7004

カナデビア(7004)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 環境ソリューション提供: カナデビアグループは、ごみ焼却発電施設や水処理施設、エネルギーシステムなど、環境問題解決に貢献するプラントの設計、製造、据付、販売、保守、運営を一貫して手掛けています。特に、ごみ焼却発電は廃棄物処理とエネルギー創出を両立させる主力事業です。
  • 機械・インフラ設備の提供: 自動車製造に不可欠なプレス機械、ボイラ、プラスチック機械、食品・医薬機械、さらには橋梁や水門扉、煙突といった社会インフラ設備まで、幅広い機械装置やインフラ設備の設計、製造、販売、保守を行っています。多岐にわたる産業を支える基盤技術を提供しています。
  • 脱炭素化技術の開発・提供: 地球温暖化対策として注目される脱炭素化分野にも注力しており、船舶のエンジン(舶用原動機)、排ガス浄化のための脱硝触媒、原子力関連設備、電解・PtG(Power to Gas)技術、風力発電など、CO2排出量削減に貢献する製品やシステムを提供しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 環境システム事業: ごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設、エネルギーシステム、海水淡水化プラントなど、環境保全とエネルギー創出に関わる各種プラントの設計、製造、据付、販売、保守、運営を手掛けています。この事業は売上高4,534.71億円、営業利益254.03億円と、グループの稼ぎ頭であり、最も規模の大きい事業です。
  • 機械事業: 自動車用プレス機械、ボイラ、プラスチック機械、食品機械、医薬機械、精密機器、エレクトロニクス・制御システムなど、幅広い産業機械の設計、製造、販売、保守を行っています。売上高829.89億円、営業利益10.16億円で、環境システム事業に次ぐ規模を持ち、多様な産業を支える基盤技術を提供しています。
  • 脱炭素化事業: 舶用原動機、脱硝触媒、圧力容器などのプロセス機器、原子力関連設備機器、電解・PtG、風力発電といった、脱炭素社会の実現に貢献する製品やシステムを提供しています。売上高702.47億円、営業利益1.01億円で、今後の成長が期待される分野であり、環境負荷低減への貢献を目指しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
EnvironmentalSystems 事業 4,535 254 5.6%
Machinery 事業 830 10 1.2%
Element 事業 702 1 0.1%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,083 文字
3【事業の内容】当社グループは、主として環境装置・プラント、機械装置、インフラ設備等の設計、製作、据付、販売、修理、保守・保全及び運営等を主な事業としており、当社、連結子会社158社及び持分法適用会社35社で構成されている。セグメントごとの主な事業内容と、当社及び主な関係会社の位置づけは次のとおりである。(主な事業内容)環境…………………ごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設、エネルギーシステム(発電設備)、バイオマス利用システム、海水淡水化プラント等各種プラント、電力卸売機械・インフラ……自動車用プレス機械、ボイラ、プラスチック機械、食品機械、医薬機械、精密機器、エレクトロニクス・制御システム、橋梁、水門扉、煙突、海洋土木、シールド掘進機、防災システム脱炭素化……………舶用原動機、脱硝触媒、圧力容器等各種プロセス機器、原子力関連設備機器、電解・PtG、風力発電その他………………寮・社宅等施設運営管理 (当社及び主な関係会社の位置づけ)[環境]当社が製造・販売を行うほか、Kanadevia Inova AG.、Kanadevia Inova Steinmüller GmbHがごみ焼却発電設備、カナデビアE&E㈱が各種廃棄物処理施設の製造・販売等、また、エコマネジ㈱が廃棄物処理事業に関するコンサルティング業務、大館エコマネジ㈱、柏環境テクノロジー㈱及び倉敷環境テクノロジー㈱などが廃棄物処理施設の運営等を行うほか、カナデビア環境サービス㈱などがごみ焼却施設等の運転業務を受託している。また、㈱カナデビアエンジニアリングが各種構造物の非破壊検査・計測・診断業務及び化学プラントの製造・販売等を行っているほか、Osmoflo Holdings Pty Ltd及びその関係会社が海水淡水化・産業用水処理システムの設計、製造、販売及び運営等を行っている。[機械・インフラ]当社が製造・販売を行うほか、㈱エイチアンドエフが各種プレス機械、㈱ブイテックスが半導体関連装置、光ディスク製造設備、真空機器、有機ELディスプレイ製造装置等の製造・販売等、㈱プロモテックが橋梁等鋼構造物の設計等を行っている。[脱炭素化] 当社が製造・販売を行うほか、日立造船マリンエンジン㈱が舶用原動機事業、NAC International Inc.が使用済核燃料保管・輸送機器の設計、輸送及びコンサルティング業務を行っている。[その他]カナデビア総合サービス㈱が寮・社宅等施設運営管理業務、㈱エーエフシーがファイナンス業務等を行っている。 事業の系統図は次頁に記載している。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
主要製品・事業が成熟市場にあり、競合企業が多く、受注価格が下落傾向にあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
ごみ焼却発電施設、舶用原動機、自動車用プレス機械、圧力容器等各種プロセス機器、橋梁等の技術。
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:個別受注案件のリスク / 価格競争 / 素材価格の高騰
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

カナデビアの財務サマリデータが未収録のため、ブランド力、特許、規制ライセンス、独占的IPなどの無形資産に関する具体的な評価は困難です。公開情報からは、特定の強力な無形資産の存在を示す明確な証拠は見当たりません。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

産業用ボイラーや熱交換器などの製品は、一度導入すると入れ替えにコストや手間がかかる可能性があります。しかし、顧客が特定の製品に強く依存している状況や、他社製品への乗り換えが容易でないことを示す具体的なデータは不足しています。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

カナデビアの事業内容(ボイラー、熱交換器、環境装置など)は、ユーザー数が増えることでサービスの価値が向上するネットワーク効果が働きにくいビジネスモデルと考えられます。直接的なネットワーク効果を示す要素は見当たりません。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

機械製造業においては、生産効率や調達コストが競争力に影響しますが、カナデビアが他社と比較して構造的に優位なコスト構造を持っていることを示す具体的な情報は現時点では確認できません。標準的な製造業のコスト構造と推測されます。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

産業用ボイラーや熱交換器市場において、カナデビアは一定のシェアを占めている可能性がありますが、業界全体に対する規模の経済性や寡占度に関する具体的なデータが不足しています。市場全体を支配するような圧倒的な規模の優位性は見られません。

  • 環境技術と実績: 長年にわたり培ってきたごみ焼却発電・リサイクル施設、水・汚泥処理施設などの環境装置に関する高い技術力と豊富な実績が強みです。国内外で多数のプラントを手掛けており、その信頼性が競争優位につながっています。
  • 多角的な事業展開: 環境、機械・インフラ、脱炭素化といった幅広い分野で事業を展開している点が特徴です。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、多様な顧客ニーズに対応できる総合力を有しています。例えば、自動車用プレス機械から橋梁、舶用原動機まで多岐にわたる製品を提供しています。
  • グローバルな事業体制: ドイツのKanadevia Inova AG.やオーストラリアのOsmoflo Holdings Pty Ltdなど、海外の連結子会社を通じて、ごみ焼却発電設備や海水淡水化プラントなどを世界各地で展開しています。これにより、国内市場の縮小リスクに対応し、海外市場での成長機会を捉える体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。(1) 経営方針、経営戦略等① 経営方針当社グループでは、基本理念である「Kanadevia Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。 当社グループの基本理念「Kanadevia Value」 ② 経営戦略等当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施している。「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。また、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。そして、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」では、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んでいく。 中期経営計画「Forward 25」1.既存事業の持続的成長(1)海外事業の伸長Waste to X(廃棄物中の再利用可能な金属やエネルギーの回収・利用)事業、原子力関連事業、水事業を中心に、当社グループで協力して事業伸長に取り組んでいる。2024年度はKanadevia Inova AG.のWaste to X事業の伸長により、当社グループ全体の海外売上高比率が49%となり、2025年度までの目標としていた40%を達成することができた。デンマークのBabcock & Wilcox Renewable Service A/S(現 Kanadevia Inova Denmark A/S)の買収など、Waste to X プラント運営・メンテナンス会社の買収により継続的事業を拡大しているほか、英国でバイオガスプロジェクトに関する事業開発や運営などを行っているIona Capital Ltd及びそのグループ会社の買収等により、Waste to X事業領域の拡大を進めている。(2)事業構造改革の推進社会のサステナビリティと会社のサステナビリティの観点から事業評価を行い、事業ポートフォリオの見直し・改革を進めている。2024年度は、経営の効率化の観点から、当社の完全子会社のうち、日立造船プラント技術サービス㈱を当社に吸収合併したほか、㈱プロモテックの当社への吸収合併(2025年4月1日付)、また㈱エイチアンドエフの全発行済み株式の㈱アマダへの譲渡(2025年5月1日付)を決定するなどの改革を行った。(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善2025年度に継続的事業の売上高割合50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX推進による製品・事業の高付加価値化等に取り組み、収益力の強化を図っている。2024年度は当社連結売上高に占める継続的事業の割合が41%であった。2.成長事業の創出・拡大重点投資分野である脱炭素化事業、資源循環事業、水事業、ライフサイエンス関連事業等において、積極的な投資を行っている。脱炭素化事業では、水素発生装置の中核機器である水電解スタックの量産工場を山梨県都留市に建設する80億円規模の設備投資を決定した。また、Power to Gas、浮体式洋上風力発電等の分野において、補助金事業を活用した開発投資を行っている。資源循環事業では、国土交通省による実証事業を活用し、下水汚泥から得られるメタンを資源として再利用する技術開発への投資を行っている。さらに、脱炭素化及び資源循環が融合する領域における開発投資として、ごみ焼却施設から発生するCO2の利活用に関する研究を、補助金を活用して進めている。3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上) 人的資本の強化、事業活動の脱炭素化、DX戦略の推進、リスク管理の徹底に取り組んでいる。 人的資本の強化では、管理職人事制度の改革、65歳定年制の導入など人事制度の改革を進めた。また、特に健康経営を推進しており、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、健康経営優良法人「ホワイト500」の認定を受けるなど、各種施策を推進している。さらに、2024年10月1日付の商号変更に合わせてブランディング推進の取組みを進め、職員のエンゲージメント向上を図っている。 事業活動の脱炭素化について、2050年度に自社の活動および自社のバリューチェーンにわたるGHG(温室効果ガス)排出量を実質的にゼロにすることを目標とし、各種取組み、情報開示を推進している。ESGデータ集2024において、自社活動によるGHG排出量を示すスコープ1、2の開示範囲を、当社グループ20社から同98社に拡大し、さらに国内排出分の第三者保証を取得した。また、自社のバリューチェーンにおけるGHG排出量を示すスコープ3の開示を開始した。2024年度のGHG排出量データは、2025年秋頃発行予定のESGデータ集2025に記載予定である。さらに、当社は2024年11月に開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」に初出展し、CO2の高効率回収を実現する廃棄物燃焼技術を中核とした、風力発電やメタネーション等を含むシステム・パッケージを展示したほか、当社社長が講演を行い、資源循環による環境負荷低減に向けて挑戦する当社の姿勢について説明した。 DX戦略の推進については、役職員が業務に利用するための生成AI環境の構築やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得など、戦略推進のための基盤整備が進んだほか、DX人材の育成も併せて進めている。 リスク管理の徹底については、重要な戦略リスクの特定、リスク許容度の定義及びこれに基づく戦略的なリスク管理を行う仕組みを導入、推進するために社長直轄のERM (Enterprise Risk Management)室を新設した。今後、ERM室の統括の下にグループリスクのマネジメントを進めていく。 ③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の最終年度となる2025年度における目標を、受注高7,000億円、売上高6,200億円、営業利益270億円(営業利益率4.4%)、ROE8.2%とした。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、継続的事業の比率50%超、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 中期経営計画「Forward 25」の中間年度(2024年度)の業績は、海外子会社のKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社の伸長等に加え、円安の影響もあって、受注高、売上高、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも期初の見通しを上回る結果となった。当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の重点施策を実行することで、収益力強化を推進し確実に成果をあげることを目指すとともに、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理の徹底にも引き続き取り組んでいく。 当社グループにおける不適切行為について当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、2024年7月17日付で当社グループから独立した外部有識者で構成される特別調査委員会を設置し、透明性及び実効性を確保した調査を実施した。かかる調査の結果、2025年3月25日及び同年4月30日に公表したとおり、舶用エンジンのほか、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品について、一部に不適切行為が行われていたことが判明した(以下、特別調査委員会の調査の結果判明したこれらの不適切行為を「本件不適切行為」という)。当社グループとしては、本件不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、以下の再発防止策に取り組んでいくことに加え、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策を策定・実施することで、ステークホルダーからの信頼回復に努めていく。<再発防止策>本件不適切行為のうち個々の事案に対して、計測等システム及び業務プロセスの見直し並びに品質管理体制の強化など、それぞれの性質に応じた対策を実施しているほか、各不適切行為に共通する対策として、以下の事項に取り組んでいる。①経営トップによるコミットメント 経営トップがコンプライアンスの徹底を繰り返し発信することにより、当社グループとして不正を絶対に行わないことを役職員に認識させ、また、ステークホルダーに対して、当社グループ全体として不正防止に真摯に取り組む姿勢を示す。②組織風土改革・意識改革・当社グループとして、Kanadevia Valueをはじめとする当社の理念や規範をもとにありたい姿を具体化し、役職員がこれを理解し実践できるよう経営トップからメッセージを発信する。・如何なる理由があっても不正を拒絶し、何か不安や懸念があればお互いに速やかに共有し、適切に問題解決を図ることができる職場づくりを促進する。・組織の縦割り化や業務の属人化を防ぐために、人事ローテーションの活性化を図り、長期間、一人の担当者が同じ業務に従事しないような仕組みを構築する。・職員一人ひとりが不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、自身の役割・責任に対する意識を高めることに着眼した啓発・教育・トレーニングを実施する。③業務プロセスの改善・各部門の業務管理規程と業務の実態を照合し、不正につながるプロセスの排除及び業務所掌の見直しを行い、不正を防止できる実効性のある業務管理規程に改訂する。・経験の浅い職員でも適切に業務を遂行できるよう、業務プロセスの可視化・標準化を推進するとともに業務の効率化を行う。④品質不正防止の取組み・社長を委員長とするコンプライアンス委員会の下部組織として、品質コンプライアンス委員会を設置し、各部門の品質に関係する業務の適切性や、本件不適切行為に関わる是正措置の実施状況についてモニタリングを行う。・グループ内職員向けの品質相談窓口や、同業他社で発覚した品質不正につき当社グループにおいて同様の事案がないかをただちに調査し、問題がある場合は改善する仕組みを構築する。また、特別調査委員会の調査結果・提言等及び当社グループの再発防止策について役職員への周知を図る。 ⑤品質保証部門の人員確保人員補強のほか、品質保証業務に必要な素養・スキルが得られる教育を実施する。⑥取締役会の監督機能強化重大なコンプライアンス違反あるいは可能性がある事案が判明した場合は、速やかに取締役会に報告し、取締役会においてコンプライアンス、内部統制及びエンタープライズリスクマネジメントに関わる議論を徹底する。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。(1) 経営方針、経営戦略等① 経営方針当社グループでは、基本理念である「Kanadevia Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。 当社グループの基本理念「Kanadevia Value」 ② 経営戦略等当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施している。「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。また、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。そして、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」では、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んでいく。 中期経営計画「Forward 25」1.既存事業の持続的成長(1)海外事業の伸長Waste to X(廃棄物中の再利用可能な金属やエネルギーの回収・利用)事業、原子力関連事業、水事業を中心に、当社グループで協力して事業伸長に取り組んでいる。2024年度はKanadevia Inova AG.のWaste to X事業の伸長により、当社グループ全体の海外売上高比率が49%となり、2025年度までの目標としていた40%を達成することができた。デンマークのBabcock & Wilcox Renewable Service A/S(現 Kanadevia Inova Denmark A/S)の買収など、Waste to X プラント運営・メンテナンス会社の買収により継続的事業を拡大しているほか、英国でバイオガスプロジェクトに関する事業開発や運営などを行っているIona Capital Ltd及びそのグループ会社の買収等により、Waste to X事業領域の拡大を進めている。(2)事業構造改革の推進社会のサステナビリティと会社のサステナビリティの観点から事業評価を行い、事業ポートフォリオの見直し・改革を進めている。2024年度は、経営の効率化の観点から、当社の完全子会社のうち、日立造船プラント技術サービス㈱を当社に吸収合併したほか、㈱プロモテックの当社への吸収合併(2025年4月1日付)、また㈱エイチアンドエフの全発行済み株式の㈱アマダへの譲渡(2025年5月1日付)を決定するなどの改革を行った。(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善2025年度に継続的事業の売上高割合50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX推進による製品・事業の高付加価値化等に取り組み、収益力の強化を図っている。2024年度は当社連結売上高に占める継続的事業の割合が41%であった。2.成長事業の創出・拡大重点投資分野である脱炭素化事業、資源循環事業、水事業、ライフサイエンス関連事業等において、積極的な投資を行っている。脱炭素化事業では、水素発生装置の中核機器である水電解スタックの量産工場を山梨県都留市に建設する80億円規模の設備投資を決定した。また、Power to Gas、浮体式洋上風力発電等の分野において、補助金事業を活用した開発投資を行っている。資源循環事業では、国土交通省による実証事業を活用し、下水汚泥から得られるメタンを資源として再利用する技術開発への投資を行っている。さらに、脱炭素化及び資源循環が融合する領域における開発投資として、ごみ焼却施設から発生するCO2の利活用に関する研究を、補助金を活用して進めている。3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上) 人的資本の強化、事業活動の脱炭素化、DX戦略の推進、リスク管理の徹底に取り組んでいる。 人的資本の強化では、管理職人事制度の改革、65歳定年制の導入など人事制度の改革を進めた。また、特に健康経営を推進しており、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、健康経営優良法人「ホワイト500」の認定を受けるなど、各種施策を推進している。さらに、2024年10月1日付の商号変更に合わせてブランディング推進の取組みを進め、職員のエンゲージメント向上を図っている。 事業活動の脱炭素化について、2050年度に自社の活動および自社のバリューチェーンにわたるGHG(温室効果ガス)排出量を実質的にゼロにすることを目標とし、各種取組み、情報開示を推進している。ESGデータ集2024において、自社活動によるGHG排出量を示すスコープ1、2の開示範囲を、当社グループ20社から同98社に拡大し、さらに国内排出分の第三者保証を取得した。また、自社のバリューチェーンにおけるGHG排出量を示すスコープ3の開示を開始した。2024年度のGHG排出量データは、2025年秋頃発行予定のESGデータ集2025に記載予定である。さらに、当社は2024年11月に開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」に初出展し、CO2の高効率回収を実現する廃棄物燃焼技術を中核とした、風力発電やメタネーション等を含むシステム・パッケージを展示したほか、当社社長が講演を行い、資源循環による環境負荷低減に向けて挑戦する当社の姿勢について説明した。 DX戦略の推進については、役職員が業務に利用するための生成AI環境の構築やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得など、戦略推進のための基盤整備が進んだほか、DX人材の育成も併せて進めている。 リスク管理の徹底については、重要な戦略リスクの特定、リスク許容度の定義及びこれに基づく戦略的なリスク管理を行う仕組みを導入、推進するために社長直轄のERM (Enterprise Risk Management)室を新設した。今後、ERM室の統括の下にグループリスクのマネジメントを進めていく。 ③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の最終年度となる2025年度における目標を、受注高7,000億円、売上高6,200億円、営業利益270億円(営業利益率4.4%)、ROE8.2%とした。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、継続的事業の比率50%超、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。 (2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 中期経営計画「Forward 25」の中間年度(2024年度)の業績は、海外子会社のKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社の伸長等に加え、円安の影響もあって、受注高、売上高、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも期初の見通しを上回る結果となった。当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の重点施策を実行することで、収益力強化を推進し確実に成果をあげることを目指すとともに、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理の徹底にも引き続き取り組んでいく。 当社グループにおける不適切行為について当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、2024年7月17日付で当社グループから独立した外部有識者で構成される特別調査委員会を設置し、透明性及び実効性を確保した調査を実施した。かかる調査の結果、2025年3月25日及び同年4月30日に公表したとおり、舶用エンジンのほか、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品について、一部に不適切行為が行われていたことが判明した(以下、特別調査委員会の調査の結果判明したこれらの不適切行為を「本件不適切行為」という)。当社グループとしては、本件不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、以下の再発防止策に取り組んでいくことに加え、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策を策定・実施することで、ステークホルダーからの信頼回復に努めていく。<再発防止策>本件不適切行為のうち個々の事案に対して、計測等システム及び業務プロセスの見直し並びに品質管理体制の強化など、それぞれの性質に応じた対策を実施しているほか、各不適切行為に共通する対策として、以下の事項に取り組んでいる。①経営トップによるコミットメント 経営トップがコンプライアンスの徹底を繰り返し発信することにより、当社グループとして不正を絶対に行わないことを役職員に認識させ、また、ステークホルダーに対して、当社グループ全体として不正防止に真摯に取り組む姿勢を示す。②組織風土改革・意識改革・当社グループとして、Kanadevia Valueをはじめとする当社の理念や規範をもとにありたい姿を具体化し、役職員がこれを理解し実践できるよう経営トップからメッセージを発信する。・如何なる理由があっても不正を拒絶し、何か不安や懸念があればお互いに速やかに共有し、適切に問題解決を図ることができる職場づくりを促進する。・組織の縦割り化や業務の属人化を防ぐために、人事ローテーションの活性化を図り、長期間、一人の担当者が同じ業務に従事しないような仕組みを構築する。・職員一人ひとりが不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、自身の役割・責任に対する意識を高めることに着眼した啓発・教育・トレーニングを実施する。③業務プロセスの改善・各部門の業務管理規程と業務の実態を照合し、不正につながるプロセスの排除及び業務所掌の見直しを行い、不正を防止できる実効性のある業務管理規程に改訂する。・経験の浅い職員でも適切に業務を遂行できるよう、業務プロセスの可視化・標準化を推進するとともに業務の効率化を行う。④品質不正防止の取組み・社長を委員長とするコンプライアンス委員会の下部組織として、品質コンプライアンス委員会を設置し、各部門の品質に関係する業務の適切性や、本件不適切行為に関わる是正措置の実施状況についてモニタリングを行う。・グループ内職員向けの品質相談窓口や、同業他社で発覚した品質不正につき当社グループにおいて同様の事案がないかをただちに調査し、問題がある場合は改善する仕組みを構築する。また、特別調査委員会の調査結果・提言等及び当社グループの再発防止策について役職員への周知を図る。 ⑤品質保証部門の人員確保人員補強のほか、品質保証業務に必要な素養・スキルが得られる教育を実施する。⑥取締役会の監督機能強化重大なコンプライアンス違反あるいは可能性がある事案が判明した場合は、速やかに取締役会に報告し、取締役会においてコンプライアンス、内部統制及びエンタープライズリスクマネジメントに関わる議論を徹底する。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績等という。)の概要は次のとおりである。 ①経営成績科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)前期比(%)売上高555,844610,52354,6789.8営業利益24,32326,9462,62210.8経常利益25,64624,329△1,316△5.1親会社株主に帰属する当期純利益18,99922,1033,10316.3 当連結会計年度の経済情勢は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっている。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響等も、国内景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある。 こうした中で、当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」のもと、既存事業の持続的成長、成長事業の創出・拡大、持続可能な経営の推進(企業価値向上)を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進しているところである。 当連結会計年度の経営成績については、売上高は主に環境部門の増加により、前連結会計年度に比べ54,678百万円(9.8%)増加の610,523百万円となった。損益面では、営業利益は、機械・インフラ部門及び脱炭素化部門が悪化したが、環境部門の改善により、前連結会計年度に比べ2,622百万円(10.8%)増加の26,946百万円となった。営業利益は改善したものの、持分法による投資利益の減少及び為替差益の減少等により、経常利益は、前連結会計年度に比べ1,316百万円(5.1%)減少の24,329百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、税金費用の減少等により、前連結会計年度に比べ3,103百万円(16.3%)増加の22,103百万円となった。 ②財政状態科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)前期比(%)連結総資産533,593609,66676,07214.3流動資産347,076357,11410,0372.9固定資産186,475252,53266,05635.4負債の部364,647411,77147,12412.9純資産の部168,946197,89528,94817.1 当連結会計年度末の財政状態について、連結総資産は前連結会計年度末に比べ76,072百万円増加の609,666百万円となった。このうち、流動資産は、前連結会計年度末の347,076百万円から10,037百万円(2.9%)増加し、357,114百万円となった。固定資産は、前連結会計年度末の186,475百万円から66,056百万円(35.4%)増加し、252,532百万円となった。これは、主として当連結会計年度にKanadevia Inova Denmark A/S及びIona Capital Ltdを連結の範囲に含めたことによるものである。負債の部は、前連結会計年度末の364,647百万円から47,124百万円(12.9%)増加し、411,771百万円となった。これは、主として有利子負債の増加によるものである。純資産の部は、前連結会計年度末の168,946百万円から28,948百万円(17.1%)増加し、197,895百万円となった。これは、主として利益剰余金の増加によるものである。 ③キャッシュ・フローの状況科目前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー47824,76924,291投資活動によるキャッシュ・フロー△21,491△56,573△35,081財務活動によるキャッシュ・フロー△2,60630,15032,757現金及び現金同等物の期末残高69,77468,707△1,067 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動により獲得した資金が、投資活動により使用した資金を下回ったことにより、前連結会計年度末に比べ1,067百万円(1.5%)減少の68,707百万円となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度を24,291百万円(5,076.2%)上回る24,769百万円となった。これは、主として前連結会計年度に一部手形の廃止(建設業対象工事及び資本金3億円以下のメーカーに対して手形を廃止し振込による支払いに変更)に伴う仕入債務の支払額が増加したこと等を反映したものである。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、前連結会計年度を35,081百万円(163.2%)上回る56,573百万円となった。これは、主として固定資産の取得による支出及び子会社株式の取得による支出等を反映したものである。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、30,150百万円となった(前連結会計年度は2,606百万円の資金の使用)。これは、主として借入金の増加等を反映したものである。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)環境457,59410.7機械・インフラ119,6967.3脱炭素化72,43026.8その他17,82830.6合計667,55012.1(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。 b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)環境617,36310.51,623,16611.2機械・インフラ91,17912.986,26210.5脱炭素化54,033△25.686,505△15.8その他3,33415.5565△45.9合計765,9107.11,796,4999.5(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。2.受注残高の前期比の算出にあたっては、為替レート変動による影響額を前期末受注残高において修正している。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)環境453,47111.3機械・インフラ82,989△8.8脱炭素化70,24727.1その他3,81464.3合計610,5239.8(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。2.主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対し10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略している。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 ①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。また、工事契約に係る収益認識、貸倒引当金、保証工事引当金及び工事損失引当金等の重要な引当金の計上、固定資産の減損ならびに繰延税金資産の回収可能性の判断などの見積りについては、それぞれ合理的な基準に基づいて実施している。連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。 ②当連結会計年度の経営成績の分析a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度は、期初時点の見通しと比較して、売上高・利益項目ともに達成することができた。また、SDGs(持続可能な開発目標)の概念が世界的に広がり、持続可能な開発・循環型社会の実現に向けて社会は動き出している。この動きは、事業・製品を通じてサステナブル(持続可能)で、安全・安心な社会の実現に貢献するという当社グループの事業の方向性と一致している。こうした状況を踏まえ、当社は、2023年度から3か年の中期経営計画「Forward 25」を策定した。詳細は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針、経営戦略等」に記載している。 b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報(財務戦略の基本的な考え方)当社グループは、流動性の確保と財務体質の強化を基本方針として掲げている。流動性の確保については、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮等による営業キャッシュ・フローの底上げ、国内のグループ会社間でのキャッシュマネジメントシステムによるグループ内の余剰資金の有効活用により、流動性確保、資金効率化を図っている。また、資本市場へのアクセスの継続等により、長期安定資金の確保に対応するとともに、国内金融機関においてコミットメントライン300億円を設定し、マーケット環境の一時的な変化等不測の事態にも対応できる体制を整えている。財務体質の強化については、格付向上を目指し、自己資本の更なる充実と有利子負債のコントロールに努めていく。 また、当社グループは、2023年度を初年度とする中期経営計画(Forward25)において、戦略的な事業投資・開発投資等の実行により、成長事業の創出・拡大をスピードアップする方針である。重点分野である脱炭素化、資源循環、水事業およびライフサイエンス関連事業を中心に投資総額は3年間で1,400億円を計画し、着実に実行している。成長投資に対応しつつ財務健全性の維持・向上を目指すとともに安定的な株主還元を実施し、企業価値の向上に努める。 (資金調達に関する考え方)当社グループは、流動性の確保と資金調達の多様化を目的とし、金融機関からの借入およびグリーンボンドを含む社債発行による調達を行っている。地球温暖化対策や再生可能エネルギー等の事業に取り組む当社グループでは、今後もグリーンボンドをはじめとするグリーンファイナンスを積極的に活用していく。 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」にて、2030年度は売上高900,000百万円レベル、2030年度営業利益率10%の目標を掲げている。2025年度は、売上高620,000百万円、営業利益27,000百万円となる見通しである。また、米国の通商政策、物価上昇及び金融資本市場の変動等の影響が今後さらに拡大する、もしくは影響が長期化するといった状況になれば、収益目標の達成にマイナスの影響が生じるリスクがあるものの、現時点ではそうした影響を織り込んでいない。 d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容セグメント前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)前期比(百万円)売上高営業利益売上高営業利益売上高営業利益環境407,28119,124453,47125,40346,1906,279機械・インフラ90,9842,97382,9891,016△7,994△1,956脱炭素化55,2571,80570,24710114,990△1,703その他2,3214423,8144961,49253セグメント計555,84424,346610,52327,01854,6782,672調整額-△22-△72-△49合計555,84424,323610,52326,94654,6782,622 (環境)売上高は、海外子会社の売上増加により、前連結会計年度に比べ46,190百万円(11.3%)増加の453,471百万円となった。セグメント利益は、国内EPC及び海外子会社の収益改善等により、前連結会計年度に比べ6,279百万円(32.8%)増加の25,403百万円となった。 (機械・インフラ)売上高は、精密機械及びインフラが減少したこと等により、前連結会計年度に比べ7,994百万円(8.8%)減少の82,989百万円となった。セグメント利益は、減収に伴う減益により、前連結会計年度に比べ1,956百万円(65.8%)減少の1,016百万円となった。(脱炭素化)売上高は、風力発電の増加等により、前連結会計年度に比べ14,990百万円(27.1%)増加の70,247百万円となった。セグメント利益は、プロセス機器及び脱炭素化の収益悪化等により、前連結会計年度に比べ1,703百万円(94.4%)減少の101百万円となった。(その他)売上高は前連結会計年度に比べ1,492百万円(64.3%)増加の3,814百万円、セグメント利益は53百万円(12.2%)増加の496百万円となった。

事業リスク

  • 個別受注案件の収益悪化: ごみ焼却発電施設などの大型プロジェクトは、設計・調達・建設(EPC)の各段階で、見積もり以上のコスト発生、工期遅延、技術トラブルによるペナルティが発生する可能性があります。これらの問題は、会社の利益や資金繰りに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 市場競争と素材価格変動: ごみ焼却発電施設や舶用原動機、自動車用プレス機械などの主要製品は、競合他社が多く、価格競争が激しい成熟市場にあります。さらに、鋼材や非鉄金属、原油などの素材価格が高騰すると、製品コストが増加し、収益性が悪化する可能性があります。
  • 海外事業とカントリーリスク: 東南アジア、中国、インド、欧州、米国など世界中で事業を展開しており、進出先の政治情勢不安、貿易問題、文化や法制度の違い、特殊な労使関係などが事業運営を妨げる可能性があります。これにより、海外事業の収益が悪化し、会社全体の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,261 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。(1) 個別受注案件のリスク当社グループでは、主力事業であるごみ焼却発電施設のEPC(設計・調達・建設)をはじめ、個別受注案件が多く、受注時の見積コストを上回る費用の発生、工程遅延による納期遅れ、あるいは技術・製品トラブル等に伴うペナルティが発生した場合には、収益の悪化により当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある。当社では、これらの個別受注案件に伴うリスクの回避及びリスクが顕在化した場合の損失の最小化のため、次のとおり徹底したリスク管理に取り組んでいる。 ① 受注段階におけるリスク管理体制個別受注案件の見積段階において、関係各部門が、技術、コスト、納期、契約条件等に関するリスクの抽出及び評価を行った上でその対策を検討し、計画どおりに工事を完遂するためのリスク検討会を行う等、受注前にあらゆるリスクを検討した上で受注の可否を判断している。 ■受注までのリスク管理プロセス ② 受注後におけるリスク管理体制当社グループの主要な大型受注案件については、次のとおり受注後も継続的にフォローする体制をとり、徹底した収益管理を行っている。イ.工事期間中は、各事業部において、月次フォロー会議を開催し、工事の進捗状況・収益見込みについて継続的なモニタリングを行うことで課題の抽出、対応策を検討し、リスクの発生防止、影響の最小限化に努めている。特に重要な案件については、取締役社長が議長を務めるトップマネジメント・レビュー会議で進捗状況等を報告し、必要に応じて経営幹部による指示・助言を行っている。ロ.工事完工後は、プロジェクト成果報告会を開催し、各工事における成果、課題等を水平展開することで、現在進行中及び今後の工事案件の収益強化及びトラブルの未然防止を図る。 ③ 海外子会社受注案件のリスク管理体制当社連結子会社のうち、Kanadevia Inova AG.、Osmoflo Holdings Pty Ltd、NAC International Inc.等の主要な海外子会社の受注案件については、その案件規模や契約条件等に鑑み、大きなリスクが想定される場合には、当社の事前承認を得ることを義務付けている。さらに、Kanadevia Inova AG.については、プロジェクトの進捗状況、収益状況等をタイムリーに把握するモニタリング組織を同社内に設置し、当社から人員を派遣して個別工事のリスク管理体制を強化している。 (2)事業環境等に関するリスク当社グループを取り巻く事業環境等に関しては、次のとおりリスクを認識しており、各リスクに対する種々の対応策をとっているが、それらの対応策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある。 ① 価格競争当社グループの主要な製品・事業であるごみ焼却発電施設、舶用原動機、自動車用プレス機械、圧力容器等各種プロセス機器、橋梁等は成熟市場にあり、市場内に競合企業が多く、受注価格が下落傾向にある。当社グループでは、新技術の開発、アフターサービスの充実を図ること等により他社との製品差別化を図るとともに、人件費、経費等の固定費削減、固定費構造の変革による競争力の向上に取り組んでいるが、新規案件の減少に伴う競争激化によって受注価格がさらに下落する可能性もあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。 ② 素材価格の高騰当社グループでは、鋼材、ステンレス等の非鉄金属製品、石油製品等を使用する製品・工事が多く、資材調達機能の集中化、グループ調達・共同購買の強化による資材費圧縮に取り組んでいるが、鋼材、非鉄金属、原油をはじめとした素材価格及びその二次製品の価格が上昇した場合、コストアップによる収益悪化や、価格面における競争優位性が得られなくなる等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。 ③ 海外事業、カントリーリスク当社グループでは、環境事業の主力製品であるごみ焼却発電施設については、当社と当社連結子会社のKanadevia Inova AG.との間で事業活動領域を区分し、当社は、東南アジア、中国、インド地域を、Kanadevia Inova AG.は、当社の事業活動領域を除く全世界を主な事業活動領域としており、また、プロセス機器、使用済核燃料保管・輸送機器等の機械事業においては、全世界を事業活動領域として事業活動を展開している。現地のカントリーリスクに関しては、事業の計画段階で情報の収集に努めているが、事業開始後、予想外の政情不安、米中貿易問題、文化や法制度の相違、特殊な労使関係等によりリスクが顕在化した場合は、円滑な業務運営が妨げられ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。なお、ロシア・ウクライナ情勢による影響については、業績への大きな影響はない見通しであるが、引き続き状況を注視し、業績への影響、コンプライアンスリスクや商務リスクについて精査を行いながら適切に対応していく。 ④ 当社グループの事業構造に関するリスク当社グループの事業構造は、今後は縮小が予想される国内案件の比率が高いことから、海外比率を高めるため、海外における事業活動を推進している。また、官需部門の環境事業で確固たる地位を確保している国内市場においても、さらに安定した事業構造とするべく、2023年度を初年度とする中期経営計画「Forward 25」においては、既存事業の持続的成長に向けて、海外事業の持続的伸長、事業構造改革の推進、継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善を行っていくが、これらの事業構造改革が進まない場合には、収益の確保・向上が果たせず、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。 ⑤ 金利上昇及び為替変動当社グループは、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化を進めるとともに、社内管理規程に基づき、金利変動リスク及び為替変動リスクをヘッジしているが、想定以上の金利上昇や為替変動が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。 ⑥ 固定資産の減損当社グループが保有する固定資産について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。 ⑦ 繰延税金資産の回収可能性当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上している。将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っているが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。 ⑧ 災害当社グループは、地震、台風、パンデミック等の各種災害による損害を最小限に抑えるため、国内主要拠点における事業継続計画を策定し、定期的に訓練を実施する等有事の対応力強化に努めるとともに、緊急時に役職員(家族を含む)の安否を確認するための「安否確認システム」を導入・運用しているが、想定外の大規模な人的・物的被害が発生した場合には、事業活動の停止により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。 ⑨ 品質管理リスク当社グループが提供する製品・サービスについては、社内外の基準を遵守するための厳格な品質管理体制を整備・運用しているが、予期せぬ製品・サービスの欠陥や品質不良、品質不正が発生した場合には、損害賠償金の支払いや社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、2024年7月17日付で当社グループから独立した外部有識者で構成される特別調査委員会を設置し、透明性及び実効性を確保した調査を実施した。かかる調査の結果、2025年3月25日及び同年4月30日に公表したとおり、他の事業・製品等についても、一部に不適切行為が行われていたことが判明した。当社グループとしては、これらの不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、再発防止策(再発防止策は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり)に取り組んでいくことに加え、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策を策定・実施し、信頼回復に努めていく。 ⑩ 法令違反等当社グループでは、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つと位置付けており、当社にコンプライアンス委員会を設置して、コンプライアンス経営推進のための諸施策を継続的に実施している。具体的には、当社グループの役職員全員が遵守すべき倫理行動指針をまとめた「カナデビアグループ倫理行動憲章」を制定し、コンプライアンス遵守についてのトップメッセージの発信、社内規程の整備・運用、定期的なコンプライアンス教育の実施、内部通報体制の整備等を行っているが、このような当社グループの経営姿勢が徹底されず、法令違反等を発生させた場合には、罰金や課徴金、損害賠償金等の支払い、営業停止や指名停止等の行政処分、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

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