経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針タムラグループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を企業理念として以下のとおり定めています。MISSION私たちは、タムラグループの成長を支える全ての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。VISION① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。GUIDELINE① 私たちは、パートナーシップを大切にする。② 私たちは、革新する勇気を大切にする。③ 私たちは、多彩な個性を大切にする。④ 私たちは、社会的な責任を大切にする。(2) 中長期の経営戦略タムラグループでは、上述の経営方針に基づき、長期ビジョンと中期経営計画を策定し事業戦略を展開しています。① 長期ビジョン世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー② 第13次中期経営計画(2022年4月1日~2025年3月31日)の振り返り第13次中期経営計画「Energize the Future 100」は、当社創業100周年にあたる2024年度をターゲットに、事業成長と資産効率向上を二本柱とする事業戦略と、マテリアリティを軸にしたサステナビリティ戦略の両輪で、100周年とその先の成長に向けた取組みを進めました。この期間は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大から日常を取り戻す3年間でしたが、地政学的リスクの高まりとともに、素材価格の高騰や円安が急激に進行しました。こうした状況に対して、市場から求められる当社ならではの製品をタイムリーに投入するとともに、適正価格設定を徹底したことにより、売上高は1,000億円を超える過去最高を記録し、収益性は改善方向で推移しました。しかし営業利益率およびROEは目標に至らない結果に終わりました。目標とする収益性を実現するためには、更なる新製品・新市場の拡大と、低成長・低収益領域の抜本的見直しが課題であることが浮き彫りとなりました。また、資産効率改善遅れの要因のひとつとして、コロナ禍における半導体不足に端を発して肥大化した材料在庫の適正化が進んでおらず、次期中期経営計画に課題を積み残すこととなりました。 (基準年)2022年3月期(中期計画)2025年3月期(中期実績)2025年3月期営業利益16億円60億円以上52億円営業利益率3.2%6%4.6%ROE△0.2%8%4.6% サステナビリティ戦略に関連する事項としては、中国子会社において社内ルールに反した在庫の会計処理が行われていたことが顕在化しました。経営陣が先頭に立ち、全社一丸となって再発防止策を確実に遂行しておりますが、今後もガバナンス強化とコンプライアンス意識向上に向けた取組みを継続していくことが課題と認識しています。マテリアリティ2025年3月期 目標2025年3月期 実績①持続的な事業成長新製品・新市場向け売上比率: 30%24%②製品品質の向上不良損金率:15%削減(第12次中期経営計画期間平均対比)32%増加③適正なサプライチェーン主要調達先SAQ実施率:100%76%④コンプライアンスコンプライアンス研修実施率:100%96%⑤働きがいの実現①(グローバル)従業員サーベイ実施ポイント(pt)向上:3pt/年②(日本)多様性:女性・外国人・中途採用管理職比率:10%、5%、50%①±0pt②8.3%、1.8%、39.1%⑥地域社会との共生社会貢献費:経常利益の1%1.2%⑦地球環境保全・脱炭素社会の実現への貢献①サステナビリティ貢献製品比率:27%②温室効果ガス(スコープ1&2)削減:33%以上(2013年対比)①24%②38%⑧情報開示の充実統合報告書発行・TCFD準拠情報開示発行・開示 ③ 第14次中期経営計画(2025年4月1日~2028年3月31日)次の100年に向けて2025年度より新中期経営計画「One TAMURA for Next 100」を始動しました。前中期経営計画に引き続き、脱炭素社会実現に向けた世界的な潮流を市場機会と捉え、長期ビジョンで掲げる「世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー」の具現化を目指します。一方、第13次中期経営計画では収益性と資産効率が課題となりました。これに対して、第14次中期経営計画では、事業戦略・財務戦略・サステナビリティ戦略の一体推進で、ターゲットとする2027年度はROE8%・PBR1倍以上を目指します。 (基準年)2025年3月期(中期計画)2028年3月期ROE4.6%8%以上営業利益率4.6%7%以上ROIC4.8%6%以上RBR0.6倍1倍以上 まず事業戦略では、初年度と第2年度で「成長の基盤作り」と「体質改善」に集中的に取り組みます。「成長の基盤作り」では、注力市場をクリーンエネルギー関連、注力製品を次世代パワーエレクトロニクス関連製品、注力地域を欧米と定めました。足元では米国データセンター向けの大型トランス・リアクタの旺盛な需要が期待されています。「体質改善」では、前中期経営計画の積み残しの課題である在庫の早期適正化、地政学的リスクへの対応を踏まえた国内外の生産販売拠点の最適配置、そして成長性と採算性を意識した事業および製品の集中と選択を進めます。これらによる事業ポートフォリオ再編で、収益性(営業利益率)と資本効率(ROIC)の向上を図ります。具体的には、2025年度は連結子会社である株式会社光波のネットワークソリューション事業の外部への譲渡、はんだ粉末生産工程の入間事業所から狭山事業所への移管などを予定しています。 次に、財務戦略では、収益性と資本効率の向上によりキャッシュ創出力を高め、キャッシュアロケーションとして、「成長の基盤作り」と「体質改善」への再投資を行います。さらに、株式市場からPBR1倍以上に評価される企業になることを目指して、株主還元を強化します。第14次中期経営計画の開始にあたり、剰余金の配当等の基本方針を「安定的な配当を基本としつつ、体質改善後は株主資本配当率(DOE)3%を目途にした株主還元を目指す」と見直しました。また、経営環境や財務状況を考慮し、株主還元の一部については機動的な自己株式取得を行うことも検討していきます。 最後に、サステナビリティ戦略に関しては、第14次中期経営計画の事業戦略と一体でマテリアリティの見直しを行いました。特に、前中期経営計画期間の反省を踏まえて、コンプライアンスの徹底とコーポレートガバナンス・リスクマネジメントの強化に取り組みます。また、本年6月26日開催予定の株主総会で社外取締役が過半数となる取締役会構成とすることを予定しており、取締役会の監督機能強化を図ります。マテリアリティ大分類マテリアリティ中分類KPI2028年3月期 目標成長戦略の推進脱炭素社会実現への貢献GHG(Scope 1&2)削減率25%以上削減再生可能エネルギー調達比率35%以上注力市場売上比率36%働きがいの追求グローバルエンゲージメントスコア毎年3pt改善経営基盤の強化コーポレートガバナンスの強化取締役会実効性評価の継続的実施実効性の改善グループ管理職対象コンプライアンス研修受講率100%全社的リスクマネジメントの強化リスク管理委員会による安定したPDCA実効性の改善情報開示リスク開示の充実品質重視の文化醸成顧客満足度前年比改善
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針タムラグループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を企業理念として以下のとおり定めています。MISSION私たちは、タムラグループの成長を支える全ての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。VISION① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。GUIDELINE① 私たちは、パートナーシップを大切にする。② 私たちは、革新する勇気を大切にする。③ 私たちは、多彩な個性を大切にする。④ 私たちは、社会的な責任を大切にする。(2) 中長期の経営戦略タムラグループでは、上述の経営方針に基づき、長期ビジョンと中期経営計画を策定し事業戦略を展開しています。① 長期ビジョン世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー② 第13次中期経営計画(2022年4月1日~2025年3月31日)の振り返り第13次中期経営計画「Energize the Future 100」は、当社創業100周年にあたる2024年度をターゲットに、事業成長と資産効率向上を二本柱とする事業戦略と、マテリアリティを軸にしたサステナビリティ戦略の両輪で、100周年とその先の成長に向けた取組みを進めました。この期間は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大から日常を取り戻す3年間でしたが、地政学的リスクの高まりとともに、素材価格の高騰や円安が急激に進行しました。こうした状況に対して、市場から求められる当社ならではの製品をタイムリーに投入するとともに、適正価格設定を徹底したことにより、売上高は1,000億円を超える過去最高を記録し、収益性は改善方向で推移しました。しかし営業利益率およびROEは目標に至らない結果に終わりました。目標とする収益性を実現するためには、更なる新製品・新市場の拡大と、低成長・低収益領域の抜本的見直しが課題であることが浮き彫りとなりました。また、資産効率改善遅れの要因のひとつとして、コロナ禍における半導体不足に端を発して肥大化した材料在庫の適正化が進んでおらず、次期中期経営計画に課題を積み残すこととなりました。 (基準年)2022年3月期(中期計画)2025年3月期(中期実績)2025年3月期営業利益16億円60億円以上52億円営業利益率3.2%6%4.6%ROE△0.2%8%4.6% サステナビリティ戦略に関連する事項としては、中国子会社において社内ルールに反した在庫の会計処理が行われていたことが顕在化しました。経営陣が先頭に立ち、全社一丸となって再発防止策を確実に遂行しておりますが、今後もガバナンス強化とコンプライアンス意識向上に向けた取組みを継続していくことが課題と認識しています。マテリアリティ2025年3月期 目標2025年3月期 実績①持続的な事業成長新製品・新市場向け売上比率: 30%24%②製品品質の向上不良損金率:15%削減(第12次中期経営計画期間平均対比)32%増加③適正なサプライチェーン主要調達先SAQ実施率:100%76%④コンプライアンスコンプライアンス研修実施率:100%96%⑤働きがいの実現①(グローバル)従業員サーベイ実施ポイント(pt)向上:3pt/年②(日本)多様性:女性・外国人・中途採用管理職比率:10%、5%、50%①±0pt②8.3%、1.8%、39.1%⑥地域社会との共生社会貢献費:経常利益の1%1.2%⑦地球環境保全・脱炭素社会の実現への貢献①サステナビリティ貢献製品比率:27%②温室効果ガス(スコープ1&2)削減:33%以上(2013年対比)①24%②38%⑧情報開示の充実統合報告書発行・TCFD準拠情報開示発行・開示 ③ 第14次中期経営計画(2025年4月1日~2028年3月31日)次の100年に向けて2025年度より新中期経営計画「One TAMURA for Next 100」を始動しました。前中期経営計画に引き続き、脱炭素社会実現に向けた世界的な潮流を市場機会と捉え、長期ビジョンで掲げる「世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー」の具現化を目指します。一方、第13次中期経営計画では収益性と資産効率が課題となりました。これに対して、第14次中期経営計画では、事業戦略・財務戦略・サステナビリティ戦略の一体推進で、ターゲットとする2027年度はROE8%・PBR1倍以上を目指します。 (基準年)2025年3月期(中期計画)2028年3月期ROE4.6%8%以上営業利益率4.6%7%以上ROIC4.8%6%以上RBR0.6倍1倍以上 まず事業戦略では、初年度と第2年度で「成長の基盤作り」と「体質改善」に集中的に取り組みます。「成長の基盤作り」では、注力市場をクリーンエネルギー関連、注力製品を次世代パワーエレクトロニクス関連製品、注力地域を欧米と定めました。足元では米国データセンター向けの大型トランス・リアクタの旺盛な需要が期待されています。「体質改善」では、前中期経営計画の積み残しの課題である在庫の早期適正化、地政学的リスクへの対応を踏まえた国内外の生産販売拠点の最適配置、そして成長性と採算性を意識した事業および製品の集中と選択を進めます。これらによる事業ポートフォリオ再編で、収益性(営業利益率)と資本効率(ROIC)の向上を図ります。具体的には、2025年度は連結子会社である株式会社光波のネットワークソリューション事業の外部への譲渡、はんだ粉末生産工程の入間事業所から狭山事業所への移管などを予定しています。 次に、財務戦略では、収益性と資本効率の向上によりキャッシュ創出力を高め、キャッシュアロケーションとして、「成長の基盤作り」と「体質改善」への再投資を行います。さらに、株式市場からPBR1倍以上に評価される企業になることを目指して、株主還元を強化します。第14次中期経営計画の開始にあたり、剰余金の配当等の基本方針を「安定的な配当を基本としつつ、体質改善後は株主資本配当率(DOE)3%を目途にした株主還元を目指す」と見直しました。また、経営環境や財務状況を考慮し、株主還元の一部については機動的な自己株式取得を行うことも検討していきます。 最後に、サステナビリティ戦略に関しては、第14次中期経営計画の事業戦略と一体でマテリアリティの見直しを行いました。特に、前中期経営計画期間の反省を踏まえて、コンプライアンスの徹底とコーポレートガバナンス・リスクマネジメントの強化に取り組みます。また、本年6月26日開催予定の株主総会で社外取締役が過半数となる取締役会構成とすることを予定しており、取締役会の監督機能強化を図ります。マテリアリティ大分類マテリアリティ中分類KPI2028年3月期 目標成長戦略の推進脱炭素社会実現への貢献GHG(Scope 1&2)削減率25%以上削減再生可能エネルギー調達比率35%以上注力市場売上比率36%働きがいの追求グローバルエンゲージメントスコア毎年3pt改善経営基盤の強化コーポレートガバナンスの強化取締役会実効性評価の継続的実施実効性の改善グループ管理職対象コンプライアンス研修受講率100%全社的リスクマネジメントの強化リスク管理委員会による安定したPDCA実効性の改善情報開示リスク開示の充実品質重視の文化醸成顧客満足度前年比改善
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(外部調査チームによる調査結果と再発防止策の進捗状況)当社は、中国連結子会社2社において購入部品在庫の会計処理が社内ルールに照らし適切に行われていなかった件に関し、当社と利害関係を有しない社外の専門家で構成する外部調査チームから調査報告書を受領しました。当該調査結果に基づき、過年度の財務諸表に与える影響を検討したところ、当該期間の損益に与える影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2025年3月期第2四半期(中間期)の中間連結財務諸表にて処理しています。外部調査チームによる調査結果および再発防止策の提言を受け、2025年3月31日付「再発防止策の進捗状況に関するお知らせ」に記載のとおり、再発防止策を推進しています。具体的には、コンプライアンスおよび適切な会計処理の必要性の周知徹底を目的とした研修の実施、重要な会計処理の実務に係るマニュアルやガイドラインの整備、当2社への内部統制の強化などです。2025年4月には、子会社管理体制を強化するため、本社部門に海外子会社を含めたグループ会社の業務改革を推進する部署を新設しました。経営陣が先頭に立ち全社一丸となって再発防止策を確実に遂行し、ガバナンスの強化と企業風土改革に取り組むことで、引き続き信頼回復に努めてまいります。(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況1) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ95億5百万円増加し、1,243億4千8百万円となりました。流動資産は67億9千8百万円増加し、固定資産は27億7百万円増加しています。これは主に、流動資産は現金及び預金ならびに売上債権の増加、固定資産は設備更新および電子化学実装事業の製造棟新設を中心とした有形固定資産の増加によります。当該製造棟新設は、日本国内の生産拠点移管によるもので、新棟完成は2025年10月の予定です。当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ32億6千7百万円増加し、603億1千4百万円となりました。これは主に、仕入債務の増加によります。有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金および長期リース債務の合計額)は5千万円増加し、339億4千9百万円となりました。当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ62億3千7百万円増加し、640億3千4百万円となりました。これは主に、利益剰余金が25億3千7百万円増加し、円安を受け為替換算調整勘定が27億6千2百万円増加したことによります。この結果、自己資本比率は51.32%となりました。(自己資本比率は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いています。)2) 経営成績当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における、当社グループの事業に関わるエレクトロニクス市場は、AIの拡がりを背景に、データセンター向けの設備投資が北米を中心に世界で拡大しました。自動車関連は、電装化進展に伴う需要拡大の基調に変わりはないものの、EV市場の成長には停滞感が見られるようになりました。スマートフォンを中心とする情報通信関連は、力強さは欠くものの回復基調で推移しました。一方、産業機器関連の需要は低位で推移しました。その結果、当連結会計年度の売上高は、1,140億5千1百万円(前期比7.0%増)、営業利益は51億9千5百万円(同5.2%増)、営業利益率は4.6%と増収増益となりました。経常利益は50億6千1百万円(同2.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は27億8千2百万円(同24.2%増)となりました。セグメントの業績は、次のとおりです。なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っています。(電子部品関連事業)産業機械向けトランス・リアクタの需要は、国内外製造業で設備投資への慎重姿勢が継続したことから低位で推移しましたが、エアコン用リアクタは緩やかな回復基調が続きました。電動工具向けチャージャは、主要顧客の在庫調整が一巡し、売上が拡大しました。さらに、大型トランス・リアクタの需要が、AI関連市場の拡大に伴い米国のデータセンター用PDU(電源分配ユニット)・UPS(無停電電源装置)向けを中心に増加しました。その結果、売上高は767億7千4百万円(前期比5.8%増)、セグメント利益は32億7千1百万円(同10.5%増)と、増収増益となりました。(電子化学実装関連事業)電子化学事業では、車載用ソルダーペーストおよびスマートフォン向けフレキシブル基板用ソルダーレジストが堅調に推移しました。さらに、円安が売上・利益の増加に寄与しました。一方、実装装置事業は、国内外の顧客における設備投資需要が回復せず、当連結会計年度を通して低位で推移しました。電子化学事業のけん引により、売上高は345億7千5百万円(前期比10.7%増)、セグメント利益は30億6千5百万円(同24.4%増)と、増収増益となりました。(情報機器関連事業)放送局向け音声設備の更新案件の延期に加え、放送業界全般における厳しい設備投資環境が継続し、売上高は28億6千5百万円(前期比5.0%減)、セグメント損失は1億8千1百万円(前期は4億7千4百万円のセグメント利益)となりました。② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、前連結会計年度末に比べ24億8千6百万円増加し、194億7千9百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が38億2千3百万円、減価償却費が42億8千9百万円、仕入債務の増加が18億4千3百万円となったことなどにより、90億8千2百万円の資金収入となりました。また、前連結会計年度末と比べ、営業活動によるキャッシュ・フローは、4億2千2百万円減少しました。これは、売上債権が減少から増加へ転じたことなどによります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、設備更新および電子化学実装事業の製造棟新設を中心とした有形固定資産の取得による支出が33億4千1百万円となったことなどにより、39億円の資金支出となりました。また、前連結会計年度末と比べ、投資活動によるキャッシュ・フローは、12億3千3百万円減少(資金支出の増加)しました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、短期および長期運転資金を返済したことなどにより、36億4千万円の資金支出となりました。また、前連結会計年度末と比べ、財務活動によるキャッシュ・フローは、3億7千2百万円増加(資金支出の減少)しました。これは、中国子会社におけるセール・アンド・リースバックによる資金収入が増加したことなどによります。③ 生産、受注及び販売の実績1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)電子部品関連事業77,068111.5電子化学実装関連事業34,520110.9情報機器関連事業2,89287.2報告セグメント計114,481110.5合計114,481110.5(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。2. 金額は、販売価格によっています。2) 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)電子部品関連事業79,899140.950,224106.6電子化学実装関連事業35,892115.810,900115.6情報機器関連事業2,280153.51,38070.5報告セグメント計118,071132.462,505106.9合計118,071132.462,505106.9(注) セグメント間取引については、相殺消去しています。3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)電子部品関連事業76,771105.8電子化学実装関連事業34,422110.7情報機器関連事業2,85695.1報告セグメント計114,051107.0合計114,051107.0(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。2. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しています。(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度は、売上高は1,140億5千1百万円、営業利益は51億9千5百万円、営業利益率4.6%となりました。産業機器関連の需要は低位で推移した一方、米国のデータセンター用PDU(電源分配ユニット)・UPS(無停電電源装置)向け大型トランス・リアクタなど堅調な分野が売上・利益をけん引しました。加えて円安の追い風もあり、売上高は過去最高を記録し、増収増益となりました。しかしながら、第13次中期経営計画における事業戦略で掲げた新製品・新市場の拡大や資産効率の向上に課題を残し、中期経営計画最終年度の目標である営業利益60億円以上、営業利益率6.0%には至らない結果に終わりました。さらに、サステナビリティ戦略においては、2024年に中国子会社2社において社内ルールに反した在庫の会計処理が行われていたことが顕在化しており、ガバナンスおよびリスクマネジメントの強化、ならびにコンプライアンス意識の向上が課題と認識しています。2025年4月から開始した第14次中期経営計画「One TAMURA for Next 100」においては、事業部門間ならびにコーポレート部門と事業部門のつながりをさらに高め、「事業戦略」「財務戦略」「サステナビリティ戦略」を一体で推進してまいります。第14次中期経営計画の初年度および2年目に体質改善と成長に向けた基盤づくりを行い、利益率およびROICを向上させ、ROE8%以上を達成いたします。そのために、市場や技術の変化を先取りした事業ポートフォリオを再構築し、コア事業および注力市場に注力してまいります。コア事業とは、カーボンニュートラルに関連する事業であり、具体的には電子部品および電子化学材料の事業です。注力市場はクリーンエネルギー関連市場で、電力インフラ・ヘビーインダストリー・次世代通信・モビリティの領域です。これらの領域は脱炭素社会の推進により拡大が見込まれるため、コア事業製品である次世代パワーエレクトロニクス関連製品を当領域に拡販してまいります。そして、第14次中期経営計画の最終年度である2027年度には、コア事業の営業利益率を8%以上に高め、コア事業の注力市場売上比率も拡大します。さらに、クリーンエネルギー関連市場は次世代パワー半導体への進化が見込まれており、その進化をビジネス機会と捉えています。電子化学の素材技術と電子部品の設計技術を融合し素材から差別化した次世代パワー半導体用磁性受動部品の創出を目指し、研究開発を強化しています。財務戦略では、注力領域へ恒常的に経営資源を投下できる体質を目指し、ROEを最重要KPIとして定めます。収益性と資産効率の向上によりキャッシュ創出力を高め、成長投資および体質改善を行うとともに株主還元を強化し、株式市場からPBR1倍以上に評価される企業になることを目指します。サステナビリティ戦略では、前中期経営計画期間に発覚した問題の反省を踏まえ、且つ成長を支える経営基盤を強化するため、コーポレートガバナンスの強化および全社的リスクマネジメントの強化に取り組み、ステークホルダーの皆さまからの信頼回復と企業価値の向上を図ります。セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。(電子部品関連事業)電子部品関連事業は、大型トランス・リアクタや電動工具向けチャージャの堅調な需要により、売上高は767億7千4百万円、セグメント利益は32億7千1百万円と増収増益となりました。米国において、AI関連需要の増加に伴いデータセンター市場が活況なことから、データセンター用PDU(電源分配ユニット)・UPS(無停電電源装置)向け大型トランス・リアクタの売上が大きく拡大しました。米国向けの当該製品を生産するメキシコ工場では高い稼働率が継続していることから、近隣地に第2工場を準備し、2025年2月より稼働を開始しています。米国政権による関税措置をはじめとする通商政策の変化など、事業環境は予断を許さない状況ですが、当社の強みである高周波・大容量・高耐圧などの顧客ニーズに応える技術力、世界8拠点から大型トランス・リアクタを供給できる生産体制、大手主要顧客において築き上げたプレゼンスを活かし、引き続き当該市場におけるシェアの拡大や新規案件の獲得を図ってまいります。データセンターでは、HVAC(冷却機器)においてトランス・リアクタが、UPS(無停電電源装置)では電流センサ、ゲートドライバモジュールなどのモジュール製品が使用されています。当社グループから提供が可能な製品であり、大型トランス・リアクタと組み合わせて顧客にトータルソリューションを提案して売上拡大につなげてまいります。なお、モジュール製品は中国の連結子会社で生産していますが、売上拡大に向け、2025年度中に電流センサの生産ラインを日本にも設置する予定です。(電子化学実装関連事業)電子化学実装関連事業は、売上高は345億7千5百万円、セグメント利益は30億6千5百万円と、増収増益となりました。実装装置は顧客の投資抑制の影響を受けましたが、車載用ソルダーペーストおよびスマートフォン向けフレキシブル基板用ソルダーレジストは堅調に推移したのに加え、円安が売上・利益の増加に寄与しました。電子化学実装関連事業は、従来から収益性が高く当社グループの利益をけん引しています。さらなる収益性の改善には、付加価値の高い新製品・新市場への展開が必須と認識しています。情報通信分野では、AI搭載スマートフォンの登場など、技術進化によりフレキシブル基板の高密度化・高機能化・薄型化が進んでいます。当社は、カバーレイとソルダーレジスト機能を併せ持ち、高密度部品実装や低反発性など優れた特性を持つ感光性カバーレイ(PICC)を開発し、販売しています。本格的な拡大は次期中期経営計画期間と見込んでおり、SDV(Software Defined Vehicle)のセンサやディスプレイ、AIサーバー周辺のセンサ基板などへの展開を図るとともに、より高機能な製品の開発を進めてまいります。また、クリーンエネルギー関連市場が将来的には次世代パワー半導体へ進化すると見込まれるため、小型化・高集積化が進む次世代パワー半導体のデバイス向けに、金属接合技術とペースト技術を掛け合わせた高耐熱接合材の開発を推進し、事業拡大を目指してまいります。実装装置においては、従来のリフロー装置よりもさらに環境負荷の低減に資する製品の開発を進めています。(情報機器関連事業)情報機器事業は、売上高は28億6千5百万円、セグメント損失は1億8千1百万円と減収および赤字転落となりました。放送局向け音声設備の更新案件の延期および、放送業界全般における厳しい設備投資環境の継続によるもので、2025年度においては、延期となった案件などを確実に売り上げることで、増収および赤字解消を見込んでいます。② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、設備投資およびその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としています。しかし、成長投資や一時的な運転資金の充足のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からも調達できるよう多様化を図っており、現時点においては銀行からの借入を実施しています。不測の事態に備え、機動的な短期運転資金としてコミットメントライン契約を維持しており、手許流動性を高められるよう対応しています。第14次中期経営計画においては、体質改善によりキャッシュ創出力を向上させ、注力市場、注力製品への投資を行います。主な財源は、自己資本の他、銀行借入やファイナンス・リースの利用を予定しています。③ 重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。