粧シートを高性能化する技術で、各種の機能性添加剤として用いることで、傷の防止など世界最高水準の表面性能を発揮する。(※4)EUVL:Extreme Ultraviolet Lithography。極端紫外線(波長13.5 nm)を使う次世代リソグラフィ技術。(※5)EnOcean:光や温度、振動などの微弱なエネルギーを集めて電気エネルギーに変換する「エネルギーハーベスティング技術」を使用した電池レスの無線通信規格。
FY2018|2,602 文字
5 【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進しております。当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っております。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めております。また、次世代商品系分野につきましても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は19,425百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりであります。なお、研究開発費については、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究にかかる費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載しております。 (1) 情報コミュニケーション事業分野セキュア関連では、ナノ構造技術を応用したホログラム「セキュアカラー™」を開発しました。世界で初めてパステル調の構造色を発色するセキュリティホログラムラベルを実現した技術で、医療医薬製品、高級ブランド品及び商品券などの有価証券類の偽造・模倣防止用途向けに展開してまいります。VR(バーチャルリアリティ)については、光沢や表面の凹凸、色調など、照明環境や観察方向によって見え方が異なる素材の質感を正確に記録するデジタルアーカイブ技術を開発し、これまで困難とされてきた文化財特有の質感をより忠実に再現することが可能となりました。デジタルサイネージ関連では、透過型ディスプレイと高輝度ディスプレイを組み合わせ、動的・立体的な演出を可能としたデジタルサイネージ(※1)システム「デュアルサイネージBOX™」を開発しました。また、白く光る特殊なディスプレイにさまざまな形に加工した偏光フィルムをかざすことで、その部分にだけ映像が映し出される新しいデジタルサイネージ「FloatPanelDisplay™(フロートパネルディスプレイ)」を開発しました。これらのサイネージ開発品については、流通業界や小売業界、観光事業者に向けて販売を開始しました。AI関連については、Affectiva, Inc.が提供する感情AI(※2)を活用し、株式会社シーエーシーと共同で、東京都議会議員選挙PRイベント向けに、参加者の表情を検知した結果を活用する「笑顔投票所」と、表情の瞬間をとらえてカメラが撮影する「ミニポスタースタジオ」の2つのAI体験コンテンツを開発し、一般向けイベントとしては初めて感情AIを活用しました。 (2) 生活・産業事業分野包装関連では、当社・ヱスビー食品株式会社・株式会社PIJINの3社は、ヱスビー食品が販売するチューブ入り香辛料の最高級タイプ「名匠シリーズ」で、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「第41回木下賞 包装技術賞」を受賞しました。また、バリアフィルムでは、HP Inc.の協力のもと、デジタル印刷に対応した世界初のレトルト包材向けの透明バリアフィルム「GL FILMデジタル印刷グレード」を開発しました。これは、HP Inc.が提供する世界最先端の軟包装向けデジタル印刷機「HP Indigo」に対応した透明バリアフィルムで、パスタソースやビーンズなどレトルトパウチ食品向けとして、国内外の市場に提供を開始しました。更に、強酸性や強アルカリ性の内容物に対する耐性を備えた軟包装材「超高耐性包材」を開発しました。これにより従来、パウチ化が困難とされてきた漂白剤や殺菌剤向けでの活用が可能になります。建装材事業関連では、ナノ化技術(※3)を活用し、硬さや傷・汚れの防止など、世界最高水準の表面性能を発揮する耐傷性・耐汚染性に優れたオリジナルブランドの内装用床材「101 REPREA Smart NANO」を開発しました。 (3) エレクトロニクス事業分野半導体用フォトマスクでは、半導体の微細化・高集積化に対応するため、7ナノ(10億分の1)メートル半導体向けのフォトマスク製造プロセスを、米国GLOBALFOUNDRIES Inc.社と共同で開発しました。今後、量産ラインのプロセス構築を進めてまいります。また、次世代露光技術のEUVリソグラフィー(Extreme Ultraviolet Lithography)用フォトマスクの開発も推進しました。半導体パッケージ基板のFC-BGAでは、進展が著しいIoTやAI、ビッグデータなどを支える半導体の微細化・高速化に対応する高多層基板の開発に注力しました。高速通信に有効な高周波特性を有する集積型受動デバイス(IPD: Integrated Passive Device)向けTGV基板(Through-Glass-Via substrate)の開発を進めました。 (4) その他新技術として、3D計測(※4)は、デジタルカメラで撮影した画像から三次元形状モデルを自動生成できる画像処理技術の開発に取り組み、株式会社本田技術研究所の協力のもと、自動車デザインの製作プロセスにおける性能評価実験を実施した結果、CAD(※5)への適用も可能な高精度なモデル生成に成功しました。また、微細印刷技術と高精度な位置決め技術の融合によって、4色カラーインキを用いた新しいカラー表現印刷技術を確立しました。本技術を使うことで、偽造防止や真贋判定などのセキュリティ印刷や、導電性材料と絶縁性材料の組み合わせによる微細配線回路を活用したセンサー、ウェアラブル端末(※6)など幅広い展開が可能となります。 (※1)デジタルサイネージ:電子看板。電子的な表示機器により、画像、映像などの情報を発信するシステム(※2)感情AI:人間の感情を推定・認識するAI(人工知能)(※3)ナノ化技術: 材料内の物質を数百ナノ(10億分の1)メートル以下の大きさにする技術(※4)3D計測: 3次元計測。立体をデータ化すること(※5)CAD: コンピュータを使って、設計すること(※6)ウェアラブル端末: 体に装着する端末
FY2017|2,669 文字
6 【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進しております。当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っております。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めております。また、次世代商品系分野につきましても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は19,368百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりであります。なお、研究開発費につきましては、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究にかかる費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載しております。 (1) 情報コミュニケーション事業分野セキュア関連では、世界で初めてワインのコルク栓引き抜きや不正な穴開けを検知するICタグ「CorkTag™」を開発し、ブルゴーニュの高級ワインメーカー「ドメーヌ・エマニュエル・ルジェ」で採用されました。また、写真のように鮮やかな発色性と、世界最高クラスの広視域を実現し、模倣品被害の抑制に最適なカラーホログラム「フォトカラーワイド」を開発しました。マーケティング関連では、電子チラシサービス「Shufoo!」を活用した公共インフラ企業契約者向けアプリを開発し、中部電力株式会社に提供しました。このアプリの導入企業は、法人契約者の販促支援や一般契約者との日常的なコミュニケーションが可能になります。VR(バーチャルリアリティ)につきましては、VRとGPSを組み合わせ、その場ならではの情報を提供する旅行者向けの体験型観光アプリ「ストリートミュージアムアプリ」を開発し、提供を開始しました。 (2) 生活・産業事業分野包装関連では、使用後の解体が容易な紙パック容器「EP-PAKオルカット」がエコプロダクツ大賞推進協議会主催「第13回エコプロダクツ大賞 推進協議会会長賞」を受賞しました。さらに、リサイクルできる「アルミレス紙パック飲料容器」がフジサンケイグループ主催「第25回地球環境大賞 環境大臣賞」を受賞しました。また、新素材「セルロースナノファイバー(※1)」を用いた、日本初のバリア性を持つ紙カップを開発し、バイオマス(※2)素材で従来品と同等の酸素バリア性を実現しました。軟包装関連では、ハウス食品株式会社「特選本香り」シリーズのチューブ容器が、生活者の使用実態を基にしたユニバーサルデザインや環境負荷の軽減が高い評価を得て、日本包装技術協会主催「第40回木下賞 包装技術賞」を受賞しました。建装材事業関連では、東京理科大学のナノ化技術を活用し、超臨界逆相蒸発法(※3)と印刷技術を融合することで傷に強く美しさが長持ちする、世界最高水準の建装材向け化粧シート「Smart NANO®」シリーズを開発しました。また、世界初の天井向け不燃紙管建築内装材として新素材となる不燃紙管「FORTINA® ペーパーチューブ」を開発し、販売を開始しました。 (3) エレクトロニクス事業分野当社は九州ナノテック光学株式会社と、液晶調光フィルム(※4)事業で協業を開始しました。遮蔽性と透明性で世界最高レベルである調光フィルムの販売及び生産の拡大と並行して、当社の持つディスプレイ関連技術や表面加工技術と、九州ナノテック光学の液晶調光技術を組み合わせた競争力を持つ製品の開発に着手しました。ナノインプリント(※5)事業では、SCIVAX株式会社と資本業務提携し本格的に事業参入しました。当社が半導体用フォトマスクなどで培ったリソグラフィー技術(※6)やマスターモールド製造技術(※7)と、SCIVAXが持つ光学設計やナノインプリント加工技術を融合し、世界初となる大面積ナノインプリント量産化に向けた研究開発に着手しました。 (4) その他エネルギー分野では、家庭において過去のエネルギーデータが分からなくても、エネルギー消費量を推定し、電力・ガス・灯油を組み合わせた最適プランを提案(最適診断)できる事業者向けサービスを開発しました。電子ペーパーでは、E Ink社と共同で、世界最大となる32インチのフレキシブルカラー電子ペーパー(曲がる電子ペーパー)を開発しました。また、表示部と制御部を分離して使用できるA4サイズの電子ペーパー表示機「pella™」を開発しました。生産現場で「pella™」を指示書として利用することで、ペーパーレス化が実現し、作業負荷やコストの削減が可能となります。 また新技術としては、色素を使わない生物模倣(※8)によるナノ構造(※9)で色を示すことで屋外でも褪色しない、新発色シートの開発に成功しました。偽造防止やブランドプロテクションなどのセキュリティ商品の他、屋内外でのプロモーションツール向けの製品への実用化を目指します。 (※1)セルロースナノファイバー:自然がつくり出した強靭な分子構造を持つセルロースを、化学・物理処理によりナノレベルまで細かく均一にほぐしたもの(※2)バイオマス:植物由来の原料を用いた、持続的利用ができる再生可能資源(※3)超臨界逆相蒸発法:一般的に使用が困難とされるナノ材料を、安全・安価・安定的に製造する技術(※4)液晶調光フィルム:液晶を使い電源のオン/オフで「透明」と「白濁」を瞬時に切り替え、通過する光をコントロールできるフィルム(※5)ナノインプリント:ナノ(10億分の1)メートルオーダーのパターンを形成したモールドを用いて、樹脂などの被転写材料に押し付けて微細な構造体を製造する転写技術(※6)リソグラフィー技術:感光性の物質を塗布した物質の表面をパターン状に露光することで、露光された部分と露光されていない部分からなるパターンを生成する技術(※7)マスターモールド製造技術:樹脂などの被転写材料に押し付けて微細な構造体を製造する際に用いる原版(マスターモールド)を設計、製造する技術(※8)生物模倣:生物の組成や形状の優れた機能を活用すること(※9)ナノ構造:大きさがナノ(10億分の1)メートルオーダーの構造
FY2016|2,561 文字
6 【研究開発活動】当社グループ(当社及び連結子会社)は、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進している。当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っている。各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての開発を各研究開発部門と進めている。また、次世代商品系分野についても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めている。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は17,974百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりである。なお、研究開発費については、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究にかかる費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載している。 (1) 情報コミュニケーション事業分野セキュア関連では、電磁結合方式のデュアルインターフェースICカード(※1)「SMARTICS-AIR(スマーティクス-エアー)」を日本で初めて開発した。独自技術によりカードの耐久性を飛躍的に向上させ、MasterCard®(マスターカード)のブランド認定を取得した。また、日本初となる豊富なデザインの券面印刷・印字に対応したICキャッシュカード店頭即時発行サービスの提供を開始し、第1弾として名古屋銀行の「ICキャッシュカード店頭即時発行サービス」で導入した。マーケティング関連では、国内最大級の電子チラシポータルサイト「Shufoo!(シュフー)」において、台湾や中国からの訪日外国人に対しチラシを活用した買い物情報を提供するインバウンド(※2)対応サービスを開発した。VR(バーチャルリアリティ)については、当社の文化財のデジタルアーカイブ(※3)とVR化への取り組みが、先進映像協会「グッドプラクティス・アワード 2015」本賞を受賞した。また、江戸期以前のくずし字を高精度でテキストデータ化する新方式OCR技術を開発し、80%以上の精度でのOCR処理を可能とした。 (2) 生活・産業事業分野包装関連では、簡単に美味しく調理できる電子レンジ専用チャック付きパウチ「スマデリバッグ®」が日本包装技術協会主催「第39回木下賞 研究開発部門」を受賞した。新鮮食材を加えて電子レンジで加熱するだけで簡単に調理できることが高評価を得た。さらに、古河電池株式会社と共同開発した、世界初となる紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)」が、水や海水を入れるだけで発電可能、紙製容器のため使用後の廃棄も容易であるという特長が評価され、日本包装技術協会主催「第39回木下賞 新規創出部門」とエコプロダクツ大賞推進協議会主催「第12回エコプロダクツ大賞 推進協議会会長賞」を合わせて受賞した。軟包装材関連では、小ロット多品種生産に最適なパッケージを提供するトータルソリューション「トッパンFPデジタルソリューション」を開始した。地域限定商品や季節によるデザイン変更など、商品の付加価値向上に最適なサービスとして展開した。建装材事業関連では、自然素材の質感を持つ化粧シートと不燃基材を組み合わせた内装壁面向け不燃化粧パネル「マテリウム」の販売を開始し、新技術「質感コート」により、天然木の表情と手触りを再現した。 (3) エレクトロニクス事業分野半導体向けフォトマスク関連では、最先端半導体に対応した次世代EUV(※4)フォトマスクを開発した。周辺への不要な光の反射を抑え、パターン周辺部分の微細化を実現したことは世界初となる。また、タッチパネル関連では、車載ディスプレイ向け3D銅タッチパネルモジュールを開発した。3D曲面の静電容量型タッチパネルを実現し、ディスプレイとコントロールパネル一体化も可能となった。さらに、超狭額縁銅タッチパネルモジュールを開発した。銅配線と高剛性樹脂カバーの採用により狭額縁化・軽量化を実現した。 (4) その他エネルギー分野では、当社が独自に開発した次世代レコメンドシステム(※5)「VIENES(ヴィエネス)」が、株式会社NTTぷららが実施する「ひかりTV エコでポイントサービス」で採用した。経済産業省「大規模HEMS(※6)情報基盤整備事業」におけるiエネ コンソーシアム(※7)の取り組みの一環で、エネルギーポイントの発行や省エネメールの配信サービスを実施した。また、この次世代レコメンドシステム「VIENES」を活用し、各世帯のエネルギー使用診断レポートを作成する実証実験を実施した。電子ペーパーでは、「国内初のバッテリーレスで無線LANによる表示書き換えが可能なタブレットサイズの電子ペーパー表示機」「気分に合わせてデザインを変えられるイヤーアクセサリ」「白黒赤の3色に表示切替が可能な国内初のフレキシブル電子ペーパーディスプレイ」「屋内の光だけで駆動できるリユース可能な店頭販促向け電子ペーパーPOP」「国内最小のバッテリーレス電子ペーパー表示機」などを開発するとともに、アイコンや英数字などのデザイン表示に最適なセグメント型(※8)電子ペーパーモジュールのサンプル出荷を開始した。 (※1)デュアルインターフェースICカード:1チップで2つのインターフェースを持つICカード(※2)インバウンド:日本へ来る、外国人観光客(※3)デジタルアーカイブ:デジタル化による文化資源の保存(※4)EUV:Extreme Ultraviolet 非常に短い波長(13.5 nm)の光(※5)レコメンドシステム:利用者が興味がありそうなものを薦めるシステム(※6)HEMS:Home Energy Management System 住宅用エネルギー管理システム(※7)iエネ コンソーシアム:「電力の小売全面自由化」に先がけて、より良い電気の活用法について考えるために誕生した活動体(※8)セグメント型:固定されたパターンにより文字が表現される