事業の概要
- 多角的なモビリティ事業ヤマハ発動機グループは、二輪車や電動アシスト自転車などの「ランドモビリティ」、船外機やボートなどの「マリン」、四輪バギーやゴルフカーなどの「アウトドアランドビークル」、産業用ロボットなどの「ロボティクス」、そして製品販売を支える「金融サービス」など、幅広い分野で事業を展開しています。これにより、特定の市場に依存せず、多様な収益源を確保するビジネスモデルを構築しています。
- グローバルな生産・販売体制同社は、日本を含む世界各国に生産拠点を持ち、製造した製品を世界中に輸出しています。例えば、二輪車はインドネシア、インド、タイ、フィリピン、ベトナム、台湾、ブラジルなどの子会社や関連会社で製造・販売され、マリン製品やアウトドアランドビークルも米国や欧州の子会社が製造・販売を担っています。このグローバルネットワークにより、各地域の市場ニーズに合わせた製品供給と販売戦略を展開しています。
- 金融サービスで販売支援製品の販売を促進するため、金融サービス事業も展開しています。これは主に海外子会社であるYamaha Motor Finance Corporationなどが、製品購入に関わる販売金融やリースを提供することで、顧客が製品を購入しやすくする仕組みです。これにより、製品販売と金融の両面から収益を上げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- ランドモビリティ事業二輪車、電動アシスト自転車、電動車椅子、自動車用エンジンなどを扱う事業で、売上高1兆5818.48億円、営業利益1243.47億円と、ヤマハ発動機グループの最大の稼ぎ頭です。特に二輪車はインドネシア、インド、タイなど海外で製造・販売され、グローバルに展開しています。電動アシスト自転車や電動車椅子も重要な製品群です。
- マリン製品事業船外機、ウォータービークル、ボート、漁船・和船などを扱う事業で、売上高5475.2億円、営業利益1136.61億円と、ランドモビリティに次ぐ主要な収益源です。船外機は日本、ウォータービークルは主に米国で製造され、国内外で広く販売されています。特に先進国市場でボートビルダーとの長期契約により販売を安定させています。
- ロボティクス事業サーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプターなどを扱う事業で、売上高1013.55億円、営業利益8.72億円です。主に日本の子会社が製造・販売を担っており、産業の自動化・効率化に貢献する製品を提供しています。売上規模は他の主要事業に劣りますが、将来の成長が期待される分野です。
2023-12 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| LandmobilityReportableSegment | 事業 | 15,818 | 1,243 | 7.9% |
| MarineProducts | 事業 | 5,475 | 1,137 | 20.8% |
| RoboticsReportableSegment | 事業 | 1,014 | 9 | 0.9% |
| FinancialServicesReportableSegment | 事業 | 865 | 153 | 17.7% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び国内外の関係会社170社(子会社148社、関連会社22社(2025年12月31日現在))によって構成され、ランドモビリティ、マリン、アウトドアランドビークル、ロボティクス、金融サービス及びその他の事業を行っています。それぞれの事業における主要製品及びサービス、並びに当社及び関係会社の位置づけは以下のとおりです。なお、次の事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に掲げるセグメントの区分と同一です。また、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント (4) 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。 ランドモビリティ事業二輪車、中間部品、海外生産用部品、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)、電動車椅子、自動車用エンジン、自動車用コンポーネント (二輪車)当社のほか、海外においてPT.Yamaha Indonesia Motor Manufacturing、India Yamaha Motor Pvt. Ltd.、Thai Yamaha Motor Co., Ltd.、Yamaha Motor Philippines, Inc.、Yamaha Motor Vietnam Co., Ltd.、台湾山葉機車工業股份有限公司、Yamaha Motor da Amazonia Ltda.他の子会社及び関連会社で製造し販売しています。販売会社としては、国内はヤマハ発動機販売㈱、海外はYamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.他の子会社があり、当社及び海外製造子会社等の製品を販売しています。(電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit))当社のほか、海外子会社がドライブユニットを製造しており、販売は当社のほか、主としてヤマハ発動機販売㈱及びYamaha Motor Europe N.V.他の子会社を通じて行っています。(電動車椅子)当社が製造し、主として当社が販売しています。(自動車用エンジン)当社が製造し、販売しています。 マリン事業船外機、ウォータービークル、ボート、漁船・和船 (船外機、ウォータービークル)船外機は当社のほか、主にヤマハ熊本プロダクツ㈱が製造しています。ウォータービークルは主にYamaha Motor Manufacturing Corporation of Americaが製造しています。販売は船外機、ウォータービークルとも、国内では当社が、海外では主としてYamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.他の子会社を通じて行っています。なお、ヤマハ熊本プロダクツ㈱は、2026年1月1日付でヤマハマリン株式会社へ商号を変更しています。(ボート、漁船・和船)国内では子会社が製造し、主に当社が販売しています。また、海外では主に米国子会社及び欧州子会社が製造し、販売しています。 アウトドアランドビークル事業四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、ゴルフカー (四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル)四輪バギー及びレクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークルは、Yamaha Motor Manufacturing Corporation of Americaが製造しています。販売は海外において主としてYamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.他の子会社を通じて行っています。(ゴルフカー)国内においてはヤマハモーターパワープロダクツ㈱、海外においてはYamaha Motor Manufacturing Corporation of Americaが製造しており、販売は国内ではヤマハモーターパワープロダクツ㈱が、海外では主としてYamaha Motor Corporation, U.S.A.のゴルフカー販売子会社、Yamaha Motor Europe N.V.他の子会社を通じて行っています。 ロボティクス事業サーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプター (サーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット)当社のほか、ヤマハロボティクス㈱及びヤマハロボティクス㈱の海外子会社が製造し、販売は当社及び子会社を通じて行っています。(産業用無人ヘリコプター)当社が製造し、当社及び子会社が販売しています。 金融サービス事業当社製品に関わる販売金融及びリース 主にYamaha Motor Finance Corporation他の海外子会社がサービスを提供しています。 その他の事業発電機、汎用エンジン、除雪機、モビリティサービス (発電機、汎用エンジン、除雪機)国内ではヤマハモーターパワープロダクツ㈱を通じて、海外では主としてYamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.他の子会社を通じて販売を行っています。(モビリティサービス)当社のほか、海外子会社がサービスを提供しています。 [事業系統図]以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。(主な連結子会社及び持分法適用関連会社を記載しています。) (注)1 持分法適用関連会社です。(注)2 ヤマハ熊本プロダクツ株式会社は、2026年1月1日付でヤマハマリン株式会社へ商号を変更しています。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 激しい競争環境のため、有利な価格決定が困難な状況に置かれる場合がある。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | ブランド 「ヤマハ発動機らしいモノ創り」による個性的かつ高品質な製品・サービス提供。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:市場における競争環境変化 / 為替の変動 / 海外事業展開リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
ヤマハ発動機は、二輪車、マリン製品、特機製品など多岐にわたる製品群で、長年培ってきたブランド力とデザイン性が強み。特に二輪車分野では、世界的に高い認知度を誇り、特定のモデルでは熱狂的なファン層が存在する。これは模倣困難な無形資産と言える。
スイッチングコスト★★☆☆☆
二輪車やマリン製品においては、特定のブランドへの愛着や慣れから乗り換えに抵抗を感じる顧客はいる。しかし、性能や価格、デザインなどの要因で他社製品への乗り換えも十分に起こりうるため、スイッチング・コストは限定的。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ヤマハ発動機は、製品単体の価値提供が中心であり、ユーザーが増えることで製品価値が飛躍的に向上するようなネットワーク効果は基本的に見られない。
コスト優位★☆☆☆☆
グローバルな生産体制やサプライチェーンの最適化を進めているが、競合他社も同様の取り組みを行っており、顕著なコスト優位性を確立しているとは言えない。一部の部品調達や生産効率で差が出る可能性はある。
規模の経済★★★★☆
二輪車、マリンエンジン、ウォータービークル、スノーモビルなどの分野で、世界有数の生産・販売規模を誇る。特に二輪車市場では、ホンダ、スズキ、カワサキと並ぶ主要プレイヤーであり、規模の経済による効率的な生産・開発体制が競争力の源泉となっている。
- 多様な製品ポートフォリオヤマハ発動機は、二輪車、船外機、産業用ロボット、電動アシスト自転車など、非常に幅広い製品ラインナップを持っています。これにより、特定の市場の変動リスクを分散し、多様な顧客層にアプローチできる強みがあります。例えば、ランドモビリティ事業が低迷しても、マリン事業やロボティクス事業が収益を補完する可能性があります。
- グローバルな生産・販売網世界170社の子会社・関連会社からなる広範なグローバルネットワークは、各地域の市場特性に合わせた製品供給と販売戦略を可能にしています。これにより、新興国市場の成長を取り込みつつ、先進国市場での安定した収益基盤を維持しています。特に、海外売上比率が約90%と高く、世界中の需要を取り込める体制が強みです。
- プレミアム戦略と技術力モーターサイクル事業では、アセアン・インドの上位中間層をターゲットにプレミアム戦略を加速し、高付加価値製品に注力しています。また、マリン事業ではエンジンと周辺機器のセット提供によりブランドロイヤリティを高めています。これらの戦略は、同社の高い技術力とブランド力を背景にしており、競争の激しい市場で優位性を築くための重要な要素となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在において当社グループが判断したものです。 当面の優先的に対処すべき課題の内容等当社は、企業目的である「感動創造企業」のもと、2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」を掲げています。2025年からの中期経営計画は、この長期ビジョンの後半6年間のスタートになります。中期経営計画の基本方針は、「コア事業の競争力を高め、人の可能性を拡げる新技術を獲得し、人の悦びと環境が共生する社会をヤマハ発動機らしい挑戦で実現する」としています。 詳細は、当社ウェブサイト「中期経営計画」をご参照ください。(https://global.yamaha-motor.com/jp/profile/mtp/) ○事業ポートフォリオ当社は、前中期経営計画からポートフォリオ経営を実装しました。2025年からの中期経営計画では、ポートフォリオ戦略として、コア事業(MC事業、マリン事業)、戦略事業(ロボティクス事業、SPV事業、OLV事業)、新規事業の3つと定めました。また将来的には、当社が保持する全ての事業がROIC 12.5%を上回る経営を目指します。 ■コア事業領域中期経営計画では、コア事業の競争力を再強化していきます。MC事業とマリン事業へ重点的な投資を行い、魅力ある商品、サービスを提供することで、成長と収益性を両立させます。 [MC事業]「移動に喜びを、週末に楽しさを、人々と共に創る」ことを目指し、魅力的な商品ラインアップ、デジタル技術を活用したユーザーサービス強化に取り組みます。アセアン、新興国では、これまで注力してきたプレミアム戦略をさらに強化します。2025年は、主要モデルである「NMAX155」に、電子制御CVT「YECVT」を搭載したモデルを販売開始しました。MT車のような走行感覚を得ることができる当社独自のシステムによって、走る楽しさを広げるプレミアムモデルです。電動化対応として、インドでは電動スポーツスクーター「AEROX E」と、「River Mobility Private Limited」との協業による電動スクーター「EC-06」の2モデルを発表しました。電動領域は、自社でのプラットフォーム開発と外部との連携の両輪で推進していきます。 [マリン事業]「信頼性と豊かなマリンライフ 海の価値を更に高める」ことを目指し、大型船外機のラインアップ拡充、統合ボートビジネスの推進により、顧客価値の向上を追求していきます。統合ボートビジネスでは、2025年2月のマイアミ国際ボートショーにて、「ヘルムマスターEX ワイヤレスステーション」を発表しました。運転席から離れた場所でも操船操作を可能とし、操船性の自由度と快適性を向上するシステムです。主要市場である米国は関税などにより事業環境が大きく変化しています。その中でも、大型船外機の需要は引き続き堅調に成長する見通しです。中期経営計画期間中に大型船外機のラインアップを拡充すべく、開発を継続しています。 ■戦略事業領域市場ポテンシャルの高い、ロボティクス事業とSPV事業、OLV事業(Outdoor Land Vehicle: RV事業とゴルフカー事業を統合)の3つを戦略事業領域とします。 [ロボティクス事業]加速するデジタル社会と、変革するモビリティを、ワンストップスマートソリューションで支えていくことで、成長と収益性を両立させます。2025年に当社の完全子会社であるヤマハロボティクスホールディングス株式会社、及びその完全子会社である株式会社新川、アピックヤマダ株式会社、株式会社PFAを統合し、ヤマハロボティクス株式会社を設立しました。本統合により、顧客の期待を超える価値創出を加速させ、半導体後工程及び電子部品実装分野における世界トップクラスのトータルソリューション企業を目指します。 [SPV事業]地球環境に優しいモビリティである電動アシスト自転車を通じ、人々の挑戦を後押しすることで事業の成長を実現します。2025年にはドイツの自動車部品メーカー「Brose」社の自転車用ドライブユニット(e-Kit)事業子会社を買収し、ドイツに新会社「Yamaha Motor eBike Systems GmbH」を設立しました。最大市場である欧州に開発拠点を置き、さらにBrose社のネットワークを活用することで、欧州における市場プレゼンスの向上を目指します。 [OLV事業]陸から海まで、お客様が生涯にわたりワンブランドで楽しめるアウトドア商材を持つ会社として、当社の強みが活きる北米市場でシナジーを創出していきます。OLV事業の製品の市場規模は、付加価値化が進み、長期的に拡大すると見込んでいます。米国関税の影響や市場の需要変化といった要因を踏まえ、コスト管理と資源配分の適正化により収益基盤を再構築します。 ■新規事業領域事業拡大の可能性を見極めながら、モビリティサービス、低速自動走行、農業の3領域に注力していきます。モビリティサービスでは、インドやアフリカでモビリティアセットマネジメント事業とラストマイルデリバリー事業に取り組み、利益と雇用機会の創出や生活の質向上といった社会貢献の実現を目指します。農業では、米国に「Yamaha Agriculture, Inc.」を設立し、ロボットソリューションと高度なデータ解析を組み合わせ、持続可能かつ収益性の高い農業の実現に貢献することを目指し、北米とオセアニアで事業を開始しました。 ■財務指標・株主還元方針資本コスト以上のリターンを継続的に創出することを目標とし、ROE14%水準、ROIC8%水準、ROA9%水準(いずれも3年平均)を目指します。株主還元については、「業績の見通しや将来の成長に向けた投資を勘案しつつ、安定的かつ継続的な配当を行う」ことを基本方針とし、キャッシュ・フローの規模に応じて機動的な株主還元を実施します。総還元性向は中期経営計画期間累計で40%以上です。なお、2025年は100億円の自己株式取得を行いました。 ■環境計画中期経営計画における環境計画は、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの柱で構成されています。気候変動では、企業活動における自社のGHG排出量は、2035年にカーボンニュートラルを目指します。2025年には、化石燃料を一切使用しないオール電化塗装ラインの導入を実現しました。また、製品使用時のGHG排出量は、マルチパスウェイの方針のもと削減を進めます。資源循環では、2050年までにサステナブル原材料使用比率100%を目指し、中期経営計画では、現状の14%から18%に引き上げます。そのうち内製用アルミ合金は、既に90%をサステナブル材へ切り替えており、2030年までに100%とする計画です。生物多様性では、生態系と人間の双方に利益をもたらす課題解決を探求します。また、TNFD提言に基づく開示を2026年より開始します。 ■人的資本経営「Challenge & Growth 多様な社員にチャレンジの機会を!ヤマハ発動機らしいチャレンジで個人と会社の成長を!」をミッションに、グループ全体で従業員の挑戦と成長を後押ししていきます。2025年のグローバルエンゲージメントスコアは82.4%と、目標である80%を維持しています。2025年には、エンゲージメント向上や株主との価値共有を進めることを目的に、ヤマハ発動機従業員持株会を通じて対象会員1人あたり70株を付与しました。引き続き、DE&Iや、タレントマネジメントの高度化、モノづくり人財育成などを推進し、多様な社員がチャレンジの機会を得ることで、個人と会社が成長し未来を切り開いていける組織を目指します。 ■リスク・コンプライアンス経営リスク・コンプライアンス経営の強化を重要な方針として位置づけ、Global、Integrated、Agileの3つを柱に、当社の経営・事業に想定されるリスクを特定し、適切にコントロールしていきます。CRCO(チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー)を軸とした体制により、環境の変化を素早く捉え、責任と権限のグローバル化を図る当社の経営をさらに促進していきます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在において当社グループが判断したものです。 当面の優先的に対処すべき課題の内容等当社は、企業目的である「感動創造企業」のもと、2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」を掲げています。2025年からの中期経営計画は、この長期ビジョンの後半6年間のスタートになります。中期経営計画の基本方針は、「コア事業の競争力を高め、人の可能性を拡げる新技術を獲得し、人の悦びと環境が共生する社会をヤマハ発動機らしい挑戦で実現する」としています。 詳細は、当社ウェブサイト「中期経営計画」をご参照ください。(https://global.yamaha-motor.com/jp/profile/mtp/) ○事業ポートフォリオ当社は、前中期経営計画からポートフォリオ経営を実装しました。2025年からの中期経営計画では、ポートフォリオ戦略として、コア事業(MC事業、マリン事業)、戦略事業(ロボティクス事業、SPV事業、OLV事業)、新規事業の3つと定めました。また将来的には、当社が保持する全ての事業がROIC 12.5%を上回る経営を目指します。 ■コア事業領域中期経営計画では、コア事業の競争力を再強化していきます。MC事業とマリン事業へ重点的な投資を行い、魅力ある商品、サービスを提供することで、成長と収益性を両立させます。 [MC事業]「移動に喜びを、週末に楽しさを、人々と共に創る」ことを目指し、魅力的な商品ラインアップ、デジタル技術を活用したユーザーサービス強化に取り組みます。アセアン、新興国では、これまで注力してきたプレミアム戦略をさらに強化します。2025年は、主要モデルである「NMAX155」に、電子制御CVT「YECVT」を搭載したモデルを販売開始しました。MT車のような走行感覚を得ることができる当社独自のシステムによって、走る楽しさを広げるプレミアムモデルです。電動化対応として、インドでは電動スポーツスクーター「AEROX E」と、「River Mobility Private Limited」との協業による電動スクーター「EC-06」の2モデルを発表しました。電動領域は、自社でのプラットフォーム開発と外部との連携の両輪で推進していきます。 [マリン事業]「信頼性と豊かなマリンライフ 海の価値を更に高める」ことを目指し、大型船外機のラインアップ拡充、統合ボートビジネスの推進により、顧客価値の向上を追求していきます。統合ボートビジネスでは、2025年2月のマイアミ国際ボートショーにて、「ヘルムマスターEX ワイヤレスステーション」を発表しました。運転席から離れた場所でも操船操作を可能とし、操船性の自由度と快適性を向上するシステムです。主要市場である米国は関税などにより事業環境が大きく変化しています。その中でも、大型船外機の需要は引き続き堅調に成長する見通しです。中期経営計画期間中に大型船外機のラインアップを拡充すべく、開発を継続しています。 ■戦略事業領域市場ポテンシャルの高い、ロボティクス事業とSPV事業、OLV事業(Outdoor Land Vehicle: RV事業とゴルフカー事業を統合)の3つを戦略事業領域とします。 [ロボティクス事業]加速するデジタル社会と、変革するモビリティを、ワンストップスマートソリューションで支えていくことで、成長と収益性を両立させます。2025年に当社の完全子会社であるヤマハロボティクスホールディングス株式会社、及びその完全子会社である株式会社新川、アピックヤマダ株式会社、株式会社PFAを統合し、ヤマハロボティクス株式会社を設立しました。本統合により、顧客の期待を超える価値創出を加速させ、半導体後工程及び電子部品実装分野における世界トップクラスのトータルソリューション企業を目指します。 [SPV事業]地球環境に優しいモビリティである電動アシスト自転車を通じ、人々の挑戦を後押しすることで事業の成長を実現します。2025年にはドイツの自動車部品メーカー「Brose」社の自転車用ドライブユニット(e-Kit)事業子会社を買収し、ドイツに新会社「Yamaha Motor eBike Systems GmbH」を設立しました。最大市場である欧州に開発拠点を置き、さらにBrose社のネットワークを活用することで、欧州における市場プレゼンスの向上を目指します。 [OLV事業]陸から海まで、お客様が生涯にわたりワンブランドで楽しめるアウトドア商材を持つ会社として、当社の強みが活きる北米市場でシナジーを創出していきます。OLV事業の製品の市場規模は、付加価値化が進み、長期的に拡大すると見込んでいます。米国関税の影響や市場の需要変化といった要因を踏まえ、コスト管理と資源配分の適正化により収益基盤を再構築します。 ■新規事業領域事業拡大の可能性を見極めながら、モビリティサービス、低速自動走行、農業の3領域に注力していきます。モビリティサービスでは、インドやアフリカでモビリティアセットマネジメント事業とラストマイルデリバリー事業に取り組み、利益と雇用機会の創出や生活の質向上といった社会貢献の実現を目指します。農業では、米国に「Yamaha Agriculture, Inc.」を設立し、ロボットソリューションと高度なデータ解析を組み合わせ、持続可能かつ収益性の高い農業の実現に貢献することを目指し、北米とオセアニアで事業を開始しました。 ■財務指標・株主還元方針資本コスト以上のリターンを継続的に創出することを目標とし、ROE14%水準、ROIC8%水準、ROA9%水準(いずれも3年平均)を目指します。株主還元については、「業績の見通しや将来の成長に向けた投資を勘案しつつ、安定的かつ継続的な配当を行う」ことを基本方針とし、キャッシュ・フローの規模に応じて機動的な株主還元を実施します。総還元性向は中期経営計画期間累計で40%以上です。なお、2025年は100億円の自己株式取得を行いました。 ■環境計画中期経営計画における環境計画は、「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの柱で構成されています。気候変動では、企業活動における自社のGHG排出量は、2035年にカーボンニュートラルを目指します。2025年には、化石燃料を一切使用しないオール電化塗装ラインの導入を実現しました。また、製品使用時のGHG排出量は、マルチパスウェイの方針のもと削減を進めます。資源循環では、2050年までにサステナブル原材料使用比率100%を目指し、中期経営計画では、現状の14%から18%に引き上げます。そのうち内製用アルミ合金は、既に90%をサステナブル材へ切り替えており、2030年までに100%とする計画です。生物多様性では、生態系と人間の双方に利益をもたらす課題解決を探求します。また、TNFD提言に基づく開示を2026年より開始します。 ■人的資本経営「Challenge & Growth 多様な社員にチャレンジの機会を!ヤマハ発動機らしいチャレンジで個人と会社の成長を!」をミッションに、グループ全体で従業員の挑戦と成長を後押ししていきます。2025年のグローバルエンゲージメントスコアは82.4%と、目標である80%を維持しています。2025年には、エンゲージメント向上や株主との価値共有を進めることを目的に、ヤマハ発動機従業員持株会を通じて対象会員1人あたり70株を付与しました。引き続き、DE&Iや、タレントマネジメントの高度化、モノづくり人財育成などを推進し、多様な社員がチャレンジの機会を得ることで、個人と会社が成長し未来を切り開いていける組織を目指します。 ■リスク・コンプライアンス経営リスク・コンプライアンス経営の強化を重要な方針として位置づけ、Global、Integrated、Agileの3つを柱に、当社の経営・事業に想定されるリスクを特定し、適切にコントロールしていきます。CRCO(チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー)を軸とした体制により、環境の変化を素早く捉え、責任と権限のグローバル化を図る当社の経営をさらに促進していきます。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。以下の分析については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント (4)報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおり、遡及・組替後の前連結会計年度のセグメント情報の数値を用いて説明しています。 (1) 経営成績の概要及び分析当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、米国の関税政策を含む各国の経済政策や為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。一方で、米国・欧州の政策金利の引き下げなど、政府の景気刺激策が経済を下支えしました。コア事業であるMC事業の需要は底堅く推移した一方で、マリン事業と戦略事業(ロボティクス事業、SPV事業、アウトドアランドビークル(OLV)事業)では、一部需要が想定を下回る市場もあり、厳しい事業環境となりました。引き続き2025年からの中期経営計画に基づき、コア事業の競争力の再強化や、ポートフォリオ戦略を推進していきます。 当連結会計年度の売上収益は、MC事業のインドネシアやフィリピン、タイで販売台数が増加したものの、ベトナムで発生した生産・出荷停止の影響や、マリン事業のウォータービークル、OLV事業の販売台数が減少したことなどにより、2兆5,342億円と前連結会計年度に比べ420億円(1.6%)の減収となりました。営業利益は、米国関税の影響や、調達コストの上昇、研究開発費や人件費などの販売費及び一般管理費の増加、OLV事業の有形固定資産の減損損失などを計上した結果、1,264億円と前連結会計年度に比べ551億円(30.4%)の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の減少や繰延税金資産の取り崩しにより、161億円と前連結会計年度に比べ920億円(85.1%)の減益となりました。なお、当連結会計年度の為替換算レートは、米ドル150円(前期比2円の円高)、ユーロ169円(同5円の円安)でした。 財務体質については、ROEは1.4%(前期比8.3ポイント減少)、ROICは0.8%(同4.6ポイント減少)、ROAは4.4%(同2.3ポイント減少)となりました。親会社の所有者に帰属する持分は1兆1,322億円(前期末比293億円減少)、親会社所有者帰属持分比率は39.0%(同2.7ポイント減少)となりました。また、フリー・キャッシュ・フロー(販売金融含む)は525億円のプラス(前期比44億円増加)となりました。 セグメント別の概況〔ランドモビリティ〕売上収益1兆6,151億円(前期比56億円・0.3%増加)、営業利益1,087億円(同49億円・4.7%増加)となりました。部門別の経営成績の概要は、次のとおりです。MC事業では、売上収益1兆5,781億円(前期比70億円・0.4%増加)、営業利益1,235億円(同30億円・2.3%減少)となりました。先進国は日本の販売が伸長しましたが、欧米の需要減少に伴い全体の販売台数はわずかに減少しました。その結果、売上収益3,864億円(前期比129億円・3.2%減少)となりました。新興国では、生産・出荷停止が発生したベトナムの販売台数は減少したものの、インドネシアやフィリピン、タイで販売台数が増加した結果、売上収益1兆1,916億円(前期比199億円・1.7%増加)となりました。MC事業全体の営業利益は、調達コストの上昇や、研究開発費や人件費などの販売費及び一般管理費の増加、米国関税の影響などにより減益となりました。なお、MC事業全体の販売台数は、500万台(前期比0.8%増加)となりました。SPV事業(電動アシスト自転車、e-Kit、電動車椅子)では、売上収益371億円(前期比14億円・3.7%減少)、営業損失148億円(前期:営業損失227億円)となりました。海外完成車事業の見直しに伴い販売台数が減少した結果、売上収益も前年を下回りました。一方、販売費及び一般管理費の減少に加え、前期に計上した固定資産減損等の反動により営業損失は縮小しました。なお、当連結会計年度の業績には、ドイツで設立したYamaha Motor eBike Systems GmbHの2025年8月~12月の業績を含んでいます。 [マリン]売上収益5,276億円(前期比101億円・1.9%減少)、営業利益536億円(同342億円・39.0%減少)となりました。船外機の需要は、主要市場である米国では軟調に推移しましたが、全体では前年並みとなりました。当社の販売は、欧米で堅調に推移しましたが、アジアを中心に減少した結果、全体では前年並みとなりました。ウォータービークルでは、主要市場である米国の需要が減少し、当社の販売台数も前年を下回りました。この結果、マリン事業全体では減収となりました。営業利益は、ウォータービークルの販売台数の減少や、研究開発費や人件費などの販売費及び一般管理費の増加、米国関税の影響などにより減益となりました。 [アウトドアランドビークル]売上収益1,485億円(前期比310億円・17.2%減少)、営業損失398億円(前期:営業損失174億円)となりました。RV事業(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV))では、需要は前年並みとなりました。当社の販売は、四輪バギーは堅調に推移したものの、ROVの減少に加え、米国関税の影響や有形固定資産の減損損失を計上した結果、事業全体で減収・減益となりました。LSM事業(ゴルフカー等)では、市場全体で需要は減少しました。主要市場である米国を中心に当社の販売も減少し、販売費及び一般管理費なども増加した結果、減収・減益となりました。 [ロボティクス]売上収益1,115億円(前期比18億円・1.6%減少)、営業損失6億円(前期:営業損失30億円)となりました。半導体製造後工程装置は、生成AIや先端パッケージ向けの需要が伸長し、販売が増加しました。一方、サーフェスマウンター及び産業用ロボットの販売台数は前年を下回った結果、事業全体の売上収益は前年並みとなりました。営業損失は製造経費の減少や限界利益率の改善により縮小しました。 [金融サービス]売上収益1,140億円(前期比19億円・1.7%増加)、営業利益211億円(同16億円・7.3%減少)となりました。売上収益は、販売金融債権の増加に伴い増収となりました。営業利益は、前期に発生した金利スワップ評価益が当期は評価損に転じた結果、減益となりました。 [その他]売上収益174億円(前期比66億円・27.4%減少)、営業損失166億円(前期:営業損失124億円)となりました。営業損失は、パワープロダクツ事業の事業譲渡に伴う費用が発生したことなどにより、減益となりました。 なお、各セグメントの主要な製品及びサービスは以下のとおりです。 セグメント主要な製品及びサービスランドモビリティ二輪車、中間部品、海外生産用部品、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)、電動車椅子、自動車用エンジン、自動車用コンポーネントマリン船外機、ウォータービークル、ボート、漁船・和船アウトドアランドビークル四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、ゴルフカーロボティクスサーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプター金融サービス当社製品に関わる販売金融及びリースその他発電機、汎用エンジン、除雪機、モビリティサービス (2) 生産、受注及び販売の実績当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しているため、前期比については変更後のセグメント区分の数値と比較しています。報告セグメントの変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント(4)報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおりです。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称製品台数(台)前期比(%)ランドモビリティ二輪車4,966,44299.9電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)338,319116.0マリン船外機271,174120.0ウォータービークル42,07878.0ボート、漁船・和船6,768104.1アウトドアランドビークル四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル45,80995.4ゴルフカー52,34572.3ロボティクスサーフェスマウンター、産業用ロボット29,16687.5 (注) 主要製品について記載しています。 ② 受注実績当社グループは主に見込み生産をしています。 ③ 販売実績(a)当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)ランドモビリティ1,615,138100.3マリン527,63098.1アウトドアランドビークル148,52682.8ロボティクス111,47898.4金融サービス114,033101.7報告セグメント計2,516,80798.6その他17,39572.6合計2,534,20398.4 (注) セグメント間取引については相殺消去しています。 (b)ランドモビリティの主要製品である二輪車の当連結会計年度における当社グループの販売実績は、次のとおりです。地域台数(台)前期比(%)日本76,103105.7海外4,923,029100.7地域別内訳北米79,08396.1欧州210,06193.1アジア3,902,542101.0その他731,343101.9合計4,999,132100.8 (3) 財政状態の概要及び分析当連結会計年度末の総資産は、前期末比1,191億円増加し、2兆9,026億円となりました。流動資産は、販売金融債権の増加や現金及び現金同等物の増加などにより同819億円増加しました。非流動資産は、繰延税金資産取り崩しによる減少などがある一方、販売金融債権の増加やのれん及び無形資産の増加、有形固定資産の増加などにより同372億円の増加となりました。負債合計は、社債及び借入金の増加やその他の流動負債の増加、営業債務及びその他の債務の増加などにより同1,473億円増加し、1兆7,043億円となりました。資本合計は、当期利益349億円、その他の包括利益309億円などにより増加した一方、配当金の支払により576億円、自己株式の取得により100億円、支配継続子会社に対する持分変動により276億円減少したことにより同283億円減少し、1兆1,983億円となりました。これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は39.0%(前期末:41.7%)、D/Eレシオ(ネット)は0.58倍(同:0.50倍)となりました。 (4) キャッシュ・フローの状況〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕税引前当期利益1,332億円(前期:1,832億円)や減価償却費及び償却費888億円(同:831億円)、営業債権及びその他の債権の減少79億円(同:138億円の減少)、棚卸資産の減少36億円(同:313億円の減少)などの収入に対して、販売金融債権の増加534億円(同:622億円の増加)や法人所得税の支払額527億円(同:966億円)などの支出により、全体では1,386億円の収入(同:1,768億円の収入)となりました。 〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕有形固定資産及び無形資産の売却による収入293億円や投資有価証券の売却による収入118億円などがありましたが、有形固定資産及び無形資産の取得による支出1,133億円(前期:1,159億円の支出)などにより、861億円の支出(同:1,287億円の支出)となりました。 〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕社債の発行や長期借入れによる収入がありましたが、配当金の支払、自己株式の増加などにより304億円の支出(前期:464億円の支出)となりました。 これらの結果、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは525億円のプラス(前期:481億円のプラス)、現金及び現金同等物の残高は3,989億円(前期末比:259億円の増加)となりました。当連結会計年度末の有利子負債(リース負債を除く)は1兆443億円(同:923億円の増加)となりました。 (5) 金融サービス事業を区分した経営成績情報以下の表は金融サービス事業と金融サービス事業以外の事業を区分した要約連結財政状態計算書、要約連結損益計算書及び要約連結キャッシュ・フロー計算書です。金融サービス事業はそれ以外の事業とは性質が異なるため、これらの要約連結財務諸表が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の「金融サービス事業以外の事業及び消去」は連結計から金融サービス事業の数値を差し引いたものとしています。 要約連結財政状態計算書 (単位:百万円) 金融サービス事業金融サービス事業以外の事業及び消去連結計 2024年12月期2025年12月期2024年12月期2025年12月期2024年12月期2025年12月期資産 現金及び現金同等物33,46118,214339,537380,689372,999398,904 営業債権及びその他の債権251778177,934180,943178,186181,721 販売金融債権372,582403,581--372,582403,581 棚卸資産--574,105591,369574,105591,369 その他16,12015,68794,37398,967110,493114,655 流動資産合計422,416438,2621,185,9511,251,9701,608,3681,690,233 有形固定資産、のれん及び無形資産27,96929,952536,343576,712564,313606,664 販売金融債権367,709395,672--367,709395,672 その他28,89828,309214,212181,704243,110210,014 非流動資産合計424,577453,934750,555758,4171,175,1331,212,351 資産合計846,994892,1971,936,5072,010,3872,783,5012,902,584負債 営業債務及びその他の債務2,3651,781147,557158,601149,922160,382 社債及び借入金380,913340,967299,417274,839680,330615,807 その他16,45732,482301,151318,224317,608350,707 流動負債合計399,735375,232748,126751,6651,147,8611,126,898 社債及び借入金211,758263,69059,884164,826271,643428,516 その他19,31120,253118,097128,586137,409148,840 非流動負債合計231,070283,943177,982293,413409,053577,356 負債合計630,806659,175926,1081,045,0791,556,9151,704,255資本 資本金53,15363,24732,94722,85386,10086,100 資本剰余金12-63,36346,01063,37546,010 利益剰余金120,827139,385858,360809,297979,188948,682 自己株式--△54,064△53,633△54,064△53,633 その他の資本の構成要素42,19430,38844,77474,68786,969105,076 非支配持分--65,01766,09165,01766,091 資本合計216,187233,0211,010,398965,3081,226,5861,198,329 負債及び資本合計846,994892,1971,936,5072,010,3872,783,5012,902,584 要約連結損益計算書 (単位:百万円) 金融サービス事業金融サービス事業以外の事業及び消去連結計 2024年12月期2025年12月期2024年12月期2025年12月期2024年12月期2025年12月期売上収益112,172114,0332,464,0062,420,1702,576,1792,534,203売上原価△66,156△67,053△1,688,058△1,682,605△1,754,214△1,749,658売上総利益46,01646,980775,948737,564821,964784,544販売費及び一般管理費△24,077△26,414△618,447△654,724△642,525△681,139その他の収益費用(純額)766△202△5,75213,091△4,98512,888持分法による投資損益-6927,0629,3867,06210,079営業利益22,70521,056158,810105,316181,515126,373金融収益23443215,44518,63715,67919,069金融費用△34△18△13,984△12,227△14,019△12,245税引前当期利益22,90421,470160,271111,726183,175133,196法人所得税費用△6,363△5,188△52,241△93,069△58,605△98,258当期利益16,54016,281108,02918,656124,57034,938親会社の所有者16,54016,28191,528△172108,06916,109非支配持分--16,50018,82916,50018,829 要約連結キャッシュ・フロー計算書 (単位:百万円) 金融サービス事業金融サービス事業以外の事業及び消去 連結計 2024年12月期2025年12月期2024年12月期2025年12月期2024年12月期2025年12月期営業活動によるキャッシュ・フロー 税引前当期利益22,90421,470160,271111,726183,175133,196 減価償却費及び償却費2,7055,60280,36283,16383,06788,766 金融事業に係る利息収益及び利息費用△44,812△51,753--△44,812△51,753 販売金融債権の増減額(△は増加)△62,199△53,441--△62,199△53,441 その他39,88855,977△22,271△34,14117,61621,835 営業活動によるキャッシュ・フロー△41,513△22,142218,361160,748176,847138,605投資活動によるキャッシュ・フロー 有形固定資産及び無形資産の取得による支出△7,424△1,144△108,458△112,121△115,882△113,266 その他1,343315△14,20926,825△12,86527,141 投資活動によるキャッシュ・フロー△6,080△828△122,667△85,295△128,748△86,124財務活動によるキャッシュ・フロー 借入金の増減額(△は減少)71,27115,846△28,64943,48842,62259,335 社債の増減額(△は減少)△11,600△12,16819,91529,8768,31417,707 その他960-△98,323△107,471△97,363△107,471 財務活動によるキャッシュ・フロー60,6313,678△107,058△34,106△46,426△30,428現金及び現金同等物に係る換算差額△2,9124,04721,693△19318,7813,853現金及び現金同等物の増減額(△は減少)10,124△15,24610,33041,15120,45425,905現金及び現金同等物の期首残高22,13433,461324,882339,537347,016372,999新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額1,203-4,325-5,528-現金及び現金同等物の期末残高33,46118,214339,537380,689372,999398,904 (6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、製品・商品の仕入、販売費及び一般管理費、運転資金、設備投資資金、投融資及び当社製品に関わる販売金融です。運転資金については返済期限が一年以内の短期借入金で、通常各々の会社が運転資金として使用する現地の通貨で調達しています。設備投資資金については主に資本金、内部留保といった自己資金でまかなうこととしています。資金の流動性管理にあたっては、適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手元流動性を適度に維持することで、必要な流動性を確保しています。当連結会計年度においては、設備投資や子会社の支配獲得に係る投資活動による支出があったものの、営業活動による収入に加え、台湾子会社の土地売却やヤマハ株式会社等の株式売却による収入があったことにより、フリー・キャッシュ・フローを確保しました。また、株主還元と資本効率の向上を図るために自己株式の取得を行いました。当社は株主の皆様の利益向上を重要な経営課題と位置付け、企業価値の向上に努めています。株主配当については、2026年2月2日に開示した「2025年12月期通期連結業績予想および配当予想の修正並びに個別業績見込みと前期実績との差異に関するお知らせ」のとおり、期末配当1株当たり10円の実施を2026年3月25日開催予定の第91期定時株主総会に上程する予定です。2026年については年間配当1株当たり50円を予定しています。加えて、自己株式の取得についても、中期経営計画の還元方針に則り、機動的な実施を目指します。また、2026年の設備投資は1,400億円、研究開発支出は1,700億円を計画しています。 (7) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。なお、当連結会計年度における重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。 ① 棚卸資産当社グループは、棚卸資産の、推定される将来需要及び市場状況に基づく時価の見積額と総平均法による原価法(貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)による評価額との差額に相当する陳腐化の見積額について、評価減を計上しています。実際の将来需要又は市場状況が、当社グループ経営者による見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。 ② 損失評価引当金当社グループは、売掛金、販売金融債権及び貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、営業債権及びその他の債権については常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。金融サービス事業に係る債権については、報告日ごとに予想信用損失を見積り、予想信用損失に対して損失評価引当金を計上しています。なお、米国内のインフレの急激な進行等の外部環境の変化により債権の信用リスクが増加した場合には、必要に応じて見積りに対し補正を加えています。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は追加の損失が発生する可能性があります。 ③ 非金融資産の減損当社グループは、減損の兆候のある資金生成単位または資金生成単位グループごとに将来キャッシュ・フローの見積りを行い、当該資産の減損要否の判定を行っています。資金生成単位または資金生成単位グループの減損が必要であると判断した場合、帳簿価額が回収可能価額を超える部分について減損損失を認識します。のれん、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能ではない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。将来、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 ④ 繰延税金資産当社グループは、将来の一定期間における課税所得の見積りやタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を検討しています。これらの将来に係る見積りは、市場の動向や経済環境、また、当社グループの事業計画等の変動の影響を受けるため、回収可能性が大きく変動した場合、税金費用が大きく変動する可能性があります。 ⑤ 製品保証引当金当社グループは、販売済製品の保証期間中のアフターサービス費用、その他販売済製品の品質問題に対処する費用の見積額を計上しています。当該見積りは、過去の実績若しくは個別の発生予想額に基づいていますが、実際の製品不良率又は修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。 ⑥ 退職給付に係る負債従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率などが含まれます。当社及び一部の国内連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は優良社債を基礎とした複数の割引率を退職給付の支払見込期間ごとに設定しています。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に計上されるため、一般的には将来期間において認識される収益・費用、計上される資産・負債及び純資産に影響を及ぼします。確定給付制度の当期勤務費用及び確定給付負債(資産)の純額に係る利息の純額は純損益として認識しています。確定給付制度の再測定額は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。制度の改訂による従業員の過去の勤務に係る確定給付制度債務の増減は、純損益として認識しています。
事業リスク
- 経済環境変化と競争激化ヤマハ発動機グループは、多くの市場で激しい競争に直面しており、有利な価格設定が難しい状況にあります。市場が低迷すると利益確保への圧力がさらに高まり、新製品開発に多額の資源を投入しても計画通りに販売できない場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、アセアン・インド市場でのプレミアム戦略の成否が重要となります。
- 為替変動による影響同社グループは、世界各国で生産・販売活動を行い、外貨建ての取引が多いため、為替レートの変動が売上、収益、費用に影響を与え、業績や財政状態を左右する可能性があります。また、在外子会社の業績を円換算する際に、各通貨の円に対する為替レートの変動が連結財務諸表に影響を及ぼすリスクがあります。為替ヘッジ取引や価格転嫁で影響を最小限に抑える努力をしています。
- 海外事業展開と地政学リスク売上収益の約90%を海外が占めるため、事業を展開する国や地域における予期せぬ輸出入規制の変更、不利な税制・関税の導入、外貨規制、移転価格税制を含む税務調査などが、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。特に、地政学リスクの高まりや経済安全保障に関する規制強化は、サプライチェーンや事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。なお、これらは全てのリスクを網羅したものではなく、これら以外にも投資者の判断に影響を及ぼす事項が発生する可能性があります。また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月23日)現在において当社グループが判断したものです。 <1> リスクマネジメントの取り組みリスクマネジメント対応のために適切な体制や規程を整備・運用し、リスク低減活動に取り組んでいます。平常時の予防活動として、当社グループが対処すべきリスクについて担当部門を明確にして対策を推進し、グループ全体で活動を行っています。重大な危機が発生した場合には、社内規程等に基づき、社長執行役員を本部長とする緊急対策本部を設け、損害・影響を最小限にとどめています。 <2> リスクマネジメント体制「リスクマネジメント規程」に基づき、チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー(CRCO)が委員長を務め、CRCOが指名する執行役員を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」、及び下部組織としてCRCOが指名する各地域のリスク・コンプライアンスオフィサー(RCO)を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」とリスクマネジメント統括部門とリスクの主管部門で構成される「リスク・コンプライアンス推進会議」を設置し、グループ全体のリスク状況をモニタリングしています。同時に、重点的に取り組む「グループ重要リスク」の選定、対策活動のチェックなどを行い、グループ全体のリスク低減を図っています。またリスクの主管部門は、主管リスクについて対応方針、規程等を定めるとともに、本社各部門及びグループ会社に対して対応方針等に基づく対策活動の推進、活動モニタリングなどを行います。その実効性を担保するため、統合監査部はリスク主管部門に対して監査を実施しています。 <3> リスクマネジメント活動サイクルリスクマネジメント活動は、下記のPDCAサイクルを回すことで推進しています。当社グループでは、必要なリスクを網羅したリスク管理台帳を作成しており、リスク管理台帳を適切に管理・運用することにより、リスク低減を図っています。 <4> グループ重要リスク毎年、リスクの中でも特に重点的に予防・対策に取り組むべきものをグループ重要リスクに定めています。グループ重要リスクは、グループ全体のリスク評価結果に加え、グループ事業戦略、グループ内外の法令変更、環境変化及び発生事案情報などを踏まえ、総合的に判断・選定されます。 <5> 事業等のリスク (1)経済環境変化リスク - ①市場における競争環境変化<リスク>当社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争環境の変化にさらされており、このような競争状態のために当社グループにとって有利な価格決定をすることが困難な状況に置かれる場合があります。このような競争状態は、当社グループの利益の確保に対する圧力となり、その圧力は特に市場が低迷した場合に顕著となります。また、当社グループは、激しい競争の中で優位性を維持又は獲得するために、競争力のある新製品を市場に投入し続けていますが、資源を投入して開発した製品が計画通り販売出来ない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。<対応策>モーターサイクル事業においては、今後10年で急速に拡大することが予想されるアセアン・インドの上位中間層をターゲットに、プレミアム戦略を加速し、収益性の向上を目指しています。具体的には、アジア主要国でのプレミアムオートマチックスクーターやプレミアムスポーツモデルに注力することを戦略的に取り組んでいます。また、ボディやエンジンのプラットフォーム化を導入したことで開発のスピードが上がり、お客様の求める商品を適切なタイミングで上市しています。マリン事業においては、当社グループとしてグローバルに拠点を構える販売子会社との連携により、市場の変化にフレキシブルに対応する事業運営を行っています。特に先進国では、エンジンの卸先であるボートビルダーと長期契約に基づく関係を築くことで販売の安定化を図っています。エンジンとボートの操船に関わる周辺機器をセットで提供することで、当社ブランド製品に対するロイヤリティを高めています。 (1)経済環境変化リスク - ②為替の変動<リスク>当社グループは、日本を含む世界の国々で生産活動を行い、その製品を世界各国に輸出しており、製造のための原材料や部品の調達及び製品の販売において、各国で外貨建の取引があります。従って、為替変動は、当社グループの売上はもとより、収益及び費用等に影響し、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは在外子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成した連結財務諸表をもって業績及び財政状態を表示していますので、各通貨の円に対する為替レートの変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。<対応策>当社グループでは、為替ヘッジ取引や為替変動分の価格転嫁等により、為替レートの変動による影響を最小限に止める努力をしています。 (1)経済環境変化リスク - ③金利変動、資金調達環境の変化<リスク>当社グループは、事業活動の資金を内部資金及び金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。しかしながら、経済環境が変動した際、金融機関の融資姿勢や金融市場の不安定化により、また格付機関による当社信用格付けの引下げの事態が生じた場合などに資金調達を想定通り行うことが難しくなり、資金調達コストが増加するリスクがあります。<対応策>当社グループでは、適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに、手元流動性を適度に維持しています。加えて、銀行借入や社債の発行など資金調達の多様化を進めることにより流動性リスクを低減しています。また、借入金に係る支払利息の金利上昇リスクを抑制するために、固定金利で長期資金調達又は金利スワップ取引等を利用することがあります。 (2)海外事業展開リスク<リスク>当社グループの売上収益に占める海外比率は約90%となっています。地政学リスクをはじめ、外的要因による経済安全保障リスクは高まりを見せており、当社グループが事業を展開している国又は地域における予期しない輸出入規制の運用・改廃、不利な影響を及ぼす税制・関税等の変更、外貨規制、移転価格税制を含む税務調査・追徴課税などが発生した場合には当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。<対応策>当社グループでは、リスク低減のため、国際情勢の動向や各国の法規制の改正等に関する情報を定常的に把握し、対応を実行しています。2023年7月より貿易管理・経済安保推進委員会を設置し、貿易関連の法令遵守だけでなく、経済安全保障に関するリスクの選定、対応策の審議・遂行をタイムリーに行う対応を進めています。幅広い機能・部門の責任者である執行役員以上のメンバーで構成された委員会の運営により、事業活動リスク(サプライチェーン維持、データ・情報管理、人事管理等)の把握を行い、リスク回避・低減の仕組み作りだけでなく、リスク顕在時の初動対応が図れる対応を進めています。昨今の安全保障環境の変化に伴い、これまで以上に強固な管理体制の整備が必要と考え、その構築を加速しています。米国関税、中国輸出管理令、外為法の改正等の経済安全保障に関連する各国の輸出入規制の改正に対しても、外部機関との連携を密に迅速な情報収集に努め、総合的なリスク制御・迅速な対応に努めています。また、税務基本方針や移転価格設定方針を定め、早期に税務リスクを把握するために本社と各子会社の間で情報交換を行い、リスク低減のため方策を講じています。税務処理に不確実性がある場合は、税務当局への事前照会や外部専門家への相談を行い不確実性の排除に努めています。 (3)合弁事業リスク<リスク>当社グループは、一部の国又は地域において合弁で事業を展開しています。これらの合弁事業は、合弁パートナーの経営方針等により影響を受けることがあります。<対応策>合弁パートナーとは配当金による利益分配や損益を応分に負担する等で良好な関係を保つとともに、製品に係る知財を当社が保持することでパートナーの方針変更があっても事業を継続しやすい対応を取っています。 (4)特定の顧客・マーケットへの依存リスク<リスク>当社グループは、二輪車、船外機等の消費者向け製品を市場に供給しているだけでなく、顧客企業に対して自動車用エンジン等を供給しており、その売上は顧客企業の経営方針、調達方針等の当社グループが管理出来ない要因により影響を受けることがあります。<対応策>当社グループは、常に最新のマーケット動向へ目を向け、自動車エンジン等に加えてEV用電動モーター等の新商材開発を積極的に行い、取扱商材の多様化に向けた努力をすると同時に、顧客企業数を増やす活動を推進し、特定の顧客に過度に依存しない供給体制の構築を目指しています。 (5)調達リスク<リスク>当社グループは、製品の製造に使用する原材料及び部品等を当社グループ外の多数の供給業者から調達しており、これらの一部については特定の供給業者に依存しています。市況、災害等、当社グループでは制御出来ない要因により、当社グループがこれらの原材料及び部品等を効率的に、且つ安定したコストで調達し続けることが出来なくなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。原材料価格の今後の高騰や部品不足などが発生、長期化する場合には、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。<対応策>当社グループは、互換性のある部品や原材料への切替や、長期的な内示数量提示による供給数の確保などの対策を進めています。 (6)製品品質・リコール関連リスク<リスク>当社グループは、グループ品質保証体制の下に、世界各国の工場で製品を製造しています。しかし、法律や政府の規制に従い、或いは、お客様の安心感の観点から、リコール等の市場処置を実施する可能性もあります。また、当社グループは、製造物責任等の訴訟、その他の商取引、独占禁止、消費者保護などの法的手続の当事者となる可能性があります。大規模なリコール等の市場処置を講じた場合や当社グループが当事者となる法的手続で不利な判断がなされ、多額の費用・損害賠償責任が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。<対応策>・品質マネジメントシステム当社では、社長により表明された当社グループ全体の独自の品質方針ならびにISO9001規格に基づいた品質マネジメントシステムを構築し運用しています。これらの取り組みはグローバルに展開されており、本社において策定された3年間の中期計画に沿った活動が各拠点の中期目標として作成し実施されています。各事業で作成された中期計画の内容と進捗状況は年に1度の事業マネジメントレビューで見直しするとともに課題解決策の討議を行うということで品質マネジメントシステムにおけるPDCAサイクルを回しています。なお、各市場での商品の不具合情報や保証修理の情報などから市場における品質情報処理が適切になされているかを確認する委員会が設けられており、タイムリーな調査とマネジメントへの報告を行っています。・市場情報収集と対応市場で発生した品質問題は、国内外の販売会社のサービスを通じてその製品の製造工場に情報が集約される体制を作っています。その情報は設計、製造、サプライヤーなどの開発・生産部門に届けられ、連携して原因の究明や対策を実施するとともに、該当するお客さまへの適切な対応や再発防止策を策定していきます。製品事故が発生した場合や法規に抵触する可能性のある不具合が発生した場合は迅速にマネジメントへも情報が届くフローと討議できるシステムを設定しており、判断や決定に遅れがないようにしています。市場措置が必要であると決定した場合は、発生国の法規に従って迅速に当局に届け出を行い、販売会社からその製品のお客様に無償修理のご案内をダイレクトメールや電話、ホームページなどを使ってお届けしています。・品質意識の醸成お客さまに感動を提供するために、従業員一人ひとりが「ヤマハブランドを輝かせるのは他の誰でもない。私自身である」という高い当事者意識を持ち、気づく力(発見力)を磨き製品品質のみならず仕事の質そのものを高める活動をしています。 (7)人権侵害リスク<リスク>各国において、国際連合や国際労働機関が提唱する人権に関する国際規範や法令に基づく人権の取組みを求める法規の制定が進んでおり、サプライチェーン全体での人権リスクへの対応・順応の必要性が急速に高まってきています。これらの法規に対して適時適切な対応が出来なかった場合や、取り組みが奏功しない、もしくは不十分である場合、ブランドイメージの毀損や社会的信用の低下に加え、当社グループの生産活動の停滞や遅延、開発や購買や営業などの各事業、ビジネス活動にかかる追加の対応コストなどが生じる可能性があり、その場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。<対応策>当社グループでは、「ヤマハ発動機グループ人権方針」のグループ会社・取引先展開に加え、実業務に織り込むべく契約書への人権条項織り込みなどを実施してきました。また本方針に基づき人権デューデリジェンスにてリスクの特定に向けた活動、社内外に向けたホットラインの設定、教育・啓発活動を進め、グループ従業員及びサプライチェーンへの人権意識を高める取り組みを行っています。 (8)ハラスメントリスク<リスク>サプライチェーン全体での人権リスクへの対応・順応の必要性が急速に高まっている中、当社グループは従業員に対して、人種・国籍・生活信条・身体・性格・親族等についての誹謗中傷、人格を否定するような言動の禁止、セクシャルハラスメントをはじめとしたすべてのハラスメント行為の禁止を倫理行動規範でうたっています。しかしながら、ハラスメントは誰しも意図せず行為者になりうるものであり、ひとたび重大なハラスメントが発生すると、被害者だけでなく、会社、組織、事業活動そのものにも影響を与える可能性があります。<対応策>当社グループで展開しているダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の浸透、社員のエンゲージメント向上等の取組みを通じ、ハラスメントが起きにくい組織風土を醸成し、事案発生時には、再発防止も含め、迅速・適切に対応すると共に、ハラスメントを未然防止するための啓発、教育活動にも継続的に取り組んでいます。また、日本国内ではコンプライアンス案件通報窓口に加え、ハラスメント・労務問題専用の相談窓口を設置し、ハラスメントを受けた、見聞きした、という場合には速やかに相談できるレポートラインを整備しています。 (9)法規制の強化・法的手続リスク<リスク>当社グループが事業を展開する多くの国又は地域において、当社グループは、製品の安全性、燃費、排ガス規制、並びに工場からの汚染物質排出レベル等の広範囲な環境規制及びその他の法規制を受けています。これらの規制は変更されることがあり、多くの場合規制が厳しくなる傾向にあります。当社グループが事業を展開する国又は地域におけるこれらに関連する規制又は法令の変更があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。<対応策>当社グループは、環境負荷の低減を目的としたグリーン調達を推進するためのガイドラインを制定し、さらに専任者を含むチームを置いて活動するなどの環境活動を推進しています。 (10)知的財産リスク<リスク>当社事業に関わる特許、商標、その他の知的財産が十分に確保されないことにより当社事業の差別化や優位性を喪失する場合及び第三者が当社グループの知的財産を不正に用いて類似した事業を行うことを効果的に防止できない場合や当社が第三者の知的財産を侵害して当社事業に影響を及ぼす場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。<対応策>当社グループでは、知財戦略を担う部門を設置し、製品及びサービスを差別化して優位性を確保するために必要な特許権、商標権、その他の知的財産に関わる権利を各市場国で保有しています。そして、これらの知的財産を侵害する行為には、各国の当局等とも連携して法的手続きを含む各種対応を講じるとともに、知財部門による第三者の知的財産に関する調査及び分析を踏まえて事業活動を推進しています。 (11)情報セキュリティ・サイバーリスク<リスク>当社グループは、顧客の個人情報や技術的機密情報を適切に保護し、情報システムの安定稼働を維持することを重要課題と位置づけています。これらの情報が漏洩・紛失・不正利用された場合や、情報システムに障害が発生した場合には、社会的信用の低下や損害賠償責任の発生につながるおそれがあります。近年はランサムウェア攻撃の高度化や取引先を経由したサプライチェーン攻撃が増加しており、脅威は多様化しています。重要な情報システム(製造拠点の制御システムを含む)に障害が生じた場合には、製品供給や業務継続に大きな支障をきたし、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。<対応策>当社グループは、サイバーセキュリティリスクをCRCOが委員長を務めるグローバルリスク・コンプライアンス経営委員会で定めた経営上の重要課題の一つと位置づけ、全社横断的なリスク管理体制を構築しています。リスク管理の一環として社内規程類の整備を進めるとともに、専門組織であるCSIRTを中心に、24時間体制での監視やインシデント対応訓練を継続的に実施し、異常発生時における初動対応力の強化に取り組んでいます。また、年々高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対応するため、当社グループは各種技術的対策の導入・改善を進めています。加えて、役職員を対象に定期的なセキュリティ教育及び標的型メール訓練を行い、情報セキュリティに対する意識向上と対応能力の強化を図っています。さらに、重大なサイバーインシデントの発生を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、年次のシナリオ訓練を通じて、被害の最小化と早期復旧に向けた体制整備を進めています。併せて、主要サプライヤーを含むサプライチェーン全体のセキュリティ水準向上を目的に、対策検討、リスク評価、情報共有を推進しています。これらの取り組みにより当社グループは、「平時の予防」から「有事の対応」まで一貫したサイバーセキュリティ体制を継続的に強化し、事業継続性の確保とステークホルダーの信頼維持に努めています。 (12)自然災害による事業中断リスク<リスク>当社グループの日本における主要製造拠点は、南海トラフ巨大地震の予想震源域近傍に集中しています。そのため、巨大地震が発生した場合には当社グループの製造拠点等が直接に被害を受け、操業が遅延又は中断し、業績及び財政状態にも影響を与える可能性があります。<対応策>巨大地震発生に対しては被害を最小化するため主要建築物・設備の耐震補強工事・情報システムのクラウド化等を行うと共に、平時から防災体制の整備・強化、災害用資機材・備蓄品の準備、全役職員を対象とした避難訓練や防災組織を対象とした初動対応訓練の実施等の対応を行っています。また、被災後の早期復旧を可能にするための事業継続要領・事業継続計画(BCP)を策定している他、当社グループが保有する建築物、在庫等の損害に対する地震保険にも加入しています。 (13)パンデミックによる事業中断リスク<リスク>新型インフルエンザ等の感染症が国内外でまん延しパンデミック状態となった場合には、多くの従業員が罹患し、出社不能となる可能性があります。これにより、当社グループの操業が遅延または中断し、業績及び財政状態にも影響を与える可能性があります。<対応策>当社グループは新型インフルエンザ等によるパンデミックに対する事業継続要領・事業継続計画(BCP)を策定し、新型インフルエンザ等の発生段階に応じた対応体制、業務継続方針、感染対応等を定めています。2019年に新型コロナウイルスの感染が拡大した際には、事業継続計画に準じて本社で職域接種を実施した他、感染防止策の一つとして在宅勤務制度の導入やそれを可能とする各種システムツールの整備も実施しました。その他、当該対応で得られた知見及び各国政府等の方針・指針等を勘案し、適宜、事業継続要領の見直しを行っています。 (14)人為災害等による事業中断リスク<リスク>戦争、テロ、ストライキ、デモ等が発生した場合、当社グループの操業が遅延又は中断する可能性があり、さらに、当社グループの製造拠点等が直接に損害を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。<対応策>戦争、テロ等の有事の際には、危機管理体制に基づき、迅速な情報収集及び意思決定を行い、従業員の安全を最優先として確保するとともに、事業への影響を最小限に抑えるよう努めています。また従業員によるストライキやデモ等を防ぐため、当社グループの各社では労使関係を円満に保つための労使間の対話を行っています。