7701

島津製作所(7701)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

精密機器 電機・精密

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    島津製作所は、計測機器、医用機器、産業機器、航空機器の4つの主要事業分野で収益を上げています。これらの事業は、研究開発から製造、販売、保守サービスまでを一貫して手掛けることで、顧客の多様なニーズに応えています。特に計測機器事業は、クロマト分析システムや質量分析システムなど多岐にわたる製品を提供し、幅広い産業の基盤を支えています。
  • グローバルな事業活動
    日本国内だけでなく、子会社85社、関連会社8社(2025年3月31日現在)を通じて世界各地で事業を展開しています。これにより、各地域の市場規模や産業構造に合わせた販売戦略を実行し、グローバル市場での収益機会を最大化しています。海外での売上比率も高く、国際的な経済動向が業績に大きく影響するビジネスモデルです。
  • 高付加価値製品とサービス
    同社の製品は、高度な技術と専門知識を要するものが多く、高い付加価値を提供しています。例えば、医用機器では血管撮影システムやPETシステムなど、医療現場の最先端を支える機器を提供し、人々の健康に貢献しています。また、製品販売後の保守サービスも重要な収益源となっており、顧客との長期的な関係構築を通じて安定した収益を確保しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 計測機器事業
    この事業は、クロマト分析システム、質量分析システム、X線分析システムなど、幅広い分析・計測機器を提供しています。売上高は3479.15億円、営業利益は520.73億円と、同社グループの収益の柱となっています。科学研究、品質管理、環境分析など多岐にわたる分野で活用され、国内外の子会社が製造・販売・保守サービスを一貫して手掛けています。
  • 医用機器事業
    血管撮影システム、X線TVシステム、PETシステムなど、医療現場で使用される高度な機器を提供しています。売上高は725.67億円、営業利益は42.63億円です。医療の質の向上に貢献しており、島根島津株式会社などが製造を担い、島津メディカルシステムズ株式会社が販売・保守サービスを提供することで、医療機関のニーズに応えています。
  • 産業・航空機器事業
    産業機器ではターボ分子ポンプや油圧ギヤポンプ、航空機器ではフライトコントロールシステムやコックピットディスプレイシステムなどを手掛けています。産業機器の売上高は723.35億円、営業利益は104.67億円、航空機器の売上高は386.62億円、営業利益は60.68億円です。これらの事業は、それぞれの専門分野で高い技術力を活かし、産業の発展や航空安全に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
MeasurementEquipment 事業 3,479 521 15.0%
MedicalEquipment 事業 726 43 5.9%
IndustrialEquipment 地域 723 105 14.5%
AircraftEquipment 事業 387 61 15.7%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,842 文字
3 【事業の内容】 当社および当社の関係会社(子会社85社および関連会社8社(2025年3月31日現在))は、計測機器、医用機器、産業機器、航空機器、その他の各事業分野で研究開発、製造、販売、保守サービス等にわたる事業活動を行っています。 当社および主要な関係会社の当該事業における位置付けはつぎのとおりです。 なお、計測機器、医用機器、産業機器、航空機器、その他の各事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。 また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。事業区分主要製品等主要な関係会社計測機器クロマト分析システム、質量分析システム、光分析システム、熱分析システム、ライフサイエンス関連分析システム、X線分析システム、表面分析・観察システム、水質計測システム、排ガス測定システム、材料試験機、疲労・耐久試験機、構造物試験機、非破壊検査システム、高速度ビデオカメラ、粉粒体測定システム、天びん・はかり、回折格子、レーザ機器、小形分光器、臨床検査用試薬、全自動PCR検査システム、培地、微生物検査システム[製造・販売]島津サイエンス東日本(株)、島津サイエンス西日本(株)、島津ダイアグノスティクス(株)、(株)島津理化、島津システムソリューションズ(株)、島津エイテック(株)、シマヅ サイエンティフィック インスツルメンツ インク(アメリカ)、シマヅ ユーエスエー マニュファクチュアリング インク(アメリカ)、シマヅ オイローパ ゲーエムベーハー(ドイツ)、クレイトス アナリティカル リミテッド(イギリス)、島津(香港)有限公司(中国)、島津企業管理(中国)有限公司(中国)、島津儀器(蘇州)有限公司(中国)、シマヅ サイエンティフィック コリア コーポレーション(韓国)、シマヅ(エイシア パシフィック)プライベイト リミテッド(シンガポール)、シマヅ マニュファクチュアリング エイシア エスディーエヌ ビーエイチディー(マレーシア)、シマヅ ミドル イースト アンド アフリカ エフゼットイー(アラブ首長国連邦)、シマヅ ラテン アメリカ エスエー(ウルグアイ) [保守サービス](株)島津アクセス [研究開発・分析受託](株)島津テクノリサーチ、シマヅ リサーチ ラボラトリー(ヨーロッパ)リミテッド(イギリス) 医用機器血管撮影システム、X線TVシステム、一般撮影システム、回診用システム、外科用X線TVシステム、PETシステム、近赤外光カメラシステム、放射線治療関係、医療情報システム[製造・販売]島根島津(株)、シマヅ プレシジョン インスツルメンツ インク(アメリカ)、シマヅ オイローパ ゲーエムベーハー(ドイツ)、島津(香港)有限公司(中国)、島津企業管理(中国)有限公司(中国)、北京島津医療器械有限公司(中国)、シマヅ(エイシア パシフィック)プライベイト リミテッド(シンガポール)、シマヅ ミドル イースト アンド アフリカ エフゼットイー(アラブ首長国連邦)、シマヅ ラテン アメリカ エスエー(ウルグアイ) [販売・保守サービス]島津メディカルシステムズ(株) 産業機器ターボ分子ポンプ、油圧ギヤポンプ、コントロールバルブ、パワーパッケージ、工業炉、液送ポンプ、ガラスワインダ、動釣合試験機(バランシングマシン)、ヘリウムリークディテクタ、高速スパッタリングシステム、磁気探知機/磁力計、水中光無線装置、光格子時計[製造・販売]島津産機システムズ(株)、島津プレシジョンテクノロジー(株)、シマヅ プレシジョン インスツルメンツ インク(アメリカ)、島津(香港)有限公司(中国)、島津企業管理(中国)有限公司(中国)、天津島津液圧有限公司(中国)航空機器フライトコントロールシステム、エアマネジメントシステム、コックピットディスプレイシステム、エンジン補機[製造・販売]島津エアロテック(株)、シマヅ プレシジョン インスツルメンツ インク(アメリカ) その他不動産賃貸、不動産管理、建設舗床業 等(株)島津総合サービス、太平工業(株) 当社グループ(当社および連結子会社)の主要な事業活動を事業系統図によって示すとつぎのとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
専門性が高く高度な技術力を要する新製品開発に多額の投資を行っているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
専門性が高く、高度な技術力を必要とする事業であり、新製品開発に多額の投資が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:国内外の市場の動向 / 海外での事業活動 / 製品品質
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

島津製作所は、分析計測機器、医用機器、航空機器、産業機器の分野で長年の実績と高い技術力を有する。特に、質量分析計やクロマトグラフィーなどの分析計測機器分野では、世界的に認知されたブランド力と特許技術が競争優位の源泉となっている。これらの分野での研究開発投資と技術蓄積は、新規参入障壁を形成している。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

島津製作所の分析計測機器や医用機器は、導入に高額な初期投資が必要であり、かつオペレーターの習熟度や既存のデータ管理システムとの連携が重要となる。そのため、顧客が競合他社製品へ切り替える際には、再教育コスト、システム再構築、データ移行などの多大なスイッチングコストが発生する可能性がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

島津製作所の事業モデルは、製品の利用者が増えることでその製品自体の価値が向上するようなネットワーク効果は直接的には見られない。個々の機器の性能や信頼性が重視されるビジネスモデルである。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

精密機器製造においては、高度な品質管理と生産技術が求められるため、構造的なコスト優位性を確立することは難しい。島津製作所は効率的な生産体制を追求しているが、競合他社も同様の努力をしており、顕著なコスト優位性を示す要素は限定的である。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

島津製作所は、分析計測機器や医用機器の分野でグローバルに事業を展開しており、一定の市場シェアを確保している。特に、特定のニッチ市場においては、規模の経済を活かした効率的な生産・販売体制が競争力に寄与していると考えられる。しかし、業界全体で見ると、多数の競合が存在する。

  • 高度な技術力と研究開発
    島津製作所は、専門性が高く高度な技術力を必要とする分野で事業を展開しており、新製品・新技術の研究開発に多額の投資を行っています。これにより、競合他社に先駆けて革新的な製品を市場に投入し、技術的な優位性を確立しています。例えば、ライフサイエンス関連分析システムや高速度ビデオカメラなど、最先端の技術が求められる分野で強みを発揮しています。
  • 強固な品質保証体制
    ISO規格の認証を受けた品質システムを構築し、「品質保証基本方針」に基づき、製品のライフサイクル全体で品質向上に努めています。また、「製品安全基本方針」を定め、顧客の安全と信頼を最優先に行動することで、製品の信頼性を高め、ブランド価値を維持しています。これにより、顧客からの信頼を獲得し、長期的な顧客関係を築く基盤となっています。
  • グローバルな販売・サービス網
    世界各地に子会社や関連会社を展開し、研究開発、製造、販売、保守サービスまでを一貫して提供できる体制を構築しています。これにより、各地域の市場ニーズに迅速に対応し、きめ細やかなサービスを提供することが可能です。特に、計測機器事業では、アメリカ、ドイツ、中国など主要市場に製造・販売拠点を持ち、グローバルな顧客基盤を確立しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活かし、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供、それを基にした社会課題解決の仕組み作りを行い、ステークホルダーからの信頼の獲得と、企業価値の向上に努めています。 また、社是・経営理念に基づく事業活動を通してサステナブルな社会を実現するために、「島津グループサステナビリティ憲章」を制定しました。グループ全体で、「地球環境とグローバル社会の持続可能性」、「島津グループの事業活動の持続と成長」、「従業員の健康とエンゲージメントの向上」を目指して、サステナビリティ経営を実践していきます。 これからも、地球・社会・人との調和を図りながら、“事業を通じた社会課題の解決”と“社会の一員としての責任ある活動”の両輪で企業活動を行い、明るい未来を創造します。 (2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題1) 4つの社会価値創生領域における各事業の取り組み 世界のパートナーとの関係を強化し、共に社会課題を解決するイノベーティブカンパニーとして、サステナブルな社会の共創を引き続き目指します。①ヘルスケア領域 ライフサイエンス分野では製薬、食品市場を中心に、計測機器事業における液体クロマト分析システムと質量分析システムを重点機種と位置付け、お客様の業務の効率化・省力化に向けたAIによる分析プロセスの革新(AX:アナリティカルトランスフォーメーション)の実現を追求します。また、医薬品精製装置への参入などソリューション提供の拡大を進めます。 メドテック分野では、計測機器事業と医用機器事業を中心に据え、臨床検体検査ソリューションの提供・実装強化と、画像診断にAIやIoT技術を活用した「イメージングトランスフォーメーション (IMX)」を引き続き展開し事業拡大を進めます。また、健康長寿の実現、シニアヘルスケアへの貢献に向け、パートナーとの共創によるアルツハイマー型認知症や感染症に関連した研究開発と、当社独自の音声認識機能を搭載する血管撮影システムや高齢者の嚥下(えんげ)検査用X線TV装置のグローバル展開を進めます。②グリーン領域 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、水素エネルギーの社会実装をはじめとする新エネルギー開発、バイオ燃料分析手法の開発や温室効果ガス(GHG)測定分野において、ガスクロマト分析システムなど、計測機器の展開を進めます。また、環境分野では、世界中で規制強化が進む有機フッ素化合物(PFAS)に対し、分析手法の普及に向けた取り組みを強化するとともに、バイオものづくり事業でのソリューション開発に注力します。③マテリアル領域 計測製品のラインアップ強化、自動化促進とインフォマティクスを用いた複合計測・解析の強化に取り組み、セラミックス複合材料などの革新素材の開発・製造への貢献、サーキュラーエコノミーの実現に向けた計測機器開発を促進します。また、新たに販売を開始した走査電子顕微鏡による事業展開を通じて、ナノ領域の表面観察分野で付加価値の高いソリューションを提供してまいります。④インダストリー領域 産業機械事業を中心に据え、生成AIの需要拡大など活況が続く半導体市場や、気候変動対策に関わる電気自動車などの産業機械市場で「世界で評価されるソリューションプロバイダー」を目指します。半導体製造に欠かせないターボ分子ポンプの製造・サービス体制を強化するとともに、分析計測装置や太陽光パネル製造装置、ガラスコーティング装置向けに用途を拡大し、新たな価値提供に取り組みます。また、自動車等の電動化で用いられるセラミック製品製造向けに工業炉の拡販を図ります。 航空機器事業においては、安全なモビリティ社会の実現に貢献するとともに、中長期的に成長と収益を確保できる事業体制の確立を目指しています。「選択と集中」および「収益性改革」の基本方針のもと、事業を継続してまいります。 2)リカーリングビジネスの拡大 試薬等の消耗品とサービスの両輪でリカーリングビジネスの拡大に取り組んでいます。フランスの子会社2社を統合して2025年4月1日に設立したShimadzu Chemistry and Diagnostics SAS、島津ダイアグノスティクス株式会社などグループ全体で試薬と消耗品のラインアップ拡充を進め、ビジネスを拡大します。 また、計測機器事業でのマルチベンダーサービスの拡大、および北米医用事業のサービス体制強化を進め、広くお客様に密着したサービスの提供を進めます。 3)新事業の創出と開発力強化 スタートアップや大学などとの共創を目的とした研究公募プログラム「SHIMADZUみらい共創チャレンジ」の活動と、スタートアップへの投資から新規事業の創出を目指すCVC「Shimadzu Future Innovation Fund」の活動を継続します。 また、開発力の強化では、アジャイル開発の適用拡大とグローバル開発拠点を活用したコンカレント(同時並行型)開発の導入、およびAIやDXの活用に向けたデジタル人財の育成に引き続き取り組みます。 4)経営基盤の強化と“顧客中心”志向への体制変革①北米では昨年度開設したR&Dセンターボストンラボで最先端ニーズを捉え、現地開発によるソリューション提供を拡大します。②中国では、拡張した蘇州工場で分析計測システムなどを生産し、国産優遇策への対応力を強化します。③インドでは、分析と医用製品を扱う統合会社を立上げ、顧客中心の販売活動を展開します。また、2027年の稼働予定での工場建設を進めます。④4つの社会価値創生領域に向けたソリューションの開発・提案力の持続的強化のため、戦略的な成長投資を続けます。併せて、AIを活用した業務効率化を進め、ROICを指標とした資本効率の向上を図ります。⑤多様な視点を持つグローバルで活躍する人財の育成に向け、次世代リーダー育成プログラムを拡充します。 5)環境経営と健康経営 環境経営では、脱炭素社会の構築やサーキュラーエコノミーへの移行を見据え、事業を通じた環境貢献の観点から、製品設計に遡ったCO2排出量の削減、梱包材の見直し等を進めているほか、企業価値貢献の観点で情報開示を進め、外部評価の向上に取り組んでいます。 健康経営では、自社技術を活用した社員およびその家族の健康増進とともに、労働安全衛生マネジメントシステムの活用を進めます。また、健康経営アライアンスの一員として、当社の技術や知見の社会還元に取り組みます。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 上記の通り事業活動を進めていく一方で、円高および米国の関税政策の影響により、当社をとりまく事業環境には不透明感が増しています。米国における関税の影響については、マクロ経済の減速に伴う需要減少と関税コストの増加を想定しており、つぎに示す2026年3月期の連結業績予想は、この関税政策の影響が年間を通して継続することを前提として策定しています。関税引き上げによる業績への影響は重大なものになると想定していますが、インドなどの成長市場での需要獲得に加え、価格転嫁やサプライチェーンの見直しなどの対応を通じて、影響の軽減に取り組んでまいります。なお、今後の動向も予測困難な状況にあるため、継続して注視していきます。 (単位:百万円) 2026年3月期連結業績予想対前期増減率売上高515,000△4.5%営業利益58,000△19.1%経常利益58,000△19.5%親会社株主に帰属する当期純利益45,000△16.3%※上記の業績予想は、2025年3月期決算短信公表時点(2025年5月12日)において入手可能な情報に基づき算出したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想値と異なる可能性があります。なお、本連結業績予想は、4月中旬時点での米国関税政策によるマクロ経済への影響と関税によるコスト増を見込んだものです。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 会社の経営の基本方針 当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、永年の事業で培った技術、ノウハウを活かし、複雑化・多様化する社会の課題や要請に応える製品・サービスの提供、それを基にした社会課題解決の仕組み作りを行い、ステークホルダーからの信頼の獲得と、企業価値の向上に努めています。 また、社是・経営理念に基づく事業活動を通してサステナブルな社会を実現するために、「島津グループサステナビリティ憲章」を制定しました。グループ全体で、「地球環境とグローバル社会の持続可能性」、「島津グループの事業活動の持続と成長」、「従業員の健康とエンゲージメントの向上」を目指して、サステナビリティ経営を実践していきます。 これからも、地球・社会・人との調和を図りながら、“事業を通じた社会課題の解決”と“社会の一員としての責任ある活動”の両輪で企業活動を行い、明るい未来を創造します。 (2) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題1) 4つの社会価値創生領域における各事業の取り組み 世界のパートナーとの関係を強化し、共に社会課題を解決するイノベーティブカンパニーとして、サステナブルな社会の共創を引き続き目指します。①ヘルスケア領域 ライフサイエンス分野では製薬、食品市場を中心に、計測機器事業における液体クロマト分析システムと質量分析システムを重点機種と位置付け、お客様の業務の効率化・省力化に向けたAIによる分析プロセスの革新(AX:アナリティカルトランスフォーメーション)の実現を追求します。また、医薬品精製装置への参入などソリューション提供の拡大を進めます。 メドテック分野では、計測機器事業と医用機器事業を中心に据え、臨床検体検査ソリューションの提供・実装強化と、画像診断にAIやIoT技術を活用した「イメージングトランスフォーメーション (IMX)」を引き続き展開し事業拡大を進めます。また、健康長寿の実現、シニアヘルスケアへの貢献に向け、パートナーとの共創によるアルツハイマー型認知症や感染症に関連した研究開発と、当社独自の音声認識機能を搭載する血管撮影システムや高齢者の嚥下(えんげ)検査用X線TV装置のグローバル展開を進めます。②グリーン領域 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、水素エネルギーの社会実装をはじめとする新エネルギー開発、バイオ燃料分析手法の開発や温室効果ガス(GHG)測定分野において、ガスクロマト分析システムなど、計測機器の展開を進めます。また、環境分野では、世界中で規制強化が進む有機フッ素化合物(PFAS)に対し、分析手法の普及に向けた取り組みを強化するとともに、バイオものづくり事業でのソリューション開発に注力します。③マテリアル領域 計測製品のラインアップ強化、自動化促進とインフォマティクスを用いた複合計測・解析の強化に取り組み、セラミックス複合材料などの革新素材の開発・製造への貢献、サーキュラーエコノミーの実現に向けた計測機器開発を促進します。また、新たに販売を開始した走査電子顕微鏡による事業展開を通じて、ナノ領域の表面観察分野で付加価値の高いソリューションを提供してまいります。④インダストリー領域 産業機械事業を中心に据え、生成AIの需要拡大など活況が続く半導体市場や、気候変動対策に関わる電気自動車などの産業機械市場で「世界で評価されるソリューションプロバイダー」を目指します。半導体製造に欠かせないターボ分子ポンプの製造・サービス体制を強化するとともに、分析計測装置や太陽光パネル製造装置、ガラスコーティング装置向けに用途を拡大し、新たな価値提供に取り組みます。また、自動車等の電動化で用いられるセラミック製品製造向けに工業炉の拡販を図ります。 航空機器事業においては、安全なモビリティ社会の実現に貢献するとともに、中長期的に成長と収益を確保できる事業体制の確立を目指しています。「選択と集中」および「収益性改革」の基本方針のもと、事業を継続してまいります。 2)リカーリングビジネスの拡大 試薬等の消耗品とサービスの両輪でリカーリングビジネスの拡大に取り組んでいます。フランスの子会社2社を統合して2025年4月1日に設立したShimadzu Chemistry and Diagnostics SAS、島津ダイアグノスティクス株式会社などグループ全体で試薬と消耗品のラインアップ拡充を進め、ビジネスを拡大します。 また、計測機器事業でのマルチベンダーサービスの拡大、および北米医用事業のサービス体制強化を進め、広くお客様に密着したサービスの提供を進めます。 3)新事業の創出と開発力強化 スタートアップや大学などとの共創を目的とした研究公募プログラム「SHIMADZUみらい共創チャレンジ」の活動と、スタートアップへの投資から新規事業の創出を目指すCVC「Shimadzu Future Innovation Fund」の活動を継続します。 また、開発力の強化では、アジャイル開発の適用拡大とグローバル開発拠点を活用したコンカレント(同時並行型)開発の導入、およびAIやDXの活用に向けたデジタル人財の育成に引き続き取り組みます。 4)経営基盤の強化と“顧客中心”志向への体制変革①北米では昨年度開設したR&Dセンターボストンラボで最先端ニーズを捉え、現地開発によるソリューション提供を拡大します。②中国では、拡張した蘇州工場で分析計測システムなどを生産し、国産優遇策への対応力を強化します。③インドでは、分析と医用製品を扱う統合会社を立上げ、顧客中心の販売活動を展開します。また、2027年の稼働予定での工場建設を進めます。④4つの社会価値創生領域に向けたソリューションの開発・提案力の持続的強化のため、戦略的な成長投資を続けます。併せて、AIを活用した業務効率化を進め、ROICを指標とした資本効率の向上を図ります。⑤多様な視点を持つグローバルで活躍する人財の育成に向け、次世代リーダー育成プログラムを拡充します。 5)環境経営と健康経営 環境経営では、脱炭素社会の構築やサーキュラーエコノミーへの移行を見据え、事業を通じた環境貢献の観点から、製品設計に遡ったCO2排出量の削減、梱包材の見直し等を進めているほか、企業価値貢献の観点で情報開示を進め、外部評価の向上に取り組んでいます。 健康経営では、自社技術を活用した社員およびその家族の健康増進とともに、労働安全衛生マネジメントシステムの活用を進めます。また、健康経営アライアンスの一員として、当社の技術や知見の社会還元に取り組みます。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 上記の通り事業活動を進めていく一方で、円高および米国の関税政策の影響により、当社をとりまく事業環境には不透明感が増しています。米国における関税の影響については、マクロ経済の減速に伴う需要減少と関税コストの増加を想定しており、つぎに示す2026年3月期の連結業績予想は、この関税政策の影響が年間を通して継続することを前提として策定しています。関税引き上げによる業績への影響は重大なものになると想定していますが、インドなどの成長市場での需要獲得に加え、価格転嫁やサプライチェーンの見直しなどの対応を通じて、影響の軽減に取り組んでまいります。なお、今後の動向も予測困難な状況にあるため、継続して注視していきます。 (単位:百万円) 2026年3月期連結業績予想対前期増減率売上高515,000△4.5%営業利益58,000△19.1%経常利益58,000△19.5%親会社株主に帰属する当期純利益45,000△16.3%※上記の業績予想は、2025年3月期決算短信公表時点(2025年5月12日)において入手可能な情報に基づき算出したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想値と異なる可能性があります。なお、本連結業績予想は、4月中旬時点での米国関税政策によるマクロ経済への影響と関税によるコスト増を見込んだものです。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要はつぎのとおりです。 ① 経営成績の状況 当連結会計年度の経営成績は、売上高5,390億4千7百万円(前年度比5.3%増)、営業利益717億2千万円(同1.4%減)、経常利益720億1千8百万円(同6.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益537億7千6百万円(同5.7%減)となりました。 セグメントごとの経営成績はつぎのとおりです。 なお、当連結会計年度より、従来「航空機器」に含まれていた磁気探知機/磁力計、水中光無線装置の業績を、「産業機器」へ移管しています。以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。 ・計測機器事業 売上高3,479億1千5百万円(前年度比2.9%増)、営業利益520億7千3百万円(同9.4%減)となりました。 ・医用機器事業 売上高725億6千7百万円(前年度比0.4%増)、営業利益42億6千3百万円(同10.8%減)となりました。 ・産業機器事業 売上高723億3千5百万円(前年度比9.4%増)、営業利益104億6千7百万円(同41.6%増)となりました。 ・航空機器事業 売上高386億6千2百万円(前年度比34.5%増)、営業利益60億6千8百万円(同73.4%増)となりました。 ・その他の事業 売上高75億6千6百万円(前年度比16.6%増)、営業利益6億3千万円(同39.6%減)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ220億4千3百万円減少し、1,371億9千万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況はつぎのとおりです。 ・営業活動によるキャッシュ・フロー 営業活動によるキャッシュ・フローは、520億2百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ218億7千4百万円増加しました。その主なものは、仕入債務の増減による増加148億9千5百万円、法人税等の支払額の減少47億1千3百万円、棚卸資産の増減による増加29億6千4百万円です。 ・投資活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ71億7千4百万円支出が増加し、231億7千3百万円の支出となりました。その主なものは、設備投資による支出151億2百万円、子会社株式の取得による支出65億4千6百万円です。 ・財務活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ273億1千万円支出が増加し、484億9百万円の支出となりました。その主なものは、自己株式の取得による支出250億4百万円、配当金の支払額182億5千万円です。 ③ 生産、受注及び販売の実績イ. 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)計測機器345,501△1.6医用機器71,834△3.5産業機器72,2236.1航空機器38,92029.7その他7,57915.6合計536,0581.1 (注) 金額は、販売価格によっています。 ロ. 受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)計測機器350,3314.6113,9962.2医用機器71,042△4.523,366△6.1産業機器70,2308.114,467△19.5航空機器57,65526.683,87929.3その他8,21332.13,22725.1合計557,4736.0238,9377.7 ハ. 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)計測機器347,9152.9医用機器72,5670.4産業機器72,3359.4航空機器38,66234.5その他7,56616.6合計539,0475.3 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容はつぎのとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容イ. 財政状態 当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ無形固定資産が57億3千万円、退職給付に係る資産が49億3千万円、受取手形、売掛金及び契約資産が43億1千8百万円、棚卸資産が15億8千3百万円それぞれ増加しましたが、現金及び預金が218億7千万円減少したことなどにより、総資産は17億8千5百万円減少し、6,721億7千7百万円となりました。純資産は、自己株式の取得により250億4百万円、為替換算調整勘定が33億8千6百万円、その他有価証券評価差額金が30億4千5百万円それぞれ減少しましたが、利益剰余金が353億1千7百万円増加したことなどにより、57億3千1百万円増加し、4,980億6千6百万円となりました。 ロ. 経営成績 当連結会計年度の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻や中東紛争等の地政学リスク、中国経済の停滞や米国の関税政策、インフレによるコスト増加等、依然として不透明な状況が続きました。 このような経営環境下で、当社グループは前年の中国市場の落ち込みを受けての厳しいスタートとなる中、ヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーの4注力領域で、中期経営計画で掲げる事業戦略を展開し、世界のパートナーと共に社会課題の解決に取り組みました。 具体的には、「重点事業*1強化」では、ロボティクス・AIの活用等により競合力ある計測機器新製品の開発推進と、顧客のワークフロー全体へのトータルソリューション提供を目指した製品ラインアップ強化に取り組みました。 「メドテック事業*2の強化」では、臨床市場における事業基盤構築に向けて、臨床市場向け質量分析システム、試薬、ソフトウェアのラインアップ拡充に努めました。また、医用画像解析にAIやIoT技術を用いた“イメージングトランスフォーメーション”を推進して、2024年4月に光学カメラ搭載のX線撮影システムを発売しました。 「海外事業の拡大」では、北米で開発機能強化を目的に2024年4月にR&Dセンターを開所したほか、中国では地産地消を目指して2024年12月に新工場を開所し製造機能を強化しました。 「リカーリングビジネス*3の強化・拡大」では、2024年4月に北米の計測機器メンテナンスサービス会社Zef Scientific, Inc.を買収して北米におけるアフターサービス事業の強化・拡大に注力しました。 また、お客様(領域)中心志向への体制変革として、2024年4月から国内営業を本部制に移行し、事業部間連携の強化、お客様への最適なトータルソリューションの提供等の営業活動を推進したことも成長に繋がりました。*1.重点事業:液体クロマト分析システム、質量分析システム、ガスクロマト分析システム、試験機、ターボ分 子ポンプの5事業*2.メドテック事業:健康管理、検査、診断、治療、予後管理において、医用画像システムや血液等の成分を分 析するシステムを用いてトータルソリューションを提供する事業*3.リカーリングビジネス:試薬、培地、カラムなどの消耗品や、機器のメンテナンスサービスを提供する事業 以上の結果、当連結会計年度の業績は、日本、北米、その他のアジアが増加したことや、為替の押し上げも加わり、売上高は5,390億4千7百万円(前年度比5.3%増)となり、過去最高を更新しました。一方利益面では、価格改定を進めたものの、部材価格の高騰、将来に向けての研究開発費やDX投資などの成長投資の増加に加え、人的投資も増加させた影響を、売上増による利益増で補うことが出来ず、営業利益は717億2千万円(同1.4%減)となりました。経常利益は720億1千8百万円(同6.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は537億7千6百万円(同5.7%減)となりました。 セグメントの経営成績は、つぎのとおりです。 なお、当連結会計年度より、従来「航空機器」に含まれていた磁気探知機/磁力計、水中光無線装置の業績を、「産業機器」へ移管しています。以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しています。 ・計測機器事業 計測機器事業は、ヘルスケア領域の医薬品市場で世界的に進む研究開発向けやアジアを中心にした品質管理向けに液体クロマト分析システム、光分析システムが増加し、メドテック領域の臨床市場向けに質量分析システムが増加しました。加えて、グリーン/マテリアル領域で新素材開発向け等に試験機が増加しました。地域別では、日本、北米、欧州、その他のアジア等の主要地域で伸長しました。 この結果、当事業の売上高は3,479億1千5百万円(前年度比2.9%増)となりました。営業利益は上期の生産抑制による影響に加え、研究開発費などの成長投資と人的投資を進めたことで520億7千3百万円(同9.4%減)となりました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本127,179131,0293.0医薬向けに液体クロマト分析システム、質量分析システム、光分析システム、水質管理向けに水質計測システムが増加。新素材開発向けに試験機が増加。海外211,077216,8862.8海外売上高比率が62.3%と0.1pt減少。主要地域 北米34,12339,02614.4特定顧客向けに液体クロマト分析システムや、受託分析会社向けに質量分析システムが増加。また、連結化した、マルチベンダーサービス*事業を展開するZef Scientific, Inc.の業績も貢献。欧州38,86440,8895.2臨床検査向けに液体クロマト分析システムや質量分析システムが増加。中国74,74667,779△9.3政府の景気支援策により官公庁やアカデミアの需要が回復傾向にあるものの、民間市場の回復遅れの影響を受け液体クロマト分析システムをはじめ全体的に減少。その他のアジア45,62047,8895.0インドの医薬や受託分析向けに液体クロマト分析システムが増加。加えて、東南アジアで品質管理向けに試験機が増加。*メーカーを選択することなく、お客様が使用中のすべての装置の修理・メンテナンスを提供するサービス形態のこと ・医用機器事業 医用機器事業は、メドテック分野での中心事業として、健康寿命の延伸と医療従事者の業務効率化を実現するために、画像解析にAIやIoT技術を用いた“イメージングトランスフォーメーション”戦略を展開しました。日本、中国、欧州では市況回復遅れの影響を受けたものの、病院の経営環境が持ち直した北米でX線TVシステムが、成長著しいその他のアジアでX線TVシステム、血管撮影システムが増加しました。 この結果、当事業の売上高は725億6千7百万円(前年度比0.4%増)となり、営業利益はプロダクトミックスの悪化等により42億6千3百万円(同10.8%減)となりました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本34,37333,957△1.2頭部と乳房の検査が可能なPETシステムや放射線治療装置用動体追跡システムが増加したものの、市況回復遅れによりX線関連システムが減少。海外37,92938,6091.8海外売上高比率は53.2%と0.7pt増加。主要地域 北米10,61912,13414.3病院の経営環境が持ち直し、X線TVシステム、血管撮影システムが増加。欧州4,7854,113△14.0東欧でX線TVシステムが増加したものの、前年度回診装置大口案件の反動や市況回復遅れにより減少。中国5,6853,941△30.7市況回復遅れの影響や、腐敗防止強化による入札案件が遅れたことで、X線TVシステムや一般撮影システムが減少。その他のアジア7,2798,66819.1東南アジアでX線TVシステム、血管撮影システムが伸長。加えて、インドで血管撮影システムが増加。 ・産業機器事業 インダストリー領域の中心事業である産業機器事業は、ターボ分子ポンプは中国で太陽電池用薄膜製造装置向け等が減少した一方、半導体需要の拡大に伴い日本、北米、その他のアジアで半導体製造装置向けが増加しました。工業炉は中国で車載用セラミック製造向けが増加しましたが、油圧機器は市況回復遅れの影響を受け減少しました。 この結果、当事業の売上高は723億3千5百万円(前年度比9.4%増)、営業利益は売上高の増加により104億6千7百万円(同41.6%増)となり、いずれも過去最高を更新しました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本27,12631,47216.0半導体製造装置向けターボ分子ポンプが製品、サービス共に伸長。加えて、先端炭素材料製造向けに工業炉が増加。海外38,98340,8634.8海外売上高比率は56.5%と2.5pt減少。主要地域 北米8,5488,7972.9半導体製造装置向けターボ分子ポンプが製品、サービス共に増加。欧州4,6794,225△9.7半導体製造装置向けターボ分子ポンプのサービスは伸長したものの、同装置向けおよび太陽電池用薄膜製造装置向けターボ分子ポンプの製品が減少。中国19,34319,5601.1前年投資が集中した太陽電池用薄膜製造装置向けターボ分子ポンプの減少を、車載用セラミック製造向けに工業炉が補い増加。その他のアジア6,1008,12333.2半導体製造装置向けターボ分子ポンプが製品、サービス共に伸長。電子基板用ガラス繊維向けにガラスワインダが台湾で増加。 ・航空機器事業 航空機器事業は、日本では政府の防衛力強化方針により、防衛分野向けが増加しました。海外では民間航空機搭載品が堅調なものの、前年増加した補用品の反動により減少しました。この結果、当事業の売上高は386億6千2百万円(前年度比34.5%増)、営業利益は売上高の増加や採算性改善により、60億6千8百万円(同73.4%増)となりました。 なお、主要地域別売上高の状況は下記のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円) 増減率(%)概況日本20,43130,54449.5防衛分野で政府の防衛力強化方針により、航空機搭載品が増加。海外8,3058,117△2.3海外売上高比率は21.0%と7.9pt減少。主要地域北米7,3127,4151.4民間航空機搭載品が堅調に推移し増加。 ・その他の事業 当事業の売上高は75億6千6百万円(前年度比16.6%増)となり、営業利益は6億3千万円(同39.6%減)となりました。 (注) セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでいません。 当社グループは、2023-2025中期経営計画において、最終年度の目標数値として、売上高5,500億円以上、営業利益800億円以上、営業利益率14.5%以上、自己資本利益率12.5%以上を設定し、取り組んでいます。2年目にあたる当連結会計年度は、売上高5,390億4千7百万円、営業利益717億2千万円、営業利益率13.3%、自己資本利益率10.9%となり、売上高は順調に進捗したものの、営業利益は厳しい結果となりました。また、最終年度については、米国関税政策によるマクロ経済への影響と関税によるコスト増を見込んでおり、売上高・営業利益とも中期経営計画の最終年度目標に対して厳しい進捗を想定しています。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループは、手元資金を次なる成長につなげることを示すキャピタルアロケーション(資本配分)を策定しています。「攻めの財務」をスローガンに掲げ、財務健全性を確保しながら、持続的な成長に必要な戦略的投資を実施します。 イ. キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 ロ. 資金需要 当社グループの資金需要のうち営業活動については、当社グループ製品製造のための材料や部品の購入のほか、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および研究開発費です。 投資活動については、M&Aやコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)等の戦略投資、生産能力の拡大・効率化、研究開発環境の整備、DX関連の基盤強化を目的とした設備投資・研究開発投資が主な内容です。今後、社会価値創生領域での事業成長に資する、戦略投資・設備投資・研究開発投資等を継続していく予定です。 ハ. 財務政策 当社グループの当連結会計年度末の借入金等の残高は、前連結会計年度末に比べ2億4千6百万円減少し、13億7千2百万円となりました。 当社グループは、営業活動によりキャッシュを生み出す能力を持っていることなどから、当社グループの成長を維持するために将来必要となる運転資金および設備投資資金を創出・調達することが十分に可能であると考えています。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。 連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮したうえで行っています。特に重要な見積りを伴う会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

事業リスク

  • 国際情勢と市場変動
    世界各国の政策や景気動向、設備投資の変動、戦争、テロ、疫病の蔓延などが、サプライチェーンの混乱や資源価格の高騰を引き起こし、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。特に、海外での事業活動が広範であるため、予期せぬ法律や規制の変更、貿易制限、政治的混乱などが、海外事業の拡大戦略に悪影響を及ぼすリスクがあります。
  • 製品品質と新製品開発
    製品の品質トラブルや安全性への懸念が発生した場合、企業の信頼性やブランド力が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、高度な技術を要する新製品開発において、商品化の遅れや市場ニーズとの不一致が生じた場合、競争力の低下や将来の事業成長、収益性の低下に繋がるリスクがあります。研究開発への多額の投資が必ずしも成功に結びつかない可能性も考慮されます。
  • サプライチェーンと人材確保
    自然災害、疫病、地政学リスクなどにより、原材料の供給不足や価格高騰が発生した場合、生産活動に支障をきたし、利益率の悪化や機会損失に繋がる可能性があります。さらに、研究開発や製造に必要な有能な人材の確保が困難になったり、人材流出が進んだりした場合、事業の継続性や成長に悪影響を及ぼすリスクがあります。特に、労働人口減少が進む日本では、人材獲得競争が激化する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,721 文字
3 【事業等のリスク】 当社グループでは、リスクマネジメントの最高責任者である社長の下、審議機関として半期ごとに「リスク・倫理会議」を開催し、当社が優先して対策を講じるべきリスクやコンプライアンスに関わるリスクに対する取組について報告し必要事項を決定しています。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 国内外の市場の動向 当社グループは、当社(日本)と世界各地の子会社が密接に連携し、各地域の市場規模や産業構造に応じて販売戦略を策定・実行しています。しかしながら、日本を含む世界各国の政策や景気動向、設備投資動向などにおいて、戦略策定時には予期できなかった変化が当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、戦争やテロ行為、疫病の蔓延等がもたらすサプライチェーンの混乱や資源価格の高騰は世界各国の経済活動を停滞させ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 海外での事業活動 当社グループは、事業戦略の一環として海外市場における事業の拡大を図っており、これを通じて、売上高の増加、コストの削減および収益性の向上を目指しています。海外での事業活動を支える経営基盤を強化し、適正かつ効率的な運営を実現するため、「島津グループマネジメント基本規定」を制定して必要な統制、管理を行っています。さらに各地域の主要な子会社に域内のガバナンスを統括する機能を持たせ、各地域におけるリスクの把握と適切な対応に努めています。最近の国際情勢変化に対しては、社内外のリソースを活用して情勢をモニタリングし、グループ内で情報を共有・周知し、変化に対応しています。しかしながら、海外での事業活動には、予期できない法律や規制および政策の変更、産業基盤の脆弱性、国家間の貿易制限措置および報復措置、テロ、戦争その他の要因による社会的または政治的混乱といったリスクがあるため、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 製品品質 当社グループは、ISO規格の認証を受けた品質システムを構築し、「品質保証基本方針」を定め、開発・製造・販売・サービスなど製品ライフサイクルの各段階での絶え間ない改善を通して、優れた品質で顧客にとって最大の価値を生み出す製品・サービスを提供するように努めています。また、顧客の満足を得る上で、基本的かつ重要である製品安全性のさらなる向上を目指した「製品安全基本方針」により、グループ一丸となって顧客の安全と信頼を最優先に行動することを宣言しています。しかしながら、想定が難しい多様な環境下での製品使用による品質トラブルや製品安全への懸念などが発生する場合には、当社グループの信頼性やブランド力の低下にも繋がり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 新製品開発力 当社グループの事業は、専門性が高く、高度な技術力を必要とします。そのため、新製品・新技術の研究開発には多額の投資を行っていますが、商品化遅れや、市場ニーズを満たす新製品を開発できない場合には、競合力の低下や市場トレンドに沿ったビジネスの取り込みが進まないことにより、将来の事業成長と収益性が低下し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 購買調達 当社グループは、品質および環境面で当社グループの要求を満たす原材料やサービスを安定的に入手するため、信頼のおける調達先を選定しています。また、重要な原材料等について一定の在庫を確保するとともに、代替調達先の選定、特定調達先に依存しないよう自社における生産能力獲得等を実施しています。しかしながら、自然災害や疫 病、事故、調達先の倒産に加え、地政学リスクなどにより、原材料等が不足または供給量が制限され当社グループの生産活動に影響を及ぼす場合があります。また、長期にわたる原材料等の供給悪化や、急激に調達価格が高騰する場合には、機会損失の発生や製品の価格競争力の低下、利益率の悪化等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 人材確保 当社グループの事業成長に必要な人材は、研究開発に従事する人材をはじめ、製造業各社にとっても必要な人材候補と重なります。そのため採用活動においては企業間の獲得競争になることがあります。特に当社の研究開発部門の多くが所在する日本では、今後、労働人口の減少を背景に、社内需要を充足出来なくなるリスクがあります。また、当社における人材定着率は比較的安定していますが、日本の労働市場における人材流動化が一層進展した場合、社員の離職が増加するリスクがあります。これに対応するため、当社ではインターンシップやカムバック採用などの多様な採用活動を通じて、グローバル人材、博士等の専門人材、即戦力人材の採用に力を入れています。また、人材流出を防ぐための魅力的な処遇への改善や柔軟な勤務制度の整備、社員の強みを活かす複線型人事制度の導入、自律的なキャリア形成を支援する社内公募制の実施、65歳定年制による豊富な経験やスキルを持った人材の確保を通じて、事業への影響を低減させるべく取り組んでいます。しかしながら、有能な人材の確保が出来ない場合や、人材流出を防止出来ない場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 法令・規制 当社グループは、グローバルに様々な事業を展開しているため、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、国内外の各種法令、行政による許認可および規制の適用を受けており、その遵守に努めています。また、当社グループでは、法令の遵守のみならず、社是・経営理念・島津グループサステナビリティ憲章のもと、役員および従業員が共有・遵守すべき倫理規範を「島津グループ企業倫理規定」として定めています。集合研修やe-learningなどの教育活動により、当該規定の内容を啓発・浸透させることでコンプライアンス上の問題発生の予防に取り組むとともに、上記法令等への対応状況を適時にモニタリングすること、内部通報窓口を社内外に設置し、問題発生時の報告体制を整備することなどにより、当社グループにおけるコンプライアンスの実効性を担保しています。しかしながら、法令・規制に対する理解が不十分、または予期せぬ変更への対応が適切でない場合等には、コンプライアンス違反と判定され、過料、課徴金等による損失や営業停止等の行政処分、または信用の低下などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 知的財産権 当社グループは、現在の事業活動および将来の事業展開に有用な知的財産権を取得できるよう、研究所、事業部、知的財産部が一体となり知的財産創出活動を行っています。一方、他社知的財産権の調査・検討体制を整備し、問題発生を未然に防止するよう努めています。また、技術者を対象とした知的財産研修会を定期的に開催することにより、技術者の知的財産に対するスキルの底上げを図っています。しかしながら、権利範囲の解釈によっては他社との間に知的財産紛争が生じる場合があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 環境規制・気候変動への対応 当社グループは、気候変動、水質汚濁、大気汚染、騒音、土壌汚染、廃棄物、使用する有害化学物質などにおいて、国内外の様々な環境法令および規制等の適用を受けており、その遵守に努めています。さらに、ISO14001の国際規格に基づいた環境マネジメントシステムを構築し、第三者認証を受けています。「TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に賛同し、気候変動対策を含めた環境情報の適切な開示を行うとともに、環境課題の解決に向けてリスクや機会を踏まえながら適切に取り組んでいます。しかし、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、環境対応に関する費用の増加や事業活動の停止など、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 情報セキュリティ 当社グループは、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報などの機密情報を保有しています。当社グループでは、IT資産の盗難・紛失などを通じた情報漏洩や、サイバー攻撃による改ざん・流出・システム停止等の被害を防ぐために情報セキュリティ推進体制を構築し、「島津グループ 情報セキュリティ基本方針」を定め、外部からの不正侵入防止、データの暗号化、社外向けWEBサイトの情報漏洩・改ざん防止などのセキュリティ対策を実施しています。また、ネットワークやIT資産に対するセキュリティ対策はもとより、従業員への定期的な情報セキュリティ教育も実施しています。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃や、予期せぬ不正利用などにより、重要情報や個人情報の漏洩や事業活動停止などの被害が発生する場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (11) 自然災害等 当社グループは、大規模地震を始めとする災害や新型インフルエンザ感染症の発生等を想定し、必要とされる安全対策の実施、早期復旧のための事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、および防災訓練等の対策を講じています。また、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、感染症の感染拡大防止のための様々な知見を獲得しました。しかしながら、当社グループの事業活動はグローバルに展開されていることから、新たな感染症の流行や自然災害等が発生する場合のリスクを全て回避・管理することは困難であり、想定外の規模の被害が発生する場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 為替変動の影響 当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、外国通貨建て取引にかかる事業活動は為替変動によるリスクに晒されています。為替変動リスクは、現地生産体制や、為替予約等により、最小限に抑える努力をしていますが、影響を完全に排除することは困難です。また、連結財務諸表の作成においては、各地域の現地通貨建ての項目を円換算しているため、換算時の為替レートにより、換算後の価値が変動します。通常、他の通貨に対する円高は当社グループの事業に悪影響となり、過度な為替相場の変動は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (13) 国際税務 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、グループ内でも相互に取引を行っていることから、移転価格税制等の国際税務リスクが伴います。各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国の税制の変化や税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

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