事業等のリスク
京セラは、国際的な事業活動に伴うリスクとして、予期せぬ法規制変更や経済安全保障政策、関税引き上げなどに直面する可能性があります。また、サプライチェーン全体における人権問題への配慮不足や、情報漏洩、サイバー攻撃、AI技術利用に伴う情報流出などの情報セキュリティリスクも重要です。さらに、技術・販売・管理面で優れた人材の確保が困難になるリスクも認識しており、これらのリスクが財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
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FY2025|15,991 文字
3 【事業等のリスク】 当社は、グローバルなリスクに対応するため、リスクマネジメント体制の整備やコーポレートリスクのマネジメントプロセスを設定し、グループ全体のリスクマネジメント活動を強化しています。また、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであり、すべてのリスクを網羅的に記載しているわけではありません。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。 (1)リスクマネジメント体制 当社は、代表取締役社長を委員長とした「リスクマネジメント委員会」を定期的に開催し、リスクマネジメント方針の検討、コーポレートリスク及びリスクオーナーの審議・選定を行うとともに、対応策の進捗状況のレビューを実施しています。当委員会にて選定したコーポレートリスクに関する議案を取締役会にて決議するとともに、各主管部門、工場・事業所並びにグループ会社に対して方針の共有を行っています。また、専門部署であるリスクマネジメント部を設置することによりリスクマネジメント体制の強化を図っています。 リスクマネジメント体制図 (2)コーポレートリスクのマネジメントプロセス 京セラグループでは、リスクアセスメントを実施し、主要リスクを認識、分析、評価していることに加え、外部専門家によるレポート等で注目されているリスクについても分析・評価を行っています。グループ内の主要リスク及び外部環境で注目されているリスクの中から、経営への影響が特に大きく、対応が必要なコーポレートリスクを特定し、リスク対策の実施やレビュー、対策の改善等、以下のPDCAサイクルを推進しています。 コーポレートリスクのマネジメントプロセス図 (3)事業等のリスク 上記リスクマネジメントプロセスにより特定されたコーポレートリスク及びその対応策は次のとおりです。 [コーポレートリスク]a. 国際的な事業活動に関するリスク 当社は、日本以外に米国や欧州、アジア地域をはじめとする世界各国で事業活動や投資を行っています。これらの海外市場において、当社にとって望ましくない政治的・地政学的・経済的要因により、経済安全保障政策・投資規制・製品や原材料の輸出入の規制・収益の本国送金規制・関税の引き上げ等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、刻々と変化する国際情勢を把握し、カントリーリスクのモニタリングや重要技術情報の流出防止の取り組み強化など、能動的なリスク回避策をとっています。投資規制・収益の本国送金規制については、当社及びグループ各社において規制変更の情報を早期に収集し、当該国で保有する会社財産を国外に退避させるなど、適切に対処するよう取り組むことで、そのリスクの予防・回避に努めています。また、生産拠点についても、国や地域の社会情勢の変化に伴う影響を最小化するため、日本、中国、ベトナム等、グローバルな生産体制の構築を図っています。 b. 人権に関するリスク 世界的な人権に対する配慮の高まりにより、自社だけでなくサプライチェーンにおける人権問題にも配慮が求められています。そのため、これに関する予期できない法律・規制の変更等のリスクやレピュテーションリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、従業員、顧客、株主・投資家並びに取引先等、京セラグループに関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、人権リスクの軽減を推進しています。当社はEU紛争鉱物規則等の法規に対応しており、調達する鉱物に紛争や人権侵害等のリスクが存在するか調査し、リスク評価や是正措置を行うなど、人権に関するリスクの軽減やサプライチェーンの高い透明性の実現に取り組んでいます。また、専門機関と連携しながら人権デューディリジェンスを実施しており、人権リスクの特定、実態調査、是正・軽減に向けた取り組みを推進しています。2024年8月には取締役会決議を経て、「京セラグループ人権方針」の改定を行いました。経営トップコミットメントのもと、人権尊重に関する取り組みを強化・推進していく姿勢を反映するとともに、国際的な指導原則にも沿った内容としています。さらに、人権尊重の活動の一環としてRBA(Responsible Business Alliance)への加盟や、当社及びサプライチェーンに対するハラスメント・差別の禁止教育等を実施しています。 c. 情報セキュリティに関するリスク 当社は、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。これらの情報については、情報機器の故障やソフトウェアの不具合、マルウェアの侵入や高度なサイバー攻撃による不正アクセス等により、情報漏洩や改ざん、滅失、システム停止による事業停止等の被害を受けるリスクがあります。このような事態が発生した場合には、更なるセキュリティ対策や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性及び社会的信用や事業競争力の低下につながる可能性もあります。 また当社は、業務効率や生産性の向上、イノベーションの促進等を実現するため、生成AIをはじめとする各種AI技術の積極的な導入を行っています。AIについては、秘密情報や個人情報の入力による情報漏洩、誤情報の生成、知的財産権侵害、倫理的問題等が懸念されており、これらの問題への対策が不十分な場合、信頼回復のための多額の費用負担や事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、すべての情報資産の重要性の理解と適切な利用・管理に努め、社会全体の信頼に応えるため、目的やセキュリティ対策・行動指針等を定義した「情報セキュリティ基本方針」を定め、継続的に情報セキュリティのリスク予防や軽減に取り組んでいます。また、経営戦略、商品開発、各種ノウハウ、技術等を会社の重要資産と認識した上で、京セラグループ統一の「情報セキュリティ規程」を制定し、情報セキュリティに関する管理体制を整備しています。さらに、情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた規則・ガイドラインを制定し、適宜見直しを行い、従業員への教育を実施しているほか、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策、事業継続計画(BCP)を策定し、情報セキュリティの強化を図っています。外部からのマルウェアの侵入やサイバー攻撃等に対しては、システムの脆弱性対策、システム監視による侵入防止策、インシデント発生時の早期検知、対処、復旧策を講じています。 個人情報については、プライバシーを構成する重要な情報であるとの認識のもと、「個人情報保護方針」や「個人情報保護規程」等の各種規程を制定し、利用目的の明示や管理手順の明確化を行うとともに、個人情報を取り扱う従業員に対して定期的な教育を実施するなど管理の徹底を図っています。さらに、個人情報の漏洩等の事案が発生した場合に備え、関係部署への連絡、被害拡大防止、調査等の必要な措置をあらかじめ定め、社会的信用の喪失防止を図っています。 またAIについては、外部ネットワークから隔離した社内クラウド上のAIの利用を推進するとともに、AIを適正に利用するための「京セラグループAI倫理原則」を策定・公表し、AI倫理委員会の設置等により、責任あるAIの開発・提供及び、利用を推進しています。 d. 優れた人材の確保が困難となるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、さらに多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。近年、各分野において、有能な人材の獲得競争がますます激しさを増してきていることから、当社は今後、現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。また、業務と育児・介護等との両立を支援する勤務体系の導入等、ワークライフバランスの充実化やDEI(Diversity, Equity & Inclusion)の推進を実施しない場合、現有の人材を維持できなくなる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、インフレや労働市場を踏まえた給与水準、海外の更なる現地化促進等、将来を見据えた人材確保の施策に取り組んでいます。また、フレックスタイム制度等の柔軟な勤務体系の導入により、ワークライフバランスの充実化やDEIの推進を図り、多様な人材が働きがいを持って活躍できる職場環境の実現に取り組んでいます。 e. 地震等の災害が発生するリスク 当社は、国内外において多くの開発・製造・事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域での地震・津波や台風、大雨、洪水、大雪、火山噴火等の不可避な自然災害の発生や、設備故障及び人為的ミスにより当社の施設に影響を与える大規模な災害等が発生した場合、当社の事業への影響が考えられます。例えば、大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。さらに、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。また、当社に原材料等を供給するサプライヤーが被害に遭った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。このような災害に伴う被害や、その結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、地震等の自然災害、設備故障及び人為的ミスによる大規模な災害等に対してBCPの体制を整備し、活動を継続しています。具体的には、重要な経営資源である人員、設備、部材、情報について、被害を最小化するための事前対策に加え、万が一被災した場合の早期復旧計画や代替供給策を策定し、教育・訓練を実施することにより、事業中断を回避し、早期に事業再開ができるよう努めています。 上記以外の主要なリスクは、次のとおりです。 [事業活動に関するリスク]f. 日本及び世界経済の変動に関するリスク 当社は、日本のみならず世界各国で事業活動を行っており、それらの国や地域の経済状況によって大きな影響を受ける可能性があります。翌連結会計年度における国内経済及び世界経済については、米国の関税措置及び各国の対抗措置等の影響を主因として、景気の減速や為替相場の急激な変動を含め、極めて不透明な状況が継続する懸念が生じています。当社の主要市場である半導体関連市場や情報通信関連市場、並びに自動車関連市場では、AI関連投資が引き続き堅調に推移することが見込まれるものの、不透明な経済環境の影響により、当社の各事業における需要見通しの不確実性が高まっています。 上記のリスクが顕在化し、想定以上に悪影響を及ぼす場合には、当社の財政状態及び経営成績は、当社の期待を下回る可能性があります。 (主要な対応策) このような事業環境見通しを踏まえ、当社は各事業でのコスト削減を継続的に推進するとともに、将来の高収益企業への回帰に向けて構造改革を着実に進め、経営基盤の強化と収益性の改善を図ります。具体的には、半導体部品有機材料事業及びKAVXグループの黒字化や「選択と集中」による事業ポートフォリオの再編、投資の最適化等の経営施策を着実に実行してまいります。 g. 為替レートの変動に関するリスク 当社は、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を常に受けます。足元では米国の関税措置及び各国の対抗措置等の影響を主因に金融市場における不確実性が高まっていることから、今後為替レートの急激な変動が予想されます。このような急激な変動は、事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストの変動等、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。 また、為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。 (主要な対応策) 当社は、為替レートの変動について、外国為替リスク管理方針に基づき、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。また、海外生産拠点における現地での部材調達の促進により、仕入価格における為替リスクの低減を図っています。 h. 当社製品の競合環境に関するリスク 当社は、多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、競合会社が広範に存在します。当社の競合環境はこれらに限らず、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。特定の事業分野に特化している多くの競合会社と異なり、当社は多角的に事業を展開しているため、個々の事業分野に関しては、競合会社ほど出資や投資を行うことができない可能性があります。当社の競合会社は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を当社の個々の事業より多く有している可能性があります。また、競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予想され、その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源を有しています。これらの経営資源を有効活用するため、グループ内の連携強化を図り、高付加価値製品の提供等により、競争優位性の確保に努めています。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿った新製品の開発に早く着手することにより、競争力の強化を図っています。さらに、製品価格の下落に対しては、当社独自の経営管理システム「アメーバ経営」の実践を通じた部門別採算管理の徹底により、原価低減を図り、高い競争力の実現に取り組んでいます。 i. 生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に関するリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇や原油高による輸送コストの上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、原材料の正味実現可能価額(通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積追加原価及び販売に要する見積費用を控除した額)が原価を下回った場合には、正味実現可能価額まで評価減しており、今後も評価減を行う可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給元を確保できない可能性や、合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、購買活動にあたり、「購買基本方針」を定め、会社概況やサステナビリティに関する各種調査を通じて信頼のおける供給業者を選定するとともに、複数社からの購買を基本方針としており、安定的かつ適正価格での調達に努めています。昨今の労務費や原材料費、エネルギー価格等の高騰を受け、当社はサプライヤーからの適正な価格転嫁について協議するとともに、顧客に対して適正な価格転嫁交渉を行っています。また、当社は多岐にわたる事業を有していることから、原材料や部材の調達において、スケールメリットを活かした価格交渉力の向上を図るとともに、各事業で原価低減にも取り組んでいます。さらに、当社は、素材・部品からデバイス、機器、システム、サービスに至るまで事業を展開していることから、各事業で使用する部材や部品の一部をグループ内で調達しています。これにより、外部から調達している部材、部品を確保できない場合、グループ内での調達に切り替えるなどの対応を検討することが可能です。 j. 外部委託先や社内工程における製造の遅延または不良の発生に関するリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の取引先に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする取引先も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼし、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。さらに、当社の製造工程においては、製品への微小不純物の混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる、損害賠償請求を受ける等、業績に重大な影響を与える場合があります。また、当社製品の品質問題によりリコールや大規模な製品事故が発生した場合は、多額の費用の発生や社会的信用の低下につながる場合があります。これらのリスクに加え、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、外部委託先の選定にあたり「購買基本方針」を定め、十分な検討の上、委託先を選定しています。また、当社では、社内で確立した製造工程について原材料・部品等を支給し、設備及び製造仕様書を委託先に貸与することにより、当社と同じ生産管理や品質マネジメントシステムのもと、顧客への納期及び品質要求に対応しています。 社内においては、各業界に応じた品質基準に基づき厳格な品質管理のもと、顧客に対して製品を供給しています。また、データサイエンスを用いた品質改善や、AIやロボットを活用した生産性改善に向けた取り組みを継続的に実施し、リスクの低減に努めています。 k. 生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 近年、AIや5G/6G等の新技術が急速に進展しており、これらの新技術はスマートフォンやサーバー等の情報通信分野だけでなく、自動車やFA等の幅広い産業へ波及していくことが予想されます。このような見通しに伴い、当社が手掛けるファインセラミック部品や電子部品等においても中長期的な需要の拡大が期待されるとともに、客先からの技術要求の更なる高度化が想定されます。また、技術の進化と併せて、脱炭素等の環境対応や労働人口減少に対する生産現場のスマート化の進展等、様々な社会課題の解決に貢献する技術やサービスへのニーズが高まっています。当社は、これらの市場動向に応じた生産及び開発体制の構築を図っていますが、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により計画どおりに拡大できない場合、新たに生産された製品や開発された技術から期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、現在収益性の向上に向けた競争優位性の追求及び経営リソースの集中を基本方針とした構造改革に取り組んでいます。投資効率や競争優位性の観点から、投資領域や開発テーマの見直しを適宜実施し、設備投資や研究開発活動など成長投資の適正化を推進することにより、上記リスクの低減に努めてまいります。 l. 買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク 当社は、事業を発展させるため、買収による会社または資産の取得を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、取得後、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性があります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待どおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(主要な対応策) 当社は、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について、社外専門家による事業価値のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。取得後においては、PMI(Post Merger Integration)を進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 m. 感染症の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社は、グローバルに事業を拡大していることに伴い、感染症の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクがあります。このような事態においては、開発・製造・販売・サービス等の事業活動の中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような状況が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、危険性が高い感染症については、政府指針や社内規程に基づいた対策を講じ、感染防止に努めています。 また、戦争・紛争等の武力衝突が発生した場合、本社に対策本部を設置し、グループの重要情報の一元化を図り、対応が求められる事案を協議します。 [法規制・訴訟に関するリスク]n. 当社の企業秘密や知的財産・ブランド価値に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産を守らなければなりません。次の状況が生じた場合は、当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。・当社の企業秘密を保有する従業員が在職中もしくは転職後に当社の企業秘密を不適切に漏洩した場合・ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等が当社の企業秘密を不適切に漏洩した場合・他社より当社に転職した従業員が当該他社情報を不適切に当社の事業活動に流用した場合・当社のブランド価値を毀損するような模倣品が販売された場合・当社が知的財産権を取得している独自開発技術・製品(システム・ソフトウェア含む)・サービスが他社によって侵害された場合 また、当社は戦略的に知的財産を出願していますが、こうした出願が登録されない可能性があり、また登録されても無効にされる可能性、あるいは登録された当社の知的財産権を回避される可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と誓約書・秘密保持契約など必要に応じて各種契約を締結しています。また、他社より当社に転職する社員に対しては、当該他社の属性に応じて適宜、当該他社の秘密情報を当社事業に流用しないことを誓約させています。当社が独自に開発した技術・製品・サービスについては、国内外において知的財産権を取得し、侵害者の排除に努めています。また、当社の知的財産については、先行調査を十分に実施した上で出願を行うことにより、登録可能性を高めるとともに、様々な観点から当該事業分野や製品を戦略的に網羅する複数の強い知的財産権を取得し、これらの知的財産を活用することで事業に貢献する活動を行っています。さらに当社のブランド価値の維持向上を図るため、知的財産権を活用した模倣品の摘発を行っています。 o. 当社製品の製造・販売を続ける上で必要なライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、知的財産権の実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。特に通信技術に関連する製品では、第三者の標準必須特許に対する高額の実施許諾料の支払いを要求される可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止命令を受ける事態が発生しないということ、及び、差止命令によって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の実施許諾料の支払いを要求されないこと。 (主要な対応策) 当社は、新技術・新製品・新サービスを開発する際には、事前に第三者の知的財産権を調査して、知的財産リスクの低減に取り組んだ上で事業を行うように努めています。それでも第三者から侵害の申し立てがあった場合は誠実に対応を行い、必要に応じて適正な和解金や実施許諾料を支払うことで解決を図ります。 p. コンプライアンスに関するリスク 当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」をベースにコンプライアンスの徹底に努めています。しかしながら、このような徹底が十分になされず、法令違反や社会規範に反した行動が発生した場合、信用失墜による顧客からの取引停止、罰則金の支払い、損害賠償請求等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、コンプライアンス活動が社是や京セラフィロソフィの延長にある重要な活動であることを理解するとともに、各国の関連法令の遵守がステークホルダーの信頼にもつながる極めて重要な活動であることを理解し、専門部署であるグローバルコンプライアンス推進部の設置や「京セラコンプライアンス憲章」の制定等、コンプライアンス活動に積極的に取り組んでいます。また、各法令の主管部門による法令遵守体制の構築や管理、新規法令の施行時や法令改正時の社内連絡体制の構築、内部通報制度の導入、全従業員のコンプライアンス意識の向上に資する施策に重点的に取り組むコンプライアンス推進月間の制定、役員や従業員に対する定期的なコンプライアンス教育等により、法令を遵守し、社会規範に則った企業活動の徹底を図っています。さらに、グローバルなコンプライアンスリスクを察知・共有することを目的に、国内外の主要なグループ会社の法務・コンプライアンス・知的財産部門の責任者が参加する「グローバル法務・コンプライアンス・知的財産会議」を定期的に開催し、各社のコンプライアンス活動及び法的な課題・対策に関して議論を行っています。 q. 環境に関連する費用負担や損害賠償責任等が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、さらに当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から浄化費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境浄化費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。これらの環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、事業活動にあたり、経営理念を基本とした環境安全に関する総合的な取り組みを推進するため、製品のライフサイクルを通した環境負荷の低減、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の抑制等、「京セラグループ環境安全方針」を制定し、環境関連法の遵守を徹底するとともに、規制の変更等への適切な把握、対応に努めています。 r. 世界的な気候変動に関するリスク 世界的な気候変動等により、当社に適用される環境関連法令が将来さらに厳しくなる可能性や、適用の範囲が拡大される可能性があります。対応の不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できず、コストの増加や企業ブランドの低下を招くリスクがあります。 脱炭素社会への移行リスクについては、各国で更新された排出量削減目標が当社の目標より高い場合や、新たに炭素税が導入された場合、当社の製造コストが一時的に増加する可能性があります。また、顧客より製品のカーボンフリー化の要求が拡大した場合、当社の製造コストが増加する可能性があります。一方、社会の脱炭素化の動きは、当社のエネルギー関連事業の成長につながる機会として捉えることができます。 物理リスクでは、異常気象が激甚化した場合、自然災害による操業停止、生産減少、設備復旧等に係るコストや、自然災害対策費用並びに保険料等が増加する可能性があります。また、水不足等により生産が減少する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、気候変動問題を重要な経営課題の一つとして位置付け、代表取締役社長を委員長とする「京セラグループサステナビリティ委員会」において、長期環境目標の決定やその達成に向けた対策等について審議を行っています。また当社は、エネルギー関連事業の推進により、再生可能エネルギーの普及を図るとともに、製造工程での省エネルギー化及び再生可能エネルギーの導入により、温室効果ガス排出量の削減に努めています。なお、当社グループの長期環境目標については、「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)気候変動への対応 d. 指標及び目標」を参照ください。 [財務会計に関するリスク]s. 当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は、売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において当社の売掛債権は、担保物件や信用保証により、すべては保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する売掛債権の回収が困難となり、保全されていない多額の債権が発生した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に与信の見直しを行っています。また、回収期限を日次で管理しており、回収遅延や信用不安が発生した場合は、個別に債権回収、条件変更、担保・保証の入手等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めています。 t. 当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク 当社は、取引関係の維持及び株式保有による収益獲得を通じた企業成長、並びに企業の社会的意義等を踏まえ、中長期的に当社の企業価値を向上させるという視点に立ち、当社の関係会社以外の資本性証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。当社は、第二電電㈱(現KDDI㈱)を設立して以来同社株式を保有しており、2025年3月31日現在の保有比率はKDDI㈱の発行済株式の15.29%となっています。KDDI㈱の事業発展に伴い同社株式の価値が増加した結果、同社株式への投資は当社の総資産の約35%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、当該株式を含むすべての資本性金融商品の一部である政策保有株式について、毎年の保有に係る検証の結果、保有意義がないと判断された場合、適宜縮減を進めています。また、保有株式の株価変動が当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知するため、定期的に株価のモニタリングを行っています。 2024年3月期には政策保有株式の更なる縮減に向けて、当面の縮減目標を「2026年3月期までに簿価の5%以上を縮減すること」とし、2025年3月期までに約3%を縮減しました。さらに、今後の資金需要及び当社の事業戦略と資本戦略の両面における企業変革の推進にあたり、2026年3月期から2027年3月期の2年間において、当社が保有する政策保有株式の3分の1程度を売却するとともに、以降も純資産の20%未満を目指し継続的に縮減するという目標を設定しました。 u. 有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損処理に関するリスク 当社は、多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損の判定を行っています。これらの資産が減損していると判断された場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、「l. 買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク」に記載のとおり、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。また、取得後においては、PMIを進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 v. 法人所得税等に関するリスク 当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて、発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。また、移転価格税制・タックスヘイブン対策税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、子会社が立案する年間事業計画について、達成度を適時確認し、都度適切な施策を実行することで、繰延税金資産の回収可能性に変更が生じないよう努めています。また、各国における税制変更及び税務調査に対しては、社外専門家を利用し、リスクの最小化に努めています。海外の税制については、税務情報を適時適切に提出することにより各国の税務当局と信頼関係を築き、必要に応じて事前照会を実施することで税務リスク低減に努めています。特に、グループ内の国際間取引については、OECD移転価格ガイドラインに従った独立企業間価格に基づいた取引を行うとともに、税務当局との事前確認制度を活用し、適正な納税に努めています。また、過度な節税を目的とする低税率国・地域(いわゆるタックスヘイブン地域)への税源の移転を防止し、各国の税制に従い適正な申告納税に努めています。 w. 会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には、一定の投資もしくは費用が必要となります。 (主要な対応策) 当社は、IFRSを連結財務諸表等に適用しているため、IFRSに適切に対応するための部門を設置するとともに、国際会計基準審議会が公表する基準書や解釈指針等を随時入手し、新会計基準に対応できる体制を整えています。会計基準の変更時には、財政状態及び経営成績に及ぼす影響を把握した上で適切に開示します。さらに、会計基準の変更に際して、有効な財務報告に係る内部統制を構築するために一定の投資額は必要となりますが、変更内容を適切に把握した上で投資の要否を決定します。
FY2024|15,583 文字
3 【事業等のリスク】 当社は、グローバルなリスクに対応するため、リスクマネジメント体制の整備やコーポレートリスクのマネジメントプロセスを設定し、グループ全体のリスクマネジメント活動を強化しています。また、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであり、すべてのリスクを網羅的に記載しているわけではありません。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。 (1)リスクマネジメント体制 当社は、代表取締役社長を委員長とした「リスクマネジメント委員会」を定期的に開催し、リスクマネジメント方針、コーポレートリスク並びにリスクオーナーの決定を行うとともに、対応策の進捗状況のレビューを実施しています。当委員会にて審議した議案を取締役会に報告するとともに、各主管部門、工場・事業所並びにグループ会社に対して方針の共有を行っています。また、2023年4月より専門部署であるリスクマネジメント部を設置し、リスクマネジメント体制の強化を図っています。 リスクマネジメント体制図 (2)コーポレートリスクのマネジメントプロセス 京セラグループでは、リスクアセスメントを実施し、主要リスクを認識、分析、評価していることに加え、外部専門家によるレポート等で注目されているリスクについても分析・評価を行っています。グループ内の主要リスク及び外部環境で注目されているリスクの中から、経営への影響が特に大きく、対応が必要なコーポレートリスクを特定し、リスク対策の実施やレビュー、対策の改善等、以下のPDCAサイクルを推進しています。 コーポレートリスクのマネジメントプロセス図 (3)事業等のリスク 上記リスクマネジメントプロセスにより特定されたコーポレートリスク及びその対応策は次のとおりです。 [コーポレートリスク]a. 国際的な事業活動に関するリスク 当社は、日本以外に米国や欧州、アジア地域をはじめとする世界各国で、製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、当社にとって望ましくない政治的・地政学的・経済的要因により、経済安全保障政策・投資規制・製品や原材料の輸出入の規制・収益の本国送金規制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、経済安全保障対策プロジェクトにおいて、刻々と変化する国際情勢を把握し、カントリーリスクのモニタリングを実施するなど、能動的なリスク回避策をとっています。 投資規制・収益の本国送金規制については、当社及びグループ各社において規制変更の情報を早期に収集し、当該国で保有する会社財産を国外に退避させるなど、適切に対処するよう取り組むことで、そのリスクの予防・回避に努めます。 b. 人権に関するリスク 世界的な人権に対する配慮の高まりにより、自社だけでなくサプライチェーンにおける人権問題にも配慮が求められています。そのため、これに関する予期できない法律・規制の変更等のリスクやレピュテーションリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、従業員、顧客、株主・投資家並びに取引先等、京セラグループに関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、人権リスクの軽減を推進しています。当社はEU紛争鉱物規則等の法規に対応しており、調達する鉱物に紛争や人権侵害等のリスクが存在するか調査し、リスク評価や是正措置を行うなど、人権に関するリスクの軽減やサプライチェーンの高い透明性の実現に取り組んでいます。また、専門機関と連携しながら人権デューディリジェンスを実施しており、人権リスクの特定、実態調査、是正・軽減に向けた取り組みを推進しています。さらに、人権尊重の活動の一環としてRBA(Responsible Business Alliance)への加盟や、当社及びサプライチェーンに対するハラスメント・差別の禁止教育等を実施しています。 c. 情報セキュリティに関するリスク 当社は、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。これらの情報については、情報機器の故障やソフトウェアの不具合、マルウェアの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、滅失、システム停止によるアクセス困難等の被害を受けるリスクがあります。このような事態が発生した場合には、更なるセキュリティ対策や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するため、今後の技術革新や顧客からの最新のセキュリティ要求事項にも対応していく必要があります。これらの問題への対策が不十分な場合、当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があり、社会的信用や事業競争力の低下につながる可能性もあります。 また当社は、業務効率や生産性の向上、イノベーションの促進等を実現するため、生成AIをはじめとする各種AI技術の積極的な導入を行っています。一方、生成AIについては秘密情報や個人情報の入力による情報漏洩、誤情報の生成、知的財産権侵害、倫理的問題等が懸念されており、これらの問題への対策が不十分な場合、信頼回復のための多額の費用負担や事業運営に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、すべての情報資産の重要性の理解と適切な利用・管理に努め、社会全体の信頼に応えるため、目的やセキュリティ対策・行動指針等を定義した「情報セキュリティ基本方針」を定め、継続的に情報セキュリティのリスク予防や軽減に取り組んでいます。また、経営戦略、商品開発、各種ノウハウ、技術等を会社の重要資産と認識した上で、京セラグループ統一の「情報セキュリティ管理方針」を制定し、情報セキュリティに関する管理体制を整備しています。さらに、情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた各種規程を制定し、適宜見直しを行い、従業員への教育を実施しているほか、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策、事業継続計画(BCP)を策定し、情報セキュリティの強化を図っています。外部からのマルウェアの侵入やサイバー攻撃等に対しては、システムの脆弱性対策、システム監視による侵入防止策、インシデント発生時の早期検知、対処、復旧策を講じています。また生成AIについては、外部ネットワークから隔離した社内クラウド上の生成AIの利用を推進するとともに、生成AIを適正に利用するためのガバナンス体制の構築検討やガイドラインの策定、従業員への教育を実施しています。d. 優れた人材の確保が困難となるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、さらに多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。近年、各分野において、有能な人材の獲得競争がますます激しさを増してきていることから、当社は今後、現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。また、業務と育児・介護等との両立を支援する勤務体系の導入等、ワークライフバランスの充実化やDEI(Diversity, Equity & Inclusion)の推進を実施しない場合、現有の人材を維持できなくなる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、インフレや労働市場を踏まえた給与水準、海外の更なる現地化促進等、将来を見据えた人材確保の施策に取り組んでいます。また、在宅勤務やフレックスタイム制度等の柔軟な勤務体系の導入により、ワークライフバランスの充実化やDEIの推進を図り、多様な人材が働きがいを持って活躍できる職場環境の実現に取り組んでいます。 e. 地震等の災害が発生するリスク 当社は、国内外において多くの開発・製造・事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域での地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪、噴火等の不可避な自然災害の発生や、設備故障及び人為的ミスにより当社の施設に影響を与える大規模な災害等が発生した場合、当社の事業への影響が考えられます。例えば、大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。さらに、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。また、当社に原材料等を供給するサプライヤーが被害に遭った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。このような災害に伴う被害や、その結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、地震等の自然災害、設備故障及び人為的ミスによる大規模な災害等に対してBCPの体制を整備し、活動を継続しています。具体的には、重要資源である人員、設備、部材、情報について、被害を最小化するための事前対策に加え、万が一被災した場合の早期復旧計画や代替供給策を策定し、教育・訓練を実施することにより、事業中断を回避し、早期に事業再開ができるよう努めています。 上記以外の主要なリスクは、次のとおりです。 [事業活動に関するリスク]f. 日本及び世界経済の変動に関するリスク 当社の製品やサービスは、日本のみならず世界各国で製造、販売しており、それらの国や地域の経済状況によって大きな影響を受ける可能性があります。 翌連結会計年度は、地政学的リスクや世界各国の政治・金融リスク等の懸念等により、世界経済の成長が鈍化する恐れがあります。 このような経営環境において、当社の主要市場である半導体、情報通信、自動車関連市場は、AIやIoT、DX等の更なる普及に伴う継続的な市場拡大が見込まれていますが、上記のリスクが顕在化し、想定以上に悪影響を及ぼす場合には、当社の財政状態及び経営成績は、当社の期待を下回る可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、製品及びサービスの安定供給と、国や地域の経済状況の変化による影響を最小化するため、日本国内や東南アジア地域での設備投資の拡充と生産活動拠点の最適化に努めています。また、適時適切な意思決定を実現するため、最新の需要動向を把握するマーケティング機能を強化しています。さらに、世界的な金利上昇に伴う借入コストを低減するとともに、戦略投資をタイムリーに実施できる体制を構築するため、保有金融資産を有効活用した銀行借入を実施しています。 g. 為替レートの変動に関するリスク 当社は、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。 また、為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。 (主要な対応策) 当社は、為替レートの変動について、外国為替リスク管理方針に基づき、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。また、海外生産拠点における現地での部材調達の促進により、仕入価格における為替リスクの低減を図っています。 h. 当社製品の競合環境に関するリスク 当社は、多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、競合会社が広範に存在します。当社の競合環境はこれらに限らず、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。特定の事業分野に特化している多くの競合会社と異なり、当社は多角的に事業を展開しているため、個々の事業分野に関しては、競合会社ほど出資や投資を行うことができない可能性があります。当社の競合会社は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を当社の個々の事業より多く有している可能性があります。また、競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予想され、その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源を有しています。これらの経営資源を有効活用するため、グループ内の連携強化を図り、高付加価値製品の提供等により、競争優位性の確保に努めています。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿った新製品の開発に早く着手することにより、競争力の強化を図っています。さらに、製品価格の下落に対しては、当社独自の経営管理システム「アメーバ経営」の実践を通じた部門別採算管理の徹底により、原価低減を図り、高い競争力の実現に取り組んでいます。 i. 生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に関するリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇や原油高による輸送コストの上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、原材料の正味実現可能価額(通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積追加原価及び販売に要する見積費用を控除した額)が原価を下回った場合には、正味実現可能価額まで評価減しており、今後も評価減を行う可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給元を確保できない可能性や、合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、購買活動にあたり、「購買基本方針」を定め、会社概況やサステナビリティに関する各種調査を通じて信頼のおける供給業者を選定するとともに、複数社からの購買を基本方針としており、安定的かつ適正価格での調達に努めています。 昨今の労務費や原材料費、エネルギー価格等の高騰を受け、当社はサプライヤーからの適正な価格転嫁について協議するとともに、顧客に対して適正な価格転嫁交渉を行っています。また、当社は多岐にわたる事業を有していることから、原材料や部材の調達において、スケールメリットを活かした価格交渉力の向上を図るとともに、各事業で原価低減にも取り組んでいます。 さらに、当社は、素材・部品からデバイス、機器、システム、サービスに至るまで事業を展開していることから、各事業で使用する部材や部品の一部をグループ内で調達しています。これにより、外部から調達している部材、部品を確保できない場合、グループ内での調達に切り替えるなどの対応を検討することが可能です。 j. 外部委託先や社内工程における製造の遅延または不良の発生に関するリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の取引先に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする取引先も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼし、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。さらに、当社の製造工程においては、製品への微小不純物の混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる、損害賠償請求を受ける等、業績に重大な影響を与える場合があります。また、当社製品の品質問題によりリコールや大規模な製品事故が発生した場合は、多額の費用の発生や社会的信用の低下につながる場合があります。これらのリスクに加え、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、外部委託先の選定にあたり「購買基本方針」を定め、十分な検討の上、委託先を選定しています。また、当社では、社内で確立した製造工程について、原材料・部品等を支給し、設備及び製造仕様書を委託先に貸与することにより、当社と同じ生産管理や品質マネジメントシステムのもと、顧客への納期及び品質要求に対応しています。 社内においては、各業界に応じた品質基準に基づき厳格な品質管理のもと、顧客に対して製品を供給しています。また、データサイエンスを用いた品質改善や、AIやロボットを活用した生産性改善に向けた取り組みを継続的に実施し、リスクの低減に努めています。 k. 生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は、需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。特に近年のAIをはじめとする新技術の進展により、中長期的に5G/6Gや半導体、モビリティ関連市場での高精細、高性能、高品質な各種製品の需要が見込まれます。こうした市場動向に応じた生産及び開発能力の拡大並びにニーズの変化にタイムリーに対応するための供給体制の構築を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により計画どおりに拡大できない場合、新たに生産された製品や開発された技術から期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、高シェア製品を中心に引き続き国内外において新工場棟の建設を進めるとともに、デジタル技術の活用による生産現場のスマートファクトリー化等の積極的な設備投資を進め、既存事業の拡大に努めます。また、新製品・新技術開発の促進に向けて、グループ内外の経営リソースの一層の活用による開発力の強化及びスピードアップ、並びに人材育成に努め、事業領域の拡大を図ります。さらに、長期的な事業成長を支える新規事業の創出に向けた研究開発への投資も積極的に進めています。新素材等の応用展開による様々な領域への新製品開発をはじめ、当社の強みである幅広い技術資産を組み合わせることにより、独自性が高く、社会課題の解決に貢献する新規事業の創出を図り、リスク低減に努めています。 l. 買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク 当社は、事業を発展させるため、買収による会社または資産の取得を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、取得後、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性があります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待どおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(主要な対応策) 当社は、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について、社外専門家による事業価値のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。取得後においては、PMI(Post Merger Integration)を進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 m. 感染症の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社は、グローバルに事業を拡大していることに伴い、感染症の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクがあります。このような事態においては、開発・製造・販売・サービス等の事業活動の中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような状況が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、危険性が高い感染症については、政府指針や社内規程に基づいた対策を講じ、感染防止に努めています。 また、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢に関するリスクについては、本社に対策本部を設置し、刻々と変化する状況を注視するとともに、グループの重要情報の一元化を図り、対応が求められる事案を協議しています。 [法規制・訴訟に関するリスク]n. 当社の企業秘密や知的財産・ブランド価値に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産を守らなければなりません。当社の企業秘密を保有する従業員が在職中もしくは転職後に、またジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等が当社の企業秘密を不適切に漏洩した場合、もしくは他社より当社に転職した従業員が当該他社情報を不適切に当社の事業活動に流用した場合、または当社が知的財産権を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、あるいは当社のブランド価値を毀損するような模倣品が販売された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は戦略的に知的財産を出願していますが、こうした出願が登録されない可能性があり、また登録されても無効にされる可能性、あるいは登録された当社の知的財産権を回避される可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、他社より当社に転職する社員に対しては、当該他社の属性に応じて適宜、当該他社の秘密情報を当社事業に流用しないことを誓約させています。当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において知的財産権を取得し、侵害者の排除に努めています。また、当社の知的財産については、先行調査を十分に実施した上で出願を行うことにより、登録可能性を高めるとともに、様々な観点から当該事業分野や製品を戦略的に網羅する複数の強い知的財産権を取得し、これらの知的財産を活用することで事業に貢献する活動を行っています。さらに当社のブランド価値の維持向上を図るため、知的財産権を活用した模倣品の摘発を行っています。 o. 当社製品の製造・販売を続ける上で必要なライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、知的財産権の実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。特に通信技術に関連する製品では、第三者の標準必須特許に対する高額の実施許諾料の支払いを要求される可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止命令を受ける事態が発生しないということ、及び、差止命令によって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の実施許諾料の支払いを要求されないこと。 (主要な対応策) 当社は、新技術・新製品を開発する際には、事前に第三者の知的財産権を調査して、知的財産リスクの低減に取り組んだ上で事業を行うように努めています。それでも第三者から侵害の申し立てがあった場合は、誠実に対応を行い、必要に応じて適正な和解金や実施許諾料を支払うことで解決を図ります。 p. コンプライアンスに関するリスク 当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」をベースにコンプライアンスの徹底に努めています。しかしながら、このような徹底が十分になされず、法令違反や社会規範に反した行動が発生した場合、信用失墜による顧客からの取引停止、罰則金の支払い、損害賠償請求等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、コンプライアンス活動が社是や京セラフィロソフィの延長にある重要な活動であることを理解するとともに、各国の関連法令の遵守がステークホルダーの信頼にもつながる極めて重要な活動であることを理解し、専門部署であるグローバルコンプライアンス推進部の設置や「京セラコンプライアンス憲章」の制定等、コンプライアンス活動に積極的に取り組んでいます。また、各法令の主管部門による法令遵守体制の構築や管理、新規法令の施行時や法令改正時の社内連絡体制の構築、内部通報制度の導入、定期的な法令監査の実施、全従業員のコンプライアンス意識の向上に資する施策に重点的に取り組むコンプライアンス月間の制定、役員や従業員に対する定期的なコンプライアンス教育等により、法令を遵守し、社会規範に則った企業活動の徹底を図っています。さらに、グローバルなコンプライアンスリスクを察知・共有することを目的に、国内外の主要なグループ会社の法務・コンプライアンス・知的財産部門の責任者が参加する「グローバル法務・コンプライアンス・知的財産会議」を定期的に開催し、各社のコンプライアンス活動及び法的な課題・対策に関して議論を行っています。 q. 環境に関連する費用負担や損害賠償責任等が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、さらに当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から浄化費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境浄化費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。これらの環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、事業活動にあたり、経営理念を基本とした環境安全に関する総合的な取り組みを推進するため、製品のライフサイクルを通した環境負荷の低減、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の抑制等、「京セラグループ環境安全方針」を制定し、環境関連法の遵守を徹底するとともに、規制の変更等への適切な把握、対応に努めています。 r. 世界的な気候変動に関するリスク 世界的な気候変動等により、当社に適用される環境関連法令が将来さらに厳しくなる可能性や、適用の範囲が拡大される可能性があります。対応の不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できず、コストの増加や企業ブランドの低下を招くリスクがあります。 脱炭素社会への移行リスクについては、各国で更新された排出量削減目標が当社の目標より高い場合や、新たに炭素税が導入された場合、当社の製造コストが一時的に増加する可能性があります。また、顧客より製品のカーボンフリー化の要求が拡大した場合、当社の製造コストが増加する可能性があります。一方、社会の脱炭素化の動きは、当社のエネルギー関連事業の成長につながる機会として捉えることができます。物理リスクでは、異常気象が激甚化した場合、自然災害による操業停止、生産減少、設備復旧等に係るコストや、自然災害対策費用並びに保険料等が増加する可能性があります。また、水不足等により生産が減少する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、気候変動問題を重要な経営課題の一つとして位置付け、代表取締役社長を委員長とする京セラグループサステナビリティ委員会において、長期環境目標の決定やその達成に向けた対策等について審議を行っています。 また当社は、エネルギー関連事業の推進により、再生可能エネルギーの普及を図るとともに、製造工程での省エネルギー化及び再生可能エネルギーの導入により、温室効果ガス排出量の削減に努めています。 なお、当社グループの長期環境目標については、「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)気候変動への対応 d. 指標及び目標」を参照ください。 [財務会計に関するリスク]s. 当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は、売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において当社の売掛債権は、担保物件や信用保証により、すべては保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する売掛債権の回収が困難となり、保全されていない多額の債権が発生した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に与信の見直しを行っています。また、回収期限を日次で管理しており、回収遅延や信用不安が発生した場合は、個別に債権回収、条件変更、担保・保証の入手等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めています。 t. 当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク 当社は、取引関係の維持及び株式保有による収益獲得を通じた企業成長、並びに企業の社会的意義等を踏まえ、中長期的に当社の企業価値を向上させるという視点に立ち、当社の関係会社以外の資本性証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。当社は、第二電電㈱(現KDDI㈱)を設立して以来同社株式を保有しており、2024年3月31日現在の保有比率はKDDI㈱の発行済株式の14.55%となっています。KDDI㈱の事業発展に伴い同社株式の価値が増加した結果、同社株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、KDDI㈱の株式については、経済合理性及び当社の中長期的な企業価値向上に向けた同社との戦略的連携の追求、並びに当社の持続的成長に必要となる投資資金の調達に活用しています。 なお、当該株式を含むすべての資本性金融商品の一部である政策保有株式については、毎年の保有に係る検証の結果、保有意義がないと判断された場合、適宜縮減を進めています。また、保有株式の株価変動が当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知するため、定期的に株価のモニタリングを行っています。なお、当社は、政策保有株式の更なる縮減に向けて、当面の縮減目標を「2026年3月期までに簿価の5%以上を縮減すること」としています。 u. 有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損処理に関するリスク 当社は、多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損の判定を行っています。これらの資産が減損していると判断された場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、「l. 買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク」に記載のとおり、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。また、取得後においては、PMIを進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 v. 法人所得税等に関するリスク 当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて、発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。 なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。 また、移転価格税制・タックスヘイブン対策税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、子会社が立案する年間事業計画について、達成度を適時確認し、都度適切な施策を実行することで、繰延税金資産の回収可能性に変更が生じないよう努めています。また、各国における税制変更及び税務調査に対しては、社外専門家を利用し、リスクの最小化に努めています。海外の税制については、税務情報を適時適切に提出することにより各国の税務当局と信頼関係を築き、必要に応じて事前照会を実施することで税務リスク低減に努めています。特に、グループ内の国際間取引については、OECD移転価格ガイドラインに従った独立企業間価格に基づいた取引を行うとともに、税務当局との事前確認制度を活用し、適正な納税に努めています。また、過度な節税を目的とする低税率国・地域(いわゆるタックスヘイブン地域)への税源の移転を防止し、各国の税制に従い適正な申告納税に努めています。 w. 会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には、一定の投資もしくは費用が必要となります。 (主要な対応策) 当社は、IFRSを連結財務諸表等に適用しているため、IFRSに適切に対応するための部門を設置するとともに、国際会計基準審議会が公表する基準書や解釈指針等を随時入手し、新会計基準に対応できる体制を整えています。会計基準の変更時には、財政状態及び経営成績に及ぼす影響を把握した上で適切に開示します。さらに、会計基準の変更に際して、有効な財務報告に係る内部統制を構築するために一定の投資額は必要となりますが、変更内容を適切に把握した上で投資の要否を決定します。
FY2023|14,939 文字
3 【事業等のリスク】 当社は、グローバルなリスクに対応するため、リスクマネジメント体制の整備やコーポレートリスクのマネジメントプロセスを設定し、グループ全体のリスクマネジメント活動を強化しています。また、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであり、すべてのリスクを網羅的に記載しているわけではありません。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。 (1)リスクマネジメント体制 当社は、2022年6月に改組した「リスクマネジメント委員会」を定期的に開催し、リスクマネジメント方針、コーポレートリスク並びにリスクオーナーの決定を行うとともに、対応策の進捗状況のレビューを実施しています。当委員会にて審議した議案を取締役会に報告するとともに、各主管部門、工場・事業所並びにグループ会社に対して方針の共有を行っています。また、2023年4月に専門部署であるリスクマネジメント部を設置し、リスクマネジメント体制の強化を図っています。 リスクマネジメント体制図 (2)コーポレートリスクのマネジメントプロセス 京セラグループにおいて、リスクアセスメントを実施し、主要リスクを認識、分析、評価しています。主要リスクの中から経営への影響が特に大きく、対応が必要なコーポレートリスクを特定し、リスク対策の実施やレビュー、対策の改善等、以下のPDCAサイクルを推進しています。 コーポレートリスクのマネジメントプロセス図(3)事業等のリスク 上記リスクマネジメントプロセスにより特定されたコーポレートリスク及びその対応策は次のとおりです。 [コーポレートリスク]a. 経済安全保障に関するリスク 当社は、日本以外に米国や欧州、アジア地域をはじめとする世界各国で、製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、ロシアによるウクライナ侵攻など当社にとって望ましくない政治的・地政学的・経済的要因により、経済安全保障政策・投資規制・製品や原材料の輸出入の規制・収益の本国送金規制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、リスクマネジメント部を中心に関連部門からなる経済安全保障対策プロジェクトを発足させ、刻々と変化する国際情勢を把握し、カントリーリスクのモニタリングを実施するなど、能動的なリスク回避策をとっています。 投資規制・収益の本国送金規制については、当社及びグループ各社において規制変更の情報を早期に収集し、当該国で保有する会社財産を国外に退避させるなど、適切に対処するよう取り組むことで、そのリスクの予防・回避に努めます。 b. 人権に関するリスク 世界的な人権に対する配慮の高まりにより、自社だけでなくサプライチェーンにおける人権問題にも配慮が求められています。そのため、これに関する予期できない法律・規制の変更等のリスクやレピュテーションリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、従業員、顧客、株主・投資家並びに取引先等、京セラグループに関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、人権リスクの軽減を推進しています。当社はEU紛争鉱物規則などの法規に対応しており、調達する鉱物に紛争や人権侵害などのリスクが存在するか調査し、リスク評価や是正措置を行うなど、人権に関するリスクの軽減やサプライチェーンの高い透明性の実現に取り組んでいます。また、人権尊重の活動の一環としてRBA(Responsible Business Alliance)への加盟や、当社及びサプライチェーンに対する人権デューディリジェンスの実施、ハラスメント・差別の禁止教育等を実施しています。 c. 情報セキュリティに関するリスク 当社は、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。これらの情報については、情報機器の故障やソフトウェアの不具合、マルウェアの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、滅失、システム停止等の被害を受けるリスクがあり、このような事態が発生した場合には、更なるセキュリティ対策や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するために、当社は今後の技術革新や顧客からの最新のセキュリティ要求事項にも対応できる情報セキュリティの維持に関連する追加的な費用を負担する可能性があり、それらが当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの情報漏洩等のリスクにより、社会的信用や事業競争力の低下につながる可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、すべての情報資産の重要性の理解と適切な利用・管理に努め、社会全体の信頼に応えるため、目的やセキュリティ対策・行動指針等を定義した「情報セキュリティ基本方針」を2022年7月に定め、継続的に情報セキュリティのリスク予防や軽減に取り組んでいます。また、経営戦略、商品開発、各種ノウハウ、技術等を会社の重要資産と認識した上で、京セラグループ統一の「情報セキュリティ管理方針」を制定し、情報セキュリティに関する管理体制を整備しています。さらに、情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた各種規程を制定し、適宜見直しを行い、従業員への教育を実施しているほか、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策、事業継続計画(BCP)を策定し、情報セキュリティの強化を図っています。外部からのマルウェアの侵入やサイバー攻撃等に対しては、システムの脆弱性対策、システム監視による侵入防止策、インシデント発生時の早期検知、対処、復旧策を講じています。 d. 優れた人材の確保が困難となるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、さらに多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。近年、各分野において、有能な人材の獲得競争がますます激しさを増してきていることから、当社は今後、現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。また、業務と育児・介護等との両立を支援する勤務体系の導入等、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティ&インクルージョンの推進を実施しない場合、現有の人材を維持できなくなる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、従業員数や都道府県別就労人口のモニタリング等を実施し、戦略的に新工場の立地を決定していることに加え、インフレや労働市場を踏まえた給与水準、海外の更なる現地化促進等、将来を見据えた人材確保の施策に取り組んでいます。また、在宅勤務やフレックスタイム制度等の柔軟な勤務体系の導入により、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティ&インクルージョンの推進を図り、多様な人材が働きがいを持って活躍できる職場環境の実現に取り組んでいます。 e. 地震等の自然災害に関するリスク 当社は、国内外において多くの開発・製造・事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域での地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪、噴火等の不可避な自然災害の発生や、設備故障及び人為的ミスにより当社の施設に影響を与える大規模な災害等が発生した場合、当社の事業への影響が考えられます。例えば、大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。さらに、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。また、当社に原材料等を供給するサプライヤーが被害に遭った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。このような災害に伴う被害や、その結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、地震等の自然災害、設備故障及び人為的ミスによる大規模な災害等に対してBCPの体制を整備し、活動を継続しています。具体的には、重要資源である人員、設備、部材、情報について、被害を最小化するための事前対策に加え、万が一被災した場合の早期復旧計画や代替供給策を策定し、教育・訓練を実施することにより、事業中断を回避し、早期に事業再開ができるよう努めています。 上記以外の主要なリスクは、次のとおりです。 [事業活動に関するリスク]f. 日本及び世界経済の変動に関するリスク 当社の製品やサービスは、日本のみならず世界各国で製造、販売しており、それらの国や地域の経済状況によって大きな影響を受ける可能性があります。 翌連結会計年度は、原材料やエネルギー価格高騰の継続やインフレ懸念等により、先行きが見通しにくい状況です。また、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や、米中関係の悪化等の地政学的リスクの高まりが、サプライチェーンを不安定にさせ、世界経済の成長を鈍化させる恐れがあります。 このような経営環境において、当社の主要市場である半導体、情報通信、自動車関連市場は、AIやIoT、DX等の更なる普及に伴う継続的な市場拡大が見込まれていますが、上記のリスクが顕在化し、想定以上に悪影響を及ぼす場合には、当社の財政状態及び経営成績は、当社の期待を下回る可能性があります。 (主要な対応策) このような経営環境の変化に対応するための主な取り組みは次のとおりです。・当社製品及びサービスの安定供給と、国や地域の経済状況の変化による影響を最小化するため、日本国内や東南アジア地域での設備投資の拡充と生産活動拠点の最適化に努めています。・適時適切な意思決定を実現するため、最新の需要動向を把握するマーケティング機能を強化しています。・世界的な金利上昇に伴う借入コストを低減するとともに、戦略投資をタイムリーに実施できる体制を構築するため、保有金融資産を有効活用した銀行借入を実施しています。 g. 為替レートの変動に関するリスク 当社は、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。 また、為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。 (主要な対応策) 当社は、為替レートの変動について、外国為替リスク管理方針に基づき、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。また、海外生産拠点における現地での部材調達の促進により、仕入価格における為替リスクの低減を図っています。 h. 当社製品の競合環境に関するリスク 当社は、多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、競合会社が広範に存在します。当社の競合環境はこれらに限らず、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。特定の事業分野に特化している多くの競合会社と異なり、当社は多角的に事業を展開しているため、個々の事業分野に関しては、競合会社ほど出資や投資を行うことができない可能性があります。当社の競合会社は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を当社の個々の事業より多く有している可能性があります。また、競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予想され、その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源を有しています。これらの経営資源を有効活用するため、グループ内の連携強化を図り、高付加価値製品の提供等により、競争優位性の確保に努めています。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿った新製品の開発に早く着手することにより、競争力の強化を図っています。さらに、製品価格の下落に対しては、当社独自の経営管理システム「アメーバ経営」の実践を通じた部門別採算管理の徹底により、原価低減を図り、高い競争力の実現に取り組んでいます。 i. 生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に関するリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇や原油高による輸送コストの上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、原材料の正味実現可能価額(通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額)が原価を下回った場合には、正味実現可能価額まで評価減しており、今後も評価減を行う可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給元を確保できない可能性や、合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、購買活動にあたり、「購買基本方針」を定め、会社概況やCSRに関する各種調査を通じて信頼のおける供給業者を選定するとともに、複数社からの購買を基本方針としており、安定的かつ適正価格での調達に努めています。 昨今の原材料費やエネルギー価格の高騰を受け、当社はサプライヤーからの適正な価格転嫁について協議するとともに、顧客に対して適正な価格転嫁交渉を行っています。また、当社は多岐にわたる事業を有していることから、原材料や部材の調達において、スケールメリットを活かした価格交渉力の向上を図るとともに、各事業で原価低減にも取り組んでいます。 さらに、当社は、素材・部品からデバイス、機器、システム、サービスに至るまで事業を展開していることから、各事業で使用する部材や部品の一部をグループ内で調達しています。これにより、外部から調達している部材、部品を確保できない場合、グループ内での調達に切り替えるなどの対応を検討することが可能です。 j. 外部委託先や社内工程における製造の遅延または不良の発生に関するリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の取引先に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする取引先も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼし、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。さらに、当社の製造工程においては、製品への微小不純物の混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる、損害賠償請求を受ける等、業績に重大な影響を与える場合があります。これらのリスクに加え、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、外部委託先の選定にあたり「購買基本方針」を定め、十分な検討の上、委託先を選定しています。また、当社では、社内で確立した製造工程について、原材料・部品等を支給し、設備及び製造仕様書を委託先に貸与することにより、当社と同じ生産管理や品質マネジメントシステムのもと、顧客への納期及び品質要求に対応しています。また、社内においては、データサイエンスを用いた品質改善や、AIやロボットを活用した生産性改善活動を継続的に実施し、リスクの低減に努めています。 k. 生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は、需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合、新たに生産された製品や開発された技術から期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、顧客及び市場の動向を注視し、開発、製造、営業、マーケティング活動をグローバルに展開することにより、変化の速い市場環境への対応に向けて研究開発の強化を図っています。当社は、研究開発体制を材料、デバイス、ソリューション、生産技術の4分野に編成し、グループ内外の経営リソースの一層の活用による開発力の強化及びスピードアップ、並びに人材育成に努め、事業領域の拡大を図っています。 l. 買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク 当社は、事業を発展させるため、買収による会社または資産の取得を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、取得後、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性があります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待どおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(主要な対応策) 当社は、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について、社外専門家による事業価値のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。取得後においては、PMI(Post Merger Integration)を進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 m. 感染症の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社は、グローバルに事業を拡大していることに伴い、感染症の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクがあります。このような事態においては、開発・製造・販売・サービス等の事業活動の中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような状況が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、危険性が高い感染症については、社内規程に基づき対策を策定し、感染防止に努めています。なお、新型コロナウイルス感染症については、政府指針等に基づき感染防止対策を講じています。 また、ロシアのウクライナ侵攻に関するリスクについては、本社に対策本部を設置し、刻々と変化する状況を注視するとともに、グループの重要情報の一元化を図り、対応が求められる事案を協議しています。 [法規制・訴訟に関するリスク]n. 当社の企業秘密や知的財産・ブランド価値に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産を守らなければなりません。当社の企業秘密を保有する従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等が当社の企業秘密を不適切に漏洩した場合、もしくは当社が知的財産権を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、あるいは当社のブランド価値を毀損するような模倣品が販売された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は戦略的に知的財産を出願していますが、こうした出願が登録されない可能性があり、また登録されても無効にされる可能性、あるいは登録された当社の知的財産権を回避される可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において知的財産権を取得し、侵害者の排除に努めています。また、当社の知的財産については、先行調査を十分に実施した上で出願を行うことにより、登録可能性を高めるとともに、様々な観点から当該事業分野や製品を戦略的に網羅する複数の強い知的財産権を取得し、これらの知的財産を活用することで事業に貢献する活動を行っています。さらに当社のブランド価値の維持向上を図るため、知的財産権を活用した模倣品の摘発を行っています。 o. 当社製品の製造・販売を続ける上で必要なライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、知的財産権の実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。特に通信技術に関連する製品では、第三者の標準必須特許に対する高額の実施許諾料の支払いを要求される可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止命令を受ける事態が発生しないということ、及び、差止命令によって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の実施許諾料の支払いを要求されないこと。 (主要な対応策) 当社は、新技術・新製品を開発する際には、事前に第三者の知的財産権を調査して、知的財産リスクの低減に取り組んだ上で事業を行うように努めています。それでも第三者から侵害の申し立てがあった場合は、誠実に対応を行い、必要に応じて適正な和解金や実施許諾料を支払うことで解決を図ります。 p. コンプライアンスに関するリスク 当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」をベースにコンプライアンスの徹底に努めています。しかしながら、このような徹底が十分になされず、法令違反や社会規範に反した行動が発生した場合、信用失墜による顧客からの取引停止、罰則金の支払い、損害賠償請求等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、コンプライアンス活動が社是や京セラフィロソフィの延長にある重要な活動であることを理解するとともに、各国の関連法令の遵守がステークホルダーの信頼にもつながる極めて重要な活動であることを理解し、専門部署であるグローバルコンプライアンス推進部の設置や「京セラコンプライアンス憲章」の制定等、コンプライアンス活動に積極的に取り組んでいます。また、各法令の主管部門による法令遵守体制の構築や管理、新規法令の施行時や法令改正時の社内連絡体制の構築、内部通報制度の導入、定期的な法令監査の実施、全従業員のコンプライアンス意識の向上に資する施策に重点的に取り組むコンプライアンス月間の制定、役員や従業員に対する定期的なコンプライアンス教育等により、法令を遵守し、社会規範に則った企業活動の徹底を図っています。さらに、グローバルにリスクを察知・共有することを目的に、国内外の主要なグループ会社の法務・コンプライアンス・知的財産部門の責任者が参加する「グローバル会議」を定期的に開催し、各社のコンプライアンス活動及び法的な課題・対策に関して議論を行っています。 q. 環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、さらに当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から浄化費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境浄化費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。これらの環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、事業活動にあたり、経営理念を基本とした環境安全に関する総合的な取り組みを推進するため、製品のライフサイクルを通した環境負荷の低減、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の抑制等、「京セラグループ環境安全方針」を制定し、環境関連法の遵守を徹底するとともに、規制の変更等への適切な把握、対応に努めています。 r. 世界的な気候変動に関するリスク 当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により、将来さらに厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性があります。対応の不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できず、コストの増加や企業ブランドの低下を招くリスクがあります。 脱炭素社会への移行リスクについては、各国で更新された排出量削減目標が当社の目標より高い場合や、新たに炭素税が導入された場合、当社の製造コストが一時的に増加する可能性があります。また、顧客より製品のカーボンフリー化の要求が拡大した場合、当社の製造コストが増加する可能性があります。一方、社会の脱炭素化の動きは、当社のエネルギー関連事業の成長につながる機会として捉えることができます。物理リスクでは、異常気象が激甚化した場合、自然災害による操業停止、生産減少、設備復旧等に係るコストや、自然災害対策費用並びに保険料等が増加する可能性があります。また、水不足等により生産が減少する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、気候変動問題を重要な経営課題の一つとして位置付け、代表取締役社長を委員長とする京セラグループサステナビリティ委員会において、長期環境目標の決定やその達成に向けた対策等について審議を行っています。 また当社は、エネルギー関連事業を推進し、再生可能エネルギーの普及を図るとともに、太陽光発電システムと蓄電池を統合運用することで、再生可能エネルギー比率を高め、温室効果ガス排出量の削減に努めています。また、製造工程での省エネルギー化を進めることにより、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。 なお、当社グループの長期環境目標については、「2. サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)気候変動への対応 d. 指標及び目標」を参照ください。 [財務会計に関するリスク]s. 当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は、売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において当社の売掛債権は、担保物件や信用保証により、すべては保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する売掛債権の回収が困難となり、保全されていない多額の債権が発生した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に与信の見直しを行っています。また、回収期限を日次で管理しており、回収遅延や信用不安が発生した場合は、個別に債権回収、条件変更、担保・保証の入手等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めています。 t. 当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク 当社は、取引関係の維持及び株式保有による収益獲得を通じた企業成長、並びに企業の社会的意義等を踏まえ、中長期的に当社の企業価値を向上させるという視点に立ち、当社の関係会社以外の資本性証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。当社は、第二電電㈱(現KDDI㈱)を設立して以来同社株式を保有しており、2023年3月31日現在の保有比率はKDDI㈱の発行済株式の14.55%となっています。KDDI㈱の事業発展に伴い同社株式の価値が増加した結果、同社株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、KDDI㈱の株式については、経済合理性及び当社の中長期的な企業価値向上に向けた同社との戦略的連携の追求、並びに当社の持続的成長に必要となる投資資金の調達に活用しています。 なお、当該株式を含むすべての資本性金融商品の一部である政策保有株式については、毎年の保有に係る検証の結果、保有意義がないと判断された場合、適宜縮減を進めています。また、保有株式の株価変動が当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知するため、定期的に株価のモニタリングを行っています。なお、当社は、政策保有株式の更なる縮減に向けて、当面の縮減目標を「2026年3月期までに簿価の5%以上を縮減すること」としています。 u. 有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損処理に関するリスク 当社は、多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損の判定を行っています。これらの資産が減損していると判断された場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、「l. 買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク」に記載のとおり、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。また、取得後においては、PMIを進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 v. 法人所得税等に関するリスク 当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて、発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。 なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。 また、移転価格税制・タックスヘイブン対策税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、子会社が立案する年間事業計画について、達成度を適時確認し、都度適切な施策を実行することで、繰延税金資産の回収可能性に変更が生じないよう努めています。また、各国における税制変更及び税務調査に対しては、社外専門家を利用し、リスクの最小化に努めています。海外の税制については、税務情報を適時適切に提出することにより各国の税務当局と信頼関係を築き、必要に応じて事前照会を実施することで税務リスク低減に努めています。特に、グループ内の国際間取引については、OECD移転価格ガイドラインに従った独立企業間価格に基づいた取引を行うとともに、税務当局との事前確認制度を活用し、適正な納税に努めています。また、過度な節税を目的とする低税率国・地域(いわゆるタックスヘイブン地域)への税源の移転を防止し、各国の税制に従い適正な申告納税に努めています。 w. 会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には、一定の投資もしくは費用が必要となります。 (主要な対応策) 当社は、IFRSを連結財務諸表等に適用しているため、IFRSに適切に対応するための部門を設置するとともに、国際会計基準審議会が公表する基準書や解釈指針等を随時入手し、新会計基準に対応できる体制を整えています。会計基準の変更時には、財政状態及び経営成績に及ぼす影響を把握した上で適切に開示します。さらに、会計基準の変更に際して、有効な財務報告に係る内部統制を構築するために一定の投資額は必要となりますが、変更内容を適切に把握した上で投資の要否を決定します。
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2 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであり、すべてのリスクを網羅的に記載しているわけではありません。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。 事業活動に関するリスク(1)日本及び世界経済の変動に関するリスク 当社は、日本のみならず世界各国で事業を展開するとともに、情報通信、自動車関連、環境・エネルギー、医療・ヘルスケア関連等の様々な市場に製品・サービスを供給しています。そのため、日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスクがあります。翌連結会計年度は、一層のデジタル化の進展等により、引き続き5Gや半導体関連市場向け部品の旺盛な需要が見込まれるものの、ロシアによるウクライナ侵攻など不安定な世界情勢、半導体や原材料等の不足及び価格高騰、新型コロナウイルス感染症の再拡大等により、当社製品の需要が上記の期待を下回る可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、上記市場での事業機会を着実に捉えるべく、既存事業の拡大及び新規事業の創出、並びに生産性倍増に取り組んでいます。・既存事業の拡大に向けて、セラミックパッケージ等の半導体関連部品やコンデンサ等の電子部品など、今後も旺盛な需要が見込まれる部品の積極的な設備投資を継続します。・新規事業の創出については、社内外との連携強化により、独自のAI技術等を活用したAI協働ロボット・システムや、低炭素社会の実現に貢献する基幹材料である窒化ガリウムデバイスの応用システムの事業化に取り組んでいます。・生産性倍増については、一層の生産性向上に向けて、グループ全体でAIやロボットを活用した自動化ライン等の導入を進めます。 また、新型コロナウイルス感染症の再拡大等、厳しい事業環境下においても事業活動を継続できるよう、引き続きリモートワークをはじめとする柔軟な勤務体系の整備を進めます。 (2)国際的な事業活動に関するリスク 当社は、日本以外に米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、ロシアによるウクライナ侵攻など当社にとって望ましくない政治的・地政学的・経済的要因により、輸出入管理・経済安全保障政策・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制・タックスヘイブン対策税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 また、世界的な人権に対する配慮の高まりにより、自社だけでなくサプライチェーンにおける人権問題にも配慮が求められています。そのため、これに関する予期できない法律・規制の変更等のリスクやレピュテーションリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 独占禁止法、反贈収賄、個人情報保護法等、グローバルに規制強化の動きがある国内外の主要な法律・規制の対応等については、世界各国の主要な子会社の法務担当者が参加する会議を定期的に開催し、各社の法的な課題・対策に関して議論を行うとともに、必要な体制整備を進めています。輸出入管理については、安全保障貿易管理に関する社員教育の実施とビジネスに関連する重要な規制に関する情報を適時、社内に周知しています。また、リスク管理部門を中心に関連部門から成る経済安全保障対策プロジェクトを発足させ、刻々と変化する国際情勢を把握し、能動的なリスク回避策をとっています。投資規制・収益の本国送金規制については、当社及びグループ各社において規制変更の情報を早期に収集し、当該国で保有する会社財産を国外に退避させるなど、適切に対処するよう取り組むことで、そのリスクの予防・回避に努めます。海外の税制については、税務情報を適時適切に提出することにより、各国の税務当局と信頼関係を築き、必要に応じて事前照会を実施することで税務リスク低減に努めています。特に、グループ内の国際間取引については、OECD移転価格ガイドラインに従った独立企業間価格に基づき行うとともに、税務当局との事前確認制度を活用し適正な納税に努めています。また、過度な節税を目的とする低税率国・地域(いわゆるタックスヘイブン地域)への税源の移転を防止し、各国の税制に従い適正な申告納税に努めています。また、当社は「京セラグループ人権方針」を制定し、サプライチェーンを含む人権デューディリジェンスに向けた取り組みを行うなど、人権問題に対する姿勢を明確にしています。 (3)為替レートの変動に関するリスク 当社は、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。また、為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。 (主要な対応策) 当社は、為替レートの変動について、外国為替リスク管理方針に基づき、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。また、海外生産拠点における現地での部材調達の促進により、仕入価格における為替リスクの低減を図っています。 (4)当社製品の競合環境に関するリスク 当社は、多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、競合会社が広範に存在します。当社の競合環境は、これらに限らず、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。特定の事業分野に特化している多くの競合会社と異なり、当社は多角的に事業を展開しているため、個々の事業分野に関しては、競合会社ほど出資や投資を行うことができない可能性があります。当社の競合会社は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。また、競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予想され、その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源を有しています。これらの経営資源を有効活用するため、グループ内の連携強化を図り、高付加価値製品の提供等により、競争優位性の確保に努めています。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿った新製品の開発に早く着手することにより、競争力の強化を図っています。さらに、製品価格の下落に対しては、当社独自の経営管理システム「アメーバ経営」の実践を通じた部門別採算管理の徹底により、原価低減を図り、高い競争力の実現に取り組んでいます。 (5)生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に関するリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇や原油高による輸送コストの上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、原材料の正味実現可能価額(通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額)が原価を下回った場合には、正味実現可能価額まで評価減しており、今後も評価減を行う可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、購買活動にあたり、「購買基本方針」を定め、会社概況やCSRに関する各種調査を通じて信頼のおける供給業者を選定するとともに、複数社からの購買を基本方針としており、安定的かつ適正価格での調達に努めています。 また、当社は多岐にわたる事業を有していることから、原材料や部材の調達に関してはグループ内の連携により、価格交渉力の向上を図るとともに、原価低減等の内部改善により、各事業で原材料の価格上昇を吸収するよう努めています。 さらに、当社は、素材・部品からデバイス、機器、システム、サービスに至るまで事業を展開していることから、各事業で使用する部材や部品の一部をグループ内で調達しています。これにより、外部から調達している部材、部品を確保できない場合、グループ内での調達に切り替えるなどの対応を検討することが可能です。 (6)外部委託先や社内工程における製造の遅延または不良の発生に関するリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の取引先に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする取引先も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼし、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。さらに、当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる、損害賠償金の支払請求を受ける等、業績に重大な影響を与える場合があります。これらのリスクに加え、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、外部委託先の選定にあたり、「購買基本方針」を定め、十分な検討のうえ、委託先を選定しています。また、当社では、社内で確立した製造工程について、原材料・部品等を支給し、設備及び製造仕様書を委託先に貸与することにより、当社と同じ生産管理や品質マネジメントシステムのもと、顧客への納期及び品質要求に対応しています。また、社内においては、データサイエンスを用いた品質改善や、AIやロボットを活用した生産性改善活動を継続的に実施し、リスクの低減に努めています。 (7)生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は、需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合、新たに生産された製品や開発された技術から期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、顧客及び市場の動向を注視し、開発、製造、営業、マーケティング活動をグローバルに展開することにより、変化の速い市場環境への対応に向けて研究開発の強化を図っています。当社は、研究開発体制を材料、デバイス、ソリューション、生産技術の4分野に再編し、グループ内外の経営リソースの一層の活用による開発力の強化及びスピードアップ、並びに人材育成に努め、事業領域の拡大を図ります。 (8)買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク 当社は、事業を発展させるため、買収による会社または資産の取得を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、取得後、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性があります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待どおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(主要な対応策) 当社は、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について、社外専門家による事業価値のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。取得後においては、PMI(Post Merger Integration)を進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 (9)優れた人材の確保が困難となるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、さらに多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。近年、各分野において、有能な人材の獲得競争がますます激しさを増してきていることから、当社は今後、現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。 また、業務と育児・介護等との両立を支援する勤務体系の導入等、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティ&インクルージョンの推進を実施しない場合、現有の人材を維持できなくなる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、将来の京セラを支える高いポテンシャルとチャレンジ意欲溢れる人材を新卒採用しているほか、高度な専門スキルを有する人材や、マネジメント能力に優れた多様な人材を経験者採用として通年で積極的に獲得しています。また、従業員に対しては、当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」の理解・実践と、業務を遂行するうえでの専門的な知識・技術の習得の両面で能力向上を図るための人材教育を実施しています。目的別に構成される教育体系に基づき研修を展開していくことで経営理念の実現に貢献する人材の育成に努めています。さらに、在宅勤務やフレックスタイム制度等の柔軟な勤務体系の導入により、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティ&インクルージョンの推進を図り、多様な人材が働きがいを持って活躍できる職場環境の実現に取り組んでいます。 (10)情報セキュリティに関するリスク 当社は、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。これらの情報については、情報機器の故障や、ソフトウェアの不具合、マルウェアの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、滅失、システム停止等の被害を受けるリスクがあり、このような事態が発生した場合には、更なるセキュリティ対策や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するために、当社は今後の技術革新にも対応できる情報セキュリティの維持に関連する追加的な費用を負担する可能性があり、それらが当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの情報漏洩等のリスクにより、事業競争力の低下につながる可能性もあります。 (主要な対応策) 当社では、経営戦略、商品開発、各種ノウハウ、技術等を会社の重要資産と認識した上で、京セラグループ統一の「情報セキュリティ管理方針」を制定し、情報セキュリティに関する管理体制を整備しています。また、情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた各種規程を制定し、従業員への教育を実施しています。さらに、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策、事業継続計画(BCP)を策定し、情報セキュリティの強化を図っています。外部からのマルウェアの侵入やサイバー攻撃等に対しては、システムの脆弱性対策、システム監視による侵入防止策、インシデント発生時の早期復旧策を講じています。 法規制・訴訟に関するリスク(11)当社の企業秘密や知的財産・ブランド価値に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社の企業秘密を保有する従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等が当社の企業秘密を不適切に漏洩した場合、もしくは当社が知的財産権を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、あるいは当社のブランド価値を毀損するような模倣品が販売された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は戦略的に知的財産を出願していますが、こうした出願が登録されない可能性があり、また登録されても無効にされる可能性、あるいは当社の知的財産権を回避される可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において知的財産権を取得し、侵害者の排除に努めています。また、当社の知的財産については、先行調査を十分に実施した上で出願を行うことにより、登録可能性を高めるとともに、様々な観点から当該事業分野や製品を戦略的に網羅する複数の強い知的財産権を取得し、これらの知的財産を活用することで事業に貢献する活動を行っています。さらに当社のブランド価値の維持向上を図るため、知的財産権を活用した模倣品の摘発を行っています。 (12)当社製品の製造・販売を続ける上で必要なライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、知的財産権の実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。特に通信技術に関連する製品では、第三者の標準必須特許に対する高額の実施許諾料の支払いを要求される可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止命令を受ける事態が発生しないということ、及び、差止命令によって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の実施許諾料の支払いを要求されないこと。 (主要な対応策) 当社は、新技術・新製品を開発する際には、事前に他社の知的財産権を調査して、知財リスクを把握した問題解決に取り組んだ上で事業を行うように努めています。それでも他社から侵害の申し立てがあった場合は、誠実に対応を行い、必要がある場合は適正な実施許諾料を支払うことで解決を図ります。 (13)コンプライアンスに関するリスク 当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」をベースにコンプライアンスの徹底に努めています。しかしながら、このような徹底が十分になされず、法令違反や社会規範に反した行動が発生した場合、信用失墜による顧客からの取引停止、罰則金の支払、損害賠償請求等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、コンプライアンス活動が社是や京セラフィロソフィの延長にある重要な活動であることを理解するとともに、各国の関連法令の遵守がステークホルダーの信頼にも繋がる極めて重要な活動であることを理解し、専門部署であるグローバルコンプライアンス推進部の設置や「京セラコンプライアンス憲章」の制定等、コンプライアンス活動に積極的に取り組んでいます。また、各法令の主管部門による管理、新規法令の施行時や法令改正時の社内連絡体制の構築、内部通報制度の導入、定期的な法令監査の実施、コンプライアンス月間の制定、コンプライアンス教育等により、法令を遵守し、社会規範に則った企業活動の徹底を図っています。さらに、グローバルにリスクを察知・共有することを目的に、主要なグループ会社の法務・コンプライアンス担当者が参加する「グローバル会議」を定期的に開催し、各社のコンプライアンス活動及び法的な課題・対策に関して議論を行っています。 (14)環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、さらには当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から浄化費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境浄化費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。これらの環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、事業活動にあたり、経営理念を基本とした環境安全に関する総合的な取り組みを推進するため、製品のライフサイクルを通した環境負荷の低減、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の抑制等、「京セラグループ環境安全方針」を制定し、環境関連法の遵守を徹底するとともに、規制の変更等への適切な把握、対応に努めています。 (15)世界的な気候変動に関するリスク 当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により、将来さらに厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性があります。対応の不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できず、コストの増加や企業ブランドの低下を招くリスクがあります。 脱炭素社会への移行リスクについては、各国で更新された排出量削減目標が当社の目標より高い場合や、新たに炭素税が導入された場合、当社の製造コストが一時的に増加する可能性があります。また、顧客より製品のカーボンフリー化の要求が拡大した場合、当社の製造コストが増加する可能性があります。一方、社会の脱炭素化の動きは、当社のエネルギー関連事業の成長に繋がる機会として捉えることができます。物理リスクでは、異常気象が激甚化した場合、自然災害による操業停止、生産減少、設備復旧等に係るコストや、自然災害対策費用並びに保険料等が増加する可能性があります。また、水不足等により生産が減少する可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、気候変動問題を重要な経営課題の一つとして位置付け、代表取締役社長を委員長とする京セラグループCSR委員会において、長期環境目標の決定やその達成に向けた対策等について審議を行っています。当社は、長期環境目標として、「温室効果ガス排出量(Scope1,2並びにScope1,2,3)削減目標(1.5℃水準):2030年度46%削減(2019年度比)」を設定しています。なお、この長期環境目標は、SBT(Science Based Targets)の認定を取得しています。また、当社は「2050年度カーボンニュートラル」の実現を目指し、積極的に活動を進めています。 当社は、再生可能エネルギー関連技術の実証試験を進め、エネルギーソリューション事業を推進し、再生可能エネルギーの普及を図るとともに、太陽光発電システムと蓄電池を統合運用することで、再生可能エネルギー比率を高め、温室効果ガス排出量の削減に努めています。また、製造工程での省エネルギー化を進めることにより、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。 (注)Scope1:燃料使用に伴う直接排出 Scope2:外部から購入する電力や熱の使用に伴う間接排出 Scope3:Scope1、2以外の間接排出(原料調達、輸送、使用、廃棄、従業員の通勤、出張など) 災害等に関するリスク(16)感染症の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社は、グローバルに事業を拡大していることに伴い、感染症の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクがあります。このような事態においては、開発・製造・販売・サービス等の事業活動の中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような状況が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、新型コロナウイルス感染症への対策として、顧客、サプライヤー、従業員並びにご家族の健康維持を最優先に、感染予防・感染拡大の防止を基本に製品供給に努めています。具体的には、供給責任の高い製品の生産を優先し、不急の生産活動の縮小・停止や在宅勤務等を実施しています。また、子女が通う学校の臨時休校に伴い、通勤や在宅勤務が困難な社員へ特別休暇を付与する等の措置を講じています。当社は、従来取り組んできた製造部門でのAIやロボットの活用による自動化に加え、間接部門でのデジタル化の推進により、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、省人化や在宅勤務等に迅速に対応することができています。 また当社は、ロシアのウクライナ侵攻に関するリスクについて、本社に対策本部を設置し、刻々と変化する状況を注視するとともに、グループの重要情報の一元化を図り、対応が求められる事案を協議しています。 (17)地震等の災害が発生するリスク 当社は、国内外において多くの開発・製造・事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域での地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害の発生や、設備故障及び人為的ミスにより、当社の施設に影響を与える大規模な災害等が発生した場合、当社の事業への影響が考えられます。例えば、大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。さらに、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。また、当社に原材料等を供給するサプライヤーが被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。このような災害に伴う被害や、その結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社では、地震等の自然災害、設備故障及び人為的ミスによる大規模な災害等に対してBCPの体制を整備し、活動を継続しています。具体的には、重要資源である人員、設備、部材、情報について、被害を最小化するための事前対策に加え、万が一被災した場合の早期復旧計画や代替供給策を策定し、教育・訓練を実施することにより、事業中断を回避し、早期に事業再開ができるよう努めています。 財務会計に関するリスク(18)当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は、売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により、すべては保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する売掛債権の回収が困難となり、保全されていない多額の債権が発生した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に与信の見直しを行っています。また、回収期限を日次で管理しており、回収遅延や信用不安が発生した場合は、個別に債権回収、条件変更、担保・保証の入手等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めています。 (19)当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク 当社は、取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の資本性証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。2022年3月31日現在、当社はKDDI㈱の発行済株式の14.54%を保有しています。KDDI㈱の株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、KDDI㈱の株式について、経済合理性及び将来の事業機会における重要な事業パートナーとして保有を継続しています。当該株式を含むすべての資本性金融商品の一部である政策保有株式については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては、原則、売却を実施しています。また、保有株式の株価変動が当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知するため、定期的に株価のモニタリングを行っています。 (20)有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損処理に関するリスク 当社は、多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損の判定を行っています。これらの資産が減損していると判断された場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、「(8)買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク」に記載のとおり、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。また、取得後においては、PMIを進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 (21)繰延税金資産及び法人所得税の不確実性に関するリスク 当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて、発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。 なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、子会社が立案する年間事業計画について、達成度を適時確認することにより、都度適切な施策を実行することで、繰延税金資産の回収可能性に変更が生じないように努めています。また、当社は、各国における税制変更及び税務調査に対し、社外専門家を利用し、リスクの最小化に努めています。 (22)会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には、一定の投資もしくは費用が必要となります。 (主要な対応策) 当社は、IFRSを連結財務諸表等に適用しているため、IFRSに適切に対応するための部門を設置するとともに、国際会計基準審議会が公表する基準書や解釈指針等を随時入手し、新会計基準に対応できる体制を整えています。会計基準の変更時には、財政状態及び経営成績に及ぼす影響を把握した上で、適切に開示します。さらに、会計基準の変更に際して、有効な財務報告に係る内部統制を構築するために一定の投資額は必要となりますが、変更内容を適切に把握した上で投資の要否を決定します。
FY2021|14,525 文字
2 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりであり、すべてのリスクを網羅的に記載しているわけではありません。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。 事業活動に関するリスク(1)日本及び世界経済の変動に関するリスク 当社は、日本のみならず世界各国で事業を展開するとともに、情報通信、自動車関連、環境・エネルギー、医療・ヘルスケア関連等の様々な市場に製品・サービスを供給しています。そのため、日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスクがあります。翌連結会計年度は、世界経済は当連結会計年度に比べ回復に向かうものと見込んでいます。また、デジタル化の進展等により、5Gや半導体、ADAS市場における関連製品の需要の増加を見込むものの、新型コロナウイルス感染症再拡大等により、当社製品の需要が上記の期待を下回る可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、上記市場での事業機会を着実に捉えるべく、既存事業の拡大及び新規事業の創出、並びに生産性倍増に取り組んでいます。・既存事業の拡大に向けて、セラミックパッケージやコンデンサ、水晶部品等、今後も旺盛な需要が見込まれる部品の積極的な設備投資を継続します。・新規事業の創出については、独自のAI技術等を活用したAI協働ロボット・システムや低炭素社会の実現に貢献する基幹材料である窒化ガリウムデバイスの応用システムの事業化を進める等、M&Aも含めた社内外との連携強化を図っています。・生産性倍増については、一層の生産性向上に向けて、グループ全体でAIやロボットを活用した自動化ライン等の導入を進めます。 また、新型コロナウイルス感染症の再拡大等、厳しい事業環境下においても事業活動を継続できるよう、引き続きリモートワークをはじめとする柔軟な勤務体系の整備を進めます。 (2)国際的な事業活動に関するリスク 当社は、日本以外に米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制・タックスヘイブン対策税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 また、世界的な人権に対する配慮の高まりにより、自社だけでなくサプライチェーンでの人権問題にも配慮が求められています。そのため、これに関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 独占禁止法、反贈収賄、個人情報保護法等、グローバルに規制の強化の動きのある海外の主要な法律・規制の対応等については、主要な子会社の法務担当者が参加する会議を定期的に開催し、各社の法的な課題・対策に関して議論を行っています。輸出入管理については、安全保障貿易管理に関する社員教育の実施とビジネスに関連する重要な規制に関する情報を適時、社内に周知しています。また、刻々と変化する国際情勢を把握し、能動的なリスク回避策をとっています。投資規制・収益の本国送金規制については、当社及びグループ各社において規制変更の情報を早期に収集し、適切に対処するよう取り組むことで、そのリスクの予防・回避に努めます。海外の税制については、税務情報を適時適切に提出することにより、各国の税務当局と信頼関係を築き、必要に応じて事前照会を実施することで税務リスク低減に努めています。特に、グループ内の国際間取引については、OECD移転価格ガイドラインに従った独立企業間価格に基づき行うとともに、税務当局との事前確認制度を活用し適正な納税に努めています。また、過度な節税を目的とする低税率国・地域(いわゆるタックスヘイブン地域)への税源の移転を防止し、各国の税制に従い適正な申告納税に努めています。また、当社は「京セラグループ人権基本方針」を制定し、サプライチェーンでの人権デューディリジェンスを行うなど、人権問題に取り組んでいます。 (3)為替レートの変動に関するリスク 当社は、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。また、為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。 (主要な対応策) 当社は、為替レートの変動について、外国為替リスク管理方針に基づき、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。また、海外生産拠点における現地での部材調達の促進により、仕入価格における為替リスクの低減を図っています。 (4)当社製品の競合環境に関するリスク 当社は、多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、広範な競合会社が存在します。当社の競合環境は、これらに限らず、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。特定の事業分野に特化している多くの競合会社と異なり、当社は多角的に事業を展開しているため、個々の事業分野に関しては、競合会社ほど出資や投資を行うことができない可能性があります。当社の競合会社は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。また、競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予想され、その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源を有しています。これらの経営資源を有効活用するため、グループ内の連携強化を図り、高付加価値製品の提供等により、競争優位性の確保に努めています。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿った新製品の開発に早く着手することにより、競争力の強化を図っています。さらに、製品価格の下落に対しては、当社独自の経営管理システム「アメーバ経営」の実践を通じた部門別採算管理の徹底により、原価低減を図り、高い競争力の実現に取り組んでいます。 (5)生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に関するリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、原材料の正味実現可能価額(通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額)が原価を下回った場合には、正味実現可能価額まで評価減しており、今後も評価減を行う可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、購買活動にあたり、「購買基本方針」を定め、会社概況やCSRに関する各種調査を通じて信頼のおける供給業者を選定するとともに、複数社からの購買を基本方針としており、安定的かつ適正価格での調達に努めています。 また、当社は多岐にわたる事業を有していることから、原材料や部材の調達に関してはグループ内の連携により、価格交渉力の向上を図るとともに、原価低減等の内部改善により、各事業で原材料の価格上昇を吸収するよう努めています。 さらに、当社は、素材・部品からデバイス、機器、システム、サービスに至るまで事業を展開していることから、各事業で使用する部材や部品の一部をグループ内で調達しています。これにより、外部から調達している部材、部品を確保できない場合、グループ内での調達に切り替えるなどの対応を検討することが可能です。 (6)外部委託先や社内工程における製造の遅延または不良の発生に関するリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の取引先に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする取引先も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼし、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。さらに、当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる、損害賠償金の支払請求を受ける等、業績に重大な影響を与える場合があります。これらのリスクに加え、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、外部委託先の選定にあたり、「購買基本方針」を定め、十分な検討の上、委託先を選定しています。また、当社では、社内で確立した製造工程について、原材料・部品等を支給し、設備及び製造仕様書を委託先に貸与することにより、当社と同じ生産管理や品質マネジメントシステムのもと、顧客への納期及び品質要求に対応しています。また、社内においては、データサイエンスを用いた品質改善や、AIやロボットを活用した生産性改善活動を継続的に実施し、リスクの低減に努めています。 (7)生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は、需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合、新たに生産された製品や開発された技術から期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、顧客及び市場の動向を注視し、開発、製造、営業、マーケティング活動をグローバルに展開することにより、変化の速い市場環境への対応に向けて研究開発の強化を図っています。材料からデバイスに関する製品・技術開発を行う「けいはんなリサーチセンター」及びソフトウェア・システム開発を行う「みなとみらいリサーチセンター」を中心に、オープンイノベーションを加速させ、「人類、社会の進歩発展に貢献する」新製品及びサービスの創出に努めます。 (8)買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク 当社は、事業を発展させるため、買収による会社または資産の取得を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、取得後、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性があります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待どおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があり、これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(主要な対応策) 当社は、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。取得後においては、PMI(Post Merger Integration)を進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 (9)優れた人材の確保が困難となるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、さらに多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。近年、各分野において、有能な人材の獲得競争がますます激しさを増してきていることから、当社は今後、現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。 また、業務と育児・介護等との両立を支援する勤務体系の導入等、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティの推進を実施しない場合、現有の人材を維持できなくなる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、将来の京セラを支える高いポテンシャルとチャレンジ意欲溢れる人材を新卒採用しているほか、高度な専門スキルを有する人材や、マネジメント能力に優れた多様な人材を経験者採用として通年で積極的に獲得しています。また、従業員に対しては、当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」の理解・実践と、業務を遂行するうえでの専門的な知識・技術の習得の両面で能力向上を図ることを目的とした人材教育を実施しています。目的別に構成される教育体系に基づき教育を展開していくことで経営理念の実現に貢献する有為な人材の育成に努めています。さらに、在宅勤務やフレックス制度の導入等の柔軟な勤務体系の導入により、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティの推進を図り、多様な人材が働きがいを持って活躍できる職場環境の実現に取り組んでいます。 (10)情報セキュリティに関するリスク 当社は、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。これらの情報については、情報機器の故障や、ソフトウェアの不具合、マルウェアの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、滅失、システム停止等の被害を受けるリスクがあり、このような事態が発生した場合には、追加対応や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するために、当社は今後の技術革新にも対応できる情報セキュリティの維持に関連する追加的な費用を負担する可能性があり、それらが当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社では、経営戦略、商品開発、各種ノウハウ、技術等を会社の重要資産と認識した上で、京セラグループ統一の「情報セキュリティ管理方針」を制定し、情報セキュリティに関する管理体制を整備しています。また、情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた各種規程を制定し、従業員への教育を実施しています。さらに、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策、事業継続計画(BCP)を策定し、情報セキュリティの強化を図っています。外部からのマルウェアの侵入やサイバー攻撃等に対しては、システムによる常時監視により侵入防止対策や、被害を受けた場合の早期復旧策を講じています。 法規制・訴訟に関するリスク(11)当社の企業秘密や知的財産・ブランド価値に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社は企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許等の知的財産の取得に努めています。秘密保持契約の当社以外の当事者によって当社の企業秘密を不適切に漏洩された場合、もしくは当社が特許を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、あるいは当社のブランド価値を毀損するような模倣品が販売された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は戦略的に知的財産を出願していますが、こうした出願が登録されない可能性があり、また登録されても無効にされる可能性、あるいは当社の知的財産権を回避される可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において知的財産権を取得し、侵害者の排除に努めています。また、当社の知的財産については、先行調査を十分に実施した上で出願を行うことにより、登録可能性を高めるとともに、様々な観点から当該事業分野や製品を戦略的に網羅する複数の強い知的財産権を取得し、これらの特許を活用することで事業に貢献する活動を行っています。さらに当社のブランド価値の維持向上を図るため、知的財産権を活用した模倣品の摘発を行っています。 (12)当社製品の製造・販売を続ける上で必要なライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、知的財産権の実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止命令を受ける事態が発生しないということ、及び、差止命令によって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の実施許諾料の支払いを要求されないこと。 (主要な対応策) 当社は、新技術・新製品を開発する際には、事前に他社の知的財産権を調査して、知財リスクを把握した問題解決に取り組んだ上で事業を行うように努めています。それでも他社から侵害の申し立てがあった場合は、誠実に対応を行い、必要がある場合は適正な実施許諾料を支払うことで解決を図ります。 (13)コンプライアンスに関するリスク 当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」をベースにコンプライアンスの徹底に努めています。しかしながら、このような徹底が十分になされず、法令違反や社会規範に反した行動が発生した場合、信用失墜による顧客からの取引停止、罰則金の支払、損害賠償請求等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、コンプライアンス活動が社是や京セラフィロソフィの延長にある重要な活動であることを理解するとともに、各国の関連法令の遵守がステークホルダーの信頼にも繋がる極めて重要な活動であることを理解し、専門部署であるグローバルコンプライアンス推進部の設置や「京セラコンプライアンス憲章」の制定等、コンプライアンス活動に積極的に取り組んでいます。また、各法令の主管部門による管理、新規法令の施行時や法令改正時の社内連絡体制の構築、内部通報制度の導入、定期的な法令監査の実施、コンプライアンス月間の制定、コンプライアンス教育等により、法令を遵守し、社会規範に則った企業活動の徹底を図っています。さらに、グローバルにリスクを察知・共有することを目的に、主要なグループ会社の法務・コンプライアンス担当者が参加する「グローバル会議」を定期的に開催し、各社のコンプライアンス活動及び法的な課題・対策に関して議論を行っています。<コンプライアンスにかかる不適切な対応について> 当社が製造・販売を行っているケミカル製品について、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories(以下、UL)の認証に関する不適切な対応が判明しました。一部のケミカル製品の難燃性及び絶縁性について、ULが実施する認証試験にて実際の製品とは異なるサンプルを提出していた事実等が確認されました。本件についてULに報告を行い、ULにて確認の結果、5製品のケミカル製品のUL認証が、2021年3月17日付で取り消されました。 このUL認証に関する不適切な対応について、本件の実態把握と原因究明に向けて、外部の専門家を中心とした特別調査委員会による調査を実施し、2021年5月13日に調査報告書を受領しました。本調査報告書とともに、本件に対する当社の是正措置及び再発防止策を当社ホームページ(https://www.kyocera.co.jp/ir/news/pdf/210514J.pdf)にて公表しており、ULから認証を再取得する手続についても進めています。お客様への説明責任を果たし、これらの是正措置と再発防止策を着実に実行することにより、信頼回復に努めてまいります。また、本件については、特別調査委員会より、品質保証に関する倫理観とコンプライアンス意識の欠如が原因の一つと指摘されました。そのため、品質に関わる社内ルールの整備とその遵守体制の再検証を行い、品質に関するコンプライアンスの重要性の理解と実践の浸透を図るための社内教育を実施してまいります。 なお、本件について、顧客からの請求等、関連する費用が多額に発生した場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。(14)環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、さらには当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から浄化費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境浄化費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。これらの環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、事業活動にあたり、経営理念を基本とした環境安全に関する総合的な取り組みを推進するため、製品のライフサイクルを通した環境負荷の低減、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の抑制等、「京セラグループ環境安全方針」を制定し、環境関連法の遵守を徹底するとともに、規制の変更等への適切な把握、対応に努めています。 (15)世界的な気候変動に関するリスク 当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により、将来さらに厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性があります。対応の不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できず、コストの増加や企業ブランドの低下を招くリスクがあります。 (主要な対応策) 当社は、気候変動に対し、代表取締役社長を委員長とする京セラグループCSR委員会にて、「2030年度温室効果ガス排出量2013年度比30%削減」とする目標を設定し、その目標は環境団体であるSBTイニシアチブよりSBT(Science Based Targets、科学的根拠に基づいた排出削減目標)の認定を受けました。また、再生可能エネルギー関連技術の実証試験を進め、エネルギーソリューション事業を推進し、再生可能エネルギーの普及を図るとともに、太陽光発電システムと蓄電池を統合運用することで、再生可能エネルギー比率を高め、エネルギーコストを抑制し、温室効果ガス排出量の削減に努めています。さらに、製造工程での省エネルギー化を進めることで、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。なお、当社はTCFDの提言への賛同を表明し、関連情報の積極的な開示に努めています。 災害等に関するリスク(16)感染症の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社は、グローバルに事業を拡大していることに伴い、感染症の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクがあります。このような事態においては、開発・製造・販売・サービス等の事業活動の中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような状況が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延(パンデミック)により、当社においても各国政府の方針や行動計画に基づき生産を縮小・停止したため、事業活動に大きな影響を受けました。今後も流行の長期化等、様々な要因による事業環境の変化が想定されます。当社は、新型コロナウイルス感染症への対策として、顧客、サプライヤー、従業員並びにご家族の健康維持を最優先に、感染予防・感染拡大の防止を基本に製品供給に努めています。具体的には、供給責任の高い製品の生産を優先し、不急の生産活動の縮小・停止や在宅勤務等を実施しています。また、子女が通う学校の臨時休校に伴い、通勤や在宅勤務が困難な社員へ特別休暇を付与する等の措置を講じています。当社は、従来取り組んできた製造部門でのAIやロボットの活用による自動化に加え、間接部門でのデジタル化の推進により、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、省人化や在宅勤務等に迅速に対応することができています。 (17)地震等の災害が発生するリスク 当社は、国内外において多くの開発・製造・事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域においては、地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害、もしくは人為的ミスや設備故障等により、当社の施設に影響を与える大規模な災害等、事業への影響が考えられます。例えば、大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。さらに、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。また、当社に原材料等を供給するサプライヤーが被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。このような災害に伴う被害や、その結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社では、地震等の自然災害、人為的ミス、あるいは設備故障等による災害に対してBCPの体制を整備し、活動を継続しています。具体的には、重要資源である人員、設備、部材、情報について、被害を最小化するための事前対策に加え、万が一被災した場合の早期復旧計画や代替供給策を策定し、教育・訓練を実施することにより、事業中断を回避し、早期に事業再開ができるよう努めています。 財務会計に関するリスク(18)当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は、売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に与信の見直しを行っています。また、回収期限を日次で管理しており、回収遅延や信用不安が発生した場合は、個別に債権回収、条件変更、担保・保証の入手等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めています。 (19)当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク 当社は、取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の資本性証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。2021年3月31日現在、当社はKDDI㈱の発行済株式の14.54%を保有しています。KDDI㈱の株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、KDDI㈱の株式について、経済合理性及び将来の事業機会における重要な事業パートナーとして保有を継続しています。当該株式を含むすべての資本性金融商品の一部である政策保有株式については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては、原則、売却を実施しています。また、保有株式の株価変動が当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知するため、定期的に株価のモニタリングを行っています。 (20)有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損処理に関するリスク 当社は、多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損の判定を行っています。これらの資産が減損していると判断された場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、「(8)買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク」に記載のとおり、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。また、取得後においては、PMIを進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 (21)繰延税金資産及び法人所得税の不確実性に関するリスク 当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、税務調査を受けることを前提に税務上認識された不確実な税務ポジションについて、発生の可能性が高いと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。 なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、子会社が立案する年間事業計画について、達成度を適時確認することにより、都度適切な施策を実行することで、繰延税金資産の回収可能性に変更が生じないように努めています。また、当社は、各国における税制変更及び税務調査に対し、社外専門家を利用し、リスクの最小化に努めています。 (22)会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には、一定の投資もしくは費用が必要となります。 (主要な対応策) 当社は、IFRSを連結財務諸表等に適用しているため、IFRSに適切に対応するための部門を設置するとともに、国際会計基準審議会が公表する基準書や解釈指針等を随時入手し、新会計基準に対応できる体制を整えています。会計基準の変更時には、財政状態及び経営成績に及ぼす影響を把握した上で、適切に開示します。さらに、会計基準の変更に際して、有効な財務報告に係る内部統制を構築するために一定の投資額は必要となりますが、変更内容を適切に把握した上で投資の要否を決定します。
FY2020|13,169 文字
2 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりです。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。また、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあるリスクのみを記載しており、すべてのリスクを網羅的に記載しているわけではありません。事業活動に関するリスク(1)日本及び世界経済の変動に関するリスク 当社は、日本のみならず世界各国で事業を展開するとともに、情報通信、自動車関連、環境・エネルギー、医療・ヘルスケア関連等の様々な市場に製品・サービスを供給しています。そのため、日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスクがあります。翌連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)は、5Gサービスの普及や半導体市場の回復が見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的な景気低迷が継続し、当社の自動車関連市場向け部品やドキュメントソリューション事業の需要低迷が予想されます。 (主要な対応策) このような不透明な経済環境下ではありますが、当社は、多岐にわたる経営資源の一層の活用を図り、成長事業への積極投資及び研究開発の強化を進めます。また、デジタル改革による価値創造が産業社会の潮流となる中、当社は新たな成長領域で積極的に事業を展開し、成長のスピードアップを図ります。これに向けて、以下の3点を進めます。・当社のコア技術であるセラミック等の素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源の一層の活用・成長事業への積極投資及び研究開発の強化・グループを挙げたデジタルトランスフォーメーションの推進 (2)国際的な事業活動に関するリスク 当社は、日本以外に米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制・タックスヘイブン対策税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。 (主要な対応策) 海外の法律・規制の変更等については、主要な子会社の法務担当者が参加する会議を定期的に開催し、各社の法的な課題・対策に関して議論を行っています。輸出入管理については、安全保障貿易管理に関する社員教育の実施とビジネスに関連する重要な規制に関する情報を適時、社内に周知しています。また、刻々と変化する国際情勢を把握し、能動的なリスク回避策をとっています。投資規制・収益の本国送金規制については、当社及びグループ各社において規制変更の情報を早期に収集し、適切に対処するよう取り組むことで、そのリスクの予防・回避に努めます。海外の税制については、税務情報を適時適切に提出することにより、各国の税務当局と信頼関係を築き、必要に応じて事前照会を実施することで税務リスク低減に努めています。特に、グループ内の国際間取引については、OECD移転価格ガイドラインに従った独立企業間価格に基づき行うとともに、税務当局との事前確認制度を活用し適正な納税に努めています。また、過度な節税を目的とする低税率国・地域(いわゆるタックスヘイブン地域)への税源の移転を防止し、各国の税制に従い適正な申告納税に努めています。 (3)為替レートの変動に関するリスク 当社は、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。また、為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。 (主要な対応策) 当社は、為替レートの変動について、外国為替リスク管理方針に基づき、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。また、海外生産拠点における現地での部材調達の促進により、仕入価格における為替リスクの低減を図っています。 (4)当社製品の競合環境に関するリスク 当社は、多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、広範な競合会社が存在します。当社の競合環境は、これらに限らず、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。特定の事業分野に特化している多くの競合会社と異なり、当社は多角的に事業を展開しているため、個々の事業分野に関しては、競合会社ほど出資や投資を行うことができない可能性があります。当社の競合会社は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。また、競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予想され、その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、素材技術から部品、デバイス・機器、システム・サービスまでの多岐にわたる経営資源を有しています。これらの経営資源を有効活用するため、グループ内の連携強化を図り、高付加価値製品の提供等により、競争優位性の確保に努めています。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿った新製品の開発に早く着手することにより、競争力の強化を図っています。さらに、製品価格の下落に対しては、当社独自の経営管理システム「アメーバ経営」の実践を通じた部門別採算管理の徹底により、原価低減を図り、高い競争力の実現に取り組んでいます。 (5)生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に関するリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、原材料の正味実現可能価額(通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する原価の見積額及び販売に要するコストの見積額を控除した額)が原価を下回った場合には、正味実現可能価額まで評価減しており、今後も評価減を行う可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、購買活動にあたり、「購買基本方針」を定め、会社概況やCSRに関する各種調査を通じて信頼のおける供給業者を選定するとともに、複数社からの購買を基本方針としており、安定的かつ適正価格での調達に努めています。 また、当社は多岐にわたる事業を有していることから、原材料や部材の調達に関してはグループ内の連携により、価格交渉力の向上を図るとともに、原価低減等の内部改善により、各事業で原材料の価格上昇を吸収するよう努めています。 さらに、当社は、素材からシステム・サービスに至るまで事業を展開していることから、各事業で使用する部材や部品の一部をグループ内で調達しています。これにより、外部から調達している部材、部品を確保できない場合、グループ内での調達に切り替えるなどの対応を検討することが可能です。 (6)外部委託先や社内工程における製造の遅延または不良の発生に関するリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の取引先に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする取引先も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼし、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。さらに、当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる、損害賠償金の支払請求を受ける等、業績に重大な影響を与える場合があります。これらのリスクに加え、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、外部委託先の選定にあたり、「購買基本方針」を定め、十分な検討の上、委託先を選定しています。また、当社では、社内で確立した製造工程について、原材料・部品等を支給し、設備及び製造仕様を委託先に貸与することにより、当社と同じ生産管理や品質マネジメントシステムのもと、顧客への納期及び品質要求に対応しています。また、社内においては、データサイエンスを用いた品質改善や、AIやロボットを活用した生産性改善活動を継続的に実施し、リスクの低減に努めています。 (7)生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は、需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合、新たに生産された製品や開発された技術から期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、顧客及び市場の動向を注視し、開発、製造、営業、マーケティング活動をグローバルに展開することにより、変化の速い市場環境への対応に向けて研究開発の強化を図っています。材料からデバイスに関する製品・技術開発を行う「けいはんなリサーチセンター」及びソフトウェア・システム開発を行う「みなとみらいリサーチセンター」を中心に、オープンイノベーションを加速させ、「人類、社会の進歩発展に貢献する」新製品及びサービスの創出に努めます。 (8)買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会が得られないリスク 当社は、事業を発展させるため、買収による会社または資産の取得を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、取得後、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性があります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待どおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。取得後においては、PMIを進め、事業計画に対する実績達成度をモニタリングし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 (9)優れた人材の確保が困難となるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、当社が技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、さらに多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。近年、各分野において、有能な人材の獲得競争がますます激しさを増してきていることから、当社は今後、現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、将来の京セラを支える高いポテンシャルとチャレンジ意欲溢れる人材を新卒採用しているほか、高度な専門スキルを有する人材や、マネジメント能力に優れた多様な人材を経験者採用として通年で積極的に獲得しています。また、従業員に対しては、当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」の理解・実践と、業務を遂行するうえでの専門的な知識・技術の習得の両面で能力向上を図ることを目的とした人材教育を実施しています。目的別に構成される教育体系に基づき教育を展開していくことで経営理念の実現に貢献する有為な人材の育成に努めています。さらに、ワークライフバランスの充実化やダイバーシティの推進を図るなど、多様な人材が活躍できる職場環境作りにも積極的に取り組んでいます。 (10)情報セキュリティに関するリスク 当社は、事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。これらの情報については、コンピューターウイルスの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、システム停止等の被害を受けるリスクがあり、このような事態が発生した場合には、追加対応や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するために、当社は今後の技術革新にも対応できる情報セキュリティの維持に関連する追加的な費用を負担する可能性があり、それらが当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社では、経営戦略、商品開発、各種ノウハウ、技術等を会社の重要資産と認識した上で、京セラグループ統一の「情報セキュリティ管理方針」を制定し、情報セキュリティに関する管理体制を整備しています。また、情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた各種規程を制定し、従業員への教育を実施しています。さらに、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策を講じ、情報セキュリティの強化を図っています。 法規制・訴訟に関するリスク(11)当社の企業秘密や特許・ブランド価値に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社は企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許の取得に努めています。秘密保持契約の当事者によって当社の企業秘密を不適切に漏洩された場合、もしくは当社が特許を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、あるいは当社のブランド価値を毀損するような模倣品が販売され、販売の申し出がされた場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。また、当社は発明の一部について戦略的に特許を出願していますが、こうした特許出願が登録されない可能性があり、特許出願が登録されても無効にされる可能性、回避される可能性もあります。 (主要な対応策) 当社は、企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許を取得し、侵害者の排除に努めています。また、当社の発明については、先行技術を十分に調査した上で出願を行うことにより、登録可能性を高めるとともに、様々な観点から当該事業分野や製品を戦略的に網羅する複数の強い特許を取得し、これらの特許を活用することで事業に貢献する活動を行っています。さらに当社のブランド価値の維持向上を図るため、商標権を取得し、模倣品の摘発を行っています。 (12)当社製品の製造・販売を続ける上で必要なライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、特許実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止め命令を受けること、また、そのことによって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の特許実施許諾料の支払いを要求されないこと。 (主要な対応策) 当社は、新技術・新製品を開発する際には、事前に他社特許を調査して、問題解決に取り組んだ上で事業を行うように努めています。それでも他社から侵害の申し立てがあった場合は、誠実に対応を行い、必要がある場合は適正な特許実施許諾料を支払うことで解決を図ります。 (13)コンプライアンスに関するリスク 当社は、「人間として何が正しいか」を物事の判断基準とする経営哲学「京セラフィロソフィ」をベースにコンプライアンスの徹底に努めています。しかしながら、このような徹底が十分になされず、法令違反や社会規範に反した行動が発生した場合、信用失墜による顧客からの取引停止、罰則金の支払、損害賠償請求等により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、コンプライアンス活動が社是や京セラフィロソフィの延長にある重要な活動であることを理解するとともに、各国の関連法令の遵守がステークホルダーの信頼にも繋がる極めて重要な活動であることを理解し、専門部署であるグローバルコンプライアンス推進部の設置や「京セラコンプライアンス憲章」の制定等、コンプライアンス活動に積極的に取り組んでいます。また、各法令の主管部門による管理、新規法令の施行時や法令改正時の社内連絡体制の構築、内部通報制度の導入、定期的な法令監査の実施、コンプライアンス教育等により、法令を遵守し、社会規範に則った企業活動の徹底を図っています。さらに、グローバルにリスクを察知・共有することを目的に、主要なグループ会社の法務・コンプライアンス担当者が参加する「京セラグループグローバルリーガルコンプライアンス会議」を定期的に開催し、各社のコンプライアンス活動及び法的な課題・対策に関して議論を行っています。 (14)環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、さらには当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から浄化費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境浄化費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。これらの環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、事業活動にあたり、経営理念を基本とした環境安全に関する総合的な取り組みを推進するため、製品のライフサイクルを通した環境負荷の低減、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の抑制等、「京セラグループ環境安全方針」を制定し、環境関連法の遵守を徹底するとともに、規制の変更等への適切な把握、対応に努めています。 (15)世界的な気候変動に関するリスク 当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により、将来さらに厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性があります。対応の不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できず、コストの増加や企業ブランドの低下を招くリスクがあります。 (主要な対応策) 当社は、気候変動に対し、代表取締役社長を委員長とする京セラグループCSR委員会にて、「2030年度温室効果ガス排出量2013年度比30%削減」とする目標を設定し、その目標は環境団体であるSBTイニシアチブよりSBT(Science Based Targets、科学的根拠に基づいた排出削減目標)の認定を受けました。また、再生可能エネルギー関連技術の実証試験を進め、エネルギーソリューション事業を推進し再生可能エネルギーの普及を図るとともに、太陽光発電システムと蓄電池を統合運用することで、再生可能エネルギー比率を高め、エネルギーコストを抑制し、温室効果ガス排出量の削減に努めています。さらに、製造工程での省エネルギー化を進めることで、エネルギー使用量の削減に取り組んでいます。なお、当社はTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言への賛同を表明し、関連情報の積極的な開示に努めています。 災害等に関するリスク(16)感染症の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社は、グローバルに事業を拡大していることに伴い、感染症の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクがあります。このような事態においては、開発・製造・販売・サービス等の事業活動の中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような遅延や混乱が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延(パンデミック)により、当社においても各国政府の方針や行動計画に基づき生産を縮小・停止したため、事業活動に大きな影響を受けました。今後も第2波、第3波の流行や、様々な要因による事業環境の変化が想定されます。当社は、新型コロナウイルス感染症への対策として、顧客、サプライヤー、従業員並びにご家族の健康維持を最優先に、感染予防・感染拡大の防止に努めています。具体的には、供給責任の高い製品の生産を優先し、不急の生産の縮小・停止や在宅勤務等を実施しています。また、子女が通う学校の臨時休校に伴い、通勤や在宅勤務が困難な社員へ特別休暇を付与する等の措置を講じています。当社は、従来取り組んできた製造部門でのAIやロボットの活用による自動化に加え、間接部門でのデジタル化の推進により、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、省人化や在宅勤務等に迅速に対応することができています。今後もグループをあげて生産性倍増に向けた活動を推進していきます。 (17)地震等の災害が発生するリスク 当社は、国内外において多くの開発・製造・事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域においては、地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害、もしくは当社の施設に影響を与える大規模な人為的ミスによる災害から発生する事業への影響が考えられます。例えば、大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。さらに、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。また、当社に原材料等を供給するサプライヤーが被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。このような自然災害に伴う被害や、その結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社では、地震等の自然災害や人為的ミスによる災害に対するBCPについて体制を整備し、活動を継続しています。具体的には、重要資源である人員、設備、部材、情報について、被害を最小化するための事前対策に加え、万が一被災した場合の復旧計画や代替供給策を策定し、教育・訓練を実施することにより、早期に事業再開ができるよう努めています。 財務会計に関するリスク(18)当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は、売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に与信の見直しを行っています。また、回収期限を日次で管理しており、回収遅延や信用不安が発生した場合は、個別に債権回収、条件変更、担保・保証の入手等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めています。 (19)当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク 当社は、取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の持分証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。2020年3月31日現在、当社はKDDI㈱の発行済株式の14.22%を保有しています。KDDI㈱の株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、KDDI㈱の株式について、経済合理性及び将来の事業機会における重要な事業パートナーとして保有を継続しています。当該株式を含むすべての資本性金融商品の一部である政策保有株式については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては、原則、売却を実施しています。また、保有株式の株価変動が当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知するため、定期的に株価のモニタリングを行っています。 (20)有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損処理に関するリスク 当社は、多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生または状況が変化した時点で減損の判定を行っています。これらの資産が減損していると判断された場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、「(8)買収した会社や取得した資産から成果や事業機会が得られないリスク」に記載のとおり、企業買収・資産取得・協業等の投資意思決定においては、その効果を合理的かつ保守的に見積もった事業計画について社外専門家のレビューを踏まえ、機関決定の場で慎重に審議しています。また、取得後においては、事業計画に対する実績達成度をモニターし、都度適切な施策を実行して損失リスク発生の回避に努めています。 (21)繰延税金資産及び法人所得税の不確実性に関するリスク 当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、税務調査を将来受けることを想定し、税務上認識された不確実な税務ポジションについて50%超の実現可能性がないと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。 (主要な対応策) 当社は、子会社が立案する年間事業計画について、達成度を適時確認することにより、都度適切な施策を実行することで、繰延税金資産の回収可能性に変更が生じないように努めています。また、当社は、各国における税制変更及び税務調査に対し、社外専門家を利用し、リスクの最小化に努めています。 (22)会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には、一定の投資もしくは費用が必要となります。 (主要な対応策) 当社は、IFRSを連結財務諸表等に適用しているため、IFRSに適切に対応するための部門を設置するとともに、国際会計基準審議会が公表する基準書や解釈指針等を随時入手し、新会計基準に対応できる体制を整えています。会計基準の変更時には、財政状態及び経営成績に及ぼす影響を把握した上で、適切に開示します。さらに、会計基準の変更に際して、有効な財務報告に係る内部統制を構築するために一定の投資額は必要となりますが、変更内容を適切に把握した上で投資の要否を決定します。
FY2019|8,857 文字
2 【事業等のリスク】 当社の経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは次のとおりです。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。事業活動に関するリスク(1)日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスク 当社は日本のみならず世界各国にて事業を展開するとともに、デジタルコンシューマ機器や産業機器市場、自動車及び環境・エネルギー関連市場等、様々な市場向けに製品・サービスを供給しています。翌連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)の世界経済は、米中貿易摩擦の影響や中国の景気減速、英国のEU離脱問題等により先行き不透明感が高まるとともに、各国景気への下押し圧力が懸念されます。国内経済においては、これらに加え、消費税率の引き上げや日米貿易交渉等による景気への影響が懸念されます。このような各国経済の見通しが想定以上に悪化した場合、民間設備投資や個人消費等が停滞し、当社の主要市場における生産活動に影響を及ぼす場合があります。この結果、当社の事業環境や財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローが悪化する可能性があります。(2)国際的な事業活動におけるリスク 当社は、日本以外に米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、様々な潜在的リスクにさらされています。当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。また、海外拠点での人材確保や管理運営において困難に直面する可能性があります。なお、BRICs諸国をはじめとする新興市場は当社にとって重要性が高まっているため、上述のリスクの影響が拡大する可能性があります。(3)輸出リスク 当社の海外の顧客への売上は、当連結会計年度の売上高の約60%を占めています。海外への販売は今後も当社の収益の中で大きな割合を占めると考えられるため、以下の輸出リスクが当社の収益に大きく影響する可能性があります。・円高により、海外の顧客にとって当社製品の価格が上昇するリスク。・政治的または経済的な不安定要因、景気後退並びに経済制裁等により当社製品の輸出に支障が生じるリスク。・関税及びその他の障壁が当社製品の価格競争力を低下させるリスク。・一部の国において、当社の企業秘密や知的財産権が法律によって適切に保護されないリスク。(4)為替レートの変動リスク 当社は国内外で事業を行っているため為替レートの変動の影響を受けますが、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。しかし、為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があり、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。 為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争にも悪影響を及ぼす場合があり、更に、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。(5)当社の様々な製品が価格・技術革新・製品開発・品質・納期等の面において、今後更に厳しい競合にさらされるリスク 当社は多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、広範な競合企業が存在します。当社の競合環境は、コスト構造等で競争優位性を持つ中国等の新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。こうした競合企業の多くは、当社が活動する多様な事業分野のひとつ、もしくはいくつかの分野に特化しています。そのため、個々の事業分野で比較すると、出資や投資を競合企業と同程度に行うことができない可能性があります。また、当社の競合企業は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予測されます。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿う新製品を開発する工程に早く着手することが競合状況に大きく影響します。競争を優位に進めるためには顧客と緊密な関係を保つことが重要であり、その結果、顧客の要求する仕様に合わせ、最短で納入することが可能となります。このような顧客との重要な関係やマーケット・シェアを維持できない場合や、競合企業との価格競争への対応として想定以上に製品価格の引き下げを余儀なくされる場合には、当社の利益率は低下する可能性があります。(6)当社の生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に係るリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、低価法に基づき原材料の正味実現可能価額(正常な営業活動における見積販売価格から、完成と処分までに発生する合理的に予想される費用を控除したもの)が帳簿価額を下回った場合には、その差額を評価損として計上しており、今後も評価損を計上しなければならない可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合は、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、または合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性もあります。(7)外部委託先や社内工程における製造の遅延や不良が生産高や業績に重大な影響を及ぼすリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の業者に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする業者も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼす可能性があり、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。 当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる等業績に重大な影響を与える場合があります。更に、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。(8)電力不足や電力費の上昇が生産活動及び販売活動に及ぼすリスク 日本においては、2011年3月の東日本大震災による原子力発電所の事故の影響により多くの原子力発電所が稼動を停止しているため、電力が不足する懸念や電力費の上昇が生じています。当社は、一部の設備や施設については非常用の電源を確保していますが、仮に当社の生産拠点において大規模な停電が発生し電力不足が続いた場合、当社の生産活動は停滞する可能性があります。また、当社のサプライヤーもしくは顧客の主要拠点において電力が不足する事態が生じた場合には、当社の調達活動や販売活動が停滞する可能性があります。更に、仮に電力費が大幅に上昇した場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(9)生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合には、そこで生産された製品や開発された技術からは期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性も考えられます。(10)当社が買収した会社や取得した資産もしくは社外との協業から期待される成果や事業機会を得ることができず損失を被るリスク 当社は事業の発展のために買収によって会社もしくは資産を取得する機会を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性もあります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスへの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待とおりに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(11)技術力を有する人材、特に科学・技術分野の人材が産業界全体で不足し、有能な人材確保が困難になるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、当社が技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、更に多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。しかし、各分野においては、有能な人材の獲得競争は近年ますます激しさを増してきていることから、当社は、今後現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。(12)情報セキュリティに関するリスク 当社は事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。当社は情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた規程を制定し、従業員への教育を実施しています。また、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策を講じ、情報セキュリティの強化を図っています。 しかしながら、コンピューターウイルスの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、システム停止等の被害を受けるリスクがあり、このような事態が発生した場合には、追加対応や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するために、当社は今後の技術革新にも対応できる情報セキュリティの維持に関連する追加的な費用を負担する可能性があり、それらが当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。法規制・訴訟に関するリスク(13) 当社の企業秘密や特許に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社は企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許の取得に努めています。秘密保持契約の当事者によって当社の企業秘密を不適切に漏洩された場合、もしくは当社が特許を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 当社は発明の一部について戦略的に特許を出願していますが、こうした特許出願が登録されない可能性があり、また、特許出願が登録されても無効にされる可能性、回避される可能性もあります。更に、一部の国の法律では、日本の法律と同程度には当社の知的財産権が保護されない可能性があります。(14)当社製品の一部を継続的に製造・販売するために必要となるライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、特許実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止め命令を受けること、また、そのことによって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の特許実施許諾料の支払いを要求されないこと。(15)環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、更には当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。また、当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により将来更に厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性もあります。特に温室効果ガス削減に関しては、気候変動問題に対する政府間協議の結果に基づき、国際的な排出権取引制度の枠組みが制定される可能性があります。 当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から修復費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境修復費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。以上のような環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(16)その他の法規制等に関するリスク 当社は事業活動を行う国や地域における法規制や規則等の遵守に努めていますが、意図せずに法規制や規則等に抵触し、訴訟や規制当局の法的処分を受ける可能性があります。また、当社が想定していない法規制や規則の変更や導入により、当社の事業活動が制約を受け、その継続に支障が生じる可能性があります。仮に訴訟や規制当局の法的処分への対応に多大な費用が生じた場合や法規制による事業活動の制約が広範囲に及ぶ場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。災害等に関するリスク(17)疫病の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社はグローバル企業として世界中で事業を拡大していますが、それに伴い、疫病の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクが高まります。このような事態においては、当社の事業活動は中断を余儀なくされ、当社の開発・製造・販売・サービス等に中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような遅延や混乱が長期間続いた場合には、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(18)当社の本社及び主要な事業関連施設が存在する地域や、当社のサプライヤーや顧客が事業活動を行なう地域において、地震等の災害が発生するリスク 当社は日本国内外において多くの開発・製造施設、事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域においては、地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害、もしくは当社の施設に影響を与える大規模な労働災害のような人為的災害から発生する事業への影響も考えられます。例えば大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。 更に、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。 また、当社に原材料等を供給する企業が被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。 以上のような自然災害に伴う被害やその結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。財務会計に関するリスク(19)当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には損金処理することを余儀なくされるため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(20)当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関するリスク 当社は取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の持分証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。2019年3月31日現在、当社はKDDI㈱の発行済株式の13.23%を保有しています。KDDI㈱の株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社が保有する資本性金融商品の一部である政策保有株式については、取引関係の強化、維持及び株式保有による収益獲得を通じた企業成長、並びに企業の社会的意義等を踏まえ、中長期的に企業価値を向上させるという視点に立ち、保有しています。これら政策保有株式を含む資本性金融商品については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては売却する予定ですが、市況によっては当社が望む時期、または価格での売却ができない可能性があります。(21)有形固定資産、のれん並びに無形資産の減損に関するリスク 当社は多くの有形固定資産、のれん並びに無形資産を保有しています。有形固定資産及び償却性無形資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生又は状況が変化した時点で減損の判定を行っています。 これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(22)繰延税金資産及び法人所得税の不確実性に関するリスク 当社は繰延税金資産について、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、将来税務調査を受けることを想定し、税務上認識された不確実な税務ポジションについて50%超の実現可能性がないと判断した場合、当該部分を不確実な税務ポジションとして負債に計上しています。なお、法人所得税における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。(23)会計基準の変更が財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には一定の投資もしくは費用が必要となります。
FY2018|9,384 文字
2 【事業等のリスク】 当社の経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは次のとおりです。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。事業活動に関するリスク(1) 日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスク 当社は日本のみならず世界各国にて事業を展開するとともに、デジタルコンシューマ機器や産業機器市場、自動車及び環境・エネルギー関連市場等、様々な市場向けに製品・サービスを供給しています。翌連結会計年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)の国内経済は、緩やかな成長が続く見通しです。海外においては、米国経済は引き続き堅調な成長が見込まれ、欧州経済も緩やかな回復が予想されます。中国経済については、成長率の低下が予想されるものの、安定成長が見込まれます。このような各国経済の見通しが想定に比べ悪化した場合、民間設備投資や個人消費等が停滞し、当社の主要市場における生産活動に影響を及ぼす場合があります。この結果、当社の事業環境や経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローが悪化する可能性があります。(2) 国際的な事業活動におけるリスク 当社は、日本以外に米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、様々な潜在的リスクにさらされています。当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。また、海外拠点での人材確保や管理運営において困難に直面する可能性があります。なお、BRICs諸国をはじめとする新興市場は当社にとって重要性が高まっているため、上述のリスクの影響が拡大する可能性があります。(3) 輸出リスク 当社の海外の顧客への売上は、当連結会計年度の売上高の約60%を占めています。海外への販売は今後も当社の収益の中で大きな割合を占めると考えられるため、以下の輸出リスクが当社の収益に大きく影響する可能性があります。・円高により、海外の顧客にとって当社製品の価格が上昇するリスク。・政治的または経済的な不安定要因、景気後退並びに経済制裁等により当社製品の輸出に支障が生じるリスク。・関税及びその他の障壁が当社製品の価格競争力を低下させるリスク。・一部の国において、当社の企業秘密や知的財産権が法律によって適切に保護されないリスク。(4) 為替レートの変動リスク 当社は国内外で事業を行っているため為替レートの変動の影響を受けますが、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。しかし、為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があり、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。 為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争にも悪影響を及ぼす場合があり、更に、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。(5) 当社の様々な製品が価格・技術革新・製品開発・品質・納期等の面において、今後更に厳しい競合にさらされるリスク 当社は多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、広範な競合企業が存在します。当社の競合環境は、コスト構造等で競争優位性を持つ中国等の新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。こうした競合企業の多くは、当社が活動する多様な事業分野のひとつ、もしくはいくつかの分野に特化しています。そのため、個々の事業分野で比較すると、出資や投資を競合企業と同程度に行うことができない可能性があります。また、当社の競合企業は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予測されます。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿う新製品を開発する工程に早く着手することが競合状況に大きく影響します。競争を優位に進めるためには顧客と緊密な関係を保つことが重要であり、その結果、顧客の要求する仕様に合わせ、最短で納入することが可能となります。このような顧客との重要な関係やマーケット・シェアを維持できない場合や、競合企業との価格競争への対応として想定以上に製品価格の引き下げを余儀なくされる場合には、当社の利益率は低下する可能性があります。(6) 当社の生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に係るリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げる可能性があります。なお、当社は、低価法に基づき原材料の正味実現可能価額(正常な営業活動における見積り販売価格から、完成と処分までに発生する合理的に予想される費用を控除したもの)が帳簿価額を下回った場合には、その差額を評価損として計上しており、今後も評価損を計上しなければならない可能性があります。 また、当社は、生産活動において消費される一部の原材料を特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対する需要が過剰な状況となり、当社への供給が不足した場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合は、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、または合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような価格上昇や原材料の供給停止は、当社の製品の需要を押し下げる可能性もあります。 当社は、このような原材料を安定した価格で確保し、かつ原材料の確保に係るリスクを低減させるため、長期購入契約を締結する場合があります。しかしながら、事業環境などの著しい変化により、契約締結後に原材料の市場価格が下落し、契約上の購入価格を大きく下回った場合や、契約時の需要計画から著しく使用量が減少した場合には、当社の製造原価や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、長期購入契約により購入することが義務付けられている契約残高についても低価法で評価し、正味実現可能価額が契約上の購入価額を下回った場合には、その差額について引当損失を計上します。 当社は、当連結会計年度において、ソーラーエネルギー事業におけるポリシリコン原材料の長期購入契約等に関する引当損失を計上しました。当該引当損失の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記5」を参照下さい。(7) 外部委託先や社内工程における製造の遅延や不良が生産高や業績に重大な影響を及ぼすリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の業者に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする業者も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼす可能性があり、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。 当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる等業績に重大な影響を与える場合があります。更に、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。(8) 電力不足や電力費の上昇が生産活動及び販売活動に及ぼすリスク 日本においては、2011年3月の東日本大震災による原子力発電所の事故の影響により多くの原子力発電所が稼動を停止しているため、電力が不足する懸念や電力費の上昇が生じています。当社は、一部の設備や施設については非常用の電源を確保していますが、仮に当社の生産拠点において大規模な停電が発生し電力不足が続いた場合、当社の生産活動は停滞する可能性があります。また、当社のサプライヤーもしくは顧客の主要拠点において電力が不足する事態が生じた場合には、当社の調達活動や販売活動が停滞する可能性があります。更に、仮に電力費が大幅に上昇した場合には、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(9) 生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合には、そこで生産された製品や開発された技術からは期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性も考えられます。(10) 当社が買収した会社や取得した資産もしくは社外との協業から期待される成果や事業機会を得ることができず損失を被るリスク 当社は事業の発展のために買収によって会社もしくは資産を取得する機会を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性もあります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスへの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待通りに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(11) 技術力を有する人材、特に科学・技術分野の人材が産業界全体で不足し、有能な人材確保が困難になるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、当社が技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、更に多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。しかし、各分野においては、有能な人材の獲得競争は近年ますます激しさを増してきていることから、当社は、今後現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。(12) 情報セキュリティに関するリスク 当社は事業活動における重要情報や顧客から入手した個人情報、機密情報を保有しています。当社は情報セキュリティを維持・確保するために、従業員が遵守すべき事項を定めた規程を制定し、従業員への教育を実施しています。また、ネットワークやIT資産等に対するセキュリティ対策を講じ、情報セキュリティの強化を図っています。 しかしながら、コンピューターウイルスの侵入や高度なサイバー攻撃等により、情報漏洩や改ざん、システム停止等の被害を受けるリスクがあり、このような事態が発生した場合には、追加対応や損害賠償等の多額の費用負担により、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。 また、当社のシステムに対する不正アクセスを防止するために、当社は今後の技術革新にも対応できる情報セキュリティの維持に関連する追加的な費用を負担する可能性があり、それらが当社の財政状態及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。法規制・訴訟に関するリスク(13) 当社の企業秘密や特許に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社は企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許の取得に努めています。秘密保持契約の当事者によって当社の企業秘密を不適切に漏洩された場合、もしくは当社が特許を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 当社は発明の一部について戦略的に特許を出願していますが、こうした特許出願が登録されない可能性があり、また、特許出願が登録されても無効にされる可能性、回避される可能性もあります。更に、一部の国の法律では、日本の法律と同程度には当社の知的財産権が保護されない可能性があります。(14) 当社製品の一部を継続的に製造・販売するために必要となるライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、特許実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止め命令を受けること、また、そのことによって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の特許実施許諾料の支払いを要求されないこと。(15) 環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、更には当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。また、当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により将来更に厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性もあります。特に温室効果ガス削減に関しては、気候変動問題に対する政府間協議の結果に基づき、国際的な排出権取引制度の枠組みが制定される可能性があります。 当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から修復費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境修復費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。以上のような環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(16) その他の法規制等に関するリスク 当社は事業活動を行う国や地域における法規制や規則等の遵守に努めていますが、意図せずに法規制や規則等に抵触し、訴訟や規制当局の法的処分を受ける可能性があります。また、当社が想定していない法規制や規則の変更や導入により、当社の事業活動が制約を受け、その継続に支障が生じる可能性があります。仮に訴訟や規制当局の法的処分への対応に多大な費用が生じた場合や法規制による事業活動の制約が広範囲に及ぶ場合には、当社の財政状態、経営成績並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。災害等に関するリスク(17) 疫病の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社はグローバル企業として世界中で事業を拡大していますが、それに伴い、疫病の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクが高まります。このような事態においては、当社の事業活動は中断を余儀なくされ、当社の開発・製造・販売・サービス等に中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような遅延や混乱が長期間続いた場合には、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(18) 当社の本社及び主要な事業関連施設が存在する地域や、当社のサプライヤーや顧客が事業活動を行なう地域において、地震等の災害が発生するリスク 当社は日本国内外において多くの開発・製造施設、事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域においては、地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害、もしくは当社の施設に影響を与える大規模な労働災害のような人為的災害から発生する事業への影響も考えられます。例えば大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。 更に、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。 また、当社に原材料等を供給する企業が被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。 以上のような自然災害に伴う被害やその結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。財務会計に関するリスク(19) 当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には損金処理することを余儀なくされるため、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(20) 当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関して減損処理が発生するリスク 当社は取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の持分証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。2018年3月31日現在、当社はKDDI㈱の発行済株式の12.95%を保有しています。KDDI㈱の株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社が一定期間保有しているこうした企業の株式の公正価値、すなわち市場価格が下落し、その価値の下落が一時的でないと判断した場合には減損処理を行う必要が生じます。 当社が保有する持分証券の一部である政策保有株式については、取引関係の強化、維持、発展及び株式保有による収益獲得を通じた企業成長、並びに企業の社会的意義等を踏まえ、中長期的に企業価値を向上させるという視点に立ち、保有しています。これら政策保有株式を含む持分証券については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては売却する予定ですが、市況によっては当社が望む時期、または価格での売却ができない可能性があります。(21) 長期性資産、営業権並びに無形固定資産の減損に関するリスク 当社は多くの長期性資産、営業権並びに無形固定資産を保有しています。長期性資産及び償却性無形固定資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生又は状況が変化した時点で減損の判定を行っています。 これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が公正価値を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(22) 繰延税金資産及び法人税等の不確実性に関するリスク 当社は繰延税金資産について、将来の課税所得の見積り及び税務上、実現可能と見込まれる計画に従い、実現しないと考えられる金額を評価性引当金として計上しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、将来税務調査を受けることを想定し、税務上認識された税務ベネフィットについて50%超の実現可能性がないと判断した場合、当該部分を未認識税務ベネフィットとして負債に計上しています。法人税等における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。(23) 会計基準の変更が経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には一定の投資もしくは費用が必要となります。
FY2017|9,021 文字
4 【事業等のリスク】 当社の経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは次のとおりです。なお、当該事項は、当社が有価証券報告書提出日時点において判断したものです。事業活動に関するリスク(1) 日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスク 当社は日本のみならず世界各国にて事業を展開するとともに、デジタルコンシューマ機器や産業機器市場、自動車及び環境・エネルギー関連市場等、様々な市場向けに製品・サービスを供給しています。翌連結会計年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日まで)の国内経済は、緩やかな成長が予想されます。海外においては、米国経済は引き続き堅調な成長が見込まれ、欧州経済は緩やかな回復が続く見通しです。中国経済については成長率の低下が予想されます。このような各国経済の見通しが想定に比べ悪化した場合、民間設備投資や個人消費等が停滞し、当社の主要市場における生産活動に影響を及ぼす場合があります。この結果、当社の事業環境や経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローが悪化する可能性があります。(2) 国際的な事業活動におけるリスク 当社は、日本以外に米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、様々な潜在的リスクにさらされています。当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。また、海外拠点での人材確保や管理運営において困難に直面する可能性があります。なお、BRICs諸国をはじめとする新興市場は当社にとって重要性が高まっているため、上述のリスクの影響が拡大する可能性があります。(3) 輸出リスク 当社の海外の顧客への売上は、当連結会計年度の売上高の約58%を占めています。海外への販売は今後も当社の収益の中で大きな割合を占めると考えられるため、以下の輸出リスクが当社の収益に大きく影響する可能性があります。・円高により、海外の顧客にとって当社製品の価格が上昇するリスク。・政治的もしくは経済的に不安定な状態や景気後退により、当社製品の輸出に支障が生じるリスク。・関税及びその他の障壁が当社製品の価格競争力を低下させるリスク。・一部の国において、当社の企業秘密や知的財産権が法律によって適切に保護されないリスク。(4) 為替レートの変動リスク 当社は国内外で事業を行っているため為替レートの変動の影響を受けますが、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。しかし、為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があり、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。 為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争にも悪影響を及ぼす場合があり、更に、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。(5) 当社の様々な製品が価格・技術革新・製品開発・品質・納期等の面において、今後更に厳しい競合にさらされるリスク 当社は多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、広範な競合企業が存在します。当社の競合環境は、コスト構造等で競争優位性を持つ中国等の新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。こうした競合企業の多くは、当社が活動する多様な事業分野のひとつ、もしくはいくつかの分野に特化しています。そのため、個々の事業分野で比較すると、出資や投資を競合企業と同程度に行うことができない可能性があります。また、当社の競合企業は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予測されます。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿う新製品を開発する工程に早く着手することが競合状況に大きく影響します。競争を優位に進めるためには顧客と緊密な関係を保つことが重要であり、その結果、顧客の要求する仕様に合わせ、最短で納入することが可能となります。このような顧客との重要な関係やマーケット・シェアを維持できない場合や、競合企業との価格競争への対応として想定以上に製品価格の引き下げを余儀なくされる場合には、当社の利益率は低下する可能性があります。(6) 当社の生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に係るリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げることになる可能性があります。米国会計原則に基づき、当社は原材料を原価と正味実現可能価額(正常な営業活動における見積もり販売価格から、完成と処分までに発生する合理的に予想される費用を控除したもの)のいずれか低い金額まで評価減を計上しており、今後も更なる評価減を計上しなければならない可能性があります。たな卸資産の原価が正味実現可能価額を超過した場合に、評価減の計上が要求されます。 また、当社は、生産活動において費消される一部の原材料を確保するために特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対して需要過剰な状況となった場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合は、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、または合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような重大な価格上昇や原材料の供給停止が当社の製品の需要を押し下げる可能性もあります。 この一部の原材料を安定した価格で確保するため、また、原材料の確保に係るリスクを低減させるため、当社は長期購入契約を締結する場合があります。しかしながら、事業環境などの著しい変化により、この長期購入契約における契約価格が市場価格を大きく上回る可能性や、契約時の需要計画から著しく使用量が減少する可能性があることから、このような状況が当社の製造原価や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、購入契約についてはたな卸資産と同じ方法で損失の計上を認識します。合理的な予測における需要と価格に基づき、当社はこれらの購入契約に対して損失を計上していませんが、今後、計上しなければならない可能性があります。 当社は、ソーラーエネルギー事業において複数の特定サプライヤーとポリシリコン原材料に係る長期購入契約を締結しています。これらの詳細については「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 流動性及び資金の源泉 ⑤ 原材料に係る長期購入契約」を参照下さい。(7) 外部委託先や社内工程における製造の遅延や不良が生産高や業績に重大な影響を及ぼすリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を単一もしくは限られた数社の業者に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする業者も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼす可能性があり、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。 当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる等業績に重大な影響を与える場合があります。更に、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。(8) 電力不足や電力費の上昇が生産活動及び販売活動に及ぼすリスク 日本においては、平成23年3月の東日本大震災による原子力発電所の事故の影響により多くの原子力発電所が稼動を停止しているため、電力が不足する懸念や電力費の上昇が生じています。当社は、一部の設備や施設については非常用の電源を確保していますが、仮に当社の生産拠点において大規模な停電が発生し電力不足が続いた場合、当社の生産活動は停滞する可能性があります。また、当社のサプライヤーもしくは顧客の主要拠点において電力が不足する事態が生じた場合には、当社の調達活動や販売活動が停滞する可能性があります。更に、仮に電力費が大幅に上昇した場合には、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(9) 生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合には、そこで生産された製品や開発された技術からは期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性も考えられます。(10) 当社が買収した会社や取得した資産もしくは社外との協業から期待される成果や事業機会を得ることができないリスクや損失を被るリスク 当社は事業の発展のために買収によって会社もしくは資産を取得する機会を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性もあります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスへの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待通りに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、他社や学術機関、政府機関等との協業においても、上記と同様の影響を受ける可能性があります。(11) 技術力を有する人材、特に科学・技術分野の人材が産業界全体で不足し、有能な人材確保が困難になるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、当社が技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、更に多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。しかし、各分野においては、有能な人材の獲得競争は近年ますます激しさを増してきていることから、当社は、今後現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。法規制・訴訟に関するリスク(12) 当社の企業秘密や特許に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社は企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許の取得に努めています。秘密保持契約の当事者によって当社の企業秘密を不適切に漏洩された場合、もしくは当社が特許を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 当社は発明の一部について戦略的に特許を出願していますが、こうした特許出願が登録されない可能性があり、また、特許出願が登録されても無効にされる可能性、回避される可能性もあります。更に、一部の国の法律では、日本の法律と同程度には当社の知的財産権が保護されない可能性があります。(13) 当社製品の一部を継続的に製造・販売するために必要となるライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、特許実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止め命令を受けること、また、そのことによって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の特許実施許諾料の支払いを要求されないこと。(14) 環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、更には当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。また、当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により将来更に厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性もあります。特に温室効果ガス削減に関しては、気候変動問題に対する政府間協議の結果に基づき、国際的な排出権取引制度の枠組みが制定される可能性があります。 当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から修復費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境修復費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。以上のような環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(15) その他の法規制等に関するリスク 当社は事業活動を行う国や地域における法規制や規則等の遵守に努めていますが、意図せずに法規制や規則等に抵触し、訴訟や規制当局の法的処分を受ける可能性があります。また、当社が想定していない法規制や規則の変更や導入により、当社の事業活動が制約を受け、その継続に支障が生じる可能性があります。仮に訴訟や規制当局の法的処分への対応に多大な費用が生じた場合や法規制による事業活動の制約が広範囲に及ぶ場合には、当社の財政状態、経営成績並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。災害等に関するリスク(16) 疫病の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社はグローバル企業として世界中で事業を拡大していますが、それに伴い、疫病の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクが高まります。このような事態においては、当社の事業活動は中断を余儀なくされ、当社の開発・製造・販売・サービス等に中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような遅延や混乱が長期間続いた場合には、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(17) 当社の本社及び主要な事業関連施設が存在する地域や、当社のサプライヤーや顧客が事業活動を行なう地域において、地震等の災害が発生するリスク 当社は日本国内外において多くの開発・製造施設、事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域においては、地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害、もしくは当社の施設に影響を与える大規模な労働災害のような人為的災害から発生する事業への影響も考えられます。例えば大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。 更に、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。 また、当社に原材料等を供給する企業が被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。 以上のような自然災害に伴う被害やその結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。財務会計に関するリスク(18) 当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には損金処理することを余儀なくされるため、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(19) 当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関して減損処理が発生するリスク 当社は取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の持分証券に投資しています。その主たる投資は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の株式への投資です。平成29年3月31日現在、当社はKDDI㈱の発行済株式の12.78%を保有しています。KDDI㈱の株式への投資は当社の総資産の約30%を占めており、KDDI㈱の株式の市場価格の変動は、当社の財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社が一定期間保有しているこうした企業の株式の公正価値、すなわち市場価格が下落し、その価値の下落が一時的でないと判断した場合には減損処理を行う必要が生じます。 当社が保有する持分証券の一部である政策保有株式については、取引関係の強化、維持、発展及び株式保有による収益獲得を通じた企業成長、並びに企業の社会的意義等を踏まえ、中長期的に企業価値を向上させるという視点に立ち、保有しています。これら政策保有株式を含む持分証券については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては売却する予定ですが、市況によっては当社が望む時期、または価格での売却ができない可能性があります。(20) 長期性資産、営業権並びに無形固定資産の減損に関するリスク 当社は多くの長期性資産、営業権並びに無形固定資産を保有しています。長期性資産及び償却性無形固定資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生又は状況が変化した時点で減損の判定を行っています。 これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が公正価値を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(21) 繰延税金資産及び法人税等の不確実性に関するリスク 当社は繰延税金資産について、将来の課税所得の見積り及び税務上、実現可能と見込まれる計画に従い、実現しないと考えられる金額を評価性引当金として計上しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、将来税務調査を受けることを想定し、税務上認識された税務ベネフィットについて50%超の実現可能性がないと判断した場合、当該部分を未認識税務ベネフィットとして負債に計上しています。法人税等における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。(22) 会計基準の変更が経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には一定の投資もしくは費用が必要となります。
FY2016|8,906 文字
4 【事業等のリスク】 当社の経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当該事項は、有価証券報告書作成時点において判断した記載となっています。事業活動に関するリスク(1) 日本及び世界経済の変動により、当社製品の需要が大きく減退するリスク 当社は日本のみならず世界各国にて事業を展開するとともに、デジタルコンシューマ機器や産業機器市場、自動車及び環境・エネルギー関連市場等、様々な市場向けに製品・サービスを供給しています。翌連結会計年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)の国内経済は、引き続き低い成長が予想されます。海外においては、米国経済は拡大基調の継続が見込まれるものの、欧州経済は低成長が続く見通しであり、中国経済についても成長率の低下が予想されます。このような各国経済の見通しが想定に比べ悪化した場合、民間設備投資や個人消費等が停滞し、当社の主要市場における生産活動に影響を及ぼす場合があります。この結果、当社の事業環境や経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローが悪化する可能性があります。(2) 国際的な事業活動におけるリスク 当社は日本以外に、米国や欧州をはじめ、中国やベトナム等のアジア地域で製造及び販売拠点拡充のために多額の投資を行っています。これらの海外市場で事業活動を行っていく上で、様々な潜在的リスクにさらされています。当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。また、海外拠点での人材確保や管理運営において困難に直面する可能性があります。なお、BRICs諸国をはじめとする新興市場は当社にとって重要性が高まっているため、上述のリスクの影響が拡大する可能性があります。(3) 輸出リスク 当社の海外の顧客への売上は、当連結会計年度の売上高の約60%を占めています。海外への販売は今後も当社の収益の中で大きな割合を占めると考えられるため、以下の輸出リスクが当社の収益に大きく影響する可能性があります。・円高により、海外の顧客にとって当社製品の価格が上昇するリスク。・政治的もしくは経済的に不安定な状態や景気後退により、当社製品の輸出に支障が生じるリスク。・関税及びその他の障壁が当社製品の価格競争力を低下させるリスク。・一部の国において、当社の企業秘密や知的財産権が法律によって適切に保護されないリスク。(4) 為替レートの変動リスク 当社は国内外で事業を行っているため為替レートの変動の影響を受けますが、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めています。しかし、為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があり、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。 為替レートの変動は、当社と海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争にも悪影響を及ぼす場合があり、更に、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。(5) 当社の様々な製品が価格・技術革新・製品開発・品質・納期等の面において、今後更に厳しい競合にさらされるリスク 当社は多種多様な製品を販売しているため、国際的な大企業から、高度に専門化し急成長している比較的小規模な企業まで、広範な競合企業が存在します。当社の競合環境は、コスト構造等で競争優位性を持つ中国等の新興国企業を含め、新たな脅威となる競合他社の出現によって常に変化する可能性があります。こうした競合企業の多くは、当社が活動する多様な事業分野のひとつ、もしくはいくつかの分野に特化しています。そのため、個々の事業分野で比較すると、出資や投資を競合企業と同程度に行うことができない可能性があります。また、当社の競合企業は、財務・技術・マーケティング面での経営資源を、当社の個々の事業より多く有している可能性があります。競合の要因は事業分野によって異なりますが、価格と納期は当社の全事業分野において影響を及ぼす主な要因となります。需要や競合の状況によりますが、製品価格の値下げ要求は概して恒常化しているため、今後も製品価格の下落が予測されます。また、当社が顧客の製品ごとに仕様を合わせた部品を開発・製造・販売している事業においては、顧客の要求に沿う新製品を開発する工程に早く着手することが競合状況に大きく影響します。競争を優位に進めるためには、顧客と緊密な関係を保つことが重要であり、その結果、顧客の要求する仕様に合わせ、最短で納入することが可能となります。このような顧客との重要な関係やマーケット・シェアを維持できない場合や、競合企業との価格競争への対応として、想定以上に製品価格の引き下げを余儀なくされる場合には、当社の利益率は低下する可能性があります。(6) 当社の生産活動に使用される原材料の価格変動、サプライヤーの供給能力に係るリスク 当社の各事業の生産活動に使用される原材料は、常に価格変動にさらされているため、原材料価格の上昇は当社の製造原価の上昇につながる可能性があります。このような製造原価の上昇が、製品の販売価格に転嫁できず、当社の収益性を押し下げることになる可能性があります。米国会計原則に基づき、当社は原材料を原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額まで評価減を計上しており、今後も更なる評価減を計上しなければならない可能性があります。たな卸資産の原価が正味実現可能価額(正常な営業活動における見積もり販売価格から、完成と処分までに発生する合理的に予想される費用を控除したもの)を超過した場合に、評価減の計上が要求されます。 また当社は、生産活動において費消される一部の原材料を確保するために、特定のサプライヤーに依存しており、これらのサプライヤーに対して需要過剰な状況となった場合、当社の生産活動に遅延や混乱を引き起こす可能性があります。このような原材料の供給に重大な遅延があった場合は、当社はただちに特定のサプライヤーに代わりうる供給先を確保できない可能性や、または合理的な価格で原材料を確保できない可能性があります。このような重大な価格上昇や原材料の供給停止が当社の製品の需要を押し下げる可能性もあります。 この一部の原材料を安定した価格で確保するため、また、原材料の確保に係るリスクを低減させるため、当社は長期購入契約を締結する場合があります。しかしながら、事業環境などの著しい変化により、この長期購入契約における契約価格が市場価格を大きく上回る可能性や、契約時の需要計画から著しく使用量が減少する可能性があることから、このような状況が当社の製造原価や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、購入契約については、たな卸資産と同じ方法で損失の計上を認識します。合理的な予測における需要と価格に基づき、当社はこれらの購入契約に対して、損失を計上していませんが、今後、計上しなければならない可能性があります。 当社は、ソーラーエネルギー事業において、複数の特定サプライヤーとポリシリコン原材料に係る長期購入契約を締結しています。これらの詳細については「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ⑤ 原材料に係る長期購入契約」を参照下さい。(7) 外部委託先や社内工程における製造の遅延や不良が生産高や業績に重大な影響を及ぼすリスク 当社は、部品の製造や製品の組立の一部を、単一もしくは限られた数社の業者に外部委託しています。その中には非常に複雑な製造工程や長い製造時間を必要とする業者も存在するため、部品や組立品の供給が遅滞する場合があります。また、このような部品や組立品が高い品質や信頼性を欠き、かつ適時に納入されない場合には、関連する製品の生産に重大な影響を及ぼす可能性があり、当社の生産活動の遅延や中断が生じる場合があります。 当社の製造工程においては、微小の不純物の製品への混入や製造工程の問題等の発生によって製品が納品できない状態になる場合や規格外となる場合があります。こうした要因によって生産高が計画を下回る、あるいは製品の出荷が遅れる等業績に重大な影響を与える場合があります。更に、製造原価に占める固定費の割合が高い事業においては、生産数量や設備稼働率の低下が、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。(8) 電力不足や電力費の上昇が生産活動及び販売活動に及ぼすリスク 日本においては、平成23年3月の東日本大震災による原子力発電所の事故の影響により、多くの原子力発電所が稼動を停止しているため、電力が不足する懸念や電力費の上昇が生じています。当社は、一部の設備や施設については非常用の電源を確保していますが、仮に当社の生産拠点において大規模な停電が発生し電力不足が続いた場合、当社の生産活動は停滞する可能性があります。また、当社のサプライヤーもしくは顧客の主要拠点において電力が不足する事態が生じた場合には、当社の調達活動や販売活動が停滞する可能性があります。更に、仮に電力費が大幅に上昇した場合には、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(9) 生産能力及び開発体制の拡大、もしくは現在進行中の研究開発が期待される成果を生み出さないリスク 当社は需要の増加や顧客の要求に対応するため、常に生産及び開発能力の拡大に努めています。こうした生産及び開発能力の拡大を図る際に、予期せぬ技術的な障害や顧客の方針転換等により、計画どおりに拡大できない場合には、そこで生産された製品や開発された技術からは期待された成果が得られない可能性があります。また、当社で現在進行中の研究開発活動から生まれる製品が、市場において期待された評価を得られない可能性も考えられます。(10) 当社が買収した会社や取得した資産から期待される成果や事業機会を得ることができないリスクや損失を被るリスク 当社は事業の発展のために、買収によって会社もしくは資産を取得する機会を検討しており、実際にそれらを取得することがあります。しかしながら、被買収会社の事業や製品並びに人材を当社が効果的に当社の既存事業に統合できない可能性や、買収による事業上の成果や財政上の利益または新しい事業機会を当社が期待する程は得られない可能性もあります。また、被買収会社による製品の製造やサービスの提供が、当社が計画したとおり効率的に実施できない可能性や、被買収会社の製品やサービスへの需要が当社の期待に達しない可能性があります。従って、買収によって取得した会社や資産を期待通りに活用できない場合、当社の事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。(11) 技術力を有する人材、特に科学・技術分野の人材が産業界全体で不足し、有能な人材確保が困難になるリスク 当社が将来にわたり発展するためには、当社が技術・販売・管理面において優れた人材を確保する必要があります。当社はあらゆる事業分野において、更に多くの優れた能力を有する人材の雇用が必要になると考えています。しかし、各分野においては、有能な人材の獲得競争は近年ますます激しさを増してきていることから、当社は、今後現有の人材を維持することや、能力のある人材を増員することができなくなる可能性があります。法規制・訴訟に関するリスク(12) 当社の企業秘密や特許に関するリスク 当社が将来にわたり発展し、市場競争において優位な地位を確立・維持するためには、当社の企業秘密やその他の知的財産が守られなければなりません。当社は企業秘密を守るために従業員、ジョイント・ベンチャー等のパートナー、顧客、社外委託業者等と秘密保持契約を締結しています。また、当社が独自に開発した製品や工程については、国内外において特許の取得に努めています。秘密保持契約の当事者によって当社の企業秘密を不適切に漏洩された場合、もしくは当社が特許を取得している独自開発製品・工程が他社によって侵害された場合、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。 当社は発明の一部について戦略的に特許を出願していますが、こうした特許出願が登録されない可能性があり、また、特許出願が登録されても無効にされる可能性、回避される可能性もあります。更に、一部の国の法律では、日本の法律と同程度には当社の知的財産権が保護されない可能性があります。(13) 当社製品の一部を継続的に製造・販売するために必要となるライセンスに関するリスク 当社はこれまでに、第三者より知的財産権を侵害しているとの通知を受けたことや、特許実施許諾についての対価請求の申し出を受けたことがあり、今後も同様の事例が発生する可能性があります。従って当社は、以下のことを保証することはできません。・侵害の申し立て(または侵害の申し立てに起因する賠償請求)が当社に対して行われることはないということ。・侵害の申し立てがあった場合、製品販売の差止め命令を受けること、また、そのことによって当社事業の業績が大きく損なわれる事態が発生しないということ。・当社の事業活動に悪影響を及ぼす高額の特許実施許諾料の支払いを要求されないこと。(14) 環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生するリスク 当社は、温室効果ガス削減、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の防止、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、従業員や地域住民の健康、安全及び財産保全、更には当社の製品における使用物質の適切な表示等に関する国内外の様々な環境関連法令の適用を受けています。このような環境関連法令は、当社の現在の事業活動だけでなく、当社の過去の事業活動や、当社が買収等により他社から承継した事業の過去の活動に対しても適用される可能性があります。また、当社に適用される環境関連法令が、世界的な気候変動等により将来更に厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性もあります。特に温室効果ガス削減に関しては、気候変動問題に対する政府間協議の結果に基づき、国際的な排出権取引制度の枠組みが制定される可能性があります。 当社は、環境関連法令により当社に生じる義務に基づく債務について、その発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には引当金を計上します。仮に、当社の環境関連法令の義務違反等が判明した場合には、規制当局から修復費用の支払いを命じられる可能性や損害賠償責任を負う可能性があります。また、当社が任意で環境問題に取り組む必要があると判断した場合にも、環境修復費用の負担や補償金の支払いを行う可能性があります。以上のような環境に関連する費用負担や損害賠償責任は、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(15) その他の法規制等に関するリスク 当社は事業活動を行う国や地域における法規制や規則等の遵守に努めていますが、意図せずに法規制や規則等に抵触し、訴訟や規制当局の法的処分を受ける可能性があります。また、当社が想定していない法規制や規則の変更や導入により、当社の事業活動が制約を受け、その継続に支障が生じる可能性があります。仮に訴訟や規制当局の法的処分への対応に多大な費用が生じた場合や法規制による事業活動の制約が広範囲に及ぶ場合には、当社の財政状態、経営成績並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。災害等に関するリスク(16) 疫病の発生、テロ行為、または紛争等が当社の市場やサプライチェーンに混乱を与えるリスク 当社はグローバル企業として世界中で事業を拡大していますが、それに伴い、疫病の発生、テロ行為、または戦争・紛争等の事態に巻き込まれるリスクが高まります。このような事態においては、当社の事業活動は中断を余儀なくされ、当社の開発・製造・販売・サービス等に中断、混乱または延期等が生じる可能性があります。また、当社の市場やサプライチェーンに支障をきたす可能性もあります。このような遅延や混乱が長期間続いた場合には、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(17) 当社の本社及び主要な事業関連施設が存在する地域や、当社のサプライヤーや顧客が事業活動を行なう地域において、地震等の災害が発生するリスク 当社は日本国内外において多くの開発・製造施設、事業関連施設を有しています。日本をはじめとするそれらの施設がある地域においては、地震や台風、津波、大雨、洪水、大雪等の不可避な自然災害、もしくは当社の施設に影響を与える大規模な労働災害のような人為的災害から発生する事業への影響も考えられます。例えば大規模な地震の発生により、当社の人員や開発・生産設備が壊滅的な損害を被り、操業の中断や製造・出荷の遅延を余儀なくされる可能性があります。また、損害を被った施設の復旧等に要する費用が多額に発生する可能性があります。 更に、社会資本や経済基盤に著しい被害が生じた場合には、交通網の混乱や電力の供給不足等が生じ、当社のサプライチェーンや生産活動に困難が生じる可能性があります。 また、当社に原材料等を供給する企業が被害を被った場合には、原材料等の調達に困難が生じる可能性があり、当社の顧客が被害を受けた場合には、当社の製品の出荷が停滞する可能性があります。 以上のような自然災害に伴う被害やその結果生じる経済の停滞や消費の鈍化が、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。財務会計に関するリスク(18) 当社の顧客の財政状態が悪化し、売掛債権が回収困難となるリスク 当社は売掛債権について、顧客が期日までに返済する能力があるか否かを考慮し、回収不能額を見積った上で貸倒引当金を計上しています。しかしながら、通常の営業取引において、当社の売掛債権は担保物件や信用保証により保全されていません。従って、経済環境の悪化等に伴い、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には損金処理することを余儀なくされるため、当社の経営成績、財政状態並びにキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があります。(19) 当社が保有する投資有価証券及びその他の投資に関して減損処理が発生するリスク 当社は取引関係の維持・向上等を目的として、当社の関係会社以外の持分証券に投資しています。このような投資のほとんどは日本の銀行やその他の金融機関を含む日本の株式公開会社の普通株式であり、特に当社は日本の通信サービス・プロバイダ-であるKDDI㈱の発行済株式の12.45%を保有しています。当社が一定期間保有しているこうした企業の株式の公正価値、すなわち市場価格が下落し、その価値の下落が一時的でないと判断した場合には減損処理を行う必要が生じます。 当社が保有する持分証券の一部である政策保有株式については、取引関係の強化、維持、発展及び株式保有による収益獲得を通じた企業成長、並びに企業の社会的意義等を踏まえ、中長期的に企業価値を向上させるという視点に立ち、保有しています。これら政策保有株式を含む持分証券については、その保有意義について定期的に経済合理性の確認を行い、保有意義がないと判断したものについては売却する予定ですが、市況によっては当社が望む時期、または価格での売却ができない可能性があります。(20) 長期性資産、営業権並びに無形固定資産の減損に関するリスク 当社は多くの長期性資産、営業権並びに無形固定資産を保有しています。長期性資産及び償却性無形固定資産については、帳簿価額を回収できない可能性を示す事象が発生した時点、もしくは状況が変化した時点で減損の判定を行っています。また、営業権及び耐用年数が確定できない無形固定資産は償却をせず、年1回及び減損の可能性を示す事象が発生又は状況が変化した時点で減損の判定を行っています。 これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産の帳簿価額が公正価値を超過している金額に基づいて減損損失を計上するため、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(21) 繰延税金資産及び法人税等の不確実性に関するリスク 当社は繰延税金資産について、将来の課税所得の見積り及び税務上、実現可能と見込まれる計画に従い、実現しないと考えられる金額を評価性引当金として計上しています。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく変動する可能性があります。また当社は、将来税務調査を受けることを想定し、税務上認識された税務ベネフィットについて50%超の実現可能性がないと判断した場合、当該部分を未認識税務ベネフィットとして負債に計上しています。法人税等における不確実性に関する会計処理の金額と将来の税務当局との解決による金額は異なる可能性があります。(22) 会計基準の変更が経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスク 新会計基準もしくは会計基準の変更は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、会計基準の変更に対応するために、会計ソフトウェアもしくは情報システムを変更した場合には一定の投資もしくは費用が必要となります。