事業等のリスク
パナソニックグループは多岐にわたる事業を展開しており、それに伴うリスクも広範囲です。主なリスクとして、地震や火災などの自然災害や事故による操業停止や損害、独占禁止法違反や贈収賄などの重大なコンプライアンス違反による行政処分や社会的評価の低下、そして情報漏洩やサイバー攻撃による営業秘密や顧客情報の流出などが挙げられます。これらのリスクに対し、グループ全体でリスクマネジメント体制を構築し、対策を講じています。
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FY2025|16,184 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは、くらし事業、コネクト、インダストリー、エナジー等の幅広い事業を有しており、それぞれの事業活動に影響を与える可能性のあるリスクも多岐にわたります。当社グループでは、事業目的の達成に影響を与えるリスクに対して、適切な対策やリスクテイクを推進することにより、それぞれの事業が向き合う市場における事業競争力の強化、グループ全体の持続的かつ安定的な発展を実現することを目指しています。 当社グループでは、「パナソニックグループリスクマネジメント基本規程」に基づき全社的リスクマネジメントの体制・プロセスを構築しています。グループのリスクマネジメントの最高責任者であるグループ・チーフ・リスクマネジメント・オフィサー(以下、「グループCRO」)がグループ全体のリスクマネジメント活動を統括し、パナソニック ホールディングス㈱(以下、「PHD」)のエンタープライズリスクマネジメント室(以下、「PHD ERM室」)がプロセス推進に係る実務を担っています。グループCROを委員長、PHDの各機能部門のトップを委員とした「PHD エンタープライズリスクマネジメント委員会」(以下、「PHD ERM委員会」)を定期的に開催しています。 当社グループでは、リスクシナリオの対象範囲や時間軸に応じたリスク管理を行う目的で、短期的な事業計画の遂行や日常的な業務遂行の中で「損失」又は「脅威」となりうる不確実な事象を「オペレーショナルリスク」、中長期的な事業戦略の遂行において考慮すべき「機会」又は「脅威」となりうる不確実な事象を「戦略リスク」と定義しています。PHD ERM室では、年1回、外部・内部環境の変化や経営層のリスク認識等を踏まえて当社グループ全体に影響を与えうるリスクを特定しています。 特定したリスクのうち、オペレーショナルリスクについては、関連機能部門によるリスクの発生可能性及び財務・非財務影響の二軸による評価結果に基づき、当社グループの経営及び社会的責任の観点で「グループ重要リスク」を決定し、必要な対策を行います。戦略リスクについては、リスク許容度に応じた適切なリスクテイクを推進するため、「PHD重要戦略リスク」と位置づけた重要アジェンダのシナリオに基づき、「機会」もしくは「脅威」、又はその両方になりうる事象の特定・評価を行います。事象の中でも、不確実性の低い事象については直ちに対策を行う対象とし、それ以外の事象については顕在化の予兆を捉えるための先行指標を設定することで、不確実性の変化に応じて対策を検討することとしています。PHD ERM室は、これらのリスクに対して、リスクの変化及び対応策の進捗に関するモニタリングを通して、リスクコントロールの有効性を確認しています。 PHD ERM委員会は、これらのリスクマネジメント活動のPDCAサイクルの中で、重要リスクや対策の進捗状況等を定期的にグループ経営会議及び取締役会に報告しています。また、PHD傘下の各事業会社にも「事業会社ERM委員会」を設置し、個社及びそれぞれの事業領域における重要リスクを中心としたリスクマネジメント活動を推進しています。これらの活動に対し、内部監査機能は重要リスクを中心としたリスクベースアプローチの監査を実施しています。 このような活動に加えて、当社グループでは、従業員一人ひとりが適切なリスクリテラシーを持ち、健全なリスクテイクを志向する「リスク文化」の醸成に向けた取り組みを推進しています。入社時及び海外赴任前の従業員を対象とした研修では、リスクを過度に恐れず、組織と個人の成長に繋げるために必要なマインドセットや、危機発生時の基本的な対応等を身につけることを目指しています。 [リスクマネジメント体制図] [リスクマネジメントプロセス] 事業活動に影響を与える可能性のあるリスク(グループ重要リスク及びPHD重要戦略リスクを含む)のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において判断したものです。 (1) グループ重要リスク及びPHD重要戦略リスク ※◎:PHD重要戦略リスク① 経営基盤リスク災害・事故リスクシナリオ[脅威]・地震、津波、洪水等の自然災害、事業場の火災等が発生し、対策不備や復旧活動の遅延又は合理的な想定を超える甚大な影響により、従業員、設備、原材料・部材、在庫品等が損害を被り、操業中止、生産・出荷遅延及び設備等の修復費用が発生。主要な取り組み・「パナソニックグループ 緊急対策規程」にグループ全体に大きな影響を及ぼす可能性のある緊急事態が発生した際のエスカレーション及び判断のプロセスを含む対応の基本方針、当該緊急事態への対応に際した体制及び役割、初動対応等を規定。・優先的に復旧を図る事業や復旧プロセス等からなる事業継続方針、有事への対応、平時の防災・減災対応の3点を軸とした「BCM構築ガイドライン」に基づくBCPの見直し。・「グローバル防火・防災規程」に基づく事業場単位での平時の未然対策の徹底。「防火・防災対策委員会」のもとハザード情報や火災リスクアセスメントに応じた対策の強化。火災が発生した事業場においては第三者点検を実施し再発防止策の徹底。・社員の安否確認を迅速かつ正確に実施する安否確認システムの運用及び拠点の状況を把握する「災害ポータル」による被災状況及び支援要請の迅速な把握。・南海トラフ地震、首都圏直下地震をストレス事象とした影響分析及び当該分析結果に基づく対策及びリスクコミュニケーションの強化。・各種の想定条件に基づく事業場での防災・避難訓練実施に加え、グループCEOや事業会社社長が参加するグループ防災訓練を実施。本社所在地(大阪府門真市)に本部を置く訓練に加え、関東代替本部による演習も実施し練度向上に努めている。・特に自然災害は時間や場所を問わず発生することを考慮し、個人の防災力向上が必須であるという認識のもと講演会や意識調査などの啓発活動を展開。 コンプライアンスリスクシナリオ[脅威]・独占禁止法・競争法への違反や、贈収賄・腐敗行為等の重大なコンプライアンス違反行為の発生又はコンプライアンス上の問題に直面し、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となる。また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。主要な取り組み・「社会の公器」として法令や社会道徳に反せず、かつ私心にとらわれず高い倫理観や正しい知識を持って業務を遂行するため、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」に当社グループ各社及び社員一人ひとりが果たすべき約束を定め、全社員に周知・徹底。・倫理・法令順守意識のグローバルな定着とリスクへの対応力向上のため、年間を通じた全社員に対する基本的なコンプライアンスの教育や、必要な対象者への事業特性や地域特性を踏まえたリスクに応じたコンプライアンスの教育の実施。・カルテル・談合及びそれらの疑いを招く行為の防止を目的とした社内規程や、贈収賄・腐敗行為の防止を目的とした社内規程の制定及び全社員への周知・徹底。・間接的な贈収賄・腐敗行為のリスク低減を図るためのリスク デュー・ディリジェンス ツール及びリスク審査プロセスの導入・運用。・贈収賄・腐敗行為の未然防止、早期発見に向けたリスクベースアプローチによるコンプライアンス監査等の取り組みの実施。・不祥事の防止や早期解決を目的とした国内外の拠点や取引先からも通報ができる一元的なグローバルホットラインの設置、適切な社内調査を通じた問題の早期発見と是正、調査従事者の調査能力の高位平準化のための教育の実施。 情報セキュリティ・サイバーセキュリティリスクシナリオ[脅威]・営業秘密(技術情報等)、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)が、サイバー攻撃を含む意図的な行為、従業員又は業務委託先等の過失等により外部に流出することで社会的信用が低下、損害賠償責任が発生する。・情報システム、生産設備、製品・サービス等がサイバー攻撃の標的となり、業務プロセスの停滞や製品・サービスの提供停止、それらに伴う損害賠償責任の発生等の事態が発生する。・製品・サービスにサイバーセキュリティ上の脆弱性が発見され、製品の大規模なリコールや製品・サービスの長期間の提供停止等に発展し、多大な対策費用等が発生する。・サイバーセキュリティインシデントがサプライチェーンにおいて発生し、原材料、部材の入手に支障が生じ、当社グループの製品の供給が停止又は遅延する。主要な取り組み・国内・海外の子会社を含むネットワーク、サーバ、パソコン等のインフラを対象とした異常監視の拡大、工場内部のセキュリティ監視との一体化等による、グローバルかつ一元的なセキュリティ監視体制の強化。・製品・サービスのセキュリティを担保するための検査体制の整備及び運用。・情報セキュリティ教育プラットフォームによるグローバルの従業員に対する定期的な教育や、システム運用等の委託先に対する定期的なセキュリティチェック等の人的対策。・各国の個人情報保護又はサイバーセキュリティに関する法令・規制に対する法令・規制動向の調査、規程等への反映及び社内周知の徹底。・組織横断でのインシデント対応訓練に基づく、危機発生時の連携と対応プロセスの確認。・複合的なサイバーセキュリティリスクに対する網羅的・一元的な対応のための情報、製品、工場セキュリティの共通機能を統合した「サイバーセキュリティ統括室」の設置、運営。 品質リスクシナリオ[脅威]・製品の欠陥による品質問題(不安全事故や大規模なリコール等)が発生し、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対し生産物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任を負担する又は多大な対策費用を負担する。また、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起する。主要な取り組み・経営基本方針に則り、常に製造・販売する製品の安全性を確保、お客様に安全・安心をお届けすることが経営上の重要課題かつ社会的責任であるとの考えのもと、当社グループの品質方針を「常にお客様及び社会の要望に合致し、満足していただける製品及びサービスの提供を通じ、真にお客様に奉仕する」と規定。・当社グループの品質方針の達成に向けて、事業会社において担当する製品の品質に対する責任に基づく品質マネジメントシステムを構築・運用。・製品安全確保のための知見や不安全事象の未然防止策をグループ共通の安全規格として発信し、事業会社へ展開。・品質不正防止への取り組みとして、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」にある法令と企業倫理の順守に基づき、法規・法令だけでなく、業界基準やお客様とのお約束等も守ることを明確化。・当社グループ全体において、外部の法律事務所と連携し、品質コンプライアンスに関する不適切行為を対象とした徹底的な自主調査を実施。 <各報告セグメント及びその他の事業、部門におけるリスク>インダストリー事業当社の子会社であるパナソニック インダストリー㈱(以下、「PID」)では、前事業年度に、PIDが製造・販売する電子材料製品において米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下、「UL」)の認証登録等に関する複数の不正行為を行っていたことが判明。これを受け、PIDでは、社外有識者による外部調査委員会を設置のうえ、UL認証に関する不正及びその他の品質不正に関する調査を実施し、当事業年度に外部調査委員会より受領した調査報告書及びPID策定の再発防止策を公表。調査対象事案に関連して、2024年12月31日付けで、一部の製品について、追加的にUL認証が取り消し。一部の製品のUL認証の取り扱いについては、PIDとULとの間で協議が継続中。また、PID又はその子会社の一部の拠点において、次のとおりISO9001(注1)認証及びIATF16949(注2)認証が追加的に取り消し又は一時停止。・ISO9001認証の取り消し:伊勢工場(適用範囲の一部)・ISO9001認証の一時停止:伊勢工場(適用範囲の一部)、帯広工場(注3)・IATF16949認証の一時停止:伊勢工場、帯広工場 (注1) ISO(国際標準化機構)9001は、品質マネジメントシステムに関する国際規格(注2) IATF(International Automotive Task Force)16949は、自動車産業向け品質マネジメントシステムに関する国際規格(注3)PIDの子会社であるパナソニック スイッチングテクノロジーズ㈱の拠点 [脅威]・一部製品のUL認証取り消しにあたり、今後もUL認証品として販売を継続する必要があるものについて認証の取得ができない場合、事業への悪影響が生じる。・一部のISO9001認証及びIATF16949認証の取り消し又は一時停止にあたり、今後も維持する必要があるものについてその認証の取得又は一時停止の解除ができない場合、事業への悪影響が生じる。 [主要な取り組み]・外部調査委員会より指摘を受けた、品質保証の本質に関する理解不足や組織風土の問題、品質コンプライアンス体制の不備等の原因分析を踏まえた再発防止策の策定、遂行。今後もUL認証品として販売を継続する必要があるものについて、その認証の取得に向けた取り組みを継続(一部の製品については認証取得済み)。・取り消し又は一時停止されたISO9001認証及びIATF16949認証について、その認証の取得又は一時停止の解除に向けた取り組みを継続。 ② 事業運営リスク労働災害リスクシナリオ[脅威]・職場作業環境又は作業手順の不備、不適切な労務管理等により重篤な事故等が発生し、従業員や関係者が肉体的又は精神的な被害を受ける。・労働基準法、労働安全衛生法等の労働関連法令に違反し、刑事処分、行政処分、安全配慮義務不足に対する損害賠償訴訟等の対象となる。また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。主要な取り組み・各事業会社・事業場に安全衛生組織を設置し主体的に安全衛生活動を推進するとともに、グループ共通の課題解決、類似災害の未然防止を図るため、モノづくり部門や健康保険組合と連携し、各種規程・基準の見直しや重要施策を策定・展開。・労働安全衛生マネジメントシステムにおける定期的なリスクアセスメントに基づき、職場の労働災害や疾病にかかるリスクの洗い出しやリスク低減策を実施。・過去の重篤な労働災害を分析し、災害発生の代表的なパターンを明確化することによって、重点確認ポイントの共有、未然防止策や類似災害の再発防止策を実施。・過重労働の防止のための従業員に対する継続的な意識啓発、勤務管理システムの拡充。・当社グループの安全衛生担当者が参加する「健康・安全衛生フォーラム」や経営層を対象とした研修等の開催による知見の共有及び意識醸成。 人権・労働コンプライアンスリスクシナリオ[脅威]・当社グループ及びそのバリューチェーン上で人権侵害行為を引き起こす又は人権侵害行為への関与や加担等に直面した場合、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償請求の対象となり、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。また、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客からの取引停止、消費者による不買運動等が発生する。主要な取り組み・「パナソニックグループ 人権・労働方針」及び「人権・労働コンプライアンス規程」を定め、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた事業会社の事業領域及びバリューチェーンに関連する人権への負の影響の把握・予防・低減に向けた具体的な取り組み(デュー・ディリジェンス)の推進。・「パナソニック サプライチェーンCSR 推進ガイドライン」を定め、購入先様に対する要請事項(人権・労働、安全衛生、地球環境保全、情報セキュリティ、企業倫理等)の順守についてのコミットメント取得、デュー・ディリジェンスの一環としての自主アセスメント及びリスクベースアプローチによる購入先監査の実施。・上記の取り組みを加速する為、PHD及び全事業会社において人権デュー・ディリジェンスを推進する体制の構築、社内外での人権デュー・ディリジェンスに関する啓発や研修の実施。・人権・労働に関する重要な法的要請の変更等に関する情報収集及び各拠点への徹底。・法令及び国際規範に基づく「パナソニック サプライチェーンCSR 推進ガイドライン」を定め、購入先様に対するCSRの要請事項(人権・労働、安全衛生、地球環境保全、情報セキュリティ、企業倫理等)の順守についてのコミットメント取得、デュー・ディリジェンスの一環としての自主アセスメント及びリスクベースアプローチによる購入先監査の実施。・「パナソニックグループ 人権・労働方針」及び「人権・労働コンプライアンス規程」を定め、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた事業会社の事業領域及びバリューチェーンに関連する人権への負の影響の把握・予防・低減に向けた具体的な取り組みの推進。・人権・労働に関する重要な法的要請の変更等に関する情報収集及び各拠点への徹底。 地政学・経済安全保障 ◎リスクシナリオ[脅威]・当社グループ又は当社グループのサプライチェーンが拠点を有する国・地域において政情不安、軍事的緊張が顕在化又はテロ・戦争等の発生により、事業継続への支障や、従業員や関係者の人命にかかわる事態が発生する。・貿易摩擦に端を発する米中をはじめとした国・地域間の対立や市場の分断や、米国での政権交代に伴う追加関税をはじめとする貿易・経済関連の措置やこれらに対する諸外国の報復措置等を含む政策・法規制の動向の不確実性の高まりにより、貿易規制・経済制裁や関税障壁が一層強化される。・国家間・地域内の対立や武力行使等の激化に加えて、各国の政権交代や政策転換等に伴う政治的・社会的混乱の広がりにより、事業環境が急激に変化する。・特に、EVに関連する義務化撤廃又は補助金削減等によるEV普及率の鈍化によって、車載電池関連事業に悪影響を及ぼす可能性がある。 [機会]・各国の経済安全保障政策に基づく税制関連措置や補助金等の活用。主要な取り組み・当社グループの事業への影響が大きい欧米諸国、中国等の政策・法規制の動向をはじめとする国際情勢のモニタリング。・各国・地域間の対立や政権交代等のイベントに伴い起こりうる政治的・社会的混乱等に備えた、人命安全を最優先としたBCPの整備やサプライチェーンの複線化。・貿易規制・経済制裁に関する各国の法規制の変更に対する日々の情報収集に基づく、新たな規制・制裁の早期の把握とグローバルポリシー及びガイダンスの更新、新たな規制分野で対象となる貨物・技術の該非判定、相手先での軍事転用リスクの確認や顧客審査・取引審査のさらなる強化、及び社内への周知徹底や国内外の従業員の啓発。・国内外の政治・財界への渉外活動と政策提言。 環境問題・気候変動 ◎リスクシナリオ[脅威]・環境問題対策の遅れにより、欧州をはじめとする各国市場への事業進出機会の喪失や、取引の停止等が生じる。・炭素税や排出権取引制度等のカーボンプライシングの導入等に伴うエネルギー調達コストや、環境負荷の低い材質への切り替えによる調達、製造コストの増加。・循環資源(再生材・再利用原材料)の価格上昇や供給不足により、生産コストが増大する、又は生産が遅延する。・米国IRA(インフレ抑制法)をはじめとする気候変動対策関連の法制度が廃止又は縮小することに起因し、車載電池を始めとする製品需要が当社グループの見込みを割り込む。 [機会]・環境政策・規制に対応した新規技術・事業開発の機会の拡大。・サステナブル・エシカル消費等の意識変化による環境志向型の製品やサービスの需要拡大。・再生可能エネルギーのニーズ拡大による高効率太陽電池等の新規市場開拓。・各国のエネルギー安全保障、気候変動対策関連の法制度に基づく税控除、補助金等の活用。主要な取り組み・グループ長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」に基づく、2050年までにグループの事業活動を通じた、現時点の全世界のCO₂総排出量の「約1%」にあたる3億トン以上の削減インパクトの創出、CO₂排出の削減貢献量の拡大及び算定方法に関する認知活動及び標準化に向けた働きかけ。・当社グループの事業活動においてサーキュラーエコノミーを推進する上で共通の指針となる「サーキュラーエコノミーグループ方針」の策定及び発信と各事業におけるサーキュラーエコノミー型事業創出、循環型モノづくりの取り組み等の強化。・生産活動におけるCO₂排出量、廃棄物・有価物発生量、水使用量、化学物質排出・移動量等の環境負荷低減に向けた取り組みを推進。・排出・移動量などの生産活動における環境負荷の削減。・CO₂削減、資源有効活用、水資源や生物多様性保全等に配慮した製品の開発・販売。 人材の誘引・獲得・維持 ◎リスクシナリオ[脅威]・有能な人材確保に向けた取り組みが進まない場合や雇用構造改革を実行する場合には、今後の事業活動に必要な能力やスキルを持つ社員が流出、今後の経営戦略の推進に必要な人材の獲得が困難となる。 [機会]・多様な人材の獲得・登用機会が増加することで、当社グループの事業競争力が向上する。主要な取り組み・「多様な人材・組織のポテンシャルが最大発揮されている状態」を作り上げていくことをグループの重要な課題と設定。「組織カルチャー変革」「未来を創る多様な変革型リーダーの開発・登用」「安全・安心・健康な職場づくり」の取り組みを実施。・組織カルチャーについては、社員が積極果敢に挑戦し、持てる力を最大限発揮している状態をUNLOCKと定義し、従業員意識調査のスコアを活用して指標化。その上で、組織カルチャーを「評価・報酬」「意思決定」など6つの要素で戦略的にデザインする取り組みを推進。優秀な人材の獲得、育成、配置等の人材マネジメントの高度化につなげる。・リーダーの開発・登用については、グループ全体の早期育成登用の実現と後継者パイプラインの多様性の確保を目指している。グループCEOや各事業会社社長が出席するグループタレントマネジメントコミッティでの議論を通じて、重要ポストの後継者の見出し、育成・配置等を推進。 AI(人工知能)の利活用 ◎リスクシナリオ[脅威]・AIの効果的な利活用や開発が想定どおり進まず、当社グループの事業機会や製品・サービスの競争力が失われる。・AIの利活用に伴ってプライバシー、セキュリティ、公平性及び著作権の侵害その他のコンプライアンスに関連する問題が発生し、当社グループのブランドイメージや信用が失われる。 [機会]・AIの利活用による業務の生産性向上や新たなビジネスアイデア創出、事業競争力の向上。主要な取り組み・AIの利活用加速に向けたAI技術戦略として、あらゆるお客様にAIを素早くお届けするための「Scalable AI」、AIへの信頼性に関する技術開発によってあらゆるお客様の信頼にこたえる「Responsible AI」の取り組みを強化。・AIの利活用の拡大に伴う機会及び脅威を見極めるとともに、グループ全体で適時・適切な対策を講じるため、全事業会社のAI倫理の担当者に加えて法務、知財、情報、品質部門等の担当者が参画する「AI倫理委員会」を設置。・責任あるAI活用を実践するため「AI倫理原則」を定め、AI開発現場でのAI倫理リスクチェックシステムの運用、グループ全社員を対象としたAI倫理教育やAI技術人材育成を推進。・AIの開発や運用を包括的に規制する法律として欧州(EU)AI規制法が世界で初めて成立・発効したことに伴う、2025年以降の段階適用に向けた社内ガイドラインの発行、規制の対象となる製品・サービスの洗い出し及び順守に向けた対応。 (2) その他の重要なリスクリスクシナリオと主要な取り組み経済状況の変動[環境認識]・2024年度から2025年度にかけての世界経済は、米国の関税政策と、それに対する各国の経済政策・通商政策動向やその影響が不透明さを増す中、ウクライナ情勢などの地政学リスクも引き続き懸念され、先行きが見通しにくい状況が継続。 [脅威]・世界の市場における景気後退により、製品・サービスに対する需要が減少する。・世界経済の想定以上の悪化、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化等により経営環境が現在の予想よりも厳しくなる。・経済環境の悪化等に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となり、費用増大等が発生する。為替動向、金利変動及び株式市場の動向[環境認識]・各国の中央銀行で利上げがひと段落する中、わが国では2024年3月の日銀のマイナス金利を解除以降、円金利は上昇傾向にある。・2024年度は、前年度と比較して、ドルやユーロに対して円安に動いたことによる輸出影響が大きく、全体として業績に対して好影響を及ぼした。・2025年度については、年間を通してドルやユーロに対して円高に動くと想定しており、全体としては業績に対して一定の悪影響が生じることを見込む。 [脅威]・急激な為替変動により、外貨建てで取引されている製品・サービス等のコスト及び価格の価格競争力が低下する又は部材等の輸入価格が上昇する。また、海外の現地通貨建ての資産の目減り又は負債の増大が発生する。・金利の上昇によって支払利息や有利子負債が増加する。・国際的な政情不安等、様々な外的要因による金融市場の不安定化又は悪化、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じることで、資金調達が制約され、かつ資金調達コストが増加する。・株式市場の変動等により、当社グループが保有する国内外の企業等の株式価値が減少することで、親会社の所有者に帰属する持分が減少する。 [主要な取り組み]・経営への為替影響の軽減を図るため、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域での製品の生産を行う「地産地消型製造」等を実施。・資金創出力の強化を目的とした事業の競争力強化や運転資本の圧縮等を通じた事業からのキャッシュ・フロー創出力向上、継続的な保有資産の見直し等によるバランスシートからの資金創出。・2024年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結、現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響を軽減。(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約 国際的な事業運営に関するリスク[脅威]・政情不安(テロ・戦争等を含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する。・投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスク、海外での商慣習の違いといったさまざまな政治的、法的その他の障害に遭う。競合・業界に関するリスク[脅威]・特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、又はタイムリーに、場合によっては全く実施できない、また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有していること等により、製品・サービス需要及び価格が下落する。・将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない、又は当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となることで、新しい市場での競争力を失う。 [主要な取り組み]・キャッシュの獲得を前提とした、グループとして強みを持つ事業への戦略的な投資。・事業のスピードを高めるための、正味付加価値を生まない業務のIT活用による効率化の推進、事業の競争力強化テーマ、開発設計、製造・販売、調達等グループ共通でスケールメリットのあるテーマについてのビジネスプロセスの変革。・コスト削減と競争力強化のため、デジタル技術の活用と業務改善活動の積み重ね、職場のあらゆるムダと滞留、手戻りを排除する活動の展開。・販売価格の維持及びより付加価値の高い製品の開発につなげるための、BtoC(一般消費者向け)分野のうち、国内向けの家電機器を対象とした販売店との取引形態の見直しと新たな「指定価格制度」の導入。 他社との提携・企業買収等に関するリスク[脅威]・相手先とのコラボレーションが円滑に進まない、当初期待した効果が得られない、投資の全部又は一部が回収できない。・事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う。・相手先が事業戦略を変更し、提携関係を維持することが困難になる。・企業買収にかかる多額の費用の発生、買収後の事業統合・再編等にあたり期待した成果が十分に得られない、又は予期しない損失を被る。・当社グループの持分法適用会社に対しては、重要な影響力を有するものの支配をしていないため、当社グループが制御できない事象の発生などにより、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける。 [主要な取り組み]・重要な戦略的提携の検討の段階に合わせた審議に基づく、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証。 <各報告セグメント及びその他の事業、部門におけるリスク>コネクト事業2021年9月に完全子会社化したBlue Yonder Holding, Inc.(以下、「Blue Yonder」)の様々なサプライチェーン分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現の加速、また、両社のシナジー最大化に取り組んでいる。 [脅威]・キーマネジメントメンバーを含めた優秀な人材の保持及び従業員の士気の維持ができない場合、事業環境や競合状況の変化等によってBlue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、期待した効果が十分に得られない可能性がある。・完全子会社化に加え、機能強化のために複数の追加買収を実施しているため、買収によるのれんや無形資産の計上額が増加している。事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、又は適用される割引率が高くなった場合は、減損損失が発生する可能性がある(詳細は「(2) その他の重要なリスク」の「会計上の見積もり」を参照)。・企業のサプライチェーンマネジメントソリューションに対する期待が高まり、市場拡大が見込めるとともに、研究開発活動(R&D)やM&A等の投資競争が激化する。 [主要な取り組み]・2022年7月に就任した新CEOを含む新たなBlue Yonderの経営陣と共に、成長戦略に伴う重点施策等を着実に推進。・事業競争力強化を目指し、商品品質の安定化による顧客満足度の向上や販売体制の強化に加え、戦略的な投資で高度なAI技術を取り込んだ新たなプロダクトの半期ごとのリリースや、機能補完を目的とした追加買収でEnd to Endソリューションの実現へ取り組んでいる。・成長ストーリーに対する資本市場からの理解を得ながら資金を調達し、継続的な投資による中長期な成長を図るため、議決権の過半数を持つ重要な連結子会社であることを前提に株式上場を検討。 事業再編に関するリスク[環境認識]・当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有しており、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業又は株式の譲渡や、グループ内の組織又は拠点再編等を含む)することがある。・2025年2月に発信したグループ経営改革にて、事業ポートフォリオマネジメントの推進を加速。そのひとつとして、くらし事業の枠を超え、グループ全体でソリューション領域におけるシナジーを創出するために、パナソニック株式会社を発展的に解消し、傘下の分社を事業会社化。また、家電事業は家電市場に集中して向き合うために、グループの家電事業を集約した事業会社を設立し再建を目指す。 [脅威]・経営の効率化や競争力強化のための現在及び将来におけるグループ事業体制の再編(他社への事業又は株式の譲渡や、グループ内の組織又は拠点再編等を含む)において、当初期待した成果が十分に得られない、判断や意思決定に時間を要し事業構成の組替がスムーズに進まない、又は適切な事業ポートフォリオマネジメントが実行できない。 [主要な取り組み]・当社としての企業価値向上のため、持株会社としての各事業会社の競争力強化の積極的な支援及び当社グループの成長戦略の見直しの推進。各事業の成長性を見極め、グループ内で将来にわたってお役立ちを果たせる事業か、あるいはグループ外での競争力獲得が事業の成長のスピードに寄与するかといったベストオーナーの視点での事業ポートフォリオの見直し。サプライチェーンに関するリスク[脅威]・サプライチェーンにおける災害・事故、感染症の流行・拡大又はサイバー攻撃の発生等による供給の不足又は中断、業界内での需要の増加によって、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難になる。・当社グループが部材を納入している取引先において生産の中断・停止、生産規模の縮小又は倒産等が生じ、当社グループの販売数量が減少する。・国家間・地域内の対立やテロ・戦争等によって各国の経済制裁や物流の混乱が深刻化し、さらなるコストの上昇や国際間物流に関する輸送リードタイムの長期化が生じる。 [主要な取り組み]・原材料・部材の価格上昇の抑制や安定確保のため、購入先様との戦略的パートナーシップの構築、グループでの集中契約・集中購買を加速、汎用部品を中心に調達DXを駆使した推奨部品への置き換え推進。・物流費の上昇に対し、積載効率向上による使用コンテナ本数の削減、海上輸送ルートの複線化、中長期的なコンテナスペースの確保に加え、出荷平準化の推進等の合理化活動を強化。・物流・運送業界の人手不足、売上減少に起因する事業・取引撤退や廃業による物流の停滞等の回避のため、物流・運送業界の労働環境改善及び持続的な物流オペレーションの双方を実現するための適切な物流費用への転嫁等の施策の検討。 知的財産に関するリスク[脅威]・当社グループが出願する特許その他の知的財産について、各国・地域における知的財産制度・審査基準や経済安全保障制度等の適用・運用等によって、権利が付与されない場合や権利が十分に保護されない。・知的財産が第三者によって侵害され、当該侵害品・模倣品が出現した場合、当社グループの正規品の販売に対する悪影響やブランドイメージの毀損等が発生。・当社グループにとって不利な条件で知的財産のライセンス等をせざるを得ない。また、当社グループが自らの知的財産を保護又は活用するために多額の費用及び経営資源を費やして訴訟等を提起しなければならない。・第三者が保有している知的財産について、当社グループが当該知的財産のライセンスを取得できないこと、取得していたライセンスが継続できない、又は不利な条件でライセンスを取得及び継続せざるを得ない。・当社グループが第三者の知的財産に関して訴訟等を提起される。また、当該訴訟等によって、多額の費用及び経営資源が費やされる。当該訴訟等において当社グループの主張が認められない場合には、当社グループが特定の技術等を利用できなくなる又は損害賠償責任を負う。 [主要な取り組み]・事業に対する知的財産起点での戦略提案、グローバルな知的財産の獲得・保護・活用及び知的財産に係る紛争の予防と解決により、現在と将来にわたる事業の優位性と安全の確保を目指すとともに、社会課題の解決への貢献も視野に入れて、知的財産活動を推進。・各国・地域における知的財産制度・審査基準や経済安全保障制度等を考慮しながら、事業戦略及び研究開発戦略を踏まえた知的財産戦略に基づき、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築に努めている。・必要に応じて弁護士、弁理士、外部コンサルタント、取引関係者、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品・模倣品の監視及び排除に努めている。・当社グループの知的財産のライセンス等の戦略的な付与にあたっては、適切な条件の下で行うよう努めている。・第三者の知的財産を利用する必要があるときは適切なライセンスを取得するよう努める。・第三者の知的財産を尊重するためグループ全体に適用する「知的財産基本規程」等の社内規程の制定及び従業員全員の順守に向けた定期的な教育の実施。その他の法的規制等による不利益及び法的責任[脅威]・当社グループに適用される日本及び諸外国・地域の商取引、知的財産、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税等に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等について、より厳格な法規制が導入される又は当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることにより、技術的観点や経済的観点等から当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となる、又は事業の継続が困難となる。・当社グループが法規制等に違反し、又は法令順守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見又は判断した場合、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となる。また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす。会計上の見積り[脅威]・当社グループが保有している有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産等の非金融資産について、減損テストの実施結果に基づき、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額、減損損失を認識する可能性がある。・当社及び一部国内子会社の確定給付制度債務について、金利低下に伴う退職給付債務の増加や株価下落などによる年金資産の減少により退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する。・当社グループが認識している繰延税金資産について、回収可能性が低下した部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する。
FY2024|29,526 文字
3【事業等のリスク】 当社グループでは、当社グループの事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを的確に把握し、適切な対策を講じることによって、事業目的の達成と持続的かつ安定的な発展をより確実なものにすることを経営における重要課題と位置づけ、「パナソニックグループリスクマネジメント基本規程」に基づきグループのリスクマネジメント活動を推進しています。 リスクマネジメントの専任部門であるパナソニック ホールディングス㈱(以下、「PHD」)のエンタープライズリスクマネジメント室(以下、「PHD ERM室」)がリスクマネジメント活動を推進し、グループ・チーフ・リスクマネジメント・オフィサーを委員長、PHDの各機能部門のトップを委員とした「PHD エンタープライズリスクマネジメント委員会」(以下、「PHD ERM委員会」)を定期的に開催しています。 当社グループは、短期的な事業目的の達成に向けた事業計画の遂行や日常的な業務遂行において「損失」や「脅威」となる不確実な事象を「オペレーショナルリスク」と定義しています。当社グループでは年1回のサイクルで、外部要因・内部要因の変化等を踏まえて想定されるオペレーショナルリスクを網羅的に洗い出すことで「リスクインベントリー」を更新し、インベントリー上の全てのリスクを対象として、財務・非財務両面の評価軸によるリスクアセスメントを実施しています。PHD ERM委員会では、当該評価を基礎として、当社グループの経営・事業戦略と社会的責任の観点から審議を行い、当社グループの経営上重要かつグループ全体で一定水準以上の管理が必要なリスク(以下、「グループ重要リスク」)を決定します。決定したグループ重要リスクについては、当該リスクを担当する機能部門が中心となって、対応策の策定・実行及び進捗状況のモニタリングに取り組む中で、継続的な改善を目指しています。 オペレーショナルリスクのマネジメントに加えて、当社グループでは、中長期的な事業目的の達成に向けた事業戦略の策定・意思決定に際して考慮すべき「機会」又は「脅威」となりうる不確実な事象を「戦略リスク」と定義し、リスク許容度に応じた適切なリスクテイクを推進するリスクマネジメントを実施しています。戦略リスクに関しては、事業戦略に影響する可能性のあるリスクについて、リスクシナリオから「機会」もしくは「脅威」、又はその両方になりうる事象の単位まで管理対象を細分化することにより、当該リスクを担当する機能部門を特定しています。当該事象に対しては、不確実性及び発現した際の影響度の評価を行い、必要な事象については対応策を策定・実行し、それ以外の事象についてはリスク発現の予兆を捉えるための先行指標の設定及び定期的なモニタリングの対象とし、外部環境の変化等に応じた適時の対応を講じることとしています。このように、当社グループでは、対象となる時間軸や影響の種類に応じたリスクマネジメントを推進することで、事業とリスクの一体的な管理に貢献し、事業競争力強化に結びつけることを目指しています。 PHD ERM委員会は、これらのリスクマネジメントのPDCAサイクルに基づき、グループ重要リスクや対応策の進捗状況等を定期的に取締役会及びPHD戦略会議に報告しています。また、内部監査機能が連携し、リスクアセスメント結果に基づき選定したテーマによる監査を実施しています。 また、各事業会社においても、「事業会社ERM委員会」を設置し、自主責任経営のもと各事業会社グループのリスクマネジメント活動を同様のサイクルで推進しています。各事業会社では、グループ共通のリスク項目にそれぞれの事業領域に応じたリスクを追加したリスクインベントリーを用いてリスクアセスメントを実施し、事業会社経営上の重要リスク(以下、「事業会社重要リスク」)を決定します。 そして、各事業会社では、決定されたグループ重要リスク及び事業会社重要リスクに対して、対応策の策定・実行及び進捗状況のモニタリングを実施します。特にグループ重要リスクに関しては、グループで共通の対策に加えて、各リスクを担当する事業会社の機能部門がPHDの機能部門と連携し、当該事業会社の事業領域に応じ必要な独自の対応策を策定・実行します。PHDの機能部門は各事業会社におけるグループ共通及び独自の対応策の進捗状況をモニタリングすることで、当社グループ全体でリスクが適切に管理されていることを確認し、必要な場合は適宜対策の見直しや徹底を促しています。 加えて、当社グループでは、適切かつ健全なリスクテイク及びリスクコントロールを志向する「リスクカルチャー」を醸成するため、入社時及び海外赴任前の従業員を対象として、リスクマネジメントの基本的な考え方や危機発生時の対応等に関する研修を実施しています。グループの成長及び将来にわたる社会の発展に貢献するため、従業員一人ひとりのリスク対応力向上を図っています。このような枠組みにより、PHDでは当社グループ全体のリスクマネジメントの推進及び高位平準化を図っています。 [リスクマネジメント体制図] [リスクマネジメントプロセス] なお、当社グループの2024年度の主なグループ重要リスクと、それらの「3 事業等のリスク」における記載箇所は下記のとおりです。 [グループ重要リスク(オペレーショナルリスク)] [グループ重要リスク(オペレーショナルリスク・戦略リスク)該当項目] 事業活動に影響を与える可能性のあるリスク(グループ重要リスクを含む)のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、下記「(2) 当社グループの事業運営活動に関するリスク」及び「(4) コンプライアンス・訴訟・レピュテーション等に関するリスク」については、事業活動に影響を与える可能性の程度に応じて、「特に重視しているリスク」及び「重視しているリスク」に分けて記載しています。また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国又は地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2024年度の経営環境は、日本において設備投資需要が堅調に推移し、実質賃金の改善を背景に個人消費も持ち直すことが期待され、緩やかな持ち直しが見込まれますが、世界経済は中東情勢やウクライナ情勢などの地政学リスクに加え、欧米を中心にこれまでの金融引き締めによる実体経済への影響が懸念され、先行きの見通しにくい状況が続き、当社グループはこうした影響を少なからず受けるとみられます。このようなリスクに対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。世界経済が想定以上に悪化する場合や、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化が起こる場合等には、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。このような経営環境の変化に対して、当社グループは今後も影響を見極めつつ適切な対応策を取ってまいります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービス等のコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。2023年度は、前年度と比較して、ドルやユーロに対して円安に動いたことによる輸出影響が大きく、全体として業績に対して好影響を及ぼしました。また2024年度については、年間を通してドルやユーロに対して円高に動くと想定しており、全体としては業績に対して一定の悪影響が生じることを見込んでいます。しかしながら、為替相場に過度な変動があった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が大きな悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」等により、経営への影響の軽減を図っています。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、国際的な政情不安等による経済情勢の変化を受けた金融市場の不安定化や、金融政策の変更等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、国際的な政情不安等、様々な外的要因により金融市場が不安定となり、又は悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業の競争力強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等のバランスシートからの資金創出に継続的に取り組む等、資金創出力の強化に努めています。なお、2024年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しており、現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。(2) 当社グループの事業運営活動に関するリスクa. 特に重視しているリスク国際的な事業運営における障害 当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(テロ・戦争等を含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスク、海外での商慣習の差異といったさまざまな政治的、法的その他の障害に遭う可能性があります。 特に、昨今の貿易規制・経済制裁に関する各国の法規制の変更は、グローバルに生産拠点を持ち、製品を供給している当社グループの事業に大きな影響を与えます。当社グループはこうした動向を注視し、グローバルで連携して日々の情報収集及びITの活用により、当社グループの事業に影響のある新たな貿易規制・制裁を早期に把握し、グローバルポリシー、ガイダンスを適宜更新する等の対応や、新たな規制分野で対象となる貨物・技術の該非判定を徹底して実施しています。また、社内への周知徹底、取引リスク回避のための対応策の発信等、国内外の従業員啓発にも取り組み、ガバナンス及びコンプライアンスのさらなる強化に努めています。 また、経済安全保障分野については、各国で産業基盤強化の支援やサプライチェーンの強靭化、先端的な重要技術の研究開発、機微技術の流出防止や輸出管理強化等の施策の推進・強化が進められる中、我が国でも2022年に成立した「経済安全保障推進法」が施行されています。今後の経済安全保障政策の動向が当社グループの事業に与える影響を絶えず注視しながら対応をしてまいります。 地政学リスクについては、国際情勢に加えて欧米諸国、中国等の政策・法規制の動向に関するモニタリングを通じて、当社グループの事業への影響の把握及び適時の対応に努めています。米中対立に関しては、貿易摩擦に端を発する市場のデカップリングや各国の経済安全保障政策の強化、世論の対極化等に起因する事業環境の急激な変化によって、グローバルに生産拠点や市場を有している当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、特定重要物資の重要鉱物のうち、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の主要負極材料である黒鉛に関しては、当社の子会社であるパナソニック エナジー㈱が、北米企業及び北米に供給拠点を持つ企業との間で供給契約を締結するなど、北米でのサプライチェーン強靭化及び電池材料生産時の環境負荷低減の実現に努めています。他方で、このような取り組みの推進にかかわらず、米中対立に伴うさらなる輸出規制の強化やサプライチェーンの多角化が進まないことによって、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。ロシア・ウクライナ情勢に関しては、これまでの当社グループの業績及び財政状態に直接与える影響は軽微でしたが、軍事侵攻が長期化する中、エネルギー・原材料価格のさらなる高騰等によって、今後、事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに、中東情勢の緊迫化に関連し、それ以外の国・地域を含む国際情勢が不安定化することで、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、これらの国家間・地域内の対立や武力行使等の激化に加えて、各国の政権交代や政策転換等に伴って政治的・社会的混乱が広がった場合、事業環境の変化がさらに加速又は不透明化し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、中長期的視点でのサプライチェーンの複線化や製品の地産地消も見据えた生産体制の点検・再構築に取り組んでいくとともに、こうした動向について、事業に対する脅威及び各国の経済安全保障政策に基づく税制関連措置の活用等の機会も含めて引き続き注視してまいります。 環境問題・気候変動 当社グループでは、気候変動を含む地球環境問題の解決は、当社グループが目指す「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」という遠大な使命の中で最優先で取り組むべき課題であると考えています。 特に重視しているリスクとして、環境問題への意識の高まりに伴う、国際社会での環境規制・政策の導入・拡大があげられます。2023年3月に国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、パリ協定に基づく世界のCO₂ 排出削減量の達成に向けたさらなる段階的な目標を示したことで、企業の取り組みにも一層の加速が求められています。また、欧米をはじめとした、電気・電子機器に関するリサイクル及び「修理する権利」の法制化により、修理を前提とした製品の長寿命化や原材料の再資源化等に応えるビジネスモデルへの変革が喫緊の課題となっています。これらの動向を注視し、環境重視の政策・環境規制に対応した新規技術・事業開発の機会の拡大や、サステナブル・エシカル消費といった消費者の意識変化による環境志向型の製品やサービスの需要拡大を見据えた事業活動を実施してまいります。一方で、炭素税や排出権取引制度等のカーボンプライシングの導入等によりエネルギー調達コストが増加すること、排出権の購入を余儀なくされること、環境負荷の低い材質への切り替えにより製造コストが増加すること、低炭素製品のコモディティ化等により、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、こうした環境問題対策が遅れることにより欧州をはじめとする各国市場への事業進出機会の喪失や取引停止等による事業機会の喪失につながる可能性があります。加えて、各国のエネルギー安全保障、気候変動対策に関連する法制度に基づく税控除、補助金等を活用した事業機会への参入にあたり、想定通りの効果が得られず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、米国IRA(インフレ抑制法)をはじめとする気候変動対策関連の法制度が廃止又は縮小される場合、また、当該事業環境の変化に起因して製品需要が当社グループの見込みを割り込む場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、パナソニック エナジー㈱の車載電池事業に関連し、米国の自動車CO₂排出規制の緩和等の政策によって北米自動車市場のEV化率のスピード及び顧客需要が当社グループの見込みよりも低下する場合は、設備投資計画が後ろ倒しとなる可能性の他、車載電池の減産等により、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、資源不足・資源制約によるサーキュラーエコノミーの進展により、再生可能エネルギーの積極利用による企業価値の向上が図れる機会が増大すると同時に循環資源を用いた低炭素製品の需要拡大も見込まれます。一方で、循環資源(再生材・再利用原材料)の価格上昇・供給不足による生産コストの増大や生産の遅延が頻発・常態化する可能性があります。脱炭素循環型社会への移行状況について、EUにおける炭素国境調整メカニズム(CBAM)、米国におけるグリーンニューディール政策その他の各国の関連法令等に関する動向を中心に注視してまいります。 2021年5月に、当社グループは「2030年にグループのCO₂排出を実質ゼロ」を目標とすることを発表しました。また、2022年1月には、グループ長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT(以下、「PGI」)」を発信し、私たちが提供する商品を通じてお客様が排出するCO₂も含めた自社バリューチェーン全体の1.1億トンのCO₂排出に見合う削減の責務を果たすことに加え、さらに幅広い事業領域を活かして、社会へのCO₂削減貢献量を拡大するとの方針を示しています。その目標として、2050年までにグループの事業活動を通じて、現時点の全世界のCO₂総排出量の「約1%」にあたる3億トン以上の削減インパクトを目指します。特に大きなCO₂削減貢献目標を掲げている事業である環境車向け車載電池事業や欧州での空質空調事業による貢献に向けた取り組みに加えて、エネルギーの地産地消を目指し、水素及び太陽光発電で燃料電池工場の稼働に必要な電力の100%を再生可能エネルギーでまかなう「RE100ソリューション」の実証施設の稼働を2022年にスタートさせています。 また、当社グループでは、2022年7月に、2050年の目標に向けたマイルストーンとして2024年までの環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN 2024」を策定し、自社バリューチェーンにおけるCO₂排出の削減量(OWN IMPACT)、既存事業による社会へのCO₂排出の削減貢献量(CONTRIBUTION IMPACT)、サーキュラーエコノミー領域のそれぞれにおいて、2024年までに実現する具体的な行動計画と2030年の目標をあるべき姿からのバックキャスト(逆算)で定めています。この2024年までに、当社グループでは37拠点でCO₂排出の実質ゼロ化を実現することを計画しており、2023年度はパナソニック エナジー㈱の二色の浜工場がCO₂ゼロ工場として本格生産を開始するなど、計画実現に向けて取り組みを拡大しています。 一方で、現時点において削減貢献量は国際的に統一された算定方法が確立されていないことから、当社グループでは積極的に認知活動及び標準化に向けた働きかけを行っています。2023年3月には当社が参画する「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)」及びGXリーグからそれぞれ削減貢献量のガイダンス・指針が発表されたことを受け、同じく当社が参画する「国際電気標準会議(IEC)」における国際規格化への議論の状況と合わせてこれらに準拠した算定に取り組むとともに、2023年度には先行して当社グループの「サステナビリティ データブック」で製品分野毎の削減貢献量の算定式及び算定事例をルール化に先行して開示しています。しかしながら、当社グループが現在採用している方式と異なる算定方法が標準化された場合には、当該時点において削減貢献量の見直しを行う可能性や、目標の達成状況が変動する可能性があります。 また、当社グループでは地球環境問題において、資源効率が脱炭素化に寄与するとともに、地球上の限られた天然資源の消費を削減することが必要であることを認識し、持続可能な社会の実現に貢献するため、2023年12月に当社グループの事業活動においてサーキュラーエコノミーを推進・具体化する上で共通の指針となる「サーキュラーエコノミーグループ方針」を策定しました。あわせて、サーキュラーエコノミーの重要性を踏まえて、当社グループの事業運営の基盤となるPGIのステートメントを改定し、各事業におけるさらなる取り組みの強化に繋げてまいります。 当社グループは、地球温暖化の進展による特定の商品・サービスに対する需要の変化や、環境問題への意識の高まりによる国際社会での環境規制・政策の導入・拡大を見据えながら、関連ビジネス市場を通じてこうした活動を強化し、環境問題、気候変動問題に取り組んでまいります。 情報セキュリティ及びサイバーセキュリティに関するリスク 当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)や、他社等の機密情報を入手することがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や従業員や業務委託先の過失等により外部に流出する可能性があります。 また、当社の製品・サービス、生産設備、管理システムは、インターネットを利用するものが増加しており、製品・サービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作等による外部への機密情報・個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響等が発生する可能性があります。さらに、当社の製品・サービスにサイバーセキュリティ上の脆弱性が発見された場合、当社製品の大規模なリコールや製品・サービスの長期間の提供停止等に発展することに加えて、多大な対策費用等が発生する可能性があります。また、製造業である当社グループにおいては、サイバーセキュリティインシデントの発生による当社グループへの原材料、部材の供給停止又は当社グループが提供元となる提供先への悪影響等、いわゆるサプライチェーンにおけるサイバーセキュリティリスクも当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。 当社グループでは、より高度な情報セキュリティレベルを実現するために、IT環境の健全性の確保及びサイバーレジリエンスの向上に取り組んでいます。特に、国内のみならず海外子会社のインフラを含むネットワーク、サーバ、パソコン等を対象としたさらなる異常監視の拡大及び工場内部のセキュリティ監視との一体化と、グローバルかつ一元的なセキュリティ監視体制の強化のための対策を実施しています。また、従前より当社グループの製品やサービスのセキュリティを検査、担保する体制を整備し、運営のさらなる強化に努めています。さらに、技術的な対策に加えて、情報セキュリティ教育プラットフォームの構築及びグローバルの従業員に対する定期的な教育実施、システム運用等の委託先に対する定期的なセキュリティチェックの取り組み等、人的な対策も強化・推進しています。各国の個人情報保護又はサイバーセキュリティに関する法令・規制については、その動向を外部専門家とともに調査したうえで、当社規程等へ反映、社内へ周知する仕組みを運営することによって、法令・規制等への対応を進めています。 2023年度はサイバーセキュリティ強化に向けた取り組みとして、情報、製品、工場セキュリティの共通機能を統合し、複合的なサイバーセキュリティリスク及びサプライチェーン全体への一元的・網羅的な対応を推進するため、4月よりPHDに「サイバーセキュリティ統括室」、各事業会社に「サイバーセキュリティ統括責任者」を設置しました。これらの組織に関連機能部門を含めた機能横断でのサイバーセキュリティ対応推進体制を構築し、サイバーハイジーンとサイバーレジリエンスの戦略的な実行に向けて連携を図っています。また、インシデント発生時の対応プロセスの見直しと合わせて、PHD及び事業会社の組織横断によるインシデント対応訓練を実施し、グループ内での連携を確認しました。 一方で、当社として最大限の防御策は講じるものの、激化・巧妙化するサイバー攻撃を完全に防御できず、その結果、事業活動の停止・中断や当社グループのイメージ・評判の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 AI(人工知能)の利活用に関するリスク 生成AI等のAIの急速な技術進歩及び普及に伴い、昨今、様々な分野でのAIの活用が進んでいます。当社グループにおいても、AIの特性に起因するリスクへの対応を図りながらAIの利活用を段階的に拡大し、業務の生産性向上や新たなビジネスアイデア創出、事業競争力の向上を目指しています。 当社グループでは、AIの利活用の拡大に伴う機会及び脅威を見極めるとともに、グループ全体で適時・適切な対策を講じるため、全事業会社のAI倫理の担当者に加えて法務、知財、情報、品質部門等の担当者が参画する「AI倫理委員会」を設置しています。2022年には責任あるAI活用を実践するため「AI倫理原則」を定め、AI開発現場でのAI倫理リスクチェックシステムの運用、グループ全社員を対象としたAI倫理教育やAI技術人材育成の推進によって、グループ横断のAIガバナンス体制を強化しています。 当社グループでは、2023年2月から当社の子会社のパナソニック コネクト㈱が「Azure OpenAI Service」を基に開発したAIアシスタントサービスを国内全社員対象に提供開始したことを皮切りに、4月からは当該サービスの対象を当社グループの国内全社員約9万人に拡大し、本格的な利用を開始しました。一方で、これらの利用に際しては、特に個人情報をはじめとする生成AIへの入力及び出力情報の取り扱いを含めた適切な情報活用についての注意喚起を徹底しています。 また、当社グループでは、AIの利活用加速に向けたAI技術戦略として、基盤モデルと少数データ学習により、わずかなデータで導入できるAIや、端末機器への効率的な実装を実現するロボティクス・エッジAI技術により多様なフィジカル空間へ簡単に実装できるAIなど、あらゆるお客様にAIを素早くお届けするための「Scalable AI」、そして、先に挙げたグループ横断のAIガバナンス体制に加え、AIへの信頼性に関する技術開発により、あらゆるお客様の信頼にこたえる「Responsible AI」の取り組みを強化しています。特に、AIの信頼性に対しては、要素技術と開発プロセスの両面からアプローチすることで、説明性や信頼性を担保することに努めています。「人間のための」「人間による」「人間に寄り添う」責任あるAI利活用を通じて、一人ひとりの生涯の健康、安全、快適へのお役立ちを果たすことを目指しています。 一方で、AIの効果的な利活用や開発が想定通り進まない場合は、当社グループの事業機会や製品・サービスの競争力が失われ、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、AIの利活用に伴ってプライバシー、セキュリティ、公平性及び著作権の侵害その他のコンプライアンスに関連する問題が発生した場合、当社グループのブランドイメージや信用が失われるだけでなく、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループは「企業は社会の公器である」という考え方を経営の基本とし、人材についても社会からお預かりした貴重な経営資源として、「社員稼業」と「衆知経営」を実践し、事業の創出と成長の源泉及び組織活力の維持を担う人材の継続的な確保に努めています。このような理念のもと、2023年3月に新たな採用ブランドスローガンとして「誰かの幸せのために、まっすぐはたらく。」を制定しました。当社グループにおける幅広い事業領域や職種を有するパナソニックグループの「多様な挑戦の機会」、「人づくり」を大切にする風土のもと、「誰かの幸せのために、まっすぐはたらきたい」と思える仲間と共に、これからの幸せをつくりたいという想いを込めています。また、当社グループでは、一人ひとりが心身ともに健康で、挑戦の機会を通じて幸せと働きがいを感じている状態、つまり「社員のウェルビーイング」の実現をグループ共通の人事戦略として、「安全・安心・健康な職場づくり」、「自律的な挑戦意欲と自律したキャリア形成支援」及び「Diversity, Equity & Inclusionの推進」に取り組んでいます。2022年度以降、順次「働く時間」「働く場所」の選択肢の拡大のための制度を部分的に導入しています。社会環境の急速な変化や価値観の多様化が進む中、社員一人ひとりの多様なニーズにきめ細かく対応し挑戦を後押しするために、今後も取り組みを加速していきます。さらに、専門性の高い人材の採用や育成を目的として、事業会社制移行後は各事業会社において独自の人材戦略及び人事制度を導入しています。当社の子会社であるパナソニック コネクト㈱では、2023年4月に従来のメンバーシップ型マネジメントから、ジョブディスクリプション(JD)の導入や公募による登用・配置を中心とするジョブ型マネジメントへの切り替えを全社一斉で実施、2023年度からは新たに社員紹介による採用としてリファラル採用を導入し、成長事業及びコア事業のそれぞれの事業の専鋭化の実現に向け、組織・人材強化を目指しています。パナソニック インダストリー㈱では、独自の「役割・人財要件定義」を策定し、原則、係長クラス以上の異動・昇格について「公募型」を導入しました。これまでの会社主導のキャリア形成から、社員自らが自律的にキャリアを選択していくための制度へと改定し、社員の挑戦を後押しすることで、人と組織が共に成長し続ける会社を目指しています。一方で、有能な人材の確保をめぐる競争は激化しています。上記の取り組みが進まず、在籍している社員の流出防止や、経営戦略の推進に必要な人材の獲得ができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 労働安全・労働時間管理 当社グループは、各種法令や当社の経営基本方針に基づき、グループCEOが発信する「パナソニックグループ 労働安全衛生ポリシー」において、従業員の安全と健康の確保を定めています。また、この方針を実践するため「安全衛生管理規程」を制定し、安全衛生活動の展開によって従業員の健康の保持促進を図るとともに労働災害を防止することで、事業発展への貢献を目指しています。 当社グループでは、グループの安全衛生管理に係る重要な方針や政策を審議・諮問する機関として、グループ安全衛生管理部門の責任者を委員長とする全社中央安全衛生委員会、各事業会社・事業場にも安全衛生組織を設置し、グループ一体で安全衛生管理を推進する体制を構築しています。 また、当社グループでは安全・安心な職場づくりの推進のため、労働安全衛生マネジメントシステムに基づき、定期的にリスクアセスメントを実施し、職場の労働災害や疾病にかかるリスクを洗い出し、危険度の高いリスクから確実にリスク低減策に取り組んでいます。加えて、過去の重篤な労働災害を分析し、災害発生の代表的なパターンを明確化することによって、リスクアセスメント等における重点確認ポイントの共有化を図り、類似災害の再発や未然防止のための対策を効果的かつ着実に推進することを目指しています。 さらに、各事業会社における自律的な安全衛生管理の取り組みを推進するため、当社グループの各事業会社の安全衛生担当者が参加する「健康・安全衛生フォーラム」や、経営層を対象とした研修等を開催し、知見の共有及び意識醸成に努めています。また、適正な労働時間の把握・管理については、昨今のリモートワーク拡大も踏まえ労働時間に関する客観的データの収集・活用方法を刷新するとともに、従業員に対する継続的な意識啓発、勤務管理システムの拡充等により過重労働の防止に努めています。 一方で、職場作業環境又は作業手順の不備、不適切な労務管理等により重篤な事故等が発生した場合、従業員や関係者が肉体的又は精神的な被害を受ける可能性があります。また、その場合、労働基準法、労働安全衛生法等の労働関連法令に違反することで、当社グループが刑事処分、行政処分を受け、又は安全配慮義務不足に対して損害賠償訴訟の対象となり、当社グループの社会的評価に加えて、事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b.重視しているリスク競合他社との競争 当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、それらの特性ごとに異なる事業の最適な在り方やお客様への貢献が求められています。また、各事業が向き合う市場においては、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで多様な企業と競合し、それぞれの事業環境の変化に適時に対応することが不可欠です。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、又はタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。 そうした競合環境の中、当社グループでは、長期視点で戦略を再構築し、競争力強化を目指しています。まず、喫緊の課題である環境問題の解決に向けた取り組みを強化することで、お客様へのお役立ちを通じて競争力の強化を図ってまいります。また、キャッシュの獲得を前提として、事業会社のみならずグループとしても強みを持つ事業に戦略的に投資してまいります。 次に、競争力の強化には、事業のあらゆる現場において、ムダや滞留を撲滅し事業のスピードを高める「オペレーション力」が不可欠です。当社グループでは、正味付加価値を生まない業務のIT活用による効率化を推進すると同時に、事業の競争力強化テーマ、開発設計、製造・販売、調達等グループ共通でスケールメリットのあるテーマについてビジネスプロセスの変革に取り組んでいます。加えて、デジタル技術の活用と業務改善活動の積み重ね、職場のあらゆるムダと滞留、手戻りを排除する活動を展開することにより、コストを削減し、競争力強化を図っています。 他社との提携・企業買収等の成否 当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社の買収等を行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。当社グループでは、重要な戦略的提携については、検討の段階に合わせて所定の審議を実施しており、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証を実施していますが、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部又は一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合等には、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、又は予期しない損失を被る可能性があります。 当社グループは、2021年9月にBlue Yonder Holding, Inc.(以下、「Blue Yonder」)の80%分の株式を追加取得し同社を完全子会社化しています。当社グループは、Blue Yonderの様々なサプライチェーン分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現を加速し、また、両社のシナジー最大化に取り組んでいます。しかしながら、キーマネジメントメンバーを含めた優秀な人材の保持及び従業員の士気の維持ができない場合、事業環境や競合状況の変化等により、Blue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、これらの期待した効果が十分に得られない可能性があります。また、完全子会社化に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2023年度はBlue Yonderにおいて、機能強化を目的とした追加買収を複数行っているため、買収によるのれん及び無形資産計上額は増加しています。事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、又は適用される割引率が高くなった場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(詳細は「(6)その他のリスク」の「非金融資産の減損」を参照)。 これらのリスクに対して、2022年7月に就任した新CEOを含む新たなBlue Yonderの経営陣と共に、成長戦略に伴う重点施策等を着実に推進し、Blue Yonderの事業競争力の更なる強化を進めています。引き続き、外部環境を意識した商品戦略や販売体制の強化、買収事業の速やかな統合等を通じて、リスク軽減を図っていきます。 なお、Blue Yonderを中心としたサプライチェーンマネジメント(以下、「SCM」)事業を取り巻く環境は大きく変化しています。企業のSCMソリューションに対する期待が高まり、市場拡大が見込めるとともに、研究開発活動(R&D)やM&A等の投資競争が激化しています。そのような中、SCM事業の競争力を強化するためには、資本市場の力を借りてグローバルでの成長を加速させるために株式上場を行うことが最適であると判断し、当社が議決権の過半数を保有する重要な連結子会社と位置付ける事を前提に、Blue Yonderを中心としたSCM事業の株式上場に向けた準備を開始することを、2022年5月11日に公表しています。株式上場に関しては、証券取引所その他の関係当局の承認や許認可等を得られることが前提となり、株式上場の準備過程における検討の結果次第では、当社グループの組織再編が必要な場合やSCM事業は株式上場しないという結論に至る可能性もあります。 当社グループは、Blue Yonderの事業成長及び両社のシナジー最大化に向けて、PMI(買収後の経営統合)を着実に推進しています。具体的には、両社間において新たな経営体制・協業プランを推進し、本件取引完了後のリスク軽減を図っています。 事業再編の成否 当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業又は株式の譲渡や、グループ内の組織又は拠点再編等を含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性、判断や意思決定に時間を要し事業構成の組替がスムーズに進まない可能性、適切な事業ポートフォリオ・マネジメントが実行できない可能性があります。 当社は、各事業の成長性を見極め、グループ内で将来にわたってお役立ちを果たせる事業か、あるいはグループ外での競争力獲得が事業の成長のスピードに寄与するか、ベストオーナーの視点に基づく事業ポートフォリオの見直しを実施しており、そのひとつとして、2024年3月には、当社とApollo Global Management, Inc.をはじめとするアポロ・グループは、パナソニック オートモーティブシステムズ㈱(以下、「PAS」)の事業に関して両社が共同パートナーになることを目的に、PAS株式の譲渡に関する株式譲渡契約及び株主間契約を締結しました。引続き、当社は、持株会社として、各事業会社の競争力強化を積極的に支援するほか、当社グループの成長戦略と事業ポートフォリオの見直しを推進し、グループとしての企業価値向上に努めていきます。 原材料等の需給・輸送の混乱、価格高騰 当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、当社グループのサプライチェーンにおける災害・事故、感染症の流行・拡大又はサイバー攻撃の発生等により、供給が不足又は中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。加えて、当社グループが部材を納入している取引先においてこれらの事象により生産の中断・停止、生産規模の縮小又は倒産等が生じた場合、当社グループの販売数量が減少する可能性があります。これらの事象により当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、昨今では、原材料・燃料費の高騰に加え、国内・海外双方でのドライバー不足等が続いています。当社グループでは、原材料・部材の高騰に対しては、先物予約ヘッジを積極的に推進し、グループでの集中購買をさらに加速し、価格上昇の抑制や安定確保に取り組んでいます。また、物流費の上昇については、積載効率向上による使用コンテナ本数の削減、海上輸送ルートの複線化、中長期的なコンテナスペースの確保に加え、出荷平準化の推進等の合理化活動の強化に取り組んでいます。 特に、働き方改革関連法により、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限規制が適用されることに伴う物流「2024年問題」に関しては、物流・運送業界の人手不足や売上減少に起因する事業・取引撤退、廃業による物流の停滞を回避することを最優先とし、物流・運送業界の労働環境改善及び持続的な物流オペレーションの双方を実現するための適切な物流費用への転嫁等の施策を検討しています。 このように、原材料の高騰や物流費用の上昇をはじめとする生産コスト増に対する取り組みを継続していますが、内部努力だけでは当該影響を吸収しきれない状況であることから、当社グループでは、2022年8月以降、国内向けの家電製品の出荷価格を改定しています。今後は、商品価値に見合った適正価格に基づき、安定した販売を実現することで、お客様のニーズに沿った製品開発による「お役立ち」につなげてまいります。しかしながら、こうした価格改定が適時に実現できないことや、価格改定によって製品への需要が減少することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、中東情勢及びロシア・ウクライナ情勢等の国家間・地域内の対立やテロ・戦争、米中対立の激化等により各国の経済制裁や物流の混乱が深刻化した場合、さらなるコストの上昇や、国際間物流に関する輸送リードタイムの長期化により、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。 製品価格の下落 当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与える可能性があります。BtoC(一般消費者向け)分野のうち、国内向けの家電機器については、従来型の取引形態に起因する販売価格の下落が製品のライフサイクルの短縮化を引き起こし、顧客志向の開発や製品の競争力に影響を及ぼしています。当社グループでは、2020年より販売店との取引形態の見直しと新たな「指定価格制度」の導入に取り組んでおり、販売価格の維持及びより付加価値の高い製品の開発につなげる試みを始めています。他方で、当該制度が販売店・一般消費者を含む国内の家電機器市場で受け入れられない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 技術革新・業界標準における競争 当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク 当社グループは、グループ経営目標として、中期経営指標(KGI)を設定し、その実現に向けた具体的な施策を推進しています。これらのKGIは、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しますが、2024年度の世界経済は、地政学リスクや欧米を中心とした金融引き締めによる実体経済への影響等により、先行きの見通しにくい状況が続いており、今後、こうした世界経済の影響や事業環境の悪化、その他の要因により、KGIの達成や期待される成果の実現に至らない可能性があります。中長期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定期的な進捗管理と課題の見極めや適時適切な対策の検討・実践等を通じて、未達リスクの最小化に努めてまいります。 (4) コンプライアンス・訴訟・レピュテーション等に関するリスクa. 特に重視しているリスクコンプライアンスリスク 当社グループでは、世界のどの国・地域においても公正な事業を推進するため、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」において、「社会の公器」として法令や社会道徳に反しないことはもちろん、私心にとらわれず高い倫理観や適切な知識を持って業務を遂行できるよう、当社グループ各社及び当社グループ社員一人ひとりが果たすべき約束を定め、全社員に共有・徹底しています。 当社グループでは「独占禁止法・競争法違反」や「贈収賄・腐敗行為」等の重大なリスクに対し、グローバル規程に基づくコンプライアンス徹底のための研修や、贈収賄・腐敗行為に関するリスクベースアプローチによるコンプライアンス監査等の取り組みを通じて未然防止、早期発見に努めています。さらに、年間を通じ、全社員に対する基本的なコンプライアンスの教育に加え、必要な対象者への事業特性や地域特性を踏まえたリスクに応じたコンプライアンスの教育等、倫理・法令順守意識のグローバルな定着とリスクへの対応力向上をめざした取り組みを実施しています。また、当社グループでは、不祥事の防止や早期解決を目的に、国内外の拠点や取引先からも通報ができる一元的な内部通報窓口としてグローバルホットラインを設け、適切な社内調査を通じて問題の早期発見と是正を図っています。 このような取り組みの推進にかかわらず、万が一、当社グループにおいてコンプライアンス違反行為が発生又はコンプライアンス上の問題に直面した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 人権・労働コンプライアンス 「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」では、私たちの社会的責任のひとつとして「人権の尊重」を掲げています。当社グループの事業活動は、グループで働く社員はもとより、製品・サービスをご利用いただいているお客様、調達・販売等に関わっていただいているお取引先様、さらにはビジネスパートナーの皆様など、多くの方々に支えていただくことで成り立っています。当社グループが「社会の公器」であるならば、そうした方々の犠牲の上に自らの発展を図ることは許されず、透明で公明正大な事業活動に徹して社会と共に発展していくことが、人びとのくらしの向上や社会の発展につながっていくと考えています。 これに基づき、当社グループでは「パナソニックグループ 人権・労働方針」を制定しています。事業活動・取引に適用されるすべての法令の順守を前提として、「国際人権章典」や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」で表明された国際的に認められた人権の尊重や働きがいのある労働環境の実現と、これらに関する様々なステークホルダーの皆様との対話に取り組んでいくことを明記しています。また、この方針に従って「人権・労働コンプライアンス規程」を定め、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、事業会社の事業領域及びバリューチェーンに関連する人権への負の影響の把握・予防・低減に向けた具体的な取り組みを推進しています。人権・労働に関する重要な法的要請の変更等については、情報を収集して各拠点に徹底し、コンプライアンス強化に努めています。 このような取り組みの推進にかかわらず、万が一、当社グループが人権侵害行為を引き起こす又は人権侵害行為への関与や加担等に直面した場合、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があるほか、投融資の引き上げ、顧客からの取引停止、消費者による不買運動等の発生により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 サプライチェーンに係るリスク 当社グループは、グローバルで約13,000社以上の購入先様と取引をしています。近年、サプライチェーンにおける企業の社会的責任の要請は日増しに強くなっており、人権・環境分野を中心として各国・地域で新たな規制が制定、施行されるなどの法制化の動きにも表れています。当社グループでは、サプライチェーンにおけるCSR(企業の社会的責任)推進の取り組みを強化するため「サプライチェーン・コンプライアンス規程」を制定し、サプライチェーン・コンプライアンスに関する基本方針や、その実践のための社内ルールについて定め、実践状況については定期的なマネジメントレビューを行っています。これらの内容は調達業務に従事する従業員にも徹底し、購入先様と共に責任ある調達活動を実践できる人材を育成するため、当該従業員に対するグローバルでの教育・研修を実施することにより、汚職・腐敗防止等のコンプライアンス、サプライチェーン上での人権・労働、安全衛生等の課題を含むCSRに関する基礎知識等の定着を図っています。また、当社グループでは、購入先様に順守頂きたいCSRの要請事項(人権・労働、安全衛生、地球環境保全、情報セキュリティ、企業倫理等)について、法令及び国際規範を踏まえた「パナソニック サプライチェーンCSR 推進ガイドライン」を定め、その順守を契約書等で購入先様に義務付けています。購入先様には、当該ガイドラインの要求事項に関する二次以降の購入先様への伝達及び順守状況の確認を要請することで、サプライチェーン全体でのCSRの徹底を図っています。さらに、サプライチェーンに対するデュー・ディリジェンスの一環として、購入先様に対し、ガイドラインの要請事項の順守状況をチェックシートに基づき自主精査するためのCSR自主アセスメントの定期的な実施とその結果に基づく是正を促すとともに、2023年度より、各事業会社がリスクベースアプローチで購入先監査実施計画を策定し、自社及び第三者機関による購入先監査を開始しています。 しかしながら、サプライチェーンにおける責任ある調達活動への取り組みによって期待した成果が得られない場合、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 品質コンプライアンス 当社グループは、経営基本方針に則り、常に製造・販売する製品の安全性を確保して、お客様に安全・安心をお届けすることが経営上の重要課題であり、社会的責任であると考えています。また、グループの品質方針を「常にお客様及び社会の要望に合致し、満足していただける製品及びサービスの提供を通じ、真にお客様に奉仕する」と定めています。各事業会社が、担当する製品の品質に対する責任を持ち、品質マネジメントシステムを構築・運用しています。特に、品質不正への取り組みは、パナソニックグループ コンプライアンス行動基準にある法令と企業倫理の順守に基づき、法規・法令だけでなく、業界基準やお客様とのお約束等も守ることを明確にしています。 その一方で、当社の子会社であるパナソニック インダストリー㈱(以下、「PID」)の電子材料事業部が製造・販売する成形材料、封止材料及び電子回路基板材料の153品番において、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下、「UL」)の認証登録等の際、複数の不正行為を行っていたこと(以下、「本件不正」)が判明しました。これを受け、PIDは、UL違反事案の調査、その他の品質不正の有無に関する調査及び調査結果を踏まえた原因分析と再発防止策の提言を目的に、社外有識者による外部調査委員会を2024年1月12日付で設置しました。外部調査委員会の調査は継続中です。 本件不正について、ULに報告を行った結果、一部製品のUL認証が2024年5月31日付けで取り消されました。なお、一部の製品のUL認証の取り扱いについては、PIDとULとの間で協議が続けられています。UL認証の登録を有しないPID製品のうち、今後もUL認証品として販売を継続する必要があるものについては、その認証の取得に向けて取り組んでまいります。 また、PIDは、本件不正に関連し、ISO9001(注1)及びIATF16949の登録認証機関であるLRQAリミテッドから、郡山工場、郡山西工場、四日市工場及び南四日市工場のISO9001認証及びIATF16949認証を取り消されております。PIDは、ISO9001認証及びIATF16949認証についても、その認証の再取得に向けて取り組んでまいります。 PIDは、対象となる製品をご購入いただいているお客様に個別にご説明の上、協議を行うとともに、本件不正の全容解明に向け、引き続き外部調査委員会による調査活動に全面的に協力しています。 本件不正に関連する損失や、新たな品質不正行為の判明に伴う損失が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。(注1) ISO(国際標準化機構)9001は、品質マネジメントシステムに関する国際規格です。(注2) IATF(International Automotive Task Force)16949は、自動車産業向け品質マネジメントシステムに関する国際規格です。 b. 重視しているリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生 当社グループでは、製品安全に対する知見や不安全事象の未然防止策を、グループの安全規格へ盛り込むと共に、日々のリスク管理を行っています。しかしながら、製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、事業に対する知的財産起点での戦略提案、グローバルな知的財産の獲得・保護・活用及び知的財産に係る紛争の予防と解決により、現在と将来にわたる事業の優位性と安全の確保を目指すとともに、近年では社会課題の解決への貢献も視野に入れて、知的財産活動を推進しています。当社グループは、上記方針のもと、事業戦略及び研究開発戦略を踏まえた知的財産戦略に基づき、自ら研究開発を行うとともに、他者とも共創関係を構築することによって、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築に努めています。しかしながら、当社グループが出願する特許及びその他の知的財産については、国・地域によっては、当該国・地域における知的財産制度・審査基準や経済安全保障制度等の適用・運用等により、権利が付与されない場合や、知的財産権が十分に保護されない場合があります。当社グループは、必要に応じて弁護士、弁理士、外部コンサルタント、取引関係者、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品・模倣品の監視及び排除に努めています。しかしながら、当該知的財産が第三者によって侵害され、当該侵害品・模倣品が出現した場合には、当社グループの正規品の販売に対する悪影響やブランドイメージの毀損等が発生する可能性があります。また、当社グループは、戦略的に当該知的財産のライセンス等を付与する場合があります。ライセンス等の付与にあたっては、適切な条件の下で行うよう努めていますが、当社グループにとって不利な条件で当該知的財産のライセンス等をせざるを得ない可能性があります。さらに、当社グループが自らの知的財産を保護又は活用するために相当の費用及び経営資源を費やして訴訟等を提起しなければならない場合があり、これらの事象が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社グループは、第三者の知的財産を尊重するためグループ全体に適用する「知的財産基本規程」等の社内規程を定め、従業員全員が順守するように定期的な教育を行っており、また、第三者の知的財産を利用する必要があるときは適切なライセンスを取得するよう努めています。しかしながら、第三者が保有している知的財産権については、当社グループが当該知的財産のライセンスを取得できないこと、取得していたライセンスが継続できないこと、又は不利な条件でライセンスを取得及び継続せざるを得ない可能性があります。さらに、当社グループが第三者の知的財産に関して訴訟等を提起されることがあり得ます。当該訴訟等には、多額の費用及び経営資源が費やされることがあり得ます。また、当該訴訟等において当社グループの主張が認められない場合には、当社グループが特定の技術等を利用できなくなることや損害賠償責任を負う可能性があり、これらの事象が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 その他の法的規制等による不利益及び法的責任当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点等から当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、当社グループがこれらの法規制等に違反し、又は法令順守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見又は判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、また、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスクa.災害・事故等一般に共通するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものを含む)、火災・爆発事故、テロ・戦争、感染症の流行・拡大やサイバー攻撃等が発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が損害を被ることで、一部の操業が中断し、生産・出荷の遅延及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのバリューチェーン上で発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足又は中断、製品納入先における生産活動の中断又は停止等により当社グループの生産活動・販売活動に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクを低減するため、サプライチェーンも含めたBCP(事業継続計画)を策定し、定期的な見直しを行っています。また、「パナソニックグループ 緊急対策規程」を制定し、グループ全体に大きな影響を及ぼすおそれのある緊急事態の発生に備えて、危機発生時のエスカレーション及び判断のプロセスを含む対応の基本方針、当該緊急事態への対応に際した組織体制及び各機能部門・事業会社の役割等を規定しています。2022年度は「事業継続マネジメント(BCM)ガイドライン」を改定し、内閣府の南海トラフ地震及び首都圏直下型地震の最新の被害想定並びにそれらに対応した防災・減災対策を織り込むとともに、調達、物流、IT等の各機能部門で策定するBCPとの連携を明確化するなど、継続的な実効性向上に努めています。 b.自然災害 気候変動を背景とした異常気象の増加等、世界的に頻発化かつ激甚化傾向にある自然災害に対しては、平時における備えを強化するとともに、緊急時には迅速な緊急事態体制への移行を可能とするため、当社グループ全体で「防火・防災対策委員会」を設置しています。「防火・防災対策委員会」では、地震、水害等の災害の内容に応じた対策強化を図っています。特に、過去の災害時には電力需給のひっ迫が生じたことも踏まえ、事業継続のための非常用電源設備の設置等をBCPに取り入れています。また、2023年度にはグループ全体で各拠点の被災状況の適時の報告及び一元化を可能とする「災害ポータル」の運用を開始しました。各拠点からの対応・支援要請及びグループ全体への影響を可視化することで、緊急事態体制移行の判断や初動対応の迅速化を図れるよう、本格的な活用に向けて各事業会社への周知及びさらなる機能改善を図っています。さらに、毎年緊急時を想定した訓練を実施し、グループ緊急対策本部における対応及び事業会社緊急対策本部との連携を確認しています。2024年1月には、南海トラフ地震の発災に伴って関西地域を中心に甚大な被害が発生したとの想定に基づくグループ防災訓練を実施しました。各事業会社が被災地以外の場所で緊急対策本部を立ち上げる中で、グループ緊急対策本部も東京に本部を設置し、被災情報の整理、連携及び支援要請等の初動対応を確認しました。 さらに、当社グループは、リスクマネジメントの取り組みの一環として、自然災害の中でも当社グループの事業への影響が甚大であると想定される南海トラフ地震、首都圏直下地震をストレス事象とし、その影響分析を実施しました。2023年度は、当該分析結果に基づき地震の揺れ又は津波の被害想定が大きい地域に所在する拠点の実地調査を行いました。各拠点における施設・設備の対策状況や避難・初動対応手順の策定及びそれらに基づく訓練の実施状況に加えて、避難場所の安全性や備蓄品の充分性についても確認し、必要な点については対策強化及び継続的なフォローアップの検討を進めています。 2024年1月に発生した能登半島地震にあたり、現時点では、当社グループの社員、拠点及び事業に大きな被災又は被害影響は確認されていませんが、当社グループのお取引先様の被災状況等によって、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。一方で、このような取り組みの推進にかかわらず、万が一発災時に対策不備又は合理的な想定を超える甚大な影響による被害が生じた場合、従業員や関係者の人命にかかわる事態が発生する可能性や、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、人命安全を最優先にさらなる取り組みの強化を図りながら、今後も適切なリスク認識の醸成及びリスクコミュニケーションの強化を図ってまいります。 c.感染症リスク2023年度は、新型コロナウイルス感染症については国内外での制限緩和が進み、国内でも「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」上の「5類感染症」へ移行しました。当社グループ全体でも本感染症による大きな悪影響は発生しませんでした。当社グループでは、本感染症に限らない、感染症全般に対する平時における備えとして、各事業会社における感染症版BCPの策定及びマスクや消毒用アルコール、体温計等の適切な備蓄確保を推進することにより、全従業員の健康・安全及び事業継続体制の維持に取り組んでいます。また、感染症の蔓延やそれに伴う当社グループの社員及び事業等への影響の大きさに応じ、前述の「パナソニックグループ 緊急対策規程」に基づき緊急事態体制に移行し、社員の人命・健康の安全確保を優先とした対応を進めてまいります。一方で、今後も本感染症に係る変異株の発生、本感染症以外の新たな感染症の流行・拡大の発生により、従業員や関係者の人命にかかわる事態が発生する可能性や当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。引き続き感染症全般に関する国内外の感染状況や各国の行政の動向を注視し、適切に対応していきます。 d.テロ・戦争・暴動・政情不安当社グループ又は当社グループのサプライチェーンが拠点を有する国・地域における政情不安、軍事的緊張が顕在化した場合やテロ・戦争等が発生した場合は、事業継続への支障が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。中東情勢及びロシア・ウクライナ情勢に関しては、現時点では当社グループの業績及び財政状態に直接与える影響は軽微と見込んでいますが、当社グループの事業及び拠点を多く展開している東アジア地域の政情が不安定化した場合は、従業員や関係者の人命にかかわる事態が発生する可能性や当社グループの事業、業績及び財政状態に甚大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、拠点を有する国・地域における有事又は緊張の高まりへの対応を強化するため、各国・地域間の対立や政権交代等のイベントに伴い起こりうる政治的・社会的混乱等をリスクシナリオとして特定し、人命安全を最優先としたBCPの整備や各機能部門におけるレジリエンス高度化の取り組み等、平時における対策を進めています。 (6) その他のリスク非金融資産の減損 当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産等、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産又は資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。 退職給付に係る負債 当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)及び移行日以前の積立分(過去分)の一部について確定拠出年金制度へ移行していますが、確定拠出年金制度に移行していない部分については、金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
FY2023|23,533 文字
3【事業等のリスク】当社グループでは、リスクを的確に把握し、適切な対策を講じることによって、事業目的の達成と持続的かつ安定的な発展をより確実なものにすることを経営における重要課題と位置づけ、「パナソニックグループリスクマネジメント基本規程」に基づきグループのリスクマネジメント活動を推進しています。リスクマネジメントの専任部門であるパナソニック ホールディングス㈱(以下、「PHD」)のエンタープライズリスクマネジメント室(以下、「PHD ERM室」)がリスクマネジメント活動を推進し、グループ・チーフ・リスクマネジメント・オフィサーを委員長、PHDの各機能部門のトップを委員とした「PHD エンタープライズリスクマネジメント委員会」(以下、「PHD ERM委員会」)を定期的に開催しています。当社グループは、当社グループの事業活動に影響を与える可能性のあるオペレーション上の「損失」や「脅威」となる事象を「オペレーショナルリスク」と定義しています。当社グループでは年1回のサイクルで、外部要因・内部要因の変化等を踏まえて想定されるオペレーショナルリスクを網羅的に洗い出すことで「リスクインベントリー」を更新し、インベントリー上の全てのリスクを対象として、財務・非財務両面の評価軸によるリスクアセスメントを実施しています。PHD ERM委員会では、当該評価を基礎として、当社グループの経営・事業戦略と社会的責任の観点から審議を行い、グループ経営上の重要リスク(以下、「グループ重要リスク」)を決定します。決定したグループ重要リスクについては、当該リスクを担当する機能部門が中心となって、対応策の策定・実行及び進捗状況のモニタリングを実施することで、継続的な改善に向けて取り組んでいます。オペレーション上のリスクマネジメントに加えて、当社グループでは、経営・事業戦略の立案・意思決定に際して、中長期的に事業目的の達成上の「機会」又は「脅威」となりうる不確実な事象を「戦略リスク」として捉え、リスクの度合いに応じて適切なリスクテイクを推進する活動にも取り組んでいます。戦略リスクに関しては、当該リスクを担当する複数部門が連携し、予め設定した先行指標に基づき定期的なモニタリングを行うことで、把握したリスクの大きさに応じ、講じている対応策の適時の見直しを図っています。当該活動を通じて、従来推進しているオペレーション上のリスク管理との両輪でリスクマネジメントの強化を図っています。PHD ERM委員会は、これらのリスクマネジメントのPDCAサイクルに基づき、グループ重要リスクや対応策の進捗状況等を定期的に取締役会及びPHD戦略会議に報告しています。また、内部監査機能が連携し、リスクアセスメント結果に基づき選定したテーマによる監査を実施しています。また、各事業会社においても、自主責任経営のもと「事業会社ERM委員会」を設置し、PHDと同様のPDCAサイクルで各事業会社グループのリスクマネジメント活動を推進しています。各事業会社では、グループ共通のリスク項目に当該事業会社特有のリスクを追加したリスクインベントリーを用いて、グループ共通の評価軸で評価を行い、事業会社経営上の重要リスク(以下、「事業会社重要リスク」)を決定します。各事業会社のリスクアセスメント結果及び事業会社重要リスクはPHD ERM室を通じてPHD ERM委員会に報告され、グループ重要リスクの決定にあたり活用されています。そして、各事業会社では、決定されたグループ重要リスク及び事業会社重要リスクに基づき、対応策の策定・実行及び進捗状況のモニタリングを実施します。特にグループ重要リスクに関しては、各リスクを担当する事業会社の機能部門はPHDの機能部門と連携し、グループ共通の対応策に加えて、事業会社の事業等の特性に応じた独自の対応策を策定・実行します。PHDの機能部門は各事業会社におけるグループ共通及び独自の対応策の進捗状況をモニタリングすることで、当社グループ全体での対応を徹底しています。このような枠組みにより、PHDでは当社グループ全体のリスクマネジメントの推進及び高位平準化を図っています。 [リスクマネジメント体制図] [リスクマネジメントプロセス] なお、当社グループの2023年度の主なグループ重要リスクと、それらの「3 事業等のリスク」における記載箇所は下記のとおりです。 事業活動に影響を与える可能性のあるリスク(グループ重要リスクを含む)のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、下記「(2) 当社グループの事業運営活動に関するリスク」及び「(4) コンプライアンス・訴訟・レピュテーション等に関するリスク」については、事業活動に影響を与える可能性の程度に応じて、「特に重視しているリスク」及び「重視しているリスク」に分けて記載しています。また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国又は地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2023年度の経営環境は、日本においては、コロナ禍からの回復やインバウンド効果による下支えが期待されますが、世界経済の先行きが見通しにくい状況が続きます。ゼロコロナ政策撤廃を背景とした中国経済の回復が期待されるものの、地政学リスクやインフレ、金融の引き締めによる影響等が懸念され、当社グループはこうした影響を少なからず受けるとみられます。このようなリスクに対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。原材料価格や物流費の高騰、半導体や部材の不足については、製品・サービスの価格改定や調達先の複数化により、当社への影響は概ね解消する見通しです。しかしながら、オートモーティブやインダストリーの車載向け半導体等で供給不足が継続することが見込まれ、その場合には当社グループ顧客の生産計画に影響を及ぼし得るため、今後の需要動向を注視してまいります。世界経済が想定以上に悪化する場合や、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化が起こる場合等には、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。このような経営環境の変化に対して、当社グループは今後も影響を見極めつつ適切な対応策を取ってまいります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービス等のコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。2022年度は、前年度と比較して、ドルやユーロに対して円安に動いたことにより輸出でのプラス影響がありましたが、中国元に対する円安が悪影響となる等、全体としては業績に対する大きな影響はありませんでした。また2023年度については、年間を通してドルやユーロに対して円高、中国元に対してやや円安に動くと想定しており、全体としては業績に対して一定の悪影響が生じることを見込んでいます。しかしながら、為替相場に過度な変動があった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」等により、経営への影響の軽減を図っています。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、国際的な政情不安等による経済情勢の変化を受けた金融市場の不安定化や、金融政策の変化等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、国際的な政情不安等、様々な外的要因により金融市場が不安定となり、又は悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業の競争力強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等のバランスシートからの資金創出に継続的に取り組む等、資金創出力の強化に努めています。なお、2021年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しており、現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 (2) 当社グループの事業運営活動に関するリスクa. 特に重視しているリスク国際的な事業運営における障害 当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスク、海外での商慣習の差異といったさまざまな政治的、法的その他の障害に遭う可能性があります。 特に、昨今の貿易規制・経済制裁に関する各国の法規制の変更は、グローバルに生産拠点を持ち、製品を供給している当社グループの事業に大きな影響を与えます。当社グループはこうした動向を注視し、グローバルで連携して日々情報収集を行うことにより、当社グループの事業に影響のある新たな貿易規制・制裁を早期に把握し、グローバルポリシー、ガイダンスを適宜更新する等の対応や、新たな規制分野で対象となる貨物・技術の該非判定を徹底して実施しています。また、社内への周知徹底、取引リスク回避のための対応策の発信等、国内外の従業員啓発にも取り組み、さらなるコンプライアンス強化に努めています。 また、経済安全保障問題については、各国で産業基盤強化の支援、先端的な重要技術の研究開発、機微技術の流出防止や輸出管理強化等の施策の推進・強化が進められる中、我が国でも2022年に「経済安全保障推進法」が成立し、段階的に施行しています。今後の経済安全保障政策の拡充に向けた動向が当社グループの事業に与える影響を絶えず注視しながら対応をしてまいります。 地政学リスクについては、国際情勢や欧米諸国、中国等の政策・法規制の動向に関するモニタリングを通じて、当社グループの事業への影響の把握及び適時の対応に努めています。ロシア・ウクライナ情勢に関しては、これまでの当社グループの業績及び財政状態に直接与える影響は軽微でしたが、エネルギー・原材料価格のさらなる高騰等によって、今後、事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、米中対立に関しては、貿易摩擦に端を発する市場のデカップリングや各国の経済安全保障政策の強化、世論の対極化等に起因する事業環境の急激な変化によって、グローバルに生産拠点や市場を有している当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、中長期的視点でのサプライチェーンの複線化や製品の地産地消も見据えた生産体制の点検・再構築に取り組んでいくとともに、こうした動向について、事業に対する脅威及び経済安全保障政策に基づく税制関連措置の活用等の機会も含めて引き続き注視してまいります。 環境問題・気候変動 当社グループでは、気候変動を含む地球環境問題の解決は、当社グループが目指す「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」という遠大な使命の中で最優先で取り組むべき課題であると考えています。 特に重視しているリスクとして、環境問題への意識の高まりに伴う、国際社会での環境規制・政策の導入・拡大があげられます。2023年3月に国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、パリ協定に基づく世界のCO₂排出削減量の達成に向けたさらなる段階的な目標を示したことで、企業の取り組みにも一層の加速が求められています。また、欧米をはじめとした、電気・電子機器に関するリサイクル及び「修理する権利」の法制化により、修理を前提とした製品の長寿命化や原材料の再資源化等に応えるビジネスモデルへの変革が喫緊の課題となっています。これらの動向を注視し、環境重視の政策・環境規制に対応した新規技術・事業開発の機会の拡大や、サステナブル・エシカル消費といった消費者の意識変化による環境志向型の製品やサービスの需要拡大を見据えた事業活動を実施してまいります。一方で、炭素税や排出権取引制度等のカーボンプライシングの導入等によりエネルギー調達コストが増加すること、排出権の購入を余儀なくされること、環境負荷の低い材質への切り替えにより製造コストが増加すること、低炭素製品のコモディティ化等により、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、こうした環境問題対策が遅れることにより欧州をはじめとする各国市場への事業進出機会の喪失や取引停止等による事業機会の喪失につながる可能性があります。加えて、各国のエネルギー安全保障、気候変動対策に関連する法制度に基づく税控除、補助金等を活用した事業機会への参入にあたり、想定通りの効果が得られず、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、資源不足・資源制約によるサーキュラーエコノミーの進展により、再生可能エネルギーの積極利用による企業価値の向上が図れる機会が増大すると同時に循環資源を用いた低炭素製品の需要拡大も見込まれます。一方で、循環資源(再生材・再利用原材料)の価格上昇・供給不足による生産コストの増大や生産の遅延が頻発・常態化する可能性があります。脱炭素循環型社会への移行状況について、EUにおける炭素国境調整メカニズム(CBAM)、米国におけるグリーンニューディール政策その他の各国の関連法令等に関する動向を中心に注視してまいります。 2021年5月に、当社グループは「2030年にグループのCO₂排出を実質ゼロ」を目標とすることを発表しました。また、2022年1月には、グループ長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を発信し、私たちが提供する商品を通じてお客様が排出するCO₂も含めた自社バリューチェーン全体の1.1億トンのCO₂排出に見合う削減の責務を果たすことに加え、さらに幅広い事業領域を活かして、社会へのCO₂削減貢献量を拡大するとの方針を示しています。その目標として、2050年までにグループの事業活動を通じて、現時点の全世界のCO₂総排出量の「約1%」にあたる3億トン以上の削減インパクトを目指します。特に大きなCO₂削減貢献目標を掲げている事業である環境車向け車載電池事業や欧州での空質空調事業による貢献に向けた取り組みに加えて、エネルギーの地産地消を目指し、水素及び太陽光発電で燃料電池工場の稼働に必要な電力の100%を再生可能エネルギーでまかなう「RE100ソリューション」の実証施設の稼働を2022年にスタートさせています。 また、当社グループでは、2022年7月に、2050年の目標に向けたマイルストーンとして2024年までの環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN 2024」を策定し、自社バリューチェーンにおけるCO₂排出の削減量(OWN IMPACT)、既存事業による社会へのCO₂排出の削減貢献量(CONTRIBUTION IMPACT)、サーキュラーエコノミー領域のそれぞれにおいて、2024年までに実現する具体的な行動計画と2030年の目標をあるべき姿からのバックキャスト(逆算)で定めています。この2024年までに、当社グループでは37拠点でCO₂排出の実質ゼロ化を実現することを計画していますが、2022年度までにすでに28拠点が達成し、オートモーティブでは全14拠点のゼロ化を実現しました。一方で、現時点において共通的な算定方法が確立されていない削減貢献量について、当社グループが現在採用している方式と異なる算定方法が標準化された場合には、当該時点において削減貢献量の見直しを行う可能性や、目標の達成状況が変動する可能性があります。 当社グループは、地球温暖化の進展による特定の商品・サービスに対する需要の変化や、環境問題への意識の高まりによる国際社会での環境規制・政策の導入・拡大を見据えながら、関連ビジネス市場を通じてこうした活動を強化し、環境問題、気候変動問題に取り組んでまいります。 情報セキュリティ及びサイバーセキュリティに関するリスク 当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)や、他社等の機密情報を入手することがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や従業員や業務委託先の過失等により外部に流出する可能性があります。 また、当社の製品・サービス、生産設備、管理システムは、インターネットを利用するものが増加しており、製品・サービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作等による外部への機密情報・個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響等が発生する可能性があります。さらに、当社の製品・サービスにサイバーセキュリティ上の脆弱性が発見された場合、当社製品の大規模なリコールや製品・サービスの長期間の提供停止等に発展することに加えて、多大な対策費用等が発生する可能性があります。また、製造業である当社グループにおいては、サイバーセキュリティインシデントの発生による当社グループへの原材料、部材の供給停止又は当社グループが提供元となる提供先への悪影響等、いわゆるサプライチェーンにおけるサイバーセキュリティリスクも当社グループの事業へ影響を与える可能性があります。 当社グループでは、より高度な情報セキュリティレベルを実現するために、IT環境の健全性の確保及びサイバーレジリエンスの向上に取り組んでいます。特に、国内のみならず海外子会社のインフラを含むネットワーク、サーバ、パソコン等を対象としたさらなる異常監視の拡大及び工場内部のセキュリティ監視との一体化と、グローバルかつ一元的なセキュリティ監視体制の強化のための対策を実施しています。また、従前より当社グループの製品やサービスのセキュリティを検査、担保する体制を整備し、運営のさらなる強化に努めています。さらに、技術的な対策に加えて、情報セキュリティ教育プラットフォームの構築及びグローバルの従業員に対する定期的な教育実施、システム運用等の委託先に対する定期的なセキュリティチェックの取り組み等、人的な対策も強化・推進しています。各国の個人情報保護又はサイバーセキュリティに関する法令・規制については、その動向を外部専門家とともに調査したうえで、当社規程等へ反映、社内へ周知する仕組みを運営することによって、法令・規制等への対応を進めています。 2022年度はサイバーインシデント対応の強化に向けた取り組みとして、インシデント発生時の対応プロセスの見直しと合わせて、組織横断によるインシデント対応訓練を実施しました。また、情報、製品、工場セキュリティに対する複合的なサイバーセキュリティリスクへの対応やサプライチェーン全体への一元的・横断的な対応を推進するため、2023年4月に当社に新たな組織として「サイバーセキュリティ統括室」を設置するとともに、各事業会社に複合的なサイバーセキュリティリスクへの対応を管掌するサイバーセキュリティ統括責任者を設置しています。 一方で、当社として最大限の防御策は講じるものの、激化・巧妙化するサイバー攻撃を完全に防御できず、その結果、事業活動の停止・中断や当社グループのイメージ・評判の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループは「企業は社会の公器である」という考え方を経営の基本とし、人材についても社会からお預かりした貴重な経営資源として、「社員稼業」と「衆知経営」を実践し、事業の創出と成長の源泉及び組織活力の維持を担う人材の継続的な確保に努めています。このような理念のもと、2023年3月に新たな採用ブランドスローガンとして「誰かの幸せのために、まっすぐはたらく。」を制定しました。当社グループにおける幅広い事業領域や職種を有するパナソニックグループの「多様な挑戦の機会」、「人づくり」を大切にする風土のもと、「誰かの幸せのために、まっすぐはたらきたい」と思える仲間と共に、これからの幸せをつくりたいという想いを込めています。また、当社グループでは、一人ひとりが心身ともに健康で、挑戦の機会を通じて幸せと働きがいを感じている状態、つまり「社員のウェルビーイング」の実現をグループ共通の人事戦略として、「安全・安心・健康な職場づくり」、「自律的な挑戦意欲と自律したキャリア形成支援」及び「Diversity, Equity & Inclusionの推進」に取り組んでいます。2022年度以降、順次「働く時間」「働く場所」の選択肢の拡大のための制度を部分的に導入しています。社会環境の急速な変化や価値観の多様化が進む中、社員一人ひとりの多様なニーズにきめ細かく対応し挑戦を後押しするために、今後も取り組みを加速していきます。一方で、有能な人材の確保をめぐる競争は激化しています。上記の取り組みが進まず、在籍している社員の流出防止や、経営戦略の推進に必要な人材の獲得ができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 労働安全・労働時間管理 当社グループは、職場作業環境や作業手順の不備、不適切な労務管理により従業員や関係者が肉体的、精神的な被害を受ける可能性があります。また、不適切な労働時間管理により、従業員の健康被害、職場における士気の低下等の可能性もあります。 当社グループは、各種法令や当社の経営基本方針に基づき、労働安全衛生ポリシーや安全衛生管理規程を制定し、従業員の安全と衛生の確保、快適な職場環境の実現と労働災害防止の基準を定め、安全衛生活動を展開しています。また、グループ安全衛生管理部門を責任者とした中央安全衛生委員会を設置し、その傘下に事業会社・事業場の安全衛生組織を設置し、安全衛生管理に係る重要な方針や政策を審議・決定し、活動やモニタリングを実施しています。加えて、各事業会社における自律的な安全衛生管理の取り組みを推進するため、当社グループの各事業会社の安全衛生担当者が参加する「健康・安全衛生フォーラム」や、経営層を対象とした研修等を開催し、知見の共有及び意識醸成に努めています。また、適正な労働時間の把握・管理については、昨今のリモートワーク拡大も踏まえ労働時間に関する客観的データの収集・活用方法を刷新するとともに、従業員に対する継続的な意識啓発、勤務管理システムの拡充等により過重労働の防止に努めています。 b.重視しているリスク競合他社との競争 当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、又はタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。 そうした競合環境の中、当社グループでは、長期視点で戦略を再構築し、競争力強化を目指しています。まず、喫緊の課題である環境問題の解決に向けた取り組みを強化することで、お客様へのお役立ちを通じて競争力の強化を図ってまいります。また、キャッシュの獲得を前提として、事業会社のみならずグループとしても強みを持つ事業に戦略的に投資してまいります。 次に、競争力の強化には、事業のあらゆる現場において、ムダや滞留を撲滅し事業のスピードを高める「オペレーション力」が不可欠です。当社グループでは、正味付加価値を生まない業務のIT活用による効率化を推進すると同時に、事業の競争力強化テーマ、開発設計、製造・販売、調達等グループ共通でスケールメリットのあるテーマについてビジネスプロセスの変革に取り組んでいます。加えて、デジタル技術の活用と業務改善活動の積み重ね、職場のあらゆるムダと滞留、手戻りを排除する活動を展開することにより、コストを削減し、競争力強化を図っています。 他社との提携・企業買収等の成否 当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社の買収等を行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。当社グループでは、重要な戦略的提携については、検討の段階に合わせて所定の審議を実施しており、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証を実施していますが、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部又は一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合等には、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、又は予期しない損失を被る可能性があります。 当社グループは、2021年9月にBlue Yonder Holding, Inc.(以下、「Blue Yonder」)の80%分の株式を追加取得し同社を完全子会社化しています。当社グループは、Blue Yonderの様々なサイバー分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現を加速し、また、両社のシナジー最大化に取り組んでいます。しかしながら、キーマネジメントメンバーを含めた優秀な人材の保持及び従業員の士気の維持ができない場合、事業環境や競合状況の変化等により、Blue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、これらの期待した効果が十分に得られない可能性があります。また、完全子会社化に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合、又は適用される割引率が高くなった場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(詳細は「(6)その他のリスク」の「非金融資産の減損」を参照)。これらのリスクに対して、2022年7月に就任した新CEOを含む新たなBlue Yonderの経営陣と共に、成長戦略に伴う重点施策等を着実に推進し、Blue Yonderの事業競争力を更に強化することで、リスク軽減を図っていきます。 なお、Blue Yonderを中心としたサプライチェーンマネジメント(以下、「SCM」)事業を取り巻く環境は大きく変化しています。企業のSCMソリューションに対する期待が高まり、市場拡大が見込めるとともに、研究開発活動(R&D)やM&A等の投資競争が激化しています。そのような中、SCM事業の競争力を強化するためには、資本市場の力を借りてグローバルでの成長を加速させるために株式上場を行うことが最適であると判断し、当社が議決権の過半数を保有する重要な連結子会社と位置付ける事を前提に、Blue Yonderを中心としたSCM事業の株式上場に向けた準備を開始することを、2022年5月11日に公表しています。株式上場に関しては、証券取引所その他の関係当局の承認や許認可等を得られることが前提となり、株式上場の準備過程における検討の結果次第では、当社グループの組織再編が必要な場合やSCM事業は株式上場しないという結論に至る可能性もあります。 当社グループは、Blue Yonderの事業成長及び両社のシナジー最大化に向けて、PMI(買収後の経営統合)を着実に推進しています。具体的には、両社間において新たな経営体制・協業プランを推進し、本件取引完了後のリスク軽減を図っています。 事業再編の成否 当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業又は株式の譲渡や、グループ内の組織又は拠点再編等を含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性や適切な事業ポートフォリオ・マネジメントが実行できない可能性があります。 当社グループは、より中長期的な視点での当社事業の競争力強化に向けて、2022年度から当社を持株会社とする事業会社制へ移行しました。各事業会社は、外部環境の変化に応じた迅速な意思決定や事業特性に応じた柔軟な制度設計等を通じて、競争力のさらなる強化に取り組む一方、当社は、持株会社として各事業会社の競争力強化を積極的に支援するほか、当社グループの成長戦略を立案・推進し、グループとしての企業価値向上に努めています。しかしながら、事業会社制における組織の多層化による意思決定スピードの低下や、各社で独立した管理業務が発生することによるコスト増加等により、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。 事業会社制において多層化による意思決定スピードが低下するリスクに対処するため、必要な権限は事業会社へ委譲することで、意思決定の専門性とスピードを強化し、2022年度は多くの決裁を事業会社で完結する運用となりました。人事制度についても、事業会社毎に経営状況、競争力、従業員エンゲージメント等を踏まえた取り組みを推進しました。また、当社取締役の一部が事業会社取締役を兼務するなど、これまで実施してきた当社グループとしてのガバナンス強化の視点は変えずに、適切な情報収集を行いそれに基づくガバナンスの実行を目指しています。 各社で独立した管理業務が発生することによるコスト増加のリスクについては、間接機能の重層化や機能の重複を解消し、軽量化するため、プロフェッショナルサービス(間接部門)を担う会社を新たに設置しました。プロフェッショナル機能及びオペレーション機能として間接機能の提供価値をグループで見える化するとともに、間接業務の効率化・高度化を推進することで、間接固定費の高効率化に努めています。 2023年5月に、成長フェーズに向けて、当社グループの事業ポートフォリオ見直しや入れ替えも視野に入れた経営を進めていくことを発表しました。しかしながら、判断や意思決定に時間を要し、事業構成の組替がスムーズに進まない可能性があります。グループ内で将来にわたってお役立ちを果たせる事業か、あるいはグループ外での競争力獲得が事業の成長のスピードに寄与するかを見極める具体的な判断軸を用いて、事業ポートフォリオの見直しを進めていきます。 原材料等の需給・輸送の混乱、価格高騰 当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故、感染症の拡大や供給業者の倒産等により、供給が不足又は中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。加えて、当社グループが部材を納入している取引先においてこれらの事象により生産の中断・停止、生産規模の縮小が生じた場合、当社グループの販売数量が減少する可能性があります。これらの事象により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 また、昨今では、原材料・燃料費の高騰に加え、コンテナ輸送費用の高騰や国内・海外双方でのドライバー不足等が続いています。当社グループでは、原材料・部材の高騰に対しては、先物予約ヘッジを積極的に推進し、グループでの集中購買をさらに加速し、価格上昇の抑制や安定確保に取り組んでいます。また、物流費の上昇については、積載効率向上による使用コンテナ本数の削減、海上輸送ルートの複線化、中長期的なコンテナスペースの確保に加え、出荷平準化の推進等の合理化活動の強化に取り組んでいます。 このように、原材料の高騰や物流費の上昇をはじめとする生産コスト増に対する取り組みを継続していますが、内部努力だけでは当該影響を吸収しきれない状況であることから、当社グループでは、2022年8月以降、国内向けの家電製品の出荷価格を改定しています。今後は、商品価値に見合った適正価格に基づき、安定した販売を実現することで、お客様のニーズに沿った製品開発による「お役立ち」につなげてまいります。しかしながら、こうした価格改定が適時に実現できないことや、価格改定によって製品への需要が減少することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 さらに、ロシアによるウクライナ侵攻、米中対立の激化による各国の経済制裁や物流の混乱が深刻化した場合、さらにコストが上昇し、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。 製品価格の下落 当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与える可能性があります。BtoC(一般消費者向け)分野のうち、国内向けの家電機器については、従来型の取引形態に起因する販売価格の下落が製品のライフサイクルの短縮化を引き起こし、顧客志向の開発や製品の競争力に影響を及ぼしています。当社グループでは、2020年より販売店との取引形態の見直しと新たな「指定価格制度」の導入に取り組んでおり、販売価格の維持及びより付加価値の高い製品の開発につなげる試みを始めています。他方で、当該制度が販売店・一般消費者を含む国内の家電機器市場で受け入れられない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。一方で、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 技術革新・業界標準における競争 当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク 当社グループは、2022年度からスタートした中長期戦略の2年目を迎え、2023年5月に、中長期で目指す姿として、地球環境問題の解決を最重要の経営課題ととらえて必要な投資を進めていくことや、お客様一人ひとりの生涯の健康・安全・快適にお役立ちを果たすべく、グループのシナジーを発揮していくことを発表しました。また同年6月には各事業会社による戦略を発表し、これらの実現に向けた具体的な施策を推進しています。これらの戦略は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しています。 2023年度の世界経済は、ゼロコロナ政策撤廃を背景とした中国経済の回復が期待されるものの、地政学リスクやインフレ、金融の引き締めによる影響等が懸念され、先行きの見通しにくい状況が続きます。日本においては、コロナ禍からの回復やインバウンド効果による下支えが期待されますが、世界経済の動向が懸念材料です。今後、こうした世界経済の影響、その他の要因により、期待される成果が実現に至らない可能性があります。中長期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定期的な進捗管理と課題の見極めや適時適切な対策の検討・実践等を通じて、未達リスクの最小化に努めてまいります。 (4) コンプライアンス・訴訟・レピュテーション等に関するリスクa. 特に重視しているリスクコンプライアンスリスク 当社グループでは、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」において、「社会の公器」として公正な事業慣行に取り組むことを定め、法令と企業倫理の順守を明記して、当社の基本姿勢を全社員に共有・徹底するとともに、「独占禁止法・競争法違反」や「贈収賄・腐敗行為」等の重大なリスクに対しては、グローバル規程に基づくコンプライアンスの徹底のための研修や、贈収賄・腐敗行為に関するリスクベースアプローチによるコンプライアンス監査等の取り組みを通じて未然防止、早期発見に努めています。また、従業員に対しては、年間を通じて、各種リスクに対応したコンプライアンスの取り組みを実施し、倫理・法令順守意識の強化に努めています。さらに、一元的な内部通報窓口として、国内外の拠点や取引先からも通報ができるグローバルホットラインを設け、適切な社内調査を通じて問題の早期発見と是正を図っています。 また、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」では私たちの社会的責任のひとつとして「人権の尊重」を掲げています。当社グループの事業活動は、グループで働く社員はもとより、製品・サービスをご利用いただいているお客様、調達・販売等に関わっていただいているお取引先様、さらにはビジネスパートナーの皆様など、多くの方々に支えていただくことで成り立っていることを前提に、こうしたすべての人びとの心身の健康や幸せな人生に少しでも貢献するために、「パナソニックグループ人権・労働方針」及び「人権・労働コンプライアンス規程」を制定しています。国際連合や国際労働機関が提唱する人権に関する国際規範や法令の順守に取り組むと共に、多様な人材がそれぞれの力を最大限に発揮できる働き甲斐のある労働環境を実現するため、基本方針と社員が果たすべき役割について規定しています。当社は、国連の世界人権宣言、労働の基本原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言、OECD多国籍企業行動指針の基本原則を支持し、人権・労働に関する重要な法的要請の変更等については、情報を収集して各拠点に徹底し、コンプライアンス強化に努めています。 これらのコンプライアンス強化に向けた取り組みについては、追加的な費用や支出が生じることにより当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があるほか、このような取り組みに関わらず、万が一、当社グループにおいてコンプライアンス違反行為が発生したり、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、また、当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 サプライチェーンに係るリスク 当社グループは、グローバルで約13,000社以上の購入先様と取引をしています。近年、サプライチェーンにおける企業の社会的責任の要請は日増しに強くなっており、こうした流れは法規制の動きにも表れ、特に人権分野を中心に新たな規制の制定や発動が行われています。当社グループでは、「サプライチェーン・コンプライアンス規程」を制定し、グループの調達活動及びサプライチェーンにおけるコンプライアンスに関する基本的事項並びに各組織の役割及び責任を明確にし、取締役及び従業員が果たすべき役割を定め、責任ある調達活動を推進するための体制及び基本方針を規定しています。 当社グループでは、購入先様と共に責任ある調達活動を実践できる人材を育成するため、調達業務に従事する社員に対するグローバルでの教育・研修を実施し、汚職・腐敗防止等のコンプライアンス、サプライチェーン上での人権・労働、安全衛生等の課題を含むCSR(企業の社会的責任)に関する基礎知識等の定着を図っています。また、購入先様には、順守頂きたいCSRの要請項目(人権・労働、安全衛生、地球環境保全、情報セキュリティ、企業倫理等)について、法令並びに国際規範・基準に基づき定めた「パナソニック サプライチェーンCSR推進ガイドライン」を発行しています。当社グループでは当該ガイドラインに基づいて、購入先様にパナソニックグループのCSR調達の考え方をお伝えし、CSR自主アセスメントや監査等の取り組みを推進することによって、共にサプライチェーンにおけるコンプライアンス順守のための実践をしています。さらに、購入先様に当該ガイドラインの要求事項を二次以降の購入先様にも伝達し、順守状況の確認を要請することで、サプライチェーン全体でのCSRの徹底を図っています。 しかしながら、サプライチェーンにおける責任ある調達活動への取り組みによって期待した成果が得られない場合、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 重視しているリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生 当社グループでは、製品安全に対する知見や不安全事象の未然防止策を、グループの安全規格へ盛り込むと共に、日々のリスク管理を行っています。しかしながら、製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、事業に対する知的財産起点での戦略提案、グローバルな知的財産の獲得・保護・活用及び知的財産に係る紛争の予防と解決により、現在と将来にわたる事業の優位性と安全の確保を目指すとともに、近年では社会課題の解決への貢献も視野に入れて、知的財産活動を推進しています。当社グループは、上記方針のもと、事業戦略及び研究開発戦略を踏まえた知的財産戦略に基づき、自ら研究開発を行うとともに、他者とも共創関係を構築することによって、グローバルな知的財産ポートフォリオの構築に努めています。しかしながら、当社グループが出願する特許及びその他の知的財産については、国・地域によって当該知的財産に対して権利が付与されない場合や、知的財産権が十分に保護されない場合があります。当社グループは、必要に応じて弁護士、弁理士、外部コンサルタント、取引関係者、政府機関等の協力を得ながら、当社グループの保有する特許、ブランド、デザイン及びその他の知的財産に関する侵害品・模倣品の監視及び排除に努めています。しかしながら、当該知的財産が第三者によって侵害され、当該侵害品・模倣品が出現した場合には、当社グループの正規品の販売に対する悪影響やブランドイメージの毀損等が発生する可能性があります。また、当社グループは、戦略的に当該知的財産のライセンス等を付与する場合があります。ライセンス等の付与にあたっては、適切な条件の下で行うよう努めていますが、当社グループにとって不利な条件で当該知的財産のライセンス等をせざるを得ない可能性があります。さらに、当社グループが自らの知的財産を保護又は活用するために相当の費用及び経営資源を費やして訴訟等を提起しなければならない場合があり、これらの事象が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社グループは、第三者の知的財産を尊重するための社内規程を定め、従業員全員が順守するように定期的な教育を行っており、また、第三者の知的財産を利用する必要があるときは適切なライセンスを取得するよう努めています。しかしながら、第三者が保有している知的財産権については、当社グループが当該知的財産のライセンスを取得できないこと、取得していたライセンスが継続できないこと、又は不利な条件でライセンスを取得及び継続せざるを得ない可能性があります。さらに、当社グループが第三者の知的財産に関して訴訟等を提起されることがあり得ます。当該訴訟等には、多額の費用及び経営資源が費やされることがあり得ます。また、当該訴訟等において当社グループの主張が認められない場合には、当社グループが特定の技術等を利用できなくなることや損害賠償責任を負う可能性があり、これらの事象が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 その他の法的規制等による不利益及び法的責任当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点等から当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、又は法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見又は判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、また、当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスクa.災害・事故等一般に共通するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行等が発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止又は低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクを低減するため、サプライチェーンも含めたBCP(事業継続計画)の見直しを定期的に実施しています。また、「グループ緊急対策規程」を制定し、緊急事態発生時に速やかに対応できるよう、対応方針、組織体制やそれぞれの機能の役割等を具体的に規定しています。2022年度は、「事業継続マネジメント(BCM)ガイドライン」の改定を行い、内閣府の南海トラフ地震及び首都圏直下型地震の最新の被害想定並びにそれに対応した防災・減災対策を織り込むとともに、調達、物流、IT等それぞれの機能におけるBCPとの連携を明確化するなど、実効性向上に努めています。 b.自然災害 自然災害については、平時における備えを強化するとともに、緊急事態時には迅速に緊急対応体制に移行できるよう、当社グループ全体で「防火・防災対策委員会」を設置しています。「防火・防災対策委員会」では、地震、津波、洪水の分科会を設置し、災害別の対策強化を図っています。特に、過去の災害時には電力需給のひっ迫が生じたことも踏まえ、事業継続のための非常用電源設備等をBCPに取り入れています。さらに、毎年緊急時を想定した訓練を実施し、グループ緊急対策本部における対応や事業会社緊急対策本部との連携を確認しています。2023年1月には南海トラフ地震を想定したグループ防災訓練を実施しました。災害の被害が甚大であるために、グループ緊急対策本部メンバーの参集が難しいという想定に従って、公共交通機関を使わずに参集可能な「近隣メンバー」によりグループ緊急対策本部を立ち上げる想定での訓練を実施しました。 さらに、当社グループは、リスクマネジメントの取り組みの一環として、災害・事故等の中でも当社グループの事業への影響が甚大であると想定される南海トラフ地震、首都圏直下地震をストレス事象とし、その影響分析を実施しています。当社グループでは、分析結果に基づき必要な対策の強化を図るとともに、当社グループにおける適切なリスク認識の構築、リスクコミュニケーションの強化に取り組んでまいります。 c.感染症リスク2022年度は、新型コロナウイルス感染症による当社グループ全体への大きな悪影響は発生しませんでした。本感染症については国内外での制限緩和が進み、国内でも感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の「5類感染症」へ移行しました。これに伴い当社グループにおいても、基本的な感染対策は継続しつつも行動制限等については順次緩和しています。これまで当社グループは、新型コロナウイルス感染症について前述の「グループ緊急対策規程」に基づき2020年1月に全社緊急対策本部を発足、社員の人命・健康の安全確保を最優先とし、各事業会社の対策本部と連携を図りながら、経営、調達、広報等の各機能が対策本部下において課題への対応を行いました。現時点では、感染状況の収束に伴って緊急対応から平時対応の体制へと移行しています。一方で、今後も本感染症に係る対策や行動制限の緩和による市中感染の増加や変異株の発生、本感染症以外の新たなパンデミックの発生により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。引き続き国内外の感染状況や各国の行政の動向を注視し、適切に対応していきます。また、当社グループでは、感染症全般に対する平時における備えとして、各事業会社における感染症版BCPの策定及びマスクや消毒用アルコール、体温計等の適切な備蓄確保を推進することにより、全従業員の健康・安全及び事業継続体制の維持に取り組んでいます。 d.テロ・戦争・暴動・政情不安当社グループが拠点を有する国・地域における政情不安、軍事的緊張が顕在化した場合やテロ・暴動が発生した場合は、事業継続への支障が生じ、事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。ロシア・ウクライナ情勢に関しては、現時点では、当社グループの業績及び財政状態に直接与える影響は軽微と見込んでいますが、東アジア地域の政情が不安定化した場合は、当社グループに甚大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、人命を最優先とした有事対応の強化のため、地政学リスク対応も踏まえたBCPの整備や各機能による平時の安全対策の取り組みを進めています。 (6) その他のリスク非金融資産の減損 当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産等、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産又は資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。 退職給付に係る負債 当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)及び移行日以前の積立分(過去分)の一部について確定拠出年金制度へ移行していますが、確定拠出年金制度に移行していない部分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
FY2022|18,128 文字
2【事業等のリスク】当社グループでは、リスクを的確に把握し、対策を実施することを経営における重要課題と位置づけ、「パナソニックグループリスクマネジメント基本規程」に基づきグループのリスクマネジメントを推進しています。2021年10月、持株会社制への移行に先駆け、従来の「G&Gリスクマネジメント委員会」を発展的に解消し、グループ・チーフ・リスクマネジメント・オフィサーを委員長とし、パナソニック ホールディングス㈱(以下、「PHD」)の各機能部門のトップを委員とした「PHD エンタープライズリスクマネジメント委員会」(以下、「PHD ERM委員会」)を発足し、定期的に開催しています。具体的には、年1回、事業活動に影響を与える可能性のある外部要因・内部要因に基づくリスクを網羅的に洗い出し、共通の評価軸で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというサイクルでリスクアセスメントを実施しています。これに基づき重要と判断したリスクは、当該リスクを担当する部門が中心となって、対策を立案、実行し、対策状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を実施しています。また、PHD ERM委員会では、経営・事業戦略の立案・意思決定に際して事業目的の達成上の機会または脅威となりうる不確実な事象を「戦略リスク」として捉え、リスクの度合いに応じて適切なリスクテイクを推進し、把握したリスクの大きさに応じて、講じている対応策を適時に見直すリスクマネジメント活動を開始しました。これにより、従来から推進していたオペレーション上のリスク管理との両輪でリスクマネジメントの強化を図ってまいります。また、PHD ERM委員会は上記のリスクアセスメントのサイクルに基づき、重要リスクや対応策等を定期的に取締役会に報告しています。一方、各事業会社においては、自主責任経営のもと、「事業会社ERM委員会」を設置し、事業会社としてのリスクマネジメントを、PHDと同様のマネジメントサイクルで実施しています。各事業会社ERM委員会で選定された重要リスクについては、PHD ERM委員会に報告されます。このような枠組みにより、PHDは、当社グループ全体の機能推進に関するリスク管理を行うと同時に、事業会社から報告を受けたリスク情報をもとに、当社グループ全体のリスク管理を実施しています。 [リスクマネジメント体制図] 事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、下記「(2) 当社グループの事業運営活動に関するリスク」及び「(4) 法的規制・訴訟に関するリスク」については、事業活動に影響を与える可能性の程度に応じて、「特に重視しているリスク」及び「重視しているリスク」に分けて記載しています。また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2022年6月24日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国又は地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2022年度の経営環境は、原材料価格及び物流費の高騰と部材不足、世界的なインフレが継続し、新型コロナウイルス感染症による不確実性やロシア・ウクライナ情勢を含む地政学リスクも依然として高く、世界経済の先行きを見通しにくい状況が続きます。日本でも、こうした影響を少なからず受けるとみられます。需要面については、コネクトにおける航空需要を始めとして、想定通りに需要が回復せず、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。また、半導体や部材の不足については、代替品の調達等により当社グループの事業に与える影響は改善傾向にありますが、コネクトでは部材不足の影響が広範囲に継続する見込みです。また、原材料価格や物流費の高騰については、製品・サービスの価格改定等により軽減を図りますが、くらし事業では鉄・銅・樹脂等を中心に原材料価格の高騰と海外運賃の高騰等の影響が継続する見込みです。さらに、エナジーでは、2021年度第4四半期以降、リチウム・ニッケル・コバルト等の原材料価格が急騰しており、2022年度上期に影響が出ることが見込まれますが、下期には価格改定や合理化等で軽減を目指してまいります。なお、新型コロナウイルス感染症による上海等におけるロックダウンの影響については、現時点では見積もることが困難です。世界経済が想定以上に悪化する場合や、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化が起こる場合等には、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。このような経営環境の変化に対して、当社は今後も影響を見極めつつ適切な対応策を取ってまいります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービス等のコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。2021年度は、前年度と比較して、ドルやユーロに対して円安に動いたことにより、全体として業績に対して好影響を及ぼしました。また、2024年度までの中期経営指標の設定にあたっては、ドルやユーロに対する円安が輸出に好影響を与えるものの、中国元に対する円安が輸入に与える悪影響も想定され、現時点では、当社グループ全体としての業績及び財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと想定しています。しかしながら、為替相場に過度な変動があった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」等により、経営への影響の軽減を図っています。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、国際的な政情不安、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による経済情勢の変化や金融政策の変化等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、国際的な政情不安や新型コロナウイルス感染症拡大の影響等、様々な外的要因により金融市場が不安定となり、又は悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業の競争力強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等、バランスシートからの資金創出に継続的に取り組む等、資金創出力の強化に努めています。なお、2021年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しており、現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 (2) 当社グループの事業運営活動に関するリスクa. 特に重視しているリスク国際的な事業運営における障害 当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスク、海外での商慣習の差異といったさまざまな政治的、法的その他の障害に遭う可能性があります。 特に、昨今の貿易規制・経済制裁に関する各国の法規制の変更は、グローバルに生産拠点を持ち、製品を供給している当社グループの事業に大きな影響を与えます。当社グループはこうした動向を注視し、日々情報収集を行うことで、当社グループの事業に影響のある新たな貿易規制・制裁を早期に把握し、グローバルポリシー、ガイダンスを適宜更新する等の対応や、新たな規制分野で対象となる貨物・技術の該非判定を徹底して実施しています。また、社内への周知徹底、取引リスク回避のための対応策の発信等、国内外の従業員啓発に取り組んでいます。 また、経済安全保障問題については、各国の機微技術規制や管理が強化されつつある一方で、各国で産業基盤強化の支援、先端的な重要技術の研究開発、機微技術の流出防止や輸出管理強化等の施策の推進・強化が進められており、我が国でも「経済安全保障推進法」が2022年5月11日に成立しました。当社グループとしては、こうした動向が当社グループの事業に与える影響を絶えず注視しながら対応をしてまいります。 次に、ロシア・ウクライナ情勢に関しては、現在のところ、当社グループの業績及び財政状態に直接与える影響は軽微と見込んでいますが、エネルギー・原材料価格のさらなる高騰等によって、今後、事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、新型コロナウイルス感染症については、感染拡大当初、各国の緊急事態宣言、ロックダウンや外出制限等が当社の事業に影響を及ぼしました。既に多くの国では制限は緩和されていますが、国・地域によって感染拡大・ロックダウンも続いており、今後の感染拡大によっては再び経済活動の制限が強化され、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 環境問題・気候変動 当社グループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、クリーンなエネルギーでより良く快適に暮らせる社会を目指し、使用するエネルギーの削減と、その使用を上回るエネルギーの創出・活用を進めています。 特に重視しているリスクとして、環境問題への意識の高まりに伴う、国際社会での環境規制・政策の導入・拡大があげられます。これにより、環境重視の政策・環境規制に対応した新規技術・事業開発の機会の拡大が見込まれる一方、炭素税や排出権取引制度等のカーボンプライシングの導入等によりエネルギー調達コストが増加したり、排出権の購入を余儀なくされること、環境負荷の低い材質への切り替えにより製造コストが増加すること、低炭素製品のコモディティ化等により、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、こうした環境問題対策が遅れることにより欧州をはじめとする各国市場への事業進出機会の喪失や取引停止等による事業機会の喪失につながる可能性があります。 また、資源不足・資源制約によるサーキュラーエコノミーの進展により、再生可能エネルギーの積極利用による企業価値の向上が図れる機会が増大すると同時に循環資源を用いた低炭素製品の需要拡大も見込まれます。一方で、循環資源(再生材・再利用原材料)の価格上昇・供給不足による生産コストの増大や生産の遅延が頻発・常態化する可能性があります。 2021年5月に、当社グループは「2030年にグループのCO₂排出を実質ゼロ」を目標とすることを発表しました。また、2022年1月には、グループ長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を発信し、私たちが提供する商品を通じてお客様が排出するCO₂も含めた自社バリューチェーン全体の1.1億トンのCO₂排出に見合う削減の責務を果たすことに加え、さらに幅広い事業領域を活かして、社会へのCO₂削減貢献量を拡大するとの方針を示しています。その目標として、2050年までにグループの事業活動を通じて、現時点の全世界のCO₂総排出量の「約1%」にあたる3億トン以上の削減インパクトを目指します。当社グループは、地球温暖化の進展による特定の商品・サービスに対する需要の変化や、環境問題への意識の高まりによる国際社会での環境規制・政策の導入・拡大を見据えながら、関連ビジネス市場を通じてこうした活動を強化し、環境問題、気候変動問題に取り組んでまいります。 情報セキュリティに関するリスク 当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備、管理システムは、インターネットを利用するものが増加しており、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作等による個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響等が発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生する可能性があります。また、当社グループの事業活動の停止・中断を余儀なくされたり、当社グループのイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 当社グループは2021年11月11日に、当社ネットワークへの第三者による不正アクセスを確認しました。不正アクセスの確認後、緊急対策本部を立ち上げ、侵害調査と緊急対策のために外部のセキュリティアドバイザーも起用し、被害の全容解明と恒久対策に取り組んでまいりました。今後の対策として、より高度な情報セキュリティレベルを実現するために、国内のみならず海外子会社も含めてネットワーク、サーバ、パソコン等へのさらなる異常監視の拡大と、グローバルかつ一元的なセキュリティ監視体制の強化を行い、再発防止に取り組んでまいります。しかしながら、当社として最大限の防御策は講じるものの、激化・巧妙化するサイバー攻撃を完全に防御できず、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 b.重視しているリスク競合他社との競争当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。そうした競合環境の中、当社グループでは、長期視点で戦略を再構築し、競争力強化を目指しています。まず、喫緊の課題である環境問題の解決に向けた取り組みを強化することで、お客様へのお役立ちを通じて競争力の強化を図ってまいります。また、キャッシュの獲得を前提として、事業会社のみならずグループとしても強みを持つ事業に戦略的に投資してまいります。次に、競争力の強化には、事業のあらゆる現場において、ムダや滞留を撲滅し事業のスピードを高める「オペレーション力」が不可欠です。当社グループでは、正味付加価値を生まない業務のIT活用による効率化を推進すると同時に、事業の競争力強化テーマ、開発設計、製造・販売、調達等グループ共通でスケールメリットのあるテーマについてビジネスプロセスの変革に取り組んでいます。加えて、デジタル技術の活用と業務改善活動の積み重ね、職場のあらゆるムダと滞留、手戻りを排除する活動を展開することにより、コストを削減し、競争力強化を図っています。 他社との提携・企業買収等の成否 当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社の買収等を行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。当社グループでは、重要な戦略的提携については、検討の段階に合わせて所定の審議を実施しており、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証を実施していますが、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合等には、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。 当社グループは、2021年9月にBlue Yonderの80%分の株式を追加取得し同社を完全子会社化しています。当社グループは、Blue Yonderの様々なサイバー分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現を加速し、また、両社のシナジー最大化に取り組んでいます。しかしながら、キーマネジメントメンバーを含めた優秀な人材の保持及び従業員の士気の維持ができない場合、事業環境や競合状況の変化等により、Blue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、これらの期待した効果が十分に得られない可能性があります。また、完全子会社化に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(詳細は「(6)その他のリスク」の「非金融資産の減損」を参照)。 当社グループは、Blue Yonderの事業成長及び両社のシナジー最大化に向けて、PMI(買収後の経営統合)を着実に推進しています。具体的には、両社間において新たな経営体制・協業プランを推進し、本件取引完了後のリスク軽減を図っています。 なお、Blue Yonderを中心としたサプライチェーンマネジメント(以下、「SCM」)事業を取り巻く環境は大きく変化しています。企業のSCMソリューションに対する期待が高まり、急激な市場拡大が見込めるとともに、研究開発活動(R&D)やM&A等の投資競争が激化しています。そのような中、SCM事業の競争力を強化するためには、資本市場の力を借りてグローバルでの成長を加速させるために株式上場を行うことが最適であると判断し、当社が議決権の過半数を保有する重要な連結子会社と位置付ける事を前提に、Blue Yonderを中心としたSCM事業の株式上場に向けた準備を開始することを、2022年5月11日に公表しています。株式上場に関しては、証券取引所その他の関係当局の承認や許認可等を得られることが前提となり、株式上場の準備過程における検討の結果次第では、当社グループの組織再編が必要な場合やSCM事業は株式上場しないという結論に至る可能性もあります。 事業再編の成否 当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業又は株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編等を含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。 当社グループは、より中長期的な視点での当社事業の競争力強化に向けて、当社を分割会社とする会社分割を実施し、2022年度から当社を持株会社とする事業会社制へ移行しました。事業会社制への移行により分社化された各事業会社は、外部環境の変化に応じた迅速な意思決定や事業特性に応じた柔軟な制度設計等を通じて、競争力の大幅な強化に取り組む一方、当社は、持株会社として各事業会社の競争力強化を積極的に支援するほか、当社グループの成長戦略を立案・推進し、グループとしての企業価値向上に努めてまいります。しかしながら、事業会社制における組織の多層化による意思決定スピードの低下や、各社で独立した管理業務が発生することによるコスト増加等により、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。 そのようなリスクに対し、当社では、持株会社として当社グループの中長期戦略について議論や方向づけをするとともに、事業会社が起案する重要案件については、持株会社の視点から事業会社での意思決定を支援する等、事業運営におけるリスクの低減に努めてまいります。 ガバナンスに関しては、徹底的な事業競争力の強化に向けて、必要な権限は事業会社へ委譲し意思決定の専門性とスピードを強化して行くとともに、これまで実施してきた当社グループとしてのガバナンス強化の視点は変えずに、適切な情報収集を行い、それに基づくガバナンスを実行するため、当社取締役の一部が事業会社取締役を兼務する等の具体的な体制や制度を検討・構築しました。また、今回の事業会社制への移行に際し、間接機能の重層化や機能の重複を解消し、軽量化するため、プロフェッショナルサービス(間接部門)を担う会社を新たに設置しました。プロフェッショナル機能及びオペレーション機能として間接機能の提供価値を全社で見える化するとともに、間接業務の効率化・高度化を推進することで、間接固定費の高効率化に努めてまいります。 原材料等の需給・輸送の混乱、価格高騰 当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故、感染症の拡大や供給業者の倒産等により、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。加えて、当社グループが部材を納入している取引先においてこれらの事象により生産の中断・停止、生産規模の縮小が生じた場合、当社グループの販売数量が減少する可能性があります。これらの事象により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 また、昨今では、原材料・燃料費の高騰に加え、コンテナ輸送費用の高騰や国内・海外双方でのドライバ-不足等が続いています。当社グループでは、原材料・部材の高騰に対しては、先物予約ヘッジを積極的に推進し、グループでの集中購買をさらに加速し、価格上昇の抑制や安定確保に取り組んでいます。また、物流価格の上昇につきましては、積載効率向上による使用コンテナ本数の削減、海上輸送ルートの複線化、中長期的なコンテナスペースの確保に取り組んでいます。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻による各国の経済制裁や物流の混乱が長期化すれば、さらにコストが上昇し、当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。 なお、新型コロナウイルス感染症への対応については、2020年度の流行拡大の当初、2次購入先も含め影響のある購入先、品目のすべてにわたり、一斉に購入先調査を行い、対策を実施しました。その中で、課題のある購入先や品目を洗い出し、代替購入先及び拠点の確保に取り組んでまいりました。その結果、当初は一部部品の供給難に陥りましたが、現在では供給の継続が実現できています。一方で、新型コロナウイルス感染症の更なる感染拡大による急激な需給環境の変化により、一部部品の供給に支障が生じる可能性があります。 製品価格の下落当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフト等の市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 技術革新・業界標準における競争当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループの将来の成功は、研究、開発、技術、製造、管理等の分野で才能のある人材を引き付け、維持する能力に大きく依存しています。当社グループでは、グローバルに幹部人材の選定基準・プロセス・ITプラットフォームを統一し、年齢・性別・国籍等の属性に関わりなく、最適任者を発掘し、計画的なキャリア開発と登用を実現すべく取り組んでいます。特に、役員を含む経営者候補については、育成方針や選定の観点を明確化し、早期からの人材の発掘と多様な経験を通じたキャリア開発を進めています。一方で、各分野での有能な人材は限られており、人材確保における競争は激化しています。こうした状況下、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 労働安全・労働時間管理当社グループは、職場作業環境や作業手順の不備、不適切な労務管理により社員や関係者が肉体的、精神的な被害を被る可能性があります。また、不適切な労働時間管理により、従業員の健康被害、職場における士気の低下等の可能性もあります。当社グループは、各種法令や当社の経営基本方針に基づき、労働安全衛生ポリシーや安全衛生管理規程を制定し、従業員の安全と衛生の確保、快適な職場環境の実現と労働災害防止の基準を定め、安全衛生活動を展開しています。また、グループ安全衛生管理部門を責任者とした中央安全衛生委員会を設置し、その傘下に事業会社・事業場の安全衛生組織を設置し、安全衛生管理に係る重要な方針や政策を審議・決定し、活動やモニタリングを実施しています。また、適正な労働時間の把握・管理については、昨今のリモートワーク拡大も踏まえ労働時間に関する客観的データの収集・活用方法を刷新するとともに、従業員に対する継続的な意識啓発、勤務管理システムの拡充等により過重労働の防止に努めています。 (3) 将来の見通し等の未達リスク 当社グループは、2022年4月にグループ新中長期戦略を発表し、また、同年6月には各事業会社による戦略を発表し、これらの実現に向けた具体的な施策を推進しています。これらの戦略は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しています。 2022年度の世界経済は、原材料価格及び物流費の高騰と部材不足、世界的なインフレが継続し、新型コロナウイルス感染症による不確実性やロシア・ウクライナ情勢を含む地政学リスクも依然として高く、世界経済の先行きを見通しにくい状況が続いています。今後、こうした世界経済の影響、その他の要因により、期待される成果が実現に至らない可能性があります。中長期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定期的な進捗管理と課題の見極めや適時適切な対策の検討・実践等を通じて、未達リスクの最小化に努めてまいります。 (4) 法的規制・訴訟に関するリスクa. 特に重視しているリスクコンプライアンスリスク 当社グループでは、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」において、「社会の公器」として公正な事業慣行に取り組むことを定め、法令と企業倫理の順守を明記して、当社の基本姿勢を全取締役・社員に共有・徹底するとともに、「独占禁止法・競争法違反」や「贈収賄・腐敗行為」等の重大なリスクに対しては、グローバル規程に基づくコンプライアンスの徹底に取り組んでいます。また、従業員に対しては、年間を通じて、各種リスクに対応したコンプライアンスの取り組みを実施し、倫理・法令順守意識の強化に努めています。さらに、一元的な内部通報窓口として、国内外の拠点や取引先からも通報ができるグローバルホットラインを設け、適切な社内調査を通じて問題の早期発見と是正を図っています。 また、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」では、「人権を尊重し、各国・各地域において法令を順守するとともに、文化・宗教・価値観等を正しく理解・認識することに努め、それらに対し敬意をもって接し、誠実に行動」することを明記しています。また、「人権・労働コンプライアンス規程」を制定し、人権を尊重するという企業の社会的責任を果たすため、国際連合や国際労働機関が提唱する人権に関する国際規範や法令の順守に取り組むと共に、多様な人材がそれぞれの力を最大限に発揮できる働き甲斐のある労働環境を実現するため、基本方針と取締役や社員等が果たすべく役割について規定しています。当社は、国連の世界⼈権宣言、労働の基本原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言、OECD多国籍企業行動指針の基本原則を支持し、⼈権・労働に関する重要な法的要請の変更等については、情報を収集して各拠点に徹底し、コンプライアンス強化に努めています。 これらのコンプライアンス強化に向けた取り組みについては、追加的な費用や支出が生じることにより当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があるほか、このような取り組みに関わらず、万一、当社グループにおいてコンプライアンス違反行為が発生したり、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 サプライチェーンに係るリスク 当社グループは、グローバルで約10,000社以上の購入先様と取引をしています。近年、サプライチェーンにおける企業の社会的責任の要請は日増しに強くなっており、こうした流れは法規制の動きにも表れ、特に人権分野を中心に新たな規制の制定や発動が行われています。当社グループでは、「サプライチェーン・コンプライアンス規程」を制定し、グループの調達活動及びサプライチェーンにおけるコンプライアンスに関する基本的事項並びに各組織の役割及び責任を明確にし、取締役並びに従業員が果たすべき役割を定め、責任ある調達活動を推進するための体制並びに基本方針を規定しています。また、購入先様に順守頂きたいCSRの要請項目(人権・労働、安全衛生、地球環境保全、情報セキュリティ、社会貢献等)をまとめた「パナソニック サプライチェーンCSR推進ガイドライン」を発行し、国際基準や業界での標準的な考え方を参照し、さらにNGO・顧客企業からのCSR要請も考慮した形でパナソニックグループのCSR調達の考え方をお伝えし、共に実践をしています。 しかしながら、サプライチェーンにおける責任ある調達活動への取り組みによって期待した成果が得られない場合、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 b. 重視しているリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生 当社グループでは、製品安全に対する知見や不安全事象の未然防止策を、全社の安全規格へ盛り込むと共に、日々のリスク管理を行っています。しかしながら、製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 その他の法的規制等による不利益及び法的責任当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点等から当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、または法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価に悪影響を受ける可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスクa.自然災害当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行等が発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクを低減するため、サプライチェーンも含めたBCP(事業継続計画)の見直しを定期的に実施しています。また、「グループ緊急対策規程」を制定し、緊急事態発生時に速やかに対応できるよう、対応方針、組織体制やそれぞれの機能の役割等を具体的に規定しています。特に、自然災害については、平時における備えを強化するとともに、緊急事態時には迅速に緊急対応体制に移行できるよう、当社グループ全体で「災害・事故対策委員会」を設置しています。「災害・事故対策委員会」では、地震、津波、洪水の分科会を設置し、災害別の対策強化を図っています。特に、過去の災害時には電力需給のひっ迫が生じたことも踏まえ、事業継続のための非常用電源設備等をBCPに取り入れています。また、緊急時を想定した「全社緊急対策本部」訓練を毎年実施しており、2022年1月には南海トラフ地震を想定した全社防災訓練「全社緊急対策本部」演習を実施しました。特に、新型コロナウイルスの感染拡大以降は、従業員の感染防止のため、テレワークを推進していますが、2021年度の訓練についても、災害発生時に在宅勤務者が多数いることを前提とした、リモート会議での訓練を実施しました。 b.感染症リスク前述の一部業界の需要減による影響を除き、これまで新型コロナウイルス感染症による、当社グループ全体への大きな悪影響は発生していませんが、相次ぐ変異株の発生により、依然として本感染症が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、前述の「グループ緊急対策規程」に基づき、新型コロナウイルス感染症についてはWHOの緊急事態宣言を受け、2020年1月31日に全社緊急対策本部を発足しました。対策本部の中で職能を中心とする経営、調達、広報等のチームを編成し、それぞれの課題に専門的に対応することにより、事業の安定継続に取り組んでいます。また、これに合わせて、事業を運営している各事業会社においても対策本部を設置し、全社緊急対策本部と連携し対策にあたっています。初動対応が終了している現時点においても、従業員の健康維持と事業の継続の観点から、国内外の感染状況や各国の行政のガイドラインをふまえ、きめこまかくグループ通達を行う等の対策を実施しています。また、当社グループは全従業員の安心・安全の確保はもちろんのこと、安全に事業を運営できる体制を維持するとともに、日本国内のワクチン接種を加速させ、感染拡大防止に寄与するという社会的責任を果たすために、2021年6月よりワクチンの職域接種を実施しています。現時点で3回目の職域接種を実施しており、今後も感染状況や行政のガイドラインを踏まえながら、対応してまいります。 (6) その他のリスク退職給付に係る負債当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)及び移行日以前の積立分(過去分)の一部について確定拠出年金制度へ移行していますが、確定拠出年金制度に移行していない部分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 非金融資産の減損 当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産等、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。なお、回収可能価額の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれており、今後の状況によっては、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。なお、将来課税所得の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれており、今後の状況によっては、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
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2【事業等のリスク】当社グループでは、リスクを的確に把握し、対策を実施することにより、経営への影響の低減を図る為、全体のリスクマネジメントを推進する「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会」を設置しています。当社グループの経営幹部の中から任命される全社リスク管理担当役員を委員長とし、メンバーは本社、カンパニー、地域統括会社の「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会委員」で構成されています。年1回、事業活動に影響を与える可能性のある外部要因・内部要因に基づくリスクを網羅的に洗い出し、共通の評価軸(経営、社会への影響度や発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというサイクルでリスクアセスメントを実施しています。これに基づき重要と判断したリスクは、当該リスクを担当する委員が中心となって、対策を立案、実行し、対策状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を実施しています。グローバル&グループ リスクマネジメント委員会は上記サイクルに基づき、重要リスク項目並びに対策、モニタリング結果を定期的に取締役会に報告しています。事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2021年度の経営環境は、各国の政治・金融情勢、貿易停滞のリスク、またワクチンの接種状況次第ではあるものの、新型コロナウイルス感染症の状況などにおいて不確実性が依然として高く、世界経済の先行きも見通しにくい状況が続きます。日本でも、こうした国際経済の影響を少なからず受けるとみられます。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、2020年度第1四半期はオートモーティブを中心に全セグメントにおいて、主に需要面で大きな影響を受けたものの、その後は回復に転じています。2020年度下期には、コネクティッドソリューションズの航空業界向け事業等や、その他一部の事業を除いて需要面への影響は概ね解消しました。航空業界向け事業については、2021年度の航空旅客需要の回復は限定的となる見込みであり、航空業界向け事業への影響は継続する見通しです。これらの状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。また、世界経済が想定以上に悪化する場合や、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化が起こる場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。そのような状況を踏まえ、2019年度からスタートした中期戦略をベースとしたポートフォリオマネジメントと、固定費削減を含む経営体質強化の取り組みを継続しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大等を契機とした中長期的な社会変化を踏まえ、事業を通じた社会課題解決への取り組みを推進しています。具体的には、アプライアンス、ライフソリューションズの「くらし」の領域では、空調空質等に関する需要拡大を受け、コアデバイスであるナノイー、ジアイーノの価値訴求を強化しています。当社が有する技術力と、その価値に対する認知度を向上させることで、関連する商品のさらなる普及を目指してまいります。コネクティッドソリューションズの「現場プロセス」の領域では、サプライチェーン領域において、新型コロナウイルス感染症の拡大による極端な需要変動、物流の負担増などの課題が山積しています。当社は、Blue Yonder Holding, Inc.(以下、「Blue Yonder」)との成長戦略を加速し、お客様の経営課題を解決するとともに当社のオペレーション力を強化し、エネルギー消費量の削減や資源の有効活用を通じ、サスティナブルな社会の実現に貢献してまいります。また、オートモーティブの「車載電池」の領域では、気候変動への対応の観点から、EV需要の拡大に応え、持続可能な世の中に貢献するため、引き続き、北米工場の生産能力拡大、国内工場の活用拡大を進めてまいります。インダストリアルソリューションズの「デバイス」の領域では、車載CASE、情報通信インフラ、工場省人化の高成長領域において、特に3つのコア事業(コンデンサ、電子材料、FAソリューション)に集中し、将来への仕込み、投資を拡充してまいります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。2020年度は、前年度と比較してユーロ、中国元が円安に動いたものの、ドルと一部の新興国通貨が円高に動いたことにより、全体として業績に対し悪影響を及ぼしました。また、為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」などにより、経営への影響の軽減を図っています。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による経済情勢の変化や金融政策の変化等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等、様々な外的要因により金融市場が不安定となり、または悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業収益力の強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等、バランスシートからの資金創出に継続的に取り組むなど、資金創出力の強化に努めています。なお、2018年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額7,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しましたが、契約期限となる2021年6月に期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約を新たに締結しています。現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 (2) 当社グループの事業活動に関するリスク競合他社との競争当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。 製品価格の下落当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフト等の市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 国際的な事業活動における障害当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、昨年度の新型コロナウイルス感染症拡大当初の、各国の緊急事態宣言、ロックダウンや外出制限などは、当社の事業に影響を及ぼしました。既に一部の国では制限は緩和されていますが、国・地域によって感染拡大・ロックダウンも続いており、今後の感染拡大によっては再び経済活動の制限が強化され、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 技術革新・業界標準における競争当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られており、日本の生産人口は減少傾向にあるため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、人材確保のための魅力的な企業文化の継続と新たな創出が必要であり、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 他社との提携・企業買収等の成否当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。当社グループでは、重要な戦略的提携については、検討の段階に合わせて所定の審議を実施しており、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証を実施していますが、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。当社グループは、2021年4月23日の取締役会において、米国のサプライチェーン・ソフトウェアの専門企業であるBlue Yonderの80%分の株式を追加取得し、同社を完全子会社化することについて決議し、Blue Yonderならびに同社の実質的な株主との間で最終合意に至ったことを公表しています。これにより、2020年7月に取得済の20%分の株式と合わせて全株式を取得することになります。当社グループは、本件取引により、Blue Yonderの様々なサイバー分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現を加速し、また両社のシナジー最大化を図ってまいりますが、キーマネジメントメンバーを含め優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持できない場合、事業環境や競合状況の変化等により、Blue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、これらの期待した効果が十分に得られない可能性があります。また、本件取引の実行に伴い、相当額ののれん及び無形資産が連結財政状態計算書に計上されますが、事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(詳細は「(7)その他のリスク」の「非金融資産の減損」を参照)。当社グループは、Blue Yonderの事業成長及び両社のシナジー最大化に向けて、PMI(買収後の経営統合)を着実に推進してまいります。具体的には、両社間において新たな経営体制・協業プランの実行準備を推進し、本件取引完了後のリスク軽減を図ってまいります。 事業再編の成否当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。当社グループは、より中長期的な視点での当社事業の競争力強化に向けて、当社を分割会社とする会社分割を実施し、2022年度から当社を親会社とする持株会社制へ移行する予定です。持株会社制への移行により分社化される各事業会社は、外部環境の変化に応じた迅速な意思決定や事業特性に応じた柔軟な制度設計などを通じて、競争力の大幅な強化に取り組む一方、持株会社は、各事業会社の競争力強化を積極的に支援するほか、グループ全社視点での成長戦略を推進し、グループとしての企業価値向上に努めてまいります。しかしながら、現在及び将来における再編において、持株会社制への移行及び移行後における事業運営上の課題や、組織の多層化による意思決定スピードの低下、各社で独立した管理業務が発生することによるコスト増加などにより、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。そのようなリスクに対し、2022年4月1日からの新事業法人での円滑な事業運営に向けて、カンパニー制を廃止し、2021年10月に新事業法人の体制を見据えた新たな体制へ再編する予定です。こうした再編を通じて、グループ運営上必要な調整を行うとともに、持株会社制への移行に当たっての課題の見極めや対応の検討・実行を通じて、持株会社制への移行及び移行後の事業運営におけるリスクの低減に努めてまいります。ガバナンスに関しては、徹底的な事業競争力の強化に向けて、必要な権限は事業会社へ委譲し意思決定の専門性とスピードを強化して行くとともに、これまで実施してきたグループ全体としてのガバナンス強化の視点は変えずに、適切な情報収集を行い、それに基づくガバナンスを実行するための具体的な体制や制度を検討・構築してまいります。また、今回の持株会社制への移行に際し、間接機能の重層化や機能の重複を解消し、軽量化を行います。プロフェッショナルサービス(間接部門)を担う会社を新たに設置(2022年度予定)し、プロフェッショナル機能及びオペレーション機能として間接機能の提供価値を全社で見える化するとともに、間接業務の効率化・高度化を推進することで、間接固定費の高効率化に努めてまいります。 原材料等の供給不足・供給価格の高騰当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症への対応については、2020年度の流行拡大の当初、2次購入先も含め影響のある購入先、品目のすべてにわたり、一斉に購入先調査を行い、対策を実施しました。その中で、課題のある購入先や品目を洗い出し、代替購入先及び拠点の確保に取り組んでまいりました。その結果、当初は一部部品の供給難に陥りましたが、現在ではほぼ供給の継続が実現できています。一方で、新型コロナウイルス感染症による急激な需給環境の変化により、一部部品の供給に支障が生じる可能性があります。当社グループはこうしたリスクに対し、購入先との緊密な関係構築、国内及び海外主要拠点におけるBCP(事業継続計画)の遂行による事業中断リスクへの対応力強化、グループ全体としての調達機能の活用・強化により、リスクの低減に取り組んでいます。 顧客の資金状況・財政状態当社グループの顧客のなかには、代金後払いの条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク当社グループは、2019年度からスタートした中期戦略の実現に向けた具体施策を推進しております。これらの戦略は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しておりますが、2021年度の世界経済は、ワクチンの接種状況次第ではあるものの、新型コロナウイルス感染症の状況などにおいて不確実性が依然として高く、先行きも見通しにくい状況が続いております。今後、こうした世界経済の影響、その他の要因により、期待される成果が実現に至らない可能性があります。中期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定期的な進捗管理と課題の見極め、適時適切な対策の検討・実践などを通じて、未達リスクの最小化に努めてまいります。 (4) 法的規制・訴訟に関するリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生当社グループでは、製品安全に対する知見や不安全事象の未然防止策を、全社の安全規格へ盛り込むと共に、日々のリスク管理を行っています。しかしながら、製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 会計基準・税制の変更等当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。 環境に関する規制や問題の発生当社グループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、クリーンなエネルギーでより良く快適に暮らせる社会を目指し、使用するエネルギーの削減と、その使用を上回るエネルギーの創出・活用を進めています。一方で、当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクル及び土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、それらの規制への対応を実施していますが、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。また、将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでいますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 その他の法的規制等による不利益及び法的責任当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、または法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。当社グループでは、「パナソニック行動基準」において、「社会の公器」として公正な事業慣行に取り組むことを定め、法令と企業倫理の順守を明記して、当社の基本姿勢を全取締役・社員に共有・徹底するとともに、「競争法違反」や「贈収賄・腐敗行為」等の重大なリスクに対しては、グローバル規程に基づくコンプライアンスの徹底に取り組んでいます。また、従業員に対しては、年間を通じて、各種リスクに対応したコンプライアンスの取り組みを実施し、倫理・法令順守意識の強化に努めています。さらに、一元的な内部通報窓口として、国内外の拠点や取引先からも通報ができるグローバルホットラインを設け、適切な社内調査を通じて問題の早期発見と是正を図っています。 (5) 災害・事故等に関するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクを低減するため、BCP(事業継続計画)の見直しを定期的に実施しています。また、緊急時を想定した「全社緊急対策本部」訓練を毎年実施しており、非常時における対応力の強化を図っています。特に、新型コロナウイルス感染症に関しては、従業員の感染防止のため、テレワークを推進していますが、2020年度より災害対策訓練についても、災害発生時に在宅勤務者が多数いることを前提とした、リモート会議での訓練を実施しています。 (6) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク前述の一部業界の需要減による影響を除き、これまで新型コロナウイルス感染症による、当社グループ全体への大きな悪影響は発生しておりませんが、引き続き感染拡大が続いており、依然として本感染症が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、自然災害や疫病など事業経営の継続に大きな影響を与える事象に備えて全社緊急対策規程を設けています。本規程に基づき、新型コロナウイルス感染症についてはWHOの緊急事態宣言を受け、2020年1月31日に全社緊急対策本部を発足しました。また、これに合わせて、事業を運営している各カンパニーにおいても対策本部を設置し、各カンパニー対策本部が全社緊急対策本部と連携し対策にあたっています。従業員の健康維持と事業の継続の観点からは、国内外の感染状況や各国の行政のガイドラインをふまえ、きめこまかく全社通達を行う等の対策を実施しております。また、対策本部の中で職能を中心とする経営、調達、広報などのチームを編成し、それぞれの課題に専門的に対応することにより、事業の安定継続に取り組んでいます。従業員に対しては、職場内外での感染防止対策の徹底のほか、間接部門においては出来る限りの在宅勤務を実施するなどの感染防止対策を引き続き実施してまいります。 (7) その他のリスク退職給付に係る負債当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)及び移行日以前の積立分(過去分)の一部について確定拠出年金制度へ移行していますが、確定拠出年金制度に移行していない部分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 非金融資産の減損当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。なお、回収可能価額の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。なお、将来課税所得の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
FY2020|10,871 文字
2【事業等のリスク】当社グループでは、リスクを的確に把握し経営への影響の低減を図る為、全体のリスクマネジメントを推進する「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会」を設置しています。当社グループの経営幹部の中から任命される全社リスク管理担当役員を委員長とし、メンバーは本社、カンパニー、地域統括会社の「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会委員」で構成されています。年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを実施しています。これに基づき重要と判断したリスクは、当該リスクを担当する委員が中心となって、対策を立案、実行し、対策状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を実施しています。グローバル&グループ リスクマネジメント委員会は重要リスク項目並びに対策、モニタリング結果を定期的に取締役会に報告しています。事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2020年度の世界経済は、各国の政治・金融情勢、保護主義の広がり、新型コロナウイルス感染症の状況等において不確実性が高く、先行きも見通しにくくなっています。日本でも、こうした国際経済の影響を少なからず受けるとみられます。なお、2020年度第1四半期における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響については、需要面では、自動車・航空業界等の市況低迷、各国の外出制限等により、影響が中国以外にも拡大しています。また、供給面では、中国でのサプライチェーン課題は解消しつつありますが、アジア等でロックダウンによる工場停止の影響が生じています。セグメント別に、アプライアンスの需要面では、外出制限・ロックダウン等により、主に、国内・欧州・アジアで需要が減少し、供給面では、マレーシア、インド等の工場の停止により、エアコンやテレビ等に影響が生じています。ライフソリューションズの需要面では、国内は市況低迷・工事延期等の影響があり、海外(インド等)はロックダウンに伴い需要が減少し、供給面では、インド、マレーシア、メキシコの工場の停止により、配線器具、換気扇等に影響が生じています。コネクティッドソリューションズの需要面では、航空業界や自動車業界の市況低迷、イベント中止に伴いエンターテインメント業界で需要が減少し、供給面では、アジアでのロックダウンによるサプライヤーからの部品調達難により、生産に影響が生じています。オートモーティブの需要面では、ロックダウン等に伴う、顧客の工場停止による需要急減が生じ、供給面では、需要急減による車載機器・円筒形電池の生産・稼働への影響や、車載機器で部品調達難の影響も生じています。インダストリアルソリューションズの需要面では、産業向けの影響は限定的も、車載向けの需要が減少し、供給面では、ロックダウンや部品調達難に伴う、アジア等の工場の停止により、モーターやコンデンサに影響が生じています。2020年度第2四半期以降は、感染状況に応じて、各国における外出制限が徐々に緩和され、経済活動が段階的に回復してくる可能性はありますが、自動車・航空業界等における需要面での影響は継続する可能性があります。これらの状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。また、世界経済が想定以上に悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。そのような状況を踏まえ、中期戦略をベースとしたポートフォリオマネジメントと経営体質強化を継続しています。基幹事業を中心にリソースを集中して利益成長を目指し、共創事業による競争力の向上などにより収益性改善を目指しています。加えて、効率的かつ競争力のある経営体質を実現するため、低収益事業への抜本的な対策等を継続して実行し、固定費の削減も進めています。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」などにより、経営への影響の軽減を図っています。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、経済情勢や金融政策の変化等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業収益力の強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等、バランスシートからの資金創出に継続的に取り組むなど、資金創出力の強化に努めています。また、複数の金融機関との間で総額7,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しており、現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 (2) 当社グループの事業活動に関するリスク競合他社との競争当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。 製品価格の下落当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフト等の市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 国際的な事業活動における障害当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症拡大による、各国の緊急事態宣言、ロックダウンや外出制限等は、既に経済状況の変動リスクに記載しましたように、当社の事業に影響を及ぼしました。各国で徐々に制限が緩和されつつありますが、今後の感染拡大によっては再び経済活動の制限が強化され、当社の事業、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 技術革新・業界標準における競争当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られており、日本の生産人口は減少傾向にあるため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、人材確保のための魅力的な企業文化の継続と新たな創出が必要であり、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 他社との提携・企業買収等の成否当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。 事業再編の成否当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。 原材料等の供給不足・供給価格の高騰 当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。なお、新型コロナウィルス感染症への対応については、流行拡大に伴い調査範囲を拡大し、2次購入先も含め影響のある購入先、品目を徹底的に調査し対策を実施しました。その中で、課題のある購入先や品目を洗い出し、代替購入先、代替拠点の確保に取り組んで参りました。その結果、当初は一部部品の供給難に陥りましたが、現在ではほぼ供給の継続が実現出来ています。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料及び部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品の種類によっては特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 顧客の資金状況・財政状態当社グループの顧客のなかには、代金後払いの条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク当社グループは、2019年度からスタートした中期戦略の実現に向けた具体施策を推進していきます。これらの戦略は、適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しており、今後、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。中期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定期的な進捗管理と課題の見極め、適時適切な対策の検討・実践などを通じて、未達リスクの最小化に努めています。 (4) 法的規制・訴訟に関するリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 会計基準・税制の変更等当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。 環境に関する規制や問題の発生当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクル及び土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでいますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 その他の法的規制等による不利益及び法的責任当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、または法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。特に、新型コロナウイルス感染症においては、従業員や関係者の感染防止の為、テレワークを推進しています。また、生産や出荷等の出社を要する業務においては、通勤時の安全確保や作業環境面における感染防止対策に万全を期していますが、職場内での感染により生産活動やその他業務を中断せざるを得なくなり、一部事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク当社グループは、自然災害や疫病など事業経営の継続に大きな影響を与える事象に備えて全社緊急対策規程を設けています。本規程に基づき、新型コロナウイルス感染症についてはWHOの緊急事態宣言を受け、2020年1月31日全社緊急対策本部を発足しました。また、これに合わせて、事業を運営している各カンパニーにおいても対策本部を設置し、各カンパニー対策本部が全社緊急対策本部と連携し対策にあたっています。特に従業員の健康維持と事業の継続の観点から重要事項に関し全社通達を行う等の対策を実施し、対策本部の各職能にて事業の安定継続に取り組んでいますが、既に個々のリスクに記載のとおり、様々なリスクが当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。 (7) その他のリスク退職給付に係る負債当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行しており、当社及び上述の国内子会社の一部は、2019年7月1日に、移行日以前の積立分(過去分)の一部についても確定給付年金制度から確定拠出年金制度へ移行していますが、移行日前の過去の積立分のうち、確定拠出年金制度に移行していない部分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 非金融資産の減損当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。なお、回収可能価額の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。なお、将来課税所得の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
FY2019|7,999 文字
2【事業等のリスク】当社グループでは、年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグローバル共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを行っています。これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベル(全社、カンパニー、事業部等)において、当該リスクの内容に応じた対策を立案・実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しています。事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2019年6月28日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退およびこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2019年度の世界経済は、全体としては一定の成長を維持する見通しです。国内でも、海外経済の減速傾向が下押し要因となるものの、消費税増税の影響は負担軽減策で限定的となる見通しです。その一方で、各国の政治・金融情勢、保護主義の広がりなどのリスク要因や、主要国の減速傾向が見込まれ、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。また、世界経済が想定に反して悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコストおよび価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、人民元など一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産および負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金を社債・コマーシャルペーパーの発行および金融機関からの借入等により調達しています。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 (2) 当社グループの事業活動に関するリスク競合他社との競争当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力およびマーケティング資源を有している可能性があります。 製品価格の下落当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフト等の市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 国際的な事業活動における障害当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教および文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正および移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。 技術革新・業界標準における競争当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC分野およびBtoB分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られており、日本の生産人口は減少傾向にあるため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、人材確保のための魅力的な企業文化の継続と新たな創出が必要であり、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 他社との提携・企業買収等の成否当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。 事業再編の成否当社グループは、多くの子会社および関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在および将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。 原材料等の供給不足・供給価格の高騰当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料および部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品の種類によっては特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらにより当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 顧客の資金状況・財政状態当社グループの顧客のなかには、代金後払いの条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク当社グループは、2019年5月9日に新中期戦略を発表し、その実現に向けた具体施策を推進していきます。これらの戦略は、適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しており、今後、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。 (4) 法的規制・訴訟に関するリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 会計制度・税制の変更等当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。 環境に関する規制や問題の発生当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクルおよび土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでいますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 その他の法的規制等による不利益および法的責任当社グループは、日本および諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制および事業者への課税に関する法規制に加え、事業および投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業および電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、および輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、または法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性および損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 (6) その他のリスク退職給付に係る負債当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社および一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行していますが、移行日前の過去の積立分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。なお、当社および上述の国内子会社の一部は、2019年7月1日付で、移行日前の過去の積立分の一部について確定給付年金制度から確定拠出年金制度への移行を予定しています。 非金融資産の減損当社グループは、有形固定資産、のれんおよび無形資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産および繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業および財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することが出来る重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
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2【事業等のリスク】当社グループでは、年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグローバル共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを行っています。これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベル(全社、カンパニー、事業部等)において、当該リスクの内容に応じた対策を立案・実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しています。事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成30年6月29日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退およびこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。平成30年度の世界経済は、全体としては緩やかな回復の継続が見込まれます。国内でも、力強さはないものの消費は回復傾向にあります。その一方で、地政学的リスクや新興国経済、各国の政治・政策動向などに不確実性が見られ、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。また、世界経済が想定に反して悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコストおよび価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、人民元など一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産および負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金を金融機関からの借入および社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 (2) 当社グループの事業活動に関するリスク競合他社との競争当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力およびマーケティング資源を有している可能性があります。 製品価格の下落当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフトや、市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 国際的な事業活動における障害当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教および文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正および移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。 技術革新・業界標準における競争当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供できない可能性があります。当社グループの主要事業においては、BtoC分野およびBtoB分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られているため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 他社との提携・企業買収等の成否当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。 事業再編の成否当社グループは、多くの子会社および関連会社等を有しておりますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在および将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。 原材料や電力等の供給不足・供給価格の高騰当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料および部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品の種類によっては特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらにより当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 顧客の資金状況・財政状態当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク当社グループは、グループ経営目標として、利益に関する目標値を設定し、その実現に向けた具体施策を推進しています。これらの目標値は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しますが、今後、事業環境の悪化その他の要因により、目標値の達成や期待される成果の実現に至らない可能性があります。 (4) 法的規制・訴訟に関するリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 会計制度・税制の変更等当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。 環境に関する規制や問題の発生当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクルおよび土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでおりますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 その他の法的規制等による不利益および法的責任当社グループは、日本および諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制および事業者への課税に関する法規制に加え、事業および投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業および電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、および輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性および損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。また、強力な新型インフルエンザなどの感染症が世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動および販売活動等に大きな支障をきたす可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 (6) その他のリスク退職給付に係る負債当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社および一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行していますが、移行日前の過去の積立分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 非金融資産の減損当社グループは、有形固定資産、のれんおよび無形資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産および繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業および財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することが出来る重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
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4【事業等のリスク】当社グループでは、年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグローバル共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを行っています。これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベル(全社、カンパニー、事業部等)において、当該リスクの内容に応じた対策を立案・実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しています。事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成29年6月30日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退およびこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。平成29年度の世界経済は、米国経済の回復や資源国の持ち直しなどにより、全体としては成長が見込まれます。国内でも、公共投資の増加や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた投資が始動することなどにより緩やかな回復が続く見通しです。その一方で、海外の政治情勢や、金融政策動向、資源価格の急変動や地政学的リスクなどの不透明な要因もあり、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用の増大等の可能性があります。また、世界経済が想定に反して悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコストおよび価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、人民元など一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 金利の変動金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産および負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金を金融機関からの借入および社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 株式価値の下落当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 (2) 当社グループの事業活動に関するリスク競合他社との競争当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力およびマーケティング資源を有している可能性があります。 製品価格の下落当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフトや、市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 国際的な事業活動における障害当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教および文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正および移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。 技術革新・業界標準における競争当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供できない可能性があります。当社グループの主要事業においては、BtoC分野およびBtoB分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られているため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 他社との提携・企業買収等の成否当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。 事業再編の成否当社グループは、多くの子会社(上場子会社含む)および関連会社等を有しておりますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在および将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。 原材料や電力等の供給不足・供給価格の高騰当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料および部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品により特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらにより当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 顧客の資金状況・財政状態当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク当社グループは、グループ経営目標として、利益に関する目標値を設定し、その実現に向けた具体施策を推進しています。これらの目標値は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しますが、今後、事業環境の悪化その他の要因により、目標値の達成や期待される成果の実現に至らない可能性があります。 (4) 法的規制・訴訟に関するリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 会計制度・税制の変更等当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。 環境に関する規制や問題の発生当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクルおよび土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでおりますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 その他の法的規制等による不利益および法的責任当社グループは、日本および諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制および事業者への課税に関する法規制に加え、事業および投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業および電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、および輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性および損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。また、強力な新型インフルエンザなどの感染症が世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動および販売活動等に大きな支障をきたす可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 (6) その他のリスク退職給付に係る負債当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社および一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行していますが、移行日前の過去の積立分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。 非金融資産の減損当社グループは、有形固定資産、のれんおよび無形資産など、多くの非金融資産を保有しています。当社グループは、これらの非金融資産(棚卸資産および繰延税金資産等を除く)の連結財政状態計算書計上額について、当該資産の回収可能価額が帳簿価額を上回っているかどうかを定期的に検討しています。当該資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識しなければならない可能性があります。 繰延税金資産の認識当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。 持分法適用会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業および財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することが出来る重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
FY2016|8,096 文字
4【事業等のリスク】当社グループでは、年1回、事業活動に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについてグローバル共通の基準(経営への影響度と発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというリスクアセスメントを行っています。これらに基づき重要と判断したリスクは、当社グループの各レベル(全社、カンパニー、事業部等)において、当該リスクの内容に応じた対策を立案・実行し、対策の進捗状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を展開しています。事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績および財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成28年6月27日)現在において判断したものです。 (1) 経済環境に関するリスク経済状況の変動当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退およびこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。平成28年度の世界経済については、米国や欧州経済の回復が続くとみられることや、国内では雇用・所得環境の改善が消費の追い風となる見通しであることなどから、全体としては緩やかな成長が見込まれます。その一方で、資源価格の変動や地政学的リスク、米国や日本の金融政策動向、中国経済の減速懸念などの不透明な要因もあり、このような状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用の増大等の可能性があります。また、世界経済が想定に反して悪化する場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 為替相場の変動外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコストおよび価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、人民元など一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。当社グループでは、一部の事業で生産拠点の海外シフトを進めてきたこともあり、為替相場が当社グループ全体の業績に与える影響は減少していますが、過度な相場変動があった場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 金利の変動金利の変動により営業費用、支払利息、受取利息あるいは金融資産および負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 資金調達環境の変化当社グループは、事業資金を金融機関からの借入および社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。当社グループは、金融市場が不安定となり、または悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 株式価値の下落当社グループは、投資有価証券の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株式価値の下落により保有株式の評価損の計上が必要となる可能性があります。また、上場株式の場合、株価下落が、有価証券未実現損益を悪化させることにより、当社株主資本の減少を引き起こす可能性があります。 (2) 当社グループの事業活動に関するリスク競合他社との競争当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力およびマーケティング資源を有している可能性があります。 製品価格の下落当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフトや、市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 国際的な事業活動における障害当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教および文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税制または税率の変更等といったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。 技術革新・業界標準における競争当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供できない可能性があります。当社グループの主要事業においては、BtoC分野およびBtoB分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。 有能な人材確保における競争当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られているため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 他社との提携・企業買収等の成否当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。戦略的提携については、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。また、当社グループは、多くの子会社(上場子会社含む)および関連会社を有しており、グループ事業体制を再編することがありますが、現在および将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。原材料や電力等の供給不足・供給価格の高騰当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループと供給業者は、契約によりその供給価格を決定していますが、需給環境の変化・投資資金の流入などにより鉄鋼・樹脂・非鉄金属などの原材料および部品価格が高騰する可能性があります。原材料や部品により特定の業者しか供給できないものもあり、この場合には当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらにより当社グループの生産活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 顧客の資金状況・財政状態当社グループの顧客のなかには、代金後払の条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 (3) 将来の見通し等の未達リスク当社グループは、グループ経営目標として、利益に関する目標値を設定し、その実現に向けた具体施策を推進しています。これらの目標値は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しますが、今後、事業環境の悪化その他の要因により、目標値の達成や期待される成果の実現に至らない可能性があります。 (4) 法的規制・訴訟に関するリスク製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 知的財産権に関連した損害当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。 会計制度・税制の変更等当社グループが予期しない会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。なお、当社は、平成28年度末の連結財務諸表から、米国会計基準に替えてIFRSを任意適用することを公表しております。 環境に関する規制や問題の発生当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクルおよび土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 情報セキュリティに関するリスク当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでおりますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績および財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 その他の法的規制等による不利益および法的責任当社グループは、日本および諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制および事業者への課税に関する法規制に加え、事業および投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業および電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、および輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。 (5) 災害・事故等に関するリスク当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性および損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。また、強力な新型インフルエンザなどの感染症が世界的に流行した場合には、当社グループの生産活動および販売活動等に大きな支障をきたす可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。 (6) その他のリスク年金債務当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社および一部の国内子会社の確定給付年金制度を、移行日以降の積立分(将来分)について確定拠出年金制度に移行していますが、移行日前の過去の積立分については、今後も金利の低下により退職給付債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により年金資産の目減りをもたらす可能性があり、その結果、年金数理上の損失が増加し、将来、年金制度の期間退職給付費用が増加する可能性があります。 長期性資産の減損当社グループは、有形固定資産、のれんなど多くの長期性資産を保有しています。当社グループは、長期性資産の連結貸借対照表計上額について、当該資産の公正価値が、資産の帳簿価額を上回っているかどうかを定期的に検討しています。当該資産が十分なキャッシュ・フローを生み出さない場合は減損を認識しなければならない可能性があります。 繰延税金資産および法人税等の不確実性の認識当社グループは、将来の課税所得の予測等に基づく繰延税金資産および不確実な税務ポジションの評価に基づく認識済の税務ベネフィットの一部または全部が実現しない可能性がより確からしいかを検討し、繰延税金資産の回収可能性および法人税等の不確実性を評価しています。今後、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、一時差異および繰越欠損金が将来減算される期間における課税所得により回収できない、あるいは認識済の税務ベネフィットが実現されないと判断された場合には、繰延税金資産に対し評価引当金を認識することおよび未認識税務ベネフィットに対する債務を認識することにより、法人税等が増加する可能性があります。 持分法適用関連会社の業績・財政状態当社は、複数の持分法適用関連会社の株式を保有しています。各関連会社は各々の事業および財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針に一定の影響を及ぼすことはできますが、通常、方針そのものの決定は行いません。当社の関連会社には、損失を計上している会社もあり、こうした関連会社の業績・財政状態により当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。