事業の概要
- 多極コネクタ製造販売イリソ電子工業は、主に自動車、デジタル機器、産業機器向けの多極コネクタを開発・製造・販売しています。これには、プリント基板同士を接続するBtoBコネクタ、フレキシブル基板やケーブルを接続するFPC/FFCコネクタ、機器間の信号接続を行うインターフェイスコネクタが含まれます。世界中の多様な電子機器に不可欠な部品を提供し、収益を上げています。
- グローバルな生産体制同社グループは、日本本社が開発を担い、中国、フィリピン、ベトナムの生産子会社でコネクタを製造しています。これらの生産拠点が相互に材料を供給し合いながら、効率的な生産体制を構築しています。製造された製品は、日本を含む世界6か所の販売子会社を通じて顧客に届けられ、グローバルなサプライチェーンを形成しています。
- 多様な接続ソリューションBtoBコネクタは基板の垂直、平行、水平接続など多様な組み合わせを可能にし、FPC/FFCコネクタには挿入時に力を必要としないZIFタイプと力を要するNON-ZIFタイプがあります。インターフェイスコネクタはカーナビやPCなどに装着され、電源供給や音声・映像信号の入出力を行います。これらの幅広い製品ラインナップで、顧客の様々な接続ニーズに対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 日本セグメント日本国内での事業活動を示すセグメントで、売上高は90.31億円、営業利益は44.03億円を計上しています。これは同社グループの主要な市場の一つであり、特に営業利益の貢献度が非常に高いことが特徴です。主に国内の顧客に対するコネクタの販売や、研究開発活動の拠点としての役割を担っていると考えられます。
- アジアセグメントアジア地域における事業活動を示すセグメントで、売上高は323.36億円、営業利益は32.54億円と、同社グループで最も大きな売上規模を誇ります。中国、フィリピン、ベトナムに生産子会社があり、アジア地域の販売子会社を通じて製品を供給しています。この地域は、同社のグローバルな生産・販売戦略において中心的な役割を果たしています。
- 欧州・北米セグメント欧州セグメントは売上高91.73億円、営業利益0.11億円、北米セグメントは売上高57.9億円、営業利益0.52億円を計上しています。これらの地域は、アジアに次ぐ重要な市場であり、販売子会社を通じて製品を供給しています。特に自動車産業が盛んな欧州や、技術革新が進む北米市場でのプレゼンスを確立しており、グローバルな事業展開を支えています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan | 地域 | 90 | 44 | 48.8% |
| Asia | 地域 | 323 | 33 | 10.1% |
| Europe | 地域 | 92 | 0 | 0.1% |
| NorthAmerica | 地域 | 58 | 1 | 0.9% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社(イリソ電子工業株式ああ会社)、連結子会社12社及び非連結子会社1社により構成され、オートモーティブ(車載)機器、デジタル機器、インダストリアル機器向けに、プリント基板接続用の基板対基板コネクタ(BtoBコネクタ) 、FPC基板(Flexible Printed Circuits)やFFCケーブル(Flexible Flat Cable)接続用のFPC/FFCコネクタ、機器間の信号接続用のインターフェイスコネクタといった多極コネクタの製造、開発及び販売を主要な内容とした事業活動をしております。(注)コネクタの種類の説明は次のとおりであります。コネクタの種類の説明基板対基板コネクタ(BtoBコネクタ)プリント基板の接続用に開発されたコネクタの総称でボード・ツー・ボードコネクタ(ボードtoボードコネクタ)とも呼ばれます。垂直接続、平行(スタッキング)接続、水平接続など組み合わせで、さまざまな接続が可能となります。FPC/FFCコネクタFPC基板(Flexible printed circuits)やFFCケーブル(Flexible flat cable)の接続用に開発されたコネクタの総称で、コネクタの挿入時に力を加えずにロック可能なZIF(Zero insertion Force)タイプ、挿入したときに力が発生するNON-ZIFタイプがあります。インターフェイスコネクタ機器間の信号の接続を行うコネクタのことで、 I/O(インプット/アウトプット)コネクタとも呼ばれます。カーナビゲーション、PCなどさまざまな機器の側面(裏・表面)に装着され、機器への電源供給、音声・映像信号データなどの入出力を行います。 当社グループの営む事業内容並びに当社企業集団の当該事業による位置付けは次のとおりであります。(1) 当社は生産子会社4社(上海意力速電子工業有限公司、IRISO ELECTRONICS PHILIPPINES,INC.、IRISO ELECTRONICS VIETNAM CO.,LTD.、南通意力速電子工業有限公司)に材料の供給を行い、IRISO ELECTRONICS VIETNAM CO.,LTD.は、上海意力速電子工業有限公司より、上海意力速電子工業有限公司は、南通意力速電子工業有限公司より材料の供給を受け、生産子会社4社は当社仕様に基づき多極コネクタを製造し、当社に製品を供給しております。(一部生産子会社より販売子会社及びユーザーに直接販売を行っております。)(2) 販売子会社6社(IRS(S)PTE LTD、IRISO ELECTRONICS(HONG KONG)LIMITED、IRISO U.S.A.,INC.、IRISO ELECTRONICS EUROPE GmbH、意力速(上海)貿易有限公司、IRISO ELECTRONICS(THAILAND)LTD.)は当社及び生産子会社から製品の供給を受け、その販売を行っております。(3) 当社は、意力速(上海)電子技術研発有限公司に多極コネクタの設計及び設備の研究開発の委託を行っております。(4) 当社グループの事業における当社及び主要な会社の位置付け及びセグメントとの関係は、概ね以下のとおりであります。なお、以下の「日本」、「アジア」、「欧州」、「北米」は、セグメントと同一の区分であります。 (注) IRISO ELECTRONICS PHILIPPINES,INC.は、IRS(S)PTE LTDの子会社であります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 電子部品業界は競合が激しく、価格競争が激化しているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 「可動(フローティング)BtoBコネクタ」等の独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:市場環境の変化 / 為替変動 / 海外での事業展開
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
コネクタ分野における長年の実績と一部顧客からの信頼は存在するが、特許やブランド力が決定的な優位性を持つとは言えない。特定の技術やデザインに関するノウハウは蓄積されていると推測される。
スイッチングコスト★★☆☆☆
車載コネクタなど、一度採用されると切り替えにコストやリスクが伴う用途がある。しかし、汎用コネクタも多く、顧客の設計変更や競合他社の提案によりスイッチングが発生する可能性は否定できない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。製品の普及が直接的にプラットフォーム価値を高める構造ではない。
コスト優位★☆☆☆☆
製造プロセスにおける効率化やサプライチェーン管理によるコスト削減努力は行われていると考えられるが、他社と比較して構造的に圧倒的なコスト優位性を持つ証拠は乏しい。為替変動の影響も受ける。
規模の経済★★☆☆☆
コネクタ業界は多数のプレイヤーが存在する競争環境であり、イリソ電子工業は一定のシェアを持つものの、業界全体を寡占するほどの規模の経済性は見られない。車載分野でのシェア拡大は規模のメリットに繋がる可能性がある。
- 独自の可動BtoBコネクタイリソ電子工業は、端子のずれを吸収する「可動(フローティング)BtoBコネクタ」といった独自技術を蓄積しています。これにより、顧客は組み立て時の公差吸収や設計自由度の向上といったメリットを享受でき、TCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献しています。この独自の技術は、激しい価格競争が続く電子部品業界において、同社の競争優位性の源泉となっています。
- グローバルな生産・販売網同社は、日本、中国、フィリピン、ベトナムに生産拠点を持ち、アジア、欧州、北米に販売子会社を展開しています。このグローバルなネットワークにより、世界中の顧客への安定供給と迅速な対応を可能にしています。特に海外売上高比率が84.0%と高く、多様な市場ニーズに対応できる体制は、同社の強みと言えます。
- 車載分野での高い信頼性連結売上高の約86%を車載関連市場向けが占めており、自動車メーカーからの高い信頼性を獲得しています。車載部品に求められる厳しい品質基準と信頼性に応えるノウハウは、開発から出荷までの全段階で細心の注意を払う品質マネジメントシステムによって支えられています。この実績は、他分野への展開においても有利に働く可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。2023年4月には、新たに当社のステートメント(行動宣言)として「私たちは、社会やお客様の期待を超える“つなげる”を実現します」という言葉を策定し、当社が製造するコネクタを通して、人と環境にやさしく、様々な機能を容易につなげる未来を創造していくことを、社会に対して実現したいこととして掲げました。 この経営理念とパーパスから、約10年後の2035年にありたい姿として、「社会やお客様の期待を超える“つなげる”で、成長を続ける企業」、「社会、環境、品質を重視し、社員とステークホルダーが“わくわく”する企業」の2つを設定しています。 (2)マテリアリティ(重要課題) 2035年のありたい姿と、将来の業界メガトレンドを分析し、多数の社会課題項目からステークホルダーにとっての重要性と当社が継続して成長していくための重要項目について、それぞれスコアリングを行い、外部の専門家も交えて議論を重ね、当社が持続的成長を実現するための5つのマテリアリティを特定しました。 マテリアリティ目指す姿①社会課題の解決と事業成長の実現社会課題解決を通した価値提供による業界グローバルTop10企業(市場拡大・高利益体質)②価値創造を支えるモノづくり力の変革業界グローバルTop10企業として高品質なモノづくり力を安定的に発揮する企業③人と環境にやさしい安心、安全、快適な社会への貢献持続可能な社会の実現に向け貢献する企業④多様な人財づくり多様な社員がはたらきがいを感じて働き続けられる企業⑤経営基盤の強化業界グローバルTop10企業にふさわしい経営基盤を持ち、信頼される企業 (3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略 当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及による情報量の飛躍的増大・高速伝送化という2つの大きな変革に加え、「空飛ぶクルマ」の開発加速など、現在の車載市場だけに捉われず、モビリティ市場全体を俯瞰して事業領域を見直す変化が起きています。 いずれの市場における変化も当社が培ってきた三次元可動並びに大容量情報伝達等の独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズを先取りするマーケティング、顧客ニーズに対応した顧客密着型営業体制により、お客様の期待を超える「つなげる」を実現する製品開発を進めて参ります。また、生産・サプライチェーンにおいても、最適生産拠点の決定、集中購買・複数購買、各生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期、Quality Cost Delivery)をより一層強化していくことを目指しております。 当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、グローバルでの新規顧客開拓を推進し、事業規模の確保とブランドの向上を図り、将来的に接続部品業界でグローバルトップ10入りを目指して参ります。 ①業績目標当社は、中期経営計画期間の2024年度~2026年度(2025年3月期~2027年3月期)を、課題克服と成長軌道への回帰に向けた足場固めの3年間と位置付け、2027年3月期に売上高650億円、営業利益率15%超の達成を目指す計画を2024年5月に策定しました。事業規模拡大において市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速すると共に、ECU(Electric Control Unit)統合化の流れを掴み製品の市場投入を進めて参ります。また、課題であるセンサー分野(カメラ分野)やインダストリアル市場を2027年以降の飛躍的成長実現に向けた土台づくりの期間と位置づけ、注力分野として推進して参ります。モノづくり力強化においては、生産性・工場稼働率の向上に努め、設備の標準化、金型内製化の拡大や資材費の低減、設計VEなどを通じコスト削減を進め利益率向上を図って参ります。 ②重点施策中期経営計画期間において、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。a. 「車載のイリソ」から「モビリティのイリソ」への基盤構築・パワートレイン分野:ワールドワイドでの事業拡大、高電流・耐振動・耐熱性能の更なる向上・統合ECU分野:高速BtoBコネクタに加え、統合ECU化に向けWtoB(ワイヤーtoボード)スケーラブル コネクタ投入によるラインアップ拡充・センサー分野:共同開発等によるカメラ事業再構築、新規顧客開拓・車載で培った耐振・耐熱、高速伝送を武器に、建機、農機、eVTOL等のモビリティ市場への事業ポート フォリオ拡大 b. インダストリアル市場のグローバル強化~ 第二の柱に成長するための土台づくり・高速フローティングBtoBコネクタによる新規顧客開拓とシェア拡大、商社等活用による販売チャネル 拡大、調達品による品揃え強化・グローバルFAE(Field Application Engineer)による新規顧客開拓、現地対応力強化・半導体製造装置、エネルギーマネジメント領域の事業構築 c. ワールドワイドでの生産体制見直し、設備・金型の標準化拡大による生産性・投下資本効率の向上・全生産拠点の体制・役割を見直し、生産効率15%%改善、秋田工場の円滑な立ち上げ、国内生産比率の 向上・DXを活用した製品・設備・金型設計の生産性向上、標準化、内製金型拡大によるコスト削減、リード タイム短縮・現地調達、集約購買拡大による資材費低減、樹脂・めっき等の使用量削減d. 資本コストと株価を意識した経営の強化・資本コストを上回るROIC達成を図り、最適な資本構成による投資効率の改善を実現・成長投資と株主還元のバランスを取り、配当性向40%超または株主資本配当率(DOE)5%程度を目標に 株主還元 e. サステナブル経営の更なる深耕・人と環境にやさしい経営 ~ 再生可能エネルギー積極利用、リサイクル・再利用の促進・多様な人財作り ~ 役員・管理職人財の多様化、働き方、処遇改善を通じたエンゲージメント向上・経営基盤の強化 ~ グローバルリスクマネジメントの強化、デジタル経営基盤の構築、セキュリティ 向上 ③経営目標・中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期) 2024年3月期(実績) 2027年3月期(目標)売上高553億円 650億円営業利益59億円 100億円営業利益率10.7% 15.4%超親会社株主に帰属する当期純利益56億円→75億円EPS237.75円 330円ROE7.8% 10.0%ROIC7.3% 10.0%売上高研究開発費比率2.4% 3.5% ※中期経営計画期間の為替レート設定は140円/ドル、155円/ユーロ、20円/人民元 (4)2026年3月期の重点施策、対処すべき課題①市場環境当社を取り巻く事業環境は、米国の関税政策がグローバルに波及することにより不透明感が増しており、インフレや報復関税などにより景気後退のリスクもあります。モビリティ市場においては、2026年3月期はグローバルでの自動車生産台数は前期比で減少し、生産台数に占めるPHVやHEVを含めたxEVの構成比も前期比微増に留まると想定していますが、インフォテインメント分野での高速伝送ニーズの増加、中国顧客向けでの伸長が見込まれます。コンシューマー市場はゲーム機向けの需要低迷が継続し厳しい環境になると見込んでいますが、インダストリアル市場は、エネルギーマネジメント分野など新たな領域での需要が見込まれます。 ②2026年3月期の重点施策2024年5月の中期経営計画の策定時に想定していた経営環境から、景気後退リスク、日欧米自動車メーカーの販売不振やEV市場の減速、中国自動車メーカーの台頭と価格競争の激化、原材料価格の高騰などの変化が起きています。この変化と現在の中期経営計画の進捗も踏まえ、中期経営計画の2年目である2026年3月期は以下を重点施策として取り組んで参ります。 a. ビジネス拡大 [モビリティ市場] ・パワートレイン分野での欧米規格対応製品の拡販活動強化、Z-Moveのラインナップの拡充 ・インフォテインメント分野で、統合ECU向けに次世代高速対応製品、スケーラブルコネクタを投入し市 場開拓 ・センサー分野において、ケル株式会社との共同開発による新製品の早期量産化(2026年3月期以降) [インダストリアル市場] ・エネルギーマネジメント分野での売上拡大推進、AI、半導体製造装置、通信分野の新規開拓 ・2025年3月期に契約したArrow Electronics社等の販売代理店活用による新規顧客開拓推進 [全市場] ・中国国内での製販技の一体体制を強化し、中国顧客を拡大 b. 経営基盤強化 [全社組織再編] ・秋田工場の立上げ加速による生産性向上および生産体制の見直し(BCP、地産地消、関税) ・設備・金型の標準化、金型内製化の推進 ・本社組織の機能見直し、DX推進を行い間接部門の生産性向上 [業務効率改善] ・新ERPを活用した業務標準化とサプライチェーンの可視化による間接コスト削減 ・設備標準化、金型内製化の拡大による設備投資効率向上、固定費圧縮 ③2026年3月期の見通し連結売上高550億円(対前期比2.4%減)、連結営業利益55億円(対前期比3.6%増)、連結経常利益54億円(対前期比1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益39億円(対前期比46.5%増)を見込んでおります。為替レートは、145円/ドル、162円/ユーロ、20円/人民元を前提としております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。2023年4月には、新たに当社のステートメント(行動宣言)として「私たちは、社会やお客様の期待を超える“つなげる”を実現します」という言葉を策定し、当社が製造するコネクタを通して、人と環境にやさしく、様々な機能を容易につなげる未来を創造していくことを、社会に対して実現したいこととして掲げました。 この経営理念とパーパスから、約10年後の2035年にありたい姿として、「社会やお客様の期待を超える“つなげる”で、成長を続ける企業」、「社会、環境、品質を重視し、社員とステークホルダーが“わくわく”する企業」の2つを設定しています。 (2)マテリアリティ(重要課題) 2035年のありたい姿と、将来の業界メガトレンドを分析し、多数の社会課題項目からステークホルダーにとっての重要性と当社が継続して成長していくための重要項目について、それぞれスコアリングを行い、外部の専門家も交えて議論を重ね、当社が持続的成長を実現するための5つのマテリアリティを特定しました。 マテリアリティ目指す姿①社会課題の解決と事業成長の実現社会課題解決を通した価値提供による業界グローバルTop10企業(市場拡大・高利益体質)②価値創造を支えるモノづくり力の変革業界グローバルTop10企業として高品質なモノづくり力を安定的に発揮する企業③人と環境にやさしい安心、安全、快適な社会への貢献持続可能な社会の実現に向け貢献する企業④多様な人財づくり多様な社員がはたらきがいを感じて働き続けられる企業⑤経営基盤の強化業界グローバルTop10企業にふさわしい経営基盤を持ち、信頼される企業 (3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略 当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及による情報量の飛躍的増大・高速伝送化という2つの大きな変革に加え、「空飛ぶクルマ」の開発加速など、現在の車載市場だけに捉われず、モビリティ市場全体を俯瞰して事業領域を見直す変化が起きています。 いずれの市場における変化も当社が培ってきた三次元可動並びに大容量情報伝達等の独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズを先取りするマーケティング、顧客ニーズに対応した顧客密着型営業体制により、お客様の期待を超える「つなげる」を実現する製品開発を進めて参ります。また、生産・サプライチェーンにおいても、最適生産拠点の決定、集中購買・複数購買、各生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期、Quality Cost Delivery)をより一層強化していくことを目指しております。 当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、グローバルでの新規顧客開拓を推進し、事業規模の確保とブランドの向上を図り、将来的に接続部品業界でグローバルトップ10入りを目指して参ります。 ①業績目標当社は、中期経営計画期間の2024年度~2026年度(2025年3月期~2027年3月期)を、課題克服と成長軌道への回帰に向けた足場固めの3年間と位置付け、2027年3月期に売上高650億円、営業利益率15%超の達成を目指す計画を2024年5月に策定しました。事業規模拡大において市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速すると共に、ECU(Electric Control Unit)統合化の流れを掴み製品の市場投入を進めて参ります。また、課題であるセンサー分野(カメラ分野)やインダストリアル市場を2027年以降の飛躍的成長実現に向けた土台づくりの期間と位置づけ、注力分野として推進して参ります。モノづくり力強化においては、生産性・工場稼働率の向上に努め、設備の標準化、金型内製化の拡大や資材費の低減、設計VEなどを通じコスト削減を進め利益率向上を図って参ります。 ②重点施策中期経営計画期間において、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。a. 「車載のイリソ」から「モビリティのイリソ」への基盤構築・パワートレイン分野:ワールドワイドでの事業拡大、高電流・耐振動・耐熱性能の更なる向上・統合ECU分野:高速BtoBコネクタに加え、統合ECU化に向けWtoB(ワイヤーtoボード)スケーラブル コネクタ投入によるラインアップ拡充・センサー分野:共同開発等によるカメラ事業再構築、新規顧客開拓・車載で培った耐振・耐熱、高速伝送を武器に、建機、農機、eVTOL等のモビリティ市場への事業ポート フォリオ拡大 b. インダストリアル市場のグローバル強化~ 第二の柱に成長するための土台づくり・高速フローティングBtoBコネクタによる新規顧客開拓とシェア拡大、商社等活用による販売チャネル 拡大、調達品による品揃え強化・グローバルFAE(Field Application Engineer)による新規顧客開拓、現地対応力強化・半導体製造装置、エネルギーマネジメント領域の事業構築 c. ワールドワイドでの生産体制見直し、設備・金型の標準化拡大による生産性・投下資本効率の向上・全生産拠点の体制・役割を見直し、生産効率15%%改善、秋田工場の円滑な立ち上げ、国内生産比率の 向上・DXを活用した製品・設備・金型設計の生産性向上、標準化、内製金型拡大によるコスト削減、リード タイム短縮・現地調達、集約購買拡大による資材費低減、樹脂・めっき等の使用量削減d. 資本コストと株価を意識した経営の強化・資本コストを上回るROIC達成を図り、最適な資本構成による投資効率の改善を実現・成長投資と株主還元のバランスを取り、配当性向40%超または株主資本配当率(DOE)5%程度を目標に 株主還元 e. サステナブル経営の更なる深耕・人と環境にやさしい経営 ~ 再生可能エネルギー積極利用、リサイクル・再利用の促進・多様な人財作り ~ 役員・管理職人財の多様化、働き方、処遇改善を通じたエンゲージメント向上・経営基盤の強化 ~ グローバルリスクマネジメントの強化、デジタル経営基盤の構築、セキュリティ 向上 ③経営目標・中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期) 2024年3月期(実績) 2027年3月期(目標)売上高553億円 650億円営業利益59億円 100億円営業利益率10.7% 15.4%超親会社株主に帰属する当期純利益56億円→75億円EPS237.75円 330円ROE7.8% 10.0%ROIC7.3% 10.0%売上高研究開発費比率2.4% 3.5% ※中期経営計画期間の為替レート設定は140円/ドル、155円/ユーロ、20円/人民元 (4)2026年3月期の重点施策、対処すべき課題①市場環境当社を取り巻く事業環境は、米国の関税政策がグローバルに波及することにより不透明感が増しており、インフレや報復関税などにより景気後退のリスクもあります。モビリティ市場においては、2026年3月期はグローバルでの自動車生産台数は前期比で減少し、生産台数に占めるPHVやHEVを含めたxEVの構成比も前期比微増に留まると想定していますが、インフォテインメント分野での高速伝送ニーズの増加、中国顧客向けでの伸長が見込まれます。コンシューマー市場はゲーム機向けの需要低迷が継続し厳しい環境になると見込んでいますが、インダストリアル市場は、エネルギーマネジメント分野など新たな領域での需要が見込まれます。 ②2026年3月期の重点施策2024年5月の中期経営計画の策定時に想定していた経営環境から、景気後退リスク、日欧米自動車メーカーの販売不振やEV市場の減速、中国自動車メーカーの台頭と価格競争の激化、原材料価格の高騰などの変化が起きています。この変化と現在の中期経営計画の進捗も踏まえ、中期経営計画の2年目である2026年3月期は以下を重点施策として取り組んで参ります。 a. ビジネス拡大 [モビリティ市場] ・パワートレイン分野での欧米規格対応製品の拡販活動強化、Z-Moveのラインナップの拡充 ・インフォテインメント分野で、統合ECU向けに次世代高速対応製品、スケーラブルコネクタを投入し市 場開拓 ・センサー分野において、ケル株式会社との共同開発による新製品の早期量産化(2026年3月期以降) [インダストリアル市場] ・エネルギーマネジメント分野での売上拡大推進、AI、半導体製造装置、通信分野の新規開拓 ・2025年3月期に契約したArrow Electronics社等の販売代理店活用による新規顧客開拓推進 [全市場] ・中国国内での製販技の一体体制を強化し、中国顧客を拡大 b. 経営基盤強化 [全社組織再編] ・秋田工場の立上げ加速による生産性向上および生産体制の見直し(BCP、地産地消、関税) ・設備・金型の標準化、金型内製化の推進 ・本社組織の機能見直し、DX推進を行い間接部門の生産性向上 [業務効率改善] ・新ERPを活用した業務標準化とサプライチェーンの可視化による間接コスト削減 ・設備標準化、金型内製化の拡大による設備投資効率向上、固定費圧縮 ③2026年3月期の見通し連結売上高550億円(対前期比2.4%減)、連結営業利益55億円(対前期比3.6%増)、連結経常利益54億円(対前期比1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益39億円(対前期比46.5%増)を見込んでおります。為替レートは、145円/ドル、162円/ユーロ、20円/人民元を前提としております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1)経営成績当連結会計年度における世界経済は、米国では個人消費を中心に景気は堅調に推移していましたが、関税政策によるインフレ懸念の高まりで不透明感が高まりました。欧州においては個人消費の回復など、景気の持ち直しが見られました。一方、中国では長引く不動産不況と厳しい雇用環境により国内需要は低迷が継続しており、堅調であった輸出も米国の対中追加関税を受けて減速しました。当社グループの主要事業領域である自動車市場は、中国での中国自動車メーカーの生産・販売が堅調な一方で、前年度後半からのEVの成長鈍化や、日本・欧州・米国での低迷が見られました。その結果、当連結会計年度の世界自動車生産台数は、前期比で微減となりました。このような事業環境の中、モビリティ市場では前期第4四半期における2024年4月1日での当社新ERPシステムへの切り替えに向けた一部顧客での安全在庫確保による売上増の反動減や、xEV(EV、FCHV、PHV、HEV)向けのパワートレイン分野で主要地域でのEVの販売不振や、日欧米自動車メーカーの搭載車種の販売低迷等の影響を受けましたが、第2四半期以降においては中国で売上の回復が見られました。コンシューマー市場ではプリンターやデジタルカメラ向けで増加し、インダストリアル市場ではFA機器向けの不振が継続した一方で、エネルギーマネジメント分野向けの売上が拡大しました。以上に加えて、円安影響もあり、売上高は前期比1.9%増の563億3千2百万円となりました。利益面では、売上の伸び悩みに加えて、原材料価格高騰等により、営業利益は前期比10.6%減の53億7百万円、経常利益は前期比23.4%減の55億4百万円、構造改革費用を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比52.4%減の26億6千2百万円となりました。 セグメントの業績を示すと次のとおりであります。〔日本〕国内においては、モビリティ市場とインダストリアル市場が落ち込み、売上高は前期比7.3%減の90億3千1百万円となりました。営業利益は21.4%増の44億3百万円となりました。〔アジア〕アジア地域においては、モビリティ市場がインフォテインメント分野とパワートレイン分野を中心に伸長したことと、為替が円安に推移した結果、売上高は前期比10.6%増の323億3千6百万円となりました。営業利益は29.2%減の32億5千4百万円となりました。〔欧州〕 欧州地域においては、モビリティ市場の不振により、売上高は前期比5.0%減の91億7千3百万円となりました。営業利益は97.7%減の1千1百万円となりました。〔北米〕 北米地域においては、モビリティ市場がインフォテインメント分野を中心に減少した結果、売上高は前期比12.7%減の57億9千万円となりました。営業利益は5千2百万円(前期は営業損失6千9百万円)となりました。 (2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末(2024年3月末)に比べ、54億8千5百万円減少し、913億7千万円となりました。主な要因は、現金及び預金が23億7千8百万円減少、受取手形、売掛金及び契約資産が22億2千1百万円減少したことによるものであります。負債は、運転資金として短期借入金を増加させたこと等により、前連結会計年度末に比べ3億3千4百万円増加し、201億7千3百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加26億6千2百万円、配当による減少21億3千万円、自己株式の取得等49億3千2百万円により前連結会計年度末に比べ、58億2千万円減少し、711億9千6百万円となりました。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、利益の減少や棚卸資産の増加等に伴い、前期比6.9%減の120億4千3百万円の資金の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、秋田新工場建設に伴う有形固定資産取得等により、87億7千8百万円の資金支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得及び株主配当金の支払い等により、54億9千5百万円の資金支出となりました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ23億7千8百万円減少し、243億1千4百万円となりました。 翌連結会計年度については、コネクタ生産設備等を中心に63億円の資本的支出を計画しており、その資金の調達源については、自己資金を想定しております。 (4) 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 区分生産高(百万円)前期比(%)日本7,845146.2アジア33,63193.0欧州――北米――合計41,47699.9 (注) 1 金額は生産出荷高によっております。 b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 区分受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)日本9,344102.92,185116.7アジア33,517112.96,954120.5欧州8,40893.03,07880.1北米5,55083.172775.2合計56,821104.312,944103.9 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。 区分販売高(百万円)前期比(%)日本9,03192.7アジア32,336110.6欧州9,17395.0北米5,79087.3合計56,332101.9 (注) 1 販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債及び収益、費用の報告金額に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りや仮定について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りや仮定と異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2024年5月に2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、売上高、営業利益、営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益、EPS、ROE、ROIC、売上高研究開発費比率について目標を設定しております。なお、本中期経営計画に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」にも記載しております。中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)における指標 2024年3月期(実績) 2027年3月期(目標)売上高553億円 650億円営業利益59億円 100億円営業利益率10.7% 15.4%超親会社株主に帰属する当期純利益56億円→75億円EPS237.75円 300円ROE7.8% 10.0%ROIC7.3% 10.0%売上高研究開発費比率2.4% 3.5% ※中期経営計画期間の為替レート設定は140円/ドル、155円/ユーロ、20円/人民元
事業リスク
- 市場環境の変化同社グループの売上高の約86%が車載関連市場向けであり、自動車およびエレクトロニクス製品の需要は世界経済情勢に大きく左右されます。世界経済の悪化や市場の急激な変化により需要が大幅に落ち込んだ場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対策として、FA機器や通信機器などの非車載関連市場への販売強化を進めています。
- 為替変動の影響海外売上高比率が84.0%、海外生産比率が約81.1%とグローバル展開が進んでいるため、米国ドル、ユーロ、タイバーツなどの為替レートの変動が業績に影響を与える可能性があります。特に急激かつ長期的な円高または円安は、収益性を圧迫するリスクがあります。地産地消の推進や為替ヘッジなどの対策を講じています。
- 生産拠点の集中一部製品の生産が中国の生産子会社に集中しているため、これらの拠点で操業が不可能になる不測の事態(災害、政治的混乱など)が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対し、南通生産子会社の設立や、2025年4月からの秋田新工場稼働により、生産拠点の分散とBCP(事業継続計画)対応を強化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のような事項があると考えております。また、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの経営成績及び財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスク管理体制を整備した上で、リスクの未然回避及びリスク発生時の影響を最小限に抑えられるように努めております。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (1) 市場環境の変化について当社グループは、主に自動車向け電装品メーカー、AV音響メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに対して、電子部品を供給することを主たる事業としております。 連結売上高の約86%を車載関連市場向けが占めており、自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品の需要動向は、いずれも世界の経済情勢に大きく影響を受けます。そのために、想定外の世界経済の悪化や自動車関連製品、エレクトロニクス関連製品市場の急激な変化によって当社グループ製品の需要が大幅に落ち込んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、売上高の第2の柱とすべくFA機器や通信機器等の非車載関連市場への販売強化を行っております。 (2) 為替変動について当社グループは、電子部品の製造及び販売を世界各地に展開しており、当社と海外子会社並びに海外子会社間の取引は、米国ドル建て、ユーロ建て及びタイバーツ建てにて行っております。2025年3月期の連結売上高に占める海外売上高の割合は84.0%、海外生産比率は約81.1%となっております。当社グループは、円高または円安が急激かつ長期に及んだ場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、為替相場の変動リスクを軽減させるために、地産地消の推進、為替ヘッジ等の対策を講じております。 (3) 海外での事業展開について当社グループは、グローバルな事業展開を積極的に推進しており、生産及び販売活動の多くを米国や欧州並びに中国その他アジア諸国にて展開しております。これらの海外市場への事業進出には、1)予期しない法律・環境等の規制又は税制の変更、2)不利な政治又は経済要因の発生、3)輸送遅延や電力停止などの社会インフラの未整備による混乱、4)政治変動、テロ行為、戦争、感染症の流行及びその他の社会的混乱等のリスクが常に内在されております。これらの事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、海外展開にあたっては販売拠点、生産拠点ともにリスクを慎重に検討し、評価した上で判断しております。 (4) 量産拠点の集中について当社グループは、茨城工場、フィリピン生産子会社及びベトナム生産子会社での複数拠点生産品を除いて、中国の生産子会社に生産が集中しております。何らかの原因でそれら生産拠点での操業が不可能になる不測の事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、2016年9月に南通生産子会社を設立し、量産拠点の再構築を図っております。また、2025年4月から日本での第2量産拠点となる秋田で新工場を稼動させており、生産拠点の分散、地産地消、BCP対応を強化します。 (5) 価格競争について当社グループが属している電子部品業界は、国内外において大手から中小まで様々な規模の同業者が存在する極めて競合色の強い業界であり、業界における価格競争は激化しております。販売価格の引下げ競争に巻き込まれた場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、継続的な先行開発により「可動(フローティング)BtoBコネクタ(注)」等の独自技術の蓄積と新製品・新技術の開発を進め、顧客のTCO(Total Cost of Ownership)削減に貢献する製品の提案を行い、顧客価値の創造に取り組んでおります。 (注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに可動 し、その篏合ずれを吸収するように設計したコネクタ。 (6) 製品の欠陥に係るリスクについて当社グループは、国際標準規格である品質マネジメントシステムにより全ての製品を製造し、製品の欠陥、リコール等の発生を最小にする生産体制を取っており、製造物責任賠償に対する保険にも加入しております。しかし、大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥が発生した場合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、車載を中心にお客様から高い信頼性を求められてきたノウハウを活かし、開発段階から出荷に至る全ての段階において細心の注意を払っております。 (7) 研究開発活動に係るリスクについて当社グループの展開する市場では、技術革新とコスト競争について厳しい要求があり、新規製品を継続的に投入していく必要があります。技術の急速な進歩や顧客ニーズの変化により期待通りに新製品開発が進まない場合は、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、十分なマーケティング活動を行い、市場ニーズを的確に把握し、新技術や新製品開発、生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資を行っております。当社グループは、継続して新製品を開発できるものと考えております。 (8) 外部部品供給元への依存と原材料調達について当社グループは、全ての主要原材料と一部部品の供給を外部業者に依存しております。これら外部業者とは安定供給のための協力関係を築いておりますが、需要の急激な変動に伴う供給不足や供給先からの供給遅延が起こった場合には、顧客への供給が不可能になることや納期遅延を誘発することにより競争力を失うことがあります。また、原材料等の市場における需給関係の変化等により市況価格が急激に高騰した場合は、当社グループ製品の原価上昇を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、原材料及び部品の市況の変化に対して、当社グループにおける内製化、グローバル調達による現地調達の推進等の原価低減に努めております。 (9) 事故や災害について当社グループは、想定を超える大規模な災害が発生した場合は、停電又はその他事業運営の中断事象による影響を完全に防止又は軽減できる保証はなく、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、地震を含めた防災対策を徹底しており、火災や風水害等による事故や災害による損害を防止するため、設備の点検、安全装置・消火設備の充実、各種の安全活動等を継続的に行っております。 (10) 重要な訴訟等に係るリスクについて当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法律的手続の対象となるリスクがあります。とりわけ、技術革新の激しい電子部品業界においては、知的財産権は重要な経営資源の一つであります。独自開発した技術等に関する特許申請、意匠登録等に基づき当社グループが保有する知的財産権が、第三者によって侵害や模倣された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償請求を受けた場合は、生産・販売活動が制約を受けることや損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、特許権を含む知的財産権の管理と運営については、技術本部技術部技術管理課にて一元管理を行い、開発者や設計者と技術管理課の知的財産権担当者との間での情報共有及び知的財産権に関する問題提起やその解決について適宜対応がとれる体制を取っております。 (11) 人材獲得に係るリスクについて当社グループは、技術的変化及び競争関係が激しい電子部品業界に属しており、また海外売上高比率や生産に占める海外比率も高いため、多様な専門技術に精通した人材、グローバルでの経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。専門性の高い優秀な人材は限られていることから、優秀な人材を確保できない場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、事業の継続的発展のために、国内に加え海外でも採用を積極的に展開しております。 (12) 情報セキュリティに係るリスクについて当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあり、営業上・技術上の機密情報も保有しております。予想を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルス侵入等により、万一これらの情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、当社グループでは、機密情報の管理方法を万全とするために「情報セキュリティ規程」の制定と情報セキュリティ委員会の設置を行い、機密情報管理体制の確立・徹底に努めております。また、役員及び従業員の情報セキュリティ意識の向上を目的に、eラーニング等の教育を定期的に実施しております。なお、2018年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)については、グローバルで該当個人情報の保護対策を強化しております。 (13) 新型コロナウイルスなどの感染症の世界的流行に係るリスクについて新型コロナウイルスの世界的流行に対しては、2020年3月に本社内に社長及び執行役員を中心に構成した対策チームを発足し、また、各国や自治体による感染拡大防止政策に則り、従業員出勤時の体温測定、体調確認、マスク着用を徹底し、リモート会議、時差通勤、在宅勤務の推進などにより感染拡大防止に向けた取り組みを行いました。今後こうした感染症の世界的流行が発生するリスクに関して、感染状況や各国の政策により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。生産活動については仮にロックダウン措置で稼動停止になった場合でも影響を最小限にすべく、BCP対応の見直しを2021年2月に行っており、在庫の増量、流動製品のスペア設備配置による生産設備のリードタイム短縮、流動製品の生産体制変更によるマルチ生産化の3つの取り組みを実施しております。また、不測の事態が生じた場合の経営と雇用の安定化及び中長期での成長投資に備えて手許資金を確保すべく、グループ内における資金管理の最適化にも努めて参ります。具体的には、グループ会社間における資金の最適な配分や運転資金の最適化、設備投資効率の改善、経費支出の抑制などを実施して参ります。