研究開発活動(本文)
FY2025|3,509 文字
6【研究開発活動】 NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、その事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 当社は、社会実装が急速に進展する生成AIの研究、製品開発および事業開発を一貫して対応する組織として、新たにAIテクノロジーサービス部門を発足させました。これにより最先端の新技術の市場投入までのリードタイムの大幅な短縮を目指します。 研究開発については、世界トップクラスの技術を多く保有するAIやセキュリティ、ネットワークの技術領域を中心に据えて取り組んでいます。具体的には、AIの技術領域では、いつでもどこでも使える安心な生体認証技術や、映像認識の強みを生かした外部環境を高度に理解するマルチモーダル基盤モデル技術のほか、業界最高レベルの高速・高精度な応答でお客様の業務を効率化する生成AI技術などを強化しています。さらに、これらの技術を組み合わせることで、複雑な指示・要求に対して自律的に動作するエージェント型AI(Agentic AI/ AI Agent)を開発し、組織をまたいだ全体最適化の実現に貢献します。セキュリティの技術領域においても、AIの強みを活用したセキュリティ業務の自動化やAIの信頼性を高める技術開発などに取り組んでいます。ネットワークの技術領域では、アプリケーションの品質やリアルタイム性を高信頼に保つ技術などの研究開発を通じて、安全・安心・高効率なICTインフラの実現に取り組んでいます。 さらに、AIを活用した科学計算革新の取り組みとして、高速なシミュレーション技術の開発などにより、創薬プロセスを大きく変革するAI創薬という新たなビジネスチャンスに挑んでいます。 また、NECグループは、社会や顧客が求める新たな価値を実現するための研究開発機能、これらの価値を提供するための事業開発機能、および価値ある知財を創出し活用するための知的財産戦略機能をグローバルイノベーションビジネスユニットに結集させ、「未来の共感」と「テクノロジー」でイノベーションを起こし、新たな社会価値創造を実現していきます。 さらに、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インド、イスラエルにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。また、学術・研究機関、顧客、世界最先端の技術を有する研究パートナー等とのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループは、「2025中期経営計画」のもと、強い技術を生み出し続ける研究開発力と事業開発力とを統合することで技術と事業の繋がりを一層深め、技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」によって、成長の実現を目指します。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (ITサービス事業)高度な専門業務の自動化による生産性向上に資するAgentic AIの開発・提供 当社は、当社が開発した生成AI「cotomi」を活用して専門的な業務の自動化を可能とするエージェント型AI(Agentic AI/ AI Agent)を開発し、2025年1月から「NEC AI Agent」として提供を開始しました。 NEC AI Agentは、高度な専門知識がない利用者でも実行したい業務を入力するだけで、生成AI「cotomi」が自律的にタスクを分解して必要な業務を設計し、それぞれのタスクに適したAIやITサービスを選択して業務を自動で実行できるため、経営計画や人材管理、マーケティング戦略など、企業経営や業務運営に関わる高度な専門業務において、大幅な効率化が期待できます。 当社は、今後、業務や機能に特化するなど、Agentic AIを活用したサービスの拡充を進め、さらなる生産性向上や業務効率化を支援するとともに、お客様の業務変革の実現に貢献していきます。 (ITサービス事業)小型で幅広い用途に展開可能な顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を開発 当社は、高品質画像から抽出できる虹彩の特徴量を低品質画像からでも推定可能な顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を世界で初めて(*1)開発しました。これにより、従来必要としていた虹彩認証専用のカメラを用いることなく、PCやタブレット端末にカメラモジュールを接続するだけで数千万人規模の生体認証を高速かつ高精度に実行でき、小型で屋内外問わず幅広い用途に生体認証を展開することが可能となります。 世界No.1の認証精度を持つ顔認証技術と虹彩認証技術をはじめとした生体認証技術(*2)は、当社の価値創造モデル「BluStellar」のコアテクノロジーの1つです。NECグループは、今後も業種横断の先進的な知見と研ぎ澄まされた最先端テクノロジーによりビジネスモデルを変革し、社会課題とお客様の経営課題の解決に導きます。*1 2024年11月21日時点、当社調べ。*2 米国国立標準技術研究所(NIST)が実施したベンチマークテストにおいて、指紋認証技術、顔認証技術、虹彩認証技術はいずれも第1位の評価を獲得しています。当社の生体認証における第三者評価は、こちらをご参照ください。 https://jpn.nec.com/biometrics/evaluation/index.html (ITサービス事業・社会インフラ事業)衛星画像解析×LLMにより迅速な被災状況把握を実現する技術を開発 当社は、高度な専門知識を必要とする衛星画像解析とLLM(大規模言語モデル)を融合し、チャット形式で災害時の迅速な被災状況の把握を可能にする技術を開発しました。 この技術により、衛星データの高度な解析を通じて、災害やインフラの変化などの事象を深く理解することが可能となり、さらに地図データや現地で撮影した写真などの地上データを融合させることにより、倒壊した家屋の数や深刻さの程度などを素早く推定することができます。 今後、多くのデータソースをこの技術により解析できるようにすることで、地球規模での災害リスクの予測や、自治体や企業の防災対策策定などへの活用を目指していきます。 (その他)経口投与型の個別化がんワクチンの第Ⅰ相臨床試験の中間結果でワクチンの安全性と免疫原性を報告 NECグループが開発している個別化がんワクチン「NECVAX-NEO1(開発コード)」は、経口投与可能なバクテリアベースのDNAワクチンであり、最先端の独自のAI技術を用いることで、患者の免疫系を活性化し、患者ごとに異なるがん細胞特有のネオアンチゲンを標的として攻撃するT細胞応答を促すように設計されています。NECグループでAIによる創薬の臨床開発を手掛けるNEC Bio Therapeutics GmbHが、免疫チェックポイント阻害剤(CPI)治療を3カ月以上受けているがん患者を対象に第Ⅰ相臨床試験を実施中です。その過程において、メラノーマ(悪性黒色腫)、腎細胞がん、頭頸部がんのいずれかに罹患した患者5名に対し投与したところ、NECVAX-NEO1の投与に関連する有害事象は報告されず高用量投与に移行したこと、また、標的として選定したネオアンチゲンの68%の免疫原性(*1)と、40%の患者におけるネオアンチゲン特異的免疫応答を確認しました(*2)。 現在、NECVAX-NEO1は、新たにリトアニア、ドイツ、スペインで臨床試験評価を行っており、患者の募集・登録を進めています。*1 抗原などが体内で免疫応答を引き起こす能力。*2 2024年12月11日から13日にスイス・ジュネーブで開催されたESMO Immuno-Oncology Congress (ESMO免疫腫瘍学会)2024で、ワクチン投与24週間後の中間解析結果を発表しました。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、99,194百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 ITサービス事業39,429百万円社会インフラ事業40,725百万円その他19,040百万円
FY2024|2,389 文字
6【研究開発活動】 NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、多種多様なデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に据え、研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAIの技術群等を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。 「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発に取り組んでいます。 また、NECグループは、社会や顧客が求める新たな価値を実現するための研究開発機能、これらの価値を提供するための事業開発機能、および価値ある知財を創出し活用するための知的財産戦略機能をグローバルイノベーションビジネスユニットに結集させ、「未来の共感」と「テクノロジー」でイノベーションを起こし、新たな社会価値創造を実現していきます。 さらに、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インド、イスラエルにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。また、学術・研究機関、顧客、世界最先端の技術を有する研究パートナー等とのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループは、「2025中期経営計画」のもと、強い技術を生み出し続ける研究開発力と事業開発力とを統合することで技術と事業の繋がりを一層深め、技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」によって、成長の実現を目指します。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (ITサービス事業)高い日本語性能を有する軽量な生成AI「cotomi(コトミ)」を開発し提供を開始 当社は、独自の工夫と技術により、海外トップクラスのLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)に比してパラメータ数を約13分の1に抑えた、クラウドとオンプレミスのいずれの環境でも運用可能な軽量・高速で高い日本語性能を有するカスタマイズ可能なLLMを開発し、本LLMの性能を強化および拡張した生成AI「cotomi」の提供を開始しました。当社は、cotomiの強化に継続して取り組んでおり、日本語対話能力の比較評価(Rakuda(注))において世界トップクラスのLLM群を上回ることを確認しています。さらに長文処理能力は他社比最大150倍の30万字まで対応可能となり、これにより、社内外の業務文書や社内マニュアルなど膨大な量の文書を扱う幅広い業務への活用を実現しています。 また、当社は、生成AI技術を統括する「生成AIセンター」を設立して、グローバル研究拠点の生成AI領域の先端研究者約100名をバーチャルに集約し、研究とビジネスのシームレスな連携により、生成AIの研究成果の製品化を加速します。注:日本語性能の評価方法。 (ITサービス事業)映像認識AI×LLMにより動画から説明文章を自動生成する技術を、世界で初めて開発 当社は、動画を活用した業務効率化や業務プロセスの革新を支援する技術として、LLMと映像認識AIを組み合わせ、長時間の動画から利用者の目的に応じた短縮動画と説明文章を自動生成する技術を開発しました。本技術をドライブレコーダーの動画分析に活用した場合、事故の発生状況や経緯などを説明する文章と短縮動画を自動で生成可能となり、従来は手作業で行っていた損害保険金請求時に使用する事故調査報告書などの作成にかかる時間を半減できます。 今後は、本技術を、看護・介護記録、製造・建設現場の作業記録、自動運転用AIの学習用データ作成などの支援、放送映像向けの特定コンテンツの収集とナレーション原稿の作成といったさまざまなユースケースに展開する予定です。 (その他)肺がん抗原と抗原特異的T細胞の効率的な同定法を開発 当社と愛知県がんセンターは、肺がん腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のシングルセル解析(組織の塊としてではなく1細胞ごとにRNA(リボ核酸)を検出し、細胞の個性や多様性を解析する手法)とAIを活用した抗原予測システムを組み合わせることにより、がんの目印となる肺がん抗原とそれを特異的に認識し腫瘍細胞を排除することができる免疫細胞を効率よく同定する方法を開発しました。 本研究内容は、抗原特異的ながんワクチン療法やT細胞輸注療法の開発に向けた基礎データとなる可能性があります。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、115,787百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 ITサービス事業45,442百万円社会インフラ事業50,077百万円その他20,268百万円
FY2023|2,162 文字
6【研究開発活動】 NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、多種多様なデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に据え、研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAIの技術群等を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。 「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発に取り組んでいます。 また、NECグループは、社会や顧客が求める新たな価値を実現するための研究開発機能、これらの価値を提供するための事業開発機能、および価値ある知財を創出し活用するための知的財産戦略機能をグローバルイノベーションユニット(現グローバルイノベーションビジネスユニット)に結集させ、「未来の共感」と「テクノロジー」でイノベーションを起こし、新たな社会価値創造を実現していきます。 さらに、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インド、イスラエルにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。また、学術・研究機関、顧客、世界最先端の技術を有する研究パートナー等とのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループは、「2025中期経営計画」のもと、強い技術を生み出し続ける研究開発力と事業開発力とを統合することで技術と事業の繋がりを一層深め、技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」によって、成長の実現を目指します。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (社会基盤事業)衛星レーダとAIを活用し、橋の崩落につながる重大損傷を発見する技術を開発 橋などの道路構造物に対し、事故やトラブルを未然に防ぐため5年に一度の定期点検が求められていますが、担当する専門家の人員が不足しており、点検の効率化や代替手段となる新技術が必要とされています。 当社は、衛星レーダによるリモートセンシングで得られた変位データと橋の構造や気温の変化を学習させたAIを用いて橋の状態を遠隔から解析し、従来発見が困難であった橋の「異常なたわみ」を高精度で検知することで、橋の崩落につながる重大損傷を早期に発見することができる技術を開発しました。本技術を活用することで、ミリ単位の異常なたわみを複数の橋に対してまとめて検知することが可能になり、近接での目視点検が困難な河川・海・谷などに架かる橋の点検業務の効率化に貢献します。 当社は、本技術を強化し、2025年度を目標に、橋の管理者や点検従事者向けの製品化をはかるとともに、橋を含むインフラ施設管理全般のDX推進に取り組んでいきます。 (グローバル事業)多人数を追跡・認証して入場時の混雑緩和に貢献する「ゲートレス生体認証システム」を開発 フラッパーゲートや警備員のいる通用門に多人数が集中した際には、一人ずつ通過して本人確認を行うことが求められるため、長い行列ができるなど混雑が発生します。 当社は、服装の特徴で照合する人物照合技術と動きの特徴で追跡する技術を併用しリアルタイムに多人数を追跡しながら高精度な顔認証を行う「ゲートレス生体認証システム」を開発しました。本システムを活用することで、多人数が自然に歩いて入場している状態でも1台のカメラで1分間に100人以上認証することが可能となるため、混雑を緩和し利用者に負担のないスムーズな入場を実現します。 当社は今後、テーマパークやイベント会場、オフィス・工場における入退管理に加えて鉄道の自動改札のゲートレス化などのさまざまなシーンでの活用検証を進め、2024年度を目標に本システムの実用化を目指します。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、121,359百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 社会公共事業9,950百万円社会基盤事業11,832百万円エンタープライズ事業12,463百万円ネットワークサービス事業35,867百万円グローバル事業21,290百万円その他29,957百万円
FY2022|2,545 文字
5【研究開発活動】 NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、多種多様なデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に据え、研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAIの技術群等を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。 「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発に取り組んでいます。 また、NECグループは、社会や顧客が求める新たな価値を実現するための研究開発機能、これらの価値を提供するための事業開発機能、および価値ある知財を創出し活用するための知的財産戦略機能をグローバルイノベーションユニットに結集させ、「未来の共感」と「テクノロジー」でイノベーションを起こし、新たな社会価値創造を実現していきます。 さらに、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インド、イスラエルにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。また、学術・研究機関、顧客、世界最先端の技術を有する研究パートナー等とのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループは、2025中期経営計画のもと、強い技術を生み出し続ける研究開発力と事業開発力とを統合することで技術と事業の繋がりを一層深め、技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」によって、成長の実現を目指します。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (その他事業)個別化がんワクチン「TG4050」の第Ⅰ相臨床試験で良好な初期データを獲得 がん治療のひとつであるがん免疫療法は、本来身体に備わっているがんに対する免疫の反応を強化し、がんの増殖・進展を抑制する治療法で、副作用が少ない治療として期待されています。当社は、がん免疫療法の「がんワクチン療法」において、患者個々の腫瘍特異的変異抗原(ネオアンチゲン)を標的としたワクチン治療の開発を進めています。 当社は、がん治療向けウイルスベース免疫治療の設計開発を手掛けるフランスのトランスジーン社との間で、同社が持つ高度なウイルス工学プラットフォームと、当社の精度の高いAIによるネオアンチゲン予測システム「NEC Immune Profiler」を組み合わせ、個別化がんワクチン「TG4050」を共同開発しています。「TG4050」の第Ⅰ相臨床試験の中間解析において、「TG4050」はこれまでのところ良好な安全性プロファイルを示すとともに、「TG4050」による免疫機構の活性化と臨床的効果の初期的な徴候を観察することができました。 当社は、ヘルスケア・ライフサイエンス事業強化の取り組みのひとつとして、「TG4050」の開発を推進します。 (グローバル事業)マルチコアファイバによる光海底ケーブルの大容量化を実現する基盤技術を開発 5Gの普及に伴うモバイルデータ通信の増加や、オンラインによる社会活動の一般化などによる世界的なデータ流通量の増加傾向を背景に、光海底ケーブルシステムの国際データ通信インフラとしての重要性がますます高まっています。一方、コスト高となってしまうケーブル外径の拡張を伴わずに収容できる光ファイバ数には限界があり、光海底ケーブルシステムによる通信のさらなる大容量化が困難となっていました。 当社、㈱KDDI総合研究所、東北大学、住友電気工業㈱、古河電気工業㈱および㈱オプトクエストの6機関は、従来の光ファイバの限界を打破する技術として、光が伝搬するコアを光ファイバ中に複数設けるマルチコアファイバに着目し、光海底ケーブルシステムの持続的な大容量化を実現するための基盤技術の開発・実証を行いました。当社は、マルチコアファイバを収容することで、ケーブルの外径を維持したまま伝送容量を拡大することが可能な光海底ケーブルの開発を行いました。当社の成果を含む各機関の研究成果を組み合わせることで、3,000km級の光海底ケーブルシステムにおける通信容量を、既存のシステムと比較して7倍となる毎秒1.7ペタビット程度にまで拡大できる可能性を確認しています。 今後は、本研究開発で確立した技術をもとに、量産化技術や運用保守技術等の研究開発を推進し、2020年代半ばの実用化を目指すとともに、国際データ通信インフラの拡充に貢献します。(注)本成果は、総務省から受託した「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」、技術課題Ⅱ「マルチコア大容量光伝送システム技術」(2018年度~2021年度)によるものです。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、126,266百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 社会公共事業11,136百万円社会基盤事業12,601百万円エンタープライズ事業14,966百万円ネットワークサービス事業39,825百万円グローバル事業20,496百万円その他27,242百万円
FY2021|2,353 文字
5【研究開発活動】 NECグループは、ICTを活用した社会課題解決に取り組むことで、人が豊かに生きる安全・安心・公平・効率な社会の実現を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、多種多様なデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に据え、研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAI(人工知能)の技術群等を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。 「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発に取り組んでいます。 また、NECグループは、社会や顧客が求める新たな価値を実現するための研究開発とこれらの価値を提供するための事業開発とを一体化させて技術の事業化を更に加速するため、2021年4月に新事業の創出に特化した組織であるビジネスイノベーションユニットと研究・開発ユニットを統合し、新たにグローバルイノベーションユニットを設置しました。 さらに、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インドにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。また、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループは、強い技術を生み出し続ける研究開発力と事業開発力とを統合することで技術と事業の繋がりを一層深め、技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」によって、成長の実現を目指します。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (エンタープライズ事業)ロボット導入・活用を容易にするティーチング作業自動化AIを開発 当社は、現場の作業者が作業目標を指示するだけで、全自動でロボットの作業手順を設定し、最も効率的で安全な動作を導き出してロボットを制御するAI技術「目標指向タスクプランニング技術」を開発しました。本技術を活用することで、これまで専門家が人手で行っていたロボットへのティーチング作業(作業目標を達成する一連の作業手順の設計および作業手順に沿ってロボットを動作させる制御命令の作成と設定をする作業)を自動化し、ロボット稼働までに要する時間を大幅に短縮することが可能となります。 当社は、本技術を活用することで、作業変更が頻繁に発生し、作業環境が変化しやすい現場におけるロボットの導入や活用を支援し、倉庫業や製造業などの現場における労働力不足の解決に貢献します。 (エンタープライズ事業)AIにより車などの遠隔見守りの高度化に貢献する「学習型メディア送信制御技術」を開発 当社は、自動運転車両の安全・安心な走行を支援するため、車載カメラが撮影した映像データを遠隔地の監視センターに送信する際、他の車両、歩行者、信号機など運転時の危険を予兆するために必要な領域に限定して最適な画質に調整するという送信制御を自動的に行い、送信データ量を大幅に削減するAI技術「学習型メディア送信制御技術」を開発しました。本技術を活用することで、映像の乱れや通信遅延が生じやすい走行中であっても車載カメラが記録した高画質な映像をリアルタイムに安定して伝送することが可能となります。 当社は、本技術を活用した車外・車室内状況見守りソリューションを翌連結会計年度中に商用化する予定であり、当該ソリューションの提供を通じて、自動運転車両の遠隔見守りを高度化することに貢献します。 (グローバル事業)画像解析で人の密集度合いをリアルタイムに可視化する技術を開発当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大の防止に貢献するため、駅や空港といった公共施設や店舗など人が集まる場所に設置されたカメラの映像を解析し、個人を特定しない形で人の密集度合いをリアルタイムに可視化するソーシャルディスタンシング判定技術を開発しました。新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためには、人と人との距離を保つことが重要であり、本技術を活用して人の密集度合いを数値化しリアルタイムに示すことで、施設管理者や施設利用者に対して密集回避を促すことが可能となります。 当社は、本技術を含む映像解析技術を活用したソリューションの提供を通じて、安全・安心な社会の実現に貢献します。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、114,625百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 社会公共事業10,726百万円社会基盤事業12,646百万円エンタープライズ事業15,755百万円ネットワークサービス事業31,151百万円グローバル事業18,400百万円その他25,947百万円
FY2020|2,322 文字
5【研究開発活動】 NECグループは、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力することにより、人が豊かに生きる安全・安心・公平・効率な社会の実現を目指しています。その実現に向けて中央研究所は、社会ソリューション事業の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、ビッグデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAI(人工知能)の技術群や、IoT(Internet of Things)基盤技術を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。 「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発を進めています。 また、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国、インドにも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。また、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 なお、NECグループは、「2020中期経営計画」のもと、「実行力の改革」に向けて事業開発力の強化に取り組んでおり、競争力のある技術の収益化を進めています。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (エンタープライズ事業)生産状況の変動を想定し生産プロセスの最適化を支援するAI技術を実証 製造現場では、新たに生産プロセスを稼働させるにあたり、生産設備の処理速度や生産計画に変動が生じた場合における生産の停滞・遅延などの生産プロセスへの影響について事前に検証を繰り返すことで、生産プロセスの最適化をはかっています。しかし、多品種混流生産プロセスでは多数の変動要因を組み合わせたパターンがほぼ無限に存在することから、その変動パターンを探索するための時間の増加や想定すべきパターンに漏れが生じるなどの課題がありました。 当社と国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)は、このような課題に対応するため、シミュレータを活用することによってあらゆるパターンを想定する「希少事象発見技術」を強化し、AIが学習しながら繰り返すシミュレーションにおいて、発見したいパターンの中でも特に起こりやすいパターンを集中的に探索することで、探索時間の短縮を可能にしました。当社は㈱神戸製鋼所と共同して、同社が開発した生産シミュレータにおいて、本技術を用いた多品種混流生産プロセスの検証を行った結果、専門家でも想定しにくい変動要因の組み合わせを効率よく発見することができ、1週間程度かかる専門家の評価が1日程度まで削減できることを実証しました。 当社、産総研および㈱神戸製鋼所は、今後も共同研究を継続し、生産プロセスの専門家とともに、設備計画や生産計画の立案を支援するAIとシミュレーションの融合技術の研究開発と産業への応用に貢献していきます。 (グローバル事業)歩きながらでも虹彩認証を可能にする技術を開発 当社の虹彩認証技術は、2018年に行われた米国国立標準技術研究所(NIST)における精度評価テストで第1位を獲得するなど、非常に高い認証精度を有しています。従来、虹彩認証においては、認識すべき虹彩が非常に小さく、個人ごとに異なる虹彩の微小な模様を捉える必要があることから、利用者がカメラの正面の決められた位置に静止し、目の位置をカメラに合わせなければなりませんでした。 当社は、通常の歩行速度で歩く人の虹彩を高精細に撮像するために目の位置を正確に推定する技術、および認証時に撮像された大量の画像から虹彩認証に適した画像のみを高速に抽出する画像解析技術を開発し、これらを組み合わせることにより、利用者が認証ゲート等で立ち止まることなく、歩行している間に、利用者の虹彩撮像から本人認証まで完了することを可能としました。これらの技術を応用することで、空港、スタジアム、コンサート会場などの大規模施設におけるセキュリティゲートや電車・バスなどの改札ゲートにおいても、利用者を静止させることなく虹彩認証による本人確認を行うことが可能となり、セキュリティ強化や利便性向上をはかることができます。 当社は、本技術を2021年度中に実用化することを目指します。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、109,787百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 社会公共事業4,799百万円社会基盤事業11,595百万円エンタープライズ事業4,615百万円ネットワークサービス事業20,327百万円システムプラットフォーム事業21,141百万円グローバル事業17,671百万円その他29,639百万円
FY2019|2,763 文字
5【研究開発活動】 NECグループは、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力することにより、人が豊かに生きる安全・安心・効率・公平な社会の実現を目指しています。その実現に向けて中央研究所は、社会ソリューション事業の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、ビッグデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAI(人工知能)の技術群や、IoT(Internet of Things)基盤技術を活用し、実世界の見える化をはかることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。 「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発を進めています。 また、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国にも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進しています。2018年7月には、新興国向けソリューションの開発を目的としてインドにも研究開発拠点を設置しました。また、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しており、2019年3月には、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)と共同で量子アニーリングを始めとする量子コンピューティング技術の開発加速を目的とした「NEC-産総研 量子活用テクノロジー連携研究室」を産総研つくばセンター内に設立しました。 なお、NECグループは、「2020中期経営計画」のもと、「実行力の改革」に向けて事業開発力の強化に取り組んでおり、競争力のある技術の収益化を進めています。これを具現化する取り組みとして、2018年4月に、NECグループの最先端AI技術の開発リーダーを創業者として、データ分析プロセスをAIによって自動化するソフトウェアを開発し、グローバルに販売するドットデータ社を米国に設立しました。同社は、外部資金調達などを通じて迅速な事業拡大を目指しています。また、同年7月に、コア技術のグローバルな事業化を加速するインキュベーションを担うNECエックス社を米国に設立し、グローバルなビジネス機会の探索を行っています。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (パブリック事業)カメラから顔や体の一部が見えない人物でも高精度に照合する「人物照合技術」を開発 当社の顔認証技術は、米国国立標準技術研究所(NIST)の顔認証技術ベンチマークテストで4回連続して第1位評価を獲得するなど、静止画だけでなく、より照合処理の難しい動画においても非常に高い認証精度を有しています。しかし、識別したい人物の顔がカメラに写っていなければ認証することができません。そこで、これまでは横向き・後ろ向きなどカメラから顔の見えない人物を照合する場合、その人物の全身を複数のカメラを使って照合する方法が採られてきましたが、把握したい人物の全身の一部が人混みや物陰などでカメラから見えない場合、照合が困難でした。 当社は、これまで顔認証技術などにより培ってきた当社の映像解析技術とディープラーニング(深層学習)技術を用いることで、カメラから顔や体の一部が見えない人物を全身の外観画像から照合することができる「人物照合技術」を開発しました。本技術は、カメラに写った人物の服装や体型などを分析し、全身の外観画像と比較することで、同一人物かどうかを判定するもので、公開データベースを活用した自社実験において約9割の人物照合率を達成しました。本技術を応用することで、例えば、施設に設置された複数のカメラ映像の中から同一人物を簡単にリアルタイムで見つけ出すことができるようになり、人や遮へい物が多い大規模施設内の警備支援や、顔認証技術との組み合わせによる迷子等の人物捜索サービスを提供することが可能となります。 当社は、本技術を適用した各種ソリューションを2019年度から順次展開していきます。 (エンタープライズ事業、システムプラットフォーム事業)AIを活用した時系列データ分析による状態判別技術を開発 当社は、システムや設備に設置されたセンサなどから収集・蓄積された時系列データを用いて迅速かつ高精度に当該システム・設備の状態を判別し、異常検知、障害診断、故障予測を実現するAI技術「時系列データ モデルフリー分析技術」を開発しました。従来、システムや設備の運用監視にあたっては、監視対象のシステムや設備から得られるデータを数式などを用いてモデル化し、そのシステムや設備がモデルどおりに稼働しているか判断する方法が多く採られていましたが、モデルの構築・検証・評価(チューニング)に時間と手間がかかっていました。本技術は、監視対象のシステムや設備から得られる過去と現在の時系列データの類似性を照合可能とするもので、モデル化が不要であり、低コストかつ短期間でスムーズに導入することができます。また、本技術を用いた場合、蓄積されたデータが少ない段階からシステムや設備の運用監視を行うことが可能であり、運用監視をしながらその精度を向上させることができます。 当社は、本技術を用いたシステム・設備の運用監視を2019年度中に火力発電所で開始することを目指しており、実証・検証を重ねたうえで、道路・橋梁、鉄道・自動車など他の社会インフラへの適用拡大を進めていきます。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、108,141百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 パブリック事業12,622百万円エンタープライズ事業5,725百万円ネットワークサービス事業17,464百万円システムプラットフォーム事業26,893百万円グローバル事業23,015百万円その他22,422百万円
FY2018|2,418 文字
5【研究開発活動】 NECグループは、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力することにより、人が豊かに生きる安全・安心・効率的・公平な社会の実現を目指しています。その実現に向けて中央研究所は、社会ソリューション事業の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、かかる技術の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、ビッグデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つAI(人工知能)の技術群や、IoT(Internet of Things)基盤技術を活用し、実世界の見える化を図ることで従来よりも広く深い情報の収集・分析を行い、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のデジタルトランスフォーメーションに貢献していきます。 「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、デジタルトランスフォーメーションの深化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性とダイナミズムを実現するための研究開発を進めています。 また、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、シンガポール、中国にも研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進し、その知見をグローバルな共通知とするとともに、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (システムプラットフォーム事業)ベクトル型コンピュータに適した機械学習向けデータ処理技術を開発 近年、大規模なデータを用いた分析や予測を行うため、AIの一手法である機械学習技術の活用が拡大しています。機械学習技術を用いて大規模なデータを分析する場合、一般的には、複数のサーバを接続したクラスタと呼ばれるハードウェア環境下で、オープンソースのミドルウェアを用いて分散処理を行います。しかし、データ量が膨大になると、処理性能が不足しタイムリーに分析結果を得られず、また多数のサーバを必要とするためコストがかさむという課題がありました。 当社は、このような課題に対応するため、ベクトル型コンピュータに適した統計数理型の機械学習向けデータ処理技術を開発しました。この技術は、当社が長年開発してきた、膨大かつ複雑な計算処理に圧倒的な高性能を誇るベクトル型コンピュータの優れた性能を最大限に活かし、従来の一般的な機械学習の処理方法と比較して50倍以上高速に実行することを可能とします。また、あわせて当社は、この技術を効率的に実行するためのミドルウェアも開発しました。これにより、Web広告出稿の最適化やレコメンド、文書分析などで使われている統計数理型の機械学習を短時間で処理できるようになり、分析結果のタイムリーな利用が可能となります。また、サーバ構成を最小化することにより低コストで分析できるようになるため、幅広いユーザー層において導入が可能となります。 柔軟なシステム構成が可能な当社のベクトル型コンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」にこの技術を適用することで、機械学習による大規模データ分析を容易に実現することが可能となります。(エンタープライズ事業)毎秒10万件超の取引を可能にするブロックチェーン技術を開発 ブロックチェーンは、複数の参加者がインターネット上でデータの記録と共有を行うための仕組みで、信頼できる組織や中央サーバを介さなくても改ざんされていないデータを共有していることを保証できるという特徴があります。現在、ビットコインをはじめとする仮想通貨の処理に活用されているほか、セキュアな情報共有の手段として注目を集めており、世界各地で多岐にわたる用途での実証実験が活発に行われています。一方、誰もが自由に利用できるビットコインのブロックチェーンは毎秒7件の書き込みが性能の限界とされ、参加者限定型のブロックチェーンにおいても参加ノード数が数十ノードを超えると性能が極端に悪化するという課題を抱えていました。ブロックチェーンにおいては、参加ノード間の合意形成にアルゴリズムを用いていますが、これらの課題はこのアルゴリズムに起因していました。また、すべての参加者がすべての記録を見ることができるためデータの秘匿性という観点でも課題がありました。 当社は、取引記録に参加するノード数が200ノード程度の大規模接続環境下で毎秒10万件以上の記録性能を達成するブロックチェーン向け合意形成アルゴリズムを備え、かつ取引記録の公開範囲を限定するための制御を行うことができるソフトウェアを開発しました。これにより、高速性と安全性の両面で高い性能を実現しました。また、証券取引、貿易取引、エネルギー取引、サプライチェーン、公文書管理といったビジネス用途におけるブロックチェーン技術の本格的な利活用を加速させることにつながります。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、108,093百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 パブリック事業 10,950百万円エンタープライズ事業 4,571百万円テレコムキャリア事業 35,361百万円システムプラットフォーム事業 30,492百万円その他 26,719百万円
FY2017|2,299 文字
6【研究開発活動】 NECグループは、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力することにより、人が豊かに生きる安全・安心・効率的・公平な社会の実現を目指しています。その実現に向けて中央研究所は、社会ソリューション事業の軸となる既存事業を発展させる技術成果や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術成果を創出し、かかる技術成果の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、ビッグデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つ人工知能(AI)の技術群や、IoT(Internet of Things)基盤技術を活用し、実世界の見える化によって従来よりも広く深い情報を入手・分析し、また、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のダイナミックな最適制御の実現に貢献していきます。「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、AIの進化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性を実現するための研究開発を進めています。 また、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、中国、シンガポール、日本に研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進するとともに、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループのセグメント別の主な研究開発の内容は、次のとおりです。 (パブリック事業)官公、公共、医療、金融およびメディア向けの事業領域における、システムやソリューションの研究開発を行っています。 (エンタープライズ事業)製造業および流通・サービス業向けの事業領域における、システムやソリューションの研究開発を行っています。 (テレコムキャリア事業)通信キャリア向けの事業領域における、ネットワークシステムやソリューションの研究開発を行っています。 (システムプラットフォーム事業)ハードウェア、ソフトウェア、企業ネットワークおよびサービス事業領域における、システム基盤の研究開発を行っています。 (その他)環境・エネルギー事業領域におけるエネルギー・マネジメント・システムやIoT用デバイス・システムの研究開発を行っています。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (エンタープライズ事業)顧客一人ひとりのプロフィールを、マーケティングの専門家の関与なしに、高精度に自動推定するAI技術を開発 マーケティング分野では、消費者全体を対象とするマスマーケティングに加え、個々の顧客のプロフィールに基づき、顧客の興味・関心や購買意向、価値観に合った商品の開発や販売戦略の立案を行う“個”のマーケティングが注目されています。“個”のマーケティングを行うためには、顧客の職業、嗜好、年収など、入手が困難な詳細プロフィール情報(詳細プロフィール)が必要です。従来は、詳細プロフィールを年齢、性別といった比較的収集が容易な情報(基本プロフィール)や購買履歴から推定していましたが、精度や所要時間の面で課題がありました。 当社は、当社独自の関係性発見技術により、顧客の基本プロフィールと購買履歴から、顧客一人ひとりの詳細プロフィールを自動推定するAI技術「顧客プロフィール推定技術」を開発しました。これにより、従来はマーケティングの専門家が例えば3ヵ月を要して行っていた分析を3日間で、かつ専門家の分析を上回る精度で実施できるようになります。 当社は、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ECサイト、ポイントカードシステム事業者などの小売・流通分野への適用を視野に入れて、本技術の研究開発を進めていきます。 (エンタープライズ事業、パブリック事業)離れた場所から視線の方向をリアルタイムかつ高精度に検知できる技術を開発 昨今、人の視線の方向をリアルタイムに検出する技術を様々な分野で活用しようとする動きがあります。従来、視線の検知は、赤外線ライトとカメラが一体となった専用装置を用いなければならず、しかも近距離からしか検知できないという課題がありました。 当社は、街中や店舗に設置された通常のカメラのみで、離れた場所からでも複数人の視線の方向をリアルタイムかつ高精度に検知できる「遠隔視線推定技術」を開発しました。 当社は、本技術を、通行人の視線の動きから街中における避難・誘導標識の最適な配置を検討したり不審者を監視する安全・安心に関わる用途や、店舗にいる顧客やデジタルサイネージに注目している顧客の視線の動きから人気商品や人気コンテンツを推定するなどのマーケティング用途への応用を進めます。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、109,319百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 パブリック事業 11,924百万円エンタープライズ事業 3,277百万円テレコムキャリア事業 36,474百万円システムプラットフォーム事業 36,363百万円その他 21,281百万円
FY2016|2,216 文字
6【研究開発活動】 NECグループは、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力することにより、人が豊かに生きる安全・安心・効率的・公平な社会の実現を目指しています。その実現に向けて中央研究所は、社会ソリューション事業の軸となる既存事業を発展させる技術成果や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術成果を創出し、かかる技術成果の事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。 具体的には、ビッグデータの解析により新たな価値を創造する「データサイエンス」の技術領域と、これを効率的かつセキュアに支える「ICTプラットフォーム」の技術領域を中心に研究開発を推進しています。 「データサイエンス」の技術領域では、長年にわたる技術の蓄積と事業実績、世界トップレベルの性能を持つ人工知能(AI)の技術群や、IoT(Internet of Things)基盤技術を活用し、実世界の見える化によって従来よりも広く深い情報を入手・分析し、また、複雑化・不確実化する社会システムの将来を予測することによって、社会システム全体のダイナミックな最適制御の実現に貢献していきます。「ICTプラットフォーム」の技術領域では、コンピューティングやネットワーキング、セキュリティの分野において、AIの進化に対応するユニークな技術を発展させることにより、即時性・遠隔性・堅牢性を実現するための研究開発を進めています。 また、グローバルに研究成果を創出するため、北米、欧州、中国、シンガポール、日本に研究開発拠点を設置し、それぞれの地の利を生かした研究開発を推進するとともに、顧客や世界最先端の技術を有する研究パートナーとのオープンイノベーションを通じて、より大きな社会価値を創出することに挑戦しています。 NECグループのセグメント別の主な研究開発の内容は、次のとおりです。 (パブリック事業)官公、公共、医療、金融およびメディア向けの事業領域における、システムやソリューションの研究開発を行っています。 (エンタープライズ事業)製造業および流通・サービス業向けの事業領域における、システムやソリューションの研究開発を行っています。 (テレコムキャリア事業)通信キャリア向けの事業領域における、ネットワークシステムやソリューションの研究開発を行っています。 (システムプラットフォーム事業)ハードウェア、ソフトウェア、企業ネットワークおよびサービス事業領域における、システム基盤の研究開発を行っています。 (その他)環境・エネルギー事業領域における、蓄電池をはじめとするエネルギー・コンポーネントおよびエネルギー・マネジメント・システムの研究開発を行っています。 NECグループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、次のとおりです。 (パブリック事業)大量の映像データから特定のパターンで出現する対象を高速に検索する技術を開発 防犯や犯罪捜査において、複数の防犯カメラで撮影された大量の映像データを解析する場合、人手や顔認証技術の活用のみによる解析作業では、同じ場所に頻繁に現れる人物や、複数の場所に現れる人物の特定には多大な時間がかかるという課題があります。 当社は、顔認証技術などを組み合わせることにより、解析作業の負荷を大幅に軽減可能な「時空間データ横断プロファイリング」技術を開発しました。本技術は、大量の映像データに現れる人物の顔データを「類似度」によりグループ化し、ツリー構造で管理することで、特定のパターン(出現時間・場所・回数など)で出現する人物を高速で検索することを可能にします。 当社は、本技術を平成28年度中に実用化するとともに、今後は、防犯や犯罪捜査だけでなく、流通業やサービス業におけるロイヤルカスタマーへのおもてなしなどにも適用する予定です。 (システムプラットフォーム事業)ビッグデータを用いた予測結果に基づき、戦略や計画の立案などの高度な判断を行うことを可能にするAI技術を開発 IoTが普及すると、センサなどで収集されるビッグデータの有効活用のニーズが高まります。当社は、ビッグデータに混在する多数の規則性を発見することができる「異種混合学習技術」を平成24年に開発し、ビッグデータを用いた高精度かつ大規模な予測の自動化を実現してきました。他方で、予測結果に基づく戦略や計画の立案などの高度な判断については、従来、人間が行っていましたが、その規模や正確性には限界があります。 当社は、そのような高度な判断を、ソフトウェアで超高速かつ高精度に実現するAI技術「予測型意思決定最適化技術」を開発しました。この技術により、例えば、資源の需給予測に基づく供給計画や、商品の需要予測に基づく商品価格戦略を瞬時かつ自動的に策定できるようになります。 当社は、本技術および「異種混合学習技術」を活用し、ビッグデータによる新たな価値創出に貢献します。 当連結会計年度におけるNECグループ全体の研究開発費は、123,995百万円であり、セグメントごとの内訳は、次のとおりです。 パブリック事業 15,102百万円エンタープライズ事業 2,884百万円テレコムキャリア事業 43,899百万円システムプラットフォーム事業 40,299百万円その他 21,811百万円